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特表2024-520453絶縁基板および半絶縁基板上の高電子移動度トランジスタ(HEMT)ヘテロ構造の特性評価のための上側コンタクトデバイスおよび方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-24
(54)【発明の名称】絶縁基板および半絶縁基板上の高電子移動度トランジスタ(HEMT)ヘテロ構造の特性評価のための上側コンタクトデバイスおよび方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/66 20060101AFI20240517BHJP
   H01L 21/338 20060101ALI20240517BHJP
【FI】
H01L21/66 C
H01L29/80 H
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023572908
(86)(22)【出願日】2022-05-19
(85)【翻訳文提出日】2023-12-26
(86)【国際出願番号】 US2022030106
(87)【国際公開番号】W WO2022251045
(87)【国際公開日】2022-12-01
(31)【優先権主張番号】17/332,952
(32)【優先日】2021-05-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517423763
【氏名又は名称】セミラボ セミコンダクター フィジックス ラボラトリー カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】SEMILAB Semiconductor Physics Laboratory Co.,Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】ウィルソン、マーシャル
(72)【発明者】
【氏名】シュレイヤー、ブレット
(72)【発明者】
【氏名】サフチョク、アレクサンダー
(72)【発明者】
【氏名】マリンスキー、ドミトリー
(72)【発明者】
【氏名】ラゴウスキー、ヤツェク
【テーマコード(参考)】
4M106
5F102
【Fターム(参考)】
4M106AA01
4M106AA10
4M106CA02
4M106DE30
4M106DJ02
5F102FA09
5F102GB01
5F102GC01
5F102GJ02
5F102GJ10
5F102GL04
5F102GM04
5F102GM08
5F102GQ01
(57)【要約】
絶縁基板または半絶縁基板上に上側半導体層を備えたウェハ上の半導体層構造の電気的特性を評価する方法であって、半導体層構造は、ヘテロ構造の半導体層間のヘテロ界面に二次元電子ガス(2DEG)を有する高電子移動度トランジスタ(HEMT)ヘテロ構造を含む。方法は、(a)エッジの狭い境界ゾーン内のウェハの上側を可撓性金属カンチレバー電極とコンタクトさせることを含み、カンチレバー電極が2DEGと電気的にコンタクトするように、カンチレバー電極が境界ゾーンにおいて露出された1つまたは複数の半導体層とコンタクトし、方法は、(b)コロナ帯電バイアスを印加し、2DEGとのコンタクトを維持しながら非接触プローブを使用して半導体層の表面電圧を測定することを含む。ウェハの上側へのコンタクトは、半導体層に対して非汚染的かつ非侵襲的である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁基板または半絶縁基板上に配置された半導体層を含むウェハ上の半導体層構造の電気的特性を評価する方法であって、前記半導体層は、前記ウェハの上側にあり、前記半導体層構造は、高電子移動度トランジスタ(HEMT)ヘテロ構造を含み、前記HEMTヘテロ構造は、前記HEMTヘテロ構造の前記半導体層の間のヘテロ界面に二次元電子ガス(2DEG)を有し、前記方法は、
前記ウェハのエッジにある狭い境界ゾーン内の前記ウェハの上側を、コンタクトデバイスの可撓性金属カンチレバー電極と物理的にコンタクトさせることを含み、前記可撓性金属カンチレバー電極が前記ヘテロ界面の前記2DEGと電気的にコンタクトするように、前記可撓性金属カンチレバー電極が前記狭い境界ゾーンにおいて露出された前記HEMTヘテロ構造の前記半導体層のうちの1つまたは複数とコンタクトし、前記方法は、
コロナ帯電バイアスを印加し、前記ヘテロ界面の前記2DEGとの電気的コンタクトを維持しながら、非接触プローブを使用して前記半導体層の表面電圧を測定すること
を含み、
前記ウェハの上側への物理的コンタクトは、前記半導体層に対して非汚染的かつ非侵襲的である、方法。
【請求項2】
前記ヘテロ界面の前記2DEGへの前記可撓性金属カンチレバー電極の電気的コンタクトは、前記半導体層を接地電位に電気的に接続する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
