(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-24
(54)【発明の名称】カスケード制御システム、カスケード制御方法及び非一時的コンピュータ可読媒体
(51)【国際特許分類】
H02J 3/00 20060101AFI20240517BHJP
【FI】
H02J3/00 180
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023573259
(86)(22)【出願日】2022-05-27
(85)【翻訳文提出日】2024-01-23
(86)【国際出願番号】 US2022031438
(87)【国際公開番号】W WO2022251700
(87)【国際公開日】2022-12-01
(32)【優先日】2021-05-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-07-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2022-02-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2022-03-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521301840
【氏名又は名称】ジョンソン・コントロールズ・タイコ・アイピー・ホールディングス・エルエルピー
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【氏名又は名称】原 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100195257
【氏名又は名称】大渕 一志
(72)【発明者】
【氏名】ウェンゼル、 マイケル ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】エルブサット、 モハマド エヌ.
(72)【発明者】
【氏名】ドリース、 カーク エイチ.
【テーマコード(参考)】
5G066
【Fターム(参考)】
5G066HB08
5G066HB09
5G066JA07
5G066JB03
5G066JB06
(57)【要約】
複数のサブシステムに分散された動作している建物機器に関連するカーボン排出量を調整及び制御するためのカスケード制御システムは、カーボン排出量目標に起因することが予測される複数のサブシステムの集計カーボン排出量を考慮する予測制御プロセスを使用して、複数のサブシステムの各々に対するカーボン排出量目標を生成するように構成された第1のコントローラを含む。カスケード制御システムはまた、複数の第2のコントローラを含み、第2のコントローラは各々、複数のサブシステムのうちの1つに対応しており、対応するサブシステムのカーボン排出量目標を建物機器に達成させることが予測される対応するサブシステムの建物機器に対する制御決定を生成することと、制御決定を使用して、対応するサブシステムの建物機器を動作させることと、を行うように構成されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のサブシステムにわたって分散された動作している建物機器に関連するカーボン排出量を調整及び制御するためのカスケード制御システムであって、
複数のサブシステムの各々に対するカーボン排出量目標を生成するように構成された第1のコントローラと、
複数の第2のコントローラと
を備え、
前記複数の第2のコントローラはそれぞれが、
前記複数のサブシステムのうちの1つに対応しており、
前記対応するサブシステムの建物機器に対する制御決定を生成することであって、前記制御決定は、前記対応するサブシステムに対する前記カーボン排出量目標を前記建物機器に達成させることが予測される、生成することと、
前記制御決定を使用して、前記対応するサブシステムの前記建物機器を動作させることと
を行うように構成されている、カスケード制御システム。
【請求項2】
前記第1のコントローラが、ユーティリティグリッドからの電力に関連する排出率の時間変化する値に基づいて、前記カーボン排出量目標を生成し、前記建物機器の1つ以上のデバイスが、前記電力を消費する、請求項1に記載のカスケード制御システム。
【請求項3】
前記第1のコントローラが、予測制御プロセスを使用して前記カーボン排出量目標を生成し、前記予測制御プロセスは、前記カーボン排出量目標に起因することが予測される前記複数のサブシステムの集計カーボン排出量を考慮し、前記カーボン排出量目標を満たすために起こることが予測されるいくつかの削減に基づいて前記建物機器によってサービスを受ける1つ以上の建物の居住者の快適性を更に考慮する、請求項1に記載のカスケード制御システム。
【請求項4】
前記第1のコントローラが、前記複数の低レベルサブシステムの前記集計カーボン排出量に基づくカーボン目的と、快適性目的と、を含む、複数の目的を有する多目的最適化プロセスを使用して、前記カーボン排出量目標を生成する、請求項3に記載のカスケード制御システム。
【請求項5】
前記複数の目的が、前記建物機器によって消費される資源を購入するコストを更に含む、請求項4に記載のカスケード制御システム。
【請求項6】
前記第1のコントローラアカウントが、前記複数のサブシステムに関連するカーボン排出量と、前記カスケード制御システムによって制御不可能な他のカーボン排出量と、の両方に基づいて、前記カーボン排出量目標を生成する、請求項1に記載のカスケード制御システム。
【請求項7】
前記他のカーボン排出量が、商品又は人の輸送に起因する、請求項6に記載のカスケード制御システム。
【請求項8】
前記第1のコントローラが、ある期間にわたる合計排出量に対する予算又はゴールに基づいて、前記カーボン排出量目標を生成するように構成されている、請求項1に記載のカスケード制御システム。
【請求項9】
カーボン排出量を低減又は排除するために建物機器を制御するための方法であって、
資源消費の単位当たりのカーボン排出量の時間変化する値に基づいて、将来の時間範囲にわたる資源消費に起因することが予測される合計カーボン排出量又は排出節約量を考慮する目的関数を処理することによって、前記建物機器に対する時間変化する設定点を生成することと、
前記建物機器を、前記時間変化する設定点に従って動作させることと
を含む、方法。
【請求項10】
前記建物機器に対する前記時間変化する設定点が、前記建物機器の複数のサブシステムの各々に対するカーボン排出量目標であり、前記時間変化する設定点に従って前記建物機器を動作させることが、前記複数のサブシステムに対する前記カーボン排出量目標を前記建物機器に達成させることが予測される前記建物機器に対する制御決定を判定することを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
資源消費の単位当たりの前記カーボン排出量の時間変化する値が、限界動作排出率の値を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
過去の排出率データ及び気象予報に基づいて、前記カーボン排出量の時間変化する値を予測することを更に含む、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
前記建物機器が、バッテリを備え、前記建物機器を動作させることが、前記バッテリを充電することを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項14】
前記建物機器が、空調機器を備え、前記時間変化する設定点に従って前記建物機器を動作させることが、後続の第2の期間中の前記空調機器の動作を低減するために、第1の期間中に建物を予冷することを含み、資源消費の単位当たりの前記カーボン排出量の時間変化する値が、前記後続の期間中よりも、前記第1の期間中に高いことが予測される、請求項9に記載の方法。
【請求項15】
方法であって、
ユーティリティから消費される電力に関連するカーボン排出量を示す時間変化する限界動作排出率を取得することと、
前記時間変化する限界動作排出率が第1の値よりも小さいとき、エネルギー貯蔵モードで機器を動作させることと、
前記時間変化する限界動作排出率が第2の値よりも大きいとき、エネルギー放出モードで機器を動作させることと
を含む、方法。
【請求項16】
前記エネルギー貯蔵モード及び前記エネルギー放出モードにおける前記機器に対する時間変化する設定点を判定するために、前記時間変化する限界動作排出率を使用する、目的関数に基づく制御プロセスを実施することを更に含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記制御プロセスが、カスケード制御プロセスである、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記機器が、加熱及び/又は冷却機器を備え、前記エネルギー貯蔵モードが、建物を予冷又は予熱することを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記機器が、バッテリを備え、前記エネルギー貯蔵モードが、前記バッテリを充電することを含み、前記エネルギー放出モードが、前記バッテリを放電することを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
前記第2の値が、前記第1の値よりも大きい、請求項15に記載の方法。
【請求項21】
前記第2の値が、前記第1の値に等しい、請求項15に記載の方法。
【請求項22】
最適化を実施することによって、前記第1の値及び前記第2の値を判定することを更に含む、請求項15に記載の方法。
【請求項23】
建物機器を制御するための方法であって、
カーボン排出量制御目的と、前記建物機器に対する制御戦略の範囲にわたる前記カーボン排出量制御目的と競合する第2の制御目的と、の間の関係のグラフ表現を含むユーザインターフェースを提供することと、
目的関数において前記カーボン排出量制御目的又は前記第2の制御目的に重みを割り当てることであって、前記重みが、前記グラフ表現に基づくユーザ選択に対応する制御戦略に関連する、割り当てることと、
前記カーボン排出量制御目的又は前記第2の制御目的に割り当てられた前記重みを有する前記目的関数を使用して、前記建物機器に対する制御決定を生成することと、
前記制御決定に従って、前記建物機器を動作させることと
を含む、方法。
【請求項24】
実際のパフォーマンスと、前記ユーザ選択に関連する目標との間の差に基づいて、経時的に前記重みを自動的に調整することを更に含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記第2の制御目的が、居住者の快適性、運用コスト、及びエネルギー消費のうちの少なくとも1つを考慮する、請求項23に記載の方法。
【請求項26】
前記制御戦略の範囲が、前記重みの値の範囲に対応する、請求項23に記載の方法。
【請求項27】
前記制御決定を生成することが、前記カーボン排出量制御目的又は前記第2の制御目的に割り当てられた前記重みを有する前記目的関数の最適化を実施することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項28】
前記建物機器に対する前記制御戦略の範囲のシミュレーションを実行することによって、前記グラフ表現において前記異なる点を生成することを更に含む、請求項23に記載の方法。
【請求項29】
前記建物機器に対する前記制御戦略の範囲の前記シミュレーションを実行することが、前記建物機器に対するシミュレーションされた制御決定を生成するために、前記重みの異なる値を有する前記目的関数の最適化を実施することを含む、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
建物機器を制御するための方法であって、
時間範囲にわたるカーボン排出量、前記時間範囲にわたる運用コスト、及び前記時間範囲にわたる居住者の快適性のうちの少なくとも2つを考慮する目的関数を提供することであって、前記目的関数が、前記カーボン排出量、前記運用コスト、及び前記居住者の快適性のうちの前記少なくとも2つの相対的重要性を示す1つ以上の調整可能なパラメータを含む、提供することと、
目標運用コスト、目標排出量、目標正味エネルギー、又は目標居住者快適性メトリクスに基づいて、前記1つ以上の調整可能なパラメータを自動的にチューニングすることと、
前記目的関数を使用して、制御プロセスを実施することによって、建物設定点を生成することと、
前記建物設定点に従って、建物機器を動作させることと
を含む、方法。
【請求項31】
前記目標居住者快適性メトリクスが、削減動作の目標数である、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記制御プロセスが、
前記建物機器の複数のサブセットと関連する排出量目標を生成することと、
前記排出量目標に基づいて、前記建物設定点を判定することと
を含む、請求項30に記載の方法。
【請求項33】
前記1つ以上の調整可能なパラメータを自動的にチューニングすることが、前記目標正味エネルギーに基づいており、前記目標正味エネルギーが、ゼロである、請求項30に記載の方法。
【請求項34】
前記制御プロセスが、
前記時間範囲にわたる前記建物機器によって消費されることになるエネルギーの限界動作排出率の将来の時間変化する値を予測することと、
前記将来の時間変化する値を使用して、前記目的関数の予測最適化を実施することと
を含む、請求項30に記載の方法。
【請求項35】
前記1つ以上の調整可能なパラメータを自動的にチューニングすることは、限界動作排出率が予想値よりも大きい場合、第1のパラメータの値を第1の方向に移動させることと、前記限界動作排出率が前記予想値よりも小さい場合、前記第1のパラメータの前記値を第2の方向に移動させることと、を含む、請求項30に記載の方法。
【請求項36】
前記建物機器が、加熱、換気、又は空調機器を備え、前記建物設定点が、温度設定点である、請求項30に記載の方法。
【請求項37】
プログラム命令を記憶した1つ以上の非一時的コンピュータ可読媒体であって、前記プログラム命令が、1つ以上のプロセッサによって実行されたときに、前記1つ以上のプロセッサに、
カーボン排出量制御目的と、前記建物機器に対する制御戦略の範囲にわたる前記カーボン排出量制御目的と競合する第2の制御目的と、の間の関係のグラフ表現を含むユーザインターフェースを提供することと、
目的関数において前記カーボン排出量制御目的又は前記第2の制御目的に重みを割り当てることであって、前記重みが、前記グラフ表現に基づくユーザ選択に対応する制御戦略に関連する、割り当てることと、
前記カーボン排出量制御目的又は前記第2の制御目的に割り当てられた前記重みを有する前記目的関数を使用して、前記建物機器に対する制御決定を生成することと、
前記制御決定に従って、前記建物機器を制御することと
を含む動作を実施させる、1つ以上の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項38】
前記動作が、実際のパフォーマンスと、前記ユーザ選択に関連する目標と、の間の差に基づいて、経時的に前記重みを自動的に調整することを更に含む、請求項37に記載の1つ以上の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項39】
前記第2の制御目的が、居住者の快適性、運用コスト、及びエネルギー消費のうちの少なくとも1つを考慮する、請求項37に記載の1つ以上の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項40】
前記制御決定を生成することが、前記カーボン排出量制御目的又は前記第2の制御目的に割り当てられた前記重みを有する前記目的関数の最適化を実施することを含む、請求項37に記載の1つ以上の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項41】
前記動作が、前記建物機器に対する前記制御戦略の範囲のシミュレーションを実行することによって、前記グラフ表現において前記異なる点を生成することを更に含む、請求項37に記載の1つ以上の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項42】
前記建物機器に対する前記制御戦略の範囲の前記シミュレーションを実行することが、前記建物機器に対するシミュレーションされた制御決定を生成するために、前記重みの異なる値を有する前記目的関数の最適化を実施することを含む、請求項41に記載の1つ以上の非一時的コンピュータ可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年5月28日に出願された米国仮特許出願第63/194,771号、2022年3月3日に出願された米国特許出願第17/686,320号、2022年2月10日に出願された米国特許出願第17/668,791号、及び2021年7月12日に出願された米国仮特許出願第63/220,878号の利益及び優先権を主張するものであり、これらの全ては、参照により本明細書に組み込まれている。
【0002】
本開示は、概して、持続可能なエネルギー機能、例えば、建物動作のためのカーボン排出量の低減及び/又はカーボンニュートラルの達成に関する機能を有するモジュール式エネルギーユニット及び建物機器に関する。
【背景技術】
【0003】
建物の加熱及び冷却を含む、建物に関連するエネルギー消費は、世界のエネルギー消費の大きな割合を占めている。加えて、エネルギー消費及び生産と、二酸化炭素排出量(及び他の汚染物質の排出量)との関連性から、建物の動作に関するエネルギー消費及び生成は現在、大気中にかなりの量の二酸化炭素を加えており、これは気候変動の一因となっている。
【0004】
二酸化炭素排出の環境的及び生態学的影響により、建物動作に関連する二酸化炭素排出量を低減若しくは排除するか、又は建物動作のカーボンニュートラルを達成するための技術的課題が存在する。例えば、建物の所有者は、(消費者の需要、規制要件、個人的な信念などにより)建物又は構内のカーボン排出量の低減、又はカーボンニュートラルの達成を望む場合がある。ほとんどの建物の所有者が制御できないユーティリティグリッドへの接続と依存のため、建物の所有者は通常、既存の技術を使用してカーボンフットプリントを大幅に低減する技術的能力を有していない。太陽光パネル、風力タービン、バッテリなどは、建物の所有者によって設置され得るが、そのような製品は、典型的には、建物の所有者が既存の建物システムに設置して統合することが困難である別個の構成要素として提供される。したがって、建物のカーボン排出量に最適に対処するための、統合された、モジュール式の、設置が容易な解決策のためのシステム及び方法が望ましいであろう。そのような解決策の広範な展開は、建物の所有者の運用コストをも低減しながら、環境にプラスの影響をもたらすことができる。
【発明の概要】
【0005】
本開示の1つの実装形態は、複数のサブシステムにわたって分散された建物機器を動作させることに関連するカーボン排出量を調整及び制御するためのカスケード制御システムである。カスケード制御システムは、複数のサブシステムの各々に対するカーボン排出量目標を生成するように構成された第1のコントローラと、複数の第2のコントローラと、を含み、第2のコントローラは、各々、複数のサブシステムのうちの1つに対応しており、対応するサブシステムに対するカーボン排出量目標を建物機器に達成させることが予測される、対応するサブシステムの建物機器に対する制御決定を生成し、制御決定を使用して、対応するサブシステムの建物機器を動作させるように構成されている。
【0006】
いくつかの実施形態では、第1のコントローラは、ユーティリティグリッドからの電力に関連する排出率の時間変化する値に基づいて、カーボン排出量目標を生成する。建物機器の1つ以上のデバイスは、電力を消費する。いくつかの実施形態では、第1のコントローラは、カーボン排出量目標に起因することが予測される複数のサブシステムの集計カーボン排出量を考慮し、更にカーボン排出量目標を満たすために起こることが予測されるいくつかの削減に基づいて、建物機器によって供される1つ以上の建物の居住者の快適性を考慮する、予測制御プロセスを使用して、カーボン排出量目標を生成する。いくつかの実施形態では、第1のコントローラは、複数の低レベルサブシステムの集計カーボン排出量に基づくカーボン目的と、快適性目的と、を含む、複数の目的を有する多目的最適化プロセスを使用して、カーボン排出量目標を生成する。複数の目的は、建物機器によって消費される資源を購入するコストを含み得る。
【0007】
いくつかの実施形態では、第1のコントローラは、複数のサブシステムに関連するカーボン排出量と、カスケード制御システムによって制御不可能な他のカーボン排出量と、の両方に基づいて、カーボン排出量目標を調べ生成する。他のカーボン排出量は、商品又は人の輸送に起因し得る。いくつかの実施形態では、第1のコントローラは、ある期間にわたる合計排出量の予算又はゴールに基づいて、カーボン排出量目標を生成するように構成されている。
【0008】
本開示の別の実装形態は、カーボン排出量を低減又は排除するために建物機器を制御するための方法である。方法は、資源消費の単位当たりのカーボン排出量の時間変化する値に基づいて、将来の時間範囲にわたる資源消費に起因することが予測される合計カーボン排出量又は排出節約量を考慮する目的関数を処理することによって、建物機器に対する時間変化する設定点を生成することと、時間変化する設定点に従って、建物機器を動作させることと、を含む。
【0009】
いくつかの実施形態では、建物機器に対する時間変化する設定点は、建物機器の複数のサブシステムの各々に対するカーボン排出量目標である。時間変化する設定点に従って建物機器を動作させることは、複数のサブシステムに対するカーボン排出量目標を建物機器に達成させることが予測される建物機器に対する制御決定を判定することを含む。資源消費の単位当たりのカーボン排出量の時間変化する値は、限界動作排出率の値を含む。
【0010】
いくつかの実施形態では、方法は、過去の排出率データ及び気象予報に基づいて、カーボン排出量の時間変化する値を予測することを含む。いくつかの実施形態では、建物機器は、バッテリを含み、建物機器を動作させることは、バッテリを充電することを含む。いくつかの実施形態では、建物機器は、空調機器を含む。時間変化する設定点に従って建物機器を動作させることは、資源消費の単位当たりのカーボン排出量の時間変化する値が、後続の期間中よりも、第1の期間中に高いことが予測されるとき、後続の第2の期間中の空調機器の動作を低減するために、第1の期間中に建物を予冷することを含む。
【0011】
本開示の別の実装形態は、ユーティリティから消費される電力に関連するカーボン排出量を示す時間変化する限界動作排出率を取得することと、時間変化する限界動作排出率が第1の値よりも小さいとき、機器をエネルギー貯蔵モードで動作させることと、時間変化する限界動作排出率が第2の値よりも大きいとき、機器をエネルギー放出モードで動作させることと、を含む方法である。
【0012】
いくつかの実施形態では、方法はまた、エネルギー貯蔵モード及びエネルギー放出モードにおける機器に対する時間変化する設定点を判定するために、時間変化する限界動作排出率を使用する、目的関数に基づく制御プロセスを実施することを含む。制御プロセスは、カスケード制御プロセスであり得る。いくつかの実施形態では、機器は、加熱及び/又は冷却機器を含み、エネルギー貯蔵モードは、建物を予冷又は予熱することを含む。いくつかの実施形態では、機器は、バッテリを含み、エネルギー貯蔵モードは、バッテリを充電することを含み、エネルギー放出モードは、バッテリを放電することを含む。第2の値は、第1の値超であり得、第1の値と等しくあり得る。いくつかの実施形態では、方法は、最適化を実施することによって、第1の値及び第2の値を判定することを含む。
【0013】
本開示の別の実装形態は、建物機器を制御するための方法である。方法は、カーボン排出量制御目的と、建物機器に対する制御戦略の範囲にわたるカーボン排出量制御目的と競合する第2の制御目的と、の間の関係のグラフ表現を含むユーザインターフェースを提供することと、目的関数内のカーボン排出量制御目的又は第2の制御目的に重みを割り当てることと、を含む。重みは、グラフ表現に基づくユーザ選択に対応する制御戦略に関連付けられている。方法はまた、カーボン排出量制御目的又は第2の制御目的に割り当てられた重みを有する目的関数を使用して、建物機器に対する制御決定を生成することを含む。方法はまた、制御決定に従って、建物機器を動作させることを含む。
【0014】
いくつかの実施形態では、方法はまた、実際のパフォーマンスとユーザ選択に関連付けられた目標と、の間の差に基づいて、経時的に重みを自動的に調整することを含む。いくつかの実施形態では、第2の制御目的は、居住者快適性、運用コスト、及びエネルギー消費のうちの少なくとも1つを考慮する。いくつかの実施形態では、制御戦略の範囲は、重みの値の範囲に対応する。
【0015】
いくつかの実施形態では、制御決定を生成することは、カーボン排出量制御目的又は第2の制御目的に割り当てられた重みを有する目的関数の最適化を実施することを含む。いくつかの実施形態では、方法はまた、建物機器の制御戦略の範囲のシミュレーションを実行することによって、グラフ表現において異なる点を生成することを含む。建物機器の制御戦略の範囲のシミュレーションを実行することは、建物機器に対するシミュレーションされた制御決定を生成するために、重みの異なる値を有する目的関数の最適化を実施することを含むことができる。
【0016】
本開示の別の実装形態は、時間範囲にわたるカーボン排出量、時間範囲にわたる運用コスト、及び時間範囲にわたる居住者の快適性のうちの少なくとも2つを考慮する目的関数を提供することを含む、建物機器を制御するための方法である。目的関数は、カーボン排出量、運用コスト、及び居住者の快適性のうちの少なくとも2つの相対的重要性を示す1つ以上の調整可能なパラメータを含む。方法はまた、目標運用コスト、目標排出量、目標正味エネルギー、又は目標居住者快適性メトリクスに基づいて、1つ以上の調整可能なパラメータを自動的にチューニングすることと、目的関数を使用して制御プロセスを実施することによって、建物設定点を生成することと、建物設定点に従って建物機器を動作させることと、を含む。
【0017】
いくつかの実施形態では、目標居住者快適性メトリクスは、削減動作の目標数である。いくつかの実施形態では、制御プロセスは、建物機器の複数のサブセットと関連する排出量目標を生成することと、排出量目標に基づいて建物設定点を判定することと、を含む。1つ以上の調整可能なパラメータを自動的にチューニングすることは、目標正味エネルギーに基づいており、目標正味エネルギーは、ゼロである。いくつかの実施形態では、制御プロセスは、時間範囲にわたる建物機器によって消費されることになるエネルギーの限界動作排出率の将来の時間変化する値を予測することと、将来の時間変化する値を使用して、目的関数の予測最適化を実施することと、を含む。
【0018】
いくつかの実施形態では、1つ以上の調整可能なパラメータを自動的にチューニングすることは、限界動作排出率が予想値よりも大きい場合、第1のパラメータの値を第1の方向に移動させることと、限界動作排出率が予想値よりも小さい場合、第1のパラメータの値を第2の方向に移動させることと、を含む。いくつかの実施形態では、建物機器は、加熱、換気、又は空調機器を含み、建物設定点は、温度設定点である。
【0019】
本開示の別の実装形態は、プログラム命令を記憶する1つ以上の非一時的コンピュータ可読媒体であり、プログラム命令が、1つ以上のプロセッサによって実行されるときに、1つ以上のプロセッサに動作を実施させる。動作は、カーボン排出量制御目的と、建物機器に対する制御戦略の範囲にわたるカーボン排出量制御目的と競合する第2の制御目的と、の間の関係のグラフ表現を含むユーザインターフェースを提供することと、目的関数内のカーボン排出量制御目的又は第2の制御目的に重みを割り当てることと、を含む。重みは、グラフ表現に基づくユーザ選択に対応する制御戦略に関連する。方法は、カーボン排出量制御目的又は第2の制御目的に割り当てられた重みを有する目的関数を使用して、建物機器に対する制御決定を生成することと、制御決定に従って建物機器を制御することと、を含む。
【0020】
いくつかの実施形態では、動作は、実際のパフォーマンスと、ユーザ選択に関連する目標と、の間の差に基づいて、経時的に重みを自動的に調整することを更に含む。いくつかの実施形態では、第2の制御目的は、居住者快適性、運用コスト、及びエネルギー消費のうちの少なくとも1つを考慮する。いくつかの実施形態では、制御決定を生成することは、カーボン排出量制御目的又は第2の制御目的に割り当てられた重みを有する目的関数の最適化を実施することを含む。
【0021】
いくつかの実施形態では、動作はまた、建物機器の制御戦略の範囲に対するシミュレーションを実行することによって、グラフ表現において異なる点を生成することを含む。いくつかの実施形態では、建物機器の制御戦略の範囲のシミュレーションを実行することは、建物機器に対するシミュレーションされた制御決定を生成するために、重みの異なる値を有する目的関数の最適化を実施することを含む。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】いくつかの実施形態による、HVACシステムを装備した建物の図面である。
【
図2】いくつかの実施形態による、
図1の建物に加熱又は冷却を提供するために使用され得る中央エネルギー施設(CEF)の図である。
【
図3】いくつかの実施形態による、バッテリユニット及び予測CEFコントローラを有するCEFの図である。
【
図4】いくつかの実施形態による、
図3のバッテリユニット及び予測CEFコントローラを含む予測CEF制御システムのブロック図である。
【
図5】いくつかの実施形態による、より詳細に
図3の予測CEFコントローラを例解するブロック図である。
【
図6】いくつかの実施形態による、
図3の予測CEFコントローラによって生成され得るユーザインターフェースのグラフである。
【
図7】いくつかの実施形態による、バッテリユニット及び予測チラーコントローラを有する空冷式チラーユニットの図である。
【
図8】いくつかの実施形態による、
図7の空冷式チラーユニットのブロック図である。
【
図9】いくつかの実施形態による、
図7のバッテリユニット及び予測チラーコントローラを含む予測チラー制御システムのブロック図である。
【
図10】いくつかの実施形態による、より詳細に
図7の予測チラーコントローラを例解するブロック図である。
【
図11】いくつかの実施形態による、バッテリユニット及び予測ポンプコントローラを有するポンプユニットの図である。
【
図12】いくつかの実施形態による、
図11のポンプユニットのブロック図である。
【
図13】いくつかの実施形態による、
図11のバッテリユニット及び予測ポンプコントローラを含む予測ポンプ制御システムのブロック図である。
【
図14】いくつかの実施形態による、より詳細に
図11の予測ポンプコントローラを例解するブロック図である。
【
図15】いくつかの実施形態による、バッテリユニット及び予測冷却塔コントローラを有する冷却塔ユニットの図である。
【
図16】いくつかの実施形態による、
図15のバッテリユニット及び予測冷却塔コントローラを含む予測冷却塔制御システムのブロック図である。
【
図17】いくつかの実施形態による、より詳細に
図15の予測冷却塔コントローラを例解するブロック図である。
【
図18】いくつかの実施形態による、バッテリユニット及び予測バルブコントローラを有するバルブユニットの図である。
【
図19】いくつかの実施形態による、
図18のバルブユニットのブロック図である。
【
図20】いくつかの実施形態による、
図18のバッテリユニット及び予測バルブコントローラを含む予測バルブ制御システムのブロック図である。
【
図21】いくつかの実施形態による、より詳細に
図18の予測バルブコントローラを例解するブロック図である。
【
図22】いくつかの実施形態による、燃料セル最適化のためのプロセスのフローチャートである。
【
図23】いくつかの実施形態による、モジュール式エネルギーユニットの例解図である。
【
図24】いくつかの実施形態による、モジュール式エネルギーユニットのブロック図である。
【
図25】いくつかの実施形態による、モジュール式エネルギーユニットの別の実施形態の概略図である。
【
図26】いくつかの実施形態による、モジュール式エネルギーユニットを制御するためのプロセスのフローチャートである。
【
図27】いくつかの実施形態による、モジュール式エネルギーユニットを使用して、正味ゼロカーボン排出を達成するためのプロセスのフローチャートである。
【
図28】いくつかの実施形態による、建物設定点を最適化するように適合されたモジュール式エネルギーユニットのブロック図である。
【
図29】いくつかの実施形態による、クラウドベースの最適化資源に接続された複数のモジュール式エネルギーユニットのためのシステムアーキテクチャのブロック図である。
【
図30】いくつかの実施形態による、複数のモジュール式エネルギーユニットのためのシステムアーキテクチャ及びクラウドベースの最適化資源に接続された建物管理システムのブロック図である。
【
図31A】いくつかの実施形態による、最適レベルのカーボン排出量又はカーボン対電力比を達成するために、建物機器を動作させるためのプロセスのフローチャートである。
【
図31B】いくつかの例示的なシナリオによる、例示的な時間変化する限界動作排出率の描写である。
【
図32】いくつかの実施形態による、正味ゼロ排出に到達するためのカーボンオフセットのコストを考慮する、建物機器のコスト最適化のプロセスのフローチャートである。
【
図33】いくつかの実施形態による、カーボン排出量の制約の対象となる建物機器の動作の最適化のためのプロセスのフローチャートである。
【
図34】いくつかの実施形態による、排出量を低減する、コストを節約する、及び/又は居住者快適性を改善するための重み付けされた選好を示すユーザ入力に基づく、カスタマイズされた最適化のためのプロセスのフローチャートである。
【
図35A】いくつかの実施形態による、コスト対カーボン曲線上の目標点を達成するために、機器を選択及び制御するためのプロセスのフローチャートである。
【
図35B】いくつかの実施形態による、例示的なコスト対カーボン曲線の例解図である。
【
図36】いくつかの実施形態による、快適性対カーボン曲線上の目標点を達成するために、機器を選択及び制御するためのプロセスのフローチャートである。
【
図37】いくつかの実施形態による、最適カーボン排出量低減などの技術的利点を達成するために、建物に追加されるべき新しいエネルギー資産に対する推奨事項を自動的に生成するためのプロセスのフローチャートである。
【
図38】いくつかの実施形態による、カーボン排出量の企業全体のダッシュボードを生成し、カーボンフットプリント低減を開始するためのプロセスのフローチャートである。
【
図39】いくつかの実施形態による、カーボン管理システムを含む監督制御スキームにおける複数の建物エッジデバイスのためのシステムアーキテクチャのブロック図である。
【
図40】いくつかの実施形態による、生産又は利用データに基づいて、正規化されたカーボン排出量メトリクスを提供するためのプロセスのフローチャートである。
【
図41】いくつかの実施形態による、
図38及び40の例示的なプロセスに基づいて提供され得る例示的なダッシュボードの例解図である。
【
図42】いくつかの実施形態による、限界動作排出率に基づいてバッテリを制御するためのプロセスのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
建物及びHVACシステム
ここで
図1を参照すると、建物10の斜視図が示されている。建物10は、BMSによりサービス提供されている。BMSは、概して、建物又は建物区域の中若しくはその周囲の設備を制御、監視、及び管理するように構成されたデバイスのシステムである。BMSは、例えば、HVACシステム、セキュリティシステム、照明システム、火災警報システム、建物機能若しくはデバイスを管理することができる任意の他のシステム、又はそれらの任意の組み合わせを含むことができる。
【0024】
建物10に供するBMSは、HVACシステム100を含む。HVACシステム100は、建物10に加熱、冷却、換気、又は他のサービスを提供するように構成された複数のHVACデバイス(例えば、ヒータ、チラー、空気処理ユニット、ポンプ、ファン、熱エネルギー貯蔵など)を含むことができる。例えば、HVACシステム100は、ウォーターサイドシステム120及びエアサイドシステム130を含むように示されている。ウォーターサイドシステム120は、加熱された又は冷流体をエアサイドシステム130の空気処理ユニットに提供し得る。エアサイドシステム130は、加熱された又は冷流体を使用して、建物10に提供される空気流を加熱又は冷却し得る。
【0025】
HVACシステム100は、チラー102、ボイラ104、及び屋上空気処理ユニット(AHU)106を含むように示されている。ウォーターサイドシステム120は、ボイラ104及びチラー102を使用して、作動流体(例えば、水、グリコールなど)を加熱又は冷却し得、作動流体をAHU106に循環させ得る。様々な実施形態では、ウォーターサイドシステム120のHVACデバイスは、建物10内又はその周囲に(
図1に示されるように)、又は中央プラント(例えば、チラープラント、蒸気プラント、熱プラントなど)などのオフサイトの場所に位置することができる。作動流体は、建物10で加熱又は冷却が必要とされるかどうかに応じて、ボイラ104で加熱されるか、又はチラー102で冷却されることができる。ボイラ104は、例えば、可燃性材料(例えば、天然ガス)を燃焼させることによって、又は電気加熱要素を使用することによって、循環流体に熱を加え得る。チラー102は、循環流体を熱交換器(例えば、蒸発器)内の別の流体(例えば、冷媒)との熱交換関係に置いて、循環流体から熱を吸収し得る。チラー102及び/又はボイラ104からの作動流体は、配管108を介してAHU106に輸送することができる。
【0026】
AHU106は、作動流体を、AHU106を通過する空気流との熱交換関係に置き得る(例えば、冷却コイル及び/又は加熱コイルの1つ以上の段階を介して)。空気流は、例えば、外気、建物10内からの戻り空気、又はその両方の組み合わせであることができる。AHU106は、空気流と作動流体との間で熱を伝達して、空気流に加熱又は冷却を提供し得る。例えば、AHU106は、作動流体を含む熱交換器上に又は熱交換器を通って空気流を通過させるように構成された、1つ以上のファン又は送風機を含むことができる。次いで、作動流体は、配管110を介してチラー102又はボイラ104に戻り得る。
【0027】
エアサイドシステム130は、AHU106によって供給される空気流(すなわち、供給空気流)を、空気供給ダクト112を介して建物10に送達し得、空気戻りダクト114を介して建物10からAHU106に戻り空気を提供し得る。いくつかの実施形態では、エアサイドシステム130は、複数の可変風量(VAV)ユニット116を含む。例えば、エアサイドシステム130は、建物10の各フロア又は各ゾーンに別個のVAVユニット116を含むように示されている。VAVユニット116は、建物10の個々のゾーンに提供される供給空気流の量を制御するように動作することができるダンパ又は他の流量制御要素を含むことができる。他の実施形態では、エアサイドシステム130は、中間VAVユニット116又は他の流量制御要素を使用することなく、供給空気流を建物10の1つ以上のゾーンに(例えば、供給ダクト112を介して)送達する。AHU106は、供給空気流の属性を測定するように構成された様々なセンサ(例えば、温度センサ、圧力センサなど)を含むことができる。AHU106は、AHU106内及び/又は建物ゾーン内に位置するセンサから入力を受信し得、AHU106を通る供給空気流の流量、温度、又は他の属性を調整して、建物ゾーンの設定点条件を達成し得る。
【0028】
中央エネルギー施設
ここで
図2を参照すると、いくつかの実施形態による中央エネルギー施設(CEF)200のブロック図が示されている。様々な実施形態では、CEF200は、HVACシステム100内のウォーターサイドシステム120を補完又は置き換え得るか、又はHVACシステム100とは別個に実装することができる。HVACシステム100に実装されるとき、CEF200は、HVACシステム100内のHVACデバイスのサブセット(例えば、ボイラ104、チラー102、ポンプ、バルブなど)を含むことができ、加熱又は冷やされた流体をAHU106に供給するように動作し得る。CEF200のHVACデバイスは、(例えば、ウォーターサイドシステム120の構成要素として)建物10の中に、又はオフサイトの場所に位置することができる。
【0029】
CEF200は、ヒータサブプラント202、熱回収チラーサブプラント204、チラーサブプラント206、冷却塔サブプラント208、高温熱エネルギー貯蔵(TES)サブプラント210、及び低温熱エネルギー貯蔵(TES)サブプラント212を含む複数のサブプラント202~212を含むように示されている。サブプラント202~212は、建物又は構内の熱エネルギー負荷(例えば、温水、冷水、加熱、冷却など)を供するために、ユーティリティからの資源(例えば、水、天然ガス、電気、水素など)を消費する。例えば、ヒータサブプラント202は、ヒータサブプラント202と建物10との間で温水を循環させる温水ループ214内の水を加熱するように構成され得る。チラーサブプラント206は、チラーサブプラント206建物10との間で冷水を循環させる冷水ループ216内の水を冷却するように構成され得る。熱回収チラーサブプラント204は、熱を冷水ループ216から温水ループ214に伝達して、温水に追加の加熱及び冷水に追加の冷却を提供するように構成され得る。凝縮器水ループ218は、チラーサブプラント206内の冷水から熱を吸収し、冷却塔サブプラント208内の吸収された熱を排出するか、又は吸収された熱を温水ループ214に伝達し得る。高温TESサブプラント210及び低温TESサブプラント212は、後続の使用のために、それぞれ、高温熱エネルギー及び低温熱エネルギーを貯蔵し得る。
【0030】
温水ループ214及び冷水ループ216は、加熱されたかつ/又は冷やされた水を、建物10の屋上に位置する空気ハンドラ(例えば、AHU106)又は建物10の個々のフロア若しくはゾーン(例えば、VAVユニット116)に送達し得る。空気ハンドラは、空気に加熱又は冷却を提供するために水が流れる熱交換器(例えば、加熱コイル又は冷却コイル)を通して、空気を押し出す。加熱又は冷却された空気は、建物10の熱エネルギー負荷を供するように、建物10の個々のゾーンに送達され得る。次いで、水は、サブプラント202~212に戻り、更なる加熱又は冷却を受ける。
【0031】
サブプラント202~212は、建物への循環のための加熱及び冷却水として示され説明されているが、熱エネルギー負荷を供するために、水の代わりに、又は水に加えて、任意の他のタイプの作動流体(例えば、グリコール、CO2など)が使用され得ることが理解されよう。他の実施形態では、サブプラント202~212は、中間熱伝達流体を必要とせずに、建物又は構内に直接加熱及び/又は冷却を提供し得る。CEF200に対するこれら及び他の変形形態は、本開示の教示の範囲内である。
【0032】
サブプラント202~212の各々は、サブプラントの機能を容易にするように構成された様々な機器を含むことができる。例えば、ヒータサブプラント202は、温水ループ214内の温水に熱を加えるように構成された複数の加熱要素220(例えば、ボイラ、電気ヒータなど)を含むように示されている。ヒータサブプラント202はまた、温水ループ214内で温水を循環させ、個々の加熱要素220を通る温水の流量を制御するように構成されたいくつかのポンプ222及び224を含むようにも示されている。チラーサブプラント206は、冷水ループ216内の冷水から熱を除去するように構成された複数のチラー232を含むように示されている。チラーサブプラント206はまた、冷水ループ216内で冷水を循環させ、個々のチラー232を通る冷水の流量を制御するように構成されたいくつかのポンプ234及び236を含むようにも示されている。
【0033】
熱回収チラーサブプラント204は、冷水ループ216から温水ループ214に熱を伝達するように構成された複数の熱回収熱交換器226(例えば、冷媒回路)を含むように示されている。熱回収チラーサブプラント204はまた、熱回収熱交換器226を通して温水及び/又は冷水を循環させ、個々の熱回収熱交換器226を通して水の流量を制御するように構成されたいくつかのポンプ228及び230を含むように示されている。冷却塔サブプラント208は、凝縮器水ループ218内の凝縮器水から熱を除去するように構成された複数の冷却塔238を含むように示されている。冷却塔サブプラント208はまた、凝縮器水ループ218内で凝縮器水を循環させ、個々の冷却塔238を通る凝縮器水の流量を制御するように構成されたいくつかのポンプ240を含むように示されている。
【0034】
高温TESサブプラント210は、後で使用するために温水を貯蔵するように構成された高温TESタンク242を含むように示されている。高温TESサブプラント210はまた、高温TESタンク242への又は高温TESタンク242からの温水の流量を制御するように構成された、1つ以上のポンプ又は1つ以上のバルブを含み得る。低温TESサブプラント212は、後で使用するために冷水を貯蔵するように構成された低温TESタンク244を含むように示されている。低温TESサブプラント212はまた、低温TESタンク244への又は低温TESタンク244からの冷水の流量を制御するように構成された、1つ以上のポンプ又は1つ以上のバルブを含み得る。
【0035】
いくつかの実施形態では、CEF200内の1つ以上のポンプ(例えば、ポンプ222、224、228、230、234、236、及び/又は240)又はCEF200内の配管は、それに関連付けられた絶縁バルブを含む。絶縁バルブは、CEF200内の流体流れを制御するために、ポンプと一体化され得、又はポンプの上流若しくは下流に位置決めされ得る。様々な実施形態では、CEF200は、CEF200の特定の構成及びCEF200によって供される負荷のタイプに基づいて、より多くの、より少ない、又は異なるタイプのデバイス及び/又はサブプラントを含むことができる。
【0036】
バッテリユニット及び予測制御部を備えた中央エネルギー施設
ここで
図3を参照すると、いくつかの実施形態による、バッテリユニット302及び予測CEFコントローラ304を有する中央エネルギー施設(CEF)300が示されている。CEF300は、冷却負荷322に冷却を提供するように構成され得る。冷却負荷322は、例えば、建物ゾーン、空気ダクトを通って流れる供給空気ストリーム、空気処理ユニット若しくは屋上ユニット内の空気流、熱交換器を通って流れる流体、冷蔵庫若しくは冷凍庫、凝縮器若しくは蒸発器、冷却コイル、又は冷却を必要とする任意の他のタイプのシステム、デバイス、若しくは空間を含むことができる。いくつかの実施形態では、ポンプ318は、冷流体回路336を介して、冷流体を冷却負荷322に循環させる。冷流体は、冷却負荷322からの熱を吸収することができ、それによって、冷却負荷322に冷却を提供し、冷流体を温める。
【0037】
CEF300は、冷却塔312及びチラー320を含むように示されている。冷却塔312は、水から外気に熱を伝達することによって、冷却塔回路332内の水を冷却するように構成され得る。いくつかの実施形態では、ポンプ316は、冷却塔回路332を介し、冷却塔312を通して水を循環させる。冷却塔312は、冷却空気が冷却塔312を通って流れるようにするファン314を含み得る。冷却塔312は、冷気をより温かい水との熱交換関係に置き、それによって、より温かい水からより冷たい空気に熱を伝達する。冷却塔312は、チラー320の凝縮器326に冷却を提供することができる。凝縮器326は、冷媒回路334内の冷媒から冷却塔回路332内の水に熱を伝達することができる。冷却塔回路332は、循環水として示され、説明されているが、任意のタイプの冷却剤又は作動流体(例えば、水、グリコール、CO2など)が冷却塔回路332に使用され得ることを理解されたい。
【0038】
チラー320は、凝縮器326、圧縮機328、蒸発器330、及び膨張デバイス324を含むように示されている。圧縮機328は、冷媒回路334を介して凝縮器326と蒸発器330との間で冷媒を循環させるように構成され得る。圧縮機328は、冷媒を高圧、高温状態に圧縮するように動作する。圧縮された冷媒は、凝縮器326を通って流れ、凝縮器326は、冷媒回路334内の冷媒から冷却塔回路332内の水に熱を伝達する。次いで、冷却された冷媒は、膨張デバイス324を通って流れ、膨張デバイス324は、冷媒を低温、低圧状態に膨張させる。膨張した冷媒は、蒸発器330を通って流れ、蒸発器330は、冷流体回路336内の冷流体から冷媒回路334内の冷媒に熱を伝達する。
【0039】
いくつかの実施形態では、CEF300は、複数のチラー320を含む。チラー320の各々は、並列に配置され、冷流体回路336内の流体に冷却を提供するように構成され得る。チラー320のセットは、いくつかの実施形態では、およそ1~3MW又は1000~6000トンの冷却容量を有し得る。同様に、CEF300は、複数の冷却塔312を含むことができる。冷却塔312の各々は、並列に配置され、冷却塔回路332内の水に冷却を提供するように構成され得る。冷却構成要素のみが
図3に示されているが、CEF300は、いくつかの実施形態において、加熱構成要素を含むことができることが企図される。例えば、CEF300は、1つ以上のボイラ、熱回収チラー、蒸気生成器、又は加熱を提供するように構成された他のデバイスを含み得る。いくつかの実施形態では、CEF300は、
