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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-24
(54)【発明の名称】多層周波数選択性表面
(51)【国際特許分類】
   H01Q 15/14 20060101AFI20240517BHJP
【FI】
H01Q15/14 B
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023574559
(86)(22)【出願日】2022-05-12
(85)【翻訳文提出日】2023-12-12
(86)【国際出願番号】 EP2022062917
(87)【国際公開番号】W WO2022253545
(87)【国際公開日】2022-12-08
(31)【優先権主張番号】2150704-1
(32)【優先日】2021-06-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】000002185
【氏名又は名称】ソニーグループ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ザオ,クン
(72)【発明者】
【氏名】ルセク,フレドリク
(72)【発明者】
【氏名】ザンダー,オロフ
(72)【発明者】
【氏名】ベンソン,エリック
(72)【発明者】
【氏名】フロルデリス,ホセ
【テーマコード(参考)】
5J020
【Fターム(参考)】
5J020AA06
5J020BD03
5J020BD04
(57)【要約】
通過帯域及び1つ又は複数の阻止帯域を有する周波数応答を示す多層周波数選択性表面が開示される。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
-第1の金属素子(231、232)の第1のアレイ(151)を含む第1の層(141)と、
-第2の金属素子(241、242、243、244、245)の第2のアレイ(152)を含む第2の層(142)と、前記第2の金属素子(241、242、243、244、245)のうちの隣接するものが、互いに間隙(261、262)だけ離間され、
-第3の金属素子(231、232)の第3のアレイ(153)を含む第3の層(143)とを備え、
前記第2の層(142)が、前記第1の層(141)と前記第3の層(143)との間に、前記第1の層(141)及び前記第3の層(143)に隣接して配置される、多層周波数選択性表面(110)。
【請求項2】
前記多層周波数選択性表面(110)の周波数応答(400)が、周波数領域において互いにオフセットされた少なくとも1つの阻止帯域(431、432)及び通過帯域(421)を含む、請求項1に記載の多層周波数選択性表面(110)。
【請求項3】
前記少なくとも1つの阻止帯域(431、432)が、前記通過帯域(421)よりも高い周波数にある、請求項2に記載の多層周波数選択性表面(110)。
【請求項4】
前記第2のアレイ(152)についての金属充填率が、前記第1のアレイ(151)及び前記第3のアレイ(153)についての金属充填率よりも低い、請求項1~3のいずれか1つに記載の多層周波数選択性表面(110)。
【請求項5】
前記第2の金属素子(241、242)がループ形状である、請求項1~4のいずれか1つに記載の多層周波数選択性表面(110)。
【請求項6】
前記第2の金属素子(243、244、245)が十字形である、請求項1~4のいずれか1つに記載の多層周波数選択性表面。
【請求項7】
前記第2のアレイ(152)が2回転対称を有する、請求項1~6のいずれか1つに記載の多層周波数選択性表面(110)。
【請求項8】
前記第2の金属素子(241)のうちの隣接するものが、前記第2のアレイ(152)の第1の面内方向(x)に沿って第1の間隙(261)だけ離間され、
前記第2の金属素子(241)のうちの隣接するものが、前記第2のアレイ(152)の第2の面内方向(y)に沿って第2の間隙(262)だけ離間され、
前記第1の間隙(261)が前記第2の間隙(262)よりも広い、請求項1~7のいずれか1つに記載の多層周波数選択性表面(110)。
【請求項9】
前記第2の金属素子(242)のうちの隣接するものが、前記第2のアレイ(152)の第1の面内方向(x)に沿って前記間隙(261)だけ離間され、
前記第2の金属素子(242)のうちの隣接するものが、前記第2のアレイ(152)の第2の面内方向(y)に沿って共に接合される、請求項1~7のいずれか1つに記載の多層周波数選択性表面(110)。