コロナ電荷の複数のドーズが印加され、前記表面電圧が各ドーズ後に測定され、前記半導体層の前記電気的特性が、前記表面電圧の測定値およびコロナ電荷のドーズに基づいて示される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記半導体層の容量-電圧特性が、前記表面電圧の測定値およびコロナ電荷のドーズに基づいて決定され、上側コンタクトの品質が、基準として前記容量-電圧特性の平坦セグメントにおける容量の相対標準偏差値を使用して評価される、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記半導体層は、GaN層の上にAlGaN層を含み、前記AlGaN層と前記GaN層との間の界面は、前記HEMTヘテロ構造の2DEGを画定する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記ウェハの前記エッジは、ウェハ平坦部にある、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記ウェハは、導電性ウェハチャック上に位置している、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記コンタクトデバイスは、前記チャックに埋め込まれるとともに、可動ポストを備え、前記カンチレバー電極は、前記ポストに取り付けられている、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記ポストを作動させて、前記ウェハを前記チャックにロードする間および前記ウェハを前記チャックからアンロードする間に、前記ウェハの最上面の上方に前記可撓性金属カンチレバー電極を持ち上げることをさらに含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記ウェハの上側を前記可撓性金属カンチレバー電極と物理的にコンタクトさせることは、前記ポストを下降させて、前記ウェハのエッジにある前記境界ゾーン内で前記ウェハの上側に対して可撓性金属カンチレバーの端部をコンタクトさせることを含み、前記可撓性金属カンチレバーは、前記ウェハの上側の上に、前記エッジから1ミリメートル未満、延在している、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
チャック上に配置されたウェハに上側電気的コンタクトを提供するためのデバイスであって、
前記チャックに埋め込まれたポストと、
前記ポストの上部に取り付けられた可撓性金属カンチレバー電極と
を備え、
ウェハローディング中に、前記ポストは、バックストップとして機能し、前記ウェハのエッジおよび前記カンチレバー電極を、前記可撓性金属カンチレバー電極が前記ウェハのエッジにある狭い境界ゾーンの上に延在する位置へと位置合わせする、デバイス。
【請求項12】
前記可撓性金属カンチレバー電極の反対側で前記ポストに結合されたばねをさらに備え、前記ばねは、前記デバイスが前記ウェハに係合するときに、前記ポストに力を印加して前記可撓性金属カンチレバー電極を前記ウェハの上側表面に押し付けるように構成されている、請求項11に記載のデバイス。
【請求項13】
前記可撓性金属カンチレバー電極は、Ti電極である、請求項11に記載のデバイス。
【請求項14】
前記可撓性金属カンチレバー電極は、100μm以下の厚さを有している、請求項11に記載のデバイス。
【請求項15】
前記可撓性金属カンチレバー電極は、1つの状態において前記可撓性金属カンチレバー電極を接地するスイッチに電気的に接続されている、請求項11に記載のデバイス。
【請求項16】
前記可撓性金属カンチレバー電極は、異なる長さの複数のフィンガを備え、前記異なる長さの複数のフィンガは、各々、コンタクト中に前記ウェハの前記エッジから前記狭い境界ゾーン内の前記ウェハの上側表面上に異なる距離だけ延在している、請求項11に記載のデバイス。
【請求項17】
前記ポストに結合されるとともに、前記ポストが前記チャックから延在する量を変化させるように構成された空気圧アクチュエータをさらに備える、請求項11に記載のデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、概して、絶縁基板および半絶縁基板上の半導体層およびヘテロ構造層および界面の電気的特性の特性評価に関し、より詳細には、絶縁基板および半絶縁基板上の高電子移動度トランジスタ(HEMT)構造の特性評価のための上側コンタクトデバイスおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
非接触電気計測は、半導体ウェハ上で測定を実行するため、およびAlGaN/GaN HEMT(高電子移動度トランジスタ)ヘテロ構造を含むワイドバンドギャップ半導体ヘテロ構造におけるものなどの材料、層構造、およびデバイスの電気特性を決定するために使用することができる。コロナ非接触容量-電圧(CnCV)と呼ばれる1つの測定技術は、シリコン特性評価ツールから応用できる。この測定は、ウェハ表面上へのコロナ電荷堆積によって実現されるコロナ帯電バイアスを使用する。堆積した電荷Qに応答して、表面電圧Vが変化し、それが非接触ケルビンプローブで測定される。
【0003】
ヘテロ構造層、およびAlGaN/GaNヘテロ界面における二次元電子ガスのモニタリングは、最上層全体の表面電位および表面電圧降下の非常に正確な測定を伴う。そのため、非接触ケルビンプローブ測定は、接地電位を基準とし、上部表面層の電位は、接地に対して安定である必要がある。これは、接地電位に接続された導電性ウェハチャック上に真空吸引によって保持された導電性基板上にヘテロ構造層を有するウェハでは、容易に満たすことができる。しかしながら、ヘテロ構造が絶縁基板上にある場合には、この条件を満たすことは困難である。
【0004】
後者は、絶縁サファイア基板上または非常に高い抵抗率の「半絶縁」SiC基板上に堆積された上面AlGaN/GaN HEMTヘテロ構造を測定する場合に当てはまる。この構成では、最上層は「電気的に浮遊」している。浮遊静電電位は、測定精度を低下させる様々な静電干渉の影響を受けやすい。
【0005】
絶縁基板上の浮遊上側層のケースは、特許文献1でMazurらによる水銀プローブ測定に関連して言及された。彼らは、水銀プローブキャピラリーを取り囲む上側リターンコンタクトについて説明した。コンタクトは、真空吸引によって最上層表面に対して押圧される平坦な要素によって提供された。サファイアおよび半絶縁性SiC基板上のAlGaN/GaN HEMTの特性評価への水銀プローブC-V技術の最近の適用において、上側リターンコンタクトが、測定プローブの小さな水銀キャピラリーに加えて大きな水銀コンタクトを使用して実現された。水銀の使用に伴う危険な汚染は、現代の超クリーン半導体技術における用途に制限を生じさせる。
