(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-24
(54)【発明の名称】ピクセル間基板分離
(51)【国際特許分類】
H01L 27/146 20060101AFI20240517BHJP
H01L 27/144 20060101ALI20240517BHJP
【FI】
H01L27/146 A
H01L27/144 K
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023574526
(86)(22)【出願日】2022-06-02
(85)【翻訳文提出日】2024-01-22
(86)【国際出願番号】 US2022032026
(87)【国際公開番号】W WO2022256576
(87)【国際公開日】2022-12-08
(32)【優先日】2021-06-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516144164
【氏名又は名称】クアンタム-エスアイ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】QUANTUM-SI INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】ウェブスター、エリック エイ.ジー.
【テーマコード(参考)】
4M118
【Fターム(参考)】
4M118AA09
4M118AB01
4M118AB04
4M118BA09
4M118CA04
4M118FA26
4M118FA27
4M118FA38
4M118GA08
4M118GA09
4M118GC20
4M118GD11
4M118GD15
4M118HA30
(57)【要約】
本開示に記載された技術の態様は、半導体ベースのイメージセンサ設計の向上に関する。いくつかの実施形態において、集積回路は、複数の光検出領域と、複数の光検出領域間における1つまたは複数の中間領域とを含み得る。いくつかの実施形態において、中間領域は、中間領域から各光検出領域に関連するドレイン領域へのノイズ電荷キャリアの伝送を促進するバルク半導体材料を含み得る。いくつかの実施形態において、ドレイン装置は、中間領域および光検出領域からドレイン領域への電荷キャリアの流れを制御するゲートを備えて構成され得る。いくつかの実施形態において、集積回路は、ピクセルのアレイと、ピクセルのアレイにおける電荷キャリアの伝送を制御するように構成された制御回路とを含み得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
集積回路であって、
表面と、
第1の光検出領域と、
第2の光検出領域と、
前記第1の光検出領域と前記第2の光検出領域との間に位置する中間領域と、
を備え、
前記第1の光検出領域、前記第2の光検出領域、および前記中間領域は前記表面に沿って配置されており、前記中間領域がバルク半導体材料を含む、集積回路。
【請求項2】
前記中間領域は、前記表面から離れる方向に、少なくとも前記表面から離れる方向における前記第1および第2の光検出領域の最遠端まで延在している、請求項1に記載の集積回路。
【請求項3】
前記中間領域は低濃度ドープされている、請求項1または2に記載の集積回路。
【請求項4】
前記表面は前記第1の光検出領域から前記第2の光検出領域まで連続している、請求項1~3のうちのいずれか一項に記載の集積回路。
【請求項5】
前記中間領域は、前記第1の光検出領域と前記第2の光検出領域との間の実質的に全空間を占有している、請求項1~4のうちのいずれか一項に記載の集積回路。
【請求項6】
前記第1の光検出領域を含むピクセルをさらに備え、
前記ピクセルは、7.5マイクロメートル×5マイクロメートル以下の面積を有する、請求項1~5のうちのいずれか一項に記載の集積回路。
【請求項7】
第1のドレイン領域と、
前記第1の光検出領域に電気的に結合された第1のドレイン装置と、
をさらに備え、
前記第1のドレイン装置および前記中間領域は、前記中間領域から前記第1のドレイン領域に電荷キャリアを流すように構成されている、請求項1~6のうちのいずれか一項に記載の集積回路。
【請求項8】
前記第1のドレイン装置に電気的に結合され、少なくとも前記第1の光検出領域から前記第1のドレイン領域への電荷キャリアの伝送を制御するように構成されたドレイン伝送ゲートをさらに備える請求項7に記載の集積回路。
【請求項9】
集積回路であって、
第1の光検出領域と、
第2の光検出領域と、
前記第1の光検出領域と前記第2の光検出領域との間の中間領域と、
第1のドレイン領域と、
前記第1の光検出領域に電気的に結合された第1のドレイン装置と、
を備え、
前記第1のドレイン装置および前記中間領域は、前記中間領域から前記第1のドレイン領域に電荷キャリアを流すように構成されている、集積回路。
【請求項10】
第2のドレイン領域と、
前記第2の光検出領域に電気的に結合された第2のドレイン装置と、
をさらに備え、
前記第2のドレイン装置および前記中間領域は、前記中間領域から前記第2のドレイン領域に電荷キャリアを流すように構成されている、請求項9に記載の集積回路。
【請求項11】
前記第1のドレイン装置、前記第2のドレイン装置、および前記中間領域は、前記中間領域に位置する実質的に全電荷キャリアを前記第1のドレイン領域と前記第2のドレイン領域とのうちの少なくとも一方に流すように構成されている、請求項10に記載の集積回路。
【請求項12】
前記第1のドレイン装置に電気的に結合され、少なくとも前記第1の光検出領域から前記第1のドレイン領域への電荷キャリアの伝送を制御するように構成されたドレイン伝送ゲートをさらに備える請求項9~11のうちのいずれか一項に記載の集積回路。
【請求項13】
前記第1の光検出領域と前記第2の光検出領域とを分離するトレンチ分離が存在しない、請求項9~12のうちのいずれか一項に記載の集積回路。
【請求項14】
前記第1の光検出領域と前記第2の光検出領域との間に位置する高濃度ドープ領域が存在しない、請求項9~13のうちのいずれか一項に記載の集積回路。
【請求項15】
前記第1の光検出領域と前記第1のドレイン領域とを含むピクセルを更に備え、
前記ピクセルは、7.5マイクロメートル×5マイクロメートル以下の面積を有する、請求項12に記載の集積回路。
【請求項16】
前記第1の光検出領域は、前記第1の光検出領域の第1の側において入射光子を受光するように構成されており、
前記ドレイン装置は、前記第1の側とは反対側の、前記第1の光検出領域の第2の側に位置している、請求項9~15のうちのいずれか一項に記載の集積回路。
【請求項17】
集積回路を製造する方法であって、
表面を形成すること、
第1の光検出領域を形成すること、
第2の光検出領域を形成すること、
前記第1の光検出領域と前記第2の光検出領域との間に位置する中間領域を形成すること、
を備え、
前記第1の光検出領域、前記第2の光検出領域、および前記中間領域は前記表面に沿って配置されており、前記中間領域がバルク半導体材料を含み、製造時の前記集積回路において前記中間領域は前記表面に隣接している、方法。
【請求項18】
前記集積回路の第1のドレイン領域を形成すること、
前記第1の光検出領域に電気的に結合された第1のドレイン装置を形成すること、
をさらに備え、
前記第1のドレイン装置は、前記中間領域から前記第1のドレイン領域に電荷キャリアを流すように構成されている、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記第1の光検出領域を形成することは、前記第1の光検出領域に不純物を注入することを含み、前記第2の光検出領域を形成することは、前記第2の光検出領域に不純物を注入することを含む、請求項17または18に記載の方法。
【請求項20】
前記中間領域は、前記表面から離れる方向に、少なくとも前記表面から離れる方向における前記第1および第2の光検出領域の最遠端まで延在している、請求項17~19のうちのいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記中間領域は、前記第1の光検出領域と前記第2の光検出領域との間における実質的に全空間を占有している、請求項17~20のうちのいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記中間領域は、CMOSプロセス開始時に存在するエピタキシャルシリコン材料から本質的に構成されている、請求項17~21のうちのいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、サンプル分析のために何万ものサンプルウェルに対してより同時に短光パルスを提供するとともにサンプルウェルからの蛍光信号を受け取ることによって、サンプルの超並列分析を行うことを可能にした集積装置および関連する機器に関する。機器はポイント・オブ・ケア遺伝子シークエンシングおよび個人化医療に有用とすることができる。
【背景技術】
【0002】
光検出器は、様々な用途において光を検出するために使用される。集積化光検出器は、入射光の強度を示す電気信号を生成するものとして開発されている。画像形成用途のための集積化光検出器は、ある領域を横切って受け取られる光の強度を検出するための画素のアレイを含む。集積化光検出器の例としては、電荷結合素子(CCD)および相補型金属酸化膜半導体(CMOS)イメージセンサが挙げられる。
【0003】
生体サンプルまたは化学的サンプルの超並列分析が可能である機器は、通常、研究室の環境に限定されている。これは、それらが大型で持ち運びができないこと、機器を操作するために熟練した技術者を必要とすること、動力の必要性、管理された動作環境の必要性、およびコストを含み得るいくつかの要因のためである。サンプルがそのような設備を使用して分析される場合、一般的なパラダイムは、臨床または現場においてサンプルを抽出し、サンプルを研究室に送り、分析結果を待つことである。結果の待ち時間は、数時間から数日に及ぶ可能性がある。
【発明の概要】
【0004】
本開示のいくつかの態様は、集積回路に関し、集積回路は、表面と、第1の光検出領域と、第2の光検出領域と、前記第1の光検出領域と前記第2の光検出領域との間に位置する中間領域とを備える。前記第1の光検出領域、前記第2の光検出領域、および前記中間領域は前記表面に沿って配置されており、前記中間領域はバルク半導体材料を含む。
【0005】
本開示のいくつかの態様は、集積回路に関し、集積回路は、第1の光検出領域と、第2の光検出領域と、前記第1の光検出領域と前記第2の光検出領域との間の中間領域と、第1のドレイン領域と、前記第1の光検出領域に電気的に結合された第1のドレイン装置とを備える。前記第1のドレイン装置および前記中間領域は、前記中間領域から前記第1のドレイン領域に電荷キャリアを流すように構成されている。
【0006】
