(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-24
(54)【発明の名称】耐圧凝縮ボイラ
(51)【国際特許分類】
F22B 21/02 20060101AFI20240517BHJP
F24H 1/28 20220101ALI20240517BHJP
F22B 37/10 20060101ALI20240517BHJP
F22B 37/36 20060101ALI20240517BHJP
F22B 37/22 20060101ALI20240517BHJP
【FI】
F22B21/02
F24H1/28 Z
F22B37/10 601
F22B37/36 Z
F22B37/22 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023574293
(86)(22)【出願日】2021-08-13
(85)【翻訳文提出日】2023-11-30
(86)【国際出願番号】 CN2021112436
(87)【国際公開番号】W WO2023284051
(87)【国際公開日】2023-01-19
(31)【優先権主張番号】202110807836.2
(32)【優先日】2021-07-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522264157
【氏名又は名称】廊坊勁華鍋炉有限公司
【氏名又は名称原語表記】LANGFANG JINHUA BOILER CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】South of Haihe Bridge,Shigezhuang Town,Wen’an County Langfang,Hebei 065800,China
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】叶国領
(72)【発明者】
【氏名】張希軍
(72)【発明者】
【氏名】叶青
(72)【発明者】
【氏名】叶輝
(72)【発明者】
【氏名】張兵
(72)【発明者】
【氏名】趙欣
(72)【発明者】
【氏名】王国磊
(72)【発明者】
【氏名】武怡旻
(72)【発明者】
【氏名】武建中
(57)【要約】
本発明は、耐圧凝縮ボイラに関し、耐圧ハウジング、耐圧ハウジング内に設置された熱交換炉釜、前記熱交換炉釜に連通する燃焼室及び熱交換炉釜内に固定された冷却管群を含み、ここで、耐圧ハウジングには、燃焼室に接続される燃焼器継手、熱交換炉釜に連通する煙道ガス排出管、熱交換媒体入口及び熱交換媒体出口が設置され、熱交換媒体は、下から上へ耐圧ハウジング内及び冷却管群内に流通し、前記熱交換炉釜内の煙道ガスと逆流熱交換し、熱交換炉釜は、2段以上の円柱状の熱交換室を含み、隣接する熱交換室は、転換煙道を介して連通し、隣接する転換煙道の間は、互いに離れる方式で設置され、煙道ガスが拡散する最終段の熱交換室は、煙道ガス排出管に連通する。この耐圧凝縮ボイラは、構造が簡単で、熱効率が100%よりも高くてもよい。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
耐圧ハウジング(10)、前記耐圧ハウジング(10)内に設置された熱交換炉釜(20)、前記熱交換炉釜(20)に連通する燃焼室(30)及び前記熱交換炉釜(20)内に固定された冷却管群を含む耐圧凝縮ボイラであって、
前記耐圧ハウジング(10)には、前記燃焼室(30)に接続される燃焼器継手(31)、前記熱交換炉釜(20)に連通する煙道ガス排出管(32)、熱交換媒体入口(11)及び熱交換媒体出口(12)が設置され、ここで、熱交換媒体は、下から上へ前記耐圧ハウジング(10)内及び冷却管群内に流通し、前記熱交換炉釜(20)内の煙道ガスと逆流熱交換し、
前記熱交換炉釜(20)は、2段以上の円柱状の熱交換室を含み、前記熱交換室の上端面に煙道ガス入口が設置され、前記熱交換室の下端面に煙道ガス排出口が設置され、前記煙道ガス入口と前記煙道ガス排出口は、互いに離れて設置され、隣接する前記熱交換室は、転換煙道を介して連通し、煙道ガスが拡散する最終段の前記熱交換室は、前記煙道ガス排出管(32)に連通する、ことを特徴とする耐圧凝縮ボイラ。
