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特表2024-520591集電体、集電体の製造方法、負極及び電気化学的エネルギー貯蔵装置
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  • 特表-集電体、集電体の製造方法、負極及び電気化学的エネルギー貯蔵装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-24
(54)【発明の名称】集電体、集電体の製造方法、負極及び電気化学的エネルギー貯蔵装置
(51)【国際特許分類】
   H01M 4/66 20060101AFI20240517BHJP
   H01M 4/134 20100101ALI20240517BHJP
   H01M 4/40 20060101ALI20240517BHJP
   H01M 4/74 20060101ALI20240517BHJP
【FI】
H01M4/66 A
H01M4/134
H01M4/40
H01M4/74 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023574141
(86)(22)【出願日】2022-05-30
(85)【翻訳文提出日】2024-01-30
(86)【国際出願番号】 CN2022095943
(87)【国際公開番号】W WO2022253174
(87)【国際公開日】2022-12-08
(31)【優先権主張番号】202110610629.8
(32)【優先日】2021-06-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】510177809
【氏名又は名称】ビーワイディー カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100169904
【弁理士】
【氏名又は名称】村井 康司
(74)【代理人】
【識別番号】100132698
【弁理士】
【氏名又は名称】川分 康博
(72)【発明者】
【氏名】潘▲儀▼
(72)【発明者】
【氏名】▲謝▼静
(72)【発明者】
【氏名】郭姿珠
(72)【発明者】
【氏名】▲孫▼▲華▼▲軍▼
【テーマコード(参考)】
5H017
5H050
【Fターム(参考)】
5H017AA03
5H017CC05
5H017DD06
5H017EE01
5H017EE04
5H017EE05
5H017EE07
5H017HH03
5H050AA07
5H050AA15
5H050BA16
5H050CA01
5H050CA08
5H050CA09
5H050CB12
5H050DA04
5H050DA06
5H050HA04
(57)【要約】
本願は、集電体、集電体の製造方法、負極及び電気化学的エネルギー貯蔵装置を提供する。該集電体は、第1ポリマー層と、金属層と、第2ポリマー層と、を含み、前記金属層は、前記第1ポリマー層の片側に位置し、前記第2ポリマー層は、前記金属層の前記第1ポリマー層から離れる側に位置し、前記第1ポリマー層から前記第2ポリマー層への方向において、前記集電体は、前記集電体を貫通する貫通孔を複数有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
集電体であって、
第1ポリマー層と、金属層と、第2ポリマー層と、を含み、
前記金属層は、前記第1ポリマー層の片側に位置し、
前記第2ポリマー層は、前記金属層の前記第1ポリマー層から離れる側に位置し、
前記第1ポリマー層から前記第2ポリマー層への方向において、前記集電体を貫通する複数の貫通孔を有する、集電体。
【請求項2】
導電層をさらに含み、前記導電層は、前記貫通孔の内側壁に設置される、請求項1に記載の集電体。
【請求項3】
複数の前記貫通孔は、アレイ状に分布する、請求項1又は2に記載の集電体。
【請求項4】
前記貫通孔の孔径は、10μm以下である、請求項3に記載の集電体。
【請求項5】
リチウム含有金属層をさらに含み、前記リチウム含有金属層は、前記金属層内に位置する、請求項1~4のいずれか一項に記載の集電体。
【請求項6】
前記リチウム含有金属層の厚さは、10nm~2μmである、請求項5に記載の集電体。
【請求項7】
難燃層をさらに含み、前記難燃層は、
前記第1ポリマー層の前記金属層から離れる側と、
前記第2ポリマー層の前記金属層から離れる側とのうちの少なくとも一方に設置される、請求項1~6のいずれか一項に記載の集電体。
【請求項8】
前記難燃層の厚さは、10nm~1μmである、請求項7に記載の集電体。
【請求項9】
リチウム補充材料をさらに有し、前記リチウム補充材料は、
前記第1ポリマー層と、
前記第2ポリマー層とのうちの少なくとも一方に位置する、請求項1~8のいずれか一項に記載の集電体。
【請求項10】
前記リチウム補充材料は、
前記第1ポリマー層における前記リチウム補充材料の質量割合が0.1wt%~5wt%であるという条件と、
前記第2ポリマー層における前記リチウム補充材料の質量割合が0.1wt%~5wt%であるという条件とのうちの少なくとも1つを満たし、
前記リチウム補充材料は、Li-Mg、Li-Al、Li-Si、Li-Ag、Li-Au、Li-Sn、Li-In及びLi-Ge合金のうちの少なくとも1種を含む、請求項9に記載の集電体。
【請求項11】
前記第1ポリマー層の前記金属層から離れる側の電子導電性が前記第1ポリマー層の前記金属層に向かう側の電子導電性より低いという条件と、
前記第2ポリマー層の前記金属層から離れる側の電子導電性が前記第2ポリマー層の前記金属層に向かう側の電子導電性より低いという条件とのうちの少なくとも1つを満たす、請求項9又は10に記載の集電体。
【請求項12】
前記第1ポリマー層の前記金属層から離れる側が絶縁されているという条件と、
前記第2ポリマー層の前記金属層から離れる側が絶縁されているという条件とのうちの少なくとも1つを満たす、請求項9~11のいずれか一項に記載の集電体。
【請求項13】
前記金属層の厚さが4μm以下であるという条件と、
前記第1ポリマー層の厚さが11μm~26μmであるという条件と、
前記第2ポリマー層の厚さが11μm~26μmであるという条件とのうちの少なくとも1つを満たす、請求項1~12のいずれか一項に記載の集電体。
【請求項14】
前記金属層を形成する材質は、銅、金、銀、マグネシウム、亜鉛、チタン、ニッケルのうちの少なくとも1種又はステンレス鋼を含む、請求項1~13のいずれか一項に記載の集電体。
【請求項15】
前記貫通孔の孔径の形状は、円筒形、角筒形、立方体筒形、台形円筒形及び三角錐形のうちの少なくとも1種を含む、請求項1~14のいずれか一項に記載の集電体。
【請求項16】
前記貫通孔の前記第1ポリマー層又は第2ポリマー層の所在する平面に沿った断面は、
前記断面が前記金属層から前記第1ポリマー層への方向において徐々に増加するという条件と、
前記断面が前記金属層から前記第2ポリマー層への方向において徐々に増加するという条件とのうちの少なくとも1つを満たす、請求項15に記載の集電体。
【請求項17】
第1ポリマー膜、金属膜及び第2ポリマー膜を順に積層して設置して、第1複合構造を形成するステップと、