【0006】
裏面上に絶縁誘電体層を有するシリコンウェハ上でのコロナ-ケルビン測定における「浮遊ウェハ」問題の解決策は、Lagowskiらによって特許文献2に記載された。彼らの「絶縁層を有する浮遊半導体ウェハに電気的にコンタクトするためのデバイス」は、誘電体層を貫通する穿孔を形成するダイヤモンドスクライバーと、穿孔を通してウェハにコンタクトするプローブとを含んでいた。このデバイスは、裏面にSiOを有するウェハを測定するための市販のツールにおいて効果的に使用することができる。しかしながら、そのようなデバイスは、典型的には約0.5mm厚のサファイアまたは炭化ケイ素基板などの絶縁基板ウェハ上に配置された上側層にコンタクトするのに有用ではない場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第5036271号明細書
【特許文献2】米国特許第6114865号明細書
【発明の概要】
【0008】
本開示は、絶縁基板ウェハ上の半導体層の電気的特性の特性評価に関し、特に、絶縁サファイア基板ウェハおよび半絶縁SiC基板ウェハ上のAlGaN/GaN HEMTヘテロ構造の特性評価に関する。高電子移動度トランジスタ(HEMT)は、AlGaN/GaNヘテロ界面に二次元電子ガス(2DEG)を含み、高移動度チャネルを提供する。AlGaN/GaN HEMT製造プロセスでは、GaN層およびAlGaN層を含む半導体層のヘテロエピタキシャル堆積が基板ウェハ上で行われる。
【0009】
ヘテロエピタキシャル堆積に続いて、HEMTベースのデバイスを有するチップの製造につながる処理ステップが行われる。従来、2DEGの電気的特性の特性評価に使用される特別な試験デバイスの製造には、いくつかの処理ステップが含まれる。そのような試験デバイスは、例えば、構造の最上層(すなわち、AlGaNまたはキャップGaN層)上の金属ゲートと、2DEGのバイアスおよび容量電圧C-V特性の取得のために必要な2DEGへのコンタクトとを含むことができる。試験デバイスに基づいた特性評価は、費用を増加させ、データフィードバックに著しい時間遅延をもたらす。
【0010】
本発明は、試験デバイスを製造することなく実行することができ、時間および費用を節約する堆積されたままの層およびヘテロ構造界面の特性評価に使用することができる電気的特性のC-V特性評価に関する。
【0011】
それを可能にするために、本発明は、ゲートバイアスの代わりにコロナ帯電バイアスを使用し、ac容量を測定する代わりに非接触ケルビンプローブを用いて表面電圧変化を測定する計測を採用した。さらに、本発明は、絶縁基板の場合の特性評価に必要な新しい要素、すなわち、上側層および2DEGへの信頼性のある非侵襲性の一時的な電気的コンタクトを形成するためのデバイスを導入した。
【0012】
3つの要素が、上側コンタクト(topside contact)の機能にとって重要であり得る。
1.コンタクトの位置:
開示されたデバイスおよび方法は、エッジから1mmの何分の1かに延在する非常に狭い境界ゾーン内のウェハエッジに非常に近接して位置する領域においてウェハの上側にコンタクトすることを利用し、エピタキシャル堆積層は、わずかに異なる位置で終端し、すべての層にコンタクトすることを可能にする。周囲の平坦な部分を有する円形ウェハの場合、均一なコンタクトのための好ましい位置は、平坦なエッジ領域である。
【0013】
エッジから離れたウェハ上の中央位置では、AlGaN/GaNヘテロ構造内の層が完全に重なり合い、コンタクトは最上層に限定され、2DEGへの良好なアクセスを失う。
2.コンタクトの非侵襲的特性:
開示されたデバイスおよび方法は、エッジ近傍ウェハ領域の表面に押し付けられた薄い可撓性金属カンチレバーを使用して、表面に対する穿孔、引っ掻き、または摩擦なしに、ヘテロ構造内の層との良好な物理的コンタクトを形成する。
【0014】
3.金属の選択:
適切な仕事関数値を有する金属を適切に選択することにより、物理的コンタクトは所望の電気的コンタクトを形成する。AlGaN/GaN HEMTにおけるn型層の場合、約4.3eVの仕事関数を有する純粋なTiが、カンチレバーのための金属の適切な選択である。
【0015】
信頼性のある上側電気コンタクトは、絶縁基板上の層の測定に影響を及ぼし得る浮遊電位効果を排除することができる。例えば、上側電気コンタクトがない場合、絶縁基板上の層は、電気的に浮遊している。これは、様々な静電干渉の影響を受けやすい浮遊静電表面電位をもたらし、表面電圧に基づく測定において大きなノイズおよび精度の劣化を引き起こす。この問題は、上側コンタクトが半導体層を接地電位に接続すると解消することができる。
【0016】
加えて、信頼性の高い上側電気的コンタクトは、絶縁基板の容量によって引き起こされる影響を排除することができる。浮遊最上層を用いたコロナ帯電バイアス-ケルビンプローブ測定では、実効測定容量Ceff=ΔQ/ΔVは、大きなHEMT構造容量CHEMTと直列の基板容量Csubによって支配され得る。例えば、500μmの絶縁基板の場合、Csub≪CHEMTである。したがって、
1/Ceff=1/CHEMT+1/Csub≒1/Csub
である。
【0017】
その結果、測定は、HEMT特性に対する感度を失う。接地への上側の接続は、基板キャパシタを効果的に短絡させ、Csubの影響を実質的に排除することができる。
コロナ帯電バイアスは、2DEG電子を反発する(2DEGを空乏させる)負電荷、および2DEG電子を引き付ける(2DEGを集める)正電荷を用いて、2DEGの数を変調することが意図されている。しかしながら、効果的な変調のためには、2DEGと接地との間にキャリアフローパスが必要である。このような経路が、上側コンタクトによって形成される。
