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特表2024-520536マスフローコントローラ及びそのフロー制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-24
(54)【発明の名称】マスフローコントローラ及びそのフロー制御方法
(51)【国際特許分類】
   G05D 7/06 20060101AFI20240517BHJP
   G01F 1/68 20060101ALI20240517BHJP
   H01L 21/205 20060101ALI20240517BHJP
   H01L 21/3065 20060101ALI20240517BHJP
【FI】
G05D7/06 Z
G01F1/68 Z
H01L21/205
H01L21/302 101G
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023573380
(86)(22)【出願日】2022-05-27
(85)【翻訳文提出日】2023-11-27
(86)【国際出願番号】 CN2022095493
(87)【国際公開番号】W WO2022247926
(87)【国際公開日】2022-12-01
(31)【優先権主張番号】202110594358.1
(32)【優先日】2021-05-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523447063
【氏名又は名称】北京七星華創流量計有限公司
【氏名又は名称原語表記】BEIJING SEVENSTAR FLOW CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】▲デン▼ 博 文
(72)【発明者】
【氏名】牟 昌 華
(72)【発明者】
【氏名】鄒 義 涛
【テーマコード(参考)】
2F035
5F004
5F045
5H307
【Fターム(参考)】
2F035EA00
5F004BC03
5F045EE04
5H307AA01
5H307BB01
5H307DD01
5H307DD03
5H307EE02
5H307FF06
5H307FF12
5H307HH12
(57)【要約】
制御モジュール(300)と、流体通路と、フロー調節弁(200)と、インレットとフロー調節弁(200)との間に設けられたフローセンサ(400)と、アウトレットに設けられた圧力センサ(500)とを備え、制御モジュール(300)は、目標フロー値の変化量が予め設けられた閾値を超える場合、圧力フィードバック調節モードに移行し、フローセンサ(400)で検出された流体フロー値が第1安定化条件を満たした後、フローフィードバック調節モードに移行するために用いられるマスフローコントローラ。制御モジュール(300)は、圧力フィードバック調節モードにおいては、流体圧力値と、目標圧力値とに基づいてフロー調節弁(200)の開度調整量を算出により取得し、開度調整量に応じてフロー調節弁(200)の開度を調節し、フローフィードバック調節モードにおいては、流体フロー値と、目標フロー値とに基づいてフロー調節弁(200)の開度調整量を算出により取得し、開度調整量に応じてフロー調節弁(200)の開度を調節するために用いられる。フロー制御の精度を確保すると同時に、高速応答を実現する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
そのインレットとアウトレットとの間にフロー調節弁が接続された流体通路が設けられたマスフローコントローラであって、前記マスフローコントローラは制御モジュール、フローセンサと圧力センサをさらに含み、
前記フローセンサは、前記流体通路における流体フロー値を検出するために、前記インレットと前記フロー調節弁との間に設けられ、
前記圧力センサは、前記流体通路における流体圧力値を検出するために、前記アウトレットに設けられ、
前記制御モジュールは、目標フロー値の変化量が予め設けられた閾値を超える場合、圧力フィードバック調節モードに移行し、前記フローセンサで検出された流体フロー値が第1安定化条件を満たした後、フローフィードバック調節モードに移行するために用いられ、
前記制御モジュールは、前記圧力フィードバック調節モードにおいて、前記圧力センサで検出された流体圧力値と、前記目標フロー値に対応する目標圧力値とに基づいて前記フロー調節弁の開度調整量を算出により取得し、前記開度調整量に応じて前記フロー調節弁の開度を調節するために用いられ、
前記制御モジュールは、前記フローフィードバック調節モードにおいて、前記フローセンサで検出された流体フロー値と、前記目標フロー値とに基づいて前記フロー調節弁の開度調整量を算出により取得し、前記開度調整量に応じて前記フロー調節弁の開度を調節するために用いられる、ことを特徴とするマスフローコントローラ。
【請求項2】
前記制御モジュールはさらに、前記圧力フィードバック調節モードに移行する前に、前記目標フロー値に対応する前記フロー調節弁の目標開度を取得し、前記目標開度に基づいて前記フロー調節弁の開度を調節し、前記圧力センサで検出された流体圧力値が第2安定化条件を満たした後、前記圧力フィードバック調節モードに移行するために用いられる、ことを特徴とする請求項1に記載のマスフローコントローラ。
【請求項3】
前記制御モジュールには複数のフロー設定値と各前記フロー設定値に対応する開度とが記憶されており、
前記制御モジュールは、前記目標フロー値に最も近い2つの前記フロー設定値と、これらに対応する開度とに基づき、前記目標フロー値に対応する前記目標開度を補間法により算出し得るために用いられる、ことを特徴とする請求項2に記載のマスフローコントローラ。
【請求項4】
前記フロー調節弁は電磁弁であり、前記フロー設定値のそれぞれに対応する開度はいずれも上昇開度と下降開度を含み、
前記制御モジュールは、前記目標フロー値が上昇する場合は、前記目標フロー値に最も近い2つの前記フロー設定値と、これらに対応する前記上昇開度とに基づき、前記目標フロー値に対応する前記目標開度を補間法により算出し得、前記目標フロー値が下降する場合は、前記目標フロー値に最も近い2つの前記フロー設定値と、これらに対応する前記下降開度とに基づき、前記目標フロー値に対応する前記目標開度を補間法により算出し得るために用いられる、ことを特徴とする請求項3に記載のマスフローコントローラ。
【請求項5】
前記フローセンサは熱式フローセンサである、ことを特徴とする請求項1~4の何れか1項に記載のマスフローコントローラ。
【請求項6】
前記第1安定化条件は、第1予め設けられた時間内に前記フローセンサで検出された全ての前記流体フロー値における最大値と最小値との間の差分値が第1予め設けられた差分値以下であることであり、
前記第2安定化条件は、第2予め設けられた時間内に前記圧力センサで検出された全ての流体圧力値における最大値と最小値との間の差分値が第2予め設けられた差分値以下である、ことを特徴とする請求項2~4の何れか1項に記載のマスフローコントローラ。
【請求項7】
前記制御モジュールはさらに、前記目標フロー値の変化量が前記予め設けられた閾値を超えない場合、前記フローフィードバック調節モードに移行するために用いられる、ことを特徴とする請求項1に記載のマスフローコントローラ。
【請求項8】
マスフローコントローラのフロー制御方法であって、請求項1~7の何れか1項に記載のマスフローコントローラに適用され、
目標フロー値の変化量が予め設けられた閾値を超える場合、圧力フィードバック調節モードに移行し、前記圧力フィードバック調節モードにおいては、圧力センサで検出された流体圧力値と、前記目標フロー値に対応する目標圧力値とに基づいて前記フロー調節弁の開度調整量を算出により取得し、前記開度調整量に応じてフロー調節弁の開度を調節することと、
フローセンサで検出された流体フロー値が第1安定化条件を満たした後、フローフィードバック調節モードに移行し、前記フローフィードバック調節モードにおいては、前記フローセンサで検出された流体フロー値と、前記目標フロー値とに基づいて前記フロー調節弁の開度調整量を算出により取得し、前記開度調整量に応じて前記フロー調節弁の開度を調節することと、を含む、ことを特徴とするフロー制御方法。
【請求項9】
前記目標フロー値の変化量が前記予め設けられた閾値を超えない場合、前記フローフィードバック調節モードに移行することをさらに含む、ことを特徴とする請求項8に記載のフロー制御方法。
【請求項10】
前記圧力フィードバック調節モードに移行する前に、
前記目標フロー値に対応する前記フロー調節弁の目標開度を取得し、前記目標開度に基づいて前記フロー調節弁の開度を調節することと、
前記圧力センサで検出された流体圧力値が第2安定化条件を満たした後、前記圧力フィードバック調節モードに移行することと、をさらに含む、ことを特徴とする請求項8に記載のフロー制御方法。
