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特表2024-520496加齢黄斑変性に続発する地図状萎縮の治療のための補体D因子阻害剤の使用
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  • 特表-加齢黄斑変性に続発する地図状萎縮の治療のための補体D因子阻害剤の使用 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-24
(54)【発明の名称】加齢黄斑変性に続発する地図状萎縮の治療のための補体D因子阻害剤の使用
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/506 20060101AFI20240517BHJP
   A61P 27/02 20060101ALI20240517BHJP
【FI】
A61K31/506
A61P27/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023573139
(86)(22)【出願日】2022-05-26
(85)【翻訳文提出日】2023-12-28
(86)【国際出願番号】 US2022031200
(87)【国際公開番号】W WO2022251543
(87)【国際公開日】2022-12-01
(31)【優先権主張番号】63/194,523
(32)【優先日】2021-05-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】503102674
【氏名又は名称】アレクシオン ファーマシューティカルズ, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】スクバン, アレクサンダー
(72)【発明者】
【氏名】ファン, ミンジュン
(72)【発明者】
【氏名】ボイヤー, デイビッド
(72)【発明者】
【氏名】リベラ, ホセ
(72)【発明者】
【氏名】コ, ヤ-ピン
(72)【発明者】
【氏名】ガオ, シャン
【テーマコード(参考)】
4C086
【Fターム(参考)】
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC42
4C086GA07
4C086GA08
4C086GA16
4C086MA01
4C086MA04
4C086MA58
4C086NA14
4C086ZA33
(57)【要約】
対象において加齢黄斑変性(AMD)及び中期AMDに続発する地図状萎縮を治療するための方法が、本明細書中で開示される。本方法は、低分子補体因子D阻害剤の治療的有効量を対象に投与することを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象の少なくとも一方の眼において加齢黄斑変性(AMD)に続発する地図状萎縮(GA)を治療することを含む治療の方法であって、前記治療が、化合物1:
【化2】
又は薬学的に許容可能なその塩の有効量を前記対象に投与することを含み、前記治療が前記GAの進行を遅らせるか又は反転させることを含み、前記GAの進行を前記遅らせることが、少なくとも一方の眼におけるベースラインからの総GA病変面積の増加の平均速度の低下を含み、前記GAの進行を前記反転させることが、前記少なくとも一方の眼におけるベースラインからの総GA病変面積の平均減少を含む、方法。
【請求項2】
化合物1又は薬学的に許容可能なその塩が、1日2回(BID)約50~250mgの投与レジメンで投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
化合物1又は薬学的に許容可能なその塩が、約100mg BIDの投与レジメンで投与される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
化合物1又は薬学的に許容可能なその塩が、約200mg BIDの投与レジメンで投与される、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
化合物1又は薬学的に許容可能なその塩が、1日1回(QD)約200mg~約800mgの投与レジメンで投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
化合物1又は薬学的に許容可能なその塩が、投与レジメン又は約400mg QDで投与される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
化合物1又は薬学的に許容可能なその塩が全身投与される、請求項1~6の何れか1項に記載の方法。
【請求項8】
化合物1又は薬学的に許容可能なその塩が経口投与される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
化合物1又は薬学的に許容可能なその塩が皮下投与される、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
化合物1又は薬学的に許容可能なその塩が眼に投与される、請求項1~6の何れか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記対象が少なくとも約60歳である、請求項1~10の何れか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記対象が少なくとも約65歳である、請求項1~11の何れか1項に記載の方法。
【請求項13】
GAの進行を遅らせること又は反転が104週間の治療内に観察される、請求項1~12の何れか1項に記載の方法。
【請求項14】
GAの進行を遅らせること又は反転させることが52週間の治療内に観察される、請求項1~12の何れか1項に記載の方法。
【請求項15】
AMDに続発するGAが、前記眼における網膜色素上皮(RPE)の喪失を含む、請求項1~14の何れか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記少なくとも一方の眼に、黄斑を中心としたカラー眼底写真(CFP)画像上で完全に可視化され、その全体で画像化されるGA病変がある、請求項1~15の何れか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記少なくとも一方の眼に、眼底自己蛍光(FAF)により測定した場合に0.35~17.76mmのGA領域がある、請求項1~16の何れか1項に記載の方法。
【請求項18】
前記少なくとも一方の眼に滲出性血管新生加齢黄斑変性(nAMD)がない、請求項1~17の何れか1項に記載の方法。
【請求項19】
前記対象において、前記少なくとも一方の眼にnAMDがある、請求項1~17の何れか1項に記載の方法。
【請求項20】
前記GAの進行を前記遅らせることが、(a)前記少なくとも一方の眼;(b)ベースラインで僚眼にGAが存在する場合は前記僚眼;又は(c)前記少なくとも一方の眼及び前記僚眼のベースラインGAの状況にかかわらず、前記少なくとも一方の眼及び前記僚眼の両方における、FAFにより測定した場合の、ベースラインからの総GA病変面積の平方根の平均増加速度の低下をさらに含み;前記GAの進行を前記反転させることが、(a)前記少なくとも一方の眼;(b)ベースラインで前記僚眼にGAが存在する場合は前記僚眼;又は(c)前記少なくとも一方の眼及び前記僚眼のベースラインGAの状況にかかわらず、前記少なくとも一方の眼及び前記僚眼の両方における、FAFにより測定した場合の、ベースラインからの総GA病変面積の平方根の平均減少をさらに含む、請求項1~19の何れか1項に記載の方法。
【請求項21】
前記少なくとも一方の眼における前記総GA病変面積の平均増加速度の低下又は前記総GA病変面積の減少が、FAFにより測定される、請求項1~20の何れか1項に記載の方法。
【請求項22】
前記GAの進行を前記遅らせることが、(a)前記少なくとも一方の眼;(b)ベースラインで僚眼にGAが存在する場合は前記僚眼;又は(c)前記少なくとも一方の眼及び前記僚眼のベースラインGAの状況にかかわらず、前記少なくとも一方の眼及び前記僚眼の両方における、FAFにより測定した場合の、ベースラインからの総GA病変面積の平均増加速度の低下をさらに含み;前記GAの進行を前記反転させることが、(a)前記少なくとも一方の眼;(b)ベースラインで前記僚眼にGAが存在する場合は前記僚眼;又は(c)前記少なくとも一方の眼及び前記僚眼のベースラインGAの状況にかかわらず、前記少なくとも一方の眼及び前記僚眼の両方における、FAFにより測定した場合の、ベースラインからの総GA病変面積の平均減少をさらに含む、請求項1~21の何れか1項に記載の方法。
【請求項23】
前記GAの進行を前記遅らせることが、(a)前記少なくとも一方の眼;(b)ベースラインで僚眼にGAが存在する場合は前記僚眼;又は(c)前記少なくとも一方の眼及び前記僚眼のベースラインGAの状況にかかわらず、前記少なくとも一方の眼及び前記僚眼の両方における、FAFにより測定した場合の、ベースラインからの総GA病変面積の平均増加の軽減をさらに含み;前記GAの進行を前記反転させることが、(a)前記少なくとも一方の眼;(b)ベースラインで前記僚眼にGAが存在する場合は前記僚眼;又は(c)ベースラインGA状況にかかわらず、前記少なくとも一方の眼及び前記僚眼の両方における、FAFにより測定した場合の、ベースラインからの総GA病変面積の平均減少をさらに含む、請求項1~22の何れか1項に記載の方法。
【請求項24】
前記GAの進行を前記遅らせることが、(a)前記少なくとも一方の眼;(b)ベースラインで僚眼にGAが存在する場合は前記僚眼;又は(c)前記少なくとも一方の眼及び前記僚眼のベースラインGAの状況にかかわらず、前記少なくとも一方の眼及び前記僚眼の両方における、FAFにより測定した場合の、ベースラインからの総GA病変面積の平方根の平均増加の軽減をさらに含み;前記GAを軽減することが、(a)前記少なくとも一方の眼;(b)ベースラインで前記僚眼にGAが存在する場合は前記僚眼;又は(c)前記少なくとも一方の眼及び前記僚眼のベースラインGAの状況にかかわらず、前記少なくとも一方の眼及び前記僚眼の両方における、FAFにより測定した場合の、ベースラインからの総GA病変面積の平方根の平均減少をさらに含む、請求項1~23の何れか1項に記載の方法。
【請求項25】
前記AMDに続発するGAの治療が、Early Treatment Diabetic Retinopathy Study(ETDRS)チャートにより評価した場合の、ベースラインからの前記少なくとも一方の眼における単眼最高矯正視力(BCVA)スコアの改善をさらに含む、請求項1~23の何れか1項に記載の方法。
【請求項26】
前記AMDに続発するGAの治療が、ETDRSチャートにより評価されるベースラインからの前記僚眼における単眼BCVAスコアの改善をさらに含む、請求項1~24の何れか1項に記載の方法。
【請求項27】
前記AMDに続発するGAの治療が、ETDRSチャートにより評価した場合のベースラインからの前記少なくとも一方の眼における単眼低輝度視力(LLVA)スコアの改善をさらに含む、請求項1~26の何れか1項に記載の方法。
【請求項28】
前記AMDに続発するGAの治療が、ETDRSチャートにより評価されるベースラインからの僚眼における単眼LLVAスコアの改善をさらに含む、請求項1~27の何れか1項に記載の方法。
【請求項29】
前記AMDに続発するGAの治療が、ベースラインからの前記少なくとも一方の眼における低輝度欠損(LLD)スコアの改善をさらに含む、請求項1~28の何れか1項に記載の方法。
【請求項30】
前記AMDに続発するGAの治療が、ベースラインからの僚眼におけるLLDスコアの改善をさらに含む、請求項1~29の何れか1項に記載の方法。
【請求項31】
前記AMDに続発するGAの治療が、ベースラインからのNational Eye Institute Visual Function Questionnaire、25項目版(NEI VFQ-25)スコアの改善をさらに含む、請求項1~30の何れか1項に記載の方法。
【請求項32】
前記AMDに続発するGAの治療が、可動性、通常の活動性、セルフケア、疼痛又は違和感及び不安/気分の落ち込みのうち1つ以上のEQ-5D-5Lスコアの改善によりさらに含む、請求項1~31の何れか1項に記載の方法。
【請求項33】
前記AMDに続発するGAの治療が、ベースラインからのLawson Instrumental Activities of Daily Living(IADL)スコアの改善をさらに含む、請求項1~32の何れか1項に記載の方法。
【請求項34】
前記AMDに続発するGAの治療が、Minnesota Low-Vision Reading Test(MNRead)によるか又はRadner Reading Chartsで評価した場合の単眼読み取り速度の改善をさらに含む、請求項1~33の何れか1項に記載の方法。
【請求項35】
前記単眼読み取り速度の改善が前記少なくとも一方の眼で評価される、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記単眼読み取り速度の改善が僚眼で評価される、請求項34に記載の方法。
【請求項37】
前記AMDに続発するGAの治療が、MNReadによるか又はRadner Reading Cardsで評価した場合の両眼読み取り速度の改善をさらに含む、請求項1~36の何れか1項に記載の方法。
【請求項38】
ベースラインからの平均改善が対照との比較に基づいて判定される、請求項25~37の何れか1項に記載の方法。
【請求項39】
前記対照が未治療対象である、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記対照がプラセボ治療対象である、請求項38に記載の方法。
【請求項41】
前記GAの進行を前記遅らせることが、(a)前記少なくとも一方の眼、(b)ベースラインで僚眼にGAが存在する場合は前記僚眼又は(c)両眼における、スペクトル-ドメイン光干渉断層撮影(SD-OCT)により測定した場合の、ベースラインからの中心窩を中心とした予め決定された領域におけるGA内及びGA外のエリプソイドゾーン喪失面積の平均増加速度の低下をさらに含み;前記GAの進行を前記反転させることが、SD-OCTにより測定した場合の、ベースラインからの中心窩を中心とした予め決定された領域におけるGA内及びGA外のエリプソイドゾーン喪失面積の減少をさらに含む、請求項1~40の何れか1項に記載の方法。
【請求項42】
前記対象が僚眼において不完全な網膜色素上皮及び網膜外層萎縮(iRORA)を有し、前記AMDに続発するGAの治療が、SD-OCTにより判定した場合に、前記僚眼における前記iRORAが完全な網膜色素上皮及び網膜外層萎縮(cRORA)に転換するリスクを低下させることをさらに含む、請求項1~41の何れか1項に記載の方法。
【請求項43】
前記対象が前記少なくとも一方の眼において不完全なiRORAを有し、前記AMDに続発するGAの治療が、SD-OCTにより判定した場合に、前記少なくとも一方の眼における前記iRORAがcRORAに転換するリスクを低下させることをさらに含む、請求項1~42の何れか1項に記載の方法。
【請求項44】
前記対象が僚眼において高リスクドルーゼンを有し、前記AMDに続発するGAの治療が、SD-OCTにより判定した場合に、前記僚眼における前記高リスクドルーゼンが後期AMDに転換するリスクを低下させることをさらに含む、請求項1~43の何れか1項に記載の方法。
【請求項45】
前記対象が僚眼において中期AMD(iAMD)を有し、前記AMDに続発するGAの治療が、SD-OCTにより判定した場合に、前記iAMDが後期AMDに転換するリスクを低下させることをさらに含む、請求項1~44の何れか1項に記載の方法。
【請求項46】
前記対象が僚眼においてiAMDを有し、前記AMDに続発するGAの治療が、SD-OCTにより判定した場合に、前記iAMDが後期AMDに転換するリスクを低下させることをさらに含む、請求項1~45の何れか1項に記載の方法。
【請求項47】
前記対象が僚眼においてGAではなく、前記AMDに続発するGAの治療が、(a)前記僚眼及び/又は(b)合わせた両眼におけるドルーゼン表面体積の平均増加の軽減;又は(a)前記僚眼及び/又は(b)合わせた両眼のドルーゼン体積の平均減少をさらに含む、請求項1~46の何れか1項に記載の方法。
【請求項48】
前記GAの進行を前記遅らせることが、(a)前記少なくとも一方の眼;(b)ベースラインで僚眼にGAが存在する場合は前記僚眼;又は(c)前記少なくとも一方の眼及び前記僚眼におけるベースラインGA状況にかかわらず、合わせた両眼における、SD-OCTにより測定した場合の、総GA病変面積の平均増加の軽減をさらに含み;前記GAの進行を前記反転させることが、(a)前記少なくとも一方の眼;(b)ベースラインで僚眼にGAが存在する場合は前記僚眼;又は(c)前記少なくとも一方の眼及び前記僚眼におけるベースラインGA状況にかかわらず、合わせた両眼における、SD-OCTにより測定した場合の、総GA病変面積の平均減少をさらに含む、請求項1~47の何れか1項に記載の方法。
【請求項49】
前記AMDに続発するGAが中心窩外GAを含み、前記対象が固定標的を検出し得る、請求項1~48の何れか1項に記載の方法。
【請求項50】
前記対象が、各眼に対してマイクロペリメトリー試験を完了するために≦30分を要し、信頼度試験比率が≦20%である、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
前記AMDに続発するGAの進行を前記遅らせることが、薄暮視マイクロペリメトリーにより評価した場合の、ベースラインからの黄斑感度の低下の軽減をさらに含み、前記GAの進行を前記反転させることが、薄暮視マイクロペリメトリーにより測定した場合の、ベースラインからの黄斑感度の上昇をさらに含む、請求項49又は50に記載の方法。
【請求項52】
前記GAの進行を前記遅らせることが、薄暮視マイクロペリメトリーにより測定した場合の、ベースラインからの暗点数の増加の軽減をさらに含み、前記GAの進行を前記反転させることが、薄暮視マイクロペリメトリーにより測定した場合の、ベースラインからの暗点数の減少をさらに含む、請求項49~51の何れか1項に記載の方法。
【請求項53】
前記GAが、中心窩中央の外側の中心窩中央の外側に>1μmのGA病変を含む、請求項1~52の何れか1項に記載の方法。
【請求項54】
前記GAの進行を前記遅らせること又は前記反転させること又は前記GAを軽減することが、前記対象と対照との間の比較に基づいて判定される、請求項1~53の何れか1項に記載の方法。
【請求項55】
前記対照が未治療対象である、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
前記対照がプラセボ治療対象である、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
前記GAの進行を遅らせること若しくは前記反転させること又は前記GAを軽減することが、前記少なくとも一方の眼と僚眼との間の比較に基づき判定される、請求項1~56の何れか1項に記載の方法。
【請求項58】
AMDに続発するGAがある眼が、治療を受ける前に眼内血管疾患に対する硝子体内抗血管内皮増殖因子(VEGF)注射を受けたことがない、請求項1~57の何れか1項に記載の方法。
【請求項59】
AMDに続発するGAがある眼が、治療を受ける前に硝子体内抗VEGF注射を受けたことがない、請求項1~58の何れか1項に記載の方法。
【請求項60】
対象の少なくとも一方の眼において中期AMD(iAMD)を治療することを含む治療の方法であって、化合物1:
【化3】
又は薬学的に許容可能なその塩の有効量を前記対象に投与することを含み、前記治療が、SD-OCTにより測定した場合に、前記iAMDが後期AMDに転換するリスクを低下させることを含む、方法。
【請求項61】
前記対象が両眼にiAMDを有する、請求項60に記載の方法。
【請求項62】
前記iAMDがiRORAを含み、前記後期AMDがcRORAを含む、請求項60又は61に記載の方法。
【請求項63】
前記iAMDが高リスクドルーゼンを含む、請求項60又は61に記載の方法。
【請求項64】
化合物1又は薬学的に許容可能なその塩が、約50~250mg BIDの投与レジメンで投与される、請求項60~63の何れか1項に記載の方法。
【請求項65】
化合物1又は薬学的に許容可能なその塩が、約100mg BIDの投与レジメンで投与される、請求項64に記載の方法。
【請求項66】
化合物1又は薬学的に許容可能なその塩が、約200mg BIDの投与レジメンで投与される、請求項64に記載の方法。
【請求項67】
化合物1又は薬学的に許容可能なその塩が、約200mg~約800mg QDの投与レジメンで投与される、請求項60~63の何れか1項に記載の方法。
