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特表2024-520458外科用回転シェーバーの遠位窓開口部の動的制御
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-24
(54)【発明の名称】外科用回転シェーバーの遠位窓開口部の動的制御
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/3205 20060101AFI20240517BHJP
【FI】
A61B17/3205
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023572925
(86)(22)【出願日】2022-05-25
(85)【翻訳文提出日】2024-01-23
(86)【国際出願番号】 US2022030895
(87)【国際公開番号】W WO2022251340
(87)【国際公開日】2022-12-01
(31)【優先権主張番号】17/329,999
(32)【優先日】2021-05-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514290052
【氏名又は名称】アースレックス インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】ARTHREX, INC.
【住所又は居所原語表記】1370 Creekside Blvd, Naples, FL 34108, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】110002354
【氏名又は名称】弁理士法人平和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フジェーレル,ロバート
(72)【発明者】
【氏名】ポーレ,ブレット
(72)【発明者】
【氏名】バックマン,ジョシュア
(72)【発明者】
【氏名】ヴァイエダ,アンカー
(72)【発明者】
【氏名】スラター,ジェフェリー
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160FF21
4C160LL03
(57)【要約】
モーターの連続的な追跡に基づいて、外部ハウジングの開口部に対する内部駆動シャフトの開口部の位置合わせを制御することによって、シェーバー窓開口部を動的に制御するように構成される医療デバイスシステムが開示される。医療デバイスシステムは、遠位端部にあるシェーバーと、内部駆動シャフトを通して物質を吸引するように構成される吸引システムとを備えることができる。医療デバイスシステムのプロセッサは、詰まりを低減し、システムの切断効率を高めるために、内部駆動シャフトの開口部の位置の連続的な検知に基づいて、内部駆動シャフトの回転運動を制御することができる。医療デバイスシステムを連続的に監視することにより、プロセッサは、振動モードにおける位相ずれ状態を補正することで、劣悪な切断条件を防止することができる。プロセッサは、所望の切断動作をもたらすように、内部駆動シャフトの開口部上の反転位置を動的に確定することもできる。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療デバイスシステム(10)であって、
モーター(20)と、
前記モーター(20)に結合されるインナードライブシャフト(14)と、
内部に前記インナードライブシャフト(14)が配置されるように、前記インナードライブシャフト(14)を収容する細長いアウターハウジング(18)と、
前記インナードライブシャフト(14)の遠位端部(24)にあるシェーバー(22)と、
を備えるハンドヘルド回転式医療デバイス(30)と、
前記インナードライブシャフト(14)内のチャネル(40)を含む吸引システム(26)と、
前記モーター(20)及び前記インナードライブシャフト(14)の駆動を制御するように構成されるプロセッサ(28)と、
を備え、
前記シェーバー(22)は、前記インナードライブシャフト(14)を形成する遠位端部(24)において少なくとも1つの開口部(12)を備え、
前記アウターハウジング(18)は、前記インナードライブシャフト(14)の前記遠位端部(24)において前記シェーバー(22)と長手方向に位置合わせされる開口部(16)を備え、
前記プロセッサ(28)は、前記モーター(20)の連続的な追跡に基づいて、前記アウターハウジング(18)の前記開口部(16)に対する前記インナードライブシャフト(14)の前記開口部(12)の位置決めを動的に制御するように構成される、
前記医療デバイスシステム。
【請求項2】
請求項1に記載の医療デバイスシステム(10)であって、
前記プロセッサ(28)は、吸引された物質のパルス流が前記インナードライブシャフト(14)を通って流れ、前記インナードライブシャフト(14)を洗い流し、詰まりを防止する振動モードで、前記インナードライブシャフト(14)を動作させるように構成される、
前記医療デバイスシステム。
【請求項3】
請求項1に記載の医療デバイスシステム(10)であって、
前記プロセッサ(28)は、少なくとも1つの窓開口部(42)の回転方向を反転させる振動モードで前記インナードライブシャフト(14)を動作させるように構成される、
前記医療デバイスシステム。
【請求項4】
請求項3に記載の医療デバイスシステム(10)であって、
前記プロセッサ(28)は、特定のユーザー性能パラメーターを目標とするように、方向の反転を規定するために、時間、回転、及び位置を具現するベクトルを使用して、少なくとも1つの窓開口部(42)の回転方向を反転させる振動モードで、前記インナードライブシャフト(14)を動作させるように構成される、
前記医療デバイスシステム。
【請求項5】
請求項1に記載の医療デバイスシステム(10)であって、
前記プロセッサ(28)は、前記インナードライブシャフト(14)が反転方向に回転する前に複数の反転位置のうちの1つにおいて停止する振動モードで、前記インナードライブシャフト(14)を動作させるように構成される、
前記医療デバイスシステム。
【請求項6】
請求項1に記載の医療デバイスシステム(10)であって、
前記プロセッサ(28)は、前記インナードライブシャフト(14)の反転位置が、前記インナードライブシャフト(14)の前記開口部(12)を介して物質を切断する最大モーメントを生成するものと特定される振動モードで、前記インナードライブシャフト(14)を動作させるように構成される、
前記医療デバイスシステム。
