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特表2024-520650特発性肺線維症の処置におけるカプサイシン誘導体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-24
(54)【発明の名称】特発性肺線維症の処置におけるカプサイシン誘導体
(51)【国際特許分類】
   C07C 233/09 20060101AFI20240517BHJP
   A61P 11/00 20060101ALI20240517BHJP
   A61K 31/165 20060101ALI20240517BHJP
   A61K 31/222 20060101ALI20240517BHJP
   A61K 9/72 20060101ALI20240517BHJP
   C07C 233/10 20060101ALI20240517BHJP
   C07C 233/11 20060101ALI20240517BHJP
【FI】
C07C233/09 Z CSP
A61P11/00
A61K31/165
A61K31/222
A61K9/72
C07C233/10
C07C233/11
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023574384
(86)(22)【出願日】2022-06-01
(85)【翻訳文提出日】2024-01-31
(86)【国際出願番号】 EP2022064876
(87)【国際公開番号】W WO2022253884
(87)【国際公開日】2022-12-08
(31)【優先権主張番号】20210693
(32)【優先日】2021-06-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NO
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523176945
【氏名又は名称】アクシケム アクチエボラグ
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ラガー、エリック
(72)【発明者】
【氏名】アルテポスト、ルーカス
(72)【発明者】
【氏名】ヘルシング、トルステン
(72)【発明者】
【氏名】フラムロゼ、ボミ
【テーマコード(参考)】
4C076
4C206
4H006
【Fターム(参考)】
4C076AA93
4C076BB01
4C076BB13
4C076BB27
4C076CC15
4C206AA01
4C206AA02
4C206AA03
4C206GA07
4C206GA28
4C206KA01
4C206MA01
4C206MA04
4C206MA72
4C206MA77
4C206MA86
4C206NA14
4C206ZA59
4H006AA01
4H006AA03
4H006AB20
(57)【要約】
本発明は、特発性肺線維症の処置に関する。より詳細には、本発明は、特発性肺線維症の処置のための方法において使用するための化合物、およびその組成物を提供する。本発明はまた、特発性肺線維症の処置のための方法、ならびにそれを必要とする対象における血小板由来成長因子受容体(PDGF)-αおよび/またはβの活性を阻害するための方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
IPFの処置のための方法において使用するための、式IIの化合物、またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物
【化1】

[式中、
Xは、酸素および硫黄から選択され;
Arは、1つまたは複数の窒素、酸素、または硫黄原子を任意選択的に含有し、1つまたは複数の任意の位置において、ニトロ、トリフルオロメチル、C~C直鎖および分岐アルコキシ、C~C直鎖および分岐アルキルの群から選択される1つまたは複数の同一のまたは異なる置換基で任意選択的に置換されたアリール基を示し;
R’は、水素、C~C直鎖または分岐アルキルの群から選択され;
Rは、水素;C~C直鎖および分岐アルキル、アルケニル、およびアルキニル;C~Cシクロアルキル;アシル基COR(式中、Rは、C~C直鎖および分岐アルキル、アルケニル、およびアルキニル、C~Cシクロアルキルおよびフェニルを含むかまたはそれらからなる群から選択される)の群から選択される]。
【請求項2】
Xが、酸素である、請求項1に記載の使用のための、請求項1に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物。
【請求項3】
Arが、非置換または置換フェニルまたはナフチル基である、請求項1に記載の使用のための請求項1に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物。
【請求項4】
Arが、置換フェニルであり、前記1つまたは複数の置換基が、ニトロおよびC~C直鎖および分岐アルコキシの群から選択される、請求項1に記載の使用のための請求項1に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物。
【請求項5】
R’が、Hまたはメチルであり、Rが、Hまたはアシル基COR(式中、Rが、C~C直鎖または分岐アルキルである)である、請求項1から4のいずれかに記載の化合物またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物。
【請求項6】
R’が、メチルであり、Rが、アセチルである、請求項1から5のいずれかに記載の化合物またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物。
【請求項7】
請求項1に記載の使用のための請求項1から6のいずれかに記載の化合物またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を含む組成物。
【請求項8】
吸入用に製剤化されている、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
方法が、前記化合物または組成物を肺、経口、および/または静脈内投与によって対象に投与する工程を含む、請求項1に記載の使用のための請求項1から6のいずれかに記載の化合物または請求項7もしくは請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
方法が、前記化合物または組成物を吸入によって対象に投与する工程を含む、請求項1に記載の使用のための請求項1から6のいずれかに記載の化合物または請求項7に記載の組成物。
【請求項11】
キットであって、
i)請求項1から6のいずれかに記載の化合物または請求項7もしくは請求項8に記載の組成物;および
ii)吸入器
を含む、キット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特発性肺線維症の処置に関する。より詳細には、本発明は、特発性肺線維症の処置のための方法において使用するための化合物、およびその組成物を提供する。本発明はまた、特発性肺線維症の処置のための方法、ならびにそれを必要とする対象における血小板由来成長因子受容体(PDGF)-αおよび/またはβの活性を阻害するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特発性肺線維症(IPF)は、間質(肺胞の周囲の組織および空間)に影響を及ぼす間質性肺疾患(ILD)またはびまん性実質性肺疾患(DPLD)として知られる200を超える肺疾患の群に属する。IPFは、肺実質の不可逆的な線維化を特徴とする慢性的な、進行性の、かつ最終的には致命的な疾患であり、線維化は通常の間質性肺炎のパターンで現れ、結果として肺機能の喪失をもたらす。患者の肺胞が損傷を受け、瘢痕化を増し、肺の硬直およびガス交換障害を引き起こす。IPFの正確な有病率は不明であるが、世界中で約500万人がIPFに罹患しており、この疾患が年間100,000人当たり約12人で新たに発生すると推定されている。症状には、典型的には、乾性咳、疲労、ばち指、疼痛、体重減少、ならびに血中酸素レベルの低下および瘢痕組織の硬直によって引き起こされる呼吸困難の増加が含まれる。
【0003】
様々で予測不可能な臨床経過に伴い、IPFは多くのがんよりも予後が悪く:IPFの進行は、確定診断後わずか約2.5~5年の推定平均生存期間と関連しており、IPFの5年生存率は20~40%の範囲である。一部の患者は、死に至る肺機能の急速な低下を有するが、他の患者は、経時的により遅い低下を経験する。一部の患者は、数日から数週間続くことがあり、回復が極めて困難な破壊的事象である急性増悪として知られる急速な呼吸悪化のエピソードが散在する臨床的安定性の期間を示す。急性増悪は、進行した肺機能障害を有する患者ではより一般的であるが、IPF患者ではいつでも起こる可能性があり、50%を超えると推定される院内死亡率に関連する。
【0004】
IPFに起因する合併症には、呼吸不全に加えて、肺高血圧症、心不全、肺炎、および肺塞栓症が含まれる。IPF患者の健康関連の生活の質の低下はまた、鬱病および不安症に関連する。
【0005】
IPFの治療法は現在存在しない。処置は、疾患の進行を遅らせ、生存期間を延長すること、症状を可能な限り軽減および低減すること、急性増悪を防止すること、ならびに状態がより進行するにつれて緩和ケアを目的とする。少数の患者には肺移植が適しているが、ドナーの肺は不足している。酸素処置および肺リハビリテーションを含む症状管理および支持療法もまた、IPFの管理の重要な要素である。一部の患者では処置に対する応答が良好であるが、他の患者では急速に悪化するか、または息切れによる衰弱が見られる。
【0006】
2つの抗線維化薬、ニンテダニブおよびピルフェニドンは、IPFの処置のために承認されている。これらは、米国胸部学会(American Thoracic Society)、欧州呼吸器学会(European Respiratory Society)、日本呼吸器学会、およびラテンアメリカ胸部学会(Latin American Thoracic Association)によって発行されたIPFに関する現在(2015年)の処置ガイドラインで推奨されている。処置ガイドラインは、IPFおよび無症候性胃食道逆流性疾患を有する患者における抗酸療法の使用についての条件付き推奨も提供するが、抗酸化剤N-アセチルシステインを含むIPFの処置において使用されている他のすべての薬理学的療法に対して推奨した。ニンテダニブおよびピルフェニドンの副作用は一般的かつ実質的である。胃腸副作用(悪心、下痢、嘔吐)は両療法について最も優勢であり、さらなる副作用にはピルフェニドンによる発疹およびニンテダニブによる肝機能異常が含まれる。ピルフェニドンについてもニンテダニブについても、患者に認識される生活の質の向上は見られない。
【0007】
したがって、IPFの処置のための新規の化合物および方法が必要とされている。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】PDGFの存在下でのヒト角膜上皮細胞の生存に関するクローン原性生存アッセイの結果を示す。
図2】PDGFによって刺激された角膜上皮増殖を研究する増殖アッセイからの結果を示す。
図3】PDGFの存在下でのヒト気管支上皮細胞の生存に関するクローン原性生存アッセイからの結果を示す。
図4】PDGFによって刺激された気管支上皮増殖を研究する増殖アッセイからの結果を示す。
図5】クローン原性生存アッセイ、フェニルカプサイシン(2)、カプサイシン(1)、対照および類似体を試験する例3および例4の研究の結果を示す。
【発明の概要】
【0009】
本発明者らは、式Iのカプサイシン誘導体がIPFに対する有望な薬物候補を表すことを発見した。
【0010】
一態様では、本発明は、IPFの処置のための方法において使用するための式Iの化合物、またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物に関し、
【化1】

式中、
Xは、酸素および硫黄から選択され;
Arは、1つまたは複数の窒素、酸素、または硫黄原子を任意選択的に含有し、1つまたは複数の任意の位置において、フルオロ;クロロ;ブロモ;ヨード、シアノ、ニトロ、トリフルオロメチル、C~C直鎖および分岐アルコキシ、C~Cスルホキシ、-S-C~Cアルキル、C~C直鎖および分岐アルキル、C~C直鎖および分岐アルケニル、C~C直鎖および分岐アルキニル、C~Cフルオロアルキル、クロロアルキル、ブロモアルキル、およびヨードアルキル、COO-C~Cアルキル、N(C~Cアルキル)およびCON(C~Cアルキル)を含むかまたはそれらからなる群から選択される1つまたは複数の同一のまたは異なる置換基で任意選択的に置換されたアリール基を示し;
R’は、水素、C~C直鎖または分岐アルキル、およびC~Cシクロアルキルを含むかまたはそれらからなる群から選択され;
Rは、水素;ベンジル;C~C18直鎖および分岐アルキル、アルケニル、およびアルキニル;C~Cシクロアルキル;アシル基COR(式中、Rは、C~C18直鎖および分岐アルキル、アルケニル、およびアルキニル、C~Cシクロアルキル、フェニルを含むかまたはそれらからなる群から選択される);ならびに置換フェニル(ここで、フェニル環は、1つまたは複数の任意の位置において、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、シアノ、ニトロ、トリフルオロメチル、C~C直鎖および分岐アルコキシ、C~Cスルホキシ、-S-C~Cアルキル、C~C直鎖および分岐アルキル、C~C直鎖および分岐アルケニル、C~C直鎖および分岐アルキニル、C~Cフルオロアルキル、クロロアルキル、ブロモアルキル、およびヨードアルキル、COO-C~Cアルキル、およびCON(C~Cアルキル)からなる群から選択される1~5個の同一のまたは異なる置換基で置換されている);スルファミン酸エステル(SONH);天然に存在するアミノ酸のアシル基;5員環アミノ酸エステルのアシル基(2または3位のアミノ基);6員環アミノ酸エステルのアシル基(2、3または4位のアミノ基);CONR(式中、RおよびRはそれぞれ独立して、C~C18直鎖および分岐アルキル、アルケニル、およびアルキニルならびにC~Cシクロアルキルから選択される);Ca2+、Na、およびKから選択される対イオンを有するリン酸エステルPO 2-;Ca2+、Na、およびKから選択される対イオンを有するリン酸エステルPO;CO(CH)COOH;CO(CHCOOH;およびCO(CHCOOH、ならびに
アリール基に対してα位の炭素原子とアリール基に対してβ位の炭素原子との間の結合が、単結合、二重結合、または三重結合である。
【0011】
一実施形態では、本発明は、IPFの処置のための方法において使用するための式IIの化合物、またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を提供し、
【化2】

式中、
Xは、酸素および硫黄から選択され;
