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特表2024-520352LC層と偏光解消層を有するバイザーを有する保護ヘルメット
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  • 特表-LC層と偏光解消層を有するバイザーを有する保護ヘルメット 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-24
(54)【発明の名称】LC層と偏光解消層を有するバイザーを有する保護ヘルメット
(51)【国際特許分類】
   A42B 3/22 20060101AFI20240517BHJP
   A42B 3/18 20060101ALI20240517BHJP
   A42B 3/06 20060101ALI20240517BHJP
【FI】
A42B3/22
A42B3/18
A42B3/06
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023571815
(86)(22)【出願日】2022-06-01
(85)【翻訳文提出日】2024-01-05
(86)【国際出願番号】 IB2022055111
(87)【国際公開番号】W WO2022254349
(87)【国際公開日】2022-12-08
(31)【優先権主張番号】102021000014507
(32)【優先日】2021-06-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522281305
【氏名又は名称】アウト・オブ・ソチエタ・ア・レスポンサビリタ・リミタータ
【氏名又は名称原語表記】OUT OF S.R.L.
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 博史
(74)【代理人】
【識別番号】100113170
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 和久
(74)【代理人】
【識別番号】100230640
【弁理士】
【氏名又は名称】高山 望
(72)【発明者】
【氏名】リーギ,フェデリコ
(72)【発明者】
【氏名】リーギ,ロベルト
【テーマコード(参考)】
3B107
【Fターム(参考)】
3B107BA04
3B107BA05
3B107BA08
3B107DA08
3B107DA12
3B107EA06
3B107EA07
3B107EA12
3B107EA16
3B107EA19
(57)【要約】
本発明によれば、スポーツ活動の実践または原動機付乗り物を使用するための保護ヘルメット(1)は、バイザーアセンブリ(3)によって閉じられた、使用者の目の部分にある前面開口(23)を備えたキャップ(2)を有する。バイザーアセンブリ(3)が
-少なくとも1つの少なくとも部分的に透明な構造レンズ(41)と、
-構造レンズ(41)の後方に配置された、自身の透明レベルを変更するように適合するゲスト-ホスト型の液晶LCフィルム(43)と、
-LCフィルム(43)に電力を供給するための少なくとも一つの電源と、
-構造レンズ(41)とLCフィルム(43)の間に配置された少なくとも1つの偏光解消層(42)と、を有することによってヘルメットは特徴付けられる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スポーツ活動の実践または原動機付乗り物を使用するための保護ヘルメット(1)であって、
バイザーアセンブリ(3)によって閉じられた、ユーザの目の部分にある前面開口(23)を備えたキャップ(2)を有し、
前記バイザーアセンブリ(3)は、
-少なくとも1つの少なくとも部分的に透明な構造レンズ(41)と、
-前記構造レンズ(41)の後方に配置された、透明レベルを変更するように適合されたゲスト-ホスト型の液晶LCフィルム(43)と、
-前記LCフィルム(43)に電力を供給するための少なくとも一つの電源と、
-前記構造レンズ(41)と前記LCフィルム(43)との間に配置された少なくとも1つの偏光解消層(42)と、を有する、保護ヘルメット(1)。
【請求項2】
前記LCフィルム(43)は、最も明るい状態で少なくとも60%の可視光透過性を有し、最も暗い状態で最大40%の可視光透過性を有する、請求項1に記載の保護ヘルメット(1)。
【請求項3】
