(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-24
(54)【発明の名称】密着性と保水性に優れるマスクパック用不織布及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
D06M 11/00 20060101AFI20240517BHJP
D06M 11/38 20060101ALI20240517BHJP
A41D 13/11 20060101ALI20240517BHJP
【FI】
D06M11/00 110
D06M11/38
A41D13/11 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023572553
(86)(22)【出願日】2022-05-10
(85)【翻訳文提出日】2023-11-21
(86)【国際出願番号】 KR2022006699
(87)【国際公開番号】W WO2022245038
(87)【国際公開日】2022-11-24
(31)【優先権主張番号】10-2021-0065482
(32)【優先日】2021-05-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523440721
【氏名又は名称】セル バイオ ヒューマン テック カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】CELL BIO HUMAN TECH CO., LTD
【住所又は居所原語表記】417, Haean-ro, Danwon-gu Ansan-si Gyeonggi-do 15614 Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100121821
【氏名又は名称】山田 強
(72)【発明者】
【氏名】イ クォン-ソン
(72)【発明者】
【氏名】チェ ブ-キ
(72)【発明者】
【氏名】キム キョン-ハク
(72)【発明者】
【氏名】イ ウン-ギョン
【テーマコード(参考)】
3B211
4L031
【Fターム(参考)】
3B211CC00
3B211CD02
3B211CE02
4L031AA02
4L031AB34
4L031BA11
4L031CA01
4L031DA05
4L031DA08
(57)【要約】
【課題】本発明は、セルロース不織布にアルカリ溶液を単独、または前記アルカリ溶液と改質用添加剤を併用して吸収処理した後、熟成させることによって、密着性と保水性に優れるマスクパック用不織布及びその製造方法について開示する。
【解決手段】本発明によるマスクパック用不織布は、表面改質されたセルロース不織布を含み、上記表面改質されたセルロース不織布は、水に浸漬して測定される密着力(d
2/d
1)が1.58以下であり、水分測定器(Corneometer CM825)で測定される保水性が30%以上であり、ここで、上記保水性は、水分を吸収する量であり、d
1は、マスクパック用不織布の上端部分を固定するクリップの間隔であり、d
2は、マスクパック用不織布の中間部分と下端部分との平均幅長さである。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面改質されたセルロース不織布を含み、
前記表面改質されたセルロース不織布は、
水に浸漬して測定される密着力(d
2/d
1)が1.58以下であり、
水分測定器(Corneometer CM825)で測定される保水性が30%以上であり、
ここで、前記保水性は、水分を吸収する量であり、d
1は、マスクパック用不織布の上端部分を固定するクリップの間隔であり、d
2は、マスクパック用不織布の中間部分と下端部分との平均幅長さである、
マスクパック用不織布。
【請求項2】
表面改質前のセルロース不織布の保水性に対し、前記表面改質されたセルロース不織布の保水性の変化率は、40%以上である、請求項1に記載のマスクパック用不織布。
【請求項3】
セルロース不織布にアルカリ溶液を単独で、または前記アルカリ溶液と改質用添加剤とを併用して吸収処理した後、熟成するステップを含み、
保水性の変化率が40%以上であり、密着性の変化率が20%以上である、マスクパック用不織布の製造方法。
【請求項4】
(a)セルロース不織布にアルカリ溶液を単独で、または前記アルカリ溶液と改質用添加剤とを併用して吸収処理するステップと、
(b)前記吸収処理されたセルロース不織布を熟成させて、セルロース不織布を表面改質するステップと、
(c)前記表面改質したセルロース不織布を中和するステップと、
(d)前記中和したセルロース不織布を乾燥して、マスクパック用不織布を製造するステップと、
を含む、マスクパック用不織布の製造方法。
【請求項5】
前記吸収処理は、
前記セルロース不織布を、アルカリ溶液を単独で、または前記アルカリ溶液と改質用添加剤とを併用したものに浸漬させるか、セルロース不織布にアルカリ溶液を単独で、または前記アルカリ溶液と改質用添加剤とを併用したものを噴射して行われる、請求項3または4に記載のマスクパック用不織布の製造方法。
【請求項6】
前記セルロース不織布は、一方向性または両方向性を有し、20~100g/m
2の重量を有する、請求項3または4に記載のマスクパック用不織布の製造方法。
【請求項7】
前記アルカリ溶液の濃度が5~40%である、請求項3または4に記載のマスクパック用不織布の製造方法。
【請求項8】