【請求項11】
前記目標フロー値に対応する前記フロー調節弁の目標開度を取得することは、
予め記憶された複数のフロー設定値と、各前記フロー設定値に対応する前記目標開度とに基づいて前記目標フロー値に最も近い2つの前記フロー設定値と、これらに対応する開度とを決定し、前記目標フロー値に対応する前記目標開度を補間法により算出し得ることを含む、ことを特徴とする請求項10に記載のフロー制御方法。
【請求項12】
前記フロー調節弁は電磁弁であり、前記フロー設定値のそれぞれに対応する開度はいずれも上昇開度と下降開度を含み、
前記目標フロー値に対応する前記フロー調節弁の目標開度を取得することは、
前記目標フロー値が上昇する場合は、予め記憶された複数の前記フロー設定値と、各前記フロー設定値に対応する前記上昇開度とに基づいて前記目標フロー値に最も近い2つの前記フロー設定値と、これらに対応する前記上昇開度とを決定し、前記目標フロー値に対応する前記目標開度を補間法により算出し得ることと、
前記目標フロー値が下降する場合は、予め記憶された複数の前記フロー設定値と、各前記フロー設定値に対応する前記下降開度とに基づいて前記目標フロー値に最も近い2つの前記フロー設定値と、これらに対応する前記下降開度とを決定し、前記目標フロー値に対応する前記目標開度を補間法により算出し得ることと、を含む、ことを特徴とする請求項11に記載のフロー制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は半導体工程機器分野に関するものであり、具体的には、マスフローコントローラとマスフローコントローラのフロー制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
マスフローコントローラは半導体工程装置の核心部品であり、半導体、太陽光発電、燃料電池、真空技術などの分野で広く使用されている。マスフローコントローラは、通常、1つのフロー調節弁と1つのフロー検出装置を備えており、フロー調節弁の開度の調節によりマスフローコントローラを流れる流体フローを制御する同時に、流体のマスフローをフロー検出装置により検出することで、流速制御の精度を確保することができる。
【0003】
フロー制御の高精度と高安定性を実現するために、マスフローコントローラにおけるフロー検出装置には、一般的に、熱式フローメータが使用され、すなわち、熱式フローメータを用いて流体のマスフローを測定し、その後、クローズドループ制御システムを介してPID(Proportional Integral Differential 比例積分差分)アルゴリズムを用いてフロー調節弁の開度を調節し、更に、安定したフローを達成する。
【0004】
しかしながら、熱式フローメータを用いたマスフローコントローラはフローが安定値に達するのに長い応答時間を必要とし、応答時間要求の高い分野に適用することができない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、フロー制御精度を確保しつつ高速応答を実現可能なマスフローコントローラおよびフロー制御方法を提供するように意図されている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を実現するために、本発明の一態様として、そのインレットとアウトレットとの間にフロー調節弁が接続された流体通路が接続されたマスフローコントローラであって、前記マスフローコントローラは制御モジュール、フローセンサと圧力センサをさらに含み、
前記フローセンサは、前記流体通路における流体フロー値を検出するために、前記インレットと前記フロー調節弁との間に設けられ、
前記圧力センサは、前記流体通路における流体圧力値を検出するために、前記アウトレットに設けられ、
前記制御モジュールは、目標フロー値の変化量が予め設けられた閾値を超える場合、圧力フィードバック調節モードに移行し、前記フローセンサで検出された流体フロー値が第1安定化条件を満たした後、フローフィードバック調節モードに移行するために用いられ、
前記制御モジュールは、前記圧力フィードバック調節モードにおいて、前記圧力センサで検出された流体圧力値と、前記目標フロー値に対応する目標圧力値とに基づいて前記フロー調節弁の開度調整量を算出により取得し、前記開度調整量に応じて前記フロー調節弁の開度を調節するために用いられ、
前記制御モジュールは、前記フローフィードバック調節モードにおいて、前記フローセンサで検出された流体フロー値と、前記目標フロー値とに基づいて前記フロー調節弁の開度調整量を算出により取得し、前記開度調整量に応じて前記フロー調節弁の開度を調節するために用いられる、ことを特徴とするマスフローコントローラを提供する。
【0007】
代替として、前記制御モジュールはさらに、前記圧力フィードバック調節モードに移行する前に、前記目標フロー値に対応する前記フロー調節弁の目標開度を取得し、前記目標開度に基づいて前記フロー調節弁の開度を調節し、前記圧力センサで検出された流体圧力値が第2安定化条件を満たした後、前記圧力フィードバック調節モードに移行するために用いられる。
【0008】
代替として、前記制御モジュールには複数のフロー設定値と各前記フロー設定値に対応する開度とが記憶されており、
前記制御モジュールは、前記目標フロー値に最も近い2つの前記フロー設定値と、これらに対応する開度とに基づき、前記目標フロー値に対応する前記目標開度を補間法により算出し得るために用いられる。
【0009】
代替として、前記フロー調節弁は電磁弁であり、前記フロー設定値のそれぞれに対応する開度はいずれも上昇開度と下降開度を含み、
前記制御モジュールは、前記目標フロー値が上昇する場合は、前記目標フロー値に最も近い2つの前記フロー設定値と、これらに対応する前記上昇開度とに基づき、前記目標フロー値に対応する前記目標開度を補間法により算出し得、前記目標フロー値が下降する場合は、前記目標フロー値に最も近い2つの前記フロー設定値と、これらに対応する前記下降開度とに基づき、前記目標フロー値に対応する前記目標開度を補間法により算出し得るために用いられる。
【0010】
代替として、前記フローセンサは熱式フローセンサである。
代替として、前記第1安定化条件は、第1予め設けられた時間内に前記フローセンサで検出された全ての前記流体フロー値における最大値と最小値との間の差分値が第1予め設けられた差分値以下であることであり、
前記第2安定化条件は、第2予め設けられた時間内に前記圧力センサで検出された全ての流体圧力値における最大値と最小値との間の差分値が第2予め設けられた差分値以下である。
【0011】
代替として、前記制御モジュールはさらに、前記目標フロー値の変化量が前記予め設けられた閾値を超えない場合、前記フローフィードバック調節モードに移行するために用いられる。
【0012】
本発明の別の態様として、マスフローコントローラのフロー制御方法であって、本発明による上記マスフローコントローラに適用され、
目標フロー値の変化量が予め設けられた閾値を超える場合、圧力フィードバック調節モードに移行し、前記圧力フィードバック調節モードにおいては、圧力センサで検出された流体圧力値と、前記目標フロー値に対応する目標圧力値とに基づいて前記フロー調節弁の開度調整量を算出により取得し、前記開度調整量に応じてフロー調節弁の開度を調節することと、
フローセンサで検出された流体フロー値が第1安定化条件を満たした後、フローフィードバック調節モードに移行し、前記フローフィードバック調節モードにおいては、前記フローセンサで検出された流体フロー値と、前記目標フロー値とに基づいて前記フロー調節弁の開度調整量を算出により取得し、前記開度調整量に応じて前記フロー調節弁の開度を調節することと、を含む、ことを特徴とするマスフローコントローラのフロー制御方法を提供する。
【0013】
代替として、前記フロー制御方法は、
前記目標フロー値の変化量が前記予め設けられた閾値を超えない場合、前記フローフィードバック調節モードに移行することをさらに含む。
【0014】
代替として、前記圧力フィードバック調節モードに移行する前、前記フロー制御方法は、
前記目標フロー値に対応する前記フロー調節弁の目標開度を取得し、前記目標開度に基づいて前記フロー調節弁の開度を調節することと、
前記圧力センサで検出された流体圧力値が第2安定化条件を満たした後、前記圧力フィードバック調節モードに移行することと、をさらに含む。
【0015】
代替として、前記目標フロー値に対応する前記フロー調節弁の目標開度を取得することは、
予め記憶された複数のフロー設定値と、各前記フロー設定値に対応する前記目標開度とに基づいて前記目標フロー値に最も近い2つの前記フロー設定値と、これらに対応する開度とを決定し、前記目標フロー値に対応する前記目標開度を補間法により算出し得ることを含む。
