(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-24
(54)【発明の名称】ドアシール
(51)【国際特許分類】
F16J 15/10 20060101AFI20240517BHJP
【FI】
F16J15/10 T
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023571963
(86)(22)【出願日】2022-05-20
(85)【翻訳文提出日】2024-01-19
(86)【国際出願番号】 CA2022050812
(87)【国際公開番号】W WO2022241572
(87)【国際公開日】2022-11-24
(32)【優先日】2021-05-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】507166759
【氏名又は名称】サイキャン・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】SciCan Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】110002310
【氏名又は名称】弁理士法人あい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ガル,ステリアン ガブリエル
(72)【発明者】
【氏名】バーラジ,ブピンダー
(72)【発明者】
【氏名】ネアゴエ,ガブリエル
(72)【発明者】
【氏名】スチュアート,クリストファー ジェイ.エイチ.
【テーマコード(参考)】
3J040
【Fターム(参考)】
3J040AA18
3J040EA16
3J040EA22
3J040FA05
3J040HA22
(57)【要約】
隣接する第1の部材と第2の部材との間の界面を封止するためのシールであって、本体と、本体から外方に延びているチャネルローブであり、第1の部材のチャネルに入れ子となるように成形された、チャネルローブと、第2の部材に対向する本体の側から外方に延びている一次封止ローブであり、第2の部材の内面に延入して接触している、一次封止ローブと、本体から界面の外部に向かって下方に延びている二次封止ローブであり、その遠位端の第1の面が第1の部材の前面に接触し、その遠位端の第2の面が第2の部材の前面に接触している、二次封止ローブと、を備える、シールが提供される。開示のシールは、気密封止を維持するとともに、ドアを閉める際の抵抗力を最小限に抑える。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
隣接する第1の部材と第2の部材との間の界面を封止するためのシールであって、
本体と、
前記本体から外方に延びているチャネルローブであり、前記第1の部材のチャネルに入れ子となるように成形された、チャネルローブと、
前記第2の部材に対向する前記本体の側から外方に延びている一次封止ローブであり、前記第2の部材の内面に延入して接触している、一次封止ローブと、
前記本体から前記界面の外部に向かって下方に延びている二次封止ローブであり、その遠位端の第1の面が前記第1の部材の前面に接触し、その前記遠位端の第2の面が前記第2の部材の前面に接触している、二次封止ローブと、
を備える、シール。
【請求項2】
前記本体が、少なくとも部分的に分岐して、前記チャネルローブの一部と前記二次封止ローブの一部との間にスリットを形成していることを特徴とする、請求項1に記載のシール。
【請求項3】
前記第1の部材および前記第2の部材が非隣接状態である場合に、前記二次封止ローブが、前記一次封止ローブに向かって付勢されることを特徴とする、請求項2に記載のシール。
【請求項4】
前記本体から前記界面の内部に向かって外方に延びている内側ローブであり、その第1の面が前記第1の部材の前記前面に接触している、内側ローブをさらに備えることを特徴とする、請求項1に記載のシール。
【請求項5】
前記一次封止ローブと前記内側ローブとの間の遷移点において、前記本体に窪みが存在することを特徴とする、請求項4に記載のシール。
【請求項6】
前記第1の部材および前記第2の部材が隣接状態である場合に、前記窪みが、前記内側ローブ側への前記一次封止ローブの撓みを許可することを特徴とする、請求項5に記載のシール。
【請求項7】
前記チャネルローブ、前記一次封止ローブ、前記二次封止ローブ、または前記内側ローブのうちの1つまたは複数の表面にリブおよび/または突起が存在することを特徴とする、請求項1に記載のシール。