【0018】
本発明の様々な態様は、以下のように要約される。
概して、一態様では、本発明は、絶縁基板または半絶縁基板上に配置された半導体層を含むウェハ上の半導体層構造の電気的特性を評価する方法を特徴とし、半導体層は、ウェハの上側にあり、半導体層構造は、高電子移動度トランジスタ(HEMT)ヘテロ構造を含み、HEMTヘテロ構造は、HEMTヘテロ構造の半導体層の間のヘテロ界面に二次元電子ガス(2DEG)を有している。方法は、
(a)ウェハのエッジにある狭い境界ゾーン内のウェハの上側を、コンタクトデバイスの可撓性金属カンチレバー電極と物理的にコンタクトさせることを含み、可撓性金属カンチレバー電極がヘテロ界面の2DEGと電気的にコンタクトするように、可撓性金属カンチレバー電極が狭い境界ゾーンにおいて露出されたHEMTヘテロ構造の半導体層のうちの1つまたは複数とコンタクトし、方法は、
(b)コロナ帯電バイアスを印加し、ヘテロ界面の2DEGとの電気的コンタクトを維持しながら、非接触プローブを使用して半導体層の表面電圧を測定すること
を含む。
【0019】
ウェハの上側(topside)への物理的コンタクトは、半導体層に対して非汚染的かつ非侵襲的である。
方法の実装形態は、以下の特徴および/または他の態様の特徴のうちの1つまたは複数を含むことができる。例えば、ヘテロ界面の2DEGへの可撓性金属カンチレバー電極の電気的コンタクトは、半導体層を接地電位に電気的に接続することができる。
【0020】
コロナ電荷の複数のドーズが印加されてよく、表面電圧が各ドーズ後に測定され、半導体層の電気的特性が、表面電圧の測定値およびコロナ電荷のドーズに基づいて示されてよい。半導体層の容量-電圧特性が、表面電圧の測定値およびコロナ電荷のドーズに基づいて決定されてよく、上側コンタクトの品質が、基準として容量-電圧特性の平坦セグメントにおける容量の相対標準偏差値を使用して評価される。
【0021】
半導体層は、GaN層の上にAlGaN層を含むことができ、AlGaN層とGaN層との間の界面は、HEMTヘテロ構造の2DEGを画定する。
ウェハのエッジは、ウェハ平坦部(wafer flat)にあってよい。
【0022】
ウェハは、導電性ウェハチャック上に配置することができる。コンタクトデバイスは、チャックに埋め込まれて(recessed)いてよく、可動ポストを備え、カンチレバー電極は、ポストに取り付けられている。方法は、ポストを作動させて、ウェハをチャックにロードする間およびチャックからアンロードする間に、ウェハの最上面の上方に可撓性金属カンチレバー電極を持ち上げることを含むことができる。ウェハの上側を可撓性金属カンチレバー電極と物理的にコンタクトさせることは、ポストを下降させて、ウェハのエッジにある境界ゾーン内でウェハの上側に対して可撓性金属カンチレバーの端部をコンタクトさせることを含むことができ、可撓性金属カンチレバーは、ウェハの上側の上に、エッジから1ミリメートル未満、延在している。
【0023】
概して、別の態様では、本発明は、チャック上に配置されたウェハに上側電気的コンタクトを提供するためのデバイスを特徴とする。デバイスは、チャックに埋め込まれたポストと、ポストの上部に取り付けられた可撓性金属カンチレバー電極とを含み、ウェハローディング中に、ポストは、バックストップとして機能し、ウェハのエッジおよびカンチレバー電極を、可撓性金属カンチレバー電極がウェハのエッジにある狭い境界ゾーンの上に延在する位置へと位置合わせする。
【0024】
デバイスの実施形態は、以下の特徴および/または先の態様の特徴のうちの1つまたは複数を含むことができる。例えば、デバイスは、可撓性金属カンチレバー電極の反対側でポストに結合されたばねをさらに含むことができ、ばねは、デバイスがウェハに係合するときに、ポストに力を印加して可撓性金属カンチレバー電極をウェハの上側表面に押し付けるように構成されている。
【0025】
可撓性金属カンチレバー電極は、Ti電極であってよい。
可撓性金属カンチレバー電極は、100μm以下の厚さを有していてよい。
可撓性金属カンチレバー電極は、1つの状態において可撓性金属カンチレバー電極を接地するスイッチに電気的に接続されていてよい。
【0026】
可撓性金属カンチレバー電極は、異なる長さの複数のフィンガを含むことができ、異なる長さの複数のフィンガは、各々、コンタクト中にウェハのエッジから狭い境界ゾーン内のウェハの上側表面上に異なる距離だけ延在している。
【0027】
デバイスは、ポストに結合されるとともに、ポストがチャックから延在する量を変化させるように構成された空気圧アクチュエータを含むことができる。
他の利点の中でも、開示される方法およびデバイスは、高コストウェハを使用する電力および高速用途のためのワイドバンドギャップ半導体の特性評価に関する。この場合、さらなる使用のためにウェハを保存することができる、測定の非破壊的、非侵襲的、および非汚染の特性は、実用上非常に重要である。例えば、本明細書に記載されるシステムおよび方法は、絶縁サファイア基板ウェハおよび半絶縁SiC基板ウェハ上のAlGaN/GaN HEMTヘテロ構造の特性を評価することができる。他の用途は、絶縁ガラス基板上のIGZOなどの薄い層の特性評価を含むことができる。
【0028】
他の利点の中でも特に、実装形態により、これまで半導体基板を備えたウェハに制限されていた計測について、半導体層およびそれらの間の界面の非常に正確な電気測定が可能になる。本開示は、従来技術に存在する浮遊表面電位問題に伴う困難を克服する。それは、ウェハエッジ近くの上部表面層の非侵襲性、非汚染性、一時的コンタクトを導入する。半導体層への小さな上側コンタクトは、エッジから1mm以下だけ延在することができ、約10mm幅である。
