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特表2024-520697非均一な光学的拡張およびパルスエネルギー変動を有する走査レーザ装置および方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-24
(54)【発明の名称】非均一な光学的拡張およびパルスエネルギー変動を有する走査レーザ装置および方法
(51)【国際特許分類】
   G01S 7/484 20060101AFI20240517BHJP
   G01S 17/931 20200101ALI20240517BHJP
   G01S 17/89 20200101ALI20240517BHJP
   G02B 26/10 20060101ALI20240517BHJP
【FI】
G01S7/484
G01S17/931
G01S17/89
G02B26/10 C
G02B26/10 101
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023574571
(86)(22)【出願日】2022-05-23
(85)【翻訳文提出日】2024-01-31
(86)【国際出願番号】 US2022072491
(87)【国際公開番号】W WO2022256775
(87)【国際公開日】2022-12-08
(31)【優先権主張番号】17/303,606
(32)【優先日】2021-06-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505472816
【氏名又は名称】マイクロビジョン,インク.
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】バロン,ヘンリー ジェー.
(72)【発明者】
【氏名】ノーザン スリー,アルガ ロイド
(72)【発明者】
【氏名】アドキンス,クリストファ ブライアン
(72)【発明者】
【氏名】モラリティ,ジョナサン エー.
【テーマコード(参考)】
2H045
5J084
【Fターム(参考)】
2H045BA13
2H045CB24
2H045DA11
5J084AA01
5J084AA05
5J084AD01
5J084BA04
5J084BA20
5J084BA36
5J084BA50
5J084BB01
5J084BB04
5J084BB11
5J084BB14
5J084BB15
5J084BB28
5J084CA03
5J084CA11
5J084CA31
5J084CA70
5J084DA01
5J084DA08
5J084DA09
5J084EA11
5J084EA40
(57)【要約】
本明細書に記載の実施形態は、走査レーザ装置(100)の性能を改善することができるシステムおよび方法を提供する。具体的には、システムおよび方法は、レーザ光パルスのエネルギーレベルの変動と組み合わせられた光学的拡張の非均一な変動を利用して、走査エリアにわたって改善された有効射程を提供する。一般に、改善された有効射程は、走査視野(114)にわたって変動し、走査視野の一部のエリアでは比較的長い有効射程があり、走査視野の他のエリアでは比較的短い有効射程がある。この走査視野にわたる変動射程は、走査視野の第1の軸に沿った位置に対してレーザ光パルスの光学的拡張の非均一な変動を提供する拡張光学系(108)と、走査視野の第1の軸に沿った位置に応じてレーザ光パルスのエネルギーレベルを変動させる光源制御器とによって促進される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザ光パルスを発生させるように構成されたレーザ光源と、
光学アセンブリであって、該光学アセンブリが、前記レーザ光パルスを走査視野内に走査するための拡張光学系およびビーム走査光学系を含み、該拡張光学系が、前記走査視野内の第1の軸に沿った位置に対する前記レーザ光パルスの光学的拡張の非均一な変動を提供する、光学アセンブリと、
前記走査視野内からの前記レーザ光パルスの反射を検出するための検出器と、
光源制御器であって、該光源制御器が前記走査視野内の前記第1の軸に沿った前記位置に対する前記光学的拡張の非均一な変動に比例する手法で、前記第1の軸に沿った前記位置に応じて前記レーザ光パルスのエネルギーレベルを変動させるように前記レーザ光源を制御するように構成された、光源制御器と、
を備える、装置。
【請求項2】
前記走査視野内の前記第1の軸に沿った位置に対する前記光学的拡張の非均一な変動が、前記走査視野内の第1の軸に沿った位置に対する非線形な拡張率を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記走査視野内の前記第1の軸に沿った位置に対する前記光学的拡張の非均一な変動が、第1の側面領域と第2の側面領域との間の前記第1の軸に沿った中央領域における前記レーザ光パルスの位置に対するより小さい光学的拡張と比較して、前記第1の軸に沿った前記第1の軸に沿った前記第1の側面領域における前記レーザ光パルスの位置に対するより大きい光学的拡張を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記光学的拡張の非均一な変動が、出射指向角の非均一な変動およびビーム幅の非均一な変動を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記走査視野が前記第1の軸に垂直な第2の軸を含み、前記光源制御器が、前記走査視野内の前記第2の軸に沿って前記レーザ光パルスのエネルギーレベルを変動させるようにさらに構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記光源制御器が前記走査視野の異なる領域に異なる有効射程を提供することに応答して、前記第1の軸および前記第2の軸に沿った前記位置に対して前記レーザ光パルスのエネルギーレベルをさらに変動させるようにさらに構成される、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記第2の軸が垂直軸を含み、前記光源制御器が、異なる垂直領域に異なる有効射程を提供するように、前記第2の軸に沿った前記位置に対して前記レーザ光パルスのエネルギーレベルを変動させるように構成される、請求項5に記載の装置。
【請求項8】
前記光源制御器が、前記第1の軸に沿った前記走査視野の異なる角度領域が異なる有効射程を有するように有効射程を動的に整形するために、前記第1の軸に沿った前記位置に対して前記レーザ光パルスのエネルギーレベルをさらに変動させるようにさらに構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記光源制御器が、前記第2の軸に沿った前記走査視野の異なる角度領域が異なる有効射程を有するように前記有効射程を動的に整形するために、第2の軸に沿った前記位置に対して前記レーザ光パルスのエネルギーレベルをさらに変動させるようにさらに構成される、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記光源制御器が、前記走査視野の中心に少なくとも比較的長射程な領域、前記走査視野の中射程領域、および前記走査視野の比較的短射程の領域を生成するように有効射程を動的に整形するために、各走査軌道について前記第1の軸に沿った前記位置に対して前記レーザ光パルスのエネルギーレベルをさらに変動させるようにさらに構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項11】
前記走査光学系が、水平走査ミラーおよび垂直走査ミラーを含み、前記拡張光学系が、第1のレンズ、第2のレンズ、および第3のレンズを含み、該第1のレンズ、該第2のレンズ、および該第3のレンズが、前記水平走査ミラーと前記垂直走査ミラーとの間に配置される、請求項1に記載の装置。
【請求項12】
前記装置が、移動プラットフォームに搭載されている、請求項1に記載の装置。
【請求項13】
前記検出された反射から走査視野内の深度測定点までの距離を判定するために前記検出器に応答する飛行時間(TOF)回路と、
複数の深度測定点に対して、短射程内の物体を検出するために第1のエネルギーレベルで前記レーザ光源に第1のレーザ光パルスを放出し、前記短射程内に物体が存在しないと判定したことに応答して、長射程内の物体を検出するために総第2のエネルギーレベルを有する少なくとも1/2のレーザ光パルスを前記レーザ光源に放出し、前記第1のエネルギーレベルが前記総第2のエネルギーレベルよりも低い仮想保護筐体回路と、
をさらに備える、請求項1に記載の装置。
【請求項14】
赤外線(IR)レーザ光パルスを発生させるように構成されたレーザ光源と、
光学アセンブリであって、該光学アセンブリが、前記IRレーザ光パルスを走査視野に走査するためのビーム整形光学系、拡張光学系、および走査光学系を含み、前記走査視野が、中央領域と、前記中央領域の両側の第1の側面領域および第2の側面領域とを含み、前記拡張光学系が、前記走査視野内の水平軸に沿った水平位置に対する前記IRレーザ光パルスの光学的拡張の非均一な変動を提供し、前記第1の側面領域および前記第2の側面領域における前記IRレーザ光パルスの水平位置に対する光学的拡張の増加がより大きく、前記中央領域における前記IRレーザ光パルスの水平位置に対する光学的拡張の増加がより小さい、光学アセンブリと、
前記走査視野内からの前記IRレーザ光パルスの反射を検出するための第1のIR検出器と、
前記第1のIR光検出器に応答して前記走査視野内の深度測定点における物体までの距離を測定する飛行時間(TOF)回路と、
光源制御器であって、該光源制御器が、前記第1の側面領域および前記第2の側面領域における前記IRレーザ光パルスの水平位置に対する光学的拡張の前記より大きな増加、および前記中央領域における前記IRレーザ光パルスの水平位置に対する光学的拡張の前記より小さな増加に比例する手法で、前記水平軸に沿った前記IRレーザ光パルスの水平位置に応じて前記IRレーザ光パルスのエネルギーレベルを変動させるように前記レーザ光源を制御するように構成された、光源制御器と、
を備える、装置。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
走査レーザ装置は、物体検出を含む多種多様な用途のために開発および実装されてきた。例えば、光検出および測距(LiDAR)システムは、表面の3Dマップを生成するために開発されており、3Dマップは、表面上の深度の変動を記述する。そのような物体検出および深度マッピングは、物体および運動の検知、ナビゲーションおよび制御を含む様々な用途で使用されている。例えば、そのようなLiDAR装置は、輸送および製造に使用される自律型装置を含む自律型車両のナビゲーションおよび制御に使用されている。
【0002】
いくつかのLiDARシステムにおける1つの問題は、有効射程と電力消費とのバランスをとる必要があることである。例えば、いくつかのLiDARシステムは、比較的長い有効射程を必要とするが、全体的な電力消費を削減する必要も有する。さらに、いくつかのLiDARシステムでは、異なるエリアにわたって異なる有効射程が必要とされており、この場合もまた、全体的な電力消費を削減する必要を有する。したがって、LiDARシステムおよび他の走査レーザ装置における検出のための改良されたシステムおよび方法が依然として必要とされている。
【図面の簡単な説明】
【0003】
図1】本発明の様々な実施形態による走査レーザ装置の概略図である。
【0004】
図2】本発明の様々な実施形態による光学アセンブリの概略図である。
【0005】
図3A】本発明の様々な実施形態による光学的拡張、走査軌道、およびレーザ光パルス・エネルギー・レベル調整のグラフを示す。
図3B】本発明の様々な実施形態による光学的拡張、走査軌道、およびレーザ光パルス・エネルギー・レベル調整のグラフを示す。
図3C】本発明の様々な実施形態による光学的拡張、走査軌道、およびレーザ光パルス・エネルギー・レベル調整のグラフを示す。
【0006】
図4A】本発明の様々な実施形態によるLiDARシステムおよびレーザ光パルス・エネルギー・レベル調整の概略図である。
図4B】本発明の様々な実施形態によるLiDARシステムおよびレーザ光パルス・エネルギー・レベル調整の概略図である。
図4C】本発明の様々な実施形態によるLiDARシステムおよびレーザ光パルス・エネルギー・レベル調整の概略図である。
図4D】本発明の様々な実施形態によるLiDARシステムおよびレーザ光パルス・エネルギー・レベル調整の概略図である。
図4E】本発明の様々な実施形態によるLiDARシステムおよびレーザ光パルス・エネルギー・レベル調整の概略図である。
図4F】本発明の様々な実施形態によるLiDARシステムおよびレーザ光パルス・エネルギー・レベル調整の概略図である。
図4G】本発明の様々な実施形態によるLiDARシステムおよびレーザ光パルス・エネルギー・レベル調整の概略図である。
図4H】本発明の様々な実施形態によるLiDARシステムおよびレーザ光パルス・エネルギー・レベル調整の概略図である。
【0007】
