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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-24
(54)【発明の名称】膣内リング器具
(51)【国際特許分類】
   A61F 6/06 20060101AFI20240517BHJP
【FI】
A61F6/06
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023572522
(86)(22)【出願日】2022-05-25
(85)【翻訳文提出日】2024-01-09
(86)【国際出願番号】 US2022030968
(87)【国際公開番号】W WO2022251393
(87)【国際公開日】2022-12-01
(31)【優先権主張番号】17/331,119
(32)【優先日】2021-05-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】509331663
【氏名又は名称】デア バイオサイエンス, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001656
【氏名又は名称】弁理士法人谷川国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フレンド,デビッド
(72)【発明者】
【氏名】キアング,ジェニファー
(72)【発明者】
【氏名】パチェッリ, ニコラス
(72)【発明者】
【氏名】ウオルターズ,マーク
【テーマコード(参考)】
4C098
【Fターム(参考)】
4C098AA05
4C098EE21
4C098EE27
4C098EE30
(57)【要約】
本明細書は、金属、ポリマー、または金属とポリマーとの組み合わせからなるバリアからなる膣内リング(IVR)器具を開示する。このIVRは、避妊、性感染症の治療および/または予防、細菌感染の治療および/または予防に有用である。このIVRは、膣液の吸収による変形に強い。このため、このIVRは、コポリマーシリコーンを使用した他の膣内リングと比較して、長期にわたって優れた性能を発揮することができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コポリマーシリコーンを除く、非分割のまたは分割されたコーティング無しの熱可塑性エラストマーで作製された平坦な、円形または楕円形のリングを含む膣内リング器具であって、前記リングが1種以上の有効成分を含有し、前記リングが、湾曲するかもしくは平坦な、非再吸収性の金属バリア、ポリマーバリア、金属とポリマーとの組み合わせバリア、または有孔フィルムで作製されたバリアを取り囲み、前記バリアが前記リングに取り付けられ、かつ前記バリアが子宮分泌物の通過を可能にするために完全には閉塞しない、膣内リング器具。
【請求項2】
前記コーティング無しの熱可塑性エラストマーが、スチレンブタジエンブロック共重合体、エチレン酢酸ビニル共重合体、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリ(ブチルメタクリレート)、ポリ(塩化ビニル)、ナイロン、可塑化ソフトナイロン、ポリ(エチレンテレフタレート)(PET)、ポリ(エチレン)、ポリ(アクリロニトリル)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、ポリ(エチレン-ビニルエステル)、ポリ(エチレン-酢酸ビニル)、ポリ(塩化ビニル-フマル酸ジエチル)、アクリルおよびメタクリルのエステルの重合体、ポリ(アミド)、ポリ(塩化ビニル)、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、ポリ(ウレタン)、ポリプロピレンまたはその他のポリ(オレフィン)のうちの1種以上から選択される、請求項1に記載の膣内リング器具。
【請求項3】
前記コーティング無しの熱可塑性エラストマーが、エチレン酢酸ビニル共重合体、ポリウレタン、またはPETから選択される、請求項2に記載の膣内器具。
【請求項4】
前記コーティング無しの熱可塑性エラストマーがエチレン酢酸ビニル共重合体である、請求項3に記載の膣内リング器具。
【請求項5】
前記ポリマーバリアが、ポリオレフィン、ナイロン、および/または絹の1種以上から構成されるメッシュである、請求項1~4のいずれか1項に記載の膣内リング器具。
【請求項6】
前記ポリオレフィンがポリプロピレンまたはポリエチレンである、請求項5に記載の膣内リング器具。
【請求項7】
前記ポリマーメッシュが、モノフィラメントまたはマルチフィラメントポリマーである、請求項1~6のいずれか1項に記載の膣内リング器具。
【請求項8】
前記ポリマーバリアまたはメッシュが、有効成分として1種以上の精子抑制性金属および/または金属塩を含む、請求項7に記載の膣内リング器具。
【請求項9】
前記金属塩が、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、硫酸第一鉄、グルコン酸第一鉄、鉄アミノ酸キレート、硫酸銅、グルコン酸銅、亜硝酸銀、銅アミノ酸キレートおよび酸化銅のうちの1種以上から選択される、請求項8に記載の膣内リング器具。
【請求項10】
前記バリアが金属であり、アルミニウム、銅、ステンレス鋼、チタン、ニッケル、ニッケルチタン、金、銀、白金、またはパラジウムのうちの1種以上を含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の膣内リング器具。
【請求項11】
前記金属バリアが、モノフィラメントおよび/またはマルチフィラメントの金属バリアである、請求項10に記載の膣内リング器具。
【請求項12】
前記金属バリアが1種以上の精子抑制性金属を含む、請求項11に記載の膣内リング器具。
【請求項13】
前記金属が銅および/または銀である、請求項12に記載の膣内リング器具。
【請求項14】
前記バリアが、前記リングに取り付けられる金属とポリマーバリアとの組み合わせである、請求項1~4のいずれか1項に記載の膣内リング器具。
【請求項15】
前記ポリマーバリアが、ポリオレフィン、ナイロン、および/または絹の1種以上から構成されるメッシュである、請求項14に記載の膣内リング器具。
【請求項16】
前記ポリオレフィンがポリプロピレンまたはポリエチレンである、請求項15に記載の膣内リング器具。
【請求項17】
前記ポリマーメッシュがモノフィラメントまたはマルチフィラメントポリマーである、請求項15または16のいずれか1項に記載の膣内リング器具。
【請求項18】
前記バリアの金属部分が、アルミニウム、銅、ステンレス鋼、チタン、ニッケル、ニッケルチタン、金、銀、白金またはパラジウムのうちの1種以上を含む、請求項14~17のいずれか1項に記載の膣内リング器具。
【請求項19】
前記金属バリアがモノフィラメントおよび/またはマルチフィラメントの金属バリアである、請求項18に記載の膣内リング器具。
【請求項20】
前記バリアの金属および/またはポリマー部分が、有効成分として1種以上の精子抑制性金属および/または金属塩を含む、請求項14~19に記載の膣内リング器具。
【請求項21】
前記金属が銅および/または銀であり、前記金属塩が塩化カルシウム、塩化マグネシウム、硫酸第一鉄、グルコン酸第一鉄、鉄アミノ酸キレート、硫酸銅、グルコン酸銅、亜硝酸銀、銅アミノ酸キレート、および酸化銅のうちの1種以上から選択される、請求項20に記載の膣内リング器具。
【請求項22】
前記バリアが有孔フィルムである、請求項1に記載の膣内リング器具。
【請求項23】
前記有孔フィルムがオフセットされた複数の層を含む、請求項23に記載の膣内リング器具。
【請求項24】
前記有孔フィルムが、1,2-ポリブタジエン、エチレン酢酸ビニル、ポリエチレン、シリコーンゲル、またはポリウレタンから選択される1種以上のポリマーで作製される、請求項22または23のいずれかに記載の膣内リング器具。
【請求項25】
前記有孔フィルムが、有効成分として1種以上の精子抑制性金属および/または金属塩を含む、請求項22~24のいずれか1項に記載の膣内リング器具。
【請求項26】
前記金属塩が、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、硫酸第一鉄、グルコン酸第一鉄、鉄アミノ酸キレート、硫酸銅、グルコン酸銅、亜硝酸銀、銅アミノ酸キレート、および酸化銅のうちの一種以上から選択される、請求項25に記載の膣内リング器具。
【請求項27】
前記リングがアスコルビン酸をさらに含む、請求項1~26のいずれか1項に記載の膣内リング器具。
【請求項28】
取り外しタブ、タグまたはひもをさらに含む、請求項1~27のいずれか1項に記載の膣内リング器具。
【請求項29】
前記リングが2つ以上の部分を含む、請求項1~28のいずれか1項に記載の膣内リング器具。
【請求項30】
前記リングが、妊娠を防止する有効物質、および/または細菌感染症、ウイルス感染症を治療または予防する有効物質をさらに含む、請求項1~29のいずれか1項に記載の膣内リング。
【請求項31】
前記有効物質が非ホルモン性避妊薬またはホルモン性避妊薬であり、前記抗ウイルス剤が1種以上の性感染症を治療または予防するために使用される、請求項30に記載の膣内リング。
【請求項32】
前記抗ウイルス剤が、テノホビル、アタンザナビル、ダルナビル、ホスアンプレナビル、インジナビル、ロピナビル、ネルフィナビル、リトナビル、サキナビル、チプラナビル、エファビレンツ、またはネルフィナビルのうちの1種以上である、請求項31に記載の膣内リング。
【請求項33】
前記ホルモン性避妊薬が、デソゲストレル、ドロスピレノン、エチニルエストラジオール、レボノルゲストレル、酢酸メドロキシプロゲステロン、ノレルゲストロミン、ノルエチンドロン、ノルゲスチメート、またはノルゲストレルのうちの1種以上である、請求項31に記載の膣内リング。
【請求項34】
前記膣内リングが、前記コーティング無しの熱可塑性エラストマーの一部として、ディスクリートなリザーバに含まれる有効成分および/またはポリマーで連続的に被覆された有効成分をさらに含む、請求項30~33のいずれか1項に記載の膣内リング。
【請求項35】
前記膣内リングとコポリマーシリコーンマトリックスで作製された膣内リング器具がともに等価な量および組成の非ホルモン性精子抑制剤および/またはもしあればアスコルビン酸を含有する場合に、前記膣内リングのほうが、保管後または対象に14日間以上挿入した後に、前記コポリマーシリコーンマトリックスで作製された膣内リング器具と比較して歪みが少ない、請求項1~34のいずれか1項に記載の膣内リング器具。
【請求項36】
コポリマーシリコーンを除く、非分割のまたは分割されたコーティング無しの熱可塑性エラストマーで作製された鞍型の楕円形リングを含む膣内リング器具であって、前記リングが1種以上の有効成分を含有し、前記リングが、湾曲した非吸収性の金属バリア、ポリマーバリア、金属とポリマーとの組み合わせバリア、または有孔フィルムで作製されたバリアを取り囲み、前記バリアが前記リングに取り付けられ、前記バリアが子宮分泌物の通過を可能にするために完全には閉塞しない、膣内リング器具。
