(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-24
(54)【発明の名称】NR4A3欠損免疫細胞及びその使用
(51)【国際特許分類】
A61K 35/17 20150101AFI20240517BHJP
C12N 15/09 20060101ALI20240517BHJP
C12N 15/113 20100101ALI20240517BHJP
C12N 5/10 20060101ALI20240517BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20240517BHJP
A61P 35/02 20060101ALI20240517BHJP
A61P 37/04 20060101ALI20240517BHJP
A61K 35/15 20150101ALI20240517BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20240517BHJP
A61K 38/19 20060101ALI20240517BHJP
A61K 38/20 20060101ALI20240517BHJP
A61K 38/21 20060101ALI20240517BHJP
【FI】
A61K35/17
C12N15/09 100
C12N15/113 Z ZNA
C12N5/10
A61P35/00
A61P35/02
A61P37/04
A61K35/15
A61K39/395 T
A61K38/19
A61K38/20
A61K38/21
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023573114
(86)(22)【出願日】2022-05-27
(85)【翻訳文提出日】2024-01-19
(86)【国際出願番号】 US2022031356
(87)【国際公開番号】W WO2022251644
(87)【国際公開日】2022-12-01
(32)【優先日】2021-05-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2022-05-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522421853
【氏名又は名称】ライエル・イミュノファーマ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】LYELL IMMUNOPHARMA, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100138911
【氏名又は名称】櫻井 陽子
(72)【発明者】
【氏名】ラム,ヴィオラ
(72)【発明者】
【氏名】リン,レイチェル クリスティーナ
【テーマコード(参考)】
4B065
4C084
4C085
4C087
【Fターム(参考)】
4B065AA94X
4B065AB01
4B065BA01
4B065CA24
4B065CA44
4C084AA02
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4C087NA05
4C087ZB09
4C087ZB26
4C087ZB27
(57)【要約】
本開示は、免疫細胞の持続的エフェクター機能を促進する方法であって、低減したレベルのNR4A3遺伝子及び/またはNR4A3タンパク質を発現するように細胞を修飾することを含む、方法を提供する。また、修飾された細胞、例えば、低減したレベルのNR4A3遺伝子及び/またはNR4A3タンパク質を発現するように修飾された免疫細胞が提供される。NR4A3遺伝子及び/またはNR4A3タンパク質のレベルを低減することは、アポトーシス耐性及びさらに免疫チェックポイント耐性である疲弊/機能不全耐性細胞をもたらし、さらに腫瘍微小環境における抗腫瘍機能の維持をもたらす。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
腫瘍の処置を、それを必要とする対象において行う方法であって、低減したレベルの核受容体サブファミリー4群Aメンバー3(「NR4A3」)遺伝子及び/またはNR4A3タンパク質及び結合分子を発現し、かつNR4A1及びNR4A2遺伝子ならびにNR4A1及びNR4A2タンパク質の内因性発現を有する修飾された免疫細胞の集団を含む細胞組成物を前記対象に投与することを含む、前記方法。
【請求項2】
前記修飾された免疫細胞の集団におけるNR4A3遺伝子及び/またはNR4A3タンパク質の発現レベルは、参照細胞組成物(例えば、前記細胞がより低いレベルのNR4A3遺伝子及び/またはNR4A3タンパク質を発現するように修飾されていない対応する細胞組成物)と比較して少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、または少なくとも約100%低減される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記修飾された免疫細胞は、リンパ球、好中球、単球、マクロファージ、樹状細胞、及びそれらの任意の組み合わせを含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記リンパ球は、T細胞、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)、リンホカイン活性化キラー細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、及びそれらの任意の組み合わせを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記リンパ球は、T細胞である、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記結合分子は、キメラ抗原受容体(CAR)及び/またはT細胞受容体(TCR)、例えば、操作されたTCRを含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記結合分子は、CARを含む、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記修飾された免疫細胞は、ex vivo細胞またはin vitro細胞である、請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記修飾された免疫細胞は、in vivo細胞である、請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記修飾された免疫細胞は、前記NR4A3遺伝子及び/またはNR4A3タンパク質の発現を低減するように遺伝子編集ツールによって修飾されている、請求項1~9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記遺伝子編集ツールは、shRNA、siRNA、miRNA、アンチセンスオリゴヌクレオチド、CRISPR、ジンクフィンガーヌクレアーゼ、TALEN、メガヌクレアーゼ、制限エンドヌクレアーゼ、またはそれらの任意の組み合わせを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記遺伝子編集ツールは、CRISPRである、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記修飾された免疫細胞の集団は、参照免疫細胞(すなわち、低減したNR4A3活性遺伝子レベル及び/または低減したNR4A3タンパク質発現レベルを有するように修飾されていない免疫細胞)と比較して前記対象における前記免疫細胞の1つ以上の向上した特性を示す、請求項1~12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記修飾された免疫細胞の前記向上した特性は、(i)前記免疫細胞の向上した増殖、(ii)前記免疫細胞の向上した細胞傷害性、(iii)向上した持続性、(iv)前記免疫細胞の向上したサイトカイン発現、またはそれらの任意の組み合わせを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記修飾された免疫細胞は、向上したサイトカイン発現を示す、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記サイトカインは、インターロイキン-2(IL-2)、インターフェロン-γ(IFN-γ)、腫瘍壊死因子-α(TNF-α)、またはそれらの任意の組み合わせである、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
IL-2の発現レベルは、参照免疫細胞の集団におけるIL-2の発現レベルと比較して少なくとも約1.1倍、少なくとも約1.2倍、少なくとも約1.3倍、少なくとも約1.4倍、少なくとも約1.5倍、少なくとも約1.6倍、少なくとも約1.7倍、少なくとも約1.8倍、少なくとも約1.9倍、少なくとも約2倍、少なくとも約2.5倍、少なくとも約3倍、少なくとも約4倍、少なくとも約5倍、少なくとも約6倍、少なくとも約7倍、少なくとも約8倍、少なくとも約9倍、少なくとも約10倍増加する、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
IFN-γの発現レベルは、参照免疫細胞の集団におけるIL-γの発現レベルと比較して少なくとも約1.1倍、少なくとも約1.2倍、少なくとも約1.3倍、少なくとも約1.4倍、少なくとも約1.5倍、少なくとも約1.6倍、少なくとも約1.7倍、少なくとも約1.8倍、少なくとも約1.9倍、少なくとも約2倍、少なくとも約2.5倍、少なくとも約3倍、少なくとも約4倍、少なくとも約5倍、少なくとも約6倍、少なくとも約7倍、少なくとも約8倍、少なくとも約9倍、少なくとも約10倍増加する、請求項16または17に記載の方法。
【請求項19】
TNF-αの発現レベルは、参照免疫細胞の集団におけるTNF-αの発現レベルと比較して少なくとも約1.1倍、少なくとも約1.2倍、少なくとも約1.3倍、少なくとも約1.4倍、少なくとも約1.5倍、少なくとも約1.6倍、少なくとも約1.7倍、少なくとも約1.8倍、少なくとも約1.9倍、少なくとも約2倍、少なくとも約2.5倍、少なくとも約3倍、少なくとも約4倍、少なくとも約5倍、少なくとも約6倍、少なくとも約7倍、少なくとも約8倍、少なくとも約9倍、少なくとも約10倍増加する、請求項16~18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
前記修飾された免疫細胞は、参照免疫細胞(すなわち、低減したNR4A3活性遺伝子レベル及び/または低減したNR4A3タンパク質発現レベルを有するように修飾されていない免疫細胞)と比較して低減した疲弊または機能不全を示す、請求項1~19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
前記修飾された免疫細胞は、逐次刺激後に増加した細胞傷害性を示す、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記修飾された免疫細胞は、慢性刺激後に増加した細胞傷害性を示す、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
前記修飾された免疫細胞は、腫瘍微小環境(TME)において抗腫瘍機能を維持する、請求項1~22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
前記結合分子は、R12、R11、2A2、またはそれらの任意の組み合わせに由来するscFvを含む、請求項1~23のいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
前記結合分子は、配列番号17を含む重鎖可変ドメイン及び配列番号21を含む軽鎖可変ドメインを含む、請求項1~24のいずれか1項に記載の方法。
【請求項26】
前記投与することは、参照腫瘍体積(例えば、前記投与前の前記対象における腫瘍体積及び/または前記投与を受けなかった対象における腫瘍体積)と比較して、前記対象における腫瘍体積を低減する、請求項1~25のいずれか1項に記載の方法。
【請求項27】
前記腫瘍体積は、前記参照腫瘍体積(例えば、前記投与前の前記対象における前記腫瘍体積及び/または前記投与を受けなかった対象における腫瘍体積)と比較して前記投与後に少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、または少なくとも約100%低減する、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記投与することは、参照腫瘍重量(例えば、前記投与前の前記対象における腫瘍重量及び/または前記投与を受けなかった対象における腫瘍重量)と比較して、前記対象における腫瘍重量を低減する、請求項1~27のいずれか1項に記載の方法。
【請求項29】
前記腫瘍重量は、前記参照腫瘍重量(例えば、前記投与前の前記対象における前記腫瘍重量及び/または前記投与を受けなかった対象における腫瘍重量)と比較して前記投与後に少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、または少なくとも約100%低減する、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記投与することは、参照生存期間(例えば、前記投与前の前記対象における生存期間及び/または前記投与を受けなかった対象における生存期間)と比較して前記対象における生存期間を増加させる、請求項1~29のいずれか1項に記載の方法。
【請求項31】
前記参照生存期間と比較して、前記生存期間は、少なくとも約1週、少なくとも約2週、少なくとも約3週、少なくとも約1ヶ月、少なくとも約2ヶ月、少なくとも約3ヶ月、少なくとも約4ヶ月、少なくとも約5ヶ月、少なくとも約6ヶ月、少なくとも約7ヶ月、少なくとも約8ヶ月、少なくとも約9ヶ月、少なくとも約10ヶ月、少なくとも約11ヶ月、または少なくとも約1年増加する、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記投与することは、前記免疫細胞の疲弊または機能不全を低減または防止する、請求項1~31のいずれか1項に記載の方法。
【請求項33】
前記免疫細胞は、腫瘍微小環境(TME)において抗腫瘍機能を維持する、請求項1~32のいずれか1項に記載の方法。
【請求項34】
前記腫瘍は、乳癌、頭頸部癌、子宮癌、脳癌、皮膚癌、腎臓癌、肺癌、大腸癌、前立腺癌、肝臓癌、膀胱癌、腎臓癌、膵臓癌、甲状腺癌、食道癌、眼癌、胃(stomach)(胃(gastric))癌、消化器癌、卵巣癌、子宮頸癌、癌腫、肉腫、白血病、リンパ腫、骨髄腫、またはそれらの組み合わせを含むがんに由来する、請求項1~33のいずれか1項に記載の方法。
【請求項35】
追加の治療剤を前記対象に投与することを含む、請求項1~34のいずれか1項に記載の方法。
【請求項36】
前記追加の治療剤は、化学療法薬、標的化抗がん療法、腫瘍溶解薬、細胞傷害剤、免疫ベースの療法、サイトカイン、外科処置、放射線処置、共刺激分子の活性化因子、免疫チェックポイント阻害剤、ワクチン、細胞免疫療法、またはそれらの任意の組み合わせを含む、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記追加の治療剤は、免疫チェックポイント阻害剤である、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記免疫チェックポイント阻害剤は、抗PD-1抗体、抗PD-L1抗体、抗LAG-3抗体、抗CTLA-4抗体、抗GITR抗体、抗TIM3抗体、及びそれらの任意の組み合わせを含む、請求項36または37に記載の方法。
【請求項39】
前記追加の治療剤及び前記細胞組成物は、同時に投与される、請求項35~38のいずれか1項に記載の方法。
【請求項40】
前記追加の治療剤及び前記細胞組成物は、逐次投与される、請求項35~38のいずれか1項に記載の方法。
【請求項41】
前記細胞組成物は、非経口、筋肉内、皮下、眼内、静脈内、腹腔内、皮内、眼窩内、脳内、頭蓋内、髄腔内、心室内、髄腔内、大槽内、嚢内、腫瘍内、またはそれらの任意の組み合わせで投与される、請求項1~40のいずれか1項に記載の方法。
【請求項42】
前記遺伝子編集ツールは、配列番号30、配列番号52、配列番号53、配列番号54、配列番号55、配列番号56、配列番号57、配列番号58、配列番号61、配列番号65、配列番号67、配列番号68、配列番号70、配列番号71、配列番号75、配列番号76、配列番号82、配列番号83、配列番号86、配列番号94、及び配列番号96のいずれか1つに示される配列を含む、それからなる、またはそれから本質的になるガイドRNAを含む、請求項10~41のいずれか1項に記載の方法。
【請求項43】
低減したレベルの核受容体サブファミリー4群Aメンバー3「(NR4A3」)遺伝子及び/またはNR4A3タンパク質を有する細胞を生成する方法であって、前記細胞を遺伝子編集ツールで修飾することを含み、前記遺伝子編集ツールは、前記NR4A3遺伝子及び/またはNR4A3タンパク質の発現を低減し、前記遺伝子編集ツールは、配列番号30、配列番号52、配列番号53、配列番号54、配列番号55、配列番号56、配列番号57、配列番号58、配列番号61、配列番号65、配列番号67、配列番号68、配列番号70、配列番号71、配列番号75、配列番号76、配列番号82、配列番号83、配列番号86、配列番号94、及び配列番号96のいずれか1つに示される配列を含む、それからなる、またはそれから本質的になるガイドRNAを含む、前記方法。
【請求項44】
抗原刺激に応答する免疫細胞によってサイトカインの生成を増加させる方法であって、前記免疫細胞を遺伝子編集ツールで修飾することを含み、前記遺伝子編集ツールは、前記NR4A3遺伝子及び/またはNR4A3タンパク質の発現を低減し、前記遺伝子編集ツールは、配列番号30、配列番号52、配列番号53、配列番号54、配列番号55、配列番号56、配列番号57、配列番号58、配列番号61、配列番号65、配列番号67、配列番号68、配列番号70、配列番号71、配列番号75、配列番号76、配列番号82、配列番号83、配列番号86、配列番号94、及び配列番号96のいずれか1つに示される配列を含む、それからなる、またはそれから本質的になるガイドRNAを含む、前記方法。
【請求項45】
前記サイトカインは、IFN-γ、IL-2、TNF-α、またはそれらの組み合わせを含む、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記修飾後、前記抗原刺激に応答する前記サイトカインの前記生成は、前記遺伝子編集ツールで修飾されなかった対応する免疫細胞と比較して、少なくとも約1倍、少なくとも約2倍、少なくとも約3倍、少なくとも約4倍、少なくとも約5倍、少なくとも約6倍、少なくとも約7倍、少なくとも約8倍、少なくとも約9倍、少なくとも約10倍、少なくとも約11倍、少なくとも約12倍、少なくとも約13倍、少なくとも約14倍、少なくとも約15倍、少なくとも約16倍、少なくとも約17倍、少なくとも約18倍、少なくとも約19倍、少なくとも約20倍、少なくとも約25倍、少なくとも約30倍、少なくとも約35倍、少なくとも約40倍、少なくとも約45倍、または少なくとも約50倍増加する、請求項44または45に記載の方法。
【請求項47】
持続的抗原刺激に応答する免疫細胞のエフェクター機能を増加させる方法であって、前記免疫細胞を遺伝子編集ツールで修飾することを含み、前記遺伝子編集ツールは、前記NR4A3遺伝子及び/またはNR4A3タンパク質の発現を低減し、前記遺伝子編集ツールは、配列番号30、配列番号52、配列番号53、配列番号54、配列番号55、配列番号56、配列番号57、配列番号58、配列番号61、配列番号65、配列番号67、配列番号68、配列番号70、配列番号71、配列番号75、配列番号76、配列番号82、配列番号83、配列番号86、配列番号94、及び配列番号96のいずれか1つに示される配列を含む、それからなる、またはそれから本質的になるガイドRNAを含む、前記方法。
【請求項48】
前記免疫細胞は、参照免疫細胞と比較して、抗原刺激アッセイの少なくとも1つの、少なくとも2つの、または少なくとも3つの追加のラウンドの間、エフェクター機能を保持する、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
前記エフェクター機能は、(i)標的細胞(例えば、腫瘍細胞)を殺傷すること(ii)さらなる抗原刺激後にサイトカインを生成すること、または(iii)(i)及び(ii)の両方の能力を含む、請求項47または48に記載の方法。
【請求項50】
前記ガイドRNAは、配列番号30に示される配列を含む、それからなる、またはそれから本質的になる、請求項42~49のいずれか1項に記載の方法。
【請求項51】
前記ガイドRNAは、配列番号52に示される配列を含む、それからなる、またはそれから本質的になる、請求項42~49のいずれか1項に記載の方法。
【請求項52】
前記ガイドRNAは、配列番号53に示される配列を含む、それからなる、またはそれから本質的になる、請求項42~49のいずれか1項に記載の方法。
【請求項53】
前記ガイドRNAは、配列番号54に示される配列を含む、それからなる、またはそれから本質的になる、請求項42~49のいずれか1項に記載の方法。
【請求項54】
前記ガイドRNAは、配列番号55に示される配列を含む、それからなる、またはそれから本質的になる、請求項42~49のいずれか1項に記載の方法。
【請求項55】
前記ガイドRNAは、配列番号56に示される配列を含む、それからなる、またはそれから本質的になる、請求項42~49のいずれか1項に記載の方法。
【請求項56】
前記ガイドRNAは、配列番号57に示される配列を含む、それからなる、またはそれから本質的になる、請求項42~49のいずれか1項に記載の方法。
【請求項57】
前記ガイドRNAは、配列番号58に示される配列を含む、それからなる、またはそれから本質的になる、請求項42~49のいずれか1項に記載の方法。
【請求項58】
前記ガイドRNAは、配列番号61に示される配列を含む、それからなる、またはそれから本質的になる、請求項42~49のいずれか1項に記載の方法。
【請求項59】
前記ガイドRNAは、配列番号65に示される配列を含む、それからなる、またはそれから本質的になる、請求項42~49のいずれか1項に記載の方法。
【請求項60】
前記ガイドRNAは、配列番号67に示される配列を含む、それからなる、またはそれから本質的になる、請求項42~49のいずれか1項に記載の方法。
【請求項61】
前記ガイドRNAは、配列番号68に示される配列を含む、それからなる、またはそれから本質的になる、請求項42~49のいずれか1項に記載の方法。
【請求項62】
前記ガイドRNAは、配列番号70に示される配列を含む、それからなる、またはそれから本質的になる、請求項42~49のいずれか1項に記載の方法。
【請求項63】
前記ガイドRNAは、配列番号71に示される配列を含む、それからなる、またはそれから本質的になる、請求項42~49のいずれか1項に記載の方法。
【請求項64】
前記ガイドRNAは、配列番号75に示される配列を含む、それからなる、またはそれから本質的になる、請求項42~49のいずれか1項に記載の方法。
【請求項65】
前記ガイドRNAは、配列番号76に示される配列を含む、それからなる、またはそれから本質的になる、請求項42~49のいずれか1項に記載の方法。
【請求項66】
前記ガイドRNAは、配列番号82に示される配列を含む、それからなる、またはそれから本質的になる、請求項42~49のいずれか1項に記載の方法。
【請求項67】
前記ガイドRNAは、配列番号83に示される配列を含む、それからなる、またはそれから本質的になる、請求項42~49のいずれか1項に記載の方法。
【請求項68】
前記ガイドRNAは、配列番号86に示される配列を含む、それからなる、またはそれから本質的になる、請求項42~49のいずれか1項に記載の方法。
【請求項69】
前記ガイドRNAは、配列番号94に示される配列を含む、それからなる、またはそれから本質的になる、請求項42~49のいずれか1項に記載の方法。
【請求項70】
前記ガイドRNAは、配列番号96に示される配列を含む、それからなる、またはそれから本質的になる、請求項42~49のいずれか1項に記載の方法。
【請求項71】
細胞を含む組成物であって、前記細胞は、請求項43に記載の方法によって調製されている、前記組成物。
【請求項72】
低減したレベルのNR4A3遺伝子及び/またはNR4A3タンパク質を発現する細胞を含む組成物であって、前記細胞は、前記NR4A3遺伝子を標的とし得るgRNAで修飾されており、前記gRNAは、配列番号52、配列番号53、配列番号54、配列番号55、配列番号56、配列番号57、配列番号58、配列番号61、配列番号65、配列番号67、配列番号68、配列番号70、配列番号71、配列番号75、配列番号76、配列番号82、配列番号83、配列番号86、配列番号94、及び配列番号96のいずれか1つに示される配列を含む、それからなる、またはそれから本質的になる、前記組成物。
【請求項73】
前記gRNAは、配列番号30に示される配列を含む、それからなる、またはそれから本質的になる、請求項72に記載の組成物。
【請求項74】
前記gRNAは、配列番号52に示される配列を含む、それからなる、またはそれから本質的になる、請求項72に記載の組成物。
【請求項75】
前記gRNAは、配列番号53に示される配列を含む、それからなる、またはそれから本質的になる、請求項72に記載の組成物。
【請求項76】
前記gRNAは、配列番号54に示される配列を含む、それからなる、またはそれから本質的になる、請求項72に記載の組成物。
【請求項77】
前記gRNAは、配列番号55に示される配列を含む、それからなる、またはそれから本質的になる、請求項72に記載の組成物。
【請求項78】
前記gRNAは、配列番号56に示される配列を含む、それからなる、またはそれから本質的になる、請求項72に記載の組成物。
【請求項79】
前記gRNAは、配列番号57に示される配列を含む、それからなる、またはそれから本質的になる、請求項72に記載の組成物。
【請求項80】
前記gRNAは、配列番号58に示される配列を含む、それからなる、またはそれから本質的になる、請求項72に記載の組成物。
【請求項81】
前記gRNAは、配列番号61に示される配列を含む、それからなる、またはそれから本質的になる、請求項72に記載の組成物。
【請求項82】
前記gRNAは、配列番号65に示される配列を含む、それからなる、またはそれから本質的になる、請求項72に記載の組成物。
【請求項83】
前記gRNAは、配列番号67に示される配列を含む、それからなる、またはそれから本質的になる、請求項72に記載の組成物。
【請求項84】
前記gRNAは、配列番号68に示される配列を含む、それからなる、またはそれから本質的になる、請求項72に記載の組成物。
【請求項85】
前記gRNAは、配列番号70に示される配列を含む、それからなる、またはそれから本質的になる、請求項72に記載の組成物。
【請求項86】
前記gRNAは、配列番号71に示される配列を含む、それからなる、またはそれから本質的になる、請求項72に記載の組成物。
【請求項87】
前記gRNAは、配列番号75に示される配列を含む、それからなる、またはそれから本質的になる、請求項72に記載の組成物。
【請求項88】
前記gRNAは、配列番号76に示される配列を含む、それからなる、またはそれから本質的になる、請求項72に記載の組成物。
【請求項89】
前記gRNAは、配列番号82に示される配列を含む、それからなる、またはそれから本質的になる、請求項72に記載の組成物。
【請求項90】
前記gRNAは、配列番号83に示される配列を含む、それからなる、またはそれから本質的になる、請求項72に記載の組成物。
【請求項91】
前記gRNAは、配列番号86に示される配列を含む、それからなる、またはそれから本質的になる、請求項72に記載の組成物。
【請求項92】
前記gRNAは、配列番号94に示される配列を含む、それからなる、またはそれから本質的になる、請求項72に記載の組成物。
【請求項93】
前記gRNAは、配列番号96に示される配列を含む、それからなる、またはそれから本質的になる、請求項72に記載の組成物。
【請求項94】
前記細胞は、in vivo細胞を含む、請求項71~93のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項95】
前記細胞は、ex vivo細胞またはin vitro細胞を含む、請求項71~93のいずれか1項に記載の細胞組成物。
【請求項96】
請求項71~95のいずれか1項に記載の細胞組成物を含む薬学的組成物。
【請求項97】
(i)NR4A3遺伝子及び/またはNR4A3タンパク質の発現を低減するための遺伝子編集ツール、(ii)キメラ抗原受容体(CAR)またはT細胞受容体(TCR)を含むベクター、及び請求項1~42のいずれか1項に記載の方法に従って腫瘍を処置するための指示書を含むキット。
【請求項98】
(i)NR4A3遺伝子及び/またはNR4A3タンパク質の発現を低減するための遺伝子編集ツール、(ii)キメラ抗原受容体(CAR)またはT細胞受容体(TCR)を含むベクター、及び細胞の集団を含む組成物を調製するための指示書を含むキットであって、前記細胞は、請求項43に記載の方法に従って調製される、前記キット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本PCT出願は、2021年5月28日に出願された米国仮出願番号63/194,745;及び2022年5月19日に出願された63/365,024の優先権の利益を主張し、これらの各々は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
EFS-WEBを介して電子的に提出された配列表に対する言及
本出願で提出された電子的に提出された配列表(名称:4385_075PC02_Seqlisting_ST25.txt、サイズ:97,201バイト;及び作成日:2022年5月27日)の内容は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0003】
本開示は、低減したレベルのNR4A3遺伝子及び/または低減したレベルのNR4A3タンパク質発現を有するように修飾された免疫細胞の投与を伴う細胞ベース(例えば、T細胞)のがん免疫療法に関する。
【背景技術】
【0004】
がん免疫療法は、T細胞(感染及び罹患細胞の免疫系の主要な殺傷体)に腫瘍細胞を攻撃させ、殺傷させることに依存する。しかしながら、免疫療法に対する重要な障害となる障壁がある:T細胞の殺傷する能力が衰える恐れがあり、この現象はしばしば疲弊と称される。免疫チェックポイント阻害、キメラ抗原受容体(CAR)T細胞療法、及びT細胞受容体-操作(TCR)T細胞療法は、患者から単離された機能的に活性なT細胞を利用する処置であり、有効となるように高機能なT細胞を必要とする。これらのT細胞は、標的がん細胞上の特定の抗原を認識するために操作され、ex vivoで増殖させられる。
【0005】
持続的ウイルス感染またはがんの進行性成長など、免疫系が長い期間活性であることを強いられる場合、エフェクターT細胞は疲弊し得る。疲弊したT細胞の1つの特質は、PD-1及びCTLA-4のような免疫チェックポイントタンパク質の増加した発現であり、これは、それらのT細胞の休止を引き起こし得る(すなわち、非機能的となる)。免疫チェックポイント阻害剤は、これらのチェックポイントタンパク質を遮断し、そのようにして、腫瘍に対する免疫応答を増加させ得る。いくつかの研究は、疲弊したT細胞におけるチェックポイントタンパク質の活性を阻止することが、その目的を達成しないことを示唆している。これは、いわゆるhot tumor(高レベルの免疫細胞を含み、よって、免疫療法に応答する理想的な候補であるべきもの)がしばしば、疲弊したT細胞から主に構成される集団を保有するので重要である。その上、腫瘍微小環境は、老化及び疲弊した細胞表現型を誘導し得る。そのため、これらの疲弊した状態を好転させる及び/または防止するためのストラテジーを考案することは、免疫治療有効性を改善するために重要である。
【発明の概要】
【0006】
いくつかの態様において、本開示は、腫瘍の処置を、それを必要とする対象において行う方法であって、低減したレベルの核受容体サブファミリー4群Aメンバー3(「NR4A3」)遺伝子及び/またはNR4A3タンパク質及び結合分子(例えば、ROR1に特異的に結合する)を発現し、かつNR4A1及びNR4A2遺伝子ならびにNR4A1及びNR4A2タンパク質の内因性発現を有する修飾された免疫細胞の集団を含む細胞組成物を対象に投与することを含む、方法を提供する。いくつかの態様において、修飾された免疫細胞の集団におけるNR4A3遺伝子及び/またはNR4A3タンパク質の発現レベルは、参照細胞組成物(例えば、細胞がより低いレベルのNR4A3遺伝子及び/またはNR4A3タンパク質を発現するように修飾されていない対応する細胞組成物)と比較して少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、または少なくとも約100%低減される。一態様において、NR4A3遺伝子及び/またはタンパク質の発現レベルは、約90%~約99%低減される。一態様において、NR4A3遺伝子及び/またはタンパク質の発現レベルは、検出のレベル未満まで低減される。
【0007】
いくつかの態様において、修飾された免疫細胞は、リンパ球、好中球、単球、マクロファージ、樹状細胞、及びそれらの任意の組み合わせを含む。いくつかの態様において、リンパ球は、T細胞、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)、リンホカイン活性化キラー細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、及びそれらの任意の組み合わせを含む。いくつかの態様において、リンパ球は、T細胞である。
【0008】
いくつかの態様において、結合分子は、キメラ抗原受容体(CAR)及び/またはT細胞受容体(TCR)、例えば、操作されたTCRを含む。いくつかの態様において、結合分子は、CARを含む。いくつかの態様において、修飾された免疫細胞は、ex vivo細胞またはin vitro細胞を含む。いくつかの態様において、修飾された免疫細胞は、in vivo細胞を含む。
【0009】
いくつかの態様において、修飾された免疫細胞は、NR4A3遺伝子及び/またはNR4A3タンパク質の発現を低減するために遺伝子編集ツールによって修飾されている。一態様において、細胞は、NR4A3遺伝子をノックアウトするために修飾されている。別の態様において、細胞は、機能的NR4A3タンパク質発現が無効化されるようにNR4A3遺伝子を変異させるために修飾される。いくつかの態様において、遺伝子編集ツールは、shRNA、siRNA、miRNA、アンチセンスオリゴヌクレオチド、CRISPR、ジンクフィンガーヌクレアーゼ、TALEN、メガヌクレアーゼ、制限エンドヌクレアーゼ、またはそれらの任意の組み合わせを含む。いくつかの態様において、遺伝子編集ツールは、CRISPRである。
【0010】
いくつかの態様において、修飾された免疫細胞の集団は、参照免疫細胞(すなわち、低減したNR4A3活性遺伝子レベル及び/または低減したNR4A3タンパク質発現レベルを有するように修飾されていない免疫細胞)と比較して対象における免疫細胞の1つ以上の向上した特性を示す。いくつかの態様において、修飾された免疫細胞の向上した特性は、(i)免疫細胞の向上した増殖、(ii)免疫細胞の向上した細胞傷害性、(iii)向上した持続性、(iv)免疫細胞の向上したサイトカイン発現、またはそれらの任意の組み合わせを含む。
【0011】
いくつかの態様において、修飾された免疫細胞は、向上したサイトカイン発現を示す。いくつかの態様において、サイトカインは、インターロイキン-2(IL-2)、インターフェロン-γ(IFN-γ)、腫瘍壊死因子-α(TNF-α)、またはそれらの任意の組み合わせである。いくつかの態様において、IL-2の発現レベルは、参照免疫細胞の集団におけるIL-2の発現レベルと比較して少なくとも約1.1倍、少なくとも約1.2倍、少なくとも約1.3倍、少なくとも約1.4倍、少なくとも約1.5倍、少なくとも約1.6倍、少なくとも約1.7倍、少なくとも約1.8倍、少なくとも約1.9倍、少なくとも約2倍、少なくとも約2.5倍、少なくとも約3倍、少なくとも約4倍、少なくとも約5倍、少なくとも約6倍、少なくとも約7倍、少なくとも約8倍、少なくとも約9倍、少なくとも約10倍増加する。いくつかの態様において、IFN-γの発現レベルは、参照免疫細胞の集団におけるIL-γの発現レベルと比較して少なくとも約1.1倍、少なくとも約1.2倍、少なくとも約1.3倍、少なくとも約1.4倍、少なくとも約1.5倍、少なくとも約1.6倍、少なくとも約1.7倍、少なくとも約1.8倍、少なくとも約1.9倍、少なくとも約2倍、少なくとも約2.5倍、少なくとも約3倍、少なくとも約4倍、少なくとも約5倍、少なくとも約6倍、少なくとも約7倍、少なくとも約8倍、少なくとも約9倍、少なくとも約10倍増加する。いくつかの態様において、TNF-αの発現レベルは、参照免疫細胞の集団におけるTNF-αの発現レベルと比較して少なくとも約1.1倍、少なくとも約1.2倍、少なくとも約1.3倍、少なくとも約1.4倍、少なくとも約1.5倍、少なくとも約1.6倍、少なくとも約1.7倍、少なくとも約1.8倍、少なくとも約1.9倍、少なくとも約2倍、少なくとも約2.5倍、少なくとも約3倍、少なくとも約4倍、少なくとも約5倍、少なくとも約6倍、少なくとも約7倍、少なくとも約8倍、少なくとも約9倍、少なくとも約10倍増加する。
【0012】
いくつかの態様において、修飾された免疫細胞は、参照免疫細胞(すなわち、低減したNR4A3活性遺伝子レベル及び/または低減したNR4A3タンパク質発現レベルを有するように修飾されていない免疫細胞)と比較して低減した疲弊または機能不全を示す。いくつかの態様において、修飾された免疫細胞は、逐次刺激後に増加した細胞傷害性を示す。いくつかの態様において、修飾された免疫細胞は、慢性刺激で増加した細胞傷害性を示す。いくつかの態様において、修飾された免疫細胞は、腫瘍微小環境(TME)において抗腫瘍機能を維持する。
【0013】
いくつかの態様において、結合分子は、R12、R11、2A2、またはそれらの任意の組み合わせに由来するscFvを含む。いくつかの態様において、結合分子は、配列番号17を含む重鎖可変ドメイン及び配列番号21を含む軽鎖可変ドメインを含む。いくつかの態様において、投与することは、参照腫瘍体積(例えば、投与前の対象における腫瘍体積及び/または投与を受けなかった対象における腫瘍体積)と比較して、対象における腫瘍体積を低減する。いくつかの態様において、腫瘍体積は、参照腫瘍体積(例えば、投与前の対象における腫瘍体積及び/または投与を受けなかった対象における腫瘍体積)と比較して投与後に少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、または少なくとも約100%低減する。いくつかの態様において、投与することは、参照腫瘍重量(例えば、投与前の対象における腫瘍重量及び/または投与を受けなかった対象における腫瘍重量)と比較して、対象における腫瘍重量を低減する。いくつかの態様において、腫瘍重量は、参照腫瘍重量(例えば、投与前の対象における腫瘍重量及び/または投与を受けなかった対象における腫瘍重量)と比較して投与後に少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、または少なくとも約100%低減する。
【0014】
いくつかの態様において、投与することは、参照生存期間(例えば、投与前の対象における生存期間及び/または投与を受けなかった対象における生存期間)と比較して対象における生存期間を増加させる。いくつかの態様において、参照生存期間と比較して、生存期間は、少なくとも約1週、少なくとも約2週、少なくとも約3週、少なくとも約1ヶ月、少なくとも約2ヶ月、少なくとも約3ヶ月、少なくとも約4ヶ月、少なくとも約5ヶ月、少なくとも約6ヶ月、少なくとも約7ヶ月、少なくとも約8ヶ月、少なくとも約9ヶ月、少なくとも約10ヶ月、少なくとも約11ヶ月、または少なくとも約1年増加する。
【0015】
いくつかの態様において、投与することは、免疫細胞の疲弊または機能不全を低減または防止する。いくつかの態様において、免疫細胞は、腫瘍微小環境(TME)において抗腫瘍機能を維持する。いくつかの態様において、腫瘍は、乳癌、頭頸部癌、子宮癌、脳癌、皮膚癌、腎臓癌、肺癌、大腸癌、前立腺癌、肝臓癌、膀胱癌、腎臓癌、膵臓癌、甲状腺癌、食道癌、眼癌、胃(stomach)(胃(gastric))癌、消化器癌、卵巣癌、子宮頸癌、癌腫、肉腫、白血病、リンパ腫、骨髄腫、またはそれらの組み合わせを含むがんに由来する。
【0016】
いくつかの態様において、方法は、追加の治療剤を対象に投与することをさらに含む。いくつかの態様において、追加の治療剤は、化学療法薬、標的化抗がん療法、腫瘍溶解薬、細胞傷害剤、免疫ベースの療法、サイトカイン、外科処置、放射線処置、共刺激分子の活性化因子、免疫チェックポイント阻害剤、ワクチン、細胞免疫療法、またはそれらの任意の組み合わせを含む。いくつかの態様において、追加の治療剤は、免疫チェックポイント阻害剤である。いくつかの態様において、免疫チェックポイント阻害剤は、抗PD-1抗体、抗PD-L1抗体、抗LAG-3抗体、抗CTLA-4抗体、抗GITR抗体、抗TIM3抗体、及びそれらの任意の組み合わせを含む。いくつかの態様において、追加の治療剤及び細胞組成物は、同時に投与される。いくつかの態様において、追加の治療剤及び細胞組成物は、逐次投与される。
【0017】
いくつかの態様において、細胞組成物は、非経口、筋肉内、皮下、眼内、静脈内、腹腔内、皮内、眼窩内、脳内、頭蓋内、髄腔内、心室内、髄腔内、大槽内、嚢内、腫瘍内、またはそれらの任意の組み合わせで投与される。
【0018】
上記方法のいずれかのため、いくつかの態様において、遺伝子編集ツールは、配列番号30、配列番号52、配列番号53、配列番号54、配列番号55、配列番号56、配列番号57、配列番号58、配列番号61、配列番号65、配列番号67、配列番号68、配列番号70、配列番号71、配列番号75、配列番号76、配列番号82、配列番号83、配列番号86、配列番号94、及び配列番号96のいずれか1つに示される配列を含む、それからなる、またはそれから本質的になるガイドRNAを含む。
【0019】
いくつかの態様において、本開示は、低減したレベルの核受容体サブファミリー4群Aメンバー3「(NR4A3」)遺伝子及び/またはNR4A3タンパク質を有する細胞を生成する方法であって、細胞を遺伝子編集ツールで修飾することを含み、遺伝子編集ツールは、NR4A3遺伝子及び/またはNR4A3タンパク質の発現を低減し、遺伝子編集ツールは、配列番号30、配列番号52、配列番号53、配列番号54、配列番号55、配列番号56、配列番号57、配列番号58、配列番号61、配列番号65、配列番号67、配列番号68、配列番号70、配列番号71、配列番号75、配列番号76、配列番号82、配列番号83、配列番号86、配列番号94、及び配列番号96のいずれか1つに示される配列を含む、それからなる、またはそれから本質的になるガイドRNAを含む、方法を提供する。
【0020】
いくつかの態様において、本開示はまた、抗原刺激に応答する免疫細胞によってサイトカインの生成を増加させる方法であって、免疫細胞を遺伝子編集ツールで修飾することを含み、遺伝子編集ツールは、NR4A3遺伝子及び/またはNR4A3タンパク質の発現を低減し、遺伝子編集ツールは、配列番号30、配列番号52、配列番号53、配列番号54、配列番号55、配列番号56、配列番号57、配列番号58、配列番号61、配列番号65、配列番号67、配列番号68、配列番号70、配列番号71、配列番号75、配列番号76、配列番号82、配列番号83、配列番号86、配列番号94、及び配列番号96のいずれか1つに示される配列を含む、それからなる、またはそれから本質的になるガイドRNAを含む、方法を提供する。いくつかの態様において、サイトカインは、IFN-γ、IL-2、TNF-α、またはそれらの組み合わせを含む。いくつかの態様において、修飾後、抗原刺激に応答するサイトカインの生成は、遺伝子編集ツールで修飾されなかった対応する免疫細胞と比較して、少なくとも約1倍、少なくとも約2倍、少なくとも約3倍、少なくとも約4倍、少なくとも約5倍、少なくとも約6倍、少なくとも約7倍、少なくとも約8倍、少なくとも約9倍、少なくとも約10倍、少なくとも約11倍、少なくとも約12倍、少なくとも約13倍、少なくとも約14倍、少なくとも約15倍、少なくとも約16倍、少なくとも約17倍、少なくとも約18倍、少なくとも約19倍、少なくとも約20倍、少なくとも約25倍、少なくとも約30倍、少なくとも約35倍、少なくとも約40倍、少なくとも約45倍、または少なくとも約50倍増加する。
【0021】
いくつかの態様において、本出願は、持続的抗原刺激に応答する免疫細胞のエフェクター機能を増加させる方法であって、免疫細胞を遺伝子編集ツールで修飾することを含み、遺伝子編集ツールは、NR4A3遺伝子及び/またはNR4A3タンパク質の発現を低減し、遺伝子編集ツールは、配列番号30、配列番号52、配列番号53、配列番号54、配列番号55、配列番号56、配列番号57、配列番号58、配列番号61、配列番号65、配列番号67、配列番号68、配列番号70、配列番号71、配列番号75、配列番号76、配列番号82、配列番号83、配列番号86、配列番号94、及び配列番号96のいずれか1つに示される配列を含む、それからなる、またはそれから本質的になるガイドRNAを含む、方法を提供する。いくつかの態様において、免疫細胞は、参照免疫細胞と比較して、抗原刺激アッセイの少なくとも1つの、少なくとも2つの、または少なくとも3つの追加のラウンドの間、エフェクター機能を保持する。いくつかの態様において、エフェクター機能は、(i)標的細胞(例えば、腫瘍細胞)を殺傷すること(ii)さらなる抗原刺激後にサイトカインを生成すること、または(iii)(i)及び(ii)の両方の能力を含む。
【0022】
いくつかの態様において、ガイドRNAは、配列番号30に示される配列を含む、それからなる、またはそれから本質的になる。いくつかの態様において、ガイドRNAは、配列番号52に示される配列を含む、それからなる、またはそれから本質的になる。いくつかの態様において、ガイドRNAは、配列番号53に示される配列を含む、それからなる、またはそれから本質的になる。いくつかの態様において、ガイドRNAは、配列番号54に示される配列を含む、それからなる、またはそれから本質的になる。いくつかの態様において、ガイドRNAは、配列番号55に示される配列を含む、それからなる、またはそれから本質的になる。いくつかの態様において、ガイドRNAは、配列番号56に示される配列を含む、それからなる、またはそれから本質的になる。いくつかの態様において、ガイドRNAは、配列番号57に示される配列を含む、それからなる、またはそれから本質的になる。いくつかの態様において、ガイドRNAは、配列番号58に示される配列を含む、それからなる、またはそれから本質的になる。いくつかの態様において、ガイドRNAは、配列番号61に示される配列を含む、それからなる、またはそれから本質的になる。いくつかの態様において、ガイドRNAは、配列番号65に示される配列を含む、それからなる、またはそれから本質的になる。いくつかの態様において、ガイドRNAは、配列番号67に示される配列を含む、それからなる、またはそれから本質的になる。いくつかの態様において、ガイドRNAは、配列番号68に示される配列を含む、それからなる、またはそれから本質的になる。いくつかの態様において、ガイドRNAは、配列番号70に示される配列を含む、それからなる、またはそれから本質的になる。いくつかの態様において、ガイドRNAは、配列番号71に示される配列を含む、それからなる、またはそれから本質的になる。いくつかの態様において、ガイドRNAは、配列番号75に示される配列を含む、それからなる、またはそれから本質的になる。いくつかの態様において、ガイドRNAは、配列番号76に示される配列を含む、それからなる、またはそれから本質的になる。いくつかの態様において、ガイドRNAは、配列番号82に示される配列を含む、それからなる、またはそれから本質的になる。いくつかの態様において、ガイドRNAは、配列番号83に示される配列を含む、それからなる、またはそれから本質的になる。いくつかの態様において、ガイドRNAは、配列番号86に示される配列を含む、それからなる、またはそれから本質的になる。いくつかの態様において、ガイドRNAは、配列番号94に示される配列を含む、それからなる、またはそれから本質的になる。いくつかの態様において、ガイドRNAは、配列番号96に示される配列を含む、それからなる、またはそれから本質的になる。
【0023】
いくつかの態様において、本開示は、細胞を含む組成物であって、細胞は、請求項43に記載の方法によって調製されている、組成物を提供する。いくつかの態様において、本明細書では、低減したレベルのNR4A3遺伝子及び/またはNR4A3タンパク質を発現する細胞を含む組成物であって、細胞は、NR4A3遺伝子を標的とし得るgRNAで修飾されており、gRNAは、配列番号52、配列番号53、配列番号54、配列番号55、配列番号56、配列番号57、配列番号58、配列番号61、配列番号65、配列番号67、配列番号68、配列番号70、配列番号71、配列番号75、配列番号76、配列番号82、配列番号83、配列番号86、配列番号94、及び配列番号96のいずれか1つに示される配列を含む、それからなる、またはそれから本質的になる、組成物が提供される。
【0024】
いくつかの態様において、ガイドRNAは、配列番号30に示される配列を含む、それからなる、またはそれから本質的になる。いくつかの態様において、ガイドRNAは、配列番号52に示される配列を含む、それからなる、またはそれから本質的になる。いくつかの態様において、ガイドRNAは、配列番号53に示される配列を含む、それからなる、またはそれから本質的になる。いくつかの態様において、ガイドRNAは、配列番号54に示される配列を含む、それからなる、またはそれから本質的になる。いくつかの態様において、ガイドRNAは、配列番号55に示される配列を含む、それからなる、またはそれから本質的になる。いくつかの態様において、ガイドRNAは、配列番号56に示される配列を含む、それからなる、またはそれから本質的になる。いくつかの態様において、ガイドRNAは、配列番号57に示される配列を含む、それからなる、またはそれから本質的になる。いくつかの態様において、ガイドRNAは、配列番号58に示される配列を含む、それからなる、またはそれから本質的になる。いくつかの態様において、ガイドRNAは、配列番号61に示される配列を含む、それからなる、またはそれから本質的になる。いくつかの態様において、ガイドRNAは、配列番号65に示される配列を含む、それからなる、またはそれから本質的になる。いくつかの態様において、ガイドRNAは、配列番号67に示される配列を含む、それからなる、またはそれから本質的になる。いくつかの態様において、ガイドRNAは、配列番号68に示される配列を含む、それからなる、またはそれから本質的になる。いくつかの態様において、ガイドRNAは、配列番号70に示される配列を含む、それからなる、またはそれから本質的になる。いくつかの態様において、ガイドRNAは、配列番号71に示される配列を含む、それからなる、またはそれから本質的になる。いくつかの態様において、ガイドRNAは、配列番号75に示される配列を含む、それからなる、またはそれから本質的になる。いくつかの態様において、ガイドRNAは、配列番号76に示される配列を含む、それからなる、またはそれから本質的になる。いくつかの態様において、ガイドRNAは、配列番号82に示される配列を含む、それからなる、またはそれから本質的になる。いくつかの態様において、ガイドRNAは、配列番号83に示される配列を含む、それからなる、またはそれから本質的になる。いくつかの態様において、ガイドRNAは、配列番号86に示される配列を含む、それからなる、またはそれから本質的になる。いくつかの態様において、ガイドRNAは、配列番号94に示される配列を含む、それからなる、またはそれから本質的になる。いくつかの態様において、ガイドRNAは、配列番号96に示される配列を含む、それからなる、またはそれから本質的になる。
【0025】
いくつかの態様において、本開示は、本明細書に記載の方法によって調製された細胞を提供する。いくつかの態様において、細胞は、in vivo細胞である。いくつかの態様において、細胞は、ex vivoまたはin vitro細胞である。
【0026】
いくつかの態様において、本開示は、本明細書に記載の細胞を含む薬学的組成物を提供する。
【0027】
いくつかの態様において、本開示は、(i)NR4A3遺伝子及び/またはNR4A3タンパク質の発現を低減するための遺伝子編集ツール、(ii)キメラ抗原受容体(CAR)またはT細胞受容体(TCR)を含むベクター、及び本明細書に記載の方法に従って腫瘍を処置するための指示書を含むキットを提供する。
【0028】
いくつかの態様において、本開示は、(i)NR4A3遺伝子及び/またはNR4A3タンパク質の発現を低減するための遺伝子編集ツール、(ii)キメラ抗原受容体(CAR)またはT細胞受容体(TCR)を含むベクター、及び本明細書に記載の方法に従って細胞組成物を調製するための指示書を含むキットを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】A及びBは、5つの独立したドナーにおける2時間のCD3/CD28 Dynabead刺激後のCAR T細胞生成の7日目のNR4A3編集(「NR4A3 KO」)及び対照非編集CD4