本開示のいくつかの態様は、集積回路を製造する方法に関し、方法は、表面を形成すること、第1の光検出領域を形成すること、第2の光検出領域を形成すること、前記第1の光検出領域と前記第2の光検出領域との間に位置する中間領域を形成することを備える。前記第1の光検出領域、前記第2の光検出領域、および前記中間領域は前記表面に沿って配置されており、前記中間領域はバルク半導体材料を含む。製造時の前記集積回路において前記中間領域は前記表面に隣接している。
【0007】
以上の概要は限定することを意図していない。また、種々の実施形態は本開示の任意の態様を単独または組み合わせにて含み得る。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1-1】
図1-1は、いくつかの実施形態による集積装置の部分概略図である。
【
図1-2A】
図1-2Aは、いくつかの実施形態による
図1-1の集積装置のピクセル行の部分概略図である。
【
図1-2B】
図1-2Bは、いくつかの実施形態による
図1-2Aに部分的に示されたピクセル行の断面の側面図である。
【
図1-3A】
図1-3Aは、いくつかの実施形態による
図1-2Aに部分的に示されたピクセル行の部分概略図であって、複数のコンタクトをさらに示す図である。
【
図1-3B】
図1-3Bは、いくつかの実施形態による
図1-3Aに部分的に示されたピクセル行の断面の側面図である。
【
図1-4】
図1-4は、いくつかの実施形態による
図1-2Aに部分的に示されたピクセル行内のピクセルの光検出領域の拡大図である。
【
図1-5】
図1-5は、いくつかの実施形態による
図1-1の集積装置に含まれ得る別のピクセル行の部分概略図である。
【
図1-6A】
図1-6Aは、いくつかの実施形態による
図1-1の集積装置に含まれ得るさらに別のピクセル行の部分概略図である。
【
図1-6B】
図1-6Bは、いくつかの実施形態による
図1-6Aに部分的に示されたピクセル行の断面の側面図である。
【
図1-6C】
図1-6Cは、いくつかの実施形態による
図1-6Aに部分的に示されたピクセル行の他の断面の側面図である。
【
図1-7】
図1-7は、いくつかの実施形態による別の集積装置の部分概略図である。
【
図2-1A】
図2-1Aは、いくつかの実施形態による集積装置および機器のブロック図である。
【
図2-1B】
図2-1Bは、いくつかの実施形態による小型モードロックレーザモジュールを含む分析機器のブロック図の図解である。
【
図2-1C】
図2-1Cは、分析機器に組み込まれたいくつかの実施形態による小型モードロックレーザモジュールを示す図である。
【
図2-2】
図2-2は、いくつかの実施形態による光パルスのトレインを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の特徴および利点は、図面とともに、以下に記載する詳細な説明からより明かになり得る。図面を参照して実施形態を説明するとき、方向の参照(「上」、「下」、「頂部」、「底部」、「左」、「右」、「水平」、「垂直」など)を使用することがある。このような参照は、通常の向きで図面を見る読者の助けとなることのみが意図される。これらの方向の参照は、具現化される装置の特徴部の好適な向きまたは唯一の向きを記述することが意図されているわけではない。装置は他の向きを使用しても具現化することができる。
【0010】
[I.序論]
本開示の態様は、単一の分子の同定および核酸シークエンシングを含む、サンプルを並列に分析可能な集積装置、機器、および関連システムに関する。そのような機器は小型であり、持ち運びが容易であり、容易な操作が可能であり、医師または他の提供者が機器を容易に使用することを可能にし、ケアが必要とされ得る所望の場所まで機器を輸送することを可能にする。サンプルの分析は、サンプルを1つまたは複数の蛍光マーカでラベリングすることを含み得る。これは、サンプルを検出するためおよび/またはサンプルの単一分子を同定する(例えば、核酸シークエンシングの一部としての個々のヌクレオチド同定する)ために使用され得る。蛍光マーカは、励起光(例えば、蛍光マーカを励起状態に励起し得る特性波長を有する光)で蛍光マーカを照射することに応答して励起され得る。蛍光マーカが励起されると、蛍光マーカは、放出光(例えば、励起状態から基底状態に戻ることによって蛍光マーカによって放出される特性波長を有する光)を放出する。放出光の検出は、発光、蛍光マーカ、したがって、蛍光マーカによってラベリングされたサンプルまたはサンプルの分子の同定を可能にし得る。いくつかの実施形態によれば、機器は、大規模並列サンプル分析が可能であってもよく、数万個以上のサンプルを同時に取り扱うように構成され得る。
【0011】
本発明者らは、集積装置と、その集積装置とインターフェース接続するように構成された機器とを使用して、この数のサンプルの分析を達成できることを認識し理解した。集積装置は、サンプルを受容するように構成されたサンプルウェルと、集積装置上に形成された集積光学系とを有する。機器は、1つまたは複数の励起光源を含み得る。集積装置は、集積装置上に形成された集積光学構成要素(例えば、導波路、光カプラ、光学スプリッタ)を使用して励起光がサンプルウェルに送達されるように機器とインターフェース接続され得る。光学構成要素は、集積装置のサンプルウェル間の照射の均一性を改善することができ、他の場合に必要となり得る多数の外部の光学構成要素を減らすことができる。さらに、本発明者らは、集積装置上に光検出領域(例えば、フォトダイオード)を集積させることでサンプルウェルからの蛍光放出の検出効率を高め、他の場合に必要となり得る集光構成要素の数を減らすことができることを認識し理解した。
【0012】
いくつかの実施形態において、集積装置は、サンプルウェルからの蛍光放出光子を受け取り、蛍光放出光子を受け取ることに応答して、電荷キャリアを生成し1つまたは複数の電荷蓄積領域に電荷キャリアを伝送するように構成され得る。例えば、光検出領域は、光軸に沿って蛍光放出電荷キャリアを受け取るように集積装置上に配置され得る。また、光検出領域は、蛍光放出電荷キャリアに応答して光検出領域が生成した電荷キャリアを電荷蓄積領域が収集し得るように、電気軸に沿って1つまたは複数の電荷蓄積領域(例えば、蓄積ダイオード)に結合され得る。いくつかの実施形態において、収集期間中に電荷蓄積領域は光検出領域から電荷キャリアを受け取り、個別の読み出し期間中に電荷蓄積領域は蓄積された電荷キャリアを処理のために読み出し回路に提供し得る。いくつかの実施形態において、集積装置は、後の読み出しのために、光検出領域から電荷蓄積領域への電荷キャリアの伝送を制御する1つまたは複数の伝送ゲートにおいて1つまたは複数の制御信号を受信するように構成され得る。
【0013】
集積装置に到達し得る励起電荷キャリアと比較して蛍光放出電荷キャリアの量が相対的に少ないことに起因して、電荷蓄積領域にて蛍光放出電荷キャリアを収集する際に課題が生じる。例えば、励起源からの励起光子が光検出器に到達し得るとともに、それらが電荷蓄積領域に到達した場合には蛍光放出電荷キャリアと区別できないノイズ電荷キャリアを生成し得る。したがって、励起光子は、光検出器において、検出された蛍光放出にノイズを加え得る。
【0014】
いくつかの実施形態において、(例えば、収集期間に先行する)廃棄期間中に、集積装置のドレイン領域は、例えば光検出領域から廃棄用のノイズ電荷キャリア(例えば、入射励起光子に応答して生成された励起電荷キャリア)を受け取り得る。例えば、ノイズ電荷キャリアは、直流(DC)電圧源に伝導し得る。いくつかの実施形態において、集積装置のドレイン領域は、ドレイン電荷伝送チャネルによって光検出領域に結合され得る。いくつかの実施形態において、集積装置は、光検出領域からドレイン領域への電荷キャリアの伝送を制御するドレインゲートにてドレイン制御信号を受信するように構成され得る。いくつかの実施形態において、集積装置は、廃棄期間と、電荷蓄積領域が少なくとも光検出領域からの蛍光放出電荷キャリアを受け取り得る収集期間と、電荷蓄積領域が蓄積された電荷キャリアを処理のために読み出し回路に供給し得る読み出し期間とを含む収集シーケンスを実行するように構成され得る。
【0015】
本発明者らは、隣接する光検出領域が互いに悪影響を及ぼし合うことを防止するべく、隣接する光検出領域間、例えば隣接するピクセルの隣接する光検出領域間に十分な電気的分離を提供することの重要性を認識した。例えば、光検出領域は、光検出領域同士の空乏領域が重なり合って光検出領域間に望ましくない電流経路を形成するパンチスルーによって、隣接する光検出領域に悪影響を及ぼし得る。しかしながら、本発明者らは、シャロートレンチ分離(STI)および/または光検出領域とは反対のドーピング型の中程度濃度から高濃度にドープされた領域(例えば、低閾値電圧pウェル)などの、光検出領域間の電気的分離を達成するために一般的に使用されている技術が、廃棄期間中に、隣接する光検出領域間の中間領域からノイズ電荷キャリアを効果的に除去することを妨げ得ることを発見した。本発明者らは、廃棄期間中、1つまたは複数の光検出領域に入射した電界がSTIおよび/または中程度濃度から高濃度にドープされた分離領域の下または近くの領域に広がらず、かなりの数のノイズ電荷キャリアが光検出領域間にとどまることを認識した。ノイズ電荷キャリアが除去できない場合、収集および読み出し期間中に得られる信号が劣化し得る。例えば、ノイズ電荷キャリアは、光検出領域を越えて移動し、および/または電荷蓄積領域などのピクセル内の望ましくない場所に到達し得る。これが緩和されない場合、ノイズ電荷キャリアは、ピクセルからの電荷読み出しの精度に影響を与え得る。
【0016】
上記問題を解決するために、本発明者らは、ノイズ電荷キャリアが電荷蓄積領域に到達することを防ぐための技術を開発した。例えば、蛍光放出電荷キャリアがピクセルに到達する前に、励起光子に応答して生成される励起電荷キャリアがノイズとして電荷蓄積領域に搬送されることを防止するべく、その励起電荷キャリアをできるだけ多く光検出領域から、および光検出領域間の中間領域から廃棄することが望ましい。そこで、本発明者らは、光検出領域の空乏領域を横方向に拡張することにより、光検出領域が、その光検出領域を越えて電荷キャリアに影響を及ぼすことを可能にする技術を開発した。例えば、光検出領域に印加された電界は、隣接する光検出領域間の領域および/または隣接するピクセル間の領域内の電荷キャリアに力を及ぼしてその電荷キャリアをピクセル内のドレイン領域に移動させる。また、これらの技術は、隣接する光検出領域間の十分な分離を可能にして、関心のある蛍光信号の検出に有用な電圧でのパンチスルーを防止する。いくつかの実施形態では、バルクシリコン(例えば、CMOSプロセス開始時に存在するエピタキシャルシリコン材料)は、以下に説明するように低濃度ドープされているだけであり、隣接する光検出領域間の中間領域に使用される。いくつかの実施形態では、各ピクセルは、光検出領域を有する。このように、本発明者らは、光検出領域間の領域の電荷キャリアに電界が作用することを抑制してノイズ電荷キャリアの廃棄を抑制する分離技術を回避するものとした。
【0017】
