(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-24
(54)【発明の名称】多層光学フィルム
(51)【国際特許分類】
G02B 5/30 20060101AFI20240517BHJP
【FI】
G02B5/30
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023572585
(86)(22)【出願日】2022-04-27
(85)【翻訳文提出日】2023-11-22
(86)【国際出願番号】 IB2022053924
(87)【国際公開番号】W WO2022248950
(87)【国際公開日】2022-12-01
(32)【優先日】2021-05-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505005049
【氏名又は名称】スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100130339
【氏名又は名称】藤井 憲
(74)【代理人】
【識別番号】100135909
【氏名又は名称】野村 和歌子
(74)【代理人】
【識別番号】100133042
【氏名又は名称】佃 誠玄
(74)【代理人】
【識別番号】100171701
【氏名又は名称】浅村 敬一
(72)【発明者】
【氏名】ザオ,リン
(72)【発明者】
【氏名】ブノワ,ジル ジェイ.
【テーマコード(参考)】
2H149
【Fターム(参考)】
2H149AA01
2H149AB01
2H149BA24
2H149FA08W
2H149FA08Z
2H149FA12W
2H149FD03
2H149FD09
2H149FD10
2H149FD47
(57)【要約】
多層光学フィルムが、第1の波長を有しポリマー層の面内第1の方向に沿って偏光した実質的に垂直に入射する光の少なくとも30%を透過する、複数のポリマー層を含む。ポリマー層の各々は約500nm未満の平均厚さを有する。複数のポリマー層内の第1、第2及び第3のポリマー層は互いに隣接して連続的に配置されており、第1の波長において第1の方向に沿ってそれぞれの屈折率n1、n2、及びn3を有し、それぞれの平均厚さd1、d2、及びd3を有する。n2d2は、m(n1d1+n3d3)の約40%以内であることができ、mは正の整数である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のポリマー層であって、第1の波長を有し前記ポリマー層の面内第1の方向に沿って偏光した実質的に垂直に入射する光の少なくとも30%を透過する、複数のポリマー層を含む、多層光学フィルムであって、前記ポリマー層の各々が約500nm未満の平均厚さを有し、前記複数のポリマー層内の第1、第2及び第3のポリマー層が互いに隣接して連続的に配置されており、前記第1の波長において前記第1の方向に沿ってそれぞれの屈折率n1、n2及びn3を有し、それぞれの平均厚さd1、d2及びd3を有し、n2d2はm(n1d1+n3d3)の約40%以内であり、mは正の整数である、多層光学フィルム。
【請求項2】
第2の波長を有し前記面内第1の方向に沿って偏光した前記実質的に垂直に入射する光の、少なくとも50%を反射し、前記第2の波長が前記第1の波長の約100nm以内である、請求項1に記載の多層光学フィルム。
【請求項3】
第2の複数の第2のポリマー層と交互になっている第1の複数の第1のポリマー層を含む多層光学フィルムであって、約50nm~約150nm幅の所定の波長範囲において、前記多層光学フィルムの面内第1の方向に沿った前記第1のポリマー層の平均屈折率と前記第2のポリマー層の平均屈折率との差が十分に大きく、前記第1のポリマー層の厚さ及び前記第2のポリマー層の厚さが前記多層光学フィルムの厚さの少なくとも一部分にわたって変化し、前記多層光学フィルムは、前記所定の波長範囲において、前記面内第1の方向に沿って偏光した実質的に垂直に入射する光について少なくとも50%の平均光学反射率を有しており、前記複数の第1のポリマー層及び前記複数の第2のポリマー層内の、隣接し連続的に配置された3つのポリマー層の少なくとも1つのグループにおいて、前記3つのポリマー層がそれぞれの平均厚さd1、d2及びd3を有し、d2はm(d1+d3)の約40%以内であり、mは正の整数である、多層光学フィルム。
【請求項4】
d2は約400nm未満である、請求項3に記載の多層光学フィルム。
【請求項5】
合計で少なくとも10個の複数の光学的繰り返し単位(optical repeat unit:ORU)を含み、前記ORUの各々が少なくとも2つのポリマー層を有し、前記ORUの各々が約300nmから約2500nmにわたる所定の波長範囲内のある波長の半分に実質的に等しい光学的厚さを有し、前記複数のORU内の少なくとも第1のORU及び第2のORUが互いに100nm以内にあるそれぞれの波長L1及びL2の半分に実質的に等しい光学的厚さを有し、前記第1のORU及び前記第2のORUがそれらの間に配置された、単一の、ポリマーの第1の層を有し、前記第1の層がL1とL2の間に配置された波長L3の半分に実質的に等しい光学的厚さを有する、多層光学フィルム。
【請求項6】
複数の、ポリマーの第1の層と、1つ以上の、ポリマーの第2の層と、を含む多層光学フィルムであって、前記第1の層及び前記第2の層の各々が約400nm未満の平均厚さを有し、前記第2の層の各々について、前記第2の層が平均厚さd2を有し、前記第1の層のうち最大厚さd1を有する2つの間に、それらに隣接して配置されており、d2≧1.3d1である、多層光学フィルム。
【請求項7】
第1の光学ミラーと第2の光学ミラーとの間に配置されたスペーサ層を含む光学フィルムであって、前記光学フィルムの同じ面内第1の方向に沿って偏光した実質的に垂直に入射する光について、約2nm~約100nmだけ離間した第1の波長及び第2の波長、並びに、前記第1の波長と前記第2の波長との間に配置された第3の波長に対して、
前記第1の光学ミラー及び前記第2の光学ミラーが、前記第1の波長におけるそれぞれの光学透過率T1及びT2と、前記第2の波長におけるそれぞれの光学透過率T1’及びT2’と、前記第3の波長におけるそれぞれの光学透過率T1”及びT2”とを有し、T2>2T1、T1’>2T2’であり
前記光学フィルムが前記第3の波長における光学透過率Tを有し、T>T1”及びT2”である、
光学フィルム。
【請求項8】
複数の第2の層上に配置された複数の第1の層を含む光学フィルムであって、同じ面内第1の方向に沿って偏光した実質的に垂直に入射する光について、前記複数の第1の層及び前記複数の第2の層の各々の、波長に対する光学透過率が透過阻止帯域を含み、前記透過阻止帯域が、前記透過阻止帯域の短波長側に、波長が増加するにつれて透過率が概して減少する左帯域端(left band edge:LBE)と、前記透過阻止帯域の長波長側に、波長が増加するにつれて透過率が概して増加する右帯域端(right band edge:RBE)とを含み、前記透過阻止帯域が少なくとも20nm幅であり、前記透過阻止帯域にわたる平均透過率が約10%未満であり、
前記複数の第1の層の前記RBEが前記複数の第2の層の前記LBEと、少なくとも第1の透過率交点において約5%~約50%だけ交差する、光学フィルム。
【請求項9】
多層光学フィルムであって、前記光学フィルムの厚さ方向に沿って連続的に配置された複数の光学的繰り返し単位(ORU)及び単一の空洞層を含んでおり、前記単一の空洞層が前記複数のORU内の第1のORUと第2のORUとの間に配置されており、前記ORUが合計で少なくとも30個であり、前記ORUの各々が少なくとも2つの層を有し、前記少なくとも2つの層の各々が約500nm未満の平均厚さを有し、前記ORUが厚さ方向に沿って連続的に番号付けされており、前記連続的に番号付けされたORUの光学的厚さの、シーケンス内の対応する数の関数としてのプロットが単調な第1の部分を含み、前記単調な第1の部分が前記ORUの少なくとも10個にわたって延在し、かつ、前記第1のORU及び第2のORUを含んでおり、前記シーケンスの前記単調な第1の部分内の前記ORUに適用される最良の線形フィットが前記第1のORUに対応する前記シーケンス番号のところで光学厚さM1を有するようになっており、M1と前記単一の空洞層の光学厚さとの差の絶対値が約10%未満である、多層光学フィルム。
【請求項10】
少なくとも1つの共振波長で共振する共振空洞を含む多層光学フィルムであって、前記共振空洞が多層の、ポリマーの第1の光学ミラーと、ポリマーの第2の光学ミラーと、の間にポリマー空洞層を配置することによって形成されており、前記第1の光学ミラー及び前記第2の光学ミラーの各々が合計で少なくとも10個の複数のポリマー層を含み、前記ポリマー層の各々が約500nm未満の平均厚さを有し、前記第1の光学ミラー及び前記第2の光学ミラーの各々が、前記少なくとも1つの共振波長で実質的に垂直に入射する光について少なくとも25%の光学反射率を有し、前記第1の光学ミラー及び前記第2の光学ミラーが、前記少なくとも1つの共振波長で前記多層光学フィルムに実質的に垂直に入射する入射光について、前記入射光の一部分をそれぞれの第1の反射光及び第2の反射光として実質的に同じ方向に反射し、前記第1の反射光及び前記第2の反射光が前記共振空洞の外側で弱め合うように互いに干渉する、多層光学フィルム。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
多層光学フィルムは反射帯域を提供するために、交互の複数のポリマー層を含むことができる。
【発明の概要】
【0002】
本明細書は概して、複数の層を含む光学フィルムに関する。複数の層は、所定の波長範囲内の反射帯域をもたらす層を含むことができ、かつ、1つ以上の追加層を含むことができ、各追加層は隣接する層よりも実質的に厚く、1つ以上の追加層は所定の波長範囲内の1つ以上の透過帯域をもたらす。
【0003】
いくつかの態様では、本明細書は、複数のポリマー層であって、第1の波長を有しポリマー層の面内第1の方向に沿って偏光した実質的に垂直に入射する光の少なくとも30%を透過する,複数のポリマー層を含む、多層光学フィルムを提供する。ポリマー層の各々は約500nm未満の平均厚さを有する。複数のポリマー層内の第1、第2及び第3のポリマー層は互いに隣接して連続的に配置されており、第1の波長において第1の方向に沿ってそれぞれの屈折率n1、n2、及びn3を有し、それぞれの平均厚さd1、d2、及びd3を有する。n2d2は、m(n1d1+n3d3)の約40%以内であることができ、mは正の整数である。
【0004】
いくつかの態様では、本明細書は、第2の複数の第2のポリマー層と交互になっている第1の複数の第1のポリマー層を含む、多層光学フィルムを提供する。約50nm~約150nm幅の所定の波長範囲において、多層光学フィルムの面内第1の方向に沿った第1のポリマー層の平均屈折率と第2のポリマー層の平均屈折率との間の差は十分に大きく、第1のポリマー層の厚さ及び第2のポリマー層の厚さは多層光学フィルムの厚さの少なくとも一部分にわたって変化し、多層光学フィルムは、所定の波長範囲において、面内第1の方向に沿って偏光した実質的に垂直に入射する光について少なくとも50%の平均光学反射率を有する。複数の第1のポリマー層及び複数の第2のポリマー層内の、隣接し連続的に配置された3つのポリマー層の少なくとも1つのグループにおいて、3つのポリマー層はそれぞれの平均厚さd1、d2及びd3を有する。d2は、m(d1+d3)の約40%以内であることができ、mは正の整数である。
【0005】
