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特表2024-520748フィラメントワインディング方法およびこれによって製造された圧力容器
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  • 特表-フィラメントワインディング方法およびこれによって製造された圧力容器 図1
  • 特表-フィラメントワインディング方法およびこれによって製造された圧力容器 図2
  • 特表-フィラメントワインディング方法およびこれによって製造された圧力容器 図3
  • 特表-フィラメントワインディング方法およびこれによって製造された圧力容器 図4
  • 特表-フィラメントワインディング方法およびこれによって製造された圧力容器 図5
  • 特表-フィラメントワインディング方法およびこれによって製造された圧力容器 図6
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-24
(54)【発明の名称】フィラメントワインディング方法およびこれによって製造された圧力容器
(51)【国際特許分類】
   F17C 1/06 20060101AFI20240517BHJP
   B29C 70/32 20060101ALI20240517BHJP
【FI】
F17C1/06
B29C70/32
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023575356
(86)(22)【出願日】2022-05-09
(85)【翻訳文提出日】2023-12-06
(86)【国際出願番号】 KR2022006595
(87)【国際公開番号】W WO2022260289
(87)【国際公開日】2022-12-15
(31)【優先権主張番号】10-2021-0073415
(32)【優先日】2021-06-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521506227
【氏名又は名称】イルジン ハイソルス カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】ILJIN HYSOLUS Co., Ltd.
【住所又は居所原語表記】97-46, Wanjusandan 5-ro, Bongdong-eup, Wanju-gun, Jeollabuk-do, Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110000109
【氏名又は名称】弁理士法人特許事務所サイクス
(72)【発明者】
【氏名】ユン ス ジン
(72)【発明者】
【氏名】カン ジュン ヨン
(72)【発明者】
【氏名】キム ジョン ヨル
(72)【発明者】
【氏名】キム ヘ ソン
【テーマコード(参考)】
3E172
4F205
【Fターム(参考)】
3E172AA02
3E172AA05
3E172AB01
3E172BA01
3E172BB12
3E172BB17
3E172BC01
3E172BC04
3E172BD03
3E172CA20
3E172DA36
3E172DA37
4F205AA29
4F205AA36
4F205AD05
4F205AD12
4F205AD16
4F205AG07
4F205AH55
4F205AR07
4F205HA02
4F205HA23
4F205HA37
4F205HA46
4F205HB01
4F205HB11
4F205HC02
4F205HK03
4F205HK04
4F205HK19
4F205HL02
4F205HL14
4F205HT22
4F205HT26
(57)【要約】
本発明は、(a)ライナーの外周面に繊維強化複合材をワインディングし、第1パターン層を形成する段階と、(b)前記第1パターン層の上部面に繊維強化複合材をワインディングし、第2パターン層を形成することによって、第1複合材層を形成する段階と、(c)前記第1複合材層の上部面にさらに第1パターン層を形成し、前記第1パターン層の上部面に第2パターン層を形成することによって、第2複合材層を形成する段階と、を含み、下記数式1によって複合材層が繰り返し形成されることを特徴とするフィラメントワインディング方法を提供する:
[数式1]
≦5
ここで、Cは、全体複合材層の個数である。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)ライナーの外周面に繊維強化複合材をワインディングし、第1パターン層を形成する段階と、
(b)前記第1パターン層の上部面に繊維強化複合材をワインディングし、第2パターン層を形成することによって、第1複合材層を形成する段階と、
(c)前記第1複合材層の上部面にさらに第1パターン層を形成し、前記第1パターン層の上部面に第2パターン層を形成することによって、第2複合材層を形成する段階と、を含み、下記数式1によって複合材層が繰り返し形成されることを特徴とするフィラメントワインディング方法:
[数式1]
≦5
ここで、Cは、全体複合材層の個数である。
【請求項2】
前記(c)段階で第2パターン層を形成し、ヘリカルパターン層を形成する段階をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載のフィラメントワインディング方法。
【請求項3】
前記第1パターン層は、前記ライナーの円周方向に前記繊維強化複合材がワインディングされて形成されるフープ(Hoop)パターン層であることを特徴とする請求項1に記載のフィラメントワインディング方法。
【請求項4】
前記(b)段階の前記第2パターン層は、前記第1パターン層の上部面に繊維強化複合材がワインディングされてチューブヘリカル(Tube Helical)パターン層を形成し、かつ下記数式2を満たすことを特徴とする請求項3に記載のフィラメントワインディング方法:
[数式2]
>N
ここで、Nは、ライナーの上部面に形成されるフープパターン層の層数であり、Nは、前記フープパターン層の上部面に形成されるチューブヘリカルパターン層の層数である。
【請求項5】