前記LCフィルム(43)に電力を供給する前記電源は、前記LCフィルム(43)を制御し、環境光の増加に応じて強度が増加する信号を発生する電子ボード(5)に接続される、請求項1または2に記載の保護ヘルメット(1)。
【請求項4】
前記電子ボード(5)は、入力信号と出力信号との間の応答曲線によって特徴付けられ、
前記応答曲線は、ユーザのニーズに応じて変更可能である、請求項3に記載の保護ヘルメット(1)。
【請求項5】
前記電子ボード(5)は、ユーザの視野を塞がないように、前記キャップ(2)の前記開口(23)によって画定された周囲の外側に配置される、請求項3または4に記載の保護ヘルメット(1)。
【請求項6】
前記構造レンズ(41)は、多層ミラーリング処理を有する、請求項1から5のいずれか一項に記載の保護ヘルメット。
【請求項7】
前記構造レンズ(41)と前記LCフィルム(43)とはそれぞれの形状を有し、
前記LCフィルム(43)の形状は、前記構造レンズ(41)の形状の中に収容され、
前記LCフィルム(43)に覆われていない前記構造レンズ(41)の自由エッジ(413)は、少なくとも部分的にカバー層(414)またはフレーム(31)に覆われる、請求項1から6のいずれか一項に記載の保護ヘルメット。
【請求項8】
前記バイザーアセンブリ(3)は、前記構造レンズ(41)を支持し、前記キャップ(2)に固定するように適合されたフレーム(31)を有し、
前記フレーム(31)は、少なくとも部分的に前記構造レンズ(41)の周囲に沿っている、請求項1から7のいずれか一項に記載の保護ヘルメット(1)。
【請求項9】
前記キャップ(2)は、
硬質外側シェル(21)と、折りたたみ可能な内側シェル(22)と、
少なくとも部分的に前記外側シェル(21)の外側に配置された光起電力プレートと、
を有し、
前記プレートは、前記LCフィルム(43)に電力を供給するための前記電源に、直接または電池を介在して接続される、請求項1から8のいずれか一項に記載の保護ヘルメット(1)。
【請求項10】
前記キャップ(2)は、
硬質外側シェル(21)と、折りたたみ可能な内側シェル(22)と、
骨伝導オーディオシステムと、
を有する、請求項1から9のいずれか一項に記載の保護ヘルメット(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の対象は、スポーツ活動の実践および/または原動機付乗り物の使用のためにアイバイザーを装備した保護ヘルメットである。
【背景技術】
【0002】
保護ヘルメットには、保護用のアイバイザーが含まれていることが多い。場合によっては、このバイザーは破片や埃の侵入を防いだり、単に風から目を保護することだけを目的としていることもある。しかし、他のケースでは、バイザーは過剰な光に対する保護も提供する。
【0003】
一般的に、光に対する保護は、バイザーが入射光のほんの一部だけを透過させる顔料を使用することで達成される。このタイプのフィルタは、一般に、順に吸収レベルが増加するカテゴリー(S0、S1、S2など)に分類される。しかしながら、日当たりの良い場所からトンネルを抜けていくバイクの運転手のように、外部の明るさの異なるレベルに応じて光のフィルタリングのレベルを変える必要がある状況も多い。
【0004】
この問題を解決しようとする技術は知られている。しかしながら、そのような既知の技術には限界があり、限界によって実際には効果がない。
【0005】
フォトクロマチック(photochromatic)レンズが太陽光に反応してレンズの色が濃くなるような加工や材料で作られていることは知られている。しかしながら、このような既知のレンズは、明るさの急激な変化に対応するには遅すぎる。さらに、このような処理を施すのに最適な基材はガラスであり、ガラスは保護装置にはほとんど適合しない材料である。
【0006】
エレクトロクロミック(electrochromic)レンズとして、通常、磁界を加えると光学特性が変化し得るポリマーを使用したものが知られている。このレンズはフォトクロマチックレンズよりは速いが、それでもかなり遅い。さらに、状態変化を達成するために必要な電力が大きいため、可能な状態変化の最大数が制限され、このタイプのレンズは、かさばるバッテリーがある場合にのみ、環境光への自動適応の機能を実現できる。
【0007】