図5A】本発明の様々な実施形態によるLiDARシステムおよびその結果として生じる走査視野を含む移動プラットフォームの上面図および側面図である。
図5B】本発明の様々な実施形態によるLiDARシステムおよびその結果として生じる走査視野を含む移動プラットフォームの上面図および側面図である。
【0008】
図5C】本発明の様々な実施形態によるエネルギーレベル調整係数の表を示す。
図5D】本発明の様々な実施形態によるエネルギーレベル調整係数の表を示す。
【0009】
図6】本発明の様々な実施形態による走査レーザ装置の側面図および上面図である。
図7】本発明の様々な実施形態による走査レーザ装置の側面図および上面図である。
【0010】
図8】本発明の様々な実施形態によるLiDARシステムの概略図である。
【0011】
図9】本発明の様々な実施形態による短射程パルスおよび長射程パルスを示す図である。
【0012】
図10】本発明の様々な実施形態による方法のフロー図を示す。
【0013】
図11】本発明の様々な実施形態による距離の関数として物体を検出しない確率のグラフを示す。
【0014】
図12】本発明の様々な実施形態によるLiDARシステムを有する移動プラットフォームを示す図である。
【0015】
図13】本発明の様々な実施形態によるLiDARシステムの概略図である。
【0016】
図14】本発明の様々な実施形態による送信モジュールの側面図である。
【0017】
図15】本発明の様々な実施形態による送信モジュールの上面図である。
【0018】
図16】本発明の様々な実施形態による受信モジュールの側面図である。
【0019】
図17】本発明の様々な実施形態による受信モジュールの上面図である。
【0020】
図18】本発明の様々な実施形態による集積フォトニクスモジュールの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本明細書に記載の実施形態は、走査レーザ装置において、電力消費を削減しつつ、改善された有効射程を促進することができるシステムおよび方法を提供する。具体的には、システムおよび方法は、レーザ光パルスのエネルギーレベルの変動と組み合わせられた光学的拡張の非均一な変動を利用して、全体的な電力消費を削減しつつ、走査エリアにわたって改善された有効射程を提供する。
【0022】
一般に、改善された有効射程は走査視野にわたって変動し、走査視野の一部のエリアでは比較的長い有効射程があり、走査視野の他のエリアでは比較的短い有効射程がある。この走査視野にわたる変動射程は、走査視野の第1の軸に沿った位置に対してレーザ光パルスの光学的拡張の非均一な変動を提供する拡張光学系と、走査視野の第1の軸に沿った位置に応じてレーザ光パルスのエネルギーレベルを変動させる光源制御器とによって促進される。合わせて、拡張光学系および光源制御器は、全体的な電力消費を削減しつつ、この改善された有効射程を提供する。特定の一実施形態では、この改善された有効射程は、走査視野にわたって変動する射程を含み、走査視野の中央エリアではより長い有効射程を含み、走査視野の1つまたは複数の側面エリアではより短い有効射程を含む。以下でより詳細に説明するように、この変動可能な射程は、いくつかの走査レーザ装置用途において改善された機能性を提供することができる。
【0023】
ここで図1を参照すると、走査レーザ装置100の概略図が示されている。一実施形態では、走査レーザ装置100は、物体検出および/または3Dマップ生成に使用される光検出および測距(LiDAR)システムである。走査レーザ装置100は、光源制御器101と、レーザ光源102と、光学アセンブリ104と、検出器106とを含む。光学アセンブリ104は、拡張光学系108および走査光学系110を含む、レーザ走査用の様々な光学要素を含む。動作中、レーザ光源102は、走査視野114内の走査線のパターン112で光学アセンブリ104によって走査されるレーザ光のパルスを生成する。
【0024】
検出器106は、走査視野114内の物体からレーザ光パルスの反射を受信するように構成される。次いで、受信されたレーザ光パルスの反射を使用して、走査視野114内のこれらの物体を検出し得る。例えば、受信された反射の飛行時間(time-of-flight、TOF)測定値を使用して、各点における表面の深度を記述する三次元点群を生成することができ、したがって、物体表面の深度マップを生成するために使用することができる。
【0025】
図1の例では、走査視野114内の走査線のパターン112はラスタパターンを含む。しかしながら、これは一例に過ぎず、他の実施形態では、使用される走査線の他のパターンを生成し得る。パターン112の生成を促進するために、走査光学系110の動きを制御するための駆動回路を実装し得る。この例を以下でより詳細に説明する。
【0026】
本明細書に記載の実施形態によれば、拡張光学系108は、走査視野114内の第1の軸に沿った位置に対するレーザ光パルスの光学的拡張の非均一な変動を提供するように構成される。光源制御器101は、走査視野114の第1の軸に沿った位置に応じてレーザ光パルスのエネルギーレベルを変動させるように構成される。
【0027】
一般に、光源制御器101によって提供されるレーザ光パルスのエネルギーレベルの変動と組み合わせられた拡張光学系108によって提供される光学的拡張の非均一な変動は、全体的な電力消費を削減しつつ、走査エリアにわたって改善された有効射程を提供する。具体的には、一実施形態では、拡張光学系108および光源制御器101は、走査視野114にわたって変動する改善された有効射程を提供し、走査視野114の中央エリアではより長い有効射程を提供し、走査視野114の縁部エリアではより短い有効射程を提供する。
【0028】
以下でより詳細に説明するように、拡張光学系108は、非均一な光学的拡張を実装する。一般に、この非均一な光学的拡張は、拡張光学系108からの出射指向角の非均一な変化を含む。さらに、この非均一な光学的拡張はまた、拡張光学系108を出るレーザ光パルスのビーム幅およびビーム発散の非均一な変化を含み得る。そのような光学的拡張およびそれらを実装するために使用される拡張光学系の詳細な例については、以下でより詳細に説明する。
【0029】
非均一な光学的拡張に伴う一つの問題は、走査レーザ装置100の射程に対する光学的拡張の影響である。例えば、光学的拡張の増加は、典型的には、出射指向角の変化を増加させ、ビーム幅を減少させ、ビーム発散を増加させる。したがって、非均一な光学的拡張は、ビーム幅の非均一な減少およびビーム発散の非均一な増加をもたらす。このビーム幅の減少は、検出器106の受信口径の有効サイズを減少させることによって、走査レーザ装置100の有効射程を減少させ得る。同様に、ビーム発散の増加は、検出器106で受信されるノイズの相対量を増加させることによって、走査レーザ装置の有効射程を減少させ得る。このように、いずれの場合も、光学的拡張の非均一な変動は、走査レーザ装置100の有効射程に非均一な変化を生じさせる可能性がある。
【0030】
上述したように、光源制御器101は、走査視野114の第1の軸に沿った位置に応じてレーザ光パルスのエネルギーレベルを変動させるように構成される。レーザ光パルスのエネルギーレベルの変動は、拡張光学系によって提供される非均一な光学的拡張の影響を少なくとも部分的に補償しつつ、センサの所望の有効射程を提供するように実行される。例えば、一実施形態では、光源制御器101は、光学的拡張の非均一な変動に比例する手法でエネルギーを変動させるように構成される。したがって、より大きな光学的拡張を受けるレーザ光パルスは、より大きなエネルギーレベルで生成される。以下でより詳細に説明するように、エネルギーレベルのこの増加により、そうでなければ光学的拡張量の増加に起因して生じるであろう有効射程の減少を補償する。さらに、このようにレーザ光パルスのエネルギーレベルを変動させることにより、所望の有効射程を提供しつつ、走査レーザ装置100の全体的な電力消費を削減し得る。
【0031】
一般に、光源制御器101によって提供されるレーザ光パルスのエネルギーレベルの変動と組み合わせられた拡張光学系108によって提供される光学的拡張の非均一な変動は、全体的な電力消費を削減しつつ、走査エリアにわたって改善された有効射程を提供する。さらに、いくつかの実施形態では、走査レーザ装置100は、走査視野114にわたって変動する改善された有効射程を提供するように実装される。したがって、走査レーザ装置100は、走査視野114の異なるエリアに異なる有効射程を有するように実装され得る。これらの異なる有効射程は、レーザ光パルスのエネルギーレベルを、所望の有効射程のエネルギーレベルと走査視野114のそのエリアにおける光学的拡張量との両方を調整する手法で変動させることによって促進される。
【0032】
一具体例として、拡張光学系108および光源制御器101は、走査視野114の中央エリアにおけるより長い有効射程、および走査視野114の縁部エリアにおけるより短い有効射程を促進するように実装される。この場合も、このような異なる有効射程を実装する際に、レーザ光源制御器101は、光学的拡張の変動量に起因して生じるであろう有効射程の減少を補償しつつ、レーザ光パルスのエネルギーレベルを変動させてこれらの異なる射程を提供する。そのような実施形態の詳細な例を、以下でより詳細に説明する。
【0033】
レーザ光源制御器101は、レーザ光パルスのエネルギーレベルを変動させるために様々な技術および装置を使用し得る。例えば、レーザ光制御器101は、レーザ光パルスのパルス持続時間を動的に変化させるように実装されることができる。別の例として、レーザ光制御器101は、レーザ光パルスのパルス振幅を動的に変化させるように実装されることができる。別の例として、レーザ光制御器101は、レーザを駆動するために使用される電流を動的に変化させるように実装されることができる。別の例として、レーザ光制御器101は、パルスを生成するために使用されるレーザの数を動的に変化させるように実装されることができる。別の例として、レーザ光制御器101は、各走査点でパルス数を動的に変化させるように実装されることができる。また、これらの技術の様々な組み合わせが用いられることができる。
【0034】
いくつかの実施形態では、レーザ光源制御器101は、パルス生成回路の一部として実装され得る。そのようなパルス生成回路の詳細な例を、以下でより詳細に説明する。
【0035】
一実施形態では、拡張光学系108によって提供される光学的拡張の非均一な変動は、走査視野内の第1の軸に沿った位置に対する非線形な光学的拡張率を含む。例えば、1つのより具体的な実施形態では、光学的拡張の非均一な変動は、第1の側面領域と第2の側面領域との間の第1の軸に沿った中央領域におけるレーザ光パルスの位置に対するより小さい光学的拡張と比較して、第1の軸に沿った第1の側面領域におけるレーザ光パルスの位置に対するより大きい光学的拡張を含む。非均一かつ非線形な光学的拡張率の詳細な例を、以下でより詳細に説明する。
【0036】
上述したように、拡張光学系108は、走査視野114の第1の軸に沿った位置に対してレーザ光パルスの光学的拡張の非均一な変動を提供するように構成されることができ、光源制御器101は、走査視野114の第1の軸に沿った位置に応じてレーザ光パルスのエネルギーレベルを変動させるように対応して構成される。いくつかの実施形態では、走査視野114は、第1の軸に垂直な第2の軸を含み、光源制御器101は、走査視野114内の第2の軸に沿ってレーザ光パルスのエネルギーレベルを変動させるようにさらに構成される。他の実施形態では、光源制御器101は、道路パラメータに応じて、第1の軸および第2の軸に沿った位置に対してレーザ光パルスのエネルギーレベルをさらに変動させるようにさらに構成される。他の実施形態では、光源制御器101は、走査視野114の高さを制限するために、第2の軸に沿った位置に対してレーザ光パルスのエネルギーレベルを変動させるように構成される。これらの実施形態の詳細な例を、以下でより詳細に説明する。
【0037】
いくつかの実施形態では、検出器106に加えて、走査レーザ装置100は、1つまたは複数の追加の検出器を含むように実装される。例えば、レーザ光パルスのIRレーザ光パルスの反射を、光学アセンブリ104を通る走査視野内から受信するために、第2の検出器を実装することができる。
【0038】
走査レーザ装置100はまた、他の要素を含み得る。例えば、走査レーザ装置100はまた、走査視野内の深度測定点における物体までの距離を測定するために検出器106に応答する飛行時間(TOF)回路を含むことができる。
【0039】
なお、他の実施形態では、走査レーザ装置100はまた、複数の深度測定点について、短射程内の物体を検出するためにレーザ光源に第1のパルスエネルギーで第1のIRレーザ光パルスを放出し、短射程内に物体が存在しないと判定したことに応答して、レーザ光源に、長射程内の物体を検出するために総第2のエネルギーレベルを有する少なくとも1つの第2のIRレーザ光パルスを放出し、第1のエネルギーレベルが総第2のエネルギーレベルよりも低い、仮想保護筐体回路を含み得る。このような仮想保護筐体回路の具体例について、以下で説明する。
【0040】
