(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-24
(54)【発明の名称】持続的グルコースモニタリング(CGM)プロファイルの構造化及び分類方法
(51)【国際特許分類】
G16H 20/10 20180101AFI20240517BHJP
【FI】
G16H20/10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023574782
(86)(22)【出願日】2022-06-03
(85)【翻訳文提出日】2023-12-04
(86)【国際出願番号】 US2022032121
(87)【国際公開番号】W WO2022256626
(87)【国際公開日】2022-12-08
(32)【優先日】2021-06-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518395485
【氏名又は名称】ユニヴァーシティー オブ ヴァージニア パテント ファンデーション
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141553
【氏名又は名称】鈴木 信彦
(74)【代理人】
【識別番号】100151987
【氏名又は名称】谷口 信行
(72)【発明者】
【氏名】コヴァチェフ ボリス ピー
(72)【発明者】
【氏名】ロボ ベンジャミン
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA25
(57)【要約】
実施形態は、持続的グルコースモニタリング(CGM)データを分類するモデルを開発するためのシステムに関する。本システムは、プロセッサと、実行されると、CGM測定値のデータセットを各々が含む2つのCGMプロファイルの形状の類似性に基づいて、2つのCGMプロファイルが一致するか否かをプロセッサに決定させる、命令が格納されたコンピュータメモリと、を含む。プロセッサは、2つの一致するCGMプロファイルをCGMプロファイルペアとして指定する。プロセッサは、CGMプロファイルペアをモチーフに変換する。プロセッサは、臨床的特徴に基づいて、モチーフをラベル付きモチーフとしてラベル付けする。プロセッサは、ラベル付けされたモチーフを分類されたデータポイントとして含むモチーフの有限集合が作成されるまで、CGMプロファイルペアリングプロセスの決定、指定及び変換のステップを再帰的に繰り返す。プロセッサは、流体中のグルコースレベルの濃度を監視、分析又は影響を及ぼす。
【選択図】
図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
持続的グルコースモニタリング(CGM)データを分類するモデルを開発するためのシステムであって、
プロセッサと、
命令が格納されたコンピュータメモリと、
を備え、
前記命令が、実行されると、
CGM測定値のデータセットを各々が含む2つのCGMプロファイルの形状の類似性に基づいて、前記2つのCGMプロファイルが一致するか否かを決定し、
前記2つの一致するCGMプロファイルをCGMプロファイルペアとして指定し、
前記CGMプロファイルペアをモチーフに変換し、
臨床的特徴に基づいて、前記モチーフをラベル付けされたモチーフとしてラベル付けし、
前記ラベル付けされたモチーフを分類されたデータポイントとして含む、モチーフの有限集合が作成されるまで、CGMプロファイルペアリングプロセスの決定、指定及び変換のステップを再帰的に繰り返し、
前記ラベル付けされたモチーフ及び前記分類されたデータポイントを用いて、流体中のグルコースレベルの濃度を監視、分析、又は影響を及ぼす、
ように前記プロセッサに行わせる、システム。
【請求項2】
前記命令は、
複数のCGMプロファイルペアを指定し、
前記複数のCGMプロファイルペアを1又は2以上のモチーフに変換し、
前記1又は2以上のモチーフに1又は2以上のラベルを付け、
各個別にラベル付けされた前記モチーフをデータポイントとして含むモチーフの有限集合を作成する、
ように前記プロセッサに行わせる、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記データポイントを用いて、血液中のグルコースレベルの濃度の監視、分析、又は影響を及ぼすこと、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記命令は、CGMプロファイルのデータベースから2つの前記CGMプロファイルを取得するように前記プロセッサに行わせる、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
CGMデバイスから前記CGM測定値を取得することを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
少なくとも1つの前記CGMプロファイルは、24時間の期間に関連する前記CGM測定値の日次CGMプロファイルである、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記命令は、前記CGMプロファイルが所定数未満の数の前記CGM測定値を含む場合に、線形補間、三次スプライン、後方伝播、及び/又は前方伝播を実行する、
ように前記プロセッサに行わせる、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記命令は、2つの前記CGMプロファイル間のリスク空間の距離を計算することによって、前記2つのCGMプロファイルが一致するかどうかを決定する、
ように前記プロセッサに行わせる、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記命令は、前記2つのCGMプロファイル間の二乗平均平方根(RMSE)を計算することによって、前記2つのCGMプロファイル間のリスク空間における前記距離を計算する、
ように前記プロセッサに行わせる、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記臨床的特徴が、
CGMプロファイルの血糖値の所定数が所定範囲内にある目標域指標;
CGMプロファイルの血糖値の所定数が所定値より大きい高血糖域指標;
CGMプロファイルの血糖値の所定数が所定値未満である低血糖域指標;
CGMプロファイルの血糖値の変動係数指標;及び/又は
CGMプロファイルの血糖値の標準偏差指標
のうちの1又は2以上を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
前記プロセッサは、予測モデリングシステム、決定支援システム、及び/又は自動制御システムの構成要素となる、又はこれらと組み合わせて使用される、或いはこれらと通信する、ように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
持続的グルコースモニタリング(CGM)データを分類するモデルを開発する方法であって、
CGM測定値のデータセットを各々が含む2つのCGMプロファイルの形状の類似性に基づいて、前記2つのCGMプロファイルが一致するか否かを決定するステップと、
前記2つの一致するCGMプロファイルをCGMプロファイルペアとして指定するステップと、
前記CGMプロファイルペアをモチーフに変換するステップと、
臨床的特徴に基づいて、前記モチーフをラベル付けされたモチーフとしてラベル付けするステップと、
前記ラベル付けされたモチーフを分類されたデータポイントとして含む、モチーフの有限集合が作成されるまで、CGMプロファイルペアリングプロセスの決定、指定及び変換のステップを再帰的に繰り返すステップと、
前記ラベル付けされたモチーフ及び前記分類されたデータポイントを用いて、流体中のグルコースレベルの濃度を監視、分析、又は影響を及ぼすステップと、
を含む、方法。
【請求項13】
複数のCGMプロファイルペアを指定するステップと、
前記複数のCGMプロファイルペアを変換して1又は2以上のモチーフを形成するステップと、
前記1又は2以上のモチーフに1又は2以上のラベルを付けるステップと、
各個々にラベル付けされた前記モチーフをデータポイントとして含むモチーフの有限集合を作成するステップと、
を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記データポイントを用いて、血液中のグルコースレベルの濃度の監視、分析、又は影響を及ぼすステップ、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記2つのCGMプロファイルが一致するかどうかを決定するステップは、前記2つのCGMプロファイル間のリスク空間の距離を計算するステップを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
前記臨床的特徴が、
CGMプロファイルの血糖値の所定数が所定範囲内にある目標域指標;
CGMプロファイルの血糖値の所定数が所定値より大きい高血糖域指標;
CGMプロファイルの血糖値の所定数が所定値未満である低血糖域指標;
CGMプロファイルの血糖値の変動係数指標;及び/又は
CGMプロファイルの血糖値の標準偏差指標
のうちの1又は2以上を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項17】
患者の持続的グルコースモニタリング(CGM)データを分類するためのシステムであって、
プロセッサと、
命令が格納されたコンピュータメモリと、
を備え、
前記命令が、実行されると、
患者CGM測定値のデータセットを含む患者CGMプロファイルを取得し、
前記患者CGMプロファイルを、ラベル付けされたモチーフに変換されたCGMプロファイルペアを含むモチーフの有限集合と比較し、
前記患者CGMプロファイルと前記ラベル付けされたモチーフの前記CGMプロファイルペアとの間の一致に基づいて、前記患者CGMプロファイルを1又は2以上の臨床的特徴に分類し、
前記患者CGMプロファイルの分類に基づいて、流体中のグルコースレベルの濃度を監視、分析、又は影響を及ぼす、
ように前記プロセッサに行わせる、システム。
【請求項18】
前記命令は、
CGMデバイスから前記患者CGMプロファイルを取得し、
データベースから前記モチーフの有限集合を取得する
ように前記プロセッサに以下を行わせる、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
前記命令は、前記患者CGMプロファイルと前記ラベル付けされたモチーフのCGMプロファイルペアの形状の類似性に基づいて、前記患者CGMプロファイルと前記ラベル付けされたモチーフのCGMプロファイルペアとの間の一致を識別する、
ように前記プロセッサに行わせる、請求項17に記載のシステム。
【請求項20】
前記プロセッサは、予測モデリングシステム、決定支援システム、及び/又は自動制御システムの構成要素となる、又はこれらと組み合わせて使用される、或いはこれらと通信する、ように構成される、請求項17に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願に対する相互参照)
本特許出願は、2021年6月4日に出願された米国仮特許出願第63/196,951号に関連し、その優先権の利益を主張するものであり、その内容全体が引用により本明細書に組み込まれる。
【0002】
(技術分野)
実施形態は、持続的グルコースモニタリング(CGM)データを分類するモデルを開発及び実装するためのシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
世界中で約4億2200万人が1型糖尿病(T1D)又は2型糖尿病(T2D)を有し、後者が症例の90~95%を占める[世界保健機関、2020年]。糖尿病では、グルコース代謝を制御し、安定した空腹時血糖を保証するホルモンネットワークが、インスリン分泌の欠如(T1D)又は不十分なインスリン分泌(T2D)を生じやすい[Kovatchev,2019]。糖尿病患者の安全且つ効果的な治療には、血糖値の頻繁且つ正確なモニタリングが必要である。20年以上前の持続的グルコースモニタリング(CGM)デバイスの導入は、糖尿病患者の人々、特にT1D患者の治療方法における重要なパラダイムシフトと徐々に関連してきた。これらのシステムの利点は、他の伝統的な方法(例えば、フィンガースティック・デバイス)によって実施可能なものよりもより頻繁に血糖濃度を正確に測定できる能力に由来し、これにより、より完全なグルコースプロファイル及びこれに関連する動特性を可視化することが可能となる。この情報は、患者又はその医師がリアルタイムで使用することができ、また、この情報は、コンピュータベースの決定支援又は閉ループシステムによって使用されて、糖尿病治療の安全性及び有効性を著しく改善することができる[Bergenstal,2018,Nimri他.2019]。幾つかのCGMデバイスに組み込まれているCGMベースのAmbulatory Glucose Profile(AGP)レポートは、血糖測定メトリックを含み、複数の日次CGMプロファイルに基づくグルコース頻度分布を可視化することができる。AGPレポートは、現在の「標準的治療」のパーソナライズドCGMベースの管理ツールと考えることができる[Bergenstal,2018]。CGMデバイスの出現はまた、(i)血糖動特性予測のための新しいデータ駆動型手法[Woldaregay他.,2019b]、(ii)異なる治療戦略及び患者集団の高度な分類[Kahkoska他、2019,Augstein他.,2015]、(iii)CGMパターン分類[Woldaregay他.,2019a,Shah他.,2019]、及び(iv)T1Dにおける幾つかの機械学習アプリケーション[Woldaregay他.,2019a]における調査を含む、複数の研究の方向につながっている。
【0004】
米国では、T1D患者の間でのCGMの使用は、2011年の6%から2018年には38%に増加しており[Foster他.2019]T1D及びT2Dの両方で世界中で増加し続けている。一般的なCGMセンサは、5分ごとに1つのデータポイントを収集するため、1日のCGM時系列(すなわち、日次CGMプロファイル)には288のデータポイントが含まれる。たった一人の個人からの1年間の日次CGMデータには、10万を超えるデータポイントが含まれる。しかしながら、CGMデータは、一般的な臨床診療及び日々の糖尿病治療において十分に活用されていない。これは、1つには、これらのデバイスによって生成されたデータを分析するための定量的方法の利用が限られていることに起因する。例えば、CGMデータは、即時CGM履歴のプロットとして、又は同時にプロットされて集計された血糖リスクメトリクスに伴う複数の日次プロファイルとして、患者又はその医師に提示される[Kovatchev,2017]。Medtronic社及びTandem Diabetes Care社から市販されているクローズドループ人工膵臓(AP)システムは、より洗練された方法でCGMデータを使用しているが、これらの技術的に高度な臨床アプリケーションでさえ、CGMデータに存在する豊富な情報の特異性と「豊かさ」を十分に活用していない。
【発明の概要】
【0005】
実施形態は、持続的グルコースモニタリング(CGM)データを分類するモデルを開発するためのシステムに関する。本システムは、プロセッサと、命令が格納されたコンピュータメモリと、を備え、前記メモリは、実行されると、2つのCGMプロファイルの形状の類似性に基づいて、2つのCGMプロファイルが一致するか否かを決定するように、上記プロセッサに行わせ、各CGMプロファイルがCGM測定値のデータセットを含む。プロセッサは、2つの一致するCGMプロファイルをCGMプロファイルペアとして指定する。プロセッサは、CGMプロファイルペアをモチーフに変換する。プロセッサは、臨床的特徴に基づいて、モチーフをラベル付きモチーフとしてラベル付けする。プロセッサは、分類されたデータポイントとしてラベル付けされたモチーフを含むモチーフの有限集合が作成されるまで、CGMプロファイルペアリングプロセスの決定、指定及び変換のステップを再帰的に繰り返す。プロセッサは、ラベル付けされたモチーフ及び分類されたデータポイントを用いて、流体中のグルコースレベルの濃度を監視、分析又は影響を及ぼす。
【0006】
実施形態は、持続的グルコースモニタリング(CGM)データを分類するモデルを開発するための方法に関する。本方法は、2つのCGMプロファイルの形状の類似性に基づいて、2つのCGMプロファイルが一致するかどうかを決定するステップを含み、各CGMプロファイルは、CGM測定値のデータセットを含む。本方法は、2つの一致するCGMプロファイルをCGMプロファイルペアとして指定するステップを含む。本方法は、CGMプロファイルペアをモチーフに変換するステップを含む。本方法は、臨床的特徴に基づいてモチーフをラベル付きモチーフとしてラベル付けするステップを含む。本方法は、分類されたデータポイントとしてラベル付けされたモチーフを含むモチーフの有限集合が作成されるまで、CGMプロファイルペアリングプロセスの決定、指定及び変換のステップを再帰的に繰り返すステップを含む。本方法は、ラベル付けされたモチーフ及び分類されたデータポイントを用いて、流体中のグルコースレベルの濃度を監視、分析又は影響を及ぼすステップを含む。
【0007】
