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特表2024-520482ポリウレタン、研磨物品及びそれらによる研磨システム、並びにそれらの使用方法
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  • 特表-ポリウレタン、研磨物品及びそれらによる研磨システム、並びにそれらの使用方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-24
(54)【発明の名称】ポリウレタン、研磨物品及びそれらによる研磨システム、並びにそれらの使用方法
(51)【国際特許分類】
   C08G 18/32 20060101AFI20240517BHJP
   B24B 37/24 20120101ALI20240517BHJP
   B24B 37/26 20120101ALI20240517BHJP
   C08G 18/64 20060101ALI20240517BHJP
   C08G 18/65 20060101ALI20240517BHJP
   C08G 18/10 20060101ALI20240517BHJP
   C08G 18/76 20060101ALI20240517BHJP
   C08G 18/48 20060101ALI20240517BHJP
   C08G 18/44 20060101ALI20240517BHJP
   C08G 18/42 20060101ALI20240517BHJP
   H01L 21/304 20060101ALI20240517BHJP
【FI】
C08G18/32 050
B24B37/24 C
B24B37/26
C08G18/32 003
C08G18/64 015
C08G18/65
C08G18/10
C08G18/76 014
C08G18/76 057
C08G18/48
C08G18/44
C08G18/42
H01L21/304 622F
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2023573049
(86)(22)【出願日】2022-05-27
(85)【翻訳文提出日】2023-11-27
(86)【国際出願番号】 IB2022054983
(87)【国際公開番号】W WO2022249135
(87)【国際公開日】2022-12-01
(31)【優先権主張番号】63/194,579
(32)【優先日】2021-05-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505005049
【氏名又は名称】スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100130339
【弁理士】
【氏名又は名称】藤井 憲
(74)【代理人】
【識別番号】100135909
【弁理士】
【氏名又は名称】野村 和歌子
(74)【代理人】
【識別番号】100133042
【弁理士】
【氏名又は名称】佃 誠玄
(74)【代理人】
【識別番号】100171701
【弁理士】
【氏名又は名称】浅村 敬一
(72)【発明者】
【氏名】ルール,ジョーゼフ ディー.
(72)【発明者】
【氏名】ストムバーグ,ジェイミー イー.
(72)【発明者】
【氏名】レフー,デュイ ケー.
(72)【発明者】
【氏名】ジェネン,ジェイ エム.
(72)【発明者】
【氏名】シグリン,デイヴィッド ピー.
【テーマコード(参考)】
3C158
4J034
5F057
【Fターム(参考)】
3C158AA07
3C158AC04
3C158BA02
3C158BA04
3C158BA05
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3C158EB22
3C158EB28
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5F057BA24
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5F057FA36
5F057FA39
5F057GA12
5F057GB02
(57)【要約】
本開示は、少なくとも400ダルトンの数平均分子量を有するポリオール、400ダルトン未満の分子量を有するジオール鎖延長剤、ジイソシアネート及び多官能性アミンを含む反応性混合物の反応生成物を含む、ポリウレタンに関する。本開示は、研磨層及びそれから作製される研磨パッドを更に提供する。更に、本開示は、この研磨層及び研磨パッドを採用した研磨システム及び研磨方法を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも400ダルトンの数平均分子量を有するポリオール、
400ダルトン未満の分子量を有するジオール鎖延長剤、
ジイソシアネート、並びに
式I及び式IIのうちの少なくとも1つの多官能性アミン
【化1】
【化2】
[式中、
Xは、0~10(端点を含む)の整数であり、
R1は、直鎖若しくは分枝鎖脂肪族基、環状脂肪族基、芳香族基、又は芳香族基を含有する化合物であり、2個~20個の炭素原子を有し、
R2は、1個~20個の炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖アルキル基であり、
R2’は、水素、又は1個~20個の炭素原子を有する直鎖若しくは分枝鎖アルキル基である]
を含む反応性混合物の反応生成物を含む、ポリウレタン。
【請求項2】
Xが、0~3(端点を含む)の整数である、請求項1に記載のポリウレタン。
【請求項3】
R1が、2個~8個の炭素原子を有する直鎖脂肪族基、又は芳香族基である、請求項1に記載のポリウレタン。
【請求項4】
R2が1個~10個の炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖アルキルであり、R2’が水素である、請求項1に記載のポリウレタン。
【請求項5】
前記反応性混合物中の多官能性アミンの量が、前記反応性混合物の総重量を基準として2重量パーセント超かつ15重量パーセント未満である、請求項1に記載のポリウレタン。
【請求項6】
前記反応性混合物中のイソシアネート基の、ヒドロキシル基及び非ヒンダード第二級アミン基の合計に対するモル比が0.96~1.08である、請求項1に記載のポリウレタン。
【請求項7】
前記ポリオールが、前記反応性混合物中の前記ポリオールの重量を基準として、少なくとも70重量%の2つのヒドロキシル官能基を有するポリオールを含む、請求項1に記載のポリウレタン。
【請求項8】
前記ポリオールが、前記反応性混合物の重量を基準として30重量%~80重量%である、請求項1に記載のポリウレタン。
【請求項9】
前記ポリオールが、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール及びヒドロキシル末端ブタジエンのうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載のポリウレタン。
【請求項10】
前記ジイソシアネートが、前記反応性混合物の重量を基準として10重量%~60重量%である、請求項1に記載のポリウレタン。
【請求項11】
前記ジイソシアネートが、ジフェニルメタンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネートとヒドロキシル末端直鎖オリゴマー又はポリマーとの反応生成物、トルエンジイソシアネート、トルエンジイソシアネートとヒドロキシル末端直鎖オリゴマー又はポリマーとの反応生成物、及びこれらの組み合わせを含む、請求項1に記載のポリウレタン。
【請求項12】
前記ポリウレタンが熱可塑性ポリウレタンである、請求項1に記載のポリウレタン。
【請求項13】
前記反応性混合物が、少なくとも3つのヒドロキシル基を有するポリオールを更に含む、請求項1に記載のポリウレタン。
【請求項14】
作用面と、前記作用面とは反対側の第2の表面と有する研磨層を含み、前記研磨層が、請求項1に記載のポリウレタンを含む、研磨パッド。
【請求項15】
前記作用面が、ランド領域と、精密に形成された複数の細孔及び精密に形成された複数の凹凸のうちの少なくとも1つとを含む、請求項14に記載の研磨パッド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ポリウレタン材料及びそのような材料を含有する物品に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリウレタンの合成及びフィルムの作製は、例えば、米国特許出願公開第2020/0277517号及び米国特許第10,590,303号に記載されている。研磨物品におけるポリウレタンフィルムの使用は、例えば、米国特許第10,071,461号及び同第10,252,396号に記載されている。
【図面の簡単な説明】
【0003】
以下の本開示の様々な実施形態の詳細な説明を添付図面と併せて検討することで、本開示をより完全に理解し得る。
【0004】
図1】本開示のいくつかの実施形態による、研磨層の一部の概略断面図である。
図2】本開示のいくつかの実施形態による、研磨パッドの概略断面図である。
図3】本開示のいくつかの実施形態による、研磨パッドを利用するための研磨システムの例、及び方法の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0005】
ポリウレタンは、一般に、ポリオール、すなわち、少なくとも2つのアルコール官能基を有する有機化合物と、ポリイソシアネート、すなわち、少なくとも2つのイソシアネート官能基を有する有機化合物との混合物から合成される、汎用樹脂である。これらの構成要素に加えて、鎖延長剤、連鎖停止剤、架橋剤、触媒などを含む、他の化合物を合成中に添加してもよい。熱可塑性ポリウレタンと熱硬化性ポリウレタンとはいずれも、容易に合成され、合成に使用され得る化合物の幅の広さのために、広範囲の材料特性が達成され得る。ポリウレタンは、その靭性、耐摩耗性及び耐薬品性のために、保護コーティング及びフィルムとしてしばしば使用される。
【0006】
ポリウレタンフィルムが最近採用されている1つの分野は、様々な研磨用途、例えば化学機械平坦化(Chemical Mechanical Planarization、CMP)研磨用途のための研磨材料としてである。典型的なCMP用途では、基材、例えば半導体ウエハの表面を、しばしば加工液の存在下で、研磨パッドの表面と接触させる。基材を、指定の力又は圧力下でパッドに対して移動させ、基材表面から材料を除去する。研磨パッドは多くの場合、研磨層、すなわち基材に接触するパッドの層と、サブパッドとを含む複数の層を有する。研磨層の設計は、研磨性能に重要である。いくつかの研磨層は、研磨プロセスを促進する特定の研磨特徴部、例えば凹凸及び/又は細孔を有する作用面(被研磨基材に接触する研磨層の表面)を含み得る。凹凸の高さ及び/又は細孔の深さは、パッドの研磨性能に関する重要なパラメータである。凹凸の場合、一般に、最も高い凹凸の高さを均一にして、凹凸先端の平坦な表面を作り出すことが望ましい。これによって、基材表面を凹凸のセットの端から端まで、均一に接触させることができる。更に、研磨層の全体の厚さも、研磨性能に関する重要なパラメータである。一般に、研磨層を均一な厚さにして、研磨層の作用面を平坦にすることが望ましい。基材は研磨層の厚い領域とは接触し得るが、それらの間の領域にわたる薄い領域とは接触しないことがあるため、厚さのばらつきは、研磨層表面が平坦でなくなる原因となることがあり、研磨性能に影響を及ぼし得る。更に、不均一な厚さでは、基材表面の端から端まで均一な研磨圧力とならない場合があり、これもまた、例えば、少ない又は不均一な基材除去量など、研磨結果に悪影響を及ぼし得る。研磨層の厚さ及び/又は研磨特徴部の寸法均一性は、研磨プロセスに重要である。研磨層はしばしば、1000ミクロン未満の厚さを有するフィルム形式であり、対応する研磨特徴部は、20ミクロン~100ミクロンの高さ及び/又は深さを含む寸法を有し得るため、要求される寸法均一性は、厳しい寸法公差要件を生じ得る。
【0007】
これらの寸法要件に加えて、研磨プロセスに使用される加工流体、例えば研磨溶液は、腐食性、例えば、酸性若しくは塩基性、及び又は非常に酸化性であることがあり、したがって、研磨層は良好な耐薬品性を提供するべきである。研磨層は、所与の研磨プロセスの研磨寿命要件を満たす長さの時間持つことも所望され、すなわち、研磨層は、良好な耐摩耗性を提供するべきである。製造の観点から、パッド製造業者にとって十分な経済的利益を可能にするために、効率的で低コストな研磨層の製造プロセスが所望される。このプロセスは、均一な研磨層の厚さを提供する必要があり得るが、研磨層の作用面に、所望の研磨特徴部を所望の寸法公差で作り出すための効率的な手段を提供する必要もあり得る。
【0008】
研磨層の作用面に研磨特徴部を作り出す1つのアプローチは、造形又はエンボス加工プロセスの使用によるものである。このアプローチにおいて、研磨層は、例えば押出機によって、溶融加工され、所望の研磨層特徴部のネガティブ像を含むエンボス加工ロール上にキャストされた熱可塑性物質から調製され得る(特徴部のサイズ、例えば高さが約500ミクロン以下のスケールである場合、このプロセスは高精細(microreplication)プロセスと呼ばれることもある)。次に、熱可塑性物質をエンボス加工ロール上で冷却して固化させ、続いて、エンボス加工された特徴部を有する熱可塑性フィルムをロールから除去する。溶融加工に関しては、熱可塑性物質を合成し、ペレット化し、次いで後にフィルムに加工することができる。しかしながら、より高い効率は、熱可塑性樹脂をin situで、反応押出形成を通じて押出機内で製造することによって達成することができる。次に、生成したポリウレタンをフィルムに形成することができる。いずれの場合も、均一なフィルムの厚さ及び均一な特徴部のサイズを確保するために、キャスティング/エンボス加工プロセス中、流体の安定な流動が要求される。溶融加工中の流体の安定な流動は、例えば、溶融加工温度における熱可塑性物質の安定な溶融粘度と相関し得る。CMPパッドの研磨層として有用なポリウレタンは、溶融物を形成するために、高温、例えば180℃~250℃の温度を必要とすることがある。この温度範囲におけるウレタン溶融物の粘度又は他の特性のばらつきは、許容できないコーティング欠陥をもたらし得る。加えて、この温度範囲におけるポリウレタン溶融物の粘度が低いと、作製プロセス中、例えばキャスティング/エンボス加工高精細プロセス中の低圧力をもたらすことがあり、これは、不良な複製性能をもたらし得る。そのため、180℃~250℃で高い溶融粘度を有するウレタン材料が好ましいことがある。