図2を参照して説明された、CEF200の構成要素のいくつか又は全てを含む。
【0040】
更に
図3を参照すると、CEF300は、バッテリユニット302を含むように示されている。いくつかの実施形態では、バッテリユニット302は、1つ以上の光起電力(PV)パネル308を含む。PVパネル308は、光起電力セルの集合を含み得る。光起電力セルは、単結晶シリコン、多結晶シリコン、非晶質シリコン、テルル化カドミウム、セレン化銅インジウムガレニウム/硫化物、又は光起電力効果を示す他の材料などの光起電力材料を使用して、太陽光エネルギー(すなわち、日光)を電気に変換するように構成されている。いくつかの実施形態では、光起電力セルは、PVパネル308を形成するパッケージ化されたアセンブリ内に含まれる。各PVパネル308は、複数の連結された光起電力セルを含み得る。PVパネル308は、光起電力アレイを形成するために組み合わされ得る。
【0041】
いくつかの実施形態では、PVパネル308は、太陽光エネルギー収集を最大化するように構成されている。例えば、バッテリユニット302は、PVパネル308が昼間中太陽に直接向けられるように、PVパネル308の角度を調整する太陽光トラッカー(例えば、GPSトラッカー、日光センサなど)を含み得る。太陽光トラッカーは、PVパネル308が1日のより多い時間にわたって直射日光を受け取ることを可能にし得、PVパネル308によって生産される合計電力量を増加させ得る。いくつかの実施形態では、バッテリユニット302は、太陽光をPVパネル308に誘導及び/又は集光させるように構成されたミラー、レンズ、又は日光集光器の集合を含む。PVパネル308によって生成されるエネルギーは、バッテリセル306に貯蔵され得る、及び/又はCEF300の様々な構成要素に電力供給するために使用され得る。
【0042】
いくつかの実施形態では、バッテリユニット302は、1つ以上のバッテリセル306を含む。バッテリセル306は、電気エネルギー(すなわち、電気)を貯蔵及び放出するように構成されている。いくつかの実施形態では、バッテリユニット302は、(例えば、電気ユーティリティによって提供される)外部エネルギーグリッドからの電気を使用して充電される。バッテリユニット302に貯蔵された電気は、CEF300の1つ以上の動力式構成要素(例えば、冷却塔312、ファン314、チラー320、ポンプ316~318など)に電力供給するために放出され得る。有利には、バッテリユニット302は、エネルギー価格が低いときにCEF300がエネルギーグリッドから電気を引き出し、バッテリユニット302を充電し、エネルギー価格が高いときに貯蔵された電気を放出して、CEF300の電気負荷を時間的にシフトすることを可能にする。いくつかの実施形態では、バッテリユニット302が、高エネルギーコスト期間中に利用され、低エネルギーコスト期間中に充電され得るように、バッテリユニット302は、最大容量で動作するときに、CEF300におよそ4~6時間にわたって電力供給するのに十分なエネルギー容量(例えば、6~12MW時間)を有する。
【0043】
いくつかの実施形態では、予測CEFコントローラ304は、最適化プロセスを実施して、最適化期間中に起こる複数の時間ステップの各々の間にバッテリユニット302を充電するか、又は放電するかを判定する。予測CEFコントローラ304は、複数の時間ステップの各々の間に必要とされる加熱/冷却の量及び電気のコストを予測するために、気象及び価格データ310を使用し得る。予測CEFコントローラ304は、最適化期間の間にわたってエネルギーグリッドから購入される電気のコストを考慮する目的関数を最適化することができる。いくつかの実施形態では、目的関数はまた、CEF300の様々な構成要素を運用するコスト(例えば、ボイラに燃料供給するために使用される天然ガスのコスト)を考慮する。予測CEFコントローラ304は、各時間ステップ中に、エネルギーグリッドから購入する電気量及びバッテリユニット302から貯蔵又は放出する電気量を判定することができる。予測CEFコントローラ304によって実施される目的関数及び最適化は、
図4~5を参照してより詳細に説明される。
【0044】
予測CEF制御システム
ここで
図4を参照すると、いくつかの実施形態による予測CEF制御システム400のブロック図が示されている。制御システム400に示される構成要素のいくつかは、CEF300の一部であり得る。例えば、CEF300は、動力式CEF構成要素402、バッテリユニット302、予測CEFコントローラ304、電力インバータ410、及び電力ジャンクション412を含み得る。動力式CEF構成要素402は、動作中に電力(例えば、電気)を消費するCEF300の任意の構成要素を含み得る。例えば、動力式CEF構成要素402は、冷却塔404、チラー406、及びポンプ408を含むように示されている。これらの構成要素は、
図3を参照して説明されたように、冷却塔312、チラー320、及びポンプ316~318に類似し得る。
【0045】
電力インバータ410は、直流(DC)と交流(AC)との間で電力を変換するように構成され得る。例えば、バッテリユニット302は、DC電力を貯蔵し、出力するように構成され得るが、エネルギーグリッド414及び動力式CEF構成要素402は、AC電力を消費し、提供するように構成され得る。電力インバータ410は、バッテリユニット302からのDC電力を、エネルギーグリッド414及び/又は動力式CEF構成要素402のグリッド周波数に同期された正弦波AC出力に変換するために使用され得る。電力インバータ410はまた、エネルギーグリッド414からのAC電力を、バッテリユニット302内に貯蔵され得るDC電力に変換するために使用され得る。バッテリユニット302の電力出力は、Pbatとして示されている。Pbatは、バッテリユニット302がインバータ410に電力供給している(すなわち、バッテリユニット302が放電している)場合、正になり、又はバッテリユニット302が電力インバータ410から電力を受け取っている(すなわち、バッテリユニット302が充電している)場合、負になり得る。
【0046】
いくつかの例では、電力インバータ410は、バッテリユニット302からDC電力出力を受け取り、DC電力出力を、動力式CEF構成要素402に提供され得るAC電力出力に変換する。電力インバータ410は、ローカル発振器を使用して、AC電力出力の周波数をエネルギーグリッド414の周波数(例えば、50Hz又は60Hz)と同期させ得、AC電力出力の電圧をグリッド電圧よりも高くならないように制限し得る。いくつかの実施形態では、電力インバータ410は、エネルギーグリッド414の周波数に一致する正弦波を達成するために、単純な方形波から高調波を除去するLC回路を含む又は使用する共振インバータである。様々な実施形態では、電力インバータ410は、高周波変圧器、低周波変圧器を使用して、又は変圧器を伴わずに動作し得る。低周波変圧器は、バッテリユニット302からのDC出力を、動力式CEF構成要素402に提供されるAC出力に直接変換し得る。高周波変圧器は、多段階プロセスを採用し得、このプロセスは、DC出力を高周波ACに変換し、次いでDCに戻し、次いで最終的に動力式CEF構成要素402に提供されるAC出力に変換することを伴う。
【0047】
PVパネル308の電力出力は、PPVとして示されている。PVパネル308の電力出力PPVは、バッテリユニット302に貯蔵され得、かつ/又は動力式CEF構成要素402に電力供給するために使用され得る。いくつかの実施形態では、PVパネル308は、PVパネル308によって生成される電力量PPVを測定し、PV電力の指標を予測CEFコントローラ304に提供する。例えば、PVパネル308は、PV電力パーセンテージ(すなわち、PV%)の指標を予測CEFコントローラ304に提供するように示されている。PV電力パーセンテージは、PVパネル308が現在動作している最大PV電力のパーセンテージを表し得る。
【0048】
電力ジャンクション412は、動力式CEF構成要素402、エネルギーグリッド414、PVパネル308、及び電力インバータ410が電気的に接続される点である。電力インバータ410から電力ジャンクション412に供給される電力は、Pbatとして示されている。Pbatは、電力インバータ410が電力ジャンクション412に電力を提供している(すなわち、バッテリユニット302が放電している)場合には、正であり得、電力インバータ410が電力ジャンクション412から電力を受け取っている(すなわち、バッテリユニット302が充電している)場合には、負であり得る。エネルギーグリッド414から電力ジャンクション412に供給される電力は、Pgridとして示されており、PVパネル308から電力ジャンクション412に供給される電力は、PPVとして示されている。Pbat、PPV、及びPgridは、電力ジャンクション412で組み合わされて、Ptotal(すなわち、Ptotal=Pgrid+Pbat+PPV)を形成する。Ptotalは、電力ジャンクション412から動力式CEF構成要素402に提供される電力として定義され得る。いくつかの例では、Ptotalは、Pgridよりも大きい。例えば、バッテリユニット302が放電しているときに、Pbatは正であり得、これは、Pbat及びPPVがPgridと組み合わされてPtotalを形成するときに、グリッド電力Pgrid及びPV電力PPVに加算される。他の例では、Ptotalは、Pgrid未満であり得る。例えば、バッテリユニット302が充電しているときに、Pbatは、負であり得、これは、Pbat、PPV、及びPgridが組み合わされてPtotalを形成するときに、グリッド電力Pgrid及びPV電力PPVから減算される。
【0049】
予測CEFコントローラ304は、動力式CEF構成要素402及び電力インバータ410を制御するように構成され得る。いくつかの実施形態では、予測CEFコントローラ304は、バッテリ電力設定点Psp,batを生成し、電力インバータ410に提供する。バッテリ電力設定点Psp,batは、バッテリ電力設定点Psp,batを達成するために、電力インバータ410に、(Psp,batが負の場合)電力ジャンクション412で利用可能な電力を使用してバッテリユニット302を充電させる、又は(Psp,batが正の場合)バッテリユニット302を放電して電力ジャンクション412に電力を提供させる、正又は負の電力値(例えば、kW)を含み得る。
【0050】
いくつかの実施形態では、予測CEFコントローラ304は、制御信号を生成し、動力式CEF構成要素402に提供する。予測CEFコントローラ304は、制御信号を生成するために多段最適化技法を使用し得る。例えば、予測CEFコントローラ304は、最適化期間中の各時間ステップにおいて、動力式CEF構成要素402によって消費されるべき最適な電力量を判定するように構成された経済コントローラを含み得る。消費されるべき最適な電力量は、CEF300によって消費されるエネルギーのコストを考慮するコスト関数を最小化し得る。エネルギーのコストは、電気ユーティリティ418からの時間変化するエネルギー価格に基づき得る。いくつかの実施形態では、予測CEFコントローラ304は、複数の時間ステップの各々において、エネルギーグリッド414から購入する最適な電力量(すなわち、グリッド電力設定点Psp,grid)及びバッテリユニット302から貯蔵又は放出するための最適な電力量(すなわち、バッテリ電力設定点Psp,bat)を判定する。予測CEFコントローラ304は、動力式CEF構成要素402の実際の電力使用量を監視し得、最適な電力設定点を生成するときに、フィードバック信号として実際の電力使用量を利用し得る。
【0051】
予測CEFコントローラ304は、各時間ステップにおいて最適な電力消費の量を達成する温度設定点(例えば、ゾーン温度設定点Tsp,zone、冷水温度設定点Tsp,chwなど)を生成するように構成された追跡コントローラを含み得る。いくつかの実施形態では、予測CEFコントローラ304は、動力式CEF構成要素402のための機器モデルを使用して、最適な電力消費量に基づいて、CEF構成要素402によって生成され得る加熱又は冷却の量を判定する。予測CEFコントローラ304は、電力設定点及び/又は温度設定点に基づいて、建物ゾーンの温度Tzoneがどのように変化するかを予測するために、気象サービス416からの気象予報と組み合わせてゾーン温度モデルを使用することができる。
【0052】
いくつかの実施形態では、予測CEFコントローラ304は、温度設定点を使用して、動力式CEF構成要素402に対する制御信号を生成する。制御信号は、オン/オフコマンド、冷却塔404のファンに対する速度設定点、チラー406の圧縮機に対する電力設定点、チラー406に対する冷水温度設定点、ポンプ408に対する圧力設定点若しくは流量設定点、又は動力式CEF構成要素402の個々のデバイスに対する他のタイプの設定点を含み得る。他の実施形態では、制御信号は、予測CEFコントローラ304によって生成される温度設定点(例えば、ゾーン温度設定点T
sp,zone、冷水温度設定点T
sp,chwなど)を含み得る。温度設定点は、温度設定点を達成するために動作する、動力式CEF構成要素402又は動力式CEF構成要素402のローカルコントローラに提供され得る。例えば、チラー406のローカルコントローラは、冷水温度センサから冷水温度T
chwの測定値、及び/又はゾーン温度センサからゾーン温度T
zoneの測定値を受信し得る。ローカルコントローラは、フィードバック制御プロセス(例えば、PID、ESC、MPCなど)を使用して、チラー406によって提供される冷却量を増加又は減少させ、測定された温度(複数可)を温度設定点(複数可)まで駆動することができる。同様のフィードバック制御プロセスを使用して、冷却塔404及び/又はポンプ408を制御することができる。予測CEFコントローラ304によって実施される多段階最適化は、
図5を参照してより詳細に説明される。
【0053】
予測CEFコントローラ
ここで
図5を参照すると、例示的な実施形態による、予測CEFコントローラ304をより詳細に例解するブロック図が示されている。予測CEFコントローラ304は、通信インターフェース502及び処理回路504を含むように示されている。通信インターフェース502は、コントローラ304と外部システム又はデバイスとの間の通信を容易にし得る。例えば、通信インターフェース502は、ゾーン温度センサ516からゾーン温度T
zoneの測定値、及び動力式CEF構成要素402の電力使用量の測定値を受信し得る。いくつかの実施形態では、通信インターフェース502は、最大バッテリ容量のパーセンテージ(すなわち、バッテリ%)として提供され得る、バッテリユニット302の充電状態(SOC)の測定値を受信する。通信インターフェース502は、気象サービス416から気象予報を受信し、電気ユーティリティ418から、予測されるエネルギーコスト及び需要コストを受信することができる。いくつかの実施形態では、予測CEFコントローラ304は、通信インターフェース502を使用して、動力式CEF構成要素402及び電力インバータ410に制御信号を提供する。
【0054】
通信インターフェース502は、外部システム若しくはデバイスとデータ通信を行うための有線又は無線通信インターフェース(例えば、ジャック、アンテナ、送信機、受信機、送受信機、有線端末など)を含み得る。様々な実施形態では、通信は、直接的(例えば、ローカル有線通信又は無線通信)であり得るか、又は通信ネットワーク(例えば、WAN、インターネット、セルラネットワークなど)を介し得る。例えば、通信インターフェース502は、イーサネットベースの通信リンク又はネットワークを介してデータを送信及び受信するためのイーサネットカード及びポートを含むことができる。別の例では、通信インターフェース502は、無線通信ネットワーク又はセルラ若しくは携帯電話通信送受信機を介して通信するためのWi-Fi送受信機を含むことができる。
【0055】
処理回路504は、プロセッサ506及びメモリ508を含むように示されている。プロセッサ506は、汎用又は特定目的のプロセッサ、特定用途向け集積回路(ASIC)、1つ以上のフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、処理構成要素のグループ、又は他の好適な処理構成要素であり得る。プロセッサ506は、メモリ508に記憶された、又は他のコンピュータ可読媒体(例えば、CDROM、ネットワークストレージ、リモートサーバなど)から受信した、コンピュータコード又は命令を実行するように構成されている。
【0056】
メモリ508は、本開示に記載された様々なプロセスを完了及び/又は促進するためのデータ及び/又はコンピュータコードを記憶するための1つ以上のデバイス(例えば、メモリユニット、メモリデバイス、記憶デバイスなど)を含み得る。メモリ508は、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み取り専用メモリ(ROM)、ハードドライブストレージ、一時ストレージ、不揮発性メモリ、フラッシュメモリ、光メモリ、又はソフトウェアオブジェクト及び/又はコンピュータ命令を記憶するための任意の他の好適なメモリを含み得る。メモリ508は、データベース構成要素、オブジェクトコード構成要素、スクリプト構成要素、又は本開示に記載された様々な活動及び情報構造をサポートするための任意の他のタイプの情報構造を含み得る。メモリ508は、処理回路504を介してプロセッサ506に通信可能に接続され得、本明細書に記載された1つ以上のプロセスを(例えば、プロセッサ506によって)実行するためのコンピュータコードを含み得る。プロセッサ506が、本明細書に記載された様々な活動を完了するためにメモリ508に記憶された命令を実行するときに、プロセッサ506は、概して、そのような活動を完了するように、コントローラ304(及びより具体的には、処理回路504)を構成する。
【0057】
更に
図5を参照すると、予測CEFコントローラ304は、経済コントローラ510、追跡コントローラ512、及び機器コントローラ514を含むように示されている。コントローラ510~514は、電力インバータ410及び動力式CEF構成要素402に対する制御信号を生成するための多状態最適化プロセスを実施するように構成され得る。簡単に概要を説明すると、経済コントローラ510は、予測コスト関数を最適化して、最適化期間の各時間ステップにおいて、エネルギーグリッド414から購入する最適な電力量(すなわち、グリッド電力設定点P
sp,grid)、バッテリユニット302から貯蔵又は放出する最適な電力量(すなわち、バッテリ電力設定点P
sp,bat)、及び/又は動力式CEF構成要素402によって消費されるべき最適な電力量(すなわち、CEF電力設定点P
sp,total)を判定することができる。追跡コントローラ512は、最適な電力設定点P
sp,grid、P
sp,bat、及び/又はP
sp,totalを使用して、最適な温度設定点(例えば、ゾーン温度設定点T
sp,zone、冷水温度設定点T
sp,chwなど)並びに最適なバッテリ充電又は放電速度(すなわち、Bat
C/D)を判定することができる。機器コントローラ514は、最適な温度設定点T
sp,zone、又はT
sp,chwを使用して、実際の(例えば、測定された)温度T
zone及び/又はT
chwを(例えば、フィードバック制御技法を使用して)設定点まで駆動する動力式CEF構成要素402のための制御信号を生成することができる。コントローラ510~514の各々は、以下に詳細に説明される。
【0058】
経済コントローラ
経済コントローラ510は、予測コスト関数を最適化して、最適化期間の各時間ステップにおいて、エネルギーグリッド414から購入する最適な電力量(すなわち、グリッド電力設定点P
sp,grid)、バッテリユニット302から貯蔵又は放出する最適な電力量(すなわち、バッテリ電力設定点P
sp,bat)、及び/又は動力式CEF構成要素402によって消費されるべき最適な電力量(すなわち、CEF電力設定点P
sp,total)を判定するように構成され得る。経済コントローラ510によって最適化され得る予測コスト関数の例が、以下の式に示される。
【数1】
式中、C
ec(k)は、時間ステップk中に電気ユーティリティ418から購入した電気の単位当たりのコスト(例えば、$/kWh)であり、P
chiller(k)は、時間ステップk中のCEF300の1つ以上のチラーの電力消費(例えば、kW)であり、P
HRC(k)は、時間ステップkにおけるCEF300の1つ以上の熱回収チラー(HRC)の電力消費であり、F
gas(k)は、時間ステップkにおけるCEF300の1つ以上のボイラの天然ガス消費であり、C
gas(k)は、時間ステップkにおいてCEF300によって消費される天然ガスの単位当たりのコストであり、C
DCは、需要課金レート(例えば、$/kW)であり、max()項は、最適化期間の任意の時間ステップk中のCEF300の最大電気購入量(すなわち、P
grid(k)の最大値)を選択し、P
bat(k)は、時間ステップk中にバッテリユニット302から放出される電力量であり、Δtは、各時間ステップkの持続時間である。経済コントローラ510は、最適化期間の持続時間にわたって(例えば、時間ステップk=1から時間ステップk=hまで)予測コスト関数Jを最適化して、最適化期間の持続時間にわたってCEF300を運用する合計コストを予測することができる。
【0059】
予測コスト関数Jの第1及び第2の項は、最適化期間の間にわたって動力式CEF構成要素402によって消費される電気のコストを表す。各時間ステップkにおけるパラメータC
ec(k)の値は、電気ユーティリティ418によって提供されるエネルギーコスト情報によって定義され得る。いくつかの実施形態では、電気のコストは、時間の関数として変化し、これは、異なる時間ステップkにおいて異なるC
ec(k)の値をもたらす。変数P
chiller(k)及びP
HRC(k)は、経済コントローラ510によって最適化され得る決定変数である。いくつかの実施形態では、時間ステップkにおける動力式CEF構成要素402の合計電力消費P
total(k)は、P
chiller(k)及びP
HRC(k)の和に等しい(すなわち、P
total(k)=P
chiller(k)+P
HRC(k))。したがって、いくつかの実施形態では、予測コスト関数の最初の2つの項は、総和
【数2】
で置き換えることができる。
【0060】
予測コスト関数Jの第3の項は、最適化期間の持続時間にわたってCEF300によって消費される燃料(例えば、天然ガス)のコストを表す。各時間ステップkにおけるCgas(k)の値は、天然ガスユーティリティによって提供されるエネルギーコスト情報によって定義され得る。いくつかの実施形態では、ガスのコストは、時間の関数として変化し、これは、異なる時間ステップkにおいて異なるCgas(k)の値をもたらす。変数Fgas(k)は、経済コントローラ510によって最適化され得る決定変数である。
【0061】
予測コスト関数Jの第4の項は、需要課金を表す。需要課金は、該当する需要課金期間中の最大電力消費に基づいて、いくつかのユーティリティプロバイダによって課される追加課金である。例えば、需要課金レートCDCは、電力の単位当たりのドル換算(例えば、$/kW)で指定され得、需要課金期間中にピーク電力使用量(例えば、kW)を乗算して需要課金が計算され得る。予測コスト関数Jにおいて、需要課金レートCDCは、電気ユーティリティ418から受信した需要コスト情報によって定義され得る。変数Pgrid(k)は、需要課金期間中に起こるピーク電力使用量max(Pgrid(k))を低減するために、経済コントローラ510によって最適化され得る決定変数である。負荷シフトは、動力式CEF構成要素402の電力消費が低いときに、バッテリユニット302にエネルギーを貯蔵することによって、経済コントローラ510がCEF300の電気需要における瞬間的なスパイクを平滑化することを可能にし得る。貯蔵されたエネルギーは、動力式CEF構成要素402の電力消費が高いときに、エネルギーグリッド414からのピーク電力引き出しPgridを低減させ、それによって発生する需要課金を減少させるために、バッテリユニット302から放出され得る。
【0062】
予測コスト関数Jの最後の項は、バッテリユニット302の使用に起因するコスト節約量を表す。コスト関数Jの前の項とは異なり、最後の項は合計コストから減算される。各時間ステップkにおけるパラメータCec(k)の値は、電気ユーティリティ418によって提供されるエネルギーコスト情報によって定義され得る。いくつかの実施形態では、電気のコストは、時間の関数として変化し、これは、異なる時間ステップkにおいて異なるCec(k)の値をもたらす。変数Pbat(k)は、経済コントローラ510によって最適化され得る決定変数である。Pbat(k)の正の値は、バッテリユニット302が放電していることを示し、Pbat(k)の負の値は、バッテリユニット302が充電していることを示す。バッテリユニット302から放出される電力Pbat(k)を使用して、動力式CEF構成要素402の合計電力消費Ptotal(k)の一部又は全てを満たすことができ、これは、エネルギーグリッド414から購入される電力量Pgrid(k)を低減する(すなわち、Pgrid(k)=Ptotal(k)-Pbat(k)-PPV(k))。しかしながら、バッテリユニット302を充電すると、エネルギーグリッド414から購入される合計電力量Pgrid(k)に加算されるPbat(k)の負の値がもたらされる。
【0063】
いくつかの実施形態では、PVパネル308によって提供される電力PPVは、PV電力を生成することはコストを生じないため、予測コスト関数Jに含まれない。しかしながら、PVパネル308によって生成される電力PPVを使用して、動力式CEF構成要素402の合計電力消費Ptotal(k)の一部又は全てを満たすことができ、これは、エネルギーグリッド414から購入される電力量Pgrid(k)を低減する(すなわち、Pgrid(k)=Ptotal(k)-Pbat(k)-PPV(k))。任意の時間ステップk中に生成されるPV電力量PPVが、経済コントローラ510によって予測され得る。PVパネルによって生成されるPV電力量を予測するためのいくつかの技法は、米国特許出願第15/247,869号、米国特許出願第15/247,844号、及び米国特許出願第15/247,788号に記載されている。これらの特許出願の各々は、2016年8月25日の出願日を有し、これらの特許出願の各々の開示全体は、参照により本明細書に組み込まれている。
【0064】
経済コントローラ510は、最適化期間の持続時間にわたって予測コスト関数Jを最適化して、最適化期間中の各時間ステップにおける決定変数の最適値を判定することができる。いくつかの実施形態では、最適化期間は、およそ1日の持続時間を有し、各時間ステップは、およそ15分である。しかしながら、最適化期間及び時間ステップの持続時間は、他の実施形態では変化し得、ユーザによって調整され得る。有利には、経済コントローラ510は、エネルギー価格が低いとき、及び/又は動力式CEF構成要素402によって消費される電力が低いとき、エネルギーグリッド414から電気を引き出すことによって負荷シフトを実施するために、バッテリユニット302を使用することができる。電気は、バッテリユニット302に貯蔵され、エネルギー価格が高く、及び/又は動力式CEF構成要素402の電力消費が高いときに後で放電することができる。これにより、経済コントローラ510は、CEF300によって消費される電気のコストを低減し、CEF300の電気需要の瞬間的なスパイクを平滑化し、それによって、起こる需要課金を低減することができる。
【0065】
経済コントローラ510は、予測コスト関数Jの最適化に制約を課すように構成され得る。いくつかの実施形態では、制約は、CEF300によってサービスの対象となる建物ゾーンの温度Tzoneの制約を含む。経済コントローラ510は、実際の又は予測温度Tzoneを、最小温度境界Tminと最大温度境界Tmaxとの間(すなわち、Tmin≦Tzone≦Tmax)に、常に維持するように構成され得る。パラメータTmin及びTmaxは、異なる時間(例えば、占有温度範囲、非占有温度範囲、昼間温度範囲、夜間温度範囲など)で異なる温度範囲を定義するために時間変化し得る。
【0066】
ゾーン温度制約が満たされることを確実にするために、経済コントローラ510は、経済コントローラ510によって最適化された決定変数の関数として、建物ゾーンの温度T
zoneをモデル化することができる。いくつかの実施形態では、経済コントローラ510は、熱伝達モデルを使用して建物ゾーンの温度をモデル化する。例えば、建物ゾーンの加熱又は冷却のダイナミクスは、エネルギー収支によって記述することができる。
【数3】
式中、Cは、建物ゾーンの熱容量であり、Hは、建物ゾーンの周囲熱伝達係数であり、T
zoneは、建物ゾーンの温度であり、T
aは、建物ゾーンの外側の周囲温度(例えば、外部空気温度)であり、
【数4】
は、CEF300によって建物ゾーンに加えられる加熱量であり、
【数5】
は、建物ゾーンによって経験される外部負荷、放射線、又は他の外乱である。前の式では、
【数6】
は、CEF300による建物ゾーンへの熱伝達(すなわち、加熱負荷)を表し、したがって、正の符号を有する。しかしながら、建物ゾーンに加熱ではなく冷却が適用される場合、
【数7】
がCEF300によって建物ゾーンに適用される冷却量(すなわち、冷却負荷)を表すように、
【数8】
に対する符号を負の符号に切り替えることができる。ゾーン温度モデルを開発し、ゾーン温度T
zoneを予測コスト関数Jの決定変数に関連付けるためのいくつかの技法は、2016年9月6日に付与された米国特許第9,436,179号、2015年4月23日に出願された米国特許出願第14/694,633号、及び2016年6月30日に出願された米国特許出願第15/199,910号に、より詳細に記載されている。これらの特許及び特許出願の各々の開示全体は、参照により本明細書に組み込まれている。
【0067】
以前のエネルギー収支は、建物ゾーンの全ての質量及び空気特性を単一のゾーン温度に組み合わせるものである。経済コントローラ510によって使用され得る他の熱伝達モデルは、以下の空気及び質量ゾーンモデルを含む。
【数9】
式中、C
z及びT
zoneは、建物ゾーン内の空気の熱容量及び温度であり、T
aは、周囲空気温度であり、H
azは、建物ゾーンの空気と建物ゾーン外の周囲空気(例えば、建物ゾーンの外壁を通る)との間の熱伝達係数であり、C
m及びT
mは、建物ゾーン内の非空気質量の熱容量及び温度であり、H
mzは、建物ゾーンの空気と非空気質量との間の熱伝達係数である。
【0068】
前の式は、建物ゾーンの全ての質量特性を単一のゾーン質量に組み合わせるものである。経済コントローラ510によって使用され得る他の熱伝達モデルは、以下の空気、浅い質量、及び深い質量ゾーンモデルを含む。
【数10】
式中、C
z及びT
zoneは、建物ゾーン内の空気の熱容量及び温度であり、T
aは、周囲空気温度であり、H
azは、建物ゾーンの空気と建物ゾーン外の周囲空気(例えば、建物ゾーンの外壁を通る)との間の熱伝達係数であり、C
s及びT
sは、建物ゾーン内の浅い質量の熱容量及び温度であり、H
szは、建物ゾーンの空気と浅い質量との間の熱伝達係数であり、C
d及びT
dは、建物ゾーン内の深い質量の熱容量及び温度であり、H
dsは、浅い質量と深い質量との間の熱伝達係数である。
【0069】
いくつかの実施形態では、経済コントローラ510は、気象サービス416からの気象予報を使用して、最適化期間の各時間ステップにおける周囲空気温度T
a及び/又は外乱
【数11】
に対する適切な値を判定する。C及びHの値は、建物ゾーンのパラメータとして指定することができるか、追跡コントローラ512から受信することができるか、ユーザから受信することができるか、メモリ508から取得することができるか、又は別様に、経済コントローラ510への入力として提供することができる。したがって、建物ゾーンの温度T
zoneは、これらの熱伝達モデルのいずれかを使用して、CEF300によって建物ゾーンに適用される加熱又は冷却の量
【数12】
の関数として定義され得る。操作される変数
【数13】
は、予測コスト関数Jの変数P
chiller、P
HRC、F
gas、及び/又はP
totalを調整することによって、経済コントローラ510によって調整され得る。
【0070】
いくつかの実施形態では、経済コントローラ510は、経済コントローラ510によって提供される電力設定点P
sp,grid及びP
sp,batの関数として、CEF300によって建物ゾーンに適用される加熱又は冷却の量
【数14】
を定義するモデルを使用する。例えば、経済コントローラ510は、電力設定点P
sp,grid及びP
sp,batを追加して、動力式CEF構成要素402によって消費される合計電力量P
totalを判定することができる。経済コントローラ510は、P
totalを使用して、CEF300によって建物ゾーンに適用される加熱又は冷却の合計量
【数15】
を判定することができる。
【0071】
いくつかの実施形態では、経済コントローラ510は、以下の式に示されるように、ゾーン温度T
zone及びゾーン温度設定点T
sp,zoneの関数として、CEF300によって建物ゾーンに適用される加熱又は冷却の量(すなわち、
【数16】
)を定義する1つ以上のモデルを使用する。
【数17】
【0072】
経済コントローラ510によって使用されるモデルは、CEF300によって提供される加熱又は冷却の量
【数18】
が、ゾーン温度T
zoneを許容可能又は快適な温度範囲から逸脱させるような値に低減されないことを確実にするために、最適化制約として課せられ得る。
【0073】
いくつかの実施形態では、経済コントローラ510は、CEF300によって提供される加熱又は冷却の量
【数19】
を、複数のモデルを使用して、ゾーン温度T
zone及びゾーン温度設定点T
sp,zoneに関連付ける。例えば、経済コントローラ510は、機器コントローラ514のモデルを使用して、ゾーン温度T
zone及びゾーン温度設定点T
sp,zoneの関数として、機器コントローラ514によって実施される制御動作を判定することができる。このようなゾーン規制コントローラモデルの例を、以下の式に示す。
v
air=f
1(T
zone、T
sp,zone)
式中、v
airは、建物ゾーンへの気流の速度(すなわち、制御動作)である。関数f
1は、データから識別され得る。例えば、経済コントローラ510は、v
air及びT
zoneの測定値を収集し、T
sp,zoneの対応する値を識別することができる。経済コントローラ510は、そのような変数間の関係を定義する関数f
1を判定するための訓練データとして、収集されたv
air、T
zone、及びT
sp,zoneの値を使用して、システム識別プロセスを実施することができる。
【0074】
経済コントローラ510は、以下の式に示されるように、制御動作v
airをCEF300によって提供される加熱又は冷却の量
【数20】
に関連させるエネルギー収支モデルを使用することができる。
【数21】
ここで、関数f
2は、訓練データから識別され得る。経済コントローラ510は、収集された
【数22】
及びv
airの値を使用してシステム識別プロセスを実施し、そのような変数間の関係を定義する関数f
2を判定することができる。
【0075】
いくつかの実施形態では、
【数23】
とv
airとの間に線形関係が存在する。理想的な比例積分(PI)コントローラ及び
【数24】
とv
airとの間の線形関係を仮定すると、簡素化された線形コントローラモデルを使用して、ゾーン温度T
zone及びゾーン温度設定点T
sp,zoneの関数としてCEF300によって提供される加熱又は冷却の量
【数25】
を定義することができる。このようなモデルの例を、以下の式に示す。
【数26】
式中、
【数27】
は、加熱速度又は冷却速度の定常速度であり、K
cは、スケーリングゾーンPIコントローラ比例ゲインであり、τ
Iは、ゾーンPIコントローラ積分時間であり、εは、設定点誤差(すなわち、ゾーン温度設定点T
sp,zoneとゾーン温度T
zoneとの間の差)である。飽和は、
【数28】
に対する制約によって表すことができる。線形モデルが、機器コントローラ514及びCEF300における熱伝達をモデル化するのに十分に正確でない場合、非線形加熱/冷却デューティモデルを代わりに使用することができる。
【0076】
ゾーン温度Tzoneに対する制約に加えて、経済コントローラ510は、バッテリユニット302の充電状態(SOC)及び充電/放電速度に対して制約を課すことができる。いくつかの実施形態では、経済コントローラ510は、予測コスト関数Jに対して以下の電力制約を生成し、課す。
Pbat≦Prated
-Pbat≦Prated
式中、Pbatは、バッテリユニット302から放出される電力量であり、Pratedは、バッテリユニット302の定格バッテリ電力(例えば、バッテリユニット302が充電又は放電され得る最大速度)である。これらの電力制約は、バッテリユニット302が定格Pratedの最大の可能なバッテリ充電/放電速度を超える速度で充電又は放電されないことを保証する。
【0077】
いくつかの実施形態では、経済コントローラ510は、予測コスト関数Jに対して1つ以上の容量制約を生成し、課す。容量制約は、各時間ステップ中に充電又は放電されるバッテリ電力Pbatをバッテリユニット302の容量及びSOCに関連付けるために使用され得る。容量制約は、最適化期間の各時間ステップにおいて、バッテリユニット302の容量が許容可能な下限及び上限内に維持されることを確実にし得る。いくつかの実施形態では、経済コントローラ510は、以下の容量制約を生成する。
Ca(k)-Pbat(k)Δt≦Crated
Ca(k)-Pbat(k)Δt≧0
式中、Ca(k)は、時間ステップkの開始時の利用可能なバッテリ容量(例えば、kWh)であり、Pbat(k)は、時間ステップk中にバッテリユニット302が放電される速度(例えば、kW)であり、Δtは、各時間ステップの持続時間であり、Cratedは、バッテリユニット302の最大定格容量(例えば、kWh)である。項Pbat(k)Δtは、時間ステップk中のバッテリ容量の変化を表す。これらの容量制約は、バッテリユニット302の容量がゼロと最大定格容量Cratedとの間に維持されることを確実にする。
【0078】
いくつかの実施形態では、経済コントローラ510は、動力式CEF構成要素402の動作に対して、1つ以上の容量制約を生成し、課す。例えば、動力式CEF構成要素402は、最大電力消費Ptotal,maxに対応する最大動作点(例えば、最大ポンプ速度、最大冷却容量など)を有し得る。経済コントローラ510は、以下の式に示されるように、動力式CEF構成要素402に提供される電力Ptotalをゼロと最大電力消費Ptotal,maxとの間に制限する制約を生成するように構成され得る。
0≦Ptotal≦Ptotal,max
Ptotal=Psp,grid+Psp,bat
式中、動力式CEF構成要素402に提供される合計電力Ptotalは、グリッド電力設定点Psp,gridとバッテリ電力設定点Psp,batとの和である。
【0079】
いくつかの実施形態では、経済コントローラ510は、CEF300の1つ以上のサブプラントの動作に対して、1つ以上の容量制約を生成し、課す。例えば、加熱は、ヒータサブプラント202によって提供され得、冷却は、チラーサブプラント206によって提供され得る。ヒータサブプラント202及びチラーサブプラント206の動作は、ヒータサブプラント202及びチラーサブプラント206の各々に対するサブプラント曲線によって定義され得る。各サブプラント曲線は、サブプラントによって消費される1つ以上の資源(例えば、電気、天然ガス、水など)の関数として、サブプラントの資源生産(例えば、冷蔵トン数、kW加熱など)を定義し得る。経済コントローラ510によって使用され得るサブプラント曲線のいくつかの例は、2015年2月27日に出願された米国特許出願第14/634,609号により詳細に説明される。
【0080】
経済コントローラ510は、サブプラント曲線を使用して、ヒータサブプラント202によって提供され得る最大加熱量及びチラーサブプラント206によって提供され得る最大冷却量を識別するように構成され得る。経済コントローラ510は、ヒータサブプラント202によって提供される加熱量をゼロと最大加熱量との間に制限する制約を生成し、課すことができる。同様に、経済コントローラ510は、チラーサブプラント206によって提供される冷却量をゼロと最大冷却量との間に制限する制約を生成し、課すことができる。
【0081】
経済コントローラ510は、制約に従って予測コスト関数Jを最適化して、決定変数Ptotal、Pchiller、PHRC、Fgas、Pgrid、及びPbatの最適値を判定することができ、ここで、Ptotal=Pbat+Pgrid+PPVである。いくつかの実施形態では、経済コントローラ510は、Ptotal、Pbat、及び/又はPgridの最適値を使用して、追跡コントローラ512に対する電力設定点を生成する。電力設定点は、最適化期間中の時間ステップkの各々に対するバッテリ電力設定点Psp,bat、グリッド電力設定点Psp,grid、及び/又はCEF電力設定点Psp,totalを含むことができる。経済コントローラ510は、電力設定点を追跡コントローラ512に提供することができる。
【0082】
追跡コントローラ
追跡コントローラ512は、経済コントローラ510によって生成される最適な電力設定点Psp,grid、Psp,bat、及び/又はPsp,totalを使用して、最適な温度設定点(例えば、ゾーン温度設定点Tsp,zone、冷水温度設定点Tsp,chwなど)及び最適なバッテリ充電又は放電速度(すなわち、BatC/D)を判定することができる。いくつかの実施形態では、追跡コントローラ512は、CEF300の電力設定点Psp,totalを達成することが予測される、ゾーン温度設定点Tsp,zone、及び/又は冷水温度設定点Tsp,chwを生成する。言い換えれば、追跡コントローラ512は、CEF300に、経済コントローラ510によって判定された最適な電力量Ptotalを消費させる、ゾーン温度設定点Tsp,zone及び/又は冷水温度設定点Tsp,chwを生成し得る。
【0083】
いくつかの実施形態では、追跡コントローラ512は、電力消費モデルを使用して、CEF300の電力消費をゾーン温度Tzone及びゾーン温度設定点Tsp,zoneに関連付ける。例えば、追跡コントローラ512は、機器コントローラ514のモデルを使用して、ゾーン温度Tzone及びゾーン温度設定点Tsp,zoneの関数として、機器コントローラ514によって実施される制御動作を判定することができる。このようなゾーン規制コントローラモデルの例を、以下の式に示す。
vair=f3(Tzone、Tsp,zone)
式中、vairは、建物ゾーンへの気流の速度(すなわち、制御動作)である。
【0084】
追跡コントローラ512は、ゾーン温度Tzone及びゾーン温度設定点Tsp,zoneの関数として、CEF300の電力消費Ptotalを定義することができる。このようなモデルの例を以下の式に示す。
Ptotal=f4(Tzone、Tsp,zone)
【0085】
関数f4は、データから識別され得る。例えば、追跡コントローラ512は、Ptotal及びTzoneの測定値を収集し、Tsp,zoneの対応する値を識別することができる。追跡コントローラ512は、Ptotal、Tzone、及びTsp,zoneの収集された値を訓練データとして使用してシステム識別プロセスを実行して、そのような変数間の関係を定義する関数f4を判定することができる。
【0086】
追跡コントローラ512は、同様のモデルを使用して、CEF300の合計消費電力Ptotalと冷水温度設定点Tsp,chwとの間の関係を判定し得る。例えば、追跡コントローラ512は、ゾーン温度Tzone及び冷水温度設定点Tsp,chwの関数として、CEF300の電力消費Ptotalを定義することができる。このようなモデルの例を以下の式に示す。
Ptotal=f5(Tzone、Tsp,chw)
【0087】
関数f5は、データから識別され得る。例えば、追跡コントローラ512は、Ptotal及びTzoneの測定値を収集し、Tsp,chwの対応する値を識別することができる。追跡コントローラ512は、Ptotal、Tzone、及びTsp,chwの収集された値を訓練データとして使用してシステム識別プロセスを実施して、そのような変数間の関係を定義する関数f5を判定することができる。
【0088】
追跡コントローラ512は、Ptotal、Tsp,zone、及びTsp,chwの間の関係を使用して、Tsp,zone、及びTsp,chwの値を判定することができる。例えば、追跡コントローラ512は、経済コントローラ510からの入力としてPtotalの値(すなわち、Psp,total)を受信することができ、Tsp,zone及びTsp,chwの対応する値を使用判定することができる。追跡コントローラ512は、Tsp,zone、及びTsp,chwの値を、機器コントローラ514への出力として提供することができる。
【0089】
いくつかの実施形態では、追跡コントローラ512は、バッテリ電力設定点Psp,batを使用して、バッテリユニット302を充電又は放電する最適な速度BatC/Dを判定する。例えば、バッテリ電力設定点Psp,batは、追跡コントローラ512によって電力インバータ410及び/又は機器コントローラ514に対する制御信号に変換され得る電力値(kW)を定義し得る。他の実施形態では、バッテリ電力設定点Psp,batは、電力インバータ410に直接提供され、バッテリ電力Pbatを制御するために電力インバータ410によって使用される。
【0090】
機器コントローラ
機器コントローラ514は、追跡コントローラ512によって生成される最適な温度設定点Tsp,zone又はTsp,chwを使用して、動力式CEF構成要素402に対する制御信号を生成することができる。機器コントローラ514によって生成される制御信号は、実際の(例えば、測定された)温度Tzone及び/又はTchwを設定点まで駆動し得る。機器コントローラ514は、様々な制御技法のいずれかを使用して、動力式CEF構成要素402に対する制御信号を生成することができる。例えば、機器コントローラ514は、状態ベースのアルゴリズム、極値探索制御(ESC)アルゴリズム、比例積分(PI)制御アルゴリズム、比例積分微分(PID)制御アルゴリズム、モデル予測制御(MPC)アルゴリズム、又は他のフィードバック制御アルゴリズムを使用して、動力式CEF構成要素402に対する制御信号を生成することができる。
【0091】
制御信号は、オン/オフコマンド、冷却塔404のファンに対する速度設定点、チラー406の圧縮機に対する電力設定点、チラー406に対する冷水温度設定点、ポンプ408に対する圧力設定点若しくは流量設定点、又は動力式CEF構成要素402の個々のデバイスに対する他のタイプの設定点を含み得る。他の実施形態では、制御信号は、予測CEFコントローラ304によって生成される温度設定点(例えば、zone温度設定点Tsp,zone、冷水温度設定点Tsp,chwなど)を含み得る。温度設定点は、温度設定点を達成するために動作する、動力式CEF構成要素402又は動力式CEF構成要素402のローカルコントローラに提供され得る。例えば、チラー406のローカルコントローラは、冷水温度センサから冷水温度Tchwの測定値、及び/又はゾーン温度センサからゾーン温度Tzoneの測定値を受信し得る。
【0092】
いくつかの実施形態では、機器コントローラ514は、電力インバータ410に制御信号を提供するように構成されている。電力インバータ410に提供される制御信号は、バッテリ電力設定点Psp,bat、及び/又は最適な充電/放電速度BatC/Dを含むことができる。機器コントローラ514は、バッテリ電力設定点Psp,batを達成するために、電力インバータ410を動作させるように構成され得る。例えば、機器コントローラ514は、バッテリ電力設定点Psp,batに従って、電力インバータ410にバッテリユニット302を充電するか、又はバッテリユニット302を放電させることができる。
【0093】
ここで
図6を参照すると、いくつかの実施形態による、予測CEFコントローラ304によって生成され得るユーザインターフェース600が示されている。上で考察されたように、経済コントローラ510は、最適化期間の各時間ステップにおけるグリッド電力及び/又はバッテリ電力を含む各電力消費値(例えば、P
chiller、P
HRCなど)の部分を判定するように構成され得る。ユーザインターフェース600を使用して、グリッド電力及び/又はバッテリ電力を含む各電力消費値の相対部分をユーザに伝達することができる。
【0094】
インターフェース600は、ディスパッチチャートを例解する。ディスパッチチャートの上半分は冷却に対応し、ディスパッチチャートの下半分は加熱に対応する。上半分と下半分との間の中間線は、両方の半分のゼロ負荷/電力に対応する。正の冷却値は、中間線より上の変位として示され、正の加熱値は、中間線より下の変位として示されている。線602及び612は、それぞれ、最適化期間の各時間ステップにおいて、必要とされる冷却負荷及び必要とされる加熱負荷を表している。線604及び614は、最適化期間の持続時間にわたって冷却機器(例えば、チラーサブプラント)及び加熱機器(例えば、ヒータサブプラント)に電力供給するために使用されるバッテリの充電レベルを表している。
【0095】