実施形態は、患者の持続的グルコースモニタリング(CGM)データを分類するためのシステムに関する。本システムは、プロセッサと、命令が格納されたコンピュータメモリと、を備え、上記命令が、実行されると、患者CGM測定値のデータセットを含む患者CGMプロファイルを取得するよう、上記プロセッサに行わせる。プロセッサは、患者CGMプロファイルをモチーフの有限集合と比較し、モチーフの有限集合は、ラベル付けされたモチーフに変換されたCGMプロファイルペアを含む。プロセッサは、患者CGMプロファイルとラベル付けされたモチーフのCGMプロファイルペアとの間の一致に基づいて、患者CGMプロファイルを1又は2以上の臨床的特徴に分類する。プロセッサは、患者CGMプロファイルの分類に基づいて、流体中のグルコースレベルの濃度を監視、分析、又は影響を及ぼす。
【0008】
本開示の他の特徴及び利点は、添付の図面と併せて以下の詳細な説明を読むことにより、より明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1A】持続的グルコースモニタリング(CGM)データを分類するモデルを開発するための例示的なシステム図である。
【
図1B】患者CGMデータを分類するための例示的なシステム図である。
【
図2A】血糖空間(
図2A)にプロットされた日次CGMプロファイルで発生する低血糖の期間が、日次CGMプロファイルのリスク空間変換(
図2B)によってどのように重み付けされるかを示す図であり、水平点線は、
図2Aでは112.5mg/dL、
図2Bでは0におけるスケールの「臨床中心」を示す。
【
図2B】血糖空間(
図2A)にプロットされた日次CGMプロファイルで発生する低血糖の期間が、日次CGMプロファイルのリスク空間変換(
図2B)によってどのように重み付けされるかを示す図であり、水平点線は、
図2Aでは112.5mg/dL、
図2Bでは0におけるスケールの「臨床中心」を示す。
【
図3A】日次CGMプロファイルのペア間の良好な一致を示し、一致の質は視覚的に明らかであり、2つのプロファイル間のスコアによって定量化される。
【
図3B】日次CGMプロファイルのペア間の不良な一致を示し、一致の質は視覚的に明らかであり、2つのプロファイル間のスコアによって定量化される。
【
図4A】検証データセットから日次CGMプロファイルを分類するためにΩτ及びclassify_profileアルゴリズムを使用する場合にモチーフm∈Ωτについて得られるクラスタの構成を示し、τ=0.75である。
【
図4B】検証データセットから日次CGMプロファイルを分類するためにΩτ及びclassify_profileアルゴリズムを使用する場合にモチーフm∈Ωτについて得られるクラスタの構成を示し、τ=1.25である。
【
図4C】検証データセットから日次CGMプロファイルを分類するためにΩτ及びclassify_profileアルゴリズムを使用する場合にモチーフm∈Ωτについて得られるクラスタの構成を示し、τ=1.75である。
【
図4D】検証データセットから日次CGMプロファイルを分類するためにΩτ及びclassify_profileアルゴリズムを使用する場合にモチーフm∈Ωτについて得られるクラスタの構成を示し、τ=2.25である。
【
図5A】検証データセットからの日次CGMプロファイルを分類するために、τ=1.25のsingle_motifアルゴリズムを使用することによって得られた(上から下へ)i∈{1、200、400、483}に対するクラスタCiの構成を示す図である。
【
図5B】検証データセットからの日次CGMプロファイルを分類するために、τ=1.25のsingle_motifアルゴリズムを使用することによって得られた(上から下へ)i∈{1、200、400、483}に対するクラスタCiの構成を示す図である。
【
図5C】検証データセットからの日次CGMプロファイルを分類するために、τ=1.25のsingle_motifアルゴリズムを使用することによって得られた(上から下へ)i∈{1、200、400、483}に対するクラスタCiの構成を示す図である。
【
図5D】検証データセットからの日次CGMプロファイルを分類するために、τ=1.25のsingle_motifアルゴリズムを使用することによって得られた(上から下へ)i∈{1、200、400、483}に対するクラスタCiの構成を示す図である。
【
図6】使用された8つの異なる許容誤差τ値の各々について、クラスタサイズが固定サイズρ以下である検証データセットの各クラスタリングにおけるクラスタのパーセントを示す図である。
【
図7A】モチーフの8つの臨床指標を使用した、Ωにおける483の代表的な日次プロファイル(モチーフ)の2次元t分布確率的近傍埋め込み(t-SNE)を示す図である。
【
図7B】モチーフの8つの臨床指標を使用した、Ωにおける483の代表的な日次プロファイル(モチーフ)の2次元t分布確率的近傍埋め込み(t-SNE)を示す図である。
【
図7C】モチーフの8つの臨床指標を使用した、Ωにおける483の代表的な日次プロファイル(モチーフ)の2次元t分布確率的近傍埋め込み(t-SNE)を示す図である。
【
図7D】モチーフの8つの臨床指標を使用した、Ωにおける483の代表的な日次プロファイル(モチーフ)の2次元t分布確率的近傍埋め込み(t-SNE)を示す図である。
【
図7E】モチーフの8つの臨床指標を使用した、Ωにおける483の代表的な日次プロファイル(モチーフ)の2次元t分布確率的近傍埋め込み(t-SNE)を示す図である。
【
図7F】モチーフの8つの臨床指標を使用した、Ωにおける483の代表的な日次プロファイル(モチーフ)の2次元t分布確率的近傍埋め込み(t-SNE)を示す図である。
【
図7G】モチーフの8つの臨床指標を使用した、Ωにおける483の代表的な日次プロファイル(モチーフ)の2次元t分布確率的近傍埋め込み(t-SNE)を示す図である。
【
図7H】モチーフの8つの臨床指標を使用した、Ωにおける483の代表的な日次プロファイル(モチーフ)の2次元t分布確率的近傍埋め込み(t-SNE)を示す図である。
【
図8】t-分布確率的近傍埋め込みにおいて近接して位置するモチーフの3つのグループの説明図であり、各グループのモチーフは、形状及びリスク空間における位置の両方において類似しているが、異なるグループのモチーフは、形状、リスク空間における位置又はその両方において異なっている。
【
図9】T1D患者(上)及びT2D患者(下)DIA1及びDIA2データセットによって生成された日次CGMプロファイルについて、各クラスタに割り当てられた日次CGMプロファイルの分布の図である。
【
図10】本発明の実施形態の1又は2以上の態様を実施することができるマシンの一例を示すブロック図である。
【
図11A】6つの臨床的に関連する測定基準について、Ωの代表的な日次プロファイル対DCLP1の日次CGMプロファイルの相関散布図である。
【
図11B】6つの臨床的に関連する測定基準について、Ωの代表的な日次プロファイル対DCLP1の日次CGMプロファイルの相関散布図である。
【
図11C】6つの臨床的に関連する測定基準について、Ωの代表的な日次プロファイル対DCLP1の日次CGMプロファイルの相関散布図である。
【
図11D】6つの臨床的に関連する測定基準について、Ωの代表的な日次プロファイル対DCLP1の日次CGMプロファイルの相関散布図である。
【
図11E】6つの臨床的に関連する測定基準について、Ωの代表的な日次プロファイル対DCLP1の日次CGMプロファイルの相関散布図である。
【
図11F】6つの臨床的に関連する測定基準について、Ωの代表的な日次プロファイル対DCLP1の日次CGMプロファイルの相関散布図である。
【
図12A】6つの臨床的に関連する測定基準について、Ωの代表的な日次プロファイル対DCLP3の日次CGMプロファイルの相関散布図である。
【
図12B】6つの臨床的に関連する測定基準について、Ωの代表的な日次プロファイル対DCLP3の日次CGMプロファイルの相関散布図である。
【
図12C】6つの臨床的に関連する測定基準について、Ωの代表的な日次プロファイル対DCLP3の日次CGMプロファイルの相関散布図である。
【
図12D】6つの臨床的に関連する測定基準について、Ωの代表的な日次プロファイル対DCLP3の日次CGMプロファイルの相関散布図である。
【
図12E】6つの臨床的に関連する測定基準について、Ωの代表的な日次プロファイル対DCLP3の日次CGMプロファイルの相関散布図である。
【
図12F】6つの臨床的に関連する測定基準について、Ωの代表的な日次プロファイル対DCLP3の日次CGMプロファイルの相関散布図である。
【
図13A】6つの臨床的に関連する測定基準について、Ωの代表的な日次プロファイル対DIA1の日次CGMプロファイルの相関散布図である。
【
図13B】6つの臨床的に関連する測定基準について、Ωの代表的な日次プロファイル対DIA1の日次CGMプロファイルの相関散布図である。
【
図13C】6つの臨床的に関連する測定基準について、Ωの代表的な日次プロファイル対DIA1の日次CGMプロファイルの相関散布図である。
【
図13D】6つの臨床的に関連する測定基準について、Ωの代表的な日次プロファイル対DIA1の日次CGMプロファイルの相関散布図である。
【
図13E】6つの臨床的に関連する測定基準について、Ωの代表的な日次プロファイル対DIA1の日次CGMプロファイルの相関散布図である。
【
図13F】6つの臨床的に関連する測定基準について、Ωの代表的な日次プロファイル対DIA1の日次CGMプロファイルの相関散布図である。
【
図14A】6つの臨床的に関連する測定基準に関する、Ωの代表的な日次プロファイル対DIA2の日次CGMプロファイルの相関散布図である。
【
図14B】6つの臨床的に関連する測定基準に関する、Ωの代表的な日次プロファイル対DIA2の日次CGMプロファイルの相関散布図である。
【
図14C】6つの臨床的に関連する測定基準に関する、Ωの代表的な日次プロファイル対DIA2の日次CGMプロファイルの相関散布図である。
【
図14D】6つの臨床的に関連する測定基準に関する、Ωの代表的な日次プロファイル対DIA2の日次CGMプロファイルの相関散布図である。
【
図14E】6つの臨床的に関連する測定基準に関する、Ωの代表的な日次プロファイル対DIA2の日次CGMプロファイルの相関散布図である。
【
図14F】6つの臨床的に関連する測定基準に関する、Ωの代表的な日次プロファイル対DIA2の日次CGMプロファイルの相関散布図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1Aを参照すると、実施形態は、持続的グルコースモニタリング(CGM)データを分類するモデルを開発するためのシステム1000に関連付けることができる。システム1000は、プロセッサ1002を含むことができる。システム1000は、コンピュータメモリを含むことができるメモリ1004、1006を含むことができる。メモリ1004、1006は、プロセッサ1002と関連付けることができる。メモリ1004、1006は、実行されるとプロセッサ1002にCGMデータを分類するモデルを開発するためのアルゴリズムステップを実行させる命令1024を格納させることができる。
【0011】
プロセッサ1002は、本明細書で開示されるプロセッサ1002の何れかとすることができる。プロセッサ1002は、マシン1000′(論理、1又は2以上の構成要素、回路(例えば、モジュール)、又は機構)の一部であるか、又はこれと通信することができる。プロセッサ1002は、アルゴリズム、データ処理プログラム論理、人工知能プログラミング、自動推論プログラミングなどで具現化された命令の実行によって動作を実行するように構成されたハードウェア(例えば、プロセッサ、集積回路、中央処理ユニット、マイクロプロセッサ、コアプロセッサ、コンピュータデバイスなど)、ファームウェア、ソフトウェア、その他とすることができる。本明細書におけるプロセッサ1002の使用は、グラフィックス処理ユニット(GPU)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、中央処理装置(CPU)等の何れか1つ又は組み合わせを含むことができることに留意されたい。プロセッサ1002は、1又は2以上の処理モジュールを含むことができる。処理モジュールは、本明細書に開示される方法ステップの何れかを実施するように構成されたソフトウェア又はファームウェア動作モジュールとすることができる。処理モジュールは、ソフトウェアとして具現化され、及びメモリに格納することができ、メモリは、プロセッサ1002と動作可能に関連付けられる。処理モジュールは、ウェブアプリケーション、デスクトップアプリケーション、コンソールアプリケーションなどとして具現化することができる。プロセッサ1002及びマシン1000′の例示的な実施形態については後述する。
【0012】
プロセッサ1002は、コンピュータ又は機械可読媒体1022を含むことができ、又はこれと関連付けることができる。後で更に詳細に論じるように、コンピュータ又は機械可読媒体1022は、メモリを含むことができる。本明細書で議論されるメモリの何れも、データを格納するように構成されたコンピュータ可読メモリとすることができる。メモリは、揮発性又は不揮発性、一時的又は非一時的メモリを含むことができ、及びインメモリ、アクティブメモリ、クラウドメモリ等として具現化される。メモリの実施形態は、プロセッサモジュール及び他の回路を含むことができ、メモリとの間のデータ転送を可能にし、これには通信システムの他の構成要素との間のデータ転送を含むことができる。この転送は、ハードワイヤ又はワイヤレス伝送を介して行うことができる。通信システムは、トランシーバを含むことができ、このトランシーバは、スイッチ、受信機、送信機、ルータ、ゲートウェイ、導波管等と組み合わせて使用することができ、通信システムの何れかの他の構成要素又は構成要素の組み合わせに対する制御され調整された信号伝送及び処理のための通信アプローチ又はプロトコルを介した通信を容易にする。伝送は通信リンクを介して行うことができる。通信リンクは、電子ベース、光ベース、光電子ベース、量子ベース等とすることができる。
【0013】
コンピュータ又は機械可読媒体1022は、1又は2以上の命令1024を格納するように構成することができる。命令1024は、プロセッサ1002にモデルの実施形態を構築及び実装させるアルゴリズム、プログラムロジック等の形態とすることができる。
【0014】
プロセッサ1002は、他のデバイス1007(例えば、血糖状態モニタリングデバイス、グルコース管理システム、インスリン推奨システム、インスリン送達デバイスなど)の他のプロセッサと通信することができる。これらの他のデバイス1007の何れもが、本明細書に開示される例示的なプロセッサの何れかを含むことができる。プロセッサの何れかは、無線信号の送受信を容易にするためのトランシーバ又は他の通信デバイス/回路を有することができる。プロセッサの何れかは、2つのアプリケーションが互いに対話することを可能にするソフトウェア仲介として、アプリケーションプログラミングインターフェース(API)を含むことができる。APIの使用は、システム1000のプロセッサ1002がデバイス1007のプロセッサと同じでない場合、システム1000のプロセッサ1002のソフトウェアが他のデバイス1007のプロセッサのソフトウェアと通信することを可能にすることができる。
【0015】
命令1024は、プロセッサ1002に、2つのCGMプロファイルの形状の類似性に基づいて、2つのCGMプロファイルが一致するか否かを決定させることができる。各CGMプロファイルは、CGM測定値のデータセットを含む。各CGMプロファイルが、患者からの及びある期間のCGM測定値のデータセットを含むことが企図される。期間は24時間であることが企図されているが、他の期間を使用することもできる(例えば、1時間、6時間、48時間、168時間など)。CGMデータは、所定のサンプルレート(例えば、1秒毎、5秒毎、60秒毎など)でサンプリングされたデータとすることができる。この時間期間にわたるCGMデータサンプルのコンパイルが、CGMプロファイルである。あるCGMプロファイルの期間及びサンプルレートは、別のCGMプロファイルの期間及びサンプルレートと同じであることが企図されるが、必須ではない。プロセッサ1002は、データベース1003からCGMデータ及び/又はCGMプロファイルを取得することができる。例えば、プロセッサ1002は、データベース1003からCGMデータを取得し、CGMプロファイルを作成することができ、又は既に作成されたデータベース1003からCGMプロファイルを取得することができる。プロセッサ1002によって取得されたCGMデータ及び/又はCGMプロファイルは、後の処理のためにメモリ1004、1006に格納することができる。CGMデータ及び/又はCGMプロファイルの取得は、プル操作(例えば、プロセッサ1002がデータベース1003からデータをプルすることができる)又はプッシュ操作(例えば、データがデータベース1003からプロセッサ1002にプッシュされることができる)を介して行うことができる。
【0016】
命令1024は、プロセッサ1002に、2つの一致するCGMプロファイルをCGMプロファイルペアとして指定させることができる。マッチングは、2つのCGMプロファイル間の類似性の程度によって決定することができる。類似性の程度は、閾値によって設定することができる。例えば、定量的尺度を使用して、2つのCGMプロファイルの類似性を決定し、及び閾値を設定して、2つのCGMプロファイルがペアとして指定されるのに十分類似しているかどうかを決定することができる。例示的な定量的尺度は、2つのCGMプロファイル間の距離(例えば、ユークリッド距離、二乗平均平方根誤差等)を測定するものとすることができる。他の例としては、又はフィッシャー情報距離、カルバック-ライブラー発散、2つのプロファイルのデータ分布間のコルモゴロフ-スミルノフ距離等の統計的距離を挙げることができる。類似性を決定する閾値は、各CGMプロファイルの形状がどの程度近いか、及び/又は各CGMプロファイルの位置が互いに対してどの程度近いかを決定するために設定することができる。各CGMプロファイルのペアは、後の処理のためにメモリ1004、1006に保存することができる。