+(
図1A)及びCD8
+(
図1B)抗ROR1 CAR T細胞におけるNR4A3発現の割合を示している(刺激、黒色の丸)。非刺激細胞(白色の丸、Dynabeadsなし)を陰性対照として使用した。刺激条件の対応のないt検定を統計的分析のために使用した。*p<0.05、**p<0.005、***p<0.001、****p<0.0001。
【
図2】CAR T細胞生成の7日目の5つのドナーからのNR4A1編集(「NR4A1 KO」)、NR4A2編集(「NR4A2 KO」)、NR4A3編集(「NR4A3 KO」)、及び対照非編集CD4
+(白色の丸)及びCD8
+(黒色の丸)抗ROR1 CAR T細胞におけるEGFR
+R12
+ROR1 CAR発現の割合を示している。
【
図3】逐次刺激アッセイにおける5つの独立したドナーにおけるNR4A編集によるH1975-NLR NSCLC細胞または対照非編集抗ROR1 CAR T細胞(「x」記号)、及びモック非形質導入T細胞(四角)の連続的な抗ROR1溶解を示している。示されるNR4A編集細胞には、NR4A1ノックアウト(三角)、NR4A2ノックアウト(星)、及びNR4A3ノックアウト(丸)が含まれる。H1975-NLR標的細胞の溶解を総NLR強度を測定することによって定量した。各ラウンドの刺激のための再播種後の開始強度に対してNLR強度を正規化した。NLR-NucLight Red。
【
図4A】
図3に対応するH1975逐次刺激アッセイ中のNR4A編集、対照非編集抗ROR1 CAR(「x」記号)、及びモック非形質導入T細胞から生成された分泌インターフェロン-ガンマ(IFN-γ)を示している。示されるNR4A編集細胞には、NR4A1ノックアウト(三角)、NR4A2ノックアウト(星)、及びNR4A3ノックアウト(丸)が含まれる。上清を各再播種から24時間後に収集し、サイトカインをMSDによって定量した。カラムは、5つの独立したドナーからのデータを示している。エラーバーは、三連ウェルの平均+/-SDを表す。対応のないt検定を統計的分析のために使用した。*p<0.05、**p<0.005、***p<0.001、****p<0.0001。
【
図4B】
図3に対応するH1975逐次刺激アッセイ中のNR4A編集、対照非編集抗ROR1 CAR(「x」記号)、及びモック非形質導入T細胞から生成された分泌インターロイキン-2(IL-2)を示している。示されるNR4A編集細胞には、NR4A1ノックアウト(三角)、NR4A2ノックアウト(星)、及びNR4A3ノックアウト(丸)が含まれる。上清を各再播種から24時間後に収集し、サイトカインをMSDによって定量した。カラムは、5つの独立したドナーからのデータを示している。エラーバーは、三連ウェルの平均+/-SDを表す。対応のないt検定を統計的分析のために使用した。*p<0.05、**p<0.005、***p<0.001、****p<0.0001。
【
図4C】
図3に対応するH1975逐次刺激アッセイ中のNR4A編集、対照非編集抗ROR1 CAR(「x」記号)、及びモック非形質導入T細胞から生成された分泌腫瘍-壊死因子-アルファ(TNF-α)を示している。示されるNR4A編集細胞には、NR4A1ノックアウト(三角)、NR4A2ノックアウト(星)、及びNR4A3ノックアウト(丸)が含まれる。上清を各再播種から24時間後に収集し、サイトカインをMSDによって定量した。カラムは、5つの独立したドナーからのデータを示している。エラーバーは、三連ウェルの平均+/-SDを表す。対応のないt検定を統計的分析のために使用した。*p<0.05、**p<0.005、***p<0.001、****p<0.0001。
【
図5A】
図3に対応するH1975逐次刺激アッセイ中の各再播種後のNR4A編集、対照非編集ROR1 CAR(「x」記号)、及びモック非形質導入(四角)T細胞からのCD4
+(上側)及びCD8
+(下側)T細胞上の抗ROR1 CAR発現を示している。示されるNR4A編集細胞には、NR4A1ノックアウト(三角)、NR4A2ノックアウト(星)、及びNR4A3ノックアウト(丸)が含まれる。D0は、アッセイの開始時のCAR発現の頻度を示している。
【
図5B】
図3に対応するH1975逐次刺激アッセイ中のNR4A編集及び対照非編集ROR1 CAR T細胞からの突出CD3
+抗ROR1 CAR
+T細胞数の倍率変化を示している。突出細胞数は、次の刺激への細胞の25%の移行を含むように計算した。倍率変化は、(刺激からの突出細胞数/先行刺激からの突出細胞数)として計算した。
図5Bにおいて、刺激1、刺激2、及び刺激3の各々におけるバーは、以下に対応する:(i)NR4A1ノックアウト(三角;第1のバー);(ii)NR4A2ノックアウト(星;第2のバー);(iii)NR4A3ノックアウト(丸;第3のバー);及び(iv)対照非編集ROR1 CAR(x記号;第4のバー)。グラフの各々は、独立したドナーを表す。
【
図6】
図3における第2の刺激に対応するH1975逐次刺激アッセイからのNR4A3編集(「NR4A3 KO」)及び対照非編集抗ROR1 CAR細胞からのROR1 CAR
+CD4
+(上側)及びCD8
+(下側)T細胞上の阻害性受容体(LAG3、TIM3、CD39、及びPD-1)の発現を示している。対応のあるt検定を統計的分析のために使用した。**p<0.005。n=5つの独立したドナー。
【
図7A】H1975慢性刺激アッセイにおける7日間のROR1抗原刺激後の5つの独立したドナーにおけるA549(上の列)またはH1975(下の列)腫瘍細胞と共培養されたNR4A編集及び対照非編集抗ROR1 CAR T細胞から生成された分泌インターフェロン-ガンマ(IFN-γ)を示している。7日目に設定された新たな共培養から24時間後に上清を収集し、サイトカインをMSDによって定量した。グラフの各々は、独立したドナーを表す。グラフの各々において、バーは以下に対応する:(i)NR4A1ノックアウト(三角;第1のバー);(ii)NR4A2ノックアウト(星;第2のバー);(iii)NR4A3ノックアウト(丸;第3のバー);及び(iv)対照非編集抗ROR1 CAR(x記号;第4のバー)。カラムは、5つの独立したドナーからのデータを示している。エラーバーは、三連ウェルの平均+/-SDを表す。対応のないt検定を統計的分析のために使用した。*p<0.05、**p<0.005、***p<0.001、****p<0.0001。
【
図7B】H1975慢性刺激アッセイにおける7日間のROR1抗原刺激後の5つの独立したドナーにおけるA549(上の列)またはH1975(下の列)腫瘍細胞と共培養されたNR4A編集及び対照非編集抗ROR1 CAR T細胞から生成された分泌インターロイキン-2(IL-2)を示している。7日目に設定された新たな共培養から24時間後に上清を収集し、サイトカインをMSDによって定量した。グラフの各々は、独立したドナーを表す。グラフの各々において、バーは以下に対応する:(i)NR4A1ノックアウト(三角;第1のバー);(ii)NR4A2ノックアウト(星;第2のバー);(iii)NR4A3ノックアウト(丸;第3のバー);及び(iv)対照非編集抗ROR1 CAR(x記号;第4のバー)。カラムは、5つの独立したドナーからのデータを示している。エラーバーは、三連ウェルの平均+/-SDを表す。対応のないt検定を統計的分析のために使用した。*p<0.05、**p<0.005、***p<0.001、****p<0.0001。
【
図7C】H1975慢性刺激アッセイにおける7日間のROR1抗原刺激後の5つの独立したドナーにおけるA549(上の列)またはH1975(下の列)腫瘍細胞と共培養されたNR4A編集及び対照非編集抗ROR1 CAR T細胞から生成された分泌腫瘍-壊死因子-アルファ(TNF-α)を示している。7日目に設定された新たな共培養から24時間後に上清を収集し、サイトカインをMSDによって定量した。グラフの各々は、独立したドナーを表す。グラフの各々において、バーは以下に対応する:(i)NR4A1ノックアウト(三角;第1のバー);(ii)NR4A2ノックアウト(星;第2のバー);(iii)NR4A3ノックアウト(丸;第3のバー);及び(iv)対照非編集抗ROR1 CAR(x記号;第4のバー)。カラムは、5つの独立したドナーからのデータを示している。エラーバーは、三連ウェルの平均+/-SDを表す。対応のないt検定を統計的分析のために使用した。*p<0.05、**p<0.005、***p<0.001、****p<0.0001。
【
図8A】
図7に対応するH1975慢性刺激アッセイ中のNR4A編集及び対照非編集ROR1 CAR T細胞からのCD4
+(上側)及びCD8
+(下側)T細胞上のROR1 CAR発現を示している。示されるNR4A編集細胞には、NR4A1ノックアウト(三角)、NR4A2ノックアウト(星)、及びNR4A3ノックアウト(丸)が含まれる。
【
図8B】
図7に対応する7日間のH1975慢性刺激アッセイ中のNR4A編集及び対照非編集ROR1 CAR T細胞からのCD3
+抗ROR1 CAR
+T細胞数の倍率変化を示している。倍率変化は、(現行E:T再設定からの細胞数/先行E:T再設定細胞数)として計算した。グラフの各々は、独立したドナーを表す。
図8Bにおいて、2日目、4日目、及び7日目の各々について示されるバーは以下に対応する:(i)NR4A1ノックアウト(三角;第1のバー);(ii)NR4A2ノックアウト(星;第2のバー);(iii)NR4A3ノックアウト(丸;第3のバー);及び(iv)対照非編集ROR1 CAR(x記号;第4のバー)。カラムは、5つの独立したドナーからのデータを示している。
【
図9】
図7に対応するH1975慢性刺激アッセイの7日目のNR4A3編集(「NR4A3 KO」)及び対照非編集抗ROR1 CAR細胞からの抗ROR1 CAR
+CD4
+(上側)及びCD8
+(下側)T細胞上の阻害性受容体(LAG3、TIM3、CD39、及びPD-1)の発現を示している。n=5つの独立したドナー。
【
図10A】NR4A3編集抗ROR1 CAR T細胞の改善されたin vivo有効性を示している。腫瘍体積を示している。平均腫瘍体積が80~120mm
3に到達したときに、マウス当たり0.6×10
6個(上側パネル、低用量)または2×10
6個(下側パネル、高用量)のいずれかのCAR
+T細胞でNR4A編集または対照非編集抗ROR1 CAR T細胞をマウスに静脈内処置した。1群当たりn=5匹のマウス。エラーバーは、平均+/-SEMを表す。生存曲線統計は、ログ・ランク(Manel-Cox)検定によって計算した。***p<0.001及び***p<0.0001。示される異なる群には、(i)NR4A1ノックアウト(三角)、(ii)NR4A2ノックアウト(星)、(iii)NR4A3ノックアウト(丸)、(iv)対照非編集抗ROR1 CAR(x記号)、及びモック非形質導入T細胞(四角)が含まれる。
【
図10B】NR4A3編集抗ROR1 CAR T細胞の改善されたin vivo有効性を示している。皮下側腹部H1975異種移植片腫瘍が移植されたNSGマウスの生存を示している。平均腫瘍体積が80~120mm
3に到達したときに、マウス当たり0.6×10
6個(上側パネル、低用量)または2×10
6個(下側パネル、高用量)のいずれかのCAR
+T細胞でNR4A編集または対照非編集抗ROR1 CAR T細胞をマウスに静脈内処置した。1群当たりn=5匹のマウス。エラーバーは、平均+/-SEMを表す。生存曲線統計は、ログ・ランク(Manel-Cox)検定によって計算した。***p<0.001及び***p<0.0001。示される異なる群には、(i)NR4A1ノックアウト(三角)、(ii)NR4A2ノックアウト(星)、(iii)NR4A3ノックアウト(丸)、(iv)対照非編集抗ROR1 CAR(x記号)、及びモック非形質導入T細胞(四角)が含まれる。
【
図11A】NR4Aファミリーの以下の複数のメンバーの低減したレベルを有するように修飾された抗ROR1 CAR T細胞によるA549-NLR及びH1975-NLR細胞の連続的溶解をそれぞれ示している:(1)NR4A1及びNR4A2の両方(「NR4A1+2DKO」)(中空丸)、(2)NR4A1及びNR4A3の両方(「NR4A1+3DKO」)(三角)、(3)NR4A2及びNR4A3の両方(「NR4A2+3DKO」)(星)、及び(4)NR4A1、NR4A2、及びNR4A3(「NR4A TKO」)(アスタリスク)。NR4A3のみ低減したレベルを有する抗ROR1 CAR T細胞(中実丸)も比較目的のために示されている。モック(ROR1 CARまたはNR4A編集を伴わない非形質導入T細胞)(四角)は、対照として示されている。H1975-NLR標的細胞の溶解を総NLR強度を測定することによって定量した。各ラウンドの刺激のための再播種後の開始強度に対してNLR強度を正規化した。NLR-NucLight Red。
【
図11B】NR4Aファミリーの以下の複数のメンバーの低減したレベルを有するように修飾された抗ROR1 CAR T細胞によるA549-NLR及びH1975-NLR細胞の連続的溶解をそれぞれ示している:(1)NR4A1及びNR4A2の両方(「NR4A1+2DKO」)(中空丸)、(2)NR4A1及びNR4A3の両方(「NR4A1+3DKO」)(三角)、(3)NR4A2及びNR4A3の両方(「NR4A2+3DKO」)(星)、及び(4)NR4A1、NR4A2、及びNR4A3(「NR4A TKO」)(アスタリスク)。NR4A3のみ低減したレベルを有する抗ROR1 CAR T細胞(中実丸)も比較目的のために示されている。モック(ROR1 CARまたはNR4A編集を伴わない非形質導入T細胞)(四角)は、対照として示されている。H1975-NLR標的細胞の溶解を総NLR強度を測定することによって定量した。各ラウンドの刺激のための再播種後の開始強度に対してNLR強度を正規化した。NLR-NucLight Red。
【
図12】A~Cは、A549標的細胞を使用した逐次刺激アッセイ(
図11Aを参照されたい)中にNR4Aファミリーの複数のメンバーの低減したレベルを有する抗ROR1 CAR T細胞によって生成されたIFN-γ(
図12A)、IL-2(
図12B)、及びTNF-α(
図12C)レベルを示している。NR4A編集抗ROR1 CAR T細胞及び対照群は、
図11A及び11Bに記載のものと同じである。上清を各再播種(すなわち、刺激1、刺激2、刺激3、刺激4、及び刺激5)から24時間後に収集し、サイトカインをMSDによって定量した。
【
図13】A~Cは、H1975標的細胞を使用した逐次刺激アッセイ(
図11Bを参照されたい)中にNR4Aファミリーの複数のメンバーの低減したレベルを有する抗ROR1 CAR T細胞によって生成されたIFN-γ(
図13A)、IL-2(
図13B)、及びTNF-α(
図13C)レベルを示している。NR4A編集抗ROR1 CAR T細胞及び対照群は、
図11A及び11Bに記載のものと同じである。上清を各再播種(すなわち、刺激1、刺激2、刺激3、刺激4、及び刺激5)から24時間後に収集し、サイトカインをMSDによって定量した。
【
図14】逐次刺激アッセイにおける3つの独立したドナーにおけるNR4A-編集(KO)、対照非編集NY-ESO-1 TCR T細胞及びモック非形質導入T細胞によるNY-ESO-1+A375-NLR黒色腫細胞の連続的溶解を示している。A375-NLR標的細胞の溶解を総NLR数を測定することによって定量した。各ラウンドの刺激のための再播種後の開始数に対してNLR数を正規化した。NLR-NucLight Red。各グラフは、3つの独立したドナーからのデータを示している。
【
図15A】
図14に対応するA375逐次刺激アッセイ中のNR4A編集、対照非編集NY-ESO-1 TCR T細胞、及びモック非形質導入T細胞から生成された分泌インターフェロン-ガンマ(IFN-γ)を示している。上清を各再播種から24時間後に収集し、サイトカインをMSDによって定量した。グラフは、3つの独立したドナーからのデータを示している。
図15A~15Cの各々において、刺激の各々(すなわち、刺激1、刺激2、刺激3、及び刺激4)について、1番目のバー(左から)は、NR4A1編集NY-ESO-1 TCR T細胞(NR4A1 KO;三角)であり、2番目のバーは、NR4A2-編集NY-ESO-1 TCR T細胞(NR4A2 KO;アスタリスク)であり;3番目のバーは、NR4A3編集NY-ESO-1 TCR T細胞(NR4A3 KO;中実丸)であり;4番目のバーは、非編集対照NY-ESO-1 TCR T細胞(対照;x記号)であり;5番目のバーは、非形質導入T細胞(モック;四角)である。
【
図15B】
図14に対応するA375逐次刺激アッセイ中のNR4A編集、対照非編集NY-ESO-1 TCR T細胞、及びモック非形質導入T細胞から生成された分泌インターロイキン-2(IL-2)示している。上清を各再播種から24時間後に収集し、サイトカインをMSDによって定量した。グラフは、3つの独立したドナーからのデータを示している。
図15A~15Cの各々において、刺激の各々(すなわち、刺激1、刺激2、刺激3、及び刺激4)について、1番目のバー(左から)は、NR4A1編集NY-ESO-1 TCR T細胞(NR4A1 KO;三角)であり、2番目のバーは、NR4A2-編集NY-ESO-1 TCR T細胞(NR4A2 KO;アスタリスク)であり;3番目のバーは、NR4A3編集NY-ESO-1 TCR T細胞(NR4A3 KO;中実丸)であり;4番目のバーは、非編集対照NY-ESO-1 TCR T細胞(対照;x記号)であり;5番目のバーは、非形質導入T細胞(モック;四角)である。
【
図15C】
図14に対応するA375逐次刺激アッセイ中のNR4A編集、対照非編集NY-ESO-1 TCR T細胞、及びモック非形質導入T細胞から生成された分泌腫瘍-壊死因子-アルファ(TNF-α)を示している。上清を各再播種から24時間後に収集し、サイトカインをMSDによって定量した。グラフは、3つの独立したドナーからのデータを示している。
図15A~15Cの各々において、刺激の各々(すなわち、刺激1、刺激2、刺激3、及び刺激4)について、1番目のバー(左から)は、NR4A1編集NY-ESO-1 TCR T細胞(NR4A1 KO;三角)であり、2番目のバーは、NR4A2-編集NY-ESO-1 TCR T細胞(NR4A2 KO;アスタリスク)であり;3番目のバーは、NR4A3編集NY-ESO-1 TCR T細胞(NR4A3 KO;中実丸)であり;4番目のバーは、非編集対照NY-ESO-1 TCR T細胞(対照;x記号)であり;5番目のバーは、非形質導入T細胞(モック;四角)である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本開示は、疾患の処置を、それを必要とする対象において行う方法であって、低減したレベルの核受容体サブファミリー4群Aメンバー3(NR4A3)遺伝子及び/またはNR4A3タンパク質を発現し、かつNR4A1及びNR4A2遺伝子ならびにNR4A1及びNR4A2タンパク質の内因性発現を有する修飾された免疫細胞の集団を含む組成物を対象に投与することを含む、方法を対象とする。NR4A3遺伝子のレベルの低減は、遺伝子編集技術、例えば、CRISPRなどの遺伝子編集技術を使用することによって達成され得る。本開示から明らかになるように及び本明細書で実証されるように、いくつかの態様において、低減したレベルのNR4A3遺伝子及び/またはNR4A3タンパク質を有する修飾された免疫細胞はまた、低減したレベルのNR4Aファミリーの他のメンバーを発現し得る。したがって、いくつかの態様において、本開示のために有用な修飾された免疫細胞は、(i)低減したレベルのNR4A3遺伝子及び/またはNR4A3タンパク質及び(ii)低減したレベルのNR4A1遺伝子及び/またはNR4A1タンパク質を有する。いくつかの態様において、本開示のために有用な修飾された免疫細胞は、(i)低減したレベルのNR4A3遺伝子及び/またはNR4A3タンパク質及び(ii)低減したレベルのNR4A2遺伝子及び/またはNR4A2タンパク質を有する。いくつかの態様において、本開示のために有用な修飾された免疫細胞は、(i)低減したレベルのNR4A3遺伝子及び/またはNR4A3タンパク質、(ii)低減したレベルのNR4A1遺伝子及び/またはNR4A1タンパク質、及び(iii)低減したレベルのNR4A2遺伝子及び/またはNR4A2タンパク質を有する。
【0031】
NR4A3遺伝子及び/またはNR4A3タンパク質発現のレベルの低減は(単独でまたは低減したレベルのNR4A1遺伝子及び/またはNR4A1タンパク質及び/またはNR4A2遺伝子及び/またはNR4A2タンパク質と組み合わせて)、1つ以上の持続的エフェクター機能をもたらし得る。持続的エフェクター機能の1つの態様は、向上したT細胞活性化(例えば、向上した増殖、向上した細胞傷害性、向上したサイトカイン発現)。NR4A3遺伝子及び/またはNR4A3タンパク質のレベルを低減することは(単独でまたは低減したレベルのNR4A1遺伝子及び/またはNR4A1タンパク質及び/またはNR4A2遺伝子及び/またはNR4A2タンパク質と組み合わせて)、疲弊/機能不全耐性細胞をもたらし得る。さらに、NR4A3遺伝子及び/またはNR4A3タンパク質のレベルを低減することは(単独でまたは低減したレベルのNR4A1遺伝子及び/またはNR4A1タンパク質及び/またはNR4A2遺伝子及び/またはNR4A2タンパク質と組み合わせて)、TME環境において抗腫瘍機能の維持をもたらし得る。
【0032】
本開示はまた、例えば、低減したレベルの核受容体サブファミリー4群Aメンバー3(NR4A3)遺伝子及び/またはNR4A3タンパク質及び内因性レベルのNR4A1及びNR4A2遺伝子ならびにNR4A1及びNR4A2タンパク質を発現する修飾された免疫細胞を生成するための方法、修飾された免疫細胞を使用するための方法、薬学的組成物、またはキットを提供する。本明細書に記載されるように、いくつかの態様において、そのような方法、薬学的組成物、またはキットのために有用な修飾された免疫細胞は、(i)低減したレベルのNR4A1遺伝子及び/またはNR4A1タンパク質、(ii)低減したレベルのNR4A2遺伝子及び/またはNR4A2タンパク質、または(iii)(i)及び(ii)の両方を有するようにさらに修飾されている。
【0033】
本開示がより詳細に記載される前に、本開示は、記載される特定の組成物またはプロセス工程に限定されないが、そのようなものは当然ながら変わり得ることが理解されるべきである。本開示を読むことで当業者に明らかになるように、本明細書において記載及び例示される個々の態様の各々は、本開示の範囲または趣旨から逸脱することなく他のいくつかの態様のいずれかの特徴から容易に分離されまたはそれと組み合わされ得る個別の成分及び特徴を有する。任意の記述された方法は、記述された事象の順序でまたは論理的に可能性のある任意の他の順序で行われ得る。
【0034】
本明細書で提供される見出しは、本開示の様々な態様の限定ではなく、本開示の態様は、本明細書の全体を参照することによって定義され得る。本開示の範囲は、添付の特許請求の範囲によってのみ限定されるので、本明細書で使用される専門用語は、特定の態様を記載する目的のためのものにすぎず、限定することは意図されていないことも理解されたい。
【0035】
I.用語
本開示がより容易に理解され得るために、所定の用語が最初に定義される。本出願で使用する場合、別段明示的に本明細書で提供される場合を除き、以下の用語の各々は、以下に示される意味を有するものとする。追加の定義が本出願を通して示されている。
【0036】
本開示を通して、「a」または「an」実体という用語は、その実体の1つ以上を指す;例えば、「免疫細胞」は、1つ以上の免疫細胞を表すことが理解される。このように、「a」(または「an」)、「1つ以上の」、及び「少なくとも1つの」という用語は、本明細書で同義に使用され得る。
【0037】
さらに、「及び/または」は、本明細書で使用する場合、他方を伴うかまたは伴わない、2つの特定の特性または成分の各々の具体的な開示として解釈されるべきである。よって、本明細書において「A及び/またはB」などの語句で使用される「及び/または」という用語は、「A及びB」、「AまたはB」、「A」(単独)、及び「B」(単独)を含むことが意図される。同様に、「A、B、及び/またはC」などの語句で使用される「及び/または」という用語は、以下の態様、すなわち、A、B、及びC;A、B、またはC;AまたはC;AまたはB;BまたはC;A及びC;A及びB;B及びC;A(単独);B(単独);ならびにC(単独)の各々を包含することが意図される。
【0038】
態様が「含む」という言葉を用いて本明細書に記載されている場合はいつでも、「からなる」及び/または「本質的になる」の観点から記載される別の類似する態様も提供されることが理解される。
【0039】
別途定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術的及び科学的用語は、本開示が関係する技術分野の当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。例えば、Concise Dictionary of Biomedicine and Molecular Biology,Juo,Pei-Show,2nd ed.,2002,CRC Press;The Dictionary of Cell and Molecular Biology,3rd ed.,1999,Academic Press;及びthe Oxford Dictionary of Biochemistry and Molecular Biology,Revised,2000,Oxford University Pressは、本開示において使用される用語の多くの一般的辞書を当業者に提供する。
【0040】
単位、接頭辞、及び記号は、それらの国際単位系(SI)の認められた形態で示される。数値範囲は、その範囲を定義する数を含む。特記なき限り、アミノ酸配列はアミノからカルボキシの方向で左から右に書かれている。本明細書において提供する見出しは、本明細書全体を参照することにより得ることができる本開示の様々な態様を限定するものではない。したがって、以下で直ちに定義される用語は、その全体が本明細書への参照によってより十分に定義される。
【0041】
本明細書で使用される略語は、本開示を通して定義される。本開示の様々な態様は、以下のサブセクションにおいてさらに詳細に記載されている。
【0042】
「約」または「本質的に含む」という用語は、当業者によって決定される特定の値または組成物の許容誤差範囲内にある値または組成物を指し、これは、部分的には、値または組成がどのように測定または決定されるか、すなわち、測定システムの限界に依存する。例えば、「約」または「本質的に含む」は、当該技術分野における実践ごとに1標準偏差以内または1標準偏差を超えることを意味し得る。あるいは、「約」または「本質的に含む」は、最大10%の範囲を意味し得る。さらに、特に生物学的システムまたはプロセスに関して、この用語は、最大1桁または最大5倍の値を意味し得る。特定の値または組成物が本出願及び特許請求の範囲で提供される場合、別段記述されない限り、「約」または「本質的に含む」の意味は、その特定の値または組成物の許容誤差範囲内にあると想定されるべきである。
【0043】
本明細書で使用する場合、「およそ」という用語は、対象となる1つ以上の値に適用される場合、記述された参照値と同様の値を指す。いくつかの態様において、「およそ」という用語は、別途記述されない限り、または別途文脈から明らかでない限り、記述された参照値のいずれの方向に(それを超えるまたは未満)10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、またはそれ未満の範囲内の値の範囲を指す(かかる数がとり得る値の100%を超える場合を除く)。
【0044】
本明細書に記載されるように、任意の濃度範囲、パーセンテージ範囲、比率範囲または整数範囲は、別段示されない限り、記述された範囲内の任意の整数、ならびに適切な場合には、その分数(整数の10分の1及び100分の1など)の値を含むことを理解されたい。
【0045】
本明細書で使用する場合、「投与すること」は、当業者に知られている様々な方法及び送達システムのいずれかを使用する、治療剤または治療剤を含む組成物の対象への物理的導入を指す。本明細書に記載の治療剤のための様々な投与経路には、静脈内、腹腔内、筋肉内、皮下、脊髄または、例えば注射もしくは注入による他の非経口投与経路が含まれる。「非経口投与」という語句は、本明細書で使用する場合、通常は注射による、経腸投与及び局所投与以外の投与様式を意味し、限定されないが、静脈内、腹腔内、筋肉内、動脈内、髄腔内、リンパ内、病巣内、嚢内、眼窩内、心臓内、皮内、経気管、気管内、肺内、皮下、表皮下、関節内、被膜下、くも膜下、心室内、硝子体内、硬膜外、及び胸骨内の注射及び注入、ならびにin vivoエレクトロポレーションを含む。あるいは、本明細書に記載される治療剤は、局部投与経路、表皮投与経路、または粘膜投与経路などの非経口的でない経路によって、例えば、鼻腔内投与、経口投与、膣内投与、直腸投与、舌下投与、または局部投与することができる。また、投与は、例えば1回、複数回、及び/または1以上の長い期間にわたって行うことができる。
【0046】
本明細書で使用する場合、「抗原」という用語は、タンパク質、ペプチド、またはハプテンなどの任意の天然または合成の免疫原性物質を意味する。本明細書で使用する場合、「同族抗原」という用語は、免疫細胞(例えば、T細胞)が認識することにより、免疫細胞の活性化を誘導する(例えば、サイトカイン生成などのエフェクター機能を誘導する、及び/または細胞の増殖のための細胞内シグナルを誘発する)、抗原を意味する。
【0047】
ヌクレオチドは、それらの一般的に認められている1文字のコードによって表される。特記なき限り、核酸は、5’から3’配向で左から右に記述される。ヌクレオチドは、IUPAC-IUB Biochemical Nomenclature Commissionによって推奨されるそれらの一般的に知られている1文字の記号によって本明細書で表される。したがって、Aはアデニンを表し、Cはシトシンを表し、Gはグアニンを表し、Tはチミンを表し、Uはウラシルを表す。
【0048】
配列T及びUは、配列がDNAであるか、またはRNAであるかに応じて交換可能であることを理解されたい。例えば、gRNAスペーサー配列は、本開示ではDNA(A/T/C/G)として提示される一方で、gRNAキメラフレームは、RNA(A/U/C/G)として提示される。
【0049】
アミノ酸は、それらの一般的に知られている3文字の記号によってまたはIUPAC-IUB Biochemical Nomenclature Commissionによって推奨される1文字の記号によって本明細書で表される。特記なき限り、アミノ酸配列は、アミノからカルボキシの配向で左から右に記述される。
【0050】
「ポリペプチド」は、少なくとも2つの連続的に連結したアミノ酸残基を含む鎖を意味し、鎖の長さに上限はない。タンパク質における1つ以上のアミノ酸残基は、限定されないが、グリコシル化、リン酸化またはジスルフィド結合形成などの修飾を含み得る。「タンパク質」は、1つ以上のポリペプチドを含み得る。特記なき限り、「タンパク質」及び「ポリペプチド」という用語は同義に使用され得る。
【0051】
「核酸分子」という用語は、本明細書で使用する場合、DNA分子及びRNA分子を含むことが意図される。核酸分子は、一本鎖または二本鎖であり得、cDNAであり得る。
【0052】
本明細書で使用する場合、「ポリヌクレオチド」という用語は、リボヌクレオチド、デオキシリボヌクレオチド、それらのアナログ、またはそれらの混合物を含む、任意の長さのヌクレオチドのポリマーを指す。この用語は、分子の一次構造を指す。よって、その用語には、三本鎖、二本鎖及び一本鎖デオキシリボ核酸(「DNA」)、ならびに三本鎖、二本鎖及び一本鎖リボ核酸(「RNA」)が含まれる。それにはまた、ポリヌクレオチドの、例えば、アルキル化、及び/またはキャッピングによって修飾された形態、及び修飾されていない形態が含まれる。より具体的には、「ポリヌクレオチド」という用語は、ポリデオキシリボヌクレオチド(2-デオキシ-D-リボースを含有する)、スプライシングされたまたはスプライシングされていないにかかわらず、mRNA及びgRNAが挙げられるポリリボヌクレオチド(D-リボースを含有する)、プリンまたはピリミジン塩基のN-またはC-配糖体である任意の他の種類のポリヌクレオチド、ならびに非ヌクレオチド骨格を含有する他のポリマー、例えば、ポリアミド(例えば、ペプチド核酸「PNA」)及びポリモルホリノポリマー、ならびにDNA及びRNAにおいて見出されるような塩基対形成及び塩基スタッキングを可能にする配置で核酸塩基を含有することを条件とする他の配列特異的合成核酸ポリマーを含む。特記なき限り、「ポリヌクレオチド」、「核酸」、「遺伝子」、「cDNA」、及び「mRNA」という用語は、同義に使用され得る。
【0053】
「遺伝子」という用語は、ポリペプチド鎖の生成に関与するDNAのセグメントを意味する。それには、コード領域(リーダー及びトレーラー)の前及び後の領域ならびに個々のコードセグメント(エクソン)の間の介在配列(イントロン)が含まれ得る。
【0054】
「ベクター」という用語は、本明細書で使用する場合、連結されている別の核酸を輸送することが可能な核酸分子を指すことが意図される。ベクターの一種には「プラスミド」があり、これは、追加のDNAセグメントがライゲートされ得る環状二本鎖DNAループを意味する。別の種類のベクターはウイルスベクターであり、ウイルスベクターの場合、追加のDNAセグメントがウイルスゲノムにライゲートされ得る。所定のベクターは、それらが導入される宿主細胞における自己複製が可能である(例えば、細菌起源の複製を有する細菌ベクター及びエピソーム性哺乳動物ベクター)。他のベクター(例えば、非エピソーム性哺乳動物ベクター)は、宿主細胞に導入されると宿主細胞のゲノムに組み込まれ得、それにより宿主ゲノムと共に複製される。その上、所定のベクターは、それらが機能可能に連結された遺伝子の発現を誘導することが可能である。そのようなベクターは、本明細書において「組換え発現ベクター」(または単に「発現ベクター」)と称される。通常、組換えDNA技術における利用される発現ベクターは、しばしばプラスミドの形態である。プラスミドは最も一般的に使用される形態のベクターであるため、本明細書において「プラスミド」及び「ベクター」は同義に使用され得る。しかしながら、均等な機能を果たすウイルスベクター(例えば、複製欠損レトロウイルス、アデノウイルス、及びアデノ随伴ウイルス)のような他の形態の発現ベクターも含まれる。
【0055】
「がん」とは、体内の異常細胞の成長がコントロールされないことを特徴とする様々な疾患の広範な群を意味する。制御不能な細胞分裂及び成長は、隣接組織に侵入する悪性腫瘍の形成をもたらし、また、リンパ系または血流を介して身体の遠位部分に転移し得る。本明細書で使用する「がん」は、原発性癌、転移癌、及び再発癌を意味する。
【0056】
本明細書で使用する場合、「免疫応答」という用語は、外来作用物質に対する脊椎動物における生物学的応答であり、これらの作用物質及びそれらに起因する疾患から生物を保護する応答を意味する。免疫応答は、免疫系の細胞(例えば、Tリンパ球、Bリンパ球、ナチュラルキラー(NK)細胞、マクロファージ、好酸球、肥満細胞、樹状細胞または好中球)ならびにこれらの細胞または肝臓のいずれかによって生成される可溶性巨大分子(抗体、サイトカイン、及び補体を含む)であって、侵入する病原体、病原体に感染した細胞または組織、がん細胞または他の異常な細胞、あるいは自己免疫または病理学的炎症の場合、正常なヒトの細胞または組織の選択的標的化、結合、損傷、破壊、脊椎動物の体内から排除をもたらすものの作用によって媒介される。免疫反応には、例えば、T細胞、例えば、CD4+もしくはCD8+T細胞などのエフェクターT細胞もしくはTh細胞の活性化もしくは阻害、またはTreg細胞の阻害が含まれる。本明細書で使用する場合、「T細胞」及び「Tリンパ球」という用語は同義であり、胸腺によって生成または処理されるあらゆるリンパ球を意味する。いくつかの態様において、T細胞はCD4+T細胞である。いくつかの態様において、T細胞はCD8+T細胞である。いくつかの態様において、T細胞はNKT細胞である。
【0057】
本明細書で使用する場合、「抗腫瘍免疫応答」という用語は、腫瘍抗原に対する免疫応答を意味する。免疫応答または免疫系を刺激する能力の増大は、T細胞共刺激受容体のアゴニスト活性の向上及び/または抑制性受容体のアンタゴニスト活性の向上に起因し得る。免疫応答または免疫系を刺激する能力の上昇は、免疫応答を測定するアッセイ、例えば、サイトカインまたはケモカインの放出、細胞溶解活性(標的細胞で直接的に、またはCD107aもしくはグランザイムを検出することを介して間接的に決定される)、及び増殖の変化を測定するアッセイにおけるEC50または最大活性レベルの倍率増加によって反映され得る。いくつかの態様において、免疫応答または免疫系活性を刺激する能力は、例えば、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または少なくとも約100%向上し得る。いくつかの態様において、免疫応答または免疫系活性を刺激する能力は、例えば、少なくとも約1.2倍、少なくとも約1.4倍、少なくとも約1.6倍、少なくとも約1.8倍、少なくとも約2倍、少なくとも約3倍、少なくとも約4倍、少なくとも約5倍、少なくとも約6倍、少なくとも約7倍、少なくとも約8倍、少なくとも約9倍、少なくとも約10倍、またはそれを超えて向上し得る。
【0058】
「対象」には、あらゆるヒトまたは非ヒト動物が含まれる。「非ヒト動物」という用語は、非ヒト霊長動物、ヒツジ、イヌ、ならびにマウス、ラット、及びモルモットなどの齧歯動物などの脊椎動物が含まれるが、これらに限定されない。いくつかの態様において、対象は、ヒトである。「対象」及び「患者」という用語は、本明細書で同義に使用される。
【0059】
「治療有効量」または「治療有効投薬量」という用語は、所望の生物学的、治療的、及び/または予防的結果を提供する薬剤(例えば、本明細書に開示される修飾された免疫細胞)の量を指す。その結果は、疾患の徴候、症状、もしくは原因のうちの1以上の低減、回復、緩和、減弱、遅延、及び/または軽減、または生物学的システムの任意の他の所望の変化であり得る。固形腫瘍に関して、有効量は、腫瘍の縮小を引き起こし、及び/または腫瘍の成長速度を低下させる(例えば、腫瘍成長を抑圧する)か、または他の望ましくない細胞増殖を防止または遅延させるために十分な量を含む。いくつかの態様において、有効量は、腫瘍発症を遅延させるために十分な量である。いくつかの態様において、有効量は、腫瘍再発を防止または遅延させるために十分な量である。有効量は、1回以上の投与で投与され得る。有効量の組成物は、例えば、(i)がん細胞の数を低減し、(ii)腫瘍サイズを縮小し、(iii)末梢器官へのがん細胞浸潤を阻害し、遅らせ、ある程度減速させ、停止させ得、(iv)腫瘍転移を阻害し(すなわち、ある程度減速させ、停止させ得、(v)腫瘍成長を阻害し、(vi)腫瘍の発生及び/または再発を防止もしくは遅延させ、及び/または(vii)がんに関連する症状のうちの1つ以上をある程度軽減し得る。
【0060】
いくつかの態様において、「治療有効量」は、進行固形腫瘍などのがんの著しい減少またはがんの進行の緩徐化(退縮)をもたらすことが臨床的に証明されている、本明細書における修飾された細胞の量である。疾患退縮を促進する治療剤の能力は、熟練した医師に知られている様々な方法を使用して、例えば、臨床試験中のヒト対象で、ヒトにおける効能を予測する動物モデル系で、またはin vitroアッセイで薬剤の活性をアッセイすることで評価することができる。
【0061】
本明細書で使用する場合、「標準治療」という用語は、特定の種類の疾患に適切な処置として医療専門家に認められており、医療従事者によって広く使用されている処置を意味する。この用語は、次の用語:「ベストプラクティス」、「標準的医療」、及び「標準療法」のいずれとも同義に使用され得る。
【0062】
例として、「抗がん剤」は、対象におけるがん退縮を促進し、またはさらなる腫瘍成長を防止する。いくつかの態様において、治療有効量の薬物は、がんを排除する点までがん退縮を促進する。
【0063】
「がんの退縮を促進する」とは、有効量の薬物を単独で、または抗新生物剤と組み合わせて投与することにより、腫瘍の成長またはサイズの低減、腫瘍の壊死、少なくとも1つの疾患症状の重症度の低下、疾患の無症状期間の頻度増大及び期間延長、または疾患の罹患による機能障害もしくは能力障害の防止をもたらすことを意味する。
【0064】
処置に関する「有効な」及び「有効性」という用語には、薬理学的有効性及び生理的安全性の両方が含まれる。薬理学的有効性とは、患者のがんの退行を促進する薬物の能力を意味する。生理学的安全性とは、薬物の投与に起因する、細胞、器官、及び/または生物のレベルでの毒性または他の有害な生理学的効果(有害作用)のレベルを意味する。
【0065】
本明細書で使用する場合、「免疫チェックポイント阻害剤」という用語は、1以上のチェックポイントタンパク質を完全にまたは部分的に低減させる、阻害する、干渉する、または調節する分子を意味する。チェックポイントタンパク質は、T細胞の活性化または機能を制御する。CTLA-4ならびにそのリガンドのCD80及びCD86、ならびにPD-1とそのリガンドのPD-L1及びPD-L2など、多数のチェックポイントタンパク質が公知である。Pardoll,D.M.,Nat Rev Cancer 12(4):252-64(2012)。これらのタンパク質は、T細胞応答の共刺激性相互作用または阻害性相互作用の原因である。免疫チェックポイントタンパク質は、自己寛容性、ならびに生理学的免疫応答の期間及び程度を制御し、維持する。免疫チェックポイント阻害剤は、抗体を含むか、または抗体に由来する。
【0066】
本明細書で使用する場合、「酸化ストレス」という用語は、過剰な酸化剤及び/または抗酸化剤レベルの低下を特徴とする状態を意味する。細胞酸化剤は、限定するものではないが、酸素のラジカル(スーパーオキシドアニオン、ヒドロキシルラジカル、及び/またはペルオキシラジカル);例えば、過酸化水素及び一重項酸素などの反応性非活性酸素種;炭素ラジカル;窒素ラジカル;硫黄ラジカル;ならびにそれらの組み合わせを含み得る。いくつかの態様において、酸化ストレスの状態は、例えば、細胞損傷、細胞の機能不全、及び/または細胞死をもたらし得る。
【0067】
本明細書で使用する場合、「修飾された細胞」という用語は、細胞の表現型(すなわち、NR4A3遺伝子及び/またはNR4A3タンパク質の発現レベル)が、修飾されていない細胞(すなわち、参照細胞)とは異なるように、天然に存在しない操作を受けた細胞、例えば、T細胞を指す。本開示から明らかになるように、本明細書で開示される修飾された細胞は、参照細胞(例えば、修飾されていない対応する細胞)と比較して低減したレベルのNR4A3遺伝子及び/またはNR4A3タンパク質を発現する。本明細書に記載されるように、いくつかの態様において、修飾された細胞は、正常なレベルのNR4A1遺伝子及び/またはNR4A1タンパク質及びNR4A2遺伝子及び/またはNR4A2タンパク質を発現し得る。いくつかの態様において、本開示の修飾された細胞は、(i)低減したレベルのNR4A3遺伝子及び/またはNR4A3タンパク質及び(ii)低減したレベルのNR4A1遺伝子及び/またはNR4A1タンパク質を発現し得る。いくつかの態様において、本明細書に記載の修飾された細胞は、(i)低減したレベルのNR4A3遺伝子及び/またはNR4A3タンパク質及び(ii)低減したレベルのNR4A2遺伝子及び/またはNR4A2タンパク質を発現し得る。いくつかの態様において、修飾された細胞は、(i)低減したレベルのNR4A3遺伝子及び/またはNR4A3タンパク質、(ii)低減したレベルのNR4A1遺伝子及び/またはNR4A1タンパク質、及び(iii)低減したレベルのNR4A2遺伝子及び/またはNR4A2タンパク質を有する。本明細書で使用する場合、「対応する細胞」という用語は、修飾された細胞と同じ免疫細胞分類に属する細胞を指す。例えば、修飾された細胞がT細胞である場合、対応する細胞は、T細胞であろう。特記なき限り、「低減したレベルのNR4A3遺伝子及び/またはNR4A3タンパク質を有する(を発現する)修飾された細胞」(そのバリアントを含む)は、低減したレベルのNR4A3遺伝子及び/またはNR4A3タンパク質ならびに(i)内因性レベルのNR4A1及びNR4A2遺伝子及びNR4A1及びNR4A2タンパク質;(ii)低減したレベルのNR4A1遺伝子及び/またはNR4A1タンパク質;(iii)低減したレベルのNR4A2遺伝子及び/またはNR4A2タンパク質;または(iv)低減したレベルのNR4A1遺伝子及び/またはNR4A1タンパク質及びNR4A2遺伝子及び/またはNR4A2タンパク質の両方を有するように修飾された細胞(例えば、T細胞)を含む。
【0068】
本明細書で使用する場合、「内因性発現」または「内因性発現レベル」または「内因性レベル」(またはそのバリアント)という用語は、天然に存在する遺伝子及び/またはタンパク質発現(例えば、量、動態など)を指す(例えば、遺伝子及び/またはタンパク質が、天然に存在しない操作によって直接的に操作されていない)。本開示から明らかになるように、いくつかの態様において、本明細書に開示される修飾された細胞(例えば、NR4A3がノックダウンされたROR1 CAR T細胞)は、内因性レベルのNR4A3遺伝子またはNR4A3タンパク質を発現しないが、NR4A1及びNR4A2遺伝子が、(例えば、CRISPR、例えば、天然に存在しない操作によって)ノックダウンされていないので、修飾された細胞は、NR4A1及びNR4A2遺伝子及び/またはNR4A1及びNR4A2タンパク質を内因的に発現する。本明細書に記載されるように、いくつかの態様において、低減したレベルのNR4A3遺伝子またはNR4A3タンパク質を発現する修飾された細胞は、低減したレベルの(i)NR4A1遺伝子またはNR4A1タンパク質、(ii)NR4A2遺伝子またはNR4A2タンパク質、または(iii)(i)及び(ii)の両方も発現するようにさらに修飾され得る。
【0069】
いくつかの態様において、修飾された細胞は、外来または外因性の核酸を細胞に導入することによって生成される。いくつかの態様において、外来または外因性核酸は、本明細書に開示される遺伝子編集ツールをコードし得る。核酸は、例えば、電気穿孔(例えば、Heiser W.C.Transcription Factor Protocols:Methods in Molecular Biology商標 2000;130:117-134を参照されたい)、化学(例えば、リン酸カルシウムまたは脂質)トランスフェクション(例えば、Lewis W.H.,et al.,Somatic Cell Genet.1980 May;6(3):333-47、Chen C.,et al.,Mol Cell Biol.1987 August;7(8):2745-2752を参照されたい)、組換えプラスミドを含む細菌プロトプラストとの融合(例えば、Schaffner W.Proc Natl Acad Sci USA.1980 April;77(4):2163-7を参照されたい)、または精製されたDNAの細胞核への直接的な微量注入(例えば、Capecchi M.R.Cell.1980 November;22(2 Pt 2):479-88を参照されたい)のような、当該技術分野で公知の方法によって細胞に導入することができる。
【0070】
「修飾された細胞」または「細胞」は、それらの細胞の集団、すなわち、複数のそれらの細胞に同等に適用可能であることを理解されたい。
【0071】
本明細書で使用する場合、「上昇した濃度」または「上昇したベル」という用語及びその文法的類型は、適切な対照(例えば、健康な組織または細胞)と比較して正常を超えるレベルの物質(例えば、反応性酸素種;ROS)を指す。
【0072】
本明細書で使用する場合、「反応性酸素種」及び「ROS」という用語は、酸素を含む高反応性化学物質で、他の分子と容易に反応し、損傷を生じる可能性のある修飾をもたらすものを意味する。反応性酸素種としては、例えば、酸素イオン、無機及び有機のフリーラジカル及び過酸化物、例えば過酸化水素、スーパーオキシド、ヒドロキシルラジカル、脂質ヒドロペルオキシダーゼ、及び一重項酸素が挙げられる。これらは通常きわめて小さい分子であり、不対原子価殻電子が存在するため反応性が高い。ほぼすべてのがんが、上昇した濃度の反応性酸素種に関連している。Liou,G.,et al.,Free Radic Res 44(5):1-31(2010)。
【0073】
「キメラ抗原受容体」及び「CAR」という用語は、本明細書で使用する場合、抗原が細胞外ドメインに結合すると特殊な機能を果たすよう細胞に指示する、細胞内ドメインに結合した抗原特異的細胞外ドメインを有する組換え融合タンパク質を意味する。「人工T細胞受容体」、「キメラT細胞受容体」、及び「キメラ免疫受容体」という用語は各々、本明細書では「キメラ抗原受容体」という用語と同義に使用され得る。キメラ抗原受容体は、MHC非依存性抗原と結合し、その細胞内ドメインを介して活性化シグナルを伝達するその両方の能力によって他の抗原結合剤とは区別される。
【0074】
キメラ抗原受容体の抗原特異的細胞外ドメインは、抗原、典型的には悪性腫瘍の表面発現抗原を認識し、それと特異的に結合する。抗原特異的細胞外ドメインは、例えば、約0.1pM~約10μM、例えば、約0.1pM~約1μMまたは約0.1pM~約100nMの親和性定数または相互作用の親和性(KD)で抗原に結合する場合、抗原に特異的に結合する。相互作用の親和性を決定するための方法は、当該技術分野において知られている。本開示のCARにおいて使用するために好適な抗原特異的細胞外ドメインは、任意の抗原結合ポリペプチドであり得、その多種多様のポリペプチドが当該技術分野において知られている。いくつかの態様において、抗原結合ドメインは、一本鎖Fv(scFv)である。他の抗体ベースの認識ドメイン(cAb VHH(ラクダ科抗体可変ドメイン)及びそのヒト化版、IgNAR VH(サメ抗体可変ドメイン)及びそのヒト化版、sdAb VH(単一ドメイン抗体可変ドメイン)ならびに「ラクダ化」抗体可変ドメインが使用に好適である。いくつかの態様において、一本鎖TCR(scTv、VアルファVベータを含む一本鎖2ドメインTCR)などのT細胞受容体(TCR)ベースの認識ドメインも使用に好適である。
【0075】
本明細書に開示されるキメラ抗原受容体は、抗原が抗原特異的細胞外ドメインに結合すると細胞内シグナルを細胞(CARを発現するもの)に与える細胞内ドメインを含んでもよい。いくつかの態様において、CARの細胞内シグナル伝達ドメインは、キメラ受容体が発現されるT細胞のエフェクター機能のうちの少なくとも1つの活性化の原因である。
【0076】
「細胞内ドメイン」という用語は、CARのうち、抗原が細胞外ドメインに結合するとエフェクター機能シグナルを伝達し、特殊な機能を果たすようT細胞に指示する部分を意味する。好適な細胞内ドメインの非限定的な例としては、T細胞受容体のゼータ鎖またはその相同体のいずれか(例えば、イータ、デルタ、ガンマ、またはイプシロン)、MB1鎖、829、Fc RIII、Fc RI、及びシグナル伝達分子の組み合わせ、例えばCD3ゼータ及びCD28、CD27、4-1BB、DAP-10、OX40、及びそれらの組み合わせ、ならびに他の同様の分子及び断片が挙げられる。FcγRIII及びFcεRIのような、活性化タンパク質ファミリーの他のメンバーの細胞内シグナル伝達部分を使用してもよい。通常は細胞内ドメイン全体が用いられるが、多くの場合、細胞内ポリペプチド全体を使用する必要はない。細胞内シグナル伝達ドメインの切断部分が用いられ得る場合において、かかる切断部分は、依然としてエフェクター機能シグナルを伝達する限り、インタクトな鎖の代わりに使用されてもよい。したがって、細胞内ドメインという用語は、エフェクター機能シグナルを伝達するのに十分な細胞内ドメインの任意の切断部分を含むことが意図される。典型的に、抗原特異的細胞外ドメインは、膜貫通ドメインにより、キメラ抗原受容体の細胞内ドメインに連結している。膜貫通ドメインは、細胞膜を横断し、CARをT細胞表面に固定し、細胞外ドメインを細胞内シグナル伝達ドメインに接続し、したがってT細胞表面におけるCARの発現に影響を及ぼす。キメラ抗原受容体は、1以上の共刺激ドメイン及び/または1以上のスペーサーをさらに含んでもよい。共刺激ドメインは、サイトカイン生成、増殖、細胞傷害性、及び/または持続性をin vivoで向上させる共刺激性タンパク質の細胞内シグナル伝達ドメインに由来する。
【0077】
「ペプチドヒンジ」または「スペーサー」は、抗原特異的細胞外ドメインを膜貫通ドメインに接続させる。膜貫通ドメインは共刺激ドメインに融合しており、任意選択で、共刺激ドメインは第2の共刺激ドメインに融合しており、共刺激ドメインは、CD3ζに限定されないシグナル伝達ドメインに融合している。例えば、抗原特異的細胞外ドメインと膜貫通ドメインとの間に、またタンデムCARの場合は複数のscFv間にスペーサードメインを含めると、抗原結合ドメイン(複数可)の柔軟性、ひいてはCAR機能に影響が及び得る。好適な膜貫通ドメイン、共刺激ドメイン、及びスペーサーは当該技術分野において公知である。
【0078】
本明細書で使用する場合、「ug」及び「uM」という用語は、「μg」及び「μΜ」とそれぞれ同義に使用される。
【0079】
本明細書で使用する場合、「遺伝子編集」という用語は、細胞のゲノムに存在する遺伝情報を変化させるプロセスを意味する。この遺伝子編集は、ゲノムDNAを操作し、遺伝情報の修飾をもたらすことによって行われ得る。いくつかの態様において、かかる遺伝子編集は、編集されたDNAの発現に影響を及ぼし得る。いくつかの態様において、そのような遺伝子編集は、編集されていないDNAの発現に影響を及ぼさない。いくつかの態様において、本明細書に開示される修飾された細胞の遺伝子編集は、本明細書に記載される遺伝子編集ツールを使用して行うことができる。遺伝子編集ツールの非限定的な例としては、RNA干渉分子(例えば、shRNA、siRNA、miRNA)、アンチセンスオリゴヌクレオチド、CRISPR、ジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)、転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)、メガヌクレアーゼ、制限エンドヌクレアーゼ、またはそれらの任意の組み合わせが挙げられる。