前記熟成は、-10~100℃で1~100分間行われる、請求項3または4に記載のマスクパック用不織布の製造方法。
【請求項9】
前記(a)ステップ~(c)ステップにおいて、各々のステップの後に圧搾処理する、請求項4に記載のマスクパック用不織布の製造方法。
【請求項10】
前記(a)ステップにおけるセルロース不織布の保水性に対し、前記(b)ステップにおける表面改質後のセルロース不織布の保水性の変化率が40%以上になるように表面改質する、請求項4に記載のマスクパック用不織布の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルカリを用いた改質反応によって密着性と保水性が向上したマスクパック用不織布の製造技術に関する。
【背景技術】
【0002】
マスクパック用として使用される不織布は、高圧水を噴射して製造するスパンレース(Spunlace)方法で製造される。スパンレース方法で製造された不織布は通常、表裏、左右を区分することが困難であり、製造工程に応じて一方向性不織布と両方向性不織布とを区分することができる。
【0003】
一方向性不織布は、機械と同一方向である機械方向(Mechanical Direct)に強度が与えられるため、機械方向への弛みがないものの、垂直方向(Cross Direct)に弛むという短所がある。
【0004】
一方向性不織布をマスクパック用シートに使用すると、密着性には優れるものの、垂直方向に弛む性質から、模様が歪み、マスクパック用としては使用時に問題になる。また、マスクパック用シートは、皮膚に密着するとともに、使用中にサイズが縮まりながら皮膚を引き上げて引き締める特性が要求されるため、弛みは非常に大きな短所であると言える。
【0005】
かかる一方向性不織布の短所をより補完したものが両方向性不織布である。
【0006】
両方向性不織布は、機械方向と垂直方向の両方に強度が付与されるため、弛みが減少し、模様が歪まないという長所がある。しかし、両方向性不織布は、両方に強度が付与されることから、強度の増加により密着性が低いという短所を有している。
【0007】
マスクパック用不織布としては、セルロース系または合成繊維系不織布が用いられている。合成繊維系マスクパック用不織布には、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリナイロン不織布がある。セルロース系マスクパック用不織布には、レーヨン(rayon)、リヨセル(Lyocell)、純綿(Cotton)などがある。
【0008】
合成繊維系不織布をマスクパックシートとして使用する場合、合成繊維の短所である疎水性により保水性が低く、皮膚に対する密着性が低いため、保湿、鎮静、弾力に相当するエッセンスの機能性有効成分を皮膚へ伝達する能力が低いという短所がある。
【0009】
セルロース繊維は、自然に由来する綿繊維と同じ化学的構造体を有する、環境にやさしい高分子であって、セルロース単位体分子が多数集まって繊維を構成する。セルロース繊維は、結晶領域と非結晶領域とからなっており、水に浸すと、液体が非結晶領域に染み込んで膨潤する。かかる性質から、セルロース繊維を用いたマスクパックシートは、皮膚に対する密着性と保水性に優れることが知られている。
【0010】
これらのマスクパック用不織布は、重量が低いほどエッセンス吸収量が少なく、皮膚に対する付着性は良いものの、弛みやすいことが知られている。逆に、マスクパック用不織布は、重量が高いほどエッセンス吸収量が多く、皮膚リフティング効果は良い反面、密着性が良くないという短所がある。これによって、マスクパック用不織布が使用されるとき、密着性を高めるためにマスクパックのエッセンスの粘度を高めなければならないという問題がある。
【0011】
したがって、エッセンスの粘度に関わらず、密着性だけでなく、保水性にも優れるマスクパック専用不織布に関する研究が必要な実情である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の目的は、反応前に対し、密着性の変化率が20%以上であり、保水性の変化率が40%以上の相乗効果を有するマスクパック用不織布を提供することである。
【0013】
本発明の他の目的は、大量生産可能なマスクパック用不織布の製造方法を提供することである。
【0014】
本発明の目的は、以上で言及した目的に限らず、言及していない本発明の他の目的及び長所は、下記の説明によって理解することができ、本発明の実施例によってより明らかに理解することができる。また、本発明の目的及び長所は、特許請求の範囲に示した手段及びその組み合わせによって実現できることが容易に分かるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明によるマスクパック用不織布は、表面改質されたセルロース不織布を含み、前記表面改質されたセルロース不織布は、水に浸漬して測定される密着力(d2/d1)が1.58以下であり、水分測定器(Corneometer CM825)で測定される保水性が30%以上であり、ここで、上記保水性は、水分を吸収する量であり、d1は、マスクパック用不織布の上端部分を固定するクリップの間隔であり、d2は、マスクパック用不織布の中間部分と下端部分との平均幅長さである。
【0016】
本発明によるマスクパック用不織布の製造方法は、セルロース不織布にアルカリ溶液を単独で、または前記アルカリ溶液と改質用添加剤とを併用して吸収処理した後、熟成するステップを含み、保水性の変化率が40%以上であり、密着性の変化率が20%以上である。
