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特表2024-520483生物学的実体の不活性なバイオエンジニアリングのための方法及び組成物
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-24
(54)【発明の名称】生物学的実体の不活性なバイオエンジニアリングのための方法及び組成物
(51)【国際特許分類】
   C12Q 1/6813 20180101AFI20240517BHJP
   C12N 15/09 20060101ALI20240517BHJP
   C12N 15/11 20060101ALI20240517BHJP
【FI】
C12Q1/6813 Z
C12N15/09 110
C12N15/11 Z ZNA
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023573054
(86)(22)【出願日】2022-05-27
(85)【翻訳文提出日】2024-01-10
(86)【国際出願番号】 CA2022050865
(87)【国際公開番号】W WO2022246577
(87)【国際公開日】2022-12-01
(31)【優先権主張番号】63/194,761
(32)【優先日】2021-05-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522206434
【氏名又は名称】インデックス バイオシステムズ インク.
【氏名又は名称原語表記】INDEX BIOSYSTEMS INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100107984
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 雅紀
(74)【代理人】
【識別番号】100182305
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 鉄平
(74)【代理人】
【識別番号】100096482
【弁理士】
【氏名又は名称】東海 裕作
(74)【代理人】
【識別番号】100131093
【弁理士】
【氏名又は名称】堀内 真
(74)【代理人】
【識別番号】100150902
【弁理士】
【氏名又は名称】山内 正子
(74)【代理人】
【識別番号】100141391
【弁理士】
【氏名又は名称】園元 修一
(74)【代理人】
【識別番号】100221958
【弁理士】
【氏名又は名称】篠田 真希恵
(74)【代理人】
【識別番号】100192441
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 仁
(72)【発明者】
【氏名】ボルグ マイケル
(72)【発明者】
【氏名】フリードバーグ ジェレミー エヌ.
(72)【発明者】
【氏名】シンジャー デービッド
(72)【発明者】
【氏名】ビズ アレッサンドラ
【テーマコード(参考)】
4B063
【Fターム(参考)】
4B063QA20
4B063QQ42
4B063QQ52
4B063QR32
4B063QR35
4B063QR55
4B063QR62
(57)【要約】
生物学的実体において特徴又は形質を導入も修飾もすることなく不活性な核酸カセットを生物学的実体に導入することを含む、バイオエンジニアリング方法。本方法は、核酸配列を有する生物学的実体を含む試料を受け取る又は提供すること、不活性な核酸カセットの挿入のために核酸配列内で組み込み部位を選択すること、最適化されたプライマー配列、最適化されたプローブ配列、最適化された終止コドン、及び破壊された開始コドンを有する不活性なカセットを設計し、不活性な核酸カセットを組み込み部位で生物学的実体に挿入すること、並びに生物学的実体においていかなる特徴の追加も修飾もされていないことを確認することを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生物学的実体において特徴を導入も修飾もすることなく不活性な核酸カセットを導入することによる、前記生物学的実体をバイオエンジニアリングするための方法であって、
核酸配列を有する前記生物学的実体を含む試料を受け取る又は提供すること、
前記不活性な核酸カセットを挿入するために、前記核酸配列内で組込み部位を選択すること、
最適化されたプライマー配列、最適化されたプローブ配列、最適化された終止コドン、及び破壊された開始コドンを有する、前記不活性なカセットを設計し、前記不活性な核酸カセットを、前記組込み部位において前記生物学的実体に挿入すること、並びに
前記生物学的実体においていかなる特徴の追加も修飾もされていないことを確認すること
を含む、前記方法。
【請求項2】
組込み部位の選択が、新たな部位が必要かどうかを決定することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
新たな部位が必要かどうかの決定が、少なくとも1つのデータベースを調べて、生物学的実体においてこれまでに改変事象があったかどうかを検証することを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
組込み部位の選択が、生物学的実体のゲノムをスクリーニングすること、並びに、任意の特徴付けされた推定遺伝子、オープンリーディングフレーム、及び/又は関連する特徴を同定することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
関連する特徴が、推定プロモーター、エンハンサー、及びあらゆる他の公知の調節配列を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
選択された組込み部位が、推定遺伝子、オープンリーディングフレーム、及び/又は関連する特徴から塩基対(bp)の所定の距離以内にある、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
所定の距離が、約250bp~約1キロ塩基対(kb)の間である、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
所定の距離が約250bpである、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
選択された組込み部位が、ヘテロクロマチン領域及び/又は長鎖末端反復(LTR)内に位置している、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
組込み部位の選択が、カセットの転写を指示する特徴付けされたプロモーター及び/又は推定プロモーターの非存在を決定することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
不活性なカセットの設計が、組込み部位での前記不活性なカセットの組込みを補助するためのランディングパッドを作製することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
ランディングパッドが、最適化されたgRNAスペーサーに相補的なCRISPR標的配列である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
組込み部位が、少なくとも1つのデータベースを使用してインシリコで選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
生物学的実体を不活化することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
生物学的実体の不活化が、熱不活化、化学的不活化、経時的な栄養枯渇、又はこれらの組合せを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