前記(c)段階で、前記第2パターン層は、前記第1パターン層の上部面に繊維強化複合材がワインディングされてチューブヘリカル(Tube Helical)パターン層を形成し、かつ下記数式3を満たすことを特徴とする請求項3に記載のフィラメントワインディング方法:
[数式3]
≧N
ここで、Nは、第2複合材層のフープパターン層の層数であり、Nは、チューブヘリカルパターン層の層数である。
【請求項6】
前記(c)段階の前記第1パターン層のワインディング開始点は、前記(a)段階の前記第1パターン層のワインディング開始点より前記ライナーの中心方向に移動することを特徴とする請求項1に記載のフィラメントワインディング方法。
【請求項7】
前記チューブヘリカルパターン層は、ライナーの軸方向を基準として約60°~89°の角度でワインディングされることを特徴とする請求項4または5に記載のフィラメントワインディング方法。
【請求項8】
前記第1パターン層は、前記ライナーのドーム部方向に前記繊維強化複合材がワインディングされてヘリカル(Helical)パターン層が形成されたことを特徴とする請求項1に記載のフィラメントワインディング方法。
【請求項9】
前記(b)段階の前記第2パターン層は、前記第1パターン層の上部面に繊維強化複合材がワインディングされてフープパターン層を形成し、かつ下記数式4を満たすことを特徴とする請求項8に記載のフィラメントワインディング方法:
[数式4]
>N
ここで、Nは、ヘリカルパターン層の上部面に形成されるフープパターン層の層数であり、Nは、ヘリカルパターン層の層数である。
【請求項10】
前記(c)段階で、前記第1パターン層は、前記第1複合材層の上部面に前記繊維強化複合材がワインディングされてチューブヘリカルパターン層が形成され、前記第2パターン層は、前記第1パターン層の上部面に前記繊維強化複合材がワインディングされてフープパターン層を形成し、かつ下記数式5を満たすことを特徴とする請求項8に記載のフィラメントワインディング方法:
[数式5]
>N
ここで、Nは、第2複合材層においてフープパターン層の層数であり、Nは、チューブヘリカルパターン層の層数である。
【請求項11】
前記チューブヘリカルパターン層は、ライナーの軸方向を基準として約60°~89°でワインディングされることを特徴とする請求項10に記載のフィラメントワインディング方法。
【請求項12】
前記ライナーの円周方向に形成される前記フープパターン層の個数は、前記ライナー全体に形成される層の個数の約20~35%の割合で形成されることを特徴とする請求項5または10に記載のフィラメントワインディング方法。
【請求項13】
前記第1複合材層のフープパターン層の層数に対するチューブヘリカルパターン層の層数の割合は、5~10:1~5であり、前記第2複合材層のフープパターン層の層数に対するチューブヘリカルパターン層の層数の 割合は、1~2:1であることを特徴とする請求項5または10に記載のフィラメントワインディング方法。
【請求項14】
ライナーと、
該ライナーの外周面に請求項1に記載のフィラメントワインディング方法で形成された複合材層と、を含む圧力容器。
【請求項15】
前記ライナーのシリンダー部の破裂圧は、約1700bar以上であることを特徴とする請求項14に記載の圧力容器。
【請求項16】
前記ライナーのシリンダー部の最大応力は、約2,500MPa~2,600MPaであることを特徴とする請求項14に記載の圧力容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィラメントワインディング方法に関する。より具体的には、本発明は、圧力容器の耐久性を増加させるためのフィラメントワインディング方法およびこれによって製造された圧力容器に関する。
【背景技術】
【0002】
次世代運送手段として水素電池車が脚光を浴びており、水素燃料用圧力容器の開発も活発に行われている。高圧の水素を貯蔵するための圧力容器の製造方法において、円形状の製品の製造に主に用いられるフィラメントワインディング成形法は、樹脂が含浸した連続繊維を円筒状の回転する金型(Mandrel)に巻き取った後、硬化させて、回転対称の構造物を製造する複合材成形工法であって、繊維をライナーに巻き取る直前に、繊維が樹脂浴(Resin Bath)を通過しながら含浸する湿式ワインディング(Wet Winding)工法と、トウプリプレグを用いた乾式ワインディング(Dry Winding)工法とに分けられる。
【0003】
前記ワインディング方法は、フープラップ(Hoop Wrapped、垂直巻き)およびヘリカルラップ(Helical Wrapped、らせん巻き)が挙げられるが、これによって形成されるフープパターン層は、圧力容器の圧力を支持し、ライナーのシリンダー部の破損を防止し、ヘリカルパターン層は、ドーム部を強化するために用いられる。
【0004】
この際、前記ライナーの円周方向にフープパターン層がさらに多く形成されるほど容器の圧力に効果的に耐えるので、圧力容器全体の耐久性を改善することができるが、円周方向にフープパターン層が形成される場合、パターンによる段差が形成される。
【0005】
したがって、実際に圧力容器において円周方向を補強するために、ライナーの内側領域にフープパターン層を複数個形成するフィラメントワインディング方法に限界があり、圧力容器の耐久性能を効果的に増加させないという問題がある。
【0006】
したがって、圧力容器の耐久性を増加させるための新しいフィラメントワインディング方法の開発が至急である。
【0007】
本発明の背景技術としては、韓国特許第10-2217830号にフィラメントワインディング装置が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、フィラメントワインディング方法の改善を通した圧力容器の耐久性を増加させることにある。
【0009】
本発明の他の目的は、フープパターン層の形成による脆弱部位を解消し、耐久性が増加した圧力容器を提供することにある。
【0010】
本発明の前記およびその他の目的は、下記説明される本発明によって全部達成することができる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
