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特表2024-520607垂直農業生産システム用のモジュール式生育ユニット
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-24
(54)【発明の名称】垂直農業生産システム用のモジュール式生育ユニット
(51)【国際特許分類】
   A01G 9/02 20180101AFI20240517BHJP
   A01G 31/06 20060101ALI20240517BHJP
   A01G 31/00 20180101ALI20240517BHJP
   A01G 31/04 20060101ALI20240517BHJP
【FI】
A01G9/02 103G
A01G31/06
A01G31/00 601B
A01G31/04 B
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023574198
(86)(22)【出願日】2022-05-31
(85)【翻訳文提出日】2024-01-29
(86)【国際出願番号】 EP2022064785
(87)【国際公開番号】W WO2022253844
(87)【国際公開日】2022-12-08
(31)【優先権主張番号】2107911.6
(32)【優先日】2021-06-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(31)【優先権主張番号】2116750.7
(32)【優先日】2021-11-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515134368
【氏名又は名称】オカド・イノベーション・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】ミルウォード、スティーブン
(72)【発明者】
【氏名】イングラム-テッド、アンドリュー
【テーマコード(参考)】
2B314
2B327
【Fターム(参考)】
2B314MA33
2B314MA38
2B314MA39
2B314MA52
2B314NA05
2B314ND32
2B314PD45
2B314PD59
2B327NC02
2B327NC16
2B327NC18
2B327NC22
2B327NC24
2B327NE09
2B327QA04
2B327TA24
2B327TC07
2B327TC09
2B327TC17
2B327UB03
2B327UB09
2B327UB10
(57)【要約】
3次元拡張可能な構造を形成するためのモジュール式生育ユニット(9)であって、モジュール式生育ユニット(9)は、内部空間(17)を有する箱状構造を画定するために、頂壁(13)、底壁(15)、及び頂壁(13)と底壁(15)との間に延在する側壁(11)を備え、頂壁(13)及び底壁(15)は、スタック(7)中で互いの上に配置されたときにあるモジュール式生育ユニット(9)が別のモジュール式生育ユニットと連結することを可能にするために、少なくとも1つの連結機能(21,23,25)を備え、底壁(15)は、生物(19)を発芽、繁殖、及び/又は成長させるための少なくとも1つの生育培地(27)を受け入れるための生育トレイを画定するために、底壁(15)の外周の周りにリムを(35)有し、頂壁(13)は、箱状構造の内部空間(17)内で生物(19)を成長させることに関連する少なくとも1つのスペクトル領域内の光を放射するように構成された照明ユニット(39)を支持する、モジュール式生育ユニット(9)において、箱状構造の側壁(11)は、モジュール式生育ユニット(9)の内部空間(17)が窓(29)を通して外部からアクセス可能となるように、箱状構造の内部空間(17)中に延在する開口部(31)を有する窓(29)を備えることを特徴とする、モジュール式生育ユニット(9)。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
3次元拡張可能な構造を形成するためのモジュール式生育ユニットであって、前記モジュール式生育ユニットは、内部空間を有する箱状構造を画定するために、頂壁、底壁、及び前記頂壁と前記底壁との間に延在する側壁を備え、前記頂壁及び前記底壁は、スタック中で互いの上に配置されたときにあるモジュール式生育ユニットが別のモジュール式生育ユニットと連結することを可能にするために、少なくとも1つの連結機能を備え、前記底壁は、生物を発芽、繁殖、及び/又は成長させるための少なくとも1つの生育培地を受け入れるための生育トレイを画定するために、前記底壁の外周の周りにリムを有し、前記頂壁は、前記箱状構造の前記内部空間内で前記生物を成長させることに関連する少なくとも1つのスペクトル領域内の光を放射するように構成された照明ユニットを支持する、モジュール式生育ユニットにおいて、
前記箱状構造の側壁は、前記モジュール式生育ユニットの前記内部空間が窓を通して外部からアクセス可能となるように、前記箱状構造の前記内部空間中に延在する開口部を有する前記窓を備えることを特徴とする、モジュール式生育ユニット。
【請求項2】
前記連結機能は、オス型連結機能及び/又はメス型連結機能を備える、請求項1に記載のモジュール式生育ユニット。
【請求項3】
前記連結機能は、形状が相補的な突起及び/又は窪みの形態である、請求項2に記載のモジュール式生育ユニット。
【請求項4】
前記モジュール式生育ユニットは、形状が実質的に平行六面体である、請求項1~3のいずれか一項に記載のモジュール式生育ユニット。
【請求項5】
前記モジュール式生育ユニットは、前記モジュール式生育ユニットが他のモジュール式生育ユニットと、互いに実質的に対向する2つの面において連結可能となるように、形状が実質的に立方体又は正六面体である、請求項1~4のいずれか一項に記載のモジュール式生育ユニット。
【請求項6】
生物を発芽、繁殖、及び/又は成長させるための少なくとも1つの生育培地を更に備える、請求項1~5のいずれか一項に記載のモジュール式生育ユニット。
【請求項7】
スタック中で別のモジュール式生育ユニットと電気的に結合するための電気的インタフェースを更に備える、請求項1~6のいずれか一項に記載のモジュール式生育ユニット。
【請求項8】
前記電気的インタフェースは、前記連結機能に一体化される、請求項7に記載のモジュール式生育ユニット。
【請求項9】
前記電気的インタフェースは、前記照明ユニットに電力を供給するために充電供給器と結合するように構成された充電収集器を備える、請求項7又は8に記載のモジュール式生育ユニット。
【請求項10】
前記照明ユニットに電力を供給するための、前記充電収集器に電気的に結合された少なくとも1つの再充電可能な電源を更に備える、請求項9に記載のモジュール式生育ユニット。
【請求項11】
前記少なくとも1つの再充電可能な電源は、キャパシタ、スーパーキャパシタ、及び/又は電池のうちのいずれか1つである、請求項9又は10に記載のモジュール式生育ユニット。
【請求項12】
前記充電収集器は、前記充電供給器の充電送信機コイルと誘導的に結合するように構成されたワイヤレス充電受信コイルを備える、請求項9~11のいずれか一項に記載のモジュール式生育ユニット。
【請求項13】
前記充電収集器は、前記充電供給器の2つの充電供給要素から直接電流を受信するように構成された2つの充電受信要素を備える、請求項9~11のいずれか一項に記載のモジュール式生育ユニット。
【請求項14】
前記充電収集器は、前記生物にサービスを提供するための1つ以上の電動デバイスに電力を供給するために充電供給器と結合するように構成される、請求項9~13のいずれか一項に記載のモジュール式生育ユニット。
【請求項15】
前記生物にサービスを提供するための前記1つ以上の電動デバイスは、加熱要素、センサ、又は状態インジケータを備える、請求項14に記載のモジュール式生育ユニット。
【請求項16】
垂直農業生産システムであって、
i)1つ以上のモジュール式生育ユニットを備える生育ステーションと、ここで、前記1つ以上のモジュール式生育ユニットの各々は、請求項1~15のいずれか一項に記載のモジュール式生育ユニットを備え、
ii)複数の前記1つ以上のモジュール式生育ユニットの各々に1つ以上のサービスを提供するためのサービスステーションと、ここで、前記サービスステーションは、
(a)1つ以上の栄養素を含有する流体を保管する1つ以上の容器と、
(b)前記1つ以上の容器と流体連通する流体送達システムを備える栄養素供給システムと、ここで、前記流体送達システムは、複数の前記1つ以上のモジュール式生育ユニットの各々の前記生育トレイに流体を送達するために、複数の前記1つ以上のモジュール式生育ユニットの各々に取り外し可能に結合するように構成され、
を備え、
iii)前記生育ステーションと前記サービスステーションとの間で前記1つ以上のモジュール式生育ユニットを運搬するための少なくとも1つの運搬手段と、
iv)1つ以上のプロセッサと、前記1つ以上のプロセッサによって実行されると、前記生育ステーションから前記サービスステーションに前記1つ以上のモジュール式生育ユニットの各々を運搬するように前記少なくとも1つの運搬手段の移動を制御する命令を記憶するメモリとを備える、前記少なくとも1つの運搬手段に通信可能に結合されたコントローラと
を備える、システム。
【請求項17】
前記流体送達システムは、それぞれの1つ以上のモジュール式生育ユニットの1つ以上の前記生育トレイ中に取り外し可能に受け入れ可能となるように各々構成された1つ以上の送達ダウンパイプを更に備える、請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
前記1つ以上の送達ダウンパイプの各々は、前記1つ以上の送達ダウンパイプが、前記モジュール式生育ユニットの前記生育トレイの前記リムに対して当接されたときに弾性的に変形し、前記生育トレイ内に受け入れられたときにその元の形状に戻ることを可能にするように変形可能である、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
前記サービスステーションは、それぞれの前記1つ以上のモジュール式生育ユニットの1つ以上の前記生育トレイ中に取り外し可能に受け入れ可能となるように構成された1つ以上の排水ダウンパイプを備える流体排水システムを更に備える、請求項16~18のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項20】
前記1つ以上の排水ダウンパイプの各々は、前記1つ以上の排水ダウンパイプが、前記モジュール式生育ユニットの前記生育トレイの前記リムに対して当接されたときに弾性的に変形し、前記生育トレイ内に受け入れられたときにその元の形状に戻ることを可能にするように変形可能である、請求項19に記載のシステム。
【請求項21】
前記1つ以上のモジュール式生育ユニットは、前記少なくとも1つの運搬手段が前記1つ以上のモジュール式生育ユニットの下方に入ることを可能にするために、スタンド頂部と前記スタンド頂部から下向きに延在する複数の脚部とを備えるスタンド上に取り付けられ、前記スタンド頂部は、モジュール式生育ユニットの前記少なくとも1つの連結機能と連結可能となるように構成された少なくとも1つの連結機能を備え、前記少なくとも1つの運搬手段は、それぞれ、前記1つ以上のモジュール式生育ユニットを地面から上昇させ、前記1つ以上のモジュール式生育ユニットを地面上に降下させるために、上昇位置と降下位置との間で移動可能なリフト機構を備える、請求項16~20のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項22】
前記1つ以上のモジュール式生育ユニットは、モジュール式生育ユニットの複数のスタックを備える、請求項16~21のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項23】
モジュール式生育ユニットの前記複数のスタックは、グリッドパターンで配置される、請求項22に記載のシステム。
【請求項24】
前記コントローラは、周期的に又は所定のシーケンスで前記生育ステーションから前記サービスステーションにモジュール式生育ユニットの前記複数のスタックの各スタックを運搬するために前記少なくとも1つの運搬手段の移動を命令するように構成される、請求項22又は23に記載のシステム。
【請求項25】
前記コントローラは、生物の供給サイクルに対応する所定のスケジュールで前記生育ステーションから前記サービスステーションにモジュール式生育ユニットの前記複数のスタックの各スタックを運搬するために前記少なくとも1つの運搬手段の移動を命令するように構成される、請求項22~24のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項26】
前記コントローラは、第1のスケジュールで前記生育ステーションから前記サービスステーションにモジュール式生育ユニットの前記複数のスタックの第1のサブセットを移動させ、第2のスケジュールで前記生育ステーションから前記サービスステーションにモジュール式生育ユニットの前記複数のスタックの第2のサブセットを移動させるように前記少なくとも1つの運搬手段に命令するように構成され、前記第1のスケジュールは、第1のタイプの生物の第1の供給サイクルに関連し、第2のスケジュールは、第2のタイプの生物の第2の供給サイクルに関連する、請求項22~25のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項27】
前記サービスステーションは、充電収集器と結合するように構成された充電供給器を備える、請求項16~26のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項28】
前記生育ステーションは、1つ以上のエンクロージャを備え、前記1つ以上のエンクロージャの各々は、所定の環境で前記1つ以上のモジュール式生育ユニットを収容するように構成される、請求項16~27のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項29】
