(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-24
(54)【発明の名称】整流器制御システム
(51)【国際特許分類】
H02M 7/12 20060101AFI20240517BHJP
H02J 3/18 20060101ALI20240517BHJP
【FI】
H02M7/12 U
H02J3/18 178
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023574247
(86)(22)【出願日】2022-05-13
(85)【翻訳文提出日】2024-01-31
(86)【国際出願番号】 EP2022062999
(87)【国際公開番号】W WO2022253549
(87)【国際公開日】2022-12-08
(32)【優先日】2021-05-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514226305
【氏名又は名称】エナジー、プール、ディベロップメント
【氏名又は名称原語表記】ENERGY POOL DEVELOPPEMENT
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】ペロイ,エドゥアール
【テーマコード(参考)】
5G066
5H006
【Fターム(参考)】
5G066CA07
5G066DA01
5H006CA07
5H006DA02
5H006DB01
5H006HA09
(57)【要約】
【解決手段】本開示は、直流(DC)で電力供給される工業プロセスの電力消費を、制御回路(306) により変更する方法に関する。この方法では、負荷変調設定値(δP)及び一又は複数のフィードバック信号(iline,uline)を受信し、負荷変調設定値及びフィードバック信号に基づき、変圧器(116) 及び可飽和リアクトル(120) を有する整流回路によって工業プロセスに供給される直流電流(ic )の電流設定値(δic )を生成し、電流設定値(δic )に基づき少なくとも可飽和リアクトル(120) の飽和レベルを制御するように構成されている制御部(304) に電流設定値(δic )を供給する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
直流電流で電力供給される工業プロセスの電力消費を変更する方法であって、
制御回路(306) によって、前記工業プロセスの電力に適用される変更量を示す負荷変調設定値(δP)と、前記工業プロセスに供給される電力レベルを示す一又は複数のフィードバック信号(i
line,u
line)とを受信し、
前記制御回路(306) によって、前記負荷変調設定値(δP)及び前記一又は複数のフィードバック信号(i
line,u
line)に基づき、第1の変圧器(116) 及び可飽和リアクトル(120) を有する第1の整流回路(114) によって前記工業プロセスに供給される第1の直流電流(i
c )の第1の電流設定値(δi
c )を生成し、
前記第1の電流設定値(δi
c )に基づき、少なくとも前記可飽和リアクトル(120) の飽和レベル及び前記第1の整流回路(114) の第1の変圧器(116) のタップ位置を制御するように構成されている第1の制御部(304) に前記第1の電流設定値(δi
c )を供給し、
前記制御回路(306) によって、第2の変圧器(116) を夫々有する一又は複数の第2の整流回路(112) によって前記工業プロセスに供給される第2の直流電流の第2の電流設定値(δi)を生成し、
前記第2の電流設定値(δi)に基づき前記一又は複数の第2の整流回路(112) の各々の第2の変圧器(116) のタップ位置を調節するように構成されている第2の制御部(302) に前記第2の電流設定値(δi)を供給する、方法。
【請求項2】
前記第1の電流設定値(δi
c )は、前記第1の整流回路(114) によって供給される電流の第1のプロセス設定値(i
c,0 )に適用される変化量を示す、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第2の電流設定値(δi)は、前記一又は複数の第2の整流回路(112) によって供給される電流の第2のプロセス設定値(i
0 )に適用される変化量を示す、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記制御回路(306) は、前記第2の整流回路の等価アドミタンスκに基づき、前記第1の電流設定値(δi
c )を生成するように構成されており、前記制御回路(306) は、例えば以下の式に基づいて前記等価アドミタンスκを計算するように構成されており、
【数1】
ここで、K
q は第1の整流回路及び第2の整流回路の各々qの推定ドループであり、lは、第1の整流回路(114) 及び第2の整流回路(112) の数である、請求項1~3のいずれか1つに記載の方法。
【請求項5】
前記制御回路(306) は、更に前記第2の整流回路(112) を通る電流の合計を表すグループ因子Γに基づき、前記第1の電流設定値(δi
c )を生成するように構成されており、前記制御回路(306) は、例えば以下の式に基づいて前記グループ因子Γを計算するように構成されており、
【数2】
ここで、u
rk,qは、前記第1の整流回路(114) 及び前記第2の整流回路(112) の各々qの出力電圧である、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記制御回路(306) は、以下の式に基づき、前記第1の電流設定値(δi
c )を生成するように構成されており、
【数3】
ここで、Rは前記工業プロセスの負荷抵抗の推定値であり、Eは前記工業プロセスの逆起電力電圧の推定値であり、i
c,0 は前記第1のプロセス設定値であり、δPは前記負荷変調設定値である、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記工業プロセスは、直流電流が流れる製造セルのラインを含む電気分解プロセスである、請求項1~6のいずれか1つに記載の方法。
【請求項8】
直流電流で電力供給される工業プロセスの電力消費を変更するための制御回路であって、
前記工業プロセスの電力に適用される変更量を示す負荷変調設定値(δP)と、前記工業プロセスに供給される電力レベルを示す一又は複数のフィードバック信号(i
line,u
line)とを受信し、
前記負荷変調設定値(δP)及び前記一又は複数のフィードバック信号(i
line,u
line)に基づき、第1の変圧器(116) 及び可飽和リアクトル(120) を有する第1の整流回路(114) によって前記工業プロセスに供給される第1の直流電流(i
c )の第1の電流設定値(δi
c )を生成し、
前記第1の電流設定値(δi
c )に基づき少なくとも前記第1の整流回路(114) の可飽和リアクトル(120) の飽和レベル及び前記第1の整流回路(114) の第1の変圧器(116) のタップ位置を制御するように構成されている第1の制御部(304) に第1の電流設定値(δi
c )を供給し、
第2の変圧器(116) を夫々有する一又は複数の第2の整流回路(112) によって前記工業プロセスに供給される第2の直流電流の第2の電流設定値(δi)を生成し、
前記第2の電流設定値(δi)に基づき前記一又は複数の第2の整流回路(112) の各々の第2の変圧器(116) のタップ位置を調節するように構成されている第2の制御部(302) に前記第2の電流設定値(δi)を供給する
ように構成されている、制御回路。
【請求項9】
工業プロセスのための電力供給システムであって、
請求項8に記載の制御回路と、
前記第1の整流回路(114) と、
前記第1の制御部(304) と
を備えている、電力供給システム。
【請求項10】
前記一又は複数の第2の整流回路と、
