(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-24
(54)【発明の名称】試験装置および方法
(51)【国際特許分類】
G01R 31/28 20060101AFI20240517BHJP
【FI】
G01R31/28 J
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023573242
(86)(22)【出願日】2022-03-14
(85)【翻訳文提出日】2023-11-27
(86)【国際出願番号】 CN2022080690
(87)【国際公開番号】W WO2022252743
(87)【国際公開日】2022-12-08
(31)【優先権主張番号】202110621034.2
(32)【優先日】2021-06-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516010548
【氏名又は名称】セインチップス テクノロジー カンパニーリミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】孫 鈕 一
(72)【発明者】
【氏名】楊 丹
(72)【発明者】
【氏名】梅 娜
(72)【発明者】
【氏名】孫 拓 北
【テーマコード(参考)】
2G132
【Fターム(参考)】
2G132AB03
2G132AB14
2G132AC03
2G132AD03
2G132AE10
2G132AE18
2G132AE22
2G132AE27
2G132AG01
2G132AK22
(57)【要約】
各実装位置が1つのサンプルに接続されるように構成された、複数の実装位置を有する接続回路と、サンプルを測定するように構成された測定ユニットと、測定ユニットの測定サンプルを制御するように構成された制御ユニットとを備える試験装置である。サンプルを試験装置の実装位置に接続し、試験装置を用いてサンプルを試験する試験方法である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
各実装位置が1つのサンプルに接続されるように構成された、複数の実装位置を有する接続回路と、
前記サンプルを測定するように構成された測定ユニットと、
前記測定ユニットの測定サンプルを制御するように構成された制御ユニットとを備える、
試験装置。
【請求項2】
前記接続回路に電力を供給するように構成された電源ユニットをさらに含み、
前記制御ユニットは、電源ユニットを制御して接続回路に電力を供給するようにさらに構成される、
請求項1に記載の試験装置。
【請求項3】
前記電源ユニットは定電流電源を含む、
請求項2に記載の試験装置。
【請求項4】
前記制御ユニットは、定電流電源の出力電流を制御するようにさらに構成される、
請求項3に記載の試験装置。
【請求項5】
前記制御ユニットは、サンプルの数に応じて定電流電源の出力電流を制御するように構成される、
請求項4に記載の試験装置。
【請求項6】
前記制御ユニットは、電源ユニットに電力を供給する際に、前記測定ユニットと接続回路との切断を制御するように構成される、
請求項2に記載の試験装置。
【請求項7】
前記制御ユニットは、測定ユニットが測定する際に、前記電源ユニットと接続回路との切断を制御するように構成される、
請求項2に記載の試験装置。
【請求項8】
前記測定ユニットは、サンプルの抵抗を測定するように構成される、
請求項1に記載の試験装置。
【請求項9】
サンプルを前記試験装置の実装位置に接続し、前記試験装置は、請求項1~8のいずれか1項に記載の試験装置であり、
前記試験装置を用いてサンプルを試験する、
試験方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本願は、2021年6月3日に中国特許庁へ提出された第202110621034.2号特許出願の優先権を主張し、そのすべての内容を参照により本願に援用する。
【0002】
本願は試験技術分野に関するが、これに限定されない。
【背景技術】
【0003】
電子製品には、チップ(IC)におけるウェハと基板(Substrate)の溶接点、プリント配線板(PCB)のマザーボードと各パーツの溶接点などのような多くの溶接点があり、これらの溶接点は具体的には制御された折り畳みチップ相互接続溶接点(C4 Bump)、ボールゲートアレイパッケージ溶接ボール(BGA ball)などの形式であってよい。