前記第1ポリマー層の前記金属膜から離れる側の表面に第1保護膜を形成し、前記第2ポリマー膜の前記金属膜から離れる側の表面に第2保護膜を形成して、第2複合構造を形成するステップと、
前記第2複合構造に、前記第2複合構造の前記積層方向において反対側に位置する2つの表面を貫通する貫通孔を複数形成するステップと、
前記第1保護膜と前記第2保護膜を除去して、集電体を得るステップと、を含む、集電体の製造方法。
【請求項18】
請求項1~16のいずれか一項に記載の集電体又は請求項17に記載の方法で製造された集電体を含む、負極。
【請求項19】
正極と、請求項18に記載の負極と、を含む、電気化学的エネルギー貯蔵装置。
【請求項20】
前記集電体の空隙率β、前記正極の面積容量C、前記集電体の積層方向における厚さd、及び容量-厚さ定数kは、
【数1】
を満たし、
前記β≧50%、前記C≧5mAh/cm、前記k=5×10-4cm/mAhである、請求項19に記載の電気化学的エネルギー貯蔵装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、エネルギー貯蔵の技術分野に関し、特に、集電体、集電体の製造方法、負極及び電気化学的エネルギー貯蔵装置に関する。
【背景技術】
【0002】
リチウム電池は、エネルギー密度が高く、サイクル安定性、安全性に優れた特性などを有し、携帯電話、コンピュータ、自動車及び送電網エネルギー貯蔵などの多くの分野に広く使用されている。リチウム金属電池に使用されているリチウム箔により、高いコスト及び電池製造プロセスの潜在的な安全上の問題を引き起こすため、集電体のみを負極材料として使用し、すなわち、理論上過剰のリチウムを含まないリチウム金属電池が望まれる。ゼロ過剰リチウム金属電池は、理論上、より高いエネルギー密度を有するが、実際に使用されるとき、リチウムが集電体上に不均一に堆積し、デッドリチウムを生成してサイクル寿命を低下させ、深刻なリチウムデンドライトを生成して潜在的な安全上の問題を引き起こし、リチウム電池の使用性能に影響を与え、リチウム電池の適用を制限している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本願は、上述した、リチウムが不均一に堆積するという問題を緩和し、さらに解決し、リチウムデンドライトの生成を回避し、使用性能を向上させるために、集電体を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
第1態様において、本願に係る集電体は、順に積層して設置された第1ポリマー層、金属層及び第2ポリマー層を含み、前記集電体は、前記集電体の積層方向において反対側に位置する2つの表面を貫通する貫通孔を複数有する。
【0005】
本出願に係る集電体は、第1ポリマー層と、金属層と、第2ポリマー層と、を含み、前記金属層は、前記第1ポリマー層の片側に位置し、前記第2ポリマー層は、前記金属層の前記第1ポリマー層から離れる側に位置し、前記第1ポリマー層から前記第2ポリマー層への方向において、前記集電体は、前記集電体を貫通する貫通孔を複数有する。
【0006】
本願において、貫通孔が集電体を貫通することは、集電体が電解液に効果的に浸潤されることに有利であり、集電体の内部の電気化学的整合性を向上させ、そして、貫通孔を設置することにより、集電体の比表面積と、充放電プロセスにおいて析出したリチウムを収容する内部空間とを増加させ、また、金属層が中央に設置されるため、リチウムが内部の金属層に堆積することを誘導し、リチウムデンドライトの生成を抑制し、デッドリチウム(不活性リチウム)の生成を回避し、界面抵抗及び活性リチウムの損失を減少させることができる。本願に係る集電体は、直接的に負極として使用されて、負極の電気化学的性能及び安全性を向上させることができる。
【0007】
前記集電体は、導電層をさらに含み、前記導電層は、前記貫通孔の内側壁に設置される。
【0008】
前記貫通孔は、アレイ状に分布する。
前記貫通孔の孔径は、10μm以下である。
【0009】
前記金属層の厚さは、4μm以下である。
前記第1ポリマー層の厚さは、11μm~26μmである。
【0010】
前記第2ポリマー層の厚さは、11μm~26μmである。
前記集電体は、リチウム含有金属層をさらに含み、前記リチウム含有金属層は、前記金属層内に設置される。
【0011】
前記リチウム含有金属層の厚さは、10nm~2μmである。
前記集電体は、難燃層をさらに含み、前記難燃層は、前記第1ポリマー層の前記金属層から離れる側及び/又は前記第2ポリマー層の前記金属層から離れる側に設置される。
【0012】
前記難燃層の厚さは、10nm~1μmである。
前記第1ポリマー層にリチウム補充材料を有し、前記第1ポリマー層における前記リチウム補充材料の質量割合が0.1wt%~5wt%であり、前記第1ポリマー層の前記金属層から離れる側が絶縁されており、及び/又は、
前記第2ポリマー層にリチウム補充材料を有し、前記第2ポリマー層における前記リチウム補充材料の質量割合が0.1wt%~5wt%であり、前記第2ポリマー層の前記金属層から離れる側が絶縁されており、
前記リチウム補充材料は、Li-Mg、Li-Al、Li-Si、Li-Ag、Li-Au、Li-Sn、Li-In及びLi-Ge合金のうちの少なくとも1種を含む。
【0013】
第2態様において、本願に係る集電体の製造方法は、
第1ポリマー膜、金属膜及び第2ポリマー膜を順に積層して設置して、第1複合構造を形成するステップと、
前記第1ポリマー膜の前記金属膜から離れる側の表面に第1保護膜を設置し、前記第2ポリマー膜の前記金属膜から離れる側の表面に第2保護膜を設置して、第2複合構造を形成するステップと、
前記第2複合構造に、前記第2複合構造の前記積層方向において反対側に位置する2つの表面を貫通する貫通孔を複数成形するステップと、
前記第1保護膜と前記第2保護膜を除去して、集電体を得るステップと、を含む。
【0014】
第3態様において、本願に係る負極は、第1態様に記載の集電体又は第2態様に記載の製造方法で製造された集電体を含む。
【0015】
第4態様において、本願に係る電気化学的エネルギー貯蔵装置は、正極と、第3態様に記載の負極と、を含む。
【0016】
前記集電体の空隙率β、前記正極の面積容量C、前記集電体の積層方向における厚さd、及び容量-厚さ定数kは、
【0017】
【数1】
【0018】
を満たし、
前記β≧50%、前記C≧5mAh/cm、前記k=5×10-4cm/mAhである。
【図面の簡単な説明】
【0019】
本願の実施形態における技術手段をより明確に説明するために、以下、実施形態に必要な図面を簡単に説明し、明らかに、以下に説明される図面は、本願のいくつかの実施形態に過ぎず、当業者であれば、創造的な労働をしない前提で、これらの図面に基づいて他の図面を得ることもできる。
図1】本願の一実施形態に係る集電体の概略上面図である。
図2図1中のI-I線に沿った概略断面図である。
図3】本願の別の実施形態に係る集電体の概略断面図である。
図4】本願のまた別の実施形態に係る集電体の概略断面図である。
図5】本願のさらに別の実施形態に係る集電体の概略断面図である。
図6】本願のまたさらに別の実施形態に係る集電体の概略断面図である。