【請求項37】
前記熱可塑性エラストマーが、スチレンブタジエンブロック共重合体、エチレン酢酸ビニル共重合体、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリ(ブチルメタクリレート)、ポリ(塩化ビニル)、ナイロン、ソフトナイロン、ポリ(エチレンテレフタレート)(PET)、ポリ(エチレン)、ポリ(アクリロニトリル)、PCTFE、ポリ(エチレン-ビニルエステル)、ポリ(エチレン-酢酸ビニル)、ポリ(塩化ビニル-フマル酸ジエチル)、アクリルおよびメタクリルのエステルの重合体、ポリ(アミド)、ポリ(塩化ビニル)、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、ポリ(ウレタン)、ポリプロピレンまたはその他のポリ(オレフィン)のうちの1種以上から選択される、請求項36に記載の膣内リング器具。
【請求項38】
前記熱可塑性エラストマーが、エチレン酢酸ビニル共重合体、ポリウレタン、またはPETから選択される、請求項37に記載の膣内器具。
【請求項39】
前記コーティング無しの熱可塑性エラストマーがエチレン酢酸ビニル共重合体である、請求項38に記載の膣内リング器具。
【請求項40】
前記ポリマーバリアが、ポリオレフィン、ナイロン、および/または絹のうち1種以上から構成されるメッシュである、請求項36~39のいずれか1項に記載の膣内リング器具。
【請求項41】
前記ポリオレフィンがポリプロピレンまたはポリエチレンである、請求項40に記載の膣内リング器具。
【請求項42】
前記ポリマーメッシュがモノフィラメントまたはマルチフィラメントポリマーである、請求項36~41のいずれか1項に記載の膣内リング器具。
【請求項43】
前記リングが有効物質として1種以上の精子抑制性金属および/または金属塩を含有する、請求項42に記載の膣内リング器具。
【請求項44】
前記精子抑制性金属および/または金属塩が、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、硫酸第一鉄、グルコン酸第一鉄、鉄アミノ酸キレート、硫酸銅、グルコン酸銅、亜硝酸銀、銅アミノ酸キレート、および酸化銅のうちの1種以上から選択される、請求項43に記載の膣内リング器具。
【請求項45】
前記バリアが金属であり、アルミニウム、銅、ステンレス鋼、チタン、ニッケル、ニッケルチタン、金、銀、白金、またはパラジウムのうちの1種以上を含む、請求項36~39のいずれか1項に記載の膣内リング器具。
【請求項46】
前記金属バリアがモノフィラメントおよび/またはマルチフィラメントである、請求項45に記載の膣内リング器具。
【請求項47】
前記金属バリアが有効物質として1種以上の精子抑制性金属を含む、請求項46に記載の膣内リング器具。
【請求項48】
前記精子抑制性金属が銅および/または銀である、請求項47に記載の膣内リング器具。
【請求項49】
前記バリアが、1種以上の金属と1種以上のポリマーとの組み合わせであり、前記バリアが前記リングに取り付けられる、請求項36~39のいずれか1項に記載の膣内リング器具。
【請求項50】
前記バリアのポリマーバリア部分が、ポリオレフィン、ナイロン、および/または絹のうち1種以上のから構成されるメッシュである、請求項49に記載の膣内リング器具。
【請求項51】
前記ポリオレフィンがポリプロピレンまたはポリエチレンである、請求項50に記載の膣内リング器具。
【請求項52】
前記ポリマーメッシュがモノフィラメントまたはマルチフィラメントポリマーである、請求項50または51のいずれか1項に記載の膣内リング器具。
【請求項53】
前記バリアの金属部分が、アルミニウム、銅、ステンレス鋼、チタン、ニッケル、ニッケルチタン、金、銀、白金またはパラジウムのうちの1種以上から選択される金属を含む、請求項49~52のいずれか1項に記載の膣内リング器具。
【請求項54】
前記金属バリアがモノフィラメントおよび/またはマルチフィラメントである、請求項53に記載の膣内リング器具。
【請求項55】
前記バリアの前記金属および/またはポリマー部分が、有効成分として1種以上の精子抑制性金属または/および金属塩を含む、請求項49~54に記載の膣内リング器具。
【請求項56】
前記金属が銅および/または銀であり、前記金属塩が塩化カルシウム、塩化マグネシウム、硫酸第一鉄、グルコン酸第一鉄、鉄アミノ酸キレート、硫酸銅、グルコン酸銅、亜硝酸銀、銅アミノ酸キレート、および酸化銅のうちの1種以上から選択される、請求項55に記載の膣内リング器具。
【請求項57】
前記バリアが有孔フィルムである、請求項36に記載の膣内リング器具。
【請求項58】
前記有孔フィルムがオフセットされた複数の層を含む、請求項57に記載の膣内リング器具。
【請求項59】
前記有孔フィルムが、1,2-ポリブタジエン、エチレン酢酸ビニル、ポリエチレン、シリコーンゲル、またはポリウレタンから選択される1種以上のポリマーで作製される、請求項57または58のいずれか1項に記載の膣内リング器具。
【請求項60】
前記有孔フィルムが、有効成分として1種以上の精子抑制性金属または金属塩を含む、請求項59のいずれか1項に記載の膣内リング器具。
【請求項61】
前記金属が銅および/または銀であり、前記金属塩が塩化カルシウム、塩化マグネシウム、硫酸第一鉄、グルコン酸第一鉄、鉄アミノ酸キレート、硫酸銅、グルコン酸銅、亜硝酸銀、銅アミノ酸キレート、および酸化銅のうち1種以上から選択される、請求項60に記載の膣内リング器具。
【請求項62】
前記膣内リング器具がアスコルビン酸をさらに含む、請求項36~56のいずれか1項に記載の膣内リング器具。
【請求項63】
取り外しタブ、タグまたはひもをさらに含む、請求項36~62のいずれか1項に記載の膣内リング器具。
【請求項64】
前記リングが2つ以上の部分を含む、請求項36~63のいずれか1項に記載の膣内リング器具。
【請求項65】
妊娠を防止するため、および/または細菌感染もしくはウイルス感染を治療または予防するための有効物質をリング部分内にさらに含む、請求項36~64のいずれか1項に記載の膣内リング器具。
【請求項66】
妊娠を防止する前記有効物質がホルモン性避妊薬であり、前記抗ウイルス剤が1種以上の性感染症を予防する、請求項59に記載の膣内リング。
【請求項67】
前記抗ウイルス剤が、テノホビル、アタンザナビル、ダルナビル、ホスアンプレナビル、インジナビル、ロピナビル、ネルフィナビル、リトナビル、サキナビル、チプラナビル、エファビレンツ、またはネルフィナビルのうちの1種以上である、請求項65または66のいずれか1項に記載の膣内リング。
【請求項68】
前記ホルモン性避妊薬が、デソゲストレル、ドロスピレノン、エチニルエストラジオール、レボノルゲストレル、酢酸メドロキシプロゲステロン、ノレルゲストロミン、ノルエチンドロン、ノルゲスチメート、またはノルゲストレルのうちの1種以上である、請求項65または66のいずれか1項に記載の膣内リング。
【請求項69】
前記膣内リングが、熱可塑性エラストマーの一部として、ディスクリートなリザーバに含まれる有効成分および/またはポリマーで連続的に被覆された有効成分をさらに含む、請求項65~68のいずれか1項に記載の膣内リング。
【請求項70】
前記膣内リングとコポリマーシリコーンマトリックスで作製された膣内リング器具とが等価な量および組成の非ホルモン性精子抑制剤および/またはもしあればアスコルビン酸を含有する場合に、前記膣内リングのほうが、保管後または対象に14日間以上挿入した後に、前記コポリマーシリコーンマトリックスで作製された膣内リング器具と比較して歪みが少ない、請求項34~69のいずれか1項に記載の膣内リング器具。
【請求項71】
コポリマーシリコーンを除く、非分割のまたは分割されたコーティング無しの熱可塑性エラストマーで作製された平坦な、円形または楕円形のリングを含む膣内リング器具であって、前記リングが、湾曲するかもしくは平坦な、非再吸収性の金属バリア、ポリマーバリア、金属とポリマーとの組み合わせバリア、または有孔フィルムで作製されたバリアを取り囲み、前記バリアが前記リングに取り付けられ、前記金属バリアおよびポリマーバリアならびに前記有孔フィルムが有効成分を含有し、前記バリアまたは有孔フィルムが、子宮分泌物の通過を可能にするために完全には閉塞しない、膣内リング器具。
【請求項72】
前記コーティング無しの熱可塑性エラストマーが、スチレンブタジエンブロック共重合体、エチレン酢酸ビニル共重合体、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリ(ブチルメタクリレート)、ポリ(塩化ビニル)、ナイロン、可塑化ソフトナイロン、ポリ(エチレンテレフタレート)(PET)、ポリ(エチレン)、ポリ(アクリロニトリル)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、ポリ(エチレン-ビニルエステル)、ポリ(エチレン-酢酸ビニル)、ポリ(塩化ビニル-フマル酸ジエチル)、アクリルおよびメタクリルのエステルの重合体、ポリ(アミド)、ポリ(塩化ビニル)、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、ポリ(ウレタン)、ポリプロピレンまたはその他のポリ(オレフィン)のうちの1種以上から選択される、請求項71に記載の膣内リング器具。
【請求項73】
前記コーティング無しの熱可塑性エラストマーが、エチレン酢酸ビニル共重合体、ポリウレタン、またはPETから選択される、請求項72に記載の膣内器具。
【請求項74】
前記コーティング無しの熱可塑性エラストマーがエチレン酢酸ビニル共重合体である、請求項73に記載の膣内リング器具。
【請求項75】
前記ポリマーバリアが、ポリオレフィン、ナイロン、および/または絹のうちの1つ以上から構成されるメッシュである、請求項71~74のいずれか1項に記載の膣内リング器具。
【請求項76】
前記ポリオレフィンがポリプロピレンまたはポリエチレンである、請求項75に記載の膣内リング器具。
【請求項77】
前記ポリマーメッシュがモノフィラメントまたはマルチフィラメントポリマーである、請求項71~76のいずれか1項に記載の膣内リング器具。
【請求項78】
前記ポリマーバリアまたはメッシュが、有効成分として1種以上の金属塩を含む、請求項77に記載の膣内リング器具。
【請求項79】
前記金属塩が、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、硫酸第一鉄、グルコン酸第一鉄、鉄アミノ酸キレート、硫酸銅、グルコン酸銅、亜硝酸銀、銅アミノ酸キレート、および酸化銅のうちの1種以上から選択される、請求項78に記載の膣内リング器具。
【請求項80】
前記バリアが金属であり、前記バリアがアルミニウム、銅、ステンレス鋼、チタン、ニッケル、ニッケルチタン、金、銀、白金、またはパラジウムのうちの1種以上を含む、請求項71~74のいずれか1項に記載の膣内リング器具。
【請求項81】