【0016】
代替として、前記フロー調節弁は電磁弁であり、前記フロー設定値のそれぞれに対応する開度はいずれも上昇開度と下降開度を含み、
前記目標フロー値に対応する前記フロー調節弁の目標開度を取得することは、
前記目標フロー値が上昇する場合は、予め記憶された複数の前記フロー設定値と、各前記フロー設定値に対応する前記上昇開度とに基づいて前記目標フロー値に最も近い2つの前記フロー設定値と、これらに対応する前記上昇開度とを決定し、前記目標フロー値に対応する前記目標開度を補間法により算出し得ることと、
前記目標フロー値が下降する場合は、予め記憶された複数の前記フロー設定値と、各前記フロー設定値に対応する前記下降開度とに基づいて前記目標フロー値に最も近い2つの前記フロー設定値と、これらに対応する前記下降開度とを決定し、前記目標フロー値に対応する前記目標開度を補間法により算出し得ることと、を含む。
【0017】
本発明により提供されるマスフローコントローラとフロー制御方法の技術案では、応答速度の速い圧力フィードバック調節モードと精度の高いフローフィードバック調節モードを組み合わせ、すなわち、目標フロー値の変化量が予め設けられた閾値を超える場合、先に圧力フィードバック調節モードに移行し、フロー調節弁の開度を、圧力フィードバック調節によって速やかに目標開度に近づけ、そして、フローフィードバック調節モードに切り替え、フロー調節弁の開度を、フローフィードバック調整によって精確に調節するというものであり、このような圧力フィードバックとフローフィードバックを組み合わせた調節方法は従来技術のうちフローフィードバックのみを介した調整方法との比較において、フロー調節弁の開度が徐々に目標開度に近づく調節時間を短縮でき、これにより流体フロー調整精度を確保できるとともに、マスフローコントローラの応答速度を高めた。
【0018】
図面の簡単な説明
図面は、本発明のさらなる理解を提供するために用いられ、本明細書の一部を構成し、以下の具体的な実施形態と併せて本発明を説明するために用いられるが、本発明の限定を構成するものでない。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1図1は、本発明の実施形態によって提供されるマスフローコントローラの構成を示す図である。
図2図2は、本発明の実施形態によって提供されるマスフローコントローラにおける制御装置の機能構成模式図である。
図3図3は、本発明の実施例によって提供されるフロー制御方法のプロセスを示す図である。
図4図4は、本発明の別の実施例によって提供されるフロー制御方法のプロセスを示す図である。
図5図5は、本発明の別の実施例によって提供されるフロー制御方法のプロセス示す図である。
図6図6は、本発明の別の実施例によって提供されるフロー制御方法のプロセスを示す図である。
図7図7は、本発明の別の実施例によって提供されるフロー制御方法のプロセスを示す図である。
図8図8は、本発明の別の実施例によって提供されるフロー制御方法のプロセスを示す図である。
図9図9は、本発明の別の実施例によって提供されるフロー制御方法のプロセスを示す図である。
図10図10は、本発明の実施例によって提供されるマスフローコントローラにおける制御装置に記憶されたフロー設定値とフロー調節弁の開度の対応曲線を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の具体的な実施形態について、図面と併せて詳細に説明する。ここに記載された具体的な実施形態は、本発明を説明、解釈するためのものにすぎず、本発明を限定するものではないことを理解されたい。
【0021】
本発明の発明者は、実験研究を経て、既存のマスフローコントローラは、通常、フロー調節量が大きい場合、応答速度が遅く、流量調整効率が低いという問題があり、この問題は主に熱式フローメータの特性に起因していることを発見した。具体的には、熱式フローメータのフローを検出する原理は、センス線内に流体が流れるとき、センス線の2つの異なる場所を流れる流体の温度を検出し、それぞれ上流温度と下流温度とし、両者間は温度差を有し、かつ流体のフローが増加するにつれて温度差が増加し、この点に基づき、この温度差を検出することで流体のフローを検出することができる。しかし、上流温度と下流温度の変化を検出するのに長時間を要するため、熱式フローメータは高精度で安定性が高いという特徴を持つものの、固有の物理特性と長い温度サンプリング周期などの要素の影響を受け、既存のマスフローコントローラによるPID閉ループ制御ではフローを安定値に到達させる応答速度が遅く、高速応答を実現することができない。
【0022】
上記技術課題を解決するために、本発明の一態様として、マスフローコントローラが提供され、図1に示すように、流体を伝送する流体通路が設けられており、この流体通路のインレット(すなわち、図1におけるマスフローコントローラの左端開口)とアウトレット(すなわち、図1におけるマスフローコントローラの右端)との間にはフロー調節弁200が接続されており、当該マスフローコントローラは制御モジュール300、フローセンサ400と圧力センサ500をさらに含む。ここでは、フローセンサ400は、流体通路における流体(例えば、気体、液体)フロー値を検出するために、上記流体通路のインレットとフロー調節弁200との間に設けられ、圧力センサ500は、流体通路における流体圧力値を検出するために、上記流体通路のアウトレットに設けられている。
【0023】
図3に示すように、制御モジュール300は、目標フロー値の変化量が予め設けられた閾値を超える場合、圧力フィードバック調節モードに移行し、フローセンサで検出された流体フロー値が第1安定化条件を満たした後、フローフィードバック調節モードに移行するために用いられる。ここでは、
制御モジュール300は、圧力フィードバック調節モードにおいて、圧力センサで検出された流体圧力値と、目標フロー値に対応する目標圧力値とに基づいてフロー調節弁200の開度調整量を算出により取得し、当該開度調整量に応じてフロー調節弁200の開度を調節するために用いられる(すなわち、図3におけるステップS10を実行する)。
【0024】
制御モジュール300は、フローフィードバック調節モードにおいて、フローセンサで検出された流体フロー値と、目標フロー値とに基づいてフロー調節弁200の開度調整量を算出により取得し、当該開度調整量に応じてフロー調節弁200の開度を調節するために用いられる(すなわち、図3におけるステップS20を実行する)。
【0025】
上記目標フロー値は、具体的な必要に応じて設定可能であり、実際に達成されることが期待される目標値であるが、目標フロー値の変化量は目標フロー値を現在の設定値から新たな設定値に切り替えたときの変化量である。上記目標フロー値に対応する目標圧力値も予め設けられたものでもあり、制御モジュール300に予め記憶することが可能である。
【0026】
幾つかの代替の実施例では、圧力フィードバック調節モードにおいて、圧力センサ500で検出された流体圧力値と、目標フロー値に対応する目標圧力値とに基づいてフロー調節弁200の開度調整量を算出により取得し、当該開度調整量に基づいてフロー調節弁200の開度を調節し、具体的には、フロー調節弁200の下流位置(例えば、流体通路のアウトレット)において圧力センサ500で周期的にまたはリアルタイムで検出された、流体通路における流体圧力値に基づいて、目標フロー値に対応する目標圧力値との差分値演算(例えば、PID(Proportion Integral Differential,比例積分差分)アルゴリズム)を常に行い、そして、目標フロー値に対応する目標圧力値に流体圧力が徐々に近づき、これで安定するようにするために、各演算により取得した開度調整量に応じてフロー調節弁200の開度を常に調節することを含んでよい。もちろん、実際の適用では、他のアルゴリズムを用いて算出し取得した開度調整量を用いることも可能であり、本発明の実施形態はこの点において特別な制限を有しない。
【0027】
同様に、フローフィードバック調節モードにおいて、フローセンサ400で検出された流体フロー値と、目標フロー値とに基づいてフロー調節弁200の開度調整量を算出により取得し、当該開度調整量に基づいてフロー調節弁200の開度を調節し、具体的には、フロー調節弁200の上流位置(例えば、上記流体通路のインレット)においてフローセンサ400でリアルタイムで検出された、流体通路における流体フロー値に基づいて、目標フロー値との差分値演算(例えば、PIDアルゴリズム)を常に行い、そして、目標フロー値に流体フローが徐々に近づき、これで安定するようにするために、各演算により取得した開度調整量に応じてフロー調節弁200の開度を常に調節することを含んでよい。本発明の実施例は、フローセンサ400の構成を特に限定するものではなく、例えば、フローセンサ400は熱式フローメータであることが好ましい。