【0009】
上記の特質に加えて、本開示のポリウレタンのゼータ電位は、特定の用途/使用に関する重要なパラメータであり得る。例えば、CMPパッドの研磨層として使用されるポリウレタンのゼータ電位は、パッドが呈する研磨挙動に影響を及ぼし得る。したがって、ポリウレタンのゼータ電位を改変できることは、研磨性能の改善を促進し得る。ゼータ電位は、様々な官能基を有する化合物、典型的には低分子量化合物をポリウレタン中にブレンドすることによって、改変され得る。しかしながら、これらの化合物は、ポリウレタン内で移動及び/又は拡散する傾向があることがあり、ポリウレタン全体にわたって均一に分散したままではないことがある。加えて、これらの化合物は、ポリウレタンから抽出される傾向があり得る。例えば、CMPパッドの磨き層としての使用中、ポリウレタンは、特にポリウレタン研磨層の表面領域において、ポリウレタンから構成要素を抽出することが可能であり得る、水性及び/又は非水性研磨溶液と接触することがある。これらの構成要素は、次に、研磨溶液中に拡散し、すなわち、ポリウレタン研磨層から除去され、ゼータ電位改変剤として無効になり得る。したがって、ポリウレタンのゼータ電位を、より永続的な様式で改変する必要がある。
【0010】
本開示は、ポリウレタンの重合中に、ゼータ電位改変化合物をポリウレタンの骨格に直接共有結合させることによって、ポリウレタンのゼータ電位を改変する手段を提供する。本開示は、反応してポリウレタン骨格に入り、ポリウレタンのゼータ電位を改変することができる多官能性アミンを提供する。典型的には、これらの化合物は、ポリウレタンのゼータ電位を上昇させ、ポリウレタンに正のゼータ電位を提供し得る。多官能性アミンは、一般に、ポリウレタン全体にわたって均一に分散し、共有結合するので骨格中に永続的に含まれるため、ポリウレタンのゼータ電位は、より安定な様式で改変され、使用中に変わらない値を維持する。ポリウレタンが使用中、例えば、CMP用途における研磨層としての使用中に摩耗すると、侵食された表面と同等のゼータ電位を有する新たなポリウレタンが露出する。この挙動は、合成中に反応してポリウレタンに入ることができない材料、及び/又はポリウレタンにブレンドされた材料の挙動とは対照的である。これらの材料は、ポリウレタン内で拡散及び相分離し得る、ポリウレタンの表面にブルーミングし得る、並びに/又は使用中にポリウレタンから抽出され得るからである。
【0011】
別段の指示がない限り、本明細書及び特許請求の範囲で使用されている、特徴部のサイズ、量及び物理的特性を表す全ての数は、全ての場合において、「約」という用語によって修飾されているものとして理解されたい。したがって、それとは反対の指示がない限り、記載されている数は、本明細書に開示されている教示を使用した所望の特性に応じて変わり得る近似値である。
【0012】
「a」、「an」及び「the」という用語は、「少なくとも1つの」と互換的に使用され、記載される要素のうちの1つ以上を意味する。
【0013】
「置換された」という用語(アルキル基又は部分に関して)は、炭素に結合した少なくとも1個の水素原子が、1個以上の非水素原子で置き換えられていることを意味する。置換され得る置換基又は官能基の例としては、アルコール、第一級アミン及び第二級アミンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0014】
本明細書で使用する「脂肪族」及び「脂環式」という用語は、アルカン、アルケン又はアルキンである炭化水素基を有する化合物を指す。炭化水素は置換を含んでもよい。
【0015】
「アルキル」という用語は、アルカンのラジカルである一価の基を指す。アルキルは、直鎖、分枝鎖、環状又はこれらの組み合わせであってもよい。アルキルは、1個~20個の炭素原子を含有しても、すなわち、C1~C20アルキルであってもよい。
【0016】
「アルキレン」という用語は、アルカンのラジカルである二価の基を指す。アルキレンは、直鎖、分枝鎖、環状又はこれらの組み合わせであってもよい。アルキレンは、1個~16個の炭素原子を含有しても、すなわち、C1~C16アルキレンであってもよい。いくつかの実施形態では、アルキレンは、1個~14個、1個~12個、1個~10個、1個~8個、1個~6個、又は1個~4個の炭素原子を含有する。アルキレンのラジカル中心は、同一の炭素原子上にあってもよく(すなわちアルキリデン)、異なる炭素原子上にあってもよい。
【0017】
本明細書で使用する「アルケニル」という用語は、2つの炭素原子の間に少なくとも1つの二重結合が存在すること以外は、本明細書で定義される直鎖及び分枝鎖、並びに環状アルキル基を指す。したがって、アルケニル基は、2個~40個の炭素原子、2個~約20個の炭素原子、2個~約16個の炭素原子を有してもよい。2個~12個の炭素原子、又はいくつかの実施形態では、2個~8個の炭素原子。例としては、特に、ビニル、-CH=CH(CH)、-CH=C(CH、-C(CH)=CH、-C(CH)=CH(CH)、-C(CHCH)=CH、シクロヘキセニル、シクロペンテニル、シクロヘキサジエニル、ブタジエニル、ペンタジエニル及びヘキサジエニルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0018】
本明細書で使用する「アシル」という用語は、カルボニル部分を含有する基を指し、この基はカルボニル炭素原子を介して結合している。カルボニル炭素原子は、水素に結合して「ホルミル」基を形成しているか、又は別の炭素原子に結合しており、これは、アルキル、アリール、アラルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル基などの一部であってもよい。アシル基は、0個~約8個、0個~約12個、0個~約16個、0個~約20個、又は0個~約40個の、カルボニル基に結合した追加の炭素原子を含むことができる。アシル基は、本明細書における意味の範囲内の二重結合又は三重結合を含むことができる。アクリロイル基はアシル基の一例である。アシル基はまた、本明細書における意味の範囲内のヘテロ原子を含むこともできる。ニコチノイル基(ピリジル-3-カルボニル)は、本明細書における意味の範囲内のアシル基の一例である。他の例としては、アセチル、ベンゾイル、フェニルアセチル、ピリジルアセチル、シンナモイル及びアクリロイル基などが挙げられる。カルボニル炭素原子に結合した炭素原子を含有する基が、ハロゲンを含有する場合、この基は「ハロアシル」基と呼ばれる。一例はトリフルオロアセチル基である。アシル基のカルボニルがハロゲン、例えば塩素、フッ素及び/又は臭素に結合している場合、アシル基は「ハロゲン化アシル」と呼ばれ、両方がハロゲンに結合している2つのアシル基が化合物中に含有される場合、その化合物は「ハロゲン化ジアシル」と呼ばれる。
【0019】
本明細書で使用する「シクロアルキル」という用語は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル及びシクロオクチル基などであるが、これらに限定されない環状アルキル基を指す。いくつかの実施形態では、シクロアルキル基は、3個から約8個~12個の環員を有することができるが、他の実施形態では、環炭素原子の数は3個~4個、5個、6個又は7個の範囲内である。シクロアルキル基には更に、ノルボルニル、アダマンチル、ボルニル、カンフェニル、イソカンフェニル及びカレニル基などであるが、これらに限定されない多環式シクロアルキル基、並びにデカルニルなどであるが、これらに限定されない縮合環などを含む。シクロアルキル基はまた、本明細書で定義される直鎖又は分枝鎖アルキル基で置換された環も含む。代表的な置換シクロアルキル基は、一置換体であってもよく、又は2回以上置換されたもの、例えば、限定されないが、2,2-、2,3-、2,4-、2,5-若しくは2,6-二置換シクロヘキシル基、又は一置換、二置換若しくは三置換ノルボルニル若しくはシクロヘプチル基であってもよく、これらは、例えば、アミノ、ヒドロキシ、シアノ、カルボキシ、ニトロ、チオ、アルコキシ及びハロゲン基で置換され得る。「シクロアルケニル」という用語は、単独で又は組み合わせて、環状アルケニル基を示す。
【0020】
本明細書で使用する「アリール」という用語は、環内にヘテロ原子を含有しない環状芳香族炭化水素基を指す。したがって、アリール基としては、フェニル、アズレニル、ヘプタレニル、ビフェニル、インダセニル、フルオレニル、フェナントレニル、トリフェニレニル、ピレニル、ナフタセニル、クリセニル、ビフェニレニル、アントラセニル及びナフチル基が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、アリール基は、基の環部分に約6個~約14個の炭素を含有する。アリール基は、本明細書で定義されている通り、置換されていなくても、置換されていてもよい。代表的な置換アリール基は、一置換であってもよく、又は2回以上置換されていてもよく、例えば、限定されないが、フェニル環の2位、3位、4位、5位若しくは6位のうちのいずれか1つ以上が置換されたフェニル基、又はその2位~8位のうちのいずれか1つ以上が置換されたナフチル基等であってもよい。
【0021】
本明細書で使用する「アラルキル」という用語は、アルキル基の水素又は炭素結合が、本明細書で定義されるアリール基への結合で置き換えられている、本明細書で定義されるアルキル基を指す。代表的なアラルキル基としては、ベンジル基及びフェニルエチル基、並びに4-エチル-インダニルなどの縮合(シクロアルキルアリール)アルキル基が挙げられる。アラルケニル基は、アルキル基の水素又は炭素結合が、本明細書で定義されるアリール基への結合で置き換えられている、本明細書で定義されるアルケニル基である。
【0022】
本明細書で使用する「アルコキシ」という用語は、シクロアルキル基を含む、本明細書で定義されるアルキル基に結合した酸素原子を指す。直鎖アルコキシ基の例としては、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシなどが挙げられるが、これらに限定されない。分枝鎖アルコキシの例としては、イソプロポキシ、sec-ブトキシ、tert-ブトキシ、イソペンチルオキシ、イソヘキシルオキシなどが挙げられるが、これらに限定されない。環状アルコキシの例としては、シクロプロピルオキシ、シクロブチルオキシ、シクロペンチルオキシ、シクロヘキシルオキシなどが挙げられるが、これらに限定されない。アルコキシ基は、酸素原子に結合した約1個~8個、1個~約12個、1個~約16個、約1個~約20個、又は約1個~約40個の炭素原子を含むことができ、二重又は三重結合を更に含むことができ、ヘテロ原子を含むこともできる。例えば、アリルオキシ基又はメトキシエトキシ基もまた、本明細書の意味の範囲内のアルコキシ基であり、構造の2つの隣接する原子がそのように置換される文脈におけるメチレンジオキシ基も、アルコキシ基である。
【0023】
本明細書で使用する「芳香族」という用語は、アリール又はアリーレン基である炭化水素基を有する化合物を指す。
【0024】
本明細書で使用する「非芳香族」という用語は、アリール又はアリーレン基を含まない化合物を指す。
【0025】
本開示全体にわたって、「アルコール」及び「ヒドロキシル」という用語は互換的に使用される。
【0026】
「作用面」という用語は、被研磨基材表面に隣接し、被研磨基材表面と少なくとも部分的に接触することになる研磨パッドの表面を意味する。
【0027】
「細孔」は、流体、例えば液体がその中に含有され得る、パッドの作用面内の窪みを指す。細孔によって、少なくともいくらかの流体を細孔内に含有させ、細孔から流れ出ないようにすることができる。
【0028】
「精密に形成された」という用語は、対応する金型の窪み又は金型突出部の逆形状の造形形状を有し、トポグラフィ的特徴部が金型から取り出された後に上記形状が保持されるトポグラフィ的特徴部、例えば凹凸又は細孔を指す。発泡プロセス、又は可溶性材料(例えば水溶性粒子)をポリマーマトリクスから除去することを介して形成された細孔は、精密に形成された細孔ではない。
【0029】
「高精細」とは、生産工具、例えば金型又はエンボス加工工具において、ポリマー(又は後でポリマーを形成するために硬化させるポリマー前駆体)をキャスティング又は造形することによって、精密に形成されたトポグラフィ的特徴部が調製され、この生産工具が、ミクロンサイズからミリメートルサイズのトポグラフィ的特徴部を複数有する、作製技法を指す。生産工具からポリマーを取り外す際、一連のトポグラフィ的特徴部がポリマー表面に存在する。ポリマー表面のトポグラフィ的特徴部は、元の生産工具の特徴部の逆形状を有する。本明細書で開示する高精細作製技法は、本質的に高精細の層、すなわち、生産工具が窪みを有する場合は高精細凹凸、すなわち精密に形成された凹凸を含む研磨層を、生産工具が突出部を有する場合は高精細細孔、すなわち精密に形成された細孔を含む研磨層を形成する。生産工具が窪みと突出部とを含む場合、高精細の層(研磨層)は、高精細凹凸、すなわち精密に形成された凹凸と、高精細細孔、すなわち精密に形成された細孔との両方を有することになる。
【0030】
本開示は、ポリウレタン、例えば熱可塑性ポリウレタンを対象とする。いくつかの実施形態では、本開示は、少なくとも400ダルトンの数平均分子量を有するポリオール、400ダルトン未満の分子量を有するジオール鎖延長剤、ジイソシアネート、並びに以下の構造を有する、式I及び式IIのうちの少なくとも1つの多官能性アミンを含む反応性混合物の反応生成物を含む、ポリウレタンを対象とする。
【化1】
【化2】
【0031】
