(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-24
(54)【発明の名称】フィルム異物高速自動検出装置
(51)【国際特許分類】
G01N 21/892 20060101AFI20240517BHJP
【FI】
G01N21/892 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023572037
(86)(22)【出願日】2022-04-07
(85)【翻訳文提出日】2023-12-14
(86)【国際出願番号】 KR2022005045
(87)【国際公開番号】W WO2022255623
(87)【国際公開日】2022-12-08
(31)【優先権主張番号】10-2021-0071249
(32)【優先日】2021-06-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521200509
【氏名又は名称】キム,ジン ホ
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】キム,ジン ホ
【テーマコード(参考)】
2G051
【Fターム(参考)】
2G051AA41
2G051AB06
2G051BA01
2G051CB01
2G051CB05
2G051CD03
2G051EB01
(57)【要約】
本発明は、試料が載置される載物台、前記載物台の上側側面に複数個が配置されて低倍率光学モジュールの作動時に試料に向けて側光を照射する側光ユニット、前記載物台の上側に設置され、前記側光ユニットから照射された側光による異物の光散乱を利用して試料から異物を検出することができるように試料を撮像して低倍率イメージを生成する低倍率光学モジュール、前記載物台の一側に設置され、高倍率駆動ユニットが連結設置されてx軸、y軸及びz軸方向に駆動され、試料を撮像して高倍率イメージを生成する高倍率光学モジュール、及び前記低倍率光学モジュールと高倍率光学モジュールの作動を制御し、前記低倍率イメージと前記高倍率イメージが受信されて保存、再生及び分析される使用者機器を含む。
【選択図】
図4a
【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料が載置される載物台、前記載物台の上側側面に複数個が配置されて低倍率光学モジュールの作動時に試料に向けて側光を照射する側光ユニット、前記載物台の上側に設置され、前記側光ユニットから照射された側光による異物の光散乱を利用して試料から異物を検出することができるように試料を撮像して低倍率イメージを生成する低倍率光学モジュール、前記載物台の一側に設置され、高倍率駆動ユニットが連結設置されてx軸、y軸及びz軸方向に駆動され、試料を撮像して高倍率イメージを生成する高倍率光学モジュール、及び前記低倍率光学モジュールと高倍率光学モジュールの作動を制御し、前記低倍率イメージと前記高倍率イメージが受信されて保存、再生及び分析される使用者機器を含み、
前記使用者機器は、前記低倍率イメージから異物が検出された異物座標領域を導出し、前記高倍率光学モジュールを前記異物座標領域と隣接した異物のない隣接座標領域に移動するように制御して、前記高倍率光学モジュールが前記隣接座標領域で一定の数値分ずつz軸方向に移動しながら高倍率イメージを連続的に撮像するようにし、撮像された高倍率イメージから抽出された光学的特性値を試料上端面基準値の範囲と比較して、光学的特性値が前記試料上端面基準値の範囲に該当する時の前記高倍率光学モジュールの高さを基準面として決定した後、前記高倍率光学モジュールが基準面に沿って前記隣接座標領域から前記異物座標領域に水平移動するようにした後、前記高倍率光学モジュールが前記異物座標領域で基準面から一定の数値分ずつz軸方向に下降しながら高倍率イメージを連続的に撮像するようにし、撮像された高倍率イメージから抽出された光学的特性値を異物基準値の範囲と比較して、光学的特性値が前記異物基準値の範囲に該当する時の前記高倍率光学モジュールが前記基準面から下降した距離を異物存在深さと判断することを特徴とするフィルム異物高速自動検出装置。
【請求項2】
前記側光ユニットは、試料に対する光照射角度が5~45度であることを特徴とする、請求項1に記載のフィルム異物高速自動検出装置。
【請求項3】
前記低倍率光学モジュールは、低倍率駆動ユニットが連結設置されて上下方向に駆動制御され、前記高倍率光学モジュールは下部に試料に向けて直光を照射する直光ユニットが設置されたことを特徴とする、請求項1に記載のフィルム異物高速自動検出装置。
【請求項4】
前記使用者機器は、予め試料の上端面を前記高倍率光学モジュールが撮像した高倍率イメージから抽出された光学的特性値に対する試料上端面基準値の範囲と、予め試料に異物を含ませた後に前記高倍率光学モジュールが異物存在領域を撮像した高倍率イメージから抽出された光学的特性値に対する異物基準値の範囲が保存される基準値保存部、
前記低倍率光学モジュールが試料を撮像した低倍率イメージから、側光ユニットから照射された側光による異物の光散乱を利用して異物を検出する異物検出部、
低倍率イメージから異物が検出された異物座標領域を導出し、高倍率光学モジュールの撮像領域を異物座標領域とマッチングさせ、異物座標領域と隣接した異物のない隣接座標領域を決定する座標決定部、
前記低倍率光学モジュールと前記高倍率光学モジュールがイメージを撮像するように制御し、高倍率駆動ユニットに制御信号を転送して高倍率光学モジュールを異物座標領域または異物座標領域と隣接した異物のない隣接座標領域に移動するようにx軸、y軸方向に制御し、前記隣接座標領域で前記高倍率駆動ユニットを制御して前記高倍率光学モジュールが一定の数値分ずつz軸方向に移動しながら高倍率イメージを連続的に撮像するようにし、基準面が決定されたら前記高倍率駆動ユニットを制御して高倍率光学モジュールが基準面に沿って隣接座標領域から異物座標領域に水平移動するようにした後、前記異物座標領域で前記高倍率駆動ユニットを制御して、高倍率光学モジュールが基準面から一定の数値分ずつz軸方向に下降しながら高倍率イメージを連続的に撮像するようにする光学モジュール制御部、
前記高倍率光学モジュールで撮像されて受信された高倍率イメージから光学的特性値を抽出する光学的特性値抽出部、
前記隣接座標領域で連続的に撮像された高倍率イメージから抽出された光学的特性値を前記試料上端面基準値の範囲と比較して、前記試料上端面基準値の範囲に含まれる光学的特性値が抽出された高倍率イメージを撮像した時の高倍率光学モジュールの位置を基準面として決定する基準面決定部、