本明細書で説明される集積装置は、本明細書で説明されるいずれかの技術または複数の技術を単独でまたは組み合わせた状態で組み込み得る。なお、実施形態は限定されるものでなく、本開示の技術の範囲から逸脱することなしに本明細書に記載のピクセルの少なくともいくつかの部分においてSTIバリアを使用してもよい。
【0018】
[II.例示的な集積装置の概要]
図1-1には、ピクセル1-112の行を例示する集積装置1-102の概略断面図が示されている。集積装置1-102は、結合領域1-201、ルーティング領域1-202、およびピクセル領域1-203を含み得る。結合領域1-201は、励起光源からの入射励起光を受け取るように構成され得る。ルーティング領域1-202は、結合領域1-201からピクセル領域1-203に励起光を供給するように構成され得る。ピクセル領域1-203は、結合領域1-201から離れた位置の表面に位置する複数のサンプルウェル1-108を含み得る。例えば、結合領域1-201は、1つまたは複数の格子カプラ1-216を含み得る。ルーティング領域1-202は、1つまたは複数のサンプルウェル1-108下において1つまたは複数の格子カプラ1-216からの光を伝搬するように構成された1つまたは複数の導波路1-220を含み得る。例えば、1つまたは複数の導波路1-220からの励起光のエバネッセント結合により1つまたは複数のサンプルウェル1-108内のサンプルが励起されて蛍光放出される。
【0019】
図1-1に示されるように、1つまたは複数の導波路1-220から結合された入射励起光を反射するために、1つまたは複数の少なくとも部分的に不透明な(例えば金属)層1-106が表面上に配置され得る。1つまたは複数のサンプルウェル1-108にサンプルを配置可能とするように、サンプルウェル1-108は、1つまたは複数の層1-106を有していなくてよい。いくつかの実施形態において、サンプルウェル1-108からの発光の方向性は、金属層1-106が発光を反射するように作用し得るため、金属層1-106に対するサンプルウェル1-108内のサンプルの位置に応じて変化し得る。このように、金属層1-106とサンプルウェル1-108内に位置決めされたサンプル上の蛍光マーカとの間の距離は、蛍光マーカによって放出される光を検出するための、サンプルウェルと同じピクセル内にある光検出器1-110の効率に影響を与え得る。金属層1-106と、動作中にサンプルが位置し得る場所に近接するサンプルウェル1-108の底面との間の距離は、100nm~500nmの範囲またはその範囲内における任意の範囲内の値とすることができる。いくつかの実施形態において、金属層1-106とサンプルウェル1-108の底面との間の距離は、約300nmである。
【0020】
図1-1に示されるように、ピクセル領域1-203は、1つまたは複数のピクセル1-112の行を含み得る。点線の矩形によって示されている1つのピクセル1-112は、サンプルウェル1-108と、サンプルウェル1-108に関連付けられた1つまたは複数の光検出器1-110(例えば、光検出領域を含む)とを含む集積装置1-102の一領域である。いくつかの実施形態において、各光検出器1-110は、光検出領域と、サンプルウェル1-108からの入射光に応答して光検出領域に生成された電荷キャリアを受け取るように構成された1つまたは複数の電荷蓄積領域とを含み得る。サンプルウェル1-108内に配置されたサンプルが1つまたは複数の導波路1-220から結合された励起光により照射されると、サンプルが励起状態に達して発光を放出し得る。この発光は、サンプルウェル1-108に関連付けられた1つまたは複数の光検出器1-110によって検出され得る。
図1-1は、ピクセル1-112のサンプルウェル1-108から1つまたは複数の光検出器1-110までの発光の光軸OPTを概略的に示している。ピクセル1-112の1つまたは複数の光検出器1-110は、サンプルウェル1-108からの発光を検出するように構成および配置され得る。個々のピクセル1-112について、サンプルウェル1-108と、そのそれぞれの1つまたは複数の光検出器1-110とは、共通の光軸に沿って位置合わせされ得る。このように、1つまたは複数の光検出器1-110は、ピクセル1-112内でサンプルウェル1-108と重なり得る。
【0021】
また、
図1-1に示されるように、集積装置1-102は、1つまたは複数のフォトニック構造1-230、および/または、サンプルウェル1-108と光検出器1-110との間に位置する金属層1-240を含み得る。例えば、フォトニック構造1-230は、サンプルウェル1-108から光検出器1-110に到達する発光の量を増加させるように構成され得る。代替的にまたは追加的に、フォトニック構造1-230は、励起光が光検出器1-110に到達することを低減または防止するように構成され得る。これにより、励起光が発光を検出する際の信号ノイズの一因となり得ることが低減または防止され得る。
図1-1に示されるように、フォトニック構造1-230は、1つまたは複数の導波路1-220と光検出器1-110との間に配置され得る。種々の実施形態によれば、フォトニック構造1-230は、スペクトルフィルタ、偏光フィルタ、および空間フィルタを含む1つまたは複数の光除去フォトニック構造を含み得る。いくつかの実施形態において、フォトニック構造1-230は、共通の軸に沿って、個々のサンプルウェル1-108およびそれらのそれぞれの1つまたは複数の光検出器1-110と位置合わせされるように配置され得る。
【0022】
いくつかの実施形態において、金属層1-240は、集積装置1-102の部分におよび/または集積装置1-102の部分から制御信号を転送するように構成され得る。例えば、制御信号は、集積装置1-102の1つまたは複数の導体パッド(図示略)内におけるおよび/またはそれに結合されている制御回路から受信され、金属層1-240を介してピクセル1-112に転送され得る。いくつかの実施形態において、金属層1-240は、空間フィルタおよび/または偏向フィルタとしても機能し得る。このような実施形態において、1つまたは複数の金属層1-240は、いくつかのまたは全ての励起光が1つまたは複数の光検出器1-110に到達することを阻止するように配置され得る。
【0023】
いくつかの実施形態において、サンプルと1つまたは複数の光検出器との間の距離も、発光を検出する効率に影響を与え得る。光がサンプルと1つまたは複数の光検出器1-110との間を移動するのに必要な距離を減らすことによって、発光の検出効率を改善することができる。加えて、サンプルと1つまたは複数の光検出器との間の距離を小さくすることにより、集積装置に占めるピクセルの設置面積を小さくすることができ、これにより、より多くの数のピクセルを集積装置に含めることが可能となる。サンプルウェル1-108の底面と1つまたは複数の光検出器1-110との間の距離dは、5μm~15μmの範囲またはその範囲内における任意の範囲内の値とすることができるが、いくつかの実施形態では、発明はその距離に限定されない。なお、いくつかの実施形態において、発光は励起光源およびサンプルウェル以外の手段によっても提供可能である。したがって、いくつかの実施形態はサンプルウェル1-108を含まなくてもよい。
【0024】
分析されるサンプルは、ピクセル1-112のサンプルウェル1-108内に導入され得る。サンプルは、生物学的サンプルまたは任意の他の適切なサンプル(例えば、化学的サンプル)であってよい。サンプルは複数の分子を含み得る。サンプルウェルは、単一の分子を分離するように構成され得る。いくつかの例において、サンプルウェル1-108の寸法は、単一の分子をサンプルウェル1-108内に閉じ込めるように作用することで、測定を単一の分子に対して行うことを可能にする。励起光は、サンプルウェル1-108内の照射領域内にある間に、サンプル、またはサンプルに付けられるかもしくはサンプルに別の態様で関連付けられる少なくとも1つの蛍光マーカを励起するように、サンプルウェル1-108内に送達され得る。
【0025】
動作中、励起光を使用してウェル内のサンプルの一部またはすべてを励起し、光検出器1-110を使用してサンプルの蛍光放出からの信号を検出することによって、サンプルウェル1-108内のサンプルの並列分析が行われる。サンプルからの放出光は、対応する光検出器1-110により検出されるとともに、少なくとも1つの電気信号に変換され得る。この電気信号は、集積装置とインターフェースされる機器および/または制御回路に接続され得る集積装置の導体線(例えば、金属層1-240)に沿って伝達され得る。その後、電気信号は、上記機器および/または制御回路によって処理および/または分析され得る。
【0026】
[III.例示的なピクセルアレイの概要]
図1-2Aは、本技術のピクセル間および/または光検出領域間の領域分離概念が使用され得るがこれに限定されない例示的なピクセル行1-303の上面図を示す。ピクセル行1-303は、一実施形態による例示的な集積装置1-102のアレイの一部であり得る。ピクセル行1-303は、少なくとも2つのピクセル112を含む。少なくとも2つのピクセル112は、ピン止めフォトダイオード(pinned photodiode)(PPD1,PPD2)であり得る光検出領域と、光検出領域PPD1,PPD2の間の少なくとも1つの中間領域IMと、ドレイン領域Dと、蓄積ダイオード(例えば、SD0)であり得る電荷蓄積領域と、浮遊拡散(FD)領域であり得る読み出し領域と、伝送ゲートREJ,ST0,TX0,RST,SF,RSとを含む。いくつかの実施形態において、光検出領域PPD1,PPD2、ドレイン領域D、電荷蓄積領域SD0、および/または読み出し領域FDは、集積装置1-102の1つまたは複数の基板層の一部に不純物を注入することによって集積装置1-102内に形成され得る。例えば、集積装置1-102は、低濃度pドープ基板を有し得るとともに、光検出領域PPD1,PPD2、ドレイン領域D、電荷蓄積領域SD0、および/または読み出し領域FDは、基板のnドープ領域であり得る。この例では、pドープ領域はホウ素を用いてドープされ得るとともに、nドープ領域はリンを用いてドープされ得るが、他のドーパントおよび構成も可能である。いくつかの実施形態において、各ピクセル1-112は、7.5マイクロメートル×5マイクロメートル以下などの10マイクロメートル×10マイクロメートル以下の面積を有し得る。なお、本明細書で説明される実施形態はこれらに限定されず、いくつかの実施形態においては、基板は低濃度nドープされ得るとともに、光検出領域PPD1,PPD2、ドレイン領域D、電荷蓄積領域SD0、および/または読み出し領域FDはpドープされ得る。
【0027】