1.本発明の一態様は、圧力容器用フィラメントワインディング方法に関する。
前記フィラメントワインディング方法は、(a)ライナーの外周面に繊維強化複合材をワインディングし、第1パターン層を形成する段階と、
(b)前記第1パターン層の上部面に繊維強化複合材をワインディングし、第2パターン層を形成することによって、第1複合材層を形成する段階と、
(c)前記第1複合材層の上部面にさらに第1パターン層を形成し、前記第1パターン層の上部面に第2パターン層を形成することによって、第2複合材層を形成する段階と、を含み、下記数式1によって複合材層を繰り返し形成することができる。
[数式1]
≦5
ここで、Cは、全体複合材層の個数である。
【0012】
2.前記1具体例において、前記(c)段階で第2パターン層を形成した後に、ヘリカルパターン層を形成する段階をさらに含んでもよい。
【0013】
3.前記1または2具体例において、前記第1パターン層は、前記ライナーの円周方向に前記繊維強化複合材がワインディングされて形成されるフープ(Hoop)パターン層であってもよい。
【0014】
4.前記3具体例において、前記(b)段階の前記第2パターン層は、前記第1パターン層の上部面に繊維強化複合材がワインディングされてチューブヘリカル(Tube Helical)パターン層を形成し、かつ下記数式2を満たすことができる。
[数式2]
>N
ここで、Nは、ライナーの上部面に形成されるフープパターン層の層数であり、Nは、前記フープパターン層の上部面に形成されるチューブヘリカルパターン層の層数である。
【0015】
5.前記3具体例において、前記(c)段階で、前記第2パターン層は、前記第1パターン層の上部面に繊維強化複合材がワインディングされてチューブヘリカル(Tube Helical)パターン層を形成し、かつ下記数式3を満たすことができる。
[数式3]
≧N
ここで、Nは、第2複合材層のフープパターン層の層数であり、Nは、チューブヘリカルパターン層の層数である。
【0016】
6.前記1から5のいずれか1つの具体例において、前記(c)段階の前記第1パターン層のワインディング開始点は、前記(a)段階の前記第1パターン層のワインディング開始点より前記ライナーの中心方向に移動することができる。
【0017】
7.前記4または5具体例において、前記チューブヘリカルパターン層は、ライナーの軸方向を基準として約60°~89°の角度でワインディングされてもよい。
【0018】
8.前記1から7のいずれか1つの具体例において、前記第1パターン層は、前記ライナーのドーム部方向に前記繊維強化複合材がワインディングされてヘリカル(Helical)パターン層が形成されてもよい。
【0019】
9.前記8具体例において、前記(b)段階の前記第2パターン層は、前記第1パターン層の上部面に繊維強化複合材がワインディングされてフープパターン層を形成し、かつ下記数式4を満たすことができる。
[数式4]
>N
ここで、Nは、ヘリカルパターン層の上部面に形成されるフープパターン層の層数であり、Nは、ヘリカルパターン層の層数である。
【0020】
10.前記8具体例において、前記(c)段階で、前記第1パターン層は、前記第1複合材層の上部面に前記繊維強化複合材がワインディングされてチューブヘリカルパターン層が形成され、前記第2パターン層は、前記第1パターン層の上部面に前記繊維強化複合材がワインディングされてフープパターン層を形成し、かつ下記数式5を満たすことができる。
[数式5]
>N
ここで、Nは、第2複合材層においてフープパターン層の層数であり、Nは、チューブヘリカルパターン層の層数である。
【0021】
11.前記10具体例において、前記チューブヘリカルパターン層は、ライナーの軸方向を基準として約60°~89°でワインディングされてもよい。
【0022】
12.前記5または10具体例において、前記ライナーの円周方向に形成される前記フープパターン層の個数は、前記ライナー全体に形成される層の個数の20~35%割合で形成されてもよい。
【0023】
13.前記5または10具体例において、前記第1複合材層のフープパターン層の層数に対するチューブヘリカルパターン層の層数の割合は、約5~10:1~5であり、前記第2複合材層のフープパターン層の層数に対するチューブヘリカルパターン層の層数の割合は、約1~2:1であってもよい。
【0024】
14.本発明の他の態様は、圧力容器に関する。
前記圧力容器は、ライナーと、該ライナーの外周面に前記フィラメントワインディング方法で形成された複合材層と、を含む。
【0025】
15.前記14具体例において、前記ライナーのシリンダー部の破裂圧は、約1,700bar以上であってもよい。
【0026】
16.前記14または15具体例において、前記ライナーのシリンダー部の最大応力は、約2,500MPa~2,600MPaであってもよい。
【発明の効果】
【0027】
本発明によるフィラメントワインディング方法は、複合材層形成過程を改善し、高価な炭素繊維の使用量を減少させて、圧力容器の製造コストを減少させると同時に、圧力容器の重量効率が増加し、従来のフープパターン層とヘリカルパターン層を交互に積層したフィラメントワインディング方法で製造された圧力容器と比較して、耐久性が最大8%以上向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1図1は、本発明の一具体例によるフィラメントワインディング方法の工程流れ図である。
図2図2は、従来圧力容器の複合材層形成過程を示す模式図である。
図3図3は、本発明の一具体例によるフープパターン層とチューブヘリカルパターン層が形成された圧力容器の模式図である。
図4図4は、本発明の一具体例によるフィラメントワインディング方法で製造された圧力容器および従来のフープパターン層とヘリカルパターン層が交互に形成された圧力容器の充填圧に対する最大応力と破裂圧に対するコンピューターシミュレーション結果を示す図である。
図5図5は、本発明の一具体例によるフィラメントワインディング方法で製造された圧力容器および従来のフープパターン層とヘリカルパターン層が交互に形成された圧力容器の流体充填によるシリンダー部の破裂写真である。
