(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-24
(54)【発明の名称】ループ付きセルクラージュを含む外科用システムおよび方法
(51)【国際特許分類】
A61B 17/68 20060101AFI20240517BHJP
【FI】
A61B17/68
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023573640
(86)(22)【出願日】2022-05-03
(85)【翻訳文提出日】2023-11-29
(86)【国際出願番号】 US2022027409
(87)【国際公開番号】W WO2022256104
(87)【国際公開日】2022-12-08
(32)【優先日】2021-06-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514290052
【氏名又は名称】アースレックス インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】ARTHREX, INC.
【住所又は居所原語表記】1370 Creekside Blvd, Naples, FL 34108, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】アレン・ホロウェッキー
(72)【発明者】
【氏名】アンドリュー・アール・カラン
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160LL37
(57)【要約】
本開示は、肩峰鎖骨(AC)関節の治療に有用な外科用システムおよび方法を詳述する。一実施例において、開示されたシステムは、烏口突起に対して提供される、かつループを含むセルクラージュを含む。その実施例において、鎖骨は、鎖骨のループを通過した縫合糸を含む鎖骨固定アセンブリを使用して、烏口突起に対して保持される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
肩峰鎖骨(AC)関節の治療のために構成されたシステムであって、
烏口突起の周りに配置されるように構成されたセルクラージュであって、前記セルクラージュがループを含む、セルクラージュ、を備えるシステム。
【請求項2】
前記セルクラージュが、第一の縫合糸ストランドによって提供されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記ループも、前記第一の縫合糸ストランドによって提供されている、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
第一の縫合糸ストランドが折り畳まれていて、折り畳まれた端と、前記折り畳まれた端の反対側の第一および第二の自由端とを含み、
前記ループが、前記折り畳まれた端に隣接する、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
プルスルーループも、前記折り畳まれた端に隣接して提供されていて、
前記第一および第二の自由端を継続的に引っ張ることで、前記烏口突起の外表面に対して前記セルクラージュを締め付けるように、前記第一および第二の自由端が、前記プルスルーループを通して引っ張られるように構成されている、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
プルスルー縫合糸が、前記プルスルーループの中に予め装填されていて、
前記プルスルー縫合糸が、第一のエンドループと、前記第一のエンドループの反対側の第二のエンドループとを含み、
前記第一および第二のエンドループのうちの一つが、前記第一および第二の自由端を受容するように構成されていて、
ユーザーが力を加え、前記プルスルーループを通して前記第一および第二の自由端を引っ張ることができるように、前記第一および第二のエンドループのうちの他方が構成されている、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記ループが、前記第一の縫合糸ストランドに取り付けられた別個の構造によって提供されている、請求項2に記載のシステム。
【請求項8】
前記別個の構造が剛直な小穴である、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記別個の構造が、前記第一の縫合糸ストランドに縫い込まれている、請求項7に記載のシステム。
【請求項10】
前記烏口突起に対して鎖骨を保持するように構成された鎖骨固定アセンブリであって、前記鎖骨固定アセンブリの一部分が、前記ループを通過するように構成されている、鎖骨固定アセンブリ、をさらに備える、請求項2に記載のシステム。
【請求項11】
前記鎖骨固定アセンブリが第二の縫合糸ストランドを含み、前記第二の縫合糸ストランドが、前記ループを通過し、前記鎖骨に取り付けられるように構成されている、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
肩峰鎖骨(AC)関節の治療方法であって、
