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特表2024-520800グローブボックスラッチ用の爪コネクタ
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-24
(54)【発明の名称】グローブボックスラッチ用の爪コネクタ
(51)【国際特許分類】
   E05B 83/30 20140101AFI20240517BHJP
   E05C 21/00 20060101ALI20240517BHJP
   E05C 9/04 20060101ALI20240517BHJP
   E05C 9/16 20060101ALI20240517BHJP
【FI】
E05B83/30 B
E05C21/00 A
E05C9/04
E05C9/16
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023575815
(86)(22)【出願日】2022-06-10
(85)【翻訳文提出日】2024-01-29
(86)【国際出願番号】 US2022032953
(87)【国際公開番号】W WO2022261402
(87)【国際公開日】2022-12-15
(31)【優先権主張番号】63/209,690
(32)【優先日】2021-06-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】507369567
【氏名又は名称】サウスコ,インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 有一
(74)【代理人】
【識別番号】100126848
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 昭雄
(72)【発明者】
【氏名】デイビッド エー.ミニッチ
【テーマコード(参考)】
2E250
【Fターム(参考)】
2E250JJ47
2E250KK01
2E250LL11
(57)【要約】
車両グローブボックスラッチおよびその組立て方法が開示されている。ラッチは、車両グローブボックスに対する移動を目的として組付けられたアクチュエータ;アクチュエータに結合され回転子軸を中心とした回転を目的として組付けられた回転子;および回転子に結合され、回転子軸に対して角度が付いた爪軸に沿って移動可能である爪を含む。爪の係合部分は、車両グローブボックスが組付けられている車両内の開口部内に係合する。爪の結合部分が、回転子の戻り止めを収容し陥凹方向における陥凹からの戻り止めの意図せぬ分離を阻止するための陥凹を画定している。回転子のリテーナは、回転子軸の方向における結合部分の移動を制限し、回転子軸の方向における戻り止めからの結合部分の意図せぬ分離を阻止するように位置決めされている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両グローブボックス用の車両グローブボックスラッチにおいて:
前記車両グローブボックスに対して相対的な移動をするために組付けられるように構成されているアクチュエータと;
前記アクチュエータに対し結合されかつ回転子軸を中心にした前記車両グローブボックスに対して回転するために組付けられるように構成されている回転子と;
前記回転子に対し結合されかつ対向する端部を有する爪であって、前記回転子軸に対して角度が付いた爪軸に沿って移動可能であり、前記爪の前記対向する端部の一方の端部には、前記車両グローブボックスが組付けられている車両内の開口部と係合するように構成された係合部分が含まれ、前記爪の前記対向する端部の他方の端部には、前記回転子に前記爪を結合するように位置決めされた結合部分が含まれている、爪と;
を含み;
前記爪の前記結合部分が、前記爪軸に対して角度をなし、且つ前記回転子軸に対して角度をなす陥凹方向に開いた陥凹を画定しており;かつ、
前記回転子が、前記回転子軸の方向に延び、且つ前記爪の前記結合部分によって画定された前記陥凹内へと延びる戻り止めを有し、前記回転子が、前記戻り止めから離隔され前記回転子軸に対して横方向に延在するリテーナも有しており;
前記爪の前記結合部分によって画定された前記陥凹が、前記回転子の前記戻り止めを収容し、前記陥凹方向における前記陥凹からの前記回転子の前記戻り止めの意図せぬ分離を阻止するように成形されており、
前記回転子の前記リテーナが、前記回転子軸の前記方向における前記爪の前記結合部分の移動を制限し、前記回転子軸の前記方向における前記回転子の前記戻り止めからの前記爪の前記結合部分の意図せぬ分離を阻止するように位置決めされている、
車両グローブボックスラッチ。
【請求項2】
前記回転子の前記戻り止めが、前記回転子軸の前記方向に延在するスタッドである、請求項1に記載の車両グローブボックスラッチ。
【請求項3】
前記回転子の前記スタッドが円筒形支柱である、請求項2に記載の車両グローブボックスラッチ。
【請求項4】
前記回転子の前記リテーナが、前記回転子軸に対して横方向に延在する唇状部を含む、請求項1に記載の車両グローブボックスラッチ。
【請求項5】
前記リテーナが、前記爪の前記結合部分に対し近位に位置決めされているかまたは前記爪の前記結合部分と接触する接触面を含む、請求項4に記載の車両グローブボックスラッチ。
【請求項6】
前記爪が、ラッチ位置とラッチ解除位置の間で前記爪軸に沿って移動可能である、請求項1に記載の車両グローブボックスラッチ。
【請求項7】
前記爪の前記結合部分は、前記爪の前記結合部分と前記リテーナの接触面の間の距離が、前記爪の前記ラッチ位置における前記爪の前記結合部分と前記リテーナの前記接触面の間の距離に比べて、前記爪の前記ラッチ解除位置においてより大きいものとなるように、テーパ付き厚みを有している、請求項6に記載の車両グローブボックスラッチ。
【請求項8】
前記回転子が、前記ラッチ位置と前記ラッチ解除位置の間で前記回転子軸を中心として移動可能である、請求項7に記載の車両グローブボックスラッチ。
【請求項9】
前記回転子の前記リテーナの前記接触面は、前記回転子が前記ラッチ位置と前記ラッチ解除位置の間で前記回転子軸を中心にして移動させられた場合に、前記爪の前記結合部分に対して移動させられる、請求項8に記載の車両グローブボックスラッチ。
【請求項10】
前記爪の前記結合部分が、前記回転子との接触のために位置決めされた丸味のある表面を有し、これにより前記爪と前記回転子の間の直接接触面積を減少させる、請求項1に記載の車両グローブボックスラッチ。
【請求項11】
前記爪の前記結合部分の前記陥凹の表面が丸くされており、前記爪の前記結合部分の前記陥凹と前記回転子の前記戻り止めの間の前記直接接触面積が減少されている、請求項10に記載の車両グローブボックスラッチ。
【請求項12】
複数の爪を含む、請求項1に記載の車両グローブボックスラッチ。
【請求項13】
前記回転子が、前記回転子軸の方向で前記複数の爪のうちのそれぞれ1つの爪の前記結合部分によって画定された前記陥凹内へと各々延在する複数の戻り止めを有し、前記回転子が同様に、前記複数の戻り止めのうちのそれぞれ1つの戻り止めから各々離隔され前記回転子軸に対して横方向に延在する複数のリテーナも有している、請求項12に記載の車両グローブボックスラッチ。
【請求項14】
請求項1に記載の車両グローブボックスラッチを含む車両グローブボックス。
【請求項15】
