(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-24
(54)【発明の名称】スキンケア組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 8/67 20060101AFI20240517BHJP
A61K 8/73 20060101ALI20240517BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20240517BHJP
【FI】
A61K8/67
A61K8/73
A61Q19/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2023575562
(86)(22)【出願日】2022-05-30
(85)【翻訳文提出日】2023-12-20
(86)【国際出願番号】 EP2022064522
(87)【国際公開番号】W WO2022258408
(87)【国際公開日】2022-12-15
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2021/099576
(32)【優先日】2021-06-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(32)【優先日】2021-08-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521042714
【氏名又は名称】ユニリーバー・アイピー・ホールディングス・ベスローテン・ヴェンノーツハップ
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100183519
【氏名又は名称】櫻田 芳恵
(74)【代理人】
【識別番号】100196483
【氏名又は名称】川嵜 洋祐
(74)【代理人】
【識別番号】100160749
【氏名又は名称】飯野 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100160255
【氏名又は名称】市川 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100127812
【氏名又は名称】城山 康文
(72)【発明者】
【氏名】ビアン,ウェイ
(72)【発明者】
【氏名】ウェイ,ピン
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AC072
4C083AC122
4C083AC351
4C083AC352
4C083AC391
4C083AC402
4C083AC421
4C083AC422
4C083AC472
4C083AC532
4C083AD241
4C083AD242
4C083AD352
4C083AD621
4C083AD622
4C083AD632
4C083CC02
4C083DD33
4C083EE01
(57)【要約】
レチノイド、第1の加工デンプン、及び第2の加工デンプンを含むスキンケア組成物であって、総デンプン対レチノイドの重量比が少なくとも7:1であるスキンケア組成物が開示される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レチノイド;
第1の加工デンプン;及び
第2の加工デンプン
を含むスキンケア組成物であって、
総加工デンプン対前記レチノイドの重量比が少なくとも7:1であり、
前記レチノイドが、レチノール、レチニルエステル又はそれらの混合物であり、
前記第1の加工デンプンが非イオン性デンプンであり、
前記第2の加工デンプンがアニオン性デンプンである、スキンケア組成物。
【請求項2】
前記レチノイドがパルミチン酸レチニル、プロピオン酸レチニル又はそれらの混合物から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記レチノイドが、前記組成物の0.005重量%~3重量%の量で存在し、好ましくは0.1重量%~0.5重量%の量で存在する、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
前記第1の加工デンプンがヒドロキシプロピルデンプンリン酸塩である、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項5】
前記第1の加工デンプンが、当該組成物の0.01~8重量%、好ましくは0.2~2重量%の量で存在する、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項6】