前記エンクロージャは、加熱器及び/又は加湿器を備える、請求項28に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、農業生産システム、方法、及び関連デバイスに関する。より具体的には、本発明は、屋内農業生産技法に関する。いくつかの配置では、屋内農業生産システムは、垂直農場として複数のレベルにわたって並べられ得る。
【背景技術】
【0002】
作物を生育するための従来のシステム及び方法はよく知られている。ほとんどは、広い面積の耕作可能な土地と、豊富な量の水と、及び多くの商業的な農作業では、除草剤、殺虫剤、及び殺菌剤を含む大量の化学薬品とを必要とする。近年、植物及び作物の農業生産における効率、生産性、土地使用、労働使用、及び費用支出を改善するために提供される技術の数が増加している。人工光の下での屋内農業生産は、多数の作物で人気を得ている。
【0003】
より最近では、水耕栽培、気耕栽培、及び他のそのような栽培システムなどの先進的な農業生産技法が、照明、水、及び肥料を非常に高度に利用して高品質の作物を屋内で生育する能力をもたらしている。その名前によって暗示されるように、水耕栽培は、植物の根を水のプール内に直接吊すこと、又は植物の根が水で飽和されたパーライト又は砂利などの生育培地中で支持されることを伴う。水は、植物の成長を促進するために栄養素を備える。
【0004】
養液が植物の根をゆっくりと流れて通過する連続流水耕栽培、養液が容器からポンプで汲み上げられて、生育培地の頂面上にゆっくりと滴下し、栄養素中で再循環される前に根を流れて通過する点滴水耕栽培、植物が生育されるコンテナが養液で連続的に満たされ、次いで排水することを可能にされる流動水耕栽培、及び空気ポンプが植物の根によって取り込まれる溶液中に酸素を泡立てている間に、植物の根が水/養液内に吊されるディープウォーターカルチャーを含む、いくつかの水耕栽培技法が開発されてきた。水耕栽培システムは、有害な化学薬品の必要性を排除する閉鎖された生育環境を提供するが、水耕栽培に基づくシステムは、依然として従来のシステムに対する水集約的な代替形態のままである。
【0005】
水耕栽培とは異なり、気耕栽培は、生育培地として空気を使用して植物を生育するプロセスである。気耕栽培では、植物の根は、一般に「栄養茶(nutrient tea)」と呼ばれる栄養素を含んだ水の霧状の噴霧を通して水及び他の栄養素を植物の根が受け取るように、吊るされる。通常、アトマイザ又は噴霧器は、植物の根に直接茶をエアロゾル化する。結果として、気耕栽培は、植物の根を空気中に吊して、植物の根への酸素及び二酸化炭素の利用可能性を増大させることによって、生育培地を必要とする水耕栽培に勝る利点を提供する。
【0006】
所与の設置面積にわたって植物の収量を増大させるために、植物が一般に垂直構造で生育される垂直農業生産方法に向かう動きがあった。
【0007】
屋内農場の例は、WO2020/030825 A1「HYDROPONICS growing system AND METHOD」(Ocado Innovations Ltd.)に開示されており、その内容は、参照によって本明細書に援用される。WO’825は、水耕栽培生育システムで使用するための装置(100)を説明している。この装置は、生育車両(120)のセットが取り付けられる水平トラック又はガイドウェイを支持する垂直部材及び水平部材のフレーム(F)を備える。生育車両は各々、植物又は作物(C)が成長中に収容されるいくつかの生育トレイを収容する。
【0008】
商業的及び産業的活動の中には、多数の異なる製品の保管及び取り出しを可能にするシステムを必要とするものがある。屋内農場の別の例は、WO2018050816A1「Growing Systems And Methods」(Ocado Innovations Ltd.)に開示されており、その内容は、参照によって本明細書に援用される。WO’816は、植物がコンテナ110中で生育され、コンテナがスタック中に保管される生育システムを説明している。スタックの上方では、積み荷取り扱いデバイスがトラック16のグリッドネットワーク上を走行し、スタックからコンテナを取り出し、スタック中の代替の場所又はワークステーション10に置く。コンテナは、サービス及び展開可能な照明手段を設けられる。これらのそのような照明手段を、システム全体にわたってではなく、個々のコンテナ内に設けることは、コスト及び非効率性を低減しながら、保管の柔軟性を可能にし、複数の作物が単一のエリア中で生育されることを可能にする。
【0009】
US10,555,466(Daegan Gonyer et al)は、植物を生育するための生育システムを教示し、植物ゾーンを画定する複数のモジュール式生育ユニットと、植物ゾーン中で第1及び/又は第2の波長の光を選択的に放出するための照明ノードを含む複数の照明ユニットと、1つ以上の栄養素を含有する流体を収容するための非加圧容器と、モジュール式ユニットの各々を容器に並列に流体接続するための栄養素供給システムと、容器とモジュール式ユニットとの間で流体連通するポンプとを含む。モジュール式ユニットがそれぞれのクイックコネクト弁に接続されると、栄養素供給システムは、流体をモジュール式ユニットに導き、モジュール式ユニットが弁から切り離されると、弁は、流体が容器から弁を通って流れるのを防止するように構成され、栄養素供給システムに接続された他のモジュール式ユニットは、容器に流体接続されたままである。植物栄養素を備える容器からのパイピング及び/又はチュービングの形態のいくつかの灌漑ラインは、通常、垂直農業生産ユニットの各生育培地が植物の成長を促進するために栄養素の十分な供給を受けるように、通常、垂直農業生産ユニット上の様々なカップリング又はコネクタを介して、垂直農業生産ユニットの個々の生育トレイに供給される。
【0010】
しかしながら、当該技術分野において知られている屋内農業生産システムの問題は、従来の農業生産技法と比較して、植物に栄養を供給するために水及び/又は栄養素の集中的な供給を必要とし、その結果、水及び/又は栄養素を水及び/又は栄養素源、例えば容器から作物に運ぶための様々なパイピング及び/又はチュービングの形態の灌漑ラインのネットワークをもたらすことである。溶液を霧状に霧化することによって水及び/又は栄養素の使用を制限するために気耕栽培技法を使用しても、溶液又は茶を供給源容器からアトマイザ又は噴霧器に運ぶために、大規模なパイピング及び/又はチュービングを使用する必要が依然としてある。この問題は、植物が、植物の成長のための土壌及び/又は生育培地を収容するトレイの複数の層を備えるいくつかの垂直農業生産ユニット中に位置するときに悪化する。垂直農業生産ユニットの周りに個々のパイプ及び/又はチュービングを供給することは、各垂直農業生産ユニット中及びその周りにパイピング及び/又はチュービングのスパゲッティをもたらす。使用されるパイピング及び/又はチュービングの長さが長いほど、パイプが空気の閉じ込めを受けやすくなり、閉じ込められた空気を除去するためにパイプから定期的に空気を抜く必要性が高くなるが、これは、垂直農業生産ユニット中のいずれの植物に対する栄養素の制御された投与量にも影響を及ぼすからである。パイピング及び/又はチュービングの長さを広範囲に使用することが必要とされるだけでなく、パイピングを通して栄養素をポンプで送る必要もある。場合によっては、灌漑ラインのネットワーク内に適切な加圧システムを設けるために、比較的大きいポンプシステムが必要とされるであろう。
【0011】
WO2020178696(Advanced Intelligent Systems Inc.)は、移動方向にロボットを推進するための複数の地面係合機構を備えるシャーシと、シャーシ上に取り付けられ、流体容器を備える流体供給ユニットと、電力供給ユニットと、流体供給ユニット及び電力供給ユニットに動作可能に接続され、流体及び電力のうちの少なくとも1つを供給するための供給インタフェースとを備える供給モジュールと、複数の地面係合機構及び供給インタフェースを動作させるためのコントローラとを備える農業用ロボットを提供することによって、この問題を克服することを試みている。このことから、灌漑ラインのネットワークを介して植物に栄養素を供給する代わりに、農業用ロボットは、垂直農業生産ユニットに移動して植物に栄養を供給するために必要なツール及び栄養素の供給を装備される。これは、固定施設と移動式垂直農業生産ユニットとの間のギャップを埋めることによって、静止流体及び電源からの長い配線及びチュービングシステムの必要性を低減又は排除し得、必要に応じて温室空間内の移動式多段棚装置を使用して垂直農業生産ユニットの移動性及びモジュール性を増大させ得るという利点を有する。しかしながら、農業用ロボットを使用して垂直農業生産ユニットに栄養素を運搬することの欠点は、流体供給ユニットの容量が制限されることである。流体供給ユニットは、典型的には、ロボットによって搬送される1つ以上のコンテナを備える流体容器を備える。しかしながら、流体容量、及びこのことからロボットによって搬送される栄養素は、ロボットが1つ以上のコンテナを搬送する能力に依存する。時には、各生育培地が栄養素の適切な供給を有するように、補充ユニットと同じ垂直農業生産ユニットとの間で頻繁に訪れることが必要であり得る。
【0012】
WO2019/195027(Alert Innovation Inc.)は、植物搬送コンテナを収容するための保管棚のラックを有する保管構造を備える垂直農業生産システムを教示している。移動ロボットは、ラックの周りを移動して、植物のコンテナを保管棚に及び保管棚から移送する。中央制御システムの指示の下で、1つ以上の移動ロボットが、コンテナを保管場所からワークステーションに運搬し得る。そこに到着すると、水及び/又は他の栄養素を含む世話が植物に提供され得、植物に関するデータが収集され得る。これは、植物の所有者によって、又はワークステーションに位置決めされた自動サービスロボットによって行われ得る。例えば写真を含む、植物に関して収集されたデータは、電子メール又は他の通信方式によって植物の所有者に送られ得る。しかしながら、移動ロボットは、保管構造から単一のコンテナを取り出し、それをワークステーションに運搬することに非常に限定される。複数のコンテナを取り出すためには、複数のワークステーションにコンテナを運搬するために1つよりも多くの移動ロボットが必要とされる。
【0013】
このことから、上記の問題に悩まされない、生物を発芽させ、繁殖させ、収穫前に成熟するまで成長させるために必要とされる資産、資源、及びサービスの使用に関して効率的な生育システムを提供するであろうシステム及び方法が必要とされている。
【発明の概要】
【0014】
本発明は、3次元拡張可能な構造を形成するためのモジュール式生育ユニットを提供することによって上記の問題を軽減し、モジュール式生育ユニットは、内部空間を有する箱状構造を画定するために、頂壁、底壁、及び頂壁と底壁との間に延在する側壁を備え、頂壁及び底壁は、スタック中で互いの上に配置されたときにあるモジュール式生育ユニットが別のモジュール式生育ユニットと連結することを可能にするために、少なくとも1つの連結機能を備え、底壁は、生物を発芽、繁殖、及び/又は成長させるための少なくとも1つの生育培地を受け入れるための生育トレイを画定するために、底壁の外周の周りにリムを有し、頂壁は、箱状構造の内部空間内で生物を成長させることに関連する少なくとも1つのスペクトル領域内の光を放射するように構成された照明ユニットを支持する、モジュール式生育ユニットにおいて、
箱状構造の側壁は、モジュール式生育ユニットの内部空間が窓を通して外部からアクセス可能となるように、箱状構造の内部空間中に延在する開口部を有する窓を備えることを特徴とする、モジュール式生育ユニットである。
【0015】
本明細書では、「モジュール式生育ユニット(modular growth unit)」及び「モジュール式生育ユニット(modular growing unit)」という用語は、互換的に使用される。
【0016】
本発明の目的のために、生物は、全ての真核生物(植物界、菌界、動物界)、即ち、全ての多細胞植物、菌類、及び動物、並びに全ての原核生物(細菌、古細菌、原生動物、クロミスタ)、即ち、原生生物、細菌、及び古細菌などの全ての単細胞微生物を含むと理解される。
【0017】
垂直農業生産システムにおいてトレイ中で生物を生育することは、トレイが保管棚の複数のラックを備える保管構造中で支持される必要があり、そのため、移動ロボットがラックの周りを移動して、トレイを保管棚に及び保管棚から移送する必要があるようという問題を抱えている。成長するために光を必要とする生物の場合、生物が成長することを可能にするための任意の照明システムは、保管構造に一体化されなければならず、従って、生物を収容するトレイとは別個であろう。結果として、生物を収容するトレイは、上記の照明システムによって放出される光を連続的に受けるために、保管構造中の棚に戻されなければならないであろう。任意の時間長にわたって保管構造から離されているトレイのうちのどの1つも、完全な光合成を達成するために生物がある時間期間にわたって照明システムから十分な量のエネルギーを吸収する能力を乱す効果を有する。生物は、工業規模で、時には一定の時間期間にわたって生育されるので、生物が照明システムからエネルギーを吸収する能力のいかなる乱れも、最終的には生物の収量及び品質の両方、特に作物の品質に影響を及ぼすであろう。
【0018】
本発明では、生物は、生物を発芽、繁殖、及び/又は成長させるための生育培地を収容する内部空間を有する箱状構造を画定するために、頂壁、底壁、及び頂壁と底壁との間に延在する側壁、生育培地を受け入れるための生育トレイ、並びに生物を成長させることに関連する少なくとも1つのスペクトル領域内の光を放射するように構成された照明ユニットを備えるモジュール式生育ユニット中で生育される。生物が植物である場合、生育培地は、植物がそれらの根を発達させることができる材料であり、水耕栽培システムが使用されるか、又は気耕栽培システムが使用されるかに依存する。水耕栽培システムが使用される場合、生育培地は、パーライト、バーミキュライト、ロックウール、ココナッツコイア、又はそれらの組み合わせを含むことができるが、それらに限定されない。しかしながら、植物の根は養液を噴霧され、それらが水耕栽培システムにある場合のようには貯留水へのアクセスを有しないので、気耕栽培システムでは生育培地は必要ない。
【0019】
