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特表2024-520348NOX吸着用パラジウム含有AFXゼオライト触媒の合成
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-24
(54)【発明の名称】NOX吸着用パラジウム含有AFXゼオライト触媒の合成
(51)【国際特許分類】
   B01J 37/10 20060101AFI20240517BHJP
   B01J 37/08 20060101ALI20240517BHJP
   B01J 37/30 20060101ALI20240517BHJP
   B01J 37/02 20060101ALI20240517BHJP
   B01J 35/57 20240101ALI20240517BHJP
   B01J 29/74 20060101ALI20240517BHJP
   C01B 39/48 20060101ALI20240517BHJP
   B01D 53/94 20060101ALI20240517BHJP
   F01N 3/08 20060101ALI20240517BHJP
   F01N 3/10 20060101ALI20240517BHJP
   F01N 3/28 20060101ALI20240517BHJP
【FI】
B01J37/10
B01J37/08 ZAB
B01J37/30
B01J37/02 101Z
B01J35/57 E
B01J29/74 A
C01B39/48
B01D53/94 222
B01D53/94 245
B01D53/94 280
F01N3/08 B
F01N3/10 A
F01N3/28 L
F01N3/28 301P
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023571721
(86)(22)【出願日】2022-05-12
(85)【翻訳文提出日】2023-11-17
(86)【国際出願番号】 EP2022062937
(87)【国際公開番号】W WO2022243164
(87)【国際公開日】2022-11-24
(31)【優先権主張番号】2105314
(32)【優先日】2021-05-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591007826
【氏名又は名称】イエフペ エネルジ ヌヴェル
【氏名又は名称原語表記】IFP ENERGIES NOUVELLES
(74)【代理人】
【識別番号】100123788
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 昭夫
(74)【代理人】
【識別番号】100127454
【弁理士】
【氏名又は名称】緒方 雅昭
(72)【発明者】
【氏名】ベルトルー、 ダヴィド
(72)【発明者】
【氏名】マルティネス-フランコ、 ラケル
(72)【発明者】
【氏名】ブアレグ、 マリカ
(72)【発明者】
【氏名】ハルブザル、 ボグダン
【テーマコード(参考)】
3G091
4D148
4G073
4G169
【Fターム(参考)】
3G091AB05
3G091BA14
3G091CA17
3G091GA06
3G091GB01W
3G091GB04W
3G091GB07W
4D148AA06
4D148AA13
4D148AA18
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4D148AB02
4D148AB09
4D148BA03X
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4D148BA07Y
4D148BA09Y
4D148BA10Y
4D148BA11X
4D148BA19Y
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4D148BA39Y
4D148BA41X
4D148BA45Y
4D148BB02
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4D148CD05
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4D148DA11
4D148DA12
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4G073BA04
4G073BA63
4G073BA69
4G073BA75
4G073BB07
4G073BB44
4G073BB48
4G073BD21
4G073CZ50
4G073DZ02
4G073FB24
4G073FB30
4G073FB36
4G073FB50
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4G073FC19
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4G073FC27
4G073FC30
4G073FD01
4G073FD02
4G073FD18
4G073FD20
4G073FD21
4G073FD23
4G073GA01
4G073GA03
4G073GA19
4G073UA05
4G073UA06
4G169AA03
4G169AA08
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4G169BA01C
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4G169BA04C
4G169BA05C
4G169BA07A
4G169BA07B
4G169BA27C
4G169BB04C
4G169BB05C
4G169BB06C
4G169BB12C
4G169BC02C
4G169BC10C
4G169BC16C
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4G169BC60A
4G169BC72A
4G169BC72B
4G169BD01C
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4G169EA27
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4G169ED06
4G169FA01
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4G169FB05
4G169FB23
4G169FB29
4G169FB30
4G169FC02
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4G169FC07
4G169FC08
4G169ZA32A
4G169ZA32B
4G169ZB03
4G169ZB04
4G169ZB08
4G169ZB09
4G169ZC04
4G169ZC05
4G169ZD01
4G169ZD03
4G169ZD06
4G169ZE10
4G169ZF02A
4G169ZF04A
4G169ZF05A
4G169ZF05B
4G169ZF09A
(57)【要約】
本発明は、少なくとも以下のステップを含む、AFXゼオライト及びパラジウムを含むゼオライト触媒の調製に関する:
i)水性媒体中で、6~100(境界値を含む)のSiO2(FAU)/Al3(FAU)総モル比を有するFAU構造ゼオライト、有機窒素化合物MPC6(MPC6は、1,6-ビス(メチルピペリジニウム)ヘキサンジヒドロキシドである)、少なくとも1つのナトリウムカチオン源を、均質な前駆体ゲルが得られるまで混合するステップ、
ii)水熱処理ステップ、
iii)ろ過、洗浄及び乾燥し、乾燥AFXゼオライトを得るステップ、
iv)アンモニウム形態の焼成AFXゼオライトを得るために、少なくとも1つのステップのイオン交換をするステップであって、60℃~120℃で再乾燥させるステップ、
v)パラジウム溶液を堆積させるステップ。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
AFX構造型のゼオライト及びパラジウムを含むゼオライト触媒を調製するためのプロセスであって、少なくとも以下のステップを含む方法:
i) 水性媒体中で、6~100(境界値を含む)のSiO2(FAU)/Al3(FAU)総モル比を有するFAU構造ゼオライト、有機窒素化合物MPC6(MPC6は、1,6-ビス(メチルピペリジニウム)ヘキサンジヒドロキシドである)、少なくとも1つのナトリウムカチオン源を、均質な前駆体ゲルが得られるまで混合するステップであって、
前記反応混合物は、以下のモル組成を有するステップ:
(SiO2(FAU))/(Al3(FAU))が6~100であり、
O/(SiO2(FAU))が5~60であり、
MPC6/(SiO2(FAU))が0.05~0.50であり、
NaO/(SiO2(FAU))が0.05~0.25であり、
但し、境界値を含む、
ここで、SiO2(FAU)は、FAUゼオライトによって提供されるSiOの量を示し、Al3(FAU)は、FAUゼオライトによって提供されるAlの量を示し、
ii) AFXゼオライトを得るために、前記ステップi)の終了時に得られた前記前駆体ゲルを120℃~220℃の温度で12時間~15日間水熱処理するステップ、
iii) 前記ステップii)の終了時に得られた前記AFXゼオライトをろ過、洗浄及び乾燥するステップであって、
前記乾燥は、60~120℃の温度で5~24時間実施して、乾燥AFXゼオライトを得、