【請求項7】
請求項1に記載の医療デバイスシステム(10)であって、
前記プロセッサ(28)によって前記モーター(20)を連続的に追跡することで、前記プロセッサ(28)が、インナードライブシャフトの開放位置に応じた所望の切断トルクに基づいて前記インナードライブシャフト(14)を制御する開ループシステムを介して、前記インナードライブシャフト(14)を制御することが可能になる、
前記医療デバイスシステム。
【請求項8】
請求項1に記載の医療デバイスシステム(10)であって、
前記プロセッサ(28)によって前記モーター(20)を連続的に追跡することで、前記プロセッサ(28)が、インナードライブシャフトの開放位置に応じた所望の流動サイクルに基づいて前記インナードライブシャフト(14)を制御する開ループシステムを介して、前記インナードライブシャフト(14)を制御することが可能になる、
前記医療デバイスシステム。
【請求項9】
請求項1に記載の医療デバイスシステム(10)であって、
前記プロセッサ(28)によって前記モーター(20)を連続的に追跡することで、前記プロセッサ(28)が、インナードライブシャフトの開放位置に応じた所望の切断デブリ流量に基づいて前記インナードライブシャフト(14)を制御する開ループシステムを介して、前記インナードライブシャフト(14)を制御することが可能になる、
前記医療デバイスシステム。
【請求項10】
請求項1に記載の医療デバイスシステム(10)であって、
前記プロセッサ(28)によって前記モーター(20)を連続的に追跡することで、前記プロセッサ(28)が、前記吸引システム(26)からのセンサー入力に基づいて前記インナードライブシャフト(14)を制御する閉ループシステムを介して、前記インナードライブシャフト(14)を制御することが可能になる、
前記医療デバイスシステム。
【請求項11】
請求項1に記載の医療デバイスシステム(10)であって、
前記プロセッサ(28)は、前記インナードライブシャフト(14)の前記開口部(12)の各方向の回転を追跡し、位相ずれ状態を補正することで、振動モードのより一貫した制御を可能にし、それにより、流量を安定させるように構成される、
前記医療デバイスシステム。
【請求項12】
請求項1に記載の医療デバイスシステム(10)であって、
前記プロセッサ(28)は、前記モーター(20)の連続的な追跡に基づいて、振動因子について前記モーター(20)を制御するように構成される、
前記医療デバイスシステム。
【請求項13】
請求項1に記載の医療デバイスシステム(10)であって、
前記プロセッサ(28)は、インナーシャフト開口部(12)の回転、時間、及び位置を分析して、所望の性能をもたらすように反転位置を動的に変更する、
前記医療デバイスシステム。
【請求項14】
請求項1に記載の医療デバイスシステム(10)であって、
前記プロセッサ(28)は、インナードライブシャフトの回転の調時デューティサイクルを制御して、前記インナードライブシャフト(14)の前記開口部(12)と前記アウターハウジング(18)の前記開口部(16)との位置合わせを制御して、流量に影響を与え、詰まりを防止するために、異なる調時デューティサイクルにおいて、ほぼ全開であるが完全な開放には満たない位置と、ほぼ全閉であるが完全な閉鎖には満たない位置との間を交互に繰り返す、
前記医療デバイスシステム。
【請求項15】
請求項1に記載の医療デバイスシステム(10)であって、
前記プロセッサ(28)は、インナードライブシャフトの回転を制御して、窓が完全に位置合わせされることがなく、スリット開口部を模倣するように、前記インナードライブシャフト(14)の前記開口部(12)と前記アウターハウジング(18)の前記開口部(16)との位置合わせを制限する、
前記医療デバイスシステム。
【請求項16】
請求項1に記載の医療デバイスシステム(10)であって、
前記プロセッサ(28)は、少なくとも2つの位相を含む多相モードを介してインナードライブシャフトの回転を制御し、ここでは、第1の位相は、第1の反転位置において開放が優勢の窓(42)を有し、第2の位相は、第2の反転位置において閉鎖が優勢の窓(42)を有する、
前記医療デバイスシステム。
【請求項17】
請求項16に記載の医療デバイスシステム(10)であって、
前記プロセッサ(28)は、前記第1の位相のデューティサイクルが、前記吸引システム(26)内の流動サイクル強度を変化させるように調整されるように、前記多相モードにおける動作を制御する、
前記医療デバイスシステム。
【請求項18】
請求項16に記載の医療デバイスシステム(10)であって、
前記プロセッサ(28)は、各第1の位相内の複数のサイクルが、流量強度を変化させるように変化することができるように、前記多相モードにおける動作を制御する、
前記医療デバイスシステム。
【請求項19】
医療デバイスシステム(10)であって、
モーター(20)と、
前記モーター(20)に結合されるインナードライブシャフト(14)と、
内部に前記インナードライブシャフト(14)が配置されるように、前記インナードライブシャフト(14)を収容する細長いアウターハウジング(18)と、
前記インナードライブシャフト(14)の遠位端部(24)にあるシェーバー(22)と、
を備えるハンドヘルド回転式医療デバイス(30)と、
前記インナードライブシャフト(14)内のチャネル(40)を含む吸引システム(26)と、
前記モーター(20)及び前記インナードライブシャフト(14)の駆動を制御するように構成されるプロセッサ(28)と、
を備え、
前記シェーバー(22)は、前記インナードライブシャフト(14)を形成する遠位端部(24)において少なくとも1つの開口部(12)を備え、
前記アウターハウジング(18)は、前記インナードライブシャフト(14)の前記遠位端部(24)において前記シェーバー(22)と長手方向に位置合わせされる開口部(16)を備え、
前記プロセッサ(28)は、前記モーター(20)の連続的な追跡に基づいて、前記アウターハウジング(18)の前記開口部(16)に対する前記インナードライブシャフト(14)の前記開口部(12)の位置決めを動的に制御するように構成され、
前記プロセッサ(28)は、吸引された物質のパルス流が前記インナードライブシャフト(14)を通って流れ、前記インナードライブシャフト(14)を洗い流し、詰まりを防止する振動モードで、前記インナードライブシャフト(14)を動作させるように構成され、
前記プロセッサ(28)は、前記モーター(20)の連続的な追跡に基づいて、振動因子について前記モーター(20)を制御するように構成される、
前記医療デバイスシステム。
【請求項20】