図7】本願の一実施形態に係る集電体の製造の工程を示す概略図である。
図8】本願の一実施形態に係る電気化学的エネルギー貯蔵装置の概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本願の実施形態における図面を参照しながら、本願の実施形態における技術手段を明確かつ完全に説明し、明らかに、説明される実施形態は、本願の実施形態の一部に過ぎず、全ての実施形態ではない。本願における実施形態に基づいて、当業者が創造的な労働をしない前提で得られる全ての他の実施形態は、いずれも本願の保護範囲に属するものである。
【0021】
本願は、集電体1を提供し、図1は、本願の一実施形態に係る集電体の概略上面図であり、図2は、図1中のI-I線に沿った概略断面図である。図1及び図2の両方に示すように、集電体1は、第1ポリマー層11、金属層12及び第2ポリマー層13を含み、第1ポリマー層11、金属層12及び第2ポリマー層13は、順に積層して設置され、すなわち、金属層12は、第1ポリマー層11の片側に位置し、第2ポリマー層13は、金属層12の第1ポリマー層11から離れる側に位置する。集電体1は、集電体1を貫通する貫通孔14を複数有し、つまり、集電体1の積層方向において、集電体1の反対側に位置する2つの表面を貫通する貫通孔14を複数有する。
【0022】
本願に係る集電体1では、集電体1を貫通する貫通孔14が設置されることは、集電体1が電解液に効果的に浸潤されることに有利であり、集電体1の内部の電気化学的整合性を向上させ、そして、貫通孔14を設置することにより、集電体1の比表面積と、充放電プロセスにおいて析出したリチウムを収容する内部空間とを増加させ、リチウムデンドライトの生成を抑制し、積層して設置された構造により、金属層12が集電体1の内部に設置され、リチウムが集電体1の内部の金属層12に堆積することを誘導し、リチウムデンドライトの生成を抑制し、デッドリチウム(不活性リチウム)の生成を回避し、界面抵抗を減少させ、活性リチウムの損失を回避し、電気化学的性能及び使用安全性を向上させることができる。単一の金属層からなる集電体に比べて、本願に係る集電体1では、第1ポリマー層11及び第2ポリマー層13を設置することにより、リチウムが集電体1の表面に堆積することを回避し、使用性能及び安全性能を効果的に保証し、そして、貫通孔14を設置することにより、使用性能をさらに向上させ、適用に有利である。
【0023】
理解できるように、集電体1が貫通孔14を有するため、第1ポリマー層11、金属層12及び第2ポリマー層13は、いずれも多孔質層構造である。
【0024】
本願のいくつかの例において、第1ポリマー層11の材料は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイミド、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリエステル及びポリアクリロニトリルから選択される少なくとも1種であってもよく、本願は、これを限定しない。他のいくつかの例において、第2ポリマー層13の材料は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイミド、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリエステル及びポリアクリロニトリルから選択される少なくとも1種であってもよく、本願は、これを限定しない。一例において、第1ポリマー層11と第2ポリマー層13とは、材料が同じである。具体的には、第1ポリマー層11の材料と第2ポリマー層13の材料は、いずれもポリエチレンテレフタレートであってもよいが、これに限定されない。
【0025】
本願のいくつかの例において、第1ポリマー層11の厚さは、11μm~26μmである。すなわち、第1ポリマー層11の積層方向における厚さは、11μm~26μmである。さらに、第1ポリマー層11の厚さは、15μm~23μmである。具体的には、第1ポリマー層11の厚さは、11μm、13μm、15μm、18μm、21μm、25μm、26μmなどであってもよいが、これらに限定されない。本願のいくつかの例において、第2ポリマー層13の厚さは、11μm~26μmである。すなわち、第2ポリマー層13の積層方向における厚さは、11μm~26μmである。さらに、第2ポリマー層13の厚さは、15μm~23μmである。具体的には、第2ポリマー層13の厚さは、12μm、14μm、17μm、23μm、24μmなどであってもよいが、これらに限定されない。一実施例において、第1ポリマー層11と第2ポリマー層13とは、厚さが同じである。
【0026】
本願のいくつかの例において、第1ポリマー層11と第2ポリマー層13のうちの少なくとも一方にリチウム補充材料を有し、つまり、第1ポリマー層11及び/又は第2ポリマー層13にリチウム補充材料を有する。それにより、充放電プロセスにおいて、消費されたリチウムを補充し、エネルギー密度及びサイクル寿命を向上させる。さらに、リチウム補充材料は、Li-Mg、Li-Al、Li-Si、Li-Ag、Li-Au、Li-Sn、Li-In及びLi-Ge合金のうちの少なくとも1種を含む。それにより、リチウムを効果的に補充することができる。一例において、第1ポリマー層11におけるリチウム補充材料の質量割合は、0.1wt%~5wt%である。別の例において、第2ポリマー層13におけるリチウム補充材料の質量割合は、0.1wt%~5wt%である。上記含有量のリチウム補充材料を用いると、リチウムの補充に有利であるとともに、第1ポリマー層11、第2ポリマー層13の絶縁性能に影響を与えない。具体的には、第1ポリマー層11におけるリチウム補充材料の質量割合は、0.1wt%、0.5wt%、1wt%、2wt%、3wt%又は4wt%などであってもよいが、これらに限定されず、第2ポリマー層13におけるリチウム補充材料の質量割合は、0.1wt%、0.5wt%、1wt%、2wt%、3wt%又は4wt%などであってもよいが、これらに限定されない。本願において、第1ポリマー層11に対して上記含有量のリチウム補充材料を用いるとき、第1ポリマー層11の金属層12から離れる側の電子導電性が相対的に低く、それにより、金属リチウムが第1ポリマー層11の表面に優先的に堆積しないことを保証し、リチウムデンドライト及びデッドリチウムの生成を回避するとともに、電池の使用寿命を延長し、第2ポリマー層13に対して上記含有量のリチウム補充材料を用いるとき、第2ポリマー層13の金属層12から離れる側の電子導電性が相対的に低く、それにより、金属リチウムが第2ポリマー層13の表面に優先的に堆積しないことを保証し、リチウムデンドライト及びデッドリチウムの生成を回避するとともに、電池の使用寿命を延長する。つまり、該集電体がリチウム補充材料を有する場合、該集電体は、
第1ポリマー層の上記金属層から離れる側の電子導電性が上記第1ポリマー層の上記金属層に向かう側の電子導電性より低いという条件(1)と、
上記第2ポリマー層の上記金属層から離れる側の電子導電性が上記第2ポリマー層の上記金属層に向かう側の電子導電性より低いという条件(2)とのうちの少なくとも1つを満たす。
【0027】