【請求項2】
前記煙道ガス入口又は前記煙道ガス排出口は、円形、弧形又は類楕円形であり、又は、前記煙道ガス入口又は前記煙道ガス排出口は、複数の円形の第1の開口ユニットを含み、複数の前記第1の開口ユニットは、弧形又は類楕円形に配列される、ことを特徴とする請求項1に記載の耐圧凝縮ボイラ。
【請求項3】
前記熱交換炉釜(20)を囲み、前記耐圧ハウジング(10)と前記熱交換炉釜(20)との間に1つ以上の仕切り板(13)が設置される、ことを特徴とする請求項1に記載の耐圧凝縮ボイラ。
【請求項4】
各段の前記熱交換室に仕切り板(13)が対応して設置される、ことを特徴とする請求項3に記載の耐圧凝縮ボイラ。
【請求項5】
煙道ガスが拡散する方向に沿って、各段の前記熱交換室の高さは、順次減少する、ことを特徴とする請求項1に記載の耐圧凝縮ボイラ。
【請求項6】
前記熱交換炉釜(20)は、順次前記燃焼室(30)に連通する第1の熱交換室(21)、第2の熱交換室(22)及び第3の熱交換室(23)を含み、
前記第1の熱交換室(21)の上端面の中部に第1の煙道ガス入口(212)が設置され、前記第1の熱交換室(21)の下端面に周壁に近づく箇所に第1の煙道ガス排出口(213)が設置され、前記第1の熱交換室(21)において前記第1の煙道ガス入口(212)を囲んで第1の冷却管群(211)が配置され、
前記第2の熱交換室(22)の上端面に前記第1の煙道ガス排出口(213)に対応する第2の煙道ガス入口が設置され、前記第2の熱交換室(22)の下端面の前記第2の煙道ガス入口から離れる片側に第2の煙道ガス排出口(223)が設置され、前記第2の煙道ガス入口と前記第2の煙道ガス排出口(223)との間に第2の冷却管群(221)が設置され、
前記第3の熱交換室(23)の上端面に前記第2の煙道ガス排出口(223)に対応する第3の煙道ガス入口が設置され、前記第3の熱交換室(23)の下端面の前記第3の煙道ガス入口から離れる片側に第3の煙道ガス排出口(233)が設置され、前記第3の煙道ガス入口と前記第3の煙道ガス排出口(233)との間に第3の冷却管群(231)が配列される、ことを特徴とする請求項1に記載の耐圧凝縮ボイラ。
【請求項7】
前記熱交換炉釜(20)は、さらに前記第3の熱交換室(23)に連通する第4の熱交換室(24)を含み、前記第4の熱交換室(24)の上端面に前記第3の煙道ガス排出口(233)に対応する第4の煙道ガス入口が設置され、前記第4の熱交換室(24)の側壁に前記煙道ガス排出管(32)に連通する第4の煙道ガス排出口(243)が設置され、前記第4の煙道ガス入口と前記第4の煙道ガス排出口(243)との間に第4の冷却管群(241)が配列される、ことを特徴とする請求項6に記載の耐圧凝縮ボイラ。
【請求項8】
前記第1の煙道ガス入口(212)は、円形であり、前記第1の冷却管群(211)は、前記第1の煙道ガス入口(212)を囲んで円周状に配列され、前記第1の煙道ガス排出口(213)は、弧形で前記第1の熱交換室の下管板に位置し、又は、前記第1の煙道ガス排出口(213)は、複数の円形の第2の開口ユニットを含み、複数の前記第2の開口ユニットは、前記第1の熱交換室(21)の周壁に適合する弧形に配列され、
前記第2の煙道ガス入口は、前記第1の煙道ガス排出口(213)の位置に対応し、前記第2の煙道ガス入口は、前記第1の煙道ガス排出口(213)の形状に適合し、前記第2の煙道ガス排出口(223)は、円形又は類楕円形であり、又は、前記第2の煙道ガス排出口(223)は、複数の円形の第3の開口ユニットを含み、複数の前記第3の開口ユニットは、類楕円形に配列される、ことを特徴とする請求項7に記載の耐圧凝縮ボイラ。
【請求項9】
前記第3の煙道ガス入口又は前記第4の煙道ガス入口は、類楕円形であり、又は、前記第3の煙道ガス入口又は前記第4の煙道ガス入口は、複数の第4の開口ユニットを含み、複数の前記第4の開口ユニットは、類楕円形に配列され、
