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特表2024-520389分注装置、その使用および衛生化方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-24
(54)【発明の名称】分注装置、その使用および衛生化方法
(51)【国際特許分類】
   C12M 1/26 20060101AFI20240517BHJP
   F24F 8/133 20210101ALI20240517BHJP
【FI】
C12M1/26
F24F8/133
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023572554
(86)(22)【出願日】2022-05-23
(85)【翻訳文提出日】2024-01-17
(86)【国際出願番号】 IB2022054809
(87)【国際公開番号】W WO2022243986
(87)【国際公開日】2022-11-24
(31)【優先権主張番号】102021000013319
(32)【優先日】2021-05-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523440710
【氏名又は名称】プロ・エア・スイス・ソチエタ・アノニマ
【氏名又は名称原語表記】PRO AIR SWISS SA
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100189555
【弁理士】
【氏名又は名称】徳山 英浩
(74)【代理人】
【識別番号】100100479
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 三喜夫
(72)【発明者】
【氏名】リッティーニ,ジュゼッペ
【テーマコード(参考)】
4B029
【Fターム(参考)】
4B029AA09
4B029BB02
4B029CC01
4B029HA01
(57)【要約】
無傷の細胞膜を有するプロバイオティクス細菌の溶液(2)と、分注デバイス(10)とを備える分注装置(1)。分注デバイス(10)は、(i)プロバイオティクス細菌の前記溶液(2)を収容するリザーバ(4)と、(ii)加圧ガス源(6)と、(iii)プロバイオティクス細菌の前記溶液(2)と前記加圧ガスとの間において混合チャンバ(12)を画定し、液体-ガス混合物を供与する分注本体(8)であって、噴霧ジェット(16)の形態である前記液体-ガス混合物の少なくとも1つの分注ノズル(14)を備え、前記噴霧ジェット(16)は、100μm~300μmの平均直径を有する略球形の液滴を含む、分注本体(8)と、(iv)前記リザーバ(4)に接続され、プロバイオティクス細菌の前記溶液(2)を前記混合チャンバ(12)に供給する少なくとも1つの蠕動ポンプ(18)と、を備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)無傷の細胞膜を有するプロバイオティクス細菌の溶液(2)と、
(b)分注デバイス(10)と、を備える分注装置(1)であって、
該分注デバイス(10)は、
(i)プロバイオティクス細菌の前記溶液(2)を収容するリザーバ(4)と、
(ii)加圧ガス源(6)と、
(iii)プロバイオティクス細菌の前記溶液(2)と前記加圧ガスとの間において混合チャンバ(12)を画定し、液体-ガス混合物を供与する分注本体(8)であって、噴霧ジェット(16)の形態である前記液体-ガス混合物の少なくとも1つの分注ノズル(14)を備える、分注本体(8)と、
(iv)前記リザーバ(4)に接続され、プロバイオティクス細菌の前記溶液(2)を前記混合チャンバ(12)に供給する少なくとも1つの蠕動ポンプ(18)と、を備える分注装置(1)。
【請求項2】
前記分注ノズル(14)は、100μm~300μmの平均直径を備えた略球形の液滴を分注するように構成される、請求項1に記載の分注装置(1)。
【請求項3】
前記分注本体(8)は、分注ノズル(14)を備え、
通路セクションが、前記加圧ガス(8)の圧力および流量の関数として、そして前記プロバイオティクス細菌溶液(2)の圧力および流量の関数として調整可能である、請求項1または2に記載の分注装置(1)。
【請求項4】
前記プロバイオティクス細菌は、ラクトバチルス属、ビフィドバクテリウム属、ストレプトコッカス属、ラクトコッカス属、アッカーマンシア属、インテスティニモナス属、ユウバクテリウム属、フィーカリバクテリウム属、ナイセリア属、ロゼブリア属、キューティバクテリウム属、およびこれらの混合物から選択される非胞子形成性細菌である、請求項1~3に記載の分注装置(1)。
【請求項5】
前記プロバイオティクス細菌は、凍結乾燥細菌であり、プロバイオティクス細菌の水溶液(2)、好ましくは塩化ナトリウムの水溶液中で再構成される、請求項1~4のいずれかに記載の分注装置(1)。
【請求項6】
前記分注装置(10)は、
(v)プロバイオティクス細菌の前記溶液(2)を、前記プロバイオティクス細菌の減速した細菌複製条件下で1℃~8℃、好ましくは2℃~5℃、さらにより好ましくは3.5℃~4.5℃の温度に維持するために、前記リザーバ(4)と熱的に接触する冷却手段(20)を備える、請求項1~5のいずれかに記載の分注装置(1)。
