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特表2024-520475複合型生体サンプリング及び注射アセンブリ並び関連装置、システム、方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-24
(54)【発明の名称】複合型生体サンプリング及び注射アセンブリ並び関連装置、システム、方法
(51)【国際特許分類】
   A61J 1/20 20060101AFI20240517BHJP
   A61F 9/007 20060101ALI20240517BHJP
   A61J 1/14 20230101ALI20240517BHJP
【FI】
A61J1/20
A61F9/007 130D
A61J1/14
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023573023
(86)(22)【出願日】2022-05-23
(85)【翻訳文提出日】2024-01-24
(86)【国際出願番号】 US2022030472
(87)【国際公開番号】W WO2022251089
(87)【国際公開日】2022-12-01
(31)【優先権主張番号】63/192,480
(32)【優先日】2021-05-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520497472
【氏名又は名称】トゥウェンティ トゥウェンティ セラピューティクス エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100128347
【弁理士】
【氏名又は名称】西内 盛二
(72)【発明者】
【氏名】タムリンソン,アレクサンドル,アール
(72)【発明者】
【氏名】カプラン,エレン
【テーマコード(参考)】
4C047
【Fターム(参考)】
4C047AA27
4C047CC04
4C047CC25
4C047DD31
4C047HH03
(57)【要約】
【課題】本発明は、サンプリング装置を提供する。
【解決手段】サンプリング装置は、容器を備え、容器は、チャンバを画定する本体と、チャンバへの開口とを有する。セプタムは、容器に接合されることで開口を覆ってチャンバを気密封止する。セプタムは、接着層を含み、接着層は、第1厚さを有し、且つ容器の縁部に接着されることで容器を気密封止する材料を含む。第2厚さを有する金属箔層は、接着層に結合される。第3厚さを有する弾性層は、金属箔層に結合されることにより、金属箔層を接着層と弾性層との間に位置決めする。第3厚さは、第1厚さと第2厚さとの和よりも大きい。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
サンプリング装置であって、
容器と、セプタムとを備え、
前記容器は、チャンバを画定する本体と、前記チャンバへの開口とを含み、
前記セプタムは、前記容器に接合されることにより、前記開口を覆って前記チャンバを気密封止し、
前記セプタムは、
前記容器の縁部に接着されることで前記容器を気密封止する材料を含む、第1厚さの接着層と、
前記接着層に結合される、第2厚さの金属箔層と、
前記金属箔層に結合されることで前記金属箔層を前記接着層と前記弾性層との間に位置決めする、第3厚さの弾性層とを含み、
前記第3厚さは、前記第1厚さと前記第2厚さとの和よりも大きいことを特徴とするサンプリング装置。
【請求項2】
前記容器の開口は、遠位開口であり、
前記容器は、前記遠位開口に対向して位置合わせされる近位開口を更に含み、
前記サンプリング装置は、前記容器に接合されることで前記近位開口を覆う近位セプタムを更に備え、
前記近位セプタムは、
前記容器の近位縁部に接着されることで前記容器を気密封止する材料を含む接着層と、
前記近位セプタムの接着層に結合される金属箔層と、
前記近位セプタムの金属箔層に結合されることで前記近位セプタムの金属箔層を前記近位セプタムの接着層と弾性層との間に位置決めする弾性層とを含むことを特徴とする請求項1に記載のサンプリング装置。
【請求項3】
前記近位セプタムの接着層は、第4厚さを有し、前記近位セプタムの金属箔層は、第5厚さを有し、前記近位セプタムの弾性層は、第6厚さを有し、前記第6厚さは、前記第4厚さと前記第5厚さとの和よりも大きいことを特徴とする請求項2に記載のサンプリング装置。
【請求項4】
前記接着層は、熱の印加に応じて前記容器の縁部に接合される材料を含むことを特徴とする請求項1に記載のサンプリング装置。
【請求項5】
前記接着層は、接着剤を含むことを特徴とする請求項1に記載のサンプリング装置。
【請求項6】
注射器を用いて生体サンプルを取得して患者へ薬剤を輸送するシステムであって、
バレルと、アダプタと、真空引きされた容器と、両側針とを備え、
前記バレルは、内部領域を画定する中空本体を含み、
前記アダプタは、前記内部領域内に位置し、近位コネクタを有し、前記近位コネクタは、前記アダプタを前記注射器の遠位端部に結合するように構成され、前記アダプタの遠位端部には、第1セプタムが設けられ、
前記真空引きされた容器は、前記内部領域内で前記アダプタから離間するように摺動可能に受容され、前記真空引きされた容器は、前記生体サンプルを含むように構成されるチャンバを画定する本体と、前記チャンバまで延在する開口とを有し、前記開口は、第2セプタムによって覆われ、
前記両側針は、前記バレル内で前記真空引きされた容器から離間するように設けられる近位端部と、患者に挿入するように位置決めされる遠位端部とを有し、真空引きされたチャンバは、前記バレル内で第1位置へ移動可能であることにより、前記両側針の近位端部を前記チャンバ内に置いて生体サンプルを患者から前記チャンバに吸引し、且つ、真空引きされたチャンバは、第2位置へも移動可能であり、前記第2位置において、前記両側針の近位端部は、真空引きされたチャンバを完全に通過し、前記第1セプタムを通過することにより、薬剤を注射器から患者に輸送することを特徴とするシステム。
【請求項7】
前記真空引きされた容器は、前記バレルに対して同一の方向において移動して前記第1位置と前記第2位置とに到達可能であることを特徴とする請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記容器の開口は、遠位開口であり、
前記第2セプタムは、
前記容器の遠位縁部に接着されることで前記容器を気密封止する材料を含む接着層と、
前記第2セプタムの接着層に結合される金属箔層と、
前記第2セプタムの金属箔層に結合されることで前記第2セプタムの金属箔層を前記第2セプタムの接着層と弾性層との間に位置決めする弾性層とを含むことを特徴とする請求項6に記載のシステム。
【請求項9】
前記接着層は、第1厚さを有し、前記金属箔層は、第2厚さを有し、前記弾性層は、第3厚さを有し、前記第3厚さは、前記第1厚さと前記第2厚さとの和よりも大きいことを特徴とする請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記真空引きされた容器は、第3セプタムを更に備え、前記第3セプタムは、前記遠位開口に対向して位置合わせされる近位開口において前記容器に接合されることにより、前記近位開口を覆い、
前記第3セプタムは、
前記容器の近位縁部に接着されることで前記容器を気密封止する材料を含む接着層と、
前記第3セプタムの接着層に結合される金属箔層と、
前記第3セプタムの金属箔層に結合される弾性層とを含み、
前記第3セプタムの金属箔層は、前記第3セプタムの接着層と弾性層との間に配置されていることを特徴とする請求項8に記載のシステム。
【請求項11】
前記第3セプタムの接着層は、第4厚さを有し、前記第3セプタムの金属箔層は、第5厚さを有し、前記第3セプタムの弾性層は、第6厚さを有し、前記第6厚さは、前記第4厚さと前記第5厚さとの和よりも大きいことを特徴とする請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記アダプタは、前記アダプタの周辺を取り囲むOリングを含み、前記Oリングの外径は、前記バレルの内径に対応することを特徴とする請求項6に記載のシステム。
【請求項13】
