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特表2024-520563軌道を光学的に捕捉するためのアッセンブリおよび方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-24
(54)【発明の名称】軌道を光学的に捕捉するためのアッセンブリおよび方法
(51)【国際特許分類】
   G01B 11/30 20060101AFI20240517BHJP
【FI】
G01B11/30 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023573601
(86)(22)【出願日】2022-05-25
(85)【翻訳文提出日】2023-11-29
(86)【国際出願番号】 EP2022064181
(87)【国際公開番号】W WO2022253660
(87)【国際公開日】2022-12-08
(31)【優先権主張番号】A50436/2021
(32)【優先日】2021-05-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514318345
【氏名又は名称】プラッサー ウント トイラー エクスポート フォン バーンバウマシーネン ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Plasser & Theurer, Export von Bahnbaumaschinen, Gesellschaft m.b.H.
【住所又は居所原語表記】Johannesgasse 3, A-1010 Wien, Austria
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】マルクス プレール
【テーマコード(参考)】
2F065
【Fターム(参考)】
2F065AA49
2F065BB11
2F065CC35
2F065FF01
2F065FF42
2F065GG07
2F065GG23
2F065JJ03
2F065JJ05
2F065JJ08
2F065JJ26
2F065LL21
2F065MM01
2F065MM07
2F065PP02
2F065QQ41
(57)【要約】
本発明は、軌道(2)を光学的に捕捉するためのアセンブリ(11)であって、支持装置(12)、カメラ(13)ならびに2つの光源(14)を含み、このアセンブリ(11)は、レール(3)上を移動可能な運搬車両(1)に固定可能である、アセンブリ(11)に関する。ここでは、2つの光源(14)、したがって放出される光ビームまたは光波の中心軸線の配向が、レール長手方向軸線(15)との鋭角(β1,β2)を含み、光源(14)は、制御信号ケーブル(16)を介してカメラ(13)に結合され、光源(14)のトリガーまたは起動が、制御信号ケーブル(16)を介して予め定められた制御信号を用いて行われる。これにより、詳細で鮮明な画像輪郭が達成され、これは可能な限り高速な作業速度で高精度の画像評価と対象物認識とを可能にする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軌道(2)を光学的に捕捉するためのアセンブリ(11)であって、
支持装置(12)、カメラ(13)ならびに2つの光源(14)を含み、
前記アセンブリ(11)は、レール(3)上を移動可能な運搬車両(1)に固定可能である、アセンブリ(11)において、
前記2つの光源(14)、したがって放出される光ビームまたは光波の中心軸線の配向が、レール長手方向軸線(15)との鋭角(β1,β2)を含み、
前記光源(14)は、制御信号ケーブル(16)を介して前記カメラ(13)に結合され、
前記光源(14)のトリガーまたは起動が、前記制御信号ケーブル(16)を介して予め定められた制御信号を用いて行われることを特徴とする、アセンブリ(11)。
【請求項2】
前記カメラ(13)は、前記レール長手方向軸線(15)の方向で見て、前記光源(14)の間のほぼ中央に配置され、カメラ軸線(17)は、前記レール長手方向軸線(15)にほぼ直交するように配向され、かつ前記光源(14)の中心軸線と水平床面(18)との間に鋭角(α1,α2)を有する、請求項1記載のアセンブリ。
