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特表2024-520472製品状態定量化および残存寿命予測のための方法、装置ならびにシステム
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  • 特表-製品状態定量化および残存寿命予測のための方法、装置ならびにシステム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-24
(54)【発明の名称】製品状態定量化および残存寿命予測のための方法、装置ならびにシステム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/04 20230101AFI20240517BHJP
   F04C 14/28 20060101ALI20240517BHJP
【FI】
G06Q10/04
F04C14/28 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023573001
(86)(22)【出願日】2021-05-27
(85)【翻訳文提出日】2024-01-12
(86)【国際出願番号】 CN2021096502
(87)【国際公開番号】W WO2022246758
(87)【国際公開日】2022-12-01
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517291346
【氏名又は名称】シーメンス アクチエンゲゼルシヤフト
【氏名又は名称原語表記】Siemens Aktiengesellschaft
【住所又は居所原語表記】Werner-von-Siemens-Str. 1, D-80333 Muenchen, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】チャオチュン リー
(72)【発明者】
【氏名】シャオツォウ ツォウ
(72)【発明者】
【氏名】ホアンルン リー
(72)【発明者】
【氏名】リン フー
【テーマコード(参考)】
3H044
5L010
【Fターム(参考)】
3H044AA01
3H044BB08
3H044CC15
5L010AA04
(57)【要約】
製品状態定量化および残存寿命予測のための方法であって、この方法は、製品の設計データと動作データとを取得することと、設計データに基づいて製品の設計モデルを確立し、製品の予測された性能曲線を得するために設計データと動作データとに従ってデータ融合を実行し、予測された性能曲線から最適化された動作状態点を選択することと、予測された性能曲線に基づいて製品のコストモデルと動作柔軟性モデルとを確立し、製品の性能要件または動作コストに従って、製品の残存寿命予測を計算することとを備える。製品の動的性能に基づいて定量化および予測を行うことができる。これに加えて、さらに、この方法を実装するためのシステムおよび装置が開示されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
製品状態定量化および残存寿命予測のための方法であって、
前記方法は、
製品の設計データと動作データとを取得するステップT1と、
前記設計データに基づいて前記製品の設計モデルを確立し、前記製品の予測された性能曲線を得するために前記設計データと動作データとに従ってデータ融合を実行し、前記予測された性能曲線内の最適化された動作状態点を選択するステップT2と、
前記予測された性能曲線に基づいて前記製品のコストモデルと動作柔軟性モデルとを確立し、前記製品の性能要求または動作コストに従って、前記製品の残存寿命予測を計算するステップT3と
を備える、製品状態定量化および残存寿命予測のための方法。
【請求項2】
前記製品はウォーターポンプであり、ステップT2はさらに、
異常データおよび誤データを除去するために、前記ウォーターポンプの設計データと動作データとにデータ前処理を施すステップT21と、
前記設計データに基づいて前記ウォーターポンプの設計モデルを確立し、前記設計モデルに従って前記製品の設計性能評価および分析を実行するステップであって、前記設計モデルはマルチフィデリティ・デジタルツインモデルである、ステップT22と、
前記ウォーターポンプの予測された性能曲線を得る目的で前記設計データと動作データとに従ってデータ融合を実行するためにデータ融合アルゴリズムを使用し、前記データ融合アルゴリズムのパラメータを最適化することによって、前記予測された性能曲線の精度を向上させるステップT23と、
前記予測された性能曲線において最適化された動作状態点を選択するために、最適化された整合関係を計算するステップであって、前記整合関係は、前記ウォーターポンプの負荷とその出力と効率との間の増大された動作範囲内にあり、同時に前記ウォーターポンプを満たす、ステップT24と
を備える、請求項1記載の、製品状態定量化および残存寿命予測のための方法。
【請求項3】
ステップT3はさらに、
ウォーターポンプの性能衰退モデルを生成するために、前記予測された性能曲線に基づいて回帰演算を実行するステップT31と、
前記製品の全ライフサイクルの経済的コストおよび前記製品の交換コストを計算するために前記性能衰退モデルに基づいて前記製品のコストをモデリングするステップT32と、
前記性能衰退モデルならびに前記ウォーターポンプの動作データおよびコストパラメータに基づいて前記ウォーターポンプの交換の時間を計算するために、最適化アルゴリズムを使用するステップT33と、
前記ウォーターポンプの全負荷動作パラメータと衰退関数とに基づいて前記ウォーターポンプの動作柔軟性を計算するステップT34と
を備える、請求項1記載の、製品状態定量化および残存寿命予測のための方法。
【請求項4】
前記データ融合アルゴリズムはMFKアルゴリズムである、請求項1記載の、製品状態定量化および残存寿命予測のための方法。
【請求項5】
前記ポンプの前記性能衰退モデルは、式によって、時系列の損失水頭のモデルとして次のように記述され:
【数1】
ここで
【数2】
は、初期性能、すなわち、t=0の場合の設計点、すなわち、工場を出たばかりのときの前記ウォーターポンプの性能を示し、bおよびcは、最小二乗法によるカーブフィッティングに使用されるパラメータを示す、
請求項3記載の、製品状態定量化および残存寿命予測のための方法。
【請求項6】
前記全ライフサイクルの経済的コストは、
【数3】
であり、
ここで、Cicは初期コストであり、Cinは設置コストであり、Cはエネルギコストであり、Cはシステム管理コストであり、Cは保守および修理コストであり、Cは故障コストであり、Cenvは環境コストであり、Cは解体および処理コストである、
請求項3記載の、製品状態定量化および残存寿命予測のための方法。
【請求項7】
前記交換コストは、
【数4】
であり、
ここで、LCCrepは新しいウォーターポンプの交換の前記全ライフサイクルの経済的コストであり、LCCoriginalは古いウォーターポンプの前記全ライフサイクルの経済的コストであり、Tendは前記古いウォーターポンプの使用サイクルが終了する時間であり、Trepは新しいウォーターポンプの交換の時間であり、Ce.repは新しいウォーターポンプの交換の前記エネルギコストであり、Cres,repは前記新しいウォーターポンプの使用の前記エネルギコストであり、Cres,originalは前記古いウォーターポンプの残存値であり、Cres,repは前記新しいウォーターポンプの残存値であり、
ここで前記エネルギコストCe,originalおよびCe.repは、エネルギ消費に電力価格を乗算することによって計算可能であり、
【数5】
ここでQは前記ウォーターポンプの流量であり、Nは前記ウォーターポンプの回転速度であり、
【数6】