Arは、1つまたは複数の窒素、酸素、または硫黄原子を任意選択的に含有し、1つまたは複数の任意の位置において、ニトロ、トリフルオロメチル、C~C直鎖および分岐アルコキシ、C~C直鎖および分岐アルキルを含むかまたはそれらからなる群から選択される1つまたは複数の同一のまたは異なる置換基で任意選択的に置換されたアリール基を示し;
R’は、水素、およびC~C直鎖または分岐アルキルを含むかまたはそれらからなる群から選択され;
Rは、水素;C~C直鎖および分岐アルキル、アルケニル、およびアルキニル;C~Cシクロアルキル;アシル基COR(式中、Rは、C~C直鎖および分岐アルキル、アルケニル、およびアルキニル、C~Cシクロアルキルおよびフェニルを含むかまたはそれらからなる群から選択される)を含むかまたはそれらからなる群から選択される。
【0012】
これらの化合物が、PDGF(血小板由来成長因子受容体)の存在下で、ヒト気管支上皮細胞の生存への用量依存的阻害効果を示し、細胞の生存率を大幅に低下させることが本発明者らによって見い出された。これらの結果は、IPFの処置における化合物の有用性の強力な指標である。
【0013】
別の態様では、本発明は、IPFの処置のための方法において使用するための、このような化合物またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を含む組成物に関する。
【0014】
別の態様では、本発明は、前記化合物または組成物および吸入器を含むキットに関する。
【発明を実施するための形態】
【0015】
別段に定義されない限り、本明細書で使用されるすべての用語、表記および他の科学用語または専門用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般に理解される意味を有することを意図する。場合によっては、一般に理解される意味を有する用語は、明確性のためにおよび/または容易に参照するために本明細書で定義され、本明細書にこのような定義を含めることは、当技術分野で一般的に理解されるものとの実質的差異を表すと必ずしも解釈されるべきではない。
【0016】
「誘導体」という用語は、本明細書で使用される場合、親化合物と化学構造が異なる分子を指す。誘導体の例としては、限定されないが、脂肪族鎖の長さの差異などの、親の化学構造と漸増的に異なるホモログ;分子断片;例えば、親の1つまたは複数の官能基を変換することによって作製され得る、親化合物と1つまたは複数の官能基が異なる構造;酸の共役塩基へのイオン化などの親のイオン化状態の変化;位置異性体、幾何異性体および立体異性体を含む異性体;ならびにこれらの組合せが挙げられる。
【0017】
理解されるように、本明細書に記載の化合物のいずれも、その薬学的に許容される塩または溶媒和物、例えばその水和物の形態で提供され得る。塩形成および溶媒和物形成のための手順は、当技術分野において慣用的である。
【0018】
「処置する(treating)」および「処置(treatment)」および「治療(therapy)」という用語(およびその文法的変形)は、本明細書では互換的に使用され、1)疾患を阻害すること;例えば、疾患の防止(すなわち、予防的処置、病態および/または総体症状のさらなる発症の阻止)を含む、疾患、状態もしくは障害の病態もしくは総体症状を経験しているかもしくは示している対象における疾患、状態もしくは障害を阻害すること、または2)疾患の症状を緩和すること、または3)疾患を軽快すること;例えば、疾患、状態もしくは障害の病態もしくは総体症状を経験しているかもしくは示している対象における疾患、状態もしくは障害を軽快すること(すなわち、病態および/または総体症状を逆転させること)を指す。これらの用語は、医薬品、医薬品有効成分(API)、食品添加物、食品サプリメント、健康補助食品、栄養補助食品、市販(OTC)サプリメント、医療食品、および/または医薬品グレードのサプリメントの使用および/または投与に関するものであってもよい。
【0019】
IPFの初期段階は、主に慢性炎症を伴うと長い間考えられていたので、コルチコステロイドならびに他の抗炎症薬および/または免疫抑制薬がIPFの処置に使用された。しかしながら、過去数年にわたって、IPFの病理発生には、炎症に駆動されるプロセスから、線維形成が肺胞上皮細胞の再発性微小損傷に続いて線維症をもたらす異常な修復プロセスに起因する主に線維性のものへの概念的移行があった。したがって、肺胞上皮損傷の異常な修復に起因する持続性線維症を標的とする薬剤が注目されており、ピルフェニドンおよびニンテダニブから始まって、利用可能な抗線維症処置選択肢の数も増加している。ピルフェニドンは、免疫系の活性を低下させることによって肺における瘢痕の発生を遅らせるのに役立つ。ニンテダニブは、一部のIPF患者における肺の瘢痕化を遅らせるのにも役立ち得る、より新しい医薬である。両方とも、軽度から中程度の特発性肺線維症の進行を遅らせることが臨床試験で示されている。しかしながら、上述のように、両方の薬物はかなりの副作用を示す。N-アセチルシステインはまた、IPFの処置にいくらかの用途を見い出しており、いくつかの研究は、肺の瘢痕組織の量を低減させ得ることを示唆している。他の研究は利益を何ら示さず、N-アセチルシステインは現在広く推奨されていない。
【0020】
IPFの病因および正確な病態生理学的機構は未だ完全には解明されていない。一般的な理論は、IPFが、調節不全の修復プロセスと組み合わされた持続的な肺胞上皮細胞微小損傷によって引き起こされるというものである。
【0021】
天然に存在するアルカロイドカプサイシン(1)ならびに合成フェニルカプサイシン(2)(N-(4-ヒドロキシ-3-メトキシベンジル)-7-フェニルヘプタ-6-インアミド)およびその誘導体を含む他の構造的に関連する化合物は、様々な領域での用途が見出されている。フェニルカプサイシンは、全身毒性が低く、遺伝子突然変異および染色体損傷に関して安全であることが示されており(Rage Paulsenら、Toxicology Research and Application 2018,2,1)、欧州食品安全機関(European Food Safety Authority)によって検査され、安全であると見なされている(EFSA NDA Panelら、EFSA Journal 2019、17(6)、e05718)。
【化3】
【0022】
カプサイシンとフェニルカプサイシンの両方は、公知のTRPV1アゴニストである。TRPV1がIPFにおいて過剰発現されるので、吸入カプサイシンに対する咳感受性はIPF患者において有意に増加することが知られている。したがって、カプサイシンは、IPFにおける咳の病因の研究において使用されている。カプサイシンの使用はまた、慢性咳を有する患者における咳防止、または肺線維症などの呼吸器疾患を含む様々な疾患における症状の放出における使用が示唆されているが、広範な使用は見い出されていない。
【0023】
本発明者らは、構造Iの化合物がIPFの処置のための非常に有望な薬物候補であることを見い出した。ヒト気管支上皮細胞のクローン原性細胞生存アッセイ(例2および例3)では、驚くべきことに、フェニルカプサイシンは、PDGF(血小板由来成長因子受容体)の存在下でヒト気管支上皮細胞の生存への用量依存的阻害効果を示し、10μMのフェニルカプサイシンの存在下で14日後に細胞の生存率をわずか35%まで低下させることが見い出された。これらの知見は、フェニルカプサイシンがIPFに対する有用な薬物であり、肺組織の瘢痕化を遅らせるかまたは低減することができることを強く暗示する。このような瘢痕化の低減は、IPFの進行の遅延をもたらし、ならびに/または呼吸困難および/もしくは咳などのIPFの症状をやわらげることができる。さらに、ラット(吸入による単回曝露、鼻のみの曝露)の急性吸入毒性試験において、フェニルカプサイシンのLC50が、活性物質に基づいて、雄および雌のラットにおいて5.65mg/Lを超えることが見い出された。この知見は、本発明の化合物が、吸入を投与経路として使用するIPFに対する使用において低い毒性を有することの指標である。
【0024】
興味深いことに、対応するクローン原性細胞生存アッセイ(例3)では、カプサイシンはほとんど効果を示さず、10μMのカプサイシンでは95%の生存率を示したが、フェニルカプサイシンはわずか0.10μMで83%に、10μMではわずか32%に生存率を低下させた。同じアッセイで試験した他の構造的に類似する化合物は、側鎖に芳香環が存在することが重要であることを示している:フェニルカプサイシンのアルキニルベンゼンフェニル環を飽和シクロヘキシル環(化合物3)で置き換えると、活性が大幅に低下した(10μMで73%の生存率)が、tert-ブチル誘導体(化合物4)はこのアッセイではわずかな活性しか有さなかった(10μMで91%の生存率)。さらに、バニリル基のヒドロキシ基を誘導体化してアセトキシ基を形成すると、効果が向上することが判明し、フェニルカプサイシンのアセトキシ誘導体(化合物5)は、10μMで生存率をわずか20%に低下させた。化合物3の対応するアセトキシ誘導体(化合物6)も化合物3より良好な結果を与えたが、化合物4へのアセトキシ基の導入(化合物7)はtert-ブチル基の悪影響を媒介することができなかった。
【化4】
【0025】
さらに、フェニルカプサイシンの4-ニトロフェニル類似体である化合物10、およびフェニルカプサイシンのナフタレン類似体である化合物12は、親フェニルカプサイシンと同様の細胞生存パーセントを示した。フェニルカプサイシンの4-メトキシフェニル類似体である化合物11は、細胞生存研究において、鉛フェニルカプサイシンよりも高い低下率を示した。
【化5】
【0026】
作用機序に関するいかなる理論にも拘束されることを望むものではないが、本発明の化合物について観察された効果についての可能な説明は、化合物が血小板由来成長因子受容体(PDGF)-αおよびβの競合的阻害剤として作用することである。PDGFは、文献において、線維化促進性メディエーターであり、IPFの病因において重要な役割を果たすことが示されており、血小板由来成長因子シグナル伝達の阻害が肺線維症を減弱させることが示されている。IPFへの本発明による化合物の効果は、例2、例3および例4からの結果によって示されているように、それらが有効なPDGF阻害剤であることによって説明され得る。
【0027】
一態様では、本発明は、ILD、好ましくは特発性ILDおよび/または肺線維症、より好ましくはIPFの処置のための方法において使用するための、式Iの化合物、またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を提供する。一部の実施形態では、本発明は、IPFの処置のための方法において使用するための、式Iの化合物、またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を提供する。本明細書で使用される場合、「薬学的に許容される」という用語は、化合物がレシピエントにとって生理学的に許容されなければならず、組成物の一部である場合、組成物の他の成分と適合性でなければならないことを意味する。
【化6】
【0028】
破線は結合の任意選択的な存在を示し、これは、アリール基に対してα位の炭素原子とアリール基に対してβ位の炭素原子の間の結合(以下、「α-β結合」と称される)が、単結合、二重結合、または三重結合であり得ることを意味する。
【0029】
一部の実施形態では、前記式Iの化合物において、
α-β結合は、単結合、二重結合、および三重結合から選択され;
Xは、酸素および硫黄から選択され;
Arは、1つまたは複数の窒素、酸素、または硫黄原子を任意選択的に含有し、1つまたは複数の任意の位置において、フルオロ;クロロ;ブロモ;ヨード、シアノ、ニトロ、トリフルオロメチル、C~C直鎖および分岐アルコキシ、C~Cスルホキシ、-S-C~Cアルキル、C~C直鎖および分岐アルキル、C2~C6直鎖および分岐アルケニル、C~C直鎖および分岐アルキニル、C~Cフルオロアルキル、クロロアルキル、ブロモアルキル、およびヨードアルキル、COO-C~Cアルキル、N(C~Cアルキル)およびCON(C~Cアルキル)を含むかまたはそれらからなる群から選択される1つまたは複数の同一のまたは異なる置換基で任意選択的に置換されたアリール基を示し;
R’は、水素、C~C直鎖または分岐アルキル、およびC~Cシクロアルキルを含むかまたはそれらからなる群から選択され;
Rは、水素;ベンジル;C~C18直鎖および分岐アルキル、アルケニル、およびアルキニル;C~Cシクロアルキル;任意選択的に置換されたフェニル基;アシル基COR(式中、Rは、直鎖、分岐および環状アルキルを含むかまたはそれらからなる群から選択される);スルファミン酸エステル(SONH);天然に存在するアミノ酸のアシル基;5員環アミノ酸エステルのアシル基(2または3位のアミノ基);6員環アミノ酸エステルのアシル基(2、3または4位のアミノ基);CONR(式中、RおよびRはそれぞれ独立して、直鎖、分岐、および環状アルキル、アルケニル、およびアルキニルである);Ca2+、Na、およびKから選択される対イオンを有するリン酸エステルPO 2-;Ca2+、Na、およびKから選択される対イオンを有するリン酸エステルPO;CO(CH)COOH;CO(CHCOOH;およびCO(CHCOOHを含むかまたはそれらからなる群から選択される。
【0030】
好ましくは、前記式Iの化合物において、
α-β結合は、単結合、二重結合、および三重結合から選択され、最も好ましくは三重結合であり;
Arは、1つまたは複数の窒素、酸素、または硫黄原子を任意選択的に含有し、1つまたは複数の任意の位置において、フルオロ;クロロ;ブロモ;ヨード、シアノ、ニトロ、トリフルオロメチル、C~C直鎖および分岐アルコキシ、C~Cスルホキシ、-S-C~Cアルキル、C~C直鎖および分岐アルキル、C2~C6直鎖および分岐アルケニル、C~C直鎖および分岐アルキニル、C~Cフルオロアルキル、クロロアルキル、ブロモアルキル、およびヨードアルキル、COO-C~Cアルキル、N(C~Cアルキル)およびCON(C~Cアルキル)を含むかまたはそれらからなる群から選択される1つまたは複数の同一のまたは異なる置換基で任意選択的に置換されたアリール基を示し;
R’は、水素、C~C直鎖または分岐アルキル、およびC~Cシクロアルキルを含むかまたはそれらからなる群から選択され;
