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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-24
(54)【発明の名称】スイッチング装置
(51)【国際特許分類】
   H01H 50/36 20060101AFI20240517BHJP
【FI】
H01H50/36 B
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023575522
(86)(22)【出願日】2022-06-03
(85)【翻訳文提出日】2024-01-26
(86)【国際出願番号】 EP2022065211
(87)【国際公開番号】W WO2022258525
(87)【国際公開日】2022-12-15
(31)【優先権主張番号】102021114675.5
(32)【優先日】2021-06-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(31)【優先権主張番号】102022104711.3
(32)【優先日】2022-02-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】300002160
【氏名又は名称】ティーディーケイ・エレクトロニクス・アクチェンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】TDK ELECTRONICS AG
【住所又は居所原語表記】Rosenheimer Strasse 141e, 81671 Muenchen, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110002664
【氏名又は名称】弁理士法人相原国際知財事務所
(72)【発明者】
【氏名】シェーヒェルト, リヒャルト
(72)【発明者】
【氏名】ユー, シュン
(72)【発明者】
【氏名】モルツィネク, ライナー
(57)【要約】
少なくとも1つの固定接点(2,3)と、コンタクトブリッジ(4)と、スイッチングチャンバ(11)内の上側ヨーク要素(50)と、を備え、前記上側ヨーク要素は、前記スイッチングチャンバに固定されている、スイッチング装置(100)が記述される。
【選択図】図2A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの固定接点(2,3)と、コンタクトブリッジ(4)と、スイッチングチャンバ(11)内の上側ヨーク要素(50)と、を備えるスイッチング装置(100)であって、
前記上側ヨーク要素は、前記スイッチングチャンバに固定されており、
前記上側ヨーク要素は、前記コンタクトブリッジに対向する下面に窪み(52)を有し、前記コンタクトブリッジは、前記スイッチング装置のスイッチオン状態において、少なくとも部分的に前記窪み内へ突出する、スイッチング装置(100)。
【請求項2】
前記上側ヨーク要素は、前記少なくとも1つの固定接点に横方向に隣接して配置されている、請求項1に記載のスイッチング装置。
【請求項3】
2つの固定接点を備え、前記上側ヨーク要素は前記2つの固定接点の間に配置されている、請求項1又は2に記載のスイッチング装置。
【請求項4】
前記コンタクトブリッジは狭窄部(45)を有し、前記狭窄部は、前記スイッチング装置のスイッチオン状態において、少なくとも部分的に前記上側ヨーク要素の前記窪み内に配置されている、請求項3に記載のスイッチング装置。
【請求項5】
前記コンタクトブリッジは、スイッチオン状態において、部分的に前記窪みから突出する、請求項1~4のいずれか1項に記載のスイッチング装置。
【請求項6】
前記コンタクトブリッジは、前記窪みの深さよりも大きな厚さを有する、請求項1~5のいずれか1項に記載のスイッチング装置。
【請求項7】
前記コンタクトブリッジは、スイッチオン状態において、前記上側ヨーク要素から隔てられている、請求項1~6のいずれか1項に記載のスイッチング装置。
【請求項8】
前記上側ヨーク要素は、前記コンタクトブリッジの上方で前記コンタクトブリッジよりも大きな厚さを有する、請求項1~7のいずれか1項に記載のスイッチング装置。
【請求項9】
前記上側ヨーク要素は、前記スイッチングチャンバに、はんだ付け、リベット留め、ねじ留め、接着又はカシメによって固定されている、請求項1~8のいずれか1項に記載のスイッチング装置。
【請求項10】
軸(7)によって移動可能な接触機構(200)を備え、
前記接触機構は、保持要素(30)及び前記コンタクトブリッジを備え、
前記保持要素は、前記軸に固定されており、
前記コンタクトブリッジは、変位可能に前記保持要素に支持されている、
請求項1~9のいずれか1項に記載のスイッチング装置。
【請求項11】
前記保持要素は、前記コンタクトブリッジを案内するための少なくとも1つのガイド要素(36)を備える、請求項10に記載のスイッチング装置。
【請求項12】
前記保持要素は、前記コンタクトブリッジの可動性を制限するための少なくとも1つの停止部(37)を備える、請求項10又は11に記載のスイッチング装置。
【請求項13】
前記保持要素は、少なくとも1つのクランプ要素(32)を備え、前記クランプ要素は、少なくとも1つのガイドレール及び少なくとも1つの停止部を備え、少なくとも部分的に前記コンタクトブリッジを取り囲む、請求項11及び12に記載のスイッチング装置。
【請求項14】
前記少なくとも1つの停止部は、前記スイッチング装置のスイッチオン状態において、前記少なくとも1つの固定接点と前記上側ヨーク要素との間の中間空間内へ突出する、請求項12又は13に記載のスイッチング装置。
【請求項15】
前記接触機構は、接点バネ(34)を備え、前記接点バネは、前記コンタクトブリッジのうち前記上側ヨーク要素とは反対側の下面に配置されており、前記コンタクトブリッジを前記少なくとも1つの固定接点の方向に押す、請求項10~14のいずれか1項に記載のスイッチング装置。
【請求項16】
前記接点バネは、前記コンタクトブリッジの前記下面に直接的に、及び/又は、前記保持要素に直接的に、支持されている、請求項15に記載のスイッチング装置。
【請求項17】
前記保持要素は、バネホルダ(39)を備え、前記バネホルダは、前記保持要素における前記接点バネの変位に対抗し、前記接点バネの一部によって取り囲まれたピンを備える、請求項15又は16に記載のスイッチング装置。
【請求項18】
前記接触機構は、更に、変位可能に前記保持要素に支持された下側ヨーク要素(40)を備え、
前記下側ヨーク要素と前記上側ヨーク要素との間の空隙(L)は、前記スイッチング装置の作動中、前記コンタクトブリッジを通って流れる電流に依存する、
請求項10~14のいずれか1項に記載のスイッチング装置。
【請求項19】
前記コンタクトブリッジは、前記下側ヨーク要素と前記上側ヨーク要素との間に配置されている、請求項18に記載のスイッチング装置。
【請求項20】
前記コンタクトブリッジと前記下側ヨーク要素との間に接点バネ(34)が配置されており、前記接点バネは、前記コンタクトブリッジと前記下側ヨーク要素を互いに離れるように押す、請求項18又は19に記載のスイッチング装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
スイッチング装置が提示される。
【背景技術】
【0002】
スイッチング装置は、特に、電流によって駆動可能で、電磁的に作動する、遠隔操作されるスイッチとして設計されている。スイッチング装置は、制御回路を介して作動させることができ、負荷回路を切り替えることができる。特に、スイッチング装置は、リレーとして又は接触器として、特に電力接触器として、設計され得る。特に好ましくは、スイッチング装置は、ガス充填された電力接触器として設計され得る。
【0003】
このようなスイッチング装置の、特に電力接触器の1つの可能な用途は、例えば電気的に又は一部電気的に駆動される原動機付き車両のような原動機付き車両における、バッテリ回路の開放及び切断である。
【0004】
安全部品としての機能において、接触器は、通常、例えばリチウムイオン電池のような電池と電気モータとの間のヒューズと組み合わせて使用され、誤動作の場合には、電源を負荷から切断することができなければならない。バッテリ故障の深刻なケースは、バッテリ内部での短絡であり、これは、バッテリに応じて、完全な充電状態において、キロアンペア範囲の、したがってノミナル電流の数倍の電流を伴う、非常に急速な放電につながり得る。そのようなケースにおける接触器の主なタスクは、上流のヒューズが電流を安全に切断することができるか、又はバッテリの内部抵抗の増大によって電流が減少するまで、この非常に高い電流を例えばミリ秒の範囲の短時間で運ぶことである。
【0005】
接触器は、通常、磁気駆動装置によって移動可能なスイッチングブリッジを備え、当該スイッチングブリッジは、接触器のスイッチオン状態において、例えば2つの固定主接点を導電的に接続する。しかしながら、高い短絡電流が発生すると、導体の磁化によって強いローレンツ力が生じ、これがスイッチングブリッジを主接点から離れる方向に押す。この現象は、浮遊とも呼ばれる。浮遊により、主接点とブリッジとの間に、非常に高い温度で燃焼する、意図しないアークが発生する可能性がある。それにより、接触器が破壊される可能性がある。
【0006】
電流が貫流する導体の周りに、電流強度に比例する磁界が形成される。既存の解決策では、スイッチングブリッジ内を流れる電流によって引き起こされる磁界は、鉄部分に集中し、それにより当該鉄部分は互いに引き合う。引力は、リラクタンス力とも呼ばれ、これは、スイッチングブリッジを主接点に対してより強く押し付け、接触器が開くのを防止するために使用され得る。
【0007】
例えば、特許文献1には、スイッチングブリッジが圧縮バネによって付勢され、絶縁体と保持ケージとの間に保持される浮遊防止装置が記載されている。スイッチングブリッジは、中央で2つの電流経路に分割されている。2つの経路は、鉄プレート及び鉄クランプによって囲まれ、鉄プレートは保持ケージにロックされ、鉄クランプはスイッチングブリッジに固定されている。