【請求項68】
化合物1又は薬学的に許容可能なその塩が、投与レジメン又は約400mg QDで投与される、請求項67に記載の方法。
【請求項69】
化合物1又は薬学的に許容可能なその塩が全身投与される、請求項60~68の何れか1項に記載の方法。
【請求項70】
化合物1又は薬学的に許容可能なその塩が経口投与される、請求項69に記載の方法。
【請求項71】
化合物1又は薬学的に許容可能なその塩が皮下投与される、請求項69に記載の方法。
【請求項72】
化合物1又は薬学的に許容可能なその塩が眼に投与される、請求項60~68の何れか1項に記載の方法。
【請求項73】
前記対象が少なくとも約60歳である、請求項60~72の何れか1項に記載の方法。
【請求項74】
前記対象が少なくとも約65歳である、請求項60~72の何れか1項に記載の方法。
【請求項75】
前記iAMDが104週間の治療期間内に後期AMDに転換しない、請求項60~74の何れか1項に記載の方法。
【請求項76】
前記iAMDが54週間の治療期間内に後期AMDに転換しない、請求項60~75の何れか1項に記載の方法。
【請求項77】
前記対象の糸球体濾過率が≧30mL/min/1.73mである、請求項1~76の何れか1項に記載の方法。
【請求項78】
前記対象が、治療を受ける前の3年以内に髄膜炎菌感染症に対してワクチン接種を受けている、請求項1~77の何れか1項に記載の方法。
【請求項79】
前記対象が、治療を受ける前2週間未満内に髄膜炎菌感染に対してワクチン接種を受けており、ワクチン接種後2週間まで予防的な抗生物質をさらに投与される、請求項1~78の何れか1項に記載の方法。
【請求項80】
4メートルの開始距離でEarly Treatment Diabetic Retinopathy Study(ETDRS)チャートを使用して判定した場合に、前記少なくとも一方の眼の視力(VA)スコアが、84~4文字又は20/20~20/800である、請求項1~79の何れか1項に記載の方法。
【請求項81】
4メートルの開始距離でETDRSチャートを使用して判定した場合に、少なくとも一方の眼の視力(VA)スコアが84~24文字又は20/20~20/320である、請求項1~79の何れか1項に記載の方法。
【請求項82】
前記対象が、治療を受ける前に何れの眼科的状態に対しても何れの補体、幹細胞又は遺伝子治療も受けたことがない、請求項1~81の何れか1項に記載の方法。
【請求項83】
前記対象が、治療を受ける前に何れの眼科的状態に対しても何れの幹細胞又は遺伝子治療も受けたことがない、請求項1~81の何れか1項に記載の方法。
【請求項84】
前記対象が、何れかの眼において何れの投与経路を介してもドルーゼン、新生地図状萎縮又はGAに対する治療を受けたことがない、請求項1~82の何れか1項に記載の方法。
【請求項85】
前記対象が、何れかの眼においてnAMD、ダイアメトリック黄斑浮腫、網膜静脈閉塞及び/又は増殖糖尿病性網膜症に対するレーザー光凝固療法を受けたことがない、請求項1~84の何れか1項に記載の方法。
【請求項86】
前記対象が、被験眼においてnAMD、ダイアメトリック黄斑浮腫、網膜静脈閉塞及び/又は増殖糖尿病性網膜症に対してレーザー光凝固療法を受けたことがない、請求項1~85の何れか1項に記載の方法。
【請求項87】
前記対象が、前記被験眼において光線力学的治療又は経瞳孔温熱療法を受けたことがない、請求項1~86の何れか1項に記載の方法。
【請求項88】
前記対象が、前記試験及びそれぞれの眼窩、頭部及び/又は頸部に対して外部ビーム放射線療法及び/又は何らかの他の照射を受けたことがない、請求項1~87の何れか1項に記載の方法。
【請求項89】
前記対象が、何れかの眼における光線力学的治療;前記眼、眼窩、頭部及び又は頸部への内部ビーム放射線療法及び/又は何らかの他の照射;又は何れかの眼における経瞳孔温熱療法を受けたことがない、請求項1~88の何れか1項に記載の方法。
【請求項90】
前記対象が、何れかの眼におけるステロイドの硝子体内送達、抗補体剤又は装置埋め込みを受けたことがなく、ただし前記硝子体内ステロイド送達が≧3カ月の白内障後の嚢胞状黄斑浮腫に対するものではない、請求項1~89の何れか1項に記載の方法。
【請求項91】
前記対象が、何れかの眼におけるステロイドの硝子体内送達又は装置埋め込みを受けたことがなく、ただし、前記硝子体内ステロイド送達が、≧3カ月の白内障後の嚢胞状黄斑浮腫に対するものではない、請求項1~90の何れか1項に記載の方法。
【請求項92】
前記対象が、何れかの眼における再発性の感染性又は炎症性眼疾患の病歴を持たない、請求項1~91の何れか1項に記載の方法。
【請求項93】
前記対象が、何れかの眼における網膜剥離又は黄斑円孔の病歴を持たない、請求項1~92の何れか1項に記載の方法。
【請求項94】
前記対象が、何れかの眼における緑内障濾過手術歴を持たない、請求項1~93の何れか1項に記載の方法。
【請求項95】
前記対象が、何れかの眼における角膜移植の治療歴を持たない、請求項1~94の何れか1項に記載の方法。
【請求項96】
前記対象が、何れかの眼におけるAMDに対する硝子体切除術、黄斑下手術又は何れかの外科的介入の治療歴がない、請求項1~95の何れか1項に記載の方法。
【請求項97】
前記対象が、治療前3カ月以内に眼内手術を受けていない、請求項1~96の何れか1項に記載の方法。
【請求項98】
前記対象が、既知の又は疑われる補体欠乏ではない、請求項1~97の何れか1項に記載の方法。
【請求項99】
前記対象が、N.メニンギティディス(N meningitidis)感染歴を持たない、請求項1~98の何れか1項に記載の方法。
【請求項100】
前記対象が、活動性の細菌、ウイルス若しくは他の感染の徴候がないか又は示さず;2日連続で体温が>38℃ではなく、治療を受ける前の14日以内に熱性の疾病がない、請求項1~99の何れか1項に記載の方法。
【請求項101】
前記対象が、治療前の5年以内に悪性疾患の病歴を持たないか又は進行中の悪性疾患ではなく、ただし、前記悪性疾患が、完全に切除されたか及び/又は治癒している皮膚の基底細胞又は扁平上皮細胞癌腫ではない、請求項1~100の何れか1項に記載の方法。
【請求項102】
前記対象が、ALT、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)、アルカリホスファターゼ(ALP)又は直接ビリルビン>2×正常上限(ULN)を持たない、請求項1~101の何れか1項に記載の方法。
【請求項103】
前記対象がジルベール症候群であるならば、前記対象が直接ビリルビンレベル>2xULNを有する、請求項1~101の何れか1項に記載の方法。
【請求項104】
前記対象が、肝胆道胆汁うっ滞の徴候を示していない、請求項1~103の何れか1項に記載の方法。
【請求項105】
前記対象が、表面抗体陰性でB型肝炎ウイルス感染の徴候を示していない、請求項1~104の何れか1項に記載の方法。
【請求項106】
前記対象が、C型肝炎ウイルス感染の徴候を示していない、請求項1~105の何れか1項に記載の方法。
【請求項107】
前記対象が、ヒト免疫不全ウイルス感染の徴候を示していない、請求項1~106の何れか1項に記載の方法。
【請求項108】
請求項1~107の何れか1項に記載の方法での使用のための薬剤の製造における、化合物1:
【化4】
又は薬学的に許容可能なその塩の使用。
【請求項109】
化合物1:
【化5】
又は薬学的に許容されるその塩である、請求項1~107の何れか1項に記載の方法での使用のための化合物。
【請求項110】
対象における少なくとも一方の眼においてAMD及び/又はiAMDに続発するGAを治療するためのキットであって、
(a)化合物1:
【化6】
又は薬学的に許容されるその塩の用量と、
(b)請求項1~107の何れか1項に記載の方法に従う化合物1又は薬学的に許容可能なその塩を使用するための説明書と、
を含む、キット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、全ての目的のために参照により組み込まれる、2021年5月28日に提出された米国特許出願第63/194,523号明細書の優先権の利益を主張する。
【背景技術】
【0002】
補体系は自然免疫の重要な構成要素である。これは、感染に対する防御において並びに免疫及び炎症反応の調整において中心的役割を果たす血漿及び膜結合タンパク質の大きな群からなる。補体系は、3つの個々の経路、即ち古典経路、第二経路及びレクチン経路を介して活性化され得る。補体活性化は、一連の生物学的反応を惹起する。古典経路は、免疫複合体により又はC-反応タンパク質などの物質により活性化され得、関与する補体成分としては、C1、C2、C4及びC3が挙げられる。第二経路は、補体活性化及び増幅の迅速な抗体非依存性経路を提供する。第二経路は、ある特定の活性化面(例えば、ザイモサン、リポ多糖)と相互作用したときに、C3を直接活性化し、C3、B因子、D因子及びプロパージンの作用を巻き込む。レクチン経路の活性化は、免疫複合体生成とも独立であり、細菌細胞壁において大量に存在するマンノース及びN-アセチルグルコサミン残基との、ある特定の血清レクチン、例えばマンノース結合レクチン(MBL)の相互作用により達成され得る。
【0003】
正常な眼において、補体系は、低レベルで継続的に活性化され、膜結合及び可溶性眼内補体制御タンパク質の両方がこの自然補体活性化を厳しく調節している。これにより、自己組織への損傷及び視力喪失を引き起こさない、病原体に対する防御が可能になる。しかし、活性化された補体は、自己組織への損傷を与える可能性がある。補体の存在及び活性化は、眼疾患を含む多数の疾患の病原体において重要な役割を果たすことが示唆されている(例えば、Thurman et al.,J Immunol.2006;176:1305-1310参照)。
【0004】
第二補体系は、眼の前部領域、眼の後部領域又は眼全体に影響を及ぼし得る多数の眼の障害に関わっている。補体が関わっている1つの注目すべき眼の障害は、加齢黄斑変性(AMD)であり、これは、先進国における視力喪失の第1の原因である。AMDには2つの主要なタイプがあり;ドライ(非血管新生)型及び滲出(血管新生)型である。地図状萎縮(GA)は、黄斑の慢性的進行性変性であり、後期の加齢黄斑変性(AMD)の一部として考えられる。この状態は、中心暗点及び視力の永久的な喪失につながる。この疾患は、外側網膜組織、網膜色素上皮及び脈絡毛細管の局限型のはっきりと境界が画定された萎縮を特徴とする。
GAの治療について、神経保護薬、免疫調節薬、抗炎症剤及び補体阻害剤を含む異なる作用機序の複数の薬剤が研究されているか又は臨床試験中である(Nebbioso et al.,Int J Mol Sci.2019;20(7)及びSastre-Ibanez et al.,Arch Soc Esp Oftalmol.2018;93(1):22-34参照)。しかし、この適応症に対して現在承認されている治療はなく、GA患者に対する実質的な未だ満たされていない医学的なニーズが強調される。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Thurman et al.,J Immunol.2006;176:1305-1310
【非特許文献2】Nebbioso et al.,Int J Mol Sci.2019;20(7)
【非特許文献3】Sastre-Ibanez et al.,Arch Soc Esp Oftalmol.2018;93(1):22-34
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本開示の目的は、AMD、特にAMDに続発するGAに対する新しい治療レジメンを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
低分子補体D因子(CFD)阻害剤を用いて対象において加齢黄斑変性(AMD)、特にAMDに続発する地図状萎縮(GA)を治療するための方法が本明細書中で提供される。本開示は、一部、AMDに続発するGAの患者に対する画期的治療選択肢としての、経口CFD阻害剤、例えば化合物1又は薬学的に許容可能なその塩など、の使用に基づく。
【0008】
経口投与される低分子として、化合物1は、硝子体内投与に依存する、GAの治療での使用のために研究されている治療薬よりも有利である。この点において、化合物1などの経口CFD阻害剤は、より便利で利用可能な治療選択肢をGA患者に提供するだけでなく、クリニック来診の必要性を減少させることにより患者及び介護者の負担を軽減し、眼注射に関連する有害事象のリスクを最小限に抑えることにも役立つ。さらに、発明者らは、化合物1に対する経口投与の結果、全身曝露が起こり、両眼の同時治療が可能になり、また標的組織での局限性及び保持の長所ももたらすことを発見したが、これは、一部、化合物1が血液-網膜障壁を横断し、メラニン含有組織を、特異的な親和性で、標的化する能力によるものである。このように、本開示の化合物1は、開発中の他の薬物を超える少なくとも2つの長所をもたらす可能性がある:(a)化合物1の経口投与の結果、メラニンを含有する眼組織(例えば脈絡膜及び網膜色素上皮(RPE))でのその選択的保持が起こり、並びに網膜への直接送達がもたらされること及び(b)化合物1の全身投与が両眼を効果的に標的とし、罹患眼を標的とする治療、例えば硝子体内注射よりも有益であること。化合物1の全体的な薬学的プロファイルを考えると、本開示は、化合物1での治療レジメンがより良好な患者コンプライアンス及びGA患者における臨床アウトカムの改善につながることを提供する。
【0009】
第1の態様では、本開示は、対象の少なくとも一方の眼においてAMDに続発するGAを治療することを含む治療方法を特徴とし、前記治療は、有効量の(2S,4R)-1-(2-(3-アセチル-5-(2-メチルピリミジン-5-イル)-1H-インダゾール-1-イル)アセチル)-N-(6-ブロモピリジン-2-イル)-4-フルオロピロリジン-2-カルボキサミド(化合物1;ALXN2040及びダニコパンとしても知られる):
【化1】

又は薬学的に許容されるその塩を対象に投与することを含む。いくつかの実施形態では、治療は、GAの進行を遅らせるか又は反転させることを含み、GAの進行を遅らせることは、(例えば眼底自己蛍光[FAF]により測定した場合の)少なくとも一方の眼におけるベースラインからの総GA病変面積の増加の平均速度の低下を含み、GAの進行を反転させることは、(例えば、眼底自己蛍光[FAF]により測定した場合の)少なくとも一方の眼におけるベースラインからの総GA病変面積の減少(例えば、総GA病変面積の平均減少速度の上昇)を含む。
【0010】
いくつかの実施形態では、化合物1又は薬学的に許容可能なその塩は、約50~250mg 1日2回(BID)、例えば、約100mg BID又は約200mg BIDの投与レジメンで投与される。
【0011】
いくつかの実施形態では、化合物1又は薬学的に許容可能なその塩は、1日1回(QD)約200mg~約800mg、例えば約400mg QDの投与レジメンで投与される。
【0012】
いくつかの実施形態では、化合物1又は薬学的に許容可能なその塩は、全身投与される(例えば経口又は皮下投与される)。いくつかの実施形態では、化合物1又は薬学的に許容可能なその塩は、眼に投与される。
【0013】
いくつかの実施形態では、対象は、少なくとも約60歳(例えば、少なくとも65歳、少なくとも約70歳、少なくとも約75歳又は少なくとも約80歳)である。
【0014】
いくつかの実施形態では、有効な治療(例えばGAの進行を遅らせること又は反転させること)は、104週間の治療内(例えば、78週間の治療内、52週間の治療内又は26週間の治療内)で観察される。
【0015】
いくつかの実施形態では、AMDに続発するGAは、任意選択的に眼の黄斑の中心(例えば中心窩)の喪失へ進行する、眼における網膜色素上皮(RPE)の喪失を含む。
【0016】
いくつかの実施形態では、少なくとも一方の眼に、黄斑を中心にしたカラー眼底写真(CFP)画像上で完全に可視化され、その全体において画像化されるGA病変がある。
【0017】
いくつかの実施形態では、少なくとも一方の眼には、FAFにより測定した場合の、0.35~17.76mm(例えば、0.5~17.76mm)のGA領域がある。
【0018】
いくつかの実施形態では、少なくとも一方の眼には、滲出性血管新生加齢黄斑変性(nAMD)がない。
【0019】
いくつかの実施形態では、対象には少なくとも一方の眼にnAMDがある。
【0020】
いくつかの実施形態では、GAの進行を遅らせることは、(1)(a)少なくとも一方の眼;(b)ベースラインで僚眼にGAが存在する場合は僚眼;又は(c)少なくとも一方の眼及び僚眼のベースラインGA状況にかかわらず、少なくとも一方の眼及び僚眼の両方における、FAFにより測定した場合の、ベースラインからの総GA病変面積の平方根の(約0.1mm/年、約0.2mm/年、約0.3mm/年、約0.4mm/年、約0.5mm/年、約0.6mm/年、約0.7mm/年、約0.8mm/年、約0.9mm/年、約1mm/年、約1.1mm/年、約1.2mm/年、約1.3mm/年、約1.4mm/年、約1.5mm/年、約1.6mm/年、約1.7mm/年、約1.8mm/年、約1.9mm/年、約2mm/年、約2.1mm/年、約2.2mm/年、約2.3mm/年、約2.4mm/年、約2.5mm/年、約2.6mm/年、約2.7mm/年又は約2.8mm/年の)平均増加速度の低下をさらに含み;GAを反転させることは、(a)少なくとも一方の眼;(b)ベースラインで僚眼にGAが存在する場合は僚眼;又は(c)少なくとも一方の眼及び僚眼でのベースラインGA状況にかかわらず、少なくとも一方の眼及び僚眼の両方における、FAFにより測定した場合の、ベースラインからの総GA病変面積の平方根の(例えば、約0.1mm、約0.2mm、約0.3mm、約0.4mm、約0.5mm、約0.6mm、約0.7mm、約0.8mm、約0.9mm、約1mm、約1.1mm、約1.2mm、約1.3mm、約1.4mm、約1.5mm、約1.6mm、約1.7mm、約1.8mm、約1.9mm、約2mm、約2.1mm、約2.2mm、約2.3mm、約2.4mm、約2.5mm、約2.6mm、約2.7mm又は約2.8mmの)平均減少(例えば、約0.1mm/年、約0.2mm/年、約0.3mm/年、約0.4mm/年、約0.5mm/年、約0.6mm/年、約0.7mm/年、約0.8mm/年、約0.9mm/年、約1mm/年、約1.1mm/年、約1.2mm/年、約1.3mm/年、約1.4mm/年、約1.5mm/年、約1.6mm/年、約1.7mm/年、約1.8mm/年、約1.9mm/年、約2mm/年、約2.1mm/年、約2.2mm/年、約2.3mm/年、約2.4mm/年、約2.5mm/年、約2.6mm/年、約2.7mm/年又は約2.8mm/年の総GA病変面積の平方根の平均減少速度の上昇)をさらに含む。
【0021】
いくつかの実施形態では、GAの進行を遅らせることは、(2)(a)少なくとも一方の眼;(b)ベースラインで僚眼にGAが存在する場合は僚眼;又は(c)ベースラインGA状況にかかわらず、少なくとも一方の眼及び僚眼の両方における、FAFにより測定した場合の、ベースラインからの(約0.01mm/年、約0.05mm/年、約0.1mm/年、約0.15mm/年、約0.2mm/年、約0.3mm/年、約0.4mm/年、約0.5mm/年、約0.6mm/年約0.7mm/年、約0.8mm/年、約0.9mm/年、約1mm/年、約1.1mm/年、約1.2mm/年、約1.3mm/年、約1.4mm/年、約1.5mm/年、約1.6mm/年、約1.7mm/年、約1.8mm/年、約1.9mm/年、約2mm/年、約2.1mm/年、約2.2mm/年、約2.3mm/年、約2.4mm/年、約2.5mm/年、約2.6mm/年、約2.7mm/年、約2.8mm/年、約2.9mm/年、約3.0mm/年、約3.5mm/年、約4mm/年、約4.5mm/年、約5mm/年、約5.5mm/年、約6mm/年、約6.5mm/年、約7mm/年、約7.5mm/年又は約8.0mm/年の)総GA病変面積の平均増加速度の低下をさらに含み;GAの進行を反転させることは、(a)少なくとも一方の眼;(b)ベースラインで僚眼にGAが存在する場合は僚眼;又は(c)少なくとも一方の眼及び僚眼でのベースラインGA状況にかかわらず、少なくとも一方の眼及び僚眼の両方における、FAFを測定した場合の、ベースラインからの総GA病変面積の(約0.01mm、約0.05mm、約0.1mm、約0.15mm、約0.2mm、約0.3mm、約0.4mm、約0.5mm、約0.6mm 約0.7mm、約0.8mm、約0.9mm、約1mm、約1.1mm、約1.2mm、約1.3mm、約1.4mm、約1.5mm、約1.6mm、約1.7mm、約1.8mm、約1.9mm、約2mm、約2.1mm、約2.2mm、約2.3mm、約2.4mm、約2.5mm、約2.6mm、約2.7mm、約2.8mm、約2.9mm、約3.0mm、約3.5mm、約4mm、約4.5mm、約5mm、約5.5mm、約6mm、約6.5mm、約7mm、約7.5mm又は約8.0mmの)平均減少(例えば、例えば約0.01mm/年、約0.05mm/年、約0.1mm/年、約0.15mm/年、約0.2mm/年、約0.3mm/年、約0.4mm/年、約0.5mm/年、約0.6mm/年約0.7mm/年、約0.8mm/年、約0.9mm/年、約1mm/年、約1.1mm/年、約1.2mm/年、約1.3mm/年、約1.4mm/年、約1.5mm/年、約1.6mm/年、約1.7mm/年、約1.8mm/年、約1.9mm/年、約2mm/年、約2.1mm/年、約2.2mm/年、約2.3mm/年、約2.4mm/年、約2.5mm/年、約2.6mm/年、約2.7mm/年、約2.8mm/年、約2.9mm/年、約3.0mm/年、約3.5mm/年、約4mm/年、約4.5mm/年、約5mm/年、約5.5mm/年、約6mm/年、約6.5mm/年、約7mm/年、約7.5mm/年又は約8.0mm/年の総GA病変面積の平均減少速度の上昇)をさらに含む。
