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▶ ナンハイ・ナンシン・ノン-ウーブン・カンパニー・リミテッドの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-24
(54)【発明の名称】医療用途に適した不織布
(51)【国際特許分類】
   D04H 3/16 20060101AFI20240517BHJP
   D04H 3/018 20120101ALI20240517BHJP
   D04H 3/007 20120101ALI20240517BHJP
   A41D 13/12 20060101ALI20240517BHJP
   A41D 31/00 20190101ALI20240517BHJP
   A41D 31/04 20190101ALI20240517BHJP
【FI】
D04H3/16
D04H3/018
D04H3/007
A41D13/12 109
A41D31/00 503E
A41D31/04 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2023575347
(86)(22)【出願日】2022-06-02
(85)【翻訳文提出日】2024-01-18
(86)【国際出願番号】 CN2022096902
(87)【国際公開番号】W WO2022253321
(87)【国際公開日】2022-12-08
(31)【優先権主張番号】63/197,063
(32)【優先日】2021-06-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523455482
【氏名又は名称】ナンハイ・ナンシン・ノン-ウーブン・カンパニー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100101890
【弁理士】
【氏名又は名称】押野 宏
(74)【代理人】
【識別番号】100098268
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 豊
(72)【発明者】
【氏名】ジン・ヨンジ
(72)【発明者】
【氏名】ウ・グオファ
【テーマコード(参考)】
3B211
4L047
【Fターム(参考)】
3B211AB06
3B211AC24
4L047AA14
4L047AA29
4L047AB03
4L047AB07
4L047AB08
4L047AB09
4L047BA08
4L047CA02
4L047CA05
4L047CA19
4L047CB01
4L047CC01
4L047CC03
(57)【要約】
第1の複数の捲縮連続繊維を含む第1のスパンボンド層と、第2の複数の捲縮連続繊維を含む第2のスパンボンド層と、第3の複数の捲縮連続繊維を含む第3のスパンボンド層と、を含み、第2のスパンボンド層が第1のスパンボンド層と第3のスパンボンド層との間に直接または間接的に位置する、不織布が提供される。不織布は、少なくとも約0.3mmの厚さ(例えば、嵩高さ)、および少なくとも約15mbarの静水頭を有することができる。不織布を製造する方法および保護物品も提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
不織布であって、
(i)第1の複数の捲縮連続繊維を含む第1のスパンボンド層と、
(ii)第2の複数の捲縮連続繊維を含む第2のスパンボンド層と、
(iii)第3の複数の捲縮連続繊維を含む第3のスパンボンド層と、を含み、
前記第2のスパンボンド層は、前記第1のスパンボンド層と前記第3のスパンボンド層との間に直接位置し、
前記不織布は、0.2kPaで少なくとも約0.3mm、例えば、0.2kPaで約0.3mm~約3mmの厚さ、ならびに、少なくとも約15hPa(約15mbar)、例えば、少なくとも以下:約15、16、18、20、22、25hPa(約15、16、18、20、22、25mbar)のいずれか、および/または、多くとも以下:約30、28、26、25hPa(約30、28、26、25mbar)のいずれかの静水頭を有する、不織布。
【請求項2】
前記第1のスパンボンド層、前記第2のスパンボンド層、および前記第3のスパンボンド層は、互いに独立して、約10~約30グラム/平方メートル(gsm)、例えば、少なくとも以下:約10、12、15、18、20gsmのいずれか、および/または、多くとも以下:約30、28、25、22、20、18、15gsmのいずれか、の坪量を有する、請求項1に記載の不織布。
【請求項3】
前記第1の複数の捲縮連続繊維、前記第2の複数の捲縮連続繊維、および前記第3の複数の捲縮連続繊維は、互いに独立して、約8~約30μm、例えば、少なくとも以下:約8、10、12、14、15、16、18、20μmのいずれか、および/または、多くとも以下:約30、28、26、25、24、23、22、21、20μmのいずれかの平均直径を有する、請求項1~2に記載の不織布。
【請求項4】
前記第1の複数の捲縮連続繊維、前記第2の複数の捲縮連続繊維、および前記第3の複数の捲縮連続繊維は、互いに独立して、約0.6~約3、例えば、少なくとも以下:約0.6、0.8、1、1.2、1.4、1.5、1.6、1.8、2のいずれか、および/または、多くとも以下:約3、2.8、2.6、2.5、2.4、2.2、2のいずれかの平均デニールを有する、請求項1~3に記載の不織布。
【請求項5】
前記第1の複数の捲縮連続繊維は、第1の複数の単成分繊維を含み、前記第2の複数の捲縮連続繊維は、第2の複数の単成分繊維を含み、前記第3の複数の捲縮連続繊維は、第3の複数の単成分繊維を含む、請求項1~4に記載の不織布。
【請求項6】
前記第1の複数の単成分繊維、前記第2の複数の単成分繊維、および前記第3の単成分繊維は、互いに独立して、ポリオレフィンと、プロピレン単位および/またはエチレン単位を含むコポリマーなどのポリオレフィン含有コポリマーとのそれぞれのブレンドを含むそれぞれのポリマー材料を含む、請求項5に記載の不織布。
【請求項7】
前記それぞれのポリマー材料は、それぞれ、約40~約100重量%、例えば、少なくとも以下:約40、45、50、55、60重量%のいずれか、および/または、多くとも以下:約100、95、90、85、80、75、70、65、60重量%のいずれか、のポリオレフィン;ならびに、約10~約100重量%、例えば、少なくとも以下:約10、15、20、25、30、35重量%のいずれか、および/または、多くとも以下:約100、95、90、85、80、75、70、65、60、55、50、45、40、35重量%のいずれか、のポリオレフィン含有コポリマーを含む、請求項6に記載の不織布。
【請求項8】
前記第1のスパンボンド層、前記第2のスパンボンド層、前記第3のスパンボンド層、またはそれらの任意の組み合わせは、スリップ剤を含み、前記スリップ剤は、アミド、例えば、エルカミド、オレアミド、ステアラミド、ベヘナミド、またはそれらの任意の組み合わせを含む1つ以上の一級アミドを含む、請求項1~7に記載の不織布。
【請求項9】
前記不織布は、メルトブローン繊維、サブミクロン繊維、またはその両方を含まない、請求項1~8に記載の不織布。
【請求項10】
前記不織布は、約300~約650(gf/cm2)/mm、例えば、少なくとも以下:約300、320、350、380、400、420、440、460、480、500、520、540(gf/cm2)/mmのいずれか、および/または、多くとも以下:約650、640、620、600、580、560、540(gf/cm2)/mmのいずれかの圧縮平均剛性(CAR)、約500~約1200(gf/cm2)/mm、例えば、少なくとも以下:約500、520、550、580、600、620、650、680、700、720、740、760、780、800、820、840、860、880、900(gf/cm2)/mmのいずれか、および/または、多くとも以下:約1200、1150、1100、1050、1000、950、900(gf/cm2)/mmのいずれかの回復平均剛性(RAR)、あるいはその両方を有する、請求項1~9に記載の不織布。
【請求項11】
前記不織布は、(gf/cm2)/mm単位の前記CARと(gf/cm2)/mm単位の前記RARとの第1の比が、約55~約90、例えば、約55、58、60、62、64、65、68、70、および/または、多くとも以下:約90、88、85、82、80、78、75、72、70のいずれかである、請求項10に記載の不織布。
【請求項12】
前記不織布は、約10~約50gf*mm/rad、例えば、少なくとも以下:約10、12、15、18、20、22、24、25、26、28、30、32、34、35、36、38gf*mm/radのいずれか、および/または、多くとも以下:約50、48、46、45、44、42、40、38gf*mm/radのいずれか、のCDにおける曲げ平均剛性(BARCD)、約30~約110gf*mm/rad、例えば、少なくとも以下:約30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85gf*mm/radのいずれか、および/または、多くとも以下:約110、105、100、95、90、85gf*mm/radのいずれか、のMDにおける曲げ平均剛性(BARMD)、あるいはその両方を有する、請求項1~11に記載の不織布。
【請求項13】
前記不織布は、gsm当たり約0.8~約1.5gf*mm/rad、例えば、gsm当たり、少なくとも以下:約0.8、0.85、0.9、0.95、1、1.05、1、1、1.15、1.2、1.25、1.3gf*mm/radのいずれか、および/または、gsm当たり、多くとも以下:約1.5、1.45、1.4、1.35、1.3gf*mm/radのいずれか、の坪量当たり曲げ平均剛性率(BRAF)を有し、
前記BRAFは、式(1)によって決定され:
式(1): [(BARCD+BARMD)/2]/BW
BWは前記不織布の坪量である、請求項12に記載の不織布。
【請求項14】
不織布を形成する方法であって、
(i)第1の複数の捲縮連続繊維を含む第1のスパンボンド層を提供または形成することと、
(ii)第2の複数の捲縮連続繊維を含む第2のスパンボンド層を提供または形成することと、
(iii)第3の複数の捲縮連続繊維を含む第3のスパンボンド層を提供または形成することと、
(iv)前記第1のスパンボンド層、前記第2のスパンボンド層、および前記第3のスパンボンド層を一緒に結合して、請求項1~13のいずれか一項に記載の不織布を形成することと、を含む、方法。
【請求項15】
請求項1~13のいずれか一項に記載の不織布を含むドレープまたは衣服を含む、保護物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
〔関連出願との相互参照〕
本出願は、全体が参照により本明細書に明示的に組み込まれる、2021年6月4日に出願された米国特許出願第63/197,063号に対して米国特許法第119条(35 U.S.C. §119)に基づく優先権を主張する。
【0002】
〔技術分野〕
目下開示されている発明は、一般に、様々な医療用途に適した望ましいバリア特性を提供する一方で、使用者から望まれるかさばりおよび/または柔らかさのレベルも提供する不織布に関する。目下開示されている発明はまた、そのような不織布を製造する方法、およびそのような不織布を含む保護物品(例えば、衣服)を提供する。
【背景技術】
【0003】
クリーンエアスーツは通常、例えば手術室スタッフからの細菌を保有する鱗屑の飛散を防止することにより、患者、手術部位、機器への感染性物質の拡散を最小限に抑えるために使用される。したがって、クリーンエアスーツは術後の手術部位感染の予防に役立つ。全体として、クリーンエアスーツは感染リスクの低減に貢献することが実証されている。
【0004】
ほとんどのクリーンエアスーツは、スパンボンド-メルトブローン-スパンボンド(SMS)構造のようなメルトブローン繊維を少なくとも1層使用している。それは、それらがBS EN13795:2019 第2部に従って適切なバリア特性および引張強度を提供するためである。しかし、これらの構造はプラスチックの感触があるため、市場ではあまり受け入れられていない。