頂壁は、照明ユニットを支持し、生物を成長させることに関連する少なくとも1つのスペクトル領域を放射するために選択された発光ダイオードのアレイを備える。好ましくは、照明ユニットは、生物の成長を制御するために異なる波長の光を放射することが可能な発光ダイオードのアレイを備える。例えば、緑色波長は、赤色波長及び青色波長よりも植物の葉によってより強く反射及び透過され、赤色波長及び青色波長は、光合成のために葉内により効率的に吸収される。生物が植物である場合、トレイ中で生物を生育する代わりに、本発明によるモジュール式生育ユニットの箱状構造は、光合成のための必須要素の全てが箱状構造内に支持されることを可能にし、生物を運搬するときに光合成の1つ以上の要素、例えば光を分離する必要性を排除する。
【0020】
底壁は、トレイを画定するために、底壁の外周の周りにリム又はリップを有する。モジュール式生育ユニットの外部の生物の世話、例えば、水やり、栄養素、等、をするために、少なくとも1つの側壁は、モジュール式生育ユニットの内部空間中に延在する開口部を有する窓を備える。これは、本発明のモジュール式生育ユニットが自動サービスステーションに運搬されることを可能にし、自動サービスステーションは、モジュール式生育ユニットの外部の生物を収容する内部空間へのアクセスを得、水やり、栄養素、排水、等などの生物の世話をするための1つ以上のサービスを提供することができる。
【0021】
工業規模での規模の経済性のために、頂壁及び底壁は、垂直スタック中で互いの上に配置されたときにあるモジュール式生育ユニットが別のモジュール式生育ユニットと連結することを可能にするために、少なくとも1つの連結機能を備える。これは、複数のモジュール式生育ユニットが互いの上に積み重ねられることを可能にし、生物が垂直に農業生産されることを可能にする。好ましくは、連結機能は、オス型連結機能及びメス型連結機能を備える。任意選択で、連結機能は、形状が相補的な突起及び/又は窪みの形態である。
【0022】
本発明のモジュール式生育ユニットが3次元拡張可能な構造を形成するために使用されることを可能にするために、好ましくは、モジュール式生育ユニットは、形状が実質的に平行六面体である。任意選択で、モジュール式生育ユニットは、モジュール式生育ユニットが他のモジュール式生育ユニットと、互いに実質的に対向する2つの面において連結可能となるように、形状が実質的に立方体又は正六面体である。
【0023】
複数のモジュール式生育ユニットがスタック中で配置されているときに照明ユニットの各々に電力を供給するために、好ましくは、モジュール式生育ユニットは、スタック中の別のモジュール式生育ユニットと電気的に結合するための電気的インタフェースを備える。好ましくは、電気的インタフェースは、複数のモジュール式生育ユニットが積み重ねられたときに、スタック中の隣接するモジュール式生育ユニット間に電気的導通が確立されるように、連結機能に一体化される。好ましくは、電気的インタフェースは、照明ユニットに電力を供給するために充電供給器と結合するように構成された充電収集器を備える。例えば、充電供給器は、モジュール式生育ユニットが床上に取り付けられたときに、充電供給器がモジュール式生育ユニットの充電収集器と電気的に結合するように、床に一体化することができる。充電プロバイダは、照明ユニットに外部電源を供給する。任意選択で、モジュール式生育ユニットは、照明ユニットに電力を供給するための、充電収集器に電気的に結合された少なくとも1つの再充電可能な電源を更に備える。任意選択で、再充電可能な電源は、キャパシタ、スーパーキャパシタ、及び/又は電池のいずれか1つである。任意選択で、充電収集器は、充電供給器の充電送信機コイルと誘導的に結合するように構成されたワイヤレス充電受信コイルを備える。代替として、充電収集器は、充電供給器の少なくとも2つの充電供給要素から直流を受けるように構成された少なくとも2つの充電受信要素を備える。
【0024】
任意選択で、充電収集器は、生物にサービスを提供するための1つ以上の電動デバイスに電力を供給するために充電供給器と結合するように構成される。生物にサービスを提供するための1つ以上の電動デバイスは、加熱要素、センサ、又は状態インジケータを備え得る。
【0025】
本発明のモジュール式生育ユニットは、垂直農業生産システムを提供し、本垂直農業生産システムは、
i)1つ以上のモジュール式生育ユニットを備える生育ステーションと、ここで、1つ以上のモジュール式生育ユニットの各々は、本発明によるモジュール式生育ユニットを備え、
ii)1つ以上のモジュール式生育ユニットの各々に1つ以上のサービスを提供するためのサービスステーションと、ここで、サービスステーションは、
(a)1つ以上の栄養素を含有する流体を保管する1つ以上の容器と、
(b)1つ以上の容器と流体連通する流体送達システムを備える栄養素供給システムと、ここで、流体送達システムは、複数の1つ以上のモジュール式生育ユニットの各々の生育トレイに流体を送達するために、複数の1つ以上のモジュール式生育ユニットの各々に取り外し可能に結合するように構成され、
を備え、
iii)生育ステーション及びサービスステーションに及びそこから1つ以上のモジュール式生育ユニットを運搬するための運搬手段と、
iv)少なくとも1つの運搬手段に通信可能に結合されたコントローラと、ここで、コントローラは、1つ以上のプロセッサと、1つ以上のプロセッサによって実行されると、生育ステーションからサービスステーションに1つ以上のモジュール式生育ユニットの各々を運搬するように少なくとも1つの運搬手段の移動を制御する命令を記憶するメモリとを備え、
を備える。
【0026】
従来技術の垂直農業生産システムに見られるような、生育トレイの各々への長いチュービング及び/又は配線を有することとは対照的に、本発明のモジュール式生育ユニットは、生育ステーションに戻される前に、生物の世話をするための1つ以上のサービスを提供するための専用サービスステーションに運ばれる。これは、生物に栄養素を供給するためのチュービング及び/又は配線が、本発明の垂直農業生産システムを収容する倉庫の1つ又は2つの領域に集中又は収容され、それによって、生育トレイを支持する保管棚の固定又は静止垂直ラックに供給される必要がある任意の長いチュービングの必要性を低減するという利点を有する。本発明では、運搬手段は、生育ステーションからサービスステーションに1つ以上のモジュール式生育ユニットを運搬するように構成される。生物のサービスを自動化するために、サービスステーションの流体送達システムは、モジュール式生育ユニットのうちの1つ以上、特に、それらのそれぞれのそれらの生育トレイと解放可能に連結することが可能であることが必要である。任意選択で、流体送達システムは、モジュール式生育ユニットのうちのそれぞれの1つ以上の1つ以上の生育トレイ中に取り外し可能に受け入れ可能となるように各々構成された1つ以上の送達ダウンパイプ又チューブを更に備える。1つ以上のダウンパイプが生育トレイ内に受け入れられることを可能にするために、1つ以上の送達ダウンパイプの各々は、1つ以上の送達ダウンパイプが、モジュール式生育ユニットの生育トレイのリムに対して当接されたときに弾性的に変形し、生育トレイ内に受け入れられたときにその元の形状に戻ることを可能にするように変形可能である。例えば、送達ダウンパイプは、送達ダウンパイプの端部が生育トレイのリムに対して当接するときに曲がる又は折り畳むことが可能な弾性材料から形成することができる。モジュール式生育ユニットをサービスステーション中に更に移動させることは、モジュール式生育ユニットの生育トレイ内に受け入れられるように、送達ダウンパイプをその元の形状に戻させる。
【0027】
生物に栄養を供給するための流体送達システムを提供することに加えて、サービスステーションは、1つ以上の生育トレイから廃棄流体を除去するための流体排水システムを更に備えることができる。流体送達システムのように、流体排水システムは、モジュール式生育ユニットのうちのそれぞれの1つ以上の1つ以上の生育トレイ中に取り外し可能に受け入れ可能となるように構成された1つ以上の排水ダウンパイプ又チューブを更に備えることができる。好ましくは、1つ以上の排水ダウンパイプの各々は、1つ以上の排水ダウンパイプが、モジュール式生育ユニットの生育トレイのリムに対して当接されたときに弾性的に変形し、生育トレイ内に受け入れられたときにその元の形状に戻ることを可能にするように変形可能である。
【0028】
少なくとも1つの運搬手段は、モジュール式生育ユニットと係合し、生育ステーションから、栄養供給、水やり、等などの1つ以上のサービスを生物に提供するためのサービスステーションにモジュール式生育ユニットを牽引するように構成された、自動若しくは自律誘導車両(AGV)又は自律移動ロボット(AMR)であり得る。任意選択で、1つ以上のモジュール式生育ユニットは、少なくとも1つの運搬手段が1つ以上のモジュール式生育ユニットの下方に入ることを可能にするために、スタンド頂部とスタンド頂部から下向きに延在する複数の脚部とを備えるスタンド上に取り付けられ、スタンド頂部は、モジュール式生育ユニットの少なくとも1つの連結機能と連結可能となるように構成された少なくとも1つの連結機能を備え、少なくとも1つの運搬手段は、それぞれ、1つ以上のモジュール式生育ユニットを地面から上昇させ、1つ以上のモジュール式生育ユニットを地面上に降下させるために、上昇位置と降下位置との間で移動可能なリフト機構を備える。モジュール式生育ユニットと少なくとも1つの運搬手段との間に中間スタンドを設けることによって、運搬手段は、モジュール式生育ユニットが運搬手段上に載せられるのを待つ必要なく、1つ以上のモジュール式生育ユニットを迅速且つ効率的に持ち上げて移動させることができる。更に、運搬手段がモジュール式生育ユニットをサービスステーションに置くと、運搬手段は、モジュール式生育ユニットが降ろされるのを待つ必要なく、生育ステーションから別のモジュール式生育ユニットを取り出すために直ちに自由に移動することができる。
【0029】
リフト機構が上昇位置にあるとき、少なくとも1つの運搬手段の高さは、スタンドが1つ以上のモジュール式生育ユニットと共に少なくとも1つの運搬手段によって地面から持ち上げられるように、スタンド頂部の高さよりも高くあり得る。リフト機構が降下位置にあるとき、少なくとも1つの運搬手段の高さは、スタンドがその下に少なくとも1つの運搬手段を有する状態で地面上に載置されることができるように、スタンド頂部の高さよりも低くあり得る。リフト機構は、運搬手段の残りの部分に対して上昇及び降下されるように構成されたリフト面を備え得る。リフト面は、上昇位置にあるときにスタンド頂部の底部と係合し、降下位置にあるときにスタンド頂部の底部から係合解除し得る。リフト面の頂部は、スタンド頂部の底部の1つ以上の対応する連結機能と連結するように構成された1つ以上の連結機能(例えば、突起又は凹部)を備え得る。リフト面及びスタンド頂部上の連結機能は、持ち上げられて運搬されるときに、モジュール式生育ユニットが運搬手段上により確実に載置されるのを助ける。リフト機構は、リフト面を上昇及び降下させるためのリニアアクチュエータを備え得る。リニアアクチュエータは、任意の適切なタイプのアクチュエータ(例えば、空気圧式、液圧式、電気式、等)であり得る。
【0030】
スタンド頂部は、モジュール式生育ユニットがスタンド上に取り付けられたときにスタンドと連結することを可能にするように構成された連結機能のセットをスタンドの頂面上に備え得る。電気的インタフェースがモジュール式生育ユニットの少なくとも1つの連結機能に一体化される場合、スタンドの頂面上の連結機能はまた、電気的インタフェースを備え得、このことから、モジュール式生育ユニットが、それらのそれぞれの連結機能を通してスタンドと電気的に結合することを可能にし得る。スタンドの複数の脚部のうちの1つ以上は、追加として、電源、例えば、充電供給器と電気的に結合することができる電気的インタフェースを備えることができ、電気的導通が、連結するモジュール式生育ユニット間に確立されるので、電源から垂直スタック中の連結するモジュール式生育ユニットの照明ユニットの各々にスタンドを介して電力を伝達することができる。任意選択で、サービスステーションは、充電収集器と結合するように構成された充電供給器又は電源を備える。有利なことに、サービスステーションによって提供される1つ以上のサービスは、生物の世話のためのサービスに限定されるだけでなく、1つ以上のモジュール式生育ユニットに組み込まれた1つ以上の再充電可能な電源を充電するための電気エネルギー源も提供する。
【0031】
好ましくは、1つ以上のモジュール式生育ユニットは、モジュール式生育ユニットの複数のスタックを備える。スタックは、異なる高さのモジュール式生育ユニットを備え得る。この場合、1つ以上のモジュール式生育ユニットがスタンド上に配置されると、モジュール式生育ユニットは、互いの上に直接積み重ねられて、垂直スタックを形成し得る。モジュール式生育ユニットをスタック中に配置することは、モジュール式生育ユニットを密に詰める効率的な方法である。これは、モジュール式生育ユニットの各々が箱状構造を有するという事実によって更に容易にされる。好ましくは、モジュール式生育ユニットの複数のスタックは、グリッドパターンで配置される。個々のモジュール式生育ユニットが互いに連結する能力は、モジュール式生育ユニットの自立スタックを提供し、モジュール式生育ユニットのスタックを外部から支持する必要性を排除する。
【0032】
スタンド頂部及び複数の脚部は、隣接する脚部間に画定された1つ以上の開口部から少なくとも1つの運搬手段によってアクセス可能な空間をスタンド頂部の下に画定する。車両が1つよりも多くの方向から空間中に移動することを可能にするために、スタンドの1つよりも多くの側面上に側面開口部が画定され得る。2対の対向する側面開口部が画定され得、一方の対は、他方の対に対して直交に向けられる。スタンド頂部は、スタンド頂部の4つの角から下向きに延在する4つの脚部を有する矩形形状を有し得る。側面開口部は、スタンドの各側面上で、各隣接する対の脚部間に画定され得る。このようにして、少なくとも1つの運搬手段は、スタックユニットの向きに関係なく、スタンド頂部の下の空間中に及び空間から移動することができる。更に、スタックユニットが、隣接するスタックユニット上の側面開口部が整列するようにグリッドパターンで配置される場合、少なくとも1つの運搬手段は、グリッドパターンの外側の周りを移動する必要があるのではなく、グリッドパターンを「通って」移動することによって、グリッドパターンの一方の側からもう一方の側に効率的に移動することができる。これはまた、積み重ねられたモジュール式生育ユニット間に明確なアクセスルートが必要とされないため、積み重ねられたモジュール式生育ユニットがより密に配置されることを可能にする。このことから、所望のスタックをその上に載せた状態でスタンドを単に持ち上げることによって、スタック全体を便利に且つ効率的に運搬し、施設の周りに再配置することができる。