【請求項7】
前記分注装置(10)は、
(vi)加圧ガスの第1遮断手段(22)と、
(vii)加圧ガス供給圧力の第1検出手段(24,26)と、
(viii)プロバイオティクス細菌の溶液(2)の第2遮断手段(28’,28”)と、
(ix)プロバイオティクス細菌の溶液(2)供給圧力の第2検出手段(30)と、
(x)前記(ii)、(iv)、(vi)、(vii)、(viii)および(ix)に機能的に接続された管理制御手段(32)と、を備え、
前記管理制御手段(32)は、(vii)および(ix)から検出信号を受信し、制御信号を発生して、(ii)、(iv)、(vi)および/または(viii)に送信するように構成され、そのため、前記加圧ガス供給圧力および前記プロバイオティクス細菌の溶液(2)供給圧力は、それぞれ予め定めた値の範囲内になり、
好ましくは、管理制御手段(32)は電子的であり、より好ましくは、管理制御手段(32)は、少なくとも1つのプログラマブル論理コントローラ(PLC)を備える、請求項1~6のいずれかに記載の分注装置(1)。
【請求項8】
表面および/または環境を衛生化するための請求項1~7のいずれかに記載の分注装置(1)の使用。
【請求項9】
請求項1~5のいずれか一項に記載の吐出装置(1)を備える空調システムであって、
前記分注ノズル(14)から分注された前記噴霧ジェット(16)は、
・前記空調システムの1つ以上の換気ダクト内に、および/または、
・前記空調システムの1つ以上のエアーフィルタに、および/または、
・熱処理された空気、および/または、前記空調システムから環境または表面上に排出される空気の流れと一緒に、
分注される、空調システム。
【請求項10】
暖房、換気、空調(HVAC)システムを含むか、あるいは、暖房、換気、空調(HVAC)システムから成ることを特徴とする、請求項9に記載の空調システム。
【請求項11】
請求項1~8のいずれか一項に記載の分注装置(1)、または請求項9~10に記載の空調システムによって実施される衛生化方法であって、
(i)プロバイオティクス細菌の前記溶液(2)を噴霧ジェット(16)の形態で環境中または表面上に分注するステップと、
(ii)無傷の細胞膜を有する前記プロバイオティクス細菌によって前記環境または表面を衛生化するステップと、を含む衛生化方法。
【請求項12】
ステップ(i)において、溶液供給圧力は、1.8バール~2.2バール、好ましくは2バールであり、加圧ガス供給圧力は、2.4バール~2.6バール、好ましくは2.5バールである、請求項11に記載の分注装置(1)によって実施される衛生化方法。
【請求項13】
ステップ(i)において、溶液供給流量は、6.0リットル/時~6.4リットル/時、好ましくは6.2リットル/時であり、加圧ガス供給流量は、49リットル/分~55リットル/分、好ましくは52リットル/分である、請求項11または12に記載の分注装置(1)によって実施される衛生化方法。
【請求項14】
ステップ(ii)において、プロバイオティクス細菌が拮抗的に複製し、前記環境または前記表面にコロニーを作る、請求項11に記載の衛生化方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、(i)細菌、好ましくは生きた生存能力のある細菌、さらにより好ましくは無傷の細胞膜を有する生きた生存能力のある細菌の溶液と、(ii)分注デバイスとを備える分注装置に関する。さらに、本発明は、表面および/または環境、好ましくは屋内環境を衛生化するための前記分注装置の使用に関する。さらに、本発明は、前記分注装置を備える空調システムに関する。
【0002】
最後に、本発明は、前記分注装置または前記空調システムによって実施される衛生化方法に関する。
【背景技術】
【0003】
空調機器は、環境(例えば、室内や車両の客室内など)の温度を上下するように設計された熱機械であり、暑さや蒸し暑さ、あるいは逆に寒さや湿気に対処できる利点の1つである。
【0004】
空調機器の動作原理は、回路に含まれる熱交換流体に熱を伝達したり、またはそこから熱を吸収することによる、いわゆる「ヒートポンプ」である。エネルギーは、回路の一方の側から取り出され、同じ回路の他方の側に伝達される。
【0005】
空調システムの構成要素は、コンプレッサ、蒸発器、凝縮器、積層バルブ、リバーシブルバルブ、エアーフィルタである。
【0006】
コンプレッサは、回路(よって熱力学サイクル)が、蒸発器からの熱交換流体を吸い込んで圧縮し、この流体を凝縮器に押し込むように機能できるように圧力差を発生する。凝縮器では、この流体が圧力下で凝縮し、吸収された熱を放出する。凝縮器の後、流体は、積層バルブを通過し、これは、摩擦による圧力エネルギーを低下させるように委任された絞り機器であり、凝縮した熱交換流体の不可逆的な膨張を生じさせる。積層バルブの流体的に下流では、熱交換流体は蒸発器に流れ込み、そのサイクルを再開する。こうして熱交換流体は、その物理的状態を2つの熱交換器、即ち、蒸発器内(液体状態からガス状態へ)および凝縮器内(ガス状態から液体状態へ)で変化させる。
【0007】