【0022】
いくつかの実施形態では、GAの進行を遅らせることは、(3)(a)少なくとも一方の眼;(b)ベースラインで僚眼にGAが存在する場合は僚眼;又は(c)ベースラインGA状況にかかわらず、少なくとも一方の眼及び僚眼の両方における、FAFにより測定した場合の、ベースラインからの総GA病変面積の(約0.01mm、約0.05mm、約0.1mm、約0.15mm、約0.2mm、約0.3mm、約0.4mm、約0.5mm、約0.6mm 約0.7mm、約0.8mm、約0.9mm、約1mm、約1.1mm、約1.2mm、約1.3mm、約1.4mm、約1.5mm、約1.6mm、約1.7mm、約1.8mm、約1.9mm、約2mm、約2.1mm、約2.2mm、約2.3mm、約2.4mm、約2.5mm、約2.6mm、約2.7mm、約2.8mm、約2.9mm、約3.0mm、約3.5mm、約4mm、約4.5mm、約5mm、約5.5mm、約6mm、約6.5mm、約7mm、約7.5mm又は約8.0mmの)平均増加の軽減及び(約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%又は約90%又は100%以上の)平均パーセント増加の軽減をさらに含み;GAの進行を反転させることは、(a)少なくとも一方の眼;(b)ベースラインで僚眼にGAが存在する場合は僚眼;又は(c)少なくとも一方の眼及び僚眼の両方でのベースラインGA状況にかかわらず、少なくとも一方の眼及び僚眼の両方での、FAF測定した場合の、ベースラインからの総GA病変面積の、(約0.01mm、約0.05mm、約0.1mm、約0.15mm、約0.2mm、約0.3mm、約0.4mm、約0.5mm、約0.6mm 約0.7mm、約0.8mm、約0.9mm、約1mm、約1.1mm、約1.2mm、約1.3mm、約1.4mm、約1.5mm、約1.6mm、約1.7mm、約1.8mm、約1.9mm、約2mm、約2.1mm、約2.2mm、約2.3mm、約2.4mm、約2.5mm、約2.6mm、約2.7mm、約2.8mm、約2.9mm、約3.0mm、約3.5mm、約4mm、約4.5mm、約5mm、約5.5mm、約6mm、約6.5mm、約7mm、約7.5mm又は約8.0mmの)平均減少及び/又は(約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%又は100%の)平均パーセンテージ減少をさらに含む。
【0023】
いくつかの実施形態では、GAの進行を遅らせることは、(4)(a)少なくとも一方の眼;(b)ベースラインで僚眼にGAが存在する場合は僚眼;又は(c)ベースラインGA状況にかかわらず、少なくとも一方の眼及び僚眼の両方における、FAFにより測定した場合の、ベースラインからの総GA病変面積の平方根の、(約0.1mm、約0.2mm、約0.3mm、約0.4mm、約0.5mm、約0.6mm、約0.7mm、約0.8mm、約0.9mm、約1mm、約1.1mm、約1.2mm、約1.3mm、約1.4mm、約1.5mm、約1.6mm、約1.7mm、約1.8mm、約1.9mm、約2mm、約2.1mm、約2.2mm、約2.3mm、約2.4mm、約2.5mm、約2.6mm、約2.7mm又は約2.8mmの)平均増加の軽減及び/又は(約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%又は約90%又は100%以上の)平均パーセント増加の軽減をさらに含み;GAの進行を反転させることは、(a)少なくとも一方の眼;(b)ベースラインで僚眼にGAが存在する場合は僚眼;又は(c)少なくとも一方の眼及び僚眼におけるベースラインGA状況にかかわらず、少なくとも一方の眼及び僚眼の両方における、FAF測定した場合の、ベースラインからの総GA病変面積の平方根の、(例えば約0.1mm、約0.2mm、約0.3mm、約0.4mm、約0.5mm、約0.6mm、約0.7mm、約0.8mm、約0.9mm、約1mm、約1.1mm、約1.2mm、約1.3mm、約1.4mm、約1.5mm、約1.6mm、約1.7mm、約1.8mm、約1.9mm、約2mm、約2.1mm、約2.2mm、約2.3mm、約2.4mm、約2.5mm、約2.6mm、約2.7mm又は約2.8mmの)平均減少及び/又は(約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%又は100%の)平均パーセンテージ減少をさらに含む。
【0024】
いくつかの実施形態では、AMDに続発するGAの治療は、(5)(a)Early Treatment Diabetic Retinopathy Study(ETDRS)チャートにより評価した場合のベースラインからの少なくとも一方の眼及び/又は僚眼における単眼最高矯正視力(BCVA)スコアの改善;(b)ETDRSチャートにより評価した場合のベースラインからの少なくとも一方の眼及び/又は僚眼における単眼低輝度視力(LLVA)スコアの改善;(c)例えばETDRSチャートにより評価した場合の、ベースラインからの、少なくとも一方の眼及び/又は僚眼における低輝度欠損(LLD)スコアの改善;(d)ベースラインからのNational Eye Institute Visual Function Questionnaire、25項目版(NEI VFQ-25)スコアの改善;(e)可動性、通常の活動性、セルフケア、疼痛又は違和感及び不安/気分の落ち込みのうち1つ以上でのEQ-5D-5Lスコアの改善;(f)ベースラインからのLawson Instrumental Activities of Daily Living(IADL)スコアの改善;(g)例えば少なくとも一方の眼又は僚眼における、Minnesota Low-Vision Reading Test(MNRead)によるか又はRadner Reading Cardsを用いて評価した場合の単眼読み取り速度の改善;及び(h)MNReadによるか又はRadner Reading Cardsを用いて評価した場合の両眼読み取り速度の改善のうち1つ以上の改善をさらに含む。改善は、治療を受けた対象において又は治療を受けた対象の集団において測定され得、対照、例えば未治療又はプラセボ治療対象との比較に基づいて判定され得る。(a)、(b)及び/又は(c)における平均改善はまた、例えば少なくとも一方の眼と僚眼との間の比較に基づいて判定され得、一方の眼及び僚眼は、GAを呈していてもよいし又は呈していなくてもよい。
【0025】
いくつかの実施形態では、GAの進行を遅らせることは、(6)(a)少なくとも一方の眼、(b)ベースラインで僚眼にGAが存在する場合は僚眼又は(c)両眼における、スペクトル-ドメイン光干渉断層撮影(SD-OCT)により測定した場合の、ベースラインからの中心窩を中心とした予め決定された領域でのGA内及びGA外でのエリプソイドゾーン喪失面積の平均増加速度の低下をさらに含み;GAの進行を反転させることは、SD-OCTにより測定した場合の、ベースラインからの中心窩を中心とした予め決定された領域でのGA内及びGA外のエリプソイドゾーン喪失面積の平均減少(例えば平均減少速度の上昇)(例えば、中心窩を中心とした予め決定された領域でのGA内及びGA外のエリプソイドゾーン喪失面積の平均減少速度の上昇)をさらに含む。
【0026】
いくつかの実施形態では、GAの進行を遅らせること又は反転は、上記パラメーターのうち少なくとも2、3、4、5個又は6個全ての変化、例えば軽減又は改善を含む。
【0027】
いくつかの実施形態では、対象は、少なくとも一方の眼及び/又は僚眼における不完全な網膜色素上皮及び網膜外層萎縮(iRORA)を有し、AMDに続発するGAの治療は、SD-OCTにより判定した場合に、僚眼におけるiRORAが完全な網膜色素上皮及び網膜外層萎縮(cRORA)に転換するリスクを低下させることをさらに含む。
【0028】
いくつかの実施形態では、対象は僚眼において高リスクドルーゼンを有し、AMDに続発するGAの治療は、SD-OCTにより判定した場合に、僚眼における高リスクドルーゼンが後期AMDに転換するリスクを低下させることをさらに含む。
【0029】
いくつかの実施形態では、対象は、少なくとも一方の眼及び/又は僚眼において中期AMD(iAMD)を有し、AMDに続発するGAの治療は、SD-OCTにより判定した場合に、iAMDが後期AMDに転換するリスクを低下させることをさらに含む。
【0030】
いくつかの実施形態では、対象は僚眼においてGAがなく、AMDに続発するGAの治療は、例えばベースラインと比較した場合に、(a)僚眼及び/又は(b)合わせた両眼におけるドルーゼンの、例えばドルーゼン表面積の(例えば約0.05mm、約0.1mm、約0.15mm、約0.2mm、約0.25mm、約0.3mm、約0.35mm、約0.4mm、約0.45mm、約0.5mm、約0.55mm、約0.6mm又は約0.65mmの)、及び体積の(例えば、約0.01mm、約0.02mm、約0.05mm、約0.1mm、約0.15mm、約0.2mm、約0.25mm又は約0.3mmの)、平均増加の軽減をさらに含む。
【0031】
いくつかの実施形態では、GAの進行を遅らせることは、(a)少なくとも一方の眼;(b)ベースラインで僚眼にGAが存在する場合は僚眼;又は(c)少なくとも一方の眼及び僚眼のベースラインGA状況にかかわらず、合わせた両眼における、SD-OCTにより測定した場合の、総GA病変面積の平均増加の軽減をさらに含み;GAの進行を反転させることは、(a)少なくとも一方の眼;(b)ベースラインで僚眼にGAが存在する場合は僚眼;又は(c)少なくとも一方の眼及び僚眼でのベースラインGA状況にかかわらず、合わせた両眼における、SD-OCTにより測定した場合の、総GA病変面積の平均減少をさらに含む。
【0032】
いくつかの実施形態では、AMDに続発するGAは、中心窩外GAを含み、対象は固定標的を検出し得る。対象は、各眼に対するマイクロペリメトリー試験を完了するのに≦30分を要し得、信頼度試験比率(reliability test ratio)は≦20%である。AMDに続発するGAが中心窩外GAを含むいくつかの実施形態では、AMDに続発するGAの進行を遅らせることは、薄暮視マイクロペリメトリーにより評価した場合の、ベースラインからの黄斑感度低下の軽減をさらに含み、GAの進行を反転させることは、薄暮視マイクロペリメトリーにより測定した場合の、ベースラインからの黄斑感度の上昇をさらに含む。AMDに続発するGAが中心窩外GAを含むいくつかの実施形態では、GAの進行を遅らせることは、薄暮視マイクロペリメトリーにより評価した場合の、ベースラインからの暗点数の増加の軽減をさらに含み、GAの進行を反転させることは、薄暮視マイクロペリメトリーにより評価した場合の、ベースラインからの暗点数の減少をさらに含む。
【0033】
いくつかの実施形態では、GAは、中心窩の外側の中心窩の外側に(outside of the foveal center outside of a foveal center)>1μmのGA病変を含む。
【0034】
いくつかの実施形態では、GAの進行を遅らせること又は反転させることは、対象と対照、例えば未治療又はプラセボ治療対象との間の比較に基づいて判定される。
【0035】
いくつかの実施形態では、GAの進行を遅らせること若しくは反転させること又はGAを軽減することは、少なくとも一方の眼と僚眼との間の比較に基づいて判定される。
【0036】
いくつかの実施形態では、AMDに続発するGAがある眼は、治療を受ける前に眼内血管疾患に対して硝子体内抗血管内皮増殖因子(VEGF)注射を受けていない。
【0037】
いくつかの実施形態では、AMDに続発するGAがある眼は、治療を受ける前に硝子体内抗VEGF注射を受けていない。
【0038】
第2の態様では、本開示は、治療方法を提供し、この方法は、対象の少なくとも一方の眼において中期AMD(iAMD)を治療することを含み、この治療は、対象に化合物1又は薬学的に許容可能なその塩の有効量を投与することを含み、この治療は、SD-OCTにより測定した場合に、iAMDが後期AMDに転換するリスクを低下させることを含む。いくつかの実施形態では、対象は両眼にiAMDがある。
【0039】
いくつかの実施形態では、iAMDはiRORAを含み、後期AMDはcRORAを含む。いくつかの実施形態では、iAMDは、高リスクドルーゼンを含む。
【0040】
いくつかの実施形態では、化合物1又は薬学的に許容可能なその塩は、約50~250mg BID(例えば、約100mg BID又は約200mg BID)の投与レジメンで投与される。
【0041】
いくつかの実施形態では、化合物1又は薬学的に許容可能なその塩は、約200mg~約800mg QD(例えば約400mg QD)の投与レジメンで投与される。
【0042】
いくつかの実施形態では、化合物1又は薬学的に許容可能なその塩は、全身投与される(例えば経口又は皮下投与される)。いくつかの実施形態では、化合物1又はその薬学的に許容可能な塩は、眼に投与される。
【0043】
いくつかの実施形態では、対象は、少なくとも約60歳(例えば、少なくとも約65歳、少なくとも約70歳、少なくとも約75歳又は少なくとも約80歳)である。
【0044】
いくつかの実施形態では、iAMDは、104週間の治療期間(例えば78週間の治療期間、52週間の治療期間又は26週間の治療期間)内に後期AMDに転換しない。
【0045】
前述の態様のいくつかの実施形態では、対象の糸球体濾過率は≧30mL/min/1.73mである。
【0046】
前述の態様のいくつかの実施形態では、対象は、治療を受ける前3年以内に髄膜炎菌感染に対してワクチン接種を受けているか、又は治療を受ける前の2週間未満内に髄膜炎菌感染に対してワクチン接種を受け、ワクチン接種後2週間までは予防的な抗生物質をさらに投与される。
【0047】
前述の態様のいくつかの実施形態では、少なくとも一方の眼の視力(VA)スコアは、4メートルの開始距離でETDRSチャートを使用して判定した場合、84~4文字又は20/20~20/800(例えば84~24文字又は20/20~20/320)である。
【0048】
前述の態様のいくつかの実施形態では、対象は、治療を受ける前に何れの眼科的状態に対しても何れの補体、幹細胞又は遺伝子治療も受けていない。
【0049】
前述の態様のいくつかの実施形態では、対象は、治療を受ける前に何れの眼科的状態に対しても何れの幹細胞又は遺伝子治療も受けていない。
【0050】
前述の態様のいくつかの実施形態では、対象は、何れかの眼において、何れの投与経路でも、ドルーゼン、新生地図状萎縮(GA)又はGAに対する治療を受けていない。
【0051】
前述の態様のいくつかの実施形態では、対象は、何れかの眼において、nAMD、ダイアメトリック(diametric)黄斑浮腫、網膜静脈閉塞及び/又は増殖糖尿病性網膜症に対してレーザー光凝固療法を受けていない。
【0052】
いくつかの実施形態では、対象は、被験眼においてnAMD、ダイアメトリック(diametric)黄斑浮腫、網膜静脈閉塞及び/又は増殖糖尿病性網膜症に対してレーザー光凝固療法を受けていない。
【0053】
いくつかの実施形態では、対象は、被験眼において光線力学的治療(例えばビスダイン)又は経瞳孔温熱療法を受けていない。
【0054】
いくつかの実施形態では、対象は、被験眼及びそれぞれの眼窩、頭部及び/又は頸部に対して外部ビーム放射線療法(external bean radiation therapy)及び/又は何らかの他の照射(例えば、同位体、荷電粒子、光子又はX線)を受けていない。
【0055】
前述の態様のいくつかの実施形態では、対象は、何れかの眼における光線力学的治療(例えばビスダイン);眼、眼窩、頭部及び又は頸部に対する内部ビーム放射線療法及び/又は何らかの他の照射(例えば、同位体、荷電粒子、光子又はX線);又は何れかの眼における経瞳孔温熱療法を受けていない。
【0056】
前述の態様のいくつかの実施形態では、対象は、何れかの眼においてステロイドの硝子体内送達、抗補体又は装置埋め込みを受けておらず、ただし、この硝子体内ステロイド送達は、≧3カ月の白内障後の嚢胞状黄斑浮腫に対するものではない。
【0057】
いくつかの実施形態では、対象は、何れかの眼においてステロイドの硝子体内送達又は装置埋め込みを受けておらず、ただし、この硝子体内ステロイド送達は、≧3カ月の白内障後の嚢胞状黄斑浮腫に対するものではない。
【0058】
前述の態様のいくつかの実施形態では、対象は、何れかの眼における再発性感染性又は炎症性眼疾患の病歴がない。
【0059】
前述の態様のいくつかの実施形態では、対象は、何れかの眼における網膜剥離又は黄斑円孔の病歴がない。
【0060】
前述の態様のいくつかの実施形態では、対象は、何れかの眼における緑内障濾過手術の治療歴がない。
【0061】
前述の態様のいくつかの実施形態では、対象は、何れかの眼における角膜移植の治療歴がない。
【0062】
前述の態様のいくつかの実施形態では、対象は、何れかの眼におけるAMDに対する硝子体切除術、黄斑下手術又は何れかの外科的介入の治療歴がない。
【0063】
前述の態様のいくつかの実施形態では、対象は、治療前3カ月以内に眼内手術を受けていない。
【0064】
前述の態様のいくつかの実施形態では、対象は、既知の補体欠乏又は補体欠乏の疑いがない。
【0065】
前述の態様のいくつかの実施形態では、対象は、N.メニンギティディス(N meningitidis)感染歴がない。
【0066】
前述の態様のいくつかの実施形態では、対象は、活動性の細菌ウイルス又は他の感染の徴候がないか又は示さず;体温が2日連続で>38℃ではなく、治療を受ける前14日以内に何れの熱性の疾病にも罹患していない。
【0067】
前述の態様のいくつかの実施形態では、対象は、治療前の5年以内の悪性疾患又は進行中の悪性疾患の病歴がなく、ただし、この悪性疾患は、完全に切除されている及び/又は治癒している皮膚の基底細胞又は扁平上皮細胞癌腫ではない。
【0068】
前述の態様のいくつかの実施形態では、対象のALT、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)、アルカリホスファターゼ(ALP)又は直接ビリルビンが>2×正常上限(ULN)ではないか;又は対象がジルベール症候群であるならば、直接ビリルビンレベル>2×ULNである。
【0069】
前述の態様のいくつかの実施形態では、対象は、肝胆道胆汁うっ滞の徴候を示していない。
【0070】
前述の態様のいくつかの実施形態では、対象は、B型肝炎ウイルス感染の徴候を示さず、表面抗体は陰性である。
【0071】
前述の態様のいくつかの実施形態では、対象は、C型肝炎ウイルス感染の徴候を示していない。
【0072】
前述の態様のいくつかの実施形態では、対象は、ヒト免疫不全ウイルス感染の徴候を示していない。
【0073】
第3の態様では、本開示は、本明細書中で開示される方法の何れか、例えばAMD及び/又はiAMDに続発するGAの治療、での使用のための薬剤の製造における化合物1又は薬学的に許容可能なその塩の使用を提供する。
【0074】
第4の態様では、本開示は、本明細書中で開示される方法の何れか、例えばAMD及び/又はiAMDに続発するGAの治療、での使用のための化合物1又は薬学的に許容可能なその塩を提供する。
第5の態様では、本開示は、対象の少なくとも一方の眼におけるAMD及び/又はiAMDに続発するGAの治療のためのキットを提供する。本キットは、(a)化合物1又は薬学的に許容可能なその塩の用量;及び(b)本明細書中で開示される方法の何れかに従い化合物1又は薬学的に許容可能なその塩を使用するための説明書を含む。
【図面の簡単な説明】
【0075】