医療デバイスシステム(10)であって、
モーター(20)と、
前記モーター(20)に結合されるインナードライブシャフト(14)と、
内部に前記インナードライブシャフト(14)が配置されるように、前記インナードライブシャフト(14)を収容する細長いアウターハウジング(18)と、
前記インナードライブシャフト(14)の遠位端部(24)にあるシェーバー(22)と、
を備えるハンドヘルド回転式医療デバイス(30)と、
前記インナードライブシャフト(14)内のチャネル(40)を含む吸引システム(26)と、
前記モーター(20)及び前記インナードライブシャフト(14)の駆動を制御するように構成されるプロセッサ(28)と、
を備え、
前記シェーバー(22)は、前記インナードライブシャフト(14)を形成する遠位端部(24)において少なくとも1つの開口部(12)を備え、
前記アウターハウジング(18)は、前記インナードライブシャフト(14)の前記遠位端部(24)において前記シェーバー(22)と長手方向に位置合わせされる開口部(16)を備え、
前記プロセッサ(28)は、前記モーター(20)の連続的な追跡に基づいて、前記アウターハウジング(18)の前記開口部(16)に対する前記インナードライブシャフト(14)の前記開口部(12)の位置決めを動的に制御するように構成され、
前記プロセッサ(28)は、吸引された物質のパルス流が前記インナードライブシャフト(14)を通って流れ、前記インナードライブシャフト(14)を洗い流し、詰まりを防止する振動モードで、前記インナードライブシャフト(14)を動作させるように構成され、
前記プロセッサ(28)は、少なくとも2つの位相を含む多相モードを介してインナードライブシャフトの回転を制御し、ここでは、第1の位相は、第1の反転位置において開放が優勢の窓(42)を有し、第2の位相は、第2の反転位置において閉鎖が優勢の窓(42)を有する、
前記医療デバイスシステム。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、包括的には、ハンドヘルド回転式医療デバイスに関し、より詳細には、シェーバーを備えるハンドヘルド回転式医療デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
ハンドヘルド回転式医療デバイスは、作動端部を備え、この作動端部は、身体から硬組織又は軟組織を除去するように構成されるシェーバー又はバー(burrs)であることが多い。これらのデバイスの多くは、軟組織を除去するように構成される。窓ロックとも称する、シェーバーブレードの窓開口を制御する現在の方法は、システムが停止しているときに静止開口部を使用して、吸引システムにおける流体の流量を制御することに焦点を当てている。完全に閉鎖した開口は、流体及びデブリが流れるのを防止し、一方、完全に開放した開口は、最大流量をもたらす。部分的な開口の開放は、様々な度合いの流量制限を有する。静止窓ロックを使用することで、流量を制御することに加えて、接合空間からシェーバーブレードを抜き挿しする間に軟組織を窓に引っ掛ける可能性も低減する。
【0003】
シェーバーに伴って生じる別の問題は、シェーバーが様々な振動モードで動作する間、窓開口は、一貫性なく開閉するか、又は他の場合では、全く開閉しない場合があることである。そのような一貫性のない機能は、システムの詰まり、切断の非効率性、及び意図した使用に比べて一貫性のない動作につながる。
【発明の概要】
【0004】
モーターの連続的な追跡に基づいて、アウターハウジングの開口部に対するインナードライブシャフトの開口部の位置合わせを制御することによって、シェーバー窓開口部を動的に制御するように構成される医療デバイスシステムが開示される。医療デバイスシステムは、遠位端部にあシェーバーと、インナードライブシャフトを通して物質を吸引するように構成される吸引システムとを備えることができる。医療デバイスシステムのプロセッサは、詰まりを低減し、システムの切断効率を高めるために、インナードライブシャフトの開口部の位置の連続的な検知に基づいて、インナードライブシャフトの回転運動を制御することができる。医療デバイスシステムを連続的に監視することにより、プロセッサは、振動モードにおける位相ずれ状態を補正することで、劣悪な切断条件を防止することができる。プロセッサは、所望の切断動作をもたらすように、インナードライブシャフトの開口部の反転位置を動的に確定することもできる。少なくとも1つの実施形態において、プロセッサは、最大量のモーメント及びトルクをもたらすように、インナードライブシャフトの開口部の反転位置を動的に確定することもできる。
【0005】
少なくとも1つの実施形態において、医療デバイスシステムは、ハンドヘルド回転式医療デバイスから形成することができ、ハンドヘルド回転式医療デバイスは、モーターと、モーターに結合されるインナードライブシャフトと、内部にインナードライブシャフトが配置されるように、インナードライブシャフトを収容する細長いアウターハウジングとを備えることができる。ハンドヘルド回転式医療デバイスは、インナードライブシャフトの遠位端部にシェーバーを備えることができる。シェーバーは、インナードライブシャフトを形成する外壁において1つ以上の開口部を備えることができ、アウターハウジングは、インナードライブシャフトの遠位端部においてシェーバーの開口部と長手方向に位置合わせすることができる、遠位端部の開口部を備えることができる。医療デバイスシステムは、インナードライブシャフト内のチャネルを含む吸引システムを備えることもできる。医療デバイスシステムは、モーター及びインナードライブシャフトの駆動を制御するように構成されるプロセッサを備えることもできる。プロセッサは、モーターの連続的な追跡に基づいて、アウターハウジングの開口部に対するインナードライブシャフトの開口部の位置決めを動的に制御するように構成することができる。
【0006】
少なくとも1つの実施形態において、プロセッサは、吸引された物質のパルス流がインナードライブシャフトを通って流れ、インナードライブシャフトを洗い流し、詰まりを防止する振動モードで、インナードライブシャフトを動作させるように構成することができる。加えて、プロセッサは、限定はしないが、速度、窓の開放量、反転位置の場所等を含む振動モードの数多くの変数のうちの1つ以上を制御することによって、軽微なパルス作用からより強力なパルス作用まで、パルス作用の力を制御するように構成することができる。プロセッサは、振動モード中に変化し得る反転位置を介して、詰まりを防止するために、様々なパルス流強度及びパルス流量のうちの1つからポンプ作用を生成するように、インナードライブシャフトの反転位置が順序付けされる振動モードで、インナードライブシャフトを動作させるように構成することができる。反転位置の回転位置は、反転位置における所望の度合いの窓の位置合わせ又は位置ずれをもたらすように変化させることができる。
