IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ エルピーイー ソシエタ ペル アチオニの特許一覧

特表2024-520568被覆システムを備えた反応チャンバおよびエピタキシャル反応器
<>
  • 特表-被覆システムを備えた反応チャンバおよびエピタキシャル反応器 図1
  • 特表-被覆システムを備えた反応チャンバおよびエピタキシャル反応器 図2
  • 特表-被覆システムを備えた反応チャンバおよびエピタキシャル反応器 図3
  • 特表-被覆システムを備えた反応チャンバおよびエピタキシャル反応器 図4
  • 特表-被覆システムを備えた反応チャンバおよびエピタキシャル反応器 図5
  • 特表-被覆システムを備えた反応チャンバおよびエピタキシャル反応器 図6
  • 特表-被覆システムを備えた反応チャンバおよびエピタキシャル反応器 図7
  • 特表-被覆システムを備えた反応チャンバおよびエピタキシャル反応器 図8
  • 特表-被覆システムを備えた反応チャンバおよびエピタキシャル反応器 図9
  • 特表-被覆システムを備えた反応チャンバおよびエピタキシャル反応器 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-24
(54)【発明の名称】被覆システムを備えた反応チャンバおよびエピタキシャル反応器
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/205 20060101AFI20240517BHJP
【FI】
H01L21/205
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023573620
(86)(22)【出願日】2022-06-07
(85)【翻訳文提出日】2023-12-27
(86)【国際出願番号】 IB2022055281
(87)【国際公開番号】W WO2022259137
(87)【国際公開日】2022-12-15
(31)【優先権主張番号】102021000014984
(32)【優先日】2021-06-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】501372765
【氏名又は名称】エルピーイー ソシエタ ペル アチオニ
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヤーララガッダ、シリニヴァス
(72)【発明者】
【氏名】プレティ、シルヴィオ
(72)【発明者】
【氏名】コレア、フランチェスコ
(72)【発明者】
【氏名】ポッリ、ステファノ
【テーマコード(参考)】
5F045
【Fターム(参考)】
5F045BB02
5F045DP03
5F045DP28
5F045DQ10
5F045EM02
5F045EM09
5F045EM10
(57)【要約】
反応チャンバ(100)はそのキャビティ(101)内に配置され、キャビティの下壁上に載置される少なくとも1つの下部被覆要素(120)と、下部被覆要素(120)上に載置される上部被覆要素(130)とを備える被覆システム(90)を備え、下部被覆要素(120)および上部被覆要素(130)は少なくとも1つの基板を収容するための絶縁内部空間を画定し、この内部空間を囲む4つの壁を作製し、キャビティ壁から離間され、チャンバ(100)の壁は典型的には石英から作製され、被覆システム(90)は典型的には石英から作製される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エピタキシャル反応器のための反応チャンバ(100)であって、
チャンバ(100)は、基板上の半導体材料の反応および堆積プロセスが生じるキャビティ(101)を備え、かつ、
前記キャビティ(101)内に配置された被覆システム(90)を備え、
前記キャビティ(101)は4つの壁(105、106、107、108)によって囲まれており、
前記被覆システム(90)は、
前記キャビティ(101)の下壁(105)上に載っている下部被覆要素(120)と、
前記下部被覆要素(120)上に載っている上部被覆要素(130)と、を含み、