前記金属バリアがモノフィラメントおよび/またはマルチフィラメントの金属バリアである、請求項80に記載の膣内リング器具。
【請求項82】
前記金属バリアが有効成分として1種以上の精子抑制性金属を含む、請求項81に記載の膣内リング器具。
【請求項83】
前記金属が銅および/または銀である、請求項82に記載の膣内リング器具。
【請求項84】
前記バリアが、金属と、リングに取り付けられるポリマーバリアとの組み合わせである、請求項71~74のいずれか1項に記載の膣内リング器具。
【請求項85】
前記ポリマーバリア部分が、ポリオレフィン、ナイロン、および/または絹のうち1種以上から構成されるメッシュである、請求項84に記載の膣内リング器具。
【請求項86】
前記ポリオレフィンがポリプロピレンまたはポリエチレンである、請求項85に記載の膣内リング器具。
【請求項87】
前記ポリマーメッシュがモノフィラメントまたはマルチフィラメントポリマーである、請求項85または86のいずれか1項に記載の膣内リング器具。
【請求項88】
前記バリアの金属部分が、アルミニウム、銅、ステンレス鋼、チタン、ニッケル、ニッケルチタン、金、銀、白金またはパラジウムのうちの1種以上を含む、請求項84~88のいずれか1項に記載の膣内リング器具。
【請求項89】
前記金属バリアがモノフィラメントまたはマルチフィラメントポリマーである、請求項88に記載の膣内リング器具。
【請求項90】
前記バリアの前記金属および/またはポリマー部分が、有効成分として1種以上の精子抑制性金属および/または金属塩を含む、請求項84~89に記載の膣内リング器具。
【請求項91】
前記金属が銅および/または銀であり、前記金属塩が塩化カルシウム、塩化マグネシウム、硫酸第一鉄、グルコン酸第一鉄、鉄アミノ酸キレート、硫酸銅、グルコン酸銅、亜硝酸銀、銅アミノ酸キレート、および酸化銅のうちの1種以上から選択される、請求項90に記載の膣内リング器具。
【請求項92】
前記バリアが有孔フィルムである、請求項71~74に記載の膣内リング器具。
【請求項93】
前記有孔フィルムがオフセットされた複数の層を含む、請求項92に記載の膣内リング器具。
【請求項94】
前記有孔フィルムが、1,2-ポリブタジエン、エチレン酢酸ビニル、ポリエチレン、シリコーンゲル、またはポリウレタンから選択されるポリマーで作製される、請求項92または93のいずれか1項に記載の膣内リング器具。
【請求項95】
前記有孔フィルムが、有効成分として1種以上の精子抑制性金属および/または金属塩を含む、請求項92~94のいずれか1項に記載の膣内リング器具。
【請求項96】
前記金属塩が、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、硫酸第一鉄、グルコン酸第一鉄、鉄アミノ酸キレート、硫酸銅、グルコン酸銅、亜硝酸銀、銅アミノ酸キレートおよび酸化銅のうち1種以上から選択される、請求項95に記載の膣内リング器具。
【請求項97】
前記膣内リングがアスコルビン酸をさらに含む、請求項71~96のいずれか1項に記載の膣内リング器具。
【請求項98】
取り外しタブ、タグまたはひもをさらに含む、請求項71~97のいずれか1項に記載の膣内リング器具。
【請求項99】
前記リングが2つ以上の部分を含む、請求項71~98のいずれか1項に記載の膣内リング器具。
【請求項100】
記膣内リングとコポリマーシリコーンマトリックスで作製された膣内リング器具とが等価な量および組成の非ホルモン性精子抑制剤および/またはもしあればアスコルビン酸を含有する場合に、前記膣内リングのほうが、保管後または対象に14日間以上挿入した後に、前記コポリマーシリコーンマトリックスで作製された膣内リング器具と比較して歪みが少ない、請求項71~99のいずれか1項に記載の膣内リング器具。
【請求項101】
コポリマーシリコーンを除く、非分割のまたは分割されたコーティング無しの熱可塑性エラストマーで作製された鞍型の楕円形リングを含む膣内リング器具であって、前記リングが、湾曲するかもしくは平坦な、非再吸収性の金属バリア、ポリマーバリア、金属とポリマーとの組み合わせバリア、または有孔フィルムで作製されたバリアを取り囲み、前記バリアが前記リングに取り付けられ、前記金属バリアおよびポリマーバリアならびに前記有孔フィルムが、任意に有効成分を含み、前記バリアまたは有孔フィルムが、子宮分泌物の通過を可能にするために完全には閉塞しない、膣内リング器具。
【請求項102】
前記熱可塑性エラストマーが、スチレンブタジエンブロック共重合体、エチレン酢酸ビニル共重合体、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリ(ブチルメタクリレート)、ポリ(塩化ビニル)、ナイロン、ソフトナイロン、ポリ(エチレンテレフタレート)(PET)、ポリ(エチレン)、ポリ(アクリロニトリル)、PCTFE、ポリ(エチレン-ビニルエステル)、ポリ(エチレン-酢酸ビニル)、ポリ(塩化ビニル-フマル酸ジエチル)、アクリルおよびメタクリルのエステルの重合体、ポリ(アミド)、ポリ(塩化ビニル)、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、ポリ(ウレタン)、ポリプロピレンまたはその他のポリ(オレフィン)のうちの1種以上から選択される、請求項101に記載の膣内リング器具。
【請求項103】
前記コーティング無しの熱可塑性エラストマーが、エチレン酢酸ビニル共重合体、ポリウレタン、またはPETから選択される、請求項102に記載の膣内器具。
【請求項104】
前記コーティング無しの熱可塑性エラストマーがエチレン酢酸ビニル共重合体である、請求項103に記載の膣内リング器具。
【請求項105】
前記ポリマーバリアが、ポリオレフィン、ナイロン、および/または絹のうちの1種以上から構成されるメッシュである、請求項101~104のいずれか1項に記載の膣内リング器具。
【請求項106】
前記ポリオレフィンがポリプロピレンまたはポリエチレンである、請求項105に記載の膣内リング器具。
【請求項107】
前記ポリマーメッシュがモノフィラメントまたはマルチフィラメントポリマーである、請求項101~106のいずれか1項に記載の膣内リング器具。
【請求項108】
前記ポリマーメッシュが有効成分として1種以上の精子抑制性金属塩を含有する、請求項107に記載の膣内リング器具。
【請求項109】
前記精子抑制性金属塩が、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、硫酸第一鉄、グルコン酸第一鉄、鉄アミノ酸キレート、硫酸銅、グルコン酸銅、亜硝酸銀、銅アミノ酸キレート、および酸化銅のうちの1種以上から選択される、請求項99に記載の膣内リング器具。
【請求項110】
前記バリアが、アルミニウム、銅、ステンレス鋼、チタン、ニッケル、ニッケルチタン、金、銀、白金、またはパラジウムのうちの1種以上を含む金属である、請求項101~104のいずれか1項に記載の膣内リング器具。
【請求項111】
前記金属バリアがモノフィラメントおよび/またはマルチフィラメントである、請求項110に記載の膣内リング器具。
【請求項112】
前記金属バリアが有効成分として1種以上の精子抑制性金属を含む、請求項111に記載の膣内リング器具。
【請求項113】
前記金属が銅および/または銀である、請求項112に記載の膣内リング器具。
【請求項114】
前記バリアが、1種以上の金属と1種以上のポリマーとの組み合わせであり、前記バリアが前記リングに取り付けられる、請求項101~104のいずれか1項に記載の膣内リング器具。
【請求項115】
前記バリアのポリマーバリア部分が、ポリオレフィン、ナイロン、および/または絹のうちの1種以上から構成されるメッシュである、請求項114に記載の膣内リング器具。
【請求項116】
前記ポリオレフィンがポリプロピレンまたはポリエチレンである、請求項115に記載の膣内リング器具。
【請求項117】
前記ポリマーメッシュがモノフィラメントまたはマルチフィラメントポリマーである、請求項115~116のいずれか1項に記載の膣内リング器具。
【請求項118】
前記バリアの金属部分が、アルミニウム、銅、ステンレス鋼、チタン、ニッケル、ニッケルチタン、金、銀、白金またはパラジウムのうちの1種以上から選択される金属を含む、請求項114~117のいずれか1項に記載の膣内リング器具。
【請求項119】
前記金属バリアがモノフィラメントおよび/またはマルチフィラメントである、請求項118に記載の膣内リング器具。
【請求項120】
前記バリアの前記金属および/またはポリマー部分が、有効成分として1種以上の精子抑制性金属および/または金属塩を含む、請求項114~119に記載の膣内リング器具。
【請求項121】
前記金属が銅および/または銀であり、前記金属塩が塩化カルシウム、塩化マグネシウム、硫酸第一鉄、グルコン酸第一鉄、鉄アミノ酸キレート、硫酸銅、グルコン酸銅、亜硝酸銀、銅アミノ酸キレート、および酸化銅のうちの1種以上から選択される、請求項110に記載の膣内リング器具。
【請求項122】
前記バリアが有孔フィルムである、請求項101~104に記載の膣内リング器具。
【請求項123】
前記有孔フィルムが、オフセットされた複数の層を含む、請求項122に記載の膣内リング器具。
【請求項124】
前記有孔フィルムが、1,2-ポリブタジエン、エチレン酢酸ビニル、ポリエチレン、シリコーンゲル、またはポリウレタンから選択されるポリマーで作製される、請求項122または123のいずれか1項に記載の膣内リング器具。
【請求項125】
前記有孔フィルムが、有効成分として1種以上の精子抑制性金属および/または金属塩を含む、請求項122~124のいずれか1項に記載の膣内リング器具。
【請求項126】
前記金属塩が、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、硫酸第一鉄、グルコン酸第一鉄、鉄アミノ酸キレート、硫酸銅、グルコン酸銅、亜硝酸銀、銅アミノ酸キレート、および酸化銅のうち1種以上から選択される、請求項125に記載の膣内リング器具。
【請求項127】
前記膣内リングがアスコルビン酸をさらに含む、請求項101~126のいずれか1項に記載の膣内リング器具。
【請求項128】
取り外し用タブ、タグまたはひもをさらに含む、請求項101~127のいずれか1項に記載の膣内リング器具。
【請求項129】
前記リングが2つ以上の部分を含む、請求項101~128のいずれか1項に記載の膣内リング器具。
【請求項130】
前記膣内リングとコポリマーシリコーンマトリックスで作製された膣内リング器具とが等価な量および組成の非ホルモン性精子抑制剤および/またはもしあればアスコルビン酸を含有する場合に、前記膣内リングのほうが、保管後または対象に14日間以上挿入した後に、前記コポリマーシリコーンマトリックスで作製された膣内リング器具と比較して歪みが少ない、請求項101~129のいずれか1項に記載の膣内リング器具。
【請求項131】