【0028】
上記フローセンサ400で検出された流体フロー値と圧力センサ500で検出された流体圧力値とはどちらもフロー調節弁200の開度(通過できるようにする流体フロー)と線形関係があるが、圧力センサ500はフローセンサ400に対してより速い応答速度を有する(すなわち、圧力センサ500で検出された流体圧力はフロー調節弁200の開度変化に迅速に応答して改変することができる)。
【0029】
これに基づき、制御モジュール300は、目標フロー値を受信した後に、先に圧力フィードバック調節モードに移行し、圧力センサ500で検出された流体圧力値に応じてフロー調節弁200の開度を迅速に粗調節し(すなわち、圧力フィードバック調節を行う)、これによりフロー調節弁200の開度を、目標フロー値に対応する目標開度(すなわち、フロー調節弁200が最終的に安定した開度)に迅速に近づける。フローセンサ400で検出された流体フロー値が安定した(すなわち、第1安定化条件を満たした)後に、フローフィードバック調節モードに移行し、フローセンサ400で検出された流体フロー値に応じてフロー調節弁200の開度の高精度調節を行って(すなわち、フローフィードバック調節を行う)、フロー調節弁200の開度を目標開度まで調節する。
【0030】
本発明により提供されるマスフローコントローラでは、応答速度の速い圧力フィードバック調節モードと精度の高いフローフィードバック調節モードを組み合わせ、すなわち、目標フロー値の変化量が予め設けられた閾値を超える場合、先に圧力フィードバック調節モードに移行し、フロー調節弁の開度を、圧力フィードバックによって速やかに目標開度に近づけ、そして、フローフィードバック調節モードに切り替え、フロー調節弁の開度を、フローフィードバック調整によって精確に調節するというものであり、このような圧力フィードバックとフローフィードバックを組み合わせた調節方法は従来技術のうちフローフィードバックのみを介した調整方法との比較において、フロー調節弁の開度が徐々に目標開度に近づく調節時間を短縮でき、これにより流体フロー調整精度を確保できるとともに、マスフローコントローラの応答速度を高め、半導体工程の工程効果と機械生産能力を高めた。
【0031】
図3に示すように、制御モジュール300は、目標フロー信号を受信し、受信した目標フロー信号に応じてマスフローコントローラの現時点での目標フロー値を決定するために用いられる。本発明の実施例は、目標フロー値の変化量が、予め設けられた閾値を超えるかという判断基準を特に限定するものではなく、例えば、マスフローコントローラの測定レンジを半導体工程で複数回変更する必要性に対応するために、好ましくは、目標フロー値の変化量は、現時点で受信した目標フロー値と1つ前の目標フロー値との間の差分値を指す。目標フロー値の変化量が予め設けられた閾値を超えることは、現時点で受信した目標フロー値と1つ前の目標フロー値との間の差分値が、予め設けられた閾値より大きいことを指す。
【0032】
本発明の実施例は、当該予め設けられた閾値の大きさを特に限定するものではなく、当該予め設けられた閾値はフローフィードバック調節の実際効率に応じて決定することができ、すなわち、フローフィードバック調節モードを採用し(フローセンサ400で検出された流体フロー値に応じてフロー調節弁200の開度を調節する)、流体フロー値が新たな目標フロー値に達するのに必要な時間長が許容可能な範囲内である場合は、直接フローフィードバック調節モードを採用して調節することができ、先に圧力フィードバック調節モードによりフロー調節弁の開度を調節する必要はない。
【0033】
具体的には、図3に示すように、制御モジュール300はさらに、
目標フロー値の変化量が予め設けられた閾値を超えない場合、フローフィードバック調節モードに移行し、すなわち、フローセンサ400で検出された流体フロー値と、目標フロー値とに基づいてフロー調節弁200の開度調整量を算出により取得し、当該開度調整量に応じてフロー調節弁200の開度を調節する(すなわち、ステップS10をスキップし、ステップS20を直接実行する)ために用いられる。
【0034】
本発明の実施例は、当該流体通路の構成を特に限定するものではなく、例えば、代替として、図1に示すように、マスフローコントローラは、流体通路が形成されたフローガイド構成100を含んでよく、フロー調節弁200、制御モジュール300、フローセンサ400、圧力センサ500はいずれもフローガイド構成100に接続されている。
【0035】
本発明の実施例は、フローセンサ400が如何にフローガイド構成100と接続されるかを特に限定するものではなく、例えば、代替として、図1に示すように、フローガイド構成100は、流体通路と連通する2つの分岐開口(第1分岐開口111と第2分岐開口112)を有し、2つの分岐開口は、インレットとフロー調節弁200との間に位置し、かつ2つの分岐開口は流体通路の延伸方向に間隔をあけて設けられ、フローセンサ400はセンス線410を備え、センス線410の両端は、それぞれ2つの分岐開口と連通し、フローセンサ400は、センス線410における流体フロー値を検出するために用いられる(センス線410における流体流速は、これと並列接続された流体通路における流体流速と一致しているため、センス線410における流体フロー値によってフロー調節弁200を流れる流体フロー値を決定することができる)。
【0036】
本発明の実施例はフローガイド構成100を特に限定するものではなく、例えば、代替として、図1に示すように、フローガイド構成100はベースと、ベースに固定された分流器110、吸気コネクタ120と排気コネクタ130を含み、インレットコネクタ120は第1端が流体通路のインレットを形成し、第2端が分流器110の第1端と連通し、分流器110の第2端はフロー調節弁200の一端と連通し、フロー調節弁200の他端は排気コネクタ130の第1端と連通し、排気コネクタ130の第2端は流体通路のアウトレットを形成する。分流器110上では、その内部チャンバと連通する2つの分岐開口(第1分岐開口111と第2分岐開口112)を有する。
【0037】
流体がマスフローコントローラを流れる経路は図1における矢印にて示すとおりであり、流体は吸気コネクタ120の第1端(インレット)を介して流体通路に入り、分流器110を流れる時にセンス線410を流れる1つの分岐に分かれ、センス線410内の流体の流速は、それと並列接続された分岐内の流体の流速と一致し(すなわち、フローセンサ400で検出された流体フロー値は流体通路における流体フロー値に正比例する)、そして、分流器110の第2端によってフロー調節弁200に収束し、フロー調節弁200によって流体通路における流体フローの大きさが制御され、最後に排気コネクタ130を介してアウトレットから排出される。
【0038】
本発明の実施例はフローセンサ400が如何にセンス線410における流体フローを検出するかを特に限定するものではなく、例えば、フローセンサ400を熱式フローメータとする場合、フローセンサ400は、センス線410上での2つの異なる箇所にそれぞれ設けられた2つの温度センサを含み、フローセンサ400は、2つの温度センサでそれぞれ検出されたセンス線410上での2つの異なる箇所の流体温度に基づき、両者の温度差を算出により取得し、この温度差に応じてセンス線410における流体フロー値(すなわち、フローセンサ400で検出された流体フロー値)を得る。
【0039】
本発明の実施例は、制御モジュール300が如何にフロー調節弁200下流の圧力センサ500で検出された流体圧力値に応じて、PID閉ループ制御方法を採用してフロー調節弁200の開度を調節するかを特に限定するものではなく、例えば、本発明の代替可能な実施形態として、図5に示すように、制御モジュール300は、圧力フィードバック調節モードにおいて、具体的には
ステップS11では、目標フロー値に応じて圧力センサ500に対応する目標圧力値を決定することと、
ステップS12とステップS13とを循環して実行し、この過程で、圧力センサ500で検出された流体圧力値を周期的にまたはリアルタイムで取得し、圧力センサ500で検出された流体圧力値と目標圧力値とに基づいてPID演算を行い、フロー調節弁200の開度調節量を取得し、この開度調節量に応じてフロー調節弁200の開度を調節し、PID演算を常に行いフロー調節弁200の開度を調節することにより、圧力センサ500で検出された流体圧力値と目標圧力値との間の圧力差分値の絶対値を徐々に小さくすることができ、圧力センサ500で検出された流体圧力値が徐々に目標圧力値で安定すると、すなわち、フローセンサ400で検出された流体フローが第1安定化条件を満たすと、上記循環をスキップし、フローフィードバック調節モードに移行する(すなわち、ステップS20を実行する)こととのために用いられる。開度調節量と圧力差分値は正相関関係である。
【0040】