【請求項10】
-前記間隙(261、262)のうちの1つ又は複数に配置された同調可能キャパシタ(701)をさらに備える、請求項1~9のいずれか1つに記載の多層周波数選択性表面(110)。
【請求項11】
前記同調可能キャパシタ(701)がPINダイオードを含む、請求項10に記載の多層周波数選択性表面(110)。
【請求項12】
-請求項10又は11に記載の多層周波数選択性表面(110)と、
-前記同調可能キャパシタ(701)にバイアス電圧を印加するように構成された電圧源(710)と、
-前記多層周波数選択性表面(110)の周波数応答(400)の阻止帯域(431,432)の周波数を示す制御データに基づいて、前記バイアス電圧を印加するように前記電圧源(710)を制御するように構成された制御ユニット(985)とを備える、システム(900)。
【請求項13】
前記電圧源(710)が、前記同調可能キャパシタ(701)のうちの複数の直列接続に前記バイアス電圧を印加するように構成される、請求項12に記載のシステム(900)。
【請求項14】
-カバー(920)と、
-電磁波を透過又は受信するように構成されたアンテナ(910)と、
-前記アンテナ(910)に隣接して前記カバー(920)に取り付けられた、請求項1~11のいずれか1つに記載の多層周波数選択性表面(110)とを備える、無線通信デバイス(981)。
【請求項15】
-周波数を示す制御データを取得することと、
-周波数選択性表面のアレイの素子間の間隙において配置された同調可能キャパシタをバイアスするように電圧源を制御することとを含む、コンピュータ実装方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の様々な例は、概して、複数の層を含む周波数選択性表面(frequency-selective surface:FSS)に関する。本開示の様々な例は、特に、周波数領域における阻止帯域の柔軟な位置決めを容易にするFSSの中間層のアレイのユニットセルジオメトリに関する。
【背景技術】
【0002】
ガラスは、携帯電話の筐体のために広く使用されている材料である。しかしながら、ガラスは、特にミリメートル波長領域において、電磁波の伝播特性に大きな影響を及ぼす可能性がある。これは、ガラスが高い誘電率を有するためである。例えば、ガラスの(真空の誘電率に対する)誘電率は5.5から7の間であり得、これは、プラスチックと比較した場合、2倍であり得る。プラスチックは、典型的には、3.0未満の誘電率を有し得る。
【0003】
したがって、ガラスは、通信目的で使用される電磁波をかなり遮断することができる。例えば、28GHzの周波数を有する電磁波の場合、特定の入射角において透過が完全に遮断され得ることが観察された。
【0004】
透過率を改善するために、FSSが使用され得る。FSSは、以下に開示されている。
Anwar、Rana Sadaf、Lingfeng Mao、及びHuansheng Ning、「FSSs:a review」、Applied Sciences 8.9(2018):1689。
Chang、Kihun、Sang il Kwak、及びYoung Joong Yoon、「Equivalent circuit modeling of active FSSs」、2008 IEEE Radio and Wireless Symposium、IEEE、2008。
Bayatpur、Farhad、及びKamal Sarabandi、「Tuning performance of metamaterial-based FSSs」、IEEE Transactions on Antennas and Propagation 57.2(2009):590-592。
Al-Joumayly、Mudar、及びNader Behdad、「A new technique for design of low-profile,second-order,bandpass FSSs」、IEEE Transactions on Antennas and Propagation 57.2(2009):452-459。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
