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特表2024-520618ケラチン物質をケアする及び/又はメイクアップするための組成物
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  • 特表-ケラチン物質をケアする及び/又はメイクアップするための組成物 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-24
(54)【発明の名称】ケラチン物質をケアする及び/又はメイクアップするための組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/36 20060101AFI20240517BHJP
   A61K 8/06 20060101ALI20240517BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20240517BHJP
   A61Q 1/00 20060101ALI20240517BHJP
   A61K 8/73 20060101ALI20240517BHJP
   A61K 8/37 20060101ALI20240517BHJP
   A61K 8/81 20060101ALI20240517BHJP
【FI】
A61K8/36
A61K8/06
A61Q19/00
A61Q1/00
A61K8/73
A61K8/37
A61K8/81
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023574242
(86)(22)【出願日】2021-08-31
(85)【翻訳文提出日】2023-12-08
(86)【国際出願番号】 CN2021115530
(87)【国際公開番号】W WO2023028807
(87)【国際公開日】2023-03-09
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】391023932
【氏名又は名称】ロレアル
【氏名又は名称原語表記】L’OREAL
【住所又は居所原語表記】14 Rue Royale,75008 PARIS,France
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133086
【弁理士】
【氏名又は名称】堀江 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】シャン・ウ
(72)【発明者】
【氏名】シウシア・ワン
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AA082
4C083AA122
4C083AC122
4C083AC241
4C083AC242
4C083AC352
4C083AC421
4C083AC422
4C083AC522
4C083AC841
4C083AC842
4C083AD241
4C083AD391
4C083AD392
4C083CC05
4C083DD31
4C083DD33
4C083EE07
(57)【要約】
ケラチン物質をケアする及び/又はメイクアップするための水中油型エマルションの形態の組成物は、(i)C14~C22飽和脂肪酸から選択される少なくとも1種の構造化剤と、(ii)水中で膨潤して、50~400μmの粒径を有する粒子の形態のマイクロゲルを形成できる少なくとも1種の親水性ゲル化剤と、(iii)少なくとも1種の界面活性剤とを含む。ケラチン物質をケアする及び/又はメイクアップするための非治療的方法は、前記組成物を皮膚に塗布する工程を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケラチン物質をケアする及び/又はメイクアップするための水中油型エマルションの形態の組成物であって、
(i)C14~C22飽和脂肪酸から選択される少なくとも1種の構造化剤と、
(ii)水中で膨潤して、50~400μmの粒径を有する粒子の形態のマイクロゲルを形成できる少なくとも1種の親水性ゲル化剤と、
(iii)少なくとも1種の界面活性剤と
を含む、組成物。
【請求項2】
構造化剤が、直鎖状のC14~C18飽和脂肪酸から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
構造化剤が、組成物の総質量に対して、0.5wt.%~30wt.%、好ましくは1wt.%~20wt.%、より好ましくは1.5wt.%~10wt.%、最も好ましくは1.5wt.%~7wt.%の範囲の量で存在する、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
親水性ゲル化剤が、アクリル酸ホモポリマーのアルカリ金属塩、加工デンプン、及びこれらの混合物から選択される、請求項1から3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
親水性ゲル化剤が、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリル酸カリウム、ポリアクリル酸ナトリウムデンプン、及びこれらの混合物から選択される、請求項1から3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