【0008】
電流がスイッチングブリッジを通って流れると、それぞれの電流経路の周りにそれぞれの磁束が形成され、これはそれぞれの鉄部分に集中する。鉄部分の間には、空隙を閉じようとする引力が作用する。この力によって、スイッチングブリッジは、主接点に対して付加的に押し付けられ、したがって開くことが防止されるが、空隙は変化せず、構成要素の構造によってのみ予め決定されている。最大の保持力、したがって最大の短絡電流は、以下のパラメータによって制限される:圧縮バネの力、鉄部分の断面、磁気駆動装置の保持力、空隙の大きさ。
【0009】
特許文献2及び特許文献3には、同様に浮遊防止装置が記載されているが、そこでは、スイッチングブリッジの複数の電流経路への分割はなく、したがって1対の鉄部分のみが存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】中国実用新案第209000835号明細書
【特許文献2】欧州特許第2608235号明細書
【特許文献3】独国特許出願公開第102016206130号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
特定の実施形態の少なくとも1つの課題は、スイッチング装置を提示することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この課題は、独立請求項による主題によって解決される。当該主題の有利な実施形態及び発展形態は、従属請求項において述べられ、更に以下の記載及び図面から明らかになる。
【0013】
少なくとも1つの実施形態によれば、スイッチング装置は、少なくとも1つの固定接点と、少なくとも1つの可動接点とを備える。可動接点は、特に、コンタクトブリッジを備えるか、又は、コンタクトブリッジであり得る。換言すれば、コンタクトブリッジは、スイッチング装置の可動接点又はスイッチング装置の可動接点の一部であり得る。したがって、以下で説明される可動接点の特性及び特徴は、コンタクトブリッジの対応する特性及び特徴であり得るし、その逆でもあり得る。スイッチング装置は、特に好ましくは、可動接点、すなわちコンタクトブリッジを有する接触機構を備え得る。
【0014】
少なくとも1つの固定接点及び少なくとも1つの可動接点は、スイッチング装置に接続可能な負荷回路のオン・オフを切り替えるように意図され調整されている。それに応じて、可動接点、すなわち特に接触機構のコンタクトブリッジは、スイッチング装置内で、スイッチング装置の非接続状態においては、少なくとも1つの固定接点から隔てられ、したがって電気的に切断されており、接続状態においては、少なくとも1つの固定接点への機械的な接触を有し、したがって電気的に当該少なくとも1つの固定接点と接続されているように、スイッチング装置の非接続状態と接続状態との間で移動可能である。以下では、接続状態をスイッチング装置のスイッチオン状態とも称し、非接続状態をスイッチング装置のスイッチオフ状態とも称する。
【0015】
特に有利には、スイッチング装置は少なくとも2つの固定接点を備え、当該固定接点は、スイッチング装置内で互いに別々に配置されており、上述した方法で、可動接点すなわち特にコンタクトブリッジの状態に応じて、可動接点すなわち特にコンタクトブリッジを介して互いに導電的に接続されるか又は互いに電気的に分離されることができる。コンタクトブリッジは、有利には、少なくとも1つの接触領域を有する上面と、上面と対向する下面とを備える。スイッチング装置の接続状態において、コンタクトブリッジの少なくとも1つの接触領域は、少なくとも1つの固定接点、特に少なくとも1つの固定接点の接触領域と、機械的に接触する。スイッチング装置が例えば2つの固定接点を備える場合、コンタクトブリッジは相応して2つの接触領域を備えることができる。
【0016】
以下において、一般的な用語「接点」は、特に、全ての固定接点、及び、コンタクトブリッジ又はコンタクトブリッジを有する接触機構と関連付けられ得る。特に、接点は、金属、有利には銅又は銅合金を含むか又はこれらから成ることができる。更に、少なくとも接触領域のためには、例えば、有利には銅を含むか又はそれから成り、その中に例えば酸化アルミニウムのようなセラミック材料を含むか又はそれから成る粒子が分散された、金属マトリックス材料の形態の複合材料も可能である。
【0017】
更なる実施形態によれば、スイッチング装置はハウジングを備え、当該ハウジング内には、接触機構及び少なくとも1つの固定接点又は少なくとも2つの固定接点が配置されている。接触機構は、特に、完全にハウジング内に配置されることができる。固定接点がハウジング内に配置されているということは、特に、少なくとも、接続状態において可動接点と機械的に接触する固定接点の接触領域が、ハウジングの内部に配置されていることを意味し得る。スイッチング装置によって切り替えられるべき回路の導線の接続のために、ハウジング内に配置された固定接点は、外部から、すなわちハウジングの外側から、電気的に接触可能であり得る。このために、ハウジング内に配置された固定接点の一部はハウジングから突出することができ、ハウジングの外側において、導線のための接続の可能性を有し得る。
【0018】
更なる実施形態によれば、接点は、ハウジング内のガス雰囲気中に配置されている。これは、特に、接触機構がハウジング内において完全にガス雰囲気中に配置されており、更に、固定接点の一部、例えば固定接点の接触領域が、ハウジング内においてガス雰囲気中に配置されていることを意味し得る。それに応じて、スイッチング装置は、特に好ましくは、例えばガス充填接触器のようなガス充填されたスイッチング装置であり得る。
【0019】
更なる実施形態によれば、接点、すなわち接触機構の全体及び固定接点の少なくとも一部は、ハウジングの内側のスイッチングチャンバ内に配置されている。スイッチングチャンバ内には、ガス、すなわち前述したガス雰囲気の少なくとも一部が存在し得る。ガスは、有利には少なくとも20%のH2、有利には50%のH2を含むことができる。水素に加えて、ガスは、不活性ガス、特に好ましくはN2及び/又は1つ又は複数の希ガスを含み得る。
【0020】
更なる実施形態によれば、コンタクトブリッジは、スイッチング装置内において、軸によって移動可能である。特に好ましくは、スイッチ装置内の接触機構は、軸によって移動可能である。特に、コンタクトブリッジ、特に好ましくは、接触機構は、軸を有するマグネットアーマチュアによって移動可能であり得る。軸は、コンタクトブリッジが軸によって移動可能であるように、すなわち軸の移動の際に当該軸によって同様に移動されるように、一端において直接的に又は間接的に、コンタクトブリッジに接続され得る。特に好ましくは、軸は、接触機構が軸によって移動可能であるように、すなわち軸の移動の際に当該軸によって同様に移動されるように、一端において接触機構と接続され得る。軸は、特に、スイッチングチャンバの開口を通って、スイッチングチャンバ内へ突出し得る。マグネットアーマチュアは、上述したスイッチング動作をもたらすために、磁気回路によって移動可能であり得る。このために、磁気回路は、開口を有するヨークを備えることができ、当該開口を通じて、マグネットアーマチュアの軸が突出する。軸は、好ましくは、特殊鋼を含むか又はそれから成ることができる。ヨークは、好ましくは、純鉄又は低ドープ鉄合金を含むか又はそれらから成ることができる。
【0021】
更なる実施形態によれば、接触機構は保持要素を備える。保持要素は、特に、軸に固定されている。更に、保持要素、したがって接触機構は、軸にロックされることができる。これは、例えば、軸上のスナップリング又はリベットによって可能であり得る。更に、保持要素、したがって接触機構は、軸にねじ止めされることができる。このために、保持要素は、例えば、ねじ山を有するか、又は、ねじ山を有する変形されたねじ付きブッシングを有する穴を有することができ、この穴によって、保持要素は軸のねじ山にねじ込まれ得る。更に、保持要素は、この場合、例えば同様にスナップリング及び/又はリベット及び/又はロックナットによって、軸にロックされることができる。更に、軸が保持要素内でクランプによって固定されていること、及び/又は、軸の一部が保持要素の材料によって変形されていることも可能であり得る。軸は、この場合、好ましくは、軸の周りを完全に又は部分的に延び得る、例えば1つ若しくは複数の溝及び/又は1つ若しくは複数の突起のような、1つ若しくは複数の固定要素を備え得る。
【0022】
更なる実施形態によれば、スイッチング装置は上側ヨーク要素を備える。上側ヨーク要素は、特に好ましくはコンタクトブリッジから分離して、特に好ましくはスイッチング装置内の接触機構から分離して、配置されている。特に、上側ヨーク要素は、スイッチング装置内で動かないように配置され固定され得る。
【0023】
更なる実施形態によれば、スイッチング装置は、上側ヨーク要素に加えて下側ヨーク要素を備える。特に、接触機構が下側ヨーク要素を備える。したがって、下側ヨーク要素は、好ましくは接触機構の一部である。
【0024】
上側ヨーク要素、又は、上側ヨーク要素及び下側ヨーク要素は、それぞれ鉄を含むか又は鉄から成り得る。特に、上側ヨーク要素、又は、上側ヨーク要素及び下側ヨーク要素は、それぞれ純鉄を含むか又は純鉄から成り得る。
【0025】
好ましくは、上側ヨーク要素は、下側ヨーク要素とは対照的に、接触機構の一部ではなく、接触機構とは無関係に、したがって、接触機構が下側ヨーク要素を備える場合、特に下側ヨーク要素とは無関係に、スイッチングチャンバ内に配置されている。特に好ましくは、上側ヨーク要素は、少なくとも1つの固定接点に対するその位置に関して不変に配置され、ロックされている。上側ヨーク要素は、スイッチングチャンバに固定され得る。例えば、上側ヨーク要素は、好ましくははんだ付け又は接着によって、スイッチングチャンバの内側に固定され得る。これに代えて、上側ヨーク要素は、リベット留め又はねじ留めによっても、スイッチングチャンバに固定され得る。更に、上側ヨーク要素は、例えばプラスチックから成る固定部品によって、スイッチングチャンバの内側に保持され得る。例えば、上側ヨーク要素は、この場合、カシメによってスイッチングチャンバ内に固定され得る。この場合、上側ヨーク要素は、スイッチングチャンバ又はスイッチングチャンバの一部に幾分緩く挿入され、組み立ての際、特に好ましくは形状接続式に、挟み込み又はカシメによって、スイッチングチャンバ内にロックされ得る。上側ヨーク要素が接触機構の一部ではないことにより、上側ヨーク要素が接触機構のスイッチング運動中に共に移動されないことが、上述した従来技術とは対照的に、有利に達成され得る。それにより、上側ヨーク要素は、例えば、従来技術における通常のヨーク要素よりも大きな寸法で具現され得る。なぜなら、上側ヨーク要素の質量は、スイッチング運動には無関係だからである。