前記アクチュエータを提供するユーザ起動式パドルおよび前記パドルおよび前記回転子が結合されている扉をさらに含む、請求項14に記載の車両グローブボックス。
【請求項16】
車両ラッチアセンブリを組立てる方法において:
回転子軸に対して角度が付いた爪軸に沿って爪が移動可能となるように回転子に対して爪を方向付けることであって、前記爪の対向する端部の一方の端部には、車両グローブボックスが組付けられている車両内の開口部と係合するように構成された係合部分が含まれ、前記爪の前記対向する端部の他方の端部には、前記回転子に前記爪を結合するように位置決めされた結合部分が含まれている、前記爪を方向付けることと;
前記爪軸に対して角度をなし、且つ前記回転子軸に対して角度をなす陥凹方向に開いた陥凹によって前記爪の前記結合部分を方向付けることと;
前記回転子軸に対して横方向に前記回転子のリテーナを延在させることと;
前記爪の前記結合部分によって画定された前記陥凹内に、前記回転子の戻り止めを収容し、前記陥凹方向における前記陥凹からの前記回転子の前記戻り止めの意図しない分離を阻止することと;
前記回転子軸の方向における前記爪の前記結合部分の移動を制限し、前記回転子軸の前記方向における前記回転子の前記戻り止めからの前記爪の前記結合部分の意図せぬ分離を阻止するように前記回転子の前記リテーナを位置決めすることと;
これによって、前記回転子軸の前記方向および前記回転子軸に対して角度が付いた前記陥凹方向における前記回転子からの前記爪の意図しない分離を阻止することと;
を含む方法。
【請求項17】
前記車両グローブボックスに対する移動のためのユーザ操作式パドルを組付けることをさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記回転子をパドルに結合することと、前記回転子軸を中心にした前記車両グローブボックスに対する回転のために、前記回転子を組付けることをさらに含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記ラッチアセンブリを閉鎖状態に維持するためのストライカと相互作用するように前記爪を位置決めすることをさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
前記爪が前記回転子軸に対して角度が付いた前記爪軸に沿って移動可能であるように前記回転子に対して複数の爪を方向付けすることをさらに含む、請求項16に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、全体が全ての目的のために参照により本明細書に組込まれている「グローブボックスラッチ用爪コネクタ」なる名称の2021年6月11日出願の米国仮特許出願第63/209,690号の優先権を主張するものである。
【0002】
本発明は、隣接する構成要素間の機械的連結を提供するように構成されたラッチの分野、詳細には自動車のグローブボックスまたはアクセサリコンパートメントの扉を閉鎖位置にしっかり固定するためのラッチシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
グローブボックスなどの自動車の扉閉鎖システムには、典型的に、ハウジング、扉、および、前記扉を閉鎖位置に保持して前記ハウジングを覆うために1つ以上のストライカと協働するラッチが含まれる。既存の扉閉鎖システムを改善するかまたはその代替物を提供する必要性が引き続き存在するということが分かっている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の第1の態様によると、車両グローブボックス用の車両グローブボックスラッチは、アクチュエータ、アクチュエータに結合された回転子および回転子に結合された爪を含む。アクチュエータは、車両グローブボックスに対する移動を目的として組付けられるように構成されている。回転子は、回転子軸を中心にした車両グローブボックスに対する回転を目的として組付けられるように構成されている。爪は、対向する端部を含み、回転子軸に対して角度が付いた爪軸に沿って移動可能である。爪の対向する端部の一方の端部には、車両グローブボックスが組付けられている車両内の開口部と係合するように構成された係合部分が含まれ、爪の対向する端部の他方の端部には、回転子に爪を結合するように位置決めされた結合部分が含まれている。爪の結合部分は、爪軸に対して角度が付き回転子軸に対して角度が付いた陥凹方向に開く陥凹を画定している。回転子は、回転子軸の方向で爪の結合部分によって画定された陥凹内へと延在する戻り止めを有する。回転子は、また、戻り止めから離隔され回転子軸に対して横方向に延在するリテーナも有している。爪の結合部分によって画定された陥凹は、回転子の戻り止めを収容し陥凹方向における陥凹からの回転子の戻り止めの意図せぬ分離を阻止するように成形されている。回転子のリテーナは回転子軸の方向における爪の結合部分の移動を制限し、回転子軸の方向における回転子の戻り止めからの爪の結合部分の意図せぬ分離を阻止するように位置決めされている。
【0005】
本発明の別の態様によると、車両グローブボックスラッチアセンブリを組立てる方法は:回転子軸に対して角度が付いた爪軸に沿って爪が移動可能となるように回転子に対して爪を方向付けるステップであって、爪の対向する端部の一方の端部には、車両グローブボックスの組付けられている車両内の開口部と係合するように構成された係合部分が含まれ、爪の対向する端部の他方の端部には、回転子に爪を結合するように位置決めされた結合部分が含まれている、ステップと;爪軸に対して角度が付けられ且つ回転子軸に対して角度が付けられた陥凹方向に開いた陥凹を用いて、爪の結合部分を方向付けるステップと;回転子軸に対して横方向に回転子のリテーナを延在させるステップと;爪の結合部分によって画定された陥凹内に回転子の戻り止めを収容し、陥凹方向における陥凹からの回転子の戻り止めの意図せぬ分離を阻止するステップと;回転子軸の方向における爪の結合部分の移動を制限し、回転子軸の方向における回転子の戻り止めからの爪の結合部分の意図せぬ分離を阻止するように回転子のリテーナを位置決めすることによって、回転子軸の方向ならびに回転子軸に対して角度が付いた陥凹方向における回転子からの爪の意図せぬ分離を阻止するステップと、を含む。
【0006】
本発明の上述のおよび他の態様および特徴は、添付図面を参照して、その例示的実施形態を詳細に説明することによって、当業者にはより明確になるものである。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1A図1Aは、車両グローブボックスの扉に組付けられた状態で示された、車両グローブボックス用の車両グローブボックスラッチの第1の例示的実施形態の斜視図を描いている。
図1B図1Bは、図1A中に示された車両グローブボックスラッチの別の斜視図を描いている。
図2A図2Aは、車両グローブボックスラッチの爪および回転子の上面図である。
図2B図2Bは、図2Aに示されている爪および回転子の斜視図である。
図3A図3Aは、車両グローブボックスラッチがラッチ状態で示されている、車両グローブボックスラッチの上面図である。
図3B図3Bは、ライン3B-3Bに沿って切り取った、図3Aの車両グローブボックスラッチのラッチ状態の断面図である。
図3C図3Cは、回転子の戻り止めを収容するように成形された爪の結合部分によって画定された陥凹を示す、図3Bの一部分の詳細図である。
図3D図3Dは、ラッチ状態にある車両グローブボックスラッチの斜視図である。