いくつかの態様では、本明細書は、合計で少なくとも10個の複数の光学的繰り返し単位(optical repeat unit:ORU)を含む、多層光学フィルムを提供する。ORUの各々は少なくとも2つのポリマー層を含む。ORUの各々は、約300nmから約2500nmにわたる所定の波長範囲内のある波長の半分に実質的に等しい光学的厚さを有する。複数のORU内の少なくとも第1のORU及び第2のORUは、互いに100nm以内にあるそれぞれの波長L1及びL2の半分に実質的に等しい光学的厚さを有する。第1のORU及び第2のORUは、それらの間に配置された、単一の、ポリマーの第1の層を有し、第1の層は、L1とL2との間に配置された波長L3の半分に実質的に等しい光学的厚さを有する。
【0006】
いくつかの態様では、本明細書は、複数の、ポリマーの第1の層と、1つ以上の、ポリマーの第2の層と、を含む多層光学フィルムを提供する。第1の層及び第2の層の各々は、約400nm未満の平均厚さを有する。第2の層の各々について、第2の層は平均厚さd2を有し、第1の層のうち最大厚さd1を有する2つの間に、それらに隣接して配置されており、d2≧1.3d1である。
【0007】
いくつかの態様では、本明細書は、第1の光学ミラーと第2の光学ミラーとの間に配置されたスペーサ層を含む光学フィルムを提供し、光学フィルムの同じ面内第1の方向に沿って偏光した実質的に垂直に入射する光について、約2nm~約100nmだけ離間した第1の波長及び第2の波長、並びに、第1の波長と第2の波長との間に配置された第3の波長に対して、第1の光学ミラー及び第2の光学ミラーが、第1の波長におけるそれぞれの光学透過率T1及びT2と、第2の波長におけるそれぞれの光学透過率T1’及びT2’と、第3の波長におけるそれぞれの光学透過率T1”及びT2”とを有し、T2>2T1、T1’>2T2’であり、光学フィルムは第3の波長における光学透過率Tを有し、T>T1”及びT2”である。
【0008】
いくつかの態様では、本明細書は、複数の第2の層上に配置された複数の第1の層を含む光学フィルムであって、同じ面内第1の方向に沿って偏光した実質的に垂直に入射する光について、複数の第1の層及び複数の第2の層の各々の、波長に対する光学透過率に透過阻止帯域があり、透過阻止帯域が、透過阻止帯域の短波長側に、波長が増加するにつれて透過率が概して減少する左帯域端(left band edge:LBE)と、透過阻止帯域の長波長側に、波長が増加するにつれて透過率が概して増加する右帯域端(right band edge:RBE)とを含み、透過阻止帯域が少なくとも20nm幅であることができ、透過阻止帯域にわたる平均透過率が約10%未満であることのできる、光学フィルムを提供する。複数の第1の層のRBEは複数の第2の層のLBEと、少なくとも第1の透過率交点において約5%~約50%だけ交差する。
【0009】
いくつかの態様では、本明細書は、多層光学フィルムであって、その光学フィルムの厚さ方向に沿って連続的に配置された複数の光学的繰り返し単位(ORU)及び単一の空洞層を含んでおり、その単一の空洞層が複数のORU内の第1のORUと第2のORUとの間に配置されている、多層光学フィルムを提供する。ORUは合計で少なくとも30個である。ORUの各々は少なくとも2つの層を有する。少なくとも2つの層の各々は約500nm未満の平均厚さを有する。ORUは、厚さ方向に沿って連続的に番号付けされている。連続的に番号付けされたORUの光学的厚さの、シーケンス内の対応する番号の関数としてのプロットは単調な第1の部分を含み、この単調な第1の部分はORUの少なくとも10個にわたって延在し、かつ、第1のORU及び第2のORUを含んでおり、シーケンスの単調な第1の部分内のORUに適用される最良の線形フィットは第1のORUに対応するシーケンス番号のところで光学的厚さM1を有するようになっている。M1と単一の空洞層の光学的厚さとの間の差の絶対値は、約10%未満であることができる。
【0010】
いくつかの態様では、本明細書は、少なくとも1つの共振波長で共振する共振空洞を含む多層光学フィルムを提供する。共振空洞は、多層の、ポリマーの第1の光学ミラーと、ポリマーの第2の光学ミラーと、の間にポリマー空洞層を配置することによって形成されている。第1の光学ミラー及び第2の光学ミラーの各々は合計で少なくとも10個の複数のポリマー層を含む。ポリマー層の各々は約500nm未満の平均厚さを有する。第1の光学ミラー及び第2の光学ミラーの各々は、その少なくとも1つの共振波長で実質的に垂直に入射する光について少なくとも25%の光学反射率を有することができる。第1の光学ミラー及び第2の光学ミラーは、その少なくとも1つの共振波長で多層光学フィルムに実質的に垂直に入射する入射光について、入射光の一部分をそれぞれの第1の反射光及び第2の反射光として実質的に同じ方向に反射する。反射光は、共振空洞の外側で弱め合うように互いに干渉する。
【0011】
いくつかの態様では、本明細書では、少なくとも第1の共振波長で共振する共振空洞を含む多層光学フィルムを提供する。共振空洞は、多層の、ポリマーの第1の光学ミラーと、ポリマーの第2の光学ミラーと、の間にポリマー空洞層を配置することによって形成されている。第1の光学ミラー及び第2の光学ミラーの各々は合計で少なくとも10個の複数のポリマー層を含み、ポリマー層の各々は約500nm未満の平均厚さを有する。第1の光学ミラー及び第2の光学ミラーの各々は、実質的に垂直に入射する光について、第1の共振波長に対して少なくとも25%の光学反射率を有することができる。多層光学フィルムは、多層光学フィルムに実質的に垂直に入射し、第1の共振波長を有する入射光について、入射光の第1の部分を光の弱め合い干渉に基づいて反射し、入射光の第1の部分よりも実質的に大きい第2の部分を光の強め合い干渉に基づいて透過する。
【0012】
いくつかの態様では、本明細書は、合計で少なくとも10個の複数の光学的繰り返し単位(ORU)を含む、多層光学フィルムを提供する。ORUの各々は少なくとも2つのポリマー層を含み、ポリマー層の各々は約500nm未満の平均厚さを有することができる。複数のORU内の第1のORUと第2のORUとの間に、それらに隣接して単一の空洞層が配置されており、所定の波長を有し多層光学フィルムの面内第1の方向に沿って偏光した、実質的に垂直に入射する光について、第1のORU及び第2のORUの各々が、入射光の一部分を、強め合う干渉によって、それぞれの第1の反射光及び第2の反射光として第1のORU及び第2のORUの他方に向けて反射するようになっている。単一の空洞層は、第1の反射光と第2の反射光とを強め合うように干渉させる。
【0013】
いくつかの態様では、本明細書は、合計で少なくとも10個の複数の光学的繰り返し単位(ORU)を含み、ORUの各々が少なくとも2つのポリマー層を有する多層光学フィルムを提供する。ポリマー層の各々は、約500nm未満の平均厚さを有することができる。複数のORU内の第1のORUと第2のORUとの間に、それらに隣接して単一の空洞層が配置される。第1のORU及び第2のORUの各々は同じ所定の波長の半分に実質的に等しい光学的厚さを有しており、多層光学フィルムは、所定の波長を有し多層光学フィルムの面内第1の方向に沿って偏光した、実質的に垂直に入射する光について、入射光の第1の部分を光の弱め合い干渉に基づいて反射し、入射光の第1の部分よりも実質的に大きい第2の部分を光の強め合い干渉に基づいて透過する。
【0014】
いくつかの態様では、本明細書は、複数の第1の層及び複数の第2の層を含む多層光学フィルムを提供する。第1の層及び第2の層の各々は約500nm未満の平均厚さを有する。第2の層の各々について、第2の層は第1の層のうち2つの間に、それらに隣接して配置され、2つの第1の層の各々の平均厚さよりも大きい平均厚さを有し、第2の層は、多層光学フィルムに約40%超の異なる局所ピーク光学透過率を持たせる。
【0015】
いくつかの態様では、本明細書は、光学フィルムの厚さ方向に沿って連続的に配置され番号付けされた複数の第1の層及び複数の第2の層を含み、第2の層の各々が第1の層のうち2つの間に、それらに隣接して配置されている多層光学フィルムを提供する。第1の層及び第2の層の各々は約500nm未満の平均厚さを有する。第2の層は、層が組み合わされて多層光学フィルムに約40%超のピーク光学透過率を持たせるように、層のシーケンスの中で互いに十分に接近していることができる。
【0016】
これら及び他の態様は、以下の詳細な説明から明らかになるであろう。しかしながら、いかなる場合も、この簡潔な概要は、特許請求の範囲の主題を限定するものと解釈されるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1A】いくつかの実施形態による、多層光学フィルムの概略断面図である。
【
図1B】
図1Aの多層光学フィルムの一部分の概略断面図である。
【
図2A】いくつかの実施形態による、第1の光学ミラーと第2の光学ミラーとの間に配置された層を含む多層光学フィルムの概略断面図である。
【
図2B】
図2Aの第1の光学ミラー及び第2の光学ミラーの概略断面図である。
【
図2C】
図2Aの第1の光学ミラー及び第2の光学ミラーの概略断面図である。
【
図3A】いくつかの実施形態による、第1の光学ミラー及び第2の光学ミラーの、波長に対する光学透過率のプロットである。
【
図3B】いくつかの実施形態による、
図3Aの波長に対する光学透過率の一部分と、
図3Aの第1の光学ミラー及び第2の光学ミラー並びにそれらの間の空洞又はスペーサ層を含む多層光学フィルムの、波長に対する光学透過率の一部分とのプロットである。
【
図4A】いくつかの実施形態による、ある多層光学フィルムの層番号に対する層厚さのプロットである。
【
図4B】いくつかの実施形態による、ある多層光学フィルムの層番号に対する層厚さのプロットである。
【
図4C】いくつかの実施形態による、ある多層光学フィルムの層番号に対する層厚さのプロットである。
【
図5A】いくつかの実施形態による、ある多層光学フィルムの光学的繰り返し単位(ORU)番号に対するORUの光学的厚さのプロットである。
【
図5B】いくつかの実施形態による、ある多層光学フィルムの光学的繰り返し単位(ORU)番号に対するORUの光学的厚さのプロットである。
【
図5C】いくつかの実施形態による、ある多層光学フィルムの光学的繰り返し単位(ORU)番号に対するORUの光学的厚さのプロットである。
【
図6A】いくつかの実施形態による、ある光学フィルムのORU番号に対するORUの光学的厚さの2倍に相当する波長のプロットである。
【
図6B】いくつかの実施形態による、ある光学フィルムのORU番号に対するORUの光学的厚さの2倍に相当する波長のプロットである。
【
図7A】いくつかの実施形態による、ある多層光学フィルムの、光学フィルムに実質的に垂直に入射する光についての波長に対する光学透過率及び光吸収率のプロットである。
【
図7B】
図7Aの波長に対する光学透過率の一部分のプロットである。
【
図7C】
図7Aの波長に対する光学透過率の一部分のプロットである。
【
図8A】いくつかの実施形態による、様々な光学フィルムの層番号に対する層厚さのプロットである。
【
図8B】いくつかの実施形態による、様々な光学フィルムの層番号に対する層厚さのプロットである。
【
図8C】いくつかの実施形態による、様々な光学フィルムの層番号に対する層厚さのプロットである。
【
図9A】いくつかの実施形態による、
図8A~
図8Cの層厚さプロファイルをそれぞれ有する光学フィルムの、実質的に垂直に入射する光についての波長に対する光学透過率のプロットである。
【
図9B】いくつかの実施形態による、
図8A~
図8Cの層厚さプロファイルをそれぞれ有する光学フィルムの、実質的に垂直に入射する光についての波長に対する光学透過率のプロットである。
【
図9C】いくつかの実施形態による、
図8A~
図8Cの層厚さプロファイルをそれぞれ有する光学フィルムの、実質的に垂直に入射する光についての波長に対する光学透過率のプロットである。