は前記ウォーターポンプの流量と前記回転速度との結合確率密度関数であり、
【数7】
は種々異なるウォーターポンプの流量および回転速度において、出力衰退モデルによって更新された出力であり、
【数8】
は時間を変数として予測された電力価格である、
請求項6記載の、製品状態定量化および残存寿命予測のための方法。
【請求項8】
前記全負荷動作パラメータは、前記ウォーターポンプの流量の最小要求Qと最小水頭要求Hとを備え、
ここで
【数9】
は前記ウォーターポンプの水頭の動作柔軟性を表し、
【数10】
は前記ウォーターポンプの流量の動作柔軟性を表し:
【数11】
前記ウォーターポンプの水頭の動作柔軟性
【数12】
または前記ウォーターポンプの流量の動作柔軟性
【数13】
が所定の閾値未満である場合には、前記ウォーターポンプの交換が必要である旨のプロンプトを送る必要がある、
請求項3記載の、製品状態定量化および残存寿命予測のための方法。
【請求項9】
製品状態定量化および残存寿命予測のためのシステムであって、
前記システムは、
プロセッサと、
前記プロセッサに結合されたメモリとを備え、前記メモリには命令が格納されており、前記メモリは、前記プロセッサによって実行されると、電子デバイスに動作を実行させ、
前記動作は、
製品の設計データと動作データとを取得するステップT1と、
前記設計データに基づいて前記製品の設計モデルを確立し、前記製品の予測された性能曲線を得るために前記設計データと動作データとに従ってデータ融合を実行し、前記予測された性能曲線内の最適化された動作状態点を選択するステップT2と、
前記予測された性能曲線に基づいて前記製品のコストモデルと動作柔軟性モデルとを確立し、前記製品の性能要求または動作コストに従って、前記製品の残存寿命予測を計算するステップT3と
を備える、製品状態定量化および残存寿命予測のためのシステム。
【請求項10】
前記製品はウォーターポンプであり、
前記動作T2はさらに、
異常データおよび誤データを除去するために、前記ウォーターポンプの設計データと動作データとにデータ前処理を施すステップT21と、
前記設計データに基づいて前記ウォーターポンプの設計モデルを確立し、前記設計モデルに従って前記製品の設計性能評価および分析を実行するステップであって、前記設計モデルはマルチフィデリティ・デジタルツインモデルである、ステップT22と、
前記ウォーターポンプの予測された性能曲線を得る目的で前記設計データと動作データとに従ってデータ融合を実行するためにデータ融合アルゴリズムを使用し、前記データ融合アルゴリズムのパラメータを最適化することによって、前記予測された性能曲線の精度を向上させるステップT23と、
前記予測された性能曲線において最適化された動作状態点を選択するために、最適化された整合関係を計算するステップであって、前記整合関係は、前記ウォーターポンプの負荷とその出力と効率との間の増大された動作範囲内にあり、同時に前記ウォーターポンプを満たす、ステップT24と
を備える、請求項9記載の、製品状態定量化および残存寿命予測のためのシステム。
【請求項11】
前記動作T3はさらに、
ウォーターポンプの性能衰退モデルを生成するために、前記予測された性能曲線に基づいて回帰演算を実行するステップT31と、
前記製品の全ライフサイクルの経済的コストおよび前記製品の交換コストを計算するために前記性能衰退モデルに基づいて前記製品のコストをモデリングするステップT32と、
前記性能衰退モデルならびに前記ウォーターポンプの動作データおよびコストパラメータに基づいて前記ウォーターポンプの交換の時間を計算するために、最適化アルゴリズムを使用するステップT33と、
前記ウォーターポンプの全負荷動作パラメータと衰退関数とに基づいて前記ウォーターポンプの動作柔軟性を計算するステップT34と
を備える、請求項9記載の、製品状態定量化および残存寿命予測のためのシステム。
【請求項12】
前記データ融合アルゴリズムはMFKアルゴリズムである、請求項9記載の、製品状態定量化および残存寿命予測のためのシステム。
【請求項13】
前記ポンプの前記性能衰退モデルは、式によって、時系列の損失水頭のモデルとして次のように記述され:
【数14】
ここで
【数15】
は、初期性能、すなわち、t=0の場合の設計点、すなわち、工場を出たばかりのときの前記ウォーターポンプの性能を示し、bおよびcは、最小二乗法によるカーブフィッティングに使用されるパラメータを示す、
請求項11記載の、製品状態定量化および残存寿命予測のためのシステム。
【請求項14】
前記全ライフサイクルの経済的コストは、
【数16】
であり、
ここで、Cicは初期コストであり、Cinは設置コストであり、Cはエネルギコストであり、Cはシステム管理コストであり、Cは保守および修理コストであり、Cは故障コストであり、Cenvは環境コストであり、Cは解体および処理コストである、
請求項11記載の、製品状態定量化および残存寿命予測のためのシステム。
【請求項15】
前記交換コストは、
【数17】
であり、
ここで、LCCrepは新しいウォーターポンプの交換の前記全ライフサイクルの経済的コストであり、LCCoriginalは古いウォーターポンプの前記全ライフサイクルの経済的コストであり、Tendは前記古いウォーターポンプの使用サイクルが終了する時間であり、Trepは新しいウォーターポンプの交換の時間であり、Ce.repは新しいウォーターポンプの交換の前記エネルギコストであり、Cres,repは前記新しいウォーターポンプの使用の前記エネルギコストであり、Cres,originalは前記古いウォーターポンプの残存値であり、Cres,repは前記新しいウォーターポンプの残存値であり、
ここで前記エネルギコストCe,originalおよびCe.repは、エネルギ消費に電力価格を乗算することによって計算可能であり、
【数18】
ここでQは前記ウォーターポンプの流量であり、Nは前記ウォーターポンプの回転速度であり、
【数19】
は前記ウォーターポンプの流量と前記回転速度との結合確率密度関数であり、
【数20】
は種々異なるウォーターポンプの流量および回転速度において、出力衰退モデルによって更新された出力であり、
【数21】
は時間を変数として予測された電力価格である、
請求項14記載の、製品状態定量化および残存寿命予測のためのシステム。
【請求項16】
前記全負荷動作パラメータは、前記ウォーターポンプの流量の最小要求Qと最小水頭要求Hとを備え、
ここで
【数22】
は前記ウォーターポンプの水頭の動作柔軟性を表し、
【数23】
は前記ウォーターポンプの流量の動作柔軟性を表し:
【数24】
前記ウォーターポンプの水頭の動作柔軟性
【数25】
または前記ウォーターポンプの流量の動作柔軟性
【数26】
が所定の閾値未満である場合には、前記ウォーターポンプの交換が必要である旨のプロンプトを送る必要がある、
請求項11記載の、製品状態定量化および残存寿命予測のためのシステム。
【請求項17】
製品状態定量化および残存寿命予測のための装置であって、
前記装置は、
製品の設計データと動作データとを取得する取得装置と、
前記設計データに基づいて前記製品の設計モデルを確立し、前記製品の予測された性能曲線を得るために前記設計データと動作データとに従ってデータ融合を実行し、前記予測された性能曲線内の最適化された動作状態点を選択する融合装置と、
前記予測された性能曲線に基づいて前記製品のコストモデルと動作柔軟性モデルとを確立し、前記製品の性能要求または動作コストに従って、前記製品の残存寿命予測を計算する計算装置と
を備える、製品状態定量化および残存寿命予測のための装置。
【請求項18】
コンピュータ可読媒体に有形に格納されたコンピュータプログラム製品であって、
前記コンピュータプログラム製品は、コンピュータ実行可能な命令を備え、前記コンピュータ実行可能な命令は、実行されると、少なくとも1つのプロセッサに請求項1から8までのいずれか1項記載の方法を実施させる、