【0007】
少なくとも1つの実施形態において、プロセッサは、少なくとも1つの窓開口部の回転方向を反転させる振動モードで、インナードライブシャフトを動作させることができる。プロセッサは、特定のユーザー性能パラメーターをより一貫して目標とするように、方向の反転を規定するために、時間、回転、及び位置を具現するベクトルを使用して、少なくとも1つの窓開口部の回転方向を反転させる振動モードで、インナードライブシャフトを動作させることができる。振動モードにおいて、インナードライブシャフトは、反転方向に回転する前に複数の反転位置のうちの1つにおいて停止することができる。少なくとも1つの実施形態において、プロセッサは、インナードライブシャフトの開口部を介して物質を切断する最大モーメントを生成するインナードライブシャフトの反転位置を特定することができる。
【0008】
少なくとも1つの実施形態において、プロセッサは、プロセッサによってモーターを連続的に追跡することで、プロセッサが、インナードライブシャフトの開放位置に応じた所望の切断トルクに基づいてインナードライブシャフトを制御する開ループシステムを介して、インナードライブシャフトを制御することが可能になるように構成することができる。プロセッサによってモーターを連続的に追跡することで、プロセッサが、インナードライブシャフトの開放位置に応じた所望の流動サイクルに基づいてインナードライブシャフトを制御する開ループシステムを介して、インナードライブシャフトを制御することが可能になり得る。プロセッサによってモーターを連続的に追跡することで、プロセッサが、インナードライブシャフトの開放位置に応じた所望の切断デブリ流量に基づいてインナードライブシャフトを制御する開ループシステムを介して、インナードライブシャフトを制御することが可能になる。
【0009】
別の実施形態において、プロセッサは、プロセッサによってモーターを連続的に追跡することで、プロセッサが、吸引システムからのセンサー入力に基づいてインナードライブシャフトを制御する閉ループシステムを介して、インナードライブシャフトを制御することが可能になるように構成することができる。プロセッサによってモーターを連続的に追跡することで、プロセッサが、吸引システム内の流体流量のセンサー入力に基づいてインナードライブシャフトを制御する閉ループシステムを介してインナードライブシャフトを制御することが可能になり得る。プロセッサによってモーターを連続的に追跡することで、プロセッサが、流体測定基準、例えば、限定はしないが、吸引システム内の物質のコンシステンシー、粘度等の尺度のセンサー入力に基づいて、インナードライブシャフトを制御する閉ループシステムを介して、インナードライブシャフトを制御することが可能になる。
【0010】
プロセッサは、インナードライブシャフトの開口部の各方向の回転を追跡し、位相ずれ状態を補正することにより、振動モードのより一貫した制御を可能にし、それにより、流量及び切断効率を安定させるように構成することができる。プロセッサは、モーターの連続的な追跡に基づいて、限定はしないが、運動、トルク、及び速度等の振動因子についてモーターを制御することができる。プロセッサは、インナーシャフト開口部の回転、時間、及び位置を分析して、所望の性能をもたらすように反転位置を動的に変更することができる。プロセッサは、インナーシャフト開口部の回転、時間、及び位置を分析して、所望の性能をもたらすように、インナードライブシャフトの開口部の反転のタイミングをリアルタイムで動的に変更することができる。プロセッサは、調時デューティサイクルを制御して、インナードライブシャフトの回転を制御し、インナードライブシャフトの開口部とアウターハウジングの開口部との位置合わせを制御して、流量及び詰まりに影響を与えるために、異なる調時デューティサイクルにおいて、ほぼ全開であるが完全な開放に満たない位置と、ほぼ全閉であるが完全な閉鎖に満たない位置との間を交互に繰り返すことができる。プロセッサは、インナードライブシャフトの回転を制御して、窓が完全に位置合わせされることがなく、それにより、スリット開口部を模倣するように、インナードライブシャフトの開口部とアウターハウジングの開口部との位置合わせを制限することができる。プロセッサは、インナードライブシャフトの回転を制御して、トルクを最大化させ、それにより、回転速度を増大させることなく、より効率的な切断プロファイルをもたらすことができる。
【0011】
本システムの利点は、システムがモーターの位置を連続的に追跡し、インナードライブシャフトの回転運動を動的に調整することで、例えば、限定はしないが、組織、骨、軟骨等の物質を効率的に切断することである。
【0012】
本システムの別の利点は、システムが振動モードで動作しているとき、反転位置を動的に調整して、インナードライブシャフトの開口部の位相ずれ状態を防止又は排除することである。
【0013】
本システムの更に別の利点は、システムが振動モードで動作しているとき、反転位置を動的に調整して、インナードライブシャフトの開口部のモーメント及びトルクを最大化することである。
【0014】
本システムの別の利点は、システムが、管路を洗い流し、詰まりを更に防止するように機能するパルス流量をもたらすことができることである。
【0015】
本システムの更に別の利点は、振動モードにおけるシステムが、単一の反転位置にロックされないことである。代わりに、本システムは、反転方向に回転する前に、複数の反転位置から反転位置を動的に特定することができる。
【0016】
本システムの別の利点は、システムが、閉ループシステム又は開ループシステムとして動作することができることである。
【0017】
システムの更に別の利点は、プロセッサが、運動、トルク、及び速度の振動因子を制御するために、モーターを制御するように構成することができることである。
【0018】
これらの実施形態及びその他の実施形態を、以下により詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1図1は、コンソール及びシェーバーを備えるハンドヘルド回転式医療デバイスの斜視図である。
図2図2は、図1に示されているシェーバーの分解側面図である。
図3図3は、図2に示されているシェーバーの組立側面図である。
図4図4は、図3における断面線4-4に沿ったシェーバーの側断面図である。
