(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-24
(54)【発明の名称】サーバラックからの熱除去のためのシステム
(51)【国際特許分類】
H05K 7/18 20060101AFI20240517BHJP
【FI】
H05K7/18 K
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023571837
(86)(22)【出願日】2022-03-14
(85)【翻訳文提出日】2024-01-17
(86)【国際出願番号】 IB2022052247
(87)【国際公開番号】W WO2022248945
(87)【国際公開日】2022-12-01
(31)【優先権主張番号】10202105627X
(32)【優先日】2021-05-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SG
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522224922
【氏名又は名称】クールロジックス プライベート リミテッド
【氏名又は名称原語表記】KOOLLOGIX PTE.LTD
【住所又は居所原語表記】998 TOA PAYOH NORTH,#02-18/19,SINGAPORE 318993,SINGAPORE
(74)【代理人】
【識別番号】110003487
【氏名又は名称】弁理士法人東海特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チェン,チュン キート
(72)【発明者】
【氏名】リー,セリ
(57)【要約】
本明細書に記載の本発明の実施形態は、総じて、データセンタのサーバラックからの熱除去のためのシステムに関し、前記システムは、背面パネルと、前記背面パネル内に設けられた少なくとも1つの熱交換器と、少なくとも1つの排気ファンと、前記背面パネルを覆う少なくとも1つの第2層と、を備え、前記第2層は、サーバを収納するために使用される前記サーバラックからの前記背面パネルを通した空気の分散を許容する複数の穿孔を備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
サーバラック(102)からの熱除去のためのシステム(201)であって、
内壁(207)と、複数の側壁(209)と、外壁(211)と、少なくとも1つの排気ファン(205)と、を備えた背面パネル(203)を備え、
前記背面パネル(203)は、前記背面パネル(203)を覆う少なくとも1つの第2層(217)を更に備え、
前記第2層(207)は、前記サーバラック(102)からの前記背面パネル(203)を通した空気の分散を許容する複数の穿孔(207a)を備える、サーバラック(102)からの熱除去のためのシステム(201)。
【請求項2】
サーバを収納するために用いられるサーバラック(102)からの熱除去のためのシステム(201)であって、背面パネル(203)の前記外壁(211)は、前記排気ファン(205)を取り付けるための少なくとも1つの凹部(211a)を備え、前記排気ファン(205)は、前記凹部(211a)において前記側壁(103a)から伸びるフレーム(103c)に取り付けられている、請求項1に記載のサーバラック(102)からの熱除去のためのシステム(201)。
【請求項3】
サーバを収納するために用いられるサーバラック(102)からの熱除去のためのシステム(201)であって、前記内壁および前記側壁(207,209)が少なくとも1つの熱交換器(215)を囲んでいる、請求項1または請求項2に記載のサーバラック(102)からの熱除去のためのシステム(201)。
【請求項4】
一定の間隔で、または不規則な間隔で、前記背面パネル(203)の前記内壁(207)に角度付けして取り付けられた複数の空気案内手段(227)を更に備える、請求項1から請求項3の何れか一項に記載のサーバラック(102)からの熱除去のためのシステム(201)。
【請求項5】
前記空気案内手段(227)は、手動または自動で旋回可能であり、前記背面パネル(203)の前記内壁(207)に対する案内角度を提供して前記サーバラック(102)からの気流を前記排気ファン(205)に向かって流れるように案内する、請求項4に記載のサーバラック(102)からの熱除去のためのシステム(201)。
【請求項6】
複数の前記空気案内手段(227)の各空気案内手段(227)は、前記背面パネル(203)に対して異なる案内角度を有する、請求項4または請求項5に記載のサーバラック(102)からの熱除去のためのシステム(201)。
【請求項7】
複数の前記空気案内手段(227)は、通気口、ルーバ、カーテン、ブラインド、フィン、翼、もしくはスラット、またはそれらの任意の組み合わせ、或いは任意の空気案内手段(227)を含むが、これらに限定されない、請求項4から請求項6の何れか一項に記載のサーバラック(102)からの熱除去のためのシステム(201)。