【0026】
更なる実施形態によれば、下側ヨーク要素は、変位可能に保持要素に支持されている。相応して、上側ヨーク要素に対する下側ヨーク要素の位置は、一方では、接触機構内における下側ヨーク要素の移動によって変化し得る。したがって、下側ヨーク要素と上側ヨーク要素との間の空隙は、特にスイッチング装置のスイッチオン状態においても、可変であり得る。他方で、上側ヨーク要素がスイッチングチャンバに固定されている好ましいケースでは、下側ヨーク要素の位置は、上側ヨーク要素に対して、スイッチングチャンバ内の接触機構の移動によって変化し得る。特に好ましくは、下側ヨーク要素は、軸に対して平行な方向に変位可能に、保持要素に支持されている。
【0027】
更なる実施形態によれば、コンタクトブリッジは、保持要素に配置されている。特に、コンタクトブリッジは、保持要素に変位可能に支持され得る。特に好ましくは、コンタクトブリッジは、軸に対して平行な方向に変位可能に、保持要素に支持され得る。
【0028】
要素、特に下側ヨーク要素及び/又はコンタクトブリッジが変位可能に保持要素に支持されているということは、特に、前記要素が、保持要素に対して、好ましくは移動方向とも呼ばれ得る1つの方向にのみ移動可能であり、同時に、その移動の自由度が保持要素によって制限されることを意味し得る。移動の自由度の制限は、移動方向に沿って存在し得るため、移動方向に沿った可動性は、ある距離に制限されている。好ましくは、移動方向以外の方向における移動の自由度は、公差を除いて、少なくとも著しく制限されている。
【0029】
特に好ましくは、下側ヨーク要素が存在する場合、コンタクトブリッジ、下側ヨーク要素及び上側ヨーク要素は、互いに対して移動可能であるように、それぞれ対になって支持されている。これは、コンタクトブリッジと下側ヨーク要素が互いに移動可能に支持されていることを意味する。なぜなら、コンタクトブリッジ及び/又は下側ヨーク要素は、移動可能に保持要素に支持されているからである。更に、コンタクトブリッジ、及び存在する場合に下側ヨーク要素は、上側ヨーク要素に対して移動可能に支持されており、これは、例えば、コンタクトブリッジ、及び存在する場合に下側ヨーク要素が、可動の接触機構の一部であり、他方、上側ヨーク要素は接触機構の一部ではないことにより、達成され得る。
【0030】
例えば、保持要素は、コンタクトブリッジ及び/又は下側ヨーク要素を案内するための少なくとも1つのガイド要素を備え得る。少なくとも1つのガイド要素は、例えばガイドレールによって形成されることができ、特に、軸に対して平行な方向に沿った案内、したがって移動方向を、可能にし得る。特に好ましくは、保持要素は、複数のガイド要素を備える。ガイド要素により、好ましくは、所望の移動方向以外の方向における可動性の制限が達成され得る。更に、保持要素は、コンタクトブリッジ及び/又は下側ヨーク要素の可動性を制限するための少なくとも1つの停止部を備え得る。少なくとも1つの停止部は、特に、移動方向に沿った、したがって好ましくは軸に対して平行な方向に沿った制限を、もたらし得る。特に好ましくは、保持要素は、複数の停止部を備え得る。
【0031】
例えば、保持要素は、少なくとも1つのクランプ要素を備えることができ、当該クランプ要素は、少なくとも1つのガイド要素及び少なくとも1つの停止部を備えると共に、少なくとも部分的にコンタクトブリッジ及び/又は下側ヨーク要素を取り囲む。少なくとも1つのクランプ要素は、例えば、保持要素のベースプレートに配置され得る。特に、クランプ要素は、2つのガイド要素を介してベースプレートに接続された停止部を備えることができ、その結果、ガイド要素及びクランプ要素の停止部は、ベースプレートと共に開口を取り囲む。コンタクトブリッジ及び/又は下側ヨーク要素は、開口を通って突出し得る。特に好ましくは、保持要素は、少なくとも2つのクランプ要素を備える。
【0032】
更なる実施形態によれば、コンタクトブリッジは、保持要素のベースプレートと上側ヨーク要素との間に配置されている。下側ヨーク要素が存在する場合、コンタクトブリッジは、下側ヨーク要素と上側ヨーク要素との間に配置されている。特に、上側ヨーク要素は、軸から見て、接触機構の上方に配置され得る。コンタクトブリッジは、上面と、上面とは反対側の下面とを有することができ、下側ヨーク要素は、存在する場合、コンタクトブリッジの下方、したがってコンタクトブリッジの下面に配置され、一方、上側ヨーク要素は、コンタクトブリッジの上方、したがってコンタクトブリッジの上面に配置されている。
【0033】
更なる実施形態によれば、上側ヨーク要素は、コンタクトブリッジに対向する下面に窪みを有する。窪みは特に溝状の窪みとして形成され得る。コンタクトブリッジは、スイッチング装置のスイッチオン状態において、部分的に窪み内へ突出し得る。特に、窪みは、少なくとも窪みの領域においてコンタクトブリッジの幅よりも大きな幅を有し得る。例えば、コンタクトブリッジは、狭窄部、すなわち幅が縮小された領域を有することができ、狭窄部は、スイッチング装置のスイッチオン状態において、少なくとも部分的に上側ヨーク要素の窪み内に配置されている。更に、窪みは、少なくとも窪みの領域においてコンタクトブリッジの厚さと同一の又は実質的に同一の深さを有し得る。更に、コンタクトブリッジは、窪みの深さよりも大きな厚さも有し得る。コンタクトブリッジは、スイッチング装置のスイッチオフ状態からスイッチオン状態への移行の際、接触機構のスイッチング運動により、窪み内へ移動し得る。したがって、上側ヨーク要素は、スイッチオン状態において、コンタクトブリッジを少なくとも部分的に包囲し得る。好ましくは、コンタクトブリッジは、スイッチング装置のスイッチオン状態において、部分的に窪みから突出し得る。
【0034】
更に、コンタクトブリッジは、スイッチオン状態においても、上側ヨーク要素から隔てられ得る。したがって、換言すれば、コンタクトブリッジは、スイッチオン状態において、上側ヨーク要素とのいかなる機械的接触も有し得ない。相応して、スイッチオン状態においても、上側ヨーク要素とコンタクトブリッジとの間に、空隙が残存し得る。
【0035】
更なる実施形態によれば、保持要素は電気絶縁材料を含む。特に好ましくは、保持要素は、1つ又は複数の電気絶縁材料から成り、その結果、保持要素は電気絶縁性であることができる。電気絶縁材料は、ポリマー及びセラミック材料から選択することができ、例えば、特に構造(CH2O)nを有するポリオキシメチレン(POM)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ガラス繊維充填PBT及び例えばAl2O3のような電気絶縁性の金属酸化物から選択することができる。特に、保持要素は、コンタクトブリッジ、又は、好ましくはコンタクトブリッジ及び接点バネ並びに下側ヨーク要素を、軸から電気的に絶縁することができる。それにより、コンタクトブリッジは、磁気駆動装置の構成要素から、すなわち特にマグネットアーマチュアの更なる構成要素から、電気的に絶縁された状態で支持されることができる。それにより、保持要素は、コンタクトブリッジの支持及びコンタクトブリッジの電気的絶縁を、同時に可能とすることができる。
【0036】
例えば、上側ヨーク要素は、少なくとも1つの固定接点に横方向に隣接して配置され得る。ここで、「横方向」とは、ここ及び以下において、マグネットアーマチュアの軸に対して垂直な方向を意味する。特に好ましくは、スイッチング装置は2つの固定接点を備え、上側ヨーク要素は2つの固定接点の間に配置されている。
【0037】
更に、保持要素が、スイッチング装置のスイッチオン状態において、少なくとも1つの固定接点と上側ヨーク要素との間の中間空間内に突出する、上述した停止部のような部分を有することが、可能であり得る。それにより、例えば、少なくとも1つの固定接点からの上側ヨーク要素の電気的な絶縁が達成され得る。それらの間に上側ヨーク要素が配置される2つの固定接点の場合、保持要素は、好ましくは、相応して例えば2つの停止部のような2つの部分を有することができ、各停止部は、スイッチン装置のスイッチオン状態において、固定接点のうちの1つと上側ヨーク要素との間の中間空間内へ突出し得る。
【0038】
更なる実施形態によれば、接触機構は、更に、以下では接点バネとも称され得るバネを備え、当該バネは、上側ヨーク要素とは反対側のコンタクトブリッジの下面上に配置されている。接触機構が下側ヨーク要素をも備える場合、接点バネは、下側ヨーク要素に対向するコンタクトブリッジの下面に配置されている。接点バネは、コンタクトブリッジを、特に好ましくは少なくとも1つの固定接点の方向に押すことができる。スイッチング装置のスイッチオフ状態からスイッチオン状態へのスイッチングプロセス中に、マグネットアーマチュア、したがって軸及び接触機構は、好ましくは、垂直方向とも称され得る軸に沿った昇降運動の形態の直線運動で移動する。好ましくは、軸及び例えばマグネットアーマチュアの磁心は、垂直方向において、非接続状態における少なくとも1つの固定接点とコンタクトブリッジとの間の距離により形成されるスイッチングギャップよりも大きな、持ち上げ移動のための移動の遊びを有する。これは、例えば、スイッチオフ状態において、移動ギャップとも呼ばれ得る磁心と磁気回路のヨークとの間のギャップが、スイッチングギャップよりも大きいことにより可能とされ得る。コンタクトブリッジが少なくとも1つの固定接点に当たる際、したがってスイッチングギャップが完全に閉じられる際、接点バネは圧縮されることができ、マグネットアーマチュアは、例えば磁心がヨークに接触するまで、更に移動することができる。したがって、接触機構を有するマグネットアーマチュアは、コンタクトブリッジが変位可能に保持要素に配置されたオーバーストロークシステムであり得る。例えば、移動ギャップは、スイッチングギャップよりも、1mm以下だけ、特に好ましくは約0.5mmだけ、大きくすることができる。オーバーストロークによって接点バネが圧縮されることにより、コンタクトブリッジの少なくとも1つの固定接点への接触圧を高めることができ、振動及び機械的な衝撃に対するある程度の非感受性が達成され得る。