Rは、水素;ベンジル;C~C18直鎖および分岐アルキル、アルケニル、およびアルキニル;C~Cシクロアルキル;アシル基COR(式中、Rは、C~C18直鎖および分岐アルキル、アルケニル、およびアルキニル、C~Cシクロアルキル、フェニルを含むかまたはそれらからなる群から選択される);および置換フェニル(ここで、フェニル環は、1つまたは複数の任意の位置において、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、シアノ、ニトロ、トリフルオロメチル、C~C直鎖および分岐アルコキシ、C~Cスルホキシ、-S-C~Cアルキル、C~C直鎖および分岐アルキル、C~C直鎖および分岐アルケニル、C~C直鎖および分岐アルキニル、C~Cフルオロアルキル、クロロアルキル、ブロモアルキル、およびヨードアルキル、COO-C~Cアルキル、およびCON(C~Cアルキル)からなる群から選択される1~5個の同一のまたは異なる置換基で置換されている);スルファミン酸エステル(SONH);天然に存在するアミノ酸のアシル基;5員環アミノ酸エステルのアシル基(2または3位のアミノ基);6員環アミノ酸エステルのアシル基(2、3または4位のアミノ基);CONR(式中、RおよびRはそれぞれ独立して、C~C18直鎖および分岐アルキル、アルケニル、およびアルキニルならびにC~Cシクロアルキルから選択される);Ca2+、Na、およびKから選択される対イオンを有するリン酸エステルPO 2-;Ca2+、Na、およびKから選択される対イオンを有するリン酸エステルPO;CO(CH)COOH;CO(CHCOOH;およびCO(CHCOOHを含むかまたはそれらからなる群から選択される。
【0031】
一部の実施形態では、前記式Iの化合物において、
α-β結合は、三重結合であり;
Xは酸素および硫黄から選択され;
Arは、1つまたは複数の窒素、酸素、または硫黄原子を任意選択的に含有し、1つまたは複数の任意の位置において、フルオロ;クロロ;ブロモ;ヨード、シアノ、ニトロ、トリフルオロメチル、C~C直鎖および分岐アルコキシ、C~Cスルホキシ、-S-C~Cアルキル、C~C直鎖および分岐アルキル、C2~C6直鎖および分岐アルケニル、C~C直鎖および分岐アルキニル、C~Cフルオロアルキル、クロロアルキル、ブロモアルキル、およびヨードアルキル、COO-C~Cアルキル、N(C~Cアルキル)およびCON(C~Cアルキル)を含むかまたはそれらからなる群から選択される1つまたは複数の同一のまたは異なる置換基で任意選択的に置換されたアリール基を示し、より好ましくは、Arは、1つまたは複数の窒素、酸素、または硫黄原子を任意選択的に含有し、1つまたは複数の任意の位置において、ニトロ、トリフルオロメチル、C~C直鎖および分岐アルコキシ、C~C直鎖および分岐アルキルを含むかまたはそれらからなる群から選択される1つまたは複数の同一のまたは異なる置換基で任意選択的に置換されたアリール基を示し;
R’は、水素、C~C直鎖または分岐アルキル、およびC~Cシクロアルキルを含むかまたはそれらからなる群から選択され、より好ましくは、水素およびC~C直鎖または分岐アルキルの群から選択され;
Rは、水素;ベンジル;C~C18直鎖および分岐アルキル、アルケニル、およびアルキニル;C~Cシクロアルキル;アシル基COR(式中、Rは、C~C18直鎖および分岐アルキル、アルケニル、およびアルキニル、C~Cシクロアルキル、フェニルを含むかまたはそれらからなる群から選択される);および置換フェニル(ここで、フェニル環は、1つまたは複数の任意の位置において、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、シアノ、ニトロ、トリフルオロメチル、C~C直鎖および分岐アルコキシ、C~Cスルホキシ、-S-C~Cアルキル、C~C直鎖および分岐アルキル、C~C直鎖および分岐アルケニル、C~C直鎖および分岐アルキニル、C~Cフルオロアルキル、クロロアルキル、ブロモアルキル、およびヨードアルキル、COO-C~Cアルキル、およびCON(C~Cアルキル)からなる群から選択される1~5個の同一のまたは異なる置換基で置換されている);スルファミン酸エステル(SONH);天然に存在するアミノ酸のアシル基;5員環アミノ酸エステルのアシル基(2または3位のアミノ基);6員環アミノ酸エステルのアシル基(2、3または4位のアミノ基);CONR(式中、RおよびRはそれぞれ独立して、C~C18直鎖および分岐アルキル、アルケニル、およびアルキニルならびにC~Cシクロアルキルから選択される);Ca2+、Na、およびKから選択される対イオンを有するリン酸エステルPO 2-;Ca2+、Na、およびKから選択される対イオンを有するリン酸エステルPO;CO(CH)COOH;CO(CHCOOH;およびCO(CHCOOHを含むかまたはそれらからなる群から選択され、より好ましくは、Rは、水素;C~C直鎖および分岐アルキル、アルケニル、およびアルキニル;C~Cシクロアルキル;アシル基COR(式中、Rは、C~C直鎖および分岐アルキル、アルケニル、およびアルキニル、C~Cシクロアルキルならびにフェニルを含むかまたはそれらからなる群から選択される)の群から選択される。
【0032】
一部の実施形態では、前記式Iの化合物において、
α-β結合は、単結合、二重結合、および三重結合から選択され;
Xは、酸素および硫黄から選択され;
Arは、1つまたは複数の窒素、酸素、または硫黄原子を任意選択的に含有し、1つまたは複数の任意の位置において、フルオロ;クロロ;ブロモ;ヨード、シアノ、ニトロ、トリフルオロメチル、C~C直鎖および分岐アルコキシ、C~Cスルホキシ、-S-C~Cアルキル、C~C直鎖および分岐アルキル、C2~C6直鎖および分岐アルケニル、C~C直鎖および分岐アルキニル、C~Cフルオロアルキル、クロロアルキル、ブロモアルキル、およびヨードアルキル、COO-C~Cアルキル、N(C~Cアルキル)、およびCON(C~Cアルキル)を含むかまたはそれらからなる群から選択される1つまたは複数の同一のまたは異なる置換基で任意選択的に置換されたフェニル基またはナフチル基を示し;
R’は、水素、C~C直鎖または分岐アルキル、およびC~Cシクロアルキルを含むかまたはそれらからなる群から選択され;
Rは、水素;ベンジル;C~C直鎖および分岐アルキル、アルケニル、およびアルキニル;C~Cシクロアルキル;アシル基COR(式中、Rは、C~C直鎖および分岐アルキル、アルケニル、およびアルキニル、C~Cシクロアルキル、ならびにフェニルを含むかまたはそれらからなる群から選択される);スルファミン酸エステル(SONH);天然に存在するアミノ酸のアシル基;5員環アミノ酸エステルのアシル基(2または3位のアミノ基);6員環アミノ酸エステルのアシル基(2、3または4位のアミノ基);CONR(式中、RおよびRはそれぞれ独立して、C~C直鎖および分岐アルキル、アルケニル、およびアルキニルならびにC~Cシクロアルキルから選択される);Ca2+、Na、およびKから選択される対イオンを有するリン酸エステルPO 2-;Ca2+、Na、およびKから選択される対イオンを有するリン酸エステルPO;CO(CH)COOH;CO(CHCOOH;およびCO(CHCOOHを含むかまたはそれらからなる群から選択される。
【0033】
本発明によれば、α-β結合、X、Ar、R、およびR’は、様々に変更され、組み合わされてもよく、その結果、すべてが一般式Iの範囲内に入り、すべてがそのままで、またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物として、IPFの処置において有用であり得る一連の化合物が得られる。
【0034】
アリール環は、いずれのヘテロ原子も含まないアリール環であってもよい。このような変形例はa1に示されている。
【0035】
アリール環は、いずれのヘテロ原子も含まないフェニル環またはナフチル環であってもよい。このような変形例はa2に示されている。
【0036】
アリール環は、いずれのヘテロ原子も含まないフェニル環であってもよい。このような変形例はa3に示されている。
【0037】
アリール環は、1つまたは複数の窒素、酸素、または硫黄原子を含有するアリール環であってもよい。このような変形例はa4に示されている。
【0038】
アリール環は、1つまたは複数の窒素、酸素、または硫黄原子を含有するフェニル環またはナフチル環であってもよい。このような変形例はa5に示されている。
【0039】
アリール環は、1つまたは複数の窒素、酸素、または硫黄原子を含有するフェニル環であってもよい。このような変形例はa6に示されている。
【0040】
アリール環は、1つからすべての位置において、フルオロ;クロロ;ブロモ;ヨード;シアノ;ニトロ;トリフルオロメチル;C~C直鎖および分岐アルコキシ;C~Cスルホキシ;-S-C~Cアルキル;C~C12直鎖および分岐アルキル、アルケニル、およびアルキニル;C~Cフルオロアルキル、クロロアルキル、ブロモアルキル、およびヨードアルキル;COO-C~Cアルキル;N(C~Cアルキル);ならびにCON(C~Cアルキル)を含むかまたはそれらからなる群から選択される同一のまたは異なる置換基で置換されていてもよい。このような変形例はb1に示されている。
【0041】
アリール環は、1つからすべての位置において、フルオロ;クロロ;ブロモ;ヨード;シアノ;ニトロ;トリフルオロメチル;C~C直鎖および分岐アルコキシ;C~Cスルホキシ;-S-C~Cアルキル;C~C12直鎖および分岐アルキル、アルケニル、およびアルキニル;ならびにC~Cフルオロアルキル、クロロアルキル、ブロモアルキル、およびヨードアルキルを含むかまたはそれらからなる群から選択される同一のまたは異なる置換基で置換されていてもよい。このような変形例はb2に示されている。
【0042】
アリール環は、1つからすべての位置において、フルオロ;クロロ;ブロモ;ヨード;シアノ;ニトロ;およびトリフルオロメチルを含むかまたはそれらからなる群から選択される同一のまたは異なる置換基で置換されていてもよい。このような変形例はb3に示されている。
【0043】
アリール環は、1つからすべての位置において、フルオロ;クロロ;ブロモ;ヨード;C~C12直鎖および分岐アルキル、アルケニル、およびアルキニル;N(C~Cアルキル)、ならびにC~C直鎖および分岐アルコキシを含むかまたはそれらからなる群から選択される同一のまたは異なる置換基で置換されていてもよい。このような変形例はb4に示されている。
【0044】
アリール環は、1つからすべての位置において、フルオロ;クロロ;ブロモ;ヨード;C~C直鎖および分岐アルキル、アルケニル、およびアルキニル;ならびにC~C直鎖および分岐アルコキシを含むかまたはそれらからなる群から選択される同一のまたは異なる置換基で置換されていてもよい。このような変形例はb5に示されている。
【0045】
アリール環は、1つからすべての位置において、ニトロ;C~C直鎖および分岐アルキル、アルケニル、およびアルキニル;N(C~Cアルキル)、ならびにC~C直鎖および分岐アルコキシを含むかまたはそれらからなる群から選択される同一のまたは異なる置換基で置換されていてもよい。このような変形例はb6に示されている。
【0046】
アリール環は、置換されていなくてもよい。このような変形例はb7に示されている。
【0047】
一部の変形例では、アリール環上の2つの置換基は互いに同一である。一部の変形例では、置換基のうちの3つは互いに同一である。一部の変形例では、置換基のうちの4つは互いに同一である。一部の変形例では、置換基のうちの5つ以上は互いに同一である。他の変形例では、前記置換基のすべてが互いに異なっている。
【0048】
すべての変形例a1~a6をすべての変形例b1~b7と組み合わせて、ヘテロ原子を任意選択的に含有し、任意選択的に置換されている一連のアリール基を得て、以下のAr基を得ることができる:
ArI=a1+b1、ArII=a1+b2、ArIII=a1+b3、ArIV=a1+b4、ArV=a1+b5、ArVI=a1+b6、ArVII=a1+b7、ArVIII=a2+b1、ArIX=a2+b2、ArX=a2+b3、ArXI=a2+b4、ArXII=a2+b5、ArXIII=a2+b6、ArXIV=a2+b7、ArXV=a3+b1、ArXVI=a3+b2、ArXVII=a3+b3、ArXVIII=a3+b4、ArXIX=a3+b5、ArXX=a3+b6、ArXXI=a3+b7、ArXXII=a4+b1、ArXXIII=a4+b2、ArXXIV=a4+b3、ArXXV=a4+b4、ArXXVI=a4+b5、ArXXVII=a4+b6、ArXXVIII=a4+b7、ArXXIX=a5+b1、ArXXX=a5+b2、ArXXXI=a5+b3、ArXXXII=a5+b4、ArXXXIII=a5+b5、ArXXXIV=a5+b6、ArXXXV=a5+b7、ArXXXVI=a6+b1、ArXXXVII=a6+b2、ArXXXVIII=a6+b3、ArXXXIX=a6+b4、ArXXXX=a6+b5、ArXXXXI=a6+b6、ArXXXXII=a6+b7。
【0049】
文字-数字の組合せは、上で定義された変形例を指し、その結果例えば、a1+b1は、アリール環が、いずれのヘテロ原子も有さず(a1)、1つからすべての位置において、フルオロ;クロロ;ブロモ;ヨード;シアノ;ニトロ;トリフルオロメチル;C~C直鎖および分岐アルコキシ;C~Cスルホキシ;-S-C~Cアルキル;C~C12直鎖および分岐アルキル、アルケニル、およびアルキニル;C~Cフルオロアルキル、クロロアルキル、ブロモアルキル、およびヨードアルキル;COO-C~Cアルキル;N(C~Cアルキル);ならびにCON(C~Cアルキル)を含むかまたはそれらからなる群から選択される同一のまたは異なる置換基で置換されている(b1)アリール環であることを意味し、a6+b7は、1つまたは複数の窒素、酸素、または硫黄原子を含有し(a6)、非置換である(b7)フェニル環を意味するなどである。
【0050】
R’は、水素、C~C直鎖または分岐アルキル、およびC~Cシクロアルキルを含むかまたはそれらからなる群から選択されてもよく;
Rは、水素;ベンジル;C~C18直鎖および分岐アルキル、アルケニル、およびアルキニル;C~Cシクロアルキル;アシル基COR(式中、Rは、C~C18直鎖および分岐アルキル、アルケニル、およびアルキニル、C~Cシクロアルキル、フェニルを含むかまたはそれらからなる群から選択される);ならびに置換フェニル(ここで、フェニル環は、1つまたは複数の任意の位置において、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、シアノ、ニトロ、トリフルオロメチル、C~C直鎖および分岐アルコキシ、C~Cスルホキシ、-S-C~Cアルキル、C~C直鎖および分岐アルキル、C~C直鎖および分岐アルケニル、C~C直鎖および分岐アルキニル、C~Cフルオロアルキル、クロロアルキル、ブロモアルキル、およびヨードアルキル、COO-C~Cアルキル、およびCON(C~Cアルキル)からなる群から選択される1~5個の同一のまたは異なる置換基で置換されている);スルファミン酸エステル(SONH);天然に存在するアミノ酸のアシル基;5員環アミノ酸エステルのアシル基(2または3位のアミノ基);6員環アミノ酸エステルのアシル基(2、3または4位のアミノ基);CONR(式中、RおよびRはそれぞれ独立して、C~C18直鎖および分岐アルキル、アルケニル、およびアルキニルならびにC~Cシクロアルキルから選択される);Ca2+、Na、およびKから選択される対イオンを有するリン酸エステルPO 2-;Ca2+、Na、およびKから選択される対イオンを有するリン酸エステルPO;CO(CH)COOH;CO(CHCOOH;およびCO(CHCOOHを含むかまたはそれらからなる群から選択されてもよい。このような変形例はc1に示されている。
【0051】
R’は、水素、C~C直鎖または分岐アルキル、およびC~Cシクロアルキルを含むかまたはそれらからなる群から選択されてもよく;