【請求項8】
前記第2層(217)の前記穿孔(217a)は、任意の適切な形状、サイズおよび量である、請求項1から請求項3の何れか一項に記載のサーバラック(102)からの熱除去のためのシステム(201)。
【請求項9】
前記システム(201)は、少なくとも1つのヒンジ機構(223)を介してサーバラック(102)に接続される、請求項1から請求項8の何れか一項に記載のサーバラック(102)からの熱除去のためのシステム(201)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、総じて、データセンタのサーバラックからの熱除去のためのシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
ビジネスモデル、組織、企業、更には個人でさえ、様々な情報源から様々な形式の大量の情報データを生成し、創出し、収集する傾向にある。このようなデータは、巨大であるにも関わらず時間とともに指数関数的に増加し、従来のデータ管理ツールでは効率的にデータを保存または処理できないため、日常的にビジネスに溢れている。そこで、技術の進歩やグローバル化のペースに合わせて大量の情報データを処理するだけでなく、業務全体の効率化をを加速させて企業組織が直面する課題を解決するために、サーバシステムが開発された。
【0003】
サーバシステムは、その性質上、長時間に亘って継続的に、または特定の組織では停止または一時停止することさえなく運転されるため、大量の熱を生成し、熱、湿度、埃に敏感である。厳しい精度要件内で安定した温度、湿度、および気流を維持することは、サーバシステムにとって非常に重要である。しかしながら、従来のサーバシステムには、通常、サーバシステム全体を冷却するための優れた放熱システムも、データセンタ内の気流の分布および循環を管理するための気流管理システムもなく、サーバシステムやデータセンタの運転に影響を与えている。従来のサーバシステムの例を、
図1-Aおよび
図1-Bに示すが、これらのサーバシステムの背面パネルには従来の熱除去システムが設けられており、これらは熱交換器であるか、背面パネルに固定取り付けされたいくつかの排気ファンである。
【0004】
従来のサーバシステム、特に
図1-Bに示すような排気ファンを備えた熱除去システムの問題点は、気流環境を妨げる密なパネルで背面が覆われるか遮蔽されるため、気流を促進し、サーバラックの背面から熱を除去して前記サーバラックの温度を下げるために、大容量で強力な排気ファンを必要とすることであり、このような排気ファンは消費電力が高く、必然的に電気代が高くなってしまう。更に、このような排気ファンは壊れやすく、定期的なメンテナンスが必要であるために、コストが更に増加していた。しかも、このタイプの熱除去システムでは、排気ファンの上流または下流からの気流が妨げられるため、非常に非効率的である。
【0005】
従来のサーバシステム、特に
図1-Aに示すような熱交換器を備えたシステムの別の問題は、気流管理システムがないことである。この種のシステムは熱交換器に依存して熱を除去するが、効果的な気流管理がされないために空気の移動が妨げられる。熱気が生成されサーバラックの空間の隅々にまで分散されるが、熱交換器はこれらに最も近い空間からしか熱を除去することができず、構造的かつ完全に、または効率的に、サーバラックの空間の各部分から熱や熱気を除去することができないため、最悪の気流環境となる。熱がサーバラック内で再循環し、サーバが過熱して破壊される可能性がある。
【0006】
従来のサーバシステムの別の問題として、メンテナンスや点検のためにサーバラックの背面パネルを開いているときに、背面パネルを閉じているときほど熱が放散されないことが挙げられる。これは、背面パネルを開くと熱除去システムがサーバラックから遠く離れ、サーバから生成された熱気が熱除去システムを通って流れずに直接環境に漏れるためである。これにより、サーバラックから出る熱気が熱除去システムを迂回するため、背面パネルを開いているときに、サーバルームのデータセンタの温度上昇が引き起こされ得る。
【0007】
従って、以下の開示を有して上記の欠点を軽減することが、強く希求されている。
【発明の概要】
【0008】
従って、本発明の第1の目的は、システムがサーバラックから効果的に熱を除去できる、サーバラックからの熱除去のためのシステムを提供することである。
【0009】
本発明の更に別の目的は、システムが効率的な気流を与えるか、気流を補完することができる、サーバラックからの熱除去のためのシステムを提供することである。
【0010】
本発明の更に別の目的は、システムが大きな空気流量を維持しながらも低消費電力である、サーバラックからの熱除去のためのシステムを提供することである。
【0011】
本発明の更に別の目的は、メンテナンスのためにサーバラックが開かれたときに、サーバラックからの熱が環境に流れる前に熱除去システムを通るように案内できる、サーバラックからの熱除去のためのシステムを提供することである。
