(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-24
(54)【発明の名称】生体模倣システム及び疾患分析方法
(51)【国際特許分類】
C12N 5/071 20100101AFI20240517BHJP
C12N 5/09 20100101ALI20240517BHJP
C12M 3/00 20060101ALI20240517BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20240517BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20240517BHJP
G01N 33/50 20060101ALI20240517BHJP
【FI】
C12N5/071
C12N5/09
C12M3/00 A
A61P35/00
A61K45/00
G01N33/50 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023574454
(86)(22)【出願日】2022-06-06
(85)【翻訳文提出日】2024-02-01
(86)【国際出願番号】 US2022032404
(87)【国際公開番号】W WO2022256746
(87)【国際公開日】2022-12-08
(32)【優先日】2021-06-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518056003
【氏名又は名称】ザ ジョンズ ホプキンス ユニバーシティ
(71)【出願人】
【識別番号】522154593
【氏名又は名称】ユニバーシティ オブ ワシントン
【氏名又は名称原語表記】UNIVERSITY OF WASHINGTON
(74)【代理人】
【識別番号】100189131
【氏名又は名称】佐伯 拓郎
(74)【代理人】
【識別番号】100182486
【氏名又は名称】中村 正展
(74)【代理人】
【識別番号】100147289
【氏名又は名称】佐伯 裕子
(72)【発明者】
【氏名】キム, ドク-ホ
(72)【発明者】
【氏名】スー, チア-イー
(72)【発明者】
【氏名】バーチェット, アリス
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアムズ, マーカス
【テーマコード(参考)】
2G045
4B029
4B065
4C084
【Fターム(参考)】
2G045AA24
2G045AA26
2G045CB01
4B029AA01
4B029AA11
4B029AA21
4B029BB11
4B029BB13
4B065AA90X
4B065AC20
4B065BA30
4B065BC41
4B065BC50
4C084AA17
4C084NA14
4C084ZB26
(57)【要約】
患者の診断、薬物開発、ならびに癌および関連する疾患および障害の診断および処置を含む個別化医療のための細胞および/またはオルガノイドの使用を含むアッセイおよびシステムが提供される。一態様では、システムおよび方法は、生体材料の段階特異的かつ力誘導な重合を適用することを含み、重合は、核形成段階および伸長段階を含み、それによって、モデルを生成する。
【選択図】
図1-1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
細胞または組織モデルを作製するための方法であって、以下の工程:
生体材料の段階特異的かつ力誘導な重合を適用する工程であって、前記重合が核形成段階および伸長段階を含む、工程;と、それによって
モデルを生成する工程;
を含む方法。
【請求項2】
前記生体材料を重合システムに導入することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記システムが同軸回転シリンダーシステムを含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記核形成段階において、水平層流クエット流が生成される、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記核形成段階において、システムの内側シリンダーを回転させることによって水平層流クエット流を発生させて、前記内側シリンダーの表面上への生体材料モノマーの吸着を促進して、初期コーティングを形成する、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記伸長段階において、重力が前記生体材料に適用される、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記伸長段階において、垂直重力が前記生体材料に適用される、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記伸長段階において、垂直重力が、生体材料フィブリルの集合の方向を誘導するために適用される、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記生体材料が、コラーゲンI、コラーゲンIV、Matrigel、ポリL-リジン、Geltrex、ゼラチン、窒素、フィブロネクチン、フィブリノーゲン、ゼラチンメタクリレート、フィブリン、シルク、ペグ化ゲル、コラーゲンメタクリレート、脱細胞化細胞外マトリックス、基底膜タンパク質、もしくは任意の他の生体材料、またはそれらの組み合わせを含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記生体材料がコラーゲンIである、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記生体材料が、腫瘍細胞または腫瘍オルガノイドを含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記生体材料が、一方の側で放射状に整列した線維によって、および反対側で円周方向に配向または整列した線維によって囲まれた腫瘍細胞またはオルガノイドを含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記生体材料が、腎臓、胃、脳、肝臓、心臓または肺の細胞または組織を含む、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記細胞またはオルガノイドが、一方の側で放射状に整列した線維によって囲まれ、反対側で円周方向に配向または整列した線維によって囲まれている、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
三次元(3D)生体模倣組織モデルが作製される、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
腫瘍モデルであって
放射状に整列した線維および円周方向に配向または整列した線維を含むマトリックスに包埋された、またはそうでなければ会合した腫瘍細胞またはオルガノイド
【請求項17】
前記腫瘍細胞またはオルガノイドが、一方の側で放射状に整列した線維によって、および反対側で円周方向に配向または整列した線維によって囲まれている、請求項16に記載の腫瘍モデル。
【請求項18】
前記マトリックスが、コラーゲンI、コラーゲンIV、Matrigel、ポリL-リジン、Geltrex、ゼラチン、窒素、フィブロネクチン、フィブリノーゲン、ゼラチンメタクリレート、フィブリン、シルク、ペグ化ゲル、コラーゲンメタクリレート、脱細胞化マトリックス、脱細胞化細胞外マトリックス、基底膜タンパク質、もしくは任意の他の生体材料、またはそれらの組み合わせを含む、請求項16または17に記載の腫瘍モデル。
【請求項19】
前記マトリックスがコラーゲンIを含む、請求項16~18のいずれか一項に記載の腫瘍モデル。
【請求項20】
サイトカイン、増殖因子、細胞毒性剤、化学療法剤、分化因子、コロニー刺激因子(CSF)、インターフェロン、インターロイキン、走化性因子およびそれらの組み合わせをさらに含む、請求項16~19のいずれか一項に記載の腫瘍モデル。
【請求項21】
前記モデルが三次元(3D)および生体模倣的である、請求項16~21のいずれか一項に記載の腫瘍モデル。
【請求項22】
細胞または組織モデルであって
放射状に整列した線維および円周方向に配向または整列した線維を含むマトリックスに包埋された、またはそうでなければ会合した、腎臓、肝臓、脳、心臓、肺または胃に由来する細胞または組織オルガノイド。
【請求項23】
前記細胞またはオルガノイドが、一方の側で放射状に整列した線維によって、および反対側で円周方向に配向または整列した線維によって囲まれている、請求項22に記載のモデル。
【請求項24】
前記マトリックスが、コラーゲンI、コラーゲンIV、Matrigel、ポリL-リジン、Geltrex、ゼラチン、窒素、フィブロネクチン、フィブリノーゲン、ゼラチンメタクリレート、フィブリン、シルク、ペグ化ゲル、コラーゲンメタクリレート、脱細胞化細胞外マトリックス、基底膜タンパク質、もしくは任意の他の生体材料、またはそれらの組み合わせを含む、請求項22または23に記載のモデル。
【請求項25】
前記マトリックスがコラーゲンIを含む、請求項22~24のいずれか一項に記載のモデル。
【請求項26】
サイトカイン、増殖因子、細胞毒性剤、化学療法剤、分化因子、コロニー刺激因子(CSF)、インターフェロン、インターロイキン、走化性因子およびそれらの組み合わせをさらに含む、請求項22~25のいずれか一項に記載のモデル。
【請求項27】
前記モデルが三次元(3D)および生体模倣的である、請求項22~26のいずれか一項に記載のモデル。
【請求項28】
同軸回転シリンダーシステムであって、
外側シリンダー;
内側シリンダー;を含み、
前記外側シリンダーおよび前記内側シリンダーは、異なる半径を備え、同心円状に整列される、同軸回転シリンダーシステム。
【請求項29】
真鍮ロッドと、プラスチックベアリングとをさらに備える、請求項28に記載のシステム。
【請求項30】
前記外側シリンダーは、ベースによって固定されて保持され、前記内側シリンダーは、その軸の周りを自由に回転する、請求項28または29に記載のシステム。
【請求項31】
前記内側シリンダーの回転が回転装置によって制御される、請求項28から30のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項32】
前記内側シリンダーは、前記回転装置に接続される、請求項31に記載のシステム。
【請求項33】
より小さい半径を有する前記シリンダーが、より大きい半径を有する前記シリンダーの中心に挿入される、請求項28~32のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項34】
前記内側シリンダーは、前記内側シリンダーと前記外側シリンダーとを同心円状に整列した後に前記外側シリンダー内に挿入される、請求項28~33のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項35】
前記同心円状に整列されたシリンダーは、前記2つのシリンダー間に空の環状部を備える、請求項28~34のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項36】
1つまたは複数の細胞、スフェロイドまたはオルガノイドを含む生体材料が、前記輪に導入される、請求項28~35のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項37】
前記システムが、腫瘍細胞を含む生体材料を含む、請求項28~36のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項38】
腎臓、肝臓、脳、心臓、肺または胃に由来する細胞または組織オルガノイドを含む生体材料を含む、請求項28~36のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項39】
前記システムがマルチウェルフォーマットを含む、請求項28~38のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項40】
モデルを作成する方法であって、
請求項28~39のいずれか一項に記載の同軸回転シリンダーシステムを使用し、前記外側シリンダーと前記内側シリンダーとの間の前記空の環状部に生体材料を導入する工程;
前記生体材料の段階特異的かつ力誘導的な重合を行う工程であって、前記段階特異的な重合が核形成段階および伸長段階を含む工程;
モデルを生成する工程;
を含む方法。
【請求項41】
前記核形成段階において、水平層流クエット流が、前記内側シリンダーを回転させることによって生成され、前記内側シリンダーの表面上への前記生体材料モノマーの吸着を促進して、初期コーティングを形成する、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記伸長段階において、垂直重力が、生体材料フィブリルの集合の方向を誘導するために適用される、請求項40または41に記載の方法。
【請求項43】
前記生体材料が、コラーゲンI、コラーゲンIV、Matrigel、ポリL-リジン、Geltrex、ゼラチン、窒素、フィブロネクチン、フィブリノーゲン、ゼラチンメタクリレート、フィブリン、シルク、ペグ化ゲル、コラーゲンメタクリレート、脱細胞化細胞外マトリックス、基底膜タンパク質、もしくは任意の他の生体材料、またはそれらの組み合わせを含む、請求項40~42のいずれか一項に記載の方法。
【請求項44】
前記生体材料がコラーゲンIである、請求項40~43のいずれか一項に記載の方法。
【請求項45】
前記コラーゲンIが腫瘍細胞またはオルガノイドを含む、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記腫瘍細胞、スフェロイド、またはオルガノイド、およびそれらの組み合わせが、それぞれ、一方の側で放射状に整列した線維によって、および反対側で円周方向に配向または整列した線維によって囲まれている、請求項40~45のいずれか一項に記載の方法。
【請求項47】
重力のみを適用するよりも高い線維整列が達成される、請求項40~46のいずれか一項に記載の方法。
【請求項48】
前記同軸回転シリンダーが、腫瘍スフェロイドの播種を可能にする、請求項40~47のいずれか一項に記載の方法。
【請求項49】
