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特表2024-520587エトフメセートおよび薬害軽減剤を含む組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-24
(54)【発明の名称】エトフメセートおよび薬害軽減剤を含む組成物
(51)【国際特許分類】
   A01N 43/12 20060101AFI20240517BHJP
   A01P 13/00 20060101ALI20240517BHJP
   A01N 43/56 20060101ALI20240517BHJP
【FI】
A01N43/12 A
A01P13/00
A01N43/56 E
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023574122
(86)(22)【出願日】2022-05-31
(85)【翻訳文提出日】2024-01-29
(86)【国際出願番号】 EP2022064793
(87)【国際公開番号】W WO2022253845
(87)【国際公開日】2022-12-08
(31)【優先権主張番号】21177454.2
(32)【優先日】2021-06-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】313006625
【氏名又は名称】バイエル・アクチエンゲゼルシヤフト
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【弁理士】
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【弁理士】
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100143823
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 英彦
(74)【代理人】
【識別番号】100183519
【弁理士】
【氏名又は名称】櫻田 芳恵
(74)【代理人】
【識別番号】100196483
【弁理士】
【氏名又は名称】川嵜 洋祐
(74)【代理人】
【識別番号】100160749
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100160255
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【弁理士】
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100127812
【弁理士】
【氏名又は名称】城山 康文
(72)【発明者】
【氏名】アウラー,トーマス
(72)【発明者】
【氏名】トーセンス,エルヴェ
(72)【発明者】
【氏名】カナル,ロベール
(72)【発明者】
【氏名】バートレット,マーク
(72)【発明者】
【氏名】パーソンズ,クリス
【テーマコード(参考)】
4H011
【Fターム(参考)】
4H011AB01
4H011BA03
4H011BB08
4H011BC09
4H011DA21
4H011DB05
4H011DD03
(57)【要約】
本発明は主に、作物植物、特にコムギまたはオオムギなどの穀類の保護における、(i)式(I)によるエトフメセートおよび(ii)薬害軽減剤を含む特定の除草性組成物(の使用)に関する。本発明はまた、農業分野における、および有害植物を防除するための前記組成物の使用に関する。本発明はさらに、対応する方法に関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
除草性組成物であって、
(i)エトフメセート
及び
(ii)1つ以上の薬害軽減剤
を含み、成分(i)及び(ii)が、組成物の総重量に基づいて、6:1~1:4の範囲内の比で存在し、成分(i)が、唯一の除草活性成分であることを特徴とする、前記組成物。
【請求項2】
成分(ii)が、メフェンピル-ジエチルまたはクロキントセット-メキシルを含むか、またはそれらからなることを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
成分(i)及び(ii)が、前記組成物中に存在する唯一の農薬活性化合物であることを特徴とする、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
成分(i)の総量対成分(ii)の総量の重量比が、それぞれ組成物の総量に基づいて、4:1~1:2の範囲、好ましくは3:1~1:2の範囲内にあることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
成分(i)の総量対成分(ii)の総量の重量比が、それぞれ組成物の総量に基づいて、5:2~1:2の範囲、好ましくは5:2~1:1の範囲内にあることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
作物保護において慣用の製剤補助剤及び製剤添加剤からなる群から選択される1つ以上のさらなる成分をさらに含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
作物植物、好ましくは穀類作物植物、特にコムギ作物植物またはオオムギ作物植物の保護のための、請求項1~6のいずれか一項に記載の組成物の使用。
【請求項8】
前記組成物が、穀類植物、特にコムギ作物植物またはオオムギ作物植物に出芽後に施用されることを特徴とする、請求項7に記載の使用。
【請求項9】
請求項1~6のいずれか一項に記載の組成物が、望ましくない植生、または作物植物が生育しているか、または生育するのであろう領域に施用されることを特徴とする、望ましくない植生を防除する方法。
【請求項10】
前記組成物が、前記作物植物に出芽後に、好ましくは、穀類作物植物に出芽後に施用されることを特徴とする、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記組成物が、エトフメセートの量が、700g/ha~50g/haの範囲、好ましくは600g/ha~50g/haの範囲、より好ましくは500g/ha~100g/haの範囲、最も好ましくは300g/ha~100g/haの範囲内にあるように施用されることを特徴とする、請求項7~10のいずれか一項に記載の使用または方法。
【請求項12】
前記組成物が、穀類作物植物のBBCH成長段階13の前に、好ましくはBBCH成長段階09、10、11及び/または12において、出芽後に穀類作物植物に施用されることを特徴とする、請求項7~11のいずれか一項に記載の使用または方法。
【請求項13】
前記作物植物が、コムギ作物植物またはオオムギ作物植物であることを特徴とする、請求項7~12のいずれか一項に記載の使用または方法。
【請求項14】
前記作物植物が、デュラムコムギ(Tritricum durum)、パンコムギ(Tritricum aestivum)及びオオムギ(Hordeum vulgare)からなる群から選択されることを特徴とする、請求項7~13のいずれか一項に記載の使用または方法。
【請求項15】
好ましくは穀類作物における、特にコムギ作物植物またはオオムギ作物植物における、エトフメセートのための薬害軽減剤としてのメフェンピル-ジエチルまたはクロキントセット-メキシルの使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は主に、(i)式(I)によるエトフメセートおよび(ii)薬害軽減剤(作物植物、特にコムギまたはオオムギなどの穀類、の保護における)を含むある種の除草性組成物(の使用)に関する。本発明はまた、農業分野における、および有害植物を防除するための前記組成物の使用に関する。本発明はさらに、対応する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
下記式(I)のエトフメセート(ethofumesate)(IUPAC名 2-エトキシ-2,3-ジヒドロ-3,3-ジメチルベンゾフラン-5-イル メタンスルホネート)は、公知のベンゾフラン除草剤である。それは、様々な作物、特にサトウダイコン、におけるイネ科雑草(grass weed)および広葉雑草防除のために出芽前および出芽後に使用される。
【0003】
【化1】
【0004】
EP0 113 169A2は、(a)キザロホップ(quizalafop)、またはその塩もしくはエステル、および(b)ベナゾリンまたはその塩もしくはエステル、および/またはエトフメセートの組み合わせに基づく相乗活性を有する除草剤混合物を教示している。
【0005】
WO2008/075065A2は、除草剤としてエトフメセートを含む組成物を使用することによるコムギ作物の保護に関しており、ここで、前記組成物は、特にZCK 13の前ではなく、出芽前または出芽後のいずれかでコムギ作物に施用され、前記組成物は、約50g/ha~約800g/haの量のエトフメセートが施用されるようにコムギに施用される。
【0006】
WO2020/078874A1は、エトフメセートとビクスロゾンとの組み合わせに基づく除草剤の組み合わせを開示しており、これは、任意に薬害軽減剤またはさらなる除草剤を含む。
【0007】
Weed Science,1975,Vol.23,409-413は、とりわけ、2.2~9.0kg/haの施用量で、植え付けの3週間前に施用されたエトフメセートの施用量に比例してトウモロコシの収量が減少し、温室研究において、オオムギおよびコムギは、トウモロコシよりもエトフメセートの土壌残留物に対して約10倍感受性であったことを観察した。
【0008】
Weed Science,1977,Vol.25,252-255は、イタリアンライグラス(Lolium multiflorum Lam.)種子畑において、0.8~4.5kg/haで発芽前または発芽後早期に施用されたエトフメセートが、スズメノカタビラ(annual bluegrass)(Poa annua L.)を排除したことを報告している。