【0004】
時間の経過(経年変化)に伴い、溶接点はエレクトロマイグレーションなどにより効力を失い、さらに電子製品の性能に影響を与える可能性があるため、溶接点の経年変化性能は電子製品のパッケージ信頼性、基板全体の信頼性などに重要な影響を与える。溶接点に対してエージング試験を行うために、加熱などの方法でその経年変化を加速させ、ロットの溶接点の特徴寿命、過電流限界などの信頼性指標を得ることができる。
【0005】
しかしながら、現段階において、操作が便利で、出力が安定した、測定精度が高い溶接点のエージング試験を実現することはできない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本願は溶接点エージング試験の装置と方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の態様において、本願は、各実装位置が1つのサンプルに接続されるように構成された、複数の実装位置を有する接続回路と、前記サンプルを測定するように構成された測定ユニットと、前記測定ユニットの測定サンプルを制御するように構成された制御ユニットとを備える、試験装置を提供する。
【0008】
第2の態様において、本願は、サンプルを明細書に記載の試験装置の実装位置に接続し、前記試験装置を用いてサンプルを試験する、試験方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、本願が提供する溶接点エージング試験の装置の構成ブロック図である。
【
図2】
図2は、本願が提供する溶接点エージング試験の装置の回路構造の概略図である。
【
図3】
図3は、本願が提供する溶接点エージング試験の方法における各期間の各構造の状態概略図である。
【
図4】
図4は、本願が提供する溶接点エージング試験の方法におけるエージング段階と測定段階の各スイッチの状態概略図である。
【
図5】
図5は、本願が提供する溶接点エージング試験方法のフローチャートである。
【
図6】
図6は、本願が提供する別の溶接点エージング試験の方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[具体的な実施の形態]
本願の技術案を当業者がよりよく理解できるように、以下に図面を組み合わせて本願の実施の形態によって提供される溶接点エージング試験の装置および方法について詳細に説明する。
【0011】
以下、図面を参照して本願をより十分に説明するが、図示された実施の形態は異なる形式で具現化することができ、かつ本願は以下に説明する実施の形態に限定されると解釈すべきではない。逆に、これらの実施の形態を提供する目的は、本願を詳らかにかつ完全にして、当業者に本願の範囲を十分に理解させることである。
【0012】
本願の実施の形態の図面は、本願の実施の形態のさらなる理解を提供するためのものであるほか、明細書の一部を構成し、詳細な実施の形態とともに本願を説明するためのものであり、本願に対する制限を構成するものではない。詳細な実施の形態について図面を参照して説明することにより、上記およびその他の特徴および利点は、当業者にとってより明らかになるであろう。
【0013】
本願は、本願の理想的な概略図を用いて平面図および/または断面図を参照して説明することができる。したがって、製造技術および/または許容範囲に基づいて例示的な図面を修正することができる。
【0014】
矛盾することがなければ、本願の各実施の形態および実施の形態における各特徴は互いに組み合わせてもよい。
【0015】
本願で使用する用語は、特定の実施の形態を記述するためにのみ使用され、本願を制限することを意図するものではない。本願で使用する「および/または」のような用語は、1つまたは複数の関連する列挙項目の任意のおよびすべての組み合わせを含む。本願で使用する単数形の「1つ」および「当該」のような用語は、文脈が特に明確に示さない限り、複数形も含むことを意図する。本願で使用する「~を含む」、「~からなる」のような用語は、前記特徴、全体、ステップ、操作、素子および/またはアセンブリの存在を指すが、1つ以上の他の特徴、全体、ステップ、操作、素子、アセンブリおよび/またはそれらのグループの存在または追加を除外しない。
【0016】
