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特表2024-520462ジンクフィンガーヌクレアーゼを標的としたCIITA
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-24
(54)【発明の名称】ジンクフィンガーヌクレアーゼを標的としたCIITA
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/55 20060101AFI20240517BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20240517BHJP
   C12N 9/14 20060101ALI20240517BHJP
【FI】
C12N15/55
C12N5/10 ZNA
C12N9/14
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023572959
(86)(22)【出願日】2022-05-24
(85)【翻訳文提出日】2024-01-18
(86)【国際出願番号】 US2022030727
(87)【国際公開番号】W WO2022251217
(87)【国際公開日】2022-12-01
(31)【優先権主張番号】63/202,029
(32)【優先日】2021-05-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523443180
【氏名又は名称】サンガモ セラピューティクス,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】ツァン,レイ
(72)【発明者】
【氏名】レイク,アンドレアス
【テーマコード(参考)】
4B065
【Fターム(参考)】
4B065AA90X
4B065AA90Y
4B065AA92X
4B065AA94X
4B065AB01
4B065BA02
(57)【要約】
本明細書では、CIITA遺伝子を切断するためのジンクフィンガーヌクレアーゼ、それをコードするポリヌクレオチド、及びジンクフィンガーヌクレアーゼを用いてCIITA遺伝子の発現を調節する方法を開示する。また、ジンクフィンガーヌクレアーゼによって改変された細胞、ならびに疾患を治療するためのこれらの細胞の使用も提供する。
【選択図】なし

【特許請求の範囲】
【請求項1】
CIITA遺伝子を切断するジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)をコードする核酸配列を含むポリヌクレオチドであって、前記ZFNは、前記CIITA遺伝子中のDNA配列に結合するジンクフィンガーDNA結合ドメイン、及び切断ドメインを含み、
前記ZFNは、配列番号1に対応するアミノ酸28と29との間、または配列番号1に対応するアミノ酸461と462との間でCIITA遺伝子を切断することができる、前記ポリヌクレオチド。
【請求項2】
前記ZFNが、配列番号1に対応するアミノ酸28と29との間で前記CIITA遺伝子を切断することができる、請求項1に記載のポリヌクレオチド。
【請求項3】
前記ZFNが、配列番号1に対応するアミノ酸461と462との間で前記CIITA遺伝子を切断することができる、請求項1に記載のポリヌクレオチド。
【請求項4】
前記DNA結合ドメインが、GCCACCATGGAGTTG(配列番号9)及び/またはCTAGAAGGTGGCTACCTG(配列番号15)に結合する、請求項1または2に記載のポリヌクレオチド。
【請求項5】
前記DNA結合ドメインが、GCCACCATGGAGTTG(配列番号9)に結合する、請求項4に記載のポリヌクレオチド。
【請求項6】
前記DNA結合ドメインが、CTAGAAGGTGGCTACCTG(配列番号15)に結合する、請求項4に記載のポリヌクレオチド。
【請求項7】
前記DNA結合ドメインが、ATTGCT及びGAACCGTCCGGG(配列番号38)またはGATCCTGCAGGCCAT(配列番号29)に結合する、請求項1または3に記載のポリヌクレオチド。
【請求項8】
前記DNA結合ドメインが、ATTGCT及びGAACCGTCCGGG(配列番号38)に結合する、請求項7に記載のポリヌクレオチド。
【請求項9】
前記DNA結合ドメインが、GATCCTGCAGGCCAT(配列番号29)に結合する、請求項7に記載のポリヌクレオチド。
【請求項10】
前記DNA結合ドメインが、5個のジンクフィンガーを含み、これは、配列番号10[RPYTLRL]を含むフィンガー1(F1)、配列番号11[RSANLTR]を含むフィンガー2(F2)、配列番号12[RSDALST]を含むフィンガー3(F3)、配列番号13[DRSTRTK]を含むフィンガー4(F4)及び配列番号14[DRSTRTK]を含むフィンガー5(F5)を含む、請求項1、2、4または5に記載のポリヌクレオチド。
【請求項11】
前記DNA結合ドメインが、6個のジンクフィンガーを含み、これは、配列番号16[RSDVLSA]を含むF1、配列番号17[DRSNRIK]を含むF2、配列番号18[DRSHLTR]を含むF3、配列番号19[LKQHLTR]を含むF4、及び配列番号20[QSGNLAR]を含むF5及び配列番号21[QSTPRTT]を含むF6を含む、請求項1、2、4または6に記載のポリヌクレオチド。
【請求項12】
第1のジンクフィンガーDNA結合ドメイン及び第2のジンクフィンガーDNA結合ドメインを含むジンクフィンガーヌクレアーゼ対をコードし、前記第1のDNA結合ドメインは、5個のジンクフィンガーを含み、これは、配列番号10[RPYTLRL]を含むフィンガー1(F1)、配列番号11[RSANLTR]を含むフィンガー2(F2)、配列番号12[RSDALST]を含むフィンガー3(F3)、配列番号13[DRSTRTK]を含むフィンガー4(F4)、配列番号14[DRSTRTK]を含むフィンガー5(F5)を含み、前記第2のDNA結合ドメインは、6個のジンクフィンガーを含み、これは、配列番号16[RSDVLSA]を含むF1、配列番号17[DRSNRIK]を含むF2、配列番号18[DRSHLTR]を含むF3、配列番号19[LKQHLTR]を含むF4、配列番号20[QSGNLAR]を含むF5及びで配列番号21[QSTPRTT]を含むF6を含む、請求項1、2、4~6、10及び11のいずれか1項に記載のポリヌクレオチド。
【請求項13】
前記DNA結合ドメインは、6個のジンクフィンガーを含み、これは、配列番号23[RSDHLSR]を含むF1、配列番号24[DSSDRKK]を含むF2、配列番号25[RSDTLSE]を含むF3、配列番号26[QSGDLTR]を含むF4、及び配列番号27[QSSDLSR]を含むF5及び配列番号28[YKWTLRN]を含むF6を含む、請求項1、3、7及び8に記載のポリヌクレオチド。
【請求項14】
前記DNA結合ドメインは、5個のジンクフィンガーを含み、これは、配列番号30[SNQNLTT]を含むF1、配列番号31[DRSHLAR]を含むF2、配列番号32[QSGDLTR]を含むF3、配列番号33[WKHDLTN]を含むF4、及び配列番号34[TSGNLTR]を含むF5を含む、請求項1、3、7及び9に記載のポリヌクレオチド。
【請求項15】
第1のジンクフィンガーDNA結合ドメイン及び第2のジンクフィンガーDNA結合ドメインを含むジンクフィンガーヌクレアーゼ対をコードし、前記第1のDNA結合ドメインは、6個のジンクフィンガーを含み、これは、配列番号23[RSDHLSR]を含むF1、配列番号24[DSSDRKK]を含むF2、配列番号25[RSDTLSE]を含むF3、配列番号26[QSGDLTR]を含むF4、配列番号27[QSSDLSR]を含むF5及び配列番号28[YKWTLRN]を含むF6を含み、前記第2のDNA結合ドメインは、5個のジンクフィンガーを含み、これは、配列番号30[SNQNLTT]を含むF1、配列番号31[DRSHLAR]を含むF2、配列番号32[QSGDLTR]を含むF3、配列番号33[WKHDLTN]を含むF4、配列番号34[TSGNLTR]を含むF5を含む、請求項1、3、7~9、13及び14のいずれか1項に記載のポリヌクレオチド。
【請求項16】
前記DNA結合ドメインが、配列番号54を含む、請求項1、3または7~9のいずれか1項に記載のポリヌクレオチド。
【請求項17】
前記DNA結合ドメインが、配列番号56を含む、請求項1、3または7~9のいずれか1項に記載のポリヌクレオチド。
【請求項18】
第1のジンクフィンガーDNA結合ドメイン及び第2のジンクフィンガーDNA結合ドメインを含むジンクフィンガーヌクレアーゼ対をコードし、前記第1のDNA結合ドメインは、配列番号54を含み、前記第2のDNA結合ドメインは、配列番号56を含む、請求項1、3、7~9、16または17のいずれか1項に記載のポリヌクレオチド。
【請求項19】
前記切断ドメインが、FokI切断ドメインを含む、先行請求項のいずれか1項に記載のポリヌクレオチド。
【請求項20】
前記FokI切断ドメインが、配列番号35の位置418、432、441、448、476、479、481、483、486、487、490、496、499、523、525、527、537、538及び559に1つ以上の突然変異をさらに含む、請求項19に記載のポリヌクレオチド。
【請求項21】
前記1つ以上の突然変異が、位置479、486、496、499及び/または525にある、請求項20に記載のポリヌクレオチド。
【請求項22】
前記FokI切断ドメインが、配列番号36(FokELD)を含む、請求項21に記載のポリヌクレオチド。
【請求項23】
前記1つ以上の突然変異が、位置490、537及び/または538にある、請求項20に記載のポリヌクレオチド。
【請求項24】
前記FokI切断ドメインが、配列番号37(FokKKR)を含む、請求項23記載のポリヌクレオチド。
【請求項25】
前記FokI切断ドメインが、DNA切断前に二量体を形成する、請求項19~24のいずれか1項に記載のポリヌクレオチド。
【請求項26】
前記FokI二量体が、ヘテロ二量体を含む、請求項25に記載のポリヌクレオチド。
【請求項27】
前記FokIヘテロ二量体が、FokIELD二量体及びFokIKKR二量体を含む、請求項26に記載のポリヌクレオチド。
【請求項28】
前記ZFNが、配列番号5(MDYKDHDGDYKDHDIDYKDDDDKMAPKKKRKVGIHGVPAAMGQLVKSELEEKKSELRHKLKYVPHEYIELIEIARNSTQDRILEMKVMEFFMKVYGYRGKHLGGSRKPDGAIYTVGSPIDYGVIVDTKAYSGGYNLPIGQADEMERYVEENQTRDKHLNPNEWWKVYPSSVTEFKFLFVSGHFKGNYKAQLTRLNHITNCNGAVLSVEELLIGGEMIKAGTLTLEEVRRKFNNGEINFSGAQGSTLDFRPFQCRICMRNFSRPYTLRLHIRTHTGEKPFACDICGRKFARSANLTRHTKIHTGSQKPFQCRICMRNFSRSDALSTHIRTHTGEKPFACDICGRKFADRSTRTKHTKIHTGEKPFQCRICMRKFADRSTRTKHTKIHLRQKD)に対して少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または約100%の配列同一性を有する前記アミノ酸配列を含む、請求項1、2、4、5、10及び12のいずれか1項に記載のポリヌクレオチド。
【請求項29】
前記ZFNが、配列番号6(MDYKDHDGDYKDHDIDYKDDDDKMAPKKKRKVGIHGVPAAMAERPFQCRICMQNFSRSDVLSAHIRTHTGEKPFACDICGKKFADRSNRIKHTKIHTGSQKPFQCRICMQNFSDRSHLTRHIRTHTGEKPFACDICGRKFALKQHLTRHTKIHTGEKPFQCRICMQNFSQSGNLARHIRTHTGEKPFACDICGRKFAQSTPRTTHTKIHLRGSQLVKSELEEKKSELRHKLKYVPHEYIELIEIARNSTQDRILEMKVMEFFMKVYGYRGKHLGGSRKPDGAIYTVGSPIDYGVIVDTKAYSGGYNLPIGQADEMQRYVKENQTRNKHINPNEWWKVYPSSVTEFKFLFVSGHFKGNYKAQLTRLNRKTNCNGAVLSVEELLIGGEMIKAGTLTLEEVRRKFNNGEINF)に対して少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または約100%の配列同一性を有する前記アミノ酸配列を含む、請求項1、2、4、6、11及び12のいずれか1項に記載のポリヌクレオチド。
【請求項30】
配列番号39に対して少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、または少なくとも約98%、少なくとも約99%、または約100%の配列同一性を有するポリヌクレオチド[STV220-pVAX-GEM2UX-CIITA-B-76867-2A-82862プラスミドの完全ヌクレオチド配列]
【請求項31】
前記ZFNが、配列番号7(MDYKDHDGDYKDHDIDYKDDDDKMAPKKKRKVGIHGVPAAMGQLVKSELEEKKSELRHKLKYVPHEYIELIEIARNSTQDRILEMKVMEFFMKVYGYRGKHLGGSRKPDGAIYTVGSPIDYGVIVDTKAYSGGYNLPIGQADEMERYVEENQTRDKHLNPNEWWKVYPSSVTEFKFLFVSGHFKGNYKAQLTRLNHITNCNGAVLSVEELLIGGEMIKAGTLTLEEVRRKFNNGEINFSGTPHEVGVYTLRPFQCRICMRNFSRSDHLSRHIRTHTGEKPFACDICGRKFADSSDRKKHTKIHTGEKPFQCRICMRNFSRSDTLSEHIRTHTGEKPFACDICGRKFAQSGDLTRHTKIHTHPRAPIPKPFQCRICMRNFSQSSDLSRHIRTHTGEKPFACDICGRKFAYKWTLRNHTKIHLRQKD)、または、配列番号54(MDYKDHDGDYKDHDIDYKDDDDKMAPKKKRKVGIHGVPAAMGQLVKSELEEKKSELRHKLKYVPHEYIELIEIARNSTQDRILEMKVMEFFMKVYGYRGKHLGGSRKPDGAIYTVGSPIDYGVIVDTKAYSGGYNLPIGQADEMERYVEENQTRDKHLNPNEWWKVYPSSVTEFKFLFVSGHFSGNYKAQLTRLNHITNCNGAVLSVEELLIGGEMIKAGTLTLEEVRRKFNNGEINFSGTPHEVGVYTLRPFQCRICMRNFSRSDHLSRHIRTHTGEKPFACDICGRKFADSSDRKKHTKIHTGEKPFQCRICMRNFSRSDTLSEHIRTHTGEKPFACDICGRKFAQSGDLTRHTKIHTHPRAPIPKPFQCRICMRNFSQSSDLSRHIRTHTGEKPFACDICGRKFAYKWTLRNHTKIHLRQKD)に対して少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または約100%の配列同一性を有する前記アミノ酸配列を含む。請求項1、3、7、8、13及び15のいずれか1項に記載のポリヌクレオチド。
【請求項32】
前記ZFNが、配列番号8(MDYKDHDGDYKDHDIDYKDDDDKMAPKKKRKVGIHGVPAAMGQLVKSELEEKKSELRHKLKYVPHEYIELIEIARNSTQDRILEMKVMEFFMKVYGYRGKHLGGSRKPDGAIYTVGSPIDYGVIVDTKAYSGGYNLPIGQADEMQRYVKENQTRNKHINPNEWWKVYPSSVTEFKFLFVSGHFKGNYKAQLTRLNRKTNCNGAVLSVEELLIGGEMIKAGTLTLEEVRRKFNNGEINFSGTPHEVGVYTLRPFQCRICMRNFSSNQNLTTHIRTHTGEKPFACDICGRKFADRSHLARHTKIHTGEKPFQCRICMQKFAQSGDLTRHTKIHTGEKPFQCRICMQNFSWKHDLTNHIRTHTGEKPFACDICGRKFATSGNLTRHTKIHLRQKD)、または、配列番号56(QLVKSELEEKKSELRHKLKYVPHEYIELIEIARNSTQDRILEMKVMEFFMKVYGYRGKHLGGSRKPDGAIYTVGSPIDYGVIVDTKAYSGGYNLPTGQADEMQRYVKENQTRNKHINPNEWWKVYPSSVTEFKFLFVSGHFKGNYKAQLTRLNRKTNCNGAVLSVEELLIGGEMIKAGTLTLEEVRRKFNNGEINFSGTPHEVGVYTLRPFQCRICMRNFSSNQNLTTHIRTHTGEKPFACDICGRKFADRSHLARHTKIHTGEKPFQCRICMQKFAQSGDLTRHTKIHTGEKPFQCRICMQNFSWKHDLTNHIRTHTGEKPFACDICGRKFATSGNLTRHTKIHLRQKD)に対して少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または約100%の配列同一性を有する前記アミノ酸配列を含む、請求項1、3、7、8、14または15のいずれか1項に記載のポリヌクレオチド。
【請求項33】
配列番号40、配列番号53、配列番号55、または配列番号57と少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%配列同一性である配列を含むポリヌクレオチド。
【請求項34】
前記DNA結合ドメインが、6個のジンクフィンガーを含み、これは、配列番号23[RSDHLSR]を含むF1、配列番号24[DSSDRKK]を含むF2、配列番号25[RSDTLSE]を含むF3、26[QSGDLTR]を含むF4、及び配列番号27[QSSDLSR]を含むF5、ならびに配列番号28[YKWTLRN]を含むF6を含み、前記切断ドメインが、FokI切断ドメインを含み、前記FokI切断ドメインは、配列番号35の位置525でK~S突然変異をさらに含む、請求項1、3、7及び8に記載のポリヌクレオチド。
【請求項35】
前記DNA結合ドメインが、5個のジンクフィンガーを含み、これは、配列番号30[SNQNLTT]を含むF1、配列番号31[DRSHLAR]を含むF2、配列番号32[QSGDLTR]を含むF3、配列番号33[WKHDLTN]を含むF4、及び配列番号34[TSGNLTR]を含むF5を含み、前記切断ドメインが、FokI切断ドメインを含み、前記FokI切断ドメインは、配列番号35の位置479でI~T突然変異をさらに含む、請求項1、3、7及び9に記載のポリヌクレオチド。
【請求項36】
CIITA遺伝子を切断するジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)であって、前記ZFNは、前記CIITA遺伝子内のDNA配列に結合するジンクフィンガーDNA結合ドメイン、及び切断ドメインを含み、
前記ZFNは、配列番号1に対応するアミノ酸28と29との間、または配列番号1に対応するアミノ酸461と462との間でCIITA遺伝子を切断することができる、前記ZFN。
【請求項37】
前記ZFNが、配列番号1に対応するアミノ酸28と29との間で前記CIITA遺伝子を切断することができる、請求項36に記載のZFN。
【請求項38】
前記ZFNが、配列番号1に対応するアミノ酸461と462との間で前記CIITA遺伝子を切断することができる、請求項36に記載のZFN。
【請求項39】
前記ZFP DNA結合ドメインが、GCCACCATGGAGTTG(配列番号9)及び/またはCTAGAAGGTGGCTACCTG(配列番号15)に結合する、請求項36または37に記載のZFN。
【請求項40】
前記ZFP DNA結合ドメインが、GCCACCATGGAGTTG(配列番号9)に結合する、請求項39記載のZFN。
【請求項41】
前記ZFP DNA結合ドメインが、CTAGAAGGTGGCTACCTG(配列番号15)に結合する、請求項39記載のZFN。
【請求項42】
前記ZFP DNA結合ドメインが、ATTGCT及びGAACCGTCCGGG(配列番号38)またはGATCCTGCAGGCCAT(配列番号29)に結合する、請求項36または38に記載のZFN。
【請求項43】
前記ZFP DNA結合ドメインが、ATTGCT及びGAACCGTCCGGG(配列番号38)に結合する、請求項42記載のZFN。
【請求項44】
前記ZFP DNA結合ドメインが、GATCCTGCAGGCCAT(配列番号29)に結合する、請求項42記載のZFN。
【請求項45】
前記ZFP DNA結合ドメインが、5個のジンクフィンガーを含み、これは、配列番号10[RPYTLRL]を含むフィンガー1(F1)、配列番号11[RSANLTR]を含むフィンガー2(F2)、配列番号12[RSDALST]を含むフィンガー3(F3)、配列番号13[DRSTRTK]を含むフィンガー4(F4)及び配列番号14[DRSTRTK]を含むフィンガー5(F5)を含む、請求項36、37、39及び40のいずれか1項に記載のZFN。
【請求項46】
前記ZFP DNA結合ドメインが、6個のジンクフィンガーを含み、これは、配列番号16[RSDVLSA]を含むF1、配列番号17[DRSNRIK]を含むF2、配列番号18[DRSHLTR]を含むF3、配列番号19[LKQHLTR]を含むF4、及び配列番号20[QSGNLAR]を含むF5及び配列番号21[QSTPRTT]を含むF6を含む、請求項36、37、39及び40のいずれか1項に記載のZFN。
【請求項47】
第1のジンクフィンガーDNA結合ドメイン及び第2のジンクフィンガーDNA結合ドメインを含むZFN対であって、前記第1のDNA結合ドメインは、5個のジンクフィンガーを含み、これは、配列番号10[RPYTLRL]を含むフィンガー1(F1)、配列番号11[RSANLTR]を含むフィンガー2(F2)、配列番号12[RSDALST]を含むフィンガー3(F3)、配列番号13[DRSTRTK]を含むフィンガー4(F4)、配列番号14[DRSTRTK]を含むフィンガー5(F5)を含み、前記第2のDNA結合ドメインは、6個のジンクフィンガーを含み、これは、配列番号16[RSDVLSA]を含むF1、配列番号17[DRSNRIK]を含むF2、配列番号18[DRSHLTR]を含むF3、配列番号19[LKQHLTR]を含むF4、配列番号20[QSGNLAR]を含むF5及びで配列番号21[QSTPRTT]を含むF6を含む、前記ZFN対を含む、請求項36、37、39~41、45及び46のいずれか1項に記載のZFN。
【請求項48】
前記DNA結合ドメインが、6個のジンクフィンガーを含み、これは、配列番号23[RSDHLSR]を含むF1、配列番号24[DSSDRKK]を含むF2、配列番号25[RSDTLSE]を含むF3、配列番号26[QSGDLTR]を含むF4、及び配列番号27[QSSDLSR]を含むF5及び配列番号28[YKWTLRN]を含むF6を含む、請求項36、38、42及び43のいずれか1項に記載のZFN。
【請求項49】
前記DNA結合ドメインが、5個のジンクフィンガーを含み、これは、配列番号30[SNQNLTT]を含むF1、配列番号31[DRSHLAR]を含むF2、配列番号32[QSGDLTR]を含むF3、配列番号33[WKHDLTN]を含むF4、及び配列番号34[TSGNLTR]を含むF5を含む、請求項36、38、42及び44のいずれか1項に記載のZFN。
【請求項50】
第1のジンクフィンガーDNA結合ドメイン及び第2のジンクフィンガーDNA結合ドメインを含むZFN対であって、前記第1のDNA結合ドメインは、6個のジンクフィンガーを含み、これは、配列番号23[RSDHLSR]を含むF1、配列番号24[DSSDRKK]を含むF2、配列番号25[RSDTLSE]を含むF3、配列番号26[QSGDLTR]を含むF4、配列番号27[QSSDLSR]を含むF5及び配列番号28[YKWTLRN]を含むF6を含み、前記第2のDNA結合ドメインは、5個のジンクフィンガーを含み、これは、配列番号30[SNQNLTT]を含むF1、配列番号31[DRSHLAR]を含むF2、配列番号32[QSGDLTR]を含むF3、配列番号33[WKHDLTN]を含むF4、配列番号34[TSGNLTR]を含むF5を含む、前記ZFN対を含む、請求項36、38、42~44、48及び49のいずれか1項に記載のZFN。
【請求項51】
前記DNA結合ドメインが、配列番号54を含む、請求項36、38または42~44のいずれか1項に記載のZFN。
【請求項52】
前記DNA結合ドメインが、配列番号56を含む、請求項36、38または42~44のいずれか1項に記載のZFN。
【請求項53】
前記ZFN対が、第1のジンクフィンガーDNA結合ドメイン及び第2のジンクフィンガーDNA結合ドメインを含み、前記第1のDNA結合ドメインは、配列番号54を含み、前記第2のDNA結合ドメインは、配列番号56を含む、請求項36、38または42~44または51~52のいずれか1項に記載のZFN。
【請求項54】
前記切断ドメインが、FokI切断ドメインを含む、請求項36~53までのいずれか1項記載のZFN。
【請求項55】
前記FokI切断ドメインが、配列番号35の位置418、432、441、448、476、479、481、483、486、487、490、496、499、523、525、527、537、538及び559に1つ以上の突然変異をさらに含む、請求項54に記載のZFN。
【請求項56】
前記1つ以上の突然変異が、位置479、486、496、499及び/または525にある、請求項55に記載のZFN。
【請求項57】
前記FokI切断ドメインが、配列番号36(FokELD)を含む、請求項56記載のZFN。
【請求項58】
前記1つ以上の突然変異が、位置490、537及び/または538にある、請求項55に記載のZFN。
【請求項59】
前記FokI切断ドメインが、配列番号37(FokKKR)を含む、請求項58記載のZFN。
【請求項60】
前記FokI切断ドメインが、DNA切断前に二量体を形成する、請求項36~59のいずれか1項に記載のZFN。
【請求項61】
前記FokI二量体が、ヘテロ二量体を含む、請求項60に記載のZFN。
【請求項62】
前記FokIヘテロ二量体が、FokELD二量体及びFokKKR二量体を含む、請求項61に記載のZFN。
【請求項63】
前記ZFNが、配列番号5(MDYKDHDGDYKDHDIDYKDDDDKMAPKKKRKVGIHGVPAAMGQLVKSELEEKKSELRHKLKYVPHEYIELIEIARNSTQDRILEMKVMEFFMKVYGYRGKHLGGSRKPDGAIYTVGSPIDYGVIVDTKAYSGGYNLPIGQADEMERYVEENQTRDKHLNPNEWWKVYPSSVTEFKFLFVSGHFKGNYKAQLTRLNHITNCNGAVLSVEELLIGGEMIKAGTLTLEEVRRKFNNGEINFSGAQGSTLDFRPFQCRICMRNFSRPYTLRLHIRTHTGEKPFACDICGRKFARSANLTRHTKIHTGSQKPFQCRICMRNFSRSDALSTHIRTHTGEKPFACDICGRKFADRSTRTKHTKIHTGEKPFQCRICMRKFADRSTRTKHTKIHLRQKD)に対して少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または約100%の配列同一性を有する前記アミノ酸配列を含む、請求項36、37、38、40、45及び47のいずれか1項に記載のZFN。
【請求項64】
前記ZFNが、配列番号6(MDYKDHDGDYKDHDIDYKDDDDKMAPKKKRKVGIHGVPAAMAERPFQCRICMQNFSRSDVLSAHIRTHTGEKPFACDICGKKFADRSNRIKHTKIHTGSQKPFQCRICMQNFSDRSHLTRHIRTHTGEKPFACDICGRKFALKQHLTRHTKIHTGEKPFQCRICMQNFSQSGNLARHIRTHTGEKPFACDICGRKFAQSTPRTTHTKIHLRGSQLVKSELEEKKSELRHKLKYVPHEYIELIEIARNSTQDRILEMKVMEFFMKVYGYRGKHLGGSRKPDGAIYTVGSPIDYGVIVDTKAYSGGYNLPIGQADEMQRYVKENQTRNKHINPNEWWKVYPSSVTEFKFLFVSGHFKGNYKAQLTRLNRKTNCNGAVLSVEELLIGGEMIKAGTLTLEEVRRKFNNGEINF)に対して少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または約100%の配列同一性を有する前記アミノ酸配列を含む、請求項36、37、39、40、46及び47のいずれか1項に記載のZFN。
【請求項65】
前記ZFNが、配列番号7(MDYKDHDGDYKDHDIDYKDDDDKMAPKKKRKVGIHGVPAAMGQLVKSELEEKKSELRHKLKYVPHEYIELIEIARNSTQDRILEMKVMEFFMKVYGYRGKHLGGSRKPDGAIYTVGSPIDYGVIVDTKAYSGGYNLPIGQADEMERYVEENQTRDKHLNPNEWWKVYPSSVTEFKFLFVSGHFKGNYKAQLTRLNHITNCNGAVLSVEELLIGGEMIKAGTLTLEEVRRKFNNGEINFSGTPHEVGVYTLRPFQCRICMRNFSRSDHLSRHIRTHTGEKPFACDICGRKFADSSDRKKHTKIHTGEKPFQCRICMRNFSRSDTLSEHIRTHTGEKPFACDICGRKFAQSGDLTRHTKIHTHPRAPIPKPFQCRICMRNFSQSSDLSRHIRTHTGEKPFACDICGRKFAYKWTLRNHTKIHLRQKD)、または、配列番号54(MDYKDHDGDYKDHDIDYKDDDDKMAPKKKRKVGIHGVPAAMGQLVKSELEEKKSELRHKLKYVPHEYIELIEIARNSTQDRILEMKVMEFFMKVYGYRGKHLGGSRKPDGAIYTVGSPIDYGVIVDTKAYSGGYNLPIGQADEMERYVEENQTRDKHLNPNEWWKVYPSSVTEFKFLFVSGHFSGNYKAQLTRLNHITNCNGAVLSVEELLIGGEMIKAGTLTLEEVRRKFNNGEINFSGTPHEVGVYTLRPFQCRICMRNFSRSDHLSRHIRTHTGEKPFACDICGRKFADSSDRKKHTKIHTGEKPFQCRICMRNFSRSDTLSEHIRTHTGEKPFACDICGRKFAQSGDLTRHTKIHTHPRAPIPKPFQCRICMRNFSQSSDLSRHIRTHTGEKPFACDICGRKFAYKWTLRNHTKIHLRQKD)に対して少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または約100%の配列同一性を有する前記アミノ酸配列を含む、請求項36、38、42、43、48及び53のいずれか1項に記載のZFN。