【0039】
更なる実施形態によれば、接点バネは、コンタクトブリッジと保持要素のベースプレートとの間に、又は、既存の下側ヨーク要素の場合には、コンタクトブリッジと下側ヨーク要素との間に配置されており、その結果、接点バネは、コンタクトブリッジとベースプレート又はコンタクトブリッジと下側ヨーク要素を、互いに離れるように押そうとする。したがって、接点バネは、特に、下側ヨーク要素のベースプレート又はコンタクトブリッジへの接近に対抗するバネ力を生成する。バネは、好ましくは直接的に、コンタクトブリッジの下面及びベースプレート又は下側ヨーク要素に支持され得る。第2のケースでは、下側ヨーク要素は、その中へバネが突出すると共に、接点バネの位置を固定することができる窪みを有し得る。スイッチング装置が下側ヨーク要素を備えない場合、保持要素、特にベースプレートは、保持要素における接点バネの変位に対抗するバネホルダを備え得る。例えば、バネホルダは、接点バネの一部によって取り囲まれたピンを備えるか又はピンから形成され得る。
【0040】
スイッチング装置のスイッチオン状態において、電流がコンタクトブリッジを通って流れるとき、磁界が上側ヨーク要素内に誘導される。その場合、特に、例えばコンタクトブリッジを通る短絡電流のような大電流の場合、磁力線は、上側ヨーク要素の上面に集中する可能性がある。磁界は、エネルギーを最小化するために最短経路を求めるので、磁界は、コンタクトブリッジに対向する下側で、コンタクトブリッジを貫いて強く圧縮され、コンタクトブリッジ上にリラクタンス力を生成するが、これは浮遊力に抗するため抗浮遊力とも呼ばれ得る。したがって、保持効果が、上側ヨーク要素からコンタクトブリッジを通る磁界の流れによって達成され得る。
【0041】
スイッチング装置が下側ヨーク要素を備える場合、コンタクトブリッジは、特に好ましくは、上述したように上側ヨーク要素と下側ヨーク要素との間に配置されている。ヨーク要素は、上側ヨーク要素がコンタクトブリッジに及ぼす前述の効果に加えて、この場合も、コンタクトブリッジを通って電流が流れるときに生じる磁界を捕捉することができる。これは、この場合、2つのヨーク要素が、電流が貫流するコンタクトブリッジにより生成される磁界によって、それらの間に引力が生成されるように磁化されることを意味する。上側ヨーク要素はコンタクトブリッジの上方の保持要素に配置され、下側ヨーク要素はコンタクトブリッジの下方に配置されているため、下側ヨーク要素は、ヨーク要素間に生じる引力によって、上方へ、すなわち上側ヨーク要素の方向に引っ張られ得る。この効果は、上述した保持効果を高め得る。接点バネにより、下側ヨーク要素はコンタクトブリッジに力を及ぼすことができ、その結果、コンタクトブリッジも、更に上方へ、したがって少なくとも1つの固定接点の方向に押される。ヨーク要素間に作用する引力は、コンタクトブリッジを通って流れる電流が大きいほど強くなる。しかしながら、接点バネは、下側ヨーク要素をコンタクトブリッジから、したがって上側ヨーク要素からも離れるように押そうとし、下側ヨーク要素は、保持要素に移動可能に支持されているため、コンタクトブリッジを通る電流が十分に小さい場合、バネ力は、ヨーク要素間の引力よりも大きくなり得る。ヨーク要素間の引力が接点バネのバネ力を超えてはじめて、下側ヨーク要素は上側ヨーク要素の方向に移動することができ、それにより、コンタクトブリッジを、より強く圧縮された接点バネによって、より強く、少なくとも1つの固定接点に押し付けることができる。これにより、特に短絡電流の場合に、上述した浮遊効果により強固に対抗することができる。
【0042】
スイッチング装置のスイッチオン状態において、上述したように、コンタクトブリッジを通って電流が流れることができ、当該電流は、コンタクトブリッジと上側ヨーク要素との間、及び存在する場合には下側ヨーク要素と上側ヨーク要素との間の引力を引き起こす磁束を生成する。接触機構が下側ヨーク要素を備える場合、接触機構及び上側ヨーク要素は、電流が電流閾値より小さいとき、下側ヨーク要素が上側ヨーク要素に対して第1の距離に配置され、電流が電流閾値より大きいとき、下側ヨーク要素が上側ヨーク要素に対して第2の距離に配置され、第2の距離は第1の距離より小さいように設計されている。第1及び第2の距離は、例えば、空隙のそれぞれのサイズに対応することができ、したがって、当該空隙は、電流閾値を超えると小さくなる。相応して、下側ヨーク要素と上側ヨーク要素との間の空隙は、スイッチング装置の作動中、コンタクトブリッジを通って流れる電流に依存する。
【0043】
電流閾値を下回ると、空隙、したがって第1の距離は、1mmを上回り、例えば3mmまで、又は5mmまででさえあり得る。したがって、それは、空隙が実質的に不変であり続ける上述した従来技術と比較して、著しく大きくあり得る。電流閾値を超えた後、空隙、したがって第2の距離は、1mm未満、特に好ましくは0に等しいか又は少なくとも近似的に0であり得る。換言すれば、電流閾値を超えた後、接触機構及び上側ヨーク要素が適切に幾何学的に設計されている場合、好ましくは、下側ヨーク要素が上側ヨーク要素に接触するか又は少なくとも1mm未満の空隙が存在する程度まで、下側ヨーク要素を上側ヨーク要素に対して引っ張ることが可能であり得る。
【0044】
電流閾値は、接点バネのバネ定数、及び、ヨーク要素の幾何学的設計及び寸法、並びに、第1の距離の適切な選択により、調整され得る。特に、電流閾値は、スイッチング装置の通常動作に対応する電流が電流閾値を下回るように設定され得る。それにより、通常の動作において、また、例えば小さな短絡電流に対しても、ヨーク要素間の引力が、第1の距離を有する大きな空隙によって小さく、その結果、コンタクトブリッジと少なくとも1つの固定接点との間に増大した接触圧が生じず、コンタクトブリッジが、接触バネによってのみ少なくとも1つの固定接点に保持されることが、達成され得る。より高い短絡電流によって電流閾値が超過されたときにはじめて、下側ヨーク要素は上側ヨーク要素に向かって移動し、その結果、ヨーク要素の引力によってより強い浮遊力が補償され得る。したがって、空隙は、説明したように、コンタクトブリッジを通って流れる電流に応じて可変であり、それにより同様に保持力も可変である。下側ヨーク要素によって引き起こされる付加的な保持力が、下側ヨーク要素が上側ヨーク要素により磁気回路を閉じることによって短絡した場合にのみ、「オン」に切り替わることが達成され得る。
【0045】
ここに記載されたスイッチング装置において、上側ヨーク要素が、好ましくは直接的に強固にスイッチングチャンバに固定されていることにより、これは、スイッチング装置の磁気駆動装置の保持力にもはや依存せず、したがって、上述した従来技術ではそうであるように、コイルの保持力にもはや依存しない。したがって、ここに記載されたスイッチング装置の上側ヨーク要素は、大きな力、特に500Nを超える力を受けることができる。しかしながら、従来技術の解決策では、ヨーク要素によって引き起こされる力は、典型的には約100Nに制限される。なぜなら、これらが磁気駆動コイルの保持力と同じくらい大きい可能性があるからである。したがって、ここに記載されたスイッチング装置では、著しく大きな短絡電流が可能である。従来技術において知られている解決策は、典型的には、5msの期間にわたって8kAまでの短絡電流にのみ適していることが示されているが、ここに記載されたスイッチング装置を用いた試験は、16kAまでの短絡電流が可能であることを示している。
【0046】
従来技術における複雑な構造と比較して、ここに記載された浮遊防止効果は、実質的に、ただ1つの付加的な部材、すなわち上側ヨーク要素によって達成可能である。浮遊防止効果の増大は、上述したように、付加的に設けられ得る下側ヨーク要素、ひいては上側ヨーク要素及び下側ヨーク要素によって達成することができ、更に狙いを定めてスイッチオン可能である。更に、下側ヨーク要素の存在にかかわらず、上側ヨーク要素のスイッチングチャンバへの配置により、スイッチングの際に上側ヨーク要素が共に動かされないことが、達成され得る。それにより、より速いスイッチングプロセスに有利に、動的質量が減少する。
【0047】
更なる利点,有利な実施形態及び発展形態が、以下において図面と関連して記載される実施例から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
図1】スイッチング装置の例の概略図である。
図2A】一実施例によるスイッチング装置の種々のセクション及び部分の概略図である。
図2B】一実施例によるスイッチング装置の種々のセクション及び部分の概略図である。
図2C】一実施例によるスイッチング装置の種々のセクション及び部分の概略図である。
図2D】一実施例によるスイッチング装置の種々のセクション及び部分の概略図である。
図2E】一実施例によるスイッチング装置の種々のセクション及び部分の概略図である。
図2F】一実施例によるスイッチング装置の種々のセクション及び部分の概略図である。
図3】コンタクトブリッジへの上側ヨーク要素の効果の概略図である。
図4A】更なる実施例によるスイッチング装置の一部の概略図である。
図4B】更なる実施例によるスイッチング装置の一部の概略図である。
図5A】一実施例によるスイッチング装置の種々のセクション及び部分の概略図である。
図5B】一実施例によるスイッチング装置の種々のセクション及び部分の概略図である。
図5C】一実施例によるスイッチング装置の種々のセクション及び部分の概略図である。
図5D】一実施例によるスイッチング装置の種々のセクション及び部分の概略図である。
図6A】更なる実施例によるスイッチング装置の種々のセクションの概略図である。