特に限定しない限り、本願で使用するすべての用語(技術用語および科学用語を含む)の意味は、当業者が通常理解しているものと同じである。また、一般的な辞書に定義されているような用語は、関連する技術および本願の背景における意味と一致する意味を持つと解釈され、本願で明確にそのように限定しない限り、理想的されたまたは過度の形式上の意味を持つと解釈されないことも理解されるであろう。
【0017】
本願は図面に示す実施の形態に限定されるものではなく、製造プロセスに基づいて形成される構成の修正を含む。したがって、図面に例示する領域は概略的な属性を有し、図面に示す領域の形状は素子の領域の具体的な形状を例示しているが、限定を意図するものではない。
【0018】
第1の態様において、
図1~4を参照すると、本願は溶接点エージング試験の装置を提供する。
【0019】
本願の溶接点エージング試験の装置は、溶接点のエレクトロマイグレーション信頼性について寿命と過電流能力の評価を行う、または溶接点のエレクトロマイグレーション信頼性について日常的な監視を実現する、またはサンプルの品質を測定するなどのために、サンプルにおける溶接点の経年変化性能を試験するために使用される。
【0020】
図1、2を参照すると、本願の溶接点エージング試験の装置は、ヒータと複数の実装位置Tを有する接続回路を含み、各実装位置Tは溶接点を有するサンプルに接続するように構成され、ヒータはサンプルを加熱するために用いられる回路ユニットと、サンプル内に電流を発生させて溶接点を経年変化させるために、接続回路に電力を供給する電源ユニットと、サンプルの電気的性能を測定し、その中の溶接点に対してエージング試験を行うように構成された測定ユニットと、装置がエージング段階にあるときに電源ユニットを制御して接続回路に電力を供給し、装置が測定段階にあるときに測定ユニットを制御してサンプルの電気的性能を測定する制御ユニットとを備える。
【0021】
ここで、サンプルは、少なくとも1つの溶接点を含む、試験を要する対象(DUT、Device Under Test)であり、チップ、プリント配線板などの実際の電子製品であってもよいし、試験を行うために特化した試験品であってもよいし、実際の電子製品を組み込むように構成された試験モジュールなどであってもよい。
【0022】
本願の溶接点エージング試験の装置は回路ユニットを含み、回路ユニットには予め設定された接続回路(プリント配線板形式の試験板のように、載置台上に設置することができる)があり、接続回路にはサンプルを接続するための実装位置Tが複数配置され、サンプルは実装位置Tに接続されるとステージに支持され、かつ接続回路を構成する一部に相当する。
【0023】
ここで、実装位置Tをサンプルに接続する具体的な形態は多様であってよく、サンプルの既存の入力端、出力端に接続する、サンプルの専用の試験端に接続する、またはサンプルの特定の位置に直接接続するなどとすることができ、サンプルが電気学的に接続回路に接続され、かつ電流がサンプルの溶接点に流れることができればよい。
【0024】
回路ユニットには、実装位置Tに設けられたサンプルを加熱することが少なくともできるヒータをさらに含むため、エージング段階で必要に応じてサンプルに一定の温度応力を印加し、その中の溶接点の経年変化を加速することができる。例えば、上記の試験板とステージは、オーブン(ヒータ)に設置することができる。
【0025】
ここで、回路ユニットは、実装位置Tを有する接続回路を提供して、接続回路内のサンプルを加熱できるものであればよく、上記の試験板、ステージ、オーブンの形態に限定されない。
【0026】
電源ユニットは接続回路に電力を供給するように構成され、接続されているサンプルに電流を流し、予め設定された電流応力を印加することで溶接点の経年変化を加速させる。
【0027】
よって、ヒータと電源ユニットの共同作用により、長時間の自然使用下でのサンプル内の溶接点のエージング過程を短時間でシミュレーションすることができる。
【0028】
測定ユニットは、エージング後の測定段階において、サンプルの電気的性質を測定するように構成され、この電気的性質は自ずとサンプル内の溶接点の性能を反映しており、即ち、測定ユニットはサンプルにおける溶接点のエージングを経た後の性能を測定することができ、つまり、エージング試験を行うことができる。
【0029】
制御ユニットは他のユニットを制御するように構成され、予め設定されたフローに従ってエージング段階と測定段階などを行う。