【0017】
本発明によるマスクパック用不織布の製造方法は、(a)セルロース不織布にアルカリ溶液を単独、または前記アルカリ溶液と改質用添加剤を併用して吸収処理するステップと、(b)前記吸収処理されたセルロース不織布を熟成して、セルロース不織布を表面改質するステップと、(c)前記表面改質したセルロース不織布を中和するステップと、(d)前記中和したセルロース不織布を乾燥して、マスクパック用不織布を製造するステップと、を含む。
【発明の効果】
【0018】
本発明によるマスクパック用不織布は、セルロース不織布にアルカリ溶液を単独で、またはアルカリ溶液と改質用添加剤とを併用して吸収処理した後、熟成して製造されることによって、優れた密着性と保水性を示すことができる。
【0019】
特に、不織布の種類、アルカリ溶液の濃度、改質用添加剤の種類、及び熟成温度に応じて、膨潤度合い、保水性及び密着性を調節することができる。
【0020】
また、上記マスクパック用不織布は、連続工程で大量生産が可能な効果を提供する。
【0021】
上述した効果と共に本発明の具体的な効果は、以下の発明を実施するための形態を説明しながら併せて記述する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明の連続工程を用いたマスクパック用不織布の製造方法を示すフローチャートである。
【
図2】本発明の実施例1に関する生紙と反応紙を示す写真である。
【
図3】本発明の実施例3に関する生紙と反応紙を示す写真である。
【
図4】本発明の実施例6に関する生紙と反応紙を示す写真である。
【
図5】本発明の比較例1~4に関する生紙を示す写真である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
前述した目的、特徴及び長所は、添付の図面を参照して詳細に後述され、これによって、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者は、本発明の技術思想を容易に実施することができる。本発明の説明にあたり、本発明に係る公知の技術に関する具体的な説明が、本発明の要旨を曖昧にすると判断される場合には、詳細な説明を省略する。以下では、添付の図面を参照して、本発明による好ましい実施例を詳説することとする。図面における同じ参照符号は、同一又は類似の構成要素を示すために使われる。
【0024】
以下では、構成要素の「上部(又は下部)」又は構成要素の「上(又は下)」に任意の構成が配されるということは、任意の構成が、上記構成要素の上面(又は下面)に接して配されるだけでなく、上記構成要素と、上記構成要素上に(又は下に)配された任意の構成との間に他の構成が介在し得ることを意味する。
【0025】
また、ある構成要素が他の構成要素に「連結」、「結合」又は「接続」されると記載されている場合、上記構成要素は、互いに直接に連結されるか又は接続されていてもよいものの、各構成要素の間に他の構成要素が「介在」するか、各構成要素が他の構成要素を介して「連結」、「結合」又は「接続」されていてもよいものと理解されなければならない。
【0026】
以下では、本発明の幾つかの実施例による密着性と保水性に優れるマスクパック用不織布及びその製造方法を説明することとする。
【0027】
本発明によるマスクパック用不織布は、連続工程によってセルロース不織布にアルカリ溶液を単独で、またはアルカリ溶液と改質用添加剤とを併用して吸収処理した後、常温または高温で改質した後、熟成させることによって、改善した密着性と保水性を確保する効果がある。
【0028】
本発明における保水性という用語は、マスクパックを製造するとき、水分とエッセンスを吸収できる能力を示す指標である。保水性は、マスクパック生地の重要な評価方法であるため、これを固有の評価指標として活用した。
【0029】
マスクパック用不織布を水やエッセンス原料に浸してから取り出す場合、生紙によって反応紙が吸収できる量、つまり吸収する量(保水性)が異なる。
【0030】
保水性が良いほど、より多くの水分とエッセンスを吸収してから、吸収した水分とエッセンスを皮膚に伝達することができる。
【0031】
本発明における表面改質前のセルロース不織布は生紙に相当し、表面改質されたセルロース不織布は反応紙に相当する。
【0032】
本発明による連続工程は、原料の反応や操作が連続して行われる方式である。連続工程は、処理時間が短く、薬品の循環によって工程コストが低く、生産効率が高くて、大量生産に好適であるという長所がある。
【0033】
但し、連続工程は、生紙の最初の部分と最後の部分との間に物性差が発生し得、左右の間にも偏差が発生し得るため、品質の均一度を一定にすることが核心技術である。
【0034】
本発明によるマスクパック用不織布の製造方法は、セルロース不織布にアルカリ溶液を単独で、または前記アルカリ溶液と改質用添加剤とを併用して吸収処理した後、熟成するステップを含む。これによって、マスクパック用不織布は、保水性の変化率が40%以上であり、密着性の変化率が20%以上を示す。
【0035】
図1は、本発明の連続工程を用いたマスクパック用不織布の製造方法を示すフローチャートである。
【0036】
図1を参照すると、本発明のマスクパック用不織布の製造方法は、セルロース不織布にアルカリ溶液を単独で、または前記アルカリ溶液と改質用添加剤とを併用して吸収処理するステップ(S210)と、熟成して表面改質するステップ(S220)と、中和するステップ(S230)と、乾燥してマスクパック用不織布を製造するステップ(S240)と、を含む。
