(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-24
(54)【発明の名称】連続コーティングラインを使用して電極を製造する方法
(51)【国際特許分類】
H01M 4/139 20100101AFI20240517BHJP
H01M 4/62 20060101ALI20240517BHJP
H01M 4/505 20100101ALI20240517BHJP
H01M 4/525 20100101ALI20240517BHJP
H01M 4/58 20100101ALI20240517BHJP
H01M 4/64 20060101ALI20240517BHJP
H01M 4/80 20060101ALI20240517BHJP
H01M 4/66 20060101ALI20240517BHJP
H01M 10/052 20100101ALI20240517BHJP
H01M 10/0568 20100101ALI20240517BHJP
H01M 10/0569 20100101ALI20240517BHJP
H01M 4/587 20100101ALI20240517BHJP
H01M 4/38 20060101ALI20240517BHJP
H01G 11/86 20130101ALI20240517BHJP
H01G 11/38 20130101ALI20240517BHJP
【FI】
H01M4/139
H01M4/62 Z
H01M4/505
H01M4/525
H01M4/58
H01M4/64 A
H01M4/80 C
H01M4/66 A
H01M10/052
H01M10/0568
H01M10/0569
H01M4/587
H01M4/38 Z
H01G11/86
H01G11/38
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023574377
(86)(22)【出願日】2022-06-02
(85)【翻訳文提出日】2024-01-18
(86)【国際出願番号】 CN2022096792
(87)【国際公開番号】W WO2022253304
(87)【国際公開日】2022-12-08
(32)【優先日】2021-06-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】399074983
【氏名又は名称】ピーピージー・インダストリーズ・オハイオ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】PPG Industries Ohio,Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チョウ、ジリアン
(72)【発明者】
【氏名】ヴォトルバ - ドルザル、ペーター ローレンス
(72)【発明者】
【氏名】クロウ、アダム ジェイコブ
(72)【発明者】
【氏名】ワツラ、ストヤン ゲイリー
(72)【発明者】
【氏名】マッツ、イアン ローレンス
(72)【発明者】
【氏名】ウー、ファンフイ
(72)【発明者】
【氏名】ジャン、ペンフェイ
(72)【発明者】
【氏名】リー、ジル
(72)【発明者】
【氏名】ヤン、ユルン
(72)【発明者】
【氏名】シスコ、スコット ウィリアム
(72)【発明者】
【氏名】リウ、ウェンチン
(72)【発明者】
【氏名】シルベスター、ケビン トーマス
(72)【発明者】
【氏名】チャン、ナ
【テーマコード(参考)】
5E078
5H017
5H029
5H050
【Fターム(参考)】
5E078AA14
5E078AB02
5E078AB06
5E078BA27
5E078BA44
5E078BA52
5E078BA53
5E078BB24
5E078BB33
5E078FA02
5E078FA03
5E078FA04
5E078FA12
5E078FA13
5H017CC01
5H017CC25
5H017EE01
5H017EE05
5H029AJ14
5H029AK01
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5H029AL11
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5H029AM07
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5H029DJ08
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5H029EJ01
5H029EJ12
5H029EJ14
5H029HJ01
5H029HJ04
5H029HJ07
5H050AA19
5H050BA16
5H050BA17
5H050CA01
5H050CA08
5H050CA09
5H050CB05
5H050CB08
5H050CB11
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5H050DA08
5H050DA09
5H050DA10
5H050DA11
5H050EA08
5H050EA09
5H050EA10
5H050EA11
5H050EA21
5H050EA24
5H050EA28
5H050FA13
5H050FA16
5H050GA02
5H050GA03
5H050GA10
5H050GA22
5H050HA01
5H050HA04
5H050HA07
5H050HA20
(57)【要約】
本開示は、基材の基材表面に電極コーティング層を塗布するための連続コーティングラインを使用して電極を製造する方法を提供し、連続コーティングラインは、コーティングヘッドとコーティング流体供給システムとを備えるコーティング装置と、加熱素子を備える少なくとも1つのオーブンと、基材を運ぶための基材キャリアと、を備え、方法は、基材キャリアを使用して、連続コーティングラインを通して基材を連続的に運ぶステップと、電池電極スラリー組成物をコーティングヘッドから基材表面に連続的に塗布して、湿式コーティングされた基材を形成するステップであって、電池電極スラリー組成物は連続的に、コーティング流体供給システムによってコーティングヘッドに補給される、形成するステップと、湿式コーティングされた基材をオーブン内で加熱して、乾燥したコーティングを基材上に形成するステップと、を含む。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材の基材表面に電極コーティング層を塗布するための連続コーティングラインを使用して電極を製造する方法であって、前記連続コーティングラインは、コーティングヘッドとコーティング流体供給システムとを備えるコーティング装置と、加熱素子を備える少なくとも1つのオーブンと、前記基材を運ぶための基材キャリアと、を備え、前記方法が、
前記基材キャリアを使用して、前記連続コーティングラインを通して前記基材を連続的に運ぶステップと、
電池電極スラリー組成物を前記コーティングヘッドから前記基材表面に連続的に塗布して、湿式コーティングされた基材を形成するステップであって、前記電池電極スラリー組成物が連続的に、前記コーティング流体供給システムによって前記コーティングヘッドに補給される、形成するステップと、
前記湿式コーティングされた基材を前記オーブン内で加熱して、乾燥したコーティングを前記基材上に形成するステップと、を含み、前記電池電極スラリー組成物が、
正の電池電極活性物質または負の電池電極活性物質を含む、電気化学的活性物質と、
リン酸トリアルキルを含むか、それから本質的になるか、またはそれからなる、有機媒体と、
結合剤であって、
(a)フッ化ビニリデンの残基を含む、フルオロポリマーと、
(b)1つまたは1つより多くの(メタ)アクリルポリマーであって、(i)アルキル基中に1~3個の炭素原子を含有する(メタ)アクリル酸の40重量%~80重量%のアルキルエステル、(ii)アルキル基中に4~18個の炭素原子を含有する(メタ)アクリル酸の18重量%~48重量%のアルキルエステル、(iii)0.1重量%~10重量%のヒドロキシアルキルエステル、(iv)0重量%~10重量%のα、β-エチレン系不飽和カルボン酸、および(v)複素環基を含む0重量%~20重量%のエチレン系不飽和モノマー、の残基を含む構成単位を含み、前記重量%が、前記1つまたは1つより多くの(メタ)アクリルポリマーを含む総モノマー重量に基づいている、1つまたは1つより多くの(メタ)アクリルポリマーと、を含む、結合剤と、必要に応じて、導電剤と、を含む、方法。
【請求項2】
前記フルオロポリマーが、前記有機媒体中に可溶化される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記有機媒体が、溶媒系を含み、前記溶媒系が、(i)前記リン酸トリアルキルと、(ii)共溶媒と、を含み、前記共溶媒が、ラクトン、ならびに/またはスルホキシドおよび/もしくはスルホン官能基を含む分子を含み、前記リン酸トリアルキルおよび前記共溶媒が、前記溶媒系の総重量に基づいて、前記溶媒系の少なくとも50重量%を含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
基材の基材表面に電極コーティング層を塗布するための連続コーティングラインを使用して電極を製造する方法であって、前記連続コーティングラインは、コーティングヘッドとコーティング流体供給システムとを備えるコーティング装置と、加熱素子を備える少なくとも1つのオーブンと、前記基材を運ぶための基材キャリアと、を備え、前記方法が、
前記基材キャリアを使用して、前記連続コーティングラインを通して前記基材を連続的に運ぶステップと、
電池電極スラリー組成物を前記コーティングヘッドから前記基材表面に連続的に塗布して、湿式コーティングされた基材を形成するステップであって、前記電池電極スラリー組成物が連続的に、前記コーティング流体供給システムによって前記コーティングヘッドに補給される、形成するステップと、
前記湿式コーティングされた基材を前記オーブン内で加熱して、乾燥したコーティングを前記基材上に形成するステップと、を含み、前記電池電極スラリー組成物が、
正の電池電極活性物質または負の電池電極活性物質を含む、電気化学的活性物質と、
溶媒系を含む有機媒体であって、前記溶媒系が、
(i)スルホキシド官能基を含む分子と、
(ii)グリコールエーテルおよび/もしくはエステルと、を含むか、本質的にそれらからなるか、またはそれらからなり、
前記溶媒系が、前記溶媒系の重量に基づいて、1重量%未満の、R
1C(=O)NR
2R
3構造を含む分子を含み、式中、R
1は、1~6個の炭素原子を有する、直鎖または分枝鎖であり得、かつ-C(=O)ORと-C(=O)NR
4R
5とを含む1つまたは1つより多くの官能基によって置換され得る脂肪族飽和基であり、Rは、1~6個の炭素原子を有するアルキル基であり、R
4およびR
5は、それぞれ独立して、メチル基またはエチル基であり、R
2およびR
3は、それぞれ独立して、メチル基またはエチル基である、有機媒体と、
フルオロポリマーを含む結合剤と、必要に応じて、導電剤と、を含む、方法。
【請求項5】
基材の基材表面に電極コーティング層を塗布するための連続コーティングラインを使用して電極を製造する方法であって、前記連続コーティングラインは、コーティングヘッドとコーティング流体供給システムとを備えるコーティング装置と、加熱素子を備える少なくとも1つのオーブンと、前記基材を運ぶための基材キャリアと、を備え、前記方法が、
前記基材キャリアを使用して、前記連続コーティングラインを通して前記基材を連続的に運ぶステップと、
電池電極スラリー組成物を前記コーティングヘッドから前記基材表面に連続的に塗布して、湿式コーティングされた基材を形成するステップであって、前記電池電極スラリー組成物が連続的に、前記コーティング流体供給システムによって前記コーティングヘッドに補給される、形成するステップと、
前記湿式コーティングされた基材を前記オーブン内で加熱して、乾燥したコーティングを前記基材上に形成するステップと、を含み、前記電池電極スラリー組成物が、
正の電池電極活性物質または負の電池電極活性物質を含む、電気化学的活性物質と、
有機媒体と、
前記有機媒体中に分散されているフルオロポリマーを含む結合剤と、必要に応じて、導電剤と、を含む、方法。
【請求項6】
前記有機媒体が、ブチルピロリドン、リン酸トリアルキル、1,2,3-トリアセトキシプロパン、3-メトキシ-N,N-ジメチルプロパンアミド、アセト酢酸エチル、γ-ブチロラクトン、プロピレングリコールメチルエーテル、シクロヘキサノン、プロピレンカーボネート、ジメチルアジペート、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、二塩基性エステル(DBE)、二塩基性エステル5、4-ヒドロキシ-4-メチル-2-ペンタノン、プロピレングリコールジアセテート、フタル酸ジメチル、メチルイソアミルケトン、プロピオン酸エチル、1-エトキシ-2-プロパノール、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、飽和および不飽和の直鎖および環状ケトン、ジイソブチルケトン、酢酸エステル、トリプロピレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルエーテルアセテート、またはそれらの組み合わせを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記有機媒体が、一次溶媒および共溶媒を含み、前記一次溶媒が、ブチルピロリドン、N-メチル-2-ピロリドン、リン酸トリアルキル、3-メトキシ-N,N-ジメチルプロパンアミド、1,2,3-トリアセトキシプロパン、またはそれらの組み合わせを含み、前記共溶媒が、アセト酢酸エチル、γ-ブチロラクトン、プロピレングリコールメチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、またはそれらの組み合わせを含む、請求項5または6に記載の方法。
【請求項8】
前記有機媒体が、リン酸トリエチルを含む一次溶媒と、アセト酢酸エチルを含む共溶媒と、を含む、請求項5に記載の方法。
【請求項9】
前記有機媒体が、リン酸トリエチルおよびアセト酢酸エチルを含むか、本質的にそれらからなるか、またはそれらからなる、請求項5に記載の方法。
【請求項10】
前記有機媒体が、少なくとも100kg/hrの蒸発速度を有する、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記電池電極スラリーが、直径50mmのコーンプレートを備えたAnton Paar MCR 302レオメータによって測定した場合、10s
-1において500~20,000cP、例えば、10s
-1において500~15,000cP、例えば、10s
-1において500~10,000cP、例えば、10s
-1において500~8,000cP、例えば、10s
-1において2,000~20,000cP、例えば、10s
-1において2,000~15,000cP、例えば、10s
-1において2,000~10,000cP、例えば、10s
-1において2,000~8,000cP、例えば、10s
-1において3,000~20,000cP、例えば、10s
-1において3,000~15,000cP、例えば、10s
-1において3,000~10,000cP、例えば、10s
-1において3,000~8,000cP、例えば、10s
-1において5,000~20,000cP、例えば、10s
-1において5,000~15,000cP、例えば、10s
-1において5,000~10,000cP、例えば、10s
-1において5,000~8,000cP、例えば、10s
-1において10,000~20,000cP、例えば、10s
-1において10,000~15,000cPの粘度を有する、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記有機媒体が、1.1体積%超、例えば、少なくとも1.2体積%、例えば、少なくとも1.3体積%、例えば、少なくとも1.4体積%、例えば、少なくとも1.5体積%、例えば、少なくとも1.6体積%の爆発下限界を有する、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記基材を運ぶための前記基材キャリアが、前記基材を、前記連続コーティングラインを通して、少なくとも1メートル/分(mpm)、例えば、少なくとも2mpm、例えば、少なくとも4mpm、例えば、少なくとも8mpm、例えば、少なくとも12mpm、例えば、少なくとも16mpm、例えば、少なくとも18mpm、例えば、少なくとも20mpm、例えば、少なくとも22mpm、例えば、少なくとも24mpm、例えば、少なくとも30mpm、例えば、少なくとも35mpm、例えば、少なくとも40mpm、例えば、少なくとも45mpm、例えば、少なくとも50mpm、例えば、少なくとも55mpm、例えば、少なくとも60mpm、例えば、少なくとも61mpm、例えば、少なくとも70mpm、例えば、少なくとも81mpm、例えば、少なくとも101mpmのライン速度で移動させる、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記オーブンが、1~80メートル、例えば、1~60メートル、例えば、1~40メートル、例えば、1~30メートル、例えば、1~20メートル、例えば、15~80メートル、例えば、15~60メートル、例えば、15~40メートル、例えば、15~30メートル、例えば、15~20メートル、例えば、18~80メートル、例えば、18~60メートル、例えば、18~40メートル、例えば、18~30メートル、例えば、18~20メートル、例えば、18.29~80メートル、例えば、18.29~60メートル、例えば、18.29~40メートル、例えば、18.29~30メートル、例えば、18.29~20メートル、例えば、40メートルの長さを有する、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記ライン速度の前記オーブン長さに対する比率が、少なくとも1mpm対オーブン長さ5メートル(1:5)、例えば、少なくとも1:3、例えば、少なくとも1:2、例えば、少なくとも1:1、例えば、少なくとも1.1:1、例えば、少なくとも1.2:1、例えば、少なくとも1.3:1、例えば、少なくとも1.4:1、例えば、少なくとも1.5:1である、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記オーブン内の前記基材の滞留時間が、5分以下、例えば、3分以下、例えば、1分以下、例えば、50秒以下、例えば、45秒以下、例えば、40秒以下である、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記電池電極スラリーが、前記電池電極スラリーの総重量に基づいて、少なくとも30重量%、例えば、少なくとも35重量%、例えば、少なくとも40重量%、例えば、少なくとも45重量%、例えば、少なくとも50重量%、例えば、少なくとも52重量%、例えば、少なくとも55重量%、例えば、少なくとも58重量%、例えば、少なくとも60重量%、例えば、少なくとも62重量%、例えば、少なくとも65重量%、例えば、少なくとも68重量%、例えば、少なくとも70重量%、例えば、少なくとも72重量%、例えば、少なくとも75重量%、例えば、少なくとも76重量%、例えば、少なくとも80重量%、例えば、少なくとも82重量%、例えば、少なくとも85重量%、例えば、少なくとも90重量%の固体含有量を有する、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記連続コーティングプロセスが、ロールツーロールコーティングラインである、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
コーティング装置が、スロットダイコータまたはリバースカンマコータを備える、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記連続コーティングラインが、溶媒回収システムをさらに備える、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記基材上の前記乾燥したコーティングが、カレンダープレスによってプレスされる、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記正の電池電極活性物質が、リチウムを組み込むことができる物質および/またはリチウム変換可能な物質を含む、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記リチウムを組み込むことができる物質が、LiCoO
2、LiNiO
2、LiFePO
4、LiCoPO
4、LiMnO
2、LiMn
2O
4、Li(NiMnCo)O
2、Li(NiCoAl)O
2、炭素コーティングされたLiFePO
4、またはそれらの組み合わせを含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記リチウム変換可能な物質が、硫黄、LiO
2、FeF
2およびFeF
3、Si、アルミニウム、スズ、SnCo、Fe
3O
4、またはそれらの組み合わせを含む、請求項22に記載の方法。
【請求項25】
前記負の電池電極活性物質が、グラファイト、ケイ素化合物、スズ、スズ化合物、硫黄、硫黄化合物、またはそれらの組み合わせを含む、請求項1~21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記フルオロポリマーが、フッ化ビニリデンの残基を含む(コ)ポリマーを含む、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記フルオロポリマーが、ポリフッ化ビニリデンポリマーを含む、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記結合剤の組成物が、第1のフルオロポリマーであって、250,000~700,000g/モル、または250,000~650,000g/モル、または250,000~600,000g/モル、または250,000~550,000g/モル、または250,000~500,000g/モル、または250,000~450,000g/モル、または250,000~400,000g/モル、または250,000~350,000g/モル、または250,000~300,000g/モル、または300,000~700,000g/モル、または300,000~650,000g/モル、または300,000~600,000g/モル、または300,000~550,000g/モル、または300,000~500,000g/モル、または300,000~450,000g/モル、または300,000~400,000g/モル、または300,000~350,000g/モル、または350,000~700,000g/モル、または350,000~650,000g/モル、または350,000~600,000g/モル、または350,000~550,000g/モル、または350,000~500,000g/モル、または350,000~450,000g/モル、または350,000~400,000g/モル、または400,000~700,000g/モル、または400,000~650,000g/モル、または400,000~600,000g/モル、または400,000~550,000g/モル、または400,000~500,000g/モル、または400,000~450,000g/モル、または450,000~700,000g/モル、または450,000~650,000g/モル、または450,000~600,000g/モル、または450,000~550,000g/モル、または450,000~500,000g/モル、または500,000~700,000g/モル、または500,000~650,000g/モル、または500,000~600,000g/モル、または500,000~550,000g/モル、または550,000~700,000g/モル、または550,000~650,000g/モル、または550,000~600,000g/モル、または600,000~700,000g/モル、または600,000~650,000g/モル、または650,000~700,000g/モルの重量平均分子量を有する、第1のフルオロポリマーと、
第2のフルオロポリマーであって、750,000~1,500,000g/モル、または750,000~1,250,000g/モル、または750,000~1,200,000g/モル、または750,000~1,150,000g/モル、または750,000~1,100,000g/モル、または750,000~1,050,000g/モル、または750,000~1,000,000g/モル、または750,000~950,000g/モル、または750,000~900,000g/モル、または750,000~850,000g/モル、または750,000~800,000g/モル、または800,000~1,500,000g/モル、または800,000~1,250,000g/モル、または800,000~1,200,000g/モル、または800,000~1,150,000g/モル、または800,000~1,100,000g/モル、または800,000~1,050,000g/モル、または800,000~1,000,000g/モル、または800,000~950,000g/モル、または800,000~900,000g/モル、または800,000~850,000g/モル、または850,000~1,500,000g/モル、または850,000~1,250,000g/モル、または850,000~1,200,000g/モル、または850,000~1,150,000g/モル、または850,000~1,100,000g/モル、または850,000~1,050,000g/モル、または850,000~1,000,000g/モル、または850,000~950,000g/モル、または850,000~900,000g/モル、または900,000~1,500,000g/モル、または900,000~1,250,000g/モル、または900,000~1,200,000g/モル、または900,000~1,150,000g/モル、または900,000~1,100,000g/モル、または900,000~1,050,000g/モル、または900,000~1,000,000g/モル、または900,000~950,000g/モル、または950,000~1,500,000g/モル、または950,000~1,250,000g/モル、または950,000~1,200,000g/モル、または950,000~1,150,000g/モル、または950,000~1,100,000g/モル、または950,000~1,050,000g/モル、または950,000~1,000,000g/モル、または1,000,000~1,500,000g/モル、または1,000,000~1,250,000g/モル、または1,000,000~1,200,000g/モル、または1,000,000~1,150,000g/モル、または1,000,000~1,100,000g/モル、または1,000,000~1,050,000g/モル、または1,050,000~1,500,000g/モル、または1,050,000~1,250,000g/モル、または1,050,000~1,200,000g/モル、または1,050,000~1,150,000g/モル、または1,050,000~1,100,000g/モル、または1,100,000~1,500,000g/モル、または1,100,000~1,250,000g/モル、または1,100,000~1,200,000g/モル、または1,100,000~1,150,000g/モル、または1,150,000~1,500,000g/モル、または1,150,000~1,250,000g/モル、または1,150,000~1,200,000g/モル、または1,200,000~1,500,000g/モル、または1,200,000~1,250,000g/モル、または1,250,000~1,500,000g/モルの重量平均分子量を有する、第2のフルオロポリマーと、を含む、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
