(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-24
(54)【発明の名称】最密充填された小コア光ファイバ束
(51)【国際特許分類】
A61B 18/24 20060101AFI20240517BHJP
【FI】
A61B18/24
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023574238
(86)(22)【出願日】2022-05-31
(85)【翻訳文提出日】2023-12-26
(86)【国際出願番号】 US2022031673
(87)【国際公開番号】W WO2022256356
(87)【国際公開日】2022-12-08
(32)【優先日】2021-06-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591018693
【氏名又は名称】シー・アール・バード・インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】C R BARD INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】1 Becton Drive Franklin Lakes NEW JERSEY 07417 UNITED STATES OF AMERICA
(74)【代理人】
【識別番号】100107249
【氏名又は名称】中嶋 恭久
(72)【発明者】
【氏名】マニオン、ポール トーマス
(72)【発明者】
【氏名】トゥルチャク、ミハル
(72)【発明者】
【氏名】クロダ、メロディ エム.エイチ.
【テーマコード(参考)】
4C026
【Fターム(参考)】
4C026BB06
4C026BB10
4C026FF01
4C026FF17
4C026FF22
4C026FF56
(57)【要約】
長尺の可撓性シャフトと、その長さに沿って延びる複数の光ファイバと、光ファイバに結合されたレーザ制御モジュールとを含む医療器具が開示される。器具は、患者の体内及び/又は内視鏡(例えば、尿管鏡)の作業チャネル内に挿入されるように構成される。器具は、体組織及び/又は結石等の体内の異物をアブレーションするように構成される。光ファイバは50μm~150μmの範囲内の断面直径を規定し得る。3つ以上の光ファイバを束ねて、500μm未満の断面直径を有する外接円を規定することができる。いくつかの光ファイバは、シャフトに沿って周辺に配置され、半径方向外向きに光を方向付けるように構成される。シャフトの長さに沿って延びる管腔は、シャフトと結合された流体ポートと結合される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療器具であって、
近位端と遠位端との間に延びる長さを規定する長尺の可撓性シャフトと、
前記長さに沿って延びる複数の光ファイバであって、前記複数の光ファイバのうちの1つ以上は150μm~50μmの範囲内の断面直径を有する、複数の光ファイバと、
前記近位端に配置されたファイバ光コネクタと、
前記複数の光ファイバに動作可能に結合されたレーザ光源を含むレーザ制御モジュールと、を備える、医療器具。
【請求項2】
前記器具は、患者の体内に挿入されるように構成される、請求項1に記載の器具。
【請求項3】
前記器具は、内視鏡の作業チャネル内に挿入されるように構成される、請求項1又は2に記載の器具。
【請求項4】
前記内視鏡は、尿管鏡である、請求項3に記載の器具。
【請求項5】
前記器具は、体組織をアブレーションするように構成される、請求項1~4のいずれか一項に記載の器具。
【請求項6】
前記器具は、結石をアブレーションするように構成される、請求項1~5のいずれか一項に記載の器具。
【請求項7】
前記複数の光ファイバのうちの1つ以上は、前記シャフトの長手方向軸に沿って中心に位置する、請求項1~6のいずれか一項に記載の器具。
【請求項8】
前記複数の光ファイバのうちの3つ以上が、互いに側方に隣接して配置されて前記複数の光ファイバの束を規定する、請求項1~7のいずれか一項に記載の器具。
【請求項9】
前記束は、1mm未満の直径を有する外接円を規定する、請求項8に記載の器具。
【請求項10】
前記束の前記光ファイバは、前記シャフトの前記遠位端から遠位方向に離れるように光を方向付けるように構成される、請求項8又は9に記載の器具。
【請求項11】
3つ以上の前記光ファイバが、前記シャフトに沿って周辺に配置されて前記光ファイバの周辺セットを規定する、請求項8~10のいずれか一項に記載の器具。
【請求項12】
前記周辺セットの前記光ファイバは、前記シャフトの前記遠位端において前記シャフトから半径方向外向きに光を方向付けるように構成される、請求項11に記載の器具。
【請求項13】
前記長さに沿って延びる管腔を更に備える、請求項8~12のいずれか一項に記載の器具。
【請求項14】
前記シャフトに結合された流体ポートを更に含み、前記流体ポートは前記管腔と流体連通する、請求項13に記載の器具。
【請求項15】
前記管腔は、前記束の半径方向外側に位置する環状管腔である、請求項13又は14に記載の器具。
【請求項16】
前記管腔は、前記周辺セットの半径方向内側に位置する、請求項13~15のいずれか一項に記載の器具。
【請求項17】
前記周辺セットの半径方向内側に位置する複数の管腔をさらに備え、前記流体ポートは、前記複数の管腔と流体連通する、請求項14~16のいずれか一項に記載の器具。
【請求項18】
中空の外側シャフトを更に備え、
前記シャフトは、前記外側シャフト内に配置され、
前記管腔は、前記シャフトと前記外側シャフトとの間の環状空間によって規定され、
前記流体ポートは、前記外側シャフトに取り付けられ、
前記外側シャフトは、前記シャフトに対して長手方向に変位可能である、請求項14~17のいずれか一項に記載の器具。