いくつかの実施形態では、Xは、0~10(端点を含む)の整数であり、R1は、直鎖若しくは分枝鎖脂肪族基、環状脂肪族基、芳香族基、又は芳香族基を含有する化合物であり、2個~20個の炭素原子を有し、R2は、1個~20個の炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖アルキル基であり、R2’は、水素、又は1個~20個の炭素原子を有する直鎖若しくは分枝鎖アルキル基である。いくつかの実施形態では、Xは、0~5、0~3、1~10、1~5又は1~3(端点を含む)の整数であってもよい。いくつかの実施形態では、R1は、直鎖若しくは分枝鎖脂肪族基、環状脂肪族基、芳香族基、又は芳香族基を含有する化合物であり、2個~16個の炭素原子、2個~12個の炭素原子、若しくは2個~8個の炭素原子を有する。いくつかの実施形態では、R2は、1個~16個の炭素原子、1個~12個の炭素原子、1個~10個の炭素原子、若しくは1個~8個の炭素原子を有する、直鎖若しくは分枝鎖アルキル基であり、及び/あるいはR2’は、水素、又は1個~16個の炭素原子、1個~12個の炭素原子、1個~10個の炭素原子、若しくは1個~8個の炭素原子を有する直鎖若しくは分枝鎖アルキル基である。いくつかの実施形態では、R2は1個~10個の炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖アルキル基であり、R2’は水素である。式Iと式IIとの混合物を使用してもよい。
【0032】
式I及び式IIの多官能性アミンは、各々2つの顕著な特徴を有する。1つの特徴は、各多官能性アミンが、2個の非ヒンダード第二級アミン(トリアジンのR2置換を有するペンダントアミンを除く)を含有すること、すなわち、非ヒンダード第二級アミンの窒素に対してアルファ位にある2個の炭素原子が第三級炭素原子ではないこと、言い換えれば、窒素に対してアルファ位にある2個の炭素原子が、水素原子への少なくとも1つの結合を含有することである。非ヒンダード第二級アミン官能基は、その後、反応性混合物の他の構成要素と反応することができる。第2の特徴は、各多官能性アミンが少なくとも2個のヒンダード第二級アミンを含むこと、すなわち、ヒンダード第二級アミンの窒素に対してアルファ位にある2個の炭素原子が第三級炭素原子であること、言い換えれば、窒素に対してアルファ位にある2個の炭素原子が、水素原子への結合を含まないことである。立体障害のために、ヒンダード第二級アミンは、典型的には、反応性混合物の他の構成要素と反応することができないか、又は反応速度が著しく低下し、本開示のポリウレタンの形成における重要な役割を果たさない。式I及び式IIの多官能性アミン中のヒンダード第二級アミンの数は、Xの値に依存する。したがって、式I及び式IIの多官能性アミン中のヒンダードアミンの数Nは、次式:N=2X+2に従って変動し得る。いくつかの実施形態では、式I及び式IIの多官能性アミン中のヒンダード第二級アミンの数は、2個~22個、2個~16個、2個~12個、又は2個~8個であってもよい。
【0033】
ポリウレタンの重合中、式I及びIIの多官能性アミンの2個の非ヒンダード第二級アミンの存在によって、この化合物が、反応混合物のジイソシアネート基と反応し(共有結合が尿素結合を形成する)、本開示のポリウレタン中に組み込まれることが可能となり、すなわち、式I及びIIの多官能性アミンがポリウレタン骨格の一部となる。この特徴は、多官能性アミンの移動及び/又は拡散を防止し、この化合物は、一般に、ポリウレタン全体にわたって均一に分散し得る。この特徴はまた、例えば、CMPパッドの研磨層としての使用中に、ポリウレタンから多官能性アミンが抽出されるのを防止する。CMPパッドの磨き層としての使用中、ポリウレタンは、特にポリウレタン研磨層の表面領域において、ポリウレタンから構成要素、例えば低分子量化合物を抽出することが可能であり得る、水性及び/又は非水性研磨溶液と接触することがある。これらの構成要素は、次に、研磨溶液中に拡散し、すなわち、ポリウレタン研磨層から除去され、無効になり得る。多官能性アミンは、ポリウレタン骨格へ共有結合しているため、本開示のポリウレタンから抽出/除去され得ない。この挙動は、合成中に反応してポリウレタンに入ることができない多官能性アミン、及び/又は単にポリウレタンにブレンドされた多官能性アミンの挙動とは対照的である。
【0034】
多官能性アミンは、反応して本開示のポリウレタンに入るため、ポリウレタンを形成するために使用される反応性混合物の化学量論の計算に含める必要があり得る。典型的には、反応性混合物の化学量論は、反応性混合物のジイソシアネートに関連するイソシアネート官能基と、反応性混合物のポリオール及びジオール鎖延長剤に関連するヒドロキシル官能基との比に基づいて計算される。多官能性アミンを反応性混合物に含めるならば、化学量論は、反応性混合物のジイソシアネートに関連するイソシアネート官能基と、反応性混合物のポリオール、ジオール鎖延長剤及び多官能性アミンに関連する、ヒドロキシル官能基及び非ヒンダード第二級アミン官能基との比に基づいて計算され得る。いくつかの実施形態では、反応性混合物中のイソシアネート基の、ヒドロキシル基及び非ヒンダード第二級アミン基の合計に対するモル比は、0.96~1.08、0.97~1.06、又は0.98~1.04である。いくつかの実施形態では、反応性混合物中の多官能性アミンの量は、反応性混合物の総重量を基準として、2重量パーセントより多く、4重量パーセントより多く、6重量パーセントより多く、又は更には8重量パーセントより多い。いくつかの実施形態では、反応性混合物中の多官能性アミンの量は、反応性混合物の総重量を基準として、2重量パーセントより多く15重量パーセント未満、3重量パーセントより多く15重量パーセント未満、4重量パーセントより多く15重量パーセント未満、4重量パーセントより多く12.5重量パーセント未満、又は6重量パーセントより多く10重量パーセント未満である。
【0035】
多官能性アミンはヒンダード第二級アミンを含有し、ヒンダード第二級アミンは重要な属性を提供する。これらによって、本開示のポリウレタンのゼータ電位を改変することができる。典型的には、ポリウレタンは、2~10のpH範囲全体にわたって負のゼータ電位を有する。ヒンダード第二級アミンを有する多官能性アミンをポリウレタンに含めることで、より高いゼータ電位を有する、又は更には酸性pHにおいて正のゼータ電位を有するポリウレタンを形成することができる。加えて、本開示のポリウレタンのゼータ電位は、反応性混合物に添加される、すなわちポリウレタンに共有結合する多官能性アミンの量に基づいて、改変又は「調整」され得る。一般に、ポリウレタンに組み込まれる多官能性アミンの量が多いほど、ポリウレタンのゼータ電位はより正に大きい。立体障害のあるアミンの構造は、ゼータ電位が正であるpH範囲に影響を及ぼし得る。より塩基性の特質を有する立体障害アミンは、より塩基性が低いアミンと比較して、より高いpH値で正のゼータ電位をとることができる。理論に束縛されるものではないが、ゼータ電位が正となるpH範囲は、一般に、ヒンダードアミンのpKbに関係する。いくつかの実施形態では、ヒンダードアミンのpKbは、6以下、5.5以下、5.0以下若しくは4.5以下、かつ/又は2.0以上、2.5以上若しくは3.0以上である。一般に、第二級アミンを有する2,2,6,6-テトラメチルピペリジニル基は、1,2,2,6,6-ペンタメチルピペリジニル基及び第三級アミンを有する同様の構造よりも塩基性であり、より好ましい。ポリウレタンのゼータ電位は、一定の用途では、例えば、ポリウレタンがCMP用途における研磨層として使用される場合、その性能の特性に影響を及ぼし得る。CMP用途の間、研磨層は、典型的には、スラリーである研磨溶液、すなわち研磨剤粒子を含有する研磨溶液と接触することになる。研磨剤粒子自体は、負のゼータ電位を有してもよい。理論に束縛されることを望むものではないが、負のゼータ電位を有するポリウレタンは、同じく負のゼータ電位を有するスラリー粒子を反発し得ると考えられる。これは、例えば、除去量を減少させること、又は除去量の不均一性を増大させることによって、研磨性能に悪影響を及ぼし得る。しかしながら、研磨パッドが正のゼータ電位を有する場合、これは、負のゼータ電位を有するスラリー粒子を研磨層表面に引き付けることがあり、除去量の増加など、1つ以上の利益を提供し得る。
【0036】
多官能性アミンは、N,N’-(ビス-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)ヘキサン-1.6-ジアミンと、(i)ジハロゲン化アルキル修飾1,3,5-トリアジン-2-アミン、(ii)二酸及び(iii)ハロゲン化ジアシルのうちの少なくとも1つとの反応によって調製され得る。ジハロゲン化アルキル修飾1,3,5-トリアジン-2-アミンは、クロロ、ブロモ及びフルオロ置換のうちの少なくとも1つを含み得る。好適なジハロゲン化アルキル修飾1,3,5-トリアジン-2-アミンの例としては、4,6-ジクロロ-N-オクチル-1,3,5-トリアジン-2-アミン、4,6-ジクロロ-N,N-ジメチル-1,3,5-トリアジン-2-アミン、4,6-ジクロロ-N,N-ジプロピル-1,3,5-トリアジン-2-アミン、4,6-ジクロロ-N,N-ジヘキシル-1,3,5-トリアジン-2-アミン、4,6-ジクロロ-N-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)-1,3,5-トリアジン-2-アミンなどが挙げられる。ジハロゲン化アルキル修飾1,3,5-トリアジン-2-アミンの組み合わせを使用してもよい。N,N’-(ビス-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)ヘキサン-1.6-ジアミンとジハロゲン化アルキル修飾1,3,5-トリアジン-2-アミンとの反応から調製され得る例示的な多官能性アミンは、ポリ[[6-[(1,1,3,3-テトラメチルブチル)アミノ]-1,3,5-トリアジン-2,4-イル][(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジニル)イミノ]-1,6-ヘキサンジイル[(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジニル)イミノ]])であり、BASF(Florham Park,New Jersey)から商品名CHIMASSORB 944で入手可能である。好適な二酸の例としては、テレフタル酸(例えば、1,4テレフタル酸)、1,4ナフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、マレイン酸、グルタル酸、スベリン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸などが挙げられる。二酸の組み合わせを使用してもよい。好適なハロゲン化ジアシルの例としては、本開示の臭素、塩素又はフッ素置換二酸を含む臭素、塩素又はフッ素置換二酸、例えば、1,4-テレフタロイルジクロリド、1,4-テレフタロイルジフルオリド、イソフタロイルジフルオリド、1,6-ヘキサンジオイルジクロリド、1,4-プロアンジオイルジブロミドなどが挙げられる。ハロゲン化ジアシルの組み合わせを使用してもよい。
【0037】
反応性混合物は、少なくとも400ダルトンの数平均分子量を有するポリオールを含む。反応性混合物のポリオールは、任意の好適な数のヒドロキシル基を含むことができ、少なくとも2つのヒドロキシル基を含む。例えば、ポリオールは、少なくとも6つのヒドロキシル基、少なくとも4つのヒドロキシル基、少なくとも3つのヒドロキシル基又は少なくとも2つのヒドロキシル基を含むことができる。いくつかの実施形態では、ポリオールは、400Da~10,000Da、400Da~5,000Da、400Da~2,000Da、450Da~10,000Da、450Da~5,000Da、450Da~2,000Da、500Da~10,000Da、500Da~5,000Da、又は500Da~2,000Daの数平均分子量を有する。ポリオールのタイプは、特に限定されない。異なるタイプのポリオールの組み合わせを使用してもよい。いくつかの実施形態では、ポリオールは、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール及びヒドロキシル末端ブタジエンのうちの少なくとも1つであってもよい。
【0038】
いくつかの実施形態では、ポリオールは、ポリエステルポリオールであってもよい。ポリエステルポリオールは、重縮合反応などの縮合反応の生成物であり得る。ポリエステルポリオールが縮合反応によって作製される実施形態では、反応は、1つ以上のカルボン酸と1つ以上のジオールとの間であってもよい。好適なカルボン酸の例としては、以下の構造を有する式IIIによるカルボン酸が挙げられる:
【化3】
式IIIにおいて、R3は、置換又は非置換C1~C40アルキレン、C2~C40アルキレン、C2~C40アルケニレン、C4~C20アリーレン、C4~C20シクロアルキレン及びC4~C20アラルキレンから選択することができる。好適なカルボン酸の具体例としては、グリコール酸(2-ヒドロキシエタン酸)、乳酸(2-ヒドロキシプロパン酸)、コハク酸(ブタン二酸)、3-ヒドロキシブタン酸、3-ヒドロキシペンタン酸、テレフタル酸(ベンゼン-1,4-ジカルボン酸)、ナフタレンジカルボン酸、4-ヒドロキシ安息香酸、6-ヒドロキシナフタラン-2-カルボン酸、シュウ酸、マロン酸(プロパン二酸)、アジピン酸(ヘキサン二酸)、ピメリン酸(ヘプタン二酸)、エトン酸(ethonic acid)、スベリン酸(オクタン二酸)、アゼライン酸(ノナン二酸)、セバシン酸(デカン二酸)、グルタル酸(ペンタン二酸)、ドデカン二酸、ブラシル酸、タプス酸、マレイン酸((2Z)-ブタ-2-エン二酸)、フマル酸((2E)-ブタ-2-エン二酸)、グルタコン酸(ペンタ-2-エン二酸)、2-デセン二酸、トラウマチン酸((2E)-ドデカ-2-エン二酸)、ムコン酸((2E,4E)-ヘキサ-2,4-ジエン二酸)、グルチン酸、シトラコン酸((2Z)-2-メチルブタ-2-エン二酸)、メサコン酸((2E)-2-メチル-2-ブテン二酸)、イタコン酸(2-メチリデンブタン二酸)、リンゴ酸(2-ヒドロキシブタン二酸)、アスパラギン酸(2-アミノブタン二酸)、グルタミン酸(2-アミノペンタン二酸)、タルトン酸(tartonic acid)、酒石酸(2,3-ジヒドロキシブタン二酸)、ジアミノピメリン酸((2R,6S)-2,6-ジアミノヘプタン二酸)、サッカリン酸((2S,3S,4S,5R)-2,3,4,5-テトラヒドロキシヘキサン二酸)、メキソシュウ酸(mexooxalic acid)、オキサロ酢酸(オキソブタン二酸)、アセトンジカルボン酸(3-オキソペンタン二酸)、アルビナリン酸、フタル酸(ベンゼン-1,2-ジカルボン酸)、イソフタル酸、ジフェン酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸又はこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0039】