コポリマーシリコーンを除く、非分割のコーティング無しの熱可塑性エラストマーで作製された平坦な、円形または楕円形のリングを含む膣内リング器具であって、前記リングが1種以上の非ホルモン性精子抑制剤を含有し、前記リングが、前記リングに取り付けられた湾曲した非再吸収性ポリマーバリアを取り囲み、対象に挿入された時に前記リングが子宮頸部を覆う、膣内リング器具。
【請求項132】
前記コーティング無しの熱可塑性エラストマーが、スチレンブタジエンブロック共重合体、エチレン酢酸ビニル共重合体、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリ(ブチルメタクリレート)、ポリ(塩化ビニル)、ナイロン、可塑化ソフトナイロン、ポリ(エチレンテレフタレート)(PET)、ポリ(エチレン)、ポリ(アクリロニトリル)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、ポリ(エチレン-ビニルエステル)、ポリ(エチレン-酢酸ビニル)、ポリ(塩化ビニル-フマル酸ジエチル)、アクリルおよびメタクリルのエステルの重合体、ポリ(アミド)、ポリ(塩化ビニル)、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、ポリ(ウレタン)、ポリプロピレンまたはその他のポリ(オレフィン)のうちの1種以上から選択される、請求項131に記載の膣内リング器具。
【請求項133】
前記コーティング無しの熱可塑性エラストマーが、エチレン酢酸ビニル共重合体、ポリウレタン、またはPETから選択される、請求項132に記載の膣内器具。
【請求項134】
前記コーティング無しの熱可塑性エラストマーが、エチレン酢酸ビニル共重合体である、請求項133に記載の膣内リング器具。
【請求項135】
前記ポリマーバリアが、ポリオレフィン、ナイロン、および/または絹のうち1種以上から構成されるメッシュである、請求項131~134のいずれかに記載の膣内リング器具。
【請求項136】
前記ポリオレフィンが、ポリプロピレンまたはポリエチレンである、請求項135に記載の膣内リング器具。
【請求項137】
前記メッシュまたはバリアが、モノフィラメントまたはマルチフィラメントポリマーである、請求項131~136のいずれか1項に記載の膣内リング器具。
【請求項138】
前記リングが1種以上の精子抑制性金属および/または金属塩を含む、請求項131~137のいずれか1項に記載の膣内リング器具。
【請求項139】
前記リングが、硫酸第一鉄、グルコン酸第一鉄、鉄アミノ酸キレート、硫酸銅、グルコン酸銅、銅アミノ酸キレート、および酸化銅のうち1種以上から選択される精子抑制性金属および/または塩を含む、請求項138に記載の膣内リング器具。
【請求項140】
前記リングがアスコルビン酸をさらに含む、請求項139に記載の膣内リング器具。
【請求項141】
取り外しタブをさらに含む、請求項140に記載の膣内リング器具。
【請求項142】
前記膣内リングとコポリマーシリコーンマトリックスで作製された膣内リング器具とが等価な量および組成の非ホルモン性精子抑制剤および/またはもしあれば、アスコルビン酸を含有する場合、前記膣内リングのほうが、保管後または14日間以上対象への挿入後、前記コポリマーシリコーンマトリックスで作製された膣内リング器具と比較して歪みが少ない、請求項131~141のいずれか1項に記載の膣内リング器具。
【請求項143】
コポリマーシリコーンを除く、非分割のコーティング無しの熱可塑性エラストマーで作製された鞍型の楕円形リングを含む膣内リング器具であって、前記リングが1種以上の非ホルモン性精子抑制剤を含み、前記リングが、前記リングに取り付けられた湾曲した非再吸収性ポリマーバリアを取り囲み、かつ前記リングが子宮頸部を覆う、膣内リング器具。
【請求項144】
前記熱可塑性エラストマーが、スチレンブタジエンブロック共重合体、エチレン酢酸ビニル共重合体、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリ(ブチルメタクリレート)、ポリ(塩化ビニル)、ナイロン、ソフトナイロン、ポリ(エチレンテレフタレート)(PET)、ポリ(エチレン)、ポリ(アクリロニトリル)、PCTFE、ポリ(エチレン-ビニルエステル)、ポリ(エチレン-酢酸ビニル)、ポリ(塩化ビニル-フマル酸ジエチル)、アクリルおよびメタクリルのエステルの重合体、ポリ(アミド)、ポリ(塩化ビニル)、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、ポリ(ウレタン)、ポリプロピレンまたはその他のポリ(オレフィン)のうちの1種以上から選択される、請求項143に記載の膣内リング器具。
【請求項145】
前記熱可塑性エラストマーが、エチレン酢酸ビニル共重合体、ポリウレタン、またはPETから選択される、請求項144に記載の膣内器具。
【請求項146】
前記コーティング無しの熱可塑性エラストマーがエチレン酢酸ビニル共重合体である、請求項145に記載の膣内リング器具。
【請求項147】
前記バリアが、ポリオレフィン、ナイロン、および/または絹のうち1種以上から構成されるメッシュである、請求項143~146のいずれか1項に記載の膣内リング器具。
【請求項148】
前記ポリオレフィンが、ポリプロピレンまたはポリエチレンである、請求項147に記載の膣内リング器具。
【請求項149】
前記メッシュおよび/またはバリアが、モノフィラメントまたはマルチフィラメントポリマーである、請求項143~148のいずれか1項に記載の膣内リング器具。
【請求項150】
前記リングが1種以上の精子抑制性金属および/または金属塩を含む、請求項143~149のいずれか1項に記載の膣内リング器具。
【請求項151】
前記精子抑制性金属および/または金属塩が、硫酸第一鉄、グルコン酸第一鉄、鉄アミノ酸キレート、硫酸銅、グルコン酸銅、銅アミノ酸キレート、酸化銅のうち1種以上から選択される、請求項150に記載の膣内リング器具。
【請求項152】
前記膣内リングとコポリマーシリコーンマトリックスで作製された膣内リング器具とが等価な量および組成の非ホルモン性精子抑制剤および/またはもしあればアスコルビン酸を含有する場合に、保管後または14日間以上対象に挿入した後に、前記膣内リングのほうが、前記コポリマーシリコーンマトリックスで作製された膣内リング器具と比較して歪みが少ない、請求項143~151のいずれか1項に記載の膣内リング器具。
【請求項153】
コポリマーシリコーンを除く、分割されたコーティング無しの熱可塑性エラストマーで作製され、取り外しタブを有する、平坦な、円形または楕円形のリングを含む膣内リング器具であって、前記リングが、一種以上の非ホルモン性精子抑制剤を含み、前記リングが、前記リングに取り付けられた、湾曲した非再吸収性のポリマーバリアを取り囲み、かつ前記リングが、対象に挿入された時に子宮頸部を覆う、膣内リング器具。
【請求項154】
前記コーティング無しの熱可塑性エラストマーが、スチレンブタジエンブロック共重合体、エチレン酢酸ビニル共重合体、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリ(ブチルメタクリレート)、ポリ(塩化ビニル)、ナイロン、ソフトナイロン、ポリ(エチレンテレフタレート)(PET)、ポリ(エチレン)、ポリ(アクリロニトリル)、PCTFE、ポリ(エチレン-ビニルエステル)、ポリ(エチレン-酢酸ビニル)、ポリ(塩化ビニル-フマル酸ジエチル)、アクリルおよびメタクリルのエステルの重合体、ポリ(アミド)、ポリ(塩化ビニル)、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、ポリ(ウレタン)、またはポリプロピレンなどのポリ(オレフィン)のうちの1種以上から選択される、請求項153に記載の膣内リング器具。
【請求項155】
前記熱可塑性エラストマーが、エチレン酢酸ビニル共重合体、ポリウレタン、またはPETから選択される、請求項154に記載の膣内リング器具。
【請求項156】
熱可塑性エラストマーがエチレン酢酸ビニル共重合体である、請求項155に記載の膣内リング器具。
【請求項157】
前記バリアが、ポリオレフィン、ナイロン、および/または絹のうちの1種以上から構成されるメッシュである、請求項153~156のいずれか1項に記載の膣内リング器具。
【請求項158】
前記ポリオレフィンが、ポリプロピレンまたはポリエチレンである、請求項157に記載の膣内リング器具。
【請求項159】
前記バリアまたはメッシュがモノフィラメントまたはマルチフィラメントポリマーである、請求項153~158のいずれか1項に記載の膣内リング器具。
【請求項160】
前記膣内リング器具が、1種以上の精子抑制性金属および/または金属塩を含有する、請求項153~159のいずれか1項に記載の膣内リング器具。
【請求項161】
前記精子抑制性金属および/または金属塩が、硫酸第一鉄、グルコン酸第一鉄、鉄アミノ酸キレート、硫酸銅、グルコン酸銅、銅アミノ酸キレート、酸化銅のうちの1種以上から選択される、請求項153~160のいずれか1項に記載の膣内リング器具。
【請求項162】
前記リングの1つの部分が精子抑制性金属およびまたは金属塩を含み、別の部分がアスコルビン酸をさらに含む、請求項161に記載の膣内リング器具。
【請求項163】
前記膣内リングとコポリマーシリコーンマリックスで作製された2つ以上の部分を有する膣内リング器具とが等価な量および組成の非ホルモン性精子抑制剤およびアスコルビン酸を含有する場合に、保管後または対象に一週間以上挿入した後に、前記膣内リングのほうが、前記コポリマーシリコーンマトリックスで作製された膣内リング器具と比較して歪みが少ない、請求項153~162のいずれか1項に記載の膣内リング器具。
【請求項164】
前記膣内リングとコポリマーシリコーンマトリックスで作製された膣内リング器具とが、等価な量および組成の非ホルモン性精子抑制剤および/またはもしあればアスコルビン酸を含有する場合に、前記膣内リングのほうが、含有する包装での保管後または対象に14日間以上挿入した後に、前記コポリマーシリコーンマトリックスで作製された膣内リング器具と比較して歪みが少ない、請求項153~162のいずれか1項に記載の膣内リング器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2019年11月18日出願の米国特許出願第62/937,247号の優先権を主張する2020年11月18日出願のPCT出願第PCT/US2020/061058号のバイパス一部継続出願である、2021年5月26日出願の米国特許出願第17/331,119号の、特許協力条約に基づく出願であり、上記すべての出願について、図面を含めその全体を本明細書において引用により援用する。
【0002】
本開示は、女性の健康の分野に関する。より詳細には、本開示は、避妊に使用するための膣内リング(IVR)器具に関する。このIVR器具は、湾曲するかもしくは平坦な非再吸収性バリアを取り囲むコーティング無しの熱可塑性ポリマーで作製され、非分割のまたは分割されたリングで構成され、このリングは、コポリマーシリコーンマトリックスで作製された膣内リング器具と比較して、膣液の吸収または使用前の保管中に発生する湿気によるリング構造の歪みが非常に少ない。