【0033】
モジュール式生育ユニットの異なるスタック中で生物の世話をするために、好ましくは、コントローラは、周期的に又は所定のシーケンスで生育ステーションからサービスステーションにモジュール式生育ユニットの複数のスタックの各スタックを運搬するために少なくとも1つの運搬手段の移動を命令するように構成される。その上、コントローラは、生物の供給サイクルに対応する所定のスケジュールで生育ステーションからサービスステーションにモジュール式生育ユニットの複数のスタックの各スタックを運搬するために少なくとも1つの運搬手段の移動を命令するように構成される。これは、生物が、生物の健全な成長に必要とされる正確な量の水及び/又は栄養素を供給されることを可能にする。任意選択で、コントローラは、第1のスケジュールで生育ステーションからサービスステーションにモジュール式生育ユニットの複数のスタックの第1のサブセットを移動させ、第2のスケジュールで生育ステーションからサービスステーションにモジュール式生育ユニットの複数のスタックの第2のサブセットを移動させるように少なくとも1つの運搬手段に命令するように構成され、第1のスケジュールは、第1のタイプの生物の第1の供給サイクルに関連し、第2のスケジュールは、第2のタイプの生物の第2の供給サイクルに関連する。少なくとも1つの運搬手段は、モジュール式生育ユニットの所与のスタックを、スタック中のモジュール式生育ユニットの各々中で生育される生物の成長サイクル又はタイプのうちのいずれかに関連し得る生物のサービスニーズに応じてサービスステーションに運搬することができる。例えば、サービスステーションは、追加として、生物の健康及び/又は外観を検査するためのカメラ又は他のデバイスなどの検査デバイスを備え得る。検査デバイスから収集されたデータは、生物の健康を維持するために必要とされる正しい量の栄養素及び/又は他の世話を生物に提供するために使用することができる。収集されたデータはまた、モジュール式生育ユニットの任意の所与のスタックがサービスステーションに運ばれる必要があるスケジュール又は頻度を決定又は算出するために使用することができる。
【0034】
モジュール式生育ユニット中の生物に栄養素を供給することを提供することに加えて、サービスステーションは、特にモジュール式生育ユニットの照明ユニットが再充電可能な電源によって電力供給される場合には、電力源であり得る。より具体的には、サービスステーションは、モジュール式生育ユニットのスタックの充電収集器と結合するように構成された充電供給器を備える。充電供給器は、充電収集器とワイヤレスで結合することができ、代替として、充電供給器は、充電収集器の2つの充電受信要素と電気的に結合するように構成された2つの充電供給要素を備えることができる。
【0035】
1つ以上のタイプの生物が専門の世話を必要とする場合、任意選択で、生育ステーションは、1つ以上のエンクロージャを備え、1つ以上のエンクロージャの各々は、所定の環境で1つ以上のモジュール式生育ユニットを収容するように構成される。エンクロージャは、エンクロージャ中の温度及び/又は湿度を制御するために、加熱器及び/又は加湿器を備える。
【0036】
本発明の更なる特徴及び態様は、図面を参照して行われる例示的な実施形態の以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0037】
図1】本発明の実施形態によるモジュール式自動生育システムの斜視図である。
図2】本発明の実施形態による、自立保管構造中に配置されたモジュール式生育ユニットの複数の垂直スタックを備える生育ステーションの斜視図である。
図3】(a及びb)は、(a)積み重ねられた配置、及び(b)分解された配置の、図2に示すモジュール式生育ユニットの単一の垂直スタックの斜視図である。
図4図1~3に示す単一のモジュール式生育ユニットの斜視図である。
図5図4の単一のモジュール式生育ユニットの斜視図であり、頂壁の下側に取り付けられた照明ユニットを示す。
図6】(a及びb)は、(a)スタック中に2つのモジュール式生育ユニットを、(b)スタック中に単一の細長いモジュール式生育ユニットを備える、本発明の実施形態による代替のモジュール式生育ユニットの斜視図である。
図7】モジュール式生育ユニットとスタンドとの間の電気的結合を示す、単一のモジュール式生育ユニットの斜視図である。
図8】植物系生物を農業生産するためのモジュール式生育ユニットの複数のスタックを示すモジュール式自動生育システムの一部分の斜視図である。
図9】照明ユニットに電力を供給するための再充電可能な電源を備えるモジュール式生育ユニットのスタックの斜視図である。
図10】(a、b、及びc)は、本発明による、(a)スタンドの上に配置されたモジュール式生育ユニットの垂直スタックの下方に入る自律運搬車両(AGV)、(b)モジュール式生育ユニットのスタックを支持するスタンドの下の自律運搬車両、及び(c)スタックを運搬するためにスタックを持ち上げる自律運搬車両のリフト機構の斜視図である。
図11】本発明によるモジュラー式生育ユニットのスタックを運搬するためのフォークリフト機構に基づく代替のリフト機構の斜視図である。
図12図2に示す自立グリッド中に配置されたモジュール式生育ユニットの複数の垂直スタックを備える生育ステーションからのモジュール式生育ユニットの1つ以上のスタックの除去を示す斜視図である。
図13】1つ以上の環境的に制御されたエンクロージャ中のモジュール式生育ユニットのスタックの保管の斜視図である。
図14】本発明の例による、栄養素供給システムを示すサービスステーションの概略フローチャートである。
図15】本発明の例による、流体排水システムを示すサービスステーションの概略フローチャートである。
図16】本発明の例による、生物に1つ以上のサービスを提供するためのサービスステーションの斜視図である。
図17】(a及びb)は、(a)図16に示すサービスステーションにドッキングされたモジュール式生育ユニットのスタック、(b)モジュール式生育ユニットのトレイとの送達及び/又は排水ダウンチューブ又はダウンパイプの係合の斜視図である。
図18】1つ以上のサービスステーションと1つ以上の運搬手段との間の関係を示す概略フローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0038】
一般に、本発明は、他の個々のモジュール式生育ユニットの除去を中断又は別様に妨害することなく、生育システム内の個々のモジュール式生育ユニットの効率的な維持及び/又は拡大を可能にするモジュール式「プラグアンドプレイ」生育システムを提供する。本発明による生育システムは、同時に、気耕栽培、エブアンドフロー水耕栽培、ディープカルチャー水耕栽培、及びアクアポニックスを含むが、それらに限定されない、任意の数のモジュール式生育ユニットを収容し得る。
【0039】
図面を詳細に参照すると、図1は、本発明による自動生育システム1の例を示す。生育システム1は、1つ以上のタイプの生物を垂直に農業生産するための保管構造を備える生育ステーション3と、生物の世話をするためのサービスステーション5とを備える。本発明の目的のために、生物は、全ての真核生物(植物界、菌界、動物界)、即ち、全ての多細胞植物、菌類、及び動物、並びに全ての原核生物(細菌、古細菌、原生動物、クロミスタ)、即ち、原生生物、細菌、及び古細菌などの全ての単細胞微生物を含むと理解される。植物は、根系を通して水を吸収し、及び/又は光合成によって栄養素を合成する任意の生物を一般に指すと広く解釈されるべきである。光合成の基本的な構成要素は、二酸化炭素、水、及び光である。そのような植物は、農作物、草、サトウキビの低木、ある特定のサイズの樹木、ハーブ、シダ、及びコケを含むが、それらに限定されない。生物は、生物を搬送するためのモジュール式生育ユニットの複数の垂直スタック7を備える保管構造中に保管される(図2を参照)。モジュール式生育ユニットの複数のスタック7は、自立グリッド構造を形成するようにグリッドパターンで配置される。本発明の特定の実施形態では、個々のモジュール式生育ユニット9は各々、個々の生育ユニットが行及び列に密に詰められることを可能にし、それによって比較的小さい設置面積を占有するように、立方体形状であり得る箱状構造を有する。保管構造の更なる詳細は、以下で議論する。
【0040】
個々の生育ユニット中の生物の世話をするために、図1に示す自動生育システムは、生物に1つ以上のサービスを提供する、及び/又は生物に関するデータを収集するための1つ以上の独立型サービスステーション5を更に備える。生物が植物である場合、そのようなサービスは、水やり、剪定、排水、収穫、及び/又は植物に関するデータの収集を含む。1つ以上のサービスステーション5は、生育システムの保管構造の一部を形成しないという意味で、生育ステーション3から離れて位置する。図1に示す本発明の特定の実施形態では、1つ以上のサービスステーション5は、生育ステーション3とは別個の部屋中に位置する。生育ステーション3とサービスステーション5との間の分離は、生物の栄養供給中に隣接するモジュール式生育ユニットからの水媒介性汚染物質による生物の汚染を防止するのに役立つ。これは、ラック中の複数のトレイを支持する従来技術のシステムとは対照的であり、ここで、ラック中のトレイの各々は、専用の供給チューブ、排水チューブ、及び/又は照明ユニットを設けられる。この構成は、個々のトレイとサービスステーションとの間に走る長いチュービングを必要とするだけでなく、多くの場合、トレイ中の生物へのサービスは、常に動作可能である必要はない。植物の場合、水やりなどの植物へのサービスは、24時間の期間の間に少なくとも2回動作する必要があり、従って、そのような供給チューブは、ほとんどの時間、休止状態のままである傾向がある。1つ以上のサービスステーション5を生育ステーション3から分離することは、1つ以上のサービスステーションが保管構造中の複数のモジュール式生育ユニット間で共有されるので、この問題を排除する。サービスを提供することは、モジュール式生育ユニット内に収容された生物のタイプ及び/又は生物の成長サイクルにおける段階に応じて、モジュール式生育ユニットの1つ以上のスタックをサービスステーション(複数可)5に周期的に運搬することを伴う可能性がある。このようにして、1つ以上のサービスステーション5は、ほとんどの時間、動作可能であり、そのため、サービスステーションが休止状態のままである期間が大幅に低減されるので、より効率的で費用効果の高い垂直農業生産システムを提供する。サービスステーションの動作の更なる詳細は、以下で議論する。
【0041】
保管構造、より具体的には図2を参照すると、モジュール式生育ユニットの複数のスタック7が、3次元自立保管構造を形成するように共に組み立てられる。生育ユニットのスタックを構成する生育ユニット9の各々は、対向する側壁11、頂壁13、及び底壁15を備える箱状構造を有する(図4及び5を参照)。単一のモジュール式生育ユニット9の対向する側壁11、頂壁13、及び底壁15は、生物19を収容するための内部空間17を取り囲む。図4に示す本発明の特定の実施形態では、個々のモジュール式生育ユニット9は、立方体形状を有する。これは、個々の生育ユニットが共に密に詰められることを可能にし、そのため、保管構造の所与の設置面積にわたって生物を農業生産する密度を増大させる。立方体形状は、図3(a及びb)に示すように、個々の生育ユニットを互いの上に積み重ねて、モジュール式生育ユニットのスタックを形成することを可能にする。モジュール式生育ユニットの個々のスタック7は、モジュール式生育ユニットの1つ以上の垂直スタック7をモジュール式生育ユニットのスタックの既存のアセンブリに単に追加することによって、保管構造の拡大を可能にする。図2に示す本発明の特定の実施形態では、モジュール式生育ユニットのスタック7は、2つの5×7モジュール式生育ユニットを備える保管構造を形成するようにグリッドパターンで配置される。モジュール式生育ユニットの任意の数のスタック7を共に組み立てて、保管構造の異なる保管容量を提供することができる。
【0042】
しかしながら、密に詰められた保管構造を提供するために、箱状構造の立方体形状は、図4に示すような規則的な正六面体形状に限定されない。立方体という用語は、図6(a及びb)に示すような直方体形状を含むが、それに限定されない他の形状も包含する。図6a及び6bは、異なる高さを有するモジュール式生育ユニットの異なる立方体の箱状構造8a、8bを示す。箱状構造の異なる高さは、箱状構造の内部空間内に異なる高さの植物又は木さえも収容することを可能にし、更に、モジュール式生育ユニットを詰める密度に大きく影響を及ぼすことなく、又は保管構造中のモジュール式生育ユニットのどの1つも乱すことなく、モジュール式生育ユニットが保管構造内にきちんと入れ子になることを可能にする。
【0043】
保管構造中のモジュール式生育ユニットの個々のスタックを安定化させて、自立保管構造を提供するために、モジュール式生育ユニットは、スタック中で互いに連結することが可能である。図3(a及びb)及び4に示す特定の実施形態では、各個々のモジュール式生育ユニットの頂壁及び底壁は、各モジュール式生育ユニットがスタック中の1つ以上の隣接するモジュール式生育ユニットと連結することを可能にするために、連結する自己整列機能21を設けられる。本発明の特定の例における連結機能は、相補的な窪み及び突起を使用する。モジュール式生育ユニットの立方体形状の角に配設された連結機能21を図4に示す。スタック中の隣接するモジュール式生育ユニットの頂壁13中の相補的な窪み25中に受け入れられるように成形された、モジュール式生育ユニット9の底壁15から下向きに延在する4つの突起23を示す。図3(a及びb)に示すように、個々の生育ユニットを垂直スタック中に共に組み立てるとき、第1のモジュール式生育ユニットの底壁が第2のモジュール式生育ユニットの頂壁に重なり、それらのそれぞれの連結機能が互いに連結するように、第1のモジュール式生育ユニットが第2のモジュール式生育ユニットの上に配置される。突起23は、垂直に積み重ねられたときに隣接するモジュール式生育ユニットが自己整列することを可能にするようにくさび形に成形される。