本発明の実施例は、制御モジュール300が如何にフロー調節弁200上流のフローセンサ400で検出された流体フロー値に応じてフロー調節弁200の開度に対しPID調節を行うかを特に限定するものではなく、例えば、本発明の代替可能な実施形態として、図6と7に示すように、制御モジュール300は、フローフィードバック調節モードにおいて、具体的には
ステップS21では、受信した目標フロー信号に応じてフローセンサ400に対応する目標フロー値を決定することと、
ステップS22とステップS23とを循環して実行し、この過程で、フローセンサ400で検出された流体フロー値を周期的にまたはリアルタイムで取得し、フローセンサ400で検出された流体フロー値と目標フロー値とに基づいてPID演算を行い、フロー調節弁200の開度調節量を取得し、PID演算を常に行いフロー調節弁200の開度を調節することにより、フローセンサ400で検出された流体フロー値と目標フロー値との間のフロー差分値の絶対値を徐々に小さくすることができ、このフロー差分値の絶対値が予め設けられた差分値よりも小さい場合、上記循環をスキップし、フローが終了することとのために用いられる。ここでは、開度調節量の絶対値とフロー差分値の絶対値は正相関関係である。
【0041】
流体フローをマスフローコントローラが制御する精度を更に高めるために、本発明の好ましい実施形態として、図7に示すように、制御モジュール300は更に、
上記フロー差分値の絶対値が予め設けられた差分値未満であった後、圧力センサ500で検出された流体圧力値を周期的にまたはリアルタイムで取得し(ステップS31を実行する)、圧力センサ500で検出された流体圧力値が第2安定化条件を満たすかを判断し、
圧力センサで検出された流体圧力値が第2安定化条件を満たさない場合、フローフィードバック調節モードに改めて移行するために用いられる。
【0042】
図1に示すように、圧力センサ500は直接流体通路のアウトレットによってマスフローコントローラ下流の機器と連通し、マスフローコントローラ下流の機器が故障するかまたはエアラインが閉塞すると、フロー調節弁200下流のエアラインには圧力変動が発生する。本発明の実施例では、制御モジュール300は、フローフィードバック調節モードによってフロー調節弁200の開度を、目標開度に達するまで調整した後、また圧力センサ500によって下流流体圧力を引き続き監視し、下流流体圧力が変動すると、フローフィードバック調節モードによって流量調整弁200の開度を再調整し、これによりその圧力変動に起因する可能性のある流量変動を相殺し、フローが下流の異常状況に影響されて変化することを回避する。
【0043】
本発明の実施例では、圧力センサ500は、圧力フィードバック調節においてフロー制御弁開度の粗調整を完了するために使用されるのみならず、フローフィードバック調節後にその高速応答特性を用いて下流状態の監視を行うことができ、マスフローコントローラによる流体フロー制御精度をさらに向上させることができた。
【0044】
流体フローをマスフローコントローラで調節する効率を更に高めるために、好ましくは、図4~6に示すように、制御モジュール300は更に、圧力フィードバック調節モードに移行する前、目標フロー値に対応するフロー調節弁の目標開度(すなわち、ステップS00を実行する)を取得し、圧力センサで検出された流体圧力値が第2安定化条件を満たした(すなわち、フロー調節弁200の開度がフロー調節弁の目標開度近傍で安定した)後、圧力フィードバック調節モードに移行するために用いられる。
【0045】
本発明の実施例では、制御モジュール300は先に、対応するフロー調節弁の目標開度を目標フロー値に応じて取得し、この目標開度に応じてフロー調節弁200の開度を調節して、開ループ制御方法によりフロー調節弁200の開度が目標開度近傍に迅速に達するようにする。直接圧力フィードバック制御(閉ループ制御)によりフロー調節弁200の開度を目標開度近傍まで変える場合と比較して、調節時間を節約でき、マスフローコントローラによる流体フロー調節効率を更に向上させた。
【0046】
上記フロー調節弁の目標開度は予め設けられたものであり、例えば、制御モジュール300に予め記憶することが可能である。
【0047】
なお、上記第1安定化条件と第2安定化条件は圧力とフローの信号が安定しているかをそれぞれ判断するためのものであり、例えば、最近予め設けられた時間内での変動範囲における信号の最大値と最小値との間の差分値が予め設けられた差分値範囲内であるかという判断であってよい。具体的には、第1安定化条件は、第1予め設けられた時間内にフローセンサで検出された全ての流体フロー値における最大値と最小値との間の差分値が第1予め設けられた差分値以下であるというものであってよく、第2安定化条件は、第2予め設けられた時間内に圧力センサで検出された全ての流体圧力値における最大値と最小値との間の差分値が第2予め設けられた差分値以下であるというものであってよい。
【0048】
本発明の実施例ではフロー調節弁200の構成類型について具体的に限定されず、例えば、フロー調節弁200は、フロー調節弁の開度の大きさは電気信号(例えば弁電圧)の大きさに対応する電磁弁または圧電弁であってよい。
【0049】
本発明の実施例では、制御モジュール300の構成と、如何にして制御モジュール300がフロー調節弁200、フローセンサ400、圧力センサ500と如何に接続されるかを特に限定するものではなく、例えば、代替として、図2に示すように、制御モジュール300はPID制御ユニット310、フロー処理モジュール320と圧力処理モジュール330を含む。ここでは、圧力処理モジュール330は、圧力センサ500で検出された流体圧力値を取得し、これを処理した後に、PID制御ユニット310が処理後の信号に対し相応の演算処理を行えるようにPID制御ユニット310に送信するために用いられる。同様に、フロー処理モジュール320は、フローセンサ400で検出された流体フロー値を取得し、これを処理した後にPID制御ユニット310に送信するために用いられる。PID制御ユニット310は、圧力フィードバック調節モードに移行する前、開ループ制御方法を採用して目標フロー値に対応する確定済のフロー調節弁の目標開度に基づいて、フロー調節弁200の開度を調節するために用いられ、そして、圧力フィードバック調節モードにおいて、圧力処理モジュール330で提供された流体圧力値と目標圧力値とに基づいて、PID閉ループ制御方法を採用してフロー調節弁200の開度を調節するために用いられ、また、フローフィードバック調節モードにおいて、フロー処理モジュール320で提供された流体フロー値と目標フロー値とに基づいて、PID閉ループ制御方法を採用してフロー調節弁200の開度を調節するために用いられる。
【0050】
代替として、図2に示すように、フロー処理モジュール320と圧力処理モジュール330はそれぞれ、対応するフローセンサ400と圧力センサ500にA/Dサンプリングユニットを介して接続され、このA/Dサンプリングユニットは、PID制御ユニット310がデータを算出・分析するように、検出装置(フローセンサ400と圧力センサ500)のアナログ(analog)信号をデジタル(digital)信号に変換するために用いられる。PID制御ユニット310は弁駆動ユニットを介してフロー調節弁200と接続され、弁駆動ユニットは、PID制御ユニット310から送信された信号に基づいて、対応する弁電圧をフロー調節弁200に出力することで、フロー調節弁200の開度を変え、更に、マスフローコントローラにおける流体フローの調節を実現するために用いられる。
【0051】
本発明の実施例は、制御モジュール300が如何に目標フロー信号に応じてフロー調節弁の目標開度を決定するかを特に限定するものではなく、例えば、制御モジュール300には複数のフロー設定値と、各フロー設定値に対応するフロー調節弁の目標開度とが記憶されていることが好ましく、図8に示すように、制御モジュール300は、目標フロー値に最も近い2つのフロー設定値と、この2つのフロー設定値に対応する開度とに基づき、目標フロー値に対応する目標開度を補間法で算出し得るために用いられる。
【0052】
図1に示すように、半導体工程過程では、流体がガスであることを例として、マスフローコントローラが使用開始前に、フロー調節弁200の下流側に位置するアウトレット圧力が真空状態または真空状態に近い状態になるよう確保するために、アウトレット下流の真空ポンプ600が全過程で真空排気する。マスフローコントローラのアウトレット圧力がインレット圧力より遥かに低い場合、フロー調節弁200の弁口を流れる流体の流量は、インレット圧力とフロー調節弁200のフローエリアに正比例し、すなわち、F∝P*Aであり、ここで、Fはマスフローコントローラを流れる流体のフロー、Pはインレット圧力、Aはフロー調節弁200のフローエリア(すなわち、フロー調節弁の開度)であり、インレット圧力Pが一定の場合、フロー調節弁200のオーバーフロー面積A(フロー調節弁200の開度)を変化させ、つまり、マスフローコントローラを流れる流体フローFを変化させることができる。実用においては、流体を液体とする場合、アウトレットの下流側に吸引ポンプを用いて、流体をくむことができる。