【請求項66】
前記ZFNが、配列番号8(MDYKDHDGDYKDHDIDYKDDDDKMAPKKKRKVGIHGVPAAMGQLVKSELEEKKSELRHKLKYVPHEYIELIEIARNSTQDRILEMKVMEFFMKVYGYRGKHLGGSRKPDGAIYTVGSPIDYGVIVDTKAYSGGYNLPIGQADEMQRYVKENQTRNKHINPNEWWKVYPSSVTEFKFLFVSGHFKGNYKAQLTRLNRKTNCNGAVLSVEELLIGGEMIKAGTLTLEEVRRKFNNGEINFSGTPHEVGVYTLRPFQCRICMRNFSSNQNLTTHIRTHTGEKPFACDICGRKFADRSHLARHTKIHTGEKPFQCRICMQKFAQSGDLTRHTKIHTGEKPFQCRICMQNFSWKHDLTNHIRTHTGEKPFACDICGRKFATSGNLTRHTKIHLRQKD)、または、配列番号56(QLVKSELEEKKSELRHKLKYVPHEYIELIEIARNSTQDRILEMKVMEFFMKVYGYRGKHLGGSRKPDGAIYTVGSPIDYGVIVDTKAYSGGYNLPTGQADEMQRYVKENQTRNKHINPNEWWKVYPSSVTEFKFLFVSGHFKGNYKAQLTRLNRKTNCNGAVLSVEELLIGGEMIKAGTLTLEEVRRKFNNGEINFSGTPHEVGVYTLRPFQCRICMRNFSSNQNLTTHIRTHTGEKPFACDICGRKFADRSHLARHTKIHTGEKPFQCRICMQKFAQSGDLTRHTKIHTGEKPFQCRICMQNFSWKHDLTNHIRTHTGEKPFACDICGRKFATSGNLTRHTKIHLRQKD)に対して少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または約100%の配列同一性を有する前記アミノ酸配列を含む、請求項36、38、42、43、49及び53のいずれか1項に記載のZFN。
【請求項67】
前記DNA結合ドメインが、6個のジンクフィンガーを含み、これは、配列番号23[RSDHLSR]を含むF1、配列番号24[DSSDRKK]を含むF2、配列番号25[RSDTLSE]を含むF3、26[QSGDLTR]を含むF4、及び配列番号27[QSSDLSR]を含むF5、ならびに配列番号28[YKWTLRN]を含むF6を含み、前記切断ドメインが、FokI切断ドメインを含み、前記FokI切断ドメインは、配列番号35の位置525でK~S突然変異をさらに含む、請求項36、38、42及び43のいずれか1項に記載のZFN。
【請求項68】
前記DNA結合ドメインが、5個のジンクフィンガーを含み、これは、配列番号30[SNQNLTT]を含むF1、配列番号31[DRSHLAR]を含むF2、配列番号32[QSGDLTR]を含むF3、配列番号33[WKHDLTN]を含むF4、及び配列番号34[TSGNLTR]を含むF5を含み、前記切断ドメインが、FokI切断ドメインを含み、前記FokI切断ドメインは、配列番号35の位置479でI~T突然変異をさらに含む、請求項36、38、42及び44のいずれか1項に記載のZFN。
【請求項69】
第1のジンクフィンガーDNA結合ドメイン、第1の切断ドメイン、第2のジンクフィンガーDNA結合ドメイン、及び第2の切断ドメインを含むZFN対を含み、前記第1のDNA結合ドメインは、6個のジンクフィンガーを含み、これは、配列番号23[RSDHLSR]を含むF1、配列番号24[DSSDRKK]を含むF2、配列番号25[RSDTLSE]を含むF3,配列番号26[QSGDLTR]を含むF4、及び配列番号27[QSSDLSR]を含むF5、ならびに配列番号28[YKWTLRN]を含むF6を含み、前記第2のDNA結合ドメインは、5個のジンクフィンガーを含み、これは、配列番号30[SNQNLTT]を含むF1、配列番号31[DRSHLAR]を含むF2、配列番号32[QSGDLTR]を含むF3、配列番号33[WKHDLTN]を含むF4、及び配列番号34[TSGNLTR]を含むF5を含み、前記第1及び前記第2の切断ドメインはFokI切断ドメインを含み、前記第1のFokI切断ドメインは、配列番号35の位置525でK~S突然変異をさらに含み、前記第2のFokI切断ドメインは、配列番号35位置の479でI~T突然変異をさらに含む、請求項36、38、42~44、48及び49のいずれか1項に記載のZFN。
【請求項70】
第1のZFN及び第2のZFNを含む、ZFN対であって、前記第1のZFNは、配列番号5(MDYKDHDGDYKDHDIDYKDDDDKMAPKKKRKVGIHGVPAAMGQLVKSELEEKKSELRHKLKYVPHEYIELIEIARNSTQDRILEMKVMEFFMKVYGYRGKHLGGSRKPDGAIYTVGSPIDYGVIVDTKAYSGGYNLPIGQADEMERYVEENQTRDKHLNPNEWWKVYPSSVTEFKFLFVSGHFKGNYKAQLTRLNHITNCNGAVLSVEELLIGGEMIKAGTLTLEEVRRKFNNGEINFSGAQGSTLDFRPFQCRICMRNFSRPYTLRLHIRTHTGEKPFACDICGRKFARSANLTRHTKIHTGSQKPFQCRICMRNFSRSDALSTHIRTHTGEKPFACDICGRKFADRSTRTKHTKIHTGEKPFQCRICMRKFADRSTRTKHTKIHLRQKD)に対して少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または約100%の配列同一性を有する前記アミノ酸配列を含み、前記第2のZFNは、配列番号6(MDYKDHDGDYKDHDIDYKDDDDKMAPKKKRKVGIHGVPAAMAERPFQCRICMQNFSRSDVLSAHIRTHTGEKPFACDICGKKFADRSNRIKHTKIHTGSQKPFQCRICMQNFSDRSHLTRHIRTHTGEKPFACDICGRKFALKQHLTRHTKIHTGEKPFQCRICMQNFSQSGNLARHIRTHTGEKPFACDICGRKFAQSTPRTTHTKIHLRGSQLVKSELEEKKSELRHKLKYVPHEYIELIEIARNSTQDRILEMKVMEFFMKVYGYRGKHLGGSRKPDGAIYTVGSPIDYGVIVDTKAYSGGYNLPIGQADEMQRYVKENQTRNKHINPNEWWKVYPSSVTEFKFLFVSGHFKGNYKAQLTRLNRKTNCNGAVLSVEELLIGGEMIKAGTLTLEEVRRKFNNGEINF)に対して少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または約100%の配列同一性を有する前記アミノ酸配列を含む、前記ZFN対。
【請求項71】
第1のZFN及び第2のZFNを含む、ZFN対であって、前記第1のZFNは、配列番号7(MDYKDHDGDYKDHDIDYKDDDDKMAPKKKRKVGIHGVPAAMGQLVKSELEEKKSELRHKLKYVPHEYIELIEIARNSTQDRILEMKVMEFFMKVYGYRGKHLGGSRKPDGAIYTVGSPIDYGVIVDTKAYSGGYNLPIGQADEMERYVEENQTRDKHLNPNEWWKVYPSSVTEFKFLFVSGHFKGNYKAQLTRLNHITNCNGAVLSVEELLIGGEMIKAGTLTLEEVRRKFNNGEINFSGTPHEVGVYTLRPFQCRICMRNFSRSDHLSRHIRTHTGEKPFACDICGRKFADSSDRKKHTKIHTGEKPFQCRICMRNFSRSDTLSEHIRTHTGEKPFACDICGRKFAQSGDLTRHTKIHTHPRAPIPKPFQCRICMRNFSQSSDLSRHIRTHTGEKPFACDICGRKFAYKWTLRNHTKIHLRQKD)に対して少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または約100%の配列同一性を有する前記アミノ酸配列を含み、前記第2のZFNは、配列番号8(MDYKDHDGDYKDHDIDYKDDDDKMAPKKKRKVGIHGVPAAMGQLVKSELEEKKSELRHKLKYVPHEYIELIEIARNSTQDRILEMKVMEFFMKVYGYRGKHLGGSRKPDGAIYTVGSPIDYGVIVDTKAYSGGYNLPIGQADEMQRYVKENQTRNKHINPNEWWKVYPSSVTEFKFLFVSGHFKGNYKAQLTRLNRKTNCNGAVLSVEELLIGGEMIKAGTLTLEEVRRKFNNGEINFSGTPHEVGVYTLRPFQCRICMRNFSSNQNLTTHIRTHTGEKPFACDICGRKFADRSHLARHTKIHTGEKPFQCRICMQKFAQSGDLTRHTKIHTGEKPFQCRICMQNFSWKHDLTNHIRTHTGEKPFACDICGRKFATSGNLTRHTKIHLRQKD)に対して少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または約100%の配列同一性を有する前記アミノ酸配列を含む、前記ZFN対。
【請求項72】
第1のZFN及び第2のZFNを含むZFN対であって、前記第1のZFNは、配列番号54に対して少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または約100%の配列同一性を有する前記アミノ酸配列を含み、前記第2のZFNは、配列番号56と少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または約100%の配列同一性を有する前記アミノ酸配列を含む、前記ZFN対。
【請求項73】
請求項1~35のいずれか1項に記載のポリヌクレオチドによりコードされる、ZFN。
【請求項74】
請求項36~60のいずれか1項に記載のZFNまたは請求項70~72のいずれか1項に記載のZFN対をコードするポリヌクレオチド。
【請求項75】
請求項1~35及び74のいずれか1項に記載のポリヌクレオチド、請求項36~69及び73のいずれか1項に記載のZFNまたは請求項70~72のいずれか1項に記載のZFN対を含む、単離された細胞。
【請求項76】
前記単離された細胞が、T細胞、NK細胞、腫瘍浸潤リンパ球、幹細胞、間葉系幹細胞(MSC)、造血幹細胞(HSC)、線維芽細胞、心筋細胞、膵島細胞、または血球を含む、請求項75に記載の単離された細胞。
【請求項77】
同種異系である、請求項754または76に記載の単離された細胞。
【請求項78】
自己由来である、請求項75または76に記載の単離された細胞。
【請求項79】
T細胞を調製する方法であって、単離されたT細胞を、請求項1~35及び74に記載のポリヌクレオチド、請求項36~69及び73記載のZFN、または請求項70~72のいずれか1項に記載のZFN対と接触させることを含む、前記方法。
【請求項80】
前記T細胞が、キメラ抗原受容体T細胞、T細胞受容体細胞、Treg細胞、腫瘍浸潤リンパ球、またはそれらの任意の組み合わせを含む、請求項79に記載の方法。
【請求項81】
細胞療法を必要とする対象を治療する方法であって、請求項75~78のいずれか1項に記載の単離された細胞を前記対象に投与することを含む、前記方法。
【請求項82】
前記単離された細胞が、同種異系または自己由来である、請求項81記載の方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年5月24日に出願された米国仮特許出願第63/202,029号の出願日の利益を主張するものであり、この内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
配列表への参照電子提出
本願で提出されたASCIIテキストファイルへの電子的に提出された配列表の内容(名称:4341_023PC01_SeqListing_ST25.txt;サイズ:116,913バイト;作成日:2022年5月18日)は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0003】
本開示は、細胞におけるCIITA遺伝子及び/またはタンパク質の発現を調節することができるジンクフィンガーヌクレアーゼ、ならびにジンクフィンガーヌクレアーゼによって調製され、疾患を治療する細胞に関する。
【背景技術】
【0004】
ジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)は、ジンクフィンガーDNA結合ドメインをDNA切断ドメインに融合することによって生成される人工制限酵素である。ジンクフィンガードメインは、特定の所望のDNA配列を標的とするように設計することができ、これによってジンクフィンガーヌクレアーゼは、複雑なゲノム内の固有の配列を標的とすることができる。内因性のDNA修復機構を利用することにより、これらの試薬を使用して高等生物のゲノムを正確に変更することができる。
【0005】
ZFNは、トリヌクレオチドDNA配列を認識するDNA結合ドメインとして機能し、より長いDNA配列を認識できるようにタンパク質を直列に連結して、配列認識特異性を生成する。融合FokIは二量体として機能するので、ZFNは近接するヌクレオチド配列を認識するために対で設計される。これにより、2つのZFNが同時にDNAの反対側の鎖に結合する場合にのみDSBが生成されることが保証され、それにより、配列認識特異性は、とりわけ、整列したDNA結合ドメインの長さによって決定される。このことは、オフターゲット効果を制限するものの、ジンクフィンガーモチーフの配列が、隣接するジンクフィンガーの特異性に影響を及ぼすという欠点を伴い、その設計及び選択を難しくしている。初期の研究は、ウイルスベクター由来のDNA断片を介したZFN発現カセットの細胞への送達に依拠していた。その後、標的細胞への導入を可能にするために、電気穿孔を介したmRNA送達を利用する研究が進められた。このアプローチは、一過性であるが高レベルの細胞内の発現カセットを提供し、DNAと比較してmRNAの半減期が短かくなるために、オフターゲット部位での挿入/突然変異の発生のリスクが低くなる。
【0006】
ZFNは、細胞での遺伝子の発現を調節するために使用することができる。したがって、細胞療法のために細胞での遺伝子発現を正確に調節することができるZFNが求められている。
【発明の概要】
【0007】
いくつかの態様では、本開示は、CIITA遺伝子を切断するジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)をコードする核酸配列を含むポリヌクレオチドを提供し、ZFNは、CIITA遺伝子中のDNA配列に結合するジンクフィンガーDNA結合ドメインと、切断ドメインとを含み、ZFNは、配列番号1に対応するアミノ酸28と29との間、または配列番号1に対応するアミノ酸461と462との間でCIITA遺伝子を切断することができる。いくつかの態様では、ZFNは、配列番号1に対応するアミノ酸28及び29の間でCIITA遺伝子を切断することができる。いくつかの態様では、ZFNは、配列番号1に対応するアミノ酸461と462との間でCIITA遺伝子を切断することができる。
【0008】
いくつかの態様では、DNA結合ドメインは、GCCACCATGGAGTTG(配列番号9)及び/またはCTAGAAGGTGGCTACCTG(配列番号15)に結合する。いくつかの態様では、DNA結合ドメインは、GCCACCATGGAGTTGに結合する(配列番号9)。いくつかの態様では、DNA結合ドメインは、CTAGAAGGTGGCTACCTGに結合する(配列番号15)。いくつかの態様では、DNA結合ドメインは、ATTGCT及びGAACCGTCCGGG(配列番号38)またはGATCCTGCAGGCCAT(配列番号29)に結合する。いくつかの態様では、DNA結合ドメインは、ATTGCT及びGAACCGTCCGGGに結合する(配列番号38)。いくつかの態様では、DNA結合ドメインは、GATCCTGCAGGCCAT(配列番号29)に結合する。
【0009】
いくつかの態様では、DNA結合ドメインは、5個のジンクフィンガーを含み、これは、配列番号10[RPYTLRL]を含むフィンガー1(F1)、配列番号11[RSANLTR]を含むフィンガー2(F2)、配列番号12[RSDALST]を含むフィンガー3(F3)、配列番号13[DRSTRTK]を含むフィンガー4(F4)及び配列番号14[DRSTRTK]を含むフィンガー5(F5)を含む。いくつかの態様では、DNA結合ドメインは、6個のジンクフィンガーを含み、これは、配列番号16[RSDVLSA]を含むF1、配列番号17[DRSNRIK]を含むF2、配列番号18[DRSHLTR]を含むF3、配列番号19[LKQHLTR]を含むF4、及び配列番号20[QSGNLAR]を含むF5及び配列番号21[QSTPRTT]を含むF6を含む。いくつかの態様では、ポリヌクレオチドは、第1のジンクフィンガーDNA結合ドメイン及び第2のジンクフィンガーDNA結合ドメインを含むジンクフィンガーヌクレアーゼ対をコードし、第1のDNA結合ドメインは、5個のジンクフィンガーを含み、これは、配列番号10[RPYTLRL]を含むフィンガー1(F1)、配列番号11[RSANLTR]を含むフィンガー2(F2)、配列番号12[RSDALST]を含むフィンガー3(F3)、配列番号13[DRSTRTK]を含むフィンガー4(F4)、配列番号14[DRSTRTK]を含むフィンガー5(F5)であり、第2のDNA結合ドメインは、6個のジンクフィンガーを含み、これは、配列番号16[RSDVLSA]を含むF1、配列番号17[DRSNRIK]を含むF2、配列番号18[DRSHLTR]を含むF3、配列番号19[LKQHLTR]を含むF4、配列番号20[QSGNLAR]を含むF5及びで配列番号21[QSTPRTT]を含むF6である。いくつかの態様では、DNA結合ドメインは、6個のジンクフィンガーを含み、これは、配列番号23[RSDHLSR]を含むF1、配列番号24[DSSDRKK]を含むF2、配列番号25[RSDTLSE]を含むF3、配列番号26[QSGDLTR]を含むF4、及び配列番号27[QSSDLSR]を含むF5及び配列番号28[YKWTLRN]を含むF6を含む。いくつかの態様では、DNA結合ドメインは、5個のジンクフィンガーを含み、これは、配列番号30[SNQNLTT]を含むF1、配列番号31[DRSHLAR]を含むF2、配列番号32[QSGDLTR]を含むF3、配列番号33[WKHDLTN]を含むF4、及び配列番号34[TSGNLTR]を含むF5を含む。いくつかの態様では、ポリヌクレオチドは、配列番号54を含むジンクフィンガーDNA結合ドメインをコードする。いくつかの態様では、ポリヌクレオチドは、配列番号56を含むジンクフィンガーDNA結合ドメインをコードする。いくつかの態様において、ポリヌクレオチドは、第1のジンクフィンガーDNA結合ドメイン及び第2のジンクフィンガーDNA結合ドメインを含むジンクフィンガーヌクレアーゼ対をコードし、第1のDNA結合ドメインは、配列番号54を含み、第2のDNA結合ドメインは、配列番号56を含む。いくつかの態様では、ポリヌクレオチドは、第1のジンクフィンガーDNA結合ドメイン及び第2のジンクフィンガーDNA結合ドメインを含むジンクフィンガーヌクレアーゼ対をコードし、第1のDNA結合ドメインは、6個のジンクフィンガーを含み、これは、配列番号23[RSDHLSR]を含むF1、配列番号24[DSSDRKK]を含むF2、配列番号25[RSDTLSE]を含むF3、配列番号26[QSGDLTR]を含むF4、配列番号27[QSSDLSR]を含むF5及び配列番号28[YKWTLRN]を含むF6であり、第2のDNA結合ドメインは、5個のジンクフィンガーを含み、これは、配列番号30[SNQNLTT]を含むF1、配列番号31[DRSHLAR]を含むF2、配列番号32[QSGDLTR]を含むF3、配列番号33[WKHDLTN]を含むF4、配列番号34[TSGNLTR]を含むF5である。
【0010】
いくつかの態様では、切断ドメインは、FokI切断ドメインを含む。いくつかの態様では、FokI切断ドメインは、配列番号35の位置418、432、441、448、476、479、481、483、486、487、490、496、499、523、525、527、537、538及び559に1つ以上の突然変異をさらに含む。いくつかの態様では、1つ以上の突然変異は、位置479、486、496、499及び/または525にある。いくつかの態様では、FokI切断ドメインは、配列番号36(FokELD)を含む。いくつかの態様では、1つ以上の突然変異は、位置490、537及び/または538にある。いくつかの態様では、FokI切断ドメインは、配列番号37(FokKKR)を含む。いくつかの態様では、FokI切断ドメインは、DNA切断前に二量体を形成する。いくつかの態様では、FokI二量体は、ヘテロ二量体を含む。いくつかの態様では、FokIヘテロ二量体は、FokIELD二量体及びFokIKKR二量体を含む。
【0011】
いくつかの態様では、ポリヌクレオチドは、配列番号5と少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または約100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むZFNをコードする。いくつかの態様では、ポリヌクレオチドは、配列番号6と少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または約100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むZFNをコードする。
【0012】
いくつかの態様では、本開示は、配列番号39と少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または約100%配列同一性である配列を含むポリヌクレオチドを提供する。
【0013】
いくつかの態様では、本開示は、ZFNをコードするポリヌクレオチドを提供し、本ZFNは、配列番号7と少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または約100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの態様では、本開示は、ZFNをコードするポリヌクレオチドを提供し、本ZFNは、配列番号8と少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または約100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0014】
いくつかの態様では、本開示は、配列番号40、配列番号53、配列番号55、または配列番号57と少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%配列同一性である配列を含むポリヌクレオチドを提供する。
【0015】
いくつかの態様では、本開示は、6個のジンクフィンガーを含むポリヌクレオチドを提供し、これは、配列番号23[RSDHLSR]を含むF1、配列番号24[DSSDRKK]を含むF2、配列番号25[RSDTLSE]を含むF3、26[QSGDLTR]を含むF4、及び配列番号27[QSSDLSR]を含むF5、ならびに配列番号28[YKWTLRN]及びFokI切断ドメインを含むF6を含み、FokI切断ドメインは、配列番号35の位置525でK~S突然変異をさらに含む。
【0016】
いくつかの態様では、本開示は、5個のジンクフィンガーを含むポリヌクレオチドを提供し、これは、配列番号30[SNQNLTT]を含むF1、配列番号31[DRSHLAR]を含むF2、配列番号32[QSGDLTR]を含むF3、配列番号33[WKHDLTN]を含むF4、及び配列番号34[TSGNLTR]及びFokI切断ドメインを含むF5を含み、FokI切断ドメインは、配列番号35の位置479でI~T突然変異をさらに含む。
【0017】
いくつかの態様では、本開示は、CIITA遺伝子を切断するジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)を提供し、ZFNは、CIITA遺伝子中のDNA配列に結合するジンクフィンガーDNA結合ドメインと、切断ドメインとを含み、ZFNは、配列番号1に対応するアミノ酸28と29との間、または配列番号1に対応するアミノ酸461と462との間でCIITA遺伝子を切断することができる。いくつかの態様では、ZFNは、配列番号1に対応するアミノ酸28及び29の間でCIITA遺伝子を切断することができる。いくつかの態様では、ZFNは、配列番号1に対応するアミノ酸461と462との間でCIITA遺伝子を切断することができる。いくつかの態様では、ZFP DNA結合ドメインは、GCCACCATGGAGTTG(配列番号9)及び/またはCTAGAAGGTGGCTACCTG(配列番号15)に結合する。いくつかの態様では、ZFP DNA結合ドメインは、GCCACCATGGAGTTG(配列番号9)に結合する。いくつかの態様では、ZFP DNA結合ドメインは、CTAGAAGGTGGCTACCTG(配列番号15)に結合する。いくつかの態様では、ZFP DNA結合ドメインは、ATTGCT及びGAACCGTCCGGG(配列番号38)またはGATCCTGCAGGCCAT(配列番号29)に結合する。いくつかの態様では、ZFP DNA結合ドメインは、ATTGCT及びGAACCGTCCGGGに結合する(配列番号38)。いくつかの態様では、ZFP DNA結合ドメインは、GATCCTGCAGGCCAT(配列番号29)に結合する。
【0018】
いくつかの態様では、ZFP DNA結合ドメインは、5個のジンクフィンガーを含み、これは、配列番号10[RPYTLRL]を含むフィンガー1(F1)、配列番号11[RSANLTR]を含むフィンガー2(F2)、配列番号12[RSDALST]を含むフィンガー3(F3)、配列番号13[DRSTRTK]を含むフィンガー4(F4)及び配列番号14[DRSTRTK]を含むフィンガー5(F5)を含む。いくつかの態様では、ZFP DNA結合ドメインは、6個のジンクフィンガーを含み、これは、配列番号16[RSDVLSA]を含むF1、配列番号17[DRSNRIK]を含むF2、配列番号18[DRSHLTR]を含むF3、配列番号19[LKQHLTR]を含むF4、及び配列番号20[QSGNLAR]を含むF5及び配列番号21[QSTPRTT]を含むF6を含む。
【0019】
いくつかの態様では、本開示は、第1のジンクフィンガーDNA結合ドメイン及び第2のジンクフィンガーDNA結合ドメインを含むZFN対を含むZFNを提供し、第1のDNA結合ドメインは、5個のジンクフィンガーを含み、これは、配列番号10[RPYTLRL]を含むフィンガー1(F1)、配列番号11[RSANLTR]を含むフィンガー2(F2)、配列番号12[RSDALST]を含むフィンガー3(F3)、配列番号13[DRSTRTK]を含むフィンガー4(F4)、配列番号14[DRSTRTK]を含むフィンガー5(F5)であり、第2のDNA結合ドメインは、6個のジンクフィンガーを含み、これは、配列番号16[RSDVLSA]を含むF1、配列番号17[DRSNRIK]を含むF2、配列番号18[DRSHLTR]を含むF3、配列番号19[LKQHLTR]を含むF4、配列番号20[QSGNLAR]を含むF5及びで配列番号21[QSTPRTT]を含むF6である。いくつかの態様では、DNA結合ドメインは、6個のジンクフィンガーを含み、これは、配列番号23[RSDHLSR]を含むF1、配列番号24[DSSDRKK]を含むF2、配列番号25[RSDTLSE]を含むF3、配列番号26[QSGDLTR]を含むF4、及び配列番号27[QSSDLSR]を含むF5及び配列番号28[YKWTLRN]を含むF6を含む。いくつかの態様では、DNA結合ドメインは、5個のジンクフィンガーを含み、これは、配列番号30[SNQNLTT]を含むF1、配列番号31[DRSHLAR]を含むF2、配列番号32[QSGDLTR]を含むF3、配列番号33[WKHDLTN]を含むF4、及び配列番号34[TSGNLTR]を含むF5を含む。いくつかの態様では、ZFN対は、第1のジンクフィンガーDNA結合ドメイン及び第2のジンクフィンガーDNA結合ドメインを含み、第1のDNA結合ドメインは、6個のジンクフィンガーを含み、これは、配列番号23[RSDHLSR]を含むF1、配列番号24[DSSDRKK]を含むF2、配列番号25[RSDTLSE]を含むF3、配列番号26[QSGDLTR]を含むF4、配列番号27[QSSDLSR]を含むF5及び配列番号28[YKWTLRN]を含むF6であり、第2のDNA結合ドメインは、5個のジンクフィンガーを含み、これは、配列番号30[SNQNLTT]を含むF1、配列番号31[DRSHLAR]を含むF2、配列番号32[QSGDLTR]を含むF3、配列番号33[WKHDLTN]を含むF4、配列番号34[TSGNLTR]を含むF5である。いくつかの態様では、DNA結合ドメインは、配列番号54を含む。いくつかの態様では、DNA結合ドメインは、配列番号56を含む。いくつかの態様では、ZFNは、第1のジンクフィンガーDNA結合ドメイン及び第2のジンクフィンガーDNA結合ドメインを含むZFN対を含み、第1のDNA結合ドメインは、配列番号54を含み、第2のDNA結合ドメインは、配列番号56を含む。
【0020】