図6図6は、内側複合材層にフープパターン層の個数増加による予想破裂圧を示す図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、添付の図面を参照して本発明をより具体的に説明する。ただし、下記図面は、本発明に対する理解を助けるために提供されるものであり、本発明が下記図面によって限定されるわけではない。また、図面に開示された形状、サイズ、割合、角度、個数などは、例示的なものであるから、本発明が図示された事項に限定されるわけではない。
【0030】
明細書全体にわたって同一の参照符号は、同一の構成要素を示す。また、本発明を説明するに際して、関連した公知技術に関する具体的な説明が本発明の要旨を不明にすることができると判断される場合、その詳細な説明を省略する。
【0031】
本明細書上で言及した「含む」、「有する」、「なる」などが使用される場合、「~のみ」が使用されない限り、他の部分が追加されてもよい。構成要素を単数で表現した場合に、特に明示的な記載事項がない限り、複数を含む場合を含む。
【0032】
構成要素を解釈するに際して、別途の明示的記載がなくても、誤差範囲を含むものと解釈する。
【0033】
「~上に」、「~上部面に」、「~下部に」、「~側方に」などのように2つの部分の位置関係が説明される場合、「すぐに」または「直接」が使用されない限り、2つの部分の間に1つ以上の他の部分が位置してもよい。
【0034】
「上部」、「上面」、「下部」、「下面」などのような位置関係は、図面を基準として記載されたものに過ぎず、絶対的な位置関係を示すものではない。すなわち、観察する位置によって、「上部」と「下部」または「上面」と「下面」の位置が互いに変更され得る。
【0035】
本明細書において、数値範囲を示す「a~b」は、「≧aかつ≦b」と定義する。
【0036】
本発明の一態様は、圧力容器用フィラメントワインディング方法に関する。
【0037】
図1は、本発明の一具体例によるフィラメントワインディング方法の工程流れ図である。
【0038】
図1を参照すると、前記フィラメントワインディング方法は、(a)ライナーの外周面に繊維強化複合材をワインディングし、第1パターン層を形成する段階と、(b)前記第1パターン層の上部面に繊維強化複合材をワインディングし、第2パターン層を形成することによって、第1複合材層を形成する段階と、(c)前記第1複合材層の上部面に再び第1パターン層を形成し、前記第1パターン層の上部面に第2パターン層を形成することによって、第2複合材層を形成する段階と、を含む。
【0039】
まず、ライナーを準備し、外周面に繊維強化複合材をワインディングし、第1パターン層を形成する(S100)。
【0040】
前記ライナーは、内部に高圧の燃料、好ましくは、水素が貯蔵される空間を提供し、プラスチック材質からなり、ライナーの一端に燃料が注入または排出され得るノズルが設けられたボス部を含んでもよい。
【0041】
前記ライナーは、両端に配置されるドーム部と、中心に配置されるシリンダー部とを含み、前記ドーム部は、一定の曲率を有し、前記ドーム部と前記シリンダー部が連結される変曲点Cで間に内側領域Sが形成され、前記内側領域に前記繊維強化複合材がワインディングされることによって、前記シリンダー部に加えられる圧力に耐えることができる。
【0042】
前記ライナーの外周面に繊維強化複合材をワインディングし、第1パターン層を形成する。
【0043】
前記繊維強化複合材は、炭素繊維強化複合材、ガラス繊維強化複合材およびアラミド繊維強化複合材のうち1種であってもよい。
【0044】
具体的には、炭素繊維、ガラス繊維またはアラミド繊維をナノパーティクルエポキシ(Nano particle epoxy)、エポキシ(Epoxy)、変性エポキシ(Modified Epoxy)、ポリエステル(Polyester)のような熱硬化性樹脂や、ポリアミド(Polyamid)等の熱可塑性樹脂に含浸させて形成されたものであってもよい。
【0045】
上記のような種類の繊維強化複合材でワインディングし、第1パターン層と第2パターン層を形成することによって、前記ライナーの外周面に接する第1複合材層を形成し、圧力容器の耐久性を大きく増加させることができる。
【0046】
ここで、前記第1パターン層は、前記ライナーの外周面に繊維強化複合材がワインディングされて形成される層を意味し、第2パターン層は、前記第1パターン層の上部面にワインディングされて形成される層を意味する。
【0047】
一具体例において、前記第1パターン層は、前記ライナーの円周方向に前記繊維強化複合材がワインディングされることによって、フープ(Hoop)パターン層が複数個の層で形成されたものであってもよい。
【0048】
前記第1パターン層は、前記ライナーの外周面に直接ワインディングされて形成されるものであり、前記ライナーのシリンダー部の両終端のうちいずれか一方からワインディングされ始まったものであってもよく、前記第1パターン層は、シリンダー部の内側領域Sに形成されてもよい。
【0049】
前記第1パターン層がフープパターン層で形成される場合、前記ライナーに内側領域に加えられる圧力を支持し、シリンダー部の破裂圧を効果的に増加させることができる。
【0050】
この際、前記ライナーの円周方向にフープパターン層がさらに多く形成されるほど容器の圧力に効果的に耐えるので、圧力容器全体の耐久性を改善することができるが、円周方向にフープパターン層が形成される場合、パターンによる段差が形成される。
【0051】
前記フープパターン層が複数個で形成される場合には、フープパターン層の側面に階段形状の段差が発生し、連続的にフープパターン層を積層する場合、段差のサイズが増加し、その後、ワインディング過程で繊維強化複合材をヘリカルパターンでワインディングする場合、前記段差部位で繊維強化複合材が離脱して流れ落ちたり、正確な位置にワインディングしにくいので、製造工程中に不良率が増加し、段差の上部面にそのままヘリカルパターン層が形成される場合、段差による空間が形成され、前記空間がライナーに加えられる圧力を支持しないので、脆弱部位が形成され、結局、圧力容器が破損する恐れがある。したがって、フープパターン層を連続積層して、圧力容器の耐久性を増加させる方法には限界がある。