【0029】
本明細書で説明される実装形態は、絶縁基板上に配置された層の表面電位の安定化を可能にする。さらに、表面電圧および電気的バイアスに対する応答を正確に測定および制御することができ、これは、表面電圧測定に基づく半導体産業の計測において重要な要素である。エッジコンタクトが小さいため、ウェハ表面のほぼ全体が接触されないままとなり、任意のサイトパターンの測定に使用できるため、実質的にウェハ全体の電気的パラメータのマッピングが可能になる。
【0030】
さらに、本明細書に記載された上側コンタクト解決策は、基板をスクライビングおよび穿孔することなく、かつ水銀コンタクトの使用に伴う危険な汚染を伴わずに、ウェハ上側層の浮遊表面電位を効果的に除去する。浮遊表面電位の除去に加えて、上側エッジ近傍コンタクトは、AlGaN/GaNヘテロ界面ポテンシャル井戸において二次元電子ガスを充填または空にするために必要な電子を供給または除去する電流経路を開く。この態様は、一般に、HEMTパラメータの電気的測定にとって重要である。
【0031】
本明細書の主題の1つまたは複数の実施形態の詳細は、添付の図面および以下の説明に記載される。主題の他の特徴、態様、および利点は、説明、図面、および特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1A図1Aは、上側エッジ近傍コンタクトデバイスを組み込んだ半導体ウェハの電気的特性評価のための装置の概略図である。
図1B図1Bは、コンタクト位置にあるデバイスの概略図であり、可撓性カンチレバーが下がって、ウェハエッジのコンタクト境界ゾーンにおいてウェハの上側表面に押し付けられている。
図2図2は、薄い半導体層を備えたAlGaN/GaN HEMTヘテロ構造の層の断面およびサファイアまたは半絶縁性SiCの厚い絶縁基板ウェハ上のGaN側のAlGaN/GaNヘテロ界面にある2DEGの概略図である。
図3図3は、接触電位差CPDのケルビンフォース顕微鏡画像であり、図2に示されるような層積層を有する絶縁サファイア基板上のAlGaN/GaN HEMT構造の上側エッジ近傍ウェハ領域を示す。エッジ近傍境界ゾーンは、上側コンタクトに使用されるウェハ平坦部を含むウェハエッジ全体に存在する。
図4A図4Aおよび図4Bは、本発明の上側コンタクトを有する図1に示された装置を用いて測定された絶縁基板上のAlGaN/GaN HEMTヘテロ構造の電気的特性評価の良好な品質のCnCV結果のプロットである。
図4B図4Aおよび図4Bは、本発明の上側コンタクトを有する図1に示された装置を用いて測定された絶縁基板上のAlGaN/GaN HEMTヘテロ構造の電気的特性評価の良好な品質のCnCV結果のプロットである。
図5図5は、絶縁基板上のAlGaN/GaN HEMTの容量-電圧特性を表すプロットであり、悪い品質の上側コンタクト、良い品質の上側コンタクト、および上側コンタクトなしの測定を表す。
図6A図6Aは、ウェハチャックに埋め込まれたコンタクトデバイスの概略図である。デバイスは、ウェハローディングの前に「上」位置にある。
図6B図6Bは、ウェハローディング中に「上」位置にあるデバイスの概略図であり、ウェハは、バックストップ要素によって画定されたカンチレバーに対してチャック上に配置されている。デバイスの「上」位置は、ウェハのアンロードにも使用される。
図6C図6Cは、カンチレバーの上部および電極がウェハチャックの表面と同じ高さにあるニュートラルダウン位置にあるデバイスの概略図である。
図7A図7Aおよび図7Bは、境界ゾーンでウェハにコンタクトするカンチレバー金属電極の概略上面図である。境界ゾーンは、ウェハ平坦部を含むウェハ全体のウェハエッジ付近に存在する。コンタクトは、ウェハチャック上に配置されたウェハの平坦なエッジ部分で形成される。図7Aは、長方形の電極プレートの例を示し、図7Bは、ウェハエッジから異なる距離でコンタクトを提供する3つのカンチレバーを有するフィンガ状カンチレバー電極の例を示す。
図7B図7Aおよび図7Bは、境界ゾーンでウェハにコンタクトするカンチレバー金属電極の概略上面図である。境界ゾーンは、ウェハ平坦部を含むウェハ全体のウェハエッジ付近に存在する。コンタクトは、ウェハチャック上に配置されたウェハの平坦なエッジ部分で形成される。図7Aは、長方形の電極プレートの例を示し、図7Bは、ウェハエッジから異なる距離でコンタクトを提供する3つのカンチレバーを有するフィンガ状カンチレバー電極の例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0033】
図面において、同様の符号は同様の要素を示す。
絶縁性または半絶縁性基板上の半導体層の電気的特性は、一時的で非破壊的な方法でウェハのエッジで上側層を電気的にコンタクトさせるためのデバイスを使用して評価される。特に、電気的特性の非侵襲的ウェハレベル試験は、MOS構造、テストダイオード、キャパシタ、および/または恒久的なコンタクトを製造することなく実行することができる。上側コンタクトデバイスは、エッジから所定の調整可能な距離のエッジの近くでウェハの上面にコンタクトするための可動の可撓性金属カンチレバー電極を含む。これにより、ウェハエッジの非常に狭い境界ゾーン内でウェハの上側にコンタクトし、絶縁基板上の半導体層の電気的測定のために必要に応じて層およびヘテロ界面に電気的にアクセスすることが可能になる。
【0034】
カンチレバー金属は、一般に、コンタクトにおける高いショットキー障壁を回避するのに適した仕事関数値、例えば、n型半導体層およびp型半導体層に対して、それぞれ低い仕事関数および高い仕事関数を有する。デバイスアセンブリは、測定装置のウェハ保持チャック内に埋め込まれている。ウェハのロードおよびアンロードのためにカンチレバーを「上」に配置し、層を電気的にコンタクトさせるために「下」に配置するために、空気圧作動が使用される。後者の位置は、測定中維持され、カンチレバーを介して接地または測定システムの他の要素への電気的接続を提供する。