図3E図3Eは、図3Dの一部分の詳細図である。
図4A図4Aは、ラッチ解除状態などの、爪の全走行距離を示す、車両グローブボックスラッチの上面図である。
図4B図4Bは、ライン4B-4Bに沿って切り取った、図4Aの車両グローブボックスラッチのラッチ解除状態の断面図である。
図4C図4Cは、図4Bの一部分の詳細図である。
図4D図4Dは、ラッチ解除状態にある車両グローブボックスラッチの斜視図である。
図4E図4Eは、図4Dの一部分の詳細図である。
図5A図5Aは、直ちに設置できる状態の爪の位置を示す、車両グローブボックスラッチの上面図である。
図5B図5Bは、設置状態およびラッチ状態にある爪を示す、車両グローブボックスラッチの上面図である。
図5C図5Cは、車両グローブボックスラッチがラッチ解除状態で示されている、車両グローブボックスラッチの上面図である。
図5D図5Dは、爪の全走行距離を示す、車両グローブボックスラッチの上面図である。
図6A図6Aは、車両グローブボックスラッチの爪の一実施形態の図を描いている。
図6B図6Bは、車両グローブボックスラッチの爪の一実施形態の図を描いている。
図6C図6Cは、車両グローブボックスラッチの爪の一実施形態の図を描いている。
図6D図6Dは、車両グローブボックスラッチの爪の一実施形態の図を描いている。
図6E図6Eは、車両グローブボックスラッチの爪の一実施形態の図を描いている。
図6F図6Fは、車両グローブボックスラッチの爪の一実施形態の図を描いている。
図6G図6Gは、図6Fの一部分の詳細図である。
図6H図6Hは、爪の追加の図を描く。
図6I図6Iは、爪の追加の図を描く。
図6J図6Jは、爪の追加の図を描く。
図6K図6Kは、爪の追加の図を描く。
図6L図6Lは、図6Kの一部分の詳細図である。
図7A図7Aは、車両グローブボックスラッチの回転子の一実施形態の図を描いている。
図7B図7Bは、車両グローブボックスラッチの回転子の一実施形態の図を描いている。
図7C図7Cは、車両グローブボックスラッチの回転子の一実施形態の図を描いている。
図7D図7Dは、車両グローブボックスラッチの回転子の一実施形態の図を描いている。
図7E図7Eは、車両グローブボックスラッチの回転子の一実施形態の図を描いている。
図7F図7Fは、車両グローブボックスラッチの回転子の一実施形態の図を描いている。
図7G図7Gは、図7Fの一部分の詳細図である。
図7H図7Hは、回転子の追加の図を描いている。
図7I図7Iは、回転子の追加の図を描いている。
図7J図7Hは、回転子の追加の図を描いている。
図7K図7Kは、回転子の追加の図を描いている。
図7L図7Lは、図7Kの一部分の詳細図である。
図8A図8Aは、車両グローブボックスラッチのアクチュエータの一実施形態の図を描いている。
図8B図8Bは、車両グローブボックスラッチのアクチュエータの一実施形態の図を描いている。
図8C図8Cは、車両グローブボックスラッチのアクチュエータの一実施形態の図を描いている。
図8D図8Dは、車両グローブボックスラッチのアクチュエータの一実施形態の図を描いている。
図8E図8Eは、車両グローブボックスラッチのアクチュエータの一実施形態の図を描いている。
図8F図8Fは、車両グローブボックスラッチのアクチュエータの一実施形態の図を描いている。
図8G図8Gは、車両グローブボックスラッチのアクチュエータの一実施形態の図を描いている。
図9図9は、車両グローブボックスラッチの捩りばねの等角図である。
図10図10は、ラッチアセンブリを組立てる例示的方法を描いている。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明は、具体的実施形態に関連して本明細書中で例示され説明されているものの、本発明は示されている詳細に限定されるように意図されていない。むしろ、クレームの等価物の範囲内で本発明から逸脱することなく、細部においてさまざまな修正を加えることが可能である。
【0009】
本発明の態様を組込んだ車両グローブボックス用の車両グローブボックスラッチ100の実施形態が開示される。図1A~1Bに示されているように、車両グローブボックスラッチ100は、扉102(その前面パネルのみが図示されている)を有する扉アセンブリをラッチ解除またはラッチするように意図されている。扉102は、例えば車両用のグローブボックスの扉であってよい。図示されていないものの、扉102は、車両のダッシュボード内に形成された開口部などの開口部上に組付けられる。扉102は、当該技術分野で公知のように、開口部にヒンジ留めされ、閉鎖位置と開放位置の間で移動可能である。
【0010】
扉102の閉鎖位置では、扉102の前面(図示せず)が、ダッシュボードの表面と面一である。前面の反対側には、扉102の後面106がある。扉102の開放位置では、扉102はダッシュボードの表面から突出している。ダッシュボードの開口部の周囲にストライカ(図示せず)が具備されている。扉102は、単体の構成要素であってもよいし、または一緒に組付けられた多数の構成要素で構成されていてもよい。扉102は、概して形状が矩形であり、前面と後面106を含む。図1A~1Bに示されているように、2つの突出部108および110が、扉102の後面106から後向き方向で外向きに突出している。
【0011】
図2A~2Bを参照すると、突出部108および110は各々、それぞれ貫通して延在するアパーチャ112および114を含む。アパーチャ112および114の各々の内部に向いた側には、内部に位置決めされた爪120および122などの爪の横方向の動きを収容できる弾性タブ(図示せず)を有するクリップ104(図2B)が含まれていてよい。
【0012】
車両グローブボックスラッチ100は、扉102に組付けられ、扉102を解除可能に閉鎖位置に維持する。車両グローブボックスラッチ100は、車両グローブボックスラッチ100のユーザ操作式パドル116(図8A~8G)など、アクチュエータの前面134が扉102の前面と面一であるかまたは扉の前面に対してわずかに陥凹している形になるように、扉102の陥凹領域(図示せず)の内部に少なくとも部分的に位置決めされている。代替的には、パドル116は、設計により決定付けられるように、わずかに突出しているかまたは著しく突出していてよい。車両グローブボックスラッチ100は、車両グローブボックスラッチ100のハウジング上のねじ付き締結具およびクリップなどの締結手段によって、扉102に組付けられてよい。
【0013】
車両グローブボックスラッチ100を組付けするための手段は様々であり得るということを理解すべきである。例えば、組付け用手段は、例えば複数のクリップ、複数の締結具、スナップ、クランプ、溶接、接着剤、返し、スロット、突起、または表面、または車両グローブボックスラッチ100を扉102に組付けるために使用可能な他の任意の装置を含んでいてよい。
【0014】
車両グローブボックス用の車両グローブボックスラッチ100の一次構成要素は、アクチュエータ116、回転子118および爪、例えば爪120および122である。車両グローブボックスラッチ100は爪120および122の一方のみを含んでいてよく、または代替的に、車両グローブボックスラッチ100は複数の爪120および122を含んでいてよい、ということを理解すべきである。任意には、車両グローブボックスラッチ100は、爪120および122を含む複数の爪を含んでいてよい。
【0015】