前記第2の制御部(302) と
を更に備えている、請求項9に記載の電力供給システム。
【請求項11】
電気分解プロセスを実行するためのシステムであって、
請求項9又は10に記載の電力供給システムと、
直流電流が流れる製造セルのラインと
を備えている、システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は一般的に電力管理システムの分野に関し、特に直流用途のために整流器を制御するための回路及び方法に関する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0002】
ある工業プロセスでは、プロセスを実施する一又は複数の要素に直流(DC)を適用することが必要である。例えば、電気分解プロセスでは、直流電流を製造セルのラインに流すことが必要である。
【0003】
送電網のバランシングサービスが提案されている。系統周波数は、送電網のある瞬間の電力のインバランスの最も重要な指標である。実際、消費の増加は、同期製造機の電力需要を増加させ、ひいては同期製造機の回転速度を遅らせる。逆に、ある瞬間の電力需要の減少により、過剰生産、ひいては周波数の上昇が生じる。
【0004】
欧州では、周波数制御に関連する実施及び機構を組織化して監督することにより、送電網の安定性を保証することは、送電系統運用者(TSO) の役割である。他の国々では、同様の役割を果たすエンティティがある。比較的大きな送電網では一般に、周波数偏差に対処するために使用される周波数制御の3つの層、つまり一次周波数制御、二次周波数制御及び三次周波数制御がある。周波数制御予備力(FCR) としても知られている一次周波数制御(PFC) は、大型の発電機のドループ特性によって主に与えられる。しかしながら、今日のスマートグリッド開発でのデマンドレスポンス(DR)の到来により、需要側が送電網の安定性における新たな関係者になった。実際、工業用地は、エネルギーコストの削減などの金銭的誘因と引き換えに工業用地の電力消費に積極的に柔軟性を持たせることが多い。
【0005】
電気分解プロセス、又は直流電流に基づく他の同様の工業プロセスの電力消費量を可変にすることにより、需要側の送電網のバランシングを可能にすることが有利になる。しかしながら、このような解決策の実施には技術的な課題がある。
【0006】
本開示の実施形態の目的は、先行技術における一又は複数の課題を少なくとも部分的に対応することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一実施形態によれば、直流電流で電力供給される工業プロセスの電力消費を変更する方法であって、制御回路によって、前記工業プロセスの電力に適用される変更量を示す負荷変調設定値と、前記工業プロセスに供給される電力レベルを示す一又は複数のフィードバック信号とを受信し、前記制御回路によって、前記負荷変調設定値及び前記一又は複数のフィードバック信号に基づき、第1の変圧器及び可飽和リアクトルを有する第1の整流回路によって前記工業プロセスに供給される第1の直流電流の第1の電流設定値を生成し、前記第1の電流設定値に基づき、少なくとも前記可飽和リアクトルの飽和レベルを制御するように構成されている第1の制御部に前記第1の電流設定値を供給する方法が提供される。
【0008】
一実施形態によれば、前記第1の制御部は、前記第1の電流設定値に基づき、前記第1の整流回路の第1の変圧器のタップ位置を制御するように更に構成されている。
【0009】
一実施形態によれば、前記第1の電流設定値は、前記第1の整流回路によって供給される電流の第1のプロセス設定値に適用される変化量を示す。
【0010】
一実施形態によれば、前記方法では更に、前記制御回路によって、第2の変圧器を夫々有する一又は複数の第2の整流回路によって前記工業プロセスに供給される第2の直流電流の第2の電流設定値を生成し、前記第2の電流設定値に基づき前記一又は複数の第2の整流回路の各々の第2の変圧器のタップ位置を調節するように構成されている第2の制御部に前記第2の電流設定値を供給する。
【0011】
一実施形態によれば、前記第2の電流設定値は、前記一又は複数の第2の整流回路によって供給される電流の第2のプロセス設定値に適用される変化量を示す。
【0012】
一実施形態によれば、前記制御回路は、前記第2の整流回路の等価アドミタンスκに基づき、前記第1の電流設定値を生成するように構成されており、前記制御回路は、例えば以下の式に基づいて前記等価アドミタンスκを計算するように構成されており、
【0013】
【0014】
ここで、Kq は第1の整流回路及び第2の整流回路の各々qの推定ドループであり、lは、第1の整流回路及び第2の整流回路の数である。
【0015】
一実施形態によれば、前記制御回路は、更に前記第2の整流回路を通る電流の合計を表すグループ因子Γに基づき、前記第1の電流設定値を生成するように構成されており、前記制御回路は、例えば以下の式に基づいて前記グループ因子Γを計算するように構成されており、
【0016】
【0017】
ここで、urk,qは、前記第1の整流回路及び前記第2の整流回路の各々qの出力電圧である。
【0018】
一実施形態によれば、前記制御回路は、以下の式に基づき、前記第1の電流設定値を生成するように構成されており、
【0019】
【0020】
ここで、Rは前記工業プロセスの負荷抵抗の推定値であり、Eは前記工業プロセスの逆起電力電圧の推定値であり、ic,0 は前記第1のプロセス設定値であり、δPは前記負荷変調設定値である。
【0021】
一実施形態によれば、前記工業プロセスは、直流電流が流れる製造セルのラインを含む電気分解プロセスである。
【0022】
更なる態様によれば、直流電流で電力供給される工業プロセスの電力消費を変更するための制御回路であって、
前記工業プロセスの電力に適用される変更量を示す負荷変調設定値と、前記工業プロセスに供給される電力レベルを示す一又は複数のフィードバック信号とを受信し、
前記負荷変調設定値及び前記一又は複数のフィードバック信号に基づき、第1の変圧器及び可飽和リアクトルを有する第1の整流回路によって前記工業プロセスに供給される第1の直流電流の第1の電流設定値を生成し、
前記第1の電流設定値に基づき少なくとも前記第1の整流回路の可飽和リアクトルの飽和レベルを制御するように構成されている第1の制御部に第1の電流設定値を供給する
ように構成されている、制御回路が提供される。
【0023】
更に別の態様によれば、工業プロセスのための電力供給システムであって、上記の制御回路と、前記第1の整流回路と、前記第1の制御部とを備えている、電力供給システムが提供される。
【0024】
一実施形態によれば、前記電力供給システムは、前記一又は複数の第2の整流回路と、第2の制御部とを更に備えており、前記制御回路は、第2の変圧器を夫々有する一又は複数の第2の整流回路によって前記工業プロセスに供給される第2の直流電流の第2の電流設定値を生成し、前記第2の電流設定値に基づき前記一又は複数の第2の整流回路の各々の第2の変圧器のタップ位置を調節するように構成されている前記第2の制御部に前記第2の電流設定値を供給するように更に構成されている。
【0025】
更なる態様によれば、電気分解プロセスを実行するためのシステムであって、上記の電力供給システムと、直流電流が流れる製造セルのラインとを備えている、システムが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0026】
前述及び他の特徴及び利点を、添付図面を参照して本発明を限定するものではなく実例として与えられる具体的な実施形態について以下に詳細に説明する。
【0027】
【
図1】本開示の実施形態に係る工業用地における電圧変換回路の例を概略的に示す図である。
【
図2】本開示の実施形態に係る
図1の整流回路を更に詳細に概略的に示す図である。
【
図3】本開示の実施形態に係る整流器制御システムを概略的に示す図である。
【