Rは、水素;ベンジル;C~C直鎖および分岐アルキル、アルケニル、およびアルキニル;C~Cシクロアルキル;アシル基COR(式中、Rは、C~C直鎖および分岐アルキル、アルケニル、およびアルキニル、C~Cシクロアルキル、およびフェニルを含むかまたはそれらからなる群から選択される);スルファミン酸エステル(SONH);天然に存在するアミノ酸のアシル基;5員環アミノ酸エステルのアシル基(2または3位のアミノ基);6員環アミノ酸エステルのアシル基(2、3または4位のアミノ基);CONR(式中、RおよびRはそれぞれ独立して、C~C直鎖および分岐アルキル、アルケニル、およびアルキニルならびにC~Cシクロアルキルから選択される);Ca2+、Na、およびKから選択される対イオンを有するリン酸エステルPO 2-;Ca2+、Na、およびKから選択される対イオンを有するリン酸エステルPO;CO(CH)COOH;CO(CHCOOH;およびCO(CHCOOHを含むかまたはそれらからなる群から選択されてもよい。このような変形例はc2に示されている。
【0052】
R’は、水素およびC~C直鎖または分岐アルキルを含むかまたはそれらからなる群から選択されてもよく;
Rは、水素;ベンジル;C~C16直鎖および分岐アルキル、アルケニル、およびアルキニル;C~Cシクロアルキル;アシル基COR(式中、Rは、C~C直鎖および分岐アルキル、アルケニル、およびアルキニル、C~Cシクロアルキル、フェニルを含むかまたはそれらからなる群から選択される);ならびに置換フェニル(ここで、フェニル環は、1つまたは複数の任意の位置において、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、シアノ、ニトロ、およびトリフルオロメチルからなる群から選択される1~5個の同一のまたは異なる置換基で置換されている);スルファミン酸エステル(SONH);天然に存在するアミノ酸のアシル基;5員環アミノ酸エステルのアシル基(2または3位のアミノ基);6員環アミノ酸エステルのアシル基(2、3または4位のアミノ基);CONR(式中、RおよびRはそれぞれ独立して、C~C直鎖および分岐アルキル、アルケニル、およびアルキニルならびにC~Cシクロアルキルから選択される);Ca2+、Na、およびKから選択される対イオンを有するリン酸エステルPO 2-;Ca2+、Na、およびKから選択される対イオンを有するリン酸エステルPO;CO(CH)COOH;CO(CHCOOH;およびCO(CHCOOHを含むかまたはそれらからなる群から選択されてもよい。このような変形例はc3に示されている。
【0053】
R’は、メチルまたはエチルであってもよく;
Rは、水素;ベンジル;C~C直鎖および分岐アルキル、アルケニル、およびアルキニル;C~Cシクロアルキル;アシル基COR(式中、Rは、C~C直鎖および分岐アルキル、アルケニル、およびアルキニル、C~Cシクロアルキル、フェニルを含むかまたはそれらからなる群から選択される);ならびに置換フェニル(ここで、フェニル環は、1つまたは複数の任意の位置において、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、シアノ、ニトロ、トリフルオロメチル、C~C直鎖および分岐アルコキシ、C~Cスルホキシ、-S-C~Cアルキル、C~C直鎖および分岐アルキル、C~C直鎖および分岐アルケニル、C~C直鎖および分岐アルキニル、COO-C~Cアルキル、およびCON(C~Cアルキル)からなる群から選択される1~5個の同一のまたは異なる置換基で置換されている);スルファミン酸エステル(SONH);CONR(式中、RおよびRはそれぞれ独立して、C~C直鎖および分岐アルキル、アルケニル、およびアルキニルならびにC~Cシクロアルキルから選択される);CO(CH)COOH;CO(CHCOOH;およびCO(CHCOOHを含むかまたはそれらからなる群から選択されてもよい。このような変形例はc4に示されている。
【0054】
Xは、酸素または硫黄であってもよい。このような変形例はd1に示されている。
【0055】
Xは、酸素であってもよい。このような変形例はd2に示されている。
【0056】
Xは、硫黄であってもよい。このような変形例はd3に示されている。
【0057】
本明細書に開示されている各可能なX、R基、R’基、およびAr基の各選択は、本明細書に開示されている可能なX、R基、R’基およびAr基のありとあらゆる選択肢のうちの1つまたは複数との任意の組合せで使用するために開示されると解釈されるべきであることを理解されたい。
【0058】
よって、一部の実施形態では、本発明は、IPFの処置のための方法において使用するための、式Iの化合物、またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を提供し、X、R、R’、およびArの選択は以下に列挙する通りである:
ArI+c1+d1、ArI+c2+d1、ArI+c3+d1、ArI+c4+d1、ArI+c1+d2、ArI+c2+d2、ArI+c3+d2、ArI+c4+d2、ArI+c1+d3、ArI+c2+d3、ArI+c3+d3、ArI+c4+d3、ArII+c1+d1、ArII+c2+d1、ArII+c3+d1、ArII+c4+d1、ArII+c1+d2、ArII+c2+d2、ArII+c3+d2、ArII+c4+d2、ArII+c1+d3、ArII+c2+d3、ArII+c3+d3、ArII+c4+d3、ArIII+c1+d1、ArIII+c2+d1、ArIII+c3+d1、ArIII+c4+d1、ArIII+c1+d2、ArIII+c2+d2、ArIII+c3+d2、ArIII+c4+d2、ArIII+c1+d3、ArIII+c2+d3、ArIII+c3+d3、ArIII+c4+d3、ArIV+c1+d1、ArIV+c2+d1、ArIV+c3+d1、ArIV+c4+d1、ArIV+c1+d2、ArIV+c2+d2、ArIV+c3+d2、ArIV+c4+d2、ArIV+c1+d3、ArIV+c2+d3、ArIV+c3+d3、ArIV+c4+d3、ArV+c1+d1、ArV+c2+d1、ArV+c3+d1、ArV+c4+d1、ArV+c1+d2、ArV+c2+d2、ArV+c3+d2、ArV+c4+d2、ArV+c1+d3、ArV+c2+d3、ArV+c3+d3、ArV+c4+d3、
ArVI+c1+d1、ArVI+c2+d1、ArVI+c3+d1、ArVI+c4+d1、ArVI+c1+d2、ArVI+c2+d2、ArVI+c3+d2、ArVI+c4+d2、ArVI+c1+d3、ArVI+c2+d3、ArVI+c3+d3、ArVI+c4+d3、
ArVII+c1+d1、ArVII+c2+d1、ArVII+c3+d1、ArVII+c4+d1、ArVII+c1+d2、ArVII+c2+d2、ArVII+c3+d2、ArVII+c4+d2、ArVII+c1+d3、ArVII+c2+d3、ArVII+c3+d3、ArVII+c4+d3、
ArVIII+c1+d1、ArVIII+c2+d1、ArVIII+c3+d1、ArVIII+c4+d1、ArVIII+c1+d2、ArVIII+c2+d2、ArVIII+c3+d2、ArVIII+c4+d2、ArVIII+c1+d3、ArVIII+c2+d3、ArVIII+c3+d3、ArVIII+c4+d3、
ArIX+c1+d1、ArIX+c2+d1、ArIX+c3+d1、ArIX+c4+d1、ArIX+c1+d2、ArIX+c2+d2、ArIX+c3+d2、ArIX+c4+d2、ArIX+c1+d3、ArIX+c2+d3、ArIX+c3+d3、ArIX+c4+d3、
ArX+c1+d1、ArX+c2+d1、ArX+c3+d1、ArX+c4+d1、ArX+c1+d2、ArX+c2+d2、ArX+c3+d2、
ArX+c4+d2、ArX+c1+d3、ArX+c2+d3、ArX+c3+d3、ArX+c4+d3、ArXI+c1+d1、ArXI+c2+d1、ArXI+c3+d1、ArXI+c4+d1、ArXI+c1+d2、ArXI+c2+d2、ArXI+c3+d2、ArXI+c4+d2、ArXI+c1+d3、ArXI+c2+d3、ArXI+c3+d3、ArXI+c4+d3、ArXII+c1+d1、ArXII+c2+d1、ArXII+c3+d1、ArXII+c4+d1、ArXII+c1+d2、ArXII+c2+d2、ArXII+c3+d2、ArXII+c4+d2、ArXII+c1+d3、ArXII+c2+d3、ArXII+c3+d3、ArXII+c4+d3、ArXIII+c1+d1、ArXIII+c2+d1、ArXIII+c3+d1、ArXIII+c4+d1、ArXIII+c1+d2、ArXIII+c2+d2、ArXIII+c3+d2、ArXIII+c4+d2、ArXIII+c1+d3、ArXIII+c2+d3、ArXIII+c3+d3、ArXIII+c4+d3、ArXIV+c1+d1、ArXIV+c2+d1、ArXIV+c3+d1、ArXIV+c4+d1、ArXIV+c1+d2、ArXIV+c2+d2、ArXIV+c3+d2、ArXIV+c4+d2、ArXIV+c1+d3、ArXIV+c2+d3、ArXIV+c3+d3、ArXIV+c4+d3、ArXV+c1+d1、ArXV+c2+d1、ArXV+c3+d1、ArXV+c4+d1、ArXV+c1+d2、ArXV+c2+d2、ArXV+c3+d2、ArXV+c4+d2、ArXV+c1+d3、ArXV+c2+d3、ArXV+c3+d3、ArXV+c4+d3、ArXVI+c1+d1、ArXVI+c2+d1、ArXVI+c3+d1、ArXVI+c4+d1、ArXVI+c1+d2、ArXVI+c2+d2、ArXVI+c3+d2、ArXVI+c4+d2、ArXVI+c1+d3、ArXVI+c2+d3、ArXVI+c3+d3、ArXVI+c4+d3、ArXVII+c1+d1、ArXVII+c2+d1、ArXVII+c3+d1、ArXVII+c4+d1、ArXVII+c1+d2、ArXVII+c2+d2、ArXVII+c3+d2、ArXVII+c4+d2、ArXVII+c1+d3、ArXVII+c2+d3、ArXVII+c3+d3、ArXVII+c4+d3、
ArXVIII+c1+d1、ArXVIII+c2+d1、ArXVIII+c3+d1、ArXVIII+c4+d1、ArXVIII+c1+d2、ArXVIII+c2+d2、ArXVIII+c3+d2、ArXVIII+c4+d2、ArXVIII+c1+d3、ArXVIII+c2+d3、ArXVIII+c3+d3、ArXVIII+c4+d3、ArXIX+c1+d1、ArXIX+c2+d1、ArXIX+c3+d1、ArXIX+c4+d1、ArXIX+c1+d2、ArXIX+c2+d2、ArXIX+c3+d2、ArXIX+c4+d2、ArXIX+c1+d3、ArXIX+c2+d3、ArXIX+c3+d3、ArXIX+c4+d3、ArXX+c1+d1、ArXX+c2+d1、ArXX+c3+d1、ArXX+c4+d1、ArXX+c1+d2、ArXX+c2+d2、ArXX+c3+d2、ArXX+c4+d2、ArXX+c1+d3、ArXX+c2+d3、ArXX+c3+d3、ArXX+c4+d3、ArXX+c4+d2、ArXX+c1+d3、ArXX+c2+d3、ArXX+c3+d3、ArXX+c4+d3、ArXXI+c1+d1、ArXXI+c2+d1、ArXXI+c3+d1、ArXXI+c4+d1、ArXXI+c1+d2、ArXXI+c2+d2、ArXXI+c3+d2、ArXXI+c4+d2、ArXXI+c1+d3、ArXXI+c2+d3、ArXXI+c3+d3、ArXXI+c4+d3、ArXXII+c1+d1、ArXXII+c2+d1、ArXXII+c3+d1、ArXXII+c4+d1、ArXXII+c1+d2、ArXXII+c2+d2、ArXXII+c3+d2、ArXXII+c4+d2、ArXXII+c1+d3、ArXXII+c2+d3、ArXXII+c3+d3、ArXXII+c4+d3、ArXXIII+c1+d1、ArXXIII+c2+d1、ArXXIII+c3+d1、ArXXIII+c4+d1、ArXXIII+c1+d2、ArXXIII+c2+d2、ArXXIII+c3+d2、ArXXIII+c4+d2、ArXXIII+c1+d3、ArXXIII+c2+d3、ArXXIII+c3+d3、ArXXIII+c4+d3、
ArXXIV+c1+d1、ArXXIV+c2+d1、ArXXIV+c3+d1、ArXXIV+c4+d1、ArXXIV+c1+d2、ArXXIV+c2+d2、ArXXIV+c3+d2、ArXXIV+c4+d2、ArXXIV+c1+d3、ArXXIV+c2+d3、ArXXIV+c3+d3、ArXXIV+c4+d3、ArXXV+c1+d1、ArXXV+c2+d1、ArXXV+c3+d1、ArXXV+c4+d1、ArXXV+c1+d2、ArXXV+c2+d2、ArXXV+c3+d2、ArXXV+c4+d2、ArXXV+c1+d3、ArXXV+c2+d3、ArXXV+c3+d3、ArXXV+c4+d3、ArXXVI+c1+d1、ArXXVI+c2+d1、ArXXVI+c3+d1、ArXXVI+c4+d1、ArXXVI+c1+d2、ArXXVI+c2+d2、ArXXVI+c3+d2、ArXXVI+c4+d2、ArXXVI+c1+d3、ArXXVI+c2+d3、ArXXVI+c3+d3、ArXXVI+c4+d3、ArXXVII+c1+d1、ArXXVII+c2+d1、ArXXVII+c3+d1、ArXXVII+c4+d1、ArXXVII+c1+d2、ArXXVII+c2+d2、ArXXVII+c3+d2、ArXXVII+c4+d2、ArXXVII+c1+d3、ArXXVII+c2+d3、ArXXVII+c3+d3、ArXXVII+c4+d3、ArXXVIII+c1+d1、ArXXVIII+c2+d1、ArXXVIII+c3+d1、ArXXVIII+c4+d1、ArXXVIII+c1+d2、ArXXVIII+c2+d2、ArXXVIII+c3+d2、ArXXVIII+c4+d2、ArXXVIII+c1+d3、ArXXVIII+c2+d3、ArXXVIII+c3+d3、ArXXVIII+c4+d3、
ArXXIX+c1+d1、ArXXIX+c2+d1、ArXXIX+c3+d1、ArXXIX+c4+d1、ArXXIX+c1+d2、ArXXIX+c2+d2、ArXXIX+c3+d2、ArXXIX+c4+d2、ArXXIX+c1+d3、ArXXIX+c2+d3、ArXXIX+c3+d3、ArXXIX+c4+d3、ArXXX+c1+d1、ArXXX+c2+d1、ArXXX+c3+d1、ArXXX+c4+d1、ArXXX+c1+d2、ArXXX+c2+d2、ArXXX+c3+d2、ArXXX+c4+d2、ArXXX+c1+d3、ArXXX+c2+d3、ArXXX+c3+d3、ArXXX+c4+d3、ArXXXI+c1+d1、ArXXXI+c2+d1、ArXXXI+c3+d1、ArXXXI+c4+d1、ArXXXI+c1+d2、ArXXXI+c2+d2、ArXXXI+c3+d2、ArXXXI+c4+d2、ArXXXI+c1+d3、ArXXXI+c2+d3、ArXXXI+c3+d3、ArXXXI+c4+d3、ArXXXII+c1+d1、ArXXXII+c2+d1、ArXXXII+c3+d1、ArXXXII+c4+d1、ArXXXII+c1+d2、ArXXXII+c2+d2、ArXXXII+c3+d2、ArXXXII+c4+d2、ArXXXII+c1+d3、ArXXXII+c2+d3、ArXXXII+c3+d3、ArXXXII+c4+d3、ArXXXIII+c1+d1、ArXXXIII+c2+d1、ArXXXIII+c3+d1、ArXXXIII+c4+d1、ArXXXIII+c1+d2、ArXXXIII+c2+d2、ArXXXIII+c3+d2、ArXXXIII+c4+d2、ArXXXIII+c1+d3、ArXXXIII+c2+d3、ArXXXIII+c3+d3、ArXXXIII+c4+d3、
