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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-24
(54)【発明の名称】新規塩および結晶
(51)【国際特許分類】
   C07D 471/14 20060101AFI20240517BHJP
   A61K 31/4985 20060101ALI20240517BHJP
   A61P 1/00 20060101ALI20240517BHJP
   A61P 9/00 20060101ALI20240517BHJP
   A61P 11/00 20060101ALI20240517BHJP
   A61P 19/00 20060101ALI20240517BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20240517BHJP
   A61P 25/04 20060101ALI20240517BHJP
   A61P 25/06 20060101ALI20240517BHJP
   A61P 25/22 20060101ALI20240517BHJP
   A61P 25/24 20060101ALI20240517BHJP
   A61P 25/28 20060101ALI20240517BHJP
   A61P 25/30 20060101ALI20240517BHJP
【FI】
C07D471/14 102
C07D471/14 CSP
A61K31/4985
A61P1/00
A61P9/00
A61P11/00
A61P19/00
A61P25/00
A61P25/04
A61P25/06
A61P25/22
A61P25/24
A61P25/28
A61P25/30
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023575364
(86)(22)【出願日】2022-06-07
(85)【翻訳文提出日】2024-02-06
(86)【国際出願番号】 US2022072802
(87)【国際公開番号】W WO2022261633
(87)【国際公開日】2022-12-15
(31)【優先権主張番号】63/197,848
(32)【優先日】2021-06-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】507401225
【氏名又は名称】イントラ-セルラー・セラピーズ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】INTRA-CELLULAR THERAPIES, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【弁理士】
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100156144
【弁理士】
【氏名又は名称】落合 康
(72)【発明者】
【氏名】リ,ポン
【テーマコード(参考)】
4C086
【Fターム(参考)】
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086AA04
4C086CB09
4C086GA14
4C086GA15
4C086MA01
4C086MA04
4C086ZA02
4C086ZA05
4C086ZA08
4C086ZA12
4C086ZA15
4C086ZA16
4C086ZA18
4C086ZA36
4C086ZA59
4C086ZA66
4C086ZA70
4C086ZA96
4C086ZB26
4C086ZC39
4C086ZC42
(57)【要約】
本開示は、本明細書に記載されている、特定の置換複素環縮合γカルボリンの新規の塩、結晶および共結晶、ならびにそれらを製造する方法および使用する方法、およびそれらを含む医薬組成物を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
塩形態がp-トルエンスルホン酸塩であり、塩が空気中にて化学的に安定である、固体結晶塩形態の(6bR,10aS)-8-(3-(4-フルオロフェノキシ)プロピル)-6b,7,8,9,10,10a-ヘキサヒドロ-1H-ピリド[3',4':4,5]ピロロ[1,2,3-de]キノキサリン-2(3H)-オン(化合物A)。
【請求項2】
塩が、試料の純度および装置の変動による潜在的変動を考慮して、約5.9、8.6、11.4、13.6、14.9、17.0、19.4、20.0、20.9、22.6、23.8、24.6、25.3、25.6、25.9、27.5、28.0、29.0、29.9、32.5、33.6、36.6、36.6および36.6からなる群から選択される角度(2θ)値を有する少なくとも5個、または少なくとも6個、または少なくとも7個、または少なくとも8個のピークを有するX線粉末回折パターンによって特徴付けられる結晶構造を有し、例えば、該X線粉末回折パターンが、銅アノードおよびニッケルフィルターを備えたX線回折計を使用して生成される、請求項1に記載の塩。
【請求項3】
塩形態が、塩酸塩、酒石酸塩、リンゴ酸塩、フマル酸塩、グルタミン酸塩、シュウ酸塩、ベシル酸塩およびアスコルビン酸塩から選択される、固体結晶塩形態の(6bR,10aS)-8-(3-(4-フルオロフェノキシ)プロピル)-6b,7,8,9,10,10a-ヘキサヒドロ-1H-ピリド[3',4':4,5]ピロロ[1,2,3-de]キノキサリン-2(3H)-オン(化合物A)(塩1)。
【請求項4】
該塩が、少なくとも98%の純度である、請求項1~3のいずれか1項に記載の塩。
【請求項5】
該塩が、遊離塩基形態の化合物Aを1重量%未満しか含まない、請求項1~4のいずれか1項に記載の塩。
【請求項6】
該塩が、p-トルエンスルホン酸、酒石酸、リンゴ酸、フマル酸、グルタミン酸、シュウ酸またはアスコルビン酸を1重量%未満しか含まない、請求項1~5のいずれか1項に記載の塩。
【請求項7】
該塩が、遊離塩基形態の化合物Aを調製するために使用した合成方法の合成前駆体または該合成方法からの副生成物を0.5重量%未満、または0.1重量%未満しか含まない、請求項1~6のいずれかに記載の塩。
【請求項8】
該塩が、全残留溶媒を5000ppm未満しか含まない、請求項1~7のいずれかに記載の塩。
【請求項9】
該塩が、1-(3-クロロプロポキシ)-4-フルオロベンゼンを100ppm未満しか含まない、請求項1~8のいずれかに記載の塩。
【請求項10】
該塩が、水を1重量%未満しか含まない、請求項1~9のいずれかに記載の塩。
【請求項11】
該塩が、p-トルエンスルホン酸アルキルエステル(例えば、メチルエステル、エチルエステルおよび/またはイソプロピルエステル)を100ppm未満しか含まない、請求項1~10のいずれかに記載の塩。
【請求項12】
固体結晶性p-トルエンスルホン酸塩形態の(6bR,10aS)-8-(3-(4-フルオロフェノキシ)プロピル)-6b,7,8,9,10,10a-ヘキサヒドロ-1H-ピリド[3',4':4,5]ピロロ[1,2,3-de]キノキサリン-2(3H)-オン(化合物A)を製造する方法であって、
(a)(6bR,10aS)-8-(3-(4-フルオロフェノキシ)プロピル)-6b,7,8,9,10,10a-ヘキサヒドロ-1H-ピリド[3',4':4,5]ピロロ[1,2,3-de]キノキサリン-2(3H)-オン(化合物A)遊離塩基を、p-トルエンスルホン酸と、アセトンを含む有機溶媒と一緒に、反応させること;および
(b)このようにして形成された塩を回収すること
を含む、方法。
【請求項13】
請求項3~11のいずれか1項に記載の塩を製造する方法であって、
(a)(6bR,10aS)-8-(3-(4-フルオロフェノキシ)プロピル)-6b,7,8,9,10,10a-ヘキサヒドロ-1H-ピリド[3',4':4,5]ピロロ[1,2,3-de]キノキサリン-2(3H)-オン(化合物A)遊離塩基を、塩酸、酒石酸、リンゴ酸、フマル酸、グルタミン酸、シュウ酸、ベンゼンスルホン酸およびアスコルビン酸から選択される酸と、例えば有機溶媒と一緒に、反応させること;および
(b)このようにして形成された塩を回収すること
を含む、方法。
【請求項14】
固体共結晶形態の(6bR,10aS)-8-(3-(4-フルオロフェノキシ)プロピル)-6b,7,8,9,10,10a-ヘキサヒドロ-1H-ピリド[3',4':4,5]ピロロ[1,2,3-de]キノキサリン-2(3H)-オン(化合物A)。
【請求項15】
該共結晶が、アミノ酸(例えば、天然αアミノ酸)との共結晶であり、例えば、アミノ酸が、アラニン、システイン、メチオニン、フェニルアラニン、セリン、グリシン、ヒスチジンおよびバリンから選択される、請求項14に記載の共結晶。
【請求項16】
請求項14または15のいずれか1項に記載の共結晶を製造する方法であって、
(a)(6bR,10aS)-8-(3-(4-フルオロフェノキシ)プロピル)-6b,7,8,9,10,10a-ヘキサヒドロ-1H-ピリド[3',4':4,5]ピロロ[1,2,3-de]キノキサリン-2(3H)-オン(化合物A)遊離塩基を、アラニン、アスパラギン、システイン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、グルタミン、グリシン、ヒスチジン、リジン、スレオニン、チロシンおよびバリンから選択されるアミノ酸(例えば、アラニンまたはフェニルアラニン)から選択されもよい結晶共形成剤と、例えば、有機溶媒(例えば、メタノール、ジメチルスルホキシド、アセトンまたはアセトニトリル、例えばアセトンまたはアセトニトリルから選択される)と一緒に、反応させること;および
(b)このようにして形成された共結晶を回収すること
を含む、方法。
【請求項17】
請求項1~11のいずれかに記載の塩、または請求項14または15に記載の共結晶を、薬学的に許容される希釈剤または担体と組み合わせてまたはそれと共に(in combination or association with)含む、医薬組成物。
【請求項18】
5-HT2A受容体、セロトニントランスポーター(SERT)、ドパミンD1/D2受容体シグナル伝達経路、および/またはμオピオイド受容体が関与するかまたは介在する疾患または異常状態に罹患しているヒトの予防または治療方法であって、該予防または治療を必要とする患者に、請求項1~11のいずれかに記載の塩または請求項14もしくは15に記載の共結晶の治療有効量を投与することを含む、方法。
【請求項19】
疾患または異常状態が、肥満症、不安、うつ病(例えば、難治性うつ病およびMDD)、精神病(進行性パーキンソン病における幻覚または偏執性妄想などの認知症に付随した精神病を含む)、統合失調症、睡眠障害(特に、統合失調症ならびに他の精神疾患および神経学的疾患に付随する睡眠障害)、性障害、片頭痛、頭部痛関連状態、社会恐怖症、認知症における激越(例えば、アルツハイマー病における激越)、自閉症および関連自閉症性障害における激越、消化管運動の機能障害のような胃腸障害、および認知症、例えば、アルツハイマー病の認知症またはパーキンソン病の認知症;気分障害;および薬物依存症、例えばオピエート依存症もしくはオピオイド依存症、および/またはアルコール依存症、または薬物依存症もしくはアルコール依存症(例えば、オピエート依存症もしくはオピオイド依存症)からの禁断;または過食性障害;または、オピエート過剰摂取もしくはオピオイド過剰摂取;またはオピオイド使用障害(OUD);または物質使用障害もしくは物質乱用障害(例えば、これらの用語はDSM-Vで定義されている)(不安および/またはうつ病にも罹患している患者においてであってもよい)から選択される、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
疾患または異常状態が、強迫性障害(OCD)、強迫性パーソナリティ障害(OCPD)、全般性不安症(general anxiety disorder)、社交不安症、パニック症、広場恐怖症、強迫性ギャンブル依存症、強迫性摂食障害、身体醜形障害、心気症、病的グルーミング障害(pathological grooming disorder)、窃盗症、放火症、注意欠如多動症(ADHD)、注意欠如症(ADD)、衝動制御障害、および関連障害、およびそれらの組み合わせ;または疼痛障害、例えば、疼痛関連状態、例えば、頭部痛、特発性疼痛、神経障害性疼痛、慢性疼痛(例えば、例えば他の疾患で24時間連続治療を必要とする患者における、中等度~やや重度の慢性疼痛)、線維筋痛症、歯痛、外傷痛または慢性疲労から選択され;または、ここで、該中枢神経系疾患または障害が、薬物依存症(例えば、オピエート依存症もしくはオピオイド依存症(すなわち、オピオイド使用障害)、コカイン依存症、アンフェタミン依存症、および/またはアルコール依存症)、または、薬物依存症もしくはアルコール依存症(例えば、オピエート依存症、オピオイド依存症、コカイン依存症またはアンフェタミン依存症)からの禁断であり、該患者が、不安、うつ病または精神病などの併存症も患っており、および/または、該患者は、オピエート過剰摂取またはオピオイド過剰摂取にも苦しんでいる、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
患者が、既存または併存する胃腸障害および/または肺障害に罹患しており、例えば、該既存または併存する障害が、過敏性腸症候群、骨盤底障害、憩室炎、炎症性腸疾患、結腸癌または結腸直腸癌、セリアック病、非セリアック・グルテン過敏症、喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、呼吸困難、肺炎、うっ血性心不全、間質性肺疾患、気胸、気管支炎、肺塞栓症、および外傷性胸部損傷(例えば、胸骨または肋骨の骨折、肋間筋挫傷)からなる群から選択される、請求項18~20のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2021年6月7日に出願された米国仮出願第63/197,848号の優先権および利益を主張する国際出願である(その記載内容は出典明示によりその全体として本明細書の一部とする)。
【0002】
分野