【請求項19】
前記束は、第1の時間に作動するように構成された前記複数の光ファイバの第1のサブセット、及び第2の時間に作動するように構成された前記複数の光ファイバの第2のサブセットを含む、請求項8~18のいずれか一項に記載の器具。
【請求項20】
前記束は、端部発射光ファイバ及び複数の側面発射ファイバを含む、請求項8~18のいずれか一項に記載の器具。
【請求項21】
前記レーザ制御モジュールは、ファイバレーザシステムの構成要素であり、少なくとも第1のレーザダイオードを含む、請求項1~20のいずれか一項に記載の器具。
【請求項22】
医療器具であって、
近位端と遠位端との間に延びる長さを規定する長尺の可撓性シャフトと、
前記長さに沿って延びる光ファイバであって、前記光ファイバは150μm~50μmの範囲内の断面直径を有する、光ファイバと、
前記長さに沿って延びる流体管腔と、
前記光ファイバに動作可能に結合されたレーザ光源を含むレーザ制御モジュールと、を備える、医療器具。
【請求項23】
前記器具は、患者の体内に挿入されるように構成される、請求項22に記載の器具。
【請求項24】
前記器具は、内視鏡の作業チャネル内に挿入されるように構成される、請求項22又は23に記載の器具。
【請求項25】
前記内視鏡は、尿管鏡である、請求項24に記載の器具。
【請求項26】
前記器具は、体組織をアブレーションするように構成される、請求項22~25のいずれか一項に記載の器具。
【請求項27】
前記器具は、結石をアブレーションするように構成される、請求項22~26のいずれか一項に記載の器具。
【請求項28】
前記光ファイバは、前記シャフトの長手方向軸に沿って中心に位置する、請求項22~27のいずれか一項に記載の器具。
【請求項29】
前記流体管腔は、前記光ファイバの半径方向外側に配置される環状管腔である、請求項22~28のいずれか一項に記載の器具。
【請求項30】
前記光ファイバは、前記シャフトの前記遠位端から遠位方向に離れるように光を方向付けるように構成される、請求項22~29のいずれか一項に記載の器具。
【請求項31】
互いに側方に隣接して配置されて前記光ファイバの束を規定する3つ以上の光ファイバを更に備える、請求項21~29のいずれか一項に記載の器具。
【請求項32】
光ファイバの前記束は、前記シャフトの長手方向軸に沿って中心に位置する、請求項31に記載の器具。
【請求項33】
前記束の前記光ファイバは、前記シャフトの前記遠位端から遠位方向に離れるように光を方向付けるように構成される、請求項31又は32に記載の器具。
【請求項34】
前記束は、第1の時間に作動するように構成された前記複数の光ファイバの第1のサブセット、及び第2の時間に作動するように構成された前記複数の光ファイバの第2のサブセットを含む、請求項31~33のいずれか一項に記載の器具。
【請求項35】
前記束は、端部発射光ファイバ及び複数の側面発射ファイバを含む、請求項31~33のいずれか一項に記載の器具。
【請求項36】
前記シャフトに沿って周辺に配置されて前記光ファイバの周辺セットを規定する3つ以上の前記光ファイバを更に備える、請求項22~35のいずれか一項に記載の器具。
【請求項37】
前記周辺セットの前記光ファイバは、前記シャフトの前記遠位端において前記シャフトの半径方向外向きに光を方向付けるように構成される、請求項36に記載の器具。
【請求項38】
前記管腔は、前記周辺セットの半径方向内側に位置する、請求項36又は37に記載の器具。
【請求項39】
前記シャフトに結合された流体ポートを更に含み、前記流体ポートは前記管腔と流体連通する、請求項22~38のいずれか一項に記載の器具。
【請求項40】
前記周辺セットの半径方向内側に位置する複数の管腔をさらに備え、前記流体ポートは、前記複数の管腔と流体連通する、請求項39に記載の器具。
【請求項41】
中空の外側シャフトを更に備え、
前記シャフトは、前記外側シャフト内に配置され、
前記管腔は、前記シャフトと前記外側シャフトとの間の環状空間によって規定され、
前記流体ポートは、前記外側シャフトに結合され、
前記外側シャフトは、前記シャフトに対して長手方向に変位可能である、請求項39又は40に記載の器具。
【請求項42】
前記レーザ制御モジュールは、ファイバレーザシステムの構成要素であり、少なくとも第1のレーザダイオードを含む、請求項22~41のいずれか一項に記載の器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、最密充填された小コア光ファイバ束に関する。
【背景技術】
【0002】
レーザ結石破砕術は、通常、患者の血管系を通してデリバリ光ファイバを挿入し、前進させて、デリバリ光ファイバが血管系内の結石に接近するようにすることを含む。更に、光が、デリバリ光ファイバに沿って伝搬され、結石に送達され、結石をより小さな片又は塵に分解する。従来、ホルミウム:ヤグ(Ho:YAG)レーザは、レーザ結石破砕術の用途に利用されてきた。ただし、Ho:YAGレーザで使用するために一般的に入手可能な最小のデリバリ光ファイバ(デリバリファイバ)のコア径は、270μm程度である。これらのデリバリファイバのクラッド径は、約400μm程度である。このように、レーザ結石破砕術のように、作業チャネルが極めて小さい用途では、クラッド径のサイズには制限がある。結晶レーザ(例えば、Nd:YAGレーザ)には、Ho:YAGレーザと同様の欠点、及び対応するデリバリファイバのサイズの制約がある。
【0003】
知られているように、ファイバレーザは、活性利得媒体が、希土類元素でドープされた光ファイバ(「活性ファイバ」)であり得る特定のタイプのレーザである。更に、デリバリファイバが、ファイバレーザに光学的に結合され、ファイバレーザによって生成された光が、デリバリファイバに沿って伝搬される。ファイバレーザで利用されるデリバリファイバは、Ho:YAGレーザで使用されるものよりもクラッド径が小さいことが多い。