前記下部被覆要素(120)および前記上部被覆要素(130)は、前記キャビティ(101)に含まれる内部空間(102)および前記キャビティ(101)に含まれる外部空間(103)を画定し、かつ、前記内部空間(102)を囲む4つの壁(127、136、137、138)を形成し、
前記内部空間(102)の前記壁(127、136、137、138)は空の空間によって前記キャビティ(101)の前記壁(105、106、107、108)から離間され、
前記内部空間(102)は半導体材料の堆積を受ける少なくとも1つの基板を収容するように適合され、
前記内部空間(102)は前記外部空間(103)から隔離されている、
反応チャンバ(100)。
【請求項2】
前記チャンバ(100)の前記壁(105、106、107、108)は全体が石英からなり、かつ、
前記被覆システム(90)は全体が石英からなる、
請求項1に記載の反応チャンバ(100)。
【請求項3】
前記被覆システム(90)は基板支持サセプタ(150)の少なくとも1つの回転ディスク(152)を収容するように構成され、前記ディスク(152)はグラファイトで作製され、誘導によって加熱されるように適合される、請求項2に記載の反応チャンバ(100)。
【請求項4】
前記被覆システム(90)が、前記キャビティ(101)の下壁(105)上に直接載置される基部被覆要素(110)をさらに備え、前記下部被覆要素(120)が前記基部被覆要素(110)上に載置される、請求項1~3のいずれか一項に記載の反応チャンバ(100)。
【請求項5】
前記基部被覆要素(110)は足(112)だけによって、前記キャビティ(101)の前記下壁(105)上に直接載置される、請求項4に記載の反応チャンバ(100)。
【請求項6】
前記基部被覆要素(110)は、平坦な長方形のスラブ(117)の形態である、請求項4または請求項5に記載の反応チャンバ(100)。
【請求項7】
前記基部被覆要素(110)が透明な石英で作られている、請求項4~6のいずれか一項に記載の反応チャンバ(100)。
【請求項8】
前記基部被覆要素(110)が互いに機械的に結合する2つの部品からなり、
前記2つの部品のうちの第1の部品が上流に位置し、前記2つの部品のうちの第2の部品が反応ガス流方向に関して下流に位置する、
請求項4~7のいずれか一項に記載の反応チャンバ(100)。
【請求項9】
前記基部被覆要素(110)は、基板支持サセプタ(150)の回転シャフト(154)の通路に適合された中央孔(114)を有する、
請求項4~8のいずれか一項に記載の反応チャンバ(100)。
【請求項10】
前記上部被覆要素(130)は、平坦なスラブの2つの対向する縁部に2つの肩部(132)を有する平坦な長方形のスラブの形態である、
請求項1~9のいずれか一項に記載の反応チャンバ(100)。
【請求項11】
前記上部被覆要素(130)は、透明石英で作られている、請求項10に記載の反応チャンバ(100)。
【請求項12】
前記上部被覆要素(130)が単一部品からなる、請求項10または請求項11に記載の反応チャンバ(100)。
【請求項13】
前記下部被覆要素(120)は、平坦なスラブの少なくともいくつかの縁部に対応する肩部(122、123)を有する平坦な長方形のスラブの形態である、
請求項1~12のいずれか一項に記載の反応チャンバ(100)。
【請求項14】
前記下部被覆要素(120)は、不透明な石英で作られている、請求項13に記載の反応チャンバ(100)。
【請求項15】
前記下部被覆要素(120)は互いに機械的に結合する2つの部品からなり、
前記2つの部品のうちの第1の部品が上流に位置し、前記2つの部品のうちの第2の部品が反応ガスの流れ方向を考慮して下流に位置する、
請求項13または請求項14に記載の反応チャンバ(100)。
【請求項16】
前記下部被覆要素(120)は、基板支持サセプタ(150)のディスク(152)を受け入れるように構成された中央孔(124)を有する、請求項13~15のいずれか一項に記載の反応チャンバ(100)。
【請求項17】
前記下部被覆要素(120)は前記平坦なスラブの2つの対向する縁部に肩部(122)、または前記中央穴(124)に肩部(123)の少なくとも1つを有する、
請求項15または請求項16に記載の反応チャンバ(100)。
【請求項18】
エピタキシャル反応器の反応チャンバのための内側被覆要素(110、120、130)であって、請求項1~17のいずれか一項に記載の反応チャンバの被覆システム(90)の構成要素となるように構成される、内側被覆要素(110、120、130)。
