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特表2024-520488気化器又は同様の装置における燃料霧化を改善するための単方向燃料ノズル
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-24
(54)【発明の名称】気化器又は同様の装置における燃料霧化を改善するための単方向燃料ノズル
(51)【国際特許分類】
   F02M 19/03 20060101AFI20240517BHJP
【FI】
F02M19/03 C
F02M19/03 F
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023573079
(86)(22)【出願日】2021-12-10
(85)【翻訳文提出日】2023-11-24
(86)【国際出願番号】 PH2021050043
(87)【国際公開番号】W WO2022250549
(87)【国際公開日】2022-12-01
(31)【優先権主張番号】12021050239
(32)【優先日】2021-05-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】PH
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523444659
【氏名又は名称】ベルナルド,ロメール
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】ベルナルド,ロメール
(57)【要約】
本発明は、概して、気化器又は同様の装置における燃料霧化を改善するためのデバイス及び方法に関する。より具体的には、本発明は、燃焼機関の燃料-空気混合室に噴射される燃料の霧化を改善するように設計された単方向燃料ノズルを提供する。燃料ノズルは、ノズルの円筒形本体の一方の半体を通る複数の穿孔と、円筒形本体の他方の半体の外側表面上に配設された複数のディンプルとを備える。穿孔の各々は、円筒形本体の内側表面と外側表面とを接続し、かつ外側表面において、半球状空洞によって画定されている空気タービュレータで終端する。同様に、ディンプルの各々は、空気タービュレータとともに設計されているが、内側表面の全体にわたって突出していない。これらの空気タービュレータは、空気圧に応答して、燃料ノズルの表面上に乱流を作り出し、これにより、燃料ノズルの表面からの空気の分離を遅延させ、結果として、燃料液滴の破壊を促進する。事実上、これは、空気と混合する燃料の霧化を増加させ、これにより、エンジンの燃料燃焼効率が改善される。穿孔を通して燃焼機関に向かって燃料を単方向に高速噴射することによって、より高い燃料燃焼効率が更に達成される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料ノズルによって気化器内の燃料霧化を改善するための方法であって、前記燃料ノズルは、円筒形本体であって、外側表面と前記円筒形本体の内側の中央に配設された燃料トンネルとを有し、前記燃料トンネルは、前記円筒形本体の長さを通り抜け、中に内側表面を形成する中央開口部によって画定されている、円筒形本体と、前記円筒形本体の一方の半体上に配設された複数の穿孔であって、前記穿孔の各々は、前記円筒形本体の前記内側表面と前記外側表面とを連通させ、かつ前記円筒形本体の前記外側表面において、半球状空洞によって画定されている空気タービュレータで終端する、複数の穿孔と、前記円筒形本体の他方の半体の前記外側表面上に配設された複数のディンプルであって、前記ディンプルの各々は、前記円筒形本体の前記外側表面において半球状空洞によって画定されている、複数のディンプルと、を備え、前記方法は、
空気が前記気化器に入ることを許容する行為と、
許容された前記空気が、前記複数の穿孔の前記空気タービュレータの各々を通って流れ、かつ前記複数のディンプルを通って流れるときに、前記燃料ノズルの前記外側表面上に空気渦を発生させる行為と、
燃料液滴を前記複数の穿孔を通して前記気化器の空気-燃料混合室に噴射する行為と、を含み、噴射された前記燃料液滴は、発生した前記空気渦によって霧化される、方法。
【請求項2】
前記複数の穿孔及びディンプルの両方は、前記円筒形本体の円周の周りに円形の列に配置されている、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記円形の列は、互い違いの配置で更に構成されている、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記穿孔の各々は、前記燃料ノズルの下流側に面している、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記ディンプルの各々は、前記燃料ノズルの上流側に面している、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記円筒形本体の一方の端部部分の周りに配設されたフェルールを更に備える、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
気化器内の燃料霧化を改善するための燃料ノズルであって、
円筒形本体であって、外側表面と前記円筒形本体の内側の中央に配設された燃料トンネルとを有し、前記燃料トンネルは、前記円筒形本体の長さを通り抜け、中に内側表面を形成する中央開口部によって画定されている、円筒形本体と、