【0005】
再利用可能な綿生地もまた、快適性(綿のような感触)のためにクリーンエアスーツの製造に使用されてきた。しかし、これらの素材は、一般的に、EN13795:2019 第2部の主要属性として定義されているEN ISO 22612による乾燥微生物透過性(Microbial penetration -Dry)など、要求されるバリア特性を満たすことができない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、柔らかいかつ/または綿のような感触を提供すると共に、クリーンエアスーツのような様々な医療用途に使用するのに十分なバリア特性も提供する、不織布の必要性が残っている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の1つ以上の実施形態は、前述の問題の1つ以上に対処することができる。本発明による特定の実施形態は、複数のスパンボンド層を含む不織布を提供する。本発明の特定の実施形態による不織布は、第1の複数の捲縮連続繊維を含む第1のスパンボンド層と、第2の複数の捲縮連続繊維を含む第2のスパンボンド層と、第3の複数の捲縮連続繊維を含む第3のスパンボンド層と、を含み、第2のスパンボンド層は、第1のスパンボンド層と第3のスパンボンド層との間に直接または間接的に位置する。本発明の特定の実施形態による不織布は、少なくとも約0.3mmの厚さ(例えば、かさばり)(0.2kPaの圧力)およびEN ISO 811により少なくとも約15mbarの静水頭を有する。
【0008】
別の態様では、本発明は、本明細書に記載および開示されるものなどの不織布を形成する方法を提供する。この方法は、第1の複数の捲縮連続繊維を含む第1のスパンボンド層を提供または形成することと、第2の複数の捲縮連続繊維を含む第2のスパンボンド層を提供または形成することと、第3の複数の捲縮連続繊維を含む第3のスパンボンド層を提供または形成することと、を含むことができる。本方法はまた、第2のスパンボンド層を第1のスパンボンド層と第3のスパンボンド層との間に直接または間接的に配置することを含み得る。本方法はまた、第1のスパンボンド層、第2のスパンボンド層、および第3のスパンボンド層を一緒に結合して不織布を形成するステップまたは複数のステップを含んでもよく、不織布は、少なくとも約0.3mmの厚さおよび少なくとも約15mbarの静水頭を有する。
【0009】
さらに別の態様では、本発明は、本明細書に記載され開示されるような不織布を含む保護物品を提供し、保護物品の全体またはその少なくとも一部は、不織布から形成されている。例えば、保護物品は、ドレープ、衣服(例えば、クリーンエアスーツ)、または衣服(例えば、クリーンエアスーツ)の一部を含む。本発明の特定の実施形態によれば、不織布および/または保護物品(例えば、クリーンエアスーツ)は、10CFU/グラムのタルクの惹起濃度(challenge concentration)および30分間の振動時間を使用してEN ISO 22612によって測定して、100CFU未満、例えば50CFU未満または20CFU未満の乾燥微生物透過性(microbial penetration - Dry)を有し得る。
【0010】
以下、本発明のすべてではないがいくつかの実施形態が示されている添付図面を参照して、本発明をより十分に説明する。実際、本発明は、多くの異なる形態で具現化することができ、本明細書に記載の実施形態に限定されるものと解釈されるべきではなく、むしろ、これらの実施形態は、本開示が適用可能な法的要件を満たすように提供される。同様の符号は、全体を通して同様の要素を指す。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の特定の実施形態に従った連続捲縮繊維(例えば、複数の捲縮部分を含む連続繊維)を示す。
図2A】本発明の特定の実施形態による、いくつかの例としての多成分繊維の断面図の例を示す。
図2B】本発明の特定の実施形態による、いくつかの例としての多成分繊維の断面図の例を示す。
図2C】本発明の特定の実施形態による、いくつかの例としての多成分繊維の断面図の例を示す。
図2D】本発明の特定の実施形態による、いくつかの例としての多成分繊維の断面図の例を示す。
図2E】本発明の特定の実施形態による、いくつかの例としての多成分繊維の断面図の例を示す。
図2F】本発明の特定の実施形態による、いくつかの例としての多成分繊維の断面図の例を示す。
図2G】本発明の特定の実施形態による、いくつかの例としての多成分繊維の断面図の例を示す。
図2H】本発明の特定の実施形態による、いくつかの例としての多成分繊維の断面図の例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明のすべてではないがいくつかの実施形態が示されている添付図面を参照して、本発明をより十分に説明する。実際、本発明は、多くの異なる形態で具現化することができ、本明細書に記載の実施形態に限定されるものと解釈されるべきではなく、むしろ、これらの実施形態は、本開示が適用可能な法的要件を満たすように提供される。本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」、「その(the)」は、文脈上別段明確な指示がない限り、複数の指示対象を含む。
【0013】
本発明は、特定の実施形態によれば、複数の捲縮連続繊維(例えば、複数の捲縮部分を有する連続スパンボンド繊維)をそれぞれが含む複数のスパンボンド層を含む不織布を提供する。本発明の特定の実施形態による不織布は、柔らかいおよび/または綿のような感触を提供する一方で、クリーンエアスーツなどの様々な医療用途に使用するのに十分なバリア特性も提供することができる。例えば、不織布は、0.2kPaで少なくとも0.3mmの厚さ(例えば、嵩高さおよび/またはかさばり)を含み得るが、従来のスパンメルト材料は、坪量当たりおよび/または層数当たりでこのレベルの厚さを達成することができない。さらに、本発明の特定の実施形態による不織布は、15mbarより大きくなり得る改善された静水頭を提供することができ、これは、(例えば、同じ坪量で)従来のスパンボンド材料からは一般に達成できない。本発明の特定の実施形態による不織布は、約20CFU未満(例えば、EN13795:2019 第2部により100CFU未満)の乾燥微生物透過性(EN ISO 22612)を有し得る。本発明の特定の実施形態によれば、複数の捲縮スパンボンド繊維およびそれらの微細なデニールの組み合わせは、クリーンエアスーツ用途での使用に特に望ましくなり得る特殊なスパンボンド材料(例えば、卓越したかさばりおよびバリア特性を有する不織布)を作り出す。例えば、本発明の特定の実施形態による不織布は、BS EN 13795-2 2019 -手術用衣類およびドレープの要件-クリーンエアスーツ(-Requirements for Surgical Clothing & Drapes -clean air suits)を満たす。この規格に合格するために、不織布は、典型的には、少なくとも1つのメルトブローン層(例えば、SMS構造)を必要とする。本発明の特定の実施形態によれば、不織布は、メルトブローン繊維および/またはサブミクロン繊維を含まなくてもよい。
【0014】
用語「実質的な」または「実質的に」は、本発明の特定の実施形態によれば、特定された全量を包含することができ、または、本発明の他の実施形態によれば、特定された全量ではなく、大部分を包含することができる(例えば、特定された全量の95%、96%、97%、98%、もしくは99%)。
【0015】
本明細書において交換可能に使用される、用語「ポリマー(polymer)」または「ポリマーの(polymeric)」は、ホモポリマー、コポリマー、例えば、ブロック、グラフト、ランダム、および交互コポリマー、ターポリマーなど、ならびに、それらのブレンドおよび修飾物を含み得る。さらに、特に限定されない限り、用語「ポリマー」または「ポリマーの」は、全ての可能な構造異性体;幾何異性体、光学異性体もしくはエナンチオマーを含むがこれらに限定されない立体異性体;および/または、このようなポリマーもしくはポリマー材料の任意のキラル分子形態を含むものとする。これらの形態には、そのようなポリマーまたはポリマー材料のアイソタクチック、シンジオタクチック、およびアタクチック形態が含まれるが、これらに限定されない。用語「ポリマー」または「ポリマーの」は、チーグラー・ナッタ触媒系およびメタロセン/シングルサイト触媒系を含むがこれらに限定されない、種々の触媒系から製造されたポリマーも含むものとする。用語「ポリマー」または「ポリマーの」は、本発明の特定の実施形態によれば、発酵プロセスによって産生されるか、または生物学的に供給される(biosourced)ポリマーも含むものとする。
【0016】
本明細書で使用される用語「不織布」および「不織ウェブ」は、間に差し挟まれているが、編物もしくは織物のように識別可能な反復様式ではない、個々の繊維、フィラメント、および/または糸の構造を有するウェブを含み得る。不織ウェブは、本発明の特定の実施形態によれば、例えば、メルトブロープロセス、スパンボンドプロセス、ニードルパンチ、水流交絡、エアレイド、およびボンドカードウェブプロセス(bonded carded web processes)などの、当技術分野で従来知られている任意のプロセスによって形成することができる。本明細書で使用される「不織ウェブ」は、統合プロセスに供されていない複数の個々の繊維を含むことができる。
【0017】
本明細書で使用される「不織布」という用語は、複数の繊維が機械的に絡み合うかもしくは相互接続され、互いに融合され、かつ/または互いに化学的に結合された、繊維のウェブを含み得る。例えば、個々に置かれた繊維の不織ウェブは、結合または統合プロセスに供されて、個々の繊維の少なくとも一部を互いに機械的にからませるか、熱的に結合するか、または別様に結合して、相互接続された繊維の密着した(例えば、結合した)ウェブを形成することができる。
【0018】
本明細書で使用される「統合された」および「統合」という用語は、1つの不織ウェブまたは複数の不織ウェブの繊維の少なくとも一部をくっつけて、より近くに近接させるかまたはそれらの間を付着させ(例えば、互いに熱的に融合させ、互いに化学的に結合させ、かつ/または互いに機械的に絡ませ)て、1つの結合部位または複数の結合部位を形成することを含み得、結合部位は、非統合ウェブと比較して外力(例えば、摩耗および引張力)に対する抵抗を増加させるように機能する。1つの結合部位または複数の結合部位は、例えば、ウェブ材料に不連続または局所的変形を形成するように、軟化または溶融され、オプションとしてその後または同時に圧縮されているウェブ材料の不連続または局所的領域を含むことができる。さらに、用語「統合された」は、単にいくつかの例として熱的結合または機械的絡まり(例えば、水流交絡)などによって、繊維の少なくとも一部がより近くに近接するかまたはそれらの間が付着する(例えば、互いに熱的に融合される、互いに化学的に結合される、および/または、互いに機械的に絡まる)ように処理された、不織ウェブ全体を含むことができる。このようなウェブは、本発明の特定の実施形態によれば、「統合不織布」、「不織布」、または単に「布」とみなすことができる。
【0019】