【請求項3】
前記カメラ(13)は、赤、緑、青の3つのカラーチャネルを有するRGBビデオカメラとして設計されている、請求項1または2記載のアセンブリ。
【請求項4】
前記カメラ(13)、特にカメラレンズに、光学的カラーフィルタが割り当てられており、前記カラーフィルタは、光学的スペクトルの所定の領域または所定の部分領域、あるいは入射光の波長領域の所定の帯域幅のみに、前記カメラ(13)の光学系への入射を可能にさせる、請求項1から3までのいずれか1項記載のアセンブリ。
【請求項5】
前記カメラ(13)の前に、特に均一な空気流のいわゆるエアカーテンを発生させるための装置が配置されている、請求項1から4までのいずれか1項記載のアセンブリ。
【請求項6】
前記光源(14)は、LED照明手段として設計されている、請求項1から5までのいずれか1項記載のアセンブリ。
【請求項7】
前記各光源(14)は、それぞれ予め設定された固定の波長を有し、したがってそれに対応する色スペクトルを有する、請求項1から6までのいずれか1項記載のアセンブリ。
【請求項8】
前記カメラ(13)は、計算ユニット(19)に結合され、該計算ユニット(19)は、統合された内部メモリを有する、請求項1から7までのいずれか1項記載のアセンブリ。
【請求項9】
請求項1から8までのいずれか1項記載のアセンブリ(11)を用いて軌道を光学的に捕捉するための方法において、
作業過程の開始とともに、カメラ(13)および光源(14)が起動され、前記光源(14)は、提供される制御信号を用いて同期してトリガーされ、
捕捉すべき軌道箇所が前記カメラ(13)によって同時に記録され、そこから得られる画像データが計算ユニット(19)によって捕捉されることを特徴とする、方法。
【請求項10】
前記計算ユニット(19)によって捕捉された画像データは、後からの使用または時間をずらした使用のためにバッファメモリに格納されるか、またはさらなる処理のために前記計算ユニット(19)によって直接読み込まれる、請求項9記載の方法。
【請求項11】
前記計算ユニット(19)に読み込まれた前記画像データ、すなわち前記カメラ(13)からの生データは、個々のカラーチャネルに分離され、それに続いて前記画像データまたは該画像データ内に含まれる2つのカラーチャネル、好適には赤と緑、または赤と青のカラーチャネルの画像情報が相互に減算される、請求項9または10記載の方法。
【請求項12】
2つのカラーチャネルの減算から得られた前記画像情報は、パターンおよび/またはテキスト認識アルゴリズム、OCRソフトウェア、または人工知能「AI」またはニューラルネットワーク「CNN」の手法を用いて前記計算ユニット(19)内で評価され、解釈され、判断される、請求項11記載の方法。
【請求項13】
前記制御信号は、前記カメラ(13)に統合されたコントローラユニットによって生成され、制御信号ケーブル(16)を介して出力される、請求項9から12までのいずれか1項記載の方法。
【請求項14】
前記制御信号は、前記計算ユニット(19)または信号発生器によって生成され、前記制御信号ケーブル(16)を介して出力される、請求項9から12までのいずれか1項記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軌道を光学的に捕捉するためのアッセンブリであって、支持装置、カメラならびに2つの光源を含み、レール上を移動可能な運搬車両に固定可能であるアセンブリに関する。さらに本発明は、アセンブリを動作させるための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
