(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-24
(54)【発明の名称】生体試料を分析するためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
C12Q 1/6869 20180101AFI20240517BHJP
【FI】
C12Q1/6869 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023575822
(86)(22)【出願日】2022-06-10
(85)【翻訳文提出日】2024-02-06
(86)【国際出願番号】 US2022033116
(87)【国際公開番号】W WO2022261507
(87)【国際公開日】2022-12-15
(32)【優先日】2021-06-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523259329
【氏名又は名称】セラノーム, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ゲラルディーニ, ピエル フェデリコ
(72)【発明者】
【氏名】クラナ, タルン クマール
(72)【発明者】
【氏名】アガー, アリ
(72)【発明者】
【氏名】ウー, イル-シュアン
(72)【発明者】
【氏名】ヤサル, フィリズ ゴルぺ
【テーマコード(参考)】
4B063
【Fターム(参考)】
4B063QA13
4B063QQ34
4B063QQ42
4B063QQ52
4B063QQ53
4B063QR08
4B063QR20
4B063QR55
4B063QR62
4B063QS26
4B063QX02
(57)【要約】
本発明は、表面上のcDNAのライブラリーを作成するため、および支持体の表面上で複数の細胞由来の核酸分子を分析するための方法およびシステムを対象とする。一部の実施形態では、本発明は、同じ平面の別々の領域上の複数の単一細胞のトランスクリプトームを分析するための方法を含む。本発明は、表面上のcDNAのライブラリーを作成するための方法およびシステムを対象とする。一部の実施形態では、本発明は、固体支持体の表面上で、複数の細胞由来の核酸分子、例えば、メッセンジャーRNAを分析するための方法およびシステムを対象とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
相補的デオキシ核酸(cDNA)分子またはその誘導体のセットを1つまたは複数の核酸分子から調製するための方法であって、
(a)固体支持体を提供するステップであって、前記固体支持体が、1つまたは複数の核酸分子捕捉用プローブおよび複数の表面プライマープローブを含む、ステップ、
(b)前記1つまたは複数の核酸分子捕捉用プローブを前記1つまたは複数の核酸分子と接触させて、1つまたは複数の捕捉された核酸分子を生じさせるステップ、
(c)cDNA分子を前記捕捉された核酸分子または誘導体から合成するステップであって、前記cDNA分子が、前記複数の表面プライマープローブの表面プライマープローブに結合される、ステップ、
(d)アダプターを前記cDNA分子またはその誘導体の3’領域に挿入するステップ、ならびに
(e)前記cDNA分子またはその誘導体を増幅して、cDNA分子またはその誘導体の前記セットを作成するステップであって、cDNA分子またはその誘導体の前記セットが、前記複数の表面プライマープローブの表面プライマープローブに結合される、ステップ
を含む、方法。
【請求項2】
前記アダプターが、cDNA分子またはその誘導体の前記セットのcDNA分子における配列決定反応の開始を可能にするように構成された配列を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
cDNA分子またはその誘導体の前記セットが、前記アダプターを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
(b)の後に、前記固体支持体を、前記1つまたは複数の核酸分子捕捉用プローブの少なくともサブセットを不活化するように構成された部分と接触させるステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記1つまたは複数の核酸分子捕捉用プローブの前記サブセットが、核酸分子を捕捉しなかった1つまたは複数の核酸分子捕捉用プローブを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記1つまたは複数の核酸分子捕捉用プローブの少なくとも前記サブセットを不活化するように構成された前記部分が、エキソヌクレアーゼを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記合成するステップが、前記cDNA分子またはその誘導体を含む1つまたは複数の第2鎖合成反応を行うステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
(d)の前に、前記cDNA分子またはその誘導体を増幅するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記増幅するステップが、(d)の前に、溶液中のプライマー配列を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
(d)の前に、前記cDNA分子またはその誘導体の断片化を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
(d)が、一本鎖ライゲーション、タグ付け断片化、または二本鎖ライゲーションを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記複数の表面プライマープローブの少なくともサブセットが、前記複数の表面プライマープローブの前記少なくとも前記サブセットにおける伸長反応をブロックする遮断剤を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
(e)の前に、前記遮断剤を、前記複数の表面プライマープローブの前記少なくとも前記サブセットをブロック解除する反応に供して、前記伸長反応を可能にするステップを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記1つまたは複数の遮断剤が、1つまたは複数の3’リン酸ヌクレオチドを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記1つまたは複数の遮断剤が、前記複数の表面プライマープローブの少なくとも前記サブセットに少なくとも部分的に相補的な配列を含む核酸分子、可逆的ターミネーターヌクレオチド、ポリメラーゼ、その任意の誘導体、またはその任意の組合せを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
(e)の後に、cDNA分子またはその誘導体の前記セットの少なくともサブセットを切断または線状化するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
(e)の後に、DNA分子またはその誘導体の前記セットの前記サブセットの3’末端をブロックする、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
DNA分子またはその誘導体の前記セットの前記サブセットの3’末端の前記ブロックするステップが、DNA分子またはその誘導体の前記セットの前記サブセットを、末端デオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼ(TdT)と接触させるステップを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
DNA分子またはその誘導体の前記セットの前記サブセットの3’末端の前記ブロックするステップが、DNA分子またはその誘導体の前記セットの前記サブセットを、DNA分子の前記セットの前記サブセットの3’末端に相補的な配列を含むオリゴヌクレオチドと接触させるステップを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
DNA分子またはその誘導体の前記セットの前記サブセットの3’末端の前記ブロックするステップが、DNA分子またはその誘導体の前記セットの前記サブセットを、カチオン性-中性ジブロックポリペプチドコポリマーと接触させるステップを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項21】
前記固体支持体上で、in situで前記cDNA分子またはその誘導体の前記少なくとも前記サブセットを配列決定するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項22】
cDNA分子またはその誘導体の前記セットの少なくともサブセットを前記固体支持体から溶出させるステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項23】
前記1つまたは複数の核酸分子が、DNAまたはリボ核酸(RNA)分子を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項24】
前記DNAが、断片化された一本鎖DNAである、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記RNA分子が、メッセンジャーRNA(mRNA)またはマイクロRNA(miRNA)を含む、請求項23に記載の方法。
【請求項26】
前記1つまたは複数の核酸分子に結合するように構成された前記配列が、ポリT配列、ランダマー、前記1つもしくは複数の核酸分子の少なくともサブセットに相補的な配列、またはその任意の組合せを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項27】
前記固体支持体が、ウェル、ビーズ、または流体チャネルである、請求項1に記載の方法。
【請求項28】
前記流体チャネルが、フローセルである、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記固体支持体が、ビーズではない、請求項1に記載の方法。
【請求項30】
前記1つまたは複数の核酸分子捕捉用プローブが、1つまたは複数のタグを含み、タグが、細胞特異的または空間の場所特異的識別子配列、および必要に応じて固有分子識別子(UMI)配列を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項31】
前記増幅するステップが、固体支持増幅を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項32】
前記固体支持増幅が、ブリッジ増幅である、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記1つまたは複数の核酸分子が、単一細胞または生体組織に由来する、請求項1に記載の方法。
【請求項34】
(a)~(e)のうちのいずれか1つ、またはその任意の組合せが、ゲルマトリックスにおいて起こり、前記ゲルマトリックスが、前記固体支持体に隣接している、請求項1に記載の方法。
【請求項35】
相補的デオキシ核酸(cDNA)分子またはその誘導体のセットを1つまたは複数の核酸分子から調製するための方法であって、
(a)固体支持体を提供するステップであって、前記固体支持体が、1つまたは複数の核酸分子捕捉用プローブを含む、ステップ、
(b)前記1つまたは複数の核酸分子捕捉用プローブを前記1つまたは複数の核酸分子と接触させて、1つまたは複数の捕捉された核酸分子を生じさせるステップ、
(c)cDNA分子を前記捕捉された核酸分子または誘導体から合成するステップであって、前記合成するステップが、逆転写を行うステップを含む、ステップ、
(d)前記cDNA分子またはその誘導体を最初に増幅して、増幅されたcDNA集団を作成するステップ、
(e)アダプターを前記増幅されたcDNA分子またはその誘導体の3’領域に挿入し、それによって、タグ付けされた増幅されたcDNA集団を作成するステップ、ならびに
(f)前記タグ付けされた増幅されたcDNA集団において固体支持増幅を行って、cDNA分子またはその誘導体の前記セットを作成するステップ
を含む、方法。
【請求項36】
前記固体支持体が、複数の表面プライマープローブを含む、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記cDNA分子または前記その誘導体、前記増幅されたcDNA集団、前記タグ付けされた増幅されたcDNA集団、cDNA分子またはその誘導体の前記セット、またはその任意の組合せが、前記複数の表面プライマープローブに結合される、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記アダプターが、cDNA分子またはその誘導体の前記セットのcDNA分子における配列決定反応の開始を可能にするように構成された配列を含む、請求項35に記載の方法。
【請求項39】
cDNA分子またはその誘導体の前記セットが、前記アダプターを含む、請求項35に記載の方法。
【請求項40】
(b)の後に、前記固体支持体を、前記1つまたは複数の核酸分子捕捉用プローブの少なくともサブセットを不活化するように構成された部分と接触させるステップを含む、請求項35に記載の方法。
【請求項41】
前記1つまたは複数の核酸分子捕捉用プローブの前記サブセットが、核酸分子を捕捉しなかった1つまたは複数の核酸分子捕捉用プローブを含む、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記1つまたは複数の核酸分子捕捉用プローブの少なくとも前記サブセットを不活化するように構成された前記部分が、エキソヌクレアーゼを含む、請求項40に記載の方法。
【請求項43】
前記合成するステップが、前記cDNA分子またはその誘導体を含む1つまたは複数の第2鎖合成反応を行うステップを含む、請求項35に記載の方法。
【請求項44】
前記1つまたは複数の第2鎖合成反応が、テンプレートスイッチ伸長を含む、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記1つまたは複数の第2鎖合成反応が、ランダムプライミングを含む、請求項43に記載の方法。
【請求項46】
(e)の前に、前記増幅されたcDNA分子の断片化を含む、請求項35に記載の方法。
【請求項47】
(e)が、一本鎖ライゲーション、タグ付け断片化、または二本鎖ライゲーションを含む、請求項35に記載の方法。
【請求項48】
前記複数の表面プライマープローブの少なくともサブセットが、前記複数の表面プライマープローブの前記少なくとも前記サブセットにおける伸長反応をブロックする遮断剤を含む、請求項36に記載の方法。
【請求項49】
(d)の前に、前記遮断剤を、前記複数の表面プライマープローブの前記少なくとも前記サブセットをブロック解除する反応に供して、前記伸長反応を可能にするステップを含む、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
前記1つまたは複数の遮断剤が、1つまたは複数の3’リン酸ヌクレオチドを含む、請求項48に記載の方法。
【請求項51】
前記1つまたは複数の遮断剤が、前記複数の表面プライマープローブの少なくとも前記サブセットに相補的な配列を含む核酸分子を含む、請求項48に記載の方法。
【請求項52】
(f)の後に、cDNA分子またはその誘導体の前記セットの少なくともサブセットを切断または線状化するステップを含む、請求項35に記載の方法。
【請求項53】
(f)の後に、DNA分子またはその誘導体の前記セットの前記サブセットの3’末端をブロックする、請求項35に記載の方法。
【請求項54】
DNA分子またはその誘導体の前記セットの前記サブセットの3’末端の前記ブロックするステップが、DNA分子またはその誘導体の前記セットの前記サブセットを、末端デオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼ(TdT)と接触させるステップを含む、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
DNA分子またはその誘導体の前記セットの前記サブセットの3’末端の前記ブロックするステップが、DNA分子またはその誘導体の前記セットの前記サブセットを、DNA分子の前記セットの前記サブセットの3’末端に相補的な配列を含むオリゴヌクレオチドと接触させるステップを含む、請求項53に記載の方法。
【請求項56】
DNA分子またはその誘導体の前記セットの前記サブセットの3’末端の前記ブロックするステップが、DNA分子またはその誘導体の前記セットの前記サブセットを、カチオン性-中性ジブロックポリペプチドコポリマーと接触させるステップを含む、請求項53に記載の方法。
【請求項57】
前記固体支持体上で、in situで前記cDNA分子またはその誘導体の前記少なくとも前記サブセットを配列決定するステップを含む、請求項35に記載の方法。
【請求項58】
cDNA分子またはその誘導体の前記セットの少なくともサブセットを前記固体支持体から溶出させるステップを含む、請求項35に記載の方法。
【請求項59】
前記1つまたは複数の核酸分子が、DNAまたはリボ核酸(RNA)分子を含む、請求項35に記載の方法。
【請求項60】
前記DNAが、断片化された一本鎖DNAである、請求項59に記載の方法。
【請求項61】
前記RNA分子が、メッセンジャーRNA(mRNA)またはマイクロRNA(miRNA)を含む、請求項59に記載の方法。
【請求項62】
前記1つまたは複数の核酸分子捕捉用プローブが、前記1つまたは複数の核酸分子に結合するように構成された配列を含む、請求項35に記載の方法。
【請求項63】
前記1つまたは複数の核酸分子に結合するように構成された前記配列が、ポリT配列、ランダマー、前記1つもしくは複数の核酸分子の少なくともサブセットに相補的な配列、またはその任意の組合せを含む、請求項62に記載の方法。
【請求項64】
前記固体支持体が、ウェル、ビーズ、または流体チャネルである、請求項35に記載の方法。
【請求項65】
前記流体チャネルが、フローセルである、請求項64に記載の方法。
【請求項66】
前記固体支持体が、ビーズではない、請求項35に記載の方法。
【請求項67】
前記1つまたは複数の核酸分子捕捉用プローブが、1つまたは複数のタグを含み、タグが、細胞特異的または空間の場所特異的識別子配列、および必要に応じて固有分子識別子(UMI)配列を含む、請求項35に記載の方法。
【請求項68】
前記最初に増幅するステップが、固体支持増幅を含む、請求項35に記載の方法。
【請求項69】
前記最初に増幅するステップが、溶液中のプライマー配列を含む、請求項35に記載の方法。
【請求項70】
前記固体支持増幅が、ブリッジ増幅である、請求項68に記載の方法。
【請求項71】
前記1つまたは複数の核酸分子が、単一細胞または生体組織に由来する、請求項35に記載の方法。
【請求項72】
(a)~(f)のうちのいずれか1つ、またはその任意の組合せが、ゲルマトリックスにおいて起こり、前記ゲルマトリックスが、前記固体支持体に隣接している、請求項35に記載の方法。
【請求項73】
相補的デオキシ核酸(cDNA)分子またはその誘導体のセットを1つまたは複数の核酸分子から調製するための方法であって、
(a)固体支持体を提供するステップであって、前記固体支持体が、1つまたは複数の核酸分子捕捉用プローブおよび複数の表面プライマープローブを含み、前記複数の表面プライマープローブの少なくともサブセットが、テンプレートスイッチ部分を含む、ステップ、
(b)前記1つまたは複数の核酸分子捕捉用プローブを前記1つまたは複数の核酸分子と接触させて、1つまたは複数の捕捉された核酸分子を生じさせるステップ、
(c)cDNA分子を前記捕捉された核酸分子または誘導体から合成するステップであって、前記合成するステップが、逆転写を行うステップを含む、ステップ、
(d)アダプターを前記cDNA分子またはその誘導体の3’末端に挿入するステップ、ならびに
(e)前記cDNA分子またはその誘導体を増幅して、cDNA分子またはその誘導体の前記セットを作成するステップ
を含む、方法。
【請求項74】
前記合成するステップが、前記cDNA分子またはその誘導体を含む1つまたは複数の第2鎖合成反応を行うステップを含む、請求項73に記載の方法。
【請求項75】
前記1つまたは複数の第2鎖合成反応が、前記テンプレートスイッチ部分を含む前記複数の表面プライマープローブの前記サブセットによって媒介される、請求項74に記載の方法。
【請求項76】
前記1つまたは複数の第2鎖合成反応が、テンプレートスイッチ伸長を含む、請求項73に記載の方法。
【請求項77】
前記cDNA分子または前記その誘導体、cDNA分子またはその誘導体の前記セット、あるいはその両方が、前記複数の表面プライマープローブに結合される、請求項73に記載の方法。
【請求項78】
前記アダプターが、cDNA分子またはその誘導体の前記セットのcDNA分子における配列決定反応の開始を可能にするように構成された配列を含む、請求項73に記載の方法。