生物学的実体においていかなる特徴の追加も修飾もされていないことの確認が、前記生物学的実体の転写プロファイルを分析して、不活性な核酸カセットの転写産物が所定の閾値を上回って検出され得ないことを確認することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
生物学的実体においていかなる特徴の追加も修飾もされていないことの確認が、前記生物学的実体の全ゲノムをシーケンシングして、いかなるオフターゲット効果も伴わずに、選択された部位に不活性な核酸カセットが組み込まれていることを確認することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
オフターゲット効果が、生物学的実体のカセットにおける又はゲノムのどこかにおける変異を含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
生物学的材料を識別するための不活性な核酸カセットであって、最適化されたプライマー配列、最適化されたプローブ配列、最適化された終止コドン、及び破壊された開始コドンを含む、前記不活性な核酸カセット。
【請求項20】
最適化された終止コドンが、カセット及び前記カセットに隣接する配列内の全ての転写開始を停止させるために、全てのリーディングフレームの終止コドンを含む、請求項19に記載の不活性な核酸カセット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、全体として、サプライチェーンの製品及び材料の識別及び/又は追跡に関する。さらに具体的には、本発明は、サプライチェーンの製品及び材料の追跡の代用として使用することを目的とした生物学的実体の不活性なバイオエンジニアリングのための方法及び組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
生物に元々備わっているDNAバーコードを使用する生物学的識別の概念は、ゲルフ大学のHebert博士によって最初に開発された。これらのバーコードは、生物又は生物学的実体に固有のヌクレオチドの配列からなる。これらの画期的な技術は、標準的なDNA増幅及び分子生物学的プロトコルを使用して、単離されたDNAにおいてDNAバーコードを効率的に検出することを可能にした。これらのバーコーディング技術は、様々な産業においてすぐに普遍的なものとなり、環境DNAのリサーチにおいて、並びに商業的な検査、検証、試験、及び認証の企業内で、一般的に使用されている。
【0003】
Hebertが彼の論文を2003年に公開した10年後、サプライチェーンを通して製品にタグ付けするための合成セルフリーDNAマーカーの使用に関する2つの特許出願(米国特許出願第2019/0285602号明細書及び米国特許出願第2017/0021611号明細書)が出願された。これらのDNAマーカーは、工業規模のポリメラーゼ連鎖反応(PCR,polymerase chain reaction)製造システムに依拠しており、大規模利用するには依然としてとてつもなく高価である。加えて、細胞外DNA又はセルフリーDNAは、細胞外環境に晒されると、又は産業プロセスに加えられると、不安定である。この不安定性によって、セルフリーDNA断片の完全性を保護することを目的としたカプセル化技術の研究が進んだ。1つの例は、DNAベースのトレーサーをカプセル化するためにシリカを使用する。カプセル化されたDNAベースのトレーサーの溶液は、標準的なセルフリーDNAと比べて実質的な経済的制約を有し続けており、これによって、前記溶液は、スケーラブルな産業サプライチェーンでの利用に不適切となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許出願第2019/0285602号明細書
【特許文献2】米国特許出願第2017/0021611号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ありがたいことに、バイオテクノロジーの進歩は効率を生み出し、その結果、今では、ほとんど全ての生物のゲノムを編集することが経済的に実行可能となっている。さらに、今では、サプライチェーンにおけるあらゆる生物学的実体を識別するため並びに/又はサプライチェーンの製品及び材料の識別の代理として機能するために生物の複製能力及び保護能力を利用する、生物学的に追跡可能な技術を開発することが可能である。これらの技術的躍進は、高価な産業用のPCRにもカプセル化アプローチにも依拠しない、DNAベースのバイオマーキングを可能にした。Index Biosystems社は、生物内に、及び産業用発酵での生物蓄積を使用する規模に、DNAの短い識別バーコード配列をバイオエンジニアリングした。しかし、この技術は、生物を遺伝的に改変することに依拠しているため、潜在的に制限的な規制処理につながり得る。このことから、宿主生物のバイオエンジニアリングに伴うリスクの懸念に対処することが必須となる。したがって、いかなる特徴も導入されず、かついかなる既存の特徴も改変されないような、レシピエント生物又は生物学的実体への外因性DNA及び/又はRNAの導入を可能にする、方法及び組成物が必要である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
先行技術の欠点は、生物学的実体に特徴又は形質を導入することも生物学的実体の特徴又は形質を修飾することもなく不活性な核酸カセットを生物学的実体に導入することを伴う、生物学的実体の不活性なバイオエンジニアリングのための本明細書において記載される方法によって、全体的に軽減される。
【0007】
したがって、核酸配列を有する生物学的実体を含む試料を受け取る又は提供することを含む方法が、本明細書において提供される。組込み部位は、不活性な核酸カセットを挿入するための核酸配列内で選択される。部位が選択されたら、この方法は次に、最適化されたプライマー配列、最適化されたプローブ配列、最適化された終止コドン、及び破壊された開始コドンを有する不活性なカセットを設計すること、並びに不活性な核酸カセットを生物学的実体に挿入することを含む。その後のステップは、生物学的実体においていかなる特徴の追加も修飾もされていないことを確認することを含む。任意で、本方法は、生物学的実体を不活化するステップを含み得る。
【0008】
好ましい実施形態に従うと、組込み部位の選択は、新たな部位が必要かどうかを決定することを含む。例えば、これは、生物学的材料についての情報を有するデータストアをチェックして、これまでに改変事象があったかどうか、そして新たな部位が必要かどうかを確認することを含み得る。
【0009】
さらなる実施形態に従うと、組込み部位の選択は、生物学的実体のゲノムをスクリーニングすること、並びに、任意の特徴付けされた遺伝子及び/若しくは推定遺伝子、オープンリーディングフレーム、並びに/又は関連する特徴(features of concern)を同定することを含む。
【0010】
さらなる実施形態に従うと、選択された組込み部位は、推定遺伝子、オープンリーディングフレーム、及び/又は関連する特徴から塩基対(bp,base pairs)の所定の距離以内、好ましくは少なくとも250塩基対(bp)以内にある。非限定的な実施形態において、所定の距離は、典型的には、推定遺伝子、オープンリーディングフレーム、及び/又は関連する特徴から250~1000bpの間である。
【0011】
さらなる実施形態に従うと、選択された組込み部位は、ヘテロクロマチン領域及び/又は長鎖末端反復(LTR,long terminal repeats)内に位置する。
【0012】
さらなる実施形態に従うと、組込み部位の選択は、カセットの転写を指示する特徴的なプロモーター及び/又は推定プロモーターの非存在を決定することを含む。
【0013】
さらなる実施形態に従うと、不活性なカセットの設計は、組込み部位での不活性なカセットの組込みを補助するためのランディングパッドを作製することを含む。
【0014】