親水性ゲル化剤が、組成物の総質量に対して、0.1wt.%~10wt.%、好ましくは0.2wt.%~8wt.%、より好ましくは0.3wt.%~5wt.%、最も好ましくは0.3wt.%~2wt.%の範囲の量で存在する、請求項1から5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
界面活性剤が、
- 脂肪酸のモノグリセリル及びポリグリセリルエステル、又はそれらのエトキシル化誘導体、
- ポリオールと、飽和又は不飽和の鎖を有する脂肪酸とのエステル、
- C8~C24脂肪酸のソルビトールエステル、及びそのポリオキシアルキレン化誘導体、
- 脂肪酸と、グルコース若しくはアルキルグルコースとのエステル、又はそれらのエトキシル化誘導体、
- スクロースエステル、
- 糖とC8~C24脂肪アルコールとのエーテル、例えばカプリリル/カプリルグルコシド、
- C14~C24脂肪アルコール、
- ポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸、例えばラウレス-5カルボン酸、
- 6~12個のオキシエチレン単位を含有するポリオキシエチレン化脂肪アルコール、例えばラウレス-9、
- 脂肪酸のモノグリセリルエステルのポリオキシアルキレン化誘導体、例えばPEG-20トリイソステアリン酸グリセリル、
- サルコシネート、例えばラウロイルサルコシン酸ナトリウム、
- ポリエチレングリコールの脂肪酸エステル、並びに
- これらの混合物
から選択される、請求項1から6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
界面活性剤が、組成物の総質量に対して、0.2wt.%~20wt.%、好ましくは0.4wt.%~15wt.%、より好ましくは0.8wt.%~12wt.%の範囲の量で存在する、請求項1から7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化マグネシウム、水酸化アンモニウム、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トロメタミン、N-メチルグルカミン、アルギニン、リジン、及びこれらの混合物から選択される鹸化剤を更に含む、請求項1から8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
鹸化剤の、C14~C22飽和脂肪酸から選択される構造化剤に対するモル比が、0.1mol%~30mol%、有利には1mol%~20mol%、より好ましくは1mol%~10mol%である、請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
化粧用有効成分を更に含む、請求項1から10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
組成物の総質量に対して、
(i)1.5wt.%~7wt.%の、直鎖状のC14~C18飽和脂肪酸から選択される少なくとも1種の構造化剤と、
(ii)0.3wt.%~2wt.%の、アクリル酸ホモポリマーのアルカリ金属塩、加工デンプン、及びこれらの混合物から選択される少なくとも1種の親水性ゲル化剤と、
(iii)0.8wt.%~12wt.%の、脂肪酸のモノ-及びポリグリセリルエステル、糖とC8~C24脂肪アルコールとのエーテル、ポリアルキレングリコールとC14~C24脂肪アルコールとの脂肪酸エステル、及びこれらの混合物から選択される少なくとも1種の界面活性剤と
を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項13】
ケラチン物質をケアする及び/又はメイクアップするための非治療的方法であって、請求項1から12のいずれか一項に記載の組成物をケラチン物質に塗布する工程を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧用組成物に関する。詳細には、本発明は、ケラチン物質をケアする及び/又はメイクアップするための組成物に関する。本発明はまた、ケラチン物質をケアする及び/又はメイクアップするための非治療的方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
皮膚は、人体のための保護バリアである。皮膚は、物理的負傷(例えば外傷)及び生物学的負傷(例えば、細菌、ウイルス又は真菌による負傷)から、体の内部を保護する。
【0003】
皮膚及び/又は唇を、ケアする及び/又はメイクアップすることを目的とする製剤の開発には、終わりがない。
【0004】
例えば、組成物をクリーム又はエマルションの形態で製剤化する努力がなされてきた。組成物の好適な稠度のために、閉塞を介して皮膚に湿潤感覚を提供することが可能である。
【0005】
しかしながら、これらのタイプの製品は、満足のいくものではない。製品の比較的高い稠度に起因して、皮膚上に均一に塗布することは容易ではない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そのため、好適な稠度を有し、塗布の間に皮膚上に容易に展延されうる、皮膚をケアするための組成物を製剤化する必要性が依然として存在する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、今回、上に挙げた所望の性質を有する組成物を製剤化することが可能であることを発見した。
【0008】