セルクラージュがループを含むように、烏口突起の周りに前記セルクラージュを提供することと、
鎖骨固定アセンブリの一部分を前記ループに通すことと、を含む、方法。
【請求項13】
前記セルクラージュが、第一の縫合糸ストランドによって提供されている、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記ループも、前記第一の縫合糸ストランドによって提供されている、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
折り畳まれた端と第一および第二の自由端とを第一の縫合糸ストランドに提供するために、前記第一の縫合糸ストランドを折り畳むことと
前記ループを提供するために、前記折り畳まれた端に隣接する前記第一の縫合糸ストランドを結ぶことと、をさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記折り畳まれた端に隣接するプルスルーループを提供するために、前記第一の縫合糸ストランドを結ぶことと、
前記烏口突起の外表面に対して前記セルクラージュを締めるために、前記第一および第二の自由端を前記プルスルーループを通して引っ張ることと、をさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記ループが、前記第一の縫合糸ストランドに取り付けられた別個の構造によって提供されている、請求項13に記載の方法。
【請求項18】
前記鎖骨固定アセンブリの一部分を鎖骨に取り付けることをさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項19】
前記鎖骨固定アセンブリの前記一部分が、第二の縫合糸ストランドを含み、前記第二の縫合糸ストランドに力を加えることによって、前記鎖骨を前記烏口突起に対して位置付ける一工程をさらに含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
方法であって、
前記セルクラージュがループを含むように、第一の骨の周りにセルクラージュを提供することと、
縫合糸ストランドを前記ループに通すことと、
前記縫合糸ストランドに張力をかけることと、
前記第一および第二の骨の相対的位置を保持するために、前記縫合糸ストランドを第二の骨に対して固定することと、を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
骨折した骨片の相対的位置を維持して治癒を促進するために、時としてセルクラージュが使用される。公知のセルクラージュには、ケーブル(すなわち、ワイヤ)または布などが含まれ、骨折した骨の周りにケーブルまたは布を巻くことによって提供される。巻いた後、ケーブルまたは布は、プラグまたはクリップなどで、骨に対して定位置に固定される。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0002】
本開示は、ループ付きセルクラージュを含む外科用システムおよび方法を詳述する。システムおよび方法は、様々な変位した、脱臼した、切断された、および/または骨折した骨の治療に有用である。システムおよび方法は、肩峰鎖骨(AC)関節の治療に有用である。一実施例において、開示されたシステムは、烏口突起に対して提供される、かつループを含むセルクラージュを含む。その実施例において、鎖骨は、鎖骨のループを通過した縫合糸を含む鎖骨固定アセンブリを使用して、烏口突起に対して保持される。
【0003】
セルクラージュは、烏口突起などの骨の周りに提供される別個の専用アセンブリであり、ループを介して、鎖骨固定アセンブリなどの他のアセンブリに接続可能である。このように、ループを介してセルクラージュに接続されたアセンブリは、セルクラージュから独立して調整されることができる。さらに、一実施例において、鎖骨固定アセンブリを使用して鎖骨が位置付けられる前に、セルクラージュを烏口突起の周りに設置することができる。このようにして、鎖骨は、外科医がセルクラージュと鎖骨固定アセンブリの同時設置のバランスを取る必要なく、縫合糸をセルクラージュのループに通すか、または摺動させることによって位置付けられることができる。
【0004】
本開示の例示的な一態様による肩峰鎖骨(AC)関節の治療のために構成されたシステムはとりわけ、烏口突起の周りに配置されるように構成されたセルクラージュを含む。セルクラージュはループを含む。
【0005】
本開示の例示的な一態様による肩峰鎖骨(AC)関節の治療のための方法はとりわけ、セルクラージュがループを含むように烏口突起の周りにセルクラージュを提供することと、鎖骨固定アセンブリの一部分をループに通すこととを含む。
【0006】
本開示の例示的な一態様による別の方法はとりわけ、セルクラージュがループを含むように第一の骨の周りにセルクラージュを提供することと、縫合糸ストランドをループに通すことと、縫合糸ストランドに張力をかけることと、第一および第二の骨の相対的位置を保持するために縫合糸ストランドを第二の骨に対して固定することとを含む。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、肩、特に断裂した靭帯を伴う肩峰鎖骨(AC)関節の部分図を図示する。