最後に、液晶層を使用するレンズは知られており、環境光の変化に素早く反応できる唯一のレンズである。しかしながら、このタイプのレンズは、フィルタの最大輝度が低い、不要な偏光が存在する、他の透明素子と干渉する、機械的応力に好ましくない反応を示すなど、多くの問題が依然として残っているため、実質的にはまだ使用されていない。これらの理由から、レンズは、TN(ツイストネマチック)タイプの平面液晶LC画面が広く使用されている溶接用保護装置の分野で応用されている。しかしながら、このスクリーンは通常の条件下での太陽光保護には適しておらず、実際、最大透過率状態において暗すぎるし、視野も非常に狭い。
【0008】
GH(ゲスト-ホスト)型の液晶を利用した装置応用技術も知られている。このタイプの液晶は偏光フィルタを使用しないため、50%をはるかに超える透明度が得られる可能性があり、通常の条件下での太陽光保護装置への使用に適している可能性がある。しかしながら、このタイプのレンズにも多くの問題がある。実際、GH型液晶フィルタは機械的応力に反応し、透明度に不要な不均一性を発生させる。ほとんどの既存のヘルメットバイザーは、GHタイプのLC層を適用すると、層がそのような変形と機械的応力を受け、その透明性の均一性が損なわれるように作られている。さらに、ヘルメットバイザーは一般的に射出成形技術で作られているため、液晶と干渉する残留内部応力を有する部品が生成され、一般的に「レインボー」と呼ばれる複屈折効果が生じて視界が不快になる。
【発明の概要】
【0009】
本発明の目的は、真に効果的で快適に使用できる可変透明バイザーを備えたヘルメットを得るために、技術水準に見られる問題を解決することである。
【0010】
目的は、請求項1に記載の保護ヘルメットによって達成される。従属請求項には、本発明のさらに有利な実施形態が開示されている。
【0011】
本発明による保護ヘルメットの特徴および利点は、添付図面に従って非限定的な例として与えられる以下の説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施形態による保護ヘルメットの側面図である。
図2図1の保護ヘルメットの断面図である。
図3図1の保護ヘルメットのバイザーの詳細を示す図である。
図4】本発明のさらなる実施形態による保護ヘルメットの側面図である。
図5図4の保護ヘルメットの断面図である。
図6】さらなる実施形態における図1の保護ヘルメットの断面図である。
図7図6のヘルメットバイザーの詳細を示す図である。
図8】本発明による保護ヘルメットのバイザーのレンズアセンブリの構造の分解図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
添付の図面を参照して、符号1は、本発明によるスポーツ活動の実践または原動機付乗り物の使用のための目のためのバイザーを備えた保護ヘルメットを総称するために使用されている。
【0014】
ヘルメット1は、使用者の頭部の少なくとも一部を保護するキャップ2からなり、キャップ2には、使用者の目を保護するバイザーアセンブリ3が係合している。
【0015】
キャップ2は、プラスチックや複合材などの硬質外側シェル21と、発泡ポリウレタンや発泡ポリスチレンなどの折りたたみ可能な内側シェル22とを有する。
【0016】
内側シェル22において、使用者の頭部と接触する側は、ヘルメット使用中の快適性を向上させるために適合した、主に布でできたパッドで覆われている。
【0017】
好ましくは、キャップ2は通信システムを有する。例えば、ヘルメット1は骨伝導オーディオシステムを有する。
【0018】
好ましくは、キャップ2は、通気孔、スポイラー、空気力学的付属物、信号灯、通信システム、ディスプレイなど、ヘルメットに典型的な追加部品も含んでもよい。
【0019】
キャップ2は、少なくともヘルメット1の使用時にバイザーアセンブリ3によって閉じられるように意図された、使用者の目の領域にある正面開口部23を有する。開口は、(図1のような)フルフェイスヘルメットの場合は周囲が閉じていることを特徴とし、(図4のような)顎当てがないヘルメットの場合はキャップの周囲における凹部の形をとる。
【0020】
キャップ2は、両側に、使用者の耳の領域の近傍に配置されたシートを有し、バイザーアセンブリ3の対応するアンカーピン32を収容するように適合され、開口23を開閉するためにアセンブリがキャップ2上で回動するようになっている。
【0021】
一実施形態では、バイザーアセンブリ3はキャップ2に取り付けられている。
【0022】
さらなる実施形態では、バイザーアセンブリ3は、例えば、ヘルメット1を特定の照明状況に適合させるために異なるバイザーアセンブリと交換するために、キャップ2から取り外し可能である。
【0023】