前記異物座標領域で連続的に撮像された高倍率イメージから抽出された光学的特性値を前記異物基準値の範囲と比較して、前記異物基準値の範囲に含まれる光学的特性値が抽出された高倍率イメージを撮像した時の高倍率光学モジュールの基準面から下降した垂直距離を計算して試料内の異物存在深さを判断する異物分析部、及び
前記異物存在深さによって試料が正常品であるか不良品であるか判定する判定部を含む、請求項1に記載のフィルム異物高速自動検出装置。
【請求項5】
試料が基材層と基材層の両側面に保護層が粘着された多層フィルムである場合、使用時に除去される一方の保護層が基材層より広い面積で形成されており、側光ユニットから照射された側光によって基材層と一方の保護層の境界線が低倍率イメージで色のラインで表示され、前記低倍率イメージから色のラインで表示された境界線を切り取って関心領域として抽出する関心領域抽出部をさらに含み、前記異物検出部は前記関心領域に対して異物を検出することを特徴とする、請求項4に記載のフィルム異物高速自動検出装置。
【請求項6】
前記異物分析部は、前記異物座標領域で高倍率光学モジュールが下降しながら連続的に撮像した高倍率イメージから抽出された光学的特性値が、異物基準値の範囲に該当し始めた高倍率光学モジュールの開示位置と、異物基準値の範囲に最後に該当した高倍率光学モジュールの終了位置の間の垂直距離を演算して異物の高さを判断することを特徴とする、請求項4に記載のフィルム異物高速自動検出装置。
【請求項7】
前記異物分析部は、前記低倍率イメージで検出された異物間の距離を測定することができ、前記判定部は、検出された異物の大きさと異物間の距離の遠近を考慮して試料が正常品であるか不良品であるか判定することができることを特徴とする、請求項4に記載のフィルム異物高速自動検出装置。
【請求項8】
前記光学的特性値は、RGB値、YUV値、HSB値及びLab値から選択されたいずれか1つを使用し、前記光学的特性値をRGB値で使用する場合、下記層検出可能最大指数(LDI
max)を計算して使用することを特徴とし、
LDI
maxは、LDI
max=R
max×G
max×B
maxであり、
R
maxは、高倍率イメージ撮像領域内のピクセルのR成分値のうち最大値であり、
G
maxは、高倍率イメージ撮像領域内のピクセルのG成分値のうち最大値であり、
B
maxは、高倍率イメージ撮像領域内のピクセルのB成分値のうち最大値である、請求項1に記載のフィルム異物高速自動検出装置。
【請求項9】
前記光学的特性値は、RGB値、YUV値、HSB値及びLab値から選択されたいずれか1つを使用し、前記光学的特性値をRGB値で使用する場合、下記層検出可能最小指数(LDI
min)を計算して使用することを特徴とし、
LDI
minはLDI
min=R
min×G
min×B
minであり、
R
minは、高倍率イメージ撮像領域内のピクセルのR成分値のうち最小値であり、
G
minは、高倍率イメージ撮像領域内のピクセルのG成分値のうち最小値であり、
B
minは、高倍率イメージ撮像領域内のピクセルのB成分値のうち最小値である、請求項1に記載のフィルム異物高速自動検出装置。
【請求項10】
前記高倍率光学モジュールに連結して試料に含まれた異物の種類を判断することができる異物種類分析機をさらに含む、請求項1に記載のフィルム異物高速自動検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィルムに存在する異物を検出し、異物の形、カラー、大きさ、光学的特性値等を確認することができ、試料内の異物が存在する層と深さ、異物の高さを確認して製品の品質と使用可否を判定することができる装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ナノ水準の高度に精密な製造工程が含まれる先端産業では、わずかな環境条件さえも製品の品質に大きな影響を与え得るので、クリーンルームで要求する清浄度は強化されている傾向である。
【0003】
ディスプレイは、携帯電話、タブレットPC、モニター、家電製品、自動車用電子装置等に使用されており、OCAフィルム、偏光フィルム、ガラス等で製造され、このようなディスプレイに一定の大きさ以上の異物が存在する場合、画素不良を誘発したり画質の特性低下を誘発するようになる。
【0004】
従来の光学装置では、相互異なる倍率を有する複数の対物レンズが回転盤の回転によって選択されて、低倍率イメージと高倍率イメージをそれぞれ生成した。したがって、従来の光学装置では、低倍率対物レンズで全体イメージにおいて異物の大体の位置を把握した後、高倍率対物レンズで異物が検出された領域を再び探して精密観察を行った。従来の光学装置では、精密観察のために低倍率対物レンズを高倍率対物レンズにスイッチングしなければならず、試料の異物が検出された領域を探して、高倍率対物レンズを試料の異物が検出された領域と整列させなければならないため、時間が長く所要され、煩わしい問題があった。
【0005】
韓国公開特許第10-2020-0052157号公報(2020年5月14日公開)には、サンプルが載置される載物台と、サンプルを撮像して低倍率イメージを生成する低倍率光学モジュールと、サンプルを撮像して高倍率イメージを生成し低倍率光学モジュールの反対側に位置した高倍率光学モジュールと、高倍率光学モジュールを移動させる駆動モジュール、及び低倍率イメージと高倍率イメージが再生される使用者機器を含み、駆動モジュールの駆動によって高倍率光学モジュールの撮像領域が変更されるデジタル顕微鏡が公開されている。
【0006】
しかし、上述した従来技術は、直光を利用するため低倍率イメージで小さい大きさの異物の検出が容易でなく、検出時間が多く所要され、試料内の異物が存在する層と深さ、異物の高さ等を把握できない問題がある。すなわち、ディスプレイ製品に使用されるOCAフィルム等の多層からなる試料は、基材層と、基材層の両側面にそれぞれ粘着された保護層とからなるが、基材層に異物が含まれる場合は製品不良が発生するが、保護層は後で使用時に除去されるものであるため、保護層に異物が存在しても正常品として使用することができる。ところが上述した従来技術では、低倍率光学モジュールで異物が検出されても、高倍率光学モジュールで試料内の異物が存在する層や深さ等を確認することができないので、外面の保護層を除去した後に残りの試料を再び光学モジュールで観察して異物がどの層に存在するかを確認しなければならない。しかし、このような過程で試料が破壊されたり損傷して検査による損失が発生するため、全数検査時に検査自体が不可能なだけでなく、作業者が保護層を除去する過程で、作業者や装備から異物が付着して汚染されることがあり得、試料内の異物が存在する深さや試料自体の高さを正確に判断することができない。