高度なFSSが必要とされている。特に、阻止帯域を示すFSSが必要とされている。阻止帯域の周波数の調節を可能にするFSSが必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この必要性は、独立請求項の特徴によって満たされる。従属請求項の特徴は、例を定義する。
【0007】
以下に、所望の周波数帯域(通過帯域)、並びに電磁波の透過率が低いもう1つの阻止帯域における良好な透過を可能にすることができるFSSを実装する技術が開示される。
【0008】
様々な例によれば、多層FSS(MFSS)が、第1の金属素子の第1のアレイを含む第1の層を含む。MFSSは、第2の金属素子の第2のアレイを含む第2の層をも含む。第2の金属素子のうちの隣接するものは、互いに間隙だけ離間される。MFSSは、第3の金属素子の第3のアレイを含む第3の層をも含む。第2の層は、第1の層と第3の層との間に、第1の層及び第3の層に隣接して配置される。
【0009】
第2の層が第1の層と第3の層との間に、第1の層及び第3の層に隣接して配置されることは、それぞれ、第2の層と第1の層との間、並びに第2の層と第3の層との間にさらなる金属素子がないことを意味し得る。
【0010】
したがって、第1の層は最上層とラベル付けされ得、第3の層は最下層とラベル付けされ得、第2の層は中間層とラベル付けされ得る。
【0011】
金属素子が間隙だけ離間されることは、それぞれの金属素子の幅が第2のアレイ内の金属素子の周期性よりも小さいことを意味し得る。したがって、間隙が形成される。
【0012】
アレイは、平面であり、互いに平行であり得る。
【0013】
第1のアレイと第3のアレイとは同じであり得る。
【0014】
アレイの面内の2つの直交方向は、以下で、X方向及びY方向と呼ばれる。
【0015】
多層FSSは、第1の層、第2の層、及び第3の層によって形成された層スタックの上部及び/又は底部においてさらなる層を含むことが可能である。
【0016】
第1の金属素子は、第1の容量性金属素子であり得る。代替又は追加として、第2の金属素子は、第2の容量性金属素子であり得る。代替又は追加として、第3の金属素子は、第3の容量性金属素子であり得る。
【0017】
容量性金属素子は、入射電磁波に対する応答をモデル化するための等価回路モデルにおいて有意なキャパシタンスを示す素子であり得る。したがって、容量性金属素子は、連続金属シートとは異なり得る。容量性金属素子は、互いに間隙だけ離間されることがある。特に、容量性金属素子は、主に入射電磁波にインダクタンスを提供する誘導性金属素子、例えばワイヤストリップとは異なり得る。容量性金属素子は、入射電磁波に位相進み又は位相遅延を導入し得る。
【0018】
上記で説明されたMFSSは、通過帯域と阻止帯域の両方を含む周波数応答を有し得ることが観察された。様々な用途において、通過帯域と阻止帯域の両方を実装することが望ましいことがある。これは、それにより周波数フィルタが実装され得、干渉及び/又は電磁暴露が緩和され得ると同時に、所望の通信スペクトル内の電磁波についての透過率がサポートされ得るためである。
【0019】
阻止帯域の形成は、中間層内の第2の金属素子のうちの隣接するものの間の間隙の存在によって動機付けられ得る。そのような間隙は、MFSSの等価回路モデルにおける追加の並列キャパシタンスに対応し、等価回路モデルはπフィルタに対応し、例えば、Al-Joumayly、Mudar、及びNader Behdad、「A new technique for design of low-profile,second-order,bandpass FSSs」、IEEE Transactions on Antennas and Propagation 57.2(2009):452-459を参照されたい。
【0020】
特に、通過帯域の透過率、すなわち、MFSSに入射する電磁エネルギーに対する、MFSSを通過することが可能である電磁エネルギーの割合は1に近く、例えば0.9~1の範囲内にあり得る。一方、阻止帯域の透過率は、10%未満、さらにはE10-4未満であり得る。
【0021】
一般に、阻止帯域は、周波数領域において通過帯域からオフセットされ得る。これは、通過帯域と阻止帯域とが異なる周波数において配置され得ることを意味する。
【0022】
一般に、阻止帯域は、通過帯域よりも高い周波数、又はより低い周波数にあり得る。
【0023】
MFSSの周波数応答が複数の通過帯域を含むことが可能である。例えば、第1の通過帯域は、阻止帯域と比較して低い周波数にあり得、第2の通過帯域は、阻止帯域と比較して高い周波数にあり得る。
【0024】