前記バレルは、前記内部領域内の触覚特徴体を更に含み、前記触覚特徴体は、前記Oリングと相互作用することにより、前記真空引きされた容器が前記第1位置に存在することを示すことを特徴とする請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記両側針の近位端部は、傾斜開口を有することを特徴とする請求項6に記載のシステム。
【請求項15】
前記バレルは、長手方向軸線を規定し、
少なくとも前記両側針の近位端部は、前記長手方向軸線からずれており、
前記傾斜開口は、前記真空引きされた容器の前記第2セプタムを穿刺することに応じて、前記両側針の近位部を前記長手方向軸線に向けて偏向させるように構成されることを特徴とする請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
注射器に結合されるアダプタであって、
レセプタクルと、近位コネクタと、セプタムとを備え、
前記レセプタクルは、前記注射器の一部を受け取るように構成され、
前記近位コネクタは、前記レセプタクル上に位置し、前記注射器の対応するコネクタ特徴体に係合するように構成され、前記近位コネクタは、第1タイプのコネクタであり、前記近位コネクタは、針の軸線に沿って延在する通路を含み、
前記セプタムは、前記レセプタクルの遠位端部に位置し、針アセンブリと相互作用するように構成され、前記針アセンブリは、前記第1タイプのコネクタとは異なる第2タイプのコネクタを含むことを特徴とするアダプタ。
【請求項17】
前記レセプタクルは、柱状本体を含み、前記柱状本体は、前記柱状本体を通過して延在する少なくとも1つのサイドウィンドウを有することを特徴とする請求項16に記載のアダプタ。
【請求項18】
前記近位コネクタは、メスルアーロックコネクタを含み、前記セプタムは、マルチ穿刺セプタムを含むことを特徴とする請求項16に記載のアダプタ。
【請求項19】
前記レセプタクルは、第1幅を有し、前記アダプタは、遠位ネックを更に含み、前記遠位ネックは、前記セプタムに結合され、第2幅を有し、前記第2幅は、前記第1幅よりも小さいことを特徴とする請求項16に記載のアダプタ。
【請求項20】
リリーフニードルアセンブリを更に備え、
前記リリーフニードルアセンブリは、
近位部と遠位部とを有するニードルと、
前記遠位部を取り囲むように位置決めされるキャップと、
前記キャップに結合され、前記キャップから近位側へ延在するスペーサと、を含み、
前記スペーサは、少なくとも部分的に前記ニードルの前記近位部を取り囲むように配置され、前記遠位コネクタにリリーフ可能に結合されていることを特徴とする請求項16に記載のアダプタ。
【請求項21】
前記スペーサは、前記ニードルの前記近位部が前記セプタムを穿刺するように、前記遠位コネクタにリリーフ可能に結合されていることを特徴とする請求項20に記載のアダプタ。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
(関連出願)
本願は、2021年5月24日に出願された米国仮特許出願第63/192,480号の利益を主張する。この出願の全ての内容は、参照として本明細書に組み込まれる。
【技術分野】
【0002】
本明細書に記載のカテゴリは、物質を目の房水及び硝子体液に注射してサンプリングを行うための装置、システム及び方法に関する。開示された硝子体内注射及びサンプリング装置は、人間の眼科疾患の診断及び治療に対して特別且つ非排他的な用途を有する。
【背景技術】
【0003】
硝子体液は、人間又は他の脊椎動物の目又は眼球内の無色ゲル状流体であり、それは、約98%~99%の水と微量のヒアルロン酸、グルコース、陰イオン、陽イオン、イオン及び微細なコラーゲンネットワークで構成される。硝子体液は、眼の周囲構造にサポートを提供し、機械的な創傷を吸収し、且つ酸素、代謝産物及び栄養物の循環及び調整を提供する。それは、主に毛様体の細胞により生成される。老化していく硝子体構造の変化は、多くの硝子体網膜疾患の発症メカニズムにおいて重要である。
【0004】
眼内圧(IOP)は、眼内の硝子体液の圧力を定量化する。多くの人は、慢性IOPの上昇と関連する病症(例えば、緑内障)に罹患している。時間の経過とともに、IOPが上昇して目の視神経に損傷を与え、失明を引き起こす可能性がある。
【0005】
現在、眼科疾患の治療は、主に眼に薬剤を定期的に投与することに関わる。これらの薬物は、例えば硝子体内に注射することにより送達することができる。硝子体内注射は、現在の眼科学で最も一般的な外科手術の1つである。様々な薬剤は、眼球を支持する透明硝子体ゲルに直接送達される。これらの薬物は、その後の数か月以内に直接硝子体や周囲の網膜組織に作用する。例えば、硝子体内注射は、血管内皮成長因子阻害(抗VEGF)タンパク質の一般的な送達経路であり、これらのタンパク質は、高用量時に耐える効率的な化合物であり、その硝子体内半減期は、約一週間である。抗VEGF生物製剤及びステロイドは、このような方法により最も一般的に使用される薬物である。これらの薬物は、長期間に投与することができる。
【0006】
硝子体内注射のための推奨されるプログラムは、注射針、局所麻酔及び眼表面消毒を準備し、瞼で覗き込むか又は他の装置で目開きを保持し、注射部位で任意の結膜側を抜け止め、針を角膜縁の外側の数ミリメートルから約針の全深さだけ挿入して、薬物を注射し、針を引き抜き、且つ、結膜被覆注射部位を形成することを含む。注射後の介護は、一般的に機能視力の基本的な検証を含み、例えば患者が医者に表示された指の数を統計することが要求される。該機能テストは、注射による急性IOP増加が直ちに緩和する必要がある方式で視神経乳頭に影響を与えることがないことを検証した。
【0007】
もう1つの重要な眼科プログラムは、硝子体サンプリングである。硝子体サンプリングは、目のケアの様々な側面に影響を与える。組織学又は免疫学的分析により硝子体サンプルの細胞含有量及び細胞外構造を分析することができる。組織学的には、例えば眼内炎を引き起こす感染タイプに明確な診断を提供することができる。
【0008】
存在する免疫細胞のタイプ及び発現された免疫グロブリンの同定は、ブドウ膜炎の治療を促進することができる。硝子体内に存在するVEGFの量の決定は、発生する新生血管形成の可能性の程度又はVEGF化合物の観察された新生血管に対して形成された症例の可能性の程度に関する指示を与えることができる。抗VEGF治療の無反応者は、依然として浸透性、年齢関連の血管変性(湿性AMDとも呼ばれる)と糖尿病網膜症において新生血管形成を治療する最も棘手の態様の1つである。
【0009】
2種類の一般的な硝子体のサンプリング方法(カッター又は針による吸引)とタンパク質の分析の目的は、ほぼ同じである。従来のマイクロ切断工具は、23―gaugeトラカールにより送達することができる。針吸引は、30―gauge(約23gauge直径の半分)の針で実行することができる。ファインゲージ(Fine gauge)は、フィルタとして機能することで、ドライアウトの確率を増加させたり、吸引材料の性質を変化させたりすることができる。小型ゲージ(Small chgauge)は、次のような利点を有することができる。ゲルマトリックスが小ピンホールに吸い込まれないため、ゲルマトリックスに牽引力を導入しない。硝子体サンプルは、一般的に凍結されるか又は他の方式で安定し、それによりそれらは、手術室又は眼科オフィス環境以外の実験室で処理することができる。
【0010】
治療用量の薬物を眼内の硝子体液又は房水に注射してIOPを25mmHg増加させることができ、これは、潜在的に有害と考えられる閾値レベルより顕著に大きい。証拠によると、このようなIOPの増加は、一時的であるが、それらは、実際に医者の緑内障と関連し、「正常」静的情報IOPを有する患者の幾つかの治療過程において神経線維層及び視覚機能の測定可能な損失をもたらす。Saxena, S,. Lai, T.Y., Koizumi. H. et al’’ 「Anterior chamber paracentesis during intravitreal injections in observational trials:effectiveness and safety and effects,」 International Journal of Retina and Vitreous, 5, 8 (2019)は、参照可能である。したがって、相当体積の薬物を注射する前に、眼から体液の体積(房水、硝子体のいずれでも両方)を除去する必要がある。しかしながら、体液の体積を除去することは、圧力不足を引き起こす可能性があり、これは目に有害である可能性もある。