いくつかの実施形態において、光検出領域PPD1,PPD2は、入射光に応答して電荷キャリアを生成するように構成され得る。例えば、ピクセル行1-303の動作中、励起光は、サンプルからの蛍光放出を含む入射光子が光軸OPTに沿って光検出領域PPD1,PPD2に流れるようにサンプルウェル1-108を照射し得る。光検出領域PPD1,PPD2は、サンプルウェル1-108からの入射光子に応答して蛍光放出電荷キャリアを生成するように構成され得る。いくつかの実施形態において、集積装置1-102は、電荷キャリアをドレイン領域Dまたは電荷蓄積領域SD0に伝送するように構成され得る。例えば、励起光のパルスに続く廃棄期間中、光検出領域PPD1,PPD2に到達する入射光子は主に、ドレイン領域Dに伝送されてピクセル回路の外側に廃棄されるノイズ電荷キャリアを生成する励起光子であり得る。この例では、廃棄期間に続く収集期間中、蛍光放出光子は、光検出領域PPD1,PPD2に到達して、後の期間での収集のために電荷蓄積領域SD0に伝送される。いくつかの実施形態において、廃棄期間および収集期間は、各励起パルスに続き得る。
【0028】
いくつかの実施形態において、ドレイン領域Dは、入射光に応答して光検出領域PPD1,PPD2および/または中間領域Mで生成された電荷キャリアを受け取るように構成され得る。例えば、ドレイン領域Dは、励起光子に応答して光検出領域PPD1,PPD2でまたは光検出領域PPD1,PPDの周辺に生成された電荷キャリアを受け取るように構成され得る。いくつかの実施形態において、ドレイン領域Dは、電荷伝送チャネルによって光検出領域PPD1,PPD2に電気的に結合され得る。いくつかの実施形態において、電荷伝送チャネルは、ピクセル1-112の光検出領域とドレイン領域Dとの間のピクセル1-112の領域を、その光検出領域およびドレイン領域と同じ導電型でドーピングすることによって、少なくとも閾値電圧が電荷伝送チャネルに印加されたときには電荷伝送チャネルが導電性を有し、閾値電圧未満の(またはいくつかの実施形態では閾値電圧よりも大きい)電圧が電荷伝送チャネルに印加されたときには電荷伝送チャネルが非導電性を有するように形成され得る。いくつかの実施形態において、閾値電圧は、その電圧を上回る(または下回る)ときに電荷伝送チャネルが電荷キャリアを枯渇させる電圧であってよく、これにより、光検出領域PPD1,PPD2からの電荷キャリアは、電荷伝送チャネルを介してドレイン領域Dまで移動し得る。例えば、閾値電圧は、電荷伝送チャネルの材料、寸法、および/またはドーピング構成に基づいて決定され得る。
【0029】
いくつかの実施形態において、伝送ゲートREJは、光検出領域PPD1,PPD2および中間領域IMからドレイン領域Dへの電荷キャリアの伝送を制御するように構成され得る。例えば、各ピクセルの伝送ゲートREJは、制御信号を受信し、それに応答して、そのピクセルの光検出領域をドレイン領域Dに電気的に結合する電荷伝送チャネルの導電性を決定するように構成され得る。例えば、励起光源からの励起光子は、サンプルウェル1-108からの蛍光放出光子が光検出領域に到達する前にその光検出領域に到達し得る。いくつかの実施形態において、集積装置1-102は、伝送ゲートREJを制御することにより、励起光子に反応して光検出領域PPD1,PPD2の少なくとも一方で生成された電荷キャリアを、励起光パルスに続く期間であって蛍光放出電荷キャリアの受け取りに先行する廃棄期間中にドレイン領域Dに伝送するように構成され得る。例えば、制御信号の第1部分があるピクセルの伝送ゲートREJで受信される場合、伝送ゲートREJは、そのピクセルの電荷伝送チャネルをその閾値電圧未満に(またはいくつかの実施形態ではその閾値電圧を超えるように)バイアスして電荷伝送チャネルを非導電性にすることで、電荷キャリアがドレイン領域Dに到達することを阻止するように構成され得る。あるいは、制御信号の第2部分が1つまたは複数のピクセルの伝送ゲートREJで受信される場合、各伝送ゲートREJは、そのピクセルの電荷伝送チャネルをその閾値電圧を超えるように(またはいくつかの実施形態ではその閾値電圧未満に)バイアスして電荷伝送チャネルを導電性にすることで、電荷キャリアが光検出領域PPD1,PPD2の少なくとも一方および中間領域IMから電荷伝送チャネルを介してドレイン領域Dに流れるように構成され得る。いくつかの実施形態において、伝送ゲートREJは、ポリシリコンなどの導電性かつ少なくとも部分的に不透明な材料で形成され得る。いくつかの実施形態において、1つまたは複数の伝送ゲートREJおよび/または(伝送ゲートREJを用いて制御される)1つまたは複数の電荷伝送チャネルは、電荷キャリアをドレイン領域Dに流すように構成されたドレイン装置として構成され得る。
【0030】
いくつかの実施形態において、ドレイン領域Dは、直流(DC)電源などの電圧源に結合され得る。いくつかの実施形態ではドレイン領域Dに供給される電圧により、廃棄期間中に、中間領域IMおよび光検出領域PPD1,PPD2からドレイン領域Dに電荷キャリアが引き込まれる。
【0031】
本発明者らは、隣接する光検出領域間にバルク半導体材料を使用することにより、例えば、各光検出領域が近傍の電荷キャリアに作用し得る、例えば、光検出領域の空乏領域が横方向に延びることによって近傍の電荷キャリアに影響を及ぼし得ることを認識した。このように、廃棄期間中に光検出領域に印加される1つまたは複数の電界が光検出領域間の中間領域IM内に広がり得る。いくつかの実施形態では、バルク半導体材料は光検出領域間の実質的に全空間を充填している。本発明者らは、隣接する光検出領域間の領域に低濃度ドープバルク半導体材料を使用することにより、この領域に位置する電荷キャリアを効果的に廃棄できることを認識した。また、本発明者らは、驚くべきことに、バルク半導体材料が、分離のためにSTI領域や中程度濃度ドープ領域や高濃度ドープ領域を使用することなく、蛍光を検出するための対象とする電圧での一つの光検出器から隣りの光検出器へのパンチスルーを防止する十分な分離をもたらすことを発見した。したがって、
図1-2Aおよび
図1-2Bに示された例示的な構成は、光検出領域PPD1,PPD2および中間領域IMからドレイン領域Dに電荷キャリアを迅速に伝送するように構成され得る。
【0032】
いくつかの実施形態では、低濃度ドープされたバルクシリコンが隣接する光検出領域間に使用される。例えば、低濃度ドープのバルクシリコンは、イオン注入によるドーピングが行われていないバルクシリコンであってよい。いくつかの実施形態では、低濃度ドープのバルクシリコンは、例えばウェハベンダから受け取ったままのシリコンである。例えば、ウェハベンダから受け取ったシリコンウェハは、p型ドーピングで低濃度にドープされてもよい。いくつかの実施形態では、低濃度ドープのバルクシリコンは、1cm3当たりのアクセプタ数が5×1014~5×1015の範囲のp型ドーピングを有し得る。対照的に、本発明者らがそのような中間領域からのノイズ電荷キャリアの除去の妨げになると発見した、光検出領域間の分離に使用される中程度濃度でドープされた半導体材料は、典型的には、1cm3当たりのアクセプタ数が約1016~1019の範囲でドープされ得る。なお、本発明はこれに限定されず、ドーピングはn型であってもよい。
【0033】
いくつかの実施形態において、伝送ゲートST0は、光検出領域PPD1に関連して伝送ゲートREJについて説明した方法で、光検出領域PPD1から蓄積領域SD0への電荷キャリアの伝送を制御するように構成され得る。電荷蓄積領域SD0は、サンプルウェル1-108からの蛍光放出光子に反応して光検出領域PPD1で生成された電荷キャリアを受け取り、それを蓄積するように構成され得る。いくつかの実施形態において、電荷蓄積領域SD0は、ドレイン領域Dと光検出領域PPD1との間に結合された電荷伝送チャネルに関連して上述した方法で形成された電荷伝送チャネルによって、光検出領域PPD1に電気的に結合され得る。
【0034】
いくつかの実施形態において、伝送ゲートTX0は、光検出領域PPD1およびドレイン領域Dに関連して伝送ゲートREJについて説明した方法で、電荷蓄積領域SD0から読み出し領域FDへの電荷キャリアの伝送を制御するように構成され得る。例えば、光検出領域PPD1から電荷蓄積領域SD0に電荷キャリアが伝送される複数の収集期間の後、読み出し期間が生じ得る。この読み出し期間において、電荷蓄積領域SD0に蓄積された電荷キャリアが読み出し領域FDに伝送されて、処理のために集積装置1-102の他の部分に読み出され得る。
【0035】
いくつかの実施形態において、伝送ゲートRSTは、リセット制御信号に応答して、読み出し領域FDおよび/または電荷蓄積領域SD0内の電荷キャリアをクリアするように構成され得る。例えば、伝送ゲートRSTは、読み出し領域FDおよび/または電荷蓄積領域SD0から伝送ゲートTX0および読み出し領域FDを介してDC供給電圧に電荷キャリアを流すように構成され得る。いくつかの実施形態において、伝送ゲートRSは、行選択制御信号に応答して、電荷キャリアを処理のために読み出し領域FDからビット線に伝送するように構成され得る。
【0036】
いくつかの実施形態において、ピクセル1-112は、集積装置1-102の制御回路に電気的に結合され得るとともに、伝送ゲートREJ,ST0,TX0などの伝送ゲートで制御信号を受信するように構成され得る。例えば、金属層1-240の金属線は、集積装置1-102のピクセル1-112に制御信号を伝達するように構成され得る。いくつかの実施形態において、制御信号を伝達する単一の金属線は、ピクセル1-112のアレイ、サブアレイ、行、および/または列などの複数のピクセル1-112に電気的に結合され得る。例えば、アレイ内の各ピクセル1-112は、ピクセル1-112の行が光検出領域PPD1から電荷キャリアを同時に排出および/または収集するように構成されるように、同じ金属線および/またはネットから制御信号を受信するように構成され得る。代替的にまたは追加的に、アレイ内のピクセル1-112の各行は、一度に1行ずつ電荷キャリアを読み出すように、読み出し期間中に異なる制御信号(例えば、行選択信号)を受信するように構成され得る。
【0037】
いくつかの実施形態において、伝送ゲートREJは、制御信号に応答して、中間領域IMおよび光検出領域PPD1,PPD2の電荷キャリアをピクセルの外側の場所に排出するように構成され得る。例えば、伝送ゲートREJは、光検出領域PPD1およびドレイン領域DからDC電源電圧VDに電荷キャリアが流れるようにする。
【0038】
いくつかの実施形態において、ピクセル行1-303は、第2の電荷蓄積領域SD1と、伝送ゲートST1,TX1とを含み、これらはそれぞれ、電荷蓄積領域SD0および伝送ゲートST0,TX0について本明細書に記載される方法で構成され得る。例えば、あるピクセルの電荷蓄積領域SD0,SD1は、そのピクセルの光検出領域(例えば、PPD1)で生成された電荷キャリアを受け取るように構成され得る。電荷キャリアは、読み出し領域に伝送され得る。いくつかの実施形態では、別個の読み出し領域FDが各電荷蓄積領域に結合され得る。なお、種々の実施形態によれば、本明細書で説明されるピクセルは、任意の数の電荷蓄積領域を含み得る。
【0039】
なお、
図1-2Aに示されたトランジスタは電界効果トランジスタ(FET)であるが、バイポーラ接合トランジスタ(BJT)などの他の種類のトランジスタが使用されてもよい。
【0040】
図1-2Bは、いくつかの実施形態による集積装置1-102に含まれ得るピクセル行1-303であって、
図1-2Aに示されたA-A´軸に沿ったピクセル行1-303の断面図である。
