(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-24
(54)【発明の名称】透析液の塩分濃度を制御する方法およびシステム
(51)【国際特許分類】
A61M 1/16 20060101AFI20240517BHJP
【FI】
A61M1/16 190
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023573388
(86)(22)【出願日】2022-05-27
(85)【翻訳文提出日】2024-01-16
(86)【国際出願番号】 US2022031454
(87)【国際公開番号】W WO2022256269
(87)【国際公開日】2022-12-08
(32)【優先日】2021-05-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522176942
【氏名又は名称】ダイアリティ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ボリリョ, ブランドン
(72)【発明者】
【氏名】ポッピー, クレイトン
【テーマコード(参考)】
4C077
【Fターム(参考)】
4C077AA05
4C077BB01
4C077DD16
4C077EE03
4C077EE04
4C077GG14
4C077HH02
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4C077HH20
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4C077JJ08
4C077JJ19
4C077JJ28
4C077NN20
4C077PP17
4C077PP28
(57)【要約】
透析器内の透析液のミネラルを補充するための透析液補充システムを有する透析器を備えている持ち運びできる血液透析システムが、提供され、システムは、透析液からアンモニアを除去するように構成された吸着材フィルタであって、吸着材フィルタは、透析液流路に透析液を出力する出口を有する、吸着材フィルタと、第1の試薬溶液を含む第1の試薬源と、第1の試薬溶液を透析液流路の中に注入するように構成された第1のポンプと、透析液流路および第1のポンプの下流に結合された第1の混合器であって、第1の混合器は、透析液を第1の試薬溶液と混合するように構成されている、第1の混合器と、第1の混合器の後の透析液中の溶解固形物のレベルを測定するように構成された伝導率センサと、少なくとも測定されたレベルのレベルに基づいて第1のポンプを調節することによって第1の試薬溶液の流量を調節するように構成されたコントローラとを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
透析器内の透析液のミネラルを補充するためのシステムであって、前記システムは、
前記透析液からアンモニアを除去するように構成された吸着材フィルタであって、前記吸着材フィルタは、透析液流路に前記透析液を出力する出口を有する、吸着材フィルタと、
第1の試薬溶液を含む第1の試薬源と、
前記第1の試薬溶液を前記吸着材フィルタの前記透析液流路の中に注入するように構成された第1のポンプと、
前記透析液流路および前記第1のポンプの下流に結合された第1の混合器であって、前記第1の混合器は、前記透析液を前記第1の試薬溶液と混合するように構成されている、第1の混合器と、
前記第1の混合器の後の前記透析液中の溶解固形物のレベルを測定するように構成された伝導率センサと、
少なくとも前記透析液中の前記溶解固形物のレベルに基づいて前記第1のポンプを調節することによって、前記第1の試薬溶液の流量を調節するように構成されたコントローラと
を備えている、システム。
【請求項2】
前記伝導率センサは、前記透析液中のナトリウムのレベルを測定するように構成されたナトリウムレベルセンサを備えている、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記コントローラは、少なくとも前記透析液中の前記ナトリウムのレベルに基づいて前記第1のポンプを調節することによって、前記第1の試薬溶液の流量を調節するようにさらに構成されている、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記第1の試薬溶液は、炭酸ナトリウム溶液である、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記炭酸ナトリウム溶液は、約1.5Mの濃度を有する、請求項2に記載のシステム。
【請求項6】
複数のミネラル化合物の溶液を備えている第2の試薬溶液を含む第2の試薬源と、
前記吸着材フィルタの前記透析液流路の中に前記第2の試薬溶液を注入するように構成された第2のポンプと
をさらに備え、
前記第2のポンプは、前記第1のポンプの上流に配置されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記第1の混合器の上流に配置された第2の混合器をさらに備え、前記第2の混合器は、第1の試薬が前記第1のポンプによって前記透析液流路の中に注入される前、前記透析液を前記第2の試薬溶液と混合するように構成されている、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記第2の試薬溶液は、塩化カルシウム(CaCl
2)、塩化マグネシウム(MgCl
2)、および酢酸カリウム(KAc)の溶液を備えている、請求項6に記載のシステム。
【請求項9】
前記第2の試薬溶液中の前記CaCl
2は、25~40ミリモル(mM)の濃度を有し、前記第2の試薬溶液中の前記MgCl
2は、12.5~20mMの濃度を有し、前記第2の試薬溶液中の前記KAcは、75~120mMの濃度を有する、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記第2の試薬溶液中の前記CaCl
2は、32.04mMの濃度を有し、前記第2の試薬溶液中の前記MgCl
2は、16.02mMの濃度を有し、前記第2の試薬溶液中の前記KAcは、96.12mMの濃度を有する、請求項8に記載のシステム。
【請求項11】
前記第1の試薬源は、1~3リットルであり、前記第2の試薬源は、0.5~1.0リットルである、請求項6に記載のシステム。
【請求項12】
前記コントローラは、少なくとも前記透析液中の前記ナトリウムのレベルに基づいて前記第2のポンプを調節することによって、前記第2の試薬溶液の流量を調節するようにさらに構成されている、請求項6に記載のシステム。
【請求項13】
前記伝導率センサは、前記透析液の伝導率値を測定するようにさらに構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項14】
前記伝導率センサは、前記透析液中のナトリウムの最適なレベルを所与として、ある伝導率値が予期されるように、予め較正されている、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記ナトリウム濃度の最適なレベルは、130~145mMである、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記伝導率センサは、センサ本体と、電極と、制御システムとを備えている、請求項6に記載のシステム。
【請求項17】
前記電極は、前記制御システムに結合され、前記制御システムは、前記第1のポンプおよび前記第2のポンプに結合され、前記制御システムは、前記透析液流路の中への前記第1の試薬溶液および第2の試薬溶液の量を制御するように構成されている、請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
前記制御システムは、プロセッサを備え、前記プロセッサは、前記電極からの読み取り値に基づいて前記透析液の伝導率値を決定するように構成され、前記決定された伝導率値は、前記第1のポンプ、前記第2のポンプ、および前記伝導率センサの間にフィードバック制御ループを確立するように、前記透析液流路の中への前記第1の試薬溶液および第2の試薬溶液の量を制御するように構成されている、請求項16に記載のシステム。
【請求項19】
前記電極は、前記透析液の伝導率値を測定するように構成された2つ、3つ、または4つの棒状の電極を備えている、請求項16に記載のシステム。
【請求項20】
前記電極は、前記センサ本体のスロットの中に配置され、前記スロットは、接着剤を使用してシールされ、前記センサ本体内に格納された前記電極を固定するように構成されている、請求項16に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、あらゆる目的のために参照することによってその全体として本明細書に明白に組み込まれる2021年5月31日に出願された米国仮特許出願第63/195,164号の優先権および利益を主張する。
【0002】
本発明は、透析を提供することにおける使用のための人工腎臓システムに関する。より具体的に、本発明は、透析液中に不可欠なミネラルを補充するためのシステムを有する血液透析システムを対象とする。
【背景技術】
【0003】
本出願人は、本明細書によって、本願において引用または言及されるあらゆる特許および公開特許出願を参照することによって本明細書に組み込む。
【0004】
血液透析は、半浸透性膜を横断した溶質の拡散を伴う患者の血液からのクレアチン、尿素、および遊離水を含む老廃生成物の体外除去を達成するために使用される医療手技である。これらの老廃生成物を適切に除去することができないことは、腎不全をもたらし得る。
【0005】
血液透析の間に、患者の血液が、動脈ラインによって除去され、透析機によって治療され、静脈ラインによって身体に戻される。透析機は、半浸透性膜を形成する多数の中空ファイバを含む透析器を含み、血液は、透析器を通して運搬される。加えて、透析機は、透析液液体を利用し、透析液液体は、適切な量の電解質と他の不可欠な成分(グルコース等)とを含み、透析液液体も、透析器を通して圧送される。
【0006】
典型的に、透析液は、水を適切な割合の酸濃縮物および重炭酸濃縮物と混合することによって調製される。好ましくは、酸濃縮物と重炭酸濃縮物とは、酸濃縮物中のカルシウムおよびマグネシウムが重炭酸濃縮物中の高重炭酸塩レベルと接触すると沈殿するであろうから、透析器内での使用の直前の最終混合まで、分離される。透析液は、適切なレベルのナトリウム、カリウム、塩素、およびグルコースも含み得る。
【0007】
膜を横断した透析プロセスは、拡散および対流の組み合わせによって達成される。拡散は、高濃度の領域から低濃度の領域へのランダム運動による分子の移動を伴う。その一方で、対流は、典型的に、静水圧の差異に応答する溶質の移動を伴う。半浸透性膜を形成するファイバは、透析液から血漿を分離し、拡散が生じるためのより広い表面積を提供し、それは、尿素、カリウム、およびリン酸塩を含む老廃物が、透析液の中に浸透することを可能にしながら、透析液の中への血液細胞、ポリペプチド、およびあるタンパク質等のより大きい分子の移送を防止する。
