(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-24
(54)【発明の名称】車両用暗号通貨採掘システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 20/06 20120101AFI20240517BHJP
【FI】
G06Q20/06 300
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023573374
(86)(22)【出願日】2022-01-28
(85)【翻訳文提出日】2023-11-27
(86)【国際出願番号】 KR2022001578
(87)【国際公開番号】W WO2023075036
(87)【国際公開日】2023-05-04
(31)【優先権主張番号】10-2021-0146800
(32)【優先日】2021-10-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2021-0179251
(32)【優先日】2021-12-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523446941
【氏名又は名称】パク ガラム
【氏名又は名称原語表記】PARK, Ga-Ram
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】パク ガラム
【テーマコード(参考)】
5L020
【Fターム(参考)】
5L020AA12
(57)【要約】
本発明は、エンジンの駆動により電力を生成する発電機と、前記発電機によって生成された電力を貯蔵するバッテリーと、前記発電機又は前記バッテリーと接続され、直流の電源を交流に変換するインバータと、前記インバータで変換出力された電源を用いて暗号通貨を採掘するマイニング装置と、前記マイニング装置の採掘状態をモニタするための管制装置とを含む車両用暗号通貨採掘システムを提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンの駆動により電力を生成する発電機と、
前記発電機によって生成された電力を貯蔵するバッテリーと、
前記発電機又は前記バッテリーと接続され、直流の電源を交流に変換するインバータと、
前記インバータで変換出力された電源を用いて暗号通貨を採掘するマイニング装置と、
前記マイニング装置の採掘状態をモニタするための管制装置と、を含む、車両用暗号通貨採掘システム。
【請求項2】
前記マイニング装置によって採掘された暗号通貨の伝達を受け、車両運転者の電子財布に保管する中央サーバをさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の車両用暗号通貨採掘システム。
【請求項3】
前記管制装置は、前記中央サーバと通信可能なように接続され、前記車両運転者の電子財布の状態をモニタすることを特徴とする、請求項2に記載の車両用暗号通貨採掘システム。
【請求項4】
前記中央サーバは、
前記マイニング装置を管制するものの、前記マイニング装置の異常発生時に採掘動作が停止すると、停止時間をカウントし、前記停止時間の分だけ前記車両運転者に補償することを特徴とする、請求項2に記載の車両用暗号通貨採掘システム。
【請求項5】
前記中央サーバは、
前記車両運転者が前記採掘された暗号通貨、前記採掘された暗号通貨を両替した現金、または前記採掘された暗号通貨を他の通貨に転換するときに発生する手数料、の一部を前記車両運転者に提供し、残りの一部は前記中央サーバの運営会社に提供することを特徴とする、請求項4に記載の車両用暗号通貨採掘システム。
【請求項6】
前記管制装置は、
前記バッテリーから前記インバータに電源が供給されるか否かを判断し、前記インバータへの電源の供給が第1時間だけ維持される場合、前記マイニング装置の電源をオン(ON)させることを特徴とする、請求項1に記載の車両用暗号通貨採掘システム。
【請求項7】
前記管制装置は、
前記バッテリーの残量が、前記マイニング装置が少なくとも第2時間以上作動できる電力量だけ貯蔵している場合、前記マイニング装置の電源をオン(ON)させることを特徴とし、
前記第2時間は、前記マイニング装置のブート時間及びシャットダウン時間であることを特徴とする、請求項1に記載の車両用暗号通貨採掘システム。
【請求項8】
前記エンジンの稼動中断時に、前記インバータが前記マイニング装置の電源をオフ(OFF)させる信号を伝送し、