コンピュータプログラム製品。
【請求項19】
コンピュータ実行可能な命令を格納したコンピュータ可読媒体であって、
前記コンピュータ実行可能な命令は、実行されると、少なくとも1つのプロセッサに請求項1から8までのいずれか1項記載の方法を実施させる、
コンピュータ可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、産業デジタル化の分野に関し、特に製品状態定量化および残存寿命予測のための方法、装置ならびにシステムに関する。
【0002】
背景技術
多くの企業(浄水場の所有者等)は、自身のポンプ設備を有しており、ポンプシステムの初期購入および設置コストのみを考慮する。生産ラインの設計者または管理者にとっては、新しい機器を設置する前または主要な保全を行う前に、種々異なるスキームの有効性を評価することが不可欠な作業である。このような評価によって、経済的に最も魅力的な選択が検証されるだろう。しかし、ライフサイクル全体にわたって、または故障が生じている過程において、ポンプの有効性は徐々に低下し、これによって、断水および予期せぬ停止による損失が発生するであろう。国内および世界の市場は今後も競争が激化していくため、生産ラインの所有者は自身の事業利益率を向上させるために継続的にコスト削減を模索する必要がある。コスト源の削減は、特にエネルギ消費および生産ラインの停止期間を最小限に抑えることにつながるため、生産ライン設備の稼働状況は興味を持って追跡される。したがって、顧客または所有者は、現在の性能状態を知り、ポンプの保全および交換サービスに対して有用な定量的な耐用年数を維持することを望んでいる。
【0003】
このように、ポンプの性能および残存耐用年数の定量化には依然として多くの課題がある。たとえば、ポンプの劣化は、機械的な要因、液圧的な要因、電磁的な要因、振動の要因および温度的な要因等を含む多くの要因によって引き起こされるので、物理モデルを確立することが困難である。たとえば、センサの不足または短い一期間のみの有効性のため、概して、動作データを完全にすることはできない。別の例として、ポンプの詳細な設計データ、たとえば図面は一般的に使用可能ではない。
【0004】
発明の概要
本発明の第1の態様は、製品状態定量化および残存寿命予測のための方法を提供し、この方法は、製品の設計データと動作データとを取得するステップT1と、設計データに基づいて製品の設計モデルを確立し、製品の予測された性能曲線を得するために設計データと動作データとに従ってデータ融合を実行し、予測された性能曲線内の最適化された動作状態点を選択するステップT2と、予測された性能曲線に基づいて製品のコストモデルと動作柔軟性モデルとを確立し、製品の性能要求または動作コストに従って、製品の残存寿命予測を計算するステップT3とを備える。
【0005】
さらに、製品はウォーターポンプであり、ステップT2はさらに、異常データおよび誤データを除去するために、ウォーターポンプの設計データと動作データとにデータ前処理を施すステップT21と、設計データに基づいてウォーターポンプの設計モデルを確立し、設計モデルに従って製品の設計性能評価および分析を実行するステップであって、設計モデルはマルチフィデリティ・デジタルツインモデルである、ステップT22と、ウォーターポンプの予測された性能曲線を得る目的で設計データと動作データとに従ってデータ融合を実行するためにデータ融合アルゴリズムを使用し、データ融合アルゴリズムのパラメータを最適化することによって、予測された性能曲線の精度を向上させるステップT23と、予測された性能曲線において最適化された動作状態点を選択するために、最適化された整合関係を計算するステップであって、この整合関係は、ウォーターポンプの負荷とその出力と効率との間の増大された動作範囲内にあり、同時にウォーターポンプを満たす、ステップT24とを備える。
【0006】
さらに、ステップT3はさらに、ウォーターポンプの性能衰退モデルを生成するために、予測された性能曲線に基づいて回帰演算を実行するステップT31と、製品の全ライフサイクルの経済的コストおよび製品の交換コストを計算するために性能衰退モデルに基づいて製品のコストをモデリングするステップT32と、性能衰退モデルならびにウォーターポンプの動作データおよびコストパラメータに基づいてウォーターポンプの交換の時間を計算するために、最適化アルゴリズムを使用するステップT33と、ウォーターポンプの全負荷動作パラメータと衰退関数とに基づいてウォーターポンプの動作柔軟性を計算するステップT34とを備える。
【0007】
さらに、データ融合アルゴリズムはMFKアルゴリズムである。
【0008】
さらに、ポンプの性能衰退モデルは、式によって、時系列の損失水頭のモデルとして次のように記述され:
【数1】
ここで
【数2】
は、初期性能、すなわち、t=0の場合の設計点、すなわち、工場を出たばかりのときのウォーターポンプの性能を示し、bおよびcは、最小二乗法によるカーブフィッティングに使用されるパラメータを示す。
【0009】
さらに、全ライフサイクルの経済的コストは、
【数3】
であり、
ここで、Cicは初期コストであり、Cinは設置コストであり、Cはエネルギコストであり、Cはシステム管理コストであり、Cは保守および修理コストであり、Cは故障コストであり、Cenvは環境コストであり、Cは解体および処理コストである。
【0010】
さらに、交換コストは、
【数4】
であり、
ここで、LCCrepは新しいウォーターポンプの交換の全ライフサイクルの経済的コストであり、LCCoriginalは古いウォーターポンプの全ライフサイクルの経済的コストであり、Tendは古いウォーターポンプの使用サイクルが終了する時間であり、Trepは新しいウォーターポンプの交換の時間であり、Ce.repは新しいウォーターポンプの交換のエネルギコストであり、Cres,repは新しいウォーターポンプの使用のエネルギコストであり、Cres,originalは古いウォーターポンプの残存値であり、Cres,repは新しいウォーターポンプの残存値であり、
ここでエネルギコストCe,originalおよびCe.repは、エネルギ消費に電力価格を乗算することによって計算可能であり、
【数5】
ここでQはウォーターポンプの流量であり、Nはウォーターポンプの回転速度であり、
【数6】
はウォーターポンプの流量と回転速度との結合確率密度関数であり、
【数7】
は種々異なるウォーターポンプの流量および回転速度において、出力衰退モデルによって更新された出力であり、
【数8】
は時間を変数として予測された電力価格である。
【0011】
さらに、全負荷動作パラメータは、ウォーターポンプの流量の最小要求Qと最小水頭要求Hとを備え、
ここで
【数9】
はウォーターポンプの水頭の動作柔軟性を表し、
【数10】
はウォーターポンプの流量の動作柔軟性を表し:
【数11】
ウォーターポンプの水頭の動作柔軟性
【数12】
またはウォーターポンプの流量の動作柔軟性
【数13】
が所定の閾値未満である場合には、ウォーターポンプの交換が必要である旨のプロンプトを送る必要がある。
【0012】
本発明の第2の態様は、製品状態定量化および残存寿命予測のためのシステムを提供し、このシステムは、プロセッサと、プロセッサに結合されたメモリとを備え、メモリには命令が格納されており、このメモリは、プロセッサによって実行されると、電子デバイスに動作を実行させ、この動作は、製品の設計データと動作データとを取得するステップT1と、設計データに基づいて製品の設計モデルを確立し、製品の予測された性能曲線を得るために設計データと動作データとに従ってデータ融合を実行し、予測された性能曲線内の最適化された動作状態点を選択するステップT2と、予測された性能曲線に基づいて製品のコストモデルと動作柔軟性モデルとを確立し、製品の性能要求または動作コストに従って、製品の残存寿命予測を計算するステップT3とを備える。