【請求項19】
全体が石英で作られている、請求項18に記載の内側被覆要素(110、120、130)。
【請求項20】
請求項1~17のいずれか一項に記載の少なくとも1つの反応チャンバを含むエピタキシャル反応器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、「被覆システム(covering system)」を有するエピタキシャル反応器用の反応チャンバ及び関連する反応器に関する。チャンバ壁の(非接触)「被覆システム」は反応チャンバのキャビティ(空洞)の内部にあり、かつ断熱された空間を画定する働きをする。
【背景技術】
【0002】
出願人は、被覆システムを有するエピタキシャル反応器のための反応チャンバに関連して、番号WO2010119430で公開された国際特許出願の所有者である。反応チャンバは4つの壁によって囲まれた箱形のキャビティを備え、基板上への半導体材料の反応および堆積プロセスが行われ、基板は回転するサセプタディスク上に配置される。反応チャンバは、キャビティ内に配置され、キャビティ内の内部空間と、キャビティ内の外部空間とを画定する被覆システムを備える。被覆システムは3つの要素、すなわち、第1の垂直対向壁と、上部および第2の垂直対向壁とからなり、これらは、反応チャンバの下部壁上に載る逆「U」字形スラブを形成する。
【0003】
「対向壁」という用語は本特許出願では基準壁から一定の距離に位置し、それと接触していない壁を意味し、その間に空の空のキャビティが存在する-反応器は一般に、キャビティ内にガスが存在し、特に、反応および堆積プロセス中に、キャビティ内にガス、特に、プロセスガスまたは不活性ガスが、場所および実施形態に応じて存在するように作製される。
【0004】
WO2010119430による解決策はその全体が本明細書で言及されているが、単純で効果的な解決策であるが、下部対向壁が設けられていないので、反応チャンバの内部「部分的被覆」を形成する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の一般的な目的は、従来技術を改善することである。
【0006】
特に、内部空間の「化学的」断熱、および/または内部空間の「熱的」断熱、および/または反応チャンバ壁の内面の汚れ(それを低減するという意味で)、および/または反応チャンバの下部領域における局所的な温度制御の可能性を改善する目的が特定された。
【0007】
反応チャンバキャビティのこの内部空間はサセプタディスクを含み、エピタキシャル成長プロセス中に、半導体材料のエピタキシャル堆積が行われる基板も含むように適合されることに留意されたい。
【0008】
知られているように、基板上に堆積される半導体材料層の高い厚さ均一性および高い品質に関心がある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この一般的な目的ならびに少なくともこれらの目的は、本明細書の不可欠な部分を形成する添付の特許請求の範囲に記載されていることによって達成される。
【0010】
本発明は、添付の図面と共に考慮されるべき以下の詳細な説明からより容易に明らかになるのであろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は本発明による反応チャンバの第1の実施形態の(長手方向における)第1の概略的かつ簡略化された(縮尺通りではない)断面図を示し、図は3つの図に細分されており、図Aはチャンバのみを示し、図Bは被覆システムの構成要素のみを示し、図Cは被覆システムが収容されたチャンバを示す。
図2図2は、図1の実施形態の第2の概略的かつ簡略化された断面(縮尺通りではない)を示す。
図3図3は、図1の実施形態の第1の立面における第1の概略的かつ簡略化された水平断面(縮尺通りではない)を示す。
図4図4は、図1の実施形態の第2の立面における第2の概略的かつ簡略化された水平断面(縮尺通りではない)を示す。
図5図5は、図1の実施形態の第3の立面における第3の概略的かつ簡略化された水平断面(縮尺通りではない)を示す。
図6図6は、図1の実施形態の第4の概略的かつ簡略化された水平断面(縮尺通りではない)を示す。
図7図7は、図1の実施形態の第5の高さにおける、第5の概略的かつ簡略化された水平断面(縮尺不定)を示す。