前記バッテリーは、貯蔵された残余電力を前記マイニング装置に供給して、前記マイニング装置がシャットダウン時間の間作動できるようにすることを特徴とする、請求項7に記載の車両用暗号通貨採掘システム。
【請求項9】
前記中央サーバは、前記管制装置を用いて、車両運転者とユーザ認証手順を行い、
前記マイニング装置は、前記管制装置のユーザ認証の成功時に暗号通貨の採掘を行うことを特徴とする、請求項1に記載の車両用暗号通貨採掘システム。
【請求項10】
前記マイニング装置は、衝撃吸収部材からなる外箱内に装着され、
前記外箱には、内部の熱を外部に放出するためのファンが設けられたことを特徴とする、請求項1に記載の車両用暗号通貨採掘システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、暗号通貨採掘システムに関し、より詳細には、車両に装着されたエンジンの駆動により発生する電力を用いて暗号通貨を採掘するシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
暗号通貨(クリプトカレンシー(crypto currency)又はクリプトマネー(crypto money))は、紙幣や硬貨のような実物なしに、ネットワークで接続された仮想空間で電子的形態で使用されるデジタル通貨又は電子マネーを指す。
【0003】
本明細書において使用する用語のうちの暗号通貨は、仮想通貨と呼ばれることもあるが、本明細書では、暗号通貨と総称する。
【0004】
このような暗号通貨は、実際に取引する実物通貨(硬貨、紙幣)とは異なって、仮想環境での実体のない通貨を指す。このような暗号通貨には、多くの種類があり、代表的に2008年に最初に開発された「ビットコイン」があり、その他に比較的活発に取引されている暗号通貨としては、「リップル」、「イーサリアム」、「ドージ」などがある。ビットコインを除いた暗号通貨は、アルトコインと呼ぶこともある。
【0005】
クレジットカードや各種簡便決済は、通帳に入金された決済口座から使用金額が引き落とされ、口座振替をすることによって、実際に現金の取引が行われるが、暗号通貨は、現金なしに暗号通貨だけでも物を売り買いすることができる。
【0006】
暗号通貨は、中央集中機関によって通貨の発行及び管理が行われる構造ではなく、P2P(Peer to Peer)ベースの分散データベースによって取引が行われる構造を有する。
【0007】
ビットコインのような暗号通貨は、定められたアルゴリズムに従って一定周期毎に自動で所定量のビットコインが生成され、生成された暗号通貨は、特定のアルゴリズムを通じて作られる複雑な数学的、暗号化的な問題を解くと、所有権が移り得る。
【0008】
このように特定のアルゴリズムを通じて作られる複雑な数学的、暗号化的な問題を解くことは、コンピュータのメインボードに装着されるCPUよりも、グラフィックカードなどに装着されるGPUが演算能力に優れるため、暗号通貨を採掘する作業は、グラフィックカードや、暗号通貨の採掘に必要な演算のみを行う専用ASICを多数個装着した多数のハッシュボードによって行われている。
【0009】
通常の暗号通貨の採掘作業は、通常、採掘場と呼ばれる、建築構造物で行われているが、このような固定式の暗号通貨採掘システムは、固定された場所で多量に発生する熱を冷却させるために、冷却システムや換気システムをさらに構築しなければならず、また、効果的な放熱が行われない場合、火災発生の危険があり、併せて、採掘システムを動作させるために商用の電源を購買しなければならないという問題などがある。
【0010】
したがって、前記のような問題を解決するための方案が要求されている実情である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、車両の駆動により発生する電力を用いて暗号通貨を採掘し、その状態をリアルタイムでモニタすることができる車両用暗号通貨採掘システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前述した技術的課題を解決するための手段として、本発明は、エンジンの駆動により電力を生成する発電機と、前記発電機によって生成された電力を貯蔵するバッテリーと、前記発電機又は前記バッテリーと接続され、直流の電源を交流に変換するインバータと、前記インバータで変換出力された電源を用いて暗号通貨を採掘するマイニング装置と、前記マイニング装置の採掘状態をモニタするための管制装置とを含む車両用暗号通貨採掘システムを提供する。
【0013】