前記電池電極スラリー組成物が、分散剤をさらに含む、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
前記導電剤が、活性炭、アセチレンブラック、ファーネスブラック、グラファイト、グラフェン、カーボンナノチューブ、炭素繊維、フラーレン、またはそれらの組み合わせを含む、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
前記電池電極スラリーが、イソホロンを実質的に含まない、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
前記電池電極スラリーが、N-メチル-2-ピロリドンを実質的に含まない、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
先行請求項のいずれか一項に記載の方法に従って形成された、電極。
【請求項34】
前記基材が、メッシュ、シート、もしくは箔の形態の銅またはアルミニウムを含む、請求項33に記載の電極。
【請求項35】
前記電極が、正極を備える、請求項33または34に記載の電極。
【請求項36】
前記電極が、負極を備える、請求項33または34に記載の電極。
【請求項37】
前記コーティングが、架橋されている、請求項33~36のいずれか一項に記載の電極。
【請求項38】
前記集電体が、前処理組成物で前処理される、請求項33~37のいずれか一項に記載の電極。
【請求項39】
前記乾燥したコーティングが、2,000ppm未満、または1,000ppm未満、または200ppm未満の量の残留有機媒体を含む、請求項33~38のいずれか一項に記載の電極。
【請求項40】
蓄電デバイスであって、
(a)請求項33~39のいずれか一項に記載の電極と、
(b)対電極と、
(c)電解質と、を備える、蓄電デバイス。
【請求項41】
(d)セパレータをさらに備える、請求項40に記載の蓄電デバイス。
【請求項42】
前記電解質(c)が、溶媒中に溶解されたリチウム塩を含む、請求項40または41に記載の蓄電デバイス。
【請求項43】
前記リチウム塩が、有機カーボネート中に溶解されている、請求項42に記載の蓄電デバイス。
【請求項44】
前記蓄電デバイスが、セル、電池、電池パック、二次電池、キャパシタ、またはスーパーキャパシタを備える、先行請求項40~43のいずれか一項に記載の蓄電デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、連続コーティングラインを使用して電極を製造する方法、および電池などの蓄電デバイス内で使用するためにそこから製造された電極に関する。
【背景技術】
【0002】
リチウムイオン電池電極の製造のために、基材に均一な層またはコーティングを塗布することができる、方法およびシステムが使用される。用いられるコーティングプロセスは、正極または負極用の電池電極スラリーを、集電体に、連続的に移動する基材に塗布し得る。連続コーティングラインのレイアウトは、引き出し、コーティングステーション、ドライヤ、および巻き戻しを含む。しかしながら、本プロセスを実行することができる速度は、溶媒の蒸発速度、乾燥時間、溶媒の爆発下限界(LEL)、および高品質の電極を生成する能力によって制限される。したがって、電池電極を製造するためのより高速なライン速度が望まれている。
【発明の概要】
【0003】
本開示は、基材の基材表面に電極コーティング層を塗布するための連続コーティングラインを使用して電極を製造する方法を提供し、連続コーティングラインは、コーティングヘッドとコーティング流体供給システムとを備えるコーティング装置と、加熱素子を備える少なくとも1つのオーブンと、基材を運ぶための基材キャリアと、を備え、方法は、基材キャリアを使用して、連続コーティングラインを通して基材を連続的に運ぶステップと、電池電極スラリー組成物をコーティングヘッドから基材表面に連続的に塗布して、湿式コーティングされた基材を形成するステップであって、電池電極スラリー組成物は連続的に、コーティング流体供給システムによってコーティングヘッドに補給される、形成するステップと、湿式コーティングされた基材をオーブン内で加熱して、乾燥したコーティングを基材上に形成するステップと、を含み、電池電極スラリー組成物は、正の電池電極活性物質または負の電池電極活性物質を含む、電気化学的活性物質と、リン酸トリアルキルを含むか、それから本質的になるか、またはそれからなる、有機媒体と、結合剤であって、(a)フッ化ビニリデンの残基を含むフルオロポリマーと、(b)1つまたは1つより多くの(メタ)アクリルポリマーであって、(i)アルキル基中に1~3個の炭素原子を含有する(メタ)アクリル酸の40重量%~80重量%のアルキルエステル、(ii)アルキル基中に4~18個の炭素原子を含有する(メタ)アクリル酸の18重量%~48重量%のアルキルエステル、(iii)0.1重量%~10重量%のヒドロキシアルキルエステル、(iv)0重量%~10重量%のα、β-エチレン系不飽和カルボン酸、および(v)複素環基を含む0重量%~20重量%のエチレン系不飽和モノマー、の残基を含む構成単位を含み、重量%が、1つまたは1つより多くの(メタ)アクリルポリマーを含む総モノマー重量に基づいている、1つまたは1つより多くの(メタ)アクリルポリマーと、を含む、結合剤と、必要に応じて、導電剤と、を含む。
【0004】
本開示はまた、基材の基材表面に電極コーティング層を塗布するための連続コーティングラインを使用して電極を製造する方法も提供し、連続コーティングラインは、コーティングヘッドとコーティング流体供給システムとを備えるコーティング装置と、加熱素子を備える少なくとも1つのオーブンと、基材を運ぶための基材キャリアと、を備え、方法は、基材キャリアを使用して、連続コーティングラインを通して基材を連続的に運ぶステップと、電池電極スラリー組成物をコーティングヘッドから基材表面に連続的に塗布して、湿式コーティングされた基材を形成するステップであって、電池電極スラリー組成物は連続的に、コーティング流体供給システムによってコーティングヘッドに補給される、形成するステップと、湿式コーティングされた基材をオーブン内で加熱して、乾燥したコーティングを基材上に形成するステップと、を含み、電池電極スラリー組成物は、正の電池電極活性物質または負の電池電極活性物質を含む、電気化学的活性物質と、有機媒体であって、(i)スルホキシド官能基を含む分子と、(ii)グリコールエーテルおよび/またはエステルと、を含むか、本質的にそれからなるか、またはそれからなり、溶媒系が、溶媒系の重量に基づいて、1重量%未満の、R1C(=O)NR2R3構造を含む分子を含み、式中、R1は、1~6個の炭素原子を有する、直鎖または分枝鎖であり得、かつ-C(=O)ORと-C(=O)NR4R5とを含む1つまたは1つより多くの官能基によって置換され得る脂肪族飽和基であり、Rは、1~6個の炭素原子を有するアルキル基であり、R4およびR5は、それぞれ独立して、メチル基またはエチル基であり、R2およびR3は、それぞれ独立して、メチル基またはエチル基である、有機媒体と、フルオロポリマーを含む結合剤と、必要に応じて、導電剤と、を含む。
【0005】
本開示はまた、基材の基材表面に電極コーティング層を塗布するための連続コーティングラインを使用して電極を製造する方法も提供し、連続コーティングラインは、コーティングヘッドとコーティング流体供給システムとを備えるコーティング装置と、加熱素子を備える少なくとも1つのオーブンと、基材を運ぶための基材キャリアと、を備え、方法は、基材キャリアを使用して、連続コーティングラインを通して基材を連続的に運ぶステップと、電池電極スラリー組成物をコーティングヘッドから基材表面に連続的に塗布して、湿式コーティングされた基材を形成するステップであって、電池電極スラリー組成物は連続的に、コーティング流体供給システムによってコーティングヘッドに補給される、形成するステップと、湿式コーティングされた基材をオーブン内で加熱して、乾燥したコーティングを基材上に形成するステップと、を含み、電池電極スラリー組成物は、正の電池電極活性物質または負の電池電極活性物質を含む、電気化学的活性物質と、有機媒体と、有機媒体中に分散されているフルオロポリマーを含む結合剤と、必要に応じて、導電剤と、を含む。
【0006】
本開示はまた、本開示の方法のいずれかから形成された、電極も提供する。
【0007】
本開示は、(a)本開示の方法のいずれかから形成された、電極と、(b)対電極と、(c)電解質とを備える蓄電デバイスをさらに提供する。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本開示は、基材の基材表面に電極コーティング層を塗布するための連続コーティングラインを使用して電極を製造する方法を対象とし、連続コーティングラインは、コーティングヘッドとコーティング流体供給システムとを備えるコーティング装置と、加熱素子を備える少なくとも1つのオーブンと、基材を運ぶための基材キャリアと、を備え、方法は、基材キャリアを使用して、連続コーティングラインを通して基材を連続的に運ぶステップと、電池電極スラリー組成物をコーティングヘッドから基材表面に連続的に塗布して、湿式コーティングされた基材を形成するステップであって、電池電極スラリー組成物は連続的に、コーティング流体供給システムによってコーティングヘッドに補給される、形成するステップと、湿式コーティングされた基材をオーブン内で加熱して、乾燥したコーティングを基材上に形成するステップと、を含み、電池電極スラリー組成物は、正の電池電極活性物質または負の電池電極活性物質を含む、電気化学的活性物質と、有機媒体と、有機媒体中に分散されているかまたは可溶化されるフルオロポリマーを含む結合剤と、必要に応じて、導電剤と、を含む。
【0009】
本開示によれば、本方法は、基材キャリアを使用して、連続コーティングラインを通して基材を連続的に運ぶステップをさらに含む。したがって、連続コーティングラインは、基材を運ぶための基材キャリアをさらに備える。基材キャリアは、限定されず、任意の好適な基材キャリアを含み得る。例えば、連続コーティングラインは、基材が、ロール(タレット)から引き出され、一連のロール上で連続コーティングラインを通って運ばれ、コーティングラインの端部でロール(タレット)に巻き戻される、ロールツーロールコーティングラインを含み得る。
【0010】
基材を運ぶための基材キャリアは、基材を、連続コーティングラインを通して、少なくとも1メートル/分(mpm)、例えば、少なくとも2mpm、例えば、少なくとも4mpm、例えば、少なくとも8mpm、例えば、少なくとも12mpm、例えば、少なくとも16mpm、例えば、少なくとも18mpm、例えば、少なくとも20mpm、例えば、少なくとも22mpm、例えば、少なくとも24mpm、例えば、少なくとも30mpm、例えば、少なくとも35mpm、例えば、少なくとも40mpm、例えば、少なくとも45mpm、例えば、少なくとも50mpm、例えば、少なくとも55mpm、例えば、少なくとも60mpm、例えば、少なくとも61mpm、例えば、少なくとも70mpm、例えば、少なくとも81mpm、例えば、少なくとも101mpmのライン速度で移動させ得る。
【0011】
本開示によれば、本方法は、電池電極スラリー組成物をコーティングヘッドから基材表面に連続的に塗布して、湿式コーティングされた基材を形成するステップを含み、電池電極スラリー組成物は連続的に、コーティング流体供給システムによってコーティングヘッドに補給される。したがって、連続コーティングラインは、コーティングヘッドを備える、コーティング装置を含む。コーティングヘッドは、任意の好適なコーティングヘッドを含み得る。例えば、コーティングヘッドは、とりわけ、スロットダイコータまたはリバースカンマコータを備え得る。
【0012】
コーティング装置はまた、コーティング流体供給システムも備える。コーティング流体供給システムは、コーティングヘッドへの電池電極スラリー組成物の流れを調節して、均一なコーティング塗布を可能にする。コーティング流体供給システムは、任意の好適なシステムを備え得る。コーティング流体供給システムは、例えば、供給ポンプ、流量制御バルブ、および供給ラインを備え得る。
【0013】
本開示によれば、本方法は、湿式コーティングされた基材をオーブン内で加熱して、乾燥したコーティングを基材上に形成するステップをさらに含む。したがって、連続コーティングラインは、加熱素子を備える少なくとも1つのオーブンをさらに備える。オーブンは、限定されず、任意の好適なオーブンを含み得る。オーブンは、基材が加熱素子を通過し、加熱素子からの高温にさらされるように、構成および配置されている。加熱素子は、限定されず、任意の好適な加熱素子を含み得る。例えば、加熱素子は、電気式、蒸気加熱式、または油加熱式であり得る。オーブンの温度は、少なくとも50℃、例えば、少なくとも60℃、例えば、少なくとも70℃、例えば、少なくとも80℃、例えば、少なくとも90℃、例えば、少なくとも95℃、例えば、少なくとも100℃、例えば、少なくとも110℃、例えば、少なくとも120℃、例えば、少なくとも130℃、例えば、少なくとも140℃であってもよい。オーブンの温度は、150℃以下、例えば、140℃以下、例えば、130℃以下、例えば、120℃以下、例えば、110℃以下、例えば、100℃以下、例えば、90℃以下、例えば、80℃以下、例えば、70℃以下、例えば、60℃以下であってもよい。オーブンの温度は、50℃~150℃、例えば、50℃~140℃、例えば、50℃~130℃、例えば、50℃~120℃、例えば、50℃~110℃、例えば、50℃~100℃、例えば、50℃~90℃、例えば、50℃~80℃、例えば、50℃~70℃、例えば、50℃~60℃、例えば、60℃~150℃、例えば、60℃~140℃、例えば、60℃~130℃、例えば、60℃~120℃、例えば、60℃~110℃、例えば、60℃~100℃、例えば、例えば、60℃~90℃、例えば、60℃~80℃、例えば、60℃~70℃、例えば、70℃~150℃、例えば、70℃~140℃、例えば、70℃~130℃、例えば、70℃~120℃、例えば、70℃~110℃、例えば、70℃~100℃、例えば、70℃~90℃、例えば、70℃~80℃、例えば、80℃~150℃、例えば、80℃~140℃、例えば、80℃~130℃、例えば、80℃~120℃、例えば、80℃~110℃、例えば、80℃~100℃、例えば、80℃~90℃、例えば、90℃~150℃、例えば、90℃~140℃、例えば、90℃~130℃、例えば、90℃~120℃、例えば、90℃~110℃、例えば、90℃~100℃、例えば、95℃~150℃、例えば、95℃~140℃、例えば、95℃~130℃、例えば、95℃~120℃、例えば、95℃~110℃、例えば、95℃~100℃、例えば、100℃~150℃、例えば、100℃~140℃、例えば、100℃~130℃、例えば、100℃~120℃、例えば、100℃~110℃、例えば、110℃~150℃、例えば、110℃~140℃、例えば、110℃~130℃、例えば、110℃~120℃、例えば、120℃~150℃、例えば、120℃~140℃、例えば、120℃~130℃、例えば、130℃~150℃、例えば、130℃~140℃、例えば、140℃~150℃であってもよい。
【0014】
上述したように、連続コーティングラインは、2つ以上のオーブン、例えば、少なくとも2つのオーブン、例えば、少なくとも3つのオーブン、例えば、少なくとも4つのオーブン、例えば、少なくとも5つのオーブン、例えば、少なくとも6つのオーブン、例えば、少なくとも7つのオーブン、例えば、少なくとも8つのオーブン、またはそれ以上を備え得る。
【0015】
少なくとも1つのオーブンまたは組み合わせまたはオーブンは、オーブンの全長にわたって、変化する加熱ゾーンを形成し得る。各ゾーンは、同じ温度に加熱されてもよく、またはそれぞれが独立して異なる温度であってもよい。例えば、各加熱ゾーンは、同じ温度を有してもよく、加熱ゾーンは、基材が連続コーティングラインの加熱ゾーンをさらに下方に移動するにつれて、温度が上昇してもよく、加熱ゾーンは、基材が連続コーティングラインの加熱ゾーンをさらに下方に移動するにつれて、温度が低下してもよく、または加熱ゾーンは、温度がより変化してもよい(例えば、第1の加熱ゾーンは、第2の加熱ゾーンよりも温度が高く、第3の加熱ゾーンから最後の加熱ゾーンは、第2の加熱ゾーンと比べて温度が上昇する)。
【0016】
オーブンの長さは、限定されず、任意の好適な長さであってもよい。例えば、オーブンは、少なくとも1メートル、例えば、少なくとも5メートル、例えば、少なくとも10メートル、例えば、少なくとも15メートル、例えば、少なくとも18メートル、例えば、少なくとも18.29メートル、例えば、少なくとも35メートル、例えば、35メートルの長さを有し得る。オーブンは、80メートル以下、例えば、60メートル以下、例えば、40メートル以下、例えば、35メートル以下、例えば、30メートル以下、例えば、20メートル以下の長さを有し得る。オーブンは、1~80m、例えば、1~60m、例えば1~40m、例えば1~35m、例えば1~30m、例えば1~20m、例えば5~80m、例えば5~60m、例えば5~40m、例えば5~35m、例えば5~30m、例えば5~20m、例えば10~80m、例えば、10~60メートル、例えば、10~40メートル、例えば、10~35メートル、例えば、10~30メートル、例えば、10~20メートル、例えば、15~80メートル、例えば、15~60メートル、例えば、15~40メートル、例えば、15~35メートル、例えば、15~30メートル、例えば、15~20メートル、例えば、18~80メートル、例えば、18~60メートル、例えば、18~40メートル、例えば、18~35m、例えば、18~30m、例えば、18~20m、例えば、18.29~80m、例えば、18.29~60m、例えば、18.29~40m、例えば、18.29~35m、例えば、18.29~30m、例えば、18.29~20m、例えば、35~80m、例えば、35~60m、例えば、35~40mの長さを有し得る。
【0017】
オーブン内の基材の滞留時間は、限定されず、例えば、5分以下、例えば、3分以下、例えば、2分以下、例えば、1分以下、例えば、50秒以下、例えば、45秒以下、例えば、40秒以下であってもよい。
【0018】
基材キャリアによって運ばれる基材のライン速度のオーブン長さに対する比率は、限定されず、少なくとも1mpm対オーブン長さ5メートル(1:5)、例えば、少なくとも1:3、例えば、少なくとも1:2、例えば、少なくとも1:1、例えば、少なくとも1.1:1、例えば、少なくとも1.2:1、例えば、少なくとも1.3:1、例えば、少なくとも1.4:1、例えば、少なくとも1.5:1であってもよい。
【0019】
オーブンは、オーブンの中を流れる空気供給をさらに含む。オーブンの空気中の溶媒の濃度が、有機媒体の爆発下限界を下回る必要があるため、空気流量は、ラインによって蒸発される溶媒の量および種類によって決まる。空気は、空気の一部分が、必要に応じて、溶媒回収プロセスを進めた後に、オーブン内に再循環されるように、再循環され得る。空気の量はまた、送風機によっても制限される。
【0020】
コーティングは、基材が連続コーティングラインを通って移動するのと同時に、その両面に塗布され得る。代替的に、コーティングは、塗布されたコーティングを乾燥させる前に、基材の両面に連続して塗布され得る。別の代替例は、第1のコーティングが、基材の一方の片面に塗布され得、次いで、第1の塗布されたコーティングの乾燥後に、第2のコーティングが、基材の他方の片面に塗布され得ることである。基材は、第2のコーティングを塗布するために、コーティングライン上に再装着され得るか、または、第2のコーティングを塗布するために、連続コーティングライン上で裏返される基材の移動の方向で反転されてもよい。後者の場合、連続コーティングラインは、オーブンの反対側に位置決めされた、第2のコーティング装置を備えるであろう。
【0021】
連続コーティングラインは、必要に応じて、溶媒回収システムを備え得る。溶媒回収システムは、限定されず、任意の好適なシステムを備え得る。例えば、溶媒回収システムは、とりわけ、凝縮器、水洗浄器、ゼオライトホイール、カーボンベッド、またはそれらの任意の組み合わせを備え得る。溶媒回収システムはまた、必要に応じて、回収された溶媒を精製するための、蒸留カラムを備え得る。
【0022】
連続コーティングラインは、必要に応じて、基材がロールから引き出されたとき、かつ連続コーティングライン上でさらに処理される前に、基材の表面上の任意の粒子(例えば、粉塵)を除去するための、基材洗浄機をさらに備え得る。洗浄機は、基材表面を化学的に改質しない。洗浄機は限定されず、任意の好適な洗浄機を使用してもよい。
【0023】
連続コーティングラインは、必要に応じて、コーティング前に基材の表面を処理するように構成および配置された、基材処理装置をさらに備え得る。例えば、処理は、コロナ放電、基材の表面の表面エネルギーを改質する他の方法、および/または前処理組成物を含み得る。
【0024】
本明細書で使用される場合、「前処理組成物」という用語は、基材の表面と接触すると、基材表面と反応し、基材表面を化学的に変化させ、それに結合して保護層を形成する組成物を指す。任意選択の前処理組成物は、IIIB族および/またはIVB族金属を含む前処理組成物であり得る。本明細書で使用される場合、「IIIB族および/またはIVB族金属」という用語は、例えば、Handbook of Chemistry and Physics,63rd edition(1983)に示されているように、CAS元素周期表のIIIB族またはIVB族にある元素を指す。該当する場合、金属自体が使用され得るが、IIIB族および/またはIVB族金属化合物も使用され得る。本明細書で使用される場合、「IIIB族および/またはIVB族金属化合物」という用語は、元素のCAS周期表のIIIB族またはIVB族にある少なくとも1つの元素を含む化合物を指す。好適な前処理組成物は、米国特許第9,273,399号の第4欄、第60行~第10欄、第26行に記載されており、その引用部分は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0025】
連続コーティングラインは、必要に応じて、基材がコーティング装置によってコーティングされた後、コーティングラインに沿って位置決めされた、1つまたは1つより多くの化学線源または電磁放射線源を備え得る。化学線源または電磁放射線源は、基材がオーブンに入る前、基材がオーブンを出た後、または両方の場所に位置決めされ得る。化学線源または電磁放射線源は限定されず、任意の好適な源を使用してもよい。例えば、化学線源の非限定的な例は、UVランプである。
【0026】
上述したように、電池電極スラリー組成物は、基材の表面に連続的に塗布される。電池電極スラリー組成物は、正の電池電極活性物質または負の電池電極活性物質を含む、電気化学的活性物質と、有機媒体と、フルオロポリマーを含む結合剤と、必要に応じて、導電剤と、を含む。
【0027】
電池電極スラリーは、直径50mmのコーンプレートを備えたAnton Paar MCR 302レオメータによって測定した場合、10s-1において少なくとも500cP、例えば、10s-1において少なくとも2,000cP、例えば、10s-1において少なくとも3,000cP、例えば、10s-1において少なくとも5,000cP、例えば、10s-1において少なくとも10,000cPの粘度を有し得る。電池電極スラリーは、直径50mmのコーンプレートを備えたAnton Paar MCR 302レオメータによって測定した場合、10s-1において20,000cP以下、例えば、10s-1において15,000cP以下、例えば、10s-1において10,000cP以下、例えば、10s-1において8,000cP以下の粘度を有し得る。電池電極スラリーは、直径50mmのコーンプレートを備えたAnton Paar MCR 302レオメータによって測定した場合、10s-1において500~20,000cP、例えば、10s-1において500~15,000cP、例えば、10s-1において500~10,000cP、例えば、10s-1において500~8,000cP、例えば、10s-1において2,000~20,000cP、例えば、10s-1において2,000~15,000cP、例えば、10s-1において2,000~10,000cP、例えば、10s-1において2,000~8,000cP、例えば、10s-1において3,000~20,000cP、例えば、10s-1において3,000~15,000cP、例えば、10s-1において3,000~10,000cP、例えば、10s-1において3,000~8,000cP、例えば、10s-1において5,000~20,000cP、例えば、10s-1において5,000~15,000cP、例えば、10s-1において5,000~10,000cP、例えば、10s-1において5,000~8,000cP、例えば、10s-1において10,000~20,000cP、例えば、10s-1において10,000~15,000cPの粘度を有し得る。
【0028】
有機媒体は、少なくとも45kg/hr、例えば、少なくとも100kg/hr、例えば、少なくとも110kg/hr、例えば、少なくとも120kg/hr、例えば、少なくとも130kg/hr、例えば、少なくとも140kg/hr、例えば、少なくとも150kg/hrの蒸発速度を有し得る。蒸発速度は、限定されず、より低くても高くてもよく、オーブンのサイズおよび動作条件などの、いくつかの変数によって変わる。
【0029】
有機媒体は、1.1体積%超、例えば、少なくとも1.2体積%、例えば、少なくとも1.3体積%、例えば、少なくとも1.4体積%、例えば、少なくとも1.5体積%、例えば、少なくとも1.6体積%の爆発下限界を有し得る。
【0030】
電池電極スラリーは、電池電極スラリーの総重量に基づいて、少なくとも30重量%、例えば、少なくとも35重量%、例えば、少なくとも40重量%、例えば、少なくとも45重量%、例えば、少なくとも50重量%、例えば、少なくとも52重量%、例えば、少なくとも55重量%、例えば、少なくとも58重量%、例えば、少なくとも60重量%、例えば、少なくとも62重量%、例えば、少なくとも65重量%、例えば、少なくとも68重量%、例えば、少なくとも70重量%、例えば、少なくとも72重量%、例えば、少なくとも75重量%、例えば、少なくとも76重量%、例えば、少なくとも80重量%、例えば、少なくとも82重量%、例えば、少なくとも85重量%、例えば、少なくとも90重量%の固体含有量を有し得る。電池電極スラリーは、電池電極スラリーの総重量に基づいて、90重量%以下、例えば、85重量%以下、例えば、80重量%以下、例えば、75重量%以下、例えば、70重量%以下、例えば、65重量%以下、例えば、60重量%以下、例えば、55重量%以下、例えば、50重量%以下、例えば、45重量%以下、例えば、40重量%以下、例えば、35重量%以下の固体含有量を有し得る。電池電極スラリーは、電池電極スラリーの総重量に基づいて、30重量%~90重量%、例えば、30重量%~85重量%、例えば、30重量%~80重量%、例えば、30重量%~75重量%、例えば、30重量%~70重量%、例えば、30重量%~65重量%、例えば、30重量%~60重量%、例えば、30重量%~55重量%、例えば、30重量%~50重量%、例えば、30重量%~45重量%、例えば、30重量%~40重量%、例えば、30重量%~35重量%、例えば、35重量%~90重量%、例えば、35重量%~85重量%、例えば、35重量%~80重量%、例えば、35重量%~75重量%、例えば、35重量%~70重量%、例えば、35重量%~65重量%、例えば、35重量%~60重量%、例えば、35重量%~55重量%、例えば、35重量%~50重量%、例えば、35重量%~45重量%、例えば、35重量%~40重量%、例えば、40重量%~90重量%、例えば、40重量%~85重量%、例えば、40重量%~80重量%、例えば、40重量%~75重量%、例えば、40重量%~70重量%、例えば、40重量%~65重量%、例えば、40重量%~60重量%、例えば、40重量%~55重量%、例えば、40重量%~50重量%、例えば、40重量%~45重量%、例えば、45重量%~90重量%、例えば、45重量%~85重量%、例えば、45重量%~80重量%、例えば、45重量%~75重量%、例えば、45重量%~70重量%、例えば、45重量%~65重量%、例えば、45重量%~60重量%、例えば、45重量%~55重量%、例えば、45重量%~50重量%、例えば、50重量%~90重量%、例えば、50重量%~85重量%、例えば、50重量%~80重量%、例えば、50重量%~75重量%、例えば、50重量%~70重量%、例えば、50重量%~65重量%、例えば、50重量%~60重量%、例えば、50重量%~55重量%、例えば、55重量%~90重量%、例えば、55重量%~85重量%、例えば、55重量%~80重量%、例えば、55重量%~75重量%、例えば、55重量%~70重量%、例えば、55重量%~65重量%、例えば、55重量%~60重量%、例えば、60重量%~90重量%、例えば、60重量%~85重量%、例えば、60重量%~80重量%、例えば、60重量%~75重量%、例えば、60重量%~70重量%、例えば、60重量%~65重量%、例えば、65重量%~90重量%、例えば、65重量%~85重量%、例えば、65重量%~80重量%、例えば、65重量%~75重量%、例えば、65重量%~70重量%、例えば、70重量%~90重量%、例えば、70重量%~85重量%、例えば、70重量%~80重量%、例えば、70重量%~75重量%、例えば、75重量%~90重量%、例えば、75重量%~85重量%、例えば、75重量%~80重量%、例えば、80重量%~90重量%、例えば、80重量%~85重量%、例えば、85重量%~90重量%の固体含有量を有し得る。