【0012】
本発明の更なる目的は、以下の発明の詳細な説明の理解によって、または実践における発明の適用に際して、明らかになるであろう。
【0013】
本発明の好ましい実施形態によれば、以下が提供される:
サーバラックからの熱除去のためのシステムであって、
内壁と、複数の側壁と、外壁と、少なくとも1つの排気ファンと、を備えた背面パネルを備え、
前記背面パネルは、前記背面パネルを覆う少なくとも1つの第2層を更に備え、
前記第2層は、前記サーバラックからの前記背面パネルを通した空気の分散を許容する複数の穿孔を備える。
【図面の簡単な説明】
【0014】
本発明の他の態様およびそれらの利点は、添付の図面と併せて詳細な説明を検討した後に認識されるであろう。
【0015】
【
図1-A】
図1-Aは、サーバラックの従来の熱除去システムを示す。
【
図1-B】
図1-Bは、サーバラックの従来の熱除去システムを示す。
【
図2】
図2は、本発明の好ましい実施形態によるサーバラックからの熱除去のためのシステムの、例示的な前面図を示す。
【
図3】
図3は、本発明の好ましい実施形態によるサーバラックからの熱除去のためのシステムの、例示的な前面開放図を示す。
【
図4-A】
図4-Aは、本発明の好ましい実施形態によるサーバラックからの熱除去のためのシステムの、例示的な背面図を示す。
【
図4-B】
図4-Bは、
図4-Aの一部の例示的な拡大図を示す。
【
図4-C】
図4-Cは、層を取り除いた
図4-Aの例示的な図を示す。
【
図5-A】
図5-Aは、熱除去システムを備えないサーバラックの空気流速分布を示す。
【
図5-B】
図5-Bは、
図1-Bに適用されているような熱除去システムを備えたサーバラックの空気流速分布を示す。
【
図5-C】
図5-Cは、本発明を適用したサーバラックの空気流速分布を示す。
【
図6-A】
図6-Aは、本発明の別の実施形態によるサーバラックからの熱除去のためのシステムを示す。
【
図6-B】
図6-Bは、本発明の別の実施形態によるサーバラックからの熱除去のためのシステムを示す。
【図面の詳細な説明】
【0016】
以下の詳細な説明では、本発明の完全な理解を提供するために、多数の具体的な詳細が記述されている。しかしながら、これらの具体的な詳細がなくとも本発明が実施され得ることは、当業者には理解されるであろう。他の例示では、本発明を不明瞭にしないよう、周知の方法、手順および/または構成要素については詳細には説明しない。
【0017】
本発明は、縮尺に合わせて描かれていない添付の図面を参照しつつ、あくまで実施例として挙げた実施形態の以下の説明から、より明確に理解されるであろう。
【0018】
本開示および本明細書に添付された特許請求の範囲で使用する場合、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈において明確な別段の指示または示唆のない限り、複数の指示対象を含む。
【0019】
この明細書の開示および特許請求の範囲全体を通じて、「備える(comprise)」という語と、「備えている(comprising)」および「備える(comprises)」のようなこの語の変形は、「含むが、これらに限定されない」ことを意味し、例えば他の構成要素、整数またはステップを排除することを意図するものではない。「例示的な(exemplary)」とは、「の一実施例である(an example of)」を意味し、好ましいまたは理想的な実施形態の示唆を伝えることを意図するものではなく、「のような(such as)」は、限定的な意味で使用するのではなく、説明の目的で使用する。
【0020】
本発明は、サーバラック(102)から熱を除去するためのシステム(201)を開示し、前記サーバラックは、サーバのような電子機器を収納するために用いられる。
図2、
図3、
図4-Aを参照すると、前記システム(1)は、背面パネル(203)を備え、前記背面パネル(203)は、少なくとも1つの排気ファン(205)と、空気の通過を許容する複数の穿孔(207a)を備えた内壁(207)と、複数の側壁(209)と、前記排気ファン(205)を取り付けるための少なくとも1つの凹部(211a)を備えた外壁(211)と、を備え、前記排気ファン(205)は、前記凹部(211a)において側壁(209)から延びるフレーム(213)に取り付けられている。前記排気ファン(205)は、取り外し可能な排気ファン(205)であって、前記フレーム(213)から取り外すか取り除くことができる。これは、
図1-Bに示されるような従来技術が直面する重大な問題、つまり排気ファン(105)のうちの1つが故障した場合に、ユーザは背面パネル全体(103)または熱除去システム(101)全体を交換することさえ強いられる、という問題を解決するであろう。取り外し可能な排気ファン(205)を有することにより、ユーザは、熱除去システム全体(101)または背面パネル全体(103)を交換する代わりに、故障した排気ファン(205)を交換するだけでよい。背面パネル(203)は、場合によっては、凹部(211a)やフレーム(213)を備えず、排気ファン(205)を背面パネル(203)に直接取り付けてもよいことが企図される。