いくつかの態様では、ZFNは、FokI切断ドメインを含む切断ドメインを含む。いくつかの態様では、FokI切断ドメインは、配列番号35の位置418、432、441、448、476、481、483、486、487、490、496、499、523、527、537、538及び559に1つ以上の突然変異をさらに含む。いくつかの態様では、1つ以上の突然変異は、位置486、496及び/または499にある。いくつかの態様では、FokI切断ドメインは、配列番号36(FokELD)を含む。いくつかの態様では、1つ以上の突然変異は、位置490、537及び/または538にある。いくつかの態様では、FokI切断ドメインは、配列番号37(FokKKR)を含む。いくつかの態様では、FokI切断ドメインは、DNA切断前に二量体を形成する。いくつかの態様では、FokI二量体は、ヘテロ二量体を含む。いくつかの態様では、FokIヘテロ二量体は、FokELD二量体及びFokKKR二量体を含む。
【0021】
いくつかの態様では、ZFNは、配列番号5に対して少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または約100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの態様では、ZFNは、配列番号6に対して少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または約100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの態様では、ZFNは、配列番号7に対して少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または約100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの態様では、ZFNは、配列番号8に対して少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または約100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0022】
いくつかの態様では、ZFNは、6個のジンクフィンガーを含むDNA結合ドメインを含み、これは、配列番号23[RSDHLSR]を含むF1、配列番号24[DSSDRKK]を含むF2、配列番号25[RSDTLSE]を含むF3、26[QSGDLTR]を含むF4、及び配列番号27[QSSDLSR]を含むF5、ならびに配列番号28[YKWTLRN]及びFokI切断ドメインを含むF6を含み、FokI切断ドメインは、配列番号35の位置525でK~S突然変異をさらに含む。
【0023】
いくつかの態様では、ZFNは、5個のジンクフィンガーを含むDNA結合ドメインを含み、これは、配列番号30[SNQNLTT]を含むF1、配列番号31[DRSHLAR]を含むF2、配列番号32[QSGDLTR]を含むF3、配列番号33[WKHDLTN]を含むF4、及び配列番号34[TSGNLTR]及びFokI切断ドメインを含むF5を含み、FokI切断ドメインは、配列番号35の位置479でI~T突然変異をさらに含む。
【0024】
いくつかの態様では、本開示は、第1のZFN及び第2のZFNを含むZFN対を提供し、第1のZFNは、配列番号5に対して少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または約100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、第2のZFNは、配列番号6に対して少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または約100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0025】
いくつかの態様では、本開示は、第1のZFN及び第2のZFNを含むZFN対を提供し、第1のZFNは、配列番号7に対して少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または約100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、第2のZFNは、配列番号8に対して少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または約100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの態様では、ZFNは、第1のZFN及び第2のZFNを含み、第1のZFNは、配列番号5444に対して少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または約100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、第2のZFNは、配列番号56に対して少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または約100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0026】
いくつかの態様では、本開示は、第1のジンクフィンガーDNA結合ドメイン、第1の切断ドメイン、第2のジンクフィンガーDNA結合ドメイン、及び第2の切断ドメインを含むZFN対を提供し、第1のDNA結合ドメインは、6個のジンクフィンガーを含み、これは、配列番号23[RSDHLSR]を含むF1、配列番号24[DSSDRKK]を含むF2、配列番号25[RSDTLSE]を含むF3,配列番号26[QSGDLTR]を含むF4、及び配列番号27[QSSDLSR]を含むF5、ならびに配列番号28[YKWTLRN]を含むF6を含み、第2のDNA結合ドメインは、5個のジンクフィンガーを含み、これは、配列番号30[SNQNLTT]を含むF1、配列番号31[DRSHLAR]を含むF2、配列番号32[QSGDLTR]を含むF3、配列番号33[WKHDLTN]を含むF4、及び配列番号34[TSGNLTR]を含むF5を含み、第1及び第2の切断ドメインはFokI切断ドメインを含み、第1のFokI切断ドメインは、配列番号35の位置525でK~S突然変異をさらに含み、第2のFokI切断ドメインは、配列番号35位置の479でI~T突然変異をさらに含む。
【0027】
いくつかの態様では、本開示は、本明細書に開示されるポリヌクレオチドによりコードされるZFNを提供する。いくつかの態様では、本開示は、本明細書に開示されるZFNまたは本明細書に開示されるZFN対をコードするポリヌクレオチドを提供する。
【0028】
いくつかの態様では、本開示は、ポリヌクレオチド、ZFNまたはZFN対を含む単離された細胞を提供する。
【0029】
いくつかの態様では、単離された細胞は、T細胞、NK細胞、腫瘍浸潤リンパ球、幹細胞、間葉系幹細胞(MSC)、造血幹細胞(HSC)、線維芽細胞、心筋細胞、膵島細胞、または血球を含む。いくつかの態様では、細胞は同種異系である。いくつかの態様では、細胞は自己由来である。
【0030】
いくつかの態様では、本開示は、T細胞を製造する方法を提供し、本方法は、単離されたT細胞を、本明細書に開示されるポリヌクレオチド、ZFNまたはZFN対と接触させることを含む。いくつかの態様では、T細胞は、キメラ抗原受容体T細胞、T細胞受容体細胞、Treg細胞、腫瘍浸潤リンパ球、またはそれらの任意の組み合わせを含む。いくつかの態様では、本開示は、細胞療法を必要とする対象を治療する方法を提供し、本方法は、本明細書に開示される単離細胞を投与することを含む。いくつかの態様では、投与された単離された細胞は、同種異系または自己由来である。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】CIITA遺伝子の位置、転写産物、タンパク質配列、及びZFN切断部位を示す。
図2A】9つの種からのCIITAの全長タンパク質配列アラインメントを示す。
図2B】ZFN対76867:82862(部位B)のCIITA遺伝子中の切断部位を示す。
図2C】ZFN対87254:84221(部位G)のCIITA遺伝子中の切断部位を示す。
図3】ZFN対76867:82862(部位B)及び87254:84221(部位G)の設計情報、アーキテクチャ、及びDNA結合配列の概略図を示す。それぞれのDNA結合部位は、太字で示されている。
図4】CIITA ZFNトランスフェクトされたT細胞におけるMHCクラスIIレベルの蛍光活性化細胞選別(FACS)分析を示す。上パネルにZFN76867-2A-82862を示す。下パネルにZFN87254-2A-84221を示す。モック及びTRAC ZFN対照サンプルと比較した、CIITA ZFN処理サンプルにおけるMHCクラスIIシグナルの濃度依存的減少が観察された。
図5A】ZFN対87278-2A-87232からのmRNAの生成のためのポリヌクレオチド構築物の概略図を示す。
図5B】ZFN対87278-2A-87232についてのヒトCIITA遺伝子のエクソン11中のDNA結合部位(部位G)を示す。それぞれのDNA結合部位は、太字で示されている。
図6】CD4+/CD127Low/CD25+Treg細胞の活性化及び免疫表現型決定についての実験計画を示す。
図7A】Treg細胞におけるZFN媒介CIITA遺伝子編集及びMHCIIノックアウトを示す。ZFN(87278及び87232)を標的とするCIITAをコードするmRNAを、単離されたTreg細胞において異なる濃度(0、30、60、90、120μg/mL)で電気穿孔した。編集の効率を、インドールのパーセンテージ(インドールの%)を求め(図7A)、さらに、細胞表面でMHCIIを発現する細胞のパーセンテージ(MHCII細胞の%)を測定することにより定量化した(図7B)。
図7B】Treg細胞におけるZFN媒介CIITA遺伝子編集及びMHCIIノックアウトを示す。ZFN(87278及び87232)を標的とするCIITAをコードするmRNAを、単離されたTreg細胞において異なる濃度(0、30、60、90、120μg/mL)で電気穿孔した。編集の効率を、インドールのパーセンテージ(インドールの%)を求め(図7A)、さらに、細胞表面でMHCIIを発現する細胞のパーセンテージ(MHCII細胞の%)を測定することにより定量化した(図7B)。
【発明を実施するための形態】
【0032】
I.概要
本開示は、CIITA遺伝子を切断するジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)をコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド(例えば、単離されたポリヌクレオチド)に関し、ZFNは、CIITA遺伝子中のDNA配列に結合するジンクフィンガーDNA結合ドメイン、及び切断ドメインを含む。
【0033】
II.定義
本説明が、より容易に理解できるように、特定の用語を最初に定義する。さらなる定義は、詳細な説明の全体を通して記載されている。
【0034】
「a」または「an」エンティティという用語は、そのエンティティの1つ以上を指しており、例えば「ヌクレオチド配列(a nucleotide sequence)」は、1つ以上のヌクレオチド配列を表すと理解されることに留意されたい。したがって、「a」(または「an」)、「1つ以上」、及び「少なくとも1つ」という用語は、本明細書では交換可能に使用される。
【0035】
さらに、本明細書で使用される場合の「及び/または」は、2つの特定の特徴または成分のそれぞれが、他方のものの有無にかかわらずに特定して開示されているものとして解釈される。したがって、本明細書の「A及び/またはB」などの語句において使用する場合の「及び/または」という用語は、「A及びB」、「AまたはB」、「A」(単独)及び「B」(単独)を含むことを意図している。同様に、「A、B及び/またはC」などの語句において使用する場合の「及び/または」という用語は、以下の各態様、すなわち、A、B及びC、A、BまたはC、AまたはC、AまたはB、BまたはC、A及びC、A及びB、B及びC、A(単独)、B(単独)及びC(単独)を包含することを意図している。
【0036】
本明細書において態様が「含む(comprising)」という用語で記載されている場合にはいずれも、「からなる(consisting of)」及び/または「実質的に~からなる(consisting essentially of)」により記載される他の類似の態様も提供されるものと理解される。
【0037】
本明細書で使用される場合、目的の1つ以上の値に適用される用語「およそ」または「約」は、別途記載のない限りまたは別途内容から明らかでない限り(かかる数が可能な値の100%を超え得る場合を除く)、述べられた基準値、及び述べられた基準値のいずれかの方向(上回るまたは下回る)において、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%以内の範囲の値を指す。「ほぼ」または「約」という用語が本明細書において特定の値に適用されている場合、「ほぼ」または「約」という用語を含まない値も本明細書に開示されている。
【0038】
本明細書に記載される場合、任意の濃度範囲、パーセンテージ範囲、比率範囲または整数範囲は、特に指定のしない限り、列挙される範囲内の任意の整数の値を含み、必要に応じて、その分数(整数の1/10及び1/100など)を含むものと理解される。
【0039】
本明細書で使用される場合、「ug」及び「uM」という用語は、それぞれ「μg」及び「μΜ」と同義で使用される。
【0040】
他に定義されない限り、本明細書中で使用するすべての技術用語及び科学用語は、本開示が関連する技術分野の当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。例えば、the Concise Dictionary of Biomedicine and Molecular Biology,Juo,Pei-Show,2nd ed.,2002,CRC Press;The Dictionary of Cell and Molecular Biology,3rd ed.,1999,Academic Press及びthe Oxford Dictionary Of Biochemistry And Molecular Biology,Revised,2000,Oxford University Pressは、本開示で使用される多くの用語の一般的辞書とともにスキルのうちの1つを提供している。
【0041】
単位、接頭辞及び記号は、そのSysteme International de Unites(SI)の合意形態に示されている。数値範囲は、その範囲を定義する数を含むものとする。特に明記しない限り、ヌクレオチド配列は、5’から3’の方向で左から右に記述される。アミノ酸配列は、アミノからカルボキシ方位において左から右に記載されている。本明細書中で提供される見出し語は、本開示の様々な態様の限定ではなく、本明細書全体を参照して解釈することができる。したがって、下記で定義される用語は、本明細書の全体を参照することによってより完全に定義される。
【0042】
「約」という用語は、本明細書において、およそ、大まかに、約、またはその領域内を意味するために使用される。「約」という用語が数値範囲と併用して使用されるとき、それは、説明される数値を超える、及びそれ未満の境界を伸展させることによって、その範囲を修飾する。一般的に、「約」という用語は、例えば、10%、上下(より高いまたはより低い)の変動で、明記される値を超える、及びそれ未満の数値を修飾するために使用することができる。
【0043】
本明細書で使用される場合、「免疫細胞」という用語は、免疫系の細胞を指す。いくつかの態様では、免疫細胞は、Tリンパ球(「T細胞」)、Bリンパ球(「B細胞」)、ナチュラルキラー(NK)細胞、ナチュラルキラーT(NKT)細胞、マクロファージ、好酸球、肥満細胞、樹状細胞または好中球)から選択される。本明細書で使用される場合、「T細胞」及び「Tリンパ球」という用語は、交換可能であり、胸腺によって産生または処理されるあらゆるリンパ球を指す。T細胞の非限定的なクラスには、エフェクターT細胞及びTh細胞(CD4またはCD8T細胞など)が挙げられる。いくつかの態様では、免疫細胞は、Th1細胞である。いくつかの態様では、免疫細胞は、Th2細胞である。いくつかの態様では、免疫細胞は、Tc17細胞である。いくつかの態様では、免疫細胞は、Th17細胞である。いくつかの態様では、免疫細胞は、腫瘍浸潤細胞(TIL)である。いくつかの態様では、免疫細胞は、Treg細胞である。本明細書で使用される場合、「免疫細胞」とは、多能性細胞、例えば、幹細胞(例えば、胚性幹細胞または造血性幹細胞)もしくは誘導多能性幹細胞、または免疫細胞への分化が可能な前駆細胞も指す。
【0044】
いくつかの態様では、T細胞は、メモリーT細胞である。本明細書で使用される「メモリー」T細胞という用語は、その同族抗原(例えば、in vivo、in vitroまたはex vivo)に以前に遭遇して応答したT細胞、または、例えば、抗CD3抗体(例えば、in vitroまたはex vivo)で刺激されたT細胞を指す。二次暴露時に「メモリー様」表現型を有する免疫細胞は、そのようなメモリーT細胞は、一次曝露中よりも速く強い免疫応答を取り込むために再生することができる。いくつかの態様では、メモリーT細胞は、中心メモリーT細胞(TCM細胞)、エフェクターメモリーT細胞(TEM細胞)、組織滞留メモリーT細胞(TRM細胞)、幹細胞様メモリーT細胞(TSCM細胞)またはそれらの任意の組み合わせを含む。
【0045】
いくつかの態様では、T細胞は、幹細胞様メモリーT細胞である。本明細書で使用する場合、「幹細胞様メモリーT細胞」、「Tメモリー幹細胞」または「TSCM細胞」という用語は、CD95、CD45RA、CCR7、及びCD62Lを発現し、かつ幹細胞様自己複製能力及び多能性を有してメモリー及びエフェクターサブセットの全スペクトルを再構成する能力を備えたメモリーT細胞を指す。
【0046】
いくつかの態様では、T細胞は、中央メモリーT細胞である。本明細書で使用する場合、「中央メモリーT細胞」または「TCM細胞」という用語は、CD45RO、CCR7及びCD62Lを発現するメモリーT細胞を指す。中央メモリーT細胞は、一般にリンパ節内及び末梢循環内に見られる。
【0047】
いくつかの態様では、T細胞は、エフェクターメモリーT細胞である。本明細書で使用する場合、「エフェクターメモリーT細胞」または「TEM細胞」という用語は、CD45ROを発現するが、CCR7及びCD62Lの発現を欠くメモリーT細胞を指す。エフェクターメモリーT細胞は、リンパ節ホーミング受容体(例えば、CCR7及びCD62L)を欠いているため、これらの細胞は通常、末梢循環及び非リンパ系組織に見られる。
【0048】
いくつかの態様では、T細胞は、組織常在型メモリーT細胞である。本明細書で使用する場合、「組織常在型メモリーT細胞」または「TRM細胞」という用語は、循環せず、皮膚、肺、及び胃腸管などの周辺組織に常在したままであるメモリーT細胞を指す。特定の態様において、組織常在型メモリーT細胞はまた、エフェクターメモリーT細胞でもある。
【0049】
いくつかの態様では、T細胞はナイーブT細胞である。本明細書で使用する場合、「ナイーブT細胞」または「T細胞」という用語は、CD45RA、CCR7、及びCD62Lを発現するが、CD95を発現しないT細胞を指す。T細胞は、T細胞系列における最も未分化の細胞を表す。T-細胞と抗原提示細胞(APC)との相互作用は、活性化TEFF細胞へのT細胞の分化と免疫応答を誘導する。いくつかの態様では、T細胞は、エフェクターT(Teff)細胞である。
【0050】
本明細書で使用する場合、「免疫応答」という用語は、脊椎動物における外来の薬剤に対する生物学的応答を指し、この応答は薬剤及びそれらによって引き起こされる疾患に対して生物を保護する。免疫応答は、免疫系の細胞(例えば、Tリンパ球、Bリンパ球、ナチュラルキラー(NK)細胞、NKT細胞、マクロファージ、好酸球、肥満細胞、樹状細胞または好中球)と、これらの細胞または肝臓のいずれかによって産生される可溶性高分子(抗体、サイトカイン及び相補体を含む)との作用によって媒介され、脊椎動物の体の病原体、癌細胞もしくは他の異常細胞、または自己免疫もしくは病的炎症の場合、正常ヒト細胞もしくは組織に感染した侵入病原体、細胞または組織を選択的に標的化する、結合する、ダメージを与える、破壊する及び/または脊椎動物の体から除去させる。免疫反応は、例えば、T細胞、例えば、エフェクターT細胞またはTh細胞、例えば、CD4またはCD8T細胞の活性化または阻害、またはTreg細胞の阻害を含む。本明細書で使用される場合、「T細胞」及び「Tリンパ球」という用語は、交換可能であり、胸腺によって産生または処理されるあらゆるリンパ球を指す。いくつかの態様では、T細胞は、CD4+T細胞である。いくつかの態様では、T細胞は、CD8+T細胞である。いくつかの態様では、T細胞は、NKT細胞である。
【0051】
「核酸」、「核酸分子」、「ヌクレオチド」、「ヌクレオチド配列」及び「ポリヌクレオチド」という用語は、同義に使用され得、リボヌクレオシド(アデノシン、グアノシン、ウリジンまたはシチジン;「RNA分子」)またはデオキシリボヌクレオシド(デオキシアデノシン、デオキシグアノシン、デオキシチミジン、またはデオキシシチジン;「DNA分子」)のリン酸エステルポリマー形態、またはそのリン酸エステル類似体、例えば、一本鎖形態または二本鎖ヘリックスのいずれかのホスホロチオエート及びチオエステルを指す。一本鎖核酸配列とは、一本鎖DNA(ssDNA)または一本鎖RNA(ssRNA)を指す。二本鎖DNA-DNA、DNA-RNA及びRNA-RNAヘリックスが可能である。核酸分子、及び特にDNAまたはRNA分子という用語は、分子の一次及び二次構造のみを指し、特定の三次形態に限定されない。したがって、この用語には、とりわけ、線状または環状のDNA分子(例えば、制限断片)、プラスミド、スーパーコイル状DNA及び染色体に見られる二本鎖DNAが含まれる。特定の二本鎖DNA分子の構造を論じる場合、DNAの非転写鎖(すなわち、mRNAと相同な配列を有する鎖)に沿って5’から3’方向の配列のみを与えるという通常の慣習に従って、配列を本明細書に記載することができる。「組換えDNA分子」は、分子生物学的操作を受けたDNA分子である。DNAには、cDNA、ゲノムDNA、プラスミドDNA、合成DNA及び半合成DNAが挙げられるが、これらに限定されない。本開示の「核酸組成物」は、本明細書に記載の1つ以上の核酸を含む。本明細書に記載される場合、いくつかの態様では、本開示のポリヌクレオチドは、単一タンパク質(例えば、ZFN)をコードする単一ヌクレオチド配列(「モノシストロン性」)を含み得る。いくつかの態様では、本開示のポリヌクレオチドは、多シストロン性である(すなわち、2つ以上のシストロンを含む)。特定の態様では、多シストロン性ポリヌクレオチドのシストロンのそれぞれは、本明細書に開示されるタンパク質(例えば、ZFN)をコードすることができる。いくつかの態様では、各シストロンは、互いに独立して翻訳することができる。
【0052】
いくつかの態様では、本開示のポリヌクレオチドは、多シストロン性である(すなわち、2つ以上のシストロンを含む)。特定の態様では、多シストロン性ポリヌクレオチドのシストロンのそれぞれは、本明細書に開示されるタンパク質(例えば、第1のZFN及び第2のZFN)をコードすることができる。いくつかの態様では、シストロンのそれぞれは、互いに独立して翻訳することができる。
【0053】
本明細書で使用される場合、「コード領域」、「コード配列」、または「翻訳可能な配列」は、アミノ酸に翻訳可能なコドンからなるポリヌクレオチドの部分である。「ストップコドン」(TAG、TGAまたはTAA)は、通常はアミノ酸に翻訳されないが、コード化領域の一部とみなすことができ、任意のフランキング配列、例えば、プロモーター、リボソーム結合部位、転写ターミネーター、イントロン等は、コード化領域の一部ではない。コード化領域の境界は、典型的には、得られるポリペプチドのアミノ末端をコードする5’末端の開始コドンと、得られるポリペプチドのカルボキシル末端をコードする3’末端の翻訳停止コドンとによって決定される。
【0054】
「ポリペプチド」、「ペプチド」、及び「タンパク質」という用語は、同義に使用され、アミノ酸残基のポリマーを指す。この用語は、1つ以上のアミノ酸が対応する天然アミノ酸の化学類似体または修飾された誘導体であるアミノ酸ポリマーにも適用される。
【0055】
本明細書で使用される「発現」という用語は、ポリヌクレオチドが遺伝子産物、例えばZFNを産生するプロセスを指す。それらは、限定されないが、ポリヌクレオチドのメッセンジャーRNA(mRNA)への転写及びmRNAのポリペプチドへの翻訳を含む。発現は「遺伝子産物」を産生する。本明細書で使用される場合、遺伝子産物は、核酸、例えば、遺伝子の転写によって産生されるメッセンジャーRNA、または転写産物から翻訳されるポリペプチドのいずれかであり得る。本明細書に記載される遺伝子産物は、さらに、転写後修飾を有する核酸、例えば、ポリアデニル化もしくはスプライシング、または翻訳後修飾を有するポリペプチド、例えば、メチル化、グリコシル化、脂質の添加、他のタンパク質サブユニットとの会合、もしくはタンパク質分解切断を含む。
【0056】
本明細書で使用される「同一性」という用語は、ポリマー分子間、例えば、ポリヌクレオチド分子間の全体的なモノマー保持を指す。「同一」という用語は、さらなる限定番号を有さず、例えば、ポリヌクレオチドAがポリヌクレオチドBと同一であるとは、ポリヌクレオチド配列が100%同一(100%配列同一性)であることを示唆している。2つの配列を、例えば、「70%同一」と記載することは、それらを、例えば、「70%配列同一性」を有するものとして記載することに等しい。
【0057】
2つのポリペプチドまたはポリヌクレオチド配列の同一性パーセントを計算するために、例えば、2つの配列を最適な比較目的のために整列させる(例えば、最適な整列のためにギャップを第1及び第2のポリペプチドまたはポリヌクレオチド配列の一方または両方に導入し得、比較目的で非同一性配列を無視し得る)ことにより実施することができる。特定の態様では、比較の目的で整列された配列の長さは、参照配列の長さの少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または約100%である。次に、対応するアミノ酸位置にあるアミノ酸、またはポリヌクレオチドの場合は、塩基が比較される。
【0058】
第1の配列における位置が、第2の配列における対応する位置と同じアミノ酸またはヌクレオチドによって占有される場合には、分子は、その位置にて同一である。2つの配列間の同一性パーセントは、ギャップの数、及び2つの配列の最適な整列のために導入する必要がある各ギャップの長さを考慮した配列によって共有される同一の位置の数の関数である。配列の比較及び2つの配列間の同一性パーセントの決定は、数学的アルゴリズムを使用して達成され得る。
【0059】
異なる配列(例えば、ポリヌクレオチド配列)を整列するために使用され得る適切なソフトウェアプログラムは、様々なソースから利用可能である。配列同一性パーセントを決定するための1つの適切なプログラムはbl2seqであり、これは米国国立生物工学情報センターBLASTのウェブサイト(blast.ncbi.nlm.nih.gov)から入手可能なプログラムのBLASTスイートの一部である。Bl2seqは、BLASTNアルゴリズムまたはBLASTPアルゴリズムのいずれかを使用して、2つの配列間の比較を実行する。BLASTNは、核酸配列を比較するために使用され、BLASTPは、アミノ酸配列を比較するために使用される。他の適切なプログラムは、例えば、生物情報学プログラムのEMBOSSスイートの一部であるNeedle、Stretcher、Water、またはMatcherであり、worldwideweb.ebi.ac.uk/Tools/psaの欧州生物情報学研究所(EBI)から入手可能である。
【0060】
配列アラインメントは、MAFFT、Clustal(ClustalW、Clustal XまたはClustal Omega)、MUSCLEなどの、当技術分野で知られている方法を使用して実施することができる。
【0061】
ポリヌクレオチドまたはポリペプチドの参照配列と整列する単一のポリヌクレオチドまたはポリペプチドの標的配列内の異なる領域は、それぞれ独自の配列同一性パーセントを有し得る。配列同一性パーセント値は最も近い10分の1に四捨五入されることに留意されたい。例えば、80.11、80.12、80.13及び80.14は80.1に四捨五入されており、一方で80.15、80.16、80.17、80.18及び80.19は80.2に四捨五入されている。また、長さの値は常に整数であることに留意されたい。
【0062】
特定の態様では、同一性パーセント(ID%)または第2のアミノ酸配列(または核酸配列)に対する第1のアミノ酸配列(または核酸配列)の同一性パーセント(ID%)は、ID%=100x(Y/Z)として計算され、式中、Yは、(目視検査または特定の配列アライメントプログラムによって整列された)第1及び第2の配列のアラインメントにおいて同一のマッチとして数えられたアミノ酸残基(または核酸塩基)の数であり、Zは第2の配列中の総残基数である。第1の配列の長さが第2の配列よりも長い場合、第2の配列に対する第1の配列の同一性パーセントは、第1の配列に対する第2の配列の同一性パーセントよりも高い。
【0063】
当業者は、配列同一性パーセントの計算のための配列アラインメントの生成が、排他的に一次配列データによって駆動される二進配列-配列比較に限定されないことを理解するであろう。配列アライメントは、配列データを、構造的データ(例えば、結晶学的タンパク質構造)、機能的データ(例えば、突然変異の位置)または系統発生学的データなどの異種ソースからのデータと統合することによって生成することができることも理解されるであろう。異種データを統合して多重配列アライメントを生成する適切なプログラムは、worldwidewebtcoffee.orgで入手可能であり、代替的には、例えば、EBIから入手可能であるT-Coffeeである。また、配列同一性パーセントを計算するために使用される最終的なアラインメントが、自動的または手動で作成できることも理解されるであろう。
【0064】