【0037】
先ず、セルロース不織布にアルカリ溶液を単独で、または前記アルカリ溶液と改質用添加剤とを併用して吸収処理する。
【0038】
上記吸収処理するステップは、セルロース不織布を、アルカリ溶液を単独で、またはアルカリ溶液と改質用添加剤とを混合したものに浸漬させるか、セルロース不織布にアルカリ溶液を単独で、またはアルカリ溶液と改質用添加剤とを混合したものを噴射して行うことができる。
【0039】
セルロース不織布をアルカリ溶液で吸収処理すると、セルロース不織布内に存在する繊維間の水素結合がアルカリによって解離する。そして、セルロース分子の一部がアルカリと反応して、アルカリ-セルロース型の重合を形成しながら、繊維分子は、より自由に動くようになる。
【0040】
この結果、セルロース不織布の膨潤が発生し、後述する熟成条件によって膨潤度を調節することができる。
【0041】
セルロース不織布は、200~5000の繰り返し単位を有する天然セルロース繊維を指す。繰り返し単位が200未満であると、繊維強度の低下によりシートの形態を維持しにくくなり得る。逆に、繰り返し単位が5000を超えると、アルカリによる水酸化基の解離が弱くなり、表面改質が困難になり得る。
【0042】
不織布としては、再生セルロースを含む不織布を使用することが好ましい。
【0043】
前記再生セルロースを含む不織布は、セルロースエステル、セルロースエーテルなどのセルロース誘導体やアルカリセルロースといったセルロース添加化合物で再生沈積して発生することを意味する。
【0044】
例えば、再生セルロース不織布は、レーヨン(rayon)、リヨセル(Lyocell)、キュプラ、モダール、パルプのうち1種以上を含んでいてもよい。
【0045】
マスクパック用不織布の原料としてセルロース不織布は、一方向性または両方向性を有し、20~100g/m2の重量を有していてもよい。好ましくは、セルロース不織布は、30~90g/m2の重量を有していてもよく、より好ましくは、30~80g/m2の重量を有していてもよい。
【0046】
両方向性不織布は、機械方向と垂直方向にいずれも強度が付与されるため、弛みが減少し、模様が歪まない効果がある。
【0047】
上記セルロース不織布の原料は、20~100g/m2の重量を満たすことによって、アルカリ反応及び改質反応を適宜に行うことができる。
【0048】
セルロース不織布生紙に吸収されるアルカリ溶液は、5~40%の濃度を有していてもよく、好ましくは、10~40%の濃度を有していてもよい。
【0049】
さらに、使用されるアルカリ溶液の濃度によって希釈液の割合が変化する。
【0050】
アルカリ溶液は、水酸化ナトリウム(NaOH)、水酸化カリウム(KOH)、アンモニア水(NH4OH)、トリメチルアンモニウムヒドロキシド(Trimethyl ammonium hydroxide)などの高アルカリを有する化学物質を1種以上配合して使用することができる。
【0051】
このうち、アルカリ溶液としては、水酸化ナトリウムおよび/または水酸化カリウムを使用することが好ましい。これらは、使用における経済的な長所があり、ガス吸入などの問題がなく、環境上取り扱いやすい。
【0052】
上記アルカリ溶液の濃度が5%未満である場合、低いアルカリ度により、要求される表面改質を得にくい。逆に、40%を超えると、セルロース不織布の膨潤度を調節しにくく、保水性や密着性を調節しにくくなることがある。
【0053】
上記セルロース不織布を吸収処理するステップにおいて、アルカリ溶液と改質用添加剤とを併用して投入することができる。
【0054】
または、上記セルロース不織布を吸収処理するステップにおいて、アルカリ溶液を先に投入した後、後述する圧搾処理後に改質用添加剤をさらに投入することができる。
【0055】
上記改質用添加剤は、密着力の向上のために繊維内結合の一部を解離させるか、再配列させるために投入することができる。
【0056】
改質用添加剤は、不織布の表面を改質するための添加剤であって、過酸化水素(Hydrogen Peroxide)、過炭酸ナトリウム(Sodium Percarbonate)、過硫酸ナトリウム(Sodium Persulfate)、過硫酸カリウム(Potassium Persulfate)、過硫酸アムモニウム(Ammonium Persulfate)、亜塩素酸ナトリウム(Sodium Chlorite)、次亜塩素酸ナトリウム(Sodium Hypochlorite)、次亜硫酸ナトリウム(Sodium Hydrosulfite)、チオ硫酸ナトリウム(Sodium Thiosulfate)、及びピロ亜硫酸ナトリウム(Sodium Metabisulfite)のうち1種以上を含んでいてもよい。
【0057】
これらの改質用添加剤は、それぞれ固有の酸化還元電位(Oxidation Reduction Potential)を有し、電位差の大きさによって不織布の改質度合いが異なることから、不織布の物性変化を誘導するようになる。
【0058】
改質用添加剤は、生紙の素材、厚さ、強伸度などの物性を検討して使用することが好ましい。アルカリ溶液と改質用添加剤とを併用して使用すると、より効果的な改質反応が起こる。但し、改質用添加剤の使用量は、最小限に使用されることが好ましい。
【0059】
アルカリ溶液と改質用添加剤の計100重量%に対して、改質用添加剤は、約0.5~20重量%で添加することができる。改質用添加剤は、好ましくは、約1~5重量%で添加し、より好ましくは、1~2重量%で添加することができる。