【0009】
Weed Science,1980,Vol.28,292-294は、圃場試験において、0.6~4.5kg/haの施用量で、秋に植え付けられたペレニアルライグラス(Lolium perenne L.)における自生のコムギ(Triticum aestivum L.)の防除を評価した。1~3葉期のコムギに1.7kg/ha以上で施用されたエトフメセートは、コムギを排除した。エトフメセートを植え付け直後の出芽前に施用した場合、または4葉~4分げつ期のコムギに11月末に施用した場合、コムギは排除されなかった。
【0010】
Weed Science,1981,Vol.29,712-717は、乾燥土に施用されたエトフメセートの出芽前活性に対する潅漑前の期間の影響と、その後の潅漑およびスイートコーンまたはフユコムギのいずれかの群生の確立について報告する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】欧州特許出願公開0113169号明細書
【特許文献2】国際公開2008/075065号
【特許文献3】国際公開2020/078874号
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】Weed Science,1975,Vol.23,409-413
【非特許文献2】Weed Science,1977,Vol.25,252-255
【非特許文献3】Weed Science,1980,Vol.28,292-294
【非特許文献4】Weed Science,1981,Vol.29,712-717
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
有害植物または望ましくない植生を防除するための、これまで知られている除草性作物保護剤(除草剤)およびその組成物はとりわけ、(a)それらが特定の有害植物に対して除草活性を有さないか、または不十分な除草活性を有すること、(b)除草剤で防除することができる有害植物の範囲が十分に広くないこと、(c)作物における除草剤の選択性および作物との適合性が低すぎることにより、作物の望ましくない損傷および/または望ましくない収穫収量の低下を引き起こすこと、(d)初期除草活性が許容されないか、または十分に強くないこと、および/または(e)除草活性が十分に長く持続しないこと、といういくつかの欠点を有する。このため、少なくともいくつかの領域において、公知のものを超える利点を有する新規な除草性組成物を開発することが常に必要とされている。
【0014】
驚くべきことに、エトフメセートを含む特定の組成物は、改善された作物適合性、すなわち、特に、コムギまたはオオムギなどの穀類、特に、フユコムギおよびフユオオムギなどの穀類作物において、低い作物損傷を示すことが今回見出された。
【0015】
本発明は主に、薬害軽減剤が、作物植物(作物)、すなわち所望の植物、特に穀類のような単子葉作物植物、特に作物植物のBBCH13前の成長段階での出芽後初期における、特にコムギ作物植物およびオオムギ作物植物、特にフユコムギ作物植物およびフユオオムギ作物植物において、エトフメセートによって引き起こされる作物損傷を低減することができるという観察に基づく。
【0016】
エトフメセートによって作物植物に引き起こされ得る作物損傷を低減するための薬害軽減剤の使用は、これまで報告されておらず、薬害軽減剤が、典型的には特定の除草剤に対してのみおよびそれらと組み合わせでのみまたは時には構造的に類似の除草剤クラスに対してのみ、その薬害軽減効果を示すことからすると、驚くべきことである。
【0017】
例えば、薬害軽減剤のメフェンピル-ジエチルは、メソスルフロンおよびヨードスルフロンのようなALS阻害剤、ならびにそのエステルおよび塩の薬害軽減に有効である。
【0018】
アメリカ雑草学会(The Weed Science Society of America)(WSSA)は、「Herbicide Site of Action(SOA)Classification List」を公表し、そこでは、様々な除草剤がそれらの作用部位に従ってグループ化されている。これらのWSSAグループは、当業者に公知である。WSSAグループ15からの除草剤は、超長鎖脂肪酸(VLCFA)合成阻害剤除草剤である。
【0019】
しかしながら、エトフメセートは、ALS阻害剤ではなく、ALS阻害剤との構造的類似性を有さず、わずかにWSSAグループ15に属する。独自の実験において、薬害軽減剤のメフェンピル-ジエチルは、WSSAグループ15にも属する除草剤であるフルフェナセットと共に使用された場合、薬害軽減効果を有さないことが見出された(例えば、コムギまたはオオムギなどの穀類作物において)。
【0020】
さらに、本発明による(使用される)組成物は、有害な植物(雑草)に関してエトフメセートの雑草防除活性をもたらし、同時に作物植物に(実質的に)損傷を与えないことが見出された。したがって、本発明による(使用される)組成物は、エトフメセートによって防除できる有害植物の防除を可能にし、作物植物のための使用における向上した安全性を達成する。
【課題を解決するための手段】
【0021】
したがって、第1の態様において、本発明は、
(i)式(I)のエトフメセート
【0022】
【化2】
および
(ii)1つ以上の薬害軽減剤
を含み、成分(i)および(ii)が、組成物の総重量に基づいて、6:1~1:4の範囲内の比で存在し、成分(i)が、唯一の除草活性成分であることを特徴とする、組成物に関する。
【0023】
好ましくは、成分(i)および(ii)が、前記組成物中に存在する唯一の農薬活性化合物である。
【0024】
本発明の組成物は、コムギ作物植物およびオオムギ作物植物、特にフユコムギ作物植物およびフユオオムギ作物植物などの穀類作物植物の保護に特に適している。
【発明を実施するための形態】
【0025】
成分(ii)、薬害軽減剤(safener)の定義
【0026】
本発明による一般式(I)の化合物の有用な組合せパートナーには、例えば、以下の薬害軽減剤も含まれる:
【0027】
S1) 複素環式カルボン酸誘導体の群の化合物:
【0028】
S1) ジクロロフェニルピラゾリン-3-カルボン酸のタイプの化合物(S1)、好ましくは、以下のような化合物:
1-(2,4-ジクロロフェニル)-5-(エトキシカルボニル)-5-メチル-2-ピラゾリン-3-カルボン酸、1-(2,4-ジクロロフェニル)-5-(エトキシカルボニル)-5-メチル-2-ピラゾリン-3-カルボン酸エチル(S1-1)(「メフェンピル(-ジエチル)」)および関連化合物(これらは、WO-A-91/07874に記載されている);
【0029】
S1) ジクロロフェニルピラゾールカルボン酸の誘導体(S1)、好ましくは、以下のような化合物:
1-(2,4-ジクロロフェニル)-5-メチルピラゾール-3-カルボン酸エチル(S1-2)、
1-(2,4-ジクロロフェニル)-5-イソプロピルピラゾール-3-カルボン酸エチル(S1-3)、
1-(2,4-ジクロロフェニル)-5-(1,1-ジメチルエチル)ピラゾール-3-カルボン酸エチル(S1-4)および関連化合物(これらは、EP-A-333 131およびEP-A-269 806に記載されている);
【0030】
S1) 1,5-ジフェニルピラゾール-3-カルボン酸の誘導体(S1)、好ましくは、以下のような化合物:
1-(2,4-ジクロロフェニル)-5-フェニルピラゾール-3-カルボン酸エチル(S1-5)、
1-(2-クロロフェニル)-5-フェニルピラゾール-3-カルボン酸メチル(S1-6)および関連化合物(これらは、例えば、EP-A-268554に記載されている);
【0031】
S1) トリアゾールカルボン酸のタイプの化合物(S1)、好ましくは、以下のような化合物:
フェンクロラゾール(-エチル)、すなわち、1-(2,4-ジクロロフェニル)-5-トリクロロメチル-(1H)-1,2,4-トリアゾール-3-カルボン酸エチル(S1-7)および関連化合物(これらは、EP-A-174 562およびEP-A-346 620に記載されている);
【0032】
S1) 5-ベンジル-もしくは5-フェニル-2-イソオキサゾリン-3-カルボン酸または5,5-ジフェニル-2-イソオキサゾリン-3-カルボン酸のタイプの化合物(S1)、好ましくは、以下のような化合物:5-(2,4-ジクロロベンジル)-2-イソオキサゾリン-3-カルボン酸エチル(S1-8)もしくは5-フェニル-2-イソオキサゾリン-3-カルボン酸エチル(S1-9)および関連化合物(これらは、WO-A-91/08202に記載されている)、または、5,5-ジフェニル-2-イソオキサゾリンカルボン酸(S1-10)もしくは5,5-ジフェニル-2-イソオキサゾリンカルボン酸エチル(S1-11)(「イソキサジフェン-エチル」)もしくは5,5-ジフェニル-2-イソオキサゾリンカルボン酸n-プロピル(S1-12)もしくは5-(4-フルオロフェニル)-5-フェニル-2-イソオキサゾリン-3-カルボン酸エチル(S1-13)(これらは、特許出願WO-A-95/07897に記載されている)。
【0033】
S2) 8-キノリンオキシ誘導体(S2)の化合物:
【0034】
S2) 8-キノリンオキシ酢酸のタイプの化合物(S2)、好ましくは、(5-クロロ-8-キノリンオキシ)酢酸1-メチルヘキシル(一般名 「クロキントセット-メキシル」)(S2-1)、
(5-クロロ-8-キノリンオキシ)酢酸1,3-ジメチルブタ-1-イル(S2-2)、
(5-クロロ-8-キノリンオキシ)酢酸4-アリルオキシブチル(S2-3)、
(5-クロロ-8-キノリンオキシ)酢酸1-アリルオキシプロパ-2-イル(S2-4)、
(5-クロロ-8-キノリンオキシ)酢酸エチル(S2-5)、
(5-クロロ-8-キノリンオキシ)酢酸メチル(S2-6)、
(5-クロロ-8-キノリンオキシ)酢酸アリル(S2-7)、
(5-クロロ-8-キノリンオキシ)酢酸2-(2-プロピリデンイミノオキシ)-1-エチル(S2-8)、