ユーザ操作式パドル116(図3D)などのアクチュエータは、車両グローブボックスに対する移動を目的として組付けられるように構成されている。詳細には、パドル116は、枢動軸を中心として扉102の前面に対して枢動可能に組付けられる。回転子118はパドルに結合され、回転子軸(図7H)を中心とした車両グローブボックスに対する回転を目的として組付けられるように構成されている。詳細には、回転子118は、同心軸を中心として扉102の後面106に対して回転可能に組付けられる。
【0016】
爪120および122は各々、回転子118に結合されるように構成されている。爪120および122は各々、対向する端部を有し、回転子軸に対して角度が付いた爪軸(図7H)に沿って移動可能である。詳細には、図5Dに見られるように、爪120は、回転子軸に対して角度が付いた爪軸(図7H)に沿って方向120dに移動し、爪122は回転子軸に対して角度の付いた爪軸に沿って方向122dに移動する。さらに、爪120および122は、ラッチ位置とラッチ解除位置の間で爪軸(図5D)に沿って移動可能である。
【0017】
爪120および122の対向する端部のうちの一方の端部には、車両グローブボックスが組付けられる車両内のそれぞれの開口部176aおよび176b(または集合的に開口部176と呼ばれる)と係合するように構成されているそれぞれ自由端部120aおよび122aなどの係合部分が含まれる。爪120および122の対向する端部のうちの他方の端部には、爪120および122をそれぞれ回転子118に結合するように位置決めされている結合部分120bおよび122bなどの結合部分が含まれている。
【0018】
付加的または任意に、かつ図中では明示的に示されていないものの、車両グローブボックスラッチ100は、ベースハウジングおよびロックバレルのうちの1つ以上を含んでいてよい。ベースハウジングは、扉102の前面に組付け可能であり、車両グローブボックスラッチ100の動作中、所定の場所に固定された状態にとどまる(すなわち静止状態)。ロックバレル(具備されている場合)は、ベースハウジングに組付け可能であり、パドル116内の開口部136と整列している。ロックバレルは、車両グローブボックスを施錠または解錠するために具備されている。ロックバレルは、任意の構成要素であり、省略されてもよい。
【0019】
さらに、図中では明示的に示されていないものの、車両グローブボックスラッチ100は、1つ以上の緩衝器または柔軟な材料で形成されたエラストマ構成要素を含んでいてもよい。1つ以上の緩衝器をベースハウジングとパドル116の間に据え付けて、車両の動作中の雑音、例えばBSR(バズ、シェーク、ラトル)および振動応答に関連する条件の軽減を補助してもよい。付加的または任意に、1つ以上の緩衝器をベースハウジングとパドル116の後向き面164との間に据え付けて、パドル116を移動させる時の音の発生を制限してもよい。
【0020】
ラッチ100は、パドル116を定位置に維持するためにパドル116に連結されている捩りばね(図示せず)などの1つ以上のばねを含んでいてよい(以下でさらに説明)。車両グローブボックスラッチ100のラッチ状態に対応する回転位置(すなわち爪120および122がストライカと係合する位置)に回転子118を付勢するために、捩りばね150(図9)などの第2の捩りばねを回転子118に連結してもよい。
【0021】
車両グローブボックスラッチ100の個別の構成要素について、以下でより詳細に説明する。
【0022】
車両グローブボックスラッチ100は概して、ユーザ操作式パドル116、回転子118および少なくとも1つの爪120、122を含む。詳細には、図aA~1Bに見られるように、回転子118および2つの爪120および122を含む車両グローブボックスラッチ100の少なくとも一部分は、扉102の後面106から突出している。爪120および122は各々、車両グローブボックスが組付けられる車両内のそれぞれの開口部176aおよび176b(または集合的に開口部176と呼ばれる)と係合するように構成された係合部分を含む。一例において、爪120および122は各々、車両の開口部上のストライカに対して解除可能に係合するように構成された係合部分を含む。爪120および122がストライカと係合した場合、扉102は閉鎖状態または閉鎖位置に維持される。具体的には、爪120および122が各々ラッチ位置にある場合(図5B)、爪120および122は、ストライカと係合し、こうして扉102を閉鎖状態または閉鎖位置に維持する。より具体的には、爪120および122が各々ラッチ位置にある場合、係合部分、例えばそれぞれ爪120および122の自由端部120aおよび122aと、それぞれのストライカとの間の係合が、閉鎖状態または閉鎖位置から開放位置までの扉102の移動を防止する。逆に言うと、爪120および122がラッチ解除位置にある場合(図5C)、爪120および122は、それぞれのストライカから離れるように移動しストライカから分離され、こうして爪120および122がストライカから充分に係合解除されて扉102は閉鎖状態または閉鎖位置に維持されず、または扉102を開放状態または開放位置まで容易に移動させることができるように構成されている。換言すると、係合部分120aおよび122a各々は、それぞれのストライカと係合せず、こうして扉102は、閉鎖状態または閉鎖位置に維持されないかまたは扉102を開放状態または開放位置まで容易に移動させることが可能になっている。
【0023】
図6A~6Lに見られるように、各爪120および122の自由端部120aおよび122aの反対側には、各爪120および122の結合部分120bおよび122bがある。結合部分120bおよび結合部分122bは各々陥凹、例えば陥凹124a(図6B)および124b(図4A)をそれぞれ画定する。図5Aに例示されているように、爪120の陥凹124aは、爪軸(図5D)に対して角度が付きかつ回転子軸(図7H)に対して角度の付いた陥凹方向120cに開いてよい。同様にして、爪122の陥凹124bは、爪軸(図5D)に対して角度が付きかつ回転子軸(図7H)に対して角度が付いた陥凹方向122cに開いてよい。非限定的な例において、各爪120および122の結合部分120bおよび122bは、各爪120および122を回転子118に結合するように位置決めされている。
【0024】
詳細には、結合部分120bおよび122bは、回転子118の戻り止め126aおよび126b(以下でさらに論述されている)の1つを収容しかつそれぞれ陥凹124aおよび124bからの回転子の戻り止め126aおよび126bの陥凹方向における意図せぬ分離を阻止する(図5A)ように意図された形状およびサイズを有する陥凹124aおよび124bを画定する。非限定的例において、結合部分120bおよび122bは、結合部分120bおよび122bの各々の周囲に画定されている三日月形の陥凹124aおよび124b(個別にまたは集合的に陥凹124と呼ばれる)を含む。
【0025】
具体的には、各陥凹124は、非連続的な周囲を有するC字形クリップによって画定される。図6Aに見られるように、非連続的周囲は、開口部128を画定し、この開口部を通して、戻り止め126aおよび126bをC字形クリップの中に(戻り止め126aを結合部分120bと噛合させ、戻り止め126bを結合部分122bと噛合させる1つの方法にしたがって)挿入またはスナップ留めすることができる。換言すると、各々の陥凹124aおよび124bは、それぞれ、回転子118により画定された戻り止め126aおよび126bの1つに対して解除可能な形で結合されるように構成されている。戻り止め126aおよび126bは、陥凹124から脱離することなく、動作中に陥凹124内を枢動することができる。