【0011】
したがって、体液を診断サンプリングする場合、流体に注入される体積(薬剤を含むか又は他)を注入して抽出された体液を取り替える必要がある可能性がある。いずれの場合にも、除去体積の量が注射体積の量に相当することを慎重に確保する必要があり、且ついずれの場合に、一般的に2つの単独のプログラム(サンプリングプログラム及び注射プログラム)を必要とする。
【0012】
本明細書の背景部分における情報(本明細書が引用する任意の参照文献及びその任意の説明又は議論を含む)は、技術的な参照目的のみに用いられて含まれ、且つ本開示の範囲を制約するカテゴリと見なされるべきではない。
【発明の概要】
【0013】
本発明は、生体サンプリング及び注射過程を実行するための装置、アセンブリ並びにサブアセンブリを提供する。当該アセンブリは、液体薬物又は薬剤を格納する又は収容するように構成される注射器、アダプタ、作動バレル、及び作動バレル内に位置決めされるサンプル容器を含む。サンプル容器又はチャンバは、柱状本体と少なくとも1つの多層セプタムとを含んでもよい。多層セプタムは、柱状本体の少なくとも1つの開口へ気密封止を提供する。セプタムの多層構造は、金属箔層及び弾性層を含むことで、ガス透過性を低減し且つサンプル容器内部の真空を維持することが可能である。アセンブリは、薬物注射器の段階的な移動によって生体サンプリング及び薬物注射を行ってもよい。このように、注射器は、バレル内の第1位置に移動したときに生体サンプルを取得し、バレル内の第2位置に移動したときに薬物を注射する。幾つかの態様において、複合型生体サンプリング及び注射アセンブリは、医師によって片手で制御され得る。このように、効率が向上し、過程の複雑さが低減される。
【0014】
サンプリング装置の例示は、容器及び開口を備えてもよい。容器は、チャンバを画定する本体を有する。サンプリング装置は、セプタムを更に備え、セプタムは、開口において容器に結合されることでチャンバを気密封止する。セプタムは、接着層を含み、接着層は、容器の縁部に接着されることで容器へ気密封止を提供するように構成される材料を含む。金属箔層は、接着層に結合される。弾性層は、金属箔層に結合されることにより、金属箔層を接着層と弾性層との間に位置決めする。
【0015】
もう1つの態様において、単独で又は他の何れかの態様と組み合わせて考慮すると、接着層は、第1厚さを有してもよく、金属箔層は、第2厚さを有してもよく、弾性層は、第3厚さを有してもよい。第3厚さは、第1厚さと第2厚さとの和よりも大きい。
【0016】
もう1つの態様において、単独で又は他の何れかの態様と組み合わせて考慮すると、容器の開口は、遠位開口であり。容器は、近位開口を更に含む。幾つかの実施例において、サンプリング装置は、近位開口において容器に結合される近位セプタムを更に備える。近位セプタムは、容器の近位縁部に接着される材料で形成された接着層を含むことにより、容器に対する気密封止を提供する。金属箔層は、近位セプタムの接着層に結合される。弾性層は、近位セプタムの金属箔層に結合されることにより、近位セプタムの金属箔層を近位セプタムの接着層と弾性層との間に位置決めする。接着層は、熱活性化材料を含んでもよい。熱が印加されたときに、熱活性化材料は、容器の縁部に接合される。接着層は、接着剤を含んでもよい。
【0017】
別の例示は、注射器を用いて生体サンプルを取得して薬剤を患者へ輸送するシステムを提供する。システムは、内部領域を画定する中空本体を有するバレルを含む。アダプタは、内部領域内に位置決めされ、且つアダプタを注射器の遠位端部に結合するよう構成される近位コネクタを有する。第1セプタムは、アダプタの遠位に設けられている。真空引きされた容器は、内部領域内でアダプタから離間するように摺動可能に受容され、且つ、真空引きされた容器は、生体サンプルを収容するように構成されるチャンバを画定する本体と、チャンバまで延在する開口とを含む。第2セプタムは、開口を覆う。両側針は、近位端部及び遠位端部を含む。近位端部は、バレル内で真空引きされた容器から離間するように設けられ、遠位端部は、患者に挿入するように位置決めされる。真空引きされたチャンバは、バレル内で第1位置に移動可能であることにより、両側針の近位端部をチャンバ内に置いて生体サンプルを患者体内からチャンバに吸引し、且つ、真空引きされたチャンバは、第2位置にも移動可能であり、第2位置において、両側針の近位端部は、真空引きされたチャンバを完全に通過し、第1セプタムを通過することにより、薬剤を注射器から患者体内に輸送する。
【0018】
もう1つの態様において、単独で又は他の何れかの態様と組み合わせて考慮すると、真空引きされた容器は、バレルに対して同一の方向において移動して第1位置と第2位置とに到達可能である。
【0019】
もう1つの態様において、単独で又は他の何れかの態様と組み合わせて考慮すると、容器の開口は、遠位開口であり、第2セプタムは、容器の遠位縁部に接着されることで容器を気密封止する材料を含む接着層と、第2セプタムの接着層に結合される金属箔層と、第2セプタムの金属箔層に結合されることで第2セプタムの金属箔層を第2セプタムの接着層と弾性層との間に位置決めする弾性層とを含む。
【0020】
もう1つの態様において、単独で又は他の何れかの態様と組み合わせて考慮すると、接着層は、第1厚さを有し、金属箔層は、第2厚さを有し、弾性層は、第3厚さを有し、第3厚さは、第1厚さと第2厚さとの和よりも大きい。
【0021】
もう1つの態様において、単独で又は他の何れかの態様と組み合わせて考慮すると、真空引きされた容器は、第3セプタムを更に備え、第3セプタムは、遠位開口に対向して位置合わせされる近位開口において容器に接合されることにより、近位開口を覆う。第3セプタムは、容器の近位縁部に接着されることで容器を気密封止する材料を含む接着層と、第3セプタムの接着層に結合される金属箔層と、第3セプタムの金属箔層に結合される弾性層とを含む。第3セプタムの金属箔層は、第3セプタムの接着層と弾性層との間に配置されている。
【0022】
もう1つの態様において、単独で又は他の何れかの態様と組み合わせて考慮すると、第3セプタムの接着層は、第4厚さを有し、第3セプタムの金属箔層は、第5厚さを有し、第3セプタムの弾性層は、第6厚さを有し、第6厚さは、第4厚さと第5厚さとの和よりも大きい。
【0023】
もう1つの態様において、単独で又は他の何れかの態様と組み合わせて考慮すると、アダプタは、アダプタの周辺を取り囲むOリングを含み、Oリングの外径は、バレルの内径に対応する。
【0024】
もう1つの態様において、単独で又は他の何れかの態様と組み合わせて考慮すると、バレルは、内部領域内の触覚特徴体を更に含み、触覚特徴体は、Oリングと相互作用することにより、真空引きされた容器が第1位置に存在することを示す。
【0025】
もう1つの態様において、単独で又は他の何れかの態様と組み合わせて考慮すると、両側針の近位端部は、傾斜開口を有する。
【0026】
もう1つの態様において、単独で又は他の何れかの態様と組み合わせて考慮すると、バレルは、長手方向軸線を規定し、少なくとも両側針の近位端は、長手方向軸線からずれている。傾斜開口は、真空引きされた容器の第2セプタムを穿刺するとき、両側針の近位部を長手方向軸線に向けて偏向させるように構成される。
【0027】
更に別の例示は、注射器に結合されるアダプタを提供する。アダプタは、レセプタクルと、近位コネクタと、セプタムとを備え、レセプタクルは、注射器の一部を受け取るように構成され、近位コネクタは、レセプタクル上に位置し、注射器の対応するコネクタ特徴体に係合するように構成され、近位コネクタは、第1タイプのコネクタであり、近位コネクタは、針の軸線に沿って延在する通路を含み、セプタムは、レセプタクルの遠位端部に位置し、針アセンブリと相互作用するように構成され、針アセンブリは、第1タイプのコネクタとは異なる第2タイプのコネクタを含む。
【0028】
もう1つの態様において、単独で又は他の何れかの態様と組み合わせて考慮すると、レセプタクルは、柱状本体を含み、柱状本体は、柱状本体を通過して延在する少なくとも1つのサイドウィンドウを有する。
【0029】
もう1つの態様において、単独で又は他の何れかの態様と組み合わせて考慮すると、近位コネクタは、メスルアーロックコネクタ(female luer―lock connector)を含み、セプタムは、マルチ穿刺セプタム(multi―puncture septum)を含む。