【請求項8】
エラストマー材料で構成されていることを特徴とする、請求項1に記載のシール。
【請求項9】
前記第1の部材と前記第2の部材との間の前記界面の周囲を封止するように連続していることを特徴とする、請求項1に記載のシール。
【請求項10】
環形状、実質的な長方形状、または実質的な正方形状を有することを特徴とする、請求項1に記載のシール。
【請求項11】
前記一次封止ローブが、円錐状断面を有することを特徴とする、請求項1に記載のシール。
【請求項12】
隣接する第1の部材と第2の部材との間の界面を封止するためのシールであって、
本体と、
前記本体から外方に延びているチャネルローブであり、前記第1の部材のチャネルに入れ子となるように成形された、チャネルローブと、
前記第2の部材に対向する前記本体の側から外方に延びている一次封止ローブであり、前記第2の部材の内面に延入して接触している、一次封止ローブと、
前記本体から前記界面の外部に向かって下方に延びている二次封止ローブであり、その遠位端の第1の面が前記第1の部材の前面に接触し、その前記遠位端の第2の面が前記第2の部材の前面に接触している、二次封止ローブと、
前記本体から前記界面の内部に向かって外方に延びている内側ローブであり、その第1の面が前記第1の部材の前記前面に接触している、内側ローブと、
を備え、
前記本体が、少なくとも部分的に分岐して、前記チャネルローブの一部と前記二次封止ローブの一部との間にスリットを形成しており、
前記一次封止ローブと前記内側ローブとの間の遷移点において、前記本体に窪みが存在する、シール。
【請求項13】
ドアと加圧チャンバとの間の界面において請求項1に記載のシールを備えるオートクレーブ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧力容器のドアとその加圧チャンバとの間等、2つの物体間の界面において用いられるシールに関する。また、本発明は、このシールを含む圧力容器に関する。
【背景技術】
【0002】
蒸気を使用して医療用および歯科用器具および機器を滅菌するため、オートクレーブが使用される。通常、オートクレーブは、すべての病原菌を破壊して無菌状態を実現するのに必要な高温高圧を実現するためのチャンバ、アクセスドア、およびシールから成る。このため、オートクレーブのチャンバは、滅菌サイクル中の圧力に耐えられる気密封止可能な圧力容器である必要がある。
【0003】
卓上型オートクレーブの手動ドア閉鎖のドア閉め力は、相当高いことが多い。オートクレーブドアシールの封止機能は通常、運転中にオートクレーブチャンバでの気密圧力または真空封止を維持するのに十分な圧縮が必要である。このドア閉め力は、機械的な方法による克服が可能、またはドアシールの形状における特定の特徴の修正による解決が可能である。
【0004】
国際的な衛生ガイドラインは、消毒を必要とするさまざまな器具の完全な滅菌を得るためのある特定のサイクルプロファイルを規定している。これらのプロファイルには、真空による空気の排出および飽和蒸気の導入を伴う加熱・加圧段階の両者を含む調節段階を含むことが多い。機器を適切に洗浄および滅菌するために真空および圧力の両プロファイルを有するオートクレーブは、クラスBおよびクラスS型の蒸気滅菌器として指定される。
【0005】
通常の滅菌サイクルプロファイルは、3~5.5分にわたり温度134℃および228kPaで実行される。クラスBおよびクラスS型のオートクレーブは、滅菌サイクルプロファイルにおいて、空気除去および蒸気注入を繰り返す。このオートクレーブチャンバの正負の加圧によって、気密閉鎖を維持するためのチャンバシールがさらに制約を受ける。
【0006】
当技術分野においては、たとえば特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4、特許文献5、特許文献6、特許文献7、特許文献8、特許文献9、および特許文献10等、多くのシールが評されている。
【0007】
当業界においては、加圧時および真空時に気密封止を維持し、ドアを閉める際の抵抗力を最小限に抑えるシールの生成が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第10,436,326号明細書
【特許文献2】米国特許第7,578,407号明細書
【特許文献3】米国特許第3,334,774号明細書
【特許文献4】米国特許第5,611,452号明細書