MFSSの周波数応答が複数の阻止帯域を含むことが可能である。例えば、第1の阻止帯域は通過帯域よりも低い周波数に位置し得、第2の阻止帯域は通過帯域よりも高い周波数に位置し得る。
【0025】
隣接する金属素子間に間隙がある第2のアレイを有するMFSSを使用することによって、阻止帯域の周波数及び通過帯域の周波数を柔軟に調節することが可能である。特に、阻止帯域の周波数は、通過帯域の周波数を大きくシフトさせることなくシフトされ得、逆もまた同様である。これは、阻止帯域の周波数が主に第2のアレイ内の間隙によって影響を及ぼされる一方、通過帯域の周波数が主に第1及び第3のアレイのジオメトリによって影響を及ぼされるためである。
【0026】
一般に、金属充填率は、第2のアレイの場合、第1のアレイ及び第3のアレイよりも低い可能性がある。金属充填率は、それぞれのアレイによって覆われた総面積と比較した、金属によって覆われた面積の比を表すことができる。例えば、連続金属層は、1の金属充填率を有する。誘電体層は、0の金属充填率を有する。
【0027】
中間層について比較的低い金属充填率を使用することによって、通過帯域の形成を容易にすることが可能である。
【0028】
一般に、中間層の金属素子を実装するために様々な選択肢が利用可能である。例えば、中間層の金属素子は、ループ形状又は十字形であり得る。
【0029】
いくつかの例では、第2のアレイは、2回転対称を有する。2回転対称は、第2のアレイの平面に垂直な回転軸の周りの金属素子のジオメトリの180°回転が初期ジオメトリをもたらすシナリオを表す。すなわち、これは、アレイの面内軸においてジオメトリをミラーリングすることに対応する。
【0030】
そのような2回転対称は、複数の暗示を有する。第1に、X方向及びY方向における間隙について異なる幅が使用され得る(そうでなければ、X方向とY方向について同じ間隙が使用された場合、これは、4回以上の回転対称をもたらす。)これは、電磁波の水平偏波と垂直偏波(「水平」及び「垂直」は任意に定義される)とが、MFSSによって、異なるように影響を及ぼされることを意味する。それにより、特に、水平偏波信号と垂直偏波信号とについて、異なる阻止帯域を同調させることが可能である。これは、偏波多重が使用される場合、干渉を緩和するのに役立ち得る。
【0031】
したがって、一般に、第2の金属素子のうちの隣接するものは、第2のアレイの第1の面内方向(例えば、X方向)に沿って第1の間隙だけ互いに離間され得、第2の金属素子のうちの隣接するものは、第2のアレイの第2の面内方向(例えば、Y方向)に沿って第2の間隙だけ互いに離間され得る。
【0032】
一般に、第1の間隙は、第2の間隙と同じように構成され得るか、又は異なるように構成され得る。例えば、第1の間隙は、より広いことがある。
【0033】
第2の金属素子のうちの隣接するものは、第2のアレイの第2の面内方向に沿って共に接合されることさえあり、すなわち、間隙がない。
【0034】
そのような異なる構成はすべて、電磁波の異なる偏波について異なるように阻止帯域を調節することを可能にすることができる。
【0035】
様々な例によれば、第2の層の隣接する金属素子間の間隙のうちの1つ又は複数において同調可能キャパシタが配置されることが可能である。
【0036】
例えば、同調可能キャパシタは、PINダイオードを使用して実装され得る。同調可能キャパシタは、電圧制御キャパシタを使用して実装され得る。
【0037】
典型的には、PINダイオードは、2つの状態、すなわちオン又はオフの間でスイッチされ得、これは、例えば逆バイアスにおいて動作されるとき、2つの等価キャパシタンスをもたらす。それにより、阻止帯域をスイッチオン/スイッチオフすることが可能である。異なるように、同調可能キャパシタは、同調可能キャパシタンスを示すことができる。それにより、同調可能キャパシタのキャパシタンスを同調させることによって阻止帯域の周波数を変更することも可能である。
【0038】
様々な例によれば、システムは、上記で開示されたようなMFSSを含むことができる。さらに、システムは、同調可能キャパシタにバイアス電圧を印加するように構成された電圧源を含むことができる。制御ユニットが、バイアス電圧を印加するように電圧源を制御するように構成され得る。
【0039】
例えば、プロセッサと、プロセッサによってロード及び実行され得るプログラムコードを記憶するメモリとを含む、制御ユニットは、阻止帯域の周波数を示す制御データに基づいて、バイアス電圧を印加するように電圧源を制御するように構成され得る。