【0052】
前記第1パターン層の上部面に繊維強化複合材をワインディングし、第2パターン層を形成することによって、第1複合材層を形成する(S200)。
【0053】
前記第1複合材層は、前記第1パターン層と第2パターン層からなり、前記第1パターン層がフープパターン層として優先的に形成される場合、前記フープパターン層の上部面に第2パターン層を形成し、かつ前記第2パターン層は、チューブヘリカル(Tube Helical)パターン層で形成することができる。
【0054】
前記第2パターン層がチューブヘリカルパターン層で形成される場合、前記第1パターン層のフープパターン層の側面に形成された段差を上部面から直接取り囲むように形成され、前記チューブヘリカルパターン層は、段差の上部面に最大限面接するので、フープパターン層が繰り返し形成されても、段差によって形成される空間が減少し、複合材層の脆弱部位を減少させ、圧力容器の耐久性を大きく向上させることができる。
【0055】
前記第2パターン層がチューブヘリカルパターン層で形成される場合、第1パターン層のフープパターン層を複数個で形成することによって、ライナーの円周部位に耐久性能を効果的に増加させることができる。
【0056】
一具体例において、前記S200の前記第2パターン層は、前記第1パターン層の上部面に繊維強化複合材がワインディングされてチューブヘリカル(Tube Helical)パターン層を形成し、かつ下記数式2を満たすことができる。
【0057】
[数式2]
>N
【0058】
ここで、Nは、ライナーの上部面に形成されるフープパターン層の層数であり、Nは、前記フープパターン層の上部面に形成されるチューブヘリカルパターン層の層数である。
【0059】
前記ライナーの上部面に形成されるフープパターン層の層数は、前記フープパターン層の上部面に形成されるチューブヘリカルパターン層の層数よりさらに多い。
例えば、前記第1パターン層がフープパターン層で4個層で形成される場合、前記第2パターン層が1個~3個層で形成されてもよい。
【0060】
前記数式2によってフープパターン層の層数を増加させてシリンダー部の耐久性を大きく増加させることができ、前記チューブヘリカルパターン層がフープパターン層が形成する段差を減少させて、脆弱部位を効果的に減少させるので、前記フープパターン層を連続積層して、複数個のフープパターン層を積層することができる。
【0061】
前記第1パターン層が前記数式2によって複数個のフープパターン層で形成されることにより、チューブヘリカルパターン層がフープパターン層を支持する場合、ライナーシリンダー部位の円周に加えられる圧力を最も効果的に支持できる最適なフープパターン層の個数を決定することができ、前記第1パターン層がライナーの外周面に直接形成されるので、ライナーに加えられる圧力を効果的に支持し、ライナーの破裂を防止することができる。
【0062】
前記第1複合材層の上部面にさらに第1パターン層を形成し、前記第1パターン層の上部面に第2パターン層を形成することによって、第2複合材層を形成する(S300)。
【0063】
前記S200で、第1複合材層を形成した後、S300で、第2複合材層を形成する。
【0064】
具体的には、前記第1複合材層の上部面に同じ方法で前記第1パターン層を形成し、前記第1パターン層の上部面に第2パターン層を形成することによって、第2複合材層を形成する。
【0065】
一具体例において、S300で、前記第2パターン層は、前記第1パターン層の上部面に繊維強化複合材がワインディングされてチューブヘリカル(Tube Helical)パターン層を形成し、かつ下記数式3を満たすことができる。
【0066】
[数式3]
≧N
【0067】
ここで、Nは、第2複合材層のフープパターン層の層数であり、Nは、チューブヘリカルパターン層の層数である。
【0068】
前記第2複合材層も、フープパターン層が形成されることにより、段差が形成され、前記段差の上部に段差を取り囲むチューブヘリカルパターン層が形成され、フープパターン層が形成する段差を緩和し、さらに多いフープパターン層を連続して形成することができる。
【0069】
例えば、前記第2複合材層は、第1パターン層としてフープパターン層が3個層で形成される場合、第2パターン層がチューブヘリカルパターン層で3個以下で形成されてもよく、好ましくは、2個層が優先的に形成された後、さらに連続して1個層がさらに形成されてもよい。
【0070】
前記数式2によって前記第1複合材層には、複数個のフープパターン層が形成されていて、シリンダー部の耐久性が十分に増加しているので、第2複合材層のフープパターン層の層数は、第1複合材層より減少することが好ましい。
【0071】
前記数式3によって第2複合材層を形成する場合、フープパターン層が増加しても、段差による製品不良および圧力容器の耐久性低下を防止することができ、第2複合材層のフープパターン層とチューブヘリカルパターン層の個数を減少させても、ライナーのシリンダー部を補強することができるので、繊維強化複合材の使用量を減少させて、圧力容器の製造効率を大きく増加させることができる。
【0072】
一具体例において、前記S300で、前記第2パターン層を形成し、ヘリカルパターン層を形成する段階をさらに含んでもよい。
【0073】
前記ヘリカルパターン層が形成される場合、ドーム部の耐久性を強化することができ、ライナー全体複合材層を均一に形成することができる。
【0074】
具体的には、前記ヘリカルパターン層は、約10°~42°の角度で形成されてもよく、複数個の層で形成されることが好ましい。
【0075】
前記ヘリカルパターン層が形成され、ドーム部を含むライナー全体に複合材層を形成することができる。
【0076】
一具体例において、前記S200の前記第1パターン層のワインディング開始点は、前記S100の前記第1パターン層のワインディング開始点よりも前記ライナーの中心方向に移動することができる。
【0077】
具体的には、前記S300の第1パターン層が、S100の第1パターン層より前記ライナー内側領域の中心方向に移動する場合、フープパターン層が形成する段差をより一層効果的に緩和することができる。