前記第2の加工デンプンが、アルミニウムデンプンオクテニルコハク酸塩、ナトリウムデンプンオクテニルコハク酸塩又はそれらの組み合わせを含む、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項7】
前記第2の加工デンプンが、当該組成物の0.01~12重量%、好ましくは0.5~5重量%の量で存在する、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項8】
前記第1の加工デンプン対前記第2の加工デンプンの重量比が1:30~5:1、好ましくは1:10~1:1である、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項9】
総加工デンプン対前記レチノイドの重量比が7:1~200:1、好ましくは8:1~50:1である、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項10】
前記組成物が脂肪酸エステル、好ましくは脂肪酸モノエステルと脂肪酸ポリエステルとの組み合わせを含む、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項11】
前記脂肪酸モノエステルが、C
10-20脂肪酸とC
1-6一価アルコールとのモノエステル、又はC
2-4有機酸とC
8-18一価アルコールとのモノエステルであり、好ましくは脂肪酸モノエステルであり、前記脂肪酸モノエステルが、プロピオン酸ミリスチル、プロピオン酸セチル、ネオペンタン酸イソデシル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸メチル、ステアリン酸メチル又はそれらの混合物を含む、請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
前記脂肪酸ポリエステルがC
8-18脂肪酸とC
2-6ポリオール又はC
2-6ジオールとのエステルであり、好ましくは脂肪酸ポリエステルがカプリン酸/カプリル酸トリグリセリドを含む、請求項10に記載の組成物。
【請求項13】
脂肪酸エステルの総量が、当該組成物の3~45重量%、好ましくは12~28重量%の量で存在する、請求項10に記載の組成物。
【請求項14】
全脂肪酸エステル対全加工デンプンの重量比が9:1以下、好ましくは1:2~8:1である、請求項10に記載の組成物。
【請求項15】
水中油型乳濁液である、請求項1又は2に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レチノイドを含むスキンケア組成物に関する。特に、本発明は、レチノイド、第1の加工デンプン及び第2の加工デンプンを含むスキンケア組成物であって、総加工デンプン対レチノイドの重量比が少なくとも7:1である組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
レチノイド(例えば、レチノール及びレチニルエステル)は、スキンケア製品に使用される一般的な成分である。レチノール(ビタミンA)は人体内に自然に存在する内因性化合物であり、正常な上皮細胞の分化に不可欠である。天然及び合成のビタミンA誘導体は、さまざまな皮膚障害の治療に広く使用されており、皮膚の修復剤又は再生剤としても使用されている。レチノイン酸は、ざ瘡、しわ、乾癬、シミ及び変色などのさまざまな皮膚状態の治療に使用されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、レチノイドをスキンケア組成物に組み込む場合、時にはいくつかの困難が生じることがある。例えば、おそらくレチノイドとスキンケア組成物中の成分との相互作用により、比較的高温での製品の安定性がレチノイドの配合により影響を受ける可能性がある。
【0004】
本発明者らは、高温で保存した後であっても安定であるレチノイドを含有するスキンケア組成物を提供するニーズが依然として存在することを認識した。驚くべきことに、加工デンプンの組み合わせを特定の比率でスキンケア組成物に組み込むことにより、高温での保管後に安定な組成物を達成できることが判明した。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1の態様において、本発明は、レチノイド、第1の加工デンプン及び第2の加工デンプンを含むスキンケア組成物であって、総加工デンプン対レチノイドの重量比が少なくとも7:1であり、前記レチノイドが、レチノール、レチニルエステル又はそれらの混合物であり、前記第1の加工デンプンが非イオン性デンプンであり、前記第2の加工デンプンがアニオン性デンプンであるスキンケア組成物に関するものである。