したがって、試料に異物が検出される場合、全量廃棄しなければならない問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】韓国公開特許第10-2020-0052157号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、低倍率光学モジュールで撮像された光散乱イメージで試料に含まれた異物を容易に検出することができ、高倍率光学モジュールを試料の異物座標領域に移動させて異物の形、カラー、大きさ、光学的特性値を確認することができ、試料を破壊したり損傷させず試料内の異物が存在する層と深さ、異物の高さを確認して製品の使用可否を迅速に判定することができ、異物分析機を連結して異物の種類も把握することができるフィルム異物高速自動検出装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、試料が載置される載物台、前記載物台の上側側面に複数個が配置されて低倍率光学モジュールの作動時に試料に向けて側光を照射する側光ユニット、前記載物台の上側に設置され、前記側光ユニットから照射された側光による異物の光散乱を利用して試料から異物を検出することができるように試料を撮像して低倍率イメージを生成する低倍率光学モジュール、前記載物台の一側に設置され、高倍率駆動ユニットが連結設置されてx軸、y軸及びz軸方向に駆動され、試料を直光で撮像して高倍率イメージを生成する高倍率光学モジュール、及び前記低倍率光学モジュールと高倍率光学モジュールの作動を制御し、前記低倍率イメージと前記高倍率イメージが受信されて保存、再生及び分析される使用者機器を含むフィルム異物高速自動検出装置を提供する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、低倍率光学モジュールで撮像された光散乱イメージで試料に含まれた異物を容易に検出することができ、高倍率光学モジュールを試料の異物座標領域に移動させて異物の形、カラー、大きさ、光学的特性値を確認することができ、試料を破壊したり損傷させず試料内の異物が存在する層と深さ、異物の高さを確認して製品の使用可否を迅速に判定することができ、異物分析機を連結して異物の種類も把握することができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図2】本発明による側光ユニットの配置構成を示した平面図である。
【
図3a】本発明による試料の関心領域を示した図である。
【
図4a】本発明による隣接座標領域で基準面決定後に高倍率光学モジュールが異物座標領域に移動する過程を示した図である。
【
図4b】高倍率光学モジュールが異物座標領域で下降しながら異物の存在深さと異物の高さを判断する過程を示した図である。
【
図5a】本発明で光を反射する性質を有する異物が含まれた試料の上端面からの深さtによる層検出可能最大指数LDI
maxの分布を概略的に示したグラフである。
【
図5b】本発明で光を吸収する性質を有する異物が含まれた試料の上端面からの深さtによる層検出可能最小指数LDI
minの分布を概略的に示したグラフである。
【
図6】本発明で試料が屈曲を有しベンディングされた状態である場合に異物ごとに基準面を決定する過程を示した図である。
【
図7a】本発明の実施例による試料の異物検出及び分析の過程を示したフローチャートである。
【
図7b】本発明の実施例による試料の異物検出及び分析の過程を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1を参考にすると、本発明のフィルム異物高速自動検出装置は、載物台100、側光ユニット200、低倍率光学モジュール300、高倍率光学モジュール400、及び使用者機器500を含み、異物種類分析機(図示なし)をさらに含むことができる。
【0013】
前記載物台100は、フィルムからなる試料10が上部に載置されることができるように載置面を提供し、側光ユニット200より下側に設けられる。このとき試料10は、透明または半透明な単層フィルムか多層フィルムであり得る。一例として、前記載物台100は、内部が空の六面体、円筒等の形状からなることができ、上部面に試料10が載置される載置溝が設けられることができ、載置溝には貫通ホールが形成されることができる。
【0014】
図2を参考にすると、前記側光ユニット200は、載物台100の上側側面に複数個が配置されて、低倍率光学モジュール300の作動時に試料10に向けて側光を照射する。前記側光ユニット200は、載物台100に載置された試料10に向けて側光を照射して、低倍率光学モジュール300が異物によって反射した光を検出して、試料に含まれた異物を検出するようにする。前記側光ユニット200は、LED、レーザー等が適用されることができる。
【0015】
前記側光ユニット200は、試料10に対する光照射角度が5度~45度であることが好ましいが、前記側光ユニット200から照射された側光が異物によって反射するとき光が広がる光散乱が発生して、低倍率光学モジュール300のイメージセンサが受け入れることができる検出大きさを増加させて検出力を増大させることができ、低倍率光学モジュール300で撮像された低倍率イメージから異物を容易かつ早く検出して確認することができ、低倍率光学モジュール300で検出可能な大きさより小さい大きさの異物や光反射がうまくなされない異物も検出することができる。
【0016】
図3a及び
図3bを参考にすると、多層からなるOCAフィルムのような試料10は、基材層11と基材層11の両面にそれぞれ粘着された上側保護層12及び下側保護層13とを含むが、下側保護層13が基材層11より広い面積で備えられている場合、異物検出が必要な基材層11が存在する関心領域(Area of interest)に対してのみ検査する必要がある。そこで、側光ユニット200を用いて試料10に向けて側光を照射し低倍率光学モジュール300で低倍率イメージを撮像すると、基材層11が下側保護層13の上に突出して形成されていて光を反射し、低倍率イメージで基材層11と下側保護層13の境界線Lが色のラインで表示されるため、使用者機器500は、前記低倍率イメージから色のラインで表示された境界線Lに沿って関心領域Rとして切り取って、関心領域Rに対してのみ異物を検出して確認することができる。
【0017】