本発明の特定の実施形態によれば、統合は、例えば、1つ以上のエンボスロールを介して、または高温流体の流れを使用して(例えば、スルーエアボンディング)、繊維状ウェブ(例えば、不織ウェブ)に熱および/または圧力を加える方法によって達成され得る。1つの非限定的かつ例示的な方法は、熱結合を含む。熱結合は、繊維状ウェブ(例えば、不織ウェブ)を、2つのロールによって形成される圧力ニップに通すことによって達成され得、ロールの1つはエンボスロールを含み、これは、加熱されて、繊維状ウェブ(例えば、不織ウェブ)上に対応する離散的な熱結合部位を付与または形成する1つ以上の幾何学的形状(例えば、点、菱形、円形、楕円形、ドッグボーン形状など)を有する複数の隆起突起をその表面に含むことができる。このような動作ステップは、例えば、「カレンダー加工」または「エンボス加工」と呼ばれることがあり、この場合、不織ウェブは、ウェブの一部のみが熱および圧力に曝されることを可能にするエンボスパターンを有するエンボスロールと第2のロール(例えば、アンビルロール)との間に引き込まれる。統合の程度または範囲は、統合されたかまたは統合を受けたウェブの全表面積の百分率として表され得、「結合面積」または「統合面積」と呼ばれることがある。多少異なる言い方をすると、本明細書で互換的に使用される「結合面積」および「統合面積」という用語は、繊維を結合部位へと結合することによって形成された局所的な部位によって占有される単位面積当たりの面積を含み、統合された不織布の総単位面積の百分率として表すことができる。例えば、統合された不織布(例えば、エンボスロールを介した熱結合を受ける)は、局所的なエネルギー入力の領域において不織ウェブの繊維のみを結合することによって形成される、複数の離散的な間隔をあけた結合部位または点(例えば、周囲および内部の結合部位または点)を含み得る。局所的なエネルギー入力から離れた繊維または繊維の一部は、隣接する繊維と実質的に結合しないままである。
【0020】
本明細書で使用される「連続繊維」という用語は、例えば、約500,000:1を超える、約750,000:1を超える、または約1,000,000:1を超えるなどの、高い長さ対直径アスペクト比(すなわち、長さ:直径)を有するフィラメントを含み得る。
本発明の特定の実施形態によれば、「連続繊維」という用語は、長さが本質的にエンドレスであるフィラメントを含み得る。
【0021】
本明細書で使用される「スパンボンド」という用語は、溶融熱可塑性材料を紡糸口金の複数の微細な、通常は円形の毛細管からフィラメントとして押し出し、押し出されたフィラメントの直径をその後急速に縮小することによって形成される、繊維を含み得る。本発明の実施形態によれば、スパンボンド繊維は、収集表面上に堆積されたときに一般に粘着性がなく、一般に連続的であってよい。本発明の特定の複合体に使用されるスパンボンドは、文献にSPINLACE(登録商標)として記載されている不織布を含み得ることに留意されたい。
【0022】
本明細書で使用される「メルトブローン」という用語は、本発明の特定の実施形態によれば、複数の微細なダイ毛細管を通じて溶融熱可塑性材料を溶融糸またはフィラメントとして、収束する高速の、通常は高温の、ガス(例えば空気)流の中に押し出し、これにより溶融熱可塑性材料のフィラメントを細くしてそれらの直径を縮小させ、マイクロファイバーの直径にまでし得ることによって形成される、繊維を含み得る。本発明の一実施形態によれば、ダイ毛細管は円形であってよい。その後、メルトブローン繊維は、高速ガス流によって運ばれ、収集表面上に堆積されて、ランダムに分配された(disbursed)メルトブローン繊維のウェブを形成する。メルトブローン繊維は、連続的であっても不連続的であってもよく、収集表面上に堆積されたときに一般に粘着性であるマイクロファイバーである。
【0023】
本明細書で使用される「短繊維」という用語は、フィラメントからの切断繊維を含むことができる。特定の実施形態によれば、任意のタイプのフィラメント材料を使用して、短繊維を形成することができる。例えば、短繊維は、ポリマー繊維および/またはエラストマー繊維から形成され得る。材料の非限定的な例は、ポリオレフィン(例えば、ポリプロピレンまたはポリプロピレン含有コポリマー)、ポリエチレンテレフタレート、およびポリアミドを含み得る。短繊維の平均長は、ほんの一例として、約2センチメートル~約15センチメートルを含むことができる。短繊維は、単成分繊維であっても多成分繊維であってもよい。
【0024】
本明細書で使用される「層」という用語は、X-Y平面内に存在する類似の材料タイプおよび/または機能の一般に認識可能な組み合わせを含み得る。
【0025】
本明細書で使用する「多成分繊維」という用語は、別々の押出機から押し出されるが、一緒に紡がれて1つの繊維を形成する少なくとも2つの異なるポリマー材料または組成物(例えば、2つ以上)から形成される繊維を含み得る。本明細書で使用される「二成分繊維」という用語は、別々の押出機から押し出されるが、一緒に紡がれて1つの繊維を形成する2つの異なるポリマー材料または組成物から形成される繊維を含み得る。ポリマー材料またはポリマーは、多成分繊維の断面を横切る別々のゾーンにおいて実質的に一定の位置に配置され、多成分繊維の長さに沿って連続的に延びる。このような多成分繊維の構成は、例えば、二成分繊維を含む多成分繊維の技術分野でそれぞれ知られているように、1つのポリマーが別のポリマーで囲まれているシース/コア配列、偏心シース/コア配列、サイドバイサイド配列、パイ配列、または「海の島」配列であってよい。
【0026】
本明細書で使用される「縦方向」または「MD」という用語は、布が製造または搬送される方向を含む。本明細書で使用される「横方向」または「CD」という用語は、MDに対して実質的に垂直な布の方向を含む。
【0027】
本明細書で使用される用語「捲縮」または「捲縮された」は、例えば、「L」字構成を有する、折り畳まれるかもしくは圧縮された部分、「ジグザグ」構成を有する波部分、または螺旋構成のようなカール部分などの、三次元カールまたは湾曲部を含む。本発明の特定の実施形態によれば、用語「捲縮」または「捲縮された」は、溶融紡糸プロセスにおける繊維の通常のレイダウン(lay-down)に関連するものなど、繊維におけるランダムな2次元の波または起伏を含まない。
【0028】
本明細書で使用される「高ロフト」という用語は、一般に約0.3mmを超えるz方向の厚さおよび比較的低いかさ密度を含む材料を含む。「高ロフト」不織布および/または層の厚さは、Thwig-Albert Instrument Co.(ウェストベルリン、ニュージャージー州08091)から入手可能なProGage Thicknessテスタ(モデル89-2009)を利用して測定すると、0.3mm超(例えば、0.4mm超、0.5mm超、0.6mm超、または0.7mm超)であってよく、このテスタは、測定中に1.45kPaの力を加える直径5.08cm(2インチ)のフットを利用する。本明細書で使用される「高ロフト」不織布および/または層は、さらに、比較的低い密度(例えば、かさ密度、すなわち、単位体積当たりの重量)、例えば約60kg/m未満、例えば、多くとも以下:約70、60、55、50、45、40、35、30、および25kg/mのいずれか、ならびに/または、少なくとも以下:約10、15、20、25、30、35、40、45、50、および55kg/mのいずれかを有し得る。
【0029】
本明細書で使用する「コロニー形成単位」(CFU)という用語は、微生物の培養可能数を表す単位を指し、培養可能数とは、固体栄養培地上でコロニーを形成することができる微生物、単細胞または凝集体、の数である。
【0030】
本明細書で使用する「クリーンエアスーツ」という用語は、医療用途における作業服のような着用可能な衣服であり、それを着用する人の皮膚に由来する皮膚鱗屑による手術室の空気の汚染を最小限に抑えることが意図され、分かっている。例えば、クリーンエアスーツは、カバーオール、もしくはブラウス、もしくは/およびズボンを含むか、またはこれからなることができる。
【0031】
本明細書で使用される「スクラブスーツ」という用語は、クリーンエアスーツの要件を満たす必要のない、手術室スタッフ用の作業服である。スクラブスーツは、スタッフからの空気で運ばれる飛散を防止することを主目的とするものではなく、製造者が適切と考えるように設計および加工することができる。
【0032】
本明細書で使用される「微生物透過への耐性」という用語は、材料(例えば、不織布)の片側から反対側への微生物の透過に耐える材料の能力を指す。
【0033】
本明細書で使用される「乾燥透過性」という用語は、乾燥状態での微生物透過に対する、振動による機械的作用と空気の動きとの組み合わせの効果を指す。
【0034】
本明細書においてメルトフローレート(MFR)が言及される場合は常に、MFRの値は標準手順ASTM D1238(230℃で2.16kg)に従って決定される。
【0035】
本明細書に開示された所与の範囲内でより小さな範囲を作り出すことができる、本明細書に開示された全ての整数の終点は、本発明の特定の実施形態の範囲内にある。例として、約10~約15の開示は、例えば、約10~約11;約10~約12;約13~約15;約14~約15などの中間範囲の開示を含む。さらに、本明細書に開示された所与の範囲内でより小さな範囲を作り出すことができる全ての単一小数(single decimal)(例えば、最も近い小数第一位まで報告された数字)の終点は、本発明の特定の実施形態の範囲内にある。例として、約1.5~約2.0の開示は、例えば、約1.5~約1.6;約1.5~約1.7;約1.7~約1.8などの中間範囲の開示を含む。
【0036】
本発明による特定の実施形態は、複数のスパンボンド層を含む不織布を提供する。本発明の特定の実施形態による不織布は、第1の複数の捲縮連続繊維を含む第1のスパンボンド層と、第2の複数の捲縮連続繊維を含む第2のスパンボンド層と、第3の複数の捲縮連続繊維を含む第3のスパンボンド層と、を含み、第2のスパンボンド層は、第1のスパンボンド層と第3のスパンボンド層との間に直接または間接的に位置する。本発明の特定の実施形態による不織布は、少なくとも約0.3mmの厚さ(例えば、嵩高さ)および少なくとも約15mbarの静水頭を有する。図1は、例えば、本発明の特定の実施形態による連続捲縮繊維50(例えば、複数の捲縮部分を含む連続スパンボンド繊維)を示しており、この連続捲縮繊維50は、複数の三次元コイル状またはらせん状捲縮部分を含む。
【0037】
本発明の特定の実施形態によれば、第1のスパンボンド層は、約10~約30グラム/平方メートル(gsm)、例えば、少なくとも以下:約10、12、15、18、20gsmのいずれか、および/または、多くとも以下:約30、28、25、22、20、18、15gsmのいずれか、の坪量を含み得る。加えて、または代替的に、第2のスパンボンド層は、約10~約30グラム/平方メートル(gsm)、例えば、少なくとも以下:約10、12、15、18、20gsmのいずれか、および/または、多くとも以下:約30、28、25、22、20、18、15gsmのいずれか、の坪量を有することができる。加えてまたは代替的に、第3のスパンボンド層は、約10~約30グラム/平方メートル(gsm)、例えば、少なくとも以下:約10、12、15、18、20gsmのいずれか、および/または、多くとも以下:約30、28、25、22、20、18、15gsmのいずれか、の坪量を有することができる。
【0038】
本発明の特定の実施形態によれば、不織布は、約40~約100グラム/平方メートル(gsm)、例えば、少なくとも以下:約40、45、50、60、70gsmのいずれか、および/または、多くとも以下:約100、90、80、70、60gsmのいずれか、の坪量を含み得る。
【0039】
本発明の特定の実施形態によれば、第1の複数の捲縮連続繊維は、約8~約30μm、例えば、少なくとも以下:約8、10、12、14、15、16、18、20μmのいずれか、および/または、多くとも以下:約30、28、26、25、24、23、22、21、20μmのいずれか(例えば、12~20μm)の平均直径を有し得る。加えてまたは代替的に、第2の複数の捲縮連続繊維は、約8~約30μm、例えば、少なくとも以下:約8、10、12、14、15、16、18、20μmのいずれか、および/または、多くとも以下:約30、28、26、25、24、23、22、21、20μmのいずれか(例えば、12~20μm)の平均直径を有することができる。加えてまたは代替的に、第3の複数の捲縮連続繊維は、約8~約30μm、例えば、少なくとも以下:約8、10、12、14、15、16、18、20μmのいずれか、および/または、多くとも以下:約30、28、26、25、24、23、22、21、20μmのいずれか(例えば、12~20μm)の平均直径を有することができる。