【
図2】
図2は、
図1と同様の、肩の図を図示するが、
図2において、AC関節を治療するための例示的なシステムが設置されている。
【
図3】
図3は、
図2のAC関節を治療するためのシステムの部分拡大図である。
【
図4】
図4は、例示的な方法の一工程を図示し、特に、ヒッチノットを使用してプルスルー縫合糸に対して結ばれた縫合糸を図示する。
【
図5】
図5は、例示的な方法の一工程を図示し、特に、第一の止め結びに結ばれている縫合糸を図示する。
【
図6】
図6は、例示的な方法の一工程を図示し、特に、第二の止め結びに結ばれている縫合糸を図示する。
【
図7】
図7は、例示的な方法の一工程を示し、特に、自由端がプルスルー縫合糸のループに挿入されている縫合糸を示す。
【
図8】
図8は、例示的な方法の一工程を示し、特に、自由端がヒッチノットを通して引っ張られるように、プルスルー縫合糸の別のループに力が加えられているところを図示する。
【
図9】
図9は、背面から見た胸椎を含む身体の一部分を図示し、特に、肩甲骨癒着を提供するためのシステムを図示する。
【
図10】
図10は、
図9と同じ身体の一部分を図示し、特に、肋骨の滑りまたは骨折を治療するための別のシステムを図示する。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本開示は、肩峰鎖骨(AC)関節の治療に有用なシステムおよび方法を詳述する。
図1は、肩部の例示的な図であり、特に、烏口突起12と、烏口突起12の上方の鎖骨14とを含むAC関節10を図示する。健康なAC関節において、烏口鎖骨靱帯16、18は、烏口突起12を鎖骨14に接続する。AC関節10は、鎖骨14に対して横方向の肩峰20をさらに含み、健康なAC関節10において、肩峰20は肩峰鎖骨靭帯22によって鎖骨14に接続されている。
図1において、靭帯16、18、22の各々は、完全に断裂していて、そのため、鎖骨14は、それらの靭帯が断裂していない健康なAC関節に対して所定の位置から外れている。三つの完全に断裂した靭帯が
図1に示されている一方で、本開示は、摩耗した、部分的に断裂した、または完全に断裂した一つ以上の靭帯を有するAC関節など、他の欠陥を有するAC関節の治療に有用である。さらに、本開示をAC関節の文脈外で使用することができ、特に、胸骨閉鎖、肩甲骨癒着(
図9)、または骨折または脱臼した肋骨(
図10)の治療に使用することができる。
【0009】
図2は、AC関節10を治療するように構成されたシステム24を図示する。
図2において、システム24は、AC関節10に対して取り付けられていて、靭帯16、18、22が断裂していない健康なAC関節の位置に実質的に類似した位置に鎖骨14を保持する。
【0010】
システム24は、烏口突起12の周りに配置されたセルクラージュ26と、烏口突起12に対して鎖骨14を定位置に保持するように構成された鎖骨固定アセンブリ28とを含む。さらに、セルクラージュ26はループ30を含み、鎖骨固定アセンブリ28の一部分は、ループ30を通過するように構成されている。この実施例において、鎖骨固定アセンブリ28は、ループ30を通過する少なくとも一つの縫合糸ストランド32と、鎖骨14の中に挿入可能である、かつ縫合糸32を保持し、それによって鎖骨14を定位置に保持するように構成された固定装置34(Arthrex, Inc.が市販するPushLock(登録商標)またはSwiveLock(登録商標)のアンカーなど)とを含む。縫合糸32は、アンカー以外の固定装置34を使用して、または別の技法を完全に使用して、鎖骨14に対して固定されてもよい。縫合糸32は、複数の縫合糸ストランドを含んでもよい。縫合糸32はまた、肩峰20に取り付けられている一つ以上の縫合糸ストランドを含んでもよい。これに関して、鎖骨固定アセンブリ28という用語は、肩峰などの他の骨に接続された縫合糸を含む。
【0011】
図3は、烏口突起12に対して配置されたシステム24の部分拡大図である。示される通り、セルクラージュ26は、烏口突起12の周りに配置されている。セルクラージュ26は、烏口突起12の外表面に対してしっかりと締められ、直接接触する。セルクラージュ26は、烏口突起12の周り全体に延在する。この実施例において、セルクラージュ26は、縫合糸ストランド36で作製されている。
【0012】
一実施例において、セルクラージュ26を形成する縫合糸36は、Arthrex, Inc.のFiberTape(登録商標)などの高強度の編組縫合糸である。縫合糸36は、複数の超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)の編組繊維およびポリエステルの繊維で形成されたマルチフィラメントカバーを含んでもよい。カバーは、超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)の撚り合わせた繊維で形成されたコアを囲んでもよい。しかしながら、他のタイプの縫合糸が本開示の範囲内にある。
【0013】