【0004】
しかしながら、レーザ結石破砕術等のプロセスにファイバレーザに接続されたデリバリファイバを単に利用するだけでも、依然として、アブレーション中の結石周囲の組織への後方突進及び/又は損傷が生じる可能性がある。したがって、必要とされているのは、後方突進を低減し、使用事例による(use case)レーザ発射構成を提供し、アブレーション用の光ファイバと組み合わせて灌注又は吸引の使用を可能にするほか、他の利点も得られるシステム構成を提供する、ファイバレーザシステムを備える、システム、デバイス、及び方法である。
【発明の概要】
【0005】
本明細書の実施形態は、これらに限定又は制限されないが、例えば、ツリウム、エルビウム、イッテルビウム、ネオジム、ジスプロシウム、プラセオジム等の希土類元素をドーパントとして有するファイバレーザシステムを利用するシステム及び方法を開示する。本開示の特定の実施形態は、ドーパントとしてツリウムを有する光ファイバ(ツリウム光ファイバ)で動作するように構成されたファイバレーザに関する。本開示のいくつかの特定の実施形態は、患者の血管系内で前進するための特定の構成であって、複数のデリバリファイバがファイバレーザシステムに接続された構成になるように、複数のデリバリファイバをパッケージングすることに関する。追加の実施形態は、ファイバレーザシステムで使用するように構成された複数のデリバリファイバを含む長尺のシャフトの構成を開示する。いくつかの実施形態では、複数のデリバリファイバは、密に充填配置されてもよい。いくつかの実施形態では、光ファイバの各々は、50μmのコア径及び74μmのクラッド径を有してもよい。他の実施形態では、長尺のシャフトは、灌注管腔及び/又は吸引管腔を取り囲む複数の光ファイバを含んでもよい。
【0006】
簡単に要約すると、本明細書で開示されるのは、医療器具である。この医療器具は、近位端と遠位端との間に延びる長さを規定する長尺の可撓性シャフトと、その長さに沿って延びる複数の光ファイバと、光ファイバに動作可能に結合されたレーザ光源を含むレーザ制御モジュールと、を含む。
【0007】
この器具は、患者の体内及び/又は内視鏡の作業チャネル内に挿入されるように構成される。内視鏡は、尿管鏡であってもよい。この器具は、体組織及び/又は結石等の体内の異物をアブレーションするように構成される。
【0008】
光ファイバは、150μm~50μmの範囲内の直径を規定してもよい。複数の光ファイバのうちの1つ以上は、シャフトの長手方向軸に沿って中心に位置してもよい。いくつかの実施形態では、3つ以上の光ファイバが、互いに側方に隣接して配置されて光ファイバの束を規定することができ、いくつかの実施形態では、この束は、1mm未満の直径を有する外接円を規定してもよい。その束の光ファイバは、シャフトの遠位端から遠位方向に離れるように光を方向付けるように構成されてもよい。
【0009】
いくつかの実施形態では、3つ以上の光ファイバが、シャフトに沿って周辺に配置されて、光ファイバの周辺セットを規定する。その周辺セットの光ファイバは、シャフトの遠位端においてシャフトから半径方向外向きに光を方向付けるように構成されてもよい。
【0010】
この器具は、シャフトの長さに沿って延びる管腔と、シャフトに結合された流体ポートとを更に含んでもよく、流体ポートは管腔と流体連通する。管腔は、束の半径方向外側に位置する環状管腔であってもよく、この管腔は、周辺セットの半径方向内側に位置してもよい。いくつかの実施形態では、器具は、周辺セットの半径方向内側に位置する複数の管腔を含んでもよい。
【0011】
いくつかの実施形態では、器具は、中空の外側シャフトを含み、シャフトが、この外側シャフト内に配置されてもよい。このような実施形態では、管腔は、シャフトと外側シャフトとの間の環状空間によって規定され、流体ポートは、外側シャフトに取り付けられており、外側シャフトは、シャフトに対して長手方向に変位可能である。
【0012】
医療器具の別の実施形態も本明細書に開示され、この器具は、近位端と遠位端との間に延びる長さを規定する長尺の可撓性シャフトと、その長さに沿って延びる1つの光ファイバと、その長さに沿って延びる流体管腔と、光ファイバに動作可能に結合されたレーザ光源を含むレーザ制御モジュール、とを含む。
【0013】
患者の尿路に対する治療を提供する方法も、本明細書に開示される。本方法は、長尺の医療デバイスを尿路に沿って前進させることと、デバイスの遠位端を尿路内の所望の位置に配置することとを含む。デバイスは、デバイスの長尺のシャフトに沿ってデバイスの遠位端まで延びる複数の光ファイバと、デバイスの近位端に配置されたレーザ制御モジュールとを含み、制御モジュールは、複数の光ファイバと個別に結合された対応する複数の光源を含む。本方法は更に、光ファイバのうちの1つ以上に沿ってレーザ光を伝搬させて、治療に応じて尿路内のアブレーションを規定することを含む。
【0014】
本方法のいくつかの実施形態では、1つ以上の光ファイバは、遠位端から遠位方向に離れるように光を方向付けるように構成される、第1のファイバのセットを規定する。同様に、1つ以上の光ファイバは、遠位端においてシャフトから半径方向に離れるように光を方向付けるように構成された第2のファイバのセットを規定する。
【0015】
本方法のいくつかの実施形態では、本デバイスは、シャフトの近位端と遠位端との間でシャフトに沿って延びる管腔と、シャフトに結合された流体ポートとを含み、流体ポートは、管腔と流体連通する。
【0016】
本方法は更に、流体デバイスを流体ポートに結合することと、管腔に液体を通過させることとを含んでもよく、管腔に液体を通過させることにより、光ファイバが冷却される。