次いで、前記乾燥AFXゼオライトの焼成が、500~700℃の温度で、2~20時間実施し、焼成AFXゼオライトを得、場合によっては、前記焼成の前に、温度を徐々に上昇させる、ステップ、
iv) 前記ステップiii)で得られたAFX構造型の前記焼成ゼオライトを少なくとも1つのステップのイオン交換をするステップであって、
前記ステップiii)で得られた前記焼成AFXゼオライトを、アンモニウムカチオン、好ましくは硝酸アンモニウムを含む溶液と、20℃~95℃、好ましくは60℃~85℃で、1時間~2日間、撹拌しながら接触させ、アンモニウム形態の焼成AFXゼオライトを得、60℃~120℃で再度乾燥させることを含む、ステップ、
v)前記アンモニウム形態の焼成及び乾燥AFXゼオライト上にパラジウム溶液を堆積させるステップ。
【請求項2】
前記ステップv)において、乾式含浸により又はコロイド経路を介してパラジウム溶液を堆積させる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ステップi)の前記反応混合物が、SiO2(c)/SiO2(FAU)のモル比が0.001~0.01、但し、境界値を含む、となるようにSiO2(c)で示される少なくとも1つの追加の酸化物形態のSiOのシリコン源を含み、
前記比におけるSiO2(FAU)の含有量は、FAU構造型のゼオライトによって提供される含有量であり、前記ステップi)の前記反応混合物は、以下のモル組成を有する、請求項1又は2に記載の方法:
(SiO2(c)+SiO2(FAU))/Al3(FAU)が6~100であり、
O/(SiO2(c)+SiO2(FAU))が5~60であり、
MPC6/(SiO2(c)+SiO2(FAU))が0.05~0.50であり、
NaO/(SiO2(c)+SiO2(FAU))が0.05~0.25であり、
ただし、境界値を含む。
【請求項4】
前記ステップi)の前記反応混合物が、Al3(c)/Al3(FAU)のモル比が0.001~8、但し、境界値を含む、となるようにAl3(c)で示される少なくとも1つの追加の酸化物形態のアルミニウム源を含み、
前記ステップi)の前記反応混合物は以下のモル組成を有する:
SiO2(FAU)/(Al3(FAU)+Al3(C))が6~100であり、但し、境界値を含む、
O/SiO2(FAU)が5~60であり、
MPC6/SiO2(FAU)が0.05~0.50であり、
NaO/SiO2(FAU)が0.05~0.25であり、但し、境界値を含む、
SiO2(FAU)は、FAUゼオライトによって提供されるSiOの量を示し、
Al3(FAU)は、FAUゼオライトによって提供されるAlの量を示し、
Al3(c)は、酸化物形態と考えられる前記追加のアルミニウム源によって提供されるAlの量であり、
MPC6は、有機窒素化合物である1,6-ビス(メチルピペリジニウム)ヘキサンのジヒドロキシド形態である。
【請求項5】
前記ステップi)の前記反応混合物が以下を含む、請求項1又は2に記載の方法:
-少なくとも1つの追加の酸化物SiO2(c)源、
-及び少なくとも1つの追加の酸化物Al3(c)源、
前記FAUゼオライトは、前記混合物中に存在する無水形態のSiO及びAl源の総量に対して65質量%~85質量%を占め、前記反応混合物は以下のモル組成を有する:
(SiO2(c)+SiO2(FAU))/(Al3(FAU)+Al3(c))が6~100であり、
O/(SiO2(c)+SiO2(FAU))が5~60であり、
MPC6/(SiO2(c)+SiO2(FAU))が0.05~0.50であり、
NaO/(SiO2(c)+SiO2(FAU))が0.05~0.25であり、但し、境界値を含む。
【請求項6】
前記追加のアルミニウム源が、水酸化アルミニウム又はアルミニウム塩、アルミン酸ナトリウム、アルミニウムアルコキシド、又はアルミナの単独物又は混合物から選択され、好ましくは、前記従来のアルミニウム源が水酸化アルミニウムである、請求項4又は5に記載の方法。
【請求項7】
前記ナトリウムカチオン源が水酸化ナトリウムである、先行する請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記AFX構造型のゼオライトの種結晶が、前記混合物中に存在する前記無水形態のSiO及びAl源の総質量に対して0.01重量%~10重量%の量で、前記ステップi)の前記反応混合物に添加され、前記種結晶は、前記SiO及びAl源の総質量に考慮されない、先行する請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記ステップi)が、前記反応混合物を20~100℃の温度で、撹拌しながら又は撹拌せずに30分~48時間熟成させるステップを含む、先行する請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記堆積ステップv)によって導入されるパラジウムの含有量が、前記無水触媒の総質量に対して、0.5質量%~5質量%、好ましくは0.8質量%~3質量%、より好ましくは0.9質量%~2質量%であり、非常に有利には約1質量%である、先行する請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか一項に記載の方法により得られる、パラジウム含有AFXゼオライト触媒。
【請求項12】
前記SiO/Al比が7~20であり、但し、境界値を含む、好ましくは8~16である、但し、境界値を含む、請求項11に記載のAFXゼオライト触媒。
【請求項13】
前記パラジウム含有量が、前記無水最終触媒の総質量に対して、0.5質量%~5質量%、好ましくは0.8質量%~3質量%、より好ましくは0.9質量%~2質量%、より有利には、約1質量%であり、CO化学吸着により測定した前記パラジウムの金属分散度は、40%~100%、好ましくは50%~100%である、請求項11又は12に記載のAFXゼオライト触媒。
【請求項14】
NH又はHなどの還元剤によるNOの選択的還元のための、請求項11~13のいずれか一項に記載の、又は、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法によって得られる、触媒の使用。
【請求項15】
前記触媒が、ハニカム構造体又はプレート構造体上にコーティングの形態で堆積することにより形成される、請求項14に記載の使用。
【請求項16】
前記ハニカム構造体が、両端が開口した平行溝によって形成されるか、又は隣接する平行溝が、前記溝の両端で交互に遮断された多孔性ろ過壁からなる、請求項15に記載の使用。
【請求項17】
前記構造体上に堆積される触媒の量が、ろ過構造体については50~240g/Lであり、開口溝を有する構造体については80~320g/Lである、請求項16に記載の使用。
【請求項18】
前記触媒を、セリア、酸化ジルコニウム、アルミナ、非ゼオライト系シリカ-アルミナ、酸化チタン、セリア-ジルコニア型の混合酸化物、酸化タングステン及び/又はスピネル等のバインダーと組み合わせて、コーティングの形態で堆積により形成する、請求項15~17のいずれか一項に記載の使用。
【請求項19】
前記コーティングが、汚染物質、特にNOxを吸着する、汚染物質、特にNOxを低減する、又は、汚染物質の酸化を促進する、能力を有する別のコーティングと組み合わされる、請求項15~18のいずれか一項に記載の使用。
【請求項20】
前記触媒が、最大100%の前記触媒を含む押出成形物の形態である、請求項14に記載の使用。
【請求項21】
前記触媒で被覆された、又は前記触媒の押出成形によって得られた構造体が、内燃機関の排気ラインに組み込まれる、請求項14~20のいずれか一項に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パラジウムを含有し、AFX構造型のゼオライトをベースとする触媒を調製する方法、それらのいずれか1つの変形例による方法によって製造されるか又は製造可能な触媒、及び特に内燃機関における受動的NOx吸着剤としてのそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
化石燃料の燃焼によって生じる窒素酸化物(NOx)の排出は、社会にとって深刻な懸念事項である。燃焼排出物が環境や健康に与える影響を抑えるため、政府当局はますます厳しい基準を設けつつある。選択触媒還元(SCR)は、希薄混合気モードのディーゼル及び火花点火エンジンに特有の、酸素を豊富に含む排気ガスから窒素酸化物を除去するための効果的な技術として登場した。選択的接触還元は、還元剤、通常はアンモニアを使用して実行されるため、NH-SCRと呼ばれている。遷移金属で交換されたゼオライトは、特に輸送におけるNH-SCR用途の触媒として使用されている。細孔ゼオライト、特に銅交換チャバザイトが特に適している。化学量論的に動作する火花点火エンジンの場合、三元触媒(TWC)は、適切に配合された場合、NOxを低減するのに非常に効果的である。
【0003】
しかし、コールドスタート中、又は、より一般的には排気温度が180~200℃を下回る場合、どちらのシステムもNOx排出を効果的に処理できない。具体的には、尿素水溶液の分解には180°Cを超える温度が必要であり、NH-SCR効率を制限する。TWC触媒に関しては、低温活性の最適化はまだ可能であるが、それでも達成は非常に困難と思われる。
【0004】
低温でNOxを貯蔵し、熱的に放出できるデバイスは、SCR及びTWCシステムの低温での効率不足に対処する可能性を提供する。
この概念は新しいものではなく、1990年代末にFord Global Technologies LLC(特許文献1)及びBASF Catalysts LCC(特許文献2)によって提案されているが、最近の研究では、これがコールドスタートNOx排出制御のための最も有望な技術の一つであることが示されている。