【0040】
一般に、阻止帯域の周波数を同調させるために、同調可能キャパシタにバイアス電圧を印加するように構成された電圧源は、同調可能キャパシタのうちの複数の直列接続を使用して、バイアス電圧を印加することができる。その場合、各個々の同調可能キャパシタを個別にバイアスする必要はなく、むしろ、直列接続を利用することによって、簡略化された供給ネットワークが実現され得る。
【0041】
無線通信デバイスは、カバーとアンテナとを含む。アンテナは、電磁波を透過又は受信するように構成される。上記で開示されたMFSSは、アンテナに隣接するガラスカバーに取り付けられ得る。通過帯域の周波数は、アンテナの周波数に同調させることができる。
【0042】
カバーは、例えば4以上又は5以上の誘電率を有する高誘電率材料から作製され得る。
【0043】
例えば、カバーはガラスから作製され得る。
【0044】
コンピュータ実装方法は、周波数を示す制御データを取得することを含む。その場合、MFSSのアレイの素子間の間隙において配置された同調可能キャパシタをバイアスするために、電圧源が制御され得る。
【0045】
上述の特徴及び以下のまだ説明されていない特徴は、示されたそれぞれの組合せにおいてだけでなく、本発明の範囲から逸脱することなく、他の組合せ又は単独でも使用され得ることを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0046】
図1図1は、様々な例による、MFSSの概略側面図である。
図2図2は、様々な例による、MFSSの最上層及び最下層の金属素子のアレイを概略的に示す図である。
図3図3は、様々な例による、MFSSの最上層及び最下層の金属素子のアレイを概略的に示す図である。
図4図4は、様々な例による、MFSSの中間層の金属素子のアレイを概略的に示す図である。
図5図5は、様々な例による、MFSSの中間層の金属素子のアレイを概略的に示す図である。
図6図6は、様々な例による、MFSSの中間層の金属素子のアレイを概略的に示す図である。
図7図7は、様々な例による、MFSSの中間層の金属素子のアレイを概略的に示す図である。
図8図8は、様々な例による、MFSSの中間層の金属素子のアレイを概略的に示す図である。
図9図9は、様々な例による、MFSSの中間層の金属素子のアレイを概略的に示す図である。
図10図10は、様々な例による、通過帯域及び阻止帯域を含むMFSSの周波数応答である。
図11図11は、様々な例による、通過帯域及び阻止帯域を含むMFSSの周波数応答である。
図12図12は、様々な例による、MFSSの等価回路モデルである。
図13図13は、様々な例による、MFSSの中間層の金属素子間の間隙において配置された同調可能キャパシタを概略的に示す図である。
図14図14は、様々な例による、同調可能キャパシタをバイアスすることを概略的に示す図である。
図15図15は、無線通信装デバイスの筐体のカバーに取り付けられたMFSSを含むシステムを概略的に示す図である。
図16図16は、様々な例による、方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0047】
本開示のいくつかの例は、一般に、複数の回路又は他の電気デバイスを提供する。回路及び他の電気デバイス、並びに各々によって提供される機能へのすべての言及は、本明細書で図示及び説明されているもののみを包含することに限定されることを意図するものではない。開示された様々な回路又は他の電気デバイスに特定のラベルが割り当てられ得るが、そのようなラベルは、回路及び他の電気デバイスのための動作の範囲を限定することを意図するものではない。そのような回路及び他の電気デバイスは、所望される特定のタイプの電気的実装形態に基づいて、互いに組合せられ、及び/又は任意の方法で分離され得る。本明細書で開示される任意の回路又は他の電気デバイスは、本明細書で開示された動作を実施するために互いに協働する、任意の数のマイクロコントローラ、グラフィックスプロセッサユニット(GPU)、集積回路、メモリデバイス(例えば、FLASH(登録商標)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読取り専用メモリ(ROM)、電気的プログラマブル読取り専用メモリ(EPROM)、電気的消去可能プログラマブル読取り専用メモリ(EEPROM)、又はそれらの他の好適な変形態)、及びソフトウェアを含み得ることが認識される。さらに、電気デバイスのうちの任意の1つ又は複数は、開示される任意の数の機能を実施するようにプログラムされた非一時的コンピュータ可読媒体において具現化されたプログラムコードを実行するように構成され得る。