リバーシブルバルブは、回路内の熱交換流体の流れ方向を逆転させるように委任された構成要素であり、環境から熱を奪ったり(その温度を下げる)、または同じ環境に熱を導入したり(その温度を上げる)できる。
【0008】
最後に、エアーフィルタは、空調機器で熱処理された空気を浄化し、固体粒子および浮遊微生物を取り除くために必要である。
【0009】
空調機器において重要な問題の1つは、システムのメンテナンス、より詳細にはエアーフィルタの清掃である。これらのフィルタは、病原性微生物、例えば、細菌(レジオネラ属など)、カビ(ペニシリウム属など)によるコロニー形成にとって理想的な環境であり、これらの増殖をサポートする暖かく湿った環境を提供する。汚染されたエアーフィルタから深刻な人間の健康問題が発生することがある。病原性微生物が、空気の強制駆動の下で換気ダクトを通過し、環境中に放出され、表面に定着し、吸い込まれたり眼に接触したりすることがあるためである。
【0010】
特に職場では、空調システムの汚染により、「シックハウス症候群」(SBS)の症状を頻繁に引き起し、この病理学的状態は、労働者の20%~30%が、例えば、片頭痛、眠気、鼻閉塞、かゆみ、炎症、結膜炎、目の灼熱感、呼吸器疾患などの症状に悩まされている場合に生ずるが、特定の原因または病気は特定されていない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0011】
出願人は、長く集中的な研究開発活動の後、既存の制限、不都合および問題に対して適切な対応を提供できる分注装置、空調システムおよび衛生化方法を開発した。
【0012】
特に、本装置、システムおよび方法は、細菌、好ましくは生きた生存能力のある細菌、さらにより好ましくは無傷の細胞膜を有する生きた生存能力のある細菌を含む溶液を噴霧するように設計されており、こうした細菌は溶液の噴霧中に生きているままであり、環境および表面で生存し複製しコロニー形成できる。
【0013】
こうして本発明により、空気中、環境中、好ましくは屋内環境および/または表面上の生物学的バランスを再確立または達成することが可能になり、それにより有害または病原性の細菌およびアレルゲンの濃度を大幅に低減し、永続的に健康な生態系を生成するのに資する。
【0014】
従って、本発明の目的は、添付の請求項に定義されるような特徴を有する、好ましくは生きた生存能力のある細菌、さらにより好ましくは無傷の細胞膜を有する生きた生存能力のある細菌の溶液と、分注デバイスとを備える分注装置である。
【0015】
また本発明の目的は、添付の請求項に定義されるような特徴を有する、表面および/または環境を衛生化するための前記分注装置の使用である。
【0016】
また本発明の目的は、添付の請求項に定義されるような特徴を有する、前記分注装置を備える空調システムである。
【0017】
本発明の更なる目的は、添付の請求項に定義されるような特徴を有する、前記分注装置または前記空調システムによって実施される衛生化方法である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
本発明の好ましい実施形態を、一例として、限定的でなく、添付図面を用いてここに説明する。
【0019】
図1】実施可能な実施形態に係る、本発明の目的である分注デバイスの一部の側面図を示す。
図2】実施可能な実施形態に係る、本発明の目的である分注デバイスの一部の正面図を示す。
図3】他の実施形態において、図1および図2による分注デバイスの下側部分(水圧部品を含む)の詳細を側断面図で示す。
図4】他の実施形態において、図1および図2による分注デバイスの下側部分(水圧部品を含む)の詳細を正面断面図で示す。
図5】実施可能な実施形態による、分注デバイスの水圧部品の機能図を表す。
図6】前記ノズルの実施可能な実施形態に係る、分注ノズルから出る噴霧ジェットの考えられる形状を示し、セクションA,B,Cは、ノズルから15cm、38cmの距離およびジェットの端部での前記ジェットの直径をそれぞれ示す(乱流形状をとる場合)。
【0020】
従って、本発明の目的は、添付図面においてその全体が参照番号1で示される分注装置である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
分注装置は、(a)無傷の細胞膜を有する(よって、生存能力のある)プロバイオティクス細菌の溶液2と、(b)分注デバイス10とを備える。
【0022】
本明細書において、用語「生存能力のある」は、溶液中のプロバイオティクス細菌全体の90%~100%、好ましくは95%~99%、さらにより好ましくは96%~98.5%の割合が、無傷の細胞膜を有し、複製能力に関係なく「生きている」ことを意味する。
【0023】
無傷の細胞膜を有する前記プロバイオティクス細菌は、好ましくは、非胞子形成性細菌である。
【0024】