【0040】
本発明の特定の実施形態によれば、第1の複数の捲縮連続繊維は、約0.6~約3、例えば、少なくとも以下:約0.6、0.8、1、1.2、1.4、1.5、1.6、1.8、2のいずれか、および/または、多くとも以下:約3、2.8、2.6、2.5、2.4、2.2、2のいずれか(例えば、1~2デニール)の平均デニールを有することができる。加えて、または代替的に、第2の複数の捲縮連続繊維は、約0.6~約3、例えば、少なくとも以下:約0.6、0.8、1、1.2、1.4、1.5、1.6、1.8、2のいずれか、および/または、多くとも以下:約3、2.8、2.6、2.5、2.4、2.2、2のいずれか(例えば、1~2デニール)の平均デニールを有することができる。加えてまたは代替的に、第3の複数の捲縮連続繊維は、約0.6~約3、例えば、少なくとも以下:約0.6、0.8、1、1.2、1.4、1.5、1.6、1.8、2のいずれか、および/または、多くとも以下:約3、2.8、2.6、2.5、2.4、2.2、2のいずれか(例えば、1~2デニール)の平均デニールを有することができる。
【0041】
本発明の特定の実施形態によれば、第1の複数の捲縮連続繊維は、第1の複数の単成分繊維、または第1の複数の単成分繊維と第1の複数の多成分繊維との組み合わせを含み得る。加えてまたは代替的に、第2の複数の捲縮連続繊維は、第2の複数の単成分繊維、または第2の複数の単成分繊維と第2の複数の多成分繊維との組み合わせを含み得る。加えてまたは代替的に、第3の複数の捲縮連続繊維は、第3の複数の単成分繊維、または第3の複数の単成分繊維と第3の複数の多成分繊維との組み合わせを含み得る。本発明の特定の実施形態によれば、第1の複数の捲縮連続繊維、第2の複数の連続繊維、および第3の複数の捲縮連続繊維は、互いに独立して、単成分繊維の数で約0~約100%、例えば、単成分繊維の数で、少なくとも以下:約0、10、20、30、40、50%のいずれか、および/または、単成分繊維の数で、多くとも以下:約100、90、80、70、60、50%のいずれか、を含み得る。加えてまたは代替的に、第1の複数の捲縮連続繊維、第2の複数の連続繊維、および第3の複数の捲縮連続繊維は、互いに独立して、多成分繊維の数で約0~約100%、例えば、多成分繊維の数で、少なくとも以下:約0、10、20、30、40、50%のいずれか、および/または、多成分繊維の数で、多くとも以下:約100、90、80、70、60、50%のいずれか、を含み得る。
【0042】
本発明の特定の実施形態によれば、第1の複数の単成分繊維、第2の複数の単成分繊維、および第3の成分繊維は、互いに独立して、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド、またはそれらの任意の組み合わせなどの合成ポリマーを含むポリマー材料を含む。例えば、合成ポリマーは、ポリプロピレン、プロピレン単位を含むコポリマー、ポリエチレン、またはエチレン単位を含むコポリマーなどのポリオレフィンを含み得る。本発明の特定の実施形態によれば、例えば、ポリマー材料は、約10~約100重量%、例えば、少なくとも以下:約10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60重量%のいずれか、および/または、多くとも以下:約100、95、90、85、80、75、70、65、60重量%のいずれか、のポリオレフィンを含み得る。加えてまたは代替的に、ポリマー材料は、約10~約100重量%、例えば、少なくとも以下:約10、15、20、25、30、35、40、45、50重量%のいずれか、および/または、多くとも以下:約100、95、90、85、80、75、70、65、60、55、50重量%のいずれか、のポリオレフィン含有コポリマーを含み得る。本発明の特定の実施形態によれば、例えば、ポリマー組成物は、ポリオレフィンとポリオレフィン含有コポリマーとのブレンドを含んでもよい。
【0043】
本発明の特定の実施形態によれば、第1の複数の捲縮連続繊維、第2の複数の捲縮連続繊維、および第3の複数の捲縮連続繊維は、独立して、複数の多成分繊維(例えば、第1の複数の多成分繊維、第2の複数の多成分繊維、第3の複数の多成分繊維)を含み得る。例えば、第1の複数の多成分繊維、第2の複数の多成分繊維、第3の複数の多成分繊維、またはそれらの任意の組み合わせは、互いに独立して、少なくとも第1の成分および第2の成分を含み得る。本発明の特定の実施形態によれば、例えば、第1の成分は第1のポリマー材料を含み得、第2の成分は第2のポリマー材料を含み得、第1のポリマー材料は第2のポリマー材料とは異なる。第1のポリマー材料は、例えば、第1のポリオレフィン組成物を含み得、第2のポリマー材料は、第2のポリオレフィン組成物を含む。第1のポリオレフィン組成物は、例えば、第1のポリプロピレンを含み得、第2のポリオレフィン組成物は、例えば、第2のポリプロピレンおよび/または第2のポリエチレンを含み得る。
【0044】
本発明の特定の実施形態によれば、第1のポリオレフィン組成物は、ポリオレフィン画分Aとポリオレフィン画分Bとのブレンドを含んでもよく、ポリオレフィン画分Aは、第1のポリオレフィン組成物の50重量%超を占め、ポリオレフィン画分A-MFRが、ポリオレフィン画分Bのポリオレフィン画分B-MFRよりも小さい。本発明の特定の実施形態によれば、第1のポリオレフィン組成物は、ポリオレフィン画分B-MFRとポリオレフィン画分A-MFRとのMFR比が、約15:1~約100:1、例えば、少なくとも以下:約15:1、20:1、25:1、30:1、35:1、40:1、45:1、50:1のいずれか、および/または、多くとも以下:約100:1、95:1、90:1、85:1、80:1、75:1.70:1、65:1.60:1、55:1、50:1のいずれかとすることができる。追加的または代替的に、ポリオレフィン画分Bは、第1のポリオレフィン組成物の約0.5重量%~約20重量%を構成し得る。
【0045】
本発明の特定の実施形態によれば、第1の複数の多成分繊維、第2の複数の多成分繊維、第3の複数の多成分繊維、またはそれらの任意の組み合わせは、互いに独立して、複数の二成分繊維を含み得る。本発明の特定の実施形態によれば、二成分繊維は、シース/コア構成、サイドバイサイド構成、パイ構成、海の島構成、多葉性構成、またはそれらの任意の組み合わせを含むことができる。本発明の特定の実施形態によれば、シース/コア構成は、シース成分およびシース成分内に同心円状に位置していないコア成分を含む、偏心シース/コア構成(例えば、二成分繊維)を含むことができる。コア成分は、例えば、本発明の特定の実施形態によれば、偏心シース/コア構成を有する二成分繊維の外側表面の少なくとも一部を画定し得る。
【0046】
図2A図2Hは、本発明の特定の実施形態による多成分繊維のいくつかの非限定的な実施例の断面図の例を示す。図2A図2Hに示すように、多成分繊維50は、第1のポリマー組成物Aの第1のポリマー成分52と、第2のポリマー組成物Bの第2のポリマー成分54と、を含むことができる。第1の成分52および第2の成分54は、多成分繊維の長さに沿って実質的に連続的に延びる、多成分繊維の断面内の実質的に別個のゾーンに配置することができる。第1の成分52および第2の成分54は、図2Aに示されるような円形断面繊維または図2Gおよび図2Hに示されるようなリボン状(例えば、非円形)断面繊維において、サイドバイサイド配置で配置され得る。さらにまたは代替的に、第1の成分52および第2の成分54は、図2Bおよび図2Cに示されるような偏心シース/コア配置などのシース/コア配置で配置され得る。図2Bに示すような偏心シース/コア多成分繊維では、一方の成分が、他方の成分を完全に閉塞または包囲するが、多成分繊維内に非対称に位置して繊維の捲縮を可能にする(例えば、第1の成分52が成分54を包囲する)。図2Cに示されるような偏心シース/コア構成は、第2の成分の一部が露出されて繊維50の最も外側の表面の一部を形成することができるので、第2の成分54(例えば、コア成分)を完全にではなく実質的に包囲する、第1の成分52(例えば、シース成分)を含む。追加の例として、多成分繊維は、図2Dおよび図2Eに示されるような中空繊維、または図2Fに示されるような多葉性繊維(multilobal fibers)を含むことができる。しかしながら、多数の他の断面構成および/または繊維形状が、本発明の特定の実施形態に従って適切となり得ることに留意されたい。多成分繊維では、本発明の特定の実施形態によれば、それぞれのポリマー成分は、(体積または質量で)約85:15~約15:85の比で存在することができる。本発明の特定の実施形態によれば、(体積または質量で)約50:50の比が望ましい場合があるが、使用される特定の比は、体積もしくは質量で、多くとも以下:約85:15、80:20、75:25、70:30、65:35、60:40、55:45、50:50のいずれか、および/または、体積もしくは質量で、少なくとも以下:約50:50、45:55、40:60、35:65、30:70、25:75、20:80、15:85のいずれかなど、所望に応じて変化させることができる。
【0047】
上述のように、多成分繊維は、第1のポリマー組成物を含む第1の成分と、第2のポリマー組成物を含む第2の成分と、を含むことができ、第1のポリマー組成物は、第2のポリマー組成物とは異なる。例えば、第1のポリマー組成物は、第1のポリオレフィン組成物を含んでもよく、第2のポリマー組成物は、第2のポリオレフィン組成物を含んでもよい。本発明の特定の実施形態によれば、第1のポリオレフィン組成物は、第1のポリプロピレンまたはポリプロピレンのブレンドを含むことができ、第2のポリオレフィン組成物は、第2のポリプロピレンおよび/または第2のポリエチレンを含むことができ、第1のポリプロピレンまたはポリプロピレンのブレンドは、例えば、50g/10分未満のメルトフローレートを有する。さらにまたは代替的に、第1のポリプロピレンまたはポリプロピレンのブレンドは、第2のポリプロピレンおよび/または第2のポリエチレンよりも低い結晶化度を有し得る。
【0048】
本発明の特定の実施形態によれば、第1のポリマー組成物および第2のポリマー組成物は、引き伸ばしユニット直後であるがレイダウン前のディフューザセクションにおいて、引き伸ばし力が緩和された時点で、ならびに/または、繊維のレイダウンおよびウェブ形成後などの後処理、のいずれかにおいて、熱を追加的に加えることなく、多成分繊維がその中に1つ以上の捲縮を作り出すように選択することができる。したがって、ポリマー組成物は、異なる応力もしくは弾性回復特性、結晶化速度、および/または溶融粘度を有するという点で、互いに異なるポリマーを含むことができる。本発明の特定の実施形態によれば、本明細書に記載および開示されるような第1および第2のポリマー組成物のメルトフローレートによって自己捲縮するように選択されたポリマー組成物。本発明の特定の実施形態によれば、多成分繊維は、例えば、単一の連続方向に螺旋形状の捲縮を有する捲縮繊維部分を形成するか、または有することができる。例えば、1つのポリマー組成物は、繊維の捲縮性質によって形成された螺旋の内側に実質的にかつ連続的に位置し得る。
【0049】
本発明の特定の実施形態によれば、例えば、第1の成分の第1のポリマー組成物は、約10g/10分~150g/10分未満、例えば、多くとも以下:約150、125、100、80、60、50、48、46、44、42、40、38、36、35、34、32、30g/10分のいずれか、および/または、少なくとも以下:約10、12、15、18、20、22、24、25、26、28、30、32、34、35g/10分のいずれかの、第1のMFRを含むことができる。本発明の特定の実施形態によれば、第2の成分の第2のポリマー組成物は、約20g/10分~約150g/10分、例えば、多くとも以下:約150、125、100、80、60、50、48、46、44、42、40、38、36、35、34、32、30g/10分のいずれか、および/または、少なくとも以下:約20、22、24、25、26、28、30、32、34、35g/10分のいずれかの、第2のMFRを含むことができる。本発明の特定の実施形態によれば、第1のポリマー組成物と第2のポリマー組成物とのMFRの差は、約8g/10分~約100g/10分、例えば、多くとも以下:約100、80、60、50、40、30、28、26、25、24、22、20、18、16、15、14、12、10、8g/10分のいずれか、および/または、少なくとも以下:約8、10、12、14、15、20g/10分のいずれか、を含むことができる。