【0013】
さらに、製品はウォーターポンプであり、動作T2はさらに、異常データおよび誤データを除去するために、ウォーターポンプの設計データと動作データとにデータ前処理を施すステップT21と、設計データに基づいてウォーターポンプの設計モデルを確立し、設計モデルに従って製品の設計性能評価および分析を実行するステップであって、設計モデルはマルチフィデリティ・デジタルツインモデルである、ステップT22と、ウォーターポンプの予測された性能曲線を得る目的で設計データと動作データとに従ってデータ融合を実行するためにデータ融合アルゴリズムを使用し、データ融合アルゴリズムのパラメータを最適化することによって、予測された性能曲線の精度を向上させるステップT23と、予測された性能曲線において最適化された動作状態点を選択するために、最適化された整合関係を計算するステップであって、この整合関係は、ウォーターポンプの負荷とその出力と効率との間の増大された動作範囲内にあり、同時にウォーターポンプを満たす、ステップT24とを備える。
【0014】
さらに、動作T3はさらに、ウォーターポンプの性能衰退モデルを生成するために、予測された性能曲線に基づいて回帰演算を実行するステップT31と、製品の全ライフサイクルの経済的コストおよび製品の交換コストを計算するために性能衰退モデルに基づいて製品のコストをモデリングするステップT32と、性能衰退モデルならびにウォーターポンプの動作データおよびコストパラメータに基づいてウォーターポンプの交換の時間を計算するために、最適化アルゴリズムを使用するステップT33と、ウォーターポンプの全負荷動作パラメータと衰退関数とに基づいてウォーターポンプの動作柔軟性を計算するステップT34とを備える。
【0015】
さらに、データ融合アルゴリズムはMFKアルゴリズムである。
【0016】
さらに、ポンプの性能衰退モデルは、式によって、時系列の損失水頭のモデルとして次のように記述され:
【数14】
ここで
【数15】
は、初期性能、すなわち、t=0の場合の設計点、すなわち、工場を出たばかりのときのウォーターポンプの性能を示し、bおよびcは、最小二乗法によるカーブフィッティングに使用されるパラメータを示す。
【0017】
さらに、全ライフサイクルの経済的コストは、
【数16】
であり、
ここで、Cicは初期コストであり、Cinは設置コストであり、Cはエネルギコストであり、Cはシステム管理コストであり、Cは保守および修理コストであり、Cは故障コストであり、Cenvは環境コストであり、Cは解体および処理コストである。
【0018】
さらに、交換コストは、
【数17】
であり、
ここで、LCCrepは新しいウォーターポンプの交換の全ライフサイクルの経済的コストであり、LCCoriginalは古いウォーターポンプの全ライフサイクルの経済的コストであり、Tendは古いウォーターポンプの使用サイクルが終了する時間であり、Trepは新しいウォーターポンプの交換の時間であり、Ce.repは新しいウォーターポンプの交換のエネルギコストであり、Cres,repは新しいウォーターポンプの使用のエネルギコストであり、Cres,originalは古いウォーターポンプの残存値であり、Cres,repは新しいウォーターポンプの残存値であり、
ここでエネルギコストCe,originalおよびCe.repは、エネルギ消費に電力価格を乗算することによって計算可能であり、
【数18】
ここでQはウォーターポンプの流量であり、Nはウォーターポンプの回転速度であり、
【数19】
はウォーターポンプの流量と回転速度との結合確率密度関数であり、
【数20】
は種々異なるウォーターポンプの流量および回転速度において、出力衰退モデルによって更新された出力であり、
【数21】
は時間を変数として予測された電力価格である。
【0019】
さらに、全負荷動作パラメータは、ウォーターポンプの流量の最小要求Qと最小水頭要求Hとを備え、
ここで
【数22】
はウォーターポンプの水頭の動作柔軟性を表し、
【数23】
はウォーターポンプの流量の動作柔軟性を表し:
【数24】
ウォーターポンプの水頭の動作柔軟性
【数25】
またはウォーターポンプの流量の動作柔軟性
【数26】
が所定の閾値未満である場合には、ウォーターポンプの交換が必要である旨のプロンプトを送る必要がある。
【0020】
本発明の第3の態様は、製品状態定量化および残存寿命予測のための装置を提供し、この装置は、製品の設計データと動作データとを取得する取得装置と、設計データに基づいて製品の設計モデルを確立し、製品の予測された性能曲線を得るために設計データと動作データとに従ってデータ融合を実行し、予測された性能曲線内の最適化された動作状態点を選択する融合装置と、予測された性能曲線に基づいて製品のコストモデルと動作柔軟性モデルとを確立し、製品の性能要求または動作コストに従って、製品の残存寿命予測を計算する計算装置とを備える。
【0021】
本発明の第4の態様は、コンピュータ可読媒体に有形に格納されたコンピュータプログラム製品を提供し、このコンピュータプログラム製品は、コンピュータ実行可能な命令を備え、コンピュータ実行可能な命令は、実行されると、少なくとも1つのプロセッサに本発明の第1の態様による方法を実施させる。
【0022】
本発明の第5の態様は、コンピュータ実行可能な命令を格納したコンピュータ可読媒体を提供し、コンピュータ実行可能な命令は、実行されると、少なくとも1つのプロセッサに本発明の第1の態様による方法を実施させる。
【0023】
本発明の製品状態定量化および残存寿命予測のためのメカニズムは、信頼性および精度が高く、製品の動的性能に基づいて定量化および予測を行うことができる。本発明は、ウォーターポンプに特に適している。本発明は、ウォーターポンプの動的デジタルモデルに基づいてウォーターポンプの動的性能状態を定量化することができ、ウォーターポンプ衰退モデルに基づいてウォーターポンプの残存耐用年数を定量化することができる。本発明は、プロセス自動化ソリューションの提供業者向けの製品を提供することができる、またはウォーターポンプ製造業者向けの付加価値サービスパッケージを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】ウォーターポンプの水頭曲線、出力曲線および効率曲線を示す図である。
図2】本発明の特定の実施形態による、製品状態定量化および残存寿命予測のために、ウォーターポンプ設計データと動作データとに基づいて、性能曲線がどのように生成されるかを示す概略図を示す図である。
図3】本発明の特定の実施形態による、製品状態定量化および残存寿命予測のためのウォーターポンプの水頭の衰退曲線を示す図である。
図4】本発明の特定の実施形態による、製品状態定量化および残存寿命予測のためのウォーターポンプ交換新/旧比較チャートを示す図である。
図5】本発明の特定の実施形態による、製品状態定量化および残存寿命予測のためのシステムの概略的な構造図を示す図である。
図6】本発明の特定の実施形態による、製品状態定量化および残存寿命予測のためのウォーターポンプ出力増加曲線を示す図である。
図7】本発明の特定の実施形態による、製品状態定量化および残存寿命予測のための動作柔軟性曲線を示す図である。
【0025】
発明の詳細な説明
以降では、図面を参照して本発明の特定の実施形態を説明する。
【0026】
本発明は、ウォーターポンプに特に適した、状態定量化および残存寿命予測のためのメカニズムを提供する。本発明では、デジタルツイン技術に基づいて、ウォーターポンプの設計性能と予測された性能とに対してモデルが確立される。ウォーターポンプの動作データと性能曲線とを参照して、本発明は、性能要求または動作コストに関するウォーターポンプの残存寿命予測を得る目的で、動作中のウォーターポンプの性能を評価するための、ウォーターポンプのデータ駆動デジタルツインモデルを確立する。ウォーターポンプを例に本発明を以降で説明する。