したがって、第1の態様では、本発明は、ケラチン物質をケアする及び/又はメイクアップするための水中油型エマルションの形態の組成物であって、
(i)C14~C22飽和脂肪酸から選択される少なくとも1種の構造化剤と、
(ii)水中で膨潤して、50~400μmの粒径を有する粒子の形態のマイクロゲルを形成できる少なくとも1種の親水性ゲル化剤と、
(iii)少なくとも1種の界面活性剤と
を含む、組成物を提供する。
【0009】
本発明の組成物は、水中油型エマルションの形態である。そのため、前記組成物は、連続水性相及び分散脂肪相を含む。
【0010】
本発明の組成物は、好適な稠度を有する。
【0011】
発明者らは、本発明の組成物が、ラメラ-マイクロゲル相互浸透ネットワーク(IPN)テクスチャを有し、これが、良好な展延性及びべとつきのない皮膚感覚をもたらすことができることを見出した。
【0012】
第2の態様では、本発明は、ケラチン物質をケアする及び/又はメイクアップするための非治療的方法であって、本発明の第1の態様による組成物をケラチン物質に塗布する工程を含む、方法を提供する。
【0013】
本発明の他の利点は、以下の説明及び実施例を読むことで一層明らかとなる。
【0014】
ここで、添付の図面を参照しながら、本発明の実装形態(implementation)を、単なる一例として説明する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】発明実施例1で得た組成物の偏光顕微鏡画像を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
別段の定義がない限り、本明細書中で使用されるすべての技術用語及び科学用語は、本発明が属する分野における当業者が通例理解するものと同じ意味を有する。本記載における用語の定義が、本発明が属する分野における当業者が通例理解する意味と相反する場合、本明細書中に記載される定義を適用するものとする。
【0017】
以下の記載において、別段の指示がない限り、値の範囲の限界値は、特に「~と~との間」及び「~から~」という表現において、その範囲内に含まれる。
【0018】
更に、本記載において使用される「少なくとも1つ(種)」という表現は、「1つ又は複数(種)」という表現と同等である。
【0019】
本出願全体にわたって、用語「含む(comprising)」は、すべての特定的に言及される特徴部に加えて、任意選択の、追加の、不特定の特徴部を包含するものと解釈されたい。本明細書で使用される場合、用語「含む(comprising)」の使用はまた、特定的に言及される特徴部以外の特徴部が存在しない(すなわち「~からなる」)実施形態を開示している。
【0020】
別段の指定がない限り、本記載及び特許請求の範囲において使用される、成分の量等を表現する数値のすべては、用語「約」によって修飾されているものと理解されたい。したがって、逆の指示がない限り、本明細書中で記載される数値及びパラメータは、必要に応じた所望の目的に従って変更することができる、およその値である。
【0021】
本発明の目的では、用語「ケラチン物質」は、ヒトの皮膚、粘膜、例えば唇を網羅することが意図される。顔面の皮膚は、本発明によって最も特段に考慮される。
【0022】
本発明における百分率はすべて、別段の指定がない限り、質量百分率を指す。
【0023】
第1の態様によれば、本発明は、ケラチン物質をケアする及び/又はメイクアップするための水中油型エマルションの形態の組成物であって、
(i)C14~C22飽和脂肪酸から選択される少なくとも1種の構造化剤と、
(ii)水中で膨潤して、50~400μmの粒径を有する粒子の形態のマイクロゲルを形成できる少なくとも1種の親水性ゲル化剤と、
(iii)少なくとも1種の界面活性剤と
を含む、組成物を提供する。
【0024】
C14~C22飽和脂肪酸
第1の態様によれば、本発明の組成物は、C14~C22飽和脂肪酸から選択される少なくとも1種の構造化剤を含む。
【0025】
C14~C22飽和脂肪酸の例として挙げることができるのは、ミリスチン酸、ペンタデカン酸、パルミチン酸、ヘプタデカン酸、ステアリン酸、セテアリール酸、アラキドン酸及びベヘン酸である。
【0026】
有利には、構造化剤は、C14~C18飽和脂肪酸から選択され、好ましくは、直鎖状のC14~C18飽和脂肪酸から選択され、特にミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、及びこれらの混合物から選択される。
【0027】
有利には、構造化剤は、組成物の総質量に対して、0.5wt.%~30wt.%、好ましくは1wt.%~20wt.%、より好ましくは1.5wt.%~10wt.%、最も好ましくは1.5wt.%~7wt.%の範囲の量で存在する。
【0028】
親水性ゲル化剤
第1の態様によれば、本発明による組成物は、水中で膨潤して、50~400μmの粒径を有する粒子の形態のマイクロゲルを形成できる少なくとも1種の親水性ゲル化剤を含む。
【0029】
有利には、親水性ゲル化剤は、アクリル酸ホモポリマーのアルカリ金属塩、加工デンプン、及びこれらの混合物から選択される。
【0030】
本発明による組成物中での使用のために好適なホモポリマーは、特にポリアクリル酸ナトリウム及びポリアクリル酸カリウムから選ばれる。ポリアクリル酸ナトリウムが好ましくは使用される。
【0031】
アクリル酸ホモポリマーは、有利には、5%~80%の範囲の程度に中和されうる。
【0032】