【0078】
一具体例において、前記チューブヘリカルパターン層は、ライナーの軸方向を基準として約60°~89°の角度でワインディングされてもよい。
【0079】
通常、ヘリカルパターン層は、ライナーの中心軸方向を基準として約5°~44°の低角でワインディングして形成されるが、前記チューブヘリカルパターン層は、先に形成されたフープパターン層が形成する段差の上部に直接ワインディングされるために、さらに高角でワインディングされることが好ましく、前記範囲内でワインディングされることによって、フープパターン層が形成する段差を効果的に緩和することができる。
【0080】
前記チューブヘリカルパターン層のワインディング角度が前記範囲に満たない場合、前記フープパターン層が形成する段差を緩和しにくく、前記範囲を超える場合、チューブヘリカルパターン層形成効率が非常に減少する。
【0081】
前記S300で、前記第1複合材層が形成された後、下記数式1によって複合材層が繰り返し形成されてもよい。
【0082】
[数式1]
≦5
【0083】
ここで、Cは、全体複合材層の個数である。
【0084】
前記数式1によって複合材層が繰り返し形成されることによって、ライナーの破裂圧を増加させ、ライナーと複合材層間の応力を減少させて、圧力容器の耐久性を大きく増加させることができる。
【0085】
前記範囲内で複数個の複合材層が形成される場合、単にフープパターン層とヘリカルパターン層を交互に形成する場合と比較して、耐久性が約8%以上向上するので、非常に好ましいが、圧力容器の耐久性を増加させるために、複合材層の個数をさらに増加させることも可能である。
【0086】
なお、S100で、前記第1パターン層がヘリカル(Helical)パターン層で形成されてもよい。
【0087】
一具体例において、前記第1パターン層は、前記ライナーのドーム部方向に前記繊維強化複合材がワインディングされることによって、ヘリカル(Helical)パターン層が優先的に形成されてもよい。
【0088】
前記第1パターン層は、ドーム部方向からワインディングされ始まり、前記フープパターン層よりライナーの軸方向を基準としてさらに低角でワインディングされることによって、ヘリカルパターン層を形成することができる。
【0089】
前記ヘリカルパターン層が形成される場合にも、前記ヘリカルパターン層の上部面にフープパターン層を連続形成し、ライナーのシリンダー部の耐久性を増加させることができる。
【0090】
一具体例において、前記S200の前記第2パターン層は、前記第1パターン層の上部面に繊維強化複合材がワインディングされてフープパターン層を形成し、かつ下記数式4を満たすことができる。
【0091】
[数式4]
>N
【0092】
ここで、Nは、ヘリカルパターン層の上部面に形成されるフープパターン層の層数であり、Nは、ヘリカルパターン層の層数である。
【0093】
前記フープパターン層は、前記ヘリカルパターン層よりさらに多く形成され、前記範囲でライナーの耐久性を効果的に増加させることができる。
【0094】
一具体例において、前記S300で、前記第2複合材層は、前記第1パターン層が前記第1複合材層の上部面に前記繊維強化複合材がワインディングされてチューブヘリカルパターン層で形成され、前記第2パターン層は、前記第1パターン層の上部面に前記繊維強化複合材がワインディングされてフープパターン層を形成し、かつ下記数式5を満たすことができる。
【0095】
[数式5]
>N
【0096】
ここで、Nは、第2複合材層においてフープパターン層の層数であり、Nは、チューブヘリカルパターン層の層数である。
【0097】
前記範囲内で前記チューブヘリカルパターン層が前記フープパターン層の上部面に形成される場合、前記フープパターン層が形成する段差による圧力容器の不良およびライナーの破損を効果的に防止することができる。
【0098】
この際にも、前記チューブヘリカルパターン層は、ライナーの軸方向を基準として約60°~89°でワインディングされ、フープパターン層の上部面に直接面接し、フープパターン層が側面に形成される空間を減少させて、ライナーに加えられる圧力を効果的に支持することができる。
【0099】
一具体例において、前記ライナーの円周方向に形成される前記フープパターン層の個数は、前記ライナー全体に形成される層の個数の約20~35%の割合で形成されてもよい。
【0100】
前記第1複合材層および第2複合材層においてフープパターン層が連続して繰り返し積層され、圧力容器の破裂圧を大きく向上させることができるので、前記範囲内でフープパターン層を形成する場合、繊維強化複合材の使用量を減少させながらも、フープパターン層を連続して2個層以上積層した場合、またはフープパターン層とヘリカルパターン層を交互に形成する場合と比較して、前記ライナーのシリンダー部の破裂圧を効果的に増加させ、複合材層とライナーとの間で応力を減少させることができる。
【0101】
一具体例において、前記第1複合材層のフープパターン層の層数に対するチューブヘリカルパターン層の層数の割合は、約5~10:1~5であり、前記第2複合材層のフープパターン層の層数に対するチューブヘリカルパターン層の層数の割合は、約1~2:1であってもよい。
【0102】
前記第1複合材層および第2複合材層に前記範囲内にフープパターン層が形成される場合には、フープパターン層の増加によるシリンダー部の破裂圧を効果的に増加させることができるだけでなく、最大約90%の割合までフープパターン層を複合材層の形成初期に形成し、目標とするライナーの耐久性を容易に確保することができ、その後、複合材層を追加形成する段階を通じて最終的に圧力容器の耐久性を調節することができるので、製造工程効率が大きく増加することができる。
【0103】
本発明の他の態様は、圧力容器に関する。
【0104】
図2は、圧力容器の複合材層形成過程を示す模式図であり、図3は、本発明の一具体例によるフープパターン層とチューブヘリカルパターン層が形成された圧力容器の模式図である。
【0105】