図1図1は、実施例1に記載の第II相臨床試験のデザインを示す模式図である(bid:1日2回;qd:1日1回;IA:中間解析;EOS:試験終了)。無益性解析(中間解析1[IA1])は、およそ50%の患者が第28週の来診を完了したときに行われ得る。無益性及び用量反応解析(中間解析2[IA2]は、およそ50%の患者が第52週の来診を完了したときに行われ得る。用量反応が肯定的である場合、IA2でペアワイズ比較を行い得る。プラセボ患者を52週間後に最適用量に移すか、又は、最適用量が特定されない場合、最適用量が決定されるまで、第52週に、活性のある治療群の1つに再ランダム化する。
【発明を実施するための形態】
【0076】
定義
本明細書中で使用される場合、名詞の前の「a」又は「複数の」という語は、特定の名詞が1つ以上であることを表す。例えば、「哺乳動物細胞(a mammalian cell)」という句は、「1つ以上の哺乳動物細胞」を表す。「a」、「an」及び「the」という単数形は、文脈から別段明確に示されない限り、複数の指示対象を含む。
【0077】
「約」という用語は、特にある量又は数に関して、プラス又はマイナス10パーセント(±10%)内(例えば±5%)の逸脱を包含することを意味する。
【0078】
本明細書中で使用される場合、「ベースライン」という用語は、治療レジメンの開始時に対象において検出されるか又は測定されるパラメーター(例えば、レベル、スコア又は解剖学的尺度)を指す。
【0079】
本明細書中で使用される場合、「有効な治療」とは、有益な効果、例えば望ましくない状態(例えば、AMDに続発するGA)を遅らせる又は反転させることを生じさせる治療を指す。有益な効果は、ベースラインを超える望ましくない状態と関連する1つ以上の臨床症状又はパラメーター(例えばGA病変面積)の改善、即ち治療開始前になされた測定又は観察を凌ぐ改善、の形態をとり得る。
【0080】
「有効量」又は「治療的有効量」という用語は、所望の生物学的、治療的及び/又は予防的な結果を提供する薬剤の量を指す。その結果は、疾患の徴候、症状又は原因のうち1つ以上の、軽減、改善、寛解、和らげること、遅延及び/又は緩和又は生体系の何らかの他の所望の変化であり得る。一例において、「有効量」は、例えば望ましくない状態(例えばAMDに続発するGA)の進行を遅延(例えば停止)させるか又は望ましくない状態の進行を反転させる(例えばAMDに続発するGAを反転させる)ために有効な、例えば臨床的に証明された、化合物1又は薬学的に許容可能なその塩の量である。有効量は、1回以上の投与において提供され得る。
【0081】
この技術分野で通常のように、本明細書中で使用される臨床パラメーターは、何らかの従来の方式で表され得る。例えば、GA病変面積の変化(例えば増加又は減少)は、絶対項(例えばmm)、微分項(例えば平方根(sqrt)mm)又は相対項(例えば%変化又は倍率変化)で表され得る。さらに、臨床パラメーターに対する変化は、対象特異的な特徴及び/又は集団の特徴に基づいて決定され得る。例えば、平均(又は中央値)GA病変面積は、治療を受けた対象における複数の測定(例えば、少なくとも3、少なくとも5、少なくとも10、少なくとも20カ所以上、例えば、少なくとも40カ所の異なる、好ましくは予め定められた網膜スキャンの部位)から、又は治療される対象の集団での測定(例えば、少なくとも3、少なくとも5、少なくとも10、少なくとも20、少なくとも30、少なくとも40、少なくとも50、少なくとも60、少なくとも70又は少なくとも80名以上、例えば300名の対象、ここで上述のように治療を受けた各対象において複数の測定が行われ得る)から算出され得る。
【0082】
本明細書中で使用される場合、スコア(例えば視力検査、読み取り速度検査、NEI VFQ-25質問票、EQ-5D-5L質問票又はLawton IADLスケールにおけるもの)に関する「改善」という用語は、対照と比較した場合の、本明細書中で開示される方法により治療された対象で観察されるスコアの改善を指し、改善は、特定の治療された対象又は治療された対象の集団(例えば、少なくとも3、少なくとも5、少なくとも10、少なくとも20、少なくとも30、少なくとも40、少なくとも50、少なくとも60、少なくとも70又は少なくとも80名以上、例えば、300名の治療を受けた対象)で観察され得る。いくつかの実施形態では、対照は、未治療対象(例えば、少なくとも3、少なくとも5、少なくとも10、少なくとも20、少なくとも30、少なくとも40、少なくとも50、少なくとも60、少なくとも70又は少なくとも80名以上、例えば300名の未治療対象)である。いくつかの実施形態では、対照は、プラセボ治療対象(例えば、少なくとも3、少なくとも5、少なくとも10、少なくとも20、少なくとも30、少なくとも40、少なくとも50、少なくとも60、少なくとも70又は少なくとも80名以上、例えば300名のプラセボ治療対象)である。
【0083】
本明細書中で使用される場合、「総GA病変面積の平方根の平均パーセント増加/減少」という用語は、治療を受けた対象での複数の測定(例えば、少なくとも3、少なくとも5、少なくとも10、少なくとも20カ所以上、例えば、少なくとも40カ所の異なる、好ましくは予め定められた網膜スキャンの部位)から又は治療を受けた対象の集団での測定(例えば、少なくとも3、少なくとも5、少なくとも10、少なくとも20、少なくとも30、少なくとも40、少なくとも50、少なくとも60、少なくとも70又は少なくとも80名以上、例えば300名の対象、ここで上述のように治療を受けた各対象において複数の測定が行われ得る)からの、当技術分野で公知の何れかの方法(例えば、FAF及び/又はSD-OCT)により測定した場合の、対照と比較した場合の、本明細書中で開示される方法に従い治療を受けた対象のGAを呈する眼における総GA病変面積の平方根のパーセント増加/減少(例えば、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%又は少なくとも99%の減少;又は500%未満、400%未満、300%未満、250%未満、200%未満、150%未満、120%未満、100%未満、90%未満、80%未満、70%未満、60%未満、50%未満、40%未満、30%未満、20%未満又は10%未満の増加)を指す。いくつかの実施形態では、対照は、(ベースラインでGAを呈していてもよいし又は呈していなくてもよい)治療を受けた対象の僚眼である。いくつかの実施形態では、対照は、未治療対象である。いくつかの実施形態では、対照は、プラセボ治療対象である。いくつかの実施形態では、平均パーセント増加/減少は、治療を受けた対象における複数の測定から算出される。
【0084】
本明細書中で使用される場合、「総GA病変面積の平均パーセント増加/減少」という用語は、治療を受けた対象における複数の測定(例えば、少なくとも3、少なくとも5、少なくとも10、少なくとも20カ所以上、例えば、少なくとも40カ所の異なる、好ましくは予め決定された網膜スキャンの部位)から又は治療を受けた対象の集団での測定(例えば、少なくとも3、少なくとも5、少なくとも10、少なくとも20、少なくとも30、少なくとも40、少なくとも50、少なくとも60、少なくとも70又は少なくとも80名以上、例えば、300名の対象、ここで上述のように治療を受けた各対象において複数の測定が行われ得る)から算出される、当技術分野で公知の何れかの方法(例えば、FAF及び/又は SD-OCT)により測定した場合の、対照と比較した場合の、本明細書中で開示される方法に従い治療を受けた対象における総GA病変面積のパーセント増加/減少(例えば、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%又は少なくとも99%の減少;又は500%未満、400%未満、300%未満、250%未満、200%未満、150%未満、120%未満、100%未満、90%未満、80%未満、70%未満、60%未満、50%未満、40%未満、30%未満、20%未満及び10%未満の増加)を指す。いくつかの実施形態では、対照は、(ベースラインでGAを呈していてもよいし又は呈していなくてもよい)治療を受けた対象の僚眼である。いくつかの実施形態では、対照は、未治療対象(例えば、少なくとも3、少なくとも5、少なくとも10、少なくとも20、少なくとも30、少なくとも40、少なくとも50、少なくとも60、少なくとも70又は少なくとも80名以上、例えば300名の未治療対象、ここで、各未治療対象において複数の測定が行われ得る)である。いくつかの実施形態では、対照はプラセボ治療対象(例えば、少なくとも3、少なくとも5、少なくとも10、少なくとも20、少なくとも30、少なくとも40、少なくとも50、少なくとも60、少なくとも70又は少なくとも80名以上、例えば300名のプラセボ治療対象、ここで、各プラセボ治療対象において複数の測定が行われ得る)である。いくつかの実施形態では、平均パーセント増加/減少は、治療を受けた対象における複数の測定から算出される。
【0085】
本明細書中で使用される場合、「総GA病変面積の平方根の平均増加/減少」という用語は、治療を受けた対象における複数の測定(例えば、少なくとも3、少なくとも5、少なくとも10、少なくとも20カ所以上、例えば、少なくとも40カ所の異なる、好ましくは予め決定された網膜スキャンの部位)から又は治療を受けた対象の集団での測定(例えば、少なくとも3、少なくとも5、少なくとも10、少なくとも20、少なくとも30、少なくとも40、少なくとも50、少なくとも60、少なくとも70又は少なくとも80名以上、例えば300名の対象、ここで上述のように治療を受けた各対象において複数の測定が行われ得る)から算出される、当技術分野で公知の何れかの方法(例えば、FAF及び/又はSD-OCT)により測定した場合の、対照と比較した場合の、本明細書中で開示される方法に従い治療を受けた対象のGAを呈する眼における総GA病変面積の平方根の増加/減少(例えば対照対象においてFAFにより測定した場合に約2.8±0.72mmのベースラインを超える)を指す。例えば、臨床試験のための臨床エンドポイントとして用いられる解剖学的マーカーとしてFAFイメージングによる総GA病変面積進行の定量測定が使用され得(Holz et al.,Am J Ophthalmol.2007;143(3):463-472;Holz et al.,JAMA Ophthalmol.2018;136(6):666-677;Liao et al., Ophthalmology.2020;127(2):186-195;Sadda et al.,Retina.2016;36(10):1806-1822)、特にベースライン病変サイズに依存する変動性を排除するためにGA病変面積測定の平方根(sqrt)変換が使用され得る(Feuer et al.,JAMA Ophthalmology.2013;131(1):110-111;Yehoshua et al.,Ophthalmology.2014;121(3):693-701)。いくつかの実施形態では、対照は、(ベースラインでGAを呈していてもよいし又は呈していなくてもよい)治療を受けた対象の僚眼である。いくつかの実施形態では、対照は、未治療対象(例えば、少なくとも3、少なくとも5、少なくとも10、少なくとも20、少なくとも30、少なくとも40、少なくとも50、少なくとも60、少なくとも70又は少なくとも80名以上、例えば300名の未治療対象、ここで、各未治療対象において複数の測定が行われ得る)である。いくつかの実施形態では、対照はプラセボ治療対象(例えば、少なくとも3、少なくとも5、少なくとも10、少なくとも20、少なくとも30、少なくとも40、少なくとも50、少なくとも60、少なくとも70又は少なくとも80名以上、例えば300名のプラセボ治療対象、ここで、各プラセボ治療対象において複数の測定が行われ得る)である。いくつかの実施形態では、平均増加/減少は、治療を受けた対象における複数の測定から算出される。
【0086】
本明細書中で使用される場合、「総GA病変面積の平方根の増加/減少の平均速度」という用語は、治療を受けた対象における複数の測定(例えば、少なくとも3、少なくとも5、少なくとも10、少なくとも20カ所以上、例えば、少なくとも40カ所の異なる、好ましくは予め決定された網膜スキャンの部位)から又は治療を受けた対象の集団での測定(例えば、少なくとも3、少なくとも5、少なくとも10、少なくとも20、少なくとも30、少なくとも40、少なくとも50、少なくとも60、少なくとも70又は少なくとも80名以上、例えば300名の対象、ここで上述のように治療を受けた各対象において複数の測定が行われ得る)から算出される、当技術分野で公知の何れかの方法(例えば、FAF及び/又はSD-OCT)により測定した場合の、対照と比較した場合の、本明細書中で開示される方法に従い治療を受けた対象における総GA病変面積の平方根の増加/減少の速度(例えば、対照対象においてFAFにより測定した場合に約0.35±0.05mm/年のベースラインを超える)を指す。Holz(2007);Holz(2018);Liao(2020);Sadda(2016)、前出を参照のこと。いくつかの実施形態では、対照は、(ベースラインでGAを呈していてもよいし又は呈していなくてもよい)治療を受けた対象の僚眼である。いくつかの実施形態では、対照は、未治療対象(例えば、少なくとも3、少なくとも5、少なくとも10、少なくとも20、少なくとも30、少なくとも40、少なくとも50、少なくとも60、少なくとも70又は少なくとも80名以上、例えば300名の未治療対象、ここで、各未治療対象において複数の測定が行われ得る)である。いくつかの実施形態では、対照はプラセボ治療対象(例えば、少なくとも3、少なくとも5、少なくとも10、少なくとも20、少なくとも30、少なくとも40、少なくとも50、少なくとも60、少なくとも70又は少なくとも80名以上、例えば300名のプラセボ治療対象、ここで、各プラセボ治療対象において複数の測定が行われ得る)である。いくつかの実施形態では、増加/減少の平均速度は、治療を受けた対象における複数の測定から算出される。
【0087】
本明細書中で使用される場合、「総GA病変面積の平均増加/減少」という用語は、治療を受けた対象における複数の測定(例えば、少なくとも3、少なくとも5、少なくとも10、少なくとも20カ所以上、例えば、少なくとも40カ所の異なる、好ましくは予め決定された網膜スキャンの部位)又は治療を受けた対象の集団での測定(例えば、少なくとも3、少なくとも5、少なくとも10、少なくとも20、少なくとも30、少なくとも40、少なくとも50、少なくとも60、少なくとも70又は少なくとも80名以上、例えば300名の治療を受けた対象、ここで上述のように治療を受けた各対象において複数の測定が行われ得る)から算出される、当技術分野で公知の何れかの方法(例えば、FAF及び/又はSD-OCT)により測定した場合の、対照と比較した場合の、本明細書中で開示される方法に従い治療を受けた対象における総GA病変面積の増加/減少(例えば、対照対象においてFAFにより測定した場合の約8.2±4.05mmのベースラインを超える)を指す。Holz(2007);Holz(2018);Liao(2020);Sadda(2016)前出を参照。いくつかの実施形態では、対照は、(ベースラインでGAを呈していてもよいし又は呈していなくてもよい)治療を受けた対象の僚眼である。いくつかの実施形態では、対照は、未治療対象(例えば、少なくとも3、少なくとも5、少なくとも10、少なくとも20、少なくとも30、少なくとも40、少なくとも50、少なくとも60、少なくとも70又は少なくとも80名以上、例えば300名の未治療対象、ここで、各未治療対象において複数の測定が行われ得る)である。いくつかの実施形態では、対照はプラセボ治療対象(例えば、少なくとも3、少なくとも5、少なくとも10、少なくとも20、少なくとも30、少なくとも40、少なくとも50、少なくとも60、少なくとも70又は少なくとも80名以上、例えば300名のプラセボ治療対象、ここで、各プラセボ治療対象において複数の測定が行われ得る)である。いくつかの実施形態では、平均増加/減少は、治療を受けた対象における複数の測定から算出される。
【0088】
本明細書中で使用される場合、「総GA病変面積の増加/減少の平均速度」という用語は、治療を受けた対象における複数の測定(例えば、少なくとも3、少なくとも5、少なくとも10、少なくとも20カ所以上、例えば、少なくとも40カ所の異なる、好ましくは予め決定された網膜スキャンの部位)又は治療を受けた対象の集団での測定(例えば、少なくとも3、少なくとも5、少なくとも10、少なくとも20、少なくとも30、少なくとも40、少なくとも50、少なくとも60、少なくとも70又は少なくとも80名以上、例えば300名の治療を受けた対象、ここで上述のように治療を受けた各対象において複数の測定が行われ得る)から算出される、当技術分野で公知の何れかの方法(例えば、FAF及び/又はSD-OCT)により測定した場合の、対照と比較した場合の、本明細書中で開示される方法に従い治療を受けた対象における総GA病変面積の増加/減少の速度を指す。Holz(2007);Holz(2018);Liao(2020);Sadda(2016)前出を参照。例えば、総GA病変面積の増加の平均速度は、総GA面積(y軸)及び年単位の時間(x軸)をプロットする曲線の線形回帰モデルを使用して測定され得る。いくつかの実施形態では、対照は、(ベースラインでGAを呈していてもよいし又は呈していなくてもよい)治療を受けた対象の僚眼である。いくつかの実施形態では、対照は、未治療対象(例えば、少なくとも3、少なくとも5、少なくとも10、少なくとも20、少なくとも30、少なくとも40、少なくとも50、少なくとも60、少なくとも70又は少なくとも80名以上、例えば300名の未治療対象、ここで、各未治療対象において複数の測定が行われ得る)である。いくつかの実施形態では、対照はプラセボ治療対象(例えば、少なくとも3、少なくとも5、少なくとも10、少なくとも20、少なくとも30、少なくとも40、少なくとも50、少なくとも60、少なくとも70又は少なくとも80名以上、例えば300名のプラセボ治療対象、ここで各プラセボ治療対象において複数の測定が行われ得る)である。いくつかの実施形態では、平均増加/減少は、治療を受けた対象における複数の測定から算出される。
【0089】
本明細書中で使用される場合、「ドルーゼン表面積及び/又は体積の平均増加/減少」という用語は、当技術分野で公知の何れかの方法(例えば、FAF及び/又は SD-OCT)により測定した場合の、対照と比較した場合の、本明細書中で開示される方法に従い治療を受けた対象におけるドルーゼン表面積及び/又は体積の増加/減少(例えば約0.03mmのカットオフレベルと比較した変化)の平均を指す。例えば、ドルーゼン表面積は、FAF及びSD-OCT画像を使用して測定され得、ドルーゼン体積は、特定の時間点で中央読影マニュアル(Central Reading Manual)に従いマスク化された評価者によりSD-OCT画像を使用して算出される。Abdelfattah et al.,Invest Ophthalmol Vis Sci.2016;57(4):1839-1846;Folgar et al.,Ophthalmology.2016;123(1):39-50.e31を参照。いくつかの実施形態では、対照は、治療を受けた対象の僚眼である。いくつかの実施形態では、対照は、未治療対象である。いくつかの実施形態では、対照は、プラセボ治療対象である。
【0090】
本明細書中で使用される場合、「中心窩を中心とした予め決定された領域のGA内及びGA外でのエリプソイドゾーン喪失面積の増加/減少の平均速度」という用語は、治療を受けた対象における複数の測定(例えば、少なくとも3、少なくとも5、少なくとも10、少なくとも20カ所以上、例えば、少なくとも40カ所の異なる、好ましくは予め決定された網膜スキャンの部位)又は治療を受けた対象の集団での測定(例えば、少なくとも3、少なくとも5、少なくとも10、少なくとも20、少なくとも30、少なくとも40、少なくとも50、少なくとも60、少なくとも70又は少なくとも80名以上、例えば300名の治療を受けた対象、ここで上述のように治療を受けた各対象において複数の測定が行われ得る)から算出される、当技術分野で公知の何れかの方法(例えば、FAF及び/又は SD-OCT)により測定した場合の、対照と比較した場合の、本明細書中で開示される方法に従い治療を受けた対象における中心窩を中心とした予め決定された領域のGA内及びGA外でのエリプソイドゾーン喪失面積の増加/減少の速度を指す。いくつかの実施形態では、定量的光干渉断層撮影(OCT)アプローチを使用して、外境界膜(ELM)に対するエリプソイドゾーン(EZ)の比を表すことによってEZの相対強度を決定し得る。Pfau et al.,Retina.2020;40(1):169-180を参照。例えばLara-Medina et al.,IntechOpen;2019;Mukherjee et al.,Invest Ophthalmol Vis Sci.2017;58(6):Bio291;及びTao et al.,Clin Exp Ophthalmol.2016;44(5):422-430に記載のような他の方法も使用し得る。いくつかの実施形態では、対照は、(ベースラインでGAを呈していてもよいし又は呈していなくてもよい)治療を受けた対象の僚眼である。いくつかの実施形態では、対照は、未治療対象(例えば、少なくとも3、少なくとも5、少なくとも10、少なくとも20、少なくとも30、少なくとも40、少なくとも50、少なくとも60、少なくとも70又は少なくとも80名以上、例えば300名の未治療対象、ここで、各未治療対象において複数の測定が行われ得る)である。いくつかの実施形態では、対照はプラセボ治療対象(例えば、少なくとも3、少なくとも5、少なくとも10、少なくとも20、少なくとも30、少なくとも40、少なくとも50、少なくとも60、少なくとも70又は少なくとも80名以上、例えば300名のプラセボ治療対象、ここで、各プラセボ治療対象において複数の測定が行われ得る)である。いくつかの実施形態では、増加/減少の平均速度は、治療を受けた対象における複数の測定から算出される。