【0030】
もう1つの態様において、単独で又は他の何れかの態様と組み合わせて考慮すると、レセプタクルは、第1幅を有し、アダプタは、遠位ネックを更に含み、遠位ネックは、セプタムに結合され、第2幅を有し、第2幅は、第1幅よりも小さい。
【0031】
もう1つの態様において、単独で又は他の何れかの態様と組み合わせて考慮すると、リリーフニードルアセンブリ(relief needle assembly)を更に備え、リリーフニードルアセンブリは、近位部と遠位部とを有するニードルと、遠位部を取り囲むように位置決めされるキャップと、キャップに結合され、キャップから近位側へ延在するスペーサとを含む。スペーサは、少なくとも部分的にニードルの近位部を取り囲むように配置され、遠位コネクタにリリーフ可能に結合されている。
【0032】
もう1つの態様において、単独で又は他の何れかの態様と組み合わせて考慮すると、スペーサは、ニードルの近位部がセプタムを穿刺するように、遠位コネクタにリリーフ可能に結合されている。
【0033】
以下の詳細な記述により、本発明の他の態様、特徴及びメリットは、理解され得るのだろう。
【0034】
図面を参照しながら本発明の実施例を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】本発明の複合型生体サンプリング及び注射アセンブリが眼部サンプリング及び注射過程を実行する斜視図である。
図2】本発明の複合型生体サンプリング及び注射アセンブリの正面図である。
図3A】本発明の複合型生体サンプリング及び注射アセンブリのリリーフニードルとアダプタサブアセンブリの正面図である。
図3B図3Aに示す本発明のリリーフニードルとアダプタサブアセンブリの斜視分解図である。
図3C図3Aに示す本発明の複合型生体サンプリング及び注射アセンブリの斜視分解図である。
図3D図3Cにおけるアダプタを図3Aに示す本発明の生体サンプリング及び注射アセンブリの注射器に結合する断面図である。
図4A】本発明の生体サンプリング及び注射アセンブリの作動バレルの正面図である。
図4B図4Aに示す本発明の生体サンプリング及び注射アセンブリの作動バレルの斜視分解図である。
図5】本発明の多層穿刺可能セプタム(multi―layer pierceable septa)を有する真空引きされたサンプル容器の断面図である。
図6】本発明の複合型生体サンプリング及び注射アセンブリを用いて生体サンプリング及び注射過程を実行するための方法のフローチャートである。
図7A】本発明の複合型生体サンプリング及び注射アセンブリのリリーフニードルとアダプタサブアセンブリの分解図である。
図7B】本発明の生体サンプリング及び注射過程の方法を実行するための第1ステップにおけるリリーフニードルとアダプタサブアセンブリの正面図である。
図7C】本発明の生体サンプリング及び注射過程の方法を実行するための第2ステップにおける薬物注射器とアダプタサブアセンブリの正面図である。
図7D】本発明の生体サンプリング及び注射過程を実行するためのの方法の第3ステップにおける薬物注射器とアダプタサブアセンブリ及び作動バレルとサンプリングサブアセンブリの正面図である。
図7E】本発明の生体サンプリング及び注射過程を実行するための方法の第4ステップにおける複合型生体サンプリング及び注射アセンブリの正面図である。
図7F】本発明の生体サンプリング及び注射過程を実行するための方法の第5ステップにおける複合型生体サンプリング及び注射アセンブリの正面図である。
図8】本発明の複合型生体サンプリング及び注射アセンブリのマルチ穿刺予充填薬物注射器の正視図である。
図9A】本発明の角度偏向針を含む作動バレルの模式図である。
図9B】本発明の側方偏向針を含む作動バレルの模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
本開示の原理の理解を促進するために、現在図面に示された実施例を参照し、且つ特定の記述を使用してこれらの実施例を説明する。しかしながら、理解すべきことは、本開示の範囲は、これに限定されるものではない。説明された装置、システム及び方法の任意の変更及びさらなる修正及び本開示の原理の任意のさらなる応用は、本開示に係る当業者が一般的に想到し得るものであり、いずれも完全に想定され且つ本開示に含まれる。特に、完全に考えられるように、実施例に説明された特徴、部材及び/又はステップは、本開示の他の実施例に説明された特徴、部材及び/又はステップと組み合わせることができる。しかしながら、簡潔にするために、これらの組み合わせの複数回の反復は、個別に説明されない。
【0037】
本発明は、生体サンプリング及び注射過程を実行するための装置、アセンブリ及びサブユニットを提供する。アセンブリは、液体薬物又は薬剤を収容する注射器、アダプタ、作動バレル及び作動バレル内に位置付けされるサンプル容器を含んでもよい。アセンブリは、薬物注射器の段階的な移動によって生体サンプリング及び薬物注射を提供してもよい。このように、注射器が遠位へバレル内の第1位置に移動したときに生体サンプルを取得し、注射器がバレル内の第2位置に移動したときに薬物を注射する。幾つかの態様において、複合型生体サンプリング及び注射アセンブリは、医師が片手で制御することができ、効率を向上させ、過程の複雑さを低減させる。
【0038】
図1は、医師の手10が患者の眼50からサンプルを採取して薬剤や薬剤を眼50に投与する複合型生体サンプル及び注射装置100の一例である。例示的な実施例において、アセンブリ100は、硝子体液サンプルを取得し、薬物を硝子体液に注射するために用いられる。
【0039】
しかし、アセンブリ100は、図1に示した眼科過程に代えて又は加えて、他の場面で使用されてもよい。例えば、血液サンプルを取得し、患者の血管に薬剤を注入する場面を含んでもよい。幾つかの態様において、アセンブリ100は、患者の人体構造から得られたサンプルの体積と同等又は略同等の体積の薬物を注射するように構成されてもよい。
【0040】
図2図3に示すように、アセンブリ100は、薬物注射器110と、薬物注射器110の遠位端部に接続されたアダプタ120とを含む。作動バレル130は、薬剤注射器110、アダプタ120及び真空引きされたサンプリングチャンバ又は装置136を摺動可能に受容する。そのため、注射器110及び/又はアダプタ120は、作動バレル130の内面と締まり嵌めを形成する1つ又は複数の特徴体を含んでもよい。締り嵌めによる摩擦によって、注射器110及びアダプタ120をバレル130内で長手方向に移動させることができるとともに、一定の抵抗力及び安定性を提供することができ、これにより、注射器110及び/又はアダプタ120は、医師の手10で力を加えていない場合に、作動バレル130内で勝手に移動することがない。他の実施例において、締まり嵌めに関する摩擦力は十分に低くてもよく、これにより、注射器110及び/又はアダプタは、医師の手10で力を加えない場合でも、バレル130内を自由に移動することができる。ニードル132は、作動バレル130の遠位に結合されている。
【0041】
注射器110は、予め一定の体積の液体薬剤を充填しておくことができ、通常は注射器本体の外側の目盛により指示される。注射器110は、透明なポリマーやプラスチックなどの透明な材料で形成することができる。例えば、注射器110は、透明ポリカーボネート、ポリエステル繊維、ポリプロピレン、ナイロン、シクロオレフィン共重合体及び/又は任意の他の適切なポリマー又はガラスから形成されてもよい。
【0042】
注射器110は、プランジャ112を含み、プランジャ112は、その近位にプッシュパッド114を有する。ストッパ115は、プランジャ112の遠位に接続され、注射器本体の内面に摺動シール可能に形成されている。第1指把持部116は、注射器110の近位端部に設けられている。コネクタ118は、注射器110の遠位端部に設けられ、流体通路111(図3D参照)を規定する。
【0043】
アダプタ120は、その遠位端部にコネクタ125を含み、注射器110内の薬物にアクセスするように異なるインターフェースを提供する。この点を考慮して、アダプタ120は、注射器110内の薬剤に複数回アクセスすることができるように、マルチ穿刺インターフェース又はセプタム124を設けてもよい。
【0044】