図4】本開示の実施形態に係る
図3の整流器制御システムの制御回路を更に詳細に概略的に示す図である。
【
図5】負荷を有する整流器の簡単なモデルを概略的に示す図である。
【
図6】電流に対する電圧を示して、負荷を有する整流器の動作を表す図表である。
【
図7】負荷を有する1対の整流器の簡単なモデルを概略的に示す図である。
【
図8】電流に対する電圧を示して、負荷の変更による動作を表す図表である。
【
図9】電流に対する電圧を示して、タップ切替を使用した電流制御による1対の整流器の動作を表す図表である。
【
図10】電流に対する電圧を示して、プロセスの変更後のタップ切替を使用した電流制御による1対の整流器の動作を表す図表である。
【
図11】負荷を有する1対の整流器の簡単なモデルであって、整流器の一方は可飽和リアクトルを有する構成を概略的に示す図である。
【
図12】電流に対する電圧を示して、可飽和リアクトルを使用した電流制御による1対の整流器の動作を表す図表である。
【
図13】グループ因子及び制御可能な電流に応じた有効電力の例を示す図表である。
【
図14】グループ因子及び制御可能な正電流に応じた有効電力の例を示す図表である。
【
図15】電流に対する電圧を示して、
図3の整流器制御システムにおける負荷変調の例を表す図表である。
【
図16】本開示の実施形態に係る電力供給システムを概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
様々な図面において、同様の特徴は同様の参照符号で示されている。特に、様々な実施形態に共通する構造的特徴及び/又は機能的特徴は、同一の参照符号を有して同一の構造特性、寸法特性及び材料特性を有する場合がある。
【0029】
特に指定されていない限り、共に接続された2つの要素を参照するとき、これは、導体以外のいかなる中間要素も無い直接接続を意味し、共に連結された2つの要素を参照するとき、これは、これら2つの要素が接続可能であるか、又は一若しくは複数の他の要素を介して連結可能であることを意味する。
【0030】
以下の開示では、特に示されていない場合、「前」、「後ろ」、「最上部」、「底部」、「左」、「右」などの絶対位置、若しくは「上方」、「下方」、「高」、「低」などの相対位置を限定する文言、又は「水平」、「垂直」などの向きを限定する文言を参照するとき、この文言は図面の向きを指す。
【0031】
特に指定されていない場合、「約」、「略」、「実質的に」及び「程度」という表現は、該当する値の10%の範囲内、好ましくは5%の範囲内を表す。
【0032】
図1は、本開示の実施形態に係る工業用地における電力供給回路100 の例を概略的に示す。高電圧バスバー(HIGH V BUSBAR) 102 は、例えば工業用地に供給される交流電圧を受ける。ある実施形態では、この電圧は少なくとも50 kVであり、例えば200 kV~250 kVの範囲内であり、例えば約220 kVである。
図1の電力供給回路100 は、直流電流を、電気分解プロセスなどの対応する工業プロセスに供給するための可変電力システム104 を備えている。ある実施形態では、可変電力システム104 は、高電圧バスバー102 と可変電力システム104 の中電圧バスバー(MED V BUSBAR) 110との間に結合されている対応する変圧器108 によって生成される、例えば10kV~50kVの範囲内、一例では約30kVの中間電圧レベルを受ける。
【0033】
可変電力システム104 は、例えば、中電圧バスバー110 と更なるDCバスバー(DCバスバー)115 との間に並列に配置されている一又は複数の整流回路112 を有しており、更なるDCバスバーを介して工業プロセスに電力が供給される。各整流回路112 は、例えば、ダイオードベースの整流器118 と直列に連結されて負荷時タップ切替装置を有する変圧器116 を有している。
図1の例では、このような整流回路112 が4つ互いに並列に配置されている。更に、可変電力システム104 は、例えば、中電圧バスバー110 と更なるDCバスバー115 との間に連結されている少なくとも1つの整流回路114 を有している。整流回路114 は、整流回路112 と同様であるが、例えば、変圧器116 とダイオードベースの整流器118 との間に配置されている少なくとも1つの可飽和リアクトル120 を更に有している。少なくとも1つの可飽和リアクトル120 が変圧器116 と中電圧バスバー110 との間に配置されることが更に可能である。
【0034】
図1の例では、可変電力システム104 が、並列に配置された4つの整流回路112 を有しているが、工業プロセスに供給される電流レベルに応じて、これらの整流回路の数が異なり得る。更に、1つの整流回路114 を有する可変電力システム104 ではなく、代替的な実施形態では、可変電力システム104 に、このような整流回路が2以上設けられ得る。
【0035】
図1の例では、例えば更なる変圧器122 及び低電圧バスバー124 を介して補助システムに供給するために、更なる変圧器108 及び更なるバスバー110 が設けられている。
【0036】
図2は、実施形態に係る
図1の整流回路114 をより詳細に概略的に示す。
【0037】
説明を容易にするために、
図2は、以下に第1相と称される信号交流相に関連付けられる回路を示す。実際には、例えば3つの交流相があり、整流回路114 の交流ドメインの回路は相毎に複製される。
【0038】
変圧器116 は、相毎に2つの出力端子を有し、整流器118 は、相毎に2つの入力端子を有する。更に、少なくとも1つの可飽和リアクトル120 は、
図2の例では、第1相のための1対の可飽和リアクトル120A, 120Bを有している。可飽和リアクトル120Aは、第1相の変圧器116 の出力端子の一方と第1相の整流器118 の入力端子の一方との間に連結、例えば接続されている。可飽和リアクトル120Bは、第1相の変圧器116 の出力端子の他方と第1相の整流器118 の入力端子の他方との間に連結、例えば接続されている。
【0039】
整流器118 は、例えば、2つの出力端子、つまり、バスバー115 の正のバスバー115+に連結、例えば接続されている出力端子212Aと、バスバー115 の負のバスバー115-に連結、例えば接続されている出力端子212Bとを有している。これらの出力端子212A, 212Bは、例えば全ての相に共通である。
【0040】
可飽和リアクトル120A, 120Bは、例えばアナログ制御信号である飽和制御信号SAT_CTRLによって、例えば夫々制御される。当業者に知られているように、可飽和リアクトルは、制御巻線に与えられる直流制御電流によって故意に飽和させられ得る磁気コアを有するインダクタの一種である。磁気コアのインダクタンスは、飽和前、交流電流のレベルを制限する。直流制御電流によって飽和すると、インダクタンスが低下し、磁気コアを流れる交流電流のレベルが上昇し得る。飽和制御信号SAT_CTRLは、例えば制御巻線の直流制御電流のレベルを設定する。
【0041】
変圧器116 は、例えば、第1相のために、バスバー110 と負荷時タップ切替装置(OLTC)204 の1つの端子との間に連結、例えば接続されている高圧(HV)遮断器202 を有している。高圧遮断器202 は、例えばスイッチを有しており、スイッチは、バスバー110 に連結、例えば接続されている一方の端子と、OLTC 204に連結、例えば接続されて更なるスイッチを介して接地に連結、例えば接続されている他方の端子とを有している。OLTC 204の他方の端子は、第1相のためにスター変圧器206 及びデルタ変圧器208 を夫々有する2つの並列分岐に連結、例えば接続されている。これらの変圧器206, 208は、例えば、30°の位相差だけオフセットされた交流電圧を与えるように構成されている。これらの変圧器206, 208は、例えば変圧器116 の別々の出力を夫々与える。スター変圧器206 は、例えば可飽和リアクトル120Aに連結、例えば接続されている出力端子を有しており、デルタ変圧器208 は、例えば可飽和リアクトル120Bに連結、例えば接続されている出力端子を有している。