まず、図2を参照すると、従来ライナー10の円周方向に内側領域Sにフープパターン層20が連続して積層されて形成される場合、シリンダー部の耐久性を最も効果的に増加させることができるが、両終端の側面に段差が形成され、前記フープパターン層20の上部面にそのままヘリカルパターン層30が形成される場合、内側に空間40が形成され、前記空間40、41が繰り返し重なる場合、複合材層に脆弱部位が形成され、ライナーの圧力を支持しないので、結局、圧力容器を破損させる。
【0106】
図3を参照すると、本発明による前記圧力容器1000は、ライナー100および複合材層400、700を含む。
【0107】
前記ライナー100は、一端にボス110が設けられ、内側に貯蔵空間が形成される。
【0108】
前記複合材層400、700は、第1複合材層400および第2複合材層700を含む。
【0109】
具体的には、前記ライナー100の外周面に第1パターン層として複数個のフープパターン層200が形成され、その後、繊維強化複合材がワインディングされ、前記第2パターン層として高角のチューブヘリカルパターン層300がワインディングされることによって、前記第1複合材層400を形成する。
【0110】
前記高角のチューブヘリカルパターン層300が複数個で形成されたフープパターン層200の側面に形成された段差に面接する場合、段差が形成する空間を減少させて、ライナーの加圧による脆弱部位が形成を効果的に防止することができる。
【0111】
前記第2複合材層700は、第1パターン層500および第2パターン層600を含む。
【0112】
前記第1パターン層500および第2パターン層600は、前記第1複合材層400の構成と同じ部材である。
【0113】
この際、前記第1パターン層500のワインディング開始点は、前記第1複合材層400の第1パターン層200がワインディングされる開始点S0より内側区域の中心に向かって移動したサイトS1に配置され、前記複合材層が複数個で形成される場合にも、前記第1パターン層の開始点を内側区域の中心に向かって移動させる場合、フープパターン層の形成による段差を減少させることができる。
【0114】
前記ライナーの円周方向にフープパターン層を多数形成することが、圧力容器のシリンダー部の破裂圧を増加させ、最大応力を減少させることができる最も効果的な方法であるが、実際に前記フープパターン層を連続して積層して形成する場合、フープパターン層の側面に段差が形成され、上部面にそのままヘリカルパターン層を形成すると、空間によってライナーの圧力を効果的に支持せず、破損するので、連続的にフープパターン層を形成することが非常に難しい。
【0115】
本発明の一具体例による圧力容器1000は、前記ライナー100の外周面に繊維強化複合材をワインディングして複数個の複合材層400、700を形成し、かつ第1パターン層200と第2パターン層300に分けて第1複合材層400を形成し、第1パターン層200がフープパターン層で形成される場合、第2パターン層300をヘリカルパターン層で形成し、第1パターン層200がヘリカルパターン層で形成される場合、第2パターン層300をフープパターン層で形成し、フープパターン層が個数が増加する場合には、高角のチューブヘリカルパターン層を形成することによって、フープパターン層の段差による空間を減少させて、ライナーの円周方向にさらに多数のフープパターン層を積層することができ、繊維強化複合材のワインディング時に製品不良を防止することができるので、ライナーの円周方向を非常に効果的に補強することができる。
【0116】
前記圧力容器1000は、複合材層においてフープパターン層による階段状段差が減少し、シリンダー部の破裂圧が増加し、最大応力が減少し、全体耐久性が8%まで増加することができる。
【0117】
一具体例において、前記ライナーのシリンダー部の破裂圧は、約1,700bar以上であってもよい。
【0118】
具体的には、充填圧約1,575barに対する予想破裂圧に対するコンピューターシミュレーション結果による破裂圧は、約1,700bar以上であり、より具体的には、前記ライナーのシリンダー部の破裂圧が約1,700bar~1,950barである。
【0119】
一具体例において、前記複合材層が形成される場合、シリンダー部の破裂圧が増加し、これによって、圧力容器全体の耐久性を増加させることができる。
【0120】
前記ライナーのシリンダー部の最大応力は、約2,500MPa~2,600MPaであってもよい。
【0121】
前記フィラメントワインディング方法で形成された複合材層は、円周方向の応力を減少させることができ、これによって、前記ライナーシリンダー部の最大応力は、具体的には、約2,500MPa~2,550MPaであってもよい。
【0122】
前記複合材層は、フープパターン層の積層数が増加し、内側のフープ数も増加し、前記ライナーのシリンダー部と複合材層との間に発生する応力を効果的に減少させることができ、これによって、圧力容器の耐久性が大きく増加することができる。
【実施例
【0123】
以下、本発明の理解を助けるために好ましい実施例を提示するが、下記実施例は、ただ本発明を例示するものであり、本発明の範囲が下記実施例に限定されるわけではない。
【0124】
実施例1.圧力容器の製造
プラスチック樹脂であるライナーの外周面に炭素繊維をエポキシ樹脂に含浸した繊維複合材をワインディングして複合材層を形成し、湿式でフープパターン層を4個層(Ply)で優先的に形成し、前記ライナーの軸方向を基準として89°の高角でチューブヘリカルパターン層を1個層で積層することによって、第1複合材層を形成した。
【0125】
前記第1複合材層の上部面に、さらにフープパターン層を3個層で形成し、連続して約80°の角度でチューブヘリカルパターン層を1個層形成することによって、第2複合材層を形成した。
【0126】
第2複合材層の前記チューブヘリカルパターン層の上部面にヘリカルパターン層を追加し、ドーム部を補強した。
【0127】
同じ方法で複合材層を3個で形成した。
【0128】
炭素繊維の張力によるライナーの座屈を防止するために、ワインディング過程でエアーを注入し、形状を維持させた。
【0129】
最終的に、前記複合材層においてフープパターン層の層数(Ply)が全体パターン層数の約32.3%となるように調節して、圧力容器を完成した。
【0130】
比較例1.