前記第3の冷却管群(231)又は前記第4の冷却管群(241)は、複数を有して相応する前記煙道ガス入口に適合して双曲線形に配列される、ことを特徴とする請求項8に記載の耐圧凝縮ボイラ。
【請求項10】
前記第2の冷却管群(221)、前記第3の冷却管群(231)及び前記第4の冷却管群(241)の外壁に熱交換フィンが設置される、ことを特徴とする請求項7に記載の耐圧凝縮ボイラ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本特許出願は、2021年07月16日に提出され、中国特許出願がNo.CN202110807836.2の優先権を主張する。先行出願の開示内容は、全体の引用により本願に組み込まれる。
【0002】
本発明は、ボイラ技術の分野に関し、特に耐圧凝縮ボイラに関する。
【背景技術】
【0003】
凝縮ボイラは、高温煙道ガスにおける顕熱と蒸気凝結により放出された潜熱を吸収することにより、ボイラの熱効率を向上させる目的を達成し、その最大熱効率は、109%に達することができ、通常ガス炉の熱効率よりも15~17%高い。一方、凝縮ボイラの排煙温度は、大幅に低下し、煙道ガスにおける窒素酸化物(NOx)は、超低排出される。
【0004】
凝縮ボイラは、その高効率・省エネルギーのために高い応用価値を有する。しかしながら、従来の耐圧凝縮ボイラは、熱交換の効率が低く、排煙温度が高く、大部分の耐圧凝縮ボイラは、炉体外に別に凝縮熱交換機器が組み合わせてセットにして設置され、これは耐圧凝縮ボイラの全体構造が非常に複雑であり、製造、取り付け及び応用コストが高い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の実施例は、耐圧凝縮ボイラを提供し、それは、逆流の熱交換、煙道ガス側の熱交換の強化及び対流熱交換係数の強化の原理に基づき、耐圧運転に適する凝縮ボイラを開発し、その熱効率を100%以上に向上させ、耐圧凝縮ボイラの製造、取り付け及び応用コストを大幅に低減させる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を実現するために、本発明は、耐圧凝縮ボイラを提供し、それは、耐圧ハウジング、耐圧ハウジング内に設置された熱交換炉釜、前記熱交換炉釜に連通する燃焼室及び熱交換炉釜内に固定された冷却管群を含み、
ここで、耐圧ハウジングには、燃焼室に接続される燃焼器継手、熱交換炉釜に連通する煙道ガス排出管、熱交換媒体入口及び熱交換媒体出口が設置され、熱交換媒体は、下から上へ耐圧ハウジング内及び冷却管群内に流通し、前記熱交換炉釜内の煙道ガスと逆流熱交換し、なお、燃焼器継手という用語は、広義に理解すべきであり、燃焼室継手は、燃焼室と外部部品との接続構造であり、当業者が創造的な労力を行わずに得られた燃焼室と外部部品との接続構造は、いずれも本願の保護範囲内にある。
【0007】
熱交換炉釜は、2段以上の円柱状の熱交換室を含み、熱交換室の上端面に煙道ガス入口が設置され、下端面に煙道ガス排出口が設置され、煙道ガス入口と煙道ガス排出口は、互いに離れて設置され、隣接する熱交換室は、転換煙道を介して連通し、煙道ガスが拡散する最終段の熱交換室は、煙道ガス排出管に連通する。
【0008】
本解決手段では、高温煙道ガスは、上から下へ段階的に拡散し、熱交換媒体は、下から上へ逆流熱交換を形成し、下部の比較的低い温度の熱交換媒体は、煙道ガスの排出温度を比較的低くさせ、上部の高温煙道ガスは、排出された熱交換媒体の温度を比較的高くさせ、耐圧ハウジングと円柱体構造の熱交換炉釜を採用し、耐圧運転に適し、本発明の実施例における耐圧凝縮ボイラから排出された熱交換媒体(通常水を用いる)は、高、低温温水であってもよく、蒸気であってもよい。特に、各段の熱交換室は、相対的に独立した熱交換チャンバーを有し、高温煙道ガスは、強制的に各段の熱交換室内に流通し、熱交換の効率を向上させ、また、熱交換室は、円柱形を呈し、ボイラの耐圧運転を実現することができる。従来技術において炉体外に別に凝縮熱交換機器が組み合わせてセットにして設置される必要があることと比較し、本発明の実施例が採用する凝縮ボイラは、『工業ボイラのエネルギー効率限定値及びエネルギー効率レベル(GB24500-2020)』における凝縮ボイラの1段エネルギー効率に対する要求を達成することができるだけでなく、また炉体外に別に凝縮熱交換機器を組み合わせてセットにして設置する必要とせず、且つ構造が簡単で、製造、取り付け及び応用コストが低い。本解決手段にて提供される熱交換炉釜は、熱交換の効率が高く、そのため炉体外に別の凝縮熱交換装置を組み合わせてセットにして設置する必要がない。