本方法のいくつかの実施形態では、治療は、尿路内に配置された結石のレーザ結石破砕術を含み、1つ以上の光ファイバに沿ってレーザ光を伝搬させることは、第1のセットの光ファイバに沿ってレーザ光を伝搬させて、結石に光を当てて結石に穴を形成することを含む。このような実施形態では、デバイスの遠位端を所望の位置に配置することは、結石の穴内にデバイスの遠位端を挿入することを含み、1つ以上の光ファイバに沿ってレーザ光を伝搬させることは、第2のセットの光ファイバに沿ってレーザ光を伝搬させて、結石内の穴の内側表面に光を当てて、結石を小片に破砕することを含む。
【0017】
本方法は更に、管腔内に吸引を生じさせて、シャフトの遠位端に向かって結石を引き込み、かつ/又は管腔に沿って小片を近位方向に運ぶことを含んでもよい。
いくつかの実施形態では、デバイスの遠位端を所望の位置に配置することは、前立腺内に遠位端を配置することを含み、1つ以上の光ファイバに沿ってレーザ光を伝搬させることは、第2のセットの光ファイバに沿ってレーザ光を伝搬させて、前立腺の内側表面に光を当てて、治療に応じて前立腺組織をアブレーションすることを含む。
【0018】
本方法のいくつかの実施形態では、デバイスは、中空の外側シャフトを含む。このような実施形態では、シャフトは、シャフトと外側シャフトとの間の環状空間によって管腔が規定されるように、外側シャフト内に配置される。流体ポートは、外側シャフトに結合され、外側シャフトは、シャフトに対して長手方向に変位可能である。このような実施形態では、本方法は、シャフトに対して外側シャフトを変位させることを更に含む。
【0019】
本明細書で提供される概念のこれらの特徴及び他の特徴は、当業者には、このような概念の特定の実施形態をより詳細に開示する、添付図面及び以下の説明を見ることで明らかとなるであろう。
【0020】
本開示の実施形態は、添付図面の図において限定としてではなく例として示されており、類似の参照符号は同様の要素を示す。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1A】いくつかの実施形態による、長尺のシャフトに沿って延びている光ファイバを含む医療器具の一実施形態を示す。
【
図1B】いくつかの実施形態による、
図1Aのシャフトの遠位端面図の実施形態を示す。
【
図1C】いくつかの実施形態による、
図1Aのシャフトの遠位端面図の実施形態を示す。
【
図1D】いくつかの実施形態による、
図1Aのシャフトの遠位端面図の実施形態を示す。
【
図1E】いくつかの実施形態による、
図1Aのシャフトの遠位端面図の実施形態を示す。
【
図2】いくつかの実施形態による、シャフトの第2の実施形態の遠位端面図である。
【
図3】いくつかの実施形態による、シャフトの第3の実施形態の遠位端面図である。
【
図4A】いくつかの実施形態による、シャフトの第4の実施形態の側面図である。
【
図4B】いくつかの実施形態による、
図4Aのシャフトの遠位部分の詳細斜視図である。
【
図4C】いくつかの実施形態による、
図4Aのシャフトの遠位端面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
いくつかの特定の実施形態をより詳細に開示する前に、本明細書に開示される特定の実施形態は、本明細書に提供される概念の範囲を限定するものではないことを理解されたい。本明細書に開示される特定の実施形態は、特定の実施形態から容易に分離することができる特徴であって、任意選択的に、本明細書に開示される他のいくつかの実施形態のいずれかの特徴と組み合わせる又は置換することができる特徴を有し得ることも理解されたい。
【0023】
本明細書で使用される用語に関して、用語は、いくつかの特定の実施形態を説明するためのものであり、用語は、本明細書に提供される概念の範囲を限定するものではないことも理解されたい。序数(例えば、第1、第2、第3等)は、全般的に、特徴又は工程のグループ内の異なる特徴若しくは工程を区別又は識別するために使用され、連続的又は数値的な限定を提供するものではない。例えば、「第1の」、「第2の」、及び「第3の」特徴又は工程は、その順序で必ずしも現れる必要はなく、そのような特徴又は工程を含む特定の実施形態は、3つの特徴又は工程に必ずしも限定される必要はない。例えば「左」、「右」、「上」、「下」、「前」、「後」等のラベルは、便宜的に使用されるものであり、例えば、任意の特定の固定された位置、向き、又は方向を示唆することを意図するものではない。その代わりに、そのようなラベルは、例えば、相対的な位置、向き、又は方向を反映するように使用される。単数形「a」、「an」及び「the」は、文脈で別段の明確な指示のない限り、複数形の参照を含む。
【0024】
本明細書では、医療デバイスにおける反対側の位置を指すために、「近位」及び「遠位」という方向を示す用語を用いる。デバイスの近位端は、デバイスがエンドユーザによって使用されているときにエンドユーザに最も近いデバイスの端として定義される。遠位端は、デバイスの長手方向に沿って近位端の反対側の端、又はエンドユーザから最も遠い端である。
【0025】
本明細書に開示するいずれの方法も、記載された方法を実行する1つ又は複数のステップ又は行為を含む。方法のステップ及び/又は行為は、互いに置き換えてもよい。言い換えれば、実施形態の適切な動作のためにステップ又は行為の所定の順序が必要とされない限り、所定のステップ及び/又は行為の順序及び/又は使用を変更してもよい。さらに、本明細書に記載される方法のサブルーチン、又は一部のみが、本開示の範囲内の別個の方法であってもよい。別の言い方をすれば、いくつかの方法は、より詳細な方法に記載されるステップの一部のみを含んでもよい。
【0026】
図1Aは、医療器具100の一実施形態を示し、この医療器具100は、長尺のシャフト(シャフト)120に結合されたレーザ制御モジュール110を含むファイバレーザシステムであってもよく、ここで、シャフト120の内部には、1つ以上の光ファイバ130(「デリバリファイバ」とも呼ばれ得る)が配置されている。いくつかの実施形態では、