これらのシステムは、受動的NOx吸着剤又はPNAと呼ばれることが多い。最近、NOxの吸着と脱着について、さまざまな材料が評価されている。
【0005】
コールドスタートの概念に関連して、JohnsonMatthey Inc.は、セリウム酸化物、混合酸化物、又はセリウムベースの複合酸化物上に分散されたパラジウムをベースとした熱再生可能な吸着剤を提案している(特許文献3)。
【0006】
特許文献4には、吸着剤として白金族金属を有するゼオライトの使用、特にCHA又はAEI型のゼオライトの使用が記載されている。様々なゼオライト構造が研究されている。受動的NOx吸着剤は、貴金属と、OFF型(特許文献5)、MAZ型(特許文献6)、LTL型(特許文献7)又はSTI型(特許文献8)の構造を有するモレキュラーシーブとを含む。特許文献9は、MOZ構造のゼオライト(ZSM-10)等の12MR及び8MRゼオライトを含み、パラジウムを含有する受動的NOx吸着剤を記載している。
【0007】
特許文献10は、微細孔内に原子レベルで分散させた遷移金属を有する細孔ゼオライト材料をベースとする受動的NOx吸着剤を提示している。細孔ゼオライト、特にSSZ-13(CHA)型の細孔内に原子レベルで分散させた金属を高充填することにより、有意な吸着特性が付与される。
【0008】
AFX構造型のゼオライトは、特許文献11及び特許文献12に記載されているNOxの吸着に使用できる細孔ゼオライトのリストに挙げられている。しかしながら、これらの特許出願のいずれも、特にその合成様式に応じて、この構造によってもたらされる利点を強調していない。
【0009】
特許文献13には、有機構造剤である1,5-ビス(メチルピペリジニウム)ペンタン、1,6-ビス(メチルピペリジニウム)ヘキサン又は1,7-ビス(メチルピペリジニウム)ヘプタン、のジヒドロキシド形態、及び、シリコン及びアルミニウム源としてのSiO/AIモル比が6~200であるFAU型のゼオライトを使用する、SiO/AIモル比が4~100、好ましくは6~80であるAFX構造型のゼオライトの合成方法が記載されている。
【0010】
KGStrohmaier et al. (Exxon Mobil、特許文献14は、アミン配位子によって安定化された金属錯体[Rh(CCl-3HO]の存在下で、有機分子1,1’-(ヘキサン-1,6-ジイル)ビス(1-メチルピペリジニウム)を使用し、1日から約100日の範囲の結晶化時間でAFX構造型のゼオライトを得ている。
【0011】
出願人企業は、特定の合成様式に従って調製され、パラジウムを含有するAFX構造型のゼオライトをベースとする新しい触媒が、従来技術と比較して総NOx貯蔵容量が増加するだけでなく、より高いNOx脱着温度も有することを発見した。さらに、この触媒は水熱安定性が高いため、自動車排気ガスの厳しい条件下でも使用できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】米国特許第6182443号公報
【特許文献2】米国特許第6471924号公報
【特許文献3】米国特許第8,105,559号公報
【特許文献4】米国特許第2015/0158019A1号公報
【特許文献5】米国特許第2019/0217269A1号公報
【特許文献6】国際公開2016/135465A1号
【特許文献7】国際公開2017/001828A1号
【特許文献8】国際公開2019/186163A1号
【特許文献9】国際公開2020039015A1号
【特許文献10】米国特許第2020/0061595A1号
【特許文献11】国際公開2015/085303A1号
【特許文献12】国際公開2016/135465A1号
【特許文献13】国際公開第2019/224088号
【特許文献14】国際公開第2017/202495A1号)
【0013】
発明の概要
本発明は、AFX構造型のゼオライト及びパラジウムを含むゼオライト触媒を調製するための方法であって、少なくとも以下のステップを含む方法に関する:
i) 水性媒体中で、6~100(境界値を含む)のSiO2(FAU)/Al3(FAU)総モル比を有するFAU構造ゼオライト、有機窒素化合物MPC6(MPC6は、1,6-ビス(メチルピペリジニウム)ヘキサンジヒドロキシドである)、少なくとも1つのナトリウムカチオン源を、均質な前駆体ゲルが得られるまで混合するステップであって、
前記反応混合物は、以下のモル組成を有するステップ:
(SiO2(FAU))/(Al3(FAU))が6~100であり、
O/(SiO2(FAU))が5~60であり、
MPC6/(SiO2(FAU))が0.05~0.50であり、
NaO/(SiO2(FAU))が0.05~0.25であり、
但し、境界値を含む、
ここで、SiO2(FAU)は、FAUゼオライトによって提供されるSiOの量を示し、Al3(FAU)は、FAUゼオライトによって提供されるAlの量を示し、
ii) AFXゼオライトを得るために、前記ステップi)の終了時に得られた前記前駆体ゲルを120℃~220℃の温度で12時間~15日間水熱処理するステップ、
iii) 前記ステップii)の終了時に得られた前記AFXゼオライトをろ過、洗浄及び乾燥するステップであって、
前記乾燥は、60~120℃の温度で5~24時間実施して、乾燥AFXゼオライトを得、
次いで、前記乾燥AFXゼオライトの焼成が、500~700℃の温度で、2~20時間実施し、焼成AFXゼオライトを得、場合によっては、前記焼成の前に、温度を徐々に上昇させる、ステップ、
iv) 前記ステップiii)で得られたAFX構造型の前記焼成ゼオライトを少なくとも1つのステップのイオン交換をするステップであって、
前記ステップiii)で得られた前記焼成AFXゼオライトを、アンモニウムカチオン、好ましくは硝酸アンモニウムを含む溶液と、20℃~95℃、好ましくは60℃~85℃で、1時間~2日間、撹拌しながら接触させ、アンモニウム形態の焼成AFXゼオライトを得、60℃~120℃で再度乾燥させることを含む、ステップ、
v)前記アンモニウム形態の焼成及び乾燥AFXゼオライト上にパラジウム溶液を堆積させるステップ。
【0014】
前記パラジウム溶液は、前記ステップv)において、乾式含浸により又はコロイド経路を介して堆積させることができる。
【0015】
前記ステップi)の前記反応混合物は、SiO2(c)/SiO2(FAU)のモル比が0.001~0.01、但し、境界値を含む、となるようにSiO2(c)で示される酸化物形態のSiOの少なくとも1つの追加のシリコン源を含むことができ、
前記比におけるSiO2(FAU)の含有量は、FAU構造型のゼオライトによって提供される含有量であり、
前記ステップi)の前記反応混合物は、以下のモル組成を有する:
(SiO2(c)+SiO2(FAU))/Al3(FAU)が6~100であり、
O/(SiO2(c)+SiO2(FAU))が5~60であり、
MPC6/(SiO2(c)+SiO2(FAU))が0.05~0.50であり、
NaO/(SiO2(c)+SiO2(FAU))が0.05~0.25であり、
ただし、境界値を含む。
【0016】
前記ステップi)の前記反応混合物は、Al3(c)/Al3(FAU)のモル比が0.001~8、但し、境界値を含む、となるようにAl3(c)で示される酸化物形態の少なくとも1つの追加のアルミニウム源を含むことができ、
前記ステップi)の前記反応混合物は以下のモル組成を有する:
SiO2(FAU)/(Al3(FAU)+Al3(C))が6~100であり、但し、境界値を含む、
O/SiO2(FAU)が5~60であり、
MPC6/SiO2(FAU)が0.05~0.50であり、
NaO/SiO2(FAU)が0.05~0.25であり、但し、境界値を含む、
SiO2(FAU)は、FAUゼオライトによって提供されるSiOの量を示し、
Al3(FAU)は、FAUゼオライトによって提供されるAlの量を示し、
Al3(c)は、酸化物形態と考えられる前記追加のアルミニウム源によって提供されるAlの量であり、
MPC6は、有機窒素化合物である1,6-ビス(メチルピペリジニウム)ヘキサンのジヒドロキシド形態である。
【0017】
一つの実施形態では、前記ステップi)の前記反応混合物は、以下を含む:
-少なくとも1つの追加の酸化物SiO2(c)源、
-及び少なくとも1つの追加の酸化物Al3(c)源、
前記FAUゼオライトは、前記混合物中に存在する無水形態のSiO及びAl源の総量に対して65質量%~85質量%を占め、前記反応混合物は以下のモル組成を有する:
(SiO2(c)+SiO2(FAU))/(Al3(FAU)+Al3(c))が6~100であり、
O/(SiO2(c)+SiO2(FAU))が5~60であり、
MPC6/(SiO2(c)+SiO2(FAU))が0.05~0.50であり、
NaO/(SiO2(c)+SiO2(FAU))が0.05~0.25であり、但し、境界値を含む。
【0018】
前記追加のアルミニウム源は、水酸化アルミニウム又はアルミニウム塩、アルミン酸ナトリウム、アルミニウムアルコキシド、又はアルミナの単独物又は混合物から選択され、好ましくは、前記従来のアルミニウム源が水酸化アルミニウムであることができる。
【0019】
前記ナトリウムカチオン源は、水酸化ナトリウムであることができる。
【0020】
前記AFX構造型のゼオライトの種結晶は、前記混合物中に存在する前記無水形態のSiO及びAl源の総質量に対して0.01重量%~10重量%の量で、前記ステップi)の前記反応混合物に添加されることができ、前記種結晶は、前記SiO及びAl源の総質量に考慮されない。
【0021】