【0009】
例示的に、煙道ガス入口又は煙道ガス排出口は、円形、弧形又は類楕円形であり、又は、煙道ガス入口又は煙道ガス排出口は、複数の円形の開口ユニットを含み、複数の開口ユニットは、弧形又は類楕円形に配列される。
【0010】
いくつかの実施例では、熱交換炉釜を囲み、耐圧ハウジングと熱交換炉釜との間に1つ以上の仕切り板が設置される。仕切り板の設置により、熱交換媒体が抵抗の原因で冷却管群を流れなく又は少量流れることを防止できる一方、過熱の熱交換媒体が下部の低温熱交換媒体領域に還流することによる、底部の熱交換媒体の温度が上昇し、さらに煙道ガス排出管の排煙温度が上昇することを防止することができる。
【0011】
例示的に、各段の熱交換室に仕切り板が対応して設置される。このように各段の熱交換室内及び熱交換室外は、いずれも熱交換媒体と十分に接触することを保障できるだけでなく、且つ比較的高い温度の熱交換媒体が比較的低い温度の熱交換媒体領域に還流することを防止することができる。
【0012】
いくつかの実施例では、煙道ガスが拡散する方向に沿って、各段の熱交換室の高さは、順次減少する。
【0013】
いくつかの実施例では、熱交換炉釜は、順次前記燃焼室に連通する第1の熱交換室、第2の熱交換室及び第3の熱交換室を含み、
第1の熱交換室の上端面の中部に第1の煙道ガス入口が設置され、下端面に周壁に沿う弧状の第1の煙道ガス排出口が設置され、第1の煙道ガス入口を囲んで第1の冷却管群が配置され、
第2の熱交換室の上端面に第1の煙道ガス排出口に対応する第2の煙道ガス入口が設置され、下端面の第2の煙道ガス入口から離れる片側に第2の煙道ガス排出口が設置され、第2の煙道ガス入口と第2の煙道ガス排出口との間に第2の冷却管群が設置され、
第3の熱交換室の上端面に第2の煙道ガス排出口に対応する第3の煙道ガス入口が設置され、下端面の第3の煙道ガス入口から離れる片側に第3の煙道ガス排出口が設置され、第3の煙道ガス入口と第3の煙道ガス排出口との間に第3の冷却管群が配列される。
【0014】
上記解決手段では、高温煙道ガスは、順次折って第1の熱交換室、第2の熱交換室、第3の熱交換室を流れ、第1の熱交換室内に、高温煙道ガスは、第1の煙道ガス入口から放射状に拡散する方式で第1の煙道ガス入口を囲む第1の冷却管群を横方向にフラッシングし、第1の煙道ガス排出口を介して、高温煙道ガスは、第2の熱交換室に入り、第2の煙道ガス排出口は、互いに離れる方式で第2の煙道ガス入口の他側に設置され、そのため煙道ガスは、横方向にフラッシングする方式で第2の冷却管群と十分に熱交換し、同様の原理は、第3の熱交換室に適用する。
【0015】
いくつかの実施例では、熱交換炉釜は、さらに前記第3の熱交換室に連通する第4の熱交換室を含み、前記第4の熱交換室の上端面に前記第3の煙道ガス排出口に対応する第4の煙道ガス入口が設置され、側壁に前記煙道ガス排出管に連通する第4の煙道ガス排出口が設置され、前記第4の煙道ガス入口と前記第4の煙道ガス排出口との間に複数組の第4の冷却管群が配列される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の実施例の耐圧凝縮ボイラの外観構造概略図である。
【
図3】本発明の実施例における熱交換炉釜の立体構造概略図である。
【
図6】別の実施例における第1の煙道ガス排出口の構造概略図である。
【
図7】別の実施例における第2の煙道ガス排出口の構造概略図である。
【符号の説明】
【0017】