各腫瘍オルガノイドまたは細胞が、一方の側で放射状に整列した線維によって、他方の側で円周方向に配向または整列した線維によって囲まれている、請求項40~48のいずれか一項に記載の方法。
【請求項50】
三次元(3D)生体模倣腫瘍モデルが作製される、請求項40~49のいずれか一項に記載の方法。
【請求項51】
請求項1~50のいずれかに記載のシステムに異なる腫瘍細胞を播種し、そして該異なる腫瘍細胞の各々の浸潤パターン、境界複雑性および播種性細胞クラスター数を分析することを含む、異なる浸潤性および転移性の可能性を有する腫瘍を区別する方法。
【請求項52】
癌を診断する方法であって、請求項1~50のいずれかに記載のシステムに、対象の生物学的サンプル由来の細胞を播種する工程;および癌を有すると診断された対象に化学療法剤を投与する工程、を含む方法。
【請求項53】
請求項1~50のいずれかに記載のシステムに1つ以上の腫瘍細胞を播種する工程;候補治療剤を該腫瘍細胞に添加する工程、を含む、候補治療剤をスクリーニングする方法。
【請求項54】
前記腫瘍細胞に対する前記候補治療剤の効果を決定する工程をさらに包含する、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
細胞死、浸潤パターン、境界複雑性および/または播種性細胞クラスター数に対する効果が、異なる腫瘍細胞の各々について決定される、請求項53~54のいずれか一項に記載の方法。
【請求項56】
前記候補治療剤が、該治療剤の決定された効果に基づいて対象に投与される、請求項53~55のいずれか一項に記載の方法。
【請求項57】
候補治療剤をスクリーニングする方法であって、請求項1~50のいずれか一項に記載のシステムに、腎臓、心臓、肺または胃に由来する細胞または組織オルガノイドを播種する工程;候補治療剤を、腎臓、心臓、肺または胃に由来する細胞または組織オルガノイドに添加する工程、を含む方法。
【請求項58】
腎臓、心臓、肺または胃の細胞に対する候補治療剤の効果を決定する工程をさらに含む、請求項57に記載の方法。
【請求項59】
前記候補治療剤が、該治療剤の決定された効果に基づいて対象に投与される、請求項57または58に記載の方法。
【請求項60】
対象の癌を治療するための方法であって
請求項1~45のいずれかに記載のシステムに1つ以上の腫瘍細胞を播種する工程;
候補治療剤を前記腫瘍細胞に添加する工程;
前記腫瘍細胞に対する前記候補治療剤の効果を決定する工程;および
前記候補治療剤を前記対象に選択的に投与する工程;
を含む方法。
【請求項61】
前記腫瘍細胞が、前記対象から得られる、請求項60に記載の方法。
【請求項62】
複数の候補治療剤が評価される、請求項60または61に記載の方法。
【請求項64】
候補治療剤をスクリーニングする方法であって、請求項1~50のいずれかに記載のシステムに1つ以上の腫瘍細胞を播種する工程;候補治療剤を添加して、異なる腫瘍細胞の各々の細胞死、浸潤パターン、境界複雑性および播種性細胞クラスター数に対する効果を決定する工程、を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年6月4日に出願された米国仮出願第63/197319号の利益および優先権を主張し、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
従来のインビトロ腫瘍モデルは、多くの顕著な欠点を有する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
一態様では、特定の細胞の処置のために選択された分析およびがん療法のためのアッセイおよび方法が提供される。
【0004】
一態様では、患者の診断、薬物開発、ならびに癌および関連する疾患および障害の診断および治療を含む個別化医療のための腫瘍細胞および/またはオルガノイドの使用を含むアッセイおよびシステムが提供される。
【0005】
本発明者らは、ここで、細胞または組織モデルを作製するためのシステムおよび方法であって、生体材料の段階特異的かつ力誘導な重合を行う工程であって、重合が核形成段階および伸長段階を含むものである工程と、それによってモデルを作製する工程とを含む、システムおよび方法を提供する。
【0006】
一態様において、本発明者らは、ここで、放射状に整列した線維および円周方向に配向または整列した線維を含むマトリックスに包埋された、またはそうでなければ会合した1つまたは複数の腫瘍細胞および/またはオルガノイドを含む腫瘍モデル(三次元(3D)生体模倣腫瘍モデルを含む)を提供する。
【0007】
好ましい細胞およびオルガノイドは、放射状に整列した線維を実質的に含むマトリックス領域と、円周方向に配向または整列した線維を実質的に含む別個のマトリックス領域とを含む。
【0008】
放射状に整列した線維(特にマトリックス線維)を含む腫瘍細胞またはオルガノイド領域は、好適には、様々な量で放射状に整列した線維を含み、好適には、特定のシステムにおいて、細胞またはオルガノイドを取り囲むか、またはそうでなければそれと会合しているマトリックス材料の総体積の10~90パーセントが実質的に放射状に整列した線維であり、残りは、円周方向に配向または整列した線維を実質的に含む領域を含む。特定のシステムにおいて、放射状に整列した線維(特にマトリックス線維)を含む腫瘍細胞またはオルガノイド領域は、細胞またはオルガノイドを取り囲むかまたは他の方法でそれと会合しているマトリックス材料の総体積の30、40、50、60、もしくは80パーセント、または40、50もしくは60パーセントを構成し、残りは、円周方向に配向または整列した線維を含む領域を含む。放射状に整列した線維の領域と円周方向に配向した線維の領域とが結合または界面を形成する領域では、異なる方向に整列した線維のグラデーションおよび混合が存在し得る。本明細書で言及されるように、放射状に整列した線維を実質的に含む領域は、放射状に整列した領域の全線維の少なくとも55、60、70、80、または90重量パーセントを有する。本明細書で言及されるように、円周方向に配向または整列した線維を実質的に含む領域は、円周方向に配向または整列された領域の全線維の少なくとも55、60、70、80、または90重量パーセントを有する。
【0009】
好適には、腫瘍細胞またはオルガノイドは、好ましくは、試験システム(例えばオルガノイド)の一方の側に放射状に整列した線維を含み、試験システム(例えばオルガノイド)の反対側に円周方向に配向または整列した線維を含むマトリックスと結合している。
【0010】
さらなる態様において、放射状に整列した線維および円周方向に配向または整列した線維を含むマトリックスに包埋された、またはそうでなければ会合した、腎臓、心臓、肝臓、脳、肺または胃に由来する細胞または組織オルガノイドを含む生体模倣モデル(三次元(3D)生体模倣モデルを含む)が提供される。
【0011】
腎臓、心臓、肝臓、脳、肺または胃に由来する細胞または組織オルガノイドを含む好ましい細胞およびオルガノイドは、放射状に整列した線維を実質的に含むマトリックス領域と、円周方向に配向または整列した線維を実質的に含む別個のマトリックス領域とを含む。
【0012】
腎臓、心臓、肝臓、脳、肺または胃に由来する細胞または組織オルガノイドは、好ましくは、試験システム(例えばオルガノイド)の一方の側に放射状に整列した線維を含み、試験システム(例えばオルガノイド)の反対側に円周方向に配向または整列した線維を含むマトリックスと結合している。
【0013】
腎臓、心臓、肝臓、脳、肺または胃に由来する細胞または組織オルガノイドは、放射状に整列した線維(特にマトリックス線維)を含み、特定のシステムにおいて、好適には、細胞またはオルガノイドを取り囲むか、またはそうでなければ細胞またはオルガノイドと会合しているマトリックス材料の総体積の10~90パーセントを含む様々な量で放射状に整列した線維を含み、残りは、円周方向に配向または整列した線維を含む領域を含む。特定のシステムにおいて、放射状に整列した線維(特にマトリックス線維)を含む腎臓、心臓、肝臓、脳、肺または胃に由来する細胞または組織オルガノイドは、細胞またはオルガノイドを取り囲むかまたは他の方法でそれと会合しているマトリックス材料の総体積の30、40、50、60もしくは80パーセント、または40、50もしくは60パーセントを構成し、残りは、円周方向に配向または整列した線維を実質的に含む領域を含む。放射状に整列した線維の領域と円周方向に配向または整列した線維の領域とが結合または界面を形成する領域では、異なる整列をした線維のグラデーションおよび混合が存在し得る。本明細書で言及されるように、議論されるように、放射状に整列した線維を実質的に含む領域は、放射状に整列した領域の全線維の少なくとも55、60、70、80、または90重量パーセントを有する。本明細書で言及されるように、円周方向に配向または整列した線維を実質的に含む領域は、円周方向に配向または整列された領域の全線維の少なくとも55、60、70、80、または90重量パーセントを有する。
【0014】
本明細書で言及される線維配向は、本明細書で実証されるように、第二高調波発生及びコンピュータセグメント化画像並びに走査型電子顕微鏡画像化によるものを含めて、容易に決定することができる。
【0015】
異なる線維整列(特に、放射状に整列した線維の第1の領域および円周方向に整列した線維の第2の領域)を有する封入線維マトリックスを有する腫瘍細胞またはオルガノイドは、本明細書に開示されるような段階特異的な力誘導法によって容易に調製することができ、これは、好ましい態様では、線維重合、核形成および伸長段階の2つの段階のために設計された2つの異なる力を適用することによることを含み得る。2つの異なる力は、1)核形成段階における層流または力(例えば、水平層流クエット流)、および2)伸長段階における重力を含み得る。
【0016】
好ましくは、マトリックスは、コラーゲンI、コラーゲンIV、Matrigel、ポリL-リジン、Geltrex、ゼラチン、窒素、フィブロネクチン、フィブリノーゲン、ゼラチンメタクリレート、フィブリン、シルク、ペグ化ゲル、コラーゲンメタクリレート、脱細胞化細胞外マトリックス、基底膜タンパク質、もしくは任意の他の生体材料、またはそれらの組み合わせを含む。
【0017】
特定の態様では、マトリックスはコラーゲンIを含む。
【0018】
システムまたはモデルはまた、例えば、サイトカイン、増殖因子、細胞毒性剤、化学療法剤、分化因子、コロニー刺激因子(CSF)、インターフェロン、インターロイキン、走化性因子およびそれらの組み合わせなどのさらなる材料を適切に含み得る。
【0019】
別の態様では、同軸回転シリンダーシステムが提供され、外側シリンダーと、内側シリンダーとを備えてもよく、外側シリンダーおよび内側シリンダーは、異なる半径を備え、同心円状に整列され、好ましくは、ロッド(例えば、真鍮ロッド)およびベアリング(例えば、プラスチックベアリング)を備える。
【0020】
一つの構成では、好適には、外側シリンダーは、ベースによって固定されて保持され、内側シリンダーは、その軸の周りを自由に回転する。好適には、内側シリンダーの回転は、回転装置によって制御される。好適には、内側シリンダーは、回転装置に接続される。好ましくは、より小さい半径を有するシリンダーは、より大きい半径を有するシリンダーの中心に挿入される。好適には、内側シリンダーは、内側シリンダーと外側シリンダーとを同心円状に位置合わせした後に外側シリンダーに挿入される。好適には、同心円状に整列されたシリンダーは、2つのシリンダーの間に空の環状部を含む。好適には、1つ以上の細胞、スフェロイドまたはオルガノイドを含む生体材料が輪に導入される。
【0021】
さらなる態様において、本明細書に開示される同軸回転シリンダーシステムを使用し、外側シリンダーと内側シリンダーとの間の空の環状部に生体材料を導入する工程;核形成段階および伸長段階を含む、生体材料の段階特異的かつ力誘導な重合を適用する工程;それによって、3D生体模倣腫瘍モデルを作製する工程;とを含む、三次元(3D)生体模倣腫瘍モデルを作製するための方法が提供される。
【0022】
このような方法では、好適には、核形成段階において、内側シリンダーを回転させることによって水平層流クエット流を発生させて、内側シリンダー表面上への生体材料モノマーの吸着を促進して、初期コーティングを形成する。
【0023】
このような方法において、好適には、伸長段階において、垂直重力が、生体材料フィブリルの集合の方向を誘導するために適用される。
【0024】
ある実施形態では、複数の反応または評価を実質的に同時に実施することができる。例えば、特定のシステムにおいて、複数ウェルプレートまたは他の複数反応チャンバシステムが使用され得る。
【0025】
様々な生体材料を本方法に利用することができる。例えば、特定の好ましい実施形態において、生体材料は、コラーゲンI、コラーゲンIV、Matrigel、ポリL-リジン、Geltrex、ゼラチン、窒素、フィブロネクチン、フィブリノーゲン、ゼラチンメタクリレート、フィブリン、シルク、ペグ化ゲル、コラーゲンメタクリレート、脱細胞化細胞外マトリックス、基底膜タンパク質、もしくは任意の他の生体材料、またはそれらの組み合わせを含み得る。好ましい実施形態において、生体材料はコラーゲンIである。好適には、特定の実施形態において、コラーゲンIは、腫瘍細胞、スフェロイド、オルガノイド、及びそれらの組み合わせを含む。
【0026】
好適には、ある実施形態において、腫瘍細胞、スフェロイドまたはオルガノイドおよびそれらの組み合わせは、それぞれ、一方の側で放射状に整列した線維によって、および反対側で円周方向に配向または整列した線維によって囲まれている。
【0027】
好適には、特定の実施形態において、重力のみを適用するよりも高い線維整列が達成される。
【0028】
好適には、特定の実施形態において、同軸回転シリンダーは、腫瘍スフェロイドの播種を可能にする。
【0029】
好適には、ある実施形態において、各腫瘍スフェロイド、オルガノイドまたは細胞は、一方の側が放射状に整列した線維によって取り囲まれ、他方の側が円周方向に配向または整列した線維によって取り囲まれる。
【0030】
別の態様では、本明細書に開示されるシステムまたはモデルに異なる腫瘍細胞を播種すること、ならびに異なる腫瘍細胞のそれぞれの浸潤パターン、境界複雑性、および播種性細胞クラスター数を分析することを含む、異なる浸潤性および転移性の可能性を有する腫瘍を区別するための方法が提供される。
【0031】