【0017】
命令1024は、プロセッサ1002に、CGMプロファイルペアをモチーフに変換させることができる。変換は、CGMプロファイルペアを表す値を生成する数学的演算を含むことができる。例示的な変換は、CGMプロファイルペアの2つのCGMプロファイルを平均化することができる。平均化は、直接平均計算、低血糖又は高血糖に重点を置いたリスク加重平均、主成分アプローチ、平均二乗などを使用することを含むことができる。各モチーフは、後の処理のためにメモリ1004、1006に保存することができる。各CGMプロファイルは、複数のCGMデータポイントを含む。例えば、CGMデータが5分毎にサンプリングされる場合、CGMプロファイルは288個のデータポイントを含むことができる。CGMプロファイルペアをモチーフに変換することにより、システム1000は、CGMプロファイルの288個のデータポイント(又はCGMプロファイルペアの576個のデータポイント)を表す単一のモチーフデータポイントに基づいてモデルを構築することができる。後に詳細に説明するように、モデルは、患者CGMデータをCGMプロファイルの288個のデータポイントと比較するのとは対照的に、患者CGMデータをモチーフと比較することによって患者CGMデータを分類するために使用することができる。例えば、モデルがモチーフで構築された後、新しい患者CGMデータをモデルのモチーフのデータセットと比較することができ、比較は患者CGMデータの分類に使用される。格納されたCGMプロファイルのセットとは対照的に、新しい患者CGMデータをモチーフのセットと比較することにより、計算リソースが削減され、精度が向上し、システム1000に機能性が追加される。
【0018】
命令1024は、プロセッサ1002に、臨床的特徴に基づいてモチーフをラベル付けされたモチーフとしてラベル付けさせることができる。例えば、各モチーフにインデックスを付けることができる。このインデックス付けは、モチーフが作成された又は識別された順序でモチーフにインデックスを付けることを含むことができるが、他のインデックス付けスキームを使用できることも理解される。また、モチーフは、索引付けされた後に再索引付けできることも理解される。インデックスにより、モチーフの識別及びラベル付けが可能になる。各モチーフはCGM値の時系列であるので、モチーフに関連する臨床的特徴(例えば、標準的血糖測定メトリック)を計算することが可能である。その後、モチーフを臨床的特徴に従ってラベル付けすることができる。非限定的な例として、CGMプロファイルの血糖値の所定数が所定範囲内にある目標域指標を計算することができ、これを臨床的特徴として使用することができる。この臨床的特徴メトリックの値を用いて、モチーフの臨床的特徴を定義し、メモリ1004、1006に記憶させることができる。これは、モチーフに関連する臨床的特徴に基づいてモチーフにラベル付けするのに使用することができる。
【0019】
命令1024は、プロセッサ1002に、分類されたデータポイントとしてラベル付けされたモチーフを含むモチーフの有限集合が作成されるまで、CGMプロファイルペアリングプロセスの決定、指定及び変換ステップを再帰的に繰り返させることができる。
【0020】
命令1024は、プロセッサ1002に、ラベル付けされたモチーフ及び分類されたデータポイントを用いて、流体中のグルコースレベルの濃度を監視、分析、又は影響を及ぼすようにさせることができる。
【0021】
モデルは、モデルのためのモチーフのセットを生成するように、複数のCGMプロファイルから複数のモチーフを生成することが企図される。モデル構築段階でのCGMプロファイルは、データベース1003から得ることができる。例えば、CGMプロファイルは、データベース1003に格納されている以前に生成されたCGMプロファイルとすることができる。CGMプロファイルは、1又は2以上のCGMデバイス1005から取得されたCGMデータ/測定値を含むことができる。CGMプロファイルは、単一の患者、複数の患者、1型糖尿病の患者、2型糖尿病の患者などからCGMデバイス1005を介して収集されたCGMデータとすることができる。これに関して、命令1024は、プロセッサ1002に、複数のCGMプロファイルを比較することによって複数のCGMプロファイルペアを指定させることができる。各一致するCGMプロファイルは、CGMプロファイルペアとして指定することができる。
【0022】
命令1024は、プロセッサ1002に、複数のCGMプロファイルペアを1又は2以上のモチーフに変換させることができる。これは、各CGMプロファイルペアを別個のモチーフに変換すること、CGMプロファイルペアの何れか1つ又は組み合わせを単一のモチーフに変換すること、CGMプロファイルペアの何れか1つ又は組み合わせを複数のモチーフに変換すること等を含むことができる。
【0023】
命令1024は、プロセッサ1002に、1又は2以上のラベルで1又は2以上のモチーフにラベル付けさせることができる。これは、臨床的特徴に基づいて1又は2以上のモチーフにラベル付けすることを含むことができる。これは、各モチーフを個別のラベルでラベル付けすること、モチーフの何れか1つ又は組み合わせを単一のラベルでラベル付けすること、CGMプロファイルペアの何れか1つ又は組み合わせを複数のラベルでラベル付けすること等を含むことができる。
【0024】
命令1024は、プロセッサ1002に、個別にラベル付けされた各モチーフをデータポイントとして含むモチーフの有限集合を作成させることができる。
【0025】
上述したように、ラベル付けされたモチーフであるデータポイントは、流体中のグルコースレベルの濃度の監視、分析、又は影響に使用することができる。この流体は、血液、間質液などとすることができる。例えば、このモデルは、患者の血液サンプルから得られるCGMデータを分類するために使用することができる。血液サンプルのCGMデータは、データセットの1又は2以上のモチーフと比較することができる。
【0026】
命令1024は、プロセッサ1002に、CGMプロファイルのデータベース1003からCGMプロファイルの何れか1つ又は組み合わせを取得させることができる。CGMプロファイルを生成するCGMデータ/測定の何れか1つ又は組み合わせは、CGMデバイス1005から取得することができる。CGMプロファイルの何れか1つ又は組み合わせは、24時間の期間に関連するCGMデータ/測定の日次CGMプロファイルとすることができる。例えば、CGMプロファイルは、24時間である期間の患者からのCGMデータ/測定値を含むことができる。上述したように、他の期間を使用することもできる。CGMプロファイルのデータベース1003は、患者の複数のCGMプロファイルを含むことができ、これは、CGMデータの複数の期間を含むことができる。例えば、患者は、1日目のCGMプロファイル-1、2日目のCGMプロファイル-2などを有することができる。CGMプロファイル-1の期間は、CGMプロファイル-2の期間と同じであることが企図されているが、必須ではない。上述したように、CGMデータは、所定のサンプルレートとして取得された測定値とすることができる。CGMプロファイル-1のサンプルレートは、CGMプロファイル-2の期間と同じであることが企図されるが、必須ではない。CGMプロファイルのデータベース1003は、何れかの数の患者からの1又は2以上のCGMプロファイルを含むことができる。患者は、ヒト又は他の動物とすることができる。
【0027】
命令1024は、CGMプロファイルが所定数未満の数のCGM測定値を含む場合、プロセッサ1002に線形補間、三次スプライン、後方伝播、及び/又は前方伝播を実行させることができる。例えば、CGMプロファイルのCGMデータポイントの所定数を設定することができる。そのCGMプロファイルが所定数未満の数のCGMデータポイントを含む場合、推定方法を用いて、所定数のCGMデータポイントを有するCGMプロファイルを生成するように1又は2以上のCGMデータポイントを推定することができる。推定方法は、線形補間、三次スプライン、後方伝播、前方伝播、移動平均、自己回帰などを含むことができる。所定数は、最適化(例えば、精度、計算リソースの削減等の要因の重み付け)に基づいて設定することができる。各CGMプロファイルは、同じ期間及び同じサンプルレートで取得されたCGMデータを含むことが企図されている。例えば、日次CGMプロファイルの場合、各CGMプロファイルは288個のデータポイントを含むことができる(例えば、24時間5分ごとに撮影されたCGM測定=288個のデータポイント)。一部のCGMプロファイルは、例えばセンサ読み取りエラーにより288データポイント未満である場合があることが理解される。これらのCGMプロファイルについては、推定方法を使用して代理CGMプロファイルを生成することができる。その代理CGMプロファイルは、プロセッサ1002によって生成することができ、及び:a)欠落したデータポイントを有するCGMプロファイルの代わりにプロセッサ1002によって使用することができる、b)欠落したデータポイントを有するCGMプロファイルを置き換えるためにデータベース1003に送り返すことができる、c)後の処理のためにメモリ1004、1006に格納することができる、等である。代替形態では、別のプロセッサを用いて、データベース1003内のCGMプロファイルを処理し、このような操作を実行し、及びプロセッサ1002に送信されるCGMプロファイルが、必要な数のデータポイントを有するか、又は推定データポイントを有するプロキシCGMプロファイルを有するCGMプロファイルを受信できるように、プロキシCGMプロファイルを生成することができる。
【0028】
上述したように、命令1024は、プロセッサ1002に、2つのCGMプロファイル間の距離を計算することによって、2つのCGMプロファイルが一致するか否かを決定させることができる。これは、2つのCGMプロファイル間のリスク空間の距離を計算することによって、2つのCGMプロファイルが一致するか否かを決定することを含むことができる。例えば、ユークリッド距離は、グルコースリスク空間上で定義することができ、これは、メトリックを糖尿病に特異的にすることができる。式(1)及び(7)(本願で後述する)は、リスク空間におけるユークリッド距離を定義するための例を提供する。
【0029】
命令1024は、プロセッサ1002に、2つのCGMプロファイル間の二乗平均平方根(RMSE)を計算することによって、2つのCGMプロファイル間のリスク空間の距離を計算させることができる。RMSEを使用してリスク空間内の距離を計算する具体例については後述する。
【0030】
モチーフの何れか1つ又は組み合わせは、そのモチーフに関連する臨床的特徴の何れか1つ又は組み合わせに従ってラベル付けすることができる。モチーフの臨床的特徴は、以下:1)CGMプロファイル(モチーフを形成する2つのCGMプロファイルペアのCGMプロファイル)の血糖値の所定数が所定範囲内にある、目標域指標、2)CGMプロファイル(モチーフを形成する2つのCGMプロファイルペアのCGMプロファイル)の血糖値の所定数が所定値より大きい、高血糖域指標;3)CGMプロファイル(モチーフを形成する2つのCGMプロファイルペアのCGMプロファイル)の血糖値の所定数が所定値未満である、低血糖域指標;3)CGMプロファイル(モチーフを形成する2つのCGMプロファイルペアのCGMプロファイル)の血糖値の変動係数指標;及び/又は4)CGMプロファイル(モチーフを形成する2つのCGMプロファイルペアのCGMプロファイル)の血糖値の標準偏差指標;のうちの少なくとも1又は2以上を含むことができる。他の臨床的特徴も使用できることが理解される。他の臨床的特徴の例は、「Metrics for glycaemic control - from HbA1c to continuous glucose monitoring」,Kovatchev,et al.Nature Reviews Endrocrinology,2017に記載されており、その全内容は引用により本明細書に組み込まれる。
【0031】
プロセッサ1002は、別のデバイス/システム1007の構成要素であるか、別のデバイス/システム1007と組み合わせて使用されるか、又は別のデバイス/システム1007と通信するように構成することができ、例えば、プロセッサ1002がデバイス/システム1007の一部であること、デバイス/システム1007がプロセッサ1002の一部であること、プロセッサ1002がデバイス/システム1007と通信すること等を含むことができる。「の一部である」とは、同じ基板又は集積回路上にあることを含むことができる。例えば、プロセッサ1002は、予測モデリングシステム(例えば、低血糖症又は高血糖症のリスクを予測するためのシステム)、決定支援システム(例えば、医療トリアージを支援するためのシステム)、及び/又は自動制御システム(例えば、人工膵臓)の構成要素とすることができ、又はこれと組み合わせて使用することができ、或いはこれと通信することができる。プロセッサ1002は、これらのデバイス/システム1007の性能を支援又は増強するために、モデルを使用する又はデバイス/システム1007にモデルを提供することができる。例えば、モデルは、患者から得られるCGMデータを分類するために使用することができる。患者からのCGMデータは、CGM患者データに関連する臨床的特徴を特定するように、モチーフのセットに対するデータの比較に基づいて分類することができる。これにより、目標域、高血糖域、低血糖域等に関連する臨床的特徴を有するかどうかを決定するために、患者CGM患者データの迅速且つ正確な評価を提供することができる。患者CGMデータは、この評価に基づいて分類することができ、分類はデバイス/システム1007によって使用することができる。患者CGMデータの分類は、デバイス/システム1007によって使用され、血糖状態の側面の予測若しくは反応を支援又は増強し、或いは、インスリン投与療法の決定若しくは変更を支援又は増強することができる。
【0032】
一例として、デバイス/システム1007は、血糖状態モニタリングデバイス、グルコース管理システム、インスリン推奨システム等とすることができる。デバイス/システム1007は、コンピュータデバイス、ラップトップ、携帯電話、スマートフォン等として具現化することができる。非限定的な例として、プロセッサ1002、又はデバイス/システム1007が分類のためにモデルを使用している場合、デバイス/システム1007は、患者CGMデータの分類に基づいて低血糖リスク又は高血糖リスクをデバイス/システム1007に通知する信号を生成するように構成することができる。例えば、プロセッサ1102、又はデバイス/システム1007が分類のためのモデルを使用している場合にはデバイス/システム1007は、患者CGMデータの分類に基づいて、低血糖症又は高血糖症のリスク、低血糖症又は高血糖症のリスクの変化、患者グルコースレベルのチェック、インスリン投与量の変更、基礎インスリンの変更、基礎インスリン速度の変更、インスリン注入速度の変更、及び/又は患者栄養投与の変更のうちの少なくとも1又は2以上を推奨する通知通信を含む信号を生成することができる。信号の種類、頻度(生成される頻度)、信号の数等は、設定された閾値及び低血糖又は高血糖の危険性、低血糖又は高血糖の危険性の変化等に依存することができる。通知信号は、電子メール、ショートメッセージサービス(SMS)、テキスト又はグラフィカルディスプレイ、ページャー等とすることができる。
【0033】
加えて、又は代替的に、システム1000は、プロセッサ1002を、インスリン送達デバイスであるデバイス/システム1007と組み合わせたものとすることができる。非限定的な例として、プロセッサ1002、又はデバイス/システム1007が分類のためにモデルを使用している場合にはデバイス/システム1007は、患者CGMデータの分類に基づいて、低血糖リスク又は高血糖リスクについてインスリン送達デバイスに通知する信号を生成するように構成することができる。例えば、プロセッサ1002、又はデバイス/システム1007が分類のためのモデルを使用している場合にはデバイス/システム1007は、患者CGMデータの分類に基づいて、低血糖又は高血糖のリスク、低血糖又は高血糖のリスクの変化、患者グルコースレベルのチェック、インスリン投与量の変更、基礎インスリンの変更、基礎インスリン速度の変更、インスリン注入速度の変更、及び/又は患者栄養投与の変更のうちの少なくとも1又は2以上を要求するコマンド信号を含む信号を生成することができる。信号の種類、頻度(発生頻度)、信号の数等は、設定された閾値及び低血糖又は高血糖の危険性、低血糖又は高血糖の危険性の変化等に依存することができる。
【0034】
実施形態は、CGMデータを分類するモデルを開発するための方法に関することができる。本方法は、2つのCGMプロファイルの形状の類似性に基づいて、2つのCGMプロファイルが一致するかどうかを決定するステップを含むことができ、各CGMプロファイルは、CGM測定値のデータセットを含む。本方法は、2つの一致するCGMプロファイルをCGMプロファイルペアとして指定するステップを含むことができる。本方法は、CGMプロファイルペアをモチーフに変換するステップを含むことができる。本方法は、臨床的特徴に基づいてモチーフをラベル付きモチーフとしてラベル付けするステップを含むことができる。本方法は、分類されたデータポイントとしてラベリングされたモチーフを含むモチーフの有限集合が作成されるまで、CGMプロファイルペアリングプロセスの決定、指定及び変換ステップを再帰的に繰り返すステップを含むことができる。本方法は、ラベル付けされたモチーフ及び分類されたデータポイントを使用して流体中のグルコースレベルの濃度を監視、分析、又は影響を及ぼすステップを含むことができる。