【0008】
典型的に、透析液は、体外回路内の血流に対して反対方向に流動する。対向流流動は、半浸透性膜を横断して濃度勾配を維持し、透析の効率を向上させる。いくつかの事例では、血液透析は、限外濾過とも称される流体除去を提供し得る。限外濾過は、一般的に、透析器の透析液コンパートメントの静水圧を低下させることによって、したがって、溶解させられた溶質(電解質および他の浸透性物質を含む)を含む水が血漿から膜を横断して透析液に移動することを可能にすることによって遂行される。より稀な状況では、透析器の透析液流路部分内の流体は、血流部分より高く、それは、流体に透析流路から血液流路に移動させる。これは、一般的に、逆限外濾過と称される。限外濾過および逆限外濾過は、患者に対するリスクを増大させ得るので、限外濾過および逆限外濾過は、典型的に、非常に訓練された医療関係者によって監督されている間に行われる。
【0009】
残念ながら、血液透析は、多数の欠点に悩む。動静脈瘻は、最も一般的に認識されるアクセス点である。脈瘻を生成するために、医師は、動脈と静脈とを一緒に接合する。これは、患者の毛細血管をバイパスするので、血液は、急速に流動する。各透析セッションのために、脈瘻は、血液を透析器の中に送達し、血液を透析器から戻すために、大型の針を用いて穿刺されなければならない。典型的に、この手技は、外来患者用施設において1週間に3回、3~4時間にわたって行われる。より低い程度において、患者は、自宅において血液透析を行う。いくつかの形態の自宅透析は、1週間に6日、2時間にわたって行われる。他の形態は、1週間に4~5日、2.5~3時間の治療を使用する。現在提供されている自宅血液透析は、外来患者設定におけるそれらより頻繁な治療を要求する。
【0010】
自宅血液透析は、なおも追加の欠点に悩む。現在の自宅透析システムは、大きく、複雑で、威圧的であり、動作させるために困難である。機器は、かなりの訓練を要求する。自宅血液透析システムは、現在、持ち運び可能であるにはあまりにも大きく、それによって、血液透析患者が旅行することを妨げている。自宅血液透析システムは、特に、センター内血液透析(患者は、機械のために支払うことを要求されない)と比較して、高価であり、高い初期金銭的投資を要求する。現在の自宅血液透析システムは、消耗品の再利用を適切に提供しておらず、それは、医療用品供給元に、自宅血液透析をあまり経済的に実行可能ではないものにしている。上で述べられた欠点の結果として、自宅血液透析の苦役を引き受ける動機付けられた患者は、非常に少ない。
【0011】
故に、運搬可能であり、軽量であり、使用が容易であり、患者にやさしく、したがって、診療所内または自宅内使用が可能である血液透析システムの大きい必要性が、存在する。
【0012】
さらに、ポンプ、モータ、管、または電子機器内に、患者を危険にさらすであろう単一点障害を保有しないような血液透析システムを提供することが、望ましいであろう。
【0013】
加えて、様々なモード(透析液を洗浄するために、フィルタを用いる、または用いない等)で使用されることが可能であるような血液透析システムを提供することが、望ましいであろう。
【0014】
本発明の側面は、以下の概要に説明されるように、これらの必要性を満たし、さらなる関連する利点を提供する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の第1の側面によると、患者から血液を収集するために患者の動脈に接続するための動脈血液ラインと、患者に血液を戻すために患者の静脈に接続するための静脈血液ラインと、再利用可能な透析機と、使い捨て可能な透析器とを含む血液透析システムが、提供される。
【0016】
動脈血液ラインおよび静脈血液ラインは、当業者に公知である典型的構造であり得る。例えば、動脈血液ラインは、患者の動脈から血液を収集するために針に接続された従来的な可撓性の中空管類であり得る。同様に、静脈血液ラインは、患者の静脈に血液を戻すための従来的な可撓性の管および針であり得る。静脈内カテーテル、動静脈瘻、または合成移植片を含む種々の構造および外科手術手技が、患者の血液へのアクセスを得るために採用され得る。
【0017】
好ましくは、使い捨て可能な透析器は、血液流路と、透析液流路とを含む当業者に公知の構造および設計を有する。用語「流路」は、流体を運搬するための通路とも称される1つ以上の流体導管を指すことを意図している。可撓性の医療用管類または非可撓性の中空の金属またはプラスチック筐体等を含む導管が、当業者によって決定され得るような任意の様式において構築され得る。血液流路は、患者からの血液を透析器に、そして患者に戻すように運搬するための動脈血液ラインおよび静脈血液ラインに接続することによって、閉ループシステム内で血液を運搬する。その一方で、透析液流路は、閉ループシステム内で、透析液を透析液の供給部から透析器に、そして透析液供給部に戻すように運搬する。血液流路および透析液流路の両方は、透析器を通過するが、流路は、透析器の半浸透性膜によって分離されている。
【0018】
いくつかの実施形態において、血液透析システムは、透析溶液を貯蔵するためのリザーバを含む。リザーバは、血液透析システムの透析液流路に接続し、リザーバからの透析液を血液透析システムの透析器に、そしてリザーバに戻すように運搬するための閉ループシステムを形成する。いくつかの例示的実施形態において、血液透析システムは、代替として、透析液流路内に設置され得る2つの(またはそれを上回る)透析液リザーバを保有する。そのような実施形態において、1つのリザーバが汚染された透析液を保有するとき、透析治療は、汚染された透析液を伴うリザーバが空にされ、再充填されている間、他のリザーバを使用して継続することができる。リザーバは、適切な血液透析治療を実施するために、臨床医によって要求されるような、または適切な血液透析治療中に除去された蓄積された透析液および余剰限外濾過体積を保持するために要求されるような任意のサイズであり得る。しかしながら、いくつかの実施形態において、2つのリザーバは、同じサイズであり、透析機が容易に持ち運び可能であることを可能にするように十分に小さい。いくつかの許容可能なリザーバは、サイズにおいて0.5リットル~12.0リットル(L)である。他のリザーバサイズおよび容量が、当業者によって決定され得る。
【0019】
いくつかの実施形態において、血液透析システムは、リザーバ内に貯蔵される透析液を加熱するためのリザーバに熱的に結合された1つ以上の加熱器を保有する。加えて、血液透析システムは、リザーバ内の透析液の温度を測定するための温度センサを含むことができる。血液透析システムは、リザーバ内の流体の質量を検出するための1つ以上の流体質量センサを含むこともできる。流体質量センサは、リザーバ内の流体の質量を決定するための任意のタイプのセンサであり得る。許容可能な流体質量センサは、抵抗性歪みゲージタイプセンサ、磁気的または機械的浮動タイプセンサ、光インターフェース、伝導率センサ、超音波センサ、およびリザーバ内の透析液の重量を測定するための秤またはロードセル等の重量測定センサを含む。
【0020】
いくつかの例示的実施形態において、血液透析システムは、3つの一次ポンプを備えている。第1および第2の「透析液」ポンプは、透析液を透析液流路を通してリザーバから透析器に、そしてリザーバに戻すように圧送するために透析液流路に接続される。いくつかの実施形態において、第1のポンプが、透析器から「上側流」(「流路内で前」を意味する)にある透析液流路内に位置付けられる一方、第2のポンプは、透析器から「下側流」(「流路内で後」を意味する)にある透析液流路内に位置付けられる。いくつかの実施形態において、血液透析システムの第3の一次ポンプが、血液流路に接続される。この第3の一次ポンプ、すなわち、「血液」ポンプは、患者からの血液を、動脈血液ラインを通して、透析器を通して、そして患者に戻すために静脈血液ラインを通して圧送する。例示的実施形態において、第3のポンプが、透析器から上側流にある血液流路内に位置付けられる。
【0021】
血液透析システムは、血漿から半浸透性膜を通して透析液の中に浸透している毒素を除去するための1つ以上の吸着材フィルタも備えていることができる。フィルタ内での使用のためのフィルタ材料は、当業者に周知である。例えば、好適な材料は、ジルコニウム系樹脂を含む樹脂床を含む。許容可能な材料は、米国特許第8,647,506号および米国特許公開第2014/0001112号にも説明されている。他の許容可能なフィルタ材料も、当業者によって、過度の実験をすることなく開発および利用されることができる。フィルタ材料のタイプに応じて、フィルタ筐体は、アンモニア等のガスを解放することが可能である蒸気膜を含み得る。
【0022】
第1の実施形態において、吸着材フィルタは、透析液がリザーバに戻るように運搬されることに先立って、透析液中の毒素を除去するように、透析器から下側流にある透析液流路に接続される。第2の実施形態において、フィルタは、閉ループ透析液流路の外側にあるが、代わりに、2つの透析液リザーバのうちのいずれか一方に選択的に接続する別個の閉ループ「フィルタ」流路内に位置付けられる。いくつかの実施形態において、血液透析システムは、フィルタ流路およびそのフィルタを通して汚染された透析液を圧送するための追加の流体ポンプを含む。
【0023】
いくつかの実施形態において、血液透析システムは、「排液」流路および「新鮮な透析液」流路の形態にある2つの追加の流路を備えている。排液流路は、汚染された透析液のリザーバを排液するための1つ以上の流体排液ラインを含むことができ、新鮮な透析液の流路は、新鮮な透析液を新鮮な透析液の供給部からリザーバに運搬するための1つ以上の流体充填ラインを含むことができる。1つ以上の流体ポンプが、流体をそれらの意図される目的地に運搬するために、排液流路および/または新鮮な透析液の流路に接続され得る。
【0024】
加えて、血液透析システムは、血液流路を通した血液の流動を制御すること、透析液流路を通した透析液の流動を制御すること、およびフィルタ流路を通した使用された透析液の流動を制御することを行うための複数の流体弁アセンブリを含むことができる。弁アセンブリは、限定ではないが、従来的な電気機械式の二方流体弁および三方流体弁を含む当業者によって決定され得るような、任意のタイプの電気機械流体弁構造であり得る。二方弁は、入口ポートと、出口ポートとを含む2つのポートを伴う任意のタイプの弁であり、弁は、単純に、流体通路を通した流体の流動を可能にするか、またはそれを遮る。逆に、三方弁は、3つのポートを保有し、1つの流体通路内の流体流を遮断しながら、別の通路内で流体流を開放するように機能する。加えて、透析機の弁アセンブリは、静脈血液ラインを通した血液の流動を選択的に可能にするか、またはそれを遮るための静脈血液ラインに接続されたピンチ弁等の安全ピンチ弁を含むことができる。危険な条件が検出された場合、静脈血液ラインを締めつけ、それによって、患者に戻すような血液の流動を防止するような、ピンチ弁が、提供される。