図6B】更なる実施例によるスイッチング装置の種々のセクションの概略図である。
図6C】更なる実施例によるスイッチング装置の種々のセクションの概略図である。
図6D】更なる実施例によるスイッチング装置の種々のセクションの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0049】
実施例及び図面において、同一の、同様の、又は、同等に機能する要素には、それぞれ同一の参照符号が付されている可能性がある。図示された要素及びそれらの互いの大きさの比率は縮尺どおりではなく、むしろ、例えば層、部品、部材及び領域のような個々の要素は、より良好な図示の可能性及び/又はより良好な理解のために、誇張して大きく示されている可能性がある。
【0050】
図1には、例えば、大電流及び/又は高電圧のスイッチングのために使用することができ、リレー又は接触器、特に電力接触器であり得る、スイッチング装置100の一例が示されている。図1には、垂直な切断面による3次元的な断面図が示されている。図示された幾何学的形状は、例示的なものにすぎず、限定的なものではないと理解されるべきであり、別の態様でも設計され得る。
【0051】
スイッチング装置100は、ハウジング(図示せず)内に、以下においてスイッチング接点とも呼ばれる接点1を備える。ハウジングは、主として、内部に配置された構成要素のための接触保護として用いられており、例えばPBT若しくはガラス繊維充填PBTのようなプラスチックを含むか又はそれから成っている。図示された例において、スイッチング装置100は、接点1として、2つの固定接点2と、絶縁体3上に支持されたコンタクトブリッジ4の形態の可動接点と、を備える。コンタクトブリッジ4は、コンタクトプレートとして設計されている。固定接点2は、コンタクトブリッジ4と共に、スイッチング接点を形成する。図示された接点数に代えて、他の数の接点1、すなわち他の数の固定接点及び/又は可動接点も可能であり得る。固定接点2及び/又はコンタクトブリッジ4は、例えば、Cu、Cu合金、例えばWo、Ni及び/又はCrのような1つ又は複数の高融点金属、あるいは、上述した材料の混合物、例えば、銅と、例えばWo、Ni及び/又はCrのような少なくとも1つの別の金属との混合物を含むか又はこれらから成ることができる。
【0052】
図1において、スイッチング装置100は、コンタクトブリッジ4が固定接点2から隔てられたスイッチオフ状態で示されており、したがって、接点2、4は電気的に互いに切断されている。スイッチング接点及び特にその幾何学的形状の図示された実施形態は、純粋に例示的なものであり、限定的なものではないと理解されるべきである。代替的に、スイッチング接点を他の態様で設計することもできる。
【0053】
スイッチング装置100は、実質的にスイッチング運動を実行する可動のマグネットアーマチュア5を備えている。マグネットアーマチュア5は、例えば強磁性材料を含むか又はそれから成る磁心6を備えている。更に、マグネットアーマチュア5は、磁心6を貫いて導かれ、一方の軸端において強固に磁心6と接続された軸7を備えている。磁心6とは反対側の他方の軸端に、マグネットアーマチュア5はコンタクトブリッジ4を備えている。軸7は、好ましくは、特殊鋼を含んで又は特殊鋼から、製造され得る。
【0054】
コンタクトブリッジ4を軸7から電気的に絶縁するために、ブリッジ絶縁体とも呼ばれ得る絶縁体3が、それらの間に配置されている。あり得る高さの差の補償を支援し、固定接点2とコンタクトブリッジ4との間の十分な機械的接触を保証するために、絶縁体3に支持され、固定接点2の方向の力をコンタクトブリッジ4に及ぼす接点バネ34が、コンタクトブリッジ4の下方に配置されている。
【0055】
磁心6は、コイル8によって取り囲まれている。制御回路を介して外部から接続可能なコイル8内の電流は、コンタクトブリッジ4が固定接点2と接触するまで、磁心6、したがってマグネットアーマチュア5全体の軸方向の運動を発生させる。図示された例では、マグネットアーマチュアは、このために、上方へ移動する。そのようにして、マグネットアーマチュア5は、第1の位置すなわち切断状態すなわち非接続状態したがってスイッチオフ状態に相当するアイドル位置から、アクティブ状態すなわち接続状態したがってスイッチオン状態に相当する第2の位置へ、移動する。アクティブ状態において、接点1は、電気的に互いに接続されている。
【0056】
軸7、ひいてはマグネットアーマチュア5を案内するために、スイッチング装置100はヨーク9を備えており、当該ヨークは、純鉄又は低ドープ鉄合金を含むか、又は、それらから成ることができ、磁気回路の一部を形成している。ヨーク9は、その内部を軸7が案内される開口を備えている。コイル8内の電流が遮断されると、マグネットアーマチュア5は、1つ又は複数のバネ10によって再び第1の位置へ移動される。したがって、図示された例では、マグネットアーマチュア5は再び下方へ移動する。スイッチング装置100は、その際、再び、接点1が開放されたアイドル状態にある。
【0057】
マグネットアーマチュア5、ひいてはコンタクトブリッジ4の移動方向を、以下では、垂直方向91とも称する。垂直方向91に直交する固定接点2の配列方向を、以下では、長手方向92と称する。垂直方向91に直交し、かつ長手方向92に直交する方向を、以下では、横断方向93と称する。説明されたスイッチング運動とは無関係に有効な方向91、92及び93が、いくつかの図において、方向の認識を容易にするために示されている。長手方向92及び横断方向93によって張られる平面に対して平行であり、したがって垂直方向91に対して垂直である方向は、横方向90とも呼ばれる。
【0058】
例えば接点1が開放されると、接点1の接触面に損傷を与える可能性のある少なくとも1つのアークが発生し得る。それにより、接点1が、アークによって引き起こされる溶着のために、互いに「固着」したままとなり、もはや互いに分離されない危険性が存在し得る。その際、スイッチング装置100は、コイル8内の電流がスイッチオフされ、したがって負荷回路が切断されなければならないにもかかわらず、依然としてスイッチオンされた状態にある。このようなアークの発生を防止するために、又は、少なくとも発生するアークの消滅を促進するために、接点1はガス雰囲気中に配置されることができ、その結果、スイッチング装置100は、ガス充填リレー又はガス充填接触器として設計され得る。特に、例えばスイッチングチャンバ壁12及びスイッチングチャンバ底部13によって形成されたスイッチングチャンバ11の内部の接点1は、気密に閉鎖された部分によって形成された気密領域14内に配置されており、スイッチングチャンバ11は気密領域14の一部であり得る。気密領域14は、固定接点2のうち外部接続のために設けられた部分を除いて、マグネットアーマチュア5及び接点1を完全に取り囲んでいる。気密領域14、したがってスイッチングチャンバ11の内部空間15も、ガスで充填されている。気密領域14は、実質的に、スイッチングチャンバ11、ヨーク9及び追加の壁の一部によって形成される。スイッチング装置100の製造の枠内でガス充填ノズルを通じて気密領域14内に充填され得るガスは、特に好ましくは、例えば不活性ガス中に20%以上のH2を含むか、あるいは、100%のH2を含む、水素含有ガスであることができる。というのは、水素含有ガスは、アークの消滅を促進し得るからである。更に、いわゆるブローアウト磁石、すなわちアーク経路の延長をもたらし、したがってアークの消滅を改善することができる永久磁石16を、スイッチングチャンバ11の内側又は外側に存在させることができる。
【0059】
スイッチングチャンバ壁12及びスイッチングチャンバ底部13は、例えば、Al2O3のような金属酸化物で又はそれから製造され得る。更に、十分に高い温度安定性を有するプラスチック、例えばPEEK、PE及び/又はガラス繊維充填PBTも好適である。代替的に又は付加的に、スイッチングチャンバ11は、少なくとも部分的に、特に構造(CH2O)nを有するPOMも含むことができる。そのようなプラスチックは、比較的低い炭素含有量及び非常に小さなグラファイト形成傾向によって特徴付けられ得る。特に(CH2O)nの場合、炭素と酸素の含有量が同一であることにより、熱によって誘起された、特にアークによって誘起された分解の際、主にガス状のCO及びH2が発生する可能性がある。付加的な水素は、アーク消滅を強化する可能性がある。
【0060】
スイッチング装置100の前述の特徴は、純粋に例示的であり、限定的ではないと理解されるべきである。例えば、スイッチング装置100は、記載されたガス充填接触器としての実施形態に代えて、ガス充填なしでも具現され得る。特に、図1の例の前述した説明は、スイッチング装置の機能の明確化に役立つ。
【0061】
以下では、スイッチング装置100の実施例が示されているが、当該スイッチング装置は、図1のスイッチング装置と比較して、接触機構200、並びに、上側ヨーク要素50又は下側ヨーク要素40及び上側ヨーク要素50を備え、これらは浮遊防止機構を形成している。
【0062】
図2A~2Fには、一実施例によるスイッチング装置100の種々のセクション及び部分が示されている。図2Aは、接触機構200を有するスイッチング装置100の一部の3次元断面図を示し、図2B~2Fは、スイッチング装置100、及び特に接触機構200の一部の異なるビューを示している。以下のスイッチング装置100の記載は、図2A~2F全てに同様に当てはまる。特に明記しない限り、図2A~2Fに示された要素は、図1に関連して説明された要素に対応する。
【0063】
図2Aでは、図1のビューと比較して、付加的にスイッチング装置100のハウジング19が示されている。接触機構200は、スイッチングチャンバ11内に配置されており、コンタクトブリッジ4及び保持要素30を備え、軸7に固定されている。それにより、接触機構200は、スイッチング装置100のスイッチング運動の実行のために、上述した磁気駆動装置によって移動され得る。
【0064】
更に、スイッチング装置100は、上側ヨーク要素50を備えている。上側ヨーク要素50は、鉄を含むか又は鉄から成り得る。特に、上側ヨーク要素50は、純鉄を含むか又は純鉄から成り得る。コンタクトブリッジ4は、保持要素30によって、上側ヨーク要素50の下方に配置されている。