好ましくは、無傷の細胞膜を有する前記プロバイオティクス細菌は、ラクトバチルス(Lactobacillus)属、ビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)属、ストレプトコッカス(Streptococcus)属、ラクトコッカス(Lactococcus)属、アッカーマンシア(Akkermansia)属、インテスティニモナス(Intestinimonas)属、ユウバクテリウム(Eubacterium)属、フィーカリバクテリウム(Faecalibacterium)属、ナイセリア(Neisseria)属、ロゼブリア(Roseburia)属、キューティバクテリウム(Cutibacterium)属の細菌、およびこれらの混合物から選択され、より好ましくは、ラクトバチルス属、ビフィドバクテリウム属の細菌、およびこれらの混合物から選択される。
【0025】
さらにより好ましくは、無傷の細胞膜を有する前記プロバイオティクス細菌は、ラクトバチルス・アシッドフィラス(Lactobacillus acidophilus)、ラクトバチルス・ブンチネリ(Lactobacillus buchneri)、ラクトバチルス・フェルメンタム(Lactobacillus fermentum)、ラクトバチルス・サリヴァリゥス亜種サリヴァリゥス(Lactobacillus salivarius subsp. salivarius)、ラクトバチルス・クリスパータス(Lactobacillus crispatus)、ラクトバチルス・パラカゼイ亜種パラカゼイ(Lactobacillus paracasei subsp. paracasei)、ラクトバチルス・ガセリ(Lactobacillus gasseri)、ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)、ラクトバチルス・デルブレッキイ亜種デルブレッキイ(Lactobacillus delbrueckii subsp. delbrueckii)、ラクトバチルス・ラムノーサス(Lactobacillus rhamnosus)、ラクトバチルス・ペントーサス(Lactobacillus pentosus)、ラクトバチルス・ファーメンタム(Lactobacillus fermentum)、ラクトバチルス・ブレビス(Lactobacillus brevis)、ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)、ラクトバチルス・カゼイ(Lactobacillus casei)、ラクトバチルス・ロイテリー(Lactobacillus reuteri)、ラクトバチルス・ジョンソニイ(Lactobacillus johnsonii)、ビフィドバクテリウム・アドレスセンティス(Bifidobacterium adolescentis)、ビフィドバクテリウム・アニマーリス亜種ラクティス(Bifidobacterium animalis subsp. lactis)、ビフィドバクテリウム・ブレーベ(Bifidobacterium breve)、ビフィドバクテリウム・カテヌラツム(Bifobacterium catenulatum)、ビフィドバクテリウム・シュードカテヌラツム(Bifobacterium pseudocatenulatum)、ビフィドバクテリウム・ビフィダム(Bifidobacterium bifidum)、ビフィドバクテリウム・ラクティス(Bifidobacterium lactis)、ビフィドバクテリウム・インファンティス(Bifidobacterium infantis)、ビフィドバクテリウム・ロングム(Bifidobacterium longum)、アッカーマンシア・ムシニフィラ(Akkermansia munichipila)、インテスティニモナス・ブチリシプロデュセンス(Intestinimonas butyriciproducens)、ユウバクテリウム・ハリイ(Eubacterium hallii)、フィーカリバクテリウム・プラウスニッツィイ(Faecalobacterium prausnitzii)、ナイセリア・ラクタミカ(Neisseria lactamica)、ロゼブリア・ホミニス(Roseburia hominis)、キューティバクテリウム・アクネス(Cutibacterium acnes)、およびこれらの混合物を含み、あるいはこれらからなる群から選択される。
【0026】
無傷の細胞膜を有する前記プロバイオティクス細菌は、好ましくは溶液中で再構成された凍結乾燥細菌である。前記溶液は、好ましくはプロバイオティクス細菌の水溶液2であり、より好ましくは塩化ナトリウムの水溶液である。
【0027】
塩化ナトリウム水溶液は、好ましくは、無傷の細胞膜を有するプロバイオティクス細菌に加えて、前記水溶液の全体重量に対して0.1重量%~15重量%、好ましくは0.2重量%~10重量%の量の塩化ナトリウムを含む。
【0028】
分注デバイス10は、(i)プロバイオティクス細菌の前記溶液2を収容するリザーバ4と、(ii)加圧ガス源6と、(iii)分注本体(または分注ガン)8と、(iv)少なくとも1つの蠕動ポンプ18とを備える。
【0029】
分注デバイス10は、好ましくは金属材料、より好ましくは鋼、さらにより好ましくはステンレス鋼(例えば、AISI304)で製作されたデバイスケーシング34内に部分的にだけ包囲されることが好ましい。
【0030】
本明細書において、表現「部分的にだけ包囲される」は、分注デバイス10の全ての部品がデバイスケーシング34内に収容されないことを意味する。一例として、少なくともリザーバ4および分注本体8は、好ましくはデバイスケーシング34の外部にある。