一実施例によって、前記マイニング装置によって採掘された暗号通貨の伝達を受け、車両運転者の電子財布に保管する中央サーバをさらに含むことができる。
【0014】
一実施例によって、前記管制装置は、前記中央サーバと通信可能なように接続され、前記車両運転者の電子財布の状態をモニタすることができる。
【0015】
一実施例によって、前記中央サーバは、前記マイニング装置を管制するものの、前記マイニング装置の異常発生時に採掘動作が停止すると、停止時間をカウントし、前記停止時間の分だけ前記車両運転者に補償することができる。
【0016】
一実施例によって、前記中央サーバは、前記車両運転者が前記採掘された暗号通貨、前記採掘された暗号通貨を両替した現金、または前記採掘された暗号通貨を他の通貨に転換するときに発生する手数料、の一部を前記車両運転者に提供し、残りの一部は前記中央サーバの運営会社に提供することができる。
【0017】
一実施例によって、前記管制装置は、前記バッテリーから前記インバータに電源が供給されるか否かを判断し、前記インバータへの電源の供給が第1時間だけ維持される場合、前記マイニング装置の電源をオン(ON)させることができる。
【0018】
一実施例によって、前記管制装置は、前記バッテリーの残量が、前記マイニング装置が少なくとも第2時間以上作動できる電力量だけ貯蔵している場合、前記マイニング装置の電源をオン(ON)させ、前記第2時間は、前記マイニング装置のブート時間及びシャットダウン時間であってもよい。
【0019】
一実施例によって、前記エンジンの稼動中断時に、前記インバータが前記マイニング装置の電源をオフ(OFF)させる信号を伝送し、前記バッテリーは、貯蔵された残余電力を前記マイニング装置に供給して、前記マイニング装置がシャットダウン時間の間作動できるようにすることができる。
【0020】
一実施例によって、前記中央サーバは、前記管制装置を用いて、車両運転者とユーザ認証手順を行い、前記マイニング装置は、前記管制装置のユーザ認証の成功時に暗号通貨の採掘を行うことができる。
【0021】
一実施例によって、前記マイニング装置は、衝撃吸収部材からなる外箱内に装着され、前記外箱には、内部の熱を外部に放出するためのファンが設けられてもよい。
【発明の効果】
【0022】
本発明に係る車両用暗号通貨採掘システムは、車両の駆動により発生する電力を用いて暗号通貨を採掘し、その状態をリアルタイムでモニタすることができる。
【0023】
また、ユーザ認証手順を経て認証が成功した場合にのみ採掘が行われることによって、採掘して取得した暗号通貨が他人に誤って支給されることを防止することができる。
【0024】
また、マイニング装置がブートやシャットダウン時に異常に終了することを防止することができる。
【0025】
また、マイニング装置に異常が発生したときに、運営会社は車両運転者に所定の補償が行われるようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本発明の一実施例に係る車両用暗号通貨採掘システムの構成図である。
【
図2】本発明の一実施例に係る車両用暗号通貨採掘システムの管制装置の制御方法に対する段階別のフローチャートである。
【
図3】本発明の他の一実施例に係る車両用暗号通貨採掘システムの管制装置の制御方法に対する段階別のフローチャートである。
【
図4】本発明の一実施例に係る車両用暗号通貨採掘システムのインバータの制御方法に対する段階別のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、添付の図面を参照して本明細書に開示された実施例を詳細に説明するが、図面符号に関係なく同一又は類似の構成要素には同一の参照番号を付与し、これに関する重複説明は省略する。以下の説明で用いられる構成要素の接尾辞である「ユニット」及び「部」は、明細書作成の容易さのみを考慮して付与又は混用するものであって、それ自体が互いに区別される意味又は役割を有するものではない。また、本明細書に開示された実施例を説明するにおいて、関連する公知技術に関する具体的な説明が本明細書に開示された実施例の要旨を不明瞭にする可能性があると判断される場合には、その詳細な説明を省略する。また、添付の図面は、本明細書に開示された実施例を容易に理解できるようにするためのものに過ぎず、添付の図面によって本明細書に開示された技術的思想が制限されるものではなく、本発明の思想及び技術範囲に含まれるすべての変更、均等物及び代替物を含むものと理解しなければならない。
【0028】
「第1」、「第2」などのように序数を含む用語は、様々な構成要素を説明するのに使用できるが、前記構成要素は、前記用語によって限定されない。