10-耐圧ハウジング、11-熱交換媒体入口、12-熱交換媒体出口、13-仕切り板、
20-熱交換炉釜、201-第1の転換煙道、202-第2の転換煙道、203-第3の転換煙道、
21-第1の熱交換室、211-第1の冷却管群、212-第1の煙道ガス入口、213-第1の煙道ガス排出口、214-第1の下管板、
22-第2の熱交換室、221-第2の冷却管群、223-第2の煙道ガス排出口、224-第3の下管板、
23-第3の熱交換室、231-第3の冷却管群、233-第3の煙道ガス排出口、
24-第4の熱交換室、241-第4の冷却管群、243-第4の煙道ガス排出口、
30-燃焼室、31-燃焼器継手、32-煙道ガス排出管。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明が解決しようとする技術的問題、技術的解決手段及び有益な効果をより明確にするために、以下、図面及び実施例と結び付けて、本発明をさらに詳細に説明する。理解すべきものとして、ここで説明した具体的な実施例は、本発明を解釈するためだけに用いられ、本発明を限定するものではない。
【0019】
耐圧凝縮ボイラと常圧凝縮ボイラは、いずれもボイラ製品の1種である。常圧ボイラは、定格作動圧力のゲージ圧力が0であり、その出口における媒体温度が90℃を超えない。耐圧ボイラは、作動圧力が≧0.1MPaであり、その出口における媒体温度が100℃よりも高くてもよく、また、耐圧ボイラは、水温の高低調整を行うことができ、耐圧ボイラは、高、低温温水を提供することができるだけでなく、高温蒸気を提供することもでき、しかも耐圧ボイラは、さらに圧力付きの作動環境に直接用いられることができる。そのため、耐圧ボイラは、より広い応用範囲を有する。
【0020】
出願者が常圧凝縮ボイラを開発したことはあるが、それは煙道ガスのバッフルにより方形の熱交換炉釜を少なくとも1段の旋回構造を有する連続煙道ガス通路に仕切られ、しかし、この構造は、耐圧ボイラに適用することができない。そのため、本発明の実施例は、耐圧凝縮ボイラを提供し、この耐圧凝縮ボイラは、より広い場合に適用することができる。
【0021】
以下、図面及び具体的な実施形態と結び付けて本発明をさらに詳細に説明する。
【0022】
図1及び
図2を参照し、本発明の実施例の耐圧凝縮ボイラは、耐圧ハウジング10、耐圧ハウジング10内に設置された熱交換炉釜20、熱交換炉釜20に連通する燃焼室30及び熱交換炉釜20内に固定された冷却管群を含む。耐圧ハウジング10は、
図1に示すように、ほぼ円柱形であり、上下両端が一体構造の楕円ヘッドである。耐圧ハウジング10の上部に燃焼室30を接続するための燃焼器継手31が設置され、耐圧ハウジング10の下部に熱交換炉釜20に連通する煙道ガス排出管32が設置される。燃焼室30の閉鎖端は、円滑な先端であり、燃焼室30の他端は、開口端であり、この開口端は、燃焼器継手31に連通して円滑に遷移して接続される。予混合された可燃性ガスは、燃焼室30内で十分に燃焼し、高温煙道ガスは、熱交換炉釜20を介して上から下へ煙道ガス排出管32に拡散する。しかも、耐圧ハウジング10の下部にさらに熱交換媒体に連通する熱交換媒体入口11が設置され、耐圧ハウジング10の上部に熱交換媒体出口12が設置される。比較的低い温度の熱交換媒体は、熱交換媒体入口11を介して入り、続いて下から上へ耐圧ハウジング10内、及び冷却管群内に流通し、熱交換媒体は、下から上へ流動する過程で熱交換炉釜20内の高温煙道ガスと逆流熱交換する。
【0023】
本実施例では、熱交換炉釜20は、2段以上の円柱状の熱交換室を含み、隣接する熱交換室は、転換煙道を介して連通し、隣接する転換煙道の間は、互いに離れる方式で設置され、煙道ガス拡散の最終段で、熱交換室は、煙道ガス排出管32に連通する。円柱状の熱交換室は、耐圧に適し、熱交換室と耐圧ハウジング10との間に熱交換媒体の流通に適する熱交換空間が形成される。各段の熱交換室は、相対的に独立した熱交換チャンバーを有し、隣接する熱交換チャンバーは、転換煙道を介して連続煙道となるように連通し、これは煙道ガスの復路を増加させ、十分な熱交換に有利であり、熱交換媒体の出口温度を向上させ、煙道ガスの出口温度を低減させ、それにより熱効率を向上させる。