図3において、鎖骨固定アセンブリ28の縫合糸32は、三つの縫合糸ストランド32A~32Cを含み、その各々はループ30を通過する。縫合糸ストランド32A~32Cは、セルクラージュ26または別のタイプの縫合糸と同じタイプの縫合糸で作製されてもよい。三つの縫合糸ストランド32A~32Cの各々は、固定装置34などの固定装置を使用して、張力がかけられていて、セルクラージュ14または肩峰20のいずれかに固定されている。
【0014】
図3の実施例において、十字自体の周りで曲がる曲線によって生成された形状であるループ30は、縫合糸36を少なくとも一つの結び目で結ぶことによって形成されている。このようにして、セルクラージュ26とループ30は両方とも、縫合糸36で形成されていて、ループ30はセルクラージュ26と一体的に形成されている。ループ30は、別個の構造によって提供される可能性があるが、これは、セルクラージュに縫い込まれることによって、または何らかの他の取り付け技法を使用することによって、セルクラージュ26に取り付けられてもよい。一実施例において、高強度の剛直なポリマーで作製された剛直な小穴は、縫合糸36に縫い込まれていて、セルクラージュ26にループ30を提供する。別の実施例において、貫通孔は、パンチングなどによって縫合糸36に形成されてもよく、貫通孔はループ30を提供してもよい。小穴または縫い目は、貫通孔の境界を提供してもよい。
【0015】
烏口突起12の周りにセルクラージュ26を配置した後、セルクラージュ26は締め付けられ、ループ30は烏口突起12の上方部分の近くに配置され、結び目38は、セルクラージュ26を定位置に保持するように結ばれている。結び目38は、外科結びを含む、一つ以上の既知のタイプの結び目を含んでもよい。縫合糸ストランド32A~32Cは、ループ30を自由に通過して、鎖骨14および/または肩峰20を位置付けることができる。
【0016】
セルクラージュという用語は、骨折した骨をまとめて結合する材料のリングまたはループを指すために使用されることが多い一方で、セルクラージュ26はこの実施例において、健康な烏口突起12に対して配置されている。セルクラージュ26自体は、烏口突起12の周りに配置されたリングまたはループ(これは追加のループ30を含む)であり、これは、鎖骨14および/または肩峰20の位置を維持して、それを治療および/または安定化するために使用される。本開示におけるセルクラージュという用語の使用は、セルクラージュ(締結)されている骨が骨折していることを意味しない。
【0017】
ここで、ループ30を形成することを含む、烏口突起12に対してセルクラージュ26を提供する例示的な方法を説明する。外科医は、方法の一部または全体を実行してもよい。方法の一つ以上の工程は、製造業者または外科助手によって実施されてもよい。方法は、関節鏡視下手術中に部分的または完全に実施されてもよい。
【0018】
図4を参照すると、セルクラージュ26に使用される縫合糸36が提供されていて、プルスルー縫合糸40に対して配置されている。プルスルー縫合糸40は、第一のエンドループ42と、第一のエンドループの反対側の第二のエンドループ44とを含む。主セクション46は、第一および第二のエンドループ42、44を接続する。プルスルー縫合糸40は、モノフィラメント縫合糸などの縫合糸ストランドによって提供されてもよく、一つの実施例において、縫合糸36よりも細い縫合糸である。第一および第二のエンドループ42、44は、主セクション46に対して繋ぎ合わせるおよび/または縫い合わせることによって提供されてもよい。プルスルー縫合糸40の使用を以下に説明する。プルスルー縫合糸40は、設置されたままのセルクラージュ26の一部を形成せず、その代わりに、セルクラージュ26を設置するプロセス中にのみ使用される。
【0019】
図4において、縫合糸36は、折り畳まれた端48と第一および第二の自由端50、52とを提示するように折り畳まれている。縫合糸36は、この実施例において、プルスルー縫合糸40の主セクション46の周りでカウヒッチノット53に結ばれている。しかしながら、カウヒッチノットが言及されている一方で、他のタイプのヒッチノットなどの他のタイプの結び目が使用されてもよい。カウヒッチノット53は、主セクション46に隣接するプルスルーループ54を縫合糸36が提示するように配置されている。この工程は、術前に、または烏口突起12の周りに縫合糸36を巻く前に行われてもよいため、プルスルー縫合糸40に対してカウヒッチノット53を結ぶことは、プルスルーループ54へのプルスルー縫合糸40のプレローディングと呼ばれる場合がある。
【0020】
次に、縫合糸36は、ループ30を提供するために結ばれている。示される通り、縫合糸36は、折り畳まれた端48と第一および第二の自由端50、52との間に二つの長さを提示する。
図5に表される通り、長さはまとめて保持され、同時に(一つに)第一の止め結び56に結ばれている。別のタイプの結び目が使用されてもよい。第一の止め結び56は、縫合糸36の二つの長さによって提供された開口部58を提示するように緩く保持されていて、これは最終的にループ30の開口部を形成することになる。この点に関してループ30は、縫合糸36の二つのループ長さによって提供されていて、これは鎖骨固定アセンブリ28に堅牢な接続点を提供する。
【0021】
次に、