【0065】
上側ヨーク要素50は、接触機構200の一部ではなく、接触機構200とは独立して、したがって下側ヨーク要素40とは独立して、スイッチングチャンバ11内に配置されている。特に、上側ヨーク要素50は、固定接点2に対して、それらの間に配置され固定されている。図2Aにおいて認識可能であるように、上側ヨーク要素50及び固定接点2は、好ましくは、十分な安定性を可能にするために、例えばセラミック材料を含み得るスイッチングチャンバ11、特にスイッチングチャンバ壁12に、固定されている。例えば、上側ヨーク要素50及び固定接点2は、それぞれ、はんだ付けによってスイッチングチャンバに固定され得る。上側ヨーク要素50は、このために、はんだ付けフランジを有し得る。特に、上側ヨーク要素50は、スイッチングチャンバ11の内面に、はんだ付けによって固定され得る。これに代えて、上側ヨーク要素50は、接着、リベット留め、ねじ留め又はカシメによっても、スイッチングチャンバ11に固定され得る。
【0066】
保持要素30は、軸7に固定されている。図示された実施例では、保持要素30は、電気絶縁プラスチック、特に上の一般的な部分で述べたプラスチックを含み、軸7の一部は、図2Aにおいて認識可能であるように、保持要素30の材料によって変形されている。軸7は、保持要素30、したがって接触機構200をロックするために、軸7の周りを全周にわたって延び、保持要素30の材料が嵌り込むことができる、溝の形態の固定要素を有する。これに代えて、例えばリベット留め又はねじ留めによるような、別の固定方法も可能である。
【0067】
保持要素30は、軸7に固定されたベースプレート31を備える。保持要素30は、図2B及び2Cに示されているように、ベースプレート31に、コンタクトブリッジ4を移動可能に支持するためのクランプ要素32を備える。保持要素30は、特に好ましくは、一体に形成され、上の一般的な部分で説明した材料を含み得る。コンタクトブリッジ4は、クランプ要素32によって、変位可能に保持要素30に支持されている。特に、コンタクトブリッジ4は、軸7に対して平行な移動方向に沿って、変位可能に保持要素に支持されている。コンタクトブリッジ4を案内するために、保持要素30は、クランプ要素32を形成するガイド要素36及び停止部37を備える。ガイド要素36は、ガイドレールとして形成されており、所望の変位方向に沿ったコンタクトブリッジ4の移動を可能にし、一方、他の方向におけるコンタクトブリッジ4の可動性は、ガイド要素36によって制限されている。特に軸7に沿う移動方向に沿ったコンタクトブリッジ4の可動性を制限するために、保持要素30は、ガイド要素36のベースプレート31とは反対側に配置された停止部37を備える。特に、それぞれ2つのガイド要素及び停止部37が、それぞれベースプレート31と共に開口38を形成するクランプ要素32を形成する。図2Bに示されているように、クランプ要素32の各々は、コンタクトブリッジ4を包囲する。換言すれば、コンタクトブリッジ4は、開口38を通って突出することができ、それにより、クランプ要素32の開口38の内部で案内され得る。
【0068】
保持要素30は、更に、図2Aにおいて認識可能であるように、停止部37が、スイッチング装置100のスイッチオン状態において、固定接点2と上側ヨーク要素50との間の中間空間内へ突出するように形成され得る。それにより、例えば、固定接点2からの上側ヨーク要素50の少なくとも部分的な電気的な絶縁が達成され得る。
【0069】
接触機構200は、更に、コンタクトブリッジ4のベースプレート31に面する下面に配置された接点バネ34を備える。換言すれば、接点バネ34は、コンタクトブリッジ4とベースプレート31との間に配置されている。保持要素30、特に保持要素30のベースプレート31は、保持要素30上の接点バネ34の変位に対抗するバネホルダ39を備える。図示されているように、バネホルダ39は、例えば、接点バネ34の一部によって取り囲まれたピンを備えるか又はピンから形成され得る。
【0070】
接点バネ34は、圧縮バネとして具現されている。上述したように、オーバーストロークと関連する接点バネ34により、コンタクトブリッジ4の固定接点2への接触圧が高められ得る。接点バネ34がコンタクトブリッジ4とベースプレート31との間に配置されていることにより、接点バネ34は、コンタクトブリッジ4とベースプレート31を、互いに離れるように押し付け、それにより、コンタクトブリッジ4は、固定コンタクト2の方向に押し付けられる。
【0071】
上側ヨーク要素50は、コンタクトブリッジ4に面する下面に窪み52を有する。窪み52は、図2A、2E及び2Fにおいて認識可能であるように、特に溝状の窪みとして形成され得る。コンタクトブリッジ4は、スイッチング装置100のスイッチオン状態において、少なくとも部分的に窪み52内へ突出し得る。更に、コンタクトブリッジ4は、例えば図2Dにおいて、コンタクトブリッジ4の下面及び上側ヨーク要素50の下面のビューで認識可能であるように、狭窄部45、すなわちコンタクトブリッジ4の接触領域と比較して幅が狭い、例えばウェブ形状の領域を備えることができ、狭窄部45は、スイッチング装置100のスイッチオン状態において、少なくとも部分的に上側ヨーク要素50の窪み52内に配置されている。特に、窪み52は、少なくとも狭窄部45の領域において、コンタクトブリッジ4の幅よりも大きな幅を有する。更に、窪み52は、コンタクトブリッジ4の厚さ以下の又はこれと実質的に同一の深さを有し得る。コンタクトブリッジ4は、スイッチング装置100のスイッチオフ状態からスイッチオン状態への移行の際、接触機構200のスイッチング運動により、窪み52内へ移動し得る。したがって、上側ヨーク要素50は、スイッチング装置100のスイッチオン状態において、少なくとも部分的に、横方向90、特に横断方向93において、コンタクトブリッジ4を包囲し得る。図2Dには、更に、接点バネ34の位置が示されている。
【0072】
特に好ましくは、コンタクトブリッジ4は、特に図2Eにおいて認識可能であるように、窪み52の深さよりも大きい厚さを有し得る。したがって、上側ヨーク要素50は、スイッチオン状態において、コンタクトブリッジ4を部分的にのみ包囲し得る。したがって、コンタクトブリッジは、スイッチング装置100のスイッチオン状態において、部分的に窪み52から突出し得る。
【0073】
更に、コンタクトブリッジ4は、特に好ましくは、スイッチオン状態において、上側ヨーク要素50から隔てられ得る。同様に図2Eにおいて認識可能であるように、それにより、コンタクトブリッジは、スイッチオン状態において、上側ヨーク要素50と機械的な接触を有さないことが可能である。相応して、スイッチオン状態においても、上側ヨーク要素50とコンタクトブリッジ4との間に、空隙が残存し得る。このような間隙を設けることにより、例えば、製造公差が考慮され得る。更に、例えばスイッチングアークの形成の際に生じ得るような、あり得る焼損、すなわち接点1の材料の剥離及び制御されない態様での堆積が、望ましくない結果をもたらさないことが、達成され得る。
【0074】
上側ヨーク要素50は、コンタクトブリッジ4と共に浮遊防止機構を形成し、その機能は、図3に関連して、垂直方向91及び横断方向92に沿う切断面による断面図において、スイッチング装置100の一部に基づいて示されている。この場合、スイッチング装置100は、電流Iがコンタクトブリッジ4を通って流れるスイッチオン状態において示されている。特に、短絡電流の場合、上の一般的な部分で説明したように、コンタクトブリッジ4を固定接点から離れるように押す浮遊力Flevが発生する。以下に説明する効果がない場合、浮遊力に抗するのは、接点バネのバネ力のみである。
【0075】
図3に示されているように、ここで説明するスイッチング装置では、当該スイッチング装置のスイッチオン状態において、コンタクトブリッジ4を電流が流れると、上側ヨーク要素50内に、磁束MFを有する磁界が誘導される。その場合、特に、例えばコンタクトブリッジ4を通る短絡電流のような大電流の場合、磁力線は、上側ヨーク要素50の上面に集中する可能性がある。その場合、コンタクトブリッジ4の上方の上側ヨーク要素50の大きな厚さは、有利であり得る。特に、上側ヨーク要素50は、特に好ましくは、垂直方向91においてコンタクトブリッジ4の上方に、コンタクトブリッジ4よりも大きな厚さを有し得る。
【0076】
磁界は、エネルギーを最小化するために最短経路を求めるので、磁界は、コンタクトブリッジ4に対向する下側で、コンタクトブリッジ4を貫いて強く圧縮され、コンタクトブリッジ4上にリラクタンス力Frelを生成するが、これは浮遊力に抗するため抗浮遊力とも呼ばれ得る。したがって、保持効果が、上側ヨーク要素50からコンタクトブリッジ4を通る磁界の流れによって達成され得る。
【0077】
以下の図面に関連して、スイッチング装置の変形例及び発展形態が説明されている。
【0078】
図4Aに示されているように、コンタクトブリッジ4は狭窄部なしでも形成され得るので、例えば単純な直方体形状を有する。更に、図4Bに示されているように、上側ヨーク要素50及び/又はコンタクトブリッジ4の1つの又は複数の又は全ての縁部が、丸みを帯びているか又は面取りされていることも可能である。
【0079】
以下に説明される図面に関連して、スイッチング装置100の更なる実施例が説明される。図5A~5Dには、更なる実施例によるスイッチング装置100の種々のセクション及び部分が示されている。図5Aは、接触機構200を有するスイッチング装置100の断面図を示し、図5B~5Dは、スイッチング装置100、及び特に接点機構200の一部の異なるビューを示している。以下のスイッチング装置100の記載は、図5A~5D全てに同様に当てはまる。
【0080】
図5Aでは、図1のビューと比較して、付加的にスイッチング装置100のハウジング19が示されているが、図1と比較して、明確にするために、磁気駆動装置5をスイッチオフ状態に戻すための戻しバネ10は示されていない。図5Bには、更に、コイル8の制御のためのコイル接続部18が示されている。特に明記しない限り、図5A~5Dに示された要素は、図1及び図2A~3に関連して説明された要素に対応する。