【0080】
本明細書で使用する場合、「ヌクレアーゼ」という用語は、DNA切断のための触媒活性を保有する酵素を指す。所望の認識部位へのニックまたは二本鎖切断を誘導する任意のヌクレアーゼ剤は、本明細書に開示される方法及び組成物において使用され得る。ヌクレアーゼ剤が所望の認識部位にニックまたは二本鎖切断を誘導する限り、天然に存在するまたはネイティブのヌクレアーゼ剤が使用され得る。あるいは、修飾されたまたは操作されたヌクレアーゼ剤が用いられ得る。「操作されたヌクレアーゼ剤」は、所望の認識部位でニックまたは二本鎖切断を特異的に認識し、誘導するためにそのネイティブ形態から操作されたヌクレアーゼを含む。よって、操作されたヌクレアーゼ剤は、ネイティブの天然に存在するヌクレアーゼ剤に由来し得、またはそれは、人工的に生成または合成され得る。ヌクレアーゼ剤の修飾は、タンパク質切断剤におけるわずか1つのアミノ酸または核酸切断剤におけるわずか1つのヌクレオチドであり得る。いくつかの態様において、操作されたヌクレアーゼは、認識部位におけるニックまたは二本鎖切断を誘導し、その認識部位は、ネイティブ(操作も修飾もされていない)ヌクレアーゼ剤によって認識されるであろう配列ではなかったものである。認識部位または他のDNAにおけるニックまたは二本鎖切断を生成することは、本明細書で認識部位または他のDNAを「切ること」または「切断すること」と称され得る。
【0081】
「コード配列」または「コード核酸」は、本明細書で使用する場合、タンパク質、例えば、Cas9タンパク質、CAR、もしくはTCR、またはポリヌクレオチド、例えば、gRNAをコードするヌクレオチド配列を含む核酸(RNAまたはDNA分子)を意味する。コード配列は、核酸が投与される個体または哺乳動物の細胞における発現を指導することが可能なプロモーター及びポリアデニル化シグナルを含む制御性要素に作動可能に連結された開始及び終結シグナルをさらに含み得る。コード配列は、コドン最適化され得る。
【0082】
「相補性」または「相補的」は、本明細書で使用する場合、核酸分子のヌクレオチドまたはヌクレオチドアナログの間のワトソン・クリック(例えば、A-T/U及びC-G)またはフーグスティーン塩基対を指す。「相補性」は、2つの核酸配列間で共有された特性であって、それらが互いに逆平行にアライメントされた場合、各位置におけるヌクレオチド塩基が相補的となるものを指す。
【0083】
本明細書に記載の様々な態様は、以下のサブセクションでさらに詳細に記載される。
【0084】
II.修飾された免疫細胞
固形腫瘍のための細胞免疫療法の成功は、腫瘍微小環境における腫瘍浸潤リンパ球(TIL)の疲弊により制限されてきた。腫瘍抗原への持続的曝露は、T細胞疲弊をもたらし、これは、細胞傷害性及びサイトカイン生成の進行性喪失、ならびに阻害性マーカー、例えば、PD-1の増加した発現によって特性化される(Wherry et al.,Nat.Rev.Immunol.15,486-499(2015))。また、疲弊したTILは、転写因子、特にNR4Aファミリーを上方制御し、代替的に使用する(Chen et al.,Nature 567,530-534(2019))。
【0085】
本開示は、修飾された免疫細胞、すなわち、例えば、遺伝子編集によって修飾された細胞であって、低減したレベルのNR4A3遺伝子及び/またはNR4A3タンパク質を発現し、結果として、向上した機能、例えば、持続的エフェクター機能及び/または低減した疲弊を示す、細胞(例えば、低減したレベルのNR4A3を発現するが、内因性レベルのNR4A1及びNR4A2を発現しないCAR T細胞、例えば、低減したレベルのNR4A3を発現するが、内因性レベルのNR4A1及びNR4A2を発現しない抗ROR1-CAR T細胞、例えば、低減したレベルのNR4A3を発現するが、内因性レベルのNR4A1及びNR4A2を発現しないTCRを発現する免疫細胞)を提供する。いくつかの態様において、そのような修飾された免疫細胞は、低減したレベルのNR4Aファミリーの他のメンバーも発現するようにさらに修飾されている。例えば、本明細書に記載されるように、いくつかの態様において、低減したレベルのNR4A3遺伝子及び/またはNR4A3タンパク質を発現する修飾された免疫細胞はまた、低減したレベルのNR4A2遺伝子及び/またはNR4A2タンパク質を発現するように修飾されている。いくつかの態様において、低減したレベルのNR4A3遺伝子及び/またはNR4A3タンパク質を発現する修飾された免疫細胞はまた、低減したレベルのNR4A1遺伝子及び/またはNR4A1タンパク質を発現するように修飾されている。いくつかの態様において、低減したレベルのNR4A3遺伝子及び/またはNR4A3タンパク質を発現する修飾された免疫細胞はまた、低減したレベルのNR4A1遺伝子及び/またはNR4A1タンパク質及びNR4A2遺伝子及び/またはNR4A2タンパク質の両方を発現するように修飾されている。
【0086】
II.A.NR4A3
通常NR4A3と略され、MINOR、CSMF、NOR1、CHN、マイトジェン誘導核オーファン受容体、ニューロン由来オーファン受容体、核ホルモン受容体NOR-1、「EWSに融合された骨外性粘液型軟骨肉腫(Chondrosarcoma,Extraskeletal Myxoid,Fused to EWS)」及びTECとしても知られている核受容体サブファミリー4群Aメンバー3は、ヒトにおいてNR4A3遺伝子によってコードされるタンパク質である。オーファン核受容体のNR4Aファミリーには、NR4A1(Nur77)、NR4A2(Nurr1)、及びNR4A3(Nor-1)が含まれる。それらは、リガンド非依存的様式で転写因子として働く。それらの機能は大抵、多様な細胞外シグナルによるそれらの発現の急速で一過性の誘導によってコントロールされ、よって、最初期遺伝子とみなされる。NR4Aは、アポトーシス、生存、増殖、血管新生、炎症、DNA修復、及び脂肪酸代謝を含む様々な細胞機能に関与する。
【0087】
NR4A3遺伝子は、染色体9(塩基99,821,885~99,866,893;45,039塩基;プラス鎖配向;NCBI参照配列:NC_000009.12)に位置する。NR4A3は、細胞及び応答要素(標的)特異的様式でプロモーター領域における制御性要素に結合する転写活性化因子ある。NR4A3は、単量体としてNR4A1応答要素(NBRE)5’-AAAAGGTCA-3’部位に結合し、ホモ二量体として(類似性による)それらの制御された標的遺伝子のプロモーターにおけるNur応答要素(NurRE)部位に結合することによって遺伝子発現を誘導し、多くの異なる細胞タイプの増殖、生存、及び分化の制御において役割を果たす。
【0088】
NR4A3タンパク質は、選択的スプライシングによって生成された3つのアイソフォームを有する。配列が以下の表1に示されている。
【表1-1】
【表1-2】
【0089】
II.B.NR4A2
低減したレベルのNR4A3遺伝子及び/またはNR4A3タンパク質に加えて、いくつかの態様において、本明細書に記載の修飾された細胞は、低減したレベルのNR4A2遺伝子及び/またはNR4A2タンパク質を有するようにさらに修飾され得る。当該技術分野で知られている任意の好適な方法は、本明細書に記載の修飾された細胞におけるNR4A2遺伝子及び/またはNR4A2タンパク質のレベルを低減するために使用され得る。例えば、いくつかの態様において、NR4A2遺伝子及び/またはNR4A2タンパク質のレベルは、本明細書に記載の遺伝子編集ツール(例えば、CRISPR/Casシステム)のいずれかを使用して低減され得る。
【0090】
通常NR4A2と略され、NOT、RNR1、HZF-3、NURR1、TINURとしても知られている核受容体サブファミリー4群Aメンバー2は、ヒトにおいてNR4A2遺伝子によってコードされるタンパク質である。NR4A2遺伝子は、染色体2(塩基156,324,432~156,332,724、NCBI参照配列NC_000002.12)に位置する。特記なき限り、「NR4A2遺伝子」という用語は、NR4A2タンパク質(またはそのバリアント)をコードする任意の核酸配列を指すために本明細書で使用される。
【0091】
NR4A2タンパク質は、選択的スプライシングによって生成された2つのアイソフォームを有する。配列が以下の表2に示されている。特記なき限り及び本明細書でさらに記載されるように、いくつかの態様において、本明細書に記載の免疫細胞は、低減したレベルの任意の既知のNR4A2タンパク質(その任意のアイソフォーム及びバリアントを含む)を有するようにさらに修飾されている。NR4A2遺伝子及び/またはNR4A2タンパク質のレベルを低減する好適な方法は、本開示において他の箇所に記載されており、また、当該技術分野で知られている。
【表2】
【0092】
II.C.NR4A1
低減したレベルのNR4A3遺伝子及び/またはNR4A3タンパク質に加えて、いくつかの態様において、本明細書に記載の修飾された細胞は、低減したレベルのNR4A1遺伝子及び/またはNR4A1タンパク質を有するようにさらに修飾され得る。当該技術分野で知られている任意の好適な方法は、本明細書に記載の修飾された細胞におけるNR4A1遺伝子及び/またはNR4A1タンパク質のレベルを低減するために使用され得る。例えば、いくつかの態様において、NR4A1遺伝子及び/またはNR4A1タンパク質のレベルは、本明細書に記載の遺伝子編集ツール(例えば、CRISPR/Casシステム)のいずれかを使用して低減され得る。
【0093】
通常NR4A1と略され、HMR、N10、TR3、NP10、GFRP1、NAK-1、NGFIB、及びNUR77としても知られている核受容体サブファミリー4群Aメンバー1は、ヒトにおいてNR4A1遺伝子によってコードされるタンパク質である。NR4A1遺伝子は、染色体12(塩基52022832~52059507;NCBI参照配列NC_000012.12)に位置する。特記なき限り、「NR4A1遺伝子」という用語は、NR4A1タンパク質(またはそのバリアント)をコードする任意の核酸配列を指すために本明細書で使用される。
【0094】
NR4A1タンパク質は、選択的スプライシングによって生成された3つのアイソフォームを有する。配列が以下の表3に示されている。
【表3】
【0095】
いくつかの態様において、本開示のために有用な細胞組成物は、低減したレベルのNR4A3遺伝子及び/または低減したレベルのNR4A3タンパク質及びROR1に特異的に結合する結合分子を発現し、かつ(i)NR4A1及びNR4A2遺伝子ならびにNR4A1及びNR4A2タンパク質の内因性発現を有する修飾された免疫細胞の集団を含む。いくつかの態様において、修飾された免疫細胞は、(i)ROR1に特異的に結合する結合分子を発現する;(ii)低減したレベルのNR4A3遺伝子及び/またはNR4A3タンパク質を有する;及び(iii)低減したレベルのNR4A1遺伝子及び/またはNR4A1タンパク質を有する。いくつかの態様において、修飾された免疫細胞は、(i)ROR1に特異的に結合する結合分子を発現する;(ii)低減したレベルのNR4A3遺伝子及び/またはNR4A3タンパク質を有する;及び(iii)低減したレベルのNR4A2遺伝子及び/またはNR4A2タンパク質を有する。いくつかの態様において、修飾された免疫細胞は、(i)ROR1に特異的に結合する結合分子を発現する;(ii)低減したレベルのNR4A3遺伝子及び/またはNR4A3タンパク質を有する;(iii)低減したレベルのNR4A1遺伝子及び/またはNR4A1タンパク質を有する;及び(iv)低減したレベルのNR4A2遺伝子及び/またはNR4A2タンパク質を有する。本明細書で使用する場合、「NR4A3遺伝子」という用語は、任意の転写産物、ゲノムDNA、pre-mRNA、またはmRNAを指す。本明細書で使用する場合、「NR4A3タンパク質」という用語は、上記で開示されるアイソフォームアルファ、アイソフォームベータ、またはアイソフォーム3、ならびにそのバリアント及び変異体を指す。本明細書で使用する場合、NR4A3タンパク質という用語はまた、野生型NR4A3タンパク質の少なくとも1つの機能を有する本明細書に開示されるアイソフォームのいずれかの任意の断片またはバリアントを包含する。
【0096】
本明細書で使用する場合、「低減したレベル」という用語(またはその類型)は、物理的レベルの低減(例えば、ゲノムからの編集によるより少ない遺伝子配列、またはタンパク質発現の減少によるより少ないタンパク質)及び機能の低減の両方を指す。例えば、NR4A3遺伝子のレベルの低減は、終止コドンまたはフレームシフトを導入する変異の導入による、転写を改変するであろうエピジェネティック修飾による、またはNR4A3発現を制御するプロモーター遺伝子もしくは別の遺伝子の変異もしくは他の変化による、遺伝子機能の低下を指し得る。いくつかの態様において、修飾された細胞におけるNR4A3遺伝子のレベルの低減は、参照細胞と比較して、機能的NR4A3タンパク質、例えば、野生型NR4A3タンパク質をコードすることが可能なゲノムDNA、pre-mRNA、及び/またはmRNAの量(例えば、濃度)の減少を指す。同様に、NR4A3タンパク質の低減は、機能の(部分的または完全な)喪失を引き起こす変化(例えば、変異または翻訳後修飾)、または、例えば、他の細胞シグナル伝達パートナーとのその相互作用を改変するNR4A3の機能的部位に結合する分子の活性を含むがこれらに限定されない、機能的NR4A3タンパク質、例えば、野生型NR4A3タンパク質の発現をもたらす変化を指し得る。
【0097】
NR4A3遺伝子レベル(例えば、遺伝子全体もしくはその一部の存在/非存在、または遺伝子機能)は、当該技術分野で知られている様々な方法によって測定され得る。NR4A3タンパク質レベル(例えば、NR4A3タンパク質もしくはその断片の存在/非存在、または定量もしくはタンパク質機能)は、当該技術分野で知られている様々な方法によって測定され得る。
【0098】
いくつかの態様において、免疫細胞(例えば、CARまたはTCRを発現する細胞)の集団におけるNR4A3遺伝子の発現レベル及び/またはNR4A3タンパク質の発現レベルは、参照免疫細胞、例えば、より低いレベルのNR4A3遺伝子及び/またはNR4A3タンパク質を発現するように修飾されていない対応する細胞の集団と比較して少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または約100%低減する。いくつかの態様において、免疫細胞の集団(例えば、CARを発現する細胞またはTCRを発現する細胞の集団)におけるタンパク質におけるNR4A3遺伝子及び/またはNR4A3タンパク質の発現は、修飾後に完全に阻害される。
【0099】
いくつかの態様において、免疫細胞の集団におけるNR4A3遺伝子の発現レベルは、参照免疫細胞、例えば、より低いレベルのNR4A3遺伝子を発現するように修飾されていない対応する細胞の集団と比較して少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または約100%低減する。
【0100】
いくつかの態様において、免疫細胞の集団におけるNR4A3タンパク質の発現レベルは、参照免疫細胞、例えば、より低いレベルのNR4A3タンパク質を発現するように修飾されていない対応する細胞の集団と比較して少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または約100%低減する。
【0101】
いくつかの態様において、免疫細胞の集団におけるNR4A3遺伝子及びNR4A3タンパク質の発現レベルは、参照免疫細胞、例えば、より低いレベルのNR4A3遺伝子及びNR4A3タンパク質を発現するように修飾されていない対応する細胞の集団と比較して少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または約100%低減する。
【0102】
同様に、いくつかの態様において、本明細書に開示される修飾された免疫細胞(すなわち、低減したレベルのNR4A3遺伝子及び/またはNR4A3タンパク質を発現する細胞)はまた、参照免疫細胞(例えば、より低いレベルのNR4A1遺伝子及び/またはNR4A1タンパク質を発現するように修飾されていない対応する細胞)の集団と比較して少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または約100%低減したNR4A1遺伝子及び/またはNR4A1タンパク質のレベルを有する。いくつかの態様において、本明細書に開示される修飾された免疫細胞(すなわち、低減したレベルのNR4A3遺伝子及び/またはNR4A3タンパク質を発現する細胞)はまた、参照免疫細胞(例えば、より低いレベルのNR4A2遺伝子及び/またはNR4A2タンパク質を発現するように修飾されていない対応する細胞)の集団と比較して少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または約100%低減したNR4A2遺伝子及び/またはNR4A2タンパク質のレベルを有する。いくつかの態様において、本明細書に開示される修飾された免疫細胞(すなわち、低減したレベルのNR4A3遺伝子及び/またはNR4A3タンパク質を発現する細胞)はまた、(i)参照免疫細胞(例えば、より低いレベルのNR4A1遺伝子及び/またはNR4A1タンパク質を発現するように修飾されていない対応する細胞)の集団と比較して少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または約100%低減したNR4A1遺伝子及び/またはNR4A1タンパク質のレベル;及び(ii)参照免疫細胞(例えば、より低いレベルのNR4A2遺伝子及び/またはNR4A2タンパク質を発現するように修飾されていない対応する細胞)の集団と比較して少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または約100%低減したNR4A2遺伝子及び/またはNR4A2タンパク質のレベルを有する。
【0103】
いくつかの態様において、本明細書に開示される修飾された免疫細胞(すなわち、低減したレベルのNR4A3遺伝子及び/またはNR4A3タンパク質を発現する細胞)は、リンパ球、好中球、単球、マクロファージ、樹状細胞、またはそれらの組み合わせを含む。いくつかの態様において、本明細書に開示される修飾された免疫細胞(すなわち、低減したレベルのNR4A3遺伝子及び/またはNR4A3タンパク質を発現する細胞の集団)は、リンパ球を含む。本明細書で使用する場合、「修飾された免疫細胞」には、最初に修飾された免疫細胞の子孫細胞が含まれ、子孫細胞はまた、低減したレベルのNR4A3遺伝子及び/またはNR4A3タンパク質を(単独でまたは低減したレベルのNR4A1遺伝子及び/またはNR4A1タンパク質及び/またはNR4A2遺伝子及び/またはNR4A2タンパク質と組み合わせて)発現する。
【0104】
いくつかの態様において、免疫細胞の集団は、純粋集団である。いくつかの態様において、純粋集団は、同じ免疫細胞タイプに属する少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または少なくとも99%の細胞を含む(例えば、免疫細胞の99%はリンパ球である)。いくつかの態様において、免疫細胞の集団は、1、2、3、4、または5個の異なる細胞タイプを含み、例えば、2つの細胞タイプを含む免疫細胞の集団は、リンパ球及び樹状細胞を含み得るであろう。
【0105】
いくつかの態様において、本明細書に開示される修飾された免疫細胞の集団は、リンパ球を含む、それからなる、またはそれから本質的になる。いくつかの態様において、本明細書に開示される修飾された免疫細胞の集団は、リンパ球を含み、リンパ球は、T細胞、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)、リンホカイン活性化キラー細胞、ナチュラルキラー(NK)T細胞、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される。いくつかの特定の態様において、リンパ球は、T細胞である。いくつかの特定の態様において、リンパ球は、NK細胞である。
【0106】
いくつかの態様において、本明細書に開示される修飾された免疫細胞は、T細胞である。いくつかの態様において、T細胞はCARを含む。いくつかの態様において、CAR(CAR T細胞)を発現するように調製され得る修飾されたT細胞は、例えば、CD8+T細胞またはCD4+T細胞である。いくつかの態様において、本明細書に開示されるCARを発現する細胞は、CAR T細胞、例えば、単一CAR T細胞、ゲノム編集されたCAR T細胞、二重CAR T細胞、またはタンデムCAR T細胞である。いくつかの態様において、本明細書に開示される修飾された細胞はNK細胞である。いくつかの態様において、NK細胞は、CARを含む。いくつかの態様において、CAR NK細胞は、単一CAR NK細胞、二重CAR NK細胞、またはタンデムCAR NKT細胞である。いくつかの態様において、本開示の修飾された細胞は、T細胞及びNK細胞の両方を含む。いくつかの態様において、T細胞及びNK細胞の両方は、CARを含む。そのようなCAR T細胞及びCAR NK細胞の例は、国際出願番号PCT/US2019/044195(WO2020028400A1として公開された)(その全体が参照により本明細書に組み込まれる)で提供される。
【0107】
いくつかの態様において、修飾された免疫細胞は、任意の免疫細胞タイプであり得る。いくつかの態様において、細胞は、任意の養子細胞移植(ACT)療法(養子細胞療法としても知られている)のための修飾された免疫細胞である。ACT療法は、自家療法または同種療法であり得る。いくつかの態様において、ACT療法は、限定するものではないが、CAR T療法、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)療法、NK細胞療法、またはそれらの任意の組み合わせを含む。
【0108】
いくつかの態様において、修飾された免疫細胞は、TIL療法のためのTILである。がんを処置するための養子細胞移入療法としてのTILの使用は、黒色腫のTIL養子細胞療法を使用し、20年以上にわたって研究されてきた。Rosenberg SA et al.,(July 2011).Clinical Cancer Research 17(13):4550-7(July 2011)。養子T細胞移入療法では、手術によって切除した腫瘍を小さな断片に切り分けたもの、または腫瘍断片から単離した単細胞懸濁液から、TILをex vivoで増殖させる。個々の培養物を複数確立し、別々に増殖させ、特異的腫瘍認識についてアッセイする。TILは数週間にわたって増殖させる。次いで、最も良好な腫瘍反応性を示した特定のTIL株を、通常2週間にわたって抗CD3活性化を使用する「高速増殖プロトコール」(REP)でさらに増殖させる。培養物中で成長したTILは、NR4A3遺伝子及び/またはNR4A3タンパク質の発現が(単独でまたはNR4Aファミリーの他のメンバー、例えば、NR4A1及び/またはNR4A2と組み合わせて)低減されるように、ex vivoプロセス中に任意の時間で修飾され得る。REP後の最終的なTILを患者に注入し戻す。このプロセスは、養子移入されたTILが腫瘍部位に十分に接近して包囲できるようにするために、内因性リンパ球を枯渇させる予備的な化学療法レジメンを含む場合もある。
【0109】
いくつかの態様において、本明細書に開示される修飾された免疫細胞、例えば、T細胞は、T細胞受容体(TCR)、例えば、操作されたT細胞受容体を含む。いくつかの態様において、本明細書に開示される修飾された免疫細胞、例えば、T細胞は、腫瘍抗原に特異的に結合するキメラ抗原受容体(CAR)を含み得る。いくつかの態様において、修飾された免疫細胞、例えば、リンパ球は、T細胞受容体、例えば、操作されたTCRを有するT細胞である。本明細書で使用する場合、「操作されたTCR」または「操作されたT細胞受容体」という用語は、選択される、クローニングされる、及び/または後にT細胞集団に導入される主要組織適合抗原(MHC)/ペプチド標的抗原に所望の親和性で特異的に結合するように操作されたT細胞受容体(TCR)を意味する。
【0110】
いくつかの態様において、本明細書に開示される修飾された細胞上で発現し得るCARまたはTCRは、腫瘍細胞、例えば、悪性B細胞、悪性T細胞、または悪性血漿細胞上で発現した1つ以上の抗原に特異的に結合する(すなわち、それを標的とする)。
【0111】
いくつかの態様において、CARは、CD19、TRAC、TCRβ、BCMA、CLL-1、CS1、CD38、CD19、TSHR、CD123、CD22、CD30、CD70、CD171、CD33、EGFRvIII、GD2、GD3、Tn Ag、PSMA、ROR1、ROR2、GPC1、GPC2、FLT3、FAP、TAG72、CD44v6、CEA、EPCAM、B7H3、KIT、IL-13Ra2、メソテリン、IL-l lRa、PSCA、PRSS21、VEGFR2、LewisY、CD24、PDGFR-ベータ、SSEA-4、CD20、葉酸受容体アルファ、ERBB2(Her2/neu)、MUC1、MUC16、EGFR、NCAM、プロスターゼ、PAP、ELF2M、エフリンB2、IGF-I受容体、CAIX、LMP2、gplOO、bcr-abl、チロシナーゼ、EphA2、フコシルGM1、sLe、GM3、TGS5、HMWMAA、o-アセチル-GD2、葉酸受容体ベータ、TEM1/CD248、TEM7R、CLDN6、GPRC5D、CXORF61、CD97、CD179a、ALK、ポリシアル酸、PLAC1、GloboH、NY-BR-1、UPK2、HAVCR1、ADRB3、PANX3、GPR20、LY6K、OR51E2、TARP、WTl、NY-ESO-1、LAGE-la、MAGE-Al、レグマイン、HPV E6,E7、MAGE Al、ETV6-AML、精子タンパク質17、XAGE1、Tie2、MAD-CT-1、MAD-CT-2、Fos関連抗原1、p53、p53変異体、プロステイン、スルビビン、テロメラーゼ、PCTA-1/ガレクチン8、MelanA/MARTl、Ras変異体(例えば、KRAS、HRAS、NRAS変異体タンパク質を含む)、hTERT、肉腫転座切断点、ML-IAP、ERG(TMPRSS2 ETS融合遺伝子)、NA17、PAX3、アンドロゲン受容体、サイクリンBl、MYCN、RhoC、TRP-2、CYP1B1、BORIS、SART3、PAX5、OY-TES1、LCK、AKAP-4、SSX2、RAGE-1、ヒトテロメラーゼ逆転写酵素、RU1、RU2、腸カルボキシルエステラーゼ、mut hsp70-2、CD79a、CD79b、CD72、LAIR1、FCAR、LILRA2、CD300LF、CLEC12A、BST2、EMR2、LY75、GPC3、FCRL5、IGLL1、CD2、CD3ε、CD4、CD5、CD7、APRILタンパク質の細胞外部分、ならびにそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される抗原に特異的に結合する(すなわち、それを標的とする)。
【0112】
いくつかの態様において、本開示の修飾された細胞は、抗原を標的とするT細胞受容体(TCR)を発現し得る。T細胞受容体は、α鎖及びβ鎖という2つの異なる膜貫通ポリペプチド鎖から構成されたヘテロ二量体であり、これらの鎖は各々、鎖をT細胞表面膜内に固定する定常領域と、MHCが提示する抗原を認識し結合する可変領域からなる。TCR複合体は、CD3γε及びCD3δεの2つのヘテロ二量体、ならびに1つのホモ二量体CD3ζを形成する6つのポリペプチドに関連しており、これらが一緒になってCD3複合体を形成している。T細胞受容体操作T細胞療法は、これらの複合体を保持するT細胞の修飾を利用して、特定の腫瘍細胞によって発現される抗原を特異的に標的とする。
【0113】
いくつかの態様において、修飾されたTCR操作細胞は、共通の腫瘍関連抗原(共通TAA)及びユニークな腫瘍関連抗原(ユニークTAA)、または腫瘍特異的抗原という主要なタイプを標的とし得る。前者には、限定するものではないが、がん精巣(CT)抗原、過剰発現抗原、及び分化抗原が含まれ得、後者には、限定するものではないが、新生抗原及びオンコウイルス抗原が含まれ得る。ヒトパピローマウイルス(HPV)E6タンパク質及びHPV E7タンパク質は、オンコウイルス抗原の分類に属する。
【0114】
いくつかの態様において、修飾されたTCR操作細胞は、CT抗原、例えば、MAGE-A1、MAGE-A2、MAGE-A3、MAGE-A4、MAGE-A6、MAGE-A8、MAGE-A9.23、MAGE-A10、及びMAGE-A12を含むがこれらに限定されない黒色腫関連抗原(MAGE)を標的とし得る。いくつかの態様において、修飾されたTCR操作細胞は、黒色腫及び正常なメラノサイトに主に見出される糖タンパク質(gp100)、T細胞により認識される黒色腫抗原(MART-1)、及び/またはチロシナーゼを標的とし得る。いくつかの態様において、修飾されたTCR操作細胞は、ウィルムス腫瘍1(WT1)、すなわち、ほとんどの急性骨髄性白血病(AML)、急性リンパ性白血病、ほとんどすべての種類の固形腫瘍、及び数種の決定組織、例えば心臓組織で高発現する過剰発現抗原の1種を標的とし得る。いくつかの態様において、修飾されたTCR操作細胞は、メソテリンを標的とし得、メソテリンは、中皮腫で高発現するが、気管を含む数種の組織の中皮細胞にも存在する別の種類の過剰発現抗原である。
【0115】
いくつかの態様において、修飾されたTCR操作細胞は、個々の腫瘍に特異的なランダムな体細胞変異によって形成され得る任意の新生抗原を標的とし得る。いくつかの態様において、TCRは、AFP、CD19、TRAC、TCRβ、BCMA、CLL-1、CS1、CD38、CD19、TSHR、CD123、CD22、CD30、CD171、CD33、EGFRvIII、GD2、GD3、Tn Ag、PSMA、ROR1、ROR2、GPC1、GPC2、FLT3、FAP、TAG72、CD44v6、CEA、EPCAM、B7H3、KIT、IL-13Ra2、メソテリン、IL-l lRa、PSCA、PRSS21、VEGFR2、LewisY、CD24、PDGFR-ベータ、SSEA-4、CD20、葉酸受容体アルファ、ERBB2(Her2/neu)、MUC1、MUC16、EGFR、NCAM、プロスターゼ、PAP、ELF2M、エフリンB2、IGF-I受容体、CAIX、LMP2、gplOO、bcr-abl、チロシナーゼ、EphA2、フコシルGM1、sLe、GM3、TGS5、HMWMAA、o-アセチル-GD2、葉酸受容体ベータ、TEM1/CD248、TEM7R、CLDN6、GPRC5D、CXORF61、CD97、CD179a、ALK、ポリシアル酸、PLAC1、GloboH、NY-BR-1、UPK2、HAVCR1、ADRB3、PANX3、GPR20、LY6K、OR51E2、TARP、WTl、NY-ESO-1、LAGE-la、MAGE-Al、レグマイン、HPV E6,E7、MAGE Al、ETV6-AML、精子タンパク質17、XAGE1、Tie2、MAD-CT-1、MAD-CT-2、Fos関連抗原1、p53、p53変異体、プロステイン、スルビビン、テロメラーゼ、PCTA-1/ガレクチン8、MelanA/MARTl、Ras変異体(例えば、KRAS、HRAS、NRAS変異体タンパク質を含む)、hTERT、肉腫転座切断点、ML-IAP、ERG(TMPRSS2 ETS融合遺伝子)、NA17、PAX3、アンドロゲン受容体、サイクリンBl、MYCN、RhoC、TRP-2、CYP1B1、BORIS、SART3、PAX5、OY-TES1、LCK、AKAP-4、SSX2、RAGE-1、ヒトテロメラーゼ逆転写酵素、RU1、RU2、腸カルボキシルエステラーゼ、mut hsp70-2、CD79a、CD79b、CD72、LAIR1、FCAR、LILRA2、CD300LF、CLEC12A、BST2、EMR2、LY75、GPC3、FCRL5、IGLL1、CD2、CD3ε、CD4、CD5、CD7、APRILタンパク質の細胞外部分、ならびにそれらの任意の組み合わせからなる群から選択されるがん抗原に特異的に結合する(すなわち、それを標的とする)。
【0116】
いくつかの態様において、本開示の修飾された免疫細胞、例えば、CAR TもしくはNK細胞またはTCR操作されたT細胞は、上で開示される腫瘍抗原のいずれか1つまたはそれらの組み合わせを標的とし得る。受容体チロシンキナーゼ様オーファン受容体1(ROR1)は、トリプルネガティブ乳癌(TNBC)患者のおよそ57%及び非小細胞肺癌(NSCLC)腺癌患者の42%で過剰発現しており(Balakrishnan 2017)、キメラ抗原受容体(CAR)T細胞にとって非常に魅力的な標的を意味する。受容体チロシンキナーゼ様オーファン受容体1陽性(ROR1+)固形腫瘍は、抗ROR1 CAR T細胞で安全に標的化され得る(Specht 2020)が、固形悪性腫瘍を有する患者では、CAR T細胞が注入後に疲弊または機能不全を示すので、有効性は一部制限されている。また、固形腫瘍は、CAR T細胞等の免疫療法の抗腫瘍活性を制限する免疫抑制バリアを有する(Newick 2016,Srivastava 2018,Martinez 2019)。いかなる1つの理論によって縛られることを望むものではなく、本明細書に記載の抗ROR1キメラ結合タンパク質を発現する細胞は、低減したレベルのNR4A3遺伝子及び/またはNR4A3タンパク質を発現するように修飾されており、NR4A1及びNR4A2遺伝子ならびにNR4A1及びNR4A2タンパク質の内因性発現を有する。また、本明細書において記載及び実証されるように、いくつかの態様において、抗ROR1キメラ結合タンパク質を発現し、低減したレベルのNR4A3遺伝子及び/またはNR4A3タンパク質を発現するそのような細胞は、低減したレベルのNR4A1遺伝子及び/またはNR4A1タンパク質を発現するようにさらに修飾されている。いくつかの態様において、そのような細胞(すなわち、抗ROR1キメラ結合タンパク質を発現し、低減したレベルのNR4A3遺伝子及び/またはNR4A3タンパク質を発現する)は、低減したレベルのNR4A2遺伝子及び/またはNR4A2タンパク質を発現するようにさらに修飾されている。いくつかの態様において、そのような細胞(すなわち、抗ROR1キメラ結合タンパク質を発現し、低減したレベルのNR4A3遺伝子及び/またはNR4A3タンパク質を発現する)は、低減したレベルのNR4A1遺伝子及び/またはNR4A1タンパク質及び低減したレベルのNR4A2遺伝子及び/またはNR4A2タンパク質の両方を発現するようにさらに修飾されている。これらの修飾された細胞は、疲弊に対してより耐性であり、当該技術分野で利用可能な他の抗ROR1細胞と比較して改善されたエフェクター機能を示す。
【0117】
いくつかの態様において、修飾された免疫細胞は、ROR1結合キメラ抗原受容体を含む。例示的な抗ROR1 CARは、Hudecek,et al.Clin.Cancer Res.19.12(2013):3153-64(その全体が参照により本明細書に組み込まれる)に記載されている。いくつかの態様において、抗ROR1 CARを含む本開示のCAR T細胞は、Hudecek et al.に記載されているように(例えば、Hudecek et al.の3155頁、第1段落全体)(その全体が参照により本明細書に組み込まれる)生成される。いくつかの態様において、本開示の抗ROR1 CARには、Hudecek et al.at paragraph bridging pages 3154-55;Baskar et al.MAbs 4(2012):349-61;及びYang et al.PLoS ONE 6(2011):e21018(参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる)に記載の2A2、R11、及びR12抗ROR1モノクローナル抗体のVH及び/またはVL配列を含む抗体またはその断片が含まれる。
【0118】
いくつかの態様において、本開示の抗原結合ドメインは、抗ROR1抗体、例えば、R12、抗体と交差競合することが可能である。R12抗体配列が表2に示されている。いくつかの態様では、本開示のために有用な抗原結合ドメインは、R12抗体の同じエピトープに結合する。当業者に明らかになるように、当該技術分野で知られている任意の抗ROR1抗体が本開示で使用され得る。そのような抗体の非限定的な例には、Hudecek,et al.Clin.Cancer Res.19.12(2013):3153-64;Baskar et al.MAbs 4(2012):349-61;及びYang et al.PLoS ONE 6(2011):e21018;US9,316,646 B2;及びUS9,758,586B2(これらの各々は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)に記載の2A2及びR11抗体が含まれる。
【表4】
【0119】
いくつかの態様において、本明細書に開示される修飾された免疫細胞のCARの抗原結合ドメインは、R12抗体のVH CDR3を含む。いくつかの態様では、本開示の抗原結合ドメインは、R12抗体のVH CDR1、VH CDR2及びVH CDR3を含む。いくつかの態様では、本開示の抗原結合ドメインは、R12抗体のVH CDR1、VH CDR2、VH CDR3、VL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3を含む。いくつかの態様では、本開示の抗原結合ドメイン、例えば、R12 scFvは、R12抗体のVH及びVLを含む。
【0120】
いくつかの態様において、本明細書に開示される修飾された免疫細胞のキメラ結合タンパク質(例えば、ROR1 CAR)の細胞内ドメインは、シグナル伝達ドメイン、例えば、CD3ゼータ、FcRガンマ、FcRベータ、CD3ガンマ、CD3デルタ、CD3イプシロン、CD5、CD22、CD79a、CD79b、またはCD66dに由来するものを含む。いくつかの態様において、CARは、共刺激ドメイン、例えば、2B4、HVEM、ICOS、LAG3、DAP10、DAP12、CD27、CD28、4-1BB(CD137)、OX40(CD134)、CD30、CD40、ICOS(CD278)、グルココルチコイド誘導腫瘍壊死因子受容体(GITR)、リンパ球機能関連抗原-1(LFA-1)、CD2、CD7、LIGHT、NKG2C、またはB7-H3に由来するものをさらに含む。いくつかの態様において、CARは、4-1BB共刺激ドメインを含む。
【0121】
いくつかの態様において、本明細書に開示されるに修飾された免疫細胞のキメラ結合タンパク質(例えば、CAR)の膜貫通ドメインには、例えば、KIRDS2、OX40、CD2、CD27、LFA-1(CD11a、CD18)、ICOS(CD278)、4-1BB(CD137)、GITR、CD40、BAFFR、HVEM(LIGHTR)、SLAMF7、NKp80(KLRF1)、NKp44、NKp30、NKp46、CD160、CD19、IL2Rベータ、IL2Rガンマ、IL7Rα、ITGA1、VLA1、CD49a、ITGA4、IA4、CD49D、ITGA6、VLA-6、CD49f、ITGAD、CD11d、ITGAE、CD103、ITGAL、CD11a、LFA-1、ITGAM、CD11b、ITGAX、CD11c、ITGB1、CD29、ITGB2、CD18、LFA-1、ITGB7、TNFR2、DNAM1(CD226)、SLAMF4(CD244、2B4)、CD84、CD96(Tactile)、CEACAM1、CRTAM、Ly9(CD229)、CD160(BY55)、PSGL1、CD100(SEMA4D)、SLAMF6(NTB-A、Ly108)、SLAM(SLAMF1、CD150、IPO-3)、BLAME(SLAMF8)、SELPLG(CD162)、LTBR、PAG/Cbp、NKG2D、NKG2C、またはCD19の少なくとも膜貫通領域(複数可)が含まれ得る。
【0122】
いくつかの態様において、本明細書に開示される修飾された免疫細胞のキメラ結合タンパク質(例えば、CAR)は、共刺激ドメイン、例えば、本明細書に記載の共刺激ドメインをコードする配列をさらに含む。いくつかの態様において、共刺激ドメインは、インターロイキン-2受容体(IL-2R)、インターロイキン-12受容体(IL-12R)、IL-7、IL-21、IL-23、IL-15、CD2、CD3、CD4、CD7、CD8、CD27、CD28、CD30、CD40、4-1BB/CD137、ICOS、リンパ球機能関連抗原-1(LFA-1)、LIGHT、NKG2C、OX40、DAP10、B7-H3、Lck結合が欠如したCD28(ICA)、BTLA、GITR、HVEM、LFA-1、LIGHT、NKG2C、PD-1、TILR2、TILR4、TILR7、TILR9、Fc受容体ガンマ鎖、Fc受容体ε鎖、CD83と特異的に結合するリガンド、またはそれらの任意の組み合わせの共刺激ドメインを含む。
【0123】
いくつかの態様において、免疫細胞は、NR4A3遺伝子及び/またはNR4A3タンパク質の発現を(単独でまたは低減したレベルのNR4A1遺伝子及び/またはNR4A1タンパク質及び/またはNR4A2遺伝子及び/またはNR4A2タンパク質と組み合わせて)低減するように遺伝子編集ツールによって修飾される。NR4A3遺伝子の低減した発現は、例えば、NR4A3遺伝子全体を編集することによって、NR4A3遺伝子の一部分を編集することによって、NR4A3遺伝子の発現をコントロールする制御性領域を編集することによって行われ得る。したがって、CARを発現する細胞またはTCRを発現する細胞におけるNR4A3遺伝子及び/またはNR4A3タンパク質の発現を低減するために、細胞における遺伝子及び/またはタンパク質の発現を低減するための当該技術分野で知られている任意の方法が使用され得る。例えば、いくつかの態様において、CARを発現する細胞またはTCRを発現する細胞のNR4A3遺伝子、及びそのコードされるNR4A3タンパク質の発現は、細胞をNR4A3遺伝子、及びそのコードされるNR4A3タンパク質の発現レベルを低減することが可能な遺伝子編集ツールと接触させることによって低減され得る。遺伝子編集ツールの非限定的な例が以下に示される。いくつかの特定の態様において、遺伝子編集ツールは、例えば、shRNA、siRNA、miRNA、アンチセンスオリゴヌクレオチド、CRISPR、ジンクフィンガーヌクレアーゼ、TALEN、メガヌクレアーゼ、制限エンドヌクレアーゼ、またはそれらの任意の組み合わせを含む。特定の態様において、遺伝子編集ツールは、CRISPRである。NR4A2遺伝子及び/またはNR4A2タンパク質の発現及び/またはNR4A1遺伝子及び/またはNR4A1タンパク質の発現も低減される場合、いくつかの態様において、そのような遺伝子編集ツールがまた使用され得る(例えば、NR4A2遺伝子及び/またはNR4A1遺伝子を特異的に標的とする)。
【0124】
いくつかの態様において、免疫細胞(例えば、本明細書に開示される方法によって生成された、すなわち、低減したレベルのNR4A3遺伝子及び/またはNR4A3タンパク質を単独でまたは低減したレベルのNR4A1遺伝子及び/またはNR4A1タンパク質及び/またはNR4A2遺伝子及び/またはNR4A2タンパク質と組み合わせて発現する、CARまたはTCRを発現する細胞)の集団は、参照免疫細胞(すなわち、低減したNR4A3活性遺伝子レベル及び/または低減したNR4A3タンパク質発現レベルを有するように修飾されていない免疫細胞)と比較して対象における免疫細胞の1つ以上の向上したまたは改善した特性を示す。いくつかの態様において、本明細書に開示される免疫細胞の1つ以上の特性を改善することは、腫瘍の処置を補助し得る(例えば、腫瘍体積及び/または腫瘍重量を低減する)。本開示で改善され得る1つ以上の特性には、がんを処置する際に有用であり得る本明細書に開示される免疫細胞の任意の特性が含まれる。例えば、いくつかの態様において、免疫細胞(例えば、本明細書に開示される方法によって生成された、すなわち、低減したレベルのNR4A3遺伝子及び/またはNR4A3タンパク質を単独でまたは低減したレベルのNR4A1遺伝子及び/またはNR4A1タンパク質及び/またはNR4A2遺伝子及び/またはNR4A2タンパク質と組み合わせて発現するCARまたはTCRを発現する細胞)の集団は、参照細胞(例えば、より低いレベルのNR4A3遺伝子及び/またはNR4A3タンパク質を発現するように修飾されていないCARまたはTCRを発現する細胞)と比較してより高いエフェクター活性を示し得る。
【0125】
いくつかの態様において、修飾された免疫細胞の向上した特性は、参照細胞に対して
(i)免疫細胞の増加した増殖(expansion)及び/または増殖(proliferation)、
(ii)免疫細胞の増加した細胞傷害性、
(iii)免疫細胞の増加したサイトカイン発現、または
(iv)それらの任意の組み合わせ
を含む。
【0126】
いくつかの態様において、本明細書に開示される修飾された免疫細胞(例えば、本明細書に記載のCARまたはTCRを発現する細胞)は、参照免疫細胞(すなわち、低減したNR4A3遺伝子レベル及び/または低減したNR4A3タンパク質発現レベルを有するように修飾されていない免疫細胞)と比較して疲弊耐性及び/または機能不全耐性がある。
【0127】
いくつかの態様において、本明細書に開示される修飾された免疫細胞(例えば、本明細書に記載のCARまたはTCRを発現する細胞)は、アポトーシス耐性がある。すなわち、それらは、参照免疫細胞(すなわち、低減したNR4A3遺伝子レベル及び/または低減したNR4A3タンパク質発現レベルを有するように修飾されていない免疫細胞)と比較して低減したアポトーシスを示し、またはアポトーシスを示さない。
【0128】
いくつかの態様において、本明細書に開示される修飾された免疫細胞(例えば、本明細書に記載のCARまたはTCRを発現する細胞)は、免疫チェックポイント耐性がある。すなわち、それらは、参照免疫細胞(すなわち、低減したNR4A3遺伝子レベル及び/または低減したNR4A3タンパク質発現レベルを有するように修飾されていない免疫細胞)と比較して低減した免疫チェックポイント活性を示し、または免疫チェックポイント活性を示さない。
【0129】
いくつかの態様において、本明細書に開示される修飾された免疫細胞(例えば、本明細書に記載のCARまたはTCRを発現する細胞)は、参照免疫細胞(すなわち、低減したNR4A3遺伝子レベル及び/または低減したNR4A3タンパク質発現レベルを有するように修飾されていない免疫細胞)と比較して向上したT細胞活性化を示す。いくつかの態様において、そのような向上したT細胞活性化は、例えば、参照免疫細胞(すなわち、低減したNR4A3遺伝子レベル及び/または低減したNR4A3タンパク質発現レベルを有するように修飾されていない免疫細胞)と比較して向上した増殖、向上した細胞傷害性、向上したサイトカイン発現、またはそれらの任意の組み合わせを示す修飾された免疫細胞によって明らかになり得る。
【0130】
いくつかの態様において、本明細書に開示される修飾された免疫細胞(例えば、本明細書に記載のCARまたはTCRを発現する細胞)は、参照免疫細胞(すなわち、低減したNR4A3遺伝子レベル及び/または低減したNR4A3タンパク質発現レベルを有するように修飾されていない免疫細胞)と比較して腫瘍微小環境(TME)において抗腫瘍機能を維持する。
【0131】
本開示はまた、本明細書に開示される修飾された免疫細胞集団及び薬学的許容可能な担体を含む薬学的組成物を提供する。
【0132】
III.処置方法
本明細書では、腫瘍(またはがん)の処置を、それを必要とする対象において行うための方法であって、本開示の細胞組成物、例えば、低減したレベルのNR4A3遺伝子及び/またはそのコードされるタンパク質、すなわち、NR4A3タンパク質及びROR1に特異的に結合する結合分子を発現し、かつ(i)NR4A1及びNR4A2遺伝子及びNR4A1及びNR4A2タンパク質の内因性発現、(ii)低減したレベルのNR4A1遺伝子及び/またはNR4A1タンパク質、(iii)低減したレベルのNR4A2遺伝子及び/またはNR4A2タンパク質、または(iv)低減したレベルのNR4A1遺伝子及び/またはNR4A1タンパク質及びNR4A2遺伝子及び/またはNR4A2タンパク質の両方を有する細胞、または本開示の薬学的組成物を対象に投与することを含む、方法が提供される。
【0133】
いくつかの態様において、NR4A3遺伝子の発現レベルは、参照細胞(例えば、より低いレベルのNR4A3遺伝子を発現するように修飾されていない対応する細胞)と比較して、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、または少なくとも約100%低減される。いくつかの態様において、NR4A3タンパク質の発現レベルは、参照細胞(例えば、より低いレベルのNR4A3タンパク質を発現するように修飾されていない対応する細胞)と比較して、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、または少なくとも約100%低減される。いくつかの態様において、NR4A3遺伝子及びNR4A3タンパク質の両方の発現レベルは、参照細胞(例えば、より低いレベルのNR4A3遺伝子及び/またはNR4A3タンパク質を発現するように修飾されていない対応する細胞)と比較して、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、または少なくとも約100%低減される。NR4A3遺伝子及び/またはNR4A3タンパク質の発現レベルを低減する方法が本開示において他の箇所で提供される。
【0134】
いくつかの態様において、本開示の細胞組成物を投与することは、参照腫瘍体積と比較して対象における腫瘍体積を低減する。いくつかの態様において、参照腫瘍体積は、修飾された細胞の投与前の対象における腫瘍体積である。いくつかの態様において、参照腫瘍体積は、投与を受けなかった対応する対象における腫瘍体積である。いくつかの態様において、対象における腫瘍体積は、参照腫瘍体積と比較して投与後に少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、または少なくとも約100%低減される。
【0135】
いくつかの態様において、腫瘍を処置することは、対象における腫瘍重量を低減することを含む。いくつかの態様において、本明細書に開示される修飾された細胞は、対象に投与された場合に対象における腫瘍重量を低減し得る。いくつかの態様において、腫瘍重量は、参照腫瘍重量と比較して投与後に少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、または少なくとも約100%低減される。いくつかの態様において、参照腫瘍重量は、修飾された細胞の投与前の対象における腫瘍重量である。いくつかの態様において、参照腫瘍重量は、投与を受けなかった対応する対象における腫瘍重量である。
【0136】
いくつかの態様において、例えば、腫瘍に罹患している対象に本開示の細胞組成物を投与することは、対象の腫瘍及び/またはTMEにおけるTIL(例えば、CD4+またはCD8+)の数及び/または割合を増加させ得る。いくつかの態様において、腫瘍及び/またはTMEにおけるTILの数及び/または割合は、参照(例えば、修飾された細胞を摂取しなかった対象または修飾された細胞の投与前の同じ対象における対応する値)と比較して少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約100%、少なくとも約110%、少なくとも約120%、少なくとも約130%、少なくとも約140%、少なくとも約150%、少なくとも約160%、少なくとも約170%、少なくとも約180%、少なくとも約190%、少なくとも約200%、少なくとも約210%、少なくとも220%、少なくとも約230%、少なくとも約240%、少なくとも約250%、少なくとも約260%、少なくとも約270%、少なくとも約280%、少なくとも約290%、または少なくとも約300%またはそれを超えて増加する。
【0137】
いくつかの態様において、本開示の細胞組成物を投与することは、対象の腫瘍及び/またはTMEにおける制御性T細胞の数及び/または割合を低減し得る。いくつかの態様において、腫瘍及び/またはTMEにおける制御性T細胞の数及び/または割合は、参照(例えば、修飾された細胞の投与を受けなかった対象における対応する数及び/または割合)と比較して少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、または約100%減少する。
【0138】
いくつかの態様において、本開示の細胞組成物を投与することは、対象の腫瘍及び/またはTMEにおける骨髄由来サプレッサー細胞(MDSC)の数及び/または割合を減少させ得る。いくつかの態様において、MDSCは、単球性MDSC(M-MDSC)である。いくつかの態様において、MDSCは、多形核MDSC(PMN-MDSC)である。いくつかの態様において、MDSCは、M-MDSC及びPMN-MDSCの両方を含む。いくつかの態様において、腫瘍及び/またはTMEにおけるMDSCの数及び/または割合は、参照(例えば、修飾された細胞の投与を受けなかった対応する対象における値)と比較して少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、または約100%減少する。
【0139】
上記に加えて、本開示の細胞組成物を投与することは、腫瘍の処置のために貢献する他の効果を有し得る。そのような効果は、以下にさらに記載される。
【0140】