別の態様では、新生物または癌を診断するための方法が提供され、この方法は、本明細書に開示されるシステムまたはモデルに、対象の生体試料由来の細胞を播種することと、癌を有すると診断された対象に化学療法剤を投与することとを含む。
【0032】
別の態様では、候補治療剤をスクリーニングするための方法であって、本明細書に開示されるシステムまたはモデルに腫瘍細胞を播種する工程;候補治療剤を添加して、例えば、異なる腫瘍細胞のそれぞれの細胞死、浸潤パターン、境界複雑性および/または播種性細胞クラスター数に対する効果を決定する工程;を含む方法が提供される。候補治療剤は、好適には、癌治療のための臨床的使用を有することが知られている化合物、または癌治療の使用のためにまだ確立されていない化合物であり得るか、あるいは候補治療剤は、処置を容易にする他の活性を提供し得る。
【0033】
癌について対象を処置するための方法もまた提供され、ここで、この方法は、好適には、以下の工程を包含し得る:a)本明細書中に開示されるようなシステムまたはモデルに、1つ以上の腫瘍細胞を播種する工程;b)腫瘍細胞に候補治療剤を添加する工程;c)腫瘍細胞に対する候補治療剤の効果を決定する工程;およびd)1つ以上の選択された候補治療剤を対象に投与する工程。一態様では、腫瘍細胞は、対象から得られる。一態様では、複数の候補治療剤が、例えばマルチウェルシステムまたは他の複数の反応チャンバシステムの使用を通して、実質的に同時に評価される。1つまたは複数の投与される治療剤は、腫瘍細胞に対する候補治療剤の決定された効果、例えば、評価される腫瘍細胞の細胞死、浸潤パターン、境界複雑性および/または播種性細胞クラスター数に対する候補治療剤の効果に基づいて、複数の評価される薬剤の中から選択され得る。
【0034】
さらに、癌を含む疾患または苦痛を診断するためのアッセイであって、本明細書に開示される腫瘍細胞、スフェロイド、またはオルガノイドおよび/またはそれらの組み合わせを評価することを含むアッセイが提供される。
【0035】
さらに、癌に罹患している患者を含む、同定された患者を治療するための1つ以上の治療剤を選択するためのアッセイであって、本明細書に開示される腫瘍細胞、スフェロイド、もしくはオルガノイド、および/またはそれらの組み合わせを評価することを含むアッセイが提供される。
【0036】
さらに、患者に合わせた個別化医療の目的で、治療剤(複数可)(例えば、抗がん剤)に対する個々の応答を評価するために、異なる患者間で1つまたは複数の治療剤の活性をインビトロで評価するためのアッセイが提供される。
【0037】
ある態様では、個別化医療で使用するためのアッセイは、目的の疾患が特定の癌である場合を含めて、1つまたは複数の治療剤に対する個々の患者の応答を試験するために使用される。アッセイは、1)1つ以上の腫瘍細胞、スフェロイド、および/またはオルガノイド(腫瘍細胞、スフェロイド、および/またはオルガノイドが目的の患者に由来する場合を含む)の候補治療剤による処置;ならびに2)処置された腫瘍細胞、スフェロイド、および/またはオルガノイドの、例えば、候補治療剤の有効性を決定するための画像化または他の評価による分析を適切に含み得る。
【0038】
特定の治療選択肢に対する応答性の評価のための1つまたは複数の腫瘍細胞、スフェロイド、および/またはオルガノイドを含むアッセイおよびシステムがさらに提供され、ここで、該評価は、本明細書に開示されるアッセイまたはシステムの使用を含む。
【0039】
ある特定の態様では、本システムおよびモデルは、インビトロまたはex vivoとして利用されるか、または他の方法で記載され得る。
【0040】
論文C. Su et al., Biomaterials 275 (2021) 120922は、本開示の一部として本明細書に含まれ、組み込まれる。
【0041】
本発明の他の態様は、以下に開示される。
【図面の簡単な説明】
【0042】
本特許または出願ファイルは、カラーで作成された少なくとも1つの図面を含む。カラーの図を含む本出願のコピーは、オフィス要請に基づいておよび必要な料金の支払いによって提供される。
【0043】
【
図1】
図1A~
図1Eは、同軸回転シリンダーシステムにおける段階特異的な力誘導法によるコラーゲン線維の整列を示す。(A)段階特異的な力誘導法の概念の実証。核形成段階では、2分間の水平層流クエット流を適用して、シリンダーガラス表面上にコラーゲンモノマーを吸着させる。その後、伸長段階では、コラーゲン線維の成長は、静止状態での20分間のゲル化の間に垂直重力によって誘導される。無傷のチューブ状コラーゲンゲルが生成された後、ゲルは切断され、伸展されて、整列した線維を有する大きな3Dコラーゲンマトリックスを形成する。コンピュータ支援設計(B)および同軸回転シリンダーシステムのデバイス画像(C)を示す。このシステムは、3Dプリントされたベースによって同心円状に整列された2つのガラスシリンダー、真鍮ロッド、およびプラスチックベアリングからなる。コラーゲンは、2つの同軸シリンダーの間の空間で重合される(矢印)。(D)同軸回転シリンダーシステムは、モーターおよび調速機システムによって動力を供給される。(E)同軸回転シリンダーシステムからチューブ状コラーゲンゲルを取り出す。チューブ状コラーゲンゲルを切断して広げた後、整列した線維を有する大きなコラーゲンマトリックスが生成される。
【0044】
【
図2】
図2A~
図2Dは、コラーゲン溶液中の層流クエット流の計算流体力学シミュレーションを示す。(A)流体速度場の3Dプロットは、50rpmで回転する内側シリンダーを用いたコラーゲン溶液中の層状クエット流を示す。(B)流体速度場の2Dプロットは、それぞれ50rpmおよび500rpmで回転する内側シリンダーを用いた層流クエット流を実証する。(C及びD)35s
-1の所望の剪断速度(C)および0.03m/sの流速(D)が、コラーゲン線維を整列させるための50rpmでの内側シリンダー回転について同定された。
【0045】
【
図3】
図3A~
図3Gは、重力が後に続く層流クエット流が線維整列を高めることを示す。ランダム(ガラススライド上の線維重合)、重力のみ(重力のみによる線維重合)、およびクエット+重力群(その後の重力を伴う層流クエット流による線維重合)におけるコラーゲン線維の多光子第二高調波発生(A)および計算セグメント(B)の画像。(C)各実験群についての1つのゲル内のコラーゲン線維の角度数分布(n=20画像)。赤色の線は、平均合成ベクトルの大きさおよび方向を表す。(D)方向統計分析は、各実験群について1つのゲル内で、重力のみの試料と比較して、クエット+重力試料において、より整列しているがわずかにずれたコラーゲン線維配向を明らかにした(n=20画像)。ワトソン-ウィリアムズ検定による***p<0.001、****p<0.0001。(E)コラーゲン線維の走査電子顕微鏡画像は、重力のみの群と比較して、クエット+重力群において、より整列しているが、斜めに配向したコラーゲン線維を示す。(F)ランダム、重力のみ、およびクエット+重力群におけるコラーゲン線維配向の度数分布。データは平均±SEM(各実験群について3つのゲルからゲル当たり20画像)である。(G)線維整列を表すコラーゲン線維の合成ベクトル長は、クエット+重力において最大であり、重力のみおよびランダムな群が続く。データは、平均および95%信頼区間(CI)(各実験群について3つのゲルからのゲルあたり20画像)である。一元配置ANOVAにより、*p<0.05、**p<0.01、***p<0.001。
【0046】
【
図4】
図4A~
図4Eは、その後の重力を伴うクエット流が、デュアルトポグラフィ腫瘍スフェロイドモデルを構築することを示す。(A)デュアルトポグラフィ腫瘍スフェロイドモデルの概念概略の実証。(B)包埋された腫瘍スフェロイドを用いたコラーゲン重合後0日目のコラーゲン線維の多光子第二高調波発生およびコンピュータによるセグメント化画像。コラーゲン線維がクエット+重力群(その後の重力を伴う層流クエット流による線維重合)において腫瘍スフェロイドの放射状ゾーンでより整列したことを示す、(C)度数分布および(D)コラーゲン線維配向の整列(合成ベクトル長)。(E)線維密度分析は、全ての実験条件において、円周方向ゾーンと放射状ゾーンとの間の線維密度の差を示さなかった。(F)クエット+重力群における0日目のT47Dスフェロイドの直交図。(C)データは、平均±SEMである(3回の独立した実験からの群あたりn=15個のスフェロイド)。**p<0.01、***p<0.001、****p<0.0001(度数分布を比較するためのコルモゴロフ-スミルノフ検定による)。(D~E)データは、平均および95%CIである(3回の独立した実験からの群あたりn=15個のスフェロイド)。一元配置ANOVAにより、*p<0.05、**p<0.01、***p<0.001、****p<0.0001。
【0047】
【
図5】
図5A~
図5Fは、デュアルトポグラフィ腫瘍スフェロイドモデルが、マトリックストポグラフィに決定された癌浸潤パターンを明らかにすることを示す。(A)10日間の浸潤後のデュアルトポグラフィモデル(その後の重力を伴う層状クエット流による線維重合)におけるMCF7スフェロイドは、放射状に整列した線維に沿って同じ浸潤パターンを有する均等に分布したスフェロイドを示す。(B)10日間の浸潤後のT47D腫瘍スフェロイドの多光子第2高調波発生画像は、コラーゲン線維の配向の変化を示さない。10日間の浸潤後の(C)T47Dおよび(D)MCF7腫瘍スフェロイドの共焦点画像は、多細胞播種性細胞クラスターについての拡大された挿入図と共に、多細胞播種性クラスターおよび放射状に整列した線維に沿って浸潤する指様突起を示す。クエット+重力群における(E)MCF7および(F)T47D腫瘍スフェロイドは、ランダムおよび重力のみの群よりも複雑な境界を示す。(E~F)平均および95%CIを有する箱ひげ図(3回の独立した実験からの群あたりn=20個のスフェロイド)。****p<0.0001(一元配置ANOVAによる)。
【0048】
【
図6】
図6A~
図6Eは、放射状に整列した線維トポグラフィが、細胞クラスターに基づく集団的な癌浸潤を促進することを示す。(A)10日間の浸潤後のMCF7腫瘍スフェロイドの二値画像。(B)播種性細胞クラスターは、放射状に整列した、または円周方向に配向または整列した線維の方向に沿って浸潤する。赤色の線は、平均合成ベクトルの大きさおよび方向を表す。(C)より多くの細胞のクラスターが、主な腫瘍から、円周方向ゾーンよりも放射状ゾーンに播種している。スチューデントt検定による**p<0.01、***p<0.001。(D)境界複雑性は、円周方向ゾーンよりも放射状ゾーンで大きい。ウィルコクソンの符号順位検定による****p<0.0001。(E)播種性細胞クラスターの細胞数は、円周方向ゾーンよりも放射状ゾーンでより高い。スチューデントt検定により、*p<0.05、***p<0.001。(CおよびE)3回の独立した実験からの群あたり平均および95%CI(C-E)n=20スフェロイドを用いた箱ひげ図。
【0049】
【
図7】
図7A~
図7Gは、デュアルトポグラフィ腫瘍モデルにより腫瘍スフェロイドとオルガノイドの浸潤パターンを区別することを示す。(A)デュアルトポグラフィ腫瘍モデルにおけるMMTV-PyMTおよびC3(1)-Tagマウス乳房腫瘍オルガノイドのタイムラプス画像。(B)4日間の侵襲後のT47D及びMDAMB231ヒト乳房腫瘍スフェロイド並びにMMTV-PyMT及びC3(1)-Tagマウス乳房腫瘍オルガノイドの多光子第二高調波発生及び共焦点画像。(C)4日間の侵襲後の元々放射状および円周方向のゾーンの線維配向頻度分布から、MDAMB231スフェロイドおよびC3(1)-Tagオルガノイドでは線維配向のリモデリングが見られるが、T47DスフェロイドによってもMMTV-PyMTオルガノイドでは見られない。データは平均±SEMである(3回の独立した実験からの群あたりn=20個のスフェロイドまたはオルガノイド)。(D)腫瘍スフェロイド/オルガノイドの境界複雑性、(E)播種性細胞クラスター数、および(F)播種性細胞クラスターサイズ。(G)腫瘍スフェロイド/オルガノイドのデュアルトポグラフィモデルにおけるインビボ浸潤性、分子サブタイプ、およびインビトロ浸潤パターン。(D~F)平均および95%CIを有する箱ひげ図(3回の独立した実験からの群あたりn=20個のスフェロイド/オルガノイド)。一元配置ANOVAにより、*p<0.05、**p<0.01、***p<0.001、****p<0.0001。
【0050】
【0051】
【
図11】(
図11A~Gを含む)は、
図11A、マルチウェルシステムにおける同軸シリンダーのセットを示す。マルチウェルシステムにおいて、マルチウェルプレートの各ウェルは外側シリンダーとして機能し、プラスチックチューブは内側シリンダーとして機能する。内側プラスチックチューブの回転は、段階特異的な力誘導法によってコラーゲン線維を整列させる。
図11B~11Cは、同軸シリンダーシステムの、(B)モーターホルダおよび(C)モーターシャフトのためのコネクタのコンピュータ支援設計を示す。
図11Dは、マルチウェル同軸シリンダーシステムの代表的な画像であり、3Dプリントされたモーターホルダ、モーター、モーターシャフトのためのコネクタ、内側シリンダーとしてのプラスチックチューブ、および24ウェルプレートからなる。内側シリンダーと外側シリンダーは、モーターホルダとコネクタによって同心円状に位置合わせされる。
図11Eの多光子第二高調波発生画像は、24ウェルマルチウェル同軸シリンダーシステムによって生成された整列したコラーゲン線維を示す。
図11Fのコラーゲン線維の角度数分布は、約90°のピーク配向を有する高度に整列したコラーゲン線維を示す。赤線は、平均合成ベクトルの大きさおよび方向を表す。
図11Gは96ウェル同軸シリンダーシステム用に設計されたモーターホルダのコンピュータ支援設計である。
【0052】
【発明を実施するための形態】
【0053】
本明細書で使用される場合、腫瘍オルガノイドまたはスフェロイドとは、腫瘍細胞の凝集体を含有する細胞塊を意味する。腫瘍オルガノイドまたはスフェロイドは、様々なサイズであってよく、例えば50または100~10000個またはそれ以上の細胞を含んでよく、例えば0.1mm~1または2mm、より典型的には例えば0.1mm~1mmの最長寸法を有してよい。腫瘍は、例えば、結腸癌、胃癌、前立腺癌、乳癌、子宮頸癌、卵巣癌、膀胱癌、肺癌、肝細胞癌、腎臓癌、または膵臓癌、またはその他であってもよい。オルガノイドという用語は、スフェロイドを包含すると理解される。
【0054】