【0081】
接触機構200は、スイッチングチャンバ11内に配置されており、コンタクトブリッジ4、保持要素30及び下側ヨーク要素40を備え、軸7に固定されている。それにより、接触機構200は、スイッチング装置100の切り替え動作の実行のために、上述した磁気駆動装置によって移動され得る。
【0082】
更に、スイッチング装置100は、図2A~2Fの実施例のように、上側ヨーク要素50を備える。下側ヨーク要素40及び上側ヨーク要素50は、それぞれ鉄を含むか又は鉄から成り得る。特に、ヨーク要素40、50は、それぞれ純鉄を含むか又は純鉄から成り得る。コンタクトブリッジ4は、下側ヨーク要素40と上側ヨーク要素50との間に配置されている。
【0083】
上側ヨーク要素50は、図2A~2Fに関連して説明されるように、接触機構200の一部ではなく、接触装置200から独立しており、したがって、図2A~2Fに関連して説明されるように、下側ヨーク要素40から独立して、スイッチングチャンバ11内に配置され固定されている。
【0084】
保持要素30は、軸7に固定されている。図示された実施例では、保持要素30は、電気絶縁プラスチック、特に上の一般的な部分で述べたプラスチックを含み、軸7の一部は、保持要素30の材料によって変形されている。軸7は、保持要素30、したがって接触機構200をロックするために、図5Aにおいて認識可能であるように、軸7の周りを全周にわたって延び、保持要素30の材料が嵌り込むことができる、溝の形態の固定要素を有する。これに代えて、例えばリベット留め又はねじ留めによるような、別の固定方法も可能である。
【0085】
保持要素30は、軸7に固定されたベースプレート31を備える。ベースプレート31上に、保持要素30は、コンタクトブリッジ4及び下側ヨーク要素40を移動可能に支持するためのクランプ要素32を備える。保持要素30は、特に好ましくは、一体に形成され、上の一般的な部分で説明した材料を含み得る。
【0086】
コンタクトブリッジ4及び下側ヨーク要素40は、それぞれ変位可能に保持要素30に支持されている。したがって、上側ヨーク要素50に対する下側ヨーク要素40の位置は、スイッチング装置100の状態に応じて変化し得る。一方では、上側ヨーク要素50に対する下側ヨーク要素40の相対位置は、保持要素30上の、したがって接触機構200内での下側ヨーク要素40の変位によって変化し得る。したがって、以下でより詳細に説明するように、特にスイッチング装置100のスイッチオン状態における、下側ヨーク要素40と上側ヨーク要素50との間の空隙は、可変であり得る。更に、上側ヨーク要素50に対する下側ヨーク要素40の位置は、スイッチングチャンバ11内における接触機構200の移動によって変化し得る。特に好ましくは、下側ヨーク要素40は、当該下側ヨーク要素40が軸7に対して平行な、したがって垂直方向91に沿って延びる移動方向に沿って変位可能であるように、保持要素30に支持されている。更に、コンタクトブリッジ4も、軸7に対して平行な移動方向に沿って、変位可能に保持要素に支持されている。したがって、コンタクトブリッジ4と下側ヨーク要素40、及び、コンタクトブリッジ4と上側ヨーク要素50も、互いに対して変位可能であり得る。
【0087】
下側ヨーク要素40は、少なくとも図5A~5Cに示されたスイッチング装置100のスイッチオフ状態において、ベースプレート31上に載置され得る。確実な位置決めのために、下側ヨーク要素40は、ベースプレート31に対向する側に、例えばエッジ側の溝を備えることができ、その中にベースプレート30の突起が係合し得る。
【0088】
コンタクトブリッジ4及び下側ヨーク要素40を案内するために、保持要素30は、ガイド要素36及び停止部37を備える。ガイド要素36は、ガイドレールとして具現されており、所望の変位方向に沿ったコンタクトブリッジ4及び下側ヨーク要素40の移動を可能にし、一方、他の方向におけるコンタクトブリッジ4及び下側ヨーク要素40の可動性は、ガイド要素36によって制限されている。特に軸7に沿う移動方向に沿ったコンタクトブリッジ4及び下側ヨーク要素40の可動性を制限するために、保持要素30は、ガイド要素36のベースプレート31とは反対側に配置された停止部37を備える。特に、それぞれ2つのガイド要素及び停止部37が、それぞれベースプレート31と共に開口38を形成するクランプ要素32を形成する。図5Cに示されているように、クランプ要素32の各々は、コンタクトブリッジ4を包囲する。換言すれば、コンタクトブリッジ4は、開口38を通って突出することができ、それにより、クランプ要素32の開口38の内部で案内され得る。下側ヨーク要素40は、図示された実施例では、クランプ要素32の間で案内される。しかしながら、代替的に又は付加的に、下側ヨーク要素40は、開口38を通って突出し、開口38の内部で案内され、したがってクランプ要素32によって包囲されるようにも形成され得る。
【0089】
保持要素30は、更に、図5Bにおいて認識可能であるように、停止部37が、スイッチング装置100のスイッチオン状態において、固定接点2と上側ヨーク要素50との間の中間空間内へ突出するように形成され得る。それにより、例えば、固定接点2からの上側ヨーク要素50の少なくとも部分的な電気的な絶縁が達成され得る。
【0090】
接触機構200は、更に、コンタクトブリッジ4の下側ヨーク要素40に対向する下面に配置された接点バネ34を備える。換言すれば、接点バネ34は、図2A~2Fの実施例と比較して、コンタクトブリッジ4と下側ヨーク要素40との間に配置されている。接点バネ34は、圧縮バネとして具現されている。上述したように、オーバーストロークと関連する接点バネ34により、コンタクトブリッジ4の固定接点2への接触圧が高められ得る。接点バネ34がコンタクトブリッジ4と下側ヨーク要素40との間に配置されていることにより、接点バネ34は、コンタクトブリッジ4と下側ヨーク要素40を互いに離れるように押そうとする。したがって、接点バネ34は、下側ヨーク要素40のコンタクトブリッジ4への接近に対抗するバネ力を生成する。接点バネ34は、図示されているように、特にコンタクトブリッジ4の下側に直接、及び/又は、下側ヨーク要素40に直接、支持され得る。下側ヨーク要素40は窪み41を有し、その中に接点バネ34が突出し、それによって接点バネ34の位置が固定され得る。
【0091】
上側ヨーク要素50は、コンタクトブリッジ4に対向する下面に窪み52を有する。窪み52は、図示されているように、特に溝状の窪みとして形成され得る。コンタクトブリッジ4は、スイッチング装置100のスイッチオン状態において、少なくとも部分的に窪み52内へ突出し得る。更に、コンタクトブリッジ4は、図2A~2Fの実施例との関連で既に説明したように、図5Dにおいて、コンタクトブリッジ4の下面及び上側ヨーク要素50の下面のビューで認識可能であるように、狭窄部45、すなわちコンタクトブリッジ4の接触領域と比較して幅が狭い、例えばウェブ形状の領域を備えることができ、狭窄部45は、スイッチング装置100のスイッチオン状態において、少なくとも部分的に上側ヨーク要素50の窪み52内に配置されている。特に、コンタクトブリッジ4及び上側ヨーク要素50の幾何学的な構成は、図2A~4Bに関連して説明されたようなものであり得る。
【0092】
図示された実施例に代えて又はそれに加えて、図示された実施例において板状に形成された下側ヨーク要素40も、窪み52に対応する窪みを有することができ、一方、上側ヨーク要素50は、平坦な下面を有することができる。更に、ヨーク要素40、50の両方がそれぞれ窪みを有し、当該窪みを通じて、ヨーク要素40、50の各々が、コンタクトブリッジ4に対して対応する位置において、コンタクトブリッジ4を下から又は上から部分的に取り囲むことも可能であり得る。
【0093】
接触機構200、特に下側ヨーク要素40及び上側ヨーク要素50は、図3と関連して説明された効果に加えて、更なる浮遊防止機構を形成し、その機能は、図6A~6Dと関連して、垂直方向91及び長手方向93(図6A、6C)に沿った切断平面、並びに、垂直方向91及び横断方向92(図6B、6D)に沿った切断平面による断面図でのスイッチング装置100に基づいて説明される。この場合、スイッチング装置100は、図6A及び6Cに示されているように、電流Iがコンタクトブリッジ4を通って流れるスイッチオン状態において示されている。
【0094】
スイッチング装置100のスイッチオフ状態において、スイッチング装置100の可動部分は、例えば特に図5Aに示されているように、下方の静止位置にある。固定接点2とコンタクトブリッジ4との間の電気的な接触は、この状態において切断されている。接点バネ34は、コンタクトブリッジ4及び下側ヨーク要素40を付勢し、それらを、ベースプレート31及びクランプ要素32によって形成された保持要素30のケージ内の所定の位置に保持する。スイッチング装置100がスイッチオンされると、制御電流が磁気駆動装置のコイル8を通って流れ、それにより、磁心6が上方へ移動される。それにより、コンタクトブリッジ4、保持要素30、接点バネ34及び下側ヨーク要素40を有する接触機構200も、軸7によって上方へ移動し、その結果、コンタクトブリッジ4は固定接点2に押し付けられる。その後、磁心6、軸7、保持要素30、接点バネ34及び下側ヨーク要素40は、磁心が磁気駆動装置のヨークに衝突するまで、更に上方へ移動する。それにより、接点バネ34は更に圧縮され、恒久的にノミナル電流を運ぶために、接点1間の十分な接触力が保証される。この状態は、スイッチオン状態におけるスイッチング装置100の通常状態であり、図6A及び6Bに示されている。
【0095】
コンタクトブリッジ4を通って流れる電流Iにより、ヨーク要素40,50内に磁束MFが誘導される。磁化により、ヨーク要素40、50間にリラクタンス力Frel、すなわち引力が生じ、これは、接点バネ34のバネ力Fsとは逆向きである。作用するリラクタンス力Frel、すなわち引力は、コンタクトブリッジ4を通って流れる電流Iが大きいほど強くなる。しかしながら、接点バネ34は、下側ヨーク要素40をコンタクトブリッジ4から、したがって上側ヨーク要素50からも離れるように押そうとするので、電流Iが十分に小さい場合、バネ力Fsは、ヨーク要素40、50間のリラクタンス力Frelよりも大きい可能性がある。通常動作であるこの場合、可動部品は、図6A及び6Bに示された位置に留まる。