【0029】
前記用語は、一つの構成要素を他の構成要素から区別する目的でのみ使用される。
【0030】
ある構成要素が他の構成要素に「連結」又は「接続」されていると言及された場合には、他の構成要素に直接的に連結又は接続されていることもあるが、その構成要素間に他の構成要素が存在することもあると理解すべきであろう。反面、ある構成要素が他の構成要素に「直接連結」又は「直接接続」されていると言及された場合には、その構成要素間に別の構成要素が存在しないものと理解すべきであろう。
【0031】
単数の表現は、文脈上明らかに別の意味を示すものでない限り、複数の表現を含む。
【0032】
本明細書において、「含む」又は「有する」などの用語は、明細書上に記載された特徴、数字、段階、動作、構成要素、部品またはこれらを組み合わせたものが存在することを指定しようとするものであって、一つ又はそれ以上の他の特徴、数字、段階、動作、構成要素、部品またはこれらを組み合わせたものの存在又は付加可能性を予め排除しないものと理解しなければならない。
【0033】
図1は、本発明の一実施例に係る車両用暗号通貨採掘システムの構成図である。
【0034】
図1に示したように、本発明の一実施例に係る車両用暗号通貨採掘システムは、エンジン11の駆動により電力を生成する発電機12と、発電機12によって生成された電力を貯蔵するバッテリー13と、発電機12又はバッテリー13と接続され、直流の電源を交流に変換するインバータ14と、インバータ14で変換出力された電源を用いて暗号通貨を採掘するマイニング装置110と、マイニング装置110の採掘状態をモニタするための管制装置120とを含むことができる。
【0035】
ここで、エンジン11、発電機12、バッテリー13及びインバータ14はもとより、マイニング装置110と管制装置120は車両10に装着され得る。
【0036】
車両10は、モータ(図示せず)やエンジン11の駆動により移動可能な車両であって、本発明では、車両10の種類を特に限定しない。
【0037】
また、本発明の一実施例に係るマイニング装置110は、演算機能を行って暗号通貨を採掘することができる装置であって、少なくとも1つのグラフィックカードやハッシュボードを含むコンピューティング装置であり得る。
【0038】
マイニング装置110が演算機能を行って複雑な数学的又は暗号化的な問題を解くために、外部から電源の供給を受けなければならず、マイニング装置110の駆動電源は、車両10内のエンジン11の駆動により生成されたものであり得る。
【0039】
移動可能な車両10内の発電機12は、エンジン11の駆動により電力を生成し、発電機12によって生成された少なくとも一部の電力はバッテリー13に貯蔵され得、マイニング装置110は、発電機12から直接生成された電源の供給を受けるか、またはバッテリー13に既に貯蔵された電源の供給を受けることで、暗号通貨を採掘する採掘作業を行うことができる。
【0040】
但し、一般に発電機12やバッテリー13から出力される電源は12Vや24Vの直流電源であるため、これを正弦波の交流電源に変換してマイニング装置110に提供するために、インバータ14をさらに含むことができる。なぜなら、マイニング装置110の電源供給装置(一例としてSMPS;switched mode power supply)に受電される電源は、通常、交流電源であるためである。
【0041】
結局、車両10の移動またはエンジン11の駆動によって発生した電力を用いて、マイニング装置110は暗号通貨を採掘することができる。
【0042】
マイニング装置110は、移動可能な車両10内に設けられるため、外部から衝撃が持続的に加えられ得、外部からの衝撃によって、意図せずしてマイニング装置110に故障が発生したり、意図せずしてマイニング装置110の作動が止まることがある。
【0043】
したがって、本発明の一実施例によって、前記マイニング装置110は、ウレタンやスポンジなどのような衝撃吸収部材からなる外箱内に装着されて、車両10に設けられることが好ましい。
【0044】
具体的な一実施例によって、マイニング装置110は車両10のトランク内に設けられ得、インバータ14がエンジンルーム内に設けられた場合、エンジンルーム内のインバータ14とトランク内のマイニング装置110は、電力線によって互いに接続され得る。
【0045】