本明細書に記載されるように、本開示の細胞組成物(すなわち、低減したレベルのNR4A3遺伝子及び/またはNR4A3タンパク質及びROR1に特異的に結合する結合分子を発現し、(i)NR4A1及びNR4A2遺伝子及びNR4A1及びNR4A2タンパク質の内因性発現、(ii)低減したレベルのNR4A1遺伝子及び/またはNR4A1タンパク質、(iii)低減したレベルのNR4A2遺伝子及び/またはNR4A2タンパク質、または(iv)低減したレベルのNR4A1遺伝子及び/またはNR4A1タンパク質及びNR4A2遺伝子及び/またはNR4A2タンパク質の両方を有する)は、様々なタイプのがん、例えば、乳癌、頭頸部癌、子宮癌、脳癌、皮膚癌、腎臓癌、肺癌、大腸癌、前立腺癌、肝臓癌、膀胱癌、腎臓癌、膵臓癌、甲状腺癌、食道癌、眼癌、胃(stomach)(胃(gastric))癌、消化器癌、卵巣癌、子宮頸癌、癌腫、肉腫、白血病、リンパ腫、骨髄腫、またはそれらの組み合わせを含むがんに由来する腫瘍を処置するために使用され得る。がん適応症の包括的及び非限定的リストは、本出願の適応症セクションで提供される。
【0141】
いくつかの態様において、本開示の細胞組成物は、他の治療剤(例えば、抗がん剤及び/または免疫調節剤)と組み合わせて使用され得る。したがって、いくつかの態様において、本明細書に開示される腫瘍を処置する方法は、1つ以上の追加の治療剤と組み合わせて本開示の細胞組成物を投与することを含む。いくつかの態様において、本開示の細胞組成物は、免疫経路の複数の要素が標的とされ得るように1つ以上の抗がん剤と組み合わせて使用され得る。いくつかの態様において、抗がん剤は、免疫チェックポイント阻害剤を含む(すなわち、特定の免疫チェックポイント経路によるシグナル伝達を遮断する)。本方法において使用され得る免疫チェックポイント阻害剤の非限定的な例には、CTLA-4アンタゴニスト(例えば、抗CTLA-4抗体)、PD-1アンタゴニスト(例えば、抗PD-1抗体、抗PD-L1抗体)、TIM-3アンタゴニスト(例えば、抗TIM-3抗体)、またはそれらの組み合わせを含む。組み合わせ処置の包括的及び非限定的なリストは、本出願の組み合わせ処置セクションで詳細に開示される。
【0142】
いくつかの態様において、本開示の細胞組成物は、追加の治療剤の投与の前または後に対象に投与される。いくつかの態様において、本開示の細胞組成物は、追加の治療剤と同時に対象に投与される。いくつかの態様において、本開示の細胞組成物及び追加の治療剤は、薬学的に許容可能な担体中で単一の組成物として同時に投与され得る。いくつかの態様において、本開示の細胞組成物及び追加の治療剤は、別々の組成物として同時に投与される。
【0143】
いくつかの態様において、本開示で処置され得る対象は、ラットまたはマウスなどの非ヒト動物である。いくつかの態様において、処置され得る対象はヒトである。
【0144】
いくつかの態様において、例えば、本明細書に開示される方法において、腫瘍を処置することは、T細胞(例えば、腫瘍特異的T細胞)の活性化を向上させることを含む。本明細書で使用する場合、「T細胞の活性化を向上させること」という用語は、T細胞記憶の保持を促進するために活性化中の細胞シグナル伝達を改変することを指す。
【0145】
したがって、いくつかの態様において、本開示は、細胞におけるNR4A3遺伝子及び/またはNR4A3タンパク質の発現レベルを(単独でまたは低減したレベルのNR4A1遺伝子及び/またはNR4A1タンパク質及び/またはNR4A2遺伝子及び/またはNR4A2タンパク質と組み合わせて)低減することによってT細胞の活性化を向上させる方法に関する。細胞の活性化状態は、当該技術分野で知られている任意の方法によって、例えば、細胞の1つ以上の機能的特性(例えば、増殖、細胞傷害性、サイトカイン生成)を分析することによってまたは細胞の表現型発現を分析することによって決定され得る。いくつかの態様において、T細胞(例えば、腫瘍特異的T細胞)の活性化を向上させることは、細胞における以下の改善した特性:(i)向上した増殖、(ii)向上した細胞傷害性、(iii)向上したサイトカイン発現、または(iv)それらの任意の組み合わせのうちの1つ以上をもたらし得る。
【0146】
いくつかの態様において、T細胞(例えば、腫瘍特異的T細胞)の活性化を向上させることは、細胞の向上した増殖をもたらす。いくつかの態様において、T細胞の増殖は、参照(例えば、より低いレベルのNR4A3遺伝子及び/またはNR4A3タンパク質を発現するように修飾されていない対応するT細胞の増殖)と比較して少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約100%、少なくとも約110%、少なくとも約120%、少なくとも約130%、少なくとも約140%、少なくとも約150%、少なくとも約160%、少なくとも約170%、少なくとも約180%、少なくとも約190%、少なくとも約200%、少なくとも約210%、少なくとも220%、少なくとも約230%、少なくとも約240%、少なくとも約250%、少なくとも約260%、少なくとも約270%、少なくとも約280%、少なくとも約290%、または少なくとも約300%またはそれを超えて向上する(すなわち、増加する)。いくつかの態様において、T細胞の増殖は、約5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、または約100倍増加する。いくつかの態様において、T細胞の増殖は、約2倍~約100、150、200、250、300、350、400、450、500倍またはそれを超えて増加する。いくつかの態様において、免疫細胞のT増殖は、約10倍~約500倍、約20倍~約400倍、約25倍~約250倍、約10倍~約50倍、約20倍~約300倍増加する。いくつかの態様において、向上した増殖は、例えば、対象における修飾されたT細胞(すなわち、低減したレベルのNR4A3遺伝子及び/またはNR4A3タンパク質を発現する)の数の増加をもたらし得る。いくつかの態様において、修飾されたT細胞の数は、参照(例えば、より低いレベルのNR4A3遺伝子及び/またはNR4A3タンパク質を発現するように修飾されていない対応するT細胞の数)と比較して少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約100%、少なくとも約110%、少なくとも約120%、少なくとも約130%、少なくとも約140%、少なくとも約150%、少なくとも約160%、少なくとも約170%、少なくとも約180%、少なくとも約190%、少なくとも約200%、少なくとも約210%、少なくとも220%、少なくとも約230%、少なくとも約240%、少なくとも約250%、少なくとも約260%、少なくとも約270%、少なくとも約280%、少なくとも約290%、または少なくとも約300%またはそれを超えて増加する。
【0147】
いくつかの態様において、T細胞(例えば、腫瘍特異的T細胞)の活性化を向上させることは、細胞の向上した細胞傷害性をもたらす。本明細書で使用する場合、「細胞傷害性」という用語は、本開示の細胞組成物(例えば、腫瘍特異的T細胞)が腫瘍細胞を攻撃し、その損傷を誘導する能力を指す。本開示の細胞組成物(例えば、腫瘍特異的T細胞)は、当該技術分野で知られている任意の方法によって、例えば、細胞傷害性分子(例えば、パーフォリン、グランザイム、及びグラニュリシン)の放出を介してまたはFas-Fasリガンド相互作用を介して腫瘍細胞におけるアポトーシスを誘導することによって、腫瘍細胞を攻撃し、その損傷を誘導し得る。いくつかの態様において、T細胞の細胞傷害性は、参照(例えば、より低いレベルのNR4A3遺伝子及び/またはNR4A3タンパク質を発現するように修飾されていない対応するT細胞の細胞傷害性)と比較して少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約100%、少なくとも約110%、少なくとも約120%、少なくとも約130%、少なくとも約140%、少なくとも約150%、少なくとも約160%、少なくとも約170%、少なくとも約180%、少なくとも約190%、少なくとも約200%、少なくとも約210%、少なくとも220%、少なくとも約230%、少なくとも約240%、少なくとも約250%、少なくとも約260%、少なくとも約270%、少なくとも約280%、少なくとも約290%、または少なくとも約300%またはそれを超えて向上する(すなわち、増加する)。いくつかの態様において、T細胞の細胞傷害性(または殺傷活性)は、約5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、または約100倍増加する。いくつかの態様において、T細胞の細胞傷害性は、約2倍~約100、150、200、250、300、350、400、450、500倍またはそれを超えて増加する。いくつかの態様において、T細胞の細胞傷害性は、参照(例えば、より低いレベルのNR4A3遺伝子及び/またはNR4A3タンパク質を発現するように修飾されていない対応するT細胞の細胞傷害性)と比較して約10倍~約500倍、約20倍~約400倍、約25倍~約250倍、約10倍~約50倍、約20倍~約300倍、またはそれを超えて増加する。
【0148】
いくつかの態様において、T細胞(例えば、腫瘍特異的T細胞)の活性化を向上させることは、細胞における向上したサイトカイン発現をもたらす。いくつかの態様において、サイトカイン発現は、参照(例えば、より低いレベルのNR4A3遺伝子及び/またはNR4A3タンパク質を発現するように修飾されていない対応するT細胞におけるサイトカイン発現)と比較して少なくとも約少なくとも約1.1倍、少なくとも約1.2倍、少なくとも約1.3倍、少なくとも約1.4倍、少なくとも約1.5倍、少なくとも約1.6倍、少なくとも約1.7倍、少なくとも約1.8倍、少なくとも約1.9倍、少なくとも約2倍、少なくとも約2.5倍、少なくとも約3倍、少なくとも約4倍、少なくとも約5倍、少なくとも約6倍、少なくとも約7倍、少なくとも約8倍、少なくとも約9倍、少なくとも約10倍またはそれを超えて向上する(すなわち、増加する)。いくつかの態様において、T細胞におけるサイトカイン発現は、約5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、または約100倍増加する。いくつかの態様において、T細胞におけるサイトカイン発現は、約2倍~約100、150、200、250、300、350、400、450、500倍またはそれ以上増加する。いくつかの態様において、T細胞のサイトカイン発現は、参照(例えば、より低いレベルのNR4A3遺伝子及び/またはNR4A3タンパク質を発現するように修飾されていない対応するT細胞のサイトカイン発現)と比較して約10倍~約500倍、約20倍~約400倍、約25倍~約250倍、約10倍~約50倍、約20倍~約300倍、またはそれを超えて増加する。本明細書で使用する場合、「サイトカイン」という用語は、がんの処置において有用であり得る任意のサイトカインを指す。そのようなサイトカインの非限定的な例には、IFN-γ、TNF-α、IL-2、及びそれらの任意の組み合わせが含まれる。
【0149】
いくつかの態様において、T細胞の増殖(expansion)及び/または増殖(proliferation)及び/または細胞傷害性(または殺傷活性)及び/またはサイトカイン発現は、約5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、または約100倍増加する。いくつかの態様において、T細胞の増殖(expansion)及び/または増殖(proliferation)及び/または細胞傷害性(または殺傷活性)及び/またはサイトカイン発現は、約2倍~約100、150、200、250、300、350、400、450、500倍またはそれを超えて増加する。いくつかの態様において、T細胞の増殖(expansion)及び/または増殖(proliferation)及び/または細胞傷害性(または殺傷活性)及び/またはサイトカイン発現は、参照(例えば、より低いレベルのNR4A3遺伝子及び/またはNR4A3タンパク質を発現するように修飾されていない対応するT細胞の増殖(expansion)及び/または増殖及び/または細胞傷害性(または殺傷活性)及び/またはサイトカイン発現)と比較して約10倍~約500倍、約20倍~約400倍、約25倍~約250倍、約10倍~約50倍、約20倍~約300倍、またはそれを超えて増加する。いくつかの態様において、免疫細胞の増殖(expansion)及び/または増殖(proliferation)、免疫細胞の細胞傷害性、または免疫細胞のサイトカイン発現は、参照細胞(例えば、より低いレベルのNR4A3遺伝子及び/またはNR4A3タンパク質を発現するように修飾されていない対応する免疫細胞)と比較して少なくとも約1.1倍、少なくとも約1.2倍、少なくとも約1.3倍、少なくとも約1.4倍、少なくとも約1.5倍、少なくとも約1.6倍、少なくとも約1.7倍、少なくとも約1.8倍、少なくとも約1.9倍、少なくとも約2倍、少なくとも約2.5倍、少なくとも約3倍、少なくとも約4倍、少なくとも約5倍、少なくとも約6倍、少なくとも約7倍、少なくとも約8倍、少なくとも約9倍、少なくとも約10倍またはそれを超えて増加する。
【0150】
いくつかの態様において、本開示による修飾された免疫細胞は、参照細胞に対して増加したサイトカイン発現を示す。いくつかの態様において、サイトカインは、インターロイキン-2(IL-2)、インターフェロン-γ(IFN-γ)、腫瘍壊死因子-α(TNF-α)、またはそれらの任意の組み合わせである。
【0151】
いくつかの態様において、修飾された免疫細胞におけるIL-2の発現レベルは、参照免疫細胞におけるIL-2の発現レベルと比較して少なくとも約1.1倍、少なくとも約1.2倍、少なくとも約1.3倍、少なくとも約1.4倍、少なくとも約1.5倍、少なくとも約1.6倍、少なくとも約1.7倍、少なくとも約1.8倍、少なくとも約1.9倍、少なくとも約2倍、少なくとも約2.5倍、少なくとも約3倍、少なくとも約4倍、少なくとも約5倍、少なくとも約6倍、少なくとも約7倍、少なくとも約8倍、少なくとも約9倍、少なくとも約10倍、またはそれを超えて増加する。
【0152】
いくつかの態様において、修飾された免疫細胞におけるIFN-γの発現レベルは、参照免疫細胞におけるIFN-γの発現レベルと比較して少なくとも約1.1倍、少なくとも約1.2倍、少なくとも約1.3倍、少なくとも約1.4倍、少なくとも約1.5倍、少なくとも約1.6倍、少なくとも約1.7倍、少なくとも約1.8倍、少なくとも約1.9倍、少なくとも約2倍、少なくとも約2.5倍、少なくとも約3倍、少なくとも約4倍、少なくとも約5倍、少なくとも約6倍、少なくとも約7倍、少なくとも約8倍、少なくとも約9倍、少なくとも約10倍、またはそれを超えて増加する。
【0153】
いくつかの態様において、修飾された免疫細胞におけるTNF-αの発現レベルは、参照免疫細胞におけるTNF-αの発現レベルと比較して少なくとも約1.1倍、少なくとも約1.2倍、少なくとも約1.3倍、少なくとも約1.4倍、少なくとも約1.5倍、少なくとも約1.6倍、少なくとも約1.7倍、少なくとも約1.8倍、少なくとも約1.9倍、少なくとも約2倍、少なくとも約2.5倍、少なくとも約3倍、少なくとも約4倍、少なくとも約5倍、少なくとも約6倍、少なくとも約7倍、少なくとも約8倍、少なくとも約9倍、少なくとも約10倍、またはそれを超えて増加する。
【0154】
いくつかの態様において、本明細書に開示されるCARまたはTCRを発現する細胞(すなわち、低減したレベルのNR4A3遺伝子及び/またはNR4A3タンパク質を、単独でまたは低減したレベルのNR4A1遺伝子及び/またはNR4A1タンパク質及び/またはNR4A2遺伝子及び/またはNR4A2タンパク質と組み合わせて発現する)は、抗原、例えば、同族抗原(例えば、腫瘍抗原)で刺激、例えば、逐次刺激及び/または慢性刺激された場合、増加した量のIL-2を生成する。いくつかの態様において、CARまたはTCRを発現する細胞において生成されるIL-2の量は、参照細胞(例えば、より低いレベルのNR4A3遺伝子及び/またはNR4A3タンパク質を発現するように修飾されていないCARまたはTCRを発現する細胞)と比較して少なくとも約1.1倍、少なくとも約1.2倍、少なくとも約1.3倍、少なくとも約1.4倍、少なくとも約1.5倍、少なくとも約1.6倍、少なくとも約1.7倍、少なくとも約1.8倍、少なくとも約1.9倍、少なくとも約2倍、少なくとも約2.5倍、少なくとも約3倍、少なくとも約4倍、少なくとも約5倍、少なくとも約6倍、少なくとも約7倍、少なくとも約8倍、少なくとも約9倍、少なくとも約10倍またはそれを超えて増加する。
【0155】
いくつかの態様において、本明細書に開示されるCARまたはTCRを発現する細胞(すなわち、低減したレベルのNR4A3遺伝子及び/またはNR4A3タンパク質を、単独でまたは低減したレベルのNR4A1遺伝子及び/またはNR4A1タンパク質及び/またはNR4A2遺伝子及び/またはNR4A2タンパク質と組み合わせて発現する)は、抗原、例えば、同族抗原(例えば、腫瘍抗原)で刺激、例えば、逐次刺激及び/または慢性刺激された場合、増加した量のIFN-γを生成する。いくつかの態様において、CARまたはTCRを発現する細胞において生成されるIFN-γの量は、参照細胞(例えば、より低いレベルのNR4A3遺伝子及び/またはNR4A3タンパク質を発現するように修飾されていないCARまたはTCRを発現する細胞)と比較して少なくとも約1.1倍、少なくとも約1.2倍、少なくとも約1.3倍、少なくとも約1.4倍、少なくとも約1.5倍、少なくとも約1.6倍、少なくとも約1.7倍、少なくとも約1.8倍、少なくとも約1.9倍、少なくとも約2倍、少なくとも約2.5倍、少なくとも約3倍、少なくとも約4倍、少なくとも約5倍、少なくとも約6倍、少なくとも約7倍、少なくとも約8倍、少なくとも約9倍、少なくとも約10倍またはそれを超えて増加する。
【0156】
いくつかの態様において、本明細書に開示されるCARまたはTCRを発現する細胞(すなわち、低減したレベルのNR4A3遺伝子及び/またはNR4A3タンパク質を、単独でまたは低減したレベルのNR4A1遺伝子及び/またはNR4A1タンパク質及び/またはNR4A2遺伝子及び/またはNR4A2タンパク質と組み合わせて発現する)は、抗原、例えば、同族抗原(例えば、腫瘍抗原)で刺激、例えば、逐次刺激及び/または慢性刺激された場合、増加した量のTNF-αを生成する。いくつかの態様において、CARまたはTCRを発現する細胞において生成されるTNF-αの量は、参照細胞(例えば、より低いレベルのNR4A3遺伝子及び/またはNR4A3タンパク質を発現するように修飾されていないCARまたはTCRを発現する細胞)と比較して少なくとも約1.1倍、少なくとも約1.2倍、少なくとも約1.3倍、少なくとも約1.4倍、少なくとも約1.5倍、少なくとも約1.6倍、少なくとも約1.7倍、少なくとも約1.8倍、少なくとも約1.9倍、少なくとも約2倍、少なくとも約2.5倍、少なくとも約3倍、少なくとも約4倍、少なくとも約5倍、少なくとも約6倍、少なくとも約7倍、少なくとも約8倍、少なくとも約9倍、少なくとも約10倍またはそれを超えて増加する。
【0157】
いくつかの態様において、本明細書に開示される修飾された免疫細胞(例えば、本明細書に記載のCARまたはTCRを発現する細胞)は、参照免疫細胞(すなわち、低減したNR4A3活性遺伝子レベル及び/または低減したNR4A3タンパク質発現レベルを有するように修飾されていない免疫細胞)と比較して増加した細胞増殖(expansion)及び/または細胞増殖(proliferation)を示す。いくつかの態様において、修飾された免疫細胞における細胞増殖(expansion)及び/または細胞増殖(proliferation)は、参照細胞(例えば、より低いレベルのNR4A3遺伝子及び/またはNR4A3タンパク質を発現するように修飾されていないCARまたはTCRを発現する細胞)と比較して少なくとも約1.1倍、少なくとも約1.2倍、少なくとも約1.3倍、少なくとも約1.4倍、少なくとも約1.5倍、少なくとも約1.6倍、少なくとも約1.7倍、少なくとも約1.8倍、少なくとも約1.9倍、少なくとも約2倍、少なくとも約2.5倍、少なくとも約3倍、少なくとも約4倍、少なくとも約5倍、少なくとも約6倍、少なくとも約7倍、少なくとも約8倍、少なくとも約9倍、少なくとも約10倍またはそれを超えて増加する。
【0158】
いくつかの態様において、本明細書に開示される修飾された免疫細胞(例えば、本明細書に記載のCARまたはTCRを発現する細胞)は、参照免疫細胞(すなわち、低減したNR4A3活性遺伝子レベル及び/または低減したNR4A3タンパク質発現レベルを有するように修飾されていない免疫細胞)と比較して増加した持続性及び/または生存を示す。いくつかの態様において、T細胞の持続性は、約5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、または約100倍増加する。いくつかの態様において、T細胞の持続性は、約2倍~約100、150、200、250、300、350、400、450、500倍またはそれを超えて増加する。いくつかの態様において、T細胞の持続性は、参照(例えば、より低いレベルのNR4A3遺伝子及び/またはNR4A3タンパク質を発現するように修飾されていない対応するT細胞の持続性)と比較して約10倍~約500倍、約20倍~約400倍、約25倍~約250倍、約10倍~約50倍、約20倍~約300倍、またはそれを超えて増加する。いくつかの態様において、修飾された免疫細胞における持続性及び/または生存は、参照細胞(例えば、より低いレベルのNR4A3遺伝子及び/またはNR4A3タンパク質を発現するように修飾されていないCARまたはTCRを発現する細胞)と比較して少なくとも約1.1倍、少なくとも約1.2倍、少なくとも約1.3倍、少なくとも約1.4倍、少なくとも約1.5倍、少なくとも約1.6倍、少なくとも約1.7倍、少なくとも約1.8倍、少なくとも約1.9倍、少なくとも約2倍、少なくとも約2.5倍、少なくとも約3倍、少なくとも約4倍、少なくとも約5倍、少なくとも約6倍、少なくとも約7倍、少なくとも約8倍、少なくとも約9倍、少なくとも約10倍またはそれを超えて増加する。
【0159】
いくつかの態様において、本明細書に開示される修飾された免疫細胞(例えば、本明細書に記載のCARまたはTCRを発現する細胞)は、参照免疫細胞(すなわち、低減したNR4A3遺伝子レベル及び/または低減したNR4A3タンパク質発現レベルを有するように修飾されていない免疫細胞)と比較して増加した抗腫瘍活性を示す。いくつかの態様において、修飾された免疫細胞における抗腫瘍活性は、参照細胞(例えば、より低いレベルのNR4A3遺伝子及び/またはNR4A3タンパク質を発現するように修飾されていないCARまたはTCRを発現する細胞)と比較して少なくとも約1.1倍、少なくとも約1.2倍、少なくとも約1.3倍、少なくとも約1.4倍、少なくとも約1.5倍、少なくとも約1.6倍、少なくとも約1.7倍、少なくとも約1.8倍、少なくとも約1.9倍、少なくとも約2倍、少なくとも約2.5倍、少なくとも約3倍、少なくとも約4倍、少なくとも約5倍、少なくとも約6倍、少なくとも約7倍、少なくとも約8倍、少なくとも約9倍、少なくとも約10倍またはそれを超えて増加する。
【0160】
いくつかの態様において、本明細書に開示される修飾された免疫細胞(例えば、本明細書に記載のCARまたはTCRを発現する細胞)は、参照免疫細胞(すなわち、低減したNR4A3遺伝子レベル及び/または低減したNR4A3タンパク質発現レベルを有するように修飾されていない免疫細胞)と比較して低減した疲弊または機能不全を示す。いくつかの態様において、修飾された免疫細胞における疲弊または機能不全は、参照細胞(例えば、より低いレベルのNR4A3遺伝子及び/またはNR4A3タンパク質を発現するように修飾されていないCARまたはTCRを発現する細胞)と比較して少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または約100%低下する。
【0161】
いくつかの態様において、本明細書に開示される修飾された細胞は、他の治療剤(例えば、抗がん剤及び/または免疫調節剤)と組み合わせて使用することができる。したがって、いくつかの態様において、本明細書に開示される腫瘍を処置する方法は、1つ以上の追加の治療剤と組み合わせて本開示の修飾された細胞を対象に投与することを含む。そのような薬剤は、例えば、化学療法薬、標的化抗がん療法、腫瘍溶解薬、細胞傷害性薬剤、免疫ベースの療法、サイトカイン、外科手技、放射線手技、共刺激分子の活性化因子、免疫チェックポイント阻害剤、ワクチン、細胞免疫療法、またはそれらの任意の組み合わせを含み得る。いくつかの態様において、本明細書に開示される修飾された細胞(すなわち、低減したレベルのNR4A3遺伝子及び/またはNR4A3タンパク質を、単独でまたは低減したレベルのNR4A1遺伝子及び/またはNR4A1タンパク質及び/またはNR4A2遺伝子及び/またはNR4A2タンパク質と組み合わせて発現する)は、ケア処置(例えば、手術、放射線、及び化学療法)の標準と組み合わせて使用され得る。本明細書に記載の方法はまた、維持療法、例えば、腫瘍の発生または再発を予防することが意図された療法として使用され得る。
【0162】
いくつかの態様において、本開示の修飾された細胞は、免疫経路の複数の要素を標的とすることができるように、1以上の抗がん剤と組み合わせて使用され得る。そのような組み合わせの非限定的なものとしては、腫瘍抗原提示を向上させる療法(例えば、樹状細胞ワクチン、GM-CSF分泌細胞ワクチン、CpGオリゴヌクレオチド、イミキモド);例えば、CTLA-4及び/またはPD1/PD-L1/PD-L2経路の阻害、及び/またはTregもしくは他の免疫抑制細胞(例えば、骨髄系由来サプレッサー細胞)の枯渇もしくは遮断によって、負の免疫制御を阻害する療法;例えば、CD-137、OX-40、及び/またはCD40もしくはGITR経路を刺激する及び/またはT細胞エフェクター機能を刺激するアゴニストにより、正の免疫制御を刺激する療法;抗腫瘍T細胞の発生頻度を全身的に増大させる療法;例えば、CD25のアンタゴニスト(例えば、ダクリズマブ)を使用して、もしくはex vivoの抗CD25ビーズによる枯渇により、腫瘍中のTregなどのTregを枯渇させるもしくは阻害する療法;腫瘍中のサプレッサー骨髄細胞の機能に影響を及ぼす療法;腫瘍細胞の免疫原性を向上させる療法(例えば、アントラサイクリン);遺伝子修飾された細胞、例えば、キメラ抗原受容体によって修飾された細胞(CAR-T療法)を含む、T細胞もしくはNK細胞の養子移入;インドールアミンジオキシゲナーゼ(IDO)、ジオキシゲナーゼ、アルギナーゼ、もしくは一酸化窒素合成酵素などの代謝酵素を阻害する療法;T細胞のアネルギーもしくは疲弊を好転させる/防止する療法;自然免疫活性化及び/または腫瘍部位の炎症を誘発する療法;免疫刺激サイトカインの投与;免疫抑制サイトカインの遮断;またはそれらの任意の組み合わせが挙げられる。
【0163】
いくつかの態様において、抗がん剤は、免疫チェックポイント阻害剤を含む(すなわち、特定の免疫チェックポイント経路によるシグナル伝達を遮断する)。本方法において使用され得る免疫チェックポイント阻害剤の非限定的な例は、CTLA-4アンタゴニスト(例えば、抗CTLA-4抗体)、PD-1アンタゴニスト(例えば、抗PD-1抗体、抗PD-L1抗体)、TIM-3アンタゴニスト(例えば、抗TIM-3抗体)、またはそれらの組み合わせを含む。そのような免疫チェックポイント阻害剤の非限定的な例には、以下のものが含まれる:抗PD1抗体(例えば、ニボルマブ(OPDIVO(登録商標))、ペムブロリズマブ(KEYTRUDA(登録商標);MK-3475)、ピジリズマブ(CT-011)、PDR001、MEDI0680(AMP-514)、TSR-042、REGN2810、JS001、AMP-224(GSK-2661380)、PF-06801591、BGB-A317、BI 754091、SHR-1210、及びそれらの組み合わせ);抗PD-L1抗体(例えば、アテゾリズマブ(TECENTRIQ(登録商標);RG7446;MPDL3280A;RO5541267)、デュルバルマブ(MEDI4736、IMFINZI(登録商標))、BMS-936559、アベルマブ(BAVENCIO(登録商標))、LY3300054、CX-072(Proclaim-CX-072)、FAZ053、KN035、MDX-1105、及びそれらの組み合わせ);ならびに抗CTLA-4抗体(例えば、イピリムマブ(YERVOY(登録商標))、トレメリムマブ(チシリムマブ;CP-675,206)、AGEN-1884、ATOR-1015、及びそれらの組み合わせ)。
【0164】
いくつかの態様において、抗がん剤は、免疫チェックポイント活性化因子を含む(すなわち、特定の免疫チェックポイント経路を介してシグナル伝達を促進する)。いくつかの態様において、免疫チェックポイント活性化因子は、OX40アゴニスト(例えば、抗OX40抗体)、LAG-3アゴニスト(例えば、抗LAG-3抗体)、4-1BB(CD137)アゴニスト(例えば、抗CD137抗体)、GITRアゴニスト(例えば、抗GITR抗体)、TIM3アゴニスト(例えば、抗TIM3抗体)、またはそれらの組み合わせを含む。
【0165】
いくつかの態様において、本明細書に開示される修飾された細胞は、追加の治療剤の投与前または投与後に対象に投与される。いくつかの態様において、修飾された細胞は、追加の治療剤と同時に対象に投与される。いくつかの態様において、修飾された細胞及び追加の治療剤は、薬学的に許容可能な担体中で単一の組成物として同時に投与され得る。いくつかの態様において、修飾された細胞及び追加の治療剤は、別々の組成物として同時に投与される。いくつかの態様において、追加の治療剤及び修飾された免疫細胞は、逐次投与される。
【0166】
IV.修飾された免疫細胞を作製する方法
本開示は、低減したレベルのNR4A3遺伝子及び/またはNR4A3タンパク質を有する細胞を生成または調製する方法であって、例えば、遺伝子編集ツールで細胞を修飾することを含み、遺伝子編集ツールは、NR4A3遺伝子及び/またはNR4A3タンパク質の発現を低減する、方法を提供する。いくつかの態様において、NR4A3遺伝子及び/またはNR4A3タンパク質の低減した発現は、細胞の疲弊を低減または阻害する。いくつかの態様において、修飾された細胞は、(i)低減したレベルのNR4A1遺伝子及び/またはNR4A1タンパク質、(ii)低減したレベルのNR4A2遺伝子及び/またはNR4A2タンパク質、または(iii)(i)及び(ii)の両方も有するようにさらに修飾され得る。したがって、本開示はまた、キメラ抗原受容体(CAR)またはT細胞受容体(TCR)を発現する細胞の疲弊を低減または阻害する方法であって、NR4A3遺伝子及び/またはNR4A3タンパク質の発現レベルを(単独でまたは低減したレベルのNR4A1遺伝子及び/またはNR4A1タンパク質及び/またはNR4A2遺伝子及び/またはNR4A2タンパク質と組み合わせて)低減するために細胞を修飾することを含む、方法を提供する。いくつかの態様において、細胞は、免疫細胞である。また、本開示は、免疫細胞における持続的エフェクター機能を促進する方法であって、低減したレベルのNR4A3遺伝子及び/またはNR4A3タンパク質を(単独でまたは低減したレベルのNR4A1遺伝子及び/またはNR4A1タンパク質及び/またはNR4A2遺伝子及び/またはNR4A2タンパク質と組み合わせて)を発現するように細胞を修飾することを含む、方法を提供する。
【0167】
遺伝子編集、例えば、塩基編集は、当該技術分野で知られている任意の編集ツールを使用して行われ得る。例えば、いくつかの態様において、修飾された細胞(例えば、免疫細胞)は、CRISPR/Cas、TALEN、ジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)、メガヌクレアーゼ、制限エンドヌクレアーゼ、干渉RNA(RNAi)、またはアンチセンスオリゴヌクレオチドなどの技術を使用して修飾され得る。いくつかの態様において、NR4A3遺伝子及び/または発現はまた、shRNA、siRNA、またはmiRNAを使用して修飾され得る。すべてのこれらの技術は、以下で詳細により多く論述される。いくつかの態様において、NR4A3遺伝子及び/またはNR4A3タンパク質の発現を低減するために使用される方法は、1つ以上の遺伝子編集ツール(例えば、2つ、3つ、またはそれを超えるツール)を使用することを含む。いくつかの態様において、NR4A3遺伝子及び/またはNR4A3タンパク質の発現を低減するために使用される方法は、NR4A3 DNAまたはRNA(例えば、アンチセンスオリゴヌクレオチド)に対して作用する少なくとも1つの方法(例えば、CRISPR)及びNR4A3タンパク質に対して作用する少なくとも1つの方法(例えば、細胞シグナル伝達パートナーに結合する阻害または翻訳後修飾)を含む。
【0168】
いくつかの態様において、例えば、NR4A3遺伝子レベルを低減または無効化するために遺伝子編集ツールを使用することによって、本明細書に開示されるように修飾された細胞(例えば、免疫細胞)は、CARまたはTCRを発現するようにさらに修飾され得る。いくつかの態様において、本明細書に開示される遺伝子編集方法に従って修飾され、CARまたはTCRを発現する免疫細胞は、改善された抗がん特性を有し得る。
【0169】
NR4A3遺伝子及び/またはNR4A3タンパク質の発現を低減する方法、例えば、遺伝子編集は、CARまたはTCRを発現する細胞との関連で提供されるが、当業者は、本明細書に開示される方法が、NR4A3遺伝子及び/またはNR4A3タンパク質の発現を低減することが所望である場合、任意の細胞のために使用され得ることを認識する。例えば、いくつかの態様において、本明細書に開示されるNR4A3遺伝子及び/またはNR4A3タンパク質の発現を低減する方法は、免疫細胞に適用され得る。いくつかの態様において、免疫細胞は、リンパ球、好中球、単球、マクロファージ、樹状細胞、またはそれらの組み合わせを含む。いくつかの態様において、リンパ球は、T細胞、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)、リンホカイン活性化キラー細胞、ナチュラル(NK)細胞、またはそれらの組み合わせを含む。いくつかの態様において、リンパ球は、T細胞、例えば、CD4+T細胞またはCD8+T細胞である。いくつかの態様において、リンパ球は、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)である。いくつかの態様において、TILは、CD8+TILである。いくつかの態様において、TILは、CD4+TILである。よって、本開示は、本明細書に開示されるNR4A3遺伝子及び/またはNR4A3タンパク質の発現を低減するための方法に従って調製された修飾された細胞(例えば、親細胞が、例えば、上で開示される任意の細胞である修飾された免疫細胞)を含む細胞組成物であって、修飾された細胞は、参照細胞(例えば、より低いレベルのNR4A3遺伝子及び/またはNR4A3タンパク質を発現するように修飾されていない対応する細胞)に対してNR4A3遺伝子及び/またはNR4A3タンパク質の低減された発現を示す、細胞組成物を提供する。いくつかの態様において、これらの修飾された細胞は、薬学的組成物を調製するために使用され得る。
【0170】
いくつかの態様において、細胞を修飾することは、細胞を、細胞におけるNR4A3遺伝子及び/またはNR4A3タンパク質の発現レベルを低減することが可能な遺伝子編集ツールと接触させることを含む。いくつかの態様において、遺伝子編集ツール(またはNR4A3遺伝子及び/またはNR4A3タンパク質の発現を低減することが可能な任意の他のツール)と、修飾される細胞との接触は、in vivo、in vitro、ex vivo、またはそれらの組み合わせで行われ得る。いくつかの態様において、接触は、in vivo(例えば、遺伝子療法)で行われる。いくつかの態様において、接触は、in vitroで行われる。いくつかの態様において、接触は、ex vivoで行われる。いくつかの態様において、細胞は、自己細胞である。いくつかの態様において、細胞は、異種細胞である。いくつかの態様において、遺伝子編集ツール(またはNR4A3遺伝子及び/またはNR4A3タンパク質の発現を低減することが可能な任意の他のツール)の接触は、細胞におけるNR4A3遺伝子及び/またはNR4A3タンパク質の発現レベルを、参照細胞(例えば、より低いレベルのNR4A3遺伝子及び/またはNR4A3タンパク質を発現するように修飾されていない対応する細胞)におけるNR4A3遺伝子及び/またはNR4A3タンパク質のレベルと比較して少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または約100%低減する。
【0171】
いくつかの態様において、遺伝子編集ツールと細胞の接触は、様々な送達経路を含む。通常、細胞におけるNR4A3遺伝子及び/またはNR4A3タンパク質の発現を低減するための本明細書に開示される遺伝子編集ツールのため、遺伝子編集ツールは、細胞に進入し、対象となる遺伝子に結合することができなければならない。いくつかの態様において、対象となる分子を細胞に送達する当該技術分野で公知の任意の送達ビヒクルを使用することができる。全体として参照により本明細書に組み込まれる米国特許第10,047,355号B2を参照されたい。使用することのできるベクターに関するさらなる開示は、本開示の他の箇所で提供する。
【0172】
いくつかの態様において、遺伝子編集ツールは、NR4A3タンパク質をコードする遺伝子全体を除去し得る。いくつかの態様において、遺伝子編集ツールは、NR4A3タンパク質をコードするゲノムの一部分(例えば、1つ以上のエクソン)を除去する。いくつかの態様において、遺伝子編集ツール、例えば、塩基編集体は、インデルを生成することなく特定のヌクレオチドを修飾する。本明細書で使用する場合、「インデル」という用語は、遺伝子のコード領域内のフレームシフト変異をもたらし得る核酸内のヌクレオチド塩基の挿入または欠失を指す。塩基編集体の非限定的な例は、2017年5月4日に公開された米国公開番号2017/0121693(その全体が参照により本明細書に組み込まれる)に開示されている。
【0173】
いくつかの態様において、修飾された免疫細胞を調製する方法は、CARまたはTCRを発現するように細胞を修飾することをさらに含む。いくつかの態様において、CARまたはTCRを発現するように細胞を修飾することは、細胞をCARをコードする核酸配列と接触させることを含む。いくつかの態様において、CARをコードする核酸配列は、ベクター(例えば、発現ベクター)から発現される。
【0174】
いくつかの態様において、本明細書に開示される遺伝子編集ツールは、遺伝子編集ツールをコードする核酸配列を含むベクターから発現される。いくつかの態様において、遺伝子編集ツールをコードする核酸配列と、CARまたはTCRをコードする核酸配列とは、別々のベクター上にある。いくつかの態様において、遺伝子編集ツールをコードする核酸配列及びCARまたはTCRをコードする核酸配列は、同じベクター上にある。
【0175】
V.A.遺伝子編集ツール
本開示の細胞を修飾するには、1以上の遺伝子編集ツールを使用することができる。遺伝子編集ツールの非限定的な例を下記に開示する。
【0176】
V.A.1.CRISPR/Casシステム
いくつかの態様において、本開示で使用することのできる遺伝子編集ツールは、CRISPR/Casシステムを含む。そのようなシステムは、例えば、いくつかの例において、発現されるべき所望の細胞タイプ(例えば、T細胞、例えば、CARを発現するT細胞)のためにコドン最適化されたCas9ヌクレアーゼをコードする核酸分子を用い得る。本明細書にさらに記載されるように、いくつかの態様において、そのようなシステムは、Cas9ヌクレアーゼタンパク質を含み得る。
【0177】
CRISPR/Casシステムは、Casヌクレアーゼ、例えば、Cas9によって認識されるNGGモチーフの直前の標的DNA配列にハイブリダイズするガイドRNA(例えば、合成ガイドRNA)(gRNA)と複合体化することによってゲノム部位に標的とされたCasヌクレアーゼ、例えば、Cas9ヌクレアーゼを使用する。これは、NGGモチーフの3ヌクレオチド上流の二本鎖切断をもたらす。CRISPR/Cas9システムの独自の能力は、単一のCas9タンパク質を2つ以上のgRNA(例えば、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9または10個のgRNA)と共発現させることによって複数の異なるゲノム遺伝子座を同時に標的とする能力である。そのようなシステムは、2つの別個の分子を含むガイドRNAを用いることもできる。いくつかの態様において、2分子gRNAは、crRNA様(「CRISPR RNA」または「ターゲッターRNA」または「crRNA」または「crRNAリピート」)分子と、対応するtracrRNA様(「トランス作用性CRISPR RNA」または「活性化因子RNA」または「tracrRNA」または「スキャフォールド」)分子とを含む。
【0178】
crRNAは、gRNAのDNAターゲティングセグメント(一本鎖)と、gRNAのタンパク質結合セグメントの二本鎖RNA(dsRNA)二重鎖の半分を形成する一続きのヌクレオチドの両方を含む。対応するtracrRNA(活性化因子RNA)は、gRNAのタンパク質結合セグメントのdsRNA二重鎖の残りの半分を形成する一続きのヌクレオチドを含む。したがって、crRNAの一続きのヌクレオチドは、tracrRNAの一続きのヌクレオチドに相補的であり、これとハイブリダイズして、gRNAのタンパク質結合ドメインのdsRNA二重鎖を形成する。したがって、各crRNAに対応するtracrRNAがあるといえる。crRNAはさらに、一本鎖DNAターゲティングセグメントをもたらす。したがって、gRNAは、標的配列(例えば、NR4A3 mRNA)とハイブリダイズする配列、及びtracrRNAを含む。したがって、crRNA及びtracrRNAは(対応するペアとして)ハイブリダイズしてgRNAを形成する。細胞内での修飾のために使用される場合、所与のcrRNAまたはtracrRNA分子の正確な配列及び/または長さは、RNA分子が使用される種(例えば、ヒト)に特異的であるように設計され得る。
【0179】
3つの要素(Cas9、tracrRNA、及びcrRNA)をコードする天然に存在する遺伝子は、典型的には、オペロン(複数可)として構築される。天然に存在するCRISPR RNAは、Cas9システム及び生物によって異なるが、多くの場合、21~46ヌクレオチドの長さの2つの直列反復配列(DR)が隣接する21~72ヌクレオチド長のターゲティングセグメントを含む(例えば、WO2014/131833を参照されたい)。S.pyogenesの場合、DRは36ヌクレオチド長であり、ターゲティングセグメントは30ヌクレオチド長である。3’に位置するDRは、対応するtracrRNAに相補的であり、対応するtracrRNAとハイブリダイズし、tracrRNAはCas9タンパク質に結合する。
【0180】
あるいは、本明細書で使用されるCRISPRシステムはさらに、コドン最適化されたCas9と共に機能する融合crRNA-tracrRNA構築物(すなわち、単一の転写物)を用いることができる。この1つのRNAはしばしば、ガイドRNAまたはgRNAと称される。gRNAの中で、crRNA部分は所与の認識部位の「標的配列」と識別され、tracrRNAは多くの場合「スキャフォールド」と称される。簡潔に述べると、標的配列を含む短いDNA断片が、ガイドRNA発現プラスミドに挿入される。gRNA発現プラスミドは、標的配列(いくつかの態様ではおおよそ20ヌクレオチド)、ある形態のtracrRNA配列(スキャフォールド)、ならびに細胞内で活性な好適なプロモーター、及び真核細胞内での適切なプロセシングに必要な要素を含む。これらのシステムの多くは、アニールして二本鎖DNAを形成し、次いでgRNA発現プラスミドにクローニングされる特別な相補的オリゴに依存する。
【0181】
次いで、gRNA発現カセット及びCas9発現カセットが細胞に導入される。例えば、Mali P et al.,(2013)Science 2013 Feb.15;339(6121):823-6;Jinek M et al.,Science 2012 Aug.17;337(6096):816-21;Hwang W Y et al.,Nat Biotechnol 2013 March;31(3):227-9;Jiang W et al.,Nat Biotechnol 2013 March;31(3):233-9;及びCong L et al.,Science 2013 Feb.15;339(6121):819-23(これらの各々は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)を参照されたい。例えば、WO/2013/176772A1、WO/2014/065596A1、WO/2014/089290A1、WO/2014/093622A2、WO/2014/099750A2、及びWO/2013142578A1(これらの各々は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)も参照されたい。
【0182】
いくつかの態様において、Cas9ヌクレアーゼは、タンパク質の形態で提供され得る。例えば、いくつかの態様において、本開示のために有用な細胞(例えば、CARまたはTCRを発現する免疫細胞)は、Cas9ヌクレアーゼタンパク質及びgRNAを含む核酸分子を導入することによって(例えば、低減したレベルのNR4A遺伝子及び/またはNR4Aタンパク質を有するように)修飾され得る。いくつかの態様において、Cas9ヌクレアーゼタンパク質及びgRNAを含む核酸分子は、細胞に逐次導入され得る。いくつかの態様において、Cas9ヌクレアーゼタンパク質及びgRNAを含む核酸分子は、細胞に同時に導入され得る。例えば、いくつかの態様において、同時投与は、Cas9ヌクレアーゼタンパク質及びgRNAを含む核酸分子を同時ではあるが、別々の組成物として導入することを含む。いくつかの態様において、Cas9タンパク質は、gRNAを含む核酸分子との複合体の形態で(すなわち、単一の組成物として)提供され得る。
【0183】
いくつかの態様において、Cas9ヌクレアーゼは、タンパク質をコードする核酸の形態で提供され得る。したがって、いくつかの態様において、本開示のために有用な細胞(例えば、CARまたはTCRを発現する免疫細胞)は、Cas9ヌクレアーゼタンパク質及びgRNAを含む第2の核酸分子をコードする第1の核酸分子を導入することによって修飾され得る(例えば、低減したレベルのNR4A遺伝子及び/またはNR4Aタンパク質を有するように)。いくつかの態様において、第1及び第2の核酸分子は、細胞に逐次導入され得る。いくつかの態様において、第1及び第2の核酸分子は、細胞に同時に導入され得る。例えば、いくつかの態様において、第1及び第2の核酸分子は、同時ではあるが、別々の組成物として細胞に導入され得る。いくつかの態様において、第1及び第2の核酸分子は、単一のポリヌクレオチドの一部であり得、細胞は、単一のポリヌクレオチドを含むように修飾される。
【0184】
Cas9ヌクレアーゼをコードする核酸は、RNA(例えば、メッセンジャーRNA(mRNA))またはDNAであり得る。いくつかの態様において、gRNAは、RNAの形態で提供され得る。いくつかの態様において、gRNAは、RNAをコードするDNAの形態で提供され得る。いくつかの態様において、gRNAは、別個のcrRNA及びtracrRNA分子、またはそれぞれcrRNA及びtracrRNAをコードする別個のDNA分子の形態で提供され得る。
【0185】
いくつかの態様において、gRNAは、クラスター化された規則的な間隔の短いパリンドローム反復(CRISPR)RNA(crRNA)及びトランス活性化CRISPR RNA(tracrRNA)をコードする第3の核酸配列を含む。いくつかの態様において、Casタンパク質は、I型Casタンパク質である。いくつかの態様において、Casタンパク質は、II型Casタンパク質である。いくつかの態様において、II型Casタンパク質は、Cas9である。いくつかの態様において、II型Cas、例えば、Cas9は、ヒトコドン最適化Casである。
【0186】
いくつかの態様において、Casタンパク質は、二本鎖DNA(dsDNA)の両鎖を切断することなく標的核酸配列内に一本鎖切断(すなわち「ニック」)を作ることができる「ニッカーゼ」である。例えばCas9は、反対のDNA鎖の切断を担う2つのヌクレアーゼドメイン(RuvC様ヌクレアーゼドメイン及びHNH様ヌクレアーゼドメイン)を含む。これらのドメインのいずれかに変異があるとニッカーゼが生じ得る。ニッカーゼを生じる変異の例は、例えば、WO/2013/176772A1及びWO/2013/142578A1に見出すことができ、これらは各々、参照により本明細書に組み込まれる。
【0187】
いくつかの態様において、dsDNAの各鎖の標的部位に特異的な2つの別個のCasタンパク質(例えば、ニッカーゼ)は、別の核酸または同じ核酸上の別個の領域上のオーバーハンギング配列に相補的なオーバーハンギング配列を作ることができる。dsDNAの両鎖上の標的部位に特異的な2つのニッカーゼと核酸を接触させることによって作られるオーバーハンギング末端は、5’または3’のいずれのオーバーハンギング末端であってもよい。例えば、第1のニッカーゼが、dsDNAの第1の鎖に一本鎖切断を作り、第2のニッカーゼが、dsDNAの第2の鎖に一本鎖切断を作ることにより、オーバーハンギング配列を作ることができる。一本鎖切断を作る各ニッカーゼの標的部位は、作られるオーバーハンギング末端配列が、異なる核酸分子上のオーバーハンギング末端配列に相補的となるように選択することができる。2つの異なる核酸分子の相補的なオーバーハンギング末端は、本明細書に開示される方法によってアニールすることができる。いくつかの態様において、第1の鎖上のニッカーゼの標的部位は、第2の鎖上のニッカーゼの標的部位とは異なる。
【0188】
いくつかの態様において、NR4A3遺伝子、及びそのコードされるNR4A3タンパク質の発現は、細胞を例えば、NR4A3遺伝子に特異的なCRISPR(例えば、CRISPR-Cas9システム)と接触させることによって低減される。いくつかの態様において、CRISPRは、NR4A1遺伝子に特異的である。したがって、いくつかの態様において、CRISPRと接触した後、細胞(例えば、CARまたはTCRを発現する免疫細胞)は、(i)低減したレベルのNR4A1遺伝子及び/またはタンパク質、(ii)内因性レベルのNR4A2遺伝子及び/またはタンパク質、及び(iii)内因性レベルのNR4A3遺伝子及び/またはタンパク質を有する。いくつかの態様において、CRISPRは、NR4A2遺伝子に特異的である。したがって、いくつかの態様において、CRISPRと接触した後、細胞(例えば、CARまたはTCRを発現する免疫細胞)は、(i)内因性レベルのNR4A1遺伝子及び/またはタンパク質、(ii)低減したレベルのNR4A2遺伝子及び/またはタンパク質、及び(iii)内因性レベルのNR4A3遺伝子及び/またはタンパク質を有する。いくつかの態様において、CRISPRは、NR4A3遺伝子に特異的である。したがって、いくつかの態様において、CRISPRと接触した後、細胞(例えば、CARまたはTCRを発現する免疫細胞)は、(i)内因性レベルのNR4A1遺伝子及び/またはタンパク質、(ii)内因性レベルのNR4A2遺伝子及び/またはタンパク質、及び(iii)低減したレベルのNR4A3遺伝子及び/またはタンパク質を有する。
【0189】
本明細書に記載されるように、いくつかの態様において、CRISPRは、複数のNR4A遺伝子を標的とする。例えば、いくつかの態様において、CRISPRは、NR4A1遺伝子及びNR4A2遺伝子の両方を標的とすることが可能である。したがって、いくつかの態様において、CRISPRと接触した後、細胞(例えば、CARまたはTCRを発現する免疫細胞)は、(i)低減したレベルのNR4A1遺伝子及び/またはタンパク質、(ii)低減したレベルのNR4A2遺伝子及び/またはタンパク質、及び(iii)内因性レベルNR4A3遺伝子及び/またはタンパク質を有する。いくつかの態様において、CRISPRは、NR4A1遺伝子及びNR4A3遺伝子の両方を標的とすることが可能である。したがって、いくつかの態様において、CRISPRと接触した後、細胞(例えば、CARまたはTCRを発現する免疫細胞)は、(i)低減したレベルのNR4A1遺伝子及び/またはタンパク質、(ii)内因性レベルのNR4A2遺伝子及び/またはタンパク質、及び(iii)低減したレベルのNR4A3遺伝子及び/またはタンパク質を有する。いくつかの態様において、CRISPRは、NR4A2遺伝子及び/またはNR4A3遺伝子の両方を標的とすることが可能である。いくつかの態様において、CRISPRと接触した後、細胞(例えば、CARまたはTCRを発現する免疫細胞)は、(i)内因性レベルのNR4A1遺伝子及び/またはタンパク質、(ii)低減したレベルのNR4A2遺伝子及び/またはタンパク質、及び(iii)低減したレベルのNR4A3遺伝子及び/またはタンパク質を有する。いくつかの態様において、CRISPRは、NR4A1遺伝子、NR4A2遺伝子、及びNR4A3遺伝子を標的とすることが可能である。したがって、いくつかの態様において、CRISPRと接触した後、細胞(例えば、CARまたはTCRを発現する免疫細胞)は、(i)低減したレベルのNR4A1遺伝子及び/またはタンパク質、(ii)低減したレベルのNR4A2遺伝子及び/またはタンパク質、及び(iii)低減したレベルのNR4A3遺伝子及び/またはタンパク質を有する。
【0190】
いくつかの態様において、CRISPRを使用する遺伝子編集は、NR4A3遺伝子レベルを、参照細胞(例えば、CRISPRを使用する遺伝子編集に供されなかった対応する細胞)において観察されるNR4A3遺伝子レベルに対して少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または約100%低減する。いくつかの態様において、NR4A3遺伝子レベルは、当該技術分野で知られている任意の技術、例えば、デジタルドロップレットPCRを使用して測定され得る。