【0035】
本方法は、複数のCGMプロファイルペアを指定するステップと、複数のCGMプロファイルペアを変換して1又は2以上のモチーフを形成するステップと、1又は2以上のモチーフを1又は2以上のラベルでラベル付けするステップと、個々のラベリングされたモチーフをデータポイントとして含むモチーフの有限集合を作成するステップとを含むことができる。
【0036】
本方法は、データポイントに基づいて、血液中のグルコースレベルの濃度の監視、分析、又は影響を及ぼすステップを含むことができる。
【0037】
2つのCGMプロファイルが一致するかどうかを決定するステップは、2つのCGMプロファイル間のリスク空間の距離を計算するステップを含むことができる。
【0038】
臨床的特徴は、:1)CGMプロファイルの血糖値の所定数が所定範囲内にある目標域指標、2)CGMプロファイルの血糖値の所定数が所定値より大きい高血糖域指標、3)CGMプロファイルの血糖値の所定数が所定値より小さい低血糖域指標、4)CGMプロファイルの血糖値の変動係数指標、及び/又は4)CGMプロファイルの血糖値の標準偏差指標、のうちの少なくとも1又は2以上を含むことができる。他の臨床的特徴も使用できることは理解される。他の臨床的特徴の例は、「Metrics for glycaemic control - from HbA1c to continuous glucose monitoring」,Kovatchev,et al.Nature Reviews Endrocrinology,2017に記載されており、その全内容は引用により本明細書に組み込まれる。
【0039】
図1Bを参照すると、実施形態は、患者CGMデータを分類するためのシステム1000に関することができる。システム1000は、プロセッサ1002を含むことができる。システム1000は、メモリ1004、1006を含むことができる。メモリ1004、1006は、プロセッサ1002と関連付けることができる。メモリ1004、1006は、実行されるとプロセッサ1002に患者CGMデータを分類するためのアルゴリズムステップを実行させる命令1024を格納することができる。
【0040】
CGMデータを分類するモデルを開発するためのプロセッサ1002は、患者CGMデータを分類するために使用されるプロセッサと同じプロセッサ又は異なるプロセッサとすることができることに留意されたい。加えて、CGMデータを分類するモデルを開発するためのシステム1000は、患者CGMデータを分類するために使用されるシステムと同じシステム又は異なるシステムとすることができる。
【0041】
命令1024は、プロセッサ1002に、各々が患者CGM測定値のデータセットを含む1又は2以上の患者CGMプロファイルを取得させることができる。CGMデータ/測定値の何れか1つ又は組み合わせは、CGMデバイス1005から取得することができる。これは、プッシュ操作又はプル操作を介することができる。
【0042】
本明細書に開示されるCGMデバイス1005の何れかは、プロセッサ及びセンサ(例えば、電気化学インプラントセンサ)を含むことができ、センサの読み出し値から特定の分析物又は薬剤(例えば、流体中のグルコース又は乳酸)を監視するように構成される。CGMデバイス1005は、リアルタイムで、周期的な割合で、又は他の方式で、モニタリング(センサ読み取り値の取得及び/又はセンサ読み取り値の処理)を行うように構成することができる。プロセッサ1002は、CGMデバイス1005の構成要素であるか、CGMデバイス1005と組み合わせて使用されるか、又はCGMデバイス1005と通信するように構成することができる。これにより、プロセッサ1002は、CGMデバイス1005から直接出力を得ることができる。加えて、又は代替的に、CGMデバイス1005は、データストア(例えば、データベース1003又は何らかの他のメモリ)と通信し、その出力をデータストアに送信することができる。プロセッサ1002は、データストアと通信し、データストアからCGMデータを取得するように構成することができる。
【0043】
命令1024は、プロセッサ1002に、患者CGMプロファイルをモチーフの有限集合と比較させることができ、モチーフの有限集合は、ラベル付けされたモチーフに変換されたCGMプロファイルペアを含む。各患者CGMプロファイルは、所定の期間及び所定のサンプルレートで取得されたCGMデータポイントを含むことが企図される。各患者CGMプロファイルは、同じ所定の期間及び所定のサンプルレートを有するCGMプロファイルペアによって形成されたモチーフと比較されることが更に企図される。
【0044】
命令1024は、プロセッサ1002に、患者CGMプロファイルとラベル付けされたモチーフのCGMプロファイルペアとの間の一致に基づいて、1又は2以上の患者CGMプロファイルを1又は2以上の臨床的特徴に分類させることができる。マッチングは、患者CGMプロファイルとモチーフのCGMプロファイルペアとの間の類似度によって決定することができる。例示的なマッチング操作について上述したが、マッチングのアルゴリズムステップに関する詳細については後述する。例えば、患者CGMプロファイルとラベル付けされたモチーフのCGMプロファイルペアとの間の一致を識別することは、患者CGMプロファイル及びラベル付けされたモチーフのCGMプロファイルペアの形状の類似度にベースとすることができる。
【0045】
命令1024は、プロセッサ1002に、患者CGMプロファイルの分類に基づいて、流体中のグルコースレベルの濃度を監視、分析、又は影響を及ぼすようにさせることができる。
【0046】
命令1024は、プロセッサ1002に、CGMデバイス1005から患者CGMプロファイルを取得させ、データベース1003からモチーフの有限集合を取得させることができる。例えば、及び非限定的な例として、患者CGMプロファイルは、CGMデバイス1005から直接取得することができる(リアルタイムデータであってもよい)。モチーフの有限集合は、データベース1003から取得することができ、モチーフの有限集合は、以前に取得されたCGMプロファイルから作成されたモチーフである。
【0047】
プロセッサ1002は、他のデバイス/システム1007の構成要素であるか、他のデバイス/システム1007と組み合わせて使用されるか、又は他のデバイス/システム1007と通信するように構成することができる-例えば、プロセッサ1002がデバイス/システム1007の一部であること、デバイス/システム1007がプロセッサ1002の一部であること、プロセッサ1002がデバイス/システム1007と通信すること等を含むことができる。「の一部である」とは、同じ基板又は集積回路上にあることを含むことができる。例えば、プロセッサ1002は、予測モデリングシステム(例えば、低血糖症又は高血糖症のリスクを予測するためのシステム)、決定支援システム(例えば、医療トリアージを支援するためのシステム)、及び/又は自動制御システム(例えば、人工膵臓)の構成要素とすることができ、これらと組み合わせて使用することができ、又はこれらと通信することができる。プロセッサ1002は、1又は2以上の患者CGMプロファイルの分類を提供して、これらのデバイス/システム1007の性能を支援又は増強することができる。例えば、1又は2以上の患者CGMプロファイルの分類は、目標域、高血糖域、低血糖域等に関連する臨床的特徴を有するか否かを決定するために、患者CGM患者データの迅速且つ正確な評価を提供することができる。患者CGMデータの分類は、デバイス/システム1007によって使用され、血糖状態の側面の予測又は反応を支援又は増強し、又はインスリン投与療法の決定又は変更を支援又は増強することができる。
【実施例】
【0048】
本開示から理解できるように、CGMプロファイルの99.0%(少なくとも)は、「モチーフ」(代表的な日次プロファイルと呼ばれ得る)の有限集合の下に分類することができる。例えば、研究では、42,595のCGMプロファイルが483のモチーフの有限集合の下に分類できることが確認されている(483のモチーフは、9,471の日次CGMプロファイルのトレーニングデータセットから特定される)。モチーフのセットの堅牢性は、試験データセットの99.0%(n=42,595)の日次CGMプロファイルを分類するためにそれを使用することによって確立される。トレーニングデータセット及び試験データセットは、MDI、ポンプ療法、AIDシステムを含む様々な治療モードを使用する1型及び2型の参加者を含む6つの異なる研究(iDCLプロトコル3及びDIaMonD研究を含む)から得られた日次CGMプロファイルを使用して作成された。483のモチーフの何れかに分類(マッチング)できなかったプロファイルは430のみであった。マッチングできなかった主な原因は、分類されなかった日次CGMプロファイルにおける範囲外のセンサ測定値の割合が高かったことである。483のモチーフはまた、目標域、高血糖域、低血糖域、変動係数、及び標準偏差を含む臨床的特徴に基づいてグループ化され、これにより、日次CGMプロファイルを、類似の臨床的特徴を有する予め指定されたグループの更に小さなサブセットに分類することができる。
【0049】
患者のCGMプロファイルから実用的な洞察を容易に得ることができるように、モチーフプロファイルを中心に臨床指導、決定支援、及び予測モデリングを構築することができる。これにより、患者のCGMプロファイルから臨床的に実用的な洞察を収集するためのプライマリケア提供者向けの決定支援ツールを作成することができるため、プライマリケアスペースにおけるCGMの使用を拡大することができる。CGMの日次プロファイルを、1日当たり288回のグルコース測定値ではなく、モチーフを表す単一のデータポイントとして保存することは、データの保存と送信の必要性を減らすためのデータ圧縮においても価値がある。
【0050】
本方法の実施形態は、3つのステップを含むことができる。(i)代表的な日次プロファイルのデータセットを構築し、次いで固定するステップであり、他の何れかの日次CGMプロファイルに対して、日次CGMプロファイルを近似する代表的な日次プロファイルが存在するという特性を有し、データの主要な臨床関連特性を保持する。このセットは、各代表的な日次プロファイルを中心とする半径で定義することができ、代表的な日次プロファイルのセットが全ての可能な日次CGMプロファイルを十分にカバーするまでこの半径を変化させることができる。(ii)代表的な日次プロファイルによって何れかの日次CGMプロファイルを近似するステップであって、これには、候補の日次CGMプロファイルと各代表的な日次プロファイルとの間の類似性メトリック(リスク空間におけるユークリッド距離など)を計算するステップ、及び閾値基準を最もよく満たす単一の代表的な日次プロファイルを選択するステップを伴い、及び(iii)代表的な日次プロファイルのセットを、健康、糖尿病前症、又は糖尿病の異なる変種(例えば、1型、2型の変種、妊娠糖尿病など)に対応するサブセットに層別化するステップ。閾値基準は、日次CGMプロファイルと代表的な日次プロファイルとの間の忠実性の程度を定義することができる。
【0051】
これらのステップが達成されると、何れかの日次CGMプロファイルを代表的な日次プロファイルにマッピングすることができ、これを元の日次CGMプロファイルの代用として使用することができる。本方法の実施形態の潜在的な用途として、以下を含むことができる。(i)構造化及び次元削減-全ての可能な日次CGMプロファイルのほぼ無限の多数を、臨床及び自動治療アルゴリズムの入力として使用できる代表的な日次プロファイルの有限集合に削減することができる;(ii)代表的な日次プロファイルセットのサブセットを有する日次CGMプロファイルを格納するためのデータベースの索引付け;(iii)観察された日次CGMプロファイルを日次プロファイルの代表的なセットのサブセットに相対的に配置することに基づき、糖尿病のサブタイプ(例えば、1型、2型の変種、妊娠糖尿病)の分類及び評価/予測;及び/又は(iv)日次CGMプロファイルの圧縮/暗号化-日次CGMプロファイル(典型的には288データポイント)を送信する代わりに、元の日次CGMプロファイルに最も近い代表的な日次プロファイルを識別する単一数を送信することができる。受信側では、代表的な日次プロファイルのセットを備えたデコーダが、閾値基準に等しい忠実度で日次CGMプロファイルを再構成し、元の日次CGMプロファイルの臨床的に関連する主要な特性を保持することができる。
【0052】
本方法の実施形態は、データポイントが24時間期間中に等間隔に配置される限り、288より大きい又は小さいデータポイントを有する日次CGMプロファイルで動作するように適合させることができる。更に、閾値基準を調整することにより、代表的な日次プロファイルのより大きい又はより小さいセットを定義することができ、候補の日次CGMプロファイルと代表的な日次プロファイルとの間の忠実性の程度を管理することができる。
【0053】
収集されているCGMデータに含まれる情報をより十分に活用する1つの方法は、日次CGMプロファイルを分類するステップを含むことができる。これらの分類されたプロファイルは、予測モデリング、決定支援及び自動制御システム(後者はAPとして知られている)で使用することができる。例えば、患者内変動が、患者が通過する一連の日次CGMプロファイルの差異によって取り込むことができる場合、各日次CGMプロファイルの分類は、この現象をモデル化するための前提条件である。2~3週間にわたる平均日次CGMプロファイル、例えば、Ambulatory Glucose Profile(AGP)は、糖尿病患者の治療の進捗状況を可視化及び定量化するための新しいパラダイムであるが、CGM時系列及び日次プロファイルによって運ばれる豊富な情報と比較して、AGPから一般的に抽出される情報はわずかであり、かなり旧式の分析、例えば、TIR(time in ranges)[Battelinoら、2019]に基づいている。従って、この分野は、現代のデータサイエンスと古典的な代数的及び統計的手法の両方を用いた新しいデータ検索アプリケーションのために広く開かれている。本明細書に開示される本発明の方法の目標の1つは、CGM日次プロファイルの高度な構造化及び分類を導入し、可能な限り多くのデータセットで試験し、1型糖尿病及び2型糖尿病の両方において、個々の患者に対して機能するCGMデータの分析、治療最適化、可視化、圧縮、及び暗号化を支援するアプリケーションによって使用するための定量的フレームワークを確立することである。
【0054】
数学的には、本方法の実施形態は、患者によって生成されたほぼ全ての日次CGMプロファイルがΩ内の代表的な日次プロファイルのうちの1つにマッチングできるような、代表的な日次プロファイルの有限集合であるセットΩを決定するためのデータ駆動方法を提供する。一般的に、クラスタリングは、(何らかの尺度に従って)類似しているデータを同種のグループにグループ化するために使用される、一般的に教師なしの技法である(詳細は Han他.[2011,Chapter 10]を参照)。時系列クラスタリングは、クラスタリングの背後にある考え方を時系列に適用するものであり、クラスタリングされる一体成形品は、時系列全体又はより長い時系列のサブシーケンスとなり得る。本明細書で開示する方法は、代表的な日次CGMプロファイルの有限集合を確立するために、データベース法(詳細についてはLiao[2005]を参照)を用いて、パターン発見(時系列クラスタリングの4つの主なアプリケーション[Aghabozorgi他.,2015]の1つ)に焦点を当てている。この選択は、臨床的に適切であり、及び行動、環境、生理学等において自然に発生する日周期によって動機付けられる。
【0055】
CGM時系列データがクラスタリング及び分類を実行するために使用されている文献の例は幾つかある。Hall他(2018年)は、2.5時間のCGM時系列データのCGMパターンを分類するためにスペクトルクラスタリングを使用している。クラスタリングにより、グルコースパターンの3つのクラス(2.5時間にわたる低変動、中等度変動、及び重度の変動)が生成され、その後、パターンを使用して患者にラベルを割り当てる(すなわち、患者をグループ化する)。Kahkoska他[2019]は、自己組織化マップを用いて、CGMデータから得られた8つの特徴をクラスタリングしている。彼らは、その人口統計学(T1DでヘモグロビンA1cが上昇した若者)において3つのクラスタ(患者群)を特定することができた。Hall他、2018は、データ駆動型のアプローチを使用しており、彼らはCGMデータの2.5時間のチャンクを使用しているが、本発明の方法は、分類を実行する際に1日全体のデータを使用している。対照的に、Kahkoska他、2019の研究は、Kahkoska他が時系列クラスタリングに特徴ベースのアプローチを使用しているため、本発明の方法とは異なる。パターン発見及び異常検出の他の例は、様々な機械学習法を用いた特定のCGM時系列事象(例えば、低血糖症、高血糖症)の分類を検討したWoldaregay他、2019aによる総説に見出すことができる。しかしながら、全ての公表されたアプローチは、クラスタを使って患者のクラス/グループを定義するのに対し、本発明の方法は、CGMデータの1日の分類に焦点を当て、個々の患者について、CGMプロファイルの日次分類を経時的に追跡する。
【0056】
概念的に、本発明の方法は、Yeh他.2016及びKamgar他.2019に見られるアイデアを基礎としている。Yeh他2016は、時系列モチーフの概念を含み、Kamgar他2019は保存されたパターンを見つける背後にあるアイデアを含む。しかしながら、本発明の方法は、患者によって生成されたほぼ全ての日次CGMプロファイルを分類するために使用することができる代表的な日次プロファイルのセットを構築する。これが達成されると、何れかの日次CGMプロファイルを代表的な日次プロファイルにマッピングすることができ、これを元の日次CGMプロファイルの代用として使用することができる。