本明細書で使用される「連結された」という用語は、第2のアミノ酸配列またはポリヌクレオチド配列のそれぞれに共有結合または非共有結合された第1のアミノ酸配列またはポリヌクレオチド配列を指す。第1のアミノ酸またはポリヌクレオチド配列は、第2のアミノ酸またはポリヌクレオチド配列と直接結合または併設してもよく、あるいは代替的に介在配列が、第1の配列を第2の配列に共有結合してもよい。「連結された」の用語は、第1のポリヌクレオチド配列の、5’末端または3’末端の第2のポリヌクレオチド配列への融合を意味するだけでなく、第2のポリヌクレオチド配列(または第1のポリヌクレオチド配列のそれぞれ)中の任意の2つのヌクレオチドに全ての第1のポリヌクレオチド配列(または第2のポリヌクレオチド配列)を挿入することも含む。第1のポリヌクレオチド配列は、ホスホジエステル結合またはリンカーによって第2のポリヌクレオチド配列に連結され得る。リンカーは、例えば、ポリヌクレオチドであり得る。
【0065】
「結合」とは、巨大分子間(例えば、タンパク質と核酸との間)の配列特異的な非共有相互作用を指す。相互作用が全体として配列特異的である限り、結合相互作用のすべての構成要素が配列特異的である(例えば、DNA骨格におけるリン酸残基と接触する)必要はない。そのような相互作用は、概して、10-6-1以下の解離定数(K)を特徴とする。「親和性」は、結合の強度を指し、結合親和性の増加は、Kの低下と相関性がある。「非特異的結合」とは、目的の任意の分子(例えば、操作されたヌクレアーゼ)と非依存性オンターゲット配列である高分子(例えば、DNA)との間に生じる共有結合を指す。
【0066】
「結合タンパク質」は、別の分子に非共有結合的に結合することができるタンパク質である。結合タンパク質は、例えば、DNA分子(DNA結合タンパク質)、RNA分子(RNA結合タンパク質)、及び/またはタンパク質分子(タンパク質結合タンパク質)に結合し得る。タンパク質結合タンパク質の場合、それは、それ自体に結合することができ(ホモ二量体、ホモ三量体等を形成するために)、かつ/またはそれは、異なるタンパク質またはタンパク質の1つ以上の分子に結合し得る。結合タンパク質は、2種類以上の結合活性を有し得る。例えば、ジンクフィンガータンパク質は、DNA結合、RNA結合、及びタンパク質結合活性を有する。
【0067】
「DNA結合分子」は、DNAに結合することができる分子である。そのようなDNA結合分子は、ポリペプチド、タンパク質のドメイン、より大きなタンパク質内のドメインまたはポリヌクレオチドであり得る。いくつかの態様では、ポリヌクレオチドはDNAであり、他の態様において、ポリヌクレオチドはRNAである。いくつかの態様では、DNA結合分子は、ヌクレアーゼのタンパク質ドメイン(例えば、FokIドメイン)である。いくつかの態様では、DNA結合分子は、所与の配列のすべてのヌクレオチドに結合する。いくつかの態様では、DNA結合分子は、所与の配列の1つ以外のすべてのヌクレオチドに結合する。いくつかの態様では、DNA結合分子は、所与の配列の2つ以外のすべてのヌクレオチドに結合する。
【0068】
「DNA結合タンパク質」(または結合ドメイン)とは、それぞれ、例えば、1つ以上のジンクフィンガーを介して、またはジンクフィンガータンパク質における1つ以上のRVDとの相互作用によってDNAを配列特異的に結合するタンパク質、またはより大きなタンパク質内のドメインである。ジンクフィンガーDNA結合タンパク質という用語は、しばしば「ジンクフィンガータンパク質」または「ZFP」と略記される。
【0069】
「ジンクフィンガーDNA結合タンパク質」または「ジンクフィンガーDNA結合ドメイン」とは、1つ以上のジンクフィンガーによって配列特異的様式でDNAに結合するタンパク質、またはより大きいタンパク質内のドメインであり、これは、結合ドメイン内のアミノ酸配列の領域であり、この構造は、亜鉛イオンの配位によって安定化される。ジンクフィンガーDNA結合タンパク質という用語は、しばしば「ジンクフィンガータンパク質」または「ZFP」と略記される。「ジンクフィンガーヌクレアーゼ」という用語には、1つのZFNならびに標的遺伝子の切断のために二量体化する1組のZFN(当該組の構成要素は「左及び右」または「第1及び第2の」もしくは「対」と称される)が含まれる。いくつかの態様では、ジンクフィンガーDNA結合ドメインは、所与の配列のすべてのヌクレオチドに結合する。いくつかの態様では、ジンクフィンガーDNA結合ドメインは、所与の配列の1つ以外のすべてのヌクレオチドに結合する。いくつかの態様では、ジンクフィンガーDNA結合ドメインは、所与の配列の2つ以外のすべてのヌクレオチドに結合する。
【0070】
ジンクフィンガーDNA結合ドメインは、例えば、天然に存在するジンクフィンガータンパク質の認識へリックス領域を操作する(1つ以上のアミノ酸を変更する)ことによって、または、DNA結合に関与するアミノ酸(「反復可変二残基」または「RVD」領域)を操作することによって、所定のヌクレオチド配列に結合するように「操作」され得る。したがって、操作されたジンクフィンガータンパク質は、非天然タンパク質である。ジンクフィンガータンパク質を操作する方法の非限定的な例は、設計及び選択である。設計されたタンパク質は、本質的に合理的な基準から設計/組成が生じる、天然に存在しないタンパク質である。設計についての合理的基準には、置換規則、ならびに既存のZFP設計及び結合データの情報を格納するデータベース内の情報を処理するためのコンピュータアルゴリズムの適用が含まれる。例えば、米国特許第8,586,526号、同第6,140,081号、同第6,453,242号、及び同第6,534,261号を参照されたく、WO98/53058、WO98/53059号、WO98/53060、WO02/016536、及びWO03/016496も参照されたい。
【0071】
「選択された」ジンクフィンガータンパク質は天然には見られず、その産生は主に、経験的なプロセス、例えば、ファージディスプレイ、相互作用トラップ、合理的な設計、またはハイブリッド選択から生じる。例えば、US5,789,538、US5,925,523、US6,007,988、US6,013,453、US6,200,759、WO95/19431、WO96/06166、WO98/53057、WO98/54311、WO00/27878、WO01/60970、WO01/88197及びWO02/099084を参照されたい。
【0072】
「組み換え」は、非相同末端結合(NHEJ)及び相同組み換えによる捕捉を含むがこれらに限定されない2つのポリヌクレオチド間での遺伝情報の交換のプロセスを指す。本開示の目的において、「相同組換え(HR)」とは、例えば、相同指向の修復機構による細胞の二本鎖切断の修復中に起こるような交換の特殊な形態を指す。このプロセスは、ヌクレオチド配列相同性を必要とし、「ドナー」分子を用いて「標的」分子(すなわち、二本鎖切断を経た分子)を鋳型修復し、ドナーから標的への遺伝情報の伝達をもたらすため「非交差型遺伝子変換」または「ショートトラクト遺伝子変換」として広く知られている。任意の特定の理論によって束縛されることを望むことなく、そのような伝達は、切断された標的とドナーとの間に生じるヘテロ二本鎖DNAのミスマッチ修正、及び/または標的の一部になる遺伝情報を再合成するためにドナーが使用される「合成依存性鎖アニーリング」、及び/または関連プロセスを伴い得る。そのような特殊化されたHRは、ドナーポリヌクレオチドの配列の一部またはすべてが標的ポリヌクレオチドに組み込まれるように、多くの場合、標的分子の配列の変化をもたらす。
【0073】
本開示の特定の態様において、本明細書に記載の1つ以上の標的ヌクレアーゼは、標的配列(例えば、細胞クロマチン)中の二本鎖切断(DSB)を所定の部位(例えば、目的の遺伝子または遺伝子座)に生じさせる。DSBは、本明細書に記載される構築物(例えば、ドナー)の組み込み、または機能的遺伝子発現のノックダウンを媒介する。任意に、構築物は切断領域のヌクレオチド配列に相同性を有する。発現構築物を物理的に組み込み得るか、または別法として、発現カセットを相同組換えによる破断の修復のためのテンプレートとして使用し、その結果、発現カセット中にあるようなヌクレオチド配列の全部または一部が細胞クロマチンに導入される。したがって、細胞クロマチンにおける第1の配列を変更することができ、ある特定の実施形態では、発現カセットに存在する配列に変換することができる。したがって、「置換する」または「置換」という用語の使用が、あるヌクレオチド配列の別のヌクレオチド配列による置換(すなわち、情報の意味において、配列の置換)を表し、かつあるポリヌクレオチドの別のポリヌクレオチドによる物理的または化学的置換は必ずしも必要としないことが理解され得る。
【0074】
本明細書に記載の方法及び組成物(例えば、ヌクレアーゼ、これらのヌクレアーゼを使用して作成した細胞等)のうちのいずれかにおいて、さらなる操作されたヌクレアーゼを、細胞内のさらなる標的部位のさらなる二本鎖切断のために使用することができる。
【0075】
細胞クロマチンにおける目的とする領域内の配列の標的組換え及び/または置換及び/または改変のための方法のいくつかの態様では、染色体配列は、外因性「ドナー」ヌクレオチド配列との相同組換えによって変更される。切断領域に対する配列相同性が存在する場合、そのような相同組換えは、細胞クロマチンにおける二本鎖切断の存在によって促進される。
【0076】
本明細書に記載の方法及び組成物(例えば、ヌクレアーゼ、これらのヌクレアーゼを使用して作成した細胞等)のいずれかにおいて、第1のヌクレオチド配列(「ドナー配列」)は、目的とする領域のゲノム配列と相同であるが同一ではない配列を含み得、それによって相同組換えを促進して目的とする領域内の非同一配列を挿入する。したがって、ある特定の実施形態では、目的の領域の配列と相同であるドナー配列の部分は、置換されたゲノム配列に対して約80~99%の配列同一性(またはその間の任意の整数)を示す。他の実施形態では、ドナーとゲノム配列との間の相同性は99%より高く、例えば1つのヌクレオチドのみが、連続する100塩基対を超えるドナーとゲノム配列の間で異なる場合である。ある場合において、新しい配列が目的とする領域に導入されるように、ドナー配列の非相同部分は、目的とする領域に存在しない配列を含み得る。これらの事例において、非相同配列は、概して、50~1,000個の塩基対(もしくはそれらの間の任意の整数値)または目的とする領域内の配列と相同もしくは同一である1,000を超える任意の数の塩基対の配列に隣接している。他の実施形態では、ドナー配列は、第1の配列と非相同であり、非相同組換え機構によってゲノムに挿入される。
【0077】
本明細書に記載の方法のいずれかは、目的とする遺伝子(複数可)の発現を妨害するドナー配列の標的組み込みによる、または標的配列(複数可)の切断、続いて、目的の遺伝子(複数可)の発現を妨げるエラーが生じやすいNHEJ媒介性修復を介する、細胞における1つ以上の標的配列の部分的または完全な不活性化のために使用され得る。部分的または完全に不活性化された遺伝子を有する細胞株も提供される。
【0078】
さらに、本明細書に記載の標的組み込みの方法を用いて、1つ以上の外因性配列を組み込むこともできる。外因性核酸配列は、例えば、1つ以上の遺伝子もしくはcDNA分子、または任意の種類のコード配列もしくは非コード配列、ならびに1つ以上の制御エレメント(例えば、プロモーター)を含み得る。加えて、外因性核酸配列は、1つ以上のRNA分子(例えば、スモールヘアピンRNA(shRNA)、阻害性RNA(RNAi)、マイクロRNA(miRNA)等)を生成し得る。
【0079】
「切断」とは、DNA分子の共有結合骨格の切断を指す。切断は、リン酸ジエステル結合の酵素的または化学的加水分解を含むが、これらに限定されない様々な方法によって開始され得る。一本鎖切断も二本鎖切断もいずれも可能であり、二本鎖切断は、2つのはっきりと異なる一本鎖切断事象の結果として生じ得る。DNA切断は、平滑末端または付着末端のいずれかの生成をもたらし得る。ある特定の実施形態では、融合ポリペプチドは、標的化二本鎖DNA切断のために使用される。
【0080】
「配列」という用語は、任意の長さのヌクレオチド配列を指し、DNAまたはRNAであってもよく、線状、環状、または分岐状であってもよく、一本鎖または二本鎖のいずれかであってもよい。「導入遺伝子」という用語は、ゲノムに挿入されるヌクレオチド配列を指す。導入遺伝子は、任意の長さ、例えば、2~100,000,000ヌクレオチド長(またはそれらの間もしくはそれらを超える任意の整数値)、好ましくは約100~100,000ヌクレオチド長(またはそれらの間の任意の整数)、より好ましくは約2000~20,000ヌクレオチド長(またはそれらの間の任意の値)、さらにより好ましくは、5~15kb(またはそれらの間の任意の値)であり得る。
【0081】
「染色体」は、細胞のゲノムのすべてまたは一部を含むクロマチン複合体である。細胞のゲノムは、多くの場合、その核型を特徴とし、これは、この細胞のゲノムを含むすべての染色体の集合である。細胞のゲノムは、1つ以上の染色体を含み得る。
【0082】
「エピソーム」は、複製核酸、核タンパク質複合体、または細胞の染色体核型の一部ではない核酸を含む他の構造である。エピソームの例として、プラスミド、ミニサーク及び特定のウイルスゲノムが挙げられる。本明細書に記載の肝特異的構築物は、エピソーム的に維持されていても、あるいは安定して細胞内に組み込まれていてもよい。
【0083】
「外因性」分子は、通常は細胞に存在しないが、1つ以上の遺伝学的方法、生化学的方法、または他の方法によって細胞内に導入され得る分子である。「通常は細胞に存在する」かは、細胞の特定の発達段階及び環境条件に関して決定される。したがって、例えば、筋肉の胚発生中にのみ存在する分子は、成人筋肉細胞に対して外因性分子である。同様に、熱ショックによって誘導される分子は、非熱ショック細胞に対して外因性分子である。外因性分子は、例えば、機能不全の内因性分子の機能バージョンまたは正常に機能する内因性分子の機能不全バージョンを含み得る。
【0084】
外因性分子は、とりわけ、コンビナトリアルケミストリープロセスによって生成される分子等の小分子であり得るか、またはタンパク質、核酸、炭水化物、脂質、糖タンパク質、リポタンパク質、多糖類、上述の分子の任意の修飾された誘導体、もしくは上述の分子のうちの1つ以上を含む任意の複合体等の巨大分子であり得る。核酸は、DNA及びRNAを含み、一本鎖または二本鎖であり得、線状、分岐状、または環状であり得、任意の長さであり得る。核酸には、二重鎖を形成することができる核酸、ならびに三重鎖形成核酸が含まれる。例えば、米国特許第5,176,996号及び同第5,422,251号を参照のこと。タンパク質には、DNA結合タンパク質、転写因子、クロマチン再構成因子、メチル化DNA結合タンパク質、ポリメラーゼ、メチラーゼ、デメチラーゼ、アセチラーゼ、デアセチラーゼ、キナーゼ、ホスファターゼ、リガーゼ、デユビキチナーゼ、インテグラーゼ、リコンビナーゼ、リガーゼ、トポイソメラーゼ、ジャイレース、及びヘリカーゼが挙げられるが、これらに限定されない。
【0085】
外因性分子は、内因性分子と同一の種類の分子、例えば、外因性タンパク質または核酸であり得る。例えば、外因性核酸は、細胞に導入される感染ウイルスゲノム、プラスミド、もしくはエピソーム、または細胞中に通常存在しない染色体を含み得る。外因性分子を細胞に導入するための方法は、当業者に既知であり、脂質媒介導入(すなわち、中性脂質及び陽イオン性脂質を含むリポソーム)、電気穿孔、直接注入、細胞融合、粒子衝突、リン酸カルシウム共沈、DEAE-デキストラン媒介導入、及びウイルスベクター媒介導入を含むが、これらに限定されない。外因性分子は、内因性分子と同一の種類の分子でもあり得るが、細胞が由来するものとは異なる種に由来し得る。例えば、ヒト核酸配列は、本来はマウスまたはハムスターに由来する細胞株に導入され得る。外因性分子を植物細胞に導入するための方法には、当業者に既知であり、プロトプラスト形質転換、炭化ケイ素(例えば、WHISKERS(商標))、アグロバクテリウム媒介形質転換、脂質媒介導入(すなわち、中性脂質及び陽イオン性脂質を含むリポソーム)、電気穿孔、直接注入、細胞融合、粒子衝突(例えば、「遺伝子銃」を使用)、リン酸カルシウム共沈、DEAE-デキストラン媒介導入、及びウイルスベクター媒介導入が挙げられるが、これらに限定されない。
【0086】
対照的に、「内因性」分子は、特定の環境条件下で特定の発達段階にある特定の細胞に通常存在する分子である。例えば、内因性核酸は、染色体、ミトコンドリア、クロロプラスト、もしくは他の細胞小器官のゲノム、または天然に存在するエピソーム核酸を含み得る。さらなる内因性分子は、タンパク質、例えば、転写因子及び酵素を含み得る。
【0087】
本明細書で使用される場合、「外因性核酸の産物」という用語は、ポリヌクレオチド及びポリペプチド産物の両方、例えば、転写産物(RNAなどのポリヌクレオチド)及び翻訳産物(ポリペプチド)を含む。
【0088】
「融合」分子は、2つ以上のサブユニット分子が好ましくは共有結合的に結合した分子である。サブユニット分子は、同一の化学型の分子であり得るか、または異なる化学型の分子であり得る。融合分子の例には、融合タンパク質(例えば、タンパク質DNA結合ドメインと切断ドメインとの間の融合)、切断ドメインに作動可能に会合したポリヌクレオチドDNA結合ドメイン(例えば、sgRNA)間の融合、及び融合核酸(例えば、融合タンパク質をコードする核酸)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0089】
細胞における融合タンパク質の発現は、融合タンパク質の細胞への送達、または融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドの細胞への送達に起因し得、ポリヌクレオチドが転写され、転写物が翻訳されて、融合タンパク質を生成する。トランススプライシング、ポリペプチド切断、及びポリペプチド連結も、細胞におけるタンパク質の発現に関与し得る。細胞へのポリヌクレオチド及びポリペプチドを送達するための方法が本開示の他の箇所に提示されている。
【0090】
本開示の目的のために、「遺伝子」は、遺伝子産物(以下を参照のこと)をコードするDNA領域、ならびに遺伝子産物の産生を制御するすべてのDNA領域(そのような調節配列がコード配列及び/または転写配列に隣接するか否かにかかわらず)を含む。したがって、遺伝子は、プロモーター配列、ターミネーター、翻訳調節配列(リボソーム結合部位及び内部リボソーム進入部位等)、エンハンサー、サイレンサー、インシュレーター、境界エレメント、複製起点、マトリックス付着部位、及び遺伝子座制御領域を含むが、必ずしもこれらに限定されない。
【0091】
「遺伝子発現」は、遺伝子に含まれる情報の遺伝子産物への変換を指す。遺伝子産物は、遺伝子の直接転写産物(例えば、mRNA、tRNA、rRNA、アンチセンスRNA、リボザイム、構造RNA、もしくは任意の他の種類のRNA)、またはmRNAの翻訳によって産生されるタンパク質であり得る。遺伝子産物は、キャッピング、ポリアデニル化、メチル化、及び編集等のプロセスによって修飾されるRNA、ならびに例えば、メチル化、アセチル化、リン酸化、ユビキチン化、ADPリボシル化、ミリスチリル化、及びグリコシル化によって修飾されるタンパク質も含む。
【0092】
遺伝子発現の「調節」は、遺伝子の活性の変化を指す。発現の調節には、遺伝子活性化及び遺伝子抑制が含まれ得るが、これらに限定されない。ゲノム編集(例えば、切断、変更、不活性化、ランダム突然変異)を使用して発現を調節することができる。遺伝子の不活性化とは、本明細書に記載されるZFP系を含まない細胞と比較した、遺伝子の発現の何らかの低下を指す。したがって、遺伝子の不活性化は、部分的または完全であり得る。
【0093】
「目的とする領域」は、例えば、遺伝子、または遺伝子内の非コード配列もしくは遺伝子に隣接した非コード配列等の細胞クロマチンの任意の領域であり、その中で外因性分子に結合することが望ましい。結合は、標的DNA切断及び/または標的組換えの目的のためであり得る。目的とする領域は、例えば、染色体、エピソーム、小器官ゲノム(例えば、ミトコンドリア、葉緑体)、または感染ウイルスゲノムに存在し得る。目的とする領域は、遺伝子のコード領域内、転写された非コード領域(例えば、リーダー配列、トレーラー配列、もしくはイントロン等)内、またはコード領域の上流もしくは下流のいずれかの非転写領域内に存在し得る。目的とする領域は、単一のヌクレオチド対と同程度に小さいか、または最大2,000ヌクレオチド対長であり得るか、または任意の整数値のヌクレオチド対長であり得る。
【0094】
「レポーター遺伝子」または「レポーター配列」とは、日常的なアッセイにおいて必ずしも測定されないが、好ましくは容易に測定されるタンパク質産物を産生する任意の配列を指す。好適なレポーター遺伝子には、抗生物質耐性(例えば、アンピシリン耐性、ネオマイシン耐性、G418耐性、ピューロマイシン耐性)を媒介するタンパク質をコードする配列、有色または蛍光または発光タンパク質(例えば、緑色蛍光タンパク質、高感度緑色蛍光タンパク質、赤色蛍光タンパク質、ルシフェラーゼ)をコードする配列、及び強化された細胞増殖及び/または遺伝子増幅を媒介するタンパク質(例えば、ジヒドロ葉酸還元酵素)が含まれるが、これらに限定されない。エピトープ標識は、例えば、FLAG、His、myc、Tap、HA、または任意の検出可能なアミノ酸配列の1つ以上のコピーを含む。「発現標識」は、目的とする遺伝子の発現を監視するために所望の遺伝子配列に作動的に連結され得るレポーターをコードする配列を含む。
【0095】
「真核」細胞には、幹細胞(多能性(pluripotent)及び多能性(multipotent))を含む(真菌細胞(酵母等)、植物細胞、動物細胞、哺乳類細胞、及びヒト細胞(例えば、T細胞)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0096】
「作動可能な連結」及び「作動可能に連結した」(または「作動的に連結した」)という用語は、2つ以上の構成要素(配列エレメント等)の並列に関して同義に使用され、これらの構成要素は、両方の構成要素が正常に機能し、これらの構成要素のうちの少なくとも1つが他の構成要素のうちの少なくとも1つに与えられる機能を媒介し得る可能性を許容するように配置される。一例として、プロモーター等の転写調節配列は、その転写調節配列が1つ以上の転写制御因子の存在または不在に応答してコード配列の転写レベルを制御する場合にコード配列に作動可能に連結される。転写調節配列は、概して、シスでコード配列と動作可能に結合されるが、それに直接隣接する必要はない。例えば、エンハンサーは、それらが連続していない場合でも、コード配列に動作可能に結合される転写調節配列である。
【0097】
タンパク質、ポリペプチド、もしくは核酸の「機能的断片」は、その配列が、全長タンパク質、ポリペプチド、もしくは核酸と同一ではないが、全長タンパク質、ポリペプチド、もしくは核酸と同一の機能を保持する強化された機能を有するタンパク質、ポリペプチド、もしくは核酸である。機能的断片は、対応する天然分子よりも多い残基、少ない残基、もしくは対応する天然分子と同一の数の残基を有し得、かつ/または1つ以上のアミノ酸もしくはヌクレオチド置換を含み得る。核酸またはタンパク質の機能を決定するための方法(例えば、コード機能、別の核酸にハイブリダイズする能力、酵素活性アッセイ)は、当該技術分野でよく知られている。
【0098】
ポリブクレオチド「ベクター」または「構築物」は、遺伝子配列を標的細胞に導入することができる。典型的には、「ベクター構築物」、「発現ベクター」、「発現構築物」「発現カセット」及び「遺伝子導入ベクター」は、目的とする遺伝子の発現を指向することができ、かつ遺伝子配列を標的細胞に導入し得る任意の核酸構築物を意味する。したがって、この用語は、クローニング、及び発現ベヒクル、ならびに組み込みベクターを包含する。
【0099】
「対象」及び「患者」という用語は、同義に使用され、ヒト患者及び非ヒト霊長類などの哺乳動物、ならびにウサギ、イヌ、ネコ、ラット、マウス及び他の動物などの実験動物を指す。したがって、本明細書で使用される「対象」または「患者」という用語は、本発明の発現カセットを投与することができる任意の哺乳類の患者または対象を意味する。本発明の対象には、障害を有するものが含まれる。
【0100】
本明細書で使用される「治療する」及び「治療」という用語は、症状の重症度及び/または頻度の低下、症状及び/または基礎的原因の排除、症状及び/またはその基礎的原因の発生の予防、ならびに損傷の改善または改善を指す。がん、単原性疾患及び移植片対宿主病は、本明細書に記載の組成物及び方法を使用して処置され得る条件の非限定的な例である。
【0101】
「標的部位」または「標的配列」は、結合するのに十分な条件が存在する場合、結合分子が結合する核酸の一部を定義する核酸配列である。例えば、配列5’-GAATTC-3’は、Eco RI制限エンドヌクレアーゼの標的部位である。「意図された」または「オンターゲット」配列は、結合分子が結合されることを意図する配列であり、「意図されない」または「オフターゲット」配列は、意図された標的ではない結合分子によって結合された任意の配列を含む。
【0102】
本明細書で使用する場合、「ヌクレアーゼ」という用語は、DNA切断のための触媒活性を有する酵素を指す。所望の認識部位にニックまたは二本鎖切断を誘導する任意のヌクレアーゼ剤を、本明細書に開示する方法及び組成物において使用することができる。天然またはネイティブのヌクレアーゼ剤を、そのヌクレアーゼ剤が所望の認識部位にニックまたは二本鎖切断を誘導する限り、使用することができる。あるいは、改変された、または操作されたヌクレアーゼ剤を使用することができる。「操作されたヌクレアーゼ剤」は、所望の認識部位においてニックまたは二本鎖の切断を特異的に認識及び誘導するように、その天然形態から操作(改変または誘導)されたヌクレアーゼを含む。したがって、改変されたヌクレアーゼ剤は、ネイティブの天然ヌクレアーゼ剤であるか、または人工的に作成もしくは合成することができる。ヌクレアーゼ剤の改変は、タンパク質切断剤中のわずか1個のアミノ酸または核酸切断剤中のわずか1個のヌクレオチドとすることができる。いくつかの態様では、操作されたヌクレアーゼは、認識部位にニックまたは二本鎖の切断を引き起こし、認識部位は、ネイティブの(操作されていない、または改変されていない)ヌクレアーゼ剤によって認識されたであろう配列ではない。認識部位または他のDNAにニックまたは二本鎖の切断を生じさせることは、本明細書では、認識部位または他のDNAを「切断(cutting)」または「切断(cleaving)」することを指し得る。
【0103】
本明細書に使用される「相補体」または「相補的な」とは、核酸分子のヌクレオチドまたはヌクレオチド類似体の間の、Watson-Crick(例えば、A-T/U及びC-G)またはHoogsteenの塩基対を指す。「相補的な」とは、2つの核酸配列の間で共有される特性を指し、それらが互いに逆平行に整列した場合、各位置のヌクレオチド塩基は相補的となる。
【0104】
III.ジンクフィンガーヌクレアーゼ
本開示は、CIITA遺伝子を切断するジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)に関し、ZFNは、CIITA遺伝子内の配列に結合するジンクフィンガーDNA結合ドメイン、及び切断ドメインを含む。CIITA遺伝子を切断するジンクフィンガーヌクレアーゼを使用して、CIITA遺伝子を発現しないか、または発現が低下した細胞を生成することができる。いくつかの態様では、ZFNは他のZFNと対を形成して、CIITA遺伝子内の部位を切断することができる。
【0105】
非DNA結合性タンパク質であるCIITA(II型トランス活性化因子)として知られるタンパク質は、MHCクラスII発現のマスター制御因子の働きをする。他のエンハンセオソームメンバーとは対照的に、CIITAは、組織特異的発現を示し、IFN-γによってアップレギュレーションされ、MHCクラスII発現のダウンレギュレーションを引き起こし得るいくつかの細菌及びウイルスによって阻害されることが示されている(これは、細菌の免疫監視を回避するための試みの一部であると考えられる(LeibundGut-Landmann et al(2004))Eur.J.Immunol34:1513-1525を参照))。CIITAタンパク質は、核内に位置し、MHCクラスII遺伝子の発現に対するマスターレギュレーターとして作用する。MHCクラスIIタンパク質は、いくつかの種類の免疫細胞の表面に見られ、外来侵入物に対する体の免疫応答に重要な役割を果たす。したがって、理論に縛られることを望むものではないが、CIITA遺伝子機能のノックダウンまたはノックアウトは、宿主による拒絶を最小限に抑えることによって、同種異系細胞療法の有効性を向上させることができる。
【0106】
ヒトでは、CIITAタンパク質は、染色体16上に位置するCIITA遺伝子(ジェンバンク登録番号NC_000016.10のヌクレオチド10,866,208~10,941,562)によりコードされる。CIITA遺伝子は、16番染色体の短腕上の59191bpに及び、20個のエクソンを包含する(図1)。CIITA遺伝子の同義語及びそのコードされたタンパク質は公知であり、「C2TA」、「NLRA」、「MHC2TA」、「CIITAIV」、「MHCII型トランス活性化因子」、「ヌクレオチド結合オリゴマー化ドメイン、ロイシンリッチリピート及び酸ドメイン含有」、「NLRファミリー、酸ドメイン含有」、「クラスII、主要適合組織複合体、トランス活性化因子」、「MHCII型トランス活性化因子タイプIII」、「MHCII型トランス活性化因子タイプI」、「EC2.7.11.1」及び「EC2.3.1」が挙げられる。CIITA遺伝子は、選択的スプライシング由来の4つのアイソフォームを有し得る。アイソフォーム1は、第1表に示される、正準配列と見なされる1130アミノ酸タンパク質をコードする。
【表1】
【0107】
いくつかの態様では、ジンクフィンガーヌクレアーゼは、CIITA遺伝子内の1つ以上の部位を標的とすることができる。いくつかの態様では、CIITA遺伝子においてDNA配列を切断するジンクフィンガーヌクレアーゼは、アミノ酸26とアミノ酸32との間であり、例えば、配列番号1に対応するアミノ酸28及び29である。いくつかの態様では、CIITA遺伝子においてDNA配列を切断するジンクフィンガーヌクレアーゼは、アミノ酸457とアミノ酸465との間であり、例えば、配列番号1に対応するアミノ酸461及び462である。
【0108】