【0024】
上記解決手段では、2段又は2段以上の熱交換室を設置し、例えば2段の熱交換室又は3段の熱交換室又は4段の熱交換室又はそれ以上の熱交換室を設置し、各段の熱交換室の煙道ガス入口と煙道ガス排出口は、互いに離れる方式で設置され、煙道ガスは、各段の熱交換室内に冷却管群を十分にフラッシングし、効果的な熱交換を実現し、熱交換室内の煙道ガス温度が段階的に低下し、最終段の熱交換室の煙道ガス温度は、最も低い。本願では、熱交換室に設置される段数を限定しない。
【0025】
ここで、各段の熱交換室の煙道ガス入口又は煙道ガス排出口は、相応する熱交換室に円滑な遷移構造を呈し、相応する煙道ガス入口と煙道ガス排出口に連通する転換煙道の側壁も円滑な遷移構造を呈する。各段の熱交換室は、筒形の側壁及び側壁に密閉して接続された上管板と下管板(
図1及び
図2に番号が付けられていない)を含み、上管板に煙道ガス入口が開設され、下管板に煙道ガス排出口が設置され、上管板と下管板は、さらに溶接などの方式で冷却管群の両端を固定する。冷却管群は、熱交換室内に立設され、両端が相応する上下管板から突出し、冷却管群の管孔は、耐圧ハウジング10の内部空間に連通し、熱交換炉釜20の内部空間に連通しない。熱交換媒体(通常水を用いる)は、冷却管群に流入して熱交換室の高温煙道ガスと熱交換し、続いて熱交換媒体は、冷却管群から排出されて耐圧ハウジング10内の熱交換媒体と混合する。煙道ガス入口と煙道ガス排出口は、円滑な遷移構造、例えば円形(
図4に示す第1の煙道ガス入口212)、弧形(
図5に示す第1の煙道ガス排出口213)又は類楕円形(
図5に示す第2の煙道ガス排出口223又は第3の煙道ガス排出口233)を採用し、円滑な遷移構造は、耐圧に適する。転換煙道の横断面は、相応する煙道ガス入口又は煙道ガス排出口の形状に適合し、耐圧に適する。煙道ガス入口と煙道ガス排出口の形状は、さらに複数の円形の開口ユニットで構成されてもよく、複数の開口ユニットは、
図6及び
図7に示すように、弧形又は類楕円形に配列されてもよい。
【0026】
耐圧凝縮ボイラの熱交換の効率を向上させるために、耐圧ハウジング10内に1つ以上の仕切り板13が設置され、仕切り板13は、
図2を参照し、熱交換炉釜20を囲んで設置され、耐圧ハウジング10と熱交換炉釜20との間に位置する。最終段の熱交換室の上方に1つの仕切り板13を設置することができ、その目的は、比較的高い温度の熱交換媒体の還流を防止することであり、比較的高い温度の熱交換媒体が還流すると、耐圧ハウジング10の下部の熱交換媒体の温度が上昇し、最終段の熱交換室の熱交換の効率が低下し、さらに排煙温度が上昇する。
【0027】
いくつかの実施例では、各段の熱交換室に仕切り板13が対応して設置される。熱交換媒体入口11から入った熱交換媒体は、冷却管群を介して熱交換炉釜20と耐圧ハウジング10との間の空間内に流通する。仕切り板13は、上段の熱交換媒体が比較的低い温度の熱交換媒体領域に還流することを防止し、熱交換の効率を効果的に向上させることができる。当然のことながら、仕切り板13は、耐圧ハウジング10と熱交換炉釜20との間の隙間を完全に閉鎖してもよく、耐圧ハウジング10と熱交換炉釜20との間の隙間を完全に閉鎖しなくてもよく、仕切り板13が前記隙間を完全に閉鎖する場合、前記隙間は、仕切り板13により上下に隣接し且つ互いに連通しない空間に仕切られ、この時、熱交換媒体は、前記隙間内に流通することができず、冷却管群内にしか流通することができなく、仕切り板13が前記隙間を完全に閉鎖しない場合、前記隙間は、仕切り板13により上下に隣接し且つ互いに連通する空間に仕切られ、この時、熱交換媒体は、同時に前記隙間と冷却管群内に流通することができ、仕切り板13は複数設置されてもよいが、隣接する仕切り板13の間は、熱交換媒体が流通できない閉鎖空間を形成することができない。
【0028】