【0027】
本発明の第1の態様は、ステップT1、T2およびT3を備えている、製品状態定量化および残存寿命予測のための方法を提供する。
【0028】
図5は、本発明の特定の実施形態による、状態定量化および残存寿命予測のためのシステムの概略的な構造図である。図5に示すように、製品状態定量化および残存寿命予測のためのシステム100は、性能分析装置110および残存耐用年数予測装置120を備える。性能分析装置110のインプットデータは、ウォーターポンプの設計データDおよび動作データOであり、アウトプットデータは、最適化された動作状態点Pである。具体的には、性能分析装置110は、データ前処理装置111、設計モデリング装置112、データ融合装置113および最適化装置114を備える。性能分析装置110は、ウォーターポンプの予測された性能曲線を残存耐用年数予測装置120に出力し、残存耐用年数予測装置120は、ウォーターポンプの動作コストまたは性能要求に基づいて計算された残存寿命予測を出力する。具体的には、残存耐用年数予測装置120は、性能衰退モデリング装置121、コストモデリング装置122、コスト最適化装置123および動作柔軟性モデリング装置124を備える。
【0029】
はじめにステップT1において、製品の設計データと動作データとの取得が実行される。この実施形態では、設計データは、ウォーターポンプの回転速度、流量、圧力および出力等を備え、動作データは、種々異なる摩耗条件の下でのウォーターポンプの回転速度、流量、圧力および出力を備える。設計データとは、ウォーターポンプを設計する際に達成されることが望まれるデータ値、すなわち理想化されたデータを意味する。動作データは、ウォーターポンプが実際に動作しているときに生成される、対応するデータ、すなわちライブデータである。
【0030】
一例として、図2に示すように、この実施形態では、設計データはウォーターポンプの揚程を備え、リフト遠心ポンプの揚程はポンプ水頭とも称され、ポンプを通過する流体の単位重量によって得られるエネルギを意味する。ウォーターポンプの揚程は、ポンプ構造、たとえばインペラ直径、ブレード曲率等と回転速度とに関連する。ポンプ水頭の正確な理論的な計算は不可能であり、概して実験的手法によって決定される。動作データはウォーターポンプの回転速度と流量とを備え、時系列データは回転速度に従って分類される。
【0031】
次いで、ステップT2が実行され、性能分析装置110は、設計データに基づいて製品設計モデルを確立し、製品の予測された性能曲線を得るために設計データと動作データとに従ってデータ融合を実行し、予測された性能曲線において最適化された動作状態点を選択する。
【0032】
具体的には、ステップT2は、サブステップT21、サブステップT22、サブステップT23およびサブステップT24をさらに備える。
【0033】
サブステップT21において、データ前処理装置111は、異常データおよび誤データを除去するために、設計データと動作データとにデータ前処理を施す。データ事前実行モジュールは、ウォーターポンプ設計データおよび実行データを収集し、異常値を除去する。具体的には、異常値は、欠陥の除去、異常箇所の除去等のためのアルゴリズムの使用を含む。
【0034】
サブステップT22において、設計モデリング装置112は、設計データに基づいて製品設計モデルを確立して、設計モデルに従って製品の設計性能評価および分析を実行し、設計モデルはマルチフィデリティ・デジタルツインモデルである。設計性能とは、工場を出たときのウォーターポンプの性能を意味するため、理想化された性能である。
【0035】
具体的には、この実施形態では、マルチフィデリティ・デジタルツインは、ウォーターポンプの水頭曲線、出力曲線および効率曲線を備えているライブ性能デジタルツインである。
【0036】
具体的には、ウォーターポンプ性能のデジタルツインモデルは、マルチフィデリティ・データ駆動モデルを使用する。ウォーターポンプについては、水頭曲線、出力曲線および効率曲線を含む3つの異なる曲線で性能が評価される。これら3つのタイプの曲線は、概して、ウォーターポンプ生産ライン設計段階におけるウォーターポンプ選択のために用いられる。しかし、上述の曲線は、ダウンストリームシステム動作プロセスにおいて継続的に使用されないだろう。本発明は、ウォーターポンプ動作データをウォーターポンプの水頭曲線、出力曲線および効率曲線と組み合わせて、動作中のウォーターポンプの性能を評価するために、ウォーターポンプのデータ駆動デジタルツインモデルを確立する。上述のモデリングプロセスでは、マルチフィデリティ・モデリング技術が用いられる。
【0037】
図1は、ウォーターポンプの水頭曲線、出力(出力率)曲線および効率曲線を示しており、これに基づいて、ウォーターポンプの設計モデルモデリングを実行することができる。モデルの種々異なるフィデリティは、ウォーターポンプの動的システムを記述している。垂直座標は水頭、効率(%)およびインプット/アウトプット(KW)を別々に表し、水平座標は毎分のウォーターポンプの流量であり、曲線Sはウォーターポンプの性能を表し、曲線Sは効率を表し、曲線Sは電気機械インプット(KW)を表す。
【0038】
ステップT23において、データ融合装置113は、データ融合アルゴリズムを使用して、製品の予測された性能曲線を得るために設計データと動作データとに従ってデータ融合を実行して、データ融合アルゴリズムのパラメータを最適化することによって、予測された性能曲線の精度を向上させる。
【0039】
図2は、本発明の特定の実施形態による、状態定量化および残存寿命予測のために、ポンプ設計データと動作データとに基づいて、性能曲線がどのように生成されるかを示す概略図である。図2に示すように、この実施形態では、設計データはウォーターポンプの揚程を備え、リフト遠心ポンプの揚程はポンプ水頭とも称され、ポンプを通過する流体の単位重量によって得られるエネルギを意味する。ウォーターポンプの揚程は、ポンプ構造、たとえばインペラ直径、ブレード曲率等と回転速度とに関連する。ポンプ水頭の正確な理論的な計算は不可能であり、概して実験的手法によって決定される。動作データはウォーターポンプの回転速度と流量とを備え、時系列データは回転速度に従って分類される。したがって、上述の設計データと動作データとに基づいてMFK(Multi-Fidelity Kriging)アルゴリズムを用いてウォーターポンプの性能曲線を得ることができる。具体的には、図2の右図に示すように、性能曲線を、上述の揚程設計データと、回転速度と、流量動作データとに従ってMFKアルゴリズムによって得ることができ、知られているように、ウォーターポンプが一定期間使用されると、実際のデータは衰退を示し、ポンプが工場を出たときの予想された設計データとは異なる。上述のプロセスが繰り返し実行される場合、ウォーターポンプの過去の性能曲線とリアルタイムの性能曲線とが得られる。予測された性能曲線と実際の性能曲線を一致させるために、動作データが性能曲線に近いほど性能曲線の予測精度が高くなるため、データ融合アルゴリズムのパラメータを最適化することによって、予測された性能曲線の精度を向上させることができる。
【0040】
以降で、MFKアルゴリズムを例にして、本発明におけるデータ融合のステップを説明する。
【0041】
図1に示されているように、
【数27】
は、分析的またはデジタルなハイフィデリティ・モデル演算子を表しており、これはリアルタイムではなく、非常に詳細で、ハイフィデリティであり、自然法則に基づいており、
【数28】
に対応する添え字はHである。
【数29】
は、難易度の低い、ローフィデリティ・モデル演算子を表しており、これはリアルタイムであり、
【数30】
の挙動を記述し、
【数31】