さらなる実施形態に従うと、ランディングパッドは、最適化されたgRNAスペーサーに相補的なCRISPR-Cas9標的配列である。
【0015】
さらなる実施形態に従うと、組込み部位は、データベースを使用してインシリコで選択される。
【0016】
さらなる実施形態に従うと、生物学的実体の不活化は、熱不活化、化学的不活化、経時的な栄養枯渇、又はこれらの組合せを含む。
【0017】
さらなる非限定的な実施形態において、生物学的実体においていかなる特徴の追加も修飾もされていないことを確認するステップは、生物学的実体の転写プロファイルを分析して、不活性な核酸カセットの転写産物が検出されないことを確認することを含み得る。
【0018】
別の非限定的な実施形態において、生物学的実体においていかなる特徴の追加も修飾もされていないことを確認するステップは、形質転換された生物学的実体を全ゲノムシーケンシングして、いかなるオフターゲット効果も伴わずに、選択された部位に不活性な核酸カセットが組み込まれていることを確認することを含み得る。限定はしないが、オフターゲット効果は、生物学的実体のカセットにおける又はゲノムのどこかにおける1又は2以上の変異を含み得る。また、最適化されたプライマー配列、最適化されたプローブ配列、最適化された終止コドン、及び破壊された開始コドンを含む、生物学的実体の不活性なバイオエンジニアリングのための不活性な核酸カセットが、本明細書において提供される。
【0019】
不活性な核酸カセットの一実施形態において、最適化された終止コドンは、カセット及びカセットに隣接する配列内の全ての転写開始を停止させるために、全てのリーディングフレームの終止コドンを含み得る。
【0020】
記載されている方法の他の並びにさらなる態様及び利点は、添付の特許請求の範囲において記載される又は示されるものについての例示的な実施形態を読むことでより良く理解され、本明細書において言及されていない様々な利点は、実際に本発明を利用する際に当業者に明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0021】
本発明の態様、特色、及び利点は、以下の記載からより容易に明らかになるが、以下の添付の図面が参照される。
図1】生物学的実体の不活性なバイオエンジニアリングのための方法のフローチャートである。
図2】一実施形態に従った、適切な組込み部位を選択するための方法のフローチャートである。
図3】一実施形態に従った、選択された部位の一例を示す図である。
図4】一実施形態に従った、不活性なカセットを設計するための方法のフローチャートである。
図5】一実施形態に従った、不活性なカセットの設計の一例を示す図である。
図6】一実施形態に従った、レシピエント生物においていかなる特徴の追加も修飾もされていないことを確認するための方法のフローチャートである。
図7】一実施形態に従った、RNA転写の確認ステップの一例を示す図である。
図8】一実施形態に従った、増殖の確認ステップの一例を示す図である。
図9】一実施形態に従った、糖消費の確認ステップの一例を示す図である。
図10】一実施形態に従った、レシピエント生物を不活化するための方法のフローチャートを示す図である。
図11】一実施形態に従った、トリパンブルー染色を使用して確認される熱不活化の一例を示す図である。
図12】さらなる実施形態に従った、不活性なカセットの設計の一例を示す図である。
図13】一実施形態に従った、選択された部位の一例を示す図である。
図14】一実施形態に従った、選択された部位の一例を示す図である。
図15】一実施形態に従った、選択された部位の一例を示す図である。
図16】一実施形態に従った、RNA転写の確認ステップの一例を示す図である。
図17】一実施形態に従った、増殖の確認ステップの一例を示す図である。
図18】一実施形態に従った、糖消費の確認ステップの一例を示す図である。
図19】一実施形態に従った、RNA転写の確認ステップの一例を示す図である。
図20】一実施形態に従った、増殖の確認ステップの一例を示す図である。
図21】一実施形態に従った、糖消費の確認ステップの一例を示す図である。
図22】一実施形態に従った、RNA転写の確認ステップの一例を示す図である。
図23】一実施形態に従った、増殖の確認ステップの一例を示す図である。
図24】一実施形態に従った、糖消費の確認ステップの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
生物学的実体の不活性なバイオエンジニアリングのための方法及び組成物が、本明細書において記載されている。実施形態及び実施例は、当業者のために例示的な目的で提供されており、決して限定的なものではないことが理解される。
【0023】
修飾された生物のリスクを評価するための原理及び方法論は、カルタヘナ議定書の下で国際的に承認されている。バイオセーフティーに対するカルタヘナ議定書は、ヒトの健康へのリスクも考慮して、生物学的多様性に対する悪影響を有し得る近代のバイオテクノロジーの結果生じる遺伝子組換え生物(LMO,living modified organisms)の安全な取り扱い、輸送、及び使用を確実にすることを目的とした、国際的な同意である。
【0024】
その結果、当然のことながら、これらのバーコードの設計及びその後のバイオエンジニアリング事象が、カルタヘナ議定書内の考慮すべき点に関連するリスクに対処しなければならないということになる。議定書によって記載されている考慮すべき点は、
・レシピエント生物又は親生物
・1又は複数のドナー生物
・ベクター
・1若しくは複数のインサート、及び/又は修飾の特徴
・遺伝子組換え生物
・遺伝子組換え生物の検出及び識別
・対象となる用途に関する情報
・受容環境
からなる。
【0025】
これらの考慮すべき点の全体を通しての共通のテーマは、特徴の導入又は既存の特徴の修飾に関連する。もしも、絶対的に、これらの考慮すべき点に関連するリスクが排除されるとするならば、これは、いずれの特徴も導入されずいずれの特徴も修飾されないようにレシピエント生物又は生物学的実体内の標的部位に不活性なカセットをバイオエンジニアリングすることによって達成されるであろう。
【0026】
本明細書において使用される専門用語は、以下に示す定義に従う。
【0027】
本明細書において使用される場合、「生物学的実体」という用語は、あらゆる生物、例えば、個々の動物、植物、又は単細胞の生命形態及び微生物、例えば、細菌、酵母、ウイルス、及び真菌を指す。
【0028】
本明細書において使用される場合、「特徴」という用語は、生物に元々存在する、及び不活性な核酸カセットを生物のゲノムに組み込む前の、生物のあらゆる発現した形質又は属性を含む。この文脈において、生物学的特徴としては、限定はしないが、代謝の速度及びプロファイル;増殖、発生、及び再生の速度;脂質、炭水化物、及びプロテオミクスのプロファイル;環境に対する感受性又は応答;並びに構造的構成及びホメオスタシスが含まれる。
【0029】
本明細書において使用される場合、「部位」という用語は、カセットが組み込まれる生物学的実体のゲノム配列又は核酸配列内の位置、すなわち遺伝子座を指すために使用される。
【0030】
本明細書において使用される場合、「ランディングパッド」という用語は、選択された組込み部位でのカセットの組込みを補助するための、生物学的実体のゲノム配列又は核酸配列に導入される外因性の配列を指すために使用される。
【0031】
本明細書において使用される場合、「カセット」という用語は、最適化されたプライマー配列、最適化されたプローブ配列、最適化された終止コドン、及び破壊された開始コドンを有する核酸配列を指すために使用される。
【0032】
本明細書において使用される場合、「核酸配列」という用語は、染色体DNA、並びにDNAプラスミド、ミトコンドリアDNA、及びウイルスRNAなどの染色体外核酸を含む、生物の全ての遺伝物質を指すために使用される。ある特定の実施形態において、「核酸配列」は、生物学的実体のゲノムDNA配列又はRNA配列を指す。
【0033】