本発明に従って使用することができるポリアクリル酸ナトリウムとして使用することができるのは、Cognis社により名称Cosmedia SPL(登録商標)で、或いはBASF社により名称Luvigel(登録商標)EMで販売されているもの、Sensient社により商品名(trade reference)Covacryl MV 60(登録商標)で、或いはCognis社により商標名Cosmedia(登録商標)で販売されている製品である。
【0033】
本発明による組成物中での使用に好適な加工デンプンは、具体的には、トウモロコシデンプン、コメデンプン、キャッサバデンプン、ジャガイモデンプン、コムギデンプン、モロコシデンプン、エンドウマメデンプン、及びこれらの混合物に由来するものから選ばれる。
【0034】
加工デンプンの中で挙げることができるのは、予調理デンプン、加水分解デンプン、架橋デンプン、例えばメチロール尿素誘導体で、若しくはオクテニルコハク酸無水物で、或いはエピクロロヒドリンで架橋された架橋デンプン、エステル化デンプン、エーテル化デンプン、酸化デンプン、精製デンプン、酸の存在においてローストされたデンプン、或いはグラフトデンプン、例えばポリアクリル酸ナトリウムでグラフトされたグラフトデンプン、コーティングデンプン、例えばアミノ酸でコーティングされたコーティングデンプン、及び/又はこれらの混合物である。
【0035】
本発明のために特に好適である加工デンプンの中で挙げることができるのは、以下のものである:
- National Starch社により名称Structure XL及びStructure Zea(リン酸ヒドロキシプロピルデンプン)で販売されているもの、
- Sanyo Chemical Industries社により名称Sanfresh ST-100C、ST100MC、IM-300MC(INCI名:ポリアクリル酸ナトリウムデンプン)で販売されているデンプン、並びに
- これらの混合物。
【0036】
好ましくは、親水性ゲル化剤は、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリル酸カリウム、ポリアクリル酸ナトリウムデンプン、及びこれらの混合物から選択される。
【0037】
有利には、親水性ゲル化剤は、組成物の総質量に対して、0.1wt.%~10wt.%、好ましくは0.2wt.%~8wt.%、より好ましくは0.3wt.%~5wt.%、最も好ましくは0.3wt.%~2wt.%の範囲の量で存在する。
【0038】
界面活性剤
第1の態様によれば、本発明の組成物は、少なくとも1種の界面活性剤を含む。
【0039】
好ましくは、界面活性剤は、以下のものから選択される:
- 脂肪酸のモノグリセリル及びポリグリセリルエステル、又はそれらのエトキシル化誘導体、
- ポリオールと、飽和又は不飽和の鎖を有する脂肪酸とのエステル、
- C8~C24脂肪酸のソルビトールエステル、及びそのポリオキシアルキレン化誘導体、
- 脂肪酸と、グルコース若しくはアルキルグルコースとのエステル、又はそれらのエトキシル化誘導体、
- スクロースエステル、
- 糖とC8~C24脂肪アルコールとのエーテル、例えばカプリリル/カプリルグルコシド、
- C14~C24脂肪アルコール、
- ポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸、例えばラウレス-5カルボン酸、
- 6~12個のオキシエチレン単位を含有するポリオキシエチレン化脂肪アルコール、例えばラウレス-9、
- 脂肪酸のモノグリセリルエステルのポリオキシアルキレン化誘導体、例えばPEG-20トリイソステアリン酸グリセリル、
- サルコシネート、例えばラウロイルサルコシン酸ナトリウム、
- ポリアルキレングリコールの脂肪酸エステル、並びに
- これらの混合物。
【0040】
脂肪酸のポリグリセリルエステルとして挙げることができるのは、2~10個のグリセロール単位を含有する製品、例えば2~10個のグリセロール単位を含むモノラウリン酸ポリグリセリル、オレイン酸ポリグリセリル、ミリスチン酸ポリグリセリル、カプリル酸ポリグリセリル若しくはステアリン酸ポリグリセリル、2~10個のグリセロール単位を含むモノ(イソ)ステアリン酸ポリグリセリル、2~10個のグリセロール単位を含むジオレイン酸ポリグリセリル、2~10個のグリセロール単位を含むジラウリン酸ポリグリセリル、2~10個のグリセロール単位を含むジミリスチン酸ポリグリセリル、2~10個のグリセロール単位を含むトリミリスチン酸ポリグリセリル、2~10個のグリセロール単位を含むトリオレイン酸ポリグリセリル、及び2~10個のグリセロール単位を含むトリカプリル酸ポリグリセリルである。
【0041】
ポリグリセリルエステルには、C16~C22飽和の、不飽和の、及び分枝状の鎖の脂肪酸のポリグリセリルエステル、例えばイソステアリン酸ポリグリセリル-4、オレイン酸ポリグリセリル-3、オレイン酸ポリグリセリル-2、セスキオレイン酸ポリグリセリル-2、ジイソステアリン酸トリグリセリル、モノオレイン酸ジグリセリル、モノオレイン酸テトラグリセリル、又はこれらの混合物が挙げられる。
【0042】
モノグリセリルエステルには、グリセリルモノエステル、好ましくはC16~C22飽和の、不飽和の、及び分枝状の鎖の脂肪酸のグリセリルモノエステル、例えばオレイン酸グリセリル、モノステアリン酸グリセリル、モノイソステアリン酸グリセリル、モノパルミチン酸グリセリル、モノベヘン酸グリセリル、又はこれらの混合物が挙げられるがこれらに限定されない。