【0006】
本発明の他のすべての態様は、以下の詳細な説明及び実施例を考慮することにより、より容易に明らかになるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0007】
実施例を除いて、又は別断で明瞭に示されている場合を除き、材料の量又は反応条件、材料の物性、及び/又は使用を示す本説明における全ての数字は、「約」という単語によって修飾されているものと理解されても良い。
【0008】
別断の指定がない限り、すべての量は組成物の重量基準である。
【0009】
留意すべき点として、値の範囲を指定する際に、特定の上限値を特定の下限値に関連付けることができる。
【0010】
疑義を回避するために、「含む(comprising)」という言葉は、「含む(including)」を意味することを意図しているが、必ずしも「からなる(consisting of)」又は「構成されている(composed of)」を意味するとは限らない。言い換えれば、列記された段階又は選択肢は網羅的である必要はない。
【0011】
請求項が複数の従属性や冗長性なしに見出され得るか否かとは無関係に、本明細書で見られる本発明の開示は、相互に多重従属性である請求項に見られるすべての実施形態を網羅するものと見なされるべきである。
【0012】
本発明の特定の態様(例えば、本発明の組成物)に関して、ある特徴が開示されている場合、そのような開示は、必要な変更を加えて、本発明の任意の他の態様(例えば、本発明の方法)にも適用されると見なされるべきである。
【0013】
本発明の組成物はレチノイドを含む。レチノイドは、レチノール、レチニルエステル又はそれらの混合物を含み、好ましくは、レチノイドは、レチノール、レチニルエステル、又はそれらの混合物から選択される。
【0014】
「レチノール」の用語は、以下のレチノール異性体:全トランス-レチノール、13-シス-レチノール、11-シス-レチノール、9-シス-レチノール、3,4-ジデヒドロ-レチノール、3,4-ジデヒドロ-13-シス-レチノール;3,4-ジデヒドロ-11-シス-レチノール;3,4-ジデヒドロ-9-シス-レチノールを含む。好ましい異性体は、全トランス-レチノール、13-シス-レチノール、3,4-ジデヒドロレチノール、及び9-シス-レチノールから選択される。最も好ましいレチノールは、広く市販されているため、全トランス-レチノールである。
【0015】
レチニルエステルはレチノールのエステルである。「レチノール」の用語は上記で定義されている。本発明での使用に適したレチニルエステルは、好ましくはレチノールのC1-C30エステル、より好ましくはレチノールのC2-C20エステル、最も好ましくはレチノールのC2、C3及びC16エステルである。レチニルエステルの例としては、パルミチン酸レチニル、ギ酸レチニル、酢酸レチニル、プロピオン酸レチニル、酪酸レチニル、吉草酸レチニル、イソ吉草酸レチニル、ヘキサン酸レチニル、ヘプタン酸レチニル、オクタン酸レチニル、ノナン酸レチニル、デカン酸レチニル、ウンデカン酸レチニル、ラウリン酸レチニル、トリデカン酸レチニル、ミリスチン酸レチニル、ペンタデカン酸レチニル、ヘプタデカン酸レチニル、ステアリン酸レチニル、イソステアリン酸レチニル、ノナデカン酸レチニル、アラキドン酸レチニル、ベヘン酸レチニル、リノール酸レチニル、オレイン酸レチニル、又はそれらの組み合わせなどがある。本発明で使用するレチニルエステルは好ましくは、パルミチン酸レチニル、酢酸レチニル、リノール酸レチニル、オレイン酸レチニル、プロピオン酸レチニル又はそれらの混合物から選択される。より好ましくは、レチニルエステルは、パルミチン酸レチニル、酢酸レチニル、プロピオン酸レチニル、又はそれらの混合物から選択される。最も好ましくは、レチニルエステルは、パルミチン酸レチニル、プロピオン酸レチニル、又はそれらの混合物から選択される。
【0016】
特に好ましいレチノイドは、全トランス-レチノール、パルミチン酸レチニル、酢酸レチニル、プロピオン酸レチニル、又はそれらの混合物から選択される。最も好ましくは、レチノイドは、パルミチン酸レチニル、プロピオン酸レチニル、又はそれらの混合物から選択される。
【0017】
好ましくは、レチノイドは、組成物の0.0001~5重量%の量で、組成物中に使用され、より好ましくは組成物の0.005~3重量%の量で、さらにより好ましくは0.05~1%の量で、最も好ましくは0.1~0.5重量%の量で使用される。
【0018】