【0031】
デバイスケーシング34は、好ましくは、少なくとも2つの別個のケーシング区画36,38を画定しており、第1ケーシング区画36(または下側区画)はデバイスの水圧部品を収容し、第2ケーシング区画38(または上側区画)は、デバイスの電気部品を収容する。別個のケーシング区画36,38は、好ましくは少なくとも1つの開口ケーシングドア64によって閉じられる。
【0032】
好ましくは、分注デバイス10は、第1ケーシング区画36および/または第2ケーシング区画38内の温度を検出するための第1温度検出手段62を備える。従って、第1温度検出手段62は、前記区画36,38の一方または両方における温度の任意の異常な変化を信号で知らせる機能を有する。
【0033】
リザーバ4は、その中に収容されるプロバイオティクス細菌の溶液2の体積に釣り合う体積を有する。一例として、リザーバ4は、0.5リットルから200リットル、好ましくは0.6リットルから2リットル、または10リットルから100リットルの体積を有することができる。
【0034】
好ましくは、分注デバイス10は、リザーバ4に機能的に接続されたプロバイオティクス細菌の溶液2の撹拌手段40を備える。撹拌手段40は、リザーバ内で濃度勾配または堆積物が形成されるのを防止するように機能する。
【0035】
図示の実施形態では、撹拌手段40は、溶液中に(回転可能な方法で)少なくとも部分的に浸漬されたインペラ44を備えた機械的撹拌器42を備える。
【0036】
好ましくは、撹拌手段40は、溶液中に挿入されて、ガス(好ましくは空気)を前記溶液中に導入して混合を発生するように構成された送気導管を備える。好ましくは、送気導管は、前記リザーバの底壁46に設置され、または前記リザーバ内に浸漬される自由端を有し、ここから前記ガスが流出する。
【0037】
前記リザーバ4は、好ましくは、少なくとも1つの閉止エレメント(不図示)を備え、これは、前記リザーバのアクセス開口48と少なくとも部分的に重なる。前記閉止エレメントは、好ましくは、撹拌手段40(即ち、送気導管またはインペラ44(設けられた場合))、溶液の吸引導管50(蠕動ポンプ18に接続される)、および必要に応じて前記溶液のレベル検出器52を収容する開口と交差する。
【0038】
リザーバ4は、プロバイオティクス細菌の溶液2を収容しており、サーモスタット制御式のリザーバであることが好ましい。
【0039】
従って、分注デバイス10は、好ましくは、(v)プロバイオティクス細菌の前記溶液2を予め定めた温度に維持するために、リザーバ4と熱的に接触する冷却手段20(図2図5にだけ図示)を備える。予め定めた温度は、好ましくは、1℃~8℃(約1気圧で)、より好ましくは2℃~5℃、さらにより好ましくは3.5℃~4.5℃である。プロバイオティクス細菌2の溶液が予め定めた温度である場合、プロバイオティクス細菌は「減速した」細菌複製条件下にある(25℃の室温および約1気圧での複製速度と比較して)。
【0040】
好ましくは、分注デバイス10は、前記冷却手段20と、第2溶液温度検出手段34と、管理制御手段32とを備える。管理制御手段32は、第2温度検出手段に機能的に接続されて温度検出信号を受信し、そして冷却手段20に接続されて温度制御信号をこれに送信する。
【0041】
好ましくは、管理制御手段32は電子的である。より好ましくは、管理制御手段32は、少なくとも1つのプログラマブル論理コントローラ(PLC)を備える。
【0042】
加圧ガス源6は、好ましくは加圧空気(または圧縮空気)の供給源である。
【0043】
加圧ガス源6は、前記ガスの加圧容器、またはコンプレッサ(固定式または可搬式)、またはコンプレッサ設備を含むことができる。
【0044】
好ましくは、分注デバイス10は、加圧ガス源6の下流で分注本体8の上流に流体的に配置された圧縮空気制御ユニット54を備える。圧縮空気制御ユニット54は、加圧ガス流量を調整し、および/または、圧力ピークを回避するように機能する。
【0045】
分注本体8は、プロバイオティクス細菌の溶液2と加圧ガスとの間に混合チャンバ12を画定し、液体-ガス混合物を供与し、噴霧ジェット16の形態である前記液体-ガス混合物の少なくとも1つの分注ノズル14を備える。
【0046】
噴霧ジェット16は、100μm~300μmの範囲の平均直径を備えた略球形の液滴を含む。
【0047】
平均直径は、当該分野で知られている方法で測定され、例えば、適切な方法は、PDA(位相ドップラー風速計)機器を使用する。
【0048】
好ましくは、分注ノズル14は、可変ノズル開口を備えたノズル、即ち、特に、加圧ガス供給の圧力および流量および溶液供給の圧力および流量に依存して調整可能な通路断面積を備えたノズルである。
【0049】
一例として、100μmから300μmの範囲の平均直径を備えた略球形の液滴を含む霧化ジェット16が、下記の条件下で得ることができる。
・溶液供給圧力:1.8バール~2.2バール、好ましくは2バール。
・加圧ガス供給圧力:2.4バール~2.6バール、好ましくは2.5バール。
・溶液供給流量:6.0リットル/時~6.4リットル/時、好ましくは6.2リットル/時。