各段の熱交換室の高さは、同じであってもよく、異なってもよい。いくつかの実施例では、各段の熱交換室の煙道ガスの流速を調整し、煙道ガスの流速を均一にさせるために、煙道ガスが拡散する方向に沿って、各段の熱交換室の高さは、順次減少する。一般的に、煙道ガスが上から下へ流動する時、上部の熱交換室内の煙道ガスの温度が高く、熱交換室の高さが大きく、最終段の熱交換室内の煙道ガスの温度が低く、熱交換室の高さが小さい。
【0029】
1つの具体的な実施例として、
図2乃至
図5を参考し、熱交換炉釜20に3段の熱交換室が設置され、この3段の熱交換室は、順次燃焼室30に連通する第1の熱交換室21、第2の熱交換室22及び第3の熱交換室23を含む。第1の熱交換室21の上端面の中部に第1の煙道ガス入口212が設置され、第1の熱交換室21の下端面に周壁に沿う弧状の第1の煙道ガス排出口213が設置され、第1の熱交換室21において第1の煙道ガス入口212を囲んで第1の冷却管群211が配置される。第2の熱交換室22の上端面に第1の煙道ガス排出口213に対応する第2の煙道ガス入口が設置され、第2の熱交換室22の下端面の第2の煙道ガス入口から離れる片側に第2の煙道ガス排出口223が設置され、第2の煙道ガス入口と第2の煙道ガス排出口223との間に複数組の弧形に配列された第2の冷却管群221が設置される。第3の熱交換室23の上端面に第2の煙道ガス排出口223に対応する第3の煙道ガス入口が設置され、第3の熱交換室23の下端面の第3の煙道ガス入口から離れる片側に第3の煙道ガス排出口233が設置され、第3の煙道ガス入口と第3の煙道ガス排出口233との間に複数組の第3の冷却管群231が配列される。第2の煙道ガス入口は、第1の煙道ガス排出口213の形状に適合し、両者は、第1の転換煙道201を介して連通し、同様に、第3の煙道ガス入口は、第2の煙道ガス排出口223の形状に適合し、両者は、第2の転換煙道202を介して連通する。
【0030】
なお、「第1」、「第2」は、説明の目的のためのものだけであり、相対的な重要性を指示し又は暗示し又は指示された技術的特徴の数を暗黙に示すと理解することができない。
【0031】
燃焼室30内から排出された高温煙道ガスは、第1の熱交換室21に放射状に拡散し、第1の熱交換室21内の煙道ガスは、第1の熱交換室21の下端面の第1の煙道ガス排出口213から第2の熱交換室22に排出される。煙道ガスは、第2の煙道ガス入口から第2の熱交換室22に入った後、包み込むように拡散して第2の冷却管群221を横方向にフラッシングし、続いて第2の煙道ガス排出口223に集め、最後に第2の転換煙道202から第3の熱交換室23に拡散する。煙道ガスは、第3の熱交換室23内に第3の冷却管群231を横方向にフラッシングし、第3の煙道ガス入口と第3の煙道ガス排出口233は、互いに離れる方式で設置され、それにより煙道ガス拡散の経路を長くさせ、熱交換の効率を向上させることができる。
【0032】
熱交換の効率及び排煙温度の要求に基づき、他の実施例では、
図2乃至
図5に示すように、熱交換炉釜20は、さらに第3の熱交換室23に連通する第4の熱交換室24を含む。第4の熱交換室24の上端面に第3の煙道ガス排出口233に対応する第4の煙道ガス入口が設置され、第4の熱交換室24の側壁に煙道ガス排出管32に連通する第4の煙道ガス排出口243が設置され、第4の煙道ガス入口と第4の煙道ガス排出口243との間に複数組の第4の冷却管群241が配列される。当然のことながら、熱交換の効率を向上させるために、熱交換炉釜20は、さらに第5の熱交換室及び第6の熱交換室などを含むことができる。
【0033】
以下、4段の熱交換室を例にして熱交換室の設置について説明する。
【0034】
図4に示すように、第1の煙道ガス入口212は、円形であり、第1の冷却管群211の両端は、第1の熱交換室21の上管板と下管板をそれぞれ貫通し、第1の冷却管群211は、第1の煙道ガス入口212を囲んで円周状に配列され、且つ2周が配列され、内輪と外輪の冷却管は、周方向にずれて設置される。第1の煙道ガス排出口213は、全体的に弧形を呈し、第1の熱交換室21の外壁に適合し、第1の煙道ガス排出口213は、円滑な遷移構造である。高温煙道ガスは、第1の煙道ガス入口212から第1の熱交換室21に入り、第1の煙道ガス入口212の周囲に設置された第1の冷却管群211を放射状にフラッシングし、十分な熱交換を行う。