【請求項79】
cDNA分子またはその誘導体の前記セットが、前記アダプターを含む、請求項73に記載の方法。
【請求項80】
(b)の後に、前記固体支持体を、前記1つまたは複数の核酸分子捕捉用プローブの少なくともサブセットを不活化するように構成された部分と接触させるステップを含む、請求項73に記載の方法。
【請求項81】
前記1つまたは複数の核酸分子捕捉用プローブの前記サブセットが、核酸分子を捕捉しなかった1つまたは複数の核酸分子捕捉用プローブを含む、請求項80に記載の方法。
【請求項82】
前記1つまたは複数の核酸分子捕捉用プローブの少なくとも前記サブセットを不活化するように構成された前記部分が、エキソヌクレアーゼを含む、請求項80に記載の方法。
【請求項83】
(d)の前に、前記cDNA分子またはその誘導体を増幅するステップを含む、先行する請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項84】
前記増幅するステップが、(d)の前に、溶液中のプライマー配列を含む、請求項73に記載の方法。
【請求項85】
(d)の前に、前記cDNA分子の断片化を含む、請求項73に記載の方法。
【請求項86】
(d)が、一本鎖ライゲーション、タグ付け断片化、またはライゲーションを含む、請求項73に記載の方法。
【請求項87】
前記複数の表面プライマープローブの少なくともサブセットが、前記複数の表面プライマープローブの前記少なくとも前記サブセットにおける伸長反応をブロックする遮断剤を含む、請求項73に記載の方法。
【請求項88】
(e)の前に、前記遮断剤を、前記複数の表面プライマープローブの前記少なくとも前記サブセットをブロック解除する反応に供して、前記伸長反応を可能にするステップを含む、請求項87に記載の方法。
【請求項89】
前記1つまたは複数の遮断剤が、1つまたは複数の3’リン酸ヌクレオチドを含む、請求項87に記載の方法。
【請求項90】
前記1つまたは複数の遮断剤が、前記複数の表面プライマープローブの少なくとも前記サブセットに相補的な配列を含む核酸分子を含む、請求項87に記載の方法。
【請求項91】
(e)の後に、cDNA分子またはその誘導体の前記セットの少なくともサブセットを切断または線状化するステップを含む、請求項73に記載の方法。
【請求項92】
(e)の後に、DNA分子またはその誘導体の前記セットの前記サブセットの3’末端をブロックする、請求項73に記載の方法。
【請求項93】
DNA分子またはその誘導体の前記セットの前記サブセットの3’末端の前記ブロックするステップが、DNA分子またはその誘導体の前記セットの前記サブセットを、末端デオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼ(TdT)と接触させるステップを含む、請求項92に記載の方法。
【請求項94】
DNA分子またはその誘導体の前記セットの前記サブセットの3’末端の前記ブロックするステップが、DNA分子またはその誘導体の前記セットの前記サブセットを、DNA分子の前記セットの前記サブセットの3’末端に相補的な配列を含むオリゴヌクレオチドと接触させるステップを含む、請求項92に記載の方法。
【請求項95】
DNA分子またはその誘導体の前記セットの前記サブセットの3’末端の前記ブロックするステップが、DNA分子またはその誘導体の前記セットの前記サブセットを、カチオン性-中性ジブロックポリペプチドコポリマーと接触させるステップを含む、請求項92に記載の方法。
【請求項96】
前記固体支持体上で、in situで前記cDNA分子またはその誘導体の前記少なくとも前記サブセットを配列決定するステップを含む、請求項73に記載の方法。
【請求項97】
cDNA分子またはその誘導体の前記セットの少なくともサブセットを前記固体支持体から溶出させるステップを含む、請求項73に記載の方法。
【請求項98】
前記1つまたは複数の核酸分子が、DNAまたはリボ核酸(RNA)分子を含む、請求項73に記載の方法。
【請求項99】
前記DNAが、断片化された一本鎖DNAである、請求項98に記載の方法。
【請求項100】
前記RNA分子が、メッセンジャーRNA(mRNA)またはマイクロRNA(miRNA)を含む、請求項98に記載の方法。
【請求項101】
前記1つまたは複数の核酸分子捕捉用プローブが、前記1つまたは複数の核酸分子に結合するように構成された配列を含む、請求項73に記載の方法。
【請求項102】
前記1つまたは複数の核酸分子に結合するように構成された前記配列が、ポリT配列、ランダマー、前記1つもしくは複数の核酸分子の少なくともサブセットに相補的な配列、またはその任意の組合せを含む、請求項101に記載の方法。
【請求項103】
前記固体支持体が、流体チャネルである、請求項73に記載の方法。
【請求項104】
前記流体チャネルが、フローセルである、請求項103に記載の方法。
【請求項105】
前記1つまたは複数の核酸分子捕捉用プローブが、1つまたは複数のタグを含み、タグが、細胞特異的または空間の場所特異的識別子配列、および必要に応じて固有分子識別子(UMI)配列を含む、請求項73に記載の方法。
【請求項106】
前記増幅するステップが、固体支持増幅を含む、請求項73に記載の方法。
【請求項107】
前記固体支持増幅が、ブリッジ増幅である、請求項106に記載の方法。
【請求項108】
前記1つまたは複数の核酸分子が、単一細胞または生体組織に由来する、請求項73に記載の方法。
【請求項109】
(a)~(f)のうちのいずれか1つ、またはその任意の組合せが、ゲルマトリックスにおいて起こり、前記ゲルマトリックスが、前記固体支持体に隣接している、請求項73に記載の方法。
【請求項110】
1つまたは複数の核酸分子捕捉用プローブおよび複数の表面プライマープローブを含む固体支持体であって、前記複数の表面プライマープローブの少なくともサブセットが、テンプレートスイッチ部分を含む、固体支持体。
【請求項111】
前記1つまたは複数の核酸分子捕捉用プローブが、1つまたは複数の核酸分子に結合するように構成された配列を含む、請求項110に記載の固体支持体。
【請求項112】
前記1つまたは複数の核酸分子に結合するように構成された前記配列が、ポリT配列、ランダマー、前記1つもしくは複数の核酸分子の少なくともサブセットに相補的な配列、またはその任意の組合せを含む、請求項111に記載の固体支持体。
【請求項113】
前記固体支持体が、ウェル、ビーズ、または流体チャネルである、請求項110に記載の固体支持体。
【請求項114】
前記流体チャネルが、フローセルである、請求項110に記載の固体支持体。
【請求項115】
前記1つまたは複数の核酸分子捕捉用プローブが、1つまたは複数のタグを含み、タグが、細胞特異的または空間の場所特異的識別子配列、および必要に応じて固有分子識別子(UMI)配列を含む、請求項110に記載の固体支持体。
【請求項116】
前記1つまたは複数の核酸分子が、DNAまたはリボ核酸(RNA)分子を含む、請求項110に記載の固体支持体。
【請求項117】
前記DNAが、断片化された一本鎖DNAである、請求項116に記載の固体支持体。
【請求項118】
前記RNA分子が、メッセンジャーRNA(mRNA)またはマイクロRNA(miRNA)を含む、請求項117に記載の固体支持体。
【請求項119】
前記固体支持体が、ゲルマトリックスを含み、前記ゲルマトリックスが、前記固体支持体に隣接している、請求項110に記載の固体支持体。
【請求項120】
相補的デオキシ核酸(cDNA)分子またはその誘導体のセットを1つまたは複数の核酸分子から調製するための方法であって、
(a)固体支持体を提供するステップであって、前記固体支持体が、1つまたは複数の核酸分子捕捉用プローブおよび複数の表面プライマープローブを含む、ステップ、
(b)前記1つまたは複数の核酸分子捕捉用プローブを前記1つまたは複数の核酸分子と接触させて、1つまたは複数の捕捉された核酸分子を生じさせるステップ、
(c)cDNA分子を前記捕捉された核酸分子または誘導体から合成するステップであって、前記合成するステップが、逆転写を行うステップを含み、前記cDNA分子が、前記複数の表面プライマープローブの表面プライマープローブに結合される、ステップ、
(d)アダプターを前記cDNA分子またはその誘導体の3’末端に挿入するステップ、ならびに
(e)前記cDNA分子またはその誘導体を増幅して、cDNA分子またはその誘導体の前記セットを作成するステップであって、cDNA分子またはその誘導体の前記セットが、前記複数の表面プライマープローブの表面プライマープローブに結合される、ステップ
を含む、方法。
【請求項121】
前記アダプターが、cDNA分子またはその誘導体の前記セットのcDNA分子における配列決定反応の開始を可能にするように構成された配列を含む、請求項120に記載の方法。
【請求項122】
cDNA分子またはその誘導体の前記セットが、前記アダプターを含む、請求項121に記載の方法。
【請求項123】
(b)の後に、前記固体支持体を、前記1つまたは複数の核酸分子捕捉用プローブの少なくともサブセットを不活化するように構成された部分と接触させるステップを含む、請求項120に記載の方法。
【請求項124】
前記1つまたは複数の核酸分子捕捉用プローブの前記サブセットが、核酸分子を捕捉しなかった1つまたは複数の核酸分子捕捉用プローブを含む、請求項123に記載の方法。
【請求項125】
前記1つまたは複数の核酸分子捕捉用プローブの少なくとも前記サブセットを不活化するように構成された前記部分が、エキソヌクレアーゼを含む、請求項123に記載の方法。
【請求項126】
前記合成するステップが、前記cDNA分子またはその誘導体を含む1つまたは複数の第2鎖合成反応を行うステップを含む、請求項120に記載の方法。
【請求項127】
前記1つまたは複数の第2鎖合成反応が、テンプレートスイッチ伸長を含む、請求項126に記載の方法。
【請求項128】
前記1つまたは複数の第2鎖合成反応が、ランダムプライミングを含む、請求項126に記載の方法。
【請求項129】
(d)の前に、前記cDNA分子またはその誘導体を増幅するステップを含む、請求項120に記載の方法。
【請求項130】
前記増幅するステップが、(d)の前に、溶液中のプライマー配列を含む、請求項120に記載の方法。
【請求項131】
(d)の前に、前記cDNA分子の断片化を含む、請求項120に記載の方法。
【請求項132】
(d)が、一本鎖ライゲーション、タグ付け断片化、またはライゲーションを含む、請求項120に記載の方法。
【請求項133】
前記複数の表面プライマープローブの少なくともサブセットが、前記複数の表面プライマープローブの前記少なくとも前記サブセットにおける伸長反応をブロックする遮断剤を含む、請求項120に記載の方法。
【請求項134】
(e)の前に、前記遮断剤を、前記複数の表面プライマープローブの前記少なくとも前記サブセットをブロック解除する反応に供して、前記伸長反応を可能にするステップを含む、請求項133に記載の方法。
【請求項135】
前記1つまたは複数の遮断剤が、1つまたは複数の3’リン酸ヌクレオチドを含む、請求項133に記載の方法。
【請求項136】
前記1つまたは複数の遮断剤が、前記複数の表面プライマープローブの少なくとも前記サブセットに相補的な配列を含む核酸分子を含む、請求項133に記載の方法。
【請求項137】
(e)の後に、cDNA分子またはその誘導体の前記セットの少なくともサブセットを切断または線状化するステップを含む、請求項120に記載の方法。
【請求項138】
(e)の後に、DNA分子またはその誘導体の前記セットの前記サブセットの3’末端をブロックする、請求項120に記載の方法。
【請求項139】
DNA分子またはその誘導体の前記セットの前記サブセットの3’末端の前記ブロックするステップが、DNA分子またはその誘導体の前記セットの前記サブセットを、末端デオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼ(TdT)と接触させるステップを含む、請求項138に記載の方法。
【請求項140】
DNA分子またはその誘導体の前記セットの前記サブセットの3’末端の前記ブロックするステップが、DNA分子またはその誘導体の前記セットの前記サブセットを、DNA分子の前記セットの前記サブセットの3’末端に相補的な配列を含むオリゴヌクレオチドと接触させるステップを含む、請求項138に記載の方法。
【請求項141】
DNA分子またはその誘導体の前記セットの前記サブセットの3’末端の前記ブロックするステップが、DNA分子またはその誘導体の前記セットの前記サブセットを、カチオン性-中性ジブロックポリペプチドコポリマーと接触させるステップを含む、請求項138に記載の方法。
【請求項142】
前記固体支持体上で、in situで前記cDNA分子またはその誘導体の前記少なくとも前記サブセットを配列決定するステップを含む、請求項120に記載の方法。
【請求項143】
cDNA分子またはその誘導体の前記セットの少なくともサブセットを前記固体支持体から溶出させるステップを含む、請求項120に記載の方法。
【請求項144】
前記1つまたは複数の核酸分子が、DNAまたはリボ核酸(RNA)分子を含む、請求項120に記載の方法。
【請求項145】
前記DNAが、断片化された一本鎖DNAである、請求項144に記載の方法。
【請求項146】
前記RNA分子が、メッセンジャーRNA(mRNA)またはマイクロRNA(miRNA)を含む、請求項144に記載の方法。
【請求項147】
前記1つまたは複数の核酸分子捕捉用プローブが、前記1つまたは複数の核酸分子に結合するように構成された配列を含む、請求項120に記載の方法。
【請求項148】
前記1つまたは複数の核酸分子に結合するように構成された前記配列が、ポリT配列、ランダマー、前記1つもしくは複数の核酸分子の少なくともサブセットに相補的な配列、またはその任意の組合せを含む、請求項147に記載の方法。
【請求項149】
前記固体支持体が、ウェル、ビーズ、ゲルマトリックス、または流体チャネルである、請求項120に記載の方法。
【請求項150】
前記流体チャネルが、フローセルである、請求項149に記載の方法。
【請求項151】
前記固体支持体が、ビーズではない、請求項120に記載の方法。
【請求項152】
前記1つまたは複数の核酸分子捕捉用プローブが、1つまたは複数のタグを含み、タグが、細胞特異的または空間の場所特異的識別子配列、および必要に応じて固有分子識別子(UMI)配列を含む、請求項120に記載の方法。
【請求項153】
前記増幅するステップが、固体支持増幅を含む、請求項120に記載の方法。
【請求項154】
前記固体支持増幅が、ブリッジ増幅である、請求項153に記載の方法。
【請求項155】
前記1つまたは複数の核酸分子が、単一細胞または生体組織に由来する、請求項120に記載の方法。
【請求項156】
(a)~(e)のうちのいずれか1つ、またはその任意の組合せが、ゲルマトリックスにおいて起こり、前記ゲルマトリックスが、前記固体支持体に隣接している、請求項120に記載の方法。
【請求項157】
相補的デオキシ核酸(cDNA)分子またはその誘導体のセットを複数の細胞由来の1つまたは複数の核酸分子から調製するための方法であって、
(a)1つまたは複数の核酸分子捕捉用プローブおよびそれに結合した複数の表面プライマープローブを含み、その上に配置された複数の細胞を含む表面を含む固体支持体を提供するステップ、
(b)前記表面の別々の領域を異なる細胞の前記1つまたは複数の核酸分子と接触させて、前記別々の領域のそれぞれにおいて1つまたは複数の捕捉された核酸分子を生じさせるステップであって、異なる別々の領域における核酸分子が、異なる細胞由来である、ステップ、ならびに
(c)cDNA分子を前記捕捉された核酸分子またはその誘導体から合成するステップであって、前記cDNA分子のそれぞれが、前記固体支持体の前記表面に結合され、異なる別々のエリアに結合されたcDNAが、異なる細胞由来である、ステップ
を含む、方法。
【請求項158】
前記接触させるステップが、前記複数の細胞の前記異なる細胞を溶解試薬で処理して、前記1つまたは複数の核酸分子を前記複数の細胞の前記異なる細胞から放出させるステップを含む、請求項157に記載の方法。
【請求項159】
前記cDNA分子またはその誘導体を増幅して、cDNA分子またはその誘導体のアンプリコンの複数のセットを作成するステップをさらに含む、請求項157に記載の方法。
【請求項160】
前記複数の細胞のトランスクリプトームが、前記アンプリコンの前記cDNA分子を配列決定することによって決定される、請求項159に記載の方法。
【請求項161】
前記表面に結合した前記cDNA分子が、前記表面上の位置をコードする空間バーコードを含み、前記cDNA分子を、前記配列決定することの前に、前記表面から溶出させるステップをさらに含む、請求項160に記載の方法。
【請求項162】
前記1つまたは複数の核酸分子を前記接触させるステップが、前記1つまたは複数の核酸分子の拡散性を低減する拡散性調整剤の存在下で行われる、請求項157に記載の方法。
【請求項163】
前記表面が、その上に配置された前記細胞を封入するゲル層を含むか、または前記表面上に配置された前記細胞のそれぞれが、別々のゲル体によって封入されている、請求項162に記載の方法。
【請求項164】
前記表面上に配置された前記細胞のそれぞれが、ヒドロゲルチャンバーによって囲まれている、請求項162に記載の方法。
【請求項165】
前記ヒドロゲルチャンバーが、内部エリアを含み、前記接触させるステップが、捕捉された1つまたは複数の核酸分子が放出され、前記内部エリア内で捕捉用プローブによって再捕捉されるように、前記放出された1つまたは複数の核酸分子を所定温度でインキュベートするステップをさらに含む、請求項164に記載の方法。
【請求項166】
前記ヒドロゲルチャンバーの前記内部エリアが、前記結合されたcDNA分子が少なくとも0.25μmの予想最近隣距離を有するように、選択される、請求項165に記載の方法。
【請求項167】
前記ヒドロゲルチャンバーの前記内部エリアが、前記結合されたcDNA分子が少なくとも1μmの予想最近隣距離を有するように、選択される、請求項165に記載の方法。
【請求項168】
前記ヒドロゲルチャンバーの前記内部エリアが、前記結合されたcDNA分子が少なくとも2μmの予想最近隣距離を有するように、選択される、請求項165に記載の方法。
【請求項169】
前記結合されたcDNA分子が、0.5μmおよび5μmの範囲の予想最近隣距離を有する、請求項165に記載の方法。
【請求項170】
表面上に配置されたヒドロゲルチャンバーであって、前記ヒドロゲルチャンバーが、単一細胞由来の核酸分子の均一な分布を含む内部エリアを含む、ヒドロゲルチャンバー。
【請求項171】
前記核酸分子が、mRNA分子である、請求項170に記載のヒドロゲルチャンバー。
【請求項172】
前記均一な分布が、1μmまたはそれよりも大きい前記核酸分子間の予想最近隣距離を有するポアソン分布である、請求項170に記載のヒドロゲルチャンバー。
【請求項173】
前記核酸分子の前記均一な分布が、実質的にポアソン分布である、請求項170に記載のヒドロゲルチャンバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
相互参照
本出願は、2021年6月11日に出願された米国仮出願第63/209,544号の利益を主張し、これは、全体的に、参照により本明細書に組み込まれる。
参照による組み込み
【0002】
本明細書に挙げられるすべての刊行物、特許、および特許出願は、それぞれ個々の刊行物、特許、または特許出願が、参照により本明細書に組み込まれることが具体的かつ個々に示されたのと同じ程度に、参照により本明細書に組み込まれる。参照により組み込まれる刊行物および特許または特許出願が、本明細書に含まれる開示と矛盾する程度まで、本明細書は、任意のそのような矛盾する内容に取って代わる、および/またはそれに優先されることが意図される。
【背景技術】
【0003】
背景
生体試料の分析は、現代医学の土台の1つである。特定のデオキシ核酸(DNA)分子の分析を前進させる最近の開発があったが、特定の細胞または組織試料から作成された核酸分子(例えば、DNA、リボ核酸(ribonucleic nucleic acid)(RNA))の分析は、業界のための克服するハードルのままである。例えば、配列に基づく細胞における遺伝子発現プロファイル(例えば、トランスクリプトーム)および試料中の配列決定される核酸の存在量の分析は、依然として非効率的で、労働集約的である。現在利用可能な配列決定技法には欠点がある。例えば、RNA試料の配列決定は、配列決定の前に、最初に、RNAを二本鎖cDNAフォーマットに変換する試料調製法を必要とする。そのため、配列決定のためのRNAを含む生体試料の調製は、多くの場合、労働集約的である。さらにまた、現在の配列決定技法は、二本鎖cDNAに変換された後に、元の一本鎖RNA分子の鎖特異的情報の保存において最善ではない。鎖特異的情報を保存することは、遺伝子発現レベルを決定するためのアノテーションのために重要であり得る。
【0004】
細胞分析の分野は、マルチプレックス単一細胞分析法、特に、細胞の遺伝子発現の鋭敏で簡便な測定を提供する、RNA-seq法の利用可能性によって前進するであろう。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