・加圧ガス供給流量:49リットル/分~55リットル/分、好ましくは52リットル/分。
【0050】
好ましくは、噴霧ジェット16は、図6に概略的に示した形状を有し、そこに示すパラメータA,B,Cは、それぞれ38cm、53cmおよび3.2cmである。
【0051】
分注ノズルから出る加圧ガスの圧力は、好ましくは約2.8バールであり、分注ノズルから出る溶液の圧力は、約2.0バールである。
【0052】
好ましくは、分注ノズル14は、内部スパイラル(螺旋)で特徴付けられた形状を有する。
【0053】
好ましくは、分注ノズル14は、分注本体8に取り外し可能に接続され、分注ノズル14は、噴霧ジェット16に分注するのに必要な通路セクションに従って交換できる。
【0054】
一例として、このデバイスまたは装置で使用できる分注ノズルは、自動スプレーノズル"SPEEDY JET"、モデルAPAEV24VCC、EUROSPRAY SPRAY AND FILTER TECFINOLOGY, S.L.社製造(スペイン; https;//www.euspray.com/)である。
【0055】
蠕動ポンプ18は、リザーバ4に接続され、プロバイオティクス細菌の溶液2を前記混合チャンバ12に供給する。
【0056】
本分注デバイス10における蠕動ポンプ18の使用は、思い付きの選択ではなかった。このタイプのポンプにより、プロバイオティック細菌の細胞膜を無傷に維持し、これらの細菌の生存能力を保存し、そして分注前の溶液の汚染を回避することが可能になるためである。
【0057】
好ましくは、蠕動ポンプ18によって生成される圧縮は、1気圧~5気圧、好ましくは2気圧~4気圧である。
【0058】
蠕動ポンプ18は、好ましくは、少なくとも1つのモータユニット56と、少なくとも1つのロータユニット58とを備え、前記ロータは、モータユニット56のシャフトに接続され、複数のローラを備える。ローラの回転、および吸引導管50の可撓性部分に前記ローラが作用する並進絞りによって(蠕動機構を介して)、溶液は、吸引によってリザーバ4から引き出され、混合チャンバ12に供給される。
【0059】
分注デバイス10は、好ましくは、蠕動ポンプ18の流体下流に、溶液の少なくとも1つの逆流防止バルブ60を含む。
【0060】
分注デバイス10は、好ましくは、(vi)加圧ガスの第1遮断手段22と、(vii)加圧ガス供給圧力の第1検出手段24,26と、(viii)プロバイオティクス細菌の溶液2の第2遮断手段28’、28”と、(ix)プロバイオティクス細菌の溶液2の供給圧力の第2検出手段30と、(x)前記(ii)、(iv)、(vi)、(vii)、(viii)および(ix)に機能的に接続された管理制御手段32と、を備える。
【0061】
管理制御手段32は、好ましくは、(vii)および(ix)から検出信号を受信し、制御信号を発生して、(ii)、(iv)、(vi)および/または(viii)に送信するように構成され、そのため前記加圧ガス供給圧力および前記プロバイオティクス細菌の溶液2供給圧力は、それぞれ予め定めた範囲内になる。
【0062】
好ましくは、加圧ガス供給圧力の第1検出手段24,26は、低圧検出器24と高圧検出器26とを備え、後者は、低圧検出器24とは別個で独立している。
【0063】
好ましくは、プロバイオティック細菌の溶液2の第2遮断手段28’,28”は、蠕動ポンプの流体上流側にある第2近位遮断手段28’と、好ましくは蠕動ポンプ18の下流側にあり、より好ましくは分注本体8の上流にある、第2遠位遮断手段28”とを備える。
【0064】
また本発明の目的は、表面および/または環境を衛生化するための前記分注装置1の使用である。
【0065】
また本発明の目的は、前記分注装置1を備える空調システムである。
【0066】
このシステムでは、ノズル14によって分注された噴霧ジェット16は、
・前記空調システムの1つ以上の換気ダクト内に、および/または、
・前記空調システムの1つ以上のエアーフィルタに、および/または、
・熱処理された空気、および/または、前記空調システムから環境または表面上に排出される空気の流れと一緒に、
分注される、空調システム。
【0067】
前記空調システムは、好ましくは、暖房、換気、空調(HVAC)システムを含むか、あるいは、暖房、換気、空調(HVAC)システムから成る。
【0068】
また本発明の目的は、衛生化方法である。好ましくは、前記衛生化方法は、前記分注装置1または前記空調システムによって実装される。
【0069】
この衛生化方法は、下記のステップを含む。
(i)プロバイオティクス細菌の前記溶液2を噴霧ジェット16の形態で環境中または表面上に分注するステップ。
(ii)無傷の細胞膜を有する前記プロバイオティクス細菌によって前記環境または表面を衛生化するステップ。
【0070】
好ましくは、ステップ(ii)において、無傷の細胞膜を有するプロバイオティクス細菌が拮抗的に複製し、前記環境または表面にコロニーを作る。
【0071】
好都合には、本発明の装置は、バイオティクス細菌および溶液の種々の保存段階の間に、前記溶液の噴霧の間に、前記溶液の噴霧形態での分注の後まで、溶液中のプロバイオティクス細菌を生存可能な状態に維持することを可能にする。
【0072】