【0053】
インレット圧力が一定の場合、フロー調節弁200の開度は流体流量と正の相関があり(図10に示す曲線は、フロー調節弁の開度と流体フローとの間の関係曲線であり、図10におけるフロー制御弁の開度は、各点の縦座標間の比例関係を示すだけの無次元量値である)、電磁弁の開度は弁電圧によって直接制御されるため、フロー制御弁の開度の可変範囲で、弁電圧が大きいほど、フロー調節弁の開度が大きくなる。
【0054】
本発明の実施例では、制御モジュール300は、目標フロー値に最も近い2つのフロー設定値と、この2つのフロー設定値に対応する開度とに基づいて、目標フロー値に対応する目標開度を補間法により計算することができ、この目標開度は、制御モジュール300に予め記憶されてもよく、制御モジュール300は、フロー制御を行う場合、目標フロー値に対応する目標開度を呼び出して、開ループ制御方式によりフロー調整弁の開度を調節することで、フロー調節弁が目標開度に近い位置に迅速に到達することができ、これにより、調節時間を短縮し、調節効率を向上させることができる。
【0055】
例えば、図10における曲線上の複数の黒点は、複数のフロー設定値と、各流量設定値に対応するフロー調節弁の開度をそれぞれ示し、目標フロー値を30%(すなわち、マスフローレートコントローラのフルスケール範囲の30%)とする場合、30%に最も近い隣接する2つのフロー設定値の座標(25%,1.2)と(50%,1.4)とに基づき、30%の横座標は、2つのフロー設定値の間の曲線上での1.24の縦座標に対応することが補間法により求められ、この値は30%に対応する目標開度であり、この目標開度を予め記憶し、また圧力フィードバック調整モードが実行される前に直接呼び出すことができ、これにより開ループ制御方法を用いてフロー調節弁200の開度を1.24まで調整し、圧力フィードバック調節モードにおけるその後の調節量を減らし、調節効率を向上させることができる。
【0056】
フロー調節弁200を電磁弁とする場合、電磁弁のヒステリシス特性により、マスフローコントローラが異なる大きさの流体フローから同一の目標フロー値まで制御する際に、流体フローは、低い値からこの目標フロー値まで上昇するときと、高い値からこの目標フロー値まで下降するときとで、電磁弁の開度(弁電圧)は同一のものではない。
【0057】
フロー調節の効率をさらに向上させるために、好ましくは、各フロー設定値に対応する開度はいずれも、上昇開度(すなわち、フローが低い値からこのフロー流量設定値まで上昇するのに対応する開度)と下降開度(すなわち、フローが高い値からフロー流量設定値まで下降するのに対応する開度)とを含む。
【0058】
具体的には、下表1-1に示すように、上昇開度は上昇弁電圧Uuに対応し、下降開度は下降弁電圧Udに対応し、標定済のフロー設定値S1、S2、S3、…、Snに対応する上昇弁電圧の値をそれぞれUu_1、Uu_2、Uu_3、…、Uu_nとし、フロー設定値S1、S2、S3、…、Snに対応する下降弁電圧の値をそれぞれUu_1、Uu_2、Uu_3、…、Uu_nとする。制御モジュール300は、後続の呼び出し計算の便宜を図るため、フロー上昇と下降の2セット標定データを弁電圧データテンプレートとして記憶することができる。
【0059】
【表1】
【0060】
これに応じて、図9に示すように、対応するフロー調節弁の目標開度を目標フロー値に基づいて取得するステップS01は、
目標フロー値が上昇する場合、目標フロー値に最も近い2つのフロー設定値と、この2つのフロー設定値に対応する上昇開度とに基づき、目標フロー値に対応する目標開度(弁電圧)を補間法により算出し得ること(即ち、S011を実行する)と、
目標フロー値が下降する場合、目標フロー値に最も近い2つのフロー設定値と、この2つのフロー設定値に対応する下降開度とに基づき、目標フロー値に対応する目標開度(弁電圧)を補間法により算出し得ることと(即ち、S012を実行する)と、を含む。
【0061】

例えば、現在の目標フロー値Siが[S(n-1),Sn]区間内(すなわち、最も近い2つのフロー設定値はSn-1とSnである)で、かつ現在の目標フロー値Siが1つ前の目標フロー値よりも高い場合、制御モジュール300に記憶された情報に基づいて、現在の目標フロー値Siに最も近い2つのフロー設定値および上昇開度に対応する座標(S(n-1),Uu_(n-1))と(Sn,Uu_n)を決定し、更に目標フロー値Siに対応する(S(n-1),Uu_(n-1))と(Sn,Uu_n)との間の曲線上での点の縦座標(すなわち、目標開度)を補間法により算出し得る。
【0062】
具体的には、2つのフロー設定値と上昇開度に対応する座標(S(n-1),Uu_(n-1))と(Sn,Uu_n)から分かるように、2つのフロー設定値間の曲線の傾きは(Uu_n-Uu_(n-1))/(Sn-Sn-1)であり、更に、(S(n-1),Uu_(n-1))または(Sn,Uu_n)の横座標と目標フロー値Siとの間の差分値から、(S(n-1),Uu_(n-1))または(Sn,Uu_n)の縦座標と目標開度との間の差分値を決定する。例えば、目標フロー値Siと(S(n-1),Uu_(n-1))の横座標S(n-1)との間の差分値を(Si-S(n-1))とすると、目標開度と(S(n-1),Uu_(n-1))の縦座標Uu_(n-1)との間の差分値は、横座標差分値と2つのフロー設定値との間の曲線の傾きの積である(Si-S(n-1))(Uu_n-Uu_(n-1))/(Sn-Sn-1)となり、更に、目標開度を(S(n-1),Uu_(n-1))の縦座標Uu_(n-1)と当該縦座標差分値の和として決定することができ、すなわち、目標フロー値Siを1つ前の目標フロー値よりも高くすると、対応する目標開度は(Si-S(n-1))(Uu_n-Uu_(n-1))/(Sn-Sn-1)+Uu_(n-1)となる。
【0063】
同様に、現在の目標フロー値Siが[S(n-1),Sn]区間内で、かつ現在の目標フロー値Siが1つ前の目標フロー値よりも低い場合、制御モジュール300に記憶された情報に応じて現在の目標フロー値Siに最も近い2つのフロー設定値およびこれに対応する下降開度に対応する座標(S(n-1),Uu_(n-1))と(Sn,Uu_n)を決定し、更に目標フロー値Siに対応する(S(n-1),Uu_(n-1))と(Sn,Uu_n)との間の曲線上での点の縦座標(すなわち、目標開度)を補間法により算出し得る。
【0064】
具体的には、2つのフロー設定値と下降開度に対応する座標(S(n-1),Uu_(n-1))と(Sn,Uu_n)から分かるように、2つのフロー設定値間の曲線の傾きは(Uu_n-Uu_(n-1))/(Sn-Sn-1)であり、更に、(S(n-1),Uu_(n-1))または(Sn,Uu_n)の横座標と目標フロー値Siとの間の差分値から、(S(n-1),Uu_(n-1))または(Sn,Uu_n)の縦座標と目標開度との間の差分値を決定する。例えば、目標フロー値Siと(S(n-1),Uu_(n-1))の横座標S(n-1)との間の差分値を(Si-S(n-1))とすると、目標開度と(S(n-1),Uu_(n-1))の縦座標Uu_(n-1)との間の差分値は、横座標差分値と2つのフロー設定値との間の曲線の傾きの積で(Si-S(n-1))(Uu_n-Uu_(n-1))/(Sn-Sn-1)となり、更に、目標開度を(S(n-1),Uu_(n-1))の縦座標Uu_(n-1)と当該縦座標差分値の和として決定することができ、すなわち、目標フロー値Siを1つ前の目標フロー値よりも低くすると、対応する目標開度は(Si-S(n-1))(Uu_n-Uu_(n-1))/(Sn-Sn-1)+Uu_(n-1)となる。
【0065】
本発明の実施例では、制御モジュール300に記憶された各フロー設定値に対応する開度は何れも上昇開度と下降開度を含み、これにより、フロー調節弁200を電磁弁とする場合、目標フロー値の昇降に応じてフロー調節弁開度の増減を決定し、さらに、上昇開度と下降開度から適切な1群のデータを選択して開ループ制御を行うことができ、これにより、フロー調節弁の開度が目標開度に迅速に近づくことができ、その後の圧力フィードバック調節過程における調整量を減らし、流体フロー調節の効率が向上した。
【0066】
当業者が理解しやすいように、本発明は、図2に示す制御モジュール300がマスフローコントローラにおける流体フローを調節するプロセスの具体的な実施例を更に提供する。
【0067】
制御モジュール300は、目標フロー値の変化量が予め設けられた閾値よりも大きい場合、入力された目標フロー値に対応する目標開度、目標フロー値と目標圧力値を、予め記憶されたテンプレートに基づいて決定する。