概要
本発明は、表面上のcDNAのライブラリーを作成するための方法およびシステムを対象とする。一部の実施形態では、本発明は、固体支持体の表面上で、複数の細胞由来の核酸分子、例えば、メッセンジャーRNAを分析するための方法およびシステムを対象とする。一部の実施形態では、本発明は、cDNAを、固体支持体の表面上に配置された複数の細胞由来の核酸分子から合成するための方法を対象とする。一部の実施形態では、本発明の方法は、固体支持体の表面上に配置された細胞のトランスクリプトームを決定することを対象とする。一部の実施形態では、そのような方法は、(a)固体支持体を提供するステップであって、固体支持体が、表面上に、1つまたは複数の核酸分子捕捉用プローブおよび複数の表面プライマープローブを含む、ステップ、(b)表面の別々の領域を異なる細胞の1つまたは複数の核酸分子と接触させて、別々の領域のそれぞれにおいて1つまたは複数の捕捉された核酸分子を生じさせるステップであって、異なる別々の領域における捕捉された核酸分子が、異なる細胞由来である、ステップ、ならびに(c)cDNA分子を捕捉された核酸分子またはその誘導体から合成するステップであって、cDNA分子のそれぞれが、固体支持体の表面に結合され、異なる別々の領域に結合されたcDNA分子が、異なる細胞由来である、ステップを含み得る。一部の実施形態では、表面に結合したcDNA分子は、表面に共有結合したcDNA分子を含む。一部の実施形態では、そのような方法は、cDNA分子またはその誘導体を増幅して、cDNA分子またはその誘導体のアンプリコンの複数のセットを作成するステップをさらに含み、アンプリコンのそれぞれのセットは、異なる細胞由来である。一部の実施形態では、複数の細胞のトランスクリプトームは、アンプリコンのcDNA分子を配列決定することによって決定される。一部の実施形態では、固体支持体の表面の別々の領域は、複数の細胞のそれぞれを囲むヒドロゲルチャンバーによって決定される。一部の実施形態では、接触させるステップは、細胞を、1つまたは複数の核酸分子を放出する溶解剤で処理するステップを含む。一部の実施形態では、1つまたは複数の核酸分子は、リボ核酸(RNA)である。一部の実施形態では、表面は、細胞から離れる1つまたは複数の核酸の拡散を低減またはブロックする拡散性調整剤(diffusivity modifier)を含む。一部の実施形態では、拡散性調整剤は、ゲルバリアを含む。一部の実施形態では、拡散性を調整するゲルバリアは、ヒドロゲルチャンバーを含む。一部の実施形態では、固体支持体の表面は、その上に配置された細胞を含む。一部の実施形態では、固体支持体の表面は、拡散性調整剤を含む。上記の実施形態の変形形態では、固体支持体の表面は、平面である。一部の実施形態では、本発明のシステムおよび方法は、平面上の標識された細胞および/または分子から光学シグナルを収集するための光学システムを用いる。
【0006】
本明細書に提供される態様は、相補的デオキシ核酸(cDNA)分子またはその誘導体のセットを1つまたは複数の核酸分子から調製するための方法であって、固体支持体を提供するステップであって、固体支持体が、1つまたは複数の核酸分子捕捉用プローブおよび複数の表面プライマープローブを含む、ステップ;固体支持体を1つまたは複数の核酸分子と接触させて、1つまたは複数の捕捉された核酸分子を生じさせるステップ;cDNA分子を捕捉された核酸分子または誘導体から合成するステップであって、cDNA分子が、固体支持体に結合される、ステップ;アダプターをcDNA分子またはその誘導体の3’領域に挿入するステップ;ならびにcDNA分子またはその誘導体を増幅して、cDNA分子またはその誘導体のセットを作成するステップであって、cDNA分子またはその誘導体のセットが、固体支持体に結合される、ステップを含む、方法である。一部の実施形態では、合成するステップは、逆転写および1つまたは複数の第2鎖合成反応を行うステップを含む。一部の実施形態では、cDNA分子またはその誘導体のセットは、複数の表面プライマープローブに結合される。一部の実施形態では、アダプターは、cDNA分子またはその誘導体のセットのcDNA分子における配列決定反応の開始を可能にするように構成された配列を含む。一部の実施形態では、cDNA分子またはその誘導体のセットは、アダプターを含む。一部の実施形態では、方法は、固体支持体を1つまたは複数の核酸分子と接触させるステップの後に、固体支持体を、1つまたは複数の核酸分子捕捉用プローブの少なくともサブセットを不活化するように構成された部分と接触させるステップを含む。一部の実施形態では、1つまたは複数の核酸分子捕捉用プローブのサブセットは、核酸分子を捕捉しなかった1つまたは複数の核酸分子捕捉用プローブを含む。一部の実施形態では、1つまたは複数の核酸分子捕捉用プローブの少なくともサブセットを不活化するように構成された部分は、エキソヌクレアーゼを含む。一部の実施形態では、1つまたは複数の第2鎖合成反応は、テンプレートスイッチ伸長、ランダムプライミング、またはその両方を含む。一部の実施形態では、アダプターをcDNA分子の3’領域に挿入するステップの前に、方法は、cDNA分子またはその誘導体を増幅するステップを含む。一部の実施形態では、アダプターをcDNA分子の3’領域に挿入するステップの前に、方法は、溶液中のプライマー配列を含む。一部の実施形態では、cDNA分子は、溶液中のプライマー配列を使用して増幅される。一部の実施形態では、アダプターをcDNA分子の3’領域に挿入するステップの前に、方法は、cDNA分子またはその誘導体の断片化を含む。一部の実施形態では、アダプターをcDNA分子の3’領域に挿入するステップは、一本鎖ライゲーションを含む。一部の実施形態では、アダプターをcDNA分子の3’領域に挿入するステップは、タグ付け断片化(tagmentation)を含む。一部の実施形態では、アダプターをcDNA分子の3’領域に挿入するステップは、二本鎖ライゲーションを含む。一部の実施形態では、複数の表面プライマープローブの少なくともサブセットは、複数の表面プライマープローブの少なくともサブセットにおける伸長反応をブロックする遮断剤を含む。一部の実施形態では、cDNA分子を増幅するステップの前に、複数の表面プライマープローブは、遮断剤を、複数の表面プライマープローブの少なくともサブセットをブロック解除する(unblock)反応に供して、伸長反応を可能にする。一部の実施形態では、1つまたは複数の遮断剤は、1つまたは複数の3’リン酸ヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、1つまたは複数の遮断剤は、複数の表面プライマープローブの少なくともサブセットに相補的な配列を含む核酸分子を含む。一部の実施形態では、1つまたは複数の遮断剤は、複数の表面プライマープローブの少なくともサブセットに部分的に相補的な配列を含む核酸分子、可逆的ターミネーターヌクレオチド、およびポリメラーゼ、またはその任意の誘導体を含む。一部の実施形態では、方法は、cDNA分子またはその誘導体のセットの少なくともサブセットを切断または線状化するステップを含む。一部の実施形態では、方法は、DNA分子またはその誘導体のセットのサブセットの3’末端をブロックするステップを含む。一部の実施形態では、DNA分子またはその誘導体のセットのサブセットの3’末端のブロックするステップは、DNA分子またはその誘導体のセットのサブセットを、末端デオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼ(TdT)と接触させるステップを含む。一部の実施形態では、DNA分子またはその誘導体のセットのサブセットの3’末端のブロックするステップは、DNA分子またはその誘導体のセットのサブセットを、DNA分子のセットのサブセットの3’末端に相補的な配列を含むオリゴヌクレオチドと接触させるステップを含む。一部の実施形態では、DNA分子またはその誘導体のセットのサブセットの3’末端のブロックするステップは、DNA分子またはその誘導体のセットのサブセットを、カチオン性-中性ジブロックポリペプチドコポリマーと接触させるステップを含む。一部の実施形態では、方法は、固体支持体上で、in situでcDNA分子またはその誘導体のサブセットを配列決定するステップを含む。一部の実施形態では、方法は、cDNA分子またはその誘導体のセットの少なくともサブセットを固体支持体から溶出させるステップを含む。一部の実施形態では、1つまたは複数の核酸分子は、DNAまたはリボ核酸(RNA)分子を含む。一部の実施形態では、DNAは、断片化された一本鎖DNAである。一部の実施形態では、DNAは、一本鎖DNAである。一部の実施形態では、RNA分子は、メッセンジャーRNA(mRNA)またはマイクロRNA(miRNA)を含む。一部の実施形態では、RNA分子は、mRNAを含む。一部の実施形態では、1つまたは複数の核酸分子捕捉用プローブは、1つまたは複数の核酸分子に結合するように構成された配列を含む。一部の実施形態では、1つまたは複数の核酸分子に結合するように構成された配列は、ポリT配列、ランダマー、1つもしくは複数の核酸分子の少なくともサブセットに相補的な配列、またはその任意の組合せを含む。一部の実施形態では、固体支持体は、ウェル、ビーズ、ゲルマトリックス、または流体チャネルを含み得る。一部の実施形態では、1つまたは複数の核酸分子捕捉用プローブおよび複数の表面プライマープローブは、固体支持体の平面に結合する。一部の実施形態では、流体チャネルは、フローセルを含む。一部の実施形態では、1つまたは複数の核酸分子捕捉用プローブは、1つまたは複数のタグを含み、タグは、細胞特異的または空間の場所特異的識別子配列、および必要に応じて固有分子識別子(UMI)配列を含む。一部の実施形態では、増幅するステップは、固体支持増幅を含む。一部の実施形態では、固体支持増幅は、ブリッジ増幅である。一部の実施形態では、1つまたは複数の核酸分子は、単一細胞または生体組織に由来する。一部の実施形態では、方法は、ゲルマトリックスにおいて起こり、ゲルマトリックスは、固体支持体に隣接している。
【0007】
本明細書に提供される態様は、相補的デオキシ核酸(cDNA)分子またはその誘導体のセットを1つまたは複数の核酸分子から調製するための方法であって、固体支持体を提供するステップであって、固体支持体が、1つまたは複数の核酸分子捕捉用プローブを含む、ステップ;固体支持体を1つまたは複数の核酸分子と接触させて、1つまたは複数の捕捉された核酸分子を生じさせるステップ;cDNA分子を捕捉された核酸分子または誘導体から合成するステップ;cDNA分子またはその誘導体を最初に増幅して、増幅されたcDNA集団を作成するステップ;アダプターを増幅されたcDNA分子またはその誘導体の3’領域に挿入し、それによって、タグ付けされた増幅されたcDNA集団を作成するステップ;およびタグ付けされた増幅されたcDNA集団において固体支持増幅を行って、cDNA分子またはその誘導体のセットを作成するステップを含む、方法である。一部の実施形態では、合成するステップは、捕捉されたRNAテンプレートの逆転写を行うステップを含む。一部の実施形態では、固体支持体は、複数の表面プライマープローブを含む。一部の実施形態では、cDNA分子もしくはその誘導体、増幅されたcDNA集団、タグ付けされた増幅されたcDNA集団、cDNA分子もしくはその誘導体のセット、またはその任意の組合せは、複数の表面プライマープローブに結合される。一部の実施形態では、アダプターは、cDNA分子またはその誘導体のセットのcDNA分子における配列決定反応の開始を可能にするように構成された配列を含む。一部の実施形態では、cDNA分子またはその誘導体のセットは、アダプターを含む。一部の実施形態では、方法は、固体支持体を、1つまたは複数の核酸分子捕捉用プローブの少なくともサブセットを不活化するように構成された部分と接触させるステップを含む。一部の実施形態では、1つまたは複数の核酸分子捕捉用プローブのサブセットは、核酸分子を捕捉しなかった1つまたは複数の核酸分子捕捉用プローブを含む。一部の実施形態では、1つまたは複数の核酸分子捕捉用プローブの少なくともサブセットを不活化するように構成された部分は、エキソヌクレアーゼを含む。一部の実施形態では、合成するステップは、cDNA分子またはその誘導体を含む1つまたは複数の第2鎖合成反応を行うステップを含む。一部の実施形態では、1つまたは複数の第2鎖合成反応は、テンプレートスイッチ伸長を含む。一部の実施形態では、1つまたは複数の第2鎖合成反応は、ランダムプライミングを含む。一部の実施形態では、方法は、増幅されたcDNA分子の断片化を含む。一部の実施形態では、アダプターの前記挿入するステップは、一本鎖ライゲーションを含む。一部の実施形態では、アダプターの前記挿入するステップは、タグ付け断片化を含む。一部の実施形態では、アダプターの前記挿入するステップは、二本鎖ライゲーションを含む。一部の実施形態では、複数の表面プライマープローブの少なくともサブセットは、複数の表面プライマープローブの少なくともサブセットにおける伸長反応をブロックする遮断剤を含む。一部の実施形態では、方法は、遮断剤を、複数の表面プライマープローブ(surface primed probe)の少なくともサブセットをブロック解除する反応に供して、伸長反応を可能にするステップを含む。一部の実施形態では、1つまたは複数の遮断剤は、1つまたは複数の3’リン酸ヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、1つまたは複数の遮断剤は、複数の表面プライマープローブの少なくともサブセットに相補的な配列を含む核酸分子を含む。一部の実施形態では、1つまたは複数の遮断剤は、複数の表面プライマープローブの少なくともサブセットに部分的に相補的な配列を含む核酸分子、可逆的ターミネーターヌクレオチド、およびポリメラーゼ、またはその任意の誘導体を含む。一部の実施形態では、方法は、cDNA分子またはその誘導体のセットの少なくともサブセットを切断または線状化するステップを含む。一部の実施形態では、方法は、DNA分子またはその誘導体のセットのサブセットの3’末端をブロックするステップを含む。一部の実施形態では、DNA分子またはその誘導体のセットのサブセットの3’末端のブロックするステップは、DNA分子またはその誘導体のセットのサブセットを、末端デオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼ(TdT)と接触させるステップを含む。一部の実施形態では、DNA分子またはその誘導体のセットのサブセットの3’末端のブロックするステップは、DNA分子またはその誘導体のセットのサブセットを、DNA分子のセットのサブセットの3’末端に相補的な配列を含むオリゴヌクレオチドと接触させるステップを含む。一部の実施形態では、DNA分子またはその誘導体のセットのサブセットの3’末端のブロックするステップは、DNA分子またはその誘導体のセットのサブセットを、カチオン性-中性ジブロックポリペプチドコポリマーと接触させるステップを含む。一部の実施形態では、方法は、固体支持体上で、in situでcDNA分子またはその誘導体の少なくともサブセットを配列決定するステップを含む。一部の実施形態では、方法は、cDNA分子またはその誘導体のセットの少なくともサブセットを固体支持体から溶出させるステップを含む。一部の実施形態では、1つまたは複数の核酸分子は、DNAまたはリボ核酸(RNA)分子を含む。一部の実施形態では、DNAは、断片化された一本鎖DNAである。一部の実施形態では、DNAは、一本鎖DNAである。一部の実施形態では、RNA分子は、メッセンジャーRNA(mRNA)またはマイクロRNA(miRNA)を含む。一部の実施形態では、RNA分子は、mRNAを含む。一部の実施形態では、1つまたは複数の核酸分子捕捉用プローブは、1つまたは複数の核酸分子に結合するように構成された配列を含む。一部の実施形態では、1つまたは複数の核酸分子に結合するように構成された配列は、ポリT配列、ランダマー、1つもしくは複数の核酸分子の少なくともサブセットに相補的な配列、またはその任意の組合せを含む。一部の実施形態では、固体支持体は、ウェル、ビーズ、ゲルマトリックス、または流体チャネルを含む。一部の実施形態では、流体チャネルは、フローセルである。一部の実施形態では、固体支持体は、ビーズではない。一部の実施形態では、1つまたは複数の核酸分子捕捉用プローブは、1つまたは複数のタグを含み、タグは、細胞特異的または空間の場所特異的識別子配列、および必要に応じて固有分子識別子(UMI)配列を含む。一部の実施形態では、最初に増幅するステップは、固体支持増幅を含む。一部の実施形態では、最初に増幅するステップは、溶液中のプライマー配列を含む。一部の実施形態では、固体支持増幅は、ブリッジ増幅である。一部の実施形態では、1つまたは複数の核酸分子は、単一細胞または生体組織に由来する。一部の実施形態では、方法は、ゲルマトリックスにおいて起こり、ゲルマトリックスは、固体支持体に隣接している。
【0008】
本明細書に提供される態様は、相補的デオキシ核酸(cDNA)分子またはその誘導体のセットを1つまたは複数の核酸分子から調製するための方法であって、固体支持体を提供するステップであって、固体支持体が、1つまたは複数の核酸分子捕捉用プローブおよび複数の表面プライマープローブを含み、複数の表面プライマープローブの少なくともサブセットが、テンプレートスイッチ部分を含む、ステップ;固体支持体を1つまたは複数の核酸分子と接触させて、1つまたは複数の捕捉された核酸分子を生じさせるステップ;cDNA分子を捕捉された核酸分子または誘導体から合成するステップであって、合成するステップが、逆転写を行うステップを含む、ステップ;アダプターをcDNA分子またはその誘導体の3’末端に挿入するステップ;ならびにcDNA分子またはその誘導体を増幅して、cDNA分子またはその誘導体のセットを作成するステップを含む、方法である。一部の実施形態では、合成するステップは、cDNA分子またはその誘導体を含む1つまたは複数の第2鎖合成反応を行うステップを含む。一部の実施形態では、1つまたは複数の第2鎖合成反応は、テンプレートスイッチ部分を含む複数の表面プライマープローブのサブセットによって媒介される。一部の実施形態では、1つまたは複数の第2鎖合成反応は、テンプレートスイッチ伸長を含む。一部の実施形態では、cDNA分子またはその誘導体、cDNA分子またはその誘導体のセット、あるいはその両方は、複数の表面プライマープローブに結合される。一部の実施形態では、アダプターは、cDNA分子またはその誘導体のセットのcDNA分子における配列決定反応の開始を可能にするように構成された配列を含む。一部の実施形態では、cDNA分子またはその誘導体のセットは、アダプターを含む。一部の実施形態では、方法は、固体支持体を、1つまたは複数の核酸分子捕捉用プローブの少なくともサブセットを不活化するように構成された部分と接触させるステップを含む。一部の実施形態では、1つまたは複数の核酸分子捕捉用プローブのサブセットは、核酸分子を捕捉しなかった1つまたは複数の核酸分子捕捉用プローブを含む。一部の実施形態では、1つまたは複数の核酸分子捕捉用プローブの少なくともサブセットを不活化するように構成された部分は、エキソヌクレアーゼを含む。一部の実施形態では、方法は、cDNA分子またはその誘導体を増幅するステップを含む。一部の実施形態では、増幅するステップは、溶液中のプライマー配列を含む。一部の実施形態では、アダプターの前記挿入するステップは、cDNA分子の断片化を含む。一部の実施形態では、アダプターの前記挿入するステップは、一本鎖ライゲーションを含む。一部の実施形態では、アダプターの前記挿入するステップは、タグ付け断片化を含む。一部の実施形態では、アダプターの前記挿入するステップは、ライゲーションを含む。一部の実施形態では、複数の表面プライマープローブの少なくともサブセットは、複数の表面プライマープローブの少なくともサブセットにおける伸長反応をブロックする遮断剤を含む。一部の実施形態では、方法は、遮断剤を、複数の表面プライマープローブの少なくともサブセットをブロック解除する反応に供して、伸長反応を可能にするステップを含む。一部の実施形態では、1つまたは複数の遮断剤は、1つまたは複数の3’リン酸ヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、1つまたは複数の遮断剤は、複数の表面プライマープローブの少なくともサブセットに相補的な配列を含む核酸分子を含む。一部の実施形態では、1つまたは複数の遮断剤は、複数の表面プライマープローブの少なくともサブセットに部分的に相補的な配列を含む核酸分子、可逆的ターミネーターヌクレオチド、およびポリメラーゼ、またはその任意の誘導体を含む。一部の実施形態では、方法は、cDNA分子またはその誘導体のセットの少なくともサブセットを切断または線状化するステップを含む。一部の実施形態では、方法は、DNA分子またはその誘導体のセットのサブセットの3’末端をブロックするステップを含む。一部の実施形態では、DNA分子またはその誘導体のセットのサブセットの3’末端のブロックするステップは、DNA分子またはその誘導体のセットのサブセットを、末端デオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼ(TdT)と接触させるステップを含む。一部の実施形態では、DNA分子またはその誘導体のセットのサブセットの3’末端のブロックするステップは、DNA分子またはその誘導体のセットのサブセットを、DNA分子のセットのサブセットの3’末端に相補的な配列を含むオリゴヌクレオチドと接触させるステップを含む。一部の実施形態では、DNA分子またはその誘導体のセットのサブセットの3’末端のブロックするステップは、DNA分子またはその誘導体のセットのサブセットを、カチオン性-中性ジブロックポリペプチドコポリマーと接触させるステップを含む。一部の実施形態では、方法は、固体支持体上で、in situでcDNA分子またはその誘導体の少なくともサブセットを配列決定するステップを含む。一部の実施形態では、方法は、cDNA分子またはその誘導体のセットの少なくともサブセットを固体支持体から溶出させるステップを含む。一部の実施形態では、1つまたは複数の核酸分子は、DNAまたはリボ核酸(RNA)分子を含む。一部の実施形態では、DNAは、断片化された一本鎖DNAである。一部の実施形態では、DNAは、一本鎖DNAである。一部の実施形態では、RNA分子は、メッセンジャーRNA(mRNA)またはマイクロRNA(miRNA)を含む。一部の実施形態では、RNA分子は、mRNAを含む。一部の実施形態では、1つまたは複数の核酸分子捕捉用プローブは、1つまたは複数の核酸分子に結合するように構成された配列を含む。一部の実施形態では、1つまたは複数の核酸分子に結合するように構成された配列は、ポリT配列、ランダマー、1つもしくは複数の核酸分子の少なくともサブセットに相補的な配列、またはその任意の組合せを含む。一部の実施形態では、固体支持体は、ウェル、ビーズ、ゲルマトリックス、または流体チャネルを含む。一部の実施形態では、流体チャネルは、フローセルである。一部の実施形態では、1つまたは複数の核酸分子捕捉用プローブは、1つまたは複数のタグを含み、タグは、細胞特異的または空間の場所特異的識別子配列、および必要に応じて固有分子識別子(UMI)配列を含む。一部の実施形態では、増幅するステップは、固体支持増幅を含む。一部の実施形態では、固体支持増幅は、ブリッジ増幅である。一部の実施形態では、1つまたは複数の核酸分子は、単一細胞または生体組織に由来する。一部の実施形態では、方法は、ゲルマトリックス中でまたはそれに隣接して起こり、ゲルマトリックスは、固体支持体に隣接している。