【背景技術】
【0003】
コポリマーシリコーンマトリックスで作製された膣内リング器具は、湿度により、または対象において一定期間使用されると歪み、そのため、IVR器具が対象に適切にフィットしない可能性があり、その結果、膣内リング器具が、歪みのない器具と同様には機能しないことがあり得る。また、リングマトリックスへ精子抑制剤を混合することで、リングの機械的特性を弱める可能性がある。
【0004】
本開示は、コポリマーシリコーンマトリックスで作製された膣内リング器具で生じる経時的なリングの歪みを低減またはなくすリング構成要素および/またはリング形状を有する新規な膣内リング器具を対象とし、これにより、器具を使用する対象にとって、より良好な装着およびより快適さをもたらすことができる。
【発明の概要】
【0005】
本開示の一実施形態において、本明細書に開示されるのは、コポリマーシリコーンを除く、非分割のまたは分割された、コーティング無しの熱可塑性エラストマーで作製された、平坦な、円形または楕円形のリングを有する膣内リング(IVR)器具である。このリングは、1種以上の非ホルモン性精子抑制剤、抗菌剤、抗真菌剤および/または抗ウイルス剤を含有してもよく、かつこのリングは湾曲するかもしくは平坦な非再吸収性の金属バリア、ポリマーバリア、金属とポリマーとの組み合わせバリア、または有孔フィルムで作製されたバリアを取り囲み、このバリアはリングに取り付けられ、子宮分泌物の通過を可能にするために完全には閉塞しない。
【0006】
他の実施形態において、本明細書で開示されるのは、コポリマーシリコーンを除く、非分割のまたは分割されたコーティング無しの熱可塑性エラストマーで作製された平坦な、円形または楕円形のリングを含むIVR器具であって、リングが1種以上の有効成分を含み、かつ湾曲するかもしくは平坦な、非再吸収性の金属バリア、ポリマーバリア、金属とポリマーとの組み合わせバリア、または有孔フィルムで作製されたバリアを取り囲み、バリアはリングに取り付けられ、子宮分泌物の通過を可能にするために完全には閉塞されていない、IVR器具である。
【0007】
別の実施態様では、IVR器具は、コポリマーシリコーンを除く、非分割のまたは分割されたコーティング無しの熱可塑性エラストマーで作製された平坦な円形または楕円形のリングを含み、このリングは、湾曲するかもしくは平坦な、非再吸収性の金属バリア、ポリマーバリア、金属とポリマーとの組み合わせバリア、または有孔フィルムで作製されたバリアを取り囲み、このバリアはリングに取り付けられ、前記金属バリアおよびポリマーバリアならびに前記有孔フィルムは有効成分を含み、前記バリアまたは有孔フィルムは、子宮分泌物の通過を可能にするために完全には閉塞しない。
【0008】
いくつかの実施形態では、IVRは、コポリマーシリコーンを除く、分割されていないコーティング無しの熱可塑性エラストマーで作製された平坦な円形または楕円形のリングを含み、このリングは1種以上の非ホルモン性精子抑制剤を含み、このリングは、リングに取り付けられた湾曲した非再吸収性ポリマーバリアを取り囲み、かつこのリングは、対象に挿入されると子宮頸部を覆う。このIVR器具の他の実施形態では、平坦な円形または楕円形の膣内リングは、分割されたコーティング無しの熱可塑性エラストマーで作製される。平坦な、円形または楕円形の膣内リングのいくつかの実施形態では、分割されたリング部分の数は2以上である。
【0009】
いくつかの実施形態では、平坦な、円形または楕円形の膣内リングのコーティング無しの熱可塑性エラストマーは、スチレンブタジエンブロック共重合体、エチレン酢酸ビニル共重合体、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリ(ブチルメタクリレート)、ポリ(塩化ビニル)、ナイロン、ソフトナイロン、ポリ(エチレンテレフタレート)(PET)、ポリ(エチレン)、ポリ(アクリロニトリル)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、ポリ(エチレン-ビニルエステル)、ポリ(エチレン酢酸ビニル)、ポリ(塩化ビニル-フマル酸ジエチル)、アクリルおよびメタクリルのエステルの重合体、ポリ(アミド)、ポリ(塩化ビニル)、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、ポリ(ウレタン)、ポリプロピレンまたは他のポリ(オレフィン)のうち1種以上から選択される。
【0010】
いくつかの実施形態において、平坦な、円形または楕円形の膣内リングのためのコーティング無しの熱可塑性エラストマーは、エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)、ポリウレタン、またはポリエチレンテレフタレート(PET)のうちの1種以上から選択される。
【0011】
いくつかの実施形態では、平坦な、円形または楕円形の膣内リングのためのコーティング無しの熱可塑性エラストマーは、EVAである。
【0012】
いくつかの実施形態では、平坦な、円形または楕円形のIVR器具は、金属、ポリオレフィン、ナイロン、および/または絹のうちの1種以上から構成されるメッシュであるポリマーバリアを有する。いくつかの実施形態では、ポリオレフィンはポリプロピレンまたはポリエチレンである。他の実施形態では、平坦な、円形または楕円形のIVR器具のポリマーメッシュは、モノフィラメントまたはマルチフィラメントポリマーである。平坦な、円形または楕円形のIVR器具のいくつかの実施形態では、ポリマーバリアまたはメッシュは、有効成分として1種以上の精子抑制性金属および/または金属塩を含む。いくつかの実施形態において、金属塩は、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、硫酸第一鉄、グルコン酸第一鉄、鉄アミノ酸キレート、硫酸銅、グルコン酸銅、亜硝酸銀、銅アミノ酸キレート、および酸化銅のうちの1種以上から選択される。
【0013】
平坦な、円形、または楕円形のIVR器具のいくつかの実施形態では、IVR器具は、アルミニウム、銅、ステンレス鋼、チタン、ニッケル、ニッケルチタンおよびこれらに限定されないが、金、銀、白金、またはパラジウム等の貴金属うちの1種以上を含む金属バリアを有する。いくつかの実施形態において、金属バリアが銅または銀で構成される場合、金属バリアは精子抑制効果を有する。いくつかの実施形態において、金属バリアは、モノフィラメントまたはマルチフィラメントポリマーである。
【0014】
いくつかの実施形態では、平坦な、円形または楕円形のIVR器具は、2つ以上の部分を含む。
【0015】
別の実施形態では、平坦な、円形または楕円形のIVR器具は、金属とポリマーとの組合せであるバリアを有し、組合せバリアはリングに取り付けられる。この態様のいくつかの実施形態では、金属および/またはポリマーは、モノフィラメントまたはマルチフィラメントであり得る。いくつかの実施形態において、ポリマーバリア部分は、ポリオレフィン、ナイロン、および/または絹のうちの1種以上で構成される。他の実施形態において、ポリオレフィンは、ポリプロピレンまたはポリエチレンである。いくつかの実施形態において、バリアの金属部分は、アルミニウム、銅、ステンレス鋼、チタン、ニッケル、ニッケルチタン、金、銀、白金、またはパラジウムのうちの1種以上から構成される。いくつかの実施形態において、バリアの金属部分および/またはポリマー部分は、有効成分として1種以上の精子抑制性金属および/または金属塩を含む。いくつかの実施形態において、金属塩は、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、硫酸第一鉄、グルコン酸第一鉄、鉄アミノ酸キレート、硫酸銅、グルコン酸銅、亜硝酸銀、銅アミノ酸キレート、および酸化銅のうちの1種以上から選択される。
【0016】
平坦な、円形または楕円形のIVR器具のいくつかの実施形態では、金属塩の使用により、膣内イオン濃度は1日当たり約0.5から約20μMの範囲となる。いくつかの実施形態では、精子抑制性金属および/または金属塩はリングの一部である。他の実施形態では、金属および/または金属塩はバリアまたはメッシュの一部である。いくつかの実施形態では、金属イオン放出は、精子抑制剤および抗菌剤の両方として作用し得る。
【0017】
また、本明細書では、バリアが有孔フィルムである平坦な、円形または楕円形のIVR器具も開示する。いくつかの実施形態では、有孔フィルムは、オフセットされた複数の層を含む。いくつかの実施形態では、有孔フィルムは、1,2-ポリブタジエン、エチレン酢酸ビニル、ポリエチレン、シリコーンゲル、ポリウレタンなどのポリマーで作製される。
【0018】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示の平坦な、円形または楕円形のIVR器具もアスコルビン酸を含有する。いくつかの実施形態では、アスコルビン酸は環の一部である。他の実施形態では、アスコルビン酸は、金属バリア、ポリマーバリア、金属とポリマーとの組み合わせバリア、または有孔フィルムバリアなどのバリアの一部である。
【0019】
いくつかの実施形態において、本明細書に開示の平坦な、円形、または楕円形のIVR器具、ポリマーバリア、金属バリア、金属/ポリマー組み合わせバリア、または有孔フィルムバリアは、約100から150μm、80μmから約150μm、または約80μmから約130μm、または約80μmから約90μm、または約80μmから約100μm、または約80μmから約110μm、または約80μmから約120μmの範囲の大きさの孔を有する。
【0020】
本明細書で使用される用語「約」は、およそ、大体、その周辺、または~の領域を意味するために使用される。用語「約」が数値範囲と共に使用される場合、規定された数値の上下に境界を拡張することによってその範囲を修正する。一般に、本明細書では、「約」という用語は、数値を上下(より高いか低いか)に20%のばらつきで修正するために使用される。
【0021】
いくつかの実施形態では、平坦な、円形または楕円形のIVR器具は、挿入後にリングを取り外すのを補助する取り外しタブ、ひもまたはタグまたは同様の構造物を有する。いくつかの実施形態では、取り外しタブは、長さが約10mmから約20mmの直径を有し、外側リング構造に一体化される。いくつかの実施形態では、タブはリングの一部であり、タグはバリアの一部である。いくつかの実施形態では、タブはリングと同じ材料から作製され、タグはバリアと同じ材料から作製される。いくつかの実施形態では、ひもはバリアに一体化され、膣内リングから遠位方向に約30mm延びる。
【0022】