【0091】
本明細書中で使用される場合、「中心窩を中心とした予め決定された領域のGA内及びGA外でのエリプソイドゾーン喪失面積の平均増加/減少」という用語は、治療を受けた対象における複数の測定(例えば、少なくとも3、少なくとも5、少なくとも10、少なくとも20カ所以上、例えば、少なくとも40カ所の異なる、好ましくは予め決定された網膜スキャンの部位)又は治療を受けた対象の集団での測定(例えば、少なくとも3、少なくとも5、少なくとも10、少なくとも20、少なくとも30、少なくとも40、少なくとも50、少なくとも60、少なくとも70又は少なくとも80名以上、例えば300名の治療を受けた対象、ここで上述のように治療を受けた各対象において複数の測定が行われ得る)から算出される、当技術分野で公知の何れかの方法(例えば、FAF及び/又はSD-OCT)により測定した場合の、対照と比較した場合の、本明細書中で開示される方法に従い治療を受けた対象の中心窩を中心とした予め決定された領域のGA内及びGA外でのエリプソイドゾーン喪失面積の増加/減少を指す。代表的な方法は、Mukherjee et al.(2017);Pfau et al.(2020);及びTao et al.(2016)前出に記載されている。いくつかの実施形態では、対照は、(ベースラインでGAを呈していてもよいし又は呈していなくてもよい)治療を受けた対象の僚眼である。いくつかの実施形態では、対照は、未治療対象(例えば、少なくとも3、少なくとも5、少なくとも10、少なくとも20、少なくとも30、少なくとも40、少なくとも50、少なくとも60、少なくとも70又は少なくとも80名以上、例えば300名の未治療対象、ここで、各未治療対象において複数の測定が行われ得る)である。いくつかの実施形態では、対照はプラセボ治療対象(例えば、少なくとも3、少なくとも5、少なくとも10、少なくとも20、少なくとも30、少なくとも40、少なくとも50、少なくとも60、少なくとも70又は少なくとも80名以上、例えば300名のプラセボ治療対象、ここで、各プラセボ治療対象において複数の測定が行われ得る)である。いくつかの実施形態では、平均増加/減少は、治療を受けた対象における複数の測定から算出される。
【0092】
本明細書中で使用される場合、「黄斑感度の上昇/低下」という用語は、当技術分野で公知の何れかの方法(例えば、薄暮視マイクロペリメトリー)により測定した場合の、対照と比較した場合の、本明細書中で開示される方法に従い治療を受けた対象(又は対象の集団、例えば、少なくとも3、少なくとも5、少なくとも10、少なくとも20、少なくとも30、少なくとも40、少なくとも50、少なくとも60、少なくとも70又は少なくとも80名以上、例えば300名の治療を受けた対象)における黄斑感度の上昇/低下(例えば、暗点の減少/増加により評価されるようなもの)を指す。代表的なマイクロペリメトリー技術は、Csaky et al.,Surv Ophthalmol.2019;64(3):353-364に記載されており、この技術において、様々な強度の光刺激を変化させて、対象が光を検出し得る最低レベルを判定し;刺激強度をデシベル(dB)単位で測定し、高いスコアほど、より薄暗い刺激を検出することを示し、従って網膜感度が高く;0dBのスコアは絶対暗点を示し(床効果がないと仮定)、その機器で利用可能な最も明るい刺激を検出できなかったことを反映する。次に、視線追跡技術を使用して、特定の眼底所見上に的を絞り、刺激ディスプレイを1秒当たり多数回調整して(視線追跡装置の周波数に依存)、眼の動きを相殺し、特定の網膜の位置に刺激を局在させ、その後、スコアを得る。いくつかの実施形態では、対照は、(ベースラインでGAを呈していてもよいし又は呈していなくてもよい)治療を受けた対象の僚眼である。いくつかの実施形態では、対照は、未治療対象(例えば、少なくとも3、少なくとも5、少なくとも10、少なくとも20、少なくとも30、少なくとも40、少なくとも50、少なくとも60、少なくとも70又は少なくとも80名以上、例えば300名の未治療対象、ここで、各未治療対象において複数の測定が行われ得る)である。いくつかの実施形態では、対照はプラセボ治療対象(例えば、少なくとも3、少なくとも5、少なくとも10、少なくとも20、少なくとも30、少なくとも40、少なくとも50、少なくとも60、少なくとも70又は少なくとも80名以上、例えば300名のプラセボ治療対象、ここで、各プラセボ治療対象において複数の測定が行われ得る)である。いくつかの実施形態では、平均増加/減少は、治療を受けた対象における複数の測定から算出される。
【0093】
本明細書中で使用される場合、「暗点の増加/減少」という用語は、当技術分野で公知の何れかの方法(例えば、薄暮視マイクロペリメトリー)により測定した場合の、対照と比較した場合の、本明細書中で開示される方法に従い治療を受けた対象(又は対象の集団、例えば、少なくとも3、少なくとも5、少なくとも10、少なくとも20、少なくとも30、少なくとも40、少なくとも50、少なくとも60、少なくとも70又は少なくとも80名以上、例えば300名の治療を受けた対象)における暗点数の増加/減少の平均を指す。代表的な方法は、Csaky et al.(2019)前出に記載される。いくつかの実施形態では、黄斑の中心20°から均一に分布する68カ所の試験点で回収された時系列データから計算された場合、約4.4個の暗点/年の増加がGA対象において観察され得、本開示の化合物の投与後の減少(例えば、少なくとも0.5ポイント、少なくとも1ポイント、少なくとも1.5ポイント、少なくとも2ポイント以上、例えば、少なくとも4ポイント)は、有効な治療を示す。いくつかの実施形態では、対照は、(ベースラインでGAを呈していてもよいし又は呈していなくてもよい)治療を受けた対象の僚眼である。いくつかの実施形態では、対照は、未治療対象(例えば、少なくとも3、少なくとも5、少なくとも10、少なくとも20、少なくとも30、少なくとも40、少なくとも50、少なくとも60、少なくとも70又は少なくとも80名以上、例えば300名の未治療対象、ここで、各未治療対象において複数の測定が行われ得る)である。いくつかの実施形態では、対照はプラセボ治療対象(例えば、少なくとも3、少なくとも5、少なくとも10、少なくとも20、少なくとも30、少なくとも40、少なくとも50、少なくとも60、少なくとも70又は少なくとも80名以上、例えば300名のプラセボ治療対象、各プラセボ治療対象において複数の測定が行われ得る)である。
【0094】
本明細書中で使用される場合、「薬学的に許容可能な塩」という用語は、不要な毒性、刺激、アレルギー反応などなく、ヒト及び動物の組織に接触させる使用に適切な、健全な医学的判断の範囲内にある、記載される化合物の塩に相当し、合理的なベネフィット/リスク比と釣り合っている。薬学的に許容可能な塩は、当技術分野で周知である。例えば、薬学的に許容可能な塩は、次の文献に記載される:Berge et al.,J.Pharmaceutical Sciences 66:1-19,1977及びHandbook of Pharmaceutical Salts:Properties,Selection, and Use,(Eds.P.H.Stahl and C.G.Wermuth),Wiley-VCH,2008。これらの塩は、無機又は有機酸を含む酸付加塩であり得る。塩は、本明細書中に記載の化合物の最終単離及び精製中にインシトゥで、又は適切な酸と遊離塩基基を個別に反応させることによって、調製され得る。適切な塩の調製のための方法は当技術分野で十分に確立されている。代表的な酸付加塩としては、酢酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスコルビン酸塩、アスパラギン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、重硫酸塩、ホウ酸塩、臭化物、酪酸塩、カンファー酸塩、カンファ-スルホン酸塩、塩化物、クエン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、フマル酸塩、グルコへプタン酸塩、グリセロリン酸、ヘミ硫酸塩、ヘプトン酸塩、ヘキサン酸塩、臭化水素酸塩、塩酸塩、ヨウ化水素酸塩、2-ヒドロキシ-エタンスルホン酸塩、ラクトビオン酸塩、乳酸塩、ラウリン酸塩、ラウリル硫酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メタンスルホン酸塩、2-ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3-フェニルプロピオン酸塩、リン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、トルエンスルホン酸塩、ウンデカン酸塩、吉草酸塩などが挙げられる。
【0095】
本明細書中で使用される場合、「医薬組成物」という用語は、1つ以上の薬学的に許容可能な賦形剤と一緒に処方される活性化合物を指す。いくつかの実施形態では、化合物は、適切な集団に投与された場合に予め決定された治療効果を達成する統計学的に有意な確率を示す治療レジメンにおける投与に適切な単位用量で存在する。特定の実施形態では、医薬組成物は、次のことに適しているものを含む、固体又は液体形態での投与のために特別に処方され得る:経口投与、例えば、水薬(水性又は非水性溶液又は懸濁液)、錠剤、例えば頬側、舌下のために標的化された投与、及び全身吸収、ボーラス、粉末、顆粒、舌への適用のためのペースト;非経口投与、例えば皮下、筋肉内、静脈内又は硬膜外注射による、例えば滅菌溶液又は懸濁液としての投与、又は持続放出処方物;局所適用、例えばクリーム、軟膏又は制御放出パッチ又は皮膚、肺又は口腔に適用されるスプレーとしての投与;膣内又は直腸内、例えばペッサリー、クリーム又はフォームとしての投与;舌下;眼;経皮;又は鼻腔への、肺への及び他の粘膜表眼への投与。
【0096】
「薬学的に許容可能な賦形剤」という用語は、本明細書中で使用される場合、対象における無毒性及び非炎症性の特性を有する、何れかの不活性成分(例えば活性化合物を懸濁可能又は溶解可能なビヒクル)を指す。典型的な賦形剤としては、例えば:付着防止剤、抗酸化剤、結合剤、コーティング剤、圧縮補助剤(compression aid)、崩壊剤、染料、皮膚軟化剤、乳化剤、希釈剤、フィルム形成剤又はコーティング剤、香味剤、香料、流動促進剤、滑沢剤、保存剤、印刷用インク、吸着剤、懸濁又は分散剤、甘味料又は水和水(waters of hydration)が挙げられる。賦形剤としては、ブチル化されている任意選択的に置換されるヒドロキシトルエン(例えばBHT)、炭酸カルシウム、第二リン酸カルシウム、ステアリン酸カルシウム、クロスカルメロース、架橋ポリビニルピロリドン、クエン酸、クロスポビドン、システイン、エチルセルロース、ゼラチン、任意選択的に置換されるヒドロキシプロピルセルロース、任意選択的に置換されるヒドロキシプロピルメチルセルロース、ラクトース、ステアリン酸マグネシウム、マルチトール、マンニトール、メチオニン、メチルセルロース、メチルパラベン、微結晶セルロース、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、ポビドン、アルファ化デンプン、プロピルパラベン、パルミチン酸レチニル、セラック、二酸化ケイ素、カルボキシメチルセルロースナトリウム、クエン酸ナトリウム、デンプングリコール酸ナトリウム、ソルビトール、デンプン、ステアリン酸、ステアリン酸、スクロース、タルク、二酸化チタン、ビタミンA、ビタミンE、ビタミンC及びキシリトールが挙げられるが限定されない。当業者は、賦形剤として有用な様々な薬剤及び物質に精通している。
【0097】
本明細書中で使用される場合、「iAMDが後期AMDに転換するリスクを低下させる」という用語は、本開示の方法の何れかに従い治療を受けた対象においてiAMD(例えば、iRORA又は高リスクドルーゼン)が後期AMD(例えばcRORA)に転換するパーセンテージを低下させることを指す。この低下は、同じ年齢、性別及び/又は状態(例えば併存疾患)の対照対象、例えば未治療又はプラセボ治療を受けた対象、と比較したものである。いくつかの実施形態では、本開示の方法の何れかに従い治療を受けた対象においてiAMDが後期AMDに転換するパーセンテージは、対照対象におけるiAMDが後期AMDへ転換するパーセンテージと比較して、少なくとも10%(少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%又は99%又はそれを超えて)低下する。
【0098】
本明細書中で使用される場合、対象において「GAの進行を遅らせるか又は反転させる」という用語は、対照と比較した場合の、本明細書中で開示される方法に従い治療を受けた対象におけるGAの進行を遅らせる又は反転させることの観察を指す。いくつかの実施形態では、対照は、治療を受けた対象の僚眼である。いくつかの実施形態では、対照は、未治療対象(例えば、少なくとも10、少なくとも20、少なくとも30、少なくとも40、少なくとも50、少なくとも60、少なくとも70又は少なくとも80名の対象又は治療を受けた対象とおよそ同じ数)である。いくつかの実施形態では、対照はプラセボ治療対象(例えば、少なくとも10、少なくとも20、少なくとも30、少なくとも40、少なくとも50、少なくとも60、少なくとも70又は少なくとも80名の対象又は治療を受けた対象とおよそ同じ数)である。
【0099】
本明細書中で使用される場合、「対象」又は「患者」という用語は、ヒト患者(例えばAMDに続発するGAを有する患者)である。本明細書中で使用される場合、「対象」及び「患者」という用語は、交換可能である。
【0100】
本明細書中で使用される場合、「治療すること」という用語は、治療学的処置を含む。「治療学的」処置という用語は、当技術分野で認められており、望ましくない状態(例えばAMDに続発するGA)の所見後、化合物1又は薬学的に許容可能なその塩(例えば医薬組成物中)のヒト対象への投与を含む。既存の望ましくない状態(例えば、AMDに続発するGA)又はその副次的影響の進行を、低下させるか、寛解させるか、安定化させるか又は遅らせるか又は停止させることが意図される。好ましくは、対象と比較して、望ましくない状態(例えばAMDに続発するGA)の進行を、遅らせる、停止させる又は反転させる(例えば、AMDに続発するGAを軽減する)ことが意図される。AMD(例えばAMDに続発するGA)などの眼への障害を治療するという状況において、対照は、対象、未治療対象又はプラセボ治療対象の僚眼であり得る。
【0101】
加齢黄斑変性
本開示は、AMDに続発するGAを治療するための方法に関する。AMDは、補体D因子の機能不全又は過剰な活性化により引き起こされる眼の補体介在性障害であり、黄斑と呼ばれる眼の網膜の中央領域に影響を与える。AMDは、60歳以上の失明の主な原因である。世界中で推定される1700万人がAMDに罹患している。
【0102】
2つの主要なタイプのAMD、ドライ(非血管新生)型及び滲出(血管新生)型がある。ドライ型AMDは、年齢とともに黄斑部分が薄くなり、ドルーゼンと呼ばれる黄色の沈着物/塊が黄斑上で大きくなったときに起こる。これらの塊は、より大きく、より多くなり得、その結果、視野の歪みが起こる。状態の進行につれて、黄斑の光感受性の細胞が薄くなり、最終的には死ぬ。萎縮型において、視野の中心で盲点が生じ、その結果、中心視野を喪失する。滲出型AMDは、あまり一般的ではないが、より重篤であり、新しい異常な血管が黄斑の下で増えるときに起こる。これらの血管は、血液及び体液を網膜に漏出させ得、視野を歪め、直線が波線に見えるようになる。状態の進行につれて、これらの血管及びそれらの出血は、最終的に瘢痕を形成し、中心視野の永久的な喪失につながる。
【0103】
GAは、黄斑の慢性進行性変性であり、後期AMDの一部とみなされる。この状態は、中心暗点及び視力の永久的な喪失につながる。この疾患は、網膜外側組織、網膜色素上皮及び脈絡毛細管の局限型のはっきりと境界が画定された萎縮を特徴とする。これは、一般的には中心窩周囲領域で始まり、時間とともに中心窩を巻き込んで拡大し、これが中心暗点及び視力の永久的な喪失につながる。これは殆どの場合両側性である。800万人超が、世界中でGAに罹患しており、全員のおよそ20%がAMDを有する。
【0104】
AMDの臨床分類は、下の表1で提供する:
【0105】
【表1】
【0106】
治療の方法
本開示は、対象において、AMDに続発するGAを治療する(例えばGAの進行を遅らせるか若しくは反転させるか又はGAを軽減する)ための方法を提供する。本方法は、対象に治療的有効量の化合物1(ALXN2040/ダニコパン)又はその薬学的に許容可能なを投与することを含む。好ましい実施形態では、化合物1又は薬学的に許容可能なその塩は経口投与される。
【0107】
いくつかの実施形態では、化合物1又は薬学的に許容可能なその塩が1日1回(QD)投与される。いくつかの実施形態では、化合物1又は薬学的に許容可能なその塩は、約100mg~約1000mg QD(例えば、約200mg~約800mg QD、約250mg~約600mg QD、約300mg~約500mg QD、約350mg~約400mg QD、約100mg QD、約150mg QD、約200mg QD、約250mg QD、約300mg QD、約350mg QD、約400mg QD、約450mg QD、約500mg QD、約550mg QD、約600mg QD、約650mg QD、約700mg QD、約750mg QD、約800mg QD、約850mg QD、約900mg QD、約950mg QD又は約1000mg QD)の用量で投与される。いくつかの実施形態では、化合物1又は薬学的に許容可能なその塩が1日2回(BID)投与される。いくつかの実施形態では、化合物1又は薬学的に許容可能なその塩は、約50mg~約500mg QID(例えば、約100mg~約400mg BID、約125mg~約300mg BID、約150mg~約250mg BID、約175mg~約200mg BID、約50mg BID、約100mg BID、約125mg BID、約150mg BID、約175mg BID、約200mg BID、約225mg BID、約250mg BID、約275mg BID、約300mg BID、約325mg BID、約350mg BID、約375mg BID、約400mg BID、約425mg BID、約450mg BID、475mg BID又は約500mg BID)の用量で投与される。
【0108】
いくつかの実施形態では、化合物1又は薬学的に許容可能なその塩での治療コースは26週間続く。いくつかの実施形態では、治療コースは52週間続く。いくつかの実施形態では、治療コースは104週間続く。いくつかの実施形態では、治療コースは、26~52、26~78、26~104、26~130、26~156、26~182、26~208週間又はそれを超えて続く。いくつかの実施形態では、治療コースは、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、78、104、130、156又は182週間を超えて続く。いくつかの実施形態では、治療コースは、1、2、3、4、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80年超、又はそれを超えて続く。いくつかの実施形態では、治療コースは、対象の生涯の残りの期間にわたり続く。
【0109】