【特許文献5】米国特許第7,413,099号明細書
【特許文献6】米国特許第10,359,115号明細書
【特許文献7】米国特許出願公開第2009/0261533号明細書
【特許文献8】米国特許第7,665,624号明細書
【特許文献9】英国特許第2282422号明細書
【特許文献10】英国特許第919432号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の一態様によれば、隣接する第1の部材と第2の部材との間の界面を封止するためのシールであって、本体と、本体から外方に延びているチャネルローブであり、第1の部材のチャネルに入れ子となるように成形された、チャネルローブと、第2の部材に対向する本体の側から外方に延びている一次封止ローブであり、第2の部材の内面に延入して接触している、一次封止ローブと、本体から界面の外部に向かって下方に延びている二次封止ローブであり、その遠位端の第1の面が第1の部材の前面に接触し、その遠位端の第2の面が第2の部材の前面に接触している、二次封止ローブと、を備える、シールが提供される。
【課題を解決するための手段】
【0010】
一実施形態において、本体は、少なくとも部分的に分岐して、チャネルローブの一部と二次封止ローブの一部との間にスリットを形成している。
【0011】
別の実施形態において、第1の部材および第2の部材が非隣接状態である場合、二次封止ローブは、一次封止ローブに向かって付勢される。
【0012】
さらに別の実施形態において、このシールは、本体から界面の内部に向かって外方に延びている内側ローブであり、その第1の面が第1の部材の前面に接触している、内側ローブをさらに備える。別の実施形態においては、一次封止ローブと内側ローブとの間の遷移点において、本体に窪みが存在する。
【0013】
一実施形態において、第1の部材および第2の部材が隣接状態である場合に、窪みは、内側ローブ側への一次封止ローブの撓みを許可する。
【0014】
別の実施形態においては、チャネルローブ、一次封止ローブ、二次封止ローブ、または内側ローブのうちの1つまたは複数の表面にリブおよび/または突起が存在する。
【0015】
別の実施形態において、このシールは、エラストマー材料で構成されている。一実施形態において、このシールは、第1の部材と第2の部材との間の界面の周囲を封止するように連続している。このシールは、環形状、実質的な長方形状、または実質的な正方形状を有していてもよい。一次封止ローブは、円錐状断面を有していてもよい。
【0016】
別の態様によれば、隣接する第1の部材と第2の部材との間の界面を封止するためのシールであって、本体と、本体から外方に延びているチャネルローブであり、第1の部材のチャネルに入れ子となるように成形された、チャネルローブと、第2の部材に対向する本体の側から外方に延びている一次封止ローブであり、第2の部材の内面に延入して接触している、一次封止ローブと、本体から界面の外部に向かって下方に延びている二次封止ローブであり、その遠位端の第1の面が第1の部材の前面に接触し、その遠位端の第2の面が第2の部材の前面に接触している、二次封止ローブと、本体から界面の内部に向かって外方に延びている内側ローブであり、その第1の面が第1の部材の前面に接触している、内側ローブと、を備え、本体が、少なくとも部分的に分岐して、チャネルローブの一部と二次封止ローブの一部との間にスリットを形成しており、一次封止ローブと内側ローブとの間の遷移点において、本体に窪みが存在する、シールが提供される。
【0017】
別の態様によれば、ドアと加圧チャンバとの間の界面において本明細書に規定のようなシールを備えるオートクレーブが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
以下、一例として、本願の例示的な実施形態を示す添付の図面を参照する。
【
図1A】
図1Aは、外カバーが取り外されており、ドアが開放位置にある例示的なオートクレーブの図である。
【
図1B】
図1Bは、ドアが閉鎖位置にある
図1Aに示すオートクレーブの例示的な圧力容器の図である。
【
図2A】
図2Aは、本発明の一実施形態に係る、シールの前面図である。
【
図3A】
図3Aは、本発明の一実施形態に係る、シールの断面図である。
【
図3B】
図3Bは、本発明の別の実施形態に係る、シールの断面図であり、
図2BのAの拡大図でもある。
【
図3C】
図3Cは、本発明の別の実施形態に係る、シールの断面図である。
【
図4】
図4は、