図1Aに示されるように、光相互接続部113の第1の端部は、レーザ制御モジュール100に接続されてもよく、光相互接続部113の第2の端部は、モジュールコネクタ114に接続されてもよく、モジュールコネクタ114は、シャフトコネクタ123に接続されてもよい。シャフト120は、シャフトコネクタ123から長さ124だけ延びていてよい。いくつかの実施形態では、シャフト120は、1つ以上の管腔(
図1B参照)を含み、流体ポート124が1つ以上の管腔と流体連通し得るようになっている。
【0027】
いくつかの特定の実施形態では、レーザ制御モジュール110は、電子的に変調され得る1つ以上のダイオードレーザ111A~111Bを含むファイバレーザであってもよい。追加のダイオードレーザ、例えば、111A~111i(ここで、i≧1)、を結合することができることを理解されたい。ダイオードレーザ111A~111Bは、レーザビームを生成するために利得媒体として利用され得る希土類元素ドープシリカファイバ112と光学的に結合することができ、このレーザビームは、ファイバレーザの場合、典型的には均一なレーザビームである(ファイバ112は「活性ファイバ112」と呼ばれることがある)。この均一なレーザビームは、レーザ制御モジュール110からシャフト120に出力されてもよく、ここで、いくつかの実施形態では、
図1Aに示される相互接続部が、レーザ制御モジュール110とシャフト120との間に任意選択で配置される。光ファイバ130の各々は、長尺のシャフト120の少なくとも一部分に沿って延びている。
【0028】
いくつかの実施形態では、器具100は、患者の身体の尿路に関連する医療処置を行うために使用されてもよい。この処置には、レーザ結石破砕術、良性前立腺肥大症の治療、又は体組織及び/もしくは異物のアブレーションを含む他の医療処置が含まれることがある。場合によっては、医療器具100は、医療処置の実行中に内視鏡(例えば、尿管鏡)と共に使用されてもよい。例えば、場合によっては、医療器具100は、内視鏡の作業チャネルを通して挿入されてもよい。
【0029】
いくつかの実施形態では、上述のように、長尺の可撓性シャフト120は、シャフトコネクタ123に接続されたモジュールコネクタ114(本明細書では「ファイバ光コネクタ」とも呼ばれる)を介してレーザ制御モジュール110に動作可能に結合される。いくつかの実施形態において、光相互接続部113は、レーザ制御モジュール110とモジュールコネクタ114との間に配置されてもよい。レーザ制御モジュール110を、便宜上、患者から離れて配置することができるように、相互接続部113は、可撓性でありかつ比較的長くてもよい(例えば、約60.96~304.8センチメートル(約2~10フィートの長さ))。レーザ制御モジュール110は、1つ以上のダイオードレーザ111A~111Bを含み、この1つ以上のダイオードレーザ111A~111Bは、活性ファイバ112内に光を励起して、活性ファイバ112内での放射放出を誘導し、レーザビームを生成するように構成され、このレーザビームは、その後シャフト120内に配置されたデリバリファイバに沿って遠位方向に伝搬する。相互接続部113は、ダイオードレーザ111A~111Bからの光を光ファイバ130に伝搬するための1つ以上の光ファイバを含む。レーザコントローラ110は、複数の光源(例えば、ダイオードレーザ111A~111i)を含んでもよい。いくつかの実施形態では、第1のダイオードレーザ111Aは、第1の光ファイバ130に対応してもよく、第2のダイオードレーザ111Bは、第2の光ファイバ130に対応してもよい。いくつかの実施形態において、レーザコントローラ110は、ダイオードレーザ111A~111Bを、個別に又はグループとして、作動させるように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、レーザコントローラ110は、0.025ジュールという低い、1パルス当たりのエネルギーを用いて、最大2000Hz以上のパルス繰り返し率で、ダイオードレーザ111A~111Bを作動させることができる。いくつかの実施形態では、レーザコントローラ110は、ダイオードレーザ111A~111Bを作動させて、レーザ光を、光ファイバ130の個々に又は光ファイバ130のサブセットに選択的に伝搬させてもよい。複数の光ファイバ130の構成の例は、例えば、
図1B~
図4Bに関して以下に説明される。
【0030】
ファイバ130は、端部発射(end-firing)(また端部方向発射(end on firing))ファイバであってもよい。言い換えれば、ファイバ130は、シャフト120の遠位端122から遠位方向に離れるように光135を方向付けるように構成されてもよい。
【0031】
シャフト120は、患者の身体の尿路に挿入されるように構成される。したがって、シャフト120は、近位端121と遠位端122との間に延びている長さ124を規定し、長さ124は、患者の外側の位置から患者の腎臓内の位置まで延びるのに十分である。上述したように、シャフト120は、尿管鏡の作業チャネルに挿入されてもよい。したがって、長さ124は、尿管鏡の長さを超えてもよく、シャフト120の断面直径は、作業チャネルの中へ挿入されるようにサイズ決めされてもよく、すなわち、作業チャネルの直径未満であってもよい。いくつかの実施形態では、シャフト120の断面直径は、尿管鏡の直径よりも実質的に小さくてもよい。シャフト120の直径は、約1.2mm、600μm、300μm、又は150μm未満であってもよい。尿管鏡の内径に対してシャフト120の直径が比較的小さいことにより、シャフト120がその内部に配置された作業チャネルを通る流体の流れを向上させることができる。
【0032】