【0035】
図1Aは、上側コンタクトデバイス108を含む例示的な測定システム100の概略図である。システム100は、絶縁または半絶縁基板106と、基板106の上側の半導体層107とを含むウェハ101を支持するためのチャック102を備えた可動ステージ104を含む。上側コンタクトデバイス108は、半導体層107の上側にコンタクトするカンチレバー電極118を含み、これについては以下で詳細に説明する。チャック102は、導電性であり、スイッチ103を使用して接地に接続されてよい。システム100は、コロナ帯電サブシステム125および測定サブシステム120を含む。システム100は、コロナ帯電サブシステム125、測定サブシステム120、および可動ステージ104の動作、ならびにチャック102上へのウェハ101のロードおよびアンロード中の上側コンタクトデバイス108の作動を制御するようにプログラムされた電子コントローラ130(例えば、コンピュータ)をさらに含む。測定サブシステム120は、ウェハ101の表面の上方で振動する非接触ケルビンプローブ119と、測定値を記録および処理する測定制御ユニットとを含む。コロナ帯電サブシステム125は、電圧源と、ウェハ101の表面上に電荷を堆積させる放電電極とを含む。
【0036】
図1Bを参照すると、コンタクトデバイス108は、ウェハチャック102の凹部内に配置されたポスト116を含む。ポスト116は、ウェハ101とポスト116との間のコンタクトポイント129においてウェハのエッジのためのバックストップ要素として機能し、ウェハがウェハチャック102上にロードされたときにウェハ101のエッジをカンチレバー電極118に対して位置合わせする。薄層の場合、ウェハ101のエッジは、絶縁基板106のエッジに対応することに留意されたい。ポスト116は、ウェハ101のスクラッチを防止するために、例えば、ベスペルプラスチックなどの絶縁プラスチック材料で作製することができる。ばね117が、ポスト116上に配置され、ポスト116上のフランジと、ポスト116が収まる凹部の肩部との間で圧縮される。上側コンタクトデバイス108がウェハ101と係合すると、ばね117が圧縮され、カンチレバー電極118に下向きの力を印加し、カンチレバー電極118を上側層107に押し付ける。
【0037】
カンチレバー118は、ポスト116の上側に取り付けられた金属コンタクト電極109の一部である。金属コンタクト電極109は、リード線112を介してスイッチ111に電気的に接続されており、このスイッチは、接地電位と、ウェハチャック102と、他のデバイスとの間で切り替えることができる。カンチレバー電極118は、比較的薄くてよく(例えば、100マイクロメートルのオーダーの厚さを有することができる)、金属(例えば、Ti)で作製することができる。このようなカンチレバーは、一般に、ウェハ101の上側表面などの剛性表面に押し付けられたときに撓み、表面を摩耗させたり損傷させたりすることなく、このような表面に適用することができる。
【0038】
カンチレバー118に使用される金属は、用途に基づいて選択することができる。例えば、層107が、AlGaN/GaN HEMT構造における層などのn型のワイドバンドギャップ半導体である場合、カンチレバー電極118は、純Tiから作製することができる。別の例では、層107がp型半導体である場合、高い仕事関数値を有する金属が使用されてよい。カンチレバー電極118は、システム100の接地電位への、またはシステム100の他の要素への電気的接続を含むことができる。
【0039】
空気圧アクチュエータ110は、以下に説明される動作の様々なフェーズの間、ポスト116を上下に動かす。
システム100は、ウェハチャック102に埋め込まれた複数の上側コンタクトデバイス108を含むことができる。例えば、異なるウェハサイズ(例えば、直径100、150、および200mmのウェハ)の測定のために、複数のコンタクトデバイス108が、異なるウェハサイズに対応する位置でウェハチャック102内に埋め込まれ得る。各コンタクトデバイス108は、独立して制御することができる。
【0040】
システム100は、絶縁または半絶縁基板上に配置された半導体層(例えば、サファイア基板または半絶縁SiC基板上のAlGaN/GaN HEMTヘテロ構造)の特性評価を可能にする。例えば、サファイア基板、非常に高い抵抗率のSiC基板、またはガラス基板の場合のように、ウェハ基板が絶縁性である場合には、チャック102を介した裏面の電気的コンタクトは存在しない。導電性チャック102上に配置されたそのようなウェハ101は、キャパシタを形成し、上部表面層107は、電気的に浮遊している。サファイア上のHEMTヘテロ構造の場合、チャック102が接地され、追加の上側電気的コンタクトがない状態で測定すると、サファイアの容量、すなわち、誘電体としてサファイアを備えたキャパシタに対応する値が得られる。その測定は、HEMTの電気的パラメータに関する情報を与えない。対照的に、システム100は、絶縁または半絶縁基板上の半導体層の特性評価のために使用することができる。
【0041】
ウェハチャック102は、接地電位と、コロナ堆積電荷を測定するクーロンメータであるQメータなどの1つまたは複数の他のデバイスとの間で切り替えることができるスイッチ103に電気的に接続されている。いくつかの実装形態において、スイッチ111は、金属コンタクト電極109をウェハチャック102に接続する位置にあってよい。この位置では、表面電圧測定のための接地電位とコロナ帯電モニタリングのためのクーロンメータ114との間での金属コンタクト電極109の切り替えを、スイッチ103を使用して達成することができる。
【0042】