【0009】
本明細書に提供される態様は、1つまたは複数の核酸分子捕捉用プローブおよび複数の表面プライマープローブを含む固体支持体であって、複数の表面プライマープローブの少なくともサブセットが、テンプレートスイッチ部分を含む、固体支持体である。一部の実施形態では、1つまたは複数の核酸分子捕捉用プローブは、1つまたは複数の核酸分子に結合するように構成された配列を含む。一部の実施形態では、1つまたは複数の核酸分子に結合するように構成された配列は、ポリT配列、ランダマー、1つもしくは複数の核酸分子の少なくともサブセットに相補的な配列、またはその任意の組合せを含む。一部の実施形態では、固体支持体は、ウェル、ビーズ、ゲルマトリックス、または流体チャネルを含む。一部の実施形態では、流体チャネルは、フローセルである。一部の実施形態では、1つまたは複数の核酸分子捕捉用プローブは、1つまたは複数のタグを含み、タグは、細胞特異的または空間の場所特異的識別子配列、および必要に応じて固有分子識別子(UMI)配列を含む。一部の実施形態では、1つまたは複数の核酸分子は、DNAまたはリボ核酸(RNA)分子を含む。一部の実施形態では、DNAは、断片化される。一部の実施形態では、DNAは、一本鎖DNAである。一部の実施形態では、RNA分子は、メッセンジャーRNA(mRNA)またはマイクロRNA(miRNA)を含む。一部の実施形態では、RNA分子は、mRNAを含む。一部の実施形態では、固体支持体は、ゲルマトリックスを含み、ゲルマトリックスは、固体支持体に隣接している。
【0010】
本明細書に提供される態様は、相補的デオキシ核酸(cDNA)分子またはその誘導体のセットを1つまたは複数の核酸分子から調製するための方法であって、固体支持体を提供するステップであって、固体支持体が、1つまたは複数の核酸分子捕捉用プローブおよび複数の表面プライマープローブを含む、ステップ;固体支持体を1つまたは複数の核酸分子と接触させて、1つまたは複数の捕捉された核酸分子を生じさせるステップ;cDNA分子を捕捉された核酸分子または誘導体から合成するステップであって、合成するステップが、逆転写を行うステップを含み、cDNA分子が、固体支持体に結合される、ステップ;アダプターをcDNA分子またはその誘導体の3’末端に挿入するステップ;ならびにcDNA分子またはその誘導体を増幅して、cDNA分子またはその誘導体のセットを作成するステップであって、cDNA分子またはその誘導体のセットが、固体支持体に結合される、ステップを含む、方法である。一部の実施形態では、cDNA分子またはその誘導体のセットは、複数の表面プライマープローブに結合される。一部の実施形態では、アダプターは、cDNA分子またはその誘導体のセットのcDNA分子における配列決定反応の開始を可能にするように構成された配列を含む。一部の実施形態では、cDNA分子またはその誘導体のセットは、アダプターを含む。一部の実施形態では、方法は、固体支持体を、1つまたは複数の核酸分子捕捉用プローブの少なくともサブセットを不活化するように構成された部分と接触させるステップを含む。一部の実施形態では、1つまたは複数の核酸分子捕捉用プローブのサブセットは、核酸分子を捕捉しなかった1つまたは複数の核酸分子捕捉用プローブを含む。一部の実施形態では、1つまたは複数の核酸分子捕捉用プローブの少なくともサブセットを不活化するように構成された部分は、エキソヌクレアーゼを含む。一部の実施形態では、合成するステップは、cDNA分子またはその誘導体を含む1つまたは複数の第2鎖合成反応を行うステップを含む。一部の実施形態では、1つまたは複数の第2鎖合成反応は、テンプレートスイッチ伸長を含む。一部の実施形態では、1つまたは複数の第2鎖合成反応は、ランダムプライミングを含む。一部の実施形態では、方法は、cDNA分子またはその誘導体を増幅するステップを含む。一部の実施形態では、増幅するステップは、溶液中のプライマー配列を含む。一部の実施形態では、アダプターの前記挿入するステップは、cDNA分子の断片化を含む。一部の実施形態では、アダプターの前記挿入するステップは、一本鎖ライゲーションを含む。一部の実施形態では、アダプターの前記挿入するステップは、タグ付け断片化を含む。一部の実施形態では、アダプターの前記挿入するステップは、ライゲーションを含む。一部の実施形態では、複数の表面プライマープローブの少なくともサブセットは、複数の表面プライマープローブの少なくともサブセットにおける伸長反応をブロックする遮断剤を含む。一部の実施形態では、方法は、遮断剤を、複数の表面プライマープローブの少なくともサブセットをブロック解除する反応に供して、伸長反応を可能にするステップを含む。一部の実施形態では、1つまたは複数の遮断剤は、1つまたは複数の3’リン酸ヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、1つまたは複数の遮断剤は、複数の表面プライマープローブの少なくともサブセットに相補的な配列を含む核酸分子を含む。一部の実施形態では、1つまたは複数の遮断剤は、複数の表面プライマープローブの少なくともサブセットに部分的に相補的な配列を含む核酸分子、可逆的ターミネーターヌクレオチド、およびポリメラーゼ、またはその任意の誘導体を含む。一部の実施形態では、方法は、cDNA分子またはその誘導体のセットの少なくともサブセットを切断または線状化するステップを含む。一部の実施形態では、方法は、DNA分子またはその誘導体のセットのサブセットの3’末端をブロックするステップを含む。一部の実施形態では、DNA分子またはその誘導体のセットのサブセットの3’末端のブロックするステップは、DNA分子またはその誘導体のセットのサブセットを、末端デオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼ(TdT)と接触させるステップを含む。一部の実施形態では、DNA分子またはその誘導体のセットのサブセットの3’末端のブロックするステップは、DNA分子またはその誘導体のセットのサブセットを、DNA分子のセットのサブセットの3’末端に相補的な配列を含むオリゴヌクレオチドと接触させるステップを含む。一部の実施形態では、DNA分子またはその誘導体のセットのサブセットの3’末端のブロックするステップは、DNA分子またはその誘導体のセットのサブセットを、カチオン性-中性ジブロックポリペプチドコポリマーと接触させるステップを含む。一部の実施形態では、方法は、固体支持体上で、in situでcDNA分子またはその誘導体の少なくともサブセットを配列決定するステップを含む。一部の実施形態では、方法は、cDNA分子またはその誘導体のセットの少なくともサブセットを固体支持体から溶出させるステップを含む。一部の実施形態では、1つまたは複数の核酸分子は、DNAまたはリボ核酸(RNA)分子を含む。一部の実施形態では、DNAは、断片化された一本鎖DNAである。一部の実施形態では、DNAは、一本鎖DNAである。一部の実施形態では、RNA分子は、メッセンジャーRNA(mRNA)またはマイクロRNA(miRNA)を含む。一部の実施形態では、RNA分子は、mRNAを含む。一部の実施形態では、1つまたは複数の核酸分子捕捉用プローブは、1つまたは複数の核酸分子に結合するように構成された配列を含む。一部の実施形態では、1つまたは複数の核酸分子に結合するように構成された配列は、ポリT配列、ランダマー、1つもしくは複数の核酸分子の少なくともサブセットに相補的な配列、またはその任意の組合せを含む。一部の実施形態では、固体支持体は、ウェル、ビーズ、ゲルマトリックス、または流体チャネルを含む。一部の実施形態では、流体チャネルは、フローセルである。一部の実施形態では、固体支持体は、ビーズではない。一部の実施形態では、1つまたは複数の核酸分子捕捉用プローブは、1つまたは複数のタグを含み、タグは、細胞特異的または空間の場所特異的識別子配列、および必要に応じて固有分子識別子(UMI)配列を含む。一部の実施形態では、増幅するステップは、固体支持増幅を含む。一部の実施形態では、固体支持増幅は、ブリッジ増幅である。一部の実施形態では、1つまたは複数の核酸分子は、単一細胞または生体組織に由来する。一部の実施形態では、方法は、ゲルマトリックスにおいて起こり、ゲルマトリックスは、固体支持体に隣接している。
【0011】
本明細書に提供される態様は、相補的デオキシ核酸(cDNA)分子またはその誘導体のセットを複数の細胞由来の1つまたは複数の核酸分子から調製するための方法であって、1つまたは複数の核酸分子捕捉用プローブおよびそれに結合した複数の表面プライマープローブを含み、その上に配置された複数の細胞を含む表面を含む固体支持体を提供するステップ;表面の別々の領域を複数の細胞の異なる細胞の1つまたは複数の核酸分子と接触させて、別々の領域のそれぞれにおいて1つまたは複数の捕捉された核酸分子を生じさせるステップであって、異なる別々の領域における核酸分子が、複数の細胞の異なる細胞由来である、ステップ;ならびにcDNA分子を捕捉された核酸分子またはその誘導体から合成するステップであって、cDNA分子のそれぞれが、複数の表面プライマープローブの表面プライマープローブに結合され、異なる別々のエリアに結合されたcDNAが、複数の細胞の異なる細胞由来である、ステップを含む、方法を含む。一部の実施形態では、接触させるステップは、複数の細胞の異なる細胞を溶解試薬で処理して、1つまたは複数の核酸分子を複数の細胞の異なる細胞から放出させるステップを含む。一部の実施形態では、方法は、cDNA分子またはその誘導体を増幅して、cDNA分子またはその誘導体のアンプリコンの複数のセットを作成するステップをさらに含む。一部の実施形態では、複数の細胞のトランスクリプトームは、アンプリコンのcDNA分子を配列決定することによって決定される。一部の実施形態では、表面に結合したcDNA分子は、表面上の位置をコードする空間バーコードを含み、cDNA分子を、配列決定することの前に、表面から溶出させるステップをさらに含む。一部の実施形態では、1つまたは複数の核酸分子を接触させるステップは、1つまたは複数の核酸分子の拡散性を低減する拡散性調整剤の存在下で行われる。一部の実施形態では、表面は、その上に配置された細胞を封入するゲル層を含むか、または表面上に配置された細胞のそれぞれは、別々のゲル体によって封入されている。一部の実施形態では、表面上に配置された細胞のそれぞれは、ヒドロゲルチャンバーによって囲まれている。一部の実施形態では、ヒドロゲルチャンバーは、内部エリアを含み、接触させるステップは、捕捉された1つまたは複数の核酸分子が放出され、内部エリア内で捕捉用プローブによって再捕捉されるように、放出された1つまたは複数の核酸分子を所定温度でインキュベートするステップをさらに含む。一部の実施形態では、ヒドロゲルチャンバーの内部エリアは、結合されたcDNA分子が少なくとも0.25μmの予想最近隣距離を有するように、選択される。一部の実施形態では、ヒドロゲルチャンバーの内部エリアは、結合されたcDNA分子が少なくとも1μmの予想最近隣距離を有するように、選択される。一部の実施形態では、ヒドロゲルチャンバーの内部エリアは、結合されたcDNA分子が少なくとも2μmの予想最近隣距離を有するように、選択される。一部の実施形態では、結合されたcDNA分子は、0.5μmおよび5μmの範囲の予想最近隣距離を有する。
【0012】
本明細書に提供される態様は、表面上に配置されたヒドロゲルチャンバーであって、ヒドロゲルチャンバーが、単一細胞由来の核酸分子の実質的に均一な分布を含む内部エリアを含む、ヒドロゲルチャンバーを含む。一部の実施形態では、核酸分子は、mRNA分子である。一部の実施形態では、実質的に均一な分布は、1μmまたはそれよりも大きい核酸分子間の予想最近隣距離を有するポアソン分布である。一部の実施形態では、核酸分子の均一な分布は、実質的に、ポアソン分布である。
【0013】
本明細書に提供される態様は、相補的デオキシ核酸(cDNA)分子またはその誘導体のセットを1つまたは複数の核酸分子から調製するための方法であって、表面を含む固体支持体を提供するステップであって、表面が、分割されておらず、固体支持体が、1つまたは複数の核酸分子捕捉用プローブおよび複数の表面プライマープローブを含む、ステップ;固体支持体上に別個の領域を作成するステップであって、別個の領域が、別個の領域に固有の1つまたは複数の細胞を含む、ステップ;1つまたは複数のリボ核酸(「RNA」)分子を1つまたは複数の細胞から抽出するステップであって、1つまたは複数のRNA分子が、別個の領域に位置する1つまたは複数の核酸分子捕捉用プローブによって捕捉され、それによって、別個の領域に固有の1つまたは複数の捕捉されたRNA分子を作成するステップ;cDNA分子を1つまたは複数の捕捉されたRNA分子またはその誘導体から合成するステップであって、cDNA分子が、別個の領域に位置する複数の表面プライマープローブの表面プライマープローブに結合される、ステップ;アダプターをcDNA分子またはその誘導体の3’領域に挿入するステップ;ならびにcDNA分子またはその誘導体を増幅して、cDNA分子またはその誘導体のセットを作成するステップであって、cDNA分子またはその誘導体のセットが、固体支持体に結合される、ステップを含む、方法を含む。一部の実施形態では、別個の領域は、ポリマーマトリックスに取り囲まれている。一部の実施形態では、それぞれの別個の領域は、単一細胞を含む。一部の実施形態では、方法は、ポリマーマトリックス内で起こる。一部の実施形態では、ポリマーマトリックスは、ヒドロゲルを形成する。一部の実施形態では、ポリマーマトリックスは、1つまたは複数のポリマー前駆体から形成される。一部の実施形態では、ポリマーマトリックスは、ポリマーマトリックスを通して試薬の拡散を可能にするサイズのポアを含み、RNA分子は、ポリマーマトリックスのポアを通して拡散することができない。一部の実施形態では、固体支持体は、1つまたは複数の別個の領域を含み、1つまたは複数の別個の領域は、別の別個の領域と流体連絡していない。一部の実施形態では、固体支持体は、ビーズではない。一部の実施形態では、分割されていない表面は、平面を含み、平面上のそれぞれのポイントまたは場所は、平面上のあらゆる他のポイントまたは場所と流体連絡している。
【0014】
本特許出願は、カラーで作成された少なくとも1つの図面を含む。カラーの図面(複数可)を伴う本特許または特許出願の写しは、請求および必要な手数料の支払いにより、庁(Office)によって提供される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1A】
図1Aは、一部の実施形態に従って、トランスクリプトームを作成するための現在の技法についての図を示す。
【0016】
【
図1B】
図1Bは、一部の実施形態に従って、トランスクリプトームを作成するための現在の技法についてのワークフローを示す。
【0017】
【
図2A】
図2Aは、捕捉されたmRNAからの配列決定可能なライブラリーのin situおよび直接作成から、改善されたトランスクリプトームを得るためのワークフローを示す。第1および第2のプライマー(P5およびP7プライマーなど)の表面コーティングを使用して、表面上に直接ライブラリーを作成する。増幅ステップは、潜在的に、ブリッジ増幅を使用して行うことができるが、溶液中のプライマーにより行うことができる。このようにして作成された表面クラスターを、in situで直接配列決定し得るか、またはライブラリーを、表面から溶出して別個に配列決定し得る。
【0018】
【
図2B】
図2Bは、平面上の隣接細胞によって放出される核酸分子の分析に関連する本発明の一実施形態によって対処される問題を示す。
【0019】
【0020】
【
図2D】
図2Dは、拡散性調整剤が、平面上に配置された細胞を封入するゲル層である実施形態を示す。
【0021】
【
図2E】
図2E~2Fは、拡散性調整剤が、単一細胞を囲むヒドロゲルチャンバーである実施形態を示す。
【
図2F】
図2E~2Fは、拡散性調整剤が、単一細胞を囲むヒドロゲルチャンバーである実施形態を示す。
【0022】
【
図2G】
図2Gは、拡散性調整剤が、細胞周囲の空洞またはウェルを除く、ヒドロゲル層である実施形態を示す。
【0023】
【
図2H】
図2Hは、捕捉された核酸分子が放出される細胞に隣接する捕捉された核酸分子の分布に関連する問題を示す。
【0024】
【
図2I】
図2Iは、ヒドロゲルチャンバー、および細胞の核酸分子を不安定化および再捕捉するための方法を用いて、ヒドロゲルチャンバーの内面上に捕捉された分子の均一な分布を生じさせることによって、
図2Hの分布の問題に対処する本発明の実施形態を示す。
【0025】
【
図3】
図3は、本明細書に記載される方法およびシステムを利用することによって、トランスクリプトームを得るワークフローにおける、必要によりプライマーをブロックおよびブロック解除するための3’リン酸ヌクレオチドの使用を示す。この使用は、
図2Aにおいて見られる使用と類似する。しかしながら、最初に、表面のP5およびP7プライマープローブがブロックされる(P5
*およびP7
*として示される)。それらを増幅またはライブラリー構築のために使用しようとする場合、それらは、次いで、化学的または酵素的プロセスを使用してブロック解除され得る。これは、望まない表面のハイブリダイゼーションおよびバックグラウンドを減少させる。
【0026】
【
図4】
図4は、プライマーにハイブリッド形成することによってプライマーを利用不能にする相補的な配列の使用を示す。プライマーは、活性化され得るか、または脱ハイブリダイゼーションおよび相補的な配列の洗い流しによって利用可能にされ得る。
図3と同様に、表面のP5およびP7プライマープローブをブロックする代わりに、P5およびP7プライマープローブは、望まないハイブリダイゼーションを減少させるために、表面上の相補的P5’およびP7’プローブとハイブリッド形成することができる。P5およびP7プライマープローブは、表面活性化の前にハイブリッド形成解除することができる。
【0027】
【
図5】
図5は、二次構造に起因する核酸分解を減少させるための、末端デオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼ(TdT、上パネル)または相補的オリゴヌクレオチド(下パネル)の使用を示す。TdT酵素は、cDNAクラスターの3’末端をブロックすることができ、その結果、この末端が、cDNA分子上で(より具体的には、ポリT捕捉用プローブ上で)巻き戻され、二次構造を形成する場合、それは、伸長し、配列決定の間にノイズシグナルを作り出すことができず、配列決定シグナルの品質の減少をもたらす。このステップは、クラスタリングおよび切断または線状化ステップの後に行うことができる。あるいは、相補的オリゴヌクレオチドを、TdT(下パネル)の代わりに使用して、自己フォールディングを防止することができる。
【0028】
【
図6】
図6は、オフ-フローセルワークフロー(上パネル)およびオン-フローセルワークフロー(下パネル)における単一細胞トランスクリプトームを得るためおよびその品質を増加させるために、ワークフローを改善するための断片化の前のmRNAのin situ増幅を示す。