【0031】
固体含有量は、使用される電気化学的活性物質によって決まり得る。例えば、電気化学的活性物質がリン酸鉄リチウムである場合、固体含有量は、上記のいずれかであり得、電池電極スラリーの総重量に基づいて、35重量%~65重量%、例えば、35重量%~60重量%、例えば、35重量%~55重量%、例えば、35重量%~50重量%、例えば、35重量%~45重量%、例えば、35重量%~40重量%、例えば、40重量%~65重量%、例えば、40重量%~60重量%、例えば、40重量%~55重量%、例えば、40重量%~50重量%、例えば、40重量%~45重量%、例えば、45重量%~65重量%、例えば、45重量%~60重量%、例えば、45重量%~55重量%、例えば、45重量%~50重量%、例えば、50重量%~65重量%、例えば、50重量%~60重量%、例えば、50重量%~55重量%を含むが、これらに限定されない。他の例では、電気化学的活性物質がNMC(LiNi0.8Mn0.1Co0.1O2)である場合、固体含有量は、上記のいずれかであり得、電池電極スラリーの総重量に基づいて、55重量%~90重量%、例えば、55重量%~85重量%、例えば、55重量%~80重量%、例えば、55重量%~75重量%、例えば、55重量%~70重量%、例えば、55重量%~65重量%、例えば、55重量%~60重量%、例えば、60重量%~90重量%、例えば、60重量%~85重量%、例えば、60重量%~80重量%、例えば、60重量%~75重量%、例えば、60重量%~70重量%、例えば、60重量%~65重量%、例えば、65重量%~90重量%、例えば、65重量%~85重量%、例えば、65重量%~80重量%、例えば、65重量%~75重量%、例えば、65重量%~70重量%、例えば、70重量%~90重量%、例えば、70重量%~85重量%、例えば、70重量%~80重量%、例えば、70重量%~75重量%、例えば、75重量%~90重量%、例えば、75重量%~85重量%、例えば、75重量%~80重量%、例えば、80重量%~90重量%、例えば、80重量%~85重量%、例えば、85重量%~90重量%を含むが、これらに限定されない。
【0032】
本明細書で使用される場合、「固体含有量」とは、少なくともフルオロポリマーと、結合剤の他の必要に応じた成分(例えば、存在する場合、架橋剤、分散剤など)と、電気化学的活性物質と、存在する場合、導電剤とを含む電池電極スラリー組成物の非溶媒部分を指す。
【0033】
本開示によれば、電池電極スラリー組成物は、有機媒体を含む。本明細書で使用される場合、「有機媒体」という用語は、有機媒体の総重量に基づいて、50重量%未満の水を含む液体媒体を指す。かかる有機媒体は、有機媒体の総重量に基づいて、40重量%未満の水、または30重量%未満の水、または20重量%未満の水、または10重量%未満の水、または5重量%未満の水、または1重量%未満の水、または0.1重量%未満の水を含んでもよく、または水を含まなくてもよい。有機溶媒は、有機媒体の総重量に基づいて、50重量%超、例えば、少なくとも70重量%、例えば、少なくとも80重量%、例えば、少なくとも90重量%、例えば、少なくとも95重量%、例えば、少なくとも99重量%、例えば、少なくとも99.9重量%、例えば、100重量%の有機媒体を含む。有機溶媒は、有機媒体の総重量に基づいて、50.1重量%~100重量%、例えば、70重量%~100重量%、例えば、80重量%~100重量%、例えば、90重量%~100重量%、例えば、95重量%~100重量%、例えば、99重量%~100重量%、例えば、99.9重量%~100重量%を含み得る。
【0034】
有機媒体は、必要に応じて、室温および標準大気圧でフルオロポリマーを分散させることが可能であり得る。しかしながら、フルオロポリマーは、高温および標準大気圧で有機媒体中に可溶化され得る。例えば、有機媒体中に分散されたフルオロポリマーの溶解温度は、30℃~77℃、例えば、30℃~70℃、例えば、30℃~65℃、例えば、30℃~60℃、例えば、30℃~55℃、例えば、30℃~50℃、例えば、40℃~77℃、例えば、40℃~70℃、例えば、40℃~65℃、例えば、40℃~60℃、例えば、40℃~55℃、例えば、40℃~50℃、例えば、50℃~77℃、例えば、50℃~70℃、例えば、50℃~65℃、例えば、50℃~60℃、例えば、50℃~55℃の範囲であり得る。溶解温度は、本明細書で論じられる方法に従って測定され得る。
【0035】
フルオロポリマーを有機媒体中に分散させる場合、有機溶媒は、フルオロポリマーを室温および標準大気圧で分散させることができる限り、限定されない。有機媒体は、単一の溶媒または溶媒の組み合わせを含み得る。溶媒の組み合わせを使用する場合、溶媒のうちの1つは、室温および標準大気圧でフルオロポリマーを可溶化し得るが、組み合わせると、溶媒は、室温および標準大気圧でフルオロポリマーを可溶化しない。
【0036】
有機媒体は、フルオロポリマーが室温および標準大気圧で有機媒体中に分散状態であることを可能にし得る、例えば、ブチルピロリドン、リン酸トリアルキル、1,2,3-トリアセトキシプロパン、3-メトキシ-N,N-ジメチルプロパンアミド、アセト酢酸エチル、γ-ブチロラクトン、プロピレングリコールメチルエーテル、シクロヘキサノン、プロピレンカーボネート、ジメチルアジペート、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、二塩基性エステル(DBE)、二塩基性エステル5(DBE-5)、4-ヒドロキシ-4-メチル-2-ペンタノン(ジアセトンアルコール)、プロピレングリコールジアセテート、ジメチルフタレート、メチルイソアミルケトン、プロピオン酸エチル、1-エトキシ-2-プロパノール、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、飽和および不飽和直鎖ならびに環状ケトン(その混合物として、Eastman Chemical CompanyからEastman(商標)C-11 Ketoneとして市販されている)、ジイソブチルケトン、酢酸エステル(HallstarからExxate(商標)1000として市販されている)、トリプロピレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルエーテルアセテート、またはそれらの組み合わせを含み得る。リン酸トリアルキルは、例えば、リン酸トリメチル、リン酸トリエチル、リン酸トリプロピル、リン酸トリブチルなどを含み得る。
【0037】
有機媒体は、フルオロポリマーを分散相として、均質な連続相を形成する一次溶媒および共溶媒を含み得る。一次溶媒および共溶媒、ならびにそれらの関連量が選択されて、室温、すなわち約23℃で、有機媒体中のフルオロポリマーの分散体を提供し得る。一次溶媒および共溶媒の両方が、有機媒体を含み得る。フルオロポリマーは、単独で使用される場合、室温で一次溶媒中に可溶性であり得るが、共溶媒を一次溶媒とともに使用すると、フルオロポリマーが、有機媒体中に安定して分散されることが、可能になり得る。一次溶媒は、例えば、ブチルピロリドン、N-メチル-2-ピロリドン、リン酸トリアルキル、3-メトキシ-N,N-ジメチルプロパンアミド、1,2,3-トリアセトキシプロパン、またはそれらの組み合わせを含み得るか、本質的にそれらからなり得るか、またはそれらからなり得る。共溶媒は、例えば、アセト酢酸エチル、γ-ブチロラクトン、および/またはプロピレングリコールメチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテルなどのグリコールエーテルを含み得るか、本質的にそれらからなり得るか、またはそれらからなり得る。一次溶媒は、有機媒体の総重量に基づいて、少なくとも50重量%、例えば、少なくとも65重量%、例えば、少なくとも75重量%の重量で存在し得、かつ99重量%以下、例えば、90重量%以下、例えば、85重量%以下の量で存在し得る。一次溶媒は、有機媒体の総重量に基づいて、50重量%~99重量%、例えば、65重量%~90重量%、例えば、75重量%~85重量%の量で存在し得る。共溶媒は、少なくとも1重量%、例えば、少なくとも10重量%、例えば、少なくとも15重量%の量で存在し得、かつ50重量%以下、例えば、35重量%以下、例えば、25重量%以下の量で存在し得る。共溶媒は、有機媒体の総重量に基づいて、1重量%~50重量%、例えば、10重量%~35重量%、例えば、15重量%~25重量%の量で存在し得る。
【0038】
有機媒体は、必要に応じて、有機媒体中に分散したフルオロポリマーの溶解温度において、10g/min m
2未満の蒸発速度を有し得る。蒸発速度は、ASTM D3539(1996)を使用して測定され得る。有機媒体中に分散したフルオロポリマーの溶解温度は、温度の関数として、混合物の複素粘度を測定することによって決定され得る。この技術は、有機媒体中に(他の種類のポリマーに加えて)混合されたフルオロポリマーに適用され得、この場合、かかる混合物の不揮発性固体の総質量は、混合物の総質量の45%などの44%~46%である。複素粘度は、50ミリメートルのコーンおよび温度制御式プレートを使用して、Anton-Paar MCR301レオメータで測定することができる。フルオロポリマー混合物の複素粘度は、毎分10℃の温度ランプレート、1Hzの周波数、および90Paの応力振幅セットポイントを用いて、20℃~少なくとも75℃の温度範囲にわたって測定される。有機媒体中のフルオロポリマーの溶解は、温度が上昇するにつれて複素粘度が急激に増加することによって示される。溶解温度は、温度上昇に伴う粘度の変化率が最も高い温度として定義され、複素粘度のLog
10の温度に対する一次微分が最大に達する温度を決定することによって、計算される。以下の表は、内モンゴルの3F Wanhao Fluorochemical Co.,Ltd.からのPVDF T-1(PVDF T-1は、約330~380nmの粒径および約130,000~160,000g/モルの重量平均分子量を有する)を使用して、列挙される様々な溶媒または溶媒混合物中で、この方法に従って決定された溶解温度を示す。
【表1】
【0039】
有機媒体は、必要に応じて、180℃で80g/min m2超、例えば、180℃で90g/min m2超、例えば、180℃で100g/min m2超の蒸発速度を有し得る。
【0040】
代替的に、有機媒体は、室温および標準大気圧でフルオロポリマーを溶解し得る。例えば、有機媒体は、(A)リン酸トリアルキルを含むか、本質的にそれらからなるか、もしくはそれらからなり得るか、(B)(i)スルホキシド官能基を含む分子と、(ii)グリコールエーテルおよび/もしくはエステルと、を含むか、本質的にそれらからなるか、もしくはそれからなる、溶媒系であって、溶媒系の重量に基づいて、1重量%未満の、R1C(=O)NR2R3構造を含む分子を含み、式中、R1は、1~6個の炭素原子を有する、直鎖または分枝鎖であり得、かつ-C(=O)ORと-C(=O)NR4R5とを含む1つまたは1つより多くの官能基によって置換され得る脂肪族飽和基であり、Rは、1~6個の炭素原子を有するアルキル基であり、R4およびR5は、それぞれ独立して、メチル基またはエチル基であり、R2およびR3は、それぞれ独立して、メチル基またはエチル基である、溶媒系を含み得るか、または、(C)溶媒系であって、(i)リン酸トリアルキルと、(ii)ラクトン、ならびに/またはスルホキシドおよび/もしくはスルホン官能基を含む分子を含む、共溶媒と、を含み、リン酸トリアルキルおよび共溶媒が、溶媒系の総重量に基づいて、溶媒系の少なくとも50重量%を含む、溶媒系を含み得る。
【0041】
上述したように、有機媒体は、(i)スルホキシド官能基を含む分子と、(ii)グリコールエーテルおよび/またはエステルと、を含む、溶媒系を含み得、溶媒系は、溶媒系の重量に基づいて、1重量%未満の、R1C(=O)NR2R3構造を含む分子であって、式中、R1は、脂肪族飽和基であって、直鎖または分枝鎖であり得、1~6個の炭素原子を有し、-C(=O)ORおよび-C(=O)NR4R5(Rは、1~6個の炭素原子を有するアルキル基であり、R4およびR5は、それぞれ独立して、メチル基またはエチル基である)を含む1つまたは1つより多くの官能基によって置換され得る、脂肪族飽和基であり、R2およびR3は、それぞれ独立して、メチルまたはエチル基である、分子を含む。
【0042】
本明細書で使用される場合、「溶媒系」という用語は、組成物で使用される溶媒の組み合わせを指す。本開示の溶媒系は、(i)スルホキシド官能基を含む分子と、(ii)グリコールエーテルおよび/もしくはエステルと、を含み得るか、本質的にそれらからなり得るか、またはそれらからなり得る。
【0043】
スルホキシド官能基を含む分子は、スルホキシド官能基を含む、任意の好適な分子を含み得る。例えば、スルホキシド官能基を含む分子は、ジメチルスルホキシドを含み得るか、本質的にそれらからなり得るか、またはそれらからなり得る。
【0044】
グリコールエーテルは、任意の好適なグリコールエーテルを含み得る。例えば、グリコールエーテルは、ジ(プロピレングリコール)メチルエーテルアセテートを含み得るか、本質的にそれらからなり得るか、またはそれらからなり得る。
【0045】
エステルは、任意の好適なエステルを含み得る。例えば、エステルは、例えば、アジピン酸、グルタル酸、および/またはコハク酸のジメチルエステルなどの、二塩基性エステルを含み得るか、本質的にそれらからなり得るか、またはそれらからなり得る。非限定的な市販の例としては、DBE-5が挙げられる。
【0046】
スルホキシド官能基を含む分子は、溶媒系の総重量に基づいて、少なくとも0.1重量%、例えば、少なくとも5重量%、例えば、少なくとも10重量%、例えば、少なくとも20重量%、例えば、少なくとも30重量%、例えば、少なくとも40重量%、例えば、少なくとも50重量%、例えば、少なくとも60重量%、例えば、少なくとも70重量%、例えば、少なくとも80重量%、例えば、少なくとも90重量%、例えば、少なくとも95重量%、例えば、少なくとも99重量%の量で、溶媒系中に存在し得る。スルホキシド官能基を含む分子は、溶媒系の総重量に基づいて、99.9重量%以下、例えば、95重量%以下、例えば、90重量%以下、例えば、80重量%以下、例えば、70重量%以下、例えば、60重量%以下、例えば、50重量%以下、例えば、40重量%以下、例えば、30重量%以下、例えば、20重量%以下、例えば、10重量%以下、例えば、5重量%以下の量で、溶媒系中に存在し得る。スルホキシド官能基を含む分子は、溶媒系の総重量に基づいて、0.1重量%~99.9重量%、例えば、5重量%~99.9重量%、例えば、10重量%~99.9重量%、例えば、20重量%~99.9重量%、例えば、30重量%~99.9重量%、例えば、40重量%~99.9重量%、例えば、50重量%~99.9重量%、例えば、60重量%~99.9重量%、例えば、70重量%~99.9重量%、例えば、80重量%~99.9重量%、例えば、90重量%~99.9重量%、例えば、95重量%~99.9重量%、例えば、5重量%~95重量%、例えば、5重量%~95重量%、例えば、10重量%~95重量%、例えば、20重量%~95重量%、例えば、30重量%~95重量%、例えば、40重量%~95重量%、例えば、50重量%~95重量%、例えば、60重量%~95重量%、例えば、70重量%~95重量%、例えば、80重量%~95重量%、例えば、90重量%~95重量%、例えば、0.1重量%~90重量%、例えば、5重量%~90重量%、例えば、10重量%~90重量%、例えば、20重量%~90重量%、例えば、30重量%~90重量%、例えば、40重量%~90重量%、例えば、50重量%~90重量%、例えば、60重量%~90重量%、例えば、70重量%~90重量%、例えば、80重量%~90重量%、例えば、0.1重量%~80重量%、例えば、5重量%~80重量%、例えば、10重量%~80重量%、例えば、20重量%~80重量%、例えば、30重量%~80重量%、例えば、40重量%~80重量%、例えば、50重量%~80重量%、例えば、60重量%~80重量%、例えば、70重量%~80重量%、例えば、例えば、0.1重量%~70重量%、例えば、5重量%~70重量%、例えば、10重量%~70重量%、例えば、20重量%~70重量%、例えば、30重量%~70重量%、例えば、40重量%~70重量%、例えば、50重量%~70重量%、例えば、60重量%~70重量%、例えば、0.1重量%~60重量%、例えば、5重量%~60重量%、例えば、10重量%~60重量%、例えば、20重量%~60重量%、例えば、30重量%~60重量%、例えば、40重量%~60重量%、例えば、50重量%~60重量%、例えば、0.1重量%~50重量%、例えば、5重量%~50重量%、例えば、10重量%~50重量%、例えば、20重量%~50重量%、例えば、30重量%~50重量%、例えば、40重量%~50重量%、例えば、0.1重量%~40重量%、例えば、5重量%~40重量%、例えば、10重量%~40重量%、例えば、20重量%~40重量%、例えば、30重量%~40重量%、例えば、0.1重量%~30重量%、例えば、5重量%~30重量%、例えば、10重量%~30重量%、例えば、20重量%~30重量%、例えば、0.1重量%~20重量%、例えば、5重量%~20重量%、例えば、10重量%~20重量%、例えば、0.1重量%~10重量%、例えば、5重量%~10重量%量で、溶媒系中に存在し得る。
【0047】
グリコールエーテルおよび/またはエステルは、溶媒系の総重量に基づいて、少なくとも0.1重量%、例えば、少なくとも5重量%、例えば、少なくとも10重量%、例えば、少なくとも20重量%、例えば、少なくとも30重量%、例えば、少なくとも40重量%、例えば、少なくとも50重量%、例えば、少なくとも60重量%、例えば、少なくとも70重量%、例えば、少なくとも80重量%、例えば、少なくとも90重量%、例えば、少なくとも95重量%、例えば、少なくとも99重量%の量で、溶媒系中に存在し得る。グリコールエーテルおよび/またはエステルは、溶媒系の総重量に基づいて、99.9重量%以下、例えば、95重量%以下、例えば、90重量%以下、例えば、80重量%以下、例えば、70重量%以下、例えば、60重量%以下、例えば、50重量%以下、例えば、40重量%以下、例えば、30重量%以下、例えば、20重量%以下、例えば、10重量%以下、例えば、5重量%以下の量で、溶媒系中に存在し得る。グリコールエーテルおよび/またはエステルは、溶媒系の総重量に基づいて、0.1重量%~99.9重量%、例えば、5重量%~99.9重量%、例えば、10重量%~99.9重量%、例えば、20重量%~99.9重量%、例えば、30重量%~99.9重量%、例えば、40重量%~99.9重量%、例えば、50重量%~99.9重量%、例えば、60重量%~99.9重量%、例えば、70重量%~99.9重量%、例えば、80重量%~99.9重量%、例えば、90重量%~99.9重量%、例えば、95重量%~99.9重量%、例えば、5重量%~95重量%、例えば、5重量%~95重量%、例えば、10重量%~95重量%、例えば、20重量%~95重量%、例えば、30重量%~95重量%、例えば、40重量%~95重量%、例えば、50重量%~95重量%、例えば、60重量%~95重量%、例えば、70重量%~95重量%、例えば、80重量%~95重量%、例えば、90重量%~95重量%、例えば、0.1重量%~90重量%、例えば、5重量%~90重量%、例えば、10重量%~90重量%、例えば、20重量%~90重量%、例えば、30重量%~90重量%、例えば、40重量%~90重量%、例えば、50重量%~90重量%、例えば、60重量%~90重量%、例えば、70重量%~90重量%、例えば、80重量%~90重量%、例えば、0.1重量%~80重量%、例えば、5重量%~80重量%、例えば、10重量%~80重量%、例えば、20重量%~80重量%、例えば、30重量%~80重量%、例えば、40重量%~80重量%、例えば、50重量%~80重量%、例えば、60重量%~80重量%、例えば、70重量%~80重量%、例えば、例えば、0.1重量%~70重量%、例えば、5重量%~70重量%、例えば、10重量%~70重量%、例えば、20重量%~70重量%、例えば、30重量%~70重量%、例えば、40重量%~70重量%、例えば、50重量%~70重量%、例えば、60重量%~70重量%、例えば、0.1重量%~60重量%、例えば、5重量%~60重量%、例えば、10重量%~60重量%、例えば、20重量%~60重量%、例えば、30重量%~60重量%、例えば、40重量%~60重量%、例えば、50重量%~60重量%、例えば、0.1重量%~50重量%、例えば、5重量%~50重量%、例えば、10重量%~50重量%、例えば、20重量%~50重量%、例えば、30重量%~50重量%、例えば、40重量%~50重量%、例えば、0.1重量%~40重量%、例えば、5重量%~40重量%、例えば、10重量%~40重量%、例えば、20重量%~40重量%、例えば、30重量%~40重量%、例えば、0.1重量%~30重量%、例えば、5重量%~30重量%、例えば、10重量%~30重量%、例えば、20重量%~30重量%、例えば、0.1重量%~20重量%、例えば、5重量%~20重量%、例えば、10重量%~20重量%、例えば、0.1重量%~10重量%、例えば、5重量%~10重量%量で、溶媒系中に存在し得る。
【0048】
グリコールエーテルは、溶媒系の総重量に基づいて、少なくとも0.1重量%、例えば、少なくとも5重量%、例えば、少なくとも10重量%、例えば、少なくとも20重量%、例えば、少なくとも30重量%、例えば、少なくとも40重量%、例えば、少なくとも50重量%、例えば、少なくとも60重量%、例えば、少なくとも70重量%、例えば、少なくとも80重量%、例えば、少なくとも90重量%、例えば、少なくとも95重量%、例えば、少なくとも99重量%の量で、溶媒系中に存在し得る。グリコールエーテルは、溶媒系の総重量に基づいて、99.9重量%以下、例えば、95重量%以下、例えば、90重量%以下、例えば、80重量%以下、例えば、70重量%以下、例えば、60重量%以下、例えば、50重量%以下、例えば、40重量%以下、例えば、30重量%以下、例えば、20重量%以下、例えば、10重量%以下、例えば、5重量%以下の量で、溶媒系中に存在し得る。グリコールエーテルは、溶媒系の総重量に基づいて、0.1重量%~99.9重量%、例えば、5重量%~99.9重量%、例えば、10重量%~99.9重量%、例えば、20重量%~99.9重量%、例えば、30重量%~99.9重量%、例えば、40重量%~99.9重量%、例えば、50重量%~99.9重量%、例えば、60重量%~99.9重量%、例えば、70重量%~99.9重量%、例えば、80重量%~99.9重量%、例えば、90重量%~99.9重量%、例えば、95重量%~99.9重量%、例えば、5重量%~95重量%、例えば、5重量%~95重量%、例えば、10重量%~95重量%、例えば、20重量%~95重量%、例えば、30重量%~95重量%、例えば、40重量%~95重量%、例えば、50重量%~95重量%、例えば、60重量%~95重量%、例えば、70重量%~95重量%、例えば、80重量%~95重量%、例えば、90重量%~95重量%、例えば、0.1重量%~90重量%、例えば、5重量%~90重量%、例えば、10重量%~90重量%、例えば、20重量%~90重量%、例えば、30重量%~90重量%、例えば、40重量%~90重量%、例えば、50重量%~90重量%、例えば、60重量%~90重量%、例えば、70重量%~90重量%、例えば、80重量%~90重量%、例えば、0.1重量%~80重量%、例えば、5重量%~80重量%、例えば、10重量%~80重量%、例えば、20重量%~80重量%、例えば、30重量%~80重量%、例えば、40重量%~80重量%、例えば、50重量%~80重量%、例えば、60重量%~80重量%、例えば、70重量%~80重量%、例えば、例えば、0.1重量%~70重量%、例えば、5重量%~70重量%、例えば、10重量%~70重量%、例えば、20重量%~70重量%、例えば、30重量%~70重量%、例えば、40重量%~70重量%、例えば、50重量%~70重量%、例えば、60重量%~70重量%、例えば、0.1重量%~60重量%、例えば、5重量%~60重量%、例えば、10重量%~60重量%、例えば、20重量%~60重量%、例えば、30重量%~60重量%、例えば、40重量%~60重量%、例えば、50重量%~60重量%、例えば、0.1重量%~50重量%、例えば、5重量%~50重量%、例えば、10重量%~50重量%、例えば、20重量%~50重量%、例えば、30重量%~50重量%、例えば、40重量%~50重量%、例えば、0.1重量%~40重量%、例えば、5重量%~40重量%、例えば、10重量%~40重量%、例えば、20重量%~40重量%、例えば、30重量%~40重量%、例えば、0.1重量%~30重量%、例えば、5重量%~30重量%、例えば、10重量%~30重量%、例えば、20重量%~30重量%、例えば、0.1重量%~20重量%、例えば、5重量%~20重量%、例えば、10重量%~20重量%、例えば、0.1重量%~10重量%、例えば、5重量%~10重量%量で、溶媒系中に存在し得る。
【0049】
エステルは、溶媒系の総重量に基づいて、少なくとも0.1重量%、例えば、少なくとも5重量%、例えば、少なくとも10重量%、例えば、少なくとも20重量%、例えば、少なくとも30重量%、例えば、少なくとも40重量%、例えば、少なくとも50重量%、例えば、少なくとも60重量%、例えば、少なくとも70重量%、例えば、少なくとも80重量%、例えば、少なくとも90重量%、例えば、少なくとも95重量%、例えば、少なくとも99重量%の量で、溶媒系中に存在し得る。エステルは、溶媒系の総重量に基づいて、99.9重量%以下、例えば、95重量%以下、例えば、90重量%以下、例えば、80重量%以下、例えば、70重量%以下、例えば、60重量%以下、例えば、50重量%以下、例えば、40重量%以下、例えば、30重量%以下、例えば、20重量%以下、例えば、10重量%以下、例えば、5重量%以下の量で、溶媒系中に存在し得る。エステルは、溶媒系の総重量に基づいて、0.1重量%~99.9重量%、例えば、5重量%~99.9重量%、例えば、10重量%~99.9重量%、例えば、20重量%~99.9重量%、例えば、30重量%~99.9重量%、例えば、40重量%~99.9重量%、例えば、50重量%~99.9重量%、例えば、60重量%~99.9重量%、例えば、70重量%~99.9重量%、例えば、80重量%~99.9重量%、例えば、90重量%~99.9重量%、例えば、95重量%~99.9重量%、例えば、5重量%~95重量%、例えば、5重量%~95重量%、例えば、10重量%~95重量%、例えば、20重量%~95重量%、例えば、30重量%~95重量%、例えば、40重量%~95重量%、例えば、50重量%~95重量%、例えば、60重量%~95重量%、例えば、70重量%~95重量%、例えば、80重量%~95重量%、例えば、90重量%~95重量%、例えば、0.1重量%~90重量%、例えば、5重量%~90重量%、例えば、10重量%~90重量%、例えば、20重量%~90重量%、例えば、30重量%~90重量%、例えば、40重量%~90重量%、例えば、50重量%~90重量%、例えば、60重量%~90重量%、例えば、70重量%~90重量%、例えば、80重量%~90重量%、例えば、0.1重量%~80重量%、例えば、5重量%~80重量%、例えば、10重量%~80重量%、例えば、20重量%~80重量%、例えば、30重量%~80重量%、例えば、40重量%~80重量%、例えば、50重量%~80重量%、例えば、60重量%~80重量%、例えば、70重量%~80重量%、例えば、例えば、0.1重量%~70重量%、例えば、5重量%~70重量%、例えば、10重量%~70重量%、例えば、20重量%~70重量%、例えば、30重量%~70重量%、例えば、40重量%~70重量%、例えば、50重量%~70重量%、例えば、60重量%~70重量%、例えば、0.1重量%~60重量%、例えば、5重量%~60重量%、例えば、10重量%~60重量%、例えば、20重量%~60重量%、例えば、30重量%~60重量%、例えば、40重量%~60重量%、例えば、50重量%~60重量%、例えば、0.1重量%~50重量%、例えば、5重量%~50重量%、例えば、10重量%~50重量%、例えば、20重量%~50重量%、例えば、30重量%~50重量%、例えば、40重量%~50重量%、例えば、0.1重量%~40重量%、例えば、5重量%~40重量%、例えば、10重量%~40重量%、例えば、20重量%~40重量%、例えば、30重量%~40重量%、例えば、0.1重量%~30重量%、例えば、5重量%~30重量%、例えば、10重量%~30重量%、例えば、20重量%~30重量%、例えば、0.1重量%~20重量%、例えば、5重量%~20重量%、例えば、10重量%~20重量%、例えば、0.1重量%~10重量%、例えば、5重量%~10重量%量で、溶媒系中に存在し得る。