本開示は、5-HT2A受容体、セロトニントランスポーター(SERT)、ドパミンD1および/もしくはD2受容体シグナル伝達系が関与する経路、ならびに/またはμオピオイド受容体が関与する疾患の治療に有用な、本明細書に記載されている特定の置換複素環縮合γカルボリンの特定の塩、結晶および共結晶形態、ならびにその製造に関する
【背景技術】
【0003】
置換複素環縮合γカルボリンは、中枢神経系障害の治療において、5-HT2受容体、特に5-HT2A受容体のアゴニストまたはアンタゴニストであることが知られている。これらの化合物は、米国特許第6,548,493号;米国特許第7,238,690号;米国特許第6,552,017号;米国特許第6,713,471号;米国特許第7,183,282;米国再発行特許第39680号および米国再発行特許第39679号において、肥満症、不安、うつ病、精神病、統合失調症、睡眠障害、性障害、片頭痛、頭部痛関連状態、社会恐怖症、消化管運動の機能障害のような胃腸障害、および肥満症などの5-HT2A受容体調節に関連する障害の治療に有用な新規化合物として開示されている。米国特許第8,309,722号および米国特許第7,081,455号はまた、置換複素環縮合γカルボリンの製造方法、および嗜癖行動および睡眠障害のような中枢神経系障害のコントロールおよび予防に有用なセロトニンアゴニストおよびアンタゴニストとしてのこれらγカルボリンの使用を開示している。米国特許第8,648,077号、米国特許第9,199,995号および米国特許第9,586,960号はまた、このような化合物の特定の固体結晶性塩形態を開示している。このような化合物のさらなる結晶性形態は、例えば、米国特許出願公開第2019/0112309号、米国特許出願公開第2019/0112310号、米国特許出願公開第2020/0247805号および米国特許出願公開第2020/0157100号に開示されている。
【0004】
より最近では、セロトニン受容体阻害、SERT阻害およびドパミン受容体調節を含む、以前に開示された化合物の独特の薬理活性の多くを保持するが、μオピオイド受容体において予想外に強力な活性を有する、より新しい置換オキソ縮合γカルボリンが開示されている。このような化合物は、例えば、米国特許第10,245,260号、米国特許第10,799,500号、米国特許出願公開第2019/0330211号、米国特許出願公開第2019/0345160号、米国特許出願公開第2021/0145829号および米国特許出願公開第2021/0163481号に開示されている(各々の記載内容は出典明示により全体として本明細書の一部とする)。
【0005】
例えば、以下に示される化合物Aは、強力なセロトニン5-HT2A受容体アンタゴニストおよびμオピオイド受容体パーシャルアゴニストまたはバイアスアゴニストである。この化合物はまた、ドパミン受容体、特にドパミンD1受容体とも相互作用する。
【化1】
【0006】
また、化合物Aは、そのD1受容体活性を介して、mTOR経路を介したNMDAおよびAMPA媒介シグナル伝達を増強し得ると考えられている。このように、化合物Aは中枢神経系障害の治療または予防に有用であるが、当技術分野では、この独特の生化学的および薬理学的プロファイルを有するさらなる化合物、特に化合物Aと比較して微妙に変化している薬理学的または薬物動態学的プロファイルを有し得る化合物が必要とされている。
【0007】
遊離形態または薬学的に許容される塩形態の置換複素環縮合γカルボリンの調製、それらの調製に使用される中間体、例えばエナンチオマー的に純粋な2,3,4,4a,5,9b-ヘキサヒドロ-1H-ピリド[4,3-b]インドール型中間体、ならびに該中間体および該置換複素環縮合γカルボリンの製造方法は、米国特許第7,183,282号、米国特許第8,309,722号、米国特許第8,779,139号、米国特許第9,315,504号および米国特許第9,751,883号に開示されている(各々の全体の記載内容は出典明示により本明細書の一部とする)。
【0008】
さらに、特定の縮合γカルボリンを高い純度、収率および経済的効率で製造する方法は、国際公開第2020/131895号および米国特許出願公開第2022/0041600号に開示されている。米国特許出願公開第2017/0319580および米国特許第10,799,500号には、遊離塩基形態の該化合物の調製が示されている。この遊離形態化合物についてのさらなる研究は、それが有機溶媒を望ましくない形で捕捉する可能性のある結晶を形成し得ることを示している。国際公開第2020/131895号を参照。化合物Aの1つの先行塩だけが具体的に示されている。国際公開第2020/131895には、固体トシル酸塩もまた示されており、これは放置すると変色するが、許容できる結晶性を示す。
【0009】
特に経口製剤について、予測可能で再現可能なバイオアベイラビリティを有する最も安定で信頼性の高い医薬製剤を提供するためには、このような化合物の純粋で安定な固体の結晶形態が依然として必要とされている。
【発明の概要】
【0010】
簡単な概要
化合物Aの新しい塩および多形を見出すために、広範な塩スクリーニングが行われた。化合物Aは遊離塩基形態では溶解度が非常に低い。Tピーク=145℃で融解事象を伴う茶色の結晶性粉末を形成することが判明した。遊離塩基化合物は20μm未満のサイズの凝集ブロックとして存在し、わずかに吸湿性がある。該化合物はDMSOに溶けやすく、サリチル酸エチルおよびアニソールにやや溶けにくく、ほとんどの有機溶媒および水にはほとんど溶けない。
【0011】
意外なことに、化合物Aは一般的な薬学的に許容される酸と再現性のある塩を容易には形成しないことが判明した。
【0012】
主要な塩のスクリーニングを実施し、遊離塩基化合物を異なる溶媒系および異なる条件下で研究し、次いで、異なる条件下で、異なる溶媒、共溶媒および貧溶媒(anti-solvent)系を用いて、58種類の酸の選択を用いて系統的にスクリーニングして、新しい可能性のある塩形態を同定した。さらに、18種類のアミノ酸共形成剤(co-former)を用いて、さまざまな条件を用いた共結晶スクリーニングを行った。この広範なスクリーニングおよび実験の結果、化合物Aの最も有望な結晶形態は、トルエンスルホン酸塩、アラニン共結晶、およびフェニルアラニン共結晶であることが判明した。
【0013】
したがって、本開示は、ガレヌス製剤の調製における使用に特に有利な化合物Aの新規な形態を、その製造方法および使用方法とともに提供する。
【0014】
本発明の更なる適用分野は、以下に提供される詳細な説明から明らかになるであろう。詳細な説明および具体例は、本発明の好ましい実施形態を示すものではあるが、例示のみを目的とするものであり、本発明の範囲を限定することを意図していないことを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0015】
本発明は、詳細な説明および添付図面からより完全に理解されるであろう。
【0016】
図1図1は、実施例3の化合物Aトルエンスルホン酸塩のX線粉末回折(XRPD)パターンを示す。
図2図2は、実施例2-B(上)および2-A(下)の化合物Aトルエンスルホン酸塩のTGA-DSCサーモグラムを示す。
図3図3は、実施例3の化合物Aトルエンスルホン酸塩のTGA-DSCサーモグラムを示す。
図4図4は、実施例5の化合物Aトルエンスルホン酸塩のX線粉末回折(XRPD)パターンを示す。
図5図5は、実施例5の化合物Aトルエンスルホン酸塩のDSCサーモグラムを示す。
図6図6は、実施例5の化合物Aトルエンスルホン酸塩のTGサーモグラムを示す。
図7図7は、化合物Aシュウ酸塩のX線粉末回折(XRPD)パターンを示す。
図8図8は、実施例2-E(上)および2-D(下)の化合物Aシュウ酸塩のTGA-DSCサーモグラムを示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
詳細な説明
好ましい実施形態の以下の説明は、本質的に単なる例示であり、本発明、その適用、または用途を限定することを何ら意図するものではない。
【0018】
全体を通して使用されるように、範囲は、範囲内にあるありとあらゆる値を記述するための簡略化した表現として使用されている。範囲内の任意の値を範囲の終端として選択することができる。さらに、本明細書で引用したすべての文献は、出典明示によりその全体として本明細書の一部とする。本開示における定義と引用した文献の定義に矛盾がある場合には、本開示が優先する。
【0019】
別段の指定がない限り、本明細書および本明細書の他の箇所で表現されるすべてのパーセンテージおよび量は、重量パーセントを指すと理解されるべきである。表示された量は、材料の活性重量に基づいている。
【0020】
第一の実施形態において、本発明は、固体結晶塩形態の(6bR,10aS)-8-(3-(4-フルオロフェノキシ)プロピル)-6b,7,8,9,10,10a-ヘキサヒドロ-1H-ピリド[3',4':4,5]ピロロ[1,2,3-de]キノキサリン-2(3H)-オン(化合物A)(塩1)を提供し、ここで、該塩形態は、塩酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、酒石酸塩、リンゴ酸塩、フマル酸塩、グルタミン酸塩、シュウ酸塩、ベシル酸塩およびアスコルビン酸塩から選択され、該塩は、空気中で化学的に安定である(例えば、外観変化または色変化のような物理的または化学的変化を受けない)ものであってもよい。
【0021】
さらなる実施形態において、本開示は、以下のものを提供する:
【0022】
1.1 該塩が、例えばLCMSによって示されるように、少なくとも90%の純度、例えば、少なくとも92%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%の純度である、塩1。
【0023】
1.2 該塩が、遊離塩基形態の化合物Aを、10重量%未満、例えば、8重量%未満、または6重量%未満、または5重量%未満、または4重量%未満、または3重量%未満、または2重量%未満、または1重量%未満、または0.5重量%未満、または0.1重量%未満しか含まない、塩1または1.1。
【0024】
1.3 該塩が、他の塩形態の化合物Aを、10重量%未満、例えば、8重量%未満、または6重量%未満、または5重量%未満、または4重量%未満、または3重量%未満、または2重量%未満、または1重量%未満、または0.5重量%未満、または0.1重量%未満しか含まない、塩1、または1.1~1.2のいずれか。
【0025】
1.4 該塩が、p-トルエンスルホン酸、酒石酸、リンゴ酸、フマル酸、グルタミン酸、シュウ酸、ベンゼンスルホン酸またはアスコルビン酸を、10重量%未満、例えば、8重量%未満、または6重量%未満、または5重量%未満、または4重量%未満、または3重量%未満、または2重量%未満、または1重量%未満、または0.5重量%未満、または0.1重量%未満しか含まない、塩1、または1.1~1.3のいずれか。
【0026】
1.5 該塩が、遊離溶媒(例えば、溶媒和化結晶形態に含まれる溶媒以外のもの)を、10重量%未満、例えば、8重量%未満、または6重量%未満、または5重量%未満、または4重量%未満、または3重量%未満、または2重量%未満、または1重量%未満、または0.5重量%未満、または0.1重量%未満しか含まない、塩1、または1.1~1.4のいずれか。
【0027】
1.6 該塩が、遊離塩基形態の化合物Aを調製するために使用した合成方法の合成前駆体または該合成方法からの副生成物を、10重量%未満、例えば、8重量%未満、または6重量%未満、または5重量%未満、または4重量%未満、または3重量%未満、または2重量%未満、または1重量%未満、または0.5重量%未満、または0.1重量%未満しか含まない、塩1、または1.1~1.5のいずれか。
【0028】
1.7 該塩が、均質な結晶形態であり、例えば、化合物Aの他の結晶形態または多形または非晶形態を含まないかまたは実質的に含まない、例えば、他の結晶形態または多形形態または非晶形態を、含まないかまたは実質的に含まない、例えば、10重量%未満、好ましくは約5重量%未満、より好ましくは約2重量%未満、さらにより好ましくは約1重量%未満、さらにより好ましくは約0.1%未満、および最も好ましくは約0.01重量%未満しか含まない、塩1、または1.1~1.6のいずれか。
【0029】
1.8 該塩が、p-トルエンスルホン酸塩である、塩1、または1.1~1.7のいずれか。
【0030】
1.9 該塩が、塩酸塩である、塩1、または1.1~1.7のいずれか。
【0031】
1.10 該塩が、酒石酸塩である、塩1、または1.1~1.7のいずれか。
【0032】
1.11 該塩が、リンゴ酸塩である、塩1、または1.1~1.7のいずれか。
【0033】
1.12 該塩が、フマル酸塩である、塩1、または1.1~1.7のいずれか。
【0034】
1.13 該塩が、グルタミン酸塩である、塩1、または1.1~1.7のいずれか。
【0035】
1.14 該塩が、シュウ酸塩である、塩1、または1.1~1.7のいずれか。
【0036】
1.15 該塩が、アスコルビン酸塩である、塩1、または1.1~1.7のいずれか。
【0037】
1.16 該塩が、ベンゼンスルホン酸塩である、塩1、または1.1~1.7のいずれか。
【0038】
1.17 該塩が、化合物A遊離塩基および酸対イオン(例えば、p-トルエンスルホン酸アニオン)をモル比1:1で含む塩(すなわち、一トシル酸塩)である、塩1、または1.1~1.16のいずれか。
【0039】
1.18 該塩が、化合物A遊離塩基および酸対イオン(例えば、p-トルエンスルホン酸アニオン)をモル比1:2または1:3で含む塩である、塩1、または1.1~1.16のいずれか。
【0040】
1.19 該塩が、遊離塩基形態の化合物Aを対酸(例えば、p-トルエンスルホン酸)とモル比1:0.9~1:5、例えば、1:0.9~1:3、または1:0.9~1:1.5、または1:0.9~1:1.2、または1:0.9~1:1.1、または約1:1で反応させることにより形成される、塩1、または1.1~1.18のいずれか。
【0041】
1.20 該塩が、遊離塩基形態の化合物Aを対酸(例えば、p-トルエンスルホン酸)と、メタノール、ジメチルスルホキシド、アセトン、アセトニトリル、酢酸エチル、トルエン、2-ブタノン、ベンゾニトリル、シクロヘキサン、テトラヒドロフランおよびジイソプロピルエーテルから選択される溶媒またはそれらの混合物中にて反応させることにより形成され、さらに水またはヘキサンを含んでいてもよい、塩1、または1.1~1.19のいずれか。