【
図10】いくつかの実施形態による、異なる厚さのスペーサ層又は空洞層を有するフィルムの、実質的に垂直に入射する光についての波長に対する光学透過率のプロットである。
【
図11A】いくつかの実施形態による、3つの離間したスペーサ層又は空洞層を含む光学フィルムの層番号に対する層厚さのプロットである。
【
図11B】いくつかの実施形態による、3つの離間したスペーサ層又は空洞層を含む光学フィルムの層番号に対する層厚さのプロットである。
【
図11C】いくつかの実施形態による、3つの離間したスペーサ層又は空洞層を含む光学フィルムの層番号に対する層厚さのプロットである。
【
図11D】いくつかの実施形態による、3つの離間したスペーサ層又は空洞層を含む光学フィルムの層番号に対する層厚さのプロットである。
【
図12】いくつかの実施形態による、
図11A~
図11Dの層厚さプロファイルを有する光学フィルムの、実質的に垂直に入射する光についての波長に対する光学透過率のプロットである。
【
図13A】いくつかの実施形態による、4つのスペーサ層又は空洞層を有する光学フィルムの層番号に対する層厚さのプロットである。
【
図13B】いくつかの実施形態による、4つのスペーサ層又は空洞層を有する光学フィルムの層番号に対する層厚さのプロットである。
【
図14】いくつかの実施形態による、
図13A~
図13Bの層厚さプロファイルを有する光学フィルムの、実質的に垂直に入射する光についての波長に対する光学透過率のプロットである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下の説明では、本明細書の一部を構成し、様々な実施形態が実例として示される、添付図面が参照される。図面は、必ずしも正確な比率の縮尺ではない。本開示の範囲又は趣旨から逸脱することなく、他の実施形態が想到され、実施可能である点を理解されたい。したがって、以下の発明を実施するための形態は、限定的な意味では解釈されない。
【0019】
交互のポリマー層を含む多層光学フィルムは、例えば、米国特許第5,882,774号(Jonzaら)、同第6,179,948号(Merrillら)、同第6,783,349号(Neavinら)、同第6,967,778号(Wheatleyら)、及び同第9,162,406号(Neavinら)に概して記載されているように、層厚さ及び屈折率差を適切に選択することによって、所望の波長範囲において所望の反射及び透過を提供するために使用することができる。交互のポリマー層は、典型的には、主に光学干渉によって光を透過及び反射する光学層として説明することができる交互の高屈折率層及び低屈折率層を含む。交互の高屈折率層と低屈折率層を含む多層光学フィルムは、複数の光学的繰り返し単位を含むものとして説明されてもよく、各々の光学的繰り返し単位が高屈折率層及び低屈折率層を含む。光学的繰り返し単位は、一般的に、光学フィルムの厚さの少なくとも一部分に沿って繰り返す、光学層の最小の別個の単位である。各光学的繰り返し単位は、例えば、米国特許第5,103,337号(Schrenkら)、同第5,540,978号(Schrenk)、及び同第6,207,260号(Wheatleyら)に記載されているように、高屈折率層及び低屈折率層に加えて、1つ以上の層を含んでもよい。
【0020】
いくつかの適用例では、光学フィルムは、可視波長範囲(例えば、約400nm~約700nm、又は約420nm~約680nm、又は約450nm~約650nm)又は可視近赤外(NIR)波長範囲(例えば、約400nm~約1200nm、又は約400nm~約1000nm、又は約400nm~約900nm、又は約420nm~約850nm、又は約450nm~約800nm、又は約500nm~約800nm、又は約550nm~約800nm)などの所定の波長範囲にわたって高い反射率を有するよう所望される。ただし、場合によっては、所定の波長範囲内の1つ以上の波長に対して透過を提供することもまた所望される。例えば、光学フィルムは、ディスプレイにおいて光を再循環させるための反射体として使用することができ、この場合、反射体はまた、所定の波長範囲内の狭小波長範囲(複数可)で動作する1つ以上の送信機又は検出器(例えば、指紋感知、顔認識、又は様々な生体測定因子の感知のためのもの)を覆う。本明細書のいくつかの実施形態によれば、光学フィルムが所定の波長範囲で所望の高い平均反射率(例えば、約60%超、又は約70%超、又は約80%超)を有しながらも、所定の波長範囲内の1つ以上の所定の波長に対しては高い透過率(例えば、約80%超、又は約85%超、又は約90%超)が得られるように、所定の波長範囲内に狭小透過帯域(複数可)を設けることができることが分かった。いくつかの実施形態では、このことは、光学層の積層体を利用して反射帯域を生成し、この積層体内に1つ以上の追加光学層を、追加光学層の各々がその追加光学層の両側の隣接する光学層よりも実質的に大きい(例えば、少なくとも50%大きい)厚さを有するようにして含ませることによって実現される。
【0021】
図1Aは、いくつかの実施形態による、複数のポリマー層10、11を含む多層光学フィルム200の概略断面図である。ポリマー層10、11の各々は、約500nm未満、又は約400nm未満、又は約300nm未満、又は約250nm、又は200nm未満の平均厚さを有することができる。例えば、ポリマー層10、11の各々は、約30nm超、又は約40nm超、又は約50nm超の平均厚さを有することができる。光学フィルム200はまた、約500nm超の厚さを有する他の層も含むことができる。例えば、光学フィルム200はスキン層131及び132を含むことができ、複数のポリマー層10、11は、スキン層131と132との間に配置される。スキン層131、132の各々は、約500nm超、約1マイクロメートル超、又は約2マイクロメートル超の平均厚さを有してもよい。スキン層131及び132の各々の平均厚さは、例えば、最大約20マイクロメートルであることができる。光学フィルム200は、光学層のパケット間に配置され、スキン層について記載した範囲のいずれかの平均厚さを有する、保護境界層(複数可)を更に含んでもよい。スキン層及び/又は保護境界層(複数可)は、例えば層10の、又は層11のポリマー材料から形成されてもよい。複数のポリマー層10、11は厚さSを有する層13を含み、この厚さは、複数のポリマー層10、11内の隣接する層12、14の厚さよりも典型的には大きい。例えば、層13は層10の1つであってもよい。層13は、例えばスペーサ層又は空洞層と称されてもよい。
図1Aの概略図には層13は1つだけ示されているが、追加の層13が含まれてもよい(例えば、
図11A及び
図13A~
図13Bを参照)。複数のポリマー層10、11は、複数の第1のポリマー層(層13以外の層10、11)及び1つ以上の第2のポリマー層(層(複数可)13)を含むものと説明され得る。複数のポリマー層10、11は、
図1Aに概略的に示されているよりも多くの層を含むことができる。このことを、例えば
図1Bに概略的に示す。層の数、及び隣接する層間の屈折率差は、所望の波長範囲にわたって所望の反射強度を与えるように選択することができる。いくつかの実施形態では、複数のポリマー層10、11の層の数は、例えば、合計で少なくとも10層、又は合計で少なくとも20層、又は合計で少なくとも30層、又は合計で少なくとも40層、又は合計で少なくとも50層、又は合計で少なくとも100層、又は合計で少なくとも150層であり、また、例えば、合計で最大1000層、又は合計で最大600層、又は合計で最大500層、又は合計で最大450層を含んでもよい。複数の第1のポリマー層は、各光学的繰り返し単位が1つの層10及び1つの層11を含む、複数の光学的繰り返し単位30を含むものと説明され得る。いくつかの実施形態では、多層光学フィルムは複数の光学的繰り返し単位を含み、各光学的繰り返し単位は少なくとも2つの層を含む。2つの層はポリマー層であることができ、異なる組成を有することができる。いくつかの実施形態では、多層光学フィルムは、例えば、合計で少なくとも10個、又は合計で少なくとも20個、又は合計で少なくとも30個、又は合計で少なくとも40個、又は合計で少なくとも50個、又は合計で少なくとも75個、又は合計で少なくとも100個、又は合計で少なくとも125個、又は合計で少なくとも150個の複数の光学的繰り返し単位(ORU)30を含み、例えば、合計で最大1000個、又は合計で最大600個、又は合計で最大400個、又は合計で最大300個、又は合計で最大250個のORUを含んでもよい。
【0022】
場合によっては、光学フィルム200の光学透過スペクトルは、例えば、実質的に垂直に(例えば、垂直入射の30度以内、又は20度以内、又は10度以内)入射する光20について指定されてもよい。光20は、例えば、図示されたx-y-z座標系に照らして、x軸に沿って、又はy軸に沿って偏光していてもよく、又は偏光していなくてもよい。例えば斜めに入射する光の偏光状態は、例えば、フィルムの平面内に投影された光の電場が第1の方向に平行である場合、平面内第1の方向に沿っているものと説明され得る。光20は、所定の波長範囲λ1~λ2内の波長λを有してもよい。λ1は、例えば、約300nm、又は約350nm、又は約380nm、又は約400nm、又は約420nm、又は約450nmであってもよい。λ2は、例えば、約2500nm、又は約2000nm、又は約1600nm、又は約1350nm、又は約1200nm、又は約1000nm、又は約900nm、又は約800nm、又は約700nm、又は約680nm、又は約650nmであってもよい。いくつかの実施形態では、光学フィルム200は、光学ミラーであってもよく(例えば、光学ミラーは、実質的に垂直に入射する光20及び所定の波長範囲内の少なくとも1つの波長に対して、2つの互いに直交する偏光状態の各々について約60%超、又は約70%超、又は約80%超の光学反射率を有することができる)、又は反射偏光子であってもよい(例えば、反射偏光子は、実質的に垂直に入射する光について、所定の波長範囲内の少なくとも1つの波長に対して、第1の偏光状態を有する(例えば、x軸に沿って偏光した)光については約60%超、又は約70%超、又は80%超の光学反射率と、直交する第2の偏光状態を有する(例えば、y軸に沿って偏光した)光については約60%超、又は約70%超、又は約75%超の光学透過率を有することができる)。
【0023】