上で考察されたように、経済コントローラ510は、最適化期間の各時間ステップに対する最適な電力設定点を判定するように構成され得る。経済コントローラ510によって実施された最適化の結果は、ディスパッチチャートに表され得る。例えば、ディスパッチチャートは、最適化期間の各時間ステップに対する垂直列を含むように示されている。各列は、対応する時間ステップに対して経済コントローラ510によって判定された電力設定点を表す1つ以上のバーを含み得る。各バーの色は、電力設定点のタイプを示している。例えば、灰色バー608及び618(
図6では白色バーとして示されている)は、グリッド電力設定点(例えば、P
sp,grid)を示し得、一方、緑色バー606及び616(
図6では影付きバーとして示されている)は、バッテリ電力設定点(例えば、P
sp,bat)を示し得る。各バーの高さは、その時間ステップにおける対応する電力設定点の大きさを示す。
【0096】
必要とされる冷却線602の上に位置決めされた緑色バー606は、冷却機器バッテリが充電されていること(すなわち、バッテリを充電するために使用される過剰なエネルギー)を示しており、一方、必要とされる冷却線602の下に位置決めされた緑色バー606は、冷却機器バッテリが放電されていること(すなわち、必要とされる冷却負荷の一部を満たすために使用されるバッテリ電力)を示している。冷却機器バッテリの充電レベルは、冷却機器バッテリが充電されているときに増加し、冷却機器バッテリが放電されているときに減少する。
【0097】
同様に、必要とされる加熱線612の下に位置づけられた緑色バー616は、加熱機器バッテリが充電されていること(すなわち、バッテリを充電するために使用される過剰なエネルギー)を示しており、一方、必要とされる加熱線612の上に位置づけられた緑色バー616は、加熱機器バッテリが放電されていること(すなわち、必要とされる加熱負荷の一部を満たすために使用されるバッテリ電力)を示している。加熱機器バッテリの充電レベルは、加熱機器バッテリが充電されているときに増加し、加熱機器バッテリが放電されているときに減少する。
【0098】
バッテリユニット及び予測制御を備えた空冷式チラー
ここで
図7~
図8を参照すると、いくつかの実施形態による、バッテリユニット702及び予測チラーコントローラ704を備えた空冷式チラー700が示されている。チラー700は、冷水管714を介して冷却負荷734に冷流体(例えば、冷水718)を提供するように構成され得る。冷却負荷734は、例えば、建物ゾーン、空気ダクトを通って流れる供給空気ストリーム、空気処理ユニット若しくは屋上ユニット内の空気流、熱交換器を通って流れる流体、冷蔵庫若しくは冷凍庫、凝縮器若しくは蒸発器、冷却コイル、又は冷却を必要とする任意の他のタイプのシステム、デバイス、若しくは空間を含むことができる。いくつかの実施形態では、ポンプ732は、冷流体回路738を介して、冷流体を冷却負荷734に循環させる。冷流体は、冷却負荷734からの熱を吸収することができ、それによって、冷却負荷734に冷却を提供し、冷流体を温める。温流体(戻り水716として
図7に示されている)は、戻り水管712を介してチラー700に戻り得る。
【0099】
チラー700は、凝縮器722、圧縮機720、蒸発器724、膨張デバイス726、及びファン730を含むように示されている。圧縮機720は、冷媒回路736を介して凝縮器722と蒸発器724との間で冷媒を循環させるように構成され得る。圧縮機720は、冷媒を高圧、高温状態に圧縮するように動作する。圧縮冷媒は、冷媒回路736内の冷媒から空気流728に熱を伝達する凝縮器722を通って流れる。ファン730を使用して、凝縮器722内の冷媒に冷却を提供するために、凝縮器722を通るか、又は凝縮器722上に、空気流728を押し流すことができる。次いで、冷却された冷媒は、膨張デバイス726を通って流れ、膨張デバイス726は、冷媒を低温、低圧状態に膨張させる。膨張した冷媒は、蒸発器724を通って流れ、蒸発器724は、冷流体回路738内の冷流体から冷媒回路736内の冷媒に熱を伝達する。
【0100】
いくつかの実施形態では、チラー700は、1つ以上の光起電力(PV)パネル708を含む。PVパネル708は、光起電力セルの集合を含み得る。光起電力セルは、単結晶シリコン、多結晶シリコン、非晶質シリコン、テルル化カドミウム、セレン化銅インジウムガレニウム/硫化物、又は光起電力効果を示す他の材料などの光起電力材料を使用して、太陽光エネルギー(すなわち、日光)を電気に変換するように構成されている。いくつかの実施形態では、光起電力セルは、PVパネル708を形成するパッケージ化されたアセンブリ内に含まれる。各PVパネル708は、複数の連結された光起電力セルを含み得る。PVパネル708は、光起電力アレイを形成するために組み合わされ得る。
【0101】
いくつかの実施形態では、PVパネル708は、太陽光エネルギー収集を最大化するように構成されている。例えば、チラー700は、PVパネル708が昼間中太陽に直接向けられるように、PVパネル708の角度を調整する太陽光トラッカー(例えば、GPSトラッカー、日光センサなど)を含み得る。太陽光トラッカーは、PVパネル708が1日のより多い時間にわたって直射日光を受け取ることを可能にし得、PVパネル708によって生産される合計電力量を増加させ得る。いくつかの実施形態では、チラー700は、太陽光をPVパネル708に誘導及び/又は集光させるように構成されたミラー、レンズ、又は日光集光器の集合を含む。PVパネル708によって生成されるエネルギーは、バッテリユニット702に貯蔵され得る、及び/又はチラー700の様々な構成要素に電力供給するために使用され得る。
【0102】
いくつかの実施形態では、バッテリユニット702は、1つ以上のバッテリセル706を含む。バッテリセル706は、電気エネルギー(すなわち、電気)を貯蔵及び放出するように構成されている。いくつかの実施形態では、バッテリユニット702は、(例えば、電気ユーティリティによって提供される)外部エネルギーグリッドからの電気を使用して充電される。バッテリユニット702に貯蔵された電気を放出して、チラー700の1つ以上の動力式構成要素(例えば、ファン730、圧縮機720、ポンプ732など)に電力供給することができる。有利には、バッテリユニット702は、エネルギー価格が低いときにチラー700がエネルギーグリッドから電気を引き出し、バッテリユニット702を充電し、エネルギー価格が高いときに貯蔵された電気を放出して、チラー700の電気負荷を時間的にシフトすることを可能にする。いくつかの実施形態では、バッテリユニット702が、高エネルギーコスト期間中に利用され、低エネルギーコスト期間中に充電され得るように、バッテリユニット702は、最大容量で動作するときに、チラー700におよそ4~6時間にわたって電力供給するのに十分なエネルギー容量を有する。
【0103】
図8に示されるように、チラー700は、燃料セル802を含むことができる。いくつかの実施形態では、燃料セル802は、化学反応を使用して電気エネルギーを生成するように構成された燃料セルである。例えば、燃料セル802は、一対の酸化還元反応を通して、水素及び酸化剤(例えば、酸素)の化学エネルギーを電気に変換し得る。他の実施形態では、燃料セル802は、電気を生成するためにディーゼル、メタノール、天然ガスなどのうちの1つ以上を使用する炭化水素燃料セルである。燃料セル802は、電気を生成して、グリッドエネルギー又は他のエネルギー源を増強し、高エネルギーコスト期間中にバッテリ放電を補完し、(例えば、高エネルギーコスト期間中に)電気を生成して、バッテリを充電するように制御され得る。燃料セルは、例えば、定期的に購入され、チラー700に追加され得る燃料交換(例えば、水素の供給)を必要とし得る。チラー700が燃料セル802を含む実施形態では、本明細書における制御及び最適化プロセスは、燃料セル802を含むチラー700の様々な構成要素に対して制御出力を生成するときの、燃料セル802の寄与及び燃料セル802を動作させるコストを考慮するように構成されている。例えば、予測チラーコントローラ704によって実施される最適化は、最適化期間の各時間ステップに対して電気を生成するために、燃料セル802を動作させるかどうかを判定し得る。
【0104】
いくつかの実施形態では、予測チラーコントローラ704は、最適化プロセスを実施して、最適化期間中に起こる複数の時間ステップの各々の間にバッテリユニット702を充電するか、又は放電するかを判定する。予測チラーコントローラ704は、複数の時間ステップの各々の間に必要とされる加熱/冷却の量及び電気のコストを予測するために、気象及び価格データ710を使用し得る。予測チラーコントローラ704は、最適化期間の持続時間にわたってエネルギーグリッドから購入される電気のコストを考慮する目的関数を最適化することができる。予測チラーコントローラ704は、各時間ステップ中に、エネルギーグリッドから購入する電気量及びバッテリユニット702から貯蔵又は放出する電気量を判定することができる。予測チラーコントローラ704によって実行される目的関数及び最適化は、
図9~10を参照してより詳細に説明される。
【0105】
予測チラー制御システム
ここで
図9を参照すると、いくつかの実施形態による予測チラー制御システム900のブロック図が示されている。制御システム900に示される構成要素のいくつかは、チラー700の一部であり得る。例えば、チラー700は、動力式チラー構成要素902、バッテリユニット702、予測チラーコントローラ704、電力インバータ910、及び電力ジャンクション912を含み得る。動力式チラー構成要素902は、動作中に動力(例えば、電気)を消費するチラー700の任意の構成要素を含み得る。例えば、動力式チラー構成要素902は、冷却ファン730、圧縮機720、及びポンプ732を含むように示されている。
【0106】
電力インバータ910は、直流(DC)と交流(AC)との間で電気電力を変換するように構成され得る。例えば、バッテリユニット702は、DC電力を貯蔵し、出力するように構成され得るが、エネルギーグリッド914及び動力式チラー構成要素902は、AC電力を消費し、提供するように構成され得る。電力インバータ910は、バッテリユニット702からのDC電力を、エネルギーグリッド914及び/又は動力式チラー構成要素902のグリッド周波数に同期された正弦波AC出力に変換するために使用され得る。電力インバータ910はまた、エネルギーグリッド914からのAC電力を、バッテリユニット702に貯蔵することができるDC電力に変換するために使用され得る。バッテリユニット702の電力出力は、Pbatとして示されている。Pbatは、バッテリユニット702がインバータ910に電力を提供している(すなわち、バッテリユニット702が放電している)場合には、正であり得、バッテリユニット702が電力インバータ910から電力を受け取っている(すなわち、バッテリユニット702が充電している)場合には、負であり得る。
【0107】
いくつかの例では、電力インバータ910は、バッテリユニット702からDC電力出力を受け取り、DC電力出力を、動力式チラー構成要素902に提供され得るAC電力出力に変換する。電力インバータ910は、ローカル発振器を使用して、AC電力出力の周波数をエネルギーグリッド914の周波数(例えば、50Hz又は60Hz)と同期させ得、AC電力出力の電圧をグリッド電圧よりも高くならないように制限し得る。いくつかの実施形態では、電力インバータ910は、エネルギーグリッド914の周波数に一致する正弦波を達成するために、単純な方形波から高調波を除去するLC回路を含む又は使用する共振インバータである。様々な実施形態では、電力インバータ910は、高周波変圧器、低周波変圧器を使用して、又は変圧器を伴わずに動作し得る。低周波変圧器は、バッテリユニット702からのDC出力を、動力式チラー構成要素902に提供されるAC出力に直接変換し得る。高周波変圧器は、多段階プロセスを採用し得、このプロセスは、DC出力を高周波ACに変換し、次いでDCに戻し、次いで最終的に動力式チラー構成要素902に提供されるAC出力に変換することを伴う。
【0108】
PVパネル708の電力出力は、PPVとして示されている。PVパネル708の電力出力PPVは、バッテリユニット702に貯蔵され得る、及び/又は動力式チラー構成要素902に電力供給するために使用され得る。いくつかの実施形態では、PVパネル708は、PVパネル708によって生成される電力量PPVを測定し、PV電力の指標を予測チラーコントローラ704に提供する。例えば、PVパネル708は、PV電力パーセンテージ(すなわち、PV%)の指標を予測チラーコントローラ704に提供することが示されている。PV電力パーセンテージは、PVパネル708が現在動作している、最大PV電力のパーセンテージを表し得る。
【0109】
電力ジャンクション912は、動力式チラー構成要素902、エネルギーグリッド914、PVパネル708、及び電力インバータ910が電気的に接続される点である。電力インバータ910から電力ジャンクション912に供給される電力は、Pbatとして示されている。Pbatは、電力インバータ910が電力ジャンクション912に電力を提供している(すなわち、バッテリユニット702が放電している)場合には、正であり得、電力インバータ910が電力ジャンクション912から電力を受け取っている(すなわち、バッテリユニット702が充電している)場合には、負であり得る。エネルギーグリッド914から電力ジャンクション912に供給される電力は、Pgridとして示されており、PVパネル708から電力ジャンクション912に供給される電力は、PPVとして示されている。Pbat、PPV、及びPgridは、電力ジャンクション912で組み合わされて、Ptotal(すなわち、Ptotal=Pgrid+Pbat+PPV)を形成する。Ptotalは、電力ジャンクション912から動力式チラー構成要素902に提供される電力として定義され得る。いくつかの例では、Ptotalは、Pgridよりも大きい。例えば、バッテリユニット702が放電しているときに、Pbatは正であり得、これは、Pbat及びPPVがPgridと組み合わされてPtotalを形成するときに、グリッド電力Pgrid及びPV電力PPVに加算される。他の例では、Ptotalは、Pgrid未満であり得る。例えば、バッテリユニット702が充電しているときに、Pbatは、負であり得、これは、Pbat、PPV、及びPgridが組み合わされてPtotalを形成するときに、グリッド電力Pgrid及びPV電力PPVから減算される。
【0110】
予測チラーコントローラ704は、動力式チラー構成要素902及び電力インバータ910を制御するように構成され得る。いくつかの実施形態では、予測チラーコントローラ704は、バッテリ電力設定点Psp,batを生成し、電力インバータ910に提供する。バッテリ電力設定点Psp,batは、バッテリ電力設定点Psp,batを達成するために、電力インバータ910に、電力ジャンクション912又は放電バッテリユニット702で利用可能な電力を使用して(Psp,batが正の場合)バッテリユニット702を充電させ(Psp,batが負の場合)、電力ジャンクション912に電力を提供させる正又は負の電力値(例えば、kW)を含み得る。
【0111】
いくつかの実施形態では、予測チラーコントローラ704は、制御信号を生成し、動力式チラー構成要素902に提供する。予測チラーコントローラ704は、制御信号を生成するために多段最適化技法を使用し得る。例えば、予測チラーコントローラ704は、最適化期間中の各時間ステップにおいて、動力式チラー構成要素902によって消費されることになる最適な電力量を判定するように構成された経済コントローラを含み得る。消費されるべき最適な電力量は、チラー700によって消費されるエネルギーのコストを考慮するコスト関数を最小化し得る。エネルギーのコストは、電気ユーティリティ918からの時間変化するエネルギー価格に基づき得る。いくつかの実施形態では、予測チラーコントローラ704は、複数の時間ステップの各々において、エネルギーグリッド914から購入する最適な電力量(すなわち、グリッド電力設定点Psp,grid)及びバッテリユニット702から貯蔵又は放出するための最適な電力量(すなわち、バッテリ電力設定点Psp,bat)を判定する。予測チラーコントローラ704は、動力式チラー構成要素902の実際の電力使用量を監視し得、最適な電力設定点を生成するときに、フィードバック信号として実際の電力使用量を利用し得る。
【0112】
予測チラーコントローラ704は、各時間ステップにおいて最適な電力消費量を達成する温度設定点(例えば、空気温度設定点Tsp,air、冷水温度設定点Tsp,waterなど)を生成するように構成された追跡コントローラを含み得る。いくつかの実施形態では、予測チラーコントローラ704は、動力式チラー構成要素902のための機器モデルを使用して、最適な電力消費量に基づいて、チラー構成要素902によって生成され得る加熱又は冷却の量を判定する。予測チラーコントローラ704は、温度モデルを使用して、電力設定点に基づいて、冷水の温度Twaterがどのように変化するかを予測することができる。
【0113】
いくつかの実施形態では、予測チラーコントローラ704は、温度設定点を使用して、動力式チラー構成要素902に対する制御信号を生成する。制御信号は、オン/オフコマンド、ファン730に対する速度設定点、圧縮機720に対する電力設定点、冷水温度設定点チラー700、ポンプ732に対する圧力設定点若しくは流量設定点、又は動力式チラー構成要素902の個々のデバイスに対する他のタイプの設定点を含み得る。他の実施形態では、制御信号は、予測チラーコントローラ704によって生成される温度設定点(例えば、空気温度設定点T
sp,air、冷水温度設定点T
sp,waterなど)を含み得る。温度設定点は、温度設定点を達成するために動作する、動力式チラー構成要素902又は動力式チラー構成要素902のローカルコントローラに提供され得る。例えば、ファン730のローカルコントローラは、冷水温度センサから冷水温度T
waterの測定値及び/又は空気温度センサから空気温度T
air(すなわち、空気流728の温度)の測定値を受信し得る。ローカルコントローラは、フィードバック制御プロセス(例えば、PID、ESC、MPCなど)を使用して、ファン730によって提供される空気量を増加又は減少させ、測定された温度(複数可)を温度設定点まで駆動することができる。同様のフィードバック制御プロセスを圧縮機720及び/又はポンプ732に使用することができる。予測チラーコントローラ704によって実施される多段最適化は、
図10を参照してより詳細に説明される。
【0114】
予測チラーコントローラ
ここで
図10を参照すると、例示的な実施形態による、予測チラーコントローラ704をより詳細に例解するブロック図が示されている。予測チラーコントローラ704は、通信インターフェース1002及び処理回路1004を含むように示されている。通信インターフェース1002は、コントローラ704と外部システム又はデバイスとの間の通信を容易にし得る。例えば、通信インターフェース1002は、温度センサ1016から空気温度T
air及び冷水温度T
waterの測定値、並びに動力式チラー構成要素902の電力使用量の測定値を受信し得る。いくつかの実施形態では、通信インターフェース1002は、最大バッテリ容量(すなわち、バッテリ%)のパーセンテージとして提供され得る、バッテリユニット702の充電状態(SOC)の測定値を受信する。通信インターフェース1002は、気象サービス916から気象予報を受信し、電気ユーティリティ918から、予測されるエネルギーコスト及び需要コストを受信することができる。いくつかの実施形態では、予測チラーコントローラ704は、通信インターフェース1002を使用して、動力式チラー構成要素902及び電力インバータ910に制御信号を提供する。
【0115】
通信インターフェース1002は、外部システム又はデバイスとデータ通信を行うための有線又は無線通信インターフェース(例えば、ジャック、アンテナ、送信機、受信機、送受信機、有線端末など)を含み得る。様々な実施形態では、通信は、直接的(例えば、ローカル有線通信又は無線通信)であり得るか、又は通信ネットワーク(例えば、WAN、インターネット、セルラネットワークなど)を介し得る。例えば、通信インターフェース1002は、イーサネットベースの通信リンク又はネットワークを介してデータを送信及び受信するためのイーサネットカード及びポートを含むことができる。別の例では、通信インターフェース1002は、無線通信ネットワーク又はセルラ若しくは携帯電話通信送受信機を介して通信するためのWi-Fi送受信機を含むことができる。
【0116】
処理回路1004は、プロセッサ1006及びメモリ1008を含むように示されている。プロセッサ1006は、汎用又は特定目的のプロセッサ、特定用途向け集積回路(ASIC)、1つ以上のフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、処理構成要素のグループ、又は他の好適な電子処理構成要素であり得る。プロセッサ1006は、メモリ1008に記憶された、又は他のコンピュータ可読媒体(例えば、CDROM、ネットワークストレージ、リモートサーバなど)から受信した、コンピュータコード又は命令を実行するように構成されている。
【0117】
メモリ1008は、本開示に記載された様々なプロセスを完了及び/又は促進するためのデータ及び/又はコンピュータコードを記憶するための1つ以上のデバイス(例えば、メモリユニット、メモリデバイス、記憶デバイスなど)を含み得る。メモリ1008は、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み取り専用メモリ(ROM)、ハードドライブストレージ、一時ストレージ、不揮発性メモリ、フラッシュメモリ、光メモリ、又はソフトウェアオブジェクト及び/又はコンピュータ命令を記憶するための任意の他の好適なメモリを含み得る。メモリ1008は、データベース構成要素、オブジェクトコード構成要素、スクリプト構成要素、又は本開示に記載された様々な活動及び情報構造をサポートするための任意の他のタイプの情報構造を含み得る。メモリ1008は、処理回路1004を介してプロセッサ1006に通信可能に接続され得、本明細書に記載された1つ以上のプロセスを(例えば、プロセッサ1006によって)実行するためのコンピュータコードを含み得る。プロセッサ1006が、本明細書に記載された様々な活動を完了するためにメモリ1008に記憶された命令を実行するときに、プロセッサ1006は、概して、そのような活動を完了するように、コントローラ704(及びより具体的には、処理回路1004)を構成する。
【0118】
更に
図10を参照すると、予測チラーコントローラ704は、経済コントローラ1010、追跡コントローラ1012、及び機器コントローラ1014を含むように示されている。コントローラ1010~1014は、電力インバータ910及び動力式チラー構成要素902に対する制御信号を生成するための多状態最適化プロセスを実行するように構成され得る。簡単に概要を説明すると、経済コントローラ1010は、予測コスト関数を最適化して、最適化期間の各時間ステップにおいて、エネルギーグリッド914から購入する最適な電力量(すなわち、グリッド電力設定点P
sp,grid)、バッテリユニット702から貯蔵又は放出する最適な電力量(すなわち、バッテリ電力設定点P
sp,bat)、及び/又は動力式チラー構成要素902によって消費されるべき最適な電力量(すなわち、チラー電力設定点P
sp,total)を判定することができる。追跡コントローラ1012は、最適な電力設定点P
sp,grid、P
sp,bat、及び/又はP
sp,totalを使用して、最適な温度設定点(例えば、空気設定点T
sp,air、冷水温度設定点T
sp,waterなど)、並びに最適なバッテリ充電又は放電速度(すなわち、Bat
C/D)を判定することができる。機器コントローラ1014は、最適な温度設定点T
sp,air又はT
sp,waterを使用して、実際の(例えば、測定された)温度T
air及び/又はT
waterを(例えば、フィードバック制御技法を使用して)設定点に駆動する動力式チラー構成要素902に対する制御信号を生成することができる。コントローラ1010~1014の各々は、以下に詳細に説明される。
【0119】
経済コントローラ
経済コントローラ1010は、予測コスト関数を最適化して、最適化期間の各時間ステップにおいて、エネルギーグリッド914から購入する最適な電力量(すなわち、グリッド電力設定点P
sp,grid)、バッテリユニット702から貯蔵又は放出する最適な電力量(すなわち、バッテリ電力設定点P
sp,bat)、及び/又は動力式チラー構成要素902によって消費される最適な電力量(すなわち、チラー電力設定点P
sp,total)を判定するように構成され得る。経済コントローラ1010によって最適化され得る予測コスト関数の例が、以下の式に示される。
【数29】
式中、C
ec(k)は、時間ステップk中に電気ユーティリティ918から購入される電気の単位当たりのコスト(例えば、$/kWh)であり、P
fan(k)は、時間ステップk中のファン730の電力消費(例えば、kW)であり、P
comp(k)は、時間ステップkにおける圧縮機720の電力消費であり、P
pump(k)は、時間ステップkにおけるポンプ732の電力消費であり、C
DCは、需要課金レート(例えば、$/kW)であり、式中、max()項は、最適化期間の任意の時間ステップk中のチラー700の最大電気購入量(すなわち、P
grid(k)の最大値)を選択し、P
bat(k)は、時間ステップk中のバッテリユニット702から放出される電力量であり、Δtは、各時間ステップkの持続時間である。経済コントローラ1010は、最適化期間の持続時間にわたって(例えば、時間ステップk=1から時間ステップk=hまで)予測コスト関数Jを最適化して、最適化期間の持続時間にわたってチラー700を動作させる合計コストを予測することができる。
【0120】
予測コスト関数Jの第1、第2、及び第3の項は、最適化期間の持続時間にわたって動力式チラー構成要素902によって消費される電気のコストを表す。各時間ステップkにおけるパラメータC
ec(k)の値は、電気ユーティリティ918によって提供されるエネルギーコスト情報によって定義され得る。いくつかの実施形態では、電気のコストは、時間の関数として変化し、これは、異なる時間ステップkにおいて異なるC
ec(k)の値をもたらす。変数P
fan(k)、P
comp(k)、及びP
pump(k)は、経済コントローラ1010によって最適化され得る決定変数である。いくつかの実施形態では、時間ステップkにおける動力式チラー構成要素902の合計電力消費P
total(k)は、P
fan(k)、P
comp(k)、及びP
pump(k)の和に等しい(すなわち、P
total(k)=P
fan(k)+P
comp(k)+P
pump(k)である)。したがって、いくつかの実施形態では、予測コスト関数の最初の3つの項は、総和
【数30】
で置き換えることができる。
【0121】
予測コスト関数Jの第4の項は、需要課金を表す。需要課金は、該当する需要課金期間中の最大電力消費に基づいて、いくつかのユーティリティプロバイダによって課される追加課金である。例えば、需要課金レートCDCは、電力の単位当たりのドル換算(例えば、$/kW)で指定され得、需要課金期間中にピーク電力使用量(例えば、kW)を乗算して需要課金が計算され得る。予測コスト関数Jにおいて、需要課金レートCDCは、電気ユーティリティ918から受信した需要コスト情報によって定義され得る。変数Pgrid(k)は、需要課金期間中に起こるピーク電力使用量max(Pgrid(k))を低減するために、経済コントローラ1010によって最適化され得る決定変数である。負荷シフトは、動力式チラー構成要素902の電力消費が低いときに、バッテリユニット702にエネルギーを貯蔵することによって、経済コントローラ1010がチラー700の電気需要における瞬間的なスパイクを平滑化することを可能にし得る。貯蔵されたエネルギーは、動力式チラー構成要素902の電力消費が高いときに、エネルギーグリッド914からのピーク電力引き出しPgridを低減させ、それによって発生する需要課金を減少させるために、バッテリユニット702から放出され得る。
【0122】
予測コスト関数Jの最後の項は、バッテリユニット702の使用に起因するコスト節約量を表す。コスト関数Jの前の項とは異なり、最後の項は合計コストから減算される。各時間ステップkにおけるパラメータCec(k)の値は、電気ユーティリティ918によって提供されるエネルギーコスト情報によって定義され得る。いくつかの実施形態では、電気のコストは、時間の関数として変化し、これは、異なる時間ステップkにおいて異なるCec(k)の値をもたらす。変数Pbat(k)は、経済コントローラ1010によって最適化され得る決定変数である。Pbat(k)の正の値は、バッテリユニット702が放電していることを示し、Pbat(k)の負の値は、バッテリユニット702が充電していることを示す。バッテリユニット702から放出される電力Pbat(k)は、動力式チラー構成要素902の合計電力消費Ptotal(k)の一部又は全てを満たすために使用することができ、これは、エネルギーグリッド914から購入される電力量Pgrid(k)を低減する(すなわち、Pgrid(k)=Ptotal(k)-Pbat(k)-PPV(k))。しかしながら、バッテリユニット702を充電すると、エネルギーグリッド914から購入される電力Pgrid(k)の合計量に加算されるPbat(k)の負の値がもたらされる。
【0123】
いくつかの実施形態では、PVパネル708によって提供される電力PPVは、PV電力を生成することはコストを生じないため、予測コスト関数Jに含まれない。しかしながら、PVパネル708によって生成される電力PPVを使用して、動力式チラー構成要素902の合計電力消費量Ptotal(k)の一部又は全てを満たすことができ、これは、エネルギーグリッド914から購入される電力量Pgrid(k)を低減する(すなわち、Pgrid(k)=Ptotal(k)-Pbat(k)-PPV(k))。任意の時間ステップk中に生成されるPV電力量PPVは、経済コントローラ1010によって予測することができる。PVパネルによって生成されるPV電力量を予測するためのいくつかの技法は、米国特許出願第15/247,869号、米国特許出願第15/247,844号、及び米国特許出願第15/247,788号に記載されている。これらの特許出願の各々は、2016年8月25日の出願日を有し、これらの特許出願の各々の開示全体は、参照により本明細書に組み込まれている。
【0124】
経済コントローラ1010は、最適化期間の持続時間にわたって予測コスト関数Jを最適化して、最適化期間中の各時間ステップにおける決定変数の最適値を判定することができる。いくつかの実施形態では、最適化期間は、およそ1日の持続時間を有し、各時間ステップは、およそ15分である。しかしながら、最適化期間及び時間ステップの持続時間は、他の実施形態では変化し得、ユーザによって調整され得る。有利には、経済コントローラ1010は、エネルギー価格が低いときに、及び/又は動力式チラー構成要素902によって消費される電力が低いときに、エネルギーグリッド914から電気を引き出すことによって負荷シフトを実施するために、バッテリユニット702を使用することができる。電気は、バッテリユニット702に貯蔵され、エネルギー価格が高く、及び/又は動力式チラー構成要素902の電力消費が高いときに後で放電することができる。これにより、経済コントローラ1010は、チラー700によって消費される電気のコストを低減し、チラー700の電気需要の瞬間的なスパイクを平滑化し、それによって、起こる需要課金を低減することができる。
【0125】
経済コントローラ1010は、予測コスト関数Jの最適化に制約を課すように構成され得る。いくつかの実施形態では、制約は、チラー700によって生産される冷水の温度Twaterに対する制約を含む。経済コントローラ1010は、最小温度境界Tminと最大温度境界Tmaxとの間(すなわち、Tmin≦Twater≦Tmax)の実際の又は予測温度Twaterを常に維持するように構成され得る。パラメータTmin及びTmaxは、異なる時間で異なる温度範囲を定義するために時間変化し得る。
【0126】
水温Twaterに対する制約に加えて、経済コントローラ1010は、バッテリユニット702の充電状態(SOC)及び充電/放電速度に制約を課すことができる。いくつかの実施形態では、経済コントローラ1010は、予測コスト関数Jに対して以下の電力制約を生成し、課す。
Pbat≦Prated
-Pbat≦Prated
式中、Pbatは、バッテリユニット702から放出される電力量であり、Pratedは、バッテリユニット702の定格バッテリ電力(例えば、バッテリユニット702が充電又は放電され得る最大速度)である。これらの電力制約は、バッテリユニット702が定格Pratedの最大の可能なバッテリ充電/放電速度を超える速度で充電又は放電されないことを保証する。
【0127】
いくつかの実施形態では、経済コントローラ1010は、予測コスト関数Jに対して1つ以上の容量制約を生成し、課す。容量制約は、各時間ステップ中に充電又は放電されるバッテリ電力Pbatをバッテリユニット702の容量及びSOCに関連付けるために使用され得る。容量制約は、最適化期間の各時間ステップにおいて、バッテリユニット702の容量が許容可能な下限及び上限内に維持されることを確実にし得る。いくつかの実施形態では、経済コントローラ1010は、以下の容量制約を生成する。
Ca(k)-Pbat(k)Δt≦Crated
Ca(k)-Pbat(k)Δt≧0
式中、Ca(k)は、時間ステップkの開始時の利用可能なバッテリ容量(例えば、kWh)であり、Pbat(k)は、時間ステップk中にバッテリユニット702が放電される速度(例えば、kW)であり、Δtは、各時間ステップの持続時間であり、Cratedは、バッテリユニット702の最大定格容量(例えば、kWh)である。項Pbat(k)Δtは、時間ステップk中のバッテリ容量の変化を表す。これらの容量制約は、バッテリユニット702の容量がゼロと最大定格容量Cratedとの間に維持されることを確実にする。
【0128】
いくつかの実施形態では、経済コントローラ1010は、動力式チラー構成要素902の動作に対して、1つ以上の容量制約を生成し、課す。例えば、動力式チラー構成要素902は、最大電力消費Ptotal,maxに対応する最大動作点(例えば、最大ポンプ速度、最大冷却容量など)を有し得る。経済コントローラ1010は、以下の式に示されるように、動力式チラー構成要素902に提供される電力Ptotalをゼロと最大電力消費Ptotal,maxとの間に制限する制約を生成するように構成され得る。
0≦Ptotal≦Ptotal,max
Ptotal=Psp,grid+Psp,bat
式中、動力式チラー構成要素902に提供される合計電力Ptotalは、グリッド電力設定点Psp,gridとバッテリ電力設定点Psp,batとの和である。
【0129】
経済コントローラ1010は、制約に従って予測コスト関数Jを最適化して、決定変数Ptotal、Pfan、Pcomp、Ppump、Pgrid、及びPbatの最適値を判定することができ、式中、Ptotal=Pbat+Pgrid+PPVである。いくつかの実施形態では、経済コントローラ1010は、Ptotal、Pbat、及び/又はPgridの最適値を使用して、追跡コントローラ1012に対する電力設定点を生成する。電力設定点は、最適化期間中の時間ステップkの各々に対するバッテリ電力設定点Psp,bat、グリッド電力設定点Psp,grid、及び/又はチラー電力設定点Psp,totalを含むことができる。経済コントローラ1010は、電力設定点を追跡コントローラ1012に提供することができる。
【0130】
追跡コントローラ
追跡コントローラ1012は、経済コントローラ1010によって生成される最適な電力設定点Psp,grid、Psp,bat、及び/又はPsp,totalを使用して、最適な温度設定点(例えば、空気温度設定点Tsp,air、冷水温度設定点Tsp,waterなど)及び最適なバッテリ充電又は放電速度(すなわち、BatC/D)を判定することができる。いくつかの実施形態では、追跡コントローラ1012は、チラー700の電力設定点Psp,totalを達成することが予測される、空気温度設定点Tsp,air及び/又は冷水温度設定点Tsp,waterを生成する。言い換えれば、追跡コントローラ1012は、空気温度設定点Tsp,air及び/又は冷水温度設定点Tsp,waterを生成し得、これは、チラー700に、経済コントローラ1010によって判定された電力Ptotalの最適量を消費させる。
【0131】
いくつかの実施形態では、追跡コントローラ1012は、バッテリ電力設定点Psp,batを使用して、バッテリユニット702を充電又は放電する最適な速度BatC/Dを判定する。例えば、バッテリ電力設定点Psp,batは、追跡コントローラ1012によって電力インバータ910及び/又は機器コントローラ1014に対する制御信号に変換され得る電力値(kW)を定義し得る。他の実施形態では、バッテリ電力設定点Psp,batは、電力インバータ910に直接提供され、バッテリ電力Pbatを制御するために電力インバータ910によって使用される。
【0132】
機器コントローラ
機器コントローラ1014は、追跡コントローラ1012によって生成される最適な温度設定点Tsp,air又はTsp,waterを使用して、動力式チラー構成要素902に対する制御信号を生成することができる。機器コントローラ1014によって生成される制御信号は、実際の(例えば、測定された)温度Tair及び/又はTwaterを設定点まで駆動し得る。機器コントローラ1014は、様々な制御技法のいずれかを使用して、動力式チラー構成要素902に対する制御信号を生成することができる。例えば、機器コントローラ1014は、状態ベースのアルゴリズム、極値探索制御(ESC)アルゴリズム、比例積分(PI)制御アルゴリズム、比例積分微分(PID)制御アルゴリズム、モデル予測制御(MPC)アルゴリズム、又は他のフィードバック制御アルゴリズムを使用して、動力式チラー構成要素902に対する制御信号を生成することができる。
【0133】
制御信号は、オン/オフコマンド、ファン730に対する速度設定点、圧縮機720に対する電力設定点、ポンプ732に対する圧力設定点若しくは流量設定点、又は動力式チラー構成要素902の個々のデバイスに対する他のタイプの設定点を含み得る。他の実施形態では、制御信号は、予測チラーコントローラ704によって生成される温度設定点(例えば、空気温度設定点Tsp,air、冷水温度設定点Tsp,waterなど)を含み得る。温度設定点は、温度設定点を達成するために動作する、動力式チラー構成要素902又は動力式チラー構成要素902のローカルコントローラに提供され得る。例えば、ファン730用のローカルコントローラは、冷水温度センサから冷水温度Twaterの測定値及び/又は空気温度センサから空気温度Tairの測定値を受信し得、測定された温度を温度設定点に駆動するようにファン730の速度を調節することができる。
【0134】
いくつかの実施形態では、機器コントローラ1014は、電力インバータ910に制御信号を提供するように構成されている。電力インバータ910に提供される制御信号は、バッテリ電力設定点Psp,bat、及び/又は最適な充電/放電速度BatC/Dを含むことができる。機器コントローラ1014は、バッテリ電力設定点Psp,batを達成するために、電力インバータ910を動作させるように構成され得る。例えば、機器コントローラ1014は、バッテリ電力設定点Psp,batに従って、電力インバータ910にバッテリユニット702を充電するか、又はバッテリユニット702を放電させることができる。
【0135】
バッテリ及び予測制御部を備えたポンプユニット
ここで
図11~12を参照すると、いくつかの実施形態による、バッテリユニット1102及び予測ポンプコントローラ1104を有するポンプユニット1100が示されている。ポンプユニット1100は、流体回路1138を介してHVACデバイス1134を通して流体を循環させるように構成され得る。HVACデバイス1134は、例えば、加熱コイル若しくは冷却コイル、空気ハンドリングユニット、屋上ユニット、熱交換器、冷蔵庫若しくは冷凍庫、凝縮器若しくは蒸発器、冷却塔、又はHVACシステム内の流体を受け取る任意の他のタイプのシステム若しくはデバイスを含むことができる。いくつかの実施形態では、ポンプ1132は、入口水管1112を介して流体(例えば、入口水1116)を受け取り、出口水管1114を介して流体(例えば、出口水1118)を出力する。
【0136】
いくつかの実施形態では、バッテリユニット1102は、1つ以上のバッテリセル1106を含む。バッテリセル1106は、電気エネルギー(すなわち、電気)を貯蔵及び放出するように構成されている。いくつかの実施形態では、バッテリユニット1102は、(例えば、電気ユーティリティによって提供される)外部エネルギーグリッドからの電気を使用して充電される。バッテリユニット1102に貯蔵された電気は、ポンプユニット1100(例えば、ポンプ1132)の1つ以上の動力式構成要素に電力供給するために放出され得る。有利には、バッテリユニット1102は、エネルギー価格が低いときにポンプユニット1100がエネルギーグリッドから電気を引き出し、バッテリユニット1102を充電し、エネルギー価格が高いときに貯蔵された電気を放出して、ポンプユニット1100の電気負荷を時間的にシフトすることを可能にする。いくつかの実施形態では、バッテリユニット1102が、高エネルギーコスト期間中に利用され、低エネルギーコスト期間中に充電され得るように、バッテリユニット1102は、最大容量で動作するときに、ポンプユニット1100におよそ4~6時間にわたって電力供給するのに十分なエネルギー容量を有する。
【0137】
図12に示されるように、ポンプユニット1100は、燃料セル1202を含むことができる。いくつかの実施形態では、燃料セル1202は、化学反応を使用して電気エネルギーを生成するように構成された燃料セルである。例えば、燃料セル1202は、一対の酸化還元反応を通して、水素及び酸化剤(例えば、酸素)の化学エネルギーを電気に変換し得る。他の実施形態では、燃料セル1202は、電気を生成するためにディーゼル、メタノール、天然ガスなどのうちの1つ以上を使用する炭化水素燃料セルである。燃料セル1202は、電気を生成して、グリッドエネルギー又は他のエネルギー源を増強し、高エネルギーコスト期間中にバッテリ放電を補完し、又は(例えば、高エネルギーコスト期間中に)電気を生成して、バッテリを充電するように制御され得る。燃料セルは、例えば、定期的に購入され、ポンプユニット1100に追加され得る燃料交換(例えば、水素の供給)を必要とし得る。ポンプユニット1100が燃料セル1202を含む実施形態では、本明細書における制御及び最適化プロセスは、燃料セル1202の電力寄与、及び燃料セル1202を含むポンプユニット1100の様々な構成要素に対して制御出力を生成するときの燃料セル1202を動作させるコストを考慮するように構成されている。例えば、予測ポンプコントローラ1104によって実施される最適化は、最適化期間の各時間ステップに対して電気を生成するために燃料セル1202を動作させるかどうかを判定し得る。
【0138】
いくつかの実施形態では、予測ポンプコントローラ1104は、最適化プロセスを実施して、最適化期間中に起こる複数の時間ステップの各々の間にバッテリユニット1102を充電するか、又は放電するかを判定する。予測ポンプコントローラ1104は、複数の時間ステップの各々の間に必要とされる加熱/冷却の量及び電気のコストを予測するために、気象及び価格データ1110を使用し得る。予測ポンプコントローラ1104は、最適化期間の持続時間にわたってエネルギーグリッドから購入される電気のコストを考慮する目的関数を最適化することができる。予測ポンプコントローラ1104は、各時間ステップ中に、エネルギーグリッドから購入する電気量及びバッテリユニット1102から貯蔵又は放出する電気量を判定することができる。予測ポンプコントローラ1104によって実施される目的関数及び最適化は、
図13~14を参照してより詳細に説明される。
【0139】
予測ポンプ制御システム
ここで
図13を参照すると、いくつかの実施形態による予測ポンプ制御システム1300のブロック図が示されている。制御システム1300に示される構成要素のいくつかは、ポンプユニット1100の一部であり得る。例えば、ポンプユニット1100は、ポンプ1132、バッテリユニット1102、予測ポンプコントローラ1104、電力インバータ1310、及び電力ジャンクション1312を含み得る。
【0140】
電力インバータ1310は、直流(DC)と交流(AC)との間で電気電力を変換するように構成され得る。例えば、バッテリユニット1102は、DC電力を貯蔵及び出力するように構成され得るが、エネルギーグリッド1314及びポンプ1132は、AC電力を消費及び提供するように構成され得る。電力インバータ1310は、バッテリユニット1102からのDC電力を、エネルギーグリッド1314及び/又はポンプ1132のグリッド周波数に同期された正弦波AC出力に変換するために使用され得る。電力インバータ1310はまた、エネルギーグリッド1314からのAC電力を、バッテリユニット1102に貯蔵することができるDC電力に変換するために使用され得る。バッテリユニット1102の電力出力は、Pbatとして示されている。Pbatは、バッテリユニット1102が電力インバータ1310に電力を提供している(すなわち、バッテリユニット1102が放電している)場合には、正であり得、又はバッテリユニット1102が電力インバータ1310から電力を受け取っている(すなわち、バッテリユニット1102が充電している)場合には、負であり得る。
【0141】
いくつかの例では、電力インバータ1310は、バッテリユニット1102からDC電力出力を受信し、DC電力出力をポンプ1132に提供され得るAC電力出力に変換する。電力インバータ1310は、ローカル発振器を使用して、AC電力出力の周波数をエネルギーグリッド1314の周波数(例えば、50Hz又は60Hz)と同期させ得、AC電力出力の電圧をグリッド電圧よりも高くならないように制限し得る。いくつかの実施形態では、電力インバータ1310は、エネルギーグリッド1314の周波数に一致する正弦波を達成するために、単純な方形波から高調波を除去するLC回路を含む又は使用する共振インバータである。様々な実施形態では、電力インバータ1310は、高周波変圧器、低周波変圧器を使用して、又は変圧器を伴わずに動作し得る。低周波変圧器は、バッテリユニット1102からのDC出力を、ポンプ1132に提供されるAC出力に直接変換し得る。高周波変圧器は、多段階プロセスを採用し得、このプロセスは、DC出力を高周波ACに変換し、次いでDCに戻し、次いで最終的にポンプ1132に提供されるAC出力に変換することを伴う。
【0142】
電力ジャンクション1312は、ポンプ1132、エネルギーグリッド1314、及び電力インバータ1310が電気的に接続される点である。電力インバータ1310から電力ジャンクション1312に供給される電力は、Pbatとして示されている。Pbatは、電力インバータ1310が電力ジャンクション1312に電力を提供している(すなわち、バッテリユニット1102が放電している)場合には、正であり得、又は電力インバータ1310が電力ジャンクション1312から電力を受け取っている(すなわち、バッテリユニット1102が充電している)場合には、負であり得る。エネルギーグリッド1314から電力ジャンクション1312に供給される電力は、Pgridとして示されている。Pbat及びPgridは、電力ジャンクション1312で組み合わされて、Ptotal(すなわち、Ptotal=Pgrid+Pbat)を形成する。Ptotalは、電力ジャンクション1312からポンプ1132に提供される電力として定義され得る。いくつかの例では、Ptotalは、Pgridよりも大きい。例えば、バッテリユニット1102が放電しているときに、Pbatは正であり得、これは、PbatとPgridとが組み合わさってPtotalを形成するときに、グリッド電力Pgridに加算される。他の例では、Ptotalは、Pgrid未満であり得る。例えば、バッテリユニット1102が充電しているときに、Pbatは、負であり得、これは、PbatとPgridとが組み合わさってPtotalを形成するときに、グリッド電力Pgridから減算される。
【0143】
予測ポンプコントローラ1104は、ポンプ1132及び電力インバータ1310を制御するように構成され得る。いくつかの実施形態では、予測ポンプコントローラ1104は、バッテリ電力設定点Psp,batを生成し、電力インバータ1310に提供する。バッテリ電力設定点Psp,batは、正又は負の電力値(例えば、kW)を含み得、これはバッテリ電力設定点Psp,batを達成するために、(Psp,batが負の場合)電力インバータ1310に、電力ジャンクション1312で利用可能な電力を使用してバッテリユニット1102を充電させる、又は(Psp,batが正の場合)バッテリユニット1102を放電して、電力ジャンクション1312に電力を提供させる。
【0144】
いくつかの実施形態では、予測ポンプコントローラ1104は、制御信号を生成し、ポンプ1132に提供する。予測ポンプコントローラ1104は、制御信号を生成するために多段最適化技法を使用し得る。例えば、予測ポンプコントローラ1104は、最適化期間中の各時間ステップにおいてポンプ1132によって消費されるべき最適な電力量を判定するように構成された経済コントローラを含み得る。消費されるべき最適な電力量は、ポンプユニット1100によって消費されるエネルギーのコストを考慮するコスト関数を最小化し得る。エネルギーのコストは、電気ユーティリティ1318からの時間変化するエネルギー価格に基づき得る。いくつかの実施形態では、予測ポンプコントローラ1104は、複数の時間ステップの各々において、エネルギーグリッド1314から購入する最適な電力量(すなわち、グリッド電力設定点Psp,grid)及びバッテリユニット1102から貯蔵又は放出するための最適な電力量(すなわち、バッテリ電力設定点Psp,bat)を判定する。予測ポンプコントローラ1104は、ポンプ1132の実際の電力使用量を監視し得、最適な電力設定点を生成するときに、フィードバック信号として実際の電力使用量を利用し得る。