【0043】
脂肪酸のモノグリセリルエステルとして、ステアリン酸グリセリル(モノ-、ジ-及び/若しくはトリステアリン酸グリセリル)(CTFA名:ステアリン酸グリセリル)又はリシノール酸グリセリル、若しくはこれらの混合物を引用することができ、又はそれらのポリオキシアルキレン化誘導体として、脂肪酸の、ポリオキシアルキレン化グリセロールとのモノ-、ジ-若しくはトリエステル(脂肪酸と、グリセロールのポリアルキレングリコールエーテルとの、モノ-、ジ-若しくはトリエステル)、好ましくはポリオキシエチレン化ステアリン酸グリセリル(モノ-、ジ-及び/若しくはトリステアレート)、例えばPEG-20ステアリン酸グリセリル(モノ-、ジ-、トリステアレート及び/若しくはトリイソステアレート)を引用することができる。好ましくは、脂肪酸のモノグリセリルエステルのポリオキシアルキレン化誘導体は、10~40個のオキシエチレン単位を含み、例えばPEG-20トリイソステアリン酸グリセリルである。
【0044】
界面活性剤は、ポリオールと、例えば8~24個の炭素原子、好ましくは12~22個の炭素原子を含有する飽和又は不飽和の鎖を有する脂肪酸とのエステル、又は好ましくは10~200個、若しくはより好ましくは10~100個のオキシアルキレン単位を含有するそのポリオキシアルキレン化誘導体、例えばC8~C24の、好ましくはC12~C22の脂肪酸のモノグリセリルエステル若しくはポリグリセリルエステル、及び好ましくは10~200個、若しくはより好ましくは10~100個のオキシアルキレン単位を含有するそのポリオキシアルキレン化誘導体;C8~C24、好ましくはC12~C22の脂肪酸のソルビトールエステル、又は好ましくは10~200個、若しくはより好ましくは10~100個のオキシアルキレン単位を含有するそのポリオキシアルキレン化誘導体;C8~C24、好ましくはC12~C22の脂肪酸の糖(スクロース、マルトース、グルコース、フルクトース及び/若しくはアルキルグリコース)エステル、又は好ましくは10~200個、若しくはより好ましくは10~100個のオキシアルキレン単位を含有するそのポリオキシアルキレン化誘導体;脂肪アルコールのエーテル;糖と、C8~C24、好ましくはC12~C22の脂肪アルコール若しくはアルコールとのエーテル;並びにこれらの混合物から選択することができる。
【0045】
これらの界面活性剤の混合物、例えば、CRODA社により名称ARLACEL 165で市販されている、ステアリン酸グリセリル及びPEG-100ステアレートを含有する製品、並びにGoldschmidt社により名称TEGINで市販されている、ステアリン酸グリセリル(モノ-及びジステアリン酸グリセリル)及びステアリン酸カリウムを含有する製品(CTFA名:ステアリン酸グリセリルSE)もまた使用することができる。
【0046】
C8~C24脂肪酸のソルビトールエステル及びそのポリオキシアルキレン化誘導体は、パルミチン酸ソルビタン、イソステアリン酸ソルビタン、トリオレイン酸ソルビタン、並びに脂肪酸と、例えば20~100 EOを含有するアルコキシル化ソルビタンとのエステル、例えば、ICI社により名称Span 60で販売されているモノステアリン酸ソルビタン(CTFA名:ステアリン酸ソルビタン)、ICI社により名称Span 40で販売されているモノパルミチン酸ソルビタン(CTFA名:パルミチン酸ソルビタン)、又はICI社により名称Tween 65で販売されているトリステアリン酸ソルビタン20 EO(CTFA名:ポリソルベート65)、トリオレイン酸ポリエチレンソルビタン(ポリソルベート85)、又はUniqema社により商標名Tween 20若しくはTween 60で市販されている化合物から選択することができる。
【0047】
脂肪酸とグルコース又はアルキルグルコースとのエステルとして、パルミチン酸グルコース、セスキステアリン酸アルキルグルコース、例えばセスキステアリン酸メチルグルコース、パルミチン酸アルキルグルコース、例えばパルミチン酸メチルグルコース又はパルミチン酸エチルグルコース、メチルグルコシド脂肪エステル、メチルグルコシドとオレイン酸とのジエステル(CTFA名:ジオレイン酸メチルグルコース)、メチルグルコシドと、オレイン酸/ヒドロキシステアリン酸の混合物との混合エステル(CTFA名:ジオレイン酸メチルグルコース/ヒドロキシステアレート)、メチルグルコシドとイソステアリン酸とのエステル(CTFA名:イソステアリン酸メチルグルコース)、メチルグルコシドとラウリン酸とのエステル(CTFA名:ラウリン酸メチルグルコース)、メチルグルコシド及びイソステアリン酸のモノエステルとジエステルとの混合物(CTFA名:セスキ-イソステアリン酸メチルグルコース)、メチルグルコシド及びステアリン酸のモノエステルとジエステルとの混合物(CTFA名:セスキステアリン酸メチルグルコース)、及び特にAMERCHOL社により名称Glucate SSで市販されている製品、並びにこれらの混合物を引用することができる。
【0048】
脂肪酸と、グルコース又はアルキルグルコースとのエトキシル化エーテルとして、脂肪酸とメチルグルコースとのエトキシル化エーテル、特に約20モルのエチレンオキシドを有するメチルグルコースとステアリン酸とのジエステルのポリエチレングリコールエーテル(CTFA名:PEG-20ジステアリン酸メチルグルコース)、例えばAMERCHOL社により名称Glucam E-20 distearateで市販されている製品、約20モルのエチレンオキシドを有するメチル-グルコース及びステアリン酸のモノエステルとジエステルとの混合物のポリエチレングリコールエーテル(CTFA名:PEG-20セスキステアリン酸メチルグルコース)、具体的にはAMERCHOL社により名称Glucamate SSE-20で市販されている製品、及びGOLDSCHMIDT社により名称Grillocose PSE-20で市販されている製品、並びにこれらの混合物を、例えば引用することができる。