本明細書において使用される場合、「所定の閾値」という表現は、野生型と比較した不活性なカセットの発現レベル間の差が統計的に有意となる閾値を指す。
【0034】
「約」は、核酸の値又は数が言及された値の10%変化し得ることを意味する。
【0035】
特徴又は形質を導入することも修飾することもなく、追跡可能な核酸を生物学的実体の核酸配列に導入するような、生物学的実体の不活性なバイオエンジニアリングのための方法及び組成物が、本明細書において提供される。ある特定の実施形態において、本明細書において記載される方法は、生物学的実体自体、及び/又は生物学的実体を含む材料、及び/又は生物学的実体から産生され、生物学的実体に由来するゲノムDNA若しくはRNAを含有する材料の識別及び/又はトレーサビリティを提供するために、生物学的実体のゲノム配列又は核酸配列に外因的に導入される(すなわち、挿入される/組み込まれる)固有の不活性な識別子配列(本明細書において、核酸固有識別子配列とも呼ばれる)を使用してもよい。ある特定の実施形態において、本明細書において記載される戦略は、識別及び/又はトレーサビリティを提供するために、DNA又はRNAなどの核酸の耐久性及び複製能力という利益を受け得る。したがって、材料のトレーサビリティは、ある特定の非限定的な適用において、サプライチェーン内の生物学的材料の証明及び/又は識別の状況において利用され得る。例えば、限定はしないが、以下の産業でのサプライチェーンの製品及び材料の追跡が検討される:オイル及びガスのための流体管理、エレクトロニクス、包装、織物、鉱業、食品、動物飼料、医薬品、並びに生物製剤、合成物、及びサプリメントを含む栄養補助食品。他の適用は当業者に明らかであろう。
【実施例1】
【0036】
生物学的実体を不活性にバイオエンジニアリングするための方法
好ましい実施形態に従うと、生物学的実体において特徴を導入も修飾もすることなく不活性なカセットを含む外因性の核酸を生物学的実体に導入することによる、生物学的実体をバイオエンジニアリングするための方法が提供される。本方法は、核酸配列を有する生物学的実体を含む試料を受け取る又は提供すること、不活性なカセットの挿入のために核酸配列内で適切な組込み部位を選択すること、最適化されたプライマー配列、最適化されたプローブ配列、最適化された終止コドン、及び破壊された開始コドンを含む不活性なカセットを設計し、不活性な核酸カセットを選択された組込み部位で生物学的実体に挿入すること、生物学的実体においていかなる特徴の追加も修飾もされていないことを確認すること、並びに生物学的実体を不活化することを含む。
【0037】
好ましい実施形態に従った、生物学的実体を不活性に識別するための方法の概要フローチャートを、図1に示す。
【0038】
組込み部位の選択
本方法はまず、生物学的実体を含む試料を受け取る又は提供することを含む。生物学的実体の核酸配列は、不活性なカセットの挿入のための核酸配列内の適切な組込み部位の選択を知らせる。組込み部位は、任意の所与の生物学的実体のために既に確立されていてよい。このようにして、選択ステップはまず、当技術分野において周知の1又は2以上のデータベースを使用して新たな部位が必要かどうかを決定することを要する。新たな部位が必要であれば、当技術分野において周知の様々な分子生物学アプローチを使用して、適切な部位についての特質が実験的に決定され得るが、それは、これらの特質が生物ごと又は株ごとに変化し得るためである。遺伝的景観が決定され、生物学的実体の複数の特質が考慮された後、利用可能なゲノムデータの制限内で、不活性なカセットの挿入のための標的部位の選択が行われる。
【0039】
好ましい実施形態に従った、適切な組込み部位を選択するための方法の概要フローチャートを、図2に示す。
【0040】
サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)内での組込み部位の選択を図3に示す。選択はまず、宿主ゲノムのスクリーニング、並びに、任意の特徴付けされた推定遺伝子、オープンリーディングフレーム、及び/又は関連する特徴の同定を要する。いずれかの核酸鎖上で任意の方向の、特徴付けされた推定遺伝子、オープンリーディングフレーム、及び/又は関連する特徴から所定の距離(ヌクレオチド塩基対で測定され、bpで示されている)内にある潜在的部位が、次いで選択される。潜在的部位を同定するために使用され得る1つの基準は、少なくとも250bpの距離であるが、それは、この距離が、真核生物では遺伝子から約250bp離れている近位のプロモーター領域の破壊を避けるために十分であると予想されるためである(Goni, J. R., Perez, A., Torrents, D., & Orozco, M. (2007). Determining promoter location based on DNA structure first-principles calculations. Genome Biology, 8(12), R263. https://doi.org/10.1186/gb-2007-8-12-r263)。少なくとも250bpの距離はまた、いくつかの生命ドメインにわたって終止コドンから典型的には100~200bp離れて広がるターミネーターの5’UTRの破壊を避けるために十分であると予想される(Mignone, F., Gissi, C., Liuni, S., & Pesole, G. (2002). Genome Biology, 3(3), reviews0004.1. https://doi.org/10.1186/gb-2002-3-3-reviews0004)。部位を選択するために使用され得る別の基準は、カセットの転写を指示する特徴付けされたプロモーター及び/又は推定プロモーターの非存在であり、これらプロモーターは、例えばReese, M. G. (2001). Application of a time-delay neural network to promoter annotation in the Drosophila melanogaster genome. Computers & Chemistry, 26(1), 51-56. https://doi.org/10.1016/s0097-8485(01)00099-7において記載されている方法を使用してインシリコでスクリーニングされ得る。図3は、本明細書において上記で記載された所望の特質を与えられた適切な部位を示している。
【0041】
加えて、選択された部位は、密に充填されたDNAを特徴とするテロメア及びセントロメアの近くで典型的に見られる遺伝子座であるヘテロクロマチン領域内に好ましくは位置し得る。これらの領域におけるヘテロクロマチン遺伝子の位置は、遺伝子サイレンシングを生じさせることが知られている(Gartenberg, M. R., & Smith, J. S. (2016). The Nuts and Bolts of Transcriptionally Silent Chromatin in Saccharomyces cerevisiae. Genetics, 203(4), 1563-1599. https://doi.org/10.1534/genetics.112.145243)。サイレンシングを生じさせるために、ヘテロクロマチン領域内にカセットを組み込むことが望ましい場合がある。さらに、部位の選択は、レトロウイルス感染を連想させるゲノム内の反復領域である長鎖末端反復(LTR)内に好ましくは位置し得る(Coffin JM, Hughes SH, Varmus HE, editors. Cold Spring Harbor (NY): Cold Spring Harbor Laboratory Press; 1997)。宿主生物に元々備わっている重要な遺伝子を破壊しないことに加えて、LTR領域へのカセットの組込みは、これらの遺伝子座がゲノム内で数十回又はさらには数百回反復することが多いため、カセットの過剰なコピーを生じさせるという追加の利益を有し得る(Shi, S., Liang, Y., Zhang, M. M., Ang, E. L., & Zhao, H. (2016). A highly efficient single-step, markerless strategy for multi-copy chromosomal integration of large biochemical pathways in Saccharomyces cerevisiae. Metabolic Engineering, 33, 19-27. https://doi.org/10.1016/j.ymben.2015.10.011)。