多層光学フィルム200(又は本明細書の他の箇所に記載の光学フィルム210)は、多層光学フィルムに従来使用されているポリマー材料から形成することができる。多層光学フィルム200(又は210)の様々な層に好適な材料としては、例えば、ポリエチレンナフタレート(PEN)、coPEN(コポリエチレンナフタレートテレフタレートコポリマー)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリヘキシルエチレンナフタレートコポリマー(PHEN)、グリコール変性PET(PETG)、グリコール変性PEN(PENG)、本明細書の他の箇所に記載のものなどの様々な他のコポリエステル、シンジオタクチックポリスチレン(sPS)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、coPMMA(メチルメタクリレートとエチルアクリレートのコポリマー)、又はこれらのブレンドが挙げられる。いくつかの実施形態では、層10、11は交互の第1の層と第2の層を含み、第1の層は、例えばPEN又はPETを含み、第2の層は、例えばPMMA又はcoPMMAを含む。多層光学フィルム200内の様々な層に好適な他の材料としては、例えば、米国特許第5,103,337号(Schrenkら)、同第5,540,978号(Schrenk)、同第5,882,774号(Jonzaら)、同第6,179,948号(Merrillら)、同第6,207,260号(Wheatleyら)、同第6,783,349号(Neavinら)、同第6,967,778号(Wheatleyら)、同第9,069,136号(Weberら)、及び同第9,162,406号(Neavinら)に記載されているものが挙げられる。好適なsPSは、例えば、Idemitsu Kosan Co.,Ltd.(Tokyo,Japan)から入手することができる。アタクチックポリスチレン(aPS)は、任意選択的に、得られる層の屈折率を調整するために、及び/又は層のヘイズを低減するために(例えば、層の結晶化度を低減することによって)、sPSと(例えば、約5~約30重量パーセントのaPSで)ブレンドすることができる。好適なPMMAは、例えば、Arkema Inc.(Philadelphia,PA)から入手することができる。好適なPETは、例えば、Nan Ya Plastics Corporation,America(Lake City,SC)から入手することができる。PETGは、ポリマーのグリコール単位のいくらかが、異なるモノマー単位、典型的にはシクロヘキサンジメタノールから誘導されるモノマー単位で置換されたPETとして説明され得る。PETGは、例えば、ポリエステルを製造するエステル交換反応で使用されるエチレングリコールの一部分(例えば、約15~約60モルパーセント又は約30~約40モルパーセント)を、シクロヘキサンジメタノールで置き換えることによって製造することができる。好適なPETGコポリエステルとしては、Eastman Chemical Company(Kingsport,TN)から入手可能なGN071が挙げられる。PEN及びcoPENは、例えば、米国特許第10,001,587号(Liu)に記載されているように製造することができる。グリコール変性ポリエチレンナフタレート(PENG)は、ポリマーのグリコール単位のいくらかが異なるモノマー単位で置換されたPENとして説明することができ、例えば、ポリエステルを製造するエステル交換反応で使用されるエチレングリコールの一部分(例えば、約15~約60モルパーセント又は約30~約40モルパーセント)をシクロヘキサンジメタノールで置き換えることによって製造することができる。PHENは、例えば、エステル交換反応において使用されるエチレングリコールの一部分(例えば、約15~約60モルパーセント、又は約30~約50モルパーセント、又は約40モルパーセント)がヘキサンジオールで置き換えられることを除いて、米国特許第10,001,587号(Liu)にPENについて記載されているように製造することができる。他の好適なコポリエステルとしては、例えば、Eastman Chemical Company(Kingsport,TN)からTRITANの商品名で入手可能なもの、及びOsaka Gas Chemicals Co.,Ltd.(Osaka,Japan)から入手可能なOKP-1が挙げられる。
【0024】
いくつかの実施形態では、層10、11は、交互の複屈折層(例えば、屈折率が高い)と等方性層(例えば、屈折率が低い)とを含む。例えば、層10、11は交互の第1の層と第2の層を含むことができ、第1の層は例えばPEN又はPETを含み、第2の層は例えばPMMA又はcoPMMAを含み、PEN層又はPET層は複屈折性(例えば、二軸又は一軸配向)であることができ、PMMA又はcoPMMAは光学的等方性であることができる。いくつかの実施形態では、層10、11は交互の高屈折率の等方性層と低屈折率の等方性層を含む。好適な等方性の高屈折率層としては、例えば、PHEN、PENG及びOKP-1が挙げられる。好適な等方性の低屈折率層としては、例えば、PMMA及びcoPMMAが挙げられる。この高屈折率及び低屈折率は、反射偏光子の場合、ブロック軸に沿って取られ得る面内方向に沿った屈折率を指す。屈折率は、例えば約633nmの波長において評価することができる。反射偏光子の場合、反射偏光子の通過軸及び遮断軸を画定するように複屈折層を選択することができる。光学ミラーの場合、例えば、斜めの入射光についての所望の反射スペクトルに基づいて、複屈折又は等方性の高屈折率層を選択することができる。例えば、斜めの入射角でのp偏光についての反射スペクトルを変更するために、面内方向に沿ってではなく厚さ方向に沿って異なる隣接層間の屈折率差を提供するように、複屈折層を選択することができる。
【0025】
図1A~
図1Bでは、複数のORU30内の第1のORU30aと第2のORU30bとの間に、それらに隣接して、単一の空洞層13が配置されている。
図1Bは、いくつかの実施形態による、ORU30aによって反射光24として反射される光20の一部分、ORU30aによって透過光22として透過される光20の一部分、ORU30bによって反射光25として反射される光22の一部分、OUR30bによって透過光23として透過される光22の一部分、ORU30aによって反射光26として反射される光25の一部分、ORU30bによって反射される光26の一部分26’、ORU30bによって反射される、部分25と26’の組み合わせである光25’、ORU30aによって透過される反射光25’の一部分25”を概略的に示す。光20は、所定の波長λを有することができ、また、多層光学フィルム200の面内第1の方向(例えば、x方向)に沿って偏光していることができる。光22、23、24、25、26、26’、25’、25”は、同じ所定の波長を有することができ、同じ面内第1の方向に沿って偏光していることができる。いくつかの実施形態では、第1のORU30a及び第2のORU及び30bの一方は各々、入射光20の一部分を、強め合う干渉によって、それぞれの第1の反射光26(又は第1の反射光は、ORU30aから反射された入射光20の部分の和であることもできる)及び第2の反射光25(又は第2の反射光は、ORU30bから反射された入射光20の部分の組み合わせ25’であることもできる)として第1のORU及び第2のORUの他方に向けて反射し、単一の空洞層は第1の反射光と第2の反射光とを強め合うように干渉させる。例えば、反射光26及び25は、ORU30a及び30bにおいて複数回反射されることができ、その結果、反射光の一部分は、単一の空洞層13内で実質的に同相で同じ方向に伝播して、強め合うように干渉する。例えば、反射光26の一部分26’は反射光25と強め合うように干渉することができる。いくつかの実施形態では、第1のORU30a及び第2のORU及び30bは、入射光20の一部分を、強め合う干渉によって、それぞれの第1の反射光24及び第2の反射光25’(又は25)として実質的に同じ方向(例えば、公称ではマイナスz方向などの同じ方向に、又は同じ方向の20度、又は10度、又は5度以内)に反射し、第1の反射光及び第2の反射光は単一の空洞層13の外側で弱め合うように互いに干渉する。例えば、反射光25’の一部分25”はORU30aを透過し、単一の空洞層13の外側で反射光24と弱め合うように干渉して、光学フィルムからの反射光を減少させることができる。ORU30aは、入射光20の別の一部分26を、例えば反射光24の方向とは反対の方向に反射してもよい。
【0026】
弱め合う干渉は一般に、位相が約180°ずれている光波の間で起こり、合成された波の振幅は個々の波と比較して小さくなる。弱め合う干渉は、実質的に完全であって(例えば、実質的に180°位相がずれており、実質的に等しい振幅を有する光波について)、合成された波の振幅が実質的に0になることもあり、又は、不完全であって(例えば、実質的に180°位相がずれており、異なる振幅を有する光波について)、合成された波の振幅は小さくなるが0ではないこともある。強め合う干渉は一般的に、互いに実質的に同相の光波の間で起こり、合成された波の振幅は個々の波と比較して大きくなる。
【0027】
所定の波長λは、約300nm~約2500nmであってもよく、又は本明細書の他の箇所に記載された所定の波長範囲内であってもよい。いくつかの実施形態では、単一の空洞層13並びに第1のORU30a及び第2のORU30bの各々は、所定の波長λの半分に実質的に等しい光学的厚さを有する。例えば、単一の空洞層13並びに第1のORU30a及び第2のORU30bの各々は、所定の波長λの半分の5%以内、又は3%以内、又は2%以内、又は1%以内、又は0.8%以内の光学的厚さを有することができる。いくつかの実施形態では、第1のORU30a及び第2のORU30bの各々は、所定の波長λの半分に実質的に等しい光学的厚さを有し、単一の空洞層13は、所定の波長λの半分の正の整数倍に実質的に等しい光学的厚さを有する。正の整数は、正の整数mについて本明細書の他の箇所に記載されたいずれかの範囲内であることができる。層の光学的厚さは、層の平均厚さに層の屈折率を掛けたものである。屈折率は、所定の波長λにおいて、かつ、第1の方向に沿って偏光した光について決定することができる。
【0028】
多層光学フィルム200は、反射体43と44との間に配置された共振空洞40を含むものと説明され得る。反射体43、44は、各々が複数の光学的繰り返し単位30を含むことのできる光学ミラー又は反射偏光子であってもよい。各反射体内のポリマー層の総数の範囲、及び/又は各反射体内の光学的繰り返し単位の総数の範囲は、光学フィルム200について本明細書の他の箇所に記載されたいずれかの対応する範囲の約半分であることができる。例えば、各々の反射体は、5~500層のポリマー層10、11を含んでもよく、又は5~500個の光学的繰り返し単位30を含んでもよい。いくつかの実施形態では、各反射体43、44は、合計で少なくとも10個のポリマー層10、11を含むことができる。いくつかの実施形態では、共振空洞40は、多層の、ポリマーの第1の光学ミラーと、ポリマーの第2の光学ミラーと、の間にポリマー空洞層13を配置することによって形成することができる。
【0029】
図2Aは、いくつかの実施形態による、第1の光学ミラー51と第2の光学ミラー52との間に配置されたスペーサ層50(例えば、ポリマー空洞層)を含む、多層光学フィルム210の概略断面図である。いくつかの実施形態によれば、光学ミラー51、52は、
図2B~
図2Cに概略的に示すように、実質的に垂直に入射する光54、55についての反射率及び/又は透過率によって特徴付けることができる。光学ミラー51に実質的に垂直に入射する光54の反射部分56及び透過部分58が、
図2Bに概略的に示されている。同様に、光学ミラー52に実質的に垂直に入射する光55の反射部分57及び透過部分59が、
図2Cに概略的に示されている。光学ミラー51及び52の光学特性は、例えば、空気中で光学ミラーに実質的に垂直に入射するそれぞれの光54及び55の反射率及び/又は透過率によって特徴付けられてもよい。
【0030】
第1の光学ミラー51及び第2の光学ミラー52は、本明細書の他の箇所に更に記載されるように、複数のポリマー層10、11を含んでもよい。いくつかの実施形態では、多層光学フィルム200、210は、少なくとも1つの共振波長(例えば、
図7B~
図7Cに示す波長41、42、又は