前記低倍率光学モジュール300は、前記載物台100の上側に設置されるが高倍率光学モジュール400より高い位置に設置され、例えばフレーム(図示なし)上に支持されて設置されることができ、フレームには下側の載物台100に載置された試料10に対するイメージ撮像が可能なように穴が貫通形成されることができる。前記低倍率光学モジュール300はイメージセンサを含み、前記側光ユニット200から照射された側光による異物の光散乱を利用して試料10から異物を検出することができるように、試料10を撮像して低倍率イメージを生成する。前記低倍率光学モジュール300の光軸(optical axix)は、z軸を基準として配列される。前記低倍率光学モジュール300が作動して撮像が行われるとき、高倍率光学モジュール400は、低倍率光学モジュール300の視野外、すなわち載物台100の一側で待機する。
【0018】
前記低倍率光学モジュール300は、画角が大きく撮像領域が広域であり、試料10の全体領域に対する低倍率イメージを生成することができ、低倍率駆動ユニット310が連結設置されてz軸方向の上下方向に駆動制御されながら、載物台100に載置された試料10に合わせて撮像領域を調節することができる。前記低倍率駆動ユニット310は、モータによって作動するリードスクリュー(lead screw)、ボールスクリュー(ball screw)、リニアガイド(linear guide)、ベルト等が用いられることができる。前記低倍率光学モジュール300の撮像領域は、横200mm×縦150mmであり得る。前記低倍率光学モジュール300が撮像した低倍率イメージには、前記側光ユニット200から照射された側光が異物によって反射するときに発生する光散乱が現れているため、低倍率光学モジュール300のイメージセンサが受け入れることができる検出大きさを増加させて検出力を増大させることができ、異物を容易かつ早く検出して確認することができ、本来の低倍率光学モジュール300で検出可能な大きさより小さい大きさの異物も検出することができる。一例として、上述したように光散乱を利用すると、本来低倍率光学モジュール300が検出可能な大きさの約1/3の小さい粒子も検出することができる。試料10に複数個の異物が存在する場合、使用者機器500は、低倍率光学モジュール300から転送された低倍率イメージによって異物間の距離を計算して試料の品質を判定することができる。例えば、試料10に基準値未満の大きさを有する複数個の異物が検出されても、異物間の距離が互いに近接して集まっていれば不良品と判定されることができる。ただし、低倍率光学モジュール300で撮像された低倍率イメージで、異物が光る点として表示されるため、異物の実際の形やカラー、大きさ等を知ることができない。
【0019】
前記高倍率光学モジュール400は、前記載物台100の一側に設置され、イメージセンサが設置されて試料10を撮像して高倍率イメージを生成し、高倍率駆動ユニット410が連結設置されてx軸、y軸及びz軸の各軸方向に駆動され、例えば複数個の高倍率駆動ユニット410が設置されてx軸、y軸及びz軸の各軸方向に個別的な駆動がなされることができる。前記高倍率駆動ユニット410は、前記高倍率光学モジュール400がx軸、y軸及びz軸の各軸方向に移動できるように多様な駆動機器が利用されることができる。一例として、前記高倍率駆動ユニット410は、モータによって作動するリードスクリュー(lead screw)、ボールスクリュー(ball screw)、リニアガイド(linear guide)、ベルト等が利用されることができる。上述したx軸、y軸及びz軸は、載物台100上部の載置面の空間を基準として形成された光学モジュール座標系を構成する左右方向、前後方向、上下方向の各軸であることができる。前記高倍率駆動ユニット410が高倍率光学モジュール400をx軸またはy軸を基準として移動させる場合、高倍率光学モジュール400の高さは変化しないまま載物台100の試料載置面と並んで移動可能であり、前記高倍率駆動ユニット410が高倍率光学モジュール400をz軸基準で移動させる場合、高倍率光学モジュール400の高さが変化しながら試料に対する焦点距離が変更され得る。
【0020】
前記高倍率光学モジュール400は、下部に試料10に向けて直光を照射する直光ユニット420が設置されている。前記高倍率光学モジュール400の高倍率イメージ撮像時に直光ユニット420の直光を照射することもでき、側光、多様な角度の光を照射することもできる。前記高倍率光学モジュール400の光軸はz軸を基準として配列される。本発明で低倍率光学モジュール300と高倍率光学モジュール400の倍率比は1,000:1以上であることが好ましい。前記高倍率光学モジュール400は、高倍率駆動ユニット410によってx軸、y軸方向に移動し、低倍率イメージで異物が検出された異物座標領域に移動して撮像した高倍率イメージから、異物の形、カラー、大きさ、光学的特性値等を詳細に確認することができ、試料内の異物が存在する層と深さ、異物の高さを確認して製品の品質異常の有無を迅速に判定することができる。前記高倍率光学モジュール400は、画角が小さくて撮像領域が狭く、試料の一部に対する高倍率イメージを生成することができ、高倍率駆動ユニット410が連結設置されてz軸方向に駆動制御されながら試料との距離が調節されることができる。一例として、前記高倍率光学モジュール400の撮像領域は横2mm×縦1mmであり得る。
【0021】
前記使用者機器500は、前記低倍率光学モジュール300と高倍率光学モジュール400の作動を制御し、低倍率イメージと高倍率イメージが受信されて保存、再生及び分析され、高倍率イメージから光学的特性値を抽出してこれを比較判断するもので、ディスプレイ画面と通信モジュールが含まれたコンピュータ、ノートパソコン、スマートフォン、タブレットPC、PDA等の電子装置であり得る。前記使用者機器500は、低倍率イメージと高倍率イメージを比較分析できる専用プログラムが設置される。前記光学的特性値は、RGB値、YUV値、HSB値及びLab値から選択されたいずれか1つを使用することができる。RGB値は赤色R、緑色G、青色Bを交ぜてイメージを表現する方式であり、イメージはピクセルと呼ばれる非常に小さい四角形が複数集まって作られ、各ピクセルは赤色、緑色、青色の組み合わせで作られ、赤色、緑色、青色それぞれは、0から255まで256段階の色を数字で表すことができる。例えば、RGB(255,0,0)は赤色で表現され、RGB(255,100,0)は緑色が混ざった赤色で表現されることができる。YUV値は、輝度信号Y、輝度信号と青色成分の色差U、輝度信号と赤色成分の色差Vの3種の情報で色を表す方式であり、RGB値とYUV値は定められた公式によって相互変換されることができる。HSB値は色相H、彩度S、明度Bを表した値であり、フォトショップ(登録商標)等のプログラムで主に使用する色情報の表記方式である。色相Hは0°~360°の範囲を有し、彩度Sは特定の色の最も濃い状態を100%としたときの濃さの程度を表し彩度値0%は同じ明度の無彩色を表す。明度Bは、白色を100%、黒を0%としたときの明るさの程度を表す。Lab値は、CIE(Commission Internationale d’Eclairage)という国際標準カラー測定器具によって再確立されたカラー体系であり、同じ色であっても自分のモニターで見る色と別のモニターで見る色には微細な差異や深刻な差異を見せることがあるが、このような差異点を補完するために開発された色モデルである。一般的にL*a*b*と表記するが、L成分は明るさである明度(Luminosity)をいい、a成分は緑色と赤色の関係を意味し負の数の方へ行けば緑色、正の数の方へ行けば赤色を帯び、b成分は青色と黄色の関係を意味し負の数の方へ行けば青色、正の数の方へ行けば黄色を帯びる。