に対応する添え字はLである。こうして生成された上述のモデルの方程式には、対応するモデル誤差
【数32】
も含まれる。
【数33】
【0042】
ローフィデリティ・モデルを例にして、図5に示した状態監視方法を用いて、モデリングにおけるデータ融合が実行される。
【数34】
は融合演算子である。先行の測定インプット
【数35】
をローフィデリティ・モデルのインプットとして使用し、それを実際のテストデータ
【数36】
に融合することによって、そのアウトプットは、式
【数37】
を使用して推定され得る。
ガウシアンプロセス回帰は、ローフィデリティ・モデルおよびハイフィデリティ・モデルからの情報を融合するために使用される。
【数38】
を、インプットベクトル
【数39】
、平均関数
【数40】
および共分散関数
【数41】
を使用して記述することができる。
【0043】
サブ要素モデル法は、地理統計学の分野では共クリギング(Co-Kriging)とも称される。特に、本発明は、LFMインプットベクトルとして
【数42】
を使用し、HFMインプットベクトルとして
【数43】
を使用し、各関数値として
【数44】
および
【数45】
を使用して、4つの異なる共クリギング法を考慮する:
【数46】
【0044】
上述の方法は、GP共分散行列および加算関数、すなわち、自己回帰的共クリギング(ARCK)、ディープマルチフィデリティ・ガウスプロセス(DMGP)、シンプルC-クリギング(SCK)およびシンプルマルチフィデリティ・ガウスプロセス(SMGP)において異なる。上記は、
【数47】
として記述される。
ここで、
【数48】
は、総共分散行列
【数49】
に対する特定の共分散関数であり、ARCKおよびDMGPは
【数50】
を使用する。
ここで、
【数51】
は、自己回帰係数であり、Dは、次元であり、
【数52】
および
【数53】
は、形式
【数54】
の総和関数である。
【0045】
2つの共クリギング法は、インプットベクトルに伴って異なる性能を有する。DMGPは、未処理のインプットベクトル
【数55】
を置き換えるためのインプット変形
【数56】
としてニューラルネットワークを使用する。逆に、SCKおよびSMGPは
【数57】
を使用する。
なぜなら、共分散行列
【数58】

【数59】
および
【数60】
が、超関数だからである。この場合も、SMGPは、ニューラルネットワークをインプット変換
【数61】
として使用して、未処理のインプットベクトル
【数62】
に代える。また、本発明は、逐次マルチフィデリティ・メタモデリング(SMF)法を用いる。基本的に、SMFは最適化アルゴリズムであり、これは最初に特定の初期サンプルを使用し、種々異なるサンプル計算コストを考慮しながらLFMおよびHFMサンプルを追加する。基本的に、サンプルは、学習されたメタモデリングの信頼できるインターバルの最大の位置で追加される。最後に、最も可能性の高いメタモデリングが得られ、これは、最大の計算バジェットに制約される。
【0046】
サブステップT24において、最適化装置114は、予測された性能曲線において最適化された動作状態点を選択するために、最適な整合関係を計算し、この整合関係は、製品の負荷とその出力と効率との間の増大された動作範囲内にあり、同時に製品を満たす。具体的には、現在の性能曲線によって、現在のポンプ動作のどの負荷が最も高い効率および最適な出力に相当するかが判断され、この曲線からウォーターポンプの最適な動作点が探られ、すなわち、どのような回転速度でウォーターポンプの価格・性能比が最も高くなるかが探られる。すなわち、圧力および流量が通常の動作範囲内であるという条件を満たしつつ、回転速度とアウトプット出力と効率との間の最適な整合関係が探られる。
【0047】
最後に、ステップT3が実行され、残存耐用年数予測装置120は、予測された性能曲線に基づいて製品のコストモデルおよび動作柔軟性モデルを確立し、製品の性能要求または動作コストに従って、製品の残存寿命予測を計算する。
【0048】
具体的には、ステップT3は、サブステップT31、サブステップT32、サブステップT33およびサブステップT34を備える。
【0049】
サブステップT31において、性能衰退モデリング装置121が、予測された性能曲線に基づいて回帰計算を行い、ウォーターポンプの性能衰退モデルを生成する。具体的には、ステップT2が繰り返し実行され、予測された性能曲線に基づいて、ウォーターポンプの過去の性能曲線と現在の性能曲線ならびに種々異なる摩耗条件の下でのウォーターポンプの動作に対する性能曲線を得ることができる。
【0050】
ポンプの性能衰退モデルは、式によって、時系列の損失水頭のモデルとして次のように記述され:
【数63】
ここで
【数64】
は、初期性能、すなわち、t=0の場合の設計点、すなわち、工場を出たばかりのときのウォーターポンプの性能を示す。bおよびcは、最小二乗法によるカーブフィッティングに使用されるパラメータを示す。たとえば、bおよびcは、ウォーターポンプの過去の性能曲線における4つの点の最小二乗回帰によって計算された回帰パラメータである。
【0051】
したがって、図3に示すように、過去のデータを継続的に使用して予測を実行することによって、ポンプ水頭衰退曲線を得ることができ、その垂直座標はウォーターポンプの損失水頭(%)であり、水平座標は時間(年)である。図3に示すように、ウォーターポンプの使用時間が長くなると、損失水頭値は徐々に、著しく増大する。
【0052】
サブステップT32において、コストモデリング装置122は、性能衰退モデルに基づいて製品コストをモデリングし、製品の全ライフサイクルの経済的コストおよび製品の交換コストを計算する。
【0053】
本発明では、残存耐用年数は、経済性と動作柔軟性との2つの観点から計算される。ウォーターポンプのライフサイクルコスト(LCC)は、全体的なウォーターポンプライフサイクルのコストであり、たとえば、購入、設置、動作、保全および処理等である。ウォーターポンプの交換コスト(RC)は、種々異なるライフサイクルコストを考慮した、将来の特定の時間におけるウォーターポンプの交換から生じる付加的なコストである。経済的な観点から考慮した残存寿命を、現在から特定の将来の時点までの期間を用いて規定することができ、ウォーターポンプ交換コストはこの時点において最低である。
【0054】
図4に示すように、時間TからTend1までの期間は、古いウォーターポンプの第1の設計ライフサイクルLC11を表しており、時間Tend1から時間Tend2までの期間は、古いウォーターポンプの第2の設計ライフサイクルLC12を表している。古いウォーターポンプの第1の設計ライフサイクルLC11および第2の設計ライフサイクルLC12は、ウォーターポンプが工場を出るときのウォーターポンプの設計寿命を表しており、したがって、実際の動作条件および摩耗条件を考慮しておらず、これらは、実際の寿命ではなく理想化された寿命である。古いウォーターポンプが新しいウォーターポンプに交換された場合、時間TからTrep1までの期間は、新しいウォーターポンプの第1の設計ライフサイクルLC21を表し、時間Trep1から時間Trep2までの期間は、新しいウォーターポンプの第2の設計ライフサイクルLC22を表す。新しいウォーターポンプの第1の設計ライフサイクルLC21および第2の設計ライフサイクルLC22は、実際の動作条件および摩耗条件を考慮して、新しいウォーターポンプの実際の寿命を表しており、したがって実際の寿命である。
【0055】
具体的には、ウォーターポンプのライフサイクルコストは、
【数65】
である。