図3Bに示す波長63)で共振する共振空洞40を含む。共振空洞は、多層の、ポリマーの第1の光学ミラーと、ポリマーの第2の光学ミラーと(例えば、43と44と、又は51と52と)の間にポリマー空洞層13、50を配置することによって形成することができる。第1の光学ミラー及び第2の光学ミラーの各々は、合計で少なくとも10個の複数のポリマー層10、11を含むことができ、ポリマー層の各々は約500nm未満の平均厚さを有する。ポリマー層の総数及び層の平均厚さは、本明細書の他の箇所に記載されたいずれかの対応する範囲内にあることができる。いくつかの実施形態では、第1の光学ミラー及び第2の光学ミラーの各々は、少なくとも1つの共振波長で実質的に垂直に入射する(例えば、空気中で入射する)光54、55について、少なくとも25%、又は少なくとも30%、又は少なくとも35%、又は少なくとも40%、又は少なくとも45%、又は少なくとも50%、又は少なくとも55%、又は少なくとも60%(例えば、25%から、80%又は70%又は65%)の光学反射率を有する。いくつかの実施形態では、第1の光学ミラー及び第2の光学ミラーの各々は、少なくとも1つの共振波長で実質的に垂直に入射する光について25%~約50%又は約45%の範囲の光学反射率を有する。光が少なくとも1つの共振波長にあると言うことができるのは、光がその共振波長(複数可)のうち1つの波長を有するとき、又は、光が2つ以上の波長を有しており、光の各々の波長が共振波長のうち1つであるように、その少なくとも1つの共振波長が2つ以上の波長を含んでいるときである。例えば、光学反射率は、少なくとも1つの共振波長のうち少なくとも第1の共振波長に対して、これらの範囲のいずれかにあることができる。いくつかの実施形態では、第1の光学ミラー及び第2の光学ミラーは、少なくとも1つの共振波長で多層光学フィルム200、210に実質的に垂直に入射する入射光20について、入射光の一部分を、それぞれの第1の反射光及び第2の反射光158及び157(又は24及び25’)として実質的に同じ方向に反射し、第1の反射光及び第2の反射光は共振空洞40の外側で弱め合うように互いに干渉する。例えば、反射光157の一部分157’は、共振空洞40の外側で反射光158と弱め合うように干渉して、強度が低減された光157”をもたらすことができる。いくつかの実施形態では、多層光学フィルム200、210に実質的に垂直に入射する入射光20について、少なくとも1つの共振波長に対して、第1の光学ミラー及び第2の光学ミラーの各々は入射光の一部分を、それぞれ第1の反射光及び第2の反射光156及び157(又は26及び25又は25’)として第1の光学ミラー及び第2の光学ミラーの他方に向けて反射し、共振空洞40は第1の反射光と第2の反射光とを強め合うように干渉させる。いくつかの実施形態では、多層光学フィルムは少なくとも1つの共振波長において、実質的に垂直に入射する光について、約50%超、又は約60%超、又は約70%超、又は約80%、又は90%超の光学透過率を有する(例えば、透過率は、少なくとも1つの共振波長のうち少なくとも第1の共振波長に対して、これらの範囲のいずれかであることができる)。
【0031】
いくつかの実施形態では、多層光学フィルム200、210は、少なくとも第1の共振波長(例えば、41、42、63のうち少なくとも1つ)で共振する共振空洞40を含む。共振空洞は、多層の、ポリマーの第1の光学ミラー(例えば、43、51)と、ポリマーの第2の光学ミラー(例えば、44、52)と、の間にポリマー空洞層13、50を配置することによって形成することができ、第1の光学ミラー及び第2の光学ミラーの各々は合計で少なくとも10個の複数のポリマー層10、11を含むことができ、ポリマー層の各々は約500nm未満の平均厚さを有する。層10、11の数、及び/又は層の平均厚さは、本明細書の他の箇所に記載されたいずれかの範囲内であることができる。第1の光学ミラー及び第2の光学ミラーの各々は、実質的に垂直に入射する光54、55について、第1の共振波長に対して、少なくとも25%、又は本明細書の他の箇所に記載された範囲内の光学反射率を有することができる。いくつかの実施形態では、多層光学フィルム200、201に実質的に垂直に入射し、第1の共振波長を有する入射光20、53について、多層光学フィルムは、入射光の第1の部分(例えば、強度I1を有する部分157”)を光の弱め合い干渉に基づいて反射し、入射光の第1の部分よりも実質的に大きい第2の部分(例えば、強度I2を有する部分159)(例えば、I2はI1の少なくとも2倍であることができる)を光の強め合い干渉に基づいて透過する。
【0032】
いくつかの実施形態では、多層光学フィルム200、210は合計で少なくとも10個の複数の光学的繰り返し単位(ORU)を含み、ORUの各々は少なくとも2つのポリマー層10、11を有し、ポリマー層の各々は約500nm未満の平均厚さを有する。層10、11の数、及び/又は層の平均厚さは、本明細書の他の箇所に記載されたいずれかの範囲内であることができる。いくつかの実施形態では、単一の空洞層13、50は、複数のORU内の第1のORU30aと第2のORU30bとの間に、それらに隣接して配置され、第1のORU及び第2のORUの各々は同じ所定の波長の半分に実質的に等しい光学的厚さを有しており、所定の波長を有し多層光学フィルムの面内第1の方向(x方向)に沿って偏光した、実質的に垂直に入射する光20、53について、多層光学フィルムが、入射光の第1の部分(例えば、強度I1を有する157”)を光の弱め合う干渉に基づいて反射し、入射光の第1の部分よりも実質的に大きい第2の部分(例えば、強度I2を有する23又は159)(例えば、I2はI1の少なくとも2倍であってもよい)を光の強め合う干渉に基づいて透過するようになっている。いくつかの実施形態では、単一の空洞層は、所定の波長の半分の正の整数倍に実質的に等しい光学的厚さを有する。正の整数は、本明細書の他の箇所に記載(例えば、mについて)のいずれかの範囲内であることができる。例えば、正の整数は5未満であってもよく、単一の空洞層が所定の波長の半分に実質的に等しい光学的厚さを有するように、1であってもよい。
【0033】
多層光学フィルム200、210が入射光20、53の第1の部分を光の弱め合う干渉に基づいて反射し、入射光の第2の部分を光の強め合う干渉に基づいて透過するいくつかの実施形態では、第1の部分及び第2の部分は、それぞれの強度I1及びI2を有することができ、I2/I1>2、又はI2/I1>3、又はI2/I1>4、又はI2/I1>5、又はI2/I1>6、又はI2/I1>7、又はI2/I1>8、又はI2/I1>9、又はI2/I1>10である。いくつかのそのような実施形態では、又は他の実施形態では、多層光学フィルム200、210に実質的に垂直に入射する入射光20、53は強度I0を有し、I2/I0>0.7、又はI2/I0>0.75、又はI2/I0>0.8、又はI2/I0>0.85、又はI2/I0>0.9である。
【0034】
図3Aは、いくつかの実施形態による、第1のミラー及び第2のミラー(例えば、43及び44、又は51及び52)のそれぞれの波長に対する光学透過率151及び152のプロットである。光学透過率151は透過阻止帯域153を含み、透過阻止帯域153は、透過阻止帯域153の短波長側に、波長が増加するとともに概して透過が減少する左帯域端(LBE)155を有し、透過阻止帯域153の長波長側に、波長が増加するとともに概して透過が増加する右帯域端(RBE)157を含む。光学透過率152は透過阻止帯域154を含み、透過阻止帯域154は、透過阻止帯域154の短波長側に、波長が増加するとともに概して透過が減少する左帯域端(LBE)156を有し、透過阻止帯域155の長波長側に、波長が増加するとともに概して透過が増加する右帯域端(RBE)158を含む。
図3Bは、いくつかの実施形態による、
図3Aの光学透過率と、第1のミラー及び第2のミラー並びにそれらの間の空洞又はスペーサ層(例えば、13又は50)を含む多層光学フィルムの光学透過率410とのプロットである。
図3A~
図3Bの光学透過率は、
図4A~
図4Cに示す層厚さプロファイルを有する交互のPEN及びPMMAの層について、標準的な光学モデリング技術を使用して計算されたものであり、空洞層13はPEN層であり、第1のミラー及び第2のミラーが
図4Aの層13のそれぞれ左側及び右側に層を含んでいた。
【0035】
いくつかの実施形態では、光学フィルム200、210が、第1の光学ミラーと第2の光学ミラー(例えば、43及び44、又は51及び52)との間に配置されたスペーサ層13、50を含み、光学フィルムの同じ面内第1の方向(例えば、x方向)に沿って偏光した実質的に垂直に入射する光(例えば、54、55)、約2nm~約100nmだけ(例えば、波長範囲62だけ)離間した第1の波長60及び第2の波長61、並びに、第1の波長と第2の波長との間にある第3の波長63に対して、第1の光学ミラー及び第2の光学ミラーは、第1の波長におけるそれぞれの光学透過率T1及びT2と、第2の波長におけるそれぞれの光学透過率T1’及びT2’と、第3の波長におけるそれぞれの光学透過率T1”及びT2”とを有し、また、光学フィルムは第3の波長における光学透過率Tを有する。いくつかの実施形態では、T2>2T1、T1’>2T2’、並びにT>T1”及びT2”である(すなわち、TはT1”及びT2”の各々より大きい)。いくつかのそのような実施形態では、又は他の実施形態では、T2は、5T1、又は10T1、又は20T1、又は50T1、又は100T1よりも大きい。いくつかの実施形態、そのような実施形態、又は他の実施形態では、T1’は、5T2’、又は10T2’、又は20T2’、又は50T2’、又は100T2’よりも大きい。いくつかのそのような実施形態では、又は他の実施形態では、TはT1”及びT2”の各々の、少なくとも1.1倍、又は1.2倍、又は1.3倍、又は1.4倍、又は1.5倍、又は1.6倍、又は1.7倍、又は1.8倍、又は1.9倍、又は2倍の大きさである。いくつかのそのような実施形態又は他の実施形態では、T1”及びT2”はそれぞれ、例えば、10%~60%又は20%~50%又は45%の範囲内である。いくつかのそのような実施形態では、又は他の実施形態では、スペーサ層の厚さSを変化させると、Tが減少する(例えば、
図10を参照)。スペーサ層の厚さを変化させることには、スペーサ層の厚さを増加させること、又はスペーサ層の厚さを減少させることが含まれてもよい。いくつかの実施形態では、スペーサ層の厚さの増加及び減少の両方によってTが減少する。
【0036】
いくつかの実施形態では、光学フィルム200、210が、複数の第2の層(例えば、反射体44内の層10、11)上に配置された複数の第1の層(例えば、反射体43内の層10、11)を含み、同じ面内第1の方向(例えば、x方向)に沿って偏光した実質的に垂直に入射する光54、55について、複数の第1の層及び複数の第2の層の各々の、波長に対する光学透過率151、152は透過阻止帯域153、154を含み、透過阻止帯域は、透過阻止帯域の短波長側に、波長が増加するとともに概して透過率が減少する左帯域端(LBE)155、156と、透過阻止帯域の長波長側に、波長が増加するとともに概して透過率が増加する右帯域端(RBE)157、158とを含む。各透過阻止帯域153、154は、例えば、少なくとも20nm幅、又は少なくとも40nm幅、又は少なくとも60nm幅、又は少なくとも100nm幅であることができ、最大で500nm幅、又は最大で400nm幅であってもよい。透過阻止帯域153、154にわたる平均透過率は、例えば、約10%未満、又は約7.5%未満、又は約5%未満、又は約2.5%未満、又は約2%未満、又は約1.5%未満、又は約1%未満であることができる。いくつかの実施形態では、複数の第1の層のRBEは複数の第2の層のLBEと、少なくとも第1の透過率交点Ta及び/又はTbにおいて、約5%~約50%、又は約10%~約50%、又は約10%~約45%、又は約15%~約45%、又は約15%~約40%、又は約20%~約40%、又は約15%~約35%、又は約20%~約35%、又は約20%~約30%だけ交差する。透過率交点とは、光学透過率151と光学透過率152とが交差する点における光学透過率である。特定の範囲(例えば、約5%~約50%)内にある少なくとも第1の透過率交点とは、代替的に、特定の範囲内の光学透過率を有する少なくとも第1の交点とも記述され得る。例えば、いくつかの実施形態では、複数の第1の層のRBEは複数の第2の層のLBEと、約5%~約50%、又は約10%~約45%、又は本明細書の他の箇所に記載された範囲内の光学透過率(Ta、Tb)を有する少なくとも第1の交点において交差する。いくつかの実施形態では、光学フィルム200、210は波長65及び/又は64において、少なくとも第1の透過率交点に対応する光学透過率Ta’及び/又はTb’をそれぞれ有し、それらは、少なくとも第1の透過率交点よりも少なくとも10%、又は20%、又は30%、又は40%、又は50%、又は100%、又は200%、又は300%だけ大きい。例えば、Tbが約20%で、Tb’が約86%であることもでき、すると、Tb’はTbよりも約330%(((86-20)/20)×100%)大きくなる。