好都合には、本発明の対象となる装置は、プロバイオティクス細菌が受けるストレス、すなわち、熱ストレス、接触ストレス、および圧縮ストレスを最小可することを可能にする。
【0073】
特に、蠕動ポンプ(好ましくは電子制御)の採用により、細菌にとって安全な輸送を通じて、3つの上記ストレスの影響を低減または排除することが可能になる。細菌は、潜在的に有害な劣化原因に直接接触することなく、溶液の過剰な圧力を回避しながらリザーバから分注ノズルまで循環する。
【0074】
好都合には、本発明の分注デバイスの分注ノズルは、2つの不可欠な必要条件を組み合わせることが可能である。一方では、小さすぎる液滴への溶液の過度の細分化を回避すること。これは、プロバイオティクス細菌およびその生存能力にとってストレスの原因であるためである。他方では、大きすぎる噴霧液滴を回避すること。これらは、気流による浮遊輸送には適さないためである。
【0075】
好都合には、本発明の対象となる装置内では、プロバイオティクス細菌は、水溶液(好ましくは塩化ナトリウム)中で懸濁または再懸濁(即ち、再構成)された場合、30日を超える期間中に、1℃~8℃、好ましくは2℃~5℃、さらにより好ましくは3.5℃~4.5℃の温度で、その生存能力を含むその特性を維持することが可能である。
【0076】
好都合には、本発明の対象となるデバイスにおける蠕動ポンプの使用により、プロバイオティクス細菌またはこれらを含む溶液の生命パラメータにいかなる種類の変更ももたらさない。
【0077】
好都合には、本発明のデバイスの分注ノズルは、噴霧されたプロバイオティクス細菌の生存能力を実質的に保存し、これは、環境中または表面上への分注の下流において、90%~100%、好ましくは95%~99%、さらにより好ましくは96%~98.5%の割合で生存し続ける。
【0078】
好都合には、分注ノズルは、2×10CFU/m~10×10CFU/mの間の量で環境内にプロバイオティクス細菌の溶液を分注でき、あるいは、10CFU/m~8×10/mの間の量で表面にプロバイオティクス細菌の溶液を分注できる。
【0079】
これらの量は、MD8エアーポート(ザルトリウス社)エアーサンプラーを用いて測定できる。溶液の1ミリリットル当りのコロニー形成単位(CFU/ml)として表される量のプロバイオティクス細菌の溶液から開始して、既知の体積の1立方メートル(mとして)当りのコロニー形成単位として表される量で表される体積内に、噴霧ジェットの形態で分注された細菌の量を測定することが可能である。代替として、MD8エアーポート(ザルトリウス社)エアーサンプラーを用いて、溶液の1ミリリットル当りのコロニー形成単位(CFU/ml)として表される量のプロバイオティクス細菌の溶液から開始して、既知の表面の1平方メートル(mとして)当りのコロニー形成単位として表される量で表される表面上に、噴霧ジェットの形態で分注された細菌の量を測定することが可能である。
【0080】
好都合には、分注装置1により、プロバイオティクス細菌を生存可能な形態で、分注装置1のリザーバ4に当初充填されていた濃度に実質的に重なる濃度で分注することが可能になる。
【0081】
装置、プラント、使用および方法の上述した実施形態を参照すると、当業者は、不測の事態に応じて、説明した特徴に置換または変更を加えることができる。これらの実施形態も、下記の請求項に定型化される本発明の範囲内にあるとみなされる。
【0082】
さらに、任意の実施形態は、説明した他の実施形態から独立して実装できることが明記される。
【0083】
(例)
実験1。プロバイオティクス細菌の溶液2を噴霧ジェット16の形態で環境内に分注する。
【0084】
下記の実験方法を使用した。
1)プロバイオティクス細菌の溶液を、リン酸緩衝食塩水(PBS)中に、200mlの体積中に1ml当り10個のプロバイオティクス胞子を分散させることによって調製した。
バシラス属に属する3つの異なる細菌種(B.ズブチリス(B. subtilis)、B.プミルス(B. pumilus)、B.メガテリウム(B. megaterium))の凍結乾燥形態の胞子を使用した。
2)分注装置1のリザーバ4に調製した溶液を充填し、そして合計量10mlが50mlの滅菌チューブに収集されるまで装置を動作させた。
10mlを収集するのに必要な分注時間は、45秒であることが判った。
3)そして、当初の溶液および噴霧ジェットが分注された後に収集された溶液の両方のPBS中のスカラー1:10希釈物(9mlのPBS中の1mlの懸濁液)を作製した。
4)スカラー希釈液を、寒天トリプトンソイ(TSA)培地に二重に接種した(0.5mL/培養培地)。
5)プロバイオティクス細菌の溶液のスカラー希釈物を含むTSA培地を37℃で24時間培養し、プロバイオティクス細菌の溶液1ml当りのコロニー形成単位(CFU)をカウントした。
【0085】
プロバイオティクス細菌の溶液のCFU/mlとして表される結果を(表1)に報告されており、分注装置1は、当初の溶液と比較して生存能力の損失なしでプロバイオティクス細菌の溶液を分注できることを示す(百分率変動は、充分に実験変動の限界内であり、微生物の濃度および/または生存能力の重大な損失を意味していない)。こうして分注装置1は、分注装置1のリザーバ4に最初に充填された濃度に重ねられた濃度(リザーバに導入される溶液に対して最大8%の変動)で、生存可能な形態でプロバイオティクス細菌を分注することを可能にする。