図3B~3Dに示すように、アダプタ120は、略柱状のレセプタクル122及び近位コネクタ127を含み、レセプタクル122は、注射器110の遠位端部を受容するように構成され、近位コネクタ127は、注射器110の対応する遠位コネクタ118と係合するように構成される。このため、アダプタ120のコネクタ127は、ルアーロックコネクタ、例えばメスルアーロックコネクタ又はオスルアーロックコネクタを含んでもよい。類似的に、注射器110のコネクタ118は、ルアーロックコネクタ、例えばメスルアーロックコネクタ又はオスルアーロックコネクタを含んでもよい。しかし、ネジコネクタ又は非ネジコネクタを含む他のコネクタも、考慮されてもよい。
【0045】
遠位コネクタ125は、頭部と狭窄ネックとを含む。マルチ穿刺セプタム124は、コネクタ125の頭部に結合される。図示の実施例において、マルチ穿刺セプタム124は、頭部及びネック部上に圧着される。特に、圧着キャップ129は、アダプタ120の頭部及びネック部を周回するようにマルチ穿刺セプタム124を圧着するためのものであってもよい。
【0046】
レセプタクル122は、1つ又は複数の側方径方向に延在するウィンドウ128と、近位リング部121とを含む。幾つかの態様において、アダプタ120のレセプタクル122は、不透明な材料によって形成されてもよい。したがって、ウィンドウ128は、注射器110内の残りの流体の体積を医師がモニタリングできるように、注射器を視認可能にする。近位リング部121は、レセプタクル122に構造健全性及び剛性を提供することができる。アダプタ120は、Oリング126を更に備える。Oリング126の外径は、作動バレル130の内径に基づいて選択されてもよいし、他の方式で設けられてもよい。そこで、Oリング126は、作動バレル130の内面との摺動しまりばめを提供することができる。
【0047】
図2に示すように、バレル130は、透明本体を含み、その中の部品(例えば、注射器110、アダプタ120、サンプリングチャンバ136)を視認可能にする。例えば、作動バレル130は、透明なポリカーボネート、ポリエステル繊維、ポリプロピレン、ナイロン、ポリ塩化ビニル、シクロオレフィン共重合体及び/又は任意の他の適切なポリマーで形成されてもよい。
【0048】
作動バレル130は、医師がバレル130内の部品の位置及び移動を監視できるように目盛を更に含む。作動バレル130は、医師が把持可能な第2指把持部138を有する(図1に示す)。例えば、医師は、第2指把持部138を使用して、作動バレル130を静止させたまま、注射器110のプッシュパッド114を押すことによって、注射器110、アダプタ120、及びサンプリングチャンバ136を遠位へ作動バレル130内に完全に押し込むことができる。幾つかの態様において、指把持部116及び138は、フランジと呼ばれてもよい。指把持部116、138は、それぞれ注射器本体及び作動バレル130と一体成形(例えば、射出成形)されてもよい。
【0049】
作動バレル130は、作動バレル130の内面に位置する触覚特徴体137を更に含み、アダプタ120、注射器110及び/又はサンプリングチャンバ136の1つ又は複数の表面に接合及び/又は接続されるように配置される。図示された実施例では、触覚特徴体137は、環状の隆線又は突起を含み、内向きに作動バレル130内に延在する。
【0050】
ニードル132は、作動バレル130の遠位端部に結合されている。キャップ134は、作動バレル130の非使用時にニードル132に保護を提供するように、作動バレル130の遠位端部に結合される。ニードル132は、両側針を含んでもよい。当該両側針は、針の近位部が作動バレル130内に配置されるように、作動バレル130の遠位開口又はノズルに結合されるように構成される。
【0051】
図4Bに示すように、サンプリングチャンバ136は、柱状若しくは管状本体又は容器131を含み、近位端部及び遠位端部の両方に開口を有する。サンプリングチャンバ136の近位開口及び遠位開口の一方又は両方は、対応するセプタム133、135によって同時に覆われる。セプタム133、135は、外部環境に対するサンプリングチャンバ136内部の負圧又は真空を維持するように配置されてもよい。幾つかの態様において、サンプリングチャンバ136は、例えば、患者の眼50内の硝子体液の圧力より低い圧力を維持するように配置される。
【0052】
サンプリングチャンバ136の柱状若しくは管状本体は、医師がチャンバ136を充填する材料を観察できるように、透明であってもよい。サンプリングチャンバ136のサイズ、形状及びその他の構造は、作動バレル130内への配置に適するように構成され、バレル130の内面と締まり嵌めを形成するように構成されてもよい。例えば、サンプリングチャンバ136は、作動バレル130内において、圧力(例えば、注射器110を介して)が作動バレル130に対してサンプリングチャンバ136に印加されるまで静止したままであってもよい。
【0053】
このため、セプタム133、135の幅又は外径は、作動バレル130の内幅又は直径以上である。又は、サンプリングチャンバ136は、作動バレル内において自由に浮動可能であり、これにより、サンプリングチャンバ136は、作動バレル130に対して長手方向にスライド自在になる。六角形として示されているが、近位セプタム及び遠位セプタム135、133は、円形、矩形、八角形、楕円形又は任意の他の適切な形状であってもよいことが理解され得る。
【0054】
いずれの場合においても、アダプタ120の遠位端部は、サンプリングチャンバ136を作動バレル130内で遠位端部に向けて押し出すように構成されている。これに関して、サンプリングチャンバ136は、アダプタ120に取り付けられていない又は接続されていなくてもよく、注射器110及びアダプタ120を遠位へ進めて作動バレル130内を移動することで、サンプリングチャンバ136をニードル132に向けて作動バレル130内に押し込むように構成されている。他の実施例において、サンプリングチャンバ136は、アダプタ120及び/又は注射器110に接続、接着、溶接又は他の方式で接続されてもよい。注射器110、アダプタ120及びサンプリングチャンバ136をニードル132に向かって遠位に推進し、ニードル132の近位端部が注射器110のサンプリングチャンバ136及び薬物貯蔵器に順次刺し込まれる。
【0055】
図3A~3Bは、更に、生体サンプリング及び注射アセンブリ100と組み合わせて使用可能なリリーフニードル及びアダプタサブアセンブリ140を示す。リリーフニードルサブアセンブリ140は、ニードル142と、キャップ144と、スペーサ146とを含む。リリーフニードルサブアセンブリ140は、ニードル142の近位端部又は開口がアダプタ120におけるマルチ穿刺セプタム124を穿刺するように構成される。マルチ穿刺セプタム124の縁部が遠位コネクタ125上に圧着され得るため、ニードル142の近位端部は、注射器110内の流体又は薬物流体と連通するように配置することができる。スペーサ146は、アダプタ120の遠位端部に解放可能に結合されている。幾つかの態様において、リリーフニードルサブアセンブリ140及びアダプタ120は、同一のステップにおいて注射器110に接続されてもよい。例えば、リリーフニードルサブアセンブリ140及びアダプタ120は、最初にアダプタ120のマルチ穿刺セプタム124を穿刺するニードル142の近位端部に接続又は結合されてもよい。他の実施例において、リリーフニードルサブアセンブリ140及びアダプタ120は、別々のステップにおいて注射器110に接続又は結合されてもよい。
【0056】
図示の実施例において、スペーサ146とキャップ144は、別々の部品を含む。これらの部品は、接着剤、機械的取付、熱溶着又は他の任意の適切な結合方式を用いて接続、取り付け又は他の方式で結合される。他の実施形態では、キャップ144は、例えば射出成形によってスペーサ146と一体に形成されてもよい。スペーサ146は、アダプタ120上のコネクタ125の頭部からスペーサアーム148a、148bが離脱するように、アダプタ120から離れる方向に湾曲する2つのスペーサアーム148a、148bを有する。各スペーサアーム148a、148bには、コネクタ125の頭部を受容する溝149が形成されてもよい。幾つかの実施例において、環状スリーブ(図示せず)は、如何なる流体も針キャップ144の内部から漏れないように、リリーフニードルサブアセンブリ140とアダプタ120との間のインターフェースの周囲に巻き付けられてもよい。
【0057】