好ましくは、組成物中のパルミチン酸レチニル及びプロピオン酸レチニルの総量は、組成物の0.0001~5重量%、より好ましくは組成物の0.005~3%、さらにより好ましくは0.05~1%、最も好ましくは0.1~0.5%である。
【0019】
本発明の組成物は、第1及び第2の加工デンプンを含む。明確にするために、第1の加工デンプンは第2の加工デンプンとは異なる。加工デンプンとは、生デンプンの天然状態から変化した構造を有するデンプンを指す。生デンプンは好ましくは、化学的に修飾されていないトウモロコシ、ジャガイモ、米、ワキシートウモロコシ、小麦、サゴ及び/又はタピオカデンプンを含む。加工デンプンは、酵素、酸化、架橋反応、及び/又は生デンプンからの置換によって変性されてもよい。好ましくは、第1及び第2の加工デンプンは化学的に変性されたデンプンである。
【0020】
第1の加工デンプンは非イオン性デンプンである。非イオン性デンプンは、中性電荷を帯びるように変性された加工デンプンを意味する。好ましくは、非イオン性デンプンは、生デンプンのエステル化及び/又はエーテル化によって得ることができる。好ましくは、第1の加工デンプンは、酸化デンプン、アセチル化デンプン、ヒドロキシエチル化デンプン、ヒドロキシプロピル化デンプン、リン酸化デンプン、リン酸デンプン、硫酸デンプン、アリルデンプン、ベンジルデンプン、カルバモイルエチルデンプン、カルボキシメチルデンプン、シアノメチルデンプン、又はそれらの混合物を含む。より好ましくは、第1の加工デンプンは、ヒドロキシエチル化デンプン、ヒドロキシプロピル化デンプン、アセチル化デンプン、ヒドロキシエチル化デンプン、ヒドロキシプロピル化デンプン、リン酸デンプン、硫酸デンプン、又はそれらの組み合わせを含む。さらにより好ましくは、第1の加工デンプンは、ヒドロキシプロピル化デンプン、ヒドロキシエチル化デンプン、リン酸デンプン、硫酸デンプン、又はそれらの組み合わせを含む。最も好ましくは、第1の加工デンプンはヒドロキシプロピルデンプンリン酸塩である。
【0021】
好ましくは、第1の加工デンプンは、組成物の0.01~8重量%、より好ましくは0.05~4重量%、最も好ましくは0.2~2重量%の量で存在する。好ましくは、ヒドロキシプロピルデンプンリン酸塩は、組成物の0.01~8重量%、より好ましくは0.05~4重量%、最も好ましくは0.2~2重量%の量で存在する。
【0022】
第2の加工デンプンはアニオン性デンプンである。アニオン性デンプンは、負電荷を帯びるように変性された加工デンプンを意味する。好ましくは、第2の加工デンプンは、コハク酸塩及び/又は置換コハク酸塩によって変性されたデンプンを含む。より好ましくは、第2の加工デンプンは、アルミニウムデンプンオクテニルコハク酸塩、デンプンナトリウムオクテニルコハク酸塩、カルシウムデンプンオクテニルコハク酸塩、ナトリウムカルボキシメチルデンプン、ナトリウムデンプングリコール酸塩、又はそれらの混合物を含む。さらにより好ましくは、第2の加工デンプンはアルミニウムデンプンオクテニルコハク酸塩、ナトリウムデンプンオクテニル酸塩、又はそれらの組み合わせを含む。最も好ましくは、第2の加工デンプンはアルミニウムデンプンオクテニルコハク酸塩である。
【0023】
好ましくは、第2の加工デンプンは、組成物の0.01~12重量%、より好ましくは0.2~8重量%、最も好ましくは0.5~5重量%の量で存在する。好ましくは、アルミニウムデンプンオクテニルコハク酸塩は、組成物の0.01~12重量%、より好ましくは0.2~8重量%、最も好ましくは0.5~5重量%の量で存在する。
【0024】
好ましくは、第1の加工デンプン対第2の加工デンプンの重量比は1:30~5:1、より好ましくは1:15~2:1、最も好ましくは1:10~1:1である。好ましくは、ヒドロキシプロピルデンプンリン酸塩対アルミニウムデンプンオクテニルコハク酸塩の重量比は、1:30~5:1、より好ましくは1:15~2:1、最も好ましくは1:10~1:1である。
【0025】
好ましくは、全加工デンプン対レチノイドの重量比は7:1~200:1、より好ましくは7:1~100:1、最も好ましくは8:1~50:1である。好ましくは、ヒドロキシプロピルデンプンリン酸塩及びアルミニウムデンプンオクテニルコハク酸塩の合計量対レチノイドの重量比は、7:1~200:1、より好ましくは7:1~100:1、最も好ましくは8:1~50:1である。好ましくは、ヒドロキシプロピルデンプンリン酸塩及びアルミニウムデンプンオクテニルコハク酸塩の合計量対パルミチン酸レチニル及びプロピオン酸レチニルの合計量の重量比は7:1~200:1、より好ましくは7:1~100:1、最も好ましくは8:1~50:1である。
【0026】