前記ステップi)は、前記反応混合物を20~100℃の温度で、撹拌しながら又は撹拌せずに30分~48時間熟成させるステップを含むことができる。
【0022】
前記堆積ステップv)によって導入されるパラジウムの含有量は、前記無水触媒の総質量に対して、0.5質量%~5質量%、好ましくは0.8質量%~3質量%、より好ましくは0.9質量%~2質量%であり、非常に有利には約1質量%であることができる。
【0023】
本発明はまた、それらのいずれか1つの変形例による調製方法によって得られる、パラジウム含有AFXゼオライト触媒に関する。
【0024】
有利には、前記触媒の前記SiO/Al比は7~20であり、但し、境界値を含む、好ましくは8~16である、但し、境界値を含む。
【0025】
有利には、前記触媒中のパラジウム含有量は、前記無水最終触媒の総質量に対して、0.5質量%~5質量%、好ましくは0.8質量%~3質量%、より好ましくは0.9質量%~2質量%、より有利には、約1質量%であり、CO化学吸着により測定した前記パラジウムの金属分散度は、40%~100%、好ましくは50%~100%である。
【0026】
本発明はまた、NH又はHのような還元剤によるNOxの選択的還元のための、記載された変形例のいずれか1つによる触媒又は記載された変形例のいずれか1つによる方法によって得られた触媒の使用に関する。
【0027】
前記触媒は、ハニカム構造体又はプレート構造体上にコーティングの形態で堆積することにより形成されることができる。
【0028】
前記ハニカム構造体は、両端が開口した平行溝によって形成されるか、又は隣接する平行溝が、前記溝の両端で交互に遮断された多孔性ろ過壁からなる、ことができる。
【0029】
前記構造体上に堆積される触媒の量が、ろ過構造体については50~240g/Lであり、開口溝を有する構造体については80~320g/Lであることができる。
【0030】
前記触媒は、セリア、酸化ジルコニウム、アルミナ、非ゼオライト系シリカ-アルミナ、酸化チタン、セリア-ジルコニア型の混合酸化物、酸化タングステン及び/又はスピネル等のバインダーと組み合わせて、コーティングの形態で堆積により形成することができる。
【0031】
前記コーティングは、汚染物質、特にNOxを吸着する、汚染物質、特にNOxを低減する、又は、汚染物質の酸化を促進する、能力を有する別のコーティングと組み合わされることができる。
【0032】
別の実施形態では、前記触媒は、最大100%の前記触媒を含む押出成形物の形態であることができる。
【0033】
前記触媒で被覆された又は前記触媒の押出成形によって得られた構造体は、内燃機関の排気ラインに組み込まれることができる。
【0034】
本発明による触媒を調製するための方法の他の特徴及びび利点は、以下に説明する添付図を参照しながら、非限定的な例示的実施形態の以下の説明を読めば明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1図1は、実施例2に従って得られた、AFX構造型のゼオライトをベースとし、パラジウムを含有する触媒、Pd/AFX1、のX線回折(XRD)パターンを表す。
図2図2は、実施例3に従って得られた、BEA構造型のゼオライトをベースとし、パラジウムを含有する触媒、Pd/BEA、のX線回折(XRD)パターンを表す。
図3図3は、実施例4に従って得られた、SSZ-13構造型のゼオライトをベースとし、パラジウムを含有する触媒、Pd/SSZ-13、のX線回折(XRD)パターンを表す。
図4図4は、実施例2、実施例3及び実施例4に従って合成された触媒(Pd-AFX1)、(Pd-BEA)及び(Pd-SSZ-13)によって脱着されたNOx濃度を表す。丸印の曲線、十字印の曲線及び三角印の曲線は、それぞれ、実施例2、実施例3及び実施例4に従って合成した触媒(Pd-AFX1)、(Pd-BEA)及び(Pd-SSZ-13)を用いて実施した試験に対応する。
図5図5は、実施例2、実施例3及び実施例4に従って合成し、実施例6に従って750℃で4時間熟成した触媒(熟成Pd-AFX1)、(熟成Pd-BEA)及び(熟成Pd-SSZ-13熟成)によって脱着したNOx濃度を表す。丸印の曲線、十字印の曲線及び三角印の曲線はそれぞれ、実施例2、実施例3及び実施例4に従って合成し実施例6に従って熟成させた触媒(熟成Pd-AFX1)、(熟成Pd-BEA)及び(熟成Pd-SSZ-13)を用いて実施した試験に対応する。
【発明を実施するための形態】
【0036】
特に指定のない限り、本明細書全体を通して、数値の範囲は境界値を含むと理解される。
【0037】
本発明は、より詳細には、少なくとも以下のステップを含む、パラジウムを含有するAFX構造型のゼオライトをベースとする触媒を調製するための方法に関する:
ステップi) 水性媒体中で、6~100(境界値を含む)のSiO2(FAU)/Al3(FAU)総モル比を有するFAU構造ゼオライト、有機窒素化合物MPC6(MPC6は、1,6-ビス(メチルピペリジニウム)ヘキサンジヒドロキシドである)、少なくとも1つのナトリウムカチオン源を、均質な前駆体ゲルが得られるまで混合するステップであって、
前記反応混合物は、以下のモル組成を有する:
(SiO2(FAU))/(Al3(FAU))が6~100であり、
O/(SiO2(FAU))が5~60であり、
MPC6/(SiO2(FAU))が0.05~0.50であり、
NaO/(SiO2(FAU))が0.05~0.25であり、
但し、境界値を含む、
ここで、SiO2(FAU)は、FAUゼオライトによって提供されるSiOの量を示し、Al3(FAU)は、FAUゼオライトによって提供されるAlの量を示す。
【0038】
前記ナトリウムカチオン源は、好ましくは水酸化ナトリウムである。
【0039】
1つの実施形態において、前記ステップi)の前記反応混合物は、SiO2(c)/SiO2(FAU)のモル比が0.001~0.01、但し、境界値を含む、となるようにSiO2(c)で示される少なくとも一つの追加の酸化物SiO源を含むことができ、
前記比におけるSiO2(FAU)の含有量は、FAU構造型のゼオライトによって提供される含有量である。
【0040】
この場合、前記ステップi)の前記反応混合物は、以下のモル組成を有することができる:
(SiO2(c)+SiO2(FAU))/Al3(FAU)が6~100であり、
O/(SiO2(c)+SiO2(FAU))が5~60であり、
MPC6/(SiO2(c)+SiO2(FAU))が0.05~0.50であり、
NaO/(SiO2(c)+SiO2(FAU))が0.05~0.25であり、
ただし、境界値を含む。
【0041】
別の実施形態において、前記ステップi)の前記反応混合物は、Al3(c)/Al3(FAU)のモル比が0.001~8、但し、境界値を含む、となるようにAl3(c)で示される少なくとも1つの追加の酸化物Al源を含むことができ、前記比におけるAl3(FAU)の含有量は、FAU構造型のゼオライトによって提供される含有量である。
【0042】
前記ステップi)の前記反応混合物は以下のモル組成を有する:
SiO2(FAU)/(Al3(FAU)+Al3(C))が6~100であり、但し、境界値を含む、
O/SiO2(FAU)が5~60であり、
MPC6/SiO2(FAU)が0.05~0.5であり、
NaO/SiO2(FAU)が0.05~0.25であり、但し、境界値を含む、
SiO2(FAU)は、FAUゼオライトによって提供されるSiOの量を示し、
Al3(FAU)は、FAUゼオライトによって提供されるAlの量を示し、
MPC6は、有機窒素化合物である1,6-ビス(メチルピペリジニウム)ヘキサンのジヒドロキシド形態である。
【0043】
別の実施形態において、前記ステップi)の前記反応混合物は、以下を含む:
-少なくとも1つの追加の酸化物SiO2(c)源、
-及び少なくとも1つの追加の酸化物Al3(c)源、
前記FAUゼオライトは、前記混合物中に存在する無水形態のSiO及びAl源の総量に対して65質量%~85質量%を占め、すなわち、酸化物形態の3価及び4価元素である反応混合物のSiO2(FAU)、SiO2(c)、Al3(FAU)及びAl3(c)であり、前記反応混合物は以下のモル組成を有する:
(SiO2(c)+SiO2(FAU))/(Al3(FAU)+Al3(c))が6~100であり、
O/(SiO2(c)+SiO2(FAU))が5~60であり、
MPC6/(SiO2(c)+SiO2(FAU))が0.05~0.50であり、
NaO/(SiO2(c)+SiO2(FAU))が0.05~0.25であり、但し、境界値を含む。
【0044】
前記AFX構造型のゼオライトの種結晶は、前記混合物中に存在する前記無水形態のSiO及びAl源の総質量に対して0.01重量%~10重量%の量で、前記ステップi)の前記反応混合物に添加されることができ、前記種結晶は、前記SiO及びAl源の総質量に考慮されない。
【0045】
前記ステップi)は、前記反応混合物を20~100℃の温度で、撹拌しながら又は撹拌せずに30分~48時間熟成させるステップを含むことができる。
【0046】
ステップii):前記ステップi)の終了時に得られた前記前駆体ゲルの水熱処理を120℃~220℃の温度で12時間~15日間、好ましくは12時間~8日間、実施される。
【0047】
前記ステップii)の水熱処理は、自生圧力下で実施することができる。
【0048】
有利には、得られるAFXゼオライトのSiO/Alモル比は、7~20であり、但し、境界値を含む、好ましくは8~16であり、但し、境界値を含む。
【0049】
ステップiii)は、ろ過、洗浄及び焼成である。