【0042】
当業者に知られているように、負荷時タップ切替装置(OLTC)は、タップ切替中に供給を中断することなく、巻数比を個別の工程で選択し得る変圧器の機構である。OLTC 204は、例えばタップ位置、ひいては変圧器の巻数比を調節するためにOLTCのアクチュエータを制御するデジタル信号である制御信号TAP_CTRLによって、例えば制御される。例えば、このデジタル制御信号TAP_CTRLは、2つのバイナリ制御信号の形態であり、一方の信号は、タップを増やすときに設定されるUP信号であり、他方の信号はタップを減らすときに設定されるDOWN信号である。
【0043】
整流器118 は、例えば、当業者に知られているようにダイオードベースの12パルス整流器である。
図2には、第1相のための2対のダイオードが示されている。2対の内の一方の各ダイオードは、整流器118 の入力端子210A, 210Bの内の対応する入力端子に連結、例えば接続されているアノードと、整流器118 の出力端子212Aに対応するスイッチを介して連結、例えば接続されているカソードとを有している。他方の対の各ダイオードは、整流器118 の入力端子210A, 210Bの内の対応する入力端子に連結、例えば接続されているカソードと、整流器118 の出力端子212Bに対応するスイッチを介して連結、例えば接続されているアノードとを有している。4つのスイッチは夫々、例えば電動スイッチ(M)である。
【0044】
図2の例では、工業プロセスは、バスバー115+とバスバー115-との間に直列に連結されている逆e.m.f.(起電力)電圧E及び負荷抵抗Rで表されている。
【0045】
図1の変換システム104 の整流回路112 は、例えば
図2の回路と同様の回路によって実装されるが、可飽和リアクトル120A, 120Bを含まない。例えば、変圧器206 の出力端子は整流器118 の入力端子210Aに接続されており、変圧器208 の出力端子は整流器118 の入力端子210Bに接続されている。
【0046】
本明細書に記載されている実施形態によれば、整流回路114 の少なくとも1つの可飽和リアクトル120 、及び場合によっては整流回路112, 114のいずれか又は両方のOLTC 204は、
図3及び
図4を参照してより詳細に記載されるように、送電網のバランシング用途のために工業プロセスの電力消費を調節するために使用されることが有利である。
【0047】
図3は、
図1の可変電力システム104 を制御するために配置された整流器制御システム300 を概略的に示す。2以上の可変電力システムが設けられている、
図1の例のような用地の場合、各可変電力システムは、例えば同様の整流器制御システム300 によって制御される。
【0048】
整流器制御システム300 は、整流回路112 の変圧器116 のOLTCを制御するように構成されている制御部302 と、整流回路114 の一又は複数の可飽和リアクトル120 、及び場合によっては整流回路114 の変圧器116 のOLTCを制御するように構成されている制御部304 とを有している。整流器制御システム300 は、例えば制御回路306 を更に有している。
【0049】
制御回路306 は、例えば、工業プロセスの電力に適用される変更量を示す負荷変調設定値δPと、工業プロセスによって消費される電力レベルを示す工業プロセスからの一又は複数のフィードバック信号とを受信するように構成されている。
図3の例では、これらのフィードバック信号は、工業プロセスの製造セルのラインを流れる電流を示すライン電流i
line、及び製造セルのラインにかかる電圧に相当するライン電圧u
lineの形態である。
【0050】
例えば、電気分解プロセスの場合、電気分解セルのラインはポットラインとして知られており、同量の直流電流が電気分解セルの各々を通って流れる。ポットラインの総電圧は、電気分解セルのオーム電圧及び逆e.m.f.電圧の合計である。例えば、電気分解プロセスの場合、逆e.m.f.は、例えば電解質の解離反応によって生じる。
【0051】
制御回路306 は、例えば、負荷変調設定値δP及び一又は複数のフィードバック信号に基づき、整流回路112 によって工業プロセスに供給される直流電流の電流設定値δi及び整流回路114 によって工業プロセスに供給される直流電流の電流設定値δi
c を生成するように構成されている。
図3の例では、電流設定値δiは、元の設定値i
0 に適用される変化量の形態であり、電流設定値δi
c は、元の設定値i
c0に適用される変化量の形態である。設定値i
0 及び設定値i
c0は、例えばオペレータが入力する設定値を記憶する設定値メモリ(設定値)308 から、例えば与えられる。しかしながら、代替的な実施形態では、これらの電流設定値δi及び電流設定値δi
c のいずれか又は両方が、適用される電流を直接表すか、又は設定値の以前の値に対する変化量に対応することが可能である。
【0052】
制御部302 は、例えば、設定値δiを元の設定値i0 に加算して変更された設定値itap を生成するように構成されている加算器309 と、工業プロセスの製造セルのラインを流れる電流を示すライン電流ilineを、変更された設定値itap から減算するように構成されている減算器310 とを有している。この減算結果εは、整流回路112 の変圧器116 のOLTCによって適用される調節量を示す。例えば、信号εは、グループ制御部(OLTC GROUP CTRL) 312 に供給されるデジタル信号である。ある実施形態では、グループ制御部312 は、整流回路112 の変圧器116 の出力電流に対応する電流信号を入力信号として受信するように更に構成されている。グループ制御部312 は、例えば、信号εを一又は複数の閾値と比較して、整流回路112 の変圧器116 のOLTCの一又は複数に適用される変化を決定するように構成されている。グループ制御部312 は、例えば、各整流回路112 の変圧器116 に関連付けられている個々のOLTC制御部(OLTC CTRL) 314 に制御信号を与えるように構成されている。個々のOLTC制御部314 は、例えば、対応する変圧器116 のOLTCの電流状態を受信して、対応する変圧器116 のタップ位置を制御するための制御信号を生成するように夫々構成されている。
【0053】
制御部304 は、例えば、設定値δic を元の設定値ic0に加算して、変更された設定値ic を生成するように構成されている加算器316 を有しており、変更された設定値ic は可飽和リアクトル制御部(SR CTRL) 318 に与えられる。可飽和リアクトル制御部318 は、例えば、整流回路114 の一又は複数の可飽和リアクトル120 を制御するためのデジタル制御信号を生成するように構成されている。ある実施形態では、可飽和リアクトル制御部318 は、整流回路114 の変圧器116 のOLTCの電流状態を受信して、この変圧器116 のタップ位置を制御するための制御信号を生成するように更に構成されている。
【0054】
制御回路306 は、例えば、電流信号iline及び電圧信号ulineなどの一又は複数のフィードバック信号を処理して、工業プロセスの負荷抵抗の推定値R、及び工業プロセスの逆e.m.f.電圧の推定値Eを生成するように構成されている多重線形回帰モジュール(MLR) 320 を有している。フィードバック信号iline及びフィードバック信号uline並びに推定値R及び推定値Eは、例えば負荷変調制御部(LM CTRL) 322 に与えられ、負荷変調制御部322 は、例えば、
- 負荷変調設定値δP、
- 電流設定値ic0、
- 整流回路112 及び整流回路114 の各回路qの変圧器116 のタップ制御部の電流タップインデックス設定kを示すOLTCグループ制御部312 からのタップインデックスベクトル{TIk,q}、