図3Cに示すシールが閉じたドアとチャンバとの間の界面を封止している圧力容器の断面図である。
【
図5】
図5は、
図4に示すドアとチャンバとの間の下側界面の部分拡大図である。
【
図6】
図6は、ドアが開放位置にある
図5に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本明細書においては、例示的な実施形態を参照して、本開示の特徴および便益を図示および説明するが、本発明、その適用、または使用を何ら制限する意図はない。この例示的な実施形態の説明は、本明細書全体の一部と考えられる添付の図面との関連で読むことを意図している。したがって、本開示を明示的にこのような実施形態に限定すべきではなく、本明細書に記載の各実施形態の特徴を互いに組み合わせることにより、他の実施形態を構成することができる。
【0020】
本明細書に開示の実施形態の説明においては、方向または配向に関するいかなる言及も、説明の便宜を意図しているに過ぎず、本発明の範囲を何ら制限する意図はない。「水平」、「垂直」、「前方」、「後方」、「下方」、「外方」、「上」、「下」、「端」、これらの派生語(たとえば、「水平に」、「下方に」、「外方に」等)といった相対語、または方向もしくは配向と関連するその他任意の用語は、その時点で記載の配向または議論中の図面に示される配向を表すように解釈されるものとする。これらの相対語は、説明の便宜を目的としているに過ぎず、本発明の特定の配向での構成も動作も求めていない。
【0021】
本発明は、一般的にはマルチローブシールに関する。本発明のシールは、オートクレーブ等の圧力容器を参照して説明するが、2つの構造間のシールが望ましいいかなる事例においても使用可能であることが了解される。たとえば、本発明のシールは、キャップとコンテナとの間の界面で使用することも可能である。
【0022】
器具の滅菌用のオートクレーブに用いられる通常の圧力容器2を
図1Aおよび
図1Bに示す。この例示的な容器2には、とりわけ、加熱および加圧が行われるチャンバ4と、滅菌対象の物品を支持するトレイ6と、が存在する。トレイ6の外側端にはドア8がある。使用時に、トレイ6がチャンバ4中へ摺動すると、ドア8の内側がチャンバ4の前面と嵌合して、ドア/チャンバ界面10を構成する。圧力容器2の運用時に生じる力に耐えるため、界面10には、実質的に機密のシールが存在している必要がある。これは通常、界面10においてシールまたはガスケット12を含むことにより達成される。
【0023】
一実施形態に係るシールを
図2Aおよび
図2Bに示す。これらの図においては、
図1Aおよび
図1Bに示す例示的な圧力容器2のドア8と嵌合する実質的な長方形状にてシール12を示している。ただし、当然のことながら、シール12は、封止対象の2つの構造間の界面への適合に必要ないかなる形状も可能である。たとえば、ドアが正方形状であるなら、シール12も実質的に正方形となる。シール12は、円形状キャップとコンテナとの間の界面において使用される場合、実質的な円形状を有することになる。
【0024】
図2Aおよび
図2Bに示す実施形態において、シール12は、シール12が圧力容器2のドア8に設置された場合に実質的に垂直な2つの対向する短辺14と、シール12が圧力容器2のドア8に設置された場合に実質的に水平な2つの対向する長辺16と、を有する。短辺14を長辺16と接続するのが角部18である。角部18は、実質的に直角であってもよいが、図示の実施形態において角部18は丸みを帯びている。
【0025】
シール12は、ドア8とチャンバ4との間に圧力保持境界を生成するのに十分柔らかいエラストマー材料により構成されているのが好ましい。シール12の真空封止能力は、チャンバ面48に対して圧縮して気密真空封止を構成する材料の弾性に依拠する。シール12の材料は、引き伸ばされた場合の破断に対する良好な耐性、ある程度の耐熱性、弾性特性、ある程度の耐引裂性、ある程度の耐摩耗性等を有するものとするのが好ましい。たとえば、材料としては、天然ゴムならびに合成ゴム(飽和ゴムおよび不飽和ゴムを含む)が可能である。いくつかの例としては、ニトリルゴム、スチレンブタジエンゴム、フッ素ゴム、シリコーン、ネオプレン等が挙げられる。
【0026】
図3A~
図3Cは、シール12の3つの異なる実施形態の長手方向断面図である。参考として、これらの図に示すシール12は、
図2Aおよび2Bに示すシールの下側の長辺16での断面である。
【0027】