前記円筒形本体の一方の半体上に配設された複数の穿孔であって、前記穿孔の各々は、前記円筒形本体の前記内側表面と前記外側表面とを連通させ、かつ前記円筒形本体の前記外側表面において、半球状空洞によって画定されている空気タービュレータで終端する、複数の穿孔と、
前記円筒形本体の他方の半体の前記外側表面上に配設された複数のディンプルであって、前記ディンプルの各々は、前記円筒形本体の前記外側表面において、半球状空洞によって画定されている、複数のディンプルと、を備える、燃料ノズル。
【請求項8】
前記複数の穿孔及びディンプルの両方は、前記円筒形本体の円周の周りに円形の列に配置されている、請求項7に記載の燃料ノズル。
【請求項9】
前記円形の列は、互い違いの配置で更に構成されている、請求項8に記載の燃料ノズル。
【請求項10】
前記穿孔の各々は、前記燃料ノズルの下流側に面している、請求項7に記載の燃料ノズル。
【請求項11】
前記ディンプルの各々は、前記燃料ノズルの上流側に面している、請求項10に記載の燃料ノズル。
【請求項12】
前記円筒形本体の一方の端部部分の周りに配設されたフェルールを更に備える、請求項7に記載の燃料ノズル。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
(技術分野)
本発明は、概して、気化器又は同様の装置における燃料霧化を改善するためのシステム及び方法に関する。より詳細には、本発明は、燃焼機関の燃料-空気混合室に噴射される燃料の霧化を改善するように設計された単方向燃料ノズルに関する。
【0002】
(背景技術)
小~中排気量エンジンのための気化器に見られる従来の主燃料ノズルは、液体ガソリンが噴射して燃料-空気混合室に入る出口を1つしか有していない。自動二輪車又はそれ以前のモデルの自動車の気化器は、液体燃料の流れを直接制御しないが、気化器は、エンジンに入る空気の流れを制御する。その流れの速度及び圧力が、どれだけの燃料が空気流と混合されるかを決定することになる。低い空気速度は、特に、主燃料ノズル及びジェットニードル(自動二輪車用)の周囲領域での圧力低下の不足をもたらし、燃料送達を非効率的かつ不十分にする。更に、低速燃料噴射は、燃料を十分に霧化することができず、燃料容積が不十分になるという現象に拡がる。
【0003】
先行技術で見出されるように、より効率的な燃料燃焼のために、空気をあわせた燃料のエマルジョン化を改善するためのシステムが存在する。WO1997/037120A1は、上流側オリフィス及び複数の下流側オリフィスを有する燃料ノズルを開示しており、上流側オリフィスの表面積は、燃料が下流側オリフィスのみを通って引き出されるのを制限するために、下流側オリフィスの表面積よりも小さい。WO1997/037120A1は更に、恐らく、燃料を吐出するノズルの傾向に関して、燃料ノズルの性能を改善するために、表面から内側に向かって面積が変化する構成を有するオリフィスを記載している。US2003/0160341A1は、混合気を気化器のベンチュリ部分に取り込む前に、空気-燃料混合気をねじ付き又は他の刻み付き表面上、又は隆起、突起、空洞、若しくはディンプル上を通過させることによって、燃料エマルジョンを改善するための方法を提供する。これらのディンプル及び等価物は、燃焼室に送達される空気及び燃料の両方が入る、任意の通路又はエマルジョン化された燃料/空気の送達システムに位置することができる。事例では、主送達管又は主ノズル内に、障害物などがあることがある。
【0004】
WO1997/037120A1及びUS2003/0160341A1の両方は、概して、燃料エマルジョン又は燃料を吐出するノズルの傾向を改善するために表面から内向きに面積が変化するディンプル又はオリフィスを開示しているが、先行技術は、ノズル本体の他方の半体上に、外側半球状空洞とともに円周方向に一方の半体上に配設されたディンプルと貫通孔穿孔との組み合わせを伴って設計された燃料ノズルを具体的に開示していない。この設計は、燃焼室に向かう燃料液滴の霧化及び浸透を大幅に改善する。したがって、例えば、自動二輪車の乗り手に対して燃料消費量の大幅な節約をもたらし、二酸化炭素噴射量が少ないために環境にも利益をもたらすことができる。
【0005】
(発明の概要)
本発明の目的は、燃焼機関における燃料霧化及び浸透を改善する方法を提供することである。本発明の更なる目的は、燃焼機関の燃料-空気混合室に噴射される燃料の霧化を改善するように設計された燃料ノズルを提供することである。燃料ノズルは、ノズルの円筒形本体の一方の半体を通る複数の穿孔と、他方の半体の外側表面上に配設された複数のディンプルとから構成されている。穿孔の各々は、円筒形本体の内側表面及び外側表面の全体にわたって延在しており、かつ外側表面において、半球状空洞によって画定されている空気タービュレータで終端する。一方、ディンプルの各々はまた、空気タービュレータとともに設計され、外側表面のみにおいて半球状空洞として画定され、かつ内側表面を貫通して突出していない。これらの空気タービュレータは、空気が気化器の空気-燃料混合室に入り、タービュレータの各々を通って流れるときに、ノズルの外側表面上に空気渦を発生させる。結果として、これは、穿孔を通して燃焼室に向かう方向に噴射される燃料液滴の更なる破壊を容易にし、それによって、燃焼機関における燃料の霧化を改善する。
【0006】
燃料ノズルの一方の半体上に穿孔を有する設計は、燃料が穿孔を通して燃焼機関に向かって単方向-下流方向-高速の方法で噴射されるため、更に高い燃料燃焼効率をもたらす。
【0007】
(図面の簡単な説明)