本明細書で使用されるオルガノイドという用語は、幹細胞または腫瘍開始細胞から発生し、インビボと同様に自己組織化する臓器特異的細胞塊の集合体を指し得る。Lancaster, Science 345(6194), 2014: 1247125参照。
【0055】
ある特定の態様では、用語「オルガノイド」は、それらのインビボ対応物に類似し、3D構造を形成する細胞のインビトロの集合体を指す。
【0056】
用語「整列した」または「配向した」は、線維構造体または材料の少なくとも約55または60%が規定の方向に配向し、その配向が整列の単一軸または複数軸のいずれかを形成する、マトリックス材料の配向を指す。より好ましくは、線維構造体または材料の少なくとも約70、80、85または90%が、規定された方向に配向される。任意の所与の線維の配向は、所与の整列軸から逸脱することがあり、逸脱は、整列軸と線維配向との間に形成される角度として表すことができる。0°の偏差角は、所定の軸との完全な整列を示し、90°(または-90°)は、整列の所定の軸に対して線維の直交整列を示す。複数の整列軸が所定の層に存在する場合、特定の線維の整列は、その最も近い軸に関して決定される。例示的な実施形態において、整列された線維の、それらの最も近い整列軸からの標準偏差は、0°~1°、0°~3°、0°~5°、0°~10°、0°~20°、または0°~25°から選択される角度であり得る。
【0057】
用語「段階特異的な力誘導法」は、線維重合、核形成および伸長段階の2つの段階のために設計された2つの異なる力を適用することによって、異なる整列領域(特に、放射状に整列した線維の第1の領域および円周方向に整列した線維の第2の領域)を有するマトリックス線維(例えば、コラーゲン線維)を整列させる方法をいう。2つの異なる力は、1)核形成段階における層流または力(例えば、水平層流クエット流)、および2)伸長段階における重力を含み得る。好ましい手順において、マトリックス材料を形成するための第1のモノマー(例えば、コラーゲンモノマー)は、核形成段階において表面上に吸着し、次いで、伸長段階においてモノマーが線維に成長する。段階特異的な力誘導法は、線維重合の2段階の性質に基づいて設計される。核形成段階の間、開示されたシステムの内側シリンダー回転によって駆動される水平層流クエット流は、シリンダー表面(例えば、ガラス表面)上にマトリックス材料モノマーを堆積させる。次に、伸長段階において、内側シリンダー回転の停止は、力の向きを垂直重力に変えて線維の成長を誘導する。以下の実施例はまた、整列させるための好ましい段階特異的な力誘導法を例示する。
【0058】
「患者」または「それを必要とする対象」は、示された障害に罹患しているか、または罹患している可能性のある動物界の生きているメンバーを指す。実施形態では、対象は、疾患に自然に罹患し得る個体を含む種のメンバーである。実施形態では、対象は哺乳動物である。哺乳動物の非限定的な例としては、齧歯類(例えば、マウスおよびラット)、霊長類(例えば、キツネザル、ブッシュベビー、サル、類人猿、およびヒト)、ウサギ、イヌ(例えば、コンパニオンドッグ、サービスドッグ、または警察犬、軍用犬、レース用のイヌ、もしくはショー用のイヌなどの作業用のイヌ)、ウマ(例えば、競走馬および作業用のウマ)、ネコ(例えば、飼い慣らされたネコ)、家畜(例えば、ブタ、ウシ、ロバ、ラバ、バイソン、ヤギ、ラクダ、およびヒツジ)、およびシカが挙げられる。実施形態では、対象はヒトである。
【0059】
「対象」、「患者」、「個体」などの用語は、限定することを意図するものではなく、一般に交換可能である。すなわち、「患者」として記載される個体は、必ずしも所与の疾患を有するとは限らず、単に医療アドバイスを求めているだけであり得る。
【0060】
「含む(including)」、「含有する(containing)」、または「特徴とする(characterized by)」と同義である移行句「含む(comprising)」は、包括的またはオープンエンドであり、追加の列挙されていない要素または方法ステップを除外しない。対照的に、移行句「からなる」は、特許請求の範囲に特定されていない任意の要素、ステップ、または成分を除外する。移行句「から本質的になる」は、特許請求の範囲を、特許請求される発明の特定の材料またはステップ「および基本的かつ新規な特徴(複数可)に実質的に影響を及ぼさないもの」に限定する。
【0061】
本明細書および特許請求の範囲の記載において、「少なくとも1つの」または「1つ以上の」などの語句が、要素または特徴の接続リストに続いて出現し得る。「および/または」という用語は、2つ以上の要素または特徴のリストにも出現し得る。それが使用される文脈によって暗黙的または明示的に矛盾しない限り、そのような語句は、列挙された要素もしくは特徴のいずれかを個々に、または列挙された要素もしくは特徴のいずれかを他の列挙された要素もしくは特徴のいずれかと組み合わせて意味することが意図される。例えば、「AおよびBのうちの少なくとも1つ」、「AおよびBのうちの1つまたは複数」、および「Aおよび/またはB」という句は、それぞれ、「Aのみ、Bのみ、またはAおよびBを一緒に」を意味することが意図される。例えば、「A、B、およびCのうちの少なくとも1つ」、「A、B、およびCのうちの1つまたは複数」、ならびに「A、B、および/またはC」という句は、それぞれ、「Aのみ、Bのみ、Cのみ、AとBとを一緒に、AとCとを一緒に、BとCとを一緒に、またはAとBとCとを一緒に」を意味することが意図される。さらに、上記および特許請求の範囲における「に基づく」という用語の使用は、記載されていない特徴または要素も許容されるように、「に少なくとも部分的に基づく」を意味することが意図される。
【0062】
本明細書の説明および以下の特許請求の範囲全体を通して使用される場合、「a」、「an」、および「the」の意味は、文脈が明らかに他を指示しない限り、複数の言及を含む。
【0063】
他に定義されない限り、本明細書で使用される技術用語および科学用語は、当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。例えば、Singleton et al., DICTIONARY OF MICROBIOLOGY AND MOLECULAR BIOLOGY 2nd ed., J. Wiley & Sons (New York, NY 1994); Sambrook et al., MOLECULAR CLONING, A LABORATORY MANUAL, Cold Springs Harbor Press (Cold Springs Harbor, NY 1989)を参照されたい。本明細書に記載されるものと類似または同等の任意の方法、デバイスおよび材料を、本発明の実施において使用することができる。以下の定義は、本明細書で頻繁に使用される特定の用語の理解を容易にするために提供され、本開示の範囲を限定することを意味しない。
【0064】
細胞/オルガノイド
癌腫、肉腫、リンパ腫、またはその他の腫瘍細胞を含む、種々の腫瘍細胞が、本発明のシステムにおいて利用され得る。癌腫に由来する細胞は、例えば、腺癌および/または扁平上皮癌に由来する細胞を含み得る。肉腫由来の細胞としては、例えば、骨肉腫、軟骨肉腫、平滑筋肉腫、横紋筋肉腫、線維肉腫、血管肉腫など由来の細胞が挙げられる。リンパ腫由来の細胞は、例えば、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、またはそれらの組み合わせに由来する細胞を含み得る。
【0065】
議論されるように、細胞は、癌が疑われる特定の対象またはヒト患者に由来してもよく、またはそれから得られてもよい。
【0066】
オルガノイドは、本明細書に開示される腫瘍細胞、例えば、同定されたヒト患者から得られた腫瘍細胞を使用することを含む、公知の方法によって産生することができ、得られた細胞は培養され得る。C. Su et al., Biomaterials 275 (2021) 120922, V. Padmanaban et al., Nat Protoc 15(8) (2020) 2413-2442. See also methods disclosed in US2022/0081679に開示されている例示的な方法を参照されたい。US2022/0081679に開示されている方法も参照されたい。
【0067】
腎臓、心臓、肝臓、脳、肺または胃に由来する細胞または組織オルガノイドは容易に得ることができる。例えば、そのような細胞は、ヒトを含む哺乳動物からの生検として得ることができる。細胞はまた、幹細胞由来であってもよい。適切な腎臓、心臓、肝臓、脳、肺または胃もまた、市販されている。
【0068】
腎臓、心臓、肝臓、脳、肺または胃に由来する組織オルガノイドは、対象からの生検から得られた細胞を使用することを含む、公知の方法によって作製することができる。得られた細胞を培養してもよい。Sato, T. et al. Single Lgr5 stem cells build crypt-villus structures in vitro without a mesenchymal niche. Nature 459, 262-265 (2009). https://doi.org/10.1038/nature07935に開示されている例示的な方法を参照されたい。C. Su et al., Biomaterials 275 (2021) 120922, V. Padmanaban et al., Nat Protoc 15(8) (2020) 2413-2442、およびUS2022/0081679に開示されている方法も参照されたい。
【0069】
マトリックス
例えば、コラーゲン、エラスチン、フィブロネクチン、またはそれらの組み合わせを含む、種々のマトリックス材料が、本システムにおいて使用され得る。好ましいマトリックス材料は、インビボで、または腫瘍細胞と、または腎臓、心臓、肝臓、脳、肺もしくは胃の細胞とエクスビボで会合して存在し得る。
【0070】
好ましいマトリックス材料はコラーゲンを含んでもよい。様々なコラーゲン、例えば、I型コラーゲン、II型コラーゲン、III型コラーゲン、IV型コラーゲン、V型コラーゲン、VI型コラーゲン、VII型コラーゲン、VIII型コラーゲン、IX型コラーゲン、X型コラーゲン、XI型コラーゲン、XII型コラーゲン、XIII型コラーゲン、XIV型コラーゲン、XV型コラーゲン、XVI型コラーゲン、XVII型コラーゲン、XVIII型コラーゲン、XIX型コラーゲン、XX型コラーゲン、XXI型コラーゲン、XXII型コラーゲン、XXIII型コラーゲン、XXIV型コラーゲン、XXV型コラーゲン、XXVI型コラーゲン、XXVII型コラーゲン、XXVIII型コラーゲン、またはそれらの組み合わせを利用することができる。上記の生物学的マトリックスに加えて、合成マトリックス材料を使用することができる。
【0071】
癌細胞の浸潤前に、腫瘍を取り囲む細胞外マトリックス(ECM)の構造がリモデル化され、その結果、円周方向に配向または整列したマトリックス線維が放射状に整列するようになる。この素因を有する放射状に整列したマトリックス構造は、癌浸潤の重要な調節因子として働く。しかしながら、これらのECM構造に対する腫瘍の行動応答を再現する生体模倣3Dモデルは、まだ利用できない。本研究において、本発明者らは、各腫瘍スフェロイド/オルガノイドが、一方の側では放射状に整列したコラーゲンI線維によって、反対側では円周方向に配向または整列した線維によって取り囲まれている3Dデュアルトポグラフィ腫瘍モデルを確立するための、段階特異的な力誘導法を開発した。同軸回転シリンダーシステムを用いて、デュアル線維トポグラフィを構築し、単一のデバイス内に腫瘍スフェロイド/オルガノイドを予め播種した。このシステムは、コラーゲン線維重合の核形成および伸長段階において異なる力機構を適用して、線維整列を誘導することを可能にする。核形成段階では、線維整列は、内側シリンダー回転によって駆動される水平層流クエット流によって著しく強化される。伸長段階では、線維成長は、垂直重力によって誘導されて、>1,000個の腫瘍スフェロイドが包埋された大きなコラーゲンマトリックスゲル(35×25×0.5mm)を形成する。各腫瘍スフェロイドの上の線維は、各腫瘍スフェロイド/オルガノイドの下の円周方向に配向または整列した線維とは対照的に、重力の方向に沿って放射状に整列しており、ここで腫瘍の存在は、重力によって誘導される線維整列を妨害する。浸潤の10日後、円周方向に配向または整列した線維に面する腫瘍スフェロイド/オルガノイドの側と比較して、放射状に整列した側により多くの播種性多細胞クラスターが存在する。これらの結果は、本発明者らの3Dデュアルトポグラフィモデルが、放射状に整列した線維に沿って浸潤し、広がる腫瘍の選好を再現することを示す。本発明者らは、この3Dデュアルトポグラフィモデルが、集団的腫瘍浸潤を研究する者に対して広範な有用性を有し、そしてそれが、癌浸潤標的化治療剤を同定する可能性を有することを予測する。
【0072】
癌の進行は、腫瘍細胞がその微小環境と相互作用する動的プロセスである[1]。癌細胞は、腫瘍間質細胞と相互作用して、局所浸潤[2、3]および遠隔転移[4、5]を起こす前から、それらの微小環境を継続的にリモデル化する。次に、リモデリングされた腫瘍微小環境は、癌浸潤の経路として生物物理学的および生化学的な手掛かりを提供することによって、正常組織とは区別される[6、7]。細胞と細胞外マトリックス(ECM)との間の相互-相互作用は、一緒になって、腫瘍進行を駆動する相乗的ループを形成する。腫瘍を取り囲むECMの構造的リモデリングは、細胞-ECM相互作用の1つの結果である[8]。浸潤癌細胞は、周囲のECM線維を整列させて、腫瘍細胞が間質を通って効率的に浸透するように誘導する「遊走ハイウェイ」を形成する[9~11]。さらに、腫瘍境界における素因を有する腫瘍ECM構造は、癌浸潤前でさえも形成され得る。例えば、間質微小環境の変化は、前浸潤性乳癌、非浸潤性乳管癌(DCIS)から浸潤性乳管癌(IDC)への進行を推進する主要な因子である。対照的に、IDCおよびDCISにおける癌細胞の間には、わずかな遺伝的変化しかない[2、12]。DCIS患者において、素因を有する放射状に配向したマトリックス構造は、予後不良を予測する[13]。実験マウスモデルからの直接的な証拠は、放射状に整列した原線維コラーゲン構造が乳房腫瘍浸潤を促進することを明らかにする[14、15]。また、インビトロ腫瘍モデルは、腫瘍スフェロイドが、スフェロイド境界からスフェロイド半径の5倍の距離まで、コラーゲン線維を遠隔的に配向させることができることを実証している[16]。