【0145】
予測ポンプコントローラ1104は、各時間ステップにおいて最適な電力消費量を達成する流れ設定点Flowsp及び差圧設定点DPspを生成するように構成された追跡コントローラを含み得る。いくつかの実施形態では、予測ポンプコントローラ1104は、ポンプ1132のための機器モデルを使用して、最適な電力消費量に基づいて、ポンプ1132によって生成される流体流れ及び/又は差圧の量を判定する。
【0146】
いくつかの実施形態では、予測ポンプコントローラ1104は、流れ設定点Flow
sp及び差圧設定点DP
spを使用して、ポンプ1132に対する制御信号を生成する。制御信号は、オン/オフコマンド、速度設定点、又はポンプ1132の動作に影響を与える他のタイプの設定点を含み得る。他の実施形態では、制御信号は、予測ポンプコントローラ1104によって生成される流れ設定点Flow
sp及び差圧設定点DP
spを含み得る。設定点は、設定点を達成するために動作するポンプ1132又はポンプ1132のローカルコントローラに提供され得る。例えば、ポンプ1132用のローカルコントローラは、1つ以上の圧力センサからポンプ1132を横断する差圧DPの測定値、及び/又は1つ以上の流れセンサからポンプ1132によって引き起こされる流体流れの測定値を受信し得る。ローカルコントローラは、フィードバック制御プロセス(例えば、PID、ESC、MPCなど)を使用して、ポンプ1132の速度を増加又は減少させ、測定された流体流量及び/又は差圧を設定点まで駆動することができる。予測ポンプコントローラ1104によって実行される多段最適化が、
図14を参照してより詳細に説明される。
【0147】
予測ポンプコントローラ
ここで
図14を参照すると、例示的な実施形態による、予測ポンプコントローラ1104をより詳細に例解するブロック図が示されている。予測ポンプコントローラ1104は、通信インターフェース1402及び処理回路1404を含むように示されている。通信インターフェース1402は、コントローラ1104と外部システム又はデバイスとの間の通信を容易にし得る。例えば、通信インターフェース1402は、流量センサ1416からの流体流れFlowの測定値、圧力センサ1418からのポンプ1132を横切る差圧DPの測定値、及びポンプ1132の電力使用量の測定値を受信し得る。いくつかの実施形態では、通信インターフェース1402は、最大バッテリ容量のパーセンテージ(すなわち、バッテリ%)として提供され得る、バッテリユニット1102の充電状態(SOC)の測定値を受信する。通信インターフェース1402は、気象サービス916から気象予報を受信し、電気ユーティリティ1318から、予測されるエネルギーコスト及び需要コストを受信することができる。いくつかの実施形態では、予測ポンプコントローラ1104は、通信インターフェース1402を使用して、制御信号ポンプ1132及び電力インバータ1310を提供する。
【0148】
通信インターフェース1402は、外部システム若しくはデバイスとデータ通信を行うための有線又は無線通信インターフェース(例えば、ジャック、アンテナ、送信機、受信機、送受信機、有線端末など)を含み得る。様々な実施形態では、通信は、直接的(例えば、ローカル有線通信又は無線通信)であり得るか、又は通信ネットワーク(例えば、WAN、インターネット、セルラネットワークなど)を介し得る。例えば、通信インターフェース1402は、イーサネットベースの通信リンク又はネットワークを介してデータを送信及び受信するためのイーサネットカード及びポートを含むことができる。別の例では、通信インターフェース1402は、無線通信ネットワーク又はセルラ若しくは携帯電話通信送受信機を介して通信するためのWi-Fi送受信機を含むことができる。
【0149】
処理回路1404は、プロセッサ1406及びメモリ1408を含むように示されている。プロセッサ1406は、汎用又は特定目的のプロセッサ、特定用途向け集積回路(ASIC)、1つ以上のフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、処理構成要素のグループ、又は他の好適な電子処理構成要素であり得る。プロセッサ1406は、メモリ1408に記憶された、又は他のコンピュータ可読媒体(例えば、CDROM、ネットワークストレージ、リモートサーバなど)から受信した、コンピュータコード又は命令を実行するように構成されている。
【0150】
メモリ1408は、本開示に記載された様々なプロセスを完了及び/又は促進するためのデータ及び/又はコンピュータコードを記憶するための1つ以上のデバイス(例えば、メモリユニット、メモリデバイス、記憶デバイスなど)を含み得る。メモリ1408は、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み取り専用メモリ(ROM)、ハードドライブストレージ、一時ストレージ、不揮発性メモリ、フラッシュメモリ、光メモリ、又はソフトウェアオブジェクト及び/又はコンピュータ命令を記憶するための任意の他の好適なメモリを含み得る。メモリ1408は、データベース構成要素、オブジェクトコード構成要素、スクリプト構成要素、又は本開示に記載された様々な活動及び情報構造をサポートするための任意の他のタイプの情報構造を含み得る。メモリ1408は、処理回路1404を介してプロセッサ1406に通信可能に接続され得、本明細書に記載された1つ以上のプロセスを(例えば、プロセッサ1406によって)実行するためのコンピュータコードを含み得る。プロセッサ1406が、本明細書に記載された様々な活動を完了するためにメモリ1408に記憶された命令を実行するときに、プロセッサ1406は、概して、そのような活動を完了するように、コントローラ1104(及びより具体的には、処理回路1404)を構成する。
【0151】
更に
図14を参照すると、予測ポンプコントローラ1104は、経済コントローラ1410、追跡コントローラ1412、及び機器コントローラ1414を含むように示されている。コントローラ1410~1414は、電力インバータ1310及びポンプ1132に対する制御信号を生成するための多状態最適化プロセスを実施するように構成され得る。簡単に概要を説明すると、経済コントローラ1410は、予測コスト関数を最適化して、最適化期間の各時間ステップにおいて、エネルギーグリッド1314から購入する最適な電力量(すなわち、グリッド電力設定点P
sp,grid)、バッテリユニット1102から貯蔵又は放出する最適な電力量(すなわち、バッテリ電力設定点P
sp,bat)、及び/又はポンプ1132によって消費されるべき最適な電力量(すなわち、ポンプ電力設定点P
sp,pump)を判定することができる。追跡コントローラ1412は、最適な電力設定点P
sp,grid、P
sp,bat、及び/又はP
sp,pumpを使用して、最適流れ設定点Flow
sp,圧力設定点DP
sp,及び最適なバッテリ充放電速度(すなわち、Bat
C/D)を判定することができる。機器コントローラ1414は、最適設定点Flow
sp及び/又はDP
spを使用して、実際の(例えば、測定された)流量Flow及び/又は圧力DPを(例えば、フィードバック制御技法を使用して)設定点まで駆動するポンプ1132に対する制御信号を生成することができる。コントローラ1410~1414の各々は、以下に詳細に説明される。
【0152】
経済コントローラ
経済コントローラ1410は、予測コスト関数を最適化して、最適化期間の各時間ステップにおいて、エネルギーグリッド1314から購入する最適な電力量(すなわち、グリッド電力設定点P
sp,grid)、バッテリユニット1102から貯蔵又は放出する最適な電力量(すなわち、バッテリ電力設定点P
sp,bat)、及び/又はポンプ1132によって消費されるべき最適な電力量(すなわち、ポンプ電力設定点P
sp,pump)を判定するように構成され得る。経済コントローラ1410によって最適化され得る予測コスト関数の例が、以下の式に示される。
【数31】
式中、C
ec(k)は、時間ステップk中に電気ユーティリティ1318から購入される電気の単位当たりのコスト(例えば、$/kWh)であり、P
pump(k)は、時間ステップkにおけるポンプ1132の電力消費であり、C
DCは、需要課金レート(例えば、$/kW)であり、max()項は、最適化期間の任意の時間ステップk中にポンプユニット1100の最大電気購入(すなわち、P
grid(k)の最大値)を選択し、P
bat(k)は、時間ステップk中にバッテリユニット1102から放出される電力量であり、Δtは、各時間ステップkの持続時間である。経済コントローラ1410は、最適化期間の持続時間にわたって(例えば、時間ステップk=1から時間ステップk=hまで)予測コスト関数Jを最適化して、最適化期間の持続時間にわたってポンプユニット1100を動作させる合計コストを予測することができる。
【0153】
予測コスト関数Jの第1の項は、最適化期間の持続時間にわたってポンプ1132によって消費される電気のコストを表す。各時間ステップkにおけるパラメータCec(k)の値は、電気ユーティリティ1318によって提供されるエネルギーコスト情報によって定義され得る。いくつかの実施形態では、電気のコストは、時間の関数として変化し、これは、異なる時間ステップkにおいて異なるCec(k)の値をもたらす。変数Ppump(k)は、経済コントローラ1410によって最適化され得る決定変数である。
【0154】
予測コスト関数Jの第2の項は、需要課金を表す。需要課金は、該当する需要課金期間中の最大電力消費に基づいて、いくつかのユーティリティプロバイダによって課される追加課金である。例えば、需要課金レートCDCは、電力の単位当たりのドル換算(例えば、$/kW)で指定され得、需要課金期間中にピーク電力使用量(例えば、kW)を乗算して需要課金が計算され得る。予測コスト関数Jにおいて、需要課金レートCDCは、電気ユーティリティ1318から受信した需要コスト情報によって定義され得る。変数Pgrid(k)は、需要課金期間中に起こるピーク電力使用量max(Pgrid(k))を低減するために、経済コントローラ1410によって最適化され得る決定変数である。負荷シフトは、ポンプ1132の電力消費が低いときに、バッテリユニット1102にエネルギーを貯蔵することによって、経済コントローラ1410がポンプユニット1100の電気需要における瞬間的なスパイクを平滑化することを可能にし得る。貯蔵されたエネルギーは、ポンプ1132の電力消費が高いときに、エネルギーグリッド1314からのピーク電力引き出しPgridを低減させ、それによって発生する需要課金を減少させるために、バッテリユニット1102から放出され得る。
【0155】
予測コスト関数Jの最後の項は、バッテリユニット1102の使用に起因するコスト節約量を表す。コスト関数Jの前の項とは異なり、最後の項は合計コストから減算される。各時間ステップkにおけるパラメータCec(k)の値は、電気ユーティリティ1318によって提供されるエネルギーコスト情報によって定義され得る。いくつかの実施形態では、電気のコストは、時間の関数として変化し、これは、異なる時間ステップkにおいて異なるCec(k)の値をもたらす。変数Pbat(k)は、経済コントローラ1410によって最適化され得る決定変数である。Pbat(k)の正の値は、バッテリユニット1102が放電していることを示し、Pbat(k)の負の値は、バッテリユニット1102が充電していることを示す。バッテリユニット1102から放出される電力Pbat(k)は、ポンプ1132の合計電力消費Ptotal(k)の一部又は全てを満たすために使用され得、これは、エネルギーグリッド1314から購入される電力量Pgrid(k)を低減する(すなわち、Pgrid(k)=Ptotal(k)-Pbat(k))。しかしながら、バッテリユニット1102を充電すると、エネルギーグリッド1314から購入される合計電力量Pgrid(k)に加算されるPbat(k)の負の値がもたらされる。
【0156】
経済コントローラ1410は、最適化期間の持続時間にわたって予測コスト関数Jを最適化して、最適化期間中の各時間ステップにおける決定変数の最適値を判定することができる。いくつかの実施形態では、最適化期間は、およそ1日の持続時間を有し、各時間ステップは、およそ15分である。しかしながら、最適化期間及び時間ステップの持続時間は、他の実施形態では変化し得、ユーザによって調整され得る。有利には、経済コントローラ1410は、エネルギー価格が低いとき、及び/又はポンプ1132によって消費される電力が低いとき、エネルギーグリッド1314から電気を引き出すことによって負荷シフトを実施するために、バッテリユニット1102を使用することができる。電気は、バッテリユニット1102に貯蔵され、エネルギー価格が高い及び/又はポンプ1132の電力消費が高いときに、後で放出することができる。これにより、経済コントローラ1410が、ポンプユニット1100によって消費される電気のコストを低減し、ポンプユニット1100の電気需要の瞬間的なスパイクを平滑化し、それによって起こる需要課金を低減することができる。
【0157】
経済コントローラ1410は、予測コスト関数Jの最適化に制約を課すように構成され得る。いくつかの実施形態では、制約は、ポンプ1132によって生産される流量Flow及び/又は差圧DPに対する制約を含む。経済コントローラ1410は、最小流れ境界Flowminと最大流れ境界Flowmaxとの間(すなわち、Flowmin≦Flow≦Flowmax)に、実際の又は予測流量Flowを常に維持するように構成され得る。パラメータFlowmin及びFlowmaxは、異なる時間に異なる流れ範囲を定義するために時間変化し得る。同様に、経済コントローラ1410は、最小圧力境界DPminと最大圧力境界DPmaxとの間(すなわち、DPmin≦DP≦DPmax)に、実際の又は予測圧力DPを常に維持するように構成され得る。パラメータDPmin及びDPmaxは、異なる時間に異なる流量範囲を定義するために時間変化し得る。
【0158】
流体流量Flow及び差圧DPに対する制約に加えて、経済コントローラ1410は、バッテリユニット1102の充電状態(SOC)及び充電/放電速度に制約を課すことができる。いくつかの実施形態では、経済コントローラ1410は、予測コスト関数Jに対して以下の電力制約を生成し、課す。
Pbat≦Prated
-Pbat≦Prated
式中、Pbatは、バッテリユニット1102から放出される電力量であり、Pratedは、バッテリユニット1102の定格バッテリ電力(例えば、バッテリユニット1102が充電又は放電され得る最大速度)である。これらの電力制約は、バッテリユニット1102が定格Pratedの最大の可能なバッテリ充電/放電速度を超える速度で充電又は放電されないことを保証する。
【0159】
いくつかの実施形態では、経済コントローラ1410は、予測コスト関数Jに対して1つ以上の容量制約を生成し、課す。容量制約は、各時間ステップ中に充電又は放電されるバッテリ電力Pbatをバッテリユニット1102の容量及びSOCに関連付けるために使用され得る。容量制約は、最適化期間の各時間ステップにおいて、バッテリユニット1102の容量が許容可能な下限及び上限内に維持されることを確実にし得る。いくつかの実施形態では、経済コントローラ1410は、以下の容量制約を生成する。
Ca(k)-Pbat(k)Δt≦Crated
Ca(k)-Pbat(k)Δt≧0
式中、Ca(k)は、時間ステップkの開始時の利用可能なバッテリ容量(例えば、kWh)であり、Pbat(k)は、時間ステップk中にバッテリユニット1102が放電される速度(例えば、kW)であり、Δtは、各時間ステップの持続時間であり、Cratedは、バッテリユニット1102の最大定格容量(例えば、kWh)である。項Pbat(k)Δtは、時間ステップk中のバッテリ容量の変化を表す。これらの容量制約は、バッテリユニット1102の容量がゼロと最大定格容量Cratedとの間に維持されることを確実にする。
【0160】
いくつかの実施形態では、経済コントローラ1410は、ポンプ1132の動作に対して、1つ以上の容量制約を生成し、課す。例えば、ポンプ1132は、最大電力消費Ppump,maxに対応する最大動作点(例えば、最大ポンプ速度、最大差圧など)を有し得る。経済コントローラ1410は、以下の式に示されるように、ポンプ1132に提供される電力Ppumpをゼロと最大電力消費量Ppump,maxとの間に制限する制約を生成するように構成され得る。
0≦Ppump≦Ppump,max
Ppump=Psp,grid+Psp,bat
式中、ポンプ1132に提供される合計電力Ppumpは、グリッド電力設定点Psp,gridとバッテリ電力設定点Psp,batとの和である。
【0161】
経済コントローラ1410は、制約の対象となる予測コスト関数Jを最適化して、決定変数Ppump、Pgrid、及びPbatの最適値を判定することができ、ここでPpump=Pbat+Pgridである。いくつかの実施形態では、経済コントローラ1410は、Ppump、Pbat、及び/又はPgridに対する最適値を使用して、追跡コントローラ1412に対する電力設定点を生成する。電力設定点は、最適化期間中の時間ステップkの各々に対するバッテリ電力設定点Psp,bat、グリッド電力設定点Psp,grid、及び/又はポンプ電力設定点Psp,pumpを含むことができる。経済コントローラ1410は、電力設定点を追跡コントローラ1412に提供することができる。
【0162】
追跡コントローラ
追跡コントローラ1412は、経済コントローラ1410によって生成される最適な電力設定点Psp,grid、Psp,bat、及び/又はPsp,pumpを使用して、最適流れ設定点Flowsp,最適圧力設定点DPsp,及び最適なバッテリ充電又は放電速度(すなわち、BatC/D)を判定することができる。いくつかの実施形態では、追跡コントローラ1412は、ポンプ1132に対する電力設定点Psp,pumpを達成することが予測される流れ設定点Flowsp及び/又は圧力設定点DPspを生成する。言い換えれば、追跡コントローラ1412は、経済コントローラ1410によって判定された最適な電力量Ppumpをポンプ1132に消費させる流れ設定点Flowsp及び/又は圧力設定点DPspを生成し得る。
【0163】
いくつかの実施形態では、追跡コントローラ1412は、バッテリ電力設定点Psp,batを使用して、バッテリユニット1102を充電又は放電する最適な速度BatC/Dを判定する。例えば、バッテリ電力設定点Psp,batは、追跡コントローラ1412によって電力インバータ1310及び/又は機器コントローラ1414に対する制御信号に変換され得る電力値(kW)を定義し得る。他の実施形態では、バッテリ電力設定点Psp,batは、電力インバータ1310に直接提供され、バッテリ電力Pbatを制御するために電力インバータ1310によって使用される。
【0164】
機器コントローラ
機器コントローラ1414は、追跡コントローラ1412によって生成される最適流れ設定点Flowsp及び/又は圧力設定点DPspを使用して、ポンプ1132に対する制御信号を生成することができる。機器コントローラ1414によって生成される制御信号は、実際の(例えば、測定された)流量Flow及び圧力DPを設定点まで駆動し得る。機器コントローラ1414は、様々な制御技法のいずれかを使用して、ポンプ1132に対する制御信号を生成することができる。例えば、機器コントローラ1414は、状態ベースのアルゴリズム、極値探索制御(ESC)アルゴリズム、比例積分(PI)制御アルゴリズム、比例積分微分(PID)制御アルゴリズム、モデル予測制御(MPC)アルゴリズム、又は他のフィードバック制御アルゴリズムを使用して、ポンプ1132に対する制御信号を生成することができる。
【0165】
制御信号は、オン/オフコマンド、ポンプ1132に対する速度コマンド、ポンプ1132に対する電力コマンド、又はポンプ1132に対する他のタイプの動作コマンドを含み得る。他の実施形態では、制御信号は、予測ポンプコントローラ1104によって生成される流れ設定点Flowsp及び/又は圧力設定点DPspを含み得る。設定点は、設定点を達成するために動作するポンプ1132又はポンプ1132のローカルコントローラに提供され得る。例えば、ポンプ1132用のローカルコントローラは、流れセンサ1416から流体流量Flowの測定値及び/又は圧力センサ1418から差圧DPの測定値を受信し得、測定された流量及び/又は圧力を設定点に駆動するように、ポンプ1132の速度を調節することができる。
【0166】
いくつかの実施形態では、機器コントローラ1414は、電力インバータ1310に制御信号を提供するように構成されている。電力インバータ1310に提供される制御信号は、バッテリ電力設定点Psp,bat及び/又は最適な充電/放電速度BatC/Dを含み得る。機器コントローラ1414は、バッテリ電力設定点Psp,batを達成するために、電力インバータ1310を動作させるように構成され得る。例えば、機器コントローラ1414は、バッテリ電力設定点Psp,batに従って、電力インバータ1310にバッテリユニット1102を充電するか、又はバッテリユニット1102を放電させることができる。
【0167】
バッテリユニット及び予測制御部を備えた冷却塔
ここで
図15を参照すると、いくつかの実施形態による冷却塔システム1500が示されている。システム1500は、冷却塔1512と、予測冷却塔コントローラ1504を有するバッテリユニット1502と、を含むように示されている。冷却塔1512は、冷却負荷1522に冷却を提供するように構成され得る。冷却負荷1522は、例えば、建物ゾーン、空気ダクトを通って流れる供給空気ストリーム、空気処理ユニット若しくは屋上ユニット内の空気流、熱交換器を通って流れる流体、冷蔵庫若しくは冷凍庫、凝縮器若しくは蒸発器、冷却コイル、又は冷却を必要とする任意の他のタイプのシステム、デバイス、若しくは空間を含むことができる。いくつかの実施形態では、ポンプ1516は、冷却塔回路1532を介して冷流体を冷却負荷1522に循環させる。冷流体は、冷却負荷1522から熱を吸収することができ、それによって、冷却負荷1522に冷却を提供し、冷流体を温める。
【0168】
冷却塔1512は、水から外気に熱を伝達することによって、冷却塔回路1532内の水を冷却するように構成され得る。冷却塔1512は、冷却空気が冷却塔1512を通って流れるようにするファン1514を含み得る。冷却塔1512は、冷気をより温かい水との熱交換関係に置き、それによって、より温かい水からより冷たい空気に熱を伝達する。冷却塔回路1532は、循環水として示され、説明されているが、任意のタイプの冷却剤又は作動流体(例えば、水、グリコール、CO2など)が冷却塔回路1532に使用され得ることを理解されたい。
【0169】
更に
図15を参照すると、システム1500は、バッテリユニット1502を含むように示されている。いくつかの実施形態では、バッテリユニット1502は、1つ以上の光起電力(PV)パネル1508を含む。PVパネル1508は、光起電力セルの集合を含み得る。光起電力セルは、単結晶シリコン、多結晶シリコン、非晶質シリコン、テルル化カドミウム、セレン化銅インジウムガレニウム/硫化物、又は光起電力効果を示す他の材料などの光起電力材料を使用して、太陽光エネルギー(すなわち、日光)を電気に変換するように構成されている。いくつかの実施形態では、光起電力セルは、PVパネル1508を形成するパッケージ化されたアセンブリ内に含まれる。各PVパネル1508は、複数の連結された光起電力セルを含み得る。PVパネル1508は、光起電力アレイを形成するために組み合わされ得る。
【0170】
いくつかの実施形態では、PVパネル1508は、太陽光エネルギー収集を最大化するように構成されている。例えば、バッテリユニット1502は、PVパネル1508が昼間中太陽に直接向けられるように、PVパネル1508の角度を調整する太陽光トラッカー(例えば、GPSトラッカー、日光センサなど)を含み得る。太陽光トラッカーは、PVパネル1508が1日のより多い時間にわたって直射日光を受け取ることを可能にし得、PVパネル1508によって生産される合計電力量を増加させ得る。いくつかの実施形態では、バッテリユニット1502は、太陽光をPVパネル1508に誘導及び/又は集光させるように構成されたミラー、レンズ、又は日光集光器の集合を含む。PVパネル1508によって生成されるエネルギーは、バッテリセル1506に貯蔵され得、及び/又は冷却塔1512の様々な構成要素に電力供給するために使用され得る。
【0171】
いくつかの実施形態では、バッテリユニット1502は、1つ以上のバッテリセル1506を含む。バッテリセル1506は、電気エネルギー(すなわち、電気)を貯蔵及び放出するように構成されている。いくつかの実施形態では、バッテリユニット1502は、(例えば、電気ユーティリティによって提供される)外部エネルギーグリッドからの電気を使用して充電される。バッテリユニット1502に貯蔵された電気を放出して、冷却塔1512の1つ以上の動力式構成要素(例えば、ファン1514、ポンプ1516など)に電力供給することができる。有利には、バッテリユニット1502は、エネルギー価格が低いときに冷却塔1512がエネルギーグリッドから電気を引き出し、バッテリユニット1502を充電し、エネルギー価格が高いときに貯蔵された電気を放出して、冷却塔1512の電気負荷を時間的にシフトすることを可能にする。いくつかの実施形態では、バッテリユニット1502が、高エネルギーコスト期間中に利用され、低エネルギーコスト期間中に充電され得るように、バッテリユニット1502は、最大容量で動作するときに、冷却塔1512におよそ4~6時間にわたって電力供給するのに十分なエネルギー容量を有する。
【0172】
いくつかの実施形態では、予測冷却塔コントローラ1504は、最適化プロセスを実施して、最適化期間中に起こる複数の時間ステップの各々の間にバッテリユニット1502を充電するか、又は放電するかを判定する。予測冷却塔コントローラ1504は、複数の時間ステップの各々の間に必要とされる加熱/冷却の量及び電気のコストを予測するために、気象及び価格データ1510を使用し得る。予測冷却塔コントローラ1504は、最適化期間の持続時間にわたってエネルギーグリッドから購入される電気のコストを考慮する目的関数を最適化することができる。いくつかの実施形態では、目的関数はまた、冷却塔1512の様々な構成要素を動作させるコスト(例えば、ボイラに燃料供給するために使用される天然ガスのコスト)を考慮する。予測冷却塔コントローラ1504は、各時間ステップ中に、エネルギーグリッドから購入する電気量及びバッテリユニット1502から貯蔵又は放出する電気量を判定することができる。予測冷却塔コントローラ1504によって実行される目的関数及び最適化は、
図16~17を参照してより詳細に説明される。
【0173】
予測冷却塔制御システム
ここで
図16を参照すると、いくつかの実施形態による予測冷却塔制御システム1600のブロック図が示されている。制御システム1600に示される構成要素のいくつかは、冷却塔1512の一部であり得る。例えば、冷却塔1512は、動力式冷却塔構成要素1602、バッテリユニット1502、燃料セル1691、予測冷却塔コントローラ1504、電力インバータ1610、及び電力ジャンクション1612を含み得る。動力式冷却塔構成要素1602は、動作中に電力(例えば、電気)を消費する冷却塔1512の任意の構成要素を含み得る。例えば、動力式冷却塔構成要素1602は、冷却ファン1514及びポンプ1516を含むように示されている。
【0174】
燃料セル1691は、化学反応を使用して電気エネルギーを生成するように構成された燃料セルである。例えば、燃料セル1691は、一対の酸化還元反応を通して、水素及び酸化剤(例えば、酸素)の化学エネルギーを電気に変換し得る。他の実施形態では、燃料セル1691は、電気を生成するためにディーゼル、メタノール、天然ガスなどのうちの1つ以上を使用する炭化水素燃料セルである。燃料セル1691は、電気を生成して、グリッドエネルギー又は他のエネルギー源を増強し、高エネルギーコスト期間中にバッテリ放電を補完し、又は(例えば、高エネルギーコスト期間中に)電気を生成して、バッテリを充電するように制御され得る。燃料セルは、例えば、定期的に購入され得る燃料交換(例えば、水素の供給)を必要とし得る。冷却塔1512が燃料セル1691を含む実施形態では、本明細書における制御及び最適化プロセスは、燃料セル1691を含む冷却塔1512の様々な構成要素に対して制御出力を生成するときの、燃料セル1691の寄与及び燃料セル1691を動作させるコストを考慮するように構成されている。例えば、予測冷却塔コントローラ1504によって実施される最適化は、最適化期間の各時間ステップに対して電気を生成するために燃料セル1691を動作させるかどうかを判定し得る。
【0175】
電力インバータ1610は、直流(DC)と交流(AC)との間で電気電力を変換するように構成され得る。例えば、バッテリユニット1502は、DC電力を貯蔵し、出力するように構成され得るが、エネルギーグリッド1614及び動力式冷却塔構成要素1602は、AC電力を消費し、提供するように構成され得る。電力インバータ1610は、バッテリユニット1502からのDC電力を、エネルギーグリッド1614及び/又は動力式冷却塔構成要素1602のグリッド周波数に同期された正弦波AC出力に変換するために使用され得る。電力インバータ1610はまた、エネルギーグリッド1614からのAC電力を、バッテリユニット1502に貯蔵することができるDC電力に変換するために使用され得る。バッテリユニット1502の電力出力は、Pbatとして示されている。Pbatは、バッテリユニット1502がインバータ1610に電力供給している(すなわち、バッテリユニット1502が放電している)場合には、正であり得、又はバッテリユニット1502が電力インバータ1610から電力を受け取っている(すなわち、バッテリユニット1502が充電している)場合には、負であり得る。
【0176】
いくつかの例では、電力インバータ1610は、バッテリユニット1502からのDC電力出力を受け取り、DC電力出力を、動力式冷却塔構成要素1602に提供することができるAC電力出力に変換する。電力インバータ1610は、ローカル発振器を使用して、AC電力出力の周波数をエネルギーグリッド1614の周波数(例えば、50Hz又は60Hz)と同期させ得、AC電力出力の電圧をグリッド電圧よりも高くならないように制限し得る。いくつかの実施形態では、電力インバータ1610は、エネルギーグリッド1614の周波数に一致する正弦波を達成するために、単純な方形波から高調波を除去するLC回路を含む又は使用する共振インバータである。様々な実施形態では、電力インバータ1610は、高周波変圧器、低周波変圧器を使用して、又は変圧器を伴わずに動作し得る。低周波変圧器は、バッテリユニット1502からのDC出力を、動力式冷却塔構成要素1602に提供されるAC出力に直接変換し得る。高周波変圧器は、多段階プロセスを採用し得、このプロセスは、DC出力を高周波ACに変換し、次いでDCに戻し、次いで最終的に動力式冷却塔構成要素1602に提供されるAC出力に変換することを伴う。
【0177】
PVパネル1508の電力出力は、PPVとして示されている。PVパネル1508の電力出力PPVは、バッテリユニット1502に貯蔵され得る、及び/又は動力式冷却塔構成要素1602に電力供給するために使用され得る。いくつかの実施形態では、PVパネル1508は、PVパネル1508によって生成される電力量PPVを測定し、予測冷却塔コントローラ1504にPV電力の指標を提供する。例えば、予測冷却塔コントローラ1504にPV電力パーセンテージ(すなわち、PV%)の指標を提供するPVパネル1508が示されている。PV電力パーセンテージは、PVパネル1508が現在動作している最大PV電力のパーセンテージを表し得る。
【0178】
電力ジャンクション1612は、動力式冷却塔構成要素1602、エネルギーグリッド1614、PVパネル1508、及び電力インバータ1610が電気的に接続される点である。電力インバータ1610から電力ジャンクション1612に供給される電力は、Pbatとして示されている。Pbatは、電力インバータ1610が電力ジャンクション1612に電力を提供している(すなわち、バッテリユニット1502が放電している)場合には、正であり得、又は電力インバータ1610が電力ジャンクション1612から電力を受け取っている(すなわち、バッテリユニット1502が充電している)場合には、負であり得る。エネルギーグリッド1614から電力ジャンクション1612に供給される電力は、Pgridとして示され、PVパネル1508から電力ジャンクション1612に供給される電力は、PPVとして示され、燃料セル1891から供給される電力は、PFCとして示される。Pbat、PPV、PFC及びPgridは、電力ジャンクション1612で組み合わされて、Ptotal(すなわち、Ptotal=Pgrid+Pbat+PPV+PFC)を形成する。Ptotalは、電力ジャンクション1612から動力式冷却塔構成要素1602に提供される電力として定義され得る。いくつかの例では、Ptotalは、Pgridよりも大きい。例えば、バッテリユニット1502が放電しているときに、Pbatは正であり得、これは、Pbat及びPPVがPgridと組み合わされてPtotalを形成するときに、グリッド電力Pgrid及びPV電力PPVに加算される。他の例では、Ptotalは、Pgrid未満であり得る。例えば、バッテリユニット1502が充電しているときに、Pbatは、負であり得、これは、Pbat、PPV、及びPgridが組み合わされてPtotalを形成するときに、グリッド電力Pgrid及びPV電力PPVから減算される。
【0179】
予測冷却塔コントローラ1504は、動力式冷却塔構成要素1602及び電力インバータ1610を制御するように構成され得る。いくつかの実施形態では、予測冷却塔コントローラ1504は、バッテリ電力設定点Psp,batを生成し、電力インバータ1610に提供する。バッテリ電力設定点Psp,batは、正又は負の電力値(例えば、kW)を含み得、これはバッテリ電力設定点Psp,batを達成するために、(Psp,batが負の場合)電力インバータ1610に、電力ジャンクション1612で利用可能な電力を使用してバッテリユニット1502を充電させる、又は(Psp,batが正の場合)、バッテリユニット1502を放電して、電力ジャンクション1612に電力を提供させる。いくつかの実施形態では、予測冷却塔コントローラ1504は、燃料セル設定点Psp,FCを生成し、燃料セル1691に提供する。
【0180】
いくつかの実施形態では、予測冷却塔コントローラ1504は、制御信号を生成し、動力式冷却塔構成要素1602に提供する。予測冷却塔コントローラ1504は、制御信号を生成するために多段最適化技法を使用し得る。例えば、予測冷却塔コントローラ1504は、最適化期間中の各時間ステップにおいて、動力式冷却塔構成要素1602によって消費されることになる最適な電力量を判定するように構成された経済コントローラを含み得る。消費されるべき最適な電力量は、冷却塔1512によって消費されるエネルギーのコストを占めるコスト関数を最小化し得る。エネルギーのコストは、電気ユーティリティ1618からの時間変化するエネルギー価格に基づき得る。いくつかの実施形態では、予測冷却塔コントローラ1504は、複数の時間ステップの各々において、エネルギーグリッド1614から購入する最適な電力量(すなわち、グリッド電力設定点Psp,grid)及びバッテリユニット1502から貯蔵又は放出するための最適な電力量(すなわち、バッテリ電力設定点Psp,bat)を判定する。予測冷却塔コントローラ1504は、動力式冷却塔構成要素1602の実際の電力使用量を監視し得、最適な電力設定点を生成するときに、フィードバック信号として実際の電力使用量を利用し得る。
【0181】
予測冷却塔コントローラ1504は、各時間ステップにおいて最適な電力消費量を達成する温度設定点を生成するように構成された追跡コントローラを含み得る。温度設定点は、例えば、収集部水温設定点Tsp,sump(すなわち、収集部1518内の水の温度設定点)及び/又は凝縮器水温設定点Tsp,cond(すなわち、冷却塔1512に戻る温水の温度設定点)を含み得る。いくつかの実施形態では、予測冷却塔コントローラ1504は、動力式冷却塔構成要素1602のための機器モデルを使用して、最適な電力消費量に基づいて、冷却塔1512によって生成され得る冷却量を判定する。
【0182】
いくつかの実施形態では、予測冷却塔コントローラ1504は、温度設定点を使用して、動力式冷却塔構成要素1602に対する制御信号を生成する。制御信号は、オン/オフコマンド、ファン1514に対する速度設定点、ポンプ1516に対する差圧設定点若しくは流量設定点、又は動力式冷却塔構成要素1602の個々のデバイスに対する他のタイプの設定点を含み得る。他の実施形態では、制御信号は、予測冷却塔コントローラ1504によって生成される温度設定点(例えば、収集部水温設定点T
sp,sump、凝縮器水温設定点T
sp,condなど)を含み得る。温度設定点は、温度設定点を達成するために動作する、動力式冷却塔構成要素1602又は動力式冷却塔構成要素1602のローカルコントローラに提供され得る。例えば、ファン1514のローカルコントローラは、収集部水温センサから収集部水温T
cumpの測定値、及び/又は凝縮器水温センサから凝縮器温度T
condの測定値を受信し得る。ローカルコントローラは、フィードバック制御プロセス(例えば、PID、ESC、MPCなど)を使用して、ファン1514の速度を増加又は減少させ、測定された温度を温度設定点まで駆動することができる。同様のフィードバック制御プロセスを使用して、ポンプ1516を制御することができる。予測冷却塔コントローラ1504によって実施される多段最適化は、
図17を参照してより詳細に説明される。
【0183】
予測冷却塔コントローラ
ここで
図17を参照すると、例示的な実施形態による、予測冷却塔コントローラ1504をより詳細に例解するブロック図が示されている。予測冷却塔コントローラ1504は、通信インターフェース1702及び処理回路1704を含むように示されている。通信インターフェース1702は、コントローラ1504と外部システム又はデバイスとの間の通信を容易にし得る。例えば、通信インターフェース1702は、温度センサ1716からの収集部水温T
sump及び凝縮器水温T
condの測定値、及び動力式冷却塔構成要素1602の電力使用量の測定値を受信し得る。いくつかの実施形態では、通信インターフェース1702は、最大バッテリ容量(すなわち、バッテリ%)のパーセンテージとして提供され得る、バッテリユニット1502の充電状態(SOC)の測定値を受信する。通信インターフェース1702は、気象サービス1616から気象予報を受信し、電気ユーティリティ1618から、予測されるエネルギーコスト及び需要コストを受信することができる。いくつかの実施形態では、予測冷却塔コントローラ1504は、通信インターフェース1702を使用して、制御信号を動力式冷却塔構成要素1602及び電力インバータ1610に提供する。
【0184】
通信インターフェース1702は、外部システム若しくはデバイスとデータ通信を行うための有線又は無線通信インターフェース(例えば、ジャック、アンテナ、送信機、受信機、送受信機、有線端末など)を含み得る。様々な実施形態では、通信は、直接的(例えば、ローカル有線通信又は無線通信)であり得るか、又は通信ネットワーク(例えば、WAN、インターネット、セルラネットワークなど)を介し得る。例えば、通信インターフェース1702は、イーサネットベースの通信リンク又はネットワークを介してデータを送信及び受信するためのイーサネットカード及びポートを含むことができる。別の例では、通信インターフェース1702は、無線通信ネットワーク又はセルラ若しくは携帯電話通信送受信機を介して通信するためのWi-Fi送受信機を含むことができる。
【0185】
処理回路1704は、プロセッサ1706及びメモリ1708を含むように示されている。プロセッサ1706は、汎用又は特定目的のプロセッサ、特定用途向け集積回路(ASIC)、1つ以上のフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、処理構成要素のグループ、又は他の好適な電子処理構成要素であり得る。プロセッサ1706は、メモリ1708に記憶された、又は他のコンピュータ可読媒体(例えば、CDROM、ネットワークストレージ、リモートサーバなど)から受信した、コンピュータコード又は命令を実行するように構成されている。
【0186】
メモリ1708は、本開示に記載された様々なプロセスを完了及び/又は促進するためのデータ及び/又はコンピュータコードを記憶するための1つ以上のデバイス(例えば、メモリユニット、メモリデバイス、記憶デバイスなど)を含み得る。メモリ1708は、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み取り専用メモリ(ROM)、ハードドライブストレージ、一時ストレージ、不揮発性メモリ、フラッシュメモリ、光メモリ、又はソフトウェアオブジェクト及び/又はコンピュータ命令を記憶するための任意の他の好適なメモリを含み得る。メモリ1708は、データベース構成要素、オブジェクトコード構成要素、スクリプト構成要素、又は本開示に記載された様々な活動及び情報構造をサポートするための任意の他のタイプの情報構造を含み得る。メモリ1708は、処理回路1704を介してプロセッサ1706に通信可能に接続され得、本明細書に記載された1つ以上のプロセスを(例えば、プロセッサ1706によって)実行するためのコンピュータコードを含み得る。プロセッサ1706が、本明細書に記載された様々な活動を完了するためにメモリ1708に記憶された命令を実行するときに、プロセッサ1706は、概して、そのような活動を完了するように、コントローラ1504(及びより具体的には、処理回路1704)を構成する。
【0187】
更に
図17を参照すると、予測冷却塔コントローラ1504は、経済コントローラ1710、追跡コントローラ1712、及び機器コントローラ1714を含むように示されている。コントローラ1710~1714は、電力インバータ1610及び動力式冷却塔構成要素1602に対する制御信号を生成するための多状態最適化プロセスを実施するように構成され得る。簡単に概要を説明すると、経済コントローラ1710は、予測コスト関数を最適化して、最適化期間の各時間ステップにおいて、エネルギーグリッド1614から購入する最適な電力量(すなわち、グリッド電力設定点P
sp,grid)、バッテリユニット1502から貯蔵又は放出する最適な電力量(すなわち、バッテリ電力設定点P
sp,bat)、及び/又は動力式冷却塔構成要素1602によって消費されるべき最適な電力量(すなわち、冷却塔電力設定点P
sp,total)を判定することができる。追跡コントローラ1712は、最適な電力設定点P
sp,grid、P
sp,bat、及び/又はP
sp,totalを使用して、最適な温度設定点(例えば、収集部水温設定点T
sp,sump、凝縮器水温設定点T
sp,condなど)並びに最適なバッテリ充電又は放電速度(すなわち、Bat
C/D)を判定することができる。機器コントローラ1714は、最適な温度設定点T
sp,zone、又はT
sp,chwを使用して、実際の(例えば、測定された)温度T
zone及び/又はT
chwを(例えば、フィードバック制御技法を使用して)設定点まで駆動する動力式冷却塔構成要素1602に対する制御信号を生成することができる。コントローラ1710~1714の各々は、以下に詳細に説明される。
【0188】
経済コントローラ
経済コントローラ1710は、予測コスト関数を最適化して、最適化期間の各時間ステップにおいて、エネルギーグリッド1614から購入する最適な電力量(すなわち、グリッド電力設定点P
sp,grid)、バッテリユニット1502から貯蔵又は放出する最適な電力量(すなわち、バッテリ電力設定点P
sp,bat)、及び/又は動力式冷却塔構成要素1602によって消費されるべき最適な電力量(すなわち、冷却塔電力設定点P
sp,total)を判定するように構成され得る。経済コントローラ1710によって最適化され得る予測コスト関数の例が、以下の式に示される。
【数32】
式中、C
ec(k)は、時間ステップk中に電気ユーティリティ1618から購入した電気の単位当たりのコスト(例えば、$/kWh)であり、P
fan(k)は、時間ステップk中のファン1514の電力消費量(例えば、kW)であり、P
pump(k)は、時間ステップk中のポンプ1516の電力消費量であり、C
DCは、需要課金レート(例えば、$/kW)であり、max()項は、最適化期間の任意の時間ステップk中に冷却塔1512の最大電気購入(すなわち、P
grid(k)の最大値)を選択し、P
bat(k)は、時間ステップk中にバッテリユニット1502から放出される電力量であり、Δtは、各時間ステップkの持続時間である。経済コントローラ1710は、最適化期間の持続時間にわたって(例えば、時間ステップk=1から時間ステップk=hまで)予測コスト関数Jを最適化して、最適化期間の持続時間にわたって冷却塔1512を動作させる合計コストを予測することができる。
【0189】
予測コスト関数Jの第1及び第2の項は、最適化期間の間にわたって動力式冷却塔構成要素1602によって消費される電気のコストを表す。各時間ステップkにおけるパラメータC
ec(k)の値は、電気ユーティリティ1618によって提供されるエネルギーコスト情報によって定義され得る。いくつかの実施形態では、電気のコストは、時間の関数として変化し、これは、異なる時間ステップkにおいて異なるC
ec(k)の値をもたらす。変数P
fan(k)及びP
cond(k)は、経済コントローラ1710によって最適化され得る決定変数である。いくつかの実施形態では、時間ステップkにおける動力式冷却塔構成要素1602の合計電力消費量P
total(k)は、P
fan(k)及びP
pump(k)の和に等しい(すなわち、P
total(k)=P
fan(k)+P
pump(k))。したがって、いくつかの実施形態では、予測コスト関数の最初の2つの項は、総和
【数33】
で置き換えることができる。
【0190】
予測コスト関数Jの第3の項は、需要課金を表す。需要課金は、該当する需要課金期間中の最大電力消費に基づいて、いくつかのユーティリティによって課される追加課金である。例えば、需要課金レートCDCは、電力の単位当たりのドル換算(例えば、$/kW)で指定され得、需要課金期間中にピーク電力使用量(例えば、kW)を乗算して需要課金が計算され得る。予測コスト関数Jにおいて、需要課金レートCDCは、電気ユーティリティ1618から受信した需要コスト情報によって定義され得る。変数Pgrid(k)は、需要課金期間中に起こるピーク電力使用量max(Pgrid(k))を低減するために、経済コントローラ1710によって最適化され得る決定変数である。負荷シフトは、動力式冷却塔構成要素1602の電力消費量が低いときに、バッテリユニット1502にエネルギーを貯蔵することによって、経済コントローラ1710が冷却塔1512の電気需要における瞬間的なスパイクを平滑化することを可能にし得る。貯蔵されたエネルギーは、動力式冷却塔構成要素1602の電力消費量が高いときに、エネルギーグリッド1614からのピーク電力引き出しPgridを低減させ、それによって発生する需要課金を減少させるために、バッテリユニット1502から放出され得る。
【0191】
予測コスト関数Jの最後の項は、バッテリユニット1502の使用に起因するコスト節約量を表す。コスト関数Jの前の項とは異なり、最後の項は合計コストから減算される。各時間ステップkにおけるパラメータCec(k)の値は、電気ユーティリティ1618によって提供されるエネルギーコスト情報によって定義され得る。いくつかの実施形態では、電気のコストは、時間の関数として変化し、これは、異なる時間ステップkにおいて異なるCec(k)の値をもたらす。変数Pbat(k)は、経済コントローラ1710によって最適化され得る決定変数である。Pbat(k)の正の値は、バッテリユニット1502が放電していることを示し、Pbat(k)の負の値は、バッテリユニット1502が充電していることを示す。バッテリユニット1502から放出される電力Pbat(k)は、動力式冷却塔構成要素1602の合計電力消費量Ptotal(k)の一部又は全てを満たすために使用することができ、これは、エネルギーグリッド1614から購入される電力量Pgrid(k)(すなわち、Pgrid(k)=Ptotal(k)-Pbat(k)-PPV(k))を低減する。しかしながら、バッテリユニット1502を充電すると、エネルギーグリッド1614から購入される合計電力量Pgrid(k)に加算されるPbat(k)の負の値がもたらされる。
【0192】