図1Bは、いくつかの実施形態による、シャフト120の遠位端面図の第1の実施形態を示す。1つ以上の光ファイバ(ファイバ)130は、シャフト120の長さ124に沿って遠位端122まで延びている。シャフト120は、1、2、3、4、5個、又はそれ以上のファイバ130を含むことができる。いくつかの実施形態では、シャフト120は、最大10、20、30個、又はそれ以上のファイバ130を含んでもよい。ファイバ130は、約150μm、100μm、75μm、又は50μm未満の断面直径を有してもよい(例えば、50μm~150μmの範囲内の断面直径を有してもよい)。
【0033】
いくつかの実施形態では、2つ以上のファイバ130が、互いに側方に隣接して配置されて、最密充填された(close-packed)ファイバ130の束を形成してもよい。例えば、
図1Bに示されるように、3つ以上のファイバ130が、束131を形成してもよい。束131は、シャフト120の断面内の中心に配置されてもよく、又は断面において任意の他の場所にあってもよい。他のファイバ130は、個々に又は束の状態のいずれかで、断面において他の位置に配置されてもよい。いくつかの実施形態では、束131に外接する円132は、1mm、500μm、250μm、225μm、200μm、180μm、又は160μm未満であってもよい。
【0034】
シャフト120は、流体ポート125(
図1A)と遠位端122との間のその長さに沿って延びている、1つ以上の管腔140を含み得る。ポート125は、管腔140と流体連通している。管腔140は、束131に対して半径方向外側に配置されてもよい。
図1Bに示されるように、シャフト120は、3つの管腔を含んでもよい。他の実施形態では、シャフト120は、1、2、3、4、5個、又はそれ以上の管腔140を含んでもよい。管腔140は、ファイバ130に冷却をもたらすように構成されてもよい。動作中、各ファイバ130内で放射の誘導放出が起こると、熱が発生して、ファイバ130の温度が所望の動作温度を超えることがある。したがって、管腔140(又は概してシャフト120)は、使用時に、管腔140を通過する液体がファイバ130から離れるような熱エネルギー伝達を引き起こすことによって、ファイバ130を冷却することができるように構成されてもよい。
図1Cは、いくつかの実施形態による、シャフト120の遠位端面図の第2の実施形態を示す。いくつかの例示的な実施形態では、
図1B~
図1Cの実施形態に示されるファイバの各々は、側面発射(side-firing)ファイバであってもよい。
【0035】
図1Dは、いくつかの実施形態による、シャフト120の遠位端面図の第3の実施形態を示す。
図1Dの実施形態は、医師又は他の医療専門家に、特にファイバのサブセットを使用してレーザエネルギーを印加する能力を提供する。例えば、レーザエネルギーは、ファイバ130E~130Gが作動されていない間に、ファイバ130A~130Dによる束131の第1のサブセットを作動させることによって印加されてもよい。同様に、レーザエネルギーは、ファイバ130B~130Dが作動されていない間に、ファイバ130A及びファイバ130E~130Gによる束131の第2のサブセットを作動させることによって印加されてもよい。しかしながら、ファイバ130A~130Gの任意の組み合わせを作動させて、レーザエネルギーを印加してもよい。別の言い方をすれば、第2のサブセットが作動されていない間に、第1のサブセットを作動させて、レーザエネルギーを印加してもよい。このような実施形態は、医師又は他の医療専門家が、周囲組織を保護しながら、レーザエネルギーを印加することを可能にするので好都合である。
【0036】
図1Eは、いくつかの実施形態による、シャフト120の遠位端面図の第4の実施形態を示す。このような実施形態は、より大きな腎結石を治療するために利用されてもよく、例えば、第1のファイバ130Aは、腎結石(図示せず)内に穴を「開ける」ように構成された端部方向発射ファイバであってもよく、ファイバ束131がその開いた穴内に配置されることになる。更に、第2のファイバ130B~第5のファイバ130Eは、腎結石をその内部の穴からアブレーションするように構成された側面発射ファイバであってもよい。このような実施形態は、アブレーション力が腎結石上で均一になるので、後方突進を好都合に低減することができる。
図1Eの実施形態は、例えば、良性前立腺肥大症(benign prostatic hyperplasia、BPH)の治療等の他の状況において使用されてもよい。
【0037】
図2は、システム100によって含まれ得る別の実施形態のシャフト220を示す。シャフト220は、いくつかの点で、
図1A~
図1Bに関連して説明したシャフト120の構成要素に類似することがある。図示の全ての実施形態が類似の特徴を有し得ることが理解されるであろう。したがって、類似の特徴は、先頭の数字が「2」に増加した類似の参照番号で示す。例えば、管腔は、
図1A~
図1Bにおいて「140」として示され、類似の管腔は、
図2において「240」として示される。したがって、同様に識別される特徴に関して上述した関連する開示は、以下で繰り返されない場合がある。更に、
図1A~
図1Bに示すシャフト120及び関連する構成要素の特定の特徴は、図面において参照番号によって示されていないか、識別されていない場合があり、あるいは以下の記述において具体的に説明されていない場合がある。しかしながら、このような特徴は、他の実施形態において示され、及び/又はこのような実施形態に関して説明する特徴と明らかに同じ、又は実質的に同じであり得る。したがって、このような特徴の関連する説明は、シャフト220の特徴にも等しく当てはまる。
図1A~
図1Bに示すシャフト120及び構成要素に関して説明した特徴及びその変形の任意の好適な組合せを、
図2のシャフト220及び構成要素で使用することができ、逆もまた同様である。
【0038】