【0057】
以下の考察は、持続的グルコースモニタリング(CGM)データを分類するモデルを開発するため及び患者CGMデータを分類するための例示的な実施態様を含む。
【0058】
日次CGMプロファイルの構造化及び分類
本方法の実施形態は、3つのステップ、(i)代表的な日次プロファイルの代表的な日次プロファイルのセットを構築し、次いで固定するステップ、(ii)代表的な日次プロファイルによる何れかの日次CGMプロファイルの近似、及び(iii)代表的な日次プロファイルのセットのサブセットへの層別化を含むことができる。
【0059】
CGMプロファイルのペア間の距離メトリックの定義
以下の場合、2つの日次CGMプロファイルは互いによく一致する。
1.形状が一致し、及び
2.相対的な位置が一致する。
【0060】
極端な例として、1 2つのプロファイルが終日40mg/dLの一定の血糖値であり、第2のプロファイルが終日400mg/dLの一定の血糖値である、日次CGMプロファイルのペアを想定する。これらは最悪のスコアを有するはずである(両者はx軸に平行な水平線とすることができるが、各時点における各プロファイルのy軸の位置は、センサ範囲を考慮すると可能な限り異なるものとなる)。他の極端な例では、両プロファイルが全日にわたって同じ値である日次CGMプロファイルのペアは、可能な限り最高のスコアを有するはずである(形状と相対的な位置の両方が正確に一致する)。時系列クラスタリングで使用できる類似性尺度は少なくとも27あるが(Aghabozorgi他.2015の表3を参照)、ユークリッド距離が好ましいとすることができる。ユークリッド距離は、グルコースリスク空間にわたって定義することができるため、糖尿病に特化したメトリックとなることができる。日次CGMプロファイル間の距離を測定することは、リスク空間(Kovatchev他,1997において定義され、Kovatchev,2017において更に詳しく説明されている)において達成することができ、データが低血糖に移行するにつれてメトリックの臨床的分解能を強化するアプローチであり、これにより、グルコース空間にわたってメトリックの感度(例えば、臨床感度)を等化する。従って、数学的には、日次CGMプロファイルのペア間のスコアは、各日次CGMプロファイルが血糖空間からリスク空間に変換された後の2つのプロファイル間のユークリッド距離として計算することができる[Kovatchev、2017]。これを行うための例示的な式は、
とすることができ、ここで、xiはmg/dL単位の血糖値である。
【0061】
この例示的なスコアリングシステムでは、最小スコアは0であり、及び最大スコアは48.32である。この例では、i=1,...,288の場合、xi=-1.265、yi=1.583のときに最大スコアが達成され、ここで-1.265は、40mg/dLのリスク空間相当値であり、1.583は、400mg/dLのリスク空間相当値であり、それぞれセンサの最小値及び最大値である。変換には、低血糖の期間により大きな重みを付け、高血糖の期間により小さな重みを付ける、重み付け効果がある。
【0062】
代表的な日次プロファイルのセットを定義するためのアルゴリズムベース
アルゴリズムは、日次CGMプロファイルのペア間の一致の程度を識別する。一致の品質は、2つのプロファイル間のスコア(例えば、ユークリッド距離)によって定量化することができる。距離メトリックは、2つの日次CGMプロファイルの一般的形状及び相対的位置がどの程度良く一致するかを符号化する。グラフ上にプロットされる場合(これについては後で更に詳細に説明し図示する)、良好な一致は、2つの日次CGMプロファイルがほぼ互いの上にあって、極めて低い距離スコアを有する場合に発生し、不良の一致は、2つの日次CGMプロファイルが類似の形状を有しておらず、同じ相対位置にない(例えば、極めて高い距離スコアを有する)場合に発生する。
【0063】
従って、本発明の方法は、データセット内の日次CGMプロファイルの全てのペアについて距離を計算する初期ステップを含むことができる。その後のステップは、日次CGMプロファイルをクラスタリングするステップを含み、代表的な日次プロファイルを定義することができる。
【0064】
例示的なsingle_clusterアルゴリズム
f(dpj,dpk)が、日次CGMプロファイルdpj及びdpkのペア間のスコア(リスク空間のユークリッド距離)を表すとする。まだクラスタに割り当てられていない日次プロファイルΦのセットが与えられると、以下のsingle_clusterアルゴリズムを使用して、単一のクラスタCiを定義することができる。
1.全てのj,k∈φに対して、次式のような日次CGMプロファイルのペアdpx及びdpyを見つける
すなわち、f(dpx,dpy)は、φ内の日次CGMプロファイルの全てのペアの中での最小スコアである。
2.各日次CGMプロファイルdpj∈Φdpx,dpyに対して、以下の場合且つその場合に限り、dpjをCiに割り当てる。
又は
ここで、rはクラスタ半径であり、すなわち、dpjがdpx及びdpyによって定義されるクラスタに含まれるために、dpjとdpx又はdpyの一方との間の一致がどの程度近いかを記述する許容値である。
【0065】
all_clustersアルゴリズムの例
以下のall_clustersアルゴリズムは、日次CGMプロファイルΦのセットにおける全てのクラスタ(クラスタリングC)を定義するために使用することができる。
1.single_clusterアルゴリズムをΦに適用し、最新のクラスタCiを得る。
2.Ci内の全ての日次CGMプロファイルを削除することによりΦを更新する。
の場合には、全てのクラスタが得られ、そうでない場合、ステップ1に戻る。
【0066】
定義されるように、all_clustersアルゴリズムは、全ての日次CGMプロファイルがクラスタに割り当てられたときに終了する。実際には、これは、クラスタが、あまり一致しない(大きなスコアを有する)わずか2つの日次CGMプロファイルからなることができることを意味する。これを回避するために、single_clusterアルゴリズムの式(2)においてf(dpx,dpy)>γの場合、all_clustersアルゴリズムが終了するように、閾値基準γを使用することができる。例えば、γの値は、DCLP1データセットの日次CGMプロファイルのペア間の全てのスコアの20パーセンタイルである8.89に設定することができる。
【0067】
例示的なclassify_profileアルゴリズム
クラスタCiについて、single_clusterアルゴリズムの式(2)を満たす2つの日次プロファイルの集合Mi={dpx,dpy}は、クラスタCiに属するべきプロトタイプの日次CGMプロファイルであるクラスタモチーフを定義し、dpmiと表す。クラスタモチーフは、j番目の時間間隔中の値が、dpx及びdpyにおけるj番目の時間間隔に対する2つの血糖値の平均であるように定義することができる。single_clusterは欲張りアルゴリズムである可能性があるので、all_clustersアルゴリズムを使用して|C|クラスタが定義されると、クラスタに割り当てられた日次CGMプロファイルが再割り当て可能であるか又は再割り当てされるべきかどうかを決定することが有利とすることができる。これは、classify_profileアルゴリズムを用いて、各日次CGMプロファイルdpkをクラスタCiに割り当てることで達成することができ、ここで、dpx,dpy∈Miの場合、
及び
であり、rは式(2)で使用したのと同じ許容値である。上述のclassify_profileアルゴリズムを適用すると、最終的なクラスタリングが生成される。最終結果はΩであり、これは、患者によって生成されたほぼ全ての日次CGMプロファイルが、最大で閾値まで、Ω内の代表的な日次プロファイルのうちの1つに一致できるような、代表的な日次プロファイルの有限集合である。集合
はこのような集合である。
【0068】
従って、他の何れかの日次CGMプロファイルに対して、日次CGMプロファイルを近似する代表的な日次プロファイルが存在し、それによってデータの臨床的に関連する主要な特性が保持されるという特性を有する、代表的な日次プロファイルの集合を構築することができる。このセットは、各代表的な日次プロファイルの周りのクラスタ半径の点で定義することができ、この半径は、代表的な日次プロファイルのセットが全ての可能な日次CGMプロファイルを十分にカバーするまで変化させることができる。
【0069】
トレーニングデータ及び試験データ
例示的な目的のために、1つのトレーニングデータセット及び3つの試験データセットの4つのデータセットが使用されると仮定する。訓練データ(DCLP1)は、代表的な日次プロファイルのデータセットを構築するために使用することができ、その後、代表的な日次プロファイルは固定され、試験データセット(DCLP3、DIA1、及びDIA2)でそれ以上変更することなく使用される。この戦略により、1つのデータセットで方法を開発し固定した後、3つの異なる独立したデータセットに前向きに適用することができ、1型糖尿病(DCLP3、DIA1)及び2型糖尿病(DIA2)にまたがる方法の妥当性が保証される。
【0070】
非限定的な例として、DCLP1は、T1D患者がモバイル閉ループ制御(CLC)システム又はセンサ補助ポンプ(SAP)による治療を受けるように割り当てられた、3ヶ月の並行群、多施設、無作為化非盲検試験からのデータセットとすることができる。DCLP1は、「全ての可能な日次CGMプロファイルの集合」とすることができ、トレーニングデータセットの役割を果たすことができる。DCLP3は、T1D患者がCLCシステム又はSAPによる治療を受けるように2:1の比率で割り当てられた6ヶ月間の無作為化多施設試験からのデータセットとすることができる。DCLP3は、試験セットの役割を果たすことができ、代表的な日次CGMプロファイルのセットが、T1D患者によって生成された日次CGMプロファイルのセットを正常に分類するために使用できることを確認するために使用することができる。DIA1は、毎日複数回のインスリン注射を使用したT1Dの成人を含むランダム化臨床試験のデータセットとすることができる。DIA1は、より一般的なT1D試験セットの役割を果たすことができる。DIA2は、毎日複数回のインスリン注射を受けたT2D患者のランダム化臨床試験のデータセットとすることができる。DIA2は、より一般的なテストセットの役割を果たすことができる。
【0071】
4つの異なる試験(DCLP1、DCLP3、DIA1、及びDIA2)で使用されるCGMセンサは、約5分毎に1回、血糖値(例えば、範囲[40、400]mg/dL)を収集するように構成することができる。この例示的な実施態様では、単一の日次CGMプロファイルは、288のデータポイント(血糖値)を含むはずである。
【0072】
単一の日次CGMプロファイルにおいて欠落データが発生する可能性が企図される。単一の日次CGMプロファイルにおける欠落データは、例えば、三次スプラインを使用して補間することができる。しかしながら、三次スプラインによる補間は、欠落データ区間の何れかの端部にデータポイントを必要とする可能性があるため、欠落データ区間が24時間の日次CGMプロファイルの最初の5分区間又は最後の5分区間を含む場合、補間の方法は、ビアのfillna関数を用いて、次の既知値又は最後の既知値の後方伝播又は前方伝播とすることができる。
【0073】
トレーニングデータを用いて、代表的な日次プロファイルのデータセットを構築する。
【0074】
DCLP1データセットにall_clusters及びclassify_profileアルゴリズムを適用すると、代表的な日次CGMプロファイルの集合であるΩが得られる。式(4)の半径rは、日次CGMプロファイルがクラスタモチーフdp(mi)にどれだけ密接に一致しなければならないかを指定することによって、クラスタCiのサイズを制御する許容値として機能する。一般に、所与のデータセットについて、rを増加させると、得られるクラスタのサイズが増加し、その結果、得られるクラスタの数が減少する。
【0075】
single_cluster及びclassify_profileアルゴリズムで使用する最適な半径は、クラスタ数を最小化し、得られるクラスタリングの品質を最大化する半径rである。Silhouette Coefficient [Rousseeuw,1987]、Calinski-Harabasz index [Calinski and Harabasz,1974]、Davies-Bouldin index [Davies and Bouldin,1979]は、クラスタリングの品質を測定するために一般的に使用される3つのメトリクスである。これらは全て、クラスタリング内の各クラスタがどれだけ均質であるか、及びクラスタリング内のクラスタがどれだけよく分離されているかを測定する。しかしながら、これらの指標はクラスタ数が数百になるとうまく機能しない(例えば、k-meansクラスタリングでkの最適値を見つける方法としてシルエット係数が一般的に推奨されているが、kは通常10以下である)。従って、クラスタリングの質の別の尺度が望ましいとすることができる。
【0076】
各クラスタCi∈Cについて、個々のクラスタ残差平方和(cRSSi)は、以下のように計算することができる。
ここで、dp(mij)及びdpkjは、それぞれ、クラスタCiのクラスタモチーフ及びk番目の日次CGMプロファイルに対するj番目の時間間隔のリスク空間血糖値を表す。クラスタはサイズが異なる可能性があるので、総クラスタリング残差平方和(CRSS)は、個々のクラスタ残差平方和の加重和として計算することができ、すなわち、
ここで、Nは、クラスタリングにおける日次CGMプロファイルの総数である(Σ
(Ci∈C)|Ci|)。クラスタリング残差平方和が下側であるほど、クラスタリングが良好である。
【0077】
クラスタ数を最小化し、得られたクラスタリングの品質を最大化する半径をr=2.50と仮定する。このように、代表的な日次CGMプロファイルの集合Ωは、DCLP1データセットに関連して説明したall_clustersアルゴリズム及びclassify_profileアルゴリズムを使用して得られたクラスタリングによって定義され、single_clusterアルゴリズム及びclassify_profileアルゴリズムではr=2.50である。r=2.50を用いて得られたクラスタリングが226個のクラスタを有すると仮定すると、Ωは226個のクラスタの各々からのモチーフから構成されるので、|Ω|=226となる。
【0078】
このように、代表的な日次プロファイルのセットであるΩは、トレーニングDCLP1データ上で構成され、試験データセットDCLP3、DIA1、及びDIA2における予測適用及び検証のために以後固定される。
【0079】
代表的な日次プロファイルによる何れかの日次CGMプロファイルの近似
Ωが真にロバストである場合、Ωは、プロファイルを生成した患者(すなわち、T1D又はT2D患者である可能性、ポンプを使用している可能性又は使用していない可能性など)に関係なく、Ωに提示されたほぼ全ての日次CGMプロファイルを近似し、分類することができるはずである。次に、Ω及びclassify_profileアルゴリズムを使用して何れかの日次CGMプロファイルを分類することにより、Ωの堅牢性及び代表性が確立される。更に、日次CGMプロファイルがΩからの代表的な日次プロファイルによって近似される場合、その日の人の血糖状態を表す臨床測定基準は、元の日次CGMプロファイルとその対応する代表的な日次プロファイルとの間で近いはずである。これらの2つの特性は、訓練DCLP1データにおいて固定されたΩを用いて試験することができ、その後、独立したデータセットDCLP3、DIA1、及びDIA2に修正することなく適用することができる。
【0080】
代表的な日次プロファイルのセットの堅牢性
Ωの堅牢性は、Ω及びclassify_profileアルゴリズムを用いて、3つの異なるテストセット(DCLP3、DIA1、及びDIA2)の各日次CGMプロファイルdpkを分類することによって確立することができる。classify_profileアルゴリズムの式(3)及び式(4)が特定の日次CGMプロファイルdpkについて満たされない場合、その日次CGMプロファイルは分類できないことに留意されたい。
【0081】
近似失敗の極端なケース
血糖値がセンサの範囲外(上記の例では40mg/dLから 400mg/dL)にある場合、センサはそのことを示すプレースホルダ値を報告することができる。例えば、血中グルコース値がセンサの範囲を下回る場合、39mg/dLの値を報告することができ、血中グルコース値がセンサの範囲を上回る場合、401mg/dLの値を報告することができる。分類されていない日次CGMプロファイルを分析すると、データセットに関係なく、分類されていない日次CGMプロファイルにおける39又は401に等しいCGMセンサ測定値の割合は、分類された日次CGMプロファイルにおける39又は401に等しいCGMセンサ測定値の割合よりも大幅に大きいことが明らかになった。226のモチーフと分類されていない日次CGMプロファイルとの間の39又は401の何れかに等しいCGMセンサ読取値の割合の顕著な差を考慮すると、日次CGMプロファイルに存在する場合、これらのセンサエラーコードは、Ωからの代表的な日次プロファイルとの近似の失敗の主な要因であると結論付けることができる。
【0082】
血糖コントロールの臨床メトリックの近似