【0025】
いくつかの実施形態によると、血液透析システムは、血液透析を監視するためのセンサを含む。この目的のために、血液透析システムのいくつかの実施形態は、透析液流路内の流体流(体積および/または速度)を検出するための透析液流路に接続された少なくとも1つの流量センサを備えている。加えて、血液透析システムのいくつかの実施形態が、透析液流路内の圧力を検出するための1つ以上の圧力センサ、または、少なくとも透析液流路が封鎖されているかどうかを検出するための閉塞センサを含む。いくつかの実施形態において、透析機は、血液流路内の圧力および/または流体流を測定するための1つ以上のセンサも備えている。圧力および流量センサは、別個の構成要素であることができるか、または、圧力および流量測定が、単一のセンサによって行われることができる。
【0026】
さらに、血液透析システムのいくつかの実施形態が、透析液流路を通した透析液の流動を監視し、血液が透析器の半浸透性膜を通して透析液流路の中に不適切に拡散しているかどうかを検出する血液漏出検出器(「BLD」)を含むことができる。いくつかの例示的実施形態において、血液透析システムは、透析液流路を通して光を放出する光源と、透析液流路を通して放出されている光を受け取る光センサとを組み込む血液漏出センサアセンブリを備えている。透析液流路を通過した後、受け取られた光は、次いで、分析され、光が透析液中の可能な血液を反射するように改変されているかどうかを決定する。
【0027】
血液透析システムは、透析器内の透析液のミネラルを補充するための透析液補充システムも含む。いくつかの実施形態において、透析液補充システムは、透析液中の尿素の分解からアンモニアを除去するように構成された吸着材フィルタと、第1の試薬溶液を含む第1の試薬源と、第1の試薬溶液を吸着材フィルタの透析液流路の中に注入するように構成された第1のポンプと、透析液流路および第1のポンプの下流に結合された第1の混合器と、再生透析流体の総溶解固形物のレベルを測定するように構成された伝導率センサであって、伝導率センサは、第1の混合器の後の透析液中の溶解固形物のレベルを測定するように構成されている、伝導率センサと、少なくとも透析液中の溶解固形物のレベルに基づいて第1のポンプを調節することによって、第1の試薬溶液の流量を調節するように構成されたコントローラとを含むことができる。いくつかの実施形態において、伝導率センサは、第1の混合器の後の透析液の伝導率値および透析液中のナトリウムのレベルを測定するように構成されたナトリウムレベルセンサと、少なくとも透析液中のナトリウムのレベルに基づいて第1のポンプを調節することによって、第1の試薬溶液の流量を調節するように構成されたコントローラとを備えている。
【0028】
吸着材フィルタは、透析液流路に透析液を出力する出口を有する。第1の混合器は、透析液を炭酸ナトリウムの溶液であり得る第1の試薬溶液と混合するように構成されている。
【0029】
炭酸ナトリウム溶液は、約1.5Mの濃度を有することができる。透析液補充システムは、複数のミネラル化合物の溶液であり得る第2の試薬溶液を含む第2の試薬源と、吸着材フィルタの透析液流路の中に第2の試薬溶液を注入するように構成された第2のポンプであって、第2のポンプは、第1のポンプの上流に配置されている、第2のポンプとも含むことができる。
【0030】
透析液補充システムは、第1の混合器の上流に配置された第2の混合器も含むことができる。第2の混合器は、第1の試薬が第1のポンプによって透析液流路の中に注入される前、透析液を第2の試薬溶液と混合するように構成されている。第2の試薬溶液は、塩化カルシウム(CaCl2)、塩化マグネシウム(MgCl2)、および酢酸カリウム(KAc)の溶液であることができる。
【0031】
第2の試薬溶液中のCaCl2は、約CaCl225~40ミリモル(mM)の濃度を有することができる。いくつかの実施形態において、CaCl2濃度は、約32.04mMである。第2の試薬溶液中のMgCl2は、約12.5~20mMの濃度を有することができる。いくつかの実施形態において、MgCl2濃度は、約6.02mMである。第2の試薬溶液中のKAcは、約75~120mMの濃度を有することができる。いくつかの実施形態において、Kac濃度は、約96.12mMである。
【0032】
コントローラは、少なくとも透析液中の溶解固形物のレベルに基づいて第2のポンプを調節することによって、第2の試薬溶液の流量を調節することもできる。さらに、伝導率センサは、透析液の伝導率値を測定するように構成されたナトリウムレベルセンサであることができ、コントローラは、少なくとも透析液中のナトリウムのレベルに基づいて第2のポンプを調節することによって、第2の試薬溶液の流量を調節するように構成されることができる。
【0033】
血液透析システムは、血液透析システムを制御するための専用の電子機器を含むプロセッサを保有する。プロセッサは、血液透析システムの適切な動作を制御するためのポンプモータ、弁、および透析機センサに接続された電力管理および制御電気回路網を含む。
【0034】
透析機は、運搬可能であり、軽量であり、使用が容易であり、患者にやさしく、自宅内使用が可能である血液透析システムを提供する。
【0035】
加えて、血液透析システムは、患者の安全性の向上を提供するための以前には血液透析システムによって提供されていない並外れた量の制御および監視を提供する。
【0036】
本発明の他の特徴および利点が、図面を参照して続く詳細な説明を熟読することに応じて、当業者によって理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【
図1】
図1は、血液透析システムの第1の実施形態を図示するフローチャートである。
【0038】
【
図2】
図2は、透析液がバイパス流路を通して流動することによってフィルタを回避する実施形態を図示する
図1のフローチャートである。
【0039】
【
図3】
図3は、透析液が第1のリザーバを組み込む閉ループ透析液流路内のフィルタを通して流動する実施形態を図示する
図1のフローチャートである。
【0040】
【
図4】
図4は、透析液が第2のリザーバを組み込む閉ループ透析液流路内のフィルタを通して流動する実施形態を図示する
図1のフローチャートである。
【0041】
【
図5】
図5は、第1のリザーバ内の流体を濾過している閉ループフィルタ流路を含む血液透析システムの第2の実施形態を図示するフローチャートである。
【0042】
【
図6】
図6は、第2のリザーバ内の流体を濾過しているフィルタ流路を含む
図5に示される血液透析システムの第2の実施形態を図示するフローチャートである。
【0043】
【
図7A】
図7Aは、いくつかの実施形態による透析液にミネラルを補充するためのシステムを有する血液透析システムを図示するフローチャートである。
【0044】
【
図7B】
図7Bは、いくつかの実施形態による透析液にミネラルを補充するためのシステムを有する血液透析システムを図示するフローチャートである。
【0045】
【
図8】
図8は、いくつかの実施形態による透析液にミネラルを補充するためのシステムを図示するフローチャートである。
【0046】
【
図9】
図9は、
図8のシステムからの結果を図示するチャートである。
【0047】
【
図10】
図10は、いくつかの実施形態による伝導率センサを図示する。
【0048】
【0049】
【
図12】
図12A-Cは、いくつかの実施形態による例示的電極を図示する。
【発明を実施するための形態】
【0050】
本発明は、図面に示されるような種々の形態における実施形態が可能であるが、以降、本開示が、本発明の例示として見なされるべきであること、および本発明を図示される具体的な実施形態に限定することを意図していないという理解を伴って、本発明の本好ましい実施形態を説明するであろう。
【0051】
図1-7Bに図示されるように、血液透析システムは、血液流路53と、透析液流路54とを備えている。血液透析システムは、血液透析を実施するために、再利用可能な透析機と使い捨て可能な構成要素とをさらに備えている。血液流路53は、患者から血液を収集するために患者の動脈に接続するための動脈血液ライン1と、患者に血液を戻すために患者の静脈に接続するための静脈血液ライン14とを含む。動脈血液ライン1および静脈血液ライン14は、当業者に公知である典型的構造であり得る。
【0052】
血液流路53は、血液を患者から、透析器8を通して、患者に戻すように運搬するために、動脈血液ライン1および静脈血液ライン14を患者に接続することによって、閉ループシステム内で血液を運搬する。いくつかの実施形態において、血液透析システムは、血液流路53に接続されたヘパリンの供給部6と、ヘパリンポンプとを備えている。ヘパリンポンプは、少量のヘパリン抗凝固剤を血流の中に送達し、機械内での血液凝固のリスクを減らす。ヘパリンポンプは、線形に作動させられるシリンジポンプの形態をとることができるか、または、ヘパリンポンプは、小型の蠕動ポンプまたは注入ポンプと接続されたバッグであり得る。
【0053】
血液透析システムは、透析液流路54内に、当業者に公知の構造および設計である透析器8をさらに備えている。好ましくは、透析器8は、半浸透性膜を形成する多数の中空ファイバを含む。好適な透析器は、Fresenius Medical Care、Baxter International,Inc.、Nipro Medical Corporation、および中空ファイバ透析器の他の製造業者から取得されることができる。血液流路53および透析液流路54の両方は、透析器8を通して進行し、透析器8は、透析液を受け取るための入口と、透析液を排出するための出口と、患者からの血液を受け取るための入口と、患者に血液を戻すための出口とを備えている。好ましくは、透析液は、透析器8を通して流動する血液に対して反対方向に流動し、透析液流路54は、半浸透性膜(図示せず)によって血液流路53から隔離されている。
【0054】
下記により詳細に解説されるように、透析液流路54は、閉ループシステム内で透析液を運搬し、閉ループシステムにおいて、透析液は、リザーバ(17または20)から透析器8に、およびリザーバ(17または20)に戻されるように圧送される。血液流路53および透析液流路54の両方は、透析器8を通過するが、透析器8の半浸透性膜によって分離されている。
【0055】