【0044】
対向する側壁によって取り囲まれたモジュール式生育ユニットの箱状構造は、生物19の成長をサポートするための、より具体的には植物の根を支持するための生育培地27を収容するための内部空間17を提供する。典型的には、植物の根を支持するために生育培地の使用を必要とする水耕栽培垂直農業生産システムの場合、生育培地は、Rockwool(登録商標)、ココナッツコイア、パーライト、バーミキュライト、又はそれらの組み合わせを備えることができる。モジュール式生育ユニットの一方又は両方の対向する側壁11は、モジュール式生育ユニット9の内部空間17中に延在する開口部31を有する窓29を備える。これは、流体送達システム、流体排水システム、及び/又は検査システムなどの1つ以上の動作が、モジュール式生育ユニットの外部の内部空間中に入ることを可能にするためである。これは、次に、生育ユニットの外部の生物の世話をするために、1つ以上のサービスが提供されることを可能にする。例えば、モジュール式生育ユニットのスタックを、サービスステーションに運搬することができ、ここで、サービスステーションは、モジュール式生育ユニットの外部のモジュール式生育ユニットの内部空間内に収容された生物に、最小限の動作で容易にアクセスして、生物に1つ以上のサービスを提供することができる。窓の開口部は、開口部31の周りにフレーム33を提供するようなものである。フレーム33は、底壁15と協働して、底壁15の外周の周りにリップ又はリム35を提供して、生育培地を収容するための、及び/又は生物に栄養を供給するために必要な流体を収容するための、モジュール式生育ユニットの箱状構造内に一体化されたトレイを画定する(図7を参照)。
【0045】
図7に示す特定の実施形態では、モジュール式生育ユニットの箱状構造内に一体化されたトレイは、複数の上向きに直立する突起37を備える。生育培地27は、モジュール式生育ユニットの底壁と生育培地との間の空間が過剰な流体を収容するためのトレイ内の容積を画定し、生育培地が流体で過飽和されるのを防止するように、複数の上向きに直立する突起37上に載置されるように構成される。トレイ内に堆積された流体は、生育培地の吸湿性によって、例えば、毛管作用によって、生育培地の飽和限界まで、生育培地27によって吸収されるか、又は生育培地27内に進入する。更に、あらゆる残骸又は枯れた根は、生育培地と底壁との間の空間によって画定された容積内に収容される。
【0046】
モジュール式生育ユニットの底壁とは対照的に、頂壁13は、モジュール式生育ユニット9の内部空間17によって占有された領域(以下、「生育領域」と呼ぶ)を照明するように構成された照明ユニット39を備える。本発明の特定の実施形態では、照明ユニット39は、図5に示すように、モジュール式生育ユニットの箱状構造の頂壁の内面に取り付けられた複数の発光ダイオード(LED)を備える。当該技術分野において一般に知られている様々な締結具を、照明ユニットをモジュール式生育ユニットの頂壁に取り付けるために使用することができる。これらは、様々なねじ、接着剤、等を含むが、それらに限定されない。LEDの各々の波長は、モジュール式生育ユニットの内部空間内で生育される植物の光合成を駆動するように選択される。例えば、個々のLEDは、青色、橙色、赤色スペクトル領域のうちの1つにおける1つ以上の波長を放出するように選択され得る。青色及び赤色波長が光合成を駆動することが見出されているので、そのようなスペクトル領域が選択される。図5の本発明の特定の実施形態に示す照明ユニット39は、チューブ状であり、モジュール式生育ユニットの幅にわたって長手方向に延在するが、本発明は、照明ユニットの任意の特定の形状又は向きに限定されない。例えば、照明ユニットの形状は、円形、線形、正方形グリッド、又は任意の他の形状であり得る。照明ユニット中の各LEDは、植物の成長及び収量を最大化するために、所望の波長の人工光で内部空間、及びこのことから植物を照明するように、コントローラによって個々に及び選択的に電力供給され得る。
【0047】
頂壁13は、モジュール式生育ユニット9の箱状構造に一体化することができる。実際に、モジュール式生育ユニットの箱状構造は、例えば鋳造又は成形によって、単一又は単体の一体型本体として形成することができる。対向する側壁11中の窓29は、箱状構造の本体と一体的に形成され得るか、又は代替として、一体的に形成された箱状本体の対向する側壁から機械加工され得る。本発明によるモジュール式生育ユニットを製造するために、様々な材料を使用することができる。これらは、様々なプラスチック、金属、木材、セラミック、又は複合材料さえも含むが、それらに限定されない。代替として、図7に図示するように、頂壁13は、モジュール式生育ユニットの内部空間を取り囲むための蓋を画定するように、モジュール式生育ユニット9の本体の残りの部分とは別個の部分として形成することができる。モジュール式生育ユニット9の頂壁13を形成する蓋に照明ユニット39を取り付ける利点は、LEDのうちのいずれか1つが機能不全となった場合にLEDのうちのいずれか1つを交換する能力、又は照明ユニットから照射される光、例えば季節的及び/又は毎日の合図を提供することが可能な光のスペクトル波長を変更する能力である。
【0048】
図8は、複数の密に離間された垂直スタック中に密に配置された連結可能なモジュール式生育ユニット9のアセンブリを備える保管構造を示す。保管構造中のモジュール式生育ユニット9の各々は、それらのそれぞれのモジュール式生育ユニット9内の生物19の内部空間を照明するように構成された、上記で議論したような専用の照明ユニット39を有するように示している。図8に示すように、連結可能なモジュール式生育ユニット9は、垂直農業生産システムを提供するために垂直スタック中に配置される。スタック中のモジュール式生育ユニットの各々の照明ユニットに電力を供給するために、モジュール式生育ユニットの各々は、スタック中の隣接するモジュール式生育ユニットと電気的に結合するように構成された電気的インタフェース部分を備える。複数のモジュール式生育ユニットは、スタック中の隣接するモジュール式生育ユニット間に電気的導通が確立されるように、モジュール式生育ユニットのスタック中に配置される。これは、外部電源と電気的に結合するように構成されたスタックに取り付けられた単一の電気的インタフェースから所与のスタック中の照明ユニットの各々に電力が供給されることを可能にする。このことから、所与のスタック中の隣接するモジュール式生育ユニットのそれぞれの電気的インタフェース間に確立された電気的接続によって、外部電源からモジュール式生育ユニットの各々に電力が供給される。図7に示す本発明の特定の実施形態では、隣接するモジュール式生育ユニット間の電気的連続性は、隣接するモジュール式生育ユニットがスタック中で互いに連結するときに電気的接続が成されることによって確立される。隣接するモジュール式生育ユニットが互いに連結するときにこの電気的接続を提供するために、電気的インタフェース41は、モジュール式生育ユニットの各々の連結機能21内に組み込まれる。当該技術分野において知られている様々なタイプの電気的接続を、スタック中の隣接するモジュール式生育ユニット間の電気的接続を確立するために使用することができる。これらは、ばねベースの電気接点、電気プラグ-ソケット式コネクタ、及び電気信号を誘導的に送信するための送信機コイル及び受信機コイルを備えるワイヤレス接続さえも含むが、それらに限定されない。図7に示す本発明の特定の実施形態では、スタック中の隣接するモジュール式生育ユニット間の電気的結合は、プラグ-ソケット式電気コネクタ43を備える。隣接するモジュール式生育ユニット間の電気的インタフェースは、任意選択で、磁石の磁力に依拠して、スタック中の電気的インタフェース間の電気的接続を導き且つ行うのを助ける磁石(図示せず)を備えることができる。
【0049】
モジュール式生育ユニットは、生物にサービスを提供するための他の電動デバイスを更に備え得る。例えば、モジュール式生育ユニットは、生育培地の温度、又は内部空間内の空気の温度を制御するための加熱要素を設けられ得る。加熱要素は、照明ユニット39とは別個であり得る。例えば、加熱要素は、生育培地に直接熱を供給するために、モジュール式生育ユニットの底壁に一体化され得る。代替として、いくつかの例では、照明ユニットはまた、熱を生成するように構成することができる。
【0050】
生物にサービスを提供するための電動デバイスの他の例は、センサ及び監視機器を含む。例えば、モジュール式生育ユニットは、(空気、生育培地、又は生物自体の)温度を監視するための温度計、湿度を測定するための湿度計、生育培地を測定するためのpH計、又は他の監視デバイスを設けられ得る。生物にサービスを提供するための電動デバイスの別の例は、状態インジケータであり、それは、生物の状態を示し得る。例えば、状態インジケータは、温度、湿度、等などの監視されているパラメータが予期される範囲内にある場合には、緑色の光を示し得るか、又は監視されたパラメータが予期された範囲内にない場合には、赤色の光を示し得る。代替として又は追加として、状態インジケータは、モジュール式生育ユニット上の再充電可能な電源が充電される必要があるかどうかを示し得る。
【0051】
モジュール式生育ユニットの任意の1つのスタックを生育ステーション及びサービスステーションに及びそこから運搬するために、モジュール式生育ユニットのスタックは、スタックを地面よりも上に上昇させるスタンド45上に支持される。スタンド45(図7により明確に示す)は、スタックが配置されるスタンド頂部47と、スタンド頂部47の各角から下向きに延在する脚部49とを備える。スタンド45は、モジュール式生育ユニットの各々中の照明ユニットを外部電源51に電気的に接続する手段として使用することができる。例えば、図7に示すように、脚部のうちの少なくとも1つは、床53に一体化された外部電源51と電気的に結合するように構成された電気的インタフェースを備える。スタック中の隣接するモジュール式生育ユニット間の連結機能と同様に、スタンド頂部は、その上に取り付けられたモジュール式生育ユニットと連結するように構成された連結機能を備える。このことから、外部電源からの電力は、スタンド45と外部電源51との電気的結合を介して、スタック中の個々のモジュール式生育ユニットに供給することができる。
【0052】
モジュール式生育ユニットのスタックはまた、照明ユニットに、そして、それらのそれぞれの電気的インタフェースを介してスタック中のモジュール式生育ユニットの各々に電力を供給するように構成された再充電可能な電源55を備えることができる。再充電可能な電源55は、スタックが外部電源に電気的に結合されたときに電力を受けることができる。再充電可能な電源の例は、再充電可能な電池及びキャパシタを含むが、それらに限定されない。電池の例は、リチウムイオン電池、リチウムイオンポリマー電池、リチウム空気電池、リチウム鉄電池、リチウム鉄リン酸塩電池、鉛酸電池、ニッケルカドミウム電池、ニッケル金属水素化物電池、ニッケル亜鉛電池、ナトリウムイオン電池、ナトリウム空気電池、薄膜電池、全固体電池、又はスマート電池炭素発泡体ベースの鉛酸電池を含む。キャパシタの例は、キャパシタ、スーパーキャパシタ、ウルトラキャパシタ、リチウムキャパシタ、電気化学二重層キャパシタ、電気二重層キャパシタ、疑似キャパシタ、又はハイブリッドキャパシタを含む。異なる再充電可能な電源の組み合わせ、例えば、急速充電用のスーパーキャパシタ、及びエネルギー密度用の電池も使用することができる。
【0053】
再充電可能な電源55は、図9の例に示すように、モジュール式生育ユニット9の箱状構造の頂壁に取り付けるか、又は一体化することができる。再充電可能な電源をスタック中に組み込むことは、スタックが外部電源から結合解除されたときに、照明ユニットに電力を連続的に供給する能力を提供する。このことから、スタックが任意の時間長にわたって外部電源から結合解除された場合、照明ユニットは、依然として再充電可能な電源から電力を供給され、そのため、生物は、照明ユニットから光を連続的に受ける。生物が照明ユニットから少なくとも規定された量の光を受けるようにスケジュールされているとき、照明ユニットへの電力のいかなる乱れも、再充電可能な電源から電力を受けることによって最小限に抑えられる。
【0054】
スタンド頂部47及び脚部49は、隣接する脚部間に画定された1つ以上の側面開口部57を介して側面からアクセス可能な空間50をスタンド頂部の下に画定する。図7に示す例では、スタンド頂部47は、角から下向きに延在する4つの脚部と、スタンドの各側面上の側面開口部57とを有する矩形(正方形)形状を有する。図10(a~c)は、モジュール式生育ユニットのスタック7を運搬する段階を示す。図10aは、スタンド45の下に接近する運搬手段59(例えば、AGV又はAMR)を示し、図10bは、スタンド45の下の運搬手段59を示す。運搬手段59の目的は、モジュール式生育ユニットのスタック7を持ち上げ、異なる場所に、特定の場合にはサービスステーションに及びサービスステーションから運搬することである。
【0055】
図10a及び10bに示すように、運搬手段59は、側面開口部57のうちのいずれかを介してスタンド頂部47の下の空間50に入り、それを占有することができるように寸法決めされる。運搬手段59は、好ましくは、空間50を占有しているときに、スタンド頂部47を越えて横方向に延在しないように寸法決めされる。運搬手段の頂部及びスタンド頂部の底部はまた、連結機能61を備えることができる。特に、運搬手段の頂部は、スタンド頂部の下側の対応する凹部(図示せず)と連結する上向きに延在する突起61を備えることができ、そのため、スタンドは、持ち上げられているとき、運搬手段上により確実に載置される。
【0056】