【0191】
いくつかの態様において、本明細書に開示されるgRNA及び/またはCas9をコードする核酸は、RNAまたはDNAである。他の態様において、本明細書に開示されるgRNA及び/またはCas9をコードするRNAまたはDNAは、それぞれ合成RNAまたは合成DNAである。いくつかの態様において、合成RNAまたはDNAは、少なくとも1つの非天然核酸塩基を含む。いくつかの態様において、所定のクラスのすべての核酸塩基は、非天然核酸塩基で置き換えられている(例えば、本明細書に開示されるポリヌクレオチドにおけるすべてのウリジンは、非天然核酸塩基、例えば、5-メトキシウリジンまたはシュードウリジンで置き換えられ得る)。いくつかの態様において、ポリヌクレオチド(例えば、合成RNAまたは合成DNA)は、天然核酸塩基のみ、すなわち、合成DNAの場合はA、C、T及びU、または合成RNAもしくは合成DNAの場合はA、C、T、及びUを含む。
【0192】
通常、本明細書に開示されるCRISPR遺伝子編集方法は、例えば、免疫細胞をin vivo、in vitro、またはex vivoで
(i)Cas9またはCas9をコードする核酸;及び、
(ii)少なくとも1つのNR4A3遺伝子ガイドRNA(gRNA)またはそのgRNAをコードする核酸
と接触させることを含み、gRNAは、NR4A3遺伝子(例えば、イントロン及び/またはエクソン配列)における配列を標的とし、細胞をCas9及び少なくとも1つのgRNAと接触させることは、NR4A3遺伝子及び/またはNR4A3タンパク質の発現の低減をもたらす。
【0193】
いくつかの態様において、細胞(例えば、免疫細胞)のNR4A3遺伝子のレベルを低減するために使用され得るgRNAは、表B及びCに提供されるgRNAのいずれかを含む。例えば、いくつかの態様において、NR4A3遺伝子を標的とするために使用され得るgRNAは、配列番号30、52~57、58、61、65、67、68、70、71、75、76、82、83、86、94、及び96に示される配列のうちの任意の1つ以上を含む、それからなる、またはそれから本質的になる。いくつかの態様において、NR4A3遺伝子を標的とするために使用され得るgRNAは、配列番号30に示される配列を含む、それからなる、またはそれから本質的になる。いくつかの態様において、NR4A3遺伝子を標的とするために使用され得るgRNAは、配列番号30に示される配列を含む。いくつかの態様において、NR4A3遺伝子を標的とするために使用され得るgRNAは、配列番号30に示される配列からなる。いくつかの態様において、NR4A3遺伝子を標的とするために使用され得るgRNAは、配列番号30に示される配列から本質的になる。いくつかの態様において、NR4A3遺伝子を標的とするために使用され得るgRNAは、配列番号52に示される配列を含む、それからなる、またはそれから本質的になる。いくつかの態様において、NR4A3遺伝子を標的とするために使用され得るgRNAは、配列番号52に示される配列を含む。いくつかの態様において、NR4A3遺伝子を標的とするために使用され得るgRNAは、配列番号52に示される配列からなる。いくつかの態様において、NR4A3遺伝子を標的とするために使用され得るgRNAは、配列番号52に示される配列から本質的になる。いくつかの態様において、NR4A3遺伝子を標的とするために使用され得るgRNAは、配列番号53に示される配列を含む、それからなる、またはそれから本質的になる。いくつかの態様において、NR4A3遺伝子を標的とするために使用され得るgRNAは、配列番号53に示される配列を含む。いくつかの態様において、NR4A3遺伝子を標的とするために使用され得るgRNAは、配列番号53に示される配列からなる。いくつかの態様において、NR4A3遺伝子を標的とするために使用され得るgRNAは、配列番号53に示される配列から本質的になる。いくつかの態様において、NR4A3遺伝子を標的とするために使用され得るgRNAは、配列番号54に示される配列を含む、それからなる、またはそれから本質的になる。いくつかの態様において、NR4A3遺伝子を標的とするために使用され得るgRNAは、配列番号54に示される配列を含む。いくつかの態様において、NR4A3遺伝子を標的とするために使用され得るgRNAは、配列番号54に示される配列からなる。いくつかの態様において、NR4A3遺伝子を標的とするために使用され得るgRNAは、配列番号54に示される配列から本質的になる。いくつかの態様において、NR4A3遺伝子を標的とするために使用され得るgRNAは、配列番号55に示される配列を含む、それからなる、またはそれから本質的になる。いくつかの態様において、NR4A3遺伝子を標的とするために使用され得るgRNAは、配列番号55に示される配列を含む。いくつかの態様において、NR4A3遺伝子を標的とするために使用され得るgRNAは、配列番号55に示される配列からなる。いくつかの態様において、NR4A3遺伝子を標的とするために使用され得るgRNAは、配列番号55に示される配列から本質的になる。いくつかの態様において、NR4A3遺伝子を標的とするために使用され得るgRNAは、配列番号53に示される配列を含む、それからなる、またはそれから本質的になる。いくつかの態様において、NR4A3遺伝子を標的とするために使用され得るgRNAは、配列番号56に示される配列を含む。いくつかの態様において、NR4A3遺伝子を標的とするために使用され得るgRNAは、配列番号56に示される配列からなる。いくつかの態様において、NR4A3遺伝子を標的とするために使用され得るgRNAは、配列番号56に示される配列から本質的になる。いくつかの態様において、NR4A3遺伝子を標的とするために使用され得るgRNAは、配列番号57に示される配列を含む、それからなる、またはそれから本質的になる。いくつかの態様において、NR4A3遺伝子を標的とするために使用され得るgRNAは、配列番号57に示される配列を含む。いくつかの態様において、NR4A3遺伝子を標的とするために使用され得るgRNAは、配列番号57に示される配列からなる。いくつかの態様において、NR4A3遺伝子を標的とするために使用され得るgRNAは、配列番号57に示される配列から本質的になる。いくつかの態様において、NR4A3遺伝子を標的とするために使用され得るgRNAは、配列番号58に示される配列を含む、それからなる、またはそれから本質的になる。いくつかの態様において、NR4A3遺伝子を標的とするために使用され得るgRNAは、配列番号58に示される配列を含む。いくつかの態様において、NR4A3遺伝子を標的とするために使用され得るgRNAは、配列番号58に示される配列からなる。いくつかの態様において、NR4A3遺伝子を標的とするために使用され得るgRNAは、配列番号58に示される配列から本質的になる。いくつかの態様において、NR4A3遺伝子を標的とするために使用され得るgRNAは、配列番号59に示される配列を含む、それからなる、またはそれから本質的になる。いくつかの態様において、NR4A3遺伝子を標的とするために使用され得るgRNAは、配列番号59に示される配列を含む。いくつかの態様において、NR4A3遺伝子を標的とするために使用され得るgRNAは、配列番号59に示される配列からなる。いくつかの態様において、NR4A3遺伝子を標的とするために使用され得るgRNAは、配列番号59に示される配列から本質的になる。いくつかの態様において、NR4A3遺伝子を標的とするために使用され得るgRNAは、配列番号60に示される配列を含む、それからなる、またはそれから本質的になる。いくつかの態様において、NR4A3遺伝子を標的とするために使用され得るgRNAは、配列番号60に示される配列を含む。いくつかの態様において、NR4A3遺伝子を標的とするために使用され得るgRNAは、配列番号60に示される配列からなる。いくつかの態様において、NR4A3遺伝子を標的とするために使用され得るgRNAは、配列番号60に示される配列から本質的になる。いくつかの態様において、NR4A3遺伝子を標的とするために使用され得るgRNAは、配列番号61に示される配列を含む、それからなる、またはそれから本質的になる。いくつかの態様において、NR4A3遺伝子を標的とするために使用され得るgRNAは、配列番号61に示される配列を含む。いくつかの態様において、NR4A3遺伝子を標的とするために使用され得るgRNAは、配列番号61に示される配列からなる。いくつかの態様において、NR4A3遺伝子を標的とするために使用され得るgRNAは、配列番号61に示される配列から本質的になる。いくつかの態様において、NR4A3遺伝子を標的とするために使用され得るgRNAは、配列番号62に示される配列を含む、それからなる、またはそれから本質的になる。いくつかの態様において、NR4A3遺伝子を標的とするために使用され得るgRNAは、配列番号62に示される配列を含む。いくつかの態様において、NR4A3遺伝子を標的とするために使用され得るgRNAは、配列番号62に示される配列からなる。いくつかの態様において、NR4A3遺伝子を標的とするために使用され得るgRNAは、配列番号62に示される配列から本質的になる。いくつかの態様において、NR4A3遺伝子を標的とするために使用され得るgRNAは、配列番号63に示される配列を含む、それからなる、またはそれから本質的になる。いくつかの態様において、NR4A3遺伝子を標的とするために使用され得るgRNAは、配列番号63に示される配列を含む。いくつかの態様において、NR4A3遺伝子を標的とするために使用され得るgRNAは、配列番号63に示される配列からなる。いくつかの態様において、NR4A3遺伝子を標的とするために使用され得るgRNAは、配列番号63に示される配列から本質的になる。いくつかの態様において、NR4A3遺伝子を標的とするために使用され得るgRNAは、配列番号64に示される配列を含む、それからなる、またはそれから本質的になる。いくつかの態様において、NR4A3遺伝子を標的とするために使用され得るgRNAは、配列番号64に示される配列を含む。いくつかの態様において、NR4A3遺伝子を標的とするために使用され得るgRNAは、配列番号64に示される配列からなる。いくつかの態様において、NR4A3遺伝子を標的とするために使用され得るgRNAは、配列番号64に示される配列から本質的になる。いくつかの態様において、NR4A3遺伝子を標的とするために使用され得るgRNAは、配列番号65に示される配列を含む、それからなる、またはそれから本質的になる。いくつかの態様において、NR4A3遺伝子を標的とするために使用され得るgRNAは、配列番号65に示される配列を含む。いくつかの態様において、NR4A3遺伝子を標的とするために使用され得るgRNAは、配列番号65に示される配列からなる。いくつかの態様において、NR4A3遺伝子を標的とするために使用され得るgRNAは、配列番号65に示される配列から本質的になる。いくつかの態様において、NR4A3遺伝子を標的とするために使用され得るgRNAは、配列番号66に示される配列を含む、それからなる、またはそれから本質的になる。いくつかの態様において、NR4A3遺伝子を標的とするために使用され得るgRNAは、配列番号66に示される配列を含む。いくつかの態様において、NR4A3遺伝子を標的とするために使用され得るgRNAは、配列番号66に示される配列からなる。いくつかの態様において、NR4A3遺伝子を標的とするために使用され得るgRNAは、配列番号66に示される配列から本質的になる。いくつかの態様において、NR4A3遺伝子を標的とするために使用され得るgRNAは、配列番号67に示される配列を含む、それからなる、またはそれから本質的になる。いくつかの態様において、NR4A3遺伝子を標的とするために使用され得るgRNAは、配列番号67に示される配列を含む。いくつかの態様において、NR4A3遺伝子を標的とするために使用され得るgRNAは、配列番号67に示される配列からなる。いくつかの態様において、NR4A3遺伝子を標的とするために使用され得るgRNAは、配列番号67に示される配列から本質的になる。いくつかの態様において、NR4A3遺伝子を標的とするために使用され得るgRNAは、配列番号68に示される配列を含む、それからなる、またはそれから本質的になる。いくつかの態様において、NR4A3遺伝子を標的とするために使用され得るgRNAは、配列番号68に示される配列を含む。いくつかの態様において、NR4A3遺伝子を標的とするために使用され得るgRNAは、配列番号68に示される配列からなる。いくつかの態様において、NR4A3遺伝子を標的とするために使用され得るgRNAは、配列番号68に示される配列から本質的になる。いくつかの態様において、NR4A3遺伝子を標的とするために使用され得るgRNAは、配列番号69に示される配列を含む、それからなる、またはそれから本質的になる。いくつかの態様において、NR4A3遺伝子を標的とするために使用され得るgRNAは、配列番号69に示される配列を含む。いくつかの態様において、NR4A3遺伝子を標的とするために使用され得るgRNAは、配列番号69に示される配列からなる。いくつかの態様において、NR4A3遺伝子を標的とするために使用され得るgR
NAは、配列番号69に示される配列から本質的になる。いくつかの態様において、NR4A3遺伝子を標的とするために使用され得るgRNAは、配列番号70に示される配列を含む、それからなる、またはそれから本質的になる。いくつかの態様において、NR4A3遺伝子を標的とするために使用され得るgRNAは、配列番号70に示される配列を含む。いくつかの態様において、NR4A3遺伝子を標的とするために使用され得るgRNAは、配列番号70に示される配列からなる。いくつかの態様において、NR4A3遺伝子を標的とするために使用され得るgRNAは、配列番号70に示される配列から本質的になる。いくつかの態様において、NR4A3遺伝子を標的とするために使用され得るgRNAは、配列番号71に示される配列を含む、それからなる、またはそれから本質的になる。いくつかの態様において、NR4A3遺伝子を標的とするために使用され得るgRNAは、配列番号71に示される配列を含む。いくつかの態様において、NR4A3遺伝子を標的とするために使用され得るgRNAは、配列番号71に示される配列からなる。いくつかの態様において、NR4A3遺伝子を標的とするために使用され得るgRNAは、配列番号71に示される配列から本質的になる。いくつかの態様において、NR4A3遺伝子を標的とするために使用され得るgRNAは、配列番号72に示される配列を含む、それからなる、またはそれから本質的になる。いくつかの態様において、NR4A3遺伝子を標的とするために使用され得るgRNAは、配列番号72に示される配列を含む。いくつかの態様において、NR4A3遺伝子を標的とするために使用され得るgRNAは、配列番号72に示される配列からなる。いくつかの態様において、NR4A3遺伝子を標的とするために使用され得るgRNAは、配列番号72に示される配列から本質的になる。いくつかの態様において、NR4A3遺伝子を標的とするために使用され得るgRNAは、配列番号73に示される配列を含む、それからなる、またはそれから本質的になる。いくつかの態様において、NR4A3遺伝子を標的とするために使用され得るgRNAは、配列番号73に示される配列を含む。いくつかの態様において、NR4A3遺伝子を標的とするために使用され得るgRNAは、配列番号73に示される配列からなる。いくつかの態様において、NR4A3遺伝子を標的とするために使用され得るgRNAは、配列番号73に示される配列から本質的になる。いくつかの態様において、NR4A3遺伝子を標的とするために使用され得るgRNAは、配列番号74に示される配列を含む、それからなる、またはそれから本質的になる。いくつかの態様において、NR4A3遺伝子を標的とするために使用され得るgRNAは、配列番号74に示される配列を含む。いくつかの態様において、NR4A3遺伝子を標的とするために使用され得るgRNAは、配列番号74に示される配列からなる。いくつかの態様において、NR4A3遺伝子を標的とするために使用され得るgRNAは、配列番号74に示される配列から本質的になる。いくつかの態様において、NR4A3遺伝子を標的とするために使用され得るgRNAは、配列番号75に示される配列を含む、それからなる、またはそれから本質的になる。いくつかの態様において、NR4A3遺伝子を標的とするために使用され得るgRNAは、配列番号75に示される配列を含む。いくつかの態様において、NR4A3遺伝子を標的とするために使用され得るgRNAは、配列番号75に示される配列からなる。いくつかの態様において、NR4A3遺伝子を標的とするために使用され得るgRNAは、配列番号75に示される配列から本質的になる。いくつかの態様において、NR4A3遺伝子を標的とするために使用され得るgRNAは、配列番号76に示される配列を含む、それからなる、またはそれから本質的になる。いくつかの態様において、NR4A3遺伝子を標的とするために使用され得るgRNAは、配列番号76に示される配列を含む。いくつかの態様において、NR4A3遺伝子を標的とするために使用され得るgRNAは、配列番号76に示される配列からなる。いくつかの態様において、NR4A3遺伝子を標的とするために使用され得るgRNAは、配列番号76に示される配列から本質的になる。いくつかの態様において、NR4A3遺伝子を標的とするために使用され得るgRNAは、配列番号77に示される配列を含む、それからなる、またはそれから本質的になる。いくつかの態様において、NR4A3遺伝子を標的とするために使用され得るgRNAは、配列番号77に示される配列を含む。いくつかの態様において、NR4A3遺伝子を標的とするために使用され得るgRNAは、配列番号77に示される配列からなる。いくつかの態様において、NR4A3遺伝子を標的とするために使用され得るgRNAは、配列番号77に示される配列から本質的になる。いくつかの態様において、NR4A3遺伝子を標的とするために使用され得るgRNAは、配列番号78に示される配列を含む、それからなる、またはそれから本質的になる。いくつかの態様において、NR4A3遺伝子を標的とするために使用され得るgRNAは、配列番号78に示される配列を含む。いくつかの態様において、NR4A3遺伝子を標的とするために使用され得るgRNAは、配列番号78に示される配列からなる。いくつかの態様において、NR4A3遺伝子を標的とするために使用され得るgRNAは、配列番号78に示される配列から本質的になる。いくつかの態様において、NR4A3遺伝子を標的とするために使用され得るgRNAは、配列番号79に示される配列を含む、それからなる、またはそれから本質的になる。いくつかの態様において、NR4A3遺伝子を標的とするために使用され得るgRNAは、配列番号79に示される配列を含む。いくつかの態様において、NR4A3遺伝子を標的とするために使用され得るgRNAは、配列番号79に示される配列からなる。いくつかの態様において、NR4A3遺伝子を標的とするために使用され得るgRNAは、配列番号79に示される配列から本質的になる。いくつかの態様において、NR4A3遺伝子を標的とするために使用され得るgRNAは、配列番号80に示される配列を含む、それからなる、またはそれから本質的になる。いくつかの態様において、NR4A3遺伝子を標的とするために使用され得るgRNAは、配列番号80に示される配列を含む。いくつかの態様において、NR4A3遺伝子を標的とするために使用され得るgRNAは、配列番号80に示される配列からなる。いくつかの態様において、NR4A3遺伝子を標的とするために使用され得るgRNAは、配列番号80に示される配列から本質的になる。いくつかの態様において、NR4A3遺伝子を標的とするために使用され得るgRNAは、配列番号81に示される配列を含む、それからなる、またはそれから本質的になる。いくつかの態様において、NR4A3遺伝子を標的とするために使用され得るgRNAは、配列番号81に示される配列を含む。いくつかの態様において、NR4A3遺伝子を標的とするために使用され得るgRNAは、配列番号81に示される配列からなる。いくつかの態様において、NR4A3遺伝子を標的とするために使用され得るgRNAは、配列番号81に示される配列から本質的になる。いくつかの態様において、NR4A3遺伝子を標的とするために使用され得るgRNAは、配列番号82に示される配列を含む、それからなる、またはそれから本質的になる。いくつかの態様において、NR4A3遺伝子を標的とするために使用され得るgRNAは、配列番号82に示される配列を含む。いくつかの態様において、NR4A3遺伝子を標的とするために使用され得るgRNAは、配列番号82に示される配列からなる。いくつかの態様において、NR4A3遺伝子を標的とするために使用され得るgRNAは、配列番号82に示される配列から本質的になる。いくつかの態様において、NR4A3遺伝子を標的とするために使用され得るgRNAは、配列番号83に示される配列を含む、それからなる、またはそれから本質的になる。いくつかの態様において、NR4A3遺伝子を標的とするために使用され得るgRNAは、配列番号83に示される配列を含む。いくつかの態様において、NR4A3遺伝子を標的とするために使用され得るgRNAは、配列番号83に示される配列からなる。いくつかの態様において、NR4A3遺伝子を標的とするために使用され得るgRNAは、配列番号83に示される配列から本質的になる。いくつかの態様において、NR4A3遺伝子を標的とするために使用され得るgRNAは、配列番号84に示される配列を含む、それからなる、またはそれから本質的になる。いくつかの態様において、NR4A3遺伝子を標的とするために使用され得るgRNAは、配列番号84に示される配列を含む。いくつかの態様において、NR4A3遺伝子を標的とするために使用され得るgRNAは、配列番号84に示される配列からなる。いくつかの態様において、NR4A3遺伝子を標的とするために使用され得るgRNAは、配列番号84に示される配列から本質的になる。いくつかの態様において、NR4A3遺伝子を標的とするために使用され得るgRNAは、配列番号85に示される配列を含む、それからなる、またはそれから本質的になる。いくつかの態様において、NR4A3遺伝子を標的とするために使用され得るgRNAは、配列番号85に示される配列を含む。いくつかの態様において、NR4A3遺伝子を標的とするために使用され得るgRNAは、配列番号85に示される配列からなる。いくつかの態様において、NR4A3遺伝子を標的とするために使用され得るgRNAは、配列番号85に示される配列から本質的になる。いくつかの態様において、NR4A3遺伝子を標的とするために使用され得るgRNAは、配列番号86に示される配列を含む、それからなる、またはそれから本質的になる。いくつかの態様において、NR4A3遺伝子を標的とするために使用され得るgRNAは、配列番号86に示される配列を含む。いくつかの態様において、NR4A3遺伝子を標的とするために使用され得るgRNAは、配列番号86に示される配列からなる。いくつかの態様において、NR4A3遺伝子を標的とするために使用され得るgRNAは、配列番号86に示される配列から本質的になる。いくつかの態様において、NR4A3遺伝子を標的とするために使用され得るgRNAは、配列番号87に示される配列を含む、それからなる、またはそれから本質的になる。いくつかの態様において、NR4A3遺伝子を標的とするために使用され得るgRNAは、配列番号87に示される配列を含む。いくつかの態様において、NR4A3遺伝子を標的とするために使用され得るgRNAは、配列番号87に示される配列からなる。いくつかの態様において、NR4A3遺伝子を標的とするために使用され得るgRNAは、配列番号87に示される配列から本質的になる。いくつかの態様において、NR4A3遺伝子を標的とするために使用され得るgRNAは、配列番号88に示される配列を含む、それからなる、またはそれから本質的になる。いくつかの態様において、NR4A3遺伝子を標的とするために使用され得るgRNAは、配列番号88に示される配列を含む。いくつかの態様において、NR4A3遺伝子を標的とするために使用され得るgRNAは、配列番号88に示される配列からなる。いくつかの態様において、NR4A3遺伝子を標的とするために使用され得るgRNAは、配列番号88に示される配列から本質的になる。いくつかの態様において、NR4A3遺伝子を標的とするために使用され得るgRNAは、配列番号89に示される配列を含む、それからなる、またはそれから本質的になる。いくつかの態様において、NR4A3遺伝子を標的とするために使用され得るgRNAは、配列番号89に示される配列を含む。いくつかの態様において、NR4A3遺伝子を標的とするために使用され得るgR
NAは、配列番号89に示される配列からなる。いくつかの態様において、NR4A3遺伝子を標的とするために使用され得るgRNAは、配列番号89に示される配列から本質的になる。いくつかの態様において、NR4A3遺伝子を標的とするために使用され得るgRNAは、配列番号90に示される配列を含む、それからなる、またはそれから本質的になる。いくつかの態様において、NR4A3遺伝子を標的とするために使用され得るgRNAは、配列番号90に示される配列を含む。いくつかの態様において、NR4A3遺伝子を標的とするために使用され得るgRNAは、配列番号90に示される配列からなる。いくつかの態様において、NR4A3遺伝子を標的とするために使用され得るgRNAは、配列番号90に示される配列から本質的になる。いくつかの態様において、NR4A3遺伝子を標的とするために使用され得るgRNAは、配列番号91に示される配列を含む、それからなる、またはそれから本質的になる。いくつかの態様において、NR4A3遺伝子を標的とするために使用され得るgRNAは、配列番号91に示される配列を含む。いくつかの態様において、NR4A3遺伝子を標的とするために使用され得るgRNAは、配列番号91に示される配列からなる。いくつかの態様において、NR4A3遺伝子を標的とするために使用され得るgRNAは、配列番号91に示される配列から本質的になる。いくつかの態様において、NR4A3遺伝子を標的とするために使用され得るgRNAは、配列番号92に示される配列を含む、それからなる、またはそれから本質的になる。いくつかの態様において、NR4A3遺伝子を標的とするために使用され得るgRNAは、配列番号92に示される配列を含む。いくつかの態様において、NR4A3遺伝子を標的とするために使用され得るgRNAは、配列番号92に示される配列からなる。いくつかの態様において、NR4A3遺伝子を標的とするために使用され得るgRNAは、配列番号92に示される配列から本質的になる。いくつかの態様において、NR4A3遺伝子を標的とするために使用され得るgRNAは、配列番号93に示される配列を含む、それからなる、またはそれから本質的になる。いくつかの態様において、NR4A3遺伝子を標的とするために使用され得るgRNAは、配列番号93に示される配列を含む。いくつかの態様において、NR4A3遺伝子を標的とするために使用され得るgRNAは、配列番号93に示される配列からなる。いくつかの態様において、NR4A3遺伝子を標的とするために使用され得るgRNAは、配列番号93に示される配列から本質的になる。いくつかの態様において、NR4A3遺伝子を標的とするために使用され得るgRNAは、配列番号94に示される配列を含む、それからなる、またはそれから本質的になる。いくつかの態様において、NR4A3遺伝子を標的とするために使用され得るgRNAは、配列番号94に示される配列を含む。いくつかの態様において、NR4A3遺伝子を標的とするために使用され得るgRNAは、配列番号94に示される配列からなる。いくつかの態様において、NR4A3遺伝子を標的とするために使用され得るgRNAは、配列番号94に示される配列から本質的になる。いくつかの態様において、NR4A3遺伝子を標的とするために使用され得るgRNAは、配列番号95に示される配列を含む、それからなる、またはそれから本質的になる。いくつかの態様において、NR4A3遺伝子を標的とするために使用され得るgRNAは、配列番号95に示される配列を含む。いくつかの態様において、NR4A3遺伝子を標的とするために使用され得るgRNAは、配列番号95に示される配列からなる。いくつかの態様において、NR4A3遺伝子を標的とするために使用され得るgRNAは、配列番号95に示される配列から本質的になる。いくつかの態様において、NR4A3遺伝子を標的とするために使用され得るgRNAは、配列番号96に示される配列を含む、それからなる、またはそれから本質的になる。いくつかの態様において、NR4A3遺伝子を標的とするために使用され得るgRNAは、配列番号96に示される配列を含む。いくつかの態様において、NR4A3遺伝子を標的とするために使用され得るgRNAは、配列番号96に示される配列からなる。いくつかの態様において、NR4A3遺伝子を標的とするために使用され得るgRNAは、配列番号96に示される配列から本質的になる。いくつかの態様において、NR4A3遺伝子を標的とするために使用され得るgRNAは、配列番号97に示される配列を含む、それからなる、またはそれから本質的になる。いくつかの態様において、NR4A3遺伝子を標的とするために使用され得るgRNAは、配列番号97に示される配列を含む。いくつかの態様において、NR4A3遺伝子を標的とするために使用され得るgRNAは、配列番号97に示される配列からなる。いくつかの態様において、NR4A3遺伝子を標的とするために使用され得るgRNAは、配列番号97に示される配列から本質的になる。いくつかの態様において、NR4A3遺伝子を標的とするために使用され得るgRNAは、配列番号98に示される配列を含む、それからなる、またはそれから本質的になる。いくつかの態様において、NR4A3遺伝子を標的とするために使用され得るgRNAは、配列番号98に示される配列を含む。いくつかの態様において、NR4A3遺伝子を標的とするために使用され得るgRNAは、配列番号98に示される配列からなる。いくつかの態様において、NR4A3遺伝子を標的とするために使用され得るgRNAは、配列番号98に示される配列から本質的になる。いくつかの態様において、NR4A3遺伝子を標的とするために使用され得るgRNAは、配列番号99に示される配列を含む、それからなる、またはそれから本質的になる。いくつかの態様において、NR4A3遺伝子を標的とするために使用され得るgRNAは、配列番号99に示される配列を含む。いくつかの態様において、NR4A3遺伝子を標的とするために使用され得るgRNAは、配列番号99に示される配列からなる。いくつかの態様において、NR4A3遺伝子を標的とするために使用され得るgRNAは、配列番号99に示される配列から本質的になる。
【0194】
本明細書に記載されるように、いくつかの態様において、遺伝子編集方法は、(i)NR4A1遺伝子及び/またはNR4A1タンパク質、(ii)NR4A2遺伝子及び/またはNR4A2タンパク質、または(iii)(i)及び(ii)の両方のレベルを低減することをさらに含み得る。いくつかの態様において、NR4A1遺伝子を標的とするために使用され得るgRNAは、配列番号25に示される配列を含む、それからなる、またはそれから本質的になる。いくつかの態様において、NR4A1遺伝子を標的とするために使用され得るgRNAは、配列番号25に示される配列を含む。いくつかの態様において、NR4A1遺伝子を標的とするために使用され得るgRNAは、配列番号25に示される配列からなる。いくつかの態様において、NR4A1遺伝子を標的とするために使用され得るgRNAは、配列番号25に示される配列から本質的になる。いくつかの態様において、NR4A1遺伝子を標的とするために使用され得るgRNAは、配列番号26に示される配列を含む、それからなる、またはそれから本質的になる。いくつかの態様において、NR4A1遺伝子を標的とするために使用され得るgRNAは、配列番号26に示される配列を含む。いくつかの態様において、NR4A1遺伝子を標的とするために使用され得るgRNAは、配列番号26に示される配列からなる。いくつかの態様において、NR4A1遺伝子を標的とするために使用され得るgRNAは、配列番号26に示される配列から本質的になる。いくつかの態様において、NR4A2遺伝子を標的とするために使用され得るgRNAは、配列番号27に示される配列を含む、それからなる、またはそれから本質的になる。いくつかの態様において、NR4A2遺伝子を標的とするために使用され得るgRNAは、配列番号27に示される配列を含む。いくつかの態様において、NR4A1遺伝子を標的とするために使用され得るgRNAは、配列番号27に示される配列からなる。いくつかの態様において、NR4A1遺伝子を標的とするために使用され得るgRNAは、配列番号27に示される配列から本質的になる。いくつかの態様において、NR4A2遺伝子を標的とするために使用され得るgRNAは、配列番号28に示される配列を含む、それからなる、またはそれから本質的になる。いくつかの態様において、NR4A2遺伝子を標的とするために使用され得るgRNAは、配列番号28に示される配列を含む。いくつかの態様において、NR4A1遺伝子を標的とするために使用され得るgRNAは、配列番号28に示される配列からなる。いくつかの態様において、NR4A1遺伝子を標的とするために使用され得るgRNAは、配列番号28に示される配列から本質的になる。いくつかの態様において、NR4A2遺伝子を標的とするために使用され得るgRNAは、配列番号29に示される配列を含む、それからなる、またはそれから本質的になる。いくつかの態様において、NR4A2遺伝子を標的とするために使用され得るgRNAは、配列番号29に示される配列を含む。いくつかの態様において、NR4A1遺伝子を標的とするために使用され得るgRNAは、配列番号29に示される配列からなる。いくつかの態様において、NR4A1遺伝子を標的とするために使用され得るgRNAは、配列番号29に示される配列から本質的になる。
【0195】
本明細書で使用する場合、「接触させること」(例えば、細胞、例えば、免疫細胞を少なくとも1つのgRNA及び少なくとも1つのCas9と接触させること)という用語は、in vitroで細胞内で少なくとも1つのgRNA及び少なくとも1つのCasタンパク質、例えば、Cas9を一緒にインキュベートすること(例えば、gRNA及び/またはCasタンパク質、またはgRNA(複数可)及び/またはCas9タンパク質(複数可)をコードする核酸(複数可)を培養中の細胞に添加すること)または細胞をin vivoまたはex vivoで接触させることを含むことが意図される。
【0196】
NR4A3遺伝子標的配列を本明細書に開示される少なくとも1つのgRNA及び少なくとも1つのCasタンパク質、例えば、Cas9(またはそれらをコードする少なくとも1つの核酸)と接触させる工程は、任意の好適な様式で行われ得る。例えば、細胞、例えば、免疫細胞は、細胞培養条件で処置され得る。本明細書に開示される少なくとも1つのgRNA及び少なくとも1つのCasタンパク質、例えば、Cas9タンパク質(またはそれらをコードする少なくとも1つ核酸)と接触させられる細胞はまた、別の薬剤、例えば、CARまたはTCRをコードする少なくとも1つの核酸配列を含むベクターと同時にまたは後に接触させられ得ることが理解される。いくつかの態様において、細胞がin vitroまたはex vivoで接触した後、方法は、細胞を対象に導入することをさらに含み、それにより疾患または病態、例えば、がんの症状を処置または改善する。
【0197】
ex vivo方法の場合、細胞には、自己細胞、すなわち、細胞(複数可)における標的ポリヌクレオチド配列(例えば、NR4A3遺伝子)を改変することを必要とする対象から取得された免疫細胞(複数可)が含まれ得る(すなわち、ドナー及びレシピエントは、同じ個体である)。自己細胞は、細胞の任意の免疫に基づく拒絶を回避する利点を有し得る。あるいは、細胞は、異種であり、例えば、ドナーから取得され得る。典型的には、細胞がドナーに由来する場合、それらは、免疫抑制の必要性を減弱または除去するためにレシピエントと十分に免疫学的に適合性があるドナーからのものであり、すなわち、移植拒絶応答に供されない。いくつかの態様において、細胞は、異種源、すなわち、レシピエント、またはレシピエントの種と十分に免疫学的に適合性があるように遺伝子的に操作された非ヒト哺乳動物から取得される。免疫学的適合性を決定するための方法は、当該技術分野で知られており、HLA及びABO決定基についてのドナー-レシピエント適合性を評価するための組織タイピングを含む。例えば、Transplantation Immunology,Bach and Auchincloss,Eds.(Wiley,John & Sons,Incorporated 1994)を参照されたい。
【0198】
いくつかの態様において、本開示は、修飾された免疫細胞を生成する方法であって、細胞、例えば、免疫細胞(T細胞など)におけるNR4A3遺伝子配列を、細胞におけるNR4A3遺伝子配列をCas9タンパク質(またはそのようなCas9タンパク質をコードする核酸)及びNR4A3遺伝子におけるモチーフ(例えば、gRNAがCas9タンパク質を標的遺伝子に誘導し、標的モチーフとハイブリダイズするモチーフであり、NR4A3遺伝子は、部分的または全体的に切断され、切断の効率は、約10%~約100%である)を標的とする1つのgRNAと接触させることによってex vivoで改変することを含む、方法を提供する。そのようなgRNAの非限定的な例は、本明細書で提供される(例えば、表A、C、及びDを参照されたい)。本明細書に記載されるように、いくつかの態様において、本明細書に記載の修飾された免疫細胞を生成する方法は、細胞をCas9タンパク質をコードする第1の核酸分子及びNR4A遺伝子ファミリーの1つ以上のメンバーを標的とするgRNAを含む第2の核酸分子と接触させることによってNR4A遺伝子配列を改変することを含む。いくつかの態様において、第1の及び核酸分子は、細胞と逐次接触させられる。いくつかの態様において、第1の及び核酸分子は、細胞と同時に接触させられる。例えば、いくつかの態様において、細胞は、Cas9タンパク質をコードする第1の核酸分子及びgRNAを含む第2の核酸分子を含む単一のポリヌクレオチドと接触させられる。
【0199】
いくつかの態様において、細胞は、上述した改変工程の前、後、またはそれと同時にCARまたはTCRをコードする核酸(例えば、ベクター)で修飾(例えば、トランスフェクション)されている。
【0200】
いくつかの態様において、切断の効率は、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または約100%である。
【0201】
本開示のCRISPR/Casシステムは、使用されるCas、例えば、Cas9に応じて、様々な長さのgRNAスペーサー配列を使用し得る。異なる種からのCas9は、機能的リボヌクレオタンパク質(RNP)複合体を形成するためにそれらの対応するgRNAと対合されなければならない。すなわち、異なる細菌種から操作されたキメラgRNAフレームは、スペーサー配列及びキメラフレーム配列における差に起因して異なる長さを有し得る。
【0202】
いくつかの態様において、gRNAスペーサー配列は、少なくとも18ヌクレオチド(例えば、18、19、20、21、または22ヌクレオチド)長であり得る。例えば、S.pyogenes Cas9に結合するにおけるS.pyogenes gRNAスペーサー配列の長さは、20ヌクレオチドであるのに対し、S.aureus Cas9に結合するgRNAにおけるS.aureus gRNAスペーサー配列の長さは、21ヌクレオチドである。いくつかの態様において、gRNAスペーサー配列は、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34または35ヌクレオチドを含み得る。特定の態様において、gRNAは、NR4A3遺伝子のエクソン3のサブ配列に対応する18~22個の連続ヌクレオチド(例えば、20個)からなるスペーサー配列を含む。いくつかの態様において、gRNAは、NR4A3遺伝子のエクソン4のサブ配列に対応する18~22個の連続ヌクレオチド(例えば、20個)からなるスペーサー配列を含む。いくつかの態様において、gRNAは、NR4A3遺伝子のエクソン3またはエクソン4のサブ配列に対応する18~22個の連続ヌクレオチド(例えば、20個)からなるスペーサー配列を含む。
【0203】
NR4A3遺伝子上で結合するgRNAスペーサー配列とDNA鎖との間の完全マッチが好ましいが、NR4A3遺伝子レベルの低減またはNR4A3遺伝子機能の低下を依然としてもたらす限り、gRNAスペーサー配列とNR4A3標的配列との間のミスマッチも許容される。標的NR4A3配列と完全に相補的なgRNA上の8~12個の連続ヌクレオチドの「シード」配列は、NR4A3遺伝子上の標的配列の適切な認識のために好ましい。gRNAスペーサー配列の残りは、1つ以上のミスマッチを含み得る。
【0204】
通常、gRNA活性は、ミスマッチの数に逆相関する。好ましくは、本開示のgRNAスペーサー配列は、7個未満のミスマッチを含む。いくつかの態様において、gRNAスペーサー配列は、対応するNR4A3遺伝子標的配列と7個のミスマッチ、6個のミスマッチ、5個のミスマッチ、4個のミスマッチ、3個のミスマッチ、より好ましくは2個のミスマッチ、またはそれ未満を含み、さらにより好ましくはミスマッチを含まない。gRNAにおけるヌクレオチドの数が少ないほど、認容されるミスマッチの数が少ない。結合親和性は、マッチするgRNA-DNAの組み合わせの合計に依存すると考えられる。
【0205】
本開示のgRNAスペーサー配列は、CRISPR/Cas編集システムのオフターゲット効果を最小化するために選択され得る。したがって、いくつかの態様において、gRNAスペーサー配列は、細胞におけるすべての他のゲノムヌクレオチド配列と比較した場合、少なくとも2つのミスマッチを含有するように選択される。いくつかの態様において、gRNAスペーサー配列は、細胞におけるすべての他のゲノムヌクレオチド配列と比較した場合、少なくとも1つのミスマッチを含有するように選択される。当業者は、多様な技術が、オフターゲット効果を最小化するための好適なgRNAスペーサー配列を選択するために使用され得ることを理解する(例えば、バイオインフォマティクス分析)。
【0206】
いくつかの態様において、gRNAスペーサー配列は、配列番号31~42のスペーサー配列を含む、それからなる、またはそれから本質的になる。
【0207】
いくつかの態様において、gRNAスペーサー配列は、配列番号31~42のいずれか1つのDNA配列と比較して少なくとも1、2、3、4または5個のヌクレオチドミスマッチを含むスペーサー配列を含む、それからなる、またはそれから本質的になる。
【0208】
いくつかの態様において、編集有効性は、複数の位置を標的とすることによって増加し得る。したがって、いくつかの態様において、本明細書に開示される方法は、NR4A3遺伝子のエクソン1から上流の位置を標的とする1つのgRNAを使用することを含む。いくつかの態様において、本明細書に開示される方法は、NR4A3遺伝子のエクソン1から上流の位置を標的とする2、3、4、5、6、7、8、9または10個のgRNAを使用することを含む。また、いくつかの態様において、本明細書に開示される方法は、NR4A3遺伝子のエクソン4から下流の位置を標的とする1つのgRNAを使用することを含む。いくつかの態様において、本明細書に開示される方法は、NR4A3遺伝子のエクソン4から下流の位置を標的とする2、3、4、5、6、7、8、9または10個のgRNAを使用することを含む。
【0209】
いくつかの態様において、2つのgRNAは、NR4A3遺伝子の同じ鎖上の配列に相補的であり、及び/またはハイブリダイズする。いくつかの態様において、2つのgRNAは、NR4A3遺伝子の反対の鎖上の配列に相補的であり、及び/またはハイブリダイズする。いくつかの態様において、2つのgRNAは、NR4A3遺伝子の反対の鎖上の配列に相補的ではなく、及び/またはハイブリダイズしない。いくつかの態様において、2つのgRNAは、NR4A3遺伝子の重複標的モチーフに相補的であり、及び/またはハイブリダイズする。いくつかの態様において、2つのgRNAは、NR4A3遺伝子のオフセット標的モチーフに相補的であり、及び/またはハイブリダイズする。
【0210】
通常、本開示のgRNAは、標的配列への、対応するCasタンパク質、例えば、Cas9タンパク質の結合、及び後のNR4A3遺伝子の切除(全体または部分的)を可能とする限り、その配列または化学的修飾の任意のバリアントを含み得る。
【0211】
本明細書に開示される方法において使用されるCasタンパク質、例えば、Cas9は、核酸を切断するエンドヌクレアーゼであり、多数の細菌ゲノムのCRISPR遺伝子座によってコードされ、II型CRISPRシステムに関与する。Cas9タンパク質は、Streptococcus pyogenes、Staphylococcus aureus、Streptococcus thermophilus、Neisseria meningitidisなどを含む多数の種の細菌によって生成される。したがって、本開示のために有用なCas9タンパク質は、当該技術分野で知られている任意の好適な細菌に由来し得る。そのような細菌の非限定的な例には、Streptococcus pyogenes、Streptococcus mutans、Streptococcus pneumonia、Streptococcus aureus、Streptococcus thermophilus、Campylobacter jejuni、Neisseria meningitidis、Pasteurella multocida、Listeria innocua、及びFrancisella novicidaが含まれる。本明細書に開示される方法は、当該技術分野で知られている任意のCas9を用いて実施され得る。いくつかの態様において、Cas9は、野生型Cas9である。いくつかの態様において、Cas9は、向上した酵素活性を有する変異Cas9またはCas9部位を含む融合タンパク質である。いくつかの態様において、Cas9ヌクレアーゼタンパク質は、Streptococcus pyogenes Cas9タンパク質である。
【0212】
Cas9ヌクレアーゼタンパク質は通常、細菌において発現するので、Cas9組換えタンパク質を設計及び調製する場合に真核細胞(例えば、哺乳動物細胞)における最適な発現のためにそれらの核酸配列を修飾することが有利であり得る。したがって、いくつかの態様において、本明細書に開示される方法において使用されるCas9をコードする核酸は、真核細胞における発現のために、例えば、それを必要とするヒト対象の細胞における発現のためにコドン最適化されている。
【0213】
いくつかの態様において、本明細書に開示される方法において使用されるCas9タンパク質は、1つ以上のアミノ酸置換または修飾を含む。いくつかの態様において、1つ以上のアミノ酸置換は、保存的アミノ酸置換を含む。いくつかの例では、置換及び/または修飾は、タンパク質分解を防止または低減し、及び/または細胞におけるポリペプチドの半減期を延長させ得る。いくつかの態様において、Cas9タンパク質は、ペプチド結合置換(例えば、ウレア、チオウレア、カルバメート、スルホニルウレアなど)を含み得る。いくつかの態様において、Cas9タンパク質は、天然に存在するアミノ酸を含み得る。いくつかの態様において、Cas9タンパク質は、代替的アミノ酸(例えば、D-アミノ酸、ベータ-アミノ酸、ホモシステイン、ホスホセリンなど)を含み得る。いくつかの態様において、Cas9タンパク質は、異種部位(例えば、PEG化、グリコシル化、脂質化、アセチル化、エンドキャッピングなど)を含めるための修飾を含み得る。
【0214】
本明細書に開示される方法は通常、Cas9タンパク質を使用して実施されるが、いくつかの態様において、Casタンパク質は、Casl、Cas2、Cas3、Cas4、Cas5、Cas6、Cas7、またはCas8であり得ることが想定される。いくつかの態様において、Casタンパク質は、任意の細菌種からのCas9タンパク質またはその機能的部分である。いくつかの特定の態様において、本明細書に開示される方法において使用されるCas9タンパク質は、Streptococcus pyogenesまたはStaphylococcus aureusのCas9タンパク質もしくはその機能的部分、またはそのようなCas9もしくはその機能的部分をコードする核酸である。使用され得る他のCasヌクレアーゼの非限定的な例は、当該技術分野で知られており、例えば、US9,970,001B2;US10,221,398B2;及びUS2020/0190487A1(これらの各々は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)に記載されている。いくつかの態様において、本開示のために有用なCasヌクレアーゼは、I型Casタンパク質を含む。I型Casタンパク質の非限定的な例には、Cas3、Cas5、Cas6、Cas7、Cas8a、Cas8b、Cas8c、Cas10d、Cse1、Cse2、Csy1、Csy2、Csy3、及びそのバリアントが含まれる。いくつかの態様において、本開示のために有用なCasヌクレアーゼは、II型Casタンパク質を含む。II型Casタンパク質の非限定的な例には、Cas9、Csn2、Cas4、及びそのバリアントが含まれる。いくつかの態様において、本開示のために有用なCasヌクレアーゼは、III型Casタンパク質を含む。非限定的な例には、Cas10、Csm2、Cmr5、Csx10、Csx11、及びそのバリアントが含まれる。いくつかの態様において、本開示のために有用なCasヌクレアーゼは、IV型Casタンパク質を含む。そのようなCasタンパク質の非限定的な例には、Csf1が含まれる。いくつかの態様において、本開示のために有用なCasヌクレアーゼは、V型Casタンパク質を含む。非限定的な例には、Cas12、Cas12a(Cpf1)、Cas12b(C2c1)、Cas12c(C2c3)、Cas12d(CasY)、Cas12e(CasX)、Cas12f(Cas14、C2c10)、Cas12g、Cas12h、Cas12i、Cas12k(C2c5)、C2c4、C2c8、C2c9、及びそのバリアントが含まれる。いくつかの態様において、本開示のために有用なCasヌクレアーゼは、VI型Casタンパク質を含む。VI型Casタンパク質の非限定的な例には、Cas13、Cas13a(C2c2)、Cas13b、Cas13c、Cas13d、及びそのバリアントが含まれる。
【0215】
いくつかの場合では、本開示のために有用なCasタンパク質は、上記Casタンパク質のオルソログまたはホモログを含む。「オルソログ(orthologue)」(本明細書で「オルソログ(ortholog)」とも称される)及び「ホモログ(homologue)」(本明細書で「ホモログ(homolog)」とも称される)という用語は、当該技術分野でよく知られている。さらなるガイダンスにより、タンパク質の「ホモログ」は、本明細書で使用する場合、それがホモログであるタンパク質と同じまたは同様の機能を発揮する同じ種のタンパク質である。ホモログタンパク質は、構造的に関連し得るがその必要はなく、または部分的にのみ構造的に関連する。タンパク質の「オルソログ」は、本明細書で使用する場合、それがオルソログであるタンパク質と同じまたは同様の機能を発揮する異なる種のタンパク質である。オルソログタンパク質は、構造的に関連し得るがその必要はなく、または部分的にのみ構造的に関連する。
【0216】
本明細書で使用する場合、「機能的部分」は、少なくとも1つのgRNAと複合体化し、標的配列を切断し、NR4A3遺伝子及び/またはNR4A3タンパク質の低減した発現をもたらすその能力を保持するペプチド、例えば、Cas9の一部分を指す。いくつかの態様において、機能的部分は、DNA結合ドメイン、少なくとも1つのRNA結合ドメイン、ヘリカーゼドメイン、及びエンドヌクレアーゼドメインからなる群から選択される作動可能に連結されたCas9タンパク質の機能的ドメインの組み合わせを含む。いくつかの態様において、機能的ドメインは、非共有結合性複合体を形成する。いくつかの態様において、機能的ドメインは、融合複合体(例えば、融合タンパク質)を形成する。いくつかの態様において、機能的ドメインは、(例えば、1つ以上のスペーサーまたはリンカーを介して)化学的に連結される。いくつかの態様において、機能的ドメインは、コンジュゲートされる。
【0217】
本開示は、NR4A3遺伝子を少なくとも1つのgRNA及び少なくとも1つのCasタンパク質、例えば、Cas9と接触させる様々な方法を企図することが理解されるべきである。いくつかの態様において、外因性Casタンパク質、例えば、Cas9は、ポリペプチド形態で細胞に導入され得る。いくつかの態様において、Casタンパク質、例えば、Cas9は、細胞浸透性ポリペプチドまたは細胞浸透性ペプチドにコンジュゲートまたは融合され得る。本明細書で使用する場合、「細胞浸透性ポリペプチド」及び「細胞浸透性ペプチド」は、細胞への分子の取り込みを容易化するポリペプチドまたはペプチドをそれぞれ指す。細胞浸透性ポリペプチドは、検出可能な標識を含有し得る。
【0218】
いくつかの態様において、Casタンパク質、例えば、Cas9は、荷電タンパク質、例えば、正電荷、負電荷または全体的に中性の電荷を保有するタンパク質にコンジュゲートまたは融合され得る。そのような連結は、共有結合性であり得る。いくつかの態様において、Casタンパク質、例えば、Cas9は、Casタンパク質、例えば、Cas9が細胞に浸透する能力を有意に増加させるために超正荷電ペプチドに融合され得る。Cronican et al.ACS Chem.Biol.5(8):747-52(2010)を参照されたい。いくつかの態様において、Casタンパク質、例えば、Cas9は、タンパク質形質導入ドメイン(PTD)に、細胞へのその侵入を容易化するために融合され得る。例示的なPTDには、Tat、オリゴアルギニン、及びペネトラチンが含まれるがこれらに限定されない。よって、いくつかの特定の態様において、本明細書に開示される方法は、細胞浸透性ペプチドに融合されたCasタンパク質、PTDに融合されたCasタンパク質、tatドメインに融合されたCasタンパク質、オリゴアルギニンドメインに融合されたCasタンパク質、ペネトラチンドメインに融合されたCasタンパク質、またはそれらの組み合わせを含むCasタンパク質、例えば、Cas9タンパク質を使用して実施され得る。