いくつかの実施形態において、血液透析システムは、血液および透析液を圧送するための3つの一次ポンプ(5、26、および33)を含む。本明細書の目的のために、用語「ポンプ」は、吸引または圧力を使用し、流体を移動させるポンプアクチュエータと、アクチュエータを機械的に移動させるためのポンプモータとの両方を指すことを意味する。好適なポンプアクチュエータは、当業者によって決定され得るような、流体を移動させるためのインペラ、ピストン、振動板、ローブポンプのローブ、スクリューポンプのスクリュー、蠕動ポンプのローラまたは線形可動フィンガ、または任意の他の機械的構造を含み得る。その一方で、ポンプ(5、26、または33)のモータは、アクチュエータを移動させるための電気機械装置である。モータは、シャフト等によってポンプアクチュエータに接続され得る。例示的実施形態において、透析液および/または血液は、従来的な可撓性管類を通して流動し、ポンプアクチュエータの各々は、蠕動ポンプ機構から成り、各ポンプアクチュエータは、いくつかのカムを伴うロータを含み、カムは、可撓性管を圧縮する「ローラ」、「シュー」、「ワイパ」、または「ローブ」の形態にあるロータの外周に取り付けられる。ロータが回るにつれて、圧縮下にある管の一部が、閉鎖された状態に締めつけられ(すなわち、「塞がり」)、流体が管を通して圧送されるようにする。加えて、カムの通過の後、管がその自然状態に開放すると、流体流が、管を通して誘発される。
【0056】
第1および第2の一次ポンプ(26および33)は、透析液をリザーバ(17または20)から透析器8に、およびリザーバ(17または20)に戻すように透析液流路54を通して圧送するために、透析液流路54に接続される。第1のポンプ26が、透析器8から「上流」(「流路内の前方」を意味する)にある透析液流路54に接続される一方、第2のポンプ33が、透析器8から「下流」(「流路内の後方」を意味する)にある透析液流路54に接続される。その一方で、血液透析システムの第3の一次ポンプ5は、血液流路53に接続される。血液ポンプとも称される第3の一次ポンプ5は、患者からの血液を動脈血液ライン1を通して、透析器8を通して、および患者に戻すために静脈血液ライン14を通して圧送する。第3の一次ポンプ5が透析器8から上流にある血液流路53に接続されることが、好ましい。
【0057】
血液透析システムは、3つより多いまたは少ない一次ポンプを含むことができる。例えば、透析液は、単一のポンプのみを利用して、透析器8を通して圧送され得る。しかしながら、いくつかの好ましい実施形態において、血液透析システムは、2つのポンプを含む。これらの実施形態において、血液透析システムが、透析器8から上流にある第1のポンプ26と、透析器8から下側流にある第2のポンプ33とを含むことが、さらにより好ましい。
【0058】
図1-6に図示されるそれら等のいくつかの実施形態において、血液透析システムは、透析溶液を貯蔵するための2つ以上のリザーバ(17および20)を有することができる。代替として、および
図7Bに図示されるように、血液透析システムは、透析溶液を貯蔵するための1つのリザーバ17を有することができる。
【0059】
リザーバ(17および20)の両方は、透析液流路54に同時に接続され、1つの大きい透析液源を形成し得る。しかしながら、これは、好ましいとは見なされない。代わりに、いくつかの実施形態において、血液透析システムは、2つのリザーバ(17または20)のうちの一方からの透析液を透析器8に、そして、その同じリザーバ(17または20)に戻すように運搬するための閉ループシステムを形成するために、2つのリザーバ(17または20)の両方ではなく、いずれかを透析液流路54の中に導入するための弁アセンブリ21を備えている。第1のリザーバ17内の透析液が、使用され、もはや十分に清浄ではなくなった後、または適切な化学的特性を保有しなくなった後、血液透析システムの弁21が、透析液流路54から第1のリザーバ17を除去し、新鮮な透析液75を有する第2のリザーバ20を透析液流路54の中に代わりに入れるように制御される。したがって、一方のリザーバ(17または20)が、(
図2-6に示されるように)汚染された透析液76を保有し、リザーバ(17または20)が、空にされ、新たに生成された透析流体75で再充填される必要があるとき、透析治療は、他方のリザーバ(17または20)を使用して継続することができる。
【0060】
このように、血液透析システムは、治療の過程にわたって複数回、各リザーバ17と20との間で切り替わり得る。さらに、1つのリザーバと対照的に、2つのリザーバ(17および20)の存在は、他方のリザーバ(17または20)が排液または充填されている間、それを隔離しながら、ポンプの較正または限外濾過測定のための流量の測定を可能にする。リザーバ(17および20)は、適切な血液透析治療中に除去された透析液および蓄積された余剰限外濾過体積を保持するために要求されるような、任意のサイズであり得るが、いくつかの好ましいリザーバは、8L~12Lの総容量を有する。
【0061】
図1-7Bに図示されるように、血液透析システムは、血漿から半浸透性膜を通して透析液の中に浸透している毒素を除去するための透析液流路54に接続される(本明細書では「フィルタ」とも称される)吸着材フィルタ36も備えている。第1の実施形態において、フィルタ36は、透析液がリザーバ(17または20)に運搬されることに先立って、透析器8によって透析液中に移送される毒素を除去するように、透析器8から下流にある透析液流路54に接続される。透析機との使用のためのフィルタ36材料は、当業者に周知である。例えば、好適な材料は、ジルコニウム系樹脂を含む樹脂床を含む。好ましくは、フィルタ36は、酸化ジルコニウムと、リン酸ジルコニウムと、ウレアーゼと、炭素との層を含む筐体を備えている。許容可能な材料は、米国特許第8,647,506号および米国特許出願公開第2014/0001112号に説明されている。他の許容可能なフィルタ36材料も、当業者によって、過度の実験をすることなく、開発および利用されることができる。
【0062】
フィルタ36の筐体は、脱気膜80を含むことも、含まないこともあり、脱気膜80は、空気と二酸化炭素とを含むガス(液体ではない、特に、フィルタを通して流動する透析液液体ではない)を解放することが可能である。例えば、
図7Aおよび7Bに図示される実施形態において、透析液流路54は、吸着材フィルタ36の下流に位置付けられた脱気装置80を含む。吸着材フィルタ36は、次に、フィルタ36aと圧力センサとポンプ44とを有する空気入口を有する。吸着材再生脱気は、空気入口を通した空気(実質的にCO
2が存在しない)の流れを再生された透析液の中に導入することによって遂行され得る。好ましくは、ポンプ44は、透析液流路を通した液体の流量とほぼ同じ流量において空気の流れを吸着材フィルタ36の中に導入する。組み合わせられた空気液体流体が、次いで、脱気装置80内の疎水性膜に対してさらされ得、脱気装置80において、ガスは、システムから自由に退出するが、液体は、透析液流路を通して流動し続ける。
【0063】
いくつかの実施形態において、透析器8は、吸着材透析デバイス(図示せず)をさらに備えている。吸着材透析デバイスでは、透析液内のアンモニアが、尿素のウレアーゼとの反応によって発生させられる。アンモニウムと平衡しているアンモニアは、イオン交換物質によって吸着される。ある時間の後、アンモニウムのためのイオン交換物質の容量が、使い尽くされ、アンモニアおよび/またはアンモニウムが、外に浸出し始める。したがって、透析液品質センサ700(図示せず)が、危険な量のアンモニアが、吸着材透析デバイスからの浸出に起因して透析液中に存在するかどうかを検出するために要求される。いくつかの実施形態において、透析流路54は、アンモニウムセンサ37および/またはpHセンサ38等の1つ以上の透析液品質センサ700を含むことができる。いくつかの実施形態において、透析流路54は、アンモニウムセンサ37と、pHセンサ38とを備え、それらの両方は、吸着材フィルタ36(
図1-6に最も詳細に図示される)のすぐ下流に配置され得る。吸着材フィルタ36が、使い果たされると、フィルタ36は、濾過化学反応の結果としてアンモニウムイオンを解放し始め得る。あるレベルにおいて、透析流体中のアンモニウムイオンが、患者を害し得る。好ましくは、アンモニウムセンサ37は、パーツパーミリオン(ppm)においてアンモニウムイオンの分量を測定する。いくつかの実施形態において、測定値が約1ppm~20ppmの範囲に到達すると、警告状態が、活性化され、この透析液を用いた治療が、自動的に停止させられることができる。
【0064】
代替として、アンモニウムイオンのppmが、あるppm閾値(例えば、5ppm、10ppm)を超えると、透析流体が、排液されることができ、透析治療は、代替リザーバ(17または20)を使用して新鮮な透析液75を使用することによって継続し得る。同様に、pHセンサ38も、安全特徴としての機能を果たし、アンモニウムイオンの測定を支援する。透析流体のpHが変化するにつれて、アンモニア(NH3)およびアンモニウムイオン(NH4
+)の平衡状態も、変化し得る。いくつかの実施形態において、透析流体のpHが約6.4~7.8pHの範囲外にあると測定された場合、警告状態が、活性化されることができ、透析治療は、終了させられることができる。
【0065】
図1-6に図示されるように、血液透析システムのいくつかの実施形態は、吸着材フィルタ36の直後の透析液流路54の中に試薬を導入するための試薬バッグ39と、試薬ポンプ40とを備えている。試薬バッグ39は、濾過された透析流体を再注入するための塩類およびイオンの濃縮溶液を保持する。伝導率センサ41は、再生透析液の総溶解固形物を測定するように構成されたナトリウムレベルセンサであり得る。老廃物を濾過する行為を通して、吸着材フィルタ36は、透析流体からカルシウムおよび塩類等の有益なイオンも除去する。濾過された透析流体が再循環させられ得る前、それは、透析流体が患者の血液からこれらの有益なイオンを引き出さないように、カルシウムおよび塩類を再注入されなければならない。好ましくは、試薬バッグ39は、1~3リットルの濃縮試薬を保持するであろう。試薬ポンプ40は、蠕動ポンプまたは隔膜ポンプ等の任意のタイプのポンプであることができる。血液透析システムが、透析液の中に適切な量の塩類およびイオンを導入していることを確実にするために、伝導率センサ41が、試薬バッグ39の直後の透析液流路54内に位置付けられ得る。この方法で、伝導率センサ41は、再生透析流体の総溶解固形物を測定する、安全特徴としての役割を果たす。総溶解固形物が処方された範囲内にないことが検出された場合、試薬ポンプ40の動作は、増大または減少させられることができるか、または、代替として、治療が、完全に停止させられることができる。例えば、不良状態が、透析流体内で検出される場合、流体が、透析液が透析器8内で患者の血液に接しないように、三方弁29および32によって透析器バイパス経路30を通して方向転換されることができる。より具体的に、三方弁29は、透析流体を透析器8の入口に導き、三方弁32は、透析器8の出口から透析液流路54に戻るように透析液を導く。しかしながら、温度が低すぎること、または余剰的なアンモニウムイオンが透析液中で検出されたこと等の不良状態が透析流体中で検出される場合、透析流体は、三方弁29および32によって、透析器バイパス通路30を通して透析器8をバイパスするように方向転換される。
【0066】
いくつかの実施形態において、