【0042】
不活性なカセットの設計
標的部位が選択されたら、本方法は次に、生物学的実体への組込みのための任意の配列を有する不活性なカセットの設計を伴う。生物学的実体における特徴の導入も修飾も伴わない適切な不活性なカセットを設計するために、終止コドンの配置は、当技術分野において周知の1又は2以上の、宿主コドンに最適化されたデータベースから選択される。これらの終止コドンは、互いに様々な距離であってよく、事前に決定された組合せで、カセットの全体にわたり反復していてもよい。選択されたら、終止コドンの配置はカセットに追加され、当該カセットは、野生型の生物学的実体及び公知の核酸モチーフのデータベースに照らして、重要なあらゆる追加の配列について再検討される。同定された重要な配列は次いで、重要な配列がなくなるまで破壊される。加えて、設計から生じるあらゆる開始コドンが破壊される。結果として得られたカセットの配列は次いで、データベースに保存される。
【0043】
好ましい実施形態に従った、不活性なカセットを設計するための方法の概要フローチャートを、図4に示す。
【0044】
カセット設計の一例(配列番号1)を図5に示す。カセットは最大約1500bpの長さであり得、インシリコで設計された、文献から再現された、又は、qPCR(配列番号3及び12)(Bustin, S., & Huggett, J. (2017). qPCR primer design revisited. Biomolecular Detection and Quantification, 14, 19-28. https://doi.org/10.1016/j.bdq.2017.11.001)、シーケンシング(Dieffenbach, C. W., Lowe, T. M., & Dveksler, G. S. (1993). General concepts for PCR primer design. Genome Research, 3(3), S30-S37. https://doi.org/10.1101/gr.3.3.s30)、LAMPアッセイ(配列番号4、5、7、9、10、及び11)(Jia, B., Li, X., Liu, W., Lu, C., Lu, X., Ma, L., Li, Y.-Y., & Wei, C. (2019). GLAPD: Whole Genome Based LAMP Primer Design for a Set of Target Genomes. Frontiers in Microbiology, 10. https://doi.org/10.3389/fmicb.2019.02860)、RPA(Higgins, M., Ravenhall, M., Ward, D., Phelan, J., Ibrahim, A., Forrest, M. S., Clark, T. G., & Campino, S. (2018). PrimedRPA: primer design for recombinase polymerase amplification assays. Bioinformatics, 35(4), 682-684. https://doi.org/10.1093/bioinformatics/bty701)、並びに/若しくは他の増幅技術のためのカセットから選択された、最適化されたプライマー配列を含有し得る。カセットはまた、qPCRプローブ(配列番号8)のためにインシリコで最適化された配列(Bustin, S., & Huggett, J. (2017). qPCR primer design revisited. Biomolecular Detection and Quantification, 14, 19-28. https://doi.org/10.1016/j.bdq.2017.11.001)、又はCRISPR-Cas編集方法と共に使用するためのgRNA結合のための部位(Bourgeois, L., Pyne, M. E., & Martin, V. J. J. (2018). A Highly Characterized Synthetic Landing Pad System for Precise Multicopy Gene Integration in Yeast. ACS Synthetic Biology, 7(11), 2675-2685. https://doi.org/10.1021/acssynbio.8b00339)を含有し得る。カセットは、カセット及びカセットに隣接する配列内の全ての転写開始を停止させるために、6つのリーディングフレーム全ての、並びにカセットの3’末端及び5’末端の両方において(配列番号2及び13)、並びにセンス鎖及びアンチセンス鎖の両方で、終止コドンを含有している。図5に示すように、例えば100bpよりも大きな、大きなカセットの設計では、全てのリーディングフレームの終止コドン配列が、50~300bpごとに間にランダムに挿入される(配列番号2、6、及び13)。この終止コドンの設計は、全てのこれまでに検出されていない、機能的タンパク質産物を生じさせる低レベルの転写されたRNAに関連する、リスクを軽減する。100アミノ酸より小さいペプチドは安定性、フォールディング力、及び/又は生化学的活性を有する可能性が低いため、約300bp、すなわち100アミノ酸のカットオフサイズが、典型的には、オープンリーディングフレーム(ORF,open reading frames)のアノテーションのための閾値である(Dujon B, Alexandraki D, Andre B, Ansorge W, Baladron V, Ballesta JPG, Banrevi A, Bolle PA, Bolotin-Fukuhara M, Bossier P, et al. Complete DNA sequence of yeast chromosome XI. Nature. 1994;369:371、White, S. H. (1994). The evolution of proteins from random amino acid sequences: II. Evidence from the statistical distributions of the lengths of modern protein sequences. Journal of Molecular Evolution, 38(4), 383-394. https://doi.org/10.1007/bf00163155)。例えば、6フレームの終止コドン配列は、TTAATTAATTAAであり得る。カセットは、開始コドンが除去又は破壊されるように設計される。加えて、不活性なカセットの設計された核酸配列は、推定プロモーター(Reese, M. G. (2001). Application of a time-delay neural network to promoter annotation in the Drosophila melanogaster genome. Computers & Chemistry, 26(1), 51-56. https://doi.org/10.1016/s0097-8485(01)00099-7)及び他の重要なモチーフの非存在についてインシリコでスクリーニングされる。推定プロモーター又は重要なモチーフが存在していれば、カセットは再設計される。
【0045】