スタックを移動させるために、運搬手段59は、追加として、運搬手段がスタンド頂部の下に位置決めされた後にスタンドを持ち上げるためのリフト機構を備える。運搬手段は、降下位置と上昇位置との間で運搬手段の本体に対して垂直に移動可能なリフト面63(その上に突起が配置される)を備える。図10bに示す降下位置では、リフト面63は、スタンドと係合されない。図10cに示す上昇位置では、リフト面63は、スタンド頂部の下側と係合され、運搬手段の全高は、スタンドが地面から完全に持ち上げられ、リフト面63によってのみ支持されるように増大する。リフト面63が上昇位置にあると、運搬手段59は、スタックユニットを所望の場所、例えばサービスステーションに運搬することができる。スタックユニットが所望の場所に運搬されると、リフト面63を、スタックユニットを地面上に配置し戻すために降下位置に移動させることができる。所望の場所はまた、外部電源を含むことができ、そのため、運搬手段が所望の場所でスタックを降下させると、モジュール式生育ユニットのスタックは、外部電源に電気的に結合する。本発明の特定の実施形態では、運搬手段は、スタンドの脚部のうちの1つ中の電気的インタフェースが外部電源の真上に位置決めされるようにスタックを位置決めする。電気的インタフェースは、スタンドが外部電源上に降下されたときにスタンドと電気的に結合する。運搬手段は、次いで、空間50を出て、異なる場所(例えば、異なるスタックユニット)に移動することができる。
【0057】
しかしながら、スタンドの使用以外に、モジュール式生育ユニットのスタックを移動させるための他の手段が、本発明において適用可能である。別の例では、運搬手段は、図11に示すようなモジュール式生育ユニットのスタックの下に受け入れられるようにサイズ決定された内蔵フォークリフトを有することができる。スタック中の最下部のモジュール式生育ユニットの底壁から下向きに延在する連結突起は、フォークリフトのフォーク64を受け入れるのに十分な空間を提供するために、スタックを地面よりも上に上昇させる。
【0058】
モジュール式生育ユニットのスタックと運搬手段との間に中間スタンドを提供するためにスタンド45を使用する利点は、モジュール式生育ユニットの複数のスタックが図2に示すようにグリッド状パターンで共に密に配置されるとき、複数のスタンドの下の空間50が互いに協働して、モジュール式生育ユニットの複数のスタックの下に明確な経路又はルートを画定することである。スタンド45の隣接する脚部49間に画定された1つ以上の側面開口部57は、運搬手段が1つよりも多くの方向から所与のスタックの下の空間中に移動することを可能にする。例えば、スタンド頂部47は、スタンド頂部の4つの角から下向きに延在する4つの脚部を有する矩形形状を有し得る。側面開口部は、スタンドの各側面上で、各隣接する対の脚部間に画定され得る。このようにして、運搬手段は、モジュール式生育ユニットのスタック7の向きに関係なく、スタンド頂部47の下の空間50中に及び空間50から移動することができる。更に、モジュール式生育ユニットのスタック7が、隣接するスタックユニット上の側面開口部57が整列するようにグリッドパターンで配置される場合、運搬手段は、グリッドパターンの外側の周りを移動する必要があるのではなく、グリッドパターンを「通って」移動することによって、グリッドパターンの一方の側からもう一方の側に効率的に移動することができる。これはまた、図12に示す保管構造の概略図に示すように、スタックユニット間に明確なアクセスルートが必要とされないため、スタックがより密に配置されることを可能にする。モジュール式生育ユニットの特定のスタックにアクセスするために、運搬手段59は、スタック7の下の空間50に単に入り、保管構造3からスタックを移動させることができる。スタックが密に詰められている場合、モジュール式生育ユニットのスタックのうちの1つ以上は、保管構造内に埋もれたスタックへのアクセスを得るために移動されなければならないであろう。
【0059】
1つ以上の生物が、保管中の他の生物と比較して特定の環境中での保管を必要とする場合、生物を収容するモジュール式生育ユニットの1つ以上のスタックは、特定の生育環境を提供するために1つ以上のデバイス(図示せず)を装備された別個のエンクロージャ65中に保管することができる。1つ以上のデバイスは、環境の湿度及び温度をそれぞれ制御するための湿度及び温度制御デバイス、例えば、加熱器及び/又は冷却デバイスを含むが、それらに限定されない。図13に示す本発明の特定の実施形態では、1つ以上のエンクロージャ65は、モジュール式生育ユニットの垂直スタック7を収容するようにサイズ決定された1つ以上のドライブインキャビネットによって提供される。1つ以上のエンクロージャ65の各々は、モジュール式生育ユニットのスタック7を受け入れるための入口を備える。入口は、モジュール式生育ユニットのスタックがエンクロージャ65中に移動されると、エンクロージャ内の空間を外部環境から閉鎖するためのドア67を備える。ドア67は、手動で操作することができるか、又はエンクロージャ内のモジュール式生育ユニットのスタックの存在を感知する、入口における若しくはエンクロージャ内の1つ以上のセンサ(図示せず)に応答して自動的に動作することができる。センサの例は、位置センサ、赤外線センサ、等を含むが、それらに限定されない。動作時には、特別な環境中での保管を必要とするモジュール式生育ユニットのスタックを入口を介してエンクロージャ中に移動させるように、運搬手段に命令することができる。エンクロージャが、エンクロージャ中のモジュール式生育ユニットのスタックの存在を感知すると、ドアが閉鎖され、エンクロージャ中の環境が、モジュール式生育ユニットのスタック中で生育される生物のタイプ及び/又は成長段階に応じて、規定された温度及び/又は湿度に制御される。
【0060】
保管中の生物の世話をするために、運搬手段は、モジュール式生育ユニットの1つ以上のスタックを、それらのそれぞれのモジュール式生育ユニット中で生育された生物の状態に応じて、1つ以上のサービスステーションに運搬する。1つ以上のサービスステーションは、モジュール式生育ユニット中で生育される生物の世話をするための1つ以上のサービスを提供する。モジュール式生育ユニットの1つ以上のスタックがサービスステーションに運搬される頻度は、生物の成長サイクルにおける成長段階及び/又は生育される生物のタイプに応じて規定することができる。例えば、トマトは、ミント、タイム、等などのハーブと比較して、水やりのためにサービスステーションへのより頻繁な訪問を必要とする。
【0061】
スタック中の1つ以上のモジュール式生育ユニット中の生物に自律的に栄養を供給するための栄養素供給システム69の概略図を図14に示す。システムは、作物の成長を促進するために、流体をスタック中の個々のモジュール式生育ユニットに供給するように構成された流体送達システム71を含む。流体送達システム71は、作物の成長を促進するために水及び1つ以上の栄養素の溶液を収容する1つ以上の容器77と協働するように構成された共通流体分配システム75と流体連通する複数のダウンチューブ73を備える。共通分配システム75は、流体をスタック中のモジュール式生育ユニットの各々に分配する導管又はチュービングのネットワークを備える。1つ以上のマニホールドが、共通分配システム75の一部を形成し、流体を容器からモジュール式生育ユニットの各々に分配するために使用され得る。図16に示す栄養素供給システムの特定の例では、複数の「T」ジョイント78が、単一のパイプ又はチュービング79から、スタック中のモジュール式生育ユニットの各々に流体を供給するように構成されたダウンパイプ73の各々に流体を分岐させるために使用される。フィルタ81を、容器から任意の望ましくない不純物を除去するために、容器と流体連通し、容器の下流で使用することができる。1つ以上の養液センサ76が、容器77に関連付けられ、容器中の流体のpH、導電率、温度、及び栄養素レベルのうちのいずれか1つを検出するように構成され得る。養液センサからのデータは、コントローラ85に供給され、コントローラ85は、容器中の流体の品質を制御するためにデータを使用することができる。図14には示していないが、1つ以上の栄養素供給タンクは、養液センサ76からのデータに応答して、容器に栄養素を供給することができる。フィルタ81と流体連通し、フィルタ81の下流にあるポンプ83は、容器77からフィルタ81を通して流体を引き込むように構成され、そこで、流体は、共通分配システム75中に供給される。ポンプ83は、容器77から共通分配システム75への流体の流れを制御するように構成されたコントローラ85によって制御される。共通分配システム75への流体の流れは、複数のモジュール式生育ユニット中で生育される生物の状態及び/又はタイプに応じて制御することができる。1つ以上の逆止弁87が、ダウンチューブ73に供給する分岐の各々に組み込まれ、コントローラ85によって制御されて、共通分配システム75からダウンチューブ73の分岐のうちの1つ以上への流体の流れを選択的に及び/又は独立して制御し得、それは次に、スタック中の1つ以上のモジュール式生育ユニットへの流体の流れを制御する。
【0062】
モジュール式生育ユニットのスタックと係合するために、共通分配システム75から分岐する複数のダウンチューブ73は、複数の垂直に離間されたダウンチューブ又はダウンパイプ73として配置される。ダウンチューブの各々間の空間は、モジュール式生育ユニットのスタックがサービスステーションにドッキングするときに、スタック中のモジュール式生育トレイのそれぞれのトレイ内に受け入れられるような空間である(図17を参照)。複数のダウンチューブがスタック中の複数の垂直に離間されたモジュール式生育ユニットと係合するように、複数のダウンチューブ73を空間的に支持するために、複数のダウンチューブは、図16及び17に示すように、モジュール式生育ユニットの垂直スタックを収容するようにサイズ決めされたフレーム89に取り付けられる。図16に示す特定の実施形態では、単一のパイプ又はチュービング79を備える共通分配システム75が、フレーム89に取り付けられ、ダウンチューブ73が、一連の「T」ジョイント78によって単一のパイピング又はチュービング79から分岐する。中間パイプ又はチューブ91は、単一のパイプ79からダウンチューブ73を後退させ、ダウンチューブ73がモジュール式生育ユニットのトレイ中に到達することを可能にするように、単一のパイプ79とダウンチューブ73との間に介在させることができる。
【0063】
ダウンチューブがモジュール式生育ユニットのトレイ内に受け入れられることを可能にするために、ダウンチューブ73の少なくとも一部分は、弾性的に変形可能又は折り畳み可能であり、そのため、モジュール式生育ユニットがサービスステーション5に接近し、図17(a及びb)に示すようにサービスステーションのフレーム89内に受け入れられるとき、ダウンチューブ73は、トレイのリップ又はリム35に対して当接する。モジュール式生育ユニットのスタックをサービスステーション5中に更に移動させることは、図17bに明確に示すように、ダウンチューブ73にトレイのリップ又はリムを乗り越えさせ、トレイに入らせる。ダウンチューブ73の弾性は、トレイのリップ上で「フリップアンドフロップ」タイプの動作で所与のモジュール式生育ユニットのトレイ内に受け入れられるように、ダウンチューブが変形する、例えば湾曲するか又は折り畳まれることを可能にする。モジュール式生育ユニットのスタックは、ダウンチューブがスタック中のモジュール式生育ユニットのそれぞれのトレイ内に受け入れられるときに、サービスステーションにドッキングされると言われる。ダウンチューブがそれらのそれぞれのトレイ内に受け入れられることが可能なサービスステーションのドッキングエリアは、サービスステーションのパーキングゾーンと呼ぶことができる。このことから、運搬手段59に、モジュール式生育ユニットのスタックをサービスステーション5のパーキングゾーンに移動させるように命令することができる。1つ以上のパーキングセンサ、例えば床に取り付けられたセンサを、モジュール式生育ユニットのスタックを搬送する運搬手段をサービスステーション内の正しい位置に案内するために使用することができる。パーキングセンサの例は、RFIDタグ、近接センサ、等を含むが、それらに限定されない。
【0064】
養液がモジュール式生育ユニットのトレイ中に供給される水耕栽培システムの場合、サービスステーションは、追加として、流体排水システム93を備え得、そこでは、廃棄流体及び/又は汚染された流体をトレイから排水することができ、そのため、流体送達システム69からの新鮮な流体をトレイ中に供給することができる。流体送達システム69と同様に、流体排水システム93は、廃水タンク99(図15を参照)と流体連通する単一のパイプ又はチューブ97から分岐する複数のダウンチューブ95を備える。流体送達システムと比較して、容器は、トレイからの廃水を保管するための廃水タンク99である。複数のダウンチューブ95の第2のセットは、モジュール式生育ユニットのトレイ内に受け入れられるように構成される(図17bを参照)。複数のダウンチューブ73の第1のセットは、上記で議論した共通分配システムに流体接続される。廃水タンク99と流体連通し、その下流にあるポンプ101は、トレイからダウンチューブ95を介して廃水タンク中に流体を引き込む。廃水タンク99からの廃水は、生物に栄養を供給するために容器77中に再循環させることができる。例えば、1つ以上のフィルタ(化学的及び/又は物理的)(図示せず)を、廃水タンクから容器への水を濾過するために使用することができる。ポンプは、モジュール式生育ユニットのトレイから廃水を除去する必要があるときはいつでもポンプを作動させるようにポンプ101への電力を制御するコントローラ85によって制御される。流体送達システムと同様に、ダウンチューブ95の各々は、一方向弁103に流体接続され、一方向弁103は、コントローラ85によって制御されて、一方向弁103の各々の作動を選択的に制御して、それらのそれぞれのダウンチューブを介してそれらのそれぞれのトレイから流体を引き出す。
【0065】
図17(a及びb)に示す特定の例では、複数のダウンチューブ又はダウンパイプ73、95をモジュール式生育ユニットのスタックと係合するように示しているが、モジュール式生育ユニットのトレイから流体を送達及び/又は排水するための他の手段が本発明において適用可能である。これらは、モジュール式生育ユニットに取り付けられた1つ以上の流体コネクタ、例えば、オス型及びメス型流体コネクタと流体結合する共通分配システムのパイピング又はチュービングを含むが、それらに限定されない。サービスステーションの流体送達システム及び/又は流体排水システムは、モジュール式生育ユニットに、特にそれらのそれぞれのトレイと流体連通するモジュール式生育ユニットの箱状構造に取り付けられた流体コネクタと流体結合する。