図1-4に図示されるように、血液透析システムは、リザーバ(17および20)から老廃物透析液を処分するための排液流路55をさらに備えている。
図1-4に図示される実施形態において、排液流路55は、両方のリザーバ(17および20)に接続される。老廃物透析液が、重力供給によって排液流路55を通して排液され得るか、または、血液透析システムは、廃棄されるべき使用された透析液を圧送するために、当業者によって選択され得るような、任意のタイプのポンプ44を従来的な建物下水管路45等に含み得る。
【0067】
図1-4に図示される実施形態に関して、血液透析システムは、リザーバ(17および20)の各々を補充するための透析液流体源46を含むことができる。好ましくは、透析液流体源は、清浄水の供給部46を含み、清浄水は、所望の特性の透析液を提供するために濃縮試薬と混合される。好ましい実施形態において、清浄水の供給部46は、逆浸透(「RO」)機械によって提供され、RO機械は、清浄水を生産し、次いで、化学濃縮物を添加し、透析液流体を生成するデバイスに隣接して配置される。流体は、「新鮮な透析液」流路56を通してリザーバ(17および20)に供給される。いくつかの好ましい実施形態において、血液透析システムは、使い捨て可能なバッグ内に貯蔵され得る濃縮試薬源を備えている。好ましくは、濃縮試薬は、以下のうちの1つ以上を含む:重炭酸塩溶液、酸性溶液、乳酸溶液、塩溶液。試薬のうちのいくつかを2つのバッグ(48および50)の中に分離し、望ましくない相互作用または溶質の折出を防止することが必要である。濃縮試薬源(48および50)は、試薬ポンプ(47および49)によって供給部ライン46に接続される。試薬ポンプ(47および49)の活性化は、濃縮試薬を水の供給部の中に導入し、透析液をリザーバ(17および20)に提供する。
【0068】
さらに
図1-4を参照すると、吸着材フィルタ36を使用することに対する代替策として、血液透析システムは、補完的な「バイパス」流路35を含むことができ、バイパス流路35は、吸着材フィルタ36を迂回して透析を選択的に運搬する。バイパス流路35は、吸着材フィルタ36の上流に三方弁34を含む。このように、三方弁34は、吸着材フィルタ36を通して透析流体を導くように切り替えられるか、または、代替として、三方弁34は、吸着材フィルタ36を回避するようにバイパス流路35を通して透析液を導くように切り替えられる。例えば、吸着材フィルタ36が、利用可能ではない場合、吸着材フィルタ36が使用済みの状態になりつつある場合、または、吸着材フィルタ36が特定の患者治療のために要求されない場合または好ましくない場合、三方弁34は、透析流体をバイパス流路35を辿るように導くように切り替えられる。
【0069】
代替実施形態において、
図5および6に図示されるように、吸着材フィルタ71は、閉ループ透析液流路54の外側に配置される。血液透析システムは、2つの透析液リザーバのうちのいずれか一方(17または20)に選択的に接続する別個の閉ループ「フィルタ」流路57を含み、吸着材フィルタ71は、閉ループフィルタ流路57において直列に位置付けられる。好ましくは、透析機は、フィルタ流路57および吸着材フィルタ71を通して汚染された透析液を圧送するための追加の流体ポンプ58を含む。
図5および6に図示されるように、いくつかの実施形態は、汚染された透析液が廃液されるリザーバ(17または20)を決定する三方弁43を有するフィルタ流路57を備えている。例えば、
図5は、リザーバ20をフィルタ流路57に接続するが、リザーバ17を接続しない三方弁43を図示する。さらに、
図6は、リザーバ17をフィルタ流路57に接続するが、リザーバ20を接続しない三方弁43を図示する。フィルタ流路57は、ポンプ58を含み得るか、または、透析液は、重力供給を通してリザーバ(17または20)から汚染された透析液を分注し得る。加えて、好ましくは、フィルタ流路57は、圧力センサ59と、逆止弁60と、アンモニウムセンサ69と、pHセンサ70とを含む。
【0070】
血液透析機のこの実施形態は、試薬をフィルタ流路57の中に導入するためのシステムも含む。
図5および6に図示されるように、フィルタ流路57は、好ましくは、塩類を含む第1の試薬源61と、好ましくは、重炭酸塩と乳酸溶液とを含む第2の試薬源65とを含む。これらの試薬は、ポンプ(62および66)および混合器(63および67)を使用してフィルタ流路57の中に導入される。好ましくは、フィルタ流路57は、(1)フィルタ71が使用済みではないこと、および/または許容不可能なアンモニウムイオンを透析液の中に導入していないことを確実にするためのアンモニウムセンサ69、(2)透析液内のアンモニウムイオンの測定を支援し、pHを検出するためのpHセンサ70、および、(3)試薬が適切な量の有益なイオンを提供するために清浄にされた透析液の中に適切に導入されているかどうかを監視する伝導率センサ(64および68)の形態にある安全特徴を保有する。最後に、フィルタ流路57は、一対の逆止弁(51および52)を備え、一対の逆止弁は、今清浄にされた透析液が汚染された透析液が廃液されているリザーバ(17または20)に戻されることを確実にするために開閉される。
【0071】
いくつかの実施形態において、
図1-7Bに図示されるように、血液透析システムは、透析液を所望の温度まで加熱するために、透析液流路54またはリザーバ(17および/または20)に熱的に接続された加熱器23を備えていることができる。例えば、
図1-6に図示される実施形態において、単一の加熱器23が、両方のリザーバ(17および20)の下流にある透析液流路54に熱的に結合される。しかしながら、血液透析は、追加の加熱器23を含み得、1つ以上の加熱器23が、異なる場所にあり得る。例えば、代替実施形態において、血液透析システムは、2つの加熱器23を含み、単一の加熱器23が、各リザーバ(17および20)に熱的に結合される。1つ以上の加熱器23は、好ましくは、電気によって活性化され、電流の通過に伴って熱を生じる抵抗器を含む。
【0072】
加えて、本明細書に説明される血液透析システムの種々の実施形態は、血液透析、特に、透析液流路54および血液流路53を監視するための種々のセンサを保有することができる。この目的のために、血液透析システムのいくつかの実施形態は、透析液流路54内の流体流(体積および/または速度)を検出するための透析液流路54に接続された1つ以上の流量センサ25を備えていることができる。他の実施形態において、血液透析システムは、流量センサ25を備えていない。加えて、いくつかの血液透析システム実施形態は、透析液流路54内の圧力を検出するための1つ以上の圧力センサ、または閉塞センサ(27)を備えている。加えて、血液透析システムのいくつかの実施形態は、血液流路53内に、流体流11を伴って、または伴わず、圧力を測定するための1つ以上のセンサ(4、7、および9)も備えていることができる。
【0073】
いくつかの実施形態において、血液透析システムは、透析液流路54の全体を通した透析液の温度を測定するための温度センサ(15、22、24、および28)を備えている。加えて、血液透析システムは、リザーバ(17および20)内の流体の質量を検出するための流体質量センサを備えていることができる。さらに、流体質量センサのいくつかの実施形態は、米国特許第9,649,419号に説明されているそれら等の容量性流体質量センサ(15および18)、または超音波流体レベルセンサを含むことができる。いくつかの実施形態において、各リザーバ(17および20)の重量、したがって、透析液のレベルが、(
図8に示され、下記にさらに詳細に説明される)プロセッサ77に接続された歪みゲージセンサ(16または19)によって測定される。
【0074】
いくつかの実施形態において、
図7Bに図示されるように、血液透析システムは、動脈ライン内の気泡センサ3、血液回路内の流量センサ11、透析回路内の透析液流量センサ25、および透析回路内の圧力センサ27を備えていない。
【0075】
さらに、いくつかの実施形態において、
図1-7Bに図示されるように、血液透析システムは、血液漏出検出器31を含むことができ、血液漏出検出器31は、透析液流路54を通した透析液の流動を監視し、血液が透析器8の半浸透性膜を通して透析液流路54の中に不適切に拡散したかどうかを検出する。
【0076】
好ましくは、血液透析システムは、動脈血液ライン1を通した血液の流動を選択的に可能にすることまたは遮ることを行うための動脈血液ライン1に接続された第1のピンチ弁2と、静脈血液ライン14を通した血液の流動を選択的に可能にすることまたは遮ることを行うための静脈血液ライン14に接続された第2のピンチ弁13とも含む。ピンチ弁(2および13)が、それぞれ、動脈血液ライン1および静脈血液ライン14を締め付けるために提供され、それによって、センサのうちのいずれかが危険な条件を検出した場合、患者に戻る血液の流動を防止する。さらなる追加の安全特徴を前提として、血液透析システムは、空気泡が動脈ライン(血液漏出センサ3)または静脈ライン(血液漏出センサ12)を辿って逆に進行しているかどうかを検出するために、血液ライン気泡センサ(3および12)を含む。さらに、血液流路53は、気泡トラップ10を含み得、気泡トラップ10は、プラスチック筐体の内側に加圧空気のポケット状部を有する。血液が気泡トラップ10の下側出口に流動し続けている間、気泡が、気泡トラップ10の上部まで上昇する。この構成要素は、気泡が患者の血液の中に進行するリスクを減らす。
【0077】
血液透析システムを通した血液および透析液の流動および方向を制御するために、血液透析システムは、血液透析システムの種々の流路を通した流体の流動を制御するための様々な流体弁を含む。種々の弁は、開放または閉鎖されなければならない、ピンチ弁および二方弁と、意図されるように所望の流動通路を通して透析液の向きを変える三方弁とを含む。上記において識別された弁に加えて、血液透析システムのいくつかの実施形態は、リザーバ(17および20)の出口に配置された三方弁21を備え、三方弁21は、どのリザーバ(17または20)からの透析液が透析器8を通過するかを決定する。追加の三方弁42が、使用された透析液が送り届けられるリザーバ(17または20)を決定する。最後に、ピンチ弁であり得る二方弁(51および52)が、リザーバ(17および20)の入口に配置され、リザーバ(17および20)への新鮮な透析液の供給を可能にするか、またはそれを遮る。当然ながら、当業者によって決定され得るような、代替弁が、採用され得、本発明は、識別されている具体的な二方弁または三方弁に限定されることを意図していない。
【0078】
加えて、血液透析システムは、プロセッサ77(