組成物は、好ましくは脂肪酸エステルを含む。本明細書で使用される脂肪酸エステルは、少なくとも6炭素原子、好ましくは少なくとも8炭素原子の長さの直鎖を有するエステルを指す。さらに、脂肪酸エステルは、直鎖脂肪酸エステル、分枝脂肪酸エステル、安息香酸エステル、又はそれらの組み合わせであることができる。好ましくは、脂肪酸エステルは25℃及び大気圧で液体である。
【0027】
好ましくは、脂肪酸エステルは、脂肪酸モノエステル、脂肪酸ポリエステル、又はそれらの混合物を含む。好ましくは、脂肪酸エステルは脂肪酸モノエステルと脂肪酸ポリエステルの組み合わせを含む。脂肪酸モノエステルとは、少なくとも6炭素原子、好ましくは少なくとも8炭素原子の長さの直鎖を有するモノエステルを指す。脂肪酸ポリエステルとは、少なくとも6炭素原子、好ましくは少なくとも8炭素原子の長さを有する直鎖を有するポリエステルを指す。好ましくは、脂肪酸モノエステルは、C8-24脂肪酸とC1-8一価アルコールとのモノエステル、又はC1-6有機酸とC6-20一価アルコールとのモノエステルである。より好ましくは、脂肪酸モノエステルは、C10-20脂肪酸とC1-6一価アルコールとのモノエステル、又はC2-4有機酸とC8-18一価アルコールとのモノエステルである。好ましくは、脂肪酸ポリエステルは、C6-20脂肪酸とC2-8ポリオール又はC2-8ジオールとのエステルである。より好ましくは、脂肪族ポリエステルは、C8-18脂肪酸とC2-6ポリオール又はC2-6ジオールとのエステルである。
【0028】
好ましくは、脂肪酸モノエステルは、プロピオン酸ミリスチル、酢酸セチル、プロピオン酸セチル、ネオペンタン酸イソデシル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ラウリン酸イソプロピル、ラウリン酸メチル、リノール酸メチル、ミリスチン酸メチル、ステアリン酸メチル、パルミチン酸メチル、イソステアリン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、パルミチン酸イソブチル、ミリスチン酸ブチル、パルミチン酸エチル、ミリスチン酸エチル、ステアリン酸イソブチル、ミリスチン酸イソブチル、又はそれらの混合物から選択される。より好ましくは、脂肪酸モノエステルは、プロピオン酸ミリスチル、プロピオン酸セチル、ネオペンタン酸イソデシル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸メチル、ステアリン酸メチル、又はそれらの混合物を含む。さらにより好ましくは、脂肪酸モノエステルはミリスチン酸イソプロピルを含む。最も好ましくは、脂肪酸モノエステルはミリスチン酸イソプロピルである。好ましくは、脂肪酸モノエステルの量は、組成物の2~32重量%、より好ましくは5~25重量%、さらにより好ましくは8~18重量%の量で存在する。
【0029】
好ましくは、脂肪酸ポリエステルは、カプリン酸/カプリル酸トリグリセリド、ヒマワリ種子油、綿実油、キャノーラ油、大豆油、ヒマシ油、ルリヂサ油、オリーブ油、シアバター、ホホバ油及びそれらの混合物を含む。より好ましくは、脂肪酸ポリエステルはカプリン酸/カプリル酸トリグリセリドを含み、最も好ましくは脂肪酸ポリエステルはカプリン酸/カプリル酸トリグリセリドである。好ましくは、脂肪酸ポリエステルの量は、組成物の0.2~22重量%、より好ましくは1~15重量%、さらにより好ましくは3~10重量%の量で存在する。
【0030】
組成物の安定性を改善し、及び/又は変色を低減するために、脂肪酸モノエステル対レチノイドの重量比は少なくとも12:1であることが好ましい。より好ましくは、脂肪酸モノエステル対レチノイドの重量比は、12:1~300:1、さらにより好ましくは15:1~150:1、最も好ましくは20:1~70:1である。好ましくは、脂肪酸エステル対レチノイドの重量比は少なくとも18:1である。より好ましくは、脂肪酸エステル対レチノイドの重量比は、18:1~500:1、さらにより好ましくは20:1~350:1、最も好ましくは25:1~100:1である。好ましくは、合計脂肪酸エステル対合計加工デンプンの重量比は9:1以下、より好ましくは1:2~9:1、さらにより好ましくは1:2~8:1、最も好ましくは1:1~8:1である。
【0031】
好ましくは、脂肪酸エステルの合計量は、組成物の3~45重量%、より好ましくは5~36重量%、さらにより好ましくは12~28重量%の量で存在する。
【0032】