対象物認識に焦点を当てた最新の自動化された画像捕捉や画像評価では、多岐にわたる方法や手順が使用される。そのため、暗視野照明を用いた光学的対象物捕捉の原理が知られている。カメラを用いて対象物を迅速にかつハイコントラストで捕捉するために、光源による光が平坦に照射される。対象物表面では、例えば欠陥、斜行縁部、エンボス加工などの隆起や陥没であってよい凹凸が存在する場合、光の光路が妨げられる。これにより、下流側の画像評価や対象物認識に重要な影響を及ぼす陰影付けが意図的に生じる。記録すべき対象物に対してほぼ平行に光ビームを配向することにより、光は縁部においてのみ相応に屈折し、カメラに向かって反射される。この光の屈折は、暗い画像背景につながり、この画像背景の前には観察すべき構造物が明るく浮かび上がる。これにより、ハイコントラストの画像が作成され、凹凸が強調される。既知の用途は、通常、1つのカラーチャネルならびに1つの光源を有するカメラが使用される。
【0003】
本出願人のオーストリア国特許出願公開第518692号明細書には、鉄道車両用の線路の保守のための方法およびシステムが開示されている。そこに記載された測定システムは、それぞれのレール表面の形状を捕捉するために、各レール6上に配置されたラインレーザースキャナ14を含んでいる。これによって、圧延マーク、枕木のエンボス、固定手段などのさらなる特徴も捕捉される。前述の方法では、ラインレーザースキャナにより捕捉された対象物からいわゆる3D点群が生成される。対応する計算および評価アルゴリズムにより、3D点群のデータからは、捕捉された軌道の幾何形状および状態を推論することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、冒頭で述べた形式のアセンブリについて、性能を向上させ、したがって時間単位当たりの捕捉すべき軌道長を増加させるために、従来技術に対する改善を提供するという課題に基づいている。さらに、軌道を捕捉するための作業は、得られるデータおよび画像素材のより高い品質のもとで、より短い停止期間において実施可能である。さらに本発明の課題は、アセンブリを動作させるための対応する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明によれば、この課題は、独立請求項1の特徴を有するアセンブリと、独立請求項9の特徴による方法とによって解決される。従属請求項には、本発明の好適な実施形態が示されている。
【0006】
ここでは、2つの光源、したがって放出される光ビームまたは光波の中心軸線の配向が、レール長手方向軸線との鋭角(β1,β2)を含み、光源は、制御信号ケーブルを介してカメラと結合され、光源のトリガーまたは起動が制御信号ケーブルを介して予め定められた制御信号を用いて行われる。
【0007】
2つの光源を、レール長手方向軸線に対して予め設定されたフレームおよび構造条件に適合する可能な限り小さな鋭角β1,β2に配向することにより、レール圧延マーク、レタリング、および他の捕捉すべき被写体において可能な限り大きな陰影作成を提供することができる。このことは、その後の高精度な画像評価および高速な作業速度での対象物認識のための前提条件となる。光源がレールの直近でそれぞれのレールに平行に配向され、角度β1,β2がゼロに等しい場合、可能な限り大きな陰影が得られるであろう。しかしながら、インフラ事業者によって予め設定された使用可能なクリアランスプロファイルを遵守し、軌道上の対象物との衝突を防止するため、そのような空間配置は除外される。
【0008】
2つの光源は、ともに1つの対を形成し、レール長手方向軸線に直交する方向に対して対称に配置されている。その結果、角度β1およびβ2のそれぞれ相対向する開口方向が生じ、したがってそれらもレール長手方向軸線に直交する方向に対して対称になる。側方のレール輪郭全体と近傍領域とを捕捉できるようにするために、各レール線路の両側にはそれぞれ1つの光源対がカメラを取り囲むように配置されている。これについてのより良好な理解のために、図2および図3も参照されたい。それにより、レール圧延マーク、エンボス、レタリング、小鉄、固定材料の他に、レール継ぎ目も捕捉可能である。後者は通常、溶接接続部として、または非溶接の複数部品からなる継ぎ目板接続部として設計されている。
【0009】