ここで図2を参照すると、光学アセンブリ204のより詳細な実施形態が示されている。光学アセンブリ204は、走査視野にわたってレーザ・ビーム・パルスを走査するために使用される光学要素を含む。光学アセンブリ204は、本明細書に記載の実施形態によるLiDARまたは他の走査レーザ装置(例えば、走査レーザ装置100)で使用されることができるタイプの光学アセンブリの一例である。図2に示す光学要素は、ビーム整形光学系208、第1の走査ミラー(複数可)210、拡張光学系212、および第2の走査ミラー(複数可)214を含むが、これは非限定的な一例に過ぎない。この場合も、走査レーザ装置の動作中に、レーザ光源がレーザ光パルスを生成し、レーザ光パルスは、光学アセンブリ204によって走査視野(例えば、走査視野114)にわたって走査軌道(例えば、パターン112)に走査される。
【0041】
例えば、レーザ光源は、IRレーザ光パルスを生成するように実装された1つまたは複数の赤外線(IR)レーザを含むことができる。一具体例では、複数のIRレーザ光源からのパルスは、ビーム整形光学系208によって結合され、整形される。ビーム整形光学系208は、レーザ光パルスのビーム形状を変化させるための任意の光学系を含み得る。例えば、ビーム整形光学系208は、ビーム形状を変化させ、ビームコリメーションを変化させ、複数のビームを結合し、かつ、ビーム(複数可)を開口するための光学要素を含むことができる。
【0042】
ビーム整形光学系208の出力は、第1の走査ミラー210に送られる。一般に、第1の走査ミラー210は一方の運動軸(例えば、水平)を提供し、第2の走査ミラー214は別の、典型的には直交する運動軸(例えば、垂直)を提供する。したがって、第1の走査ミラー210は一方向(例えば、水平)にわたってレーザ・ビーム・パルスを走査し、第2の走査ミラー214は他方向(例えば、垂直)にわたって走査する。さらに、そのような実施形態の典型的な実装態様では、第1の走査ミラー210は、ある速度(例えば、比較的遅い走査速度)で走査運動を提供するように動作し、第2の走査ミラー214は、異なる速度(例えば、比較的速い走査速度)で運動を提供するように動作する。合わせて、これにより、レーザ光パルスが走査軌道パターンに走査される(例えば、パターン112)。さらに、本明細書で使用される「垂直」および「水平」というラベルは、走査レーザ装置を90度回転させると、水平軸と垂直軸が効果的に切り替わるので、いくぶん任意的であることに留意されたい。
【0043】
第1の走査ミラー210の出力は、拡張光学系212に送られる。一般に、拡張光学系212は、走査視野を1つまたは複数の方向に拡張するように実装される。例えば、拡張光学系212は、第1の走査ミラー210の運動軸に沿って角度拡張を提供するように実装されることができる。したがって、第1の走査ミラー210が水平軸に沿って比較的遅い速度の走査を提供する一例では、拡張光学系212は、水平方向に沿って走査角を増加させるように実装され得る。一具体例として、第1の走査ミラー210は、水平方向に40度の走査角を提供するように実装されることができ、かつ、拡張光学系212は、走査角を110度に拡張するように実装されることができ、したがって、結果として生じる走査軌道および走査視野のサイズを拡張する。
【0044】
この拡張を提供するために、拡張光学系212は、1つまたは複数のレンズを用いて実装されることができ、1つまたは複数のレンズは、所望の角度拡張を共に提供するように構成されている。一具体例では、拡張光学系212は、3つの別個のレンズで実装される。そのような実施形態の詳細な説明を、以下でより詳細に説明する。
【0045】
拡張光学系212の出力は、第2の走査ミラー214に送られる。この場合も、第1の走査ミラー210は一方の運動軸(例えば、水平)を提供し、第2の走査ミラー214は別の、典型的には直交する運動軸(例えば、垂直)を提供する。また、第1の走査ミラー210と第2の走査ミラー214は、異なる走査速度で動作する。特定の一実施形態では、第2の走査ミラー214は垂直方向の高速走査を提供し、第1の走査ミラー210は水平方向の低速走査を提供する。
【0046】
したがって、動作中、光学アセンブリ204は、レーザ光パルスを受信し、それらのレーザ光パルスを走査視野内の走査軌道パターンに走査するように動作する。
【0047】
ここで図3Aを参照すると、走査視野における光学的拡張の表現がグラフ300に示されている。具体的には、グラフ300は、第1の軸に沿った走査角の関数として出射指向角の拡張を示し、第1の軸はまた、結果として得られる走査視野内の第1の軸に対応している。この出射角の拡張は、走査レーザ装置(例えば、図1の拡張光学系108、図2の拡張光学系212)の拡張光学系によって提供されることができるタイプの光学的拡張の一例である。グラフ300に示す光学的拡張は、第1の軸に対して非均一であり、より具体的には、走査視野内の軸に対して非線形な光学的拡張をもたらす。この非均一かつ非線形な光学的拡張は、中央領域におけるより低い光学的拡張の変動率と比較して、第1の軸に沿った走査視野の側面領域におけるより高い光学的拡張の変動率をもたらす。
【0048】
別の言い方をすれば、グラフ300は、側面領域間の中央領域におけるより低い光学的拡張の変化と比較して、第1の側面領域および第2の側面領域における第1の軸に沿ったレーザ光パルスの位置に対してより大きい光学的拡張の変化がある光学的拡張を示す。これは、中央からの距離が増加するにつれて関数曲線の勾配が徐々に急になることによって示される。
【0049】
典型的な実施形態では、グラフ300に示す非線形な光学的拡張は、高次数学関数(例えば、二次および高次多項式関数など)によって表されることができる。そのような関数は、走査レーザ装置に実装されることができ、第1の軸におけるレーザ光パルスの走査角の関数としてレーザ光パルスのエネルギーレベルを判定するために使用され得る。図3Aの光学的拡張を表す関数曲線は単なる一実装例であり、拡張光学系は他のタイプの非線形かつ非均一な拡張で実施され得ることに留意されたい。
【0050】
ここで図3Bを参照すると、グラフ350は、例示的な走査軌道352を示す。走査軌道352は、第1の軸(例えば、図1の拡張光学系108、図2の拡張光学系212)に対して非均一な光学的拡張を提供する拡張光学系を含む走査レーザ装置を用いて生成され得る走査軌道のタイプの一例である。より具体的には、走査軌道352は、図3Aのグラフ300に示すような光学的拡張で生成され得る軌道のタイプの一例である。したがって、この走査軌道352は、第1の軸に沿った走査視野の側面領域において、中央領域に生じるより低い出射角の拡張変動率と比較して、より高い出射角の拡張変動率が作られる、非均一かつ非線形な光学的拡張の結果を示す。
【0051】
走査軌道352は、1つまたは複数の走査ミラーの運動によって生成され、ミラー(複数可)は、第1の軸および第2の軸に沿ってレーザ光パルスの偏向を提供し、非均一な拡張は、1つまたは複数の拡張光学系によって提供される。この図示の例では、第1の軸の走査運動は比較的遅い運動であり、第2の軸の走査運動は比較的速い運動である。また、この例では、第1の軸の運動は水平であり、第2の軸の運動は垂直である(「垂直」および「水平」というラベルは、走査レーザ装置を90度回転させると、水平軸と垂直軸が切り替わるので、いくぶん任意的であることに留意されたい)。
【0052】
最後に、走査軌道352は、光学的拡張の非均一な変動から生じる可能性がある軌道の一例にすぎず、他の多くの実装形態が可能であることに留意されたい。
【0053】
上述したように、図3Aおよび図3Bに示すような光学的拡張の変動は、走査型レーザ検出器の有効射程の変動をもたらす可能性がある。具体的には、光学的拡張の変動は、ビーム幅およびビーム発散の変動をもたらし、走査レーザ装置の有効射程の変動をもたらす可能性がある。したがって、本明細書に記載の実施形態によれば、光源制御器(例えば、光源制御器101)は、レーザ光パルスのエネルギーレベルを変動させて、拡張光学系によって提供される非均一な光学的拡張の影響を少なくとも部分的に補償することによって、センサの所望の有効射程を提供するように構成される。
【0054】
ここで図3Cを参照すると、レーザ光パルス・エネルギー・レベル調整の図がグラフ370に示されている。具体的には、グラフ370は、第1の軸に沿った走査角の関数としてのエネルギーレベル調整を示しており、第1の軸はまた、結果として得られる走査視野内の第1の軸に対応している。留意すべきは、この図示されたエネルギーレベル調整は、低電力状態からのエネルギーレベルの増加した割合、または高電力状態からのエネルギーレベルの減少した割合と考えられ得ることである。
【0055】
この場合も、一実施形態では、光源制御器(例えば、光源制御器101)は、光学的拡張の非均一な変動に比例する手法でエネルギーを変動させるように構成される。したがって、より大きな光学的拡張を受けるレーザ光パルスは、より大きなエネルギーレベルで生成され、その逆も同様である。このエネルギーレベルの増加は、そうでなければ光学的拡張量の増加に起因して生じるであろう有効射程の減少を補償する。留意すべきは、グラフ370に示すエネルギーレベル調整は、第1の軸に対して非均一であることである。具体的には、グラフ370は、側面領域間の中央領域におけるエネルギーレベルのより小さい変化と比較して、第1の側面領域および第2の側面領域における第1の軸に沿ったレーザ光パルスの位置に対してより大きいエネルギーレベルの変化がある実施形態を示す。この場合も、レーザ光パルス・エネルギー・レベルのそのような変動は、図3Aおよび図3Bに示す光学的拡張の影響を補償して、検出器および走査レーザ装置の所望の有効射程を提供し得る。
【0056】
上述したように、いくつかの実施形態では、走査レーザ装置(例えば、走査レーザ装置100)は、走査視野にわたって変動する改善された有効射程を提供するように実装され、走査視野の異なるエリアにおいて異なる有効射程を有する。これらの実施形態では、これらの異なる有効射程は、走査視野のエリア内の所望の有効射程のエネルギーレベルと走査視野のそのエリア内の光学的拡張量との両方を調整する手法で、レーザ光パルスのエネルギーレベルを変動させることによって促進される。
【0057】
ここで図4Aを参照すると、走査レーザ装置400の概略図が示されている。具体的には、図4Aは、3つの異なる例示的な走査視野402、404および406で実装される走査レーザ装置400を示し、3つの異なる走査視野402、404および406は各々、異なる有効射程および異なる角度視野を有する。一例として、これらの異なる有効射程は、動作中の異なる時間に異なるモードで動作するように走査レーザ装置400を実装することによって提供されることができ、異なるモードの各々は、異なる射程および/または異なる角度視野を有する。例えば、走査レーザ装置400は、様々な要因に応じて異なる射程モードを交互に切り替えるか、そうでなければ切り替えるように実装されることができる。以下でより詳細に説明する他の実施形態では、走査レーザ装置400は、同じ走査軌道の異なる部分の間にこれらの異なる射程を提供するように実装され得る。
【0058】
図4Aの例では、3つの射程モード、すなわち短射程モード、中射程モード、および長射程モードがある。短射程モードは、60メートルの有効射程および110度の角度の走査視野を有する走査視野406を提供する。中射程モードは、120メートルの有効射程および50度の角度の走査視野を有する走査視野404を提供する。最後に、長射程モードは、200メートルの有効射程および25度の角度の走査視野を有する走査視野402を提供する。もちろん、これらは単なる例であり、他の実装も可能である。
【0059】
走査レーザ装置400においてこれらの異なる射程モードを実装するために、光源制御器(例えば、レーザ光制御器101)は、拡張光学系(例えば、拡張光学系108)の光学的拡張を補償しつつ、所望の射程を達成するようにレーザ光パルスのエネルギーレベルを変動させる。走査視野402、404および406の3つの異なる角度範囲は、ミラー偏向の角度射程を動的に変化させることによって、これらの3つのモードに対して達成し得る。他の実施形態では、ミラー偏向の角度射程は一定に維持することができ、ミラーが所望の角度の走査視野の所望の角度範囲外にあるときにレーザ光パルスを選択的に送信しないことによって走査視野402、404および406の角度範囲を変化させる。いずれの場合も、走査レーザ装置400は、異なる動作モードごとに走査視野の所望の有効射程および所望の角度範囲を提供し得る。
【0060】
ここで図4Bを参照すると、レーザ光パルス・エネルギー・レベル調整の表現がグラフ408に示されている。グラフ408は、3つの射程モード、すなわち、長射程モード、中射程モード、および短射程モードについてのレーザ光パルス・エネルギー・レベルを示す。これらのモードは、図4Aに示す例示的な走査視野402、404および406に対応している。したがって、長射程モードでは、走査レーザ装置400は、比較的狭い25度の視野で200メートルの射程を有するように動作する。中射程モードでは、走査レーザ装置400は、120メートルの射程および50度の視野を有するように動作する。短射程モードでは、走査レーザ装置400は、60メートルの射程および比較的広い110度の視野を有するように動作する。したがって、レーザ光パルスのエネルギーレベルは、これらの所望の射程を提供するように調整され、拡張光学系によって提供される非均一な光学的拡張も考慮する。