- 整流回路112 及び整流回路114 の各回路qのドループを示すベクトル{Kq}、並びに
- 整流回路112 及び整流回路114 の無負荷電圧を示すベクトル{urk,q}
を更に受信する。
【0055】
図4は、
図3の制御回路306 及び設定値生成回路402 をより詳細に概略的に示す。
【0056】
設定値生成回路402 は、例えば、周波数オフセットδfと、整流回路112, 114によって適用される負荷変調のレベルを示す信号TSO とに基づいて負荷変調設定値δPを生成するように構成されている。例えば、信号TSO は送電系統運用者などによって与えられる。一実施形態では、周波数オフセットδfは、例えば工業用地にあるセンサ(不図示)によって局所的に取り込まれる。信号δfは、例えば工業用地で確かめられる主電源の周波数と、例えば50Hzの所与の目標周波数fmains との周波数オフセットを示し、一次予備力又はFCR (周波数回復予備力)を適用するために使用される。信号TSO は、例えば、電力設定値を示す二次予備力信号又はaFRR(自動周波数回復予備力)信号である。二次予備力は、例えば一次予備力と比較して応答時間がより長い。設定値生成回路402 は、例えば、信号δf及び信号TSO に夫々適用される伝達関数K及び伝達関数Hと、伝達関数によって生じる電力調節量を共に加算して負荷変調設定値δPを生成するように構成されている加算器404 とを有している。
【0057】
制御回路322 は、例えば、ベクトル{Kq}に基づいて整流回路の等価アドミタンスκを生成するように構成されているモジュール406 (EQUIV ADMITTANCE)を有している。例えば、モジュール406 は、以下の式に基づいて等価アドミタンスκを計算するように構成されている。
【0058】
【0059】
ここで、lは、整流回路112 及び整流回路114 の数である。
【0060】
制御回路322 は、例えば、ベクトル{urk,q}、ベクトル{Kq}及びベクトル{TIk,q}に基づいてグループ因子Γを生成するように構成されているモジュール408 (グループ因子)を更に有している。グループ因子Γは、整流回路及びタップ設定の状態を定量化する。例えば、モジュール408 は、以下の式に基づいてグループ因子Γを計算するように構成されている。
【0061】
【0062】
制御回路322 は、例えば電流設定値δi及び電流設定値δic を生成するように構成されている計算モジュール410 を、例えば更に有している。例えば、計算モジュール410 は、伝達関数f(ic,0 ,Γ,δP,κ,R,E)に基づいて電流設定値δic を計算するように構成されている。
【0063】
一例では、電流設定値δic は、以下の式に基づいて計算される。
【0064】
【0065】
この式は、例えば、特定の負荷状態{R,E}及び残りの整流器タップ切換器の現在の構成が与えられた場合、δPの電力変更量に達するために、制御可能な整流器の設定値ic,0 に加算されるある瞬間の値を与える。
【0066】
ある実施形態では、計算モジュール410 は、例えば伝達関数f(ic,0 ,Γ,δP,κ,R,E)に基づいて電流設定値δic‘を生成するように構成されており、この電流設定値は、その後、電流設定値δic を生成すべく誤差値Err に基づいて変更される。例えば、誤差値Err は、比例積分(PI)ブロックによって処理されて、その後、加算器412 によって電流設定値δic‘に加算される。誤差値Err は、例えば、リアルタイムの性能制御基準線を示す電力値P0 に基づいて生成される。例えば、乗算器414 がフィードバック信号iline及びフィードバック信号ulineを掛けて電力値Pを生成するように構成されており、電力値Pは、リアルタイム性能制御基準線計算器(RT PERF CTRL) 416に与えられ、リアルタイム性能制御基準線計算器416 は、例えば低域通過フィルタを適用することによって、電力値Pに基づいて電力値P0 を生成する。ある実施形態では、減算器417 は、電力値P0 と電圧値Pとの差を決定すべく使用され、減算器418 は、この差を負荷変調設定値δPから減算して、電流設定値δic を生成すべく電流設定値δic‘に適用される調節量を表す誤差値Err を生成するように構成されている。
【0067】
ある実施形態では、設定値δic の調節を考慮して工業プロセスに適用される直流電流の変化量δiは、以下の式に基づいて制御回路306 によって計算される。
【0068】
【0069】
この変化量δiは、例えば整流回路112 を制御するための電流設定値に適用される。特に、設定値δic の調節によって整流回路114 の動作が調節されると、例えば他の整流回路112 の動作点が変更され、予測される調節量からの偏差が生じる。この偏差をある程度無効にすべく信号δiを生成して適用することが有利である。
【0070】
計算モジュール410 は、例えば、
図5~15を参照してより詳細に記載されるように、整流回路のモデルに基づいて電流設定値δi及び電流設定値δi
c を生成するように構成されている。
【0071】
図5は、負荷を含んで可飽和リアクトルを含まない整流器の簡単なモデルを概略的に示す。例えば、
図5の簡単なモデルは、電気分解プロセスなどの工業プロセス(プロセス)に対応する負荷を通して直流電流i_fpを流す
図1の整流回路112 の内の1つを表す。前述のように、負荷はインピーダンスR及び逆e.m.f.電圧Eで表され、負荷にかかる電圧はuで表されている。整流回路112 は、無負荷電圧u
r を与える電圧源及びそのドループKで表されている。実際、負荷に供給される直流電流iのレベルが上昇すると、整流回路の出力で電圧レベルuが低下するため、整流回路はドループを有するようにモデル化され得る。
【0072】
図6は、電流iに応じた整流回路112 の出力電圧uを示す図表である。実質的に同一の負の傾きを夫々有する曲線601 ~曲線608 は、異なるタップ位置に基づく整流回路112 の応答を表す。曲線606 は、選択されたタップ位置の例を表す。曲線610 は、負荷を通って流れる直流電流に応じて負荷にかかる電圧を示す。この曲線は、逆e.m.f.電圧Eで電圧軸と交差し、負荷のインピーダンスRに等しい傾きを有する。1つの整流回路112 に基づくシステムの動作点は、直流電流i_fpに関連付けられた2つの曲線606 及び曲線610 間の交差点611 に相当する。
【0073】
しかしながら、E及びRの値は一定ではなく、工業プロセスのセル内のプロセスの進行のため、例えば、アルミニウム製錬所の場合、供給及び/又は抽出される材料の量、カソード、アノード及び/又はクラストの消費、温度、磁場などの変化のため、経時的に変化する。Rの変化は、例えば、曲線610 に対してより高い傾きの曲線612 と曲線610 に対してより低い傾きの曲線614 との間で曲線610 を変化させる。Eの変化は、例えば、曲線616 で表されるように電圧軸に沿って曲線610 をシフトさせる。E及びRの値が経時的に変化している場合に所与の動作点を維持するために、整流回路112 のOLTCを制御してタップ位置を変更することができる。例えば、電流iを、2つの式:u=ur-K×i及びu=E+R×iから得ることができるため、i=(ur-E)/(K+R)になる。ここで、E及びRはプロセスの物理的特性のため変化しており、K及びur は一定である。ur は調節され得るが、離散値間でのみ調節され得る。
【0074】
負荷に供給される直流電流を増やすために、2つの整流回路は並列モードで接続され得る。整流回路は、
図7及び
図8を参照して記載されるように、夫々のU-I曲線及び負荷特性に応じた量の電流を夫々与える。
【0075】
図7は、負荷を有する1対の整流器の簡単なモデルを概略的に示し、一方の整流回路がドループK
1 及び無負荷電圧u
r1を有し、他方の整流回路がドループK
2 及び無負荷電圧u
r2を有することを除いて
図5と同様である。
【0076】