【0035】
なお、第1の冷却管群211は、さらに3周又は4周、又はそれ以上に設置されてもよい。本願は、これに限定されない。
【0036】
他の実施例では、第1の煙道ガス排出口213は、さらに複数の円形の開口ユニットで構成されてもよく、複数の開口ユニットは、
図6に示すように、弧形に配列され、第1の下管板214において、複数の開口ユニットの配列軌跡は、第1の下管板214の外縁に適合する。
【0037】
第2の煙道ガス入口は、第1の煙道ガス排出口213の形状に適合する。第1の転換煙道201の横断面形状は、第1の煙道ガス排出口213の形状に適合し、各接続面は、円滑に遷移する。第2の煙道ガス排出口223は、円形又は類楕円形であり、第2の煙道ガス排出口223は、第2の熱交換室22の下端面に設置され、第2の煙道ガス入口から離れる片側に位置し、第2の冷却管群221は、複数組を有し且つ弧形に配列される。第2の冷却管群221が配列された弧形の開口方向は、第2の煙道ガス入口の弧形の開口方向と同じである。
図4に示すように、第2の冷却管群221の配列は、シールドと同様であり、ここで、シールドの防護面は、第2の煙道ガス入口に向き、このように第2の冷却管群221と拡散煙道ガスとの十分な接触に有利である。
【0038】
第2の煙道ガス排出口223は、さらに複数の円形の開口ユニットで構成されてもよく、複数の開口ユニットは、
図7に示すように(図において冷却管群は図示せず)、類楕円形に配列され、第2の煙道ガス排出口223は、1つの比較的大きい円形の開口ユニット及び2つの比較的小さい円形の開口ユニットを含み、ここで、1つの比較的大きい開口ユニット及び2つの比較的小さい開口ユニットは、類楕円状に組み合わせる。
【0039】
第3の煙道ガス入口の形状は、第2の煙道ガス排出口223の形状に適合し、第3の煙道ガス排出口233も類楕円形であり、第3の冷却管群231は、第3の煙道ガス入口と第3の煙道ガス排出口233との間に設置され、第3の冷却管群231は、複数を有して第3の煙道ガス排出口233に適合して双曲線形に配列される。
【0040】
第4の煙道ガス入口の構造は、第3の煙道ガス入口の構造と同じである。第4の熱交換室24の側壁に第4の煙道ガス排出口243が開設され、第4の煙道ガス排出口243は、煙道ガス排出管32に連通する。
【0041】
熱交換炉釜20の底部に凝縮水排出管が接続され、凝縮水を排出するために用いられる。凝縮水排出管は、耐圧ハウジング10を通して耐圧ハウジング10の外部に延び、それにより凝縮水を炉体から排出することができる。
【0042】
熱交換の面積を増やすために、第2の冷却管群221、第3の冷却管群231及び第4の冷却管群241の外壁に熱交換フィン(図示せず)を設置してもよい。熱交換フィンは、冷却管の軸方向に沿って螺旋状に分布する。
【0043】
本願にて提供される耐圧凝縮ボイラに対して、GB/T10180-2017『工業ボイラ熱工試験手順』に従って試験を行う。耐圧凝縮ボイラが全負荷で運転し、還水温度が60℃である場合、煙道ガス出口温度が61℃であり、熱効率(低位発熱値で計算する)が100%であり、耐圧凝縮ボイラが全負荷で運転し、還水温度が30℃である場合、煙道ガス出口温度が41℃であり、熱効率(低位発熱値で計算する)が105%であり、耐圧凝縮ボイラが30%の負荷で運転し、還水温度が30℃である場合、煙道ガス出口温度が35℃であり、熱効率(低位発熱値で計算する)が108%であり、耐圧凝縮ボイラが全負荷で運転して蒸気が生じる場合、煙道ガス出口温度が52℃であり、熱効率(低位発熱値で計算する)が103%である。
【0044】
以上記載したのは、本発明の好適な実施例に過ぎず、本願を限定するものではなく、本願の精神及び原則内で行われるいかなる修正、同等の置換及び改良などは、いずれも本願の保護範囲内に含まれるべきである。
【国際調査報告】