いくつかの実施形態では、平坦な、円形または楕円形のリングは、妊娠を防止し、かつ/または細菌感染、真菌感染、および/もしくはウイルス感染を治療または予防するための有効物質を有する。いくつかの実施形態では、有効物質は非ホルモン性またはホルモン性の避妊薬であり、抗ウイルス剤は1つ以上の性感染症を治療または予防するために使用される。いくつかの実施形態において、抗ウイルス剤は、テノホビル、アタンザナビル、ダルナビル、ホスアンプレナビル、インジナビル、ロピナビル、ネルフィナビル、リトナビル、サキナビル、チプラナビル、エファビレンツ、またはネルフィナビルのうちの1種以上である。いくつかの実施形態において、ホルモン性避妊薬は、デソゲストレル、ドロスピレノン、エチニルエストラジオール、レボノルゲストレル、酢酸メドロキシプロゲステロン、ノレルゲストロミン、ノルエチンドロン、ノルゲスチメート、またはノルゲストレルのうちの1種以上である。いくつかの実施形態において、膣内リングは、図7に示すように、熱可塑性エラストマーの一部としてディスクリートなリザーバに含まれる有効成分および/またはポリマーで連続的に被覆された有効成分を含む。
【0023】
本開示の別の態様において、平坦な、円形または楕円形のリング器具は、膣液および/または使用前に器具を保管するために使用される包装に含まれる流体の吸収による形状の歪みに対して耐性がある。
【0024】
本開示の別の態様において、平坦な、円形または楕円形のリング器具は、膣液および/または使用前に器具を保管するために使用される包装に含まれる流体の吸収による形状の歪みに対して耐性がある。
【0025】
いくつかの実施形態において、両方ともが等価な量および組成の非ホルモン性精子抑制剤を含む場合、平坦な、円形リング膣内器具の模擬膣液の吸収量は、コポリマーシリコーンマトリックスで作製された膣内リングと比較して、約95%、90%、85%、80%、70%、60%、50%、40%、30%、20%、10%、5%、4%、3%、2%または1%少ない。
【0026】
いくつかの実施形態において、平坦な、円形リング膣内器具とコポリマーシリコーンマトリックスで作製された膣内リングとが等価な量および組成の非ホルモン性精子抑制剤を含む場合に、模擬膣液の吸収量は、前者の器具が後者の膣内リングと比較して、約1%から95%少ないか、または約1%から95%減の間の任意の範囲にある。
【0027】
本開示のいくつかの実施形態において、本明細書に開示されるのは、コポリマーシリコーンを除く、非分割のまたは分割されたコーティング無しの熱可塑性エラストマーで作製された鞍型の楕円形のリングを含むIVR器具であって、リングが1種以上の有効成分を含み、かつリングが、湾曲した非再吸収性の金属バリア、ポリマーバリア、金属とポリマーとの組み合わせバリア、または有孔フィルムで作製されたバリアを取り囲み、バリアがリングに取り付けられ、かつバリアが子宮分泌物の通過を可能にするために完全には閉塞しない。
【0028】
別の実施形態において、本明細書に開示されるのは、コポリマーシリコーンを除く、非分割のまたは分割されたコーティング無しの熱可塑性エラストマーで作製された鞍型の楕円形のリングを含む膣内リング器具であって、前記リングが、湾曲するかもしくは平坦な、非再吸収性の金属バリア、ポリマーバリア、金属とポリマーとの組み合わせバリア、または有孔フィルムで作製されたバリアを取り囲み、バリアがリングに取り付けられ、金属バリアおよびポリマーバリアならびに前記有孔フィルムが任意に有効成分を含む、膣内リング器具であり、前記バリアまたは有孔フィルムは、子宮分泌物の通過を可能にするために完全には閉塞しない。
【0029】
別の実施態様において、本明細書には、コポリマーシリコーンを除く、非分割でコーティング無しの熱可塑性エラストマーで作製された鞍型の楕円形リングを含むIVR器具が開示され、前記リングが1種以上の非ホルモン性精子抑制剤を含み、かつリングが、このリングに取り付けられた湾曲した非再吸収性ポリマーバリアを取り囲み、かつ子宮頸部を覆う。
【0030】
本開示の別の実施形態において、本明細書に開示されるのは、コポリマーシリコーンを除く、非分割のまたは分割されたコーティング無しの熱可塑性エラストマーで作製された鞍型の楕円形リングである膣内リング器具である。鞍型膣内リングは、1種以上の非ホルモン性精子抑制剤またはホルモン性避妊薬を含み、かつ鞍型楕円形リングは、湾曲した非再吸収性金属バリア、ポリマーバリア、金属とポリマーとの組み合わせバリア、または有孔フィルムで作製されたバリアを取り囲み、バリアはリングに取り付けられ、かつ子宮分泌物の通過を可能にするために完全には閉塞しない。
【0031】
いくつかの実施形態において、鞍型楕円形リングの熱可塑性エラストマーは、スチレンブタジエンブロック共重合体、エチレン酢酸ビニル共重合体、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリ(ブチルメタクリレート)、ポリ(ビニルクロライド)、ナイロン、ソフトナイロン、ポリ(エチレンテレフタレート)(PET)、ポリ(エチレン)、ポリ(アクリロニトリル)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、ポリ(エチレンビニルエステル)、ポリ(エチレン-酢酸ビニル)、ポリ(塩化ビニル-フマル酸ジエチル)、アクリルおよびメタクリルのエステルの重合体、ポリ(アミド)、ポリ(ビニルクロライド)、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、ポリ(ウレタン)、ポリプロピレンまたは他のポリ(オレフィン)の1種以上からなる群から選択される。
【0032】
いくつかの実施形態では、鞍型楕円リングIVR器具用のコーティング無しの熱可塑性エラストマーは、エチレン酢酸ビニル共重合体、ポリウレタン、またはPETのうちの1種以上から選択される。
【0033】
いくつかの実施形態では、鞍型楕円リングIVR器具は、ポリオレフィン、ナイロン、および/または絹のうちの1種以上から構成されるポリマーバリアメッシュを有する。いくつかの実施形態では、ポリオレフィンはポリプロピレンまたはポリエチレンである。いくつかの実施形態において、ポリマーバリアメッシュは、モノフィラメントまたはマルチフィラメントポリマーである。鞍型楕円リングIVR器具のいくつかの実施形態では、ポリマーバリアまたはメッシュは、有効成分として1種以上の精子抑制性金属および/または金属塩を含む。いくつかの実施形態において、金属塩は、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、硫酸第一鉄、グルコン酸第一鉄、鉄アミノ酸キレート、硫酸銅、グルコン酸銅、亜硝酸銀、銅アミノ酸キレート、および酸化銅のうちの1種以上から選択される。
【0034】
いくつかの実施形態では、金属塩の使用により、膣内イオン濃度は1日当たり約0.5から約20μMの範囲となる。いくつかの実施形態では、精子抑制性金属および/または金属塩はリングの一部である。他の実施形態では、金属および/または金属塩はバリアまたはメッシュの一部である。いくつかの実施形態では、金属イオン放出は、精子抑制剤および抗菌剤の両方として作用し得る。
【0035】
いくつかの実施形態において、鞍型楕円リング膣内器具は、アルミニウム、銅、ステンレス鋼、チタン、ニッケル、ニッケルチタン、および貴金属、例えば、限定されないが、金、銀、白金またはパラジウムのうちの1種以上を含む金属バリアを有する。いくつかの実施形態において、金属バリアが銅または銀で構成される場合、金属バリアは精子抑制効果を有する。いくつかの実施形態において、金属バリアは、モノフィラメントまたはマルチフィラメントポリマーである。
【0036】
いくつかの実施形態では、鞍型楕円リング膣内器具は、2つ以上の部分を含む。
【0037】
別の実施形態では、本明細書に開示の鞍型楕円形リング膣内器具は、金属とポリマーとの組合せであるバリアを有し、組合せバリアはリングに取り付けられる。いくつかの実施形態では、金属および/またはポリマーは、モノフィラメントまたはマルチフィラメントであり得る。いくつかの実施形態において、ポリマーバリア部分は、ポリオレフィン、ナイロン、および/または絹のうち1種以上を含む。他の実施形態において、ポリオレフィンは、ポリプロピレンまたはポリエチレンである。いくつかの実施形態において、バリアの金属部分は、アルミニウム、銅、ステンレス鋼、チタン、ニッケル、ニッケルチタン、金、銀、白金、またはパラジウムのうちの1種以上を含む。いくつかの実施形態において、バリアの金属部分および/またはポリマー部分は、有効成分として1種以上の精子抑制性金属および/または金属塩を含む。いくつかの実施形態において、金属塩は、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、硫酸第一鉄、グルコン酸第一鉄、鉄アミノ酸キレート、硫酸銅、グルコン酸銅、亜硝酸銀、銅アミノ酸キレート、および酸化銅のうちの1種以上から選択される。
【0038】
また、本明細書では、バリアが有孔フィルムである鞍型楕円リングIVR器具も開示する。いくつかの実施形態では、有孔フィルムは、オフセットされた複数の層を含む。いくつかの実施形態では、有孔フィルムは、1,2-ポリブタジエン、エチレン酢酸ビニル、ポリエチレン、シリコーンゲル、またはポリウレタンなどのポリマーで作製される。
【0039】
いくつかの実施形態において、本明細書に開示の鞍型楕円リングIVR器具はまた、アスコルビン酸を含む。いくつかの実施形態では、アスコルビン酸はリングの一部である。他の実施形態では、アスコルビン酸は、金属バリア、ポリマーバリア、金属とポリマーとの組み合わせバリア、または有孔フィルムバリアなどのバリアの一部である。
【0040】
いくつかの実施形態において、本明細書に開示の鞍型、楕円リングIVR器具、ポリマー、金属、金属/ポリマーの組み合わせ、または有孔フィルムバリアは、約100から150μm、80μmから約150μm、または約80μmから約130μm、または約80μmから約90μm、または約80μmから約100μm、または約80μmから約110μm、または約80μmから約120μmの範囲の大きさの孔を有する。
【0041】
いくつかの実施形態では、鞍型楕円リングIVR器具は、挿入後のリングの取り外しを補助する取り外しタブ、ひも、タグ、または同様の構造物を有する。いくつかの実施形態では、取り外しタブは、長さが約10mmから約20mmの直径を有し、外側リング構造に一体化される。いくつかの実施形態では、タブはリングの一部であり、かつタグはバリアの一部である。いくつかの実施形態では、タブはリングと同じ材料から作製され、かつタグはバリアと同じ材料から作製される。いくつかの実施形態では、ひもはバリアに一体化され、膣内リングから約30mm遠位側に延びる。
【0042】
いくつかの実施形態では、鞍型楕円リングIVR器具は、妊娠を防止し、かつ/または細菌感染、真菌感染、および/もしくはウイルス感染を治療または予防するための有効物質を有する。いくつかの実施形態では、有効物質は、非ホルモン性避妊薬またはホルモン性避妊薬であり、抗ウイルス剤は、1以上の性感染症を治療または予防するために使用される。いくつかの実施形態において、抗ウイルス剤は、テノホビル、アタンザナビル、ダルナビル、ホスアンプレナビル、インジナビル、ロピナビル、ネルフィナビル、リトナビル、サキナビル、チプラナビル、エファビレンツ、またはネルフィナビルのうちの1つ以上である。いくつかの実施形態において、ホルモン性避妊薬は、デソゲストレル、ドロスピレノン、エチニルエストラジオール、レボノルゲストレル、酢酸メドロキシプロゲステロン、ノレルゲストロミン、ノルエチンドロン、ノルゲスチメート、またはノルゲストレルのうちの1つ以上である。いくつかの実施形態では、膣内リングは、図7に示すように、熱可塑性エラストマーの一部としてディスクリートなリザーバに含まれる有効成分および/またはポリマーで連続的に被覆された有効成分を含む。