また、このようにマイニング装置110によって採掘された暗号通貨は、外部インターネットに接続された中央サーバ130に伝達され得る。すなわち、車両10内のマイニング装置110によって採掘された暗号通貨は、通信可能なように接続された中央サーバ130に伝達され得、中央サーバ130は、伝達された暗号通貨を、既に設けられた車両運転者の電子財布に保管することができる。
【0046】
このとき、本発明は、特に限定しないが、好ましい一実施例に係る中央サーバ130は、前記採掘された暗号通貨を車両運転者の電子財布に保管するとき、中央サーバ130を運営する運営会社と車両運転者に、所定の比率で分配されて保管され得る。一例として、10個の暗号通貨が採掘された場合、運営会社と車両運転者に、それぞれ3:7の比率に分けて、すなわち3個と7個に分けられて保管され得る。
【0047】
なぜなら、後述するように、運営会社は、マイニング装置110の異常発生時に、マイニング装置110の採掘が円滑に行われるように維持管理及び補修を行うことができ、さらに、運営会社は、マイニング装置110の異常発生により採掘動作が停止すると、停止時間の分だけ補償を行うこともできることが、収益の分配上、運営会社と車両運転者の両方に有利であるためである。
【0048】
但し、本発明の一実施例に係る中央サーバ130は、採掘した暗号通貨を運営会社と車両運転者との間に所定の比率で直接分配することができるが、これに限定されず、採掘された暗号通貨を暗号通貨取引所(又は暗号通貨取引サーバ)を介して両替した現金や、採掘された暗号通貨を暗号通貨取引所(又は暗号通貨取引サーバ)を介して他の通貨(他の暗号通貨又は現金など)に転換するときに発生する手数料などを、運営会社と車両運転者との間に所定の比率で分配することもできる。
【0049】
また、マイニング装置110は、車両10の駆動時に採掘作業を行い、採掘された暗号通貨を中央サーバ130に伝達し、これを、中央サーバ130が車両運転者の電子財布に保管するため、マイニング装置110は、車両運転者とユーザ認証手順を行い、ユーザ認証が成功した場合にのみ暗号通貨を採掘することができる。
【0050】
このように、ユーザ認証手順を通じて車両の運行をする車両運転者を特定することによって、マイニング装置110によって採掘された暗号通貨が、車両運転者ではなく他人に誤って支給されることを防止することが好ましい。
【0051】
マイニング装置110は、車両運転者とユーザ認証手順を直接行うことができるが、マイニング装置110は、前述したように、衝撃吸収部材からなる外箱内に装着されているため、車両10の室内に設けられた管制装置120が車両運転者とユーザ認証手順を行い、その結果をマイニング装置110に伝達することができる。
【0052】
これによって、本発明の一実施例に係る車両用暗号通貨採掘システムは、マイニング装置110と通信可能なように接続された管制装置120をさらに含むことができ、ここで、管制装置120は、マイニング装置110の状態を管制するための装置であって、マイニング装置110の状態情報を車両運転者に提供するためにディスプレイを含むことができる。
【0053】
すなわち、管制装置120は、マイニング装置110の現在の採掘状態を、要求に応じて受信し、ディスプレイを介して出力することができる。
【0054】
また、マイニング装置110は、中央サーバ130と直接通信可能なように接続されず、管制装置120を媒介として中央サーバ130と通信可能なように接続され得、この場合、管制装置120は、中央サーバ130の車両運転者の電子財布の状態を、要求に応じて受信し、ディスプレイを介して出力することができる。
【0055】
車両運転者は、管制装置120を用いて、現在のマイニング装置110の採掘状態や、中央サーバ130内の車両運転者の電子財布の状態をリアルタイムでディスプレイを介して確認することができる。
【0056】
また、管制装置120は、タッチ入力やボタン入力などを介してユーザ入力を受けることができ、前述したように、ユーザ入力を介して、管制装置120は、車両運転者とユーザ認証手順を行うことができる。
【0057】
一方、管制装置120は、前述したように、マイニング装置110の状態を管制することができ、また、マイニング装置110の電源をオン(ON)/オフ(OFF)制御することができる。
【0058】
図2は、本発明の一実施例に係る車両用暗号通貨採掘システムの管制装置の制御方法に対する段階別のフローチャートである。
【0059】
図2に示したように、本発明の一実施例に係る管制装置120は、始動がオン(ON)状態でエンジン11が駆動されているかを判断(S11)し、始動がオン(ON)状態である場合、バッテリー13からインバータ14に電源が供給されるか否かを判断することができる(S12)。