図8に図示される)と、ユーザインターフェース(図示せず)とを含む。プロセッサ77は、血液透析システムの適切な動作を制御するために、専用の電子機器を含み、専用の電子機器は、ハードウェアおよびソフトウェアを含む血液透析システムと、電力管理回路網とを制御し、電力管理回路網は、ポンプモータ、センサ(リザーバ質量歪みゲージセンサ(16および/または19)、血液漏出センサ31、アンモニアセンサ37、圧力および流量センサ(4、7、9、11、25、27、および59)、温度センサ(22、24、および28)、血液ライン気泡センサ(3および12)、弁(2、13、21、29、32、34、42、43、51、52、および60)、および加熱器23に接続されている。プロセッサ77は、種々のセンサ(3、4、7、9、11、12、15、16、18、19、22、24、25、27、28、31、37、および59)の各々を監視し、血液透析治療が医療関係者によってユーザインターフェースの中に入力された事前プログラムされた手順に従って進められていることを確実にする。プロセッサは、種々のセンサ(3、4、7、9、11、12、15、16、18、19、22、24、25、27、28、31、37、および59)を監視し、加熱器23、ポンプ(5、6、26、33、40、44、47、および49)、およびピンチ弁(2および13)の自動化されたまたは指示された制御を提供するための当業者によって決定され得るような、ハードウェアと、ソフトウェアとを含む汎用目的コンピュータまたはマイクロプロセッサであり得る。プロセッサは、回路基板の電子機器内または複数の回路基板およびメモリカードの集約処理部内に配置され得る。
【0079】
示されていないが、血液透析システムは、電力供給源も含み、電力供給源は、プロセッサ77、ユーザインターフェース、ポンプモータ、弁(2、13、21、29、32、34、42、43、51、52、および60)、およびセンサ(3、4、7、9、11、12、15、16、18、19、22、24、25、27、28、31、および37)に電力を提供する。プロセッサは、従来的な電気回路網によって、透析機センサ(3、4、7、9、11、12、15、16、18、19、22、24、25、27、28、31、37、および59)、およびピンチ弁(2および13)に接続されることもできる。
【0080】
動作時、プロセッサ77は、第1、第2、および第3の一次ポンプ(5、26、および33)に電気的に接続され、それらは、ポンプモータの活性化および回転速度を制御し、ポンプモータの回転速度は、次に、ポンプアクチュエータを制御し、ポンプアクチュエータは、次に、血液流路53を通した血液の圧力および流体速度、および透析液流路54を通した透析液の圧力および流体速度を制御する。透析液ポンプ26および33の動作を独立して制御することによって、プロセッサ77は、透析器8内の透析液流路内の圧力および/または流体流を維持すること、増加または減少させることができる。さらに、3つのポンプ(5、26、および33)全てを独立して制御することによって、プロセッサ77は、透析器8の半浸透性膜を横断した圧力差を制御し、所定の圧力差(ゼロ、正、または負)を維持すること、または所定の圧力範囲を維持することができる。例えば、大半の血液透析が、半浸透性膜を横断してゼロまたはほぼゼロの圧力差を用いて実施され、この目的のために、プロセッサ77は、この所望のゼロまたはほぼゼロの圧力差を維持するために、ポンプ(5、26、および33)を監視および制御することができる。代替として、プロセッサ77は、透析器8内の透析液流路54の圧力に対して透析器8内の血液流路53内の正圧を増加させ、維持するために、圧力センサ(4、7、9、27、および59)を監視し、ポンプモータ、次に、ポンプアクチュエータを制御し得る。有利なこととして、この圧力差は、血液から透析液への限外濾過、および遊離水および溶解させられた溶質の移送を提供するように、プロセッサによって影響を及ぼされることができる。
【0081】
いくつかの実施形態において、プロセッサ77は、血液流量センサ11を監視することによって、血液ポンプ5の流量を制御する。プロセッサ77は、透析液流量センサ25を使用することによって、上流透析液ポンプ26からの透析液の流量を制御する。プロセッサは、次いで、質量歪みゲージセンサ(16および/または19)を使用することによって、下流透析液ポンプ33からの流量を制御する。透析液リザーバ(17または20)内の流体レベル(または体積)の変化は、患者の体積の変化と同一である。リザーバ(17または20)内のレベルを監視および制御することによって、順、逆、またはゼロの限外濾過が、遂行されることができる。
【0082】
さらに、プロセッサ77は、種々のセンサ(3、4、7、9、11、12、15、16、18、19、22、24、25、27、28、31、37、および59)の全てを監視し、血液透析機が、効率的かつ安全に動作していることを確実にし、危険条件または規定されていない条件が検出された場合、プロセッサ77は、不足を是正するか、または、さらなる血液透析治療を止める。例えば、静脈血液ライン14の圧力センサ9が危険な圧力を示す場合、または気泡センサ12が静脈血液ライン14内にガス状の気泡を検出する場合、プロセッサ77は、警報を信号伝達し、ポンプ(5、6、26、33、40、44、47、および49)が、非活性化され、ピンチ弁(2および13)が、閉鎖され、患者に戻るさらなる血流を防止する。同様に、血液が透析器8の半浸透性膜に浸透していることを血液漏出センサ31が検出する場合、プロセッサ77は、警報を信号伝達し、さらなる血液透析治療を止める。
【0083】
透析機のユーザインターフェースは、キーボードまたはタッチスクリーン(図示せず)を含み得、それらは、患者または医療関係者が治療に関するコマンドを入力することを可能にするか、または、患者または医療関係者が血液透析システムの性能を監視することを可能にする。さらに、プロセッサ77は、遠隔場所への情報または制御の伝達のためのWi-FiまたはBluetooth(登録商標)接続性を含むことができる。
【0084】
以下において、好ましい血液透析システムの種々の構成要素が、識別され、番号は、図に図示される構成要素に対応する。
【表1-1】
【表1-2】
【0085】
(治療選択肢)
血液透析システムは、透析の要求される頻度、患者の特性、透析液または水の利用可能性、および透析機の所望の可搬性に基づく治療選択肢の向上した柔軟性を提供する。全ての治療に関して、血液流路53は、患者からの血液を透析器8に、そして患者に戻すように運搬するために、動脈血液ライン1および静脈血液ライン14を患者に接続することによって、閉ループシステム内で血液を運搬する。
【0086】
図2を参照すると、血液透析システムを使用する第1の方法は、吸着材フィルタ36の使用を要求しない。水が、ROを通して供給される水等の水供給部46から新鮮な透析液の流路56を通して機械に導入される。必要とされる場合、化学物質濃縮物が、化学物質濃縮物ポンプ(47および49)を使用して清浄水に添加される。混合された透析液が、次いで、リザーバ(17および20)に導入される。本治療に関して、第1のリザーバ(17または20)からの新鮮な透析液75が、透析器8を越えて、吸着材フィルタバイパス通路35を通して、同じリザーバ(17または20)に戻るように再循環させられる。リザーバ(17または20)の容量が一度再循環させられると、リザーバ(17または20)は、排液流路55を通して空にされ、リザーバ(17または20)は、新鮮な透析液の流路56を通して再充填される。
【0087】
その一方で、第1のリザーバ(17または20)が空にされ、再充填されている間、血液透析治療が、第2のリザーバ(17または20)を使用して継続する。例えば、
図2に図示されるように、プロセッサ77(
図8に示される)が全ての透析液が一度再循環したことを決定すると、または、透析液が汚染されたことを決定すると、プロセッサ77は、全ての関連のある弁(21、42、43、51、および52)を切り替え、患者治療から第1のリザーバ20を除去し、透析液流路54の中に第2のリザーバ17を挿入する。第2のリザーバ17からの新鮮な透析液75が、透析器8を越えて、吸着材フィルタバイパス通路35を通して、同じリザーバ17に戻るように再循環させられる。リザーバ(17および20)間の交互のこの切り替えは、透析治療が完了するまで継続する。この動作は、従来的なシングルパスシステムに類似しているが、いかなる吸着材フィルタ36も使用されていないので、それと同じではない。
【0088】
代替として、および
図3に図示されるように、吸着材フィルタ36が、透析液が透析器8を通過した後、それを濾過する。この目的のために、プロセッサ77は、三方弁34を切り替え、透析液流路54の中に吸着材フィルタ36を組み込み、プロセッサ77は、種々の弁アセンブリ(21、42、43、51、および52)を切り替え、透析治療中にリザーバ17を利用する。新鮮な透析液75が、透析器8および吸着材フィルタ36を通して再循環させられ、その後、透析液は、透析液流路54を通して同じリザーバ17に送り返される。この再循環は、限定ではないが、吸着材フィルタ36が使用済みであること、または透析液流体が汚染されていること、または限外濾過がリザーバ17を満杯にし、廃液および再充填されることを要求することをもたらしたことを含む、プロセッサ77によって決定されるように、継続する。その一方で、リザーバ20内の流体が、汚染された場合、これは、排液流路55を通して排液され、次いで、リザーバ20は、新鮮な透析液の流路56を使用して再充填される。
【0089】
図4に図示されるように、プロセッサ77が、透析治療のためのリザーバ17の継続された使用が、適切ではないと決定すると、プロセッサ77は、種々の弁アセンブリ(21、42、43、51、および52)を切り替え、透析液流路54からリザーバ17を除去し、代わりに、透析治療のために、透析流路54の中にリザーバ20を挿入する。新鮮な透析液75が、透析器8および吸着材フィルタ36を通して同じリザーバ20に戻るように再循環させられる。再び、この再循環は、リザーバ17に戻るような切り替えまで、または透析治療が完了されるまで、プロセッサ77によって決定されるように、リザーバ20を使用して継続する。透析治療が、リザーバ20を使用して継続する間、リザーバ17内の汚染された流体76が、排液流路55を通して排液される。その後、リザーバ17が、新鮮な透析液の流路56を使用して再充填される。他の治療方法のように、リザーバ(17および20)間の交互のこの切り替えは、透析治療が完了するまで継続する。
【0090】
依然として追加の実施形態において、および
図5および6に図示されるように、吸着材フィルタ36が透析液流路54内で利用されない血液透析治療が、
図2に図示されるものに類似する様式において行われる。透析液流路54内で吸着材フィルタ36を利用することが可能であるが、この実施形態に関して、新鮮な透析液75が、吸着材フィルタ36を回避するように、吸着材フィルタバイパス経路35を通して導かれることが好ましい。治療中、第1のリザーバ(17または20)からの新鮮な透析液75が、透析器8を越えて、吸着材フィルタバイパス経路35を通して再循環させられ、同じリザーバ(17または20)に戻るように導かれる。さらにより好ましくは、この実施形態に関して、血液透析システムは、吸着材フィルタ36を含まない。代わりに、