コロナ帯電後、ステージ104は、チャック102を移動させて、ケルビンプローブ119の下に帯電部位を配置し、スイッチ103および111は、接地に切り替えられ、半導体層107の上側表面上で電圧が測定される。コロナ帯電および測定ステップは、繰り返されてよい。電荷および電圧は、C=ΔQ/ΔVとして決定される容量Cを与える。対応する容量電圧(C-V)、および計測固有の容量-電荷C-Q特性は、基板106の上部の層107の電気的パラメータ、ならびに電気的表面および界面パラメータの決定に使用される。
【0043】
図2は、絶縁または半絶縁基板ウェハ上にHEMTヘテロ構造を形成するGaN/AlGaN/GaNの層の典型的な積層を示す断面図である。二次元電子ガス(2DEG)が、下部GaN層とAlGaN層との間のヘテロ界面に形成される。このような構造がヘテロエピタキシャル堆積技術を使用して形成される場合、個々の層は、ウェハのエッジからわずかに異なる距離で終了し、露出した層およびヘテロ界面領域を備えたエッジ近傍境界ゾーンが形成されてよい。本発明における上側コンタクトは、この境界ゾーン内で行われる。
【0044】
ウェハのエッジにおけるHEMT構造内の異なる層の露出が図3に示されており、これは、絶縁サファイア基板上のAlGaN/GaN HEMT構造上のエッジ付近の1.45mm×6mmの上側ウェハ領域を示す、接触電位差CPDのケルビンフォース顕微鏡画像を示している。層構造は、図2に示される層積層と同様である。ウェハエッジ付近の狭い境界ゾーン(例えば、1mmまたはそれに近い)は、上側コンタクトの位置として使用される。このゾーンは、エッジから0.5mm以内の減少したCPD値、および0.2mm以内のさらに強い減少によって明示される。異なるCPD値は、HEMTの異なる表面層に対応し、エッジから離れたGaN層から始まり、AlGaNおよび2DEGはエッジに非常に近い。エッジ近傍境界ゾーンは、上側コンタクトに使用されるウェハ平坦部を含むウェハエッジ全体に存在する。
【0045】
HEMT構造の特性評価のために、AlGaN/GaNヘテロ界面にある2DEGへのコンタクトは、二次元ポテンシャル井戸に電子を供給およびそこから電子を除去するために重要である。これは、HEMTヘテロ構造の特性評価のコロナ-ケルビン法において必要とされ、ここで、ポテンシャル井戸の充填および空乏化は、最上層表面上への正/負電荷の堆積によって行われる。そのようなコンタクトは、境界ゾーン内でウェハの上側にコンタクトする可撓性カンチレバーによって提供される。カンチレバー電極118は、AlGaN/GaNヘテロ構造の2DEGと電気的にコンタクトする。
【0046】
図4Aおよび図4Bは、絶縁基板上のAlGaN/GaN HEMTヘテロ構造を特徴付ける良好な品質のコロナ容量-電圧測定値を示すプロットである。これらの結果は、図1Aに示されるようなコロナ電荷-ケルビン電圧システムを用いて得られたものであり、上側接地コンタクトがエッジ近傍境界ゾーンにある。特に、図4Aは、コロナ電荷密度の関数としての容量のプロットを示す。プロットは、HEMT界面における2DEGの空乏に対応する、約-7×1012Ω/cmの負電荷範囲で測定された容量の大幅な減少を示す。図4Bは、上面の下の深さの関数としてのキャリア濃度のプロットを示す。
【0047】
図5は、絶縁基板上に配置されたAlGaN/GaN HEMTヘテロ構造の例示的な特性評価測定値を示すプロットである。具体的には、図5は、3つの異なる場合(610、620、および630)について、サファイア基板上のAlGaN/GaN HEMTの容量-電圧特性を示す。第1のケース610は、ウェハにコンタクトする上側コンタクトデバイスを備えたコロナ-ケルビンシステム(例えば、システム100)を使用することによって得られた特性評価測定値を含むが、上側コンタクトは不十分な品質である。第2のケース620は、エッジ近傍境界ゾーンにおいてウェハにコンタクトする上側コンタクトデバイスを備えたコロナ-ケルビンシステムを使用することによって得られた特性評価測定値を含み、良好な品質のコンタクトを提供する。第3のケース630は、ウェハにコンタクトする上側コンタクトデバイスを用いずにコロナ-ケルビンシステムを使用することによって得られた特性評価測定値を含む。後者の場合、容量は、厚い基板の容量に対応するので非常に低い。
【0048】
ケース620のC-V特性が、所望の測定値である。それは、AlGaN/GaNヘテロ界面における2DEG密度、ピンチオフ電圧値、二次元ポテンシャル井戸内の自由電子密度深さプロファイル、および底部GaN層(バッファ層)におけるドーパント濃度プロファイルなどの、AlGaN/GaN HEMT構造パラメータの高精度の決定を可能にする。
【0049】
非常に雑音の多いケース610では、C-V特性は、真空吸引によって最上層に押し付けられた金属プレートコンタクトを使用する上側コンタクトを用いて得られた測定結果を示す。この例では、プレートは、ケルビンプローブの近傍でサファイア上のAlGaN/GaN HEMTの最上層にコンタクトしていたが、滑らかなC-V特性を生成することはできなかった。導電性ゴムを最上層表面に押し付けて使用しても、同様のコンタクト不良の結果が得られた。良好な再現性のあるC-V特性は、本明細書に記載されるように、ウェハエッジ付近の可撓性カンチレバーコンタクトが使用されたときに得られた。
【0050】
良好な上側コンタクトは、滑らかな容量-電圧特性(例えば、図5の620)を生成するが、品質の悪いコンタクトは、容量値の大きな変動を伴う雑音の多い特性(例えば、図5の610)をもたらす。システムは、変動の大きさを定量化することができ、C-V特性またはC-Q特性のセグメントにおける相対標準偏差値を上側コンタクト品質の指標として使用する。例えば、10個の測定データポイントを有するフラットな容量セグメントにおいて、0.5%以下の1シグマ相対値が、適切な上部コンタクト品質の基準として扱われ得る。