図8図8は、図1の実施形態の第6の概略的かつ簡略化された水平断面(縮尺通りではない)を示す。
図9図9は、本発明による反応チャンバの第2の実施形態の分解斜視図を示す(第1の実施形態とはわずかに異なる)。
図10図10は、タンクと組み合わされた図9の実施形態の概略部分断面側面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
容易に理解されるように、本発明を実際に実施する様々な方法があり、本発明は、添付の特許請求の範囲においてその主な有利な態様において定義され、以下の詳細な説明によっても、2つのわずかに異なる実施形態を参照する添付の図面によっても限定されない。
【0013】
特定の実施形態に関して以下に記載される技術的特徴は、厳密に連結され、したがって相互に結合すると見なされるべきではないことが明記される。
【0014】
図1から図8を参照すると、本発明によるエピタキシャル反応器のための反応チャンバ100は例えば図1Cに示されるように、互いに組み合わされたチャンバ80および被覆システム90を備え、図1Aはチャンバ80のみを示し、図1Bは、被覆システム90のみを示す。チャンバ80には、箱状のキャビティ101が設けられている。
【0015】
図3から図8までの図の寸法は、後に明確にされる。
【0016】
キャビティ101はチャンバ80の少なくとも4つの壁、すなわち、下壁105、第1の側壁106(左側)、上壁107、および第2の側壁108(右側)によって囲まれており、この実施形態によれば、チャンバ80は反応ガスが前面で排気ガス出口に入り、背面で出るので、前面も後面も有していない。これらは、特に、実質的に4つの平坦なスラブであり、例えば、透明石英で作られ、それらの長手方向縁部で互いに接合され、チャンバの構造は以下に見られるように、より複雑であってもよく、例えば、前部および/または後部および/または補強リブおよび/または小さな外側隔壁にフランジを備える。
【0017】
キャビティ101において、基板上の半導体材料の反応及び堆積プロセスが起こり、より正確には以下に明らかにされるように、本発明によれば、このようなプロセスはキャビティの「内部空間」においてのみ起こる。
【0018】
反応チャンバ100はキャビティ101内に全体的に配置された「被覆システム」90を備え、チャンバ壁の「被覆システム」はそれらと接触していない(わずかで小さくて低い下部支持要素を除く)が「内部空間」を画定するように働く。
【0019】
被覆システム90は少なくとも、
キャビティ101の下壁105上に直接または間接的に載置される下部被覆要素120と、
下部被覆要素120上に直接または間接的に載置される上部被覆要素130と、
を有する。
【0020】
下部被覆要素120および上部被覆要素130はキャビティ101に含まれる「内部空間」102およびキャビティ101に含まれる「外部空間」103を画定し、内部空間102を囲む少なくとも4つの壁127、136、137、138を形成する。
【0021】
内部空間102のこれらの4つの壁127、136、137、138は空き空間によってキャビティ101の対応する4つの壁105、106、107、108から離間され、位置および実施形態に応じて、ガス、特にプロセスガスまたは不活性ガスが存在することができ、したがって、それらは対向壁として考えることができ、キャビティ壁について上記でなされた前部および後部に関する考慮は内部空間の壁にも適用される。空の空間に加えて、距離を達成することに寄与する、被覆システムの可能な支持要素(例えば、図1の要素112および122を参照)があり得る。
【0022】
内部空間102は半導体材料の堆積を受ける少なくとも1つ以上の基板を収容するように適合され、基板は特にサセプタディスク152(例えば、図2参照)上のサセプタ150上に(直接的または間接的に)載置され、典型的には、サセプタが常に、すなわち、反応プロセスおよび堆積プロセスの間、ならびにそのようなプロセスの前後の両方において、反応チャンバ内に留まるように適合される。
【0023】