2つの光源を制御信号ケーブルを介してカメラと結合することにより、光源のトリガーと同時にカメラの画像捕捉が、予め設定された制御信号を介して保証される。この制御信号は、例えば25cmの走行距離毎に1パルスの経路ベースの情報として設定される。代替的に、制御信号は、例えば160Hzの周波数を有する時間信号であってもよい。このことは、カメラの非常に短いシャッター/露光時間での最適な露光と詳細な画像輪郭とを可能にさせる。現下の技術水準では、時速100km以上の作業速度、したがって捕捉速度が実行可能である。
【0010】
好適には、カメラは、レール長手方向軸線の方向で見て、光源の間のほぼ中央に配置され、カメラ軸線は、レール長手方向軸線にほぼ直交して配向され、光源の中心軸線と水平床面との間に鋭角(α1,α2)が含まれる。
【0011】
2つの光源の間の中央に配向されたカメラにより、捕捉すべき被写体上の隆起した/陥没した構造部からの異なる強度による射影が視認可能になる。角度α1およびα2だけ付加される光源の傾斜により、上記の陰影の他に、レール足部方向で斜め下向きの射影において付加的な第3の角度が生じる。
【0012】
さらに、カメラが、赤、緑、青の3つのカラーチャネルを有するRGBビデオカメラとして設計されていることは利点となる。
【0013】
このことは、個々のカラーチャネルの画像データの別個の捕捉および読み取りを可能にさせる。ここでは、赤、緑、青の3つの色スペクトルについてそれぞれ1つのグレースケール画像が得られる。RGB色空間でのデジタル画像処理の場合、これはチャネルあたり8ビットを意味し、それゆえ、すべてのカラーチャネルについて全体で3x8ビット=24ビットの最大色深度になることを意味する。開示された本発明について、この場合、放出される光ビームを用いて、特に2つの光源の2つの異なる波長を用いて調整された2つのカラーチャネルから画像情報を読み取ることは有利である。複数のカメラが使用される既知の方法と比較して、1台のカメラから3つまたは2つの別個のカラーチャネルを使用することは、チャネルの同期を時代遅れのものにするため大きな利点となる。それとは対照的に、1つのチャネル出力のみを備えた3台の独立したカメラでは、画像内容の複雑な同期が必要になる。
【0014】
本発明の一具体例では、カメラ、特にカメラレンズに、光学的カラーフィルタが割り当てられており、このカラーフィルタは、光学的スペクトルの所定の領域または所定の部分領域、あるいは入射光の波長領域の所定の帯域幅のみに、カメラの光学系への入射を可能にさせることが想定されている。
【0015】
アタッチメントフィルタとも称されるカラーフィルタも、本明細書で使用される光源の2つの波長に合わせて調整される。2つの光源の放出された光の波長の既に上記で説明した調整に対して付加的に、RGBカメラのカラーチャネルを用いることにより、結果として光/影の比率の大幅な改善が生じる。これにより、例えば太陽光または人工的に生成された作業灯などの不所望な光スペクトルや散乱光の入射が十分阻止される。このカラーフィルタは、(例えば、赤と緑、または赤と青など)異なる波長からなる組み合わせが妨げられることなく通過できるようにするために、多重に作用する組み合わせフィルタとして設計したり、相互にずらして設計したりしてもよい。
【0016】
また好適には、カメラの前に、特に均一な空気流のいわゆるエアカーテンを発生させるための装置も配置されている。
【0017】
このことは、例えば、水しぶき、粒子の堆積、その他の汚染などの外的気象の影響に対する障害の受けやすさが特に少ないことによって、高品質で問題のない画像素材を保証する。
【0018】
光源は、LED照明手段として設計されていることが想定されている。LED照明技術は、高いビーム出力での非常に堅固で長寿命な構造形式によって特徴付けられる。
【0019】
光源の駆動制御は、フラッシュライトと同様に制御信号を介したクロック制御で行われる。この駆動制御周波数は、160~200Hzである。作業現場ではより高い周波数も考えられる。この周波数領域での光源のクロック制御されたフラッシュ/トリガーは、人の目には知覚不能である。光源を駆動制御する周波数は、所望のフラッシュ時間を達成するためにカメラに合わせて調整される。LED光源の高い光束も、高い光強度も、露光時間が非常に短い場合であっても画像記録の品質や鮮明さを損なうことなく、移動するカメラと静止した軌道との間で高い相対速度を可能にする。それに加えて好適には、高い光強度により、直射日光などの外部光も大部分がワイプ可能である。