4つのデータセット(DCLP1、DCLP3、DIA1、及びDIA2)の各々を用いて、各代表的な日次プロファイルについて、以下のメトリック(これらの臨床的関連性については、Kovatchev[2017]の表1を参照)を計算することができる。
1.平均血糖値(BG)、
2.目標域(TIR、血糖値が70mg/dL以上180mg/dL以下である24時間中の5分間隔の割合)、
3.高血糖域(TAR、血糖値が厳密に180mg/dLを超える24時間中の5分間隔の割合)、
4.低血糖域(TBR、血糖値が厳密に70mg/dL未満である24時間中の5分間隔の割合)、
5.低血糖指数(LBGI、低血糖のリスクを示す指標で、値が高いほど低血糖発作の頻度が高いことを示す)、及び
6.高血糖指数(HBGI:高血糖のリスクの指標で、値が高いほど高血糖の頻度が高いことを示す)。
【0083】
所与の日の人の血糖状態を表すメトリックを用いて、代表的な日次プロファイルと、代表的な日次プロファイルによって定義されるクラスタに配置された平均日次CGMプロファイルとの間の類似性を評価することができる。理想的には、これらのクラスタ固有のメトリクスは、日次CGMプロファイルを生成した患者の患者集団、治療、又は疾患進行レベルに対して「不可知」であるべきである。4つの異なるデータセットについて散布図を作成することができ:DCLP1(トレーニング)及びDCLP3、DIA1、DIA2(テスト)。
図11A、
図11B、
図11C、
図11D、
図11E、及び
図11Fは、6つの臨床的に関連するメトリックについて、Ωの代表的な日次プロファイル対DCLP1の日次CGMプロファイルの相関散布図である。
図12A、
図12B、
図12C、
図12D、
図12E、及び
図12Fは、6つの臨床的に関連するメトリックに関する、Ωの代表的な日次プロファイル対DCLP3の日次CGMプロファイルの相関散布図である。
図13A、
図13B、
図13C、
図13D、
図13E、及び
図13Fは、6つの臨床的に関連するメトリックに関する、Ωの代表的な日次プロファイル対DIA1の日次CGMプロファイルの相関散布図である。
図14A、
図14B、
図14C、
図14D、
図14E、及び
図14Fは、6つの臨床的に関連するメトリックに関する、Ωの代表的な日次プロファイル対DIA2の日次CGMプロファイルの相関散布図である。散布図上の各ポイントは、(xj,yjk)であり、ここで、xjは、Ωからのj番目の代表的な日次プロファイルに対する測定基準の値であり、yjkは、j番目の代表的な日次プロファイルによって定義されるクラスタに割り当てられる、データセットk∈{DCLP1,DCLP3,DIA1,DIA2}からの全ての日次CGMプロファイルに対する測定基準の平均値であり、ここで、j={1,...,226}である。後に詳述及び図示するように、プロットは、考慮されるデータセットに関係なく、高い相関を示す。
【0084】
アルゴリズムの詳細な説明及び方法の例示的な実装を以下に示す。
【0085】
2つの日次CGMプロファイル間の一致をスコアリングする。
【0086】
日次CGMプロファイルは、12時00分から23時59分59秒までの24時間のCGM時系列として定義することができる。グルコースデータポイントが5分ごとに記録されると仮定すると、日次CGMプロファイルは288データポイントを有する時系列である。以下の場合、2つの日次CGMプロファイルは互いによく一致する。
1.これらの形状が一致し、及び
2.血糖空間におけるこれらの相対的な位置が一致する。
【0087】
上述したように、1つの極端な例では、第1のプロファイルが終日40mg/dLの一定の血糖値であり、第2のプロファイルが終日400mg/Dlの一定の血糖値であるCGMプロファイルのペアは、最悪のスコアを有するはずである(両者はx軸に平行な水平線であるが、各時点における各プロファイルのy軸方向の位置は、センサ範囲を考慮して可能な限り異なる)。他の極端な例では、両プロファイルが全日にわたって各時点で同じ値を有する日次CGMプロファイルのペアは、可能な限り最高のスコアを有するはずである(形状と相対的位置の両方が正確に一致する)。
【0088】
時系列クラスタリングで使用される類似性尺度は少なくとも27つあるが、この研究で使用される方法は、ユークリッド距離を使用したYehらのアプローチから派生したものであるので、この例示的な実装では、ユークリッド距離のバージョンである二乗平均平方根誤差(RMSE)が選択される。以下に示すように、RMSEは上記の2つの基準を満たしている。単純なユークリッド距離に対するRMSEの利点は、RMSEが、計算に使用されるデータポイントの数を組み込むことによってユークリッド距離を正規化することであり、これにより、2つのスコアを計算するために使用される全ての日次CGMプロファイルが異なるデータポイント数を有する場合であっても、2つのスコアを比較することができる。288未満のデータポイントを有する日次CGMプロファイルは、センサがデータを記録できない場合、又は記録されたデータがアップロードされない場合、センサのサンプリング分解能が5分を超える場合等に、一般的に生じることができる。
【0089】
日次CGMプロファイルのペア間のRMSEを計算する前に、各日次CGMプロファイルは、Kovatchev他によって1997年に最初に定義され、Kovatchevによって2017年に更に精緻化された以下の式を用いて、最初に血糖空間からリスク空間に変換される。
【0090】
xtはmg/dL単位の血糖値である。この変換は、データが低血糖に移行するにつれてメトリックの臨床的分解能を高め、これによってグルコース空間全体にわたってメトリックの(臨床的)感度を等しくする。
図2A及び
図2Bに示す2つのプロットは、低血糖の期間に重みを置き、高血糖の期間に重みを置かない変換の重み付け効果を示している。
図2Aは、血糖空間における日次CGMプロファイルをディスプレイしており、午前3時38分の高血糖ピークと水平線との間の距離は236.5mg/dLであり、午後6時8分の低血糖直下と水平線との間の距離は66.5g/dLであり、比率は3.55である。
図2Bは、リスク空間における日次CGMプロファイルをディスプレイしている;リスク空間において、距離はそれぞれ1.41及び1.10であり、その結果、比は1.29である。
【0091】
f(dpj、dpk)が、日次CGMプロファイルdpj及びdpkのペア間のスコアを表すとすると、
である。
【0092】
ここで、N(≦288)は、dpj及びdpkの両方がデータを有する時点の数であり、RMSEは、結果のスコアの扱いやすさのために10倍される。最大スコア28.47は、全てのtについてg(xt)=g(40)=-1.265、g(yt)=g(400)=1.583のときに達成される。
図3A及び
図3Bは、採点システムが、2つの日次CGMプロファイルの一般的な形状及び相対的な位置がどの程度一致するかを符号化することを示している: 2つの日次CGMプロファイルがほぼ重なっている
図3Aは、1.20という極めて低いスコアを有するが、2つの日次CGMプロファイルが類似の形状を有さず、及び同じ相対位置にない
図3Bは、17.94というはるかに高いスコアを有する。
【0093】
代表的な日次プロファイルのセットを決定する。
【0094】
まだクラスタに割り当てられていない日次プロファイルのセットρが与えられると、以下のsingle_motifアルゴリズムを用いて、単一のクラスタCi及び関連するモチーフmiを定義する。
(1)全てのj,k∈ρに対して、
であるような日次CGMプロファイルのペア(dpx及びdpy)を見つける。すなわち、f(dpx、dpy)は、ρ内の全ての日次CGMプロファイルのペアの中で最小スコアである。
(2)各日次CGMプロファイルdpj∈ρ\{dpx,dpy}に対して、以下の場合でそのときに限り、dpjをCiに割り当てる。
又は
ここで、τは、dpjがdpx及びdpyによって定義されるクラスタに含まれるために、dpjとdpx又はdpyのうちの1つとの間の一致がどの程度近くなければならないかを記述する許容値である。
【0095】
クラスタCiに対して、式(9)を満たす2つの日次プロファイルMi={dpx,dpy}のセットがクラスタモチーフペアを定義する。クラスタモチーフmiは、j番目の時間間隔におけるその値が、dpx及びdpyにおけるj番目の時間間隔の2つの血糖値の単純平均であるように定義された単一の日次プロファイルである。クラスタモチーフmiは、クラスタCiにあるはずの日次CGMプロファイルのプロトタイプである。
【0096】
以下のall_motifsアルゴリズムは、日次CGMプロファイルの集合ρ内の全てのクラスタ(クラスタリングC)を定義するために使用される。
1.single_motifアルゴリズムをρに適用して、最新のクラスタCiを得る。
2.Ci内の全ての日次CGMプロファイルを削除してρを更新する。
の場合、全てのクラスタが得られ、そうでない場合、ステップ1に戻る。
【0097】
定義されるように、all_motifsアルゴリズムは、ρ内の全ての日次CGMプロファイルがクラスタに割り当てられたときに終了する。実際には、これは、クラスタモチーフが、あまり一致しない2つの日次CGMプロファイルによって定義される可能性があることを意味する。このシナリオを回避するために、single_motifアルゴリズムの式(9)においてf(dpx;dpy)>γの場合、all_motifsアルゴリズムが終了するように、閾値基準γが使用される。γは、モチーフペアを形成する2つの日次CGMプロファイル間の可能な最大スコアを表すので、γのスコアを有するモチーフペアを有することが許容されるようにγを選択すべきである。
【0098】
all_motifsアルゴリズムは、モチーフの有限集合を決定するために、「全ての可能な日次CGMプロファイル」のデータセットに使用できる手順を定義する。このモチーフの有限集合
は、患者によって生成されたほぼ全ての日次CGMプロファイルが、この集合内の代表的な日次プロファイルの何れかに一致させることができるような、代表的な日次プロファイルの有限集合であり、このような集合を見つけることが本研究の主な目的である。
【0099】
CGMプロファイルの分類
classify_profileアルゴリズムは、ラベルlを日次CGMプロファイルdpkに割り当てる。
ここで、dpx、dpy∈Mlに対して、
及び
であり、τは、式(9)で使用されるのと同じ許容値である。classify_profileアルゴリズムの式(10)及び式(11)が特定の日次CGMプロファイルdpkについて満たされない場合、dpkは、使用して分類されないことに留意されたい。
【0100】
classify_profileアルゴリズムが日次CGMプロファイルのデータセットに適用される場合、結果として得られる分類はクラスタリングと考えることができ、モチーフmlに最もよく一致する日次CGMプロファイルdpkは、classify_profileアルゴリズムによってラベルlが割り当てられたデータセット内の全ての日次CGMプロファイルのクラスタClに割り当てられる。このセクションで概説される手順を使用して得られるクラスタリングは、データセット内の日次CGMプロファイルの分類から得られるクラスタリングであり、代表的な日次プロファイルの集合であるΩを定義するために使用される「全ての可能な日次CGMプロファイル」の集合のクラスタリングである日次CGMプロファイルのクラスタリングとは別であることに留意されたい。
【0101】
データ
この例示的な実施構成にて使用される6つの異なるデータセットがある。
1) DCLP1は、3ヶ月間の並行群間マルチセンター無作為化非盲検試験(The International Diabetes Closed Loop (iDCL)Trial:プロトコル1;NCT02985866)からのデータセットであり、T1D患者がモバイル・クローズドループ・コントロール(CLC)システム又はセンサ補助ポンプ(SAP)による治療を受けるように割り当てられる。本試験には、125人の患者を有し、64人がCLC群に割り当てられ、ランダム化後、少なくとも1つのCGMデータポイントを有する日数は8,980日である。
【0102】
2)DCLP3は、T1D患者がCLCシステム又はSAPによる治療を受ける群に2:1の割合で割り当てられた6ヶ月間の無作為化マルチセンター試験(iDCL Protocol 3: Acceptance of the Artificial Pancreas; NCT03563313)からのデータセットである。本試験には168人の患者を有し、112人がCLC群に割り当てられ、ランダム化後、少なくとも1つのCGMデータポイントを有する日数は30,657日である。
【0103】
3) DIA1は、無作為化臨床試験(Multiple Daily Injections and Continuous Glucose Monitoring in Diabetes [DIaMonD]; NCT02282397)からのデータセットであり、複数の日次インスリン注射を使用している成人T1D患者158人を含み、CGM使用群に割り当てられた患者は105人で、少なくとも1つのCGMデータポイントがある日数は20,753日である。DIA1データセットの患者もT1Dであるが、DIA1の患者はDCLP1及びDCLP3データセットの患者のようにポンプを使用していない。
【0104】
4)DIA2は、複数回の日次インスリン注射(MDI)を受けているT2D患者158人の無作為化臨床試験(DIaMonD;NCT02282397)からのデータセットであり、79人がCGMを使用するグループに割り当てられ、少なくとも1つのCGMデータポイントを有する日数は11,136日である。
【0105】
5)DSS1は、MDIを受けているT1D患者80人の無作為化臨床試験(Diabetes Support System; NCT03093636)からのデータセットである。少なくとも1つのCGMデータポイントがある日数は6,691日である。
【0106】
6)NTLTは、80人のT1D患者の無作為化クロスオーバー臨床試験(Nightlight; NCT02679287)からのデータセットであり、CLC及びSAPを含む4回の8週間治療セッションの2つのシーケンスのうちの1つを受けている。少なくとも1つのCGMデータポイントがある日数は17,527日である。
【0107】
6つの異なるデータセットには、上記で言及された公開研究からの非識別化データが含まれていた。表Iは、各データセットの関連する患者情報を示している。
【0108】
これらの6つの異なるデータセットからのデータは、3つの異なるセット、すなわち、訓練データセット(15%)、検証データセット(25%)及び試験データセット(65%)に分けられる。訓練データセットは、
={0.50,0.75,.... ,2.00,2.25}に対して、代表的な日次プロファイルΩτのセットを決定するのに使用される。次に、検証データセットの日次CGMプロファイルが、代表的な日次CGMプロファイルΩτの各セットを使用して分類され、その結果が、Ωを選択するためのτの最終値を選択するのに使用される。最後に、Ωの性能は、試験データセット内の(未見の)日次CGMプロファイルを分類するためにこれを使用することによって評価される。
【0109】
6つのデータセットの各試験の各群からの各患者は、訓練、検証、及びテストセットの1つにランダムに割り当てられる。例えば、DCLP3試験では、患者は2:1で試験群に割り当てられる。この場合、トレーニングセット、バリデーションセット及びテストセットにおけるDCLP3対照群患者に対するDCLP3試験群患者の割合もほぼ2:1となる。
【0110】
6つの異なる研究で使用されたCGMセンサは、約5分に1回血糖値(範囲[40、400]mg/dL)を収集し、従って、単一の日次CGMプロファイルには、288のデータポイント(血糖値)があるはずである。使用可能なデータを有する日次CGMプロファイルの数を最大化するために、2つのセットの基準が開発され:
(1)「As-Is」基準:
(a)ある5分間隔から次の5分間隔までの血糖値の変化が50mg/dL未満であること、及び
(b)最大欠落データ区間が10分で、欠落データが最大50%(144データポイント)、又は
長さ15分の最大欠落データ区間で、欠落しているデータの最大33.3%(96データポイント)、又は
長さ20分の最大欠落データ区間で、欠落しているデータの最大25%(72データポイント)、又は
長さ60分の最大欠落データ区間で、欠落しているデータの最大12.5%(36データポイント)。
(2)「Interpolate」基準:
(a)ある5分間隔から次の5分間隔までの血糖値の変化が50mg/dL未満であること。
(b)最大欠落データ間隔は20分で、欠落データは最大でも10%である(28データポイント)。
【0111】
2つのデータセットの各々について、基準の「As-Is」セット及び基準の「Interpolate」セットを満たす日次CGMプロファイルの数を表IIに示す。As-Is」基準を満たす日次CGMプロファイルは、日次CGMプロファイルを分類しようとするのに十分なデータがある日次プロファイルである。「Interpolate」基準を満たす日次CGMプロファイルは、補間が意味を有する日次CGMプロファイルである。単一の日次CGMプロファイルの欠落データが補間され:
(1)欠落データ区間の両端に少なくとも2つのデータポイントがある場合は、(SciPyのCubicSpline関数を介して)三次スプラインを使用する、
(2)欠落データ区間の両端に1つのデータポイントしかない場合は線形補間を使用する、又は
(3)データ欠落区間が24時間日次CGMプロファイルの最初又は最後の5分区間を含む場合、(Pandasのfillna関数を介して)次の既知値又は最後の既知値の後方又は前方伝搬を使用する。
【0112】