図8は、電流に対する電圧を示す図表であり、
図7の一対の整流回路の動作を表す。所与のタップインデックスの組み合わせでは、整流器の電流の固有の構成が負荷に適用され、負荷に与えられる電流iは、各整流回路によって供給される電流i
1 及び電流i
2 の合計である。
【0077】
図7のモデルから、i
1+i
2=i、u=u
r1-K
1i
1、u=u
r2-K
2i
2、及びu=E+Riの4つの式及び4つの未知の因子の方程式系が設定され得る。従って、電流の式が、方程式系から以下のように抽出され得る。
【0078】
【0079】
図9は、電流に対する電圧を示す図表であり、タップ切替を使用した電流制御による1対の整流器の動作を表す。特に、各整流回路のタップ位置が第1の位置にある場合、電流i_fpの第1の動作点が得られる。タップを切り替えて両方の整流回路の電流を増加させた後、新しい動作点i_fp’が得られ、最初の電圧u及び最初の電流i_fpの積に等しい最初の電力と、新たな電圧u’及び新たな電流i_fp’の積に等しい新たな電力との差に相当する電力消費の増加量△Pをもたらす。
【0080】
図10は、電流に対する電圧を示す図表であり、タップ切替を使用した電流制御による1対の整流器の動作を表す。特に、
図10は、プロセスの変更により電流動作点が電流i_fpからより高い電流i_fp’に変化する場合を示す。整流回路の内の1つの一タップのステップダウンは、例えば、最初の電流i_fpにより近い電流動作点に戻るために適用される。
【0081】
図11は、負荷を有する1対の整流回路の簡単なモデルを概略的に示し、一方の整流回路は、整流回路112 のように可飽和リアクトルを有さず、他方の整流回路は、整流回路114 のように可飽和リアクトルを有する。特に、モデルは、端子間に電圧u
t1がかかる可飽和リアクトルSRが電圧源内に配置されている点を除いて、
図7のモデルと同様である。
図11では、可飽和リアクトルは、変更可能なインピーダンスとみなされ得る。リアクトル制御システムの入力は、本明細書では電流設定値としてみなされる。
【0082】
整流回路の内の1つに可飽和リアクトルが設けられているため、整流器の電流をスムーズに変更することができるという利点がある。しかしながら、他方の整流回路は、例えばドループ及びタップ電圧が一定の通常の挙動を維持する。可飽和リアクトルからの電流i1 が増加すると、負荷を流れる出力電流を増加させるだけでなく、他方の整流回路によって供給される電流i2 を減少させる。特に、整流器の電流i1 の増加の一部は、他方の整流回路によって引き出される電流i2 を放出するために「消費」される。
【0083】
一組の式は前の場合と同じであり、i1 は、純粋に制御可能な電流とみなされるだけである。全体的な電流及び電圧の応答は、以下のように得られる。
【0084】
【0085】
第2の整流器の電流i2 を、例えば電流i1 から得ることができる。
【0086】
【0087】
図12は、電流に対する電圧を示す図表であり、可飽和リアクトルを使用した電流制御による1対の整流器の動作を表す。特に、可飽和リアクトルを使用して電圧uをu
t1の量だけ調節することにより、動作点を変更して電力消費の変化量△Pをもたらし得ることが理解され得る。
【0088】
上記の手法はn個の整流回路に一般化されることができ、l個の整流回路は整流回路112 のような単純なダイオードベースの整流回路であり、m個の整流回路は整流回路114 のような可飽和リアクトルを有するダイオードベースの整流回路である。従って、n=l+mである。
【0089】
n+2個の未知の因子を有するn+2個の式の以下の方程式系は、電気モデルから抽出されることができ、n+2個の未知の因子は、{i,u,i1,・・・,in}である。方程式系{Eq.}は、以下の通りである。
【0090】
【0091】
変数{E,R,ur1,・・・,urn,K1,・・・,Kn}は、例えば、電気ハードウェア及びプロセスの一定の特性として既知であるか又は推定され得る。
【0092】
この方程式系は潜在的にクラメールの方程式系であるため、以下により詳細に記載されるように行列反転から解かれ得る。しかしながら、より詳細に説明するように、未知の因子のモデル式を有するという利点を用いた分析的解法が更に可能である。このため、実施の速度及び容易さの点で改善される。特に、分析原理に基づく解法の利点は、比較的簡単にコーディングできてオンサイトで実施でき、結果を継続的に与えるということである。逆に、行列反転は、結果が生成される度に解法の使用を必要とする。
【0093】
ライン電流は、(式1)として以下のように表現され得る。
【0094】
【0095】
ライン電圧は、(式2)として以下のように表現され得る。
【0096】
【0097】
整流回路qによって供給される各電流は、(式3)として以下のように表現され得る。
【0098】
【0099】
2つの一定の因子κ及び因子Γが、これらの式に導入され得ることにより、式が簡略化される。
【0100】
- κは整流器集合体を特徴付ける負のアドミタンス(又は負のコンダクタンス)に相当する(単位[Ω-1]又は[S](ジーメンス))。(式4)
【0101】
【0102】
- Γは、所与の構成で整流器グループを特徴付けるタップ関連のグループ因子である。比(urq/Kq)は、無電圧での「仮想」電流である(単位[A](アンペア))。(式5)
【0103】
【0104】
ここで、例えばFCR (周波数制御予備力)又はaFRR(自動周波数回復予備力)の解決策として、制御可能な整流器を使用して負荷変調を送電網に伝えることを検討する。一又は複数の制御可能な電流の整流器114 の電流設定値は、例えば制御可能なタップ電圧の整流器112 から抽出される。
【0105】
【0106】
【0107】
上記の式6~式8では、電流を制御可能な整流器のドループ及びタップ電圧が式では考慮されなくなることに注目すべきである。
【0108】
式6及び式7から、タップ電圧の設定及び電流制御設定値に応じて負荷に供給される有効電力が、以下のように表現されて簡略化され得る。
【0109】
【0110】
そのため、異なるように表現すると、以下のようになる。
【0111】
【0112】
グループ因子及び制御可能な電流に応じた有効電力の例を示す図表である
図13に示されているように、関数P=p(Γ,i
c)は「ハンモック」の表面に類似している。
【0113】
図14は、正の象限に制限されたグループ因子及び制御可能な正電流に応じた有効電力の例を示す図表である。
【0114】
有効電力Pは、ダイオードベースの整流回路112 のグループ因子と、可飽和リアクトルを有する一又は複数の整流回路114 からの電流設定値との組み合わせである。実際の動作では、R及びEも変化しているので、表面は常に動いている。負荷の古典的な調整では、全体的な電流iを可能な限り安定して維持させようとしている。
【0115】
図15は、電流に対する電圧を示す図表であり、
図3の整流器制御システムにおける負荷変調の例を表す。特に、
図15は最初の動作(太線)及び負荷変調構成(破線)を示す。電流設定値δi
c は、負荷変調設定値δPのため常に変化している。他の整流器の完全な集合体は、それに応じてタップを変更することなく変化している。各整流器の電流は機械的に減少するが、全体的な電圧及び電流が増加する。特に、
図15の例では、電流設定値δi
c によって、可飽和リアクトルを有する整流回路によって発生する電流が対応して増加する。この変化の一部は、他の調整回路によって補償されるが、全体的な結果として直流電流がδ
iの量だけ増加する。
【0116】
図16は、本開示の実施形態に係る電力供給システム1600を概略的に示す。
図16の例では、電力供給システム1600は、2つのクライアント用地1602, 1604、中央電力管理システム1606、市場サーバ(市場)1607及び送電網運用者サーバ(送電網運用者)1608を備えている。
【0117】