【0020】
本発明の好適な変形形態では、各光源は、それぞれ予め設定された固定の波長を有し、したがってそれに対応する色スペクトルを有することが想定される。
【0021】
光源をカメラに合わせて調整することを容易にするために、2つの光源がそれぞれ1つの特定の波長で、または特定のスペクトル領域で光ビームを放出すると利便性がある。それにより、これらのLED光源は、この用途向けに正確に定義され取得プロセスに直接組み込まれる仕様に統制される。そのため、例えば陰影作成のためにカメラの赤色カラーチャネルを介して画像情報を捕捉して評価するために、好適には、660nm付近の波長を有する光源が取り付けられている。この波長を有する光ビームは、人の目には赤色として知覚される。さらに、例えば、460nm付近の波長を有する青色や530nm付近の波長を有する緑色が定量化可能である。
【0022】
本発明のさらなる発展形態では、カメラは、計算ユニットに結合され、計算ユニットは、統合された内部メモリを有することが想定されている。
【0023】
これにより、データ、特に画像情報の直接の伝送が保証される。計算ユニットでは、設定に応じて、処理および評価アルゴリズムに対する供給が行われるか、後の処理のための格納およびバッファリングが行われる。
【0024】
本発明によるアセンブリを動作させるための方法では、作業過程の開始とともに、カメラならびに光源が起動され、ここで、光源は、提供される制御信号を用いて同期してトリガーされ、同時に、捕捉すべき軌道箇所がカメラによって記録され、そこから得られた画像データが計算ユニットによって捕捉される。
【0025】
制御信号を介して光源もカメラも一緒に駆動制御することにより、最良の照明と最短の露光時間とで軌道の光学的な捕捉が達成される。フラッシュ方式でのクロック制御された光源の起動は、光源にその際の過負荷や損傷をまったく与えることなく最大の発光効率を可能にさせる。
【0026】
その際、計算ユニットによって捕捉された画像データが、後からの使用または時間をずらした使用のためにバッファメモリに格納されるか、またはさらなる処理のために計算ユニットによって直接読み込まれる場合は利点となる。
【0027】
これにより、捕捉された画像データの多岐にわたる処理、評価、および判定プロセスへの柔軟なアクセスが可能になる。その際、作業現場において、活動の課題、経過、要件に応じて、それぞれの運搬車両でのデータ処理がほぼリアルタイムで可能になり、あるいは例えば作業現場での終了後、別の時点で、計算ユニットのメモリへのアクセスにより任意の場所でも可能になる。捕捉された画像データおよび情報は、これらに関する簡単な観察、または広範な評価のために、通常のインターフェイスを用いて他の定置型コンピュータユニットにもモバイルノートブックなどにも転送することが可能である。
【0028】
さらに好適には、計算ユニットに読み込まれた画像データ、すなわちカメラからの生データは、個々のカラーチャネルに分離され、ここでは、それに続いて画像データまたは該画像データ内に含まれる2つのカラーチャネル、好適には赤と緑、または赤と青とのカラーチャネルの画像情報が相互に減算される。
【0029】
カメラ、好適にはRGBカメラは、色(赤、緑、青)を全体的な画像信号として出力するため、RGB色情報を3つの個別チャネルに分離することによって、所属する色空間の各々1つの画像、すなわち、
-赤色光の画像内容を含む画像1(波長、約660nm)、
-緑色光の画像内容を含む画像2(波長、約530nm)、
-青色光の画像内容を含む画像3(波長、約460nm)
が得られる。発光の色付けにおいて赤および緑として定義される2つの光源を用いた本発明による用途の場合、これは以下のこと、すなわち、
-赤色光源によって生成された画像内容、特に赤色光源の射影を含む画像1、
-緑色光源によって生成された画像内容、特に緑色光源の射影を含む画像2
を意味する。同様のことは、赤および青として定義される2つの光源、すなわち、
-赤色光源によって生成された画像内容、特に赤色光源の射影を含む画像1、