【0060】
添加量が0.5重量%よりも少ない場合、所望の表面改質効果を得にくい。逆に、20重量%よりも使用しすぎる場合には生紙が脆化することがある。
【0061】
これらの改質用添加剤が最終生産品である不織布に残留する場合、皮膚刺激などの副作用が発生し得る。
【0062】
よって、改質用添加剤は、改質工程にのみ作用しなければならず、後続する工程である中和工程、水洗工程において完全に除去されなければならない。
【0063】
セルロース不織布を吸収処理するステップの後、圧搾処理を行うことができる。
【0064】
圧搾処理は、圧搾することを意味し、不織布内の水分偏差を減らして、不織布の形態均一性のために行うことができる。
【0065】
セルロース不織布は、圧力が調節される2つのローラを通過しながら適宜に圧搾される。圧搾が行われると、セルロース不織布に所望のアルカリ溶液のみ維持され、残量が除去される。
【0066】
このように、圧搾は、セルロース不織布に残存するアルカリ溶液の量を決定する非常に大切な工程である。
【0067】
圧搾は、ローラ間の圧力を調節して、不織布のピックアップ率(%)を決定する。
【0068】
ピックアップ率(%)は、アルカリ溶液が吸収したセルロース不織布の重さを不織布生紙の重さ比で示したものである。
【0069】
すなわち、ピックアップ率(%)は、{(湿潤した不織布重量-生紙重量)/生紙重量}×100%である。
【0070】
セルロース不織布は、ピックアップ率が200~500%となるように圧搾されることが好ましい。より好ましくは、ピックアップ率が200~400%であってもよく、よりさらに好ましくは、ピックアップ率が200~300%であってもよい。
【0071】
ピックアップ率が200%未満であると、セルロース分子の水素結合が解離するのに不十分であり得る。逆に、ピックアップ率が500%を超えると、セルロース分子の水素結合が過度に解離され、薬品の損失とともに不織布の形態を維持しにくくなり得る。
【0072】
次いで、上記セルロース不織布を熟成して、セルロース不織布を表面改質する。
【0073】
圧搾したセルロース不織布は、アルカリ溶液および/または改質用添加剤を適正量に吸収している状態である。
【0074】
セルロース不織布をアルカリ溶液で吸収処理した後、熟成すると、セルロース不織布内のセルロース分子間の水素結合が解離し、セルロース分子の一部がアルカリと反応して、アルカリ-セルロースの重合が行われる。
【0075】
これによって、重合したセルロース分子は、より自由に動くようになる。
【0076】
この結果、セルロース分子の間にアルカリ溶液と水分子が浸透しやすくなるとともに、膨潤が生じる。セルロース分子が多数集まってセルロース繊維を構成するが、セルロース繊維の主鎖の長さには変化がなく、かつ、セルロース繊維の径方向の膨潤が起こり、生紙の物理的特性が変化する。
【0077】
このような膨潤度合いは、繊維の素材、アルカリ溶液の濃度、熟成温度に多くの影響を受けるようになる。
【0078】
膨潤したセルロース繊維は、断面が円形に近くなるにつれ、分子内の結晶領域と非結晶領域内における分子間の再配列が行われる。また、アルカリ溶液によってセルロース不織布内の一部のグルコシド結合点で加水分解が行われる。
【0079】
このような改質反応によってセルロース分子内の結合力が低くなり、緩み現象が発生するため、強度が低下する。また、膨潤度合いによってセルロース分子内に空き空間が多くなり、吸収できる量(保水性)が増加する。さらに、セルロース分子結合の再配列によって、不織布の密着改善効果が付与され、保水性も増加する。また、生紙のセルロース分子の重合度(DP)よりも、反応紙のセルロース分子の重合度がより小さくてもよい。
【0080】
これに関連して、セルロース不織布の生紙の保水性に対し、熟成ステップにおける表面改質後のセルロース不織布の保水性の変化率は、40%以上を示し得る。
【0081】
表面改質後、セルロース不織布の保水性、つまり吸収できる量が増加する。
【0082】
表面改質後のセルロース不織布、かつ、最終的に製造されたマスクパック用不織布は、水分測定器(Corneometer CM825)で測定した保水性が30%以上であってもよい。好ましくは、表面改質後のセルロース不織布の保水性が32~90%であってもよく、より好ましくは、36~74%であってもよい。
【0083】
例えば、生紙のセルロース不織布の保水性が12%であり、反応紙のセルロース不織布の保水性が36%であるとき、保水性の変化率は、略200%である。
【0084】
また、生紙のセルロース不織布の保水性が52%であり、反応紙のセルロース不織布の保水性が74%であるとき、保水性の変化率は、略42%である。
【0085】
生紙重量が低い場合、特に水分を含有し得る量が少ないため、保水性の変化率が200%まで大きく示される。
【0086】
これとは逆に、生紙重量が増加するほど、生紙自体の水分を吸収できる量が高くなるため、相対的に保水性の変化率は低くなる。
【0087】
通常、マスクパック用として使用される不織布の重量である80gを基準に、改質後、最小40%以上の保水性の変化率を示した。
【0088】
このように、表面改質前のセルロース不織布の保水性を基準に、表面改質したセルロース不織布の保水性の変化率は、42~200%であってもよい。
【0089】