電力供給システム1600のクライアント用地は、工業用電気負荷及び/又は電力貯蔵部が設けられた用地に相当し、電気エネルギーが、送電網からクライアント用地に、及び/又はクライアント用地から送電網に移される。例えば、一又は複数の電力供給契約が、クライアント用地1602, 1604及び送電網の運用者が関与して締結され、エンティティ間の取引関係が確立される。2つのクライアント用地1602, 1604が
図16の実施形態に示されているが、代替的な実施形態では、中央電力管理システム1606によって管理される任意の数のクライアント用地があってもよい。
【0118】
クライアント用地1602, 1604には、現在のニーズ及び今後のニーズに合わせて適合され得る柔軟な電気エネルギー源、言い換えれば電気負荷及び/又は電気エネルギー貯蔵部が夫々設けられる。
【0119】
図16の例では、クライアント用地1602には電気エネルギー貯蔵部及び電気負荷が設けられており、クライアント用地1604には発電機及び電気負荷が設けられている。しかしながら、用地には、電気負荷に加えて電気エネルギー貯蔵部及び発電機の両方が設けられることが更に可能であり、一部の用地には電気負荷、発電機又は電気エネルギー貯蔵部のみが設けられることが更に可能である。
【0120】
例えば、クライアント用地1602には、例えば最大10MWの電気エネルギーを入力又は出力することができ、例えば10 kWh~20 MWh以上の貯蔵容量を有する大容量バッテリバンク1610が設けられている。バッテリバンク1610は、例えば、バッテリ管理システム(BMS) 1612を介して、以下デマンドレスポンス(DR)ボックス又は単にDRボックスと称されるオンサイト監視制御インタフェース(DRボックス)1614に連結されている。DRボックス1614は、例えばプログラマブルロジックコントローラ(PLC) であり、例えば、エネルギー管理システム(EMS) の役割と同様にエネルギーを管理するように更に構成されている。
【0121】
クライアント用地1602には例えば、
図16の例では工場によって表されている一又は複数の電気負荷1618が更に設けられており、電気負荷は、例えば
図3の整流器制御システム300 を備えている整流器制御回路(RC)1620を介してDRボックス1614に連結されている。例えば、電気負荷1618は、本明細書に記載されているような工業プロセスに対応する。DRボックス1614は、例えば、負荷変調設定値δP及び/又は信号TSO 及び/又は信号δfなどの制御信号を整流器制御回路1620に与えるように構成されている。
【0122】
DRボックス1614は、例えば、単相及び/若しくは三相の有効電力及び無効電力、並びに/又は他の電気特性を監視するために一又は複数のオンサイト計器(一又は複数の計器)1616に連結されている。例えば、オンサイト計器1616は、クライアント用地1602から分かるように、用地に及び/又は用地から供給される電流を監視する一又は複数の電気計器、バッテリバンク1610に供給されるか又はバッテリバンク1610から引き出される電流を監視する一又は複数の電気計器、電気信号の位相を監視する一又は複数の電気計器、並びに、送電網の電源電圧の周波数を監視する一又は複数のAC(交流)周波数計器を含む。測定されてもよい他の特性に電気エネルギー及び力率が含まれる。DRボックス1614は、例えばこれらの計器1616から計器データを収集するように構成されている。更に、DRボックス1614は、例えば、クライアント用地1602及び中央電力管理システム1606間に通信インタフェースを与えるように構成されている。
【0123】
DRボックス1614は、例えばインターネットを介して中央電力管理システム1606と通信することができ、場合によってはクライアント機器と通信することができる。例えば、
図16には示されていないが、DRボックス1614とインターネットとの接続は、交換通信網を介した接続、例えばADSL(非対称デジタル加入者回線)モデムを介した接続、又は、例えばセルラー方式の通信網を有する無線接続を介した接続である。
【0124】
クライアント用地1604には、例えばクライアント用地1602の役割と同様の役割を果たすDRボックス1614及び一又は複数の計器1616が設けられており、再度詳細に記載されない。クライアント用地1604には、例えばクライアント用地1602の電気負荷1618と同様の一又は複数の電気負荷1618が更に設けられており、電気負荷1618は、整流器制御回路(RC)1620を介してDRボックス1614に連結されている。更に、
図16の例ではクライアント用地1604に、例えば光電発電機、風力タービン、発電機セット、又は他の種類の発電機である一又は複数の発電機(発電機)1622が設けられている。
【0125】
図16の例では、1つのDRボックス1614がクライアント用地1602, 1604毎に設けられているが、代替的な実施形態では、2以上のDRボックス1614が複数の用地に設けられてもよい。
【0126】
中央電力管理システム1606は、例えば監視制御・データ収集システム(SCADA) である制御・データ収集システム1628を有しており、制御・データ収集システム1628は、各DRボックス1614からデータを受信して、DRボックス1614を介してクライアント用地1602, 1604に制御信号を与える役目を果たす。特に、SCADA 1628は、例えば、クライアント用地に供給されるか若しくはクライアント用地によって供給される電力、及び/又はバッテリバンク1610に適用されるか若しくはバッテリバンク1610から引き出される電力を制御するために制御信号をクライアント用地1602, 1604のDRボックスに送信する役目を果たす。更に、SCADA 1628は、クライアント用地1602, 1604からのデータ測定値、更にクライアント用地にバッテリが設けられている場合のバッテリバンク1610の充電状態などのクライアント用地の状態に関する情報を取得して記憶する役目を果たす。
【0127】
中央電力管理システム1606は、例えば分散エネルギー資源管理システム(DERMS) 1630を更に有しており、DERMS 1630は、例えば電力供給システム1600の様々なクライアント用地の負荷又はバッテリに関連して資源動作を組織化するように構成されたコンピュータプラットフォームである。DERMS 1630は更に、例えば市場サーバ1607及び送電網運用者サーバ1608とのインタフェースを与える。
【0128】
中央電力管理システム1606は、DERMS 1630と通信してSCADA 1628からデータを受信する監視・計画モジュール(監視+計画)1632を更に有している。
【0129】
例えば、市場サーバ1607は、現在及び/又は今後の電力価格についての情報、更に送電網運用者サーバ1608によって要求される起動についての情報を与える。
【0130】
送電網運用者サーバ1608は、例えば電力をクライアント用地に供給する送電網の運用者のコンピュータプラットフォームに相当する。欧州では、送電網運用者は、例えば送電系統運用者(TSO) 及び/又は配電系統運用者(DSO) に相当する。例えば、送電網運用者サーバ1608は起動順序をDERMS 1630に与え、DERMS 1630は、監視データ及び/又は負荷状態などの制御データを送電網運用者サーバ1608に与える。
【0131】
DERMS 1630は、例えば動作コストの削減又は送電網のバランシングサービスにより、クライアント用地でエネルギーコストを削減する及び/又は収益を上げるために、現在及び/又は今後の電力価格を考慮して、クライアント用地での電力使用量がどのように適合され得るかを決定するように構成されている。例えば、DERMS 1630は、例えば比較的低い電力価格を考慮して、送電網からバッテリバンク1610への充電を優先させるべき期間、及び例えば比較的高い電力価格を考慮して、送電網へのバッテリバンク1610の放電を優先させるべき期間を示す制御信号をクライアント用地に送信するように構成されている。