ここでCicは、ウォーターポンプ、システム、パイプライン、購入ならびに付加的なサービスの価格を含めた初期コストである。Cinは、設置コストである。Cは、エネルギコスト、ウォーターポンプの駆動およびコントロールのため、ならびに任意の付加的なサービスのためのシステム動作の予測されたコストである。Cは、システム管理のような人的動作のコストである。Cは保全および修理のコストであり、保全には、毎日の保全および予知保全が含まれる。Cは、故障コスト、たとえば生産損失である。Cenvは、環境コストであり、たとえば付属品および汲み上げられた液体の汚染物質の除去である。Cは解体および処理コストであり、現地環境の修復および付加的なサービス処理のコストを含んでいる。
【0056】
したがって、ウォーターポンプの交換コストは、
【数66】
であり、
ここで、LCCrepは新しいウォーターポンプの交換のコストであり、LCCoriginalは古いウォーターポンプのコストであり、Tendは古いウォーターポンプの使用サイクルが終了する時間であり、Trepは新しいウォーターポンプの交換の時間であり、Ce.repは新しいウォーターポンプの交換のエネルギコストであり、Cres,repは新しいウォーターポンプの使用のエネルギコストであり、Cres,originalは古いウォーターポンプの残存値であり、Cres,repは新しいウォーターポンプの残存値であり、したがって、時間が経つにつれて、古いウォーターポンプのエネルギコストCe,originalは上昇し、新しいウォーターポンプのエネルギコストCres,repは低下する。Cic、CinおよびCは1回限りの費用である。C、C、CおよびCenvは、時間とともに継続する固定費用である。したがって、ウォーターポンプが交換されているかどうかにかかわらず、これらのコストC、C、CおよびCenvは変わらないので、無視することができる。
【0057】
エネルギコストCe,originalおよびCe.repは、エネルギ消費に電力価格を乗算することによって計算可能であり、
【数67】
【数68】
は、ウォーターポンプの流量Qと回転速度Nとの結合確率密度関数であり、
【数69】
は種々異なるウォーターポンプの流量Qおよび回転速度Nにおいて、出力衰退モデルによって更新された出力であり、
【数70】
は時間を変数として予測された電力価格である。
【0058】
上述のアルゴリズムに基づいてウォーターポンプのコストモデリングが実行される。
【0059】
サブステップT33において、コスト最適化装置123は、性能衰退モデルならびにウォーターポンプの動作データおよびコストパラメータに基づいて、ウォーターポンプの交換の時間を計算するために、最適化アルゴリズムを使用する。すなわち、ポンプの交換の時間
【数71】
の値に対して、経済的に交換コストRCが最も低くなる、または経済的利益が最も高くなり、すなわち、交換コストRCが最小化される。最適化アルゴリズムには、スマート最適化アルゴリズム、確率密度関数または黄金分割補間が含まれる。
【0060】
具体的には、ウォーターポンプの動作データは、ウォーターポンプの流量および回転速度の過去の動作データ、ウォーターポンプ伝送効率ならびにウォーターポンプクリック効率を含む。コストパラメータは、ウォーターポンプの1回限りのコスト、初期コストCic、設置コストCin、解体および処理コストCを含む。ウォーターポンプの残存耐用年数は、Tend1~Tnowであり、ここでTend1は、古いウォーターポンプの第1のライフサイクルLC11のプラント時間を表し、Tnowは、現在の時間、電力価格を表す。
【0061】
次に、これらのデータが確率密度関数
【数72】
に代入され、過去のデータを分析することによってウォーターポンプの電力消費分布および流量/回転速度が得られる。
【0062】
最適な経済的利益を得るために、ウォーターポンプの交換のコストを最小限に抑えることを目的にして、平均最適化アルゴリズムを使用することによって残存耐用年数
【数73】
を計算することができる。図6において、水平座標は時間であり、垂直座標はウォーターポンプの出力である。曲線Sは、現時点での予測されたウォーターポンプ性能衰退曲線であり、曲線Sは、将来のある時点で、古いウォーターポンプを新しいウォーターポンプに交換すると仮定した場合の性能衰退曲線であり、Tend1は、古いウォーターポンプの第1のライフサイクルLC11のプラント時間を表し、Tnowは、現在の時刻を表し、Trepは、古いウォーターポンプが新しいウォーターポンプに交換される時間を表す。図6に示すように、エネルギ消費部分については、TrepおよびTend1とともに、曲線Sおよび曲線Sによって囲まれた領域Sが、古いウォーターポンプを新しいウォーターポンプに交換することの経済的利益を表しており、領域Sが最大化され、ウォーターポンプの性能が交換によって向上したため、エネルギ節約からより大きな利益が得られることを示している。したがって、交換コスト
【数74】
は、関数
【数75】
によって最小化されるはずである。
【0063】
サブステップT34において、動作柔軟性モデリング装置124は、ウォーターポンプ動作の実際の要件に基づいて、ウォーターポンプの動作の柔軟性、すなわち極端な使用条件下でのウォーターポンプの残存耐用年数を評価する。極端な使用条件は、全作業および全負荷を伴う。全作業および全負荷を伴って極端な使用条件を達成できない場合は、ウォーターポンプを交換する必要がある。
【0064】
必要なデータは、ウォーターポンプの流量の最小要求Qと、最小流量での最小水頭要求Hとを含む。これらのデータを、ウォーターポンプの流量衰退関数
【数76】
および
水頭衰退関数
【数77】
に代入することによって、図7に示されている動作柔軟性曲線を得ることができる。図7に示すように、グラフAの垂直座標はウォーターポンプの流量を示し、下のグラフの垂直座標はウォーターポンプの水頭を示し、各水平座標は時間である。曲線S11は、ウォーターポンプの全負荷状態下でのウォーターポンプの流量を表しており、曲線S12は、特定の水頭に対するウォーターポンプの流量を表しており、点線は、最小流量要求Qを表している。曲線S21は、ウォーターポンプの全負荷状態下でのウォーターポンプの水頭を表しており、曲線S22は、特定の流量に対するウォーターポンプの水頭を表しており、点線は、最小水頭要求Hを表している。ゼロエッジポイントPおよびPは、ウォーターポンプのマージンがなくなったことを示している。
【0065】
具体的には、ウォーターポンプは日常の動作の間、後の段階の負荷要件を満たすために、常に動的な実体的な動作を行っている。したがって、ウォーターポンプは、圧力および流量の上/下の変動に応答するためにある程度の任意の柔軟性を必要とする。ウォーターポンプの性能が衰退するにつれて、柔軟性の優位性も時間とともに低下する。現在から特定の将来の時点までの期間内で、水頭要求または流量要求からその時点のウォーターポンプの性能利益を0として、柔軟性の観点から残存耐用年数を規定することができる。2つの柔軟性リミット
【数78】
を規定する。
【数79】
速度は、流量最小要件であり、
【数80】
は、最小流量
【数81】
における最小水頭要求である。式
【数82】
によって、任意のウォーターポンプの水頭および流量の動作柔軟性が得られる。
【数83】
は流量の最小要求であり、
【数84】
は最小流量における最小水頭要求であり、
【数85】
は流量衰退関数であり、
【数86】
は圧力衰退関数である。
【0066】
ウォーターポンプの水頭の動作柔軟性またはウォーターポンプの流量の動作柔軟性が所定の閾値未満である場合には、ウォーターポンプの交換が必要である旨のプロンプトを送る必要がある。好ましくは、
【数87】
または
【数88】
が0に等しい場合、このことはウォーターポンプの交換が必要であることを示す。したがって、上述の式が0である場合、動作柔軟性残存耐用年数を計算することができる。残存耐用年数は、これらの2つの側面によって計算され、最終的な使用者は、ウォーターポンプを停止させるか、ウォーターポンプを交換するか等のより多くの判断を下すために、将来、どちらを回転させるかを選択することができる。