【0073】
ECM対細胞効果に関して、以前の研究は、整列した線維トポグラフィが、遊走持続性および速度を増強することによって腫瘍細胞の移動を誘導することを示した[9、17]。しかしながら、ほとんどの研究は、整列したトポグラフィに対する個々の細胞の応答に焦点を当てており、主に関連する実験モデルがないために、腫瘍スフェロイドまたはオルガノイドがどのように素因を有するECM構造に反応するかについてはほとんど知られていない[18~21]。播種した個々の細胞を含有するマトリックスとは異なり、腫瘍スフェロイドモデルは、インビボでの集団細胞遊走、腫瘍浸潤、および転移をより良好に再現する[22]。しかしながら、腫瘍スフェロイド/オルガノイドがどのように様々なECM構造に応答するかを解明するには、より複雑な生物工学アプローチが必要である。3Dトポグラフィ腫瘍スフェロイド/オルガノイドモデルを操作する際の主な障害は、ECM構造を損傷することなく、特殊化したECM構造を有する多細胞腫瘍スフェロイドを包含することである。
【0074】
以前の研究は、伸長ひずみ[23~25]、エレクトロスピニング[26~28]、磁場[29、30]、マイクロ流体[31~33]、および細胞リモデリング[18、19、34]などの異なる方法を適用することによって、整列したコラーゲン線維を作り出した。ECM線維を整列させるための全ての既存の方法の中で、細胞リモデリング[18、19、34]およびマイクロ流体[20、21、25]が、素因を有するECM構造を有する腫瘍モデルを構築するために最も一般的に使用される(以下の表1を参照のこと)。しかしながら、これらの方法の共通の制限は、線維整列が小さいまたは制限された領域に限定されること[20、34]、およびマトリックス中に腫瘍スフェロイドを包埋することの困難さである。したがって、線維整列の形成後に腫瘍スフェロイドをマトリックスに包埋または付着させることは、予め形成されたECM構造を妨害するリスクがある[18、19、34]。マイクロ流体法は、単一細胞モデルにのみ適している場合があり、予め播種性腫瘍スフェロイドが線維整列を駆動する流れを妨害するため、腫瘍スフェロイドモデルに適用することは困難である。さらに、腫瘍スフェロイドをエレクトロスピニングされた足場に埋め込むことは、それらの低い多孔性のために困難である[35]。したがって、個々の細胞浸潤を研究するためのそれらの有用性にもかかわらず、整列マトリックス線維の現在利用可能なモデルは、腫瘍スフェロイド/オルガノイドの集合的細胞浸潤を研究するために適用できない。腫瘍スフェロイド/オルガノイドを播種し、線維のプレアライメントを制御することを可能にする新規モデルが、集合的な癌細胞浸潤を調査するために必要とされている。
【0075】
3Dトポグラフィ腫瘍スフェロイド/オルガノイドモデルを開発するために、本発明者らは、デュアルECMトポグラフィによって囲まれた腫瘍スフェロイド/オルガノイドを有する大規模コラーゲンゲルを効率的に作製するための新規の方法を確立した。本発明者らは、コラーゲン重合のための段階特異的な力誘導法を適用した。[32、36]。コラーゲン重合の第1段階である核形成段階では、同軸回転シリンダーシステム内で内側シリンダーを回転させることによって水平層流クエット流を発生させて、表面上へのコラーゲンモノマーの吸着を促進し、コラーゲンの初期コーティングを形成した。次に、伸長段階では、コラーゲン原線維の集合の方向を誘導するために垂直重力を採用した。この新しいトポグラフィシステムは、いくつかの利点を提供する。第1に、重力のみを加えるよりも高い線維整列が達成される。第2に、ほとんどのマイクロ流体とは異なり、本発明の同軸回転シリンダーは、腫瘍スフェロイドの播種を可能にする。第三に、各腫瘍スフェロイドは、放射状に整列した線維によって半分が囲まれ、そして円周方向に配向または整列した線維によって他の半分が囲まれる。個々の腫瘍スフェロイドは、腫瘍間質の2つの最も一般的なトポグラフィ的特徴と同時に相互作用しているので、本発明者らのモデルは、3Dトポグラフィが腫瘍浸潤にどのように影響するかを研究するのに理想的である。本発明者らの結果は、放射状に整列したトポグラフィが、腫瘍細胞のクラスターベースの播種を増強することによって腫瘍浸潤を促進することを示す。本発明者らの3Dモデルにおいて放射状に整列したコラーゲン線維上の主な腫瘍から出芽する播種性多細胞クラスターは、ヒト癌浸潤を忠実に再現する。本発明者らは、本発明者らの3Dトポグラフィ腫瘍モデルが、癌タイプにわたる集合的浸潤を調査するために、および新しい癌療法を同定するために容易に適用され得ることを予想する。
【0076】
本明細書に開示される腫瘍細胞、スフェロイド、および/またはオルガノイドは、化学物質(小分子を含む)、抗体、天然物、または他の薬剤のライブラリーを、薬物または予防薬としての使用のための適合性について試験するために使用することができる。候補治療剤は、新規または改変された薬物および化合物であり得る。
【0077】
ある特定の態様では、目的の患者からの細胞または組織、例えば、患者からの腫瘍細胞を培養し、次いで、薬物またはスクリーニングライブラリーで処置することができる。次いで、腫瘍細胞、スフェロイド、および/またはオルガノイドに対する候補薬剤の有効性を決定することが可能である。これにより、特定の薬物に対する特定の患者の応答性を試験することが可能になり、したがって、特定の患者に合わせて治療を調整することが可能になる。
【0078】
ある態様において、腫瘍細胞、スフェロイド、及び/またはオルガノイドを含む本明細書に開示されるアッセイは、薬物スクリーニングであり、ここで、腫瘍細胞、スフェロイド、及び/またはオルガノイドは、1人の個々の患者に由来する。ある態様では、薬物スクリーニングにおける、例えばアレイにおける腫瘍細胞、スフェロイド、及び/またはオルガノイドは、異なる患者に由来する。
【0079】
分子のライブラリーを用いて、腫瘍細胞、スフェロイド、および/またはオルガノイドに影響を及ぼす分子を同定することができる。ある特定の態様では、ライブラリーは、抗体断片ライブラリー、ペプチドファージディスプレイライブラリー、ペプチドライブラリー、脂質ライブラリー、小分子化合物ライブラリー、または天然化合物ライブラリー(例えば、Specs、TimTec)を含む。さらに、幹細胞の子孫において1つ以上の遺伝子の発現を誘導または抑制する遺伝子ライブラリーが使用され得る。これらの遺伝子ライブラリーは、cDNAライブラリー、アンチセンスライブラリー、およびsiRNAまたは他の非コードRNAライブラリーを含む。腫瘍細胞、スフェロイド、および/またはオルガノイドは、ある期間、複数の濃度の試験薬剤に曝露され得る。曝露期間の終わりに、培養物を評価する。「影響を及ぼす」という用語は、増殖の減少または喪失、形態学的変化、および細胞死を含むが、これらに限定されない、細胞における任意の変化を網羅するために使用される。
【0080】
ある態様において、本システム及びアッセイは、患者由来の腫瘍細胞、スフェロイド、及び/またはオルガノイドを含み、例えば、目的の疾患、特に癌について候補治療剤に対する個々の患者の応答を試験するために、例えば、個別化医療において使用するための、1つまたは複数の候補治療剤によるそのような腫瘍細胞、スフェロイド、及び/またはオルガノイドの処置を含む。候補治療剤は、抗癌剤であってもよい。
【0081】
議論されるように、本明細書に開示される複数のアッセイは、マルチウェル反応プレートを使用するなどして、並行して実行され得る。このようなアッセイは、例えば、異なる治療薬、または異なる濃度の特定の治療薬を用いて実行されて、種々の濃度に対する示差的な応答を得ることができる。薬剤の有効濃度は、1:10または他の対数スケールの希釈から得られる濃度の範囲を使用して評価することができる。必要であれば、第2の一連の希釈によって濃度をさらに精密化してもよい。
【実施例】
【0082】
実施例1:材料および方法
1.同軸回転シリンダーシステムの設計および組み立て
本発明者らの同軸回転シリンダーシステムは、カスタマイズされた3Dプリントベース、真鍮ロッド、およびプラスチックベアリングによって同心円状に整列された異なる半径を有する2つのホウケイ酸ガラスシンチレーションバイアル(Sigma-Aldrich、USA)を含む。外側シリンダーはベースによって固定されて保持され、内側シリンダーはその軸の周りを自由に回転する。外側のガラスバイアルの首より上の部分を、内側のガラスバイアルが嵌め込まれるようにガラスカッターで切り取った。内側ガラスシリンダーの回転は、直流6ボルト500回転/分(rpm)のマイクロ減速モーターによって動力を供給され、回転速度は、パルス幅変調無段直流モーター調速機によって制御された。内側ガラスシリンダーに取り付けられた真鍮ロッドは、カスタマイズされた3Dプリント部品によってモーターシャフトに接続された。3Dプリントされたベースおよび部品は、Autodesk Inventorソフトウェア(Autodesk、USA)を使用して設計され、デスクトップ3Dプリンタ(Cubicon、Korea)によってアクリロニトリルブタジエンスチレンフィラメントでプリントされた。同心円状に整列させた後、小さい方の内側ガラスシリンダーを大きい方の外側ガラスシリンダーの中心の内側に配置し、コラーゲンゲル化のために2つのシリンダーの間に空の環状部を残した。
【0083】
2.整列した線維を有するコラーゲンマトリックスの製造
コラーゲンマトリックスは、I型ラット尾部テロコラーゲン溶液と中和溶液を9:1の比で混合して、最終濃度3.69mg/ml(ロット8282, RatCol(登録商標)ラット尾部コラーゲン3Dハイドロゲル用、アドバンストバイオマトリックス、USA)で調製した。I型コラーゲン溶液を混合前に氷上に保持した。900μLのI型コラーゲン溶液を100μLの中和緩衝液と混合した後、1mLのコラーゲンプレゲル溶液を2つのガラスシリンダーの間の空間に注ぎ、内側シリンダーを直ちに回転させた。50rpmでの内側シリンダーの2分間の回転を適用して、ガラス表面上でのコラーゲンモノマー核形成のためのクエット流を生成し、続いて、重力がコラーゲン線維の伸長を導くために、静止状態で20分間ゲル化させた。コラーゲンは室温で重合された。
【0084】
3.計算流体力学シミュレーション
COMSOL Multiphysics version 5.5(COMSOL、USA)を用いて、計算流体力学シミュレーションを行った。最初に、2つのガラスシリンダーの間の空間の断面寸法を有する長方形の2D形状を構築した。コラーゲンの密度および動的粘度溶液を材料特性として入力した。次に、内側シリンダーが回転する流体力学をシミュレートするために、2D矩形の内壁をスライド壁として設定し、両方のシリンダーの中心軸を対称として固定した。物理的モデルとして層流を適用し、流体の流れをナビエ・ストークス方程式に従って記述した[37]。最後に、パラメータ掃引を、内側シリンダーの様々な回転速度下で設定して、コラーゲン核形成のための理想的な剪断速度を決定した。
【0085】
4.コラーゲン線維の整列および配向分析
ゲル中のコラーゲン線維を、Olympus FV1000多光子第二高調波発生(SHG)顕微鏡(Olympus、日本)または多光子第二高調波発生(SHG)および共焦点顕微鏡(Zeiss LSM 710NLO-Meta、ドイツ)によって可視化した。20のランダムに選んだ位置の画像を、各コラーゲンゲルについて撮影した。SHG顕微鏡画像をセグメント化し、MATLABベースのプログラムであるCT-FIREによってコンピュータで分析して、コラーゲン線維の配向を定量化した[38]。実験条件間の整列および配向を比較するために、本発明者らは、循環統計のためのMATLABプログラムであるCircStat[39]を使用して方向性統計分析を行った。
【0086】
線維整列は、各ゲルについて20のランダム画像からの合成ベクトル長によって決定した。合成ベクトル長の値は、0と1との間の範囲である。値が1に近いほど、線維配向角は平均方向の周りにより集中しており、より整列した線維を示す。
【数1】
【0087】
尖度を表す整列指数を、線維整列を評価するための第2の方法として導入した。整列指数は、半値全幅(FWHM)の半分で割った角度分布の最高頻度百分率(h)に等しい[24]。0の値はランダム分布を表す。値が高いほど、線維はより整列している。
【数2】
【0088】
線維配向は、平均合成ベクトルによって表された。実験条件間の平均合成ベクトルをワトソン-ウィリアムズ検定[39]によって検定した。
【数3】
【0089】
5.走査型電子顕微鏡(SEM)
線維状コラーゲン形態の画像を、SEM(Apreo、Thermo Fisher Scientific、米国)を使用して撮影した。コラーゲンゲル試料を、フリーズドライシステム(FreeZone Plus 2.5 Liter Cascade Benchtop Freeze Dry System, Labconco、USA)を介して-80℃および高真空状態(0.07ミリバール)で凍結乾燥した。凍結乾燥した試料を、スパッタコーターによって60秒間Au/Ptでコーティングした。次に、試料をSEM真空チャンバ内に配置し、5kVの加速電圧を印加して高分解能画像を取得した。
【0090】
6.細胞培養
MCF7、T47D、およびMDAMB231ヒト乳癌細胞は、American Type Culture Collection(VA,USA)から購入した。MCF7およびMDAMB231細胞はダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)(Gibco、USA)中で維持し、T47D細胞はRPMI 1640培地(Gibco、USA)中で維持した。培地に10%ウシ胎仔血清(Thermo Fisher Scientific、USA)および1%ペニシリン-ストレプトマイシン(10,000U/mL)(Thermo Fisher Scientific、USA)を補充した。細胞を5%CO2加湿雰囲気下、37℃でインキュベートした。
【0091】
7.デュアルトポグラフィ腫瘍スフェロイドおよびオルガノイドモデルの開発