【0050】
上述したように、第1のポリオレフィン組成物は、ポリオレフィン画分または成分(例えば、ポリプロピレン系ブレンドを提供するために混合されるポリプロピレン画分Aおよび異なるポリプロピレン画分またはプロピレン単位を含むコポリマー画分B(copolymer containing propylene units fraction B))のブレンドを含み得る。例えば、第1のポリオレフィン組成物は、ポリオレフィン画分Aと、ポリオレフィン画分またはプロピレン単位を含むコポリマー画分Bとのブレンドを含んでもよく、ここで、ポリオレフィン画分Aは、第1のポリオレフィン組成物の50重量%超を占め、ポリオレフィン画分A-MFR(例えば、ポリオレフィン画分Bに比べて低いMFR)が、ポリオレフィン画分Bのポリオレフィン画分B-MFR未満である。本発明の特定の実施形態によれば、例えば、第1のポリオレフィン組成物は、ポリオレフィン画分B-MFR(例えば、2つのうちのMFRが高い材料)とポリオレフィン画分A-MFR(例えば、2つのうちのMFRが低い材料)とのMFR比が、約15:1~約100:1、例えば、多くとも以下:約100:1、90:1、80:1、75:1、70:1、65:1、60:1、55:1、50:1、45:1、40:1のいずれか、および/または、少なくとも以下:約15:1、18:1、20:1、22:1、24:1、25:1、26:1、28:1、30:1、32:1、34:1、35:1、40:1のいずれかである。本発明の特定の実施形態によれば、ポリオレフィン画分B(例えば、2つのうちのMFRが高い材料)は、第1のポリオレフィン組成物の約0.5重量%~約20重量%、例えば、第1のポリオレフィン組成物の、多くとも以下:約20、18、16、15、14、12、10、8、6重量%のいずれか、および/または、第1のポリオレフィン組成物の、少なくとも以下:約0.5、0.75、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10重量%のいずれか、を構成する。一例として、本発明による特定の実施形態は、第1の成分および第2が同じベースポリマー材料(例えば、同じポリプロピレン-低MFRポリプロピレン)から形成され、唯一の違いは、第1の成分のMFRが第2の成分のMFRよりも大きくなるように高MFRポリマーまたはプロピレン単位を含むコポリマー(例えば、本明細書に開示されるような高MFRポリプロピレンまたはコポリマー)を第1の成分に添加することである、多成分繊維を含み得る。この点に関して、高MFRポリマー(例えば、本明細書で開示されるような高MFRポリプロピレン)は、ポリオレフィン画分Bを含み得、顕著に低いMFRを有するベース層は、ポリオレフィン画分Aを含み得る。本発明のこのような実施形態によれば、例えば、第1の成分は、ポリオレフィン画分Aとポリオレフィン画分Bとのブレンドから形成され得、第2の成分は、ポリオレフィン画分Bから形成され得る。本発明の特定の実施形態によれば、第1の成分と第2の成分との唯一の違いは、第1の成分へのポリオレフィン画分Bの添加となり得る。本発明の特定の追加的な実施形態によれば、第1の成分は、ポリオレフィン画分Aとポリオレフィン画分Bとのブレンドから形成され得、一方、第2の成分は、「ニート」または未修飾形態のポリエチレンまたはポリプロピレンから形成され得る。
【0051】
加えてまたは代替的に、本発明の特定の実施形態による多成分繊維が含む、第1の成分と第2の成分との質量または体積比は、(体積または質量で)約85:15~約15:85の範囲、例えば、体積または質量で、多くとも以下:約85:15、80:20、75:25、70:30、65:35、60:40、55:45、50:50のいずれか、および/あるいは、体積または質量で、少なくとも以下:約50:50、45:55、40:60、35:65、30:70、25:75、20:80、15:85のいずれか、とすることができる。
【0052】
本発明の特定の実施形態によれば、多成分繊維は、約30%~約300%(例えば、30%~100%)、例えば、多くとも以下:約300、275、250、225、200、175、150、125、100、75%のいずれか、および/または、少なくとも以下:約20、30、40、50、75、100、125、150、175、200%のいずれか、の平均自由捲縮率(average free crimp percentage)を含み得る。本発明の特定の実施形態によれば、多成分繊維は、複数の別個のジグザグ構成の捲縮部分、複数の別個のもしくは連続的にコイル状にされるかもしくは螺旋状に構成された捲縮部分、またはそれらの組み合わせを含むことができる。平均自由捲縮率は、2.5Nロードセルを備えたインストロン5565を用いて問題の繊維の自由捲縮長を決定することによって確認することができる。この点に関して、自由または未延伸の繊維束を機械のクランプ内に配置してもよい。自由捲縮長は、繊維束に対する負荷(例えば、2.5Nロードセル)が一定になる点で測定され得る。以下のパラメータを使用して、自由捲縮長を決定する:(i)自由繊維束の概算重量をグラム単位で記録する(例えば、xxxg±0.002g);(ii)未延伸束の長さをインチ単位で記録する;(iii)インストロンのゲージ長(すなわち、繊維の束を保持するクランプ間の距離またはギャップ)を25.4mm(1インチ)に設定する;(iv)クロスヘッド速度を60.96mm(2.4インチ)/分に設定する。問題の繊維の自由捲縮長は、次に、負荷が一定になる(すなわち、繊維が完全に伸張している)点での繊維の伸張長さを記録することにより、確認され得る。平均自由捲縮率は、問題の繊維の自由捲縮長および未延伸繊維束長(例えば、ゲージ長)から計算することができる。例えば、上述のように1インチ(25.4mm)のゲージ長を使用する場合の、測定された32mmの自由捲縮長は、約126%の平均自由捲縮率を提供するであろう。平均自由捲縮率を決定する上記の方法は、螺旋状にコイル状にされた捲縮を有する連続繊維を評価する場合に特に有益であり得る。例えば、従来の織物繊維は、機械的に捲縮されており、光学的に測定することができるが、螺旋状にコイル状にされた捲縮部分を有する連続繊維は、このような繊維における「捲縮」を光学的に計数しようとする際にエラーを引き起こす。
【0053】
本発明の特定の実施形態によれば、多成分繊維は、約0.5mm~約5mm、例えば、多くとも以下:約5、4.75、4.5、4.25、4、3.75、3.5、3.25、3、2.9、2.8、2.7、2.6、2.5、2.4、2.3、2.2、2.1、2、1.9、1.8、1.7、1.6、1.5mmのいずれか、および/または、少なくとも以下:約0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2mmのいずれか、の平均直径(例えば、個々の捲縮部分を画定する最長の長さの平均に基づく)を有する複数の三次元捲縮部分を含むことができる。本発明の特定の実施形態によれば、複数の三次元捲縮部分の平均直径は、多成分繊維サンプルを観察し、SMFの三次元捲縮部分のループ直径のデジタル測定値を得るために、デジタル光学顕微鏡(日本のHiRoxにより製造、KH-7700)を使用することにより、確認され得る。一般に20x~40xの倍率範囲が、多成分繊維の三次元捲縮から形成されるループ直径の評価を容易にするために、使用され得る。
【0054】
本発明の特定の実施形態によれば、第1のスパンボンド層、第2のスパンボンド層、第3のスパンボンド層、またはそれらの任意の組み合わせは、スリップ剤を含んでもよい。この点に関して、不織布の層のいずれかを形成する複数の繊維は、繊維の本体内(例えば、繊維を形成するために紡糸された溶融物内)に組み込まれた、および/または繊維の外面に局所的に塗布された1つ以上のスリップ剤を含むことができる。例えば、スリップ剤は、第1の複数の捲縮連続繊維、第2の複数の捲縮連続繊維、第3の複数の捲縮連続繊維、またはそれらの任意の組み合わせの本体部分の少なくとも一部にわたって分散させることができる。加えてまたは代替的に、スリップ剤は、第1の複数の捲縮連続繊維、第2の複数の捲縮連続繊維、第3の複数の捲縮連続繊維、またはそれらの任意の組み合わせの外面の少なくとも一部に局所的に位置してもよい。
【0055】
本発明の特定の実施形態によれば、スリップ剤は、アミドを含み得る。例えば、スリップ剤は、一級アミド、二級アミド、三級アミド、ビスアミド、またはそれらの任意の組み合わせを含み得る。本発明の特定の実施形態によれば、スリップ剤は、エルカミド、オレアミド、ステアラミド(strearamide)、ベヘナミド、またはそれらの任意の組み合わせを含む1つ以上の一級アミドを含み得る。さらに、または代替的に、スリップ剤は、エチレンビスアミドを含む1つ以上のビスアミドを含み得る。
【0056】
本発明の特定の実施形態によれば、スリップ剤は、1つ以上のアミドを含み、この1つ以上のアミドは、不飽和脂肪族鎖、飽和脂肪族鎖、またはそれらの組み合わせを含む。本発明の特定の実施形態によれば、1つ以上の脂肪族鎖は、各々独立して、約1~約30個の炭素原子(例えば、約5~約30個の炭素原子)を含むことができる。例えば、二級アミドおよびビスアミドは、約1~約30個の炭素原子(例えば、約5~約30個の炭素原子)を各々独立して含み得る2つの飽和および/または不飽和炭素鎖を含み得る。ほんの一例として、1つ以上の脂肪族鎖は、それぞれ独立して、少なくとも以下:約1、5、10、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25個のいずれかの炭素原子、および/または、多くとも約30、29、28、27、26、25、20、15個の炭素原子(例えば、約15~約25個の炭素原子、約20~30個の炭素原子など)を含み得る。本発明の特定の実施形態によれば、スリップ剤は、1つ以上の元素または不飽和を有する不飽和脂肪族鎖を含むアミドを含んでもよい。不飽和の要素(element of unsaturation)は、飽和式よりも2個少ない水素原子に対応する。例えば、単一の二重結合は、1つの不飽和の要素を説明し、三重結合は、2つの不飽和の要素を説明する。本発明の特定の実施形態によれば、スリップ剤は、約1~約10個の不飽和の要素(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10個の飽和の要素)を含む不飽和脂肪族鎖を含む。
【0057】
本発明の特定の実施形態によれば、スリップ剤は、より多い量の、例えばステアラミドと、より少ない量の、例えばエルカミドとの組み合わせを含むことができる。例えば、より多い量のステアラミドとより少ない量のエルカミドとの組み合わせは、約25~約40重量%のエルカミドと約60~約75重量%のステアラミドを含むことができる。
【0058】
本発明の特定の実施形態によれば、第1の複数の捲縮連続繊維は、0~約5重量%、例えば、少なくとも以下:約0、0.2、0.4、0.5、0.6、0.8、1、1.2、1.4、1.5、1.6、1.8、2重量%のいずれか、および/または、多くとも以下:約5、4.8、4.5、4.2、4、3.8、3.5、3.2、3、2.8、2.5、2.2、2重量%のいずれか、のスリップ剤を含み得る。加えてまたは代替的に、第2の複数の捲縮連続繊維は、0~約5重量%、例えば、少なくとも以下:約0、0.2、0.4、0.5、0.6、0.8、1、1.2、1.4、1.5、1.6、1.8、2重量%のいずれか、および/または、多くとも以下:約5、4.8、4.5、4.2、4、3.8、3.5、3.2、3、2.8、2.5、2.2、2重量%のいずれか、のスリップ剤を含み得る。加えてまたは代替的に、第3の複数の捲縮連続繊維は、0~約5重量%、例えば、少なくとも以下:約0、0.2、0.4、0.5、0.6、0.8、1、1.2、1.4、1.5、1.6、1.8、2重量%のいずれか、および/または、多くとも以下:約5、4.8、4.5、4.2、4、3.8、3.5、3.2、3、2.8、2.5、2.2、2重量%のいずれか、のスリップ剤を含み得る。