本発明による被覆システムは、少なくとも基板支持サセプタのディスクを収容するように構成されてもよい。このようなディスクはグラファイト製であり、誘導によって加熱されるようになっている。図ではディスク加熱システムは図示されておらず、これは有利にはチャンバの外側(例えば、下壁の下)のディスクに近接して配置された少なくとも1つの平坦なインダクタからなり、図10を参照すると、例えば、インダクタは水から適切に電気的に絶縁されたキャビティ301内にあり得る。有利には本発明による反応チャンバの加熱システムが誘導型であるが、ランプ(例えば、上壁の上方)の使用は除外されない。
【0024】
内部空間102は、要素120と要素130との間の一定で均一な接触によって、外部空間103から隔離される。
【0025】
図1Cおよび図2のセットから、サセプタディスク152の上面は要素120によって作られた壁127の上面と位置合わせされ、特に、これらの面は、特定の凹部内でサセプタディスク152によって支持された任意の基板Wの上面とも位置合わせされることが理解され得る。
【0026】
有利にはキャビティ壁が全体が石英で作られ、被覆システムは全体が石英で作られ、石英は場所に応じて異なるタイプであってもよい。したがって、キャビティの壁および被覆システムはキャビティ、特にその「内部空間」および基板の加熱に積極的に寄与しない、言い換えれば、本発明による反応チャンバは、高温壁型ではない。図の実施形態(特に図2図10の実施形態)の場合、キャビティ、特にその「内部空間」および基板の加熱に能動的に寄与する唯一の要素は、サセプタ、特にその回転ディスクである。
【0027】
典型的にはかつ好ましくは、被覆システム90がキャビティ101の下壁105上に直接載置され、内部空間102のさらなる(間接的である)閉鎖要素として機能する基部被覆要素110をさらに備え、この場合、下部被覆要素120は基部被覆要素110上に直接的または間接的に載置される。
【0028】
被覆要素130は逆「U」字形スラブとして概略化されてもよい(例えば、図1B参照)。被覆要素120は逆「U」字形スラブとして概略化されてもよい(例えば、図1B参照)。被覆要素110は以下に説明される「足」を除いて、平坦なスラブ(例えば、図1Bを参照)として概略化されてもよい。
【0029】
典型的かつ好ましくは、基部被覆要素110が支持要素112のみを介してキャビティ101の下壁105上に直接載置される。図8では「足」として知られる8つの支持要素が一例として、第1の部分については4つ、第2の部分については4つが示されているが、それらの数は異なっていてもよく、すなわち、より少数であってもよく、例えば、最小3から最大30の範囲であってもよい。支持要素は典型的には小さく、例えば、各々が、3mm~300mmの支持領域を有する可能性がある。支持要素は典型的には低く、例えば、0.5mm~5.0mmの高さであってもよい。
【0030】
基部被覆要素110は本質的に、平坦な長方形のスラブ117の形態である。
【0031】
基部被覆要素110は、透明石英で作られる。
【0032】
基部被覆要素110は機械的に互いに結合する2つの部品(互いに実質的に等しい)からなり、特に、2つの部品のうちの第1の部品が上流に位置し、2つの部品のうちの第2の部品が反応ガスの流れ方向を考慮して下流に位置する。これは、特に図9において見ることができる。
【0033】
基部被覆要素110は基板支持サセプタ150の回転シャフト154の通路に適合された(小さい)中央穴114を有し、穴の直径およびシャフトの直径はわずかに異なる(例えば、2~20mm)。特に、スラブの2つの部品はそれぞれ、それらの機械的結合縁部によって穴の半分を画定する。
【0034】
上部被覆要素130は平坦な長方形のスラブ137の形態であり、好ましくは、平坦なスラブの2つの対向する長手方向縁部に2つの肩部132を有する。要素130は、逆「U」字形スラブの形態であると言うことができる。2つの肩部132は内部空間102の2つの側壁136および138を形成し、スラブ137は、内部空間102の上壁を形成する。
【0035】
上部被覆要素130は、透明な石英で作られる。
【0036】
上部被覆要素130は、単一の部品からなる。
【0037】
下部被覆要素120は好ましくは平坦なスラブの少なくともいくつかの縁部に対応する肩部、例えば長手方向肩部122および/または横方向肩部123を有する矩形の平坦なスラブ127の形態であり、特に、平坦なスラブの2つの対向する長手方向縁部に肩部122がある(例えば、図1Bおよび図1Cを参照)。要素120は、逆「U」字形スラブの形状を有するとも言える。スラブ127は、内部空間102の下壁を形成する。