【0042】
1.21 該塩が、溶媒和物、例えば、メタノール溶媒和物、ジメチルスルホキシド溶媒和物、アセトン溶媒和物、アセトニトリル溶媒和物、酢酸エチル溶媒和物、トルエン溶媒和物、または2-ブタノン溶媒和物から選択される溶媒和物である、塩1の任意の前記形態。
【0043】
1.22 該塩が、溶媒和物ではない、塩1の任意の前記形態。
【0044】
1.23 該塩が、水和物である、塩1の任意の前記形態。
【0045】
1.24 該塩が、水和物ではない、塩1の任意の前記形態。
【0046】
1.25 該塩が、アセトン溶媒、酢酸エチル溶媒、トルエン溶媒または2-ブタノン溶媒から調製された(例えば、結晶化された)トルエンスルホン酸付加塩である、塩1の任意の前記形態。
【0047】
1.26 該塩が、アセトン溶媒または2-ブタノン溶媒から調製された(例えば、結晶化された)トルエンスルホン酸塩である、塩1の任意の前記形態。
【0048】
1.27 該塩が、トルエンスルホン酸塩であり、該塩が、2-ブタノン溶媒中で調製された(例えば、該溶媒から結晶化された)ものであってもよく、該塩が、約40~100℃(例えば、約67℃)で1つの吸熱事象、約120~180℃(例えば、約164℃)で第2の吸熱事象、および約200~280℃(例えば、約256℃)で1つの発熱事象を示すDSC/TGAサーモグラムを有し、例えば、該第1の吸熱事象が脱溶媒和事象であり、および/もしくは、該第2の吸熱事象が塩の融解であり、ならびに/または、該発熱事象が分解である、塩1の任意の前記形態。
【0049】
1.28 該塩が、トルエンスルホン酸塩であり、該塩が、アセトン溶媒中で調製された(例えば、該溶媒から結晶化された)ものであってもよく、該塩が、約40~100℃(例えば、約56℃)で1つの吸熱事象、約120~190℃(例えば、約180℃)で第2の吸熱事象、約200~220℃(例えば、約216℃)で第3の吸熱事象、および約230~290℃(例えば、約269℃)で1つの発熱事象を示すDSC/TGAサーモグラムを有し、例えば、第1の吸熱事象が脱溶媒和事象であり、および/もしくは、第2の吸熱事象が塩の融解であり、ならびに/または、該発熱事象が分解である、塩1の任意の前記形態。
【0050】
1.29 該塩が、トルエンスルホン酸塩であり、該塩が、2-ブタノン溶媒中で調製された(例えば、該溶媒から結晶化された)ものであってもよく、該塩が、約84℃で1つの吸熱事象、および約180℃で第2の発熱事象を示すDSC/TGAサーモグラムを有し、例えば、該DSC/TGAサーモグラムが、約Tオンセット=49℃、Tピーク=84℃およびΔE=-13J/gで第1の吸熱事象、ならびに約Tオンセット=166℃、Tピーク=180℃およびΔE=-47J/gで第2の吸熱事象を示し、例えば、該第1の吸熱事象が、脱溶媒和であり、第2の吸熱事象が、融解である、塩1の任意の前記形態。
【0051】
1.30 該塩が、トルエンスルホン酸塩であり、該塩が、2-ブタノン溶媒またはアセトン溶媒中で調製された(例えば、該溶媒から結晶化された)ものであってもよく、該塩が、図2または図3に示されるDSC/TGAサーモグラムを有する、塩1の任意の前記形態。
【0052】
1.31 該塩が、トルエンスルホン酸塩であり、該塩が、2-ブタノン溶媒またはアセトン溶媒中で調製された(例えば、該溶媒から結晶化された)ものであってもよく、該塩が、以下の表のd間隔および/または角度(2θ)値に対応するX線粉末回折パターンによって特徴付けられる結晶構造を有し、例えば、該パターンが、例えば試料の純度および装置の変動による潜在的変動、例えばX線波長の変動による2θシフトを考慮して、該値の少なくとも5個、または少なくとも6個、または少なくとも7個、または少なくとも8個を含み、例えば、該X線粉末回折パターンが、銅アノードおよびニッケルフィルターを備えたX線回折計を使用して生成され、例えば、少なくとも、少なくとも0.4、少なくとも0.5、または少なくとも0.6の相対強度を有するこれらのピークを含むか、または5個、6個、7個、9個、10個および12個のピークを含む、塩1の任意の前記形態:
【表1】
【0053】
1.32 該塩が、トルエンスルホン酸塩であり、該塩が、2-ブタノン溶媒またはアセトン溶媒中で調製された(例えば、該溶媒から結晶化された)ものであってもよく、該塩が、例えば試料の純度および装置の変動による潜在的変動、例えばX線波長の変動による2θシフトを考慮して、図1に対応するX線粉末回折パターンによって、例えば銅アノードおよびニッケルフィルターを備えたX線回折計を使用して生成された図1に対応するX線粉末回折パターン特徴付けられる結晶構造を有する、塩1の任意の前記形態。
【0054】
1.33 該塩が、トルエンスルホン酸塩であり、該塩が、2-ブタノン溶媒またはアセトン溶媒中で調製された(例えば、該溶媒から結晶化された)ものであってもよく、該塩が、試料の純度および装置の変動による潜在的変動を考慮して、約5.9、8.6、11.4、13.6、14.9、17.0、19.4、20.0、20.9、22.6、23.8、24.6、25.3、25.6、25.9、27.5、28.0、29.0、29.9、32.5、33.6、36.6、36.6および36.6からなる群から選択される角度(2θ)値を有する少なくとも5個、または少なくとも6個、または少なくとも7個、または少なくとも8個のピークを有するX線粉末回折パターンによって特徴付けられる結晶構造を有し、例えば、該X線粉末回折パターンが、銅アノードおよびニッケルフィルターを備えたX線回折計を使用して生成される、塩1の任意の前記形態。
【0055】
1.34 該塩が、トルエンスルホン酸塩であり、該塩が、2-ブタノン溶媒またはアセトン溶媒中で調製された(例えば、該溶媒から結晶化された)ものであってもよく、該塩が、試料の純度および装置の変動による潜在的変動を考慮して、約5.88、8.63、11.44、13.55、14.93、16.98、19.37、19.96、20.94、22.59、23.81、24.57、25.34、25.61、25.94、27.53、28.04、28.97、29.94、32.53、33.61、36.55、36.59および36.62からなる群から選択される角度(2θ)値を有する少なくとも5個、または少なくとも6個、または少なくとも7個、または少なくとも8個のピークを有するX線粉末回折パターンによって特徴付けられる結晶構造を有し、例えば、該X線粉末回折パターンが、銅アノードおよびニッケルフィルターを備えたX線回折計を使用して生成される、塩1の任意の前記形態。
【0056】
1.35 該塩が、トルエンスルホン酸塩であり、該塩が、2-ブタノン溶媒またはアセトン溶媒中で調製された(例えば、該溶媒から結晶化された)ものであってもよく、該塩が、試料の純度および装置の変動による潜在的変動を考慮して、約15.03、10.24、7.73、6.53、5.93、5.22、4.58、4.45、4.24、3.93、3.74、3.62、3.51、3.48、3.43、3.24、3.18、3.08、2.98、2.75、2.66、2.46、2.454および2.452からなる群から選択されるd間隔値を有する少なくとも5個、または少なくとも6個、または少なくとも7個、または少なくとも8個のピークを有するX線粉末回折パターンによって特徴付けられる結晶構造を有し、該X線粉末回折パターンが、銅アノードおよびニッケルフィルターを備えたX線回折計を使用して生成される、塩1の任意の前記形態。
【0057】
1.36 該塩が、トルエンスルホン酸塩であり、該塩が、2-ブタノン溶媒またはアセトン溶媒中で調製された(例えば、該溶媒から結晶化された)ものであってもよく、該塩が、試料の純度および装置の変動による潜在的変動を考慮して、約15.0、10.2、7.7、6.5、5.9、5.2、4.6、4.5、4.2、3.9、3.7、3.6、3.5、3.5、3.4、3.2、3.2、3.1、3.0、2.8、2.7、2.5、2.5および2.5からなる群から選択されるd間隔値を有する少なくとも5個、または少なくとも6個、または少なくとも7個、または少なくとも8個のピークを有するX線粉末回折パターンによって特徴付けられる結晶構造を有し、該X線粉末回折パターンが、銅アノードおよびニッケルフィルターを備えたX線回折計を使用して生成される、塩1の任意の前記形態。
【0058】
1.37 該塩が、トルエンスルホン酸塩であり、該塩が、2-ブタノン溶媒またはアセトン溶媒中で調製された(例えば、該溶媒から結晶化された)ものであってもよく、該塩が、図1に示されているかまたは図1に実質的に示されているX線粉末回折パターンを有する、塩1の任意の前記形態。
【0059】
1.38 該塩が、トルエンスルホン酸塩であり、該塩が、2-ブタノン溶媒中またはアセトン溶媒中で調製されたものであってもよく、該塩が、以下の表のd間隔および/または角度(2θ)値に対応するX線粉末回折パターンによって特徴付けられる結晶構造、例えば、該パターンが、例えば試料の純度および装置の変動による潜在的変動、例えばX線波長の変動による2θシフトを考慮して、該値の少なくとも5個、または少なくとも6個、または少なくとも7個、または少なくとも8個を含み、例えば、該X線粉末回折パターンが、銅アノードおよびニッケルフィルターを備えたX線回折計を使用して生成され、例えば、少なくとも、少なくとも0.4、少なくとも0.5、または少なくとも0.6の相対強度を有するこれらのピークを含むか、または、1、2、3、4、5、6、8、10、11、12、13、21、23および27個のピークを含む、塩1の任意の前記形態:
【表2】
【0060】
1.39 該塩が、トルエンスルホン酸塩であり、該塩が、2-ブタノン溶媒またはアセトン溶媒中で調製された(例えば、該溶媒から結晶化された)ものであってもよく、該塩が、例えば試料の純度および装置の変動による潜在的変動、例えばX線波長の変動による2θシフトを考慮して、図4に対応するX線粉末回折パターンによって、例えば銅アノードおよびニッケルフィルターを備えたX線回折計を使用して生成された図1に対応するX線粉末回折パターンによって特徴付けられる結晶構造を有する、塩1の任意の前記形態。
【0061】
1.40 該塩が、トルエンスルホン酸塩であり、該塩が、2-ブタノン溶媒またはアセトン溶媒中で調製された(例えば、該溶媒から結晶化された)ものであってもよく、該塩が、試料の純度および装置の変動による潜在的変動を考慮して、約2.9、5.7、8.5、11.3、13.4、14.8、16.6、17.0、18.4、18.7、19.2、19.5、19.8、20.2、20.8、22.2、22.5、22.7、23.3、23.7、24.5、25.1、25.6、25.9、26.9、27.4、27.5、28.0、28.4、28.8、29.9、31.4、32.5、33.7、34.2、36.5、37.3、37.9および39.3からなる群から選択される角度(2θ)値を有する少なくとも5個、または少なくとも6個、または少なくとも7個、または少なくとも8個のピークを有するX線粉末回折パターンによって特徴付けられる結晶構造を有し、例えば、該X線粉末回折パターンが、銅アノードおよびニッケルフィルターを備えたX線回折計を使用して生成される、塩1の任意の前記形態。
【0062】
1.41 該塩が、トルエンスルホン酸塩であり、該塩が、2-ブタノン溶媒またはアセトン溶媒中で調製された(例えば、該溶媒から結晶化された)ものであってもよく、該塩が、試料の純度および装置の変動による潜在的変動を考慮して、約2.89、5.66、8.46、11.29、13.41、14.82、16.62、16.96、18.43、18.68、19.19、19.46、19.83、20.23、20.83、22.16、22.51、22.68、23.31、23.67、24.51、25.08、25.55、25.87、26.87、27.41、27.47、28.00、28.43、28.83、29.92、31.35、32.50、33.74、34.22、36.51、37.34、37.90および39.29からなる群から選択される角度(2θ)値を有する少なくとも5個、または少なくとも6個、または少なくとも7個、または少なくとも8個のピークを有するX線粉末回折パターンによって特徴付けられる結晶構造を有し、例えば、該X線粉末回折パターンが、銅アノードおよびニッケルフィルターを備えたX線回折計を使用して生成される、塩1の任意の前記形態。
【0063】
1.42 該塩が、トルエンスルホン酸塩であり、該塩が、2-ブタノン溶媒またはアセトン溶媒中で調製された(例えば、該溶媒から結晶化された)ものであってもよく、該塩が、試料の純度および装置の変動による潜在的変動を考慮して、約30.59、15.63、10.45、7.84、6.60、5.98、5.33、5.23、4.81、4.75、4.63、4.56、4.48、4.39、4.26、4.01、3.95、3.92、3.82、3.76、3.63、3.55、3.49、3.44、3.32、3.252、3.247、3.19、3.14、3.10、3.05、2.99、2.85、2.76、2.66、2.62、2.46、2.41、2.37および2.29からなる群から選択されるd間隔値を有する少なくとも5個、または少なくとも6個、または少なくとも7個、または少なくとも8個のピークを有するX線粉末回折パターンによって特徴付けられる結晶構造を有し、該X線粉末回折パターンが、銅アノードおよびニッケルフィルターを備えたX線回折計を使用して生成される、塩1の任意の前記形態。
【0064】
1.43 該塩が、トルエンスルホン酸塩であり、該塩が、2-ブタノン溶媒またはアセトン溶媒中で調製された(例えば、該溶媒から結晶化された)ものであってもよく、該塩が、試料の純度および装置の変動による潜在的変動を考慮して、約30.6、15.6、10.5、7.8、6.6、6.0、5.3、5.2、4.8、4.8、4.6、4.6、4.5、4.4、4.3、4.0、4.0、3.9、3.8、3.8、3.6、3.6、3.5、3.4、3.3、3.3、3.3、3.2、3.1、3.1、3.1、3.0、2.9、2.8、2.7、2.6、2.5、2.4、2.4および2.3からなる群から選択されるd間隔値を有する少なくとも5個、または少なくとも6個、または少なくとも7個、または少なくとも8個のピークを有するX線粉末回折パターンによって特徴付けられる結晶構造を有し、該X線粉末回折パターンが、銅アノードおよびニッケルフィルターを備えたX線回折計を使用して生成される、塩1の任意の前記形態。