図3Aにおいて、シール12は、本体20を有する。本体20からは、上面24および下面26を有する一次封止ローブ22が外方に延びている。圧力容器2のドアが閉じられた場合、このローブ22は、チャンバ4に延入して、チャンバ導入部28(たとえば、
図4~
図6参照)に隣接する。したがって、一次封止ローブ22の形状(本体20に対する一次封止ローブ22の下面26の角度αを含む)は、シール12の使用および嵌合構造の形状に基づいて変えることができる。角度αを含む形状は、一次封止ローブ22が隣接する構造を反映するのが好ましい。たとえば、本願に提示の例示的な使用において、一次封止ローブは略円錐状の断面を有し、チャンバ口導入部28と嵌合する当該一次封止ローブ22の下面において角度αを成す。あるいは、角度αは、チャンバ導入部28の傾斜角未満であってもよく、一次封止ローブ22をチャンバ導入部28に向かって付勢することになる。チャンバ口導入部28との一次封止ローブ22の嵌合形状によって、ドア8の閉鎖が容易化され、ドアを閉じるのに必要な手動の力が抑えられ、一般的にはより強力なシールが生成される。
【0028】
一次封止ローブ22から本体20の反対側には、ドアチャネルローブ30が外方に延びている。このローブ30は、シール12の長さに沿って延びているのが好ましく、ドア8の内面34の外周のチャネル32に全体が挿入される(たとえば、
図4~
図6参照)。略長方形の断面を有するものとしてこのローブ30を示しているが、このローブ30の形状は、ドアチャネルローブ30が挿入されるチャネル32の形状を反映するように変えることができる。ドアチャネルローブ30は、圧入によってチャネル32中に固定されるのが好ましいため、チャネル32の形状および寸法をそのまま反映するものとする。
【0029】
任意選択として、ドアチャネルローブ30の上部38、下部40、および/または端部42には、リブおよび/または突起36が存在していてもよい。リブ36は、ドアチャネルローブ24の長さに沿って延び、直線状であってもよいし、ジグザグまたは波形パターン等、他のパターンで延びていてもよい。突起36は、ドアチャネルローブ30の長さに沿ってランダムに配置されていてもよいし、連続的に配置されていてもよい。突起36は、いかなる形状(たとえば、円形、長円形、正方形等)も可能である。リブおよび/または突起36は、ドアチャネルローブ30の表面積を増やすことにより、チャネル32におけるドアチャネルローブ30の圧入を増強する摩擦を大きくするのに役立つ。
【0030】
本体20から下方には、二次封止ローブ44が延びている。圧力容器2のドア8が閉鎖位置にある場合(
図4および
図5参照)は、二次封止ローブ44の外面46がチャンバ4の前面48に対して隣接する。二次封止ローブ44の長さは、チャンバ4の前面48の全体または一部のみに係合するのに十分な距離だけ本体20から延びるように変えることができる。
図3Aに見られるように、二次封止ローブ44の外面46は、リブおよび/または突起36を有していてもよい。外面46上のリブおよび/または突起36の性質は、上述の通りである。二次封止ローブ44の外面上のリブおよび/または突起36は、表面積を増やすことにより、ドア8とチャンバ4との間の封止を増強するのに役立つ。
【0031】
任意選択として、本体20からは、付加的な内側ローブ50が上方に延びている。図中、このローブ50は、三角形状を有するものとして示しているが、他の形状が用いられるようになっていてもよい。外面52は、ドア8の内面34に隣接するため、実質的に平坦であるのが好ましい(
図4~
図6参照)。内側ローブ50は、ドア8とチャンバ4との間の圧力封止の形成を促進する。
【0032】
図3Bは、
図3Aに示す実施形態と類似の一組の特徴を有するシール12の別の実施形態を示している。同様の特徴については、同じ参照記号で示している。本実施形態は、
図2Aおよび
図2Bに示すシール12の断面Aを反映している。
【0033】
本実施形態においては、シール12の本体20が下端で分岐しており、二次封止ローブ44の少なくとも一部とドアチャネルローブ20との間にスリットが生じている(たとえば、
図3Bおよび
図3C参照)。本実施形態においては、二次封止ローブ44の少なくとも一部がドアチャネルローブ30から分離されている。本実施形態において、分離された二次封止ローブ44は、当該二次封止ローブ44のヒンジとして効果的に機能する接続点56を介して本体20に接続されている。シール12を構成する材料の弾性的性質および接続点56の相対的な細さに基づいて、二次封止ローブ44は、シール12のその他の部分に対して、接続点56を中心として前方および後方に撓むことができる。