カセットの組込みは、CRISPR-Casによって補助される二本鎖切断と、その後の相同性指向修復とで行われ得る(DiCarlo, J. E., Norville, J. E., Mali, P., Rios, X., Aach, J., & Church, G. M. (2013). Genome engineering in Saccharomyces cerevisiae using CRISPR-Cas systems. Nucleic Acids Research, 41(7), 4336-4343. https://doi.org/10.1093/nar/gkt135)。このアプローチでは、Casヌクレアーゼは、種特異的な高コピープラスミドにおいて、適切な種特異的プロモーターとターミネーターとの間で発現し、優性マーカー、例えば抗生物質耐性遺伝子によって選択される。加えて、プラスミドは、指定されたCasと適合するgRNAの発現を推進するための、種特異的なRNA polIIIプロモーターを含有し、ここで、スペーサーは、選択された部位を標的化するように選択された。本発明の範囲内である限り、不活性な核酸カセットを組み込むための他の方法も使用され得る。カセットは、その部位内での核酸の修復及びカセットの組込みを指示する75~500bpの相同性アームを含む合成核酸ブロックとして作製され得る。適切な核酸の形質転換が行われるが、これは各生物に適合されるべきである。その後、形質転換された生物は、所望の部位でのカセットの核酸配列の存在についてプレスクリーニングされ、このプロセスはコロニーPCRと呼ばれることがあり、この方法は、例えばSheu, D.-S., Wang, Y.-T., & Lee, C.-Y. (2000). Rapid detection of polyhydroxyalkanoate-accumulating bacteria isolated from the environment by colony PCR. Microbiology, 146(8), 2019-2025. https://doi.org/10.1099/00221287-146-8-2019で記載されている。本発明の範囲内である限り、所望の部位でのカセットの核酸配列の存在についてプレスクリーニングするための他の方法も使用され得る。
【0046】
プレスクリーニングが完了したら、陽性の生物は、ヌクレアーゼを発現するプラスミドを除去するためにプラスミド選択の非存在下で、例えば抗生物質の非存在下で培養され、このプロセスは、Rodriguez-Lopez, M., Cotobal, C., Fernandez-Sanchez, O., Borbaran Bravo, N., Oktriani, R., Abendroth, H., Uka, D., Hoti, M., Wang, J., Zaratiegui, M., & Bahler, J. (2017). A CRISPR/Cas9-based method and primer design tool for seamless genome editing in fission yeast. Wellcome Open Research, 1, 19. https://doi.org/10.12688/wellcomeopenres.10038.3に記載されているように、プラスミドのキュアリングと呼ばれることがある。株がヌクレアーゼプラスミドをキュアリングされた後、続いて一連の確認が同時に行われ得る。
【0047】
不活性なカセットの確認
カセットがインシリコで設計されたら、カセットは次いで、当技術分野において周知の標準的な分子生物学技術を使用して、実験的に合成され、適切なプラスミドに挿入され得る。カセットを含有するプラスミドは次いで、生物学的実体に形質転換され、形質転換された生物学的実体が不活性なバイオエンジニアリング事象のための要件を満たしていることを確認するための確認ステップが行われる。生物学的実体のゲノム核酸がまず抽出され、カセットが正確な配列を有しているかどうかを評価するため、カセットが正確な部位に組み込まれたことを確認するため、及び何らかの顕著な確認エラーが生じているかどうかを検証するために、全ゲノムシーケンシング(WGS,whole genome sequencing)にかけられる。これらの確認エラーとしては、限定はしないが、1)オフターゲット効果の再検討のプロセス、2)組込み部位の再検討のプロセス、及び3)カセット配列の再検討のプロセスが含まれる。オフターゲット変異事象が生じていれば、別のコロニーがスクリーニングされ得る。これは、選択されたコロニーが確認基準を満たすまで複数回反復され得る。確認が何回かの繰り返しの後に失敗した場合は、不活性なカセットの再設計が必要とされ得る。これらの確認ステップの全てが各確認プロセスの実行で完了される必要はない。バイオエンジニアリング確認ステップは、形質転換体が不活性なバイオエンジニアリング事象のための要件を満たすことを確実にするために重要である。本発明の範囲内である限り、追加の確認ステップを行っても、一部の確認ステップを省略してもよい。アイコン
【0048】
【化1】
【0049】
によって示されている複雑なゲートウェイは、プロセス内の変化し得るタスクを記載している。しかし、いくつかのタスクセットが必要とされる場合、セット全体が成功裏に完了されなければならない。そのセット内の1つのタスクが失敗したらすぐに、プロセス全体が失敗し、終了する。いずれのケースにおいても(成功でも失敗でも)、結果はデータベースに記録される。
【0050】
好ましい実施形態に従った、生物学的実体においていかなる特徴の追加も修飾もされていないことを確認するための本方法の概要フローチャートを、図6に示す。
【0051】
典型的な実施形態において、CRISPR-Cas9及びハイグロマイシン耐性遺伝子を有するgRNA発現プラスミドを使用して、サッカロミセス・セレビシエS288Cを、遺伝子TRM7から810bp離れ、遺伝子OCR2から1461bp離れた部位において、370bpの組込みカセットで形質転換した。4つの形質転換体のゲノムDNAを抽出すること、及び野生型株における組込み部位に隣接する500bpに対応する領域を増幅するプライマーを用いてコロニーPCRを行うことによって、プレスクリーニングコロニーPCRを行った。アガロースゲル電気泳動は、挿入された不活性なカセットに対応するDNA断片の分子量の増大を示した。このことは、形質転換体が選択された部位においてカセットを成功裏に組み込まれていることを示した。
【0052】
生物学的実体への不活性なカセットのゲノム組込みの確認の次に、カセットの組込みが生物学的実体のいかなる特徴の導入も修飾もしなかったことを確認するための、表現型の特徴付けが行われる。
【0053】
そのため、生物学的実体はバイオマス産生条件下で培養され、発現の再検討のためにRNAが抽出される。例えば、発現の再検討は、カセットを有しない野生型株と比較した、カセットの発現レベルを定量するための、カセットの増幅を標的化するリバーストランスクリプターゼqPCRに基づき得る(Freeman, W. M., Walker, S. J., & Vrana, K. E. (1999). Quantitative RT-PCR: Pitfalls and Potential. BioTechniques, 26(1), 112-125. https://doi.org/10.2144/99261rv01において記載されている)。シグナルが、許容される上限閾値として同定されるものよりも大きければ、部位及び/又はカセットは再設計される必要があり得る。本発明の範囲内である限り、発現の再検討のための他の方法も使用され得る。
【0054】