このステップでは、乾燥AFX構造型ゼオライトを得るために、前記ステップii)の終了時に得られた前記AFX構造型ゼオライトをろ過し、洗浄し、及び60~120℃の温度で5~24時間乾燥する。次いで、前記乾燥ゼオライトは、500~700℃の温度で、2~20時間焼成され、場合によっては、前記焼成の前に、温度を徐々に上昇させる。
【0050】
ステップiv)のイオン交換
前記ステップiii)で得られたAFX構造型の前記焼成ゼオライトに対し少なくとも1つのイオン交換が実施され、アンモニウム形態の焼成AFXゼオライトを得るために、前記ステップiii)で得られた前記AFX構造型ゼオライトを、アンモニウムカチオン、好ましくは硝酸アンモニウムを含む溶液と、20℃~95℃、好ましくは60℃~85℃で、1時間~2日間、撹拌しながら接触させるステップを含む。
前記イオン交換ステップの最後に、アンモニウム形態のAFX構造型ゼオライトは、60℃~120℃で、好ましくは5~24時間再度乾燥させる。このイオン交換工程は、0.01質量%未満のNaを含む固体を得るために複数回繰り返すことができる。
【0051】
ステップv)のパラジウムの堆積:前記アンモニウム形態の焼成及び乾燥AFXゼオライト上へのパラジウム溶液の堆積は、当業者に公知のあらゆる技術に従って実施することができる。
【0052】
前記パラジウム溶液は、好ましくは乾式含浸法により又はコロイド経路を介して堆積させることができる。
【0053】
前記堆積ステップv)によって導入されるパラジウムの含有量は、前記無水触媒の総質量に対して、有利には0.5質量%~5質量%、好ましくは0.8質量%~3質量%、より好ましくは0.9質量%~2質量%であり、非常に有利には約1質量%である。
【0054】
乾燥浸漬
本発明に係る一実施形態において、前記パラジウム溶液は乾式含浸法によって堆積される。より詳細には、触媒を調製するための方法は、以下のステップを含む:
a) 少なくとも1種のパラジウム前駆体塩を含む水溶液を調製する。
b) 本発明に係る調製方法の前記ステップiv)で得られたアンモニウム形態の前記乾燥AFXゼオライトを、好ましくは周囲温度で、前記ステップa)で得られた水溶液に含浸させる。
c) 前記ステップb)の終了時に得られた前記触媒前駆体を乾燥させて、乾燥触媒前駆体を得る。
【0055】
前記触媒前駆体は一般に、含浸中に導入された水の全部又は一部を除去するために、好ましくは50℃~250℃、より好ましくは70℃~200℃の温度で乾燥される。乾燥時間は好ましくは0.5~20時間である。これ以上の長時間も排除されるものではないが、必ずしも改善されるものではない。
【0056】
前記乾燥は、一般に、炭化水素、好ましくはメタンの燃焼空気下、又は燃焼空気1kg当たり0~80gの水、5体積%~25体積%の酸素含有量及び0体積%~10体積%の二酸化炭素含有量を含む加熱空気下で行われる。
【0057】
d) 任意に、ステップd)で得られた乾燥触媒前駆体を250~900℃の温度で焼成し、焼成触媒前駆体を得る。
【0058】
乾燥後、前記触媒は、空気、好ましくは燃焼空気、より好ましくは、空気1kg当たり40~80gの水、5体積%~15体積%の酸素含有量及び4体積%~10体積%のCO含有量を含むメタンの燃焼空気下で焼成することができる。前記焼成の温度は、一般に250℃~900℃、好ましくは約350℃~約550℃である。前記焼成の時間は一般に0.5~5時間である。
【0059】
e) 任意に、還元性ガスと接触させて還元処理を行う。
【0060】
コロイド経路を介した含浸
本発明に係る別の実施形態において、前記パラジウム溶液はコロイド法によって堆積される。より詳細には、触媒を調製するための方法は、以下のステップを含む。
a)少なくとも1種のパラジウム前駆体塩を含む水溶液を調製するステップ。
前記ステップa)の間に、少なくとも1種のパラジウム前駆体塩を含む水溶液が調製される。前記パラジウム前駆体塩は、好ましくは、クロロパラジン酸ナトリウム及び硝酸パラジウムから選択される。
【0061】
b)含浸担体を調製するステップ
本発明に係る調製方法の前記ステップiv)で得られたアンモニウム形態焼成及び乾燥AFXゼオライト上へのパラジウムの堆積は、前記ステップa)で得られた前記水溶液を、前記アンモニウム形態焼成及び乾燥AFXゼオライト上に乾式含浸させることによって行われ、前記水溶液の体積は、一般に、前記アンモニウム形態焼成及び乾燥AFXゼオライトの細孔容積の0.9~1.1倍である。
【0062】
c)前記ステップb)の間に含浸された支持体を熟成するステップ。
含浸後、前記AFXゼオライトを湿潤状態で0.5~40時間、好ましくは1~30時間熟成させる。これ以上の長時間も排除されるものではないが、必ずしも改善されるものではない。
【0063】
d)前記ステップb)又はc)で得られた前記触媒前駆体を乾燥するステップ。
前記触媒前駆体は、一般に、含浸中に導入された水の全部又は一部を除去するために、好ましくは50℃~250℃、より好ましくは70℃~200℃の温度で乾燥される。前記乾燥の時間は好ましくは0.5~20時間である。これより長い時間も排除されないが、必ずしも改善されるわけではない。
前記乾燥は一般に、炭化水素、好ましくはメタンの燃焼空気下、又は燃焼空気1kgあたり0~80gの水、5体積%~25体積%の酸素含有量、及び0体積%~10体積%の二酸化炭素含有量を含む加熱空気下で行われる。
【0064】
e)前記ステップd)で得られた乾燥触媒を燃焼空気下で焼成するステップ(任意ステップ)
乾燥後、前記触媒は、空気、好ましくは燃焼空気、より好ましくは、空気1kgあたり40~80gの水、5体積%~15体積%の酸素含有量及び4体積%~10体積%のCO含有量を含むメタンの燃焼空気下で焼成することができる。前記焼成の温度は一般に250℃~900℃、好ましくは約350℃~約550℃である。前記焼成の時間は一般に0.5~5時間である。
【0065】
本発明はまた、本発明の実施形態の変形例のいずれか1つに従う方法によって得られるパラジウム含有AFXゼオライト形態の触媒に関する。
【0066】
本発明に係るゼオライト触媒中のパラジウムの含有量は、有利には無水触媒の総質量に対して0.5重量%~5重量%、好ましくは0.8重量%~3重量%、非常に好ましくは0.9重量%~2重量%、非常に有利には約1重量%である。
【0067】
本発明に係るゼオライト触媒において、CO化学吸着により測定されるパラジウムの分散度は、有利には40%~100%、好ましくは50%~100%である。
【0068】
本発明に係る触媒の特性評価
前記AFXゼオライトの調製の前記ステップii)の終了時、X線回折により、本発明に係る方法により得られた固体が、実際にAFX構造型のゼオライトであることを確認することができる。得られる純度は、有利には90重量%より大きく、好ましくは95重量%より大きく、非常に好ましくは99.8重量%より大きい。より一般的には、本発明に係る触媒の調製の前記ステップii)、iii)、iv)又はv)の終了時に、X線回折により、本発明に係る方法により得られる固体が、実際にAFXゼオライトをベースとする触媒であることを確認することができる。
【0069】
換言すれば、AFXゼオライトをベースとし、パラジウムを含有する本発明に係る触媒は、5質量%未満、好ましくは1質量%未満、さらに好ましくは0.2質量%未満の不純物及び/又はAFX以外の結晶相もしくは非晶質相を含有する(但し、境界値は含まれない)。非常に有利には、本発明の方法は、他の結晶相又は非晶質相を含まない、AFXゼオライトをベースとする触媒の形成をもたらす。
【0070】
有利には、本発明に係る方法によって得られる触媒は、少なくとも表1に記録された線を含むX線回折パターンを有する。
この回折パタ-ンは、銅のKa放射(λ=1.5406Å)による従来の粉末法を用いた回折装置による放射線結晶解析によって得られる。角度2θで表される前記回折ピークの位置に基づいて、ブラッグの法則を用いてサンプルに特徴的な格子面間隔dhklを計算する。dhklに係る測定誤差Δ(dhkl)は、2θの測定に割り当てられた絶対誤差Δ(2θ)に応じてブラッグ法によって計算される。±0.02°に等しい絶対誤差Δ(2θ)が一般に受け入れられる。dhklの各々の値に割り当てられる相対強度Irelは、対応する回折ピ-クの高さに従って測定される。
本発明に係る方法の前記ステップii)の終了時に得られる結晶性固体のX線回折パターンは、表1に示されるdhklの値の線(本発明に係るゼオライト複合体触媒のX線回折パターンで測定されたdhklの平均値及び相対強度)を少なくとも含む。dhkl値の列には、格子間隔の平均値がオングストローム(Å)で示されている。これらの各値には、±0.6Å~±0.01Åの測定誤差Δ(dhkl)を割り当てなければならない。
【0071】
【表1】
【0072】
蛍光X線分析(XRF)は、物質の物理的特性である蛍光X線を利用した化学分析技術である。ベリリウム(Be)から始まる化学元素の大部分を、数ppm~100%までの濃度範囲で、精密かつ再現性の高い分析結果が得られる。X線はサンプル中の原子を励起するために使用され、それにより原子は、存在する各元素に特徴的なエネルギーを持つX線を放出する。このX線の強度とエネルギーを測定し、物質中の元素濃度を決定する。
【0073】
本発明に係る方法の前記乾燥ステップ後(及び焼成前)又は前記ステップiii)の前記焼成ステップ後に得られる触媒の強熱減量(LOI)は、一般に2重量%~20重量%である。触媒サンプルの強熱減量は、頭文字をとってLOIと呼ばれ、1000℃で2時間の熱処理前後のサンプルの質量差に相当する。LOIの単位は質量損失率である。強熱減量は、一般に固体に含まれる溶媒(水など)の減量に対応するが、無機固体成分に含まれる有機化合物の除去にも対応する。
【0074】