【0029】
【
図7】
図7は、表面上または溶液中の未使用および未結合プライマーを消化するためのエキソヌクレアーゼの使用を示す。例えば、任意のRNA分子を捕捉していない未結合の捕捉用プローブ(例えば、ポリTを有するプローブ)を消化することができる。
【0030】
【
図8A】
図8Aは、テンプレートスイッチングのためのプライマーの使用を示す。オリゴヌクレオチドにおける遊離の溶液中のテンプレートスイッチを使用する代わりに、表面プライマーを、テンプレートスイッチングのために使用することができる。この改善は、テンプレートスイッチングプロセスの効率を増加させることができ、テンプレートスイッチングプロセスの間のコンカテマーの形成を回避することもでき、このようにして、ワークフロー全体についてのmRNA捕捉の効率を増加させる。
【0031】
【
図8B】
図8Bは、バーコードおよび捕捉用プローブが異なる表面プライマー上でグループ化される実施形態を示す。
【0032】
【
図9】
図9は、現在利用可能な配列決定技法を改善するための
図2(表面上でのライブラリー構築)、
図3(望まないハイブリダイゼーションおよび伸長を回避するための表面プライマーの3’遮断)、
図5(cDNAの3’末端をブロックするためのTdTの使用)、および
図7(望まない捕捉用プローブを除去するためのエキソヌクレアーゼ処理の使用)に記載される改善の組合せ使用を示す。
【0033】
【
図10】
図10は、一部の実施形態による、流体デバイスに配置されたチャネルの一部分の略図を示す。
【0034】
【
図11A】
図11Aは、一部の実施形態による、エネルギー源を含む本明細書に提供されるシステムの一部分を示す。
【0035】
【
図11B】
図11Bは、一部の実施形態による、本明細書に提供されるシステムの一部分における生体成分周辺で形成されるポリマーマトリックスを示す。
【0036】
【
図11C】
図11Cは、一部の実施形態による、本明細書に提供されるシステムにおける生体成分周辺でポリマーマトリックスを形成する方法を示す。
【0037】
【
図12】
図12は、ポリマーマトリックスを形成する実施形態を表すフローチャートである。
【0038】
【
図13A】
図13Aは、一部の実施形態による、流体デバイスにおける捕捉用エレメントを含むチャネルの一部分を示す。
【0039】
【
図13B】
図13Bは、一部の実施形態による、流体デバイス中にチャネルを含むシステムの一部分の表面上の捕捉用エレメントに結合された生体成分を示す。
【0040】
【
図13C】
図13Cは、一部の実施形態による、流体デバイスのチャネルの一部分を含むシステムにおいて生体成分周辺に配置されたポリマーマトリックスを示す。
【0041】
【
図14】
図14は、表面に結合された生体成分周辺でポリマーマトリックスを形成する実施形態を表すフローチャートである。
【0042】
【
図15A】
図15Aは、シール可能な開口部を含む流体デバイスを含むシステムの別の実施形態の一部分を示す。
【0043】
【
図15B】
図15Bは、一部の実施形態による、流体デバイスを含むシステムの一部分において生体成分をトラップする方法を示す。
【0044】
【
図16A】
図16Aは、一部の実施形態による、流体デバイスを含むシステムの一部分の概略図の上面図を示す。
【0045】
【
図16B】
図16Bは、一部の実施形態による、ポリマーマトリックスを含む流体デバイスの一部分を含むシステムの概略図の上面図を示す。
【0046】
【
図17】
図17は、一部の実施形態による、複数の異なる試薬を含む流体デバイスを含むシステムの一部分の概略図の上面図を示す。
【0047】
【
図18A】
図18Aは、一部の実施形態による、空間エネルギー変調素子の一部分およびシリンダー状のポリマーマトリックスを示す。
【0048】
【
図18B】
図18Bは、一部の実施形態による、空間エネルギー変調素子の一部分および中空シリンダーの形状のポリマーマトリックスを示す。
【0049】
【
図19】
図19は、一部の実施形態による、1つまたは複数の成体成分を封入するポリマーマトリックスコンパートメントの顕微鏡写真を示す。
【0050】
【
図20A】
図20Aは、一部の実施形態による、マルチステップのポリマーマトリックス形成プロセスにおいて形成されるオープンコンパートメントを示す。
【0051】
【
図20B】
図20Bは、一部の実施形態による、マルチステップのポリマーマトリックス形成プロセスにおいて形成されるクローズドコンパートメントを示す。
【0052】
【
図21A】
図21Aは、一部の実施形態による、反発エレメントでコーティングされた流体デバイスの表面の一部分の略図である。
【0053】
【
図21B】
図21Bは、一部の実施形態による、反発エレメントを使用して表面上で捕捉された生体成分の顕微鏡写真を示す。
【0054】
【
図21C】
図21Cは、一部の実施形態による、反発エレメントを使用して表面上で捕捉された生体成分の高倍率の顕微鏡写真を示す。
【0055】
【
図22A】
図22Aおよび22Bは、本発明を用いる使用のためのヒドロゲルチャンバーを合成するためのシステムを示す。
【
図22B】
図22Aおよび22Bは、本発明を用いる使用のためのヒドロゲルチャンバーを合成するためのシステムを示す。
【発明を実施するための形態】
【0056】
本開示の新規特徴は、添付の特許請求の範囲において詳細に示される。本開示の特徴および利点をより良好な理解は、実例となる実施形態を示す以下の詳細な記載を参照することによって得られる。
詳細な説明
概説
【0057】
配列決定の準備ができている核酸分子(例えば、DNA分子のセット)を作成するための、官能化された固体支持体を含む、システムおよび方法が本明細書に提供される。本明細書に記載されるシステムおよび方法は、それらが作成された固体支持体上でin situで配列決定することができるか、または固体支持体から溶出させて、オフサイトで配列決定することができる核酸分子のセットを提供し、ここで、システムおよび方法は、第2鎖合成に重点を置いた現在利用可能な配列決定技法(
図1Aおよび1B)を改善する。一部の実施形態では、システムおよび方法は、第1鎖核酸、第2鎖核酸、または核酸分子の核酸の第1および第2鎖の両方を配列決定することができる。一部の実施形態では、方法は、固体支持体を提供するステップであって、固体支持体が、1つまたは複数の核酸分子捕捉用プローブおよび複数の表面プライマープローブを含む、ステップ;固体支持体を1つまたは複数の核酸分子と接触させて、1つまたは複数の捕捉された核酸分子を生じさせるステップ;cDNA分子を捕捉された核酸分子または誘導体から合成するステップであって、合成するステップが、逆転写および1つまたは複数の第2鎖合成反応を行うステップを含み、cDNA分子が、固体支持体に結合される、ステップ;アダプターをcDNA分子またはその誘導体の3’領域に挿入するステップ;ならびにcDNA分子またはその誘導体を増幅して、cDNA分子またはその誘導体のセットを作成するステップであって、cDNA分子またはその誘導体のセットが、固体支持体に結合される、ステップによる、相補的デオキシ核酸(cDNA)分子またはその誘導体のセットを1つまたは複数の核酸分子から調製するステップを含む。一部の実施形態では、方法は、固体支持体を、1つまたは複数の核酸分子捕捉用プローブの少なくともサブセットを不活化するように構成された部分と接触させるステップを含む。
【0058】
一部の実施形態では、方法は、アダプターを増幅されたcDNA分子またはその誘導体の3’領域に挿入し、それによって、タグ付けされた増幅されたcDNA集団を作成するステップ;およびタグ付けされた増幅されたcDNA集団において固体支持増幅を行って、cDNA分子またはその誘導体のセットを作成するステップを含む。一部の実例では、1つまたは複数の核酸分子捕捉用プローブのサブセットは、核酸分子を捕捉しなかった1つまたは複数の核酸分子捕捉用プローブを含む。一部の態様では、1つまたは複数の核酸分子捕捉用プローブの少なくともサブセットを不活化するように構成された部分は、エキソヌクレアーゼを含む。一部の事例では、複数の表面プライマープローブの少なくともサブセットは、複数の表面プライマープローブの少なくともサブセットにおける伸長反応をブロックする遮断剤を含む。一部の実施形態では、方法は、DNA分子またはその誘導体のセットのサブセットの3’末端をブロックするステップを含む。一部の実施形態では、相補的デオキシ核酸(cDNA)分子またはその誘導体のセットを1つまたは複数の核酸分子から調製するための方法であって、固体支持体を提供するステップであって、固体支持体が、1つまたは複数の核酸分子捕捉用プローブおよび複数の表面プライマープローブを含み、複数の表面プライマープローブの少なくともサブセットが、テンプレートスイッチ部分を含む、ステップ;固体支持体を1つまたは複数の核酸分子と接触させて、1つまたは複数の捕捉された核酸分子を生じさせるステップ;cDNA分子を捕捉された核酸分子または誘導体から合成するステップであって、合成するステップが、逆転写を行うステップを含む、ステップ;アダプターをcDNA分子またはその誘導体の3’末端に挿入するステップ;ならびにcDNA分子またはその誘導体を増幅して、cDNA分子またはその誘導体のセットを作成するステップを含む、方法が本明細書に記載される。
【0059】
一部の実施形態では、相補的デオキシ核酸(cDNA)分子またはその誘導体のセットを1つまたは複数の核酸分子から調製するための方法であって、固体支持体を提供するステップであって、固体支持体が、1つまたは複数の核酸分子捕捉用プローブおよび複数の表面プライマープローブを含み、複数の表面プライマープローブの少なくともサブセットが、テンプレートスイッチ部分を含む、ステップ;固体支持体を1つまたは複数の核酸分子と接触させて、1つまたは複数の捕捉された核酸分子を生じさせるステップ;cDNA分子を捕捉された核酸分子または誘導体から合成するステップであって、合成するステップが、逆転写を行うステップを含む、ステップ;アダプターをcDNA分子またはその誘導体の3’末端に挿入するステップ;ならびにcDNA分子またはその誘導体を増幅して、cDNA分子またはその誘導体のセットを作成するステップを含む、方法が本明細書に記載される。
【0060】
一部の実施形態では、1つまたは複数の核酸分子捕捉用プローブおよび複数の表面プライマープローブを含む固体支持体を含むシステムであって、複数の表面プライマープローブの少なくともサブセットが、テンプレートスイッチ部分を含む、システムが本明細書に記載される。一部の実施形態では、相補的デオキシ核酸(cDNA)分子またはその誘導体のセットを1つまたは複数の核酸分子から調製するためのシステムを利用する方法であって、固体支持体を提供するステップであって、固体支持体が、1つまたは複数の核酸分子捕捉用プローブおよび複数の表面プライマープローブを含む、ステップ;固体支持体を1つまたは複数の核酸分子と接触させて、1つまたは複数の捕捉された核酸分子を生じさせるステップ;cDNA分子を捕捉された核酸分子または誘導体から合成するステップであって、合成するステップが、逆転写を行うステップを含み、cDNA分子が、固体支持体に結合される、ステップ;アダプターをcDNA分子またはその誘導体の3’末端に挿入するステップ;ならびにcDNA分子またはその誘導体を増幅して、cDNA分子またはその誘導体のセットを作成するステップであって、cDNA分子またはその誘導体のセットが、固体支持体に結合される、ステップを含む、方法が本明細書に記載される。一部の実施形態では、システムを利用する方法は、固体支持体を、1つまたは複数の核酸分子捕捉用プローブの少なくともサブセットを不活化するように構成された部分と接触させるステップを含む。一部の実例では、1つまたは複数の核酸分子捕捉用プローブのサブセットは、核酸分子を捕捉しなかった1つまたは複数の核酸分子捕捉用プローブを含む。一部の実施形態では、1つまたは複数の核酸分子捕捉用プローブの少なくともサブセットを不活化するように構成された部分は、エキソヌクレアーゼを含む。一部の実施形態では、方法は、cDNA分子またはその誘導体を増幅するステップを含む。一部の実施形態では、複数の表面プライマープローブの少なくともサブセットは、複数の表面プライマープローブの少なくともサブセットにおける伸長反応をブロックする遮断剤を含む。
【0061】
一部の実施形態では、本明細書に記載されるシステムまたは方法は、本明細書に記載される流体デバイスにおいて、個々の成分の少なくとも一部分に隣接してまたはその周辺で形成されるポリマーマトリックス(例えば、ヒドロゲルマトリックス)を使用するステップを含む。ヒドロゲルマトリックスは、システムが構成成分を検出した後に構成成分を取り囲むように選択的に作成され得るか、またはヒドロゲルマトリックスは、流体デバイスにおいて、予め定義されたパターンに従って作成され得る。ヒドロゲルマトリックスは、生体試料の個々の構成成分を定位置に保持しながら、試薬およびより小さな実体が通過するのを可能にし得る。1つまたは複数の個々の構成成分は、流体デバイス内で局在化し得(例えば、封入され得)、限局性の構成成分は、分析中および/または分析間に1つまたは複数の試薬および/または洗浄溶液に曝露され得るので、複数のアッセイを、コンパートメント内で行うことができる(例えば、同時に、実質的に同時に、順次など)。異なるアッセイは、例えば、異なる処理条件の効果を試験するために、流体デバイスの異なる場所で行われてもよい。加えて、構成成分は、一般に、混合および組み合わされないので、構成成分の低濃度(例えば、希釈に起因する)を防止することができる。例えば、ゲノム材料を分析する場合、増幅ステップは、それぞれのコンパートメントにおける遺伝材料の保存に起因して、回避することができる。コンパートメント内に2つまたはそれよりも多くの構成成分を有することによって、構成成分間の相互作用を同様に研究することができる。ポリマーマトリックスは、「要求に応じて」分解可能であり得、局在化および放出機構の制御を可能にする。本明細書に提供される解決手段は、構成成分の空間情報を保持し、細胞、プロテオーム、トランスクリプトーム、またはゲノムレベルでデータを作成することができる。空間情報が保持されるので、データは、表現型データと関連付ける(例えば、関係付ける)ことができる。さらに、明細書に提供される解決手段は、構成成分の空間情報を保持し、細胞、プロテオーム、トランスクリプトーム、またはゲノムレベルでデータ(例えば、表現型データ)を関係付けることができる。
【0062】
一部の実施形態では、本発明は、表面に結合したcDNA分子の表面セットの別々の領域における合成を対象とする。そのような表面に結合したcDNA分子は、捕捉された核酸に由来し、異なる別々の領域におけるcDNA分子は実質的に異なる細胞に由来する。細胞が、表面上にランダムに、例えば、ポアソン分布で配置される場合はいつでも、例えば、単一細胞トランスクリプトームを測定する際に、捕捉された分子の重複を最小限にするため、およびスループットの最大化のために、細胞の濃度(または密度)間のトレードオフが存在する。すなわち、表面上の細胞の密度がより高いことは、隣接細胞からの捕捉された核酸が重複する可能性がより高いことを意味し、密度がより低いことは、より少ないトランスクリプトームが測定されることを意味する。本発明の態様に従って、このトレードオフは、拡散性調整剤、すなわち、細胞から放出された核酸分子の拡散を低減またはブロックし、それによって、元の細胞に近い捕捉用プローブによる捕捉を促進する剤の提供によって影響を受けることがある(拡散性調整剤の非存在下の場合よりも)。拡散性調整剤は、細胞を含む、反応混合物または媒体の構成要素、例えば、アガロース、ポリ(エチレングリコール)(PEG)、デキストラン、ポリ(ビニル)アルコール、ポリ(ビニル)アセテート、ポリアミド、多糖、ポリ(リシン)、ポリアクリルアミド、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(アクリル酸)などのような可溶性ポリマーであり得る。一部の実施形態では、拡散性調整剤は、粘度調整剤、例えば、グリセロール、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロースなどであり得る。一部の実施形態では、拡散性調整剤は、表面上の細胞の一部または全部を取り囲むゲルバリア、例えば、表面上のゲル層であり得る。他の実施形態では、拡散性調整剤は、個々の細胞を封入または囲む非連続的なゲルバリアの集合体であり得る。一部の実施形態では、そのような非連続的なゲルバリアは、単一細胞をそれぞれ封入するゲル材料の単一の塊または集まり(body)を含むか、あるいはそのような非連続的なゲルバリアは、単一細胞を囲んでいるが、細胞と接触していてもよく、または接触していなくてもよい、ポリマーマトリックス壁を含む、ゲルチャンバーまたはケージの集合体であってもよい。一部の実施形態では、そのようなゲルチャンバーは、ヒドロゲルチャンバーである(本明細書にさらに記載される通り)。一部の実施形態では、核酸分子を表面の別々の領域に接触させるステップは、細胞を含む反応混合物に拡散性調整剤を提供することによって促進される。他の実施形態では、そのような接触させるステップは、複数の細胞のそれぞれの細胞についてヒドロゲルチャンバーを提供することによって促進される。
【0063】
上記の実施形態の態様を
図2B~2Hに示す。上記の実施形態によって対処される問題を
図2Bに示す。上部パネルにおいて、細胞(252)および細胞(253)は、それらの間の距離D
1(256)で表面(250)上に配置される。表面(250)は、1つまたは複数の核酸分子捕捉用プローブおよび複数の表面プライマープローブを含む。例えば、そのような捕捉用プローブは、ポリA mRNAを捕捉するように設計されていてもよく、そのような表面プライマープローブは、捕捉および逆転写されたmRNAの表面増幅のために、従来のプライマー、例えば、P5およびP7プライマー(またはそれらの相補体)を含んでいてもよい。一部の実施形態では、捕捉用プローブおよび表面プライマープローブの両セットは、表面(250)に共有結合的に付着し、所定の密度で表面(250)を均一にコーティングする。溶解(258)および細胞の核酸分子、例えば、メッセンジャーRNA(mRNA)の放出後、放出された核酸分子の一部分は、表面(250)と接触し、捕捉用プローブによって捕捉される。捕捉の速度は、細胞の核酸分子の濃度に依存し、これは、溶解後に、それらの元の細胞からのそれらの拡散によって決定される。そのため、溶解後の所与の時間に、捕捉される可能性が最も高いのは、元の細胞に最も近いものであり、その後、そのような可能性は、元の細胞からの半径方向の距離が増加するにつれて、単調減少する。この現象は、互いから異なる距離の
図2Bにおける細胞の2つの対について示される。それぞれ、溶解された細胞(252)および(253)由来の捕捉された核酸分子((254)および(255))の密度分布を、最も高い密度が最も暗く、最も低い密度が最も明るいグレースケールで位相的に示す。溶解後の所与の時間に、特定の細胞由来の核酸分子は、溶解した細胞に隣接する捕捉用プローブによって優先的に捕捉される。そのような時間での距離D
1離れた細胞について、捕捉された分子の重複(256)はない(または最小限の重複がある)。下部パネルに示されるように、距離D
2離れた互いに近い細胞について、捕捉された核酸分子の有意な重複(264)がある。本発明の一部の実施形態に従って、表面上の配置された細胞の密度と、例えば、単一細胞のトランスクリプトーム測定の数との間のトレードオフは、核酸分子の拡散の速度を低減する拡散性調整剤の存在下で溶解するステップを行うことによって改善され得る。
【0064】
上記で述べたように、多種多様な剤を、核酸分子の拡散性を低減するために利用可能であり、その結果(
図2Cに示されるように)、同じ距離D
1およびD
2の細胞の対((266)および(267);(268)および(269))は、放出された核酸分子の拡散の速度が低減されているので、重複して捕捉された核酸分子(265)を生じない。これにより、放出された細胞分子、例えば、細胞の核酸分子の分析のために、より高い密度の細胞を、表面(250)上に配置することが可能となる。
【0065】
図2Dは、表面(270)上に配置された細胞を取り囲むゲル層(272)を含む拡散性調整剤を用いる実施形態を示す。アッセイ試薬、例えば、溶解試薬、ポリメラーゼ、ヌクレオシド三リン酸、プライマーなどは、それらを液層(277)中のゲル層(272)上を流し(273)、それらが表面(270)上に配置された細胞、例えば、(274)および(275)に拡散するのを可能にすることによって、細胞に送達され得る。ゲル層(272)は、1つまたは複数のポリマー前駆体を含む反応混合物中で、表面(270)上に細胞を配置することによって形成され得る。配置後、ゲル層(272)は、下記にさらに記載されるように、従来の技法を使用して、1つまたは複数のポリマー前駆体を光重合することによって形成され得る。ポリマー前駆体および反応条件は、同じ時に目的の細胞の核酸(例えば、200~300よりも多くのヌクレオチドを含むmRNA)が拡散性を低減しながら、アッセイ試薬がゲル層(272)を通して容易に拡散し得るように選択され得る。溶解試薬(278)の送達後、細胞は、(i)溶解試薬が細胞に達する、(ii)細胞溶解が起こる、(iii)細胞の核酸分子が放出される、ならびに(iv)放出された核酸分子が元の細胞から離れて拡散するおよび/または捕捉用プローブによって捕捉されるのを可能にする時間、インキュベートされる。それぞれ、細胞(274)および(275)由来の捕捉された核酸分子(280)および(282)の分布による実例として、ゲル層(272)は、より大きな割合(平均)の異なる細胞由来の捕捉された核酸分子が、表面(270)の別々のエリアにあることを確実にする。一部の実施形態では、ゲル層(272)は、ポリマー前駆体を光架橋することによって形成されるヒドロゲル層である。