バイザーアセンブリ3は、真に効果的で快適に使用できる可変透明レンズアセンブリ4を有する。
【0024】
一実施形態では、レンズアセンブリ4はキャップ2に直接取り付けられている。
【0025】
別の実施形態では、バイザーアセンブリ3は、キャップ2に係合可能で、レンズアセンブリ4を支持するように適合されたフレーム31を有する。したがって、この実施形態では、レンズアセンブリ4、特に構造レンズ41にフレーム31が適用され、フレーム31は、少なくとも部分的に構造レンズ41の外周に沿う。
【0026】
図1および図4の実施形態では、バイザーアセンブリ3は、キャップ2の適切なシートに挿入可能な一対のアンカーピン32によってキャップ2に係合可能なフレーム31を有する。
【0027】
図1の実施形態では、フレーム31はバイザー3のレンズアセンブリ4を完全に取り囲んでいる。実施形態では、キャップ2は、使用者の顎を覆うために、固定式または跳ね上げ式の顎ガードも有する。実施形態では、ヘルメット1はフルフェイスヘルメットである。
【0028】
図4の実施形態では、フレーム31はバイザー3のレンズアセンブリ4を部分的にしか囲んでいない。実際、見てわかるように、レンズアセンブリ4の下部にはフレーム31がない。実施形態では、キャップ2には、使用者の顎を覆う顎当てがなく、したがって、顎は覆われないままである。実施形態では、ヘルメット1は、オープンまたはノンフルフェイスのヘルメットである。
【0029】
レンズアセンブリ4は、構造レンズ41または外側レンズを有する。構造レンズ41は少なくとも部分的に透明である。レンズは、顔料を加えることなく、透明な材料で形成されてもよく、その結果、光透過率が100%に近くなる。あるいは、異なる環境条件下で最適な視界を得るために、非可視光や放射線の一部を、場合によっては全スペクトルにわたって不均一にフィルタリングするような方法で、材料、または顔料、材料、表面処理の組み合わせを使用することによって形成されてもよい。
【0030】
フレーム31の場合、構造レンズ41は、例えば、インターロック、接着、磁石の使用、両面接着フィルムの介在などによってフレーム31に取り付けられる。
【0031】
好ましくは、構造レンズ41は、ポリカーボネートやポリアミドなどのプラスチック材料で形成される。
【0032】
特定の照明条件下での使用を意図した実施形態では、構造レンズ41は、吸収スペクトルを調節するために顔料化され、具体的にはこの場合、構造レンズ41はまた、特定の照明状況においてコントラストを調節するために、例えばコントラストを増加させることによって顔料化されてもよい。
【0033】
図8に示すように、構造レンズ41は外面411と内面412を有する。
【0034】
好ましくは、構造レンズ41の外面411は、傷防止、および/または鏡面化、および/または反射防止、および/または多層コーティングなどのコーティングで処理される。
【0035】
レンズアセンブリ4は、構造レンズ41に対向する外側面431と、対向する内側面432とを有する液晶フィルム43(以下、LCフィルム)を有する。
【0036】
LCフィルム43はGH(ゲスト-ホスト)液晶タイプである。このタイプのLCフィルムでは、二色性顔料は液晶のマトリックスに分散されている。磁場が液晶の配向を駆動し、それが顔料の配向を駆動する。通常、「活性」状態では、結晶はらせん状に配置され、顔料はフィルム表面に平行な平面に配置されるが、「不活性」状態では、結晶と顔料はフィルム表面に垂直に配置される。
【0037】
好ましくは、LCフィルム43は、その最も明るい状態で少なくとも60%、その最も暗い状態で最大40%の可視光透過性を有する。例えば、LC層は、最も暗い状態で約30%、最も明るい状態で約70%の透明度を有してもよい。
【0038】
LCフィルム43は、後述する電子ボード5によって制御され、環境光の増加に応じて強度が増加する信号を発生する。
【0039】
好ましくは、LCフィルム43は構造レンズ41の背面、すなわち内面412側に、好ましくは光学的に透明な接着剤(OCA)を用いて取り付けられる。
【0040】
例えば図1に示す一実施形態では、構造レンズ41は円筒形の曲率を持ち、つまり一軸上に湾曲している。有利なことに、この形状により、LC層43を構造レンズ41に最適な方法で積層できる。
【0041】