縮合反応に好適なジオールの例としては、以下の構造を有する式IVによるジオールが挙げられる:
【化4】
式IVにおいて、R4は、置換又は非置換C1~C40アルキレン、C2~C40アルケニレン、C4~C20アリーレン、C1~C40アシレン(acylene)、C4~C20シクロアルキレン、C4~C20アラルキレン及びC1~C40アルコキシエン(alkoxyene)から選択することができ、R5及びR5’は、独立して、-H、置換又は非置換C1~C40アルキル、C2~C40アルケニル、C4~C20アリール、C1~C20アシル、C4~C20シクロアルキル、C4~C20アラルキル及びC1~C40アルコキシから選択される。好適なポリオールとしては、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタン-ジオール、1,6-ヘキサンジオール、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、デカ-メチレングリコール、ドデカメチレングリコール、グリセロール、トリメチロールプロパン及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0040】
いくつかの実施形態では、ポリオールは、開環重合、例えば、ε-カプロラクトンの開環重合を介して作製される。
【0041】
好適なポリエステルポリオールとしては、ポリブチレンアジペート、ポリエチレンアジペート、ポリ(ジエチレングリコールアジペート)、ポリヘキサメチレンアジペート、ポリ(ネオペンチルグリコール)アジペート、ポリ(ブチレンアジペート-co-フタレート)、ポリカプロラクトン又はこれらのコポリマーが挙げられるが、これらに限定されない。異なるポリエステルポリオールの組み合わせを使用してもよい。
【0042】
いくつかの実施形態では、反応性混合物のポリオールは、ポリオキシアルキレンポリオール、ポリオキシシクロアルキレンポリオール及びこれらのアルキレンオキシド付加物を含むがこれらに限定されない、ポリエーテルポリオールであってもよい。いくつかの実施形態では、ポリエーテル-ポリオールは、ポリオキシエチレンポリオール(例えば、ポリエチレングリコール)、ポリオキシプロピレンポリオール(例えば、ポリプロピレングリコール)、ポリオキシテトラメチレンポリオール(例えば、ポリオキシテトラメチレングリコール)、これらのコポリマー及びこれらの混合物のうちの少なくとも1つであってもよく、2つ~6つ、特に2つ~4つのヒドロキシル官能基を有してもよい。
【0043】
ポリエーテルポリオールは周知であり、ヒドロキシル基を含有する化合物と、例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、テトラメチレンオキシドとを、塩基触媒の存在下で反応させて、それぞれポリオキシエチレンポリオール、ポリオキシプロピレンポリオール及びポリオキシテトラメチレンを得ることによって調製され得る。エチレンオキシド、プロピレンオキシド及びテトラメチレンオキシドのうちの少なくとも2つを含有するコポリマーを使用してもよい。例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、グリセリン、2,2-ジメチロールプロパン、ペンタエリスリトールなどを含む、種々のヒドロキシル基含有化合物を使用して反応を開始することができる。市販のポリエーテルポリオールの例としては、商品名PPG 425、PPG 725、LHT 112及びLHT 240(Arco Chemical Co.,Newtown Square,PA製)で入手可能なArcolポリエーテルポリオール;商品名Carbowax Sentry(Dow Chemical Co.,Midland,MI提供)で入手可能なものなどのポリエチレングリコール;PLURACOL E 1450ポリエチレングリコール(BASF Corp.,Parsippany,NJ);並びにTERATHANEポリ(テトラメチレンオキシド)ポリオール(E.I.Dupont de Nemours,Wilmington,DE)が挙げられる。
【0044】
いくつかの実施形態では、反応性混合物のポリオールは、ポリカーボネートポリオールであってもよい。ポリカーボネートポリオールは、1,4-ブタンジオール及び1,6-ヘキサンジオールなどの脂肪族ジオールを、ホスゲンと、ジフェニルカーボネートなどのジアリールカーボネートと、又はエチレン若しくはプロピレンカーボネートなどの環状カーボネートと、反応させることによって得ることができる。脂肪族ジオールは、式IVに関して論じたジオールのうちのいずれか1つ又は組み合わせであってもよい。市販のポリカーボネートポリオールの例としては、Aramaco Performance Materials(LLC,Houston,TX)から入手可能なARAMACO PERFORMANCE MATERIALS CONVERGE POLYO 212-10、212-20、CPX-2001-112、CPX-2502-56a及びHMA-2が挙げられる。
【0045】
いくつかの実施形態では、反応性混合物のポリオールは、ヒドロキシル末端ブタジエンであってもよい。ヒドロキシル末端ブタジエンはヒドロキシル末端ポリブタジエンであってもよく、ポリブタジエンはホモポリマー又はコポリマーであってもよい。市販のヒドロキシル末端ブタジエンの例としては、Petroflex(Wilmington,DE)製の「LIQUIFLEX H」、及びCray Valley USA,LLC(Exton,PA)製のPOLY-BD-45HTLOが挙げられる。
【0046】
ポリオールは、反応混合物の重量を基準として30重量%~80重量%の量で、反応混合物中に存在し得る。いくつかの実施形態では、反応性混合物中に存在するポリオールの量は、反応性混合物の重量を基準として、30重量%、35重量%、40重量%、45重量%、50重量%以上、かつ/又は80重量%、75重量%、70重量%、65重量%若しくは60重量%以下である。ポリエステルポリオールは、反応性混合物中のポリエステルポリオールの総重量を基準として、少なくとも70重量%のポリエステルジオールを含んでもよい。いくつかの実施形態では、ポリエステルポリオールは、反応性組成物中のポリエステルポリオールの重量を基準として、少なくとも70重量%、少なくとも75重量%、少なくとも80重量%、少なくとも85重量%、少なくとも90重量%、少なくとも95重量%、少なくとも97重量%、少なくとも99重量%又は100重量%のポリエステルジオールを含む。
【0047】
反応性混合物は、ジオール鎖延長剤を含む。ジオール鎖延長剤は、式IVによって記載することができ、式中、R4は、置換又は非置換C1~C16アルキレン、C2~C16アルケニレン、C4~C20アリーレン、C1~C16アシレン、C4~C16シクロアルキレン、C4~C16アラルキレン及びC1~C16アルコキシエンから選択され、R5及びR5’は、独立して、-H、置換又は非置換C1~C16アルキル、C2~C16アルケニル、C4~C16アリール、C1~C16アシル、C4~C16シクロアルキル、C4~C16アラルキル及びC1~C16アルコキシから選択され、R5及びR5’は、ヒドロキシルであること及びヒドロキシル置換を有することはできない。好適なジオールとしては、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、デカメチレングリコール、ジエチレングリコール、ハイドロキノンビス(2-ヒドロキシエチル)エーテル及びドデカメチレングリコールが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、ジオール鎖延長剤は、C1~C16脂肪族ジオール及びC4~C16脂環式ジオールのうちの少なくとも1つを含む。いくつかの実施形態では、C1~C16脂肪族ジオールはC1~C16アルキレンを含み、任意選択で、C1~C16アルキレンは、2つの末端炭素原子がヒドロキシル置換された直鎖C2~C16アルキレンである。ジオール鎖延長剤は、反応混合物の約1重量%~約15重量%、又は反応混合物の約2重量%~約15重量%の範囲内であってもよい。いくつかの実施形態では、反応性混合物中に存在するジオール鎖延長剤の量は、反応性混合物の重量を基準として、1重量%、2重量%、3重量%、4重量%、5重量%、6重量%以上、かつ/又は15重量%、14重量%、13重量%、12重量%以下若しくは11重量%未満である。いくつかの実施形態では、ジオール鎖延長剤は、400ダルトン未満、350ダルトン未満又は300ダルトン未満の分子量を有する。例えば、ジオール鎖延長剤の分子量は、30ダルトン~400ダルトン未満、30ダルトン~350ダルトン、30ダルトン~300ダルトン、又は50ダルトン~400ダルトン未満の範囲内であり得る。いくつかの実施形態では、ジオール鎖延長剤の分子量は、数平均分子量であり得る。
【0048】
反応性混合物はジイソシアネートを含む。ジイソシアネートは特に限定されず、モノマー性、オリゴマー性又はポリマー性であってもよい。好適なジイソシアネートの例としては、以下の構造を有する式Vによるジイソシアネートが挙げられる:
【化5】
【0049】
式Vにおいて、R6は、置換又は非置換C~C40アルキレン、C~C40アルケニレン、C~C20アリーレン、C~C20アリーレン-C~C40アルキレン-C~C20アリーレン、C~C20シクロアルキレン及びC~C20アラルキレンから選択される。いくつかの実施形態では、ジイソシアネートは、ジシクロヘキシルメタン-4,4’-ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、1,4-フェニレンジイソシアネート、1,3-フェニレンジイソシアネート、m-キシリレンジイソシアネート、トリレン-2,4-ジイソシアネート、トリレン-2,6-ジイソシアネート、ポリ(ヘキサメチレンジイソシアネート)、1,4-シクロヘキシレンジイソシアネート、4-クロロ-6-メチル-1,3-フェニレンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、1,4-ジイソシアナトブタン、1,8-ジイソシアナトオクタン、2,5-トルエンジイソシアネート、メチレンビス(o-クロロフェニルジイソシアネート、(4,4’-ジイソシアナト-3,3’,5,5’-テトラエチル)ジフェニルメタン、4,4’-ジイソシアナト-3,3’-ジメトキシビフェニル(o-ジアニシジンジイソシアネート)、5-クロロ-2,4-トルエンジイソシアネート、1-クロロメチル-2,4-ジイソシアナトベンゼン、テトラメチル-m-キシリレンジイソシアネート、1,12-ジイソシアナトドデカン、2-メチル-1,5-ジイソシアナトペンタン、2,2,4-トリメチルヘキシルジイソシアネート又はこれらの混合物から選択される。
【0050】
いくつかの実施形態では、ジイソシアネートは、鎖延長ジイソシアネート、すなわちジイソシアネートとジヒドロキシル末端オリゴマー又はポリマー、例えばジヒドロキシル末端直鎖オリゴマー又はポリマーとの反応生成物であってもよい。反応中、過剰のジイソシアネートを使用して、反応生成物の少なくとも80重量%、90重量%、95重量%、97重量%、98重量%、99重量%又は99.5重量%が、やはりジイソシアネートであることを確保する。ジヒドロキシル末端オリゴマー又はポリマーは特に限定されず、例えば、ジヒドロキシル末端直鎖ポリエステル及びジヒドロキシル末端直鎖ポリエーテルを挙げることができる。ポリエステルポリオール、特に本開示のポリエステルポリオールに関して上に論じたポリエステルジオールを使用して、鎖延長ジイソシアネートを形成してもよい。いくつかの実施形態では、鎖延長ジイソシアネートのポリエステルポリオールは、1つ以上のC2~C12ジオールと1つ以上のC2~C12二酸との反応生成物を含んでもよい。いくつかの実施形態では、ジイソシアネートは、ジフェニルメタンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネートとヒドロキシル末端直鎖オリゴマー又はポリマーとの反応生成物、トルエンジイソシアネート、トルエンジイソシアネートとヒドロキシル末端直鎖オリゴマー又はポリマーとの反応生成物、及びこれらの組み合わせを含む。1つの例示的な鎖延長ジイソシアネートは、商品名「RUBINATE 1234」で入手可能であり、Huntsman Corporation(The Woodlands,TX)から入手可能な、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)を末端とするエチレン-co-ブチレンアジペートポリエステルである。
【0051】
いくつかの実施形態では、反応混合物中のジイソシアネートの量は、反応性混合物の重量を基準として10重量%~60重量%である。いくつかの実施形態では、反応混合物中のジイソシアネートの量は、反応性混合物の重量を基準として、10重量%、15重量%、20重量%、25重量%以上、かつ/又は60重量%、55重量%、50重量%若しくは45重量%以下である。
【0052】