【0061】
グラフ408は、第1の軸に沿った走査角の関数としての3つの異なるモードのエネルギーレベル調整を示しており、第1の軸はまた、結果として得られる走査視野内の第1の軸に対応している。この場合、光源制御器(例えば、光源制御器101)は、比較的狭い視野がこれらのパルスの光学的拡張を制限するので、長射程モードに対して比較的一定の高エネルギーレベルを提供するように構成される。この例では、レーザ光パルスのエネルギーレベルは、最大パルスエネルギーの100%またはそれに近い。
【0062】
しかしながら、中射程モードおよび短射程モードの場合、光源制御器は、そのモードによってカバーされる角度射程にわたって光学的拡張の非均一な変動に比例する手法でエネルギーを変動させるように構成される。これにより、非均一な光学的拡張の影響を補償しつつ、両方のモードに対して所望の射程を達成することが可能になる。
【0063】
どちらの場合も、レーザ光パルスのエネルギーレベルは、そのモードの走査視野の外縁部で最大パルスエネルギーの100%またはそれに近いレベルであるが、エネルギーレベルは走査視野の中央に向かって急速に減少する。具体的には、この例では、中射程モードでは、エネルギーレベルは走査視野の中央で最大パルスエネルギーの約65%まで低下し、短射程モードでは、エネルギーレベルは最大パルスエネルギーの約33%まで低下する。留意すべきは、エネルギーレベル調整は、この場合も、モードによってカバーされる角度射程内の光学的拡張に比例することである。したがって、短モードおよび中モードの両方において、エネルギーレベルは、中央領域と比較して光学的拡張もより高い変化率を有する側面領域において、より高い変化率を有する。
【0064】
図4Aおよび図4Bの例は、異なる有効射程および異なる角度の走査視野402、404および406を有する別個のモードがある走査レーザ装置400の実装形態を示す。この場合も、そのような実施態様では、走査レーザ装置400は、様々なパターンで、かつ/または様々な要因に基づいてモードを切り替えるように実装され得る。これらの例では、各モードは、それぞれの走査視野にわたって比較的一定の射程を有していた。しかしながら、他の実施形態では、走査レーザ装置400は、代わりに、同じ走査フレームの異なる部分の間にこれらの異なる射程を提供し、走査視野にわたって動的射程整形を効果的に提供するように実装され得る。これを促進するために、走査レーザ装置400は、各走査軌道または走査フレーム内の様々な点で有効射程を変化させるように実装され得る。したがって、走査軌道内のこれらの点で、有効射程を増減して、走査視野にわたって所望の射程を動的に達成し得る。
【0065】
ここで図4Cを参照すると、動的射程整形を有する走査レーザ装置400の概略図が示されている。具体的には、図4Cは、走査視野410の異なる角度領域にわたって3つの異なる有効射程異なる射程を有する走査視野410を提供するように実装された走査レーザ装置400を示す。この場合も、このような動的射程整形は、走査レーザ装置400を実装して走査軌道内の異なる点でパルスエネルギーを調整することによって達成され得る。
【0066】
具体的には、図4Cの例では、走査視野410は、60メートルの射程を有し、25度~55度、および-25度~-55度の拡張出力角度に対応する短射程領域412を有する。走査視野410は同様に、120メートルの射程を有し、12.5度~25度、および-12.5度~-25度の拡張出力角度に対応する中射程領域414を有する。最後に、走査視野410は、200メートルの射程を有し、0度~12.5度、および0度~-12.5度の拡張角度に対応する長射程領域416を有する。したがって、走査レーザ装置400は、各走査軌道または走査フレームにわたって3つの異なる射程を提供する。
【0067】
図4Cの例は、図4Aに示す3つの射程モードの重ね合わせと考えられ得ることに留意されたい。具体的には、この例はまた、各走査軌道にわたって、「長射程エリア」(例えば、200メートルの射程を有する中央領域)、「中射程エリア」(例えば、120メートルの射程を有する中間領域)、および「短射程エリア」(例えば、60メートルの射程を有する外側領域)を提供する。
【0068】
走査レーザ装置400は、パルスエネルギーを変動させて有効射程を25、12.5-12.5、および-25度で変化させる一方で、パルスエネルギーを変動させて拡張光学系によって提供される非均一な光学的拡張の効果を補償することによって、この動的射程整形を達成し得る。したがって、走査レーザ装置400をこれらの異なる射程を有するように実装するために、光源制御器(例えば、レーザ光制御器101)は、レーザ光パルスのエネルギーレベルを変動させて、拡張光学系(例えば、拡張光学系108)の光学的拡張および走査軌道の様々な点における異なる所望の射程を補償する。これにより、最大電力パルスのみを使用する走査レーザ装置と比較して、使用される電力量を大幅に削減しつつ、様々な領域において所望の射程を達成する。
【0069】
ここで図4Dを参照すると、レーザ光パルス・エネルギー・レベルの表現がグラフ418に示されている。グラフ418は、図4Cに示す走査視野410の3つの異なる射程を達成するために必要な第1の軸の走査角の関数としてのレーザ光パルス・エネルギー・レベルを示し、第1の軸はまた、結果として得られる走査視野の第1の軸に対応している。この場合も、この例では、走査視野410は、3つの異なる射程、すなわち、長射程領域、中射程領域、および短射程領域を有する領域を含む。したがって、各走査軌道にわたって、レーザ光エネルギーは、長射程領域にわたって200メートルの射程、中射程領域にわたって120メートルの射程、および短射程領域にわたって60メートルの射程を提供するように変動する。さらに、レーザ光パルスのエネルギーレベルは、走査レーザ装置内の拡張光学系によって提供される非均一な光学的拡張を補償するために走査視野にわたって調整される。したがって、より大きな光学的拡張のエリアでは、有効射程に対するその拡張の影響を補償するために、より多くのエネルギーが提供される。
【0070】
この場合、光源制御器(例えば、光源制御器101)は、比較的狭い視野がこれらのパルスの光学的拡張を制限するので、長射程領域に対して比較的一定の高エネルギーレベルを提供するように構成される。したがって、レーザ光パルス・エネルギー・レベルは、長射程領域全体にわたって最大パルスエネルギーの100%またはそれに近い。
【0071】
しかしながら、中射程領域および短射程領域の場合、光源制御器は、それらの領域にわたる光学的拡張の非均一な変動に比例する手法でエネルギーを変動させるように構成される。これにより、これらの走査角に対する拡張光学系によって引き起こされる非均一な光学的拡張を補償しつつ、中射程領域および短射程領域の両方について所望の射程を達成することが可能になる。
【0072】
留意すべきは、レーザ光パルスのエネルギーレベルは、中射程領域および短射程領域の両方について、領域の外縁部で最大パルスエネルギーの100%またはそれに近いが、エネルギーレベルは、中央の走査角に向かって急速に減少することである。したがって、エネルギーレベル調整は、この場合も、これらの中射程領域および短射程領域内の光学的拡張に比例する。別の言い方をすれば、短射程領域および中射程領域の両方において、エネルギーレベルは、中央の走査角と比較して、光学的拡張もより高い変化率を有する外側の角度において、より高い変化率を有する。
【0073】
グラフ418は、非均一な光学的拡張の影響を補償しつつ、長射程領域、中射程領域、および短射程領域に所望の射程を提供するエネルギーレベル調整を示しているが、この手法はまた、走査視野全体にわたって最大エネルギー・レベル・パルスを単に使用するシステムと比較して、消費される全体的な電力を削減することに留意されたい。したがって、この技術はまた、走査レーザ装置の大幅な電力節約を提供し得る。
【0074】
図4Cに示す走査レーザ装置400は、3つの異なる有効射程を有する走査視野410を提供するが、これは単なる一実装例であり、他の実装例も可能である。ここで図4Eを参照すると、動的射程整形を有する走査レーザ装置400の別の概略図が示されている。具体的には、図4Eは、走査視野420の異なる角度領域にわたって5つの異なる有効射程を有する走査視野420を提供するように実装された走査レーザ装置400を示す。この場合も、このような動的射程整形は、所望の射程を提供し、光学的拡張を補償するように、走査軌道内の異なる点でパルスエネルギーを調整するように走査レーザ装置400を実装することによって達成され得る。
【0075】
ここで図4Fを参照すると、動的射程整形を有する走査レーザ装置400の別の概略図が示されている。具体的には、図4Fは、走査視野430の異なる角度領域にわたって10個の異なる有効射程を有する走査視野430を提供するように実装された走査レーザ装置400を示す。この場合も、このような動的射程整形は、所望の射程を提供し、光学的拡張を補償するように、走査軌道内の異なる点でパルスエネルギーを調整するように走査レーザ装置400を実装することによって達成され得る。
【0076】
ここで図4Gを参照すると、動的射程整形を有する走査レーザ装置400の別の概略図が示されている。具体的には、図4Gは、非対称走査視野440を提供するように実装された走査レーザ装置400を示す。この実施形態では、走査視野440は、走査視野440の各半分において5つの異なる有効射程を有する。留意すべきは、異なる領域の各々の角度範囲および射程は異なり得ることである。この場合も、このような動的射程整形は、所望の射程を提供し、光学的拡張を補償するように、走査軌道内の異なる点でパルスエネルギーを調整するように走査レーザ装置400を実装することによって達成され得る。ここで図4Hを参照すると、動的射程整形を有する走査レーザ装置400の別の概略図が示されている。具体的には、図4Fは、走査視野450の片側のみに異なる有効射程を有する異なる領域を有する非対称走査視野450を提供するように実装された走査レーザ装置400を示す。この実施形態では、走査視野440は、走査視野440の各半分において5つの異なる有効射程を有する。この場合も、このような動的射程整形は、所望の射程を提供し、光学的拡張を補償するように、走査軌道内の異なる点でパルスエネルギーを調整するように走査レーザ装置400を実装することによって達成され得る。
【0077】
この場合も、これらの実施形態のそれぞれにおいて、走査レーザ装置400は、走査視野全体にわたって最大エネルギー・レベル・パルスを単に使用する装置と比較して、大幅な電力節約を達成することができることに留意されたい。したがって、これらの様々な実施形態はまた、所望の走査カバレッジを提供しつつ、走査レーザ装置の大幅な電力節約を提供し得る。図4Cおよび図4E図4Hに示す動的射程整形の様々な例は単なる例であり、異なる結果の走査視野を有する他の多くの実装が可能であることに留意されたい。
【0078】
ここで図5Aおよび図5Bを参照すると、走査レーザ装置(例えば、走査レーザ装置100)の1つの用途が示されている。具体的には、図5Aおよび図5Bは、様々な実施形態による走査LiDARシステムを有する移動プラットフォームを示す。自動車502は、LiDARシステム504が搭載された可動プラットフォームである。LiDARシステムは、上述した様々な実施形態を使用して実装される。(例えば、図1の走査レーザ装置100)または本明細書で説明する走査レーザ装置およびLiDARシステムのいずれか。このように、LiDARシステム504は、非均一な光学的拡張(例えば、拡張光学系108)を提供する拡張光学系と、光学的拡張の非均一な変動に比例する手法でエネルギーレベルを変動させるレーザ光源制御器とを用いて実装される。具体的には、この例では、LiDARシステム504は、垂直軸ではなく水平軸でこの非均一な光学的拡張を提供する拡張光学系を用いて実装される。
【0079】
LiDARシステム504は、異なる水平領域が異なる有効射程を有する例示的な走査視野を生成する。具体的には、図5Aおよび図5Bに示すように、LiDARシステム504は、長射程領域506、中射程領域510、および短射程領域510を選択的に促進するように実装されることができ、これらの領域の各々は異なる角度範囲を有する。この場合も、これは、LiDARシステム504を3つの異なる射程モードで動作させることによって達成されることができ、3つの異なる射程モードは、図4Aに示すように異なる視野角を有する。あるいは、これは、図4Cおよび図4E図4Hに示すように、異なる有効射程を有する異なる領域を有する動的射程整形を提供するようにLiDARシステム504を動作させることによって達成され得る。
【0080】