【0030】
ここで、制御ユニットは、具体的に「端末」(例えば、計算装置、タブレット、ノートパソコン、パーソナルデジタルアシスタントなど)であってもよく、そこには予め設定された試験条件、制御信号などが記憶されていてもよく、他のユニットに制御信号を送信し、他のユニットからフィードバックされたデータを受信して、データについて処理(例えば、測定データを分析して測定結果を得る)、出力(例えば、測定結果を表示または送信する)などを行うことができる。
【0031】
ここで、
図1を参照すると、上記の回路ユニット、電源ユニット、測定ユニット、制御ユニットなどは、いずれもバス(例えば制御バス)に接続されていることから、制御ユニットは、バスを介して他のユニットに制御信号を送信し、他のユニットからフィードバックされたデータを受信することができる。
【0032】
ここで、制御ユニットは回路ユニット、電源ユニット、測定ユニットとの双方向データ通信を実現できればよく、必ずしもバス通信を用いる必要はない(例えば無線通信でもよい)。
【0033】
本願において、溶接点を有するサンプルは、回路ユニットの接続回路(例えば試験板)に実装されて、ヒータ(例えばオーブン)によって加熱され、同時に電源ユニットの電力供給によって電流を発生させて経年変化を加速させることができ、測定ユニットは、溶接点が経年変化した後の性能を確定するためにサンプルを測定し、溶接点のエージング試験を完了する。また、試験過程全体は制御ユニット(例えば端末)の制御下で自動的に実現され、人の介入を必要とせず、人の影響も受けないことから、操作が便利で、出力が安定した、測定精度の高い溶接点エージング試験を実現することができる。
【0034】
いくつかの実施の形態において、電源ユニットは多重定電流電源を含み、制御ユニットは、装置がエージング段階にあるときに多重定電流電源の出力電流を制御するように構成される。
【0035】
以上の電源ユニットは多重定電流電源であってよいことから、接続回路においてエージングを行う必要があるサンプルの形式、数量などに応じて安定した電流を提供することができ、各サンプルは所望の、安定した電流を得ることができ、所望の電流応力を受けることができる。
【0036】
ここで、電源ユニットは、他の形態の定電流電源、または定電圧電源、または他の電源であってもよい。
【0037】
いくつかの実施の形態において、測定ユニットはサンプルの抵抗を測定するように構成される。
【0038】
以上の測定ユニットはサンプルの抵抗値を測定する抵抗測定装置として構成してもよく、その理由は、溶接点にエレクトロマイグレーションが生じて効力が失われると、抵抗に明らかな変化が生じることが多いので、抵抗を測定することでエージング試験を実現することができるからである。
【0039】
そのうち、測定ユニットは電圧、電流などの他の電気的性質を測定するように構成してもよく、測定したサンプルの電気的性質がその中の溶接点の経年変化の状況を体現できるものであればよい。
【0040】
いくつかの実施の形態において、制御ユニットは、制御装置がエージング段階と測定段階とを交互に有するように構成される。
【0041】
図3、
図4を参照すると、一定時間のエージング段階が継続するたびに、1回の測定段階を行い、その後エージング段階を継続し、このように繰り返す。したがって、ある測定段階で、あるサンプルの溶接点が効力を失っていることを最初に発見すると、その溶接点は前のエージング段階で効力を失ったと確定することができることから、各サンプル内の溶接点が経年変化によって効力を失った時間を比較的正確に確定することができる。
【0042】
例えば、ある測定段階においてすべてのサンプルが効力を失っている(または最大の事前設定エージング時間に達している)ことが発見されるまで、上記エージング段階と測定段階を交互に行って、今回の試験を終了し、サンプル(例えば1ロットの電子製品)の効力が失われた時間の分布状況を確定することができる。
【0043】
ここで、エージング段階および測定段階の具体的な設定方法はこれに限定されない。例えば、エージング段階が長い所定時間継続した後、1回だけ測定段階を行い、その測定段階において効力が失われていないサンプルを合格とし、効力が失われているものを不合格とし、その後に今回の試験を終了するとしてもよい。
【0044】