【0026】
爪120および122の陥凹124が回転子118からの意図せぬ結合解除または分離を阻止するためには、陥凹124のそれぞれの開口部128のサイズは、回転子118の戻り止め126aおよび126bのサイズまたは直径よりも小さくなるように選択されてよい。これにより、設置方向174(図5B)によって標示されている通り、挿入力が及ぼされた時点で陥凹124の偏りは、陥凹124内部の戻り止め126aおよび126bの収容または挿入を可能にする。結果としてもたらされる陥凹124のそれぞれの開口部128と戻り止め126aおよび126bの間の干渉が、それぞれ陥凹124aおよび124bからの戻り止め126aおよび126bの意図せぬ分離を阻止し、それでもなお、(例えば解体または保守点検のために)挿入力174に対向する分離力を加えることにより意図された分離を可能にする。
【0027】
図6A~6Lは、三日月形の陥凹124aを有するものとして結合部分120bを例示している(そして結合部分122bは実質的に類似の三日月形の陥凹124bを有し得る)ものの、本明細書中の説明から、結合部分120bおよび122bは、少なくとも戻り止め126aおよび126bのサイズおよび形状に応じて任意の幾何形状を有していてよいということが理解される。さらに、結合部分120bおよび122bの形状は、設計または機能によって決定付けられるように対称または非対称であってよい。例えば、結合部分120bおよび122bの形状は、ラッチ100の組立てに関連する設置および保持力を適合させるかまたは調整するように選択されてよい。非限定的例においては、結合部分120bおよび122bの形状は、陥凹124の三日月形状の湾曲部分または角度付き部分を増加または減少させることに基づいて、例えば図6A~6Lにあるような例示されているものから変動してもよい。また、結合部分120bおよび122bは、陥凹124の三日月形状の一方の側が全く保持を呈していない一方で、他方の側がこのような保持を提供するような形状およびサイズを有するように設計されてよい。さらにまた、陥凹124のC字形状は、陥凹124とラッチ100の他の構成要素、例えば戻り止め126aおよび126bとの間の接触の量および場所を変動させるかまたは制御するために、制限された接触弧(例えばEクリップに類似するもの)を含むことができる。このような制限されたまたは制御された接触弧は、ラッチ100の組立ておよび設置または動作中の接触効果の削減および/または応力軽減のために使用され得る制限されたゾーンを標示していてよい。
【0028】
非限定的例として、爪120および122の結合部分120bおよび122bは、各々、回転子118との接触のために位置決めされた丸味のある表面を有していてよく、これにより爪120および122と回転子118の間の直接接触面積が削減される。さらにまた、爪120および122の結合部分120bおよび122bの陥凹124の表面は、爪120および122の結合部分120bおよび122bの陥凹124と回転子118の戻り止め126aおよび126bの間の直接接触面積を削減するために、丸味が付いている。
【0029】
さらに、図4Cを見れば最も良く分かるように、爪120の結合部分120bは、爪120の結合部分120bと回転子118のリテーナ132(以下で論述する)の接触面160と爪120との間の距離が、爪120のラッチ解除位置において(図5C)、爪120のラッチ位置における(図5B)爪120の結合部分120bとリテーナ132の接触面160との間の距離よりも大きくなるように、テーパの付いた厚みを含む。
【0030】
非限定的例において、ラッチ100がラッチ解除された最大爪移動状態にある場合(図4C)の爪120の別の向きにおける回転子118のリテーナ132の接触面160と爪120の結合部分120bの距離と比べて、ラッチ100がラッチ状態にある場合(図3C)の爪120の向きにおいて小さいものである、回転子118のリテーナ132の接触面160と爪120の結合部分120bの距離をそれぞれに示す、図3Cおよび4Cの図を比較すると、爪120のテーパ付き厚みが分かる。結合部分120bのテーパ付き厚みは、結合部分120bの一部分の外部表面から延在する持上った表面によって標示され得る。
【0031】
別の例では、爪120のテーパ付き厚みは、爪120の結合部分120bの表面から延在する傾斜路178によって標示される。図6Bに見られるように、傾斜路は湾曲した形状を有していてよい。さらに、図6Gに例示されているように、傾斜路178は、爪120の結合部分120bの比較的厚みの大きい部分180aから爪120の結合部分120bの比較的厚みの小さい部分180bまで延在してよい。このテーパ(図6G)の度合は、設計および機能が決定付ける通りのより大きなまたはより小さな間隙を許容するように変動可能である。例えば、爪120のテーパ付き厚みは、傾斜路178によって画定されるもののような走路に沿った任意の点において動作するように構成され得る。付加的または任意には、このテーパ(図6G)の度合は、ラッチ100の動作中に制御された抗力を創出して運動の減速を誘発することによって、陥凹124とそれぞれの戻り止め126aおよび126bの間に密な接触の部域を確立するように構成されてよい。
【0032】
明示的に示されてはいないものの、本明細書中の説明から、爪122のテーパ付き厚みは、爪120について以上で説明されているものと形状、サイズ、設計および機能が実質的に類似していてよいということを理解すべきである。
【0033】
ラッチ状態、ラッチ解除状態そしてラッチ解除された最大の爪移動状態の間の車両グローブボックスラッチ100の移動について、以下でさらに論述する。
【0034】
具体的には、爪120および122のテーパ付き厚みは、車両に関連する一定の条件、例えば移動する車両におけるラッチ100の構成要素の相対的な移動によってひき起こされるかまたは決定付けられる雑音創出を軽減するように、または車両グローブボックスラッチ100のラッチ解除およびラッチ係合を介した車両グローブボックスの開放および閉鎖の間の反復的移動などの、車両グローブボックスの高頻度使用サイクルによってひき起こされるあらゆる雑音創出を緩和するように意図されている。例えば、爪120および122のテーパ付き厚みは、ラッチ100の構成要素の相対的な移動が、振動により誘発された接触雑音の創出を制限するために、最小限に向かう又は維持されているゾーンを形成する能力を可能にする。上述のように、この特徴は、また、1つ以上の具体的ゾーンまたは区分全体にわたり密な接触を配置することも可能にし、こうして、そのゾーンにおける全ての相対的な移動を排除する(そして、所望される場合、移動に沿った任意の一つまたは複数の点に、または移動全体にわたって、このゾーンを位置決めすることができる)。付加的または任意には、1つ以上の具体的ゾーンまたは区分にわたるこの密な接触は、動きを減衰させ潜在的にはラッチ位置または状態とラッチ解除位置または状態の間の爪120および122の反応および動きを減速させるように構成され得る。
【0035】