いくつかの態様では、本開示のZFNは、配列番号5(MDYKDHDGDYKDHDIDYKDDDDKMAPKKKRKVGIHGVPAAMGQLVKSELEEKKSELRHKLKYVPHEYIELIEIARNSTQDRILEMKVMEFFMKVYGYRGKHLGGSRKPDGAIYTVGSPIDYGVIVDTKAYSGGYNLPIGQADEMERYVEENQTRDKHLNPNEWWKVYPSSVTEFKFLFVSGHFKGNYKAQLTRLNHITNCNGAVLSVEELLIGGEMIKAGTLTLEEVRRKFNNGEINFSGAQGSTLDFRPFQCRICMRNFSRPYTLRLHIRTHTGEKPFACDICGRKFARSANLTRHTKIHTGSQKPFQCRICMRNFSRSDALSTHIRTHTGEKPFACDICGRKFADRSTRTKHTKIHTGEKPFQCRICMRKFADRSTRTKHTKIHLRQKD)に対して少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または約100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0109】
いくつかの態様では、本開示のZFNは、配列番号6(MDYKDHDGDYKDHDIDYKDDDDKMAPKKKRKVGIHGVPAAMAERPFQCRICMQNFSRSDVLSAHIRTHTGEKPFACDICGKKFADRSNRIKHTKIHTGSQKPFQCRICMQNFSDRSHLTRHIRTHTGEKPFACDICGRKFALKQHLTRHTKIHTGEKPFQCRICMQNFSQSGNLARHIRTHTGEKPFACDICGRKFAQSTPRTTHTKIHLRGSQLVKSELEEKKSELRHKLKYVPHEYIELIEIARNSTQDRILEMKVMEFFMKVYGYRGKHLGGSRKPDGAIYTVGSPIDYGVIVDTKAYSGGYNLPIGQADEMQRYVKENQTRNKHINPNEWWKVYPSSVTEFKFLFVSGHFKGNYKAQLTRLNRKTNCNGAVLSVEELLIGGEMIKAGTLTLEEVRRKFNNGEINF)に対して少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または約100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0110】
いくつかの態様では、本開示のZFN対は、配列番号5(MDYKDHDGDYKDHDIDYKDDDDKMAPKKKRKVGIHGVPAAMGQLVKSELEEKKSELRHKLKYVPHEYIELIEIARNSTQDRILEMKVMEFFMKVYGYRGKHLGGSRKPDGAIYTVGSPIDYGVIVDTKAYSGGYNLPIGQADEMERYVEENQTRDKHLNPNEWWKVYPSSVTEFKFLFVSGHFKGNYKAQLTRLNHITNCNGAVLSVEELLIGGEMIKAGTLTLEEVRRKFNNGEINFSGAQGSTLDFRPFQCRICMRNFSRPYTLRLHIRTHTGEKPFACDICGRKFARSANLTRHTKIHTGSQKPFQCRICMRNFSRSDALSTHIRTHTGEKPFACDICGRKFADRSTRTKHTKIHTGEKPFQCRICMRKFADRSTRTKHTKIHLRQKD)に対して少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または約100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む第1のZFN、及び、配列番号6(MDYKDHDGDYKDHDIDYKDDDDKMAPKKKRKVGIHGVPAAMAERPFQCRICMQNFSRSDVLSAHIRTHTGEKPFACDICGKKFADRSNRIKHTKIHTGSQKPFQCRICMQNFSDRSHLTRHIRTHTGEKPFACDICGRKFALKQHLTRHTKIHTGEKPFQCRICMQNFSQSGNLARHIRTHTGEKPFACDICGRKFAQSTPRTTHTKIHLRGSQLVKSELEEKKSELRHKLKYVPHEYIELIEIARNSTQDRILEMKVMEFFMKVYGYRGKHLGGSRKPDGAIYTVGSPIDYGVIVDTKAYSGGYNLPIGQADEMQRYVKENQTRNKHINPNEWWKVYPSSVTEFKFLFVSGHFKGNYKAQLTRLNRKTNCNGAVLSVEELLIGGEMIKAGTLTLEEVRRKFNNGEINF)に対して少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または約100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む第2のZFNを含む。
【0111】
いくつかの態様では、本開示のZFNは、配列番号7(MDYKDHDGDYKDHDIDYKDDDDKMAPKKKRKVGIHGVPAAMGQLVKSELEEKKSELRHKLKYVPHEYIELIEIARNSTQDRILEMKVMEFFMKVYGYRGKHLGGSRKPDGAIYTVGSPIDYGVIVDTKAYSGGYNLPIGQADEMERYVEENQTRDKHLNPNEWWKVYPSSVTEFKFLFVSGHFKGNYKAQLTRLNHITNCNGAVLSVEELLIGGEMIKAGTLTLEEVRRKFNNGEINFSGTPHEVGVYTLRPFQCRICMRNFSRSDHLSRHIRTHTGEKPFACDICGRKFADSSDRKKHTKIHTGEKPFQCRICMRNFSRSDTLSEHIRTHTGEKPFACDICGRKFAQSGDLTRHTKIHTHPRAPIPKPFQCRICMRNFSQSSDLSRHIRTHTGEKPFACDICGRKFAYKWTLRNHTKIHLRQKD)、または、配列番号54(MDYKDHDGDYKDHDIDYKDDDDKMAPKKKRKVGIHGVPAAMGQLVKSELEEKKSELRHKLKYVPHEYIELIEIARNSTQDRILEMKVMEFFMKVYGYRGKHLGGSRKPDGAIYTVGSPIDYGVIVDTKAYSGGYNLPIGQADEMERYVEENQTRDKHLNPNEWWKVYPSSVTEFKFLFVSGHFSGNYKAQLTRLNHITNCNGAVLSVEELLIGGEMIKAGTLTLEEVRRKFNNGEINFSGTPHEVGVYTLRPFQCRICMRNFSRSDHLSRHIRTHTGEKPFACDICGRKFADSSDRKKHTKIHTGEKPFQCRICMRNFSRSDTLSEHIRTHTGEKPFACDICGRKFAQSGDLTRHTKIHTHPRAPIPKPFQCRICMRNFSQSSDLSRHIRTHTGEKPFACDICGRKFAYKWTLRNHTKIHLRQKD)に対して少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または約100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0112】
いくつかの態様では、本開示のZFNは、配列番号8(MDYKDHDGDYKDHDIDYKDDDDKMAPKKKRKVGIHGVPAAMGQLVKSELEEKKSELRHKLKYVPHEYIELIEIARNSTQDRILEMKVMEFFMKVYGYRGKHLGGSRKPDGAIYTVGSPIDYGVIVDTKAYSGGYNLPIGQADEMQRYVKENQTRNKHINPNEWWKVYPSSVTEFKFLFVSGHFKGNYKAQLTRLNRKTNCNGAVLSVEELLIGGEMIKAGTLTLEEVRRKFNNGEINFSGTPHEVGVYTLRPFQCRICMRNFSSNQNLTTHIRTHTGEKPFACDICGRKFADRSHLARHTKIHTGEKPFQCRICMQKFAQSGDLTRHTKIHTGEKPFQCRICMQNFSWKHDLTNHIRTHTGEKPFACDICGRKFATSGNLTRHTKIHLRQKD)、または、配列番号56(QLVKSELEEKKSELRHKLKYVPHEYIELIEIARNSTQDRILEMKVMEFFMKVYGYRGKHLGGSRKPDGAIYTVGSPIDYGVIVDTKAYSGGYNLPTGQADEMQRYVKENQTRNKHINPNEWWKVYPSSVTEFKFLFVSGHFKGNYKAQLTRLNRKTNCNGAVLSVEELLIGGEMIKAGTLTLEEVRRKFNNGEINFSGTPHEVGVYTLRPFQCRICMRNFSSNQNLTTHIRTHTGEKPFACDICGRKFADRSHLARHTKIHTGEKPFQCRICMQKFAQSGDLTRHTKIHTGEKPFQCRICMQNFSWKHDLTNHIRTHTGEKPFACDICGRKFATSGNLTRHTKIHLRQKD)に対して少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または約100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0113】
いくつかの態様では、本開示のZFN対は、配列番号7(MDYKDHDGDYKDHDIDYKDDDDKMAPKKKRKVGIHGVPAAMGQLVKSELEEKKSELRHKLKYVPHEYIELIEIARNSTQDRILEMKVMEFFMKVYGYRGKHLGGSRKPDGAIYTVGSPIDYGVIVDTKAYSGGYNLPIGQADEMERYVEENQTRDKHLNPNEWWKVYPSSVTEFKFLFVSGHFKGNYKAQLTRLNHITNCNGAVLSVEELLIGGEMIKAGTLTLEEVRRKFNNGEINFSGTPHEVGVYTLRPFQCRICMRNFSRSDHLSRHIRTHTGEKPFACDICGRKFADSSDRKKHTKIHTGEKPFQCRICMRNFSRSDTLSEHIRTHTGEKPFACDICGRKFAQSGDLTRHTKIHTHPRAPIPKPFQCRICMRNFSQSSDLSRHIRTHTGEKPFACDICGRKFAYKWTLRNHTKIHLRQKD)に対して少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または約100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む第1のZFN、及び、
【0114】
配列番号8(MDYKDHDGDYKDHDIDYKDDDDKMAPKKKRKVGIHGVPAAMGQLVKSELEEKKSELRHKLKYVPHEYIELIEIARNSTQDRILEMKVMEFFMKVYGYRGKHLGGSRKPDGAIYTVGSPIDYGVIVDTKAYSGGYNLPIGQADEMQRYVKENQTRNKHINPNEWWKVYPSSVTEFKFLFVSGHFKGNYKAQLTRLNRKTNCNGAVLSVEELLIGGEMIKAGTLTLEEVRRKFNNGEINFSGTPHEVGVYTLRPFQCRICMRNFSSNQNLTTHIRTHTGEKPFACDICGRKFADRSHLARHTKIHTGEKPFQCRICMQKFAQSGDLTRHTKIHTGEKPFQCRICMQNFSWKHDLTNHIRTHTGEKPFACDICGRKFATSGNLTRHTKIHLRQKD)に対して少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または約100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む第2のZFNを含む。いくつかの態様では、本開示のZFN対は、配列番号54(MDYKDHDGDYKDHDIDYKDDDDKMAPKKKRKVGIHGVPAAMGQLVKSELEEKKSELRHKLKYVPHEYIELIEIARNSTQDRILEMKVMEFFMKVYGYRGKHLGGSRKPDGAIYTVGSPIDYGVIVDTKAYSGGYNLPIGQADEMERYVEENQTRDKHLNPNEWWKVYPSSVTEFKFLFVSGHFSGNYKAQLTRLNHITNCNGAVLSVEELLIGGEMIKAGTLTLEEVRRKFNNGEINFSGTPHEVGVYTLRPFQCRICMRNFSRSDHLSRHIRTHTGEKPFACDICGRKFADSSDRKKHTKIHTGEKPFQCRICMRNFSRSDTLSEHIRTHTGEKPFACDICGRKFAQSGDLTRHTKIHTHPRAPIPKPFQCRICMRNFSQSSDLSRHIRTHTGEKPFACDICGRKFAYKWTLRNHTKIHLRQKD)に対して少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または約100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む第1のZFN、及び、配列番号56(QLVKSELEEKKSELRHKLKYVPHEYIELIEIARNSTQDRILEMKVMEFFMKVYGYRGKHLGGSRKPDGAIYTVGSPIDYGVIVDTKAYSGGYNLPTGQADEMQRYVKENQTRNKHINPNEWWKVYPSSVTEFKFLFVSGHFKGNYKAQLTRLNRKTNCNGAVLSVEELLIGGEMIKAGTLTLEEVRRKFNNGEINFSGTPHEVGVYTLRPFQCRICMRNFSSNQNLTTHIRTHTGEKPFACDICGRKFADRSHLARHTKIHTGEKPFQCRICMQKFAQSGDLTRHTKIHTGEKPFQCRICMQNFSWKHDLTNHIRTHTGEKPFACDICGRKFATSGNLTRHTKIHLRQKD)に対して少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または約100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む第2のZFNを含む。いくつかの態様では、第1のZFN及び前記第2のZFNは連結している。いくつかの態様では、第1のZFNと第2のZFNとの間の結合はペプチドリンカーである。いくつかの態様では、第1のZFNと第2のZFNとの間の結合は切断可能なリンカーである。いくつかの態様では、リンカーは、P2Aリンカー、T2Aリンカー、またはそれらの任意の組み合わせを含む。
【0115】
IIIA.ジンクフィンガーDNA結合ドメイン
CIITA遺伝子中のDNA配列に特異的に結合するDNA結合ドメイン、及びそれをコードするポリヌクレオチドが本明細書に記載される。いくつかの態様では、DNA結合ドメインは、5個以上のジンクフィンガーを含む。操作されたジンクフィンガー結合ドメインは、天然に存在するジンクフィンガータンパク質と比較して、新規の結合特異性を有し得る。
【0116】
いくつかの態様では、ジンクフィンガーは、アミノ酸26とアミノ酸30との間、例えば、配列番号1に対応するアミノ酸28及びアミノ酸29のCIITA遺伝子を切断することができる。いくつかの態様では、ジンクフィンガーヌクレアーゼは、アミノ酸457とアミノ酸465との間、例えば、配列番号1に対応するアミノ酸461及びアミノ酸462のCIITA遺伝子を切断することができる。
【0117】
いくつかの態様では、DNA結合ドメインは、GCCACCATGGAGTTG(配列番号9)に結合することができる。いくつかの態様では、GCCACCATGGAGTTG(配列番号9)に結合するDNA結合ドメインは、配列番号10[RPYTLRL]を含むか、またはこれからなるジンクフィンガー1(F1)、配列番号11[RSANLTR]を含むか、またはこれからなるジンクフィンガー2(F2)、配列番号12[RSDALST]を含むか、またはこれからなるジンクフィンガー3(F3)、配列番号13[DRSTRTK]を含むか、またはこれからなるジンクフィンガー4(F4)、及び配列番号14[DRSTRTK]を含むか、またはこれからなるジンクフィンガー5(F5)の5個のジンクフィンガーを有する。
【0118】
いくつかの態様では、DNA結合ドメインは、CTAGAAGGTGGCTACCTG(配列番号15)に結合することができる。いくつかの態様では、CTAGAAGGTGGCTACCTG(配列番号15)に結合するDNA結合ドメインは、配列番号16[RSDVLSA]を含むか、またはこれからなるF1、配列番号17[DRSNRIK]を含むか、またはこれからなるF2、配列番号18[DRSHLTR]を含むか、またはこれからなるF3、配列番号19[LKQHLTR]を含むか、またはこれからなるF4、配列番号20[QSGNLAR]を含むか、またはこれからなるF5、及び配列番号21[QSTPRTT]を含むか、またはこれからなるF6の6個のジンクフィンガーを含む。
【0119】
いくつかの態様では、DNA結合ドメインは、ATTGCT及び/またはGAACCGTCCGGG(配列番号38)に結合することができる。いくつかの態様では、ATTGCT及び/またはGAACCGTCCGGG(配列番号38)に結合するDNA結合ドメインは、配列番号23[RSDHLSR]を含むF1、配列番号24[DSSDRKK]を含むF2、配列番号25[RSDTLSE]を含むF3、配列番号26[QSGDLTR]を含むF4、配列番号27[QSSDLSR]を含むF5、及び配列番号28[YKWTLRN]を含むF6の6個のジンクフィンガーを有する。
【0120】
いくつかの態様において、DNA結合ドメインは、GATCCTGCAGGCCAT(配列番号29)に結合し得る。いくつかの態様では、GATCCTGCAGGCCAT(配列番号29)に結合するDNA結合ドメインは、配列番号30[SNQNLTT]を含むF1、配列番号31[DRSHLAR]を含むF2、配列番号32[QSGDLTR]を含むF3、配列番号33[WKHDLTN]を含むF4、及び配列番号34[TSGNLTR]を含むF5の5個のジンクフィンガーを有する。
【0121】
いくつかの態様では、ジンクフィンガーヌクレアーゼ対は、CIITA遺伝子内のDNA配列を切断する。いくつかの態様では、ジンクフィンガー対は、アミノ酸26とアミノ酸30との間、例えば、配列番号1に対応するアミノ酸28とアミノ酸29でCIITA遺伝子を切断することができる。いくつかの態様では、ジンクフィンガーヌクレアーゼ対は、配列番号10[RPYTLRL]を含むか、またはこれからなるフィンガー1(F1)、配列番号11[RSANLTR]を含むか、またはこれからなるフィンガー2(F2)、配列番号12[RSDALST]を含むか、またはこれからなるフィンガー3(F3)、配列番号13[DRSTRTK]を含むか、またはこれからなるフィンガー4(F4)、及び配列番号14[DRSTRTK]を含むか、またはこれからなるフィンガー5(F5)を含む第1のジンクフィンガーヌクレアーゼ、及び、配列番号16[RSDVLSA]を含むか、またはこれからなるF1、配列番号17[DRSNRIK]を含むか、またはこれからなるF2、配列番号18[DRSHLTR]を含むか、またはこれからなるF3、配列番号19[LKQHLTR]を含むか、またはこれからなるF4、配列番号20[QSGNLAR]を含むか、またはこれからなるF5、及び配列番号21[QSTPRTT]を含むか、またはこれからなるF6を含む第2のジンクフィンガーヌクレアーゼを含む。
【0122】
いくつかの態様では、ジンクフィンガー対は、アミノ酸457とアミノ酸465との間、例えば、配列番号1に対応するアミノ酸461とアミノ酸462でCIITA遺伝子を切断する。いくつかの態様では、ジンクフィンガーヌクレアーゼ対は、配列番号23[RSDHLSR]を含むF1、配列番号24[DSSDRKK]を含むF2、配列番号25[RSDTLSE]を含むF3、配列番号26[QSGDLTR]を含むF4、配列番号27[QSSDLSR]を含むF5、及び配列番号28[YKWTLRN]を含むF6を含む第1のジンクフィンガーヌクレアーゼ、及び、配列番号30[SNQNLTT]を含むF1、配列番号31[DRSHLAR]を含むF2、配列番号32[QSGDLTR]を含むF3、配列番号33[WKHDLTN]を含むF4、及び配列番号34[TSGNLTR]を含むF5を含む第2のジンクフィンガーヌクレアーゼを含む。
【0123】
ZFNの非限定的な例を表2に示す。
【表2】
【0124】
操作方法には、合理的設計及び様々な種類の選択が含まれるが、これらに限定されない。合理的設計には、例えば、三重項(または四重項)ヌクレオチド配列及び個々のジンクフィンガーアミノ酸配列を含むデータベースの使用が含まれ、各三重項または四重項ヌクレオチド配列は、特定の三重項または四重項配列に結合するジンクフィンガーの1つ以上のアミノ酸配列と会合している。例えば、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる、共同所有の米国特許第6,453,242号及び同第6,534,261号を参照されたい。
【0125】
ファージディスプレイ及び2ハイブリッド系を含む例示的な選択方法は、米国特許第5,789,538号、同第5,925,523号、同第6,007,988号、同第6,013,453号、同第6,410,248号、同第6,140,466号、同第6,200,759号、及び同第6,242,568号、ならびにWO98/37186、WO98/53057、WO00/27878、WO01/88197、及びGB2,338,237に開示されている。加えて、ジンクフィンガー結合ドメインに対する結合特異性の増強は、例えば、共同所有のWO02/077227に記載されている。
【0126】
いくつかの態様では、ジンクフィンガードメイン及び/またはマルチフィンガージンクフィンガータンパク質は、例えば、5アミノ酸長以上のリンカーを含む任意の好適なリンカー配列を用いてともに連結することができる。6アミノ酸長以上の例示的なリンカー配列については、米国特許第6,479,626号、同第6,903,185号、及び同第7,153,949号も参照されたい。本明細書に記載のタンパク質は、タンパク質の個々のジンクフィンガー間の好適なリンカーの任意の組み合わせを含むことができる。加えて、ジンクフィンガー結合ドメインに対する結合特異性の増強は、例えば、共同所有のWO02/077227に記載されている。
【0127】
あるいは、DNA結合ドメインは、ヌクレアーゼ由来であり得る。例えば、ホーミングエンドヌクレアーゼ及びメガヌクレアーゼの認識配列として、I-SceI,I-CeuI,PI-PspI,PI-Sce,I-SceIV,I-CsmI,I-PanI,I-SceII,I-PpoI,I-SceIII,I-CreI,I-TevI,I-TevII及びI-TevIIIなどが知られている。米国特許第5,420,032号、米国特許第6,833,252号、Belfort et al.(1997)Nucleic Acids Res.25:3379-3388;Dujon et al.(1989)Gene 82:115-118;Perler et al.(1994)Nucleic Acids Res.22,1125-1127;Jasin(1996)Trends Genet.12:224-228;Gimble et al.(1996)J.Mol.Biol.263:163-180;Argast et al.(1998)J.Mol.Biol.280:345-353及びthe New England Biolabs catalogueも参照されたい。加えて、ホーミングエンドヌクレアーゼ及びメガヌクレアーゼのDNA結合特異性は、非天然標的部位に結合するように操作され得る。例えば、Chevalier et al.(2002)Molec.Cell10:895-905;Epinat et al.(2003)Nucleic Acids Res.31:2952-2962;Ashworth et al. (2006)Nature441:656-659;Paques et al.(2007)Current Gene Therapy 7:49-66;米国特許公開第20070117128号を参照されたい。
【0128】
IIIB.切断ドメイン
さらに、DNA結合ドメインをヌクレアーゼ切断ドメインに融合させてZFNを作成しており、これは、その操作されたZFPDNA結合ドメインを介してその目的とする核酸標的を認識し、かつヌクレアーゼ活性を介してDNA結合部位付近でのDNAの切断を引き起こすことができる機能的実体である。例えば、Kim et al.(1996)Proc Nat’l Acad Sci USA93(3):1156-1160を参照されたい。したがって、いくつかの態様では、ジンクフィンガーヌクレアーゼは、切断(ヌクレアーゼ)ドメイン(例えば、FokI切断ドメイン)をさらに含む。近年では、そのようなヌクレアーゼは、様々な生物におけるゲノム改変に使用されている。例えば、米国特許公開第20030232410号、同第20050208489号、同第20050026157号、同第20050064474号、同第20060188987号、同第20060063231号、及び国際公開第WO07/014275号を参照されたい。
【0129】
いくつかの態様において、遺伝子改変は、ヌクレアーゼ、例えば、操作されたヌクレアーゼを用いて達成することができる。操作されたヌクレアーゼ技術は、天然に存在するDNA結合タンパク質の操作に基づいている。例えば、適合されたDNA結合特異性を有するホーミングエンドヌクレアーゼの操作が記載されている。Chames et al.(2005)Nucleic Acids Res33(20):e178;Arnould et al.(2006)J.Mol.Biol.355:443-458。さらに、ZFPの操作も記載されている。米国特許第6,534,261号、同第6,607,882号、同第6,824,978号、同第6,979,539号、同第6,933,113号、同第7,163,824号、及び同第7,013,219号を参照されたい。
【0130】
加えて、これら及び他の参考文献に開示されるように、ジンクフィンガードメイン、及びジンクフィンガータンパク質は、例えば、5アミノ酸長以上のリンカーを含む任意の好適なリンカー配列を用いてともに連結され得る。6アミノ酸長以上の例示的なリンカー配列については、例えば、米国特許第6,479,626号、同第6,903,185号、及び同第7,153,949号を参照されたい。本明細書に記載のタンパク質は、タンパク質の個々のジンクフィンガー間の好適なリンカーの任意の組み合わせを含み得る。米国特許8,772,453号も参照されたい。
【0131】
いくつかの態様では、切断ドメインは、切断活性についての二量体化を必要とする任意のヌクレアーゼまたはその機能的断片に由来し得る。いくつかの態様では、切断ドメイン二量体は、ホモ二量体またはヘテロ二量体(例えば、同じまたは異なるエンドヌクレアーゼに由来するもの、または差次的に改変されたエンドヌクレアーゼ)であり得る。
【0132】
制限エンドヌクレアーゼ(制限酵素)は、多くの種に存在し、DNAに配列特異的に結合し(例えば、認識部位で)、かつ結合部位でまたはその付近でDNAを切断することができる。ある制限酵素(例えば、IIS型)は、認識部位から除去された部位でDNAを切断し、分離可能な結合及び切断ドメインを有する。例えば、IIS型酵素FokIは、一方の鎖上のその認識部位から9個目のヌクレオチド及び他方の鎖上のその認識部位から13個目のヌクレオチドでDNAの二本鎖切断を触媒する。例えば、米国特許第5,356,802号、同第5,436,150号、及び同第5,487,994号、ならびにLi et al.(1992)Proc.Natl.Acad.Sci.USA89:4275-4279、Li et al.(1993)Proc.Natl.Acad.Sci.USA90:2764-2768、Kim et al.(1994a)Proc.Natl.Acad.Sci.USA91:883-887、Kim et al.(1994b)J.Biol.Chem.269:31,978-31,982を参照されたい。いくつかの態様では、融合タンパク質(例えば、本明細書に開示のZFN)は、少なくとも1つのIIS型制限酵素由来の切断ドメイン(または切断ハーフドメイン)及び1つ以上のジンクフィンガー結合ドメイン(操作され得るか否かに関わらず)を含む。
【0133】
その切断ドメインが結合ドメインから分離可能である例示的なIIS型制限酵素は、FokIである。この特定の酵素は、二量体として活性である。Bitinaite et al.(1998)Proc.Natl.Acad.Sci.USA95:10,570-10,575。したがって、ジンクフィンガーFokI融合を使用した細胞配列の標的化された二本鎖切断及び/または標的化された置換のために、それぞれFokI切断ドメイン(例えば、モノマー)を含む2つの融合タンパク質を使用して、(例えば、ホモまたはヘテロ二量体の形成によって)触媒活性の切断ドメインを再構成することができる。いくつかの態様では、ジンクフィンガー結合ドメインと2つのFokI切断ダイマーとを含む単一のポリペプチド分子を使用することもできる。本明細書では、ジンクフィンガーFokI融合を使用した、標的化された切断及び標的化された配列変更のためのパラメータが提供される。
【0134】
いくつかの態様では、切断ドメインは、切断活性を保持するか、または機能切断ドメインを形成するために多量体化(例えば、二量体化)する能力を保持するタンパク質の任意の部分であり得る。
【0135】
例示のIIS型制限酵素は、その全体が本明細書に組み込まれる国際公開第WO07/014275号に記載されている。さらなる制限酵素も分離可能な結合ドメイン及び切断ドメインを含み、これらは、本開示によって企図される。例えば、Roberts et al.(2003)Nucleic Acids Res.31:418-420を参照されたい。
【0136】
いくつかの態様では、切断ドメインは、FokIエンドヌクレアーゼ由来の切断ドメインを含む。全長FokIタンパク質配列を表3に示す。
【表3】
【0137】
いくつかの態様では、FokIに由来する切断ドメインは、野生型FokIタンパク質とは異なる1つ以上のアミノ酸を含む。いくつかの態様では、切断ドメインは、表4中の配列を含む。
【表4】
【0138】