いくつかの実施形態では、PVパネル1508によって提供される電力PPVは、PV電力を生成することはコストを生じないため、予測コスト関数Jに含まれない。しかしながら、PVパネル1508によって生成される電力PPVを使用して、動力式冷却塔構成要素1602の合計電力消費量Ptotal(k)の一部又は全てを満たすことができ、これは、エネルギーグリッド1614から購入される電力量Pgrid(k)を低減する(すなわち、Pgrid(k)=Ptotal(k)-Pbat(k)-PPV(k))。任意の時間ステップk中に生成されるPV電力量PPVは、経済コントローラ1710によって予測することができる。PVパネルによって生成されるPV電力量を予測するためのいくつかの技法は、米国特許出願第15/247,869号、米国特許出願第15/247,844号、及び米国特許出願第15/247,788号に記載されている。これらの特許出願の各々は、2016年8月25日の出願日を有し、これらの特許出願の各々の開示全体は、参照により本明細書に組み込まれている。
【0193】
経済コントローラ1710は、最適化期間の持続時間にわたって予測コスト関数Jを最適化して、最適化期間中の各時間ステップにおける決定変数の最適値を判定することができる。いくつかの実施形態では、最適化期間は、およそ1日の持続時間を有し、各時間ステップは、およそ15分である。しかしながら、最適化期間及び時間ステップの持続時間は、他の実施形態では変化し得、ユーザによって調整され得る。有利には、経済コントローラ1710は、エネルギー価格が低いとき、及び/又は動力式冷却塔構成要素1602によって消費される電力が低いとき、エネルギーグリッド1614から電気を引き出すことによって負荷シフトを実施するために、バッテリユニット1502を使用することができる。電気は、バッテリユニット1502に貯蔵され、エネルギー価格が高い、及び/又は動力式冷却塔構成要素1602の電力消費量が高いときに後で放電することができる。これにより、経済コントローラ1710は、冷却塔1512によって消費される電気のコストを低減することができ、冷却塔1512の電気需要の瞬間的なスパイクを平滑化することができ、それによって起こる需要課金を低減することができる。
【0194】
経済コントローラ1710は、予測コスト関数Jの最適化に制約を課すように構成され得る。いくつかの実施形態では、制約は、冷却塔1512によって生産される収集部水の温度Tsumpに対する制約を含む。経済コントローラ1710は、実際の又は予測温度Tzumpを、最小温度境界Tminと最大温度境界Tmaxとの間(すなわち、Tmin≦Tsump≦Tmax)に、常に維持するように構成され得る。同様に、経済コントローラ1710は、実際の又は予測温度Tcondを、最小温度境界Tminと最大温度境界Tmaxとの間(すなわち、Tmin≦Tcond≦Tmax)に、常に維持するように構成され得る。パラメータTmin及びTmaxは、異なる時間で異なる温度範囲を定義するために時間変化し得る。
【0195】
温度制約が満たされることを確実にするために、経済コントローラ1710は、経済コントローラ1710によって最適化された決定変数の関数として、温度Tsump及びTcondをモデル化することができる。温度モデルを開発し、温度を予測コスト関数Jの決定変数に関連付けるためのいくつかの技法は、2016年9月6日に付与された米国特許第9,436,179号、2015年4月23日に出願された米国特許出願第14/694,633号、及び2016年6月30日に出願された米国特許出願第15/199,910号に、より詳細に記載されている。これらの特許及び特許出願の各々の開示全体は、参照により本明細書に組み込まれている。
【0196】
温度Tsump及びTcondに対する制約に加えて、経済コントローラ1710は、バッテリユニット1502の充電状態(SOC)及び充電/放電速度に制約を課すことができる。いくつかの実施形態では、経済コントローラ1710は、予測コスト関数Jに対して以下の電力制約を生成し、課す。
Pbat≦Prated
-Pbat≦Prated
式中、Pbatは、バッテリユニット1502から放出される電力量であり、Pratedは、バッテリユニット1502の定格バッテリ電力(例えば、バッテリユニット1502が充電又は放電され得る最大速度)である。これらの電力制約は、バッテリユニット1502が定格Pratedの最大の可能なバッテリ充電/放電速度を超える速度で充電又は放電されないことを保証する。
【0197】
いくつかの実施形態では、経済コントローラ1710は、予測コスト関数Jに対して1つ以上の容量制約を生成し、課す。容量制約は、各時間ステップ中に充電又は放電されるバッテリ電力Pbatをバッテリユニット1502の容量及びSOCに関連付けるために使用され得る。容量制約は、最適化期間の各時間ステップにおいて、バッテリユニット1502の容量が許容可能な下限及び上限内に維持されることを確実にし得る。いくつかの実施形態では、経済コントローラ1710は、以下の容量制約を生成する。
Ca(k)-Pbat(k)Δt≦Crated
Ca(k)-Pbat(k)Δt≧0
式中、Ca(k)は、時間ステップkの開始時の利用可能なバッテリ容量(例えば、kWh)であり、Pbat(k)は、時間ステップk中にバッテリユニット1502が放電される速度(例えば、kW)であり、Δtは、各時間ステップの持続時間であり、Cratedは、バッテリユニット1502の最大定格容量(例えば、kWh)である。項Pbat(k)Δtは、時間ステップk中のバッテリ容量の変化を表す。これらの容量制約は、バッテリユニット1502の容量がゼロと最大定格容量Cratedとの間に維持されることを確実にする。
【0198】
いくつかの実施形態では、経済コントローラ1710は、動力式冷却塔構成要素1602の動作に対して、1つ以上の容量制約を生成し、課す。例えば、動力式冷却塔構成要素1602は、最大電力消費量Ptotal,maxに対応する最大動作点(例えば、最大ポンプ速度、最大冷却容量など)を有し得る。経済コントローラ1710は、以下の式に示されるように、動力式冷却塔構成要素1602に提供される電力Ptotalをゼロと最大電力消費量Ptotal,maxとの間に制限する制約を生成するように構成され得る。
0≦Ptotal≦Ptotal,max
Ptotal=Psp,grid+Psp,bat
式中、動力式冷却塔構成要素1602に提供される合計電力Ptotalは、グリッド電力設定点Psp,gridとバッテリ電力設定点Psp,batとの和である。
【0199】
経済コントローラ1710は、制約に従って予測コスト関数Jを最適化して、決定変数Ptotal、Pfan、Ppump、Pgrid、及びPbatの最適値を判定することができ、ここでPtotal=Pbat+Pgrid+PPVである。いくつかの実施形態では、経済コントローラ1710は、Ptotal、Pbat、及び/又はPgridの最適値を使用して、追跡コントローラ1712に対する電力設定点を生成する。電力設定点は、最適化期間中の時間ステップkの各々に対するバッテリ電力設定点Psp,bat、グリッド電力設定点Psp,grid、及び/又は冷却塔電力設定点Psp,totalを含むことができる。経済コントローラ1710は、電力設定点を追跡コントローラ1712に提供することができる。
【0200】
追跡コントローラ
追跡コントローラ1712は、経済コントローラ1710によって生成される最適な電力設定点Psp,grid、Psp,bat、及び/又はPsp,totalを使用して、最適な温度設定点(例えば、収集部水温設定点Tsp,sump、凝縮器水温設定点Tsp,condなど)及び最適なバッテリ充電又は放電速度(すなわち、BatC/D)を判定することができる。いくつかの実施形態では、追跡コントローラ1712は、冷却塔1512に対する電力設定点Psp,totalを達成することが予測される収集部水温設定点Tsp,sump及び/又は凝縮器水温設定点Tsp,condを生成する。言い換えれば、追跡コントローラ1712は、冷却塔1512に、経済コントローラ1710によって判定された最適な電力量Ptotalを消費させる、収集部水温設定点Tsp,sump及び/又は凝縮器水温設定点Tsp,condを生成し得る。
【0201】
いくつかの実施形態では、追跡コントローラ1712は、電力消費量モデルを使用して、冷却塔1512の電力消費量を、収集部水温Tsump及び収集部水温設定点Tsp,sumpに関連付ける。例えば、追跡コントローラ1712は、機器コントローラ1714のモデルを使用して、収集部水温Tsump及び収集部水温設定点Tsp,sumpの関数として、機器コントローラ1714によって実施される制御動作を判定することができる。このようなゾーン規制コントローラモデルの例を、以下の式に示す。
Ptotal=f4(Tsump、Tsp,sump)
【0202】
関数f4は、データから識別され得る。例えば、追跡コントローラ1712は、Ptotal及びTsumpの測定値を収集し、Tsp,sumpの対応する値を識別することができる。追跡コントローラ1712は、Ptotal、Tsump、及びTsp,sumpの収集された値を訓練データとして使用してシステム識別プロセスを実施して、そのような変数間の関係を定義する関数f4を判定することができる。
【0203】
追跡コントローラ1712は、同様のモデルを使用して、冷却塔1512の合計電力消費量Ptotalと凝縮器水温設定点Tsp,condとの間の関係を判定し得る。例えば、追跡コントローラ1712は、凝縮器水温Tcond及び凝縮器水温設定点Tsp,condの関数として、冷却塔1512の電力消費量Ptotalを定義することができる。このようなモデルの例を以下の式に示す。
Ptotal=f5(Tcond、Tsp,cond)
【0204】
関数f5は、データから識別され得る。例えば、追跡コントローラ1712は、Ptotal及びTcondの測定値を収集し、Tsp,condの対応する値を識別することができる。追跡コントローラ1712は、Ptotal、Tcond、及びTsp,condの収集された値を訓練データとして使用してシステム識別プロセスを実施して、そのような変数間の関係を定義する関数f5を判定することができる。
【0205】
追跡コントローラ1712は、Ptotal、Tsp,sump、及びTsp,condの間の関係を使用して、Tsp,sump、及びTsp,condの値を判定することができる。例えば、追跡コントローラ1712は、経済コントローラ1710からの入力としてPtotalの値(すなわち、Psp,total)を受信することができ、Tsp,sump及びTsp,condの対応する値を使用判定することができる。追跡コントローラ1712は、Tsp,sump、及びTsp,condの値を、機器コントローラ1714への出力として提供することができる。
【0206】
いくつかの実施形態では、追跡コントローラ1712は、バッテリ電力設定点Psp,batを使用して、バッテリユニット1502を充電又は放電する最適な速度BatC/Dを判定する。例えば、バッテリ電力設定点Psp,batは、追跡コントローラ1712によって電力インバータ1610及び/又は機器コントローラ1714に対する制御信号に変換され得る電力値(kW)を定義し得る。他の実施形態では、バッテリ電力設定点Psp,batは、電力インバータ1610に直接提供され、バッテリ電力Pbatを制御するために電力インバータ1610によって使用される。
【0207】
機器コントローラ
機器コントローラ1714は、追跡コントローラ1712によって生成される最適な温度設定点Tsp,sump又はTsp,condを使用して、動力式冷却塔構成要素1602に対する制御信号を生成することができる。機器コントローラ1714によって生成される制御信号は、実際の(例えば、測定された)温度Tsump及び/又はTcondを設定点まで駆動し得る。機器コントローラ1714は、動力式冷却塔構成要素1602に対する制御信号を生成するために、様々な制御技法のいずれかを使用することができる。例えば、機器コントローラ1714は、状態ベースのアルゴリズム、極値探索制御(ESC)アルゴリズム、比例積分(PI)制御アルゴリズム、比例積分微分(PID)制御アルゴリズム、モデル予測制御(MPC)アルゴリズム、又は他のフィードバック制御アルゴリズムを使用して、動力式冷却塔構成要素1602に対する制御信号を生成することができる。
【0208】
制御信号は、オン/オフコマンド、ファン1514に対する速度設定点、ポンプ1516に対する圧力設定点若しくは流量設定点、又は動力式冷却塔構成要素1602の個々のデバイスに対する他のタイプの設定点を含み得る。他の実施形態では、制御信号は、予測冷却塔コントローラ1504によって生成される温度設定点(例えば、収集部水温設定点Tsp,sump、凝縮器水温設定点Tsp,condなど)を含み得る。温度設定点は、温度設定点を達成するために動作する、動力式冷却塔構成要素1602又は動力式冷却塔構成要素1602のローカルコントローラに提供され得る。例えば、ファン1514用のローカルコントローラは、温度センサ1716からの収集部水温Tsumpの測定値及び/又は凝縮器水温Tcondの測定値を受信し得、測定された温度を設定点に駆動するように、ファン1514の速度を調節し得る。
【0209】
いくつかの実施形態では、機器コントローラ1714は、電力インバータ1610に制御信号を提供するように構成されている。電力インバータ1610に提供される制御信号は、バッテリ電力設定点Psp,bat、及び/又は最適な充電/放電速度BatC/Dを含み得る。機器コントローラ1714は、バッテリ電力設定点Psp,batを達成するために、電力インバータ1610を動作させるように構成され得る。例えば、機器コントローラ1714は、バッテリ電力設定点Psp,batに従って、電力インバータ1610にバッテリユニット1502を充電するか、又はバッテリユニット1502を放電させることができる。
【0210】
バッテリ及び予測制御部を備えたバルブユニット
ここで
図18~19を参照すると、いくつかの実施形態による、バッテリユニット1802及び予測バルブコントローラ1804を有するバルブユニット1800が示されている。バルブユニット1800は、バルブアクチュエータ1834を介してバルブ1832を制御するように構成され得る。バルブ1832は、入口管1812から出口管1814への流体の流量を制御するように構成された流体制御バルブであり得る。アクチュエータ1834は、バルブ1832の位置を調節するように構成されたモータ又は他の動力式構成要素を含み得る。いくつかの実施形態では、バルブユニット1800は、流体回路1838を介してHVACデバイス1836を通る流体の流れを制御するように構成される。HVACデバイス1836は、例えば、加熱コイル若しくは冷却コイル、空気ハンドリングユニット、屋上ユニット、熱交換器、冷蔵庫若しくは冷凍庫、凝縮器若しくは蒸発器、冷却塔、又はHVACシステム内の流体を受け取る任意の他のタイプのシステム若しくはデバイスを含み得る。
【0211】
いくつかの実施形態では、バッテリユニット1802は、1つ以上のバッテリセル1806を含む。バッテリセル1806は、電気エネルギー(すなわち、電気)を貯蔵及び放出するように構成されている。いくつかの実施形態では、バッテリユニット1802は、(例えば、電気ユーティリティによって提供される)外部エネルギーグリッドからの電気を使用して充電される。バッテリユニット1802に貯蔵された電気は、バルブユニット1800の1つ以上の動力式構成要素(例えば、アクチュエータ1834)に電力供給するために放出され得る。有利には、バッテリユニット1802は、エネルギー価格が低いときにバルブユニット1800がエネルギーグリッドから電気を引き出し、バッテリユニット1802を充電し、エネルギー価格が高いときに貯蔵された電気を放出して、バルブユニット1800の電気負荷を時間的にシフトすることを可能にする。いくつかの実施形態では、バッテリユニット1802が、高エネルギーコスト期間中に利用され、低エネルギーコスト期間中に充電され得るように、バッテリユニット1802は、最大容量で動作するときに、バルブユニット1800におよそ4~6時間にわたって電力供給するのに十分なエネルギー容量を有する。
【0212】
図19に示されるように、バルブユニット1800は、燃料セル1901を含むことができる。いくつかの実施形態では、燃料セル1901は、化学反応を使用して電気エネルギーを生成するように構成された燃料セルである。例えば、燃料セル1901は、一対の酸化還元反応を通して、水素及び酸化剤(例えば、酸素)の化学エネルギーを電気に変換し得る。他の実施形態では、燃料セル1901は、電気を生成するためにディーゼル、メタノール、天然ガスなどのうちの1つ以上を使用する炭化水素燃料セルである。燃料セル1901は、電気を生成して、グリッドエネルギー又は他のエネルギー源を増強し、高エネルギーコスト期間中にバッテリ放電を補完し、又は(例えば、高エネルギーコスト期間中に)電気を生成して、バッテリを充電するように制御され得る。燃料セルは、例えば、定期的に購入され、バルブユニット1100に追加され得る燃料交換(例えば、水素の供給)を必要とし得る。バルブユニット1100が燃料セル1901を含む実施形態では、本明細書における制御及び最適化プロセスは、燃料セル1901を含むバルブユニット1100の様々な構成要素に対して制御出力を生成するときの、燃料セル1901の寄与及び燃料セル1901を動作させるコストを考慮するように構成されている。例えば、予測バルブコントローラ1804によって実施される最適化は、最適化期間の各時間ステップに対して電気を生成するために燃料セル1901を動作させるかどうかを判定し得る。
【0213】
いくつかの実施形態では、予測バルブコントローラ1804は、最適化プロセスを実施して、最適化期間中に起こる複数の時間ステップの各々の間にバッテリユニット1802を充電するか、又は放電するかを判定する。予測バルブコントローラ1804は、複数の時間ステップの各々の間に必要とされる加熱/冷却の量及び電気のコストを予測するために、気象及び価格データ1810を使用し得る。予測バルブコントローラ1804は、最適化期間中にわたってエネルギーグリッドから購入される電気のコストを考慮する目的関数を最適化することができる。予測バルブコントローラ1804は、各時間ステップ中に、エネルギーグリッドから購入する電気量及びバッテリユニット1802から貯蔵又は放電する電気量を判定することができる。予測バルブコントローラ1804によって実施される目的関数及び最適化は、
図20~21を参照してより詳細に説明される。
【0214】
予測バルブ制御システム
ここで
図20を参照すると、いくつかの実施形態による予測バルブ制御システム2000のブロック図が示されている。制御システム2000に示される構成要素のいくつかは、バルブユニット1800の一部であり得る。例えば、バルブユニット1800は、アクチュエータ1834、バッテリユニット1802、予測バルブコントローラ1804、電力インバータ2010、及び電力ジャンクション2012を含み得る。
【0215】
電力インバータ2010は、直流(DC)と交流(AC)との間で電気電力を変換するように構成され得る。例えば、バッテリユニット1802は、DC電力を記憶及び出力するように構成され得るが、エネルギーグリッド2014及びアクチュエータ1834は、AC電力を消費及び提供するように構成され得る。電力インバータ2010は、バッテリユニット1802からのDC電力を、エネルギーグリッド2014及び/又はアクチュエータ1834のグリッド周波数に同期された正弦波AC出力に変換するために使用され得る。電力インバータ2010はまた、エネルギーグリッド2014からのAC電力を、バッテリユニット1802に貯蔵することができるDC電力に変換するために使用され得る。バッテリユニット1802の電力出力は、Pbatとして示されている。Pbatは、バッテリユニット1802が電力インバータ2010に電力を提供している(すなわち、バッテリユニット1802が放電している)場合には、正であり得、又はバッテリユニット1802が電力インバータ2010から電力を受け取っている(すなわち、バッテリユニット1802が充電している)場合には、負であり得る。
【0216】
いくつかの例では、電力インバータ2010は、バッテリユニット1802からのDC電力出力を受信し、DC電力出力をアクチュエータ1834に提供され得るAC電力出力に変換する。電力インバータ2010は、ローカル発振器を使用して、AC電力出力の周波数をエネルギーグリッド2014の周波数(例えば、50Hz又は60Hz)と同期させ得、AC電力出力の電圧をグリッド電圧よりも高くならないように制限し得る。いくつかの実施形態では、電力インバータ2010は、エネルギーグリッド2014の周波数に一致する正弦波を達成するために、単純な方形波から高調波を除去するLC回路を含む又は使用する共振インバータである。様々な実施形態では、電力インバータ2010は、高周波変圧器、低周波変圧器を使用して、又は変圧器を伴わずに動作し得る。低周波変圧器は、バッテリユニット1802からのDC出力を、アクチュエータ1834に提供されるAC出力に直接変換し得る。高周波変圧器は、多段階プロセスを採用し得、このプロセスは、DC出力を高周波ACに変換し、次いでDCに戻し、次いで最終的にアクチュエータ1834に提供されるAC出力に変換することを伴う。
【0217】
電力ジャンクション2012は、アクチュエータ1834、エネルギーグリッド2014、及び電力インバータ2010が電気的に接続される点である。電力インバータ2010から電力ジャンクション2012に供給される電力は、Pbatとして示されている。Pbatは、電力インバータ2010が電力ジャンクション2012に電力を提供している(すなわち、バッテリユニット1802が放電している)場合には、正であり得、又は電力インバータ2010が電力ジャンクション2012から電力を受け取っている(すなわち、バッテリユニット1802が充電している)場合には、負であり得る。エネルギーグリッド2014から電力ジャンクション2012に供給される電力は、Pgridとして示されている。Pbat及びPgridは、電力ジャンクション2012で組み合わされて、Ptotal(すなわち、Ptotal=Pgrid+Pbat)を形成する。Ptotalは、電力ジャンクション2012からアクチュエータ1834に提供される電力として定義され得る。いくつかの例では、Ptotalは、Pgridよりも大きい。例えば、バッテリユニット1802が放電しているときに、Pbatは正であり得、これは、PbatとPgridとが組み合わさってPtotalを形成するときに、グリッド電力Pgridに加算される。他の例では、Ptotalは、Pgrid未満であり得る。例えば、バッテリユニット1802が充電しているときに、Pbatは、負であり得、これは、PbatとPgridとが組み合わさってPtotalを形成するときに、グリッド電力Pgridから減算される。
【0218】
予測バルブコントローラ1804は、アクチュエータ1834及び電力インバータ2010を制御するように構成され得る。いくつかの実施形態では、予測バルブコントローラ1804は、バッテリ電力設定点Psp,batを生成し、電力インバータ2010に提供する。バッテリ電力設定点Psp,batは、正又は負の電力値(例えば、kW)を含み得、これはバッテリ電力設定点Psp,batを達成するために、(Psp,batが負の場合)電力インバータ2010に、電力ジャンクション2012で利用可能な電力を使用してバッテリユニット1802を充電させる
又は(Psp,batが正の場合)バッテリユニット1802を放電して、電力ジャンクション2012に電力を提供させるる。
【0219】
いくつかの実施形態では、予測バルブコントローラ1804は、制御信号を生成し、アクチュエータ1834に提供する。予測バルブコントローラ1804は、制御信号を生成するために多段最適化技法を使用し得る。例えば、予測バルブコントローラ1804は、最適化期間中の各時間ステップにおいてアクチュエータ1834によって消費されるべき最適な電力量を判定するように構成された経済コントローラを含み得る。消費されるべき最適な電力量は、バルブユニット1800によって消費されるエネルギーのコストを占めるコスト関数を最小化し得る。エネルギーのコストは、電気ユーティリティ2018からの時間変化するエネルギー価格に基づき得る。いくつかの実施形態では、予測バルブコントローラ1804は、複数の時間ステップの各々において、エネルギーグリッド2014から購入する最適な電力量(すなわち、グリッド電力設定点Psp,grid)及びバッテリユニット1802から貯蔵又は放出するための最適な電力量(すなわち、バッテリ電力設定点Psp,bat)を判定する。予測バルブコントローラ1804は、アクチュエータ1834の実際の電力使用量を監視し得、最適な電力設定点を生成するときに、フィードバック信号として実際の電力使用量を利用し得る。
【0220】
予測バルブコントローラ1804は、各時間ステップにおける最適な電力消費量を達成するアクチュエータ1834の位置設定点を生成するように構成された追跡コントローラを含み得る。いくつかの実施形態では、予測バルブコントローラ1804は、アクチュエータ1834のための機器モデルを使用して、最適な電力消費量に対応するアクチュエータ1834の位置を判定する。
【0221】
いくつかの実施形態では、予測バルブコントローラ1804は、位置設定点を使用して、アクチュエータ1834に対する制御信号を生成する。制御信号は、オン/オフコマンド、位置コマンド、電圧信号、又はアクチュエータ1834の動作に影響を与える他のタイプの設定点を含み得る。他の実施形態では、制御信号は、予測バルブコントローラ1804によって生成される位置設定点を含み得る。設定点は、設定点を達成するために動作するアクチュエータ1834又はアクチュエータ1834用のローカルコントローラに提供され得る。例えば、アクチュエータ1834用のローカルコントローラは、1つ以上の位置センサからバルブ位置の測定値を受信し得る。ローカルコントローラは、フィードバック制御プロセス(例えば、PID、ESC、MPCなど)を使用して、アクチュエータ1834及び/又はバルブ1832の位置を調整し、測定された位置を設定点に駆動することができる。予測バルブコントローラ1804によって実施される多段階最適化は、
図21を参照してより詳細に説明される。
【0222】
予測バルブコントローラ
ここで
図21を参照すると、例示的な実施形態による、予測バルブコントローラ1804をより詳細に例解するブロック図が示されている。予測バルブコントローラ1804は、通信インターフェース2102及び処理回路2104を含むように示されている。通信インターフェース2102は、コントローラ1804と外部システム又はデバイスとの間の通信を容易にし得る。例えば、通信インターフェース2102は、位置センサ2118からのバルブ位置の測定値、及びアクチュエータ1834の電力使用量の測定値を受信し得る。いくつかの実施形態では、通信インターフェース2102は、最大バッテリ容量(すなわち、バッテリ%)のパーセンテージとして提供され得る、バッテリユニット1802の充電状態(SOC)の測定値を受信する。通信インターフェース2102は、気象サービス916から気象予報を受信し、電気ユーティリティ2018から、予測されるエネルギーコスト及び需要コストを受信することができる。いくつかの実施形態では、予測バルブコントローラ1804は、通信インターフェース2102を使用して、制御信号をアクチュエータ1834及び電力インバータ2010に提供する。
【0223】
通信インターフェース2102は、外部システム若しくはデバイスとデータ通信を行うための有線又は無線通信インターフェース(例えば、ジャック、アンテナ、送信機、受信機、送受信機、有線端末など)を含み得る。様々な実施形態では、通信は、直接的(例えば、ローカル有線通信又は無線通信)であり得るか、又は通信ネットワーク(例えば、WAN、インターネット、セルラネットワークなど)を介し得る。例えば、通信インターフェース2102は、イーサネットベースの通信リンク又はネットワークを介してデータを送信及び受信するためのイーサネットカード及びポートを含むことができる。別の例では、通信インターフェース2102は、無線通信ネットワーク又はセルラ若しくは携帯電話通信送受信機を介して通信するためのWi-Fi送受信機を含むことができる。
【0224】
処理回路2104は、プロセッサ2106及びメモリ2108を含むように示されている。プロセッサ2106は、汎用又は特定目的のプロセッサ、特定用途向け集積回路(ASIC)、1つ以上のフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、処理構成要素のグループ、又は他の好適な電子処理構成要素であり得る。プロセッサ2106は、メモリ2108に記憶された、又は他のコンピュータ可読媒体(例えば、CDROM、ネットワークストレージ、リモートサーバなど)から受信した、コンピュータコード又は命令を実行するように構成されている。
【0225】
メモリ2108は、本開示に記載された様々なプロセスを完了及び/又は促進するためのデータ及び/又はコンピュータコードを記憶するための1つ以上のデバイス(例えば、メモリユニット、メモリデバイス、記憶デバイスなど)を含み得る。メモリ2108は、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み取り専用メモリ(ROM)、ハードドライブストレージ、一時ストレージ、不揮発性メモリ、フラッシュメモリ、光メモリ、又はソフトウェアオブジェクト及び/又はコンピュータ命令を記憶するための任意の他の好適なメモリを含み得る。メモリ2108は、データベース構成要素、オブジェクトコード構成要素、スクリプト構成要素、又は本開示に記載された様々な活動及び情報構造をサポートするための任意の他のタイプの情報構造を含み得る。メモリ2108は、処理回路2104を介してプロセッサ2106に通信可能に接続され得、本明細書に記載された1つ以上のプロセスを(例えば、プロセッサ2106によって)実行するためのコンピュータコードを含み得る。プロセッサ2106が、本明細書に記載された様々な活動を完了するためにメモリ2108に記憶された命令を実行するときに、プロセッサ2106は、概して、そのような活動を完了するように、コントローラ1804(及びより具体的には、処理回路2104)を構成する。
【0226】
更に
図21を参照すると、予測バルブコントローラ1804は、経済コントローラ2110、追跡コントローラ2112、及び機器コントローラ2114を含むように示されている。コントローラ2110~2114は、電力インバータ2010及びアクチュエータ1834のための制御信号を生成するための多状態最適化プロセスを実施するように構成され得る。簡単に概要を説明すると、経済コントローラ2110は、予測コスト関数を最適化して、最適化期間の各時間ステップにおいて、エネルギーグリッド2014から購入する最適な電力量(すなわち、グリッド電力設定点P
sp,grid)、バッテリユニット1802から貯蔵又は放出する最適な電力量(すなわち、バッテリ電力設定点P
sp,bat)、及び/又はアクチュエータ1834によって消費されるべき最適な電力量(すなわち、ポンプ電力設定点P
sp,act)を判定することができる。追跡コントローラ2112は、最適な電力設定点P
sp,grid、P
sp,bat、及び/又はP
sp,actを使用し、バルブ1832に対する最適位置設定点Pos
sp及び最適なバッテリ充放電速度(すなわち、Bat
C/D)を判定することができる。機器コントローラ2114は、最適位置設定点Pos
spを使用して、実際の(例えば、測定された)位置を(例えば、フィードバック制御技法を使用して)設定点に駆動するアクチュエータ1834に対する制御信号を生成することができる。コントローラ2110~2114の各々は、以下に詳細に説明される。
【0227】
経済コントローラ
経済コントローラ2110は、予測コスト関数を最適化して、最適化期間の各時間ステップにおいて、エネルギーグリッド2014から購入する最適な電力量(すなわち、グリッド電力設定点P
sp,grid)、バッテリユニット1802から貯蔵又は放出する最適な電力量(すなわち、バッテリ電力設定点P
sp,bat)、及び/又はアクチュエータ1834によって消費されるべき最適な電力量(すなわち、アクチュエータ電力設定点P
sp,act)を判定するように構成され得る。経済コントローラ2110によって最適化され得る予測コスト関数の例が、以下の式に示される。
【数34】
式中、C
ec(k)は、時間ステップk中に電気ユーティリティ2018から購入される電気の単位当たりのコスト(例えば、$/kWh)であり、P
act(k)は、時間ステップkにおけるアクチュエータ1834の電力消費量であり、C
DCは、需要課金レート(例えば、$/kW)であり、max()項は、最適化期間の任意の時間ステップk中にバルブユニット1800の最大電気購入(すなわち、P
grid(k)の最大値)を選択し、P
bat(k)は、時間ステップk中にバッテリユニット1802から放出される電力量であり、Δtは、各時間ステップkの持続時間である。経済コントローラ2110は、最適化期間の持続時間にわたって(例えば、時間ステップk=1から時間ステップk=hまで)予測コスト関数Jを最適化して、最適化期間の持続時間にわたってバルブユニット1800を動作させる合計コストを予測することができる。
【0228】
予測コスト関数Jの第1の項は、最適化期間の持続時間にわたってアクチュエータ1834によって消費される電気電力のコストを表す。各時間ステップkにおけるパラメータCec(k)の値は、電気ユーティリティ2018によって提供されるエネルギーコスト情報によって定義され得る。いくつかの実施形態では、電気のコストは、時間の関数として変化し、これは、異なる時間ステップkにおいて異なるCec(k)の値をもたらす。変数Pact(k)は、経済コントローラ2110によって最適化され得る決定変数である。
【0229】
予測コスト関数Jの第2の項は、需要課金を表す。需要課金は、該当する需要課金期間中の最大電力消費に基づいて、いくつかのユーティリティプロバイダによって課される追加課金である。例えば、需要課金レートCDCは、電力の単位当たりのドル換算(例えば、$/kW)で指定され得、需要課金期間中にピーク電力使用量(例えば、kW)を乗算して需要課金が計算され得る。予測コスト関数Jにおいて、需要課金レートCDCは、電気ユーティリティ2018から受信した需要コスト情報によって定義され得る。変数Pgrid(k)は、需要課金期間中に起こるピーク電力使用量max(Pgrid(k))を低減するために、経済コントローラ2110によって最適化され得る決定変数である。負荷シフトは、アクチュエータ1834の電力消費量が低いときに、バッテリユニット1802にエネルギーを貯蔵することによって、経済コントローラ2110がバルブユニット1800の電気需要における瞬間的なスパイクを平滑化することを可能にし得る。貯蔵されたエネルギーは、アクチュエータ1834の電力消費量が高いときに、エネルギーグリッド2014からのピーク電力引き出しPgridを低減させ、それによって発生する需要課金を減少させるために、バッテリユニット1802から放出され得る。
【0230】
予測コスト関数Jの最後の項は、バッテリユニット1802の使用に起因するコスト節約量を表す。コスト関数Jの前の項とは異なり、最後の項は合計コストから減算される。各時間ステップkにおけるパラメータCec(k)の値は、電気ユーティリティ2018によって提供されるエネルギーコスト情報によって定義され得る。いくつかの実施形態では、電気のコストは、時間の関数として変化し、これは、異なる時間ステップkにおいて異なるCec(k)の値をもたらす。変数Pbat(k)は、経済コントローラ2110によって最適化され得る決定変数である。Pbat(k)の正の値は、バッテリユニット1802が放電していることを示し、Pbat(k)の負の値は、バッテリユニット1802が充電していることを示す。バッテリユニット1802から放出される電力Pbat(k)は、アクチュエータ1834の合計電力消費量Ptotal(k)の一部又は全てを満たすために使用することができ、これは、エネルギーグリッド2014から購入される電力量Pgrid(k)を低減する(すなわち、Pgrid(k)=Ptotal(k)-Pbat(k))。しかしながら、バッテリユニット1802を充電すると、エネルギーグリッド2014から購入される合計電力量Pgrid(k)に加算されるPbat(k)の負の値がもたらされる。
【0231】
経済コントローラ2110は、最適化期間の持続時間にわたって予測コスト関数Jを最適化して、最適化期間中の各時間ステップにおける決定変数の最適値を判定することができる。いくつかの実施形態では、最適化期間は、およそ1日の持続時間を有し、各時間ステップは、およそ15分である。しかしながら、最適化期間及び時間ステップの持続時間は、他の実施形態では変化し得、ユーザによって調整され得る。有利には、経済コントローラ2110は、エネルギー価格が低いとき、及び/又は動力式アクチュエータ1834によって消費される電力が低いとき、エネルギーグリッド2014から電気を引き出すことによって負荷シフトを実施するために、バッテリユニット1802を使用することができる。電気は、バッテリユニット1802に貯蔵され、エネルギー価格が高く、及び/又はアクチュエータ1834の電力消費が高いときに、後で放電することができる。これにより、経済コントローラ2110は、バルブユニット1800によって消費される電気のコストを低減し、バルブユニット1800の電気需要の瞬間的なスパイクを平滑化し、それによって起こる需要課金を低減することができる。
【0232】
経済コントローラ2110は、予測コスト関数Jの最適化に制約を課すように構成され得る。いくつかの実施形態では、制約は、アクチュエータ1834の位置に対する制約を含む。経済コントローラ2110は、実際の又は予測される位置を、最小位置境界Posminと最大位置境界Posmaxとの間(すなわち、Posmin≦Pos≦Posmax)に、常に維持するように構成され得る。パラメータPosmin及びPosmaxは、異なる時間に異なる位置範囲を定義するために時間変化し得る。
【0233】
バルブ1832の位置に対する制約に加えて、経済コントローラ2110は、バッテリユニット1802の充電状態(SOC)及び充電/放電速度に制約を課すことができる。いくつかの実施形態では、経済コントローラ2110は、予測コスト関数Jに対して以下の電力制約を生成し、課す。
Pbat≦Prated
-Pbat≦Prated
式中、Pbatは、バッテリユニット1802から放出される電力量であり、Pratedは、バッテリユニット1802の定格バッテリ電力(例えば、バッテリユニット1802が充電又は放電され得る最大速度)である。これらの電力制約は、バッテリユニット1802が定格Pratedの最大の可能なバッテリ充電/放電速度を超える速度で充電又は放電されないことを保証する。
【0234】
いくつかの実施形態では、経済コントローラ2110は、予測コスト関数Jに対して1つ以上の容量制約を生成し、課す。容量制約は、各時間ステップ中に充電又は放電されるバッテリ電力Pbatをバッテリユニット1802の容量及びSOCに関連付けるために使用され得る。容量制約は、最適化期間の各時間ステップにおいて、バッテリユニット1802の容量が許容可能な下限及び上限内に維持されることを確実にし得る。いくつかの実施形態では、経済コントローラ2110は、以下の容量制約を生成する。
Ca(k)-Pbat(k)Δt≦Crated
Ca(k)-Pbat(k)Δt≧0
式中、Ca(k)は、時間ステップkの開始時の利用可能なバッテリ容量(例えば、kWh)であり、Pbat(k)は、時間ステップk中にバッテリユニット1802が放電される速度(例えば、kW)であり、Δtは、各時間ステップの持続時間であり、Cratedは、バッテリユニット1802の最大定格容量(例えば、kWh)である。項Pbat(k)Δtは、時間ステップk中のバッテリ容量の変化を表す。これらの容量制約は、バッテリユニット1802の容量がゼロと最大定格容量Cratedとの間に維持されることを確実にする。
【0235】
いくつかの実施形態では、経済コントローラ2110はアクチュエータ1834の動作に対して、1つ以上の容量制約を生成し、課す。例えば、アクチュエータ1834は、最大電力消費量Pact,maxに対応する最大動作点(例えば、最大作動速度、最大位置など)を有し得る。経済コントローラ2110は、以下の式に示されるように、アクチュエータ1834に提供される電力Pactをゼロと最大電力消費量Pact,maxとの間に制限する制約を生成するように構成され得る。
0≦Pact≦Pact,max
Pact=Psp,grid+Psp,bat
式中、アクチュエータ1834に提供される合計電力Pactは、グリッド電力設定点Psp,gridとバッテリ電力設定点Psp,batとの和である。
【0236】
経済コントローラ2110は、制約の対象となる予測コスト関数Jを最適化して、決定変数Pact、Pgrid、及びPbatの最適値を判定することができ、ここでPact=Pbat+Pgridである。いくつかの実施形態では、経済コントローラ2110は、Pact、Pbat、及び/又はPgridに対する最適値を使用して、追跡コントローラ2112に対する電力設定点を生成する。電力設定点は、最適化期間中の時間ステップkの各々に対するバッテリ電力設定点Psp,bat、グリッド電力設定点Psp,grid、及び/又はアクチュエータ電力設定点Psp,actを含むことができる。経済コントローラ2110は、電力設定点を追跡コントローラ2112に提供することができる。
【0237】
追跡コントローラ
追跡コントローラ2112は、経済コントローラ2110によって生成される最適な電力設定点Psp,grid、Psp,bat、及び/又はPsp,actを使用して、最適位置設定点Possp及び最適なバッテリ充放電レート(すなわち、BatC/D)を判定することができる。いくつかの実施形態では、追跡コントローラ2112は、アクチュエータ1834に対する電力設定点Psp,actを達成することが予測される位置設定点Posspを生成する。言い換えれば、追跡コントローラ2112は、経済コントローラ2110によって判定された最適な電力量Pactをアクチュエータ1834に消費させる位置設定点Posspを生成し得る。
【0238】
いくつかの実施形態では、追跡コントローラ2112は、バッテリ電力設定点Psp,batを使用して、バッテリユニット1802を充電又は放電する最適な速度BatC/Dを判定する。例えば、バッテリ電力設定点Psp,batは、追跡コントローラ2112によって電力インバータ2010及び/又は機器コントローラ2114に対する制御信号に変換され得る電力値(kW)を定義し得る。他の実施形態では、バッテリ電力設定点Psp,batは、電力インバータ2010に直接提供され、バッテリ電力Pbatを制御するために電力インバータ2010によって使用される。
【0239】
機器コントローラ
機器コントローラ2114は、追跡コントローラ2112によって生成される最適位置設定点Posspを使用して、アクチュエータ1834に対する制御信号を生成することができる。機器コントローラ2114によって生成される制御信号は、バルブ1832設定点の実際の(例えば、測定された)位置を駆動し得る。機器コントローラ2114は、様々な制御技法のいずれかを使用して、アクチュエータ1834に対する制御信号を生成することができる。例えば、機器コントローラ2114は、状態ベースのアルゴリズム、極値探索制御(ESC)アルゴリズム、比例積分(PI)制御アルゴリズム、比例積分微分(PID)制御アルゴリズム、モデル予測制御(MPC)アルゴリズム、又は他のフィードバック制御アルゴリズムを使用して、アクチュエータ1834に対する制御信号を生成することができる。
【0240】
制御信号は、オン/オフコマンド、位置コマンド、電圧信号、又はアクチュエータ1834の動作に影響を与える他のタイプの設定点を含み得る。他の実施形態では、制御信号は、予測バルブコントローラ1804によって生成される位置設定点を含み得る。設定点は、設定点を達成するために動作するアクチュエータ1834又はアクチュエータ1834用のローカルコントローラに提供され得る。例えば、アクチュエータ1834用のローカルコントローラは、1つ以上の位置センサからバルブ位置の測定値を受信し得る。ローカルコントローラは、フィードバック制御プロセス(例えば、PID、ESC、MPCなど)を使用して、アクチュエータ1834及び/又はバルブ1832の位置を調整し、測定された位置を設定点に駆動することができる。
【0241】
いくつかの実施形態では、機器コントローラ2114は、電力インバータ2010に制御信号を提供するように構成されている。電力インバータ2010に提供される制御信号は、バッテリ電力設定点Psp,bat、及び/又は最適な充電/放電速度BatC/Dを含むことができる。機器コントローラ2114は、バッテリ電力設定点Psp,batを達成するために、電力インバータ2010を動作させるように構成され得る。例えば、機器コントローラ2114は、バッテリ電力設定点Psp,batに従って、電力インバータ2010にバッテリユニット1802を充電するか、又はバッテリユニット1802を放電させることができる。
【0242】
燃料セルの最適化
ここで
図22を参照すると、例えば、建物機器(例えば、で考察される
図8の燃料セル808、
図12の燃料セル202、
図16の燃料セル1691、若しくは
図19の燃料セル1901)と統合された、又はモジュール式エネルギーユニット(例えば、以下で考察される
図23~24を参照)に含まれる燃料セルの動作の最適化に関連するプロセス2200のフローチャートが示されている。プロセス2200は、本明細書に記載される様々な予測コントローラ又は電力管理回路、例えば、予測チラーコントローラ704、予測ポンプコントローラ1104、予測冷却塔コントローラ1504などによって実行され得る。他の実施形態では、
図22の最適化プロセスは、スタンドアロン燃料セルに対して実施することができ、スタンドアロン燃料セルのコントローラによって実行され得る。他の実施形態では、プロセス2200は、例えば、
図29~30に示され、以下で考察されるように、クラウドベースの最適化資源によって実施される。
【0243】
ステップ2202において、建物機器(例えば、上で考察される、
図8の燃料セル808、
図12の燃料セル202、
図16の燃料セル1691、又は
図19の燃料セル1901)と統合された燃料セルが監視される。例えば、燃料セルを監視するために、発電、燃料レベル、燃料使用率、オン/オフ状態などに関するデータが収集され得る。例えば、ステップ2202は、時系列内の各時間ステップに対する1つ以上の燃料セル関連変数を示す燃料セルデータの時系列を収集することを含むことができる。ステップ2202は、燃料セルの過去の使用量、燃料消費量などを示す燃料セル訓練データのセットの収集及び集計をもたらし得る。いくつかの実施形態では、燃料セルによって供される建物機器、建物機器の動作によって影響の対象となる建物状態、又は燃料セルの需要に影響を与え得る他の変数(例えば、気象、建物スケジュールなど)に関するデータが、ステップ2202における燃料セルを監視する一部として収集され得る。
【0244】
ステップ2204において、燃料セルの将来の使用量が予測される。燃料セルの将来の使用量は、例えば、ステップ2202において燃料セルを監視することによって収集された時系列データ上で訓練されたモデルに基づいて、ステップ2202からの燃料セルの監視に基づいて予測され得る。例えば、ステップ2202において収集されたデータは、ステップ2202において収集されたデータに表される入力のセットに基づいて、燃料セルの将来の使用量を予測するニューラルネットワークを訓練するために使用され得る。例えば、気象予報データ、建物設定点、時間帯、現在の使用量などが、将来の燃料セルの使用量を予測するために使用され得る。燃料セルの将来の使用量は、燃料消費量(例えば、水素の量、燃料セル容量のパーセンテージなど)の観点から予測され得る。
【0245】
ステップ2206において、燃料価格が追跡される。燃料セルの燃料の価格(例えば、水素燃料セルを補充するための追加の水素)は、経時的な燃料価格の変動を見るように追跡される。燃料価格を追跡することは、平均価格を識別すること、燃料セル価格の変動をモデル化すること、燃料価格の予測を適応的に改良すること、低価格時間を識別すること、高価格時間を識別することなどを含むことができる。ステップ2206は、複数の燃料源を監視して、燃料セルの燃料の最小コストオプションを識別することを含むことができる。いくつかの実施形態では、ステップ2206は、好ましい水素生産方法(例えば、化石燃料からではなく、風力によって水電解から生産される水素)を識別し、よりクリーンな生産で水素源の好適性を生成することを含むことができる。
【0246】
ステップ2208において、燃料貯蔵制限又はコストに関する制約又はペナルティの対象となる、燃料セルのための燃料を購入するコストを最小化する最適化が実施される。例えば、燃料の貯蔵タンクは、(例えば、建物において)燃料セルの近傍に含まれ得、固定容量(すなわち、それが保持することができる最大の燃料)を有し得る。そのような実施形態では、制約は、最適化が貯蔵タンクの過充填をもたらす解に到達するのを防ぐように定義される。別の例として、いくつかのシナリオ(例えば、リースされた貯蔵エリア、貯蔵タンクを好適な温度範囲に維持するために必要な資源消費など)において、より多くの燃料を貯蔵することは、ユーザにより多くのコストがかかり得る。
【0247】
ステップ2208の最適化は、ステップ2206からの追跡された燃料価格及びステップ2204からの燃料セルの予測される将来の使用量を使用して実施され得る。例えば、燃料の購入の合計コストを示す予測コスト関数が定式化され得、ここでは、燃料セルの予測使用量を満たすのに十分な燃料が利用可能であることを確実にするために燃料消費制約及び燃料貯蔵制約を予測的にバランスさせる制約(例えば、バランス方程式、モデル)を条件として、購入時間及び取得する燃料量が最適化の決定変数である。依然としてそれらの制約及び要件を満たす合計コストが、最適化の出力であり得る。最適化戦略及び定式化は、上で詳細に説明したような同様の技法を使用することができる。