【0048】
以下では、添付の図面を参照して、本発明の例が詳細に説明される。例の以下の説明は、限定的な意味で解釈されるべきではないことを理解されたい。本発明の範囲は、以下で説明される例によって、又は図面によって限定されることを意図するものではなく、これらは例示的なものにすぎないと解釈される。
【0049】
図面は概略表現と見なされるべきであり、図面に示された素子は必ずしも縮尺通りに示されているとは限らない。むしろ、様々な素子は、それらの機能及び一般的な目的が当業者に明らかになるように表される。機能ブロック、デバイス、構成要素、或いは図面に示されているか又は本明細書で説明される他の物理的又は機能的ユニット間の任意の接続又は結合も、間接的な接続又は結合によって実装され得る。構成要素間の結合はまた、無線接続を介して確立され得る。機能ブロックは、ハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、又はそれらの組合せで実装され得る。
【0050】
以下で、FSSに関連する技術が開示される。FSSは、(調整可能な)電気的応答を示す受動デバイス又は半受動デバイスである。FSSの周波数選択性透過/反射特性を調節するために、金属素子の平面的及び周期的アレイが使用され得る。対応する層の厚さは、波長と比較した場合、無視できることがある。しかしながら、層の厚さは、金属の表皮深さよりも大きい可能性がある。したがって、金属素子のそのようなアレイは、完全に伝導する共振素子のアレイとして近似され得る。それぞれのアレイ内の金属素子の周期性は、波長と同程度の大きさであるか、さらには、より小さいことがある。
【0051】
様々な例によれば、MFSSが使用される。ここでは、最下層、最上層及び最上層と最下層との間に配置される中間層が使用される。
【0052】
様々な例によれば、同調可能MFSSが開示される。ここでは、同調可能キャパシタは、MFSSの周波数応答を調整するために使用され得る。特に、同調可能キャパシタに適切なバイアス電圧を印加することによって、MFSSの阻止帯域の周波数が調整され得る。例えば、電圧制御キャパシタが使用され得るか、又はPINダイオードが使用され得る。
【0053】
開示された例によるMFSSは、その周波数応答において阻止帯域を含むことができる。阻止帯域は、干渉を低減するのを助けることができる。隣接する生体物質の、電磁波への暴露を制限する帯域外放射が低減され得る。
【0054】
様々な例によれば、本明細書で開示されるMFSSは、阻止帯域の調節された周波数を有することができる。第1に、MFSSを実装するために使用される幾何学的構造の設計パラメータの自由度は、隣接する通過帯域の周波数に対する影響なしに阻止帯域の周波数の柔軟な調整を可能にするように、十分に大きい可能性がある。例えば、阻止帯域の周波数は、中間層の金属素子のアレイの以下の設計パラメータ、すなわち、金属素子の形状、金属素子の幅対周期性比、金属素子間の間隙のうちの1つ又は複数の選択によって同調させることができる。そのようなパラメータの変更は、通過帯域の周波数に影響を及ぼさないか、又は無視できる程度にしか影響を及ぼさないことがある。さらに、同調可能FSSの場合、通過帯域の周波数に影響を及ぼすことなく、阻止帯域の周波数を動的に同調させることが可能である。
【0055】
本明細書で開示される技術によれば、電磁波の水平偏波及び垂直偏波について異なる周波数において複数の阻止帯域を実装することが可能である。例えば、中間層の金属素子のアレイの2回転対称は、2つの偏波について異なる阻止帯域をもたらし得る。2回転対称は、例えば、そのアレイのX方向及びY方向に沿った間隙について異なる間隙幅を使用することによって達成され得る。
【0056】
図1は、MFSS110を概略的に示す。MFSS110は、最上層141と、中間層142と、最下層143とを含む(「最上」及び「最下」は任意に定義される)。最上層141は、金属素子のアレイ151を含む。中間層142は、金属素子のアレイ152を含む。最下層143は、金属素子のアレイ153を含む。アレイ151、152は、誘電体層161によって分離される。アレイ152、153は、誘電体層162によって分離される。
【0057】