図5図5は、取り付けられたハンドヘルド回転式医療デバイスの振動モード因子及びそれに対応する動作特性のグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1図5に示されているように、インナードライブシャフト14に結合されたモーター20の連続的な追跡に基づいて、アウターハウジング18の開口部16に対するインナードライブシャフト14の開口部12の回転位置を制御することによって、シェーバー窓開口部42を動的に制御するように構成される医療デバイスシステム10が開示される。医療デバイスシステム10は、遠位端部24にあるシェーバー22と、インナードライブシャフト14を通して物質を吸引するように構成される吸引システム26とを備えることができる。医療デバイスシステム10のプロセッサ28は、インナードライブシャフト14の開口部12の位置の連続的な検知に基づいてインナードライブシャフト14の回転運動を制御し、詰まりを低減し、システム10の切断効率を高めることができる。医療デバイスシステム10を連続的に監視することにより、プロセッサ28は、振動モードにおける位相ずれ状態を補正することで、劣悪な切断条件を防止し、振動モードにおけるデバイス30のより一貫した動作を可能にすることができる。プロセッサ28は、所望の切断動作をもたらすために、インナードライブシャフト14の開口部12の反転位置を動的に確定することもできる。少なくとも1つの実施形態において、プロセッサ28は、最大量のモーメント及びトルクをもたらすために、インナードライブシャフト14の開口部12の反転位置を動的に確定することもできる。
【0021】
少なくとも1つの実施形態において、医療デバイスシステム10は、図1図4に示されているように、ハンドヘルド回転式医療デバイス30を備えることができる。デバイス30は、モーター20を備えることができ、モーター20は、モーター20に結合されたインナードライブシャフト14と機械的に連通する。インナードライブシャフト14は、モーター20に直接結合してもよく、又はモーター20をインナードライブシャフト14と機械的に連通させる1つ以上の他の構成要素を有してもよい。モーター20は、ハンドヘルドハウジング32内に配置されるようなサイズとすることができる。モーター20は、所望のデバイス機能及びギヤ比に応じて、広範なトルクプロファイルにわたって数回転毎分(RPM)~75000RPMの速度でモーターの正逆回転を介してシェーバー22に給電するように構成することができる。
【0022】
プロセッサ28は、行われる医療処置の要件に応じて、ハンドヘルド回転式医療デバイス30の動作を制御することができる。例えば、所望の医療処置が、図5の平滑化領域50に示されているように平滑化動作を必要とする場合、デバイス30のシェーバー22は、低流体流量で高速かつ低トルクで動作することができる。同様に、所望の医療処置が、図5の粗切断領域52に示されているように粗切断(coarse cutting)を必要とする場合、デバイス30のシェーバー22は、平滑化領域50における流体流量よりも高いものであり得る中流体流量で、平滑化領域50の速度よりも低いものであり得る中速、かつ平滑化領域50におけるトルクよりも高いものであり得る中トルクで動作することができる。所望の医療処置が、図5の平面切断領域54に示されているように平面切断(planar cutting)を必要とする場合、デバイス30のシェーバー22は、粗切断領域52における流体流量よりも高いものであり得るより高流体流量で、粗切断領域52における速度よりも低いものであり得る低速、かつ粗切断領域52におけるトルクよりも高いものであり得るより高トルクで動作することができる。
【0023】
異なるトルク対速度プロファイルを通して、プロセッサ28は、インナードライブシャフト14に対する高度な位置精度を監視及び維持することができる。そのような動作は、プロセッサ28がモーターシャフトの回転をかなりの角度精度で追跡すること、及びモーターシャフトの回転数とインナードライブシャフト14の1回転との関係を示す整数比を有しても有しなくてもよいギヤシステムを通して、これらの角度回転を変換することを必要とする。位置制御は、窓開口42の所定のパーセントでの開放を維持するためにモーターシャフトを既知の位置で停止することが望ましい、インナードライブシャフト14の正逆動作において主に必要とされる。
【0024】
図1図4に示されているように、デバイス30は、インナードライブシャフト14を収容する細長いアウターハウジング18を備えることができ、インナードライブシャフト14がアウターハウジング18内に配置されるようになっている。少なくとも1つの実施形態において、デバイス10は、インナードライブシャフト14の遠位端部36においてシェーバー22を備えることができる。シェーバー22は、インナードライブシャフト14を形成する外壁38において少なくとも1つの開口部12を備えることができる。アウターハウジング18は、インナードライブシャフト14の遠位端部36にあるシェーバー22と位置合わせされる開口部16を備えることができる。インナードライブシャフト14の開口部12は、振動モード等において1方向に回転する若しくは反対方向に回転する又はその双方の場合に組織を切断するために、既に発明されている又はこれから考案される任意の構成を有することができる。したがって、開口部12は、任意の特定の構成に限定されない。
【0025】
システム10は、図4に示されているように、インナードライブシャフト14内のチャネル40を含む吸引システム26を備えることができる。吸引システム26は、手術部位から切断した組織、流体、及び他の物質を吸引するために、インナードライブシャフト14内のチャネル40内に真空をもたらすことが可能な真空源を備えることができる。吸引システム26は、任意の適切な構成を有することができ、任意の特定の構成に限定されない。
【0026】
システム10は、図1に示されているように、モーター20及びモーター20と機械的に連通するインナードライブシャフト14の駆動を制御するように構成されるプロセッサ28を備えることもできる。プロセッサ28は、モーター20を連続的に追跡することによってアウターハウジング18の開口部16に対するインナードライブシャフト14の開口部12の位置決めを制御することにより、窓開口42を動的に制御するように構成することができる。プロセッサ28は、吸引された物質のパルス流がインナードライブシャフト14を通って流れ、インナードライブシャフト14を洗い流し、詰まりを防止する振動モードで、インナードライブシャフト14を動作させるように構成することができる。プロセッサ28は、管路を洗い流し、詰まりを更に防止するパルス流量をもたらすために、連続的に調時することにより、シェーバー22の振動を制御することができる。