いくつかの実施の形態において、制御ユニットは、装置がエージング段階にあるとき、制御測定ユニットが接続回路から切り離されるように構成され、制御ユニットは、装置が測定段階にあるときに、制御電源ユニットが接続回路から切り離されるように構成される。
【0045】
図3を参照すると、エージング段階において、電源ユニットは接続回路に電力を供給し、測定ユニットは接続回路から切り離すことができ(測定しない)、測定段階において、測定ユニットが測定を行うとき、電源ユニットは接続回路から切り離すことができる(電源供給されない)。
【0046】
ここで、エージング段階と測定段階における各ユニットの接続も上記の形態に限定されない。例えば、測定ユニットは電源ユニットが接続回路に電力を供給すると同時に、測定を行うというようにしてもよい(したがって、測定段階は同時にエージング段階でもある)。
【0047】
いくつかの実施の形態において、接続回路は複数の並列接続の接続分岐を含み、各接続分岐には直列接続の実装位置Tと接続スイッチSが設けられ、複数の並列接続の接続分岐は電源分岐を介して電源ユニットに接続され、電源分岐には電源スイッチK1が設けられる。複数の並列接続の接続分岐は測定分岐接続測定手段を通過し、測定分岐には測定スイッチK2が設けられ、制御ユニットは、接続スイッチS、電源スイッチK1、測定スイッチK2を制御するように構成される。
【0048】
図2を参照すると、本願の例示的な実施の形態として、上記の接続回路は、複数の並列接続の接続分岐を含み、各接続分岐には1つの実装位置T(サンプルを接続するように構成される)と、該接続分岐のオンオフを制御する接続スイッチSとが設けられ、並列接続されたすべての接続分岐は、電源スイッチK1、測定スイッチK2を介して電源ユニット、測定ユニットにそれぞれ接続される。
【0049】
例えば、
図2を参照すると、各接続分岐の一端には電源ユニットと測定ユニットが直接接続され(例えば、それらの一方の極を接続する)、他端には電源スイッチK1、測定スイッチK2を介して電源ユニット、測定ユニットがそれぞれ接続される(例えば、それらの他方の極を接続する)。
【0050】
これにより、電源スイッチK1、測定スイッチK2を制御することにより、電源ユニット、測定ユニットを接続回路に接続するか否かを制御することができ、即ち、測定を行うか、エージングを行うかを制御することができ、各接続スイッチSを制御することにより、どのサンプルが経路にあるか確定することができ、つまり、どのサンプルに対してエージング、測定を行うか確定することができる。
【0051】
いくつかの実施の形態において、制御ユニットは、装置がエージング段階にあるとき、測定すべきサンプルの接続分岐を有するすべての接続スイッチSのオンを制御し、電源スイッチK1のオンを制御し、測定スイッチK2のオフを制御するように構成され、
制御ユニットは、装置が測定段階にあるとき、測定すべきサンプルの接続分岐を有する接続スイッチSのオンを制御し、電源スイッチK1のオフを制御し、測定スイッチK2のオンを制御するように構成される。
【0052】
ここで、目下、接続回路にあるすべてのサンプルにおいては、すべてのサンプルがみな測定を行う必要があるとは限らず、例えば、あるサンプルについて、効力が失われていることが前の測定で発見されていれば、その後は再測定する必要はなく、あるいは、あるサンプルについて、電流バランスなどを実現するために接続回路に組み込まれているのであれば、それも測定する必要はない。その後に実際に測定を必要としなくなった各種サンプルを除いた後、残りの、今回の試験の次の段階でも引き続き測定を要するサンプルは「測定すべきサンプル」である。
【0053】
図3、
図4を参照すると、エージング段階においては、電源スイッチK1をオンに制御して測定スイッチK2をオフにする(したがって、測定手段は接続回路から切り離される)とともに、エージングを行う必要があるサンプル(測定すべきサンプル)がある接続分岐の接続スイッチSをオンに制御して、選択したサンプルをエージングすることができる。
【0054】
測定段階では、測定スイッチK2がオンして電源スイッチK1がオフする(したがって、電源ユニットは接続回路から切り離される)ように制御し、測定を要するサンプル(測定すべきサンプル)がある接続分岐の接続スイッチSがオンになるように制御して、選択したサンプルを測定することができる。
【0055】