ArXXXIV+c1+d1、ArXXXIV+c2+d1、ArXXXIV+c3+d1、ArXXXIV+c4+d1、ArXXXIV+c1+d2、ArXXXIV+c2+d2、ArXXXIV+c3+d2、ArXXXIV+c4+d2、ArXXXIV+c1+d3、ArXXXIV+c2+d3、ArXXXIV+c3+d3、ArXXXIV+c4+d3、ArXXXV+c1+d1、ArXXXV+c2+d1、ArXXXV+c3+d1、ArXXXV+c4+d1、ArXXXV+c1+d2、ArXXXV+c2+d2、ArXXXV+c3+d2、ArXXXV+c4+d2、ArXXXV+c1+d3、ArXXXV+c2+d3、ArXXXV+c3+d3、ArXXXV+c4+d3、ArXXXVI+c1+d1、ArXXXVI+c2+d1、ArXXXVI+c3+d1、ArXXXVI+c4+d1、ArXXXVI+c1+d2、ArXXXVI+c2+d2、ArXXXVI+c3+d2、ArXXXVI+c4+d2、ArXXXVI+c1+d3、ArXXXVI+c2+d3、ArXXXVI+c3+d3、ArXXXVI+c4+d3、ArXXXVII+c1+d1、ArXXXVII+c2+d1、ArXXXVII+c3+d1、ArXXXVII+c4+d1、ArXXXVII+c1+d2、ArXXXVII+c2+d2、ArXXXVII+c3+d2、ArXXXVII+c4+d2、ArXXXVII+c1+d3、ArXXXVII+c2+d3、ArXXXVII+c3+d3、ArXXXVII+c4+d3、ArXXXVIII+c1+d1、ArXXXVIII+c2+d1、ArXXXVIII+c3+d1、ArXXXVIII+c4+d1、ArXXXVIII+c1+d2、ArXXXVIII+c2+d2、ArXXXVIII+c3+d2、ArXXXVIII+c4+d2、ArXXXVIII+c1+d3、ArXXXVIII+c2+d3、ArXXXVIII+c3+d3、ArXXXVIII+c4+d3、ArXXXIX+c1+d1、ArXXXIX+c2+d1、ArXXXIX+c3+d1、ArXXXIX+c4+d1、ArXXXIX+c1+d2、ArXXXIX+c2+d2、ArXXXIX+c3+d2、ArXXXIX+c4+d2、ArXXXIX+c1+d3、ArXXXIX+c2+d3、ArXXXIX+c3+d3、ArXXXIX+c4+d3、ArXXXX+c1+d1、ArXXXX+c2+d1、ArXXXX+c3+d1、ArXXXX+c4+d1、ArXXXX+c1+d2、ArXXXX+c2+d2、ArXXXX+c3+d2、ArXXXX+c4+d2、ArXXXX+c1+d3、ArXXXX+c2+d3、ArXXXX+c3+d3、ArXXXX+c4+d3、
ArXXXXI+c1+d1、ArXXXXI+c2+d1、ArXXXXI+c3+d1、ArXXXXI+c4+d1、ArXXXXI+c1+d2、ArXXXXI+c2+d2、ArXXXXI+c3+d2、ArXXXXI+c4+d2、ArXXXXI+c1+d3、ArXXXXI+c2+d3、ArXXXXI+c3+d3、ArXXXXI+c4+d3、ArXXXXII+c1+d1、ArXXXXII+c2+d1、ArXXXXII+c3+d1、ArXXXXII+c4+d1、ArXXXXII+c1+d2、ArXXXXII+c2+d2、ArXXXXII+c3+d2、ArXXXXII+c4+d2、ArXXXXII+c1+d3、ArXXXXII+c2+d3、ArXXXXII+c3+d3、ArXXXXII+c4+d3。
【0059】
文字-数字の組合せは、上で定義された変形例を指し、その結果、例えば、
ArI+c1+d1は、アリール環が、いずれのヘテロ原子も有さず(a1)、1つからすべての位置において、フルオロ;クロロ;ブロモ;ヨード;シアノ;ニトロ;トリフルオロメチル;C~C直鎖および分岐アルコキシ;C~Cスルホキシ;-S-C~Cアルキル;C~C12直鎖および分岐アルキル、アルケニル、およびアルキニル;C~Cフルオロアルキル、クロロアルキル、ブロモアルキル、およびヨードアルキル;COO-C~Cアルキル;N(C~Cアルキル);ならびにCON(C~Cアルキル)を含むかまたはそれらからなる群から選択される同一のまたは異なる置換基で置換されている(b1)アリール環であり、R’が、水素、C~C直鎖または分岐アルキル、およびC~Cシクロアルキルを含むかまたはそれらからなる群から選択され;Rが、水素;ベンジル;C~C18直鎖および分岐アルキル、アルケニル、およびアルキニル;C~Cシクロアルキル;アシル基COR(式中、Rは、C~C18直鎖および分岐アルキル、アルケニル、およびアルキニル、C~Cシクロアルキル、フェニルを含むかまたはそれらからなる群から選択される);および置換フェニル(ここで、フェニル環は、1つまたは複数の任意の位置において、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、シアノ、ニトロ、トリフルオロメチル、C~C直鎖および分岐アルコキシ、C~Cスルホキシ、-S-C~Cアルキル、C~C直鎖および分岐アルキル、C~C直鎖および分岐アルケニル、C~C直鎖および分岐アルキニル、C~Cフルオロアルキル、クロロアルキル、ブロモアルキル、およびヨードアルキル、COO-C~Cアルキル、およびCON(C~Cアルキル)からなる群から選択される1~5個の同一のまたは異なる置換基で置換されている);スルファミン酸エステル(SONH);天然に存在するアミノ酸のアシル基;5員環アミノ酸エステルのアシル基(2または3位のアミノ基);6員環アミノ酸エステルのアシル基(2、3または4位のアミノ基);CONR(式中、RおよびRはそれぞれ独立して、C~C18直鎖および分岐アルキル、アルケニル、およびアルキニルならびにC~Cシクロアルキルから選択される);Ca2+、Na、およびKから選択される対イオンを有するリン酸エステルPO 2-;Ca2+、Na、およびKから選択される対イオンを有するリン酸エステルPO;CO(CH)COOH;CO(CHCOOH;および(c1)CO(CHCOOHを含むかまたはそれらからなる群から選択されることを意味し、他の組合せについては、Xは、OまたはS-などである。
【0060】
列挙された組合せのそれぞれについて、α-β結合は単結合であってもよい。列挙された組合せのそれぞれについて、α-β結合は二重結合であってもよい。列挙された組合せのそれぞれについて、α-β結合は好ましくは、三重結合である。
【0061】
一部の実施形態では、本発明は、IPFの処置において使用するための、式Iの化合物、またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を提供し、Ar、X、R、R’、およびα-β結合の種類の選択は以下に列挙する通りである:
Ar:N、O、および/またはSから選択される1つまたは複数のヘテロ原子を任意選択的に含有する非置換のフェニルまたはナフチル。
X:OまたはS。
R’:水素、C~C直鎖もしくは分岐アルキル、またはC~Cシクロアルキル。
R:アシル基COR(式中、Rは、C~C18直鎖および分岐アルキル、アルケニル、およびアルキニル、C~Cシクロアルキル、フェニルを含むかまたはそれらからなる群から選択される);および置換フェニル(ここで、フェニル環は、1つまたは複数の任意の位置において、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、シアノ、ニトロ、トリフルオロメチル、C~C直鎖および分岐アルコキシ、C~Cスルホキシ、-S-C~Cアルキル、C~C直鎖および分岐アルキル、C~C直鎖および分岐アルケニル、C~C直鎖および分岐アルキニル、C~Cフルオロアルキル、クロロアルキル、ブロモアルキル、およびヨードアルキル、COO-(C~Cアルキル、およびCON(C~Cアルキル)からなる群から選択される1~5個の同一のまたは異なる置換基で置換されている)。
α-β結合:単結合、二重結合、または三重結合。
【0062】
一部の実施形態では、本発明は、IPFの処置において使用するための、式Iの化合物、またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を提供し、Ar、X、R、R’、およびα-β結合の種類の選択は以下に列挙する通りである:
Ar:1つまたは複数の任意の位置において、フルオロ;クロロ;ブロモ;シアノ、ニトロ、トリフルオロメチル、COO-C~Cアルキル、およびC~Cフルオロアルキル、クロロアルキル、ブロモアルキルを含むかまたはそれらからなる群から選択される1つまたは複数の同一のまたは異なる置換基で置換されたフェニルまたはナフチル。
X:OまたはS。
R’:水素またはC~C直鎖もしくは分岐アルキル。
R:アシル基COR(式中、Rは、C~C直鎖および分岐アルキル、アルケニル、およびアルキニル、C~Cシクロアルキル、およびフェニルを含むかまたはそれらからなる群から選択される)。
α-β結合:三重結合。
【0063】
一部の実施形態では、本発明は、IPFの処置において使用するための、式Iの化合物、またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を提供し、Ar、X、R、R’、およびα-β結合の種類の選択は以下に列挙する通りである:
Ar:1つまたは複数の任意の位置において、ヨード、C~C直鎖および分岐アルコキシ、C~Cスルホキシ、-S-C~Cアルキル、C~C直鎖および分岐アルキル、C2~C6直鎖および分岐アルケニル、C~C直鎖および分岐アルキニル、C~Cヨードアルキル、N(C~Cアルキル)およびCON(C~Cアルキル)を含むまたはそれらからなる群から選択される1つまたは複数の同一のまたは異なる置換基で置換されたフェニルまたはナフチル。
X:OまたはS。
R’:C~C直鎖または分岐アルキル。
R:アシル基COR(式中、Rは、C~C直鎖および分岐アルキル、アルケニル、およびアルキニル、C~Cシクロアルキル、フェニルを含むかまたはそれらからなる群から選択される);および置換フェニル(ここで、フェニル環は、1つまたは複数の任意の位置において、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、シアノ、ニトロ、トリフルオロメチル、C~C3直鎖および分岐アルコキシ、C~Cスルホキシ、-S-C~Cアルキル、C~C直鎖および分岐アルキル、C~C3直鎖および分岐アルケニル、C~C直鎖および分岐アルキニル、C~Cフルオロアルキル、クロロアルキル、ブロモアルキル、およびヨードアルキル、COO-C~C3アルキル、およびCON(C~Cアルキル)からなる群から選択される1~5個の同一のまたは異なる置換基で置換されている)。
α-β結合:三重結合。
【0064】
一部の実施形態では、本発明は、IPFの処置において使用するための、式Iの化合物、またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を提供し、Ar、X、R、R’、およびα-β結合の種類の選択は以下に列挙する通りである:
Ar:1つまたは複数の窒素、酸素、または硫黄原子を任意選択的に含有し、1つまたは複数の任意の位置において、フルオロ;クロロ;ブロモ;ヨード、シアノ、ニトロ、トリフルオロメチル、C~C直鎖および分岐アルコキシ、C~Cスルホキシ、-S-C~Cアルキル、C~C直鎖および分岐アルキル、C2~C6直鎖および分岐アルケニル、C~C直鎖および分岐アルキニル、C~Cフルオロアルキル、クロロアルキル、ブロモアルキル、およびヨードアルキル、COO-C~Cアルキル、N(C~Cアルキル)およびCON(C~Cアルキル)を含むかまたはそれらからなる群から選択される1つまたは複数の同一のまたは異なる置換基で任意選択的に置換されたアリール基であり、より好ましくはアリール基は、ニトロ、トリフルオロメチル、C~C直鎖および分岐アルコキシ、C~C直鎖および分岐アルキルの群から選択される1つまたは複数の同一のまたは異なる置換基で任意選択的に置換されている。
X:OまたはS。
R’:水素、C~C直鎖もしくは分岐アルキル、またはC~Cシクロアルキル、より好ましくは、水素、C~C直鎖もしくは分岐アルキル。
R:水素;C~C直鎖または分岐アルキル、アルケニル、またはアルキニル;C~Cシクロアルキル;アシル基COR(式中、Rは、C~C直鎖および分岐アルキル、アルケニル、およびアルキニル、C~Cシクロアルキルおよびフェニルを含むかまたはそれらからなる群から選択される)であり、より好ましくは、Hまたはアセチル。
α-β結合:二重結合または三重結合、より好ましくは三重結合。
【0065】
IPFの処置のための方法において使用するための本発明による化合物の非限定的な例としては、
N-[(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)メチル]-7-フェニル-6-ヘプチンアミド;(2)
2-メトキシ-4-[(6-フェニル-5-ヘキシニルカルボニルアミノ)メチル]フェニルアセタート(5);
N-[(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)メチル]-(E)-7-フェニル-6-ヘプテンアミド;
N-[(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)メチル]7-フェニルヘプタンアミド(8);
N-[(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)メチル]-7-(p-メトキシフェニル)-6-ヘプチンアミド(11);
N-[(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)メチル]-7-(p-ニトロフェニル)-6-ヘプチンアミド(10);
N-[(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)メチル]-7-(1-ナフチル)-6-ヘプチンアミド(12);
N-{[4-(ベンジルオキシ)-3-メトキシフェニル]メチル}-7-(p-メトキシフェニル)-6-ヘプチンアミド;
3-{2-メトキシ-4-[(6-フェニル-5-ヘキシニルカルボニルアミノ)メチル]フェノキシカルボニル}プロピオン酸;
2-メトキシ-4-[(6-フェニル-5-ヘキシニルカルボニルアミノ)メチル]フェニルヘキサデカノアート