いくつかの態様にでは、本開示に有用なFokIタンパク質は、野生型とは異なるアミノ酸、(1つ以上のアミノ酸残基の)挿入及び/または(1つ以上のアミノ酸残基の)欠失を含む。いくつかの態様では、残基414~426、443~450、467~488、501~502及び/または521~531(上記の全長の配列に対して番号付けされている)の1つ以上は、これらの残基は、Miller et al.((2007)Nat Biotechnol25:778-784)に記載されたその標的部位に結合されたZFNの分子モデルのDNA骨格に位置しているため、野生型配列とは異なる。いくつかの態様では、位置416、422、447、448及び/または525の1つ以上の残基は、対応する野生型配列とは異なる。いくつかの態様では、本開示に有用なFokIタンパク質は、対応する野生型残基とは異なる1つ以上のアミノ酸、例えば、アラニン(A)残基、システイン(C)残基、アスパラギン酸(D)残基、グルタミン酸(E)残基、ヒスチジン(H)残基、フェニルアラニン(F)残基、グリシン(G)残基、アスパラギン(N)残基、セリン(S)残基、またはトレオニン(T)残基を含む。いくつかの態様では、位置416、418、422、446、448、476、479、480、481、525、527及び/または531の1つ以上にある野生型残基は、R416E、R416F、R416N、S418D、S418E、R422H、N476D、N476E、N476G、N476T、I479T、I479Q、Q481A、Q481D、Q481E、Q481H、K525A、K525S、K525T、K525V、N527D及び/またはQ531Rを含むが、これらに限定されない他の残基のいずれかで置換される。いくつかの態様では、配列番号35の位置525での野生型残基リジン(K)は、セリン(S)残基で置き換えられる。いくつかの態様では、配列番号35の位置479での野生型残基イソロイシン(I)は、トレオニン(T)残基で置き換えられる。
【0139】
いくつかの態様では、切断ドメインは、例えば、米国特許第7,914,796、同第8,034,598号及び同第8,623,618号、ならびに米国特許出願20110201055号(これらの開示はすべて、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に記載されているように、ホモ二量体化を最小限に抑えるかまたは防止する1つ以上の操作された二量体(二量体化ドメイン変異体とも称される)を含む。FokI(全長のFokI配列に対して番号付けされる)の位置446,447,479,483,484,486,487,490,491,496,498,499,500,531,534,537,及び538のアミノ酸残基は全て、FokI切断ドメインの二量体化に影響する標的である。突然変異は、FokIと相同な天然の制限酵素で見られる残基への突然変異を含んでよい。いくつかの態様では、位置416、422、447、448及び/または525における突然変異は、正に荷電されたアミノ酸を非荷電または負に荷電されたアミノ酸と交換することを含む。いくつかの態様では、操作された切断ドメインは、1つ以上のアミノ酸残基416、422、447、448または525の突然変異に加えて、アミノ酸残基499、496及び486の突然変異を含む。
【0140】
いくつかの態様では、本明細書に記載される組成物は、例えば、米国特許第7,914,796号、同第8,034,598号、同第8,961,281及び同第8,623,618号、米国特許公開第20080131962号及び同第20120040398号に記載されるように偏性ヘテロ二量体を形成するFokIの操作された切断ドメインを含む。したがって、いくつかの態様では、本開示は融合タンパクを提供し、操作された切断ドメインは、位置416、422、447、448または525(本明細書に示されている野生型FokIに対して相対的に番号付けされている)での1つ以上の突然変異に加えて、位置486の野生型Gln(Q)残基がGlu(E)残基で置換され、位置499の野生型Ile(I)残基がLeu(L)残基で置換され、位置496の野生型Asn(N)残基がAsp(D)残基またはGlu(E)残基(「ELD」または「ELE」)で置換されるポリペプチドを含む。
【0141】
いくつかの態様では、操作された切断ドメインは、野生型FokI切断ドメインに由来し、アミノ酸残基416、422、447、448または525での1つ以上の突然変異に加えて、野生型FokIに対して番号が付されているアミノ酸残基490、538及び537での突然変異を含む。いくつかの態様では、本開示は、融合タンパク質を提供し、操作された切断ドメインは、416、422、447、448または525での1つ以上の突然変異に加えて、位置490の野生型Glu(E)残基がLys(K)残基で置換され、位置538の野生型Ile(I)残基がLys(K)残基で置換され、位置537の野生型His(H)残基がLys(K)残基またはArg(R)残基(「KKK」または「KKR」)(米国特許第8,962,281号、参照により本明細書に組み込まれる)で置換されるポリペプチドを含む。例えば、米国特許第7,914,796、同第8,034,598号、及び同第8,623,618号を参照されたく、その開示は、あらゆる目的のためにその全体が参照により組み込まれる。いくつかの態様では、操作された切断ドメインは、「Sharkey」及び/または「Sharkey」突然変異を含む(Guo et al,(2010)J.Mol.Biol.400(1):96-107を参照されたい)。
【0142】
いくつかの態様では、操作された切断ドメインは、野生型FokI切断ドメインに由来し、アミノ酸残基416、422、447、448または525での1つ以上の突然変異に加えて、野生型FokIまたはFokI相同体に対して番号が付されているアミノ酸残基490及び538での突然変異を含む。いくつかの態様では、本開示は、融合タンパク質を提供し、操作された切断ドメインは、位置416、422、447、448または525での1つ以上の突然変異に加えて、位置490の野生型Glu(E)残基がLys(K)残基で置換され、位置538の野生型Ile(I)残基がLys(K)残基(「KK」)で置換されるポリペプチドを含む。いくつかの態様では、本開示は、融合タンパク質を提供し、操作された切断ドメインは、位置416、422、447、448または525での1つ以上の突然変異に加えて、位置486の野生型Gln(Q)残基がGlu(E)残基で置換され、位置499の野生型Ile(I)残基がLeu(L)残基(米国特許第8,034,598号、参照により本明細書に組み込まれる)で置換されるポリペプチドを含む。
【0143】
いくつかの態様では、本開示は、融合タンパク質を提供し、操作された切断ドメインは、FokI触媒ドメイン中の位置387、393、394、398、400、402、416、422、427、434、439、441、447、448、469、487、495、497、506、516、525、529、534、559、569、570、571の1つ以上で野生型アミノ酸残基が変異しているポリペプチドを含む。
【0144】
いくつかの態様では、1つ以上の突然変異は、野生型アミノ酸を正に帯電した残基から中性残基または負に帯電した残基に変化させる。いくつかの態様において、記載された変異体を、1つ以上のさらなる突然変異を含むFokIドメインで作製することもできる。いくつかの態様では、これらの追加の突然変異は、二量体化ドメイン、例えば、位置418、432、441、481、483、486、487、490、496、499、523、527、537、538及び/または559にある。突然変異の非限定的な例には、任意のアミノ酸残基(例えば、K393X、K394X、R398X、R416S、D421X、R422X、K444X、S472X、G473X、S472、P478X、G480X、K525X及びA530X、第1の残基は、野生型を示し、Xは、野生型残基の代わりに置換される任意のアミノ酸を指す)との位置393、394、398、416、421、422、442、444、472、473、478、480、525または530での任意の切断ドメイン(例えば、FokIまたはFokIの相同)の野生型残基の突然変異(例えば、置換)が挙げられる。いくつかの態様では、Xは、E、D、H、A、K、S、T、DまたはNである。他の例示的な突然変異としては、S418E、S418D、S446D、S446R、K448A、I479Q、I479T、Q481A、Q481N、Q481E、A530E及び/またはA530Kが挙げられ、アミノ酸残基は、全長のFokI野生型切断ドメイン及びその相同体に対して番号付けされる。いくつかの態様では、組み合わせは、416と422、位置416とK448Aでの突然変異、K448AとI479Q、K448AとQ481A、及び/またはK448Aならびに位置525における突然変異を含むことができる。いくつかの態様では、416位の野生型残基は、Glu(E)残基(R416E)で置き換えられていてもよく、422位の野生型残基は、His(H)残基(R422H)で置き換えられており、525位の野生型残基は、Ala(A)残基で置き換えられている。本明細書に記載される切断ドメインはさらに、432、441、483、486、487、490、496、499、527、537、538及び/または559を含むが、これに限定されない位置において、さらなる突然変異を含むことができる、例えば、二量体化ドメイン変異体(例えば、ELD、KKR)及び/またはニッカーゼ変異体(触媒ドメインへの突然変異)。
【0145】
いくつかの態様では、nFokELDタンパク質は、配列番号9[[GCCACCATGGAGTTG]]に記載の核酸配列に結合するジンクフィンガーDNA結合ドメインに融合される。いくつかの態様では、nFokELDタンパク質は、配列番号10[[RPYTLRL]]を含むF1、配列番号11[[RSANLTR]]を含むF2、配列番号12[[RSDALST]]を含むF3、配列番号13[[DRSTRTK]]を含むF4、及び配列番号14[[DRSTRTK]]を含むF5の5個のフィンガーを含む。いくつかの態様では、cFokKKRタンパク質は、配列番号15[[CTAGAAGGTGGCTACCTG]]に記載の核酸配列を結合するジンクフィンガーDNA結合ドメインに融合される。いくつかの態様では、cFokKKRタンパク質は、配列番号16[RSDVLSA]を含むF1、配列番号17[DRSNRIK]を含むF2、配列番号18[DRSHLTR]を含むF3、配列番号19[LKQHLTR]を含むF4、配列番号20[QSGNLAR]を含むF5、及び配列番号21[QSTPRTT]を含むF6の6個のフィンガーを含むジンクフィンガーDNA結合ドメインに融合される。
【0146】
いくつかの態様では、ジンクフィンガーヌクレアーゼ対は、(1)(a)配列番号10[[RPYTLRL]]を含むF1、配列番号11[[RSANLTR]]を含むF2、配列番号12[[RSDALST]]を含むF3、配列番号13[DRSTRTK]を含むF4、及び配列番号14[[DRSTRTK]]を含むF5の5個のフィンガーを含む、第1のDNA結合ドメインと、(b)nFokELDタンパク質を含む第1の切断ドメインと、を含む第1のZFN、ならびに(2)(a)配列番号16[[RSDVLSA]]を含むF1、配列番号17[[DRSNRIK]]を含むF2、配列番号18[DRSHLTR]を含むF3、配列番号19[[LKQHLTR]]を含むF4、配列番号20[[QSGNLAR]]を含むF5、及び配列番号21[[QSTPRTT]]を含むF6の6個のフィンガーを含む、第2のDNA結合ドメインと、(b)cFokKKRタンパク質を含む第2の切断ドメインと、を含む第2のZFNを含む。
【0147】
いくつかの態様では、nFokELD(Q481E)タンパク質は、配列番号38[[ATTGCT及びGAACCGTCCGGG]]に記載の核酸配列に結合するジンクフィンガーDNA結合ドメインに融合される。いくつかの態様では、nFokELD(Q481)タンパク質は、配列番号23[[RSDHLSR]]を含むF1、配列番号24[[DSSDRKK]]を含むF2、配列番号25[[RSDTLSE]]を含むF3、配列番号26[[QSGDLTR]]を含むF4、及び配列番号27[[QSSDLSR]]を含むF5及び配列番号28[[YKWTLRN]]を含むF6の6個のフィンガーを含む。いくつかの態様では、cFokKKRタンパク質は、配列番号39[[GATCCTGCAGGCCAT]]に記載の核酸配列を結合するジンクフィンガーDNA結合ドメインに融合される。いくつかの態様では、cFokKKRタンパク質は、配列番号30[[SNQNLTT]]を含むF1、配列番号31[[DRSHLAR]]を含むF2、配列番号32[[QSGDLTR]]を含むF3、配列番号33[[WKHDLTN]]を含むF4、及び配列番号34[[TSGNLTR]]を含むF5の5個のフィンガーを含む、ジンクフィンガーDNA結合ドメインに融合される。
【0148】
いくつかの態様では、nFokELD(K525S)タンパク質は、配列番号38[[ATTGCTT及びGAACCGTCCGGG]]に記載の核酸配列に結合するジンクフィンガーDNA結合ドメインに融合される。いくつかの態様では、nFokELD(K525S)タンパク質は、配列番号23[[RSDHLSR]]を含むF1、配列番号24[[DSSDRKK]]を含むF2、配列番号25[[RSDTLSE]]を含むF3、配列番号26[[QSGDLTR]]を含むF4、及び配列番号27[[QSSDLSR]]を含むF5及び配列番号28[[YKWTLRN]]を含むF6の6個のフィンガーを含む。
【0149】
いくつかの態様では、nFokKKR(I479T)タンパク質は、配列番号39[[GATCCTGCAGGCCAT]]に記載の核酸配列を結合するジンクフィンガーDNA結合ドメインに融合される。いくつかの態様では、nFokKKR(I479T)タンパク質は、配列番号30[[SNQNLTT]]を含むF1、配列番号31[[DRSHLAR]]を含むF2、配列番号32[[QSGDLTR]]を含むF3、配列番号33[[WKHDLTN]]を含むF4、及び配列番号34[[TSGNLTR]]を含むF5の5個のフィンガーを含む、ジンクフィンガーDNA結合ドメインに融合される。
【0150】
いくつかの態様では、ジンクフィンガーヌクレアーゼ対は、(1)(a)配列番号23[[RSDHLSR]]を含むF1、配列番号24[[DSSDRKK]]を含むF2、配列番号25[[RSDTLSE]]を含むF3、配列番号26[QSGDLTR]を含むF4、及び配列番号27[[QSSDLSR]]を含むF5、配列番号28[[YKWTLRN]]を含むF6の6個のフィンガーを含む、第1のDNA結合ドメインと、(b)nFokELDタンパク質を含む第1の切断ドメインと、を含む第1のZFN、ならびに(2)(a)配列番号30[[SNQNLTT]]を含むF1、配列番号31[[DRSHLAR]]を含むF2、配列番号32[QSGDLTR]を含むF3、配列番号33[[WKHDLTN]]を含むF4、及び配列番号34[[TSGNLTR]]を含むF5の6個のフィンガーを含む、第2のDNA結合ドメインと、(b)nFokKKRタンパク質を含む第2の切断ドメインと、を含む第2のZFNを含む。
【0151】
DNA結合ドメイン及びFokIタンパク質を含むZFN対の例を表5に示す。
【表5】
【0152】
IV.ポリヌクレオチド及びベクター
本開示は、また、本開示のZFNをコードするポリヌクレオチド及び/または調節エレメントに作動可能に連結されたポリヌクレオチドを含むベクターを提供する。いくつかの態様では、ポリヌクレオチドは、本開示のZFNをコードする多シストロン性ポリヌクレオチドを含む。いくつかの態様において、ポリヌクレオチドは、DNA分子またはRNA分子である。
【0153】
いくつかの態様では、ポリヌクレオチド及び/またはポリヌクレオチドを含むベクターは、アミノ酸26とアミノ酸30との間、例えば、配列番号1に対応するアミノ酸28及びアミノ酸29のCIITA遺伝子を切断することができる、ジンクフィンガーヌクレアーポリペプチドをコードする。いくつかの態様では、ジンクフィンガーヌクレアーゼは、アミノ酸457とアミノ酸465との間、例えば、配列番号1に対応するアミノ酸461及びアミノ酸462のCIITA遺伝子を切断することができる。
【0154】
いくつかの態様では、ポリヌクレオチド及び/またはポリヌクレオチドを含むベクターは、GCCACCATGGAGTTGに結合が可能なDNA結合ドメインポリペプチドをコードする(配列番号9)。いくつかの態様では、ポリヌクレオチド及び/またはポリヌクレオチドを含むベクターは、GCCACCATGGAGTTG(配列番号9)に結合するDNA結合ドメインをコードし、これは、配列番号10[RPYTLRL]を含むか、またはこれからなるフィンガー1(F1)、配列番号11[RSANLTR]を含むか、またはこれからなるフィンガー2(F2)、配列番号12[RSDALST]を含むか、またはこれからなるフィンガー3(F3)、配列番号13[DRSTRTK]を含むか、またはこれからなるフィンガー4(F4)、及び配列番号14[DRSTRTK]を含むか、またはこれからなるフィンガー5(F5)の5個のジンクフィンガーを有する。
【0155】
いくつかの態様では、ポリヌクレオチド及び/またはポリヌクレオチドを含むベクターは、CTAGAAGGTGGCTACCTG(配列番号15)に結合が可能なDNA結合ドメインポリペプチドをコードする。いくつかの態様では、ポリヌクレオチド及び/またはポリヌクレオチドを含むベクターは、CTAGAAGGTGGCTACCTG(配列番号15)に結合するDNA結合ドメインをコードし、これは、配列番号16[RSDVLSA]を含むか、またはこれからなるF1、配列番号17[DRSNRIK]を含むか、またはこれからなるF2、配列番号18[DRSHLTR]を含むか、またはこれからなるF3、配列番号19[LKQHLTR]を含むか、またはこれからなるF4、配列番号20[QSGNLAR]を含むか、またはこれからなるF5、及び配列番号21[QSTPRTT]を含むか、またはこれからなるF6の6個のジンクフィンガーを含む。
【0156】
いくつかの態様では、ポリヌクレオチド及び/またはポリヌクレオチドを含むベクターは、ATTGCT及び/またはGAACCGTCCGGG(配列番号38)に結合が可能なDNA結合ドメインポリペプチドをコードする。いくつかの態様では、ポリヌクレオチド及び/またはポリヌクレオチドを含むベクターは、ATTGCT及び/またはGAACCGTCCGGG(配列番号38)に結合するDNA結合ドメインポリペプチドをコードし、これは、配列番号23[RSDHLSR]を含むF1、配列番号24[DSSDRKK]を含むF2、配列番号25[RSDTLSE]を含むF3、配列番号26[QSGDLTR]を含むF4、配列番号27[QSSDLSR]を含むF5、及び配列番号28[YKWTLRN]を含むF6の6個のジンクフィンガーを有する。
【0157】
いくつかの態様では、ポリヌクレオチド及び/またはポリヌクレオチドを含むベクターは、GATCCTGCAGGCCAT(配列番号29)に結合が可能なDNA結合ドメインポリペプチドをコードする。いくつかの態様では、GATCCTGCAGGCCAT(配列番号29)に結合するDNA結合ドメインは、配列番号30[SNQNLTT]を含むF1、配列番号31[DRSHLAR]を含むF2、配列番号32[QSGDLTR]を含むF3、配列番号33[WKHDLTN]を含むF4、及び配列番号34[TSGNLTR]を含むF5の5個のジンクフィンガーを有する。
【0158】
いくつかの態様では、ポリヌクレオチド及び/またはポリヌクレオチドを含むベクターは、CIITA遺伝子中でDNA配列を切断するジンクフィンガーヌクレアーゼ対をコードする。いくつかの態様では、ポリヌクレオチド及び/またはポリヌクレオチドを含むベクターは、アミノ酸26とアミノ酸30との間、例えば、配列番号1に対応するアミノ酸28とアミノ酸29でCIITA遺伝子を切断することができるジンクフィンガー対をコードする。いくつかの態様では、ポリヌクレオチド及び/またはポリヌクレオチドを含むベクターは、ジンクフィンガーヌクレアーゼ対をコードし、これは、配列番号10[RPYTLRL]を含むか、またはこれからなるフィンガー1(F1)、配列番号11[RSANLTR]を含むか、またはこれからなるフィンガー2(F2)、配列番号12[RSDALST]を含むか、またはこれからなるフィンガー3(F3)、配列番号13[DRSTRTK]を含むか、またはこれからなるフィンガー4(F4)、及び配列番号14[DRSTRTK]を含むか、またはこれからなるフィンガー5(F5)を含む第1のジンクフィンガーヌクレアーゼ、及び、配列番号16[RSDVLSA]を含むか、またはこれからなるF1、配列番号17[DRSNRIK]を含むか、またはこれからなるF2、配列番号18[DRSHLTR]を含むか、またはこれからなるF3、配列番号19[LKQHLTR]を含むか、またはこれからなるF4、配列番号20[QSGNLAR]を含むか、またはこれからなるF5、及び配列番号21[QSTPRTT]を含むか、またはこれからなるF6を含む第2のジンクフィンガーヌクレアーゼを含む。
【0159】
いくつかの態様では、ポリヌクレオチド及び/またはポリヌクレオチドを含むベクターは、アミノ酸457とアミノ酸465との間、例えば、配列番号1に対応するアミノ酸461とアミノ酸462でCIITA遺伝子を切断するジンクフィンガー対をコードする。いくつかの態様では、ポリヌクレオチド及び/またはポリヌクレオチドを含むベクターは、ジンクフィンガーヌクレアーゼ対をコードし、これは、配列番号23[RSDHLSR]を含むF1、配列番号24[DSSDRKK]を含むF2、配列番号25[RSDTLSE]を含むF3、配列番号26[QSGDLTR]を含むF4、配列番号27[QSSDLSR]を含むF5、及び配列番号28[YKWTLRN]を含むF6を含む第1のジンクフィンガーヌクレアーゼ、及び、配列番号30[SNQNLTT]を含むF1、配列番号31[DRSHLAR]を含むF2、配列番号32[QSGDLTR]を含むF3、配列番号33[WKHDLTN]を含むF4、及び配列番号34[TSGNLTR]を含むF5を含む第2のジンクフィンガーヌクレアーゼを含む。
【0160】
いくつかの態様では、ベクターは導入ベクターである。「導入ベクター」という用語は、単離された核酸(例えば、本開示のポリヌクレオチド)を含み、単離された核酸を細胞の内部に送達するために使用することができる組成物を指す。多数のベクターがこの分野で知られており、線状ポリヌクレオチド、イオン性または両親媒性化合物と会合したポリヌクレオチド、プラスミド及びウイルスが挙げられるが、これらに限定されない。したがって、「導入ベクター」という用語は、自律複製プラスミドまたはウイルスを含む。この用語はまた、例えば、ポリリジン化合物、リポソームなどの細胞への核酸の導入を促進する非プラスミド及び非ウイルス化合物をさらに含むと解釈されるべきである。ウイルス導入ベクターの例としては、アデノウイルスベクター、アデノ随伴ウイルスベクター、レトロウイルスベクター、レンチウイルスベクター等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0161】
いくつかの実施形態では、ベクターは、発現ベクターである。「発現ベクター」という用語は、発現されるヌクレオチド配列に作動可能に連結された発現調節配列を含む組換えポリヌクレオチド(例えば、本開示のポリペプチド)を含むベクターを指す。いくつかの実施形態では、発現ベクターは、多シストロン性発現ベクターである。発現ベクターは、発現のための十分なシス作用エレメントを含み、発現のための他のエレメントは、宿主細胞またはin vitro発現系によって供給され得る。発現ベクターには、組換えポリヌクレオチドを組み込んだコスミド、プラスミド(例えば、ネイキッドまたはリポソームに含まれる)及びウイルス(例えば、レンチウイルス、レトロウイルス、アデノウイルス、及びアデノ随伴ウイルス)を含む、当技術分野で知られている全てのウイルスが含まれる。
【0162】
いくつかの態様において、ベクターは、ウイルスベクター、哺乳動物ベクター、または細菌ベクターである。いくつかの態様では、ベクターは、アデノウイルスベクター、レンチウイルス、センダイウイルスベクター、バキュロウイルスベクター、エプスタインバーウイルスベクター、パポバウイルスベクター、ワクシニアウイルスベクター、単純ヘルペスウイルスベクター、ハイブリッドベクター、及びアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターからなる群から選択される。
【0163】
いくつかの態様において、アデノウイルスベクターは、第3世代アデノウイルスベクターである。ADEASY(商標)は、アデノウイルスベクター構築物を作成するための最も一般的な方法である。この系は、2種類のプラスミド、すなわち、シャトル(または導入)ベクター及びアデノウイルスベクターからなる。目的の導入遺伝子をシャトルベクターにクローニングし、検証し、制限酵素PmeIを用いて線形化する。次に、この構築物をADEASIER-1細胞に形質変換し、これはPADEASY(商標)を含むBJ5183E.coli細胞である。PADEASY(商標)は、ウイルス産生に必要なアデノウイルス遺伝子を含む約33Kbアデノウイルスプラスミドである。シャトルベクター及びアデノウイルスプラスミドは、アデノウイルスプラスミドへの導入遺伝子の相同的組換えを容易にする左右相同性アームの組み合わせを有する。標準的なBJ5183をスーパーコイルPADEASY(商標)及びシャトルベクターと同時形質転換することもできるが、この方法では、非組換えアデノウイルスプラスミドのバックグラウンドがより高くなる。次いで、組換えアデノウイルスプラスミドをサイズ及び適切な制限消化パターンについて検証することで、導入遺伝子がアデノウイルスプラスミドに挿入され、他の組換えパターンが起こらなかったことを判定する。検証した後、組換えプラスミドをPacIで線形化して、ITRに隣接する線形化dsDNA構築物を作り出す。293または911の細胞を線形化構築物でトランスフェクトし、約7~10日後にウイルスを採取することができる。この方法に加えて、本願が出願された時点の当技術分野において公知のアデノウイルスベクター構築物を作製するための他の方法を使用して、本明細書に開示された方法を実施することができる。
【0164】
他の態様では、ウイルスベクターは、レトロウイルスベクター、例えば、レンチウイルスベクター(例えば、第3または第4世代レンチウイルスベクター)である。「レンチウイルス」という用語は、レトロウイルス科の属を指す。レンチウイルスは、非分裂細胞に感染できるという点でレトロウイルスには特有であり、宿主細胞のDNAに大量の遺伝情報を送達することができ、遺伝子送達ベクターの最も効率的な方法の1つである。HIV、SIV、及びFIVは全て、レンチウイルスの例である。「レンチウイルスベクター」という用語は、特に、Milone et al.,Mol.Ther.17(8):1453-1464(2009)に記載された自己不活性化レンチウイルスベクターを含む、レンチウイルスゲノムの少なくとも一部に由来するベクターを指す。臨床で使用され得るレンチウイルスベクターの他の例には、例えば、Oxford BioMedica製のLENTIVECTOR(登録商標)遺伝子送達技術、Lentigen製のLENTIMAX(商標)ベクターシステムなどが挙げられるが、これらに限定されない。レンチウイルスベクターの非臨床型も利用可能であり、当業者に知られているであろう。
【0165】
レンチウイルスベクターは、通常、細胞株が3つの別個のプラスミド発現系でトランスフェクトされる一過性のトランスフェクション系で作製される。これらには、導入ベクタープラスミド(HIVプロウイルスの一部)、パッケージングプラスミドまたは構築物、及び異なるウイルスの異種エンベロープ遺伝子(env)を有するプラスミドが含まれる。ベクターの3つのプラスミド成分をパッケージング細胞に入れ、これをHIVシェルに挿入する。ベクターのウイルス部分は挿入配列を含むので、ウイルスは細胞系の内部で複製することはできない。現在の第3世代レンチウイルスベクターは、複製能ウイルスの組換えを介した生成を回避するために別個のプラスミドから発現される9つのHIV-1タンパク質のうち3つ(Gag、Pol、Rev)のみをコードする。第4世代のレンチウイルスベクターでは、レトロウイルスゲノムがさらに減少している(例えば、TAKARA(登録商標)LENTI-X(商標)第4世代のパッケージングシステムを参照)。
【0166】
いくつかの態様では、本開示は、本明細書に記載のZFN対76867-2A-82862及び/または87254-2A-84221をコードするポリヌクレオチド配列を含む。
【0167】
いくつかの態様では、本明細書の構築物の複数のタンパク質単位は、単一のオープンリーディングフレーム(ORF)で発現され、これにより、複数のタンパク質単位を有する単一のポリペプチドが生成され、少なくとも1つのタンパク質は、CIITA遺伝子内の標的部位に結合するZF DNA結合ドメインを含む第1のZFNであり、少なくとも1つのタンパク質は、CIITA遺伝子内の標的部位に結合するZF DNA結合ドメインを含む第2のZFNである。いくつかの態様において、本明細書に記載の発現構築物により発現される各タンパク質の間に、高効率切断部位を含むアミノ酸配列またはリンカーが配置される。本明細書で使用する場合、高切断効率とは、翻訳されたタンパク質の50%超、70%超、80%超、または90%超が切断されると定義される。切断効率は、ウェスタンブロット分析によって測定することができる。
【0168】
高効率切断部位の非限定的な例としては、ブタテッショウウイルス1 2A(P2A)、FMDV2A(本明細書では、F2Aと略記)、ウマ鼻炎Aウイルス(ERAV)2A(E2A)、及びトアシグナウイルス2A(T2A)、細胞質多角体病ウイルス2A(BmCPV2A)及びflacherieウイルス2A(BmIFV2A)またはこれらの組み合わせが挙げられる。いくつかの態様では、高効率切断部位はP2Aである。高効率切断部位は、Kim et al.(2011)High Cleavage Efficiency of a 2A Peptide Derived from Porcine Teschovirus-1 in Human Cell Lines,Zebrafish and Mice. PLoS ONE6(4):el8556に記載されており、その内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0169】