【0050】
スラリー組成物のフルオロポリマーは、室温、すなわち、約23℃、および圧力で、溶媒系中に可溶化され得る。
【0051】
溶媒は、溶媒系の重量に基づいて、1重量%未満の、R1C(=O)NR2R3構造を含む分子であって、式中、R1は、脂肪族飽和基であって、直鎖または分枝鎖であり得、1~6個の炭素原子を有し、-C(=O)ORおよび-C(=O)NR4R5(Rは、1~6個の炭素原子を有するアルキル基であり、R4およびR5は、それぞれ独立して、メチル基またはエチル基である)を含む1つまたは1つより多くの官能基によって置換され得る、脂肪族飽和基であり、R2およびR3は、それぞれ独立して、メチルまたはエチル基である、分子を含み得る。
【0052】
溶媒系はまた、R1C(=O)NR2R3構造を含む分子であって、式中、R1は、脂肪族飽和基であって、直鎖または分枝鎖であり得、1~6個の炭素原子を有し、-C(=O)ORおよび-C(=O)NR4R5(Rは、1~6個の炭素原子を有するアルキル基であり、R4およびR5は、それぞれ独立して、メチル基またはエチル基である)を含む1つまたは1つより多くの官能基によって置換され得る、脂肪族飽和基であり、R2およびR3は、それぞれ独立して、メチルまたはエチル基である、分子を実質的に含まないか、それらを本質的に含まないか、またはそれらを完全に含まなくてもよい。溶媒系は、分子が、溶媒系の重量に基づいて、0.5重量%未満の量で、仮に存在するとしても、分子を実質的に含まない。溶媒系は、分子が、溶媒系の重量に基づいて、0.1重量%未満の量で、仮に存在するとしても、分子を本質的に含まない。溶媒系は、分子が存在しない、すなわち、0.00重量%の場合、分子を完全に含まない。
【0053】
上述したように、有機媒体は、溶媒系を含み得、溶媒系は、(i)リン酸トリアルキルと、(ii)共溶媒と、を含み、共溶媒は、ラクトン、ならびに/またはスルホキシドおよび/もしくはスルホン官能基を含む分子を含み、リン酸トリアルキルおよび共溶媒は、溶媒系の総重量に基づいて、溶媒系の少なくとも50重量%を含む。
【0054】
本明細書で使用される場合、「溶媒系」という用語は、組成物で使用される溶媒の組み合わせを指す。本開示の溶媒系は、(i)リン酸トリアルキルと、(ii)共溶媒と、を含み得るか、本質的にそれらからなり得るか、またはそれらからなり得、共溶媒は、ラクトン、ならびに/またはスルホキシドおよび/もしくはスルホン官能基を含む分子を含む。
【0055】
リン酸トリアルキルは、任意の好適なリン酸トリアルキルを含み得る。例えば、リン酸トリアルキルは、リン酸トリメチル、リン酸トリエチル、リン酸トリブチル、またはそれらの任意の組み合わせを含み得るか、本質的にそれらからなり得るか、またはそれらからなり得る。
【0056】
ラクトンは、任意の好適なラクトンを含み得る。例えば、ラクトンは、ε-カプロラクトン、γ-ブチロラクトン、またはそれらの任意の組み合わせを含み得るか、本質的にそれらからなり得るか、またはそれらからなり得る。
【0057】
スルホキシド官能基を含む分子は、スルホキシド官能基を含む、任意の好適な分子を含み得る。例えば、スルホキシド官能基を含む分子は、ジメチルスルホキシドを含み得る。
【0058】
スルホン官能基を含む分子は、スルホン官能基を含む、任意の好適な分子を含み得る。例えば、スルホン官能基を含む分子は、テトラメチレンスルホン(スルホランとしても既知である)を含み得る。
【0059】
リン酸トリアルキルは、溶媒系の総重量に基づいて、少なくとも0.1重量%、例えば、少なくとも5重量%、例えば、少なくとも10重量%、例えば、少なくとも20重量%、例えば、少なくとも30重量%、例えば、少なくとも40重量%、例えば、少なくとも50重量%、例えば、少なくとも60重量%、例えば、少なくとも70重量%、例えば、少なくとも80重量%、例えば、少なくとも90重量%、例えば、少なくとも95重量%、例えば、少なくとも99重量%の量で、溶媒系中に存在し得る。リン酸トリアルキルは、溶媒系の総重量に基づいて、99.9重量%以下、例えば、95重量%以下、例えば、90重量%以下、例えば、80重量%以下、例えば、70重量%以下、例えば、60重量%以下、例えば、50重量%以下、例えば、40重量%以下、例えば、30重量%以下、例えば、20重量%以下、例えば、10重量%以下、例えば、5重量%以下の量で、溶媒系中に存在し得る。リン酸トリアルキルは、溶媒系の総重量に基づいて、0.1重量%~99.9重量%、例えば、5重量%~99.9重量%、例えば、10重量%~99.9重量%、例えば、20重量%~99.9重量%、例えば、30重量%~99.9重量%、例えば、40重量%~99.9重量%、例えば、50重量%~99.9重量%、例えば、60重量%~99.9重量%、例えば、70重量%~99.9重量%、例えば、80重量%~99.9重量%、例えば、90重量%~99.9重量%、例えば、95重量%~99.9重量%、例えば、5重量%~95重量%、例えば、5重量%~95重量%、例えば、10重量%~95重量%、例えば、20重量%~95重量%、例えば、30重量%~95重量%、例えば、40重量%~95重量%、例えば、50重量%~95重量%、例えば、60重量%~95重量%、例えば、70重量%~95重量%、例えば、80重量%~95重量%、例えば、90重量%~95重量%、例えば、0.1重量%~90重量%、例えば、5重量%~90重量%、例えば、10重量%~90重量%、例えば、20重量%~90重量%、例えば、30重量%~90重量%、例えば、40重量%~90重量%、例えば、50重量%~90重量%、例えば、60重量%~90重量%、例えば、70重量%~90重量%、例えば、80重量%~90重量%、例えば、0.1重量%~80重量%、例えば、5重量%~80重量%、例えば、10重量%~80重量%、例えば、20重量%~80重量%、例えば、30重量%~80重量%、例えば、40重量%~80重量%、例えば、50重量%~80重量%、例えば、60重量%~80重量%、例えば、70重量%~80重量%、例えば、例えば、0.1重量%~70重量%、例えば、5重量%~70重量%、例えば、10重量%~70重量%、例えば、20重量%~70重量%、例えば、30重量%~70重量%、例えば、40重量%~70重量%、例えば、50重量%~70重量%、例えば、60重量%~70重量%、例えば、0.1重量%~60重量%、例えば、5重量%~60重量%、例えば、10重量%~60重量%、例えば、20重量%~60重量%、例えば、30重量%~60重量%、例えば、40重量%~60重量%、例えば、50重量%~60重量%、例えば、0.1重量%~50重量%、例えば、5重量%~50重量%、例えば、10重量%~50重量%、例えば、20重量%~50重量%、例えば、30重量%~50重量%、例えば、40重量%~50重量%、例えば、0.1重量%~40重量%、例えば、5重量%~40重量%、例えば、10重量%~40重量%、例えば、20重量%~40重量%、例えば、30重量%~40重量%、例えば、0.1重量%~30重量%、例えば、5重量%~30重量%、例えば、10重量%~30重量%、例えば、20重量%~30重量%、例えば、0.1重量%~20重量%、例えば、5重量%~20重量%、例えば、10重量%~20重量%、例えば、0.1重量%~10重量%、例えば、5重量%~10重量%量で、溶媒系中に存在し得る。
【0060】
ラクトンは、溶媒系の総重量に基づいて、少なくとも0.1重量%、例えば、少なくとも5重量%、例えば、少なくとも10重量%、例えば、少なくとも20重量%、例えば、少なくとも30重量%、例えば、少なくとも40重量%、例えば、少なくとも50重量%、例えば、少なくとも60重量%、例えば、少なくとも70重量%、例えば、少なくとも80重量%、例えば、少なくとも90重量%、例えば、少なくとも95重量%、例えば、少なくとも99重量%の量で、溶媒系中に存在し得る。ラクトンは、溶媒系の総重量に基づいて、99.9重量%以下、例えば、95重量%以下、例えば、90重量%以下、例えば、80重量%以下、例えば、70重量%以下、例えば、60重量%以下、例えば、50重量%以下、例えば、40重量%以下、例えば、30重量%以下、例えば、20重量%以下、例えば、10重量%以下、例えば、5重量%以下の量で、溶媒系中に存在し得る。ラクトンは、溶媒系の総重量に基づいて、0.1重量%~99.9重量%、例えば、5重量%~99.9重量%、例えば、10重量%~99.9重量%、例えば、20重量%~99.9重量%、例えば、30重量%~99.9重量%、例えば、40重量%~99.9重量%、例えば、50重量%~99.9重量%、例えば、60重量%~99.9重量%、例えば、70重量%~99.9重量%、例えば、80重量%~99.9重量%、例えば、90重量%~99.9重量%、例えば、95重量%~99.9重量%、例えば、5重量%~95重量%、例えば、5重量%~95重量%、例えば、10重量%~95重量%、例えば、20重量%~95重量%、例えば、30重量%~95重量%、例えば、40重量%~95重量%、例えば、50重量%~95重量%、例えば、60重量%~95重量%、例えば、70重量%~95重量%、例えば、80重量%~95重量%、例えば、90重量%~95重量%、例えば、0.1重量%~90重量%、例えば、5重量%~90重量%、例えば、10重量%~90重量%、例えば、20重量%~90重量%、例えば、30重量%~90重量%、例えば、40重量%~90重量%、例えば、50重量%~90重量%、例えば、60重量%~90重量%、例えば、70重量%~90重量%、例えば、80重量%~90重量%、例えば、0.1重量%~80重量%、例えば、5重量%~80重量%、例えば、10重量%~80重量%、例えば、20重量%~80重量%、例えば、30重量%~80重量%、例えば、40重量%~80重量%、例えば、50重量%~80重量%、例えば、60重量%~80重量%、例えば、70重量%~80重量%、例えば、例えば、0.1重量%~70重量%、例えば、5重量%~70重量%、例えば、10重量%~70重量%、例えば、20重量%~70重量%、例えば、30重量%~70重量%、例えば、40重量%~70重量%、例えば、50重量%~70重量%、例えば、60重量%~70重量%、例えば、0.1重量%~60重量%、例えば、5重量%~60重量%、例えば、10重量%~60重量%、例えば、20重量%~60重量%、例えば、30重量%~60重量%、例えば、40重量%~60重量%、例えば、50重量%~60重量%、例えば、0.1重量%~50重量%、例えば、5重量%~50重量%、例えば、10重量%~50重量%、例えば、20重量%~50重量%、例えば、30重量%~50重量%、例えば、40重量%~50重量%、例えば、0.1重量%~40重量%、例えば、5重量%~40重量%、例えば、10重量%~40重量%、例えば、20重量%~40重量%、例えば、30重量%~40重量%、例えば、0.1重量%~30重量%、例えば、5重量%~30重量%、例えば、10重量%~30重量%、例えば、20重量%~30重量%、例えば、0.1重量%~20重量%、例えば、5重量%~20重量%、例えば、10重量%~20重量%、例えば、0.1重量%~10重量%、例えば、5重量%~10重量%量で、溶媒系中に存在し得る。
【0061】
スルホキシドおよび/またはスルホン官能基を含む分子は、溶媒系の総重量に基づいて、少なくとも0.1重量%、例えば、少なくとも5重量%、例えば、少なくとも10重量%、例えば、少なくとも20重量%、例えば、少なくとも30重量%、例えば、少なくとも40重量%、例えば、少なくとも50重量%、例えば、少なくとも60重量%、例えば、少なくとも70重量%、例えば、少なくとも80重量%、例えば、少なくとも90重量%、例えば、少なくとも95重量%、例えば、少なくとも99重量%の量で、溶媒系中に存在し得る。スルホキシドおよび/またはスルホン官能基を含む分子は、溶媒系の総重量に基づいて、99.9重量%以下、例えば、95重量%以下、例えば、90重量%以下、例えば、80重量%以下、例えば、70重量%以下、例えば、60重量%以下、例えば、50重量%以下、例えば、40重量%以下、例えば、30重量%以下、例えば、20重量%以下、例えば、10重量%以下、例えば、5重量%以下の量で、溶媒系中に存在し得る。スルホキシドおよび/またはスルホン官能基を含む分子は、溶媒系の総重量に基づいて、0.1重量%~99.9重量%、例えば、5重量%~99.9重量%、例えば、10重量%~99.9重量%、例えば、20重量%~99.9重量%、例えば、30重量%~99.9重量%、例えば、40重量%~99.9重量%、例えば、50重量%~99.9重量%、例えば、60重量%~99.9重量%、例えば、70重量%~99.9重量%、例えば、80重量%~99.9重量%、例えば、90重量%~99.9重量%、例えば、95重量%~99.9重量%、例えば、5重量%~95重量%、例えば、5重量%~95重量%、例えば、10重量%~95重量%、例えば、20重量%~95重量%、例えば、30重量%~95重量%、例えば、40重量%~95重量%、例えば、50重量%~95重量%、例えば、60重量%~95重量%、例えば、70重量%~95重量%、例えば、80重量%~95重量%、例えば、90重量%~95重量%、例えば、0.1重量%~90重量%、例えば、5重量%~90重量%、例えば、10重量%~90重量%、例えば、20重量%~90重量%、例えば、30重量%~90重量%、例えば、40重量%~90重量%、例えば、50重量%~90重量%、例えば、60重量%~90重量%、例えば、70重量%~90重量%、例えば、80重量%~90重量%、例えば、0.1重量%~80重量%、例えば、5重量%~80重量%、例えば、10重量%~80重量%、例えば、20重量%~80重量%、例えば、30重量%~80重量%、例えば、40重量%~80重量%、例えば、50重量%~80重量%、例えば、60重量%~80重量%、例えば、70重量%~80重量%、例えば、例えば、0.1重量%~70重量%、例えば、5重量%~70重量%、例えば、10重量%~70重量%、例えば、20重量%~70重量%、例えば、30重量%~70重量%、例えば、40重量%~70重量%、例えば、50重量%~70重量%、例えば、60重量%~70重量%、例えば、0.1重量%~60重量%、例えば、5重量%~60重量%、例えば、10重量%~60重量%、例えば、20重量%~60重量%、例えば、30重量%~60重量%、例えば、40重量%~60重量%、例えば、50重量%~60重量%、例えば、0.1重量%~50重量%、例えば、5重量%~50重量%、例えば、10重量%~50重量%、例えば、20重量%~50重量%、例えば、30重量%~50重量%、例えば、40重量%~50重量%、例えば、0.1重量%~40重量%、例えば、5重量%~40重量%、例えば、10重量%~40重量%、例えば、20重量%~40重量%、例えば、30重量%~40重量%、例えば、0.1重量%~30重量%、例えば、5重量%~30重量%、例えば、10重量%~30重量%、例えば、20重量%~30重量%、例えば、0.1重量%~20重量%、例えば、5重量%~20重量%、例えば、10重量%~20重量%、例えば、0.1重量%~10重量%、例えば、5重量%~10重量%量で、溶媒系中に存在し得る。
【0062】
スルホキシド官能基を含む分子は、溶媒系の総重量に基づいて、少なくとも0.1重量%、例えば、少なくとも5重量%、例えば、少なくとも10重量%、例えば、少なくとも20重量%、例えば、少なくとも30重量%、例えば、少なくとも40重量%、例えば、少なくとも50重量%、例えば、少なくとも60重量%、例えば、少なくとも70重量%、例えば、少なくとも80重量%、例えば、少なくとも90重量%、例えば、少なくとも95重量%、例えば、少なくとも99重量%の量で、溶媒系中に存在し得る。スルホキシド官能基を含む分子は、溶媒系の総重量に基づいて、99.9重量%以下、例えば、95重量%以下、例えば、90重量%以下、例えば、80重量%以下、例えば、70重量%以下、例えば、60重量%以下、例えば、50重量%以下、例えば、40重量%以下、例えば、30重量%以下、例えば、20重量%以下、例えば、10重量%以下、例えば、5重量%以下の量で、溶媒系中に存在し得る。スルホキシド官能基を含む分子は、溶媒系の総重量に基づいて、0.1重量%~99.9重量%、例えば、5重量%~99.9重量%、例えば、10重量%~99.9重量%、例えば、20重量%~99.9重量%、例えば、30重量%~99.9重量%、例えば、40重量%~99.9重量%、例えば、50重量%~99.9重量%、例えば、60重量%~99.9重量%、例えば、70重量%~99.9重量%、例えば、80重量%~99.9重量%、例えば、90重量%~99.9重量%、例えば、95重量%~99.9重量%、例えば、5重量%~95重量%、例えば、5重量%~95重量%、例えば、10重量%~95重量%、例えば、20重量%~95重量%、例えば、30重量%~95重量%、例えば、40重量%~95重量%、例えば、50重量%~95重量%、例えば、60重量%~95重量%、例えば、70重量%~95重量%、例えば、80重量%~95重量%、例えば、90重量%~95重量%、例えば、0.1重量%~90重量%、例えば、5重量%~90重量%、例えば、10重量%~90重量%、例えば、20重量%~90重量%、例えば、30重量%~90重量%、例えば、40重量%~90重量%、例えば、50重量%~90重量%、例えば、60重量%~90重量%、例えば、70重量%~90重量%、例えば、80重量%~90重量%、例えば、0.1重量%~80重量%、例えば、5重量%~80重量%、例えば、10重量%~80重量%、例えば、20重量%~80重量%、例えば、30重量%~80重量%、例えば、40重量%~80重量%、例えば、50重量%~80重量%、例えば、60重量%~80重量%、例えば、70重量%~80重量%、例えば、例えば、0.1重量%~70重量%、例えば、5重量%~70重量%、例えば、10重量%~70重量%、例えば、20重量%~70重量%、例えば、30重量%~70重量%、例えば、40重量%~70重量%、例えば、50重量%~70重量%、例えば、60重量%~70重量%、例えば、0.1重量%~60重量%、例えば、5重量%~60重量%、例えば、10重量%~60重量%、例えば、20重量%~60重量%、例えば、30重量%~60重量%、例えば、40重量%~60重量%、例えば、50重量%~60重量%、例えば、0.1重量%~50重量%、例えば、5重量%~50重量%、例えば、10重量%~50重量%、例えば、20重量%~50重量%、例えば、30重量%~50重量%、例えば、40重量%~50重量%、例えば、0.1重量%~40重量%、例えば、5重量%~40重量%、例えば、10重量%~40重量%、例えば、20重量%~40重量%、例えば、30重量%~40重量%、例えば、0.1重量%~30重量%、例えば、5重量%~30重量%、例えば、10重量%~30重量%、例えば、20重量%~30重量%、例えば、0.1重量%~20重量%、例えば、5重量%~20重量%、例えば、10重量%~20重量%、例えば、0.1重量%~10重量%、例えば、5重量%~10重量%量で、溶媒系中に存在し得る。
【0063】
スルホキシド官能基を含む分子は、溶媒系の総重量に基づいて、少なくとも0.1重量%、例えば、少なくとも5重量%、例えば、少なくとも10重量%、例えば、少なくとも20重量%、例えば、少なくとも30重量%、例えば、少なくとも40重量%、例えば、少なくとも50重量%、例えば、少なくとも60重量%、例えば、少なくとも70重量%、例えば、少なくとも80重量%、例えば、少なくとも90重量%、例えば、少なくとも95重量%、例えば、少なくとも99重量%の量で、溶媒系中に存在し得る。スルホン官能基を含む分子は、溶媒系の総重量に基づいて、99.9重量%以下、例えば、95重量%以下、例えば、90重量%以下、例えば、80重量%以下、例えば、70重量%以下、例えば、60重量%以下、例えば、50重量%以下、例えば、40重量%以下、例えば、30重量%以下、例えば、20重量%以下、例えば、10重量%以下、例えば、5重量%以下の量で、溶媒系中に存在し得る。スルホン官能基を含む分子は、溶媒系の総重量に基づいて、0.1重量%~99.9重量%、例えば、5重量%~99.9重量%、例えば、10重量%~99.9重量%、例えば、20重量%~99.9重量%、例えば、30重量%~99.9重量%、例えば、40重量%~99.9重量%、例えば、50重量%~99.9重量%、例えば、60重量%~99.9重量%、例えば、70重量%~99.9重量%、例えば、80重量%~99.9重量%、例えば、90重量%~99.9重量%、例えば、95重量%~99.9重量%、例えば、5重量%~95重量%、例えば、5重量%~95重量%、例えば、10重量%~95重量%、例えば、20重量%~95重量%、例えば、30重量%~95重量%、例えば、40重量%~95重量%、例えば、50重量%~95重量%、例えば、60重量%~95重量%、例えば、70重量%~95重量%、例えば、80重量%~95重量%、例えば、90重量%~95重量%、例えば、0.1重量%~90重量%、例えば、5重量%~90重量%、例えば、10重量%~90重量%、例えば、20重量%~90重量%、例えば、30重量%~90重量%、例えば、40重量%~90重量%、例えば、50重量%~90重量%、例えば、60重量%~90重量%、例えば、70重量%~90重量%、例えば、80重量%~90重量%、例えば、0.1重量%~80重量%、例えば、5重量%~80重量%、例えば、10重量%~80重量%、例えば、20重量%~80重量%、例えば、30重量%~80重量%、例えば、40重量%~80重量%、例えば、50重量%~80重量%、例えば、60重量%~80重量%、例えば、70重量%~80重量%、例えば、例えば、0.1重量%~70重量%、例えば、5重量%~70重量%、例えば、10重量%~70重量%、例えば、20重量%~70重量%、例えば、30重量%~70重量%、例えば、40重量%~70重量%、例えば、50重量%~70重量%、例えば、60重量%~70重量%、例えば、0.1重量%~60重量%、例えば、5重量%~60重量%、例えば、10重量%~60重量%、例えば、20重量%~60重量%、例えば、30重量%~60重量%、例えば、40重量%~60重量%、例えば、50重量%~60重量%、例えば、0.1重量%~50重量%、例えば、5重量%~50重量%、例えば、10重量%~50重量%、例えば、20重量%~50重量%、例えば、30重量%~50重量%、例えば、40重量%~50重量%、例えば、0.1重量%~40重量%、例えば、5重量%~40重量%、例えば、10重量%~40重量%、例えば、20重量%~40重量%、例えば、30重量%~40重量%、例えば、0.1重量%~30重量%、例えば、5重量%~30重量%、例えば、10重量%~30重量%、例えば、20重量%~30重量%、例えば、0.1重量%~20重量%、例えば、5重量%~20重量%、例えば、10重量%~20重量%、例えば、0.1重量%~10重量%、例えば、5重量%~10重量%量で、溶媒系中に存在し得る。
【0064】
組み合わされたリン酸トリアルキルおよび共溶媒は、溶媒系の総重量に基づいて、溶媒系の少なくとも50重量%、例えば、少なくとも60重量%、例えば、少なくとも70重量%、例えば、少なくとも80重量%、例えば、少なくとも90重量%、例えば、少なくとも95重量%、例えば、100重量%であり得る。
【0065】
組み合わされたリン酸トリアルキルおよびラクトンは、溶媒系の総重量に基づいて、溶媒系の少なくとも50重量%、例えば、少なくとも60重量%、例えば、少なくとも70重量%、例えば、少なくとも80重量%、例えば、少なくとも90重量%、例えば、少なくとも95重量%、例えば、100重量%であり得る。
【0066】
組み合わされたリン酸トリアルキルならびにスルホキシドおよび/またはスルホン官能基を含む分子は、溶媒系の総重量に基づいて、溶媒系の少なくとも50重量%、例えば、少なくとも60重量%、例えば、少なくとも70重量%、例えば、少なくとも80重量%、例えば、少なくとも90重量%、例えば、少なくとも95重量%、例えば、100重量%であり得る。
【0067】
組み合わされたリン酸トリアルキルとスルホキシド官能基を含む分子とは、溶媒系の総重量に基づいて、溶媒系の少なくとも50重量%、例えば、少なくとも60重量%、例えば、少なくとも70重量%、例えば、少なくとも80重量%、例えば、少なくとも90重量%、例えば、少なくとも95重量%、例えば、100重量%であり得る。
【0068】
組み合わされたリン酸トリアルキルとスルホン官能基を含む分子とは、溶媒系の総重量に基づいて、溶媒系の少なくとも50重量%、例えば、少なくとも60重量%、例えば、少なくとも70重量%、例えば、少なくとも80重量%、例えば、少なくとも90重量%、例えば、少なくとも95重量%、例えば、100重量%であり得る。
【0069】
有機媒体は、スラリー組成物の総重量に基づいて、少なくとも10重量%、例えば、少なくとも15重量%、例えば、少なくとも18重量%、例えば、少なくとも20重量%、例えば、少なくとも24重量%、例えば、少なくとも25重量%、例えば、少なくとも28重量%、例えば、少なくとも30重量%、例えば、少なくとも32重量%、例えば、少なくとも35重量%、例えば、少なくとも38重量%、例えば、少なくとも40重量%、例えば、少なくとも42重量%、例えば、少なくとも45重量%、例えば、少なくとも48重量%、例えば、少なくとも50重量%、例えば、少なくとも55重量%、例えば、少なくとも60重量%、例えば、少なくとも65重量%、例えば、少なくとも70重量%の量で存在し得る。有機媒体は、スラリー組成物の総重量に基づいて、90重量%以下、例えば、85重量%以下、例えば、82重量%以下、例えば、80重量%以下、例えば、76重量%以下、例えば、75重量%以下、例えば、72重量%以下、例えば、70重量%以下、例えば、68重量%以下、例えば、65重量%以下、例えば、62重量%以下、例えば、60重量%以下、例えば、58重量%以下、例えば、55重量%以下、例えば、52重量%以下、例えば、50重量%以下、例えば、45重量%以下、例えば、40重量%以下、例えば、35重量%以下、例えば、30重量%以下の量で存在し得る。