腫瘍スフェロイドを、AggreWell 400 6ウェルマイクロウェル培養プレート(STEMCELL Technologies、USA)を使用して生成した[40]。マイクロウェル培養プレートに細胞を播種する前に、0.5mLの抗接着リンス溶液(STEMCELL Technologies、USA)を各ウェルに添加し、2分間の2000g遠心分離、続いて37℃で30分間のインキュベーションを実施して、マイクロウェル上への細胞接着を防止した。次に、2mL中の2,500,000個の単一細胞懸濁液を各ウェルに播種した。5分間の200g遠心分離を実施して、マイクロウェル中の細胞をクラスター化し、細胞をCO2インキュベーター中で37℃で一晩インキュベートして、細胞を凝集させ、スフェロイドを形成させた。6ウェルマイクロウェル培養プレートのウェルから生成した腫瘍スフェロイドを採取し、100μLの培地中の腫瘍スフェロイドの4分の1を混合し、1mLのコラーゲンプレゲル溶液(900μLのI型コラーゲン溶液および100μLの中和緩衝液)内に3.35mg/mlの最終濃度で一緒に播種した(ロット8282, RatCol(登録商標)ラット尾部コラーゲン3Dハイドロゲル用、アドバンストバイオマトリックス、米国)を用いて、2つの同軸シリンダー間の空間に注入した。
【0092】
マウス乳房腫瘍オルガノイドは、以前に記載されたように[43]、乳癌の2つの遺伝子操作されたマウスモデル、MMTV-PyMT[41]およびC3(1)-Tag[42]に由来した。MMTV-PyMTまたはC3(1)-Tagマウスから採取した乳房腫瘍を機械的に細かく刻み、コラゲナーゼおよびトリプシンによって酵素的に消化した。一連の分画遠心分離によって、上皮腫瘍オルガノイドから単一の癌細胞または間質細胞を分離した。100μLの培地中の約1500個の乳房腫瘍オルガノイドを1mLのコラーゲンプレゲル溶液と混合し、2つの同軸シリンダーの間の空間に一緒に播種した。全てのマウスは雌であり、The Jackson Laboratory(Bar Harbor, ME)から入手した。全ての手順は、Johns Hopkins Medical Institute Animal Care and Use Committee(IACUC)によって承認された以下のプロトコールによって実施した。
【0093】
クエット+重力グループについては、コラーゲン線維を、50rpmでの内側シリンダー回転によって駆動される2分間の層状クエット流の下で同軸シリンダーシステムにおいて重合し、続いて20分間の重力駆動の線維伸長を行った。重力のみの群については、コラーゲン線維を、静止状態で20分間ゲル化させて、同軸シリンダーシステムで重合させた。コラーゲンは室温で重合された。次いで、腫瘍スフェロイド/オルガノイドを包埋した得られたチューブ状コラーゲンゲルを切断し、広げて、デュアルトポグラフィ腫瘍モデルを形成した。MCF7およびMDAMB231腫瘍スフェロイドはDMEM培地(Gibco、USA)中で維持し、T47D腫瘍スフェロイドはRPMI 1640培地(Gibco、USA)中で維持した。培地に10%ウシ胎仔血清(Thermo Fisher Scientific、USA)および1%ペニシリン-ストレプトマイシン(Thermo Fisher Scientific、USA)を補充した。MMTV-PyMTおよびC3(1)-Tag腫瘍オルガノイドを、1%インスリン-トランスフェリン-セレン(Gibco、USA)、1%ペニシリン-ストレプトマイシン(Sigma、USA)、および2.4nM FGF2(Sigma、USA)を補充したDMEM-F12培地(Gibco、USA)中で維持した。
【0094】
8.癌浸潤パターン分析
コラーゲンゲル中で10日間培養した後、腫瘍スフェロイドをCellTracker Red CMPTX Dye(Thermo Fisher Scientific、USA)およびHoechst 33342(Thermo Fisher Scientific、USA)で染色し、4%パラホルムアルデヒド(Thermo Fisher Scientific、USA)で固定した。スピニングディスク共焦点顕微鏡(Nikon Tie倒立広視野顕微鏡およびYokogawa W1スピニングディスク、日本)または多光子第二高調波発生(SHG)および共焦点顕微鏡(Zeiss LSM 710NLO-Meta、ドイツ)を使用して、腫瘍スフェロイドを画像化した。画像は、Image Jにおけるカスタマイズされたマクロによって分析された。簡潔には、腫瘍スフェロイド/オルガノイド全体のZスタック共焦点画像を、バックグラウンド減算、Z投影、およびMake Binaryによって処理した。二値画像の面積、周囲、配向角、および他のパラメータを、Analyze Particles機能を用いて定量化した。播種性細胞クラスターは、二値画像において主な腫瘍と常時接続しない細胞として定義された。腫瘍スフェロイドの形態の複雑性は、境界複雑性によって示された[44]。
【数4】
【0095】
境界複雑性が高いほど、腫瘍はより不規則である。浸潤が発生すると、浸潤投影は、対応する領域Aのより大きな境界周囲によって境界複雑性を増加させる。播種性細胞クラスターが出現すると、主なスフェロイドおよび播種性細胞クラスターの両方の周囲および面積を計算に入れた。同じ腫瘍スフェロイド/オルガノイドにおける放射状ゾーンと円周方向ゾーンとの間の境界複雑性を比較するために、本発明者らは、スフェロイド/オルガノイドの最も広い短軸を分離線(A)として使用して、腫瘍スフェロイド/オルガノイド全体の二値画像を2つの画像に分割した。
【0096】
9.統計分析
GraphPad Prism 9(GraphPad Software、USA)を使用してデータを分析した。コラーゲン線維配向の頻度分布をコルモゴロフ-スミルノフ検定によって比較した。実験条件間の線維整列(合成ベクトル長)を一元配置ANOVAによって比較した。実験群間の腫瘍スフェロイド/オルガノイドの境界複雑性ならびに播種性細胞クラスターの数およびサイズを、一元配置ANOVAによって比較した。異なるECM構造における球状形態を、スチューデントt検定、一元配置ANOVA、またはWilcoxonの対応ペア符号順位検定を使用して比較した。方向統計のために、コラーゲン線維の整列および配向パラメータを、MATLABプログラム、CircStat[39]で分析した。サンプル間の平均合成ベクトルを、ワトソン-ウィリアムズ検定によって比較した。全ての統計分析について、差は、p<0.05で有意であると考えられた。
【0097】
結果
1.コラーゲン線維は、段階特異的な力誘導法を用いて整列される。
3Dマトリックスゲル中でコラーゲン線維を整列させるための段階特異的な力誘導法を開発するための概念の実証は、核形成段階および伸長段階を有するコラーゲン線維重合の2段階の性質に基づく[32、36]。I型コラーゲンは、乳房腫瘍中の最も豊富なECM成分の1つであり、腫瘍進行において重要な役割を果たすため、乳がん浸潤をモデル化するための3Dマトリックスを作製するために使用した[45、46]。
図1Aは、整列した線維を有する大きなコラーゲンゲルを作製するための本発明者らの方法の作業原理および製作プロセスを示す。核形成段階の間、本発明者らは、水平層流クエット流を適用して、シリンダーガラス表面上にコラーゲンモノマーを堆積させた。これは、最初のコラーゲンモノマーコーティングを増加させ、ガラス基材上にコラーゲンマットを形成し、コラーゲン線維の形成および整列を改善する[32]。コラーゲンの核形成は、重合の最初の2分以内に起こった[32]。そして、内側シリンダーを最初の2分間回転させて、コラーゲンモノマーマットを表面上に吸着させて、コラーゲンの初期コーティングを形成するように設定した。その後、内側シリンダー回転を停止した後、力の方向を垂直重力に変えて、コラーゲン線維を誘導して、伸長期に垂直に成長させた[31、32]。
【0098】
2.同軸回転シリンダーシステムを適用して、3Dマトリックス内のコラーゲン線維を整列させる。
核形成段階および伸長段階の両方のための力に対応するデバイスを開発するために、本発明者らは、以下の理由のために、マイクロ流体の代わりに同軸回転シリンダーを適用した(
図1A)。第1に、閉鎖系として、層流クエット流によって駆動される剪断力は、シリンジポンプなどの外部機器なしに、シリンダーの回転速度を調整することによって容易に制御することができる。核形成段階は2分以内に迅速に起こるので[32]、本発明者らのシステムは、流れを駆動するためのシリンジポンプを必要とせず、それによって調製時間を短縮し、システムの外部で核形成が起こる確率を低減する。第2に、内側シリンダー回転を停止すると、直ちに層流剪断流が垂直重力にシフトして、コラーゲン線維の伸長が可能になった。第3に、本発明者らの方法は、マイクロ流体工学における限られた空間と比較して、均一に整列した線維を有する大きなコラーゲンゲルを作製する。第4に、本発明者らの同軸回転シリンダーシステムは、重合の間にコラーゲンの内側にスフェロイド/オルガノイドを播種するための安定な環境である[47]。
【0099】
本発明者らは、内側シリンダーの回転時に層状クエット流を生成するように、本発明者らの同軸回転シリンダーシステムを設計した。本発明者らは、外側シリンダーとしてより大きなホウケイ酸ガラスシンチレーションバイアル(半径13.7mm)を、内側シリンダーとしてより小さなホウケイ酸ガラスシンチレーションバイアル(半径11.4mm)を使用した(
図1B)。2つの同心シリンダーの半径比は0.83であり、これは層流クエット流を形成するための基準である>0.8である[47]。内側シリンダーと外側シリンダーを同軸に整列させるために、本発明者らは、内側シリンダーを外側シリンダーの中央に保持するための真鍮ロッドおよびプラスチックベアリングと共に、ピラミッド形の基部を設計し、3Dプリントした。(
図1C)。内側シリンダーと外側シリンダーとの間に得られた上部開放環状部は、コラーゲン溶液と中和緩衝液との混合物を注ぐための空間を与えた。次いで、回転する内側シリンダーによって駆動される層流クエット流が、シリンダーガラス表面上のコラーゲンモノマーのコーティングを開始した。0~500rpmの範囲の回転速度を、モーターおよび無段モーター調速機によって安定に調節した(
図1D)。
【0100】
コラーゲン核形成のための最適な回転速度を決定し、層状クエット流を生成するための本発明者らのデバイス設計を検証するために、本発明者らは、COMSOL Multiphysicsに対して計算流体力学シミュレーションを行った。回転する内側シリンダーを用いたシミュレーション結果は、50rpmの回転で、モーターの最高回転速度限界である500rpmまで、乱流テイラー渦を伴わない層状クエット流を示した(
図2Aおよび2B)。本発明者らの知見は、低回転速度で乱流のない安定な層流を示す以前の研究と一致した[48]。ガラス基板上では、中間の剪断速度20~80s
-1は、9s
-1のより低い剪断速度または500s
-1のより高い剪断速度と比較して、コラーゲン線維(3mg/ml)を最もよく整列させることが実証されている[32]。異なる回転速度での剪断速度のシミュレーション結果に基づいて、内側シリンダー回転の速度を50rpmに決定して、内側シリンダーの表面上で35s
-1の所望の剪断速度(
図2C)および0.03m/sの流速(
図2D)を達成した。本発明者らは、以下の理由のために、剪断力ではなく、剪断速度を使用して所望の回転速度を測定した:剪断速度は、濃度または粘度が変化するにつれて変化せず、そして剪断速度は、混乱させる因子として流量を排除することによってコラーゲン核形成を独立して増加させる[32]。
【0101】
ゲルの凝固が観察される前にクエット流を止めた。2分間の回転期間の後、コラーゲンは、垂直重力の影響下でその伸長段階を開始した。この伸長期には、内側シリンダーの2分間の回転を停止した後、コラーゲン線維が垂直重力に沿って成長した。回転または重力駆動段階の間にゲルのバルク移動は見られなかった。2分間の回転および静止状態でのさらなる20分間のゲル化期間の後に、無傷のチューブ状ゲルが形成された(
図1E)。対照的に、10分間または5分間の回転は、完全なゲルを形成しなかった。その代わりに、断片化コラーゲンデブリが、静止状態での60分間のゲル化後でさえ形成された(補足
図1A)。無傷のチューブ状ゲルを生成した後、ゲルを切断し、広げて、大きな長方形のコラーゲンマトリックスゲル(35mm×25mm×0.5mm)を作製した(
図1E)。重力のみおよびランダム条件を対照群として使用した。重力のみの群では、コラーゲンを、最初の2分間の回転を伴わない静止状態で、同軸シリンダーシステム中で重合した。ランダム群では、コラーゲンプレゲル溶液を、同軸シリンダーシステムにおける2つのシリンダー間の空間と同じ寸法を有するように設計されたポリジメチルシロキサン(PDMS)フレームを有するガラススライド上に注いだ(
図9B)。コラーゲンマトリックスを、静止状態でガラススライド上でゲル化して、ランダムに配向したコラーゲン線維を形成した。
【0102】
3.コラーゲン線維整列は、層流クエット流と、それに続く重力によって増強される。
異なる実験条件下で形成された3Dマトリックスゲル中のコラーゲン線維を多光子SHG顕微鏡によって可視化し(
図3A)、MATLABベースのプログラムであるCT-FIREを使用して計算的にセグメント化した(
図3B)。本発明者らは、異なる実験条件で形成された3Dマトリックスゲル中のコラーゲン線維の整列および配向を比較した。まず、本発明者らは、各実験条件について1つのゲルから無作為に選んだ20のスポットにおけるコラーゲン線維の方向統計を分析した。コラーゲン線維の角度数分布分析は、合成ベクトル長が、重力のみ群(0.7)またはランダム群(0.59)よりもクエット+重力群(0.8)においてより高かったことを実証した。(
図3Cおよび3D)。線維配向角もまた、2分間の回転群(79.34°)と無回転群(90.14°)との間で有意に異なった。(
図3C及び3D)。これらの結果は、追加の層流クエット流が線維整列を促進し、線維配向の偏りに寄与したことを示唆した(p<0.0001)。加えて、SEM画像は、重力のみの群と比較して、クエット+重力群において、より整列しているが、斜めのコラーゲン線維を確認した(
図3E)。本発明者らの知見は、以前の研究と共に、コラーゲン線維の配向が、核形成期および伸長期の両方における流動方向の組み合わされた結果であったことを示唆する[32]。
【0103】
本発明者らの方法の再現性を検証するために、本発明者らは、3つの独立した実験を実施し、コラーゲン線維の角度頻度分布(
図3F)および合成ベクトル長(
図3G)を決定することによって線維整列を調査した。ピーク頻度分布は、重力のみ群(90°で8.33%)およびランダム群(170°で7.59%)よりもクエット+重力群(80°で13.91%)で高かった(
図3F)。合成ベクトル長分析は、クエット流および重力の両方を適用することが、重力のみ群(p<0.01)およびランダム群(p<0.001)と比較して、線維整列を有意に向上させたことを実証した(