また、熟成ステップにおける表面改質後のセルロース不織布、かつ、最終的に製造されたマスクパック用不織布は、密着力(d2/d1)が1.58以下であってもよい。好ましくは、密着力(d2/d1)が1.00~1.56であってもよく、より好ましくは、1.22~1.54であってもよい。
【0090】
ここで、d1は、マスクパック用不織布の上端部分を固定するクリップの間隔である。
【0091】
d2は、マスクパック用不織布の中間部分と下端部分との平均幅長さである。
【0092】
【0093】
密着力は、水に浸漬して測定されたものであって、実験例の測定方法において後述することとする。
【0094】
セルロース分子の水素結合を十分解離させるために熟成は、-10~100℃で、1~100分間行うことが好ましい。より好ましくは、10~80℃で、1~20分間行うことができる。
【0095】
熟成温度が-10℃よりも低い場合、改質度合いは低くなる。逆に、熟成温度が100℃よりも高い場合、過反応が多く発生して、繊維の脆化を引き起こし得る。
【0096】
また、熟成時間も調節しなければならない。熟成時間は、改質用添加剤の種類、配合割合、ピックアップ率、熟成温度、及び設備の特性によって変化するため、最終不織布の改質反応を測定して、1~100分を満たすことが好ましい。
【0097】
このように、生紙の物性、アルカリ濃度、改質用添加剤の種類、及び使用量によって熟成温度と時間の範囲を調節することができる。
【0098】
セルロース不織布を熟成して表面改質するステップの後、圧搾処理を行うことができる。
【0099】
圧搾処理によって、過量のアルカリ溶液及び改質用添加剤の残留量が最小となるように除去する。
【0100】
圧搾処理に関する事項は、上述したとおりである。
【0101】
次いで、上記表面改質したセルロース不織布を乾燥する前に、pHが中性になるように中和する。
【0102】
具体的には、表面改質したセルロース不織布を中和槽に移動して、酸溶液を投入することによって、表面改質したセルロース不織布のpHが7~8程度になるように中和することができる。
【0103】
中和するうちに、投入した酸は全て反応で消耗されなければならず、上記不織布に酸またはアルカリが残存していてはならない。
【0104】
表面改質したセルロース不織布のpHを調節するために、硫酸、リン酸、塩酸、ギ酸、酢酸、氷酢酸のうち1種以上を含む酸溶液で中和処理することができる。
【0105】
このとき、酸溶液の濃度は、約0.1~20%であってもよく、好ましくは、1~10%であってもよく、より好ましくは、1~2%であってもよい。酸溶液の濃度範囲で中和反応を十分行うことができる。
【0106】
セルロース不織布を中和処理するステップの後、圧搾処理を行うことができる。
【0107】
圧搾処理によって過量の水分が除去され得、乾燥工程において、より円滑な作業が可能である利点がある。
【0108】
次いで、上記中和したセルロース不織布を熱処理方式で乾燥して、マスクパック用不織布を製造する。
【0109】
具体的には、酸溶液で中和したセルロース不織布をもう一度、圧搾工程によって残留する水分量が最小となるようにした後、80~170℃で熱乾燥して、マスクパック用不織布を製造することができる。好ましくは、100~150℃で熱乾燥することができる。
【0110】
熱風処理によって、マスクパック用不織布は、乾燥と同時に形態が一定に固定化される。
【0111】
乾燥温度が80℃未満である場合、マスクパックシート製品の乾燥が十分行われないことがある。逆に、乾燥温度が170℃を超える場合、温度が高くなり、マスクパック用不織布に黄変が発生し得る。
【0112】
製造されたマスクパック用不織布は、保湿、鎮静、弾力、皺の改善、及び美白のうち1種以上の皮膚改善の機能性を示す成分が含まれた溶液に浸漬して販売されるものであってもよい。溶液に浸漬したマスクパック用不織布は、使用者に保湿、鎮静、弾力、皺の改善、及び美白のいずれか以上の機能性効果を奏することができる。
【0113】
このように、本発明の連続工程で製造されるマスクパック用不織布は、表面改質されたセルロース不織布を含む。上記表面改質されたセルロース不織布は、水に浸漬して測定した密着力(d2/d1)が1.58以下を示すことができる。
【0114】
そして、水分測定器(Moisture Determinate Balance FD-660)で測定した保水性は、30%以上であってもよい。
【0115】
本発明で製造されたマスクパック用不織布は、表面改質前のセルロース不織布の保水性に対し、上記表面改質されたセルロース不織布の保水性の変化率は、40%以上であってもよい。
【0116】
また、表面改質前のセルロース不織布の密着性に対し、上記表面改質されたセルロース不織布の密着性の変化率は、22~40%であってもよく、好ましくは、24~38%であってもよく、より好ましくは、25~34%であってもよい。
【0117】
密着性の変化率は、{(反応紙の密着力-生紙の密着力)/生紙の密着力}×100%で計算することができる。
【0118】
このように、密着性と保水性に優れるマスクパック用不織布及びその製造方法について、その具体的な実施例を検討すると、次のとおりである。
【0119】
1.マスクパック用不織布の製造
実施例1
生地重量が30g/m2であるリヨセル不織布に、50%NaOH溶液を10%希釈液で製造したものをスプレー方法で処理した。
【0120】
次いで、圧搾を行って、最終ピックアップ率が200%と出るようにする。
【0121】
次いで、10℃の熟成箱内で5分間の熟成工程を経た後、氷酢酸2%液に浸漬させて、pHが中性になるように中和させた。