図1-2Bに示された実施形態において、光検出領域PPD1,PPD2は、表面Uに沿って配置されている。中間領域IMはバルク半導体材料で構成されており、表面Uに沿って光検出領域PPD1,PPD2の間に配置されている。いくつかの実施形態において、表面Uはピン止め層(pinning layer)であってよい。いくつかの実施形態において、表面Uは、光検出領域PPD1,PPD2にわたって連続し得る。いくつかの実施形態において、光検出領域PPD1,PPD2がピクセル1-112の一部であって
図1-1に示された向きに配置されている場合、表面Uは、光検出領域PPD1,PPD2および中間領域IMの上方に位置し得る。いくつかの実施形態において、光検出領域PPD1,PPD2および中間領域IMは、表面Uの直下において表面Uに隣接して配置されている。いくつかの実施形態において、中間領域IMは、
図1-2Bに示されるように光検出領域PPD1,PPD2間の実質的に全空間を充填している。いくつかの実施形態において、光検出領域PPD1,PPD2間にはSTIまたは中程度もしくは高濃度ドープ材料の領域は存在していない。いくつかの実施形態では、
図1-2Bに示されるように、中間領域IMは、ピン止め層の表面Uの法線方向において、少なくとも光検出領域PPD1,PPD2がその方向に延在する位置まで延在し得る。いくつかの実施形態において、中間領域IMは、少なくとも光検出領域PPD1,PPD2の最下端まで下方に延在し得る。いくつかの実施形態において、ピクセル行1-303は、多くの光検出領域を含み得る。中間領域IMは、各一対の隣接する光検出領域間に配置されている。
【0041】
本発明者らは、本明細書で説明する技術により、ピクセル内の電荷伝送率を増加させ、それによって信号検出を向上させることを認識した。ピクセル内の電荷伝送率を増加させることにより、本明細書でさらに説明するように、ピクセルのノイズ性能を改善することができる。例えば、蛍光放出電荷キャリアがピクセルに到達する前に、励起光子に反応して光検出領域でまたは光検出領域の周辺に生成された励起電荷キャリアをできるだけ多く排出して、励起電荷キャリアがノイズとして電荷蓄積領域に伝送されるのを防止することが望ましい場合がある。また、ピクセルからの電荷読み出しの精度を確保するために、蛍光光子に反応して光検出領域に生成された蛍光放出電荷キャリアをできる限り迅速に適切な電荷蓄積領域に伝送することが望ましい場合がある。
【0042】
いくつかの実施形態において、集積装置1-102のピクセル1-112は、入射光子および/または光検出領域を介して電荷キャリアを受け取るように構成された1つまたは複数のドレイン層を含み得る。例えば、入射光子および/または光検出領域に生成された電荷キャリアは、光検出領域を介して(および/または光検出領域を経由するのとは別の経路に沿って)ドレイン層に流れ得る。
図1-2Bに示されるように、ピクセル1-112は、光検出領域PPD1が入射光子を受け取る方向としての光軸OPTに沿って光検出領域PPD1の後ろに位置するドレイン層DLを含む。
【0043】
いくつかの実施形態において、ドレイン層DLは、受け取った電荷キャリアおよび/または受け取った入射光子に反応してドレイン層DLで生成された電荷キャリアを廃棄するように構成され得る。例えば、
図1-2Bにおいて、ドレイン層DLは、保護層PROおよび収集層COL1を含むように示されている。いくつかの実施形態において、収集層COL1は、受け取った電荷キャリアおよび/または入射光子の受け取りに反応して収集層COL1で生成された電荷キャリアを廃棄するように構成され得る。例えば、収集層COL1は、DC電源電圧(例えば、電子を放出するための高電圧またはホールを放出するための低電圧)に結合するように構成され得る。いくつかの実施形態において、収集層COL1は、基板層SUBの一部に光検出領域PPD1と同じ導電型を有する不純物を注入することによって集積装置1-102内に形成され得る。例えば、光検出領域PPD1および収集層COL1は、集積装置1-102の1つまたは複数の低濃度pドープ基板層SUBで形成されたおよび/またはその基板層SUBの上に位置するn型ドープ領域を含み得る。
【0044】
いくつかの実施形態において、ドレイン層DLは、少なくともいくつかの電荷キャリアが光検出領域PPD1から流出するのを阻止するように構成され得る。例えば、保護層PROは、いくつかの電荷キャリアが光検出領域PPD1を介して収集層COL1に到達するのを阻止するように構成され得る。
図1-2Bに示されるように、保護層PROは、光軸OPTに沿った光検出領域PPD1と収集層COL1との間の位置に配置され得る。いくつかの実施形態において、保護層PROは、光検出領域PPD1と収集層COL1との間に電位バリアを形成するように構成され得る。例えば、保護層PROは、光検出領域PPD1および/または収集層COL1とは反対の半導体ドーピング型を有する。例えば、上記の例では、保護層PROはn型ドープであり得る。電荷キャリアが光検出領域PPD1から流出するのを阻止することにより、電荷キャリアは、適宜、ドレイン領域Dまたは電荷蓄積領域に導かれ得る。
【0045】
いくつかの実施形態において、集積装置1-102は、少なくともいくつかのノイズ電荷キャリアが電荷蓄積領域SD0に到達するのを阻止する、および/または入射光子が電荷蓄積領域SD0(および/またはピクセル1-112の他のエリア、例えば、他の電荷蓄積領域および/または読み出し領域FDなど)に到達してノイズ電荷キャリアを生成するのを阻止するように構成された1つまたは複数のバリアを含み得る。例えば、ピクセル1-112は、少なくとも部分的に不透明な材料を含む1つまたは複数の光バリアを含み得る。代替的にまたは追加的に、ピクセル1-112は、1つまたは複数の電気バリア(例えば、電荷蓄積領域SD0とは反対の導電型を有するドープ領域)を含み得る。
【0046】
図1-3Aは、いくつかの実施形態による複数のコンタクト1-310a,1-310b,1-310cをさらに例示するピクセル行1-303の部分概略図である。
図1-3Bは、いくつかの実施形態によるピクセル行1-303であって、
図1-3Aに示されたB-B´軸に沿ったピクセル行1-303の断面の側面図である。
図1-3Bに示されるように、ピクセル1-112は、埋め込みPウェル(BPW)バリアと、低閾値電圧Pウェル(LPW)バリアとをさらに含み得る。いくつかの実施形態において、バリアBPW,LPWには、光検出領域PPD1および/または電荷蓄積領域SD0とは反対の導電型を有する不純物が注入される。また、
図1-3Bに示されるように、ドレイン層DLは、収集層COL1と同様に構成され得る別の収集層COL2をさらに含み得る。
【0047】
いくつかの実施形態において、コンタクト1-310a,1-310b,1-310cは、入射光子が電荷蓄積領域SD0に到達するのを阻止するように構成され得る。コンタクト1-310a,1-310b,1-310cは、金属(例えば、タングステン)などの少なくとも部分的に不透明な材料を含み得る。
図1-3Bに示されるように、コンタクト1-310a,1-310bは、軸からずれた入射光(例えば、ずれた軸OPT´)が電荷蓄積領域SD0に到達することを阻止するように、入射光の方向(例えば、光軸OPT)と略平行に長尺状に延びている。また、
図1-3Bに示されるように、コンタクト1-310a,1-310bは、金属層METAL1から光検出領域PPD1に向けて長尺状に延びている。いくつかの実施形態において、1つまたは複数のコンタクトは、金属層から伝送ゲートまで、例えばビア1-314などで示されるように長尺状に延びている。例えば、ビア1-314は、入射光子が電荷蓄積領域SD0に到達するのを追加で阻止するように(点線の矩形1-314´で示されるように)再配置され得る。
【0048】
いくつかの実施形態において、コンタクト1-310a,1-310b,1-310cは、軸からずれた入射光子が隣接するピクセル行の間を横切るのを阻止するようにピクセル行内および/またはピクセル行間の複数のピクセルに亘って長尺状に延在し得る。例えば、
図1-3Aに示されるように、コンタクト1-310a,1-310b,1-310cは、図示された実質的に行方向に、ピクセル行1-303内の複数のピクセル1-112に亘って長尺状に延びている。また、
図1-3Aに示されるように、コンタクト1-310a,1-310cは、ピクセル1-112を隣接ピクセル行(図示略)内のピクセルから分離して、入射光子が第1の隣接ピクセル行の電荷蓄積領域および/または読み出し領域に到達することをコンタクト1-310aにより阻止し、第2の隣接ピクセル行からの入射光子が電荷蓄積領域SD0および読み出し領域FDに到達することをコンタクト1-310cにより阻止し得る。
【0049】
いくつかの実施形態において、コンタクトは、光検出領域PPD1とは電気的に絶縁される。例えば、コンタクト1-310a,1-310bは、光検出領域PPD1と物理的に接触することなく、金属層METAL1から光検出領域PPD1まで長尺状に延在し得る。
図1-3Bに示されるように、ピン止め層Uは、コンタクト1-310a,1-310bと光検出領域PPD1との間に配置され得る。
【0050】
いくつかの実施形態において、収集層COL2は、収集層COL1について本明細書で説明されるように、受け取った電荷キャリアを廃棄するように構成され得る。例えば、収集層COL2は、それがない場合に電荷蓄積領域SD0および/または読み出し領域FDに向かって流れ得るノイズ電荷キャリアを廃棄するように構成され得る。
【0051】
いくつかの実施形態において、バリアBPW,LPWは、望ましくない経路(例えば、伝送ゲートを用いて制御され得る電荷伝送チャネルとは異なる経路)を介して電荷キャリアが電荷蓄積領域SD0および/または読み出し領域FDに到達するのを阻止するように構成され得る。例えば、
図1-3Bに示されるように、バリアBPWは、収集層COL2と電荷蓄積領域SD0との間に少なくとも部分的に配置され、バリアLPWは、収集層COL2と読み出し領域FDとの間に少なくとも部分的に配置されている。いくつかの実施形態では、深いP埋め込み分離(DPI)バリアが光検出領域PPD1と電荷蓄積領域SD0との間に少なくとも部分的に配置され得る。例えば、DPIバリアは、保護層PR0からバリアBPWまで(例えば、収集層COL2に隣接して)光軸に平行に長尺状に延在し得る。
【0052】
いくつかの実施形態において、集積装置1-102のピクセル1-112は、光検出領域からドレイン領域および/または電荷蓄積領域へ向かう方向に固有の電界を誘起するように構成された光検出領域を含み得る。
【0053】
本発明者らは、光検出領域および/または中間領域からピクセル内の適切な位置(例えば、ドレイン領域または電荷蓄積領域)に伝送される電荷キャリアの電荷伝送率が光検出領域において高くなるように、ピクセルの光検出領域に固有の電界を誘起することが有利となり得ることを認識した。
【0054】