いくつかの実施形態では、有効な治療の最初の徴候(例えばGAの進行の遅延若しくは反転又はGAの軽減)は、化合物1又は薬学的に許容可能なその塩での26週間の治療までに起こる。いくつかの実施形態では、有効な治療の最初の徴候(例えば、AMDの進行、例えばAMDに続発するGAなど、の遅延又は反転)は、化合物1又は薬学的に許容可能なその塩での52週間の治療までに起こる。いくつかの実施形態では、有効な治療の最初の徴候(例えばGAの進行の遅延若しくは反転又はGAの軽減))は、化合物1又は薬学的に許容可能なその塩での104週間の治療までに起こる。いくつかの実施形態では、有効な治療の最初の徴候(例えばGAの進行の遅延若しくは反転又はGAの軽減)は、化合物1又は薬学的に許容可能なその塩での治療の第1~26週、第26~52週、第52~78週、第78~104週、第104~130週、第130~156週、第156~182週又は第182~208週の間に起こる。いくつかの実施形態では、有効な治療の最初の徴候(例えばAMDの進行、例えばAMDに続発するGAなど、の遅延若しくは反転)は、第1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、78、104、130、156又は182週に起こる。
【0110】
いくつかの実施形態では、有効な治療の徴候(例えば、GAの進行の遅延若しくは反転又はGAの軽減)は、(1)ベースラインからの総GA病変面積の平方根の増加速度の低下、(2)一方の眼又は両眼におけるベースラインからの総GA病変面積の増加速度の低下、(3)一方の眼若しくは両眼におけるベースラインからの総GA病変面積の増加(例えば又はパーセント増加)の軽減又は一方の眼若しくは両眼における総GA病変面積の減少、(4)一方の眼若しくは両眼におけるベースラインからの総GA病変面積の平方根の増加(例えばパーセント増加)の軽減又は一方の眼若しくは両眼におけるベースラインからの総GA病変面積の平方根の低下及び(5)例えば未治療又はプラセボ治療対象と比較した場合の、FAF及び/又はSD-OCTにより測定した場合の、一方の眼若しくは両眼におけるドルーゼン表面積及び/又は体積の増加の軽減のうち1つ以上を含む。有効な治療の徴候は、GAを呈する眼と、GAを呈してもよいし又は呈さなくてもよい僚眼と、の間の比較にも基づき得る。
【0111】
いくつかの実施形態では、有効な治療の徴候は、例えば未治療又はプラセボ治療対象と比較した場合の、(1)一方の眼若しくは両眼におけるベースラインからの単眼最高矯正(BCVA)スコアの改善、(2)一方の眼若しくは両眼におけるベースラインからの単眼低輝度視力(LLVA)スコアの改善、(3)Early Treatment Diabetic Retinopathy Study(ETDRS)チャートにより評価した場合の、一方の眼若しくは両眼におけるベースラインからの低輝度欠損(LLD)スコアの改善のうち1つ以上の改善を含む。
【0112】
いくつかの実施形態では、有効な治療の徴候は、ベースラインからのNational Eye Institute Visual Function Questionnaire、25項目版(NEI VFQ-25)スコアの上昇を含む。NEI VFQ-25(Mangione et al.,Arch Ophthalmol.2001;119(7):1050-1058;及びSivaprasad et al.,Am J Ophthalmol.2018;190:1-8参照)は、慢性の眼の状態がある個人の自己報告の視力に的を定めた健康状態の目安を評価する。NEI VFQ-25は、11の視力関連ドメイン:全般的な視力評価、近見視力による行動の難しさ、遠隔視力による行動の難しさ、視力に関連する社会的機能の制限、役割制限、視力による他人への依存性、視力による精神健康症状、運転困難、周辺視力及び色覚での制限及び眼の疼痛からなる。
【0113】
NEI VFQ-25はまた、総体的健康状態を測定する1つの項目を含む。複合スコアは視力関連ドメインを平均化し、0(最悪)~100(最良)の範囲である。GA患者におけるNEI VFQ 25は、信頼でき、正当な尺度であることが明らかにされている(Sivaprasad et al.(2018)、前出を参照)。
【0114】
代表的なNEI VFQ-25質問票を表2で示す。質問票に対する代表的なスコア化のキーを表3で示す。VFQ-25サブスケールを生成させるための項目の平均化を表4で示す。
【0115】
【表2-1】
【0116】
【表2-2】
【0117】
【表2-3】
【0118】
【表3】
【0119】
【表4】
【0120】
EQ-5D-5Lは、健康関連のクオリティーオブライフを評価するための統一された質問票であり、5つの側面、即ち、可動性、通常の活動性、セルフケア、疼痛/違和感及び不安/気分の落ち込みで定義される。0~100の健康状態の視覚的アナログ尺度(VAS)は、上記の5つの側面を付随し、0は最悪の健康状態を示し、100は最良の健康状態を示す。0~1の指数又は有効性スコアは、優先度に基づく値のセットを使用して5つの側面から計算され、0は、死亡と同等の健康状態を示し、1は完全な健康状態を示す。負の値は、死亡よりも悪いと考えられる健康状態を示す。EQ-5D-5L質問票は下の表5で提供される。
【0121】
【表5】
【0122】
いくつかの実施形態では、AMDに続発するGAの治療は、ベースラインからの可動性、通常の活動性、セルフケア、疼痛/違和感及び不安/気分の落ち込みの1つ以上におけるEuroQol 5-dimension 5-level questionnaire(EQ-5D-5L)スコアの改善を含む。改善は、ベースラインからの、例えば対照(未治療又はプラセボ治療対象など)と比較した場合の、1つ以上の可動性、通常の活動性、セルフケア、疼痛/違和感及び不安/気分の落ち込みにおけるEQ-5D-5Lスコアの低下、減少であり得る。改善は、ベースラインからの、例えば対照(未治療又はプラセボ治療対象など)と比較した場合の、1つ以上の可動性、通常の活動性、セルフケア、疼痛/違和感及び不安/気分の落ち込みにおけるEQ-5D-5Lスコアの上昇でもあり得る。
【0123】
Lawton Instrumental Activities of Daily Living(IADL)は、患者が独立して生活する能力を診断する評価である(Lawton et al.,Gerontologist.1969;9(3):179-186を参照)。IADLは、現時点での機能における及び経時的な機能性の改善又は悪化の診断における能力を捕捉するために使用される。Lawton IADLスケール(表6で示される代表的スケール)は、機能(調理、家事、洗濯、電話を使用する能力、移動方式、買い物、金銭及び薬物管理)の8つのドメインからなる。説明には8つの二項選択の質問が含まれ、その総スコアは0~8の範囲であり得る。低スコアは、機能が低く、依存性であることを示し、一方で高スコアは、機能が高く、自立性であることを示す。IADLスケールは下の表6で与える。
【0124】
【表6】
【0125】
いくつかの実施形態では、AMDに続発するGAの治療は、例えば対照(未治療又はプラセボ治療対象など)と比較した場合の、ベースラインからのLawton IADLスコア(1、2、3、4、5、6、7又は8点による)の改善を含む。改善は、例えば対照(未治療又はプラセボ治療対象など)と比較した場合の、ベースラインからのLawton IADLスコアの低下の軽減であり得る。改善は、例えば対照(未治療又はプラセボ治療対象など)と比較した場合の、ベースラインからのLawton IADLの上昇でもあり得る。
【0126】
いくつかの実施形態では、AMDに続発するGAの治療は、例えば対照(未治療又はプラセボ治療対象など)と比較した場合の、ベースラインからの読み取り速度の改善を含む。いくつかの実施形態では、単眼及び/又は両眼読み取り速度は、MNRead Acuity Charts Radner Reading Chartsによって評価される。
【0127】
MNRead acuityカードは、文字数が等しい単一の単純な文章からなる。このプリントは、多くの新聞及び書籍で見られるものと同様の等しく間隔が空いたフォントである。カードは、19種類の異なるプリントサイズの文章を含む。文章は、高コントラストで印刷される(およそ85%)。各文章は、左右のマージンが等しく3行で印刷される60文字(各語の間及び各行の終わりのスペースを含む)を含有する。文章で使用される語彙は、第2グレード~第3グレードの読書素材において高頻度で出現する語から選択される(Calabrese et al.,JAMA Ophthalmology.2016;134(4):398-405を参照)。
【0128】
MNRead Cardsが入手できない場合、Radner Reading Cards(Radner W.,Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol.2017;255(8):1465-1482を参照)を使用して読み取り速度を測定し得る。この試験は、語数、語の長さ、語の位置、語彙の難しさ及び構文の複雑性に関して非常に同等な24種類の短い文章からなる。
【0129】
本開示は、対象(片目又は両眼)におけるiAMDが後期AMDへと(例えば、iRORAからcRORAへ、高リスクドルーゼンから後期AMDへ又はiAMDから後期AMDへ)転換するリスクを低下させる、化合物1又は薬学的に許容可能な塩でiAMDを治療するための方法も提供する。AMDの臨床分類は表1で提供される。
【0130】
医薬組成物
本開示は、化合物1及び又は薬学的に許容可能なその塩と、薬学的に許容可能な賦形剤と、を含む医薬組成物の使用にも関する。何れかの適切な医薬組成物及び処方物並びに処方のための適切な方法及び投与の適切な経路及び適切な部位は、本開示の範囲内にある。また、特に明記しない限り、あらゆる適切な投与量及び投与頻度が企図される。
【0131】
別段示されない限り、化合物1又は薬学的に許容可能なその塩の投与量レベルは、何れかの適切なレベルであり得る。いくつかの実施形態では、対象に対する化合物1又は薬学的に許容可能なその塩の投与量レベルは一般に、治療あたり約1mg/kg~約100mg/kg(例えば約2mg/kg~約50mg/kg、約5mg/kg~約25mg/kg)であり得る。
【0132】
対象においてAMDに続発するGAを治療する(又はiAMDを治療する)ことが可能な化合物1又は薬学的に許容可能なその塩の適切な用量は、例えば治療しようとする対象の年齢、性別及び体重並びに使用される特定の阻害剤化合物を含む様々な要因に依存し得る。対象に投与される用量に影響を与える他の要因としては、例えば治療しようとする状態の重症度が挙げられる。他の要因としては、例えば対象が同時に又は以前に罹患している他の医学的障害、対象の総体的健康状態、対象の遺伝学的な素質、食事、投与時間、排泄速度、薬物の組み合わせ及び対象に投与される何らかの他のさらなる治療薬が挙げられ得る。何れかの特定の対象に対する具体的な投与量及び治療レジメンは、治療する医療従事者(例えば医師又は看護師)の判断に依存することも理解されるべきである。本医薬組成物は、化合物1又は薬学的に許容可能なその塩の治療的有効量を含み得る。
【0133】
本組成物は、一部、投与経路に依存する様々な方法を使用してヒト対象に投与され得る。この経路は、例えば、経口、舌下、頬側、経皮、皮内、筋肉内、非経口、静脈内、動脈内、頭蓋内、皮下、眼、脳室内、脊髄内、腹腔内、鼻腔内、吸入及び局所投与であり得る。
【0134】
経口投与用の処方物
いくつかの実施形態では、組成物は、経口投与(「経口剤形」)のために処方される。経口剤形は、無毒性の薬学的に許容可能な賦形剤との混合物中で有効成分を含有する、例えば錠剤、カプセル、液体溶液又は懸濁液、粉末又は液体若しくは固体結晶の形態であり得る。これらの賦形剤は、例えば、不活性希釈剤又は充填剤(例えばスクロース、ソルビトール、糖、マンニトール、微結晶セルロース、ジャガイモデンプンを含むデンプン、炭酸カルシウム、塩化ナトリウム、ラクトース、リン酸カルシウム、硫酸カルシウム又はリン酸ナトリウム);造粒剤及び崩壊剤(例えば、微結晶セルロースを含むセルロース誘導体、ジャガイモデンプンを含むデンプン、クロスカルメロースナトリウム、アルギン酸塩又はアルギン酸);結合剤(例えば、スクロース、グルコース、ソルビトール、アカシア、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、ゼラチン、デンプン、アルファ化デンプン、微結晶セルロース、ケイ酸マグネシウムアルミニウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、エチルセルロース、ポリビニルピロリドン又はポリエチレングリコール);及び滑沢剤、流動促進剤及び付着防止剤(例えばステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸、シリカ、硬化植物油又はタルク)であり得る。他の薬学的に許容可能な賦形剤は、着色剤、香味剤、可塑剤、湿潤剤、緩衝剤などであり得る。経口投与のための組成物はまた、咀嚼錠として、有効成分が不活性固体希釈剤(例えば、ジャガイモデンプン、ラクトース、微結晶セルロース、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム又はカオリン)と混合されている硬ゼラチンカプセル剤として、又は有効成分が水若しくは油性媒体、例えばピーナツ油、流動パラフィン若しくはオリーブ油と混合されている軟ゼラチンカプセル剤として提供され得る。粉末、顆粒及びペレットは、例えばミキサー、流動床装置又は噴霧乾燥器具を使用して、従来のように錠剤及びカプセル下で上述の成分を使用して調製され得る。
【0135】
経口使用のための制御放出組成物は、活性製剤原料の溶解及び/又は拡散を制御することによって活性薬物を放出するために構築され得る。時間プロファイルに対する制御放出及び標的とする血漿濃度を得るために、多くのストラテジーの何れかを実行し得る。一例において、制御放出は、例えば様々なタイプの制御放出組成物及びコーティングを含む様々な処方パラメーター及び成分の適切な選択により得られる。例としては、単一又は複数単位の錠剤又はカプセル組成物、油性溶液、懸濁液、エマルション、マイクロカプセル、ミクロスフェア、ナノ粒子、パッチ及びリポソームが挙げられる。いくつかの実施形態では、組成物は、生体分解性、pH及び/又は温度感受性ポリマーコーティングを含む。
【0136】
溶解又は拡散制御放出は、化合物の錠剤、カプセル、ペレット又は顆粒処方物の適切なコーティングによって、又は適切なマトリクスに本化合物を組み込むことによって、達成され得る。制御放出コーティングは、上述のコーティング物質及び/又は例えばセラック、ミツロウ、グリコワックス、キャスターワックス、カルナウバロウ、ステアリルアルコール、モノステアリン酸グリセリン、ジステアリン酸グリセリル、パルミトステアリン酸グリセロール、エチルセルロース、アクリル樹脂、dl-ポリ乳酸、酪酸酢酸セルロース、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ビニルピロリドン、ポリエチレン、ポリメタクリラート、メチルメタクリラート、2-ヒドロキシメタクリラート、メタクリラートヒドロゲル、1,3ブチレングリコール、エチレングリコールメタクリラート及び/又はポリエチレングリコールのうち1つ以上を含み得る。制御放出マトリクス処方物において、マトリクス物質は、例えば、水和メチルセルロース、カルナウバロウ及びステアリルアルコール、カルボポール934、シリコーン、トリステアリン酸グリセリル、メチルアクリラート-メチルメタクリラート、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン及び/又はハロゲン化フルオロカーボンも含み得る。
【0137】
経口投与のための組成物が組み込まれ得る液体形態は、水溶液、適切に香味付けされたシロップ、水性又は油性懸濁液及び食用油、例えば綿実油、ゴマ油、ヤシ油又はピーナツ油による香味付けされたエマルション並びにエリキシル及び同様の医薬ビヒクルを含む。
【0138】
キット及び単位剤形
本明細書中で開示される方法の何れか1つ以上での使用のための(例えば医薬組成物中に)治療的有効量で化合物1又は薬学的に許容可能なその塩を含むキットも本明細書中で提供される。本キットは、任意選択的に、例えば、そこに含有される薬学的に許容可能な担体をさらに含む医薬組成物中の、化合物1又は薬学的に許容可能なその塩を患者へと実行者(例えば、医師、看護師又は患者)が投与できるようにするための、例えば投与スケジュールを含む説明書を含み得る。本キットは、シリンジをさらに含み得る。
【0139】
キットは、任意選択的に、上で提供される方法に従う単回投与のための、
例えば医薬組成物中に化合物1又は薬学的に許容可能なその塩の有効量をそれぞれ含有する単回投与医薬組成物の複数パッケージを含み得る。化合物1又は薬学的に許容可能なその塩(例えば医薬組成物中)を投与するための機器又は装置も本キット中に含まれ得る。キットは、例えば医薬組成物中に化合物1又は薬学的に許容可能なその塩の有効量を含有する1つ以上のプレフィルドシリンジを提供し得る。
【0140】
次の実施例は、例示に過ぎず、本開示を読めば、多くのバリエーション及び同等物が当業者にとって明らかになるであろうため、何ら本開示の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。本願を通して引用される全ての参考文献の内容、アクセッションド・エントリー(accessioned entries)(例えば、PUBMED、GENBANK、UNIPROT、PUBCHEMエントリー)、特許及び特許出願は参照により明確に本明細書中に組み込まれる。
【実施例
【0141】
実施例1.加齢黄斑変性(AMD)に続発する地図状萎縮(GA)がある患者におけるダニコパン(ALXN2040)の第2相、二重マスク化プラセボ対照、用量範囲検索試験
AMDに続発するGAがある≧60歳の患者においてプラセボと比較してダニコパンの有効性、安全性及び薬物動態(PK)を評価するために、多施設第2相、ランダム化、二重マスク化、プラセボ対照、用量検索並行群間試験を行う。
【0142】
目的及びエンドポイント
目的及び対応するエンドポイントを下の表7でまとめる。
【0143】
【表7-1】
【0144】
【表7-2】
【0145】
【表7-3】
【0146】
全体的なデザイン
これは、AMDに続発するGAがある≧60歳の患者においてプラセボと比較してダニコパンの有効性、安全性及びPKを評価するための、多施設第2相、ランダム化、二重マスク化、プラセボ対照、用量検索、並行群間治療試験である。4つの治療群(3つの活性治療群及び1つのプラセボ群)の1つに層別化して、適格な患者をランダム化した(1:1:1:1)。全ての患者が第52週の来診を完了したか又は二次有効性及び安全性分析を中止したときに一次有効性分析を行い、全ての患者が第104週の来診を完了するか又は中止したときに予備解析を行う。
【0147】
この試験に対して2つの可能性のある中間解析(IA)が計画される。無益性についての第1の中間解析(IA1)は、およそ50%の患者が第28週の来診を完了したときに行い得る。第2の中間解析(IA2)は、およそ50%の患者が第52週の来診を完了したときに行い得る。IA2時に、無益性解析を最初に行う。この試験が無益とみなされない場合、用量反応分析を行う。用量反応分析が陽性である場合、プラセボと比較される各用量のペアワイズ比較を行う。
【0148】
ベネフィット-リスクプロファイルが最適である用量が、IA2又は第3相開発に対する一次分析で同定される。プラセボ患者は、第52週に3つの活性治療群のうち1つに再ランダム化されるか又は既に同定される場合は最適用量に変更する。最適用量が同定されている場合、その元来割り付けられた用量での少なくとも52週間の治療を有する全患者を、試験の残りの期間にわたり選択された最適用量に変更した。この試験を通じてマスク化された治療パラダイムを維持する。
【0149】
およそ332名の≧60歳の患者を登録し、用量群あたり83名の患者とする。4つの治療群は、(1)100mg 1日2×(BID)用量群、(2)200mg BID用量群、(3)400 1日1回(QD)用量群及び(4)プラセボ群である。この試験は、最長6週間のスクリーニング期間及びマスク化されたt治療期間(およそ2年)からなる(図1)。最終投与後、30日のフォローアップが予定される。患者あたりの総試験期間は、およそ166週間である。6日間の漸減で治療を終了し、続いて最後の漸減用量後30日でフォローアップ来診を行う。患者あたりの可能性のある総試験期間は、およそ115週間である。活動スケジュール(SoA)を下の表8~10でまとめる。
【0150】
【表8-1】
【0151】
【表8-2】
【0152】
【表8-3】
【0153】
【表9-1】
【0154】
【表9-2】
【0155】
【表10-1】
【0156】
【表10-2】
【0157】
【表10-3】
【0158】
アウトカムの尺度
主要アウトカム:GA病変面積の平方根