LiDARシステム504においてこれらの異なる射程を実装するために、光源制御器は、レーザ光パルスのエネルギーレベルを変動させて、拡張光学系の光学的拡張および異なる所望の射程を補償する。留意すべきは、いくつかの実施形態では、一方の軸のみに著しくかつ/または非均一な光学的拡張が提供され、他方の軸は著しい光学的拡張を受けない。これらの実施形態では、光学的拡張を補償するためのパルスエネルギーの変動は、著しい光学的拡張を伴って1つの軸においてのみ生じる。図5Aおよび図5Bの例では、非均一な光学的拡張が水平軸のみに提供される。したがって、垂直軸において、エネルギーレベルは、所望の射程を達成するために必要に応じてのみ変動する。
【0081】
ここで図5Cおよび図5Dを参照すると、表510、512および514は、動的射程整形を使用する走査レーザ装置においてそのようなエネルギーレベルの変動がどのように実装され得るかを示している。具体的には、表510は、調整係数PV1、PV2、およびPV3を使用して垂直軸に沿ってエネルギーレベルがどのように変動され得るかを示している。これらの調整係数は、対応する垂直領域に所望の射程を提供する。同様に、表512は、調整係数PH1、PH2、PH3、PH4およびPH5を使用して水平軸に沿ってエネルギーレベルがどのように変動され得るかを示している。これらの調整係数は、水平軸の非均一な拡張を補償しつつ、対応する水平領域に所望の射程を提供する。
【0082】
一具体例として、垂直調整は次のように実装されることができる。PV1=1.0、PV2=.60、PV3=.30。この場合も、これらの調整係数は、垂直軸の動的射程の形状に使用され、非均一な光学的拡張の調整を提供しないので、実質的に均一である。水平調整は、次のように実装されることができる。PH1=1.0、PH2=.75、PH3=.90、PH4=.55、PH5=.80。これらの調整係数は、水平軸における射程および非均一な光学的拡張の両方の補償を反映して非均一である。
【0083】
最後に、表514は、組み合わされた調整係数を使用して走査領域全体にわたってエネルギーレベルがどのように変動され得るかを示している。具体的には、対応する水平および垂直調整係数を乗算すると、その水平および垂直領域のエネルギーレベルを補償するために使用され得る組み合わされた調整係数が得られる。
【0084】
これは、パルス・エネルギー・レベルを変更するために水平および垂直調整係数を一緒に使用することができる方法の一例にすぎないことに再び留意されたい。例えば、他の実施形態では、水平および垂直調整係数は、他の数学的組み合わせ技術を使用して(調整係数の加重平均を使用して)組み合わせられ得る。さらに他の実施形態では、エネルギーレベルは、水平および垂直調整係数の高い方または低い方を選択することによって変動させられ得る。
【0085】
ここで図6および図7を参照すると、走査レーザ装置600の側面図および上面図が示されている。一実施形態では、走査レーザ装置600は、物体検出および/または3Dマップ生成に使用される光LiDARシステムである。走査レーザ装置600は、レーザ光源602および光学アセンブリ604を含む。光学アセンブリ604は、本明細書に記載の実施形態によるLiDARまたは他の走査レーザ装置(例えば、走査レーザ装置100)で使用されることができるタイプの光学アセンブリの一例である。したがって、光学アセンブリ604は、走査を促進するために使用される様々な光学要素を含む。図6および図7は簡略化された例であり、したがって、完全に実装された走査レーザ装置または光学アセンブリの要素または特徴のすべてを示しているわけではないことに留意されたい。
【0086】
図6に示す光学アセンブリ604は、ビーム整形光学系614と、第1のプリズム616と、第1の走査ミラーアセンブリ617と、第1の走査ミラー(複数可)618と、3つの拡張レンズ620、622、624を含む拡張光学系と、第2のプリズム626と、第2の走査ミラーアセンブリ627と、第2の走査ミラー(複数可)628とを含む。
【0087】
走査レーザ装置600の動作中に、レーザ光源602がレーザ光パルスを生成し、レーザ光パルスは、光学アセンブリ604によって走査視野(例えば、走査視野114)にわたって走査軌道(例えば、パターン112)に走査される。例えば、レーザ光源602は、IRレーザ光パルスを生成するように電界効果トランジスタ(FET)によって駆動された1つまたは複数の赤外線(IR)レーザを含むことができる。
【0088】
一般に、複数のIRレーザ光源からのパルスは、ビーム整形光学系614および関連する光学要素によって最初に結合および整形される。ビーム整形光学系614は、レーザ光パルスのビーム形状を変化させるための任意の光学系を含み得る。例えば、ビーム整形光学系614は、コリメートレンズ、偏光コンバイナ、発散を改善するためのアナモフィックプリズム対、および他のそのような要素を含むことができる。一実施形態では、短射程パルス検出用に構成された検出器(図5および図6には図示せず)に反射を向けるために、ピックオフ・ビーム・スプリッタまたはプリズム603がビーム整形光学系614内に実装される。
【0089】
ビーム整形光学系614の出力は、第1の走査ミラー618に向けてビームを上昇させる第1のプリズム616に送られる。この図示の実施形態では、第1の走査ミラー618は水平走査運動を提供し、第2の走査ミラー628は垂直走査運動を提供する。さらに、この例では、第1の走査ミラー618は、比較的遅い走査速度で走査運動を提供するように駆動され、第2の走査ミラー628は、比較的遅い走査速度で運動を提供するように駆動される。しかしながら、これらは単なる例であり、他の実装も可能である。合わせて、この走査ミラー運動により、レーザ光パルスが走査軌道パターン(例えば、パターン112)に走査される。この場合も、本明細書で使用される「垂直」および「水平」というラベルは、走査レーザ装置を90度回転させると、水平軸と垂直軸が効果的に切り替わるので、いくぶん任意的であることに留意されたい。
【0090】
第1の走査ミラー618の出力は、拡張光学系を共に提供する3つの拡張レンズ620、622、624に送られる。一般に、拡張光学系は、水平方向の走査視野の拡張を提供するように実装される。
【0091】
具体的には、この図示の例では、3つの拡張レンズ620、622、624は、水平方向に非均一な拡張を提供しつつ、第1の走査ミラー618の出力を第2の走査ミラー628上に結像するように実装される。一具体例として、第1の走査ミラー618は水平方向に40度の走査角を提供するように実装されることができ、かつ、拡張レンズ620、622、624は走査角を110度に拡張する非均一な拡張を提供するように実装されることができる。
【0092】
上述したように、拡張レンズ620、622、624は、非均一な水平拡張を提供するように実装され得る。一般に、非均一な拡張は、拡張光学系が走査視野内のIRレーザ光パルスの第1の軸に沿った位置に対して光学的拡張の非均一な変動を提供するものである。例えば、拡張量は、水平軸に沿って非均一に増加または減少し得る。
【0093】
一具体例では、3つの拡張レンズ620、622、624は、第1の走査ミラー618の出力を第2の走査ミラー628に結像する4F光学系を実装する。具体的には、3つの拡張レンズ620、622、624は、第1の走査ミラー618からの角度に応じて変動する倍率を有する4F光学系を提供する。これらの3つの拡張レンズ620、622、624は、結果として第1の走査ミラー618によって提供される出射走査角の光学的拡張の非均一な変動をもたらす。第2のプリズム626は、第3の拡張レンズ624の出力を受けて、第2の走査ミラー628にビームを向ける。
【0094】
ここで図8を参照すると、様々な実施形態による走査光検出および測距(LiDAR)システム800が示されている。LiDARシステム800は、本明細書に記載の実施形態に従って実装され得るタイプの走査レーザ装置の別の例である。システム800は、パルス生成回路890と、赤外線(IR)レーザ光源830と、走査ミラー(複数可)816を有する走査ミラーアセンブリ814と、ミラー駆動および制御回路854とを含む。システム800はまた、第1の赤外線(IR)検出器842と、第1の飛行時間(TOF)測定回路844と、3D点群記憶回路886と、第1の比較器848と、仮想保護筐体回路880とを含む。システム800はまた、第2のIR検出器1842と、第2のTOF測定回路1844と、第2の比較器1848とを含む。以下でより詳細に説明するように、第2のIR検出器1842は、冗長な短射程検出を提供するように実装され得る。
【0095】
レーザ光源830は、レーザ・ビーム・パルス862を放出することができるレーザダイオード(複数可)などのレーザ光源であり得る。ビームパルス862は、いくつかの実施形態では、微小電気機械システム(MEMS)ベースの走査器などの一部である走査ミラーアセンブリ814に衝突し、走査ミラー816から反射して制御された出力ビームパルス134を生成する。いくつかの実施形態では、光学要素は、レーザ光源830とミラー(複数可)816との間の光路に含まれる。例えば、システム800は、コリメートレンズ、ダイクロイックミラー、拡張光学系、または任意の他の適切な光学要素を含んでもよい。また、上述したように、走査ミラー、拡張光学系、および他の要素は、システム800の動作中に第2のIR検出器1842に向かってレーザ光パルスの後方反射をもたらし得る。
【0096】
走査ミラー駆動および制御回路854は、出力ビームパルス134が走査視野828内の走査軌道840を横切るように走査ミラー(複数可)816の角運動を制御するための1つまたは複数の駆動信号855を提供する。動作中、レーザ光源830は、非可視スペクトルの変調光パルスを発生させ、走査ミラー(複数可)816は、ビーム834が走査軌道840を横切るときに光パルスを反射する。
【0097】
いくつかの実施形態では、走査軌道840は、水平軸上の鋸歯状成分と垂直軸上の正弦波成分とを組み合わせることによって形成される。またさらなる実施形態では、水平掃引も正弦波である。本発明の様々な実施形態は、垂直および水平掃引または結果として生じる走査軌道パターンを制御するために使用される波形によって限定されない。一方の軸(例えば、水平軸)は低速走査軸であり、他方の軸は高速走査軸である。
【0098】
走査ミラー(複数可)816は、2つの軸で走査する単一のミラーとして示されているが、これは本発明の限定ではない。例えば、いくつかの実施形態では、ミラー(複数可)816は、1つの軸における1つの走査と、第2の軸における第2の走査との、2つの別個の走査ミラーを用いて実装される。
【0099】
いくつかの実施形態では、走査ミラー(複数可)816は、ミラー偏向の角度位置または角度範囲(一方または両方の寸法)を検出するための1つまたは複数のセンサを含む。例えば、いくつかの実施形態では、走査ミラーアセンブリ814は、高速走査軸上のミラーの偏向に比例する電圧を供給するピエゾ抵抗センサを含む。さらに、いくつかの実施形態では、走査ミラーアセンブリ814は、低速走査軸上のミラーの偏向に比例する電圧を供給する追加のピエゾ抵抗センサを含む。ミラー位置情報は、ミラー駆動および制御回路854に、1つまたは複数のSYNC信号815として戻される。これらの実施形態では、ミラー駆動および制御回路854は、ミラーの測定された角度偏向に応答して駆動信号を修正するための1つまたは複数のフィードバックループを含む。さらに、いくつかの実施形態では、ミラー駆動および制御回路854は、SYNC信号に基づいて走査ミラーの瞬時の角度位置を推定する1つまたは複数の位相ロックループ回路を含む。
【0100】
ミラー駆動および制御回路854は、位相ロックループ(Phase Lock Loop、PLL)、フィルタ、加算器、乗算器、レジスタ、プロセッサ、メモリなどの機能回路を使用して実装され得る。したがって、ミラー駆動および制御回路854は、ハードウェア、ソフトウェア、または任意の組み合わせで実装され得る。例えば、いくつかの実施形態では、制御回路854は、特定用途向け集積回路(ASIC)に実装される。さらに、いくつかの実施形態では、より高速なデータ経路制御の一部がASICで実行され、全体的な制御はソフトウェアでプログラム可能である。
【0101】
システム800は、2つのセパレータIR検出器と、TOF測定回路と、IRレーザパルスを検出するための比較器とを含む。具体的には、システム800は、第1のIR検出器842および第2のIR検出器1842を含む。一般に、第1のIR検出器842は、短射程パルスおよび長射程パルスの両方からの反射を検出するように実装され、一方、第2のIR検出器は、目への安全性を高めるために低電力短射程パルスからの反射の冗長な検出を提供する。
【0102】
第1のIR検出器842は、IRレーザ光パルスの反射を検出することができる1つまたは複数の感光装置を含む。例えば、第1のIR検出器842は、1つまたは複数のPINフォトダイオード、シリコンフォトマルチプライヤ(Silicon Photomultiplier、SiPM)、アバランシェフォトダイオード(Avalanche Photo Diode、APD)などを含んでもよい。IRレーザ光パルスで照射される視野内の各点(本明細書では「測定点」と呼ばれる)は、入射光のいくらかの量を第1のIR検出器842に反射して戻してもしなくてもよい。第1のIR検出器842が反射を検出した場合、IR検出器842は信号843を第1のTOF測定回路844に提供する。
【0103】