図5は、真空引きされたサンプリングチャンバ136のより詳細な横断面図である。セプタム133、セプタム135のそれぞれは、互いに接合され又は他の方式で接続される複数の層を有する。容器131は、側壁151を有する中空柱状又は管状の本体を有する。容器131は、一定の体積の生体流体を収容するためのチャンバ155を画定する。側壁151は、厚み153を有する。幾つかの態様において、厚さ153は、チャンバ155内の外部環境に対する真空又は負圧を維持するのに十分にである。
【0058】
幾つかの態様において、容器131は、ポリマー材料、ガラス、セラミック、金属又は任意の他の適切な材料によって形成され得る。例えば、容器131は、ポリエステル繊維、ポリエチレン、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ナイロンなどの任意の適切な材料又は材料の組み合わせによって形成されてもよい。幾つかの態様において、容器131は、ポリマー本体と、内面又は外面の少なくとも一方の上にガラス又はセラミックコーティングを含む。他の実施例において、容器131は、ポリマー本体、例えばポリエステル繊維を含み、ここで、厚さ153は、サンプリングチャンバ136がしばらくキャビティー155における真空を失うことを防止するのに十分である。幾つかの実施例において、厚さ153は、0.5mm~4mmであってもよい。幾つかの実施形態において、サンプリングチャンバ136は、25μL~500μLの範囲の流体を保持するように構成される。
【0059】
図示の実施例において、第1セプタム133及び第2セプタム135は、類似する又は同様の構成を有する。しかし、他の実施例において、第1セプタム133は、第2セプタム135と異なる構造を有してもよい。第1セプタム133は、接着層152と、金属箔層154と、弾性層156とを含む。接着層152は、容器131の材料に接合及び/又は接着するポリマー材料を含んでもよい。
【0060】
幾つかの実施形態では、接着層152は、容器131の圧力活性化及び/又は熱活性化と連携するために接着剤又は接着剤を提供するように構成される。幾つかの実施例において、接着層152は、容器131との気密封止を提供するために、加えられた熱に応答して容器131の縁部に接合される熱活性化材料を含む。幾つかの実施例において、熱活性化材料は、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリエステル繊維、ポリウレタン及びスチレンブタジエン共重合体を含んでもよい。幾つかの実施例において、接着層152の厚さは、0.005mm~0.1mmの範囲内であってもよい。
【0061】
金属箔層154は、接着層152に接合される金属箔を含む。幾つかの態様において、金属箔層154は、接着剤又は他のインターフェース層を介して接着層152に接着されてもよい。金属箔層154は、チャンバー155内の真空又は負圧を維持するのに十分な厚みを有する金属を含んでもよい。これに関し、金属箔層154の金属材料は、一部のポリマー材料よりもガス透過性が小さくてもよい。したがって、金属箔層154は、チャンバー155内の圧力差をより良好に維持するために、シール機能を向上させる。金属箔層154は、例えば、アルミニウム、金、銀、銅及び/又はそれらの合金を含んでもよい。幾つかの実施例において、金属箔層154の厚さは、0.01mm~0.2mmの範囲内であってもよい。
【0062】
弾性層156は、接着層152及び/又は金属箔層154の厚さよりも大きい厚さを有するエラストマー材料を含む。幾つかの実施例において、弾性層156の厚さは、接着層152と金属箔層154との厚さの和より大きい。これに関し、弾性層156の厚さは、ニードル132の傾斜開口の長さよりも大きくてもよい。これに関し、ニードル132の近位端部は、セプタム133、135の穿刺を容易にし且つセプタム133、135の芯出しを防止するために、傾斜又は角度を有する開口を含んでもよい。
【0063】
弾性層156の厚さがニードル132の傾斜開口の長さよりも顕著に小さいと、ニードル132の傾斜開口が意図せずにチャンバ155と外部環境との間に流体経路を形成する可能性がある。これは、サンプリングチャンバ136が生体サンプルを吸入できる前に、チャンバ155内の負圧を解消又は減少させることができる。これに相応し、弾性層156は、比較的大きい厚さで、ニードルがセプタム133を穿刺する時に気密封止を維持する。また、幾つかの態様において、弾性層156は、ニードル132の外面との流体シールを提供してもよい。このように、チャンバ155内の生体サンプルは、当該過程後で外部環境に漏れない。幾つかの実施例において、弾性層156の厚さは、0.2mm~3mmであってもよく、例えば、0.4mm、0.5mm及び0.6mmの値を含む。
【0064】
第2セプタム135は、接着層162と、金属箔層164と、弾性層166とを更に含む。層162、164、166は、第1セプタム133の層152、154、156と類似又は同じであってもよい。他の実施例において、層162、164、166のうちの1つ又は複数は、対応する層152、154、156に対して材料、厚さ、寸法又はその他の点で異なってもよい。
【0065】
操作において、リリーフニードルサブアセンブリ140がアダプタ120及び注射器110に接続されると、医師は、まず、プッシュパッド114及び指把持部116を用いてプランジャ112を押し下げることができる。これに関し、注射器110は、プレフィルド注射器であってもよく、医師の所望の排出された気泡や巻き込み空気を含んでいてもよい。また、注射器110は、患者にとって必要な投与量を超える量の薬剤を含んでもよい。それに相応し、医師は、注射器110内のマルチ穿刺セプタム124を穿刺して、気泡及び過剰な薬物をリリーフニードル142を介して排出してキャップ144に入れることができる。これに関し、キャップ144は、リリーフニードル142によって排出された過剰な薬物を含むように閉鎖空間を形成することができる。そして、リリーフニードル142及びキャップ144を除去し、注射器110及びアダプタ120を作動バレル130内に位置決めすることにより、マルチ穿刺セプタム124を二回目に穿刺して薬物を患者の人体構造(例えば、硝子体)に輸送することができる。
【0066】
この点を考慮してアセンブリアセンブリ100は片手で操作することができ、これにより、医師は、一方の手10を使用して作動バレル130内で遠位へ薬物注射器110及びアダプタ120を進めるとともに、他方の手で目標人体構造(例えば、眼50)を支持又は安定させることができる。そのため、医師は、注射器110、アダプタ120及び真空引きされたサンプリングチャンバ136を遠位を向いてニードル132の近位端部に向かって作動バレル130内に進めることによって、複合型生体サンプリングと注射過程を実行することができる。
【0067】
医師は、プランジャ112を押圧することにより、注射器110を遠位へ進めることができる。環状突起137は、アダプタ120の少なくとも一部(例えば、Oリング126)に接合され、サンプリングチャンバ136がニードル132の近位端部がサンプリングチャンバ136の第1セプタム133を穿刺する位置にあることを医師に警告するように構成される。Oリング126及び近位リング部121は、アダプタ120を作動バレル130の中心に保持させることができ、これにより、アダプタ120が作動バレル130内を遠位に向かって移動するとき、ニードル132の近位端部がマルチ穿刺セプタム124に衝突して穿刺する。
【0068】
第1推進位置において、ニードル132の近位端部は、サンプリングチャンバ136のセプタム133を既に穿刺し、一定の体積の生体流体をチャンバに吸入する。サンプリングチャンバ136の内部と外部環境との間の圧力差は、生体サンプル(例えば、硝子体液、血液など)をニードル132に自動的に流してサンプリングチャンバ136に入るのに十分である。
【0069】
医師は、サンプリングチャンバ136が満杯になったと確定したときに、ニードル132の遠位端部が第2セプタム135を通過することによってサンプリングチャンバ136から離間するまで、引き続き注射器110、アダプタ120及びサンプリングチャンバ136を遠位へ作動バレル130内の第2推進位置に進める。そして、ニードル132は、アダプタ120のマルチ穿刺セプタム124を穿刺することにより、ニードル132の遠位端部を注射器110の内部の薬物流体と連通させる。より具体的には、注射器110の内部からの流体は、流体通路111を介して排出されてニードルの近位開口に進入することができる。