【0065】
1.44 該塩が、トルエンスルホン酸塩であり、該塩が、2-ブタノン溶媒またはアセトン溶媒中で調製された(例えば、該溶媒から結晶化された)ものであってもよく、該塩が、図4に示されているかまたは図4に実質的に示されているX線粉末回折パターンを有する、塩1の任意の前記形態。
【0066】
1.45 該塩が、トルエンスルホン酸塩であり、該塩が、2-ブタノン溶媒中で調製された(例えば、該溶媒から結晶化された)ものであってもよく、該塩が、約186~190℃で1つの吸熱事象(例えば、ピーク188℃)、約189~202℃でシャープな発熱事象(例えば、ピーク189℃)、約225~230℃で第2の吸熱事象(例えば、ピーク226℃)、および約260~310℃で第2の発熱事象(例えば、ピーク304℃)を示すDSCサーモグラムを有し、例えば、該第1の吸熱事象が融解事象であり、該第1の発熱事象が再結晶であり、該第2の吸熱事象が融解事象であり、該第2の発熱事象が分解であり、該塩が、約250℃で始まる単一の質量損失を示すTGサーモグラムを有してもよい、塩1の任意の前記形態(例えば、塩1.38~1.44のいずれか)。
【0067】
1.46 該塩が、トルエンスルホン酸塩であり、該塩が、2-ブタノン溶媒またはアセトン溶媒中で調製された(例えば、該溶媒から結晶化された)ものであってもよく、該塩が、図5に示されているDSCサーモグラムおよび/または図6に示されているTGAサーモグラムを有する、塩1の任意の前記形態。
【0068】
1.47 該塩が、トルエンスルホン酸塩であり、該塩が、2-ブタノン溶媒またはアセトン溶媒中で調製された(例えば、該溶媒から結晶化された)ものであってもよく、該塩が、約163℃の融点を有する、塩1の任意の前記形態。
【0069】
1.48 該塩が、トルエンスルホン酸塩であり、該塩が、2-ブタノン溶媒またはアセトン溶媒中で調製された(例えば、該溶媒から結晶化された)ものであってもよく、該塩結晶が、単斜形態を有する、塩1の任意の前記形態。
【0070】
1.49 該塩が、トルエンスルホン酸塩であり、該塩が、2-ブタノン溶媒またはアセトン溶媒中で調製された(例えば、該溶媒から結晶化された)ものであってもよく、該塩が、上記実施形態1.31~1.44のいずれか1つで提供されている相対角度(2θ)値を有するX線粉末回折パターンを有し、該値が、最大±0.2°シフトされ、例えば、該値が、最大±0.2°実質的に均一にシフトされる、塩1の任意の前記形態。
【0071】
1.50 該塩が、アセトン溶媒中で調製される、塩1.26~1.49のいずれか1つ。
【0072】
1.51 該塩が、アセトン溶媒中にて1当量の化合物A遊離塩基を0.95~1.25当量のp-トルエンスルホン酸(例えば、p-トルエンスルホン酸一水和物)と混合することにより調製され、該p-トルエンスルホン酸が、アセトン溶媒中溶液として該反応に添加されてもよい、塩1.50。
【0073】
1.52 該反応が、0.95~1.15当量、または0.95~1.10当量、または0.95~1.05当量、または0.95~1.00当量、または0.95~0.99当量のp-トルエンスルホン酸(例えば、p-トルエンスルホン酸一水和物)を含む、塩1.51。
【0074】
1.53 該塩が、0℃~40℃、例えば0℃~30℃、または0℃~25℃、または0℃~15℃、または5℃~20℃、または5℃~15℃、または10℃~20℃、または10℃~15℃、または5℃~10℃の温度、またはそれらの組み合わせの温度で調製される、塩1.50~1.52のいずれか。
【0075】
1.54 該塩が、反応混合物からの濾過によって単離され、該濾過が、0℃~15℃、または5℃~15℃、または0℃~10℃、または5℃~10℃で行われてもよい、塩1.50~1.53のいずれか1つ。
【0076】
1.55 濾過後、該塩が、溶媒(例えば、アセトン、2-ブタノン、メチルtert-ブチルエーテル、またはそれらの組み合わせ)で洗浄され、冷溶媒(例えば、0℃~15℃または5℃~10℃)で洗浄されてもよく、高温(例えば、30~100℃、または40~80℃、または40~60℃、または40~50℃)で乾燥されてもよい、塩1.54。
【0077】
1.56 該塩が、白色、オフホワイト色、薄黄色(pale yellow)、淡黄色(light yellow)、または灰色であり(例えば、該塩は紫色ではない)、該塩が、紫色にならなくてもよい、塩1.26~1.55のいずれか1つ。
【0078】
1.57 該塩が、アセトン溶媒、酢酸エチル溶媒、アセトニトリル溶媒または2-ブタノン溶媒から調製された(例えば、該溶媒から結晶化された)シュウ酸塩である、塩1の任意の前記形態。
【0079】
1.58 該塩が、アセトニトリル溶媒または酢酸エチル溶媒から調製された(例えば、該溶媒から結晶化された)シュウ酸塩である、塩1の任意の前記形態。
【0080】
1.59 該塩が、シュウ酸塩であり、該塩が、アセトニトリル溶媒から調製された(例えば、該溶媒から結晶化された)ものであってもよく、該塩が、約214℃で1つの吸熱事象および約225℃で第2の吸熱事象を示すDSC/TGAサーモグラムを有し、例えば、該DSC/TGAサーモグラムが、約Tオンセット=209℃、Tピーク=214℃およびΔE=-88J/gで該吸熱事象を示し、例えば、該第1の吸熱事象が融解である、塩1の任意の前記形態。
【0081】
1.60 該塩が、シュウ酸塩であり、該塩が、酢酸エチル溶媒中で調製された(例えば、該溶媒から結晶化された)ものであってもよく、該塩が、約215℃で1つの吸熱事象、約216℃で第2の吸熱事象、および約225℃で1つの発熱事象を示すDSC/TGAサーモグラムを有し、例えば、該DSC/TGAサーモグラムが、約Tオンセット=209℃、Tピーク=215℃およびΔE=-89J/gで該第1の吸熱事象、ならびに約Tオンセット=211℃、Tピーク=225℃およびΔE=-28.8J/gで該第2の吸熱事象を示し、例えば、該第1の吸熱事象が脱溶媒和であり、該第2の吸熱事象が融解である、塩1の任意の前記形態。
【0082】
1.61 該塩が、シュウ酸塩であり、該塩が、アセトニトリル溶媒または酢酸エチル溶媒中で調製された(例えば、該溶媒から結晶化された)ものであってもよく、該塩が、図8に示されているDSC/TGAサーモグラムを有する、塩1の任意の前記形態。
【0083】
1.62 該塩が、シュウ酸塩であり、該塩が、アセトニトリル溶媒または酢酸エチル溶媒中で調製された(例えば、該溶媒から結晶化された)ものであってもよく、該塩が、以下の表のd間隔および/または角度(2θ)値に対応するX線粉末回折パターンによって特徴付けられる結晶構造を有し、例えば、該パターンが、例えば試料の純度および装置の変動による潜在的変動、例えばX線波長の変動による2θシフトを考慮して、該値の少なくとも5個、または少なくとも6個、または少なくとも7個、または少なくとも8個を含み、例えば、該X線粉末回折パターンが、銅アノードおよびニッケルフィルターを備えたX線回折計を使用して生成され、例えば、少なくとも、少なくとも0.4、少なくとも0.5、または少なくとも0.6の相対強度を有するこれらのピークを含むか、または5個、6個、7個、9個、10個および12個のピークを含む、塩1の任意の前記形態:
【表3】
【0084】
1.63 該塩が、シュウ酸塩であり、該塩が、アセトニトリル溶媒または酢酸エチル溶媒中で調製された(例えば、該溶媒から結晶化された)ものであってもよく、該塩が、例えば試料の純度および装置の変動による潜在的変動、例えばX線波長の変動による2θシフトを考慮して、図7に対応するX線粉末回折パターンによって、例えば銅アノードおよびニッケルフィルターを備えたX線回折計を使用して生成された図1に対応するX線粉末回折パターンによって特徴付けられる結晶構造を有する、塩1の任意の前記形態。
【0085】
1.64 該塩が、シュウ酸塩であり、該塩が、アセトニトリル溶媒または酢酸エチル溶媒中で調製された(例えば、該溶媒から結晶化された)ものであってもよく、該塩が、試料の純度および装置の変動による潜在的変動を考慮して、約12.1、13.5、14.1、15.7、17.2、17.7、18.2、19.8、21.0、22.1、23.2、23.3、24.1、26.2、28.1および29.1からなる群から選択される角度(2θ)値を有する少なくとも5個、または少なくとも6個、または少なくとも7個、または少なくとも8個のピークを有するX線粉末回折パターンによって特徴付けられる結晶構造を有し、例えば、該X線粉末回折パターンが、銅アノードおよびニッケルフィルターを備えたX線回折計を使用して生成される、塩1の任意の前記形態。
【0086】
1.65 該塩が、シュウ酸塩であり、該塩が、アセトニトリル溶媒または酢酸エチル溶媒中で調製された(例えば、該溶媒から結晶化された)ものであってもよく、該塩が、試料の純度および装置の変動による潜在的変動を考慮して、約12.05、13.52、14.10、15.70、17.20、17.71、18.22、19.83、20.96、22.05、23.20、23.32、24.10、26.15、28.07および29.07からなる群から選択される角度(2θ)値を有する少なくとも5個、または少なくとも6個、または少なくとも7個、または少なくとも8個のピークを有するX線粉末回折パターンによって特徴付けられる結晶構造を有し、例えば、該X線粉末回折パターンが、銅アノードおよびニッケルフィルターを備えたX線回折計を使用して生成される、塩1の任意の前記形態。
【0087】
1.66 該塩が、シュウ酸塩であり、該塩が、アセトニトリル溶媒または酢酸エチル溶媒中で調製された(例えば、該溶媒から結晶化された)ものであってもよく、該塩が、試料の純度および装置の変動による潜在的変動を考慮して、約7.34、6.55、6.28、5.64、5.15、5.00、4.86、4.47、4.24、4.03、3.83、3.81、3.69、3.40、3.18および3.07からなる群から選択されるd間隔値を有する少なくとも5個、または少なくとも6個、または少なくとも7個、または少なくとも8個のピークを有するX線粉末回折パターンによって特徴付けられる結晶構造を有し、該X線粉末回折パターンが、銅アノードおよびニッケルフィルターを備えたX線回折計を使用して生成される、塩1の任意の前記形態。
【0088】
1.67 該塩が、シュウ酸塩であり、該塩が、アセトニトリル溶媒または酢酸エチル溶媒中で調製された(例えば、該溶媒から結晶化された)ものであってもよく、該塩が、試料の純度および装置の変動による潜在的変動を考慮して、約7.3、6.6、6.3、5.6、5.2、5.0、4.9、4.5、4.2、4.0、3.8、3.8、3.7、3.4、3.2および3.1からなる群から選択されるd間隔値を有する少なくとも5個、または少なくとも6個、または少なくとも7個、または少なくとも8個のピークを有するX線粉末回折パターンによって特徴付けられる結晶構造を有し、該X線粉末回折パターンが、銅アノードおよびニッケルフィルターを備えたX線回折計を使用して生成される、塩1の任意の前記形態。
【0089】
1.68 該塩が、シュウ酸塩であり、該塩が、アセトニトリル溶媒または酢酸エチル溶媒中で調製された(例えば、該溶媒から結晶化された)ものであってもよく、該塩は、図7に示されているかまたは図7に実質的に示されているX線粉末回折パターンを有する、塩1の任意の前記形態。
【0090】
1.69 該塩が、シュウ酸塩であり、該塩が、アセトニトリル溶媒または酢酸エチル溶媒中で調製された(例えば、該溶媒から結晶化された)ものであってもよく、該塩が、上記実施形態1.62~1.65のいずれか1つで提供されている相対角度(2θ)値を有するX線粉末回折パターンを有し、該値が、最大±0.2°シフトされ、例えば、該値が、最大±0.2°実質的に均一にシフトされる、塩1の任意の前記形態。
【0091】
1.70 該塩が、5000ppm未満の全残留溶媒(例えば、アセトンまたは2-ブタノン)、例えば、4000ppm未満、または3000ppm未満、または2000ppm未満、または1000ppm未満、または750ppm未満、または500ppm未満、または250ppm未満、または150ppm未満、または100ppm未満、または50ppm未満の全残留溶媒を含む、塩1の任意の前記形態(例えば、トルエンスルホン酸塩、ここで、該塩が、2-ブタノン溶媒またはアセトン溶媒中で調製された(例えば、該溶媒から結晶化された)ものであってもよい)。
【0092】
1.71 該塩が、100ppm未満、例えば、75ppm未満、または50ppm未満、または25ppm未満、または20ppm未満、または15ppm未満、または10ppm未満の1-(3-クロロプロポキシ)-4-フルオロベンゼンを含む、塩1の任意の前記形態(例えば、トルエンスルホン酸塩、ここで、該塩が、2-ブタノン溶媒またはアセトン溶媒中で調製された(例えば、該溶媒から結晶化された)ものであってもよい)。
【0093】
1.72 該塩が、5重量%未満の水、例えば、4重量%未満、または3重量%未満、または2重量%未満、または1重量%未満、または0.9重量%未満、または0.8重量%未満、または0.7重量%未満、または0.6重量%未満、または0.5重量%未満の水を含む、塩1の任意の前記形態(例えば、トルエンスルホン酸塩、ここで、該塩が、2-ブタノン溶媒またはアセトン溶媒中で調製された(例えば、該溶媒から結晶化された)ものであってもよい)。
【0094】
1.73 該塩が、100ppm未満のp-トルエンスルホン酸アルキルエステル(例えば、メチルエステル、エチルエステルおよび/またはイソプロピルエステル)、例えば、75ppm未満、または50ppm未満、または40ppm未満、または30ppm未満、または20ppm未満のp-トルエンスルホン酸アルキルエステルを含む、塩1の任意の前記形態(例えば、トルエンスルホン酸塩、ここで、該塩が、2-ブタノン溶媒またはアセトン溶媒中で調製された(例えば、該溶媒から結晶化された)ものであってもよい)。
【0095】