【0066】
生育ステーション3とサービスステーション5との間の運搬手段の移動は、コントローラ85によって制御される。コントローラ85は、上記で議論した流体送達システム及び/又は流体排水システムを制御するための別個のコントローラ、又は図18に示すような同じコントローラであり得る。コントローラ85は、1つ以上のプロセッサと、1つ以上のプロセッサによって実行されると、生育ステーション3とサービスステーション5との間の運搬手段59の移動を制御するためにワイヤレス信号の形態で運搬手段59に命令を提供する命令を記憶するメモリとを備える。例えば、複数の自律運搬手段59は、複数の自律運搬手段の各々が、生育ステーションとサービスステーションとの間のそれぞれの自律運搬手段の位置を示す1つ以上の信号をコントローラに送り、及び/又はコントローラから受信するように構成されるように、コントローラ85にワイヤレスに接続される。制御システム間のワイヤレス通信は、短距離ワイヤレス通信技術、例えばBluetooth(登録商標)、又は、例えばネットワークを通して長距離ワイヤレス通信に基づくことができる。ネットワークは、ローカルエリアネットワーク(LAN)、ワイドエリアネットワーク(WAN)、又は任意の他のタイプのネットワークを備え得る。
【0067】
サービスステーション3は、任意選択で、データを収集し、生物のサイズ、高さ、色、及び他の健康属性などの生物の特性を監視するために、1つ以上のカメラ105を備え得る(図16を参照)。収集されたデータは、生物に送達される必要がある供給物、例えば、水及び栄養素の量を制御するためにコントローラによって使用することができる。データはまた、窮地にあり、回復するために専門家の処置を必要とする任意の生物を識別するために使用することができる。カメラ105から収集されたデータは、ローカルメモリ中に記憶され得るか、又は、例えばインターネットを通してなど、ネットワーク109を介してサーバ107上に遠隔に記憶され得る。パーソナルコンピューティングデバイス111は、ネットワーク109を通してコントローラ85と通信し得、カメラによって収集されたデータを表示し、一方向弁の各々を独立して制御することによって容器から各モジュール式生育ユニットへの流体の流れを制御するための命令をコントローラに選択的に提供するように構成されたソフトウェアアプリケーション又はプログラムを含み得る。
【0068】
カメラから収集されたデータは、モジュール式生育ユニットのスタック中で生育された生物にサービスを提供する異なるスケジュールを生成するために、コントローラ85によって使用され得る。モジュール式生育ユニットのスタックのいずれか1つに関連する異なるスケジュールは、生物の成長サイクルにおける成長及び/又は生物のタイプに依存し得る。スケジュールは、運搬手段が特定の生物を保持するモジュール式生育ユニットのスタックを取り出し、それをサービスステーションに運搬して、1つ以上のサービスを受ける時間を含む。生物の成長サイクルにおける成長段階及び/又は生物のタイプ、例えば種に応じて、保管中のモジュール式生育ユニットの複数のスタックの第1のサブグループは、第1のスケジュールに従ってサービスを受けるようにスケジュールされ得、モジュール式生育ユニットの複数のスタックの第2のサブグループは、第2のスケジュールに従ってサービスを受けるようにスケジュールされ得る。
【0069】
モジュール式生育ユニットのスタックが、水やりなどの1つ以上のサービスを受けるようにスケジュールされると、運搬手段は、モジュール式生育ユニットのスタックを保管構造又は生育ステーションから取り出し、スタックをサービスステーションに運搬するようにコントローラによって命令される。運搬手段は、保管構造内のスタックの位置によって生育ステーション3内の特定のスタックを識別することができる。モジュール式生育ユニットの複数のスタックはグリッドパターンで配置されるので、グリッド内のスタックの位置を、保管構造内のスタックを識別するために使用することができる。例えば、複数のスタックの各々は、関連するX-Y座標を有するグリッドパターンで配置され、X-Y座標は、保管中の特定のスタックを位置特定するためにコントローラによって使用することができる。代替として、又は保管構造内のスタックを保管中の他のスタックに対するその位置によって位置特定することと組み合わせて、モジュール式生育ユニットの各々又は少なくとも1つは、モジュール式生育ユニット中で生育される生物を識別するためのラベル(図示せず)を備えることができる。ラベルは、モジュール式生育ユニットの箱状構造に取り付けることができ、ラベルは、バーコード、RFIDタグ、QRコード(登録商標)、又は他の光学マーカ、等を備えることができるが、それらに限定されない。運搬手段は、ラベル又は光学マーカを読み取るように構成された内蔵ラベルセンサを有することができる。ラベルは、生物のタイプ及び/又は保管構造内の生物の位置に関連するデータを運ぶことができる。
【0070】
モジュール式生育ユニットのスタックが保管構造内に配置されると、運搬手段は、スタックをサービスステーションに運搬するように命令され、そこで、スタックは、供給及び/又は排水用のダウンチューブがそれらのそれぞれのトレイ内に受け入れられるように、サービスステーションにドッキングされる。内蔵の再充電可能な電源は、スタックがサービスステーションに運搬されている間に生物を連続的に照明するように、照明ユニットに電力を依然として供給することができる。これは、サービスステーションがモジュール式生育ユニットの別のスタックをサービスするために完全に占有されている場合、サービスステーションに入るのを待っている生物が、その照明ユニットから光を依然として受けることができるという利点を有する。
【0071】
スタック中の生物にサービスすることに続いて、運搬手段は、保管構造中に保管するためにスタックを戻す。サービスステーションは、任意選択で、スタックがサービスステーションにドッキングされたときにスタックと電気的に結合するように構成された外部電源を備えることができる。外部電源は、サービスステーションのパーキングゾーンの床に一体化することができ、そのため、運搬手段がスタックを床上に降下させると、スタックは外部電源と電気的に結合する。上記で議論した例では、スタンドの脚部のうちの少なくとも1つは、スタックが床上に降下されたときに外部電源と電気的に結合する電気的インタフェースを備える。サービスステーションにドッキングされると、運搬手段は、保管部からモジュール式生育ユニットの別のスタックを自由に取り出すことができる。代替として、モジュール式生育ユニット中の生物に必要とされる世話が完了するまで、運搬手段は、サービスステーション中のスタックと共に留まることができる。
【0072】
1つ以上の運搬手段及びサービスステーションと通信するコントローラ85は、モジュール式生育ユニットのスタックを取り出し、それらをサービスステーションに運搬するための命令を1つ以上の運搬手段に提供することができる。モジュール式生育ユニットの1つ以上のスタックがサービスステーションによってサービスされるために保管構造から取り出される頻度は、規定されたスケジュールに依存することができ、そのスケジュールは、生物の測定された物理的属性、例えば生物の成長段階及び/又は生物のタイプに基づくことができる。このことから、特定の生物がサービスステーションに運ばれる頻度は、生物の健康及び他の身体的属性に基づいて変化する可能性がある。生物の物理的属性は、上記で議論したようにサービスステーションにおけるカメラから収集されたデータから導出することができる。スタック中の生物がサービスされると、スタックは、保管構造中に保管するために生育ステーションに戻される。
図1
図2
図3(a)】
図3(b)】
図4
図5
図6(a)】
図6(b)】
図7
図8
図9
図10(a)】
図10(b)】
図10(c)】
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17(a)】
図17(b)】
図18
【手続補正書】
【提出日】2024-01-29
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
3次元拡張可能な構造を形成するためのモジュール式生育ユニットであって、前記モジュール式生育ユニットは、内部空間を有する箱状構造を画定するために、頂壁、底壁、及び前記頂壁と前記底壁との間に延在する側壁を備え、前記頂壁及び前記底壁は、スタック中で互いの上に配置されたときにあるモジュール式生育ユニットが別のモジュール式生育ユニットと連結することを可能にするために、少なくとも1つの連結機能を備え、前記底壁は、生物を発芽、繁殖、及び/又は成長させるための少なくとも1つの生育培地を受け入れるための生育トレイを画定するために、前記底壁の外周の周りにリムを有し、前記頂壁は、前記箱状構造の前記内部空間内で前記生物を成長させることに関連する少なくとも1つのスペクトル領域内の光を放射するように構成された照明ユニットを支持する、モジュール式生育ユニットにおいて、
前記箱状構造の側壁は、前記モジュール式生育ユニットの前記内部空間が窓を通して外部からアクセス可能となるように、前記箱状構造の前記内部空間中に延在する開口部を有する前記窓を備えることを特徴とする、モジュール式生育ユニット。
【請求項2】
前記連結機能は、オス型連結機能及び/又はメス型連結機能を備える、請求項1に記載のモジュール式生育ユニット。
【請求項3】
前記連結機能は、形状が相補的な突起及び/又は窪みの形態である、請求項2に記載のモジュール式生育ユニット。
【請求項4】
前記モジュール式生育ユニットは、形状が実質的に平行六面体である、請求項1~3のいずれか一項に記載のモジュール式生育ユニット。
【請求項5】
前記モジュール式生育ユニットは、前記モジュール式生育ユニットが他のモジュール式生育ユニットと、互いに実質的に対向する2つの面において連結可能となるように、形状が実質的に立方体又は正六面体である、請求項1~3のいずれか一項に記載のモジュール式生育ユニット。
【請求項6】
生物を発芽、繁殖、及び/又は成長させるための少なくとも1つの生育培地を更に備える、請求項1~3のいずれか一項に記載のモジュール式生育ユニット。
【請求項7】
スタック中で別のモジュール式生育ユニットと電気的に結合するための電気的インタフェースを更に備える、請求項に記載のモジュール式生育ユニット。
【請求項8】
前記電気的インタフェースは、前記連結機能に一体化される、請求項7に記載のモジュール式生育ユニット。
【請求項9】
前記電気的インタフェースは、前記照明ユニットに電力を供給するために充電供給器と結合するように構成された充電収集器を備える、請求項7に記載のモジュール式生育ユニット。
【請求項10】
前記照明ユニットに電力を供給するための、前記充電収集器に電気的に結合された少なくとも1つの再充電可能な電源を更に備える、請求項9に記載のモジュール式生育ユニット。
【請求項11】
前記少なくとも1つの再充電可能な電源は、キャパシタ、スーパーキャパシタ、及び/又は電池のうちのいずれか1つである、請求項に記載のモジュール式生育ユニット。
【請求項12】
前記充電収集器は、前記充電供給器の充電送信機コイルと誘導的に結合するように構成されたワイヤレス充電受信コイルを備える、請求項9~11のいずれか一項に記載のモジュール式生育ユニット。
【請求項13】
前記充電収集器は、前記充電供給器の2つの充電供給要素から直接電流を受信するように構成された2つの充電受信要素を備える、請求項9~11のいずれか一項に記載のモジュール式生育ユニット。
【請求項14】
前記充電収集器は、前記生物にサービスを提供するための1つ以上の電動デバイスに電力を供給するために充電供給器と結合するように構成される、請求項9~11のいずれか一項に記載のモジュール式生育ユニット。
【請求項15】
前記生物にサービスを提供するための前記1つ以上の電動デバイスは、加熱要素、センサ、又は状態インジケータを備える、請求項14に記載のモジュール式生育ユニット。
【請求項16】
垂直農業生産システムであって、
i)1つ以上のモジュール式生育ユニットを備える生育ステーションと、ここで、前記1つ以上のモジュール式生育ユニットの各々は、請求項1~3のいずれか一項に記載のモジュール式生育ユニットを備え、
ii)複数の前記1つ以上のモジュール式生育ユニットの各々に1つ以上のサービスを提供するためのサービスステーションと、ここで、前記サービスステーションは、
(a)1つ以上の栄養素を含有する流体を保管する1つ以上の容器と、
(b)前記1つ以上の容器と流体連通する流体送達システムを備える栄養素供給システムと、ここで、前記流体送達システムは、複数の前記1つ以上のモジュール式生育ユニットの各々の前記生育トレイに流体を送達するために、複数の前記1つ以上のモジュール式生育ユニットの各々に取り外し可能に結合するように構成され、
を備え、
iii)前記生育ステーションと前記サービスステーションとの間で前記1つ以上のモジュール式生育ユニットを運搬するための少なくとも1つの運搬手段と、
iv)1つ以上のプロセッサと、前記1つ以上のプロセッサによって実行されると、前記生育ステーションから前記サービスステーションに前記1つ以上のモジュール式生育ユニットの各々を運搬するように前記少なくとも1つの運搬手段の移動を制御する命令を記憶するメモリとを備える、前記少なくとも1つの運搬手段に通信可能に結合されたコントローラと
を備える、システム。
【請求項17】
前記流体送達システムは、それぞれの1つ以上のモジュール式生育ユニットの1つ以上の前記生育トレイ中に取り外し可能に受け入れ可能となるように各々構成された1つ以上の送達ダウンパイプを更に備える、請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
前記1つ以上の送達ダウンパイプの各々は、前記1つ以上の送達ダウンパイプが、前記モジュール式生育ユニットの前記生育トレイの前記リムに対して当接されたときに弾性的に変形し、前記生育トレイ内に受け入れられたときにその元の形状に戻ることを可能にするように変形可能である、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