一実施形態では、LCフィルム43の形状は構造レンズ41の形状に含まれている。したがって、構造レンズ41の形状のうち、LCフィルム43の形状に覆われていない部分が自由エッジ413を画定する。有利なことに、この構成により、図7に示すように、LCフィルム43とシールガスケット49との接触が回避される。バイザーアセンブリ3がフレームを持たない例では、LCフィルム43によって覆われていない構造レンズ41の自由エッジは、少なくとも部分的にカバー層によってカバーされている。バイザーアセンブリ3がフレームを有する例では、LCフィルム43によって覆われていない構造レンズ41の自由エッジは、少なくとも部分的にフレームによって覆われている。
【0042】
図6に示す一実施形態では、構造レンズ41には、内面412に作られた凹部を有し、そこにLCフィルム43が配置され、LCフィルムは構造レンズ41に埋め込まれる。実施形態では、構造レンズ41の自由エッジ413は、カバー層414によって少なくとも部分的に覆われている。したがって、構造レンズ41にカバー層414を適用すると、LCフィルム43の外側の視野の領域が塞がる。
【0043】
好ましくは、LCフィルム43の内部、すなわち内側面432側に、防曇処理および/または反射防止処理、あるいは防曇処理および/または反射防止処理を備えた実質的な追加層を適用してもよい。
【0044】
図8に示す実施形態では、レンズアセンブリ4は、LCフィルム43の外側、すなわち外側面431に配置された偏光解消フィルム42を有する。そして偏光解消フィルム42は、構造レンズ41とLCフィルム43との間に配置される。
【0045】
好ましくは、2つの光軸間の波位相差が1500nmを超える複屈折フィルムによって、脱偏光効果が実現される。
【0046】
バイザーアセンブリ3は、LCフィルム43を制御するように適合された電子ボード5を有する。電子ボード5は、光起電力電池と、光起電力電池から電力が供給される電子回路とを有する。一実施形態では、電子ボード5は、前面と中央に配置された1つの光起電力電池と、光起電力電池の後面、側面、及び左右に配置された2つの集積回路とを有する。好ましくは、光起電力電池は、環境中の光量のセンサとして、またLCフィルムへの電力供給として同時に動作する。実際、光起電力電池に当たる光量が多いほど、光起電力電池によって生成される電力は高くなり、その結果、LCフィルムに供給される電力は高くなり、LCレンズはより暗くなる。
【0047】
好ましくは、入力信号と電子ボード5からの出力信号との間の応答曲線は、ユーザのニーズに応じて変更されてもよい。
【0048】
有利なことに、光起電力電池は構造レンズ41の近くに位置しているため、より多くの光を受ける。具体的には、光起電力電池を有する電子ボード5は構造レンズ41の後方に位置し、光起電力電池は構造レンズ41に面している。
【0049】
選択的に、構造レンズ41は多層ミラーリング処理を有する。
【0050】
電子ボード5は、構造レンズ41に対して内部的に配置される。有利なことに、光起電力電池は構造レンズからフィルタリングされた光を受けるので、LCフィルムの介入を差し引いた、ユーザの眼が受ける環境光の成分と同じ成分に反応する。
【0051】
電子ボード5は、キャップ2の前面開口23によって画定される周囲の外側に位置するコンパートメント33に配置され、バイザー3を降ろしたときに、電子ボード5が開口23の周囲の外側にあり、使用者の視野の著しい減少をもたらさないようになっている。したがって、有利なことに、光起電力電池は、ヘルメット1のキャップ2によって既に遮られている使用者の視野の領域にあるように配置される。
【0052】
好ましくは、コンパートメント33は密閉され、すなわち漏れ防止され、電子ボード5を保護する。ボードは、代替的または追加的に、保護コーティングによって保護されるか、または樹脂に埋め込まれてもよい。
【0053】
フレームレスの実施形態(図6)では、コンパートメント33は構造レンズ41と後部保護シェルとの間に作られる。
【0054】
フレーム付きの実施形態(図2,3,5)では、コンパートメント33はフレームの上部に配置されている。
【0055】
一実施形態では、ヘルメット1は、電子ボード5により多くの電力を供給できるバッテリーを含む。場合によっては、このバッテリーは、従来のまたは骨伝導オーディオシステム、インターホン、「ヘッドアップ」または従来のディスプレイ、信号灯、緊急通報システム、カメラ、またはセンサなどの他の電子機器に電力を供給するために使用されてもよい。
【0056】
好ましくは、キャップ2は、外側シェル21の外側に少なくとも部分的に配置された光起電力シートを有する。好ましくは、光起電力シートは、キャップ2の湾曲に沿うように変形する可撓性シートである。好ましくは、光起電力シートはバッテリーに接続される。