トレーニングデータセットは、「Interpolate」基準を満たす日次CGMプロファイルのみから構成され、検証及びテストセットは、「As-Is」基準又は「Interpolate」基準の何れかを満たす日次CGMプロファイルから構成される。各患者の日次CGMプロファイル数は可変であるため、15%、20%、65%の割合で訓練セット、検証セット、テストセットに患者をランダムに割り当てたが、訓練データセットは9,741日次CGMプロファイル(14.6%)、検証データセットは14,175日次CGMプロファイル(21.3%)、試験データセットは42,595日次CGMプロファイル(64.0%)となった。
【0113】
結果
本節では、all_motifsアルゴリズム及びclassify_profileアルゴリズムをトレーニングデータセット及び検証データセットと共に使用して、代表的な日次プロファイルのセットであるΩを得た結果を示す。次に、Ω及びclassify_profileアルゴリズムを用いて、試験データセットの日次CGMプロファイルを分類することにより、Ωの堅牢性及び代表性を確立する。最後に、このセクションの最後の部分では、異なるサブタイプの糖尿病患者が日次CGMプロファイルを生成した場合の、Ωのモチーフによって定義されるクラスタに対する日次CGMプロファイルの分布の感度を調べる。
【表1】
表 I: 本論文で使用したデータセットの特徴。
略語 BMI、体格指数、CLC、閉ループ制御、MDI、複数日注射、NR、報告なし、SAP、センサ増強ポンプ、T1D、1型糖尿病、T2D、2型糖尿病。
【表2】
表II:少なくとも1つのデータポイントを有し、“As-Is”及び“Interpolate”の基準を満たす6つのデータセットのそれぞれにおける日次CGMプロファイルの数。
【0114】
Ωの発見
single_motifアルゴリズムの式(9)において、値γは、モチーフペアを形成する2つの日次CGMプロファイル間の可能な最大スコアである。以下の結果では、γは5.26に設定され、これは訓練データセットの9,741個の日次CGMプロファイルの全てのペア間のスコアの20パーセンタイルに対応する。スコアの第10パーセンタイル及び第15パーセンタイルにそれぞれ対応するγ=4.64及びγ=4.98の値が探索され、結果はほとんど変わらないが、所与の許容誤差τの場合、γが減少するにつれて未分類の日次CGMプロファイルの数が増加する傾向があった。これは、この研究の主な照準が、ほとんど全ての日次CGMプロファイルを分類できるようなセットΩを見つけることであり、γ=5.26を選択する動機となったことを考えると、望ましくない効果である。
【0115】
一般に、与えられたデータセットについて、τを増加させると、得られるクラスタの数が減少し、及び得られるクラスタの平均サイズが増加する。Ωτを、訓練データセットに許容誤差τでall_motifsアルゴリズムを適用して得られる代表的な日次プロファイルのセットとする。
={0.50,0.75,..2.00,2.25}を用いて、表的な日次プロファイルの8つの異なるセットが生成される。各セットΩτは、classify_profileアルゴリズムを用いて、検証データセットの日次CGMプロファイルを分類するために使用され、各公差
について得られたクラスタリングを記述する統計は、表IIIに示される。結果は、許容誤差が大きくなるにつれて、
・得られたクラスタリングのクラスタ数が減少する(すなわち、Ωτのモチーフ数が減少する)、
・ラスタの平均サイズは増加し、及び
・分類された検証データセットの日次CGMプロファイルの総数が減少する。
【表3】
表III:許容誤差
を用いて得られた代表的な日次プロファイルの集合であるΩτを用いて、classify_profileアルゴリズムを検証データセット(14,175個の日次CGMプロファイル)に適用することによって得られた各クラスタリングの特性。
【0116】
図4A、
図4B、
図4C、及び
図4Dは、検証データセットから日次CGMプロファイルを分類するためにΩτ及びclassify_profileアルゴリズムを使用する場合にモチーフm∈Ωτについて得られるクラスタの構成を示し、τ=0.75(
図4A)、1.25(
図4B)、1.75(
図4C)、及び2.25(
図4D)である。モチーフmはτに関係なく同じであることに注意されたい。
図4A、
図4B、
図4C、及び
図4Dは、τ∈{0.75、1.25、1.75、2.25}のΩτに見出される同じモチーフmについて得られたクラスタを示しており、これらのプロットは上記の観察を裏付けている。
【0117】
図5A、
図5B、
図5C、及び
図5Dは、検証データセットから日次CGMプロファイルを分類するために、τ=1.25のsingle_motifアルゴリズムを使用することによって得られた、(上から下へ)i∈{1、200、400、483}に対するクラスタCiの構成を示す。同様の結果が、試験データセットから日次CGMプロファイルを分類する場合にも得られる。
【0118】
single_motifアルゴリズムの定義に起因して、最初に発見されたクラスタに含めることができる可能性のある最大スコアは、最後に発見されたクラスタに含めることができる可能性のある最大スコア以下である。各クラスタの構成に対するこの影響は、
図5A、5B、5C、及び5Dに示されており、これらは、τ=1.25の場合に発見された、クラスタ1、200、300、及び483(最後のクラスタ)に割り当てられた検証データセットからの日次CGMプロファイルを示す。
【0119】
公差τの選択は、本研究の主な目標、すなわち、ほぼ全ての日次CGMプロファイルが代表的な日次プロファイルの何れかに一致させることができるように、代表的な日次プロファイルの有限集合を特定することに動機付けられる。前述したように、与えられたデータセットについて、許容誤差τを減少させると、発見されるモチーフの数が増加し、従ってクラスタリングにおけるクラスタの数が増加する。
図6は、考慮された8つの異なる許容誤差τ値の各々について、クラスタサイズが固定サイズρ∈{0、1、2、3、5、8}以下である検証データセットの各クラスタリングにおけるクラスタのパーセントを示す。
【0120】
図6は、使用された8つの異なる許容誤差τ値の各々について、クラスタサイズが固定サイズρ以下である検証データセットの各クラスタリングにおけるクラスタのパーセンテージを示す。プロットの上部の数字は、許容誤差によるクラスタリングにおけるクラスタの数を示す。
図6は、許容誤差τが減少し、モチーフの数が増加するにつれて、許容誤差τ=1.25まで、極めて少ない(≦5)日次CGMプロファイルが割り当てられたクラスタのパーセントが極めて安定しており、その時点で、極めて少ない(≦5)日次CGMプロファイルが割り当てられたクラスタのパーセントが劇的に増加することを示している。この挙動は、トレーニングデータセットに対するオーバーフィッティングを示しており、モチーフの多くがトレーニングデータセットに特異的であるため、他の(まだ見ていない)データセットの日次CGMプロファイルと一致する可能性が低い。モチーフの多様性は推奨されるが、トレーニングデータセットに特異的で一般化しないモチーフは避けるべきであり、このことが、トレーニングデータセットにオーバーフィットしない最も多様なモチーフのセットをもたらす許容値であるτ=1.25の選択に反映される。
【0121】
従って、代表的な日次プロファイルの集合であるΩは、訓練データセットの日次CGMプロファイルに対してτ=1.25のall_motifsアルゴリズムを使用することによって得られる代表的な日次プロファイルの集合として定義される。従って、Ω=Ω1.25であり、|Ω|=|Ω1.25|=483である。
【0122】
Ωの堅牢性
Ωが真に堅牢であれば、プロファイルを生成した患者(T1D患者又はT2D患者、ポンプを使用しているか否か等)に関係なく、提示されたほぼ全ての日次CGMプロファイルを分類できるはずである。Ωの堅牢性は、Ω及びclassify_profileアルゴリズムを用いて、試験データセットの42,595の日次CGMプロファイルの各々を分類することによって確立される。上記で概説した分類手順を使用すると、42,165個の日次CGMプロファイル(99.0%)が正常に分類され、わずか430個の日次CGMプロファイル(1.0%)が分類されないままであった。この結果は、検証データセットの日次CGMプロファイルの0.9%が未分類である検証データセットで得られた結果と一致している(表IIIを参照)。
【0123】
血糖値がセンサの範囲外(40mg/dL~400mg/dL)にある場合、センサはこれを示すプレースホルダ値を報告する。血糖値がセンサの範囲より低い場合は39mg/dLが報告され、血糖値がセンサの範囲より高い場合は401mg/dLが報告される。分類されずに残された日次CGMプロファイルの分析により、分類されずに残された日次CGMプロファイルにおける39又は401に等しいCGMセンサ読取値の平均割合は、分類された日次CGMプロファイルにおける39又は401に等しいCGMセンサ読取値の平均割合よりもかなり大きいことが明らかになった。特に、試験データセットでは、39又は401の何れかに等しいCGMセンサ読取値の平均パーセンテージは、分類された日次CGMプロファイルでは0.5%、及び分類されていない日次CGMプロファイルでは7.2%である。Ωの483個Mセンサの読み取り値の平均割合は0.3%である。483個のモチーフと分類されていない日次CGMプロファイルとの間の39又は401の何れかに等しいCGMセンサ読取値の平均割合の顕著な違いを考慮すると、これらの日次CGMプロファイルがΩを使用して分類されないことは、特に驚くべきことではない。
【0124】
Ωの各モチーフについて、以下の8つの指標を計算する:
(1)平均血糖値(BG)、
(2)目標域(TIR、血糖値が70mg/dL以上180mg/dL以下である24時間にわたる5分間隔の割合)、
(3)高血糖域(TAR、血糖値が厳密に180mg/dLを超える24時間中の5分間隔の割合)、
(4)低血糖域(TBR、血糖値が厳密に70mg/dL未満である24時間の5分間隔の割合)、
(5)低血糖指数(Low Blood Glucose Index:LBGI、低血糖リスクの指標で、値が高いほど低血糖発作の頻度が高いことを示す)、
(6)高血糖指数(HBGI:高血糖リスクの指標で、値が高いほど高血糖発作の頻度が高いことを示す)、
(7)血糖値の標準偏差(SD)及び
(8)BG値の変動係数(CV)。
【0125】
図7A、
図7B、
図7C、
図7D、
図7E、
図7F、
図7G、及び
図7Hは、モチーフの8つの臨床的メトリックを使用した、Ωにおける483の代表的な日次プロファイル(モチーフ)の2次元t分布確率的近傍埋め込み(t-SNE)を示す。各t-SNEプロットは、埋め込まれた点によって表されるモチーフの臨床メトリック値を用いて色分けされている。このメトリクスは、Scikit-learnのsklearn.manifold.TSNE関数の入力として使用され、2次元のt分布確率的近傍埋め込み(t-SNE)プロットを生成する。これらの図は、所与のモチーフの臨床的メトリックの値が、埋め込み内のモチーフを表す点の色で符号化されたt分布確率的近傍埋め込みを示している。このプロットから表す明確なグループ構造があり、類似した臨床的特徴を有するモチーフを表す点は、異なる臨床的特徴を有するモチーフを表す点よりも互いに密接に埋め込まれている。これらの図から、オレンジ色のグループは、HBGI、TAR、及び平均BG値が高く、TIR、LBGI、TBR、及びCV値が低いモチーフに対応していることが明らかである。しかしながら、モチーフのSD値はオレンジ色のグループ間で一貫していない。
【0126】
上記の観察は全て、
図8のオレンジ色グループに対応するモチーフのプロットでも明らかである。同様のタイプの観察は、
図8のグリーン色及びピンク色のグループについても行うことができる。
図8は、t分散確率的近傍埋め込みにおいて近接して配置されるモチーフの3つのグループの説明図である。各グループのモチーフは、形状及びリスク空間内の位置の両方において類似しているが、異なるグループのモチーフは、形状、リスク空間内の位置又はその両方において異なっている。これは、埋め込み上で3つの異なる点のグループを強調し、埋め込み上で強調された点の各グループに対応するモチーフをプロットした
図8で特に明らかである。最後に、あるグループのモチーフは全て、リスク空間における形状と位置が類似しているが、ピンクとオレンジのグループのモチーフの形状は類似しているものの、リスク空間における位置は大きく異なっている。3つのグループのモチーフを比較しても、同様の観察結果が得られる。
【0127】
糖尿病のサブタイプ
Ωのモチーフによって定義されるクラスタへの所与のデータセットにおける日次CGMプロファイルの分布は、日次CGMプロファイルを生成した患者の糖尿病のサブタイプに基づいて異なる。この感度は、試験データセット内のT1D患者によって生成された日次CGMプロファイルによって形成されたクラスタの構成と、試験データセット内のT2D患者によって生成された日次CGMプロファイルによって形成されたクラスタの構成とを比較する
図9に見ることができる。各バーは、全てのi∈{1,...,483}.上のプロットは、Ωのモチーフによって定義されたクラスタへのT1D患者によって生成された日次CGMプロファイルの分布を示し、下のプロットは、Ωのモチーフによって定義されたクラスタへのT2D患者によって生成された日次CGMプロファイルの分布を示す。試験データセットには、T1D患者によって生成された37,758個の日次CGMプロファイルがあり、37,349個(98.9%)が分類され、409個(1.1%)が分類されていない。試験データセットには、T2D患者によって生成された日次CGMプロファイルが4,837個あり、4,816個(99.6%)が分類され、21個(0.4%)が分類されていない。これらが2つの異なる分布であることは視覚的に明らかであるが、ウィルコクソンの符号順位検定(SciPyのscipy.stats.wilcoxon関数を介して)を用いて、T1D患者によって生成された日次CGMプロファイルによって定義される集合{Pct
Ci|i∈{1,...,483}}及びT2D患者によって生成された日次CGMプロファイルによって定義される集合{Pct
Ci|i∈{1,...,483}}が同じ分布に由来するという仮説を試験する。検定統計量は38926であり、p値は0.001未満であり、帰無仮説を棄却し、2つの集合が異なる分布から来たと結論付けることができ、Ωのモチーフによって定義されるクラスタへの日次CGMプロファイルの分布が、日次CGMプロファイルを生成した患者の糖尿病のサブタイプに敏感であることを補強している
【0128】
CGMプロファイルに含まれる情報を、予測モデリング、決定支援、及び人工膵臓のような自動制御システムにおいて活用できるようにするために、CGMプロファイルを分類する方法の必要性がCGMの普及の高まりによって生じている。この論文では、ほぼ全ての日次CGMプロファイルがΩ内のプロファイルの何れかに一致するような、代表的な日次プロファイルの有限集合であるΩを見つける試みについて概説する。この集合が最小又は最適であると主張するものではない。以下に概説する用途及び我々が念頭に置いている用途では、最適性は必要なく、最適解は情報の追加損失を伴うため、逆効果になる可能性がある。
【0129】
図9は、T1D患者(上)及びT2D患者(下)のDIA1及びDIA2データセットによって生成された日次CGMプロファイルについて、各クラスタに割り当てられた日次CGMプロファイルの分布である。本明細書で開示される方法は、日次CGMプロファイルをクラスタリングし、クラスタリング及びクラスタを用いて、Ωに属する代表的な日次プロファイル(モチーフ)を特定することに重点を置いている。Ωの堅牢性は、3つの異なるデータセットに含まれる39,916個の日次CGMプロファイルの98.8%以上を成功裏に分類するためにそれを使用することによって確立される。3つのデータセットに含まれる日次プロファイルは、毎日のインスリン注射、インスリンポンプ、又は人工膵臓といった様々な治療モードを使用しているT1D患者及びT2D患者の両方から収集されたものである。実験結果はまた、データセット中の日次CGMプロファイルとΩのモチーフとの間の一致の分布が、臨床及び自動治療アルゴリズムの入力として使用することができる日次CGMプロファイルのデータセットを生成した患者の糖尿病のサブタイプに敏感であることを立証した。
【0130】
上記の方法によって、日次CGMプロファイル(典型的には288データポイント)を、関心のある日次CGMプロファイルに最もよく一致する代表的な日次プロファイルを識別する単一の整数、例えばiに削減することができることを考えると、この研究の応用例には以下が含まれる:
・次元削減:ほぼ無限に存在する全ての可能な日次CGMプロファイルを有限集合に削減する。
・日次CGMプロファイルの圧縮:日次CGMプロファイルを定義する通常288個のデータポイントが1個の整数iに削減される。
・日次CGMプロファイルの圧縮及び暗号化:日次CGMプロファイルの典型的な288データポイントを送信する代わりに、単一の整数iを送信する必要がある。
【0131】
日次CGMプロファイルが代表的な日次プロファイルにマッチングされるため、データ圧縮で一般的なように、情報損失が発生することに留意すべきである。特に、日次CGMプロファイルに存在する食事の概念、インスリンの過少ボーラス、運動、及び日内変動は、日次CGMプロファイルのモチーフ表現に保持されない可能性がある。
【0132】