一例において、第1ポリマー層11にリチウム補充材料を有し、第1ポリマー層11の金属層12から離れる側は、絶縁されている。別の例において、第2ポリマー層13にリチウム補充材料を有し、第2ポリマー層13の金属層12から離れる側は、絶縁されている。
【0028】
本願において、集電体1の内部に設置された金属層12により、リチウムが内部で優先的に堆積することを保証し、リチウムデンドライトの生成を回避し、電気化学的性能の向上に有利である。
【0029】
本願のいくつかの例において、金属層12の材質は、銅、金、銀、マグネシウム、亜鉛、チタン及びニッケルのうちの少なくとも1種、又はステンレス鋼を含む。さらに、金属層12の材質は、銅単体、銅合金、銀、チタン及びニッケルのうちの少なくとも1種、又はステンレス鋼を含む。具体的には、金属層12は、銅箔、銅合金箔、ステンレス鋼箔、銀箔、チタン箔又はニッケル箔であってもよいが、これらに限定されない。一例において、金属層12は、銅箔又は銅合金箔である。
【0030】
本願のいくつかの例において、金属層12の厚さは、4μm以下である。すなわち、金属層12の積層方向における厚さは、4μm以下である。さらに、金属層12の厚さは、3μm以下である。具体的には、金属層12の厚さは、0.5μm、1μm、1.5μm、2μm、3μm、4μmなどであってもよいが、これらに限定されない。
【0031】
本願のいくつかの例において、金属層12の厚さは、第1ポリマー層11の厚さより小さく、第2ポリマー層13の厚さより小さい。それにより、集電体1全体における金属層12の割合が小さく、不活性成分の質量割合及び体積割合を低下させ、集電体1のエネルギー密度を向上させることができ、また、貫通孔14の設置が集電体の強度に過度な影響を与えず、貫通孔14の孔径及び集電体1の空隙率の増加に有利である。一実施例において、金属層12の厚さは、4μm以下であり、第1ポリマー層11の厚さは、11μm~26μmであり、第2ポリマー層13の厚さは、11μm~26μmである。
【0032】
本願において、集電体1は、複数の貫通孔14を有し、貫通孔14は、集電体1の積層方向において反対側に位置する2つの表面を貫通する。図2に示すように、一実施形態において、矢印で示す方向は、積層方向である。
【0033】
いくつかの例において、再び図1に示すように、貫通孔14は、アレイ状に分布する。貫通孔14がアレイ状に均一に分布することは、充放電プロセスにおいて析出したリチウムが均一に堆積することに有利であり、局所的にリチウムが過剰に堆積して突出することを回避し、使用安全性をさらに向上させる。
【0034】
いくつかの例において、貫通孔14の孔径は、10μm以下である。さらに、貫通孔14の孔径は、8μmより小さい。具体的には、貫通孔14の孔径は、3μm、4μm、5μm、6μm、8μmなどであってもよいが、これらに限定されない。孔径が小さい上記貫通孔14を設置することにより、電解液が貫通孔14をゆっくり通過することをさらに保証し、集電体1が電解液によく浸潤されることを保証し、電気化学的性能の整合性をさらに向上させる。
【0035】
いくつかの例において、図2に示すように、第1ポリマー層11は、第1サブ貫通孔141を有し、金属層12は、第2サブ貫通孔142を有し、第2ポリマー層13は、第3サブ貫通孔143を有する。第1サブ貫通孔141と第3サブ貫通孔143は、対応する第2サブ貫通孔142を介して連通して、貫通孔14を形成する。具体的には、第1サブ貫通孔141、第2サブ貫通孔142及び第3サブ貫通孔143の内部には、いずれも収容空間を有するため、集電体1が電解液に浸潤されるとき、電解液は、集電体1の内部、すなわち、第1サブ貫通孔141、第2サブ貫通孔142及び第3サブ貫通孔143の内面により均一に浸潤することができる。
【0036】
いくつかの例において、集電体1の貫通孔14の孔径の形状は、円筒形、角筒形、立方体筒形、台形円筒形及び三角錐形のうちの少なくとも1種を含む。具体的には、第1サブ貫通孔141と第3サブ貫通孔143が対応する第2サブ貫通孔142を介して連通することに影響を与えない限り、本願は、貫通孔14の孔径の形状を限定しない。具体的には、貫通孔14の横断面は、多角形、円形、楕円形、不規則な形状などであってもよいが、これらに限定されず、貫通孔14の縦断面は、長方形、台形、略台形、円錐形、略円錐形、不規則な形状などであってもよいが、これらに限定されない。なお、横断面は、貫通孔の第1ポリマー層、第2ポリマー層の所在する平面における断面であり、縦断面は、貫通孔の集電体の厚さ方向における断面である。一例において、貫通孔14は、内側壁が傾斜状であり、横断面が金属層12から第1ポリマー層11への方向において徐々に増加し、横断面が金属層12から第2ポリマー層13への方向において徐々に増加し、例えば、具体的には、図3に示す構造であってもよい。つまり、貫通孔の上記第1ポリマー層又は第2ポリマー層の所在する平面に沿った断面は、上記金属層から上記第1ポリマー層への方向において徐々に増加するか、又は上記金属層から上記第2ポリマー層への方向において徐々に増加する。貫通孔の上記断面は、上記条件の1つ又は2つを満たすことができる。それにより、貫通孔14の比表面積を増加させ、リチウムの堆積に有利である。図1及び図2の両方に示すように、貫通孔14の孔径の形状は、円筒形である。図3は、本願の別の実施形態に係る集電体の概略断面図であり、図3に示すように、貫通孔14の孔径縦断面の形状は、略台形である。一例において、貫通孔14は、横断面が円形であり、縦断面が略台形である場合、台形円筒形である。さらに、貫通孔14の孔径縦断面の形状は、2つの台形の短辺が交差する略台形であり、貫通孔14の横断面は、金属層12から集電体1の両端へ徐々に増加する。本実施形態において、図3に示すように、第2サブ貫通孔142の最大孔径部位の横断面積は、第1サブ貫通孔141及び第3サブ貫通孔143の最小孔径部位の横断面積以下である。理解できるように、このように設置することにより、集電体1が導電層15を有する場合、導電性物質は、第1サブ貫通孔141、第2サブ貫通孔142及び第3サブ貫通孔143の内側壁により容易に堆積する。
【0037】
本願のいくつかの例において、図4は、本願のまた別の実施形態に係る集電体の概略断面図であり、図4に示すように、集電体1は、導電層15をさらに含み、導電層15は、貫通孔14の内側壁に設置される。理解できるように、設置された導電層15は、貫通孔14を塞がず、集電体1の内部には、依然として中空の空間を有する。貫通孔14に導電層15を設置することにより、金属リチウムが集電体1の内部空間に堆積することができ、集電体1の表面に堆積することを回避し、デッドリチウムの形成を効果的に減少させ、電気化学的性能を向上させる。
【0038】
本願のいくつかの例において、貫通孔14の内側壁に導電性物質を堆積させるか又は浸漬させることにより、導電層15を形成する。さらに、第1サブ貫通孔141、第2サブ貫通孔142及び第3サブ貫通孔143の内側壁に導電性物質が堆積するため、副生成物を生成する現象を効果的に減少させて、集電体1の使用寿命を延長することができる。一実施例において、導電層15の材質は、金属材料、炭素材料及び導電性ポリマー材料のうちの少なくとも1種を含む。具体的には、導電層15の材質は、金、銀、銅、ニッケル、鉄、アルミニウム、ゲルマニウム、スズ、亜鉛、インジウム、バナジウム、マグネシウム、コバルト、炭素、ポリアニリン及びポリピロールのうちの少なくとも1種を含む。