粒子分散度(D)は単位を持たない数値で、%で表されることが多い。粒子が小さいほど分散度は高い。これはR. Van HardeveldとF. Hartogによる論文 "The statistics of surface atoms and surface sites on metalcrystals", Surface Science 15, 1969, 189-230で定義されている。分散はCOの化学吸着によって測定することができる。
【0075】
本発明に係る触媒
出願人会社は、本発明に係る方法によって得られる材料が、これまでに知られているパラジウム含有細孔アルミノシリケート材料とは異なる特性を有することを発見した。特に、本発明に係る方法のいずれかの変形により得られる、パラジウム含有ゼオライト触媒は、増大した吸着容量及び増大した脱着温度を有し、さらに高い耐熱水性を有する。いかなる理論にも拘束されることなく、本発明に係る触媒を調製するための方法は、特にパラジウムのより良好な分散を可能にし、これにより触媒NOx還元性能の品質向上に寄与することが可能になると考えられる。さらに、パラジウムの分散性が向上したことで、アクセス可能で活性なパラジウムの量を最適化することが可能になり、非常に優れた触媒性能を得ながら、より低いパラジウム含有量を使用することができる。
【0076】
有利には、得られるAFXゼオライトをベースとする触媒のSiO/Alモル比は、7~20、好ましくは8~16であり、但し、境界値を含む。
【0077】
本発明に係る前記ゼオライト触媒中のパラジウムの含有量は、有利には無水触媒の総質量に対して0.5重量%~5重量%、好ましくは0.8重量%~3重量%、非常に好ましくは0.9重量%~2重量%、非常に有利には約1重量%である。
【0078】
本発明に従って調製された前記ゼオライト触媒において、パラジウムの分散度は、有利には40%~100%、好ましくは50%~100%である。
【0079】
本発明に係る触媒の使用
本発明は、主に移動用途のための、有利には、ハニカム構造体上のコーティング(又は「ウォッシュコート(washcoat)」)の形態での堆積によって形成された、200℃未満の温度でのNOxの吸着のための、直接調製された、又はその変形例のいずれか1つに従って上述した方法によって調製可能な、本発明に係る触媒の使用に関する。
【0080】
前記ハニカム構造体は、両端が開口した平行溝(parallel channels)(「フロースルー溝」(flow-through channels))によって形成されるか、又は多孔性ろ過壁を含み、この場合、隣接する平行溝は、溝の両端で交互に遮断され、ガス流を、強制的に壁を通過させる(「壁フロ-モノリス(wall-flow monolith)」)。このようにコーティングされた前記ハニカム構造体は触媒ブロック(catalytic block)を構成する。前記構造体は、コージェライト、炭化ケイ素(SiC)、チタン酸アルミニウム(AlTi)、α-アルミナ、ムライト、又は30%~70%の気孔率を有する他の材料で構成することができる。前記構造は、クロムとアルミニウムを含むステンレス鋼(FeCrAl鋼)の金属板で形成することができる。
【0081】
前記構造体上に堆積される本発明に係る触媒の量は、ろ過構造体については50~240g/Lの間であり、開口溝を有する構造体については50~320g/Lの間である。
【0082】
実際のコーティング(「ウォッシュコート」)は、本発明に係る触媒を、有利には、セリア、酸化ジルコニウム、アルミナ、非ゼオライト系シリカ-アルミナ、酸化チタン、セリア-ジルコニア型の混合酸化物、酸化タングステン、スピネルなどのバインダーと組み合わせて含む。前記コーティングは、有利には、ウォッシュコーティングとして知られる堆積法によって前記構造体に施され、この方法は、溶媒、好ましくは水、任意にバインダー、金属酸化物、安定剤又は他の促進剤中の本発明に係る粉末触媒の懸濁液(又はスラリー)にモノリスを浸漬することからなる。この浸漬ステップは、所望のコーティング量が得られるまで繰り返すことができる。場合によっては、スラリーをモノリス内部に噴霧することもできる。コーティングが堆積したら、モノリスを300~600℃の温度で1~10時間焼成する。
【0083】
前記構造体は、1つ又は複数のコーティングでコーティングすることができる。本発明に係る触媒を含有するコーティングは、有利には、汚染物質、特にNOxを低減する能力、及び/又は汚染物質、特に一酸化炭素(CO)及び炭化水素(HC)の酸化を促進する能力を有する別のコーティングと組み合わされる、すなわち被覆する(covers)、又は被覆される(is covered by)。
【0084】
もう一つの可能性は、触媒が押出成形物の形態であることである。この場合、得られる構造体は、本発明に係る触媒を100%まで含有することができる。
【0085】
本発明に係る触媒で被覆された前記構造体は、有利には内燃機関の排気ラインに組み込まれる。このようなエンジンの運転条件下では、排気ガスは、特に次の汚染物質を含む:すす、未燃炭化水素(HC)、一酸化炭素(CO)、窒素酸化物(NOx)。本発明に係る触媒で被覆された前記構造体は、NH-SCR触媒、NOxトラップ又は三元触媒であるNOx処理触媒の上流に配置される。HC及びCOを酸化する機能を有する酸化触媒、ならびに排気ガスからすすを除去するためのフィルタが、前記構造体の上流又は下流のいずれかに配置されてもよい。
【0086】
前記コーティングされた構造体の機能は、NOxを吸着することであり、その動作範囲は以下の通りである:
吸着段階については-20℃~300℃の間、好ましくは-20℃~200℃の間、及び
脱着段階については150℃~500℃の間、好ましくは250℃~400℃の間である。
【0087】
本発明の利点
パラジウム含有AFX構造型のゼオライトをベースとする本発明に係る触媒は、先行技術の触媒と比較して改善された特性を有する。特に、本発明に係る触媒の使用により、-20℃~200℃の量のNOxを吸着することが可能になる。
【0088】
また、水熱熟成(aging)に対する耐性も向上しており、そのような熟成後であっても高い吸着性能レベルを確保することができる。
【実施例
【0089】
本発明は以下の実施例により説明されるが、これらは何等限定的なものではない。
【0090】
実施例1:1,6-ビス(メチルピペリジニウム)ヘキサンジヒドロキシド(有機構造化剤MPC6)の調製
50gの1,6-ジブロモヘキサン(0.20mol、99%、Alfa Aesar社製)を、50gのN-メチルピペリジン(0.51mol、99%、Alfa Aesar社製)及び200mLのエタノールを仕込んだ1L丸底フラスコに加える。反応液を5時間撹拌還流する。混合物を周囲温度まで冷却し、ろ過する。前記混合物を300mLの冷ジエチルエーテルに注ぎ、形成された沈殿物をろ別し、100mLのジエチルエーテルで洗浄する。得られた固体をエタノール/エーテル混合物中で再結晶させる。得られた固体を真空下で12時間乾燥させる。71gの白色固体が得られる(すなわち、収率80%)。
【0091】
前記生成物は予想されるH NMRスペクトルを有する。HNMR(DO,ppm/TMS):1.27(4H,m);1.48(4H,m);1.61(4H,m);1.70(8H,m);2.85(6H,s);3.16(12H,m).
【0092】
調製した30gの構造化剤1,6-ビス(メチルピペリジニウム)ヘキサンジブロミド(0.07mol)及び100mlの脱イオン水を仕込んだ250mLテフロン(登録商標)ビーカーに、18.9gのAgO(0.08mol、99%、Aldrich社製)を加える。反応液を光のない状態で12時間撹拌する。混合物をろ過する。得られたろ液は、1,6-ビス(メチルピペリジニウム)ヘキサンジヒドロキシド(MPC6)の水溶液である。この種の測定は、ギ酸を標準物質としてプロトンNMRで行う。
【0093】
実施例2:本発明に係るAFX構造型のゼオライト及びパラジウムを含む触媒の調製 Pd-AFX1
実施例1に従って調製した275.8gの1,6-ビス(メチルピペリジニウム)ヘキサンジヒドロキシド(18.36重量%、MPC6)の水溶液を、攪拌しながら周囲温度で391.23gの脱イオン水と混合する。7.18gの水酸化ナトリウム(98重量%、Aldrich社製)を、撹拌しながら周囲温度で上記混合物に溶解する。その後、6.33gの非晶質水酸化アルミニウムゲル(Al(OH)、Alに対し58.55質量%、Merck社製)を合成混合物に添加し、これを周囲温度で30分間撹拌する。次に、70.88gのFAU構造型のゼオライト(CBV780、SiO/Al=90.54、Zeolyst社製、LOI=8.52%)を注ぎ込み、得られた懸濁液を周囲温度で30分間撹拌し続ける。AFX構造型のゼオライトの形成を促進するために、6.14gのAFX構造型の焼成ゼオライトの種(seeds)(CBV780ゼオライトの質量に対して8.7%)を前記合成混合物に添加し、5分間撹拌を続ける。反応混合物は、その後、攪拌(200rpm)しながら周囲温度で24時間熟成するステップを経る。前駆体ゲルのモル組成は以下の通りである:
1 SiO:0.05 Al:0.167 MPC6:0.093 NaO:36.73 HO、すなわち、SiO/Al比は20である。
前記前駆体ゲルを均質化した後、4枚の傾斜ブレードを備えた攪拌装置を備えた1000mLのステンレス製反応器に移す。前記反応器を密閉し、AFX構造型のゼオライトを結晶化させるため、200rpmで攪拌しながら、5℃/分で180℃まで昇温し、180℃で14時間加熱する。得られた結晶化生成物をろ別し、脱イオン水で洗浄した後、100℃で一晩乾燥させる。乾燥固体の強熱減量は15%である。その後、前記固体は、マッフル炉に導入され、焼成ステップが実施される。前記焼成のサイクルは、200℃までの1.5℃/分の昇温、200℃での2時間の定常段階、550℃までの1℃/分の昇温、550℃での12時間の定常段階、その後の周囲温度への復帰からなる。得られた材料はAFX1と名付けられた。