有機媒体は、スラリー組成物の総重量に基づいて、例えば、10重量%~90重量%、例えば、10重量%~85重量%、例えば、10重量%~82重量%、例えば、10重量%~80重量%、例えば、10重量%~76重量%、例えば、10重量%~75重量%、例えば、10重量%~72重量%、例えば、10重量%~70重量%、例えば、10重量%~68重量%、例えば、10重量%~65重量%、例えば、10重量%~62重量%、例えば、10重量%~60重量%、例えば、10重量%~58重量%、例えば、10重量%~55重量%、例えば、10重量%~52重量%、例えば、10重量%~50重量%、例えば、10重量%~45重量%、例えば、10重量%~40重量%、例えば、10重量%~35重量%、例えば、10重量%~30重量%、例えば、15重量%~90重量%、例えば、15重量%~85重量%、例えば、15重量%~82重量%、例えば、15重量%~80重量%、例えば、15重量%~76重量%、例えば、15重量%~75重量%、例えば、15重量%~72重量%、例えば、15重量%~70重量%、例えば、15重量%~68重量%、例えば、15重量%~65重量%、例えば、15重量%~62重量%、例えば、15重量%~60重量%、例えば、15重量%~58重量%、例えば、15重量%~55重量%、例えば、15重量%~52重量%、例えば、15重量%~50重量%、例えば、15重量%~45重量%、例えば、15重量%~40重量%、例えば、15重量%~35重量%、例えば、15重量%~30重量%、例えば、18重量%~90重量%、例えば、18重量%~85重量%、例えば、18重量%~82重量%、例えば、18重量%~80重量%、例えば、18重量%~76重量%、例えば、18重量%~75重量%、例えば、18重量%~72重量%、例えば、18重量%~70重量%、例えば、18重量%~68重量%、例えば、18重量%~65重量%、例えば、18重量%~62重量%、例えば、18重量%~60重量%、例えば、18重量%~58重量%、例えば、18重量%~55重量%、例えば、18重量%~52重量%、例えば、18重量%~50重量%、例えば、18重量%~45重量%、例えば、18重量%~40重量%、例えば、18重量%~35重量%、例えば、18重量%~30重量%、例えば、20重量%~90重量%、例えば、20重量%~85重量%、例えば、20重量%~82重量%、例えば、20重量%~80重量%、例えば、20重量%~76重量%、例えば、20重量%~75重量%、例えば、20重量%~72重量%、例えば、20重量%~70重量%、例えば、20重量%~68重量%、例えば、20重量%~65重量%、例えば、20重量%~62重量%、例えば、20重量%~60重量%、例えば、20重量%~58重量%、例えば、20重量%~55重量%、例えば、20重量%~52重量%、例えば、20重量%~50重量%、例えば、20重量%~45重量%、例えば、20重量%~40重量%、例えば、20重量%~35重量%、例えば、20重量%~30重量%、例えば、24重量%~90重量%、例えば、24重量%~85重量%、例えば、24重量%~82重量%、例えば、24重量%~80重量%、例えば、24重量%~76重量%、例えば、24重量%~75重量%、例えば、24重量%~72重量%、例えば、24重量%~70重量%、例えば、24重量%~68重量%、例えば、24重量%~65重量%、例えば、24重量%~62重量%、例えば、24重量%~60重量%、例えば、24重量%~58重量%、例えば、24重量%~55重量%、例えば、24重量%~52重量%、例えば、24重量%~50重量%、例えば、24重量%~45重量%、例えば、24重量%~40重量%、例えば、24重量%~35重量%、例えば、24重量%~30重量%、例えば、25重量%~90重量%、例えば、25重量%~85重量%、例えば、25重量%~82重量%、例えば、25重量%~80重量%、例えば、25重量%~76重量%、例えば、25重量%~75重量%、例えば、25重量%~72重量%、例えば、25重量%~70重量%、例えば、25重量%~68重量%、例えば、25重量%~65重量%、例えば、25重量%~62重量%、例えば、25重量%~60重量%、例えば、25重量%~58重量%、例えば、25重量%~55重量%、例えば、25重量%~52重量%、例えば、25重量%~50重量%、例えば、25重量%~45重量%、例えば、25重量%~40重量%、例えば、25重量%~35重量%、例えば、25重量%~30重量%、例えば、28重量%~90重量%、例えば、28重量%~85重量%、例えば、28重量%~82重量%、例えば、28重量%~80重量%、例えば、28重量%~76重量%、例えば、28重量%~75重量%、例えば、28重量%~72重量%、例えば、28重量%~70重量%、例えば、28重量%~68重量%、例えば、28重量%~65重量%、例えば、28重量%~62重量%、例えば、28重量%~60重量%、例えば、28重量%~58重量%、例えば、28重量%~55重量%、例えば、28重量%~52重量%、例えば、28重量%~50重量%、例えば、28重量%~45重量%、例えば、28重量%~40重量%、例えば、28重量%~35重量%、例えば、28重量%~30重量%、例えば、30重量%~90重量%、例えば、30重量%~85重量%、例えば、30重量%~82重量%、例えば、30重量%~80重量%、例えば、30重量%~76重量%、例えば、30重量%~75重量%、例えば、30重量%~72重量%、例えば、30重量%~70重量%、例えば、30重量%~68重量%、例えば、30重量%~65重量%、例えば、30重量%~62重量%、例えば、30重量%~60重量%、例えば、30重量%~58重量%、例えば、30重量%~55重量%、例えば、30重量%~52重量%、例えば、30重量%~50重量%、例えば、30重量%~45重量%、例えば、30重量%~40重量%、例えば、30重量%~35重量%、例えば、35重量%~90重量%、例えば、35重量%~85重量%、例えば、35重量%~82重量%、例えば、35重量%~80重量%、例えば、35重量%~76重量%、例えば、35重量%~75重量%、例えば、35重量%~72重量%、例えば、35重量%~70重量%、例えば、35重量%~68重量%、例えば、35重量%~65重量%、例えば、35重量%~62重量%、例えば、35重量%~60重量%、例えば、35重量%~58重量%、例えば、35重量%~55重量%、例えば、35重量%~52重量%、例えば、35重量%~50重量%、例えば、35重量%~45重量%、例えば、35重量%~40重量%、例えば、38重量%~90重量%、例えば、38重量%~85重量%、例えば、38重量%~82重量%、例えば、38重量%~80重量%、例えば、38重量%~76重量%、例えば、38重量%~75重量%、例えば、38重量%~72重量%、例えば、38重量%~70重量%、例えば、38重量%~68重量%、例えば、38重量%~65重量%、例えば、38重量%~62重量%、例えば、38重量%~60重量%、例えば、38重量%~58重量%、例えば、38重量%~55重量%、例えば、38重量%~52重量%、例えば、38重量%~50重量%、例えば、38重量%~45重量%、例えば、38重量%~40重量%、例えば、40重量%~90重量%、例えば、40重量%~85重量%、例えば、40重量%~82重量%、例えば、40重量%~80重量%、例えば、40重量%~76重量%、例えば、40重量%~75重量%、例えば、40重量%~72重量%、例えば、40重量%~70重量%、例えば、40重量%~68重量%、例えば、40重量%~65重量%、例えば、40重量%~62重量%、例えば、40重量%~60重量%、例えば、40重量%~58重量%、例えば、40重量%~55重量%、例えば、40重量%~52重量%、例えば、40重量%~50重量%、例えば、40重量%~45重量%、例えば、42重量%~90重量%、例えば、42重量%~85重量%、例えば、42重量%~82重量%、例えば、42重量%~80重量%、例えば、42重量%~76重量%、例えば、42重量%~75重量%、例えば、42重量%~72重量%、例えば、42重量%~70重量%、例えば、42重量%~68重量%、例えば、42重量%~65重量%、例えば、42重量%~62重量%、例えば、42重量%~60重量%、例えば、42重量%~58重量%、例えば、42重量%~55重量%、例えば、42重量%~52重量%、例えば、42重量%~50重量%、例えば、42重量%~45重量%、例えば、45重量%~90重量%、例えば、45重量%~85重量%、例えば、45重量%~82重量%、例えば、45重量%~80重量%、例えば、45重量%~76重量%、例えば、45重量%~75重量%、例えば、45重量%~72重量%、例えば、45重量%~70重量%、例えば、45重量%~68重量%、例えば、45重量%~65重量%、例えば、45重量%~62重量%、例えば、45重量%~60重量%、例えば、45重量%~58重量%、例えば、45重量%~55重量%、例えば、45重量%~52重量%、例えば、45重量%~50重量%、例えば、48重量%~90重量%、例えば、48重量%~85重量%、例えば、48重量%~82重量%、例えば、48重量%~80重量%、例えば、48重量%~76重量%、例えば、48重量%~75重量%、例えば、48重量%~72重量%、例えば、48重量%~70重量%、例えば、48重量%~68重量%、例えば、48重量%~65重量%、例えば、48重量%~62重量%、例えば、48重量%~60重量%、例えば、48重量%~58重量%、例えば、48重量%~55重量%、例えば、48重量%~52重量%、例えば、48重量%~50重量%、例えば、50重量%~90重量%、例えば、50重量%~85重量%、例えば、50重量%~82重量%、例えば、50重量%~80重量%、例えば、50重量%~76重量%、例えば、50重量%~75重量%、例えば、50重量%~72重量%、例えば、50重量%~70重量%、例えば、50重量%~68重量%、例えば、50重量%~65重量%、例えば、50重量%~62重量%、例えば、50重量%~60重量%、例えば、50重量%~58重量%、例えば、50重量%~55重量%、例えば、50重量%~52重量%、例えば、55重量%~90重量%、例えば、55重量%~85重量%、例えば、55重量%~82重量%、例えば、55重量%~80重量%、例えば、55重量%~76重量%、例えば、55重量%~75重量%、例えば、55重量%~72重量%、例えば、55重量%~70重量%、例えば、55重量%~68重量%、例えば、55重量%~65重量%、例えば、55重量%~62重量%、例えば、55重量%~60重量%、例えば、55重量%~58重量%、例えば、60重量%~90重量%、例えば、60重量%~85重量%、例えば、60重量%~82重量%、例えば、60重量%~80重量%、例えば、60重量%~76重量%、例えば、60重量%~75重量%、例えば、60重量%~72重量%、例えば、60重量%~70重量%、例えば、60重量%~68重量%、例えば、60重量%~65重量%、例えば、60重量%~62重量%、例えば、65重量%~90重量%、例えば、65重量%~85重量%、例えば、65重量%~82重量%、例えば、65重量%~80重量%、例えば、65重量%~76重量%、例えば、65重量%~75重量%、例えば、65重量%~72重量%、例えば、65重量%~70重量%、例えば、65重量%~68重量%、例えば、70重量%~90重量%、例えば、70重量%~85重量%、例えば、70重量%~82重量%、例えば、70重量%~80重量%、例えば、70重量%~76重量%、例えば、70重量%~75重量%、例えば、70重量%~72重量%の量で存在し得る。
【0070】
電池電極スラリー組成物は、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)を実質的に含み得ないか、本質的に含み得ないか、または完全に含み得ない。本明細書で使用される場合、電池電極スラリー組成物は、NMPが、仮にあったとしても、電池電極スラリー組成物の総重量に基づいて5重量%未満の量で存在する場合、NMPを「実質的に含まない」。本明細書で使用される場合、電池電極スラリー組成物は、NMPが、仮にあったとしても、電池電極スラリー組成物の総重量に基づいて0.3重量%未満の量で存在する場合、NMPを「本質的に含まない」。本明細書で使用される場合、電池電極スラリー組成物は、NMPが、スラリー組成物中に存在しない、すなわち、電池電極スラリー組成物の総重量に基づいて、例えば0.0重量%である場合、NMPを「完全に含まない」。
【0071】
スラリー組成物は、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、イソホロン、アセトフェノンなどのケトンを実質的に含まないか、それられを本質的に含まないか、またはそれらを完全に含まなくてもよい。
【0072】
スラリー組成物は、エチレングリコールまたはプロピレングリコールのC1~C4アルキルエーテルなどのエーテルを実質的に含まないか、それらを本質的に含まないか、またはそれらを完全に含まなくてもよい。
【0073】
本開示によれば、電池電極スラリー組成物の結合剤は、有機媒体中に分散または可溶化されたフルオロポリマーを含む。フルオロポリマーは、電池電極スラリー組成物用の結合剤の全てまたは成分として機能し得る。
【0074】
フルオロポリマーは、フッ化ビニリデンの残基を含む(コ)ポリマーを含み得る。フッ化ビニリデンの残基を含む(コ)ポリマーの非限定的な例は、ポリフッ化ビニリデンポリマー(PVDF)である。本明細書で使用される場合、「ポリフッ化ビニリデンポリマー」は、高分子量のホモポリマー、コポリマー、およびターポリマーを含む、ホモポリマー、コポリマー、例えばバイナリコポリマー、およびターポリマーを含む。このような(コ)ポリマーとしては、少なくとも50モルパーセント、例えば、少なくとも75モル%、および少なくとも80モル%、および少なくとも85モル%のフッ化ビニリデン(二フッ化ビニリデンとしても既知である)の残基を含有するものが挙げられる。フッ化ビニリデンモノマーは、テトラフルオロエチレン、トリフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロペン、フッ化ビニル、ペンタフルオロプロペン、テトラフルオロプロペン、ペルフルオロメチルビニルエーテル、ペルフルオロプロピルビニルエーテル、および本開示のフルオロポリマーを製造するために、フッ化ビニリデンと容易に共重合する任意の他のモノマーからなる群から選択される少なくとも1つのコモノマーと共重合してもよい。フルオロポリマーはまた、PVDFホモポリマーも含んでもよい。
【0075】
ポリフッ化ビニリデンは、フッ化ビニリデンの残基と、(i)(メタ)アクリル酸、および/または(ii)ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートのうちの少なくとも1つと、を含む構成単位を含むポリフッ化ビニリデンコポリマーを含み得る。(メタ)アクリル酸は、アクリル酸、メタクリル酸、またはそれらの組み合わせを含み得る。ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートは、C1~C5ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、例えば、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、またはそれらの組み合わせを含み得る。かかるポリフッ化ビニリデンコポリマーの市販の例としては、Solvayから入手可能なSOLEF 5130が挙げられる。
【0076】
フルオロポリマーは、少なくとも50,000g/モル、例えば、少なくとも100,000g/モル、例えば、少なくとも250,000g/モル、例えば、少なくとも300,000g/モル、例えば、少なくとも350,000g/モル、例えば、少なくとも400,000g/モル、例えば、少なくとも450,000g/モル、例えば、少なくとも500,000g/モル、例えば、少なくとも550,000g/モル、例えば、600,000g/モル、例えば、少なくとも650,000g/モル、例えば、少なくとも700,000g/モル、例えば、少なくとも750,000g/モル、例えば、少なくとも800,000g/モル、例えば、少なくとも850,000g/モル、例えば、少なくとも900,000g/モル、例えば、少なくとも950,000g/モル、例えば、少なくとも1,000,000g/モル、例えば、少なくとも1,050,000g/モル、例えば、少なくとも1,100,000g/モル、例えば、少なくとも1,150,000g/モル、例えば、少なくとも1,200,000g/モル、例えば、少なくとも1,250,000g/モルの重量平均分子量を有し得る。フルオロポリマーは、1,500,000g/モル以下、例えば1,250,000g/モル以下、例えば1,200,000g/モル以下、例えば1,150,000g/モル以下、例えば1,100,000g/モル以下、例えば1,050,000g/モル以下、例えば1,000,000g/モル以下、例えば950,000g/モル以下、例えば900,000g/モル以下、例えば850,000g/モル以下、例えば、800,000g/モル以下、例えば、750,000g/モル以下、例えば、700,000g/モル以下、例えば、650,000g/モル以下、例えば、600,000g/モル以下、例えば、550,000g/モル以下、例えば、500,000g/モル以下、例えば、450,000g/モル以下、例えば、400,000g/モル以下、例えば、350,000g/モル以下、例えば、300,000g/モル以下の重量平均分子量を有し得る。フルオロポリマーは、50,000~1,500,000g/モル、例えば、250,000~700,000g/モル、例えば、250,000~650,000g/モル、例えば、250,000~600,000g/モル、例えば、250,000~550,000g/モル、例えば、250,000~500,000g/モル、例えば、250,000~450,000g/モル、例えば、250,000~400,000g/モル、例えば、250,000~350,000g/モル、例えば、250,000~300,000g/モル、例えば、300,000~700,000g/モル、例えば、300,000~650,000g/モル、例えば、300,000~600,000g/モル、例えば、300,000~550,000g/モル、例えば、300,000~500,000g/モル、例えば、300,000~450,000g/モル、例えば、300,000~400,000g/モル、例えば、300,000~350,000g/モル、例えば、例えば、350,000~700,000g/モル、例えば、350,000~650,000g/モル、例えば、350,000~600,000g/モル、例えば、350,000~550,000g/モル、例えば、350,000~500,000g/モル例えば、350,000~450,000g/モル、例えば、350,000~400,000g/モル、例えば、400,000~700,000g/モル、例えば、400,000~650,000g/モル、例えば、400,000~600,000g/モル、例えば、400,000~550,000g/モル、例えば、400,000~500,000g/モル、例えば、400,000~450,000g/モル、例えば、450,000~700,000g/モル、例えば、450,000~650,000g/モル、例えば、450,000~600,000g/モル、例えば、450,000~550,000g/モル、例えば、450,000~500,000g/モル、例えば、500,000~700,000g/モル、例えば、500,000~650,000g/モル、例えば、500,000~600,000g/モル、例えば、500,000~550,000g/モル、例えば、550,000~700,000g/モル、例えば、550,000~650,000g/モル、例えば、550,000~600,000g/モル、例えば、600,000~700,000g/モル、例えば、600,000~650,000g/モル、例えば、650,000~700,000g/モル、例えば、750,000~1,500,000g/モル、例えば、750,000~1,250,000g/モル、例えば、750,000~1,200,000g/モル、例えば、750,000~1,150,000g/モル、例えば、750,000~1,100,000g/モル、例えば、750,000~1,050,000g/モル、例えば、750,000~1,000,000g/モル、例えば、750,000~950,000g/モル、例えば、750,000~900,000g/モル、例えば、750,000~850,000g/モル、例えば、750,000~800,000g/モル、例えば、800,000~1,500,000g/モル、例えば、800,000~1,250,000g/モル、例えば、800,000~1,200,000g/モル、例えば、800,000~1,150,000g/モル、例えば、800,000~1,100,000g/モル、例えば、800,000~1,050,000g/モル、例えば、800,000~1,000,000g/モル、例えば、800,000~950,000g/モル、例えば、800,000~900,000g/モル、例えば、800,000~850,000g/モル、例えば、850,000~1,500,000g/モル、例えば、850,000~1,250,000g/モル、例えば、850,000~1,200,000g/モル、例えば、850,000~1,150,000g/モル、例えば、850,000~1,100,000g/モル、例えば、850,000~1,050,000g/モル、例えば、850,000~1,000,000g/モル、例えば、850,000~950,000g/モル、例えば、850,000~900,000g/モル、例えば、900,000~1,500,000g/モル、例えば、900,000~1,250,000g/モル、例えば、900,000~1,200,000g/モル、例えば、900,000~1,150,000g/モル、例えば、900,000~1,100,000g/モル、例えば、900,000~1,050,000g/モル、例えば、900,000~1,000,000g/モル、例えば、900,000~950,000g/モル、例えば、950,000~1,500,000g/モル、例えば、950,000~1,250,000g/モル、例えば、950,000~1,200,000g/モル、例えば、950,000~1,150,000g/モル、例えば、950,000~1,100,000g/モル、例えば、950,000~1,050,000g/モル、例えば、950,000~1,000,000g/モル、例えば、1,000,000~1,500,000g/モル、例えば、1,000,000~1,250,000g/モル、例えば、1,000,000~1,200,000g/モル、例えば、1,000,000~1,150,000g/モル、例えば、1,000,000~1,100,000g/モル例えば、1,000,000~1,050,000g/モル、例えば、1,050,000~1,500,000g/モル、例えば、1,050,000~1,250,000g/モル、例えば、1,050,000~1,200,000g/モル、例えば、1,050,000~1,150,000g/モル、例えば、1,050,000~1,100,000g/モル、例えば、1,100,000~1,500,000g/モル、例えば、1,100,000~1,250,000g/モル、例えば、1,100,000~1,200,000g/モル、例えば、1,100,000~1,150,000g/モル、例えば、1,150,000~1,500,000g/モル、例えば、1,150,000~1,250,000g/モル、例えば、1,150,000~1,200,000g/モル、例えば、1,200,000~1,500,000g/モル、例えば、1,200,000~1,250,000g/モル、例えば、1,250,000~1,500,000g/モルの重量平均分子量を有し得る。異なる分子量を有するフルオロポリマーの組み合わせを使用してもよい。PVDFは、例えば、KYNARの商標でArkemaから、HYLARの商標でSolvayから、および内モンゴルの3F Wanhao Fluorochemical Co.,Ltd.から市販されている。
【0077】
フルオロポリマーは、ナノ粒子を含み得る。本明細書で使用される場合、「ナノ粒子」という用語は、1,000nm未満の粒径を有する粒子を指す。フルオロポリマーは、少なくとも50nm、例えば、少なくとも100nm、例えば、少なくとも250nm、例えば、少なくとも300nmの粒径を有し得、かつ900nm以下、例えば、600nm以下、例えば、450nm以下、例えば、400nm以下、例えば、300nm以下、例えば、200nm以下であり得る。フルオロポリマーナノ粒子は、50nm~900nm、例えば、100nm~600nm、例えば、250nm~450nm、例えば、300nm~400nm、例えば、100nm~400nm、例えば、100nm~300nm、例えば、100nm~200nmの粒径を有し得る。本明細書で使用される場合、「粒径」という用語は、フルオロポリマー粒子の平均直径を指す。本開示で言及される粒径は、以下の手順により決定された:フルオロポリマーを、アルミニウム走査電子顕微鏡(SEM)スタブに取り付けられた炭素テープのセグメント上に分散させることによって、試料を調製した。余分な粒子を圧縮空気で炭素テープから吹き飛ばした。次いで、試料を、Au/Pdで20秒間スパッタコーティングし、次いで、高真空下で、Quanta 250 FEG SEM(電界放出型走査電子顕微鏡)で分析した。加速電圧を20.00kVに設定し、スポットサイズを3.0に設定した。調製した試料上の3つの異なる領域から画像を収集し、ImageJソフトウェアを使用して、各領域から10個のフルオロポリマー粒子の直径を測定し、合計30個の粒径測定値を一緒に平均化して平均粒径を決定した。
【0078】
フルオロポリマーは、結合剤固体の総重量に基づいて、少なくとも50重量%、例えば、少なくとも60重量%、例えば、少なくとも70重量%、例えば、少なくとも80重量%、例えば、少なくとも85重量%、例えば、少なくとも90重量%、例えば、少なくとも95重量%、例えば、少なくとも98重量%の量で、結合剤中に存在し得る。フルオロポリマーは、結合剤固体の総重量に基づいて、99.9重量%以下、例えば、99重量%以下、例えば、98重量%以下、例えば、96重量%以下、例えば、95重量%以下、例えば、90重量%以下、例えば、85重量%以下、例えば、80重量%以下の量で、結合剤中に存在し得る。フルオロポリマーは、結合剤固体の総重量に基づいて、50重量%~99.9重量%、例えば、50重量%~99重量%、例えば、50重量%~98重量%、例えば、50重量%~96重量%、例えば、50重量%~95重量%、例えば、50重量%~90重量%、例えば、50重量%~85重量%、例えば、50重量%~80重量%、例えば、60重量%~99.9重量%、例えば、60重量%~99重量%、例えば、60重量%~98重量%、例えば、60重量%~96重量%、例えば、60重量%~95重量%、例えば、60重量%~90重量%、例えば、60重量%~85重量%、例えば、60重量%~80重量%、例えば、70重量%~99.9重量%、例えば、70重量%~99重量%、例えば、70重量%~98重量%、例えば、70重量%~96重量%、例えば、70重量%~95重量%、例えば、70重量%~90重量%、例えば、70重量%~85重量%、例えば、70重量%~80重量%、例えば、80重量%~99.9重量%、例えば、80重量%~99重量%、例えば、80重量%~98重量%、例えば、80重量%~96重量%、例えば、80重量%~95重量%、例えば、80重量%~90重量%、例えば、80重量%~85重量%、例えば、85重量%~99.9重量%、例えば、85重量%~99重量%、例えば、85重量%~98重量%、例えば、85重量%~96重量%、例えば、85重量%~95重量%、例えば、85重量%~90重量%、例えば、90重量%~99.9重量%、例えば、90重量%~99重量%、例えば、90重量%~98重量%、例えば、90重量%~96重量%、例えば、95重量%~99.9重量%、例えば、95重量%~99重量%、例えば、95重量%~98重量%、例えば、95重量%~96重量%、例えば、98重量%~99.9重量%、例えば、98重量%~99重量%の量で、結合剤中に存在し得る。
【0079】
フルオロポリマーは、スラリー組成物の総固体重量に基づいて、少なくとも0.1重量%、例えば、少なくとも0.5重量%、例えば、少なくとも1重量%、例えば、少なくとも1.3重量%、例えば、少なくとも1.9重量%の量で、スラリー組成物中に存在し得る。フルオロポリマーは、スラリー組成物の総固体重量に基づいて、10重量%以下、例えば、6重量%以下、例えば、4.5重量%以下、例えば、2.9重量%以下、例えば、2重量%以下の量で、スラリー組成物中に存在し得る。フルオロポリマーは、スラリー組成物の総固体重量に基づいて、0.1重量%~10重量%、例えば、0.1重量%~6重量%、例えば、0.1重量%~4.5重量%、例えば、0.1重量%~2.9重量%、例えば、0.1重量%~2重量%、例えば、0.5重量%~10重量%、例えば、0.5重量%~6重量%、例えば、0.5重量%~4.5重量%、例えば、0.5重量%~2.9重量%、例えば、0.5重量%~2重量%、例えば、1重量%~10重量%、例えば、1重量%~6重量%、例えば、1重量%~4.5重量%、例えば、1重量%~2.9重量%、例えば、1重量%~2重量%、例えば、1.3重量%~10重量%、例えば、1.3重量%~6重量%、例えば、1.3重量%~4.5重量%、例えば、1.3重量%~2.9重量%、例えば、1.3重量%~2重量%、例えば、1.9重量%~10重量%、例えば、1.9重量%~6重量%、例えば、1.9重量%~4.5重量%、例えば、1.9重量%~2.9重量%、例えば、1.9重量%~2重量%の量で、スラリー組成物中に存在し得る。