反応性混合物は、ポリイソシアネート構成要素とポリオール構成要素との間の反応を促進するための触媒を更に含んでもよい。ポリウレタンの重合に有用な触媒としては、アルミニウム、ビスマス、スズ、バナジウム、亜鉛、水銀及びジルコニウム系触媒、アミン触媒並びにこれらの混合物が挙げられる。好ましい触媒としては、ジブチルスズ化合物などのスズ系触媒が挙げられる。いくつかの実施形態では、触媒としては、ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズジアセチルアセトネート、ジブチルスズジメルカプチド、ジブチルスズジオクトエート、ジブチルスズジマレエート、ジブチルスズアセトニルアセトネート及びジブチルスズオキシドが挙げられるが、これらに限定されない。触媒の好適な量は、0.001%~1%、0.001%~0.5%、又は0.001%~0.25%であり得る。いくつかの実施形態では、反応性混合物中の触媒の量は、反応性混合物の重量を基準として、0.001重量%、0.002重量%、0.005重量%、0.01重量%、0.02重量%、0.05重量%、0.07重量%、0.1重量%以上、かつ/又は1.0重量%、0.7重量%、0.5重量%若しくは0.3重量%以下であってもよい。
【0053】
いくつかの実施形態では、反応混合物は、少なくとも3つのヒドロキシル基を有するポリオール、及び/又は少なくとも3つの対応するイソシアネート基を有するポリイソシアネートを含有してもよい。この場合、ポリオール及び又はポリイソシアネートは、分枝剤として作用し得る。ポリオール及び/又はポリイソシアネートの量は、得られるポリウレタンの全体的な熱可塑性特性を維持するために、限定されなければならない。しかしながら、この性質の構成要素を使用して、ポリウレタンの分子量を増加させること、又は粘度特性を改変することもできる。
【0054】
酸化防止剤、光/UV光安定剤、染料、着色剤、フィラー粒子、研磨剤粒子、強化粒子又は繊維、粘度調整剤などを含むがこれらに限定されない他の添加剤が、本開示の反応性混合物及びポリウレタンに含まれてもよい。反応性混合物に可溶性でない添加剤、例えば、フィラー粒子、研磨剤粒子及び強化粒子又は繊維は、反応性混合物の構成要素の重量パーセントの計算に含まれず、すなわち、これらは、反応性混合物の各構成要素の重量百分率の基準として使用される反応性混合物の総重量に含まれない。
【0055】
本開示のポリウレタンは、ポリウレタンから物品を作製するために使用される加工条件、例えば、温度、圧力及び時間において、安定な粘度を有し得る。200℃におけるポリウレタンの粘度は、1,000,000cP未満、3,000,000cP未満、5,000,000cP未満、10,000,000cP未満若しくは15,000,000cP未満、かつ/又は100,000cPより大きく、75,000cPより大きく、50,000cPより大きく、40,000cPより大きく、若しくは35,000cPより大きくてもよい。
【0056】
本開示のポリウレタンは、種々の用途に使用することができ、薄膜の形成に特によく適する。本開示のポリウレタンは、特有の耐薬品性、耐摩耗性、ゼータ電位及び形成性のために、例えば研磨パッドにおける、研磨層として特に有用である。一実施形態では、本開示は、作用面と、作用面とは反対側の第2の表面と有する研磨層を含み、研磨層が、本開示の実施形態のいずれか1つのポリウレタンを含む、研磨パッドを提供する。任意選択で、研磨層は、少なくとも90重量%、少なくとも95重量%、少なくとも99重量%又は100重量%のポリウレタンを含んでもよい。
【0057】
多くの研磨用途、例えばCMP用途では、一般に、研磨パッドの研磨層の作用面がトポグラフィを含むこと、すなわち平坦でないことが望ましい。トポグラフィは、実質的に平坦な研磨層表面を、パッドコンディショナーの研磨表面で研磨することによって形成され得る。パッドコンディショナーの研磨剤粒子は、研磨層表面の領域を一般にランダムな様式で除去し、その後、研磨層表面にトポグラフィを作り出す。研磨パッドの研磨層の作用面にトポグラフィを生成する別の方法は、高精細プロセス、例えばエンボス加工プロセスによるものである。このようなプロセスは、凹凸及び/又は細孔を含む、複数の複製可能なトポグラフィ的特徴を有するように精密に設計され、工学的に作り出された研磨層の作用面を提供する。凹凸及び細孔は、1ミクロン以下もの小さな寸法公差で、ミリメートルからミクロンまでの範囲内の寸法を有するように設計される。研磨層の精密に工学的に作り出された凹凸のトポグラフィのため、本開示の研磨パッドは、パッドコンディショニングプロセスなしで使用することができ、研磨剤パッドコンディショナー及び対応するコンディショニングプロセスの必要性が排除される。更に、精密に工学的に作り出された細孔トポグラフィによって、研磨パッドの作用面の端から端まで均一な細孔サイズ及び分布が確保され、それによって改善した研磨性能が得られ、研磨溶液の使用が減少する。本開示のポリウレタンは、安定な流動特性のために、精密に工学的に作り出された凹凸及び細孔トポグラフィを、研磨層の作用面に作製するのに特によく適しており、要求されるこの設計の寸法公差を満たすことができる。本開示のポリウレタンを採用し得る研磨パッド及び研磨層は、例えば、米国特許第10,252,396号に開示されており、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0058】
本開示のいくつかの実施形態による、研磨層10の一部の概略断面図を図1に示す。厚さXを有する研磨層10は、作用面12と、作用面12とは反対側の第2の表面13とを含む。作用面12は、精密に工学的に作り出されたトポグラフィを有する、精密に工学的に作り出された表面である。作用面は、精密に形成された複数の細孔、精密に形成された複数の凹凸、及びこれらの組み合わせのうちの少なくとも1つを含む。作用面12は、深さDp、側壁16a、及び基部16bを有する精密に形成された複数の細孔16と、高さHa、側壁18a、及び幅Wdの遠位端18bを有する精密に形成された複数の凹凸18とを含む。精密に形成された凹凸、及び凹凸基部の幅は、それらの遠位端の幅Wdと同じであってもよい。ランド領域(land region)14は、精密に形成された細孔16と精密に形成された凹凸18との間の領域に設けられ、作用面の一部と見做され得る。精密に形成された凹凸側壁18aと、それに隣接するランド領域14の表面との交点は、凹凸の底部の位置を画定し、かつ精密に形成された凹凸基部18cのセットを画定する。精密に形成された細孔側壁16aと、それに隣接するランド領域14の表面との交点は、細孔の頂部と見做され、幅Wpを有する精密に形成された細孔開口部16cのセットを画定する。精密に形成された凹凸の基部、及び隣接する精密に形成された細孔の開口部は、隣接するランド領域によって決定され、凹凸基部は、少なくとも1つの隣接する細孔開口部と実質的に同じ平面にある。いくつかの実施形態では、複数の凹凸基部は、少なくとも1つの隣接する細孔開口部と同じ平面にある。複数の凹凸基部は、研磨層における凹凸基部の合計の、少なくとも約10%、少なくとも約30%、少なくとも約50%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約97%、少なくとも約99%、又は更には少なくとも約100%を含んでもよい。ランド領域は、隣接する精密に形成された凹凸と精密に形成された細孔との間の分離、隣接する精密に形成された細孔同士の間の分離、及び/又は隣接する精密に形成された凹凸同士の間の分離を含む、精密に形成された特徴部同士の間の分離の明確な領域を提供する。いくつかの実施形態では、作用面は、ランド領域と、精密に形成された複数の細孔及び精密に形成された複数の凹凸のうちの少なくとも1つとを含む。
【0059】
ランド領域14は、製造プロセスに見合った僅かな湾曲及び/又は厚さのばらつきが存在し得るが、実質的に平坦であり得、実質的に均一の厚さYを有し得る。ランド領域の厚さYは、精密に形成された複数の細孔の深さよりも大きい必要があるので、ランド領域は、凹凸のみを有し得る当技術分野で公知の他の研磨剤物品よりも、大きい厚さであってよい。本開示のいくつかの実施形態では、精密に形成された凹凸と精密に形成された細孔との両方が研磨層に存在する場合、ランド領域を包含することによって、精密に形成された複数の凹凸の面密度を、精密に形成された複数の細孔の面密度とは無関係に設計することが可能となり、より高い設計の柔軟性をもたらす。これは、全体的に平坦なパッド表面に、一連の交差する溝を形成することを含み得る、従来のパッドとは対照的である。交差する溝は、テクスチャー化した作用面の形成をもたらし、その溝(材料が表面から除去された領域)は、作用面の上方領域(材料が表面から除去されていない領域)、すなわち、被研磨基材と接触する領域を画定する。この公知のアプローチにおいて、溝のサイズ、配置及び数は、作用面の上方領域のサイズ、配置及び数を規定し、すなわち、作用面の上方領域の面密度は、溝の面密度に依存する。研磨溶液を含有できる細孔とは対照的に、溝はパッドの長さにわたって延びてもよく、それによって研磨溶液は溝から流れ出ることができる。特に、作用面に近接して研磨溶液を収容及び保持できる精密に形成された細孔を包含することによって、要求される用途、例えばCMPのための研磨溶液の送達が増強し得る。
【0060】
研磨層10は、少なくとも1つのマクロチャネルを含んでよい。図1は、幅Wm、深さDm及び基部19aを有するマクロチャネル19を示す。厚さZを有する第2のランド領域は、マクロチャネル基部19aによって画定される。マクロチャネルの基部によって画定される第2のランド領域は、上に記載したランド領域14の一部とは見做されない。いくつかの実施形態では、1つ以上の第2の細孔(図示せず)が、少なくとも1つのマクロチャネルの基部の少なくとも一部に含まれてもよい。1つ以上の第2の細孔は、第2の細孔開口部(図示せず)を有し、第2の細孔開口部は、マクロチャネル19の基部19aと実質的に同じ平面にある。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのマクロチャネルの基部は、第2の細孔を実質的に含まない。いくつかの実施形態では、研磨層は、複数の独立した又は相互に接続したマクロチャネルを含む。
【0061】
精密に形成された細孔16の形状は、特に限定されず、円筒形、半球形、立方体、四角柱、三角柱、六角柱、三角錐、四、五及び六角錐、切頭角錐、円錘、切頭円錐等を含むが、これらに限定されない。精密に形成された細孔16の、細孔開口部に対して最も低い地点が、細孔の底部と見做される。精密に形成された細孔16の形状は、全て同じであってもよく、組み合わせを使用してもよい。いくつかの実施形態では、精密に形成された細孔のうちの、少なくとも約10%、少なくとも約30%、少なくとも約50%、少なくとも約70%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約97%、少なくとも約99%、又は更には少なくとも約100%が、同じ形状及び寸法を有するように設計される。精密に形成された細孔を作製するために使用される精密作製プロセスのために、寸法公差は一般に小さい。同じ細孔寸法を有するように設計された精密に形成された複数の細孔の場合、細孔寸法は均一である。いくつかの実施形態では、精密に形成された複数の細孔のサイズに対応する少なくとも1つの距離寸法、例えば、高さ、細孔開口部の幅、長さ及び直径の標準偏差は、距離寸法の平均の約20%未満、約15%未満、約10%未満、約8%未満、約6%未満、約4%未満、約3%未満、約2%未満、又は更には約1%未満である。標準偏差は、公知の統計技法によって測定できる。標準偏差は、少なくとも5個の細孔、又は更には少なくとも10個の細孔、少なくとも20個の細孔のサンプルサイズから計算され得る。サンプルサイズは、200個以下の細孔、100個以下の細孔、又は更には50個以下の細孔であってもよい。サンプルは、研磨層の単一領域から、又は研磨層の複数領域からランダムに選択され得る。
【0062】
精密に形成された細孔開口部16cの最長寸法、例えば精密に形成された細孔16が円筒形である場合、直径は、約10mm未満、約5mm未満、約1mm未満、約500ミクロン未満、約200ミクロン未満、約100ミクロン未満、約90ミクロン未満、約80ミクロン未満、約70ミクロン未満、又は更には約60ミクロン未満であってもよい。精密に形成された細孔開口部16cの最長寸法は、約1ミクロンより大きく、約5ミクロンより大きく、約10ミクロンより大きく、約15ミクロンより大きく、又は更には約20ミクロンより大きくてもよい。精密に形成された細孔16の断面積、例えば精密に形成された細孔16が円筒形である場合、円の断面積は、細孔の深さを通して均一であってもよいが、精密に形成された細孔側壁16aが、開口部から基部へ内側にテーパーが付いている場合、断面積が減少することもあり、精密に形成された細孔側壁16aが外側にテーパーが付いている場合、断面積が増加することもある。精密に形成された細孔開口部16cは、全てほぼ同じ最長寸法を有してもよく、又は最長寸法が、精密に形成された細孔開口部16c同士の間、若しくは異なる精密に形成された細孔開口部16cのセット同士の間で、設計毎に変動してもよい。精密に形成された細孔開口部の幅Wpは、上記の最長寸法として与えられた値と同じであってもよい。
【0063】
精密に形成された複数の細孔の深さDpは、特に限定されない。いくつかの実施形態では、精密に形成された複数の細孔の深さは、各精密に形成された細孔に隣接するランド領域の厚さ未満であり、すなわち、精密に形成された細孔は、ランド領域14の全厚を貫通する貫通穴ではない。これによって、細孔は、作用面に近接する流体を捕捉し、保持することができる。精密に形成された複数の細孔の深さは、上に指示したように限定されることがあるが、これによって、パッド内に1つ以上の他の貫通穴を、例えば、研磨層を通して研磨溶液を作用面まで提供する貫通穴、又はパッドを通す空気流の通路等を包含することは妨げられない。貫通穴は、ランド領域14の全厚Yを貫通する穴と定義される。
【0064】
いくつかの実施形態では、研磨層は貫通穴を含まない。パッドは、接着剤、例えば感圧接着剤によって、使用中は別の基材、例えばサブパッド又はプラテンに取り付けられることが多いため、貫通穴によって、研磨溶液がパッドを通ってパッド-接着剤界面に浸透することが可能となり得る。研磨溶液は、接着剤に対して腐食性であることがあり、パッドと、パッドが装着される基材との間の結合の完全性に、有害な損失をもたらし得る。
【0065】