【0248】
ステップ2210において、ステップ2208の最適化の結果に従って、追加の燃料が注文されるか、又は別様に得られる。例えば、最適化は、特定の時間に特定の量の燃料を特定の燃料プロバイダから購入することを示し得、ステップ2210は、その取引を自動的に実行すること、又はその時間に燃料を得るように流通機器若しくはデバイスを制御することを含むことができる。例えば、ステップ2210は、特定の将来の時間に最適燃料量を取得するように技術者に指標する、技術者への通知(例えば、ユーザの携帯電話又は他のデバイスを介する)を生成することを含むことができる。別の例として、ステップ2210は、識別された時間に最適化された燃料量を得るために、自律車両をプロバイダ燃料流通現場に移動させることを自動的に含むことができる。次いで、燃料は、燃料セルに追加されるか、又は燃料セルによって後で使用されるために貯蔵され得る。それによって、燃料セルを建物機器又は他の建物システムに統合するための運用コストを最適化することができる。
【0249】
燃料セルは、プロセス2200の実行のために様々な機器に組み込まれ得る。例えば、上で説明される様々な機器は、1つ以上の燃料セルを含むように適合され得る。別の例として、燃料セルは、2020年2月25日に出願された米国特許出願第15/963,860号に記載されているAHU及びRTU機器、又は2017年6月29日に出願され、参照により本明細書に組み込まれている米国特許出願第16/314,277号に記載されているVRF機器に追加され得る。
【0250】
モジュール式エネルギーユニット
ここで
図23~24を参照すると、例示的な実施形態による、モジュール式エネルギーユニット2300の図が示されている。モジュール式エネルギーユニット2300は、様々な実施形態では、建物又は他の現場で展開され、建物とユーティリティグリッドとの間に電気的に接続されて、実質的なエネルギーコストの節約、カーボン排出量の低減、及びサードパーティのエネルギーグリッドへの依存の低減を提供することができる、封込され、統合された製品である。モジュール式エネルギーユニット2300は、他の大型建物機器(例えば、屋上ユニット、チラー、工業用ボイラなど)と同様のサイズであり得る。いくつかの例では、モジュール式エネルギーユニット2300は、輸送用コンテナと同様の、又は標準的な道路上でのトラックによる輸送に好適な輸送用コンテナよりも小さい物理的寸法を有し得る。したがって、モジュール式エネルギーユニット2300は、現場での大幅な建設又はカスタマイズを伴わずに、以下に考察される様々な利点を提供するために容易に配備され得る。例えば、以下で詳細に考察されるように、モジュール式エネルギーユニット2300は、建物の正味のゼロカーボン排出を達成するためのプラグアンドプレイサービスを提供することができる。
【0251】
図23~24に示されるように、モジュール式エネルギーユニット2300は、ハウジング2302を含む。ハウジング2302は、標準的な道路上でのトラックによる輸送のために上で言及されるように、輸送用コンテナと同様のサイズであり得る。いくつかの実施形態では、ハウジング2302は、可動式である(例えば、車輪を有するトレーラなど)。モジュール式エネルギーユニット2300は、ハウジング2302の内部又は上に、光起電力セル2304、風車2306、燃料セル2308、核マイクロリアクタ2310、重力エネルギーシステム2312、及びバッテリ2314を含むように示されている。これらの要素の様々な実施形態において、含まれ得る。例えば、多くの例では、核マイクロリアクタ2310及び/又は重力エネルギーシステム2312は省略される。別の例として、燃料セル2308は、省略され得る。別の例として、場合によっては、風車2306及び光起電力セル2304のうちの1つのみが含まれる。全てのそのような変形形態は、本開示の範囲内である。モジュール式エネルギーユニット2300はまた、無線通信デバイス(セルラモデム2316として示される)に接続された電力管理回路2314、ユーティリティグリッド2324に接続するためのユーティリティグリッド電気入口2318、及び建物電気システム2322に接続するための電気出口2320を含むように示されている。
【0252】
したがって、モジュール式エネルギーユニット2300は、様々なシナリオで建物の負荷を満たすために電気エネルギーの信頼性の高い提供を容易にする、相補的な特性を有する複数のエネルギー源及び貯蔵の解決策を含む。光起電力セル2304は、モジュール式エネルギーユニット2300上(例えば、ハウジング2302の屋根2303上)に取り付けられ、光(日光放射)を電気エネルギーに変換するように構成されている。光起電力セル2304は、電力管理回路2314に導電的に結合され、光起電力セル2304から電力管理回路2314に電気を提供する。光起電力セル2304は、例えば、屋根2303の表面積の90%よりも大きい面積を覆うなど、ハウジングの屋根2303と実質的に同一の広がりを持つことができる。光起電力セル2304は、それによって、追加の太陽光パネル又はモジュール式エネルギーユニット2300から分離した支持構造物の設置を必要とせずに、無料の再生可能なゼロカーボン電気エネルギーを電力管理回路2314に提供するように構成される。いくつかの実施形態では、例えば、建物又は構内が補完的な光起電力セル(例えば、建物又は構内の他の場所に以前に設置された)を含むシナリオでは、追加の光起電力セルが電力管理回路2314に導電的に接続されて、電力管理回路2314がそのようなセルからの電気を管理することを可能にすることができる。
【0253】
モジュール式エネルギーユニット2300はまた、ハウジング2302の屋根2303から延在する風車2306を含むように示されている。風車2306は、モジュール式エネルギーユニット2300を建物又は構内のその目的地に送達する際に、技術的専門知識を伴わずに(例えば、単純な工具を用いて、単純な指標に従うなど)容易に建てられるように構成され得る。風車2306は、風力駆動タービンの回転を通じて風力エネルギーを電気に変換するように構成されている。風車2306は、電力管理回路2314に導電的に接続され、電力管理回路2314に電気エネルギーを提供する。1つの風車2306が実施例に示されているが、様々な実施形態では、複数の風車2306が含まれ得る。いくつかの実施形態では、例えば、建物又は構内が補足的な風車(例えば、事前に設置された風力エネルギー収集機器)を含むシナリオでは、そのような補足的な風車は、電力管理回路2314が補足的な風車から電気を受け取って管理することができるように、電力管理回路2314に接続することもできる。
【0254】
したがって、光起電力セル2304及び風車2306は、環境条件(風、日光)を電気に変換する能力をモジュール式エネルギーユニット2300に提供する。他の実施形態では、様々な他の環境エネルギー収集デバイス及び/又はそれらの組み合わせを含むことができる。環境エネルギー収集デバイス(例えば、光起電力セル2304及び風車2306)は、好適な環境条件を有する時間中に無料のゼロカーボン電気を提供する。以下の節で考察されるように、モジュール式エネルギーユニットはまた、例えば、環境条件が光起電力セル2304及び風車2306に十分なエネルギーを提供していない時間(例えば、低風の夜など)の間に使用するために、ベースロード又は補助的なエネルギー生成を提供するように構成されたエネルギー源を含む。
【0255】
モジュール式エネルギーユニット2300は、核マイクロリアクタ2312及び燃料セル2308として示される、ベースロード又は補助エネルギー生成デバイスを含むように示されている。核マイクロリアクタ2312は、核分裂又は核融合反応からのエネルギーを使用して、例えば、そのような反応からの熱を、電力変換サイクルを使用して電気に変換することによって、電気電力を生成する。核マイクロリアクタ2312は、濃縮ウラン燃料、例えば、高純度低濃縮ウランを使用し得る。核マイクロリアクタ2312は、様々な時間に様々なレベルの電気を提供するように制御可能に構成され得る。いくつかの例では、核マイクロリアクタ2312は、他のエネルギー源によって補完されるベースロードエネルギーを提供し得、他の風力/太陽光エネルギー、エネルギーグリッド、及び他のエネルギー源を利用できない場合に信頼できるバックアップエネルギー源を提供する。したがって、核マイクロリアクタ2312は、非常に低リスクであり、モジュール式エネルギーユニット2300のハウジング2302の内部に収まり、ハウジング2302内で動作可能であるのに十分に小さくすることができ、燃料材料の取り扱いを必要とするが数十年にわたって動作し得る。したがって、核マイクロリアクタ2312は、ゼロカーボン排出で電力管理回路に電気エネルギーを提供するように構成されている。多くの実施形態において、核リアクタ2312は省略される。
【0256】
燃料セル2308は、化学反応、例えば、燃料セル2308が水素燃料セルである一実施形態において、水素と酸素との間の酸化還元反応を介して電気エネルギーを生成するように構成されている。燃料セル2308は、化学反応を開始して化学燃料を需要に応じて電気エネルギーに変換するように制御可能である一方、他の電気源が使用されているときに休止状態になるように実質的に安定し得る。燃料セル2308は、水素燃料セル又はいくつかの他のタイプの燃料セル(例えば、炭化水素など)であり得る。燃料セル2308が水素燃料セルである実施形態では、燃料セル2308は、水のみを排出しながら、カーボン排出を伴わずに、電気を生成するように動作することができる。燃料セル2308は、(例えば、ハウジング2302の外壁上のポートを介して)燃料セル2308の燃料再補給のための容易なアクセスを提供するように、ハウジング2300内に配置され得る。いくつかの実施形態では、燃料セル2308は、例えば、
図22のプロセス2200に基づいて、燃料セル2308が再充填されるべきであることを示す信号を、セルラモデム2316を介して送信させるように構成されている。燃料セル2308は、電力管理回路2314に導電的に接続され、電気を電力管理回路2314に提供する。以下で考察されるように、電力管理回路2314は、オン状態とオフ状態との間、異なる電力レベルなどに燃料セル2308を制御することができる。したがって、モジュール式エネルギーユニット2300は、環境条件に依存しない電気生成デバイスを含む。
【0257】
モジュール式エネルギーユニット2300はまた、バッテリ2313及び重力エネルギー貯蔵装置2310として示される再充電可能なエネルギー貯蔵デバイスを含む。以下で考察されるように、再充電可能エネルギー貯蔵デバイスは、需要に応じて電力管理回路2314にエネルギーを解放し、電力管理回路2314によって再充電可能エネルギー貯蔵デバイスに提供されるエネルギーを貯蔵することができる。様々な実施形態において、他のタイプの再充電可能エネルギー貯蔵装置を使用することができる。
【0258】
図23~24に示されるように、再充電可能エネルギー貯蔵デバイスは、重力エネルギーシステム2310を含む。重力エネルギーシステム2310は、(エネルギーを貯蔵するために)電気を重力ポテンシャルエネルギーに変換し、(貯蔵されたエネルギーを放出するために)重力ポテンシャルエネルギーを電気に変換するように構成されている。重力エネルギーシステム2310は、劣化を伴わず長期的なエネルギー貯蔵を提供することができる。いくつかの実施形態では、重力エネルギーシステム2310は、1つ以上の高質量物体(例えば、高密度金属の1つ以上のブロック)を、1つ以上のウインチに接続されたケーブル上で移動させるように構成されており、これは、ケーブルを介して高質量物体を上昇させるために電気エネルギーを消費し、高質量物体を下降させるときに電気エネルギーを抽出するように構成されている。他の実施形態では、重力エネルギーシステム2310は、例えば、
図25に示されており、参照して説明されるように、流体(例えば、水、高密度流体)を上方に汲み上げて電気を消費及び貯蔵し、流体が1つ以上のタービンを通って下方に流れることを可能にして、重力ポテンシャルエネルギーを電気に変換するように構成されている。いくつかの実施形態では、重力エネルギーシステム2310は、
図25を参照して説明されるように、高い高度又は標高(例えば、建物の屋上、給水塔、山又は丘など)で雨水タンク内に雨水を収集し、雨水が下方に流れるときに、貯蔵された雨水中の重力エネルギーを電気に変換するように構成されている。
図23は、ハウジング2303内に収容されている重力エネルギーシステム2310を示している。他の実施形態では、重力エネルギーシステム2310は、重力エネルギーシステム2310によって貯蔵され得る重力ポテンシャルエネルギー量を増加させるために、屋根2303の上方に延長部を含み得る。重力エネルギーシステム2310は、電力管理回路2314から電気エネルギーを受け取るか、又は電力管理回路2314に電気エネルギーを提供し、電力管理回路2314から制御信号を受信するために、電力管理回路2314に導電的に接続される。
【0259】
モジュール式エネルギーユニット2300はまた、バッテリ2313を含むように示されている。バッテリ2313は、電力管理回路2314に導電的に接続され、電力管理回路2314からの電気エネルギーを貯蔵し、電力管理回路2314にエネルギーを放出するように構成されている。バッテリ2313の充電又は放電速度は、電力管理回路2314によって制御され得る。バッテリ2313は、複数のバッテリセル(例えば、8、50、100、1000など)を含む1つ以上のバッテリパック内に配置され得る。例えば、バッテリ2313は、リチウムイオンバッテリであり得る。
【0260】
いくつかの実施形態では、モジュール式エネルギーユニット2300はまた、ハウジング2300の内部を、その中の構成要素の動作のための好適な温度又はその近傍に、例えば、バッテリ2313、核マイクロリアクタ2312、及び燃料セル2308のための効率的な温度に、又はその近傍に維持するように構成された加熱及び/又は冷却デバイスを含む。
【0261】
モジュール式エネルギーユニット2300はまた、ユーティリティグリッド2324と電力管理回路2314との間に導電性経路を提供するために、ユーティリティグリッド2324に接続するように構成されたユーティリティグリッド入口2318を含むように示されている。ユーティリティグリッド入口2318は、主に、電力管理回路がユーティリティグリッド2324から電気を受け取ることを可能にし得る。いくつかの実施形態及びいくつかのシナリオでは、ユーティリティグリッド入口2318はまた、電力管理回路2314が電気をユーティリティグリッド2324に戻す(例えば、電気をユーティリティ会社に売却し、周波数応答又は他のインセンティブプログラムに参加するなど)ことを可能にする。
【0262】
モジュール式エネルギーユニット2300はまた、電気エネルギー出口2320を含むように示されている。電気エネルギー出口2320は、電力管理回路2314を建物電気システム2322に導電的に接続するように構成されている。建物電気システム2322は、電気エネルギー出口2320から建物内の様々な電気デバイス、コンセント、照明、電化製品などに電気を伝達するように構成された建物配線などを含む。電力管理回路2314は、電気エネルギー出口2320との接続を介して、建物電気システム232からの電気の需要を検出することができる。
【0263】
電力管理回路2314は、そこに、モジュール式エネルギーユニット2300の構成要素によって提供される様々な電気の流れを管理し、建物電気システム2322及びエネルギー貯蔵デバイス(例えば、バッテリ2313及び重力エネルギーシステム2310)への電気の流れを管理するように構成されている。後の図を参照して以下で詳細に考察されるように、電力管理回路2314は、建物の需要を満たしながら、エネルギーコストを最小化し、カーボン排出量を最小化し、又はそれらのいくつかの組み合わせを最小化するために、モジュール式エネルギーユニット2300及びユーティリティグリッド2324の構成要素にわたって需要を最適に割り当てるように構成されている。電力管理回路2314は、以下に説明されるように最適化をローカルに実施するように構成されたコンピューティング構成要素(例えば、メモリデバイス及び処理回路)をローカルに含み得るか、又はセルラモデム2316を介してリモートコンピューティング資源(例えば、クラウドサーバ)と通信して、モジュール式エネルギーユニットの最適な制御を容易にし得る。
【0264】
したがって、モジュール式エネルギーユニット2300は、ユーティリティグリッド2324からの電力の使用量を管理し、そのような電力を補完するために、ユーティリティグリッド2324と建物電気システム2322との間に電気的に位置決めされるように構成されている。したがって、モジュール式エネルギーユニット2300は、他の建物エネルギー管理システムのように建物内及び建物全体のデバイスの調整又は設置を必要とすることなく、建物に対して一点に容易に設置され得る。したがって、モジュール式エネルギーユニット2300は、エネルギーコストを低減し、建物の動作に関連するカーボン排出量を低減又は排除するための、設置が容易な、モジュール式の、統合された、プラグアンドプレイ解決策である。
【0265】
雨水及び地下水機能を備えたモジュール式エネルギーユニット
ここで
図25を参照すると、例示的な実施形態による、雨水及び地下水機能を使用する重力エネルギーシステムを含むモジュール式エネルギーユニット2500の実施形態の概略例解図が示されている。モジュール式エネルギーユニット2500は、水ベースのエネルギーシステム2502、1つ以上の風車2306、光起電力セル2304、及び電力管理回路(電力アキュムレータ2501として示される)として実装される重力エネルギーシステムを含むように示されている。モジュール式エネルギーユニット2500は、様々な実施形態において、
図23~24のモジュール式エネルギーユニット2300の様々な要素を含むことができる。
【0266】
水ベースのエネルギーシステム2502は、上部水タンク2504及び下部水タンク2506を含むように示されている。上部水タンク2504は、雨に曝されるように配置され(例えば、屋上、ハウジング2302の屋根2303上にある、ダウンスパウト、溝などに接続されている)、環境から雨水を受け取るように構成された1つ以上の開口部を含む。ごみ及び他の汚染物質が上部水タンク2504に入るのを防ぐために、フィルタが含まれ得る。下部水タンク2506は、上部水タンク2504内の水の単位が、下部水タンク2506内の水の単位に対してより高い重力ポテンシャルエネルギーを有するように、下部水タンクの下(すなわち、地球の中心に近い)に物理的に位置決めされる。いくつかの実装形態では、上部水タンク2504及び下部水タンク2506は両方とも、統合された出荷コンテナサイズのモジュール式エネルギーユニットのハウジング上に位置決めされる。他の実施形態では、上部水タンク2504は、モジュール式エネルギーユニットによって供給される建物の屋根上に位置決めされ、一方、下部水タンクは、地面、地下、又は地下レベルに位置決めされ、したがって、既存の建物構造を鑑み、上部水タンクと下部水タンクとの間の重力ポテンシャルを最大化する。例えば、古い工業用建物の中には、他の技術革新のために以前は廃止されていたが、建物に重大な構造的変更を加えることなく、水ベースのエネルギーシステム2502で使用するために再利用することができる、使用されていない屋上タンクを依然として含んでいるものがある。下部タンク2506及び上部タンク2504は、管、チューブ、ホースなどによって接続され、それらの間の流体の流れを可能にする。
【0267】
図25に示されるように、水ベースのエネルギーシステム2502は、ポンプ2508、及び下部タンク2506と上部タンク2504との間の流路上に位置決めされたモータ2510を含む。モータ2510は、ポンプ2508を駆動して、下部タンク2506から上部タンク2504に水を引き込むように構成されている。モータ2510は、電気エネルギーを消費し、ポンプ2508を使用して、電気エネルギーをポンプ2508によって引き上げられた水の重力ポテンシャルエネルギーに変換する。モータ2510は、例えば、余剰な電力が風車2306及び光起電力セル2304によって生成されているときに、電力アキュムレータ2501によって制御可能である。第1の制御可能なバルブ2512は、例えば、ポンプが動作していないときに重力がポンプを通して水を引き戻すのを防止するために、下部水タンク2506と上部水タンク2504との間の管に沿って位置決めされる。第1の制御可能なバルブ2512は、バルブコントローラ2513によって制御可能である。
【0268】
水ベースのエネルギーシステム2502はまた、上部タンク2504と下部タンク2506との間の流路に沿って接続されたタービン2514を含むように示されている。第2の制御可能なバルブ2516は、上部タンク2504とタービン2514との間に位置決めされ、バルブ制御2513によって制御可能である。第2の制御可能なバルブ2516が開くように制御されると、重力は、水を上部タンク2504から、タービン2514を通して、下部水タンク2506に引き込む。タービン2514は、下部水タンク2506に近接して位置付けられ得る。水の重力ポテンシャルエネルギーは、水が上部タンクからタービン2514に流れるときに、重力加速度を通して運動エネルギーに変換される。次いで、タービン2514は、その運動エネルギーをタービン2514の回転運動エネルギーに変換し、これは次いで、発電機2518を介して電気に変換される。それによって、上部タンク2504内の水の重力ポテンシャルエネルギーは電気に変換され、電気は電力アキュムレータ2501に提供される。電力アキュムレータ2501は、例えば、又は本明細書に記載される様々な他の最適化技法に従って、電力アキュムレータ2501が建物の需要を満たすために追加の電気を必要とするときに、バルブ制御2513にバルブ2516を開かせることができる。
【0269】
雨水に対して開放されたままであることによって、上部タンク2502は、モータ2510の動作を必要としない水を受け取ることができ、したがって、いかなる電気入力も必要としない。したがって、特に雨の多い季節や気候では、水ベースのエネルギーシステム2502は、かなりの量の無料の電気(すなわち、環境から抽出される)を提供することができる。下部水タンクの過剰充填を回避するために、下部水タンクは、下部水タンクが容量に達したときに地下水(又は排水、下水道などのシステム)に排水するように構成されたオーバーフロー機能を含むことができる。
【0270】
したがって、モジュール式エネルギーユニット2500は、実質的に一定の発電、又は時間変化する需要を常に満たす発電を提供することができる。例えば、特に晴天及び/又は強風の期間には、太陽光及び風力は電気に変換されて、需要を満たし、重力ポテンシャルエネルギーを水ベースのエネルギーシステム2502に貯蔵する。次いで、晴天でない又は強風でない期間中、その重力ポテンシャルエネルギーは、タービン2514を介して電気に変換し戻されされ得る。加えて、太陽光が少ない期間は降雨量が多い期間に対応し得るため、上部タンク2504の降雨量捕捉特徴は、光起電力セル2304の太陽光発電を補完するのに特に適している。したがって、モジュール式エネルギーユニット2500は、複数のエネルギー源及び貯蔵の解決策を利用して、信頼性の高い一貫したゼロカーボン排出の電力を提供する。
【0271】
モジュール式エネルギーユニットの最適化された制御
ここで
図26を参照すると、例示的な実施形態による、モジュール式エネルギーユニット(例えば、
図23のモジュール式エネルギーユニット2300)を最適に制御するためのプロセス2600のフローチャートが示されている。プロセス2600は、例えば、
図24の電力管理回路2314によって、及び/又はセルラモデム2316を介して電力管理回路2314と通信可能なクラウドベースの最適化資源(例えば、サーバ、メモリ、及び処理回路など)を介して実行され得る。
図26のいくつかの適応例では、プロセス2600は、
図25の電力アキュムレータ2501によって実行され得る。
【0272】
プロセス2600のステップ2602において、モジュール式エネルギーユニット上の電気需要が予測される。例えば、モジュール式エネルギーユニット上の電気需要の予測は、最適化期間の各時間ステップにおいて提供されるべき電気需要(例えば、キロワット単位の瞬間電力、小さな時間増分にわたるジュール又はキロワット時のエネルギー)を含むことができる。モジュール式エネルギーユニット上の電気需要は、1つ以上のグレーボックスモデル、ニューラルネットワークモデル、又はいくつかの他のモデル化アプローチを使用して予測され得る。一例として、モジュール式エネルギーユニットに対する電気需要は、2015年5月20日に出願された米国特許出願第14/717,593号(その開示全体が参照により本明細書に組み込まれている)に記載されている負荷予測器特徴を使用して予測され得る。
【0273】
ステップ2604において、利用可能な風力発電機及び/又は太陽光発電機からの発電が、例えば、気象予報、風車2306及び光起電力セル2304の容量及び過去のパフォーマンスに関するデータ、及び/又は他の関連データに基づいて予測される。例えば、生成される再生電力量(例えば、PVパネルによって生成されるPV電力)を予測するための技法は、米国特許出願第15/247,869号、米国特許出願第15/247,844号、及び米国特許出願第15/247,788号に記載されており、これらの各々が、2016年8月25日の出願日を有し、参照により本明細書に組み込まれている。
【0274】
ステップ2606において、バッテリ容量、重力エネルギー貯蔵容量、燃料セル充填レベル、及びモジュール式エネルギーユニット2300の構成要素において利用可能なエネルギー容量又は貯蔵容量の量に影響を与えるであろう任意の他の変数が追跡される。これらの値を追跡することによって、及びモジュール式エネルギーユニット2300の様々な構成要素からの利用可能な電力及びそれにおける貯蔵の指標がリアルタイムで考慮され、将来的に予測され得る。
【0275】
ステップ2808において、ユーティリティグリッドからユーティリティレート及びカーボン排出量データが取得される。例えば、ユーティリティグリッドからの電気は、価格設定が経時的変化するように、使用時間の価格設定の対象となり得る。ユーティリティグリッドからのエネルギーに関連し得る、例えば、本明細書の他の箇所で説明したような他の価格設定構造、インセンティブプログラム、ペナルティなども、ステップ2808において確認され得る。加えて、いくつかのシナリオでは、ユーティリティグリッドは、特定の時点におけるグリッド電力に関連するカーボン排出量を示す情報(例えば、時間変化する電力:カーボン又はカーボン:電力比、1kWh当たりのCO2トン数)を利用可能にし得、これは、ユーティリティグリッドが異なる速度でカーボンを排出する複数の供給源から電力を受け取る(例えば、天然ガスプラント、風力発電所、及び太陽光発電所がエネルギーグリッドに接続されている場合)ことに起因して変化し得る。
【0276】
ステップ2610において、ステップ2602、2604、2606、及び2608からのデータを使用して、モジュール式エネルギーユニットの構成要素の制御決定を生成し、特に、制御決定が、モジュール式エネルギーユニットの電気需要に対応することに関連するコスト及び/又はカーボン排出量を低減することが予測されるようにする。
図31~36は、様々な実施形態において、モジュール式エネルギーユニットの構成要素の制御決定を生成する際に使用するために適合させることができるプロセスのフローチャートを提供する。別の例として、上で説明される予測CEFコントローラによって使用されるアプローチは、例えば、モジュール式エネルギーユニット2300の構成要素の電力寄与及び制約を処理するように適合され得る。
【0277】
そのような一例として、最適化問題は、(例えば、目的関数を使用して)定式化され、目的関数は、バッテリ2313から放電するか、又はバッテリ2313に充電するためのエネルギー量若しくは電力量、重力エネルギーシステム2310に貯蔵するか、又は重力エネルギーシステム2310から抽出するためのエネルギー量若しくは電力量、燃料セル2308で生成するためのエネルギー量若しくは電力量、及び/又はユーティリティグリッドから取得するためのエネルギー量若しくは電力量を表す決定変数を含む。最適化問題は、特定の決定変数の選択から生じる合計経済コスト(例えば、ユーティリティグリッドから電気を購入するコスト及び燃料セル2308のための燃料のコストに起因する)に加えて、カーボン排出量に関連するコスト又はペナルティを表す目的関数を含むことができる。カーボン排出量に関連するコスト又はペナルティは、(例えば、正味ゼロ排出を達成するために)選択されている決定変数の値に関して、又は予測される排出量に関連するカーボンクレジットのコストに関して、最適化期間にわたって排出されることが予測されるカーボン量に等しいカーボンオフセットを購入するコストを加算することによって実装され得る。したがって、カーボン排出量に関するゴールは、モジュール式エネルギーユニット2300の他の技術的ゴールとして、共有ユニット(例えば、ドル)で定量化され得る。最適化問題は、モジュール式エネルギーユニット2300の様々な構成要素の容量又は他の制限に関する制約の対象となる目的関数を最小化し、建物の電気需要が満たされることを保証する決定変数の値を判定するために、実行され得る。
【0278】
ステップ2612において、モジュール式エネルギーユニットの構成要素は、制御決定に従って動作させられる。例えば、上で説明され、最適化に起因する、決定変数の値を使用して、例えば、燃料セル2308、重力貯蔵システム2310、及びバッテリ2313を制御することができる。電力管理回路2314は、決定変数の値に従って、モジュール式エネルギーユニット2300の様々な構成要素間で(例えば、光起電力セル2304から建物のコンセント2320又は重力エネルギーシステム2310若しくはバッテリ2313のうちの1つへ)電気を誘導するように構成されている。それによって、モジュール式エネルギーユニット2300は、建物を動作させるためのエネルギーの購入コストと、建物の電気需要に対応することに関連するカーボン排出量との両方を低減する最適な方法で動作するように制御される。
【0279】
モジュール式エネルギーユニットを使用した建物のカーボンニュートラルの展開
図27を参照すると、いくつかの実施形態による、建物の正味ゼロカーボン排出を達成するためにモジュール式エネルギーユニットを展開するためのプロセスのフローチャートが示されている。ステップ2702において、モジュール式エネルギーユニットが生産施設で製造される。いくつかの実施形態では、生産施設自体は、カーボンニュートラルである(例えば、グリーンエネルギー源によって電力供給される)。いくつかの実施形態では、モジュール式エネルギーユニットは、リサイクル材料(例えば、80%又は90%を超えるリサイクル材料)で製造される。ステップ27で製造されたモジュール式エネルギーユニットは、同じ設計、構成などを有するストックユニットであり得、したがって、建物に別個のエネルギーデバイスを設置することを選択し、次いで、特定の建物の現場でデバイスを統合しようとする代替アプローチと比較して、モジュール式エネルギーユニットを提供するための簡単で効率的なプロセスを提供する。
【0280】
ステップ2704において、生産施設からのモジュール式エネルギーユニットのうちの1つは、道路を介して建物に輸送される。ステップ2704~2714は、ステップ2702で製造されたモジュール式エネルギーユニットのいずれか又は全てについて、別個に実施され得ることを理解されたい。上で説明されたように、モジュール式エネルギーユニットは、好ましくは特大負荷又は同様の考慮事項として特別な処理を伴わずに、スタンド道路を介したセミトラックによる輸送に好適な物理的寸法を有することができる。
【0281】
ステップ2706において、モジュール式エネルギーユニットは、(例えば、モジュール式エネルギーユニットが)ユーティリティグリッド上の需要を管理することができるように、建物とユーティリティグリッドとの間に電気的に設置される。ステップ2706は、エネルギーシステムにおける特別な訓練又は専門知識を用いずに、典型的な電気技師によって容易に達成することができる基本的な電気配線ステップを含むことができる。ステップ2706は、単に、モジュール式エネルギーシステムのハウジングを所望の場所、例えば、建物のそばに置くことを含むことができる。いくつかのシナリオでは、モジュール式エネルギーシステムは、建物の屋上に設置される(例えば、太陽光への曝露を最大化する)。ステップ2706は、例えば、上で説明されるように、ハウジング上に風車を立てるために、モジュール式データセンタへのいくつかの単純な機械的調整を含むことができるが、好ましくは、適切な設置を達成するために、いかなる特別な専門知識も必要としない。
【0282】
ステップ2708において、建物の建物エネルギー負荷を示す建物データが収集される。例えば、モジュール式データセンタは、建物の負荷、太陽光電力の可用性、風力電力の可用性などに関するデータを収集するために、初期学習段階で動作することができる。このデータ収集段階の間、モジュール式データセンタは、デフォルトの制御スキームに従って動作し得、学習手順(例えば、システム能力の自動化されたテストなど)を実行し得、建物のエネルギー需要を満たし続け得る。
【0283】
ステップ2710において、収集されたデータに基づいて、特定のモジュール式エネルギーユニットの予測コントローラが訓練される。したがって、モジュール式エネルギーユニットの予測コントローラは、モジュール式エネルギーユニットが供する特定の建物の需要及び他の関連データ(例えば、太陽光エネルギー及び風力エネルギーの利用可能性を示すデータ)に基づいてソフトウェアでカスタマイズされ得る。したがって、プロセス2700の例では、モジュール式データセンタは、ハードウェアカスタマイゼーションを伴わずに、ステップ2710で得られた訓練データに基づくソフトウェアカスタマイゼーションとともに生産施設から提供され得る。予測コントローラは、グレーボックスシステム識別アプローチ(例えば、参照により本明細書に組み込まれている、2019年6月20日に出願された米国特許出願第16/447,724号に記載されているような)、ニューラルネットワークモデルなどを訓練する機械学習アプローチ、又は予測コントローラロジックの特定の実装形態に好適な他のアプローチに基づいて訓練され得る。ステップ2710は、モジュール式エネルギーユニット上でローカルに、又はリモートクラウドベースの最適化資源上で実行され得る。
【0284】
ステップ2712において、モジュール式エネルギーユニットは、訓練された予測コントローラ及び収集されたデータを使用して制御され、カーボン排出エネルギー源の使用を低減又は排除する。例えば、予測コントローラは、他のエネルギー源よりも、モジュール式エネルギーユニットに含まれるゼロ排出エネルギー源(例えば、モジュール式エネルギーユニットの風力及び太陽光、水素燃料セルなど)を最適に利用して、建物に供し、バッテリ2313及び他のエネルギー貯蔵デバイスを充電し得る。予測コントローラはまた、ユーティリティグリッドが主に再生可能エネルギー(例えば、太陽光、風力、地熱、水力など)によって供給されている時間帯に、ユーティリティの購入をシフトさせることができ得る。したがって、予測コントローラは、カーボン排出エネルギー源の使用を低減して、建物のエネルギー消費量をゼロカーボン排出に向かって移動させることができる。カーボン排出量が完全に排除される場合、プロセス2700は、ステップ2712で終了することができる。
【0285】
低減されたレベルのカーボン排出量がいくらか残っている場合(例えば、ある特定の条件下でエネルギーグリッド内のカーボン排出生産に継続的に依存しているため)、プロセス2700はステップ2714に進み、任意の残っているカーボン排出量は、1つ以上のカーボン捕捉プロセスを使用して自動的にオフセットされる。予測コントローラ及びそれによって収集されたデータの決定を使用して、所望のカーボンオフセットプログラムを開始及び実行するために使用され得る残りのカーボン排出量(例えば、CO2トン単位)を推定することができる。いくつかの実施形態では、ステップ2714は、サードパーティのカーボンオフセットプロバイダ、例えば、森林保護、植林努力などを通じてカーボン隔離に従事する検証されたカーボンオフセットプロバイダから、カーボンオフセットを自動的に購入することを含む。カーボンオフセットの獲得及び管理は、モジュール式エネルギーユニットの予測コントローラもホストするクラウドベースの資源と統合することができる。いくつかの実施形態では、ステップ2714は、大気から対応する量のカーボンを捕捉するために、カーボン捕捉/回収技術を自動的に動作させることを含む。モジュール式エネルギーユニットによって生成されたデータに対する自動応答としてカーボンオフセットプログラムを実行することに対する様々な他のアプローチが可能である。正味ゼロ排出を達成するためのカーボン捕捉、カーボン隔離、カーボンオフセットなどへの依存は、モジュール式エネルギーユニットの設置及び使用によって、ステップ2700の実行によってカーボンニュートラル目標が確実に達成されるために含まれるステップ2714で、実質的に低減される。
【0286】
建物設定点最適化装置を備えたモジュール式エネルギーユニット
ここで
図28を参照すると、いくつかの実施形態による、モジュール式エネルギーユニットの別の実施形態を含むシステムのブロック図が示される。
図28の実施形態では、モジュール式エネルギーユニットは、建物のエネルギー需要に影響を与えるために建物設定点を最適化するように構成され、それによって、エネルギーコスト及び排出量を低減するモジュール式エネルギーユニットの能力を増加させる。例えば、時間シフトするエネルギー消費は、モジュール式エネルギーユニットがカーボン排出エネルギー源に依存する必要がある期間の需要を低減させながら、モジュール式エネルギーユニットが消費量をグリーンエネルギーの高可用性の期間に一致させることを可能にし得る。
図28の例は、そのような利点を可能にする。
【0287】
図28に示されるように、モジュール式エネルギーユニット2800は、建物デバイス2802と通信可能であり得る。建物デバイス2802は、建物及び/又はHVAC機器(例えば、空気処理ユニット、チラー、VAVボックス、可変冷媒流システム屋内及び/若しくは屋外ユニットなど)、又は建物内の他の機器の1つ以上のサーモスタットを含むことができる。示される例では、建物デバイス2802は、好ましくは、HVAC機器を制御して、室内の空気温度を温度設定点に向かって駆動するように構成されたサーモスタットを含む。そのような場合、温度設定点を変更することは、特に建物のHVAC機器によって、建物の資源需要に影響を与えることができる。したがって、以下の節に記載されるように、モジュール式エネルギーユニット2800は、建物動作をモジュール式エネルギーユニット2800のエネルギー動作と連携させるために、建物デバイス2802に時間変化する温度設定点(又は例えば、空気流、湿度、照明などのための他の設定点)を提供するように、建物デバイス2802と通信可能である。
【0288】
図28は、モジュール式エネルギーユニット2800に含まれる建物設定点最適化装置2308を示している。建物設定点最適化装置2308は、電力管理回路2314と連携して建物設定点を最適化するように構成された回路(例えば、メモリ及び処理構成要素)で造られている。例えば、いくつかの実施形態では、電力管理回路2314は、建物設定点最適化装置2308に、モジュール式エネルギーユニット2800によって提供され得る電力の有効使用時間価格設定の指標(すなわち、ユーティリティグリッド2324からの購入に加えて、グリーンエネルギー生成器2304/2306、燃料セル2308、及びエネルギー貯蔵装置2310/2313の使用に起因する電力コスト)を提供する。別の例として、電力管理回路2314は、建物設定点最適化装置2308に、モジュール式エネルギーユニット2800から建物電気システム2322に提供される電力の有効なカーボン対電力比を提供し得る。電力管理回路の最適化された動作により、有効な使用時間価格設定又はカーボン対電力比は、ユーティリティ会社によって設定されたレートよりも大幅に低くなる可能性がある。次いで、建物設定点最適化装置2308は、例えば、2016年6月30日に出願された米国出願第15/199,909号、2013年3月13日に出願された米国出願第13/802,154号、2019年11月18日に出願された米国出願第16/687,122号、及び/又は2019年10月10日に出願された米国特許出願第16/598,539号(その開示全体が参照により本明細書に組み込まれている)に記載されている最適化プロセスを使用して、コスト及び/又はカーボン排出量を低減するための建物設定点最適化プロセスへの入力として、その有効な使用時間価格設定を使用することができる。
【0289】
次いで、建物設定点最適化装置2308は、最適化された設定点を建物デバイス2802に分配する。次いで、建物デバイス2802は、最適化された設定点に従って動作し、例えば、建物設定点最適化装置2308によって生成された屋内空気温度設定点まで建物温度を駆動させるように、HVAC機器を動作させる。したがって、
図28の実施形態では、モジュール式エネルギーユニットは、最適化された需要を満たすために、複数の供給源からの建物需要及びエネルギー生産の両方の調整された最適化を提供する。
【0290】
ネットワーク化されたモジュール式エネルギーユニット
ここで
図29を参照すると、いくつかの実施形態による、モジュール式エネルギーユニット2901及び他の要素のネットワーク2900を示すブロック図が示されている。具体的には、
図29は、構内建物2902及びモジュール式データセンタ2904に供するために提供される複数のモジュール式エネルギーユニット2900を示している。複数のモジュール式エネルギーユニット2901は、(例えば、デイジーチェーンに配置された)ローカルメッシュネットワーク(例えば、メッシュWi-Fiネットワーク)を介して互いに通信可能であり、モジュール式エネルギーユニット2901のうちの1つは、クラウドベースの最適化資源2908とセルラネットワーク2906を介して接続されている。クラウドベースの最適化資源2908は、カーボン隔離サービス2910と(例えば、アプリケーションプログラミングインターフェースを介して)相互運用可能であるように示されている。
【0291】
複数のモジュール式エネルギーユニット2900は、例えば、
図22~28の例のいずれかに従って構成され得る。この例では、モジュール式エネルギーユニットは、モジュール式エネルギーユニット2901間の直接的な通信を可能にするために、無線通信インターフェース(例えば、Wi-Fiネットワーキングハードウェア)又は有線通信インターフェース(例えば、イーサネットポート)を含む。モジュール式エネルギーユニット2900は、例えば、デイジーチェーンアーキテクチャ又はループ若しくはリングアーキテクチャにおいて互いに接続することができる。
図29に示されるアーキテクチャは、クラウドベースの最適化資源2908が、モジュール式エネルギーユニット2900の全てではなく単一のモジュール式エネルギーユニット2900と別々に通信することを可能にし、それによって、通信を簡素化し、サイバーセキュリティ脅威に対する潜在的なアクセス点を低減する。セルラネットワーク2906は、例えば、緩和されたネットワークのアイデンティティ定義ネットワーキングパラダイム又は他のセキュリティ通信プロトコルを使用するセキュリティ特徴を含むことができる。第16/680,881号(2019年11月12日に出願され、参照により本明細書に組み込まれている)に記載されているように、クラウドコンピューティングシステムへの断続的な接続下で動作するためのアプローチが、いくつかの実施形態では、モジュール式エネルギーユニット2900上に、又はモジュール式エネルギーユニット2900のために実装され得る。
【0292】
モジュール式エネルギーユニット2901は、構内建物2902及びモジュール式データセンタ2904のエネルギー需要に対応するために協働する。構内建物2902は、1つ以上の建物(例えば、2つ、3つ、5つ、10個、20個など)を含むことができる。
図29は、単一のモジュール式エネルギーユニット2901の容量を超えるより大きなエネルギー需要に好適であるとき、複数のモジュール式エネルギーユニットを一緒に提供することができることを例解している。複数のモジュール式エネルギーユニットは、構内建物2902とエネルギーグリッドとの間の集合体として直列に又は並列に電気的に接続され得、又は例えば、構内建物2902の異なる建物に各々接続され得る。
図29の例では、複数のモジュール式エネルギーユニットは、モジュール式エネルギーユニット2901の利用可能なエネルギー貯蔵及び生成能力を最大限に活用するように、導電的に接続され、それらの間でエネルギーを共有するように構成されている。
【0293】
モジュール式データセンタ2904は、例えば、構内で働いている、又は勉強している人々のタスクを容易にするために、構内にコンピューティング資源(サーバ、データ記憶媒体など)を提供するように構成され、したがって、コンピューティング構成要素(例えば、サーバなど)及びコンピューティング構成要素の温度を制御するためのHVAC機器を含む。モジュール式データセンタ2904は、モジュール式エネルギーユニット2901と同様の物理的フットプリントを有することができ、したがって、モジュール式エネルギーユニット2901とともに容易に分散及び設置され得る。
図29は、モジュール式データセンタ2901が、モジュール式データセンタのエネルギー負荷を供するモジュール式エネルギーユニット2901とともに設置され得、したがって、コンピューティング構成要素と、それらのコンピューティング構成要素に電力供給するために必要なエネルギー貯蔵及び生成機能との両方を、費用対効果が高く、低カーボン又はゼロ炭素の様式で提供することを例解している。いくつかの実施形態では、クラウドベースの最適化資源2908によって実行されるものとして、この例で説明されるプロセスは、モジュール式データセンタ2904のサーバによって実行される。
【0294】
クラウドベースの最適化資源2908は、複数のモジュール式エネルギーユニット2901の動作を調整することを含む、モジュール式エネルギーユニット2901に対する最適な制御決定を生成するように構成されている。例えば、クラウドベースの最適化資源2908は、複数のモジュール式エネルギーユニット2901の様々なエネルギー貯蔵デバイスにわたってエネルギー貯蔵又は放出を割り当てることができる。クラウドベースの最適化資源は、本明細書に記載される最適化アプローチのいずれかを実行することができる。
【0295】
クラウドベースの最適化資源2908はまた、構内建物2902及びモジュール式データセンタ2904の動作に伴うカーボン排出量を推定することができる。クラウドベースの最適化資源2908は、カーボン隔離(オフセット、捕捉など)サービスと通信し、例えば、構内建物2902の動作に伴うカーボン排出量に等しいカーボンオフセットを自動的に取得することができる。したがって、ネットワーク2900は、例えば、自動的にネットワーク2900をカーボンニュートラルに到達させながら、エネルギーコスト及び実際のカーボン排出量を低減することが可能になる。別の例では、クラウドベースの最適化資源2908は、カーボンクレジット市場と通信して、構内建物2902及びモジュール式データセンタ2904の動作に起因するカーボン排出量を許可する(例えば、政府規制を考慮して認可する)ために必要なカーボンクレジットを自動的に購入することができ、それによって、カーボン排出量に対する適用可能な規制制限への準拠を自動的に保証する。
【0296】
ここで
図30を参照すると、いくつかの実施形態によるネットワーク3000が示されている。ネットワーク3000は、
図29と同様に構成され、セルラネットワーク2906を介してクラウド最適化資源2908に接続され、構内建物2902に供するように設置されるモジュール式エネルギーユニット2901を含む。ネットワーク3000は、特に、建物データ、建物機器、建物設定点などを監視することによって、構内建物2902に供する建物管理システム3004を加えて含む。建物管理システム3004は、建物機器の制御を促進するように建物内に配置されたコントローラ、ネットワークデバイス、センサなどを含むことができる。建物管理システム3004は、例えば、セルラネットワーク2906を介して、又はいくつかの他の通信経路(例えば、有線インターネット接続など)を介して、クラウド最適化資源2908と通信可能である。
【0297】
図30の例では、クラウド最適化資源2908は、建物管理システム、例えば、能動的な設定点管理を介して、モジュール式エネルギーユニット2901及び建物機器の調整された予測制御を提供する。例えば、クラウド最適化資源2908は、決定変数として、建物設定点(例えば、屋内空気温度設定点)、建物機器のオン/オフ決定、各モジュール式エネルギーユニット2901のエネルギー貯蔵システムから貯蔵又は解放するエネルギー量、及びモジュール式エネルギーユニット2901の燃料セルで生成するエネルギー量を含む最適化問題を定式化し得、これらの全ては、単一の最小化プロセスの結果として統合された様式で判定され得る。最適化問題は、例えば、予測される温度又は温度設定点が快適な温度範囲、例えば、参照により本明細書に組み込まれている、2020年7月30日に出願された米国特許出願第16/943,955号に記載されているように、1つ以上のニューラルネットワークを使用して定義された範囲内にとどまることを必要とする、建物の温度制約の対象となり得る)。最適化問題はまた、貯蔵される、生成される、購入される、又は消費される全てのエネルギーが最適化問題の結果によって考慮されることを確実にする負荷分散制約の対象となり得る。最適化問題はまた、最大許容カーボン排出量に基づく制約、又はカーボン排出量に基づくペナルティの対象となり得る。