図1-4は、いくつかの実施形態によるピクセル1-112の光検出領域PPD1の概略拡大図である。いくつかの実施形態において、光検出領域PPD1は、光検出領域PPD1からドレイン領域Dおよび/または電荷蓄積領域SD0への電荷伝送方向Qdirに固有の電界を誘起するように構成され得る。例えば、固有の電界は、光検出領域PPD1からドレイン領域Dおよび/または電荷蓄積領域SD0に、電荷キャリアを固有の電界がない場合に比べてより迅速に移動させる力を(例えば、電荷伝送方向Qdirに)もたらし得る。いくつかの実施形態において、ドレイン領域Dと電荷蓄積領域SD0は、それらドレイン領域および電荷蓄積領域の各々への電荷伝送率が固有の電界により増加し得るように、光検出領域と(例えば、電荷伝送方向Qdirにおける)同じ側に配置され得る。
【0055】
いくつかの実施形態において、光検出領域PPD1は、固有の電界を誘起するように構成されたドーパントパターンを含み得る。例えば、光検出領域PPD1のドーパントパターンは、第1端が第2端よりも幅広となる第1端および第2端を有し得る。
図1-4に示されるように、光検出領域PPD1は、実質的に光検出領域PPD1からドレイン領域Dおよび電荷蓄積領域SD0への電荷キャリア伝送方向Qdirにおいて第1端E1が第2端E2から離間したドーパントパターンを有している。いくつかの実施形態では、光検出領域PPD1のドーパントパターンは、第2端E2よりも第1端E1において(例えば、ドレイン領域Dよび電荷蓄積領域SD0に近接して)高いドーパント濃度を有し得ることで、第1端E1から第2端E2への電位勾配を生じさせる。例えば、
図1-4に示されるように、光検出領域PPD1のドーパント構造は、光軸OPTと電荷キャリア伝送方向Qdirとに垂直な方向Wdirにおいて第2端E2よりも第1端E1で幅広となる。いくつかの実施形態において、ドーパント構造は、第2端E2よりも第1端E1で少なくとも75%幅広であり得る。いくつかの実施形態において、ドーパント構造は、第2端E2よりも第1端E1で少なくとも90%幅広であり得る。
図1-4に示されるように、ドーパント構造は略三角形状を有し、三角形の底辺が第1端E1に位置し、底辺に対応する頂点が第2端E2に位置している。
【0056】
いくつかの実施形態において、光検出領域PPD1のドーパントパターンは、少なくとも光検出領域PPD1のドーピングの一部の間、成形開口を有するマスクを光検出領域PPD1上に配置することによって形成され得る。例えば、光検出領域PPD1は、マスクを介して光検出領域PPD1に不純物を注入することによって形成され得る。
図1-4に示されるように、ピクセル1-112は、光検出領域PPD1のドーパント構造を囲む開口部Oを有するマスクMを有している。例えば、マスクMは、薄い、少なくとも部分的に不透明な、かつ少なくとも部分的に絶縁性の材料を含み得る。いくつかの実施形態において、マスクMは、光軸OPTに平行な方向に、0.6ミクロンなどの1ミクロン未満の厚さを有し得る。いくつかの実施形態において、開口部Oは、第1端が第2端よりも幅広となる第1端および第2端を有し得る。例えば、
図1-4に示されるように、開口部Oは、第2端E2の位置よりも第1端E1の位置で幅広となるように、第1端E1に位置する第1端と、第2端E2に位置する第2端とを有している。いくつかの実施形態において、開口部Oは、第2端E2よりも第1端E1で少なくとも75%幅広であり得る。いくつかの実施形態において、開口部Oは、第2端E2よりも第1端E1で少なくとも90%幅広であり得る。例えば、
図1-4に示されるように、開口部Oは、略三角形状を有し、三角形の底辺が第1端E1に位置し、底辺に対応する頂点が第2端E2に位置している。いくつかの実施形態において、光検出領域PPD1の少なくとも一部は、光検出領域PPD1の一部の上方および/または下方にマスクMを堆積し、第2端E2よりも第1端E1で幅広となるようにマスクMの少なくとも一部を除去して開口部Oを形成することにより製造され得る。
【0057】
本発明者らは、光検出領域に固有の電場を導入することによって、光検出領域から電荷キャリアが伝送される割合を増加させることができ、それによって、電荷蓄積領域に到達する励起光子の数を減少させつつ電荷蓄積領域に到達する蛍光放出光子の数を増加させることができ、その結果、ピクセルからの電荷読み出しの信号対雑音比を増加させることができる。ピクセル内での電荷キャリア伝送率を増加させることにより、励起電荷キャリアをより速く廃棄しかつ1つまたは複数の電荷蓄積領域内により多くの蛍光放出電荷キャリアを蓄積して、ピクセルの蛍光対励起除去比を増加させることができる。その結果、蛍光情報のより正確な測定のために、励起ノイズに対する蛍光放出信号の比を改善することができる。
【0058】
図1-5は、いくつかの実施形態による集積装置1-102に含まれ得る別のピクセル行1-503の部分概略図である。いくつかの実施形態において、ピクセル行1-503は、ピクセル行1-303について本明細書で説明されるように構成され得る。例えば、
図1-5に示されるように、ピクセル行1-503は、複数のピクセル1-512を含むとともに、行方向に隣接するピクセル1-512の光検出領域間に中間領域IMを有している。いくつかの実施形態において、ピクセル1-512は、ピクセル1-112について本明細書で説明されるように構成され得る。例えば、
図1-5に示されるように、ピクセル1-512は、光検出領域PPD1、電荷蓄積領域SD0、ドレイン領域D、読み出し領域FD、および伝送ゲートREJ,ST0,TX0,RST,SF,RSを含む。また、
図1-5に示されるように、ピクセル1-512は、コンタクト1-520a,1-520b,1-520cを含み、これらは、それぞれコンタクト1-310a,1-310b,1-310cについて本明細書で説明されるように構成され得る。いくつかの実施形態において、集積装置1-102のピクセル群は、複数の蓄積領域と、電荷蓄積領域および/または読み出し領域FDへの電荷キャリアの伝送を制御する複数の伝送ゲートとを有し得る。例えば、
図1-5に示されるように、ピクセル1-512は、第2の電荷蓄積領域SD1と伝送ゲートST1とを含む。
【0059】
いくつかの実施形態において、集積装置1-102の電荷蓄積領域は、光検出領域からの電荷蓄積領域を通じた電位勾配を誘起するように構成され得る。例えば、光検出領域、電荷蓄積領域、および/または読み出し領域は、異なるドーパント濃度などに起因した異なる固有の電位レベルを有し得る。いくつかの実施形態では、光検出領域PPD1は第1のドーパント濃度を有し得るとともに、電荷蓄積領域SD0は、第1のドーパント濃度よりも高い第2のドーパント濃度を有し得るとともに、読み出し領域RFは、第2のドーパント濃度よりも高いドーパント濃度を有し得る。代替的にまたは追加的に、電荷蓄積領域SD1は、第2のドーパント濃度よりも高い第3のドーパント濃度を有し得るとともに、読み出し領域RFは、第3のドーパント濃度よりも高いドーパント濃度を有し得る。光検出領域PPD1、電荷蓄積領域SD0,SD1、および読み出し領域FDがn型にドープされている実施形態では、固有の電位レベルは、光検出領域PPD1から読み出し領域FDに向けて増加し、これにより、光検出領域PPD1から電荷蓄積領域SD0,SD1を介して読み出し領域FDまでの高い電荷伝送率が達成される。
【0060】
いくつかの実施形態において、集積装置1-102の電荷蓄積領域は、電位勾配に寄与するように異なる固有の電位レベルを有するサブ領域を有し得る。
図1-5に示されるように、電荷蓄積領域SD1は、複数のサブ領域SD1-0,SD1-1を有する。いくつかの実施形態において、サブ領域SD1-0とサブ領域SD1-1とは異なる固有の電位レベルを有し得る。例えば、サブ領域SD1-1は、サブ領域SD1-0
よりも高いドーパント濃度を有し得る。
【0061】
いくつかの実施形態において、ピクセル1-512は、サンプル(例えば、サンプルウェル1-108内のもの)の1つまたは複数の励起にわたって電荷蓄積領域SD0に電荷キャリアを収集し、収集した電荷キャリアを電荷蓄積領域SD1に伝送し、その後、サンプルの1つまたは複数の後続の励起にわたって電荷蓄積領域SD0における電荷キャリアの収集を再開するように動作可能とされ得る。収集した電荷キャリアをサンプルの励起の間に電荷蓄積領域SD0から電荷蓄積領域SD1に伝送することにより、先行して収集した電荷キャリアの読み出しが待機される間(例えば、ピクセルのアレイが行毎に、列毎に、および/またはピクセル毎に読み出されるとき)に、電荷蓄積領域SD0における電荷キャリアの収集を再開可能となり、その結果、迅速かつ効率的なサンプル測定が達成される。
【0062】
図1-6Aは、いくつかの実施形態による集積装置1-102に含まれ得るさらに別のピクセル行1-603の部分概略図である。いくつかの実施形態において、ピクセル行1-603は、ピクセル行1-303について本明細書で説明されるように構成され得る。例えば、
図1-6Aに示されるように、ピクセル行1-603は、複数のピクセル1-612a,1-612b,1-612c,1-612dを含むとともに、行方向に隣接するピクセルの光検出領域間に中間領域IMを有している。いくつかの実施形態において、ピクセル1-612a,1-612b,1-612c,1-612dは、ピクセル1-112について本明細書で説明されるように構成され得る。例えば、
図1-6Aに示されるように、ピクセル1-612aは、光検出領域PPD1と、伝送ゲートREJ,ST0,TX0,RST,SF,RSと、コンタクト1-620a,1-620b,1-620cとを含む。コンタクト1-620a,1-620b,1-620cは、それぞれコンタクト1-310a,1-310b,1-310cについて本明細書で説明されるように構成され得る。いくつかの実施形態において、ピクセル1-612a,1-612b,1-612c,1-612dは、ピクセル1-512について本明細書で説明されるように構成され得る。例えば、
図1-6Aに示されるように、ピクセル1-612aは、サブ領域SD1-0,SD1-1を含む電荷蓄積領域SD1と、伝送ゲートSD1とを含む。
図1-6Aにおいて、ピクセル1-612b,1-612c,1-612dは、光検出領域PPD2,PPD3,PPD4を含むものとして示されている。
【0063】
いくつかの実施形態において、集積装置1-102は、ミラー配置による複数のピクセルを含み得る。例えば、集積装置1-102の複数のピクセルは、各ピクセルの構成要素が隣接ピクセルの同様な構成要素に隣接して配置されるように、隣接ピクセルに対して(例えば、行方向に)ミラーリングされ得る。
図1-6Aに示されるように、ピクセル1-612aの電荷蓄積領域SD0、読み出し領域FD、および伝送ゲートST0,TX0,RSTは、ピクセル行1-603内にて隣接するピクセル1-612bの電荷蓄積領域SD0、読み出し領域FD、および伝送ゲートST0,TX0,RSTにそれぞれ隣接して配置されている。同様に、
図1-6Aに示されるように、ドレイン領域Dおよび伝送ゲートREJ,RSは、ピクセル行1-603内にて隣接するピクセル1-612cのドレイン領域および伝送ゲートREJ,RSにそれぞれ隣接して配置されている。行方向におけるピクセルのミラー配置を用いることで、行方向の複数の隣接ピクセルに対する集積装置の複数の制御信号線の各々の接続を容易化することができる。