【0038】
下部被覆要素120は、不透明な石英から作製される。
【0039】
下部被覆要素120は機械的に互いに結合する2つの部品(互いに実質的に等しい)からなり、特に、2つの部品のうちの第1の部品が上流に位置し、2つの部品のうちの第2の部品が反応ガスの流れ方向を考慮して下流に位置する。これは、特に図9において見ることができる。
【0040】
図1Cに示すように、要素130の肩部132は要素120の肩部122、特に外側領域に直接載置され、スラブ127は肩部122の内側領域に載置される。
【0041】
下部被覆要素120、特にフラットスラブ127は基板支持サセプタ150のディスク152を受容するように適合された(大きい)中央孔124を有し、孔の直径およびディスクの直径はわずかに(例えば、2~20mm)異なり、関連する間隙は、空間102を出て壁127と壁117との間の空間に入る反応ガスの小さい流れによって横断される。これは、特に図4および図5において見ることができる。
【0042】
底部被覆要素120は中央孔124の直径よりもわずかに大きい(例えば、2~20mm)幅を有する。
【0043】
下部被覆要素120は平坦なスラブの2つの対向する長手方向縁部に長手方向肩部122を有し、および/または中央穴124に横方向肩部123を有する(例えば、図6および図7を参照されたい)。なお、ショルダ123はショルダ122に接合されない(間隔がある)ので、ガスの循環のための全くデッドスペースがなく、これにより、要素120の製造、特にその構成要素の溶接が容易になる。
【0044】
チャンバ80の下壁105には、基板支持サセプタ150の回転シャフト154を通過させるように適合された(小さい)穴109があり、穴の直径およびシャフトの直径はわずかに異なる(例えば、2~20mm)。
【0045】
例えば、水素のガス流をサセプタ150の回転シャフト154から反応チャンバ内に注入して、孔109および114の領域をわずかな過圧下に置いて、反応ガスがキャビティ101から、特に空間102および空間103から、ならびに壁127と壁117との間の空間から漏出するのを防ぐことが有利である。
【0046】
図5および図6および図7から、本実施形態によれば、要素120の肩部122は、それらの中間領域、特に孔124の中心を通過する横断面においてわずかに薄くなっていることが分かる。この例では、最大薄化点が上流部と下流部とが接触する点である。図1C図2を比較することによって、肩部122の断面の違いを見ることもできる。
【0047】
この第1の実施形態の図から、空間102はシャフト154と壁117の孔114の周囲との間の小さい(例えば、2~20mm)間隙を除いて、非常によく絶縁されていることが明らかである。
【0048】
第1の実施形態によれば、反応チャンバの要素は、例示的かつ非限定的な目的として、以下の寸法を有することができる:
図1Aの要素106および108の長さ(すなわち、部屋80の高さ):75mm、
図1Aの要素105および107の長さ(すなわち、チャンバ80の幅):800mm、
図1Aの要素105~108の厚さ: 8mm、
図1Bの要素132の長さ:50mm、
図1Bの要素137の長さ:780mm、
図1Bの要素132および137の厚さ: 3mm、
図1Bの要素122の長さ:20mm、
図1Bの要素127の長さ:780mm、
図1Bの要素122の厚さ:40mm、
図1Bの要素127の厚さ:3mm、
図1Bの要素117の長さ:780mm、
図1Bの要素117の厚さ:3mm、
図4の要素106および108の長さ(すなわち、チャンバ80の長さ):1100mm、
要素152の直径:720mm、
孔の直径124:740mm。
【0049】
図3図8を参照すると、第1の高さ(すなわち、図3の高さ)は壁137の上面よりもわずかに高い平面に対応し、第2の高さ(すなわち、図4の高さ)は壁137と壁127との間の中間平面に対応し、第3の高さ(すなわち、図5の高さ)は壁127を通る平面に対応し、第4の高さ(すなわち、図6の高さ)は壁127の下面よりもわずかに低い平面に対応し、第5の高さ(すなわち、図7の高さ)は壁117の上面よりもわずかに高い平面に対応し、第6の高さ(すなわち、図8の高さ)は壁117を通る平面に対応することが明記されるべきである。これらの図において、断面ハッチングは、視覚的に明確にするために省略されていることに留意されたい。