【0298】
いくつかの実施形態では、最適化問題は、建物の動作の経済的コスト(例えば、グリッドからのエネルギーの購入コスト、機器の摩耗コスト)に対応する第1の項、及びカーボン排出に関連するコストの内部化に対応する第2の項(例えば、炭素クレジットの購入コスト、カーボンオフセットの購入コスト、重み付けされたペナルティ項など)を含む目的関数を最小化しようとする。最適化問題を解決することによって、クラウドベースの最適化資源2908は、モジュール式エネルギーユニット2901及び建物管理システム3002の両方について制御決定を生成することができ、したがって、モジュール式エネルギーユニット2901及び建物機器の連携された動作を通じて、高いレベルのコスト及びカーボン節約量を可能にする。
【0299】
カーボン排出量最適化による予測制御
ここで
図31を参照すると、例示的な実施形態による、カーボン排出最適化による予測制御のためのプロセス3100のフローチャートが示されている。プロセス3100は、例えば、クラウドベースの最適化資源2908によって実行され得る。プロセス3100はまた、上で説明される予測コントローラ(例えば、予測CEFコントローラ304、予測チラーコントローラ704、予測ポンプコントローラ1104、予測冷却塔コントローラ1504、又は予測バルブコントローラ1804)のいずれかによって実行され得る。プロセス3100は、例えば、参照により本明細書に組み込まれている、2019年10月10日に出願された米国特許出願第16/598,539号に記載されているように、スマートサーモスタットによって、又はスマートサーモスタットのために実行され得る。プロセス3100はまた、例えば、2016年6月30日に出願された米国特許出願第15/199,909号、2013年3月13日に出願された米国特許出願第13/802,154号、又は2019年11月18日に出願された米国特許出願第16/687,122号(その開示全体が参照により本明細書に組み込まれている)に記載されているように、建物管理システム又は建物機器に対するコントローラによって実行され得る。
【0300】
ステップ3102において、単位エネルギー又は電力当たりのカーボン排出量の時間変化する指標、例えば、電力:カーボン比(すなわち、グリッドによって提供される単位電力当たりの平均カーボン)又は限界動作排出率(MOER)(すなわち、以下に説明されるように、限界単位電力当たりのカーボン)が、ユーティリティグリッドから受け取られる。すなわち、ステップ3102のシナリオでは、ユーティリティグリッドの事業者は、ユーティリティグリッドの顧客に提供されるエネルギー又は電力の各単位を生産するために、排出されるカーボン量の推定値を提供する。再生可能エネルギーは、異なる環境条件、異なる時間帯などにおいて、合計グリッドエネルギーの異なるパーセンテージに寄与する可能性があるため、カーボン:電力比又はカーボン:エネルギー比は、時間変化する可能性がある。加えて、異なる再生可能エネルギー源及び化石燃料消費プラントは、異なる時間に、又はグリッドに対する異なる合計需要の下で稼働中になる可能性があるため、限界エネルギー単位を生成する電力源も経時的に変化し、その結果、限界エネルギー消費量に関連するカーボン排出量(すなわち、次のエネルギー単位を消費するか消費しないか)も経時的に変化する。
【0301】
限界エネルギー消費に関連する排出率は、本明細書では限界動作排出率(MOER)と呼ばれ、いくつかの実施形態では、例えば、5分に1回の頻度で、ユーティリティグリッド事業者によってその顧客に配布され得る。いくつかの例を例解するために、
図31Bは、異なる季節における経時的なMOERのグラフを示している。最初のグラフ3150は、2月の1週間の経時的なMOERを示している。示される例では、MOERは、約1000lb/MWhと0lb/MWhとの間で変動し得る。第1のグラフ3150では、MOERは、いくつかの日の一部の間、例えば、光起電力エネルギー生産がグリッドの需要を満たすのに十分である日の中間部分の間、ゼロである。夜間、曇った条件、又は需要の高い期間には、グリッドは需要を満たすために化石燃料ベースのエネルギー(石炭、天然ガスなど)に依存しており、その結果、そのようなプラントが稼働中になってユーティリティグリッドの限界需要に対応すると、MOERはより高い値に跳ね上がる。7月の1週間のMOERを示す第2のグラフ3152では、MOERが標準的なパターン又は変動から逸脱し得ることを示す、需要の高い期間の下で昼間(太陽光電力が利用可能な場合)であってもより高いMOERが生じ得ることが分かる。第1のグラフ3150及び第2のグラフ3152は、消費をより低いMOERを有する期間に時間的にシフトすることによって限界排出量を低減する機会が存在することを示しており、これは、本明細書に記載されるように、プロセス3100によって達成され得る。8月の1週間のMOERを示す第3のグラフ3154では、高い、一定の需要期間(例えば、空調が常時稼動してユーティリティグリッドに高需要をもたらす猛暑の間)において、MOERがそのような期間を通して実質的に一定のままであるように、カーボン排出源は、限界エネルギー需要に供するために常に稼働中のままであることが分かる。
【0302】
ステップ3102において、そのようなデータがユーティリティグリッドから利用可能であると仮定して、カーボン排出量の時間変化する指標(例えば、MOER)がユーティリティグリッドから受信される。いくつかのシナリオでは、ユーティリティグリッドはまた、将来の期間の予測又は予想されるMOER又はカーボン:電力比又はカーボン:エネルギー比を提供し得る。
【0303】
そのような情報がユーティリティグリッド(又は他の第3の部分)から直接利用可能でないシナリオでは、予測コントローラは、プロセス3100のステップ3104~3108に例解されるように、MOER又はカーボン:エネルギー比又はカーボン:電力比自体の推定値を生成するように構成され得る。ステップ3104において、エネルギーグリッド上の利用可能な電力に関するデータ、すなわち、異なるエネルギー源と、エネルギーグリッドに供するエネルギー源の生産に関連する一般的な情報と、を識別するデータが収集される。この情報は、カーボン排出量又はリアルタイムMOERの詳細な推定値がユーティリティ会社によって共有されていない場合でも、通常利用可能である。ステップ3104は、このデータを収集し、ユーティリティガード上に様々なエネルギー源のモデルを構築することを含むことができる。ステップ3106は、気象及び時間帯のデータ(例えば、予測範囲にわたる異なる時間帯による気象)を取得することを含む。ステップ3108において、ステップ3104及び3106からのデータが、エネルギーグリッドから受信した単位エネルギー又は電力当たりのカーボン排出量の時間変化する値(例えば、平均、MOER)を推定するために使用される。ステップ3106は、利用可能な最良の情報に基づいてエネルギーグリッドをシミュレーションして、予測範囲にわたるカーボン:電力比若しくはカーボン:エネルギー比又はMOERの推定値及びその予測値を生成するモデル化アプローチを実行することを含むことができる。いくつかの実施形態では、確率論的最適化プロセスが実施され、そこでは、MOERの異なる時系列値を含む複数のシナリオが生成され、次いで、例えば、2019年3月14日に出願された米国特許出願第16/115,290号(その開示全体が、参照によりここで組み込まれている)に、ユーティリティレートについて記載されているように、複数のシナリオの全てにわたって全体的な目的を最適化するために使用される。
【0304】
ステップ3110において、予測建物負荷に基づいて、予測範囲にわたって合計カーボン排出量、合計限界カーボン排出量、又は有効なカーボン対消費電力比を計算する目的関数が生成される。予測建物負荷は、例えば、2019年5月21日に出願された米国特許出願第16/418,715号(その開示全体が、参照により本明細書に組み込まれている)に記載されるようなシステム識別及びグレーボックスモデル化アプローチを使用して、建物設定点、例えば、建物温度設定点、及び他の建物関連変数(屋内空気温度、屋外空気温度など)の関数としてモデル化することができる。別の例として、ステップ3110は、2015年5月20日に出願された米国出願第14/717,593号、2018年8月28日に出願された米国出願第16/115,290号、又は2016年6月30日に出願された米国出願第15/199,910号(これらは全て参照により本明細書に組み込まれている)で使用される目的関数を、ユーティリティレートを示す変数を時間変化するMOER、カーボン:エネルギー比又はカーボン:電力比の時間変化する値に置き換えることによって、適合させることを含むことができる。目的関数は、建物機器の予測エネルギー消費量又は目標エネルギー消費量によってカーボン:エネルギー比を乗算して、合計排出量値を計算することを含むことができる。例えば、目的関数は、
【数35】
として定式化され得、式中、MOER(t)は、時間tでの限界動作排出率であり、E(t)は、時間tでグリッドから取得されたエネルギーである。
【0305】
ステップ3112において、1つ以上の制約の対象となる目的関数を最適化する建物に対する時間変化する設定点が生成される。例えば、最適化範囲にわたる各時間ステップの温度設定点が、ステップ3112において生成され得る。別の例として、建物機器のためのエネルギー消費量目標が、ステップ3112において生成され得る。そのような実施形態の様々な詳細が上記に引用される出願において提供され、参照により本明細書に組み込まれている。目的関数を最適化することは、1つ以上の制約(例えば、居住者快適性を確保する制約など)を満たしながら、最小の可能な合計カーボン排出量を達成しようとする勾配降下又は他の最小化プロセスを実行することを含むことができる。
【0306】
ステップ3114において、建物機器は、最適化された設定点に従って動作させられる。ステップ3112は、入力として、時間変化するMOER又はカーボン:電力比又はカーボン:エネルギー比を使用するため、ステップ3114は、建物機器を低カーボン期間に時間的にシフトし、高カーボン排出期間から離れるようにすることを含み得る。例えば、建物は、低カーボン期間中に予冷又は予熱され(例えば、好ましい温度設定点を下回って冷却され、好ましい温度設定点を上回って加熱され)、高カーボン期間中の冷却機器(チラーなど)の動作を低減又は排除することができる。プロセス3100は、それによって、建物のエネルギー消費に関連するカーボン排出量を低減することができる。他の実施形態では、プロセス3100は、計画ツールとして実施され、
図31の例に示されるように、建物機器を制御することの代わりに、又はそれに加えて、プロセス3100の最適化戦略を実装することに起因するレポート、分析、予測カーボン節約量、予測コスト節約量、推奨事項などを生成するために使用される。
【0307】
ここで
図32を参照すると、いくつかの実施形態による、カーボン排出のコストを内部化しながら建物機器の動作を最適化するためのプロセス3200のフローチャートが示されている。プロセス3200は、様々な実施形態では、上で説明されるプロセス3100と同じ様々なコントローラ/プロセッサなどによって実行することができる。
【0308】
ステップ3202において、カーボンオフセット又はカーボンクレジットの価格設定が取得される。カーボンオフセットとは、カーボン隔離及びカーボン捕捉サービス、例えば、再森林化又は非森林化サービスの市場を指し、この市場により、汚染者は大気から炭素を除去する活動を行うために第三者に支払うことができる。カーボンオフセットが技術又は事業体の排出量を完全にカバーする場合(例えば、排出されたCO2トン数=隔離されたCO2換算トン数)、技術又は事業体はカーボンニュートラル又は正味ゼロのカーボン排出者と呼ばれる。カーボンクレジットとは、一部の法域で活発な規制市場を指し、企業は市場で取引されている自由に譲渡可能なカーボンクレジットで定義された金額を超える排出量を生成させることはできない。いずれの場合も、カーボン排出量の単位(例えば、CO2のトン数)は、その排出量のオフセット又は規制当局の許可を取得するための経済的コストに関連付けられ得る。
【0309】
ステップ3202は、例えば、1つ以上のAPI及びインターネットを介した接続を介して、カーボンオフセット又はクレジットのためのデジタル市場と、建物機器のための予測コントローラとの間の相互運用性を提供することを含むことができる。ステップ3202は、カーボンオフセット又はクレジットの価格設定を監視し、将来の価格を予測するために1つ以上のモデルを構築することを含み得る。他の実施形態では、ステップ3202は、建物の所有者がカーボンオフセット又はクレジットを支払うために前払い又は契約した価格を示すデータを取得することを含む。
【0310】
ステップ3204において、例えば、
図31のステップ3102~3108を参照して説明されたように、建物によって消費される単位エネルギー又は電力当たりのカーボン排出量の時間変化する指標(例えば、MOER)が取得される。1つ以上のモジュール式エネルギーユニット(例えば、モジュール式エネルギーユニット2300)を含む実施形態では、単位エネルギー又は電力当たりのカーボン排出量の時間変化する指標は、モジュール式エネルギーユニットによって生成され得る。例えば、ユーティリティグリッドから取得されたエネルギーのMOER、及び1つ以上のモジュール式エネルギーユニットからのグリーンエネルギー利用可能性の寄与を考慮できる効果的なMOERが計算され得る。
【0311】
ステップ3206において、ユーティリティグリッドからのエネルギー又は電力のための時間変化するユーティリティレートが取得される。例えば、ユーティリティは、典型的には、リアルタイムのエネルギー率を顧客に配布し、時には事前に一定時間(例えば、将来の数時間)にわたってユーティリティレートを提供する。ステップ3206はまた、例えば、参照により本明細書に組み込まれている、2015年5月20日に出願された米国特許出願第14/717,593号に記載されているように、ユーティリティレートを予測することを含むことができる。
【0312】
ステップ3208において、エネルギーの生成に関連するカーボン排出量と一致するように、エネルギーの購入及びカーボンオフセット又はカーボンクレジットの購入の合計コストを計算する目的関数が生成される。目的関数は、エネルギーの購入の合計コストを表す第1の項、例えば
【数36】
を含むことができ、式中、r
iは、時間ステップiにおけるユーティリティレートであり、Q
iは、時間ステップiにおけるエネルギー消費量であり、Hは、最適化範囲の持続時間を示す。目的関数はまた、カーボンオフセット又はクレジットのコストを表す第2の項、例えば、
【数37】
を含むことができ、式中、β
iは、時間ステップiにおける単位エネルギー当たりのカーボン排出量(例えば、MOER、単位エネルギー当たりの平均排出量)を表し、P
iは、時間ステップiにおけるカーボン排出量の単位に対するクレジットをオフセット及び/又は購入することのいずれかの価格を表す。反対関数は、第1の項及び第2の項を提出して、カーボン排出の内部化されたコストを含む建物の動作のためのエネルギーの合計コストを取得することができる。
【0313】
他の実施形態では、排出をオフセットする実際の価格P
iを使用する代わりに、ユーザが、プロセス3200がエネルギーコストとカーボン排出との間のトレードオフのバランスをとる方法をチューニングすることを可能にするために、ユーザ選択可能な重み付け係数λ
iが使用される。重み付け係数は、一定であり得るか、又は、例えば、ユーザが、例えば、いくつかの時間帯の間にカーボン排出量を低減するための低い優先順位、及び他の時間帯の間に排出量を低減するための高い優先順位を設定できるように、時間変化する(下付き文字iによって示される)し得る。そのような例では、目的関数は、
【数38】
として定式化され得る。コスト低減と排出低減との間の好ましいトレードオフのユーザ選択は、以下の
図35A~Bを参照して更に考察される。
【0314】
ステップ3210において、目的関数は、1つ以上の制約(例えば、最小J)に従う目的関数によって表される合計値を最小化する、建物機器に対する設定点(例えば、屋内空気温度設定点、バッテリ充電/放電設定点、本明細書に記載の様々な他の設定点/制御決定)を生成するように最適化される。制約及び最適化プロセスは、他の例を参照して本明細書の他の場所で説明された様々な方法で実施され得る。別の例を提供すると、最適化プロセスは、2021年3月22日に出願された米国特許出願第17/208,869号(その開示全体が、参照により本明細書に組み込まれている)に記載されたプロセスの適合バージョンであり得る。ステップ3214において、建物機器は、カーボン排出量に関連するコストを内部化しながら、建物機器を動作させるコストを最小化するというゴールを実現するために、生成された設定点に従って動作する。例のように、建物機器は、空調機器を含み、生成された設定点に従って建物機器を動作させることは、特に、ユーティリティグリッドからの電力の単位当たりのカーボン排出量の時間変化する値が、後続期間中よりも第1の期間中に高いことが予測される、後続の第2の期間中の空調機器の動作を低減するために、第1の期間中に建物を予冷することを含む。
【0315】
ステップ3216において、建物機器の動作に起因する排出量に等しいカーボンオフセット又はクレジットが、例えば、建物管理システムによって自動的に取得され得る。したがって、カーボンニュートラルを達成するプロセス全体、及び/又は一定レベルの二酸化炭素を排出するための規制許可を取得するプロセス全体が、統合解決策として提供される。プロセス3200は、それによって、全体的なコストを最小化し、建物又は構内のニーズを満たしながら、エネルギーの購入コストとカーボン排出の内部化されたコストとの間のトレードオフを動的に調整することができる。
【0316】
ここで
図33を参照すると、例示的な実施形態による、カーボン排出量を考慮する予測制御のための別のプロセス(プロセス3300として示される)のフローチャートが示されている。具体的には、プロセス3300は、事前定義されたレベルを超えるカーボン排出を防止又は罰するカーボン排出量制約を定義することによって、カーボン排出量を考慮する。プロセス3300は、プロセス3200及びプロセス3100を参照して上で言及された、又は様々な実施形態に従って参照により本明細書に組み込まれている参照において言及される、様々なコントローラによって実行され得る。
【0317】
ステップ3302において、予測される建物負荷に基づいて、時間範囲にわたる建物機器を動作させるコストを計算する目的関数が生成される。目的関数は、
図32を参照して考察されるように、又は例えば、2015年5月20日に出願された米国出願第14/717,593号、2018年8月28日に出願された米国出願第16/115,290号、又は2016年6月30日に出願された米国出願第15/199,910号で使用されるように定式化され得る。
【0318】
ステップ3304において、消費される単位エネルギー又は電力当たりのカーボン排出量の時間変化する指標が取得される。例えば、ステップ3304は、プロセス3100のステップ3102~3108の例に従って実行され得る。
【0319】
ステップ3306において、カーボン排出量制約が定義される。カーボン排出量制約は、予測カーボン排出量が事前定義されたレベル未満であることを必要とする不等式制約として定義され得る。事前定義されたレベルは、政府の規制、企業によって購入されるカーボンオフセットの量によって定義されたレベル、購入されるカーボンクレジットの量によって定義されたレベル、及びユーザによって入力された量などに基づいて定義され得る。カーボン排出量制約は、排出量が事前定義されたレベルを超える場合に、最適化問題への全ての解決策を妨げるハード制約、又は任意の過剰排出量に対して目的関数にペナルティを追加するソフト制約として定義され得る。
【0320】
ステップ3308において、目的関数は、カーボン排出量制約に従って最適化される。カーボン排出量制約は、制約がハード制約である実施形態では、最適化問題の解決策(例えば、目的関数の値を最小化した結果)が、事前定義された(最大許容)レベルよりも低いカーボン排出量を達成すること、又は制約がソフト制約である実施形態では、事前定義されたレベルを超える抑制を確実にすることができる。ステップ3310において、建物機器は、最適化の結果を使用して動作させられる。
【0321】
ここで
図34を参照すると、いくつかの実施形態による、カーボン排出量の考慮事項を組み込んだ予測制御のための更に別のプロセスが示されている。具体的には、
図34は、ユーザが、排出量を低減すること、コストを節約すること、及び居住者の快適性を改善することに対する相対的な選好を示すように重みを調整することを可能にするプロセス3400のフローチャートを示している。プロセス3400は、様々な実施形態では、本明細書の他の場所で言及されるプロセッサ、コントローラなどによって実行され得る。
【0322】
ステップ3402において、例えば、ステップ3102~3108を参照して上で説明されるように、単位エネルギー又は電力(例えば、MOER)当たりの時間変化するカーボン排出量の指標が取得される。ステップ3404において、例えば、ステップ3206を参照して説明されたように、ユーティリティグリッドから取得されたエネルギーの時間変化するユーティリティレートが取得される。
【0323】
ステップ3406において、例えば、2020年7月30日に出願され、参照により本明細書に組み込まれている米国特許出願第16/943,955号に記載されるように、建物の状態に基づいて居住者の快適性を予測するモデルが取得され、居住者の快適性は、温度設定点の予測される居住者の上書きに基づいて定量化される。別の例として、居住者の快適性は、予測平均投票計算に基づき得る。居住者の快適性を定量化するための様々なモデルが可能である。
【0324】
ステップ3408において、目的関数は、ステップ3402、3404、及び3406からの入力を使用して生成される。目的関数は、予測範囲にわたる和又は積分を反映する、カーボン排出量項、ユーティリティコスト項、及び居住者コスト項の重み付け和を含むことができる。例えば、目的関数は、
【数39】
として定式化され得、例えば、式中、α、λ、ξは、重み付け係数及びスケーリング係数である。別の例として、目的関数は、
【数40】
として定式化され得、式中、MOER
tは、時間tにおける限界動作排出率であり、r
tは、時間tにおいてグリッドから購入される単位エネルギー当たりの価格であり、E(t)は、時間tにおいてエネルギーグリッドから取得されたエネルギーの量である。
【0325】
ステップ3410において、ユーザ入力は、例えば、ユーザコンピューティングデバイス(例えば、スマートフォン、タブレット、ラップトップ、デスクトップコンピュータなど)上に提示されるグラフィカルユーザインターフェースを介して受信される。ユーザ入力は、排出量の低減、コストの節約、及び/又は快適性の改善に対するユーザの相対的な選好を示す重み付けの和(例えば、α、β、γ)の重みに対する調整を示す。例えば、上記の例でαを増加させながらβを減少させることにより、プロセス3400は、コストを節約するよりも排出量を低減することを好み、逆もまた同様である。別の例として、γを増加させながらαを減少させると、プロセス3400は、排出を低減するよりも居住者の快適性を向上させることを好み、逆もまた同様である。ユーザインターフェースには、スライダバー、数値入力などが提供され、ユーザが相対的な選択を視覚化し、調整を理解することを可能にすることができる。いくつかの実施形態では、与えられた調整の予測結果を示すグラフィカルインターフェースは、ユーザが重みを変更するオプション及び効果を比較することを可能にするように示されている。
【0326】
ステップ3412において、目的関数(ステップ3410のユーザが選択した重みを有する)は、1つ以上の制約の対象となる目的関数の値(例えば、重み付け和)を最小化する建物機器に対する設定点を生成するように最適化される。最小化アプローチ及び制約は、本明細書の他の場所で説明されるように実施され得、1つの建物又は複数の建物の能動的な設定点管理を提供することができる。本明細書に記載される様々な設定、設定点、負荷値、制御決定、資源割り当て、充電/放電率などのいずれかは、様々な実施形態では、目的関数の最小化によって最適化され得る。ステップ3414において、建物機器は、生成された設定点に従って動作し、排出、コスト、及び居住者の快適性のユーザの所望のバランスを達成する。
【0327】
ここで
図35Aを参照すると、いくつかの実施形態による、コスト対カーボン曲線上の目標点を達成するために建物機器を制御するためのプロセス3500のフローチャートが示されている。プロセス3500は、様々な実施形態では、本明細書の他の場所で言及されるプロセッサ、コントローラなどによって実行され得る。
図35Bもまた、いくつかの実施形態による、プロセス3500の説明を容易にするためにここで参照され、例示的なコスト対カーボン曲線を示す。
【0328】
ステップ3502において、訓練期間中に複数回の消費電力のカーボン排出量に関するデータが収集され、一方、ステップ3504において、訓練期間中の時間における電力の消費コストに関連するデータが収集される。例えば、ステップ3502及び3504は、カーボン排出量及びコストの対のデータセットを収集する量に組み合わされ得、各対は、過去の時点(又は時間の小区分)に対応する。いくつかの実施形態では、ステップ3502及び3504は、例えば、ユーザに利用可能なオプションを反映するデータを生成するために、選択可能な範囲のユーザ選好にわたって建物機器を制御することによって、好適なデータを生成するための実験を実行することを含むことができる。
【0329】
ステップ3502及び3504は、例えば、2022年3月3日に出願された米国特許出願第17/686,320号(その開示全体が参照により本明細書に組み込まれている)に記載されているように、カーボン及びコスト関連データを生成するために、異なる制御アプローチ、又は異なるパラメータ値(例えば、目的関数における重み付け係数の異なる値)を有する制御アプローチを使用して、シミュレーションを実行することを含むことができる。
【0330】
ステップ3506において、ステップ3502及び3504から収集されたデータに基づいて、コスト対カーボン曲線が生成される。例えば、曲線は、回帰モデル化又は何らかの好適な適合アプローチを使用してデータに適合され得る。曲線は、例えば、
図35Bに示されるように、収集されたデータに依存する様々なシナリオにおいて様々な形状をとる。
【0331】
図35Bは、異なる建物サイズ及び異なる機器可用性、特に異なるバッテリサイズ、特に第1のグラフ3550、第2のグラフ3552、及び第3のグラフ3554のコスト対カーボン曲線を示している。第1のグラフ3550、第2のグラフ3552、及び第3のグラフ3554は各々、y軸上のコスト節約量(値が大きいほど節約量が多い/コストが少ないことを示す)及びx軸上のカーボン節約量(値が大きいほど節約量が多い/排出量が少ないことを示す)を有する。例えば、第1のグラフ3550及び第3のグラフ3554は、同じサイズの空間についてのデータを示しているが、第3のグラフ3554のシナリオでは、はるかに大きなバッテリで供給されており、このグラフは、実質的により多くのコスト節約量及び排出節約量を改めて可能にするものとして示される。グラフ3550、3552、3554に示される点は、点がユーザ選択可能な重み付け係数の値(例えば、目的関数
【数41】
におけるλの値)に対応することを示すように符号化される。他の例では、異なる点に関連する制御アプローチは、様々な他の方法(例えば、異なる制約、異なるパラメータ、使用される異なるタイプのモデル又は機能など)で異なることができる。
【0332】
第1のグラフ3550、第2のグラフ3552、及び第3のグラフ3554に示されるように、コスト節約量及びカーボン節約量は、コスト節約量は、一定のカーボン節約量まで相対的に一定であり、その後、その点を超えて急速に(指数関数的に)減少するような、指数関数的な関係を有し得る。特定の建物、建物のグループなどの第1のグラフ3550、第2のグラフ3552、及び第3のグラフ3554などのグラフは、ステップ3508において自動的に生成され得、グラフィカルユーザインターフェースを介して表示されて、ユーザが、ユーザによって管理される特定の建物又は建物のグループのコスト節約量とカーボン節約量との間の関係を直接表示及び評価することを可能にすることができる。
【0333】
ステップ3508において、ユーザが、ステップ3506で生成されたコスト対カーボン曲線に沿って好ましい点を選択することを可能にするユーザインターフェースが生成される。例えば、グラフィカルユーザインターフェースは、コスト対カーボン曲線(例えば、
図35Bのようなグラフ)を示し得、好ましい点をタッチ又はクリックすることによって、ユーザが曲線上の点を選択することを可能にし得る。コスト対カーボン曲線上の点を選択することは、目的関数で使用される重み付け係数の値、例えば、目的関数
【数42】
におけるλの値の選択に相当するか、又はその結果になり得る。したがって、ユーザは、特定の建物、プラント、又は構内の変数間の実際の関係を見ながら、目的関数自体、他の最適化ロジック、ソフトウェアコードなどを理解又は操作する必要なく、コストとカーボン排出量との間の所望のトレードオフを直接選択することができる。これらの特徴は、2つ以上の目的(例えば、排出項、コスト項、快適性項)及び2つ以上の重みを有する目的関数における他の制御目的(例えば、
図36のような快適性、正味エネルギー使用量など)に拡張され得る。
【0334】
ステップ3510において、コスト対カーボン曲線に沿った好ましい選択された点に到達することが予測される、建物機器に対する設定点が生成される。ステップ3510は、ステップ3508に基づいて判定された重み付け係数を用いて目的関数を最適化することによって実行され得る。他の実施形態では、コスト対カーボン曲線上の選択された点は、誤差関数が最小化されて目標からの予測逸脱(例えば、選択された目標コスト及び排出量からの実際の又は予測コスト及び排出量の逸脱)を低減又は排除するように、最適化の目標として扱われ得る。最適化の決定変数は、建物の温度設定点、機器のオン/オフ決定、モジュール式エネルギーシステム2300の構成要素に関する変数、及び様々な実装形態における様々な他の変数を含み得る。最適化は、1つ以上の制約、例えば、建物の予測屋内空気温度に対する温度制約に従って実施され得る。
【0335】
いくつかの実施形態では、ステップ3510は、ユーザ選択点に関連する予想パフォーマンスと比較して、建物の実際のパフォーマンスに基づいて、目的関数内の重みの値を経時的に適合させることを含む。例えば、実際の排出量が時間期間の第1の部分にわたって予想よりも高い場合、目的関数が排出量に対するペナルティを増加させるように、重みを調整する(例えば、排出量目的を乗算した場合に増加する)ことができる。結果として、調整重みを有する目的関数を使用する制御プロセスは、そのような調整の前と比較して、より高いレベルの相対的な排出節約量で、コスト(又は様々な実施形態では、快適性、エネルギーなど)の節約を好む傾向にある。そのような調整は、例えば、実際の限界動作排出率が予想よりも(例えば、コスト対カーボン曲線のデータを生成したシミュレーションで使用される場合よりも)高い又は低い場合に発生し得る。経時的に重み値を適合させるためのアプローチは、2022年3月3日に出願された米国特許出願第17/686,320号に示されており、その開示全体が参照により本明細書に組み込まれている。
【0336】
ステップ3512において、建物機器は、設定点、例えば、ステップ3510から出力される温度設定点の時系列を使用して制御される。それによって、建物機器は、コスト対カーボン曲線上のユーザ選択予測点を達成するように動作させられる。
【0337】
ここで
図36を参照すると、いくつかの実施形態による、快適性対カーボン曲線上の目標点を達成するために建物機器を制御するためのプロセス3600のフローチャートが示されている。プロセス3600は、様々な実施形態では、本明細書の他の場所で言及されるプロセッサ、コントローラなどによって実行され得る。
【0338】
ステップ3602において、訓練期間中に複数回の消費電力のカーボン排出量に関するデータが収集され、一方、ステップ3604おいて、訓練期間中の時間における居住者の快適性に関するデータが収集される。居住者快適性データは、調査、ポーリング、居住者による建物設定点の上書き、測定された建物状態(例えば、温度、湿度など)に基づく推定から得られる。いくつかの実施形態では、居住者快適性データは、訓練期間中に起こるいくつかの削減(例えば、負荷削減)を示す。削減は、ベースライン又は理想的な建物条件から逸脱しながら、目的を改善するためにとられた動作(例えば、排出量及び/又はエネルギー使用量を低減する)に対応する負荷低減、設定点調整などを含むことができる。削減は、本明細書に記載される制御アプローチが実行されなかった場合に使用されるであろう設定(例えば、静的又はスケジュールされた建物設定点に対する)に対する変化の数又は合計持続時間としてカウントされ得る。削減データは、空間内で動作する機械(例えば、コンピュータ、サーバ、ロボット、工場機器)、商品(例えば、生鮮食品、温度感受性医薬品など)、動物、又は施設の他の使用に好適な環境条件によって駆動されるものなど、施設の居住者の快適性又は他の条件の選好を表すことができる。いくつかの実施形態では、ステップ3602及び3604は、カーボン排出量及び快適性の対のデータセットを収集する量に組み合わされ得、各対は、過去の時点(又は時間の小区分)に対応する。
【0339】
ステップ3602及び3604は、例えば、2022年3月3日に出願された米国特許出願第17/686,320号(その開示全体が参照により本明細書に組み込まれている)に記載されているように、カーボン及び快適性関連データを生成するために、異なる制御アプローチ、又は異なるパラメータ値(例えば、目的関数における重み付け係数の異なる値)を有する制御アプローチを使用して、シミュレーションを実行することを含むことができる。
【0340】
ステップ3606において、ステップ3602及び3604から収集されたデータに基づいて、快適性対カーボン曲線が生成される。例えば、曲線は、回帰モデル化又はいくつかの好適な適合アプローチを使用してデータに適合され得る。曲線は、例えば、
図35Bに示される例から適合された、収集されたデータに依存する様々なシナリオにおいて様々な形状をとる。
【0341】
ステップ3608において、ユーザが、ステップ3606で生成された快適性対カーボン曲線に沿って好ましい点を選択することを可能にするユーザインターフェースが生成される。例えば、グラフィカルユーザインターフェースは、快適性対カーボン曲線を示し得、ユーザが好ましい点をタッチ又はクリックすることによって、曲線上の点を選択することを可能にし得る。したがって、ユーザは、特定の建物、プラント、又は構内の変数間の実際の関係を見ながら、居住者の快適性とカーボン排出量との間の所望のトレードオフを直接選択することができる。
【0342】
ステップ3610において、快適性対カーボン曲線に沿った好ましい選択された点に到達することが予測される、建物機器に対する設定点が生成される。いくつかの実施形態では、選択された点は、誤差関数が最小化されて目標からの予測逸脱を低減又は排除するように、最適化の目標として扱われ得る。いくつかの実施形態では、各点は、(例えば、本明細書の他の場所に記載される様々な目的関数に従って)目的関数のカーボン目的又は第2の目的(例えば、運用コスト、エネルギー使用量、快適性メトリクスなど)上の重みの値に関連し、ステップ3610は、カーボン対快適性曲線からのユーザ選択点に関連する重みの値を有する目的関数を使用して制御決定を生成することを含む。最適化プロセスは、いくつかの実施形態では、目的関数を使用して実施され得る。最適化の決定変数は、建物の温度設定点、機器のオン/オフ決定、モジュール式エネルギーシステム2300の構成要素に関する変数、経時的な異なるデバイスの排出量目標、及び様々な実装形態における様々な他の変数を含み得る。最適化は、1つ以上の制約、例えば、建物機器を動作させる合計コストに対するコスト制約に従って実施され得る。
【0343】
いくつかの実施形態では、ステップ3610は、ユーザ選択点に関連する予想パフォーマンスと比較して、建物の実際のパフォーマンスに基づいて、目的関数内の重みの値を経時的に適合させることを含む。例えば、実際の排出量が時間期間の第1の部分にわたって予想よりも高い場合、目的関数が排出量に対するペナルティを増加させるように、重みを調整する(例えば、排出量目的を乗算した場合に増加する)ことができる。結果として、調整重みを有する目的関数を使用する制御プロセスは、そのような調整の前と比較して、より高いレベルの相対的な排出節約量での快適性(又はコスト、エネルギーなど)の節約を好む傾向にある。そのような調整は、例えば、実際の限界動作排出率が予想よりも(例えば、快適性対カーボン曲線のデータを生成したシミュレーションで使用される場合よりも)高い又は低い場合に発生し得る。経時的に重み値を適合させるためのアプローチは、2022年3月3日に出願された米国特許出願第17/686,320号に示されており、その開示全体が参照により本明細書に組み込まれている。
【0344】
ステップ3612において、建物機器は、設定点を使用して制御される。それによって、建物機器は、快適性対カーボン曲線上のユーザ選択予測点を達成するように動作させられる。
【0345】
カーボン排出量削減のための自動資産推奨事項
上の様々な節は、運用コスト及びカーボン排出量を低減するために建物システムに追加され得、いくつかのシナリオでは建物のためのカーボンニュートラルを達成し得る様々な資産(例えば、機器の単位)を説明する。しかしながら、運用ゴールを最適に達成し、カーボン低減目標を達成するのに必要とする適切な資産、又は適切な規模の資産を選択することに関する技術的課題が存在する。例えば、特大の機器を追加すると、実際にはカーボンフットプリントが増加する可能性があるが、不十分な資産を追加すると、ゴールを満たすことができなくなる。したがって、建物の資産ニーズを評価及び予測するための技術的解決策は、非常に望ましい技術である。
【0346】
ここで
図37を参照すると、いくつかの実施形態による、運用ゴール及びカーボン低減目標を最適に達成するために建物に追加する1つ以上の建物資産を自動的に推奨するためのプロセス3700が示されている。プロセス3700は、例えば、2019年7月22日に出願された米国特許出願第16/518,314号(その開示全体が参照により本明細書に組み込まれている)に記載された建物エネルギー最適化システムの1つ以上のコンピューティング要素によって実行され得る。
【0347】
ステップ3702において、建物のエネルギー負荷(例えば、電気需要)を示す建物データが収集される。ステップ3704において、グリッドエネルギーのカーボン排出レベル(例えば、上で説明されたような時間変化するカーボン:電力比)を示すデータが収集される。ステップ3706において、利用可能な再生可能電力を示す気候データ(例えば、平均晴天日数、日の長さ、太陽光強度、平均風速、平均強風日数など)が、建物の場所に対して収集される。ステップ3708において、新しいエネルギー資産のための利用可能な空間に関連するデータ、すなわち、新しい資産がどこ(屋内若しくは屋外、屋上若しくは地上など)に位置決めされ得るか、又は既存の建物及び以前から存在する建物機器に適合させるために、新しい資産の大きさ(屋根のサイズ、利用可能な空間の体積、利用可能な空間の面積など)がどの程度になり得るかに関する物理的制限が収集される。
【0348】
ステップ3710において、目的関数が生成され、これは、将来の期間にわたる建物の運用のコストを特徴付け、建物システムに追加され得る1つ以上の新しいエネルギー資産に関する1つ以上の決定変数を有する。例えば、目的関数は、特定のタイプの新しい資産が追加されるかどうかを示すバイナリ変数(例えば、モジュール式エネルギーユニット2300を追加するか追加しないか、統合されたバッテリ及び燃料セルを有するチラー700を追加するか追加しないかなど)、並びに機器サプライヤから入手可能なそのような資産の利用可能なサイズ(例えば、容量によって示される異なるチラー)又はそのような資産の異なる数(例えば、2つ、3つ、4つなどのモジュール式エネルギーユニット2300)を示すことができる変数を含むことができる。目的関数はまた、新しい資産の購入及び設置に関する初期投資及び起動コストを考慮することができる。目的関数はまた、上記の様々な例で説明されているように、カーボン排出量、カーボンオフセット、カーボンクレジット、居住者の快適性などに関する項を含み得る。
【0349】
ステップ3712において、例えば、ステップ3702~3708のいずれかで収集されたデータに基づいて、1つ以上の制約が定義される。例えば、物理的サイズ制約は、建物に適合する資産のみが確実に考慮されるように、新しいエネルギー資産のための利用可能な空間に関するデータ、及び潜在的な新しいエネルギー資産のサイズ及び空間要件に関する記憶された情報に基づいて定義され得る。別の例として、カーボン排出量制約が、プロセス3300において定義され得る。別の例として、制約は、収集された気候データ及び新しい資産のための利用可能な空間/位置決めに関するデータに基づいて、再生可能エネルギー資産(例えば、モジュール式エネルギーユニット2300の光起電力セル)の予想電力出力を特徴付けるために使用され得る。様々なそのような考慮事項は、最適化プロセスに対する制約として定義され得る。
【0350】
ステップ3714において、目的関数は、制約に従って最適化されて、決定変数に対する最適値(例えば、制約に従って目的関数を最小化する値)を生成する。決定変数は、それらの資産を追加するための推奨資産と、それらの資産の推奨サイズ又は数量を示した。最適化は、2019年7月22日に出願された米国特許出願第16/518,314号(その開示全体が参照により本明細書に組み込まれている)に記載された様々な考慮事項、アプローチ、プロセスなどのいずれかを含み得る。
【0351】
ステップ3715において、ステップ3714からの推奨出力、必要とされる初期投資、投資の損益分岐点までの時間、予測される結果として生じるカーボン排出節約量、予測される結果として生じるカーボン対電力比、及び意思決定者に関連し得る任意の他のメトリクスを示す表示が生成される。いくつかの実施形態では、推奨資産は自動的に注文され、設置技術者は自動的に設置を完了するようにスケジュールされる。次いで、プロセスは、本明細書に記載される様々な戦略に従って、建物に最適に供するために、新しい資産を含む建物機器を制御することによって継続することができる。
【0352】
企業全体のカーボン排出量追跡及び軽減
ここで
図38を参照すると、例示的な実施形態による、企業全体のカーボン排出量追跡及び軽減のためのプロセス3800のフローチャートが示されている。プロセス3800は、いくつかの実施形態による、様々なデータ源と通信する処理回路及びメモリ回路によって実行され得る。例えば、プロセス3800は、建物管理システムをサポートするソフトウェアプラットフォームを実行する処理回路によって実行され得る。
【0353】
ステップ3802において、企業全体の建物管理システムからデータが収集される。データは、企業の建物のエネルギー消費及び消費されるエネルギー供給源を示し得る。ステップ3804において、例えば、建物レベル及び企業レベルで、建物のエネルギー消費量に関連するカーボン排出量が追跡される。カーボン排出量の計算は、例えば、プロセス3100のステップ3102~3108を参照して説明された概念を使用して実施され得る。
【0354】
ステップ3806において、車両ベースのデータ収集器からのデータが取得される。車両ベースのデータ収集器は、社用車、配送トラックなどを含む企業の車両群の動作、走行距離、燃料消費などに関するデータを収集することができる。ステップ3808において、企業の車両群の動作に関連するカーボン排出量が、例えば、全体的な企業レベルで追跡され、異なる地域、ビジネスユニット、個々の従業員などのカーボン排出量を確認する。
【0355】
ステップ3810において、データは、従業員の出張及び/又は会社の注文及び購入に関するデータを収集する経費報告システム又は他のエンタープライズソフトウェアプラットフォームから収集される。例えば、従業員の旅行を予約するために使用される旅行代理店ポータルが、いくつかの実施形態で使用され得る。ステップ3810で収集されるデータは、従業員の旅行(例えば、飛行機フライト、タクシーなどの第三者の車両での旅行など)及び他の活動(例えば、注文された商品の配達など)によって生成されるカーボン排出量を示す。ステップ3812において、ステップ3810で収集されたデータに反映された出張及び他の動作に関連するカーボンフットプリントが計算され、追跡される。
【0356】
ステップ3814において、企業全体のカーボンフットプリントを示す統一されたダッシュボードが生成される。ダッシュボードは、例えば、全体的なカーボン排出量データを表示し、寄与源を識別し、排出量の多い建物、ビジネスユニット、部門、地域、従業員を識別することができる。統一ダッシュボードは、グラフィカルユーザインターフェースを介して提供され得る。
【0357】
ステップ3816において、カーボンフットプリント低減のための推奨事項が自動的に生成される。いくつかの実施形態では、ステップ3816は、実行されたプロセス3700を含む。いくつかの実施形態では、ステップ3816は、上で説明された制御プロセスのうちの1つに従って建物設定点を自動的に調整することを含む。いくつかの実施形態では、推奨事項は、出張を低減すること、会社の車両群のために電気自動車を購入すること、及び特定の従業員による著しい排出量を調査することを含む。ステップ3816における様々な結果が可能である。
【0358】
ステップ3818において、企業全体のカーボンフットプリントに一致するように、カーボン隔離プロセスが自動的に開始され、それによって企業全体の正味ゼロ排出を達成する。カーボン隔離プロセスは、例えば、木又は他の植物を植えることを含むことができる。別の例として、カーボン隔離プロセスは、大気からカーボンを抽出し、カーボンを固体形態で貯蔵するように構成された隔離デバイスを動作させることを含む。別の例として、カーボン隔離プロセスは、サードパーティプロバイダからカーボンオフセットを購入することを含む。それによって、プロセス3800は、カーボン排出レベルの識別、カーボン排出量の管理を容易にし、カーボンニュートラルの達成を容易にする。
【0359】
カーボン排出量目標を使用した建物エッジデバイスの監督制御
ここで
図39を参照すると、例示的な実施形態による、監督(例えば、カスケード)制御システム3900のブロック図が示されている。
図39に示されるように、複数の建物エッジデバイス3902は、カーボン管理システム3906を有するネットワーク3904を介して通信可能である。カーボン管理システム3906はまた、ユーザインターフェース3908及びカーボン捕捉/隔離システム3910と通信可能である。
【0360】
カーボン管理システム3906は、建物エッジデバイス3902のための監督制御機能を実施するように構成された処理回路及びメモリ回路を含む。具体的には、カーボン管理システム3906は、複数の建物エッジデバイス3902の各々に対する二酸化炭素排出量目標を生成し、ネットワーク3904を介して建物エッジデバイス3902に二酸化炭素排出量目標を提供するように構成されている。カーボン管理システム3906は、カスケード制御システムにおける監督コントローラとして特徴付けることができる。いくつかの実施形態では、カーボン管理システム3906は、カーボン排出量目標に起因することが予測される複数のサブシステムの集計カーボン排出量(例えば、建物エッジデバイス3902によって排出され、発電所によって排出され、又は建物エッジデバイス3902によって使用される電気若しくは他の資源を生成する他の源によって排出されるなど)を考慮する予測制御プロセスを使用して、複数のサブシステム(例えば、建物エッジデバイス3902若しくはそのセット)の各々に対するカーボン排出量目標を生成するように構成されている。予測制御プロセスは、本明細書の他の場所で説明されるように、排出、運用コスト、インセンティブプログラム、及び/又は居住者の快適性を考慮する目的関数を使用する最適化プロセス、例えば、多要素最適化プロセス及び/又は最適化プロセスを含むことができる。カーボン管理システム3906は、例えば、2022年4月29日に出願された米国特許出願第17/733,786号(その開示全体が参照により本明細書に組み込まれている)に記載されるような、高レベルの最適化(例えば、資産割り当て)を実施するために、様々な機器モデル、サブプラントモデル、熱モデル、資源バランス制約などを使用することができる。
【0361】