精密に形成された複数の細孔16の深さDpは、約5mm未満、約1mm未満、約500ミクロン未満、約200ミクロン未満、約100ミクロン未満、約90ミクロン未満、約80ミクロン未満、約70ミクロン未満、又は更には約60ミクロン未満であってもよい。精密に形成された細孔16の深さは、約1ミクロンより大きく、約5ミクロンより大きく、約10ミクロンより大きく、約15ミクロンより大きく、又は更には約20ミクロンより大きくてもよい。精密に形成された複数の細孔の深さは、約1ミクロン~約5mm、約1ミクロン~約1mm、約1ミクロン~約500ミクロン、約1ミクロン~約200ミクロン、約1ミクロン~約100ミクロン、5ミクロン~約5mm、約5ミクロン~約1mm、約5ミクロン~約500ミクロン、約5ミクロン~約200ミクロン、又は更には約5ミクロン~約100ミクロンであってもよい。精密に形成された細孔16は、全て同じ深さを有してもよく、又は深さが、精密に形成された細孔16同士の間、若しくは異なる精密に形成された細孔16のセット同士の間で変動してもよい。
【0066】
いくつかの実施形態では、精密に形成された複数の細孔の、少なくとも約10%、少なくとも約30%、少なくとも約50%、少なくとも70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、又は更には少なくとも約100%の深さは、約1ミクロン~約500ミクロン、約1ミクロン~約200ミクロン、約1ミクロン~約150ミクロン、約1ミクロン~約100ミクロン、約1ミクロン~約80ミクロン、約1ミクロン~約60ミクロン、約5ミクロン~約500ミクロン、約5ミクロン~約200ミクロン、約5ミクロン~約150ミクロン、約5ミクロン~約100ミクロン、約5ミクロン~約80ミクロン、約5ミクロン~約60ミクロン、約10ミクロン~約200ミクロン、約10ミクロン~約150ミクロン、又は更には約10ミクロン~約100ミクロンである。
【0067】
いくつかの実施形態では、精密に形成された複数の細孔の最大で全てを含む、少なくとも一部の深さは、少なくとも1つのマクロチャネルの少なくとも一部の深さ未満である。いくつかの実施形態では、複数の精密な細孔のうちの少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約99%、又は更には少なくとも約100%の深さは、マクロチャネルの少なくとも一部の深さ未満である。
【0068】
精密に形成された細孔16は均一に分布してもよく、すなわち、研磨層10の表面の端から端まで単一の面密度を有してもよく、又は研磨層10の表面の端から端まで異なる面密度を有してもよい。精密に形成された細孔16の面密度は、約1,000,000/mm未満、約500,000/mm未満、約100,000/mm未満、約50,000/mm未満、約10,000/mm未満、約5,000/mm未満、約1,000/mm未満、約500/mm未満、約100/mm未満、約50/mm未満、約10/mm未満、又は更には約5/mmであってもよい。精密に形成された細孔16の面密度は、約1/dmより大きく、約10/dmより大きく、約100/dmより大きく、約5/cmより大きく、約10/cmより大きく、約100/cmより大きく、又は更には約500/cmより大きくてもよい。
【0069】
精密に形成された細孔開口部16cの合計断面積と、研磨パッドの投影表面積との比は、約0.5%より大きく、約1%より大きく、約3%より大きく、約5%より大きく、約10%より大きく、約20%より大きく、約30%より大きく、約40%より大きく、又は更には約50%より大きくてもよい。精密に形成された細孔開口部16cの合計断面積の、研磨パッドの投影表面積に対する比は、約90%未満、約80%未満、約70%未満、約60%未満、約50%未満、約40%未満、約30%未満、約25%未満、又は更には約20%未満であってもよい。研磨パッドの投影表面積とは、研磨パッドを平面上に投影した形状から得られる面積である。例えば、半径rを有する円形状の研磨パッドは、πに半径の二乗を乗じた投影表面積、すなわち平面上に投影された円の面積を有する。
【0070】
精密に形成された細孔16は、研磨層10の表面の端から端までランダムに配置されてもよく、又は研磨層10の端から端まで繰り返しパターン等のパターンで配置されてもよい。パターンとしては、正方配列、及び六方配列等が挙げられるが、これらに限定されない。パターンの組み合わせを使用してもよい。
【0071】
精密に形成された凹凸18の形状は、特に限定されず、円筒形、半球形、立方体、四角柱、三角柱、六角柱、三角錐、四、五及び六角錐、切頭角錐、円錘、切頭円錐等を含むが、これらに限定されない。精密に形成された凹凸側壁18aとランド領域14との交点は、凹凸の基部と見做される。凹凸基部18cから遠位端18bまで計測した、精密に形成された凹凸18の最も高い地点が凹凸の頂部と見做され、遠位端18bと凹凸基部18cとの間の距離が、凹凸の高さである。精密に形成された凹凸18の形状は、全て同じであってもよく、組み合わせで使用してもよい。いくつかの実施形態では、精密に形成された凹凸のうちの、少なくとも約10%、少なくとも約30%、少なくとも約50%、少なくとも約70%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約97%、少なくとも約99%、又は更には少なくとも約100%が、同じ形状及び寸法を有するように設計される。精密に形成された凹凸を作製するために使用される精密作製プロセスのために、寸法公差は一般に小さい。同じ凹凸寸法を有するように設計された精密に形成された複数の凹凸の場合、凹凸寸法は均一である。いくつかの実施形態では、精密に形成された複数の凹凸のサイズに対応する少なくとも1つの距離寸法、例えば、高さ、遠位端の幅、基部の幅、長さ、及び直径の標準偏差は、距離寸法の平均の約20%未満、約15%未満、約10%未満、約8%未満、約6%未満、約4%未満、約3%未満、約2%未満、及び更には約1%未満である。標準偏差は、公知の統計技法によって測定できる。標準偏差は、少なくとも5個の凹凸、少なくとも10個の凹凸、又は更には少なくとも20個の凹凸、又は更にはそれよりも多くのサンプルサイズから計算され得る。サンプルサイズは、200個以下の凹凸、100個以下の凹凸、又は更には50個以下の凹凸であってもよい。サンプルは、研磨層の単一領域から、又は研磨層の複数領域からランダムに選択され得る。
【0072】
いくつかの実施形態では、精密に形成された凹凸のうちの、少なくとも約50%、少なくとも約70%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約97%、少なくとも約99%、及び更には少なくとも約100%が、中実構造である。中実構造とは、約10体積%未満、約5体積%未満、約3体積%未満、約2体積%未満、約1%体積未満、約0.5体積%未満、又は更には0体積%の多孔性を含有する構造と定義される。多孔性としては、例えば発泡体、又は押し抜き、ドリル加工、ダイカット、レーザー切断、ウォータージェット切断等の公知技法によって凹凸に意図的に作製された機械加工穴に見られるような、連続気泡構造又は独立気泡構造を挙げることができる。いくつかの実施形態では、精密に形成された凹凸は機械加工穴を含まない。機械加工プロセスの結果、機械加工穴は、穴の周辺部付近に望ましくない材料の変形又は盛り上がりを有することがあり、これは、例えば半導体ウエハ等の被研磨基材の表面に欠陥を生じさせ得る。
【0073】
精密に形成された凹凸18の断面積に関する最長寸法、例えば精密に形成された凹凸18が円筒形である場合、直径は、約10mm未満、約5mm未満、約1mm未満、約500ミクロン未満、約200ミクロン未満、約100ミクロン未満、約90ミクロン未満、約80ミクロン未満、約70ミクロン未満、又は更には約60ミクロン未満であってもよい。精密に形成された凹凸18の最長寸法は、約1ミクロンより大きく、約5ミクロンより大きく、約10ミクロンより大きく、約15ミクロンより大きく、又は更には約20ミクロンより大きくてもよい。精密に形成された凹凸18の断面積、例えば精密に形成された凹凸18が円筒形である場合、円の断面積は、凹凸の高さ全体で均一であってもよいが、精密に形成された凹凸の側壁18aが、凹凸の頂部から基部へ内側にテーパーが付いている場合、断面積が減少することもあり、精密に形成された凹凸の側壁18aが、凹凸の頂部から基部へ外側にテーパーが付いている場合、断面積が増加することもある。精密に形成された凹凸18は、全て同じ最長寸法を有してもよく、又は最長寸法が、精密に形成された凹凸18同士の間、若しくは異なる精密に形成された凹凸18のセット同士の間で、設計毎に変動してもよい。精密に形成された凹凸基部の遠位端の幅Wdは、上記の最長寸法として与えられた値と同じであってもよい。精密に形成された凹凸基部の幅は、上記の最長寸法として与えられた値と同じであってもよい。
【0074】
精密に形成された凹凸18の高さは、約5mm未満、約1mm未満、約500ミクロン未満、約200ミクロン未満、約100ミクロン未満、約90ミクロン未満、約80ミクロン未満、約70ミクロン未満、又は更には約60ミクロン未満であってもよい。精密に形成された凹凸18の高さは、約1ミクロンより大きく、約5ミクロンより大きく、約10ミクロンより大きく、約15ミクロンより大きく、又は更には20ミクロンより大きくてもよい。精密に形成された凹凸18は、全て同じ高さを有してもよく、又は高さが、精密に形成された凹凸18同士の間、若しくは異なる精密に形成された凹凸18のセット同士の間で変動してもよい。いくつかの実施形態では、研磨層の作用面は、精密に形成された凹凸の第1のセット、及び精密に形成された凹凸の少なくとも1つの第2のセットを含み、精密に形成された凹凸の第1のセットの高さは、精密に形成された凹凸の第2のセットの高さよりも大きい。各セットが異なる高さを有する、精密に形成された複数の凹凸の複数のセットを有することにより、異なる面の研磨凹凸をもたらす。これは、凹凸表面が親水性に改質されている場合に、特に有益となることがあり、ある程度研磨した後に凹凸の第1のセットが摩損(親水性表面の除去を含む)し、それにより凹凸の第2のセットが被研磨基材と接触できるようになり、研磨のための新たな凹凸をもたらす。凹凸の第2のセットも親水性表面を有し、摩損した凹凸の第1のセットと比較して研磨性能を高めてもよい。精密に形成された複数の凹凸のうちの第1のセットは、精密に形成された複数の凹凸のうちの少なくとも1つの第2のセットの高さより、3ミクロン~50ミクロン、3ミクロン~30ミクロン、3ミクロン~20ミクロン、5ミクロン~50ミクロン、5ミクロン~30ミクロン、5ミクロン~20ミクロン、10ミクロン~50ミクロン、10ミクロン~30ミクロン、又は更には10ミクロン~20ミクロン大きい高さを有してもよい。
【0075】
いくつかの実施形態では、研磨層-研磨基材界面における研磨溶液の実用性を促進するために、精密に形成された複数の凹凸のうちの少なくとも約10%、少なくとも約30%、少なくとも約50%、少なくとも70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、又は更には少なくとも約100%の高さは、約1ミクロン~約500ミクロン、約1ミクロン~約200ミクロン、約1ミクロン~約100ミクロン、約1ミクロン~約80ミクロン、約1ミクロン~約60ミクロン、約5ミクロン~約500ミクロン、約5ミクロン~約200ミクロン、約5ミクロン~約150ミクロン、約5ミクロン~約100ミクロン、約5ミクロン~約80ミクロン、約5ミクロン~約60ミクロン、約10ミクロン~約200ミクロン、約10ミクロン~約150ミクロン、又は更には約10ミクロン~約100ミクロンである。
【0076】
精密に形成された凹凸18は均一に分布してもよく、すなわち、研磨層10の表面の端から端まで単一の面密度を有してもよく、又は研磨層10の表面の端から端まで異なる面密度を有してもよい。精密に形成された凹凸18の面密度は、約1,000,000/mm未満、約500,000/mm未満、100,000/mm未満、約50,000/mm未満、約10,000/mm未満、約5,000/mm、約1,000/mm未満、約500/mm未満、約100/mm未満、約50/mm未満、約10/mm未満、又は更には約5/mmであってもよい。精密に形成された凹凸18の面密度は、約1/dmより大きく、約10/dmより大きく、約100/dmより大きく、約5/cmより大きく、約10/cmより大きく、約100/cmより大きく、又は更には約500/cmより大きくてもよい。いくつかの実施形態では、精密に形成された複数の凹凸の面密度は、精密に形成された複数の細孔の面密度とは無関係である。
【0077】
精密に形成された凹凸18は、研磨層10の表面の端から端までランダムに配置されてもよく、又は研磨層10の端から端まで繰り返しパターン等のパターンで配置されてもよい。パターンとしては、正方配列、及び六方配列等が挙げられるが、これらに限定されない。パターンの組み合わせを使用してもよい。
【0078】
研磨パッドの合計投影表面積に対する遠位端18bの合計断面積は、約0.01%より大きく、約0.05%より大きく、約0.1%より大きく、約0.5%より大きく、約1%より大きく、約3%より大きく、約5%より大きく、約10%より大きく、約15%より大きく、約20%より大きく、又は更には約30%より大きくてもよい。研磨パッドの合計投影表面積に対する、精密に形成された凹凸18の遠位端18bの合計断面積は、約90%未満、約80%未満、約70%未満、約60%未満、約50%未満、約40%未満、約30%未満、約25%未満、又は更には約20%未満であってもよい。研磨パッドの合計投影表面積に対する、精密に形成された凹凸基部の合計断面積は、遠位端について記載したものと同じであってもよい。
【0079】