いくつかの実施の形態において、制御ユニットは、デバイスが測定段階にあるたびに、測定すべきサンプルを有する接続分岐のすべての接続スイッチSを順番に1つ1つオンに制御するように構成される。
【0056】
図4を参照すると、各測定段階においては、目下測定を要するすべてのサンプル(測定すべきサンプル)がある接続分岐の接続スイッチSを順番に1つ1つオンに制御することができ、即ち、同時に1つの接続スイッチSだけがオンにされ、かつこの測定段階においてすべての対応する測定すべきサンプルの接続スイッチSが1回オンにされるため、各測定段階において、測定すべきすべてのサンプルの逐一測定を実現することができる。
【0057】
いくつかの実施の形態において、制御ユニットは、任意のサンプルの溶接点の効力が失効していることを検出した後、それがある接続分岐の接続スイッチSを引き続きオフにするよう構成される。
【0058】
ある測定段階において、あるサンプルの溶接点の効力が失効していることが検出されれば、その後はそれを測定しなくてよいので、制御ユニットはそのサンプルがある接続分岐の接続スイッチSを引き続きオフにし(次の試験が開始されるまで)、そのサンプルにはエージングを行わず、測定もしないように制御することができる。
【0059】
当然ながら、上記各スイッチの具体的な制御方法は異なっていてもよい。
例えば、ある測定段階においては、一部のサンプルのみ測定を行う(したがって、一部の測定すべきサンプルに対応する接続スイッチSのみがオンする)、あるいは、複数のサンプルを同時に測定する(したがって、これらのサンプルに対応する複数の接続スイッチSが同時にオンする)、あるいは、複数のサンプルの全体的な測定データ(総抵抗など)に異常がある場合(即ち、複数のサンプルの中に効力が失われている可能性のあるサンプルがある)に限って、さらにその中の各サンプルを個別に測定する(即ち、効力が失われているサンプルを具体的に確定する)、あるいは、あるサンプルの溶接点の効力が失われた後、そのサンプルに対して引き続きエージングや測定を行うなどとしてもよい。
【0060】
第2の態様において、
図1~
図6を参照すると、本願は溶接点エージング試験の方法を提供する。
【0061】
本願の溶接点エージング試験の方法は、上記の溶接点エージング試験の装置を用いて行われ、
図5を参照すると、前記方法はステップS101とステップS102とを含むことができる。
【0062】
ステップS101において、上記の溶接点エージング試験の装置の実装位置Tに溶接点を有するサンプルを接続する。
【0063】
ステップS102において、溶接点エージング試験の装置を用いて、サンプルにおける溶接点にエージング試験を行う。
【0064】
本願の溶接点エージング試験の方法は試験の操作が便利で、出力が安定し、測定精度が高いことを保証することができる。
【0065】
図6を参照すると、例示的な実施の形態において、前記方法はステップS201~ステップS211を含むことができる。
【0066】
ステップS201において、サンプルを実装する。
測定が必要な各サンプルを試験板(接続回路)の各実装位置Tに実装し、試験板をオーブン(ヒータ)の載置台に置く。
【0067】
ステップS202において、パラメータを配置する。
端末(制御ユニット)の相互インタフェースにおいて、昇温速度、保温温度(温度応力)、降温速度、サンプルに印加する電流(電流応力)、サンプル個数、エージング段階回数、各エージング段階の予め設定された時間長さ、サンプルの効力失効判断基準(例えば、抵抗がいくらに達したら効力失効とするか)などのエージング試験の条件を入力する。
【0068】
ステップS203において、試験を開始する。
端末の相互インタフェースで試験を開始する。
【0069】
ステップS204において、昇温する。
図3を参照すると、端末はバスを介して制御信号1(図中では「信号1」で示す)を出力し、オーブンが設定された温度レートで保温温度に達するまで温度上昇を制御する。
【0070】
ステップS205において、エージング段階に入る。
図3、
図4を参照すると、端末はバスを介して制御信号2(図中では「信号2」で示す)を出力し、制御多重定電流電源(電源ユニット)がオンになり、電源スイッチK1がオンになり、測定スイッチK2がオフになり、各測定すべきサンプルがある接続分岐の接続スイッチSがオンになり、これによって各測定すべきサンプルに電流が流れ、サンプル内の溶接点は電流応力と温度応力の作用下で経年変化を加速する。