図6に表される通り、別の結び目が第一の止め結び56に隣接して結ばれている。
図6において、第二の止め結び60が結ばれている。第二の止め結び60は、第一の止め結び56に隣接して完全に締め付けられていて、開口部58を定位置に保持し、その結果、開口部58、および次にループ30が閉じることが防止される。それ故に、鎖骨固定アセンブリ28の縫合糸などの追加の縫合糸は、ループ30を通過することができる。
【0022】
上述の通り、方法の一つ以上の工程は、手術の前に実施されてもよい。特定の一実施例において、
図4~
図6によって表された工程は、外科助手または製造業者によって術前に実施されてもよい。
【0023】
図4~
図6の構築物が形成されると、第一および第二の自由端50、52は、
図7に一般的に示される通り、手術中に烏口突起12の周りを通過する。次に、第一および第二の自由端50、52は、第一のエンドループ42または第二のエンドループ44のうちの一つに挿入される。
図7において、第一および第二の自由端50、52は両方とも第二のエンドループ44に挿入されている。次に、
図8に表される通り、外科医は、第一のエンドループ42に力を加えて、プルスルーループ54を通して第二のエンドループ44を引っ張り、次に第一および第二の自由端50、52を引っ張る。次いで第一および第二の自由端50、52は、同じ方向にさらに引かれて、烏口突起12の周りでセルクラージュ26を締め付ける。次いで結び目38が必要に応じて結ばれ、余分な部分が切り取られる。
【0024】
次いでセルクラージュ26が定位置にある状態で、鎖骨固定アセンブリ28は、縫合糸32をループ30に通すことと、縫合糸32に張力をかけて鎖骨14および/または肩峰の所望の位置を提供することと、鎖骨14および/または肩峰20に対して少なくとも一つの縫合糸32を定位置に固定することとなどによって、設置されてもよい。例示的な方法を説明してきたが、本開示は、上述の方法の変形に拡張される。
【0025】
上述の通り、本開示をAC関節の文脈外で使用することができる。
図9および
図10は、二つのこうした実施例を図示する。
図9および
図10は、システム24に類似するシステム124を図示し、同様の部品には符号の頭に「1」が付加されている。システム124は、胸椎に隣接する骨に対して使用される。
【0026】
図9を参照すると、セルクラージュ126は、肩甲骨162に対して提供されている。セルクラージュ126は、肩甲骨162内に開けられてもよい穴164を通して提供されていて、肩甲骨162の内側縁166の周りに巻かれている。セルクラージュ126は、ループ130が内側縁166の内側に突出するように配置されている。セルクラージュ126は、上述の技法と類似した、かつ
図4~
図8に対して示された技法を使用して形成および定置されている。複数の縫合糸ストランド132A、132B、132Cを含む固定アセンブリ128は、肩甲骨162に張力を加えるために、かつ肩甲骨162を肋骨168A、168B、168Cに対して保持し、それによって肩甲骨癒着を提供するために使用される。
【0027】
別の実施例において、システム124は、肋骨の滑りまたは骨折を治療するために使用されてもよい。
図10を参照すると、システム124は、滑りまたは骨折のいずれかの状態にある肋骨168Dの周りに提供されたセルクラージュ126を含む。セルクラージュ126は、上述された、かつ
図4~8に対して示された技法と類似した技法を使用して、形成および定置されていて、またセルクラージュ126は、固定アセンブリ128が取り付けられることになる他の健康な肋骨168B、168Cに向かう方向(ここでは、上方向)で、ループ130が肋骨168Dから突出するように、肋骨168Dの周りに配置されている。この実施例において、固定アセンブリ128は、ループ130を通過する、かつ肋骨168B、168Cのうちのそれぞれ一つに取り付けられた二つの縫合糸ストランド132A、132Bを含む。肋骨168B、168Cに取り付けられる前に、縫合糸ストランド132A、132Bは、治癒を促進するために肋骨168Dを所望の位置に位置付けるように張力がかけられる。
【0028】
当然のことながら、上側、内側、外側などの方向用語は本明細書において、それらの当技術分野で許容される意味と一致して使用される。これらの用語は別の方法で、意味が限定的であると見なされるべきではない。
【0029】
異なる実施例は、説明図に示される特定の構成要素を有するものの、本開示の実施形態は、それらの特定の組み合わせに限定されない。それら複数の実施例のうちの一つの実施例からの構成要素または特徴の一部を、それら実施例のうちの別の実施例の特徴または構成要素と組み合わせて使用することが可能である。加えて、本開示に付随する様々な図は、必ずしも実寸に比例していなく、また一部の特徴は、特定の構成要素または配置の、ある特定の詳細を示すために誇張または最小化されている場合がある。
【0030】
当業者であれば、上述の実施形態が例示的かつ非限定的であることを理解するであろう。すなわち、本開示の修正は、特許請求の範囲内に含まれることになる。その結果、以下の特許請求の範囲を検討して、その真の範囲および内容を判断するべきである。
【国際調査報告】