【0122】
次いで、150℃の熱風乾燥炉を通過させて、マスクパック用不織布を製造した。
【0123】
生地生紙の引張強度(M/C)は8/9、伸び率(M/C)は35/40、保水性は12%、平均密着力(d2)は11.0、密着力(d2/d1)は1.83を示した。
【0124】
実施例2
生地重量が40g/m2である竹の不織布を用いた点、10%アルカリ希釈液に生地不織布を浸漬させる点、および20℃の熟成箱内で5分間の熟成工程を経る点を除いては、実施例1と同様の条件でマスクパック用不織布を製造した。
【0125】
生地生紙の引張強度(M/C)は6/7、伸び率(M/C)は40/55、保水性は28%、平均密着力(d2)は10.6、密着力(d2/d1)は1.76を示した。
【0126】
実施例3
生地重量が50g/m2である竹の不織布に10%アルカリ希釈液を用いて、ピックアップ率が300%と出るように浸漬させて、圧搾を行った。
【0127】
次いで、上記スキージーが行われた生地不織布を過酸化水素(hydrogen Peroxide)2重量%(添加量)に浸漬させた後、圧搾を行った。
【0128】
次いで、30℃の熟成箱内で10分間の熟成工程を経た後、氷酢酸2%液に浸漬させて、pHが中性になるように中和させた。
【0129】
次いで、150℃の熱風乾燥炉を通過させて、マスクパック用不織布を製造した。
【0130】
生地生紙の引張強度(M/C)は8/6、伸び率(M/C)は25/50、保水性は32%、平均密着力(d2)は11.2、密着力(d2/d1)は1.87を示した。
【0131】
実施例4
生地重量が60g/m2である竹の不織布を用いた点、20%アルカリ希釈液を用いて生地不織布に噴霧する点、次亜塩素酸ナトリウム(Sodium Hypochlorite)1%を噴霧する点、および40℃の熟成箱内で10分間の熟成工程を経る点を除いては、実施例3と同様の条件でマスクパック用不織布を製造した。
【0132】
生地生紙の引張強度(M/C)は10/15、伸び率(M/C)は40/43、保水性は48%、平均密着力(d2)は12.2、密着力(d2/d1)は2.03を示した。
【0133】
実施例5
生地重量が70g/m2であるリヨセル不織布を用いた点、30%アルカリ希釈液を用いて生地不織布に浸漬させた点、チオ硫酸ナトリウム(Sodium Thiosulfate)2%に浸漬させた点、および60℃の熟成箱内で10分間の熟成工程を経る点を除いては、実施例3と同様の条件でマスクパック用不織布を製造した。
【0134】
生地生紙の引張強度(M/C)は13/20、伸び率(M/C)は36/40、保水性は50%、平均密着力(d2)は13.6、密着力(d2/d1)は2.27を示した。
【0135】
実施例6
生地重量が80g/m2であるリヨセル不織布を用いた点、40%アルカリ希釈液を用いて生地不織布に浸漬させた点、次亜硫酸ナトリウム(Sodium Hydrosulfite)2%に浸漬させた点、及び80℃の熟成箱内で20分間の熟成工程を経る点を除いては、実施例3と同様の条件でマスクパック用不織布を製造した。
【0136】
生地生紙の引張強度(M/C)は15/20、伸び率(M/C)は33/45、保水性は52%、平均密着力(d2)は14.0、密着力(d2/d1)は2.33を示した。
【0137】
2.物性の測定及び結果
1)実施例1~6、比較例1~4で製造された不織布(反応紙)の物性を(1)~(10)に記載した。
【0138】
2)引張強度及び伸び率:UTM法でKS K ISO 9073-3で測定し、機械方向MD/垂直方向CDと記載した。
【0139】
3)保水性(%):(50*50)±1mmサイズの試験生地を質量対比5倍の液体を吸液させた後、35℃の温度条件下で、水分測定器(Mositure Determinate Balance FD-660)を用いて測定した。
【0140】
4)保水性の変化率(%):{(反応紙の保水性-生紙の保水性)/生紙の保水性}×100%で計算した。
【0141】
5)密着力:先ず、30×30cmサイズの不織布サンプルを準備する。不織布サンプルの上端真中を基準に、左右3cmとなる地点のそれぞれにクリップで固定する(このとき、クリップの間隔をd1と言う。)。固定した状態で、不織布サンプルをいずれも水に1分間浸漬させる。不織布サンプルを垂直に持ち上げた後、不織布サンプルの中間左右幅の長さ、かつ、不織布サンプルの下端左右幅の長さを測定して、平均値(d2)を得た。
【0142】
密着力は、d2/d1で計算しており、密着力数値が小さいほど密着性に優れると評価する。
【0143】
6)密着性(密着力)の変化率:{(反応紙の密着力-生紙の密着力)/生紙の密着力}×100%で計算した。
【0144】
(1)実施例1で製造された不織布の物性結果
製造されたマスクパック用不織布の引張強度(M/C)は7/8、伸び率(M/C)は20/40、保水性は36%、平均密着力(d2)は8.0、密着力(d2/d1)は1.33を示した。
【0145】
保水性の変化率は200%上昇し、密着力の変化率は28%上昇した。
【0146】
(2)実施例2で製造された不織布の物性結果
製造されたマスクパック用不織布の引張強度(M/C)は6/5、伸び率(M/C)は25/40、保水性は57%、平均密着力(d2)は7.3、密着力(d2/d1)は1.22を示した。
【0147】
保水性の変化率は104%上昇し、密着力の変化率は30%上昇した。
【0148】
(3)実施例3で製造された不織布の物性結果