【0060】
管制装置120は、電流計や電圧計などを用いて、インバータ14の受電端に直流の電流や電圧が供給されるかを感知することができ、このとき、管制装置120が、バッテリー13からインバータ14に電源が第1時間の間維持されながら供給されるかを判断(S13)し、バッテリー13からインバータ14に電源が第1時間の間持続的に供給されると、初めてマイニング装置110をオン(ON)させることができる(S14)。
【0061】
ここで、第1時間は、エンジン11や発電機12が正常に作動して、電力を持続的に生産及び供給できるか否かを確認するための時間であって、その時間を特に限定しないが、一例として1分であってもよい。
【0062】
発電機12は、エンジン11が正常に作動する場合にのみ駆動され、発電機12の駆動によって電力が生成されるため、管制装置120は、第1時間の間インバータ14の受電端に電力が持続的に供給されるかを確認した後、電力供給が第1時間の間維持される場合には、今後も持続的な電力供給が予想されるので、管制装置120はマイニング装置110をオン(ON)させることができる。
【0063】
これとは反対に、インバータ14の受電端に第1時間の間電力供給が維持されないと、不安定な電力供給により、マイニング装置110が予期せずシャットダウンされ得、これは、マイニング装置110の故障を誘発することがあるため、このような場合には、管制装置120がマイニング装置110をオン(ON)させないことが好ましい。
【0064】
一方、前述したように、管制装置120は、マイニング装置110の電源をオン(ON)/オフ(OFF)させることができるが、このとき、管制装置120は、バッテリー13の残量に応じてマイニング装置110のオン(ON)/オフ(OFF)制御を行うことができる。
【0065】
図3は、本発明の他の一実施例に係る車両用暗号通貨採掘システムの管制装置の制御方法に対する段階別のフローチャートである。
【0066】
図3に示したように、本発明の一実施例に係る管制装置120は、始動がオン(ON)状態でエンジン11が駆動されているかを判断(S21)し、始動がオン(ON)状態である場合、バッテリー13の残量が、マイニング装置110が少なくとも第2時間以上作動できる電力量だけ貯蔵しているか否かを判断(S22)することができる。
【0067】
すなわち、管制装置120は、バッテリー13の残余電力量に対するモニタを行うことができ、このとき、管制装置120は、バッテリー13の残余電力量が、マイニング装置110を第2時間以上作動させることができる電力量以上であるかを確認することができる。
【0068】
ここで、第2時間は、マイニング装置110のブート時間及びシャットダウン時間であり得る。すなわち、マイニング装置110がブート時にオペレーティングシステム及びプログラムを読み込んで採掘作業を行うことができる状態を有するようにするものの、マイニング装置110のブート過程中にバッテリー13の貯蔵電力の不足によりマイニング装置110に電力が正常に供給されない場合、マイニング装置110は、後で再ブートが正常に行われないなどの故障が発生し得る問題があり、これとは反対に、マイニング装置110のシャットオフ過程中に、マイニング装置110がバッテリー13から正常な電力の供給を受けることができない場合、シャットダウン時に、動作中のオペレーティングシステム及びプログラムを正常に終了させることができず、後で採掘作業を円滑に行うことができない問題がある。
【0069】
したがって、管制装置120は、バッテリー13の残余電力量が、マイニング装置110が第2時間以上作動できる電力量以上であるかを確認した後、バッテリー13の残余電力量が十分な場合にマイニング装置110をオン(ON)させることが好ましい。
【0070】
但し、車両10の始動がオンになるとき、バッテリー13の残余電力量は、マイニング装置110が少なくともブート時間の間作動できる電力量以上であれば十分であるとも言えるが、前記第2時間は、前述したように、マイニング装置110のブート時間とシャットダウン時間を合わせた時間であることが好ましい。
【0071】
なぜなら、最近発売されている車両10は、ISG(Idle Stop&Go)機能が装着されており、車両10の走行停止中にはエンジン11が止まり得るため、ISG機能によってエンジン11の駆動が停止した場合、マイニング装置110が予期せずシャットダウンされることを防止できるように、マイニング装置110がオン(ON)されるためのバッテリー13の残余電力量は、マイニング装置110のブート時間の間要求される電力量を超えることが好ましい。