(5-クロロ-8-キノリンオキシ)酢酸2-オキソ-プロパ-1-イル(S2-9)および関連化合物(これらは、EP-A-86 750、EP-A-94 349およびEP-A-191 736またはEP-A-0 492 366に記載されている)、ならびに、さらに、(5-クロロ-8-キノリンオキシ)酢酸(S2-10)、その水和物および塩、例えば、そのリチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、アルミニウム塩、鉄塩、アンモニウム塩、第4級アンモニウム塩、スルホニウム塩またはホスホニウム塩(これらは、WO-A-2002/34048記載されている);
【0035】
S2) (5-クロロ-8-キノリンオキシ)マロン酸のタイプの化合物(S2)、好ましくは、以下のような化合物:(5-クロロ-8-キノリンオキシ)マロン酸ジエチル、(5-クロロ-8-キノリンオキシ)マロン酸ジアリル、(5-クロロ-8-キノリンオキシ)マロン酸メチルエチルおよび関連化合物(これらは、EP-A-0 582 198に記載されている)。
【0036】
S3) 出芽前薬害軽減剤(土壌作用性薬害軽減剤)としてしばしば使用されるジクロロアセトアミドのタイプの活性化合物(S3)、例えば、
「ジクロルミド」(N,N-ジアリル-2,2-ジクロロアセトアミド)(S3-1)、
「R-29148」(3-ジクロロアセチル-2,2,5-トリメチル-1,3-オキサゾリジン)(S3-2)、
「R-28725」(3-ジクロロアセチル-2,2-ジメチル-1,3-オキサゾリジン)(S3-3)、
「ベノキサコール」(4-ジクロロアセチル-3,4-ジヒドロ-3-メチル-2H-1,4-ベンゾオキサジン)(S3-4)、
「PPG-1292」(N-アリル-N-[(1,3-ジオキソラン-2-イル)メチル]ジクロロアセトアミド)(S3-5)、
「DKA-24」(N-アリル-N-[(アリルアミノカルボニル)メチル]ジクロロアセトアミド)(S3-6)、
「AD-67」または「MON 4660」(3-ジクロロアセチル-1-オキサ-3-アザ-スピロ[4.5]デカン)(S3-7)、
「TI-35」(1-ジクロロアセチルアゼパン)(S3-8)、
「ジクロノン(diclonon)」(ジシクロノン(dicyclonon))(S3-9)、
((RS)-1-ジクロロアセチル-3,3,8a-トリメチルペルヒドロピロロ[1,2-a]ピリミジン-6-オン)、
「フリラゾール」または「MON 13900」((RS)-3-ジクロロアセチル-5-(2-フリル)-2,2-ジメチル-オキサゾリジン)(S3-10)、およびその(R)-異性体(S3-11)。
【0037】
S4) アシルスルホンアミド(S4)の群の化合物:
【0038】
S4) 式(S4)のN-アシルスルホンアミドおよびそれらの塩(これは、WO-A-97/45016に記載されている)
【0039】
【化3】
【0040】
〔式中、
【0041】
は、(C-C)-アルキル、(C-C)-シクロアルキルであり、ここで最後に挙げられている2つの基は、ハロゲン、(C-C)-アルコキシ、ハロ-(C-C)-アルコキシおよび(C-C)-アルキルチオからなる群から選択され、さらに、環式基の場合には、(C-C)-アルキルおよび(C-C)-ハロアルキルからなる群から選択されるvの置換基で置換されており;
【0042】
は、ハロゲン、(C-C)-アルキル、(C-C)-アルコキシ、CFであり;
【0043】
は、1または2であり;
【0044】
は、0、1、2または3である〕;
【0045】
S4) 下記式(S4)の4-(ベンゾイルスルファモイル)ベンズアミドのタイプの化合物およびそれらの塩(これは、WO-A-99/16744に記載されている)
【0046】
【化4】
【0047】
〔式中、
【0048】
、R は、互いに独立して、水素、(C-C)-アルキル、(C-C)-シクロアルキル、(C-C)-アルケニル、(C-C)-アルキニルであり、
【0049】
は、ハロゲン、(C-C)-アルキル、(C-C)-ハロアルキルまたは(C-C)-アルコキシであり、
【0050】
は、1または2であり、
例えば、
【0051】
=シクロプロピル、R =水素および(R )=2-OMe(「シプロスルファミド」、S4-1)、
【0052】
=シクロプロピル、R =水素および(R )=5-Cl-2-OMe(S4-2)、
【0053】
=エチル、R =水素および(R )=2-OMe(S4-3)、
【0054】
=イソプロピル、R =水素および(R )=5-Cl-2-OMe(S4-4)および
【0055】
=イソプロピル、R =水素および(R )=2-OMe(S4-5)〕;
【0056】
S4) 式(S4)のベンゾイルスルファモイルフェニル尿素のクラスの化合物(これらは、EP?A?365484に記載されている)、
【0057】
【化5】
【0058】
〔式中、
【0059】
、R は、互いに独立して、水素、(C-C)-アルキル、(C-C)-シクロアルキル、(C-C)-アルケニル、(C-C)-アルキニルであり、
【0060】
は、ハロゲン、(C-C)-アルキル、(C-C)-アルコキシ、CFであり、
は、1または2である〕
【0061】
例えば、
【0062】
1-[4-(N-2-メトキシベンゾイルスルファモイル)フェニル]-3-メチル尿素;
【0063】
1-[4-(N-2-メトキシベンゾイルスルファモイル)フェニル]-3,3-ジメチル尿素;
【0064】
1-[4-(N-4,5-ジメチルベンゾイルスルファモイル)フェニル]-3-メチル尿素;
【0065】
S4) 式(S4)のN-フェニルスルホニルテレフタルアミドのタイプの化合物およびその塩(これらは、例えば、CN 101838227から知られている)、
【0066】
【化6】
【0067】
〔式中、
【0068】
は、ハロゲン、(C-C)-アルキル、(C-C)-アルコキシ、CFであり;
【0069】
は、1または2であり;
【0070】
は、水素、(C-C)-アルキル、(C-C)-シクロアルキル、(C-C)-アルケニル、(C-C)-アルキニル、(C-C)-シクロアルケニルである〕。
【0071】
S5) ヒドロキシ芳香族化合物および芳香族-脂肪族カルボン酸誘導体のクラスから選択される活性化合物(S5)、例えば、3,4,5-トリアセトキシ安息香酸エチル、3,5-ジメトキシ-4-ヒドロキシ安息香酸、3,5-ジヒドロキシ安息香酸、4-ヒドロキシサリチル酸、4-フルオロサリチル酸(4-fluorosalicyclic acid)、2-ヒドロキシケイ皮酸、2,4-ジクロロケイ皮酸(これらは、WO-A-2004/084631、WO-A-2005/015994、WO-A-2005/016001に記載されている)。
【0072】
S6) 1,2-ジヒドロキノキサリン-2-オン類のクラスから選択される活性化合物(S6)、例えば、1-メチル-3-(2-チエニル)-1,2-ジヒドロキノキサリン-2-オン、1-メチル-3-(2-チエニル)-1,2-ジヒドロキノキサリン-2-チオン、1-(2-アミノエチル)-3-(2-チエニル)-1,2-ジヒドロキノキサリン-2-オン塩酸塩、1-(2-メチルスルホニルアミノエチル)-3-(2-チエニル)-1,2-ジヒドロキノキサリン-2-オン(これらは、WO-A-2005/112630に記載されている)。
【0073】
S7) ジフェニルメトキシ酢酸誘導体(S7)のクラスからの化合物、例えば、メチルジフェニルメトキシアセテート(CAS-Reg.Nr.41858-19-9)(S7-1)、エチルジフェニルメトキシアセテートまたはジフェニルメトキシ酢酸(これらは、WO-A-98/38856に記載されている)。
【0074】
S8) 式(S8)の化合物(これは、WO?A?98/27049に記載されている)、
【化7】
〔ここで、記号およびインデックスは、以下の意味を有する:
【0075】
は、ハロゲン、(C-C)-アルキル、(C-C)-ハロアルキル、(C-C)-アルコキシ、(C-C)-ハロアルコキシであり、
【0076】
は、水素または(C-C)-アルキルであり、
【0077】
は、水素、(C-C)-アルキル、(C-C)-アルケニル、(C-C)-アルキニルまたはアリールであり、ここで、前述の炭素含有基は、それぞれ、置換されていないか、または、ハロゲンおよびアルコキシからなる群から選択される1以上の、好ましくは、最大で3つまでの、同一であるかもしくは異なっている基で置換されており、またはその塩であり、
【0078】
は、0~2の整数である〕。
【0079】
S9) 3-(5-テトラゾリルカルボニル)-2-キノロン類のクラスから選択される活性化合物(S9)、例えば、1,2-ジヒドロ-4-ヒドロキシ-1-エチル-3-(5-テトラゾリルカルボニル)-2-キノロン(CAS Reg.No.:219479-18-2)、1,2-ジヒドロ-4-ヒドロキシ-1-メチル-3-(5-テトラゾリルカルボニル)-2-キノロン(CAS Reg.No.:95855-00-8)(これらは、WO-A-1999/000020に記載されている)。
【0080】
S10) 式(S10a)または式(S10b)の化合物(これらは、WO-A-2007/023719およびWO-A-2007/023764に記載されている)、
【0081】
【化8】
〔式中、
【0082】
は、ハロゲン、(C-C)-アルキル、メトキシ、ニトロ、シアノ、CF、OCFであり、
【0083】
、Zは、互いに独立して、OまたはSであり、
【0084】
は、0~4の整数であり、
【0085】
は、(C-C16)-アルキル、(C-C)-アルケニル、(C-C)-シクロアルキル、アリール、ベンジル、ハロベンジルであり、
【0086】
は、水素または(C-C)-アルキルである〕。
【0087】
S11) オキシイミノ化合物のタイプの活性化合物(S11)、これらは、種子紛衣剤として知られており、例えば、
【0088】
「オキサベトリニル」((Z)-1,3-ジオキソラン-2-イルメトキシイミノ(フェニル)アセトニトリル)(S11-1)(これは、メトラクロールによる損傷に対するキビ/モロコシ用の種子紛衣薬害軽減剤として知られている)、