【0070】
第2推進位置において、注射器110のプランジャに加えられた力によって、薬剤がニードル132を介して注射器110から流出して眼50に進入する。したがって、複合型生体サンプリング及び注射過程は、下記のようになる。患者の人体構造の1回の穿刺によって同じ方向に(遠位へ)1回の多段階又は段階的な移動を行うことで、効率を向上させ、プロセスの複雑さを低減させる。
【0071】
上述したように、アセンブリ100の各種の部品は、医師が生体サンプリング及び注射過程を観察できるように、透明であってもよく、作動バレル130、サンプリングチャンバ136及び注射器110を含む。このようなアダプタ120におけるサイドウインドウ128と上記触感フィードバック特徴体とを相互作用させる構成によれば、工程が見やすく、繰り返すことができる。
【0072】
図6及び図7A~7Fは、複合型生体サンプリング及び注射過程を実行する方法600を示す。方法600は、上記装置、サブアセンブリ又はアセンブリのうちの1つ又は複数を用いて実行されてもよく、図1及び図2に示す複合型生体サンプリング及び注射サブアセンブリ100を含む。
【0073】
図6図7A及び図7Bを参照すると、ステップ602において、注射器110は、アダプタ120及びリリーフニードルアセンブリ140に結合される。以上のように、アダプタ120とリリーフニードルアセンブリ140との注射器110への結合は、同一のステップで行われてもよい。他の実施例において、アダプタ120は、まず、注射器110の遠位端部に接続され、その後、リリーフニードルアセンブリ140は、アダプタ120及び注射器110に接続されてもよい。
【0074】
いずれの場合も、ステップ604において、医師は、注射器110のプランジャ112を用いて注射器110から如何なる気泡、巻き込み空気を排出し、リリーフニードル142を介して注射器110から薬物にアクセスし、キャップ144によって画定される薬物収集チャンバに入る。このようにして、医師は、複合型生体サンプリング及び注射過程の薬物注射部分を用意する。
【0075】
図6及び図7Cを参照し、ステップ606において、医師は、リリーフニードルアセンブリ140をアダプタ120から取り外す。アダプタ120は、注射器110の遠位端部に結合されることを維持する。アダプター120のマルチ穿刺セプタム124は、リリーフニードル142による穿刺穴を自動的に再封止する。
【0076】
図6及び図7Dを参照すると、ステップ608において、医師は、注射器110及びアダプタ120を作動バレルアセンブリに挿入する。作動バレルアセンブリは、作動バレル130、真空引きされたサンプリングチャンバ136、ニードル132及びキャップ134を含む。上述した通り、アダプタ120は、作動バレル130と摺動可能な締まり嵌めを形成することができる。アダプタ120と作動バレル130との間の抵抗力は、医師が注射器110、アダプタ120及びサンプリングチャンバ136を徐々にニードル132の近位端部へ遠位に向かって作動バレル130内に押し込むことに役立つ。
【0077】
図6及び図7Eを参照すると、ステップ610において、医師は、患者の眼50の中、特に硝子体腔内に、作動バレル130のニードル132を挿入する。ステップ612において、医師は、作動バレル130内で、注射針132の近位端部がサンプリングチャンバ136の第1/遠位セプタム133を穿刺するように、注射器110を作動バレル130に対して進める。このため、プランジャ112のプッシュパッド114を押圧することにより、注射器110を作動バレル130に対して遠位へ進出させて作動バレル130に進入させることができる。アダプタ120のマルチ穿刺セプタム124が穿刺されなくなるので、プランジャ112を押して注射器110全体を遠位へ作動バレル130内に進めることが、注射器110からの追加の薬物の排出を招くことはない。医師は、作動バレル130のプッシュパッド114及び指把持部138を使用して、作動バレル130内で注射器110、アダプタ120及びサンプリングチャンバ136を遠位へ進めることができる。
【0078】
ニードル132の近位端は、上記のような傾斜又は角度を有する開口を含み得る。これに関し、傾斜開口の長さは、サンプリングチャンバ136の第1セプタム133の厚さより小さくてもよい。ニードル132の近位端部が真空引きされたサンプリングチャンバ136の内部に進入すると、圧力差により硝子体液が自動的にニードル132を流れてサンプリングチャンバ136に流れ込む。上述したように、作動バレル130及びサンプリングチャンバ136は、透明又は半透明材料で形成される。このように、医師は、硝子体液がサンプリングチャンバ136に流れ込むことを観察することができる。
【0079】
また、作動バレル130における環状突起137(図2参照)は、ニードル132の近位端部がサンプリングチャンバ136に刺し込まれたときに、医師へ触感フィードバックを提供する。突起137は、例えばアダプタ120のOリング126と相互作用することで触覚フィードバックを提供するように構成されてもよい。なお、触覚特徴体は、環状突起の他に、クリック、リッジ、溝、或いは、注射器110、アダプタ120及び/又はサンプリングチャンバ136のバレル130に対する位置及びニードル132の近位端部に対する位置に関する触感フィードバックを医師に提供するのに適する任意の他の構造的特徴体を含んでもよい。
【0080】
図6及び図7Fに示すように、ステップ614において、所望の体積の硝子体液が収集されると、医師は、ニードル132の近位端部が注射器110のマルチ穿刺セプタム124を穿刺するまで、注射器110、アダプタ120及びサンプリングチャンバ136を作動バレル130内で進める。幾つかの態様において、ステップ614は、サンプリングチャンバ136が作動バレル130の遠位端部の幾何形状体によって止められるまで、医師がプランジャ112のプッシュパッド114を押すことを含んでもよい。サンプリングチャンバ136が遠位へ作動バレル130内に進められると、ニードル132の近位端部は、サンプリングチャンバ136の第2/近位セプタム135を穿刺してから、アダプタ120のマルチ穿刺セプタム124を穿刺する。
【0081】
これにより、ニードル132の近位端部又は開口は、注射器110内の薬剤流体と連通する。したがって、医師が引き続きプッシュパッド114を押すと、プランジャ112の力により、注射器110内の薬剤は、ニードル132を介して排出されて患者の眼50の硝子体液中に進入する。患者の体内に注射される薬剤の体積は、サンプリングチャンバ136に吸入される生体サンプルの体積と同等又は略同等であってもよい。
【0082】
図8は、別の例を示し、プレフィルド注射器210は、マルチ穿刺セプタム224とOリング226とを含む遠位コネクタ220を有する。これに関し、上記図2図7Fに示すアダプタ120のようなアダプタを用いずに、マルチ穿刺セプタム224を注射器210に組み込む。これにより、アダプタを必要としなくても、上述した複合型生体サンプリング及び注射過程を実行可能である。遠位コネクタ220の頭部には、マルチ穿刺セプタム224が巻き付けられてもよい。注射器210は、作動バレル130及びリリーフニードルサブアセンブリ140と共に、前述の注射器110に対する同様な方式で操作することができる。
【0083】
図9A図9Bは、作動バレル130のニードル132の具体的な構成を示す。上述のように、ニードル132は、近位端部に角度をなす開口又は傾斜開口139を含んでもよい。角度を成す開口又は傾斜開口139は、ニードル132をサンプリングチャンバ136に挿入するのに役立つ。例えば、傾斜開口139は、サンプリングチャンバ136のセプタム133、135を穿刺するための尖点をニードル132へ提供するとともに、セプタム133、135の芯出しを低減又は解消することができる。
【0084】
しかし、傾斜開口139の角度をなす表面により、ニードル132がその長手方向軸線70から離れるように偏向する可能性がある。したがって、図9Aに示す実施例において、ニードル132は、最初に偏向又は予め偏向され、傾斜開口139によるサンプリングチャンバ136のセプタム133、135への穿刺による偏向を補償する。具体的には、ニードル132は、角度θで長手方向軸線70から離間して角度をなすように偏向又は傾斜してもよい。
【0085】