【0022】
前記光学的特性値をRGB値で使用する場合、下記の層検出可能最大指数LDImax(Layer Detectable Maximum Index)を計算して使用することができる。
【0023】
LDImax=Rmax×Gmax×Bmax
Rmax:高倍率イメージ撮像領域内のピクセルのR成分値のうち最大値
Gmax:高倍率イメージ撮像領域内のピクセルのG成分値のうち最大値
Bmax:高倍率イメージ撮像領域内のピクセルのB成分値のうち最大値
【0024】
すなわち、高倍率イメージ撮像領域内には複数個のピクセルが存在する。例えば高倍率イメージ撮像領域内の横と縦のピクセル値は500×500ピクセルであり、各ピクセルごとに光学的特性値が抽出され、この中にRmax、Gmax、Bmaxを探して乗算すればLDImaxが導出される。
【0025】
一般的に光源から試料10に向けて照射された光は、異物によって反射されるか散乱されるが、カーボンブラック等一部の異物は光を吸収する性質を有する。このような場合、高倍率光学モジュール400で撮像された試料の高倍率イメージで異物の光学的特性値が相対的に低く出るので、光学的特性値をRGBで使用する場合、下記の層検出可能最小指数LDImin(Layer Detectable Minimum Index)を計算して使用することができる。
【0026】
LDImin=Rmin×Gmin×Bmin
Rmin:高倍率イメージ撮像領域内のピクセルのR成分値のうち最小値
Gmin:高倍率イメージ撮像領域内のピクセルのG成分値のうち最小値
Bmin:高倍率イメージ撮像領域内のピクセルのB成分値のうち最小値
【0027】
すなわち、高倍率イメージ撮像領域内には複数個のピクセルが存在する。例えば高倍率イメージ撮像領域内の横と縦のピクセル値は500×500ピクセルであり、各ピクセルごとに光学的特性値が抽出され、この中にRmin、Gmin、Bminを探して乗算すればLDIminが導出される。
【0028】
このように、R成分、G成分、B成分の各最大値または各最小値を乗じて計算された、相当に大きい数か小さい数に変換されたLDImaxまたはLDIminを使用することにより、異物存在領域と異物の存在しない領域との光学的特性値に大きく差が出るようになり、異物が存在する層と深さ、異物の高さ等の検出の正確性が増加し、高倍率イメージ領域内のピクセルのうち一部にRGB値に係るエラーが発生するか、イメージセンサの一部に不良画素が発生するか、ノイズが発生したとしても、異物が存在する層と深さ、異物の高さを誤差なく把握することができる。上記でLDImax及びLDIminの導出時、RGB値のみ適用して説明したが、YUV値、HSB値及びLab値も、高倍率イメージの撮像領域内の各ピクセルごとに抽出された光学的特性値を構成する各成分値のうちで最大値や最小値を乗算して本発明に適用することができるものである。
【0029】
前記使用者機器500は、基準値保存部510、関心領域抽出部520、異物検出部530、座標決定部540、光学モジュール制御部550、光学的特性値抽出部560、基準面決定部570、異物分析部580、及び判定部590を含んでなることができる。
【0030】
前記基準値保存部510は、予め試料の上端面に対して高倍率光学モジュール400が撮像した高倍率イメージから抽出された光学的特性値に対する試料上端面基準値の範囲と、予め試料10に異物を含ませた後に前記高倍率光学モジュール400が異物存在領域を撮像した高倍率イメージから抽出された光学的特性値に対する異物基準値の範囲が保存される。より詳細には、載物台100に異物がない試料10を載置させた後、高倍率光学モジュール400を試料10の上で手動で上下方向に移動させながら試料の上端面に焦点が合った時に試料10の上端面の光学的特性値を抽出する。正確度を増加させるために、試料の上端面の複数個の地点に対して繰り返し光学的特性値を抽出する。このとき、高倍率光学モジュール400で撮像された高倍率イメージの横と縦のピクセル値は予め定められるが、例えば高倍率イメージの横と縦のピクセル値は500×500ピクセルで、各ピクセルごとに光学的特性値が抽出され、LDImaxまたはLDIminを求めて試料の上端面基準値として決定することができる。また、試料の上端面の複数個の地点に対して繰り返し行えば試料の上端面の各撮像領域に対する光学的特性値が導出されて、試料上端面基準値の範囲が決定される。例えば、試料上端面基準値の範囲は、前記LDImaxまたはLDIminの範囲で基準値保存部510に保存されることができる。
【0031】
一定の大きさを有する特定の異物を試料10に人為的に含ませた後、載物台100に異物が含まれた試料10を載置させた後、高倍率光学モジュール400を異物座標領域の上で手動で上下方向に移動させながら異物に焦点が合った時に異物の光学的特性値を抽出する。このとき、高倍率光学モジュール400で撮像された高倍率イメージの横と縦のピクセル値は予め定められるが、例えば高倍率イメージの横と縦のピクセル値は500×500ピクセルで、各ピクセルごとに光学的特性値が抽出され、LDImaxまたはLDIminを求めて異物基準値として決定することができる。また、異物を試料10内のいくつかの深さに含ませて光学的特性値を抽出する作業を繰り返し行えば、異物座標領域に対する光学的特性値が導出されて、異物基準値の範囲が決定される。例えば異物基準値の範囲は、前記LDImaxまたはLDIminの範囲で基準値保存部510に保存されることができる。
【0032】