【0089】
「フルキソフェニム」(1-(4-クロロフェニル)-2,2,2-トリフルオロ-1-エタノン O-(1,3-ジオキソラン-2-イルメチル)オキシム)(S11-2)(これは、メトラクロールによる損傷に対するキビ用の種子紛衣薬害軽減剤として知られている)、および、
【0090】
「シオメトリニル」または「CGA-43089」((Z)-シアノメトキシイミノ(フェニル)アセトニトリル)(S11-3)(これは、メトラクロールによる損傷に対するキビ用の種子紛衣薬害軽減剤として知られている)。
【0091】
S12) イソチオクロマノン類のクラスから選択される活性化合物(S12)、例えば、[(3-オキソ-1H-2-ベンゾチオピラン-4(3H)-イリデン)メトキシ]酢酸メチル(CAS Reg.No.:205121-04-6)(S12-1)および関連化合物(WO-A-1998/13361)。
【0092】
S13) 以下の群から選択される1つ以上の化合物(S13):
【0093】
「ナフタル酸無水物」(1,8-ナフタレンジカルボン酸無水物)(S13-1)、これは、チオカーバメート系除草剤による損傷に対するトウモロコシ用の種子紛衣薬害軽減剤として知られている;
【0094】
「フェンクロリム」(4,6-ジクロロ-2-フェニルピリミジン)(S13-2)、これは、播種されたイネにおいてプレチラクロールに対する薬害軽減剤として知られている;
【0095】
「フルラゾール」(2-クロロ-4-トリフルオロメチル-1,3-チアゾール-5-カルボン酸ベンジル)(S13-3)、これは、アラクロールおよびメトラクロールによる損傷に対するキビ用の種子紛衣薬害軽減剤として知られている;
【0096】
「CL 304415」(CAS Reg.No.:31541-57-8) (4-カルボキシ-3,4-ジヒドロ-2H-1-ベンゾピラン-4-酢酸)(S13-4)〔American Cyanamidから〕、これは、イミダゾリノン類の損傷に対するトウモロコシ用の薬害軽減剤として知られている;
【0097】
「MG 191」(CAS Reg.No.:96420-72-3)(2-ジクロロメチル-2-メチル-1,3-ジオキソラン)(S13-5)、これは、トウモロコシ用の薬害軽減剤として知られている;
【0098】
「MG 838」(CAS Reg.No.:133993-74-5) (2-プロペニル 1-オキサ-4-アザスピロ[4.5]デカン-4-カルボジチオエート)(S13-6);
【0099】
「ジスルホトン」(O,O-ジエチル S-2-エチルチオエチル ホスホロジチオエート)(S13-7);
【0100】
「ジエトレート(dietholate)」(O,O-ジエチル O-フェニルホスホロチオエート)(S13-8);
【0101】
「メフェネート(mephenate)」(メチルカルバミン酸4-クロロフェニル)(S13-9)。
【0102】
S14) 有害植物に対する除草効果に加えて、イネなどの作物植物に対する薬害軽減効果も有している活性化合物、例えば、
【0103】
「ジメピレート」または「MY 93」(S-1-メチル-1-フェニルエチル ピペリジン-1-カルボチオエート)、これは、モリネート除草剤の損傷に対するイネ用の薬害軽減剤として知られている;
【0104】
「ダイムロン」または「SK 23」(1-(1-メチル-1-フェニルエチル)-3-p-トリル尿素)、これは、イマゾスルフロン除草剤の損傷に対するイネ用の薬害軽減剤として知られている;
【0105】
「クミルロン」=「JC 940」(3-(2-クロロフェニルメチル)-1-(1-メチル-1-フェニルエチル)尿素、(JP-A-60087254を参照されたい)、これは、いくつかの除草剤の損傷に対するイネ用の薬害軽減剤として知られている;
【0106】
「メトキシフェノン」または「NK 049」(3,3’-ジメチル-4-メトキシベンゾフェノン)、これは、一部の除草剤の損傷に対するイネ用の薬害軽減剤として知られている;
【0107】
「CSB」(1-ブロモ-4-(クロロメチルスルホニル)ベンゼン)〔Kumiaiから〕(CAS Reg.No.54091-06-4)、これは、イネにおけるいくつかの除草剤の損傷に対する薬害軽減剤として知られている。
【0108】
S15) 式(S15)の化合物またはその互変異性体(これは、WO-A-2008/131861およびWO-A-2008/131860に記載されている)
【0109】
【化9】
〔式中、
【0110】
は、(C-C)-ハロアルキルであり、
【0111】
は、水素またはハロゲンであり、
【0112】
、R は、互いに独立して、水素、(C-C16)-アルキル、(C-C16)-アルケニルまたは(C-C16)-アルキニルであり、
【0113】
ここで、最後に挙げられている3つの基は、それぞれ、置換されていないか、またはハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、(C-C)-アルコキシ、(C-C)-ハロアルコキシ、(C-C)-アルキルチオ、(C-C)-アルキルアミノ、ジ[(C-C)-アルキル]アミノ、[(C-C)-アルコキシ]カルボニル、[(C-C)-ハロアルコキシ]カルボニル、置換されていないかもしくは置換されている(C-C)-シクロアルキル、置換されていないかもしくは置換されているフェニル、および置換されていないかもしくは置換されているヘテロシクリルからなる群から選択される1以上の基で置換されているか、
【0114】
または(C-C)-シクロアルキル、(C-C)-シクロアルケニル、(C-C)-シクロアルキル(ここで、該環は、当該環の1辺において4~6員の飽和または不飽和の炭素環式環に縮合している)、または(C-C)-シクロアルケニル(ここで、該環は、当該環の1辺において4~6員の飽和または不飽和の炭素環式環に縮合している)であり、
【0115】
ここで、最後に挙げられている4つの基は、それぞれ、置換されていないか、または、ハロゲン、ヒドロキシル、シアノ、(C-C)アルキル、(C-C)ハロアルキル、(C-C)アルコキシ、(C-C)ハロアルコキシ、(C-C)アルキルチオ、(C-C)アルキルアミノ、ジ[(C-C)アルキル]アミノ、[(C-C)アルコキシ]カルボニル、[(C-C)ハロアルコキシ]カルボニル、置換されていないかもしくは置換されている(C-C)シクロアルキル、置換されていないかもしくは置換されているフェニル、および置換されていないかもしくは置換されているヘテロシクリルからなる群から選択される1以上の基で置換されており;
または、
【0116】
は、(C-C)-アルコキシ、(C-C)-アルケニルオキシ、(C-C)-アルキニルオキシまたは(C-C)-ハロアルコキシであり;および、
【0117】
は、水素または(C-C)-アルキルであり;または、
【0118】
とR は、直接結合しているN-原子と一緒になって、4~8員のヘテロ環式環(ここで、該ヘテロ環式環は、当該N-原子に加えて、さらなるヘテロ環原子、好ましくは、N、OおよびSからなる群から選択される最大で2個までのさらなる環ヘテロ原子を含むことができ、該ヘテロ環式環は、置換されていないか、または、ハロゲン、シアノ、ニトロ、(C-C)-アルキル、(C-C)-ハロアルキル、(C-C)-アルコキシ、(C-C)-ハロアルコキシおよび(C-C)-アルキルチオからなる群から選択される1以上の基で置換されている)である〕。
【0119】
農薬活性化合物
【0120】
本発明の文脈において使用される農薬活性化合物はそれ自体公知であり、とりわけ「The Pesticide Manual」、第16版、The British Crop Protection Council and the Royal Soc. of Chemistry、2012、およびそこに引用された文献に記載されている。
【0121】
好ましいのは、フェンクロラゾール-エチル(S1)、メフェンピル-ジエチル(S2)、イソキサジフェン-エチル(S3)、シプロスルファミド(S4)、クロキントセット-メキシル(S5)、フェンクロリム(S6)、ジクロルミド(S7)、ベノキサコール(S8)、フリラゾール(S9)、オキサベトリニル(S10)、フルキソフェニム(S11)、フルラゾール(S12)またはナフタル酸無水物(S13)が薬害軽減剤である本発明による(使用される)組成物である。
【0122】
より好ましいのは、メフェンピル-ジエチル(S2)、イソキサジフェン-エチル(S3)、シプロスルファミド(S4)またはクロキントセット-メキシル(S5)が薬害軽減剤である本発明による(使用される)組成物である。
【0123】
最も好ましいのは、メフェンピル-ジエチル(S2)またはクロキントセット-メキシル(S5)が薬害軽減剤である本発明による(使用される)組成物である。
【0124】
本発明によるさらに最も好ましい態様は、(i)式(I)のエトフメセート、(ii)薬害軽減剤としてメフェンピル-ジエチルを含む組成物である。
【0125】
本発明による(使用される)組成物の重量比は、成分(i)の総量対成分(ii)の総量の重量によって記載することができ、6:1~1:4の範囲内にあり、典型的には、前記比は4:1~1:2の範囲内にある。
【0126】
好ましくは、本発明による(使用される)組成物における成分(i)の総量対成分(ii)の総量の重量比が、3:1~1:2の範囲内にあり、典型的には前記好ましい比が、3:1~2:3の範囲内にある。
【0127】
より好ましくは、本発明による(使用される)組成物における成分(i)の総量対成分(ii)の総量の重量比が、5:2~2:3の範囲内にあり、典型的には前記より好ましい比が、5:2~1:1の範囲内にある。
【0128】
本発明による組成物(使用)中の成分(i)の総量対成分(ii)の総量の重量比はまた、2:1~1:2の範囲内にあってもよく、そのような場合、典型的には、前記比は2:1~1:1の範囲内にある。
【0129】