この試験の主要有効性アウトカムの尺度は、被験眼における眼底自己蛍光(FAF)により測定した場合の、第52週でのベースラインからの総GA病変面積の平方根(sqrt)(mm単位)の変化である。GA進行の動態が個々の患者間で非常に多様であるにもかかわらず、病変の特異的な特徴が疾患進行及びアウトカムの予測において重要であり得ることを示唆する証拠が増えている。従って、FAFイメージングによる総GA病変面積進行の定量測定は、臨床試験に対する臨床エンドポイントとして使用される許容可能な解剖学的マーカーになっている(Holz et al.(2007),前出;Holz et al.(2018)、前出;Liao et al.(2020)、前出;及びSadda et al.(2016)前出参照)。GA病変面積測定のsqrt転換によって、ベースライン病変サイズに対する変動性依存が排除される(Feuer et al.(2013)前出;及びYehoshua et al.(2014)前出参照))。
【0159】
副次的アウトカム:解剖学的及び機能アウトカム
視覚機能の多くの異なる態様を組み込む(マルチモーダルイメージング技術での)複合された解剖学的及び対応する機能評価ストラテジーは、AMDから進行性GAへの変化に関連する視覚機能の変化の捕捉において適切である。
【0160】
この試験において、疾患進行及び視覚障害を評価するための解剖学的及び機能試験の組み合わせがアウトカムの尺度として使用される。
【0161】
解剖学的アウトカムは、異なるイメージングモダリティーを使用したGA病変面積の変化に基づく。
【0162】
機能アウトカムは、最高矯正視力(BCVA)スコア、低輝度視力(LLVA)スコア、これらの2つのスコア(BCVA-LLVA)から計算される低輝度欠損(LLD)及び読み取り速度の変化に基づく。
【0163】
患者報告アウトカム(PRO)は、National Eye Institute Visual Function Questionnaire、25-項目版(NEI VFQ-25)を使用して評価される。
【0164】
予備解析
解剖学及び機能アウトカムに基づき、予備解析を行う。
【0165】
AMDの疾患進行は、表1に記載の疾患分類に基づいてある疾患ステージから別のステージへの転換を定量化することにより追跡する。
【0166】
機能アウトカムは、BCVAスコア、LLVAスコア、僚眼及び両眼におけるこれらの2つのスコアから計算されるLLDの変化に基づく。暗点の数及び黄斑感度の変化を含む機能的網膜反応は、適格なマイクロペリメトリー部分母集団における薄暮視マイクロペリメトリーにより評価する。
【0167】
解剖学的アウトカムは、スペクトル-ドメイン光干渉断層撮影(SD-OCT)により測定した場合の、総GA病変の面積及びsqrt面積の変化、ドルーゼン体積の変化及び不完全網膜色素上皮及び網膜外層萎縮(iRORA)から完全網膜色素上皮及び網膜外層萎縮(cRORA)への転換がある患者の発生を含め、僚眼及び合わせられた両眼での解剖学的な尺度に基づく。
【0168】
患者報告アウトカム
nAMD及びGAの両方とも、重篤及び非可逆的であり得る視力低下につながり得、その結果、QoLが顕著に低下し、日常生活の活動を行えなくなる。臨床試験におけるクオリティーオブライフ手段及び視覚機能の質問票を使用した患者報告アウトカムの収集が規制機関により推奨されている(Csaky et al.(2017)、前出参照)。有効な手段を使用して予備エンドポイントとしてQoL及び日常生活機能の変化を測定する。
【0169】
患者集団
疫学研究は、加齢に伴うAMDリスクの実質的な上昇を示す。有病率は、≧75歳の年齢群で最大である(Augood et al.,Arch Ophthalmol.2006;124(4):529-535;及びLambert et al.,Prog Retin Eye Res.2016;54:64-102参照)。
【0170】
≧60歳の試験集団は、報告された平均(±標準偏差[SD])年齢が79±8歳である、釣り合いの取れたGA患者集団であることを確保する(Yaspan et al.,Sci Transl Med.2017;9(395)参照)。これは、光受容体変性及び転換イベントを捕捉するための機会も提供し、近視、ブドウ膜炎、外傷後又は照射などの他の疾患によるものであり得るより若い患者における一側性GAを除外する。
【0171】
用量に対する正当化
この試験に対する重要な目的の1つは、効果的で安全である可能性がある用量及びダニコパンの投与レジメンを試験すること及びその後の臨床開発のための適切な用量の選択を裏付けることである。
【0172】
この試験に対して提案される100mg BID、200mg BID及び400mg QD投与レジメンは、シミュレーション結果に基づく。これらの提案された用量に対する血漿PK曝露は、忍容性限界がMAD試験で観察された、同定された曝露量未満のままであることが予想される。これらの用量は、可能性のある眼組織標的:網膜及び脈絡膜RPE網膜側(メラノソーム)における投与間隔全体に対する>90%の第二経路溶血(APH)阻害及び脈絡膜RPE毛細血管床側(末梢)における部分的から完全なAPH阻害を達成すると予想される。文献からのデータに基づき、網膜及び網膜側の脈絡膜RPEは、標的眼組織となる可能性がより高い。しかし、毛細血管床側の脈絡膜RPEは、可能性のある標的として完全には排除され得ない。提案される用量は、2つの異なる投与間隔、即ちBID対QDの評価を可能にする。400mgQD投与レジメンは、安全で有効であることが示された場合、患者にとってより好都合であり、bid投与と比較してより良好なコンプライアンスを促す。Dutch-Beltedウサギからヒトにおける生理学的な眼のパラメーターに変換したとき、標的眼組織でのPK及びAPH阻害におけるモデル予測の2倍以下の不確実性が予測される。
【0173】
試験期間及び試験終了の定義
一次評価期間:第1日~第52週(表8)。
二次評価期間:第52週から始まり、第104週で終了する(表9)。一次及び二次期間はマスク化される。
【0174】
試験完了:患者は、OLE期間及びSoAで示される最後の予定された手順を含め、試験の全期間を完了している場合、この試験を完了したとみなされる。
【0175】
早期終了(ET)又は中止:患者は、患者が表3に記載のような最終来診前に試験を中止した場合、試験を早期終了したとみなされる。
【0176】
フォローアップ:フォローアップ来診は、試験薬の最終投与後30(+7)日に計画される(漸減用量を含む、表10)。
【0177】
試験終了(EOS):試験終了は、最後の患者が最終来診を完了した日付として定義される(漸減及びフォローアップを含む;表10)。
【0178】
試験集団
組み入れ基準
一般的な組み入れ基準
1.年齢が≧60歳、男性又は女性。
2.全ての患者が、試験薬開始前3年以内に髄膜炎菌感染に対するワクチン接種を受けていなければならない。髄膜炎菌ワクチン接種後2週間未満で試験薬治療を開始する患者は、ワクチン接種後2週間まで適切な予防用抗生物質による治療を受けなければならない。
3.女性患者については、スクリーニング時のみの卵胞刺激ホルモン(FSH)検査に基づき妊娠可能性がないことを確認する。
4.生殖能力のある男性患者については、投与初日から試験薬の最終投与後90日間、妊娠能力があるそのパートナーとともに避妊の効果が高い又は許容可能な方法を使用することに対する同意を得る。避妊手術を受けている男性はさらなる避妊を使用する必要はない。
5.男性患者について、この試験への登録中及び試験薬の最終投与後90日間にわたり、精子提供しないことへの同意。
6.インフォームドコンセント用紙(ICF)において及びこのプロトコールにおいて挙げられる必要条件及び制約の順守を含む、署名のあるインフォームドコンセントを提出可能であること。
【0179】
眼に関する組み入れ基準
スクリーニング時に、全ての適格性基準に合致する眼が被験眼として指定され、他方の眼は僚眼となる。両眼が適格である両側性GAの場合、右眼を被験眼として指定する。両眼が適格である場合において、指定された被験眼の適格性状態がランダム化前の第1日の適格性基準の審査中に変化したとき、全ての適格性基準に合致する場合は他方の眼を被験眼として指定し得る。
【0180】
適格であるために、少なくとも一方の眼において次の特徴があるAMDに続発するGAの症状があるべきである:
1.被験眼は、Early Treatment Diabetic Retinopathy Study(ETDRS)チャートを使用し、4メートルの距離で開始して、指定されたVA(84~24文字の範囲;20/20~20/320)がなければならない。
2.治験責任医師により判断される場合に良好な質の画像の回収を可能にするための、中間透光体の適切な透明性、適切な瞳孔散大及び細隙灯検査及び間接眼底検査により評価される固視。
3.生体計測(可能な場合)により測定される眼軸長≦26.0mm及び等価球面屈折度数の異常≦6.0ジオプターの近視。
- 被験眼における屈折矯正手術又は白内障手術歴がある患者については、生体計測(可能な場合)により測定した眼軸長≦26.0mm又は術前の等価球面屈折度数の異常≦6.0ジオプターの近視。
4.完全なGA病変全体が、FAF画像の黄斑を中心にした視野2において完全に可視的でなければならず、全体として画像化可能でなければならず、乳頭周囲の萎縮の領域とは隣接してはならない。
5.総GA病変面積が、FAFにより測定した場合、1つの眼あたり0.5~17.76mm(約0.2~7の乳頭面積[DA])。GAが多発性である場合、少なくとも1つの局限性病変が≧0.5mm(約0.2DA)でなければならない。
6.GA病変全体が中心窩中央の外側>1μmでなければならない。
【0181】
除外基準
眼の除外基準
1.治験責任医師の判断によるAMD以外の原因(病的な近視、モノジェネティック(monogenetic)の黄斑萎縮、例えばシュタルガルト/錐体杆体ジストロフィー)又は中毒性黄斑症(例えばクロロキン/ヒドロキシクロロキン黄斑症)による被験眼におけるGA。
2.被験眼におけるGA及び随伴性nAMD。
3.眼内血管疾患のために被験眼において硝子体内抗血管内皮増殖因子(VEGF)注射を以前受けたことがある。
4.何れかの眼における何らかの眼科的状態のために何らかの幹細胞又は遺伝子治療を以前受けたことがある。
5.直近3カ月以内又は治験薬の5半減期以内(何れか長い方)に、投与経路にかかわらず、被験眼における何れかの眼の徴候に対する介入臨床試験に以前参加した。
6.被験眼におけるnAMD、糖尿病性黄斑浮腫、網膜静脈閉塞及び増殖糖尿病性網膜症に対する以前のレーザー光凝固。
7.被験眼における、以前の光線力学的治療(ビスダイン)又は経瞳孔温熱療法。
8.被験眼及びそれぞれの眼窩、頭部及び/又は頸部に対する、以前の外部ビーム放射線療法及び/又は何らかの他の照射(例えば、同位体、荷電粒子、光子、X線)。
9.被験眼における、眼内レンズを除く、以前のステロイドの硝子体内送達又は装置埋め込み。スクリーニング前≧3カ月の白内障手術後の嚢胞状黄斑浮腫に対する単回硝子体内ステロイド注射は、被験眼において許容される。
10.白内障、ブドウ膜炎、角膜炎、強膜炎又は眼内炎、硝子体出血、他の黄斑疾患(例えば、臨床的に意義のある網膜上膜、全層の黄斑円孔、黄斑におけるRPE断裂)、中心性漿液性網膜症、非管理の緑内障、増殖糖尿病性網膜症を含むが限定されない、治験責任医師の意見で視覚機能を損なうか若しくは悪化させる、又は試験評価を妨害する被験眼における活動性の眼疾患の存在。
11.被験眼における次のものの何れかの病歴:
a.網膜剥離又は黄斑円孔
b.低侵襲性緑内障手術(MIGS)を含む緑内障濾過手術
c.硝子体切除術、黄斑下手術又はAMDに対する何れかの外科的介入
d.AMDに対する予防的な閾値下レーザー治療
e.ランダム化前3カ月以内の(レンズ交換術を含む)眼内手術
12.何れかの眼における何れかの再発性の感染性又は炎症性眼疾患の病歴。
13.第1日のランダム化前の適格性審査により判断される場合、被験眼においてスクリーニングと第1日との間に次の変化が起こった場合:
a.スネレン等価視力(Snellen equivalent)がもはや20/20~20/320の間ではない、又は
b.顕著な解剖学的変化(即ち、大きな網膜下出血、RPE裂孔、色素上皮剥離又は治験責任医師の裁量による除外基準に合致する他の状態)。
【0182】
一般的な除外基準
1.既知の補体欠乏又は補体欠乏の疑い。
2.N.メニンギティディス(N meningitidis)感染歴。
3.活動性の細菌又はウイルス感染、2日連続測定での体温>38℃(100.4°F)、他の感染の証拠又は最初の試験薬投与前14日以内の何らかの熱性疾病の病歴。
4.固体腫瘍及び血液系の悪性腫瘍(完全に切除されたか治癒したと考えられる皮膚の基底細胞及び扁平上皮細胞癌は除く)を含む、過去5年以内又は進行中の悪性疾患の病歴。
5.次のように定義される異常な肝機能検査:
a.スクリーニング時の、ALT、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ (AST)、アルカリホスファターゼ(ALP)又は直接ビリルビン>2×正常上限(ULN)
b.ジルベール症候群の患者は除外しない。ビリルビン上昇がジルベール症候群を示唆するものである場合、患者は診断書を提供しなければならないか又はこの状態について検査を受ける。
6.スクリーニング時の、治療の成功が文書化されている及び治療の成功が文書化されている(documented successful treatment and documented successful treatment)及び持続的ウイルス学的著効(SVR)が文書化されている患者を除く、B型肝炎感染(陽性B型肝炎表面抗原[HbsAg]又は表面抗体[抗HB]陰性の陽性コア抗体(抗HBc)又はC型肝炎ウイルス感染(HCV抗体陽性)の証拠。
7.スクリーニング時のヒト免疫不全ウイルス(HIV抗体陽性)感染の証拠。
8.推定糸球体濾過率<30mL/min/1.73m及び/又は透析中である。eGFRは、Chronic Kidney Disease Epidemiology Collaboration(CKD EPI)式を使用して計算する。
9.治験薬(ダニコパン)又はその賦形剤の何れか又は注射用のフルオレセインナトリウムに対する過敏症(以前、前投薬が成功した既知のフルオレセイン過敏症は、治験責任医師の裁量により行われ得る)。
10.全身性の非生物製剤に対しては5半減期以内(分かっている場合)又は30日以内、又は生物製剤の場合は6カ月以内(何れか長い方)の別の試験薬の投与を含む非眼科臨床試験への参加。
11.主任治験責任医師の意見における、この試験に対して患者が不適切となるか又は試験手順に合わせることができないか又は患者を不要なリスクに曝すか又はこの試験の結果を交絡させる、何らかの医学的又は心理学的状態の病歴又は存在。
【0183】
マイクロペリメトリー適格性基準
患者のサブセットがマイクロペリメトリー部分母集団において含まれる。マイクロペリメトリーに対する適格性基準は次の通りである:
・全ての組み入れ基準への合致及び上で挙げられる除外基準がないこと。
・眼が固定標的を検出可能であること。
・マイクロペリメトリー試験を完了するための総経過時間が1回の試験あたりの持続時間で≦30分であること。
・固視不良は≦20%でなければならない。
【0184】
ライフスタイルの検討事項
食事及び食事制限
ダニコパンは食事とともに経口摂取される。試験薬投与の詳細については下記参照。
【0185】
スクリーニング脱落
スクリーニング脱落は、臨床試験への参加に同意するが、その後に試験薬にランダムに割り付けられない患者として定義される。スクリーニング脱落情報の最小セットは、Consolidated Standards of Reporting Trials公開要件に合致し、規制当局からの問い合わせに応答するために、スクリーニング脱落患者の平明な報告を保証することが求められる。最小情報には、人口統計、スクリーニング脱落の詳細(例えば、合致しなかった適格性基準)及びスクリーニング期間中に起こるあらゆる重篤な有害事象(SAE)及びあらゆる関連する併用薬を含む、あらゆるAesが含まれる。
【0186】
解決すると予想されるか又は解決している理由によりこの試験における参加に対する基準に合致しない(スクリーニング脱落)者は、治験責任医師と医学モニターとの間の議論及び同意に基づいて再スクリーニングされ得る。スクリーニングウインドウ外で再スクリーニングされる参加者は、新しいICFに署名することを求められる。再スクリーニング中に、患者は、SOAでのスクリーニング来診で定められる場合、全ての求められるスクリーニング評価を反復しなければならない。
【0187】
試験介入
この試験に対して、介入は、表11で示される試験薬の投与である。
【0188】
【表11】
【0189】
試験薬投与
指定の投与レジメンで主に自宅で摂取させるために、試験薬をクリニック来診時に患者に配布する。各クリニック来診時に、治験実施施設は、患者が次のクリニック来診まで十分な薬物を有することを確実にすべきである。患者に対して、アカウンタビリティーのために、各来診時に全ての未使用錠剤を戻すように指示する。
【0190】
PK試料回収を求めるある特定のクリニック来診時に、患者に対して、投与前血液試料回収のためにクリニックでその試験薬を投与するように指示するべきである(表12)。
【0191】
【表12】
【0192】
試験薬(ダニコパン又は対応するプラセボ)は、外観が同一である錠剤として提供される。マスク化試験治療の構成は、で示される。マスク化試験治療の組成物を表13で示す。
【0193】
【表13】
【0194】
自宅において、患者は、午前に4錠を1回及び夕方に2回目として2錠で、錠剤を1日2回、食物及び水とともに摂取する。2回の投与間の時間間隔はおよそ12時間であるべきである。
【0195】
特定のクリニック来診時に(SoAを参照)、投与前血液回収を可能にするために4錠の午前の用量をクリニックで摂取するように患者に指示する。
【0196】
オープンラベル延長期間
オープンラベル期間中、ダニコパン錠剤をボトルで提供し、食物及び水とともに、選択された最適用量で摂取させる。
【0197】
用量漸減
MAD試験において、投与が中止された後、2名の対象において高用量でALT上昇が観察された。上昇は一過性であり、臨床的意義のあるものとはみなされなかった。しかし、この一時的な関係は、FD阻害の急な休薬に肝臓酵素上昇が付随し得ることを示唆する。リスク軽減処置としてその後の試験で用量漸減が開始された。
【0198】
可能であれば、投与中断、試験中止又は試験完了中に、漸減を開始すべきである。表14に記載の用量漸減レジメンに従い、6日間にわたりダニコパン又はプラセボの用量を漸減させる。中止の場合、患者は、漸減前に、可能な場合、ET来診を完了し、漸減期間が始まるまでプロトコールに従い試験薬を摂取すべきである。
【0199】
食物及び水とともに午前にのみ漸減用量を摂取させる。マスク化治療期間内に行われる漸減中、マスク化を維持しなければならない。
【0200】
【表14】
【0201】
漸減が忍容されない場合、治験責任医師と医学モニターとの間での議論があるべきである。
【0202】
漸減期間の終了時に、患者に対して、試験薬の最後の漸減用量投与後30(+7)日でフォローアップ来診について計画する。
【0203】
試験薬中止、漸減及びフォローアップ時に、及び完了する必要がある何れかのさらなる評価に対して回収されたデータは、SoAで提供される(表8~10)。
【0204】
ワクチン
髄膜炎菌感染のリスクを低下させるために、試験薬開始前又は開始時の3年以内に、全ての患者が、髄膜炎菌感染症に対するワクチン接種を受けなければならない。一般的な病原性髄膜炎菌血清型を予防するために、入手可能であれば、血清型A、C、Y、W135及びBに対するワクチンが推奨される。髄膜炎菌ワクチン接種後2週間未満で試験薬治療を開始する患者は、試験薬治療の初日からワクチン接種後2週間まで適切な予防的抗生物質での治療を受けなければならない。
【0205】
患者は、補体阻害剤とのワクチン接種の使用のために、現在の国のワクチン接種指針又は実施医療機関の診療指針に従いワクチン接種又は再ワクチン接種を行わなければならない。ワクチン接種は、髄膜炎菌感染を予防するために十分でないことがある。髄膜炎菌感染の初期の徴候について全患者を監視し、感染が疑われる場合はすぐに評価し、必要に応じて適切な抗生物質で治療すべきである。
【0206】
患者は、基礎にある疾患及び年齢群の標準治療の一部としてのワクチン接種の使用について、現在の国のワクチン接種指針又は実施医療機関の診療指針に従い、他の病原体に対するワクチン接種又は再ワクチン接種を行うべきである。
【0207】
最適用量への切り替え
最適用量が同定された場合、薬物供給が利用可能になったときに、SoAで指定されるように少なくとも52週間の治療を受けた全患者を次の計画された来診時に最適用量に移行させる。プラセボ患者は、第52週に3つの活性物質治療群のうち1つに再ランダム化されるか又は既に同定されている場合は最適用量に切り替えられる。マスク化は、試験終了まで維持する。
【0208】
最適用量への移行のタイミングは、試験終了までマスク化が維持されることを保証するためにIVRS/IWRSにプログラムされる。
【0209】
薬の飲み忘れ