図5および6を参照すると、血液透析システムは、本明細書ではフィルタ流路57と称される別個の閉ループ流路内にある単一の吸着材フィルタ71を含む。
図5および6は、2つの吸着材フィルタ36および71を含む血液透析システムを図示するが、透析液流路54内の吸着材フィルタ36は、随意であり、血液透析システムのこの実施形態内に組み込まれる必要はない。
【0091】
前の実施形態のように、透析治療は、リザーバ(17および20)間で交互に切り替わりながら、実装される。
図5を参照すると、透析治療は、リザーバ17内の新鮮な透析液75を使用するが、種々の弁アセンブリ(21、42、43、51、および52)が、閉ループフィルタ流路57の中に第2のリザーバ20を挿入するように切り替えられる。汚染された水76が、リザーバ20から、ポンプ58および圧力センサ59を通して排液される。その後、汚染された水76が、吸着材フィルタ71を通して濾過される。試薬61および65が、重力供給またはポンプ62および66を使用してフィルタ流路57の中に導入され得る。試薬61および65は、ここで清浄にされた透析液が、伝導率試験器64および68、アンモニウムセンサ69、およびpHセンサ70によって適応性に関して試験される前、混合器63および67内で混合される。試験が、水が現在清浄であることを示す場合、それは、リザーバ20に戻るように導かれる。
【0092】
図6を参照すると、プロセッサ77は、透析液流路54内のそれらを含む種々のセンサ(3、4、7、9、11、12、15、16、18、19、22、24、25、27、28、31、37、および59)の出力を監視し続ける。リザーバ17内の水が、汚染された状態になると、これは、透析液流路54から除去され、リザーバ20が、再度、関連のある弁アセンブリ(21、42、43、51、および52)の全てを切り替えることによって、その位置で代わりにされる。第2のリザーバ20からの新鮮な透析液75は、透析器8を越えて閉ループ透析液流路54内で再循環させられ、同じリザーバ20に戻るように導かれる。その一方で、リザーバ17内の今汚染されている水76が、吸着材フィルタ71を通して濾過される前、ポンプ58および圧力センサ59を通して排液される。再び、試薬(61および65)が、フィルタ流路57の中に導入され得、試薬(61および65)は、混合器(63および67)内で混合される。今清浄な透析液は、リザーバ17を充填する前、伝導率試験器(64および68)、アンモニウムセンサ69、およびpHセンサ70によって適応性に関して試験される。交互に入れ替わるリザーバ(17および20)のこのプロセスは、処方された血液透析治療が完了するまで、または治療が中断されることを要求する故障が検出されるまで継続する。
【0093】
図7Aは、透析液が吸着材フィルタ36を通して閉ループシステム内で流動する再循環モードにおいて動作する血液透析システムのさらなる追加の実施形態を図示する。他の実施形態のように、血液流路53は、患者からの血液を透析器8に、そして患者に戻すように運搬するために、動脈血液ライン1および静脈血液ライン14を患者に接続することによって、閉ループシステム内で血液を運搬する。透析液は、リザーバ17内に貯蔵され、透析液のレベルが、質量歪みゲージまたはロードセル19等の流体質量センサ19によって測定され、透析液の温度が、加熱器23によって維持される。透析液が、ポンプ26および33を使用して、透析器8および吸着材フィルタ36を通して再循環させられる。その後、透析液は、透析液流路54を通して同じリザーバ17に送り返される。
【0094】
図7Aに図示される実施形態において、透析液中の適切な化学物質を維持するために、必要に応じて清浄水に添加され得る化学濃縮物源(48および50)が、提供される。好ましくは、第1の試薬源48は、塩類を含み、第2の試薬源50は、重炭酸塩と、乳酸溶液とを含む。化学濃縮物は、化学濃縮物ポンプ(47および49)を使用して透析液流路54の中に導入され、清浄水および化学濃縮物は、混合器(63および67)を用いて混合される。再び、透析液流路54は、流量センサ25と、1つ以上の圧力センサ27と、サンプルポート79とを含み得る。
【0095】
いくつかの実施形態において、透析液流路54は、第2の混合器67とリザーバ17との間に位置付けられた伝導率センサ41も含み、リザーバ17と透析器8との間に位置付けられたアンモニアセンサ37と、pHセンサ38と、組み合わせられた伝導率/温度センサ24とを含む。制御プロセッサ77が、種々のセンサ(例えば、3、4、7、11、12、15、16、19、24、25、および27)およびポンプ(5、6、26、33、44、47、および49)に接続され、血液透析治療を制御する。
【0096】
図7Aに図示される血液透析システムの実施形態は、透析液が吸着材フィルタ36を通して流動する閉ループ再循環モードにおいて動作する。透析液は、リザーバ17内に貯蔵され、透析器8および吸着材フィルタ36を通して再循環させられる。化学濃縮物が、必要に応じて、濾過された水に添加される。再循環が、治療が完了するまで、吸着材フィルタ36が使用済みになるまで、または、透析液流体が汚染されるまたは限外濾過がリザーバ17を満杯にし、廃液されることを要求することをもたらすまで、プロセッサ77によって決定されるように継続する。
【0097】
試薬源(48および50)は、以下の化学化合物のうちの1つ以上を有する同じまたは異なる注入液/試薬溶液を含むことができる:酢酸カルシウム、塩化カルシウム、酢酸マグネシウム、塩化マグネシウム、酢酸カリウム、塩化カリウム、重炭酸ナトリウム、および炭酸ナトリウム。これらの化合物のうちの1つ以上が、吸着材フィルタ36から出てくる透析液とともに注入され、透析液中の不可欠なナトリウムイオンを補充しながら、透析液のpHを平衡させる。このように、透析液のpHは、血液のpHと綿密に合致するように制御されることができる。例えば、透析液のpHが、6.5を下回る場合、試薬源(48および50)のうちの1つ以上からの試薬溶液が、吸着材フィルタ36の後の透析液流路54に添加され、pHを所望のレベルに戻すようにすることができる。より低いpHにおける吸着材フィルタ36から離れた流体が、概して、より高いpHにおける流体より多くのナトリウムが再注入されることを必要とするので、このプロセスは、機能する。
【0098】
いくつかの実施形態において、試薬源(48または50)のうちの一方における試薬溶液は、以下の化合物を有することができる:塩化カルシウム(CaCl2)、塩化マグネシウム(MgCl2)、および酢酸カリウム(KAc)。試薬溶液は、以下の化合物濃度(概算値)を有することができる:CaCl225~40mM(ミリモル)、MgCl212.5~20mM、およびKAc75~120mM。例示的実施形態において、試薬溶液は、以下の化合物濃度(概算値)を有する:CaCl2は32.04mM(ミリモル)、MgCl2は16.02mM、およびKAcは96.12mM。他のモル濃度も、各化合物のおおよそのモル比が維持される限り、使用され得ることに留意されたい。
【0099】
いくつかの実施形態において、他の試薬源(試薬源48または50)における試薬溶液は、炭酸ナトリウム(Na2CO3)の溶液であり得る。炭酸ナトリウム溶液の濃度は、約1.5Mであることができる。実際に、炭酸ナトリウムが、その高い塩基性に起因して、最も不可欠な塩類のうちの1つと見なされる。具体的に、炭酸ナトリウムは、化合物あたり2つのナトリウムの分子を含む。このように、ナトリウムは、必要に応じてシステムの中に補充されながら、システムが、所望の値、例えば、7.0のpHを下回るとき、システムのpHを平衡させることができる。したがって、Na2CO3の各モルが、1モルのCO2を透析液中の安全かつ生理学的なpH範囲により接近している重炭酸ナトリウム(NaHCO3)に変え得るので、炭酸ナトリウムは、好ましい試薬である。
【0100】
具体的に、いくつかの好ましい実施形態において、試薬源48は、CaCl2、MgCl2、およびKAcの溶液であることができ、試薬源50は、Na2CO3の試薬溶液であることができる。この実施形態において、試薬源48は、3~4Lであることができ、試薬源50は、0.5~1.0Lであることができる。しかしながら、他の容量も、比率が維持される限り、可能である。代替として、試薬源48は、Na2CO3の溶液であることができ、試薬源50は、CaCl2、MgCl2、およびKAcの試薬溶液であることができる。いくつかの実施形態において、試薬源(48および50)は、以下の化学化合物のうちの1つ以上を伴う試薬溶液を有する単一の試薬源に組み合わせられることができる:酢酸カルシウム、塩化カルシウム、酢酸マグネシウム、塩化マグネシウム、酢酸カリウム、塩化カリウム、重炭酸ナトリウム、および炭酸ナトリウム。
【0101】
図7Aに示されるように、試薬源48および試薬源50からの試薬溶液が、吸着材フィルタ36の後の透析液流路54に添加される。試薬源(48および50)からの試薬溶液は、同じ場所において、または異なる場所において、透析液流路54に進入することができ、1つ以上の混合器(63または67)を用いて混合される。
【0102】
いくつかの実施形態において、試薬源48からの試薬溶液は、第1の混合器63の前の透析液流路54の中に挿入され、試薬源50からの試薬溶液は、第1の混合器63の後の透析液流路54の中に挿入される。第2の試薬溶液が、透析液流路54の中に挿入されると、透析液流路54内の透析液および試薬溶液は、第2の下流混合器67(例えば、第2の混合器67)を使用して再び混合される。
【0103】
試薬源(48および50)からの試薬溶液が同じ場所において透析液流路54に入る実施形態において、単一の混合器が、注入点の後で使用されることができる。代替として、2つ以上の混合器が、吸着材フィルタ36の下流であるが、透析液リザーバ17の前である種々の場所において使用されることができる。透析液流路54が、新しいおよび/またはリフレッシュされた透析液(新たにされた不可欠なミネラレル含有量を伴う透析液)を貯蔵するための第2のリザーバを有し得ることに留意されたい。
【0104】
図8は、いくつかの実施形態による試薬溶液が導入および混合された後の透析液中の不可欠なミネラル(例えば、ナトリウム)の濃度を監視および制御するためのフィードバックシステム800を図示する。システム800は、1つ以上の試薬溶液注入場所805と、混合器63と、伝導率センサ41と、電極1010とを含む。いくつかの実施形態において、
図8に示されるように、溶液注入場所805は、透析液品質センサ700の上流にあることができる。1つ以上の試薬源(48および50)(