前記関心領域抽出部520は、低倍率光学モジュール300で撮像された低倍率イメージから側光によって色のラインで表示される境界線Lで切り取って関心領域Rとして抽出する。最近、スマートフォン等のディスプレイ製品用の多層フィルムは、製品のベゼル縮小により検出領域がフィルム端まで拡大している。そこで、側光ユニット200を利用して試料10に向けて側光を照射し、低倍率光学モジュール300で低倍率イメージを撮像すると、低倍率イメージで基材層11と下側保護層13の境界線Lが色のラインで表示されるため、前記関心領域抽出部520は、前記低倍率イメージで色のラインで表示される境界線Lに沿って関心領域Rを切り取って、関心領域Rに対してのみ異物を検出して確認することができる。
【0033】
前記異物検出部530は、低倍率光学モジュール300が試料10を撮像して転送した低倍率イメージから、側光ユニット200から照射された側光による異物の光散乱を利用して異物を検出する。このとき、前記異物検出部530は、前記関心領域Rに対して異物を検出することができる。前記座標決定部540は、低倍率イメージから異物が検出された異物座標領域を導出し、高倍率光学モジュール400の撮像領域を異物座標領域とマッチングさせ、異物座標領域と隣接した異物のない隣接座標領域を決定する。一例として、前記座標決定部540は、広域の低倍率イメージで載物台100上の異物座標領域を導出した後、高倍率光学モジュール400の狭い撮像領域を異物座標領域と一致させ、前記異物座標領域と隣接した領域中で異物のない隣接座標領域を決定すると、光学モジュール制御部550が高倍率駆動ユニット410に制御信号を転送して、高倍率光学モジュール400が隣接座標領域に移動するようにする。
【0034】
前記光学モジュール制御部550は、低倍率光学モジュール300と高倍率光学モジュール400の作動を制御するもので、低倍率駆動ユニット310に制御信号を転送して低倍率光学モジュール300が上下方向に移動できるように制御したり、高倍率駆動ユニット410に制御信号を転送して高倍率光学モジュール400が異物座標領域または異物座標領域と隣接した異物のない隣接座標領域に移動するようにx軸、y軸方向に制御し、低倍率光学モジュール300と高倍率光学モジュール400がイメージを撮像するように制御する。前記光学モジュール制御部550は、隣接座標領域で高倍率駆動ユニット410を制御して、高倍率光学モジュール400が一定の数値分ずつ、一例として0.1μmずつz軸方向に移動しながら高倍率イメージを連続的に撮像するようにし、基準面決定部570によって基準面Sが決定されたら、高倍率駆動ユニット410を制御して高倍率光学モジュール400が基準面Sに沿って隣接座標領域から異物座標領域に水平移動するようにした後、異物座標領域で高倍率駆動ユニット410を制御して高倍率光学モジュール400が基準面Sから一定の数値分ずつ、一例として0.1μmずつz軸方向に下降しながら高倍率イメージを連続的に撮像するようにする。
【0035】
前記光学的特性値抽出部560は、高倍率光学モジュール400で撮像されて受信された高倍率イメージから光学的特性値を抽出する。このとき、前記光学的特性値抽出部560は、抽出された光学的特性値から前記LDImaxまたはLDIminを演算して使用することができる。
【0036】
前記基準面決定部570は、異物座標領域と隣接した異物のない隣接座標領域で高倍率光学モジュール400が連続的に撮像して転送した高倍率イメージから前記光学的特性値抽出部560が抽出した光学的特性値を、前記基準値保存部510に保存された試料上端面基準値の範囲とリアルタイムで比較して、試料上端面基準値の範囲に含まれる光学的特性値が抽出された高倍率イメージを撮像した時の高倍率光学モジュール400の位置を基準面Sとして決定する。例えば、前記光学的特性値抽出部560が高倍率イメージから抽出して演算したLDI
maxまたはLDI
minが、試料上端面基準値の範囲に含まれる時の高倍率光学モジュール400下端部の高さを基準面Sとして決定する。
図4aを参考にすると、前記基準面Sは、高倍率光学モジュール400が試料の上端面に対して焦点が合う位置であり、基準面Sと試料の上端面の距離を基準距離 と定義する。これは、高倍率光学モジュール400が試料の上端面に対する焦点を自動で合わせることができないので、試料の上端面の光学的特性値に対する試料上端面基準値の範囲を事前に予め抽出して保存しておき、試料10を検査するときの基準面Sの決定時に隣接座標領域で撮像された高倍率イメージから抽出される光学的特性値を試料上端面基準値の範囲と比較して基準面Sを決定するのである。
【0037】
前記基準面決定部570で基準面Sを決定した後、
図4bのように、前記光学モジュール制御部550が高倍率駆動ユニット410を制御して高倍率光学モジュール400が基準面Sに沿って隣接座標領域から異物座標領域に水平移動するようにした後に、前記異物分析部580は、高倍率光学モジュール400が異物Fの含まれた異物座標領域で一定の数値分ずつ、一例として0.1μmずつz軸方向に下降しながら試料10の全体厚さにわたって焦点距離を維持しつつ連続撮像して転送した高倍率イメージから前記光学的特性値抽出部560が抽出した光学的特性値を、前記基準値保存部510に保存された異物基準値の範囲とリアルタイムで比較する。そして、異物基準値の範囲に含まれる光学的特性値が抽出された高倍率イメージを撮像した時の高倍率光学モジュール400の基準面Sから下降した垂直距離を計算すれば、試料の上端面から異物が存在する深さと同一になるため、試料内の異物存在深さdを確認することができる。例えば、前記光学的特性値抽出部560が高倍率イメージから抽出して演算したLDI
maxまたはLDI
minが異物基準値の範囲に含まれる時の高倍率光学モジュール400の基準面Sから下降した垂直距離を計算して、異物存在深さdを確認することができる。このとき、前記光学モジュール制御部550は、高倍率駆動ユニット410を制御して高倍率光学モジュール400が下降しながら試料10の全体厚さにわたって撮像が行われるようにすることが好ましい。
【0038】
試料10に含まれた異物Fは高さを有しており、異物の高さhに該当する範囲に対して撮像された複数個の高倍率イメージから光学的特性値を抽出すれば、全て異物基準値の範囲に含まれ得る。したがって、前記異物分析部580は、異物座標領域で高倍率光学モジュール400が下降しながら連続的に撮像した高倍率イメージから抽出された光学的特性値が、異物基準値の範囲に該当し始めた高倍率光学モジュール400が下降した開始位置と、異物基準値の範囲に最後に該当した高倍率光学モジュール400が下降した終了位置の間の垂直距離を演算して異物Fの高さhを判断することができ、これにより異物Fが試料10内のどの程度の深さ領域にわたって存在するかを確認することができる。一例として、前記開示位置が基準面Sから4μmで、前記終了位置が基準面Sから9μmであれば、異物Fの高さhは5μmと判断することができる。