最も好ましくは、本発明による(使用される)組成物における成分(i)の総量対成分(ii)の総量の重量比が、約1:1または正確に1:1であり、または本発明による(使用される)組成物における成分(i)の総量対成分(ii)の総量の最も好ましい重量比が、約2:1または正確に2:1であり、または本発明による(使用される)組成物における成分(i)の総量対成分(ii)の総量の最も好ましい重量比が、約3:2または正確に3:2であり、または本発明による(使用される)組成物における成分(i)の総量対成分(ii)の総量の最も好ましい重量比が、約5:2または正確に5:2である。
【0130】
独自の実験は、約3:2または正確に3:2である本発明による(使用される)組成物における成分(i)の総量対成分(ii)の総量の重量比が、本発明の文脈において特に有利であることを示している。
【0131】
また、独自の実験は、約5:2または正確に5:2である本発明による(使用される)組成物における成分(i)の総量対成分(ii)の総量の重量比が、本発明の文脈において特に有利であることを示している。
【0132】
記載された特性および利点は、有害な植物または望ましくない植生を防除するための使用、したがって、品質および量の点で収量を保護するために、および/または増加させるための使用である。技術基準は、記載された特性に関して、これらの新しい組合せによって明らかに超えられる。
【0133】
本発明による(使用される)組成物は、遺伝子組み換えコムギ作物または突然変異/選択によって得られたコムギ作物において有害植物を防除するために使用することができる。これらの作物は一般に、除草剤の組合せ/組成物に対する耐性、または植物病害もしくは植物病害の原因物質、例えば特定の昆虫もしくは微生物、例えば真菌、細菌もしくはウイルスに対する耐性などの、特定の有利な特性によって区別される。他の特定の特性は例えば、量、質、貯蔵性、組成および特定の成分に関する収穫された材料に関する。したがって、例えば、デンプン含有量が増加しているか、またはデンプン品質が変化しているトランスジェニック植物、または収穫された材料が異なる脂肪酸組成を有するトランスジェニック植物が知られている。
【0134】
本発明はまた、有害植物または望ましくない植生を防除するための方法であって、有害植物または望ましくない植生、前記有害植物または望ましくない植生の一部、または有害植物または望ましくない植生が生育する領域、例えば栽培下の領域に、出芽前、出芽後早期または出芽後処理によって本発明による(使用される)組成物を施用することを含む方法に関する。また、本発明の組成物は、種子処理、特に、コムギ、オオムギ、ライムギ、オートムギおよびキビ、特にコムギおよびオオムギ、特にフユコムギおよびフユオオムギなどの穀類の種子処理に有用である。
【0135】
本発明の文脈において、「防除する(controlling)」とは、無処理の有害植物と比較して、有害植物の成長の有意な減少を意味する。好ましくは、有害植物の成長が本質的に減少し(60~79%)、より好ましくは有害植物の成長が大部分または完全に抑制され(80~100%)、特に、有害植物の成長はほぼ完全にまたは完全に抑制される(90~100%)。
【0136】
本発明による(使用される)組成物が、植物の発芽前または発芽後であるが土壌からの出芽前に土壌表面に施用される場合、処理は出芽前処理(pre-emergence treatment)である。
【0137】
本発明による(使用される)組成物が植物の出芽後に土壌表面に施用される場合、処理は出芽後処理(post-emergence treatment)である。
【0138】
本発明の文脈において好ましいのは、コムギ作物植物、好ましくはデュラムコムギ(Tritricum durum)およびパンコムギ(Tritricum aestivum)からなる群から選択されるコムギ作物植物、特にフユコムギ、例えば軟質フユコムギ(TRZAW)における本明細書に定義される組成物の使用である。また、本発明の文脈において好ましいのは、オオムギ(Hordeum vulgare)作物植物、好ましくはフユオオムギ(HORVW)における、本明細書に定義される組成物の使用である。
【0139】
本発明の文脈において定義される成分(i)、成分(ii)の施用量(g/ha、すなわち、1ヘクタール当たりの活性成分のグラムとして示される)は、以下の通りである:
【0140】
【表1】
【0141】
本発明の文脈において特に好ましいのは、成分(i)エトフメセートの施用量が、300~100g/haであり、成分(ii)薬害軽減剤、好ましくはメフェンピル-ジエチル、の施用量が、100~50g/haである、本明細書に記載の組成物、使用および方法である。
【0142】
本発明による(使用される)組成物は、コムギ作物およびコムギ作物が成長しているか、または成長することが意図されている圃場において生じる、経済的に重要な有害な単子葉および双子葉有害植物の広域スペクトルに対する顕著な除草活性を有する。
【0143】
本明細書の文脈において、BBCHスケール(特に穀類について)および、BBCHモノグラフ「単子葉植物および双子葉植物の成長段階(Growth stages of mono-and dicotyledonous plants)」、第2版、2001年編、Uwe Meier、Federal Biological Research Centre for Agriculture and Forestry(Biologische Bundesanstalt fuer Land und Forstwirtschaft)に従いBBCHスケールを用いる(穀類)作物植物の生物季節学的段階を記載するBBCH成長段階を参照されたい。
【0144】
以下のBBCHシリアル成長段階は、本発明の文脈において特に関連がある:
【0145】
【表2】
【0146】
本発明の文脈において、穀類作物、例えば、コムギ、オオムギ、ライムギ、オートムギおよびキビ、特にコムギおよびオオムギ、特にフユコムギおよびフユオオムギが特に興味深い。
【0147】
具体的には、本発明による(使用される)組成物によって防除することができる単子葉および双子葉の雑草叢のいくつかの代表例を挙げることができるが、列挙は特定の種に限定されない。
【0148】
本発明による(使用される)組成物が効果的に作用する単子葉植物の有害植物の例は、オオムギ属(Hordeum spp.)、ヒエ属(Echinochloa spp.)、イチゴツナギ属(Poa spp.)、スズメノチャヒキ属(Bromus spp.)、メヒシバ属(Digitaria spp.)、ナルコビエ属(Eriochloa spp.)、エノコログサ属(Setaria spp.)、チカラシバ属(Pennisetum spp.)、オヒシバ属(Eleusine spp.)、カゼクサ属(Eragrostis spp.)、キビ属(Panicum spp.)、ドクムギ属(Lolium spp.)、スズメノテッポウ属(Alopecurus sp.)、セイヨウヌカボ属(Apera sp.)、ニクキビ属(Brachiaria spp.)、アゼガヤ属(Leptochloa spp.)、カラスムギ属(Avena spp.)、カヤツリグサ属(Cyperus spp.)、アクソノプリス属(Axonopris spp.)、モロコシ属(Sorghum spp.)、クサヨシ属(Phalaris sp.)およびメリヌス属(Melinus spp.)の中からである。
【0149】
本発明による(使用される)組成物が効果的に作用する単子葉植物の有害植物種の特定の例は、ムギクサ(Hordeum murinum)、イヌビエ(Echinochloa crus-galli)、スズメノカタビラ(Poa annua)、チャボチャヒキ(Bromus rubens L.)、ヒゲナガスズメノチャヒキ(Bromus rigidus)、カラスノチャヒキ(Bromus secalinus L.)、ススキメヒシバ(Digitaria insularis)、オニメヒシバ(Digitaria sanguinalis)、ホソナルコビエ(Eriochloa gracilis)、アキノエノコログサ(Setaria faberi)、エノコログサ(Setaria viridis)、トウジンビエ(Pennisetum glaucum)、オヒシバ(Eleusine indica)、エラグロスチス・ペクチナセア(Eragrostis pectinacea)、キビ(Panicum miliaceum)、ロリウム・sp.(Lolium sp.)、メリケンニクキビ(Brachiaria platyphylla)、ハマガヤ(Leptochloa fusca)、カラスムギ(Avena fatua)、クグガヤツリ(Cyperus compressus)、ショクヨウガヤツリ(Cyperus esculentes)、アクソノプリス・オフィニス(Axonopris offinis)、セイバンモロコシ(Sorghum halapense)、ノスズメノテッポウ(Alopecurus myosuroides)、セイヨウヌカボ(Apera spica-venti)およびメリヌス・レペンス(Melinus repens)の中から選択される。
【0150】
本発明による(使用される)組成物が効率的に作用する穀類(特にコムギ)作物に特に関連する単子葉植物の有害植物種の具体例は、スズメノカタビラ(Poa annua)、チャボチャヒキ(Bromus rubens L.)、ヒゲナガスズメノチャヒキ(Bromus rigidus)、カラスノチャヒキ(Bromus secalinus L.)、ロリウム・sp.(Lolium sp.)、カラスムギ(Avena fatua)、ノスズメノテッポウ(Alopecurus myosuroides)、セイヨウヌカボ(Apera spica-venti)およびヒメカナリークサヨシ(Phalaris minor)である。
【0151】