図1に、入射電磁波121、反射電磁波122、並びに透過電磁波123が示されている。入射電磁波121のエネルギー又は振幅に対する透過電磁波123のエネルギー又は振幅の比は、MFSSの透過率を規定する。入射電磁波121のエネルギー又は振幅に対する反射電磁波122の振幅又はエネルギーの比は、MFSSの反射率を規定する。
【0058】
図2は、最上層141及び最下層143のアレイ151、153の例示的な実装形態を概略的に示す。例えば、アレイ151がアレイ153と同じように構成されることが可能である。図2の例では、アレイ151、153は、X方向及びY方向に沿った間隙だけ分離された、金属素子231としての容量性パッチによって実装される。
【0059】
アレイ151、153は、図示の例では4回転対称を有する。したがって、水平偏波電磁波及び垂直偏波電磁波のための通過帯域位置は、同じになる。
【0060】
X方向及びY方向において異なる間隙幅を使用することも可能であり、例えば、2回転対称をもたらす。その場合、水平偏波電磁波及び垂直偏波電磁波について、異なる通過帯域が構成され得る。
【0061】
図3は、最上層141及び最下層143のアレイ151、153の例示的な実装形態を概略的に示す。アレイ151、153は、(アレイ151、153のユニットセルを形成する)金属素子232としての容量性円によって実装される。アレイ151、153は、この場合も、概して任意である4回転対称を有する。
【0062】
理解されるように、図2及び図3では、アレイ151、153の金属充填率は比較的高く、例えば、図2では95%よりも高く、図3では70%よりも高い。
【0063】
図4は、中間層142のアレイ152の例示的な実装形態を概略的に示す。図4の例では、アレイ152は、X方向並びにY方向の両方に沿った間隙261、262だけ分離された正方形のループ形状金属素子241によって実装される(それにより、アレイ151、153のユニットセルを形成する)。
【0064】
アレイ152の金属充填率は15%未満である。これは、特に、上記の図2及び図3に関連して説明された最上層141及び最下層143のアレイ151、153の金属充填率よりも著しく小さい。
【0065】
金属充填率のそのような差は、πフィルタネットワークの形態の等価回路モデルを使用するMFSSの周波数応答の正確なモデル化を可能にする。
【0066】
図5は、中間層142のアレイ152の例示的な実装形態を概略的に示す。図5の例では、アレイ152は、(アレイ152のユニットセルを形成する)矩形のループ形状素子を使用して実装される。
【0067】
これらの素子は、X方向に沿った間隙261だけ離間/分離されるにすぎず、Y方向に沿って共に接合される。
【0068】
したがって、アレイ152の2回転対称が実現される。
【0069】
したがって、水平偏波電磁波は、垂直偏波電磁波と比較して異なるように影響を及ぼされる。例えば、2つの偏波のうちの一方は、有意な阻止帯域を経験する可能性があり、ここで、阻止帯域は、他方の偏波のための周波数応答において存在しないことがあるか、又は顕著でないことがある。
【0070】
図6は、中間層142のアレイ152の例示的な実装形態を概略的に示す。図6の例では、アレイ152は、(アレイ152のユニットセルを形成する)矩形のループ形状金属素子242を使用して実装される。これらの素子は、X方向に沿った間隙261だけ分離され、Y方向に沿った間隙262だけ分離される。
【0071】
間隙261、262は異なる幅を有し(間隙261はより広い)、これは図4のシナリオとは異なる。
【0072】
したがって、水平偏波電磁波についての阻止帯域の周波数は、垂直偏波電磁波についての阻止帯域の周波数とは異なる。
【0073】
図7は、中間層142のアレイ152の例示的な実装形態を概略的に示す。図7の例では、アレイ152は、(アレイ152のユニットセルを形成する)十字形金属素子243を使用して実装される。この場合も、間隙261、262の異なる幅が使用され、これは概して任意である。十字がY方向に沿って共に接合される(図示せず)ことも可能である。
【0074】
図8は、中間層142のアレイ152の例示的な実装形態を概略的に示す。図8の例では、アレイ152は、(アレイ152のユニットセルを形成する)金属素子244としてエルサレム十字を使用して実装される。
【0075】
異なる幅の間隙261、262が使用されることが可能である。十字は、Y方向に沿って共に接合され得る。
【0076】
上記で示された例は、アレイ152について2回転(図5図6図7)又は4回転(図4図8)対称を実現する。また、図9に関連して示されるように、より高次の回転対称が可能である(ここでは6回転対称が示される)。