【0219】
いくつかの態様において、Casタンパク質、例えば、Cas9は、標的ポリヌクレオチド配列、すなわち、NR4A3遺伝子を含有する細胞、例えば、本明細書に開示される免疫細胞、例えば、CARまたはTCRを発現する免疫細胞に、Casタンパク質、例えば、Cas9をコードする核酸の形態で導入され得る。核酸を細胞に導入するプロセスは、任意の好適な技術によって達成され得る。好適な技術には、リン酸カルシウムまたは脂質媒介性トランスフェクション、エレクトロポレーション、及びウイルスベクターを使用した形質導入または感染が含まれる。いくつかの態様において、核酸は、DNAを含む。いくつかの態様において、核酸は、本明細書に記載される修飾されたDNAを含む。いくつかの態様において、核酸は、mRNAを含む。いくつかの態様において、核酸は、本明細書に記載される修飾されたmRNA(例えば、合成の修飾されたmRNA)を含む。
【0220】
本明細書に開示される方法において使用されるCas9をコードするgRNA配列及び/または核配列は、例えば、それらの安定性を向上させために(例えば、それを必要とする対象への投与後のそれらの血漿半減期を増加させるために)化学的に修飾され得る。本明細書に開示されるgRNA及び/または例えば、Cas9をコードする核配列に対する可能性のある化学的修飾は、本明細書において以下で詳細に論述される。
【0221】
いくつかの態様において、gRNA全体が、化学的に修飾される。いくつかの態様において、gRNAスペーサーのみが、化学的に修飾される。いくつかの態様において、gRNAスペーサー及びgRNAフレーム配列は、化学的に修飾される。特定の化学的修飾の非限定的な例は、以下に詳細に開示される。
【0222】
したがって、本明細書に開示される方法のいくつかの態様において、Casタンパク質(例えば、Cas9)及び1つ以上のgRNAは、それをコードする1つ以上の送達ベクターからの発現を介して標的細胞に提供される。いくつかの態様において、標的細胞においてgRNA(複数可)及びCas9を導入するための上記ベクター(複数可)は、ウイルスベクターである。いくつかの態様において、標的細胞においてgRNA(複数可)及びCas9を導入するための上記ベクター(複数可)は、非ウイルスベクターである。いくつかの態様において、ウイルスベクターは、アデノ随伴ベクター(AAV)、レンチウイルスベクター(LV)、レトロウイルスベクター、アデノウイルスベクター、ヘルペスウイルスベクター、またはそれらの組み合わせである。AAVベクター(複数可)は、AAVI、AAV2、AAV5、AAV6、AAV8、及びAAV9を含むいくつかのカプシドタイプの1つ以上に基づき得る。いくつかの態様において、AAVベクターは、AAVDJ-8、AAV2DJ9、またはそれらの組み合わせである。
【0223】
上で開示される方法に加えて、本開示は、本開示の方法を実施するための組成物をさらに提供する。したがって、本開示は、少なくとも1つの上記gRNAをコードする核酸を提供する。
【0224】
また、組成物及び/または少なくとも1つのCas9が提供される。いくつかの態様において、Cas9をコードする核酸は、(i)S.aureusからのCas9、(ii)S.pyogenesからのCas9、(iii)S.aureusからのCas9またはS.pyogenesからのCas9に由来する変異体Cas9(変異体タンパク質はCas9活性を保持する)、(iv)Cas9部位を含む融合タンパク質、または(v)それらの組み合わせをコードする。
【0225】
いくつかの態様において、1つ以上の遺伝子編集ツール(例えば、本明細書に開示されるもの)は、本開示の細胞を修飾するために使用され得る。
【0226】
V.A.2.TALEN
いくつかの態様において、NR4A3遺伝子及び/またはNR4A3タンパク質の発現を編集する(例えば、低減または阻害する)ために使用することのできる遺伝子編集ツールは、転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)などのヌクレアーゼ剤である。TALエフェクターヌクレアーゼは、原核生物または真核生物のゲノムの特定の標的配列において二本鎖切断を行うために使用することができる配列特異的ヌクレアーゼのクラスである。TALエフェクターヌクレアーゼは、例えば、FokIなどのエンドヌクレアーゼの触媒ドメインに、ネイティブ型もしくは操作型の転写活性化因子様(TAL)エフェクター、またはその機能性部分を融合することによって作られる。
【0227】
ユニークなモジュラー型TALエフェクターDNA結合ドメインにより、潜在的に任意のDNA認識特異性を有するタンパク質の設計が可能になる。したがって、TALエフェクターヌクレアーゼのDNA結合ドメインを、特定のDNA標的部位を認識するように操作し、したがって、所望の標的配列において二本鎖切断を行うために使用することができる。WO2010/079430、Morbitzer et al.,(2010)PNAS 10.1073/pnas.1013133107、Scholze&Boch(2010)Virulence 1:428-432、Christian et al.,Genetics(2010)186:757-761、Li et al.,(2010)Nuc.Acids Res.(2010)doi:10.1093/nar/gkq704、及びMiller et al.,(2011)Nature Biotechnology 29:143-148を参照されたい。これらはすべて、全体として参照により本明細書に組み込まれる。
【0228】
好適なTALヌクレアーゼ、及び好適なTALヌクレアーゼを調製する方法の非限定的な例は、例えば、米国特許出願第2011/0239315号A1、同第2011/0269234号A1、同第2011/0145940号A1、同第2003/0232410号A1、同第2005/0208489号A1、同第2005/0026157号A1、同第2005/0064474号A1、同第2006/0188987号A1、及び同第2006/0063231号A1(各々参照により本明細書に組み込まれる)に開示されている。
【0229】
様々な態様において、例えば、対象となるゲノム遺伝子座にある標的核酸配列またはその近くを切断するTALエフェクターヌクレアーゼが操作され、ここで標的核酸配列は、ターゲティングベクターによって修飾しようとする配列またはその近くにある。本明細書に提供される様々な方法及び組成物で使用するのに好適なTALヌクレアーゼとしては、本明細書に記載されるターゲティングベクターによって修飾しようとする標的核酸配列またはその近くに結合するように特別に設計されたものが挙げられる。
【0230】
いくつかの態様において、TALENの各単量体は、12~25個のTALリピートを含み、各TALリピートは、1bpサブサイトに結合する。いくつかの態様において、ヌクレアーゼ剤は、独立したヌクレアーゼに作動可能に連結したTALリピートベースのDNA結合ドメインを含むキメラタンパク質である。いくつかの態様において、独立したヌクレアーゼは、FokIエンドヌクレアーゼである。いくつかの態様において、ヌクレアーゼ剤は、第1のTALリピートベースのDNA結合ドメイン及び第2のTALリピートベースのDNA結合ドメインを含み、第1及び第2のTALリピートベースのDNA結合ドメインの各々は、FokIヌクレアーゼに作動可能に連結しており、第1及び第2のTALリピートベースのDNA結合ドメインは、約6bp~約40bpの切断部位によって分離された標的DNA配列の各鎖中の2つの隣接する標的DNA配列を認識し、FokIヌクレアーゼは二量体化し、標的配列において二本鎖切断を行う。
【0231】
いくつかの態様において、ヌクレアーゼ剤は、第1のTALリピートベースのDNA結合ドメイン及び第2のTALリピートベースのDNA結合ドメインを含み、第1及び第2のTALリピートベースのDNA結合ドメインの各々は、FokIヌクレアーゼに作動可能に連結しており、第1及び第2のTALリピートベースのDNA結合ドメインは、5bpまたは6bpの切断部位によって分離された標的DNA配列の各鎖中の2つの隣接する標的DNA配列を認識し、FokIヌクレアーゼは二量体化し、二本鎖切断を行う。
【0232】
V.A.3.ジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)
いくつかの態様において、本開示において有用な遺伝子編集ツールは、ジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)システムなどのヌクレアーゼ剤を含む。ジンクフィンガーベースのシステムは、ジンクフィンガーDNA結合ドメインと酵素ドメインという2つのタンパク質ドメインを含む融合タンパク質を含む。「ジンクフィンガーDNA結合ドメイン」、「ジンクフィンガータンパク質」、または「ZFP」は、亜鉛イオンの配位によって構造が安定化される結合ドメイン内のアミノ酸配列の領域である1以上のジンクフィンガーを介して配列特異的な様式でDNAに結合するタンパク質またはより大きなタンパク質内のドメインである。ジンクフィンガードメインは、標的DNA配列(例えば、NR4A3)に結合することにより、酵素ドメインの活性を配列の近傍に指向し、したがって、標的配列近傍の内因性標的遺伝子の修飾を誘導する。ジンクフィンガードメインは、実質的に任意の所望の配列に結合するように操作することができる。本明細書に開示されるように、いくつかの態様において、ジンクフィンガードメインは、NR4A3タンパク質をコードするDNA配列に結合する。したがって、切断または組換えが所望される標的DNA配列を含む標的遺伝子座(例えば、表1に挙げた標的遺伝子中の標的遺伝子座)を同定した後、1以上のジンクフィンガー結合ドメインを、標的遺伝子座内の1以上の標的DNA配列に結合するように操作することができる。ジンクフィンガー結合ドメイン及び酵素ドメインを含む融合タンパク質を細胞で発現させると、標的遺伝子座の修飾がもたらされる。
【0233】
いくつかの態様において、ジンクフィンガー結合ドメインは、1以上のジンクフィンガーを含む。Miller et al.,(1985)EMBO J.4:1609-1614、Rhodes(1993)Scientific American February:56-65、米国特許第6,453,242号。典型的には、1つのジンクフィンガードメインは約30アミノ酸長である。個々のジンクフィンガーは、3ヌクレオチド(すなわちトリプレット)配列(または隣接するジンクフィンガーの4ヌクレオチド結合部位と1つのヌクレオチドが重複してもよい4ヌクレオチド配列)に結合する。したがって、ジンクフィンガー結合ドメインが結合するように操作される配列(例えば、標的配列)の長さが、操作されたジンクフィンガー結合ドメインにおけるジンクフィンガーの数を決定する。例えば、重複するサブサイトにフィンガーモチーフが結合しないZFPでは、6ヌクレオチド標的配列には2フィンガー結合ドメインが結合し、9ヌクレオチド標的配列には3フィンガー結合ドメインが結合する、などということである。標的部位における個々のジンクフィンガーの結合部位(すなわち、サブサイト)は、隣接している必要はなく、複数フィンガー結合ドメインにおけるジンクフィンガー間のアミノ酸配列(すなわち、フィンガー間リンカー)の長さ及び性質に応じて、1つまたは数個のヌクレオチドによって分離していてもよい。いくつかの態様において、個々のZFNのDNA結合ドメインは、3~6個の個々のジンクフィンガーリピートを含み、各々が9~18個の塩基対を認識し得る。
【0234】
ジンクフィンガー結合ドメインは、最適な配列に結合するように操作することができる。例えば、Beerli et al.,(2002)Nature Biotechnol.20:135-141;Pabo et al.,(2001)Ann.Rev.Biochem.70:313-340;Isalan et al.,(2001)Nature Biotechnol.19:656-660;Segal et al.,(2001)Curr.Opin.Biotechnol.12:632-637;Choo et al.,(2000)Curr.Opin.Struct.Biol.10:411-416を参照されたい。操作されたジンクフィンガー結合ドメインは、天然に存在するジンクフィンガータンパク質と比較して、新規の結合特異性を有し得る。操作方法としては、合理的設計及び様々な種類の選択が挙げられるが、これらに限定されない。
【0235】
ジンクフィンガードメインが結合する標的DNA配列の選択は、例えば、米国特許第6,453,242号に開示されている方法に従って行うことができる。当業者には、ヌクレオチド配列の単純な目視検査を標的DNA配列の選択に使用してもよいことが明らかであろう。したがって、本明細書に記載される方法では、任意の手段を標的DNA配列の選択に使用することができる。標的部位は通常少なくとも9ヌクレオチド長を有し、したがって、少なくとも3つのジンクフィンガーを含むジンクフィンガー結合ドメインが結合する。しかしながら、例えば、4フィンガー結合ドメインの12ヌクレオチド標的部位への結合、5フィンガー結合ドメインの15ヌクレオチド標的部位への結合、または6フィンガー結合ドメインの18ヌクレオチド標的部位への結合も可能である。明らかであるように、より大きな結合ドメイン(例えば、7フィンガー、8フィンガー、9フィンガー及びそれ以上)の、より長い標的部位への結合も可能である。
【0236】
ジンクフィンガー融合タンパク質の酵素ドメイン部分は、任意のエンドヌクレアーゼまたはエキソヌクレアーゼから得ることができる。酵素ドメインが由来し得る例示的なエンドヌクレアーゼには、制限エンドヌクレアーゼ及びホーミングエンドヌクレアーゼが含まれるが、これらに限定されない。例えば、2002-2003 Catalogue,New England Biolabs,Beverly,Mass.、及びBelfort et al.,(1997)Nucleic Acids Res.25:3379-3388を参照されたい。DNAを切断するさらなる酵素が知られている(例えば、51ヌクレアーゼ、マングビーンヌクレアーゼ、膵臓DNaseI、ミクロコッカスヌクレアーゼ、酵母HOエンドヌクレアーゼ;Linn et al.,(eds.)Nucleases,Cold Spring Harbor Laboratory Press,1993も参照されたい)。これらの酵素(またはそれらの機能的断片)のうちの1以上を切断ドメイン源として使用することができる。
本明細書に記載されるZFPの酵素ドメインとして使用するのに好適な例示的な制限エンドヌクレアーゼ(制限酵素)は、多くの種に存在し、DNAに(認識部位で)配列特異的に結合し、かつ結合部位またはその近くでDNAを切断することができる。特定の制限酵素(例えば、IIS型)は、認識部位から除去された部位でDNAを切断し、分離可能な結合ドメイン及び切断ドメインを有する。例えば、IIS型酵素FokIは、一方の鎖上のその認識部位から9個目のヌクレオチド、かつ他方の鎖上のその認識部位から13個目のヌクレオチドで、DNAの二本鎖切断を触媒する。例えば、米国特許第5,356,802号、同第5,436,150号、及び同第5,487,994号、ならびにLi et al.,(1992)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:4275-4279、Li et al.,(1993)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:2764-2768、Kim et al.,(1994a)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 91:883-887、Kim et al.,(1994b)J.Biol.Chem.269:31,978-31,982を参照されたい。したがって、いくつかの態様において、融合タンパク質は、少なくとも1つのIIS型制限酵素の酵素ドメイン、及び1以上のジンクフィンガー結合ドメインを含む。
【0237】
切断ドメインが結合ドメインから分離可能である例示的なIIS型制限酵素は、FokIである。この特定の酵素は、二量体として活性である。Bitinaite et al.,(1998)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 95:10,570-10,575。したがって、ジンクフィンガー-FokI融合物を使用して標的化された二本鎖DNA切断を行うには、各々がFokI酵素ドメインを含む2つの融合タンパク質を使用して、触媒活性のある切断ドメインを再構成することができる。あるいは、ジンクフィンガー結合ドメイン及び2つのFokI酵素ドメインを含む1つのポリペプチド分子を使用してもよい。FokI酵素ドメインを含む例示的なZFPは、米国特許第9,782,437号に記載されている。
【0238】
V.A.3.メガヌクレアーゼ
いくつかの態様において、細胞におけるNR4A3発現を制御するために使用することのできる遺伝子編集ツールは、メガヌクレアーゼシステムなどのヌクレアーゼ剤を含む。メガヌクレアーゼは、保存的配列モチーフに基づいて4つのファミリーに分類されており、このファミリーは「LAGLIDADG」、「GIY-YIG」、「H-N-H」、及び「His-Cysボックス」の各ファミリーである。これらのモチーフは、金属イオンの配位及びホスホジエステル結合の加水分解に関与する。
【0239】
HEアーゼは、認識部位が長く、DNA基質におけるいくつかの配列多型を許容することが注目に値する。メガヌクレアーゼのドメイン、構造、及び機能は公知である。例えば、Guhan and Muniyappa(2003)Crit Rev Biochem Mol Biol 38:199-248、Lucas et al.,(2001)Nucleic Acids Res 29:960-9、Jurica and Stoddard,(1999)Cell Mol Life Sci 55:1304-26、Stoddard,(2006)Q Rev Biophys 38:49-95、及びMoure et al.,(2002)Nat Struct Biol 9:764を参照されたい。
【0240】
いくつかの例では、天然に存在するバリアント、及び/または操作された誘導体メガヌクレアーゼが使用される。動態、補因子相互作用、発現、最適条件、及び/または認識部位特異性を修飾する方法、ならびに活性のスクリーニングは公知である。例えば、Epinat et al.,(2003)Nucleic Acids Res 31:2952-62、Chevalier et al.,(2002)Mol Cell 10:895-905、Gimble et al.,(2003)Mol Biol 334:993-1008、Seligman et al.,(2002)Nucleic Acids Res 30:3870-9、Sussman et al.,(2004)J Mol Biol 342:31-41、Rosen et al.,(2006)Nucleic Acids Res 34:4791-800、Chames et al.,(2005)Nucleic Acids Res 33:e178、Smith et al.,(2006)Nucleic Acids Res 34:e149、Gruen et al.,(2002)Nucleic Acids Res 30:e29、Chen and Zhao,(2005)Nucleic Acids Res 33:e154、WO2005105989、WO2003078619、WO2006097854、WO2006097853、WO2006097784、及びWO2004031346を参照されたい。これらは各々、全体として参照により本明細書に組み込まれる。
【0241】
本明細書では、限定するものではないが、I-SceI、I-SceII、I-SceIII、I-SceIV、I-SceV、I-SecVI、I-SceVII、I-CeuI、I-CeuAIIP、I-CreI、I-CrepsbIP、I-CrepsbIIP、I-CrepsbIIIP、I-CrepsbIVP、I-TliI、I-PpoI、PI-PspI、F-SceI、F-SceII、F-SuvI、F-TevI、F-TevII、I-AmaI、I-AniI、I-ChuI、I-CmoeI、I-CpaI、I-CpaII、I-CsmI、I-CvuI、I-CvuAIP、I-DdiI、I-DdiII、I-DirI、I-DmoI、I-HmuI、I-HmuII、I-HsNIP、I-LlaI、I-MsoI、I-NaaI、I-NanI、I-NcIIP、I-NgrIP、I-NitI、I-NjaI、I-Nsp236IP、I-PakI、I-PboIP、I-PcuIP、I-PcuAI、I-PcuVI、I-PgrIP、I-PobIP、I-PorIIP、I-PbpIP、I-SpBetaIP、I-ScaI、I-SexIP、I-SneIP、I-SpomI、I-SpomCP、I-SpomIP、I-SpomIIP、I-SquIP、I-Ssp6803I、I-SthPhiJP、I-SthPhiST3P、I-SthPhiSTe3bP、I-TdeIP、I-TevI、I-TevII、I-TevIII、I-UarAP、I-UarHGPAIP、I-UarHGPA13P、I-VinIP、I-ZbiIP、PI-MtuI、PI-MtuHIP、PI-MtuHIIP、PI-PfuI、PI-PfuII、PI-PkoI、PI-PkoII、PI-Rma43812IP、PI-SpBetaIP、PI-SceI、PI-TfuI、PI-TfuII、PI-ThyI、PI-TliI、PI-TliII、またはそれらの任意の活性バリアントもしくは断片を含め、任意のメガヌクレアーゼを使用することができる。
【0242】
いくつかの態様において、メガヌクレアーゼは、12~40塩基対の二本鎖DNA配列を認識する。いくつかの態様において、メガヌクレアーゼは、ゲノム内の1つの完全にマッチする標的配列を認識する。いくつかの態様において、メガヌクレアーゼは、ホーミングヌクレアーゼである。いくつかの態様において、ホーミングヌクレアーゼは、「LAGLIDADG」ファミリーのホーミングヌクレアーゼである。いくつかの態様において、「LAGLIDADG」ファミリーのホーミングヌクレアーゼは、I-SceI、I-CreI、I-Dmol、またはそれらの組み合わせから選択される。
【0243】
V.A.4.制限エンドヌクレアーゼ
いくつかの態様において、本開示において有用な遺伝子編集ツールには、I型、II型、III型、及びIV型のエンドヌクレアーゼを含め、制限エンドヌクレアーゼなどのヌクレアーゼ剤が含まれる。I型及びIII型の制限エンドヌクレアーゼは、特定の認識部位を認識するが、通常、ヌクレアーゼ結合部位からの様々な位置で切断し、これは、切断部位(認識部位)から数百塩基対離れている場合がある。II型システムでは、制限活性はメチラーゼ活性とは無関係であり、通常、切断は結合部位内またはその近くの特定の部位で生じる。ほとんどのII型酵素はパリンドローム配列を切断するが、IIa型酵素は非パリンドローム認識部位を認識し、認識部位の外側を切断し、IIb型酵素は、認識部位の外側の両方の部位で二度配列を切断し、IIs型酵素は、非対称の認識部位を認識し、認識部位から約1~20ヌクレオチドの定義された距離で一方の側で切断する。IV型制限酵素は、メチル化DNAを標的とする。制限酵素は、例えばREBASEデータベース(ウェブページはrebase.neb.com;Roberts et al.,(2003)Nucleic Acids Res 31:418-20)、Roberts et al.,(2003)Nucleic Acids Res 31:1805-12、及びBelfort et al.,(2002)in Mobile DNA II,pp.761-783,Eds.Craigie et al.,(ASM Press,Washington,D.C.)において、さらに記載及び分類されている。
【0244】
本明細書に記載されるように、いくつかの態様において、遺伝子編集ツール(例えば、CRISPR、TALEN、メガヌクレアーゼ、制限エンドヌクレアーゼ、RNAi、アンチセンスオリゴヌクレオチド)は、当該技術分野で公知の任意の手段によって細胞に導入することができる。いくつかの態様において、特定の遺伝子編集ツールをコードするポリペプチドを細胞に直接導入してもよい。あるいは、遺伝子編集ツールをコードするポリヌクレオチドを細胞に導入してもよい。いくつかの態様において、遺伝子編集ツールをコードするポリヌクレオチドを細胞に導入するとき、遺伝子編集ツールは、細胞内で一過性に、条件的に、または構成的に発現させてもよい。したがって、遺伝子編集ツールをコードするポリヌクレオチドは、発現カセットに含まれ、条件的プロモーター、誘導性プロモーター、構成的プロモーター、または組織特異的プロモーターに作動可能に連結していてもよい。あるいは、遺伝子編集ツールは、遺伝子編集ツールをコードする、または遺伝子編集ツールを含むmRNAとして、細胞に導入される。
【0245】
ヌクレアーゼ剤(すなわち、操作されたヌクレアーゼ剤)の活性バリアント及び断片も提供される。そのような活性バリアントは、ネイティブヌクレアーゼ剤と少なくとも65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれを超える配列同一性を含み得、活性バリアントは、所望の認識部位で切断する能力を保持し、これによりニックまたは二本鎖切断誘導活性を保持する。例えば、本明細書に記載のヌクレアーゼ剤のいずれかは、ネイティブエンドヌクレアーゼ配列から修飾され、ネイティブヌクレアーゼ剤によって認識されなかった認識部位を認識し、その位置でニックまたは二本鎖切断を誘導するように設計され得る。よって、いくつかの態様において、操作されたヌクレアーゼは、対応するネイティブヌクレアーゼ剤の認識部位とは異なる認識部位でニックまたは二本鎖切断を誘導するための特異性を有する。ニックまたは二本鎖切断誘導活性のためのアッセイは知られており、通常、認識部位を含有するDNA基質に対するエンドヌクレアーゼの全体的活性及び特異性を測定する。
【0246】
ヌクレアーゼ剤がヌクレアーゼ剤をコードするポリヌクレオチドの導入を介して細胞に提供される場合、そのようなヌクレアーゼ剤をコードするポリヌクレオチドは、ヌクレアーゼ剤をコードする天然に存在するポリヌクレオチド配列と比較して、対象となる細胞におけるより高い使用頻度を有するコドンに置き換えるように修飾され得る。例えば、ヌクレアーゼ剤をコードするポリヌクレオチドは、対象となる所与の細胞におけるより高い使用頻度を有するコドンに置き換えるように修飾され得る。
【0247】
V.A.5.干渉RNA(RNAi)
いくつかの態様において、細胞におけるNR4A3の発現を低減させるために使用することのできる遺伝子編集ツールは、RNA干渉分子(「RNAi」)を含む。本明細書で使用する場合、RNAiは、内因性遺伝子サイレンシング経路による標的mRNAの分解によって内因性標的遺伝子産物の発現減少を媒介するRNAポリヌクレオチド(例えば、ダイサー及びRNA誘導性サイレンシング複合体(RISC))である。RNAi剤の非限定的な例としては、マイクロRNA(本明細書では「miRNA」ともいう)、低分子ヘアピンRNA(shRNA)、低分子干渉RNA(siRNA)、RNAアプタマー、またはそれらの組み合わせが挙げられる。
【0248】
いくつかの態様において、本開示において有用な遺伝子編集ツールは、1以上のmiRNAを含む。「miRNA」とは、約21~25ヌクレオチド長の天然に存在する小さな非コードRNA分子を意味する。いくつかの態様において、本開示において有用なmiRNAは、NR4A3 mRNA分子に少なくとも部分的に相補的である。miRNAは、翻訳抑制、mRNAの切断、及び/または脱アデニル化によって、内因性標的遺伝子産物(すなわち、NR4A3タンパク質)の発現を下方制御する(例えば、減少させる)ことができる。
【0249】
いくつかの態様において、本開示で使用することのできる遺伝子編集ツールは、1以上のshRNAを含む。「shRNA」(または「低分子ヘアピンRNA」分子)とは、二本鎖領域及びループ領域を一端に含みヘアピンループを形成するRNA配列を意味し、これを使用して、遺伝子発現を低減させる及び/またはサイレンシングすることができる。二本鎖領域は通常、ステムの各側で約19ヌクレオチド~約29ヌクレオチド長であり、ループ領域は通常、約3~約10ヌクレオチド長である(3’末端または5’末端の一本鎖オーバーハンギングヌクレオチドは任意選択による)。shRNAをプラスミドまたは非複製的組換えウイルスベクターにクローニングして細胞内に導入すると、shRNAコード配列をゲノムに組み込むことができる。したがって、shRNAは、内因性標的遺伝子(すなわち、NR4A3)翻訳及び発現の安定かつ一貫した抑制をもたらし得る。
【0250】
いくつかの態様において、本明細書に開示される遺伝子編集ツールは、1以上のsiRNAを含む。「siRNA」とは、通常約21~23ヌクレオチド長の二本鎖RNA分子を意味する。siRNAは、RNA誘導性サイレンシング複合体(RISC)と呼ばれる多タンパク質複合体と会合し、その間に「パッセンジャー」センス鎖が酵素的に切断される。次いで、活性化されたRISCに含まれるアンチセンス「ガイド」鎖が配列相同性のためにRISCを対応するmRNAに誘導し、同じヌクレアーゼが標的mRNA(すなわち、NR4A3 mRNA)を切断して、特異的な遺伝子サイレンシングが生じる。いくつかの態様において、siRNAは、18、19、20、21、22、23または24ヌクレオチド長であり、2塩基のオーバーハングをその3’末端に有する。siRNAは、個々の細胞及び/または培養系に導入して標的mRNA配列(すなわち、NR4A3 mRNA)を分解させることができる。siRNA及びshRNAは、各々が全体として参照により本明細書に組み込まれるFire et al.,Nature 391:19,1998ならびに米国特許第7,732,417号、同第8,202,846号、及び同第8,383,599号にさらに記載されている。
【0251】
V.A.6.アンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)
いくつかの態様において、細胞におけるNR4A3遺伝子及び/またはNR4A3タンパク質の発現を低減するために使用され得る遺伝子編集ツールには、アンチセンスオリゴヌクレオチドが含まれる。本明細書で使用する場合、「アンチセンスオリゴヌクレオチド」または「ASO」とは、標的核酸と、特に標的核酸上の連続配列とハイブリダイズすることにより、標的遺伝子(すなわち、NR4A3)の発現を調節することができるオリゴヌクレオチドを意味する。アンチセンスオリゴヌクレオチドは本質的に二本鎖ではなく、したがってsiRNAまたはshRNAではない。
【0252】
いくつかの態様において、本開示において有用なASOは一本鎖である。本開示の一本鎖オリゴヌクレオチドは、自己内または自己間の相補性の度合いがオリゴヌクレオチドの全長にわたっておよそ50%未満である限り、ヘアピンまたは分子間二重鎖構造(同じオリゴヌクレオチドの2つの分子間の二重鎖)を形成することができると理解される。いくつかの態様において、本開示において有用なASOは、2’糖修飾ヌクレオシドなどの修飾されたヌクレオシドまたはヌクレオチドを1以上含み得る。ASOに行うことのできる追加の修飾(例えば、NR4A3遺伝子発現を阻害または低減させるために使用することのできるもの)は、例えば、米国公開第2019/0275148号A1に提示されている。
【0253】
いくつかの態様において、ASOがヌクレアーゼ、例えば、RNアーゼH1などのRNアーゼHを動員することができる場合、ASOは、NR4A3転写物(例えば、mRNA)のヌクレアーゼによる分解を介して、NR4A3タンパク質の発現を低減させることができる。RNアーゼHは、RNA/DNA二重鎖のRNA鎖を加水分解する遍在性酵素である。したがって、いくつかの態様において、標的配列(例えば、NR4A3 mRNA)に結合すると、ASOは、NR4A3 mRNAの分解を誘導し得、それにより、NR4A3タンパク質の発現を低減する。
【0254】
本明細書に開示されるように、遺伝子編集ツールの上記の例は限定を意図するものではなく、当該技術分野で利用可能な任意の遺伝子編集ツールを使用して、NR4A3遺伝子及び/またはNR4A3タンパク質の発現を低減または阻害することができる。また、本明細書に記載されるように、(i)NR4A1遺伝子及び/またはNR4A1タンパク質、(ii)NR4A2遺伝子及び/またはNR4A2タンパク質、または(iii)(i)及び(ii)の両方のレベルも低減される場合、いくつかの態様において、NR4A1及び/またはNR4A2遺伝子を特異的に標的とする上述した遺伝子編集ツールのいずれかも使用され得る。
【0255】
IV.A.7.リプレッサー
いくつかの態様において、(例えば、NR4A1、NR4A2、及び/またはNR4A3遺伝子及び/またはタンパク質の発現を低減するために)本開示で使用され得る遺伝子編集ツールは、リプレッサーを含む。本明細書で使用する場合、「リプレッサー」という用語は、転写を活性化することなく以下のNR4A応答要素:(i)NGFI-B応答要素(NBRE)、(ii)Nur-応答要素(NurRE)、または(iii)(i)及び(ii)の両方に結合することが可能な任意の薬剤を指す。したがって、NBRE及び/またはNurREに結合することによって、本明細書に記載のリプレッサーは、細胞(例えば、CARまたはTCRを発現する免疫細胞)における1つ以上のNR4Aファミリーメンバーのレベルを抑制する(または低減または阻害する)ことが可能である。いくつかの態様において、NBRE及び/またはNurREへのリプレッサーの結合は、細胞がリプレッサーと接触した場合、細胞におけるNR4A1遺伝子及び/またはNR4A1タンパク質のレベルを低減する。いくつかの態様において、NBRE及び/またはNurREへのリプレッサーの結合は、細胞がリプレッサーと接触した場合、細胞におけるNR4A2遺伝子及び/またはNR4A2タンパク質のレベルを低減する。いくつかの態様において、NBRE及び/またはNurREへのリプレッサーの結合は、細胞がリプレッサーと接触した場合、細胞におけるNR4A3遺伝子及び/またはNR4A3タンパク質のレベルを低減する。いくつかの態様において、NBRE及び/またはNurREへのリプレッサーの結合は、(i)NR4A1遺伝子及び/またはNR4A1タンパク質及び(ii)NR4A2遺伝子及び/またはNR4A2タンパク質の両方のレベルを低減する。いくつかの態様において、NBRE及び/またはNurREへのリプレッサーの結合は、(i)NR4A1遺伝子及び/またはNR4A1タンパク質及び(ii)NR4A3遺伝子及び/またはNR4A3タンパク質の両方のレベルを低減する。いくつかの態様において、NBRE及び/またはNurREへのリプレッサーの結合は、(i)NR4A2遺伝子及び/またはNR4A2タンパク質及び(ii)NR4A3遺伝子及び/またはNR4A3タンパク質の両方のレベルを低減する。いくつかの態様において、NBRE及び/またはNurREへのリプレッサーの結合は、以下の各々のレベルを低減する:(i)NR4A1遺伝子及び/またはNR4A1タンパク質、(ii)NR4A2遺伝子及び/またはNR4A2タンパク質、及び(iii)NR4A3遺伝子及び/またはNR4A3タンパク質。NR4Aファミリーのすべてのメンバー(すなわち、NR4A1、NR4A2、及びNR4A3)のレベルを低減することが可能なリプレッサーは、「NR4Aスーパーリプレッサー」としても知られている。例えば、WO2020237040A1(その全体が参照により本明細書に組み込まれる)を参照されたい。
【0256】
少なくとも上の開示から明らかなように、本開示のために有用であるリプレッサーは、NBRE及び/またはNurRE応答要素に結合することが可能なDNA結合ドメインを含む。いくつかの態様において、そのようなリプレッサーは、追加のドメインを含む。そのような追加のドメインの非限定的な例には、NR4Aリガンド結合ドメイン、FLAGドメイン、Kruppel関連ボックス(KRAB)ドメイン、NCORドメイン、T2Aドメイン、自己切断ドメイン、核局在化シグナル、二量体化ドメイン(例えば、diZIP二量体化ドメイン)、転写リプレッサードメイン、クロマチン圧縮ドメイン、エピトープタグ、またはそれらの任意の組み合わせが含まれる。そのような追加のドメインに関する追加の開示は、例えば、WO2020237040A1(その全体が参照により本明細書に組み込まれる)に見られ得る。いくつかの態様において、追加のドメインは、転写活性化ドメインを含まない。
【0257】
本明細書に記載されるように、いくつかの態様において、NR4Aファミリーの1つ以上のメンバーのレベルを低減する際に、細胞は、本明細書に記載のNR4Aリプレッサータンパク質と接触させられ得る。いくつかの態様において、細胞は、NR4Aリプレッサーをコードする核酸配列と接触させられる。
【0258】
V.B.疲弊/機能不全を低減する方法
本開示は、細胞の疲弊または機能不全を低減、改善、または阻害する方法であって、NR4A1及びNR4A2遺伝子及びNR4A1ならびにNR4A2タンパク質の内因性発現を有しながら、低減したレベルのNR4A3遺伝子及び/またはNR4A3タンパク質を発現するように細胞を修飾することを含む、方法を提供する。本明細書に記載されるように、いくつかの態様において、そのような細胞(すなわち、低減したレベルのNR4A3遺伝子及び/またはNR4A3タンパク質を有するように修飾されている)は、低減したレベルの(i)NR4A1遺伝子及び/またはNR4A1タンパク質、(ii)NR4A2遺伝子及び/またはNR4A2タンパク質、または(iii)(i)及び(ii)の両方を有するようにさらに修飾され得る。
【0259】
腫瘍細胞が宿主免疫応答を回避し得る様々な様式のうちの1つは、腫瘍特異的免疫細胞、例えば、T細胞の疲弊を引き起こすことによる。本明細書で使用する場合、「疲弊」、またはより具体的には、「T細胞疲弊」という用語は、T細胞機能の喪失を指し、これは、感染症または疾患(例えば、がん)の結果として生じ得る。T細胞疲弊は、本開示では「T細胞機能不全」または「T細胞アネルギー」と同義に使用され得る。いくつかの態様において、T細胞疲弊は、様々な免疫チェックポイント阻害性分子(例えば、PD-1、TIM-3、及びLAG-3)の増加した発現、アポトーシス、及び低減したエフェクター機能(例えば、サイトカイン生成及び細胞傷害性分子、例えば、パーフォリン及びグランザイムの発現)に関連する。したがって、「T細胞疲弊を低減する」、「T細胞疲弊を改善する」、「T細胞疲弊を阻害する」などの用語は、以下のうちの1つ以上によって特性化されるT細胞の回復した機能性の状態を指す:(i)1つ以上の免疫チェックポイント阻害性分子(例えば、PD-1、TIM-3、及びLAG-3)の低下した発現、(ii)記憶マーカー(例えば、CD45RO、CD62L、及び/またはCCR7)の増加した記憶形成及び/または維持、(iii)アポトーシスの防止、(iv)増加したサイトカイン生成(例えば、IL-2、IFN-γ、及び/またはTNF-α)、(v)向上した殺傷能力、(vi)少ない表面抗原を有する腫瘍標的の増加した認識、(vii)抗原に応答する向上した増殖、及び(viii)それらの任意の組み合わせ。
【0260】
いくつかの態様において、例えば、本明細書に開示される方法において、細胞を修飾することは、疲弊に対する抵抗性または耐性を有するように免疫細胞、例えば、T細胞を修飾することを含む。したがって、いくつかの態様において、本開示は、細胞におけるNR4A3遺伝子及び/またはNR4A3タンパク質の発現レベルを(単独でまたは低減したレベルのNR4A1遺伝子及び/またはNR4A1タンパク質及び/またはNR4A2遺伝子及び/またはNR4A2タンパク質と組み合わせて)低減することによって免疫細胞、例えば、T細胞(例えば、腫瘍特異的T細胞)における疲弊を低減する方法に関する。いくつかの態様において、免疫細胞、例えば、T細胞の疲弊を低減することは、免疫細胞、例えば、T細胞においてすでに生じた機能不全を好転させること(すなわち、疲弊したT細胞をより疲弊していないようにすること)を含む。いくつかの態様において、免疫細胞、例えば、T細胞の疲弊を低減することは、新たに活性化した免疫細胞、例えば、T細胞が疲弊することを防止することを含む。本開示から明らかなように、いくつかの態様において、免疫細胞は、例えば、リガンド結合タンパク質(例えば、CARまたはTCR)を発現するように先に、同時に、または後に修飾される。
【0261】
いくつかの態様において、免疫細胞、例えば、T細胞の疲弊を低減することは、免疫細胞、例えば、T細胞における疲弊を好転させること及び防止することの両方を含む。
【0262】
免疫細胞、例えば、T細胞の疲弊状態は、当該技術分野で知られている様々な方法によって決定され得る。いくつかの態様において、免疫細胞、例えば、T細胞の疲弊状態は、アポトーシスに対する免疫細胞、例えば、T細胞の耐性を評価することによって測定され得る。したがって、いくつかの態様において、本開示の細胞組成物(すなわち、低減したレベルのNR4A3遺伝子及び/またはNR4A3タンパク質及び(i)内因性レベルのNR4A1及びNR4A2遺伝子及びNR4A1及びNR4A2タンパク質、(ii)低減したレベルのNR4A1遺伝子及び/またはNR4A1タンパク質、(iii)低減したレベルのNR4A2遺伝子及び/またはNR4A2タンパク質、または(iv)低減したレベルのNR4A1遺伝子及び/またはNR4A1タンパク質及びNR4A2遺伝子及び/またはNR4A2タンパク質の両方を発現する)は、アポトーシスに対する増加した耐性を示す。いくつかの態様において、本開示の細胞組成物におけるアポトーシスに対する耐性は、参照細胞(例えば、対応する細胞、例えば、より低いレベルのNR4A3遺伝子及び/またはNR4A3タンパク質を発現するように修飾されていないT細胞などの免疫細胞のアポトーシス)と比較して少なくとも約1.1倍、少なくとも約1.2倍、少なくとも約1.3倍、少なくとも約1.4倍、少なくとも約1.5倍、少なくとも約1.6倍、少なくとも約1.7倍、少なくとも約1.8倍、少なくとも約1.9倍、少なくとも約2倍、少なくとも約2.5倍、少なくとも約3倍、少なくとも約4倍、少なくとも約5倍、少なくとも約6倍、少なくとも約7倍、少なくとも約8倍、少なくとも約9倍、少なくとも約10倍またはそれを超えて増加する。いくつかの態様において、アポトーシスに対する増加した耐性は、T細胞の長期持続性または生存を促進し得る。そのため、いくつかの態様において、本開示の細胞組成物(すなわち、低減したレベルのNR4A3遺伝子及び/またはNR4A3タンパク質を単独でまたは低減したレベルのNR4A1遺伝子及び/またはNR4A1タンパク質及び/またはNR4A2遺伝子及び/またはNR4A2タンパク質と組み合わせて発現する)は、参照細胞(例えば、対応する細胞、例えば、低減したレベルのNR4A3遺伝子及び/またはNR4A3タンパク質を発現するように修飾されていないT細胞などの免疫細胞)と比較して向上した持続性または生存を示す。
【0263】
いくつかの態様において、本開示の細胞組成物における持続性または生存は、少なくとも約2倍~約100倍増加する。所定の態様において、本開示の細胞組成物における持続性または生存は、参照細胞(例えば、対応する細胞、例えば、低減したレベルのNR4A3遺伝子及び/またはNR4A3タンパク質を発現するように修飾されていないT細胞などの免疫細胞)と比較して少なくとも約1.1倍、少なくとも約1.2倍、少なくとも約1.3倍、少なくとも約1.4倍、少なくとも約1.5倍、少なくとも約1.6倍、少なくとも約1.7倍、少なくとも約1.8倍、少なくとも約1.9倍、少なくとも約2倍、少なくとも約2.5倍、少なくとも約3倍、少なくとも約4倍、少なくとも約5倍、少なくとも約6倍、少なくとも約7倍、少なくとも約8倍、少なくとも約9倍、少なくとも約10倍またはそれを超えて増加する。
【0264】
いくつかの態様において、免疫細胞、例えば、T細胞の疲弊状態は、免疫チェックポイント分子に対する免疫細胞、例えば、T細胞の耐性を評価することによって測定され得る。いくつかの態様において、免疫チェックポイント分子に対する耐性は、本開示の細胞組成物において、参照細胞(例えば、対応する細胞、例えば、低減したレベルのNR4A3遺伝子及び/またはNR4A3タンパク質を発現するように修飾されていないT細胞などの免疫細胞における耐性)と比較して少なくとも1.1倍、少なくとも約1.2倍、少なくとも約1.3倍、少なくとも約1.4倍、少なくとも約1.5倍、少なくとも約1.6倍、少なくとも約1.7倍、少なくとも約1.8倍、少なくとも約1.9倍、少なくとも約2倍、少なくとも約2.5倍、少なくとも約3倍、少なくとも約4倍、少なくとも約5倍、少なくとも約6倍、少なくとも約7倍、少なくとも約8倍、少なくとも約9倍、少なくとも約10倍またはそれを超えて増加する。
【0265】
いかなる1つの理論によっても縛られることなく、いくつかの態様において、免疫チェックポイント分子に対する増加した耐性は、免疫細胞、例えば、T細胞上の1つ以上の免疫チェックポイント分子の減少した発現による。したがって、いくつかの態様において、本開示の細胞組成物は、参照細胞(例えば、対応する細胞、例えば、低減したレベルのNR4A3遺伝子及び/またはNR4A3タンパク質を発現するように修飾されていないT細胞などの免疫細胞)と比較して低減したレベルの1つ以上の免疫チェックポイント分子を発現する。いくつかの態様において、免疫チェックポイント分子の発現レベルは、本開示の細胞組成物において参照細胞と比較して少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、または少なくとも約100%低減される。免疫チェックポイント分子の例は、当該技術分野で知られており、それには、PD-1、TIM-3、LAG-3、BTLA、SIGLEC7、CD200R、TIGIT、VISTA、及びそれらの任意の組み合わせが含まれるがこれらに限定されない。
【0266】
いくつかの態様において、免疫細胞、例えば、T細胞の疲弊状態は、免疫細胞、例えば、T細胞が、刺激、例えば、T細胞受容体(TCR)刺激後にサイトカインを生成する能力を評価することによって測定され得る。したがって、いくつかの態様において、本開示の細胞組成物(すなわち、低減したレベルのNR4A3遺伝子及び/またはNR4A3タンパク質を単独でまたは低減したレベルのNR4A1遺伝子及び/またはNR4A1タンパク質及び/またはNR4A2遺伝子及び/またはNR4A2タンパク質と組み合わせて発現する)は、参照(例えば、対応する細胞、例えば、低減したレベルのNR4A3遺伝子及び/またはNR4A3タンパク質を発現するように修飾されていないT細胞などの免疫細胞におけるサイトカイン生成)と比較して増加したサイトカイン生成を示す。
【0267】
いくつかの態様において、本開示の細胞組成物におけるサイトカイン生成は、少なくとも約2倍、8倍、10倍、15倍、20倍、25倍、30倍、35倍、40倍、45倍、50倍、100倍またはそれを超えて増加する。いくつかの態様において、本開示の細胞組成物におけるサイトカイン生成は、参照(例えば、対応する細胞、例えば、低減したレベルのNR4A3遺伝子及び/またはNR4A3タンパク質を発現するように修飾されていないT細胞などの免疫細胞におけるサイトカイン生成)と比較して少なくとも約1.1倍、少なくとも約1.2倍、少なくとも約1.3倍、少なくとも約1.4倍、少なくとも約1.5倍、少なくとも約1.6倍、少なくとも約1.7倍、少なくとも約1.8倍、少なくとも約1.9倍、少なくとも約2倍、少なくとも約2.5倍、少なくとも約3倍、少なくとも約4倍、少なくとも約5倍、少なくとも約6倍、少なくとも約7倍、少なくとも約8倍、少なくとも約9倍、少なくとも約10倍またはそれを超えて増加する。サイトカインの非限定的な例には、IFN-γ、IL-2、TNF-α、GM-CSF、IL-6、IL-10、IL-4、IL-5、IL-8、IL-9、IL-13、IL-17、IL-22、CCL2、CCL3、及びそれらの任意の組み合わせが含まれる。
【0268】
いくつかの態様において、免疫細胞、例えば、T細胞の疲弊状態は、免疫細胞、例えば、T細胞が繰り返しの腫瘍負荷後に腫瘍細胞を殺傷する能力を評価することによって測定され得る。いくつかの態様において、本開示の細胞組成物は、2回の腫瘍負荷後に参照細胞(例えば、対応する細胞、例えば、低減したレベルのNR4A3遺伝子及び/またはNR4A3タンパク質を発現するように修飾されていないT細胞などの免疫細胞)と比較して増加した腫瘍細胞殺傷を示す。いくつかの態様において、本開示の細胞組成物は、3回の腫瘍負荷後に参照細胞(例えば、対応する細胞、例えば、低減したレベルのNR4A3遺伝子及び/またはNR4A3タンパク質を発現するように修飾されていないT細胞などの免疫細胞)と比較して増加した腫瘍細胞殺傷を示す。いくつかの態様において、本開示の細胞組成物は、4回の腫瘍負荷後に参照細胞(例えば、対応する細胞、例えば、低減したレベルのNR4A3遺伝子及び/またはNR4A3タンパク質を発現するように修飾されていないT細胞などの免疫細胞)と比較して増加した腫瘍細胞殺傷を示す。いくつかの態様において、本開示の細胞組成物は、5回の腫瘍負荷後に参照細胞(例えば、対応する細胞、例えば、低減したレベルのNR4A3遺伝子及び/またはNR4A3タンパク質を発現するように修飾されていないT細胞などの免疫細胞)と比較して増加した腫瘍細胞殺傷を示す。いくつかの態様において、腫瘍細胞を殺傷することは、腫瘍細胞の派生を防止することを含む。
【0269】
いくつかの態様において、腫瘍負荷の各々の後、本開示の細胞組成物の腫瘍細胞を殺傷する能力は、約2倍、8倍、10倍、15倍、20倍、25倍、30倍、35倍、40倍、45倍、50倍、100倍またはそれを超えて増加する。いくつかの態様において、腫瘍細胞を殺傷する能力は、参照(例えば、対応する細胞、例えば、低減したレベルのNR4A3遺伝子及び/またはNR4A3タンパク質を発現するように修飾されていないT細胞などの免疫細胞における腫瘍細胞殺傷)と比較して少なくとも約1.1倍、少なくとも約1.2倍、少なくとも約1.3倍、少なくとも約1.4倍、少なくとも約1.5倍、少なくとも約1.6倍、少なくとも約1.7倍、少なくとも約1.8倍、少なくとも約1.9倍、少なくとも約2倍、少なくとも約2.5倍、少なくとも約3倍、少なくとも約4倍、少なくとも約5倍、少なくとも約6倍、少なくとも約7倍、少なくとも約8倍、少なくとも約9倍、少なくとも約10倍またはそれを超えて増加する。
【0270】
V.C.腫瘍微小環境において抗腫瘍機能を維持する方法
腫瘍形成(すなわち、腫瘍の生成または形成)は、3つの段階:開始、進行、及び転移からなる複雑で動的なプロセスである。これらの段階の各々は、腫瘍微小環境(TME)によって緊密に制御される。Wang,M.,et al.,J Cancer 8(5):761-773(2017)を参照されたい。本明細書で使用する場合、「腫瘍微小環境」または「TME」という用語は、周囲の血管、免疫細胞、線維芽細胞、シグナル伝達分子、及び細胞外マトリックスを含む、腫瘍の周りの環境を指す。以下にさらに記載されるように、腫瘍は、細胞外シグナルを放出すること、腫瘍血管新生を促進すること、及び末梢免疫寛容を誘導することによって微小環境に影響を及ぼし得るのに対し、微小環境における免疫細胞は、腫瘍細胞の成長及び進化に影響を及ぼし得る。
【0271】
腫瘍細胞は通常、腫瘍微小環境への不十分な血液供給をもたらす極めて高いスピードで成長する。Gouirand,V.,et al.,Front Oncol 8:117(2018)を参照されたい。これは、腫瘍微小環境を低酸素にし、反応性酸素種(ROS)の増加した生成をもたらす。低酸素及びROSは、免疫細胞機能に悪影響を及ぼし得、それにより、対象における抗腫瘍免疫応答を阻害する。
【0272】
いくつかの態様において、例えば、本明細書に開示される方法において、細胞を修飾することは、腫瘍微小環境に見られるもの等の低酸素環境において免疫細胞(例えば、腫瘍特異的T細胞)の抗腫瘍機能の向上をもたらす。本明細書で使用する場合、「抗腫瘍機能」という用語は、免疫細胞(例えば、腫瘍特異的T細胞)が、腫瘍細胞の根絶及び/またはコントロールをもたらす免疫応答を搭載する能力を指す。抗腫瘍機能の非限定的な例は、サイトカイン生成、増殖、低減した疲弊、長期生存、細胞傷害性(例えば、腫瘍細胞を殺傷する能力)、またはそれらの組み合わせを含む。
【0273】
いくつかの態様において、本開示の細胞組成物(すなわち、低減したレベルのNR4A3遺伝子及び/またはNR4A3タンパク質を単独でまたは低減したレベルのNR4A1遺伝子及び/またはNR4A1タンパク質及び/またはNR4A2遺伝子及び/またはNR4A2タンパク質と組み合わせて有する修飾された細胞を含む)の抗腫瘍機能は、参照細胞(例えば、対応する細胞、例えば、低減したレベルのNR4A3遺伝子及び/またはNR4A3タンパク質を発現するように修飾されていないT細胞などの免疫細胞)と比較して低酸素環境において向上する(すなわち、増加する)。
【0274】
腫瘍細胞の急速増殖はまた、腫瘍微小環境内の様々な栄養素(例えば、グルコース)の枯渇をもたらし得る。Gouirand(上掲)を参照されたい。本明細書で論述されるように、栄養素、例えば、グルコースは、正常な免疫細胞機能及び発達のために必須である。いくつかの態様において、本開示の細胞組成物の抗腫瘍機能は、参照細胞(例えば、対応する細胞、例えば、低減したレベルのNR4A3遺伝子及び/またはNR4A3タンパク質を発現するように修飾されていないT細胞などの免疫細胞)と比較して低い栄養素環境において向上する(すなわち、増加する)。
【0275】
本明細書に記載されるように、腫瘍細胞が宿主免疫応答を抑制するメカニズムの1つは、腫瘍微小環境に様々な免疫抑制性代謝産物及び/またはサイトカインを放出することによる。腫瘍微小環境内のそのような代謝産物及び/またはサイトカインの蓄積は、免疫細胞(例えば、腫瘍浸潤リンパ球)の正常な機能を阻害し得る。そのような免疫抑制性代謝産物及び/またはサイトカインの非限定的な例には、インドールアミン-2-3-ジオキシゲナーゼ(IDO)、アルギナーゼ、誘導性酸化窒素シンテターゼ(iNOS)、乳酸脱水素酵素(LDH)-A、TGF-β、IL-10、VEGF、反応性酸素種(ROS)、アデノシン、アルギナーゼ、プロスタグランジンE2、及びそれらの組み合わせが含まれる。