【0039】
異物Fの高さhに該当する範囲に対して撮像された複数個の高倍率イメージから抽出されて演算されたLDI
maxの分布は、
図5aのように示されることができ、LDI
minの分布は
図5bのように示されることができる。
図5aは、本発明で光を反射する性質を有する異物が含まれた試料10の上端面からの深さtによるLDI
maxの分布を概略的に示したグラフで、
図5bは、本発明で光を吸収する性質を有する異物が含まれた試料10の上端面からの深さtによるLDI
min分布を概略的に示したグラフである。
図5aを参考にすると、光を反射する性質を有する異物の場合、異物の中心部でLDI
maxが最大となり、
図5bを参考にすると、光を吸収する性質を有する異物の場合、異物の中心部で光学的特性値LDI
minが最小となることを確認することができる。
【0040】
一方、試料10に複数個の異物が存在するとき、載物台100に載置された試料10がベンディングされず平たい場合には、1つの基準面Sのみ決定した後、前記基準面Sを基準として各異物座標領域ごとに高倍率光学モジュール400で高倍率イメージを連続撮影して各異物存在深さdと各異物の高さh等に対する分析を繰り返し行えばよいが、載物台100に載置された試料10が屈曲を有してベンディングされた状態である場合には、各異物ごとに基準面Sを別途に決定して各異物分析に適用しなければならない。例えば、
図6を参考にすると、ベンディングされている試料10において、異物F1は試料の上端面と焦点距離 1となる高倍率光学モジュール400の高さが基準面S1であり、異物F2は試料の上端面と焦点距離 2となる高倍率光学モジュール400の高さが基準面S2となり、異物分析部580は、異物F1に対する異物存在深さ判断時には、基準面S1から下降した垂直距離を計算し、異物F2に対する異物存在深さ判断時には、基準面S2から下降した垂直距離を計算する。
【0041】
前記判定部590は、異物存在深さdがどの層にあるか、またはどの位置であるかによって、試料10が正常品であるか不良品であるか判定することができる。OCAフィルムのような試料10で異物が上側保護層12と下側保護層13に存在する場合には使用が可能な正常品と判定し、異物が基材層11に存在する場合には使用できない不良品と判定する。これとともに、前記判定部590は、前記異物分析部580で分析された異物の高さhを共に考慮して判定することができる。
【0042】
一例として、OCAフィルムからなる試料10の全体厚さが40μmで、この中に基材層11の厚さが両面の粘着面を含んで20μmであり、上側保護層12と下側保護層13がそれぞれ10μmである場合、異物存在深さdが試料の上端面から4μmであれば、異物が上側保護層12に存在するため一旦は試料10を正常品と判定することができるが、異物の高さを考慮しなければ判定にエラーが発生し得る。したがって、異物の高さhが3μmであれば基材層11に影響を与えないため正常品と判定し、異物の高さhが6μm以上であれば異物が基材層11と接していて基材層11に移る可能性があるか上側保護層12と基材層11にわたって存在するため不良品と判定する。
【0043】
前記異物分析部580は、前記低倍率イメージで検出された異物間の距離を測定することができ、前記判定部590は、検出された異物の大きさと異物間の距離の遠近を判定に考慮することができる。例えば、低倍率光学モジュール300で撮像された低倍率イメージで複数個の異物が検出される場合、前記異物分析部580は、異物存在深さdと異物の高さhを求めながら、検出された異物の大きさを基準値と比較し、検出された異物間の距離を測定することができる。これによって、多層フィルムからなる試料10で、異物が基材層11に存在しながらも異物の大きさが基準値以下であり異物間の距離が基準距離より遠く離れている場合には、品質に悪い影響を与えないものと判断して正常品と判定することができ、異物が基材層11に存在しながら異物の大きさが基準値以下であるが異物間の距離が基準距離より近く集まっている場合には、品質に悪い影響を与えるものと判断して不良品と判定することができる。
【0044】
異物種類分析機を高倍率光学モジュール400に連結設置して試料10に含まれた異物の種類を分析することができる。例えば、前記高倍率光学モジュール400にラマン分光器(Raman spectrophotometer)、FT-IR(Fourier transform infrared spectroscopy)等を連結設置すれば、異物の種類を分析することができる。異物種類分析機の異物分析は、既に公知となった技術であるため、詳しい説明は省略する。
【0045】
以下で、
図7a及び
図7bを参考にして、本発明のフィルム異物高速自動検出装置の作動について一実施例を介して簡略に説明する。
【0046】
試料10はOCAフィルムを使用し、全体厚さが40μmで、このうち基材層11の厚さが両面の粘着面を含んで20μmであり、上側保護層12と下側保護層13がそれぞれ10μmである。光学的特性値は、RGB値からLDImaxまたはLDIminを計算して使用する。上述したように試験を介して前記OCAフィルムについて予め導出しておいた試料上端面基準値の範囲と異物基準値の範囲が基準値保存部510に保存されており、このとき、これらの値はLDImaxまたはLDIminで計算されて保存される。
【0047】
一例として、OCAフィルムの異物のない試料の上端面に対して、高倍率光学モジュール400で手動で焦点を合わせて撮像した高倍率イメージ内の各ピクセルごとに抽出したRGB値のうちから、Rmax=190、Gmax=190、Bmax=100が抽出され、DImax=3,610,000となる。このような手順を試料の上端面の複数個の地点に対して繰り返し行って3,500,658≦LDImax≦3,721,062の試料上端面基準値の範囲が導出された。
【0048】
また、5μmの大きさを有して光を反射する性質を有する異物を、OCAフィルムの基材層11と上側保護層12間に人為的に含ませた後、異物座標領域に対して高倍率光学モジュール400で手動で焦点を合わせて撮像した高倍率イメージ内の各ピクセルごとに抽出したRGB値のうちから、Rmax=250、Gmax=250、Bmax=150が抽出され、LDImax=9,375,000となる。また前記異物をOCAフィルムのいくつかの位置に含ませて、このような手順を繰り返し行って9,102,592≦LDImaxの異物基準値の範囲が導出された。
【0049】