研磨層は、それ自体が研磨パッドとして機能し得る。研磨層は、コア上に巻かれたフィルムの形態であってもよく、使用中は「ロール・ツー・ロール」の形式で用いられる。研磨層は、下に更に論じるように、個々のパッド、例えば円形パッドとして作製してもよい。本発明のいくつかの実施形態によれば、研磨層を含む研磨パッドは、サブパッドも含んでよい。図2は、作用面12と、作用面12とは反対側の第2の表面13とを有する研磨層10、及び第2の表面13に隣接するサブパッド30を含む、研磨パッド50を示す。任意選択的に、発泡体層40が、研磨層10の第2の表面13とサブパッド30との間に挟まれる。研磨パッドの様々な層を、接着剤、例えば、感圧性接着剤(PSA)、ホットメルト接着剤、及び所定の位置で硬化する接着剤を使用することを含む、当技術分野で公知の任意の技法によって共に接着することができる。いくつかの実施形態では、研磨パッドは、第2の表面に隣接する接着剤層を含む。PSA転写テープ等のPSAと共に積層プロセスを使用することは、研磨パッド50の様々な層を接着するための1つの特定のプロセスである。サブパッド30は、当技術分野で公知の任意のものであってよい。サブパッド30は、比較的硬質の材料、例えばポリカーボネートの単一の層であってもよく、又は比較的圧縮性のある材料、例えばエラストマー発泡体の単一の層であってもよい。サブパッド30は2つ以上の層を有してもよく、実質的に剛体の層(例えば硬質材料、又はポリカーボネート、ポリエステル等の高モジュラス材料等)、及び実質的に圧縮性である層(例えば、エラストマー又はエラストマー発泡体材料)を含んでもよい。発泡体層40は、約20ショアD~約90ショアDのデュロメータを有し得る。発泡体層40は、約125ミクロン~約5mm、又は更には約125ミクロン~約1000ミクロンの厚さを有し得る。
【0080】
1つ以上の不透明層を有するサブパッドを含む、本開示のいくつかの実施形態では、小さい穴をサブパッドに切り込んで、「窓」を作り出してもよい。穴は、サブパッド全体を貫通して切られても、又は1つ以上の不透明層のみを貫通して切られてもよい。サブパッドの切断部分又は1つ以上の不透明層が、サブパッドから除去され、この領域を通じて光が透過できる。穴は、研磨工具プラテンの窓のエンドポイントと位置が整合するように予め位置決めされ、工具のエンドポイント検出システムからの光を、研磨パッドを通して移動させてウエハに接触させることによって、研磨工具のウエハエンドポイント検出システムの使用を促進する。光ベースのエンドポイント研磨検出システムは、当技術分野で公知であり、例えば、Applied Materials,Inc.(Santa Clara,California)から入手可能な、MIRRA及びREFLEXION LK CMP研磨工具に見出すことができる。本開示の研磨パッドは、このような工具上で稼働するように作製されてもよく、研磨工具のエンドポイント検出システムと共に機能するように構成されたエンドポイント検出窓が、パッドに含まれてよい。一実施形態では、本開示の研磨層のいずれか1つを含む研磨パッドを、サブパッドに積層することができる。サブパッドは、ポリカーボネート等少なくとも1つの硬質層、及びエラストマー発泡体等の少なくとも1つのコンプライアント層を含み、硬質層の弾性率はコンプライアント層の弾性率よりも大きい。コンプライアント層は不透明であってもよく、エンドポイント検出に必要な光の透過を防止し得る。サブパッドの硬質層は、典型的には、転写接着剤又はテープ等のPSAの使用を通じて、研磨層の第2の表面に積層される。積層の前又は後に、例えば、標準的なキスカット方法又は手による切断によって、サブパッドの不透明なコンプライアント層に穴をダイカットしてもよい。コンプライアント層の切り出し領域を除去して、研磨パッドに「窓」を作り出す。接着剤の残りが穴の開口部に存在する場合、例えば適切な溶媒の使用及び/又は布等で拭うことによって、除去することができる。研磨パッドの「窓」は、研磨パッドを研磨工具プラテンに取り付けたとき、研磨パッドの窓が、研磨工具プラテンのエンドポイント検出窓と位置が整合するように構成される。穴の寸法は、例えば幅5cm以内、長さ20cm以内であり得る。穴の寸法は一般に、プラテンのエンドポインド検出窓の寸法と同じであるか、又は類似する。
【0081】
研磨パッドの厚さは、特に限定されない。研磨パッドの厚さは、適切な研磨工具での研磨を可能にするために要求される厚さと一致し得る。研磨パッドの厚さは、約25ミクロンより大きく、約50ミクロンより大きく、約100ミクロンより大きく、又は更には250ミクロンより大きくてもよく、約20mm未満、約10mm未満、約5mm未満、又は更には約2.5mm未満であってもよい。研磨パッドの形状は、特に限定されない。パッドは、パッド形状が、使用中にパッドが装着される対応する研磨工具のプラテンの形状と一致するように作製され得る。円形、正方形、六角形等のパッド形状が使用され得る。パッドの最大寸法、例えば円形パッドの場合は直径は、特に限定されない。パッドの最大寸法は、約10cmより大きく、約20cmより大きく、約30cmより大きく、約40cmより大きく、約50cmより大きく、約60cmより大きくてもよく、約2.0メートル未満、約1.5メートル未満、又は更には約1.0メートル未満であってもよい。上に論じたように、研磨層、サブパッド、任意選択の発泡体層及びこれらの任意の組み合わせを含むパッドは、窓、すなわち光が通過できる領域を含んでもよく、ウエハエンドポイント検出等の研磨プロセスに使用される、標準的なエンドポイント検出技法を可能にする。
【0082】
いくつかの実施形態では、研磨層は一体のシートであり得る。一体のシートは、材料の単一の層のみを含み(すなわち、積層体等の多層構造ではない)、材料の単一の層は単一の組成を有する。組成には、複数の構成要素、例えば、ポリマーブレンド又はポリマー無機複合体を含んでもよい。研磨層を形成するために必要なプロセスステップの数を最小限に抑えるので、研磨層として一体のシートを使用することは、コスト上の利益をもたらし得る。一体のシートを含む研磨層は、限定されないが、造形及びエンボス加工を含む、当技術分野で公知の技法から作製され得る。精密に形成された凹凸及び/又は精密に形成された細孔、並びに任意選択でマクロチャネルを有する研磨層を単一のステップで形成することができるため、一体のシートが好ましい。
【0083】
研磨層10の硬度及び柔軟性は主として、それを作製するために使用したポリウレタンによって制御される。研磨層10の硬度は、特に限定されない。研磨層10の硬度は、約20ショアDより大きく、約30ショアDより大きく、又は更には約40ショアDより大きくてもよい。研磨層10の硬度は、約90ショアD未満、約80ショアD未満、又は更には約70ショアD未満であってもよい。研磨層10の硬度は、約20ショアAより大きく、約30ショアAより大きく、又は更には約40ショアAより大きくてもよい。研磨層10の硬度は、約95ショアA未満、約80ショアA未満、又は更には約70ショアA未満であってもよい。研磨層は柔軟であってもよい。いくつかの実施形態では、研磨層はそれ自体の上に曲げることが可能であり、湾曲領域において、約10cm未満、約5cm未満、約3cm未満、又は更には約1cm未満、かつ約0.1mmより大きい、約0.5mmより大きい、又は更には約1mmより大きい曲率半径を生成する。いくつかの実施形態では、研磨層はそれ自体の上に曲げることが可能であり、湾曲領域において、約10cm~約0.1mm、約5cm~約0.5mm、又は更には約3cm~約1mmの曲率半径を生成する。
【0084】
研磨層10の耐用寿命を改善するために、高い頑丈さを有するポリウレタンを利用することが望ましい。これは、精密に形成された凹凸は、高さは小さいものの、長い使用寿命を有するようにかなり長い時間にわたって機能する必要があるという事実から、特に重要である。使用寿命は、研磨層が採用される特定のプロセスによって決定され得る。いくつかの実施形態では、使用寿命期間は、少なくとも約30分、少なくとも60分、少なくとも100分、少なくとも200分、少なくとも500分、又は更には少なくとも1000分である。使用寿命は、10000分未満、5000分未満、又は更には2000分未満であってもよい。耐用寿命期間は、最終使用プロセス及び/又は被研磨基材に関する最終的なパラメータを計測することによって決定され得る。例えば、使用寿命は、(上に定義した)特定の期間にわたって被研磨基材の平均除去量、若しくは除去量一致度(除去量の標準偏差による計測値)を得ることによって、又は特定の期間にわたって基材上にばらつきのない表面仕上げを生成することによって決定され得る。いくつかの実施形態では、研磨層は、少なくとも約30分、少なくとも約60分、少なくとも約100分、少なくとも約200分、又は更には少なくとも約500分の期間にわたって、約0.1%~20%、約0.1%~約15%、約0.1%~約10%、約0.1%~約5%、又は更には約0.1%~約3%の被研磨基材の除去量の標準偏差をもたらし得る。期間は10000分未満であってもよい。これを達成するために、例えばASTM D638で概説されるような典型的な張力試験によって測定された、応力対歪み曲線下に広い積分面積を有することで実証される、破損までの高い仕事量(破断応力までのエネルギーとしても知られる)を有するポリマー材料を使用することが望ましい。破損までの高い仕事量は、材料の摩耗の少なさと相関し得る。いくつかの実施形態では、破損までの仕事量は、約3ジュールより大きく、約5ジュールより大きく、約10ジュールより大きく、約15ジュールより大きく、約20ジュールより大きく、約25ジュールより大きく、又は更には約30ジュールより大きい。破損までの仕事量は、約100ジュール未満、又は更には約80ジュール未満であってもよい。
【0085】
研磨層10を作製するために使用するポリウレタンは、実質的に純粋な形態で使用され得る。研磨層10を作製するために使用されるポリウレタン材料は、当技術分野で公知のフィラーを含んでもよい。いくつかの実施形態では、研磨層10は、いかなる無機研磨材料(例えば無機研磨粒子)も実質的に含まず、すなわち、研磨剤フリー研磨パッドである。実質的に含まないということは、研磨層10は、約10体積%未満、約5体積%未満、約3体積%未満、約1体積%未満、又は更には約0.5体積%未満の無機研磨剤粒子を含むことを意味する。いくつかの実施形態では、研磨層10は、実質的に無機研磨剤粒子を含有しない。研磨材料は、被研磨基材のモース硬度よりも大きいモース硬度を有する材料と定義され得る。研磨材料は、約5.0より大きい、約5.5より大きい、約6.0より大きい、約6.5より大きい、約7.0より大きい、約7.5より大きい、約8.0より大きい、又は更には約9.0より大きいモース硬度を有するものと定義され得る。最大モース硬度は、一般に10であると認められる。研磨層10は、当技術分野で公知の任意の技法によって作製してよい。高精細技法は、全てその全体が参照により組み込まれる、米国特許第6,285,001号、同第6,372,323号、同第5,152,917号、同第5,435,816号、同第6,852,766号、同第7,091,255号及び米国特許出願公開第2010/0188751号に開示されている。
【0086】
いくつかの実施形態では、研磨層10は、以下のプロセスによって形成される。まず、ポリカーボネートのシートを、米国特許第6,285,001号に記載された手順に従ってレーザー研磨し、ポジティブマスター工具、すなわち、研磨層10に必要な表面トポグラフィとほぼ同じ表面トポグラフィを有する工具を形成する。次に、ポリカーボネートのマスターを、ネガティブマスター工具を形成する従来の技法を使用して、ニッケルめっきする。次に、ニッケルのネガティブマスター工具を、例えば米国特許出願公開第2010/0188751号に記載されているプロセスである、エンボス加工プロセスに使用して、研磨層10が形成され得る。エンボス加工プロセスには、ニッケルネガティブの表面へのポリウレタン溶融物の押出形成を含んでもよく、適切な圧力を伴って、ポリウレタン溶融物がニッケルネガティブのトポグラフィ的特徴部に押し込まれる。ポリウレタン溶融物が冷却されたら、固体ポリマーフィルムをニッケルネガティブから取り出してもよく、それにより、所望のトポグラフィ的特徴部、すなわち、精密に形成された細孔16及び/又は精密に形成された凹凸18(図1)を有する作用面12を有する、研磨層10が形成される。ネガティブが、マクロチャネルの所望のパターンに対応する適切なネガティブトポグラフィを含む場合、エンボス加工プロセスを介して、マクロチャネルが研磨層10に形成され得る。
【0087】
別の実施形態では、本開示は研磨システムに関し、研磨システムは、上述の研磨パッド及び研磨溶液のうちのいずれか1つを含む。研磨パッドは、上に開示した研磨層10のいずれかを含むことができる。使用される研磨溶液は特に限定されず、当技術分野で公知の任意のものでよい。研磨溶液は、水性であっても非水性であってもよい。水性研磨溶液は、少なくとも50重量%が水である液相(研磨溶液がスラリーである場合、粒子を含まない)を有する研磨溶液と定義される。非水性溶液は、50重量%未満が水である液相を有する研磨溶液と定義される。いくつかの実施形態では、研磨溶液はスラリー、すなわち、有機若しくは無機研磨剤粒子、又はこれらの組み合わせを含有する液体である。研磨溶液中の有機若しくは無機研磨剤粒子、又はこれらの組み合わせの濃度は、特に限定されない。研磨溶液中の有機若しくは無機研磨剤粒子、又はこれらの組み合わせの濃度は、約0.5重量%より大きく、約1重量%より大きく、約2重量%より大きく、約3重量%より大きく、約4重量%より大きく、又は更には約5重量%より大きくてもよく、約30重量%未満、約20重量%未満、約15重量%未満、又は更には約10重量%未満であってもよい。いくつかの実施形態では、研磨溶液は、有機又は無機研磨剤粒子を実質的に含まない。「有機又は無機研磨剤粒子を実質的に含まない」とは、研磨溶液が、約0.5重量%未満、約0.25重量%未満、約0.1重量%未満、又は更には約0.05重量%未満の有機又は無機研磨剤粒子を含有することを意味する。一実施形態では、研磨溶液は、有機又は無機研磨剤粒子を含有しなくてもよい。研磨システムは、浅溝分離型CMPを含むがそれに限定されない、酸化ケイ素CMPに使用されるスラリー等の研磨溶液と、タングステンCMP、銅CMP及びアルミニウムCMPを含むがそれらに限定されない、金属CMPに使用されるスラリー等の研磨溶液と、タンタル及び窒化タンタルCMPを含むがそれらに限定されない、バリアCMPに使用されるスラリー等の研磨溶液と、サファイアのような硬い基材を研磨するために使用されるスラリー等の研磨溶液とを含み得る。研磨システムは、被研磨基材を更に含んでもよい。