【0059】
本発明の特定の実施形態によれば、第1のスパンボンド層、第2のスパンボンド層、第3のスパンボンド層、またはそれらの任意の組み合わせは、親水性添加剤および/または帯電防止添加剤を含んでもよい。この点に関して、不織布の層のいずれかを形成する複数の繊維は、繊維の本体内(例えば、繊維を形成するために紡糸された溶融物内)に組み込まれた、および/または繊維の外面に局所的に塗布された、1つ以上の親水性添加剤および/または1つ以上の帯電防止添加剤を含んでもよい。例えば、親水性添加剤および/または帯電防止添加剤は、第1の複数の捲縮連続繊維、第2の複数の捲縮連続繊維、第3の複数の捲縮連続繊維、またはそれらの任意の組み合わせの本体部分の少なくとも一部にわたって分散されていてよい。加えてまたは代替的に、親水性添加剤および/または帯電防止添加剤は、第1の複数の捲縮連続繊維、第2の複数の捲縮連続繊維、第3の複数の捲縮連続繊維、またはそれらの任意の組み合わせの外面の少なくとも一部に局所的に位置していてもよい。
【0060】
本発明の特定の実施形態によれば、第1のスパンボンド層、第2のスパンボンド層、第3のスパンボンド層、またはそれらの任意の組み合わせは、帯電防止処理を含むことができる。帯電防止処理は、例えば、布の表面におけるスパークまたは塵埃粒子蓄積を防止するために、一部の布では必要とされる場合がある。本発明の特定の実施形態によれば、帯電防止添加剤は、第1のスパンボンド層、第2のスパンボンド層、第3のスパンボンド層、またはそれらの任意の組み合わせを形成する複数の繊維を形成するポリマー(ホットメルト)とブレンドされ、押し出され得る。帯電防止添加剤は、布の少なくとも1つの表面に塗布される局所的な界面活性剤を含み得る。帯電防止添加剤は、必ずしも限定されないが、非イオン性(ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、脂肪酸ジエタノールアミド)、アニオン性(アルコール硫酸エステル塩)、カチオン性(四級アンモニウム化合物)、および両性の界面活性剤を含むことができる。
【0061】
本発明の特定の実施形態によれば、第1のスパンボンド層は、約0~約5重量%の帯電防止添加剤、例えば、少なくとも以下:約0、0.1、0.3、0.5、0.8、1、1.2、1.4、1.6、1.8、2、2.2、2.4、2.6重量%のいずれかの帯電防止添加剤、および/または、多くとも以下:約5、4.5、4、3.5、3、2.6重量%のいずれかの帯電防止添加剤を含み得る。加えてまたは代替的に、第2のスパンボンド層は、約0~約5重量%の帯電防止添加剤、例えば、少なくとも以下:約0、0.1、0.3、0.5、0.8、1、1.2、1.4、1.6、1.8、2、2.2、2.4、2.6重量%のいずれかの帯電防止添加剤、および/または、多くとも以下:約5、4.5、4、3.5、3、2.6重量%のいずれかの帯電防止添加剤を含み得る。加えてまたは代替的に、第3のスパンボンド層は、約0~約5重量%の帯電防止添加剤、例えば、少なくとも以下:約0、0.1、0.3、0.5、0.8、1、1.2、1.4、1.6、1.8、2、2.2、2.4、2.6重量%のいずれかの帯電防止添加剤、および/または、多くとも以下:約5、4.5、4、3.5、3、2.6重量%のいずれかの帯電防止添加剤を含み得る。本発明の特定の実施形態によれば、第1のスパンボンド層は、第3のスパンボンド層よりも多量の帯電防止添加剤を含むことができる。
【0062】
本発明の特定の実施形態によれば、不織布は、約2~約10個のスパンボンド層(例えば、3、4、5、6、7、8、9個のスパンボンド層)などの複数のスパンボンド層から全体が形成され得る。上述したように、例えば、不織布は、メルトブローン繊維および/またはサブミクロン繊維を含まなくてもよい。
【0063】
本発明の特定の実施形態によれば、不織布は、約50~約150N/5cm、例えば、少なくとも以下:約50、55、60、65、70、75、80、85、90N/5cmのいずれか、および/または、多くとも以下:約150、145、140、135、130、125、120、115、110、105、100、95、90N/5cmのいずれか、の縦方向(MD)引張強度を有し得る。加えてまたは代替的に、不織布は、約25~約85N/5cm、例えば、少なくとも以下:約25、30、32、35、38、40、42、45、48、50N/5cmのいずれか、および/または、多くとも以下:約85、80、75、70、65、60、55、50N/5cmのいずれかの横方向(CD)引張強度を有し得る。
【0064】
本発明の特定の実施形態によれば、不織布は、約20~約180%、例えば、少なくとも以下:約20、30、40、50、60、70、75、80、85、90%のいずれか、および/または、多くとも以下:約180、175、170、165、160、155、150、145、140、135、130、125、120、115、110、105、100、95、90%のいずれかのMD伸びを有し得る。加えてまたは代替的に、不織布は、約20~約180%、例えば、少なくとも以下:約20、30、40、50、60、70、75、80、90、100、110、115%のいずれか、および/または、多くとも以下:約180、170、160、150、140、130、125、120、115%のいずれかのCD伸びを有し得る。
【0065】
本発明の特定の実施形態による不織布は、不織布のCDおよびMDに垂直であるz方向の厚さを有してもよく、この厚さは、0.2kPaで約0.3~約3mm、例えば、0.2kPaで、少なくとも以下:約0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8mmのいずれか、および/または、0.2kPaで、多くとも約3、2.8、2.6、2.5、2.2、2、1.8、1.6、1.5、1.4、1.3、1.2、1.1、1、0.9、0.8mm(例えば、0.2kPaで0.3~1.5mm)とすることができる。加えてまたは代替的に、不織布は、約40~約600cfm、例えば、少なくとも以下:約40、60、80、100、120、140、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、250のいずれか、および/または、多くとも約600、570、540、510、480、450、420、400、390、380、360、350、330、320、300、290、280、270、260、250cfmの通気性を有し得る。加えてまたは代替的に、不織布は、AATCC127に従って決定して、約15bar~約30mbar、例えば、少なくとも以下:約15、16、18、20、22、25mbarのいずれか、および/または、多くとも以下:約30、28、26、25mbarのいずれかの静水頭を有し得る。加えてまたは代替的に、不織布は、静水圧頭と坪量との比が、約0.3~約0.7(mbar/gsm)、例えば、少なくとも以下:約0.3、0.32、0.34、0.36、0.38、0.4、0.42、0.44、0.46、0.48、0.5(mbar/gsm)のいずれか、および/または、多くとも以下:約0.7、0.68、0.66、0.64、0.62、0.6、0.58、0.56、0.54、0.52、0.5(mbar/gsm)のいずれかであってよく、静水頭はAATCC127に従って決定される。
【0066】
本発明の特定の実施形態によれば、不織布は、約300~約650(gf/cm)/mm、例えば、少なくとも以下:約300、320、350、380、400、420、440、460、480、500、520、540(gf/cm)/mmのいずれか、および/または、多くとも以下:約650、640、620、600、580、560、540(gf/cm)/mmのいずれか、の圧縮平均剛性(CAR)を有することができる。加えてまたは代替的に、不織布は、約500~約1200(gf/cm)/mm、例えば、少なくとも以下:約500、520、550、580、600、620、650、680、700、720、740、760、780、800、820、840、860、880、900(gf/cm)/mmのいずれか、および/または、多くとも以下:約1200、1150、1100、1050、1000、950、900(gf/cm)/mmのいずれかの回復平均剛性(RAR)を有することができる。加えてまたは代替的に、不織布は、(gf/cm)/mm単位のCARと(gf/cm)/mm単位のRARとの第1の比が、約55~約90、例えば、約55、58、60、62、64、65、68、70、および/または、多くとも以下:約90、88、85、82、80、78、75、72、70のいずれかであってよい。
【0067】
本発明の特定の実施形態によれば、不織布は、約10~約50gf*mm/rad、例えば、少なくとも以下:約10、12、15、18、20、22、24、25、26、28、30、32、34、35、36、38gf*mm/radのいずれか、および/または、多くとも以下:約50、48、46、45、44、42、40、38gf*mm/radのいずれか、のCDにおける曲げ平均剛性(BARCD)を有し得る。加えてまたは代替的に、不織布は、約30~約110gf*mm/rad、例えば、少なくとも以下:約30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85gf*mm/radのいずれか、および/または、多くとも以下:約110、105、100、95、90、85gf*mm/radのいずれか、のMDにおける曲げ平均剛性(BARMD)を有し得る。加えてまたは代替的に、不織布は、式(1)によって決定して、gsm当たり約0.8gf*mm/rad~gsm当たり約1.5gf*mm/radの、坪量当たり曲げ平均剛性率(BRAF)を有することができ:
式(1): [(BARCD+BARMD)/2]/BW
式中、BARCDおよびBARMDは上記で定義され、BWは不織布の坪量である。本発明の特定の実施形態によれば、例えば、BRAFは、gsm当たり約0.8~約1.5gf*mm/rad、例えば、gsm当たり、少なくとも以下:約0.8、0.85、0.9、0.95、1、1.05、1、1、1.15、1.2、1.25、1.3gf*mm/radのいずれか、および/または、gsm当たり、多くとも以下:約1.5、1.45、1.4、1.35、1.3gf*mm/radのいずれか、とすることができる。
【0068】
本発明の特定の実施形態によれば、不織布は、オプションとして、短繊維および/またはセルロース繊維(例えば、レーヨン、パルプ、綿など)の1つ以上の層を含むことができる。本発明の特定の実施形態によれば、不織布は、短繊維、セルロース繊維、またはその両方を含まなくてもよい。
【0069】
別の態様では、本発明は、本明細書に記載され開示されるもののような不織布を形成する方法を提供する。この方法は、第1の複数の捲縮連続繊維を含む第1のスパンボンド層を提供または形成することと、第2の複数の捲縮連続繊維を含む第2のスパンボンド層を提供または形成することと、第3の複数の捲縮連続繊維を含む第3のスパンボンド層を提供または形成することと、を含むことができる。本方法はまた、第2のスパンボンド層を第1のスパンボンド層と第3のスパンボンド層との間に直接または間接的に配置することを含み得る。本方法はまた、第1のスパンボンド層、第2のスパンボンド層、および第3のスパンボンド層を一緒に結合または統合して不織布を形成する1つまたは複数のステップを含んでもよく、不織布は、少なくとも約0.3mmの厚さおよび少なくとも約15mbarの静水頭を有する。
【0070】