第1のTOF測定回路844は、IRレーザ光パルスの飛行時間(TOF)を測定して、視野内の物体までの距離を判定する。いくつかの実施形態では、仮想保護筐体回路880は、特定のIRレーザ光パルスの放出時間に対応するタイミング信号(図示せず)を第1のTOF測定回路844に提供し、第1のTOF測定回路844は、パルスの放出と同じパルスの反射の受信との間の経過時間を判定することによってIRレーザ光パルスのTOFを測定する。
【0104】
第1のTOF測定回路844は、任意の適切な回路を使用して実装され得る。例えば、いくつかの実施形態では、第1のTOF測定回路844は、IRパルスが発射されるとリセットされ、反射パルスが受信されると停止されるアナログインテグレータを含む。第1のTOF測定回路844はまた、アナログインテグレータ出力を、IRレーザパルスの飛行時間(TOF)に対応するデジタル値に変換するためのアナログ-デジタル変換器を含んでもよく、これは、システム800と、光パルスが反射された視野内の物体との間の距離に対応している。
【0105】
3D点群記憶装置846は、ミラー駆動および制御回路854からX、Yデータを受信し、第1のTOF測定回路844からノード845上の距離(Z)データを受信する。検出された反射ごとに3組(X、Y、Z)が3D点群記憶装置に書き込まれ、その結果、本明細書では「点群」と呼ばれる一連の3D点が得られる。視野内のすべてのX、Y測定点が必ずしも対応するZ測定値を有するとは限らない。したがって、結果として得られる点群は疎であっても密であってもよい。3D点群に含まれるデータの量は、本発明の限定ではない。
【0106】
3D点群記憶装置846は、任意の適切な回路構造を使用して実装され得る。例えば、いくつかの実施形態では、3D点群記憶装置846は、一方のポートに書き込み、第2のポートで読み取られ得るデュアルポートメモリ装置に実装される。他の実施形態では、3D点群記憶装置846は、汎用メモリ装置内のデータ構造として実装される。さらなる実施形態では、3D点群記憶装置846は、特定用途向け集積回路(ASIC)に実装される。
【0107】
第1の比較器848はノード845上の距離データ(Z)を閾値と比較し、距離が閾値未満である場合、第1の比較器848はORゲート882への入力で短射程物体検出信号をアサートする。短射程物体検出信号は、「短射程」内の物体の検出を示すためにORゲート882を通ってVPH回路880に進み、「短射程」はノード847上の閾値の値によって判定される。例えば、閾値が5メートルの距離に対応する値に設定され、検出された距離がその閾値よりも小さい場合、5メートルよりも近い物体が検出され、VPH回路880は、ノード884上の短射程物体検出信号によって通知される。
【0108】
ノード847における閾値および対応する短射程の距離は、任意の基準に基づいてVPH回路880によって修正され得る。例えば、閾値は、IRレーザパルス電力、パルス持続時間、パルス密度、波長、スキャナ速度、所望のレーザ安全分類などの関数であってもよい。閾値が判定される方法は、本発明の限定ではない。
【0109】
第2のIR検出器1842、第2のTOF測定回路1844、および第2の比較器1848は、冗長な短射程物体検出機能を提供するように動作する。冗長な短射程物体検出は、安全性の追加の尺度を提供する。例えば、1つまたは複数のIR検出器、TOF測定回路、または比較器が故障した場合、冗長性は、安全な動作の継続を保証する。
【0110】
留意すべきは、第1のIR検出器842と第2のIR検出器1842とは、異なる光路を介して反射光パルスを受光する。具体的には、第1のIR検出器842は、835で示される別個の経路に沿って反射光を受信し、一方、第2のIR検出器1842は、光路の少なくとも一部を放出された光パルスと共有する。具体的には、走査視野からの反射光は、ミラー(複数可)816、拡張光学系、および光学アセンブリ内の他の要素の少なくともいくつかを通って反射して戻り、経路1835に沿って第2のIR検出器1842に到達する。
【0111】
第2のTOF測定回路1844は、IRレーザ光パルスの飛行時間(TOF)を測定して、第1のTOF測定回路844と同様の手法で視野内の物体までの距離を判定する。したがって、第2のTOF測定回路1844は、第1のTOF測定回路844と同様に、任意の適切な回路を使用して実装され得る。
【0112】
同様に、第2の比較器1848は、ノード845上の距離データ(Z)を閾値と比較し、距離が閾値未満である場合、第2の比較器1848は、ORゲート882への入力で短射程物体検出信号をアサートする。この場合も、この短射程物体検出信号は、「短射程」内の物体の検出を示すためにORゲート882を通ってVPH回路880に進み、「短射程」はノード1847上の閾値の値によって判定される。例えば、閾値が5メートルの距離に対応する値に設定され、検出された距離がその閾値よりも小さい場合、5メートルよりも近い物体が検出され、VPH回路880は、ノード884上の短射程物体検出信号によって通知される。
【0113】
この場合も、ノード1847における閾値および対応する短射程の距離は、任意の基準に基づいてVPH回路880によって修正され得る。例えば、閾値は、IRレーザパルス電力、パルス持続時間、パルス密度、波長、スキャナ速度、所望のレーザ安全分類などの関数であってもよい。
【0114】
いくつかの実施形態では、検出およびTOF測定回路の両方は、短射程の物体を検出するように動作し、検出およびTOF測定回路の一方のみが、長射程の距離を測定し、かつ/または3D群記憶装置に書き込むように動作する。例えば、図8によって表される実施形態では、TOF測定回路1844またはTOF測定回路1844のいずれかによって測定された飛行時間は、短射程の物体を検出するために使用されてもよいが、TOF測定回路844によって測定された飛行時間のみが、3D点群を埋めるために使用される。
【0115】
VPH回路880は、全体的な動作が目への安全性を維持することを可能にする手法で接近可能な放出レベルを管理するように動作する。例えば、いくつかの実施形態では、VPH回路880は、ノード885上にパルスエネルギー値を設定することによって、「短射程パルス」と「長射程パルス」のどちらを生成するかを制御する。放出されるパルスエネルギーは、パルス電力、パルス持続時間、またはパルスカウントのうちの1つまたは複数によって制御され得る。
【0116】
VPH回路880はまた、ノード857上のタイミング信号を介して放出されるパルスのタイミングを制御し得る。いくつかの実施形態では、視野内のすべての測定点について、VPH回路880は、パルス生成回路890に信号を送り、仮想保護筐体を提供するのに十分な距離まで非常に高い信頼度で物体を検出することができる短射程パルスを生成する。本明細書で使用される場合、「短射程パルス」という用語は、非常に短射程で目に安全であると考えられるパルスを指す。例えば、いくつかの実施形態では、短射程IRレーザ光パルスのエネルギーレベルは、IEC60825.1クラス1被ばく放出限界(Accessible Emissions Limit)を下回るように維持されてもよく、それにより、短射程IRレーザ光パルスは、人間の目に損傷を与える危険性なしにすべての測定点で放出されることができる。
【0117】
物体が短射程の距離内で検出された場合、対応する3組(X、Y、Z)は3D点群記憶装置846に書き込まれてもよく、システム800は、その測定点でいかなるより高いエネルギーパルスも放出しないことによって仮想保護筐体を提供する。しかしながら、短射程物体が検出されない場合、システム800は、短射程の距離を超える物体を検出するために、より高い総エネルギーの1つまたは複数の「長射程パルス」を放出し得る。例えば、いくつかの実施形態では、システム800は、100ミリメートル(mm)の距離で目に安全であると考えられる短射程IRレーザ光パルスを放出してもよく、これは明るい太陽光の中で36メートル(m)で5%の反射ターゲットを検出する50%の確率を有する。この短射程パルスは、12mの距離で10%の反射ターゲットを検出しない確率が100億分の1であり得る。また、例えば、システム800は、4メートルの距離を超えて目への安全性を維持しつつ、200mまでの距離の物体を検出することができる長射程パルスを放出してもよい。この例では、システム800は、4メートル以内の物体を検出する確率が極めて高い短射程パルスを放出し、次いで、200メートルで物体を検出することができる長射程パルスを放出してもよい。
【0118】
本明細書で使用される場合、「長射程パルス」という用語は、短射程パルスよりも高い総エネルギーを有する1つまたは複数のパルスを指す。例えば、いくつかの実施形態では、単一の長射程パルスが放出されてもよく、単一の長射程パルスは単一の短射程パルスよりも高いエネルギーを有してもよく、他の実施形態では、複数の長射程パルスが放出されてもよく、複数の長射程パルスの総エネルギーは単一の短射程パルスよりも高くてもよい。
【0119】
仮想保護筐体回路880は、任意の適切な回路構造を使用して実装され得る。例えば、いくつかの実施形態では、VPH回路880は、短射程の物体検出に応じて、長射程パルスを放出するように条件付きで信号パルス生成回路890に信号を送るために、デジタル論理を使用して実装された1つまたは複数の有限状態機械を含んでもよい。さらに、いくつかの実施形態では、VPH回路880は、短射程パルスエネルギー、長射程パルスエネルギー、閾値などのソフトウェアプログラム可能性を提供するためのプロセッサおよびメモリを含み得る。VPH回路880が実装される方法は、本発明の限定ではない。
【0120】
ここで図9を参照すると、本発明の様々な実施形態による短射程パルスおよび長射程パルスが示されている。短射程パルス910および長射程パルス930は、各測定点においてLiDAR(システム800)または他の走査レーザ装置(例えば、走査レーザ装置100)によって放出され得るIRレーザ光パルスの例である。例えば、システムは、短射程パルス910を放出し、次いで、短射程の物体が検出されたかどうかに基づいて、条件付きで長射程パルス930のうちの1つまたは複数を放出してもよい。図9のプロットの垂直軸にはパルス振幅が示され、水平軸には時間が示されている。短射程パルス910は、第1の時間に放出されるように示されており、閾値は、第2の時間を表すように示されている。第1の時間と第2の時間との差は、短射程の距離を表す。例えば、いくつかの実施形態では、閾値は、実質的に5メートルの短射程の距離に対応する約33ナノ秒(ns)に設定される。いくつかの実施形態では、短射程パルス910は、非常に短い距離で目に安全であると考えられるエネルギーレベルを有する。例えば、短射程パルス910は、それが放出されるシステム800から100mmで目に安全であり得る。
【0121】
いくつかの実施形態では、短射程の物体が検出された場合、システムはその測定点に対して長射程パルスを放出せず、検出された距離は3D点群に書き込まれる。一方、短射程の物体が検出されない場合、1つまたは複数の長射程パルス930は、接近可能な放出を目に安全なレベルに維持する手法で放出される。例えば、短射程パルス910は、短射程の距離内で物体を検出する非常に高い確率を提供するエネルギーレベルを有してもよく、長射程パルス920は、短射程の距離およびそれを超えると目に安全な総エネルギーレベルを有してもよい。短射程の物体が検出されない場合、長射程パルスは閾値時間の直後に続くことができる。例えば、長射程パルス920は、閾値時間の100ns以内、または133nsで放出されてもよい。閾値および長射程パルスの放出に対応する時間は、所望の短射程の距離および処理時間に基づいて様々な実施形態において異なってもよく、本発明の限定ではない。
【0122】
いくつかの実施形態では、単一の長射程パルス920が放出され、他の実施形態では、各測定点に対して一連の長射程パルス930が放出される。単一の測定点で放出される長射程パルスの数は、本発明の限定ではない。例えば、いくつかの実施形態では、単一の長射程パルスが放出されてもよく、単一の長射程パルスは、短射程パルスよりも高いエネルギーを有する。また、例えば、いくつかの実施形態では、複数の長射程パルスが放出されてもよく、各長射程パルスは、短射程パルスと同じエネルギーレベルを有してもよいが、複数の長射程パルスの総エネルギーは、短射程パルスのエネルギーよりも大きい。
【0123】
任意のエネルギーレベルの任意の数のパルスが使用され、複数の射程を定義し得る。例えば、短射程は、単一の短射程パルスのエネルギーによって定義されてもよい。また、例えば、中射程は、各々が短射程パルスと同じエネルギーを有する複数のパルスによって画定されてもよく、長射程は、短射程パルスと同じまたはより大きいエネルギーを有する1つまたは複数の長射程パルスによって定義されてもよい。
【0124】
いくつかの実施形態では、短射程パルスはすべての測定点で放出され、他の実施形態では、短射程パルスはすべての測定点で放出されない。例えば、短射程パルスは第1の測定点で放出されてもよく、短射程の物体が検出されない場合、最初に短射程パルスを放出することなく、長射程パルスは1つまたは複数の後続の測定点で放出されてもよい。これは、一部には、測定点が互いに十分に近接して定義され得るので、短射程の物体が測定点を占めていない場合、短射程の物体はいくつかの後続の測定点も占めていないという有効な仮定が可能であるため、いくつかの実施形態で可能である。