図7A~7Lを見れば最も良く分かるように、回転子118は概して、円形の幾何形状を有し、戻り止め126aおよび126bを含み、各戻り止め126aおよび126bは、それぞれ爪120および122の結合部分120bおよび122bに連結されている。回転子118の戻り止め126aおよび126bは、回転子軸(図7H)の方向に、そして爪120および122の結合部分120bおよび122bにより画定された陥凹124内へと延在する。非限定的例においては、回転子118の戻り止め126aおよび126bの各々は、回転子軸(図7H)の方向に延在するスタッドである。詳細には、戻り止め126aおよび126bの各々は円筒形の支柱であってよい。
【0036】
回転子118は、複数の戻り止め、例えば戻り止め126aおよび126bのうちの1つ以上を含み、それぞれの戻り止めは、回転子軸(図7H)の方向に延在し、爪120および122などの複数の爪のうちのそれぞれの爪の結合部分、例えば結合部分120bおよび122b、によって画定された陥凹124内へと延在する。さらに、回転子118は、また、各々複数の戻り止め126aおよび126のそれぞれ1つから離隔している複数のリテーナ例えばリテーナ132aおよび132bを有していてもよい。複数のリテーナ132aおよび132bの各々は、回転子軸(図7H)に対して横方向に延在する。
【0037】
図5A~5Dを参照すると、回転子118の戻り止め126aは、爪120の陥凹124aの内部に組付けられている。回転子118の戻り止め126bは、爪122の陥凹124bの内部に組付けられている。以下で論述するように、戻り止め126aおよび126bは、それぞれの陥凹方向120cおよび122c(図5A)に沿って、それぞれの陥凹124内に挿入可能である。戻り止め126aおよび126bのそれぞれの陥凹124内でのそれらの嵌合した方向は、戻り止め126aおよび126bが陥凹方向(図5A)にそれらの陥凹124から偶発的に脱離した状態となることを防止する。
【0038】
回転子118は、ラッチ位置とラッチ解除位置の間で回転子軸(図7H)を中心として移動可能である。ラッチ位置(図5B)において、回転子118の戻り止め126aは、回転子118の戻り止め126bに対して左方向に方向付けされている。爪120および122がそれぞれの方向120dおよび122dに爪軸(図5D)に沿って移動するにつれて、回転子118は、ラッチ解除位置に向かって移動する。ラッチ解除位置(図5C)では、回転子118の戻り止め126bは、回転子118の戻り止め126bに対して右方向に向けて方向付けされている。
【0039】
明示的に示されていないものの、回転子118の戻り止め126aが回転子118の戻り止め126bと実質的に同一であってよいということを理解すべきである。任意には、戻り止め126aは、少なくとも爪120および122の設計によって決定付けられるように、戻り止め126bとサイズおよび形状が異なっていてよい。爪120および122と回転子118の間の連結は、任意のタイプの連結(固定または解除可能)であってよく、図示されている連結に限定されないということを理解すべきである。例えば、設置の方向または爪120および122と回転子118の間の連結は、設置方向174(図5B)と異なっていてよい。これは、各々結合部分120bおよび122bにより画定されるように、それぞれの開口部128または陥凹124の場所を変えることによって達成することができる。
【0040】
回転子118はさらに、戻り止め126aおよび126bから離隔され回転子軸(図7H)に対して横方向に延在するそれぞれのリテーナ132aおよび132b(集合的にリテーナ132と呼ばれる)を画定する。詳細には、回転子118のリテーナ132は、爪120および122の結合部分120bおよび122bの移動を制限するように位置決めされている。具体的には、回転子118のリテーナ132aは、爪120の結合部分120bの移動を制限するように位置決めされ、かつ回転子118のリテーナ132bは、爪122の結合部分122bの移動を制限するように位置決めされている。
【0041】
図7Gおよび7Lを見れば最も良く分かるように、回転子118のリテーナ132は、回転子軸(図7H)の方向における移動を制限し、かつ、回転子軸(図7H)の方向における、回転子118のそれぞれ戻り止め126aおよび126bからの爪120および122の結合部分120bおよび122bの意図せぬ分離を阻止するように位置決めされている。非限定的例において、回転子118のリテーナ132は、各々リテーナ132aおよび132bによって画定されているフランジまたは唇状部162を介した結合部分120bおよび122bの移動を制限するように位置決めされている。唇状部162は、回転子軸(図7H)に対し横方向に延在し、これにより回転子軸(図7H)の方向における移動を制限するように構成されている。唇状部162はさらに、それぞれ戻り止め126aおよび126bからの爪120および122の結合部分120bおよび122bの意図せぬ分離を阻止するように構成されている。
【0042】
付加的または任意には、リテーナ132は、爪120および122の結合部分120bおよび122bに対して近位であるかまたはこれらの結合部分と接触するように位置決めされた接触面160を含む。一例において、各リテーナ132aおよび132bの接触面160は、回転子118のラッチ位置と回転子118のラッチ解除位置の間で回転子軸(図7H)を中心にして回転子118が移動させられた場合に、爪120の結合部分120bおよび爪122の結合部分122bに対して移動可能である。接触面160は、回転子軸(図7H)の方向における結合部分120bおよび122bの移動を制限しかつ回転子118の戻り止め126aおよび126bそれぞれからの結合部分120bおよび122bの意図せぬ分離を阻止するように構成されたサイズ、形状または全体的幾何形状を有していてよい。非限定的な例において、接触面160は、結合部分120bおよび122bの一部分に対して近位にあるか、またはこの部分と接触するか、またはこの部分により近いところに延在するように構成された突出部を画定していてよい。
【0043】
さまざまな先行技術のラッチ設計は、回転子により画定された陥凹に結合されている1つ以上の爪上に戻り止めまたは支柱を含む(すなわち車両グローブボックスラッチ100内の戻り止めおよび陥凹の配置のものとは反対)。回転子118上に戻り止め126aおよび126bを位置決め、戻り止め126aおよび126bを収容するために爪120および122上に陥凹124を位置決めすることにより、一定の条件での設置済み部品の相対的な移動または、車両用のグローブボックスラッチに関連する設置済み部品を含めた設置済み部品の不適切な取付けによってひき起こされるBSR(バズ、シェーク、ラトル)効果を軽減する能力が得られる。消費者が製品に満足するためにはBSR効果を軽減または低下させることが望ましい。この配置は、また、以下でさらに論述される車両グローブボックスラッチ100の容易な組立ても提供する。さらにまた、ラッチ100内の戻り止めおよび陥凹の配置は、この配置によって爪軸が回転子軸に対して限定された程度で傾斜することを可能にするため、ラッチアセンブリを過剰に拘束し得る条件が回避されるという利点をもたらす。
【0044】