第1のスパンボンド層、第2のスパンボンド層、および第3のスパンボンド層を一緒に結合または統合して不織布を形成する1つまたは複数のステップは、本明細書に記載されるような1つ以上の統合手段を含み得る。例えば、不織布を形成するための結合または統合手段は、熱結合プロセス、機械的結合プロセス、化学結合プロセス、スルーエアボンディングプロセス、またはそれらの任意の組み合わせを含み得る。本発明の特定の実施形態によれば、結合または統合ステップは、超音波結合動作および/または熱カレンダー加工動作を含む熱結合プロセスを含み得る。熱結合プロセスは、例えば、複数の個別かつ別々の結合部位を含む結合パターンを規定することができる。これに関して、複数の個別かつ別々の結合部位は、結合領域を画定し得る。本発明の特定の実施形態によれば、結合領域は、約1~約30%、例えば、少なくとも以下:約1、2、3、5、8、10、12、15、18、20%のいずれか、および/または、多くとも以下:約30、28、25、22、20%のいずれか、を含み得る。
【0071】
本発明の特定の実施形態によれば、本方法は、第1のスパンボンド層、第2のスパンボンド層、第3のスパンボンド層、またはそれらの任意の組み合わせを、上記に開示したような1つ以上のスリップ剤および/または上記に開示したような1つ以上の帯電防止添加剤で処理することを含み得る。例えば、本方法は、第1の帯電防止添加剤および/または第1のスリップ剤を含む第1のポリマー溶融物を形成することと、第1の複数の捲縮連続繊維を溶融紡糸することと、を含んでよく、第1の複数の捲縮連続繊維は、自己捲縮する性質のものであるか、または、レイダウン後の捲縮動作(例えば、熱誘起捲縮および/もしくは機械的に形成された捲縮)を介して捲縮可能な性質のものであってよい。加えてまたは代替的に、本方法は、第2の帯電防止添加剤および/または第2のスリップ剤を含む第2のポリマー溶融物を形成することと、第2の複数の捲縮連続繊維を溶融紡糸することと、を含んでよく、第2の複数の捲縮連続繊維は、自己捲縮する性質のものであるか、または、レイダウン後の捲縮動作を介して捲縮可能な性質のものであってよい。加えてまたは代替的に、本方法は、第3の帯電防止添加剤および/または第3のスリップ剤を含む第3のポリマー溶融物を形成することと、第3の複数の捲縮連続繊維を溶融紡糸することと、を含み得、第3の複数の捲縮連続繊維は、自己捲縮する性質のものであるか、または、レイダウン後の捲縮動作(例えば、捲縮の形成を熱的に誘導すること、および/もしくは捲縮を機械的に形成すること)を介して捲縮可能な性質のものであってよい。
【0072】
本発明の特定の実施形態によれば、第1のスパンボンド層、第2のスパンボンド層、第3のスパンボンド層、またはそれらの任意の組み合わせを、1つ以上の帯電防止添加剤および/または1つ以上のスリップ剤で処理するステップは、1つ以上の帯電防止添加剤および/または1つ以上のスリップ剤を、処理されている繊維の外面に局所的に塗布することを含み得る。例えば、本方法は、帯電防止添加剤および/またはスリップ剤を、第1のスパンボンド層、第2のスパンボンド層、第3のスパンボンド層、またはそれらの任意の組み合わせに局所的に塗布することを含み得る。
【0073】
本発明の特定の実施形態によれば、本方法は、第1のスパンボンド層、第2のスパンボンド層、第3のスパンボンド層、またはそれらの任意の組み合わせを、レイダウン後の捲縮動作(例えば、処理されている繊維に複数の捲縮部分を付与するための機械的および/または熱的捲縮動作)に供することを含み得る。
【0074】
本発明の特定の実施形態によれば、この方法は、第1のスパンボンド不織ウェブ(例えば、第1のスパンボンド層)を支持ベルト上に堆積させることと、第2のスパンボンド不織ウェブ(例えば、第2のスパンボンド層)を第1の不織ウェブの上に直接堆積させることと、第3のスパンボンド不織ウェブ(例えば、第3のスパンボンド層)を第2の不織ウェブの上に直接堆積させて、多層前駆体不織ウェブを形成することと、を含み得る。次いで、多層前駆体不織ウェブは、不織布を形成するために、本明細書に記載され開示されるもののような1つ以上の統合動作に供され得る。上述したように、各スパンボンド層を形成する複数の繊維は、自然に捲縮した連続繊維および/または捲縮可能な繊維を含み得、これらの繊維は、統合の前および/または後に1つ以上の捲縮を付与され得る。あるいは、スパンボンド層はそれぞれ、予め統合された個々のスパンボンド布として予め形成されていてもよい。これらのスパンボンド層を互いに重ね合わせ、一緒に統合して不織布を形成することができる。
【0075】
さらに別の態様では、本発明は、本明細書に記載され開示されるような不織布を含む保護物品を提供し、保護物品の全体またはその少なくとも一部は、不織布から形成される。例えば、保護物品は、ドレープ(例えば、外科用ドレープ)、衣服(例えば、クリーンエアスーツもしくは手術用衣類)、または衣服(例えば、クリーンエアスーツ)の一部を含む。本発明の特定の実施形態によれば、不織布および/または保護物品(例えば、クリーンエアスーツ)は、108CFU/グラムのタルクの惹起濃度および30分間の振動時間を使用してEN ISO 22612によって測定して、100CFU未満、例えば50CFU未満または20CFU未満の乾燥微生物透過性を有することができる。加えてまたは代替的に、不織布および/または保護物品は、EN ISO 11737-1によって測定して、100CFU/100cm未満の清浄度微生物バイオバーデン(cleanliness microbial bioburdon)を有することができる。
【0076】
実施例
本開示は、以下の実施例によってさらに例示され、これは決して限定的であると解釈されるべきではない。すなわち、以下の実施例に記載される特定の特徴は、単に例示的なものであり、限定的なものではない。
【0077】
本発明の特定の実施形態に従って、3つのスパンボンド層からなる不織布を準備した。不織布の総坪量は45gsmであった。特に、各スパンボンド層は、複数の連続スパンボンド繊維を含み、これは、その中に複数の捲縮部分を有する(例えば、捲縮連続繊維)。各層の繊維はすべて単一のポリマー系から形成された。この点で、各スパンボンド層の繊維のポリマー組成物は同じであった。利用されたポリマー組成物は、約61重量%のポリプロピレン、約36重量%のポリオレフィン系ランダムコポリマー、約2重量%の着色顔料、および約1重量%のスリップ添加剤(すなわち、エルカミド)を含んでいた。この不織布は特に嵩高で、高ロフト不織布と言える。
【0078】
前述の不織布のサンプルを、ISO 22612(2005)およびEN 13795-2(2019)に従って、乾燥微生物透過への耐性について試験した。20cm×20cmの大きさの試験片12枚を得た(すなわち、試験片5枚+対照としての試験片1枚の試験2回)。試験片の調整は、24時間にわたり相対湿度65%で20℃であった。その後、試験片を121℃の温度の蒸気で15分間滅菌した。試験片の第1の側面を、タルクと接触させ、これは(ATCCでバチルス・サブティリス変種ニガー(Bacillus subtilis var. niger)として寄託されている)バチルス・アトロファエウス芽胞ATCC 9372。タルク数は10CFU/gであった。振動数は20,800回/分で、振動時間は30分であった。試験結果を以下で表1Aと表1Bに示す。
【表1】
【0079】
不織布の総坪量が50gsmであることを除いて、前述の不織布と同様にして第2の不織布を作製した。この不織布は、不織布のいくつかの物理的特性を評価するために様々な試験に供された。また、対照比較を提供するために、比較用不織布も試験した。比較用不織布は、49gsmの坪量を有する市販のスパンボンドであった。この点で、比較用不織布は、ポリプロピレン樹脂、ポリオレフィン系ランダムコポリマー樹脂、および柔らかさを与えるスリップ添加剤をブレンドすることによって製造されたモノスパンボンドであった。以下に提供する表2および表3は、比較用不織布、および本発明の特定の実施形態に従って形成された不織布(例えば、本発明の不織布)の両方について分析した物理的特性のいくつかをまとめたものである。
【表2】

【表3】
【0080】
表2で用いた試験方法は以下の通りであった:坪量(B.W.)はASTM D 3776に従って決定され;すべての強度および伸び特性はASTM D5035に従って決定され;通気性はASTM D737に従って決定され;H-O-MはWSP 90.3に従って決定され;静水頭(HSH)はAATCC 127に従って決定され;静的減衰はWSP 40.2に従って決定された。表3のすべての試験は、FTT(SDL ATLAS Fabric Touch Tester)によって試験された。
【0081】
本発明に対するこれらおよび他の修正および変形が、添付の特許請求の範囲により具体的に示される本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、当業者によって実施され得る。加えて、様々な実施形態の態様は、全体または一部を入れ替えてもよいことを理解されたい。さらに、当業者は、上記の説明が単なる例であり、添付の特許請求の範囲にさらに記載されているように本発明を限定することを意図していないことを理解するであろう。
したがって、添付の特許請求の範囲の趣旨および範囲は、本明細書に含まれるバージョンの例示的な記述に限定されるべきではない。
【0082】
〔実施の態様〕
(1) 不織布であって、
(i)第1の複数の捲縮連続繊維を含む第1のスパンボンド層と、
(ii)第2の複数の捲縮連続繊維を含む第2のスパンボンド層と、
(iii)第3の複数の捲縮連続繊維を含む第3のスパンボンド層と、を含み、
前記第2のスパンボンド層は、前記第1のスパンボンド層と前記第3のスパンボンド層との間に直接位置し、
前記不織布は、0.2kPaで少なくとも約0.3mm、例えば、0.2kPaで約0.3mm~約3mmの厚さ、ならびに、少なくとも約15hPa(約15mbar)、例えば、少なくとも以下:約15、16、18、20、22、25hPa(約15、16、18、20、22、25mbar)のいずれか、および/または、多くとも以下:約30、28、26、25hPa(約30、28、26、25mbar)のいずれかの静水頭を有する、不織布。
(2) 前記第1のスパンボンド層、前記第2のスパンボンド層、および前記第3のスパンボンド層は、互いに独立して、約10~約30グラム/平方メートル(gsm)、例えば、少なくとも以下:約10、12、15、18、20gsmのいずれか、および/または、多くとも以下:約30、28、25、22、20、18、15gsmのいずれか、の坪量を有する、実施態様1に記載の不織布。
(3) 前記第1の複数の捲縮連続繊維、前記第2の複数の捲縮連続繊維、および前記第3の複数の捲縮連続繊維は、互いに独立して、約8~約30μm、例えば、少なくとも以下:約8、10、12、14、15、16、18、20μmのいずれか、および/または、多くとも以下:約30、28、26、25、24、23、22、21、20μmのいずれかの平均直径を有する、実施態様1~2に記載の不織布。
(4) 前記第1の複数の捲縮連続繊維、前記第2の複数の捲縮連続繊維、および前記第3の複数の捲縮連続繊維は、互いに独立して、約0.6~約3、例えば、少なくとも以下:約0.6、0.8、1、1.2、1.4、1.5、1.6、1.8、2のいずれか、および/または、多くとも以下:約3、2.8、2.6、2.5、2.4、2.2、2のいずれかの平均デニールを有する、実施態様1~3に記載の不織布。
(5) 前記第1の複数の捲縮連続繊維は、第1の複数の単成分繊維を含み、前記第2の複数の捲縮連続繊維は、第2の複数の単成分繊維を含み、前記第3の複数の捲縮連続繊維は、第3の複数の単成分繊維を含む、実施態様1~4に記載の不織布。
【0083】
(6) 前記第1の複数の単成分繊維、前記第2の複数の単成分繊維、および前記第3の単成分繊維は、互いに独立して、ポリオレフィンと、プロピレン単位および/またはエチレン単位を含むコポリマーなどのポリオレフィン含有コポリマーとのそれぞれのブレンドを含むそれぞれのポリマー材料を含む、実施態様5に記載の不織布。