【0088】
いくつかの実施形態では、本開示の研磨パッドは、少なくとも2つの研磨層、すなわち研磨層の多層配置を含んでもよい。研磨層の多層配置を有する研磨パッドの研磨層は、本開示の研磨層の実施形態のいずれかを含み得る。
【0089】
図3は、本開示のいくつかの実施形態による、研磨パッド及び方法を利用するための研磨システム100の一例を、概略で図示する。示されるように、システム100は、研磨パッド150及び研磨溶液160を含み得る。システムは、被研磨基材110、プラテン140及びキャリアアセンブリ130のうちの1つ以上を更に含んでもよい。接着剤層170は、研磨パッド150をプラテン140に装着するために使用され得るが、研磨システムの一部であってもよい。研磨溶液160は、研磨パッド150の主面、例えば作用面の周りに配された溶液の層であり得る。研磨パッド150は、本開示の研磨パッドの実施形態のいずれかであり得るが、本明細書に記載した少なくとも1つの研磨層(図示せず)を含み、任意選択で、研磨パッド50について記載した、及び図2のサブパッド及び/又は発泡体層を含んでもよい。研磨溶液は、典型的には研磨パッドの研磨層における作用面上に配される。研磨溶液は、基材110と研磨パッド150との間の界面にもあってもよい。研磨システム100の動作中、駆動アセンブリ145がプラテン140を回転させて(矢印A)、研磨パッド150を動かし、研磨動作を実行し得る。研磨パッド150及び研磨溶液160は、別々に、又は組み合わさって、機械的及び/又は化学的に基材110の主面から材料を除去するか、又は基材110の主面を研磨する、研磨環境を規定し得る。研磨システム100で基材110の主面を研磨するために、キャリアアセンブリ130は、研磨溶液160の存在下で、研磨パッド150の研磨面に基材110を押し付ける。次に、プラテン140(したがって研磨パッド150)及び/又はキャリアアセンブリ130が、互いに対して移動し、研磨パッド150の研磨面の端から端まで、基材110を並進運動させる。キャリアアセンブリ130は、回転することができ(矢印B)、任意選択で水平方向に横断することができる(矢印C)。その結果、研磨パッド150の研磨層は、基材110の表面から材料を除去する。いくつかの実施形態では、基材の表面からの材料の除去を促進するために、無機研磨材料、例えば無機研磨剤粒子が、研磨層に含まれてもよい。他の実施形態では、研磨層はいかなる無機研磨材料も実質的に含まず、研磨溶液は、有機若しくは無機研磨剤粒子を実質的に含まなくてもよく、又は有機若しくは無機研磨剤粒子、若しくはこれらの組み合わせを含有してもよい。図3の研磨のシステム100は、本開示の研磨パッド及び方法との関連で採用され得る研磨システムの一例にすぎず、他の従来の研磨システムが、本開示の範囲を逸脱することなく採用され得ることを理解されたい。
【0090】
別の実施形態では、本開示は基材を研磨する方法に関し、研磨する方法は、上記研磨パッドのいずれか1つによる研磨パッドを提供することであって、上に記載した研磨層のいずれかを含み得る研磨パッドを提供すること、基材を提供すること、研磨パッドの作用面を基材表面に接触させること、研磨パッドの作用面と基材表面との間の接触を維持しながら研磨パッド及び基材を互いに対して移動させることを含み、研磨は研磨溶液の存在下で実施される。いくつかの実施形態では、研磨溶液はスラリーであって、上に論じたスラリーのいずれかを含んでもよい。別の実施形態では、本開示は、基材を研磨する前述の方法のいずれかに関し、基材は半導体ウエハである。半導体ウエハの被研磨表面を含む材料、すなわち研磨パッドの作用面と接触する材料としては、誘電体材料、導電材料、バリア/接着材料及びキャップ材料のうちの少なくとも1つを挙げることができるが、これらに限定されない。誘電体材料としては、シリコン酸化物及び他のガラス等の無機誘電体材料、並びに有機誘電体材料のうちの少なくとも1つを挙げることができる。金属材料としては、銅、タングステン、アルミニウム、銀等のうちの少なくとも1つを挙げることができるが、これらに限定されない。キャップ材料としては、炭化ケイ素及び窒化ケイ素のうちの少なくとも1つを挙げることができるが、これらに限定されない。バリア/接着材料としては、タンタル及び窒化タンタルのうちの少なくとも1つを挙げることができるが、これらに限定されない。研磨する方法は、パッドコンディショニング又は洗浄ステップも含んでよく、これはin situで、すなわち研磨中に実施され得る。パッドコンディショニングには、3M Company(St.Paul,Minnesota)から入手可能な、直径4.25インチの、3M CMP PAD CONDITIONER BRUSH PB33A等、当技術分野で公知の任意のパッドコンディショナー又はブラシを使用し得る。洗浄には、3M Companyから入手可能な、直径4.25インチの、3M CMP PAD CONDITIONER BRUSH PB33A等のブラシ、及び/又は水若しくは研磨パッドの溶媒リンスを採用し得る。
【実施例
【0091】
別段の記載がない限り、又は文脈から容易に明らかでない限り、実施例及び本明細書のその他の箇所における全ての部、百分率、割合などは、重量基準である。
【表1】
【0092】
試験方法
一般的なマイクロ配合器重合方法
熱可塑性ポリウレタンを、MC15 Micro Compounder(Xplore Instruments(Sittard,The Netherlands)から入手した)を使用して調製した。ポリオール、鎖延長剤、イソシアネート及びアミン(表1及び2に示す組成による)を、15mLの合計投入量でマイクロ配合器に添加した。反応性混合物を、100RPMのスクリュー速度及び210℃の温度設定で10分混合して、重合を行った。次に、375°Fで液圧プレスを使用して、得られたポリマーをプレスして平坦なシートにした。
【0093】
溶融粘度測定
DHR-2レオメータ(TA Instruments,New Castle,DE)を使用して、溶融粘度を測定した。8mmの直径を有する、厚さ1.0mm~2.0mmのポリマーのディスクを、100℃のオーブン中で乾燥させ、乾燥剤と共にバイアル中に保存した。直径8mmのパラレルプレートを用いて、サンプルをレオメータに取り付けた。200℃において、0.001、0.0032、0.01、0.032、0.1、0.32、1、3.2及び10 1/sのせん断速度を有するせん断掃引を使用して、サンプルを試験した。0.1 1/sで測定した粘度を報告する。
【0094】
ゼータ電位測定
いくつかの高精細研磨パッド表面のゼータ電位を、SurPASS 2 ElectroKinetic Analyzer(Anton Parr(Graz,Austria)から入手可能)を使用して測定した。サンプル分析を0.001M KCl中で行い、最初に0.05M HNOを滴定液として使用してpH6から2の測定値を取得し、続いて、0.05M KOHを滴定液として使用してpH6から10の測定値を取得した。サンプルサイズは10mm×20mmであり、サンプルギャップは100+/-20ミクロンであった。全ての測定は、流量を7psiに調整した窒素パージを使用して行った。標準測定条件は以下の通りである。
【0095】
測定ステップパラメータ設定:Z_R300_180_P400_20に設定。
リンス目標圧力:300mbar
時間制限:180秒
ランプ目標圧力:400mbar
最大ランプ時間:20秒
【0096】
比較例1(CE-1)
Chimassorb 944(0.94g)及びEstane 58277(16.06g)をMC-15マイクロ配合器に添加し、210℃の温度で10分混合した。次に、375°F(190℃)で液圧プレスにおいて、得られたポリウレタン溶融物をプレスしてフィルムにした。200℃におけるこの材料の粘度を測定したところ、1,700,000cPであった。
【0097】
比較例2及び3(CE-2及びCE-3)、並びに実施例4~10(EX.4~Ex.10)
比較例2~3及び実施例4~10を、表2の組成に従って、一般的なマイクロ配合器重合方法を使用して調製した。得られた材料のイソシアネート指数及び粘度は、表2にも提示する。
【表2】
【0098】
実施例8、9及び10のための反応押出方法
実施例8、9及び10を、従来の反応押出技法を使用して調製した。Berstorff Corp.(Florence KY)から入手可能な、各バレルが43mmの直径を有する7つのバレルセクションを有する、二軸スクリュー押出機Model ZE40Aを使用して、表2に示す調合に従ってポリウレタンを調製した。以下の議論において、第1のバレルが押出機駆動機構に最も近く、第7のバレルが押出機の出口に最も近かった。加熱した、Circor International,Inc.(Burlington,MA)から入手可能なZENITH B-9000ギアポンプを介して、ポリオール(表2によるFomrez 44-160、Fomrez 44-111又はCapa 2203Aのいずれか)を第1のバレルセクションに添加した。1,4-ブタンジオールを、第2のZENITH B-9000ギアポンプを介して第1セクションバレルに添加した。Harvard Apparatus(Holliston,MA)から入手可能なPHD Ultra XF MA1 70-3313シリンジポンプを介して、DBTLも第1のバレルセクションに添加した。Rubinate 1234を、第3のZEITH B-9000ギアポンプを介して第3のバレルセクションに添加した。Chimassorb 944を、Coperion(Pittman.NJ)から入手可能なKtron重量式供給装置を介して、サイドスタッファーユニットに計量供給した。サイドスタッファーは、Chimassorb 944をバレルセクション4に搬送した。溶融ポリウレタンを押出機から、Circor International,Incから入手可能なZENITH PEP II(20cm/回転サイズのギアポンプ)に放出した。ポリウレタンを、ECON Inc.(Monroe,MI)から入手可能な水中ペレッタイザー、モデル番号EUP10にポンプ注入した。ポリウレタンを、約100lb/時(45kg/時)の速度で調製した。
【表3】
【0099】
実施例8、9及び10のペレットを使用して、エンボス加工プロセス(一般的な手順は、米国特許第10,252,396号に開示されており、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)を使用して高精細研磨パッドを生成した。加えて、研磨パッド、比較例11(CE-11)を、Estane 58277樹脂のペレットを使用し、同じ一般的手順を使用して調製した。実施例8、9、及びCE-11からの研磨パッドの表面は、表3に示すゼータ電位値を有することが見出された。
【表4】
【0100】
300mm低kウエハ研磨試験方法
ウエハを、Applied Materials,Inc.(Santa Clara,CA)から商品名REFLEXION研磨器で入手可能なCMP研磨器を使用して研磨した。研磨器に、直径300mmのウエハを収容するための300mmのCONTOURヘッドを固定した。実施例8のポリウレタンから調製した直径30.5インチ(77.5cm)のパッドを、PSAの層によって研磨工具のプラテンに積層した。12psi、2分の保持リングブレークインを使用して、パッドをブレークインした。CONTOURヘッド圧力、プラテン及びヘッドのRPMを表1に示す。ウエハを、1.5PSIで1分研磨した。3M Company(St.Paul,Minnesota)から商品名3M CMP PAD CONDITIONER BRUSH PB33Aで入手可能なブラシタイプのパッドコンディショナー、直径4.25インチを、コンディショニングアームに取り付け、ブレークイン及び研磨中、3lbfの下向きの力によって108rpmの速度で使用した。パッドコンディショナーを、正弦波掃引によって19swp/分でパッドの表面の端から端まで掃引し、100%in situコンディショニングを行った。
【0101】
標準的な工業用パッド、VP6000(Dow,Midland,MIから入手可能)を使用した研磨も行った(比較例12(CE-12))。6lbf、20分のコンディショナーブレークインを使用して、CE-12をブレークインした。3M Company(St.Paul,Minnesota)から商品名3M Trizact B6-1900-5S2で入手可能なCVDダイヤモンドコンディショナーをコンディショニングアームに取り付け、研磨中、5lbfの下向きの力によって83rpmの速度で使用した。パッドコンディショナーを、正弦波掃引によって13swp/分でパッドの表面の端から端まで掃引し、100%in situコンディショニングを行った。
【0102】
研磨溶液は、富士フイルム株式会社(東京、日本)から商品名BSL8402Cで入手可能なスラリーであった。使用前に、BSL8402Cスラリーを30%過酸化水素で希釈して、最終溶液が1.9%過酸化水素を有するようにした。低kモニターウエハを1分研磨し、続いて測定した。直径300mmの低kモニターウエハは、Advantiv Technologies Inc.(Fremont,California)から入手したものであった。ウエハスタックは以下の通りであった:300mmのSi基材+PE-CVD SiCOH(BD1)5KA。モニターウエハの研磨の間に、「ダミー」ウエハとして熱酸化物ウエハを使用し、モニターウエハと同じプロセス条件を使用して研磨した。
【0103】
研磨された酸化物層の厚さの変化を決定することによって、除去量を計算した。この厚さの変化をウエハ研磨時間で除算して、研磨された酸化物層の除去量を得た。直径300mmのウエハの厚さ測定値は、Nova Measuring Instruments(Rehovot,Israel)から入手可能なNovaScan 3090 Next 300によって取得した。2mmの周辺部を除外した65点直径走査を採用した。実施例8のポリウレタンから調製したパッドを使用して研磨した、2つの除去量のウエハの平均除去量は、2,493オングストローム/分であった。CE-12を使用して研磨した2つの除去量のウエハの平均除去量は、649オングストローム/分であった。
【表5】
図1
図2
図3
【国際調査報告】