【0039】
図5は、本願のさらに別の実施形態に係る集電体の概略断面図であり、図5に示すように、集電体1は、リチウム含有金属層16をさらに含み、リチウム含有金属層16は、金属層12内に設置される。リチウム含有金属層16を設置することにより、電解液と堆積したリチウムとの反応により消費されたリチウムを補充して、エネルギー密度及びサイクル寿命を向上させることができる。一実施例において、リチウム含有金属層16の材質は、リチウム単体及びリチウム合金のうちの少なくとも1種を含んでもよい。具体的には、リチウム合金は、Li-Ag、Li-Mg、Li-Zn、Li-Al、Li-Au、Li-Si、Li-Sn和Li-Ge合金のうちの少なくとも1種を含む。一実施例において、リチウム含有金属層16の厚さは、10nm~2μmである。さらに、リチウム含有金属層16の厚さは、100nm~1.5μmである。またさらに、リチウム含有金属層16の厚さは、300nm~1000nmである。具体的には、リチウム含有金属層16の厚さは、100nm、400nm、500nm、800nm、1μm、1.5μm、1.8μm、2μmなどであってもよいが、これらに限定されない。一実施形態において、リチウム含有金属層16は、金属層12の内部に設置される。つまり、リチウム含有金属層16は、金属層12によって被覆される。別の実施形態において、金属層12は、第1多孔質金属層及び第2多孔質金属層を含み、第1多孔質金属層、リチウム含有金属層16及び第2多孔質金属層は、順に積層して設置される。なお、貫通孔14は、同様に難燃層及びリチウム含有金属層16を貫通する。
【0040】
図6は、本願のまたさらに別の実施形態に係る集電体の概略断面図であり、図6に示すように、集電体1は、難燃層17をさらに含み、難燃層17は、第1ポリマー層11の金属層12から離れる側と、第2ポリマー層13の金属層12から離れる側とのうちの少なくとも一方に設置される。つまり、難燃層17は、第1ポリマー層11の金属層12から離れる側及び/又は第2ポリマー層13の金属層12から離れる側に設置される。集電体1が電気化学的エネルギー貯蔵装置2に使用されるとき、金属リチウムは、活性が高く、短絡が発生した場合に、電気化学的エネルギー貯蔵装置2が燃焼して、安全上の事故を引き起こしやすく、難燃層17を設置することにより、短絡が発生した初期に、難燃層17が熱を受けて溶融して、穴を塞ぐとともに、貫通孔14の内部に堆積した金属リチウムを包んで、金属リチウムと電解液とがさらに接触して熱暴走を引き起こすことを回避することができ、そして、溶融した難燃層17が接近する第1ポリマー層11の第1サブ貫通孔141及び/又は第2ポリマー層13の第2サブ貫通孔142を塞いで、イオンチャネルを遮断し、潜在的な安全上の問題を排除し、使用安全性を向上させることができる。さらに、難燃層17の材料の融点は、120℃~155℃である。低融点の難燃性材料を用いると、難燃化により有利である。なお、難燃層17が第1ポリマー層11の金属層12から離れる側及び/又は第2ポリマー層13の金属層12から離れる側に設置される場合、貫通孔14は、同様に難燃層17を貫通し、つまり、設置された難燃層17には、第1サブ貫通孔141及び/又は第3サブ貫通孔143に対応して連通する穴を複数有する。本実施形態において、難燃層17の材料は、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス及び酸化ポリエチレンワックスのうちの1種又は複数種を含む。本実施形態において、集電体1全体の厚さに影響を与えないように、難燃層17の厚さを小さくし、難燃層17の厚さ範囲は、10nm~1μm、50nm~0.8μm、100nm~0.7μm又は200nm~0.5μmなどであってもよいが、これらに限定されない。
【0041】
本願は、集電体1の具体的な製造方法を特に限定せず、次に、例を挙げて本願に係る集電体1の製造方法を説明する。
【0042】
図7は、本願の一実施形態に係る集電体の製造の工程を示す概略図である。図7に示すように、集電体1の製造方法は、ステップS701、S702、S703、S704を含み、ステップS701、S702、S703、S704の詳細について、以下の通り説明する。
【0043】
S701では、第1ポリマー膜、金属膜及び第2ポリマー膜を順に積層して設置して、第1複合構造を形成する。
【0044】
一実施形態において、第1ポリマー膜、金属膜及び第2ポリマー膜を順に積層して設置するステップは、第1ポリマー膜上に金属を堆積させて、金属膜を形成するステップと、液相塗布プロセス、原子堆積プロセス及び溶融押出圧延プロセスのうちの少なくとも1種により、金属膜上に第2ポリマー膜を成形するステップと、を含む。別の実施形態において、第1ポリマー膜、金属膜及び第2ポリマー膜を順に積層して設置するステップは、基材を提供し、基材上に金属を堆積させ、剥離して金属膜を形成するステップと、液相塗布プロセス、原子堆積プロセス及び溶融押出圧延プロセスのうちの少なくとも1種により、金属膜の反対側に位置する2つの表面上に第1ポリマー膜及び第2ポリマー膜を成形するステップと、を含む。具体的には、堆積は、マグネトロンスパッタ、イオンプレーティング、真空蒸着などにより行われてもよいが、これらに限定されない。具体的には、堆積のプロセスパラメータは、必要に応じて選択することができ、本願は、これを限定しない。一実施例において、第1ポリマー膜、金属膜及び第2ポリマー膜を順に積層して設置するステップは、第1ポリマー膜を真空マグネトロンスパッタ成膜装置に取り付け、真空ポンプで真空排気して、キャビティの真空度を8×10-2Paとした後、一定のアルゴンガスを導入して調節して真空度を2×10-1Paとし、第1ポリマー膜の表面に対してイオン源洗浄を行い、洗浄時間を5min~15minとし、洗浄が完了した後、イオン源電源をオフにし、金属めっき電源をオンにして、金属膜にマグネトロンスパッタを行い、金属膜のマグネトロンスパッタ時間を5min~100minとして、厚さが4μm以下の金属膜を得るステップを含む。
【0045】
S702では、第1ポリマー膜の金属膜から離れる側の表面に第1保護膜を設置し、第2ポリマー膜の金属膜から離れる側の表面に第2保護膜を設置して、第2複合構造を形成する。
【0046】
本実施形態において、保護膜は、透明接着剤、工程紙、ラップフィルムのうちの少なくとも1種を含んでもよいが、これらに限定されない。
【0047】
S703では、第2複合構造に、第2複合構造の積層方向において反対側に位置する2つの表面を貫通する貫通孔を複数成形する。
【0048】
本実施形態において、貫通孔14について、第1ポリマー膜に複数の第1サブ貫通孔141を形成して、第1ポリマー層11を形成し、金属膜に複数の第2サブ貫通孔142を形成して、金属層12を形成し、第2ポリマー膜に複数の第3サブ貫通孔143を形成して、第2ポリマー層13を形成する。本実施形態において、超高速レーザーにより第2複合構造上に複数の貫通孔を成形する。
【0049】
S704では、第1保護膜と第2保護膜を除去して、集電体を得る。