図8A~8Gは、車両グローブボックスラッチ100のパドル116などの例示的アクチュエータを描いている。パドル116は、壁の形で実質的に矩形の前面134を含む。任意のロックバレルを収容するための開口部136は、面134内に画定されてよい。スロット140から最も遠い前面134の端部138は、車両グローブボックスラッチ100のユーザによって把持されるように構成されている。対向する側壁142および144が、前面134から下向きに突出する。側壁142は、2つのスロット140のうちの一方、およびスロット140に隣接する場所において側壁142から下向きに延在する丸味のある脚部146を含む。丸味のある脚部146は、回転子118を回転させるように構成されている。2つの支柱148のうちの一方は、側壁142の底縁部から側壁140に向かって内向きに延在する。側壁144は、2つのスロット140のうちの他方のスロットを含む。2つの支柱148のうちの他方の支柱は、側壁144の底縁部から側壁142に向かって内向きに延在する。各支柱148は、組立てた形の車両グローブボックスラッチ100内のハウジングの内部に位置決めされてよい。
【0045】
図9は、車両グローブボックスラッチ100の例示的捩りばね150を描いている。捩りばね150は、車両グローブボックスラッチ100のラッチ状態(すなわち、爪120および122がストライカと係合されている状態)に対応する回転位置へと回転子118を付勢するために、回転子118に連結される。
【0046】
捩りばね150は、2つの自由端部154および156を有するコイル体152を含む。自由端部154および156は、各々コイル体152の中心軸に平行に向けられた別個の軸に沿って反対方向に延在する。非限定的例において、組立てた形態の車両グローブボックスラッチ100には、回転子118の前方側に形成された環状陥凹内に組付けられているものとしてばね150のコイル体152が含まれる。
【0047】
ここで図3A~3E、4A~4Eおよび図5A~5Dを参照すると、ラッチ状態、ラッチ解除状態およびラッチ解除状態そして最大爪移動状態からのラッチ100の移動が開示されている。
【0048】
ラッチ100のラッチ状態(図3A~3Eおよび5B)において、車両グローブボックスに対する扉102は、閉鎖位置にある。以上で説明した通り、捩りばね150は、車両グローブボックスラッチ100のラッチ状態(すなわち、爪120および122がストライカと係合されている状態)に対応する回転位置まで回転子118を付勢するために、回転子118に連結されてよい。捩りばね150は、陥凹124を有する結合部分120bおよび122bと回転子118の戻り止め126aおよび126bとの間の係合に起因して、図5C中の方向168といった反時計回り方向に回転子118が回転するのを防止する。
【0049】
詳細には、図3A~3Cに見られるように、戻り止め126aおよび126bは、爪120および122の結合部分120bおよび122bのそれぞれの陥凹124によって収容される。陥凹124の形状は、陥凹方向(図5A)におけるそれぞれの陥凹124からの少なくとも戻り止め126aおよび126bの意図せぬ分離を阻止することによって、結合部分120bおよび122bが少なくとも戻り止め126aおよび126bをそれぞれしっかり固定することを可能にする。
【0050】
付加的または任意には、リテーナ132は、戻り止め126aおよび126bのうちの一方から一定の距離だけ離隔されており、回転子軸(図7H)の方向における爪120および122の結合部分120bおよび122bの移動を制限し、かつ回転子軸(図7H)の方向における、回転子118の、それぞれ戻り止め126aおよび126bのうちの一方からの爪120および122の結合部分120bおよび122bの意図せぬ分離を阻止するように位置決めされている。
【0051】
ここで図5Cおよび8A~8Gに目を向けると、ラッチ100は、パドル116などのアクチュエータを操作することによってラッチ解除状態まで移動させられる。非限定的な例においては、ユーザは、パドル116に結合された片持ちばね(図示せず)などの付勢手段の付勢動作に対抗してパドル116を回転させる。回転子118と片持ちばねの間の接触によって回転子118をラッチ位置に維持することができる。任意には、ユーザは、パドル116を定位置に維持するためにパドル116に連結されている捩りばね(図示せず)などの付勢手段の付勢動作に対向して外向き方向にパドル116を回転させる。パドル116の定位置において、パドル116の後向き面164は扉102の前面に対面している(そしてこの前面と平行である)。
【0052】
ユーザがばねの付勢動作に対抗してパドル116を回転させた場合、スロット140は、ハウジング(図示せず)のそれぞれのリブ全体にわたって摺動し、こうしてパドル116の丸味を帯びた脚部146は回転子118の担持表面(図示せず)を圧迫し、これにより、図5C中で矢印168によって標示されているように、反時計回り方向に回転するように回転子118を駆動する。爪120および122の結合部分120bおよび122bはリテーナ132から充分な距離だけ離隔されていることから、回転子118は反時計回り方向におけるばね150の付勢に対抗して自由に回転できる。換言すると、リテーナ132は、回転子軸(図7H)の方向における爪120および122の結合部分120bおよび122bの移動を制限する位置にはない。しかしながら、リテーナ132は、回転子軸(図7H)の方向における回転子118のそれぞれ戻り止め126aおよび126bのうちの1つからの爪120および122の結合部分120bおよび122bの意図せぬ分離にリテーナ132が抵抗できるようにする位置にとどまる。
【0053】
ここで図4A~4Eに目を向けると、ラッチ100のラッチ解除状態および最大爪移動状態の詳細が例示されている。この状態は、爪120および122がそれぞれの最大距離で変位させられるように構成されているという点を除いて、図5Cのラッチ解除状態に実質的に類似している。詳細には、爪120および122は、リテーナ132が回転子軸(図7H)の方向における爪120および122の結合部分120bおよび122bの移動を制限する位置にない最短距離を通過して変位させられるように構成されている。爪120および122のテーパ付き厚みは、車両グローブボックスラッチ100の構成要素の相対的な移動に関連するさらなる応力を加えることなく、この最大の爪移動を可能にする。ラッチ100の構成要素の相対的な移動による応力の低減又は前記相対的な移動に対する緩和は、ラッチ100が、例えば車両グローブボックスラッチ100のラッチ解除およびラッチ係合を介した車両グローブボックスの高頻度でかつ反復的な使用に耐えられるようにすることができる。
【0054】
付加的または任意には、爪120および122は、ラッチ100のより効果的な組立てを可能にするため、最短距離を通過して変位させられるように構成されている(例示的組立て方法がさらに以下で論述される)。扉102のインナまたはライナを所定の位置まで内に移動させることができ、こうして、爪120および122は、インナが設置されるのに充分内側に押圧されるように構成されている。すなわち爪120および122は、扉のインナの内側で移動できる。さらにまた、爪120および122は、最短距離を通過して変位させられるように構成されており、こうしてパドル116を介したラッチ100のユーザ操作は、このとき爪120および122を移動させず、したがって爪120および122は扉102によって維持されるかまたは阻止される。
【0055】