【0094】
40.0gのゼオライトAFX1を3MのNHNO水溶液と、80℃で1時間、攪拌(300rpm)しながら、溶液の体積とゼオライトの質量の比を10(V/W)に等しくして、3回交換した。その後、前記固体を100℃で一晩乾燥させた。得られた材料はNH-AFX1と名付けられた。
【0095】
0.25gの水和Pd(NHClを8.2mLの鉱化水で希釈し、そして25℃で(乾燥含浸法を介して)上記で調製した10gのゼオライトNH-AFX1上に含浸させる。得られた固体を空気下、120℃で2時間乾燥させる。得られた触媒Pd-AFX1を、空気下、120℃で乾燥し、次いで、1時間当たり触媒1リットル当たり3000リットルの燃焼空気のHSVを有する燃焼空気の流れ下、550℃で2時間焼成する。燃焼空気は、乾燥空気1kgあたり約60gの水を含む。
【0096】
このようにして調製された触媒Pd-AFX1は、触媒の総重量に対して1重量%のパラジウムを含む。CO化学吸着によって得られたパラジウムの金属分散度は55%である。
【0097】
前記触媒Pd-AFX1は、X線回折により分析され、純度99重量%以上のAFX構造型のゼオライトが主成分であることが同定された。前記触媒Pd-AFX1のX線回折パターンを図1に示す。この生成物は、蛍光X線分析(XRF)によって測定されたSiO/Alモル比が14.5である。
【0098】
実施例3(比較例):BEA構造型のゼオライトとPdを含む触媒(Pd-BEA)の調製
市販のゼオライトNH-BEA(CP814E、SiO/Al=25.16、Zeolyst社製)を、パラジウム前駆体の含浸用担体として使用した。0.25gの水和Pd(NHClを17mLの鉱化水で希釈し、10gのゼオライトNH-BEA上に25℃で(乾式含浸法により)含浸させる。
【0099】
得られた固体を空気下、120℃で2時間乾燥させる。得られた触媒Pd-BEAを、空気下、120℃で乾燥し、次いで、1時間当たり触媒1リットル当たり3000リットルの燃焼空気のHSVを有する燃焼空気の流れの下で、550℃で2時間焼成する。燃焼空気は乾燥空気1kgあたり約60gの水を含む。
【0100】
このようにして調製された触媒Pd-BEAは、触媒の総重量に対して1重量%のパラジウムを含む。CO化学吸着によって得られたパラジウムの金属分散度は28%である。
【0101】
触媒Pd-BEAをX線回折で分析したところ、純度99重量%以上のBEA構造型のゼオライトからなることが確認された。触媒Pd-BEAのX線回折パターンを図2に示す。触媒Pd-BEAは、蛍光X線分析によりSiO/Alモル比が25.16であった。
【0102】
実施例4(比較例):ゼオライトPd-SSZ-13(CHA構造型)の調製
27.21gのN,N,N-トリメチル-1-アダマンタンアンモニウムヒドロキシド(TMAdA、20.11重量%、SACHEM社製)の水溶液を24.43gの脱イオン水と混合した。1.35gの水酸化ナトリウム(固体、純度98重量%、Aldrich社製)を上記の混合物に添加し、得られた調製物を10分間撹拌し続ける。その後、1.09gの擬ベーマイト(Pural SB3、74.20%Al、Condea社製)を加え、合成ゲルを15分間撹拌する。最後に、25.93gのコロイダルシリカ(Ludox AS40、40重量%SiO、Aldrich社製)を前記合成混合物に組み込み、周囲温度(350rpm)で30分間撹拌し続ける。前駆体ゲルのモル組成は以下の通りである:60 SiO:2.75 Al:9.0 TMAda:6.0 NaO:1201.0 HO、即ち、SiO/Al 比は21.8である。
前記前駆体ゲルを均質化した後、4枚の傾斜ブレードを備えた攪拌装置を備えた160mLのステンレス製反応器に移す。前記反応器を密閉し、CHA構造型のゼオライトを結晶化させるために、3℃/分で160℃まで昇温し、200rpmで攪拌しながら120時間加熱する。
得られた結晶化生成物をろ別し、脱イオン水で洗浄した後、100℃で一晩乾燥させる。その後、前記固体をマッフル炉に導入し、焼成ステップを実施する。焼成サイクルは、200℃までの1.5℃/分の昇温、200℃での2時間維持の定常段階、550℃までの1℃/分の昇温、550℃での8時間維持の定常段階、周囲温度への復帰からなる。得られた材料はSSZ-13と名付けられた。
【0103】
5.0gの材料SSZ-13を3MのNHNO水溶液と80℃で1時間、攪拌(300rpm)しながら、溶液の体積とゼオライトの質量の比を10(V/W)に等しくして、3回交換した。その後、前記固体を100℃で一晩乾燥させた。得られた材料はNH4-SSZ-13と名付けられた。
【0104】
Pdの含浸
0.25gの水和Pd(NHClを10mLの鉱化水で希釈し、25℃で(乾式含浸法で)上記で調製した10gのゼオライトNH-SSZ-13に含浸させる。
【0105】
得られた固体を、空気下、120℃で2時間乾燥し、次いで、1時間当たり触媒1リットル当たり3000リットルの燃焼空気のHSVを有する燃焼空気の流れの下で、550℃で2時間焼成する。燃焼空気は乾燥空気1kgあたり約60gの水を含む。
【0106】
このようにして調製された触媒Pd-SSZ-13は、触媒の総重量に対して1重量%のパラジウムを含む。COの化学吸着によって得られたPdの金属分散度は47%である。
【0107】
触媒Pd-SSZ-13をX線回折で分析したところ、純度99重量%以上のCHA構造型のゼオライトが主成分であることが確認された。触媒Pd-SSZ-13のX線回折パターンを図3に示す。
【0108】
実施例6:水熱エージング工程
実施例2(Pd-AFX1)、実施例3(Pd-BEA)及び実施例4(Pd-SSZ-13)に従って合成した550mgの各サンプルを粉末の状態で石英反応器に入れる。以下のモル組成を有する混合物を150L/hの流速で前記サンプルに通す:10%のHO、20%のO、残部としてN
【0109】
前記サンプルは、750℃の温度で4時間この条件にさらされる。その後、N気流下で常温まで冷却する。
【0110】
実施例7:
実施例2に従って合成し、実施例6の条件下で熟成したサンプルは熟成Pd-AFX1と名付ける。
【0111】
実施例3に従って合成し、実施例6の条件下で熟成したサンプルを熟成Pd-BEAと名付ける。
【0112】
実施例4に従って合成し、実施例6の条件で熟成したサンプルを熟成Pd-SSZ-13と名付ける。
【0113】
実施例8:NOx吸着及び脱着試験
合成された材料の吸着能力を実証するために、実施例2(本発明に係るPd-AFX1)、実施例3(Pd-BEA)及び実施例4(Pd-SSZ-13)を用いて、120℃でのNO吸着、続いて10℃/分で120℃~600℃まで温度傾斜させる試験を実施する。各サンプルを試験するために、523mgの粉末形態の触媒を石英反応器に入れる。
【0114】
10%のO、5%のCO、10%のHO、残部がNからなる混合気の下で、周囲温度(20℃)~550℃まで10℃/分の上昇で昇温する前処理を行う。降温は、同じ混合気の下で120℃まで行われる。
【0115】
200ppmのNO+300ppmのCO+5%のCO+10%のHOと残部としてのNの混合物の下で、120℃で吸着を行う。この吸着段階の時間は10分である。吸着されたNOxを脱着するために、前記サンプルは、10%CO+10%HO及び残部としてのNの混合物の下で、10℃/分の上昇により550℃まで昇温する。
【0116】
FTIR分析器を用いて、反応器出口におけるNO、NO、NH、NO、CO、CO、HO、Oの濃度を測定する。
【0117】
図4は、温度上昇中に脱着したNOx濃度を示している。丸印の曲線、十字印の曲線及び三角印の曲線はそれぞれ、実施例2、実施例3及び実施例4に従って合成した触媒(Pd-AFX1)、(Pd-BEA)及び(Pd-SSZ-13)を用いて行った試験に対応する。温度上昇中に触媒の単位質量当たりに脱着したNOxの量と、脱着最大温度を以下に示す:
【0118】
【表2】
【0119】
本発明に従って合成された前記触媒Pd-AFX1は、吸着量及び脱着温度の点で、先行技術に従って合成された触媒Pd-BEA及びPd-SSZ-13よりも遥かに優れた性能を発揮する。本発明に係る触媒Pd-AFX1では、NOx脱着は約250℃で初めて出現する。この250℃を超えるNOx脱着は、NOx排出を制御するための大きな利点を示す。
【0120】
実施例9:水熱熟成処理後のNOx吸着及び脱着試験
実施例6に従って熟成させた実施例2(本発明に係る、熟成Pd-AFX1)、実施例6に従って熟成させた実施例3(熟成Pd-BEA)、及び実施例6に従って熟成させた実施例4(熟成Pd-SSZ-13)を用いて、120℃でのNO吸着、続いて10℃/分で600℃まで温度上昇させる試験を実施する。各サンプルを試験するために、523mgの粉末状の触媒を石英製反応器に入れる。
10%のO、5%CO、10%HO及び残部としてNからなる混合気の下で、10℃/分の上昇で周囲温度(20℃)~550℃まで昇温する前処理を実施する。温度降下は、同じ混合気下で120℃まで行われる。
吸着は、次の混合物の下、120℃で行われる:200ppmのNO+300ppmのCO+5%のCO+10%のHOと残部としてのN。この吸着段階の時間は10分間である。
吸着されたNOxを脱着させるために、前記サンプルは、10%CO+10%HO及び残部としてNの混合物の下で、10℃/分の上昇に従って550℃まで昇温する。
【0121】
FTIRアナライザーを用いて、反応器出口におけるNO、NO、NH、NO、CO、CO、HO、Oの濃度を測定する。
【0122】