【0057】
したがって、要約すると、本発明に係るスポーツ用又は原動機付乗り物用保護ヘルメット1は、以下を有する。
【0058】
-ヘルメットをかぶったときに、使用者の頭蓋骨の少なくとも一部を保護する保護キャップ2
【0059】
-少なくとも部分的に透明である構造レンズ41
【0060】
-構造レンズ41の内部に配置されるGHタイプのLCフィルム43
【0061】
-構造レンズ41とLCフィルム43との間に配置される偏光解消フィルム42
【0062】
偏光解消フィルムは、LC43層と構造レンズ41内に存在する内部応力との間の干渉をなくし、快適で均一な視界を実現する。
【0063】
有利なことに、本発明によるスポーツ用または原動機付乗り物用の保護ヘルメット1は、真に効果的で快適に使用できる、透明度が可変のバイザーを備えている。
【0064】
当業者であれば、偶発的なニーズを満たすために、上述した装置に修正を加えることが可能であり、そのすべてが以下の特許請求の範囲によって定義される保護範囲に含まれることが理解される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【手続補正書】
【提出日】2024-01-23
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スポーツ活動の実践または原動機付乗り物を使用するための保護ヘルメット(1)であって、
バイザーアセンブリ(3)によって閉じられた、ユーザの目の部分にある前面開口(23)を備えたキャップ(2)を有し、
前記バイザーアセンブリ(3)は、
-少なくとも1つの少なくとも部分的に透明な構造レンズ(41)と、
-前記構造レンズ(41)の後方に配置された、透明レベルを変更するように適合されたゲスト-ホスト型の液晶LCフィルム(43)と、
-前記LCフィルム(43)に電力を供給するための少なくとも一つの電源と、
-前記構造レンズ(41)と前記LCフィルム(43)との間に配置された少なくとも1つの偏光解消層(42)と、を有する、保護ヘルメット(1)。
【請求項2】
前記LCフィルム(43)は、最も明るい状態で少なくとも60%の可視光透過性を有し、最も暗い状態で最大40%の可視光透過性を有する、請求項1に記載の保護ヘルメット(1)。
【請求項3】
前記LCフィルム(43)に電力を供給する前記電源は、前記LCフィルム(43)を制御し、環境光の増加に応じて強度が増加する信号を発生する電子ボード(5)に接続される、請求項に記載の保護ヘルメット(1)。
【請求項4】
前記電子ボード(5)は、入力信号と出力信号との間の応答曲線によって特徴付けられ、
前記応答曲線は、ユーザのニーズに応じて変更可能である、請求項3に記載の保護ヘルメット(1)。
【請求項5】
前記電子ボード(5)は、ユーザの視野を塞がないように、前記キャップ(2)の前記開口(23)によって画定された周囲の外側に配置される、請求項に記載の保護ヘルメット(1)。
【請求項6】
前記構造レンズ(41)は、多層ミラーリング処理を有する、請求項に記載の保護ヘルメット。
【請求項7】
前記構造レンズ(41)と前記LCフィルム(43)とはそれぞれの形状を有し、
前記LCフィルム(43)の形状は、前記構造レンズ(41)の形状の中に収容され、
前記LCフィルム(43)に覆われていない前記構造レンズ(41)の自由エッジ(413)は、少なくとも部分的にカバー層(414)またはフレーム(31)に覆われる、請求項に記載の保護ヘルメット。
【請求項8】
前記バイザーアセンブリ(3)は、前記構造レンズ(41)を支持し、前記キャップ(2)に固定するように適合されたフレーム(31)を有し、
前記フレーム(31)は、少なくとも部分的に前記構造レンズ(41)の周囲に沿っている、請求項に記載の保護ヘルメット(1)。
【請求項9】
前記キャップ(2)は、
硬質外側シェル(21)と、折りたたみ可能な内側シェル(22)と、
少なくとも部分的に前記外側シェル(21)の外側に配置された光起電力プレートと、
を有し、
前記プレートは、前記LCフィルム(43)に電力を供給するための前記電源に、直接または電池を介在して接続される、請求項に記載の保護ヘルメット(1)。
【請求項10】
前記キャップ(2)は、
硬質外側シェル(21)と、折りたたみ可能な内側シェル(22)と、
骨伝導オーディオシステムと、
を有する、請求項に記載の保護ヘルメット(1)。
【国際調査報告】