本実施形態において、集電体1の製造方法は、貫通孔14の内側壁に導電性物質を堆積させて、導電層15を形成するステップをさらに含む。具体的には、熱蒸着スパッタリング、マグネトロンスパッタ又は浸漬の方法で、貫通孔14の内側壁、例えば、第1サブ貫通孔141、第2サブ貫通孔142及び第3サブ貫通孔143の内側壁に導電性物質を設置して導電層15を形成する。なお、導電性物質の堆積時間を制御することにより、導電性物質を制御して一部を第1サブ貫通孔141、第2サブ貫通孔142及び第3サブ貫通孔143の内側壁に堆積させ、堆積時間が長すぎて導電性物質が貫通孔14を塞ぐことを回避することができる。
【0050】
本願に係る負極22は、上記いずれか1つの実施形態における集電体1を含む。具体的には、集電体1について、上記説明を参照することができるため、ここでは、説明を省略する。本願において、集電体1は、直接的に負極22として使用されてもよく、負極22に負極活物質層を設置する必要がなく、このとき、負極22は、リチウムフリー負極であり、本願に係る集電体1を負極22として用いると、負極22の電気化学的性能及び安全性能を大幅に向上させることができる。
【0051】
本願に係る電気化学的エネルギー貯蔵装置2は、上記負極22を含む。図8は、本願の一実施形態に係る電気化学的エネルギー貯蔵装置の概略断面図であり、図8に示すように、電気化学的エネルギー貯蔵装置2は、正極21及び負極22を含む。一実施形態において、集電体1を電気化学的エネルギー貯蔵装置2の負極22とする。
【0052】
具体的には、本実施形態において、電気化学的エネルギー貯蔵装置2は、リチウムフリー負極-リチウム電池、すなわち、アノードフリー電池であり、他の可能な実施形態において、電気化学的エネルギー貯蔵装置2は、他のタイプの電池であってもよく、本願は、これを限定しない。
【0053】
本実施形態において、集電体1の空隙率β、正極21の面積容量C、集電体1の積層方向における厚さd、及び容量-厚さ定数kは、
【0054】
【数2】
【0055】
を満たし、
ここで、k=5×10-4cm/mAhである。
【0056】
なお、通常、電気化学的エネルギー貯蔵装置2は、正極21及び負極22を含み、集電体1を電気化学的エネルギー貯蔵装置2の負極22とする。集電体1の空隙率βは、貫通孔14の総体積の集電体1の総体積に対する百分率であり、正極21の面積容量は、電気化学的エネルギー貯蔵装置2の正極21の単位表面積あたりに放出可能な電子の総数である。集電体1の空隙率及び集電体1の厚さを設定することにより、正極21の面積容量を向上させ、全体のエネルギー密度を向上させることができる。一実施例において、β≧50%、C≧5mAh/cmである。高い空隙率により、集電体1の厚さが相対的に小さい場合にも、リチウム堆積に必要な空間を保証することができ、リチウムの不規則な堆積による体積膨張を回避し、集電体1の安全性能を向上させる。さらに、β≧60%、C≧6mAh/cmである。
【0057】
本実施形態において、正極21は、正極集電体と正極活物質層を含む。一実施例において、正極活物質層の材質は、LiFeMnPO、Li(PO、Li(PO、LiNi0.5Mn1.5、LiVPOF、Li、LiCuO、LiFeOのうちの1種又は複数種を含み、ここで、0≦a≦1、0≦b≦1、0≦c≦1、a+b+c=1であり、Mは、Al、Mg、Ga、Ti、Cr、Cu、Zn、Moのうちの少なくとも1種であり、-0.1≦d≦0.5、0≦e≦1.5であり、Nは、Li、Co、Fe、Al、Mg、Ca、Ti、Mo、Cr、Cu、Znのうちの少なくとも1種であり、-0.1≦f≦0.2、0≦g≦1、0≦h≦1、0≦g+h≦1.0であり、L、H及びRは、それぞれ独立してLi、Co、Mn、Ni、Fe、Al、Mg、Ga、Ti、Cr、Cu、Zn、Mo、F、I、S、Bから選択される少なくとも1種である。1つの具体的な実施例において、正極活物質層の材質は、LiAl0.05Co0.15Ni0.80、LiNi0.80Co0.10Mn0.10、LiNi0.90Co0.05Mn0.05、LiNi0.60Co0.20Mn0.20、LiCoO、LiMn、LiFePO、LiMnPO、LiNiPO、LiCoPO、LiNi0.5Mn1.5及びLi(POのうちの少なくとも1種を含む。別の具体的な実施例において、正極活物質層の材質は、硫化リチウム、リチウム吸蔵状態V、リチウム吸蔵状態MnO、リチウム吸蔵状態TiS及びリチウム吸蔵状態FeSのうちの少なくとも1種を含む。
【0058】
本実施形態において、電気化学的エネルギー貯蔵装置2は、正極21と負極22との間に設置されたセパレータ23をさらに含む。セパレータ23は、電気化学的エネルギー貯蔵装置2の正極21と負極22を分割するものであり、本願は、セパレータ23の材料を限定しない。
【0059】
本願の実施形態に係る電気化学的エネルギー貯蔵装置2は、上記集電体1を含むため、エネルギー密度が大きく、充放電容量が高く、リチウムデンドライトを生成しにくく、安全性能が高く、サイクル寿命が長い。
【0060】
次に、複数の実施例に分けて本願の実施形態をさらに説明する。
【実施例1】
【0061】
集電体の製造方法は、
第1PET膜(厚さ18μm)を真空マグネトロンスパッタ成膜装置に取り付け、真空ポンプで真空排気して、キャビティの真空度を8×10-2Paとした後、一定のアルゴンガスを導入して調節して真空度を2×10-1Paとし、第1PET膜の表面に対してイオン源洗浄を行い、洗浄時間を5minとし、洗浄が完了した後、イオン源電源をオフにし、その後に、銅めっき電源をオンにして、マグネトロンスパッタにより金属銅めっきプロセスを行い、マグネトロンスパッタによる金属銅めっき時間を30minとして、厚さが4μmの金属銅箔を得るステップ(1)と、
溶融押出圧延機(溶融温度が300に設定される)で金属銅箔の第1PET膜から離れる表面を圧延して、厚さが約18μmの第2PET膜を得るステップ(2)と、
第1PET膜の金属銅箔から離れる表面と第2PET膜の金属銅箔から離れる表面にいずれも透明接着剤製保護膜を設置して、複合構造を得て、超高速レーザー(波長355nm)により、複合構造上にアイレ状に配列した、複合構造の積層方向において反対側に位置する2つの表面を貫通する貫通孔を複数成形し、貫通孔の孔径を10μmとして、多孔質複合構造を得るステップ(3)と、
多孔質複合構造を熱蒸着装置に移し、真空ポンプで真空排気して、キャビティの真空度を4×10-1Paとした後、温度を400℃まで上げ、金属マグネシウムを貫通孔の内壁面に堆積させ、堆積時間を10minとして、温度を100℃まで下げ、真空ポンプをオフにし、取り出して透明接着剤製保護膜を剥離して除去して、空隙率が75%の集電体Z1を得るステップ(4)と、を含む。
【実施例2】
【0062】
集電体の製造方法は、
実施例1の製造方法とほぼ同じであるが、第1PET膜と第2PET膜の厚さを16.75μmとし、空隙率と孔径をそれぞれ80%と10μmとして、集電体Z2を得るという点で相違する。
【実施例3】
【0063】
集電体の製造方法は、
実施例1の製造方法とほぼ同じであるが、第1PET膜と第2PET膜の厚さを28μmとし、空隙率と孔径をそれぞれ50%と5μmとして、集電体Z3を得るという点で相違する。