【0125】
一般に、測定点は、走査レーザ装置が距離を測定する走査軌道上の点である。例えば、いくつかの実施形態では、LiDARシステムは、物体が短射程の距離内にあるかどうかを検出するために各測定点で短射程パルスを放出し、次いで上述したように条件付きで1つまたは複数の長射程パルスを放出する。したがって、本明細書で使用される「測定点」という用語は、空間内の無限に小さい点を指すことを意味するのではなく、むしろ走査軌道の小さく有限の連続部分を指すことを意味する。具体的には、IRレーザ光ビームは、各測定点における短射程パルスおよび長射程パルスのラウンドトリップ通過時間中に走査軌道の有限部分を横断する。測定点エリアはまた、それが物体に遭遇する距離におけるレーザ・スポット・サイズ(初期サイズおよび発散)の関数でもある。したがって、「測定点」は、エリアを包含しており、非常に小さいかもしれないが、そのエリアのサイズおよび位置は、多くの要因の関数であり得る。
【0126】
本明細書に記載の実施形態は、これらの短射程パルスの確実な検出を促進する。この場合も、上述したように、いくつかの実施形態では、システムは、短射程パルス910を放出し、次いで、短射程の物体が検出されたかどうかに基づいて、条件付きで長射程パルス930のうちの1つまたは複数を放出し得る。このようなシステムでは、短射程パルスの確実な検出を促進し、長射程の物体検出を提供するために長射程パルスが一貫して放出され得るようにすることが望ましい。ここで図8に戻ると、第2のIR検出器1842は、これらの低エネルギー短射程パルスの確実な検出を促進するように実装され得る。
【0127】
したがって、第2のIR検出器1842は、同じ走査ミラーアセンブリ814、ビーム整形光学系、およびレーザ光パルスを走査視野内に走査するために使用される他の光学要素、のうちの少なくともいくつかを介して反射を受信するように構成された複数のセンサを用いて実装され得る。同じ光学アセンブリがレーザ光反射を受信するために複数のセンサによって使用されるため、複数のセンサが短射程パルスからの反射を受信するのを妨げる損傷または妨害物により、走査視野内に向けられたレーザ光パルスの走査も遮断される可能性がある。したがって、第2のIR検出器1842は、走査視野内の物体に衝突し、検出器に向かって反射して戻ってきた短射程パルスをより確実に検出することができ、したがって、長射程パルスが安全に放出され得ることを判定するために使用されることができる。さらに、第2のIR検出器1842内の複数のセンサは、光学アセンブリ内からの後方反射の影響を少なくとも部分的に相殺するように構成される。光学アセンブリ内からの後方反射の影響を相殺することにより、特に走査視野828内からのレーザパルスの低エネルギー短射程反射の検出のために、検出器の感度を改善し得る。
【0128】
さらに、本明細書に記載の実施形態によれば、パルス生成回路890は、走査視野828の第1の軸に沿った位置に応じてレーザ光パルスのエネルギーレベルを変動させるように構成されたレーザ光制御器を用いて実装され得る。レーザ光パルスのエネルギーレベルの変動は、拡張光学系によって提供される非均一な光学的拡張の影響を少なくとも部分的に補償しつつ、センサの所望の有効射程を提供するように実行される。例えば、一実施形態では、光源制御器は、光学的拡張の非均一な変動に比例する手法でエネルギーを変動させるように構成される。したがって、より大きな光学的拡張を受けるレーザ光パルスは、より大きなエネルギーレベルで生成される。さらに、レーザ光制御器は、走査視野828の異なる走査領域における異なる有効射程を促進するためにエネルギーを変動するように構成され得る。
【0129】
ここで図10を参照すると、様々な実施形態による方法のフロー図が示されている。いくつかの実施形態では、方法1000またはその一部は、走査レーザ装置(例えば、図8のLiDARシステム800)によって実行される。他の実施形態では、方法1000は、一連の回路または電子システムによって実行される。方法1000は、方法を実行する特定のタイプの装置によって限定されない。方法1000における様々な動作は、提示された順序で実行されてもよく、または異なる順序で実行されてもよい。さらに、いくつかの実施形態では、図4に列挙されたいくつかの動作は、方法1000から省略される。
【0130】
方法1000は、短射程パルス・エネルギー・レベルが設定され、短射程パルスが放出されるブロック1010から開始して示されている。いくつかの実施形態では、これは、パルス・エネルギー・レベルを、LiDARシステムから特定の距離で目に安全な動作をもたらす値に設定することに対応する。例えば、いくつかの実施形態では、接近可能な放出が100mmで目に安全な動作をもたらすように、仮想保護筐体回路(例えば、図8の仮想保護筐体回路880)によって、短射程パルス・エネルギー・レベルを設定してもよく、他の実施形態では、接近可能な放出が100mmを超える最小距離で目に安全な動作をもたらすように、パルス・エネルギー・レベルを設定してもよい。
【0131】
短射程の物体が1020で検出された場合、3D点(X、Y、Z)は、3D記憶装置846(図8)などの3D点群記憶装置に書き込まれ得る。短射程の物体が検出されない場合、1040において、1つまたは複数の長射程パルスが送信され得る。上述したように、短射程の物体検出は、短射程パルスの反射を検出し、検出された反射の飛行時間を測定し、その飛行時間を閾値と比較することによって達成され得る。短射程の距離に対応する閾値の値は、任意の適切な値に設定され得る。
【0132】
1030において、1つまたは複数の長射程パルスが放出される。物体が440で検出された場合、3D点(X、Y、Z)が3D点群記憶装置(例えば、図8の3D記憶装置846)に書き込まれてもよく、処理は460で次の測定点で継続する。物体が検出されない場合、処理は、点群記憶装置に3D点を書き込むことなく、1060において次の測定点で継続する。
【0133】
ここで図11を参照すると、グラフは、様々な実施形態による、距離の関数として物体を検出しない確率を示す。確率曲線1110は、パルス・エネルギー・レベル、物体の反射率、環境光などを含む多くのパラメータに基づいて左または右にシフトすることができる典型的な曲線である。例えば、非常に明るい太陽光では、100mmで目に安全な短射程パルスは、20mで20%の反射率を有する物体を検出しない確率が10-10であり得る。これにより、より近い距離で物体を検出しない確率がさらに低くなるため、この同じシナリオでは、5mで目に安全な長射程パルスは、非常に堅牢な仮想保護筐体を提供する。
【0134】
いくつかの実施形態では、短射程の距離および長射程パルスのエネルギーレベルに対応する閾値は、短射程の距離および長射程パルスの目に安全な最小距離が等しくなる値に設定される。他の実施形態では、短射程の距離および長射程パルスのエネルギーレベルに対応する閾値は、短射程の距離が長射程パルスの目に安全な最小距離よりも大きくなる値に設定される。
【0135】
ここで図12を参照すると、走査レーザ装置(例えば、走査レーザ装置100)の1つの用途が示されている。具体的には、図12は、様々な実施形態による、目に安全な走査LiDARシステムを有する移動プラットフォームを示す。自動車1210は、目に安全なLiDARシステム1220が搭載された可動プラットフォームである。いくつかの実施形態では、目に安全なLiDARシステム1220は、本明細書で説明する様々な実施形態(例えば、図8のLiDARシステム800または図13のLiDARシステム1300)または本明細書で説明する走査レーザ装置のいずれかを使用して実装される。
【0136】
いくつかの実施形態では、短射程パルスのエネルギーは、LiDARシステムが搭載されているプラットフォームが運動しているときに増加する。例えば、自動車1210が閾値を超える速度を有する場合、短射程パルスのエネルギーは、100mmを超える最小距離で接近可能な放出が目に安全なレベルとなるレベルを有してもよい。いくつかの実施形態では、接近可能な放出が目に安全なレベルとなる最小距離は、1メートル以上であり得る。また、例えば、短射程パルスのエネルギーは、プラットフォーム速度の増加に伴って増加してもよい。いくつかの実施形態では、短射程パルスのエネルギーは、プラットフォームが2.5メートル/秒(m/s)~25m/sの間で加速するにつれて徐々に増加し得る。
【0137】
短射程パルスのエネルギーレベルを増加させると、短射程内の物体を検出する確率が増加し、かつ/または物体を検出することができる短射程が増加し得る。図12は、短射程パルスエネルギーの増加の結果としての短射程の増加を示す。
【0138】
いくつかの実施形態では、短射程パルス・エネルギー・レベルは、接近可能な放出が短距離(例えば、100mm以下)で目に安全であるように設定され、時間閾値は、物体を検出しない確率が非常に低い値に設定される。次に、移動プラットフォーム(例えば、自動車)の速度が閾値よりも速くない場合、短射程パルスが放出される。代わりに、移動プラットフォームの速度が閾値よりも速い場合、短射程パルス・エネルギー・レベルおよび短射程の距離に対応する時間閾値を増加させ得る。いくつかの実施形態では、短射程パルスエネルギーは、1メートルの最小距離で目に安全なレベルとなる接近可能な放出となるレベルまで増加される。他の実施形態では、短射程パルスエネルギーは、1メートル超または1メートル未満の最小距離で目に安全なレベルとなる接近可能な放出となるレベルまで増加される。
【0139】
いくつかの実施形態では、移動プラットフォームの速度は、LiDARシステム上の速度センサを使用して判定され得る。他の実施形態では、速度情報は、移動プラットフォーム(例えば、自動車上のセンサ)上のセンサから取得され得る。
【0140】
ここで図13を参照すると、様々な実施形態による走査光検出および測距(LiDAR)システム1300が示されている。LiDARシステム1300は、本明細書に記載の実施形態に従って実装され得るタイプの走査レーザ装置の別の例である。LiDARシステム1300は、VPH回路1384と、パルス生成回路1390と、3D点群記憶装置1346と、ORゲート1380と、制御回路1354とを含む。LiDARシステム1300はまた、送信モジュール1310と、受信モジュール1330と、TOFおよび短射程検出回路1340と、TOFおよび短射程検出回路1350とを含む。
【0141】
LiDARシステム1300は、IRレーザパルスの反射を検出するための2つの別個のIR検出器ならびにTOFおよび短射程検出回路を含む。具体的には、受信モジュール1330は、短射程パルスおよび長射程パルスの両方からの反射を検出するように実装された第1のIR検出器を含み、送信モジュール1310は、目の安全性を高めるために低電力短射程パルスからの反射の冗長な検出を提供する第2のIR検出器を含む。
【0142】
送信モジュール1310は、パルス・レーザ・ビームを発生させるためのIRレーザ光源と、コリメート光学系およびフォーカシング光学系と、視野内でパルス・レーザ・ビームを二次元で走査するために光学アセンブリ内にともに実装された1つまたは複数の走査ミラーアセンブリとを含む。送信モジュール1310はまた、放出されたIRレーザ光パルスと光路を共有するIRレーザ光検出器を含む。送信モジュールの例示的な実施形態は、後の図を参照して以下でより完全に説明される。
【0143】
受信モジュール1330は、光学装置と、視野からの反射光を含まれるIR光検出器に向けるために二次元で走査するための1つまたは複数の走査ミラーアセンブリとを含む。受信モジュールの例示的な実施形態は、後の図を参照して以下でより完全に説明される。
【0144】
TOFおよび短射程検出回路1340、1350は、TOF測定回路および比較器を含む。例えば、TOFおよび短射程検出回路1340は、TOF回路1844および第2の比較器1848を含んでもよく、TOFおよび短射程検出回路1350は、TOF測定回路844および比較器848(図8)を含んでもよい。
【0145】
制御回路1354は、図8を参照して上述したように、送信モジュール1310内の走査ミラーの動きを制御する。制御回路1354はまた、受信モジュール1330内の走査ミラーの動きを制御する。動作中、制御回路1354は、送信モジュール1310からミラー位置フィードバック情報(図示せず)を受信し、受信モジュール1330からもミラー位置フィードバック情報(図示せず)を受信する。ミラー位置フィードバック情報は、ミラーの動作を位相ロックするために使用される。
【0146】
制御回路1354は、駆動信号(複数可)1345を用いて送信モジュール1310内の走査ミラーを有する微小電気機械(MEMS)アセンブリを駆動し、また、走査軌道1342ならびに走査視野1328のサイズおよび位置を定義するミラー偏向の角度範囲を通ってミラーを移動させる駆動信号(複数可)1347を用いて受信モジュール1330内の走査ミラーを有するMEMSアセンブリを駆動する。送信走査と受信走査との同期は、受信口径が、送信されたエネルギーが送信された視野の部分からの光子のみを受け入れることを可能にする。これにより、環境光ノイズに対する耐性が顕著になる。