【0132】
本明細書に記載されている実施形態の利点は、直流電流によって駆動される工業プロセスの電力消費を比較的細かく調節することにより、需要側の送電網のバランシングが比較的簡単且つ効果的に実施され得るということである。
【0133】
様々な実施形態及び変形例が述べられている。当業者は、これらの実施形態のある特徴を組み合わせ得ることを理解し、他の変形例が当業者に容易に想起される。例えば、制御回路306 が、システムモデルを定める式に基づいて電流設定値を生成するように構成されている解決策が記載されているが、代替的な実施形態では、制御回路306 は異なるタイプの制御機構を適用するように構成されている。例えば、制御回路306 は、工業プロセスの電力消費の推定値と負荷変調設定値δPとの差に等しい誤差信号に基づいて閉ループ制御を適用することができる。他の例によれば、行列解法が、より詳細に記載されるように適用され得る。
【0134】
以下は、5つのダイオードベースの整流回路に基づく例であり、その内の1つは可飽和リアクトルを有している。言うまでもなく、同一の原理が異なる数の整流回路に適用されることができ、可飽和リアクトルを有する整流回路が2以上設けられ得る。
【0135】
以下の式は、5つの整流器及びポットラインの図から抽出され得る。
【0136】
【0137】
従って、以下のように書き換えられ得る7つの未知の因子を有する7つの式の方程式系がある。
【0138】
【0139】
そのため、行列形態の下では、以下のようになる。
【0140】
【0141】
行列式がゼロとは異なる場合、クラメールの方程式系があり、Aが反転され得る。
【0142】
【0143】
手動計算を行わずに、パイソンなどのソルバーを使用して、方程式系{7eq.-7unk.}が、当業者に知られているように解かれ得る。
【0144】
本特許出願は、参照によって本明細書に組み込まれている仏国特許出願第21/05719 号明細書の優先権を主張している。
【手続補正書】
【提出日】2024-01-31
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
直流電流で電力供給される工業プロセスの電力消費を変更する方法であって、
制御回路(306) によって、前記工業プロセスの電力に適用される変更量を示す負荷変調設定値(δP)と、前記工業プロセスに供給される電力レベルを示す一又は複数のフィードバック信号(i
line,u
line)とを受信し、
前記制御回路(306) によって、前記負荷変調設定値(δP)及び前記一又は複数のフィードバック信号(i
line,u
line)に基づき、第1の変圧器(116) 及び可飽和リアクトル(120) を有する第1の整流回路(114) によって前記工業プロセスに供給される第1の直流電流(i
c )の第1の電流設定値(δi
c )を生成し、
前記第1の電流設定値(δi
c )に基づき、少なくとも前記可飽和リアクトル(120) の飽和レベル及び前記第1の整流回路(114) の第1の変圧器(116) のタップ位置を制御するように構成されている第1の制御部(304) に前記第1の電流設定値(δi
c )を供給し、
前記制御回路(306) によって、第2の変圧器(116) を夫々有する一又は複数の第2の整流回路(112) によって前記工業プロセスに供給される第2の直流電流の第2の電流設定値(δi)を生成し、
前記第2の電流設定値(δi)に基づき前記一又は複数の第2の整流回路(112) の各々の第2の変圧器(116) のタップ位置を調節するように構成されている第2の制御部(302) に前記第2の電流設定値(δi)を供給する、方法。
【請求項2】
前記第1の電流設定値(δi
c )は、前記第1の整流回路(114) によって供給される電流の第1のプロセス設定値(i
c,0 )に適用される変化量を示す、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第2の電流設定値(δi)は、前記一又は複数の第2の整流回路(112) によって供給される電流の第2のプロセス設定値(i
0 )に適用される変化量を示す、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記制御回路(306) は、前記第2の整流回路の等価アドミタンスκに基づき、前記第1の電流設定値(δi
c )を生成するように構成されており、前記制御回路(306) は、例えば以下の式に基づいて前記等価アドミタンスκを計算するように構成されており、
【数1】
ここで、K
q は第1の整流回路及び第2の整流回路の各々qの推定ドループであり、lは、第1の整流回路(114) 及び第2の整流回路(112) の数である、請求項1
又は2に記載の方法。
【請求項5】
前記制御回路(306) は、更に前記第2の整流回路(112) を通る電流の合計を表すグループ因子Γに基づき、前記第1の電流設定値(δi
c )を生成するように構成されており、前記制御回路(306) は、例えば以下の式に基づいて前記グループ因子Γを計算するように構成されており、
【数2】
ここで、u
rk,qは、前記第1の整流回路(114) 及び前記第2の整流回路(112) の各々qの出力電圧である、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記制御回路(306) は、以下の式に基づき、前記第1の電流設定値(δi
c )を生成するように構成されており、
【数3】
ここで、Rは前記工業プロセスの負荷抵抗の推定値であり、Eは前記工業プロセスの逆起電力電圧の推定値であり、i
c,0 は前記第1のプロセス設定値であり、δPは前記負荷変調設定値である、請求項
2に記載の方法。
【請求項7】
前記工業プロセスは、直流電流が流れる製造セルのラインを含む電気分解プロセスである、請求項1
又は2に記載の方法。
【請求項8】
直流電流で電力供給される工業プロセスの電力消費を変更するための制御回路であって、
前記工業プロセスの電力に適用される変更量を示す負荷変調設定値(δP)と、前記工業プロセスに供給される電力レベルを示す一又は複数のフィードバック信号(i
line,u
line)とを受信し、
前記負荷変調設定値(δP)及び前記一又は複数のフィードバック信号(i
line,u
line)に基づき、第1の変圧器(116) 及び可飽和リアクトル(120) を有する第1の整流回路(114) によって前記工業プロセスに供給される第1の直流電流(i
c )の第1の電流設定値(δi
c )を生成し、
前記第1の電流設定値(δi
c )に基づき少なくとも前記第1の整流回路(114) の可飽和リアクトル(120) の飽和レベル及び前記第1の整流回路(114) の第1の変圧器(116) のタップ位置を制御するように構成されている第1の制御部(304) に第1の電流設定値(δi
c )を供給し、
第2の変圧器(116) を夫々有する一又は複数の第2の整流回路(112) によって前記工業プロセスに供給される第2の直流電流の第2の電流設定値(δi)を生成し、
前記第2の電流設定値(δi)に基づき前記一又は複数の第2の整流回路(112) の各々の第2の変圧器(116) のタップ位置を調節するように構成されている第2の制御部(302) に前記第2の電流設定値(δi)を供給する
ように構成されている、制御回路。
【請求項9】
工業プロセスのための電力供給システムであって、
請求項8に記載の制御回路と、
前記第1の整流回路(114) と、
前記第1の制御部(304) と
を備えている、電力供給システム。
【請求項10】
前記一又は複数の第2の整流回路と、
前記第2の制御部(302) と
を更に備えている、請求項9に記載の電力供給システム。
【請求項11】
電気分解プロセスを実行するためのシステムであって、
請求項9又は10に記載の電力供給システムと、
直流電流が流れる製造セルのラインと
を備えている、システム。
【国際調査報告】