図7に示す例において、プレスクリーニングされたサッカロミセス・セレビシエS288Cの形質転換体の1つをバイオマス産生条件下で培養し、そのRNAを(組込み体)、同一の370bpのカセットをプラスミドにクローニングした株(BY4743+ベクター)及び野生型株(BY4743)と並行して、抽出した。RNAをcDNAに逆転写し、これを次いで、カセット内で結合するプライマー及びプローブを使用してqPCRにかけた。組込み体は、プラスミドに組み込まれたカセット(BY4743+ベクター)で又はカセットの非存在下で(BY4743)見られたものと比較して、カセットの発現の有意な増大倍率を示す。これは、例えば、特徴付けされていないプロモーターの下流でのカセットの挿入において、部位/カセットのDNA配列の組合せに応じて予期せぬRNA発現が生じ得ることを明らかに示している。
【0055】
表現型の特徴付けの次に、生存能力の分析が行われる。不活性なカセットを含む生物学的実体を、野生型株と並行して、かつ同一の条件下で培養して、増殖曲線が重複するかを評価し、カセットの組込みが何らかの遺伝子、代謝調節、又は、増殖を調節し得るあらゆる他の特徴を乱したかどうかを決定する。
【0056】
図8に示す例において、野生型のサッカロミセス・セレビシエS288C株(緑)の増殖曲線と組込み体(青)の増殖曲線は、OD640によって経時的に測定すると、重複している。このことは、カセットの導入が、増殖に負の影響を与えるいかなる特徴も導入しなかったことを示している。
【0057】
加えて、図9に示すように、代謝調節が、カセットを含有する生物学的実体の糖消費プロファイルを野生型株と比較することによって評価され得る。この実施例において、糖消費を、比重測定を使用して追跡した(De Clerck, J. A textbook of Brewing, Translated by Kathleen Barton-Wright, Chapman & Hall,, London 1958 Vol. II p427)。これは、Sonderegger, M., & Sauer, U. (2003). Evolutionary Engineering of Saccharomyces cerevisiae for Anaerobic Growth on Xylose. Applied and Environmental Microbiology, 69(4), 1990-1998. https://doi.org/10.1128/aem.69.4.1990-1998.2003において記載されているように、自動プレートリーダーを備えたマイクロプレートで、又は、試料を経時的に手動で採取し、バイオマス濃度と相関する光学密度シグナルの変化を評価することによって、行うことができる。野生型のサッカロミセス・セレビシエS288C株(緑)の糖消費の曲線と組込み体(青)の糖消費の曲線とは、比重によって測定すると、重複している。このことは、カセットの導入が、糖代謝に負の影響を与えるいかなる特徴も導入しなかったことを示している。本発明の範囲内である限りにおいて、いかなる特徴の追加も修飾もされていないことを確認するために、当技術分野において周知の他の生物学的特徴も評価され得ることが理解される。例えば、分子シグネチャー及び細胞シグネチャー、環境に対する感受性又は応答、再生、増殖、及び発生、調節、ホメオスタシス、並びにエネルギー処理が評価され得る。
【0058】
確認された生物学的実体は次いで、商業化に適格であるとされ得、株リポジトリに保存され得る。あるいは、規制のハードルを満たすため及び/又は生物学的実体においていかなる特徴の修飾も追加もされていないことを確実にするために、さらなる確認ステップを行ってもよい。これらのさらなる確認ステップは、例えば、化学当量、及び質量分析を伴うプロテオミクスを含み得る。
【0059】
ポストプロセシング
好ましい実施形態に従うと、世代間変異及び環境放出の可能性を限定するための、さらなるポストプロセシングステップが含まれる。ポストプロセシングは、生物学的実体の不活化と、その後の、不活化の成功を確実にするための当技術分野において周知の増殖実験を含む。宿主生物のための不活化ステップが選択され、選択された種に従って適合される。熱不活化(Couto, J. A., Neves, F., Campos, F., & Hogg, T. (2005). Thermal inactivation of the wine spoilage yeasts Dekkera/Brettanomyces. International Journal of Food Microbiology, 104(3), 337-344. https://doi.org/10.1016/j.ijfoodmicro.2005.03.014に記載されている)、化学的不活化(Li, Y., & Wu, C. (2013). Enhanced inactivation of Salmonella Typhimurium from blueberries by combinations of sodium dodecyl sulfate with organic acids or hydrogen peroxide. Food Research International, 54(2), 1553-1559. https://doi.org/10.1016/j.foodres.2013.09.012)、又はこれらの2つのプロセスの組合せを行うことができる。例えば、熱不活化は、バイオマス又は水若しくはバッファーで洗浄されたバイオマスを含有する発酵ブロスの、ある特定の温度、例えば85℃で、ある特定の時間、例えば20分間の、インキュベーションによって達成され得る。化学的不活化は、バイオマス又は水若しくはバッファーで洗浄されたバイオマスを含有する発酵ブロスに酢酸をある特定の濃度、例えば5~1%v/vまで添加して、これをある特定の処理時間、例えば20分間にわたり放置しておくことによって、達成され得る。細胞の不活化の後、トリパンブルーなどの細胞染色方法を行うことができ、これは、細胞死の程度を示し、こうして、本方法が効果的であったかどうかを示す(Kucsera, J., Yarita, K., & Takeo, K. (2000). Simple detection method for distinguishing dead and living yeast colonies. Journal of Microbiological Methods, 41(1), 19-21. https://doi.org/10.1016/s0167-7012(00)00136-6)。
【0060】
好ましい実施形態に従った、生物学的実体を不活化するための本方法の概要フローチャートを、図10に示す。
【0061】
図11に示す例において、細胞死を評価するためにトリパンブルー染色を選択した。選択された生物であるサッカロミセス・セレビシエS288Cを、85℃で20分間インキュベートした。トリパンブルーで染色され陽性の青色染色を示す細胞は細胞死を示し、細胞死は処理が効果的であったことを示すが、決定的な結果を得るためには、CFU/mgでのさらなる裏付けが必要である。
【実施例2】
【0062】
不活性なカセットの設計及び特徴付け
不活性なカセットの設計の別の例(配列番号14)を図12に示す。カセットは322bpの長さであり、シーケンシング(配列番号18及び29)、qPCR(配列番号21及び27)、ループ介在等温増幅(LAMP,loop mediated isothermal amplification)(配列番号19、22、25、28、30、及び31)、並びにレコンビナーゼポリメラーゼ増幅(RPA,recombinase polymerase amplification)(配列番号20及び26)のためのインシリコで設計されたプライマーを含有する。カセットはまた、qPCRプローブ(配列番号24)及びgRNA結合配列(配列番号16及び17)も含有する。カセットはまた、6つのリーディングフレーム全てのための戦略的に配置された終止コドン(TTAATTAATTAA)を含有する。これらの終止コドンは、カセットの両隣及びカセット内にある(配列番号15、23、及び32)。不活性なカセットを、Reese, M. G. (2001). Application of a time-delay neural network to promoter annotation in the Drosophila melanogaster genome. Computers & Chemistry, 26(1), 51-56. https://doi.org/10.1016/s0097-8485(01)00099-7において記載されている本方法を用いて、推定プロモーター配列についてスクリーニングした。