【0049】
スクロースエステルとして、パルミト-ステアリン酸サッカロース、ステアリン酸サッカロース及びモノラウリン酸サッカロースを、例えば引用することができる。
【0050】
糖エーテルとして、アルキルポリグルコシドを使用することができ、例えば、花王株式会社により名称MYDOL 10で市販されている製品、Henkel社により名称PLANTAREN 2000で市販されている製品、及びSeppic社により名称ORAMIX NS 10で市販されている製品等の、デシルグルコシドを含む、糖とC8~C24脂肪アルコールとのエーテル、Seppic社により名称ORAMIX CG 110で、又はBASF社により名称LUTENSOL GD 70で市販されている製品等のカプリリル/カプリルグルコシド、Henkel社により名称PLANTAREN 1200 N及びPLANTACARE 1200で市販されている製品等のラウリルグルコシド、Henkel社により名称PLANTACARE 818/UPで市販されている製品等のココ-グルコシド、例えばSeppic社により名称MONTANOV 68で、Goldschmidt社により名称TEGO-CARE CG90で、及びHenkel社により名称EMULGADE KE3302で市販されている、場合によりセトステアリルアルコールと混合されているセトステアリルグルコシド、例えばアラキジルとベヘニルアルコールとの混合物の形態のアラキジルグルコシド、及びSeppic社により名称MONTANOV 202で市販されているアラキジルグルコシド、Seppic社により名称MONTANOV 82で市販されている、例えばセチル及びステアリルアルコールの混合物(35/65)の形態のココイルエチルグルコシド、並びにこれらの混合物を、特に引用することができる。
【0051】
C14~C24脂肪アルコールとして挙げることができるのは、ステアリルアルコール、セチルアルコール、ベヘニルアルコール、アラキジルアルコール、リグノセリルアルコール、及びこれらの混合物である。
【0052】
好ましくは、ポリアルキレングリコールの脂肪酸エステルは、1~200のオキシエチレン基を含むポリエチレングリコールと、12~30個の炭素原子を含む飽和又は不飽和脂肪酸とのエステルであり、より好ましくはポリアルキレングリコールの脂肪酸エステルは、ポリエチレングリコール2 OEモノステアレート、又はポリエチレングリコール100モノステアレート(PEG-100ステアレート)から選択される。
【0053】
最も好ましくは、界面活性剤は、脂肪酸のモノ-及びポリグリセリルエステル、糖とC8~C24脂肪アルコールとのエーテル、ポリアルキレングリコールとC14~C24脂肪アルコールとの脂肪酸エステル、及びこれらの混合物から選択される。
【0054】
有利には、界面活性剤は、ステアリン酸グリセリル、PEG-100ステアレート、アラキジルアルコール、ベヘニルアルコール、アラキジルグルコシド、及びこれらの混合物から選択される。
【0055】
好ましくは、界面活性剤は、組成物の総質量に対して、0.2wt.%~20wt.%、好ましくは0.4wt.%~15wt.%、より好ましくは0.8wt.%~12wt.%の範囲の量で存在する。
【0056】
鹸化剤
好ましくは、本発明の組成物は、少なくとも1種の鹸化剤を含む。
【0057】
鹸化剤は、C14~C22飽和脂肪酸と反応して塩を生成するために使用することができる。
【0058】
鹸化剤は、例えば、無機塩基、例えばアルカリ金属水酸化物(例えば水酸化ナトリウム及び水酸化カリウム)、アルカリ土類金属水酸化物(例えば水酸化マグネシウム)、若しくは水酸化アンモニウム、又は有機塩基、例えばモノエタノールアミン(MEA)、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トロメタミン、N-メチルグルカミン、アルギニン及びリジンとすることができる。
【0059】
また挙げることができるのは、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、重炭酸ナトリウム及び重炭酸カリウムである。
【0060】
好ましくは、鹸化剤は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化マグネシウム、水酸化アンモニウム、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トロメタミン、N-メチルグルカミン、アルギニン、リジン、及びこれらの混合物から選択される。
【0061】
存在する場合、好ましくは、鹸化剤の、C14~C22飽和脂肪酸から選択される構造化剤に対するモル比は、0.1mol%~30mol%、有利には1mol%~20mol%、より好ましくは1mol%~10mol%である。
【0062】
水性相
水中油型エマルションとして、本発明の化粧用組成物は、連続水性相を含む。
【0063】
前記水性相は、水を含む。
【0064】