図3G)。線維整列の第2の尺度として、度数分布から導かれた整列指数も、重力のみ群およびランダム群よりもクエット+重力群において有意に高かった(
図8C)。整列および配向分析の結果は、均一に整列した線維を有する大きなコラーゲンマトリックスゲルを生成するための本発明者らの新規技術の再現性を実証した。
【0104】
4.各腫瘍スフェロイドは、デュアルトポグラフィ腫瘍モデルにおいて、放射状に整列し、円周方向に配向または整列したコラーゲン線維によって囲まれている。
本発明者らは、腫瘍スフェロイドを、ゲル化前にコラーゲン溶液内に予め播種して、腫瘍スフェロイドとインビボ腫瘍様ECMトポグラフィとの密接な接触を可能にした。MCF7およびT47D乳癌細胞の腫瘍スフェロイドは、マイクロウェル中で球状に均一に生成された(
図4Aおよび
図9A)。約1500個の腫瘍スフェロイドを1mLのコラーゲン溶液に懸濁して、1mm
3当たり2個の腫瘍スフェロイドの密度を達成した。次いで、同軸シリンダーシステム内のコラーゲン溶液と腫瘍スフェロイドとの混合物に、2分間の層流クエット流および20分間の重力を受けさせて、コラーゲン線維を整列させた(
図4Aおよび
図9B)。コラーゲンゲルが形成された直後に、本発明者らは、SHG顕微鏡法を使用して、腫瘍スフェロイドを取り囲むコラーゲン線維の配向を分析した。興味深いことに、腫瘍スフェロイドを取り囲むコラーゲン線維は、位置特異的なトポグラフィを示し、スフェロイドの上のコラーゲン線維は放射状に整列し、スフェロイドの下の線維は円周方向に配向または整列していた(
図4B下および4C)。この位置特異的なデュアルトポグラフィは、腫瘍スフェロイドを含まないコラーゲンゲルにおいて、または腫瘍スフェロイドを含むランダムな群において観察されず(
図4B上および4C)、ここでコラーゲンは、ガラススライド上でスフェロイドと共にゲル化された。比較すると、クエット流を用いずに重力のみによって重合されたコラーゲン線維は、スフェロイド上でより弱い放射状の整列を示した(
図4B中央、4C、および4D)。したがって、本発明者らは、後に重力を伴うクエット流が、腫瘍スフェロイドの上の放射状ゾーンにおける線維整列を有意に増強したと結論付けた。
【0105】
この位置特異的トポグラフィが腫瘍細胞の収縮性によるものではないことを実証するために、本発明者らは、腫瘍スフェロイドの代わりに200μmのガラスマイクロビーズを包埋した。本発明者らは、マイクロビーズの上の線維が放射状に整列し、マイクロビーズの下の線維が円周方向に配向または整列した、同じ位置特異的トポグラフィを見出した。この結果は、位置特異的トポグラフィが腫瘍細胞収縮性によるものである可能性を排除した(
図9Dおよび9E)。さらに、スフェロイドの上の放射状ゾーンとスフェロイドの下の円周方向ゾーンとの間に線維密度の差はなく(
図4E)、これは、腫瘍スフェロイドの下の円周方向に配向または整列したトポグラフィが、スフェロイド重量による凝集線維よりもむしろ、スフェロイドのコラーゲン線維伸長との干渉に起因する可能性が高いことを示唆している。線維伸長中の物体による線維配向の干渉は、マイクロ流体デバイス内のシリンダー形マイクロポストが流体流に誘導される線維整列を干渉した以前の研究において報告された[21]。線維密度に差がないことは、放射状ゾーンと円周方向ゾーンとの間の類似の機械的特性[49]を示唆し、また、マトリックストポグラフィが腫瘍浸潤パターンを決定する際の独立した因子として役立ち得ることを示唆する。最後に、本発明者らは、2分間のクエット流が腫瘍スフェロイドの形態および境界複雑性に影響を及ぼさないことを検証し、クエット流からの剪断力が腫瘍スフェロイドの完全性を破壊しなかったことを示した(
図4Fおよび
図9C)。本発明者らのデュアルトポグラフィ腫瘍モデルは、スフェロイドが2つの最も一般的な腫瘍ECMトポグラフィ構造と接触することを可能にし、これは、インビボ腫瘍微小環境を再現し、このモデルを、集団的癌浸潤の研究に適用可能にする。
【0106】
5.放射状に整列したECMトポグラフィは、クラスターベースの癌浸潤を促進する。
腫瘍浸潤パターンを、T47DおよびMCF7腫瘍スフェロイドと素因を有するコラーゲン線維構造との10日間の相互作用後に分析した。デュアルトポグラフィモデルにおける10日間の浸潤後のMCF7腫瘍スフェロイドの画像は、均等に分布した腫瘍スフェロイド、および放射状に整列した線維に向かう同じ浸潤パターンを示した(
図5A)。T47D細胞のSHG画像は、10日目のECMトポグラフィ(
図5B)が、0日目の素因を有するトポグラフィ(
図4B)と同様のままであることを実証した。放射状ゾーンの線維は放射状に整列した構造を保持し、円周方向ゾーンの線維は依然として円周方向に配向または整列していた。素因を有するコラーゲン線維構造の顕著なリモデリングは観察されなかった。SHG画像および共焦点画像の両方は、多細胞播種クラスターおよび指様突起が放射状に整列したコラーゲン線維に沿って侵入するが、円周方向に配向または整列した線維には侵入しないことを明らかにした(
図5Cおよび5D)。クエット流を用いずに重力のみによって重合された線維では、弱く整列した線維に沿って、より少ない多細胞播種クラスターおよび指状突起が観察された(
図5Cおよび5D)。境界複雑性分析により、クエット+重力群におけるスフェロイドは、重力のみおよびランダム群と比較して、より不規則な境界を有することが確認された(MCF7およびT47Dの両方についてp<0.0001)(
図5Eおよび5F)。乳癌スフェロイドが、円周方向に配向または整列したコラーゲン線維によって完全に取り囲まれたランダムな群において、腫瘍は、十分に分化したヒト乳癌を再現する管腔を形成した。対照的に、放射状に整列した線維に沿って腫瘍境界で観察された播種性多細胞クラスターおよび突起は、低分化乳癌の形態を再現した。
【0107】
本発明者らは、円周方向に配向したまたは放射状に整列した2つの異なるECM構造に応答するスフェロイド内形態を調べた(
図6A)。配向分析は、腫瘍スフェロイドから播種性多細胞クラスターが浸潤し、コラーゲン線維方向に沿って伸長したことを示した(
図6B)。放射状に整列した線維と相互作用する腫瘍スフェロイドの側は、より播種性の細胞クラスター(MCF7についてp<0.001およびT47Dについてp<0.01)(
図6C)を有し、そして円周方向に配向または整列した線維と相互作用する腫瘍スフェロイドの他方の側と比較して、より不規則な境界を有した(MCF7およびT47Dの両方についてp<0.0001)(
図6D)。播種性細胞クラスターにおける平均細胞数は、円周方向に配向または整列した線維(MCF7:1.43、T47D:1.35)よりも放射状に整列した線維(MCF7:3.76、T47D:3.08)において高かった(
図6E)。
【0108】
本発明者らの整列コラーゲンゲルはまた、個々の細胞挙動を調査するために適用され得る。クエット流および重力によって整列させたコラーゲンゲル中に個々の細胞として癌細胞を播種した場合、個々の細胞は、デュアルトポグラフィの代わりに整列した線維によって取り囲まれた。整列した線維中で7日間培養した後、腫瘍細胞は、デュアルトポグラフィスフェロイドモデルにおける播種性細胞クラスターと同様に、整列した線維の配向に沿って細長い多細胞クラスターを形成した(
図10)。要約すると、播種性腫瘍クラスターを有する本発明者らのデュアルトポグラフィ腫瘍スフェロイドモデルは、放射状に整列した線維に沿って浸潤し、ヒト癌における腫瘍浸潤の組織学を再現する。
【0109】
6.デュアルトポグラフィ腫瘍モデルは、腫瘍スフェロイドおよびオルガノイドの浸潤パターンを区別する。
本発明者らのデュアルトポグラフィモデルが、異なる浸潤性および転移性の可能性を有する腫瘍を区別することができるかどうかを評価するために、本発明者らは、ER/PR/HER2状態および浸潤能力が異なる乳房腫瘍スフェロイドまたはオルガノイドモデルを調査した。腫瘍スフェロイドは、T47D及びMDAMB231ヒト乳癌細胞に由来した。腫瘍オルガノイドは、マウス乳房腫瘍モデル、MMTV-PyMT[41]およびC3(1)-Tag[42]に由来した。T47Dは、luminal A(ER
+/PR
+/-/HER2
-)サブタイプを表し、低浸潤性である[50,51]。MMTV-PyMTは、luminal B(ER
+/PR
+/-/HER2
+)サブタイプを表し、中程度に浸潤性である。MDAMB231およびC3(1)-Tagは両方とも、basalトリプルネガティブ(ER
-/PR
-/HER2
-)サブタイプがインビボで高度に浸潤性であることを表す[52]。本発明者らのデュアルトポグラフィ腫瘍モデルにおける浸潤の4日後、異なるモデルからの腫瘍スフェロイド/オルガノイドは、局所線維構造に応答する異なる浸潤パターンを示した。放射状ゾーンでは、4つ全ての腫瘍スフェロイド/オルガノイドモデルが、放射状に整列した線維に沿って指様突起および播種性細胞クラスターで浸潤した(
図7Aおよび7B)。放射状ゾーンにおける線維配向は、4つ全ての腫瘍スフェロイド/オルガノイドにおいて放射状の整列を保持した(
図7C)。さらに、インビボで転移性であるMMTV-PyMT、MDAMB231、およびC3(1)-Tagスフェロイド/オルガノイドは、インビボで非転移性であるT47Dスフェロイドと比較して、有意に高い境界複雑性およびより播種性の細胞クラスターを有した(
図7Dおよび7E)。円周方向ゾーンでは、basal-like腫瘍スフェロイド/オルガノイド、MDAMB231およびC3(1)-Tagは、コラーゲン線維をリモデル化して、放射状に整列させた(
図7C)。対照的に、T47DおよびMMTV-PyMTスフェロイド/オルガノイドは、円周方向に配向または整列した構造をリモデル化することができなかった。円周方向ゾーンにおいて、MDAMB231およびC3(1)-Tagスフェロイド/オルガノイドは、T47Dスフェロイドよりも高い境界複雑性を示した(
図7D)。C3(1)-Tagオルガノイドは、T47DおよびMMTV-PyMTスフェロイド/オルガノイドよりも多くの播種性細胞クラスターを有していた(
図7E)。
【0110】
腫瘍スフェロイド/オルガノイドが、放射状に整列したトポグラフィおよび円周方向に配向したトポグラフィの両方と相互作用することを可能にすることにより、本発明者らのデュアルトポグラフィ腫瘍モデルは、異なる腫瘍がどのように局所トポグラフィに対して一意的に反応するかをさらに明らかにした。円周方向に配向または整列された側面と比較して、放射状に整列されたトポグラフィは、MMTV-PyMT、MDAMB231、およびC3(1)-Tagスフェロイド/オルガノイド、ならびにT47Dスフェロイドにおいて、境界複雑性および播種性細胞クラスター数を有意に増加させた(
図7Dおよび7E)。興味深いことに、放射状に整列したトポグラフィによって誘導されるこの増強は、4つの腫瘍スフェロイド/オルガノイドモデルの全てにおいて観察されたが、トポグラフィ誘導性の集団浸潤は、MMTV-PyMT及びMDAMB231スフェロイド/オルガノイドにおいてより有意であった(
図7F)。本発明者らは、本発明者らのデュアルトポグラフィ腫瘍モデルにおいて試験した腫瘍スフェロイド/オルガノイドのインビボ浸潤性、分子サブタイプ、およびインビトロ浸潤パターンを、
図7Gに要約する。
【0111】
考察
腫瘍を取り囲む天然の足場である細胞外マトリックス(ECM)は、癌細胞の挙動に影響を及ぼす。腫瘍とECM構造との間の相互作用を再現する容易に作製されるモデルは、ECMが腫瘍浸潤をどのように調節するかを理解し、浸潤特異的治療標的を同定することにおいて非常に興味深い。本研究において、本発明者らは、コラーゲン線維を整列させるために、各コラーゲン重合段階に特異的な異なる力を適用することによって、トポグラフィマトリックスを開発する。本発明者らの3Dデュアルトポグラフィ腫瘍モデルは、各腫瘍スフェロイドが、腫瘍間質の2つの最も一般的なトポグラフィ特徴である、放射状に整列した線維および円周方向に配向または整列した線維によって囲まれることを可能にする。
【0112】
マトリックス線維を整列させることは、ECMトポグラフィを再現する際のその広範な適用のために、過去数十年で多くの関心を集めている。適切に整列した線維は、心臓および骨格筋などの生理学的ECM足場特徴ならびに腫瘍微小環境における病理学的特徴を表す。しかしながら、線維を整列させる以前の方法は、3D腫瘍スフェロイドモデルとしてのそれらの適用において制限を有する(以下の表1を参照されたい)。線維芽細胞誘導歪みによってコラーゲン線維を整列させる細胞収縮法は、標的細胞を播種する前に線維芽細胞の脱細胞化を必要とする[18、19]。脱細胞化工程はまた、製造プロセスを時間のかかるものにし、ゲル中に潜在的な細胞毒性を誘発する。エレクトロスピニングは、天然および人工材料から作製された整列した線維を生成するために広く使用されているが[53]、嵩高い機械および細胞毒性架橋剤を必要とする[54、55]。また、密に圧縮された電気紡績された線維足場の細孔径は、腫瘍スフェロイドを包埋するには小さすぎる[56]。腫瘍スフェロイドは、マトリックストポグラフィに接触する限られた数の細胞を有する線維シート表面上にのみ播種され得る。塩浸出[57]および犠牲線維[58]などの、電界紡糸線維間の細孔サイズを増加させるために使用される技術は、材料特性を変化させ得る。線維の集合方向を誘導するために外部磁場によって引っ張られるコラーゲンゲルに埋め込まれた磁気ビーズは、線維を整列させるための別の方法である[29]。しかしながら、磁気ビーズの細胞毒性および自己蛍光は、腫瘍モデルとしてのそれらの適用を減少させる[59]。流体流は、線維を整列させるために一般的に適用される別の方法である[31~33]。マイクロ流体デバイス内の層流によって生成される剪断力は、線維の異方性伸長を制御するのに役立つ[32]。しかしながら、マイクロスケールチャネル内の流れは、腫瘍スフェロイドによって著しく妨害される場合があり、腫瘍スフェロイドモデルとしてのマイクロ流体の使用を制限する。最後に、伸長歪み法は高度に整列したコラーゲンシートを生成するが、コラーゲン層は薄膜上にコーティングされる。腫瘍スフェロイドは、そのような薄いコラーゲン層上に3Dモデルを作製するために包埋することができない[24、60]。重合コラーゲンゲル中の回転鍼治療針によって駆動される伸張歪みは、針を中心として放射状に整列した線維を生成する[61、62]。しかしながら、高度に整列した線維は、針に近い領域にのみ見られる。線維の方向性は、針からの距離とともに減少し、均一な整列を困難にする[62]。本発明の3Dデュアルトポグラフィシステムは、これらの従来の方法の限界を克服するいくつかの利点を有する。第1に、線維整列を強化するために適用される段階特異的な力は、時間遅延またはデバイス間のサンプル移送なしに、同じデバイス内で達成される。第2に、本発明者らの方法は、追加の試薬または重合後処理を必要とせず、したがって、異方性の整列した原線維を有する細胞傷害性のない大規模コラーゲンゲルを迅速に生成することができる。第三に、同軸回転シリンダーシステムは、予め播種性腫瘍スフェロイドが、線維構造を損傷することなく、素因のある構造によって直接取り囲まれることを可能にする。さらに、整列したコラーゲンゲルを製造するための本発明者らの方法はまた、癌研究を超えて適用され得る。例えば、本発明者らのアプローチは、整列した構造が必要とされる大規模な組織工学において、または心血管系などの管状器官を再現することにおいて可能性を有する。