図5は、温度上昇中に脱着したNOx濃度を示している。丸印の曲線、十字印の曲線、及び三角印の曲線は、それぞれ、実施例2に従って合成し、実施例6に従って熟成した触媒(熟成Pd-AFX1)、実施例3に従って合成し、実施例6に従って熟成させた触媒(熟成Pd-BEA)、及び実施例4に従って合成し、実施例6に従って熟成した触媒(熟成Pd-SSZ-13)を用いて実施した試験に対応する。昇温中の触媒単位質量当たりのNOx脱着量と脱着極大温度を以下に示す。
【0123】
【表3】
【0124】
本発明に従って合成された熟成触媒Pd-FX1は、吸着量及び脱着温度の点で、先行技術に従って合成された熟成触媒Pd-BEA及び熟成触媒Pd-SSZ-13よりも遥かに優れた性能を示す。NOxの脱着は、本発明に従って熟成された触媒Pd-AFX1では250℃付近で初めて出現する。この250℃を超えるNOx脱着は、NOx排出を制御する上で大きな利点を示す。
図1
図2
図3
図4
図5
【手続補正書】
【提出日】2024-01-26
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
AFX構造型のゼオライト及びパラジウムを含むゼオライト触媒を調製するためのプロセスであって、少なくとも以下のステップを含む方法:
i) 水性媒体中で、6~100(境界値を含む)のSiO2(FAU)/Al3(FAU)総モル比を有するFAU構造ゼオライト、有機窒素化合物MPC6(MPC6は、1,6-ビス(メチルピペリジニウム)ヘキサンジヒドロキシドである)、少なくとも1つのナトリウムカチオン源を、均質な前駆体ゲルが得られるまで混合するステップであって、
前記反応混合物は、以下のモル組成を有するステップ:
(SiO2(FAU))/(Al3(FAU))が6~100であり、
O/(SiO2(FAU))が5~60であり、
MPC6/(SiO2(FAU))が0.05~0.50であり、
NaO/(SiO2(FAU))が0.05~0.25であり、
但し、境界値を含む、
ここで、SiO2(FAU)は、FAUゼオライトによって提供されるSiOの量を示し、Al3(FAU)は、FAUゼオライトによって提供されるAlの量を示し、
ii) AFXゼオライトを得るために、前記ステップi)の終了時に得られた前記前駆体ゲルを120℃~220℃の温度で12時間~15日間水熱処理するステップ、
iii) 前記ステップii)の終了時に得られた前記AFXゼオライトをろ過、洗浄及び乾燥するステップであって、
前記乾燥は、60~120℃の温度で5~24時間実施して、乾燥AFXゼオライトを得、
次いで、前記乾燥AFXゼオライトの焼成が、500~700℃の温度で、2~20時間実施し、焼成AFXゼオライトを得、場合によっては、前記焼成の前に、温度を徐々に上昇させる、ステップ、
iv) 前記ステップiii)で得られたAFX構造型の前記焼成ゼオライトを少なくとも1つのステップのイオン交換をするステップであって、
前記ステップiii)で得られた前記焼成AFXゼオライトを、アンモニウムカチオンを含む溶液と、20℃~95℃で、1時間~2日間、撹拌しながら接触させ、アンモニウム形態の焼成AFXゼオライトを得、60℃~120℃で再度乾燥させることを含む、ステップ、
v)前記アンモニウム形態の焼成及び乾燥AFXゼオライト上にパラジウム溶液を堆積させるステップ。
【請求項2】
前記ステップv)において、乾式含浸により又はコロイド経路を介してパラジウム溶液を堆積させる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ステップi)の前記反応混合物が、SiO2(c)/SiO2(FAU)のモル比が0.001~0.01、但し、境界値を含む、となるようにSiO2(c)で示される少なくとも1つの追加の酸化物形態のSiOのシリコン源を含み、
前記比におけるSiO2(FAU)の含有量は、FAU構造型のゼオライトによって提供される含有量であり、前記ステップi)の前記反応混合物は、以下のモル組成を有する、請求項1又は2に記載の方法:
(SiO2(c)+SiO2(FAU))/Al3(FAU)が6~100であり、
O/(SiO2(c)+SiO2(FAU))が5~60であり、
MPC6/(SiO2(c)+SiO2(FAU))が0.05~0.50であり、
NaO/(SiO2(c)+SiO2(FAU))が0.05~0.25であり、
ただし、境界値を含む。
【請求項4】
前記ステップi)の前記反応混合物が、Al3(c)/Al3(FAU)のモル比が0.001~8、但し、境界値を含む、となるようにAl3(c)で示される少なくとも1つの追加の酸化物形態のアルミニウム源を含み、
前記ステップi)の前記反応混合物は以下のモル組成を有する、請求項1又は2に記載の方法
SiO2(FAU)/(Al3(FAU)+Al3(C))が6~100であり、但し、境界値を含む、
O/SiO2(FAU)が5~60であり、
MPC6/SiO2(FAU)が0.05~0.50であり、
NaO/SiO2(FAU)が0.05~0.25であり、但し、境界値を含む、
SiO2(FAU)は、FAUゼオライトによって提供されるSiOの量を示し、
Al3(FAU)は、FAUゼオライトによって提供されるAlの量を示し、
Al3(c)は、酸化物形態と考えられる前記追加のアルミニウム源によって提供されるAlの量であり、
MPC6は、有機窒素化合物である1,6-ビス(メチルピペリジニウム)ヘキサンのジヒドロキシド形態である。
【請求項5】
前記ステップi)の前記反応混合物が以下を含む、請求項1又は2に記載の方法:
-少なくとも1つの追加の酸化物SiO2(c)源、
-及び少なくとも1つの追加の酸化物Al3(c)源、
前記FAUゼオライトは、前記混合物中に存在する無水形態のSiO及びAl源の総量に対して65質量%~85質量%を占め、前記反応混合物は以下のモル組成を有する:
(SiO2(c)+SiO2(FAU))/(Al3(FAU)+Al3(c))が6~100であり、
O/(SiO2(c)+SiO2(FAU))が5~60であり、
MPC6/(SiO2(c)+SiO2(FAU))が0.05~0.50であり、
NaO/(SiO2(c)+SiO2(FAU))が0.05~0.25であり、但し、境界値を含む。
【請求項6】
前記追加のアルミニウム源が、水酸化アルミニウム又はアルミニウム塩、アルミン酸ナトリウム、アルミニウムアルコキシド、又はアルミナの単独物又は混合物から選択される、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記ナトリウムカチオン源が水酸化ナトリウムである、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項8】
前記AFX構造型のゼオライトの種結晶が、前記混合物中に存在する前記無水形態のSiO及びAl源の総質量に対して0.01重量%~10重量%の量で、前記ステップi)の前記反応混合物に添加され、前記種結晶は、前記SiO及びAl源の総質量に考慮されない、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項9】
前記ステップi)が、前記反応混合物を20~100℃の温度で、撹拌しながら又は撹拌せずに30分~48時間熟成させるステップを含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項10】
前記堆積ステップv)によって導入されるパラジウムの含有量が、前記無水触媒の総質量に対して、0.5質量%~5質量%である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項11】
請求項1又は2に記載の方法により得られる、パラジウム含有AFXゼオライト触媒。
【請求項12】
前記SiO/Al比が7~20であり、但し、境界値を含む、請求項11に記載のAFXゼオライト触媒。
【請求項13】
前記パラジウム含有量が、前記無水最終触媒の総質量に対して、0.5質量%~5質量%であり、CO化学吸着により測定した前記パラジウムの金属分散度は、40%~100%である、請求項11に記載のAFXゼオライト触媒。
【請求項14】
NH又はH から選択される還元剤によるNOの選択的還元のための、請求項11に記載の、又は、請求項1又は2に記載の方法によって得られる、触媒の使用。
【請求項15】
前記触媒が、ハニカム構造体又はプレート構造体上にコーティングの形態で堆積することにより形成される、請求項14に記載の使用。
【請求項16】
前記ハニカム構造体が、両端が開口した平行溝によって形成されるか、又は隣接する平行溝が、前記溝の両端で交互に遮断された多孔性ろ過壁からなる、請求項15に記載の使用。
【請求項17】
前記構造体上に堆積される触媒の量が、ろ過構造体については50~240g/Lであり、開口溝を有する構造体については80~320g/Lである、請求項16に記載の使用。
【請求項18】
前記触媒を、セリア、酸化ジルコニウム、アルミナ、非ゼオライト系シリカ-アルミナ、酸化チタン、セリア-ジルコニア型の混合酸化物、酸化タングステン及び/又はスピネル等のバインダーと組み合わせて、コーティングの形態で堆積により形成する、請求項15に記載の使用。
【請求項19】
前記コーティングが、汚染物質を吸着する、汚染物質を低減する、又は、汚染物質の酸化を促進する、能力を有する別のコーティングと組み合わされる、請求項15に記載の使用。
【請求項20】
前記触媒が、最大100%の前記触媒を含む押出成形物の形態である、請求項14に記載の使用。
【請求項21】
前記触媒で被覆された、又は前記触媒の押出成形によって得られた構造体が、内燃機関の排気ラインに組み込まれる、請求項14に記載の使用。
【国際調査報告】