【0027】
プロセッサ28は、限定はしないが、毎秒振動数等の振動速度、単一の振動全体にわたる窓開口部の位置合わせの度合い、反転位置における窓開口部の位置合わせの度合い(100パーセント開放から100パーセント閉鎖にわたる範囲、及びその間の開放又は閉鎖の任意の度合いであり得る)等を含む、振動モードの制御の数多くの変数のうちの1つ以上を制御することによって、軽微なパルス作用から強力なパルス作用にわたる範囲のパルス作用の力の度合いを制御するように構成することができる。したがって、アウターハウジング18の開口部16に対するインナードライブシャフト14の開口部12の振動を制御するプロセッサ28によってもたらされるパルス作用により、ポンプ作用がもたらされ、このポンプ作用を使用して、管路の詰まりを防止するとともに、管路内の詰まりを取り除くことによって管路を一掃することができる。パルス作用が強力になるほど、管路内にもたらされるポンプ作用が大きくなり、また逆も同様である。
【0028】
プロセッサ28は、振動モード中に変化し得る反転位置を介して、詰まりを防止するために、様々なパルス流強度及び流量によってもたらされるポンプ作用を生成するように、インナードライブシャフト14の反転位置が順序付けされる振動モードで、インナードライブシャフト14を動作させるように構成することができる。反転位置の回転位置は、反転位置における所望の度合いの窓の位置合わせ又は位置ずれをもたらすように変化させることができる。反転位置における窓の位置合わせが良好になるほど、開口部12を通る流量が大きくなり、そのため、100パーセントの窓の位置合わせで最大流量が得られ、窓42が閉鎖している場合の0パーセントの窓の位置合わせで、反転位置における最小流量が得られる。プロセッサ28は、反転位置における窓の位置合わせの度合いを制御することによってパルス作用の度合いを制御することができるだけでなく、インナードライブシャフト14が反転位置にある持続時間を制御することもできる。加えて、プロセッサ28は、1つ以上のセンサーから受信した入力又は他の入力に基づいて、窓の位置合わせの度合い及びインナードライブシャフト14が反転位置にある持続時間を動的に制御することができる。したがって、プロセッサ28は、シェーバーデバイス30の動作中にインナードライブシャフト14が反転位置にある持続時間を変更することができる。さらに、プロセッサ28は、シェーバーデバイス12の動作中に窓開口部12に関連する全ての他の変数を変更することができる。さらに、プロセッサ28は、アウターハウジング18の開口部16に対するインナードライブシャフト14の窓開口部12の回転変位を、完全な回転未満又は完全な回転以上の単一の回転方向における動きへと制御することができる。同様に、プロセッサ28は、1つ以上のセンサーから受信した入力又は他の入力に基づいて、回転変位の量を動的に変更することができる。したがって、プロセッサ28は、小さな振動と大きな振動との間での振動、及びその間の振動を制御することができる。
【0029】
プロセッサ28は、シェーバー22を振動させるときに、複数のモードのうちの1つにおいて、シェーバーブレードの動きの連続的な位置制御をもたらすことができる。シェーバーブレードの動きの位置制御は、例えば、1つ以上の方法で達成することができる。少なくとも1つの実施形態において、1つ以上のセンサー34、例えば、限定はしないが、ホールセンサーをモーター20に接続し、モーターローターシャフトの位置を追跡することができる。別の実施形態において、エンコーダーを駆動するのに使用されるモーターギヤボックスシャフトに接続されるホールセンサー34は、プロセッサ28によって読み取ることができる。更に別の実施形態において、モーター巻線における逆起電力及び電流を検知する1つ以上のセンサー34を使用して、1つ以上のアルゴリズムを使用して、モーター位置を確認することができる。センサー34及びプロセッサ28は、ハンドヘルドデバイス30がバッテリ給電式である場合、ハンドヘルドデバイス30に統合することができる。ほとんどの実施形態において、システム10は、バッテリ給電式ではなく、例えば、限定はしないが、公共電源等の電源に対する接続を介して給電される。そのような構成において、プロセッサ28は、図1に示されているように、ハンドヘルドデバイス30のハウジングの外部にあるコンソールに配置することができる。他の実施形態において、プロセッサ28は、吸引システム26に関連するコンソールとは別個のコンソールに配置することもできる。電力及びホールセンサー信号は、1つ以上のケーブルを介して又は無線でプロセッサ28に伝送することができる。
【0030】
少なくとも1つの実施形態において、モーター20の位相位置は、連続的に追跡することができる。モーター20の位相位置を連続的に監視することで、プロセッサ28が、インナードライブシャフト14の開口部12とアウターハウジング18の開口部16との位置合わせを動的に制御することが可能になり、この位置合わせにより、窓開口42が形成される。モーター20の位相位置を連続的に監視するとともに、開口部12の位置合わせを制御することで、システム10が、詰まり、非効率の使用等を含むいくつかの従来の問題を克服することが可能になる。例えば、システム10は、動作中にインナードライブシャフト14における吸引システム26の詰まりを低減することができる。システム10は、吸引システム26内の流量を制御することもでき、振動速度の選択にあまり依存しないように動作することができる。システム10は、インナードライブシャフト14の開口部12のより一貫したブレード性能をもたらし、制御方法に関する変動を少なくすることができる。システム10はまた、プロセッサ28が、インナードライブシャフト14の制御を介して窓開口42を動的に制御して、異なるブレード機能を模倣することを可能にし、それにより、異なる切断機能のために異なる切断ブレードを必要とすることに代わって、単一の駆動シャフト14が異なるブレード機能をもたらすことを可能にする。
【0031】
プロセッサ28は、吸引システム26を洗い流し、詰まりを防止するように機能するパルス流量をもたらすために、回転に対する振動の所望のタイミングを連続的にもたらすことができるように、モーター20及びインナードライブシャフト14を制御することができる。