【0096】
ヨーク要素40、50間には空隙Lが存在し、これは、ヨーク要素40、50間の互いからの第1の距離L1に対応する。第1の距離L1は、特に好ましくは1mmより大きく、特に数ミリメートル、例えば3mm又は更には5mmであり得る。
【0097】
接点バネ34のバネ定数、ヨーク要素40、50の幾何学的な設計及びサイズ、並びに、第1の距離L1の適切な選択を通じて、電流Iに対する電流閾値が設定され得る。当該電流閾値までは、図6A及び6Bに示された状態が維持され、空隙Lは示された態様で開いたままである。電流閾値は、好ましくはノミナル電流を上回り、特に好ましくは、より小さな短絡電流を上回ることもできる。例えば、電流閾値は、数キロアンペア、約5kAであり得る。電流閾値を下回る低い短絡電流範囲では、コンタクトブリッジ4を固定接点2から離れるように押す浮遊力Flevは小さく、その結果、接点バネ34のみが、コンタクトブリッジ4を固定接点2に保持するための力を加えることができる。
【0098】
コンタクトブリッジ4を通る電流Iが最終的に電流閾値を超えると、増大した短絡電流が接点1を通って流れる状態が存在し、リラクタンス力Frelもまた電流Iに比例して増加し、バネ力Fsを超える。それにより、下側ヨーク要素40は上向きに、すなわち上側ヨーク要素50に向かって移動する。それにより空隙Lは小さくなり、それにより磁束MFは更に大きくなる。それにより、リラクタンス力Frelは、バネ力Fsを上回って指数関数的に増大する。接点バネ34は、好ましくは下側ヨーク要素40がコンタクトブリッジ4の下面又は上側ヨーク要素50の下面に接触するまで更に圧縮される。空隙Lは、図6C及び6Dに示されているように、ヨーク要素40、50間のより小さな第2の距離L2に対応し、当該距離は、この場合、最小であり、0に等しいか又は近似的に0に等しくさえあり得る。ここで、接触圧は最大であり、特に、リラクタンス力Frelが浮遊力Flevを更に上回り、コンタクトブリッジ4が更に固定接点2に押し付けられ得るほど大きい。例えば16kA以上の範囲であり得る最大短絡電流を超えて初めて、ヨーク要素40、50は磁束MFによって飽和され、浮遊力Flevがリラクタンス力Frelを上回ることができ、それにより、コンタクトブリッジ4は固定接点2から持ち上げられる。
【0099】
したがって、空隙Lは、説明したように、コンタクトブリッジ4を通って流れる電流Iに応じて可変であり、それにより保持力も可変である。ヨーク要素40、50による付加的な保持力が、電流閾値を上回る短絡の場合にのみ「スイッチオン」されることが達成され得、それにより、スイッチング装置100は、既知の解決策と比較して、より大きな短絡電流を運ぶことができる。
【0100】
図面に関連して記載された特徴及び実施例は、全ての組み合わせが明示的に記載されていなくても、更なる実施例に従って互いに組み合わせることができる。更に、図面に関連して記載された実施例は、代替的に又は付加的に、一般的な部分の記載による更なる特徴を有することができる。
【0101】
本発明は、実施例に基づく記載によって、これらに限定されない。むしろ、本発明は、全ての新しい特徴、及び、特に特許請求の範囲における全ての特徴の組み合わせを含む全ての特徴の組み合わせを、たとえ当該特徴又は組み合わせ自体が特許請求の範囲又は実施例において明示的に提示されていない場合であっても、含む。
【符号の説明】
【0102】
1 接点
2 固定接点
3 絶縁体
4 コンタクトブリッジ
5 マグネットアーマチュア
6 磁心
7 軸
8 コイル
9 ヨーク
10 バネ
11 スイッチングチャンバ
12 スイッチングチャンバ壁
13 スイッチングチャンバ底部
14 気密領域
15 内部空間
16 永久磁石
18 コイル接続部
19 ハウジング
30 保持要素
31 ベースプレート
32 クランプ要素
34 接点バネ
36 ガイド要素
37 停止部
38 開口
39 バネホルダ
40 下側ヨーク要素
41 窪み
45 狭窄部
50 上側ヨーク要素
51 はんだ付けフランジ
52 窪み
60 空隙
90 横方向
91 垂直方向
92 長手方向
93 横断方向
100 スイッチング装置
200 接触機構
I 電流
Flev 浮遊力
Fs バネ力
Frel リラクタンス力
L1,L2 距離
MF 磁束
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図2F
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図5C
図5D
図6A
図6B
図6C
図6D
【手続補正書】
【提出日】2024-01-26
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの固定接点(2,3)と、コンタクトブリッジ(4)と、スイッチングチャンバ(11)内の上側ヨーク要素(50)と、を備えるスイッチング装置(100)であって、
前記上側ヨーク要素は、前記スイッチングチャンバに固定されており、
前記上側ヨーク要素は、前記コンタクトブリッジに対向する下面に窪み(52)を有し、前記コンタクトブリッジは、前記スイッチング装置のスイッチオン状態において、少なくとも部分的に前記窪み内へ突出する、スイッチング装置(100)。
【請求項2】
前記上側ヨーク要素は、前記少なくとも1つの固定接点に横方向に隣接して配置されている、請求項1に記載のスイッチング装置。
【請求項3】
2つの固定接点を備え、前記上側ヨーク要素は前記2つの固定接点の間に配置されている、請求項1又は2に記載のスイッチング装置。
【請求項4】
前記コンタクトブリッジは狭窄部(45)を有し、前記狭窄部は、前記スイッチング装置のスイッチオン状態において、少なくとも部分的に前記上側ヨーク要素の前記窪み内に配置されている、請求項3に記載のスイッチング装置。
【請求項5】
前記コンタクトブリッジは、スイッチオン状態において、部分的に前記窪みから突出する、請求項1に記載のスイッチング装置。
【請求項6】
前記コンタクトブリッジは、前記窪みの深さよりも大きな厚さを有する、請求項1に記載のスイッチング装置。
【請求項7】
前記コンタクトブリッジは、スイッチオン状態において、前記上側ヨーク要素から隔てられている、請求項1に記載のスイッチング装置。
【請求項8】
前記上側ヨーク要素は、前記コンタクトブリッジの上方で前記コンタクトブリッジよりも大きな厚さを有する、請求項1に記載のスイッチング装置。
【請求項9】
前記上側ヨーク要素は、前記スイッチングチャンバに、はんだ付け、リベット留め、ねじ留め、接着又はカシメによって固定されている、請求項1に記載のスイッチング装置。
【請求項10】
軸(7)によって移動可能な接触機構(200)を備え、
前記接触機構は、保持要素(30)及び前記コンタクトブリッジを備え、
前記保持要素は、前記軸に固定されており、
前記コンタクトブリッジは、変位可能に前記保持要素に支持されている、
請求項1に記載のスイッチング装置。
【請求項11】
前記保持要素は、前記コンタクトブリッジを案内するための少なくとも1つのガイド要素(36)を備える、請求項10に記載のスイッチング装置。
【請求項12】
前記保持要素は、前記コンタクトブリッジの可動性を制限するための少なくとも1つの停止部(37)を備える、請求項10又は11に記載のスイッチング装置。
【請求項13】
前記保持要素は、少なくとも1つのクランプ要素(32)を備え、前記クランプ要素は、少なくとも1つのガイドレール及び少なくとも1つの停止部を備え、少なくとも部分的に前記コンタクトブリッジを取り囲む、請求項11を引用する請求項12に記載のスイッチング装置。
【請求項14】
前記少なくとも1つの停止部は、前記スイッチング装置のスイッチオン状態において、前記少なくとも1つの固定接点と前記上側ヨーク要素との間の中間空間内へ突出する、請求項12に記載のスイッチング装置。
【請求項15】
前記接触機構は、接点バネ(34)を備え、前記接点バネは、前記コンタクトブリッジのうち前記上側ヨーク要素とは反対側の下面に配置されており、前記コンタクトブリッジを前記少なくとも1つの固定接点の方向に押す、請求項10に記載のスイッチング装置。
【請求項16】
前記接点バネは、前記コンタクトブリッジの前記下面に直接的に、及び/又は、前記保持要素に直接的に、支持されている、請求項15に記載のスイッチング装置。
【請求項17】
前記保持要素は、バネホルダ(39)を備え、前記バネホルダは、前記保持要素における前記接点バネの変位に対抗し、前記接点バネの一部によって取り囲まれたピンを備える、請求項15に記載のスイッチング装置。
【請求項18】
前記接触機構は、更に、変位可能に前記保持要素に支持された下側ヨーク要素(40)を備え、
前記下側ヨーク要素と前記上側ヨーク要素との間の空隙(L)は、前記スイッチング装置の作動中、前記コンタクトブリッジを通って流れる電流に依存
前記コンタクトブリッジは、前記下側ヨーク要素と前記上側ヨーク要素との間に配置されている、
請求項10に記載のスイッチング装置。
【請求項19】
前記コンタクトブリッジと前記下側ヨーク要素との間に接点バネ(34)が配置されており、前記接点バネは、前記コンタクトブリッジと前記下側ヨーク要素を互いに離れるように押す、請求項18に記載のスイッチング装置。
【請求項20】
少なくとも1つの固定接点(2,3)と、コンタクトブリッジ(4)と、スイッチングチャンバ(11)内の上側ヨーク要素(50)と、を備えるスイッチング装置(100)であって、
前記上側ヨーク要素は、前記スイッチングチャンバのスイッチングチャンバ壁(12)に固定されており、
前記スイッチングチャンバ壁(12)はセラミック材料を含み、
前記上側ヨーク要素は、プラスチックから成る固定部品によって、前記スイッチングチャンバの内側に保持される、スイッチング装置(100)。
【国際調査報告】