前記サービスステーションは、それぞれの前記1つ以上のモジュール式生育ユニットの1つ以上の前記生育トレイ中に取り外し可能に受け入れ可能となるように構成された1つ以上の排水ダウンパイプを備える流体排水システムを更に備える、請求項16に記載のシステム。
【請求項20】
前記1つ以上の排水ダウンパイプの各々は、前記1つ以上の排水ダウンパイプが、前記モジュール式生育ユニットの前記生育トレイの前記リムに対して当接されたときに弾性的に変形し、前記生育トレイ内に受け入れられたときにその元の形状に戻ることを可能にするように変形可能である、請求項19に記載のシステム。
【請求項21】
前記1つ以上のモジュール式生育ユニットは、前記少なくとも1つの運搬手段が前記1つ以上のモジュール式生育ユニットの下方に入ることを可能にするために、スタンド頂部と前記スタンド頂部から下向きに延在する複数の脚部とを備えるスタンド上に取り付けられ、前記スタンド頂部は、モジュール式生育ユニットの前記少なくとも1つの連結機能と連結可能となるように構成された少なくとも1つの連結機能を備え、前記少なくとも1つの運搬手段は、それぞれ、前記1つ以上のモジュール式生育ユニットを地面から上昇させ、前記1つ以上のモジュール式生育ユニットを地面上に降下させるために、上昇位置と降下位置との間で移動可能なリフト機構を備える、請求項16に記載のシステム。
【請求項22】
前記1つ以上のモジュール式生育ユニットは、モジュール式生育ユニットの複数のスタックを備える、請求項16に記載のシステム。
【請求項23】
モジュール式生育ユニットの前記複数のスタックは、グリッドパターンで配置される、請求項22に記載のシステム。
【請求項24】
前記コントローラは、周期的に又は所定のシーケンスで前記生育ステーションから前記サービスステーションにモジュール式生育ユニットの前記複数のスタックの各スタックを運搬するために前記少なくとも1つの運搬手段の移動を命令するように構成される、請求項22に記載のシステム。
【請求項25】
前記コントローラは、生物の供給サイクルに対応する所定のスケジュールで前記生育ステーションから前記サービスステーションにモジュール式生育ユニットの前記複数のスタックの各スタックを運搬するために前記少なくとも1つの運搬手段の移動を命令するように構成される、請求項22に記載のシステム。
【請求項26】
前記コントローラは、第1のスケジュールで前記生育ステーションから前記サービスステーションにモジュール式生育ユニットの前記複数のスタックの第1のサブセットを移動させ、第2のスケジュールで前記生育ステーションから前記サービスステーションにモジュール式生育ユニットの前記複数のスタックの第2のサブセットを移動させるように前記少なくとも1つの運搬手段に命令するように構成され、前記第1のスケジュールは、第1のタイプの生物の第1の供給サイクルに関連し、第2のスケジュールは、第2のタイプの生物の第2の供給サイクルに関連する、請求項22に記載のシステム。
【請求項27】
前記サービスステーションは、充電収集器と結合するように構成された充電供給器を備える、請求項16に記載のシステム。
【請求項28】
前記生育ステーションは、1つ以上のエンクロージャを備え、前記1つ以上のエンクロージャの各々は、所定の環境で前記1つ以上のモジュール式生育ユニットを収容するように構成される、請求項16に記載のシステム。
【請求項29】
前記エンクロージャは、加熱器及び/又は加湿器を備える、請求項28に記載のシステム。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0072
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0072】
1つ以上の運搬手段及びサービスステーションと通信するコントローラ85は、モジュール式生育ユニットのスタックを取り出し、それらをサービスステーションに運搬するための命令を1つ以上の運搬手段に提供することができる。モジュール式生育ユニットの1つ以上のスタックがサービスステーションによってサービスされるために保管構造から取り出される頻度は、規定されたスケジュールに依存することができ、そのスケジュールは、生物の測定された物理的属性、例えば生物の成長段階及び/又は生物のタイプに基づくことができる。このことから、特定の生物がサービスステーションに運ばれる頻度は、生物の健康及び他の身体的属性に基づいて変化する可能性がある。生物の物理的属性は、上記で議論したようにサービスステーションにおけるカメラから収集されたデータから導出することができる。スタック中の生物がサービスされると、スタックは、保管構造中に保管するために生育ステーションに戻される。

以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1] 3次元拡張可能な構造を形成するためのモジュール式生育ユニットであって、前記モジュール式生育ユニットは、内部空間を有する箱状構造を画定するために、頂壁、底壁、及び前記頂壁と前記底壁との間に延在する側壁を備え、前記頂壁及び前記底壁は、スタック中で互いの上に配置されたときにあるモジュール式生育ユニットが別のモジュール式生育ユニットと連結することを可能にするために、少なくとも1つの連結機能を備え、前記底壁は、生物を発芽、繁殖、及び/又は成長させるための少なくとも1つの生育培地を受け入れるための生育トレイを画定するために、前記底壁の外周の周りにリムを有し、前記頂壁は、前記箱状構造の前記内部空間内で前記生物を成長させることに関連する少なくとも1つのスペクトル領域内の光を放射するように構成された照明ユニットを支持する、モジュール式生育ユニットにおいて、
前記箱状構造の側壁は、前記モジュール式生育ユニットの前記内部空間が窓を通して外部からアクセス可能となるように、前記箱状構造の前記内部空間中に延在する開口部を有する前記窓を備えることを特徴とする、モジュール式生育ユニット。
[2] 前記連結機能は、オス型連結機能及び/又はメス型連結機能を備える、[1]に記載のモジュール式生育ユニット。
[3] 前記連結機能は、形状が相補的な突起及び/又は窪みの形態である、[2]に記載のモジュール式生育ユニット。
[4] 前記モジュール式生育ユニットは、形状が実質的に平行六面体である、[1]~[3]のいずれか一項に記載のモジュール式生育ユニット。
[5] 前記モジュール式生育ユニットは、前記モジュール式生育ユニットが他のモジュール式生育ユニットと、互いに実質的に対向する2つの面において連結可能となるように、形状が実質的に立方体又は正六面体である、[1]~[4]のいずれか一項に記載のモジュール式生育ユニット。
[6] 生物を発芽、繁殖、及び/又は成長させるための少なくとも1つの生育培地を更に備える、[1]~[5]のいずれか一項に記載のモジュール式生育ユニット。
[7] スタック中で別のモジュール式生育ユニットと電気的に結合するための電気的インタフェースを更に備える、[1]~[6]のいずれか一項に記載のモジュール式生育ユニット。
[8] 前記電気的インタフェースは、前記連結機能に一体化される、[7]に記載のモジュール式生育ユニット。
[9] 前記電気的インタフェースは、前記照明ユニットに電力を供給するために充電供給器と結合するように構成された充電収集器を備える、[7]又は[8]に記載のモジュール式生育ユニット。
[10] 前記照明ユニットに電力を供給するための、前記充電収集器に電気的に結合された少なくとも1つの再充電可能な電源を更に備える、[9]に記載のモジュール式生育ユニット。
[11] 前記少なくとも1つの再充電可能な電源は、キャパシタ、スーパーキャパシタ、及び/又は電池のうちのいずれか1つである、[9]又は[10]に記載のモジュール式生育ユニット。
[12] 前記充電収集器は、前記充電供給器の充電送信機コイルと誘導的に結合するように構成されたワイヤレス充電受信コイルを備える、[9]~[11]のいずれか一項に記載のモジュール式生育ユニット。
[13] 前記充電収集器は、前記充電供給器の2つの充電供給要素から直接電流を受信するように構成された2つの充電受信要素を備える、[9]~[11]のいずれか一項に記載のモジュール式生育ユニット。
[14] 前記充電収集器は、前記生物にサービスを提供するための1つ以上の電動デバイスに電力を供給するために充電供給器と結合するように構成される、[9]~[13]のいずれか一項に記載のモジュール式生育ユニット。
[15] 前記生物にサービスを提供するための前記1つ以上の電動デバイスは、加熱要素、センサ、又は状態インジケータを備える、[14]に記載のモジュール式生育ユニット。
[16] 垂直農業生産システムであって、
i)1つ以上のモジュール式生育ユニットを備える生育ステーションと、ここで、前記1つ以上のモジュール式生育ユニットの各々は、[1]~[15]のいずれか一項に記載のモジュール式生育ユニットを備え、
ii)複数の前記1つ以上のモジュール式生育ユニットの各々に1つ以上のサービスを提供するためのサービスステーションと、ここで、前記サービスステーションは、
(a)1つ以上の栄養素を含有する流体を保管する1つ以上の容器と、
(b)前記1つ以上の容器と流体連通する流体送達システムを備える栄養素供給システムと、ここで、前記流体送達システムは、複数の前記1つ以上のモジュール式生育ユニットの各々の前記生育トレイに流体を送達するために、複数の前記1つ以上のモジュール式生育ユニットの各々に取り外し可能に結合するように構成され、
を備え、
iii)前記生育ステーションと前記サービスステーションとの間で前記1つ以上のモジュール式生育ユニットを運搬するための少なくとも1つの運搬手段と、
iv)1つ以上のプロセッサと、前記1つ以上のプロセッサによって実行されると、前記生育ステーションから前記サービスステーションに前記1つ以上のモジュール式生育ユニットの各々を運搬するように前記少なくとも1つの運搬手段の移動を制御する命令を記憶するメモリとを備える、前記少なくとも1つの運搬手段に通信可能に結合されたコントローラと
を備える、システム。
[17] 前記流体送達システムは、それぞれの1つ以上のモジュール式生育ユニットの1つ以上の前記生育トレイ中に取り外し可能に受け入れ可能となるように各々構成された1つ以上の送達ダウンパイプを更に備える、[16]に記載のシステム。
[18] 前記1つ以上の送達ダウンパイプの各々は、前記1つ以上の送達ダウンパイプが、前記モジュール式生育ユニットの前記生育トレイの前記リムに対して当接されたときに弾性的に変形し、前記生育トレイ内に受け入れられたときにその元の形状に戻ることを可能にするように変形可能である、[17]に記載のシステム。
[19] 前記サービスステーションは、それぞれの前記1つ以上のモジュール式生育ユニットの1つ以上の前記生育トレイ中に取り外し可能に受け入れ可能となるように構成された1つ以上の排水ダウンパイプを備える流体排水システムを更に備える、[16]~[18]のいずれか一項に記載のシステム。
[20] 前記1つ以上の排水ダウンパイプの各々は、前記1つ以上の排水ダウンパイプが、前記モジュール式生育ユニットの前記生育トレイの前記リムに対して当接されたときに弾性的に変形し、前記生育トレイ内に受け入れられたときにその元の形状に戻ることを可能にするように変形可能である、[19]に記載のシステム。
[21] 前記1つ以上のモジュール式生育ユニットは、前記少なくとも1つの運搬手段が前記1つ以上のモジュール式生育ユニットの下方に入ることを可能にするために、スタンド頂部と前記スタンド頂部から下向きに延在する複数の脚部とを備えるスタンド上に取り付けられ、前記スタンド頂部は、モジュール式生育ユニットの前記少なくとも1つの連結機能と連結可能となるように構成された少なくとも1つの連結機能を備え、前記少なくとも1つの運搬手段は、それぞれ、前記1つ以上のモジュール式生育ユニットを地面から上昇させ、前記1つ以上のモジュール式生育ユニットを地面上に降下させるために、上昇位置と降下位置との間で移動可能なリフト機構を備える、[16]~[20]のいずれか一項に記載のシステム。
[22] 前記1つ以上のモジュール式生育ユニットは、モジュール式生育ユニットの複数のスタックを備える、[16]~[21]のいずれか一項に記載のシステム。
[23] モジュール式生育ユニットの前記複数のスタックは、グリッドパターンで配置される、[22]に記載のシステム。
[24] 前記コントローラは、周期的に又は所定のシーケンスで前記生育ステーションから前記サービスステーションにモジュール式生育ユニットの前記複数のスタックの各スタックを運搬するために前記少なくとも1つの運搬手段の移動を命令するように構成される、[22]又は[23]に記載のシステム。
[25] 前記コントローラは、生物の供給サイクルに対応する所定のスケジュールで前記生育ステーションから前記サービスステーションにモジュール式生育ユニットの前記複数のスタックの各スタックを運搬するために前記少なくとも1つの運搬手段の移動を命令するように構成される、[22]~[24]のいずれか一項に記載のシステム。
[26] 前記コントローラは、第1のスケジュールで前記生育ステーションから前記サービスステーションにモジュール式生育ユニットの前記複数のスタックの第1のサブセットを移動させ、第2のスケジュールで前記生育ステーションから前記サービスステーションにモジュール式生育ユニットの前記複数のスタックの第2のサブセットを移動させるように前記少なくとも1つの運搬手段に命令するように構成され、前記第1のスケジュールは、第1のタイプの生物の第1の供給サイクルに関連し、第2のスケジュールは、第2のタイプの生物の第2の供給サイクルに関連する、[22]~[25]のいずれか一項に記載のシステム。
[27] 前記サービスステーションは、充電収集器と結合するように構成された充電供給器を備える、[16]~[26]のいずれか一項に記載のシステム。
[28] 前記生育ステーションは、1つ以上のエンクロージャを備え、前記1つ以上のエンクロージャの各々は、所定の環境で前記1つ以上のモジュール式生育ユニットを収容するように構成される、[16]~[27]のいずれか一項に記載のシステム。
[29] 前記エンクロージャは、加熱器及び/又は加湿器を備える、[28]に記載のシステム。
【国際調査報告】