【0037】
図4A~
図4Cは、いくつかの実施形態による、平均厚さd2を有し、それぞれ平均厚さd1及びd3を有する、隣接する層12と14との間に配置された空洞又はスペーサ層13を含む、多層光学フィルムについての、層番号に対する総厚さのプロットである。光学フィルムは、屈折率naを有する層と、屈折率n2を有する層13と、屈折率nbを有する層とを含む。屈折率の各々は、同じ面内第1の方向(例えば、x方向)に沿った屈折率であってもよい。いくつかの実施形態では、所定の波長範囲内の少なくとも1つの波長に対して、nb<naである。例えば、光学フィルムのf比(高屈折率層の光学厚さの、光学的繰り返し単位の光学厚さに対する比)が0.5になるように、各光学的繰り返し単位30内の低屈折率層(例えば、層10)を光学的繰り返し単位内の高屈折率層(例えば、層11)より厚くすることができる。層13の屈折率n2は、所定の波長範囲内の少なくとも1つの波長に対してna及びnbのうち1つと実質的に等しくてもよい。いくつかの実施形態では、複数のポリマー層10、11内の第1(12)、第2(13)及び第3(14)のポリマー層は互いに隣接して連続的に配置されており、第1の波長において第1の方向に沿ってそれぞれの屈折率n1、n2、及びn3を有し、それぞれの平均厚さd1、d2、及びd3を有する。第1の層12及び第3の層14の屈折率n1及びn3は各々、na及びnbの一方であってもよく、屈折率n2は、na及びnbの他方であってもよい。いくつかの実施形態では、n2は、n1及びn3の各々よりも大きい。いくつかの実施形態では、n2は、n1及びn3の各々よりも小さい。
【0038】
いくつかの実施形態では、所定の波長範囲における、多層光学フィルムの面内第1の方向(例えば、x方向)に沿った、第1のポリマー層10の平均屈折率と第2のポリマー層11の平均屈折率との差(例えば、|na-nb|)は、約0.05超、又は約0.1超、又は約0.15超である。この差は、例えば、最大で約0.4、又は最大で約0.35、又は最大で約0.3であることができる。所定の波長範囲は、約420nm~約680nmであってもよく、又は本明細書の他の箇所に記載されたいずれかの所定の波長範囲であってもよい。ある複数の層及び特定の波長範囲(例えば、所定の波長範囲)についての平均屈折率は、それらの層(同じ材料から構成されてもよい)及びその波長範囲にわたる平均(例えば、非加重平均)を指す。
【0039】
いくつかの実施形態によれば、透過ピークの位置及び強度は、空洞の厚さの変化による影響を受けにくいことが見出されている。例えば、いくつかの例では、空洞の厚さが約10~約25%シフトしても、透過ピークは90%を超えたまま維持され、ピーク波長は約1%しかシフトしなかった。したがって、いくつかの実施形態によれば、層13の厚さd2又は光学的厚さn2d2は、目標値付近の実質的な公差内に指定されてもよい。いくつかの実施形態では、n2d2はm(n1d1+n3d3)の約40%以内であり、mは正の整数である。例えば、|n2d2-m(n1d1+n3d3)|/m(n1d1+n3d3)は、約0.4未満であることができる。いくつかの実施形態では、n2d2は、m(n1d1+n3d3)の約30%以内、又は約20%以内、又は約10%以内、又は約5%以内、又は約3%以内である。いくつかの実施形態では、d2は、m(d1+d3)の約40%以内、又は約30%以内、又は約20%以内、又は約10%以内、又は約5%以内であり、mは正の整数である。どちらの場合でも、mは15未満、又は10未満、又は5未満であってもよい。正の整数mは、例えば、1、2、3、又は4であることができる。いくつかの実施形態では、d2は、m’(d1+d3)の約40%以内、又は約30%以内、又は約20%以内、又は約10%以内、又は約5%以内であり、n2d2は、m”(n1d1+n3d3)の約40%以内、又は約30%以内、又は約20%以内、又は約10%以内、又は約5%以内、又は約3%以内であり、m’及びm”は、mについて記載された範囲のいずれかであることができる。いくつかの実施形態では、m’=m”である。正の整数m’及びm”は、代替的に、例えば、m及びm’、又は、m’及びmで指示されてもよい。いくつかの実施形態では、d2は、m(d1+d3)の約30%以内、又は約20%以内であり、n2d2は、m(n1d1+n3d3)の約20%以内、又は約10%以内、又は約5%以内、又は約3%以内である。いくつかの実施形態では、空洞層13は、空洞層13に隣接する2つの光学的繰り返し単位30a及び30bの光学厚さの平均の正の整数m倍の約40%以内、約30%以内、約20%以内、約10%以内、約5%以内、又は約3%以内の光学厚さ(n2d2)を有する。いくつかの実施形態では、空洞層13並びに空洞層13に隣接する2つの光学的繰り返し単位30a及び30bの各々は、同じ所定の波長の半分の約10%以内、又は約5%以内、又は約3%以内、又は約2%以内、又は約1%以内、又は約0.8%以内の光学厚さを有する。いくつかの実施形態では、d2は約500nm未満若しくは約400nm未満であり、又は、d2はポリマー層10、11について本明細書の他の箇所に記載された厚さ範囲のいずれかであることができる。
【0040】
いくつかの実施形態では、多層光学フィルムが、複数の、ポリマーの第1の層10、11と、1つ以上の、ポリマーの第2の層13と、を含み、第1の層及び第2の層の各々は、約400nm未満又は本明細書の他の箇所に記載された範囲の平均厚さを有する。いくつかの実施形態では、第2の層の各々について、第2の層13は平均厚さd2を有し、第1の層のうち最大厚さd1を有する2つ(12、14)の間に、それらに隣接して配置され(、d1は、例えば、
図4Cに示す厚さd1及びd2のうち大きい方である)、d2≧1.3d1である。いくつかの実施形態では、d2≦3d1である。いくつかの実施形態では、3≧d2/d1≧1.3、又は2.5≧d2/d1≧1.35、又は2.1≧d2/d1≧1.4である。
【0041】
図5A~
図5Cは、いくつかの実施形態による、光学的繰り返し単位(ORU)30のORU番号に対する光学的厚さのプロットである。複数の光学的繰り返し単位(ORU)30及び単一の空洞層13は、単一の空洞層13が複数のORU30内の第1のORU30aと第2のORU30bとの間に配置されるようにして、光学フィルムの厚さ方向(z方向)に沿って連続的に配置される。いくつかの実施形態によれば、層13の光学的厚さは、
図5A及び
図5Cで層13に隣接するORU30a及び30bのORU番号の間に示される。ORU30は、厚さ方向に沿って連続的に番号付けされる。連続的に番号付けされたORUの光学的厚さの、シーケンス内の対応する番号の関数としてのプロットは単調な第1の部分71を含み、この部分はORU30のうち少なくとも10個、又は少なくとも20個、又は少なくとも30個、又は少なくとも40個、又は少なくとも50個、又は少なくとも60個、又は少なくとも70個、又は少なくとも80個、又は少なくとも90個、又は少なくとも100個にわたって延在し、かつ第1のORU30a及び第2のORU30bを含んでおり、シーケンスの単調な第1の部分71内のORUに適用される最良の線形フィット72は第1のORU30aに対応するシーケンス番号(例えばORU番号83)のところで光学的厚さM1を有するようになっている。M1と単一の空洞層の光学厚さ73との間の差の絶対値は、約10%未満、又は約8%未満、又は約6%未満、又は約4%未満、又は約2%未満、又は約1%未満であることができる。最良の線形フィット72は、第2のORU30bに対応するシーケンス番号(例えばORU番号84)のところで光学的厚さM2を有することができる。M2と単一の空洞層の光学厚さ73との間の差の絶対値は、約10%未満、又は約8%未満、又は約6%未満、又は約4%未満、又は約2%未満、又は約1%未満であることができる。パーセントで表現される差は、大きい方の厚さから小さい方の厚さを引いたものを大きい方の厚さで割って100%を掛けたものである。差は、長さとして表現することもできる。M1と単一の空洞層の光学的厚さとの間の差の絶対値は、例えば、約15nm未満、又は約12nm未満、又は約10nm未満、又は約8nm未満、又は約6nm未満、又は約4nm未満であることができる。M2と単一の空洞層の光学的厚さとの間の差の絶対値は、例えば、約15nm未満、又は約12nm未満、又は約10nm未満、又は約8nm未満、又は約6nm未満、又は約4nm未満であることができる。単一の空洞層の光学的厚さは、M1とM2の小さい方の0.96倍と、M1とM2の大きい方の1.04倍との間、又は、M1とM2の小さい方の0.98倍と、M1とM2の大きい方の1.02倍との間、又は、M1とM2の小さい方の0.99倍と、M1とM2の大きい方の1.01倍との間であることができる。いくつかの実施形態では、単一の空洞層の光学的厚さは、M1とM2との間である。
【0042】
単調な第1の部分71は、ORUの光学的厚さがシーケンス内の対応する数とともに増加する、又はシーケンス内の対応する数とともに減少する、シーケンスの一部分である。シーケンスの単調な第1の部分71は、シーケンスの線形部分であってもよい。連続的に番号付けされたORUの光学的厚さの、シーケンス内の対応する番号の関数としてのプロットは、単調な第1の部分71の両端部に隣接する単調な第2の部分76及び第3の部分77を含んでもよく、かつ/又は、単調な第1の部分71の両端部に隣接する、若しくは単調な第2の部分76及び第3の部分77に隣接する、非単調な第1の部分78及び第2の部分79を含んでもよい。単調な第1の部分71は概して、少なくとも10個のORU30にわたって延在し、かつ第1のORU30a及び第2のORU30bを含む、どのような単調な部分であることもできる。線形部分がORU30のうち少なくとも10個にわたって延在し、かつ、第1のORU30a及び第2のORU30bを含む実施形態では、単調な第1の部分71は線形部分であると見なされてもよい。
【0043】
最良の線形フィット72は、線形最小二乗フィットであることができる。当該技術分野で知られているように、そのようなフィットは残差の二乗の合計を最小限に抑え、残差はデータとフィット直線との差である。最小二乗分析により、決定係数と呼ばれることがあるr二乗値を決定することができる。いくつかの実施形態では、最良の線形フィット72の有するr二乗値は、例えば、又は少なくとも0.9、又は少なくとも0.95、又は少なくとも0.98、又は少なくとも0.99である。
【0044】
光学的繰り返し単位は主として、光学的繰り返し単位の光学的厚さの2倍の波長において反射してもよい。いくつかの実施形態では、ORU30の各々は所定の波長範囲内の波長の半分に実質的に等しい(例えば、5%、又は3%、又は2%、又は1%、又は0.8%以内に等しい)光学的厚さを有し、所定の波長範囲は、例えば約300nm~約2500nmに延在してもよく、又は、少なくとも200nm幅で、約300nm~約2500nmの間にあってもよい。
図6A~