【0276】
いくつかの態様において、本開示の細胞組成物(すなわち、低減したレベルのNR4A3遺伝子及び/またはNR4A3タンパク質を単独でまたは低減したレベルのNR4A1遺伝子及び/またはNR4A1タンパク質及び/またはNR4A2遺伝子及び/またはNR4A2タンパク質と組み合わせて有する修飾された細胞を含む)の抗腫瘍機能は、免疫抑制性代謝産物及び/またはサイトカインの存在下で少なくとも約2倍、8倍、10倍、15倍、20倍、25倍、30倍、35倍、40倍、45倍、50倍、100倍またはそれを超えて向上する(すなわち、増加する)。いくつかの態様において、抗腫瘍機能は、参照細胞(例えば、対応する細胞、例えば、低減したレベルのNR4A3遺伝子及び/またはNR4A3タンパク質を発現するように修飾されていないT細胞などの免疫細胞)と比較して少なくとも約1.1倍、少なくとも約1.2倍、少なくとも約1.3倍、少なくとも約1.4倍、少なくとも約1.5倍、少なくとも約1.6倍、少なくとも約1.7倍、少なくとも約1.8倍、少なくとも約1.9倍、少なくとも約2倍、少なくとも約2.5倍、少なくとも約3倍、少なくとも約4倍、少なくとも約5倍、少なくとも約6倍、少なくとも約7倍、少なくとも約8倍、少なくとも約9倍、少なくとも約10倍またはそれを超えて増加する。
【0277】
腫瘍微小環境が抗腫瘍免疫応答を阻害し得る別のメカニズムは、免疫抑制性細胞、例えば、骨髄由来サプレッサー細胞(MDSC)及び制御性T(Treg)細胞を介する。
【0278】
本明細書で使用する場合、「骨髄系由来サプレッサー細胞」または「MDSC」という用語は、骨髄起源、未成熟状態、及びT細胞応答を強力に抑制する能力によって定義される、不均一な免疫細胞集団を意味する。MDSCは、骨髄において生成され、腫瘍保有宿主において、末梢リンパ器官及び腫瘍に移行して腫瘍微小環境の形成に寄与する。いくつかの態様において、MDSCは、単球と形態学的に及び表現型的に同様である単球性MDSC(M-MDSC)である。いくつかの態様において、MDSCは、好中球と形態学的に及び表現型的に同様である多形核MDSC(PMN-MDSC)である。いくつかの態様において、MDSCは、M-MDSC及びPMN-MDSCの両方を含む。腫瘍微小環境内に存在するMDSCは通常、不十分な食作用活性、反応性酸素種(ROS)、酸化窒素(NO)、及び大抵は抗炎症サイトカイン(例えば、IL-10及びTGF-β)の継続的生成を示す。
【0279】
本明細書で使用する場合、「制御性T細胞」または「Treg細胞」という用語は、他のT細胞(例えば、腫瘍浸潤リンパ球)の増殖及び/または機能を抑制する能力を有するT細胞の特定の集団を指す。いくつかの態様において、制御性T細胞は、CD4+制御性T細胞である。いくつかの態様において、制御性T細胞は、Foxp3+である。制御性T細胞は、様々な接触依存性及び非依存性メカニズムを介してそれらの免疫抑制活性を発揮し得る。そのようなメカニズムの非限定的な例には、(i)抑制性サイトカイン(例えば、TGF-β、IL-10、及びIL-35)の生成;(ii)免疫チェックポイント及び阻害性受容体(例えば、CTLA-4、PD-L1、アルギナーゼ、LAG-3、TIM-3、ICOS、TIGIT、IDO)の発現;(iii)直接的細胞傷害性(パーフォリン/グランザイム媒介またはFasL媒介);(iv)エフェクターT細胞活性の代謝破壊(例えば、IL-2消費);(v)T細胞疲弊を促進し得る寛容原性樹状細胞の誘導;(vi)アデノシン生成、及び(vii)それらの任意の組み合わせが含まれる。
【0280】
いくつかの態様において、本開示の細胞組成物(すなわち、低減したレベルのNR4A3遺伝子及び/またはNR4A3タンパク質を単独でまたは低減したレベルのNR4A1遺伝子及び/またはNR4A1タンパク質及び/またはNR4A2遺伝子及び/またはNR4A2タンパク質と組み合わせて有する修飾された細胞を含む)の抗腫瘍機能は、参照細胞(例えば、対応する細胞、例えば、低減したレベルのNR4A3遺伝子及び/またはNR4A3タンパク質を発現するように修飾されていないT細胞などの免疫細胞)と比較して抑制性細胞の存在下で向上する(すなわち、増加する)。いくつかの態様において、抑制性細胞は、MDSCである。いくつかの態様において、抑制性細胞は、Treg細胞である。いくつかの態様において、抑制性細胞は、MDSC及びTreg細胞の両方を含む。
【0281】
上記開示は、T細胞(例えば、腫瘍浸潤リンパ球)との関連で概ね提供されるが、上記開示はまた、他のタイプの免疫細胞に適用され得ることを当業者は認識する。したがって、いくつかの態様において、本明細書に開示される方法は、活性化を向上させ、疲弊/機能不全を低減し、または腫瘍の処置のために有用な任意の免疫細胞の抗腫瘍機能を維持するために使用され得る。そのような免疫細胞の非限定的な例には、リンパ球、好中球、単球、マクロファージ、樹状細胞、またはそれらの組み合わせが含まれる。いくつかの態様において、リンパ球は、T細胞、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)、リンホカイン活性化キラー細胞、ナチュラル(NK)細胞、またはそれらの組み合わせを含む。いくつかの態様において、リンパ球は、T細胞、例えば、CD4+T細胞またはCD8+T細胞である。いくつかの態様において、リンパ球は、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)である。いくつかの態様において、TILは、CD8+TILである。いくつかの態様において、TILは、CD4+TILである。本明細書に記載されるように、いくつかの態様において、本開示の免疫細胞は、キメラ抗原受容体(CAR)、例えば、CAR T細胞またはCAR NK細胞を含む。
【0282】
VI.核酸及びベクター
本開示はまた、細胞におけるNR4A3遺伝子及び/またはNR4A3タンパク質の発現を(単独でまたは低減したレベルのNR4A1遺伝子及び/またはNR4A1タンパク質及び/またはNR4A2遺伝子及び/またはNR4A2タンパク質と組み合わせて)低減するための遺伝子編集ツールを含み、及び/または本開示の修飾された細胞において発現し得るキメラ抗原受容体またはT細胞受容体(例えば、抗ROR1 CARまたは抗ROR1 TCR)をコードする1つ以上の核酸分子(例えば、ポリヌクレオチド)を提供する。
【0283】
本明細書に記載されるように、本開示のいくつかの態様は、NR4A3遺伝子内の標的配列に特異的に結合することが可能なヌクレオチド配列(すなわち、NR4A3標的化ポリヌクレオチド)を含むポリヌクレオチド(例えば、単離されたポリヌクレオチド)を対象とする。いかなる1つの理論によっても縛られることなく、いくつかの態様において、NR4A3遺伝子内の標的配列に結合することによって、本開示のポリヌクレオチドは、細胞(例えば、免疫細胞)におけるNR4A3遺伝子及び/またはコードされるタンパク質のレベルを低減することが可能である。
【0284】
本明細書に記載されるように、本明細書に記載のポリヌクレオチドは、NR4A3遺伝子内の核酸配列に特異的に結合し得るヌクレオチド配列を含む。そのようなヌクレオチド配列は、本明細書で「結合配列」または「ガイド配列」または「ガイドRNA」(gRNA)とも称される。したがって、「ガイドRNA」(gRNA)という用語は、本明細書で使用する場合、NR4A3遺伝子を有する核酸配列に特異的に結合し得、それにより、NR4A3遺伝子及び/またはNR4A3タンパク質のレベルを低減する限り、特に限定されない。そのようなgRNAの非限定的な例は、本開示を通して提供される(例えば、表A~Dを参照されたい)。
【0285】
いくつかの態様において、gRNAは、約5~約100ヌクレオチド長であり得る。いくつかの態様において、本明細書に記載のポリヌクレオチドのgRNAは、長さが約5、約6、約7、約8、約9、約10、約15、約20、約25、約30、約35、約40、約45、約50、約60、約70、約80、約90、または約100ヌクレオチドである。いくつかの態様において、gRNAは、長さが約10~約30ヌクレオチド(例えば、約10、約11、約12、約13、約14、約15、約16、約17、約18、約19、約20、約21、約22、約23、約24、約25、約26、約27、約28、約29、または約30ヌクレオチド)である。いくつかの態様において、gRNAは、長さが約20ヌクレオチドである。本開示のために有用であるgRNAに関する追加の開示は、本出願において他の箇所で提供される(例えば、セクションIV.A.1.CRISPR/Casシステムを参照されたい)。
【0286】
いくつかの態様において、本明細書に記載のポリヌクレオチドのgRNAは、NR4A3遺伝子内の核配列(本明細書で「標的配列」とも称される)と相補的または実質的に相補的となるように設計される。いくつかの態様において、gRNAは、複数の配列(例えば、NR4A3遺伝子内の複数の標的配列;またはNR4A3遺伝子の標的配列及びNR4Aファミリーの他のメンバー内の標的配列)を結合させるために揺らぎまたは縮重塩基を組み込み得る。いくつかの場合では、gRNAは、安定性を増加させるために改変され得る。例えば、非天然ヌクレオチドが、分解に対するRNA耐性を増加させるために組み込まれ得る。いくつかの態様において、gRNAは、gRNAにおける二次構造形成を回避または低減するように改変または設計され得る。いくつかの態様において、gRNAは、G-C含有量を最適化するように設計され得る。いくつかの態様において、G-C含有量は、約40%~約60%(例えば、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%)である。いくつかの態様において、gRNAは、修飾されたヌクレオチド、例えば、限定されないが、メチル化またはリン酸化されたヌクレオチドを含有し得る。本明細書に記載のポリヌクレオチドの1つ以上の特性を修飾し、それによりそれを改善する追加の方法は、当該技術分野で知られている。本明細書に記載のポリヌクレオチドに付加され得るそのような修飾の非限定的な例には、5’キャップ、3’ポリアデニル化テール、リボスイッチ配列、安定性コントロール配列、ヘアピン、細胞内局在化配列、検出もしくは標識配列、1つ以上のタンパク質のための結合部位、非天然ヌクレオチド、またはそれらの組み合わせが含まれる。例えば、米国公開番号20210123046A1(その全体が参照により本明細書に組み込まれる)を参照されたい。そのような修飾に関する追加の開示は、本開示において他の箇所で提供される。
【0287】
本明細書に記載されるように、いくつかの態様において、遺伝子編集ツールを含む核酸分子及びガイドRNAを含む核酸分子は、別々の核酸分子として(同時にまたは逐次)細胞に導入され得る。いくつかの態様において、遺伝子編集ツール及びガイドRNAは、単一の核酸分子の一部であり得る。例えば、いくつかの態様において、遺伝子編集ツールを含む核酸分子は、ガイドRNA(例えば、本明細書に開示される合成ガイドRNA)をさらに含む。いくつかの態様において、遺伝子編集ツールを含む核酸分子は、ガイドRNA(例えば、本明細書に開示される合成ガイドRNA)及びCasヌクレアーゼ、例えば、Cas9ヌクレアーゼをコードする核酸をさらに含む。
【0288】
本明細書で提供される核酸のいずれかは、細胞全体に、細胞ライセートに、または部分的に精製された形態もしくは実質的に純粋な形態で存在し得る。
【0289】
核酸は、他の細胞成分または他の夾雑物、例えば、他の細胞核酸(例えば、他の染色体DNA、例えば、天然に単離DNAに連結されている染色体DNA)またはタンパク質から、アルカリ/SDS処理、CsClバンディング、カラムクロマトグラフィー、制限酵素、アガロースゲル電気泳動、及び当該技術分野でよく知られている他のものを含む標準的な技術によって精製された場合、「単離されている」または「実質的に純粋とされている」。F.Ausubel,et al.,ed.(1987)Current Protocols in Molecular Biology,Greene Publishing and Wiley Interscience,New Yorkを参照されたい。本明細書に記載の核酸は、例えば、DNAまたはRNAであり得、イントロン配列を含有する場合があり、含有しない場合がある。いくつかの態様において、核酸は、cDNA分子である。本明細書に記載される核酸は、当該技術分野で公知の標準的な分子生物学技術を使用して得ることができる。
【0290】
いくつかの態様において、本開示は、細胞におけるNR4A3遺伝子及び/またはNR4A3タンパク質の発現を(単独でまたは低減したレベルのNR4A1遺伝子及び/またはNR4A1タンパク質及び/またはNR4A2遺伝子及び/またはNR4A2タンパク質と組み合わせて)低減するための遺伝子編集ツールを含む単離された核酸分子を含み、及び/または本開示の修飾された細胞において発現し得るキメラ抗原受容体またはT細胞受容体をコードするベクターを提供する。
【0291】
本明細書に記載されるように、そのようなベクターは、低減したレベルのNR4A3遺伝子及び/またはNR4A3タンパク質を(単独でまたは低減したレベルのNR4A1遺伝子及び/またはNR4A1タンパク質及び/またはNR4A2遺伝子及び/またはNR4A2タンパク質と組み合わせて)発現するように細胞(例えば、CARを発現する細胞)を修飾するために使用され得、そのような修飾された細胞は、疾患または障害、例えば、がんを処置するために使用され得る。
【0292】
本開示のための好適なベクターには、発現ベクター、ウイルスベクター、及びプラスミドベクターが含まれる。いくつかの態様において、ベクターは、ウイルスベクターである。
【0293】
本明細書で使用する場合、「ベクター」及び「発現ベクター」という用語は、適切な宿主細胞に導入したときに、挿入されるコード配列の転写及び翻訳のために必要な要素、またはRNAウイルスベクターの場合には、複製及び翻訳に必要な要素を含む、任意の核酸構築物を意味する。発現ベクターには、プラスミド、ファージミド、ウイルス、及びその誘導体が含まれ得る。
【0294】
本明細書で使用する場合、ウイルスベクターは、限定するものではないが、次のウイルス:モロニーマウス白血病ウイルス、ハーベイマウス肉腫ウイルス、マウス乳房腫瘍ウイルス、及びラウス肉腫ウイルスなどのレトロウイルス;レンチウイルス;アデノウイルス;アデノ随伴ウイルス;SV40型ウイルス;ポリオーマウイルス;エプスタイン・バーウイルス;パピローマウイルス;ヘルペスウイルス;ワクシニアウイルス;ポリオウイルス;ならびにレトロウイルスなどのRNAウイルスに由来する核酸配列を含む。当該技術分野でよく知られている他のベクターを容易に用い得る。所定のウイルスベクターは、非必須遺伝子が対象となる遺伝子で置き換えられた非細胞変性真核ウイルスに基づく。非細胞変性ウイルスにはレトロウイルスが含まれ、レトロウイルスのライフサイクルは、ゲノムウイルスRNAのDNAへの逆転写を含み、その後、宿主細胞DNAにプロウイルスが組込まれる。
【0295】
いくつかの態様において、ベクターはアデノ随伴ウイルスに由来する。いくつかの態様において、ベクターは、レンチウイルスに由来する。レンチウイルスベクターの例は、WO9931251、WO9712622、WO9817815、WO9817816、及びWO9818934に開示されており、これらは各々、全体として参照により本明細書に組み込まれる。
【0296】
他のベクターにはプラスミドベクターが含まれる。プラスミドベクターは、当該技術分野で広く記載されており、当業者によく知られている。例えば、Sambrook et al.,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Second Edition,Cold Spring Harbor Laboratory Press,1989を参照されたい。過去数年間において、プラスミドベクターは、宿主ゲノム内で複製して宿主ゲノム内に組み込まれることがないため、in vivoで遺伝子を細胞に送達するのに特に有利であることが見出されている。しかしながら、宿主細胞に適合するプロモーターを有するこれらのプラスミドは、プラスミド内で作動可能にコードされた遺伝子からペプチドを発現することができる。商業的供給者から入手可能ないくつかの一般的に使用されているプラスミドには、pBR322、pUC18、pUC19、様々なpcDNAプラスミド、pRC/CMV、様々なpCMVプラスミド、pSV40、及びpBlueScriptが含まれる。特定のプラスミドの追加の例には、pcDNA3.1、カタログ番号V79020;pcDNA3.1/hygro、カタログ番号V87020;pcDNA4/myc-His、カタログ番号V86320;及びpBudCE4.1、カタログ番号V53220(すべてがInvitrogen(Carlsbad,CA.)製である)が含まれる。他のプラスミドも当業者には周知である。さらに、プラスミドは、特定のDNA断片を除去及び/または付加するように、標準的な分子生物学技術を使用してカスタム設計することができる。
【0297】
本開示は、本明細書に開示される核酸を修飾するために当業者に利用可能な任意の核酸修飾、例えば、gRNA及びgRNAをコードする核酸、Cas9をコードする核酸、少なくとも1つのgRNAまたは少なくとも1つのgRNA及びCas9をコードする核酸を含むベクター、CARまたはTCRをコードする核酸、本明細書に開示される任意のゲノム編集ツールをコードする核酸、RNAiをコードする核酸、またはアンチセンスオリゴヌクレオチドの使用を企図する。
【0298】
本明細書で使用する場合、「非修飾」または「天然」ヌクレオシドまたは核酸塩基には、プリン塩基であるアデニン(A)及びグアニン(G)、及びピリミジン塩基であるチミン(T)、シトシン(C)及びウラシル(U)が含まれる。いくつかの態様において、合成の修飾されたgRNAは、少なくとも1つのヌクレオシド(「塩基」)修飾または置換を含む。
【0299】
本出願に開示される核酸(例えば、gRNA及びそのようなgRNAをコードする核酸、ならびにCas9をコードする核酸)は、1つ以上の修飾を含み得る。いくつかの態様において、本明細書に開示されるヌクレオチド配列は、少なくとも1つのヌクレオチドアナログを含む。いくつかの態様では、in vitro翻訳(IVT)または化学的合成を使用することによって導入される少なくとも1つのヌクレオチドアナログは、2’-O-メトキシエチル-RNA(2’-MOE-RNA)モノマー、2’-フルオロ-DNAモノマー、2’-O-アルキル-RNAモノマー、2’-アミノ-DNAモノマー、ロック核酸(LNA)モノマー、cEtモノマー、cMOEモノマー、5’-Me-LNAモノマー、2’-(3-ヒドロキシ)プロピル-RNAモノマー、アラビノ核酸(ANA)モノマー、2’-フルオロ-ANAモノマー、アンヒドロヘキシトール核酸(HNA)モノマー、インターカレート核酸(INA)モノマー、及び前記ヌクレオチドアナログの2つ以上の組み合わせからなる群から選択される。いくつかの態様において、最適化された核酸分子、例えば、gRNAは、少なくとも1つの骨格修飾、例えば、ホスホロチオエートヌクレオチド間結合を含む。
【0300】
いくつかの態様において、本出願に開示される核酸(例えば、gRNA及びそのようなgRNAをコードする核酸、ならびにCas9をコードする核酸)は、末端位置で、例えば、5’及び/または3’末端に対して位置1、2、3でM(2’-O-メチル)、MS(2’-O-メチル3’ホスホロチオエート)、またはMSP(2’-O-メチ3’チオPACE、ホスホノアセテート)修飾、またはそれらの組み合わせを導入することによって化学的に修飾され得る。例えば、一態様において、本開示のgRNAは、3つの5’ヌクレオチドで3つのM修飾及び3つの3’ヌクレオチドで3つのM修飾を含み得る。いくつかの態様において、本開示のgRNAは、3つの5’ヌクレオチドで3つのMS修飾及び3つの3’ヌクレオチドで3つのMS修飾を含み得る。いくつかの態様において、本開示のgRNAは、3つの5’ヌクレオチドで3つのMSP修飾及び3つの3’ヌクレオチドで3つのMSP修飾を含み得る。
【0301】
いくつかの態様において、本明細書に開示されるヌクレオチド配列、例えば、gRNAにおけるウリジン、アデノシン、グアノシン、シチジンヌクレオシドの少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、もしくは95%、または100%は、ヌクレオシドで置き換えられている。
【0302】
いくつかの態様において、本出願に開示される核酸(例えば、gRNA)は、IVTまたは化学的合成によって生成されるヌクレオチド配列を含み、
(i)野生型ヌクレオチド配列における少なくとも1つのウリジンは、置き換えられており;及び/または、
(ii)野生型ヌクレオチド配列における少なくとも1つのアデノシンは、置き換えられており;及び/または、
(iii)野生型ヌクレオチド配列における少なくとも1つのグアノシンは、置き換えられており;及び/または、
(iv)野生型ヌクレオチド配列における少なくとも1つのシチジンは、置き換えられている。
【0303】
本開示の修飾された核酸(例えば、gRNA)は、分子の長さ全体に沿って均一に修飾されている必要はない。異なるヌクレオチド修飾及び/または骨格構造が、核酸における様々な位置で存在し得る。当業者は、ヌクレオチドアナログまたは他の修飾(複数可)が、核酸の機能が実質的に低下しないように、核酸の任意の位置(複数可)に位置し得ることを理解する。修飾はまた、5’または3’末端修飾であり得る。核酸は、最小で1%及び最大で100%修飾されたヌクレオチド、または任意の介在パーセンテージ、例えば、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または少なくとも約99%修飾されたヌクレオチドを含有し得る。
【0304】
いくつかの態様において、本明細書で提供される核酸は、RNA(例えば、RNA)及び/またはポリペプチド(例えば、Cas9)をコードする合成の修飾されたDNA分子であり、合成の修飾されたDNA分子は、1つ以上の修飾を含む。
【0305】
本明細書に記載の合成の修飾された核酸(例えば、gRNA)には、エンド及びエキソヌクレアーゼによる急速分解を防止するための修飾が含まれる。修飾には、例えば、(a)末端修飾、例えば、5’末端修飾(リン酸化、脱リン酸化、コンジュゲーション、反転結合等)、3’末端修飾(コンジュゲーション、DNAヌクレオチド、反転結合等)、(b)塩基修飾、例えば、修飾塩基、安定化塩基、不安定化塩基、または広範なパートナーのレパートリーと塩基対合する塩基、またはコンジュゲーション塩基での置き換え、(c)糖修飾(例えば、2’位または4’位におけるもの)または糖の置き換え、ならびに(d)ホスホジエステル結合の修飾または置き換えを含む、ヌクレオシド間結合修飾が含まれるがこれらに限定されない。
【0306】
本明細書に記載の方法で有用な合成の修飾された核酸(例えば、gRNA)組成物の具体的な例には、修飾されたまたは非天然ヌクレオシド間結合を含有する修飾された核酸(例えば、gRNA)が含まれるがこれらに限定されない。修飾されたヌクレオシド間結合を有する合成の修飾された核酸(例えば、gRNA)には、とりわけ、ヌクレオシド間結合においてリン原子を有しないものが含まれる。いくつかの態様において、合成の修飾された核酸(例えば、gRNA)は、そのヌクレオシド間結合(複数可)においてリン原子を有する。
【0307】
修飾されたヌクレオシド間結合の非限定的な例には、ホスホロチオエート、キラルホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、ホスホトリエステル、アミノアルキルホスホトリエステル、メチル及び他のアルキルホスホネート(3’-アルキレンホスホネート及びキラルホスホネートを含む)、ホスフィネート、ホスホルアミデート(3’-アミノホスホルアミデート及びアミノアルキルホスホルアミデート、チオノホスホルアミデートを含む)、チオノアルキルホスホネート、チオノアルキルホスホトリエステル、及び通常の3’-5’結合を有するボラノホスフェート、これらのT-5’結合アナログ、ならびに逆転した極性を有するもの(ヌクレオシド単位の隣接対が、3’-5’から5’-3’またはT-5’から5’-Tに連結されている)が含まれる。様々な塩、混合塩及び遊離酸形態も含まれる。
【0308】
修飾されたヌクレオシド間結合であって、それにリン原子が含まれない、修飾されたヌクレオシド間結合は、短鎖アルキルまたはシクロアルキルヌクレオシド間結合、混合されたヘテロ原子及びアルキルまたはシクロアルキルヌクレオシド間結合、または1つ以上の短鎖ヘテロ原子または複素環式ヌクレオシド間結合によって形成されるヌクレオシド間結合を有する。これらには、モルホリノ結合(ヌクレオシドの糖部分から部分的に形成される)、シロキサン骨格、スルフィド、スルホキシド及びスルホン骨格、ホルムアセチル及びチオホルムアセチル骨格、メチレンホルムアセチル及びチオホルムアセチル骨格、アルケン含有骨格、スルファメート骨格、メチレンイミノ及びメチレンヒドラジノ骨格、スルホネート及びスルホンアミド骨格、アミド骨格を有するもの、ならびに混合されたN、O、S及びCH2成分部分を有する他のものが含まれる。
【0309】
本明細書に記載の合成の修飾された核酸(例えば、gRNA)のいくつかの態様には、ホスホロチオエートヌクレオシド間結合を有する核酸及びヘテロ原子ヌクレオシド間結合を有するオリゴヌクレオシド、ならびに特に米国特許第5,489,677号の-CH2-NH-CH2-、-CH2-N(CH3)-O-CH2-[メチレン(メチルイミノ)またはMMIとして知られている]、-CH2-O-N(CH3)-CH2-、-CH2-N(CH3)-N(CH3)-CH2-及び-N(CH3)-CH2-CH2-[ネイティブホスホジエステルヌクレオシド間結合は、-O-P-O-CH2-として表される]、及び米国特許第5,602,240号のアミド骨格(これらの両方は、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる)が含まれる。いくつかの態様において、本明細書で特徴となる核酸配列は、米国特許第5,034,506号(その全体が参照により本明細書に組み込まれる)のモルホリノ骨格構造を有する。
【0310】
本明細書に記載の合成の修飾された核酸(例えば、gRNA)はまた、1つ以上の置換された糖部位を含有し得る。本明細書で特徴となる核酸には、以下のもの:H(デオキシリボース);OH(リボース);F;O-、S-、もしくはN-アルキル;O-、S-、もしくはN-アルケニル;O-、S-もしくはN-アルキニル;またはO-アルキル-O-アルキルのうちの1つが2’位で含まれ得、アルキル、アルケニル及びアルキニルは、置換または非置換C1~C10アルキルまたはC2~C10アルケニル及びアルキニルであり得る。例示的な修飾には、O[(CH2)nO]mCH3、O(CH2)nOCH3、O(CH2)nNH2、O(CH2)nCH3、O(CH2)nONH2、及びO(CH2)nON[(CH2)nCH3)]2(式中、n及びmは、1~約10である)が含まれる。いくつかの態様において、合成の修飾されたRNAには、以下のもの:C1~C10低級アルキル、置換された低級アルキル、アルカリール、アラルキル、O-アルカリールもしくはO-アラルキル、SH、SCH3、OCN、Cl、Br、CN、CF3、OCF3、SOCH3、SO2CH3、ONO2、NO2、N3、NH2、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルカリール、アミノアルキルアミノ、ポリアルキルアミノ、置換されたシリル、レポーター基、インターカレーター、所定の核酸(例えば、gRNA)の薬物動態特性を改善するための基、または合成の修飾された核酸(例えば、gRNA)の薬力学的特性を改善するための基、及び同様の特性を有する他の置換基のうちの1つが2’位で含まれる。いくつかの態様において、修飾には、2’-O-(2-メトキシエチル)または-MOEとしても知られている2’メトキシエトキシ(2’-O-CH2CH2OCH3)(Martin et al,Helv.Chim.Acta,1995,78:486-504)、すなわち、アルコキシ-アルコキシ基が含まれる。別の例示的な修飾は、2’-ジメチルアミノオキシエトキシ、すなわち、2’-DMAOEとしても知られているO(CH2)2ON(CH3)2基、及び2’-ジメチルアミノエトキシエトキシ(当該技術分野で2’-O-ジメチルアミノエトキシエチルまたは2’-DMAEOEとしても知られている)、すなわち、2’-O-CH2-O-CH2-N(CH2)2である。
【0311】
他の修飾には、2’-メトキシ(2’-OCH3)、2’-アミノプロポキシ(2’-OCH2CH2CH2NH2)及び2’-フルオロ(2’-F)が含まれる。同様の修飾はまた、核酸配列上の他の位置、特に3’末端ヌクレオチド上または2’-5’結合オリゴヌクレオチド中の糖の3’位、及び5’末端ヌクレオチドの5’位で行われ得る。合成の修飾されたgRNAはまた、ペントフラノシル糖の代わりにシクロブチル部位などの糖模倣体を有し得る。
【0312】
非限定的な例として、本明細書に記載の合成の修飾されたgRNAには、2’-O-メチル修飾ヌクレオシド、5’ホスホロチオエート基を含むヌクレオシド、2’-アミノ-修飾ヌクレオシド、2’-アルキル-修飾ヌクレオシド、モルホリノヌクレオシド、ホスホルアミデートまたは非天然塩基を含むヌクレオシド、またはそれらの任意の組み合わせを含む少なくとも1つの修飾されたヌクレオシドが含まれ得る。
【0313】
いくつかの態様において、少なくとも1つの修飾されたヌクレオシドは、5-メチルシチジン(5mC)、N6-メチルアデノシン(m6A)、3,2’-O-ジメチルウリジン(m4U)、2-チオウリジン(s2U)、2’フルオロウリジン、シュードウリジン、2’-O-メチルウリジン(Um)、2’デオキシウリジン(2’dU)、4-チオウリジン(s4U)、5-メチルウリジン(m5U)、2’-O-メチルアデノシン(m6A)、N6,2’-O-ジメチルアデノシン(m6Am)、N6,N6,2’-O-トリメチルアデノシン(m62Am)、2’-O-メチルシチジン(Cm)、7-メチルグアノシン(m7G)、2’-O-メチルグアノシン(Gm)、N2,7-ジメチルグアノシン(m2,7G)、N2,N2,7-トリメチルグアノシン(m2,2,7G)、及びイノシン(I)からなる群から選択される。
【0314】
あるいは、合成の修飾されたgRNAは、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20個またはそれを超え、最大でヌクレオチドの長さ全体の修飾されたヌクレオシドを含み得る。最小で、少なくとも1つの修飾されたヌクレオシドを含む合成の修飾されたgRNA分子は、本明細書に記載される修飾を有する単一のヌクレオシドを含む。所与の合成の修飾されたgRNAにおけるすべての位置について、均一に修飾されている必要はなく、実際、前述した修飾のうちの複数が、単一の合成の修飾されたgRNAにおいてまたは合成の修飾されたgRNA内の単一のヌクレオシドにおいてでさえも組み込まれ得る。しかしながら、分子における所与のヌクレオシドの各存在は、修飾されることが好ましい(例えば、各シトシンは、修飾されたシトシン、例えば、5mCである)が、絶対に必要であるわけではない。しかしながら、同じヌクレオシドの異なる存在は、所与の合成の修飾されたgRNA分子において異なる様式で修飾され得ることも企図される(例えば、一部のシトシンは5mCとして修飾されており、他のものは2’-0-メチルシチジンまたは他のシトシンアナログとして修飾されている)。修飾は、合成の修飾されたgRNAにおいて複数の修飾されたヌクレオシドの各々について同じである必要はない。さらに、本明細書に記載の態様のいくつかの態様において、合成の修飾されたgRNAは、少なくとも2つの異なる修飾されたヌクレオシドを含む。本明細書に記載のいくつかの態様において、少なくとも2つの異なる修飾されたヌクレオシドは、5-メチルシチジン及びシュードウリジンである。合成の修飾されたgRNAはまた、修飾されたヌクレオシド及び修飾されていないヌクレオシドの両方の混合物を含有し得る。
【0315】
本明細書に開示されるgRNA及び他の核酸、例えば、CRISPR遺伝子編集のために使用される核酸、またはCARもしくはTCRをコードするポリヌクレオチドもしくはポリヌクレオチドのセットは、オリゴヌクレオチド合成機、宿主細胞発現、in vitro翻訳(IVT)、または当該技術分野で知られている任意の他の方法を使用して化学的合成を使用して生成され得る。全体的または部分的に天然に存在するヌクレオシドを置き換える天然に存在するヌクレオシド、天然に存在しないヌクレオシド、またはそれらの組み合わせ。ポリヌクレオチドまたは核酸合成反応は、ポリメラーゼを利用する酵素方法によって行われ得る。ポリメラーゼは、ポリヌクレオチドまたは核酸鎖におけるヌクレオチド間のホスホジエステル結合の生成を触媒する。
【0316】
遺伝子操作における様々なツールは、鋳型として作用する標的核酸の酵素的増幅に基づく。対象となる個々の遺伝子または特定の領域の配列の研究及び他の研究ニーズのため、ポリヌクレオチドまたは核酸の小さなサンプルから標的核酸の複数のコピーを生成することが必要である。そのような方法は、本明細書に開示されるgRNA及び他の核酸(例えば、RNAi、ASO、Casをコードするポリヌクレオチド、またはCARもしくはTCRをコードするポリヌクレオチドもしくはポリヌクレオチドのセット)の製造において適用され得る。
【0317】
ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)は、標的遺伝子の急速増幅、ならびにゲノムマッピング及びシーケンシングにおいて広い用途を有する。DNAを合成するための重要な成分は、鋳型としての標的DNA分子、標的DNA鎖の末端に相補的なプライマー、構築ブロックとしてのデオキシヌクレオシド三リン酸(dNTP)、及びDNAポリメラーゼを含む。PCRは、変性、アニーリング及び伸長工程を介して進行するので、新しく生成されるDNA分子は、複製の次のサークルのための鋳型として作用し得、標的DNAの指数関数的増幅を達成する。PCRは、変性及びアニーリングのための加熱及び冷却のサイクルを必要とする。基礎的PCRのバリエーションには、非対称PCR(Innis et al.,PNAS 85,9436-9440(1988))、インバースPCR(Ochman et al.,Genetics 120(3),621-623,(1988))、及び逆転写PCR(RT-PCR)(Freeman et al.,BioTechniques 26(1),112-22,124-5(1999))(その内容は、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる)が含まれる。RT-PCRでは、一本鎖RNAが所望の標的であり、最初に逆転写酵素によって二本鎖DNAに変換される。前述の方法のいずれも、本開示のポリヌクレオチド(例えば、gRNA、Casをコードするポリヌクレオチド、またはCARもしくはTCRをコードするポリヌクレオチドもしくはポリヌクレオチドのセット)の1つ以上の領域の製造において利用され得る。
【0318】
リガーゼによってポリヌクレオチドまたは核酸をアセンブルすることも広く使用されている。DNAまたはRNAリガーゼは、ホスホジエステル結合の形成を介してポリヌクレオチド鎖の5’末端及び3’末端の分子間ライゲーションを促進する。したがって、RNAリガーゼは、例えば、gRNAスペーサー配列及びgRNAフレーム配列の3’から5’への分子間ライゲーションによってgRNAを生成するために使用され得る。
【0319】
対象となる単離されたポリペプチドをコードする単離されたポリヌクレオチド配列を合成するために標準的な方法が適用され得る。例えば、特定の単離されたポリペプチドをコードするコドン最適化されたヌクレオチド配列を含有する単一のDNAまたはRNAオリゴマーが合成され得る。いくつかの態様において、所望のポリペプチドの一部分をコードするいくつかの小さなオリゴヌクレオチドが合成され、次いでライゲーションされ得る。いくつかの態様において、個々のオリゴヌクレオチドは、典型的には、相補的アセンブリのための5’または3’オーバーハングを含有する。
【0320】
本明細書に開示されるポリヌクレオチド(例えば、gRNA、Casをコードするポリヌクレオチド、またはCARもしくはTCRをコードするポリヌクレオチドもしくはポリヌクレオチドのセット)は、当該技術分野で知られている化学的合成方法及び潜在的核酸塩基置換を使用して化学的に合成され得る。例えば、国際公開番号WO2014093924、WO2013052523;WO2013039857、WO2012135805、WO2013151671;米国公開番号US20130115272;または米国特許第US8999380号、同第US8710200号(これらのすべては、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる)を参照されたい。
【0321】
VII.薬学的組成物
本開示は、(a)低減したレベルのNR4A3遺伝子及び/またはNR4A3タンパク質を発現するように修飾されており、かつ(i)NR4A1及びNR4A2遺伝子及びNR4A1及びNR4A2タンパク質の内因性発現、(ii)低減したレベルのNR4A1遺伝子及び/またはNR4A1タンパク質、(iii)低減したレベルのNR4A2遺伝子及び/またはNR4A2タンパク質、または(iv)低減したレベルのNR4A1遺伝子及び/またはNR4A1タンパク質及びNR4A2遺伝子及び/またはNR4A2タンパク質の両方を有する細胞を含む薬学的組成物(例えば、本明細書に記載の細胞のもの等)を提供する。本開示は、(a)低減したレベルのNR4A3遺伝子及び/またはNR4A3タンパク質及び結合分子を発現するように修飾されており、かつ:(i)NR4A1及びNR4A2遺伝子及びNR4A1及びNR4A2タンパク質の内因性発現、(ii)低減したレベルのNR4A1遺伝子及び/またはNR4A1タンパク質、(iii)低減したレベルのNR4A2遺伝子及び/またはNR4A2タンパク質、または(iv)低減したレベルのNR4A1遺伝子及び/またはNR4A1タンパク質及びNR4A2遺伝子及び/またはNR4A2タンパク質の両方を有する細胞を含む薬学的組成物(例えば、本明細書に記載の細胞のもの等)を提供する。より具体的には、いくつかの態様において、本明細書では、(i)結合分子(例えば、CARまたはTCR)を発現し、(ii)低減したレベルのNR4A3遺伝子及び/またはNR4A3タンパク質を有し、(iii)内因性レベルのNR4A1遺伝子及び/またはNR4A1タンパク質を有し、及び(iv)内因性レベルのNR4A2遺伝子及び/またはNR4A2タンパク質を有する修飾された細胞(例えば、修飾された免疫細胞)を含む組成物が提供される。いくつかの態様において、本明細書で提供される組成物は、(i)結合分子(例えば、CARまたはTCR)を発現し、(ii)低減したレベルのNR4A3遺伝子及び/またはNR4A3タンパク質を有し、(iii)低減したレベルのNR4A1遺伝子及び/またはNR4A1タンパク質を有し、及び(iv)内因性レベルのNR4A2遺伝子及び/またはNR4A2タンパク質を有する修飾された細胞(例えば、修飾された免疫細胞)を含む。いくつかの態様において、本明細書で提供される組成物は、(i)結合分子(例えば、CARまたはTCR)を発現し、(ii)低減したレベルのNR4A3遺伝子及び/またはNR4A3タンパク質を有し、(iii)低減したレベルのNR4A1遺伝子及び/またはNR4A1タンパク質を有し、及び(iv)低減したレベルのNR4A2遺伝子及び/またはNR4A2タンパク質を有する修飾された細胞(例えば、修飾された免疫細胞)を含む。
【0322】
いくつかの態様において、上述した組成物のいずれかについて、NR4A3遺伝子のレベルは、本明細書に記載の遺伝子編集ツールのいずれかを使用して低減され得る。例えば、いくつかの態様において、NR4A3遺伝子を標的とし得る本明細書に記載のgRNAのいずれかは、NR4A3遺伝子のレベルを低減する(それにより、コードされるNR4A3タンパク質のレベルを低減する)ために使用され得る。
【0323】
したがって、いくつかの態様において、本開示のために有用な組成物は、(i)NR4A3遺伝子を標的とし得るgRNAで修飾されている細胞(例えば、免疫細胞)を含み、gRNAは、配列番号30及び52~99のいずれか1つに示される配列を含む、それからなる、またはそれから本質的になる。いくつかの態様において、本開示のために有用な組成物は、(i)結合分子(例えば、CARまたはTCR)を発現し、(ii)NR4A3遺伝子を標的とし得るgRNAで修飾されている細胞(例えば、免疫細胞)を含み、gRNAは、配列番号30及び52~99のいずれか1つに示される配列を含む、それからなる、またはそれから本質的になる。いくつかの態様において、本明細書に記載の組成物は、(i)NR4A3遺伝子を標的とし得るgRNAで修飾されている細胞(例えば、免疫細胞)を含み、gRNAは、配列番号30に示される配列を含む、それからなる、またはそれから本質的になる。いくつかの態様において、本明細書に記載の組成物は、NR4A3遺伝子を標的とし得るgRNAで修飾されている細胞(例えば、免疫細胞)を含み、gRNAは、配列番号52に示される配列を含む、それからなる、またはそれから本質的になる。いくつかの態様において、本明細書に記載の組成物は、NR4A3遺伝子を標的とし得るgRNAで修飾されている細胞(例えば、免疫細胞)を含み、gRNAは、配列番号53に示される配列を含む、それからなる、またはそれから本質的になる。いくつかの態様において、本明細書に記載の組成物は、NR4A3遺伝子を標的とし得るgRNAで修飾されている細胞(例えば、免疫細胞)を含み、gRNAは、配列番号54に示される配列を含む、それからなる、またはそれから本質的になる。いくつかの態様において、本明細書に記載の組成物は、NR4A3遺伝子を標的とし得るgRNAで修飾されている細胞(例えば、免疫細胞)を含み、gRNAは、配列番号55に示される配列を含む、それからなる、またはそれから本質的になる。いくつかの態様において、本明細書に記載の組成物は、NR4A3遺伝子を標的とし得るgRNAで修飾されている細胞(例えば、免疫細胞)を含み、gRNAは、配列番号56に示される配列を含む、それからなる、またはそれから本質的になる。いくつかの態様において、本明細書に記載の組成物は、NR4A3遺伝子を標的とし得るgRNAで修飾されている細胞(例えば、免疫細胞)を含み、gRNAは、配列番号57に示される配列を含む、それからなる、またはそれから本質的になる。いくつかの態様において、本明細書に記載の組成物は、NR4A3遺伝子を標的とし得るgRNAで修飾されている細胞(例えば、免疫細胞)を含み、gRNAは、配列番号58に示される配列を含む、それからなる、またはそれから本質的になる。いくつかの態様において、本明細書に記載の組成物は、NR4A3遺伝子を標的とし得るgRNAで修飾されている細胞(例えば、免疫細胞)を含み、gRNAは、配列番号59に示される配列を含む、それからなる、またはそれから本質的になる。いくつかの態様において、本明細書に記載の組成物は、NR4A3遺伝子を標的とし得るgRNAで修飾されている細胞(例えば、免疫細胞)を含み、gRNAは、配列番号60に示される配列を含む、それからなる、またはそれから本質的になる。いくつかの態様において、本明細書に記載の組成物は、NR4A3遺伝子を標的とし得るgRNAで修飾されている細胞(例えば、免疫細胞)を含み、gRNAは、配列番号61に示される配列を含む、それからなる、またはそれから本質的になる。いくつかの態様において、本明細書に記載の組成物は、NR4A3遺伝子を標的とし得るgRNAで修飾されている細胞(例えば、免疫細胞)を含み、gRNAは、配列番号62に示される配列を含む、それからなる、またはそれから本質的になる。いくつかの態様において、本明細書に記載の組成物は、NR4A3遺伝子を標的とし得るgRNAで修飾されている細胞(例えば、免疫細胞)を含み、gRNAは、配列番号63に示される配列を含む、それからなる、またはそれから本質的になる。いくつかの態様において、本明細書に記載の組成物は、NR4A3遺伝子を標的とし得るgRNAで修飾されている細胞(例えば、免疫細胞)を含み、gRNAは、配列番号64に示される配列を含む、それからなる、またはそれから本質的になる。いくつかの態様において、本明細書に記載の組成物は、NR4A3遺伝子を標的とし得るgRNAで修飾されている細胞(例えば、免疫細胞)を含み、gRNAは、配列番号65に示される配列を含む、それからなる、またはそれから本質的になる。いくつかの態様において、本明細書に記載の組成物は、NR4A3遺伝子を標的とし得るgRNAで修飾されている細胞(例えば、免疫細胞)を含み、gRNAは、配列番号66に示される配列を含む、それからなる、またはそれから本質的になる。いくつかの態様において、本明細書に記載の組成物は、NR4A3遺伝子を標的とし得るgRNAで修飾されている細胞(例えば、免疫細胞)を含み、gRNAは、配列番号67に示される配列を含む、それからなる、またはそれから本質的になる。いくつかの態様において、本明細書に記載の組成物は、NR4A3遺伝子を標的とし得るgRNAで修飾されている細胞(例えば、免疫細胞)を含み、gRNAは、配列番号68に示される配列を含む、それからなる、またはそれから本質的になる。いくつかの態様において、本明細書に記載の組成物は、NR4A3遺伝子を標的とし得るgRNAで修飾されている細胞(例えば、免疫細胞)を含み、gRNAは、配列番号69に示される配列を含む、それからなる、またはそれから本質的になる。いくつかの態様において、本明細書に記載の組成物は、NR4A3遺伝子を標的とし得るgRNAで修飾されている細胞(例えば、免疫細胞)を含み、gRNAは、配列番号70に示される配列を含む、それからなる、またはそれから本質的になる。いくつかの態様において、本明細書に記載の組成物は、NR4A3遺伝子を標的とし得るgRNAで修飾されている細胞(例えば、免疫細胞)を含み、gRNAは、配列番号71に示される配列を含む、それからなる、またはそれから本質的になる。いくつかの態様において、本明細書に記載の組成物は、NR4A3遺伝子を標的とし得るgRNAで修飾されている細胞(例えば、免疫細胞)を含み、gRNAは、配列番号72に示される配列を含む、それからなる、またはそれから本質的になる。いくつかの態様において、本明細書に記載の組成物は、NR4A3遺伝子を標的とし得るgRNAで修飾されている細胞(例えば、免疫細胞)を含み、gRNAは、配列番号73に示される配列を含む、それからなる、またはそれから本質的になる。いくつかの態様において、本明細書に記載の組成物は、NR4A3遺伝子を標的とし得るgRNAで修飾されている細胞(例えば、免疫細胞)を含み、gRNAは、配列番号74に示される配列を含む、それからなる、またはそれから本質的になる。いくつかの態様において、本明細書に記載の組成物は、NR4A3遺伝子を標的とし得るgRNAで修飾されている細胞(例えば、免疫細胞)を含み、gRNAは、配列番号75に示される配列を含む、それからなる、またはそれから本質的になる。いくつかの態様において、本明細書に記載の組成物は、NR4A3遺伝子を標的とし得るgRNAで修飾されている細胞(例えば、免疫細胞)を含み、gRNAは、配列番号76に示される配列を含む、それからなる、またはそれから本質的になる。いくつかの態様において、本明細書に記載の組成物は、NR4A3遺伝子を標的とし得るgRNAで修飾されている細胞(例えば、免疫細胞)を含み、gRNAは、配列番号77に示される配列を含む、それからなる、またはそれから本質的になる。いくつかの態様において、本明細書に記載の組成物は、NR4A3遺伝子を標的とし得るgRNAで修飾されている細胞(例えば、免疫細胞)を含み、gRNAは、配列番号78に示される配列を含む、それからなる、またはそれから本質的になる。いくつかの態様において、本明細書に記載の組成物は、NR4A3遺伝子を標的とし得るgRNAで修飾されている細胞(例えば、免疫細胞)を含み、gRNAは、配列番号79に示される配列を含む、それからなる、またはそれから本質的になる。いくつかの態様において、本明細書に記載の組成物は、NR4A3遺伝子を標的とし得るgRNAで修飾されている細胞(例えば、免疫細胞)を含み、gRNAは、配列番号80に示される配列を含む、それからなる、またはそれから本質的になる。いくつかの態様において、本明細書に記載の組成物は、NR4A3遺伝子を標的とし得るgRNAで修飾されている細胞(例えば、免疫細胞)を含み、gRNAは、配列番号81に示される配列を含む、それからなる、またはそれから本質的になる。いくつかの態様において、本明細書に記載の組成物は、NR4A3遺伝子を標的とし得るgRNAで修飾されている細胞(例えば、免疫細胞)を含み、gRNAは、配列番号82に示される配列を含む、それからなる、またはそれから本質的になる。いくつかの態様において、本明細書に記載の組成物は、NR4A3遺伝子を標的とし得るgRNAで修飾されている細胞(例えば、免疫細胞)を含み、gRNAは、配列番号83に示される配列を含む、それからなる、またはそれから本質的になる。いくつかの態様において、本明細書に記載の組成物は、NR4A3遺伝子を標的とし得るgRNAで修飾されている細胞(例えば、免疫細胞)を含み、gRNAは、配列番号84に示される配列を含む、それからなる、またはそれから本質的になる。いくつかの態様において、本明細書に記載の組成物は、NR4A3遺伝子を標的とし得るgRNAで修飾されている細胞(例えば、免疫細胞)を含み、gRNAは、配列番号85に示される配列を含む、それからなる、またはそれから本質的になる。いくつかの態様において、本明細書に記載の組成物は、NR4A3遺伝子を標的とし得るgRNAで修飾されている細胞(例えば、免疫細胞)を含み、gRNAは、配列番号86に示される配列を含む、それからなる、またはそれから本質的になる。いくつかの態様において、本明細書に記載の組成物は、NR4A3遺伝子を標的とし得るgRNAで修飾されている細胞(例えば、免疫細胞)を含み、gRNAは、配列番号87に示される配列を含む、それからなる、またはそれから本質的になる。いくつかの態様において、本明細書に記載の組成物は、NR4A3遺伝子を標的とし得るgRNAで修飾されている細胞(例えば、免疫細胞)を含み、gRNAは、配列番号88に示される配列を含む、それからなる、またはそれから本質的になる。いくつかの態様において、本明細書に記載の組成物は、NR4A3遺伝子を標的とし得るgRNAで修飾されている細胞(例えば、免疫細胞)を含み、gRNAは、配列番号89に示される配列を含む、それからなる、またはそれから本質的になる。いくつかの態様において、本明細書に記載の組成物は、NR4A3遺伝子を標的とし得るgRNAで修飾されている細胞(例えば、免疫細胞)を含み、gRNAは、配列番号90に示される配列を含む、それからなる、またはそれから本質的になる。いくつかの態様において、本明細書に記載の組成物は、NR4A3遺伝子を標的とし得るgRNAで修飾されている細胞(例えば、免疫細胞)を含み、gRNAは、配列番号91に示される配列を含む、それからなる、またはそれから本質的になる。いくつかの態様において、本明細書に記載の組成物は、NR4A3遺伝子を標的とし得るgRNAで修飾されている細胞(例えば、免疫細胞)を含み、gRNAは、配列番号92に示される配列を含む、それからなる、またはそれから本質的になる。いくつかの態様において、本明細書に記載の組成物は、NR4A3遺伝子を標的とし得るgRNAで修飾されている細胞(例えば、免疫細胞)を含み、gRNAは、配列番号93に示される配列を含む、それからなる、またはそれから本質的になる。いくつかの
態様において、本明細書に記載の組成物は、NR4A3遺伝子を標的とし得るgRNAで修飾されている細胞(例えば、免疫細胞)を含み、gRNAは、配列番号94に示される配列を含む、それからなる、またはそれから本質的になる。いくつかの態様において、本明細書に記載の組成物は、NR4A3遺伝子を標的とし得るgRNAで修飾されている細胞(例えば、免疫細胞)を含み、gRNAは、配列番号95に示される配列を含む、それからなる、またはそれから本質的になる。いくつかの態様において、本明細書に記載の組成物は、NR4A3遺伝子を標的とし得るgRNAで修飾されている細胞(例えば、免疫細胞)を含み、gRNAは、配列番号96に示される配列を含む、それからなる、またはそれから本質的になる。いくつかの態様において、本明細書に記載の組成物は、NR4A3遺伝子を標的とし得るgRNAで修飾されている細胞(例えば、免疫細胞)を含み、gRNAは、配列番号97に示される配列を含む、それからなる、またはそれから本質的になる。いくつかの態様において、本明細書に記載の組成物は、NR4A3遺伝子を標的とし得るgRNAで修飾されている細胞(例えば、免疫細胞)を含み、gRNAは、配列番号98に示される配列を含む、それからなる、またはそれから本質的になる。いくつかの態様において、本明細書に記載の組成物は、NR4A3遺伝子を標的とし得るgRNAで修飾されている細胞(例えば、免疫細胞)を含み、gRNAは、配列番号99に示される配列を含む、それからなる、またはそれから本質的になる。
【0324】