6つのデータセットのそれぞれにおける日次プロファイルのわずか68.3%が「As-Is」基準を満たしたことを考えると、データセットにおける日次プロファイルの30%以上は、分類のために考慮すらされないが、その主な理由は、これらの日次CGMプロファイルには、一貫したパターンを特定するのに十分なデータポイントがなかったためである。幸いなことに、現代のCGMデバイスはより信頼性が高く、使いやすくなっており、データのギャップは継続的に最小化されている。例えば、9,000人以上のユーザによるAPシステム(Control-IQ、Tandem Diabetes Care)の1年間の使用に関する最近のデータベース分析では、システムは95%の時間アクティブであり、データを受信している。この研究の今後のステップとして、Ωのモチーフをグループ化し、同じ又は極めて類似した臨床的解釈を有するモチーフを一緒にグループ化する可能性を調査することである。このステップにより、得られたモチーフのグループに臨床的な意味を持たせることができ、及びモデル、決定支援ツール、又は自動制御システムの状態空間を大幅に縮小することができる。
【0133】
図10は、本発明の実施形態の1又は2以上の態様が実施できるマシンの一例を示すブロック図である。
【0134】
本発明の実施形態の一態様は、CGMデータを分類するためのモデルを構築するための手段、及び特許CGMデータを分類するためにモデルを実装するための手段を提供するシステム、方法、及びコンピュータ可読媒体を含むが、これらに限定されない。
図10は、1又は2以上の実施形態(例えば、議論される方法論)が実装(例えば、実行)できる例示的なマシン1000′のブロック図を示す。マシン1000′は、例えば、例示的なシステム100であってもよい。
【0135】
マシン1000′の例は、論理、1又は2以上の構成要素、回路(例えば、モジュール)、又は機構を含むことができる。回路は、特定の動作を実行するように構成された有形実体である。一例では、回路は、(例えば、内部的に又は他の回路等の外部エンティティに関して)所定の方法で配置することができる。一例では、1又は2以上のコンピュータシステム(例えば、スタンドアロン、クライアント又はサーバコンピュータシステム)又は1又は2以上のハードウェアプロセッサ(プロセッサ)は、本明細書に記載されるような特定の動作を実行するように動作する回路として、ソフトウェア(例えば、命令、アプリケーション部分、又はアプリケーション)によって構成することができる。一例では、ソフトウェアは、(1)非一時的の機械可読媒体(例えば、非一時的の不揮発性メモリ)上に、又は(2)伝送信号内に常駐することができる。一実施例では、ソフトウェアは、回路の基礎となるハードウェアによって実行されると、回路に特定の動作を実行させる。
【0136】
一実施例において、回路は機械的又は電子的に実装することができる。例えば、回路は、専用プロセッサ、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)又は特定用途向け集積回路(ASIC)を含むような、上述したような1又は2以上の技術を実行するように特別に構成された専用回路又はロジックで構成することができる。一例では、回路は、特定の動作を実行するように(例えば、ソフトウェアによって)一時的に構成することができるプログラマブルロジック(例えば、汎用プロセッサ又は他のプログラマブルプロセッサ内に包含されるような回路)から構成することができる。回路を機械的に(例えば、専用且つ恒久的に構成された回路に)実装するか、又は一時的に構成された回路(例えば、ソフトウェアによって構成された)に実装するかは、コスト及び時間の考慮によって決定できることが理解されよう。
【0137】
従って、「回路」という用語は、物理的に構成され、恒久的に構成され(例えば、ハード配線され)、又は一時的に(例えば、一時的に)構成され(例えば、プログラムされ)、指定された方法で動作し又は指定された動作を実行する実体である、有形実体を包含すると理解される。一例として、一時的に構成された複数の回路が与えられた場合、各回路は、何れかの1つのインスタンスにおいて構成又はインスタンス化される必要はない。
【0138】
例えば、回路が、ソフトウェアを介して構成された汎用プロセッサからなる場合、汎用プロセッサは、異なる時間にそれぞれの異なる回路として構成することができる。ソフトウェアは、それに応じて、例えば、ある時間のインスタンスにおいて特定の回路を構成し、異なる時間のインスタンスにおいて異なる回路を構成するようにプロセッサを構成することができる。
【0139】
1つの実施例では、回路は、他の回路に情報を提供し、及び他の回路から情報を受信することができる。この例では、回路は1又は2以上の他の回路に通信可能にカップリングされているとみなすことができる。このような回路が複数同時に存在する場合、通信は、回路を接続する(例えば、適切な回路及びバスを介した)信号伝送によって達成することができる。複数の回路が異なる時期に構成又はインスタンス化される実施形態では、このような回路間の通信は、例えば、複数の回路がアクセス可能なメモリ構造における情報の記憶及び検索を通じて達成することができる。例えば、ある回路が演算を実行し、その演算の出力を、通信可能にカップリングされたメモリデバイスに格納することができる。その後、別の回路が、後でメモリデバイスにアクセスして、格納された出力を取り出し及び処理することができる。一例として、回路は、入力又は出力デバイスとの通信を開始又は受信するように構成することができ、リソース(例えば、情報の集まり)に対して動作することができる。
【0140】
本明細書で説明される方法例の様々な動作は、関連する動作を実行するように(例えば、ソフトウェアによって)一時的に構成されるか又は恒久的に構成される1又は2以上のプロセッサによって、少なくとも部分的に実行することができる。一時的に構成されるか恒久的に構成されるかにかかわらず、このようなプロセッサは、1又は2以上の操作又は機能を実行するように動作するプロセッサ実装回路を構成することができる。一例において、本明細書で言及される回路は、プロセッサ実装回路を構成することができる。
【0141】
同様に、本明細書に記載の方法は、少なくとも部分的にプロセッサ実装することができる。例えば、方法の動作の少なくとも一部は、1つ又はプロセッサ又はプロセッサ実装回路によって実行することができる。特定の動作の実行は、1又は2以上のプロセッサ間で分散させることができ、単一のマシン内に常駐させるだけでなく、多数のマシンにわたって展開させることもできる。一実施例では、プロセッサ又はプロセッサは、単一の場所(例えば、家庭環境内、オフィス環境内、又はサーバファームとして)に配置することができ、他の実施例では、プロセッサは、多数の場所に分散配置することができる。
【0142】
また、1又は2以上のプロセッサは、「クラウドコンピューティング」環境において、又は「サービスとしてのソフトウェア」(SaaS)として、関連する動作の実行をサポートするように動作することもできる。例えば、(プロセッサを含むマシンの例として)コンピュータのグループによって、少なくとも一部のオペレーションを実行することができ、これらのオペレーションは、ネットワーク(例えば、インターネット)を介して、及び1又は2以上の適切なインターフェース(例えば、アプリケーションプログラムインターフェース(API))を介してアクセス可能である。
【0143】
例示的な実施形態(例えば、装置、システム、又は方法)は、デジタル電子回路、コンピュータハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、又はこれらの何れかの組み合わせで実装することができる。例示的な実施形態は、コンピュータプログラム製品(例えば、プログラマブルプロセッサ、コンピュータ、又は複数のコンピュータのようなデータ処理装置による実行のため、又はその動作を制御するために、情報キャリア又は機械可読媒体において具体化されたコンピュータプログラム)を使用して実装することができる。
【0144】
コンピュータプログラムは、コンパイル言語又はインタプリタ言語を含む何れかの形式のプログラミング言語で記述することができ、また、スタンドアロン・プログラムとして、又はソフトウェア・モジュール、サブルーチン、又はコンピューティング環境での使用に適した他のユニットとして含む何れかの形式で配備することができる。コンピュータプログラムは、1つのコンピュータ上又は1つのサイトの複数のコンピュータ上で実行されるように配備することができ、又は複数のサイトに分散され、通信ネットワークによって相互接続されるように配備することができる。
【0145】
一例では、操作は、入力データに対して動作し及び出力を生成することによって機能を実行するコンピュータプログラムを実行する1又は2以上のプログラマブルプロセッサによって実行することができる。方法操作の例はまた、特殊用途の論理回路(例えば、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)又は特定用途向け集積回路(ASIC))によって実行することができ、及び例示的な装置は、特殊用途の論理回路(例えば、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)又は特定用途向け集積回路(ASIC))として実装することができる。
【0146】
コンピューティングシステムは、クライアント及びサーバを含むことができる。クライアント及びサーバは、一般に互いに離れており、一般に通信ネットワークを介して相互作用する。クライアント及びサーバの関係は、それぞれのコンピュータ上で実行されるコンピュータプログラムによって生じ、互いにクライアントサーバの関係を有する。プログラマブルコンピューティングシステムを展開する実施形態では、ハードウェア及びソフトウェアアーキテクチャの両方を考慮する必要があることが理解されよう。具体的には、恒久的に構成されるハードウェア(例えば、ASIC)、一時的に構成されるハードウェア(例えば、ソフトウェアとプログラマブルプロセッサの組み合わせ)、又は恒久的に構成されるハードウェアと一時的に構成されるハードウェアの組み合わせの何れに特定の機能を実装するかの選択が、設計上の選択となり得ることが理解されよう。以下に、例示的な実施形態において展開可能なハードウェア(例えば、マシン1000′)及びソフトウェアアーキテクチャを示す。
【0147】
一例では、マシン1000′は、スタンドアロンデバイスとして動作することができ、又はマシン1000′は、他のマシンに接続(例えば、ネットワーク接続)することができる。
【0148】
ネットワーク化された展開では、マシン1000′は、サーバクライアントネットワーク環境において、サーバ又はクライアントマシンの何れかの能力で動作することができる。一例では、マシン1000′は、ピアツーピア(又は他の分散)ネットワーク環境においてピアマシンとして動作することができる。マシン1000′は、パーソナルコンピュータ(PC)、タブレットPC、セットトップボックス(STB)、パーソナルデジタルアシスタント(PDA)、携帯電話、ウェブアプライアンス、ネットワークルータ、スイッチ又はブリッジ、又はマシン1000′によって実行される(例えば、実行される)アクションを指定する命令(シーケンシャル又はその他)を実行可能な何れかのマシンとすることができる。更に、単一のマシン1000′のみが図示されているが、「マシン」という用語は、本明細書で議論される方法論の何れか1又は2以上を実行するための命令のセット(又は複数のセット)を個々に又は共同で実行するマシンの何れかの集合も含むものとみなされるものとする。
【0149】
例示的なマシン(例えば、コンピュータシステム)1000は、プロセッサ1002(例えば、中央処理ユニット(CPU)、グラフィック処理ユニット(GPU)又はその両方)、メインメモリ1004及びスタティックメモリ1006を含むことができ、これらの一部又は全部は、バス1008を介して互いに通信することができる。
【0150】
マシン1000′は、ディスプレイユニット1010、英数字入力デバイス1012(例えば、キーボード)、及びユーザインターフェース(UI)ナビゲーションデバイス1014(例えば、マウス)を更に含むことができる。一例では、ディスプレイユニット1010、入力デバイス1017及びUIナビゲーションデバイス1014は、タッチスクリーンディスプレイとすることができる。マシン1000′は、更に、記憶デバイス(例えば、駆動装置)1016、信号生成デバイス1018(例えば、スピーカ)、ネットワークインターフェースデバイス1020、及び全地球測位システム(GPS)センサ、コンパス、加速度計、又は他のセンサ等の1又は2以上のセンサ1021を含むことができる。
【0151】
記憶デバイス1016は、本明細書で説明される方法論又は機能の何れか1又は2以上によって具現化又は利用されるデータ構造又は命令1024(例えば、ソフトウェア)の1又は2以上のセットが格納される機械可読媒体1022を含むことができる。命令1024はまた、完全に又は少なくとも部分的に、メインメモリ1004内、スタティックメモリ1006内、又はマシン1000′によるその実行中のプロセッサ1002内に存在することができる。一例では、プロセッサ1002、メインメモリ1004、スタティックメモリ1006、又はストレージデバイス1016のうちの1つ又は何れかの組み合わせが、機械可読媒体を構成することができる。機械可読媒体1022は単一の媒体として図示されているが、「機械可読媒体」という用語は、1又は2以上の命令1024を格納するように構成された単一の媒体又は複数の媒体(例えば、集中型又は分散型データベース、及び/又は関連するキャッシュ及びサーバ)を含むことができる。また、「機械可読媒体」という用語は、機械による実行のための、機械に本開示の方法論の何れか1又は2以上を実行させる命令を格納、符号化、又は担持することが可能な、又はこのような命令によって利用される又はこのような命令に関連するデータ構造を記憶、符号化、又は担持することが可能な、何れかの有形媒体を含むものとすることができる。これに応じて、「機械可読媒体」という用語は、固体メモリ、光媒体及び磁気媒体を含むが、これらに限定されないものとすることができる。機械可読媒体の具体例としては、一例として、半導体メモリデバイス(例えば、EPROM(Electrically Programmable Read-Only Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read- Only Memory))及びフラッシュメモリデバイスを含む不揮発性メモリ、内蔵ハードディスク及びリムーバブルディスク等の磁気ディスク、光磁気ディスク、並びにCD-ROM及びDVD-ROMディスクを挙げることができる。
【0152】
命令1024は、更に、多数の転送プロトコル(例えば、フレームリレー、IP、TCP、UDP、HTTP等)のうちの何れかの1つを利用するネットワークインターフェースデバイス1020を介した伝送媒体を用いて、通信ネットワーク1126を介して送信又は受信することができる。
【0153】
例示的な通信ネットワークは、ローカルエリアネットワーク(LAN)、ワイドエリアネットワーク(WAN)、パケットデータネットワーク(例えば、インターネット)、携帯電話ネットワーク(例えば、 セルラーネットワーク)、POTS(Plain Old Telephone)ネットワーク、及び無線データネットワーク(例えば、Wi-Fi(登録商標)として知られるIEEE 802.11規格ファミリー、WiMax(登録商標)として知られるIEEE 802.16規格ファミリー)、ピアツーピア(P2P)ネットワーク等が含まれる。「伝送媒体」という用語は、機械が実行するための命令を格納、符号化又は伝送することができるあらゆる無形媒体を含むものとし、デジタル又はアナログの通信信号又はこのようなソフトウェアの通信を容易にするための他の無形媒体を含むものとする。
【0154】
参考文献
以下の各文献の全内容は、引用により本明細書に組み込まれる。
【0155】
本明細書に開示される実施形態に対する修正は、設計基準の特定のセットを満たすように行うことができることが理解されるであろう。例えば、システムo方法の構成要素、特徴又はステップの何れかは、特定の目的を満たすために、それぞれ何れかの適切な数又は種類とすることができる。従って、本明細書に開示されたシステム及び方法の特定の例示的な実施形態について説明及び図示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、以下の請求項の範囲内で他の様々な具現化及び実施が可能であることを明確に理解されたい。
【0156】
幾つかの構成要素、特徴、及び/又は構成は、幾つかの特定の実施形態にのみ関連して説明できるが、これらの同じ構成要素、特徴、及び/又は構成は、他の多くの実施形態に適用又は使用することができ、他の実施形態に適用可能であるとみなされるべきであることは、別段の記載がない限り、又はこのような構成要素、特徴、及び/又は構成が他の実施形態と共に使用することが技術的に不可能でない限り、理解されるであろう。従って、様々な実施形態の構成要素、特徴、及び/又は構成は、何れかの方法で組み合わせることができ、このような組み合わせは、本明細書によって明示的に企図され、開示される。
【0157】
本発明は、その精神又は本質的な特徴から逸脱することなく、他の具体的な形態で具現化できることが当業者には理解されよう。従って、現在開示されている実施形態は、あらゆる点で例示的なものであり、限定ではないと考えられる。本発明の範囲は、前述の説明よりも添付の特許請求の範囲によって示され、及びその意味、範囲、及び同等性の範囲内にある全ての変更は、そこに包含されることが意図される。更に、数値範囲の開示は、端点を含むその範囲内の全ての数値の開示である。
【符号の説明】
【0158】
システム 1000
1000’ CGMモニタ
1002 プロセッサ
1004、1006 メモリ
【国際調査報告】