図6Bは、いくつかの実施形態による、ORU番号に対する、ORUの光学的厚さの2倍に相当する波長のプロットである。いくつかの実施形態では、複数のORU30内の少なくとも第1のORU30a及び第2のORU30bは、互いに100、又は90、又は80、又は70、又は60、又は50、又は40、又は30、又は20、又は15、又は10nm以内にあるそれぞれの波長L1及びL2(例えば、差DL=L2-L1は、100nm以下、又はこれらの長さのうち他のいずれか以下であってもよい)の半分に実質的に等しい光学的厚さを有し、第1のORU30a及び第2のORU30bは、それらの間に配置された、単一の、ポリマーの第1の層13を有する。第1の層13は、L1とL2との間に配置された波長L3の半分に実質的に等しい光学的厚さを有することができる。L2とL1との間の差は、例えば、少なくとも1nm、又は少なくとも2nm、又は少なくとも3nmであることができる。
【0045】
いくつかの実施形態では、多層光学フィルム200、210は、L1とL2との間の第1の波長(
図7Cに示す波長41)を有し多層光学フィルムの面内第1の方向(x方向)に沿って偏光した、実質的に垂直に入射する光20の、少なくとも30%、又は少なくとも40%、又は少なくとも50%、又は少なくとも60%、又は少なくとも70%、又は少なくとも80%、又は少なくとも90%を透過する。いくつかの実施形態では、第1の波長は実質的にL3に等しい。いくつかの実施形態では、多層光学フィルム200、210は、L3の約100nm以内の第2の波長(例えば、波長21)を有し多層光学フィルムの面内第1の方向に沿って偏光した、実質的に垂直に入射する光20の、少なくとも30%、又は少なくとも40%、又は少なくとも50%、又は少なくとも60%、又は少なくとも70%、又は少なくとも80%、又は少なくとも90%を反射する。第2の波長は、例えば、L3の約90nm以内、又は約80nm以内、又は約70nm以内、又は約60nm以内、又は約50nm以内、又は約40nm以内、又は約30nm以内、又は約20nm以内、又は約10nm以内であってもよい。
【0046】
図7A~
図7Cは、いくつかの実施形態による、光学フィルム200、210上に実質的に垂直に入射する光20についての、波長に対する光学透過率のプロットである。Tp0及びTs0は、直交する面内第1の方向及び第2の方向(例えば、x及びy方向)に沿って偏光した実質的に垂直に入射する光についての光学透過率を示す。光学フィルム200、210は、偏光状態の各々に対して実質的に類似した光学透過率Tp0及びTs0を有してもよい。例えば、光学フィルムは光学ミラーであることができる。いくつかの実施形態では、光学フィルム200は、例えば、面内第1の方向に沿って偏光した実質的に垂直に入射する光について光学透過率Tp0を有し、例えば、第2の方向に沿って偏光した実質的に垂直に入射する光について、約450nm~約800nmの波長範囲にわたって高い光学透過率(例えば、約60%超)を有する反射偏光子である。第2の方向に沿って偏光した実質的に垂直に入射する光についての反射偏光子の光学透過率177が概略的に示されている。Abs0は、実質的に垂直に入射する光についての光吸収率である。いくつかの実施形態では、光学フィルム200、210及び/又は複数のポリマー層10、11は、第1の波長(例えば、41及び/又は42及び/又は63)を有しポリマー層の面内第1の方向(例えば、x方向)に沿って偏光した、実質的に垂直に入射する光20の、少なくとも30%、又は少なくとも40%、又は少なくとも50%、又は少なくとも60%、又は少なくとも70%、又は少なくとも80%、又は少なくとも90%を透過する。いくつかのそのような実施形態では、又は他の実施形態では、光学フィルム200、210は、第2の波長(例えば、
図7Bに示す21、並びに/又は、
図3Bに示す60及び/若しくは61)を有し面内第1の方向に沿って偏光した、実質的に垂直に入射する光20の、少なくとも50%、又は少なくとも60%、又は少なくとも70%、又は少なくとも80%、又は少なくとも90%を反射する。第2の波長は、第1の波長の約100nm以内、又は約90nm以内、又は約80nm以内、又は約70nm以内、又は約60nm以内、又は約50nm以内、又は約40nm以内、又は約30nm以内、又は約20nm以内、又は約10nm以内であることができる。例えば、第1の波長と第2の波長との間の差の絶対値は、約5nm~約40nm又は約30nmまでの範囲内であることができる。光学フィルムは、第2の波長を有し第1の方向に直交する面内第2の方向に沿って偏光した、実質的に垂直に入射する光20の、少なくとも50%、又は60%、又は70%、又は80%、又は90%を反射してもよく、又は光学フィルムは、第2の波長を有し第1の方向に直交する面内第2の方向に沿って偏光した実質的に垂直に入射する光20の、少なくとも50%、又は少なくとも60%、又は少なくとも70%、又は少なくとも80%、又は少なくとも90%を透過してもよい。光学フィルム200、210の光学反射率R1は、100%マイナス光学透過率マイナス光吸収率として表すことができる。光学フィルム200、210は、光吸収率が無視できる場合、おおよそ、100%から光学透過率を減算した値の光学反射率を有することができる(例えば、
図7A参照)。
図7A~
図7CのTs0、Tp0曲線及び
図7AのAbs0曲線は、
図4A~
図4Cに示す層厚さプロファイルを有する交互のPEN及びPMMAの層について、標準的な光学モデリング技術を使用して計算され、空洞層13はPEN層であった。
【0047】
いくつかの実施形態では、共振空洞40(例えば、
図1A参照)は、少なくとも1つの共振波長(例えば、
図7B~
図7Cに示す波長41、42又は
図3Bに示す波長63)で共振する。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの共振波長は、第1の波長(例えば、波長41、42)を含み、多層光学フィルム200、210は、第1の波長の約100nm以内の少なくとも第2の波長(例えば、波長21)について、約50%超、又は約60%超、又は約70%超、又は約80%超、又は約90%超の光学反射率を有する。第2の波長は、例えば、第1の波長の約50nm以内、又は本明細書の他の箇所に記載された別の範囲内であることができる。
【0048】
いくつかの実施形態では、多層光学フィルム200、210は、第2の複数の第2のポリマー層11と交互になっている第1の複数の第1のポリマー層10を含む。層13は、例えば、第1のポリマー層10のうち1つ、又はポリマー層11のうち1つであることができる。約50~約150nm幅の所定の波長範囲(例えば、
図7Bに示す波長範囲45)において、多層光学フィルムの面内第1の方向(x方向)に沿った第1のポリマー層の平均屈折率と第2のポリマー層の平均屈折率との間の差は十分に大きく(例えば、約0.05超又は本明細書の他の箇所に記載された範囲内)、第1のポリマー層の厚さ及び第2のポリマー層の厚さは、多層光学フィルムの厚さの少なくとも一部分にわたって変化し(例えば、
図4A~
図4B、
図11A~
図11D、
図13A~
図13Bに示すように)、多層光学フィルムは、所定の波長範囲において、面内第1の方向に沿って偏光した実質的に垂直に入射する光20について少なくとも50%、又は少なくとも60%、又は少なくとも70%、又は少なくとも80%、又は少なくとも85%の平均光学反射率を有する。波長範囲45についての平均光学反射率Raを、
図7Bに概略的に示す。
図7A~
図7Cに示す光学透過率Tp0について、波長範囲590nm~660nmにおける平均光学反射率Raは88.4%である。いくつかの実施形態では、所定の波長範囲は、例えば約50nm~約100nmの幅であるか、約50nm~約75nmの幅である。いくつかの実施形態では、複数の第1のポリマー層及び複数の第2のポリマー層内の、隣接し連続的に配置された3つのポリマー層(例えば、層12~14)の少なくとも1つのグループにおいて、3つのポリマー層はそれぞれの平均厚さd1、d2及びd3を有し、d2は、本明細書の他の箇所に記載されるとおり、d1及びd3に関連することができる。例えば、d2はm(d1+d3)の約40%以内であることができ、mは正の整数である。別の例として、n2d2はm(n1d1+n1d3)の約40%以内であることができ、mは正の整数である。
【0049】
光学フィルムは、狭小波長範囲(複数可)では所望の相当な透過率を有し、その高い透過率範囲(複数可)に隣接する波長範囲では所望の相当な反射率を有するように構成されてもよい。例えば、ピーク透過率を、スペーサ層の厚さを調整することによって調整することができ、かつ/又は、透過率範囲の幅を、本明細書の他の箇所により詳細に記載されるように、2つ以上の十分に近いスペーサ層を含むことによって調整することができる。相当な透過率、相当な反射率、及び狭小波長範囲(複数可)の幅は、特定の適用例で所望されるとおりに選択されてもよい。例えば、光学フィルムは、第1の波長に対して所望の透過率(例えば、約60%超)を有し、第1の波長に近い(例えば、約30nm以内)第2の波長に対して所望の反射率(例えば、約60%超)を有することができる。
【0050】
いくつかの実施形態では、面内第1の方向(例えば、x方向)に沿って偏光した実質的に垂直に入射する光について、所定の波長範囲内の少なくとも第1の波長(例えば、波長21)に対して、多層光学フィルム200、210は入射光の少なくとも60%、又は少なくとも70%、又は少なくとも80%、又は少なくとも90%、又は少なくとも95%を反射する。いくつかの実施形態では、第1の方向に直交する面内第2の方向(例えば、y方向)に沿って偏光した実質的に垂直に入射する光について、少なくとも第1の波長に対して、多層光学フィルムは少なくとも60%、又は少なくとも70%、又は少なくとも80%、又は少なくとも90%、又は少なくとも95%の光学反射率を有する。いくつかの実施形態では、第1の方向に直交する面内第2の方向(例えば、y方向)に沿って偏光した実質的に垂直に入射する光について、少なくとも第1の波長に対して、多層光学フィルムは、少なくとも60%、又は少なくとも70%、又は少なくとも80%、又は少なくとも90%の光学透過率を有する。いくつかの実施形態では、多層光学フィルム200、210の面内第1の方向(例えば、x方向)に沿って偏光した実質的に垂直に入射する光20について、多層光学フィルムは、第1の波長(例えば、
図7B~
図7Cに示す波長41及び42)について少なくとも30%の光学透過率、及び第2の波長(例えば、
図7Bに示す波長21)について少なくとも50%の光学反射率を有し、第2の波長は、第1の波長の約100nm以内、又は本明細書の他の箇所に記載された任意の他の範囲内であることができる。いくつかの実施形態では、光学透過率は、第1の波長に対して少なくとも40%、又は50%、又は60%、又は70%、又は80%、又は90%である。いくつかのそのような実施形態では、又は他の実施形態では、光学反射率は、第2の波長に対して、少なくとも50%、又は少なくとも60%、又は少なくとも70%、又は少なくとも80%、又は少なくとも90%である。いくつかの実施形態では、面内第1の方向に沿って偏光した実質的に垂直に入射する光について、多層光学フィルム200、210は、第1の波長に対して少なくとも70%の光学透過率、及び第2の波長に対して少なくとも80%の光学反射率を有し、第2の波長は、例えば第1の波長の約30nm以内である。
【0051】
透過率がピークを有する波長は、光学フィルム内の層13の場所を選択することによって調整することができる。
図8A~
図8Cは、いくつかの実施形態による、様々な光学フィルムの層番号に対する層厚さのプロットである。いくつかの実施形態では、複数のポリマー層内のポリマー層は、多層光学フィルム200の厚さ方向(z方向)に沿って連続的に配置され、1~Nの番号が付けられている。いくつかの実施形態では、(例えば、第2のポリマー)層13のシーケンス番号は、
図8Aに示すように、Nよりも1に近い。いくつかの実施形態では、(例えば、第2のポリマー)層13のシーケンス番号は、