いくつかの実施形態では、本開示のポリヌクレオチドはZFNをコードし、本ZFNは、配列番号5(MDYKDHDGDYKDHDIDYKDDDDKMAPKKKRKVGIHGVPAAMGQLVKSELEEKKSELRHKLKYVPHEYIELIEIARNSTQDRILEMKVMEFFMKVYGYRGKHLGGSRKPDGAIYTVGSPIDYGVIVDTKAYSGGYNLPIGQADEMERYVEENQTRDKHLNPNEWWKVYPSSVTEFKFLFVSGHFKGNYKAQLTRLNHITNCNGAVLSVEELLIGGEMIKAGTLTLEEVRRKFNNGEINFSGAQGSTLDFRPFQCRICMRNFSRPYTLRLHIRTHTGEKPFACDICGRKFARSANLTRHTKIHTGSQKPFQCRICMRNFSRSDALSTHIRTHTGEKPFACDICGRKFADRSTRTKHTKIHTGEKPFQCRICMRKFADRSTRTKHTKIHLRQKD)に対して少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または約100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0170】
いくつかの態様では、本開示のポリヌクレオチドはZFNをコードし、本ZFNは、配列番号6(MDYKDHDGDYKDHDIDYKDDDDKMAPKKKRKVGIHGVPAAMAERPFQCRICMQNFSRSDVLSAHIRTHTGEKPFACDICGKKFADRSNRIKHTKIHTGSQKPFQCRICMQNFSDRSHLTRHIRTHTGEKPFACDICGRKFALKQHLTRHTKIHTGEKPFQCRICMQNFSQSGNLARHIRTHTGEKPFACDICGRKFAQSTPRTTHTKIHLRGSQLVKSELEEKKSELRHKLKYVPHEYIELIEIARNSTQDRILEMKVMEFFMKVYGYRGKHLGGSRKPDGAIYTVGSPIDYGVIVDTKAYSGGYNLPIGQADEMQRYVKENQTRNKHINPNEWWKVYPSSVTEFKFLFVSGHFKGNYKAQLTRLNRKTNCNGAVLSVEELLIGGEMIKAGTLTLEEVRRKFNNGEINF)に対して少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または約100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0171】
いくつかの態様では、本開示のポリヌクレオチドはZFNをコードし、本ZFNは、配列番号54(MDYKDHDGDYKDHDIDYKDDDDKMAPKKKRKVGIHGVPAAMGQLVKSELEEKKSELRHKLKYVPHEYIELIEIARNSTQDRILEMKVMEFFMKVYGYRGKHLGGSRKPDGAIYTVGSPIDYGVIVDTKAYSGGYNLPIGQADEMERYVEENQTRDKHLNPNEWWKVYPSSVTEFKFLFVSGHFSGNYKAQLTRLNHITNCNGAVLSVEELLIGGEMIKAGTLTLEEVRRKFNNGEINFSGTPHEVGVYTLRPFQCRICMRNFSRSDHLSRHIRTHTGEKPFACDICGRKFADSSDRKKHTKIHTGEKPFQCRICMRNFSRSDTLSEHIRTHTGEKPFACDICGRKFAQSGDLTRHTKIHTHPRAPIPKPFQCRICMRNFSQSSDLSRHIRTHTGEKPFACDICGRKFAYKWTLRNHTKIHLRQKD)に対して少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または約100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0172】
いくつかの態様では、本開示のポリヌクレオチドはZFNをコードし、本ZFNは、配列番号56(QLVKSELEEKKSELRHKLKYVPHEYIELIEIARNSTQDRILEMKVMEFFMKVYGYRGKHLGGSRKPDGAIYTVGSPIDYGVIVDTKAYSGGYNLPTGQADEMQRYVKENQTRNKHINPNEWWKVYPSSVTEFKFLFVSGHFKGNYKAQLTRLNRKTNCNGAVLSVEELLIGGEMIKAGTLTLEEVRRKFNNGEINFSGTPHEVGVYTLRPFQCRICMRNFSSNQNLTTHIRTHTGEKPFACDICGRKFADRSHLARHTKIHTGEKPFQCRICMQKFAQSGDLTRHTKIHTGEKPFQCRICMQNFSWKHDLTNHIRTHTGEKPFACDICGRKFATSGNLTRHTKIHLRQKD)に対して少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または約100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0173】
いくつかの態様では、本開示のポリヌクレオチドは、配列番号53、55または57に対して、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または約100%の配列同一性を有するポリヌクレオチド配列を含む。
【0174】
いくつかの態様では、本開示のポリヌクレオチドは、配列番号39に対して、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または約100%配列同一性である配列を含む。
【0175】
いくつかの実施形態では、本開示のポリヌクレオチドはZFNをコードし、本ZFNは、配列番号7(MDYKDHDGDYKDHDIDYKDDDDKMAPKKKRKVGIHGVPAAMGQLVKSELEEKKSELRHKLKYVPHEYIELIEIARNSTQDRILEMKVMEFFMKVYGYRGKHLGGSRKPDGAIYTVGSPIDYGVIVDTKAYSGGYNLPIGQADEMERYVEENQTRDKHLNPNEWWKVYPSSVTEFKFLFVSGHFKGNYKAQLTRLNHITNCNGAVLSVEELLIGGEMIKAGTLTLEEVRRKFNNGEINFSGTPHEVGVYTLRPFQCRICMRNFSRSDHLSRHIRTHTGEKPFACDICGRKFADSSDRKKHTKIHTGEKPFQCRICMRNFSRSDTLSEHIRTHTGEKPFACDICGRKFAQSGDLTRHTKIHTHPRAPIPKPFQCRICMRNFSQSSDLSRHIRTHTGEKPFACDICGRKFAYKWTLRNHTKIHLRQKD)に対して少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または約100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0176】
いくつかの態様では、本開示のポリヌクレオチドはZFNをコードし、本ZFNは、配列番号8(MDYKDHDGDYKDHDIDYKDDDDKMAPKKKRKVGIHGVPAAMGQLVKSELEEKKSELRHKLKYVPHEYIELIEIARNSTQDRILEMKVMEFFMKVYGYRGKHLGGSRKPDGAIYTVGSPIDYGVIVDTKAYSGGYNLPIGQADEMQRYVKENQTRNKHINPNEWWKVYPSSVTEFKFLFVSGHFKGNYKAQLTRLNRKTNCNGAVLSVEELLIGGEMIKAGTLTLEEVRRKFNNGEINFSGTPHEVGVYTLRPFQCRICMRNFSSNQNLTTHIRTHTGEKPFACDICGRKFADRSHLARHTKIHTGEKPFQCRICMQKFAQSGDLTRHTKIHTGEKPFQCRICMQNFSWKHDLTNHIRTHTGEKPFACDICGRKFATSGNLTRHTKIHLRQKD)に対して少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または約100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0177】
いくつかの態様では、本開示のポリヌクレオチドは、配列番号40に対して、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%配列同一性である配列を含む。
【0178】
いくつかの態様では、ベクターは、配列番号39または配列番号40または配列番号57に対して、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%配列同一性であるポリヌクレオチド配列を含む。
【0179】
いくつかの態様では、ベクターは、配列番号39または配列番号53または配列番号57に対して、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%配列同一性であるポリヌクレオチド配列を含む。
【0180】
いくつかの態様では、ベクターは、配列番号39または配列番号55に対して、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%配列同一性であるポリヌクレオチド配列を含む。
【0181】
V.細胞
本開示はまた、CIITA遺伝子を標的とするZFNまたはCIITA遺伝子を標的とするZFNをコードするポリヌクレオチド構築物を含む、遺伝子改変細胞を提供する。いくつかの態様では、本明細書に記載されるZFNは、構築物を発現するように遺伝子改変された細胞で組換え発現され、細胞は、本開示のZFNをコードする1つ以上のポリヌクレオチド配列またはベクターを含む。いくつかの態様では、細胞は、CIITA遺伝子を標的とするZFNまたはZFNをコードするポリヌクレオチド構築物により遺伝子操作された細胞であり、細胞は、CIITAタンパク質の低下したレベルを発現するか、またはCIITA遺伝子の発現を示さない。
【0182】
いくつかの態様において、本明細書に開示される遺伝子改変細胞は、本開示のタンパク質成分(例えば、CIITA遺伝子を標的とするZFN)をコードするポリヌクレオチドまたはベクターでトランスフェクトされている。「トランスフェクトされた」(または同等の「形質転換された」及び「形質導入された」)という用語は、外因性核酸、例えば、本開示のタンパク質をコードするポリヌクレオチドまたはベクターを、宿主細胞、例えば、T細胞のゲノムに移入または導入するプロセスを指す。「トランスフェクトされた」細胞は、外因性核酸、例えば、本開示のタンパク質をコードするポリヌクレオチドまたはベクターで、トランスフェクト、形質転換または形質導入された細胞である。この細胞は、一次対象細胞及びその子孫を含む。
【0183】
いくつかの態様では、細胞(例えば、T細胞)は、本開示のベクター、例えば、アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターまたはレンチウイルスベクターでトランスフェクトされる。いくつかのそのような態様では、細胞は、本開示のタンパク質を安定して発現し得る。
【0184】
いくつかの態様では、細胞(例えば、T細胞)は、本開示のタンパク質をコードする核酸、例えば、mRNA、cDNA、DNAでトランスフェクトされている。いくつかのそのような態様では、細胞は、本開示のタンパク質を一過的に発現し得る。例えば、RNA構築物は、細胞に直接的にトランスフェクトされ得る。トランスフェクションに使用するためのmRNAを生成する方法は、特別に設計されたプライマーを用いたテンプレートのin vitro転写(IVT)に続いてポリA付加を含み、3’及び5’非翻訳配列(UTR)、5’キャップ、発現させる核酸、及びポリA尾部、典型的には50~2000塩基長さを含む構築物を産生する。このようにして産生されたRNAは、異なる種類の細胞を効率よくトランスフェクトすることができる。いくつかの態様では、テンプレートは、本開示のZFNの配列を含む。一態様において、RNAベクターは、電気穿孔によりT細胞に形式導入される。
【0185】
いくつかの態様では、本明細書に開示されるZFNポリペプチドのコード配列は、別個の発現構築物上に置くことができる。いくつかの態様では、本明細書に開示されるZFNポリペプチドのコード配列は、単一の発現構築物上に置くことができる。
【0186】
いくつかの態様では、細胞は、T細胞、NK細胞、腫瘍浸潤リンパ球、幹細胞、間葉系幹細胞(MSC)、造血幹細胞(HSC)、線維芽細胞、心筋細胞、膵島細胞、または血球である。いくつかの態様では、細胞は、同種異系または自己由来である。
【0187】
いくつかの態様では、T細胞は、末梢血単核細胞、骨髄、リンパ節組織、臍帯血、胸腺組織、感染部位からの組織、腹水、胸水、脾臓組織、及び腫瘍を含むいくつかの源から得られ得る。
【0188】
本開示の遺伝子改変された細胞の供給源は、治療される患者(すなわち、自己細胞)のもの、または治療される患者ではないドナー(例えば、同種異系細胞)由来であり得る。いくつかの実施形態では、操作された免疫細胞は、操作されたT細胞である。本明細書におけるT細胞は、CD4CD8(すなわち、CD4単一陽性)T細胞、CD4CD8(すなわち、CD8単一陽性)T細胞、またはCD4CD8(二重陽性)T細胞であり得る。機能的には、T細胞は、細胞傷害性T細胞、ヘルパーT細胞、ナチュラルキラーT細胞、サプレッサーT細胞、またはそれらの混合物であり得る。操作されるT細胞は、自己由来または同種異系であり得る。
【0189】
一次T細胞を含む一次免疫細胞は、末梢血単核細胞(PBMC)、骨髄、リンパ節組織、臍帯血、胸腺組織、感染部位からの組織、腹水、胸水、脾臓組織、及び/または腫瘍組織を含むいくつかの組織源から得られ得る。PBMCを含む白血球は、周知の技術、例えば、FICOLL(商標)分離及び白血球除去により、他の血球から単離することができる。白血球アフェレーシス産物は、典型的には、リンパ球(T及びB細胞を含む)、単球、顆粒球、及び他の有核白血球細胞を含有する。T細胞は、例えば、PERCOLL(商標)勾配による遠心分離または向流遠心分離溶離により、他の白血球からさらに単離される。CD3、CD25、CD28、CD4、CD8、CD45RA、GITR、及びCD45ROT細胞等のT細胞の特定の下位集団は、陽性または陰性選択技法(例えば、蛍光性または磁性細胞選別)によってさらに単離され得る。例えば、T細胞は、所望のT細胞の正の選択または望ましくない細胞の除去のための負の選択に十分な期間にわたって、Dynabeads(登録商標)、CELLection(商標)、DETACHaBEAD(商標)(Thermo Fisher)またはMACS(登録商標)細胞分離産生物(Miltenyi Biotec)などの様々な市販の抗体共役ビーズのいずれかとインキュベーションによって単離され得る。
【0190】
いくつかの場合では、自己由来T細胞は、治療後にがん患者から直接得る。特定のがん治療、特に免疫系を損なう治療に続いて、治療後すぐに収集されるT細胞の品質は、ex vivoで増殖する及び/またはex vivoで操作した後の移植に対する能力が改善され得ることが観察されている。
【0191】
遺伝子改変の前または後にかかわらず、T細胞は、例えば、米国特許第5,858,358号、同第5,883,223号、同第6,352,694号、同第6,534,055号、同第6,797,514号、同第6,867,041号、同第6,692,964号、同第6,887,466号、同第6,905,680号、同第6,905,681号、同第6,905,874号、同第7,067,318号、同第7,144,575号、同第7,172,869号、同第7,175,843号、同第7,232,566号、同第7,572,631号、及び同第10,786,533号に記載の方法を一般に使用して活性化及び増殖され得る。一般に、T細胞は、CD3/TCR複合体関連シグナルを刺激する薬剤及びT細胞の表面上の共刺激分子を刺激するリガンドに結合した表面との接触によってin vitroまたはex vivoで増殖され得る。具体的には、T細胞集団は、例えば、抗CD3抗体もしくはその抗原結合フラグメント、または表面上に固定化された抗CD3抗体との接触によって、またはカルシウムイオノフォアと併せたタンパク質キナーゼC活性化因子(例えば、ブリオスタチン)との接触によって刺激され得る。T細胞の表面上のアクセサリー分子の共刺激のために、アクセサリー分子に結合するリガンドが使用され得る。例えば、T細胞集団は、T細胞の増殖を刺激するのに適切な条件下で抗CD3抗体及び抗CD28抗体と接触し得る。CD4T細胞またはCD8T細胞のいずれかの増殖を刺激するために、抗CD3抗体及び抗CD28抗体を用いることができる。
【0192】
細胞培養条件は、特定の培地、温度、酸素含有量、二酸化炭素含有量、時間、薬剤、例えば栄養素、アミノ酸、抗生物質、イオン、及び/または刺激因子、例えばサイトカイン、ケモカイン、抗原、結合パートナー、融合タンパク質、組換え可溶性受容体、及び細胞を活性化するように設計された任意の他の薬剤のうちの1つ以上を含むことができる。いくつかの実施形態では、培養条件は、IL-2、IL-7及び/またはIL-15の添加を含む。
【0193】
いくつかの実施形態では、操作される細胞は、処理後に成熟T細胞へと分化する多能性(pluripotent)細胞及び多能性(multipotent)細胞であり得る。これらの非T細胞は、同種異系であり得、例えば、ヒト胚性幹細胞、ヒト誘導多能性幹細胞、または造血幹細胞もしくは前駆細胞であり得る。説明を容易にするために、多能性(pluripotent)細胞及び多能性(multipotent)細胞を、本明細書では「前駆細胞」と総称する。
【0194】
いくつかの態様では、(例えば、本明細書に記載のZFNを用いた内因性CIITA遺伝子のノックアウトにより)移植片対宿主拒絶を低減するように、同種異系細胞を操作する。いくつかの態様では、同種異系細胞は、キメラ抗原受容体を発現するT細胞またはNK細胞である。いくつかの態様では、同種異系細胞は、T細胞受容体を発現するT細胞またはNK細胞である。
【0195】
VI.方法
いくつかの態様では、(例えば、本明細書に記載のZFNを用いた内因性CIITA遺伝子のノックアウトにより)移植片対宿主拒絶を低減するように、同種異系細胞を操作する。
【0196】
いくつかの態様では、本開示は、T細胞を調製する方法を提供し、本方法は、T細胞を単離すること、及び単離されたT細胞を本明細書に開示されるポリヌクレオチドまたは本明細書に開示されるZFNポリペプチドと接触させることを含む。いくつかの態様では、T細胞は、キメラ抗原受容体T細胞、T細胞受容体細胞、Treg細胞、腫瘍浸潤リンパ球、またはそれらの任意の組み合わせを含む。
【0197】
いくつかの態様では、本開示は、細胞療法を必要とする対象を治療する方法を提供し、本方法は、本明細書に記載される単離細胞を対象に投与することを含む。いくつかの態様では、単離された細胞は、同種異系または自己由来である。
【0198】
VII.キット
また、本開示は、(i)本開示のZFN、本開示のZFNをコードする1つ以上のポリヌクレオチド、本開示のZFNをコードする1つ以上のベクター、またはポリヌクレオチド(複数可)もしくはベクター(複数可)を含む組成物、及び、任意に(ii)取扱説明書、例えば、本明細書に開示された方法による使用の指示を含む、キットまたは製造品も提供する。
【0199】
いくつかの態様では、キットまたは製造品は、例えば、本開示のZFNをコードするポリヌクレオチドまたはベクター、または少なくとも1つの容器にポリヌクレオチド、ベクターを含み、別の1つ以上の容器トランスフェクション試薬を含む組成物を含む。
***
【0200】
本開示を実施の際には、別段に示されていない限り、細胞生物学、細胞培養、分子生物学、遺伝子導入生物学、微生物学、組換えDNA及び免疫学の従来の技法であって、当業者の技術の範囲内である技法を用いることになる。このような技法は、文献で充分に説明されている。例えば、Sambrook et al.,ed.(1989)Molecular Cloning A Laboratory Manual(2nd ed.;Cold Spring Harbor Laboratory Press);Sambrook et al.,ed.(1992)Molecular Cloning:A Laboratory Manual,(Cold Springs Harbor Laboratory,NY);D.N.Glover ed.,(1985)DNA Cloning,Volumes I and II;Gait,ed.(1984)Oligonucleotide Synthesis;Mullis et al.U.S.Pat.No.4,683,195;Hames and Higgins,eds.(1984)Nucleic Acid Hybridization;Hames and Higgins,eds.(1984)Transcription And Translation;Freshney(1987)Culture Of Animal Cells(Alan R.Liss,Inc.);Immobilized Cells And Enzymes(IRL Press)(1986);Perbal(1984)A Practical Guide To Molecular Cloning;the treatise, Methods In Enzymology(Academic Press,Inc.,N.Y.);Miller and Calos eds.(1987)Gene Transfer Vectors For Mammalian Cells,(Cold Spring Harbor Laboratory);Wu et al.,eds.,Methods In Enzymology,Vols.154 and 155;Mayer and Walker,eds.(1987)Immunochemical Methods In Cell And Molecular Biology(Academic Press,London);Weir and Blackwell,eds.,(1986)Handbook Of Experimental Immunology,Volumes I-IV;Manipulating the Mouse Embryo,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N.Y.,(1986););Crooke,Antisense drug Technology:Principles,Strategies and Applications,2nd Ed.CRC Press (2007)及びAusubel et al.(1989)Current Protocols in Molecular Biology(John Wiley and Sons,Baltimore,Md.)を参照されたい。
【0201】
下記の実施例は、例示として示されており、限定するために示されているものではない。
【実施例
【0202】
実施例1.ジンクフィンガーヌクレアーゼの調製
ZFN設計
「tail-to-tail」対(例えば、ジンクフィンガーDNA結合ドメインのカルボキシ末端に融合されたFokI触媒ドメイン)、ならびに「head-to-tail」対及び「head-to-head」対(一方または両方のZFNがそのアミノ末端でヌクレアーゼドメインを有する)を含む様々なZFNアーキテクチャが用いられた。例えば、Paschon et al.,Diversifying the structure of zinc finger nucleases for high-precision genome editing,Nature Communication,2019,10(1):1133-57を参照されたい。
【0203】
初期設計段階でリン酸接触変化を適用する利点を検討するために、これらのアーキテクチャに準拠したZFNを、フィンガーのうちの3個においてリン酸接触変化ありまたはなしで、CIITA遺伝子の標的領域全体にわたる部位に対して設計した。最も活性の高い対のサブセットを選択し、代替のモジュール、リンカー、及びリン酸接触変化の数を使用することにより、さらに2回繰り返し行った。ZFN RNAまたはプラスミドDNAを用いたK562細胞でのZFNのスクリーニングを行った。さらなる改善のために選択された最も活性の高いZFNは、「サイクル1 ZFNリード」と称される。第2の設計サイクルにおいて、特異性を高めるための手段として、サイクル1 ZFNリードを、触媒速度の減少を介して特異性を改善することが示されたFokI変異体を使用して再設計した(Miller,Enhancing gene editing specificity by attenuating DNA cleavage kinetics,Nature Biotechnol.2019,37(87):945-52)。ZFN RNAを用いたT細胞でのZFNのスクリーニングを行った。これらのZFNは「サイクル2 ZFN」と称されることになる。
【0204】
ZFN遺伝子集合体
ZFN遺伝子は、標準的な分子生物学的手法を用いて必要な成分をコードするDNAセグメントの連結により組み立てた。初期アセンブリを、CMVプロモーター及びウシ成長ホルモン(BGH)ポリアデニル化シグナル配列を有する遺伝子発現カセットを含むpVAX1ベースのZFN発現ベクターに行った。
【0205】
大規模なT細胞研究で試験するために、リードZFN試薬対のコード配列をSTV220-pVAX-GEM2UXベクターにサブクローニングし、2つのZFNを、NEBuilder HiFi DNAアセンブリーキットを用いるGibsonクローニング法によってThosea asignaウイルス由来の2A自己切断ペプチド(T2A)コード配列に連結した。T2Aペプチドは、単一の転写物(Szymczak,Nature Biotechnol,2004,22(5):589~594)から約1:1の比率で2つのZFNタンパク質の発現を可能にする。構築物の同一性を、Sangerシーケンシングによって確認した。
【0206】
スクリーニングのためのプラスミド及びmRNAの調製
K562細胞の活性スクリーニングで使用するために、ZFNコード化プラスミドを、Qiagen QIAprep 96 Turbo Kitで調製した。
【0207】
ZFNコード化RNAを、製造業者の指示に従ってmMESSAGE mMACHINE(登録商標)T7 Ultra kit(AM1345,ThermoFisher)により調製した。ZFNをコードするベクターに応じて、2つの代替的な戦略を使用して、in vitro RNA合成のためのDNAテンプレートを作成した。pVAX-ZFNベクターから少量のZFNコード化mRNAを製造するために、5’T7プロモーター及び3’ポリAs(n=60)含有DNAテンプレートを使用した。これは、DNAテンプレートとしてN80PT(5’-GCAGAGCTCTCTGGCTAACTAGAG)(配列番号:41)及びR5A60(TTT TTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTCTG GCAACTAGAAGGCACAG)(配列番号42)プライマー及びpVAX-ZFNを用いたPCRによって生成した。
【0208】
大規模でのmRNAの合成のために、2A連結ZFN対をコードするSpeI-線形化STV220-pVAX-GEM2UXベクターを使用した。検証の目的で、このmRNAバッチを、OC-100 MaxCyteトランスフェクションを使用してT細胞で試験した。
【0209】
スクリーニング-スケールトランスフェクション
384ウェルフォーマットにおけるZFN候補のスクリーニングは、Amaxa HT Nucleofector System(Lonza BioSciences,Inc)を使用して、ZFNをコードするプラスミドまたはmRNAをK562細胞またはT細胞に電気穿孔することにより実施した。96ウェルフォーマットにおけるZFN候補の後続のスクリーニングは、BTX装置(Harvard Apparatus)を用いてZFNをコードするmRNAをT細胞に電気穿孔することにより行った。K562細胞(ATCC)を、サプリメント(Lonza)及びZFNプラスミドまたはmRNAを含むSF細胞系ヌクレオベクター溶液と予備混合し、Amaxa HTヌクレオベクター装置を使用して電気穿孔した。電気穿孔されたK562細胞を37℃のインキュベーターに3日間入れた。健康なドナー白血球から精製したT細胞を0日目に解凍し、抗CD3/CD28ビーズでの刺激を用いて活性化させ、3日間培養した。3日目に、細胞を、サプリメント(Lonza)及びZFN mRNAを含むP3一次細胞核異方体溶液と予備混合し、Amaxa HT核異方体デバイスを用いて電気穿孔した。電気穿孔したT細胞を30℃のインキュベーターに16時間入れ、次に7日目まで37℃のインキュベーターに移した。BTX電気穿孔の後、30℃のインキュベーションステップなしに7日目までT細胞を37℃のインキュベーター内に置いた。インキュベーション後、K562及びT細胞を採取し、ゲノム改変のために分析し、いくつかの実験では、MHCクラスII細胞表面発現に対する効果を解析した。目的の部位における修飾レベルは、以下に示すイルミナの次世代シーケンシングプロトコルを使用して決定した。
【0210】
実施例2.ジンクフィンガーヌクレアーゼの同定
大規模研究のためのT細胞培養及びRNA送達
ZFNリードの大規模な分析では、mRNA送達のためにMaxCyte GT機器を使用した。7日目及び10日目に細胞の増殖及び生存率を決定した。T細膨張倍率を、3日目から10日目まで計算した。段階的なプロトコルを以下に示す。
【0211】
T細胞培養培地の調製
培地成分を、室温にした:X-Viv15培地、HEPES、ピルビン酸ナトリウム、MEM必須ビタミン、GlutaMAX、及びヒトAB血清。培地を、以下の表6に従ってBSCフードで調製した。ヒトAB血清を除く他のすべてのサプリメントを加え、0.22μmフィルターで濾過滅菌した。次いで、ヒトABを添加した。配合した培地を4℃で貯蔵し、露光から保護するためにアルミニウム箔で包んだ。
【表6】
【0212】
CD4+/CD8+濃縮T細胞の解凍及び活性化-0日目:以下の工程を行った:(1)静的培地を37℃に予熱した。(2)選択したCD4+/CD8+T細胞を解凍する前に、解凍後の最初の細胞洗浄のために15mlまたは50mlの培地チューブを調製した。10mlの培地を1mlの細胞体積毎に温める。(3)冷凍されたCD4+/CD8+T細胞のバイアル(複数可)を、バイアルを首のすぐ下まで浸漬し、氷結晶が見えなくなるまで穏やかに撹拌することにより、37℃の水浴で融解する。(4)細胞懸濁液の全体積(約1mL)を、事前に引用された温かい媒体を収容する円錐形チューブに滴下する。(5)さらに500μLの加温した培地をクライオバイアルに加えて、残りのセルをすすぎ、回収する。(6)細胞を室温で400×gで6~10分間遠心分離する。(7)上清を除去し、IL-2含有培地中の細胞を再懸濁し、細胞をカウントし、必要な培地(1e6細胞/ml)及びCD3/CD28ビーズの体積を計算する(細胞対ビーズの比:1~3)。(8)CD3/CD38 CTS Dynabeads(Gibco、CAT#40203D)を冷蔵庫から取り出す。1:3の細胞:ビーズ比で細胞の活性化に必要なビーズの体積を取り出す。(9)CD3/CD28 Dynabeadsを1回、1X PBS(カルシウム及びマグネシウムなし)で洗浄し、次いで、培地中でビーズを再懸濁させる。(10)活性化される細胞の数に応じて、適切な組織培養フラスコを使用する。細胞懸濁液及びビーズ懸濁液をフラスコに移し、培地を所望の体積まで加えて、1e6細胞/mlの最終細胞懸濁液を達成する。(11)トランスフェクションの日まで37℃、5%のCO2で、細胞をインキュベーター内で培養するガイダンスは以下の表7を参照のこと。