【0066】
図2E~2Gは、ヒドロゲルチャンバーを含む拡散性調整剤を示す。
図2Eに示されるように、細胞およびポリマー前駆体は、流体デバイスのチャネルの部分であり得る表面(2902)上にロードされる(下記により完全に記載する)。細胞(例えば、2901)は、表面(2902)上に配置され、例えば、細胞の位置は、ヒドロゲルチャンバー(2912、2913および2914)によって示されるように、単一細胞の周辺のチャネル(2900)においてヒドロゲルチャンバーを合成する(2908)ための光線を生成する空間エネルギー変調素子(2906)のための指示を作成する制御システムによって使用される検出器(2904)によって決定される。拡大(2910)は、固体に見える構造(2912、2913および2914)が、内部(2911)および所定の厚さ(2916)を有する壁(2921)を有することを示す。同じく、ヒドロゲルチャンバーは、所定の形状(例えば、直径(2917)を有する円形)を有し、所定のエリアを囲む。図において、便宜のため、チャンバーを、隣接チャンバーと接続せずに分離して存在しており、シリンダー状または輪状様の形状を有するように示すが、しかしながら、空間エネルギー変調素子は、特定の適用に有用であるように、異なる形状およびサイズのチャンバーを合成してもよい。一部の実施形態では、表面(2902)は、流体デバイスにおけるフローセルおよび/またはチャネルの部分であってもよく、ヒドロゲルチャンバーは、表面(2902)と平行な第2の表面との間で合成されてもよい(
図2Eに示さない)。本明細書で使用される場合、「チャネル」は、流体を保持し(静的または流動的であり得る)、細胞アッセイ(トランスクリプトーム測定など)が実施され得る少なくとも1つの表面を有することができる容器を意味する。一部の実施形態では、チャネルは、チャンバーが合成され得るか、および/または細胞もしくはアッセイ成分が結合し得る、第1の表面および/または第2の表面を有し得る。加えて、一部の実施形態では、細胞またはアッセイ成分は、ポリマーマトリックス壁上に結合し得るか、または捕捉用エレメントによってそこに捕捉され得る。本明細書で使用される場合、「第1の表面」(例えば、捕捉用エレメントを含む表面として)の属性は、第2の表面、または適切な場合、ポリマーマトリックス壁(そのすべてがヒドロゲルチャンバーの内部表面であり得る)にも適用され得る。本明細書で使用される場合、「チャネル」は、表面、特に、平面を含む固体支持体を含む。一部の実施形態では、チャネルは、第1の表面および第2の表面を含んでいてもよく、これらは、例えば、互いに平行であってもよい。一部の実施形態では、チャネルは、入口から出口までを通る流体の流れを抑制してもよい。他の実施形態では、チャネルは、開口部または入口によって除去、置き換えまたは追加され得る流体の非流動体積を含んでいてもよく、すなわち、一部の実施形態では、本発明のチャネルは、ウェルまたはウェル様構造であってもよい。第1の表面と第2の表面との間の垂直距離は、10μm~500μmの範囲、または50μm~250μmの範囲であってもよい。一部の実施形態では、第1の表面と第2の表面との間の垂直距離は、分析される細胞の平均サイズの2倍~分析される細胞の平均サイズの5倍の範囲であってもよい。
【0067】
一部の実施形態では、表面上で合成されたそれぞれのヒドロゲルチャンバーは、0.001~0.1mm2の範囲、または0.001~1.0mm2の範囲から選択される、同じ形状および面積、例えば、内部面積を有する輪状様を有していてもよい。一部の実施形態では、合成されたそれぞれのヒドロゲルチャンバーは、アッセイされる細胞のそれぞれ異なる種類について、同じ形状および面積を有する。哺乳動物細胞がアッセイされる一部の実施形態では、単一細胞の周辺で合成されるヒドロゲルチャンバーの数は、100よりも多く、または1000よりも多く、または10,000よりも多くてもよく、あるいは数は、100~100,000の範囲、または1000~100,000の範囲、または1000~106の範囲であってもよい。
【0068】
ヒドロゲルチャンバーが合成された後、細胞は、細胞の核酸、例えば、mRNAが、一部分が捕捉用プローブによって捕捉されるヒドロゲルチャンバー(例えば、2924)の内部に放出されるように、溶解試薬で処理される(2913)。一部の実施形態では、捕捉後、ヒドロゲルチャンバーは、cDNA合成および/または増幅のための伸長および/または増幅試薬、例えば、ポリメラーゼ、dNTP、プライマーなどの導入前に、解重合されてもよい(2925)。
【0069】
図2Gは、細胞(2982)の周囲の空洞またはウェル(2980)が表面(2984)上に配置されたことを除いて、上記のように、ゲル層(2981)を含む拡散性調整剤の実施形態を示す。そのため、例えば、細胞(2982)が、表面(2984)上にランダムに配置される場合、ランダムなウェルアレイは、そうであれば、例えば、光重合によって、それぞれの細胞から所与の半径を超えてポリマー前駆体を選択的に重合させることによって、その周辺で形成される。固体ゲル層の事例におけるように、アッセイ用試薬は、それらがウェルに入ることができるように、それらをゲル層の上に流すことによって、細胞に送達され得る。
【0070】
図2Hに示されるように、表面(2930)上の細胞(2932)を溶解試薬で処理した後、細胞の核酸分子、例えば、mRNAは、そのような分子がその元の細胞(2932)から離れて拡散するように、隣接する捕捉用プローブによって捕捉される(破線の輪郭の明るく着色された細胞(例えば、2933)は溶解した細胞を表す)。加えて、最初に捕捉された分子は、解離し、ある距離で拡散し、再捕捉され、その後、プロセスが繰り返される。一部の実施形態では、捕捉されたmRNAは、cDNAに変換され、これは、次に、表面増幅されて(例えば、ブリッジPCRによって)、cDNAのクラスターまたはクローン集団を形成し、これは、例えば、従来の合成による配列決定技法を使用して、配列決定される。そのようなアプローチによる配列決定の成功のために、クラスターあたりのクローンcDNAの数は、検出可能なシグナルを生じるのに十分に大きくなくてはならず、クラスターの間隔は、重複した領域中の異なるcDNAに起因してシグナルを分解するであろうクラスター間の重複を回避するのに十分に大きくなくてはならない。後者のパラメーターに関して、従来の合成による配列決定技法のために、表面増幅のためにランダムに分布したcDNAは、0.25~5.0μmの範囲、または1.0~5.0μmの範囲の予想最近隣距離を有していてもよい。一部の実施形態では、表面増幅、例えば、ブリッジ増幅のためにランダムに分布したcDNAは、0.5μmもしくはそれよりも大きい予想最近隣距離、または1.0μmもしくはそれよりも大きい予想最近隣距離、2.0μmもしくはそれよりも大きい予想最近隣距離を有していてもよい。一部の実施形態では、表面上のランダムに分布したcDNA(または捕捉されたmRNA)は、ポアソン分布として実質的に分布している。
図2Hに戻って、細胞の核酸分子は表面(2930)上で広がっているので、所望の範囲内に捕捉されたmRNAを有する元の細胞に隣接する領域は、下部パネルに示されるように、定性的にプロットされ得る。溶解(2934)の時点に、高濃度を理由として、細胞に隣接する捕捉されたmRNAは、許容できるクラスター形成のために低すぎる予想最近隣距離を有する。mRNAの拡散が進行し、最初に捕捉されたmRNAが脱ハイブリダイズし(de-hybridize)、再捕捉される(2936)につれて、予想最近隣距離は、元の細胞に隣接する領域において増加する。このプロセスは、平衡に達するまで継続する(2938)。そのポリマーマトリックス壁を通じたmRNA分子の拡散を防止するヒドロゲルチャンバーが合成される一部の実施形態では、ヒドロゲルチャンバーのサイズ(そのため、その内部面積)は、捕捉されたmRNAの分布が、捕捉されたRNA(またはcDNA)間の予想最近隣距離が所望の範囲内の値に近づく、ヒドロゲルチャンバー内の平衡ランダム分布に近づくように選択され得る。そのため、
図2Iに示されるように、細胞(例えば、2944)は、表面(2946)上に配置され、ヒドロゲルチャンバー(2948)は、細胞(2944)が溶解されて、表面(2946)上で捕捉用プローブによって捕捉されるmRNA(例えば)を放出した後、合成される。捕捉されたmRNAの平衡分布に達した後、所望の範囲内の予想最近隣距離を有するcDNAが合成される。例えば、細胞(2944)が、ヒドロゲルチャンバー(2948)に完全に放出される、約2×10
5個のmRNA分子を有する哺乳動物細胞である場合、捕捉されたmRNAは、ヒドロゲルチャンバー(2948)の内部面積(2950)が約2.8×10
5μm
2(例えば、300μmの半径を有する円の面積)である場合、約1μmの予想最近隣距離を有する、例えば、Pielou, Introduction to Mathematical Ecology(Wiley-Interscience, 1969)。一部の実施形態では、ヒドロゲルチャンバーの内部に残るmRNAの数は、ヒドロゲルチャンバーのポリマーマトリックス壁の透過性(または多孔性)を制御することによって、制御されてもよい。例えば、ポリマーマトリックス壁の多孔性は、保持されたmRNAの数が、所定のサイズを上回る分子量を有し得るように選択され得る。一部の実施形態では、細胞の核酸が、ヒドロゲルチャンバーの内部表面で平衡分布に近づく速度は、二重鎖形成を不安定にする剤、例えば、熱、低塩緩衝液、カオトロピック剤などを導入することによって、増加し得る。
【0071】
一部の実施形態では、上記の方法は、以下のステップ:(a)1つまたは複数の核酸分子捕捉用プローブおよびそれに結合した複数の表面プライマープローブを含み、その上に配置された複数の細胞を含む表面を含む固体支持体を提供するステップ、(b)拡散性調整剤の存在下、表面の別々の領域を異なる細胞の1つまたは複数の核酸分子と接触させて、別々の領域のそれぞれにおいて1つまたは複数の捕捉された核酸分子を生じさせるステップであって、異なる別々の領域における核酸分子が、異なる細胞由来である、ステップ、ならびに(c)cDNA分子を捕捉された核酸分子またはその誘導体から合成するステップであって、cDNA分子のそれぞれが、固体支持体の表面に結合され、異なる別々のエリアに結合されたcDNAが、異なる細胞由来である、ステップによって実行され得る。一部の実施形態では、cDNAは、テンプレートとして捕捉された細胞の核酸分子とのポリメラーゼ反応(逆転写酵素伸長反応など)において捕捉用プローブを伸長することによって、表面に「結合」される。一部の実施形態では、接触させるステップは、前記細胞を溶解試薬で処理して、1つまたは複数の核酸分子、例えば、mRNAを前記細胞から放出させるステップを含む。一部の実施形態では、上記の方法は、cDNA分子またはその誘導体を増幅して、cDNA分子またはその誘導体のアンプリコンの複数のセットを作成するステップをさらに含む。一部の実施形態では、複数の細胞のトランスクリプトームは、アンプリコンのcDNA分子を配列決定することによって決定される。一部の実施形態では、表面に結合したcDNA分子は、表面上の位置をコードする空間バーコードを含み、方法は、cDNA分子を、配列決定することの前に、表面から溶出させるステップをさらに含む。一部の実施形態では、表面は、1つまたは複数のゲル層、例えば、1つまたは複数のヒドロゲル層を含み、これは、その上に配置された細胞を封入する。一部の実施形態では、単一のヒドロゲル層は、表面上に配置された細胞の実質的に全部を封入する。一部の実施形態では、表面上に配置された細胞は、別々のゲル層またはゲル体により封入される。
【0072】
一部の実施形態では、拡散性調整剤は、表面上に配置された細胞を囲むヒドロゲルチャンバーを含む。一部の実施形態では、表面上に配置されたそれぞれの細胞は、別々のヒドロゲルチャンバーによって囲まれている。一部の実施形態では、ヒドロゲルチャンバーのポリマーマトリックス壁の多孔性は、所定のサイズ範囲内の分子量を有する細胞の核酸分子が、そのようなポリマーマトリックス壁を通して拡散するのを効率的に防止するように、選択される。mRNAが捕捉される一部の実施形態では、そのようなサイズ範囲は、100リボヌクレオチドよりも多く、または200リボヌクレオチドよりも多く、または300リボヌクレオチドよりも多く、または400リボヌクレオチドよりも多く、または500リボヌクレオチドよりも多くのmRNA分子を含む。一部の実施形態では、細胞が溶解した後、ヒドロゲルチャンバーは、ある時間間隔で、昇温下でインキュベートされて、放出された細胞の核酸分子とそれらの捕捉用プローブとの間で形成された二重鎖を不安定化し、その結果、放出された細胞の核酸分子は、ヒドロゲルチャンバーの内部の表面の捕捉用プローブの間でランダムに分布するようになる。そのような昇温は、25℃~95℃の範囲内であってもよく、またはそのような昇温は、室温より10℃~60℃上回ってもよい。一部の実施形態では、そのような時間間隔は、30秒~20分、または30秒~5分、または30秒~2分の範囲であってもよい。一部の実施形態では、細胞を溶解した後、ヒドロゲルチャンバーは、二重鎖不安定化試薬、例えば、低塩緩衝液で、ある時間間隔で処理されて、放出された細胞の核酸分子と捕捉用プローブとの間で形成される二重鎖を不安定化する。その時間間隔後、そのような低塩緩衝液は、安定な二重鎖を形成する緩衝液に置き換えられる。一部の実施形態では、前記ヒドロゲルチャンバーの内部エリアは、結合されたcDNA分子(そこからクラスターが作成される)が、1μmより大きい、または0.25μmおよび5μmの範囲、または1μmおよび3μmの範囲の予想最近隣距離を有するように、選択される。
【0073】
一部の実施形態では、本発明は、表面上に配置されたヒドロゲルチャンバーを含む物質の組成を含み、ここで、ヒドロゲルチャンバーは、単一細胞由来の核酸分子のランダムな分布を含む内部面積を含む。一部の実施形態では、核酸分子のランダムな分布は、内部面積の所与の下位面積内で結合している所与の数の核酸分子の確率が、下位面積のサイズにのみ依存するという点で、均一な分布である。一部の実施形態では、そのような均一な分布は、実質的にポアソン分布である。「実質的にポアソン分布」は、本明細書で使用される場合、実際の分布がポアソンプロセスによって作成された確率が、50パーセントより高い、または70パーセントより高い、または90パーセントより高いことを意味する。一部の実施形態では、均一に分布した核酸分子は、mRNAである。一部の実施形態では、均一に分布した核酸分子は、cDNAである。一部の実施形態では、mRNA分子またはcDNA分子のそのような均一な分布は、1μmまたはそれよりも大きいmRNAまたはcDNA間の予想最近隣距離を有する。
【0074】
一部の実施形態では、本発明における使用のためのヒドロゲルチャンバーは、以下のステップ:(a)(i)第1の表面をそれぞれ含む1つまたは複数のチャネル、(ii)それぞれの第1の表面と光学連絡している空間エネルギー変調素子、および(iii)それらからの1つまたは複数の光学シグナルに基づいて、それぞれのチャネルにおいて細胞の位置を特定する検出器を含む流体デバイスを提供するステップ、(b)細胞が第1の表面上に配置されるように、それぞれのチャネルに細胞および1つまたは複数のポリマー前駆体をロードするステップ、ならびに(c)1つまたは複数のチャンバーをそれぞれのチャネルにおいて合成するステップであって、投射された光が1つまたは複数のポリマー前駆体の架橋を引き起こして、チャンバーのポリマーマトリックス壁を形成するように、空間エネルギー変調素子を用いてそれぞれのチャネルに光を投射することによって、それぞれのチャンバーが1つまたは複数の細胞を囲む、ステップによって合成され得、ここで、合成されたチャンバーの位置は、検出器によって特定された、それによって囲まれた細胞の位置によってそれぞれのチャネルにおいて決定される。一部の実施形態では、方法は、(i)細胞のメッセンジャーRNAが放出され、ヒドロゲルチャンバーの内部で捕捉用プローブによって捕捉されるように、チャネルに溶解試薬をロードするステップ、(ii)チャネルに逆転写試薬をロードして、捕捉されたメッセンジャーRNAをコピーして、相補的DNAを生成するステップ、および(iii)相補的DNAを配列決定するステップをさらに含む。
【0075】
一部の実施形態では、ヒドロゲルチャンバーのポリマーマトリックス壁は、3×106ダルトン未満の分子量を有する分子を透過させ、3×106ダルトンよりも大きい分子量を有する分子を透過させない。一部の実施形態では、ヒドロゲルチャンバーのポリマーマトリックス壁は、3×105ダルトン未満の分子量を有する分子を透過させ、3×105ダルトンよりも大きい分子量を有する分子を透過させない。一部の実施形態では、ヒドロゲルチャンバーのポリマーマトリックス壁は、3×104ダルトン未満の分子量を有する分子を透過させ、3×104ダルトンよりも大きい分子量を有する分子を透過させない。一部の実施形態では、ヒドロゲルチャンバーのポリマーマトリックス壁は、3×103ダルトン未満の分子量を有する分子を透過させ、3×103ダルトンよりも大きい分子量を有する分子を透過させない。
配列決定のための核酸分子のタグ付けされたセットの作成
【0076】
配列決定のためのタグ付けされた核酸を作成するための方法が本明細書に記載される。一部の実施形態では、タグ付けされた核酸は、固体支持体上で捕捉された1つまたは複数の核酸分子から合成される。固体支持体の非限定的な例としては、ゲルマトリックスまたは流体チャネルが挙げられる。一部の実施形態では、流体チャネルは、フローセルである。一部の実施形態では、固体支持体は、ビーズではない。一部の実施形態では、固体支持体は、ヒドロゲルなどのゲルマトリックスと接触するか、または該ゲルマトリックスで封入される。一部の実施形態では、固体支持体は、ゲルマトリックスである。一部の実施形態では、固体支持体は、封入されているゲルマトリックスである。一部の実施形態では、捕捉された核酸分子は、RNAである。一部の実施形態では、捕捉された核酸分子(例えば、mRNA)は、洗浄されるかまたは分解されて固体支持体から離れる。一部の実施形態では、第1鎖の核酸は、タグ付けされ、捕捉された核酸から合成されるが、第2鎖のタグ付けされた核酸は、捕捉された核酸分子が洗浄されるかまたは分解されて固体支持体から離れた後に、第1鎖の核酸から合成される。一部の実施形態では、方法は、相補的デオキシ核酸(cDNA)分子またはその誘導体のセットを1つまたは複数の核酸分子から調製するステップを含む。一部の実施形態では、1つまたは複数の核酸分子は、1つまたは複数の核酸分子捕捉用プローブおよび複数の表面プライマープローブを含む固体支持体と接触する。一部の実施形態では、1つまたは複数の核酸分子は、捕捉用プローブによって捕捉される。一部の実施形態では、cDNA分子を含む第1鎖の核酸は、捕捉された核酸分子または誘導体から合成され、ここで、合成するステップは、逆転写を行うステップを含み、cDNA分子は、固体支持体に結合される。一部の実施形態では、cDNAは、タグ付けされている(例えば、バーコード、例えば、固有分子インデックスまたはUMIを用いて)。一部の実施形態では、cDNAは、細胞特異的または空間の場所特異的識別子配列、および必要に応じてUMI配列を含むタグでタグ付けされる。一部の実施形態では、アダプター(adapter)は、cDNA分子またはその誘導体の3’末端に挿入または付加することができる。一部の実施形態では、cDNA分子またはその誘導体は、さらに増幅または配列決定することができる。一部の実施形態では、cDNA分子の3’末端に挿入されたアダプターは、配列決定のための開始としての役割を果たすことができる。一部の実施形態では、方法は、cDNA分子またはその誘導体の1つまたは複数の第2鎖を合成するステップを含む。一部の実施形態では、1つまたは複数の第2鎖合成反応は、テンプレートスイッチ伸長を含む。一部の実施形態では、1つまたは複数の第2鎖合成反応は、ランダムプライミングを含む。一部の実施形態では、方法は、一本鎖ライゲーションによって、cDNAライブラリーを合成するステップを含む。一部の実施形態では、cDNAライブラリー合成は、タグ付け断片化を含む。一部の実施形態では、cDNAライブラリー合成は、断片化とそれに続くアダプターライゲーションを含む。一部の実施形態では、cDNAは、切断または線状化することができる。一部の実施形態では、cDNAは、増幅後に、切断または線状化される。一部の実施形態では、cDNAは、固体支持増幅によって合成される。一部の実施形態では、固体支持増幅は、ブリッジ増幅である。
【0077】