本発明による(使用される)組成物が効果的に作用する双子葉植物の有害植物の例は、ヒユ属(Amaranthus spp.)、タデ属(Polygonum spp.)、ウマゴヤシ属(Medicago spp.)、ザクロソウ属(Mollugo spp.)、マツバゼリ属(Cyclospermum spp.)、ハコベ属(Stellaria spp.)、ハハコグサ属(Gnaphalium spp.)、タンポポ属(Taraxacum spp.)、マツヨイグサ属(Oenothera spp.)、アムシンキア属(Amsinckia spp.)、オランダフウロ属(Erodium spp.)、ムカシヨモギ属(Erigeron spp.)、キオン属(Senecio spp.)、オドリコソウ属(Lamium spp.)、ホウキギ属(Kochia spp.)、アカザ属(Chenopodium spp.)、アキノノゲシ属(Lactuca spp.)、ゼニアオイ属(Malva spp.)、サツマイモ属(Ipomoea spp.)、アブラナ属(Brassica spp.)、シロガラシ属(Sinapis spp.)、イラクサ属(Urtica spp.)、キンゴジカ属(Sida spp)、スベリヒユ属(Portulaca spp.)、ハシカグサモドキ属(Richardia spp.)、ブタクサ属(Ambrosia spp.)、カランドリニア属(Calandrinia spp.)、キバナハタザオ属(Sisymbrium spp.)、ツノクサネム属(Sesbania spp.)、ナズナ属(Capsella spp.)、ハチジョウナ属(Sonchus spp.)、トウダイグサ属(Euphorbia spp.)、ヒマワリ属(Helianthus spp.)、カラクサナズナ属(Coronopus spp.)、オカヒジキ属(Salsola spp.)、イチビ属(Abutilon spp.)、ソラマメ属(Vicia spp.)、アカバナ属(Epilobium spp.)、タネツケバナ属(Cardamine spp.)、コウゾリナ属(Picris spp.)、ジャジクソウ属(Trifolium spp.)、コゴメギク属(Galinsoga spp.)、イカリソウ属(Epimedium spp.)、ゼニゴケ属(Marchantia spp.)、ナス属(Solanum spp.)、カタバミ属(Oxalis spp.)、シカギク属(Metricaria spp.)、オオバコ属(Plantago spp.)、ハマビシ属(Tribulus spp.)、クリノイガ属(Cenchrus spp.)、センダングサ属(Bidens spp.)、クワガタソウ属(Veronica spp.)およびエゾコウゾリナ(Hypochaeris spp.)の中からである。
【0152】
本発明による(使用される)組成物が効果的に作用する双子葉植物の有害植物種の特定の例は、ハリビユ(Amaranthus spinosus)、オオホナガアオゲイトウ(Amaranthus palmer)、ホソバイヌビユ(Amaranthis rudis)、ソバカズラ(Polygonum convolvulus)、ウマゴヤシ(Medicago polymorpha)、クルマバザクロソウ(Mollugo verticillata)、マツバゼリ(Cyclospermum leptophyllum)、コハコベ(Stellaria media)、ウスベニチチコグサ(Gnaphalium purpureum)、セイヨウタンポポ(Taraxacum offi cinale)、コマツヨイグサ(Oenothera laciniata)、アムシンキア・インテルメディア(Amsinckia intermedia)、オランダフウロ(Erodium cicutarium)、ジャコウオランダフウロ(Erodium moschatum)、アレチノギク(Erigeron bonariensis)、ノボロギク(Senecio vulgaris)、ラミウム(Lamium sp.)、ヒメムカシヨモギ(Erigeron canadensis)、ミチヤナギ(Polygonum aviculare)、ホウキギ(Kochia scoparia)、シロザ(Chenopodium album)、トゲチシャ(Lactuca serriola)、ウサギアオイ(Malva parviflora)、ゼニバアオイ(Malva neglecta)、アメリカアサガオ(Ipomoea hederacea)、マメアサガオ(Ipomoea lacunose)、クロガラシ(Brassica nigra)、ノハラガラシ(Sinapis arvensis)、セイヨウイラクサ(Urtica dioica)、アメリカビユ(Amaranthus blitoides)、アオゲイトウ(Amaranthus retroflexus)、ホソアオゲイトウ(Amaranthus hybridus)、イヌビユ(Amaranthus lividus)、アメリカキンゴジカ(Sida spinosa)、スベリヒユ(Portulaca oleracea)、ハシカグサモドキ(Richardia scabra)、ブタクサ(Ambrosia artemisiifolia)、カランドリニア・カウレッセンス(Calandrinia caulescens)、ホソエガラシ(Sisymbrium irio)、アメリカツノクサネム(Sesbania exaltata)、ナズナ(Capsella bursa-pastoris)、ノゲシ(Sonchus oleraceus)、オオニシキソウ(Euphorbia maculate)、ヒマワリ(Helianthus annuus)、カラクサナズナ(Coronopus didymus)、ハリヒジキ(Salsola tragus)、イチビ(Abutilon theophrasti)、ビシア・ベンガレンシス・L.(Vicia benghalensis L.)、エピロビウム・パニクラタム(Epilobium paniculatum)、タネツケバナ属(Cardamine spp)、ピクリス・エキオイデス(Picris echioides)、ジャジクソウ属(Trifolium spp.)、コゴメギク属(Galinsoga spp.)、イカリソウ属(Epimedium spp.)、ゼニゴケ属(Marchantia spp.)、ナス属(Solanum spp.)、カタバミ属(Oxalis spp.)、カモミール(Matricaria chamomilla)、オオバコ属(Plantago spp.)、ハマビシ(Tribulus terrestris)、ノハラヒジキ(Salsola kali)、クリノイガ属(Cenchrus spp.)、コバノセンダングサ(Bidens bipinnata)、ベロニカ・sp.(Veronica sp.)、シラホシムグラ(Galium aparine L.)、ヒナゲシ(Papaver rhoeas)、ビオラ・アルベンス(Viola arvense)、ヤグルマギク(Centaurea cyanus)およびブタナ(Hypochaeris radicata)の中から選択される。
【0153】
本発明による(使用される)組成物が効率的に作用する穀類(特にコムギ)作物に特に関連する双子葉植物の有害植物種の具体例は、コハコベ(Stellaria media)、ノボロギク(Senecio vulgaris)、ラミウム(Lamium sp.)、ミチヤナギ(Polygonum aviculare)、ホウキギ(Kochia scoparia)、シロザ(Chenopodium album)、クロガラシ(Brassica nigra)、ノハラガラシ(Sinapis arvensis)、ナズナ(Capsella bursa-pastoris)、ノゲシ(Sonchus oleraceus)、カモミール(Matricaria chamomilla)、ベロニカ・sp.(Veronica sp.)、シラホシムグラ(Galium aparine L.)、ヒナゲシ(Papaver rhoeas)、ビオラ・アルベンス(Viola arvense)およびヤグルマギク(Centaurea cyanus)である。
【0154】
本発明による(使用される)組成物は、成分(i)および(ii)を、本発明の文脈において定義される重量および比率で、例えば、適切な量の成分(i)および(ii)を混合することによって、容易かつ迅速に得られる。
【0155】
したがって、さらなる態様において、本発明は、本発明による(使用される)組成物が得られるように、
【0156】
(a)成分(i)を提供するステップ、
【0157】
(b)成分(ii)を提供するステップ、
【0158】
(c)成分(i)と成分(ii)を組み合わせるステップ
【0159】
を含む、本発明による(使用される)組成物を製造するための方法に関する。
【0160】
本発明による(使用される)組成物中に存在する成分(i)および(ii)は、グレゴリオ暦年当たり1回、2回または3回施用され得、すなわち、グレゴリオ暦年当たり1回施用、2回施用または3回施用で施用され得る。
【0161】
本発明による(使用される)組成物は、作物保護において慣用の製剤補助剤および製剤添加剤からなる群から選択される1つ以上のさらなる成分をさらに含んでもよい。
【0162】
さらに、本明細書で定義される成分(i)および(ii)は、作物保護において慣用の製剤補助剤および製剤添加剤と一緒に使用することができる。添加剤は、例えば肥料および着色剤である。
【0163】
本発明による(使用される)組成物は、水で希釈剤として慣用の方法で施用される、混合製剤として使用することができるのみではなく、別々に製剤された、または部分的に別々に製剤された成分を水で一緒に希釈することによって、それによって、すぐに使用できる施用スプレー混合物を得ことによる、いわゆるタンクミックスとしても使用することができる。
【0164】
そのようなタンクミックスは例えば、(i)エトフメセートの製剤、例えば100g/L~600g/Lの範囲内の総量のエトフメセートを含むエトフメセートの製剤、例えば500g/Lのエトフメセートを含む市販のSC製剤、および(ii)薬害軽減剤の製剤、例えば50g/L~600g/Lの範囲内の総量の(ii)薬害軽減剤を含む製剤を組み合わせ、適量の水でそれを希釈して、すぐに使用できる施用スプレー混合物を得ることによって得ることができる。