【0064】
図1-6Aはさらに、いくつかの実施形態による、ピクセル1-612b,1-612c,1-612dに接続される金属線を示している。
図1-6Aに示されるように、集積装置1-102の金属線は、制御信号線VREF,VST0および電源電圧線VDDPを含む。なお、集積装置1-102は、
図1-6Aには示されていない追加の金属線を含んでもよい。
【0065】
いくつかの実施形態において、制御信号線VREF,VST0は、伝送ゲートREJ,ST0をそれぞれ制御するための制御信号を搬送するように構成され得る。いくつかの実施形態において、電源電圧線VDDPは、ドレイン領域Dに伝送される電荷キャリアを廃棄および/または読み出し領域FDにおけるサンプリング電圧をリセットし、伝送ゲートSFに隣接する半導体領域をバイアスするように構成されている。
【0066】
いくつかの実施形態において、集積装置1-102の金属線は、行方向の複数の隣接ピクセルに接続するように構成され得る。行方向の複数の隣接ピクセルに接続する金属線を用いることで、金属線を幅広にするとともに離間を大きくすることが可能となり、これにより、隣接する金属線間の容量を小さくして、金属線により搬送される信号のスキューを小さくすることができる。
【0067】
図1-6Aに示されるように、制御信号線VREJは、隣接するピクセル1-612a,1-612b間に位置している。いくつかの実施形態において、制御信号線VREJは、ピクセル1-612a,1-612b,1-612cの伝送ゲートREJに接続するように構成され得る。例えば、
図1-6Aに示されるように、制御信号線VREJは、金属部1-630a,1-640aによってピクセル1-612a,1-612bの伝送ゲートREJに接続している。いくつかの実施形態において、制御信号線VREJはさらに、ピクセル1-612aの伝送ゲートREJを介してピクセル1-612cの伝送ゲートREJに接続している。例えば、ピクセル1-612a,1-612cの伝送ゲートREJは、それら伝送ゲートのポリシリコン構成要素などにより、集積装置1-102の伝送ゲートレベルにおいて互いに電気的に接続され得る。なお、図示していないが、ピクセル1-612dの伝送ゲートREJは、ピクセル行1-603内の隣接するピクセル(図示略)の伝送ゲートREJを介して制御信号線VREJに接続するように構成され得る。同様に、ピクセル行1-603に沿ってピクセル1-612bに隣接するピクセル(図示略)の伝送ゲートREJは、ピクセル1-612bの伝送ゲートREJを介して、図示された制御信号線VREJに接続するように構成され得る。
【0068】
図1-6Bは、いくつかの実施形態によるピクセル行1-603であって、
図1-6Aに示されたC-C´線に沿ったピクセル行1-603の断面の側面図である。
図1-6Bに示されるように、制御線VREJは、第3の金属層METAL3に配置されている。また、
図1-6Bに示されるように、ビア1-614は、制御信号線VREJを金属部1-630aに接続する。金属部1-630aは、図示では、第1の金属層METAL1と第3の金属層METAL3との間の第2の金属層METAL2に配置されている。また、
図1-6Bに示されるように、ビア1-614は、金属部1-630aを金属部1-640aに接続する。金属部1-640aは、図示では、第1の金属層METAL1に配置されている。また、
図1-6Bに示されるように、金属部1-640aは、ビア1-614によってピクセル1-612aの伝送ゲートREJに接続されている。なお、図示していないが、制御信号線VREJは、ピクセル1-612bの伝送ゲートREJにも同様に接続され得る。
【0069】
図1-6Aに戻り、制御信号線VST0は、図示では、隣接するピクセル1-612c,1-612dの間に配置されている。いくつかの実施形態において、制御信号線VST0は、ピクセル1-612a,1-612b,1-612c,1-612dの伝送ゲートST0に接続するように構成され得る。例えば、
図1-6Aに示されるように、制御信号線VST0は、金属部1-630b,1-640bによってピクセル1-612a,1-612dの伝送ゲートST0に接続されている。いくつかの実施形態において、制御信号線VST0はさらに、それぞれピクセル1-612a,1-612dの伝送ゲートST0を介してピクセル1-612b,1-612cの伝送ゲートST0に接続され得る。例えば、ピクセル1-612a,1-612bの伝送ゲートST0は、それら伝送ゲートのポリシリコン構成要素などにより、集積装置1-102の伝送ゲートレベルにおいて互いに電気的に接続され得る。また、ピクセル1-612c,1-612dの伝送ゲートST0も同様に電気的に接続され得る。
【0070】
図1-6Cは、いくつかの実施形態によるピクセル行1-603であって、
図1-6Aに示されたD´-D´´線に沿ったピクセル行1-603の断面の側面図である。
図1-6Cに示されるように、ビア1-614は、図示では、第1の金属層METAL1に配置された金属部1-640bをピクセル1-612aの伝送ゲートST0に接続する。金属部1-640bはさらに、金属部1-630b(
図1-6A)に接続されている。金属部1-630bは、第2の金属層METAL2に配置されるとともに、第3の金属層METAL3に配置された制御線VST0にビアによって接続され得る。なお、
図1-6Cには示していないが、制御信号線VST0は、ピクセル1-612dの伝送ゲートST0にも同様に接続され得る。
【0071】
図1-6Aに戻り、電源電圧線VDDPは、図示では、隣接するピクセル1-612a,1-612c間に配置されている。いくつかの実施形態において、電源電圧線VDDPは、1つまたは複数の金属層によってドレイン領域Dと電源ゲートSFに隣接する領域とに、制御信号線VREJ,VST0について本明細書で説明されるように接続され得る。
【0072】
なお、
図1-6A,1-6B,1-6Cは複数の電荷蓄積領域を有するピクセルを示しているが、本明細書で説明される実施形態はそれらに限定されるものではなく、任意の数の電荷蓄積領域を有するピクセルがミラー配置で配置され得るおよび/または複数の隣接ピクセルに接続する金属線を有し得る。
【0073】
図1-7は、いくつかの実施形態による別の集積装置1-102´の部分概略図である。いくつかの実施形態において、集積装置1-102´は、集積装置1-102について本明細書で説明されるように構成され得る。例えば、
図1-7に示されるように、集積装置1-102´は、1つまたは複数の格子カプラ1-216を含む結合領域1-201と、1つまたは複数の導波路1-220を含むルーティング領域1-202と、1つまたは複数のピクセル1-112´を含むピクセル領域1-203とを含み得る。
図1-7においては、サンプルウェル1-108と光検出器1-110´とを含む一例のピクセル1-112´が点線の矩形によって示されている。また、
図1-7に示されるように、集積装置1-102´は、サンプルウェル1-108と光検出器1-110´との間に位置する1つまたは複数のフォトニック構造1-230を含み得る。
【0074】
いくつかの実施形態において、光検出器1-110´は、第1の側F1にて入射光子を受け取るように構成され得る。金属層1-240´は、光検出器1-110´が入射光子を受け取る方向である光軸OPTに沿って第1の側F1とは反対側に位置する光検出器1-110´の第2の側F2に配置され得る。例えば、ピクセル1-112´の光検出領域は、光検出領域の第1の側にて(例えば、F1にて)入射光子を受け取るように構成され得るとともに、集積装置1-102´の金属線および伝送ゲートは、光検出領域の反対側である第2の側に(例えば、F2に)配置され得る。この例では、電荷蓄積領域、ドレイン領域、電荷伝送チャネル、および/または伝送ゲートは、光検出領域の第2の側に配置され得る。例えば、ドレイン装置(例えば、ドレイン伝送ゲートとドレイン伝送チャネルとを含む)は、光検出領域の第2の側に配置され得る。いくつかの実施形態において、集積装置1-102´は、裏面照射型(BSI)構造を有し得る。なお、実施形態は限定されるものでなく、本明細書で説明されるいずれかまたは全ての技術は代替的にまたは追加的に集積装置1-102´に実装され得る。
【0075】
[IV.DNA、RNA、およびタンパク質シークエンシング用途]
本明細書に記載される分析システムは、集積装置およびその集積装置とインターフェース接続するように構成された機器、例えば、生物学的シークエンシング機器を含み得る。上記したように、集積装置はピクセルのアレイを含み得る。ピクセルは、サンプルウェルおよび少なくとも1つの光検出器を含む。サンプルウェルは、集積装置の表面に配置される懸濁液からサンプルを受け取るように構成されている。
【0076】
本開示のいくつかの態様は、DNAまたはRNAシークエンシングに有用であり得る。いくつかの実施形態において、懸濁液は、複数の一本鎖DNAテンプレートを含み得る。また、懸濁液は、ラベリングされたヌクレオチドを含有し得るものであり、反応チャンバに入り、反応チャンバ内の一本鎖DNAテンプレートに対して相補的なDNAの鎖に組み込まれると、ヌクレオチドの同定を可能にすることができる。
【0077】
本開示のいくつかの態様は、例えばポリペプチドからアミノ酸配列情報を決定するなどのタンパク質シークエンシングに有用であり得る。いくつかの実施形態において、単一のポリペプチドの分子について、アミノ酸配列情報が決定され得る。いくつかの実施形態においては、ポリペプチドの1つまたは複数のアミノ酸がラベリングされ、ポリペプチド内のラベリングされたアミノ酸の相対位置が、例えば一連のアミノ酸ラベリングおよび開裂ステップを使用して決定される。いくつかの実施形態においては、アミノ酸の同定が評価される。本開示のいくつかの態様は、末端アミノ酸の修飾および開裂の繰り返しサイクルを受けるラベリングされたポリペプチドのルミネセンスを検出することによって、ポリペプチドをシークエンシングする方法を提供する。
【0078】
いくつかの実施形態において、本明細書で提供される方法は、タンパク質の複合混合物を含むサンプル内の個々のタンパク質のシークエンシングおよび同定に使用され得る。いくつかの実施形態によるシークエンシングは、チップまたは集積装置などの基板または固体支持体の表面上にポリペプチドを固定化することを伴い得る。いくつかの実施形態において、ポリペプチドは基板のサンプルウェルの表面上に固定化され得る。いくつかの実施形態において、複数のポリペプチドの各々は、複数のサンプルウェルのうちの一つに対して、例えば基板上のサンプルウェルのアレイで付着される。
【0079】
図2-1Aには、システム2-100の概略的な概説が示されている。システムは、集積装置2-102および機器2-104の双方を備え、集積装置2-102は機器2-104とインターフェース接続されている。いくつかの実施形態において、集積装置2-102は、上記で説明した集積装置1-102および/または集積装置1-102´と同様に構成され得る。いくつかの実施形態において、機器2-104は、機器2-104の一部として集積される1つまたは複数の励起源2-106を含み得る。励起源2-106は、集積装置2-102に励起光を提供するように構成され得る。