【0077】
図9は、中間層142のアレイ152の例示的な実装形態を概略的に示す。図9の例では、アレイ152は、「3脚装荷(3-legged loaded)」と呼ばれることもある、六角形のユニットセルを使用して実装される。この場合も、3本の脚を有する十字形金属素子245が使用される。複数のそのような3本脚の十字を含むユニットセルがもたらされる。
【0078】
図10は、様々な例による、MFSS110の周波数応答400を示す。透過利得が周波数の関数としてプロットされている。透過利得は透過率に対応する。水平偏波及び垂直偏波それぞれについて、通過帯域421及び2つの阻止帯域431、432が示されている。
【0079】
図9では、阻止帯域431、432は通過帯域421の上方に配置されているが、一般に、図11に示されているように、1つ又は複数の阻止帯域が通過帯域421の下方に配置されることも可能である。
【0080】
図12は、MFSSの等価回路モデル800を示す。πフィルタ受動ネットワークが実装される。図示のように、最上層141及び最下層143は、並列キャパシタンスを使用してモデル化される(したがって、金属素子231、232は、容量性金属素子とラベル付けされ得る)。中間層142は、インダクタンス801及びキャパシタンス802によってモデル化される(したがって、金属素子241~245は、容量性金属素子とラベル付けされ得る)。
【0081】
キャパシタンス802は、中間層142の隣接する金属素子241~245の間の間隙261、262の幅によって主に影響を及ぼされることが観察された。また、キャパシタンス802は、それぞれの阻止帯域431、432の周波数に影響を及ぼす。したがって、間隙261、262の幅を同調させることによって、それぞれの阻止帯域431、432の周波数を同調させることが可能である。
【0082】
阻止帯域431、432の周波数をさらに柔軟に調節することが可能であるために、図13に示されているように、同調可能キャパシタ701を間隙261、262のうちの1つ又は複数において配置することが可能である。例えば、同調可能キャパシタ701は、PINダイオード又は電圧制御キャパシタとして実装され得る。
【0083】
図14は、アレイ152の隣接する間隙261、262において配置された同調可能キャパシタ701(バラクタ)の直列接続にバイアス電圧を印加する電圧源710を概略的に示す。これは、給電ネットワークが簡略化する。図14では、同調可能キャパシタ701はPINダイオードとして示されているが、例えばバラクタを使用した他の実装形態が同様に可能である。
【0084】
図15は、システム900を概略的に示す。システム900は、無線通信デバイス981、例えばタブレット又は携帯電話の筐体980を含む。ガラスカバー920が使用される。概して、4又は5以上の誘電率を有する高誘電率材料から作製されたカバーが使用され得る。アンテナ910に隣接するエリア内のガラスカバー920に、MFSS110が取り付けられている。MFSSの1つ又は複数の通過帯域の周波数は、アンテナ910の周波数と一致される。
【0085】
同調可能キャパシタ701に電圧を印加するように電圧源710を制御することができる制御ユニット985が設けられる(図15には示されていない)。例えば、これは、所望の阻止帯域の周波数を示す制御データに基づくことができる。
【0086】
図16は、様々な例による、方法のフローチャートである。例えば、図16の方法は、制御ユニット985又は別のプロセッサによって実行され得る。上記で説明されたように間隙261、262において配置された同調可能キャパシタと結合された電圧源が制御され得る。
【0087】
ボックス3005において、阻止帯域の周波数を示す制御データが取得される。制御データは、メモリからロードされ得る。
【0088】
ボックス3010において、電圧源が、例えば上記の図に関連して説明されたように、MFSSのそれぞれのアレイの隣接する金属素子間の間隙において配置された同調可能キャパシタに電圧を印加するように制御され得る。
【0089】
本発明は特定の好ましい例に関して示され、説明されたが、当業者であれば、本明細書を読んで理解すれば、同等物及び修正を思いつくであろう。本発明は、すべてのそのような同等物及び修正を含み、添付の特許請求の範囲によってのみ限定される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
【国際調査報告】