【0080】
スラリー組成物は、必要に応じて、分散剤をさらに含み得る。分散剤は、フルオロポリマーおよび/または、存在する場合、導電剤ならびに/もしくは電気化学的活性材料を有機媒体中に分散させる(分散される場合)ことを支援し得る。存在する場合、分散剤は、電池電極スラリー組成物結合剤の成分であり得る。分散剤は、存在する場合、スラリー組成物のフルオロポリマーおよび/または他の成分、例えば、存在する場合、導電剤または電気化学的活性材料と相溶性である少なくとも1つの相を含んでもよく、有機媒体と相溶性である少なくとも1つの相をさらに含んでもよい。電池電極スラリー組成物は、1つ、2つ、3つ、4つ、またはそれより多くの異なる分散剤を含み得、各分散剤は、スラリー組成物の異なる成分の分散を支援し得る。分散剤は、フルオロポリマーおよび/または存在する場合、導電剤もしくは電気化学的活性物質、ならびに有機媒体の両方と相溶性である相を有する任意の物質を含み得る。本明細書で使用される場合、「相溶性」という用語は、時間の経過とともに実質的に均一であり、かつ維持される他の材料とブレンドを形成する材料の能力を意味する。例えば、分散剤は、かかる相を含むポリマーを含み得る。ポリマーは、ブロックポリマー、ランダムポリマー、または勾配ポリマーの形態であり得、ポリマーの異なるブロック中のプレゼントの相は、それぞれ、ポリマー全体にランダムに含まれるか、またはポリマー骨格に沿って漸進的に多かれ少なかれ密に存在する。分散剤は、この目的を果たすための任意の好適なポリマーを含み得る。例えば、ポリマーは、とりわけ、エチレン系不飽和モノマー、ポリエポキシドポリマー、ポリアミドポリマー、ポリウレタンポリマー、ポリ尿素ポリマー、ポリエーテルポリマー、ポリア酸ポリマー、およびポリエステルポリマーを重合することによって生成される付加ポリマーを含み得る。分散剤はまた、スラリー組成物の結合剤の追加の成分として機能し得る。フルオロポリマーおよび分散剤は、共有結合によって結合していない別個の成分であり得る。
【0081】
分散剤は、官能基を含み得る。官能基は、例えば、活性水素官能基、複素環基、およびそれらの組み合わせを含み得る。本明細書で使用される場合、「活性水素官能基」という用語は、JOURNAL OF THE AMERICAN CHEMICAL SOCIETY,Vol.49,page 3181(1927)に記載されているゼレウィチノフ(Zerewitinoff)試験によって決定される、イソシアネートと反応性である基を指し、例えば、ヒドロキシル基、一級または二級アミノ基、カルボン酸基、およびチオール基を含む。本明細書で使用される場合、「複素環基」という用語は、環構造中の炭素に加えて、例えば、酸素、窒素、リン、または硫黄などの少なくとも1個の原子を有する環状部分などの、環中に少なくとも2つの異なる元素を含有する環状基を指す。複素環基の非限定的な例としては、エポキシド、ラクタム、およびラクトンが挙げられる。加えて、エポキシド官能基が付加ポリマー上に存在する場合、分散剤上のエポキシド官能基は、β-ヒドロキシ官能性酸と後反応されてもよい。β-ヒドロキシ官能性酸の非限定的な例としては、クエン酸、酒石酸、および/または3-ヒドロキシ-2-ナフト酸などの芳香族酸が挙げられる。エポキシド官能基の開環反応により、分散剤上にヒドロキシル官能基が得られる。
【0082】
酸官能基が存在する場合、分散剤は、少なくとも350g/酸当量、例えば少なくとも878g/酸当量、例えば少なくとも1,757g/酸当量の理論的酸当量を有し得、かつ17,570g/酸当量以下、例えば12,000g/酸当量以下、例えば7,000g/酸当量以下であり得る。分散剤は、350~17,570g/酸当量、例えば878~12,000g/酸当量、例えば1,757~7,000g/酸当量の理論的酸当量を有し得る。
【0083】
上述したように、分散剤は、付加ポリマーを含み得る。付加ポリマーは、以下で考察されるような1つまたは1つより多くのα、β-エチレン系不飽和モノマーに由来し、その残基からなる構成単位を含んでいてもよく、かかるモノマーの反応混合物を重合して調製してもよい。モノマーの混合物は、1つまたは1つより多くの活性水素基含有エチレン系不飽和モノマーを含み得る。モノマーの混合物は、ケイ素含有官能基を含む1つまたは1つより多くのエチレン系不飽和モノマーを含み得る。反応混合物はまた、複素環基を含むエチレン系不飽和モノマーを含み得る。本明細書で使用される場合、複素環基を含むエチレン系不飽和モノマーは、環構造内の炭素に加えて、例えば、酸素、窒素、または硫黄などの少なくとも1つのα、βエチレン系不飽和基、および少なくとも1つの原子を有する環状部分を有するモノマーを指す。複素環基を含むエチレン系不飽和モノマーの非限定的な例としては、とりわけ、エポキシ官能性エチレン系不飽和モノマー、ビニルピロリドン、およびビニルカプロラクタムが挙げられる。反応混合物は、他のエチレン系不飽和モノマー、例えば、(メタ)アクリル酸のアルキルエステル、および以下に記載される他のものをさらに含み得る。
【0084】
付加ポリマーは、1つまたは1つより多くの(メタ)アクリルモノマーの残基を含む構成単位を含む(メタ)アクリルポリマーを含み得る。(メタ)アクリルポリマーは、1つまたは1つより多くの(メタ)アクリルモノマー、および必要に応じて他のエチレン系不飽和モノマーを含む、α、β-エチレン系不飽和モノマーの反応混合物を重合するステップによって調製することができる。本明細書で使用される場合、「(メタ)アクリルモノマー」という用語は、アクリル酸、メタクリル酸、およびそこから由来するモノマー(アクリル酸およびメタクリル酸のアルキルエステルなどを含む)を指す。本明細書で使用される場合、「(メタ)アクリルポリマー」という用語は、1つ以上の(メタ)アクリルモノマーの残基に由来するか、または1つ以上の(メタ)アクリルモノマーの残基を含む構成単位を含むポリマーを指す。モノマーの混合物は、1つ以上の活性水素基含有(メタ)アクリルモノマー、複素環基を含むエチレン系不飽和モノマー、および他のエチレン系不飽和モノマーを含み得る。(メタ)アクリルポリマーは、反応混合物中のグリシジルメタクリレートなどのエポキシ官能性エチレン系不飽和モノマーを用いて調製され得、得られたポリマー上のエポキシ官能基を、クエン酸、酒石酸、および/または3-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸などのβ-ヒドロキシ官能性酸と後反応させて、(メタ)アクリルポリマー上のヒドロキシル官能基を生じさせ得る。
【0085】
付加ポリマーは、α、β-エチレン系不飽和カルボン酸の残基を含む構成単位を含んでもよい。α、β-エチレン系不飽和カルボン酸の非限定的な例としては、アクリル酸およびメタクリル酸などの最大10個の炭素原子を含有するものが挙げられる。他の不飽和酸の非限定的な例は、マレイン酸またはその無水物、フマル酸およびイタコン酸などのα、β-エチレン系不飽和ジカルボン酸である。また、これらのジカルボン酸の半エステルが用いられ得る。α、β-エチレン系不飽和カルボン酸の残基を含む構成単位は、付加ポリマーの総重量に基づいて、少なくとも1重量%、例えば少なくとも2重量%、例えば少なくとも5重量%を含み得、かつ50重量%以下、例えば20重量%以下、例えば10重量%以下、例えば5重量%以下であり得る。α、β-エチレン系不飽和カルボン酸の残基を含む構成単位は、付加ポリマーの総重量に基づいて、1重量%~50重量%、2重量%~50重量%、例えば、2重量%~20重量%、例えば、2重量%~10重量%、例えば、2重量%~5重量%、例えば、1重量%~5重量%を構成し得る。付加ポリマーは、反応混合物に使用される重合性モノマーの総重量に基づいて、1重量%~50重量%、2重量%~50重量%、例えば2重量%~20重量%、例えば2重量%~10重量%、例えば2重量%~5重量%、例えば1重量%~5重量%の量でα、β-エチレン系不飽和カルボン酸を含む反応混合物に由来し得る。分散剤中のα、β-エチレン系不飽和カルボン酸の残基を含む構成単位を含めると、少なくとも1つのカルボン酸基を含む分散剤が得られ、分散体への安定性を提供するのに役立ち得る。
【0086】
付加ポリマーは、アルキル基中に1~3個の炭素原子を含有する(メタ)アクリル酸のアルキルエステルの残基を含む構成単位を含んでよい。アルキル基中に1~3個の炭素原子を含有する(メタ)アクリル酸のアルキルエステルの非限定的な例としては、メチル(メタ)アクリレートおよびエチル(メタ)アクリレートが挙げられる。アルキル基中に1~3個の炭素原子を含有する(メタ)アクリル酸のアルキルエステルの残基を含む構成単位は、付加ポリマーの総重量に基づいて、少なくとも20重量%、例えば、少なくとも30重量%、例えば、少なくとも40重量%、例えば、少なくとも45重量%、例えば、少なくとも50重量%を含み得、かつ98重量%以下、例えば、96重量%以下、例えば、90重量%以下、例えば、80重量%以下、例えば、75重量%以下であり得る。アルキル基中に1~3個の炭素原子を含有する(メタ)アクリル酸のアルキルエステルの残基を含む構成単位は、付加ポリマーの総重量に基づいて、20重量%~98重量%、例えば、30重量%~96重量%、例えば、30重量%~90重量%、40重量%~90重量%、例えば、40重量%~80重量%、例えば、45重量%~75重量%を含み得る。付加ポリマーは、アルキル基中に1~3個の炭素原子を含有する(メタ)アクリル酸のアルキルエステルを、反応混合物に使用される重合性モノマーの総重量に基づいて、20重量%~98重量%、例えば、30重量%~96重量%、例えば、30重量%~90重量%、40重量%~90重量%、例えば、40重量%~80重量%、例えば、45重量%~75重量%の量で含む反応混合物から誘導され得る。
【0087】
付加ポリマーは、アルキル基中に4~18個の炭素原子を含有する(メタ)アクリル酸のアルキルエステルの残基を含む構成単位を含んでよい。アルキル基中に4~18個の炭素原子を含有する(メタ)アクリル酸のアルキルエステルの非限定的な例としては、ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、およびドデシル(メタ)アクリレートが挙げられる。アルキル基中に4~18個の炭素原子を含有する(メタ)アクリル酸のアルキルエステルの残基を含む構成単位は、付加ポリマーの総重量に基づいて、少なくとも2重量%、例えば、少なくとも5重量%、例えば、少なくとも10重量%、例えば、少なくとも15重量%、例えば、少なくとも20重量%を含み得、かつ70重量%以下、例えば、60重量%以下、例えば、50重量%以下、例えば、40重量%以下、例えば、35重量%以下であり得る。アルキル基中に4~18個の炭素原子を含有する(メタ)アクリル酸のアルキルエステルの残基を含む構成単位は、付加ポリマーの総重量に基づいて、2重量%~70重量%、例えば、2重量%~60重量%、例えば、5重量%~50重量%、10重量%~40重量%、例えば、15重量%~35重量%を含み得る。付加ポリマーは、アルキル基中に4~18個の炭素原子を含有する(メタ)アクリル酸のアルキルエステルを、反応混合物に使用される重合性モノマーの総重量に基づいて、2重量%~70重量%、例えば、2重量%~60重量%、例えば、5重量%~50重量%、10重量%~40重量%、例えば、15重量%~35重量%の量で含む反応混合物に由来し得る。
【0088】
付加ポリマーは、ヒドロキシアルキルエステルの残基を含む構成単位を含んでもよい。ヒドロキシアルキルエステルの非限定的な例として、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートおよびヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートが挙げられる。ヒドロキシアルキルエステルの残基を含む構成単位は、付加ポリマーの総重量に基づいて、少なくとも0.5重量%、例えば少なくとも1重量%、例えば少なくとも2重量%を含み得、かつ30重量%以下、例えば20重量%以下、例えば10重量%以下、例えば5重量%以下であり得る。ヒドロキシアルキルエステルの残基を含む構成単位は、付加ポリマーの総重量に基づいて、0.5重量%~30重量%、例えば1重量%~20重量%、例えば2重量%~20重量%、2重量%~10重量%、例えば2重量%~5重量%を含み得る。付加ポリマーは、反応混合物に使用される重合性モノマーの総重量に基づいて、0.5重量%~30重量%、例えば1重量%~20重量%、例えば2重量%~20重量%、2重量%~10重量%、例えば2重量%~5重量%の量でヒドロキシアルキルエステルを含む反応混合物に由来し得る。分散剤中のヒドロキシアルキルエステルの残基を含む構成単位の包含は、少なくとも1つのヒドロキシル基を含む分散剤をもたらす(ただし、ヒドロキシル基は他の方法によって包含され得る)。ヒドロキシアルキルエステルの包含から生じるヒドロキシル基(または他の手段によって組み込まれる)は、ヒドロキシル基と反応する基を有する自己架橋用モノマーが付加ポリマーに組み込まれるときに、例えば、アミノプラスト、フェノールプラスト、ポリエポキシド、およびブロックポリイソシアネートなどのヒドロキシル基と反応する官能基を含む別に添加される架橋剤と、または付加ポリマーに存在するN-アルコキシメチルアミド基またはブロックイソシアナート(isocyanato)基と反応し得る。
【0089】
付加ポリマーは、複素環基を含むエチレン系不飽和モノマーの残基を含む構成単位を含み得る。複素環基を含むエチレン系不飽和モノマーの非限定的な例としては、とりわけ、エポキシ官能性エチレン系不飽和モノマー、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、ビニルピロリドン、およびビニルカプロラクタムなどが挙げられる。複素環基を含むエチレン系不飽和モノマーの残基を含む構成単位は、付加ポリマーの総重量に基づいて、少なくとも0.5重量%、例えば少なくとも1重量%、例えば少なくとも5重量%、例えば少なくとも8重量%を含み得、かつ99重量%以下、例えば50重量%以下、例えば40重量%以下、例えば30重量%以下、例えば27重量%以下であり得る。複素環基を含むエチレン系不飽和モノマーの残基を含む構成単位は、付加ポリマーの総重量に基づいて、0.5重量%~99重量%、例えば0.5重量%~50重量%、例えば1重量%~40重量%、例えば5重量%~30重量%、8重量%~27重量%を含み得る。付加ポリマーは、反応混合物に使用される重合性モノマーの総重量に基づいて、0.5重量%~50重量%、例えば1重量%~40重量%、例えば5重量%~30重量%、8重量%~27重量%の量で複素環基を含むエチレン系不飽和モノマーを含む反応混合物に由来し得る。
【0090】
上記のように、付加ポリマーは、自己架橋用モノマーの残基を含む構成単位を含んでもよく、付加ポリマーは、自己架橋用付加ポリマーを含んでもよい。本明細書で使用される場合、「自己架橋用モノマー」という用語は、分散剤上に存在する他の官能基と反応し得る官能基を、単一の分散剤または2つまたは2つより多くの分散剤の間の架橋に組み込むモノマーを指す。自己架橋用モノマーの非限定的な例としては、N-アルコキシメチル(メタ)アクリルアミドモノマー、例えば、N-ブトキシメチル(メタ)アクリルアミドおよびN-イソプロポキシメチル(メタ)アクリルアミドなどが挙げられる。自己架橋用モノマーの残基を含む構成単位は、付加ポリマーの総重量に基づいて、少なくとも0.5重量%、例えば、少なくとも1重量%、例えば、少なくとも2重量%を含み得、かつ30重量%以下、例えば、20重量%以下、例えば、10重量%以下、例えば、5重量%以下であり得る。自己架橋用モノマーの残基を含む構成単位は、付加ポリマーの総重量に基づいて、0.5重量%~30重量%、例えば1重量%~20重量%、例えば2重量%~20重量%、2重量%~10重量%、例えば2重量%~5重量%を含み得る。付加ポリマーは、反応混合物に使用される重合性モノマーの総重量に基づいて、0.5重量%~30重量%、例えば1重量%~20重量%、例えば2重量%~20重量%、2重量%~10重量%、例えば2重量%~5重量%の量で自己架橋用モノマーを含む反応混合物に由来し得る。
【0091】
付加ポリマーは、必要に応じて、ケイ素含有官能基を含み得る。本明細書で使用される場合、「ケイ素含有官能基」は、有機置換基を含むポリマー骨格に結合した有機ケイ素基を指す。ケイ素含有官能基は、少なくとも1つのアルコキシ置換基を含み、一般式-SiR1
aX3-aによって表され得、式中、R1は、1~20個の炭素原子を有する置換または非置換の炭化水素基を表し、各Xは、独立して、ヒドロキシル基または加水分解性基を表し、少なくとも1つのXは、アルコキシ基であり、aは、0、1、または2である。したがって、ケイ素含有官能基は、1つのアルコキシ置換基、2つのアルコキシ置換基、3つのアルコキシ置換基、またはそれらの任意の組み合わせを含み得、付加ポリマーは、1つのアルコキシ置換基を含むケイ素含有官能基、2つのアルコキシ置換基を含むケイ素含有官能基、3つのアルコキシ置換基を含むケイ素含有官能基、またはそれらの任意の組み合わせを含むエチレン系不飽和モノマーを含み得る。
【0092】
ケイ素含有官能基は、付加ポリマーの重合中に含まれたケイ素含有官能基を含むエチレン系不飽和モノマーとして、付加ポリマーに含まれ得る。付加ポリマーは、少なくとも1つのアルコキシ置換基を含むケイ素含有官能基を含むエチレン系不飽和モノマーの残基を含む構成単位を含み得る。付加ポリマーは、付加ポリマーの総重量に基づいて、少なくとも0.5重量%、例えば、少なくとも1重量%、例えば、少なくとも5重量%、例えば、少なくとも10重量%、例えば、少なくとも20重量%、例えば、少なくとも30重量%、例えば、少なくとも40重量%、例えば、少なくとも50重量%、例えば、少なくとも60重量%、例えば、少なくとも70重量%、例えば、少なくとも80重量%、例えば、少なくとも90重量%の量で、少なくとも1つのアルコキシ置換基を含むケイ素含有官能基を含むエチレン系不飽和モノマーの残基を含む構成単位を含み得る。付加ポリマーは、付加ポリマーの総重量に基づいて、100重量%、例えば、90重量%以下、例えば、80重量%以下、例えば、70重量%以下、例えば、60重量%以下、例えば、50重量%以下、例えば、40重量%以下、例えば、30重量%以下、例えば、20重量%以下、例えば、10重量%以下、例えば、5重量%以下の量で、少なくとも1つのアルコキシ置換基を含むケイ素含有官能基を含むエチレン系不飽和モノマーの残基を含む構成単位を含み得る。付加ポリマーは、付加ポリマーの総重量に基づいて、0.5重量%~100重量%、例えば、1重量%~100重量%、例えば、5重量%~100重量%、例えば、10重量%~100重量%、例えば、20重量%~100重量%、例えば、30重量%~100重量%、例えば、40重量%~100重量%、例えば、50重量%~100重量%、例えば、60重量%~100重量%、例えば、70重量%~100重量%、例えば、80重量%~100重量%、例えば、90重量%~100重量%、例えば、0.5重量%~90重量%、例えば、1重量%~90重量%、例えば、5重量%~90重量%、例えば、10重量%~90重量%、例えば、20重量%~90重量%、例えば、30重量%~90重量%、例えば、40重量%~90重量%、例えば、50重量%~90重量%、例えば、60重量%~90重量%、例えば、70重量%~90重量%、例えば、80重量%~90重量%、例えば、0.5重量%~80重量%、例えば、1重量%~80重量%、例えば、5重量%~80重量%、例えば、10重量%~80重量%、例えば、20重量%~80重量%、例えば、30重量%~80重量%、例えば、40重量%~80重量%、例えば、50重量%~80重量%、例えば、60重量%~80重量%、例えば、70重量%~80重量%、例えば、0.5重量%~70重量%、例えば、1重量%~70重量%、例えば、5重量%~70重量%、例えば、10重量%~70重量%、例えば、20重量%~70重量%、例えば、30重量%~70重量%、例えば、40重量%~70重量%、例えば、50重量%~70重量%、例えば、60重量%~70重量%、例えば、0.5重量%~60重量%、例えば、1重量%~60重量%、例えば、5重量%~60重量%、例えば、10重量%~60重量%、例えば、20重量%~60重量%、例えば、30重量%~60重量%、例えば、40重量%~60重量%、例えば、50重量%~60重量%、例えば、0.5重量%~50重量%、例えば、1重量%~50重量%、例えば、5重量%~50重量%、例えば、10重量%~50重量%、例えば、20重量%~50重量%、例えば、30重量%~50重量%、例えば、40重量%~50重量%、例えば、0.5重量%~40重量%、例えば、1重量%~40重量%、例えば、5重量%~40重量%、例えば、10重量%~40重量%、例えば、20重量%~40重量%、例えば、30重量%~40重量%、例えば、0.5重量%~30重量%、例えば、1重量%~30重量%、例えば、5重量%~30重量%、例えば、10重量%~30重量%、例えば、20重量%~30重量%、例えば、0.5重量%~20重量%、例えば、1重量%~20重量%、例えば、5重量%~20重量%、例えば、10重量%~20重量%、例えば、0.5重量%~10重量%、例えば、1重量%~10重量%、例えば、5重量%~10重量%、例えば、0.5重量%~5重量%、例えば、1重量%~5重量%の量で、少なくとも1つのアルコキシ置換基を含むケイ素含有官能基を含むエチレン系不飽和モノマーの残基を含む構成単位を含み得る。付加ポリマーは、少なくとも1つのアルコキシ置換基を含むケイ素含有官能基を含むエチレン系不飽和モノマーを、反応混合物に使用される重合性モノマーの総重量に基づいて、0.5重量%~100重量%、例えば、1重量%~100重量%、例えば、5重量%~100重量%、例えば、10重量%~100重量%、例えば、20重量%~100重量%、例えば、30重量%~100重量%、例えば、40重量%~100重量%、例えば、50重量%~100重量%、例えば、60重量%~100重量%、例えば、70重量%~100重量%、例えば、80重量%~100重量%、例えば、90重量%~100重量%、例えば、0.5重量%~90重量%、例えば、1重量%~90重量%、例えば、5重量%~90重量%、例えば、10重量%~90重量%、例えば、20重量%~90重量%、例えば、30重量%~90重量%、例えば、40重量%~90重量%、例えば、50重量%~90重量%、例えば、60重量%~90重量%、例えば、70重量%~90重量%、例えば、80重量%~90重量%、例えば、0.5重量%~80重量%、例えば、1重量%~80重量%、例えば、5重量%~80重量%、例えば、10重量%~80重量%、例えば、20重量%~80重量%、例えば、30重量%~80重量%、例えば、40重量%~80重量%、例えば、50重量%~80重量%、例えば、60重量%~80重量%、例えば、70重量%~80重量%、例えば、0.5重量%~70重量%、例えば、1重量%~70重量%、例えば、5重量%~70重量%、例えば、10重量%~70重量%、例えば、20重量%~70重量%、例えば、30重量%~70重量%、例えば、40重量%~70重量%、例えば、50重量%~70重量%、例えば、60重量%~70重量%、例えば、0.5重量%~60重量%、例えば、1重量%~60重量%、例えば、5重量%~60重量%、例えば、10重量%~60重量%、例えば、20重量%~60重量%、例えば、30重量%~60重量%、例えば、40重量%~60重量%、例えば、50重量%~60重量%、例えば、0.5重量%~50重量%、例えば、1重量%~50重量%、例えば、5重量%~50重量%、例えば、10重量%~50重量%、例えば、20重量%~50重量%、例えば、30重量%~50重量%、例えば、40重量%~50重量%、例えば、0.5重量%~40重量%、例えば、1重量%~40重量%、例えば、5重量%~40重量%、例えば、10重量%~40重量%、例えば、20重量%~40重量%、例えば、30重量%~40重量%、例えば、0.5重量%~30重量%、例えば、1重量%~30重量%、例えば、5重量%~30重量%、例えば、10重量%~30重量%、例えば、20重量%~30重量%、例えば、0.5重量%~20重量%、例えば、1重量%~20重量%、例えば、5重量%~20重量%、例えば、10重量%~20重量%、例えば、0.5重量%~10重量%、例えば、1重量%~10重量%、例えば、5重量%~10重量%、例えば、0.5重量%~5重量%、例えば、1重量%~5重量%の量で含む反応混合物に由来し得る。
【0093】
ケイ素含有官能基は、代替的に、付加ポリマーへの後重合付加を通して、付加ポリマーに含まれ得る。付加ポリマーは、付加ポリマーにケイ素含有官能基を導入するために、ケイ素含有官能基含有化合物と後反応させることができる官能基を含むように重合されてもよい。例えば、付加ポリマーは、例えば、アミノシランと後反応させることができるエポキシド官能基を含むように重合されてもよく、または付加ポリマーは、他の組み込み方法の中で特に、イソシアナト官能基シランと後反応させることができるヒドロキシル官能基を含むように重合されてもよい。
【0094】
付加ポリマーは、例えば、少なくとも500g/当量、例えば、少なくとも750g/当量、例えば、少なくとも1,000g/当量、例えば、少なくとも1,200g/当量、例えば、少なくとも1,500g/当量、例えば、少なくとも2,500g/当量、例えば、少なくとも5,000g/当量のケイ素含有官能基当量を有し得る。付加ポリマーは、50,000g/当量以下例えば、25,000g/当量以下、例えば、15,000g/当量以下、例えば、10,000g/当量以下、例えば、5,000g/当量以下、例えば、2,500g/当量以下、例えば、2,000g/当量以下のケイ素含有官能基当量を有し得る。付加ポリマーは、500~50,000g/当量、例えば、500~25,000g/当量、例えば、500~15,000g/当量、例えば、500~10,000g/当量、例えば、500~5,000g/当量、例えば、500~2,500g/当量、例えば、500~2,000g/当量、例えば、750~50,000g/当量、例えば、750~25,000g/当量、例えば、750~15,000g/当量、例えば、750~10,000g/当量、例えば、750~5,000g/当量、例えば、750~2,500g/当量、例えば、750~2,000g/当量、例えば、1,000~50,000g/当量、例えば、1,000~25,000g/当量、例えば、1,000~15,000g/当量、例えば、1,000~10,000g/当量、例えば、1,000~5,000g/当量、例えば、1,000~2,500g/当量、例えば、1,000~2,000g/当量、例えば、1,200~50,000g/当量、例えば、1,200~25,000g/当量、例えば、1,200~15,000g/当量、例えば、1,200~10,000g/当量、例えば、1,200~5,000g/当量、例えば、1,200~2,500g/当量、例えば、1,200~2,000g/当量、例えば、1,500~50,000g/当量、例えば、1,500~25,000g/当量、例えば、1,500~15,000g/当量、例えば、1,500~10,000g/当量、例えば、1,500~5,000g/当量、例えば、1,500~2,500g/当量、例えば、1,500~2,000g/当量、2,500~50,000g/当量、例えば、2,500~25,000g/当量、例えば、2,500~15,000g/当量、例えば、2,500~10,000g/当量、例えば、2,500~5,000g/当量、例えば、5,000~50,000g/当量、例えば、5,000~25,000g/当量、例えば、5,000~15,000g/当量、例えば、5,000~10,000g/当量のケイ素含有官能基当量を有し得る。本明細書で使用される場合、ケイ素含有官能基当量は、付加ポリマーの総理論重量を、そこに理論的に存在するケイ素含有基の総当量数で除算することによって決定される理論的値を指す。
【0095】