【0068】
制御モジュール300はまず開ループ制御モードに移行し、PID制御ユニット310は、目標フロー値に対応する目標開度に応じて、対応する弁電圧をフロー調節弁200に装荷するよう弁駆動ユニットを制御する。同時に、圧力センサ500は、下流の流体圧力値を常に検出し、圧力処理モジュール330におけるA/Dサンプリングユニットによってアナログ-デジタル変換を行った上で、PID制御ユニット310に伝送する。
【0069】
圧力センサ500で検出された流体圧力値が安定した(第2安定化条件を満たした)後(すなわち、フロー調節弁の開度が目標開度に対応する開度ですでに安定した後)、制御モジュール300は圧力フィードバック調節モードに切り替え、圧力センサ500は圧力処理モジュール330を介して、周期的に下流の流体圧力値をPID制御ユニット310までフィードバックし、PID制御ユニット310は、流体圧力値と目標圧力値に基づき、周期的にPID制御方法を採用してフロー調節弁200の開度を変えて、流体圧力値と目標圧力値との間の圧力差分値を小さくする。
【0070】
フローセンサ400で検出された流体フロー値が安定する傾向がある(第1安定化条件を満たす)場合、制御モジュール300はフローフィードバック調節モードに切り替え(下流の流体圧力の変動が大きいため、調節時間を節約するために、圧力センサ500で検出された流体圧力値の安定化を待つ必要はない)、流量センサ400は、検出された流体フロー値をフロー処理モジュール320を介してPID制御ユニット310にフィードバックし、PID制御ユニット310は、PID制御方法を用いて流体フロー値と目標フロー値とに応じてフロー調節弁200の開度を周期的に変更し、これにより、流体フロー値と目標フロー値との間のフロー差分値を、フロー差分値の絶対値が予め設けられた差分値よりも小さくなるまで減らす。
【0071】
その後、制御モジュール300は、引き続き圧力センサ500を介してバックグラウンドで流体圧力値をモニタする。一旦異常な圧力変動が下流で発生すると、圧力センサ500によって制御モジュール300にフィードバックし、制御モジュール300はフローフィードバック調節モードに切り換え、圧力変動によって引き起こされる可能性のある流量変動を相殺するためにタイミングに弁電圧を補正し、マスフローコントローラ内の流体フローの安定性と正確さを確保することができる。
【0072】
本発明の第2の態様として、マスフローコントローラのフロー制御方法であって、本発明の実施例による上記マスフローコントローラに適用され、図3に示されるように、
目標フロー値の変化量が予め設けられた閾値を超える場合、圧力フィードバック調節モードに移行し、圧力フィードバック調節モードにおいては、圧力センサで検出された流体圧力値と、目標フロー値に対応する目標圧力値とに基づいてフロー調節弁の開度調整量を算出により取得し、当該開度調整量に応じてフロー調節弁の開度を調節する(すなわち、ステップS10を実行する)ことと、
フローセンサで検出された流体フロー値が第1安定化条件を満たした後、フローフィードバック調節モードに移行し、フローフィードバック調節モードにおいては、フローセンサで検出された流体フロー値と、目標フロー値とに基づいてフロー調節弁の開度調整量を算出により取得し、当該開度調整量に応じてフロー調節弁の開度を調節する(すなわち、ステップS20を実行する)こととを含む、マスフローコントローラのフロー制御方法を更に提供する。
【0073】
代替として、上記予め設けられた閾値はフローフィードバック調節の実際効率に応じて決定することができ、すなわち、フローフィードバック調節モードを採用し(フローセンサで検出された流体フロー値に応じてフロー調節弁の開度を調節する)、流体フロー値を新たな目標フロー値に達するのに必要な時間長が許容可能な範囲内である場合は、直接フローフィードバック調節モードを採用して調節することができ、先に圧力フィードバック調節モードを通じてフロー調節弁の開度を調節する必要はない。具体的に、図3に示すように、当該フロー制御方法はさらに、
目標フロー値の変化量が予め設けられた閾値を超える場合、フローフィードバック調節モードに移行し、すなわち、フローセンサで検出された流体フロー値と、目標フロー値とに基づいてフロー調節弁の開度調整量を算出により取得し、当該開度調整量に応じてフロー調節弁の開度を調節することを含む(すなわち、ステップS10をスキップし、ステップS20を直接実行する)。
【0074】
本発明の実施例は、如何にフロー調節弁下流の流体圧力値に応じてフロー調節弁の開度に対しPID調節を行うかを特に限定するものではなく、例えば、本発明の代替可能な実施形態として、図5に示すように、圧力フィードバック調節(ステップS10)は具体的には、
ステップS11では、目標フロー値に応じて圧力センサに対応する目標圧力値を決定することと、
ステップS12とステップS13とを循環して実行し、この過程では、圧力センサで検出された流体圧力値を周期的にまたはリアルタイムで取得し、圧力センサで検出された流体圧力値と目標圧力値とに基づいてPID演算を行い、フロー調節弁の開度調節量を取得し、この開度調節量に応じてフロー調節弁の開度を調節し、PID演算を常に行いフロー調節弁の開度を調節することにより、圧力センサで検出された流体圧力値と目標圧力値との間の圧力差分値の絶対値を徐々に小さくすることができ、圧力センサで検出された流体圧力値が徐々に目標圧力値で安定してゆき、すなわち、フローセンサで検出された流体フロー値が第1安定化条件に満たす場合は、上記循環をスキップし、フローフィードバック調節モードに移行する(すなわち、ステップS120を実行する)ことを含む。開度調節量と圧力差分値は正相関関係である。
【0075】
本発明の実施例は、如何にフロー調節弁上流の流体フロー値に応じてフロー調節弁の開度に対しPID調節を行うかを特に限定するものではなく、例えば、本発明の代替可能な実施形態として、図6、7に示すように、フローフィードバック調節(ステップS20)は具体的には、
ステップS21では、フローセンサに対応する目標フロー値を、受信した目標フロー信号に応じて決定することと、
ステップS22とステップS23とを循環して実行し、この過程では、フローセンサで検出された流体フロー値を周期的にまたはリアルタイムで取得し、フローセンサで検出された流体フロー値と目標フロー値とに基づいてPID演算を行い、フロー調節弁の開度調節量を取得し、PID演算を常に行いフロー調節弁の開度を調節することにより、フローセンサで検出された流体フロー値と目標フロー値との間のフロー差分値の絶対値を徐々に小さくすることができる。このフロー差分値の絶対値が予め設けられた差分値よりも小さい場合、上記循環をスキップし、フローが終了することとを含む。ここでは、開度調節量の絶対値とフロー差分値の絶対値は正相関関係である。
【0076】
流体フローをマスフローコントローラが制御する精度を更に高めるために、本発明の好ましい実施形態として、図7に示すように、フロー制御方法はさらに、
フロー差分値の絶対値が予め設けられた差分値未満であった後、ステップS31を周期的にまたはリアルタイムで実行し、圧力センサで検出された流体圧力値を取得し、圧力センサで検出された流体圧力値が第2安定化条件を満たすかを判断することと、
圧力センサで検出された流体圧力値が第2安定化条件を満たさない場合、フローフィードバック調節モードに改めて移行することとを含む。
【0077】
流体フローをマスフローコントローラが調節する効率を更に向上させるために、好ましくは、図4~6に示すように、フロー制御方法はさらに、
圧力フィードバック調節モード移行(ステップS10)前、ステップS00を実行し、目標フロー値に対応するフロー調節弁の目標開度を取得し、圧力センサで検出された流体圧力値が第2安定化条件を満たした(すなわち、フロー調節弁の開度がフロー調節弁の目標開度近傍で安定した)後、圧力フィードバック調節モードに移行する(すなわち、ステップS10を実行する)ことを含む。
【0078】
フロー調節効率を更に向上させるために、好ましくは、マスフローコントローラ(の制御モジュール)には複数のフロー設定値と各フロー設定に対応するフロー調節弁の目標開度を記憶することは、
ステップS01では、目標フロー値に最も近い2つのフロー設定値と、この2つのフロー設定値に対応する開度とに基づき、目標フロー値に対応する目標開度を補間法により算出し得ることを含む。(ステップS00は更にステップS02に含まれ、フロー調節弁の目標開度に応じてフロー調節弁の開度を調節する)
マスフローコントローラにおけるフロー調節弁を電磁弁とする場合、フロー調節の効率をさらに向上させるために、好ましくは、各フロー設定値に対応する開度はいずれも、上昇開度(すなわち、フローが低い値からこのフロー流量設定値まで上昇する対応する開度)と下降開度(すなわち、フローが高い値からこのフロー流量設定値まで下降する対応する開度)とを含み目標フロー値に応じて相応の目標開度を取得するステップS01は、