【0043】
いくつかの実施形態では、両方のリングともに非ホルモン性精子抑制剤およびもしあればアスコルビン酸を等しい量および組成で含有する場合、鞍型の楕円形リング膣内器具は、コポリマーシリコーンマトリックスで作製された膣内リングと比較して、模擬膣液または水の吸収量が少ない。
【0044】
いくつかの実施形態において、両方のリングが等価な量および組成の非ホルモン性精子抑制剤を含む場合、鞍型楕円形リング膣内器具の模擬膣液吸収量は、コポリマーシリコーンマトリックスで作製された膣内リングと比較して、約95%、90%、85%、80%、70%、60%、50%、40%、30%、20%、10%、5%、4%、3%、2%または1%少ない。
【0045】
いくつかの実施形態において、両方のリングが等価な量および組成の非ホルモン性精子抑制剤を含む場合に、鞍型楕円形リング膣内器具の吸水量は、コポリマーシリコーンマトリックスで作製された膣内リングと比較して、約1%から95%または約1%から95%の間の任意の範囲で少ない。
【図面の簡単な説明】
【0046】
以下の図面は、本明細書の一部を構成し、本開示の特定の態様をさらに示すために含まれる。本開示は、本明細書に提示される特定の実施形態の詳細な説明と組み合わせて、これらの図面の1つ以上を参照することにより、よりよく理解され得る。
【0047】
図面は、本開示の態様および実施形態の例示的な態様を示す。しかしながら、他の実施形態によっても同様の結果を得ることができるので、本発明の範囲は、例示のみを目的とするこれらの図面に開示された特定の実施形態に限定されない。
【0048】
図1】湾曲したポリマーバリアおよび平坦な円形リングを有する本開示の膣内リング器具の斜視図である。
【0049】
図2】リングの丸みを付けたまたは湾曲した断面も示す、図1の膣内リング器具の側面図である。
【0050】
図3】鞍型リングおよび湾曲ポリマーバリアを有する本開示の膣内リング器具の斜視図である。
【0051】
図4】鞍型リングの丸みを付けたまたは湾曲した断面も示す、図3の膣内リング器具の側面図である。
【0052】
図5】分割されたリング、湾曲したポリマーバリアおよび取り外しタップを有する本開示の膣内リング器具の斜視図である。
【0053】
図6】リングの丸みを付けたまたは湾曲した断面も示す、図5の膣内器具の側面図である。
【0054】
図7】薬剤含有リザーバが様々な構成でリング本体に形成された膣内器具のリング部分の平面図および断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0055】
本明細書に開示されるのは、膣内リング(IVR)装置である。いくつかの実施形態において、膣内リング器具は、コポリマーシリコーンを除く、非分割のまたは分割された無被覆熱可塑性エラストマーで作製された平坦な、円形または楕円形のリングを含む。リングは、リングに取り付けられた湾曲した非再吸収性ポリマーバリア、金属バリア、金属とポリマーとの組み合わせバリア、または有孔フィルムバリアを取り囲み、かつ子宮頸部を覆う。
【0056】
他の実施形態では、本明細書で開示するIVR器具は、非分割のまたは分割されたコーティング無しの熱可塑性エラストマーで作製された鞍型の楕円形リングである。リングは、リングに取り付けられる湾曲した非再吸収性ポリマーバリア、金属バリア、金属とポリマーとの組み合わせバリア、または有孔フィルムバリアを取り囲み、かつ子宮頸部を覆う。
【0057】
いくつかの実施形態では、本明細書に本開示のIVR器具は、子宮分泌物の通過を可能にするために完全には閉塞しないバリアを有する。
【0058】
本明細書で使用される熱可塑性エラストマーは、熱可塑性及びエラストマー特性を有するコポリマーまたはポリマーの混合物であり、シリコーンポリマーを除く。
【0059】
本明細書で開示するIVR器具に適した熱可塑性ポリマーには、ポリマーの特徴である温度範囲、すなわち結晶融解温度またはガラス転移温度の範囲で加熱すれば軟化しかつ冷却にすれば硬化することが可能であり、軟化した状態で、成形または押出によるシステムへ流すことにより成型することが可能なポリマーおよびコポリマーが含まれる。本件の目的に適した熱可塑性ポリマーは、非ホルモン性精子抑制剤、アスコルビン酸、抗菌剤、抗真菌剤に対して透過性であり、対象への挿入時に少量の膣液を吸収する。
【0060】
本開示のIVR器具の作製に使用可能な熱可塑性ポリマーには、これらに限定するわけではないが、例として、エチレン酢酸ビニル共重合体、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリ(ブチルメタクリレート)、ポリ(塩化ビニル)、ナイロン、ソフトナイロン、ポリ(エチレンテレフタレート)(PET)、ポリ(エチレン)、PCTFE(ポリクロロトリフルオロエチレン)、ポリ(エチレンビニルエステル)、ポリ(エチレン-酢酸ビニル)、ポリ(塩化ビニル-フマル酸ジエチル)、アクリルおよびメタクリルのエステルの重合体、ポリ(アミド)、ポリ(塩化ビニル)、ポリ(ウレタン)、ポリプロピレン、およびその他のポリ(オレフィン)等が挙げられる。これらのポリマーおよびその物理的性質は当業者には公知であり、かつEncyclopedia of Polymer Science and Technology, Vol.15, 508頁から530頁, 1971年、Interscience Publishers, Inc., New York発行、Polymers, Vol.17, 938頁から956頁, 1976年、およびTechnical Bulletin SCR-159, 1965年, Shell Corp.発行ならびにこれらの文献に引用の文献に開示される手順により合成することが可能である。
【0061】
いくつかの実施形態では、本開示のIVR器具のリングは、1種以上の精子抑制性金属および/または金属塩を含む。塩は、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、硫酸第一鉄、グルコン酸第一鉄、鉄アミノ酸キレート、硫酸銅、グルコン酸銅、亜硝酸銀、銅アミノ酸キレート、および酸化銅のうちの1つ以上から選択することができる。
【0062】
いくつかの実施形態においては、本明細書に開示の膣内器具のバリアは、金属、ポリオレフィン、ナイロン、および/または絹のうちの1つ以上から構成されるメッシュである。いくつかの実施形態では、金属は、銅や銀などのフィラメントをメッシュ/バリアに組み込むことによって、精子抑制効果および/または抗菌効果を有する。アルミニウム、ステンレス鋼、チタン、ニッケル、ニッケルチタンならびにこれらに限定するわけではないが、金、プラチナ、およびパラジウムのような貴金属等の他の金属は、バリアの機械的強度に関して有用である。いくつかの実施形態では、金属メッシュはまた、精子抑制効果のための鉄イオンを提供するための鉄塩等1種以上の金属塩を含む。いくつかの実施形態において、ポリオレフィンはポリプロピレンまたはポリエチレンである。いくつかの実施形態において、ポリマーバリアまたは金属バリアは、モノフィラメントまたはマルチフィラメントである。いくつかの実施形態において、ポリマーバリアメッシュおよび/または金属バリアメッシュは、約100から150μmの範囲の大きさの孔を有する。いくつかの実施形態において、ポリマーバリアメッシュまたは金属バリアメッシュは、約80μmから約150μm、または約80μmから約130μm、または約80μmから約90μm、または約80μmから約100μm、または約80μmから約110μm、または約80μmから約120μmの範囲の大きさの細孔を有する。
【0063】
他の実施形態では、バリアは、有孔層がオフセットされた複数の層で作ることができる有孔フィルムで作製される。いくつかの実施形態において、フィルムは、こられに限定するわけではないが、1,2-ポリブタジエン、エチレン酢酸ビニル、ポリエチレン、シリコーンゲル、ポリウレタンなどのポリマーで作ることができる。いくつかの実施形態において、金属フィラメントおよび/または金属塩は、少なくとも最も外側の有孔層に組み込まれる。いくつかの実施形態では、有孔フィルムは、約80μmから約150μm、または約80μmから約130μm、または約80μmから約90μm、または約80μmから約100μm、または約80μmから約110μm、または約80μmから約120μmの範囲の大きさの孔を有する。
【0064】
ポリマーメッシュ、金属メッシュまたは有孔フィルムの孔径は、顕微鏡で測定することができる。
【0065】
本開示のIVR器具の一実施形態において、膣内リングは、意図しない妊娠の回避、HIVおよび他の性感染症感染の予防を組み合わせた多目的予防技術(MPT)を使用することができる。いくつかの実施形態では、膣内リングは1つ以上の部分を含むことができ、各部分が別個の有効成分を含み、たとえばそれらの成分は、テノホビル、ダピビリン、アタンザナビル、ダルナビル、ホス/アムプレナビル、インジナビル、ロピナビル、ネルフィナビル、リトナビル、サキナビル、チプラナビル、エファビレンツ、カボテグラビルまたはネルフィナビル等の抗ウイルス剤やまたは例えば本明細書に記載されるような金属塩等の非ホルモン性避妊薬、またはセゲステロン、デソゲストレル、ドロスピレノン、エチニルエストラジオール、レボノルゲストレル、酢酸メドロキシプロゲステロン、ノルエルゲストロミン、ノルエチンドロン、ノルゲスチメート、またはノルゲストレル等のホルモン性避妊薬である。いくつかの実施形態において、抗ウイルス剤の濃度によれば、1日当たり約0.1から約10mgの範囲の用量となる。いくつかの実施形態において、ホルモン剤の濃度によれば、1日当たり約0.01から約2mgの範囲の用量となる。
【0066】
MPTのいくつかの実施形態において、非ホルモン剤は、メッシュ材料への組み込みまたは非ホルモン剤のバリアメッシュへの噴霧によるなど、バリアメッシュ中またはバリアメッシュ上に含有される。別の実施形態では、バリアメッシュは、非ホルモン性金属塩の代わりに低用量のホルモン性避妊薬を含有する。別の実施形態では、バリアメッシュは、非ホルモン性避妊薬と低用量のホルモン性避妊薬の両方を含有する。
【0067】
本明細書に開示のIVRのいくつかの実施形態では、有効成分(API)をポリマーリング内の予備成形したリザーバに入れることができ、任意選択で、これらに限定されるわけではないが、成形、接着、溶着などの当該技術分野で公知の技術を用いて、追加のポリマー構造物で覆い密封することができる)。
【0068】
いくつかの実施形態では、抗ウイルス剤、抗菌剤および/または抗真菌剤は、IVR器具のリング部分に存在する。他の実施形態では、抗ウイルス剤、抗菌剤および/または抗真菌剤は、IVR器具のバリアのみに存在する。いくつかの実施形態では、抗ウイルス剤、抗菌剤および/または抗真菌剤は、IVR器具のバリアおよび/またはリングに存在する。