プロセッサ28は、1つ以上の窓開口部42の回転方向を反転させる振動モードでインナードライブシャフト14を動作させるように構成することができる。プロセッサ28は、特定のユーザー性能パラメーターをより一貫して目標とするように、方向の反転を規定するために、時間、回転、及び位置を具現するベクトルを使用して、単一又は複数の窓開口部42において回転方向を反転させる振動モードで、インナードライブシャフト14を動作させるように構成することができる。プロセッサ28は、インナードライブシャフト14が反転方向に回転する前に複数の可能な反転位置のうちの1つに停止する振動モードで、インナードライブシャフト14を動作させるように構成することができる。
【0032】
プロセッサ28は、シェーバー22の向上した切断効率をもたらすように動作することができる。プロセッサ28は、インナードライブシャフト14の反転位置が、インナードライブシャフト14の開口部12を介して物質を切断するために、インナードライブシャフト14の開口部12を形成する切断ブレード13の最大モーメントを生成するものと特定される振動モードで、インナードライブシャフト14を動作させることができる。少なくとも1つの実施形態において、インナードライブシャフト14の開口部12を形成する切断ブレードは、切断ブレード13における最大モーメントを生成するために、アウターハウジング18の開口部16から回転方向に可能な限り遠い反転位置に配置することができる。モーター20の反転位置が複数の反転位置のうちの任意の1つにおいて生じ得るようにシステム10が構成されることから、システム10における切断効率が向上する。加えて、モーター20が複数の反転位置において動きを反転し、別の方向に始動することができることから、プロセッサ28は、最小量のモーメント、最大モーメント、又はその間のいずれであっても、所望の量のモーメントをもたらす反転位置を選択することができる。少なくとも1つの実施形態において、振動運動は、常に動きを反転し、ブレードを形成するインナードライブシャフト14の開口部12の縁部が、切断窓空間に入る前にモーメントを得るように、切断窓を形成するアウターハウジング18の開口部16から最も遠くに配置されることを可能にする方向に始動するように、順序付けすることができる。そのような構成はまた、デブリの大きな塊がインナードライブシャフト14の開口部12においてインナードライブシャフト14内に詰まる可能性がある場合、ドロップアウトとも称するモーターの瞬間的な停止を回避するという利点を有する。
【0033】
少なくとも1つの実施形態において、プロセッサ28によってモーター20の連続的に追跡することで、プロセッサ28が、インナードライブシャフト14の開放位置に応じた所望の切断トルクに基づいてインナードライブシャフト14を制御する開ループシステムを介して、インナードライブシャフト14を制御することを可能にする。プロセッサ28は、開ループシステムが、インナードライブシャフトの開放位置に応じた所望の流動サイクルに基づいてインナードライブシャフト14を制御するように動作することもできる。開ループシステムのそのような構成において、所望の流動サイクルは、試験によって特徴付けることができ、振動パターンは、それらのデータに基づいて最適化して使用することができる。別の実施形態において、プロセッサ28は、開ループシステムが、インナードライブシャフトの開放位置に応じた所望の切断デブリ流量に基づいてインナードライブシャフト14を制御するように動作することができる。そのような開ループシステムにおいて、所望の切断デブリ流量は、試験によって確定することができ、振動パターンは、それらのデータに基づいて最適化して使用することができる。システム10を開ループシステムとして動作させることで、システム10が、ブレード位置に応じて可変の度合いの切断トルク、流動サイクル、及びデブリ流量を実現することを可能にする。
【0034】
インナードライブシャフト14の回転の連続的な制御により、プロセッサ28が多相モードを使用して、インナードライブシャフト14の振動動作を制御することが可能になり得る。多相モードは、シェーバー22によってどのように異なる結果が得られるかという別の次元を指す。例えば、プロセッサ28は、複数の位相において実現されるインナードライブシャフトの回転の振動サイクルを制御することができ、ここでは、第1の位相は、反転停止位置においてインナードライブシャフト14の開口部12とアウターハウジング18の開口部16との位置ずれから生じる、閉鎖が優勢な窓開口部42によるXサイクルとすることができ、それに続いて、第2の位相は、別の反転停止位置においてインナードライブシャフト14の開口部12とアウターハウジング18の開口部16とがほぼ完全に位置合わせされることから生じる、開放が優勢な窓開口部42によるYサイクルとすることができる。閉鎖が優勢な窓とは、反転停止位置におけるインナードライブシャフト14の開口部12とアウターハウジング18の開口部16との間の窓の位置合わせが、50パーセント未満だけ開放する窓を形成するものである。開放が優勢な窓とは、反転停止位置におけるインナードライブシャフト14の開口部12とアウターハウジング18の開口部16との間の位置合わせが、50パーセントを超えて開放する窓を形成するものである。第1の位相におけるXサイクルの数は、第2の位相におけるYサイクルの数と同数又は異なる数とすることができる。Xサイクル等の第1の位相のデューティサイクル、若しくはYサイクル等の第2の位相のデューティサイクル、又はその双方を変更して、インナードライブシャフト14の開口部12とアウターハウジング18の開口部16との間の窓の位置合わせの開閉を異なる割合で変化させることができ、それにより、吸引システム26の詰まりを解消する試みのため及び他の理由により、可変の度合いの流量強度の変動によって異なるプロファイルがもたらされる。加えて、窓の開閉を異なる割合で変化させるように第1の位相のXサイクルを変化させ、可変の度合いの流量強度によって異なるプロファイルをもたらすことができる。密度/流量データが、閉ループシステムにおいて吸引管路が閉塞していることを示唆する場合、管路を一掃することができるかを確認するために、より強力な流動サイクルが実施される場合がある。開ループシステムにおいて、試験において特徴付けられる最適化された流動サイクルが使用され、場合によってはユーザーによって調整され得る。
【0035】