実施例1と同じ方法で圧力容器を製造するものの、第1複合材層と第2複合材層を形成する過程を経ることなく、ヘリカルパターン層とフープパターン層を交互に積層して、実施例1と同じ厚さの複合材層を有する圧力容器を完成した。
【0131】
実験例1.圧力容器の耐久性能テスト
図4は、本発明の一具体例によるフィラメントワインディング方法で製造された圧力容器および従来のフープパターン層とヘリカルパターン層が交互に形成された圧力容器の充填圧に対する最大応力と破裂圧に対するコンピューターシミュレーション結果を示す図であり、図5は、本発明の一具体例によるフィラメントワインディング方法で製造された圧力容器および従来のフープパターン層とヘリカルパターン層が交互に形成された圧力容器の流体充填によるシリンダー部の破裂写真である。
【0132】
図4および図5を参照すると、実施例1による圧力容器に対する充填圧約1,575barに対する主応力(単位:MPa)および破裂圧(単位:bar)をABAQUSプログラムを用いてコンピューターシミュレーションした結果、実施例1の場合、シリンダー部の最大応力が約4%以上減少し、破裂圧も、約5%以上増加することを確認した。
【0133】
また、繊維強化複合材を変更し、様々な素材による圧力容器の耐久性を確認する場合、平均的に最大8%まで耐久性が向上することを確認した。
【0134】
実験例2.内側フープ層の増加による耐久性向上
第1複合材層にフープパターン層が第2複合材層よりさらに多数で形成される場合、圧力容器の耐久性向上程度を確認した。
【0135】
【表1】
【0136】
前記表1を参照すると、 製造例4、6において複合材層のうち最も内側の第1複合材層のフープパターン層の個数が、第2複合材層のフープパターン層より多く形成され、製造例2、3、5では、フープパターン層の個数が同数またはより少ない数で形成された。
【0137】
実験例1と同じ方法で充填圧約1,575barに対する予想破裂圧をコンピューターシミュレーションして測定した。
【0138】
図6は、内側複合材層にフープパターン層の個数増加による予想破裂圧を示す図である。
【0139】
図6を参照すると、 製造例6において約1904.47barの高い破裂圧を示し、最も内側にフープパターン層を複数個で形成する場合、最も効果的に圧力容器の耐久性を増加させることができることを確認した。
【0140】
一方、 製造例3において第1複合材層の形成後に、第2複合材層のフープパターン層の個数がさらに増加した場合には、約1889.62barの低い破裂圧を示し、圧力容器の耐久性を増加させるのに効果的でないことを確認した。
【0141】
したがって、本願発明によるフィラメントワインディング方法は、ライナーの円周方向にフープパターン層を形成する場合、段差による製品不良およびフープパターン層の積層限界を克服することができ、特にライナーに接する最も内側複合材層にさらに多い数のフープパターン層を形成することによって、ライナーの円周方向を効果的に補強することができ、前記フープパターン層は、複合材層形成段階の初期に最大で形成され、目標とする耐久性を容易に確保することができるので、全体繊維強化複合材の使用量を減少させても、従来フィラメントワインディング方法で製造された圧力容器以上の耐久性を示すことができる。
【0142】
また、製造工程の工数が減少し、製造効率が大きく増加するだけでなく、これによって製造された圧力容器は、シリンダー部の最大応力が減少し、破裂圧も増加し、圧力容器全体耐久性が8%以上大きく向上することができる。
【0143】
以上、本発明について実施例を中心に記述した。本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者は、本発明が本発明の本質的な特性を逸脱しない範囲で変形された形態で具現され得ることを理解することができる。したがって、開示された実施例は、限定的な観点でなく、説明的な観点で考慮されなければならない。本発明の範囲は、前述した説明でなく、特許請求範囲に示されており、それと同等な範囲内にあるすべての差異点は、本発明に含まれたものと解すべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】