【0086】
(表1)検査済みの分注装置1から分注されるプロバイオティクス細菌
【0087】
【表1】
【0088】
実験2。プロバイオティクス細菌の溶液2を噴霧ジェット16の形態で屋内環境内および屋内環境のある表面上に分注する。
【0089】
予備実験で得られた結果を考慮して、プロバイオティクス細菌の溶液2を、1mの体積チャンバ内(空中または表面のいずれかに分注)に噴霧ジェット16の形態で様々な分注時間で分注することによって、プロバイオティクス細菌の濃度を評価した。
【0090】
1)検査で使用したプロバイオティクス細菌の溶液の全てを、実験1で説明したように実験前に調製した。
【0091】
2)1m×1m×1m(1m体積)の検査チャンバ内に直径90mmの滅菌プラスチックペトリ皿を4つ置いて、これらを検査チャンバの底部および壁(高さ50cm)に固定し、検査チャンバ内の分注装置1によって噴霧されたものからプラスチックペトリ皿表面上のプロバイオティクス細菌の可能性のある堆積を強調するためである。
【0092】
3)そして、分注装置1を用いた検査チャンバ内のプロバイオティクス懸濁液の噴霧が続いて、分注本体8を、この目的のために設けられた検査チャンバ開口の1つの内側に直接配置し、他の検査チャンバ開口全てを密閉状態に維持する。
【0093】
4)分注装置1を3つの異なる時間、即ち、30秒、1分および3分の間動作させ、その終了時に分析対象のサンプルを収集した。これらの時間の間では、チャンバを過酸化によって衛生化し、既に分注されたプロバイオティクス細菌を除去し、チャンバを初期汚染除去状態に戻した。
【0094】
5)ステップ4に示した時間で、サンプルを次のように収集した。制御装置1の3回の動作時間(30秒、1分、3分)の終了時に、チャンバ内の空気をMD8エアーポート(ザルトリウス社)エアーサンプラーを用いてサンプリングし、空気量を0.5m(15分間の吸引に対応する)に固定した。
【0095】
6)空気サンプリングの終了時に、表面からプレートを収集した。
【0096】
7)バイオハザードクラス2の層流フードの下で、ゼラチン収集フィルタをエアーサンプラーから取り出し、37℃で5mlの滅菌PBS中に可溶化した。完了後、1:10の連続希釈を行った(9mlのPBS中に1mlの懸濁液)。
【0097】
8)各スカラー希釈液を、寒天トリプトンソイ(TSA)培地(0.5mL/培地)上に二重に接種した。
【0098】
9)各スカラー希釈液を接種した寒天トリプトンソイ(TSA)培地を、37±1℃の温度で24時間培養し、プロバイオティクス細菌の溶液の検査チャンバ体積m当りと滅菌プラスチックペトリ皿表面m当りのコロニー形成単位(CFU)をカウントした。
【0099】
(表2)は、30秒、1分、3分の分注装置1の動作期間について、初期濃度をCFU/mlとして、検査チャンバ内の空気中のプロバイオティクス細菌の量をCFU/mとして示す。
【0100】
(表3)は、30秒、1分、3分の分注装置1の動作期間について、初期濃度をCFU/mlとして、検査チャンバ内の滅菌プラスチックペトリ皿の表面上のプロバイオティクス細菌の量をCFU/mとして示す。
【0101】
実験2の結果は、例えば、約10CFU/mlを含む溶液から開始して、分注装置1が、1分間の分注で空気中に約10/mを超えるプロバイオティクス細菌の濃度、および1分間の分注で表面上に10/mを超えるプロバイオティクス細菌の濃度をどのように分注可能であるかを説明する。
【0102】
(表2)示した時間での分注されたプロバイオティクス細菌の濃度:空気
【0103】
【表2】
【0104】
(表3)示した時間での分注されたプロバイオティクス細菌の濃度:表面
【0105】
【表3】
【0106】
参照番号のリスト
1 分注装置 2 プロバイオティクス細菌の溶液 4 リザーバ
6 加圧ガス源 8 分注本体または分注ガン 10 分注デバイス
12 混合チャンバ 14 分注ノズル 16 噴霧ジェット
18 蠕動ポンプ 20 冷却手段 22 加圧ガスの第1遮断手段
24 加圧ガス供給圧力の第1検出手段、好ましくは低圧検出器
26 加圧ガス供給圧力の第1検出手段、好ましくは高圧検出器
28’ プロバイオティクス細菌の溶液の第2遮断手段、好ましくは蠕動ポンプの上流側にある
28” プロバイオティクス細菌の溶液の第2遮断手段、好ましくは蠕動ポンプの下流側にあり、より好ましくは分注本体の上流側にある
30 プロバイオティクス細菌の溶液の供給圧力の第2検出手段
32 管理制御手段 34 デバイスケーシング
36 第1ケーシング区画または下側区画
38 第2ケーシング区画または上側区画
40 撹拌手段 42 機械的撹拌器 44 インペラ
46 底壁 48 アクセス開口 50 吸引導管
52 レベル検出器、好ましくはレベルスイッチ
54 圧縮空気制御ユニット 56 モータユニット
58 ロータユニット 60 逆流防止バルブ
62 第1温度検知手段 64 ケーシングドア
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】