が挙げられる。
【0066】
一部の実施形態では、本発明は、IPFの処置において使用するための、式Iの化合物、またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を提供し、この化合物は、フェニルカプサイシンと呼ばれることも多いカプサイシンのフェニル置換6-イン誘導体の群から選択され、ここで、Arは、非置換フェニルまたは上に定義される置換フェニル(変形例ArXV-ArXXI)であり、R’は、水素、C~C直鎖または分岐アルキルから選択され、Rは、HまたはC~C直鎖または分岐アルキル、アルケニル、およびアルキニル;C~Cシクロアルキル;アシル基COR(式中、Rは、C~C直鎖および分岐アルキル、アルケニル、およびアルキニル;C~Cシクロアルキルおよびフェニルを含むかまたはそれらからなる群から選択される)から選択され、好ましくはRは、Hまたはアシル基である。
【0067】
一部の実施形態では、本発明は、IPFの処置において使用するための、α-β結合が式IIに示されている三重結合である、上記に開示される式Iの化合物、またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を提供する。Ar基は、非置換フェニルまたは上で定義した置換フェニル(変形例ArXV-ArXXI)である。R’およびR基は上で定義した通りであり、より好ましくは、R’はH、またはC~C直鎖または分岐アルキルであり、RはHまたはC~C直鎖または分岐アシル基であり、XはSまたはOである。
【化7】
【0068】
一部の実施形態では、本発明は、IPFの処置において使用するための、式IIの化合物、またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を提供し、式中、Arは、非置換フェニルまたは上に定義されている置換フェニル(変形例ArXV-ArXXI)であり、R’は、C~C直鎖または分岐アルキルであり、Rは、HまたはC~C直鎖または分岐アシル基であり、Xは、Oである。
【0069】
一部の実施形態では、本発明は、IPFの処置において使用するための、式IIの化合物、またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を提供し、式中、Arは、少なくとも1つのアルコキシ基で置換された置換フェニルであり、R’は、C~C直鎖または分岐アルキルであり、Rは、HまたはC~C直鎖または分岐アシル基であり、Xは、Oである。
【0070】
一部の実施形態では、本発明は、IPFの処置において使用するための、式IIIの化合物、またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を提供し、式中、Phは、非置換フェニルを示し、R’は、C~C直鎖または分岐アルキルであり、Rは、HまたはC~C直鎖または分岐アシル基であり、Xは、SまたはOである。
【化8】
【0071】
一部の実施形態では、本発明は、IPFの処置において使用するための、式IIIの化合物、またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を提供し、式中、Phは、非置換フェニルを示し、R’は、C~C直鎖または分岐アルキルであり、Rは、HまたはC~C直鎖または分岐アシル基であり、Xは、Oである。
【0072】
一部の実施形態では、本発明は、IPFの処置において使用するための、式IIIの化合物、またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を提供し、式中、Phは、非置換フェニルを示し、R’は、メチルであり、Rは、HまたはC~C直鎖または分岐アシルであり、Xは、Oである。一実施形態では、R’は、メチルであり、Rは、アセチルである。
【0073】
一部の実施形態では、本発明は、IPFの処置において使用するための、式IIIの化合物、またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を提供し、式中、Phは、非置換フェニルを示し、R’は、メチルであり、Rは、Hまたはアセチルであり、Xは、Oである。
【0074】
本発明の化合物は、1つまたは複数のキラル中心および/または二重結合を含有してもよく、したがって、二重結合異性体(すなわち、幾何異性体)、エナンチオマー、および/またはジアステレオマーなどの異なる立体異性体の形態で存在してもよい。立体異性的に純粋な形態(例えば、幾何学的に純粋、エナンチオマー的に純粋、またはジアステレオマー的に純粋)と立体異性体混合物の両方が本発明に包含されることを理解されたい。本発明は、ジアステレオマーおよびエナンチオマー、ならびにラセミ混合物にまで及ぶと考えられる。
【0075】
本明細書に記載される化合物は、当技術分野で公知の方法を使用して、それらの幾何異性体、エナンチオマーおよび/またはジアステレオマーに分割されてもよい。
【0076】
化合物は、商業的に、または当業者に公知の任意の手順を使用して得ることができる。本発明による化合物を得るための手順の非限定的な例は、本出願人によって欧州特許第1670310号およびノルウェー特許出願第20200333号に開示されているものである。
【0077】
過去および現在の喫煙者は、喫煙したことがない者よりもIPFを発症する可能性が高い。IPFの家族歴も危険因子であり、特定の遺伝子と同様に、IPF患者20人に約1人がこの疾患を有する家族を有する。IPFはまた、胃食道逆流、特定のウイルス感染、空気汚染、および金属または木材粉塵などの特定の種類の粉塵への曝露に関連している。これらの因子のいずれかがIPFを直接引き起こすかどうかは知られていない。60歳代および70歳代の人々が最も一般に罹患しており、この疾患は50歳未満の人々では稀である。男性は女性よりも罹患する頻度が高い。ある研究により、米国では、70歳を超える200人の成人のうち1人が特発性肺線維症に罹患していると推定された。
【0078】
IPFはまた、イヌとネコの両方のいくつかの品種でも認識されている。この状態を有する獣医学的患者は、呼吸数の増加および最終的な呼吸窮迫を含む、ヒトの対応者と同じ症状の多くを共有し、一般に予後不良である。
【0079】
本発明の患者群は、ILD、好ましくは特発性ILDおよび/または肺線維症、より好ましくはIPFを有すると診断されたか、またはそれを有する疑いのある患者を含む。患者群は、IPFを患っている患者、例えばIPFを有すると診断された患者またはIPFを有する疑いのある患者からなり得る。好ましい実施形態では、対象は、この患者群から選択される。対象は、ヒトまたは非ヒト動物、例えばヒトまたは非ヒト哺乳動物、好ましくはヒト患者であり得る。対象は男性であっても女性であってもよい。一部の実施形態では、対象は、成人(すなわち、18歳以上)である。ある特定の実施形態では、対象は老人である。ある特定の実施形態では、対象は老人ではない。一部の実施形態では、対象は、50歳を超えるヒト、例えば60歳を超えるヒト、例えば70歳を超えるヒトである。
【0080】
本明細書で使用される場合、「対象」は、処置または治療のために選択される任意のヒトまたは非ヒト動物を意味し、「患者」を包含し、それに限定されてもよい。これらの用語はいずれも、医療専門家(例えば、医師、看護師、ナースプラクティショナー、医師の助手、用務員、治験担当者など)または科学研究者の監督(定常的なまたはその他)を必要とすると解釈されるべきではない。
【0081】
本発明による化合物のいずれも、プロドラッグの形態で提供されてもよい。本明細書で使用される場合、「プロドラッグ」という用語は、生理学的条件下で本発明による化合物のいずれかに変換される任意の化合物を意味する。プロドラッグは、必ずしもそうである必要はないが、活性化合物に変換されるまで薬理学的に不活性であり得る。プロドラッグは、活性化合物中の1つまたは複数の官能基をプロ基、すなわち活性化合物内の官能基をマスクし、in vivoなどの特定の使用条件下で変換を受けて前記官能基を放出する基で誘導体化することによって得ることができる。プロ基は非毒性であるべきである。広範囲のプロ基、およびプロドラッグを提供するための方法は、当業者に公知である。
【0082】
IPFの処置において使用するための化合物は、本発明によれば、1つまたは複数の従来の薬学的に許容される担体を含有する薬学的に許容される組成物などの所望の投与単位製剤中に有効成分として存在してもよい。本明細書で使用される場合、「組成物」という用語は、任意の製剤における、1つまたは複数の本発明による化合物と1つまたは複数の追加の化学成分との混合物を指す。
【0083】
したがって、別の態様では、本発明は、IPFの処置方法において使用するための組成物を提供する。
【0084】
本発明によるIPFの処置のための方法において使用するための組成物は、本明細書に開示されている化合物から実質的に純粋な形態で調製される。一部の実施形態では、組成物を製剤化するために使用される本発明による化合物の純度は、少なくとも約95%、例えば少なくとも96%、97%、98%、または99%である。好ましくは、化合物の純度は、少なくとも98%である。
【0085】
組成物は、任意の従来の薬学的に許容される賦形剤および/または担体、例えば溶媒、充填剤、希釈剤、結合剤、滑沢剤、流動促進剤、粘度調整剤、界面活性剤、分散剤、崩壊剤、乳化剤、湿潤剤、懸濁化剤、増粘剤、緩衝剤、pH調整剤、吸収遅延剤、安定剤、酸化防止剤、防腐剤、抗微生物剤、抗菌剤、抗真菌剤、キレート剤、アジュバント、甘味剤、芳香剤、および着色剤の1つまたは複数をさらに含んでもよい。当技術分野で公知の従来の製剤化技法、例えば、従来の混合、溶解、懸濁、造粒、糖衣錠作製、研和、乳化、カプセル化、封入または圧縮プロセスを使用して組成物を製剤化してもよい。
【0086】
一部の実施形態では、IPFの処置のための方法において使用するための組成物は、肺、経口、および/または静脈内投与用に製剤化される。一部の実施形態では、組成物は、吸入用に、例えばエアロゾル吸入製剤の形態で製剤化される。
【0087】
組成物中に存在する本発明による化合物の量は変化し得る。一部の実施形態では、組成物中に存在する本発明による化合物の量は、1~50重量%、例えば1~30%、例えば20~50%である。他の実施形態では、組成物中に存在する本発明による化合物の量は、30~70重量%、例えば40~60%である。さらに他の実施形態では、組成物中に存在する本発明による化合物の量は、50~100重量%、例えば50~70%、例えば50~80%、例えば60~98%、例えば70~95%、例えば80~99%、例えば95~100%である。
【0088】
さらに、本発明によるIPFの処置のための方法において使用するための組成物は、夾雑物または不純物を実質的に含まない。一部の実施形態では、組成物中の残留溶媒以外の夾雑物または不純物のレベルは、本発明による化合物と意図される他の成分の合計重量に対して約5%未満である。ある特定の実施形態では、組成物中の残留溶媒以外の夾雑物または不純物のレベルは、本発明による化合物と意図される他の成分の合計重量に対して約2%または1%以下である。
【0089】
有利には、本発明によるIPFの処置のための方法において使用するための化合物または組成物は滅菌されている。滅菌は、熱、化学物質、照射、高圧、濾過、またはこれらの組合せを適用することを含むがこれらに限定されない任意の好適な方法によって達成することができる。
【0090】
IPFの処置のための方法において使用するための化合物または組成物は、本発明によれば、治療有効用量で対象に投与される。本明細書で使用される場合、「治療有効用量」という用語は、任意の処置に適用可能な合理的な利益/リスク比で対象において所望の治療効果をもたらすのに有効である本発明による化合物の量を意味する。治療有効投薬量は、投与経路および剤形に応じて変化し得る。適切な投薬量は、使用される化合物、状態の段階、患者の年齢および体重などによって変わる場合があり、当技術分野で周知の原理に従って当業者によって日常的に決定され得る。本発明による化合物の好適な1日の投薬量は、約0.01mg/kg体重~1.0mg/kg体重の範囲であり得る。例えば、一部の実施形態では、1日用量は、0.01~0.1mg/kg体重、例えば0.01~0.05mg/kg体重、例えば0.03~0.08mg/kg体重、例えば0.05~0.1mg/kg体重であり得る。他の実施形態では、1日用量は、0.05~0.5mg/kg体重、例えば0.05~0.02mg/kg体重、例えば0.08~0.5mg/kg体重であり得る。さらに他の実施形態では、1日用量は、0.1~1.0mg/kg体重、例えば0.3~.08mg/kg体重、例えば0.5~1.0mg/kg体重であり得る。
【0091】
治療有効用量は、単回用量または分割用量で投与することができる。本発明による化合物または組成物は、1日に1回、1日に2回以上、2日に1回、3日に1回、1週間に2回または1週間に1回、または医療専門家によって適切であると考えられる場合に投与することができる。ある特定の実施形態では、本発明による化合物または組成物は1日に1回投与される。他の実施形態では、本発明による化合物または組成物は1日に2回投与される。一部の実施形態では、投与レジメンは予め決定されており、患者群全体で同じである。他の実施形態では、本発明による化合物または組成物による処置の投薬量および投与頻度は、以下に限定されないが、疾患の病期、症状の重症度、投与経路、対象の年齢、体重、全身の健康状態、性別および/もしくは食事、ならびに/または処置に対する対象の応答を含む因子に基づいて、医療専門家によって決定される。
【0092】
一部の実施形態では、治療有効用量は一定の間隔で投与される。他の実施形態では、用量は、必要な場合または散発的に投与される。本発明による化合物または組成物は、医療専門家によって、または自己投与によって投与されてもよい。本発明による化合物または組成物は、製剤および投与経路などの要因に応じて、食物とともにまたは食物なしで投与されてもよい。一部の実施形態では、本発明による化合物または組成物は、特定の時刻に投与される。
【0093】
本明細書で使用される場合、「投与する(administer)」、「投与(administration)」、および「投与すること(administering)」という用語は、(1)医療従事者もしくはそれらに認可された薬剤によって、またはそれらの指示の下で、または自己投与によって、本開示による製剤、調製物または組成物を提供、供与、投与および/または処方すること、ならびに(2)本開示による製剤、調製物または組成物を対象自体に投入するか、摂取させるか、または消費させることを指す。
【0094】
本発明によるIPFの処置のための方法において使用するための化合物または組成物は、局所的または全身的に投与されてもよい。本発明による化合物または組成物は、肺、経口的、静脈内、筋肉内、舌下、皮下、頬側、経鼻的、および経皮的を含むがこれらに限定されない任意の投与経路によって投与されてもよい。
【0095】
好ましい実施形態では、化合物または組成物は、肺、経口的、および/または静脈内に投与される。