【0113】
3Dヒドロゲルモデル[18、34]または準3Dトポグラフィ基質[63、64]に基づく研究は、放射状に整列したマトリックストポグラフィが腫瘍浸潤および遊走を増強することを報告した。しかし、これらのモデルにおいて、腫瘍スフェロイドは、ヒト癌における腫瘍浸潤の独特の組織学的パターンである、素因を有するマトリックス構造によって密接に取り囲まれていなかった。例えば、腫瘍浸潤は、制限された領域にのみ予め整列されたコラーゲン線維を有するヒドロゲルモデルにおいて、MCF7およびT47D細胞などの弱浸潤性乳房腫瘍では観察されなかった[20]。最近の研究[65]では、MCF7スフェロイドは、高密度コラーゲン、コラーゲンと培養皿との間の界面、線維芽細胞に富む高密度コラーゲン、およびランダムに配向した低密度コラーゲン(1.6mg/ml)中のレーザー照射マイクロトラックに浸潤した。以前の研究[65]および本発明者らの本研究の両方において、ECM微小構造に応答した癌浸潤を研究するためにガイダンスキューが提示される。以前の研究は、高いECM閉じ込めが細胞間結合をレスキューし、集合的浸潤をもたらすことを示すために、閉じ込められた空間を生成することに焦点を当てている[65]。比較すると、本発明者らの3Dモデルは、2つの異なる素因のあるECM構造、すなわち、放射状に整列した線維および円周方向に配向または整列した線維によって特徴付けられ、腫瘍マトリックストポグラフィが、高浸潤性乳房腫瘍および弱浸潤性乳房腫瘍の両方の癌浸潤における決定因子であることを実証する。さらに、癌細胞は、剛性などの局所的な機械的特性と反応することが知られている[66]。本発明者らのモデルは、各腫瘍スフェロイド/オルガノイドを、同じゲル内の同じ局所線維密度で2つの異なるECM構造と直接接触させて配置する。これは、トポグラフィにより誘導される集団的な癌浸潤の直接的な証拠を提供する。
【0114】
最近の研究は、腫瘍が、E-カドヘリン発現を保持することによって多細胞クラスターとして浸潤して、より多くの転移性の可能性を有することを明らかにした[67~69]。ヒト癌の組織病理学において、腫瘍クラスター播種または腫瘍出芽は、通常、4個または5個未満の腫瘍細胞の細胞クラスターが主腫瘍から分裂することによって定義される[70]。腫瘍出芽は、乳癌[71]、結腸直腸癌[70]、膵臓癌[72]、胃癌[73]、および他の癌タイプ[74、75]における予後不良、より大きな腫瘍サイズ、頻繁なリンパ節転移、および遠隔転移と相関する。より重要なことに、最近の前向き無作為化対照研究は、腫瘍出芽を有するがん患者が、追加の術後化学療法と比較して手術単独で処置された場合に有意により高い腫瘍再発率を有することを報告した[76]。これらの知見は、癌患者のための処置戦略を決定する際の播種性腫瘍クラスターの臨床的意味を示す。
【0115】
整列した乳房腫瘍間質における腫瘍クラスターの播種は転移前駆体であるが、播種性腫瘍クラスターの形成の機構は不明である。部分的な上皮間葉移行(EMT)は、腫瘍出芽の一般的に認められた機構である[77]。完全なEMTを経る代わりに、癌細胞は、上皮細胞および間葉細胞の両方の特徴を保持する可塑性を有し、小さな細胞クラスターとして浸潤する[77]。本発明者らの現在の研究は、放射状に整列したトポグラフィが、乳癌のluminal A(T47D)、luminal A(MMTV-PyMT)、及びbasal(MDAMB231及びC3(1)-Tag)サブタイプにおける腫瘍クラスターの播種を促進する外部の生物物理学的な合図として作用することを実証する。間葉型腫瘍細胞において、高密度のECMは、細胞ジャミングを引き起こし、クラスター形成を促進した[78]。しかしながら、本発明者らのデュアルトポグラフィモデルでは、放射状に整列した線維と円周方向に配向または整列した線維の両方が同じゲル内にあり、同じ線維密度を有する。したがって、ECMトポグラフィは、上皮型癌および間葉型癌の両方において、集団的な細胞浸潤および細胞クラスターの播種を推進する際の独立した因子であり得、EMTまたは細胞ジャミング以外の異なる機構を有し得る。いくつかの可能な機構としては、細胞収縮性のRho/ROCKシグナル伝達、EMTとは別の細胞間接着調節、または細胞-マトリックス相互作用に関与するインテグリンのメカノトランスダクションが挙げられる。Rho/ROCKシグナル伝達媒介細胞収縮性は、腫瘍が周囲のマトリックス線維を整列させるために必須の役割を果たすことが示された[17、79]。しかし、線維がリモデル化された後、整列した線維におけるMDAMB231細胞の浸潤は、もはやRho/ROCK媒介性収縮性を必要としない[17]。予め整列された線維におけるT47DおよびMCF7などの弱浸潤性腫瘍の浸潤がRho/ROCKシグナル伝達と無関係であるかどうかは明らかではない。集団の群発性伝播の別の機構は、発生経路の活性化である。プラコグロビン[68]、ケラチン14[69]、またはCD44アップレギュレーション[80]による接着分子の再獲得発現は、腫瘍細胞を一緒に保持し、循環中の腫瘍クラスターの生存を増加させる。ECM線維における癌細胞浸潤はまた、細胞とコラーゲン線維との間のインテグリン調節性相互作用によって広範に影響を受ける[81]。細胞-細胞接着または細胞-マトリックス接着が、トポグラフィ誘導性の集団浸潤を媒介するかどうか、およびどのように媒介するかは、まだ知られていない。これらの未解決の問題は、トポグラフィ誘導性腫瘍クラスター播種の機構を解明するためのインビボ様プラットフォームとしての本発明者らの新しい3Dモデルを強化する。
【0116】
本発明者らは、腫瘍スフェロイドが、2つの共通の素因のある腫瘍ECM構造、放射状に整列したおよび円周方向に配向または整列したコラーゲン線維によって囲まれている3Dデュアルトポグラフィ腫瘍モデルを製作するための迅速かつ再現可能な方法を開発した。放射状に整列したトポグラフィは、主な腫瘍から分離した多細胞クラスターの播種を促進し、これは、インビボでの癌浸潤を再現する。本発明者らの3D腫瘍モデルは、腫瘍浸潤を調査し、転移に対する治療標的を同定するための実行可能な実験プラットフォームである。
【0117】
実施例2:マルチウェルプレートを有する同軸回転シリンダーシステムの設計および組み立て
本発明の同軸回転シリンダーシステムは、3Dプリントモーターホルダと、モーターと、モーターシャフト用の3Dプリントコネクタと、内側シリンダーとしてのプラスチックチューブと、マルチウェルプレートとを備える。マルチウェルプレートの各ウェルは、外側シリンダーとして機能する。モーターホルダとコネクタは、内側シリンダーと外側シリンダーを同心円状に整列させる。内側ガラスシリンダーの回転は、直流6ボルト500回転/分(rpm)のマイクロ減速モーターによって動力を供給され、回転速度は、パルス幅変調無段直流モーター調速機によって制御された。プラスチックは、カスタマイズされた3Dプリントコネクタによってモーターシャフトに接続された。3Dプリント部品は、Autodesk Inventorソフトウェア(Autodesk、USA)を使用して設計し、デスクトップ3Dプリンタによってアクリロニトリルブタジエンスチレンフィラメントでプリントした。同心円状に整列させた後、小さい方の内側シリンダーを大きい方の外側シリンダーの中心の内側に配置し、コラーゲンゲル化のために2つのシリンダーの間に空の環状部を残した。
【0118】
整列した線維を有するコラーゲンマトリックスの製造
コラーゲンマトリックスは、I型ラット尾部テロコラーゲン溶液と中和溶液を9:1の比で混合することによって調製した(RatCol(登録商標)Rat Tail Collagen for 3D Hydrogels, Advanced BioMatrix、USA)。2つのシリンダー間の空の環状部の間に添加されるコラーゲンの容量は、マルチウェルプレート中の各ウェルの容量に従って調節可能である。50rpmでの内側シリンダーの2分間の回転を適用して、ガラス表面上でのコラーゲンモノマー核形成のためのクエット流を生成し、続いて、重力がコラーゲン線維の伸長を導くために、静止状態で20分間ゲル化させた。コラーゲンは室温で重合された。
【0119】
実施例3:複数の同軸シリンダーを有する好ましいマルチウェルフォーマット
図11は、好ましいマルチウェルフォーマットシステムを示す。
図11A:マルチウェルシステムにおける同軸シリンダーのセットである。マルチウェルシステムにおいて、マルチウェルプレートの各ウェルは外側シリンダーとして機能し、プラスチックチューブは内側シリンダーとして機能する。内側プラスチックチューブの回転は、段階特異的な力誘導法によってコラーゲン線維を整列させる。
図11B~11Cは、同軸シリンダーシステムの(B)モーターホルダおよび(C)モーターシャフトのためのコネクタのコンピュータ支援設計を示す。
図11Dは、3Dプリントされたモーターホルダ、モーター、モーターシャフトのためのコネクタ、内側シリンダーとしてのプラスチックチューブ、および24ウェルプレートからなるマルチウェル同軸シリンダーシステムの代表的な画像を示す。内側シリンダーと外側シリンダーは、モーターホルダとコネクタによって同心円状に位置合わせされる。
図11E:多光子第二高調波発生画像は、24ウェルマルチウェル同軸シリンダーシステムによって生成された整列したコラーゲン線維を示す。
図11F:コラーゲン線維の角度頻度分布は、約90°のピーク配向を有する高度に整列したコラーゲン線維を示す。赤線は、平均合成ベクトルの大きさおよび方向を表す。
図11G:96ウェル同軸シリンダーシステム用に設計されたモーターホルダのコンピュータ支援設計である。
【0120】
実施例4:
患者由来の膵臓がんオルガノイドに対する開示された3D生体模倣腫瘍モデル。3D生体模倣腫瘍モデルでは、各患者由来の膵臓がんオルガノイドは、一方の側では放射状に整列した線維によって、反対側では円周方向に配向または整列した線維によって囲まれている。3D生体模倣腫瘍モデルを示す、放射状の側面と円周方向に配向または整列した線維の対向する側面との間の異なる浸潤パターンは、患者由来の腫瘍オルガノイドの浸潤パターンを分析するために使用することができる。
【0121】
実施例5:薬物スクリーニング
腫瘍学薬物に対する癌細胞応答に対するECMトポグラフィの効果を試験するために、本発明者らは、薬物スクリーニングのためのデュアルトポグラフィ腫瘍オルガノイドマルチウェルシステムを使用する。最初に、腫瘍オルガノイドを混合し、コラーゲンプレゲル溶液内に1:9:1の比で一緒に播種し(培養培地中の腫瘍オルガノイド1部、I型コラーゲン溶液9部、および中和緩衝液1部)(RatCol(登録商標)Rat Tail Collagen for 3D Hydrogels, Advanced BioMatrix、USA)、2つの同軸シリンダー間の空間に注ぐ。次いで、内側シリンダーの回転によって駆動される2分間の層状クエット流、続いて20分間の重力駆動線維伸長が、室温でコラーゲンを重合する。次に、腫瘍オルガノイドを包埋した得られたチューブ状コラーゲンゲルを切断し、広げて、デュアルトポグラフィ腫瘍モデルを形成する。最後に、マルチウェルシステムの各ウェル内のゲルを通常のマルチウェルプレートに移す。薬物ライブラリー中の各薬物を、自動同時ピペッター(CyBi-well 96-Channel Simultaneous Pipettor, CyBio, Germany)によって適切なウェルに分配および希釈して、培養培地中1μMの最終濃度を得る。72時間の薬物処理後、マイクロプレートリーダー(CLARIOstar Plus, BMG Labtech, Germany)上でPrestoBlue HS細胞生存率試薬(Thermo Fisher Scientific, USA)を使用して細胞生存率を評価した。全ての薬物は、細胞生存率のZスコアによってランク付けされ、トポグラフィ誘導性癌細胞播種を最も阻害する薬物ヒットを選択する。
【0122】
実施例6:
2人の異なる患者からの膵管腺癌オルガノイドを作製した。結果を*に示す。
【0123】
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【0124】
表1.素因を有するECM構造を有する以前の腫瘍モデル
【表1】
【0125】
他の実施形態
本発明をその詳細な説明と併せて説明してきたが、前述の説明は、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲を例示することを意図しており、限定することを意図していない。他の態様、利点、および修正は、以下の特許請求の範囲内にある。
【0126】
本明細書で言及される特許および科学文献は、当業者に利用可能な知識を確立する。本明細書で引用される全ての参考文献、例えば、米国特許、米国特許出願公開、米国を指定するPCT特許出願、公開された外国特許および特許出願は、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。本明細書に引用されるアクセッション番号によって示されるGenbankおよびNCBIの提出物は、参照により本明細書に組み込まれる。本明細書に引用される他の全ての公開された参考文献、文書、原稿および科学文献は、参照により本明細書に組み込まれる。矛盾する場合には、定義を含む本明細書が支配する。さらに、材料、方法、および実施例は、例示的なものにすぎず、限定することを意図したものではない。
【0127】
本発明は、その好ましい実施形態を参照して具体的に示され、記載されているが、添付の特許請求の範囲によって包含される本発明の範囲から逸脱することなく、形態および詳細における種々の変更がなされ得ることが当業者によって理解される。
【国際調査報告】