目標フロー値が上昇する場合、目標フロー値に最も近い2つのフロー設定値と、この2つのフロー設定値に対応する上昇開度とに基づき、目標フロー値に対応する目標開度(弁電圧)を補間法により算出し得ることと、
目標フロー値が下降する場合、目標フロー値に最も近い2つのフロー設定値と、この2つのフロー設定値に対応する下降開度とに基づき、目標フロー値に対応する目標開度(弁電圧)を補間法により算出し得ることと、を含む。
【0079】
本発明により提供されるフロー制御方法では、応答速度の速い圧力フィードバック調節モードと制度の高いフローフィードバック調節モードを組み合わせ、すなわち、目標フロー値の変化量が予め設けられた閾値を超える場合、先に圧力フィードバック調節モードに移行し、フロー調節弁の開度を、圧力フィードバックによって速やかに目標開度に近づけ、そして、フローフィードバック調節モードに切り替え、フロー調節弁の開度を、フローフィードバック調整によって精確に調節し、このような圧力フィードバックとフローフィードバックを組み合わせた調節方法は従来技術でフローフィードバックのみを介した調整方法との比較において、フロー調節弁の開度が徐々に目標開度に近づく調節時間を短縮でき、これにより流体フロー調整精度を確保できるとともに、マスフローコントローラの応答速度を高め、更に半導体工程の工程効果と機械生産能力を高めた。
【0080】
上記の実施形態は、本発明の原理を説明するための例示的な実施形態に過ぎないが、本発明はこれに限定されないことが理解されるであろう。本発明の精神及び実質から逸脱することなく、当業者は様々な変形及び改良を行うことができ、これらの変形及び改良も本発明の請求範囲に含まれるとみなされる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【手続補正書】
【提出日】2023-11-27
【手続補正1】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図1
【補正方法】変更
【補正の内容】
図1
【手続補正書】
【提出日】2024-02-09
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ンレットとアウトレットとの間に弁が接続された流体通路が設けられたマスフローコントローラであって、前記マスフローコントローラは制御モジュールフローセンサと圧力センサをさらに含み、
前記フローセンサは、前記インレットと前記弁との間に設けられ、前記流体通路における流体フローを検出するように構成され
前記圧力センサは、前記アウトレットに設けられ、前記流体通路における流体圧力を検出するように構成され
前記制御モジュールは、目標フローの変化量が予め設けられた閾値を超える場合、圧力フィードバック調節モードに移行し、前記フローセンサで検出された前記流体フローが第1安定化条件を満たした後、フローフィードバック調節モードに移行するように構成され
前記制御モジュールは、前記圧力フィードバック調節モードにおいて、前記圧力センサで検出された前記流体圧力と、前記目標フローに対応する目標圧力との間の差分値に基づいて記弁の開度を調節するように構成され
前記制御モジュールは、前記フローフィードバック調節モードにおいて、前記フローセンサで検出された前記流体フローと、前記目標フローとの間の差分値に基づいて記弁の開度を調整するように構成され、
前記目標フローの変化量は、前記制御モジュールが現時点で受信した目標フローと前の目標フローとの間の差分値である、マスフローコントローラ。
【請求項2】
前記制御モジュールはさらに、前記圧力フィードバック調節モードに移行する前に、前記目標フローに対応する開度を取得し、前記圧力センサで検出された前記流体圧力が第2安定化条件を満たすまで前記弁開度値に基づいて前記弁の開度を調節するように構成される、請求項1に記載のマスフローコントローラ。
【請求項3】
前記制御モジュールには複数のフロー設定前記複数のフロー設定に対応する開度とが記憶されており、
前記制御モジュールは、前記目標フローに最も近い、前記複数のフロー設定点のうちの2つのフロー設定と、前記複数のフロー設定点のうちの前記2つのフロー設定点に対応する開度とに基づいて、前記目標フローに対応する前記開度を補間法により算出するように構成される、請求項2に記載のマスフローコントローラ。
【請求項4】
記弁は電磁弁であり、前記複数のフロー設定各々は、上昇開度値および下降開度値に対応し
前記制御モジュールは、前記目標フローが上昇する場合は、前記目標フローに最も近い前記複数のフロー設定点のうちの前記2つのフロー設定点と、前記複数のフロー設定点のうちの前記2つのフロー設定点に対応する上昇開度とに基づいて、前記目標フローに対応する前記開度値を補間法により算出し、前記目標フローが下降する場合は、前記目標フローに最も近い前記複数のフロー設定点のうちの前記2つのフロー設定点と、前記複数のフロー設定点のうちの前記2つのフロー設定点に対応する下降開度とに基づいて、前記目標フローに対応する前記開度を補間法により算出するように、構成される、請求項3に記載のマスフローコントローラ。
【請求項5】
前記フローセンサは熱式フローセンサである、請求項1~4の何れか1項に記載のマスフローコントローラ。
【請求項6】
前記第1安定化条件は、第1予め設けられた時間内に前記フローセンサで検出された流体フローのうちの最大値と最小値との間の差分値が第1予め設けられた差分値以下であるという条件であり、
前記第2安定化条件は、第2予め設けられた時間内に前記圧力センサで検出された流体圧力のうちの最大値と最小値との間の差分値が第2予め設けられた差分値以下であるという条件である、請求項2~4の何れか1項に記載のマスフローコントローラ。
【請求項7】
マスフローコントローラのフロー制御方法であって、前記フロー制御方法は、請求項に記載のマスフローコントローラに適用され、前記フロー制御方法は、
目標フローの変化量が予め設けられた閾値を超える場合、前記圧力センサで検出された流体圧力と、前記目標フローに対応する目標圧力との間の差分値に基づいて弁の開度を調節することと、
前記フローセンサで検出された流体フローが第1安定化条件を満たした後、前記フローセンサで検出された流体フローと、前記目標フローとの間の差分値に基づいて記弁の開度を調節することとを含む、フロー制御方法。
【請求項8】
前記目標フローの変化量が前記予め設けられた閾値を超えない場合、前記フローセンサで検出された前記流体フローと前記目標フローとの間の差分値に基づいて前記弁の開度を調節することをさらに含む、請求項に記載のフロー制御方法。
【請求項9】
前記圧力センサで検出された前記流体圧力と前記目標フローに対応する前記目標圧力との間の差分値に基づいて前記弁の開度を調節する前に、前記フロー制御方法は、
前記目標フローに対応する開度を取得し、前記開度に基づいて前記弁の開度を調節することと、
前記圧力センサで検出された前記流体圧力が第2安定化条件を満たした後、前記圧力センサで検出された前記流体圧力と前記目標フローに対応する前記目標圧力との間の差分値に基づいて前記弁の開度を調節するステップを実行することと、をさらに含む、請求項に記載のフロー制御方法。
【請求項10】
前記目標フローに対応する前記弁開度値を取得することは、
予め設定された複数のフロー設定と、前記複数のフロー設定に対応する開度情報とに基づいて前記目標フローに最も近い前記複数のフロー設定点のうちの2つのフロー設定点と、前記複数のフロー設定点のうちの前記2つのフロー設定点に対応する開度値とを決定し、前記目標フローに対応する前記開度を補間法により算出することを含む、請求項に記載のフロー制御方法。
【請求項11】
複数のフロー設定各々上昇開度値および下降開度値に対応し
前記目標フローに対応する前記弁開度値を取得することは、
前記目標フローが上昇する場合は、予め設定された、前記複数のフロー設定と、前記複数のフロー設定に対応する上昇開度とに基づいて、前記目標フローに最も近い前記複数のフロー設定点のうちの前記2つのフロー設定点と、前記複数のフロー設定点のうちの前記2つのフロー設定点に対応する上昇開度とを決定し、前記目標フローに対応する前記開度を補間法により算出ることと、
前記目標フロが下降する場合は、予め設定された、前記複数のフロー設定と、前記複数のフロー設定に対応する下降開度とに基づいて、前記目標フローに最も近い前記複数のフロー設定点のうちの2つのフロー設定点と、前記複数のフロー設定点のうちの前記2つのフロー設定点に対応する前記下降開度とを決定し、前記目標フローに対応する前記開度を補間法により算出ることとを含む、請求項10に記載のフロー制御方法。
【国際調査報告】