本発明の別の実施形態においては、車両グローブボックスラッチ100を含む車両グローブボックスが開示されている。ラッチ100の構成要素は、上述の構成要素と同一である。さらにラッチ100は、複数の爪、例えば爪120および122のうちの1つ以上を含む複数の爪を含んでいてよい。また、パドル116などのアクチュエータおよび回転子118などの回転子が結合される扉102などの扉も、含まれていてよい。回転子118は、複数の戻り止め、例えば戻り止め126aおよび126bの1つ以上を含んでいてよい。複数の戻り止め126aおよび126bの各々は、回転子軸(図7H)の方向に延在し、かつ複数の爪120および122のうちのそれぞれの爪の結合部分120bおよび122bによって画定されるように、それぞれの陥凹124内へと延在していてよい。回転子118はまた、複数のリテーナ132aおよび132bを含んでいてよく、これらのリテーナ132aおよび132bはそれぞれ、複数の戻り止め126aおよび126bのうちのそれぞれの一方から間隔を空けて離隔されている。複数のリテーナ132aおよび132bは、回転子軸(図7H)に対し横方向に延在していてよい。
【0056】
他の箇所で指摘された通り、本発明の態様に係るラッチは、パドル操作式システムに限定されない。例えば、回転子118に対してなされる連結の設計は、パドル116などのパドル態様を含むアクチュエータとは独立して使用可能であると考えられる。したがって、本発明に係る連結は、動作が爪120および122などの爪のより直接的な運動を介して行われる、任意の結合型システム(例えば、回転子、ばね、ハウジング(ベース)および爪を含むシステム)内で使用可能である。このことは、例えば、爪120および122を押すこと、爪120および122を引張ること、または回転子118ではなく爪120および122を操作する他のいくつかのメカニズムによって行なうことができる。
【0057】
ここで車両ラッチアセンブリの組立て方法に言及すると、該方法200は以下で車両グローブボックスラッチ100の構成要素に関して説明される。該方法200は、車両グローブボックスラッチ100などのラッチアセンブリのさまざまな構成要素の容易な組立てにとって望ましいものである。
【0058】
図10に例示されているように、方法200のステップ202は、回転子118に対して爪120および122を方向付けて、爪120および122が回転子軸(図7H)に対して角度が付いた爪軸(図5D)に沿って移動可能となるようにすることを含んでいる。詳細には、爪120および122の対向する端部のうちの一方の端部は、車両グローブボックスが組付けられる車両内のそれぞれの開口部176aおよび176b(または集合的に開口部176と呼ばれる)と係合させられるように構成された、自由端部120aおよび122aなどの係合部分を含み、爪120および122の対向する端部の他方の端部は、各々回転子118に対してそれぞれ爪120および122を結合するために位置決めされている結合部分120bおよび122bなどの結合部分を含んでいる。非限定的な例においては、図1A~1Bおよび2A~2Bに見られるように、爪120は、扉102上の突出部108のアパーチャ112を通って位置決めされており、爪122は、突出部110のアパーチャ114を通して位置決めされている。
【0059】
ステップ204では、爪120および122の結合部分120bおよび122bが、爪軸(図5D)に対して角度が付けられ、かつ回転子軸(図7H)に対して角度が付けられている陥凹方向(図5A)に開くように構成された陥凹124aおよび124bなどの陥凹を用いて、方向付けされる。
【0060】
ステップ206では、回転子118のリテーナ132aおよび132bなどのリテーナが、回転子軸(図7H)に対して横方向に延在させられる。
【0061】
ステップ208では、回転子118の戻り止め126aおよび126bの一方または両方等の戻り止めが、爪120および122の結合部分120bおよび122bによって画定された陥凹124内に収容される。ステップ208はさらに、陥凹方向(図5A)における陥凹124からの回転子118の戻り止め126aまたは126bの意図せぬ分離を阻止するステップを含む。一例において、回転子118の戻り止め126aおよび126bの各々は、それぞれ陥凹124aおよび124b内に位置決めされる。陥凹124aおよび124bは、それぞれ、爪120の結合部分120bおよび爪122の結合部分122bによって画定される。以上で論述されているように、戻り止め126aおよび126bを、陥凹方向(図5A)でそれぞれの陥凹124の中に位置決めまたは挿入することができる。戻り止め126aおよび126bのそれぞれの陥凹124内での嵌合配向は、戻り止め126aおよび126bが陥凹方向(図5A)においてそれらの陥凹124から不注意に外れた状態となるのを防止する。
【0062】
ステップ210では、回転子118のリテーナ132は、回転子軸(図7H)の方向における爪120および122の結合部分120bおよび122bの移動を制限し、かつ回転子軸(図7H)の方向における回転子118の戻り止め126aまたは126bからの爪120および122の結合部分120bおよび122bの意図しない分離を阻止するように位置づけされ、こうして、各々回転子軸(図7H)に対して角度が付いた、回転子軸(図7H)の方向およびそれぞれの陥凹方向120cおよび122cにおける回転子118からの爪120および122の意図しない分離を阻止する。
【0063】
付加的または任意には、該方法200はさらに、車両グローブボックスに対する移動のためのパドル116などのアクチュエータを組付けるステップを含んでいる。回転子118はさらにパドル116に結合されていてよく、回転子118は、回転子軸(図7H)を中心にした車両グローブボックスに対して回転するように組付けられてよい。
【0064】
該方法200は、ラッチアセンブリを閉鎖状態またはラッチ状態に維持するためにストライカと相互作用するように、爪120および122などの少なくとも1つの爪を位置決めするステップをさらに含んでいてよい。
【0065】
方法200は、爪120および122のうちの1つ以上を含む複数の爪が、回転子軸(図7H)に対して角度をなす爪軸に沿って移動可能となるように、回転子118に対して、爪120および122のうちの1つ以上を含む複数の爪といった複数の爪を方向付けるステップをさらに含んでいてよい。非限定的な例において、爪120および122の1つ以上を含む複数の爪は、それぞれ爪方向120dおよび122d(図5D)に平行な爪軸に沿って移動可能である。
【0066】
車両グローブボックスラッチ100を組立てる方法などの方法200についての以上の説明が、いずれかのステップまたは一連のステップに限定されず、本発明の範囲および精神から逸脱することなく、説明されているものから変更してよい、ということを理解すべきである。
【0067】
本発明の好ましい実施形態が本明細書中で示され説明されてきたが、このような実施形態は単なる一例として提供されているにすぎないということが理解される。当業者であれば、本発明の精神から逸脱することなく、多くの変形形態、変更および置換を着想するものである。例えば、本明細書中に記載のラッチは、あらゆるコンパートメントのために使用されてよく、車両グローブボックスに限定されない。したがって、添付クレームは、本発明の精神および範囲内に入るものとしてこのような変形形態全てを網羅するように意図されている。
図1A
図1B
図2A
図2B
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図5A
図5B
図5C
図5D
図6A
図6B
図6C
図6D
図6E
図6F
図6G
図6H
図6I
図6J
図6K
図6L
図7A
図7B
図7C
図7D
図7E
図7F
図7G
図7H
図7I
図7J
図7K
図7L
図8A-8C】
図8D
図8E
図8F
図8G
図9
図10
【国際調査報告】