図8に図示せず)からの試薬溶液が、1つ以上のポンプ810を使用して透析液流路54の中に注入されることができる。試薬溶液が、注入されると、混合器63が、使用され、試薬溶液を透析液と混合し、均質性を達成することができ、以降、「混合溶液」と称されることができる。伝導率センサ41が、次いで、混合溶液の伝導率値を測定するために使用され、伝導率値は、次いで、混合溶液中のナトリウムまたはナトリウムイオンのレベルを決定するために使用される。伝導率センサ41は、混合溶液中のナトリウムイオンの最適なレベルを所与として、ある伝導率値が予期されるように、予め較正されることができる。いくつかの実施形態において、最適なナトリウム濃度は、130~145mMであることができる。具体的に、いくつかの例示的実施形態において、最適なナトリウム濃度は、140mMである。いくつかの例示的実施形態において、ポンプ810によって注入される試薬は、
図8に描写されるように、ナトリウムを含まなければならない。最適な構成では、それは、炭酸ナトリウムを含む。例えば、混合溶液の伝導率値が混合溶液中のナトリウムイオンの最適なレベルに関して予期される伝導率値未満である場合、フィードバック信号が、コントローラ(図示せず)に送信されることができ、コントローラは、試薬溶液の注入率を増加させるように1つ以上のポンプ810を制御する。代替として、測定された伝導率値が最適な伝導率値より高い場合、試薬溶液の注入率は、減らされることができる。
【0105】
図9は、前述に説明されるフィードバックシステム800を使用して測定されたナトリウム濃度を図示するチャートである。線905は、吸着材フィルタ36の直後の透析液の測定されたナトリウム含有量を表す。示されるように、補充されないままである場合、吸着材フィルタ36の出力における透析液のナトリウム含有量は、治療時間が進捗するにつれて、劇的に低くなり得る。線910は、伝導率センサ41からのフィードバックを使用して(試薬溶液が注入および混合された後の)補充された混合溶液の測定されたナトリウム含有量を表す。示されるように、ナトリウム補充システムは、ナトリウム濃度を140mMの最適値の近くに保つことが可能である。
【0106】
図10は、本開示のいくつかの実施形態による伝導率センサ41を図示する。
図11は、断面Aにおける伝導率センサ41の断面図を図示する。
図10および11の両方は、並行して議論されるであろう。伝導率センサ41は、センサ本体1005と、1つ以上の電極1010と、制御システム1050とを含む。電極1005は、センサ本体1005のスロット1105の中に配置されることができる。電極1010は、スロット1105の中に固定されることができ、スロット1105は、接着剤1025を使用してシールされることができる。
【0107】
電極1010は、
図10に最も詳細に図示されるように、センサ本体1005の中心に配置されることができる。電極1010は、透析液流路54の中に注入される試薬溶液の量が、制御され得るように、1つ以上のポンプ(例えば、ポンプ47、ポンプ49、およびポンプ810)(図示せず)に結合された制御システム1050に結合されることができる。いくつかの実施形態において、制御システム1050は、電極からの読み取り値に基づいて伝導率値を決定するように構成されたプロセッサ77(
図8に示される)を含むことができる。伝導率値は、次いで、透析液流路54の中に注入されている試薬溶液の量を制御するために使用される。これは、1つ以上のポンプ(47、49、810)と伝導率センサ41との間にフィードバック制御ループを確立する。このように、1つ以上のポンプ(47、49、810)は、混合溶液中のナトリウムの一貫したレベルを維持するために、試薬源48および/または試薬源50からの1つ以上の試薬溶液の注入率を制御することができる。
【0108】
図12A-Cは、伝導率センサ41内に実装され得る種々の電極1010設計の例示的実施形態を図示する。各電極1010は、混合溶液の伝導率を測定するように構成される。伝導率を測定するために使用される電極1010は、ステンレス鋼、黒鉛、インコネル、チタン、金、白金、パラジウム、または他の非腐食性で導電性の生体適合性材料から構成され得る。いくつかの実施形態において、電極1010は、伝導率が当業者に公知であるように測定され得る複数の電極の形態にあるロッド、プレート、ディスク、または円筒物の形態をとり得る。いくつかの例示的実施形態において、電極1010は、ロッド、プレート、ディスク、または円筒物の形態をとることができる。加えて、
図12A-12Cにそれぞれ図示されるように、電極は、伝導率が当業者に公知であるように測定され得る4つ、3つ、または2つの棒状の電極(pole electrode)1010の形態をとることができる。種々の他の電極形態および構成も、当業者によって決定されることができる。
【0109】
いくつかの実施形態において、電極1010は、2次元であり、付加プロセスによって電気的に絶縁された基材上に接着されることができる。具体的に、電極1010は、表面上に2次元の伝導性形状を生成するスクリーン印刷またはスパッタコーティング、または他の類似のプロセスを用いて、平面状表面上に伝導性材料またはインクを用いて印刷されることができる。いくつかの実施形態において、2次元電極1010は、レーザアブレーション、化学エッチング、または機械的除去等の除去プロセスによって生成されることができる。これらの2次元電極1010は、限定ではないが、酸化ジルコニウムおよびガラスを含むセラミック上に印刷されることができる。さらに、いくつかの実施形態において、電極1010は、限定ではないが、アクリル、ポリカーボネート、またはポリエステルを含む異なるポリマー上に印刷されることができる。
【0110】
締めくくりに、本明細書に示され、説明されるような本発明の例示的実施形態に関して、血液透析システムが開示されることを理解されたい。本発明の原理は、示され、説明されるもの以外のいくつかの構成において実践され得、そのため、本発明が、例示的実施形態によっていかようにも限定されず、概して、血液透析システムを対象とし、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、それを行うために多数の形態をとることが可能であることを理解されたい。さらに本発明が、開示される構造の特定の幾何学形状および材料に限定されず、代わりに、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、現在公知であるまたは後に開発される他の機能的に同等の構造または材料を伴い得ることが、当業者によって理解されるであろう。さらに、上で説明される実施形態の各々の種々の特徴は、任意の論理様式において組み合わせられ得、本発明の範囲内に含まれることを意図する。
【0111】
本発明の代替実施形態、要素、またはステップの群化は、限定物として解釈されないものとする。各群の構成要素は、個々に、または本明細書に開示される他の群の構成要素との任意の組み合わせにおいて言及および請求され得る。群の1つ以上の構成要素が、便宜および/または特許性の理由のために、群の中に含まれること、またはそれから削除され得ることを予期されたい。任意のそのような包含または削除が生じるとき、本明細書は、修正されたものとして、群を含むと見なされる。
【0112】
別様に示されない限り、本明細書および請求項内で使用される特性、項目、数量、パラメータ、性質、用語等を表現する全ての数値は、用語「約」によって全ての事例において修飾されているものとして理解されるべきである。本明細書で使用されるように、用語「約」は、そのように条件付けられた特性、項目、数量、パラメータ、性質、または用語が、記載された特性、項目、数量、パラメータ、性質、または用語の値の±10パーセントの上方および下方の範囲を含むことを意味する。故に、そうではないことが示されていない場合、本明細書および添付の請求項に記載される数値パラメータは、変動し得る近似値である。最低限でも、均等論の適用を本請求項の範囲に限定するような試みとしてではなく、各数値インジケーションは、少なくとも報告された有効桁数に照らして、かつ通常の丸め技法を適用することによって解釈されるべきである。本発明の広範な範囲を記載する数値範囲および値が近似値であるにもかかわらず、具体的実施例に記載される数値範囲および値は、可能な限り、精密に報告される。しかしながら、いかなる数値範囲または値も、本質的に、それらの個別の試験測定値に見出される標準偏差から必然的に結果として生じる、ある誤差を含む。本明細書における値の数値範囲の列挙は、その範囲内にある各別個の数値を個々に指す、簡略的な方法としての役割を果たすことを意図しているにすぎない。本明細書において別様に示されない限り、数値範囲の各個々の値は、本明細書に個々に列挙されている場合と同様に、本明細書の中に組み込まれる。
【0113】
本発明の説明の文脈(特に、以下の請求項の文脈)内で使用される用語「a」、「an」、「the」、および類似の指示物は、本明細書で別様に示されるまたは文脈によって明確に矛盾されない限り、単数および複数の両方を網羅すると解釈されるべきである。本明細書に説明される方法の全てが、本明細書において別様に示されるまたは文脈によって明確に別様に矛盾されない限り、任意の好適な順序において実施されることができる。本明細書に提供されるありとあらゆる実施例または例示的な言い回し(例えば、「等」)の使用は、本発明をより良好に明らかにすることを意図しているにすぎず、別様に請求される本発明の範囲に限定を課すものではない。本明細書におけるいかなる言い回しも、任意の非請求要素を、本発明の実践に対して不可欠であるように示しているものとして解釈されるべきではない。
【0114】
本明細書に開示される具体的な実施形態はさらに、「consisting of(~から成る)」または「本質的に~から成る(consisting essentially of)」の言い回しを使用して、本請求項において限定され得る。本請求項において使用されると、改定毎に出願されるものとして、または追加されるものとしてであるかにかかわらず、移行用語「consisting of(~から成る)」は、本請求項内で規定されていない、いかなる要素、ステップ、または成分も除外する。移行用語「consisting essentially of(~から本質的に成る)」は、請求項の範囲を、規定される材料またはステップおよび基本的特性および新規の特性に実質的に影響を及ぼさないものに限定する。そのように請求される本発明の実施形態は、本明細書において本質的または明示的に説明され、有効にされる。
【0115】
各方法の個別の要素が実施される論理コード、プログラム、モジュール、プロセス、方法、および順序が、純粋に例示的であることを理解されたい。実装に応じて、それらは、本開示において別様に示されない限り、任意の順序で、または並行して実施され得る。さらに、論理コードは、任意の特定のプログラミング言語に関連または限定されず、分散型、非分散型、または多重処理型環境内の1つ以上のプロセッサ上で実行する、1つ以上のモジュールを備え得る。
【0116】
本発明のいくつかの特定の形態が、図示され、説明されているが、種々の修正が、本発明の精神および発明から逸脱することなく行われ得ることが、明白となるであろう。したがって、本発明が、以下の請求項によらない限り、限定されることは意図していない。
【国際調査報告】