【実施例4】
【0064】
集電体の製造方法は、
実施例1の製造方法とほぼ同じであるが、ステップ(3)の後に、ステップ(4)を行わずに直接的に透明接着剤製保護膜を除去して、集電体Z4を得るという点で相違する。
【実施例5】
【0065】
集電体の製造方法は、
実施例1の製造方法とほぼ同じであるが、複数の貫通孔を不規則に配列して、集電体Z5を得るという点で相違する。
【実施例6】
【0066】
集電体の製造方法は、
実施例1の製造方法とほぼ同じであるが、金属銅箔の厚さを8μmとし、第1PET膜と第2PET膜の厚さを16μmとして、集電体Z6を得るという点で相違する。
【実施例7】
【0067】
集電体の製造方法は、
実施例1の製造方法とほぼ同じであるが、空隙率と孔径をそれぞれ50%と10μmとして、集電体Z7を得るという点で相違する。
【実施例8】
【0068】
集電体の製造方法は、
実施例1の製造方法とほぼ同じであるが、第1PET膜の金属銅箔から離れる表面と第2PET膜の金属銅箔から離れる表面にいずれも多孔質ポリプロピレンワックス難燃層を設置して、集電体Z8を得るという点で相違する。
【実施例9】
【0069】
集電体の製造方法は、
実施例1の製造方法とほぼ同じであるが、第2PET膜にマグネシウムアルミニウム合金粒子を有し、第2PET膜におけるマグネシウムアルミニウム合金粒子の質量割合を1wt%とし、第2PET膜の表面を絶縁させて、集電体Z9を得るという点で相違する。
【実施例10】
【0070】
集電体の製造方法は、
実施例1の製造方法とほぼ同じであるが、空隙率と孔径をそれぞれ80%と10μmとして、集電体Z10を得るという点で相違する。
(比較例1)
実施例1の製造方法とほぼ同じであるが、ステップ(4)で表面の透明接着剤製保護膜を剥離して除去してから、同じ蒸着プロセスを行って、集電体DZ1を得るという点で相違する。
(比較例2)
実施例1の製造方法とほぼ同じであるが、ステップ(3)における毎回のレーザーによる孔形成処理の時間を半分に短縮し、貫通しない孔のアレイを有する多孔質構造を得て、孔径を10μmとし、貫通しない孔のため、空隙率を67.5%として、集電体DZ2を得るという点で相違する。
【0071】
本願の実施形態に係る集電体の電気化学的性能を説明するために、以下の試験ステップ(1)~(4)を行う。
【0072】
(1)フルセルの製造及び電気化学サイクル試験:
(I)、真空撹拌機を用いて49gの正極活物質(LiFePO)、0.5gの導電剤(アセチレンブラック)及び0.5gのバインダー(ポリフッ化ビニリデン、PVDF)をNMPで均一に混合して安定かつ均一なペーストを得て、撹拌速度を1000rpmとし、撹拌時間を12hとし、その後に、得られたペーストを集電体のアルミニウム板に塗布し、面密度を制御して220g/mとしてから、80℃で乾燥させ、裁断してサイズが61×72mmの正極板を得て、その後に、80℃で乾燥させ、ローラープレス機により押圧して正極板を得て、1枚の正極板を直径が13mmの板に裁断してボタン電池を組み立て容量校正を行い、校正容量を6mAh/cmとする。
【0073】
(II)、上記実施例及び比較例で得られた集電体Z又はDZを直接的に負極とし、それぞれセパレータ及び正極板と1層ずつ重ねて組み立て電池を形成し、2.2mL/Ahの電解液を滴下し、電解液として、1wt%のLiNOを4MLiFSIのエチレングリコールジメチルエーテル(DME)に溶解させたものを用いて、その後に封止して、それぞれ電池S1~S10及び電池DS1~DS2を得る。
【0074】
電池S1~S10及び電池DS1~DS2をそれぞれ5つ取り、二次電池性能検出装置において、それぞれ25℃で、0.2Cで電池に対して充放電サイクル試験を行う。ステップは、以下のとおりである。10min放置し、3.8Vになるように0.2Cで定電流充電し、定電圧充電して、3.8V/0.05Cまでカットオフし、10min放置し、2.7Vになるように0.5Cで放電して、1回のサイクルを完了する。該ステップを繰り返し、サイクル中の電池容量が初回放電容量の80%より低い場合、サイクルを終了し、該サイクル回数は、電池のサイクル寿命であり、各組の平均値を取り、該パラメータ、電池の初回放電容量のデータの平均値及び電池のサイクル前後の厚さ変化率を表1に示す。
(表1)電池の初回放電容量のデータの平均値及び電池のサイクル前後の厚さ変化率の表
【0075】
【表1】
【0076】
(2)インピーダンス(EIS)試験:電池S1~S10及び電池DS1~DS2をそれぞれ2つ取り、注液した後に静置し、それぞれ0.5hごとに1回のインピーダンス試験(振幅5mV、周波数1000~0.01Hz)を行い、試験結果を表2に示す。
(表2)電池のインピーダンス変化表(Ω)
【0077】
【表2】
【0078】
(3)エネルギー密度:表1中の試験結果に基づいて、エネルギー密度を評価し、試験結果を表3に示す。
【0079】
質量エネルギー密度=(初回放電容量*初回放電平均電圧)/電池質量、
体積エネルギー密度=(n回目の放電容量*n回目の放電平均電圧)/電池体積、
上記電池質量は、ハウジングの質量、カバープレートの質量、及びハウジング、カバープレートに設置された部品であるセルの質量を含まず、上記電池体積は、ハウジングの体積、カバープレートの体積、及びハウジング、カバープレートに設置された部品であるセルの体積を含まない。
(表3)電池のエネルギー密度評価表
【0080】
【表3】
【0081】
(4)金属リチウムの堆積試験:電池S1~S10及び電池DS1~DS2をそれぞれ2つ取り、初回リチウム堆積を行う。25℃で、0.6mA/cmの電流密度で3.8Vまで充電し、電池を解体してリチウムの堆積位置を観察し、試験結果を表4に示す。
(表4)電池のリチウム堆積位置表
【0082】
【表4】
【0083】
理解できるように、以上の表のデータから分かるように、比較例は、初期に実施例とほぼ同等の質量エネルギー密度及び体積エネルギー密度を有するが、比較例において、リチウム金属が負極の表面に堆積しやすく、サイクル後の容量減衰が速く、電池の体積膨張が大きく、体積エネルギー密度がサイクル後期に最も低く、本願の実施例に係る電池は、本願に係る集電体を含むため、エネルギー密度が大きく、充放電容量が高く、リチウムデンドライトを生成しにくく、安全性能が高く、サイクル寿命が長い。
【0084】
本明細書において具体的な例を用いて本願の原理及び実施形態を説明したが、以上の実施形態の説明は、本願の主旨の理解を助けるためのものに過ぎず、当業者であれば、本願の思想に基づいて、具体的な実施形態及び適用範囲を変更することが可能であり、要するに、本明細書の内容は、本願を限定するものと理解すべきではない。
【符号の説明】
【0085】
1 集電体
11 第1ポリマー層
12 金属層
13 第2ポリマー層
14 貫通孔
141 第1サブ貫通孔
142 第2サブ貫通孔
143 第3サブ貫通孔
15 導電層
16 リチウム含有金属層
17 難燃層
2 電気化学的エネルギー貯蔵装置
21 正極
22 負極
23 セパレータ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【手続補正書】
【提出日】2024-01-30