好ましくは、連続水性相は、水と混和性(室温25℃にて)の有機溶媒、例えば2~20個の炭素原子、好ましくは2~10個の炭素原子を有する、及び優先的には2~6個の炭素原子を有するグリセリン及びグリコール、例えばプロピレングリコール、ブチレングリコール、ペンチレングリコール、ヘキシレングリコール、カプリリルグリコール、ジプロピレングリコール、ジエチレングリコール、及びこれらの混合物を含む。
【0065】
有利には、前記水性相は、組成物の総質量の、30質量%~95質量%、好ましくは35質量%~90質量%、より好ましくは40質量%~85質量%の範囲の量で存在する。
【0066】
脂肪相
水中油型エマルションとして、本発明の組成物は、少なくとも1つの分散脂肪相を含む。
【0067】
前記脂肪相は、少なくとも1種の油を含む。
【0068】
油は、揮発性又は不揮発性とすることができる。
【0069】
用語「油」は、室温(25℃)及び大気圧(760mmHg)で液体である、水不混和性の非水性化合物を意味する。用語「不揮発性油」は、室温及び大気圧においてケラチン物質上に少なくとも数時間残ることができ、特に10-3mmHg(0.13Pa)未満の蒸気圧を有する、油を意味する。不揮発性油はまた、先に規定した条件下で30分後に蒸発する量が0.07mg/cm2未満であるような蒸発速度を有するものと規定することもできる。
【0070】
これらの油は、植物、鉱物又は合成起源のものとすることができる。
【0071】
前記油は、炭化水素油、シリコーン油又はフルオロ油から選択することができる。
【0072】
用語「炭化水素系油」は、炭素及び水素原子、並びに任意選択でO及びN原子から本質的に形成され、又はそれらによって構成されさえする、Siヘテロ原子もFヘテロ原子も含まない油を意味する。このような油は、アルコール、エステル、エーテル、カルボン酸、アミン及び/又はアミドの各基を含有しうる。
【0073】
用語「シリコーン油」は、少なくとも1個のケイ素原子を含有し、とりわけSi-O基を含有する油を意味する。
【0074】
用語「フルオロ油」は、少なくとも1個のフッ素原子を含有する油を意味する。
【0075】
好ましくは、油は、炭化水素系油、例えば、エステル油、例えばカプリル酸/カプリン酸トリグリセリド、イソノナン酸イソノニル、テトライソステアリン酸ペンタエリスリチル、ミリスチン酸ミリスチルから選択される。
【0076】
脂肪相はまた、テクスチャを構築し好適な皮膚仕上げを送達するために、非油の脂肪物質、例えば脂及びワックス、例えばシアバターノキ(butyrospermum parkii)脂、ミツロウ(cera alba)、ビーズワックスも含むことができる。
【0077】
有利には、脂肪相は、本発明の組成物の総質量に対して、2質量%~40質量%、好ましくは8質量%~35質量%、より好ましくは10質量%~30質量%の範囲の量で存在する。
【0078】
化粧用有効成分
好ましくは、本発明の組成物は、化粧用有効成分を含む。
【0079】
化粧用有効成分の例として挙げることができるのは、天然の抽出物;ビタミン、例えばビタミンA(レチノール)、ビタミンE(トコフェロール)、ビタミンC(アスコルビン酸)、ビタミンB5(パンテノール)、ビタミンB3(ナイアシンアミド)、及び前記ビタミンの誘導体(特にエステル)、及びこれらの混合物;尿素;カフェイン;C-グリコシド、例えばヒドロキシプロピルテトラヒドロピラントリオール;サリチル酸及びその誘導体;アルファ-ヒドロキシ酸、例えば乳酸又はグリコール酸、及びそれらの誘導体;日焼け止め剤;藻類、真菌、植物、酵母及び細菌からの抽出物;酵素;微小循環で働く作用剤、並びにこれらの混合物である。
【0080】
本発明による組成物の最終使用に基づいて追加の化粧用有効成分の量を調整することは、当業者にとって容易である。
【0081】
追加のアジュバント又は添加剤
本発明の組成物はまた、従来の化粧用アジュバント又は添加剤、例としては芳香剤、キレート剤(例えば二酢酸グルタミン酸三ナトリウム及びEDTA二ナトリウム)、保存剤(例えばクロロフェネシン及びフェノキシエタノール)及び殺細菌剤、pH調整剤(例えばクエン酸)、充填剤、並びにこれらの混合物も含有してもよい。
【0082】
当業者であれば、本発明による組成物の最終使用に悪影響を与えないように、追加のアジュバント又は添加剤の量を選択することができる。
【0083】
特に好ましい実施形態によれば、本発明は、組成物の総質量に対して、
(i)1.5wt.%~7wt.%の、直鎖状のC14~C18飽和脂肪酸から選択される少なくとも1種の構造化剤と、
(ii)0.3wt.%~2wt.%の、アクリル酸ホモポリマーのアルカリ金属塩、加工デンプン、及びこれらの混合物から選択される少なくとも1種の親水性ゲル化剤と、
(iii)0.8wt.%~12wt.%の、脂肪酸のモノ-及びポリグリセリルエステル、糖とC8~C24脂肪アルコールとのエーテル、ポリアルキレングリコールとC14~C24脂肪アルコールとの脂肪酸エステル、及びこれらの混合物から選択される少なくとも1種の界面活性剤と
を含む、
ケラチン物質をケアする及び/又はメイクアップするための水中油型エマルションの形態の組成物を提供する。
【0084】
ガレヌス形態及び方法
本発明による組成物は、水中油型エマルションの形態である。
【0085】
本発明による組成物は、ラメラ-マイクロゲル相互浸透ネットワークテクスチャを有する。
【0086】
用語「ラメラ-マイクロゲル相互浸透ネットワークテクスチャ」は、平行に配置され、ゲルである液体媒質によって分離されたいくつかの両親媒性二層を含む液状結晶構造、又は平面対称を有する膨潤した若しくは非膨潤の結晶性ラメラ水和相を意味する。