組成物はレゾルシノール誘導体を含んでもよい。レゾルシノール誘導体は、好ましくは、レゾルシノールの環構造上及び/又はヒドロキシ基上の少なくとも一つの水素がアルキル基、フェニルアルキル基で置き換わったものを指す。好ましくは、レゾルシノール誘導体は4-置換レゾルシノールである。好ましくは、レゾルシノール誘導体は、4-エチルレゾルシノール、4-ブチルレゾルシノール、4-ヘキシルレゾルシノール、フェニルエチルレゾルシノール、又はそれらの混合物から選択され、より好ましくは、レゾルシノール誘導体は4-ヘキシルレゾルシノールを含む。レゾルシノール誘導体の量は、組成物の総量の好ましくは0.00001~10重量%、より好ましくは0.001~5重量%、最も好ましくは0.1~0.6重量%の範囲である。
【0033】
好ましくは、組成物は、ビタミンB3化合物(ビタミンB3の誘導体を含む)を含む。ビタミンB3化合物は、ナイアシン、ニコチン酸、ナイアシンアミド、又はそれらの混合物を含む。最も好ましいビタミンB3化合物はナイアシンアミドである。ビタミンB3化合物の量は、組成物の0.1~10重量%、好ましくは0.5~5重量%であることができる。
【0034】
好ましくは、組成物は多価アルコールを含む。多価アルコールは、グリセリン、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ソルビトール、ヒドロキシプロピルソルビトール、ヘキシレングリコール、1,3-ブチレングリコール、イソプレングリコール、エトキシル化グリセロール、プロポキシル化グリセロール、又はそれらの混合物の群から選択され得る。最も好ましい多価アルコールは、グリセリンとしても知られるグリセロールである。多価アルコールの量は、組成物の0.1~20重量%、好ましくは0.5~15重量%、より好ましくは2~10重量%の範囲であり得る。
【0035】
組成物は、組成物の30~98重量%、より好ましくは組成物の35~95重量%、さらにより好ましくは42~88重量%、最も好ましくは50~82重量%の量で水を含むことができる。
【0036】
好ましくは、組成物は、25℃でブルックフィールド粘度計(T-Bスピンドル、5rpm、30秒)で測定した場合、少なくとも10cSt、より好ましくは100~500,000mPa・sの範囲、さらにより好ましくは300~100,000mPa・s、最も好ましくは1,000~20,000cStの粘度を有する。好ましくは、組成物は流体の形態である。
【0037】
好ましくは、組成物は乳濁液、より好ましくは水中油型乳濁液である。スキンケア組成物とは、ヒト皮膚への局所適用に適した組成物を指し、リーブオン製品及びウォッシュオフ製品を含むが、好ましくはリーブオン組成物を含む。本明細書において組成物に関して使用される「リーブオン」の用語は、皮膚に塗布又は皮膚上にこすり付けられ、その上に残る組成物を意味する。本明細書において組成物に関して使用される「ウォッシュオフ」の用語は、皮膚に塗布又は皮膚上にこすりつけられ、塗布後実質的にただちに洗い流される皮膚洗浄剤を意味する。好ましくは、スキンケア組成物は流動性の液体、特にメイクアップ製品ではなく保湿剤を意味する。本明細書で使用される「皮膚」の用語には、顔、首、胸、腹部、背中、腕、脇の下、手、及び脚の皮膚が含まれる。好ましくは、「皮膚」は、顔及び脇の下の皮膚を意味し、より好ましくは、皮膚とは、唇及びまぶた以外の顔の皮膚を意味する。
【0038】
以下の実施例は、本発明の理解を容易にするために提供される。実施例は特許請求の範囲を限定することを意図するものではない。
【実施例】
【0039】
実施例1
本実施例は、二つの加工デンプンの組み合わせの存在の効果を実証するものである。
【0040】
【0041】
一連のスキンケア組成物を、以下の標準手順により表1に従って製剤した。
【0042】
サンプルの性能を、以下の手順により評価した。全てのサンプルを同一型の透明瓶に同量ずつ入れた。中にサンプルを入れたこれらの透明瓶を、55℃のオーブンに24時間入れた。次に、これらのサンプルが入ったこれらの透明瓶を取り出し、観察し、表2に記録した。
【0043】
【0044】
驚くべきことに、プロピオン酸レチニルを含有するスキンケア組成物に加工デンプンの組み合わせを組み込むだけで、高温で保存した後でも安定な乳濁液を達成できることが認められた。
【0045】
実施例2
本実施例は、加工デンプンの総量対レチノイドの重量比の効果を実証するものである。
【0046】
【0047】
一連のスキンケア組成物を、以下の標準手順により表3に従って製剤した。
【0048】
サンプルの性能を、実施例1と同じ手順に従って評価した。結果を表4に記録した。
【0049】
【0050】
驚くべきことに、高温で保存した後に安定なエマルションが得られ、全加工デンプン対レチノイドの重量比が少なくとも7:1である必要があることが認められた。
【国際調査報告】