図3Bおよび
図3Cに示すように、二次封止ローブ44は、一次封止ローブ22に向かって外方に付勢可能である。このように追加された可動性により、圧力容器2の真空段階においては、二次封止ローブ44をチャンバ4の前面48に引き込むことができる。また、この二次封止ローブ44の撓みによって、シール12を圧縮するのに必要な力が抑えられ、ドア8を閉めるのに必要な力も抑えられる。
【0034】
また、
図3Bに示す実施形態においては、リブおよび/または突起36を有するものとして一次封止ローブ22の下面26を示している。
図3Aには示していないが、
図3Aに示すシール12の実施形態も同様に、一次封止ローブ22の下面26にリブおよび/または突起36を具備していてもよいことが了解されるものとする。リブおよび/または突起36は、上述の通りであり、チャンバ導入部28との下面26の係合を増強する付加的な摩擦を生成するとともに、ドア8とチャンバ4との間の封止の形成を大略促進するのに役立つ。
【0035】
図3Cは、
図3Bに示す実施形態と類似の一組の特徴を有するシール12の別の実施形態を示している。この場合も、同様の特徴については、同じ参照記号で示している。
【0036】
本実施形態においては、一次封止ローブ22と内側ローブ50との間の遷移点における本体20のシール材料の一部が除去され、窪み58が形成されているが、これは、シール12の長さの一部または全部に沿って延びていてもよい。窪み58は、シール12の角部18にはなくてもよい。窪み58は、一次封止ローブ22のある程度の上方撓みを可能とするものであり、これは、圧力容器2のドア8が閉じられ、一次封止ローブ22がチャンバ導入部28と接触する場合に有益となる(
図4および
図5参照)。たとえば、ドア8が閉じられ、一次封止ローブがチャンバ4に挿入されると、一次封止ローブ22の下面26がチャンバ導入部28に沿う。角度αは、一次封止ローブ22がチャンバ導入部28の傾斜角を大略反映するようになっているが、一次封止ローブ22は、上方に撓むことが必要となる場合もある。窪み58は、一次封止ローブ22の上方撓みを容易化する。窪み58は、一次封止ローブ22の撓みを可能にすることによって、一次封止ローブ22の封止能力を増強し、ドア閉鎖力を抑えるとともに、シール12の寿命を延ばすことができる。
【0037】
図2Aおよび
図2Bに示すような形状を有するシール12の一実施形態において、このようなシールが圧力容器2に関連して使用される場合、当該シール12は、角部18のうちの少なくとも1つにおいて、長辺16および/または短辺14とは異なる断面を有していてもよい。シール12およびチャンバ4の形状により、チャンバ4の加圧時に発生するシール12の撓み量は一般的に、角部18に沿ってよりも長辺16および短辺14に沿って大きくなる。したがって、シール12は、角部18に対して、長辺16および/または短辺14の寸法(厚さ等)を大きくすることができる。こうすることがこれらの部分を強化する材料の追加となるからである。あるいは、シール12の長辺16および/または短辺14を角部18と異なるより硬い材料で構成することも可能である。
【0038】
図4~
図6は、
図3Cに示すようなシール12を圧力容器2で使用する実施形態を示している。
図4および
図5においては、圧力容器2の前部の長手方向断面を示しており、ドア8が閉鎖位置にある。シール12は、ドアチャネルローブ30をドアチャネル32に挿入することによって、ドア8に取り付けられている。これにより、内側ローブの内面52がドア8の内面34に対して実質的に同一平面となる。
【0039】
ドアが閉じられる際には、一次封止ローブ22の下面26がチャンバ導入面28に接触し、これに沿って進むため、一次封止ローブ22が上方に撓んで密着を保証する。ただし、シール12の材料の弾性によって、一次封止ローブ22は、チャンバ導入面28に向かって下方に押される。また、二次封止ローブ44の外面46がチャンバ4の前面48に接触するため、二次封止ローブ44がドア8の内面34に向かって後方に撓む。完全に閉じた位置(
図4および
図5参照)では、二次封止ローブ44が圧縮され、ドア8の内面34とチャンバ4の前面48との間に挟み込まれる。総じて、シール12が圧力容器2のチャンバ4とドア8との間の界面10の隙間を埋めている。
【0040】
図6は、圧力容器2の滅菌サイクル後等にドア8が開かれると、シール12が本来の形状に戻ることを示している。
【国際調査報告】