1.74 該塩が、50ppm未満の任意のp-トルエンスルホン酸アルキルエステル(例えば、メチルエステル、エチルエステルおよび/またはイソプロピルエステル)、例えば、40ppm未満、または30ppm未満、または25ppm未満、または20ppm未満、または15ppm未満、または10ppm未満の任意のp-トルエンスルホン酸アルキルエステル、例えば、20ppm未満の任意のp-トルエンスルホン酸アルキルエステルを含む、塩1の任意の前記形態(例えば、トルエンスルホン酸塩、ここで、該塩が、2-ブタノン溶媒またはアセトン溶媒中で調製された(例えば、該溶媒から結晶化された)ものであってもよい)。
【0096】
1.75 該塩が、50ミクロン未満の粒径を有し、例えば、該塩粒子が、50μm未満、または40μm未満、または30μm未満、または20μm未満、または10μm未満のD90を有する、塩1の任意の前記形態(例えば、トルエンスルホン酸塩、ここで、該塩が、2-ブタノン溶媒またはアセトン溶媒中で調製された(例えば、該溶媒から結晶化された)ものであってもよい)。
【0097】
1.76 該塩が、1.1~1.75に記載されている特徴の任意の組み合わせを示す、塩1の任意の前記形態。
【0098】
第2の実施形態において、本発明は、固体共結晶形態の(6bR,10aS)-8-(3-(4-フルオロフェノキシ)プロピル)-6b,7,8,9,10,10a-ヘキサヒドロ-1H-ピリド[3',4':4,5]ピロロ[1,2,3-de]キノキサリン-2(3H)-オン(化合物A)(共結晶2)を提供する。
【0099】
さらなる実施形態において、本開示は、以下のものを提供する:
【0100】
2.1 該共結晶が、例えばLCMSによって示されるような、少なくとも90%の純度、例えば、少なくとも92%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%の純度である、共結晶2。
【0101】
2.2 該共結晶が、10重量%未満、例えば、8重量%未満、または6重量%未満、または5重量%未満、または4重量%未満、または3重量%未満、または2重量%未満、または1重量%未満、または0.5重量%未満、または0.1重量%未満の遊離塩基形態の化合物Aを含む、共結晶2または2.1。
【0102】
2.3 該共結晶が、10重量%未満、例えば、8重量%未満、または6重量%未満、または5重量%未満、または4重量%未満、または3重量%未満、または2重量%未満、または1重量%未満、または0.5重量%未満、または0.1重量%未満の任意の他の共結晶形態の化合物Aを含む、共結晶2、または2.1~2.2のいずれか。
【0103】
2.4 該塩が、10重量%未満、例えば、8重量%未満、または6重量%未満、または5重量%未満、または4重量%未満、または3重量%未満、または2重量%未満、または1重量%未満、または0.5重量%未満、または0.1重量%未満の任意の遊離結晶共形成剤(例えば、アラニン、フェニルアラニン、または他のアミノ酸)を含む、共結晶2、または2.1~2.3のいずれか。
【0104】
2.5 該共結晶が、10重量%未満、例えば、8重量%未満、または6重量%未満、または5重量%未満、または4重量%未満、または3重量%未満、または2重量%未満、または1重量%未満、または0.5重量%未満、または0.1重量%未満の任意の遊離溶媒(例えば、溶媒和化共結晶形態に含まれる溶媒以外のもの)を含む、共結晶2、または2.1~2.4のいずれか。
【0105】
2.6 該共結晶が、10重量%未満、例えば、8重量%未満、または6重量%未満、または5重量%未満、または4重量%未満、または3重量%未満、または2重量%未満、または1重量%未満、または0.5重量%未満、または0.1重量%未満の、遊離塩基形態の化合物Aを調製するために使用した合成方法の合成前駆体または該合成方法からの副生成物を含む、共結晶2、または2.1~2.5のいずれか。
【0106】
2.7 該共結晶が、均質な結晶形態であり、例えば、化合物Aの他の結晶形態または多形または非晶形態を含まないかまたは実質的に含まない、例えば、任意の他の結晶形態または多形体または非晶質形態を、含まないかまたは実質的に含まない、例えば、10重量%未満、好ましくは約5重量%未満、より好ましくは約2重量%未満、さらに好ましくは約1重量%未満、さらに好ましくは約0.1%未満、最も好ましくは約0.01重量%未満しか含まない、共結晶2、または2.1~2.6のいずれか。
【0107】
2.8 該共結晶が、アミノ酸(例えば、天然αアミノ酸)との共結晶である、共結晶2、または2.1~2.7のいずれか。
【0108】
2.9 該アミノ酸が、アラニン、アスパラギン、システイン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、グルタミン、グリシン、ヒスチジン、リジン、スレオニン、チロシンおよびバリンから選択される、共結晶2.8。
【0109】
2.10 該アミノ酸が、アラニン、システイン、メチオニン、フェニルアラニン、セリン、グリシン、ヒスチジンおよびバリンから選択される、共結晶2.8。
【0110】
2.11 該アミノ酸が、アラニンである、共結晶2.8。
【0111】
2.12 該アミノ酸が、フェニルアラニンである、共結晶2.8。
【0112】
2.13 該共結晶が、化合物A遊離塩基と共形成剤(例えば、アラニンまたはフェニルアラニン)をモル比1:2、1:1、2:1、3:1、または4:1で含む共結晶である、共結晶2、または2.1~2.12のいずれか。
【0113】
2.14 該共結晶が、メタノール、ジメチルスルホキシド、アセトンまたはアセトニトリルから選択される溶媒中、例えば、アセトンまたはアセトニトリル中にて遊離塩基形態の化合物Aを共形成剤(例えば、アラニンまたはフェニルアラニン)と反応させることによって形成される、共結晶2、または2.1~2.13のいずれか。
【0114】
別の態様において、本発明は、固体結晶塩形態の(6bR,10aS)-8-(3-(4-フルオロフェノキシ)プロピル)-6b,7,8,9,10,10a-ヘキサヒドロ-1H-ピリド[3',4':4,5]ピロロ[1,2,3-de]キノキサリン-2(3H)-オン(化合物A)(例えば、塩1)の製造方法であって、
(a)(6bR,10aS)-8-(3-(4-フルオロフェノキシ)プロピル)-6b,7,8,9,10,10a-ヘキサヒドロ-1H-ピリド[3',4':4,5]ピロロ[1,2,3-de]キノキサリン-2(3H)-オン(化合物A)遊離塩基を、塩酸、p-トルエンスルホン酸、酒石酸、リンゴ酸、フマル酸、グルタミン酸、シュウ酸、ベンゼンスルホン酸およびアスコルビン酸から選択される酸と、例えば有機溶媒(例えば、2-ブタノンまたはアセトンを含む)と一緒に、反応させること;および
(b)このようにして形成された塩を回収すること、例えば塩1、または塩1.1~1.76のいずれかを回収すること
を含む、製造方法(製造方法1)を提供する。
【0115】
製造方法1のさらなる実施形態において、本開示は、以下のものを提供する:
【0116】
1.1 該酸が、p-トルエンスルホン酸、酒石酸、リンゴ酸、フマル酸、グルタミン酸、シュウ酸、ベンゼンスルホン酸およびアスコルビン酸から選択される、製造方法1。
【0117】
1.2 該酸が、p-トルエンスルホン酸およびシュウ酸から選択される、製造方法1.1。
【0118】
1.3 該酸が、シュウ酸であり、該塩が、塩1.57~1.69のいずれか1つである、製造方法1.2。
【0119】
1.4 該酸が、p-トルエンスルホン酸であり、該塩が、塩1.25~1.56または1.70~1.76のいずれか1つである、製造方法1.2。
【0120】
1.5 工程(a)の該溶媒が、メタノール、ジメチルスルホキシド、アセトン、アセトニトリル、酢酸エチル、トルエン、2-ブタノン、ベンゾニトリル、シクロヘキサン、テトラヒドロフランおよびジイソプロピルエーテルから選択されるかまたはそれらの混合物であり、さらに水またはヘキサンをを含んでいてもよい、製造方法1、または1.1~1.4のいずれか。
【0121】
1.6 該溶媒が、アセトン、アセトニトリル、酢酸エチル、トルエンおよび2-ブタノンから選択されるかまたはそれらの混合物である、製造方法1.5。
【0122】
1.7 該溶媒が、アセトンおよび2-ブタノンから選択される、製造方法1.6。
【0123】
1.8 該溶媒が、アセトンであり、例えば、該溶媒がアセトンからなる、製造方法1.7。
【0124】
1.9 該式Aの化合物と該酸が、工程(a)において、モル比約1:0.9~1:5、例えば、1:0.9~1:3、または1:0.9~1:1.5、または1:0.9~1:1.2、または1:0.9~1:1.1、またはモル比約1:1で混合される、製造方法1、または1.1~1.8のいずれか。
【0125】
1.10 工程(a)において、該酸の該溶媒中溶液が、該化合物A遊離塩基の該溶媒中溶液に添加される、製造方法1、または1.1~1.9のいずれか。
【0126】
1.11 該溶媒中の該化合物A遊離塩基の濃度(該酸の添加前)が、約0.1~0.3g/mL、例えば、0.1~0.15g/mL、または約0.1もしくは0.11g/mLである、製造方法1.10。
【0127】
1.12 溶媒中の該酸の濃度(該遊離塩基溶液への該酸の添加前)が、約1M~5M、例えば、2M~3M、または約2.5Mであり、例えば、該酸が、p-トルエンスルホン酸一水和物であり、該濃度が、約0.3~1g/mL、例えば、0.37~0.55g/mL、または約0.45g/mLである、製造方法1.10または1.11。
【0128】
1.13 工程(a)が、1当量の遊離塩基形態の化合物A、該溶媒、および0.95~1.15当量の該酸(例えば、p-トルエンスルホン酸一水和物)、または0.95~1.10当量、または0.95~1.05当量、または0.95~1.00当量、または0.95~0.99当量からなる、製造方法1、または1.1~1.12のいずれか。
【0129】
1.14 全溶媒添加後の該化合物Aの正味濃度が、約0.1~0.3g/mL、例えば、0.1~0.15g/mL、または約0.1g/mLである、製造方法1.13。
【0130】
1.15 工程(a)が、0℃~40℃、例えば、0℃~30℃、または0℃~25℃、または0℃~15℃、または5℃~20℃、または5℃~15℃、または10℃~20℃、または10℃~15℃、または5℃~10℃の温度、またはそれらの組み合わせの温度で生じる、製造方法1、または1.1~1.14のいずれか。
【0131】
1.16 該化合物A遊離塩基、該酸および該溶媒が、10℃~20℃、または10℃~15℃の温度で混合され、該混合が完了した後、該反応が、5℃~15℃、または5℃~10℃、または約5℃の温度に冷却される、製造方法1.14。
【0132】
1.17 工程(a)が、12~24時間、例えば、14~20時間または14~16時間生じる、製造方法1、または1.1~1.16のいずれか。
【0133】
1.18 工程(b)が、沈殿した塩生成物を濾過によって単離すること、その後、溶媒(例えば、アセトン、2-ブタノン、メチルtert-ブチルエーテル、またはそれらの組み合わせ)で洗浄することを含む、製造方法1、または1.1~1.17のいずれか。
【0134】
1.19 該濾過および洗浄が、0℃~15℃、または5℃~15℃、または0℃~10℃、または5℃~10℃で行われる、製造方法1.18。
【0135】
1.20 該塩生成物が、冷溶媒(例えば、0℃~15℃または5℃~10℃)で洗浄される、製造方法1.18または1.19。
【0136】
1.21 洗浄溶媒が、アセトンである、製造方法1.18~1.20のいずれか。
【0137】
1.22 工程(b)が、さらに、該塩生成物を、高温(例えば、30~100℃、または40~80℃、または40~60℃、または40~50℃)で乾燥させることを含む、製造方法1.18~1.21のいずれか。
【0138】
1.23 該製造方法が、5000ppm未満の全残留溶媒(例えば、アセトン、メタノール、アセトニトリル、メチルtert-ブチルエーテル、酢酸エチル、ヘプタン、トルエン、ジメチルアセトアミド、ジイソプロピルアミン、およびジメチルスルホキシドのいずれか1つ以上)、例えば、4000ppm未満、または3000ppm未満、または2000ppm未満、または1000ppm未満、または750ppm未満、または500ppm未満、または250ppm未満、または150ppm未満、または100ppm未満、または50ppm未満の全残留溶媒を含む塩を提供する、製造方法1、または1.1~1.22のいずれか。
【0139】
1.24 該製造方法が、5000ppm未満の各残留溶媒(例えば、アセトン、メタノール、アセトニトリル、メチルtert-ブチルエーテル、酢酸エチル、ヘプタン、トルエン、ジメチルアセトアミド、ジイソプロピルアミン、およびジメチルスルホキシドのいずれか1つ以上)、例えば、4000ppm未満、または3000ppm未満、または2000ppm未満、または1000ppm未満、または750ppm未満、または500ppm未満、または250ppm未満、または150ppm未満、または100ppm未満、または50ppm未満の各残留溶媒を含む塩を提供する,製造方法1、または1.1~1.23のいずれか。
【0140】
1.25 該製造方法が、100ppm未満の1-(3-クロロプロポキシ)-4-フルオロベンゼン、例えば、75ppm未満、または50ppm未満、または25ppm未満、または20ppm未満、または15ppm未満、または10ppm未満を含む塩を提供する、製造方法1、または1.1~1.24のいずれか。
【0141】
1.26 該製造方法が、5重量%未満の水、例えば、4重量%未満、または3重量%未満、または2重量%未満、または1重量%未満、または0.9重量%未満、または0.8重量%未満、または0.7重量%未満、または0.6重量%未満、または0.5重量%未満の水を含む塩を提供する、製造方法1、または1.1~1.25のいずれか。
【0142】
1.27 該製造方法が、250ppm未満の全重金属(例えば、ヒ素、カドミウム、コバルト、鉛、ニッケル、水銀、バナジウム、リチウム、アンチモンおよび/または銅)、例えば、150ppm未満、または100ppm未満、または50ppm未満、または25ppm未満、または15ppm未満、または10ppm未満を含む塩を提供する、製造方法1、または1.1~1.26のいずれか。
【0143】
1.28 該製造方法が、50ppm未満の任意の個々の重金属(例えば、ヒ素、カドミウム、コバルト、鉛、ニッケル、水銀、バナジウム、リチウム、アンチモンおよび/または銅)、例えば、40ppm未満、または30ppm未満、または25ppm未満、または20ppm未満、または15ppm未満、または10ppm未満、または5ppm未満、または1ppm未満を含む塩を提供する、製造方法1、または1.1~1.27のいずれか。