【0071】
ステップS206において、測定段階を開始する。
図3、
図4を参照すると、エージング段階が予め設定された時間長さ継続した後、端末はバスを介して制御信号3(図中では「信号3」で示す)を出力し、制御電源スイッチK1はオフし、測定スイッチK2はオンし、抵抗測定装置(測定手段)は接続回路に接続され、すべての接続スイッチSは一時的にオフする。
【0072】
ステップS207において、測定段階に入る。
図4を参照すると、端末は、各測定すべきサンプルがある接続分岐の接続スイッチSを1つ1つオンに制御し、即ち、同時に1つの接続スイッチSだけがオンになり、かつすべての測定すべきサンプルがある接続分岐の接続スイッチSが1回オンになる。
【0073】
各接続分岐の接続スイッチSがオンすると、抵抗測定装置は当該接続分岐上のサンプルの抵抗を測定し、対応する抵抗値を記録する。
【0074】
ここで、
図4における「S」の後ろの「()」内の数字は、接続スイッチSの番号であって、合計n個の接続スイッチSがあることを示している。
【0075】
ここで、
図4を参照すると、測定の安定性を保証するために、オンの接続スイッチSを切り替えるとき、間に短い時間を有して各接続スイッチSを同時にオフすることができる(即ち、前の接続スイッチSが一定時間オフした後に次の接続スイッチSが再度オンする)。
【0076】
ステップS208において、測定段階が終了する。
図4を参照すると、目下測定すべきすべてのサンプルの測定が完了した後、端末制御測定スイッチK2とすべての接続スイッチSはオフになる。
【0077】
ステップS209において、フィードバック判定を行う。
抵抗測定装置は、今回測定した各抵抗値と予め設定された効力失効基準との照合を行い、新たな効力失効(即ち、今回の測定で初めて効力執行が発見された)サンプルを確定し、新たに効力失効したサンプルの情報(サンプルの試験板上の位置、サンプルの効力失効時間)を端末にフィードバックする。
【0078】
端末は、新たに効力が失効したサンプルを測定対象のサンプルから除外し、このサンプルがある接続分岐の接続スイッチSを今回の試験の後の過程においてオフのままであるように制御する。
【0079】
例えば、
図4を参照すると、S(2)(即ち、第2の接続スイッチS)に対応するサンプルは第2の測定段階で効力が失効していることが発見されたため、該第2の接続スイッチSはその後もオンしない。
【0080】
端末はすべてのサンプルが効力失効かどうかを判断し、そうでなければステップS205に戻り、そうであれば次のステップに進む。
【0081】
ステップS210において、温度を下げる。
すべてのサンプルが効力を失効した後、
図3を参照すると、端末は再び制御信号1を送信し、オーブンを制御して予め設定された降温速度で温度を下げる。
【0082】
ステップS211において、結果を出力する。
端末は受信した測定データを記録して処理し、試験結果の報告表を出力する。
【0083】
ここで、上記方法における多くの具体的なステップは変更可能である。
例えば、測定段階の前後、およびオンの接続スイッチSを切り替える際に、最初にすべての接続スイッチSをオフにするのはシステムを安定させるためであるが、このすべての接続スイッチSを同時にオフにする過程をなくすことも可能である。また、各測定段階が室温で行われ、各測定段階の前にさらに温度を下げる(対応して、各エージング段階の前に温度を上げる)こともでき、また、抵抗測定装置は、端末にすべての測定データ(抵抗値)を直接送り、端末によりどのサンプルが効力を失効しているかを判断して、すべてのサンプルの具体的な抵抗値などを記録することもできる。
【0084】
本願では例示的な実施の形態を開示し、具体的な用語を用いているが、それらは一般的な例示的な意味としてのみ使用され、またそのように解釈されるべきであり、限定的な目的のために使用されない。いくつかの実施例では、別途明確にされていない限り、特定の実施の形態に関連して記述した特徴、特性、および/または要素を単独で使用してもよく、または他の実施形態に関連して記述した特徴、特性、および/または要素を組み合わせて使用してもよいことは、当業者には明らかである。したがって、当業者であれば、添付の特許請求の範囲によって明らかにされた本願の範囲を逸脱することなく、様々な形態および詳細な変更が可能であることを理解するであろう。
【国際調査報告】