(7) 前記それぞれのポリマー材料は、それぞれ、約40~約100重量%、例えば、少なくとも以下:約40、45、50、55、60重量%のいずれか、および/または、多くとも以下:約100、95、90、85、80、75、70、65、60重量%のいずれか、のポリオレフィン;ならびに、約10~約100重量%、例えば、少なくとも以下:約10、15、20、25、30、35重量%のいずれか、および/または、多くとも以下:約100、95、90、85、80、75、70、65、60、55、50、45、40、35重量%のいずれか、のポリオレフィン含有コポリマーを含む、実施態様6に記載の不織布。
(8) 前記第1のスパンボンド層、前記第2のスパンボンド層、前記第3のスパンボンド層、またはそれらの任意の組み合わせは、スリップ剤を含み、前記スリップ剤は、アミド、例えば、エルカミド、オレアミド、ステアラミド、ベヘナミド、またはそれらの任意の組み合わせを含む1つ以上の一級アミドを含む、実施態様1~7に記載の不織布。
(9) 前記不織布は、メルトブローン繊維、サブミクロン繊維、またはその両方を 含まない、実施態様1~8に記載の不織布。
(10) 前記不織布は、約300~約650(gf/cm2)/mm、例えば、少なくとも以下:約300、320、350、380、400、420、440、460、480、500、520、540(gf/cm2)/mmのいずれか、および/または、多くとも以下:約650、640、620、600、580、560、540(gf/cm2)/mmのいずれかの圧縮平均剛性(CAR)、約500~約1200(gf/cm2)/mm、例えば、少なくとも以下:約500、520、550、580、600、620、650、680、700、720、740、760、780、800、820、840、860、880、900(gf/cm2)/mmのいずれか、および/または、多くとも以下:約1200、1150、1100、1050、1000、950、900(gf/cm2)/mmのいずれかの回復平均剛性(RAR)、あるいはその両方を有する、実施態様1~9に記載の不織布。
【0084】
(11) 前記不織布は、(gf/cm2)/mm単位の前記CARと(gf/cm2)/mm単位の前記RARとの第1の比が、約55~約90、例えば、約55、58、60、62、64、65、68、70、および/または、多くとも以下:約90、88、85、82、80、78、75、72、70のいずれかである、実施態様10に記載の不織布。
(12) 前記不織布は、約10~約50gf*mm/rad、例えば、少なくとも以下:約10、12、15、18、20、22、24、25、26、28、30、32、34、35、36、38gf*mm/radのいずれか、および/または、多くとも以下:約50、48、46、45、44、42、40、38gf*mm/radのいずれか、のCDにおける曲げ平均剛性(BARCD)、約30~約110gf*mm/rad、例えば、少なくとも以下:約30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85gf*mm/radのいずれか、および/または、多くとも以下:約110、105、100、95、90、85gf*mm/radのいずれか、のMDにおける曲げ平均剛性(BARMD)、あるいはその両方を有する、実施態様1~11に記載の不織布。
(13) 前記不織布は、gsm当たり約0.8~約1.5gf*mm/rad、例えば、gsm当たり、少なくとも以下:約0.8、0.85、0.9、0.95、1、1.05、1、1、1.15、1.2、1.25、1.3gf*mm/radのいずれか、および/または、gsm当たり、多くとも以下:約1.5、1.45、1.4、1.35、1.3gf*mm/radのいずれか、の坪量当たり曲げ平均剛性率(BRAF)を有し、
前記BRAFは、式(1)によって決定され:
式(1): [(BARCD+BARMD)/2]/BW
BWは前記不織布の坪量である、実施態様12に記載の不織布。
(14) 不織布を形成する方法であって、
(i)第1の複数の捲縮連続繊維を含む第1のスパンボンド層を提供または形成することと、
(ii)第2の複数の捲縮連続繊維を含む第2のスパンボンド層を提供または形成することと、
(iii)第3の複数の捲縮連続繊維を含む第3のスパンボンド層を提供または形成することと、
(iv)前記第1のスパンボンド層、前記第2のスパンボンド層、および前記第3のスパンボンド層を一緒に結合して、実施態様1~13のいずれかに記載の不織布を形成することと、を含む、方法。
(15) 実施態様1~13のいずれかに記載の不織布を含むドレープまたは衣服を含む、保護物品。
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図2F
図2G
図2H
【手続補正書】
【提出日】2024-02-05
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
不織布であって、
(i)第1の複数の捲縮連続繊維を含む第1のスパンボンド層であって、前記第1の複数の捲縮連続繊維は、第1の複数の単成分繊維を含む、第1のスパンボンド層と、
(ii)第2の複数の捲縮連続繊維を含む第2のスパンボンド層と、
(iii)第3の複数の捲縮連続繊維を含む第3のスパンボンド層と、を含み、
前記第2のスパンボンド層は、前記第1のスパンボンド層と前記第3のスパンボンド層との間に直接位置し、
前記不織布は、0.2kPaで少なくとも約0.3mm、例えば、0.2kPaで約0.3mm~約3mmの厚さ、ならびに、少なくとも約15hPa(約15mbar)、例えば、少なくとも以下:約15、16、18、20、22、25hPa(約15、16、18、20、22、25mbar)のいずれか、および/または、多くとも以下:約30、28、26、25hPa(約30、28、26、25mbar)のいずれかの静水頭を有する、不織布。
【請求項2】
前記第1のスパンボンド層、前記第2のスパンボンド層、および前記第3のスパンボンド層は、互いに独立して、約10~約30グラム/平方メートル(gsm)、例えば、少なくとも以下:約10、12、15、18、20gsmのいずれか、および/または、多くとも以下:約30、28、25、22、20、18、15gsmのいずれか、の坪量を有する、請求項1に記載の不織布。
【請求項3】
前記第1の複数の捲縮連続繊維、前記第2の複数の捲縮連続繊維、および前記第3の複数の捲縮連続繊維は、互いに独立して、約8~約30μm、例えば、少なくとも以下:約8、10、12、14、15、16、18、20μmのいずれか、および/または、多くとも以下:約30、28、26、25、24、23、22、21、20μmのいずれかの平均直径を有する、請求項1に記載の不織布。
【請求項4】
前記第1の複数の捲縮連続繊維、前記第2の複数の捲縮連続繊維、および前記第3の複数の捲縮連続繊維は、互いに独立して、約0.6~約3、例えば、少なくとも以下:約0.6、0.8、1、1.2、1.4、1.5、1.6、1.8、2のいずれか、および/または、多くとも以下:約3、2.8、2.6、2.5、2.4、2.2、2のいずれかの平均デニールを有する、請求項1に記載の不織布。
【請求項5】
記第2の複数の捲縮連続繊維は、第2の複数の単成分繊維を含み、前記第3の複数の捲縮連続繊維は、第3の複数の単成分繊維を含む、請求項1に記載の不織布。
【請求項6】
前記第1の複数の単成分繊維、前記第2の複数の単成分繊維、および前記第3の単成分繊維は、互いに独立して、ポリオレフィンと、プロピレン単位および/またはエチレン単位を含むコポリマーなどのポリオレフィン含有コポリマーとのそれぞれのブレンドを含むそれぞれのポリマー材料を含む、請求項5に記載の不織布。
【請求項7】
前記それぞれのポリマー材料は、それぞれ、約40~約100重量%、例えば、少なくとも以下:約40、45、50、55、60重量%のいずれか、および/または、多くとも以下:約100、95、90、85、80、75、70、65、60重量%のいずれか、のポリオレフィン;ならびに、約10~約100重量%、例えば、少なくとも以下:約10、15、20、25、30、35重量%のいずれか、および/または、多くとも以下:約100、95、90、85、80、75、70、65、60、55、50、45、40、35重量%のいずれか、のポリオレフィン含有コポリマーを含む、請求項6に記載の不織布。
【請求項8】
前記第1のスパンボンド層、前記第2のスパンボンド層、前記第3のスパンボンド層、またはそれらの任意の組み合わせは、スリップ剤を含み、前記スリップ剤は、アミド、例えば、エルカミド、オレアミド、ステアラミド、ベヘナミド、またはそれらの任意の組み合わせを含む1つ以上の一級アミドを含む、請求項1に記載の不織布。
【請求項9】
前記不織布は、メルトブローン繊維、サブミクロン繊維、またはその両方を含まない、請求項1に記載の不織布。
【請求項10】
前記不織布は、約300~約650(gf/cm )/mm、例えば、少なくとも以下:約300、320、350、380、400、420、440、460、480、500、520、540(gf/cm )/mmのいずれか、および/または、多くとも以下:約650、640、620、600、580、560、540(gf/cm )/mmのいずれかの圧縮平均剛性(CAR)、約500~約1200(gf/cm )/mm、例えば、少なくとも以下:約500、520、550、580、600、620、650、680、700、720、740、760、780、800、820、840、860、880、900(gf/cm )/mmのいずれか、および/または、多くとも以下:約1200、1150、1100、1050、1000、950、900(gf/cm )/mmのいずれかの回復平均剛性(RAR)、あるいはその両方を有する、請求項1に記載の不織布。
【請求項11】
前記不織布は、(gf/cm )/mm単位の前記CARと(gf/cm )/mm単位の前記RARとの第1の比が、約55~約90、例えば、約55、58、60、62、64、65、68、70、および/または、多くとも以下:約90、88、85、82、80、78、75、72、70のいずれかである、請求項10に記載の不織布。
【請求項12】
前記不織布は、約10~約50gf*mm/rad、例えば、少なくとも以下:約10、12、15、18、20、22、24、25、26、28、30、32、34、35、36、38gf*mm/radのいずれか、および/または、多くとも以下:約50、48、46、45、44、42、40、38gf*mm/radのいずれか、のCDにおける曲げ平均剛性(BARCD)、約30~約110gf*mm/rad、例えば、少なくとも以下:約30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85gf*mm/radのいずれか、および/または、多くとも以下:約110、105、100、95、90、85gf*mm/radのいずれか、のMDにおける曲げ平均剛性(BARMD)、あるいはその両方を有する、請求項1に記載の不織布。
【請求項13】
前記不織布は、gsm当たり約0.8~約1.5gf*mm/rad、例えば、gsm当たり、少なくとも以下:約0.8、0.85、0.9、0.95、1、1.05、1、1、1.15、1.2、1.25、1.3gf*mm/radのいずれか、および/または、gsm当たり、多くとも以下:約1.5、1.45、1.4、1.35、1.3gf*mm/radのいずれか、の坪量当たり曲げ平均剛性率(BRAF)を有し、
前記BRAFは、式(1)によって決定され:
式(1): [(BARCD+BARMD)/2]/BW
BWは前記不織布の坪量である、請求項12に記載の不織布。
【請求項14】
不織布を形成する方法であって、
(i)第1の複数の捲縮連続繊維を含む第1のスパンボンド層を提供または形成することと、
(ii)第2の複数の捲縮連続繊維を含む第2のスパンボンド層を提供または形成することと、
(iii)第3の複数の捲縮連続繊維を含む第3のスパンボンド層を提供または形成することと、
(iv)前記第1のスパンボンド層、前記第2のスパンボンド層、および前記第3のスパンボンド層を一緒に結合して、請求項1~13のいずれか一項に記載の不織布を形成することと、を含む、方法。
【請求項15】
請求項1~13のいずれか一項に記載の不織布を含むドレープまたは衣服を含む、保護物品。
【国際調査報告】