製造されたマスクパック用不織布の引張強度(M/C)は9/7、伸び率(M/C)は20/40、保水性は68%、平均密着力(d2)は8.4、密着力(d2/d1)は1.40を示した。
【0149】
保水性の変化率は113%上昇し、密着力の変化率は25%上昇した。
【0150】
(4)実施例4で製造された不織布の物性結果
製造されたマスクパック用不織布の引張強度(M/C)は10/9、伸び率(M/C)は25/37、保水性は71%、平均密着力(d2)は8.7、密着力(d2/d1)は1.44を示した。
【0151】
保水性の変化率は48%上昇し、密着力の変化率は29%上昇した。
【0152】
(5)実施例5で製造された不織布の物性結果
製造されたマスクパック用不織布の引張強度(M/C)は11/13、伸び率(M/C)は23/35、保水性は72%、平均密着力(d2)は9.1、密着力(d2/d1)は1.52を示した。
【0153】
保水性の変化率は44%上昇し、密着力の変化率は33%上昇した。
【0154】
(6)実施例6で製造された不織布の物性結果
製造されたマスクパック用不織布の引張強度(M/C)は11/10、伸び率(M/C)は20/35、保水性は74%、平均密着力(d2)は9.3、密着力(d2/d1)は1.54を示した。
【0155】
保水性の変化率は42%上昇し、密着力の変化率は34%上昇した。
【0156】
(7)比較例1の不織布生地の物性結果
旭化成社のキュプラ生地である。
【0157】
不織布生地の保水性は47%、平均密着力(d2)は10.3、密着力(d2/d1)は1.72を示した。
【0158】
(8)比較例2の不織布生地の物性結果
旭化成社のキュプラ生地である。
【0159】
不織布生地の保水性は51%、平均密着力(d2)は10.5、密着力(d2/d1)は1.75を示した。
【0160】
(9)比較例3の不織布生地の物性結果
中国ハオリン社のリヨセル生地である。
【0161】
不織布生地の保水性は12%、平均密着力(d2)は11.0、密着力(d2/d1)は1.83を示した。
【0162】
(10)比較例4の不織布生地の物性結果
中国ハオリン社のリヨセル生地である。
【0163】
不織布生地の保水性は19%、平均密着力(d2)は10.9、密着力(d2/d1)は1.81を示した。
【0164】
図2は、本発明の実施例1に関する生紙と反応紙を示した写真である。
【0165】
図2に示したように、実施例1によるマスクパック用不織布は、生紙における密着力(d
2/d
1)が11.0cm÷クリップの間隔(d
1)=1.83と測定された。
【0166】
他方、アルカリ溶液に対する熟成、中和及び熱乾燥を行った後、反応紙における密着力(d2/d1)は、8.0cm÷クリップの間隔(d1)=1.33と測定された。
【0167】
実施例1のマスクパック用不織布は、密着力が1.58以下を満たすとともに、生紙のセルロース分子の重合度を基準に、反応紙のセルロース分子の重合度がより小さく、保水性により優れることを示す。
【0168】
図3は、本発明の実施例3に関する生紙と反応紙を示した写真である。
【0169】
図3に示したように、実施例3によるマスクパック用不織布は、生紙における密着力(d
2/d
1)が11.2cm÷クリップの間隔(d
1)=1.87と測定された。
【0170】
他方、アルカリ溶液に対する熟成、中和及び熱乾燥を行った後、反応紙における密着力(d2/d1)が8.4cm÷クリップの間隔(d1)=1.40と測定された。
【0171】
実施例3のマスクパック用不織布は、密着力が1.58以下を満たすとともに、生紙のセルロース分子の重合度を基準に、反応紙のセルロース分子の重合度がより小さく、保水性により優れることを示す。
【0172】
図4は、本発明の実施例6に関する生紙と反応紙を示した写真である。
【0173】
図4に示したように、実施例6によるマスクパック用不織布は、生紙における密着力(d
2/d
1)が14.0cm÷クリップの間隔(d
1)=2.33と測定された。
【0174】
他方、アルカリ溶液に対する熟成、中和及び熱乾燥を行った後、反応紙における密着力(d2/d1)が9.3cm÷クリップの間隔(d1)=1.54と測定された。実施例6のマスクパック用不織布は、密着力が1.58以下を満たすとともに、生紙のセルロース分子の重合度を基準に、反応紙のセルロース分子の重合度がより小さく、保水性により優れることを示す。
【0175】
図5は、本発明の比較例1~4に関する外国製品を示した写真である。
【0176】
図5に示したように、比較例1~4によるマスクパック用不織布の生地は、密着力(d
2/d
1)が1.70以上と測定された。
【0177】
比較してみると、実施例1~6で製造されたマスクパック用不織布の保水性と密着力は、比較例1~4のマスクパック用不織布の生地よりもさらに向上した効果を奏する。
【0178】
よって、本発明によるマスクパック用不織布は、アルカリ溶液に対する熟成、中和及び熱乾燥によって連続工程で製造されることによって、エピクロロヒドリンを使用せずに、密着性と保水性を同時に確保する効果がある。
【0179】
以上のように、本発明について例示の図面を参照して説明したが、本発明は、本明細書で開示の実施例と図面によって限定されるものではなく、本発明の技術思想の範囲内における通常の技術者にとって様々な変形を行えることは自明である。さらに、本発明の実施例を上述しながら、本発明の構成による作用効果を明示的に記載して説明しなかったとしても、該構成によって予測可能な効果も認めるべきであることは当然である。
【国際調査報告】