【0063】
図13は、サッカロミセス・セレビシエのII番染色体にある2つのガラクトース利用遺伝子GAL10及びGAL7の遺伝子間領域に位置する、カセットの組込みのための選択された部位を示している。選択された部位(配列番号34)は、遺伝子GAL7(配列番号33)の291bp下流及び遺伝子GAL10(配列番号35)の428bp上流に位置する。図12に示す不活性なカセットを、図13に示す部位に組み込んだ。組込みを、サンガーシーケンシング及び全ゲノムシーケンシングによって確認した。
【0064】
図14は、サッカロミセス・セレビシエのXI番染色体にある遺伝子MTR2及びASH1の遺伝子間領域に位置する、カセットの組込みのための選択された部位を示している。選択された部位(配列番号37)は、遺伝子MTR2(配列番号36)の737bp下流及び遺伝子ASH1(配列番号38)の463bp上流に位置する。図12に示す不活性なカセットを、図14に示す部位に組み込んだ。組込みを、サンガーシーケンシング及び全ゲノムシーケンシングによって確認した。
【0065】
図15は、サッカロミセス・セレビシエのX番染色体にある遺伝子IME2及びSET4の遺伝子間領域に位置する選択された部位を示している。選択された部位(配列番号40)は、遺伝子IME2(配列番号39)の1045bp下流及び遺伝子SET4(配列番号41)の682bp上流に位置する。図12に示す不活性なカセットを、図15に示す部位に組み込んだ。組込みを、サンガーシーケンシング及び全ゲノムシーケンシングによって確認した。
【0066】
図16に示す例において、図13に示す選択された部位において図12に示す不活性なカセットで改変されたサッカロミセス・セレビシエ株を、バイオマス産生条件下で培養し、そのRNAを抽出した。RNAをcDNAに逆転写し、これを次いで、カセット内で結合するプライマー及びプローブを使用するqPCRを介して分析した。組込み体(cDNA、左から5番目のバー)は、RTのないコントロール(NRT、左から6番目のバー)と比較して、カセットの発現の統計的に有意な増大を示していない。内部コントロールを、遺伝子ACT1(cDNA、左から1番目のバー;NRT、左から2番目のバー)及びFBA(cDNA、左から3番目のバー;NRT、左から4番目のバー)について使用した。このことは、RNA発現がこの改変事象では生じなかったことを示している。
【0067】
図17は、図13に示す選択された部位において図12に示す不活性なカセットで改変されたサッカロミセス・セレビシエ株(オレンジ)と比較した、野生型のサッカロミセス・セレビシエ株(青)の増殖曲線を示す図である。このケースにおいて、曲線は、OD600によって経時的に測定すると、重複している。このことは、カセットの導入が、統計的有意性を伴って増殖に影響を与えるいかなる特徴も導入しなかったことを示している。
【0068】
図18に示す例において、野生型サッカロミセス・セレビシエ株(青)の糖消費曲線が、図13に示す選択された部位において図12に示す不活性なカセットで改変されたサッカロミセス・セレビシエ株(オレンジ)と比較されている。このケースにおいて、糖消費の曲線は、アンプレックスレッドグルコースアッセイによって測定すると、重複している。このことは、カセットの導入が、統計的有意性を伴って糖代謝に影響を与えるいかなる特徴も導入しなかったことを示している。
【0069】
図19に示す例において、図14に示す選択された部位において図12に示す不活性なカセットで改変されたサッカロミセス・セレビシエ株を、バイオマス産生条件下で培養し、そのRNAを抽出した。RNAをcDNAに逆転写し、これを次いで、カセット内で結合するプライマー及びプローブを使用してqPCRにかけた。組込み体(cDNA、左から5番目のバー)は、RTのないコントロール(NRT、左から6番目のバー)と比較して、カセットの発現において有意な増大を示していない。内部コントロールを、遺伝子ACT1(cDNA、左から1番目のバー;NRT、左から2番目のバー)及びFBA(cDNA、左から3番目のバー;NRT、左から4番目のバー)について使用した。このことは、RNA発現がこの改変事象では生じなかったことを示している。
【0070】
図20に示す例において、野生型サッカロミセス・セレビシエ株(青)の増殖曲線が、図14に示す選択された部位において図12に示す不活性なカセットで改変されたサッカロミセス・セレビシエ株(オレンジ)と比較されている。このケースにおいて、曲線は、OD600によって経時的に測定すると、重複している。このことは、カセットの導入が、統計的有意性を伴って増殖に影響を与えるいかなる特徴も導入しなかったことを示している。
【0071】
図21に示す例において、野生型サッカロミセス・セレビシエ株(青)、及び図14に示す選択された部位において図12に示す不活性なカセットで改変されたサッカロミセス・セレビシエ株(オレンジ)の、糖消費曲線が示されている。このケースにおいて、糖消費の曲線は、アンプレックスレッドグルコースアッセイによって測定すると、重複している。このことは、カセットの導入が、統計的有意性を伴って糖代謝に影響を与えるいかなる特徴も導入しなかったことを示している。
【0072】
図22に示す例において、図15に示す選択された部位において図12に示す不活性なカセットで改変されたサッカロミセス・セレビシエ株を、バイオマス産生条件下で培養し、そのRNAを抽出した。RNAをcDNAに逆転写し、これを次いで、カセット内で結合するプライマー及びプローブを使用するqPCRを介して分析した。組込み体(cDNA、左から5番目のバー)は、RTのないコントロール(NRT、左から6番目のバー)と比較して、カセットの発現の統計的に有意な増大を示していない。内部コントロールを、遺伝子ACT1(cDNA、左から1番目のバー;NRT、左から2番目のバー)及びFBA(cDNA、左から3番目のバー;NRT、左から4番目のバー)について使用した。このことは、RNA発現がこの改変事象では生じなかったことを示している。
【0073】
図23に示す例において、野生型サッカロミセス・セレビシエ株(青)、及び図15に示す選択された部位において図12に示す不活性なカセットで改変されたサッカロミセス・セレビシエ株(オレンジ)の、増殖曲線が示されている。このケースにおいて、曲線は、OD600によって経時的に測定すると、重複している。このことは、カセットの導入が、統計的有意性を伴って増殖に影響を与えるいかなる特徴も導入しなかったことを示している。
【0074】
図24に示す例において、野生型サッカロミセス・セレビシエ株(青)、及び図15に示す選択された部位において図12に示す不活性なカセットで改変されたサッカロミセス・セレビシエ株(オレンジ)の、糖消費曲線が示されている。このケースにおいて、糖消費の曲線は、アンプレックスレッドグルコースアッセイによって測定すると、重複している。このことは、カセットの導入が、統計的有意性を伴って糖代謝に影響を与えるいかなる特徴も導入しなかったことを示している。
【0075】
本発明の例示的な及び現在のところ好ましい実施形態を上記で詳細に記載してきたが、発明の概念は別の様式で様々に具現化及び採用され得ること、並びに、添付の特許請求の範囲は、先行技術によって限定される限りのものを除くこのような変型を含むと解釈されるものであることが理解される。
【0076】
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【配列表】
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【国際調査報告】