【0096】
一部の実施形態では、本発明によるIPFの処置のための方法において使用するための化合物または組成物は、肺経路を介して、例えばネブライザー、気管内、鼻腔内、表皮および経皮によるなど、粉末またはエアロゾルの吸入または吹送によって投与される。具体的な実施形態では、化合物または組成物は、経口、経鼻、または気管支経路による吸入によって、例えばエアロゾル吸入、例えばスプレー吸入により、例えば当技術分野で公知の吸入器を使用して投与される。具体的な実施形態では、本発明による化合物または組成物は、固体または液体のエアロゾル粒子の形態であり、好ましくは呼吸可能なサイズのものである。このような粒子は、吸入時に口および喉頭を通過して肺の気管支および肺胞に入るのに十分に小さい。一般に、粒径が約1から10ミクロンの範囲、好ましくは粒径が約5ミクロン未満の粒子は吸入可能である。
【0097】
一部の実施形態では、化合物または組成物は経口投与される。一部の実施形態では、化合物または組成物は、食事とともにまたは食事の前に投与される。
【0098】
一部の実施形態では、本発明による化合物または組成物は静脈内投与される。これらの実施形態では、水が特に有用な賦形剤である。生理食塩水ならびにデキストロースおよびグリセロール水溶液も、特に注射用溶液のための液体賦形剤として用いることができる。
【0099】
好ましい単位投与製剤は、本発明によるIPFの処置のための方法において使用するための化合物の、本明細書で前述した治療有効用量またはその適切な画分を含有する製剤である。IPFの処置のための方法において使用するための組成物は、すべての有効成分および非有効成分が好適な系で組み合わされ、投与前に成分を混合する必要がない単回用量として単位剤形で提供されてもよい。あるいは、組成物は、薬物、賦形剤および担体が2つ以上の別個の容器(例えば、アンプル、バイアル、チューブ、ボトルまたはシリンジ)で提供され、投与される組成物を形成するために組み合わせる必要があるキットとして提供されてもよい。キットは、本発明による1つまたは複数の化合物または本発明による組成物および他のすべての成分を単位剤形で、または2つ以上の別個の容器に含有してもよく、組成物を保存、調製、投与および/または使用するための説明書を含有してもよい。
【0100】
一部の実施形態では、本発明によるIPFの処置のための方法において使用するための化合物または組成物の使用期間は、肺機能検査などの臨床的、生理学的、および/または画像情報によって決定される。一部の実施形態では、処置は、肺機能検査などの臨床的、生理学的、および/または画像情報に基づいてさらなる改善が期待できなくなるまで持続される。ある特定の実施形態では、本発明による化合物または組成物による処置期間は、少なくとも2週間、少なくとも1ヶ月、少なくとも3ヶ月、例えば3ヶ月、6ヶ月、9ヶ月、1年、3年、5年である。他の実施形態では、持続期間は、以下に限定されないが、症状の性質および重症度、投与経路、年齢、体重、全身の健康状態、性別および/もしくは食事、ならびに/または処置に対する対象の応答を含む因子に基づいて、医療専門家によって決定される。他の実施形態では、化合物または組成物は、初期治療効果を長期間維持するために、急性モードとは対照的に連続モードなどで慢性的に投与される。
【0101】
ある特定の実施形態では、本発明による化合物または組成物は、単独で投与される。他の実施形態では、本発明による化合物または組成物は、1つまたは複数の他の治療剤と組み合わせて投与される。前記1つまたは複数の他の治療剤は、IPFに対する効果を有することが知られている場合があり、および/または本発明の化合物もしくは組成物と一緒にIPF処置に対する相加的もしくは相乗的な作用機構を有する場合がある。一部の実施形態では、本発明による化合物または組成物は、併用療法の一部として投与される。本発明による化合物または組成物を含む併用療法は、本発明による化合物もしくは組成物を1つもしくは複数の治療剤と組み合わせて含む組成物、および/または本発明による化合物もしくは組成物と1つもしくは複数の治療剤との同時投与を指してもよく、ここで、本発明による化合物または組成物と他の治療剤(複数可)とは、同じ組成物に製剤化されていない。別々の製剤を使用する場合、本発明による化合物または組成物は、別の治療剤の投与と同時に、断続的に、互い違いに、その前に、その後に、またはこれらの組合せで投与されてもよい。
【0102】
さらなる態様では、本発明は、
i)式Iの化合物、またはその任意の薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物;および
ii)吸入器
を含むキットを提供する。
【0103】
さらなる態様では、本発明は、
i)吸入用に製剤化された、式Iの化合物、またはその任意の薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を含む組成物;および
ii)吸入器
を含むキットを提供する。
【0104】
本明細書で使用される場合、吸入器という用語は、加圧MDI、呼吸作動MDI、乾燥粉末吸入器、スペーサデバイスを有する吸入器、およびネブライザーなどの機械的定量吸入器(MDI)を含むがこれらに限定されない、対象の肺の任意の部分などへの化合物または組成物の経鼻および/または肺投与に好適なすべてのタイプのデバイスを包含する。
【0105】
一態様の文脈で、例えばIPFの処置のための方法において使用するための化合物を対象とする態様について記載された実施形態および特徴は、IPFの処置方法などの、キットなどのIPFの処置のための方法において使用するための組成物などの本発明の他の態様にも適用される。
【0106】
さらなる態様では、本発明は、特発性肺線維症の処置方法であって、式Iの化合物、またはその任意の薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物の有効量を、それを必要とする対象に投与する工程を含む、方法を提供する。
【0107】
一部の実施形態では、本発明は、特発性肺線維症の処置方法であって、式Iの化合物、またはその任意の薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物の有効量を含む組成物を、それを必要とする対象に投与する工程を含む、方法を提供する。
【0108】
さらなる態様では、本発明は、特発性肺線維症の処置方法であって、それを必要とする対象に対して、フェニルカプサイシン、またはその任意の薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物の有効量を、対象に投与するステップを含む方法を提供する。
【0109】
一部の実施形態では、本発明は、特発性肺線維症の処置方法であって、それを必要とする対象に対して、フェニルカプサイシン、またはその任意の薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物の有効量を含む組成物を、対象に投与する工程を含む、方法を提供する。
【0110】
なおさらなる態様では、本発明は、それを必要とする対象における血小板由来成長因子受容体(PDGF)-αおよび/またはβの活性を阻害するための方法であって、式Iの化合物、またはその任意の薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物の有効量を対象に投与する工程を含む、方法を提供する。
【0111】
本発明は、示されている実施形態および例に限定されるものではない。本開示の様々な実施形態が本明細書に記載されているが、このような実施形態が単なる例として提供されていることは当業者には明らかであろう。本明細書に記載の実施形態に対する多数の修正および変更、ならびに変形および置換は、本開示から逸脱することなく当業者にとって明らかであろう。本開示を実践する際に、本明細書に記載の実施形態に対する様々な代替形態を用いることができることを理解されたい。
【0112】
本開示のすべての実施形態は、任意選択的に、本明細書に記載の他の実施形態のうちの任意の1つまたは複数と組み合わせることができることを理解されたい。
【0113】
本明細書に開示されている各成分、化合物、またはパラメーターは、単独で、または本明細書に開示されているありとあらゆる他の成分、化合物、またはパラメーターのうちの1つまたは複数と組み合わせて使用するために開示されていると解釈されるべきであることを理解されたい。本明細書に開示されている各成分、化合物、またはパラメーターの各量/値または量/値の範囲は、本明細書に開示されている任意の他の成分、化合物、またはパラメーターについて開示された各量/値または量/値の範囲と組み合わせて開示されているとも解釈されるべきであり、したがって、本明細書に開示されている2つ以上の成分、化合物、またはパラメーターの量/値または量/値の範囲の任意の組合せも、本明細書の目的のために互いに組み合わせて開示されていることをさらに理解されたい。本明細書に記載のあらゆる特徴、およびこのような特徴の組合せは、特徴が相互に矛盾しない限り、本発明の範囲内に含まれる。
【0114】
本明細書に開示されている各範囲の各下限は、同じ成分、化合物、またはパラメーターについて本明細書に開示されている各範囲の各上限と組み合わせて開示されると解釈されるべきであることを理解されたい。したがって、2つの範囲の開示は、各範囲の各下限と各範囲の各上限とを組み合わせることによって導出された4つの範囲の開示として解釈されるべきである。3つの範囲の開示は、各範囲の各下限と各範囲の各上限とを組み合わせることによって導出される9つの範囲の開示として解釈されるべきである。さらに、明細書または例に開示されている成分、化合物、またはパラメーターの特定の量/値は、範囲の下限または上限のいずれかの開示として解釈されるべきであり、したがって、同一の成分、化合物、またはパラメーターの範囲を形成するために、本出願の他の場所に開示されているその成分、化合物、またはパラメーターの任意の他の下限もしくは上限または範囲または特定の量/値と組み合わせることができる。
【0115】

例1-フェニルカプサイシンの存在下でのヒト角膜上皮細胞のPDGFに支持される生存および増殖の低減
漸増濃度のフェニルカプサイシンの存在下でのヒト角膜上皮細胞のPDGFに支持される生存および増殖の媒介について研究するために、アッセイを実施した。
【0116】
方法:
細胞培養:
初代単離ヒト角膜上皮細胞;正常なヒト細胞(ATCC(登録商標)PCS-700-010(商標))を、4ng/mlのフィブロネクチン(FN)、2ng/mlのヒト組換え血管内皮成長因子(VEGF)および4ng/mlの塩基性線維芽細胞成長因子(bFGF)を補充した血清還元(5%ウシ胎仔血清)改変promocell培地(MPM)中で、5%のCOおよび95%の湿度にて37°Cで培養して維持した。FN、VEGFおよびbFGFのこの組合せは、成長および移動速度論を最適化することが示されている。
【0117】
クローン原性細胞生存アッセイ:
クローン原性細胞生存アッセイは、細胞が無限に増殖する能力を決定する。
角膜上皮細胞のクローン原性生存へのフェニルカプサイシン(2)の効果を、細胞を25cmのフラスコに漸増数(102~5×104個)の細胞を播種することによって調査した。放射線に誘導される線維芽細胞および内皮細胞の活性化を低下させる能力を示したPDGFの公知の阻害剤であるSU9518を陽性対照として使用した。細胞を、10ng/mlのPDGF-ABの存在下で、0~10μMのフェニルカプサイシンおよびSU9518と別々にインキュベートした。フラスコをインキュベーターに14日間戻し、その後、クリスタルバイオレットで染色した。コロニーを計数し、生存しているもの。
【0118】
増殖アッセイ:
37°Cでのトリプシン処理によって角膜細胞を回収し、トリプシン中和溶液で中和した。MPM/DMEM中50,000個の細胞の懸濁液を25mlのフラスコに添加した。細胞を、フェニルカプサイシンまたはSU9518と、標準的な条件でサイトカインを含まない培地中で1時間インキュベートし、最終培地(10ng/mlのPDGF-AB+4ng/mlのFN、または2ng/mlのVEGF+4ng/mlのbFGF+4ng/mlのFNのいずれかを含む)の存在下でさらに72時間インキュベートした。次いで、細胞をトリプシンに分散させ、再懸濁し、コールターカウンターで計数した。
【0119】
結果:
クローン原性生存アッセイの結果:
クローン原性生存アッセイの結果を図1に示す。クローン原性生存アッセイでは、フェニルカプサイシンの阻害効果は、PDGF(-ABイソ型、10ng/ml)の存在下でヒト角膜上皮細胞の生存への用量依存的阻害効果を示した。対照として使用したPDGFシグナル伝達の公知の阻害剤であるSU9518もまた、細胞生存の用量依存的低下を示した。
【0120】
増殖アッセイの結果:
フェニルカプサイシンの特異性をさらに評価するために、PDGFによって刺激された角膜上皮増殖を阻害するその能力を、VEGF+bFGFによって刺激された上皮増殖に対するその阻害効力と比較し、測定した。図2に示されているように、フェニルカプサイシンは、10ng/mlのPDGFに誘導された上皮増殖を約1μMのIC50で阻害したが、VEGF+bFGF誘導性増殖は、試験したフェニルカプサイシンの最高用量(10uM)までIC50値を示さなかった。
【0121】
考察/結論:
PDGF阻害は、線維症、特に肺線維症の処置のための実行可能な機構的経路と考えられている。フェニルカプサイシンの存在下でのヒト角膜上皮細胞におけるPDGFシグナル伝達の阻害は、用量依存的に内皮細胞の生存率の低下を示した。例えば、5μMの濃度では、フェニルカプサイシンは、上皮細胞の生存率を、陽性対照SU9518の30%に対して27%に低下させた。したがって、ヒト角膜上皮細胞のPDGFに媒介されるクローン原性生存は、フェニルカプサイシンの投与によって用量依存的に有意に阻害される。
【0122】
さらに、フェニルカプサイシンは、PDGF経路に関して選択的に作用することが示され、これは、PDGF誘導性増殖が、フェニルカプサイシンによって効果的に遮断されたためであるが(約1uMのIC50)、一方、VEGFおよびbFGFによって刺激された上皮増殖はほとんど阻害されなかった(IC50>10uM)。
【0123】
例2-フェニルカプサイシンは気管支上皮細胞におけるPDGFの発現を低下させる
上述のように、PDGFは、文献において、線維化促進性メディエーターであり、IPFの病因において重要な役割を果たすことが示されており、血小板由来成長因子シグナル伝達の阻害が肺線維症を減弱させることが示されている。したがって、PDGF経路を遮断することがIPFを処置する方法であり得ると仮定することは合理的であると思われる。
【0124】
方法
細胞培養:
初代単離ヒト気管支上皮細胞(NHBE)(正常、ヒト(ATCC(登録商標)BEAS-2B(商標))を継代数6まで培養した。5mg/mlのインスリン、5mg/mlのトランスフェリン、20ng/mlのヒトEGF、0.1Mmのデキサメタゾン、20ng/mlのコレラ毒素、30mg/mlのウシ下垂体抽出物、および1mMのレチノイン酸を補充した無血清Ham’s F-12培地中でBEAS-2B細胞を培養した。