【0144】
1.29 該製造方法が、50ppm未満の銅、例えば、40ppm未満、または30ppm未満、または25ppm未満、または20ppm未満、または15ppm未満、または10ppm未満、または5ppm未満、または1ppm未満を含む塩を提供する、製造方法1.27または1.28。
【0145】
1.30 該製造方法が、50ミクロン未満の粒径を有する塩を提供し、例えば、該塩粒子が、50μm未満、または40μm未満、または30μm未満、または20μm未満、または10μm未満のD90を有する、製造方法1、または1.1~1.29のいずれか。
【0146】
1.31 該製造方法が、化合物Ap-トルエンスルホン酸塩、例えば、一トシル酸塩を提供する、製造方法1、または1.1~1.30のいずれか。
【0147】
1.32 該塩が、白色、オフホワイト色、薄黄色、淡黄色または灰色の固体として形成される(例えば、該塩が、紫色ではない)、製造方法1.31。
【0148】
1.33 該製造方法が、100ppm未満のp-トルエンスルホン酸アルキルエステル(例えば、メチルエステル、エチルエステルおよび/またはイソプロピルエステル)、例えば、75ppm未満、または50ppm未満、または40ppm未満、または30ppm未満、または20ppm未満のp-トルエンスルホン酸アルキルエステルを含む塩を提供する、製造方法1.31または1.32。
【0149】
1.34 該製造方法が、50ppm未満の任意のp-トルエンスルホン酸アルキルエステル(例えば、メチルエステル、エチルエステルおよび/またはイソプロピルエステル)、例えば、40ppm未満、または30ppm未満、または25ppm未満、または20ppm未満、または15ppm未満、または10ppm未満の任意のp-トルエンスルホン酸アルキルエステル、例えば、20ppm未満の各p-トルエンスルホン酸アルキルエステルを含む塩を提供する、製造方法1.31、1.32または1.33
【0150】
1.35 工程(a)の該溶媒が、アセトンであり、工程(b)の該洗浄溶媒が、アセトンである、製造方法1.31~1.34のいずれか。
【0151】
1.36 工程(a)において、該遊離塩基形態の化合物Aが、例えばアセトンまたはアセトン/メタノール溶液もしくは懸濁液から再結晶化された、再結晶遊離塩基形態の化合物Aである、製造方法1、または1.1~1.35のいずれか。
【0152】
別の態様において、本発明は、共結晶2の製造方法であって、
(a)(6bR,10aS)-8-(3-(4-フルオロフェノキシ)プロピル)-6b,7,8,9,10,10a-ヘキサヒドロ-1H-ピリド[3',4':4,5]ピロロ[1,2,3-de]キノキサリン-2(3H)-オン(化合物A)遊離塩基を、アラニン、アスパラギン、システイン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、グルタミン、グリシン、ヒスチジン、リジン、スレオニン、チロシンおよびバリン(例えば、アラニンまたはフェニルアラニン)から選択されるアミノ酸から選択されてもよい結晶共形成剤と、例えば有機溶媒(例えば、メタノール、ジメチルスルホキシド、アセトンまたはアセトニトリルから選択される、例えば、アセトンまたはアセトニトリル)と一緒に、反応させること;および
(b)このようにして形成された共結晶を回収すること、例えば、共結晶2、または2.1~2.14のいずれかを回収すること
を含む、製造方法(製造方法2)を提供する。
【0153】
別の実施形態において、本発明は、活性成分として塩1、もしくは塩1.1~1.76のいずれか、または共結晶2、もしくは2.1~2.14のいずれかを、薬学的に許容される希釈剤または担体と組み合わせてまたはそれと共に(in combination or association with)含む医薬組成物を提供する。
【0154】
別の実施形態において、本発明は、活性成分として塩1、もしくは塩1.1~1.76のいずれか、または共結晶2、もしくは2.1~2.14のいずれかを、薬学的に許容される希釈剤または担体と組み合わせてまたはそれと共に(in combination or association with)含む医薬組成物であって、該塩が、主として、または全体的にもしくは実質的に全体的に、乾燥結晶形態である、医薬組成物を提供する。
【0155】
特定の実施形態において、該発明は、活性成分として塩1、もしくは塩1.1~1.76のいずれか、または共結晶2、もしくは2.1~2.14のいずれかを、薬学的に許容される希釈剤または担体と組み合わせてまたはそれと共に(in combination or association with)含む医薬組成物であって、該組成物が、例えば化合物Aの持続放出を提供するための、注射用デポの形態である、医薬組成物を提供する。
【0156】
いくつかの実施形態において、該医薬組成物は、錠剤、カプセル剤、カプレット剤、散剤、ウェハー剤、ゲル剤、または滅菌注射用液剤から選択される。いくつかの実施形態において、該医薬組成物は、口腔内崩壊錠である。いくつかの実施形態において、該医薬組成物は、例えば筋肉内投与または皮下投与のための、長時間作用性注射用組成物である。いくつかの実施形態において、該医薬組成物は、化合物Aを、等価遊離塩基の重量で測定して1~60mg(例えば、経口摂取剤形については、20~60mg、または20~40mg、または40~60mg;例えば、経口急速溶解剤形については、1~30mg、または5~20mg、または5~15mg、または1~10mg)含む。
【0157】
別の実施形態において、本発明は、5-HT2A受容体、セロトニントランスポーター(SERT)、ドパミンD1/D2受容体シグナル伝達経路、および/またはμオピオイド受容体が関与するかまたは介在する疾患または異常状態、例えば、肥満症、不安、うつ病(例えば、難治性うつ病およびMDD)、精神病(進行性パーキンソン病における幻覚または偏執性妄想などの認知症に付随した精神病を含む)、統合失調症、睡眠障害(特に、統合失調症ならびに他の精神疾患および神経学的疾患に付随する睡眠障害)、性障害、片頭痛、頭部痛関連状態、社会恐怖症、認知症における激越(例えば、アルツハイマー病における激越)、自閉症および関連自閉症性障害における激越、消化管運動の機能障害のような胃腸障害、および認知症、例えば、アルツハイマー病の認知症またはパーキンソン病の認知症;気分障害;および、薬物依存症、例えばオピエート依存症もしくはオピオイド依存症、および/またはアルコール依存症、または薬物依存症もしくはアルコール依存症(例えば、オピエート依存症もしくはオピオイド依存症)からの禁断;または過食性障害;またはオピオイド過剰摂取;またはオピオイド使用障害(OUD);または、物質使用障害もしくは物質乱用障害(例えば、これらの用語はDSM-Vで定義されている)(不安および/またはうつ病にも罹患している患者においてであってもよい);または、強迫性障害(OCD)、強迫性パーソナリティ障害(OCPD)、全般性不安症(general anxiety disorder)、社交不安症、パニック症、広場恐怖症、強迫性ギャンブル依存症、強迫性摂食障害、身体醜形障害、心気症、病的グルーミング障害(pathological grooming disorder)、窃盗症、放火症、注意欠如多動症(ADHD)、注意欠如症(ADD)、衝動制御障害、および関連障害、およびそれらの組み合わせ;または疼痛障害、例えば、疼痛関連状態、例えば、頭部痛、特発性疼痛、神経障害性疼痛、慢性疼痛(例えば、例えば他の疾患で24時間連続治療を必要とする患者における、中等度~やや重度の慢性疼痛)、線維筋痛症、歯痛、外傷痛または慢性疲労から選択される障害の処置に用いるための、塩1、もしくは塩1.1~1.76のいずれか、または共結晶2、もしくは2.1~2.14のいずれか、または、塩1、もしくは塩1.1~1.76のいずれか、または共結晶2、もしくは2.1~2.14のいずれかを含む医薬組成物(または、ここで、該中枢神経系疾患または障害は、薬物依存症(例えば、オピエート依存症もしくはオピオイド依存症(すなわち、オピオイド使用障害)、コカイン依存症、アンフェタミン依存症、および/またはアルコール依存症)、または、薬物依存症もしくはアルコール依存症(例えば、オピエート依存症、オピオイド依存症、コカイン依存症またはアンフェタミン依存症)からの禁断であり、また、該患者は、不安、うつ病または精神病などの併存症も患っており、および/または、該患者は、オピエート過剰摂取またはオピオイド過剰摂取にも苦しんでいる)を提供する。
【0158】
別の実施形態において、本発明は、5-HT2A受容体、セロトニントランスポーター(SERT)、ドパミンD1/D2受容体シグナル伝達経路、および/またはμオピオイド受容体が関与するかまたは介在する疾患または異常状態、例えば、肥満症、不安、うつ病(例えば、難治性うつ病およびMDD)、精神病(進行性パーキンソン病における幻覚または偏執性妄想などの認知症に付随した精神病を含む)、統合失調症、睡眠障害(特に、統合失調症ならびに他の精神疾患および神経学的疾患に付随する睡眠障害)、性障害、片頭痛、頭部痛関連状態、社会恐怖症、認知症における激越(例えば、アルツハイマー病における激越)、自閉症および関連自閉症性障害における激越、消化管運動の機能障害のような胃腸障害、および認知症、例えば、アルツハイマー病の認知症またはパーキンソン病の認知症;気分障害;および、薬物依存症、例えばオピエート依存症もしくはオピオイド依存症、および/またはアルコール依存症、または薬物依存症もしくはアルコール依存症(例えば、オピエート依存症もしくはオピオイド依存症)からの禁断;または過食性障害;または、オピエート過剰摂取もしくはオピオイド過剰摂取;またはオピオイド使用障害(OUD)、または物質使用障害もしくは物質乱用障害(例えば、これらの用語はDSM-Vで定義されている)(不安および/またはうつ病にも罹患している患者においてであってもよい);または強迫性障害(OCD)、強迫性パーソナリティ障害(OCPD)、全般性不安症(general anxiety disorder)、社交不安症、パニック症、広場恐怖症、強迫性ギャンブル依存症、強迫性摂食障害、身体醜形障害、心気症、病的グルーミング障害(pathological grooming disorder)、窃盗症、放火症、注意欠如多動症(ADHD)、注意欠如症(ADD)、衝動制御障害、および関連障害、およびそれらの組み合わせ;または疼痛障害、例えば、疼痛関連状態、例えば、頭部痛、特発性疼痛、神経障害性疼痛、慢性疼痛(例えば、例えば他の疾患で24時間連続治療を必要とする患者における、中等度~やや重度の慢性疼痛)、線維筋痛症、歯痛、外傷痛または慢性疲労から選択される障害に罹患しているヒトの予防または治療のための方法(または、ここで、該中枢神経系疾患または障害は、薬物依存症(例えば、オピエート依存症もしくはオピオイド依存症(すなわち、オピオイド使用障害)、コカイン依存症、アンフェタミン依存症、および/またはアルコール依存症)、または、薬物依存症もしくはアルコール依存症(例えば、オピエート依存症、オピオイド依存症、コカイン依存症またはアンフェタミン依存症)からの禁断であり、また、該患者は、不安、うつ病または精神病などの併存症も患っており、および/または、該患者は、オピエート過剰摂取またはオピオイド過剰摂取にも苦しんでおり、該方法が、塩1、もしくは塩1.1~1.76のいずれか、または共結晶2、もしくは2.1~2.14のいずれかの治療有効量を該予防または治療を必要とするヒトに投与することを含む)を提供する。
【0159】
上記の方法および使用のいくつかの実施形態において、患者は、シタロプラム、エスシタロプラム、フルオキセチン、フルボキサミン、パロキセチンおよびセルトラリンなどの選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)による治療;ベンラファキシン、シブトラミン、デュロキセチン、アトモキセチン、デスベンラファキシン、ミルナシプランおよびレボミルナシプランなどのセロトニン-ノルエピネフリン再取り込み阻害薬(SNRI)による治療;クロミプラミン、リスペリドン、クエチアピンおよびオランザピンなどの抗精神病薬による治療;非麻薬性鎮痛薬および/またはオピエート薬およびオピオイド薬による治療の1つ以上に応答しないか、またはそれによる副反応耐えられない(または、ここで、例えばモルヒネ、コデイン、テバイン、オリパビン、ジプロピオン酸モルヒネ、ジニコチン酸モルヒネ、ジヒドロコデイン、ブプレノルフィン、エトルフィン、ヒドロコドン、ヒドロモルフォン、オキシコドン、オキシモルフォン、フェンタニル、αメチルフェンタニル、アルフェンタニル、トレファンチニル(trefantinil)、ブリフェンタニル、レミフェンタニル、オクフェンタニル、スフェンタニル、カルフェンタニル、メペリジン、プロジン(prodine)、プロメドール、プロポキシフェン、デキストロプロポキシフェン、メサドン、ジフェノキシラート、デゾシン、ペンタゾシン、フェナゾシン、ブトルファノール、ナルブフィン、レボルファノール、レボメトルファン、トラマドール、タペンタドールおよびアニレリジン、またはそれらの組み合わせを包含するオピエート薬およびオピオイド薬などの、オピエート薬の使用は、例えば過去の物質乱用または物質乱用の可能性の高さのため、該患者には禁忌である)。
【0160】
上記の方法および使用のいくつかの実施形態において、患者は、胃腸障害および/または肺障害に罹患している。従来のオピオイド鎮痛薬は、2つの主要な副作用に苦しむ:胃腸障害(吐き気、嘔吐および便秘を含む)および呼吸抑制。長期疼痛治療のためにオピオイドを服用している患者の90~95%が重度の便秘を発症し、下剤および/または浣腸の長期使用を必要とする。モルヒネ、オキシコドンおよびヒドロモルフォンなどの強いオピオイドは、他のオピオイドよりも重度の便秘を引き起こす。呼吸抑制は、オピオイド治療の最も重大な有害作用であり、特に患者が処方されたオピオイド鎮痛薬と他の合法または非合法の呼吸抑制薬(アルコールを含む)を(意図的にまたは不注意で)併用した場合に、死亡のリスクが生じる。したがって、疼痛治療、特に慢性疼痛治療を必要とする患者は、既存の胃腸障害または肺障害を患っている場合、有害作用のリスクが特に高い。従来のオピオイド鎮痛薬とは異なり、本発明の化合物(例えば、塩1、もしくは塩1.1~1.76のいずれか、または共結晶2、もしくは2.1~2.14のいずれか)は、有意な有害な胃腸作用および有意な呼吸抑制なしに鎮痛的緩和を提供する。したがって、このような化合物は、これらの既存のGI障害および肺障害を有する疼痛治療を必要とする患者に対して、安全性および有効性の向上をもたらすであろう。さらなる実施形態において、本発明の化合物は、従来のオピエート剤と組み合わせて、従来のオピエート剤に対する用量節約効果(dose-sparing effect)(および、付随して有害作用のリスクを低減する)を有する改善された疼痛制御を提供することができる。