【0067】
本発明の第2の態様は、製品状態定量化および残存寿命予測のためのシステムを提供し、このシステムは、プロセッサと、プロセッサに結合されたメモリとを備え、メモリには命令が格納されており、このメモリは、プロセッサによって実行されると、電子デバイスに動作を実行させ、この動作は、製品の設計データと動作データとを取得するステップT1と、設計データに基づいて製品の設計モデルを確立し、製品の予測された性能曲線を得るために設計データと動作データとに従ってデータ融合を実行し、予測された性能曲線内の最適化された動作状態点を選択するステップT2と、予測された性能曲線に基づいて製品のコストモデルと動作柔軟性モデルとを確立し、製品の性能要求または動作コストに従って、製品の残存寿命予測を計算するステップT3とを備える。
【0068】
さらに、製品はウォーターポンプであり、動作T2はさらに、異常データおよび誤データを除去するために、ウォーターポンプの設計データと動作データとにデータ前処理を施すステップT21と、設計データに基づいてウォーターポンプの設計モデルを確立し、設計モデルに従って製品の設計性能評価および分析を実行するステップであって、設計モデルはマルチフィデリティ・デジタルツインモデルである、ステップT22と、製品の予測された性能曲線を得る目的で設計データと動作データとに従ってデータ融合を実行するためにデータ融合アルゴリズムを使用し、データ融合アルゴリズムのパラメータを最適化することによって、予測された性能曲線の精度を向上させるステップT23と、予測された性能曲線において最適化された動作状態点を選択するために、最適化された整合関係を計算するステップであって、この整合関係は、ウォーターポンプの負荷とその出力と効率との間の増大された動作範囲内にあり、同時にウォーターポンプを満たす、ステップT24とを備える。
【0069】
さらに、動作T3はさらに、ウォーターポンプの性能衰退モデルを生成するために、予測された性能曲線に基づいて回帰演算を実行するステップT31と、製品の全ライフサイクルの経済的コストおよび製品の交換コストを計算するために性能衰退モデルに基づいて製品のコストをモデリングするステップT32と、性能衰退モデルならびにウォーターポンプの動作データおよびコストパラメータに基づいてウォーターポンプの交換の時間を計算するために、最適化アルゴリズムを使用するステップT33と、ウォーターポンプの全負荷動作パラメータと衰退関数とに基づいてウォーターポンプの動作柔軟性を計算するステップT34とを備える。
【0070】
さらに、データ融合アルゴリズムはMFKアルゴリズムである。
【0071】
さらに、ポンプの性能衰退モデルは、式によって、時系列の損失水頭のモデルとして次のように記述され:
【数89】
ここで
【数90】
は、初期性能、すなわち、t=0の場合の設計点、すなわち、工場を出たばかりのときのウォーターポンプの性能を示す。bおよびcは、最小二乗法によるカーブフィッティングに使用されるパラメータを示す。
【0072】
さらに、全ライフサイクルの経済的コストは、
【数91】
であり、
ここで、Cicは初期コストであり、Cinは設置コストであり、Cはエネルギコストであり、Cはシステム管理コストであり、Cは保守および修理コストであり、Cは故障コストであり、Cenvは環境コストであり、Cは解体および処理コストである。
【0073】
さらに、交換コストは、
【数92】
であり、
ここで、LCCrepは新しいウォーターポンプの交換の全ライフサイクルの経済的コストであり、LCCoriginalは古いウォーターポンプの全ライフサイクルの経済的コストであり、Tendは古いウォーターポンプの使用サイクルが終了する時間であり、Trepは新しいウォーターポンプの交換の時間であり、Ce.repは新しいウォーターポンプの交換のエネルギコストであり、Cres,repは新しいウォーターポンプの使用のエネルギコストであり、Cres,originalは古いウォーターポンプの残存値であり、Cres,repは新しいウォーターポンプの残存値であり、
ここでエネルギコストCe,originalおよびCe.repは、エネルギ消費に電力価格を乗算することによって計算可能であり、
【数93】
ここでQはウォーターポンプの流量であり、Nはウォーターポンプの回転速度であり、
【数94】
はウォーターポンプの流量と回転速度との結合確率密度関数であり、
【数95】
は種々異なるウォーターポンプの流量および回転速度において、出力衰退モデルによって更新された出力であり、
【数96】
は時間を変数として予測された電力価格である。
【0074】
さらに、全負荷動作パラメータは、ウォーターポンプの流量の最小要求Qおよび最小水頭要求Hを含み、
ここで
【数97】
はウォーターポンプの水頭の動作柔軟性を表し、
【数98】
はウォーターポンプの流量の動作柔軟性を表し:
【数99】
ウォーターポンプの水頭の動作柔軟性
【数100】
またはウォーターポンプの流量の動作柔軟性
【数101】
が所定の閾値未満である場合には、ウォーターポンプの交換が必要である旨のプロンプトを送る必要がある。
【0075】
本発明の第3の態様は、製品状態定量化および残存寿命予測のための装置を提供し、この装置は、製品の設計データと動作データとを取得する取得装置と、設計データに基づいて製品の設計モデルを確立し、製品の予測された性能曲線を得るために設計データと動作データとに従ってデータ融合を実行し、予測された性能曲線内の最適化された動作状態点を選択する融合装置と、予測された性能曲線に基づいて製品のコストモデルと動作柔軟性モデルとを確立し、製品の性能要求または動作コストに従って、製品の残存寿命予測を計算する計算装置とを備える。
【0076】
本発明の第4の態様は、コンピュータ可読媒体に有形に格納されたコンピュータプログラム製品を提供し、このコンピュータプログラム製品は、コンピュータ実行可能な命令を備え、コンピュータ実行可能な命令は、実行されると、少なくとも1つのプロセッサに本発明の第1の態様による方法を実施させる。
【0077】
本発明の第5の態様は、コンピュータ実行可能な命令を格納したコンピュータ可読媒体を提供し、コンピュータ実行可能な命令は、実行されると、少なくとも1つのプロセッサに本発明の第1の態様による方法を実施させる。
【0078】
本発明の製品状態定量化および残存寿命予測のためのメカニズムは、信頼性および精度が高く、製品の動的性能に基づいて定量化および予測を行うことができる。本発明は、ウォーターポンプに特に適している。本発明は、ウォーターポンプの動的デジタルモデルに基づいてウォーターポンプの動的性能状態を定量化することができ、ウォーターポンプ衰退モデルに基づいてウォーターポンプの残存耐用年数を定量化することができる。本発明は、プロセス自動化ソリューションの提供業者向けの製品を提供することができる、またはウォーターポンプ製造業者向けの付加価値サービスパッケージを提供することができる。
【0079】
上述の好ましい実施形態によって、本発明の内容を詳細に説明してきたが、上述の説明が、本発明を限定するものと見なされるべきではないことに留意されたい。本発明に対する様々な修正および置換は、当業者が上述の内容を読めば自明であろう。したがって、本発明の保護範囲は、添付の特許請求の範囲によって規定されるべきである。さらに、特許請求の範囲における参照符号は、関連する特許請求の範囲を限定するものと見なされるべきではなく、「備える(comprises)」という用語は、特許請求の範囲または明細書に列挙されていない他の装置またはステップを除外するものではなく、「第1の(first)」および「第2の(second)」等の用語は、いかなる特定の順序も示すことなく、単に呼称を示すために使われている。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【国際調査報告】