試験薬(ダニコパン又はプラセボ)は、プロトコールにより処方されるように、及び可能な限り一連の試験中の中止なく、摂取されるべきである。不注意で飲み忘れた場合(1回の時間点、午前又は夕方の投与として定義)、患者は、規則通りに計画された次の用量の投与で継続すべきである。次の投与時間に飲み忘れた用量を追加することは許可されない。薬の飲み忘れにおける情報は、eCRFにおいて記録すべきである。
【0210】
休薬
試験薬(ダニコパン又はプラセボ)を何らかの理由のために停止又は中断しなければならない場合、停止が一時的であるならば、評価をすべきであり、中断理由及び可能性のある再-開についての計画に関する議論が治験責任医師と医学モニターとの間で行われるべきである 試験薬での治療の再開は、臨床検査モニタリングを含め、及び医学モニターとの協議後に、慎重な臨床モニタリング下で行われるべきである。治療の再開時に、患者においてイベントの再発がある場合、永久的な中止を考えるべきである。
【0211】
何らかの一時的な予め計画された治療中断は、治験責任医師と医学モニターとの間で議論されるべきであり、漸減が考慮されるべきである(表14を参照)。
【0212】
患者は、治療中止に対して予め指定されたイベントに合致していない限り、試験終了まで参加を継続すべきである。試験薬の何れの中断及び中断のための理由も、ソースドキュメント及びeCRFにおいて完全に文書化すべきである。
【0213】
永久的な投与中止
試験薬(ダニコパン又はプラセボ)が何らかの理由のために早期に中止される場合、表14に記載のように6日間にわたりダニコパン又はプラセボの用量を漸減させるべきである。
【0214】
試験薬を永久に中止する患者はまた、この試験も永久的に中止する。
【0215】
試験評価及び手順
試験手順及びそれらのタイミングは、SoAにおいてまとめる(表8~10)。プロトコール免除(Protocol waivers)又は特例は許可されない。
【0216】
試験来診には2つのタイプ:クリニック内来診、訪問健康サービスによる往診(利用可能な国)がある。全ての来診は、SoAに従い応じなければならない。患者は、治験実施施設の人員との同意により往診をクリニック内来診に変更することを選択し得るが、往診評価にそのまま従うべきである。来診タイプの変更は、原資料に記載するべきである。
【0217】
緊急の安全性の懸念は、患者が試験薬を継続するべきか又は中断するべきかを判断するために、起こった時又は気付いた時すぐにAlexionと議論するべきである。
【0218】
SoAで指定されたものを含む試験デザインの要求に対するアドヒランスは必須であり、試験遂行のために求められる。
【0219】
患者の通常の臨床管理の一部として行われる(例えば血球数)及びICFの署名前に得られる手順は、スクリーニング又はベースラインの目的のために利用され得るが、ただし、それらの手順はプロトコールにより指定される基準に合致し、SoAで定義される時間枠内で行われた(表8~10)。臨床検査試験のリストを表15で提供する。
【0220】
【表15】
【0221】
スクリーニング
スクリーニング中、適格性基準について治験責任医師と医学モニターとの間で継続的な議論があるべきである。
【0222】
主任治験責任医師又は指名された者は、患者が試験に参加する前に及び何らかの試験関連手順を行う前に、自発的に与えられるインフォームドコンセントを管理し、それを得るための責任を持つ。各患者はICFに(書面又は電子)署名する。これは、HIV検査又は患者が試験に受け入れられる前に行われ得る他の手順に対するさらなる同意書を含み得る。
【0223】
スクリーニング期間中に全てのスクリーニング評価(SoA、表8)を完了し、次いで、可能性のある患者が全ての適格性基準に合致することを確認するために第1日に審査しなければならない。治験責任医師は、スクリーニングされる全患者の詳細を記録するために及び適格性を確認するか又は当てはまる場合はスクリーニング脱落の理由を記録するために、スクリーニング記録を維持する。
【0224】
解決されることが予想されるか又は解決している理由のためにこの試験における参加のための基準に合致しない(スクリーニン脱落)者は、治験責任医師と医学モニターとの間の議論及び同意に基づいて再スクリーニングされ得る。スクリーニングウインドウ外で再スクリーニングされる参加者は、新しいICFに署名することが求められる。スクリーニング中、患者は、SoAにおけるスクリーニング来診で定められるような全ての求められるスクリーニング評価を反復しなければならない。
【0225】
一般スクリーニング
スクリーニング過程の一部として、本明細書中で詳述するようなワクチン接種の要件について患者を評価する。患者安全性カードがスクリーニング時に発行される。
【0226】
スクリーニング及び何らかの求められるワクチン接種を可能にするために6週間以下のウインドウが許容される。スクリーニング手順は、6週間のスクリーニング期間内で複数回の来診にわたり展開され得る。投与前に、表15で挙げられるスクリーニングの臨床診断及び検査手順を行い、文書化しなければならない。これには、組み入れ及び除外基準の審査が含まれる。患者の病歴を審査し、完全な身体検査を行う。
【0227】
この試験の女性参加者は、閉経後であり、従って妊娠可能ではない。確認のためにスクリーニング時にFSH試験を行う。
【0228】
スクリーニング臨床検査評価が、正常な肝機能検査(AST及びALT)と同時に直接ビリルビンレベルの上昇を示す場合、又は患者が原因不明の黄疸、原因不明の高ビリルビンレベルの病歴を有するか又はそうでなければジルベール症候群を示唆する診断歴があった場合、この状態について患者を検査する。患者にジルベール症候群の病歴がある場合、これを患者の病歴として文書化するべきである。検査手順について検査室マニュアルを参照。
【0229】
眼のスクリーニング
スクリーニング時に、全患者に対して両眼において単眼検査を行う。「被験眼」は、スクリーニング時に全ての適格性基準に合致する眼として定義する。両眼が適格性基準に合致する両側性GAである患者については、右眼を被験眼として採用する。他方の目は「僚眼」として使用する。
【0230】
次の眼の評価をスクリーニング中に両眼に対して行う。以下で挙げられる手順の順序に従うことが推奨される。瞳孔の非散大を求める評価を最初に行わなければならない:
・開始距離4mでETDRSチャートにおいて評価されるBCVA(眼の散大前に行う)。最初に単眼で(右/左眼)、次に両眼(両方の眼)で試験を行う。
・マイクロペリメトリー部分母集団の場合:薄暮視マイクロペリメトリーは、散大なく両眼で行う。スクリーニング基準に合致するために患者は3回以下の試行が許容される。
・両眼における細隙灯検査。
・両眼の眼内圧(IOP)測定(眼の散大前に行う;Goldmann圧平眼圧計をスクリーニング時に使用しなければならない)。
・両眼における散大した両眼の間接的高倍率眼底検査。
・次の推奨される順序で網膜イメージングを行う:中央読影マニュアル(Central Reading Manual)及び練習用材料によって、FAF、近赤外分光反射率(NIR)、SD-OCT、フルオレセイン血管造影(FA)及びカラー眼底写真(CFP)を行う。FAF/NIRとSD-OCTとに対する各眼の取得間での人工涙液の投与が推奨される。あらゆる試験画像及びマイクロペリメトリーを得る前に、治験実施施設の人員、検査画像及びシステム及びソフトウェア(該当する場合)が、中央読影マニュアル(Central Reading Manual)において指定されるように、リーディングセンターにより認定/検証される。適格性評価中、セントラルリーディングセンターに従いFAF画像が評価不可能と審査された場合、FAF画像を実現可能な限りすぐに繰り返す。
・可能な場合、眼軸長を測定するための両眼での生体計測(好ましい)。生体計測が利用可能でない場合、等価球面屈折度数の異常を使用すべきである。
【0231】
スクリーニング時の眼の画像は全て、中央読影マニュアル(Central Reading Manual)に従い、熟練した評価者によって一元的に読み取られる。スクリーニング画像の読影に基づくセントラルリーディングセンターによる適格性評価は、可能性のある患者が適格性基準に合致することを確認する際に、治験責任医師により検討されるべきである。適格性確認の食い違いは、治験責任医師、医学モニター及びセントラルリーディングセンターの間で議論され得る。
【0232】
第1日のランダム化前に、適格性を確認するために組み入れ及び除外基準を審査する。ランダム化前、第1日の適格性基準の審査中に指定された被験眼の適格性の状態が変化したとき、全ての適格性基準に合致する場合は他方の眼を被験眼として指定し得る。
【0233】
有効性評価
有効性は、クリニック来診時の、解剖学的評価、機能評価及び健康関連のQoL評価に基づく。SoAで示され、詳述される順序で評価を行うべきである(表8~10):
・患者報告アウトカム
・BCVA検査(4mで開始)
・低輝度最高矯正視力(LL BCVA)検査(4mで開始)
・読み取り速度(Minnesota Low-Vision Reading Test [MNRead]又はRadner Reading Charts)
・マイクロペリメトリー部分母集団に対する薄暮視マイクロペリメトリー
・細隙灯検査
・眼圧測定/IOP
・散大した両眼の間接的眼底検査
・次の順序で行われることが推奨される、眼のイメージング:FAF、NIR、SD-OCT、FA及びCFP。FAF/NIRに対する各眼の取得とSD OCTとの間の人工涙液の投与が推奨される。
【0234】
スクリーニング時の眼の画像は全て、中央読影マニュアル(Central Reading Manual)に従い、熟練した評価者が一元的に読影する。
【0235】
主要有効性評価
この試験の主目的は、AMDに続発するGAの進行におけるダニコパンの様々な投与レジメンの効果を評価することである。
【0236】
mm単位のGA病変面積は、表8~10で示される時間点での被験眼におけるFAFにより測定される。総GA病変面積(mm)をsqrt(mm)に変換する。
【0237】
FAFは、萎縮領域の検出のために特に役立つ高コントラスト網膜画像を提供する。SoA(表8~10)に従いFAF画像を取得し、総GA病変面積測定のためにリーディングセンターに送付する。主要有効性評価のためのFAF画像の分析は、中央読影マニュアル(Central Reading Manual)に従い熟練したマスク化された評価者が一元的に行う。
【0238】
副次的な有効性評価
被験眼でのGA進行におけるダニコパンの効果を評価するために、いくつかの解剖学的及び機能測定を利用する。全てのケースにおいて、散大していない眼を求める評価を散大前に最初に行うべきである。
【0239】
解剖学的尺度
mm単位のGA病変面積は、表8~10で示される時間点での両眼に対するFAFにより測定される。総病変面積をsqrtに変換する。
【0240】
機能尺度
単眼BCVAスコア及びLLVAスコア及びLLDスコア(BCVA-LLVA)は、表8~10で示される時間点で4mの開始距離でETDRSチャートにより評価する。最初に単眼で(右/左眼)、次いで両眼(両方の眼)で試験を行う。これらの測定は、眼の散大前に行わなければならない。
【0241】
BCVAは、散大前にSoA(表8~10)で指定される次のスケジュールで測定される。両方の眼に対する単眼BCVA及び両眼BCVA検査を行う。
・試験を行うために次のことが必要とされる:
a.求められる4メートルの開始距離での検査を可能にするための適正な寸法の検査レーン。
b.背もたれが堅い標準的な椅子
c.3つの視力チャートのセット(Original Series ETDRS Charts R、1及び2、EU Wide ETDRS Charts 1、2、3又はPV Number Charts 2750、2750A及び2750B)
d.後方照明蛍光(Retro-Illuminated fluorescent)又はLEDライトボックス
e.試験フレーム
f.試験レンズセット
・VA仕様書の文書、手順マニュアル及び練習用材料を治験実施施設に提供する。
・VA診察室及び装置は、あらゆるVAの診察が行われる前に検証されなければならない。
【0242】
上記のBCVAと同じ要件がLL BCVAに適用される。さらに、LLVAは、その眼に対する最高矯正を覆って2.0-log-単位の中性濃度フィルタ(Kodak Wratten 2.0 Neutral Density Filter)を配置し、普通に照らされたETDRSチャートを患者に読んでもらうことによって測定される。
【0243】
読み取り速度は、SoAで示される同じ時間点でMNRead Acuity Charts又はRadner Reading Chartsにより評価される。最初に単眼で(右/左眼)、次いで両眼(両方の眼)で試験を行う。読み取り速度検査は、チャートがその地域の言語で利用可能である場合のみ適用可能である。
【0244】
SoA(表8~10)で指定されるスケジュールに従い、読み取り速度を測定するためにMNRead acuityカードを使用し得る。必要とされる備品、カード用の照明(card illumination)、観視距離、検査手順及び患者に対する説明に関する詳細な情報を試験開始前に試験実施施設に提供する。
【0245】
MNReadカードが利用可能ではない場合、Radner Reading Cardsを使用して読み取り速度を測定し得る。評価は、SoA(表8~10)で指定されるスケジュールで、各眼で個別に行い、次いで両眼を開いて行うべきである。この試験は、語数、文の長さ、語の位置、語彙の難易度及び統語的な複雑さに関して非常に類似している24種類の短い文章からなる。必要とされる備品、カード用の照明(card illumination)、観視距離、検査手順及び患者に対する説明に関する詳細な情報を試験開始前に試験実施施設に提供する。
【0246】
患者報告アウトカム
NEI VFQ-25スコアは、副次的なエンドポイントとして評価する。
【0247】
探索的有効性評価
他の解剖学的及び機能アウトカムが測定され、探索的に分析される。
【0248】
SD-OCTによるGA病変面積
SD-OCTにより測定されるGA面積も、中央読影マニュアル(Central Reading Manual)に従い、マスク化評価者が評価する。
【0249】
薄暮視マイクロペリメトリー
薄暮視マイクロペリメトリーは、マイクロペリメトリーに対する適格性基準に合致する患者のサブセット(マイクロペリメトリー部分母集団)で行われる。マイクロペリメトリーは、眼の散大及びあらゆるイメージング手順前に行うべきである。スクリーニング来診中1つの眼あたり2回のマイクロペリメトリー試験を行い、フォローアップ来診時に1つの眼あたり1回、マイクロペリメトリー試験を行うべきである。
【0250】
マイクロペリメトリーは、複数の試験において中期加齢黄斑変性(iAMD)及びGA患者における解剖学的変化とよく相関することが示されている網膜感度を評価する(Alibhai et al.,Int J Retina Vitreous.2020;6:16-16;Jones et al.,Invest Ophthalmol Vis Sci.2016;57(14):6349-6359;Pfau et al.,Retina.2020;40(1):169-180;Welker et al.,Invest Ophthalmol Vis Sci.2018;59(4):Amd152-amd159;及びWu et al.,Invest Ophthalmol Vis Sci.2015;56(3):1546-1552を参照)。
【0251】
暗点は、視野における感度が低い領域である。薄暮視マイクロペリメトリーは、黄斑において暗点(無反応の点又は「高密度の」暗点)を定量することによって黄斑の機能的反応及び黄斑感度を評価する(Csaky et al.(2019)、前出)。被験眼及び僚眼における、スキャンされた全領域における及び予め定められたGA病変周辺の5カ所の病変周囲の点における暗点の数及び黄斑感度の平均変化がリーディングセンターにより評価される。
【0252】
疾患の転換
FAF、光干渉断層撮影血管造影(OCTA)、フルオレセイン血管造影(FA)及び近赤外分光反射率(NIR)を含む他のイメージング技術を伴うスペクトルドメイン-光干渉断層撮影(SD-OCT)を使用して、AMDの分類に従い、両眼における疾患転換を評価する(表1参照)。SD-OCTは、黄斑を評価するための必須のイメージング技術になっている。SD-OCTによって、発明者らは、病変が臨床的に可視的になるか又はCFP若しくはFAFにより萎縮として検出される前に、萎縮過程の早期ステージを同定するための機会が得られる。さらに、SD-OCTイメージングの深さ分解性によって、発明者らは、組織を層ごとに評価できるようになるが、萎縮疾患における細胞喪失の重症度は層によって変動し得るため、これは重要である。SD-OCTは、GAに対する最近の臨床試験において広く使用されている(Holz et al.,Ophthalmology.2017;124(4):464-478;及びSadda et al.,Ophthalmology.2018;125(4):537-548を参照)。
【0253】
高リスクドルーゼン、不完全網膜色素上皮及び網膜外層萎縮(iRORA)及び非滲出性nAMDを含むiAMDからの解剖学的な病変の特性は、中央読影マニュアル(Central Reading Manual)に従い、マスク化された評価者によりSD-OCT画像から同定され、完全網膜色素上皮及び網膜外層萎縮(cRORA)及び滲出性nAMDを含む後期AMDへの転換が、次のものを含め、経時的に追跡される:
・iRORAからcRORAへの転換を第52週及び第104週に評価する。
・高リスクドルーゼンから後期AMDへの転換を第52週及び第104週で評価する。
・iAMDから後期AMDへの転換を第52週及び第104週で評価する。
【0254】
評価は、上の表1で提供される標準的な疾患分類の定義に基づく。
【0255】
ドルーゼン体積
以前の試験からの証拠により、ドルーゼン体積が0.03mmを超える患者は、ドルーゼン体積がより小さい患者と比較して、後期AMDを発症するリスクが高くなっていることが明らかになった(Abdelfattah,2016;Folgar,2016)。早期/iAMDの僚眼のドルーゼン体積は、表8~10で示される時間点で、中央読影マニュアル(Central Reading Manual)に従い、マスク化された評価者によってSD-OCT画像を使用して測定される。
【0256】
健康関連のクオリティーオブライフ及び日常生活の活動性の評価
健康関連QoLは、EuroQol 5 dimension 5 level(EQ-5D-5L)及びNational Eye Institute Visual Function 25-item Questionnaire(NEI VFQ-25)を使用して評価される。日常のリビングウイルの活動性は、Lawton Instrumental Activities of Daily Living (IADL)Scaleを使用して評価される。
【0257】
患者報告アウトカムは、電子デバイスを使用して記録される。各ツールの有効な地域言語バージョンが必要に応じて提供される。全ての測定は、可能であれば、SoAにおいて指定される来診時の他の試験手順前に、治験責任医師又は有資格の治験施設スタッフにより行われるべきである。
【0258】
National Eye Institute 25-item Visual Function Questionnaire
副次的なエンドポイントとしてNEI VFQ-25スコアを分析する。NEI VFQ-25は、SoAにおいて指定される来診時の他の試験手順前に、治験責任医師又は有資格の治験施設スタッフにより行われるべきである。
【0259】
EuroQol 5-Dimensions 5-Level
EuroQol 5-dimension 5-level questionnaire(EQ-5D-5L)スコアを探索エンドポイントとして分析する。EQ-5D-5Lは、SoAにおいて指定される来診時の他の試験手順前に、治験責任医師又は有資格の治験施設スタッフにより行われるべきである。
【0260】
Lawton Instrumental Activities of Daily Living
Lawton IADLスコアを探索エンドポイントとして分析する。ベースラインからの変化は、SoAで示されるようなその予め指定された時点で評価される。IADLは、SoAにおいて指定される来診時の他の試験手順前に、治験責任医師又は有資格の治験施設スタッフにより行われるべきである。
【0261】
他の実施形態
特定の実施形態及び実施例を参照してこの明細書を説明してきた。しかし、当業者は、以下の特許請求の範囲で示されるような本発明の範囲から逸脱することなく、様々な改変及び変更がなされ得ることを認める。従って、本明細書は、限定的意味ではなく例示とみなされ、全てのこのような改変は、特許請求される発明の範囲内に含まれるものとする。
図1
【国際調査報告】