付加ポリマーは、少なくとも75g/当量、例えば、少なくとも100g/当量、例えば、少なくとも250g/当量、例えば、少なくとも500g/当量、例えば、少なくとも750g/当量、例えば、少なくとも1,000g/当量、例えば、少なくとも1,200g/当量、例えば、少なくとも1,500g/当量、例えば、少なくとも2,000g/当量のアルコキシ当量を有し得る。付加ポリマーは、15,000g/当量以下、例えば、10,000g/当量以下、例えば、7,500g/当量以下、例えば、5,000g/当量以下、例えば、2,500g/当量以下、例えば、2,000g/当量以下、例えば、1,500g/当量以下、例えば、1,000g/当量以下、例えば、750g/当量以下、例えば、600g/当量以下、例えば、500g/当量以下のアルコキシ当量を有し得る。付加ポリマーは、75~15,000g/当量、例えば、75~10,000g/当量、例えば、75~7,500g/当量、例えば、75~5,000g/当量、例えば、75~2,500g/当量、例えば、75~2,000g/当量、例えば、75~1,500g/当量、例えば、75~1,000g/当量、例えば、75~750g/当量、例えば、75~600g/当量、例えば、75~500g/当量、例えば、100~15,000g/当量、例えば、100~10,000g/当量、例えば、100~7,500g/当量、例えば、100~5,000g/当量、例えば、100~2,500g/当量、例えば、100~2,000g/当量、例えば、100~1,500g/当量、例えば、100~1,000g/当量、例えば、100~750g/当量、例えば、100~600g/当量、例えば、100~500g/当量、例えば、250~15,000g/当量、例えば、250~10,000g/当量、例えば、250~7,500g/当量、例えば、250~5,000g/当量、例えば、250~2,500g/当量、例えば、250~2,000g/当量、例えば、250~1,500g/当量、例えば、250~1,000g/当量、例えば、250~750g/当量、例えば、250~600g/当量、例えば、250~500g/当量、例えば、500~15,000g/当量、例えば、500~10,000g/当量、例えば、500~7,500g/当量、例えば、500~5,000g/当量、例えば、500~2,500g/当量、例えば、500~2,000g/当量、例えば、500~1,500g/当量、例えば、500~1,000g/当量、例えば、500~750g/当量、例えば、500~600g/当量、例えば、750~15,000g/当量、例えば、750~10,000g/当量、例えば、750~7,500g/当量、例えば、750~5,000g/当量、例えば、750~2,500g/当量、例えば、750~2,000g/当量、例えば、750~1,500g/当量、例えば、750~1,000g/当量、例えば、1,000~15,000g/当量、例えば、1,000~10,000g/当量、例えば、1,000~7,500g/当量、例えば、1,000~5,000g/当量、例えば、1,000~2,500g/当量、例えば、1,000~2,000g/当量、例えば、1,000~1,500g/当量、例えば、1,200~15,000g/当量、例えば、1,200~10,000g/当量、例えば、1,200~7,500g/当量、例えば、1,200~5,000g/当量、例えば、1,200~2,500g/当量、例えば、1,200~2,000g/当量、例えば、1,200~1,500g/当量、例えば、1,500~15,000g/当量、例えば、1,500~10,000g/当量、例えば、1,500~7,500g/当量、例えば、1,500~5,000g/当量、例えば、1,500~2,500g/当量、例えば、1,500~2,000g/当量、例えば、2,000~15,000g/当量、例えば、2,000~10,000g/当量、例えば、2,000~7,500g/当量、例えば、2,000~5,000g/当量、例えば、2,000~2,500g/当量のアルコキシ当量を有し得る。本明細書で使用される場合、アルコキシ当量は、付加ポリマーの総理論重量を、そこに理論的に存在するアルコキシ基の総当量数で除算することによって決定される理論的値を指す。
【0096】
付加ポリマーは、他のα、β-エチレン系不飽和モノマーの残基を含む構成単位を含んでもよい。他のα、β-エチレン系不飽和モノマーの非限定的な例としては、スチレン、α-メチルスチレン、α-クロロスチレンおよびビニルトルエンなどのビニル芳香族化合物;アクリロニトリルおよびメタクリロニトリルなどの有機ニトリル、塩化アリルおよびアリルシアニドなどのアリルモノマー;1,3-ブタジエンおよび2-メチル-1,3-ブタジエンなどのモノマージエン;ならびにアセトアセトキシエチルメタクリレート(AAEM)などのアセトアセトキシアルキル(メタ)アクリレート(自己架橋用であり得る)が挙げられる。他のα、β-エチレン系不飽和モノマーの残基を含む構成単位は、付加ポリマーの総重量に基づいて、少なくとも0.5重量%、例えば少なくとも1重量%、例えば少なくとも2重量%を含み得、かつ30重量%以下、例えば20重量%以下、例えば10重量%以下、例えば5重量%以下であり得る。他のα、β-エチレン系不飽和モノマーの残基を含む構成単位は、付加ポリマーの総重量に基づいて、0.5重量%~30重量%、例えば1重量%~20重量%、例えば2重量%~20重量%、2重量%~10重量%、例えば2重量%~5重量%を含み得る。付加ポリマーは、反応混合物に使用される重合性モノマーの総重量に基づいて、0.5重量%~30重量%、例えば1重量%~20重量%、例えば2重量%~20重量%、2重量%~10重量%、例えば2重量%~5重量%の量で他のα、β-エチレン系不飽和モノマーを含む反応混合物に由来し得る。
【0097】
モノマーおよび相対量は、得られた付加ポリマーが、100℃以下のTgを有するように選択され得る。得られた付加ポリマーは、例えば、少なくとも-50℃、例えば、少なくとも-40℃、例えば、-30℃、例えば、-20℃、例えば、-15℃、例えば、-10℃、例えば、-5℃、例えば、0℃のTgを有し得る。得られた付加ポリマーは、例えば、+70℃以下、例えば、+60℃以下、例えば、+50℃以下、例えば、+40℃以下、例えば、+25℃以下、例えば、+15℃以下、例えば、+10℃以下、例えば、+5℃以下、例えば、0℃以下のTgを有し得る。得られた付加ポリマーは、例えば、-50~+70℃、例えば、-50~+60℃、例えば、-50~+50℃、例えば、-50~+40℃、例えば、-50~+25℃、例えば、-50~+20℃、例えば、-50~+15℃、例えば、-50~+10℃、例えば、-50~+5℃、例えば、-50~0℃、例えば、-40~+50℃、例えば、-40~+40℃、例えば、-40~+25℃、例えば、-40~+20℃、例えば、-40~+15℃、例えば、-40~+10℃、例えば、-40~+5℃、例えば、-40~0℃、例えば、-30~+50℃、例えば、-30~+40℃、例えば、-30~+25℃、例えば、-30~+20℃、例えば、-30~+15℃、例えば、-30~+10℃、例えば、-30~+5℃、例えば、-30~0℃、例えば、-20~+50℃、例えば、-20~+40℃、例えば、-20~+25℃、例えば、-20~+20℃、例えば、-20~+15℃、例えば、-20~+10℃、例えば、-20~+5℃、例えば、-20~0℃、例えば、-15~+50℃、例えば、-15~+40℃、例えば、-15~+25℃、例えば、-15~+20℃、例えば、-15~+15℃、例えば、-15~+10℃、例えば、-15~+5℃、例えば、-15~0℃、例えば、-10~+50℃、例えば、-10~+40℃、例えば、-10~+25℃、例えば、-10~+20℃、例えば、-10~+15℃、例えば、-10~+10℃、例えば、-10~+5℃、例えば、-10~0℃、例えば、-5~+50℃、例えば、-5~+40℃、例えば、-5~+25℃、例えば、-5~+20℃、例えば、-5~+15℃、例えば、-5~+10℃、例えば、-5~+5℃、例えば、-5~0℃、例えば、0~+50℃、例えば、0~+40℃、例えば、0~+25℃、例えば、0~+20℃、例えば、0~+15℃のTgを有し得る。低温で許容できる電池性能を確保するために、0℃未満のより低いTgが望ましい場合がある。
【0098】
付加ポリマーは、重合性モノマーが、溶媒または溶媒の混合物を含む第2の有機媒体に溶解され、転換が完了するまでフリーラジカル開始剤の存在下で重合される、従来のフリーラジカル開始溶液重合技術によって調製され得る。付加ポリマーを調製するために使用される第2の有機媒体は、有機媒体の組成が、付加ポリマー溶液の添加によって変化しないように、スラリー組成物中に存在する有機媒体と同じであってもよい。例えば、第2の有機媒体は、スラリー組成物の有機媒体と同じ比率で、同じ一次溶媒と共溶媒とを含んでもよい。代替的に、付加ポリマーを調製するために使用される第2の有機媒体は、スラリー組成物の有機媒体とは異なる別のものであってもよい。付加ポリマーを生成するために使用される第2の有機媒体は、例えば、リン酸トリエチルなどの有機媒体に関して上で考察されたものを含む、任意の好適な有機溶媒または溶媒の混合物を含み得る。
【0099】
フリーラジカル開始剤の例としては、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビス(α、γ-メチルバレロニトリル)、過安息香酸三級ブチル、過酢酸三級ブチル、過酸化ベンゾイル、過酸化二三級ブチルおよび過酸化三級アミル2-エチルヘキシルカーボネートなどのモノマーの混合物中に可溶性であるものがある。
【0100】
必要に応じて、アルキルメルカプタンなどのモノマー、例えば、三級-ドデシルメルカプタン、メチルエチルケトンなどのケトン、クロロホルムなどのクロロハイドロカーボンの混合物中に可溶性である連鎖移動剤を使用することができる。連鎖移動剤は、様々なコーティング用途に必要な粘度を有する生成物を与えるように、分子量を制御する。三級-ドデシルメルカプタンは、モノマーのポリマー生成物への高い転化率をもたらすので、好ましい。
【0101】
付加ポリマーを調製するために、溶媒を最初に加熱して還流してもよく、フリーラジカル開始剤を含有する重合性モノマーの混合物をゆっくりと還流溶媒に添加してもよい。次いで、重合性モノマーの混合物の総重量に基づいて、遊離モノマー含有量を、1.0パーセントを下回るように、通常は0.5パーセントを下回るように低減するように、重合温度で保持する。
【0102】
本開示のスラリー組成物での使用のために、上述したように調製された分散剤は、通常、約5000~500,000g/モル、例えば、10,000~100,000g/モル、および25,000~50,000g/モルの重量平均分子量を有する。
【0103】
分散剤は、結合剤固体の総重量に基づいて、少なくとも0.1重量%、例えば、少なくとも0.25重量%、例えば、少なくとも0.5重量%、例えば、少なくとも1重量%、例えば、少なくとも2重量%、例えば、少なくとも3重量%、例えば、少なくとも4重量%、例えば、少なくとも5重量%、例えば、少なくとも6重量%、例えば、少なくとも7重量%、例えば、少なくとも8重量%、少なくとも12重量%の量で、結合剤中に存在し得る。分散剤は、結合剤固体の総重量に基づいて、25重量%以下、例えば、20重量%以下、例えば、15重量%以下、例えば、12.5重量%以下、例えば、10重量%以下、例えば、5重量%以下の量で、結合剤中に存在し得る。分散剤は、結合剤固体の総重量に基づいて、0.1重量%~25重量%、例えば、0.1重量%~20重量%、例えば、0.1重量%~15重量%、例えば、0.1重量%~12.5重量%、例えば、0.1重量%~10重量%、例えば、0.1重量%~8重量%、例えば、0.1重量%~7重量%、例えば、0.1重量%~6重量%、例えば、0.1重量%~5重量%、例えば、0.25重量%~25重量%、例えば、0.25重量%~20重量%、例えば、0.25重量%~15重量%、例えば、0.25重量%~12.5重量%、例えば、0.25重量%~10重量%、例えば、0.25重量%~8重量%、例えば、0.25重量%~7重量%、例えば、0.25重量%~6重量%、例えば、0.25重量%~5重量%、例えば、0.5重量%~25重量%、例えば、0.5重量%~20重量%、例えば、0.5重量%~15重量%、例えば、0.5重量%~12.5重量%、例えば、0.5重量%~10重量%、例えば、0.5重量%~8重量%、例えば、0.5重量%~7重量%、例えば、0.5重量%~6重量%、例えば、0.5重量%~5重量%、例えば、1重量%~25重量%、例えば、1重量%~20重量%、例えば、1重量%~15重量%、例えば、1重量%~12.5重量%、例えば、1重量%~10重量%、例えば、1重量%~8重量%、例えば、1重量%~7重量%、例えば、1重量%~6重量%、例えば、1重量%~5重量%、例えば、2重量%~25重量%、例えば、2重量%~20重量%、例えば、2重量%~15重量%、例えば、2重量%~12.5重量%、例えば、2重量%~10重量%、例えば、2重量%~8重量%、例えば、2重量%~7重量%、例えば、2重量%~6重量%、例えば、2重量%~5重量%、例えば、3重量%~25重量%、例えば、3重量%~20重量%、例えば、3重量%~15重量%、例えば、3重量%~12.5重量%、例えば、3重量%~10重量%、例えば、3重量%~8重量%、例えば、3重量%~7重量%、例えば、3重量%~6重量%、例えば、3重量%~5重量%、例えば、4重量%~25重量%、例えば、4重量%~20重量%、例えば、4重量%~15重量%、例えば、4重量%~12.5重量%、例えば、4重量%~10重量%、例えば、4重量%~8重量%、例えば、4重量%~7重量%、例えば、4重量%~6重量%、例えば、4重量%~5重量%、例えば、5重量%~25重量%、例えば、5重量%~20重量%、例えば、5重量%~15重量%、例えば、5重量%~12.5重量%、例えば、5重量%~10重量%、例えば、5重量%~8重量%、例えば、5重量%~7重量%、例えば、5重量%~6重量%、例えば、6重量%~25重量%、例えば、6重量%~20重量%、例えば、6重量%~15重量%、例えば、6重量%~12.5重量%、例えば、6重量%~10重量%、例えば、6重量%~8重量%、例えば、6重量%~7重量%、例えば、7重量%~25重量%、例えば、7重量%~20重量%、例えば、7重量%~15重量%、例えば、7重量%~12.5重量%、例えば、7重量%~10重量%、例えば、7重量%~8重量%、例えば、8重量%~25重量%、例えば、8重量%~20重量%、例えば、8重量%~15重量%、例えば、8重量%~12.5重量%、例えば、8重量%~10重量%、例えば、12重量%~25重量%、例えば、12重量%~20重量%、例えば、12重量%~15重量%の量で、結合剤中に存在し得る。
【0104】
分散剤は、スラリー組成物の総固体重量に基づいて、少なくとも0.1重量%、例えば、少なくとも0.25重量%、例えば、少なくとも0.5重量%、例えば、少なくとも0.75重量%、例えば、少なくとも1重量%、例えば、少なくとも1.3重量%、例えば、少なくとも1.5重量%、例えば、少なくとも1.9重量%の量で、スラリー組成物中に存在し得る。分散剤は、スラリー組成物の総固体重量に基づいて、10重量%以下、例えば、6重量%以下、例えば、4.5重量%以下、例えば、2.9重量%以下、例えば、2.5重量%以下、例えば、2重量%以下の量で、スラリー組成物中に存在し得る。分散剤は、スラリー組成物の総固体重量に基づいて、0.1重量%~10重量%、例えば、0.1重量%~6重量%、例えば、0.1重量%~4.5重量%、例えば、0.1重量%~2.9重量%、例えば、0.1重量%~2.5重量%、例えば、0.1重量%~2重量%、例えば、0.25重量%~10重量%、例えば、0.25重量%~6重量%、例えば、0.25重量%~4.5重量%、例えば、0.25重量%~2.9重量%、例えば、0.25重量%~2.5重量%、例えば、0.25重量%~2重量%、例えば、0.5重量%~10重量%、例えば、0.5重量%~6重量%、例えば、0.5重量%~4.5重量%、例えば、0.5重量%~2.9重量%、例えば、0.5重量%~2.5重量%、例えば、0.5重量%~2重量%、例えば、0.75重量%~10重量%、例えば、0.75重量%~6重量%、例えば、0.75重量%~4.5重量%、例えば、0.75重量%~2.9重量%、例えば、0.75重量%~2.5重量%、例えば、0.75重量%~2重量%、例えば、1重量%~10重量%、例えば、1重量%~6重量%、例えば、1重量%~4.5重量%、例えば、1重量%~2.9重量%、例えば、1重量%~2.5重量%、例えば、1重量%~2重量%、例えば、1.3重量%~10重量%、例えば、1.3重量%~6重量%、例えば、1.3重量%~4.5重量%、例えば、1.3重量%~2.9重量%、例えば、1.3重量%~2.5重量%、例えば、1.3重量%~2重量%、例えば、1.5重量%~10重量%、例えば、1.5重量%~6重量%、例えば、1.5重量%~4.5重量%、例えば、1.5重量%~2.9重量%、例えば、1.5重量%~2.5重量%、例えば、1.5重量%~2重量%、例えば、1.9重量%~10重量%、例えば、1.9重量%~6重量%、例えば、1.9重量%~4.5重量%、例えば、1.9重量%~2.9重量%、例えば、1.9重量%~2.5重量%、例えば、1.9重量%~2重量%、例えば、1重量%~10重量%、例えば、1重量%~6重量%、例えば、1重量%~4.5重量%、例えば、1重量%~2.9重量%、例えば、1重量%~2.5重量%、例えば、1重量%~2重量%の量で、スラリー組成物中に存在し得る。
【0105】
電池電極スラリー組成物は、必要に応じて、(フルオロポリマーが反応性官能基を含む場合)分散剤および/またはフルオロポリマーとの反応用に別個に添加された架橋剤をさらに含み得る。架橋剤は、有機媒体中に可溶性または分散性であり、存在する場合、カルボン酸基およびヒドロキシル基などの分散剤および/またはフルオロポリマーの活性水素基と反応性であり得る。好適な架橋剤の非限定的な例としては、アミノプラスト樹脂、ブロックポリイソシアネート、およびポリエポキシドが挙げられる。
【0106】
架橋剤として使用するためのアミノプラスト樹脂の例は、メラミンまたはベンゾグアナミンなどのトリアジンをホルムアルデヒドと反応させることによって形成されるものである。これらの反応生成物は、反応性N-メチルロール基を含有する。通常、これらの反応性基を、それらの混合物を含むメタノール、エタノール、ブタノールでエーテル化して、それらの反応性を調節する。アミノプラスト樹脂の化学調製および使用については、Dr.Oldringによって編集された「The Chemistry and Applications of Amino Crosslinking Agents or Aminoplast」,Vol.V,Part II,page 21 ff.;John Wiley&Sons/Cita Technology Limited,London,1998を参照されたい。これらの樹脂は、MAPRENAL MF980などの商標MAPRENAL(登録商標)で、およびCytec Industriesから入手可能なCYMEL 303およびCYMEL 1128などの商標CYMEL(登録商標)で、市販されている。
【0107】
ブロックポリイソシアネート架橋剤は、典型的には、イソシアネート基が、ε-カプロラクトンおよびメチルエチルケトキシムなどの材料と反応(「ブロック化」)するイソシアネートダイマーおよびそのトリマーを含む、トルエンジイソシアネート、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート、およびイソホロンジイソシアネートなどのジイソシアネートである。硬化温度では、ブロッキング剤は、(メタ)アクリルポリマーと関連するヒドロキシル官能基と反応性であるイソシアネート官能基を露出させるブロックを解除する。ブロックポリイソシアネート架橋剤は、DESMODUR BLとしてCovestroから市販されている。
【0108】
ポリエポキシド架橋剤の例は、エポキシ含有(メタ)アクリルポリマー、例えば、他のビニルモノマーと共重合したグリシジルメタクリレートから調製したもの、ビスフェノールAのジグリシジルエーテルなどの多価フェノールのポリグリシジルエーテル;ならびに3,4-エポキシシクロヘキシルメチル-3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、およびビス(3,4-エポキシ-6-メチルシクロヘキシル-メチル)アジペートなどの脂環式ポリエポキシドである。
【0109】
分散剤の架橋を促進することに加えて、架橋用モノマーおよび別に添加された架橋剤と関連付けられるものを含む架橋剤は、分散剤の活性水素官能基などの親水性基と反応して、これらの基が、リチウムイオン電池において問題となる可能性のある水分を吸収することを防止する。
【0110】
別個に添加された架橋剤は、最大25重量%、例えば、0.1重量%~25重量%、例えば、0.1重量%~15重量%、例えば、0.1重量%~5重量%、例えば、1重量%~25重量%、例えば、1重量%~15重量%、例えば、1重量%~10重量%、例えば、1重量%~5重量%の量で、結合剤中に存在し得、重量%は結合剤固体の総重量に基づいている。
【0111】
本明細書で使用される場合、「結合剤固体」という用語は、フルオロポリマーと、存在する場合、分散剤と、別個に添加された架橋剤と、を含む。
【0112】
結合剤固体は、スラリーの総固体重量に基づいて、少なくとも0.1重量%、例えば、少なくとも0.5重量%、例えば、少なくとも1重量%、例えば、少なくとも1.5重量%、例えば、少なくとも2重量%の量で、スラリー組成物中に存在し得る。結合剤固体は、スラリーの総固体重量に基づいて、20重量%以下、例えば、15重量%以下、例えば、10重量%以下、例えば、7.5重量%以下、例えば、5重量%以下、例えば、4重量%以下、例えば、3重量%以下の量で、スラリー組成物中に存在し得る。結合剤固体は、スラリーの総固体重量に基づいて、0.1重量%~20重量%、例えば、0.1重量%~15重量%、例えば、0.1重量%~10重量%、例えば、0.1重量%~7.5重量%、例えば、0.1重量%~5重量%、例えば、0.1重量%~4重量%、例えば、0.1重量%~3重量%、例えば、0.5重量%~20重量%、例えば、0.5重量%~15重量%、例えば、0.5重量%~10重量%、例えば、0.5重量%~7.5重量%、例えば、0.5重量%~5重量%、例えば、0.5重量%~4重量%、例えば、0.5重量%~3重量%、例えば、1重量%~20重量%、例えば、1重量%~15重量%、例えば、1重量%~10重量%、例えば、1重量%~7.5重量%、例えば、1重量%~5重量%、例えば、1重量%~4重量%、例えば、1重量%~3重量%、例えば、1.5重量%~20重量%、例えば、1.5重量%~15重量%、例えば、1.5重量%~10重量%、例えば、1.5重量%~7.5重量%、例えば、1.5重量%~5重量%、例えば、1.5重量%~4重量%、例えば、1.5重量%~3重量%、例えば、2重量%~20重量%、例えば、2重量%~15重量%、例えば、2重量%~10重量%、例えば、2重量%~7.5重量%、例えば、2重量%~5重量%、例えば、2重量%~4重量%、例えば、2重量%~3重量%の量で、スラリー組成物中に存在し得る。
【0113】
スラリー組成物は、電気化学的活性物質をさらに含む。スラリーに含有される電気化学的活性物質を構成する材料は、特に限定されず、対象となる蓄電デバイスの種類に従って、好適な材料が選択され得る。
【0114】
電気化学的活性物質は、正極の活性物質として使用するための、正の電池電極活性物質を含み得る。電気化学的活性物質は、リチウムを組み込むことができる物質(リチウムインターカレーション/デインターカレーションによる組み込みを含む)、リチウム変換可能な物質、またはそれらの組み合わせを含み得る。リチウムを組み込むことができる電気化学的活性物質の非限定的な例としては、LiCoO2、LiNiO2、LiFePO4、LiCoPO4、LiMnO2、LiMn2O4、Li(NiMnCo)O2、Li(NiCoAl)O2、炭素コーティングされたLiFePO4、リン酸マンガンリチウム(LMP)、リン酸マンガン鉄リチウム(LFMP)、およびそれらの組み合わせが挙げられる。リチウム変換可能な材料の非限定的な例としては、硫黄、LiO2、FeF2およびFeF3、Si、アルミニウム、スズ、SnCo、Fe3O4、ならびにそれらの組み合わせが挙げられる。
【0115】
電気化学的活性物質は、負極の活性物質として使用するための、負の電池電極活性物質を含み得る。電気化学的活性物質は、グラファイト、チタン酸リチウム、ケイ素化合物、スズ、スズ化合物、硫黄、硫黄化合物、またはそれらの組み合わせを含み得る。
【0116】
電気化学的活性物質は、スラリー組成物の総固体重量に基づいて、45重量%~99重量%、例えば、50重量%~99重量%、例えば、55重量%~99重量%、例えば、60重量%~99重量%、例えば、65重量%~99重量%、例えば、70重量%~99重量%、例えば、75重量%~99重量%、例えば、80重量%~99重量%、例えば、85重量%~99重量%、例えば、90重量%~99重量%、例えば、91重量%~99重量%、例えば、94重量%~99重量%、例えば、95重量%~99重量%、例えば、96重量%~99重量%、例えば、97重量%~99重量%、例えば、98重量%~99重量%、例えば、45重量%~98重量%、例えば、50重量%~98重量%、例えば、55重量%~98重量%、例えば、60重量%~98重量%、例えば、65重量%~98重量%、例えば、70重量%~98重量%、例えば、75重量%~98重量%、例えば、80重量%~98重量%、例えば、85重量%~98重量%、例えば、90重量%~98重量%、例えば、91重量%~98重量%、例えば、94重量%~98重量%、例えば、95重量%~98重量%、例えば、96重量%~98重量%、例えば、97重量%~98重量%、例えば、45重量%~96重量%、例えば、50重量%~96重量%、例えば、55重量%~96重量%、例えば、60重量%~96重量%、例えば、65重量%~96重量%、例えば、70重量%~96重量%、例えば、75重量%~96重量%、例えば、80重量%~96重量%、例えば、85重量%~96重量%、例えば、90重量%~96重量%、例えば、91重量%~96重量%、例えば、94重量%~96重量%、例えば、95重量%~96重量%の量で、スラリー中に存在し得る。
【0117】
本開示のスラリー組成物は、必要に応じて、導電剤をさらに含み得る。導電剤は、必要ではないが、電気化学的活性物質が正極活性材料である場合、含まれる可能性がより高い。導電性添加剤は、リチウムイオン電池の充放電速度を向上させ得る。導電剤の非限定的な例には、炭素質材料、例えば、活性炭素など、アセチレンブラックおよびファーネスブラックなどのカーボンブラック、黒鉛、グラフェン、カーボンナノチューブ、炭素繊維、フラーレン、およびそれらの組み合わせが挙げられる。
【0118】
導電剤は、スラリーの総固体重量に基づいて、少なくとも0.1重量%、例えば、少なくとも0.5重量%、例えば、少なくとも1重量%、例えば、少なくとも1.5重量%、例えば、少なくとも2重量%の量で、スラリー中に存在し得る。導電剤は、スラリーの総固体重量に基づいて、20重量%以下、例えば、15重量%以下、例えば、10重量%以下、例えば、7.5重量%以下、例えば、5重量%以下、例えば、4重量%以下、例えば、3重量%以下、例えば、2.5重量%以下の量で、スラリー中に存在し得る。導電剤は、スラリーの総固体重量に基づいて、0.1重量%~20重量%、例えば、0.1重量%~15重量%、例えば、0.1重量%~10重量%、例えば、0.1重量%~7.5重量%、例えば、0.1重量%~5重量%、例えば、0.1重量%~4重量%、例えば、0.1重量%~3重量%、例えば、0.1重量%~2.5重量%、例えば、0.5重量%~20重量%、例えば、0.5重量%~15重量%、例えば、0.5重量%~10重量%、例えば、0.5重量%~7.5重量%、例えば、0.5重量%~5重量%、例えば、0.5重量%~4重量%、例えば、0.5重量%~3重量%、例えば、0.5重量%~2.5重量%、例えば、1重量%~20重量%、例えば、1重量%~15重量%、例えば、1重量%~10重量%、例えば、1重量%~7.5重量%、例えば、1重量%~5重量%、例えば、1重量%~4重量%、例えば、1重量%~3重量%、例えば、1重量%~2.5重量%、例えば、1.5重量%~20重量%、例えば、1.5重量%~15重量%、例えば、1.5重量%~10重量%、例えば、1.5重量%~7.5重量%、例えば、1.5重量%~5重量%、例えば、1.5重量%~4重量%、例えば、1.5重量%~3重量%、例えば、1.5重量%~2.5重量%、例えば、2重量%~20重量%、例えば、2重量%~15重量%、例えば、2重量%~10重量%、例えば、2重量%~7.5重量%、例えば、2重量%~5重量%、例えば、2重量%~4重量%、例えば、2重量%~3重量%、例えば、2重量%~2.5重量%の量で、スラリー中に存在し得る。