また、5μmの大きさを有して光を吸収する性質を有する異物を、OCAフィルムの基材層11と上側保護層12間に人為的に含ませた後、異物座標領域に対して高倍率光学モジュール400で手動で焦点を合わせて撮像した高倍率イメージ内の各ピクセルごとに抽出したRGB値のうちから、Rmin=125、Gmin=125、Bmim=60が抽出され、LDImin=937,500となる。またこのような手順を、前記異物をOCAフィルムのいくつかの位置に含ませて繰り返し行ってLDImin≦992,124の異物基準値の範囲が導出された。
【0050】
まず、載物台100の上にOCAフィルムの試料10を載置させ、複数個の側光ユニット200の照明をつけ、低倍率光学モジュール300が横200mm×縦150mmの広域の撮像領域で試料10に対する低倍率イメージを撮像して、使用者機器500に転送する。光学モジュール制御部550は、低倍率駆動ユニット310に信号を送って低倍率光学モジュール300を上下方向に駆動制御しながら試料10に合わせて撮像領域を調節することもできる。このとき、高倍率光学モジュール400は、低倍率光学モジュール300の視野外で待機する。関心領域抽出部520が、低倍率イメージから、側光ユニット200から照射された側光によって反射して光のラインで表示された境界線Lに沿って関心領域Rを切り取って抽出する。異物検出部530は、低倍率イメージの関心領域R内で側光ユニット200から照射された側光による異物の光散乱を利用して異物を検出する。
【0051】
座標決定部540は、関心領域Rで異物が検出された異物座標領域を導出し、高倍率光学モジュール400の撮像領域を異物座標領域とマッチングさせ、異物座標領域と隣接した試料10の領域の中で異物がない隣接座標領域を探して決定する。
【0052】
光学モジュール制御部550は、高倍率駆動ユニット410に信号を転送して、低倍率光学モジュール300の視野外で待機中だった高倍率光学モジュール400が隣接座標領域に移動するように、x軸、y軸方向に駆動制御した後、直光ユニット420をつけ、隣接座標領域から高倍率光学モジュール400が0.1μmずつz軸方向に移動しながら高倍率イメージを連続撮像するように制御し、撮像された高倍率イメージは使用者機器500に転送される。
【0053】
光学的特性値抽出部560は、前記高倍率イメージからRGB値を抽出してLDImaxを演算し、基準面決定部570は、高倍率イメージから導出されたLDImaxが試料上端面基準値の範囲(3,500,658≦LDImax≦3,721,062)に含まれる時の高倍率光学モジュール400が位置した高さを基準面Sに決定する。次に、光学モジュール制御部550は、高倍率駆動ユニット410を制御して、高倍率光学モジュール400が前記基準面Sに沿って隣接座標領域から異物座標領域に水平移動するようにする。
【0054】
そして、光学モジュール制御部550は、高倍率駆動ユニット410に信号を送って高倍率光学モジュール400が直光ユニット420をつけ異物座標領域で0.1μmずつz軸方向に下降しながら試料10の全体厚さにわたって高倍率イメージを連続撮像するように制御し、撮像された高倍率イメージは使用者機器500に転送される。
【0055】
光学的特性値抽出部560は、前記高倍率イメージからRGB値を抽出してLDImaxを演算し、異物分析部580は、高倍率イメージから導出されたLDImaxが異物基準値の範囲(9,102,592≦LDImax)に含まれる時の高倍率光学モジュール400の基準面Sから下降した垂直距離を計算して異物存在深さdを導出する。例えば、ある高倍率イメージからLDImaxが9,114,147と導出されたとき、その時の高倍率光学モジュール400が基準面Sから下降した垂直距離が4μmであれば異物存在深さdは試料の上端面から4μmと判断することができ、このような場合、異物が上側保護層12に存在するため、判定部590は試料10に対して使用可能な正常品と判定することができる。
【0056】
ただし、異物分析部580は、高倍率イメージから導出されたLDImaxが異物基準値の範囲(9,102,592≦LDImax)に複数回含まれるものと分析される場合、異物基準値の範囲に該当し始めた高倍率光学モジュール400の開示位置と、異物基準値の範囲に最後に該当した高倍率光学モジュール400の終了位置との間の垂直距離を演算して、異物の高さhを判断することができる。例えば、高倍率光学モジュール400が基準面Sから下降した垂直距離が4μmの時に高倍率イメージから導出されたLDImaxが初めて異物基準値の範囲に含まれ、その後高倍率光学モジュール400が継続して下降しながら連続撮像した高倍率イメージから導出されたLDImaxが異物基準値の範囲に継続して含まれていながら、高倍率光学モジュール400が基準面Sから下降した垂直距離が10μmの時に高倍率イメージから導出されたLDImaxが最後に異物基準値の範囲に含まれたなら、異物高さhは、10μm-4μm=6μmとなり、このような場合、異物が上側保護層12に存在するが、基材層11と接していて試料10使用時に上側保護層12を除去するとき異物が基材層11に移る可能性があるため不良品と判定する。
【0057】
また、カーボンブラック等の光を吸収する性質を有する異物が含まれた試料10の場合、これを予め確認することができないため、本発明は上述したように、まず光学的特性値をLDImaxで適用してから、予め保存されたLDImaxに対する異物基準値の範囲に含まれない場合、次の順序で光学的特性値をLDIminで適用すれば、LDIminに対する異物基準値の範囲に含まれるようになって異物に対する分析が可能になるのである。例えば、ある高倍率イメージからLDIminが915,120と導出されたとき、異物基準値の範囲(LDImin≦992,124)に該当し、そのときの高倍率光学モジュール400が基準面Sから下降した垂直距離が35μmであれば、異物存在深さdは試料の上端面から35μmと判断することができ、このような場合、異物が下側保護層13に存在するため、判定部590は試料10に対して使用可能な正常品と判定することができる。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明のフィルム異物高速自動検出装置は、低倍率光学モジュールで撮像された光散乱イメージで試料に含まれた異物を検出することができ、高倍率光学モジュールを試料の異物座標領域に移動させて異物の形、カラー、大きさ、光学的特性値を確認することができ、試料を損傷させず試料内の異物が存在する層と深さ、異物の高さを確認して製品の使用可否を迅速に判定することができ、異物分析機を連結して異物の種類も把握することができるため、産業上の利用可能性がある。
【国際調査報告】