【0125】
クローン原性細胞生存アッセイ:
クローン原性細胞生存アッセイは、細胞が無限に増殖する能力を決定する。
気管支上皮細胞のクローン原性生存へのフェニルカプサイシンの効果を、細胞を25cmのフラスコに漸増数(10~5×10個)の細胞を播種することによって調査した。放射線に誘導される線維芽細胞および内皮細胞の活性化を低下させる能力を示したPDGFの公知の阻害剤であるSU9518を陽性対照として使用した。細胞を、10ng/mlのPDGF-ABの存在下で、0~10μMのフェニルカプサイシンおよびSU9518と別々にインキュベートした。フラスコをインキュベーターに14日間戻し、その後、クリスタルバイオレットで染色した。コロニーを計数し、播種効率を補正した後のクローン原性生存率について生存のパーセンテージを決定した。
【0126】
増殖アッセイ:
37°Cでのトリプシン処理によって気管支細胞を回収し、トリプシン中和溶液で中和した。MPM/DMEM中50,000個の細胞の懸濁液を25mlのフラスコに添加した。細胞を、フェニルカプサイシンまたはSU9518と、標準的な条件でサイトカインを含まない培地中で1時間インキュベートし、最終培地(10ng/mlのPDGF-AB+4ng/mlのFN、または2ng/mlのVEGF+4ng/mlのbFGF+4ng/mlのFNのいずれかを含む)の存在下でさらに72時間インキュベートした。次いで、細胞をトリプシンに分散させ、再懸濁し、コールターカウンターで計数した。
【0127】
結果
クローン原性生存アッセイの結果:
クローン原性生存アッセイでは、フェニルカプサイシンの阻害効果は、PDGF(-ABイソ型、10ng/ml)の存在下でヒト気管支上皮細胞の生存への用量依存的阻害効果を示した。PDGFシグナル伝達の公知の阻害剤であるSU9518もまた、細胞生存の用量依存的低下を示した。結果を図3に示す。
【0128】
増殖アッセイの結果:
フェニルカプサイシンのPDGF特異性をさらに評価するために、VEGF+bFGFによって刺激された上皮増殖に対するその阻害効力と比較して、PDGFに刺激された気管支上皮増殖を阻害するその能力の測定を行った。図4に示されているように、フェニルカプサイシンは、10ng/mlのPDGFに誘導された上皮増殖を約1μMのIC50で阻害した。VEGF+bFGF誘導性増殖は、試験したフェニルカプサイシンの最高用量(10uM)までIC50値を示さなかった。
【0129】
考察/結論
PDGF阻害は、IPFの処置のための実行可能な機構的経路と考えられる。フェニルカプサイシンの存在下でのヒト気管支上皮細胞におけるPDGFシグナル伝達の阻害は、角膜上皮細胞で見られたように用量依存的に内皮細胞の生存率の低下を示した。例えば、5μMの濃度では、フェニルカプサイシンは、上皮細胞の生存率を、陽性対照SU9518の33%に対して35%に低下させた。したがって、ヒト気管支上皮細胞のPDGFに媒介されるクローン原性生存は、フェニルカプサイシンの投与によって用量依存的に有意に阻害されると結論付けることができる。
【0130】
さらに、フェニルカプサイシンは、角膜細胞におけるよりも低い選択性ではあるが、PDGF経路に対して選択的に作用することが示された。PDGF誘導性増殖はフェニルカプサイシンによって効果的に遮断され(約2uMのIC50)、一方、VEGFおよびbFGFによって刺激された上皮増殖は中程度に阻害された(約5uMのIC75)。
【0131】
結果は、フェニルカプサイシンがヒト肺(気管支)組織におけるPDGFの強力な阻害剤であり、したがってIPFに対する非常に有用な薬物候補であることを示す。
【0132】
例3-気管支上皮細胞におけるPDGFの発現低下におけるカプサイシノイドの評価
例2の研究に続いて、フェニルカプサイシン(2)をカプサイシン(1)およびフェニルカプサイシン誘導体3~7とともに試験して、これらの化合物のそれぞれの、気管支上皮細胞におけるPDGFの発現を低下させる能力を評価した。
【化9】
【0133】
方法
American Tissue Culture Collection(正常、ヒト(ATCC(登録商標)BEAS-2B(商標))から供給された初代単離ヒト気管支上皮細胞(NHBE)をこのアッセイにおいて使用し、継代数6まで培養した。5mg/mlのインスリン、5mg/mlのトランスフェリン、20ng/mlのヒトEGF、0.1mMのデキサメタゾン、20ng/mlのコレラ毒素、30mg/mlのウシ下垂体抽出物、および1mMのレチノイン酸を補充した無血清Ham’s F-12培地中でBEAS-2B細胞を培養した。
【0134】
クローン原性細胞生存アッセイ:
クローン原性細胞生存アッセイは、細胞が無限に増殖する能力を決定する。
細胞を、25cmのフラスコに漸増数(102から5×104個)で播種した。放射線に誘導される線維芽細胞および内皮細胞の活性化を低下させる能力を示したPDGFの公知の阻害剤であるSU9518、SU9518、およびフェニルカプサイシンを陽性対照として使用した。細胞を、10ng/mlのPDGF-AB(Sigma Aldrich)の存在下で、0~10μM(3%のDMSO水溶液)のフェニルカプサイシン、SU9518、ならびに化合物1および3~7と別々にインキュベートした。フラスコをインキュベーターに14日間戻し、その後、クリスタルバイオレット(Sigma Aldrich)で染色した。コロニーを計数し、播種効率を補正した後のクローン原性生存率について生存のパーセンテージを決定した。
【0135】
結果
クローン原性生存アッセイの結果:
クローン原性生存アッセイの結果を、試験した各化合物について表1に示す。
【表1】
【0136】
結果は、分子の不飽和の右側が、PDGF阻害における大きな役割を果たすことを強く示す。
【0137】
考察/結論
フェニルカプサイシンの存在下でのヒト気管支上皮細胞におけるPDGFシグナル伝達の阻害は、用量依存的に内皮細胞の生存率の低下を再度示した。
【0138】
2つの重要な構造要素、バニリル環の遊離ヒドロキシ基およびアルキニルベンゼンフェニル基の構造-活性関係について知るために、5つの誘導体もアッセイした。重要なことに、このアッセイでは、カプサイシンについてPDGFの阻害は観察されなかった。これは主に、PDGF阻害活性のための分子の右側のアルキニルベンゼン基の重要性を示す。このフェニル環が飽和6員環(化合物3)で置換された場合、PDGF阻害活性は著しく低下したが、ベンゼン環が嵩高いt-ブチル基(化合物4)で置換された場合にはPDGF阻害活性は完全に消失した。さらに、フェニルカプサイシン(化合物5)のバニリルヒドロキシ基のアセチル化により、PDGF阻害活性が有意に改善されることが発見された。より詳細には、これらの結果は、分子の不飽和の右側がPDGF阻害において大きな役割を果たすことを示している。カプサイシン(1)およびPheCapのt-ブチル類似体(4および7)は、PDGF阻害を何ら示さなかった。PheCapのシクロヘキシル類似体(3および6)は、いくらかの中程度の活性を示し、PheCap(5)の-OAc類似体は、親PheCap(2)と陽性対照SU9518の両方よりも大きいPDGF阻害さえ示した。
【0139】
例4-フェニルカプサイシン類似体-気管支上皮細胞におけるPDGFの発現の低下
この第3のin-vitroアッセイの目的は、カプサイシンおよびフェニルカプサイシンの5つの新しい合成類似体によるヒト気管支上皮細胞におけるPDGF発現の阻害で見られた陽性結果を追跡することであった。
【化10】
【0140】
方法:
American Tissue Culture Collection(正常、ヒト(ATCC(登録商標)BEAS-2B(商標))から供給された初代単離ヒト気管支上皮細胞(NHBE)をこのアッセイにおいて使用し、継代数6まで培養した。5mg/mlのインスリン、5mg/mlのトランスフェリン、20ng/mlのヒトEGF、0.1mMのデキサメタゾン、20ng/mlのコレラ毒素、30mg/mlのウシ下垂体抽出物、および1mMのレチノイン酸を補充した無血清Ham’s F-12培地中でBEAS-2B細胞を培養した。
【0141】
クローン原性細胞生存アッセイ
気管支上皮細胞のクローン原性生存へのフェニルカプサイシン(2)の効果を、細胞を25cmのフラスコに漸増数(102~5×104個)の細胞を播種することによって調査した。SU9518*およびフェニルカプサイシンを陽性対照として使用した。細胞を、10ng/mlのPDGF-AB(Sigma Aldrich)の存在下で、0~10μM(3%のDMSO水溶液)のフェニルカプサイシン、SU9518、および化合物8~12と別々にインキュベートした。フラスコをインキュベーターに14日間戻し、その後、クリスタルバイオレット(Sigma Aldrich)で染色した。コロニーを計数し、播種効率を補正した後のクローン原性生存率について生存のパーセンテージを決定した。合成類似体はすべて、モル濃度について純度100%で計算した。
【0142】
結果:
クローン原性生存アッセイの結果を、試験した各化合物について表2に示す。図5は、例3と例4の両方の化合物を含む結果をグラフでさらに示す。X軸はuM濃度を与え、Y軸は生存のパーセントを示す。各化合物1~12について得られたグラフには、図の上部に示すように記号が付されている。
【表2】
【0143】
フェニルカプサイシン(2)の飽和側鎖類似体である化合物8およびフェニルカプサイシンのデスフェニル類似体である化合物9は、クローン原性細胞生存の低下を何ら示さなかった。
【0144】
フェニルカプサイシンのナフタレン類似体である化合物12およびフェニルカプサイシンの4-ニトロフェニル類似体である10は、親フェニルカプサイシンと同様の細胞生存パーセントを示した。
【0145】
フェニルカプサイシンの4-メトキシフェニル類似体である化合物11は、この細胞生存において鉛フェニルカプサイシンよりも高い低下率を示した。この低下率は、アセチル化グアヤコール類似体5およびSU9518陽性対照で見られた活性と同等であった。
【0146】
フェニルカプサイシンの存在下でのヒト気管支上皮細胞におけるPDGFシグナル伝達の阻害は、用量依存的に内皮細胞の生存率の低下を再度示した。5つの類似体もアッセイして、2つの重要な構造要素、すなわち、分子の左側のグアヤコール環上の遊離ヒドロキシル基および右側のアルキニルベンゼンにSARを明らかにした。重要なことに、このアッセイでは、カプサイシンについてPDGFの阻害は観察されなかった。これは主に、PDGF阻害活性のための分子の右側のアルキニルベンゼン基の重要性を示す。
ベンゼン環が飽和6員環(シクロヘキシル)で置換された場合、PDGF阻害活性は著しく低下したが、ベンゼン環が嵩高いアルキル基((t-ブチル)で置換された場合にはPDGF阻害活性は完全に消失した。
驚くべきことに、PheCap(5))におけるグアヤコールヒドロキシ基のアセチル化は、PDGF阻害活性の有意な改善をもたらした。さらに、PDGF阻害活性は、化合物11について見られたように、側鎖フェニル環上のアルコキシ基、例えば4-OMe置換によってさらに改善された。
【0147】
したがって、ヒト気管支上皮細胞のPDGFに媒介されるクローン原性生存の阻害は、グアヤコールヒドロキシ基のアセチル化によって有意に増加し、PheCap構造の右側末端の不飽和環もPDGF阻害に有利であると結論付けることができる。
図1
図2
図3
図4
図5
【手続補正書】
【提出日】2022-12-08
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
IPFの処置のための方法において使用するための、式IIの化合物、またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物
【化1】

[式中、
Xは、酸素および硫黄から選択され;
Arは、1つまたは複数の窒素、酸素、または硫黄原子を任意選択的に含有し、1つまたは複数の任意の位置において、ニトロ、トリフルオロメチル、C~C直鎖および分岐アルコキシ、C~C直鎖および分岐アルキルの群から選択される1つまたは複数の同一のまたは異なる置換基で任意選択的に置換されたアリール基を示し;
R’は、水素、C~C直鎖または分岐アルキルの群から選択され;
Rは、水素;C~C直鎖および分岐アルキル、アルケニル、およびアルキニル;C~Cシクロアルキル;アシル基COR(式中、Rは、C~C直鎖および分岐アルキル、アルケニル、およびアルキニル、C~Cシクロアルキルおよびフェニルを含むかまたはそれらからなる群から選択される)の群から選択される]。
【請求項2】
Xが、酸素である、請求項1に記載の使用のための、請求項1に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物。
【請求項3】
Arが、非置換または置換フェニルまたはナフチル基である、請求項1に記載の使用のための請求項1に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物。
【請求項4】
Arが、置換フェニルであり、前記1つまたは複数の置換基が、ニトロおよびC~C直鎖および分岐アルコキシの群から選択される、請求項1に記載の使用のための請求項1に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物。
【請求項5】
R’が、Hまたはメチルであり、Rが、Hまたはアシル基COR(式中、Rが、C~C直鎖または分岐アルキルである)である、請求項1に記載の使用のための、請求項1から4のいずれかに記載の化合物またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物。
【請求項6】
R’が、メチルであり、Rが、アセチルである、請求項1に記載の使用のための、請求項1から5のいずれかに記載の化合物またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物。
【請求項7】
請求項1に記載の使用のための請求項1から6のいずれかに記載の化合物またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を含む組成物。
【請求項8】
吸入用に製剤化されている、請求項1に記載の使用のための、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
方法が、前記化合物または組成物を肺、経口、および/または静脈内投与によって対象に投与する工程を含む、請求項1に記載の使用のための請求項1から6のいずれかに記載の化合物または請求項7もしくは請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
方法が、前記化合物または組成物を吸入によって対象に投与する工程を含む、請求項1に記載の使用のための請求項1から6のいずれかに記載の化合物または請求項7に記載の組成物。
【請求項11】
キットであって、
i)請求項1から6のいずれかに記載の化合物または請求項7もしくは請求項8に記載の組成物;および
ii)吸入器
を含む、キット。
【国際調査報告】