図2-1Aに概略的に示されているように、集積装置2-102は、行と列とを有するアレイに配置された複数のピクセル2-112を有し、ピクセルの少なくとも一部分は、対象のサンプルの独立した分析を実施し得る。ピクセル2-112は、単一の対象サンプルを受け取るように構成された反応チャンバ2-108、および励起源2-106により提供される励起光によってサンプルと反応チャンバ2-108の少なくとも一部分とを照らすことに反応して反応チャンバから放出された発光を検出する光検出器2-110を有する。
【0080】
集積装置2-102は、任意の好適な数のピクセルを有し得る。いくつかの実施形態において、集積装置2-102内のピクセルの数は、およそ10,000ピクセル~100,000,000ピクセルの範囲内、またはその範囲内における任意の範囲内の値とすることができる。機器2-104のインターフェースは、機器2-104の回路部と結合するように集積装置2-102を位置決めし、1つまたは複数の光検出器からの読み出し信号を機器2-104に送信することを可能とし得る。集積装置2-102および機器2-104は、大きなピクセルアレイ(例えば、10,000超のピクセル)に関連付けられるデータを取り扱うためにマルチチャネル高速通信リンクを含み得る。
【0081】
いくつかの実施形態において、ピクセル2-112は、上述したピクセル1-112、ピクセル1-512、および/またはピクセル1-612aと同様に構成され得る。代替的にまたは追加的に、集積装置2-102は、集積装置1-102´について本明細書で説明されるように構成され得るとともに、ピクセル2-112は、ピクセル1-112´に同様にして構成される。励起光は、サンプルウェルまたは反応チャンバ内に位置するサンプルを照射し得る。サンプルが励起状態にあるとき、サンプルは発光を放出し、反応チャンバに関連付けられた1つまたは複数の光検出器によって発光が検出され得る。
【0082】
機器2-104は、機器2-104および集積装置2-102のうちの少なくとも一方の動作を制御するためにユーザインターフェースを含み得る。ユーザインターフェースは、機器の機能を制御するために使用されるコマンドおよび/または設定などの情報をユーザが機器に入力可能とするように構成され得る。いくつかの実施形態において、機器2-104は、ラップトップまたはデスクトップコンピュータまたはサーバなどのコンピューティング装置と接続するように構成されたコンピュータインターフェースを含み得る。コンピュータインターフェースは、USBインターフェース、ファイヤーワイヤーインターフェース、または任意の他の好適なコンピュータインターフェースとすることができる。コンピューティング装置は、機器2-104を制御および/または構成するための入力情報および/または機器2-104によって生成された出力情報を、コンピュータインターフェースを介して送信および/または受信し得る。
【0083】
図2-1Bを参照すると、持ち運び可能な高度な分析機器2-100は、機器2-100内に交換可能なモジュールとして実装されるか、または機器2-100に別様に結合される1つまたは複数のパルス光源2-106を備え得る。持ち運び可能な分析機器2-100は、光学結合システム2-115と、集積装置2-102を含む分析システム2-160とを含み得る。光学結合システム2-115は、パルス光源2-106からの出力光パルス2-122を分析システム2-160の集積装置2-102に結合するように構成され得る。分析システム2-160の集積装置2-102は、サンプル分析のために少なくとも1つのサンプルウェルまたは反応チャンバ2-108に光パルスを方向付け、少なくとも1つのサンプルウェルまたは反応チャンバ2-108から1つまたは複数の光信号(例えば、蛍光、後方散乱放射)を受け取り、受け取った光信号を表す1つまたは複数の電気信号を生成するように構成され得る。例えば、分析システム2-160は、集積装置2-102の1つまたは複数の光検出器2-110を含み得る。また、分析システム2-160は、信号処理電子部品を含み得る。また、分析システム2-160は、データを外部の装置に送信するとともにデータを外部の装置から受信するように構成されたデータ送信ハードウェアを含み得る。
【0084】
図2-1Cは、小型のパルス光源2-113を含む持ち運び可能な分析機器2-100のさらなる実施例を示す。分析機器2-100は、集積装置2-102を受け入れるように構成され得る。いくつかの場合において、集積装置2-102は、取り外し可能な、パッケージ化されたバイオ光電子チップまたは光電子チップであり得るおよび/またはそれを含み得る。このチップは、例えば、サンプルウェルまたは反応チャンバ2-108と、光励起エネルギーをサンプルウェルまたは反応チャンバ2-108に送達するように構成された集積光学構成要素(例えば、
図1-1における1-201,1-202)と、サンプルウェルまたは反応チャンバ2-108からの蛍光放出を検出するように構成された集積光検出器2-110とを含み得る。いくつかの実施態様において、このチップは1回使用後に使い捨てとすることができる。
【0085】
いくつかの実施形態において、集積装置2-102は、追加の機器電子部品を含み得る電子回路基板2-130上に実装され得る。例えば、PCB2-130は、電力、1つまたは複数のクロック信号、および制御信号を集積装置2-102に提供するように構成された回路部と、サンプルウェルまたは反応チャンバ2-108から検出される蛍光放出を表す信号を受信するように構成された信号処理回路部とを含み得る。集積装置2-102から戻されるデータを、機器2-100上の電子部品によって一部または全体を処理することができるが、いくつかの実施態様においては、データはネットワーク接続により1つまたは複数の遠隔データプロセッサに送信されてもよい。
【0086】
図2-2は、図示は縮尺通りではないが、出力パルス2-122の時間的な強度プロファイルを示している。いくつかの実施形態において、放出されたパルスのピーク強度値はほぼ等しくなり得る。プロファイルは、ガウス型の時間的プロファイルを有し得るが、sech2型のプロファイルなどの他のプロファイルも可能である。各パルスの持続時間は、
図2-2に示すように、全値半幅(FWHM)値によって特徴付けられ得る。モードロックレーザのいくつかの実施形態によると、超短光パルスは、約5ピコ秒(ps)~約30psのFWHM値を有し得る。
【0087】
出力パルス2-122は、規則的な間隔Tで離間し得る。例えば、Tは、出力カプラ2-111とキャビティエンドミラー2-119との間の往復移動時間によって決定され得る。いくつかの実施形態において、パルス離間間隔はレーザキャビティ内の往復移動時間に対応し、それによって3メートルのキャビティ長(6メートルの往復距離)がおよそ20nsのパルス離間間隔Tを提供するようにする。
【0088】
いくつかの実施形態において、異なるフルオロフォアは、それらの異なる蛍光減衰率または特徴的な寿命によって区別され得る。したがって、特定の実施形態では、パルス離間間隔Tは、それらの異なる減衰率を区別するために、選択されたフルオロフォアの適切な統計値を収集するのに十分な間隔とされる。適切なパルス離間間隔Tは、データ処理回路部が反応チャンバにより収集されたデータを処理することを可能にする。いくつかの実施形態において、約5ns~約20nsのパルス離間間隔Tは、概して最大約2nsの減衰率を有するフルオロフォアおよび約60,000個~32,000,000個の反応チャンバからのデータを取り扱うのに好適である。いくつかの実施形態において、データ処理回路は、最大100,000,000個の反応チャンバからのデータを処理し得る。
【0089】
本開示の技術のいくつかの態様および実施形態を説明したが、様々な変形、変更、および改良が当業者に容易に想起され得る。そのような変形、変更、および改良も、本明細書に記載される技術の思想および範囲内にあることが意図される。したがって、上記の実施形態は例として提示されているものにすぎず、請求項およびその均等物の範囲内で本発明の実施形態は詳細に記載されているものとは別様に実現可能である。加えて、本明細書に記載される2つ以上の特徴、システム、物品、材料、キット、および/または方法の任意の組み合わせは、そのような特徴、システム、物品、材料、キット、および/または方法が相互に矛盾しない限り、本開示の範囲内に含まれる。
【0090】
また、上記のとおり、いくつかの態様は1つまたは複数の方法として具現化され得る。方法の一部として実施される動作は、任意の好適な形で順序付けることができる。したがって、例示的な実施形態では連続的な動作として示されている場合であっても、図示されているものとは異なる順序で動作が実施される実施形態も構築可能であり、これには、いくつかの動作を同時に実施することも含まれる。
【0091】
本明細書において定義されるおよび使用されるすべての定義は、辞書の定義、参照により援用される文献中の定義、および/または定義された用語の通常の意味を支配する。
本明細書および特許請求の範囲において使用される「1つ」は、明示的にそれと反対のことが示されない限り、「少なくとも1つ」を意味する。
【0092】
本明細書および特許請求の範囲において使用される「および/または」という句は、そのように連結された要素の「一方または両方」、すなわち、ある場合には連言的に存在する要素を意味し、他の場合には選言的に存在する要素を意味する。
【0093】
本明細書および特許請求の範囲において、1つまたは複数の要素の列挙に関して使用される「少なくとも1つ」という句は、列挙中の要素のうちのいずれか1つまたは複数から選択される少なくとも1つの要素を意味するが、必ずしも列挙内に具体的に列挙されたあらゆる要素のうちの少なくとも1つを含むとは限らず、列挙中の要素の任意の組み合わせを排除するものではない。この定義は、「少なくとも1つ」という句が言及する要素の列挙内で具体的に特定される要素以外の要素が、具体的に特定されるそれらの要素に関するか関しないかにかかわらず、任意選択的に存在し得る。
【0094】
本明細書および特許請求の範囲における「備える」、「含む」、「担持する」、「有する」、「含有する」、「伴う」、「保持する」、「により構成される」などの移行句はオープンエンド、すなわち限定はされないが含むことを意味する。「からなる」および「本質的に~からなる」という移行句はそれぞれクローズドまたはセミクローズドの移行句とする。
【0095】
「ほぼ」、「実質的に」、「約」という用語は、いくつかの実施形態では目標値および/または目標態様の±20%以内、いくつかの実施形態では目標値の±10%以内、いくつかの実施形態では目標値の±5%以内、いくつかの実施形態では目標値の±2%以内を意味するように使用され得る。「ほぼ」、「実質的に」、「約」という用語は、目標値を含み得る。
【国際調査報告】