-青色光源によって生成された画像内容、特に青色光源の射影を含む画像2
においても当てはまる。
【0030】
カメラの記録時点毎に、これら2つの説明された画像は、陰影付けと輪郭とを明確に表示するために計算ユニットにおいて減算される。本発明によれば、2つのカラーチャネル、したがってそこに含まれる、2つのほぼ反対方向から生成される2つの異なって作成される陰影の画像情報を考慮することにより、さらなる利用に関連する画像情報の倍増が提供される。このようにして、減算後、軌道上で捕捉された対象物の顕著な浮き彫り表現を備えた、特にハイコントラストの画像素材が得られる。2つの別個のカラーチャネルを使用することにより、捕捉が困難な被写体の場合であっても、異なる方向に延びるほぼすべての輪郭を表示することが可能になる。これについては、例えば、筆記体、ならびに斜めに配置された文字/符号が挙げられよう。
【0031】
2つの光源の色付けが赤と緑、赤と青、または緑と青とで選択されるかどうかは、従属的に重要である。この選択は、鉄道インフラ事業者に依存し、あるいは考えられる法的設定や規制にも依存する。国によっては鉄道業界において緑色が重要視されることがあるかもしれない。その場合には、青色発光の光源を代替的に使用することができる。
【0032】
本発明の一具体例では、2つのカラーチャネルの減算から得られた画像情報が、パターンおよび/またはテキスト認識アルゴリズム、OCRソフトウェア、または人工知能「AI」またはニューラルネットワーク「CNN」の手法を用いて計算ユニット内で評価され、解釈され、判断されることが想定されている。
【0033】
事前に準備された画像素材の自動化された評価および判定は、軌道沿いの作業現場において得られる情報の多岐にわたる使用とさらなる利用とを可能にする。ここでは、定評のある既知の方法が使用される。その際、純粋なテキスト内容の被写体は、OCRソフトウェア「Optical character recognition」を用いて認識することができるが、(ほんの数例を抜粋して挙げるならば)記号、特殊文字、異物、溶接継ぎ目などのより複雑な画像被写体は、複雑な方法を用いて検出する必要がある。後者は、人工知能の手法を用いることによっても解釈および判定される。
【0034】
さらに、制御信号は、前記カメラに統合されたコントローラユニットによって生成され、制御信号ケーブルを介して出力されることが想定されている。
【0035】
これにより、アセンブリに使用されるコンポーネントの効率的な使用が達成される。その上さらに、制御信号を生成するための独立したユニットは必要ない。
【0036】
また制御信号は、計算ユニットまたは信号発生器によって生成され、制御信号ケーブルを介して出力されることも可能である。
【0037】
特定の用途の場合では、カメラのタイプや機能規模に応じて、制御信号が外部で信号発生器によって生成される場合が有利になってもよい。この信号発生器は、制御信号ケーブルに結合された独立したユニットを表すことができる。また別の可能性として、信号発生器が計算ユニット内の、または上位の管理/開ループ制御/閉ループ制御システム内の機能モジュールとして統合されている。同様に、例えば距離測定ホイールによって生成される、距離ベースの制御信号も可能である。
【0038】
以下では、本発明を添付の図面を参照して例示的な方法で説明する。
【図面の簡単な説明】
【0039】
図1】軌道を光学的に捕捉するためのアセンブリを備えた運搬車両を概略的に示した側面図である。
図2】軌道本体を上記のアセンブリとともに概略的に示した断面図である。
図3図2の概略的な平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