【表7】
【0213】
大規模なT細胞研究のためのRNA送達
T細胞のMaxCyteトランスフェクションのために細胞を解凍した3日後に、以下のプロトコルを使用した:(1)実験開始前に37℃のインキュベーター中で培地を予熱した。(2)ZFN mRNA(複数可)を標識された1.5mlエッペンドルフチューブ(複数可)にアリコートし、氷上に保つ。(3)37℃、5%のCO2インキュベーターから0日目の溶媒物からの活性化T細胞のフラスコを取り出す。(4)上下にピペットを当てて細胞塊をやさしく破壊する。計数のために十分に再懸濁させた細胞を約500μlサンプリングする。(5)必要な体積の細胞懸濁液(OC-100トランスフェクションあたり3e6細胞)を50mlの円錐管(複数可)に移す。細胞を室温で6分にわたり400×gで遠心分離することによるペレットにする。上清を、ペレットを妨害することなくできるだけ清浄に吸引する。(6)45mlのハイクローンMaxCyte電気穿孔バッファー(GE Healthcare、CAT#EPB5)で細胞を洗浄する-効果的な洗浄のために細胞ペレットを確実に分散させる。400×gで6分間遠心分離する。注:血清または媒体タンパク質の存在は、トランスフェクション効率に悪影響を及ぼす可能性がある。(7)遠心分離機からチューブを取り出し、BSCフードに移し、ペレットに障害を与えることなくできるだけ上清を吸引する。(8)Hyclone MaxCyte電気穿孔バッファー中の細胞を最終濃度30e6細胞/mLに再懸濁させる。(9)目的のmRNAを含む指定されたエッペンドルフチューブ(複数可)に100μlの細胞(3e6細胞)を加え、混合物を3回穏やかにピペットして混合する。注:細胞をmRNAと混合し、一度に1つのサンプルずつをトランスフェクトする。(10)細胞-mRNA混合物をプロセシングアセンブリ(PA)OC-100に移す。(11)PAを含有する細胞/mRNAをMaxCyte GTに挿入し、事前プログラミングされたプロトコルをクリックすることにより電気穿孔プロセスを直ちに開始する。(12)電気穿孔プロセスが完了したら、PAをBSCに移し、細胞をPAからP200ピペットを用いて指定されたウェルに移す。(13)工程(9)~(12)を可能な限り迅速に実施する。全ての実験アームが電気穿孔されるまで前記ステップ(9)~(12)を繰り返す。(14)細胞を入れたプレートを37℃のインキュベーターに移し、20分間インキュベートする。(15)37℃で20分間インキュベーションした後、インキュベーターからプレートを取り出し、それらをBSCフードに入れる。細胞を、100IU/ml(OC-100について900μl)の新鮮なIL-2を補充した予熱したT細胞培地で10倍に希釈する。細胞を30℃、5%のCOインキュベーター内で一晩インキュベートする。
【0214】
細胞希釈-4日目、7日目:以下のプロトコルを使用した:(1)インキュベーター中でT細胞培地を37℃まで予熱(2)電気穿孔の約18時間後、または4日目に、30℃~37℃のインキュベーターから5~6時間回復のためにプレート(複数可)を移す。(3)次に、適切なプレートまたはフラスコに入れて100IU/mlの新鮮なIL-2を含むT細胞培地で細胞を1:4に希釈し、細胞を37℃でインキュベーターでインキュベートする。(4)7日目に、細胞数を測定し、細胞を新しいIL-2含有培地で5e5細胞/mlに希釈し、37℃、5%のCOインキュベーターで細胞を増殖させ続ける。
【0215】
表現型決定及び遺伝子型決定、ならびに凍結保存のための細胞収集:以下のプロトコルを使用した:(1)10日目に、細胞フラスコをインキュベーターから取り出す。(2)BSCフード内で、ピペット操作によりセルを再懸濁させる。細胞数について約100μlの細胞懸濁液をサンプリングする。(3)FACS分析には最小限の1e6細胞を確保し、MiSeq分析には最小限の1e6細胞を確保する。
【0216】
ZFN活性の定量化のための次世代シーケンシングアッセイ
ZFNの意図した標的での改変レベルを評価するために、QuickExtract(Lucigen)溶解物(高スループット384または96ウェルのトランスフェクションの場合)またはQiagen DNeasy Blood and Tissue Kitで精製されたゲノムDNA(大規模なトランスフェクションの場合)を、Illumina Next Generation Sequencing technologyを使用してアンプリコンシーケンシングに供した。
【0217】
ヒトCIITA遺伝子座におけるZFN標的部位を包含する130~200bpの断片の増幅のためのオリゴヌクレオチドプライマー対を設計した。これらのプライマーは、PCR増幅の第2ラウンドで使用されるプライマーのためのプライミング配列も含有する。最終的に出荷されたZFN対のゲノム標的を増幅及び分析するために使用されるプライマー配列については、表8を参照のこと。第1ラウンドのPCR増幅の産物を、第2ラウンドのPCR増幅に使用し、これにはサンプル特異的識別子配列(「バーコード」)及びMiSeqまたはNextSeqシーケンシングに必要な一定の末端領域を導入するように設計されたプライマーが使用された(Paschon,Nature Communication,2019,10(1):1133-57)。バーコード化されたアンプリコンをプールし、MiSeqまたはNextSeqプラットフォームを使用してシーケンシングした。
【表8】
太字は、第2ラウンドのPCT(i5及びi7アダプタープライマーを有する)のプライミングに使用される配列を示し、下線は、PCRの最初のラウンドの間の遺伝子座特異的プライミングのための配列を示す。
【0218】
アンプリコンを生成するためのDNA単離及びPCR条件
【0219】
ハイスループットスクリーニングからのゲノムDNAを、QuickExtract DNA抽出溶液(Lucigen)を使用して調製した。大規模なトランスフェクションからのDNAを、製造業者の指示に従ってDNeasy Blood and Tissue Kit(QIAGEN;カタログ番号69509)を使用して調製した。
【0220】
DNeasy Blood and Tissue Kit抽出DNAを使用したNGS PCRでは、DNAの入力レベルは、80~120ng/μlでの精製されたgDNAパネルからのPCRあたり100ngであった。DNAに加えて、以下のものを各NGS PCR反応に加えた:12.5μLのPhusion Hot Start Master Mix(Thermo)、1μLの各第1ラウンドPCRプライマー(濃度10μΜ)、及び25μLの総反応体積に対する水。NGS PCR条件は、98℃で1分間変性、及び98℃で15秒間、65℃で30秒間及び72℃で40秒間の35サイクルを経て、72℃で10分間伸長した。
【0221】
バーコードPCRは、1μLのNGS PCR産物、12.5μLのPhusion Hot Start Master Mix、1μLのフォワードバーコードプライマー、1μLのリバースバーコードプライマー(両方とも10μΜの濃度)及び水による25μLの総反応体積で行った。
【0222】
バーコードPCR条件は、98℃で1分間変性、及び98℃で15秒間、65℃で30秒間及び72℃で40秒間の12サイクルを経て、72℃で10分間伸長した。
【0223】
インデル定量化
【0224】
PCR増幅された標的アンプリコンを、次世代シークエンシングを用いた対末端シークエンシングによってシークエンシングした。品質フィルタリング、配列データ処理、及びインデル定量化を、(Miller et al.Nature Biotechnol.2019,37(87):945-52)に記載のように実施した。インデル定量化のために、背景補正をウィンドウ処理なしで適用した。
【0225】
オフターゲット評価
【0226】
Miller et al.Nature Biotechnol.2019,37(87):945-52に記載のように、オリゴヌクレオチドの二重捕捉分析を使用して、オフターゲット部位の候補を同定した。簡単に言えば、K562細胞(ATCC、CCL-243)を、10%ウシ胎児血清及び1倍のペニシリン-ストレプトマイシン-グルタミン(Corning、cat.#30-009-Cl)に5%のCOを含むRPMI1640中に維持した。20万(2e5)の細胞を、SF Cell Line 96-well Nucleoeffector(商標)Kit(Lonza,cat.#V4SC-2096)を製造元の命令に従って使用し、20μlのトランスフェクション混合物中の27bpのオリゴ捕獲二重鎖を含有する4つのヌクレオチドオーバーハングの固定用量(1μΜ)を用いて、様々な用量のCIITA ZFNコード化mRNA(ng)で電気穿孔した。オリゴヌクレオチド5′-P-N*N*N N GAA GAC TTC GCT ACC ACC AGT AGA C*T*G-3′及び5′-P-N*N*N N CAG TCT ACT GGT GGT AGC GAA GTC T*T*C-3′(配列中、Pは5’リン酸化を表し、アスタリスクはホスホロチオエート結合を示す)をアニーリングすることによってオリゴヌクレオチド捕捉二本鎖を調製した。GFP発現RNAを陰性対照として使用した。電気穿孔細胞を、10%ウシ胎児血清及び1倍のペニシリン-ストレプトマイシン-グルタミンを含有する100μlの温かいRPMI培地中で回収し、100μlの予熱培地を有する96ウェルの組織培養プレートに移した。細胞を37℃で48時間インキュベートした。ピペット混合後に、トランスフェクトされた細胞の30%を、200xgでの10分間の遠心分離によって収穫し、アンプリコンシーケンシングによるインデル及びオリゴの取り込みの定量化に使用した。細胞をスケールアップするために、残りの細胞を、新鮮な培地400μlを有する24ウェルプレートに移した。これらの細胞を、新鮮な培地を絶え間なく補充しながら更に5日間維持した。細胞を遠心分離により採取し、オリゴ捕捉ライブラリーが構築されるまで、-80℃でペレットの形態で保存した。
【0227】
トランスフェクション後48時間のインデル定量のために、標的部位をPCR増幅させ、上記のプロトコルを使用してアンプリコンシーケンシングに供した。標的部位でのオリゴヌクレオチド-二重組み込みを、Miller et al.(2019)に記載されるカスタムシェルスクリプトを使用して決定した。
【0228】
評価した各ZFN対について、目標の修飾(>75%のインデル)及び>3%の二重導入のほぼ飽和レベルを示す細胞サンプルを同定した。ゲノムDNAを、製造元の指示に従いNucleoSpin 8 Tissue kit (Macherey-Nagel,cat.#740740)を使用して精製した。DNAを、Qubit(商標)dsDNA HS Assay Kit(Thermo Fisher,cat.#Q32854)を使用して定量した。400ng(約120kゲノム)のゲノムDNAを使用して、標準的なオリゴヌクレオチド二重捕捉プロトコルに従って候補オフターゲット遺伝子座を同定した(Miller,2019)。
【0229】
スクリーニング規模研究からのZFN処理されたT細胞を7日目に収穫し、大規模研究からのZFN処理されたT細胞を10日目に収穫した。ゲノムDNAを単離し、上記のようにオンターゲットインデルパーセンテージを測定した。次いで、各ZFN対について、75%超の改変を示す最低投与量サンプルを、オリゴヌクレオチド二重捕捉分析により識別された最も高い順位の候補オフターゲット部位で独立したインデルパーセンテージについて分析した。これらの部位で、上記の方法を用いてインデルを測定した。
【0230】
細胞膨張率及び生存率測定
【0231】
細胞数及び生存率の測定を、ViaStain AOPI染色溶液によるNexcelom Cellometer K2機器((Nexcelom,#CS2-0106-25mL)で実施した。
【0232】
細胞数及び生存率を決定するために、20μlの生細胞サンプル及び20μlのAOPI染色溶液を組み合わせて混合した。次に、20μlの染色したサンプルをスライド上のCellometer Chamberに加え、Cellometer K2機器を用いて分析し、これはサンプルの生/死細胞の数、生/死細胞の濃度、平均直径、及び生存率についての報告を提供する。
【0233】
3日目~10日目の細胞膨張倍率を、10日目の各サンプルの細胞の総数を3×10、すなわち電気穿孔に使用した細胞の数で割ることによって決定した。
【0234】
MHCクラスII細胞表面発現のFACS分析
【0235】
MHCクラスIIフローサイトメトリーに使用した染色材料:Fixable Viability Dye eFluor506(eBioscience,#65-0866-14,lot#2095423)、Rat Ig2a Kappa Isotype control eFluor506(eBioscience,Cat#69-4321-82,Lot#2094345、及びAPC anti-human HLA-DR,DP,DQ(Biolegend,Cat#361714,Lot#B289409)。染色した細胞を、Attuneフローサイトメーター(Invitrogen)で取得し、FlowJoソフトウェアバージョン10.7.1を使用して分析した。
【0236】
染色されるべき96ディープウェルプレートに、各サンプルについておよそ100万個の細胞を収集した(アイソタイプ及び染色されていない対照については未改変T細胞、モックT細胞、及びZFN処理したT細胞)。細胞を500xgで5分間ペレット化し、FACSバッファー(DPBS中0.5%のBSA)で2回洗浄した。各サンプルに100μlのeBioscience Fixable Viability Dye eFluor506(PBS中で1:1000に希釈)を加え、4度で30分間インキュベートし、光から保護した。インキュベーション期間の終わりに、細胞を400μlのFACSバッファーで2回洗浄し、過剰なバイアビリティー色素を除去した。細胞を500xgで5分間ペレット化し、50μlのMHCクラスIImAb(FACSバッファー中で1:20に希釈)に再懸濁させた。抗体インキュベーションを、光から保護しながら室温で30分間行った。抗体インキュベーション後、細胞を500μlのFACSバッファーで3回洗浄した。ペレットを、捕捉読み取りのために200μlのFACAバッファーに再懸濁させた。
【0237】
第1サイクルのリード発達からの高活性ZFN試薬の同定
【0238】
リード発達の初期サイクルでは、初期設計セットからの180個のZFN対を、RNAトランスフェクションを用いてK562細胞でスクリーニングした。最も活性の高い対のサブセットを、代替のモジュール、リンカー、及びリン酸接触変化の数を使用することにより、2つの追加段階を介してオンターゲットインデックスを改善するために選択した。これらのZFNを、K562細胞中のプラスミドDNA、またはT細胞中のRNAで試験した。T細胞内のZFN RNAをトランスフェクションすることにより得られた3つの特異部位を標的とする最も活性の高いZFN対の15個を含む1つの代表的なスクリーニングデータセットを表9に示す。これらの結果は、滴定挙動の範囲を示し、最も活性な対は、より高い用量で70%超のインデルレベルを達成した。我々の経験において、高スループットT細胞スクリーンに見られる活性レベルは、大規模な研究で達成される改変効率を過小評価する傾向がある。
【表9】
【0239】
サイクル1のリードZFNの特異性評価及び改善
表9に示されている候補対のセットから、サブセットを開発プロセスのサイクル2に進め、これには、詳細度を測定及び改善するために2つの並行したアクティビティが関与する。これらの活性のうちの第1の活性では、オリゴヌクレオチド二重捕捉分析においてZFN対を使用し、候補オフターゲット部位での活性を評価するための追跡インデル研究を行った。76867:82862対(第9表を参照)に関しては、これらの研究は優れた特異性を示し、オンターゲット捕捉数は、他の任意の遺伝子座での捕捉数を約10倍も上回った。さらに、23の最も高くランク付けされた候補オフターゲット遺伝子座でのインデル分析では、80%超のオンターゲット改変レベルで低い総インデルレベルを得た。右側のZFN82862の設計特徴は、ZFP結合親和性を低下させるために、フィンガー1、3、及び5での3つのアルギニン-グルタミン置換を含む(表15)。この対の高度に特異的な性能を、2Aバージョンを用いた大規模なT細胞研究で確認した(表10を参照)。
【表10】
【0240】
第2の対(表9の84214:84221対を参照)についても、捕捉及びインデル分析によって良好な性能が得られた。右側のZFN84221の設計特徴は、ZFP結合親和性を低下させるために、フィンガー3及び4での2つのアルギニン-グルタミン置換を含む(表15)。オフターゲット活性をさらに減少させるために、FokIドメインに置換を有するZFN変異体をアセンブルし、次いで、既知のオフターゲットに対する改善された特異性についてスクリーニングした。この取り組みにより、FokIドメイン内でQ481E置換を有する、87254で示されるZFN84214の有意に改善された変異体が同定された(表15)。84214ZFNを87254で置換すると、バックグラウンド減算されたオフターゲットインデルが劇的に減少した(表11の列4と5を比較)。その2A構成におけるこの対の特異性は、大規模なT細胞研究で確認された(表11参照)。
【表11】
【0241】
これらの取り組みから得られたZFN対、76867:82862及び87254:84221は、大規模なT細胞研究で、15%未満の総オフターゲットインデルレベルと、75%超のオンターゲット改変レベルとを有する高度の切断特異性を示した(表10及び11参照)。
【0242】
実施例3.大規模研究
大規模なT細胞研究の前に、それぞれのリード対、76867:82862(部位B)及び87254:84221(部位G)の2つのZFNコード遺伝子を、2A-ペプチドをコードするDNAセグメントを介して結合させ、得られた融合遺伝子をSTV220-pVAX-GEM2UX発現ベクターにサブクローニングした。2Aペプチドは、単一RNA転写物からの両方のZFNタンパク質の効率的な産生を可能にする(Szymczak、2004)。次に、得られた構築物から生成されたRNAを、50、100、150及び200μg/mlの濃度で、OC-100MaxCyteプロトコルを使用してT細胞にトランスフェクトした。10日目(すなわち、トランスフェクション後7日目)に次世代シーケンスによって測定されたオンターゲットインデル率は、最小用量で高いインデルレベルを示し、約96%でピークインデルレベルを示した(表12を参照)。対照として、90μg/mlのZFN対pST-TRACmR(CD19標的)をトランスフェクションに含め、91.2%の改変率を得た。
【表12】
【0243】
総オフターゲットインデルレベルの評価
ZFNを標的とするCIITAの重要な性能要件は、それらが高い特異性、特に15%未満の総オフターゲットインデルレベルを示すことである。このメトリックに対する性能を評価するために、76867-2A-82862及び87254-2A-84221の対についての低用量サンプルを、オリゴヌクレオチドの二重捕捉試験によって決定される最も高くランク付けされた候補オフターゲット部位におけるインデル%について特性決定した。第10表及び第11表にまとめたこれらの分析の結果は、活性及び特異性性能を示しており、これは、このプログラムについて定義された許容範囲内である。76867-2A-82862対(部位B)については、23の候補オフターゲットを分析して、統計的に有意なイインデルシグナルを示す3つの部位を、バックグラウンド減算レベルでそれぞれ0.28%、0.50%、0.64%で特定した。他の2つの部位は、統計的に有意なインデルレベルを示さなかったが、マニュアルインデル分析に基づいて潜在的なオフターゲット部位と考えられた。87254-2A-84221対(部位G)については、1つのオフターゲット部位のみが0.21%の統計的に有意なインデルレベルを示し、それ以外でマニュアル分析においてZFN誘導性インデルを示す部位はなかった。
【0244】
細胞生存率及び細胞膨張の評価
大規模なトランスフェクションにおけるT細胞の健康に対するZFN発現の効果を評価するために、細胞生存率を7日目及び10日目(トランスフェクションの4日後及び7日後)に決定した。表13に示すように、モック対照と比較して細胞生存率の大きな損失は観察されなかった。3日目から10日目までのT細胞膨張の測定(表14)は、モック及びTRAC ZFN対照の膨張において通常よりも大きな変動を示したが、最も高いCIITA ZFN mRNA入力レベルでは膨張の明らかな減少はなかった。
【表13】
【表14】
【0245】
MHCクラスII細胞表面発現のFACS分析
【0246】
CIITA機能のZFN媒介性ノックアウトは、MHCクラスIIの細胞表面発現を示す細胞の割合を減少させるはずであることから、本発明者らは、採取時、トランフェクションから7日後([10日目」)にT細胞についてFACS分析を行った。モック及びTRAC ZFN対照サンプルと比較した、CIITA ZFN処理サンプルにおけるMHCクラスIIシグナルのZFN濃度依存的減少が観察された(図2)。CIITA ZFN対87534-2A-84221(部位G)においては、MHCクラスIIが75%超減少し、これはMHCクラスIIレベルを50%減少した、ZFN対76867-2A-82862(サイトB)よりもMHCクラスIIレベルの顕著により高い減少を示した。インデルレベルにおいては、両方のZFN対は、同様の極めて高いレベルをもたらした。
【0247】
ZFN切断部位でのインデル部位の機能的効果のバイオインフォマティクスベースの考察
【0248】
9種からのCIITA相同の全長タンパク質配列は図2Aに示すように整列している。ZFN対76867:82862(部位B)及び87254:84221(部位G)の切断部位を有する領域が拡大され、図2B及び2Cにそれぞれ示される。両方のZFN対は保存領域でDNAを切断し、ZFNによって生成されたインデルが機能的破壊を媒介することを示唆したが、FACSで測定したMHCクラスIIタンパク質のノックダウンレベルは、G部位ではB部位よりも高い効率を示した。図2に示されるように、G部位は、NACHTドメイン内に位置している。NACHTドメインは、進化的に保存された予測ヌクレオシド-トリホスファターゼ(NTPase)ドメインである(Koonin,Trends in Biochemical Sciences,2000,25(5):223)。その名は、NAIP(NLPファミリーのアポトーシス阻害タンパク質)、CIITA(すなわち、C2TAまたはMHCクラスII転写活性化剤)、HET-E(Podospora anserina由来の不和合性座蛋白質)、及びTEP1(テロメラーゼ関連タンパク質)を含むいくつかのタンパク質に由来する。NACHTドメインの重要な機能及びそのヌクレオチド結合ドメインのロスマンフォールドらしさを考慮すると、G部位で生成されるインフレームインデルによるアミノ酸残基変化は、B部位で生成されるインフレームインデルによるアミノ酸残基変化よりもCIITAタンパク質機能に対してより有害であり、したがって、より深刻なMHCクラスII低減を示す可能性がある。
【0249】
ZFN対76867:82862(部位B)及び87254:84221(部位G)は、それぞれCIITAエクソン2及び11を標的としている。ゲノム及びタンパク質配列に対するそれらの標的部位を図1に示す。2つのZFN試薬のための設計情報、アーキテクチャ及びDNA結合配列を第15表及び図3に示す。具体的には、以下の表15は、本開示の6つの例示的に操作されたZFNを列挙している。各ZFNについて、ZFNドメイン内の各ジンクフィンガーのゲノム標的配列(結合配列)及びDNA結合認識ヘリックス配列(すなわち、F1~F6)を単一の列で示す。下記表の「^」は、指示されたヘリックスの1番目のアミノ酸の上流の4番目のアルギニン(R)残基がグルタミン(Q)に変化したことを示す。配列に関する配列リスト番号(配列番号:#)は、その小括弧内に示されている。
【表15】
【0250】
ZFN対、76867:82862(部位B)はCIITAエクソン2を標的とし、ZFN対87254:84221及び87278:87232(部位G)はCIITAエクソン11を標的とする。ゲノム及びタンパク質配列に対するそれらの標的部位を図1に示す。2つのZFN試薬のための設計情報、アーキテクチャ及びDNA結合配列を第15表及び図3に示す。
【0251】
【表16】
【0252】
【表17】
【0253】
【表18】
【0254】
【表19】
【0255】
【表20】
【0256】
【表21】
【0257】
【表22】
【0258】
実施例4.ジンクフィンガーヌクレアーゼの編集活性
CIITA ZFN,87278及び87232の編集活性を評価した。
【0259】
末梢血単核細胞(PBMC)及び制御性T細胞(Treg細胞)の単離
Treg細胞を、EFS(Marseille,France)の健康なボランティアの血液から得たバフィーコートから新たに単離した。簡単に言えば、PBMCを、採血の翌日に精製した。次に、CD4/CD25/CD127LowTreg細胞を、EasySep(商標)Releasable RapidSpheres(商標)を使用したカラムフリー免疫磁気陽性選択によって単離した。次に、EasySep(商標)単離したCD25細胞から結合磁性粒子を除去し、CD127発現細胞を免疫磁気陰性選択により枯渇させた。生きたCD4/CD25CD127LowTreg細胞を、PI染色により計数し、下流の用途に使用した。
【0260】
Treg細胞培養
細胞単離後、細胞を、L-グルタミン(20mM)、ゲンタマイシン(75μg/mL)、rhIL-2(1000U/mL)及び抗CD3/CD28で被覆したビーズを補充した細胞培養培地中にプレーティングした。電気穿孔後、細胞を、L-グルタミン(20mM)、ゲンタマイシン(75μg/mL)、rhIL-2(1000U/mL)及び5%血清置換技術を補充した同じ細胞培養培地にプレーティングした。電気穿孔の4日後に、細胞を採取し、計数し、新鮮な完全培地中に再プレーティングした。
【0261】
CIITA ZFN mRNA産生
CIITA ZFN(87278及び87232)をコードするDNA配列を、pVAX-GEM2UXプラスミドにクローニングした。SpeIを用いたプラスミド線形化後、mMessageMachine T7 ultra-Kitを使用してmRNA転写産物を産生し、続いて塩化リチウム精製により単離した。最後に、Bioanalyzerを使用してmRNAの品質を評価した。
【0262】
Treg細胞電気穿孔
0.5*10E+06個の細胞を収集し、20*1E+06個の細胞/mLの細胞濃度で電気穿孔バッファー中に懸濁させた。次いで、CIITA ZFNをコードするmRNAを、示された濃度で再懸濁された細胞と混合した。次に、サンプルを電気穿孔カセットに入れ、製造業者の指示に従って電気穿孔した。電気ショック後、細胞を回収し、記載された培地中にプレーティングした(Treg細胞培養の項目を参照)。
【0263】
免疫表現型決定
細胞を暗所で4℃で20分間抗MHCII抗体で染色した。2つの洗浄ステップの後に、SYTOXブルーを含むFACSバッファー中で細胞を再懸濁し、これを死亡率のマーカーとして使用した。サンプルを、MACSQuant分析装置を使用するフローサイトメトリーによって分析した。
【0264】
次世代シーケンシングを用いるインデル検出
CIITA標的領域は、単一のPCRによりゲノムDNAからPCR増幅した。次に、生成されたPCR産物をバーコード化し、Illumina MiSeqシーケンシングシステムでのペアエンドディープシーケンシングによって改変レベルを決定した。Miseqデータは社内で処理及び分析した。インデル定量のためにゲノムDNAを増幅するために使用されるプライマーは、以下の表23に記載されている。
【表23】
【0265】
実験計画
単離したばかりのCD4+/CD127Low/CD25+Treg細胞を、抗CD3/CD28ビーズ(d-3)を使用して活性化させた。0日目、結果セクションに示されるように、ZFN-mRNAを細胞内に電気穿孔した。電気穿孔(EP)後、5%の血清置換物(SR)の存在下で細胞を培養した。EP後4日目に、新鮮な抗CD3/CD28ビーズを添加することにより細胞を再活性化させた。免疫表現型決定により細胞を分析した際に、ラパマイシンも7日目EP後まで添加した。DNAも抽出してMiseq解析を行った。(図6を参照)。
【0266】
Treg細胞を、様々な濃度のCIITA ZFN mRNA(0、30、60、90及び120μg/mL)で電気穿孔した。1週間後、CIITA ZFNの編集効率を次世代シーケンシング(NGS)で評価した。90μg/mLの電気穿孔mRNAで最適な編集条件(インデル%)を得た(図7A)。並行して、Treg細胞の免疫表現型分析を実施して、細胞表面MHCIIからのノックアウトを監視した。MHCII発現はTreg細胞において経時的に変動するため、データは非電気穿孔(NoEP)対照条件にわたって正規化した。編集データと一致して、CIITA ZFN編集は、約90μg/mLのZFNの最適濃度を有する強力なMHCIIノックアウトをもたらした(図7B)。
【0267】
本明細書において言及されるすべての特許、特許出願、及び出版物は、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。
【0268】
理解の明瞭化ために説明図及び例を用いてある程度詳しく開示を提供しているが、本開示の精神または範囲から逸脱することなく様々な変更及び修正を行うことができることは当業者には明らかである。したがって、前述の説明及び実施例は、限定的であると解釈されるべきではない。
図1
図2A
図2B
図2C
図3
図4
図5A
図5B
図6
図7A
図7B
【国際調査報告】