【0165】
本発明による(使用される)組成物は、一般的な生物学的および/または化学的-物理的パラメーターに応じて、様々な方法で製剤化することができる。以下のものは、一般的に可能な製剤の例である:水和剤(粉末)(WP)、水溶性濃縮物(water-soluble concentrates)、乳剤(EC)、水溶液(SL)、水性エマルションおよび油性エマルションのようなエマルション剤(EW)、噴霧可能な溶液またはエマルション、サスペンション剤(SC)、油脂分散性水和剤(OD)、油系分散剤または水系分散剤、サスポエマルション、粉剤(DP)、種子紛衣材料、土壌施用または散布用の粒剤、または顆粒水和剤(WG)、ULV製剤、マイクロカプセル(例えばCS、ZC)またはワックス。
【0166】
個々の製剤のタイプは原則として知られており、例えば、Winnacker-Kuechler、「Chemische Technologie」、第7巻、CHauser Verlag Munich、第4版、1986年; van Valkenburg、「Pesticide Formulations」、Marcel Dekker N.Y.、1973年;K.Martens、「Spray Drying Handbook」、第3版、1979年、G.Goodw Ltd.London。
【0167】
不活性材料、界面活性剤、溶媒および他の添加剤などの必要な製剤補助剤も公知であり、例えば、Watkins、「Handbook of Insecticide Dust Diluents and Carriers」、第2版、Darland Books、Caldwell N.J.;H.v.Olphen、[Introduction to Clay Colloid Chemistry];第2版、J.Wiley & Sons、N.Y.Marsden、[Solvents Guide]、第2版、Interscience、N.Y.1950;McCutcheon’s、[Detergents and Emulsifiers Annual]、MC Publ.Corp.、Ridgewood N.J.;Sisley and Wood、「Encyclopedia of Surface Active Agents」、Chem.Publ.Co.Inc.、N.Y.1964;Schoenfeldt、「Grenzflaechenaktive Aethylenoxidaddukte」[表面活性エチレンオキシド付加物]、Wiss.Verlagsgesellschaft、Stuttgart 1976、Winnacker-Kuechler、「Chemische Technologie」、第7巻、C.Hauser Verlag Munich、第4版 1986。
【0168】
水和剤(粉末)(Wettable powders)(噴霧可能な粉末)は、水中に均一に分散可能であり、活性化合物の他に、希釈剤または不活性物質に加えて、イオン性または非イオン性界面活性剤(湿潤剤、分散剤)、例えば、ポリオキシエチル化アルキルフェノール、ポリエトキシル化脂肪族アルコール、ポリエトキシル化脂肪族アミン、アルカンスルホネート、アルキルベンゼンスルホネート、リグノスルホン酸ナトリウム、2,2’-ジナフチルメタン-6,6’-ジスルホン酸ナトリウム、ジブチルナフタレンスルホン酸ナトリウムまたはナトリウムオレオイルメチルタウレートを含む製品である。
【0169】
乳剤(Emulsifiable concentrates)は、活性化合物を有機溶媒(例えば、ブタノール、シクロヘキサノン、ジメチルホルムアミド、キシレンまたは比較的沸点が高い芳香族物質もしくは炭化水素)中に、イオン性および/または非イオン性の1つ以上の界面活性剤(乳化剤)を添加して、溶解することによって製造する。使用し得る乳化剤の例は、以下のとおりである:アルキルアリールスルホン酸カルシウム、例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム、または、非イオン性乳化剤、例えば、脂肪酸ポリグリコールエステル、アルキルアリールポリグリコールエーテル、脂肪族アルコールポリグリコールエーテル、プロピレンオキシド/エチレンオキシド縮合物、アルキルポリエーテル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルまたはポリオキシエチレンソルビトールエステル。
【0170】
粉剤(Dusts)は、活性化合物を微粉砕した固体材料、例えば、タルク、自然粘土、例えば、カオリン、ベントナイトおよび葉ろう石、または、珪藻土と一緒に粉砕することによって得られる。
【0171】
サスペンション剤(Suspension concentrates)(SC)は、水性ベースまたは油性ベースであることができる。それらは、例えば、商業用ビーズミルを用いて、そして、場合により界面活性剤(例えば、別の製剤タイプに関して既に上記で挙げられている界面活性剤)を添加して、湿式粉砕することによって調製することができる。
【0172】
エマルション(Emulsions)、例えば、水性エマルション(EW)は、例えば、水性有機溶媒を使用し、そして、場合により界面活性剤(例えば、別の製剤タイプに関して既に上記で挙げられている界面活性剤)を使用して、撹拌機、コロイドミルおよび/またはスタティックミキサーを用いて製造することができる。
【0173】
粒剤(Granules)は、吸着性の粒状不活性物質の表面上に活性化合物を噴霧することによって、または、担体(例えば、砂、カオリナイトまたは粒状の不活性物質)の表面上に接着剤(例えば、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸ナトリウムまたは鉱油)を用いて活性化合物濃厚物を塗布することによって、製造することができる。さらにまた、肥料粒剤を製造するための慣習的な方法で(必用に応じて、肥料との混合物として)、適切な活性化合物を造粒することも可能である。原則として、顆粒水和剤(water-dispersible granules)は、噴霧乾燥、流動床造粒、ディスク造粒、高速ミキサーを用いた混合、および固体不活性材料を用いない押出などの慣用の方法によって調製される。ディスク造粒、流動床造粒、押出造粒および噴霧造粒の製造に関しては、例えば、「Spray-Drying Handbook」第3版、1979、G.Goodwin Ltd.、London;J.E.Browning、「Agglomeration」、Chemical and Engineering 1967、147頁以降;「Perry’s Chemical Engineer’s Handbook」、第5版、McGraw Hill、New York 1973、8-57頁に記載されている方法を参照されたい。
【0174】
作物保護組成物の製剤に関するさらなる詳細については、例えば、G.C.Klingman、「Weed Control as a Science」、John Wiley and Sons、Inc.、New York、1961、81-96頁およびJ.D.Freyer、S.A.Evans、「Weed Control Handbook」、第5版、Blackwell Scientific Publications、Oxford、1968、101-103頁を参照されたい。
【0175】
原則として、農薬製剤は、1~95重量%の活性化合物を含み、以下の濃度は、製剤のタイプに応じて、慣用である:
【0176】
水和剤(粉末)中の活性化合物濃度は例えば、約10~95重量%であり、100重量%までの残余は、慣用の製剤成分から構成される。乳剤の場合、活性化合物濃度は例えば、5~80重量%の量であり得る。粉剤の形態の製剤は、ほとんどの場合、5~20重量%の活性化合物を含み、噴霧可能な溶液は、約0.2~25重量%の活性化合物を含む。分散性顆粒などの粒剤の場合、活性化合物含有量は、活性化合物が液体形態または固体形態で存在するかどうか、およびどの造粒補助剤および充填剤が使用されているかに部分的に依存する。原則として、含量は、顆粒水和剤の場合、10~90重量%である。
【0177】
さらに、上記の活性化合物製剤は適切であれば、従来の接着剤、湿潤剤、分散剤、乳化剤、保存剤、凍結防止剤、溶媒、充填剤、着色剤、担体、消泡剤、蒸発防止剤、pH調節剤または粘度調節剤を含むことができる。
【0178】
本発明による(使用される)組成物中に存在する除草剤(複数可)の除草作用は例えば、界面活性剤によって、好ましくは脂肪族アルコールポリグリコールエーテルの群からの湿潤剤によって改善することができる。脂肪族アルコールポリグリコールエーテルは好ましくは脂肪族アルコール基中に10~18個の炭素原子を含有し、ポリグリコールエーテル部分中に2~20のエチレンオキシド単位を含有する。脂肪族アルコールポリグリコールエーテルは例えば、脂肪族アルコールポリグリコールエーテルスルフェートの形態の、非イオン性またはイオン性であり得、例えば、アルカリ金属塩(例えば、ナトリウム塩またはカリウム塩)またはアンモニウム塩として使用され得るが、マグネシウム塩などのアルカリ土類金属塩としても使用され得、例えば、ナトリウムC12/C14-脂肪族アルコールジグリコールエーテルスルフェート(Genapol(登録商標)LRO、Clariant);例えば、EP-A-0476555、EP-A-0048436、EP-A-0336151を参照されたく、またはUS-A-4,400,196およびProc.EWRS Symp.「Factors Affecting Herbicidal Activity and Selectivity」、227-232(1988)も参照されたい。非イオン性脂肪族アルコールポリグリコールエーテルは例えば、2~20、好ましくは3~15のエチレンオキシド単位を含む(C10-C18)-、好ましくは(C10-C14)-脂肪アルコホールポリグリコールエーテル(例えば、イソトリデシルアルコールポリグリコールエーテル)であり、例えばGenapol(登録商標)シリーズ、例えば、Genapol(登録商標)X-030、Genapol(登録商標)X-060、Genapol(登録商標)X-080またはGenapol(登録商標)X-150(全て、Clariant GmbHから)からのものである。