【0119】
有機媒体と、電気化学的活性物質と、導電剤と、結合剤(別に添加される架橋剤を含み得る)と、必要な場合、追加の有機媒体と、必要に応じた構成成分とを含む電極スラリー組成物は、構成成分を組み合わせてスラリーを形成することによって調製され得る。これらの物質は、撹拌器、ビーズミル、または高圧ホモジナイザーなどの既知の手段で撹拌することによって一緒に混合することができる。
【0120】
電極スラリー組成物の製造のための混合および撹拌については、満足のいく分散条件を満たす程度にこれらの成分を撹拌することができるミキサーを選択すべきである。分散の程度は、粒ゲージで測定され得、混合および分散は、好ましくは、100ミクロンまたは100ミクロンより多くの凝集塊が存在しないことを確実にするために実施される。この条件を満たすミキサーの例としては、ボールミル、サンドミル、顔料分散機、粉砕機、押出機、ローターステータ、パグミル、超音波分散機、ホモジナイザー、遊星ミキサー、ホバートミキサー、およびそれらの組み合わせが挙げられる。
【0121】
本開示はまた、本開示の方法によって形成される電極も対象とする。電極は、正極または負極であり得る。電極コーティングフィルムは、少なくとも1ミクロン、例えば1~500ミクロン(μm)、例えば1~200μm、例えば1~175μm、例えば1~150μm、例えば25~200μm、例えば25~175μm、例えば25~150μm、例えば30~175μm、例えば30~150μm、例えば30~125μmの厚さを有し得る。コーティングフィルムは、必要に応じて、架橋コーティングを含み得る。基材は、導電性物質を含み得、導電性物質は、鉄、銅、アルミニウム、ニッケル、およびそれらの合金、ならびにステンレス鋼などの金属を含み得る。例えば、基材は、メッシュ、シート、または箔の形態のアルミニウムまたは銅を含み得る。集電体の形状および厚さは、特に限定されないが、集電体は、約0.001~0.5mmの厚さを有するメッシュ、シート、または箔など、約0.001~0.5mmの厚さを有し得る。
【0122】
基材上の乾燥したコーティングは、必要に応じて、プレスされ得る。プレスは、コーティング厚を低減し、コーティング密度を増加させる。プレスは、任意の好適なプレスによって行われ得る。例えば、コーティングされた基材は、カレンダープレスによってプレスされ得る。本開示の方法によってコーティングされた、コーティングされた基材は、NMP系スラリー組成物などの、他のスラリー組成物でコーティングされた、コーティングされた基材よりもプレスされやすい場合がある。したがって、プレスされたコーティングは、他のスラリー組成物で作られたものよりも高い密度を有し得る。
【0123】
本発明はまた、蓄電デバイスを対象とする。本開示による蓄電デバイスは、本開示の方法によって調製された上記の電極を使用するステップによって製造され得る。蓄電デバイスは、電極、対電極、セパレータ、および電解質を備える。電極、対電極、または両方は、1つの電極が正極であり、1つの電極が負極である限り、本開示の電極を含み得る。本開示による蓄電デバイスは、セル、電池、電池パック、二次電池、コンデンサ、およびスーパーコンデンサを含む。
【0124】
蓄電デバイスは、電解液を含み、一般的に使用される方法に従って、セパレータなどの部品を使用することによって製造することができる。より具体的な製造方法として、負極と正極とを、それらの間のセパレータとともに組み立て、得られたアセンブリを、電池の形状に従って、圧延または折り曲げて、電池容器に入れ、電解液を電池容器に注入し、電池容器を密封する。電池の形状は、コイン、ボタンまたはシートのように、円筒形、正方形、または平面であってもよい。
【0125】
電解液は液体であってもゲルであってもよく、電池として効果的に機能することができる電解液は、負極活性物質および正極活性物質の種類に従って蓄電デバイスに使用される既知の電解液の中から選択することができる。電解液は、好適な溶媒中に溶解された電解質を含有する溶液であってもよい。電解質は、リチウムイオン二次電池のための従来から既知のリチウム塩であり得る。リチウム塩の例としては、LiClO4、LiBF4、LiPF6、LiCF3CO2、LiAsF6、LiSbF6、LiB10Cl10、LiAlCl4、LiCl、LiBr、LiB(C2H5)4、LiB(C6H5)4、LiCF3SO3、LiCH3SO3、LiC4F9SO3、Li(CF3SO2)2N、LiB4CH3SO3Li、およびCF3SO3Liが挙げられる。上記電解質を溶解するための溶媒は、特に限定されず、その例として、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、メチルエチルカーボネートおよびジエチルカーボネートなどのカーボネート化合物、γ-ブチルラクトンなどのラクトン化合物、トリメトキシメタン、1,2-ジメトキシエタン、ジエチルエーテル、2-エトキシエタン、テトラヒドロフランおよび2-メチルテトラヒドロフランなどのエーテル化合物、ならびにジメチルスルホキシドなどのスルホキシド化合物が挙げられる。電解液中の電解質の濃度は、0.5~3.0モル/L、例えば0.7~2.0モル/Lであり得る。
【0126】
リチウムイオン蓄電デバイスの放電中、リチウムイオンは、負極から放出され、電流を正極に伝え得る。このプロセスは、デインターカレーションとして知られるプロセスを含み得る。充電中、リチウムイオンは、正極中の電気化学的活性物質から負極に移動し、負極中に存在する電気化学的活性物質中に埋め込まれる。このプロセスは、インターカレーションとして知られるプロセスを含み得る。
【0127】
本明細書で使用される場合、「ポリマー」という用語は、広義に、オリゴマーならびにホモポリマーおよびコポリマーの両方を指す。「樹脂」という用語は、「ポリマー」と交換可能に使用される。
【0128】
「アクリル」および「アクリレート」という用語は、互換的に使用され(そうすることで意図された意味を変えることがない限り)、別様に明確に示されない限り、アクリル酸、それらの無水物ならびに誘導体、例えば、C1~C5アルキルエステル、低級アルキル置換アクリル酸、例えば、C1~C2置換アクリル酸、例えば、メタクリル酸、2-エチルアクリル酸など、およびそれらのC1~C4アルキルエステルを含む。「(メタ)アクリル」または「(メタ)アクリレート」という用語は、示される物質、例えば(メタ)アクリレートモノマーのアクリル/アクリレートおよびメタクリル/メタクリレート形態の両方をカバーすることを意図している。「(メタ)アクリルポリマー」という用語は、1つまたは2つより多くの(メタ)アクリルモノマーから調製されたポリマーを指す。
【0129】
本明細書で使用する場合、分子量は、ポリスチレン標準物質を使用するゲル浸透クロマトグラフィーによって決定する。別途示されない限り、分子量は、重量平均ベースである。本明細書で使用される場合、「重量平均分子量」または「(Mw)」という用語は、Waters 410示差屈折計(RI検出器)を有するWaters 2695分離モジュール、580Da~365,000Daの分子量を有する直鎖ポリスチレン標準物質、0.5mL/minの流速での溶出液としての、0.05Mの臭化リチウム(LiBr)を有するジメチルホルムアミド(DMF)、および分離のための1つのShodex Asahipak GF-510 HQカラム(300×7.5mm、5μm)を使用して、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって決定される重量平均分子量(Mw)を意味する。
【0130】
本明細書で使用される「ガラス転移温度」という用語は、理論的値であり、T.G.Fox,Bull.Am.Phys.Soc.(Ser.II)1,123(1956)およびJ.Brandrup,E.H.Immergut,Polymer Handbook 3rd edition,John Wiley,New York,1989によるモノマー電荷のモノマー組成を基準にした、FOXの方法によって計算されるガラス転移温度である。
【0131】
本明細書で使用される場合、別途定義されない限り、実質的に含まないという用語は、成分が、仮にあったとしても、スラリー組成物の総重量に基づいて、5重量%未満の量で存在することを意味する。
【0132】
本明細書で使用される場合、別途定義されない限り、本質的に含まないという用語は、成分が、仮にあったとしても、スラリー組成物の総重量に基づいて、1重量%未満の量で存在することを意味する。
【0133】
本明細書で使用される場合、別途定義されない限り、完全に含まないという用語は、成分が、スラリー組成物中に存在しない、すなわち、スラリー組成物の総重量に基づいて、0.00重量%であることを意味する。
【0134】
本明細書で使用される場合、「全固体」という用語は、本開示のスラリー組成物の不揮発性成分を指し、具体的には、有機媒体を除外する。
【0135】
本明細書で使用される場合、「から本質的になる」という用語は、記載された材料またはステップ、ならびに特許請求された本開示の基本的かつ新規の特徴に実質的に影響しないものを含む。
【0136】
本明細書で使用される場合、「からなる」という用語は、記載されていない全ての要素、ステップ、または構成成分を除外する。
【0137】
詳細な説明の目的のために、本開示が、相反することが明示的に指定されている場合を除き、様々な代替的な変形およびステップシーケンスが想定され得ることが理解されるべきである。さらに、任意の動作例以外、または別途示されない場合、値、量、パーセンテージ、範囲、部分範囲、および割合を表すものなどの全ての数は、用語が明示的に現れなくても、「約」という言葉が前にあるかのように読むことができる。したがって、相反することが示されない限り、以下の明細書および添付の特許請求の範囲に記載される数値パラメータは、本開示によって得られる所望の特性に応じて変動し得る近似値である。少なくとも、かつ、等価物の見解の適用を特許請求の範囲に限定しようとするものではなく、各数値パラメータは、少なくとも報告された有意な桁の数に照らし合わせて、かつ通常の四捨五入技法を適用することによって解釈されるべきである。クローズまたはオープンエンドの数値範囲が本明細書に記載される場合、数値範囲内または数値範囲に包含される全ての数、値、量、パーセンテージ、部分範囲、および割合は、これらの数、値、量、パーセンテージ、部分範囲、および割合がそれらの全体が明示的に書き出されているかのように、本出願の元の開示に特異的に含まれ、かつそれに属するものとみなされるべきである。
【0138】
本開示の広範な範囲を示す数値範囲およびパラメータは近似値ではあるが、特定の例で示される数値は、可能な限り正確に報告される。しかしながら、任意の数値は、それらのそれぞれの試験測定値に見られる標準変動から必然的に得られる特定の誤差を本質的に含有する。
【0139】
本明細書で使用される場合、別段明記されない限り、複数の用語は、その単数の対応物を包含することができ、その逆もまた同様である。例えば、本明細書では、「an」の電気化学的活性材料、「a」のフルオロポリマー、「a」の分散剤、および「an」の導電剤に言及するが、これらの成分の組み合わせ(すなわち、複数)を使用することができる。加えて、本明細書では、「および/または」がある特定の例で明示的に使用され得るが、別途明記されない限り、「または」の使用は、「および/または」を意味する。
【0140】
本明細書で使用される場合、「含む(including)」、「含有する(containing)」、および同様の用語は、本出願の文脈において「含む(comprising)」と同義であることが理解され、したがって、オープンエンドであり、追加の非記述または非記載の要素、材料、構成成分、または方法ステップの存在を除外しない。本明細書で使用される場合、「からなる」は、任意の不特定の要素、構成成分、または方法ステップの存在を除外するために、本出願の文脈において理解される。本明細書で使用される場合、「から本質的になる」は、特定の要素、材料、構成成分、または方法ステップ、および記載されているもののうち「基本的かつ新規の特徴に著しく影響を及ぼさないもの」を含むように、本出願の文脈において理解される。本開示の様々な実施形態が、「含む(comprising)」という観点から記述されたが、本質的にからなるかまたはからなる実施形態も、本発明の範囲内である。
【0141】
本明細書で使用される場合、「上(on)」、「上に(onto)」、「上に塗布される(applied on)」、「上に塗布される(applied onto)」、「上に形成される(formed on)」、「上に堆積される(deposited on)」、「上に堆積される(deposited onto)」という用語は、表面上に形成される、重ねられる、堆積される、または提供されるが必ずしも表面と接触しないことを意味する。例えば、基材「上に堆積される」組成物は、電着可能なコーティング組成物と基材との間に位置する、同じまたは異なる組成物の1つまたは1つより多くの他の介在するコーティング層の存在を排除しない。
【0142】
本開示の特定の実施形態が詳細に説明されているが、本開示の全体的な教示に照らして、それらの詳細に対する様々な修正および代替案が開発され得ることが当業者によって理解されるであろう。したがって、開示される特定の構成は、例示のみであり、添付の特許請求の範囲の全容ならびにその任意のおよび全ての等価物を与える本開示の範囲に対する限定ではないことが意図される。
【0143】
本開示を例示することが、以下の実施例であるが、しかしながら、本開示をそれらの詳細に限定するとみなすべきではない。別途示されない限り、以下の実施例における、ならびに本明細書の全体を通して、全ての部およびパーセンテージは、重量によるものである。
【実施例】
【0144】
実施例1:NMP中に溶解されたフルオロポリマーとの分散フルオロポリマーの比較
分散フルオロポリマーを有する電池電極スラリー組成物の調製
1:1~50:1の範囲の比率で混合された一次溶媒(TEP)および共溶媒(EAA)のブレンドを有する有機媒体を含むPVDF結合剤分散体を調製した。有機媒体は、PVDF結合剤分散体中に、PVDF結合剤分散体の85重量部~95重量部の量で存在した。溶媒ブレンドに、活性水素官能基を有する(メタ)アクリル樹脂を含む分散剤を添加した。分散剤は、PVDF結合剤分散体の0.1重量部~5重量部の範囲の量で存在した。PVDFを、PVDF結合剤分散体の5重量部~15重量部の範囲の量で、(メタ)アクリル/溶媒組成物に添加した。PVDF結合剤分散体はまた、架橋剤(例えば、メラミン架橋剤)を含み、これは、PVDF結合剤分散体の0.1重量部~1.0重量部の量で最後に添加された。固形分%は、PVDF結合剤分散体の5%~15%の範囲であった。
【0145】
Gelon(NMC811)から購入したLiNi
0.8Mn
0.1Co
0.1O
2正極活性物質、Timcal Super P導電性カーボン、および上記で調製したPVDF結合剤分散体を含む電池正極スラリーを製造した。最終スラリー固体含有量は、75.19重量%であった。正極スラリー中に存在する固体のうち、NMC811は総固体質量の96%を占め、Super Pは総固体質量の2%を占め、全結合剤は総固体質量の2%を占めた。添加前に、Timcal Super Pを、80℃の温度で、真空オーブンで一晩乾燥させ、NMC811を、製造業者から受け取った元の包装を開封した直後に使用し、他の全ての成分を調製し、乾燥した(1%未満の相対湿度)環境でパッケージ化した。調製したスラリーのレオロジーを、25℃の一定温度で、30mmのParallel Plate法および0.5mmのギャップを使用して測定した。測定されたスラリーレオロジーは、下表のように測定された。
【表2】
【0146】
次に、正極スラリー組成物を含有する容器を外部環境に対して密封し、窒素ガス供給ラインをオフにし、コーティングの直前まで約1000rpmの速度でスラリーを混合し続けた。コーティングのために、低回転パドルスタイルのミキサーブレードを備えた40Lの容器にスラリーを移して、ゆっくりと連続的にスラリー撹拌し、真空下で脱気し、コーティングが開始されるまで環境から密閉した。
【0147】
NMP中の可溶化フルオロポリマーを有する電池電極スラリー組成物の調製
対照正極スラリーを、Gelonから購入したLiNi0.8Mn0.1Co0.1O2(NMC811)正極活性物質63360グラム、Timcal Super P導電性カーボン1320g、Solvay Solef 5130 PVDF結合剤1320g、およびNMP溶媒35020gを含む標準N-メチル-2-ピロリドン(NMP)溶媒系組成物を使用して製造した。最終スラリーバッチサイズは、固形分が65.93重量%の101020gであった。正極スラリー中に存在する固体のうち、NMC811は総固体質量の96%を占め、Super Pは総固体質量の2%を占め、Solef 5130は総固体質量の2%を占めた。添加前に、Timcal Super Pを、80℃の温度で、真空オーブンで一晩乾燥させ、製造業者から受け取った元の包装を開封した直後に、他の全ての成分を添加した。
【0148】
対照正極スラリーを、1つのブレードが混合シャフトの底部にあり、もう1つが同じシャフトの4インチ上にある、2つの6インチCowles分散機ブレードを使用する高トルク一軸ミキサーを使用して60リットルの容器内で混合した。混合手順の期間中、混合環境を乾燥窒素ガスの正圧に保つために、容器内で窒素ガスを減速した。混合開始時に、32960gのNMPを容器に添加した。次いで、混合容器内で浅い渦を得るために、ミキサーを375rpmに設定した。次に、1320gのSolef 5130 PVDF粉末を、10分毎に100g以下の速度で混合容器に添加した。全てのPVDF粉末を添加した後、混合容器内の浅い渦を維持するために、570rpmの速度で容器の混合を30分間続けた。この時点で、混合容器の水冷ジャケットをオンにし、容器壁温20℃を維持するように設定し、完成したスラリーが混合容器から取り出されるまで保持した。その後、Timcal Super P炭素添加剤1320gを混合容器に添加し、混合シャフトを10分毎に100g以下の速度で回転させ続けた。SUPER Pの添加が完了すると、混合容器内で浅い渦を維持することができる速度で分散体を30分間混合した。次いで、63360gのNMC811粉末を10分毎に500gの速度で混合容器に添加した。全てのNMC811粉末を添加した後、スラリーを815rpmの速度で120分間混合し続け、混合容器内の浅い渦を維持した。これらのステップの後、スラリー粘度を低下させてスロットダイコータのスラリー仕様内にするために、追加の2060gのNMPを混合容器に添加した。この段階で、完成したスラリーの固体組成は、65.93%であることが測定された。スラリーのレオロジーを、25℃の一定温度で、30mmのParallel Plate法および0.5mmのギャップを使用して測定した。測定されたスラリーレオロジーは、下表の通りであった。
【表3】
【0149】
スラリーが所望の範囲になると、容器を外部環境に対して密封し、窒素ガス供給ラインをオフにし、コーティングの直前まで約1010rpmの速度でスラリーを混合し続けた。コーティングのために、低回転パドルスタイルのミキサーブレードを備えた40Lの容器にスラリーを移して、ゆっくりと連続的にスラリー撹拌し、真空下で脱気し、コーティングが開始されるまで環境から密閉した。
【0150】
連続コーティングラインの設定
スロットダイコータを有する連続コーティングラインを使用した。スロットダイコータに使用される設定パラメータを以下に提供する。
【表4】
【0151】
20mg/cm
2のコーティング重量でコーティングされた基材を調製するための18m長のオーブンについて、滞留時間および対応するライン速度を評価した。ライン速度は、ライン速度=オーブン長さ/滞留時間として計算される。
【表5】
【0152】
幅218.4mmの湿潤フィルムを、スロットダイコータでアルミ箔上にコーティングした。用いられたストレートスロットダイシムは、0.016インチ~0.036インチの高さの範囲であった。コーティング圧は、ポンプ入口、ダイ入口、および全システムの圧力について、12~15psi、19~92psi、および20~101psiの範囲であった。
【表6】
目標コーティング重量(20mg/cm
2)を維持するために、スラリー流量は、分散フルオロポリマーを有するスラリーについては233~1352g/min、可溶化フルオロポリマーを有するスラリーについては265~1605g/minから増加させた。全ての湿潤フィルムを、6つの個々の乾燥ゾーン(D1~D6)を有する18メートルのオーブンに通した。オーブン設定温度は、95℃~120℃の範囲であった。可変のゾーン温度に加えて、供給圧力および排気圧力が、コーティングの上および下の領域に対して設定された。
【0153】
コーティング中、箔の温度を3メートル毎に連続的に監視し、結果を以下の表に示す。
【表7】
【0154】
乾燥フィルム試料を、重量分析を通して、コーティング重量および残留溶媒について評価した。6個の直径24mmの円を切断し、秤量し、120℃で10分間乾燥させ、再秤量して、コーティング重量(mg/cm
2)を計算した。結果を以下に提示する。
【表8】
【0155】
プレスされていないフィルムを目視検査した。フィルム品質が、分散フルオロポリマーを有する組成物から堆積したものと、可溶化フルオロポリマーを有する組成物から堆積したものとで異なることが明らかであった。以下の表に、観察を要約した。
【表9】
【0156】
上記の表で明らかにしたように、連続コーティング法によって塗布される電極スラリー組成物は、NMP中に可溶化されたPVDFと比較して、電極スラリー組成物が有機媒体中に分散したPVDFを含む場合、より高速な速度で塗布され、良好なフィルム品質を維持することができた。
【0157】
実施例2:NMP中に溶解されたフルオロポリマーとの、非NMP有機溶媒中の分散または溶解したフルオロポリマーの比較
LFP活性材料を有する分散フルオロポリマーを有する電池電極スラリー組成物の調製(実験1)
1:1~50:1の範囲の比率で混合された一次溶媒(TEP)および共溶媒(EAA)のブレンドを有する有機媒体を含むPVDF結合剤分散体を調製した。有機媒体は、PVDF結合剤分散体中に、PVDF結合剤分散体の80重量部~95重量部の量で存在した。溶媒ブレンドに、活性水素官能基および複素環基を有する(メタ)アクリル樹脂を含む分散剤を添加した。分散剤は、PVDF結合剤分散体の0.1重量部~5重量部の範囲の量で存在した。PVDFを、PVDF結合剤分散体の3重量部~15重量部の範囲の量で、(メタ)アクリル/溶媒組成物に添加した。PVDF結合剤分散体はまた、架橋剤(例えば、メラミン架橋剤)を含み、これは、PVDF結合剤分散体の0.1重量部~1.0重量部の量で最後に添加された。固形分%は、PVDF結合剤分散体の5%~15%の範囲であった。
【0158】
正の活性物質としてリン酸鉄リチウムLiFePO4、導電性カーボンの混合物、および上記で調製したPVDF結合剤分散体を含んだ電池正極スラリーを製造した。導電性カーボンの混合物は、Denka Black Li(Denka Co.,Ltdから入手可能)およびCarbon ECP(Lion Specialty,Co.から入手可能なカーボンブラック顔料)から構成された。最終スラリー固体含有量は、48.7重量%であった。正極スラリー中に存在する固体のうち、LFPは総固体質量の92%を占め、導電性カーボンは総固体質量の4%を占め、全結合剤は総固体質量の4%を占めた。50rpmの速度で#6スピンドルを装備した粘度計で測定した、調製したスラリーのレオロジーは4680cpsであった。
【0159】
LFP活性材料を有する溶解フルオロポリマーを有する電池電極スラリー組成物の調製(実験2)
一次溶媒としてTEPからなる有機媒体を使用して、PVDF結合剤溶液を調製した。有機媒体は、PVDF結合剤溶液中に、PVDF結合剤分散体の80重量部~95重量部の量で存在した。有機媒体に、活性水素官能基および複素環基を有する(メタ)アクリル樹脂を含む分散剤を添加した。分散剤は、PVDF結合剤溶液の0.1重量部~5重量部の範囲の量で存在した。PVDFを、PVDF結合剤溶液の3重量部~15重量部の範囲の量で、(メタ)アクリル/溶媒組成物に添加した。PVDF結合剤溶液はまた、架橋剤(例えば、メラミン架橋剤)を含み、これを0.1重量部~1.0重量部のPVDF結合剤溶液の量で最後に添加した。固形分%は、PVDF結合剤溶液の5%~15%の範囲であった。
【0160】
実験1と同じリン酸鉄リチウムLiFePO4正の活性物質、導電性カーボンの混合物、および上記で調製したPVDF結合剤溶液を含んだ電池正極スラリーを製造した。最終スラリー固体含有量は、50.1重量%であった。正極スラリー中に存在する固体のうち、LFPは総固体質量の92%を占め、導電性カーボンは総固体質量の4%を占め、全結合剤は総固体質量の4%を占めた。周囲温度および湿度で、50rpmの速度で#6スピンドルを装備した粘度計で測定した、調製したスラリーのレオロジーは4860cpsであった。
【0161】
LFP活性材料を有するNMP中の可溶化フルオロポリマーを有する正極電池電極スラリー組成物の調製(NMP対照)
実施例2の対照正極スラリーを、実施例1で使用したNMP対照に相当する様式で製造した。しかしながら、実験1および実験2で使用された同じリン酸鉄リチウムおよび導電性カーボンの混合物を、NMP対照に使用した。N-メチル-2-ピロリドン(NMP)中のPVDF結合剤溶液は、Kurehaから入手可能であった。得られたスラリーは、44.3重量%の固体含有量を有した。正極スラリー中に存在する固体のうち、LFPは総固体質量の92%を占め、導電性カーボンは総固体質量の4%を占め、PVDFは総固体質量の4%を占めた。周囲温度および湿度で、50rpmの速度で#6スピンドルを装備した粘度計で測定した、調製したスラリーのレオロジーは4160cpsであった。
【0162】
LFP正極スラリー特性の比較
実験用PVDF分散結合剤(1)およびPVDF溶液結合剤(2)を使用して調製された正極スラリーは、それぞれ4.4重量%および5.8重量%の固形物の利点(すなわち、より高い固体含有量)を有するPVDF溶液結合剤NMP対照と比較して、固形物の改善を示した。
【0163】
連続コーティングラインの設定
スロットダイコータを有する連続コーティングラインを使用し、塗布されたコーティングを、24±6℃の温度および30%以下の相対湿度を有するコーティング設備を有する、各ゾーンにリサイクルファンおよび排気ファンを有する7つの乾燥ゾーンを有する35メートルのオーブンを使用して乾燥させた。コーティングをアルミ箔の片面または両面に塗布した。オーブンは、以下のプロファイルを有した。
【表10】
【0164】
正極コーティングを、上述のスロットダイコーティング装置を使用して、炭素コーティングされたアルミ箔に塗布した。得られたフィルムを、カレンダー処理後に、150±25ミクロンの目標範囲までプレスした。
【0165】
オーブン内の対応するライン速度および滞留時間を以下の表に提供する。
【表11】
【0166】
処理および塗布の改善
実験電極コーティングおよび対照電極コーティングを様々なライン速度/滞留時間で試験して、(片面または両面のいずれかの)残留溶媒、およびいくつかの例では、ドライポイント(オーブンの長さに沿ったメートル単位)を決定した。結果を以下の表に提示する。
【表12】
【0167】
結果は、実験コーティングが、電極コーティングフィルム中に存在する残留溶媒の有意な減少をもたらしたことを明らかにした。結果は、実験電極コーティングが、オーブン長さを短縮するか、または速度を増加させて、NMP対照と比較してより短い処理時間および/またはより低いエネルギー消費をもたらすことができるように、より早い時点でオーブンのドライポイントに到達することをさらに明らかにした。
【0168】
プレスされた正極フィルムはまた、下表のΩで報告されている抵抗測定を使用して比較した。実験条件(1および2)からの正極フィルムは、NMPに可溶化されたPVDF結合剤から製造された正極と比較して、類似または改善された導電性を有した。
【表13】
【0169】
本明細書に記載および例示される広範な本発明の概念から逸脱することなく、上述の開示に照らして、多数の修正および変形が可能であることが当業者によって理解されるであろう。したがって、前述の開示は、本出願の様々な例示的な態様の単なる例示であり、多数の修正および変形、本出願および添付の特許請求の範囲の主旨および範囲内にある当業者によって容易に行われ得ることが理解されるべきである。
【国際調査報告】