図2は、シャフト220の端面図である。シャフト220は、中心に位置する管腔240と、管腔240の半径方向外側に配置される1つ以上のファイバ230(230A、230Bとしてセットで指定される)とを含む。シャフト220は、1、2、3、4、5個、又はそれ以上のファイバ230を含んでもよい。いくつかの実施形態では、シャフト220は、最大10、20、30個、又はそれ以上のファイバ230を含んでもよい。いくつかの実施形態では、ファイバ230は、1つ以上の最密充填されたファイバ束(図示せず)になるように組み合わされてもよい。
【0039】
いくつかの実施形態では、ファイバ230は、サブセットに分割されてもよい。例えば、ファイバ230の第1のサブセット230Aは、端部発射ファイバであってもよい。言い換えれば、ファイバの第1のサブセット230Aは、シャフト220の遠位端222から遠位方向(すなわちページの外側)に離れるように光235を方向付けるように構成されてもよい。ファイバ230の第2のサブセット230Bは、シャフト220から半径方向/横方向に離れるように光235を方向付けるように構成されてもよい。使用時に、レーザ制御モジュール110は、サブセット230A、230Bのファイバ230を別々のタイミングで個別に作動させてもよい。例えば、レーザ制御モジュール110は、ファイバ230の第2のサブセット230Bの非作動を維持しながら、ファイバ230の第1のサブセット230Aを作動させてもよく、逆もまた同様である。他の実施形態では、レーザ制御モジュール110は、全てのファイバ230を同時に作動させてもよい。シャフト220は、サブセット230A、230Bには含まれない他のファイバ230を更に含んでもよい。
【0040】
シャフト220は、光235がファイバ230からシャフト220の外面226までシャフト材料を横方向に通過することを可能にするように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、シャフト220は、光235のための経路を提供する開口部(図示せず)を含んでもよい。他の実施形態では、シャフト220又はその一部は、例えば、アクリル又はポリカーボネート等、光235に対して好適に透明な任意の材料から形成されてもよい。
【0041】
管腔240は、流体ポート(図示しないが、
図1Aを参照)と遠位端222との間のシャフト220の長さだけ延びている。管腔240は、ファイバ230に冷却をもたらすように構成されてもよい。動作中、各ファイバ230内で放射の誘導放出が起こると、熱が生成され、ファイバ230の温度が所望の動作温度を超えることがある。したがって、管腔240(又は概してシャフト120)は、使用時に、管腔240を通過する液体がファイバ230から離れるような熱エネルギー伝達を引き起こすことによって、ファイバ230を冷却することができるように構成されてもよい。管腔240はまた、結石塵等のアブレーションされた物質がシャフト220に沿って近位方向に運ばれて体外に出るための経路を提供してもよい。
【0042】
図3は、システム100によって含まれ得る別の実施形態のシャフト320の端面図である。シャフト320のファイバ330は、サブセットに分割されてもよい。例えば、ファイバの第1のサブセット330Aは、シャフト320内の中心に位置する端部発射ファイバであってもよい。ファイバの第2のサブセット330Bは、シャフト320の外面326に隣接して配置された側面発射ファイバであってもよい。ファイバ330の任意のサブセットが、最密充填されたファイバ束になるように組み合わされてもよい。
【0043】
使用時に、レーザ制御モジュール110(
図1A)は、ファイバ330A、330Bを別々のタイミングで作動させてもよい。例えば、レーザ制御モジュール110は、側面発射ファイバ330Bの非作動を維持しながら端部発射ファイバ330Aを作動させてもよく、逆もまた同様である。他の実施形態では、レーザ制御モジュール110は、ファイバ330A、330Bを同時に作動させてもよい。ファイバ330のうちのいずれかを、個々に又は他にグループ化して作動させてもよい。
【0044】
シャフト320は、光335が側面発射ファイバ330Bからシャフトの外面326までシャフト材料を横方向に通過することを可能にするように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、シャフト320は、光335のための経路を提供する開口部(図示せず)を含んでもよい。他の実施形態では、シャフト320は、光335に対して好適に透明な材料から形成されてもよい。
【0045】
シャフト320は、流体ポート(図示しないが、
図1Aを参照)と遠位端322との間のシャフト320の長さだけ延びている、1つ以上の管腔340を更に含む。管腔340は、ファイバ330A、330Bの間に点在してもよい。
【0046】
図4A~
図4Cは、システム100によって含まれ得る別の実施形態のシャフト420を示す。
図4Aは、シャフト420の側面図であり、
図4Bは、シャフト420の遠位部分の詳細な側面斜視図であり、
図4Cは、外側シャフト420Bが
図4Aの切断線4C-4Cに沿って切断された断面で示されたシャフト420の遠位端面図である。シャフト420は、内側シャフト420Aと外側シャフト420Bとを含む。外側シャフト420Bが、矢印404によって示されるように、内側シャフト420Aに沿って長手方向に変位され得るように、外側シャフト420Bは、内側シャフト420Aと摺動可能に結合される。使用時に、外側シャフト420Bの遠位端が、内側シャフト420Aを越えて延びるように、外側シャフト420Bは、内側シャフト420Aに沿って遠位方向に変位され得る。あるいは、内側シャフト420Aの遠位端が、外側シャフト420Bを越えて延びるように、外側シャフト420Bは、内側シャフト420Aに沿って近位方向に変位され得る。シャフトカップリング423が、内側シャフト420Aの近位端421に配置されて示されている。
【0047】