【0087】
本発明の組成物は、例えば、クリーム又はヘアコンディショナーとすることができる。
【0088】
本発明の組成物は、ケラチン物質をケアする及び/又はメイクアップするために使用することができ、例えば、それは、ファンデーションクリーム、ハンドクリーム、ボディクリーム等として使用することができる。
【0089】
第2の態様によれば、本発明は、ケラチン物質をケアする及び/又はメイクアップするための非治療的方法であって、本発明の第1の態様による組成物をケラチン物質に塗布する工程を含む、方法を提供する。
【0090】
以下の実施例は、本発明を例示する働きをするが、本質的に限定的であることはない。
【実施例
【0091】
使用した主な原材料、その商標名及び供給業者を、Table 1(表1)に列挙する。
【0092】
【表1】
【0093】
発明実施例1~5及び比較例1~4
発明実施例(IE.)1~5及び比較例(CE.)1~4の組成物を、Table 2(表2)に示す量に従って調製した。各成分の量は、それを含有する組成物の総質量の質量%で表す。
【0094】
【表2】
【0095】
発明実施例1~5の組成物は、本発明による組成物である。
【0096】
比較例1の組成物は、水中で膨潤して、50~400μmの粒径を有する粒子の形態のマイクロゲルを形成できる親水性ゲル化剤ではなく、ポリアクリロイルジメチルタウリン酸アンモニウムを含む。
【0097】
比較例2の組成物は、界面活性剤を含まない。
【0098】
比較例3の組成物は、水中で膨潤して、50~400μmの粒径を有する粒子の形態のマイクロゲルを形成できる親水性ゲル化剤ではなく、カルボマー980を含む。
【0099】
比較例4の組成物は、C14~C22飽和脂肪酸から選択される構造化剤を含まない。
【0100】
調製方法
上に列挙している組成物を、以下のように調製し、発明実施例1の組成物を実施例として取り上げた。
【0101】
【表3】
【0102】
1. 相A1のための成分を容器中に秤量し、混合して、透明な混合物を得、次いで撹拌速度500rpm下75℃にて、黄色がかった透明な液体が得られるまで撹拌する、
2. 相Bプレミックスを85℃にて加熱し、次いで、それを黄色がかった透明な液体に撹拌速度1500rpm下75℃にて添加し、10分間混合して、白色のエマルションを得る、
3. 相Cプレミックスを撹拌速度1500rpm下75℃にて滴下添加して、白色エマルションを得る、
4. 相Dプレミックスを撹拌速度1500rpm下75℃にて添加して、白色の粘り気の少ないクリームを得、次いで撹拌しながら室温まで冷却し、組成物を得る。
【0103】
評価
ラメラ構造
ラメラ構造が形成されているかどうかを以下のように評価した。
【0104】
Leica DLMB顕微鏡を90°交差偏光下で用いて組成物を観察し、顕微鏡画像を撮影した。
【0105】
図1は、発明実施例1で得た組成物の偏光顕微鏡画像を示す。
【0106】
同様の写真をまた、発明実施例2~5(IE.2~5)の組成物についても得た。
【0107】
ラメラ構造が、発明実施例1~5(IE.1~5)の組成物中で形成していることを見ることができた。
【0108】
同様の写真は、比較例1~4(CE.1~4)の組成物については得られなかった。
【0109】
稠度、展延性及び皮膚のべとつき
稠度を、5人の感覚専門家が以下のように評価した。
【0110】
感覚専門家を、スキンケアクリームに好適な、最も軟質な稠度から最も硬質な稠度までを有する15の標準製品に基づいて1~15にスコア付けするようトレーニングし、ここで、1は最も軟質な稠度を意味し、15は最も硬質な稠度を意味する。
【0111】
稠度についてのスコア付け尺度:
5: 稠度は高く、感覚専門家は12超のスコアを付与している、
4: 稠度はかなり高く、感覚専門家は12~10のスコアを付与している、
3: 稠度はやや低く、感覚専門家は8~6のスコアを付与している、
2: 稠度はかなり低く、感覚専門家は5~4のスコアを付与している、及び
1: 稠度は低すぎ、感覚専門家は4未満のスコアを付与している。
【0112】
各組成物の塗布時の展延性及び皮膚のべとつきを、5人のスキンケア製剤専門家が、以下の工程:
評価する製品を、前腕の同じ領域上に同じ力を用いて3回繰り返して塗布する工程と、
製品の質量損失を秤量する工程と、
製品を塗布する前腕上の領域のサイズを測定する工程と、
1センチメートル四方当たりの質量損失を算出する工程と
に従って評価した。
【0113】
最後に、展延性及び皮膚のべとつきにおけるスコアを専門家が付与した。
【0114】
展延性についてのスコアリング標準:
5: 極めて良好、
4: 基本的に良好、
3: 許容される、
2: わずかに不良であり許容されない、
1: 不良であり許容されない。
【0115】
皮膚のべとつきについてのスコアリング標準:
5=べとつきがない、
3=許容されるべとつきがある、
1=非常にべとつきがある。
【0116】
上で調製した各組成物の、ラメラ-マイクロゲル相互浸透ネットワークテクスチャ、稠度、展延性及び皮膚のべとつきの結果を、Table 4(表4)に列挙した。
【0117】
【表4】
【0118】
Table 4(表4)から、発明実施例1~5の組成物が、ラメラ-マイクロゲル相互浸透ネットワークテクスチャ、好適な稠度及び良好な展延性を有すること、及びべとつきのない皮膚感覚を送達できることを見ることができる。
図1
【国際調査報告】