【0072】
一方、本発明の更に他の実施例によって、管制装置120ではなく、マイニング装置110がバッテリー13の残余電力をモニタすることができる。
【0073】
管制装置120が、始動がオン(ON)状態でエンジン11が駆動されているかを判断(S21)した後、始動がオン(ON)状態である場合、マイニング装置110をオン(ON)させるようにする制御指令を生成することができるが、このとき、マイニング装置110は、前記制御指令によって直ちに電源をオン(ON)せず、バッテリー13の残余電力量がマイニング装置110が第2時間以上作動できる電力量以上であるかを確認した後、バッテリー13の残余電力量が十分な場合にのみマイニング装置110をオン(ON)させることができる。
【0074】
勿論、これとは反対に、マイニング装置110は、バッテリー13の残余電力量が不十分な場合には、マイニング装置110の電源をオン(ON)させず、管制装置120にマイニング装置110の電源をオン(ON)させることができないことを知らせることができる。
【0075】
一方、インバータ14は、バッテリー13から供給された直流の電源を、マイニング装置110が要求する交流の電源に変換して、一定かつ円滑にマイニング装置110に電源を供給するための装置であるが、本発明の一実施例に係るインバータ14は、エンジン11の稼動中断時に、マイニング装置110の電源をオフ(OFF)させるための制御指令を生成し、マイニング装置110に伝送することができる。
【0076】
言い換えると、前述したように、管制装置120は、マイニング装置110のオン(ON)/オフ(OFF)を制御することができるが、本発明の一実施例に係るインバータ14は、マイニング装置110の電源をオフ(OFF)させるための制御指令を生成することができる。
【0077】
図4は、本発明の一実施例に係る車両用暗号通貨採掘システムのインバータの制御方法に対する段階別のフローチャートである。
【0078】
図4に示したように、本発明の一実施例に係る車両10の始動オン(ON)の入力があったかを判断(S31)し、始動オフ(OFF)の入力があった場合、インバータ14は、マイニング装置110の電源をオフ(OFF)させるための制御指令を生成して伝送することができる(S32)。
【0079】
エンジン11の稼動が中断されると、連鎖的に発電機12の作動も中断され、電力をこれ以上生産しなくなる。このとき、前述したように、マイニング装置110が正常にシャットオフ過程を行うことができるように、インバータ14は、マイニング装置110に電源オフ(OFF)の制御指令を伝送(S32)した後、マイニング装置110がシャットダウン過程を完了してオフ(OFF)(S34)されるまで、バッテリー13の残余電力をマイニング装置110に供給(S33)することができる。これによって、バッテリー13に貯蔵された残余電力をマイニング装置110に供給して、マイニング装置110がシャットダウン時間の間円滑に作動できるようにすることが好ましい。
【0080】
その後、インバータ14は、バッテリー13から供給される電力を遮断(S35)することができ、これによって、バッテリー13に貯蔵された電力の不必要な消耗を防止できるようにすることが好ましい。
【0081】
ここで、管制装置120が、エンジン11の始動オフ(OFF)の入力によって、マイニング装置110の電源をオフ(OFF)させるための制御指令を生成して伝送し、マイニング装置110がオフ(OFF)されるまでバッテリー13の残余電力をマイニング装置110に供給するようにすることができるが、通常、ディスプレイ手段を有した管制装置120は、エンジン11の始動オフ(OFF)の入力によって直ちに電源がオフ(OFF)されるため、このような車両10にも対応できるように、本発明の一実施例に係るインバータ14は、エンジン11の始動オフ(OFF)時にインバータ14がマイニング装置110のオフ(OFF)動作を管制できるようにすることが好ましい。
【0082】
一方、前述したように、中央サーバ130は、直接的に、または管制装置120を介して間接的に前記マイニング装置110を管制することができ、特に、マイニング装置110は、異常や故障発生時に、これに関する情報を中央サーバ130に知らせることができる。
【0083】
このとき、マイニング装置110は、異常や故障発生時に自己診断を行い、診断結果を中央サーバ130に伝達することができ、中央サーバ130は、マイニング装置110に対する遠隔制御を介してプログラムを制御、修正または再インストールすることができ、また、中央サーバ130は、遠隔でマイニング装置110の電源をオン(ON)、オフ(OFF)またはリブート(REBOOT)することもできる。