【0021】
本技術分野では、気流がサーバラック(102)の前面からサーバラック(102)の背面に流れることが知られており、その気流を創出するか気流を増加させるために、1つまたは複数のファンがサーバラック(102)内のサーバに関連付けられてもよい。よって、本発明の排気ファン(205)の目的は、サーバファンを支援して、サーバラック(102)の背面から環境への気流を維持および補完することである。排気ファン(205)の目的は気流を支援、維持、または補完することであるため、排気ファンは、
図1-Bに適用されているような従来の強力な排気ファン(205)よりも容量が少なく耐久性があり、従って消費する電力も少ない。本発明の排気ファン(205)を有することにより、後述するように、空気流量を維持しながらも消費電力が低減される。
【0022】
前記背面パネル(203)は、背面パネル(203)内に設けられた少なくとも1つの熱交換器(215)を更に備え、特に前記熱交換器(215)は、前記内壁および側壁(207,209)によって囲まれ、冷水、冷媒、または空気のような冷却流体を受容して、前記冷却流体が各サーバラック(102)に供給される。内壁(207)の複数の穿孔(207a)は、場合によっては、凹部または開口に置き換えられ得ることが想定されるが、このシナリオでは、内壁(207)は、前記熱交換器(215)を収容するフレームである。
図4-Bは、穿孔(207a)を示すために、
図4-Aの拡大図を示している。
図4-Cは、熱交換器(215)を示すために、穿孔を取り除いた内壁の図を示している。
【0023】
前記背面パネル(203)は、少なくとも1つのヒンジ(219)備えて前記背面パネル(203)を覆う少なくとも1つの第2層(217)を更に備え、前記第2層(217)は、前記サーバラック(102)から環境への前記背面パネル(203)を通した空気の分散を許容する複数の穿孔(217a)を備える。背面パネル(203)および第2層(217)は、サーバラック(102)の背面部分からの空気が、前記背面パネル(203)の内壁(207)を通って、熱交換器(215)へ、排気ファン(205)へ、そして最終的に第2層(217)へと流れてから環境に流れるように、配置されている。
図3は、背面パネル(203)から第2層(217)が開かれた様子を示している。第2層(217)の穿孔(217a)は、前記サーバラック(102)からの空気の流出を許容できる限り、任意の適切な形状、サイズおよび量とされる。好ましくは、穿孔(205)は、前記第2層(217)上に十分に分布しており、穿孔された第2層(217)が、ファン周囲およびファン間領域、または円形のファンブレードの外側の(
図3において文字Xで画定されているような)「オフブレード領域」を遮蔽しないように、背面パネル(203)を覆うことにより、
図2に示すように、排気ファン(205)、凹部(211a)、および熱交換器(215)が視認可能となる。第2層(217)は、サーバラック(102)全体の空気流量を最大化し、気流の勢いを維持するように設計されており、それによって、ファン周囲およびファン間領域、または円形のファンブレードの外側の(
図3において文字Xで画定されているような)「オフブレード領域」に気流があり、気流は妨げられることなく穿孔された第2層(217)を通って環境に流れることが許容される。よって、穿孔された第2層(217)は、これらの「オフブレード領域」(X)における気流の自由な通過を許容する排気口または通気口として作用する。背面パネル(203)の第2層(217)はまた、監視およびセキュリティ目的にも使用され、これによって作業員は排気ファン(205)の状態を視認可能であって、作業員の安全を確保でき、また、排気ファン(205)を損傷から保護することもできる。また、背面パネルは、場合によっては第2層(217)を備えず、前記第2層(217)の穿孔(217a)が前記背面パネル(203)に統合または組み合わされることにより、穿孔された第2層(217)を有する場合と同じ気流効果を達成しながら、ファン周囲およびファン間領域、または円形のファンブレードの外側の(図において文字Xで画定されているような)「オフブレード領域」を覆ってもよいことが想定される。
【0024】
これは、
図1-Aに適用されているような従来の熱除去システム(101)が直面する重大な問題、つまり気流管理システムがないために気流環境が妨げられる、という問題を解決するであろう。これはまた、
図1-Bに適用されているような従来の熱除去システム(101)が直面する重大な問題、つまり密閉されるか覆われた背面パネル(103)によって気流環境が妨げられる、という問題も解決するであろう。密閉パネル(103)は、ファン周囲およびファン間領域、または円形のファンブレードの外側の「オフブレード領域」を遮蔽し、気流の勢いを鈍らせて気流全体がファン(105)のみを通過しなければならないようにしている。「オフブレード領域」(X)を遮蔽するパネル(103)は、気流が再循環する可能性を排除するのに有用であり得るが、上述したように、そのようなシステム(101)では気流全体がファンブレード領域を通過しなければならないので、強力で大容量のファンを必要とする。それでも、調査の結果、依然として気流は妨げられることが示されている。