【0161】
上記の方法および使用のいくつかの実施形態において、患者は、既存または併存する胃腸障害および/または肺障害に罹患しており、例えば、該既存または併存する障害は、過敏性腸症候群、骨盤底障害、憩室炎、炎症性腸疾患、結腸癌または結腸直腸癌、セリアック病、非セリアック・グルテン過敏症、喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、呼吸困難、肺炎、うっ血性心不全、間質性肺疾患、気胸、気管支炎、肺塞栓症および外傷性胸部損傷(例えば、胸骨または肋骨の骨折、肋間筋挫傷)からなる群から選択される。いくつかの実施形態において、中枢神経系障害は、疼痛障害、例えば、疼痛関連状態、例えば、頭部痛、特発性疼痛、神経障害性疼痛、慢性疼痛(例えば、例えば他の疾患で24時間連続治療を必要とする患者における、中等度~やや重度の慢性疼痛)、線維筋痛症、歯痛、外傷痛または慢性疲労である。いくつかの実施形態において、中枢神経系障害は、オピオイド使用障害、オピエート禁断もしくはオピオイド禁断、またはオピエート依存症もしくはオピオイド依存症であり、該方法は、禁断誘発症状(例えば、下痢のような胃腸症状、不安、うつ病、疼痛、睡眠障害、またはそれらの組み合わせ)の緩和をもたらす。
【0162】
上記の方法および使用のいくつかの実施形態において、該方法は、さらに、別のオピエート剤またはオピオイド剤の同時投与、例えば、同時に、別個に、または連続して、投与することを含み、例えば、該さらなるオピエート剤またはオピオイド剤は、モルヒネ、コデイン、テバイン、オリパビン、ジプロピオン酸モルヒネ、ジニコチン酸モルヒネ、ジヒドロコデイン、ブプレノルフィン、エトルフィン、ヒドロコドン、ヒドロモルフォン、オキシコドン、オキシモルフォン、フェンタニル、αメチルフェンタニル、アルフェンタニル、トレファンチニル(trefantinil)、ブリフェンタニル、レミフェンタニル、オクフェンタニル、スフェンタニル、カルフェンタニル、メペリジン、プロジン(prodine)、プロメドール、プロポキシフェン、デキストロプロポキシフェン、メサドン、ジフェノキシラート、デゾシン、ペンタゾシン、フェナゾシン、ブトルファノール、ナルブフィン、レボルファノール、レボメトルファン、トラマドール、タペンタドールおよびアニレリジン、またはそれらの組み合わせからなる群から選択される。さらにまた、上記方法および使用のいくつかの実施形態において、該方法は、さらに、上記のものから選択され、また、さらにμオピオイド、κオピオイド、δオピオイド、および/またはノシセプチン/オルファニン受容体のアゴニストおよびパーシャルアゴニスト、またはインバースアゴニストもしくはアンタゴニスト、例えば、オピオイド受容体アンタゴニストまたはインバースアゴニスト、例えば、完全オピエートアンタゴニスト(例えば、ナロキソン、ナルトレキソン、ナルメフェン、メサドン、ナロルフィン、レバロルファン、サミフォルファン、ナロデイン、シプロジム(cyprodime)またはノルビナルトルフィミンから選択される)から選択される、1つ以上の治療剤の同時投与を含む。
【0163】
化合物Aおよび類似化合物の製造方法、ならびにそれに有用な合成中間体は、当業者には知られており、例えば、米国特許第10,245,260号、米国特許第10,799,500号、米国特許第10,961,245号、米国特許第10,906,906号;国際公開第2020/131895号および国際公開第2020/131911号に見出すことができる;それらの各記載内容は出典明示によりその全体として本明細書の一部とする。
【実施例
【0164】
例示された塩形態を分離して特徴付けるために、以下の装置および方法が使用される:
【0165】
X線粉末回折(XRPD): X線粉末回折研究は、Bragg-Brentano型Bruker AXS D2 PHASER、装置#1549を用いて行った。該装置は、30kV、10mAのCuアノード;試料ステージ標準回転;Κβ-フィルター(0.5%Ni)による単色化を使用する。スリット: 固定発散スリット1.0mm(=0.61°)、一次軸Sollerスリット2.5°、二次軸Sollerスリット2.5°。検出器: 受光スリット5°検出開口を備えたリニア検出器LYNXEYE。標準試料ホルダー((510)シリコンウエハーに0.1mmキャビティ)は、バックグラウンド信号への最小寄与を有する。測定条件: 走査レンジ5~45°2θ、試料回転5rpm、0.5秒/ステップ、0.010°/ステップ、3.0mm検出器スリット;およびすべての測定条件は、装置制御ファイルに記録される。データ収集に使用したソフトウェアはDiffrac.Commander v4.6である。データ分析は、Diffrac.Eva v4.1.1ソフトウェアを使用して行われる。該パターンにはバックグラウンド補正または平滑化を適用しない。
【0166】
同時熱重量分析(TGA)および示差走査熱量測定(TGA/DSC)分析: TGA/DSC研究は、34位置オートサンプラーを備えたMettler Toledo TGA/DSC1 STARe Systemを使用し、孔を有する40μlアルミニウムるつぼを使用して、行われる。典型的には、該るつぼに試料5~10mgを入れ、20℃で5分間保持し、その後、10℃/分で20℃から350℃まで加熱する。試料上で40ml/分の窒素パージを維持する。装置制御およびデータ分析に使用されるソフトウェアは、STARe v15.00である。該サーモグラムには補正を適用しない。
【0167】
別の示差走査熱量測定分析(DSC): DSC研究は、カメラを備えたMettler Toledo HP DSC1を使用し、40μlの開放型アルミニウム標準パンを使用して、行われる。試料を1バールの窒素下で4℃/分で25℃から350℃まで加熱する。
【0168】
別の熱重量(TG)分析: TGAは、Mettler Toledo TGA/SDTA851eを使用し、40μlの開放型アルミニウム標準パンを使用して、行われる。試料を1バールの窒素下で4℃/分で25℃から350℃まで加熱する。
【0169】
フーリエ変換赤外分光分析(FT-IR): FT-IR研究は、Thermo Scientific Nicolet iS50、装置#2357を使用して行われる。減衰全反射(ATR)技術をKBrビームスプリッターと共に使用する。走査数は16であり、解像度4.000、400cm-1~4000cm-1である。データ収集および評価のためにソフトウェアOMNIC version 9.2を使用する。
【0170】
高速液体クロマトグラフィー(HPLC): 高速液体クロマトグラフィー分析は、CSH C18カラム(50mm×2.1mm;粒径1.7μm)、脱気装置、ポンプ、オートサンプラー、サーモスタット、および230nmで操作するDAD型検出器を含む、Agilent 1290システムで行われる。カラムは、流速1mL/分で、35℃で、12分のランタイムの間、以下のように実行される: A/B 98:2から75:25まで2分勾配;A/B 75:25から50:50まで6分勾配;A/B 50:50から10:90まで2分勾配;A/B 98:2で2分。移動相A: 0.1%ギ酸を含むMilli-Q 水;移動相B: ギ酸0.1%を含むアセトニトリル。試料希釈剤は50/50 メタノール/アセトニトリルであり、注入量は2.0μlである。
【0171】
プロトン核磁気共鳴(NMR): 試料をDMSO-d6溶媒中で調製し、スペクトルを、Agilent Inova400にて、室温、周波数399.9MHz、掃引幅6398Hz、スピン20Hzで収集する。
【0172】
(6bR,10aS)-8-(3-(4-フルオロフェノキシ)プロピル)-6b,7,8,9,10,10a-ヘキサヒドロ-1H-ピリド[3',4':4,5]ピロロ[1,2,3-de]キノキサリン-2(3H)-オン(化合物A)を国際公開第2020/131895号に記載されているように合成し、再結晶した。化合物Aは、ピーク温度145℃で融解事象を有する茶色の結晶性粉末である。該化合物は、20μm未満サイズの凝集ブロックとして存在し、わずかに吸湿性である。該化合物は、DMSO中にのみ溶けやすい。それは、サリチル酸エチルおよびアニソールにやや溶けにくい。それは、2-ブタノール、メタノール、水、酢酸エチル、ヘプタンおよびシクロヘキサンにあまり溶けない(less than sparingly soluble)(11mg/mL未満)。
【0173】
実施例1: 初期塩スクリーニング
最初の初期塩スクリーニングを、6種類の溶媒(メタノール、DMSO、アセトン、アセトニトリル、酢酸エチル、トルエン)および14種類の酸を使用して行う。各実験は、化合物A遊離塩基対酸のモル比1:1で、該遊離塩基30mgおよび溶媒800μLを使用して行われるが、ただし、2つの酸(塩酸および硫酸)はモル比1:1および1:3の両方で試験される。スラリー実験、冷却結晶化、貧溶媒(anti-solvent)、振盪スラリー実験を含む塩スクリーニングは、Freeslate CM2装置で行われる。
【0174】
化合物A遊離塩基30mgをマスタープレートおよび振盪プレート(ともに、96ウェルプレートフォーマット)の各ウェルに分配する。固体の酸を添加した後に溶媒を添加するか、または該溶媒を最初に添加した後に液体の酸を添加する。次いで、マスタープレートを50℃に加熱し、この温度で2時間平衡化させる。各ウェルには撹拌棒が装備されている(撹拌速度は500rpmである)。2時間後、残渣を濾過し、濾液を冷却結晶化プレートまたは沈殿プレートに移す。
【0175】
冷却結晶化プレートは、50℃から10℃まで、8時間かけてゆっくりと、逆立方率(inversed cubic rate)を用いて冷却する。沈殿プレートは、(スクリーニング溶媒との混和性に応じて)貧溶媒(anti-solvent)として水またはヘプタン(300μl)で満たす。振盪スラリープレートは、室温で24時間振盪する。得られた固体はすべてXRPDによって特徴付けられる。
【0176】
酸、溶媒および方法の384通りの組み合わせを試験する。大部分は、固体が形成されないか、非晶質固体であるか、または化合物A遊離塩基または酸と同定される固体となる。31の反応条件は、化合物A遊離塩基でも酸でもない結晶性固体を生成し、これら31の固体のXRPDは20の異なるパターンを示す。
【0177】
これらの推定塩結晶パターンは、塩酸、p-トルエンスルホン酸、L-酒石酸、L-アスコルビン酸、フマル酸、硫酸、酢酸、コハク酸、L-リンゴ酸、グルタミン酸およびクエン酸を使用して得られる。リン酸、安息香酸またはマレイン酸を使用した実験では、XRPDパターンは得られない。成功した結晶化は、ほとんどの場合、アセトン、アセトニトリル、酢酸エチルまたはトルエン溶媒を使用してのみ生じる。ポジティブな結果のほとんどは、スラリー法または振盪スラリー法を用いて得られる。
【0178】
特徴付けおよび塩確認に十分な材料を得るために、成功した実験をやや大きいスケール(50mg)で繰り返す。予想外に、塩酸、p-トルエンスルホン酸、L-酒石酸およびL-アスコルビン酸だけが、より大きなスケールでXRPD結晶性塩生成物を生成し、結果は、使用した溶媒および方法によって異なる:
【表4】
【0179】
第2、第3および第4の初期塩スクリーニング実験を、同じ溶媒および多様な酸のセット(44種類のさらなる酸が試験され、合計768のさらなる反応条件を試験する)を用いて行う。いくつかの新しい結晶性XRPDパターンが該初期スクリーニングスケール(30mg)で得られ、生成物のさらなる特徴付けのために、成功した結果を50mgで繰り返す。より大きなスケールでは、ガラクタル酸、シュウ酸、チオシアン酸、オロト酸およびゲンチジン酸のみが結晶塩を生じる。しかし、1H-NMR分析では、化合物Aの塩として結晶性固体を確認できない。
【0180】
実施例2: さらなる塩スクリーニングの開発
実施例1から成功した酸/溶媒/方法条件のいくつかを、溶媒量および/または材料濃度の変化、および/または化合物Aの遊離塩基対酸のモル比の変化(1:1.2、1:1.5または1:2)を伴って用いて、さらなる実験を行う。結果の確認のために、1H-NMR、DSC/TGA、および/またはFTIRを含む追加分析を含むいくつかの実験を500mgスケールでさらに繰り返す。
【0181】
塩酸塩の結晶はNMRにより分解を示すことが判明する。確認された化合物A結晶性塩は、p-トルエンスルホン酸(酢酸エチルまたはトルエン溶媒を使用して、モル比1:1、1:1.5、または1:2)、L-アスコルビン酸(酢酸エチルまたはアセトン溶媒を使用して、モル比1:1または1:2)、L-酒石酸(酢酸エチル溶媒を使用して、モル比1:1.5または1:3)、コハク酸(酢酸エチル溶媒を使用して、モル比1:2)について見られる。500mgスケールでは、L-酒石酸およびL-アスコルビン酸は、遊離塩基対酸(それぞれ、酢酸エチルまたはアセトン溶媒)のモル比1:2を使用して、確実に結晶性塩を生成する。
【0182】
8種類の酸(酢酸、クエン酸、フマル酸、L-アスコルビン酸、L-アスパラギン酸、L-リンゴ酸、L-酒石酸、コハク酸)および6種類の溶媒(トルエン、メタノール、2-ブタノン、ベンゾニトリル、シクロヘキサン、ジイソプロピルエーテル)を使用し、室温スラリー法を用いてさらなる実験を行う。フマル酸/メタノール、L-リンゴ酸/メタノール、およびL-酒石酸/シクロヘキサンのみでポジティブな結果が得られる。フマル酸塩は茶色の粉末であり、マレイン酸塩は暗褐色の粘着性固体であり、酒石酸塩は淡褐色の粉末である。フマル酸、アスコルビン酸および酒石酸を用いたさらに大規模な実験は、酒石酸についてのみ信頼性のある塩結晶を生成し、酢酸エチル溶媒を用いると最良の結果が得られた。