【0084】
前述したように、マイニング装置110によって採掘された暗号通貨などは、中央サーバ130の運営会社と車両運転者との間に所定の比率で分配され得る。
【0085】
マイニング装置110は、異常発生時、そして、これを修理する途中には採掘動作が停止し得るため、その時間の間車両運転者が車両を運転しているにもかかわらず暗号通貨を採掘できない停止時間の分だけ、本発明の一実施例に係る中央サーバ130は前記車両運転者に補償することができる。
【0086】
但し、中央サーバ130の車両運転者に対する補償は、採掘対象である暗号通貨であり得、前記補償は、車両運転者が車両の運転により得ることができる期待暗号通貨利益の以下であり、好ましくは、悪意的にマイニング装置110の故障を起こす問題を防止するために、前記期待暗号通貨利益に1未満の補償率(一例として、0.1)をかけた値だけ補償することができる。
【0087】
また、中央サーバ130は、車両運転者が車両を運転しているにもかかわらず採掘作業を行うことができなかった場合に補償を行うものであるため、マイニング装置110に異常が発生したにもかかわらず、中央サーバ130は、車両10が走行中であるかを確認できなければならない。
【0088】
そのために、中央サーバ130は、マイニング装置110の故障の有無と関係なく、車両10が走行中であるか否か、または車両10のエンジン11や始動がオン(ON)状態であるか否かに関する情報を、マイニング装置110ではなく管制装置120から受信することができる。
【0089】
結局、中央サーバ130は、車両10が走行中であるか、または車両10のエンジン11や始動がオン(ON)状態であるが、マイニング装置110に故障が発生してマイニング装置110が採掘できなかった停止時間の分だけ、前記期待暗号通貨利益に補償率をかけた値だけ車両運転者に補償することができる。
【0090】
一方、本発明の一実施例に係る車両用暗号通貨採掘システムは、移動可能な車両内にマイニング装置110が設けられて暗号通貨の採掘作業を行うが、このとき、マイニング装置110が多くの演算を行うことによって多量の熱が発生し得る。
【0091】
したがって、本発明の一実施例に係るマイニング装置110が内部に設けられた外箱には、内部の熱を外部に放出するためのファン(図示せず)が設けられ、ファンの作動により外箱の内部の熱を外部に排出することができる。
【0092】
但し、移動中の車両10は、走行によって車両10の内部に導入される外気の量が多く、別途のファンを備えなくても外気が高い風速で導入され得るので、本発明の一実施例に係る車両用暗号通貨採掘システムは、外部から導入される外気をマイニング装置110に誘導するためのダクト(図示せず)をさらに含むことができる。
【0093】
すなわち、マイニング装置110から発生する多量の熱は、前記ダクトを介して流入する多量及び/又は高速の外気と循環して空冷方式で冷却され得る。
【0094】
さらに好ましい一実施例によって、前記ダクトには、外気に含まれた異物を濾過するための少なくとも1つのフィルター(図示せず)が設けられてもよい。
【0095】
また、通常、車両10は、室内空調環境を調節するために、特に車両の室内の冷房のために、冷房サイクルを有する空気調和装置(図示せず)を含むので、前記空気調和装置から発生する冷気を前記ダクト内に注入するか、または前記ダクト自体を冷却させることによって、外部から導入される外気をさらに低い温度にしてマイニング装置110に提供することができる。
【0096】
これによって、マイニング装置110から発生する多量の熱は、空気調和装置から発生した冷気によってさらに効果的に冷却され得る。
【0097】
以上、本発明の好ましい実施例を図面を参照して詳細に説明した。本発明の説明は例示のためのものであり、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者は、本発明の技術的思想や必須の特徴を変更せずに他の具体的な形態に容易に変形可能であるということを理解できるであろう。
【0098】
したがって、本発明の範囲は、前記詳細な説明よりは、後述する特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲の意味、範囲及びその均等概念から導かれるすべての変更又は変形された形態が本発明の範囲に含まれるものと解釈されなければならない。
【国際調査報告】