少なくとも1つの実施形態において、プロセッサ28によってモーター20を連続的に追跡することで、プロセッサ28が、吸引システム26からのセンサー入力に基づいてインナードライブシャフト14を制御する閉ループシステムを介して、インナードライブシャフト14を制御することが可能になる。プロセッサ28は、吸引システム26における流体流量のセンサー入力に基づいてインナードライブシャフト14を制御する閉ループシステムを介して、インナードライブシャフト14を制御することもできる。例えば、閉ループシステムにおいて、流量を使用して、インナードライブシャフト14の回転を介して窓の開/閉デューティサイクルのタイミングを増減することができる。別の実施形態において、プロセッサ28は、吸引システムにおける濃度のセンサー入力に基づいてインナードライブシャフト14を制御する閉ループシステムを介して、インナードライブシャフト14を制御することができる。センサーは、例えば、限定はしないが、手術部位から除去される物質のコンシステンシー、粘度等の吸引システム26内の流体の測定基準、又は測定基準の任意の組合せを特定することができる。システム10は、流体流量若しくは濃度又はその双方のフィードバックを提供するために吸引システム26に配置される1つ以上のセンサー44を備えることができ、それにより、プロセッサ28が、振動制御アルゴリズムを変化する条件に適用して、詰まりをよりよく防止し、又は流量をいくつかの所定の基準に制限することが可能になる。閉ループシステムにおいて、流量をデブリ密度測定とともに使用して、窓の開/閉デューティサイクルのタイミングを増減することができる。
【0036】
少なくとも1つの実施形態において、システム10は、プロセッサ28が、インナードライブシャフト14の開口部12の各方向の回転を追跡するように構成されるように、構成することができる。インナードライブシャフト14の開口部12の回転を追跡することにより、プロセッサ28は、位相ずれ状態を補正することで、振動モードのより一貫した制御を可能にすることができ、それにより、吸引システム26の流量及びインナードライブシャフト14の開口部12の切断効率を安定させる。インナードライブシャフト14の開口部12の回転を追跡することにより、プロセッサ28は、同じシェーバー22を用いて新たな機能をもたらすことができるように、インナードライブシャフト14の振動を制御することもできる。インナードライブシャフト14の開口部12の回転を追跡することで、プロセッサ28が、インナードライブシャフト14をより反復可能な方法で制御することも可能になる。
【0037】
プロセッサ28は、モーター20を連続的に追跡することによって目標の振動因子で動作するように、モーター20を制御するように構成することができる。少なくとも1つの実施形態において、プロセッサ28は、運動、トルク、若しくは速度、又はそれらの任意の組合せを含む目標の振動因子で動作するように、モーター20を制御することができる。したがって、シェーバー22は、インナードライブシャフト14が動作する際の振動運動、トルク、若しくは速度、又はそれらの任意の組合せを操作するプロセッサ28によって、複数の異なる能力で機能することができる。プロセッサ28は、複数の反転位置を実現するのに十分な精度での連続的な位置制御を介して、複数の異なる動作条件でインナードライブシャフト14を制御することができる。
【0038】
プロセッサ28は、インナーシャフト開口部の回転、時間、及び位置を分析して、所望の性能をもたらすように反転位置を動的に変更するように構成することができる。プロセッサ28は、インナーシャフト開口部の回転、時間、及び位置を分析して、所望の性能をもたらすように、インナードライブシャフト14の開口部12の反転のタイミングをリアルタイムで動的に変更することができる。プロセッサ28は、調時デューティサイクルを制御して、インナードライブシャフトの回転を制御し、それにより、インナードライブシャフト14の開口部12とアウターハウジング18の開口部16との位置合わせを制御して、流量及び詰まりに影響を与えるために、異なる調時デューティサイクルにおいて、ほぼ完全な開放位置とほぼ完全な閉鎖位置との間を交互に繰り返すことができる。プロセッサ28は、インナードライブシャフトの回転を制御して、窓開口部12、16が完全に位置合わせされることがなく、スリット開口部を模倣するように、インナードライブシャフト14の開口部12とアウターハウジング18の開口部16との位置合わせを制限することもできる。プロセッサ28は、回転速度を増大させることなく、より効率的な切断プロファイルをもたらすために、回転するインナードライブシャフト14におけるトルクを最大化するようにインナードライブシャフト14を制御することもできる。そのような動作モードは、システム10への他の入力又はシステム10のユーザーに基づいて動作しながら、動的にトリガー及び調整することができる。
【0039】
システム10は、複数の異なるモードでハンドヘルドデバイス30を動作させるように構成することができる。少なくとも1つの実施形態において、システム10は、振動モード又は単一方向モードでハンドヘルドデバイス30を動作させるように構成することができる。システム10は、強力、効率、又は標準動作モードで動作するように構成することもできる。強力、標準、及び効率モードは、始動トルク及び速度に関してトレードオフをなす標準的な振動モードとすることができる。いくつかのモードは、表面を平滑化するために最も効率的な動作を目標とし、他のモードは、粗目の紙やすりを使用して表面を削り、ゆっくりと掻き進めながら、細目の紙やすりを使用して表面を平滑化し、これが、切断動作をほとんど乃至全く伴わない高速のバフ研磨プロセスに達するまで、多くの場合、より高速で行われるものと同様に、切断効率のための動作を目標とする。動的な窓ロックは、これらのモードで作用し、所望の切断効率をもたらすだけでなく、これらの動作モードを実施しながら流量を最大化し、詰まりを低減する。プロセッサ28は、限定はしないが、各振動サイクルの開始時の切断ブレード13の位置、各振動サイクルの切断ブレード13の回転数、及び各振動サイクルの終了時の切断ブレード13の位置等の動作パラメーターを調整することができる。切断ブレード13の位置は、アウターハウジング18の開口部16によって形成される固定ブレード15に対して0度~360度の回転の間で選択可能であり得る。0度の回転を規定する最初の固定開口部16の向きは、新たに設置された切断ブレード13を、制御コンソール等から入力されたハンドピースデバイス30の入力コマンドを使用して適所に回転させることによって確立することができる。プロセッサ28は、新たな固定ブレードの向きが確立されるまで、固定ブレード15の向きに対する切断ブレード13の全ての位置を維持することができる。システム10は、目標振動速度とともに各振動サイクルの加速及び減速プロファイルを規定するユーザー選択を含むこともできる。
【0040】
上述の記載は、開示されたデバイスの実施形態を例示、説明、及び記載する目的で提供される。

図1
図2
図3
図4
図5
【国際調査報告】