図9Bに示す別の例では、ニードル132は、長手方向軸線70から離間して側方に偏向又は移動してもよい。いずれの場合においても、ニードル132の角度又は側方の偏向は、真空引きされたチャンバ136の第1セプタム133に対する傾斜開口139の穿刺が、ニードル132の近位部を長手方向軸線70へ向けて角度をなして偏向及び/又は側方へ偏向させるように決定又は構成されてもよい。
【0086】
上記装置、アセンブリ及びサブアセンブリは、示された具体的な実施例に基づいて変更されてもよく、本開示の範囲を逸脱しないことを理解されたい。例えば、アダプタ120は、マルチ穿刺セプタム124を有するものとして説明したが、マルチ穿刺セプタムに代えて又は加えて、他のタイプのコネクタ及び/又はインターフェースであってもよい。例えば、幾つかの実施例において、アダプタ120は、単一の穿刺セプタムを含んでもよい。他の実施例において、アダプタ120は、注射器110と針132との間に流体経路を形成するように、針又はカニューレを受容するように構成されるバルブを含んでもよい。上記アセンブリ及び装置の別の態様及び/又は詳細は、2021年5月13日に出願された、出願番号17/319,742の米国特許出願において見出され得る。T当該米国特許出願の全内容は、引用によって本願に取り込まれる。
【0087】
当業者であれば理解できるように、上記装置、システム及び方法は、様々な方式で変更され得る。それ相応に、当業者は、本発明に含まれる実施例が上記特定の例示的な実施例に限定されないと理解すべきである。以上に本発明の説明用の実施例について説明したが、上記内容において幅広い修正、変形及び置換を検討している。本発明の範囲を逸脱することなく、前述の内容に対してこのような変更を行うことができる。
【0088】
したがって、添付する特許請求の範囲は、本発明と一致する方式で広義的に解釈されるべきである。
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図3D
図4A
図4B
図5
図6
図7A
図7B
図7C
図7D
図7E
図7F
図8
図9A
図9B
【手続補正書】
【提出日】2024-01-24
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
サンプリング装置であって、
容器と、遠位セプタムとを備え、
前記容器は、チャンバを画定する本体と、前記チャンバへの遠位開口とを含み、
前記遠位セプタムは、前記容器に接合されることにより、前記遠位開口を覆って前記チャンバを気密封止し、
前記遠位セプタムは、
前記容器の縁部に接着されることで前記容器を気密封止する材料を含む、第1厚さの接着層と、
前記接着層に結合される、第2厚さの金属箔層と、
前記金属箔層に結合されることで前記金属箔層を前記接着層と前記弾性層との間に位置決めする、第3厚さの弾性層とを含み、
前記第3厚さは、前記第1厚さと前記第2厚さとの和よりも大きいことを特徴とするサンプリング装置。
【請求項2】
前記容器は、前記遠位開口に対向して位置合わせされる近位開口を更に含み、
前記サンプリング装置は、前記容器に接合されることで前記近位開口を覆う近位セプタムを更に備え、
前記近位セプタムは、
前記容器の近位縁部に接着されることで前記容器を気密封止する材料を含む接着層と、
前記近位セプタムの接着層に結合される金属箔層と、
前記近位セプタムの金属箔層に結合されることで前記近位セプタムの金属箔層を前記近位セプタムの接着層と弾性層との間に位置決めする弾性層とを含むことを特徴とする請求項1に記載のサンプリング装置。
【請求項3】
前記近位セプタムの接着層は、第4厚さを有し、前記近位セプタムの金属箔層は、第5厚さを有し、前記近位セプタムの弾性層は、第6厚さを有し、前記第6厚さは、前記第4厚さと前記第5厚さとの和よりも大きいことを特徴とする請求項2に記載のサンプリング装置。
【請求項4】
前記接着層は、熱の印加に応じて前記容器の縁部に接合される材料を含むことを特徴とする請求項1に記載のサンプリング装置。
【請求項5】
前記接着層は、接着剤を含むことを特徴とする請求項1に記載のサンプリング装置。
【請求項6】
注射器を用いて生体サンプルを取得して患者へ薬剤を輸送するシステムであって、
バレルと、アダプタと、真空引きされた容器と、両側針とを備え、
前記バレルは、内部領域を画定する中空本体を含み、
前記アダプタは、前記内部領域内に位置し、近位コネクタを有し、前記近位コネクタは、前記アダプタを前記注射器の遠位端部に結合するように構成され、前記アダプタの遠位端部には、穿刺可能なインターフェースが設けられ、
前記真空引きされた容器は、前記内部領域内で前記アダプタから離間するように摺動可能に受容され、前記真空引きされた容器は、前記生体サンプルを含むように構成されるチャンバを画定する本体と、前記チャンバまで延在する遠位開口とを有し、前記遠位開口は、遠位セプタムによって覆われ、
前記両側針は、前記バレル内で前記真空引きされた容器から離間するように設けられる近位端部と、患者に挿入するように位置決めされる遠位端部とを有し、真空引きされたチャンバは、前記バレル内で第1位置へ移動可能であることにより、前記両側針の近位端部を前記チャンバ内に置いて生体サンプルを患者から前記チャンバに吸引し、且つ、真空引きされたチャンバは、第2位置へも移動可能であり、前記第2位置において、前記両側針の近位端部は、真空引きされたチャンバを完全に通過し、前記インターフェースを通過することにより、薬剤を注射器から患者に輸送することを特徴とするシステム。
【請求項7】
前記真空引きされた容器は、前記バレルに対して同一の方向において移動して前記第1位置と前記第2位置とに到達可能であることを特徴とする請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記遠位セプタムは、
前記容器の遠位縁部に接着されることで前記容器を気密封止する材料を含む接着層と、
前記遠位セプタムの接着層に結合される金属箔層と、
前記遠位セプタムの金属箔層に結合されることで前記遠位セプタムの金属箔層を前記遠位セプタムの接着層と弾性層との間に位置決めする弾性層とを含むことを特徴とする請求項6に記載のシステム。
【請求項9】
前記接着層は、第1厚さを有し、前記金属箔層は、第2厚さを有し、前記弾性層は、第3厚さを有し、前記第3厚さは、前記第1厚さと前記第2厚さとの和よりも大きいことを特徴とする請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記真空引きされた容器は、近位セプタムを更に備え、前記近位セプタムは、前記遠位開口に対向して位置合わせされる近位開口において前記容器に接合されることにより、前記近位開口を覆い、
前記近位セプタムは、
前記容器の近位縁部に接着されることで前記容器を気密封止する材料を含む接着層と、
前記近位セプタムの接着層に結合される金属箔層と、
前記近位セプタムの金属箔層に結合される弾性層とを含み、
前記近位セプタムの金属箔層は、前記近位セプタムの接着層と弾性層との間に配置されていることを特徴とする請求項8に記載のシステム。
【請求項11】
前記近位セプタムの接着層は、第4厚さを有し、前記近位セプタムの金属箔層は、第5厚さを有し、前記近位セプタムの弾性層は、第6厚さを有し、前記第6厚さは、前記第4厚さと前記第5厚さとの和よりも大きいことを特徴とする請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記アダプタは、前記アダプタの周辺を取り囲むOリングを含み、前記Oリングの外径は、前記バレルの内径に対応することを特徴とする請求項6に記載のシステム。
【請求項13】
前記バレルは、前記内部領域内の触覚特徴体を更に含み、前記触覚特徴体は、前記Oリングと相互作用することにより、前記真空引きされた容器が前記第1位置に存在することを示すことを特徴とする請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記両側針の近位端部は、傾斜開口を有することを特徴とする請求項6に記載のシステム。
【請求項15】
前記バレルは、長手方向軸線を規定し、
少なくとも前記両側針の近位端部は、前記長手方向軸線からずれており、
前記傾斜開口は、前記真空引きされた容器の前記遠位セプタムを穿刺することに応じて、前記両側針の近位部を前記長手方向軸線に向けて偏向させるように構成されることを特徴とする請求項14に記載のシステム。
【国際調査報告】