【0147】
図13に示すように、二次元走査は、第1の次元(垂直、高速走査方向)および第2の次元(水平低速走査方向)で実行される。装置を90度回転させると水平軸と垂直軸が切り替わるので、「垂直」および「水平」というラベルはいくぶん任意的である。
【0148】
また、留意すべきは、図13の例では、走査軌道1342は、光学的拡張の非均一な変動を伴って水平軸に沿って拡張される。そのような拡張は、上述したように拡張光学系を使用することによって実装され得る。例えば、図6および図7の3つの拡張レンズ620、622、624が、システム1300に実装されることができる。そのような実装では、拡張光学系が、レーザ光がパルスし、走査視野1328内に走査したときに水平方向の非均一な拡張に提供するように、送信モジュール1310内に実装される。図6および図7に示すように、これらの3つの拡張レンズは、第1の走査ミラー618と第2の走査ミラー628との間に実装されることができる。同様に、そのような実施形態では、対応する光学系(すなわち、走査ミラーおよび拡張光学系)が、走査視野1328からのレーザ光パルスの受信反射のための光学的拡張における対応する非均一な低減に提供するために、受信モジュール1330に実装される。
【0149】
また、上述したように、送信モジュール1310は、走査視野1328の第1の軸に沿った位置に応じてレーザ光パルスのエネルギーレベルを変動させるように構成されたレーザ光制御器を含むパルス生成回路1390を用いて実装され得る。レーザ光パルスのエネルギーレベルの変動は、拡張光学系によって提供される非均一な光学的拡張の影響を少なくとも部分的に補償しつつ、センサの所望の有効射程を提供するように実行される。例えば、一実施形態では、光源制御器は、光学的拡張の非均一な変動に比例する手法でエネルギーを変動させるように構成される。したがって、より大きな光学的拡張を受けるレーザ光パルスは、より大きなエネルギーレベルで生成される。さらに、レーザ光制御器は、走査視野1328の異なる走査領域における異なる有効射程を促進するためにエネルギーを変動するように構成され得る。
【0150】
ここで図14および図15を参照すると、図14は送信モジュール1400の側面図を示し、図15は上面図を示す。送信モジュール1400は、LiDARシステムにおいて使用され得る送信モジュールの例である(例えば、図10の送信モジュール1310)。送信モジュール1400は、レーザ光源1410と、ビーム整形光学装置1420と、受信エネルギーピックオフ装置1460と、ミラー1462と、ビーム整形装置1464と、IR検出器1466と、走査器1428と、出射光学装置1450とを含む。
【0151】
いくつかの実施形態では、レーザ光源1410の光源は、赤外(IR)光などの非可視光を生成する。これらの実施形態では、IR検出器1466は、受信モジュール1600内のIR検出器(以下に説明する図16)と同じ波長の非可視光を検出する。例えば、いくつかの実施形態では、レーザ光源1410は、実質的に905ナノメートル(nm)の波長を有する赤外光を発生させるレーザダイオードを含んでもよく、IR検出器1466は、実質的に905nmの波長を有する反射光パルスを検出する。また、例えば、いくつかの実施形態では、レーザ光源1410は、実質的に940ナノメートル(nm)の波長を有する赤外光を発生させるレーザダイオードを含んでもよく、IR検出器1466は、実質的に940nmの波長を有する反射光パルスを検出する。光の波長は本発明の限定ではない。可視または非可視の任意の波長は、本発明の範囲から逸脱することなく使用され得る。
【0152】
レーザ光源1410は、パルス・レーザ・ビームを発生させるのに適した任意の数またはタイプのエミッタを含み得る。例えば、いくつかの実施形態では、レーザ光源1410は、図15に1512、1514、1516、および1518で示す複数のレーザダイオードを含む。レーザ光源1410によって発生したパルスレーザ光は、ビーム整形光学装置1420によって結合され、コリメートされ、集束されて、パルス・レーザ・ビームを発生させる。例えば、光学装置1522、1524、1526、1528は、レーザビームを高速軸上でコリメートしてもよく、偏光回転子1523およびビームコンバイナ1520は、レーザビームを結合してもよく、光学装置1522は、パルス・レーザ・ビームを低速軸上で扇状に形成してもよい。ビームサイズおよび発散値は、本発明の様々な実施形態にわたって必ずしも均一ではなく、いくつかの実施形態ではより高い値を有し、いくつかの実施形態ではより低い値を有する。
【0153】
走査器1428は、光学装置1420からパルス・レーザ・ビームを受信し、パルスビームを二次元で走査する。図14および図15によって表される実施形態では、走査器1428は、各々が走査ミラー1432、1442を含む2つの別個の走査ミラーアセンブリ1430、1440を含み、各走査ミラーは、一次元でビームを走査する。例えば、走査ミラー1432は、パルスビームを高速走査方向に走査し、走査ミラー1442は、パルスビームを低速走査方向に走査する。
【0154】
走査器1428は、各々が別個の寸法で走査する2つの走査ミラーアセンブリを含むように示されているが、これは本発明の限定ではない。例えば、いくつかの実施形態では、走査器1428は、二次元で走査する単一の双軸走査ミラーアセンブリを使用して実装される。いくつかの実施形態では、走査装置は、MEMSダイおよび永久磁石の小さなサブアセンブリおよび電気的インターフェースを含む小型アセンブリを使用して達成される電磁作動を使用するが、様々な実施形態はこの点に関して限定されない。
【0155】
出射光学装置1450は、走査パルス・レーザ・ビームが送信モジュールを出るときに走査パルス・レーザ・ビーム上で動作する。いくつかの実施形態では、出射光学装置1450は、視野拡張を実行する。例えば、走査器1428は、高速走査軸上で20度の最大角度範囲にわたって走査してもよく、低速走査軸上で40度の最大角度範囲にわたって走査してもよく、出射光学装置1450は、視野を高速走査軸上で30度および低速走査軸上で120度に拡大してもよい。走査ミラーの走査角と出射光学装置1450によって提供される視野拡張量との間の関係は、本発明の限定ではない。
【0156】
受信エネルギーピックオフ装置1460は、送信光路の少なくとも一部を放出光パルス(実線で示す)と共有する受信光(点線で示す)を偏向させる。そして、偏向された受光は、ミラー1462で反射され、光学装置1064で集束され、IR検出器1466で検出される。いくつかの実施形態では、ピックオフ装置1460は、IRレーザ光源によって発生したパルスビームを透過する「窓」と、窓の外側で受信エネルギーを偏向させる反射外側部分とを含む。他の実施形態では、ピックオフ装置1460は、入射光の一部を透過し、残りを反射する部分反射器である。例えば、入射光の90%を透過し、入射光の10%を反射する反射器は、視野内の物体から反射された光の10%をIR検出器1466に提供する。さらなる実施形態では、ピックオフ装置1460は、パルス・レーザ・ビームを(第1の偏光で)透過させ、異なる偏光の受信光をピックオフする偏光ビームスプリッタを組み込み得る。これは、一部には、ランバート反射に起因して反射がランダムに偏光されることに起因して有効である。さらなる実施形態では、出射レーザビームおよび受信エネルギーは、走査ミラーの異なる部分に向けられてもよく、ピックオフ装置1460は、一方を反射するが他方を反射しないように配置されたオフセットミラーでもよい。
【0157】
この場合も、低エネルギー短射程パルスの確実な検出を促進するために、IR検出器1466は、レーザ光パルスを走査視野に送信するために使用される同じ光学アセンブリの少なくともいくつかを介して反射を受信するように構成された複数のセンサを用いて実装され得る。具体的には、IR検出器1466は、同じ走査ミラー1432、1142、出射光学装置1450、およびレーザ光パルスを走査視野に送信するために使用される他の光学要素を介してレーザ光パルスを受信するように構成され得る。同じ光学アセンブリがレーザ光反射を受信するために複数のセンサによって使用されるため、複数のセンサが短射程パルスからの反射を受信するのを妨げる損傷または妨害物により、走査視野内に向けられたレーザ光パルスの走査も遮断される可能性がある。したがって、IR検出器1466は、走査視野内の物体に衝突し、検出器に向かって反射して戻ってきた短射程パルスをより確実に検出することができ、したがって、長射程パルスがいつ安全に放出され得るかを確実に判定するために使用されることができる。さらに、IR検出器1466内の複数のセンサは、光学アセンブリ内からの後方反射の影響を少なくとも部分的に相殺するように構成される。光学アセンブリ内からの後方反射の影響を相殺することにより、特に走査視野内からのレーザパルスの低エネルギー短射程反射の検出のために、検出器の感度を改善し得る。
【0158】
また、上述したように、送信モジュール1400は、走査視野の第1の軸に沿った位置に応じてレーザ光パルスのエネルギーレベルを変動させるように構成されたレーザ光制御器を用いて実装され得る。レーザ光パルスのエネルギーレベルの変動は、拡張光学系によって提供される非均一な光学的拡張の影響を少なくとも部分的に補償しつつ、センサの所望の有効射程を提供するように実行される。例えば、一実施形態では、光源制御器は、光学的拡張の非均一な変動に比例する手法でエネルギーを変動させるように構成される。したがって、より大きな光学的拡張を受けるレーザ光パルスは、より大きなエネルギーレベルで生成される。さらに、レーザ光制御器は、走査視野の異なる走査領域における異なる有効射程を促進するためにエネルギーを変動するように構成され得る。
【0159】
ここで図16および図17を参照すると、図16は受信モジュール1600の側面図を示し、図17は上面図を示す。受信モジュール1600は、LiDARシステム(例えば、図13の受信モジュール1330)において使用され得る受信モジュールの一例である。受信モジュール1600は、IR検出器1610と、折り返しミラー1612と、撮像光学装置1620と、バンドパスフィルタ1622と、走査器1628と、出射光学装置1650とを含む。
【0160】
走査ミラーアセンブリ1630および1640は、走査ミラーアセンブリ1430および1440と同様または同一であり、出射光学装置1650は、出射光学装置1450と同様または同一である。バンドパスフィルタ1422は、レーザ光源1410によって発生した光の波長を通過させ、他の波長の環境光を遮断する。例えば、いくつかの実施形態では、レーザ光源は905nmの光を発生させ、バンドパスフィルタ1622は905nmの光を通過させる。
【0161】
撮像光学装置1620は、折り返しミラー1612による反射後に、視野の一部をIR検出器1610上に撮像する。走査器1628は走査器1428と同期して走査されるので、検出器1610は、走査されたパルスビームによって照射された測定点から常に光を収集する。
【0162】
図18は、本発明の様々な実施形態による集積フォトニクスモジュールの斜視図である
。集積フォトニクスモジュール1800は、送信モジュール1400(図14および図15)と受信モジュール16(図16および図17)の両方を含む。送信モジュール1400および受信モジュール1600が並んで配置された長方形の筐体を有する集積フォトニクスモジュール1800が示されている。いくつかの実施形態では、送信モジュール1400および受信モジュール1600は、一方が他方の上に配置される。
【0163】
前述の詳細な説明において、本発明が実施され得る特定の実施形態を例示として示す添付の図面を参照した。これらの実施形態は、当業者が本発明を実施することを可能にするように十分詳細に説明された。本発明の様々な実施形態は、異なるが、必ずしも相互に排他的ではないことを理解されたい。例えば、一実施形態に関連して本明細書で説明された特定の特徴、構造、または特性は、本発明の範囲から逸脱することなく、他の実施形態内で実装されてもよい。さらに、各開示された実施形態内の個々の要素の位置または配置は、本発明の範囲から逸脱することなく変更され得ることを理解されたい。したがって、前述の詳細な説明は限定的な意味で解釈されるべきではなく、本発明の範囲は、特許請求の範囲が権利を有する等価物の全範囲と共に、適切に解釈された添付の特許請求の範囲によってのみ定義される。図面において、同様の符号は、いくつかの図を通して同じまたは同様の機能を指す。
【0164】
本発明を特定の実施形態に関連して説明してきたが、当業者が容易に理解するように、本発明の範囲から逸脱することなく修正および変形を用いることができることを理解されたい。そのような修正および変形は、本発明および添付の特許請求の範囲内にあると考えられる。
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図4F
図4G
図4H
図5A
図5B
図5C
図5D
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
【国際調査報告】