【0179】
本発明はさらに、好ましくは脂肪族アルコール基中に10~18個の炭素原子を含有し、ポリグリコールエーテル部分中に2~20のエチレンオキシド単位を含有し、非イオン性またはイオン性形態(例えば、脂肪族アルコールポリグリコールエーテルサルフェートとして)で存在し得る脂肪族アルコールポリグリコールエーテルの群からの上述の湿潤剤と、上記で定義された成分(i)および(ii)の組み合わせ(の使用)を包含する。C12/C14-脂肪族アルコールジグリコールエーテル硫酸ナトリウム(Genapol(登録商標)LRO、Clariant);および3~15のエチレンオキシド単位を有するイソトリデシルアルコールポリグリコールエーテル、例えばGenapol(登録商標)シリーズ、例えばGenapol(登録商標)X-030、Genapol(登録商標)X-060、Genapol(登録商標)X-080またはGenapol(登録商標)X-150(全て、Clariant GmbHから)のものが好ましい。さらに、脂肪族アルコールポリグリコールエーテル、例えば非イオン性またはイオン性脂肪族アルコールポリグリコールエーテル(例えば、脂肪族アルコールポリグリコールエーテルサルフェート)もまた、多くの他の除草剤、とりわけイミダゾリノン系の群からの除草剤、のための浸透剤および活性増強剤としての使用に適していることが知られている(例えば、EP-A-0502014を参照されたい)。
【0180】
さらに、脂肪族アルコールポリグリコールエーテル、例えば非イオン性またはイオン性脂肪族アルコールポリグリコールエーテル(例えば、脂肪族アルコールポリグリコールエーテルサルフェート)もまた、多くの他の除草剤、とりわけイミダゾリノン系の群からの除草剤、のための浸透剤および活性増強剤としての使用に適していることが知られている(例えば、EP-A-0502014を参照されたい)。
【0181】
本発明による(使用される)組成物の除草効果は、植物油を使用して増大させることもできる。植物油という用語は、油-植物種由来の油、例えば大豆油、ナタネ油、トウモロコシ油、ヒマワリ油、綿実油、亜麻仁油、ココナッツ油、パーム油、ベニバナ油またはヒマシ油、特にナタネ油、およびそれらのエステル交換生成物、例えばアルキルエステル、例えばナタネ油メチルエステルまたはナタネ油エチルエステルを意味すると理解されるべきである。
【0182】
植物油は、好ましくはC10-C22-、好ましくはC12-C20-脂肪酸のエステル類である。C10-C22-脂肪酸エステルは例えば、不飽和または飽和C10-C22-脂肪酸のエステル、特に、偶数の炭素原子を有するもの、例えば、エルカ酸、ラウリン酸、パルミチン酸、および特に、C18-脂肪酸、例えば、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸またはリノレン酸である。
【0183】
好ましいC-C20-アルキル-C10-C22-脂肪酸エステルは、メチル、エチル、プロピル、ブチル、2-エチルヘキシルおよびドデシルエステルである。好ましいグリコール-およびグリセロール-C10-C22-脂肪酸エステルは、C10-C22-脂肪酸の均一または混合グリコールエステルおよびグリセロールエステルであり、特に、偶数の炭素原子を有する脂肪酸、例えば、エルカ酸、ラウリン酸、パルミチン酸、および特にC18-脂肪酸、例えば、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸またはリノレン酸である。
【0184】
植物油は、例えば、商業的に入手可能な油含有製剤添加剤の形態で、本発明による(使用される)除草性組成物中に存在し得、特に、ナタネ油に基づくもの、例えばHasten(登録商標)(Victorian Chemical Company、オーストラリア、以下Hastenと称する、主成分:ナタネ油エチルエステル)、Actirob(登録商標)B(Novance、フランス、以下ActirobBと称する、主成分:ナタネ油メチルエステル)、Rako-Binol(登録商標)(Bayer AG、ドイツ、以下Rako-Binolと称する、主成分:ナタネ油)、Renol(登録商標)(Stefes、ドイツ、以下Renolと称する、植物油成分:ナタネ油メチルエステル)、またはStefes Mero(登録商標)(Stefes、ドイツ、主成分:ナタネ油メチルエステル)の形態で存在することができる。
【0185】
使用のために、本発明による(使用される)組成物中に存在する成分(i)および(ii)を含む製剤は、任意に、慣用の方法で希釈され、例えば、水和剤(粉末)、乳剤、分散液および顆粒水和剤の場合に水を使用して希釈される。粉剤、土壌粒剤、散布用の粒剤および噴霧可能な溶液の形態の製剤は、通常、使用前に他の不活性物質でさらに希釈されない。
【0186】
本発明の文脈において定義される組成物は、好ましくは有害な植物もしくは望ましくない植物もしくはその部分、植物の種子または栽培下の領域(圃場の土壌)、好ましくは有害な植物もしくはその部分の緑、または望ましくない植物もしくはその部分の緑色部分に施用される。
【0187】
成分(i)および(ii)を含む本発明による(使用される)組成物は、成分の量が互いに正しい比率で既に提示されているので、施用するのがより容易であるという利点を有する。さらに、製剤中のアジュバントは、互いに最適に適合させることができる。
【0188】
既により詳細に上述したように、本発明はさらに、農業分野、特に有害植物または望ましくない植物成長を防除するための、成分(i)および(ii)を含む本発明による組成物(の使用)(好ましくは、本明細書に定義される好ましい実施形態、より好ましい実施形態、または特に好ましい実施形態の1つ)に関する。
【0189】
したがって、本発明のさらなる態様において、本発明による組成物の、作物植物、好ましくは穀類作物植物、特にコムギ作物植物またはオオムギ作物植物の保護のための使用に関する。
【0190】
前記使用は、好ましくは前記組成物が出芽後に穀類植物、特にコムギ作物植物またはオオムギ作物植物、に施用されることを特徴とする。
【0191】
本発明はまた、本発明の文脈において定義される組成物が、望ましくない植生、または作物植物が生育しているか、または生育するのであろう領域に施用されることを特徴とする、望ましくない植生を防除するための方法に関する。
【0192】
前記方法は、好ましくは本発明の文脈において定義される組成物が出芽後に作物植物に、好ましくは出芽後に穀類作物植物に施用されることを特徴とする。
【0193】
前記使用または方法は、好ましくは、エトフメセートの量が700g/ha~50g/haの範囲、好ましくは600g/ha~50g/haの範囲、より好ましくは500g/ha~100g/haの範囲、最も好ましくは300g/ha~100g/haの範囲内にあるように、本発明の文脈において定義される組成物が施用されることを特徴とする。
【0194】
前記使用または方法は、好ましくは、前記組成物が、穀類作物植物のBBCH成長段階13の前に、好ましくはBBCH成長段階09、10、11および/または12において、より好ましくは穀類作物植物のBBCH成長段階10、11および/または12において、特に、穀類作物植物のBBCH成長段階10、11または12において、出芽後の穀類作物植物に施用されることを特徴とする。
【0195】
前記使用または方法は、好ましくは、(穀類)作物植物がコムギ作物植物またはオオムギ作物植物であることを特徴とする。
【0196】
前記使用または方法は、好ましくは、穀類作物植物がデュラムコムギ(Tritricum durum)、パンコムギ(Tritricum aestivum)およびオオムギ(Hordeum vulgare)からなる群から選択されることを特徴とする。
【0197】
さらなる態様において、本発明は、エトフメセートのための薬害軽減剤としてのメフェンピル-ジエチルまたはクロキントセット-メキシルの使用、好ましくは穀類作物植物、特にコムギ作物植物またはオオムギ作物植物における使用に関する。
【実施例
【0198】
実施例
【0199】
圃場試験では、穀類作物障害に関する(i)エトフメセートと(ii)薬害軽減剤メフェンピル-ジエチルの相互作用を調べた。
【0200】
圃場における異なる種類のコムギおよびオオムギ作物のプロットに、手持ち式スプレーブームを用いて140L/haの施用量でスプレーした。
【0201】
施用スプレー組成物の施用は、それぞれのコムギまたはオオムギ作物のBBCH成長段階11(展開した最初の葉)で、出芽後のいずれの場合も早期に行った。
【0202】
試験した4つの異なる軟質フユコムギ(TRZAW)変種は、アーサー・ニック(ARTHUR NICK)、エリクサー(ELIXER)、ピストロ(PISTOLO)およびルビスコ(RUBISKO)であった。
【0203】
試験した3つの異なるフユオオムギ(HORVW)変種は、カリホルニア(CALIFORNIA)、シエルゾ(CIERZO)およびケイダブリュエス・オービット(KWS ORBIT)であった。
【0204】
最大作物損傷および最終作物損傷を、それぞれの場合において、未処理対照との関係で、パーセンテージスケールで視覚的に評価した(100%=全ての植物が枯死し、完全な作物の枯死;50%=緑の植物バイオマスが50%減少、および0%=対照区と同様、作物損傷なし)。
【0205】
観察された作物損傷の主な症状は、間引(thinning)および発育阻害(stunting)であった。
【0206】
軟質フユコムギの結果-最大作物損傷(%)
【0207】
【表3】
【0208】
軟質フユコムギの結果-最終作物損傷(%)
【0209】
【表4】
【0210】
フユオオムギの結果-最大作物損傷(%)
【0211】
【表5】
【0212】
フユオオムギの結果-最終作物損傷(%)
【0213】
【表6】
【国際調査報告】