【0050】
図9および図10は、本発明による反応チャンバの第2の実施形態200を示す。
【0051】
この第2の実施形態はチャンバにおいてのみ第1の実施形態とは異なり、実際、チャンバ280は、チャンバ80とはいくぶん異なる。
【0052】
チャンバ280は、チャンバ80の石英に正確に対応する石英で作られた箱形要素281を含む。
【0053】
箱形要素281は第1の実施形態のシステム90と同一(または類似)であり得る、被覆システムが収容される、箱形でもあるキャビティを備え、図9では被覆システムの構成要素110、120、および130がシステム90の構成要素と同じ参照番号で示されている。
【0054】
チャンバ280は、要素281の長手方向端部に2つのフランジ282および283を有する。2つのフランジは、それぞれ、チャンバキャビティに入る反応ガスおよびチャンバキャビティから出る排気ガスのための開口部を有する。
【0055】
この第2の実施形態では被覆システムの要素が少なくとも部分的にフランジ開口部に入るまで延在するが、これらの開口部から突出しない。
【0056】
チャンバ280は上部外面上に2つの隔壁286および287を有し、その機能は以下に説明される、これらはチャンバ280の長手方向に対して横方向に延在し、形状が湾曲され、この形状は、被覆システムによって画定される内部空間内のサセプタディスクの形状を実質的に反映する。
【0057】
チャンバ280はサセプタまたは基板の温度を測定するように適合された透明窓(例えば、10~20mm幅)をその上壁に有する。
【0058】
図10では、チャンバ280が反応器または同等の液体の動作中に水で満たされる(好ましくは脱塩される)ように適合されたキャビティ301を備えたタンク300に関連して示されている。
【0059】
チャンバ280はチャンバの内面がタンク300のキャビティ301に面するように、タンク300に取り付けられ、特に、フランジ282および283はタンク300の外側にあり、タンク300の垂直壁に実質的に隣接する。
【0060】
図10に概略的に示すように、使用時には、キャビティ301内の水位がチャンバ280の下面にわずかに接触し、それを少量、例えば1~10mm上回って冷却するような水位である。典型的には、そのような水は循環され、冷却される。
【0061】
チャンバ280の下面では、冷却が部分的には気体流(典型的には空気流)によって、部分的には液体流(典型的には好ましくは脱塩水の流れ)によって得られる。
【0062】
液体の流れは2つの隔壁286と287との間で発生し、最終的に、チャンバ280の上壁の縁部から下方にカスケード接続するタンク300のキャビティ301内に達し、これは図10の矢印によって概略的に示される。ガス流は、他の場所で発生する。
【0063】
図10には示されていないが、キャビティ301内にインダクタ(適切に電気的に絶縁されている)が配置され、被覆システムによって画定された内部空間内に配置された少なくとも1つのサセプタディスクを電磁誘導によって加熱する;例えば、特許文献WO2018083582を参照することができる。
【0064】
以上から、本発明による反応チャンバは、特にシリコン基板上にシリコンを成長させるためのエピタキシャル反応器に適用することができることが理解される。
【0065】
本発明の1つ以上の技術的特徴は有利には同じ出願人の先の発明の1つ以上の技術的特徴、例えば、参照により本明細書に組み込まれる国際特許出願WO2016001863、WO2017137872、WO2017163168、WO2018065852およびWO2018083582に記載および示されているものと組み合わせることができる。
【0066】
さらなる態様によれば、本発明は正確には反応チャンバの内側被覆要素、すなわち、例えば、図1に示される被覆システム90を参照して、被覆システムを構成する構成要素に関し、被覆要素は、110、120、130と呼ばれる。有利には、これらの要素の各々が全体が石英で作られてもよい。有利にはこれらの要素の各々がこれらの構成要素が組み立てられ、嵌合されるときに被覆システムを形成するように特に適合される、それ自体の構成(図1では3つの異なる構成および3つの異なるサイズを有する)を有する可能性がある。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【国際調査報告】