【0025】
図1-Bに適用されている熱除去システム(101)を備えたサーバラック(102)と、本発明の熱除去システム(201)を備えたサーバラック(102)と、の気流の量を決定し比較する目的で、調査を行った。この調査を
図5-Aから
図5-Cに示すが、ここで、
図5-Aは、熱除去モジュールを備えないサーバシステムを示し、
図5-Bは、
図1-Bに適用されているような従来の熱除去システム(101)を備えたサーバシステムを示し、
図5-Cは、本発明の熱除去システム(201)を備えたサーバシステムを示している。ファンの力率(p)を1.00とすると、
図1-Bに適用されているような従来の熱除去システム(101)を備えたサーバシステムは、3000m
3/hの速度分布を示したが、これは熱除去モジュールを備えないサーバシステムの均一な速度3452m
3/hと比較して13.1%減少していることが観察される。一方、本発明は3170m
3/hの速度分布を示し、これは熱除去モジュールを備えないサーバシステムの均一な速度3452m
3/hと比較して僅か8.2%の減少に過ぎない。本発明は、従来の熱除去システム(101)よりも約5%多い気流を与えると更に推測できる。更に、本発明では気流の再循環は観察されない。更に、調査全体を通して消費電力も監視したが、それによれば、本発明の消費電力は、
図1-Bに適用されているような排気ファン(105)を備えた従来の熱除去システム(101)と比較して、約50%削減される。
【0026】
図6-Aおよび
図6-Bは、本発明の別の実施形態をそれぞれ上面図および等角図で示しており、ここで、前記背面パネル(203)は、サーバラック(102)から排気ファン(205)に向かって気流を案内するか方向付ける複数の空気案内手段(227)を更に備えてもよい。前記複数の空気案内手段(227)は、背面パネル(203)の内壁(207)に、略鉛直、略水平、もしくは斜め等、またはそれらの任意の組み合わせで、一定間隔もしくは不規則間隔で、角度付けして、固定されるか吊り下げられるか取り付けられる。前記複数の空気案内手段(227)は、通気口、ルーバ、カーテン、ブラインド、仕切り、フィン、翼、もしくはスラット、またはそれらの任意の組み合わせ、或いは、システム(201)に適合すると判断された任意の空気案内手段(227)を含むが、これらに限定されない。複数の空気案内手段(227)は調整可能であって、前記背面パネル(203)の内壁(207)に対する案内角度を提供するために、手動または自動で旋回可能であることが企図される。前記複数の空気案内手段(227)の各空気案内手段(227)は、前記背面パネル(203)に対して異なる案内角度を有していてもよい。案内角度は、前記サーバラック(102)を基準とする前記背面パネル(203)の角度に可変比例し、前記サーバラック(102)からの気流が前記排気ファン(205)に向かって流れることを許容する。背面パネル(203)を開いているとき、空気案内手段(227)の1つが一の案内角度で突出し、他の空気案内手段(227)が他の案内角度または同じ案内角度で突出してもよい。これには、排気ファン(205)の1つが故障したときに、複数の空気案内手段(227)の案内角度を手動または自動で調整して、良好な状態にある排気ファン(205)に向かって気流を案内または方向付けできる、という利点がある。
【0027】
空気案内手段(227)は、モータまたはギア(図示せず)に連結または制御され、次いで、モータまたはギアはコントローラ(図示せず)によって調整されることを理解されたい。モータまたはギアは、各空気案内手段(227)に専用であってもよい。或いは、複数の空気案内手段(227)が単一のモータまたはギアによって制御されてもよい。
【0028】
システム(201)は、前記システム(201)をサーバラック(102)に対して開閉可能にするために、少なくとも1つのヒンジ機構(223)を介して任意のサーバラック(102)に接続可能であることを理解されたい。
【0029】
本発明を通じて得られる結果および従来技術に対する利点を説明すると考えられる好適な実施形態を本明細書に示して本発明を説明したが、本発明はそれらの具体的な実施形態に限定されるものではない。従って、本明細書に示され説明された本発明の形態は例示に過ぎないと見なされるべきであり、本明細書に添付の特許請求の範囲に記載される通りの本発明の範囲から逸脱することなく、他の実施形態が選択され得る。本発明の範囲は、多数の代替物、改変物、および均等物を包含する。当然、特定の設備および環境に合わせて異なる設計の生物学的結果を提供するように、本発明を構成し実施する多くの代替方法がある。
【国際調査報告】