【0183】
次に、さらなる溶媒(アセトニトリル、酢酸エチル、プロピオニトリル、ベンゾニトリル、アニソール、酢酸ブチル、ギ酸エチル、テトラヒドロフラン、シクロペンチルメチルエーテル、ジブチルエーテル、アセトン、メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、2-ブタノール、2-ブタノン、DMSO、トルエン)中で、酒石酸、アスコルビン酸、フマル酸、リンゴ酸、塩酸、p-トルエンスルホン酸、シュウ酸およびベンゼンスルホン酸を使用して、さらなるスクリーニング実験を行う。これらの実験の各々を、酸1.5当量および溶媒300μLを使用し、50mgのスケールで行う。次のようなポジティブな結果が得られる:
【表5】
【0184】
p-トルエンスルホン酸およびシュウ酸を使用して、溶媒1.2mLを用いて200mgスケールでさらなる実験を行う。p-トルエンスルホン酸についてはアセトンまたは2-ブタノンを使用し、シュウ酸についてはアセトン、アセトニトリル、酢酸エチル、トルエンまたは2-ブタノンを使用して、良好な結果が得られる。
【0185】
最後に、これらの実験を、500mgスケールで繰り返し、以下の結果が得られる。
【表6】
【0186】
XRPDオーバーレイは、2-ブタノンおよびアセトンの両方の溶媒を使用して、同じp-トルエンスルホン酸塩多形が形成されることを示している。実験2-Aおよび2-Bについて観察されたXRPDパターンは、図1(実施例3から)に示したものと同じである。1H-NMRスペクトルも実質的に同じであり、1:1の遊離塩基/酸塩の形成を示す。LCMSは、塩2-Aについては約92%、および塩2-Bについては約88%の純度を示す。FTIRスペクトルも両生成物について実質的に同じであり、塩の形成と一致する。
【0187】
TGA/DSCは、2つのp-トルエンスルホン酸塩結晶が、ピーク形状およびオンセット温度はわずかに異なるものの、同様の事象を示すサーモグラムを有することを示している。これは、結晶構造における溶媒捕捉の違いを示していると考えられる。p-トルエンスルホン酸塩結晶2-B(上)と2-A(下)についてのTGA/DSCサーモグラムのオーバーレイを図2に示す。
【0188】
XRPDオーバーレイは、各試験溶媒を用いて同じシュウ酸塩多形が形成されることを示している(実験2-C~2-G)。実験2-Eおよび2-Fからの生成物をさらなる分析のために選択する。1H-NMRスペクトルは、生成物2-Eおよび2-Fが実質的に同じであり、1:1遊離塩基/酸塩の形成を示すことを示している。LCMSは、塩2-Eについては約88%、および塩2-Fについては84%の純度を示している。FTIRスペクトルも両生成物について実質的に同じであり、塩の形成と一致している。
【0189】
実験2-EについてのXRPDパターンを図7に示す。図7についてのXRPDピークリストを以下に示す:
【表7】
【0190】
TGA/DSCは、2つのシュウ酸塩結晶2-Eおよび2-Fが、ピーク形状およびオンセット温度はわずかに異なるものの、同様の事象を示すサーモグラムを有していることを示している。これは、結晶構造における溶媒捕捉の違いを示していると考えられる。シュウ酸塩結晶2-F(上)および2-E(下)のTGA/DSCサーモグラムのオーバーレイを図8に示す。160℃~240℃の温度範囲で観察される質量損失(約25重量%)は、シュウ酸塩の分解であり得る。
【0191】
これらの結果は、化合物Ap-トルエンスルホン酸およびシュウ酸塩結晶塩の生成の再現性を示している。
【0192】
トシル酸塩は、シュウ酸塩(水中0.2~0.3mg/mL)と比較して向上した溶解性(水1.2~1.7mg/mL)を示している。
【0193】
実施例3: トルエンスルホン酸塩スケールアップ
遊離塩基形態の(6bR,10aS)-8-(3-(4-フルオロフェノキシ)プロピル)-6b,7,8,9,10,10a-ヘキサヒドロ-1H-ピリド[3',4':4,5]ピロロ[1,2,3-de]キノキサリン-2(3H)-オン(1.88g)を20mLバイアルに添加する。2-ブタノン11mLを添加し、反応混合物を50℃に加熱し、茶色の懸濁液を形成する。固体トルエンスルホン酸(1.5当量)を添加し、混合物はすぐに均一な茶色の溶液になる。50℃で撹拌しながら、生成物の結晶化がゆっくりと始まる。約1時間撹拌した後、加熱を止め、反応混合物を撹拌しながら室温まで冷却する(一夜)。茶色の懸濁液が得られる。混合物を濾過し、真空下にて2-ブタノンで洗浄して、オフホワイト色~茶色がかった粉末1.7gを得る(収率約62%)。該粉末は、室温でゆっくりと紫色になる。XRPDパターンを図1に示す。XRPD分析は、良好な結晶性材料の特徴的なシャープなピークを示すが、非晶質のバックグラウンドも存在する。1H-NMRは、一トシル酸塩(トリルプロトン対遊離塩基プロトンのモル比1:1)と一致している。図1のXRPDピークリストを以下に示す:
【表8】
【0194】
生成物のTGA/DSCサーモグラムを図3に示す。TGA/DSCは、29℃~198℃の温度範囲において、約3.7重量%の緩やかな質量損失を示している。約84℃のピーク温度で脱溶媒和現象が観察され、約180℃のピーク温度で融解現象が観察される。
【0195】
実施例4: 共結晶スクリーン
アミノ酸を共形成剤として用いて共結晶化を行う。18種類のアミノ酸および4種類の溶媒(メタノール、DMSO、アセトン、アセトニトリル)を研究した。化合物A遊離塩基の水中飽和溶液と共形成剤の水中飽和溶液を調製し、混合する。最大濃度を0mg/mLと設定する。飽和溶液を1:1の比(体積比)で混合し、合わせた溶液を50℃で約16時間振盪する。得られた固体をXRPDで分析した。XRPDが新しいパターンを示した場合、固体はFT-IRでも特徴付けられた。
【0196】
初期の結果は、72の実験のうち24の実験で新しい結晶性固体の形成を示している(XRPDによる)。結晶性固体は、溶媒としてDMSO、アセトンまたはアセトニトリルを用いた実験でのみ得られる。得られた固体のFTIR分析は、これらの実験のうち8つの実験では共結晶形成を示さず、これらの実験のうち12の実験では共結晶形成を示し、残りの4つの実験では不明瞭な結果を示している。結果は、システイン、メチオニン、フェニルアラニン、セリン、アラニン、ヒスチジン、グリシンおよびバリンを用いて共結晶が形成されたことを示唆している。リジンおよびスレオニンについても疑問の残る結果が得られた。
【0197】
ポジティブな共結晶実験および疑わしい共結晶実験を100mgスケールで繰り返す。DMSO、アセトン、アセトニトリル中の化合物A遊離塩基の飽和溶液を調製し(最大濃度40mg/mL)、水を媒体として共形成剤の飽和溶液も調製する(最大濃度40mg/mL)。化合物Aの飽和溶液1.5mLと共形成剤の飽和溶液1.5mLを混合し、50℃で24時間振盪する。
【0198】
DMSOを用いた実験だけが固体を形成し、他の実験では透明な溶液が得られることが判明する。しかしながら、FTIRおよびDSC/TGAによる固体のさらなる分析は、それらが共結晶ではなくDMSO溶媒和物であることを示唆している。次に、透明な溶液を蒸発乾固して固体を得、XRPDとFTIRで分析した。結果は、アラニン(アセトン溶媒)、フェニルアラニン(アセトンまたはアセトニトリル溶媒)、およびヒスチジン(アセトンまたはアセトニトリル溶媒)を用いた共結晶形成の可能性と一致している。DSC/TGAおよび1H-NMRによる生成物のさらなる特徴付けは、アラニンおよびフェニルアラニンについては共結晶の形成を確認しているが、ヒスチジンについては確認していない。データは以下の表に示す:
【表9】
【0199】
アラニンおよびフェニルアラニンを用いて、化合物A遊離塩基50mgおよびモル比1:1で追加の実験を行う。アセトン-水(1:1、2:1、および3:1)およびアセトニトリル-水(1:1、2:1、および3:1)を、生成物の結晶化を促進する目的で試験する。反応物を溶媒混合物1.2mL中にて50℃で一夜撹拌する。そのほとんどは再び透明な溶液として現れたが、約7℃に冷却すると沈殿が生じる。固体をXRPDで分析した。ほとんどの混合溶媒中で両方のアミノ酸を用いて、新しい共結晶パターンがを得られる。このデータは、複数の多形形態が利用可能であることを示唆しているが、熱力学的に最も安定な形は決定されていない。
【0200】
実施例5: トルエンスルホン酸塩製造最適化
化合物Aトルエンスルホン酸塩結晶の製造方法のさらなる最適化を行う。溶媒、化学量論および温度の影響が評価される。考慮される事項としては、生成物の外観および形態(XRPDを含む)、収率、生成物の純度(HPLC、1H-NMR)、ならびに残留溶媒レベル(GC-HS)が挙げられる。
【0201】
実施例3による手順を、一貫性を保つために繰り返す(下表の実験3-2)。他の実験については、以下の一般的な手順を使用する: 遊離塩基形態の化合物Aを反応器に添加し、次いで、アセトン溶媒を添加する。反応器を所望の初期温度にし、次いで、p-トルエンスルホン酸一水和物のアセトン中溶液をゆっくりと添加する。温度を所望の最終温度まで下げる間、反応器を撹拌し続ける。この間に結晶性生成物が形成される。得られた混合懸濁液を濾過し、濾過ケーキをアセトン溶媒で洗浄し、次いで乾燥する。
【0202】
トルエンスルホン酸一水和物を固体としてではなく溶液として添加すること、より低い温度を使用すること、および2-ブタノンではなくアセトンを使用することが、改善された結果をもたらすことが判明する。結果の一部を以下の表にまとめる:
【表10】
【0203】
変更後の条件で得られた塩生成物(5-1~5-5)はオフホワイト色~淡黄色であり、空気中で安定であり、変色しない。この塩を70℃の加速エージング条件下で3時間試験して、化学的安定性を確認する。
【0204】
さらなる実験において、反応体積を増加させる。最初に形成された濾過ケーキを冷アセトン溶媒で洗浄し、最終温度を5℃にすると、改善された結果が得られることが判明する。該試験には、合成試薬1-(3-クロロプロポキシ)-4-フルオロベンゼンの存在についてのHPLC分析が含まれる。さらなる結果を以下の表にまとめる。
【表11】
【0205】
次に、最適化した手順を、窒素雰囲気下で機械式攪拌機および温度計を備えた1L反応器中にて90gスケールで行う。化合物A遊離塩基(アセトン-メタノールから再結晶された)90gを10℃でアセトン330mLに懸濁する。反応器温度を10~15℃に維持しながら、p-トルエンスルホン酸のアセトン中溶液(0.98当量;アセトン120mL中32.98g)を滴下する。アセトンの総体積は450mLである(化合物A遊離塩基については0.2g/mL)。反応を約10℃で16時間撹拌する。沈殿した結晶性生成物を濾過し、濾過ケーキをアセトン(3×110mL)で洗浄する。生成物を50℃で真空乾燥して、生成物118.2gが得られる(収率90.5%)。
【0206】
この手順で得られた生成物を、ESI/LCMS、1Dおよび2D NMR、元素分析、HPLC、FTIR、XRPD、単結晶XRD、DSC、TGA、ならびにプロセス関連の不純物、重金属および溶媒を含む完全な不純物分析を用いて試験する。すべての試験結果は、高純度の所望の生成物と一致している。単結晶X線回折は、結晶が単斜形態を有することを示している。図4は、90gスケール反応からの生成物のXRPDスペクトルを示す。図4のXRPDスペクトルのピークリストを以下の表に示す:
【0207】
【表12】
【0208】
図5および図6はそれぞれ、90gスケール反応からのDSCおよびTGAサーモグラムを示している。DSCサーモグラムは、163℃から始まる最初の吸熱現象を示しており、これは高速発熱現象(カメラ画像に基づく固体-固体変化)と重なっている。この吸熱-発熱曲線の形状は、融解およびその後の急激な再結晶と一致している。TGA試験では、この温度範囲では質量損失はなく、再結晶と一致している。第2の吸熱現象(融解)は、209℃~230℃の間に見られる(226℃でピーク;熱量:-61J/g)。より高温では、254℃から、さらなる発熱現象(分解)が検出される。生成物の相転移は不一致であるため、融点は融解の始まり(163℃)とみなす。TGAは、250℃で始まる1段階の質量損失を示している。
【0209】
この90gスケール手順を、窒素雰囲気下で機械式攪拌機および温度計を備えた2L反応器中にて190gスケールで行う。より大きなスケールでは、化合物A遊離塩基を懸濁させるために比較的多量のアセトンを使用し、p-トルエンスルホン酸にはより少量のアセトンを使用する。冷却結晶化および乾燥条件も改善される。
【0210】
化合物A遊離塩基(アセトン-メタノールから再結晶された)190gをアセトン1700mLに10℃で懸濁する。反応器温度を10~15℃に維持しながら、p-トルエンスルホン酸のアセトン中溶液(0.98当量;アセトン200mL中92.85g)を滴下する。アセトンの総体積は1900mLである(化合物A遊離塩基については0.1g/mL)。反応物を約10℃で3時間撹拌し、次いで、1.5時間かけて5℃まで冷却し、次いで、5℃で8時間撹拌する。沈殿した結晶性生成物を濾過し、濾過ケーキをアセトン(3×200mL)で洗浄する。生成物を40℃で真空乾燥し、生成物249.5gが得られる(収率90.5%)。2つの生成物の特徴付けは、以下の情報を提供する:
【表13】
【0211】
190gスケール手順は、160Lガラスライニング反応器中で化合物A遊離塩基5.2kgのスケールで成功裏に繰り返される。この大きなスケールでは、反応器供給ラインを洗浄するために追加のアセトンが使用されるが、最終濃度は同じ0.1g/mLである。p-トルエンスルホン酸の添加は、10~15℃で約40分かけて行われ、次いで、そのまま3時間攪拌し、5℃まで冷却し(約1.5~2時間かけて)、5℃で14時間攪拌する。乾燥は40℃までの温度で真空下にて行われる。正味収率は78%であるが、これは主に反応器の壁とフィルター乾燥機に付着した生成物損失によるものである。該生成物について以下の分析結果が得られる:
【0212】
【表14】
【0213】
上記の実施例は、本発明を例示することを意図したものであり、本発明を限定するものとして解釈されるべきではない。
【0214】
上記で引用した全ての文献は、出典明示によりそれらの全体として本明細書の一部とする。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【国際調査報告】