図8Bに示すように、1又はNのいずれかよりもN/2に近い。いくつかの実施形態では、(例えば、第2のポリマー)層13のシーケンス番号は、
図8Cに示すように、1よりもNに近い。
【0052】
図9A~
図9Cは、いくつかの実施形態による、
図8A~
図8Cの層厚さプロファイルをそれぞれ有するフィルムの、実質的に垂直に入射する光20についての波長に対する光学透過率のプロットである。プロットは、面内第1の方向に沿って偏光していることのできる入射光20についてのものであることができる。いくつかの実施形態では、直交する面内第2の方向に沿って偏光している入射光20についても、波長に対する光学透過率は実質的に同様である(例えば、光学フィルムは光学ミラーであることができる)。他の実施形態では、第2の方向に沿って偏光している入射光20について、光学透過率は、図示された波長範囲全体にわたって約60%、又は70%、又は80%、又は90%超である(例えば、光学フィルムは反射偏光子であることができる)。
図9A~
図9Cの光学透過率は、
図8A~
図8Cに示す層厚さプロファイルを有する交互のPET及びcoPMMAの層について、標準的な光学モデリング技術を使用して計算され、空洞層13はcoPMMA層であった。
【0053】
層13の厚さは、最大ピーク透過率を提供するように調整することができる。例えば、いくつかの実施形態では、層13(例えば空洞層)の厚さSを変更すると、ピーク透過率(例えば、
図3Bに示すTに対応する)が低減する。
図10は、いくつかの実施形態による、異なる厚さの層13を有するフィルムの、実質的に垂直に入射する光20についての波長に対する光学透過率のプロットである。厚さを203.4nmから178nm又は228.8nmに変更すると、ピーク透過率が減少する。
図10の透過率を有する光学フィルムは、例えば、本明細書の他の箇所に更に記載されるように、ブロック軸に沿って偏光した光のための光学ミラー又は反射偏光子であることができる。
図10の光学透過率は、それぞれ1.65及び1.5の等方性屈折率を有し、
図8Bのものと同様の層厚さプロファイルを有する、交互の高屈折率層及び低屈折率層について、標準的な光学モデリング技術を使用して計算した。屈折率は、高屈折率層についてはOKP-1、PENG、又はPHENの、低屈折率層についてはPMMA又はcoPMMAの、約633nmにおける屈折率にほぼ相当する。
【0054】
いくつかの実施形態では、多層光学フィルム200、210は複数の層13を含み、層13の各々は多層光学フィルムに、約40%超、又は約50%超、又は約60%超、又は約70%超、又は約80%超、又は約90%超の異なるピーク光学透過率を持たせる。例えば、この異なる局所ピーク光学透過率は異なる波長におけるものであってよく、隣接し合う局所ピーク透過率に対応する隣接し合う波長は、少なくとも約10nm、又は少なくとも約20nm、又は少なくとも約30nm、又は少なくとも約40nmだけ離間されている。隣接し合う波長は、例えば、最大で約500nm、又は最大で約300nm、又は最大で約200nmだけ離間することができる。層13の各々が光学フィルムに例えば40%超のピーク透過率を持たせるということは、層13が省略された場合には、フィルムは40%超のピーク透過率を有さないことを意味する。例えば、ピーク透過率を光学フィルムの反射帯域内に位置させて、層13が省略された場合に、局所ピークに対応する波長における透過率が例えば30%未満、又は20%未満、又は10%未満、又は5%未満になるようにすることができる。
【0055】
図11A~
図11Dは、いくつかの実施形態による、3つの離間したスペーサ層又は空洞層13a、13b、及び13cを含む光学フィルムの層番号に対する層厚さのプロットである。
図12は、いくつかの実施形態による、
図11A~
図11Dの層厚さプロファイルを有する光学フィルムの、実質的に垂直に入射する光についての波長に対する光学透過率のプロットである。実質的に垂直に入射する光は、面内第1の方向に沿って偏光しているか(例えば、ミラーフィルムの場合、又は、第1の方向が反射偏光子のブロック方向である反射偏光子の場合)、又は、偏光していないことができる(例えば、ミラーフィルムの場合)。
図12の光学透過率は、
図11A~
図11Dに示す層厚さプロファイルを有する交互のPET及びcoPMMAの層について、標準的な光学モデリング技術を使用して計算され、空洞層13はPET層であった。
【0056】
いくつかの実施形態では、多層光学フィルム200、210は、複数の第1の層10、11及び複数の第2の層13a、13b、13cを含み、第1の層及び第2の層の各々は、約500nm未満又は本明細書の他の箇所に記載された範囲の平均厚さを有する。いくつかの実施形態では、第2の層の各々について、第2の層は、第1の層のうち2つ(10a、10b、又は10c)の間に、それらに隣接して配置され、2つの第1の層の各々の平均厚さよりも大きい平均厚さを有し、第2の層は、多層光学フィルムに、約40%超の、又は本明細書の他の箇所に記載された範囲内の、異なる局所ピーク光学透過率(T-a、T-b、T-c)を持たせる。いくつかの実施形態では、第2の層の各々について、局所ピーク光学透過率は、第2の層の光学的厚さの2倍の約30nm以内、又は約20nm以内、又は約10nm以内、又は約5nm以内の波長におけるものである。いくつかの実施形態では、第2の層の各々について、局所ピーク光学透過率は、第2の層の光学的厚さの2倍に実質的に等しい波長におけるものである。いくつかの実施形態では、この異なる局所ピーク光学透過率は異なる波長におけるものであり、多層光学フィルム200、210は、異なる波長のうち少なくとも1つの約100nm以内の少なくとも1つの波長に対して、約50%超、又は約60%超、又は約70%超、又は約80%超、又は約90%超の光学反射率を有する。少なくとも1つの波長は、異なる波長のうち少なくとも1つの約90nm以内、又は約80nm以内、又は約70nm以内、又は約60nm以内、又は約50nm以内、又は約40nm以内、又は約30nm以内、又は約20nm以内、又は約10nm以内であることができる。
【0057】
いくつかの実施形態では、多層光学フィルム200、210は複数の層13を含み、層13は互いに十分に近接していて、層13が集合的に多層光学フィルムに例えば約60%超のピーク光学透過率を持たせるか、又はピーク光学透過率が本明細書の他の箇所に記載された別の範囲内であることができるようになっている。複数の層13は、例えば、層13のうちのただ1つを含む場合と比較して、反射帯域内でより広い透過帯域をもたらし得る。
【0058】
図13A~
図13Bは、いくつかの実施形態による、4つの近接したスペーサ層又は空洞層13a~13dを有する光学フィルムの層番号に対する層厚さのプロットである。
図14は、いくつかの実施形態による、
図13A~
図13Bの層厚さプロファイルを有する光学フィルムの、実質的に垂直に入射する光についての波長に対する光学透過率のプロットである。実質的に垂直に入射する光は、面内第1の方向に沿って偏光していてもよく、又は偏光していなくてもよい。
図14の光学透過率は、
図13A~
図13Bに示す層厚さプロファイルを有する交互のPET及びcoPMMAの層について、標準的な光学モデリング技術を使用して計算され、空洞層13はcoPMMA層であった。
【0059】
いくつかの実施形態では、多層光学フィルム200、210が、複数の第1の層10、11及び、光学フィルムの厚さ方向(z方向)に沿って連続的に配置され番号付けされた複数の第2の層(13a~13d)を含み、第2の層の各々は第1の層のうち2つ(10a~10d)の間に、それらに隣接して配置されている。第1の層及び第2の層の各々は、約500nm未満又は本明細書の他の箇所に記載された別の範囲内の平均厚さを有する。いくつかの実施形態では、第2の層は層のシーケンスの中で互いに十分に近く、これらが組み合わさって、多層光学フィルムに、例えば約40%超、又は約50%超、又は約60%超、又は約70%超、又は約80%超、又は約90%超のピーク光学透過率TTを持たせる。いくつかの実施形態では、複数の第2の層は、最も大きい光学的厚さを有する層(例えば、10d)と、最も小さい光学的厚さを有する層(例えば、10a)とを含む。ピーク光学透過率は、最も小さい光学的厚さのS1倍と最も大きい光学的厚さのS2倍との間の波長であることができ、S1は1.9であることができ、S2は2.1であることができる。いくつかの実施形態では、S1は、1.9、又は1.95、又は1.98、又は1.99、又は2である。いくつかのそのような実施形態では、又は他の実施形態では、S2は、2.1、又は2.05、又は2.02、又は2.01、又は2である。いくつかのそのような実施形態では、又は他の実施形態では、ピーク光学透過率は第1の波長におけるものであり、多層光学フィルム200、210は、第1の波長の約100nm以内の少なくとも1つの第2の波長に対して約50%超、又は約60%超、又は約70%超、又は約80%超、又は約90%超の光学反射率を有する。第2の波長は、例えば、第1の波長の約90nm以内、又は約80nm以内、又は約70nm以内、又は約60nm以内、又は約50nm以内、又は約40nm以内、又は約30nm以内、又は約20nm以内であることができる。
【0060】
「約(about)」などの用語は、これらが本明細書に使用及び記載されている文脈において、当業者によって理解されよう。特徴部のサイズ、量、及び物理的特性を表す量に適用される「約」の使用が、本明細書に使用及び記載されている文脈において、当業者にとって別途明らかではない場合、「約」とは、特定の値の10パーセント以内を意味すると理解されよう。約特定の値として与えられる数量は、正確に特定の値であり得る。例えば、それが本明細書で使用及び記載されている文脈において当業者にとって別途明らかではない場合には、約1の値を有する数量とは、その数量が0.9~1.1の値を有すること、及び、その値が1である場合もあることを意味する。
【0061】
「実質的に等しい(substantially equal)」などの用語は、これらが本明細書に使用及び記載されている文脈において、当業者によって理解される。本明細書に使用及び記載されている文脈において、特徴部のサイズ、量、及び物理的性質を表す第1の数量及び第2の数量に適用される「実質的に等しい」の用法が当業者にとって明らかではない場合、「実質的に等しい」は、第1の数量が第2の数量の5パーセント以内であることを意味すると理解される。実質的に等しいと称される量は、正確に等しくてもよい。例えば、第2の数量に実質的に等しい第1の数量とは、それが本明細書で使用及び記載されている文脈において当業者にとって別途明らかではない場合には、第1の数量が第2の数量の0.95~1.05倍の値を有すること、及び、それらの値が等しい場合もあることを意味する。
【0062】
上記において参照された参照文献、特許、又は特許出願の全ては、それらの全体が参照により本明細書に一貫して組み込まれている。組み込まれた参照文献の一部と本出願との間に不一致又は矛盾がある場合、前述の記載における情報が優先するものとする。
【0063】
図面内の要素の説明は、別段の指示がない限り、他の図面内の対応する要素に等しく適用されるものと理解されたい。特定の実施形態が本明細書において図示及び説明されているが、図示及び記載されている特定の実施形態は、本開示の範囲を逸脱することなく、様々な代替的実施態様及び/又は等価の実施態様によって置き換えられ得ることが、当業者には理解されよう。本出願は、本明細書で論じられた特定の実施形態のあらゆる適応例、又は変形例、又は組み合わせを包含することが意図されている。したがって、本開示は、特許請求の範囲及びその均等物によってのみ限定されることが意図されている。
【国際調査報告】