添付の図面は、本発明の更なる理解を提供するために含まれ、本発明の実施形態を例示するために本明細書に組み込まれる。記載とともに、図面はまた、本発明の原理を説明する役割を果たす。
【0008】
図1A及び1Bは、本発明の好ましい実施形態による燃料ノズルの斜視図を示す。
【0009】
図1C、1D及び1Eは、本発明の好ましい実施形態による燃料ノズルの断面図を示す。
【0010】
(発明を実施するための形態)
霧化は、燃料オイル粒子を極めて小さい液滴に分解するプロセスである。これにより、霧化は、燃焼空間で燃料を燃焼させることをより容易にする。液滴が破壊されるほど、霧化がより良好になる。燃料の霧化された粒子の品質は、浸透プロセスに寄与することによって、燃焼の品質を高めるのに更に役立つ。浸透は、燃焼直前に燃焼室内部の燃料粒子が移動する距離である。霧化プロセスにおける燃料粒子が小さいほど燃料粒子はより軽くなり、燃料ノズルから離れて適切に燃焼されるように空気圧によって更に運ばれることになる。このプロセスを改善するために、本発明の様々な実施形態が提示される。
【0011】
本発明の好ましい実施形態において、図1Aは、気化器又は同様の装置における燃料霧化を改善するための燃料ノズル100を示す。燃料ノズル100は、好ましくは、外側表面104及び内側表面106を有する円筒形本体102を有する。円筒形本体102は、好ましくは、耐ガソリン性かつ耐熱性の材料で作製されている。複数の穿孔108が、円筒形本体102の一方の半体を貫通して配設され、一方、複数のディンプル110が、円筒形本体102の他方の半体の外側表面104上に配設されている。燃料ノズル100は、円筒形本体102の一方の端部部分の周りに配設されたフェルール112を更に備える。フェルール112は、燃料ノズル100を気化器又は同様の装置に、好ましくは取り外し可能に、取り付ける又は装着するための手段としての役割を果たす。本発明の一実施形態では、燃料ノズルは、気化器内に固定することができる。図1Bは、円筒形本体102の他方の半体上に配設された複数のディンプル110と、外側表面104から内側表面106を通って突出する複数の穿孔108とを示す、燃料ノズル100の回転等角図を示す。
【0012】
図1C及び1Dは、本発明の好ましい実施形態による燃料ノズル100の断面図を示す。燃料ノズル100は、円筒形本体102の長さを通り抜け、円筒形本体102の中央に位置する開口部によって画定された燃料トンネル114を更に備える。複数の穿孔108及びディンプル110は、フェルール112の反対側の円筒形本体の一方の端部部分の周りに配設されている。図1Cに示すように、穿孔108の各々は、燃料ノズル100の外側表面104及び内側表面106を通り抜けている。一方、図1Dは、円筒形本体102の他方の半体の外側表面104に半球状空洞を有するディンプル110の各々を示す。
【0013】
図1Eを参照すると、穿孔の各々は、空気タービュレータ116が、好ましくは円筒形の貫通孔118を介して燃料トンネルに連通する半球状空洞によって画定されている、外側表面で終端している。
【0014】
本発明の好ましい実施形態では、穿孔及びディンプルは、円筒形本体の円周の周りに円形の列をなして配置されるように構成されている。より好ましくは、円形の列は、複数の列に配置されたときに、隣接する穿孔及びディンプルが互いに最も近くなることを確実にするように、互い違いの配置で更に構成されている。
【0015】
本発明のいくつかの実施形態では、ディンプル及び穿孔の半球状空洞の直径又は表面積は、互いに異なっていてもよい。例えば、穿孔からの半球状空洞の表面積は、ディンプルの表面積よりも大きくてもよい。
【0016】
燃焼プロセス中、空気ガスが空気-燃料混合室に入ると、気化器のベンチュリ部を通過する空気は、ノズルを通して燃料を吸い込む。ガソリンが空気-燃料混合室に入るように噴射される1つの出口のみを通常有する普通のノズルとは異なり、本発明の燃料ノズルには、複数のディンプル及び複数の穿孔が設けられており、穿孔の各々は、空気タービュレータを伴って構成されている。空気がノズル本体の表面を通過すると、空気タービュレータは、半球状空洞の形態で、空気が表面に張り付くように隆起を作り出して乱流を引き起こし、乱流は、空気渦を作り出してタービュレータ内の空気の分離を遅延させる。乱流は、燃料が各撹拌機の前に穿孔を通って噴射されるときに、空力抗力を低減する。これにより、より霧化された燃料が引き起こされ、混合室内の空気と合流してより良い燃焼を提供する。
【0017】
燃料ノズル上の半球状空洞によって画定される空気タービュレータは、渦発生器として作用し、燃料ノズルの表面にまといつく空気の薄い乱流境界層を作り出す。これにより、滑らかに流れる空気が、液体燃料を吐出する複数の穿孔が位置するノズルの裏側の周りを少し離れてノズルの外側表面に沿うこと(エアハグ)を可能にする。この「エアハグ」は、後流領域のサイズの縮小をもたらし、燃料霧化を最適化するのに役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1A】本発明の好ましい実施形態による燃料ノズルの斜視図を示す。
図1B】本発明の好ましい実施形態による燃料ノズルの斜視図を示す。
図1C】本発明の好ましい実施形態による燃料ノズルの断面図を示す。
図1D】本発明の好ましい実施形態による燃料ノズルの断面図を示す。
図1E】本発明の好ましい実施形態による燃料ノズルの断面図を示す。
図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
【国際調査報告】