【0069】
いくつかの実施形態では、IVR器具は、コポリマーシリコーンマトリックスから作製された膣内リング器具と比較して、器具を使用する対象から膣液をそれほど吸収しない。
【0070】
本開示のIVR器具が、ポリシリコーン製の膣リングと比較して、膣液または水をより少なく吸収する能力は、水または模擬膣液などの流体を使用してin vitro(生体内)で試験することができる。実施例6は、IVR器具による模擬膣液の吸収を試験する方法を提供する。
【0071】
いくつかの実施形態において、本明細書に開示のIVR器具は、約14日から約3ヶ月の期間対象において使用された場合、または使用前に湿度の影響を受けやすい包装で保管された場合に、コポリマーシリコーンマトリックスから作製された膣内リング器具よりも歪みが少ない。従って、本開示のリングは、コポリマーシリコーンマトリックスから作製された膣内リング器具よりも長くその形状を維持し、その結果、本開示の器具を使用する対象において、より優れたフィット性、性能および快適性が得られる。
【0072】
いくつかの実施形態では、IVRはアスコルビン酸を含む。
【0073】
いくつかの実施形態において、IVR器具は、少なくとも14日間を超えて使用することができる。
【0074】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示の膣内リング器具は、対象において非再吸収性である。
【0075】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示の装置は、約30日から約31日間、または約1ヶ月から約3ヶ月間使用することができる。いくつかの実施形態では、本明細書に開示の装置は、月経周期の間に取り外し、洗浄し、複数回の月経周期の後に再使用することができる。
【0076】
実施例4は、精子抑制バリアを有する、本明細書に開示されるようなIVR器具を製造する1つの実施形態を記載する。実施例4はまた、3D編み機を使用したバリアメッシュの作製についても説明する。
【0077】
実施例5は、リングが有効物質を含有し、バリアメッシュが精子抑制バリアを含有するIVR器具を作製する一実施形態を説明する。
【0078】
本発明のより完全な理解を容易にするために、以下にいくつかの実施例を示す。以下の実施例は、本発明の製造および実施の例示的態様を示す。しかしながら、同様の結果を得るため別の方法を利用することができるため、本発明の範囲は、例示のみを目的とするこれらの実施例に開示された特定の実施形態に限定されるものではない。
【実施例
【0079】
実施例1 平坦なリング
図1に示すリング器具のバリアメッシュは、ポリ(プロピレン)、ナイロン、またはポリ(エチレン)のマルチフィラメントまたはモノフィラメントを押し出し、3D編み機と縦編みパターンを使用して球状キャップ形状を作成することによって作製される。球状キャップ形状の外径寸法は約50mm(ミリメートル)で、高さは約15mmである。
【0080】
あるいは、セリシンを含まない絹フィブロインのマルチフィラメントまたはモノフィラメントを、3D編み機と縦編みパターンを用いて編むことにより、球の部分が平面ではなく鞍で切り取られた球状のキャップ型形状を作り出す(図3)。この球状キャップ形状は、外寸が約50mm(ミリメートル)、高さが約15mmである。
【0081】
図1に示す膣内避妊リング器具は、ポリ(エチル-コ-酢酸ビニル)(EVA)、約500(ミリグラム)mgのグルコン酸第一鉄および約400mgのアスコルビン酸を用いて調製され、これらはシンチレーションバイアル中で、ジクロロメタンなどの非極性溶媒約10mLに一緒に溶解される。次に、この溶液に約4000mgのEVAを加え、ロータリーシェーカーを用いてEVA/薬剤組成物を混合することにより、ポリマー混合物を調製する。得られた混合物を、溶媒にエタノールを用いてドライアイス中で溶媒キャストする。溶媒を一晩蒸発させ、乾燥したEVA/薬剤混合物を粉砕して粉末にする。EVA/薬剤粉末を射出成形機に入れる。射出成形機を約80℃に加熱する。バリアメッシュをインサート成形固定具を使ってステンレス製金型に保持し、その後、溶融したEVA/薬剤組成物をステンレス製金型に押し出し、外径約55mm、断面約4mmの完成品を作る。
【0082】
あるいは、図1に示す膣内避妊リング器具を、リング材料としてポリウレタンまたはポリエチレンテレフタレートを使用し、精子抑制剤としてグルコン酸銅とアスコルビン酸を使用して、上述と同様のプロセスで作製する。
実施例2 サドルリング
【0083】
図3に示すリング器具のバリアメッシュは、ポリ(プロピレン)、ナイロン、またはポリ(エチレン)のマルチフィラメントまたはモノフィラメントを押し出し、3D編み機と縦編みパターンを使用して、球体の一部が平面ではなく鞍型に切断された球状キャップ型形状を作成することによって作製される(図3)。この球状キャップ形状は、外寸が約50mm(ミリメートル)、高さが約15mmである。
【0084】
あるいは、セリシンを含まない絹フィブロインのマルチフィラメントまたはモノフィラメントを、3D編み機と縦編みパターンを用いて編むことにより、球体の部分が平面ではなく鞍型に切り取られた球状キャップ型形状を形成する(図3)。この球状キャップ形状は、外寸が約50mm(ミリメートル)、高さが約15mmである。
実施例3 取り外しタブ付き平坦なリング
【0085】
リング器具のバリアメッシュは、上記実施例1のプロセスを用いて作製される。
【0086】
図5に示す膣内避妊リング器具は、ポリ(エチル-コ-ビニルアセテート)(EVA)を用いて調製される。約250(ミリグラム)mgのグルコン酸第一鉄を、シンチレーションバイアル中のジクロロメタンなどの非極性溶媒約5mLに溶解する。次に、約2000mgのEVAを溶液に添加し、ロータリーシェーカーを用いてEVA/薬剤組成物を混合することにより、重合体混合物を調製する。
【0087】
EVA/アスコルビン酸の半円を上記のプロセスで調製する。次いで、2つの半円を溶着して、外径約55mmの半円形の断面形状を有する完全な円にする。
【0088】
次に、EVAを射出成形装置に入れる。型は、外径約55mmの円形で、円の片側から突出した取り外しタブがあり、半円断面直径は約4mmである。インジェクターは約80℃に加熱され、溶融したEVA/グルコン酸鉄がステンレス製の金型に押し出される。その後、2つのリングの半分をバリアメッシュを真ん中にして溶接し、完成品とする。
【0089】
あるいは、図5に示す膣内避妊リング器具は、リングの材料としてポリウレタン、またはポリエチレンテレフタレートを使用し、精子抑制剤としてグルコン酸銅とアスコルビン酸を使用して、上述と同様の工程で作製される。
実施例4 精子抑制バリアを有するIVRリング器具
【0090】
この膣内リング器具は、EVAポリマーを用い、実施例1と同様の射出成形法で製造されるが、成形前のポリマー混合物には薬物や精子抑制剤は組み込まない。
【0091】
リング器具のバリアメッシュは、ポリ(プロピレン)、ナイロン、またはポリ(エチレン)のマルチフィラメントまたはモノフィラメント、ならびに銅または銀のマルチフィラメントまたはモノフィラメントを押し出し、3D編み機と縦編みパターンを使用して、ポリマーと金属フィラメントを一つの一体化された構造物にした球状キャップ形状を作成することによって作製される。球状キャップ形状の外径は、約50mm(ミリメートル)で、高さは約15mmである。
【0092】
あるいは、リング器具のバリアメッシュは、金属塩(例えばグルコン酸銅)と適当なポリマーを実施例1に記載の方法と同様の方法で組み合わせ、複合金属塩/ポリマーフィラメントのマルチフィラメントまたはモノフィラメントを押し出し、3D編み機と縦編みパターンを使用して、精子抑制剤を含む球状キャップ形状を作成することによって作製される。
実施例5 有効物質と精子抑制バリアを有するIVRリング器具
【0093】
図1に示す膣内避妊リング器具は、乾燥粉末形態のポリ(エチル-コ-ビニルアセテート)(EVA)約2200gと有効物質(例えばカボテグラビル)約800gをブレンドすることにより作製される。ポリマー/薬剤粉末プレミックスをスクリュー押出機に入れ、薬剤を充填したポリマーペレットを製造する。押出機の運転速度は約4m/分、溶融温度は約85℃、かつ溶融圧力は約35barである。EVA/薬剤ペレットは射出成形装置に入れられる。インジェクタは約80℃に加熱される。バリアメッシュはインサート成形固定具を使用してステンレス製金型に保持され、溶融したEVA/薬剤組成物はステンレス製金型に押し出され、外径約55mm、断面約4mmの完成品が作製される。
【0094】
リング器具のバリアメッシュは、ポリ(プロピレン)、ナイロン、またはポリ(エチレン)のマルチフィラメントまたはモノフィラメント、ならびに銅または銀のマルチフィラメントまたはモノフィラメントを押し出し、3D編み機と縦編みパターンを使用して、ポリマーと金属フィラメントを一つの一体かされた構造物にした球状キャップ形状を作成することによって作製される。球状キャップ形状の外径は約50mm(ミリメートル)で、高さは約15mmである。
【0095】
あるいは、リング器具のバリアメッシュは、金属塩(例えばグルコン酸銅)と適当なポリマーを実施例1に記載の方法と同様の方法で組み合わせ、複合金属塩/ポリマーフィラメントのマルチフィラメントまたはモノフィラメントを押し出し、3D編み機と縦編みパターンを使用して、精子抑制剤を含む球状キャップ形状を作成することによって作製される。
実施例6 合成膣液の吸収の測定
【0096】
本開示のIVR器具を化学天秤で重量を測定する。次いで、約100mLの模擬膣液(SVF)中に37℃で14から35日間浸漬する。模擬膣液の作り方については、例えば、Rastogi R.他、(2016)、Engineering and Characterization of Simplified Vaginal and Seminal Fluid Simulants、Contraception、2016、93(4)、337頁から346頁を参照されたい。その後、リングを模擬膣液から取り出し、キムワイプで拭き取り、再度重量を測定する。その後、リングを真空オーブンに入れ、吸収した水分を取り除く。リングを真空オーブン内に歩保持し、一定の重量になるまで乾燥させる。その最終乾燥重量を記録する。
【0097】
同じ工程を比較リングでも行う。吸水量は、乾燥リング重量から湿潤リング重量を減算することで定量化し、1リングあたりの吸水重量を求める。比較リングに吸収された水の重量を、比較リングに吸収された水の重量で割って、吸水量の減少率を定量化する。
【0098】
本明細書に記載された実施例および実施形態は、例示を目的としたものであり、当業者に示唆される様々な修正または変更は、本願の精神および範囲、ならびに添付の特許請求の範囲に含まれるものとする。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【国際調査報告】