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
集電体であって、
第1ポリマー層と、金属層と、第2ポリマー層と、を含み、
前記金属層は、前記第1ポリマー層の片側に位置し、
前記第2ポリマー層は、前記金属層の前記第1ポリマー層から離れる側に位置し、
前記第1ポリマー層から前記第2ポリマー層への方向において、前記集電体を貫通する複数の貫通孔を有する、集電体。
【請求項2】
導電層をさらに含み、前記導電層は、前記貫通孔の内側壁に設置される、請求項1に記載の集電体。
【請求項3】
複数の前記貫通孔は、アレイ状に分布する、請求項に記載の集電体。
【請求項4】
前記貫通孔の孔径は、10μm以下である、請求項3に記載の集電体。
【請求項5】
リチウム含有金属層をさらに含み、前記リチウム含有金属層は、前記金属層内に位置する、請求項に記載の集電体。
【請求項6】
前記リチウム含有金属層の厚さは、10nm~2μmである、請求項5に記載の集電体。
【請求項7】
難燃層をさらに含み、前記難燃層は、
前記第1ポリマー層の前記金属層から離れる側と、
前記第2ポリマー層の前記金属層から離れる側とのうちの少なくとも一方に設置される、請求項に記載の集電体。
【請求項8】
前記難燃層の厚さは、10nm~1μmである、請求項7に記載の集電体。
【請求項9】
リチウム補充材料をさらに有し、前記リチウム補充材料は、
前記第1ポリマー層と、
前記第2ポリマー層とのうちの少なくとも一方に位置する、請求項に記載の集電体。
【請求項10】
前記リチウム補充材料は、
前記第1ポリマー層における前記リチウム補充材料の質量割合が0.1wt%~5wt%であるという条件と、
前記第2ポリマー層における前記リチウム補充材料の質量割合が0.1wt%~5wt%であるという条件とのうちの少なくとも1つを満たし、
前記リチウム補充材料は、Li-Mg、Li-Al、Li-Si、Li-Ag、Li-Au、Li-Sn、Li-In及びLi-Ge合金のうちの少なくとも1種を含む、請求項9に記載の集電体。
【請求項11】
前記第1ポリマー層の前記金属層から離れる側の電子導電性が前記第1ポリマー層の前記金属層に向かう側の電子導電性より低いという条件と、
前記第2ポリマー層の前記金属層から離れる側の電子導電性が前記第2ポリマー層の前記金属層に向かう側の電子導電性より低いという条件とのうちの少なくとも1つを満たす、請求項に記載の集電体。
【請求項12】
前記第1ポリマー層の前記金属層から離れる側が絶縁されているという条件と、
前記第2ポリマー層の前記金属層から離れる側が絶縁されているという条件とのうちの少なくとも1つを満たす、請求項に記載の集電体。
【請求項13】
前記金属層の厚さが4μm以下であるという条件と、
前記第1ポリマー層の厚さが11μm~26μmであるという条件と、
前記第2ポリマー層の厚さが11μm~26μmであるという条件とのうちの少なくとも1つを満たす、請求項に記載の集電体。
【請求項14】
前記金属層を形成する材質は、銅、金、銀、マグネシウム、亜鉛、チタン、ニッケルのうちの少なくとも1種又はステンレス鋼を含む、請求項に記載の集電体。
【請求項15】
前記貫通孔の孔径の形状は、円筒形、角筒形、立方体筒形、台形円筒形及び三角錐形のうちの少なくとも1種を含む、請求項に記載の集電体。
【請求項16】
前記貫通孔の前記第1ポリマー層又は第2ポリマー層の所在する平面に沿った断面は、
前記断面が前記金属層から前記第1ポリマー層への方向において徐々に増加するという条件と、
前記断面が前記金属層から前記第2ポリマー層への方向において徐々に増加するという条件とのうちの少なくとも1つを満たす、請求項15に記載の集電体。
【請求項17】
第1ポリマー膜、金属膜及び第2ポリマー膜を順に積層して設置して、第1複合構造を形成するステップと、
前記第1ポリマーの前記金属膜から離れる側の表面に第1保護膜を形成し、前記第2ポリマー膜の前記金属膜から離れる側の表面に第2保護膜を形成して、第2複合構造を形成するステップと、
前記第2複合構造に、前記第2複合構造の前記積層方向において反対側に位置する2つの表面を貫通する貫通孔を複数形成するステップと、
前記第1保護膜と前記第2保護膜を除去して、集電体を得るステップと、を含む、集電体の製造方法。
【請求項18】
請求項1~16のいずれか一項に記載の集電体又は請求項17に記載の方法で製造された集電体を含む、負極。
【請求項19】
正極と、請求項18に記載の負極と、を含む、電気化学的エネルギー貯蔵装置。
【請求項20】
前記集電体の空隙率β、前記正極の面積容量C、前記集電体の積層方向における厚さd、及び容量-厚さ定数kは、
【数1】
を満たし、
前記β≧50%、前記C≧5mAh/cm、前記k=5×10-4cm/mAhである、請求項19に記載の電気化学的エネルギー貯蔵装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0045
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0045】
図6は、本願のまたさらに別の実施形態に係る集電体の概略断面図であり、図6に示すように、集電体1は、難燃層17をさらに含み、難燃層17は、第1ポリマー層11の金属層12から離れる側と、第2ポリマー層13の金属層12から離れる側とのうちの少なくとも一方に設置される。つまり、難燃層17は、第1ポリマー層11の金属層12から離れる側及び/又は第2ポリマー層13の金属層12から離れる側に設置される。集電体1が電気化学的エネルギー貯蔵装置2に使用されるとき、金属リチウムは、活性が高く、短絡が発生した場合に、電気化学的エネルギー貯蔵装置2が燃焼して、安全上の事故を引き起こしやすく、難燃層17を設置することにより、短絡が発生した初期に、難燃層17が熱を受けて溶融して、穴を塞ぐとともに、貫通孔14の内部に堆積した金属リチウムを包んで、金属リチウムと電解液とがさらに接触して熱暴走を引き起こすことを回避することができ、そして、溶融した難燃層17が接近する第1ポリマー層11の第1サブ貫通孔141及び/又は第2ポリマー層13の第サブ貫通孔143を塞いで、イオンチャネルを遮断し、潜在的な安全上の問題を排除し、使用安全性を向上させることができる。さらに、難燃層17の材料の融点は、120℃~155℃である。低融点の難燃性材料を用いると、難燃化により有利である。なお、難燃層17が第1ポリマー層11の金属層12から離れる側及び/又は第2ポリマー層13の金属層12から離れる側に設置される場合、貫通孔14は、同様に難燃層17を貫通し、つまり、設置された難燃層17には、第1サブ貫通孔141及び/又は第3サブ貫通孔143に対応して連通する穴を複数有する。本実施形態において、難燃層17の材料は、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス及び酸化ポリエチレンワックスのうちの1種又は複数種を含む。本実施形態において、集電体1全体の厚さに影響を与えないように、難燃層17の厚さを小さくし、難燃層17の厚さ範囲は、10nm~1μm、50nm~0.8μm、100nm~0.7μm又は200nm~0.5μmなどであってもよいが、これらに限定されない。
【国際調査報告】