一部の実施形態では、固体支持体と接触し、cDNA合成のためのテンプレートとしての役割を果たす1つまたは複数の核酸は、DNAまたはRNAであり得る。一部の事例では、DNAは、一本鎖である。一部の実施形態では、DNAは、ゲノムDNAである。一部の実施形態では、DNAは、無細胞DNAである。一部の実施形態では、RNAは、ncRNA、nmRNA、sRNA、smnRNA、tRNA、sRNA、mRNA、pcRNA、rRNA、5S rRNA、5.8S rRNA、SSU rRNA、LSU rRNA、NoRC RNA、pRNA、6S RNA、SsrS RNA、aRNA、asRNA、asmiRNA、cis-NAT、crRNA、tracrRNA、CRISPR RNA、DD RNA、diRNA、dsRNA、endo-siRNA、exRNA、gRNA、hc-siRNA、hcsiRNA、hnRNA、RNAi、lincRNA、lncRNA、miRNA、mrpRNA、nat-siRNA、natsiRNA、OxyS RNA、piRNA、qiRNA、rasiRNA、RNase MRP、RNase P、scaRNA、scnRNA、scRNA、scRNA、SgrS RNA、shRNA、siRNA、SL RNA、SmY RNA、snoRNA、snRNA、snRNP、SRP RNA、ssRNA、stRNA、tasiRNA、tmRNA、uRNA、vRNA、vtRNA、Xist RNA、Y RNA、NATs、pre-mRNA、circRNA、msRNA、またはcfRNAである。一部の実施形態では、RNAは、mRNAである。一部の実施形態では、RNAは、マイクロRNA(miRNA)である。
プローブの不活化
【0078】
一部の実施形態では、方法は、1つまたは複数の核酸分子捕捉用プローブの少なくともサブセットを不活化し得ることを含む。一部の実施形態では、1つまたは複数の核酸分子捕捉用プローブの少なくともサブセットを不活化することができる(
図7)。一部の実施形態では、1つまたは複数の核酸分子捕捉用プローブの少なくともサブセットは、1つまたは複数の核酸分子と接触する前に不活化することができる。一部の実施形態では、1つまたは複数の核酸分子捕捉用プローブの少なくともサブセットは、1つまたは複数の核酸分子と接触した後に不活化することができる。一部の実施形態では、1つまたは複数の核酸分子捕捉用プローブの少なくともサブセットは、核酸分子捕捉用プローブをヌクレアーゼで処理することによって不活化することができる。一部の実施形態では、1つまたは複数のプライマープローブの少なくともサブセットは、1つまたは複数の核酸分子と接触する前に不活化することができる。一部の実施形態では、1つまたは複数のプライマープローブの少なくともサブセットは、1つまたは複数の核酸分子と接触した後に不活化することができる。一部の実施形態では、1つまたは複数のプライマープローブの少なくともサブセットは、プライマープローブをヌクレアーゼで処理することによって不活化することができる。一部の事例では、ヌクレアーゼは、エンドヌクレアーゼであり得る。一部の態様では、ヌクレアーゼは、エキソヌクレアーゼである。1つまたは複数の核酸分子捕捉用プローブを不活化するためのヌクレアーゼの非限定的な例としては、S1ヌクレアーゼ、P1ヌクレアーゼ、N.crassaヌクレアーゼ、Mycelia、Conidia、BAL 31ヌクレアーゼ、U.Maydisヌクレアーゼ、ヌクレアーゼBh1、Aspergillusヌクレアーゼ、Physarumヌクレアーゼ、SPヌクレアーゼ、リョクトウヌクレアーゼ、コムギ葉緑体ヌクレアーゼ、ヌクレアーゼI、マメ種子ヌクレアーゼ、タバコヌクレアーゼI、アルファルファ苗ヌクレアーゼ、SKヌクレアーゼ、Hen肝臓ヌクレアーゼ、ラット肝臓核ヌクレアーゼ、またはマウスミトコンドリアヌクレアーゼが挙げられる。
【0079】
一部の実施形態では、1つまたは複数の核酸分子捕捉用プローブまたはプライマープローブは、ヌクレアーゼではない部分によって不活化することができる(
図5)。一部の実施形態では、1つまたは複数の核酸分子捕捉用プローブまたはプライマープローブは、TdT酵素を含む部分によって不活化することができる。一部の実施形態では、1つまたは複数の核酸分子捕捉用プローブまたはプライマープローブは、相補的オリゴヌクレオチドとハイブリッド形成することによって不活化することができる。一部の実施形態では、1つまたは複数の核酸分子捕捉用プローブまたはプライマープローブは、1つまたは複数の核酸分子捕捉用プローブまたはプライマープローブを少なくとも部分的に相補的なオリゴヌクレオチドとハイブリッド形成すること、および可逆的ターミネーターヌクレオチドをポリメラーゼで組み込むことによって不活化することができる。一部の実施形態では、1つまたは複数の核酸分子捕捉用プローブまたはプライマープローブは、オリゴヌクレオチドの3’末端にリン酸を結合する部分と接触させることによって不活化することができる。一部の実施形態では、1つまたは複数の核酸分子捕捉用プローブまたはプライマープローブは、カチオン性-中性ジブロックポリペプチドコポリマーを含む部分と接触させることによって不活化することができる。一部の実施形態では、プローブの不活化は、プローブの自己フォールディングを減少させる。一部の実施形態では、プローブの不活化は1つもしくは複数の核酸または1つもしくは複数の核酸から合成されたcDNAと接触していないプローブに関連するバックグラウンドシグナルを減少させる。
溶液中でのcDNAの作成
【0080】
一部の実施形態では、溶液中でcDNAを合成または配列決定するための方法が本明細書に記載される。一部の実施形態では、cDNA分子またはその誘導体は、1つまたは複数の核酸分子が固体支持体に結合している(例えば、1つまたは複数の核酸分子捕捉用プローブと接触することで結合している)間に合成される。一部の実施形態では、cDNAの第1鎖は、1つまたは複数の核酸分子が固体支持体に結合している間に合成される。一部の実施形態では、cDNAの第2鎖は、1つまたは複数の核酸分子が固体支持体に結合している間に合成される。一部の実施形態では、合成されたcDNA(第1および第2鎖の両方)は、溶液中のプライマーとの接触を介して、配列決定前に、固体支持体から溶出される。一部の実施形態では、cDNA分子は、固体支持体から溶出する前に、ゲルマトリックス(例えば、ヒドロゲル)によって接触または封入される。一部の実施形態では、cDNA分子は、固体支持体から溶出した後に、ゲルマトリックス(例えば、ヒドロゲル)によって接触または封入される。一部の実施形態では、cDNA分子は、固体支持体から溶出した後に、水性緩衝液に懸濁される。
【0081】
一部の実施形態では、1つまたは複数の核酸は、核酸分子捕捉用プローブによって接触および捕捉される。核酸分子捕捉用プローブと接触する際に、タグ付けされたcDNA配列の第1鎖が合成され得る。一部の実施形態では、捕捉された核酸分子(例えば、mRNA)は、洗浄されるかまたは分解されて固体支持体から離れる。一部の実施形態では、第1鎖は、タグ付けされたcDNA配列の第2鎖の合成前に、固体支持体から溶出され得る。一部の実施形態では、第1および第2鎖は、cDNAの配列決定前に、固体支持体から溶出され得る。
【0082】
一部の実施形態では、cDNA分子またはその誘導体は、1つまたは複数の核酸分子が固体支持体に結合していない間に合成される。一部の実施形態では、cDNA分子またはその誘導体は、1つまたは複数の核酸分子が、ゲルマトリックス、例えば、本明細書に記載されるヒドロゲルに封入されている間に合成される。一部の実施形態では、cDNA分子またはその誘導体は、1つまたは複数の核酸分子が固体支持体から溶出された後に合成される。一部の実施形態では、cDNAの第1鎖は、1つまたは複数の核酸分子が固体支持体から溶出された後に合成される。一部の実施形態では、cDNAの第2鎖は、1つまたは複数の核酸分子が固体支持体から溶出された後に合成される。一部の実施形態では、cDNAは、溶液中のプライマー配列と接触することによって合成される。一部の実施形態では、溶液中のプライマー配列の使用を介して合成されたcDNAは、断片化される。一部の実施形態では、溶液中のプライマー配列の使用を介して合成されたcDNAは、タグ付け断片化を含む。
プライマープローブの遮断
【0083】
一部の実施形態では、表面プライマープローブを本明細書に記載される遮断部分と接触させることによって、表面プライマープローブをブロックするための方法が本明細書に記載される。一部の実施形態では、表面プライマープローブは、表面プライマープローブに相補的である核酸配列を含むオリゴヌクレオチドと接触させ、ハイブリッド形成することによってブロックすることができる。一部の実施形態では、表面プライマープローブは、1つまたは複数の3’リン酸ヌクレオチドを含む遮断剤と接触させることによってブロックすることができる。
図3は、本明細書に記載されるトランスクリプトームを得るワークフローにおける、必要により表面プライマーをブロックおよびブロック解除する3’リン酸ヌクレオチドを使用する非限定的な例を示す。この使用は、
図2において示される使用と類似する。しかしながら、最初に、表面のP5およびP7プライマープローブがブロックされる(P5
*およびP7
*として示される)。それらを増幅またはライブラリー構築のために使用しようとする場合、それらは、次いで、化学的または酵素的プロセスを使用してブロック解除され得る。これは、望まない表面のハイブリダイゼーションおよびバックグラウンドシグナルを減少させる。
図4は、表面プライマーをブロックおよびブロック解除する別の例を示し、ここで、表面プライマーに相補的な配列を含むオリゴヌクレオチドは、表面プライマーにハイブリッド形成することによって、表面プライマーを利用不能にすることができる。表面プライマーは、活性化され得るか、または相補的な配列の脱ハイブリダイゼーションおよび洗い流しによって利用可能になり得る。
図3と同様に、表面のP5およびP7プライマープローブをブロックする代わりに、P5およびP7プライマープローブは、望まないハイブリダイゼーションを減少させるために、表面上の相補的P5’およびP7’プローブとハイブリッド形成することができる。P5およびP7プライマープローブは、表面活性化の前にハイブリッド形成解除することができる。
【0084】
一部の実施形態では、方法は、cDNA分子またはその誘導体のセットを1つまたは複数の核酸分子から調製するステップを含む。一部の実施形態では、方法は、本明細書に記載される固体支持体を1つまたは複数の核酸分子と接触させて、1つまたは複数の捕捉された核酸分子を生じさせるステップを含む。一部の実施形態では、cDNA分子の第1鎖は、捕捉された核酸分子から合成される。一部の事例では、cDNA分子の第2鎖は、第1鎖から合成される。一部の実施形態では、アダプターは、cDNA分子(第1または第2鎖)またはその誘導体の3’末端に挿入される。一部の実施形態では、cDNA分子は、cDNA分子を配列決定するための配列決定反応の開始のために、複数の表面プライマープローブの少なくともサブセットと接触する。一部の態様では、cDNA分子またはその誘導体は、増幅の前に、固体支持体と結合される。一部の態様では、cDNA分子またはその誘導体は、増幅の前に、固体支持体から溶出される。一部の実施形態では、表面プライマープローブは、複数の表面プライマープローブの少なくともサブセットにおける伸長反応をブロックする遮断剤を含む。一部の実施形態では、cDNA分子の増幅の前に、遮断剤は除去されて、複数の表面プライマープローブをブロック解除して、伸長反応を可能にする。
【0085】
一部の実施形態では、1つまたは複数の遮断剤は、1つまたは複数の3’リン酸ヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、遮断剤は、複数の表面プライマープローブの少なくともサブセットに相補的な配列を含むオリゴヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、1つまたは複数の遮断剤は、複数の表面プライマープローブの少なくともサブセットに部分的に相補的な配列を含む核酸分子、可逆的ターミネーターヌクレオチド、およびポリメラーゼ、またはその任意の誘導体を含む。一部の実施形態では、複数の表面プライマープローブは、複数の表面プライマープローブをTdTで処理することによってブロックされる。一部の実施形態では、複数の表面プライマープローブのサブセットの3’末端のブロックするステップは、複数の表面プライマープローブをカチオン性-中性ジブロックポリペプチドコポリマーと接触させるステップを含む。
配列決定のための核酸のタグ付けされた第2鎖の作成
【0086】
配列決定のために核酸の第2鎖(例えば、cDNA分子の第2鎖)を作成するための方法が本明細書に記載される。
図2は、捕捉されたmRNAおよび核酸のタグ付けされた第2鎖(例えば、cDNA分子の第2鎖)からの配列決定可能なライブラリーのin situおよび直接作成から、改善されたトランスクリプトームを得るための非限定的な例を示す。P5およびP7プライマープローブの表面コーティングを使用して、固体支持体の表面上に直接ライブラリーを作成することができる。増幅は、ブリッジ増幅を使用して行うことができるが、溶液中のプライマーにより行うこともできる。ブリッジ増幅は、固体支持体の表面上でコーティングされたプライマープローブを使用する増幅を含むことができる。プライマープローブは、可撓性リンカーによって、5’末端に結合させることができる。増幅の最後に、それぞれのクローンのクラスターは、cDNAまたは1つもしくは複数の核酸分子の単一メンバーのいくつかのコピーを含む。一部の実施形態では、溶液中のプライマーにより行われた増幅は、エマルジョンPCRの使用を含むことができる。一実施形態では、PCRプライマーの一方は、固体支持体の表面に繋ぎとめることができ(5’結合)、他方のプライマーは、溶液中にあり得る。一部の事例では、固体支持体は、2つ以上のプライマーを含み、ここで、プライマーは、核酸分子もしくはcDNA分子の1つもしくは複数を標的にするか、またはそれとハイブリッド形成することができる。
【0087】
作成された表面クラスターは、in situで直接配列決定され得るか、またはライブラリーは、別々に、配列決定することのために表面から溶出され得る。一部の実施形態では、方法は、cDNA分子またはその誘導体のセットを1つまたは複数の核酸分子から調製するステップを含む。一部の実例では、方法は、1つまたは複数の核酸分子捕捉用プローブおよび複数の表面プライマープローブを含む固体支持体を提供するステップを含む。一部の事例では、方法は、固体支持体を1つまたは複数の核酸分子と接触させて、1つまたは複数の捕捉された核酸分子を生じさせるステップを含む。一部の実施形態では、cDNA分子は、捕捉された核酸分子から合成され、ここで、cDNAを合成するステップは、cDNAまたは1つもしくは複数の核酸分子が固体支持体に結合するときに起こり得る。一部の実施形態では、cDNAを合成するステップは、cDNAまたは1つもしくは複数の核酸分子が固体支持体から溶出されるときに起こり得る。一部の実施形態では、アダプターは、cDNA分子またはその誘導体の3’領域に挿入することができる。一部の実施形態では、cDNAの増幅は、cDNA分子またはその誘導体のセットが固体支持体に結合されるときに起こる。
【0088】
一部の実施形態では、cDNA分子またはその誘導体のセットは、複数の表面プライマープローブに結合される。一部の実施形態では、cDNA分子の3’領域に挿入されたアダプターは、cDNA分子またはその誘導体のセットのcDNA分子における配列決定反応の開始を可能にするように構成された配列を含む。一部の実施形態では、1つまたは複数の核酸分子捕捉用プローブは、本明細書に記載される部分のうちのいずれか1つによって不活化またはブロックすることができる。一部の実施形態では、1つまたは複数の核酸分子捕捉用プローブは、本明細書に記載されるヌクレアーゼのうちのいずれか1つによって不活化することができる。一部の実施形態では、ヌクレアーゼは、エキソヌクレアーゼである。
図7は、表面上または溶液中の未使用および未結合プライマーを消化するためのエキソヌクレアーゼの使用を示す。例えば、任意のRNA分子を捕捉していない未結合の捕捉用プローブ(例えば、ポリT)を消化することができる。
【0089】
一部の実施形態では、1つまたは複数の第2鎖合成反応は、テンプレートスイッチ伸長、ランダムプライミング、またはその両方を含む。一部の実施形態では、cDNA分子またはその誘導体の増幅は、cDNAが固体支持体に結合するときに起こる。一部の実施形態では、cDNA分子またはその誘導体の増幅は、cDNAが固体支持体から溶出されるときに起こる。一部の実施形態では、cDNA分子の増幅は、cDNA分子を溶液中のプライマー配列と接触させるステップを含む。一部の実施形態では、cDNAは、断片化を含む。一部の実施形態では、cDNAに挿入されたアダプターは、タグ付け断片化のための配列を含む。一部の実施形態では、アダプターは、一本鎖ライゲーションによって、cDNAに挿入される。一部の実施形態では、アダプターは、二本鎖ライゲーションによって、cDNAに挿入される。
【0090】
一部の実施形態では、複数の表面プライマープローブの少なくともサブセットは、複数の表面プライマープローブの少なくともサブセットにおける伸長反応をブロックする遮断剤を含む。一部の実施形態では、方法は、遮断剤を、複数の表面プライマープローブの少なくともサブセットをブロック解除する反応に供して、伸長反応を可能にするステップを含む。一部の実施形態では、1つまたは複数の遮断剤は、1つまたは複数の3’リン酸ヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、1つまたは複数の遮断剤は、複数の表面プライマープローブの少なくともサブセットに相補的な配列を含む核酸分子を含む。一部の実施形態では、1つまたは複数の遮断剤は、複数の表面プライマープローブの少なくともサブセットに部分的に相補的な配列を含む核酸分子、可逆的ターミネーターヌクレオチド、およびポリメラーゼ、またはその任意の誘導体を含む。
図3は、本明細書に記載されるトランスクリプトームを得るワークフローにおいて、必要であれば表面プライマーをブロックおよびブロック解除する3’リン酸ヌクレオチドを使用する非限定的な例を示す。この使用は、
図2において示される使用と類似する。しかしながら、最初に、表面のP5およびP7プライマープローブがブロックされる(P5
*およびP7
*として示される)。それらを増幅またはライブラリー構築のために使用しようとする場合、それらは、次いで、化学的または酵素的プロセスを使用してブロック解除され得る。これは、望まない表面のハイブリダイゼーションおよびバックグラウンドを減少させる。
図4は、表面プライマーをブロックおよびブロック解除する別の例を示し、ここで、表面プライマーに相補的な配列を含むオリゴヌクレオチドは、表面プライマーにハイブリッド形成することによって、表面プライマーを利用できない状態にすることができる。表面プライマーは、活性化され得るか、または相補的な配列の脱ハイブリダイゼーションおよび洗い流しによって利用可能になり得る。
図3と同様に、表面のP5およびP7プライマープローブをブロックする代わりに、P5およびP7プライマープローブは、望まないハイブリダイゼーションを減少させるために、表面上の相補的P5’およびP7’プローブとハイブリッド形成することができる。P5およびP7プライマープローブは、表面活性化の前にハイブリッド形成解除することができる。
【0091】
一部の実施形態では、方法は、DNA分子またはその誘導体のセットのサブセットを、末端デオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼ(TdT)と接触させることによって、DNA分子またはその誘導体のセットのサブセットの3’末端のブロックするステップを含む。他の事例では、方法は、DNA分子またはその誘導体のセットのサブセットを、DNA分子のセットのサブセットの3’末端に相補的な配列を含むオリゴヌクレオチドと接触させることにより、DNA分子またはその誘導体のセットのサブセットの3’末端のブロックするステップを含む。
図5は、二次構造に起因する核酸分解を減少させるための、末端デオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼ(TdT、上パネル)または相補的オリゴヌクレオチド(下パネル)の使用を示す。TdT酵素は、cDNAクラスターの3’末端をブロックすることができ、その結果、この末端が、cDNA分子上で(より具体的には、ポリT捕捉用プローブ上で)巻き戻され、二次構造を形成する場合、それは、伸長できず、配列決定の間にノイズシグナルを作り出すことができず、配列決定シグナルの品質の減少をもたらす。このステップは、クラスタリングおよび切断または線状化ステップの後に行うことができる。あるいは、相補的オリゴヌクレオチドを、TdTの代わりに使用して、自己フォールディングを防止することができる。一部の実施形態では、方法は、DNA分子またはその誘導体のセットのサブセットを、カチオン性-中性ジブロックポリペプチドコポリマーと接触させることによって、DNA分子またはその誘導体のセットのサブセットの3’末端のブロックするステップを含む。
【0092】