いくつかの実施形態では、カーボン管理システム3906は、事前定義された量のカーボン排出量、例えば、会社の方針、規制要件、カーボンクレジット購入、カーボンオフセット購入などによって規定されたカーボン排出量を、様々な建物エッジデバイスに割り当てるように構成されている。カーボン管理システム3906は、例えば、優先順位付けスキームが時間帯又は建物スケジュールに基づいて変化する場合に、建物エッジデバイスの相対的な重要度をランク付けするための優先順位付けスキームに基づいて、建物エッジデバイス間でカーボン排出量を割り当てることができる。カーボン管理システム3906はまた、カーボン排出量を建物デバイスのパフォーマンスに関連付ける1つ以上のモデル、例えば、快適な建物条件を維持するための建物エッジデバイスの能力に関連する1つ以上のモデルを含むことができ、そのようなモデルを使用して建物エッジデバイスにカーボン排出量を割り当てることができる。割り当てプロセスはまた、事前定義された最大カーボン排出量を超えることなく、最大限に好ましい動作結果を達成するように構成されたある種の最適化プロセスに基づき得る。カーボン管理システム3906は、カスケード制御システムによって制御不可能であるが、制御以外で、建物に関連するビジネス又は他の事業体に帰属させることのできる(例えば、事業体の商品又は人々の輸送によって引き起こされる、事業体によって購入又は販売された商品の生産によって引き起こされるなど)カーボン排出量を考慮するように構成され得、これは、静的ベースラインとみなされるか、又は本明細書の他の場所で説明されるように、動的値として計算及び/又は予測され得る。そのような実施形態では、カーボン管理システム3906は、カスケード制御システムによって制御されないカーボン排出イベント(例えば、出張イベント、商品の大規模な出荷など)を補償するために、建物デバイスに動作を修正させる(例えば、負荷を削減し、設定点を居住者の選好から遠ざけるなど)ことができる。
【0362】
いくつかの実施形態では、カーボン管理システム3906は、建物のエッジデバイス3902のパフォーマンス需要に関する制約に対して合計カーボン消費を最小化するように構成されている。カーボン管理システム3906は、建物エッジデバイス3902のカーボン排出量目標を生成する一部として、上で説明されるプロセスのいずれかの適合を実行することができる。例えば、カーボン管理システム3906は、様々な実施形態において、排出量、運用コスト、居住者の快適性及び/又は他の考慮事項を考慮した多要素最適化を実施し得る。居住者の快適性は、カーボン排出量目標を達成するために必要であることが予測されるいくつかの削減(例えば、負荷低減、居住者の好む設定点からの逸脱、オフ期間の延長など)を判定することによって考慮され得る。
【0363】
各建物エッジデバイス3902(例えば、そのローカル/エッジコントローラ)は、カーボン管理システム3906から二酸化炭素排出量目標を受信し、次いで、建物エッジデバイス3902及び/又は建物エッジデバイス3902によって制御されるデバイスが、例えば、目標量の二酸化炭素排出量以下の排出を引き起こすように、カーボン排出量目標を達成するように動作することを確実にするように構成された制御スキームを実行するように構成されている。建物エッジデバイス3902のコントローラは、カーボン排出量目標を達成するように建物エッジデバイス3906に動作させることが予測される制御決定を生成する予測制御プロセスを実行し得る。例えば、建物エッジデバイス3902は、ローカル最適化を実施して、時間範囲にわたる、又は建物エッジデバイス3902の、若しくは建物エッジデバイス3902によって制御される複数のエネルギー使用構成要素若しくはカーボン排出構成要素に対して、排出量を最適に分散させ得る。したがって、複数の建物エッジデバイス3902にわたって、一連の分散最適化がエッジで実行され、目標量の二酸化炭素が確実に達成される。建物エッジデバイス3902は、例えば、2017年4月23日に出願された米国特許第10,572,230号、2017年3月23日に出願された米国特許第10,564,941号、2020年4月21日に出願された米国特許第10,977,010号、2019年4月9日に出願された米国特許出願第16/379,700号、及び/又は2018年11月13日に出願された米国特許第10,628,135号(これらの全ては、参照により本明細書に組み込まれている)に記載されるようなモデル構造及び/又はプログラミングアプローチ及びツールを使用して、予測制御プロセスを提供するために、反応性の機能プログラミング言語でエッジ適合された機械学習モデル及び/又はイベント処理ロジックを実行するように適合させられ得る。
【0364】
したがって、
図39に示されるシステム3900は、いくつかの実施形態では、最適な様式で、及び建物エッジデバイスのコンピューティング能力を利用する方式で、カーボン排出量目標を達成することを可能にする。いくつかの実施形態では、建物エッジデバイス3902は、互いに独立して(例えば、それらの間の通信を伴わずに)予測制御プロセス(例えば、モデル予測制御)を実行する。他の実施形態では、建物エッジデバイス3902は、それぞれの建物エッジデバイス3902対する最終的な制御決定に到達するために協働する。
【0365】
図39はまた、カーボン管理システム3906に接続されたユーザインターフェース3908を示している。カーボン管理システム3906は、例えば、建物エッジデバイス3902から受信したデータを使用して、建物エッジデバイス3902のカーボン排出量に関する情報を、ユーザインターフェース3908を介して生成及び表示することができる。ユーザインターフェース3908を使用して、システム3900の最大合計許容カーボン排出量を変更し、自動的に生成された排出量目標を上書きすることなどもできる。いくつかの実施形態では、ユーザインターフェース3908は、例えば、
図35A~36を参照して説明されたように、ユーザが、カーボン排出量、運用コスト、及び居住者の快適性のうちの2つ以上の好ましいバランスを選択することを可能にすることができ、これは、次いで、建物エッジデバイスの排出量目標を生成する際にカーボン管理システム3906によって使用され得る。
【0366】
図39はまた、カーボン捕捉/隔離システム3910を示している。カーボン管理システム3906は、例えば、建物エッジデバイス3902にプッシュされた二酸化炭素目標の和と同じ量に一致するように、カーボン捕捉/隔離システム3910による排出量のオフセットを順序付けるように構成され得る。したがって、システム3900は、排出量目標に従ってカーボンの同時の隔離及び排出を可能にする。
【0367】
生産ベース又は利用ベースのメトリクスを用いたカーボン管理ダッシュボード
ここで
図40を参照すると、いくつかの実施形態による、カーボン排出量及び施設の生産又は利用に関するメトリクスを生成するためのプロセス4000のフローチャートが示されている。いくつかの実施形態では、プロセス4000は、プロセス3800と統合され得る。プロセス4000はまた、2020年6月22日に出願された米国特許出願第16/908,324号(その開示全体が参照により本明細書に組み込まれている)に記載されたコントローラ、コンピューティングシステム、及び空間利用ツールと統合され得る。
【0368】
ステップ4002において、例えば、複数の地理的に分散した建物又は構内に関する、企業全体のカーボン排出量データが収集される。ステップ4002は、プロセス3800のステップ38002~3812を参照して上で説明されたように実行され得る。
【0369】
ステップ4004において、施設の生産又は利用データが収集される。施設が生産施設(例えば、工場など)である例では、生産データは、関連する期間にわたって施設によって生産された製品の単位数又は量を示し得る。生産管理コンピューティングシステム(例えば、生産、在庫、注文などを追跡するソフトウェアを実行する)は、例えば、プロセス3800及び4000を実行し、
図41に示されるようなダッシュボードを生成するカーボン管理システムに動作中に接続され得る。追加の例を提供すると、施設が病院又は診療所である例では、生産又は利用データは、治療された患者の数を示し得る。別の例として、施設がレストランである例では、生産又は利用データは、提供される食事の数を示し得る。生産又は利用データは、特定のタイプの施設又はビジネスゴール(例えば、実行された実験、サービス提供された顧客、販売された在庫のドル、販売された品目の数、出荷された品目の数、送信された電子メール、処理されたデータ量、入室した居住者、賃貸されたホテルの部屋など)に関連する任意の形態をとることができる。いくつかの実施形態では、正規化された利用メトリクスを使用して、共通システム内の異なるタイプの施設にわたる利用を特徴付けることができる。そのような生産及び利用データ並びに関連プロセスの更なる詳細は、2020年6月22日に出願された米国特許出願第16/908,324号に記載されており、その開示全体が参照により本明細書に組み込まれている。
【0370】
ステップ4006において、単位生産当たりのカーボン又は単位利用当たりのカーボンメトリクスが生成される。例えば、ステップ4002からのカーボン排出の量を、生産又は利用の量で除算して、メトリクスを取得することができる。その結果、生産された製品数当たりのカーボン、生産された製品量当たりのカーボン、提供された食事当たりのカーボン、治療された患者当たりのカーボン、実行された実験当たりのカーボン、販売収益当たりのカーボン、出荷された品目当たりのカーボン、送信された電子メール当たりのカーボン、処理されたデータ単位当たりのカーボン、居住者当たりのカーボン、占有された部屋当たりのカーボン、正規化された利用価値当たりのカーボンなどのメトリクスが生成され得る。そのようなメトリクスは、企業全体ベース(例えば、企業全体のための1つの値)で、建物ごとに、構内ごとに、ビジネスユニット/部門ごとに、又はユーザによって所望され得る任意の他の好適な区分ごとに生成され得る。いくつかのシナリオでは、1つの企業が多くのタイプの建物を有することができ、その結果、ポートフォリオ内の異なる建物、又は1つ以上の建物の異なる空間に対して異なる単位当たりのカーボン利用率メトリクスが示される。2020年6月22日に出願され、米国特許出願第16/908,324号(その開示全体が参照により本明細書に組み込まれている)に記載されているような場所プロファイルアプローチを使用して、所与の空間又は場所に対して好適なメトリクスを容易かつ自動的に定義することができる。
【0371】
ステップ4008において、1つ以上のメトリクスは、グラフィカルユーザインターフェースを介して(例えば、ブラウザアクセス可能なウェブページ、タブレット又は携帯電話上で動作するアプリケーションなどを介して)提供される。例示的なグラフィカルユーザインターフェースを
図41に示す。ステップ4008は、メトリクスを、例えば、建物管理専門家又は持続可能性の暫定メンバーなどのユーザに通信することを可能にし、ユーザは、その後、カーボン排出を軽減するための措置を講じ、メトリクスを消費者に通信し、また別様に、メトリクスに基づいて意思決定を行うことができる。一例として、商品又はサービスの価格は、消費者への商品のコストがカーボン排出量の時間変化するコストを内部化するように(例えば、消費者が商品又はサービスを取得するときに対応するカーボンオフセットも購入するように)、リアルタイム又はほぼリアルタイムで価格を調節するように自動的に調整され得る。
【0372】
ここで
図41を参照すると、いくつかの実施形態による、ダッシュボード4102を示すグラフィカルユーザインターフェースを有するユーザデバイス4100が示されている。ユーザデバイス4100は、タッチスクリーンタブレットとして示されているが、様々な実施形態では別のディスプレイデバイスであり得る。
【0373】
ダッシュボード4102は、企業建物ポートフォリオ内の建物によるカーボン排出量を示すマップビュー4104を含む。具体的には、マップビューは、対応する建物又は構内の排出量の関数として(又はプロセス4000を介して生成された関連するメトリクスの関数として)円の大きさでされた建物の場所を示す。ユーザは、企業の様々な施設の相対的なカーボン排出量関連のパフォーマンスをすばやく確認し、排出量が発生している場所を確認することができる(例えば、規制排出基準がより高い又はより低い管轄区域において)。マップビューには、ズーム機能を含めることができ、例えば、最も高いビューでは各構内の排出量をでグループ化し、特定の構内でズームインしたときに構内の個々の建物を個別に表示する。
【0374】
ダッシュボード4402はまた、マップビュー4104に示される様々な建物又は構内のカーボン排出量及びカーボン関連メトリクスに関する数値データを含む表4106を示す。
図41の例では、表4106は、各場所についての(例えば、直近の日、直近の週、直近の月などのような特定の時間にわたる)合計排出量、及び同じ期間にわたる単位生産当たりのカーボンメトリクス(例えば、
図40を参照して上で説明される例のいずれか)を示す。
【0375】
ダッシュボード4102はまた、集計カーボンフットプリントウィジェット4108を示す。集計カーボンフットプリントウィジェット4108は、特定の期間にわたる(例えば、直近の日、直近の週、直近の月、全ての時間などの特定の期間にわたる)合計排出量及び合計生産メトリクスごとの集計された合計排出量、例えば、
図40を参照して上で説明される例のいずれかを示す。これにより、ユーザは会社のパフォーマンスをすばやく全体的に見ることができる。いくつかの実施形態では、ユーザは、合計カーボンフットプリントウィジェット4108及び/又はテーブルビュー4106と対話して、経時的な生産メトリクスごとの合計排出量及び排出量のグラフを示して、ユーザが経時的な進捗を評価することを可能にするビューに移動することができる。
【0376】
ダッシュボード4102はまた、排出量/オフセット比較チャート4110を示す。排出量/オフセット比較チャート4110は、企業の合計カーボン排出量を企業によって取得された(例えば、植林、森林保全などの企業活動のカーボン隔離によって取得されたなど)カーボンオフセットと比較する。排出量/オフセット比較チャート4110は、ユーザが、排出量とオフセットとの間のギャップをすばやく見ることを可能にするので、ユーザは、企業がカーボンニュートラルを達成することからどのくらい離れているかを容易に知ることができる。
図41の例では、リンク4112は、カーボンニュートラルを達成するために必要なカーボンオフセットを取得するためのプロセスにアクセスするためにユーザによって選択され得る、合計排出量と合計オフセットとの間のギャップ中に提供される。
【0377】
限界動作排出率を使用したバッテリ制御
ここで
図42を参照すると、いくつかの実施形態による、限界動作排出率を使用してバッテリを制御するためのプロセス4200のフローチャートが示されている。プロセス4200は、様々な実施形態において本明細書に記載される様々なコントローラ、システムなどによって実行され得る。
図42に示されるプロセス4200の実施形態は、バッテリを参照するが、バッテリは、複数のバッテリセルを含み得、プロセス4200は、他のタイプのエネルギー貯蔵装置とともに使用するように適合され得ることを理解されたい。
【0378】
ステップ4202において、現在の限界動作排出率(MOER)が取得される。いくつかの実施形態では、ステップ4202は、ユーティリティグリッドから、又はサードパーティのサービスプロバイダから(例えば、インターネットを介して)MOERを受信することを含む。いくつかの実施形態では、ステップ4202は、気象データ、過去のMOER値などに基づいてMOERを計算又は推定することを含む。
【0379】
ステップ4204において、現在のMOERが、デッドバンドを上回る(すなわち、デッドバンドの上限を定義する値よりも大きい)、デッドバンドを下回る(すなわち、デッドバンドの下限を定義する値よりも小さい)、又はデッドバンド内にある(すなわち、下限よりも大きく、上限よりも小さい)かどうかの判定が行われる。デッドバンドは、特定のシナリオにおけるMOERの過去の値に基づいて定義され得、例えば、デッドバンドの下限では、過去の最大MOERの20%であり、デッドバンドの上限は、過去の最大MOERの80%である(MOERがその最大値の20%を下回るシナリオを仮定する)。デッドバンドは、MOERが平均して20%(又は他のパーセンテージ)の時間でデッドバンドを下回り、平均して20%(又は他のパーセンテージ)の時間でデッドバンドを上回るように、頻度に基づいて定義され得る。したがって、デッドバンドは、実際のMOER値に基づいて適切に定義され得る。ステップ4204における判定は、MOERの数値を、デッドバンドを定義する数値と比較することによって実行され得る。他の実施形態では、ステップ2404における判定が、現在のMOERが特定の値を上回る又は下回るかどうかについてなされるように、デッドバンド(例えば、ゼロ幅のデッドバンド)は使用されない。いくつかの実施形態では、上限及び下限(第1及び第2の値、閾値、デッドバンド位置、デッドバンドサイズなど)は、最適化、例えば、本明細書の他の場所で詳細に考察されるように、複数の目的を考慮する目的関数の最適化を実行することによって判定される。したがって、ステップ4204で限界として使用される値は、予測需要、予測負荷、予測排出率、気象などの関数として動的に判定され得る。
【0380】
いくつかの実施形態では、現在のMOERがデッドバンドよりも低いという判定がステップ4204でなされる場合、プロセス4200は、バッテリが充電されるステップ4206に進む。低いMOERは、低い限界カーボン排出量が、取得されてバッテリに充電されるエネルギーに関連することを示すので、ステップ4206は、電池4206の低カーボン充電に対応する。ステップ4206は、バッテリが完全に充電されるまで、又はMOERが変化し、プロセス4200が再実行されるまで続く可能性がある。いくつかの実施形態では、エネルギー貯蔵モードにおける他の動作が、ステップ4206において実行される。例えば、ステップ4206は、ステップ4204の閾値を下回るMOERに応答して、ステップ4206のエネルギー貯蔵モードで1つ以上の建物に熱エネルギーを貯蔵するために、1つ以上の建物を予熱又は予冷する加熱機器及び/又は冷却機器を動作させることを含むことができ、これにより、建物は、相対的に高いMOERで前もって予熱されるか、又は予冷される。いくつかの実施形態ではステップ4206はまた、エネルギー貯蔵モード及びエネルギー放出モードにおける機器に対する時間変化する設定点を判定するために、時間変化する限界動作排出率を使用する、目的関数に基づく制御プロセスを実施することを含むことができる。
【0381】
ステップ4204において、現在のMOERがデッドバンドよりも大きいという判定がなされる場合、プロセス4200は、ステップ4208に進み、ここで、バッテリは、放電される、いくつかの実施形態である。高いMOERは、相対的に高い限界カーボン排出量がその時点でグリッドから取得される任意のエネルギーに関連することを示すので、そのような期間中にバッテリを放電することは、そのような期間中に電力を取得する必要性を低減し、それによって排出量を低減する。したがって、低カーボンエネルギーは、MOERがデッドバンドを下回るときに、ステップ4206でそのエネルギーを貯蔵し、MOERがデッドバンドを上回るときに、ステップ4208でそのエネルギーを放電することによって、時間的にシフトすることができる。ステップ4208は、バッテリが完全に放電されるまで、又はMOERが変化し、プロセス4200が再実行されるまで続くことができる。いくつかの実施形態では、エネルギー放出モードにおける他の動作が、ステップ4208において実行される。例えば、ステップ4208は、ステップ4204の閾値を下回るMOERに応答して、予熱又は予冷の間に貯蔵された熱エネルギーを利用するために、予熱又は予冷された建物内の温度がドリフトするように、加熱及び/又は冷却機器が制御されるように動作し、建物が相対的に高いMOERを有する時間よりも先に予熱又は予冷されるようにすることを含むことができる。いくつかの実施形態ではステップ4208はまた、エネルギー貯蔵モード及びエネルギー放出モードにおける機器に対する時間変化する設定点を判定するために、時間変化する限界動作排出率を使用する、目的関数に基づく制御プロセスを実施することができる。
【0382】
現在のMOERがデッドバンド内にあるという判定がステップ4204で行われる場合、プロセス4200は、ステップ4210に進む。示された実施形態では、バッテリは、ステップ4210で充電も放電もされず、実質的に一定量のエネルギーがバッテリ内に維持される。エネルギーの量は、より高いMOER期間の放電のために貯蔵され、一方、あらゆる余分な容量は、より低いMOER期間の充電のために開放されたままである。他の実施形態では、現在のMOERがデッドバンド内にあるとき、ヒステリシスタイプの制御が提供され、ここで、バッテリの以前の充電又は放電状態は、例えば、バッテリの劣化に寄与する可能性のある充電/放電/両方の状態の間の高周波切り替えを防止するために、少なくとも閾値の時間継続される。いくつかの実施形態では、ステップ4210は、例えば、フィードバックコントローラ(サーモスタットなど)を使用して、加熱及び/又は冷却機器を標準制御アプローチで制御して、温度を予め設定された又はスケジュールされた設定点に駆動することを含むことができる。
【0383】
プロセス4200は、それによって、限界動作排出率に基づいてバッテリ又は他の機器を制御することによって排出節約を達成する、効率的で実装が容易な制御解決策を提供することができる。
【0384】
例示的な実装形態
本開示の1つの実装形態は、方法である。この方法は、将来の時間範囲にわたる建物機器を動作させる予測コストを計算する目的関数を生成することと、将来の時間範囲内で複数の時間ステップにわたって消費される単位エネルギー当たりのカーボン排出量の時間変化する指標を予測することと、予測カーボン排出量が事前定義されたレベル未満であることを必要とするカーボン排出量制約を定義することと、カーボン排出量制約の対象となる目的関数を最適化することによって建物設定点を生成することと、建物設定点に従って建物機器を動作させることと、を含む。
【0385】
本開示の別の実装形態は、建物機器を動作させる別の方法である。方法は、カーボン排出量項、ユーティリティコスト項、及び居住者快適性項の重み付けされた和を含む目的関数を生成することと、排出量を低減し、コストを節約し、快適性を向上させるための相対的な選好を示すように重み付けされた和の重みを調整するユーザ入力を受信することと、建物機器に対する設定点を生成するために調整された重み付けを有する目的関数を最適化することと、設定点に従って建物機器を動作させることと、を含む。
【0386】
本開示の別の実装形態は、建物機器を動作させる別の方法である。方法は、訓練期間の時間における消費電力に対応するカーボン排出量、及び訓練期間の時間における消費電力のコストを含む訓練データを収集することと、コスト対カーボン曲線を訓練データに適合させることと、コスト対カーボン曲線を含むグラフィカルユーザインターフェースを生成することであって、グラフィカルユーザインターフェースが、ユーザがコスト対カーボン曲線に沿って好ましい点を選択することを可能にする、生成することと、コスト対カーボン曲線に沿って好ましい点を達成することが予測される建物機器に対する設定点を生成することと、設定点を使用して建物機器を制御することと、を含む。
【0387】
本開示の別の実装形態は、建物機器を動作させる別の方法である。方法は、訓練期間の時間における消費電力に対応するカーボン排出量、及び訓練期間の時間における居住者の快適性を示す訓練データを収集することと、快適性対カーボン曲線を訓練データに適合させることと、快適性対カーボン曲線を含むグラフィカルユーザインターフェースを生成することであって、グラフィカルユーザインターフェースが、ユーザが快適性対カーボン曲線に沿って好ましい点を選択することを可能にする、生成することと、快適性対カーボン曲線に沿って好ましい点を達成することが予測される建物機器に対する設定点を生成することと、設定点を使用して建物機器を制御することと、を含む。
【0388】
本開示の別の実装形態は、方法である。方法は、建物を運営するコストを特徴付ける目的関数を生成することを含む。目的関数は、建物エネルギーシステムに追加され得る新しいエネルギー資産に関する1つ以上の決定変数を有し、建物を運営するコストは、建物のエネルギー消費に起因するカーボン排出の内部化されたコストを含む。方法は、1つ以上の決定変数に対して1つ以上の制約を生成することであって、1つ以上の制約は、新しいエネルギー資産を収容するための利用可能な建物空間に関する物理的サイズ決め制約を含む、生成することと、1つ以上の制約の対象となる目的関数を最適化して、建物に設置する1つ以上の推奨される新しい資産を識別することと、1つ以上の推奨される新しい資産と、1つ以上の推奨される新しい資産の設置から生じると推定される予測カーボン排出節約量とを識別するグラフィカルユーザインターフェースを生成することと、を含む。
【0389】
本開示の別の実装形態は、企業全体のカーボンニュートラルを達成する方法である。方法は、企業全体の建物管理システムのセンサから建物データを収集することと、建物データに基づいて建物関連のカーボン排出量を追跡することと、車両の燃料消費量を示すように構成された車両ベースのデータ収集器から車両群データを収集することと、車両群データに基づいて車両関連のカーボン排出量を追跡することと、を含む。方法はまた、会計システムから旅行及び動作データを収集することであって、旅行及び動作データが、企業の他のカーボン排出活動からの他のカーボン排出量を示す、収集することと、建物関連のカーボン排出量、車両関連のカーボン排出量、及び他のカーボン排出量を示す統一ダッシュボードを生成することと、建物関連のカーボン排出量、車両関連のカーボン排出量、及び他のカーボン排出量に基づいて推奨事項又は制御決定を生成することと、統一ダッシュボードによって示された企業のカーボンフットプリントの合計に基づいてカーボン隔離プロセスを自動的に開始することと、を含む。
【0390】
本開示の別の実装形態は、カーボン排出量を低減又は排除するために建物機器を制御する方法である。方法は、ユーティリティグリッドから消費される電力の単位当たりの時間変化するカーボン排出量の指標を取得することと、時間範囲にわたる予測建物負荷に対応する時間範囲にわたる、及び表示に基づく合計カーボン排出量又は炭素:電力比を計算する目的関数を生成することと、合計カーボン排出量又は炭素:電力比を最小化するために1つ以上の制約の対象となる目的関数を最適化することによって、建物に対する時間変化する設定点を生成することと、時間変化する設定点に従って建物機器を動作させることと、を含む。いくつかの実施形態では、時間変化する設定点を生成することは、指標が第1の値を有する第1の期間から離し、指標が第2の値を有する第2の期間に、建物負荷をシフトさせることを含み、第2の値は、第1の値よりも小さい。
【0391】
本開示の別の実装形態は、建物機器を動作させる別の方法である。方法は、ユーティリティグリッド又は燃料サプライヤからエネルギーを購入し、正味ゼロカーボン排出を達成するためにカーボンオフセットを購入するための合計コストを含む目的関数を生成することを含む。方法は、目的関数を最適化して、1つ以上の制約の対象となる時間範囲にわたる合計コストを最小化する建物機器に対する設定点を生成することと、設定点に従って建物機器を動作させることと、を含む。
【0392】
いくつかの実施形態では、方法は、カーボンオフセットを自動的に取得することを含む。カーボンオフセットの量は、建物機器を動作させることに起因することが推定される排出量に等しい。目的関数の最適化は、消費されるエネルギーの単位当たりの時間変化するカーボン排出量のモデルを使用して実施され得る。
【0393】
本開示の別の実装形態は、建物機器を動作させる方法である。方法は、ユーティリティグリッド又は燃料供給者からエネルギーを購入するための合計コストと、エネルギーの生産に起因することが推定されるカーボン排出量を承認するためのカーボンクレジットを購入するための合計コストと、を含む目的関数を生成することを含む。方法はまた、目的関数を最適化して、1つ以上の制約の対象となる時間範囲にわたる合計コストを最小化する建物機器に対する設定点を生成することと、設定点に従って建物機器を動作させることと、を含む。いくつかの実施形態では、方法はまた、カーボンクレジット市場を介してカーボンクレジットを自動的に購入することを含む。
【0394】
本開示の別の実装形態は、建物動作のためにカーボンニュートラルを展開する方法である。方法は、生産施設でストックモジュール式エネルギーユニットを製造することと、ストックモジュール式エネルギーユニットのモジュール式エネルギーユニットを、道路を介して生産施設から建物に輸送することと、モジュール式エネルギーユニットを建物とユーティリティグリッドとの間に電気的に設置することと、建物エネルギー負荷を示す建物データを収集することと、収集された建物データに基づいて、モジュール式エネルギーユニット用の予測コントローラを訓練することと、予測コントローラを使用してモジュール式ユニットを制御して、カーボン排出エネルギー源の使用を低減又は排除することと、1つ以上のカーボン捕捉プロセスを使用して、任意の残りのカーボン排出量を自動的にオフセットすることと、を含む。
【0395】
本開示の別の実装形態は、監督制御システムである。監督制御システムは、ネットワークを介して接続された複数の建物エッジデバイスと、ネットワークを介して複数の建物エッジデバイスに接続され、建物エッジデバイスの各々に対して、建物エッジデバイスのカーボン排出量の目標量を示すカーボン排出量目標を生成し、ネットワークを介して建物エッジデバイスにカーボン排出量目標を送信するように構成されたカーボン管理システムと、を含む。複数の建物エッジデバイスの各々は、ローカル最適化を実施して、建物エッジデバイスの1つ以上の動作目標を達成しながら、カーボン排出量をカーボン排出量目標以下にする、建物エッジデバイスの動作をもたらすことが予測される制御決定を生成するように構成されている。
【0396】
本開示の別の実装形態は、モジュール式エネルギーユニットである。モジュール式エネルギーユニットは、電力管理回路と、電力管理回路に導電的に結合されたグリーンエネルギー発生器と、電力管理回路に導電的に結合された燃料セルと、電力管理回路に導電的に結合されたエネルギー貯蔵システムと、電力管理回路を電力グリッドに導電的に接続するように構成されたユーティリティ入口と、電力管理回路を建物の電気システムに導電的に接続するように構成された建物コンセントと、を含む。
【0397】
いくつかの実施形態では、電力管理回路は、最適化プロセスの結果に従って、グリーンエネルギー生成器、燃料セル、エネルギー貯蔵システム、及びユーティリティ入口の間で建物電気システムの電気需要を割り当てるように構成されている。
【0398】
いくつかの実施形態では、モジュール式エネルギーユニットは、ハウジングも含む。グリーンエネルギー発生器、燃料セル、エネルギー貯蔵システム、ユーティリティ入口、及び建物コンセントは、ハウジング上又はハウジング内に位置決めされ得る。ハウジングは、標準的な道路上でトラックによって輸送するためのサイズである。
【0399】
様々な実施形態では、グリーンエネルギー生成器は、光起電力セルを含み、グリーンエネルギー生成器は、風車を含み、グリーンエネルギー生成器は、核マイクロリアクタを含み、燃料セルは、水素燃料セルであり、エネルギー貯蔵システムは、複数のバッテリを含み、かつ/又はエネルギー貯蔵システムは、重力ポテンシャルエネルギーとしてエネルギーを貯蔵するように構成されている。いくつかの実施形態では、エネルギー貯蔵システムは、上部タンクと、上部タンクの下に置かれ、上部タンクから分離された下部タンクと、下部タンクから上部タンクへの流体流れを可能にする第1の流路と、上部タンクから下部タンクへの流体の流れを可能にする第2の流路と、第1の流路上にあり、流体を下部タンクから上部タンクに移動させることによって電気を重力ポテンシャルエネルギーに変換するように構成されているポンプと、第2の流路上にあり、重力が上部タンクから下部タンクに流体を引っ張るときに流体の運動エネルギーを回収することによって重力ポテンシャルエネルギーを生成電力に変換するように構成されたタービンと、を含む。
【0400】
いくつかの実施形態では、モジュール式エネルギーユニットはまた、電力管理回路と通信可能なセルラモデムを含む。セルラモデムは、電力管理回路とクラウドベースの最適化資源との間の通信を確立するように構成されている。いくつかの実施形態では、モジュール式エネルギーユニットは、建物電気システムによってサービス提供される建物デバイスと通信可能な建物設定点最適化装置を含む。建物設定点最適化装置は、建物デバイスの動作がモジュール式エネルギーユニットの動作と調整されるように、建物デバイスに対する設定点を変更するように構成されている。
【0401】
いくつかの実施形態では、モジュール式エネルギーユニットは、建物の電気システムの需要に対応することに関連するカーボン排出量を低減又は排除するように構成されている。
【0402】
本開示の別の実装形態は、モジュール式エネルギーユニットを動作させる方法である。方法は、モジュール式エネルギーユニット上の電気需要を予測することと、モジュール式エネルギーユニットの1つ以上のグリーンエネルギー生成器から利用可能な発電を予測することと、モジュール式エネルギーユニットの1つ以上のエネルギー貯蔵システムの容量を追跡することと、モジュール式エネルギーユニットの燃料セル内の燃料レベルを追跡することと、ユーティリティグリッドからユーティリティレート及びユーティリティカーボン排出量データを取得することと、モジュール式エネルギーユニット上の電気需要を満たすことに関連するコスト又はカーボン排出量のうちの少なくとも1つを低減することが予測されるモジュール式エネルギーユニットの制御決定を生成することと、制御決定に従って、1つ以上のグリーンエネルギー生成器、1つ以上のエネルギー貯蔵システム、及び燃料セルを制御することと、を含む。
【0403】
本開示の別の実装形態は、建物システムである。建物システムは、ローカルメッシュネットワークを使用して一緒に接続された複数のモジュール式エネルギーユニットと、セルラネットワークを介して複数のモジュール式エネルギーユニットの第1のモジュール式エネルギーユニットと通信可能なクラウドベースの最適化資源と、を含む。クラウドベースの最適化資源は、複数のモジュール式エネルギーユニットのための最適な設定点を生成し、セルラネットワーク及び第1のモジュール式エネルギーユニットを介して複数のモジュール式エネルギーユニットに最適な設定点を送信するように構成されている。
【0404】
いくつかの実施形態では、建物システムはまた、複数のモジュール式エネルギーユニットの第2のモジュール式エネルギーユニットによってサービス提供されるモジュール式データセンタを含む。いくつかの実施形態では、建物システムは、建物又は構内の建物デバイスを制御するように構成された建物管理システムを含む。クラウドベースの最適化資源は、モジュール式エネルギーユニット及び建物管理システムの動作を調整するように構成されている。
【0405】
本開示の別の実装形態は、HVAC機器ユニットである。HVAC機器ユニットは、建物HVACシステム内に加熱、冷却、又は気流を提供するように構成された複数の動力式HVAC構成要素と、化学反応を使用して電気エネルギーを生成するように構成された燃料セルと、エネルギーグリッド又は燃料セルからの電気エネルギーを貯蔵し、かつ電力HVAC構成要素に電力供給するために貯蔵された電気エネルギーを放電するように構成されたバッテリユニットと、予測コスト関数を最適化して、最適化期間の各時間ステップにおいて、エネルギーグリッドから購入する最適な電気エネルギー量、燃料セルで生成する最適な電気エネルギー量、及び動力式HVAC構成要素に電力供給するためにバッテリユニットに貯蔵又はバッテリユニットから放電する最適な電気エネルギー量を判定するように構成された予測HVACコントローラと、を含む。
【0406】
いくつかの実施形態では、HVAC機器ユニットはまた、光起電力エネルギーを収集するように構成された1つ以上の光起電力パネルを含む。予測チラーコントローラは、最適化期間の各時間ステップにおいてバッテリユニットに貯蔵される最適な光起電力エネルギー量、及び動力式HVAC構成要素によって消費されるべき最適な光起電力エネルギー量を判定するように構成されている。
【0407】
いくつかの実施形態では、予測コスト関数は、最適化期間の各時間ステップにおいてエネルギーグリッドから購入される電気エネルギーのコスト及び燃料セルのための燃料のコスト、並びに最適化期間の各時間ステップにおいて、貯蔵された電気エネルギーをバッテリユニットから放電することに起因するコスト節約量を考慮する。いくつかの実施形態では、予測コスト関数は、最適化期間と少なくとも部分的に重複する需要課金期間中のHVAC機器ユニットの最大電力消費に基づく需要課金を考慮する。予測チラーコントローラは、需要課金を定義するエネルギー価格データを受信し、予測コスト関数への入力としてエネルギー価格データを使用するように構成され得る。
【0408】
本開示の別の実装形態は、建物機器のユニットと統合された燃料セルを動作させる方法である。方法は、燃料セルの過去の使用量を示すデータを収集することによって燃料セルを監視することと、燃料セルの過去の使用量に基づいて燃料セルの将来の使用量を予測することと、燃料セルに燃料を補給するための燃料の価格を追跡することと、燃料貯蔵制限又は燃料貯蔵コストに関する制約又はペナルティの対象となる燃料セルに燃料を補給するための燃料を購入するコストを最小化する最適化を実行することと、最適化の結果に基づいて燃料セルに燃料を補給するための燃料を取得することと、を含む。
【0409】
本開示の別の実装形態は、建物のカーボン排出量データを収集し、生産又は利用データを収集し、単位生産当たりのカーボンメトリクス又は単位利用当たりのカーボンメトリクスを生成し、グラフィカルユーザインターフェースを介して単位生産当たりのカーボンメトリクス又は単位利用当たりのカーボンメトリクスを提供することを含む方法である。いくつかの実施形態では、グラフィカルユーザインターフェースは、単位生産当たりのカーボンメトリクス又は単位利用当たりのカーボンメトリクスを示すダッシュボードを表示する。ダッシュボードはまた、異なる地理的場所にある異なる建物に対応するカーボン排出量のマップビューを含む。
【0410】
本開示の別の実装形態は、エネルギーグリッドから購入される電気の時間変化する限界動作排出率を取得することと、時間変化する限界動作排出率を使用して時間範囲にわたる限界排出量を計算する排出項を含む目的関数を生成することと、目的関数を最適化することによって建物設定点を生成することと、建物設定点に従って建物機器を動作させることと、を含む方法である。
【0411】
本開示の別の実装形態は、方法である。方法は、限界動作排出率を取得することと、限界動作排出率が第1の値よりも小さい場合にバッテリを充電することと、限界動作排出率が第2の値よりも大きい場合にバッテリを放電することと、を含む。
【0412】
例示的な実施形態の構成
様々な例示的な実施形態に示されるシステム及び方法の構築及び配設は、単なる例解である。本開示では、いくつかの実施形態のみが詳細に説明されてきたが、多くの修正が可能である(例えば、様々な要素のサイズ、寸法、構造、形状、及び割合、パラメータの値、取り付け構成、材料の使用、色、配向などの差異)。例えば、要素の位置は、反転させることができ、又は別様に変化させ得、個別要素の性質若しくは数、又は位置は、変更すること、又は変化させ得る。したがって、そのような全ての修正は、本開示の範囲内に含まれることが意図される。任意のプロセス又は方法ステップの順番又はシーケンスは、代替実施形態に従って、変更又は再順序付けされ得る。他の置換、修正、変更、及び省略は、本開示の範囲から逸脱することなく、例示的な実施形態の設計、動作条件、及び配置において行われ得る。
【0413】
行われ得る修正の一例として、上で説明されるモデル化、最適化、定式化などは、回帰モデル化技法、グレーボックス又は物理ベースのモデル化技法などを使用して実施され得、又は機械学習及び人工知能アルゴリズム(例えば、ニューラルネットワーク、ベイズモデル化など)、若しくはそれらの組み合わせを使用して実施され得ることを理解されたい。そのようなモデル化アプローチを使用して本明細書の様々な教示を実施するために使用することができる例示的なアプローチは、2019年5月16日に出願された米国特許出願第16/413,946号に記載されており、その開示全体が参照により本明細書に組み込まれている。例えば、ニューラルネットワーク又は他のAIは、例えば、入力のセットに基づいて、カーボン排出量を推定するように訓練され得、次いで、カーボン排出量は、本明細書に記載されたプロセスの更なるステップにおいて、別のAI又はいくつかの他のアルゴリズムによって使用され得る。
【0414】
本開示は、様々な動作を達成するための任意の機械可読媒体上の方法、システム、及びプログラム製品を企図する。本開示の実施形態は、既存のコンピュータプロセッサを使用して、又はこの目的若しくは別の目的のために組み込まれた適切なシステムのための専用コンピュータプロセッサによって、又は配線接続されたシステムによって実施され得る。本開示の範囲内の実施形態は、記憶された機械実行可能命令又はデータ構造を搬送するか又は有するための機械可読媒体を含むプログラム製品を含む。そのような機械可読媒体は、プロセッサを備えた汎用若しくは専用のコンピュータ又は他の機械によってアクセス可能な任意の利用可能な媒体であり得る。例として、そのような機械可読媒体は、RAM、ROM、EPROM、EEPROM、CD-ROM、若しくは他の光ディスク記憶装置、磁気ディスク記憶装置若しくは他の磁気記憶デバイス、又は所望のプログラムコードを機械実行可能命令若しくはデータ構造の形態で搬送又は記憶するために使用でき、かつプロセッサを備えた汎用若しくは専用コンピュータ若しくは他の機械によってアクセスできる任意の他の媒体を含むことができる。上記の組み合わせも、機械可読媒体の範囲内に含まれる。機械実行可能命令は、例えば、汎用コンピュータ、専用コンピュータ、又は専用処理機械に、ある特定の機能又は機能群を実行させる命令及びデータを含む。
【0415】
図は、方法ステップの特定の順序を示しているが、ステップの順序は、描写されたものとは異なり得る。また、2つ以上のステップを同時に、又は部分的に同時に実行され得る。このような変形形態は、選択されたソフトウェア及びハードウェアシステム、並びに設計者の選択に依存する。全てのそのような変形形態は、本開示の範囲内である。同様に、ソフトウェアの実装は、様々な接続ステップ、処理ステップ、比較ステップ、及び判定ステップを達成するために、ルールベースのロジック及び他のロジックを有する標準的なプログラミング技術によって達成され得る。
【手続補正書】
【提出日】2024-01-29
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のサブシステムにわたって分散された動作している建物機器に関連するカーボン排出量を調整及び制御するためのカスケード制御システムであって、
複数のサブシステムの各々に対するカーボン排出量目標を生成するように構成された第1のコントローラと、
複数の第2のコントローラと
を備え、
前記複数の第2のコントローラはそれぞれが、
前記複数のサブシステムのうちの1つに対応しており、
前記対応するサブシステムの建物機器に対する制御決定を生成することであって、前記制御決定は、前記対応するサブシステムに対する前記カーボン排出量目標を前記建物機器に達成させることが予測される、生成することと、
前記制御決定を使用して、前記対応するサブシステムの前記建物機器を動作させることと
を行うように構成されている、カスケード制御システム。
【請求項2】
前記第1のコントローラが、ユーティリティグリッドからの電力に関連する排出率の時間変化する値に基づいて、前記カーボン排出量目標を生成し、前記建物機器の1つ以上のデバイスが、前記電力を消費する、請求項1に記載のカスケード制御システム。
【請求項3】
前記第1のコントローラが、予測制御プロセスを使用して前記カーボン排出量目標を生成し、前記予測制御プロセスは、前記カーボン排出量目標に起因することが予測される前記複数のサブシステムの集計カーボン排出量を考慮し、前記カーボン排出量目標を満たすために起こることが予測されるいくつかの削減に基づいて前記建物機器によってサービスを受ける1つ以上の建物の居住者の快適性を更に考慮する、請求項1に記載のカスケード制御システム。
【請求項4】
前記第1のコントローラが、前記複数
のサブシステムの前記集計カーボン排出量に基づくカーボン目的と、快適性目的と、を含む、複数の目的を有する多目的最適化プロセスを使用して、前記カーボン排出量目標を生成する、請求項3に記載のカスケード制御システム。
【請求項5】
前記複数の目的が、前記建物機器によって消費される資源を購入するコストを更に含む、請求項4に記載のカスケード制御システム。
【請求項6】
前記第1のコントロー
ラが、前記複数のサブシステムに関連するカーボン排出量と、前記カスケード制御システムによって制御不可能な他のカーボン排出量と、の両方に基づいて、前記カーボン排出量目標を生成する、請求項1に記載のカスケード制御システム。
【請求項7】
前記他のカーボン排出量が、商品又は人の輸送に起因する、請求項6に記載のカスケード制御システム。
【請求項8】
前記第1のコントローラが、ある期間にわたる合計排出量に対する予算又はゴールに基づいて、前記カーボン排出量目標を生成するように構成されている、請求項1に記載のカスケード制御システム。
【請求項9】
複数のサブシステムにわたって分散された動作している建物機器に関連するカーボン排出量を調整及び制御するためのカスケード制御システムであって、
第1のコントローラが、複数のサブシステムの各々に対するカーボン排出量目標を生成することと、
前記複数のサブシステムのうちの1つに各々対応する複数の第2のコントローラにおいて、前記第1のコントローラから前記カーボン排出量目標を受信することと
前記複数の第2のコントローラのそれぞれが、前記対応するサブシステムに対する前記カーボン排出量目標を前記建物機器に達成させることが予測される、前記対応するサブシステムの前記建物機器に対する制御決定を生成することと、
前記複数の第2のコントローラのそれぞれが、前記制御決定を使用して、前記対応するサブシステムの前記建物機器を動作させることと
を含む、カスケード制御方法。
【請求項10】
前記第1のコントローラが、ユーティリティグリッドからの電力に関連する排出率の時間変化する値に基づいて、前記カーボン排出量目標を生成し、前記建物機器の1つ以上のデバイスが、前記電力を消費する、請求項9に記載のカスケード制御方法。
【請求項11】
前記第1のコントローラが、予測制御プロセスを使用して前記カーボン排出量目標を生成し、前記予測制御プロセスは、前記カーボン排出量目標に起因することが予測される前記複数のサブシステムの集計カーボン排出量を考慮し、前記カーボン排出量目標を満たすために起こることが予測されるいくつかの削減に基づいて前記建物機器によってサービスを受ける1つ以上の建物の居住者の快適性を更に考慮する、請求項9に記載のカスケード制御方法。
【請求項12】
前記第1のコントローラが、前記複数のサブシステムの前記集計カーボン排出量に基づくカーボン目的と、快適性目的と、を含む、複数の目的を有する多目的最適化プロセスを使用して、前記カーボン排出量目標を生成する、請求項11に記載のカスケード制御方法。
【請求項13】
前記複数の目的が、前記建物機器によって消費される資源を購入するコストを更に含む、請求項12に記載のカスケード制御方法。
【請求項14】
前記第1のコントローラが、前記複数のサブシステムに関連するカーボン排出量と、前記カスケード制御システムによって制御不可能な他のカーボン排出量と、の両方に基づいて、前記カーボン排出量目標を生成する、請求項9に記載のカスケード制御方法。
【請求項15】
前記他のカーボン排出量が、商品又は人の輸送に起因する、請求項14に記載のカスケード制御方法。
【請求項16】
前記第1のコントローラが、ある期間にわたる合計排出量に対する予算又はゴールに基づいて、前記カーボン排出量目標を生成するように構成されている、請求項9に記載のカスケード制御方法。
【請求項17】
命令を記憶した1つ以上の非一時的コンピュータ可読媒体であって、前記命令が、1つ以上のプロセッサによって実行されたときに、前記1つ以上のプロセッサに、
第1のコントローラが、複数のサブシステムの各々に対するカーボン排出量目標を生成することと、
前記複数のサブシステムのうちの1つに各々対応する複数の第2のコントローラにおいて、前記第1のコントローラから前記カーボン排出量目標を受信することと
前記複数の第2のコントローラのそれぞれが、前記対応するサブシステムの建物機器に対する制御決定であって、前記対応するサブシステムに対する前記カーボン排出量目標を前記建物機器に達成させることが予測される制御決定を生成することと、
前記複数の第2のコントローラのそれぞれが、前記制御決定を使用して、前記対応するサブシステムの前記建物機器を動作させることと
を含む動作を実施させる、1つ以上の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項18】
前記第1のコントローラが、ユーティリティグリッドからの電力に関連する排出率の時間変化する値に基づいて、前記カーボン排出量目標を生成し、前記建物機器の1つ以上のデバイスが、前記電力を消費する、請求項17に記載の1つ以上の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項19】
前記第1のコントローラが、予測制御プロセスを使用して前記カーボン排出量目標を生成し、前記予測制御プロセスは、前記カーボン排出量目標に起因することが予測される前記複数のサブシステムの集計カーボン排出量を考慮し、前記カーボン排出量目標を満たすために起こることが予測されるいくつかの削減に基づいて前記建物機器によってサービスを受ける1つ以上の建物の居住者の快適性を更に考慮する、請求項17に記載の1つ以上の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項20】
前記第1のコントローラが、前記複数のサブシステムに関連するカーボン排出量と、前記第1のコントローラ又は前記複数の第2のコントローラによって制御不可能な他のカーボン排出量と、の両方に基づいて、前記カーボン排出量目標を生成する、請求項17に記載の1つ以上の非一時的コンピュータ可読媒体。
【国際調査報告】