【0051】
トップコンタクト評価は、同じウェハ平坦部上に特定の距離で配置された2つの同様のコンタクトを備えた装置を使用して行うこともできる。そのような構成では、スイッチ111は、所与の上側半導体層に対するこれらの2つのコンタクト間の抵抗測定のための位置に切り替えることができる。この抵抗値は、所与の層の上部コンタクト仕様のパラメータとして使用することができる。
【0052】
上部コンタクトの品質検証は、ツールメンテナンス中に行うことができる。しかしながら、それは、実際のC-V測定サイクルに含めることもできる。標準偏差試験は、測定プリセット手順の一部として実際に測定されたウェハに対して実行することができる。
【0053】
試験は、様々なデバイス製造ラインの必要性に応じて、特定の絶縁基板上に配置された特定の上側半導体層を表す基準ウェハに対して実行することもできる。
上述したように、上側コンタクトデバイス108は、ポスト116を上下に動かして、ウェハ101のロードおよびアンロード、ならびにカンチレバー電極118の収容を容易にする空気圧アクチュエータ110を含む。これらの位置は、図6A図6B、および図6Cに示されており、これらは、ウェハローディング前およびウェハローディング中(図6Aおよび図6B)の「上」位置、ならびにカンチレバーの上部および電極がウェハチャックの表面と同じ高さにある(図6C)ニュートラルな下位置にあるデバイス108を示す。
【0054】
図6Aでは、カンチレバー電極118がチャック102の上部から十分なクリアランスを有し、カンチレバー電極118に接触することなくウェハがチャック102上にロードされる(またはチャックからアンロードされる)ことを可能にするように、空気圧アクチュエータは、ポスト116を上昇させる。例えば、ポスト116は、カンチレバー電極がチャック102の上面から5mm以上、上になるように動かすことができる。図6Bは、図6Aと同じ位置にあるポスト116を示すが、ウェハがチャック上にロードされている。ウェハがロードされると、空気圧アクチュエータ111がポスト116を下降させ、ばね117の減圧により、カンチレバー電極118が、ウェハのエッジ付近の境界ゾーン内のウェハの上面に、エッジからわずかな距離で予め設計された接触力でコンタクトするように付勢される。ポスト116は、ウェハに対するバックストップとして機能し、ポイント129においてウェハのエッジにコンタクトし、ポストに適したプラスチック材料を使用することにより、下方へ動く間にウェハエッジに傷が付くことが防止される。
【0055】
コンタクトが使用されていないとき、アクチュエータは、カンチレバー電極118がチャック102の凹部113内に格納されるように、ポスト116を下降させることができ、カンチレバー電極118の上面は、チャック102の上面と面一であるか、またはその下にある。これにより、ウェハを上側コンタクトデバイス108の上に配置することが可能になり、例えば、複数のサイズのウェハを測定し、ウェハサイズ、すなわち直径100mm、150mm、または200mmなど、に応じてチャック102に配置される複数のコンタクトデバイス108を使用する装置100にとって重要である。
【0056】
従来のウェハは、典型的には円形であり、標準化されたウェハ平坦部を有している。円形エッジおよび平坦エッジにおける上側コンタクトの品質を比較すると、本発明者らは、ウェハ平坦エッジにおいて一貫して良好な品質の上側コンタクトが達成されることを発見した。ウェハ平坦エッジにコンタクトするとき、カンチレバー電極は、ウェハ平坦部に平行な幅で配置され、典型的には10mmであるコンタクト幅全体にわたって均一な物理的コンタクトを提供する。このような構成が図7Aに示されており、ウェハ101は、その平坦エッジ121が上側コンタクトデバイス108のポストに対してバックストップされた状態で、チャック102上に配置されている。デバイス108は、ウェハ701の上面上に0.5mm延在する、幅10mmおよび長さ1.2mmの長方形のカンチレバー電極118を含む。概して、カンチレバー電極118は、ウェハ101の上面の上に短い距離だけ延在し、ウェハ平坦エッジ121において狭い境界ゾーン104との電気的コンタクトを提供する。この例では、カンチレバー電極は0.5mm延在しているが、狭い境界ゾーンに十分にコンタクトするまで、電極をウェハエッジから1mm以下の位置に調整することができる。
【0057】
他のカンチレバー電極形状も可能である。例えば、図7Bを参照すると、上側コンタクトデバイス108Aは、ウェハ101のウェハ平坦エッジ121から異なる距離内でウェハ101の上面に各々コンタクトする、異なる長さの複数のフィンガを含むカンチレバー電極118Aを含む。
【0058】
例えば、第1のフィンガは、ウェハ平坦部121のエッジから0.3mm延在することができ、第2のフィンガは、エッジ121から0.5mm延在することができ、第3のフィンガは、エッジ121から0.8mm延在することができ、したがって、境界ゾーン124の異なる領域とのコンタクトが達成される。より一般的には、カンチレバーは、他の数のフィンガ(例えば、2つ、4つ、5つ、またはそれ以上)を含むことができ、異なる距離に延在し、フィンガは、図7Aに示される矩形形状以外の形状を有することができる。
【0059】
カンチレバー電極に異なる長さのフィンガを含めることにより、個々のフィンガの異なる圧力をもたらすことができ、これは、ヘテロ構造内の半導体の複数の層への電気的コンタクトに利益を与えることができる。
【0060】
いくつかの実施形態を説明してきた。他の実施形態は、以下の特許請求の範囲にある。
図1A
図1B
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6A
図6B
図6C
図7A
図7B
【国際調査報告】