いくつかの態様において、本開示のために有用な組成物は、(i)結合分子(例えば、CARまたはTCR)を発現し、(ii)NR4A3遺伝子を標的とし得るgRNAで修飾されている細胞(例えば、免疫細胞)を含み、gRNAは、配列番号30及び52~99のいずれか1つに示される配列を含む、それからなる、またはそれから本質的になる。いくつかの態様において、本明細書に記載の組成物は、(i)結合分子(例えば、CARまたはTCR)を発現し、(ii)NR4A3遺伝子を標的とし得るgRNAで修飾されている細胞(例えば、免疫細胞)を含み、gRNAは、配列番号30に示される配列を含む、それからなる、またはそれから本質的になる。いくつかの態様において、本明細書に記載の組成物は、(i)結合分子(例えば、CARまたはTCR)を発現し、(ii)NR4A3遺伝子を標的とし得るgRNAで修飾されている細胞(例えば、免疫細胞)を含み、gRNAは、配列番号52に示される配列を含む、それからなる、またはそれから本質的になる。いくつかの態様において、本明細書に記載の組成物は、(i)結合分子(例えば、CARまたはTCR)を発現し、(ii)NR4A3遺伝子を標的とし得るgRNAで修飾されている細胞(例えば、免疫細胞)を含み、gRNAは、配列番号53に示される配列を含む、それからなる、またはそれから本質的になる。いくつかの態様において、本明細書に記載の組成物は、(i)結合分子(例えば、CARまたはTCR)を発現し、(ii)NR4A3遺伝子を標的とし得るgRNAで修飾されている細胞(例えば、免疫細胞)を含み、gRNAは、配列番号54に示される配列を含む、それからなる、またはそれから本質的になる。いくつかの態様において、本明細書に記載の組成物は、(i)結合分子(例えば、CARまたはTCR)を発現し、(ii)NR4A3遺伝子を標的とし得るgRNAで修飾されている細胞(例えば、免疫細胞)を含み、gRNAは、配列番号55に示される配列を含む、それからなる、またはそれから本質的になる。いくつかの態様において、本明細書に記載の組成物は、(i)結合分子(例えば、CARまたはTCR)を発現し、(ii)NR4A3遺伝子を標的とし得るgRNAで修飾されている細胞(例えば、免疫細胞)を含み、gRNAは、配列番号56に示される配列を含む、それからなる、またはそれから本質的になる。いくつかの態様において、本明細書に記載の組成物は、(i)結合分子(例えば、CARまたはTCR)を発現し、(ii)NR4A3遺伝子を標的とし得るgRNAで修飾されている細胞(例えば、免疫細胞)を含み、gRNAは、配列番号57に示される配列を含む、それからなる、またはそれから本質的になる。いくつかの態様において、本明細書に記載の組成物は、(i)結合分子(例えば、CARまたはTCR)を発現し、(ii)NR4A3遺伝子を標的とし得るgRNAで修飾されている細胞(例えば、免疫細胞)を含み、gRNAは、配列番号58に示される配列を含む、それからなる、またはそれから本質的になる。いくつかの態様において、本明細書に記載の組成物は、(i)結合分子(例えば、CARまたはTCR)を発現し、(ii)NR4A3遺伝子を標的とし得るgRNAで修飾されている細胞(例えば、免疫細胞)を含み、gRNAは、配列番号59に示される配列を含む、それからなる、またはそれから本質的になる。いくつかの態様において、本明細書に記載の組成物は、(i)結合分子(例えば、CARまたはTCR)を発現し、(ii)NR4A3遺伝子を標的とし得るgRNAで修飾されている細胞(例えば、免疫細胞)を含み、gRNAは、配列番号60に示される配列を含む、それからなる、またはそれから本質的になる。いくつかの態様において、本明細書に記載の組成物は、(i)結合分子(例えば、CARまたはTCR)を発現し、(ii)NR4A3遺伝子を標的とし得るgRNAで修飾されている細胞(例えば、免疫細胞)を含み、gRNAは、配列番号61に示される配列を含む、それからなる、またはそれから本質的になる。いくつかの態様において、本明細書に記載の組成物は、(i)結合分子(例えば、CARまたはTCR)を発現し、(ii)NR4A3遺伝子を標的とし得るgRNAで修飾されている細胞(例えば、免疫細胞)を含み、gRNAは、配列番号62に示される配列を含む、それからなる、またはそれから本質的になる。いくつかの態様において、本明細書に記載の組成物は、(i)結合分子(例えば、CARまたはTCR)を発現し、(ii)NR4A3遺伝子を標的とし得るgRNAで修飾されている細胞(例えば、免疫細胞)を含み、gRNAは、配列番号63に示される配列を含む、それからなる、またはそれから本質的になる。いくつかの態様において、本明細書に記載の組成物は、(i)結合分子(例えば、CARまたはTCR)を発現し、(ii)NR4A3遺伝子を標的とし得るgRNAで修飾されている細胞(例えば、免疫細胞)を含み、gRNAは、配列番号64に示される配列を含む、それからなる、またはそれから本質的になる。いくつかの態様において、本明細書に記載の組成物は、(i)結合分子(例えば、CARまたはTCR)を発現し、(ii)NR4A3遺伝子を標的とし得るgRNAで修飾されている細胞(例えば、免疫細胞)を含み、gRNAは、配列番号65に示される配列を含む、それからなる、またはそれから本質的になる。いくつかの態様において、本明細書に記載の組成物は、(i)結合分子(例えば、CARまたはTCR)を発現し、(ii)NR4A3遺伝子を標的とし得るgRNAで修飾されている細胞(例えば、免疫細胞)を含み、gRNAは、配列番号66に示される配列を含む、それからなる、またはそれから本質的になる。いくつかの態様において、本明細書に記載の組成物は、(i)結合分子(例えば、CARまたはTCR)を発現し、(ii)NR4A3遺伝子を標的とし得るgRNAで修飾されている細胞(例えば、免疫細胞)を含み、gRNAは、配列番号67に示される配列を含む、それからなる、またはそれから本質的になる。いくつかの態様において、本明細書に記載の組成物は、(i)結合分子(例えば、CARまたはTCR)を発現し、(ii)NR4A3遺伝子を標的とし得るgRNAで修飾されている細胞(例えば、免疫細胞)を含み、gRNAは、配列番号68に示される配列を含む、それからなる、またはそれから本質的になる。いくつかの態様において、本明細書に記載の組成物は、(i)結合分子(例えば、CARまたはTCR)を発現し、(ii)NR4A3遺伝子を標的とし得るgRNAで修飾されている細胞(例えば、免疫細胞)を含み、gRNAは、配列番号69に示される配列を含む、それからなる、またはそれから本質的になる。いくつかの態様において、本明細書に記載の組成物は、(i)結合分子(例えば、CARまたはTCR)を発現し、(ii)NR4A3遺伝子を標的とし得るgRNAで修飾されている細胞(例えば、免疫細胞)を含み、gRNAは、配列番号70に示される配列を含む、それからなる、またはそれから本質的になる。いくつかの態様において、本明細書に記載の組成物は、(i)結合分子(例えば、CARまたはTCR)を発現し、(ii)NR4A3遺伝子を標的とし得るgRNAで修飾されている細胞(例えば、免疫細胞)を含み、gRNAは、配列番号71に示される配列を含む、それからなる、またはそれから本質的になる。いくつかの態様において、本明細書に記載の組成物は、(i)結合分子(例えば、CARまたはTCR)を発現し、(ii)NR4A3遺伝子を標的とし得るgRNAで修飾されている細胞(例えば、免疫細胞)を含み、gRNAは、配列番号72に示される配列を含む、それからなる、またはそれから本質的になる。いくつかの態様において、本明細書に記載の組成物は、(i)結合分子(例えば、CARまたはTCR)を発現し、(ii)NR4A3遺伝子を標的とし得るgRNAで修飾されている細胞(例えば、免疫細胞)を含み、gRNAは、配列番号73に示される配列を含む、それからなる、またはそれから本質的になる。いくつかの態様において、本明細書に記載の組成物は、(i)結合分子(例えば、CARまたはTCR)を発現し、(ii)NR4A3遺伝子を標的とし得るgRNAで修飾されている細胞(例えば、免疫細胞)を含み、gRNAは、配列番号74に示される配列を含む、それからなる、またはそれから本質的になる。いくつかの態様において、本明細書に記載の組成物は、(i)結合分子(例えば、CARまたはTCR)を発現し、(ii)NR4A3遺伝子を標的とし得るgRNAで修飾されている細胞(例えば、免疫細胞)を含み、gRNAは、配列番号75に示される配列を含む、それからなる、またはそれから本質的になる。いくつかの態様において、本明細書に記載の組成物は、(i)結合分子(例えば、CARまたはTCR)を発現し、(ii)NR4A3遺伝子を標的とし得るgRNAで修飾されている細胞(例えば、免疫細胞)を含み、gRNAは、配列番号76に示される配列を含む、それからなる、またはそれから本質的になる。いくつかの態様において、本明細書に記載の組成物は、(i)結合分子(例えば、CARまたはTCR)を発現し、(ii)NR4A3遺伝子を標的とし得るgRNAで修飾されている細胞(例えば、免疫細胞)を含み、gRNAは、配列番号77に示される配列を含む、それからなる、またはそれから本質的になる。いくつかの態様において、本明細書に記載の組成物は、(i)結合分子(例えば、CARまたはTCR)を発現し、(ii)NR4A3遺伝子を標的とし得るgRNAで修飾されている細胞(例えば、免疫細胞)を含み、gRNAは、配列番号78に示される配列を含む、それからなる、またはそれから本質的になる。いくつかの態様において、本明細書に記載の組成物は、(i)結合分子(例えば、CARまたはTCR)を発現し、(ii)NR4A3遺伝子を標的とし得るgRNAで修飾されている細胞(例えば、免疫細胞)を含み、gRNAは、配列番号79に示される配列を含む、それからなる、またはそれから本質的になる。いくつかの態様において、本明細書に記載の組成物は、(i)結合分子(例えば、CARまたはTCR)を発現し、(ii)NR4A3遺伝子を標的とし得るgRNAで修飾されている細胞(例えば、免疫細胞)を含み、gRNAは、配列番号80に示される配列を含む、それからなる、またはそれから本質的になる。いくつかの態様において、本明細書に記載の組成物は、(i)結合分子(例えば、CARまたはTCR)を発現し、(ii)NR4A3遺伝子を標的とし得るgRNAで修飾されている細胞(例えば、免疫細胞)を含み、gRNAは、配列番号81に示される配列を含む、それからなる、またはそれから本質的になる。いくつかの態様において、本明細書に記載の組成物は、(i)結合分子(例えば、CARまたはTCR)を発現し、(ii)NR4A3遺伝子を標的とし得るgRNAで修飾されている細胞(例えば、免疫細胞)を含み、gRNAは、配列番号82に示される配列を含む、それからなる、またはそれから本質的になる。いくつかの態様において、本明細書に記載の組成物は、(i)結合分子(例えば、CARまたはTCR)を発現し、(ii)NR4A3遺伝子を標的とし得るgRNAで修飾されている細胞(例えば、免疫細胞)を含み、gRNAは、配列番号83に示される配列を含む、それからなる、またはそれから本質的になる。いくつかの態様において、本明細書に記載の組成物は、(i)結合分子(例えば、CARまたはTCR)を発現し、(ii)NR4A3遺伝子を標的とし得るgRNAで修飾されている細胞(例えば、免疫細胞)を含み、gRNAは、配列番号84に示される配列を含む、それからなる、またはそれから本質的になる。いくつかの態様において、本明細書に記載の組成物は、(i)結合分子(例えば、CARまたはTCR)を発現し、(ii)NR4A3遺伝子を標的とし得るgRNAで修飾されている細胞(例えば、免疫細胞)を含み、
gRNAは、配列番号85に示される配列を含む、それからなる、またはそれから本質的になる。いくつかの態様において、本明細書に記載の組成物は、(i)結合分子(例えば、CARまたはTCR)を発現し、(ii)NR4A3遺伝子を標的とし得るgRNAで修飾されている細胞(例えば、免疫細胞)を含み、gRNAは、配列番号86に示される配列を含む、それからなる、またはそれから本質的になる。いくつかの態様において、本明細書に記載の組成物は、(i)結合分子(例えば、CARまたはTCR)を発現し、(ii)NR4A3遺伝子を標的とし得るgRNAで修飾されている細胞(例えば、免疫細胞)を含み、gRNAは、配列番号87に示される配列を含む、それからなる、またはそれから本質的になる。いくつかの態様において、本明細書に記載の組成物は、(i)結合分子(例えば、CARまたはTCR)を発現し、(ii)NR4A3遺伝子を標的とし得るgRNAで修飾されている細胞(例えば、免疫細胞)を含み、gRNAは、配列番号88に示される配列を含む、それからなる、またはそれから本質的になる。いくつかの態様において、本明細書に記載の組成物は、(i)結合分子(例えば、CARまたはTCR)を発現し、(ii)NR4A3遺伝子を標的とし得るgRNAで修飾されている細胞(例えば、免疫細胞)を含み、gRNAは、配列番号89に示される配列を含む、それからなる、またはそれから本質的になる。いくつかの態様において、本明細書に記載の組成物は、(i)結合分子(例えば、CARまたはTCR)を発現し、(ii)NR4A3遺伝子を標的とし得るgRNAで修飾されている細胞(例えば、免疫細胞)を含み、gRNAは、配列番号90に示される配列を含む、それからなる、またはそれから本質的になる。いくつかの態様において、本明細書に記載の組成物は、(i)結合分子(例えば、CARまたはTCR)を発現し、(ii)NR4A3遺伝子を標的とし得るgRNAで修飾されている細胞(例えば、免疫細胞)を含み、gRNAは、配列番号91に示される配列を含む、それからなる、またはそれから本質的になる。いくつかの態様において、本明細書に記載の組成物は、(i)結合分子(例えば、CARまたはTCR)を発現し、(ii)NR4A3遺伝子を標的とし得るgRNAで修飾されている細胞(例えば、免疫細胞)を含み、gRNAは、配列番号92に示される配列を含む、それからなる、またはそれから本質的になる。いくつかの態様において、本明細書に記載の組成物は、(i)結合分子(例えば、CARまたはTCR)を発現し、(ii)NR4A3遺伝子を標的とし得るgRNAで修飾されている細胞(例えば、免疫細胞)を含み、gRNAは、配列番号93に示される配列を含む、それからなる、またはそれから本質的になる。いくつかの態様において、本明細書に記載の組成物は、(i)結合分子(例えば、CARまたはTCR)を発現し、(ii)NR4A3遺伝子を標的とし得るgRNAで修飾されている細胞(例えば、免疫細胞)を含み、gRNAは、配列番号94に示される配列を含む、それからなる、またはそれから本質的になる。いくつかの態様において、本明細書に記載の組成物は、(i)結合分子(例えば、CARまたはTCR)を発現し、(ii)NR4A3遺伝子を標的とし得るgRNAで修飾されている細胞(例えば、免疫細胞)を含み、gRNAは、配列番号95に示される配列を含む、それからなる、またはそれから本質的になる。いくつかの態様において、本明細書に記載の組成物は、(i)結合分子(例えば、CARまたはTCR)を発現し、(ii)NR4A3遺伝子を標的とし得るgRNAで修飾されている細胞(例えば、免疫細胞)を含み、gRNAは、配列番号96に示される配列を含む、それからなる、またはそれから本質的になる。いくつかの態様において、本明細書に記載の組成物は、(i)結合分子(例えば、CARまたはTCR)を発現し、(ii)NR4A3遺伝子を標的とし得るgRNAで修飾されている細胞(例えば、免疫細胞)を含み、gRNAは、配列番号97に示される配列を含む、それからなる、またはそれから本質的になる。いくつかの態様において、本明細書に記載の組成物は、(i)結合分子(例えば、CARまたはTCR)を発現し、(ii)NR4A3遺伝子を標的とし得るgRNAで修飾されている細胞(例えば、免疫細胞)を含み、gRNAは、配列番号98に示される配列を含む、それからなる、またはそれから本質的になる。いくつかの態様において、本明細書に記載の組成物は、(i)結合分子(例えば、CARまたはTCR)を発現し、(ii)NR4A3遺伝子を標的とし得るgRNAで修飾されている細胞(例えば、免疫細胞)を含み、gRNAは、配列番号99に示される配列を含む、それからなる、またはそれから本質的になる。
【0325】
いくつかの態様において、上述した組成物のいずれかは、薬学的に許容可能な担体、賦形剤、または安定化剤をさらに含む。当業者に明らかになるように、特記なき限り、「組成物」及び「薬学的組成物」という用語は、同義に使用され得る。したがって、薬学的組成物に関する任意の好適な開示は、組成物に同等に適用され得る。同様に、組成物に関する任意の好適な開示は、薬学的組成物に同等に適用され得る。
【0326】
本明細書に記載されるように、本明細書に記載の薬学的組成物のいずれかは、がんを予防及び/または処置するために使用され得る。本明細書に記載されるように、いくつかの態様において、本明細書に開示される薬学的組成物に存在する修飾された細胞は、T細胞(例えば、CARまたはTCRを発現するT細胞)またはNK細胞(例えば、CARまたはTCRを発現するNK細胞)などの免疫細胞である。
【0327】
許容可能な担体、賦形剤、または安定剤は、用いられる投与量及び濃度でレシピエントに対して無毒であり、リン酸、クエン酸、及び他の有機酸などのバッファー;アスコルビン酸及びメチオニンを含む抗酸化剤;防腐剤(オクタデシルジメチルベンジルアンモニウムクロリド;ヘキサメトニウムクロリド;ベンザルコニウムクロリド、ベンゼトニウムクロリド;フェノールアルコール、ブチルアルコール、もしくはベンジルアルコール;メチルパラベンもしくはプロピルパラベンなどのアルキルパラベン;カテコール;レゾルシノール;シクロヘキサノール;3-ペンタノール;及びm-クレゾールなど);低分子量(約10残基未満)ポリペプチド;血清アルブミン、ゼラチン、もしくは免疫グロブリンなどのタンパク質;ポリビニルピロリドンなどの親水性ポリマー;グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニン、もしくはリジンなどのアミノ酸;単糖、二糖、及び他の炭水化物、例えばグルコース、マンノース、もしくはデキストリン;EDTAなどのキレート剤;スクロース、マンニトール、トレハロースもしくはソルビトールなどの糖;ナトリウムなどの塩形成対イオン;金属錯体(例えば、Zn-タンパク質錯体);及び/または非イオン性界面活性剤、例えばTWEEN(登録商標)、PLURONICS(登録商標)もしくはポリエチレングリコール(PEG)を含む。
【0328】
薬学的組成物は、対象に対するあらゆる投与経路用に配合され得る。投与経路の特定例としては、筋肉内、皮下、眼内、静脈内、腹腔内、皮内、眼窩内、脳内、頭蓋内、脊髄内、心室内、髄腔内、大槽内、嚢内、または腫瘍内が挙げられる。皮下、筋肉内、または静脈内のいずれかの注射を特徴とする非経口投与も、本明細書では想定される。注射物は、液体の溶液もしくは懸濁液、注射前に液体中の溶液もしくは懸濁液に好適な固体形態、またはエマルジョンのいずれかとして、従来の形態で調製され得る。注射物、溶液、及びエマルジョンはまた、1以上の賦形剤を含む。好適な賦形剤は、例えば、水、食塩水、デキストロース、グリセロール、またはエタノールである。さらに、所望の場合、投与される薬学的組成物は、微量の非毒性補助物質、例えば、湿潤剤または乳化剤、pH緩衝剤、安定剤、溶解度向上剤、及び他のかかる薬剤、例えば、酢酸ナトリウム、モノラウリン酸ソルビタン、オレイン酸トリエタノールアミン、及びシクロデキストリンなどを含んでもよい。
【0329】
非経口調製物で使用される薬学的に許容可能な担体には、水性ビヒクル、非水性ビヒクル、抗微生物剤、等張剤、バッファー、抗酸化剤、局所麻酔剤、懸濁剤及び分散剤、乳化剤、封鎖剤またはキレート剤、ならびに他の薬学的に許容できる物質が含まれる。水性ビヒクルの例には、塩化ナトリウム注射液、リンゲル注射液、等張デキストロース注射液、滅菌水注射液、デキストロース、及び乳酸加リンゲル注射液が含まれる。非水性非経口ビヒクルには、植物由来の不揮発性油、綿実油、コーン油、ゴマ油及びピーナッツ油が含まれる。フェノールまたはクレゾール、水銀剤、ベンジルアルコール、クロロブタノール、メチル及びプロピルp-ヒドロキシ安息香酸エステル、チメロサール、ベンザルコニウムクロリド、及びベンゼトニウムクロリドを含む複数用量容器に包装される非経口調製物に、静菌性または静真菌性の濃度の抗微生物剤を加えてもよい。等張剤は、塩化ナトリウム及びデキストロースを含む。バッファーは、リン酸塩及びクエン酸塩を含む。抗酸化剤は、重硫酸ナトリウムを含む。局所麻酔剤は、塩酸プロカインを含む。懸濁剤及び分散剤は、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、及びポリビニルピロリドンを含む。乳化剤には、ポリソルベート80(TWEEN(登録商標)80)が含まれる。金属イオンの封鎖剤またはキレート剤は、EDTAを含む。薬学的担体は、水混和性ビヒクル用のエチルアルコール、ポリエチレングリコール、及びプロピレングリコール、ならびにpH調整用の水酸化ナトリウム、塩酸、クエン酸、または乳酸も含む。
【0330】
非経口投与用の調製物は、そのまま注射できる無菌溶液、使用直前に溶媒と組み合わされる無菌の乾燥した可溶性製品、例えば凍結乾燥粉末を含み、皮下錠剤、そのまま注射できる無菌懸濁液、使用直前にビヒクルと組み合わされる無菌の乾燥した不溶性製品、及び無菌エマルジョンを含む。溶液は、水性または非水性のいずれであってもよい。
【0331】
静脈内投与される場合、好適な担体には、生理食塩水またはリン酸緩衝食塩水(PBS)、ならびに増粘剤及び可溶化剤(グルコース、ポリエチレングリコール、及びポリプロピレングリコール、ならびにこれらの混合物など)を含む溶液が含まれる。
【0332】
本明細書に提供される薬学的組成物は、特定の組織、受容体、または処置される対象の身体の他の領域を標的とするように配合されてもよい。そのような標的化方法の多くが当業者に周知である。本明細書では、そのような標的化方法のすべてが本発明の組成物の使用において想定される。標的化方法の非限定的な例については、例えば、各々が全体として参照により本明細書に組み込まれる米国特許第6,316,652号、同第6,274,552号、同第6,271,359号、同第6,253,872号、同第6,139,865号、同第6,131,570号、同第6,120,751号、同第6,071,495号、同第6,060,082号、同第6,048,736号、同第6,039,975号、同第6,004,534号、同第5,985,307号、同第5,972,366号、同第5,900,252号、同第5,840,674号、同第5,759,542号、及び同第5,709,874号を参照されたい。
【0333】
in vivo投与に使用される組成物は、滅菌されていてもよい。これは、例えば、滅菌濾過膜を介する濾過によって容易に達成され得る。
【0334】
本開示はまた、例えば、免疫細胞の集団における持続的記憶及び/またはエフェクター機能を促進する、本明細書に記載の1つ以上の方法のための手段を含む細胞組成物を提供する。いくつかの態様において、本開示は、免疫細胞の集団における疲弊及び/または機能不全を低減、改善、または阻害するための手段を含む細胞組成物を提供する。いくつかの態様において、手段は、免疫細胞の集団におけるNR4A3遺伝子及び/またはNR4A3タンパク質の発現を(単独でまたはNR4A1遺伝子及び/またはNR4A1タンパク質及び/またはNR4A2遺伝子及び/またはNR4A2タンパク質と組み合わせて)修飾することを含む。いくつかの態様において、手段は、免疫細胞の集団におけるNR4A3遺伝子及び/またはNR4A3タンパク質の発現を修飾することを含む。
【0335】
VIII.キット
本開示はまた、本開示の方法のいずれかを実施するためのキットを提供する。いくつかの態様において、本開示は、(i)NR4A3遺伝子及び/またはNR4A3タンパク質の発現を(単独でまたはNR4A1遺伝子及び/またはNR4A1タンパク質及び/またはNR4A2遺伝子及び/またはNR4A2タンパク質と組み合わせて)低減するための遺伝子編集ツール(例えば、配列番号30及び52~99のいずれか1つに示される配列を含む、それからなる、またはそれから本質的になるgRNAを含む)、または(ii)それらの組み合わせ、及び任意に本明細書に開示される方法のいずれかに従って腫瘍を処置するための指示書を含むキットを提供する。また、(i)NR4A3遺伝子及び/またはNR4A3タンパク質の発現を(単独でまたはNR4A1遺伝子及び/またはNR4A1タンパク質及び/またはNR4A2遺伝子及び/またはNR4A2タンパク質と組み合わせて)低減するための遺伝子編集ツール(例えば、配列番号30及び52~99のいずれか1つに示される配列を含む、それからなる、またはそれから本質的になる)、または(ii)それらの組み合わせ、及び任意に本明細書に開示される方法に従って細胞組成物を調製するための指示書を含むキットが提供される。
【0336】
本開示はまた、本開示の方法のいずれかを実施するためのキットを提供する。いくつかの態様において、本開示は、(i)NR4A3遺伝子及び/またはNR4A3タンパク質の発現を(単独でまたはNR4A1遺伝子及び/またはNR4A1タンパク質及び/またはNR4A2遺伝子及び/またはNR4A2タンパク質と組み合わせて)低減するための遺伝子編集ツール(例えば、配列番号30及び52~99のいずれか1つに示される配列を含む、それからなる、またはそれから本質的になる)、(ii)リガンド結合タンパク質(例えば、キメラ抗原受容体(CAR)(例えば、ROR1 CAR)またはT細胞受容体(TCR))を含むベクター、または(iii)それらの組み合わせ、及び任意に本明細書に開示される方法のいずれかに従って腫瘍を処置するための指示書を含むキットを提供する。また、(i)NR4A3遺伝子及び/またはNR4A3タンパク質の発現を(単独でまたはNR4A1遺伝子及び/またはNR4A1タンパク質及び/またはNR4A2遺伝子及び/またはNR4A2タンパク質と組み合わせて)低減するための遺伝子編集ツール(例えば、配列番号30及び52~99のいずれか1つに示される配列を含む、それからなる、またはそれから本質的になる)、(ii)リガンド結合タンパク質(例えば、キメラ抗原受容体(CAR)またはT細胞受容体(TCR))を含むベクター、または(iii)それらの組み合わせ、及び任意に本明細書に開示される方法に従って細胞組成物を調製するための指示書を含むキットが提供される。
【0337】
いくつかの態様において、本開示は、本明細書に開示される組成物、例えば、(i)NR4A3遺伝子及び/またはNR4A3タンパク質(単独でまたはNR4A1遺伝子及び/またはNR4A1タンパク質及び/またはNR4A2遺伝子及び/またはNR4A2タンパク質と組み合わせて)の低減された発現を示す細胞、例えば、免疫細胞、(ii)NR4A3遺伝子を標的とする少なくとも1つのgRNA、(iii)少なくとも1つのgRNAをコードする核酸(例えば、ベクター)、(iv)少なくとも1つのgRNA及びCasタンパク質(例えば、Cas9)、(v)gRNA及びCasタンパク質(例えば、Cas9)をコードする少なくとも1つの核酸(例えば、ベクター)、(vi)gRNAをコードする少なくとも1つの核酸(例えば、第1のベクター)及びCasタンパク質、例えば、Cas9をコードする核酸(例えば、第2のベクター)、(vii)少なくとも1つのgRNA及び少なくとも1つのCasタンパク質、例えば、Cas9をコードする核酸を含む単一のベクター、(vii)CARまたはTCRをコードするベクターまたはベクターのセットを含むキットを提供する。いくつかの態様において、キットは、NR4A3を標的とするCas9 RNP(例えば、sgRNAGCUCGAGUAGCCCUCCACGA(配列番号30)を含むCas9 RNP)を含む。NR4A3遺伝子を標的とする他のCas9 RNPの非限定的な例、ならびにNR4A1及び/またはNR4A2遺伝子を標的とするものは、本開示において他の箇所に提供される(例えば、表A、C及びDを参照されたい)。いくつかの態様において、キットは、それらの使用のための指示書をさらに含む。
【0338】
本開示は、本明細書に開示される修飾された細胞(例えば、免疫細胞)を含むがんの処置のためのキットであって、細胞は、NR4A3遺伝子及び/またはNR4A3タンパク質の低減された発現を(単独でまたは低減したレベルのNR4A1遺伝子及び/またはNR4A1タンパク質及び/またはNR4A2遺伝子及び/またはNR4A2タンパク質と組み合わせて)示す、キットを提供する。本開示は、本明細書に開示される修飾された細胞(例えば、免疫細胞)を含むがんの処置のためのキットであって、細胞は、NR4A3遺伝子及び/またはNR4A3タンパク質の低減された発現を(単独でまたは低減したレベルのNR4A1遺伝子及び/またはNR4A1タンパク質及び/またはNR4A2遺伝子及び/またはNR4A2タンパク質と組み合わせて)示し、細胞は、CAR及び/またはTCRを発現する、キットを提供する。
【0339】
いくつかの態様において、キットは、本明細書に開示される少なくとも1つのgRNA(例えば、配列番号30及び52~99のいずれか1つに示される配列を含む、それからなる、またはそれから本質的になるgRNAを含む)、本明細書に開示されるgRNAをコードする少なくとも1つの単離されたポリヌクレオチド、本明細書に開示されるgRNAをコードする少なくとも1つのベクター、本明細書に開示されるgRNAをコードする少なくとも1つのベクターを含む細胞、またはそれらの組み合わせを含む。いくつかの態様において、キットは、Cas9タンパク質、Cas9タンパク質をコードする単離されたポリヌクレオチド、またはCas9タンパク質をコードするポリヌクレオチドを含むベクターをさらに含む。
【0340】
本開示は、少なくとも1つの容器手段であって、その中に上記gRNA、Cas9;ベクター、細胞、またはそれらの組み合わせのうちの少なくとも1つが配置された、少なくとも1つの容器手段を、NR4A3遺伝子及び/またはNR4A3タンパク質の発現を(単独でまたは低減したレベルのNR4A1遺伝子及び/またはNR4A1タンパク質及び/またはNR4A2遺伝子及び/またはNR4A2タンパク質と組み合わせて)低減するための指示書と一緒に含むキットまたはパッケージをさらに提供する。
【0341】
いくつかの態様において、キットは、少なくとも1つの上流gRNA及び下流gRNAを含む。したがって、一部において、キットは、(i)配列番号31~38のいずれか1つのスペーサー配列を含む少なくとも1つのgRNA、及び(ii)配列番号41~42のいずれか1つのスペーサー配列を含む少なくとも1つのgRNAを含む。
【0342】
特定の態様において、キットは、S.aureusキメラフレーム、例えば、配列番号39の配列に作動可能に連結された配列番号31~38のS.pyogenesスペーサー配列を含むgRNAを含む。
【0343】
いくつかの態様において、特定の細菌種Cas9(例えば、S.pyogenes Cas9)のためのgRNAを含む各キットは、そのようなCas9をさらに含む。
【0344】
いくつかの態様において、キットは、がん抗原を標的とするCAR及び/またはTCRを発現する1つ以上の細胞、培養物、または細胞の集団を含む。
【実施例】
【0345】
実施例1-ガイドRNAスクリーニング及び修飾されたT細胞の生成
ヒトT細胞疲弊に打ち勝つ際の各NR4Aメンバーの役割を調べるために、ROR1-R12キメラ抗原受容体(CAR)T細胞及びNY-ESO-1T細胞受容体(TCR)T細胞モデルを使用した。ROR1 CARまたはNY-ESO-1 TCRで形質導入されたヒトT細胞における各NR4Aファミリーメンバーのタンパク質発現を特異的に低減したCRISPR-Cas9ガイドRNA(gRNA)を同定した。
【0346】
NR4A1及びNR4A2のためのCRISPR-Cas9ガイドRNAが表Aに示されている。実施例2~7に記載の実験において、NR4A1 sgRNA5及び6を組み合わせて使用し、NR4A2 sgRNA1、2、及び3を組み合わせて使用した。
【表5】
【0347】
NR4A3に特異的な単一のgRNAを設計し、スクリーニングして、3つの独立した実験(v0、v1、及びv2)における最大編集効率及び最大タンパク質低減を有するgRNAを同定した。すべてのgRNAスクリーニングについて、単離されたドナーCD4+及びCD8+T細胞をAllCellsから購入した。CD4+及びCD8+T細胞を解凍し、活性化のために1%(v/v)TransAct(Miltenyi)と1:1の比で24時間混合した。活性化したT細胞を抗ROR1 CARをコードするバイシストロン性(v0)またはトリシストロン性レンチウイルスベクター(v2)で24時間後に形質導入し、または形質導入しないままとした(v1)。次いでT細胞を、修飾されたガイドRNA(Synthego;v0-表B、v1-表C及びv2-表D)及びLonza 4D Nucleofector単位を利用してヒトNR4A3を標的とするCas9 RNPでエレクトロポレーションした。エレクトロポレーションされたT細胞を増殖のためにG-Rex培養プレートに移してから、CryoStor培地中で7日目に凍結保存した。1つのドナーを実験v0及びv1において使用した一方で、2つの独立したドナーを実験v2において使用した。7日目にフローサイトメトリーによってタンパク質低減の効率を評価するために、3×105 NR4A3編集または対照(RNPでエレクトロポレーションした)T細胞を96ウェル丸底プレート(Corning)において200μLのRPMI-1640(Gibco)+10%ウシ胎仔血清(Gibco)+1%ペニシリン/ストレプトマイシン中でCD3/CD28 Dynabeads(v0及びv1)またはPMA+イオノマイシン(v2)で2時間37Cで刺激して最大NR4A3発現を誘導した。刺激後、細胞を上述したように表面マーカーで染色した。次いで細胞を固定し、製造業者の指示書に従ってFoxP3転写因子染色緩衝液キット(eBiosciences)で透過処理し、細胞内染色をカスタム蛍光色素コンジュゲートNR4A3抗体(R&D Systems)を使用して実施した。
【0348】
v0におけるgRNAのいずれも、対照非編集細胞と比較してNR4A3タンパク質発現を低減しなかった(表B)。NGSによる確認的ゲノム編集効率は実施しなかった。v1において、7つすべてのgRNAが非編集対照と比較してNR4A3タンパク質発現を低減し、NGS編集効率を実施した。2つのガイド(g4及びg8)は、最も高いゲノム編集を有していた(総パーセントT細胞分散によって測定される場合)。高い編集効率にもかかわらず、ゲノムバリアントのインデル特性化は、g8が高い頻度の望ましくないインフレーム欠失をもたらしたことを明らかにした(表C)。v2において、上位14個のgRNAは、NR4A3タンパク質発現が非編集対照と比較して低減され、及び/または両方のドナーについてベンチマークg4に対して同様/より良好であったKO条件に基づいて選択した(表D)。選択された条件をNGS分析によってゲノム編集効率を確認するためにさらに評価した。
【表6】
【表7】
【表8-1】
【表8-2】
【表8-3】
【0349】
以下の実施例においてより詳細に記載されているように、NR4A3編集ROR1 CAR T細胞(NR4A3 gRNA g4配列番号30を使用して編集した)は、最も高い機能的利益を示し、対照ROR1 CAR T細胞と比較して連続的ROR1抗原曝露後に有意に長い細胞傷害性、サイトカイン生成、T細胞持続性、及び改善された表現型を実証した。NR4A3編集NY-ESO-1 TCR T細胞はまた、最も高い機能的利益を示し、対照NY-ESO-1 TCR T細胞と比較して連続的NY-ESO-1抗原曝露後に長い細胞傷害性及びサイトカイン生成を実証した。
【0350】
実施例2-低減したNR4A3発現
NR4Aタンパク質発現の低減を、フローサイトメトリーによってNR4A編集ROR1 CAR T細胞(NR4A3 sgRNA g4、配列番号30を使用して編集した)において検証した。CD3/CD28 Dynabeadsでの刺激を使用して最大NR4A発現を誘導した。フローサイトメトリー分析のため、NR4A編集ROR1 CAR T細胞を、生死色素で10分間室温(RT)で染色し、TruStain FcX(Biolegend)で5分間室温でブロッキングし、CCR7で15分間37Cで染色し、次いで表面マーカー抗体で10分間室温で染色した。すべての染色をBiolegend細胞染色緩衝液中で実施した。
【0351】
3×105個のNR4A編集または対照ROR1 CAR T細胞を96ウェル丸底プレート(Corning)において200uLのRPMI-1640(Gibco)+10%ウシ胎仔血清(Gibco)+1%ペニシリン/ストレプトマイシン中でCD3/CD28 Dynabeads(Thermo Fisher)で3:1のビーズ対細胞比で2時間37Cで刺激して最大NR4A3発現を誘導した。刺激後、Dynabeadsを除去し、細胞を上述したように表面マーカーで染色した。次いで細胞を固定し、製造業者の指示書に従ってFoxP3転写因子染色緩衝液キット(eBiosciences)で透過処理した。カスタム蛍光色素コンジュゲートNR4A抗体(R&D Systems)を染色のために使用した。
【0352】
NR4A3タンパク質発現は、非編集対照と比較してNR4A3編集ROR1 CD4
+及びCD8
+CAR T細胞において有意に低減した(
図1A及び1B)。同様に、NR4A1及びNR4A2遺伝子に特異的なCRISPR-Cas9 gRNAを使用して高い効率のNR4A1及びNR4A2タンパク質低減が達成された(データは示されていない)。ROR1 CAR(EGFR
+R12
+として特定される)の発現は、試験された5つのドナーにわたって同様であり、NR4A編集によって影響を受けなかった(
図2)。
【0353】
実施例3-逐次刺激における持続した細胞傷害性及びサイトカイン生成
CAR T細胞が抗原に逐次または慢性的に曝露される2つのin vitro疲弊アッセイにおいてNR4A編集ROR1 CAR T細胞の機能を評価した。
【0354】
逐次刺激アッセイにおいて、NR4A編集ROR1 CAR T細胞をH1975 NSCLC ROR1を発現する腫瘍細胞株を用いて5回の連続刺激に供した。特に、凍結保存されたNR4A編集または対照ROR1 CAR T細胞を解凍し、フラット24ウェルアッセイプレート(Eppendorf)において三連でRPMI-1640(Gibco)+10%ウシ胎仔血清(Gibco)+1%ペニシリン/ストレプトマイシン中でH1975-NLR腫瘍細胞と1:1のE:T比で直ちに培養した。3日間の共培養後に、ウェルを再懸濁し、培養物の25%をウェル当たり同じ初期数の新たな腫瘍細胞を有する新たなプレートに移した。これを合計で5回の刺激について繰り返した。細胞傷害性をIncucyteにおいてアッセイ中に連続的に測定し、各々の新たな刺激を設定してから24時間後に上清を収集してサイトカインレベルを測定した。三連の共培養ウェルからの残りの細胞を、上述したように表現型フロー分析のために組み合わせた。NR4A3編集ROR1 CAR T細胞は、H1975腫瘍細胞に対してより高い細胞傷害性を保持し、NR4A1、NR4A2、または対照非編集ROR1 CAR T細胞と比較して3~5ラウンドの刺激後に標的細胞を溶解する持続的能力を実証した(
図3)。
【0355】
持続した細胞傷害性に加えて、NR4A3編集ROR1 CAR T細胞は、H1975 NSCLC ROR1を発現する腫瘍細胞で刺激した場合、NR4A1、NR4A2、または対照非編集ROR1 CAR T細胞と比較してより高いレベルのIFN-γ、IL-2、及びTNF-αを生成した(
図4A、4B、4C)。サイトカインレベルを、Meso Scale Discovery V-Plex炎症誘発パネル1ヒトキットまたはカスタムヒトIFN-g、IL-2、及びTNF-aサイトカインキットを使用して製造業者の指示書に従って測定した。
【0356】
サイトカイン生成の差は、後のラウンドの刺激後に最も顕著であり、NR4A3ノックアウトが、長期抗原刺激後に持続した機能的活性及び/または改善されたCAR T細胞生存に寄与することを示唆している。実際に、逐次刺激アッセイからのNR4A3編集T細胞は、いくつかのラウンドの刺激後にNR4A1、NR4A2、または対照非編集T細胞よりも高い頻度のROR1 CAR発現T細胞を維持した(
図5A)。結果的に、これは、刺激ラウンド2~3で総NR4A3編集ROR1 CAR T細胞数の増加した持続性に相関する(
図5B)。NR4A3編集ROR1 CAR T細胞はまた、H1975腫瘍細胞に対する第2の逐次刺激後にNR4A1、NR4A2、または対照非編集CAR T細胞よりも有意に少ないLAG3及びCD39の発現を有していた(
図6)。
【0357】
T細胞疲弊のin vitro逐次刺激モデルは、NR4A3編集ROR1 CAR T細胞が、5つの独立したドナーにおいてROR1を発現するH1975腫瘍細胞に対する向上した及び持続した細胞傷害性及びサイトカイン生成を示すことを明らかにした。後のラウンドの刺激での増加した機能的活性は、少なくとも部分的に、アッセイ全体を通してNR4A3編集T細胞の増加した持続性によるものである可能性が高い。
【0358】
これらの結果は、第2のROR1+腫瘍細胞株A549を使用して確認され、NR4A3編集ROR1 CAR T細胞が、後の刺激で持続した細胞傷害性及びサイトカイン生成を実証した(データは示されていない)。A549-NucLight Red(NLR)及びH1975-NLR腫瘍細胞株を、アッセイを設定する前にRPMI-1640(Gibco)+10%ウシ胎仔血清(Gibco)+1%ペニシリン/ストレプトマイシン中で2~3継代培養した。細胞をTrypLE Express酵素(Gibco)でトリプシン処理した。
【0359】
実施例4-慢性刺激における持続した細胞傷害性及びサイトカイン生成
細胞固有の機能的容量に対するNR4A3ノックアウトの影響をより直接的に測定するために、7日間の慢性刺激アッセイを、NR4A編集ROR1 CAR T細胞が疲弊に打ち勝つ能力を調べるために開発した。このアッセイでは、各再設定時点及び機能的アッセイの前にすべての群にわたってE:T比を再正規化して、機能的リードアウトに対するCAR T細胞数の差の影響を除去した。
【0360】
凍結保存されたNR4A編集または対照ROR1 CAR T細胞を解凍し、TCMにおいて3日間放置し、次いでRPMI-1640(Gibco)+10%ウシ胎仔血清(Gibco)+1%ペニシリン/ストレプトマイシン中でH1975-NLR腫瘍細胞と1:1のエフェクター対標的(E:T)比で培養した。生存CAR T細胞を回収し、回収された活性カスパーゼ3-CD3+EGFR+R12+細胞の数についてフローサイトメトリーによって定量し、合計で7日間、2~3日毎に新たな腫瘍細胞を1:1のE:T比で再播種した。NR4A編集ROR1 CAR T細胞を、生死色素で10分間室温(RT)で染色し、TruStain FcX(Biolegend)で5分間室温でブロッキングし、CCR7で15分間37Cで染色し、次いで表面マーカー抗体で10分間室温で染色した。NR4A編集ROR1 CAR T細胞をさらに固定し、BD Cytofix/CytoPermキットで製造業者の指示書に従って透過処理し、活性カスパーゼ3で染色した。すべての染色をBiolegend細胞染色緩衝液中で実施した。
【0361】
機能的細胞傷害性及びサイトカイン生成を、慢性刺激を開始した0日目及び慢性刺激の終了時の7日目に評価した。細胞傷害性を、A549-NLR腫瘍細胞の場合1:1のE:T比及びH1975-NLR腫瘍細胞の場合1:5のE:Tでフラット96ウェルアッセイプレート(Eppendorf)においてIncucyteを使用して72時間測定した。サイトカインレベルを測定するためにIncucyteアッセイプレートを設定してから24時間後に上清を収集した。
【0362】
逐次刺激アッセイと同様に、NR4A3編集ROR1 CAR T細胞は、NR4A1、NR4A2、または対照非編集CAR T細胞と比較してH1975腫瘍細胞からの7日間の慢性ROR1抗原曝露の後に、より高いレベルのIFN-γ、IL-2、及びTNF-αを生成した(
図7)。同様の知見は、A549腫瘍細胞を使用した7日間の慢性刺激アッセイにおいて観察され、NR4A3編集ROR1 CAR T細胞は、NR4A1、NR4A2、または対照非編集CAR T細胞と比較して増加したサイトカイン生成を維持した(データは示されていない)。EGFR
+R12
+CARを発現する細胞の割合の小さな増加が、H1975慢性刺激中に他のCAR T細胞と比較してNR4A3編集ROR1 CAR T細胞間で観察され(
図8A)、総NR4A3編集ROR1 CAR T細胞数は、7日目にほとんどのドナーにおいてわずかに改善された(
図8B)。さらに、NR4A3編集ROR1 CAR T細胞は、7日間の慢性ROR1抗原曝露後に対照非編集ROR1 CAR T細胞よりも少ない阻害性マーカー発現を有する傾向にあった(統計的に非有意)(
図9)。
【0363】
実施例5-抗腫瘍有効性
最後に、in vitroアッセイからのNR4A3編集ROR1 CAR T細胞の表現型及び改善された機能が再現されるかどうかを決定するためにin vivo H1975異種移植モデルを使用した。
【0364】
親H1975腫瘍細胞を、6~8週齢のNSG HLA二重ノックアウトマウス(Jackson Labs)への埋込前にRPMI-1640(Gibco)+10%ウシ胎仔血清(Gibco)中で3継代培養した。細胞をTrypLE Select酵素でトリプシン処理し、HBSS(Gibco)に再懸濁し、マトリゲル(Corning)と1:1比で混合した。5百万個のH1975腫瘍細胞を各マウスの側腹部に移植した。腫瘍が80~120mm3のサイズに到達したときに、T細胞を無作為化された腫瘍保有マウスに養子移入した。
【0365】
腫瘍体積及び体重を、腫瘍の>2000mm3への到達、>20%の体重減少、潰瘍、呼吸困難、重度に制限された可動性もしくは直立不能、またはT細胞移入から60日後までのエンドポイントまで週2回測定した。
【0366】
養子移入のためのT細胞を調製するために、凍結保存されたNR4A編集または対照ROR1 CAR T細胞を解凍し、腫瘍保有マウスに養子移入する前にRPMI-1640(Gibco)+25mM HEPES(Gibco)で洗浄した。マウスに100uLの0.6百万個(低用量)または2百万個(高用量)の活性カスパーゼ3-CD3+EGFR+R12+T細胞を尾静脈を介して静脈内注射した。処置群当たりn=5匹のマウス。
【0367】
GraphPad Prismの対応のないt検定、対応のあるt検定、及びログ・ランク(Mantel-Cox)検定を統計的分析のために使用した。*p<0.05、**p<0.005、***p<0.001、****p<0.0001。
【0368】
NR4A3編集ROR1 CAR T細胞は、2つの異なる用量レベルのROR1 CAR T細胞で強力で改善された抗腫瘍有効性を示した(
図10A)。その上、NR4A3編集ROR1 CAR T細胞が養子移入されたマウスは、他のT細胞群と比較してT細胞注射から60日後に増加した生存を有していた(
図10B)。
【0369】
NR4A3編集ROR1 CAR T細胞は、2つのin vitroアッセイ(例えば、逐次及び慢性刺激)及びin vivo H1975異種移植モデルによって実証されるように、ROR1 CAR T細胞の頑強な細胞傷害性及びサイトカイン生成、より良好な維持及び持続性を示し、低減した疲弊傾向にある表現型を示した。そのため、ROR1-R12 CAR T細胞との関連でNR4A3を編集することは、ROR1を発現する固形腫瘍に対する細胞免疫療法を改善し得る。
【0370】
実施例6-逐次刺激における持続した細胞傷害性及びサイトカイン生成
低減したNR4AレベルがCAR T細胞機能に対して(特に慢性抗原刺激との関連で)有する効果をさらに評価するために、NR4Aファミリーの複数のメンバーの低減したレベルを有する抗ROR1 CAR T細胞を、実施例1に提供される方法及びsgRNAを使用して生成した。具体的には、以下のNR4Aファミリーメンバーの低減したレベルを有する抗ROR1 CAR T細胞を生成した:(1)NR4A1及びNR4A2の両方(NR4A1+2二重ノックアウト)、(2)NR4A1及びNR4A3の両方(NR4A1+3二重ノックアウト)、(3)NR4A2及びNR4A3の両方(NR4A2+3二重ノックアウト)、及び(4)NR4A1、NR4A2、及びNR4A3(NR4A三重ノックアウト)。非NR4A編集抗ROR1 CAR T細胞ならびに低減したレベルのNR4A1単独、NR4A2単独、及びNR4A3単独を有する抗ROR1 CAR T細胞(実施例1及び2を参照されたい)も比較目的のために使用した。異なる抗ROR1 CAR T細胞を実施例3に記載されているように逐次刺激アッセイにおいて抗原(A549-NLRまたはH1975-NLR細胞のいずれか)で刺激した。細胞傷害性をアッセイ中にIncucyteにおいて連続的に測定し、上清をサイトカインレベルを測定するために各々の新たな刺激を設定してから24時間後に収集した。
【0371】
図11A及び11Bに示されているように、繰り返しの抗原刺激の後であっても、異なる抗ROR1 NR4A二重及び三重ノックアウトCAR T細胞は、モック抗ROR1 CAR T細胞と比較してROR1
+腫瘍細胞を有効に溶解するそれらの能力を維持することができた。持続した細胞傷害性に加えて、NR4A二重及び三重KO抗ROR1 CAR T細胞はまた、繰り返しの抗原刺激後に異なるサイトカイン(IFN-γ、IL-2、及びTNF-α)を生成するそれらの能力を維持した。特に、NR4A3 KOを含有するKO組み合わせ(NR4A1/NR4A3 DKO、NR4A2/NR4A3 DKO及びTKO)は、最も大きな影響を示し、修飾された細胞の向上した活性におけるNR4A3 KOの重要性を確認する。
【0372】
これらの結果はさらに、免疫細胞(例えば、CAR T細胞)においてNR4Aレベルを低減する治療的利益を、特に慢性抗原刺激との関連で実証する。
【0373】
実施例7-逐次刺激における操作されたTCR T細胞の持続した細胞傷害性及びサイトカイン生成
単一のNR4A編集NY-ESO-1 TCR T細胞(TCR T細胞がNR4A1、NR4A2、またはNR4A3のいずれかで編集されている)の機能を、TCR T細胞が逐次抗原に曝露されるin vitro疲弊アッセイにおいて評価した。アッセイを設定する前に、A375-NucLight Red(NLR)腫瘍細胞株を、RPMI-1640(Gibco)+10%ウシ胎仔血清(Gibco)+1%ペニシリン/ストレプトマイシン中で2~3継代培養した。細胞をアキュターゼ酵素(StemCell Technologies)でトリプシン処理した。
【0374】
逐次刺激アッセイにおいて、対照及びNR4A-編集NY-ESO-1 TCR T細胞をA375黒色腫NY-ESO-1/LAGE-1a発現腫瘍細胞株を用いて4回の連続刺激に供した。特に、凍結保存されたNY-ESO-1 TCR T細胞を解凍し、フラット96ウェルアッセイプレート(Eppendorf)において三連でRPMI-1640(Gibco)+10%ウシ胎仔血清(Gibco)+1%ペニシリン/ストレプトマイシン中でcParp
-CD3
+TCRvβ13.1
+TCR T細胞とA375-NLR腫瘍細胞との1:1のE:T比で直ちに培養した。3日または4日間の共培養後に、ウェルを再懸濁し、培養物の25%をウェル当たり同じ初期数の新たな腫瘍細胞を有する新たなプレートに移した。これを合計で4回の刺激について繰り返した。細胞傷害性をIncucyteにおいてアッセイ中に連続的に測定し、各々の新たな刺激を設定してから24時間後に上清を収集してサイトカインレベルを測定した。ROR1-CAR-T細胞の状況と同様に、NR4A3 KO NY-ESO-1 TCR T細胞は、A375腫瘍細胞に対して最も高い細胞傷害性を保持し、3つの異なるドナーにおける対照と比較して2または3ラウンドの刺激後に標的細胞を溶解するより持続した能力を実証した(
図14)。
【0375】
持続した細胞傷害性に加えて、NR4A3 KO NY-ESO-1 TCR T細胞はまた、測定したほとんどの時点でほとんどのドナーにおいてA375黒色腫NY-ESO-1/LAGE-1a発現腫瘍細胞で刺激された場合、非編集対照NY-ESO-1 TCR T細胞と比較してより高いIFN-γ、IL-2、及びTNF-αを生成した(
図15及び表3~5)。T細胞を第2のNY-ESO-1/LAGE-1a発現腫瘍細胞株H1703を使用して順次刺激した場合、同様の結果が観察された(データは示されていない)。サイトカインレベルを、Meso Scale Discovery V-Plex炎症誘発パネル1ヒトキットまたはカスタムヒトIFN-γ、IL-2、及びTNF-αサイトカインキットを使用して製造業者の指示書に従って測定した。サイトカイン生成における差は、後のラウンドの刺激後に最も顕著であった。
【表9-1】
【表9-2】
【表9-3】
【表9-4】
【表9-5】
【表9-6】
【表10-1】
【表10-2】
【表10-3】
【表10-4】
【表10-5】
【表10-6】
【表11-1】
【表11-2】
【表11-3】
【表11-4】
【表11-5】
【表11-6】
【表11-7】
【0376】
概要及び要約書のセクションではなく、詳細な説明のセクションは、特許請求の範囲を解釈するために使用されることが意図されることを理解されたい。概要及び要約書のセクションは、発明者(複数可)によって企図される本開示の1つ以上の、しかしすべてではない例示的な態様を示し得、よって、本開示及び添付の特許請求の範囲をどのようにも限定することは意図されていない。
【0377】
本開示は、特定の機能及びその関係性の実施を示す機能構築ブロックを用いて上記に記載されている。これらの機能構築ブロックの境界は、説明の便宜のために本明細書において任意に定義されている。特定の機能及びそれらの関係性が適切に実施される限り、代替的な境界が定義され得る。
【0378】
特定の態様の前述の説明は、本開示の一般的性質を十分に明らかにするので、他者は、当該技術分野の技術の範囲内の知識を適用することによって、様々な用途のためにそのような特定の態様を、過度な実験をせずに、本開示の一般的概念から逸脱することなく、容易に改変及び/または適応し得る。そのため、そのような適応及び修飾は、本明細書で提示される教示及びガイダンスに基づいて、開示される態様の均等物の意味及び範囲内であることが意図される。本明細書における表現または専門用語は、本明細書の専門用語または表現が、教示及びガイダンスの観点から当業者によって解釈されるように、限定の目的ではなく説明の目的のためのものであることが理解されるべきである。
【0379】
本開示の幅及び範囲は、上述した例示的な態様のいずれかによって限定されるべきではないが、以下の特許請求の範囲及びそれらの均等物に従ってのみ定義されるべきである。
【0380】
本出願全体を通して引用されるすべての引用参考文献(参考文献、米国または外国特許または特許出願、及びウェブサイトを含む)の内容は、任意の目的のためにそれらの全体が本明細書に記載されているかのように、それらで引用される参考文献も同様に、参照により明示的に本明細書に組み込まれる。何らかの矛盾が生じた場合、本明細書に文章で開示される内容が優先する。
【配列表】
【国際調査報告】