図1は、汎用的に適用可能な保守または軌道敷設機械として設計され概略的に示された運搬車両1を示す。本発明の適用ケースでは、軌道2を光学的に捕捉するための測定車両としての自身の機能で使用される。この目的のために、本発明によるアセンブリ11は機械フレーム7に固定されている。図示されていない他の使用ケースでは、アセンブリ11は、相応の収容手段を備えた任意の各軌道敷設機械、例えばタンピング機械、バラストプラウ、検査およびクレーン車両に取り付けることも可能である。運搬車両1は、機械フレーム7を介してレール台車6に載置され、軌道2上を移動可能である。機械フレーム7は、最も簡単なケースでは縦げたとして設計され、これは端部側がレール台車6に載置されている。軌道2は、ここではバラスト5に埋め込まれた枕木4上のレール3を含む。頻繁に使われる普及したレール線路という用語は、レール3という用語と同等とみなされる。さらに、管理/開ループ制御/閉ループ制御システム10ならびに計算ユニット19は、運搬車両1上の保護された領域またはブース8内に組み込まれる。さらに、機械フレーム7の両端領域に配置された測定システム9を用いて現下のレール位置が捕捉される。
【0041】
アセンブリ11は、支持装置12、カメラ13、ならびに2つの光源14を含み、この場合、カメラ13および光源14は、支持装置12上に配置されている。カメラ13、光源14、ならびに計算ユニット19は、制御信号ケーブル16を介して結合されている。これらの制御信号ケーブル16は、制御信号の伝送の他に、画像データの伝送にも用いられる。計算ユニット19は、上位の管理/開ループ制御/閉ループ制御システム10に組み込まれている。代替的に、計算ユニット19は、別個の独立したユニットとして取り付けられてよい。設計の変形形態では、さらに相応に設定されて通信する送受信ユニットにおいて無線で制御信号を伝送することも可能である。作業方向または走行方向20は、軌道2の光学的検出のプロセスとは無関係である。このことは、両方向で同様に可能である。
【0042】
図2は、軌道2の断面図および運搬車両1の機械フレーム7の断面図、ならびにアセンブリ11の四連装型実施形態を示す。図2および図3に示されている変形実施形態では、2つのレール(レール線路)3を両側から捕捉するために、全部で4つのアセンブリ11が使用されている。その結果として、合計で4つのカメラ13と8つの光源14とが適用されることになる。より良好な表示性の目的のために、図2ではカメラ13が角度γだけ傾斜して示されている。通常、カメラ13および光源14は、レール長手方向軸線15の方向で見て、相前後して配置されている。これは、カメラ軸線17も光源14の中心軸線も、水平な地下面18に対してほぼ同じ傾斜または角度位置を有することを意味する。したがって、2つの光源14の角度α1,α2と角度γとはほぼ同じである。これらの角度は構造上、通常は35°~45°である。ここでは、使用可能なクリアランスプロファイル、したがって可能な構造空間の遵守が配置のための決め手となる。
【0043】
それぞれのアセンブリ11の支持装置12は、機械フレーム7の間に設置された付加的な支持構造を用いて運搬車両1に取り付けられる。図示の実施形態には示されていないが、カメラ13のカメラレンズの前にカラーフィルタがあり、光源14の前にも同様に配置されたカラーフィルタがある。カメラ13に所属するとみなされるエアカーテンを生成するための装置の描写も同様に省かれている。
【0044】
さらに、図2の変形実施形態では、入射する直射日光を遮蔽するための機械装置21が設置されている。この装置は機械フレーム7の下方に配置されており、その傾斜が調整可能になっている。この傾斜は、図示されていない駆動部によって、機械フレーム7の長手方向軸線に平行な軸線を中心として可変に調整可能である。これにより、太陽光やその他の散乱光の入射が大幅に低減される。残りの図面にはこの装置21は示されていない。
【0045】
図3は、図2の断面図をここでは平面図として示している。右方のレール線路3に割り当てられた外側にあるアセンブリ11は、良好な区別のために点状の囲い線表示で強調されている。光源14は、所属の中心軸線がレール長手方向軸線15に対して角度β1およびβ2である鋭角を有するように配置されている。これらの2つの角度は、捕捉すべき対象物の両側から均一な射影を得るためにそれらの絶対値において同じ大きさである。角度β1およびβ2は、通常は10°~30°であり、それによって、最大限の陰影効果のもとで平坦な光入射が保証される。
図1
図2
図3
【国際調査報告】