シャフト420は、外側シャフト420Bと内側シャフト420Aとの間に管腔440を規定するように構成される。外側シャフト420Bは、外側シャフト420Bの近位端に配置された流体ポート425を含み、流体ポート425は、管腔440と流体連通している。流体ポート425はまた、外側シャフト420Bと内側シャフト420Aとの間に摺動流体シール425Aを含み、管腔440の近位端を規定している。外側シャフト420Bは、内側シャフト420Aに向かって内側に延びている突出部427を含んでもよく、内側シャフト420Aを外側シャフト420Bに対して同心円状に拘束する。代替実施形態では、突出部427は、内側シャフト420Aから外側シャフト420Bへ外向きに延びていてもよい。外側シャフト420Bは、外側シャフト420Bの環状壁を貫通して延びている1つ以上の開口部440Aを含み、管腔440と外側シャフト420Bの外部との間に延びている半径方向に方向付けられた流体経路を規定していてもよい。使用時に、臨床医は、流体デバイス(例えば、シリンジ)を流体ポート425に結合し、管腔440を通して液体を遠位方向に押して、液体が、開口部440A及び/又は外側シャフト420Bの端部を通って出るようにしてもよい。臨床医はまた、管腔440を通して液体を近位方向に引き込んでもよい。
【0048】
内側シャフト420Aは、複数のファイバ430を含み、これらの複数のファイバ430は、内側シャフト420A内の中心に位置する1つ以上の端部発射ファイバ430Aと、内側シャフト420Bの外側表面426に隣接して配置される1つ以上の側面発射ファイバ430Bとに分割されてもよい。ファイバ430の任意のサブセットが、最密充填されたファイバ束になるように組み合わされてもよい。
【0049】
使用時に、レーザ制御モジュール110は、ファイバ430A、430Bを別々のタイミングで作動させてもよい。例えば、レーザ制御モジュール110は、側面発射ファイバ430Bの非作動を維持しながら、端部発射ファイバ430Aを作動させて、内側シャフト420Aから遠位方向に離れるように光435Aを方向付けてもよく、逆もまた同様である。他の実施形態では、レーザ制御モジュール110は、ファイバ430A、430Bを同時に作動させてもよい。同様に、レーザ制御モジュール110は、端部発射ファイバ430Aのサブセット又は側面発射ファイバ430Bのサブセットを作動させ、その一方で端部発射ファイバ430Aの別のサブセット又は側面発射ファイバ430Bの別のサブセットの非作動を維持してもよい。言い換えれば、レーザ制御モジュール110は、ファイバ430のうちのいずれかを個別に又はグループ化して作動させてもよい。
【0050】
内側シャフト420Aは、光435Bが側面発射ファイバ430Bから内側シャフト420Bの外部へシャフト材料を横方向に通過することを可能にするように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、内側シャフト420Bは、光435Bのための経路を提供する開口部(図示せず)を含んでもよい。他の実施形態では、シャフト420Bは、光435Bに対して好適に透明な材料から形成されてもよい。
【0051】
図5A及び
図5Bは、シャフト420を含むシステム100の例示的な使用事例を示す。この使用事例は、結石503のレーザ結石破砕術を行うためにシステム100を使用する。
図5Aに示すように、シャフト420は、遠位端422が結石503に隣接して配置されるように、尿路501に挿入される。場合によっては、外側シャフト420Bは、外側シャフト420Bの遠位端が内側シャフト420Aを越えて延びるように、遠位方向に変位されてもよい。結石に対するレーザ結石破砕術の実行に加えて、システム100を利用して、患者の体内に形成された様々なミネラル沈着物に対してこのような処置を実行することができる。例えば、システム100を利用して、典型的には腎結石と呼ばれる、患者の腎臓に形成されたミネラル及び塩の沈着物に対してレーザ結石破砕術を実行することができる。
【0052】
レーザ制御モジュール110(
図1A)は、端部発射ファイバ430Aを作動させて、結石503に穴504を開けることができる。場合によって、臨床医は、管腔440内に吸引を規定してもよく、このことにより、結石片又は塵503Aが、管腔440を通って近位方向に運ばれ、患者の外に排出され得る。場合によって、この吸引は、シャフトの遠位端422に向かって結石503を引き込み、穴開けプロセス中の結石503の反発を防止することができる。
【0053】
穴504を開けた後、内側シャフト420Aの遠位端が、
図5Bに示されるように、外側シャフト420Bを越えて延びるように、外側シャフト420Bは近位方向に変位されてもよい。内側シャフト420Aの遠位端が、穴504内に配置される。内側シャフト420Aの遠位端が穴504内に配置された状態で、側面発射ファイバ430Bを作動させて、結石503を破砕し、かつ/又は結石503を内側から外側にアブレーションすることができる。側面発射ファイバ430Bは、内側シャフト420Aから半径方向外向きに結石に対して方向付けられた力を生成してもよい。したがって、結石503の反発は、結石破砕術の間、防止又は最小化され得る。また、場合によって、臨床医は、管腔440内に吸引を規定して、内側から外側へのアブレーションプロセス中に、結石塵を、管腔440を通して近位方向に運び、患者の外に排出することもできる。
【0054】
いくつかの特定の実施形態が本明細書で開示されており、それら特定の実施形態が、ある程度詳細に開示されているが、それら特定の実施形態が、本明細書で提供される概念の範囲を限定することは意図されていない。さらなる適合及び/又は修正が、当業者には明らかとなる可能性があり、より広範な態様においては、これらの適合及び/又は修正も同様に包含される。したがって、本明細書で提供される概念の範囲から逸脱することなく、本明細書で開示される特定の実施形態からの展開を実施することができる。
【国際調査報告】