一部の実施形態では、1つまたは複数の核酸分子捕捉用プローブは、1つまたは複数の核酸分子に結合するように構成された配列を含む。一部の態様では、1つまたは複数の核酸分子に結合するように構成された配列は、ポリT配列、ランダマー、1つもしくは複数の核酸分子の少なくともサブセットに相補的な配列、またはその任意の組合せを含む。1つまたは複数の核酸分子捕捉用プローブが、1つまたは複数のタグを含み、タグが、細胞特異的または空間の場所特異的識別子配列、および必要に応じて固有分子識別子(UMI)配列を含む、先行する請求項のいずれか一項に記載の方法。一部の実施形態では、cDNAの合成または増幅は、1つもしくは複数の核酸分子またはcDNA分子が固体支持体に結合するときに起こる。一部の実施形態では、cDNAの合成または増幅は、1つもしくは複数の核酸分子またはcDNA分子が固体支持体から溶出されるときに起こる。一部の実施形態では、cDNAの合成または増幅は、1つもしくは複数の核酸分子またはcDNA分子が本明細書に記載されるゲルマトリックスと接触または該ゲルマトリックスで封入されるときに起こる。一部の実施形態では、cDNAの合成または増幅は、1つもしくは複数の核酸分子またはcDNA分子が、固体支持体から溶出され、ゲルマトリックスと接触または該ゲルマトリックスで封入されるときに起こる。
テンプレートスイッチングオリゴヌクレオチド
【0093】
テンプレートスイッチングオリゴヌクレオチドを利用することによってcDNAを合成するための方法が本明細書に記載される。
図8Aは、テンプレートスイッチングプライマーを使用する例を示す。オリゴヌクレオチドにおける遊離の溶液中のテンプレートスイッチを使用する代わりに、表面プライマーを、テンプレートスイッチングプライマーとして使用することができる。この改善は、テンプレートスイッチングプロセスの効率を増加させることができ、テンプレートスイッチングプロセスの間のコンカテマーの形成を回避することもでき、このようにして、ワークフロー全体についてのmRNA捕捉の効率を増加させる。一部の実施形態では、方法は、cDNA分子またはその誘導体のセットを1つまたは複数の核酸分子から調製するステップを含む。一部の実施形態では、方法は、1つまたは複数の核酸分子捕捉用プローブおよび複数の表面プライマープローブを含む固体支持体を提供するステップを含み、ここで、複数の表面プライマープローブの少なくともサブセットは、テンプレートスイッチ部分(例えば、テンプレートスイッチプライマー)を含む。一部の実施形態では、方法は、固体支持体を1つまたは複数の核酸分子と接触させて、1つまたは複数の捕捉された核酸分子を生じさせるステップ、およびcDNA分子を捕捉された核酸分子または誘導体から合成するステップを含む。一部の実施形態では、アダプターを、cDNA分子またはその誘導体の3’末端に挿入することができる。一部の実施形態では、cDNA分子または誘導体は、配列決定のために増幅することができる。
【0094】
一部の実施形態では、方法は、cDNA分子またはその誘導体を含む1つまたは複数の第2鎖合成反応を行うステップを含む合成するステップを含む。一部の実施形態では、1つまたは複数の第2鎖合成反応は、テンプレートスイッチ部分を含む複数の表面プライマープローブのサブセットによって媒介される。一部の実施形態では、第2鎖は、テンプレートスイッチ伸長によって合成される。一部の実施形態では、cDNA分子またはその誘導体は、複数の表面プライマープローブまたはテンプレートスイッチング部分に結合される。一部の実施形態では、cDNAの3’領域に挿入されたアダプターは、cDNA分子またはその誘導体における配列決定反応の開始を可能にするように構成された配列を含む。一部の実施形態では、1つまたは複数の核酸分子捕捉用プローブ、または表面プライマープローブは、本明細書に記載される部分のうちのいずれか1つによって不活化またはブロックすることができる。
【0095】
一部の実施形態では、cDNAの合成または増幅は、1つもしくは複数の核酸分子またはcDNA分子が固体支持体に結合するときに起こる。一部の実施形態では、cDNAの合成または増幅は、1つもしくは複数の核酸分子またはcDNA分子が固体支持体から溶出されるときに起こる。一部の実施形態では、cDNAの合成または増幅は、1つもしくは複数の核酸分子またはcDNA分子が本明細書に記載される溶液中のプライマー配列と接触するときに起こる。一部の実施形態では、cDNAの合成または増幅は、1つもしくは複数の核酸分子またはcDNA分子が本明細書に記載されるゲルマトリックスと接触または該ゲルマトリックスで封入されるときに起こる。一部の実施形態では、cDNAの合成または増幅は、1つもしくは複数の核酸分子またはcDNA分子が、固体支持体から溶出され、ゲルマトリックスと接触または該ゲルマトリックスで封入されるときに起こる。
【0096】
一部の実施形態では、本明細書に記載される方法は、トランスクリプトーム配列決定を得るために利用することができる。一部の実施形態では、第1鎖合成は、ランダマーを含むプライマープローブを使用して、伸長させることができる。ランダマーは、トランスポソームアダプター配列またはテンプレートスイッチング(TS)プライマーなどの他のアダプターおよびプライマー結合部位に加えて、試料バーコードおよび固有分子識別子の同じ組合せを含むことができる。テンプレートスイッチングおよび第2鎖合成は、オリゴdTプライムドcDNA合成のために行うことができる。得られた二本鎖cDNAは、次いで、タグ付け断片化に供することができる。
【0097】
図8Bは、捕捉配列およびバーコード配列(UMIを含んでいてもよく、または含んでいなくてもよい)が、別々の表面プライマーでグループ化されるか、またはそこに位置する実施形態を示す。これは、より短い表面プライマーをもたらし、これは、合成の視点から、およびまた表面タグ付け断片化(使用される場合)に関する問題が少なくなるという理由の両方で有利である。また、システムは、複数の異なる捕捉用プローブを、システムの残りの設計を変更することなく使用することができるようなモジュール式である。例えば、mRNA捕捉のためのポリDTオリゴ、および特異的な核酸配列、例えば、相補的オリゴバーコードを捕捉するためのハンドル配列。
【0098】
ある実施形態では、固体支持体(850)は、(i)表面プライマー(854)(例えば、P7プライマーであり得る)および捕捉用プローブ(856)を含む捕捉用エレメントまたはプローブ(851)、ならびに(ii)表面プライマー(862)(例えば、P5表面プライマーであり得る)、プライマー結合部位(R1)の相補体(R1’)(864)(配列決定するステップにおいて使用されて、例えば、バーコードまたはUMIを特定し得る)、バーコード配列(866)、UMI(868)、およびプライマー結合部位の相補体(R2’)(870)、R2(配列決定するステップにおいて使用されて、例えば、標的テンプレートを特定し得る)を含むオリゴヌクレオチド配列(861)を含む表面(852)を有する。捕捉用プローブ(856)(例えば、mRNAのポリA領域、または別の細胞の核酸分子もしくは人工配列、例えば、抗体標識のいわゆる「ハンドル」配列)に対する相補体(860)、およびcDNAの部分を形成するようにコピーされるテンプレート領域(858)を含む捕捉された配列(863)も示される。逆転写、タグ付け断片化(または同様の手順)および変性(871)後、予備的cDNA(873)が生成する。代替の実施形態では、R2(872)は、タグ付け断片化が使用されない場合に、テンプレートスイッチングを介して結合されてもよい。ハイブリダイゼーション条件下、ならびにポリメラーゼおよびdNTPの存在下、R2(872)は、その相補体R2’(870)とアニールし、表面プライマー(861)をコピーして伸長する(875)。これは、プライマー結合部位R2(884)、UMI(888)、バーコード(886)、プライマー結合部位R1(885)、およびプライマー結合部位P5(881)を含む最終cDNA生成物(878)をもたらす(877)。この最終cDNA生成物は、例えば、表面増幅されて、配列決定のためのクラスターを形成してもよく、またはこれは、コピーされ、コピーが、外部配列決定のために溶出されてもよい。
【0099】
一部の実施形態では、バーコード化cDNAを合成するための上記の方法は、以下のステップ:(a)固体支持体を提供するステップであって、固体支持体が、1つまたは複数の核酸分子捕捉用プローブおよび複数の表面プライマープローブを含み、表面プライマープローブの少なくとも1つが、バーコード配列を含む、ステップ、(b)固体支持体を前記1つまたは複数の核酸分子と接触させて、1つまたは複数の捕捉された核酸分子を生じさせるステップ、(c)最初のcDNA分子を捕捉された核酸分子または誘導体から合成するステップであって、cDNA分子が、前記固体支持体に結合される、ステップ、(d)アダプター(adaptor)をcDNA分子の自由端にライゲーションするステップであって、アダプターが、バーコード配列を含む表面プライマープローブの3’末端に相補的な3’セグメントを含む、ステップ;アダプターの3’セグメントが、表面プライマーの3’末端にアニールされ、伸長され、それによって、バーコード配列を含む第2のcDNA分子が生成する条件を提供するステップによって実行され得る。一部の実施形態では、アダプターは、タグ付け断片化によって、最初のcDNAにライゲーションされる。一部の実施形態では、第2のcDNA分子は、表面増幅されて、クラスターを形成する。
タグ付けの前の核酸分子の増幅
【0100】
タグ付けまたは断片化の前に核酸分子を増幅するための方法が本明細書に記載される。
図6は、オフ-フローセルワークフロー(上パネル)およびオン-フローセルワークフロー(下パネル)における単一細胞トランスクリプトームを得るためおよびその品質を増加させるためにワークフローを改善するための断片化の前にcDNAを増幅する非限定的な例を示す。一部の実施形態では、方法は、固体支持体を提供するステップであって、固体支持体が、1つまたは複数の核酸分子捕捉用プローブを含む、ステップによって、cDNA分子またはその誘導体のセットを1つまたは複数の核酸分子から調製するステップを含む。一部の態様では、方法は、固体支持体を1つまたは複数の核酸分子と接触させて、1つまたは複数の捕捉された核酸分子を生じさせるステップを含む。一部の事例では、方法は、cDNA分子を捕捉された核酸分子または誘導体から合成するステップ、およびcDNA分子またはその誘導体を増幅して、増幅されたcDNA集団を作成するステップを含む。前に述べたように、アダプターを、タグ付けされた増幅されたcDNA集団を作成するために、増幅されたcDNA分子またはその誘導体の3’領域に挿入することができる。一部の実施形態では、方法は、タグ付けされた増幅されたcDNA集団において固体支持増幅を行って、cDNA分子またはその誘導体のセットを作成するステップを含む。一部の実施形態では、方法は、cDNA分子またはその誘導体が固体支持体から溶出された後に増幅を行うステップを含む。一部の実施形態では、cDNA分子もしくはその誘導体、増幅されたcDNA集団、タグ付けされた増幅されたcDNA集団、cDNA分子もしくはその誘導体のセット、またはその任意の組合せは、複数の表面プライマープローブに結合される。
【0101】
一部の実施形態では、アダプターは、cDNA分子またはその誘導体のセットのcDNA分子における配列決定反応の開始を可能にするように構成された配列を含む。一部の実施形態では、方法は、固体支持体を、1つまたは複数の核酸分子捕捉用プローブの少なくともサブセットを不活化するように構成された部分と接触させるステップを含む。一部の実施形態では、1つまたは複数の核酸分子捕捉用プローブのサブセットは、核酸分子を捕捉しなかった1つまたは複数の核酸分子捕捉用プローブを含む。一部の実施形態では、核酸分子捕捉用プローブまたは表面プライマープローブのうちの1つまたは複数は、本明細書に記載される部分のうちのいずれか1つによって不活化またはブロックすることができる。
ポリマーマトリックスを用いる実施形態
【0102】
本開示は、1つまたは複数の生体成分を区画化または単離するためのシステムを提供する。システムは、1つまたは複数の生体成分を含有または含む流体デバイスを含むことができる。流体デバイスは、1つまたは複数のポリマー前駆体を含有または含んでいてもよい。一部の事例では、流体デバイスは、1つまたは複数の生体成分の少なくとも1つを結合または受け取って、結合した生体成分を形成するように構成された第1の表面を含むことができる。システムはまた、少なくとも1つのエネルギー源を含んでいてもよく、ここで、エネルギー源は、流体デバイスと連絡している。さまざまな実施形態では、少なくとも1つのエネルギー源は、1つまたは複数の生体成分の少なくとも一部分上でまたはそれに隣接してポリマーマトリックスを形成し得る。
【0103】
一部の事例では、試料は、システムに導入または(of)提供され得る。ある特定の事例では、試料は、1つまたは複数の生体成分を含んでいてもよい。システムを使用して、1つまたは複数の生体成分を互いに分離してもよい。さまざまな事例では、生体成分は、物理的に分離されてもよい。一部の事例では、生体成分は、互いと流体連絡していてもよい。ある特定の事例では、生体成分は、互いと化学的に連絡していてもよい。システムは、単一細胞分析のために使用されてもよい。一部の実施形態では、システムは、ゲノムレベルにおける単一細胞分析のために使用されてもよい。例えば、システムは、ゲノム配列決定のために使用されてもよい。別の例について、システムは、デオキシリボ核酸(DNA)配列決定のために使用されてもよい。システムは、無細胞DNAのDNA配列決定、全ゲノム配列決定、全エクソーム配列決定、標的化配列決定、または16S配列決定のために使用されてもよい。システムは、目的の生体分子に結合したDNAタグを研究するために使用されてもよい。生体分子は、タンパク質、代謝産物などを含んでいてもよい。一部の事例では、DNAは、核DNAまたはミトコンドリアDNAであってもよい。システムは、トランスクリプトームレベルにおける単一細胞分析またはバルク分析のために使用されてもよい。例えば、システムは、リボ核酸(RNA)配列決定のために使用されてもよい。例えば、システムは、3’もしくは5’遺伝子発現分析、細胞の免疫レパートリー研究、または全長mRNA分析のために使用されてもよい。一部の実施形態では、システムは、プロテオームレベルにおける単一細胞分析のために使用されてもよい。システムは、生体成分の機能性アッセイのために使用されてもよい。システムは、表面タンパク質、分泌タンパク質、または生体成分の代謝産物を研究するために使用されてもよい。一部の事例では、システムは、生体成分におけるエピゲノミクス、DNAメチル化、またはクロマチンアクセシビリティを研究するために使用されてもよい。システムは、他の好適なアッセイ、実験、およびプロセスのために使用されてもよい。
【0104】
ある特定の実施形態では、システムは、間接的な細胞間相互作用レベルにおける単一細胞分析のために使用されてもよい。例えば、第2の細胞に対する、第1の細胞から産生された1つまたは複数の分子の効果を、本明細書に提供されるシステムを使用して分析することができる。さまざまな実施形態では、システムは、直接的な細胞間相互作用を分析するために使用されてもよい。例えば、2つまたはそれよりも多くの細胞(例えば、第1の細胞および第2の細胞)は、物理的接触下にあり得、第2の細胞に対する第1の細胞の1つまたは複数の効果、またはその逆は、本明細書に開示されるシステムを使用して分析することができる。一部の実施形態では、システムは、生体成分における薬物応答分析のために使用されてもよい。ある特定の実施形態では、システムは、さまざまな生理学的条件(例えば、さまざまな媒体、温度、機械的刺激など)に対する生体成分の応答を分析するために使用されてもよい。
【0105】
一部の事例では、試料は、生体試料を含む。生体試料は、生体成分を含んでいてもよい。一部の実施形態では、生体試料は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、30、40、50、100、200、300、400、500、600、700、1,000、10,000、105、106、107、108、109、1010、1020、またはそれよりも多くの生体成分を含んでいてもよい。生体試料は、本明細書に挙げた2つの数のいずれかの間の任意の数の生体成分を含んでいてもよい。一部の実施形態では、生体試料は、1020よりも多くの生体成分を含んでいてもよい。生体成分は、細胞を含み得る。一部の実施形態では、細胞は、真核細胞、原核細胞、真菌細胞、原生動物、藻類細胞、植物細胞、動物細胞(例えば、ヒト細胞)、または任意の他の好適な細胞を含み得る。生体成分は、細胞、ウイルス、細菌、核酸(例えば、DNA、またはRNA)、タンパク質、またはその組合せを含み得る。組合せは、DNA-タンパク質複合体、RNA-タンパク質複合体、またはその組合せを含み得る。ある特定の実施形態では、核酸は、DNAを含み得る。DNAは、少なくとも10塩基対(bp)の長さであってもよい。一部の実施形態では、DNAは、少なくとも10bp、20bp、30bp、40bp、50bp、60bp、70bp、80bp、90bp、100bp、200bp、300bp、400bp、500bp、600bp、700bp、800bpの長さであるか、または800bpよりも長い。
【0106】
ある特定の実施形態では、1つまたは複数のポリマー前駆体は、生体試料に添加されてもよく、またはそれとともに含まれていてもよい。1つまたは複数の生体試料および1つまたは複数のポリマー前駆体は、システムに(例えば、システムの流体デバイスに)導入されてもよい。1つまたは複数の生体試料および1つまたは複数のポリマー前駆体は、任意の順序で(例えば、平行して、逐次的など)流体デバイスに導入されてもよい。例えば、生体試料(複数可)は、ポリマー前駆体(複数可)の前に導入されてもよく、ポリマー前駆体(複数可)は、生体試料(複数可)の前に導入されてもよく、生体試料(複数可)およびポリマー前駆体(複数可)は、同時に(または実質的に同時に)、または任意の他の好適な様式もしくは順序で導入されてもよい。一部の実施形態では、ポリマー前駆体は、1つまたは複数のヒドロゲル前駆体を含んでいてもよい。1つまたは複数のポリマー前駆体は、システムに別々に貯蔵および/または導入されてもよい。一部の事例では、1つまたは複数のポリマー前駆体は、システムへの導入の前に、1つまたは複数の生体成分と混合されてもよい。さまざまな事例では、1つまたは複数のポリマー前駆体は、システムへの導入の後に、1つまたは複数の生体成分と混合されてもよい。
【0107】
システムは、流体デバイスを含んでいてもよい。一部の実施形態では、流体デバイスは、1つまたは複数のポリマー前駆体を含んでいてもよい。言い換えれば、1つまたは複数のポリマー前駆体は、流体デバイスの少なくとも一部分内(例えば、流体デバイスのチャネルの少なくとも一部分内)に配置されていてもよい。一部の実施形態では、流体デバイスは、1つまたは複数のチャネルまたはチャンバーを含んでいてもよい。一部の実施形態では、流体デバイスは、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、30、40、50、100、200、300、400、500、600、700、1,000、10,000のチャネルもしくはチャンバー、または本明細書に挙げた2つの数のいずれかの間の任意の数のチャネルもしくはチャンバーを含んでいてもよい。一部の実施形態では、流体デバイスは、10,000よりも多くのチャネルまたはチャンバーを含む。本明細書に記載されるように、流体デバイスは、1つまたは複数のチャネルを含んでいてもよい。流体デバイスはまた、または代替的に、1つまたは複数のチャンバーを含んでいてもよい。チャネルおよびチャンバーという用語は、他に指示されない限り、本明細書の開示において互換的に使用され得る。例えば、流体デバイスのチャネルまたはチャンバーは、第1の表面、第2の表面、またはそれよりも多くの表面を含んでいてもよい。
【0108】
流体デバイスのチャネルまたはチャンバーは、生体試料を受け取ってもよく、またはそれを受け取るように構成されていてもよい。
図10は、本明細書に提供されるシステムの流体デバイスの少なくとも一部分に配置され得るチャネル100の一部分の略図を示す。流体デバイスは、チャネル100を含み得る。チャネル100は、第1の表面101を含み得る。さらに、チャネル100は、第2の表面102を含み得る。一部の実施形態では、第1の表面101および第2の表面102を、互いに反対側に配置する、置くまたは位置させる(例えば、
図10に表される通り)。一部の実施形態では、第1の表面101は、下面であってもよい。ある特定の実施形態では、第2の表面102は、上面であってもよい。「下(lower)」および「上(upper)」という用語は、図を参照する場合、限定することを意図するものではなく、便宜のため、本明細書において使用される。チャネル100は、1つまたは複数の生体成分50、51を含む生体試料を受け取り得る。チャネル100は、1つまたは複数のポリマー前駆体を受け取り得る。
図10に示されるように、生体成分50、51は、細胞を含み得る。しかしながら、本明細書で議論されるように、生体成分は、組織、タンパク質、核酸などを含んでいてもよい。一部の実施形態では、第1の表面101、第2の表面102、または両方の表面は、1つまたは複数の生体成分50、51の少なくとも1つを結合もしくは受け取ってもよく、またはそれを結合もしくは受け取るように構成されていてもよい。一部の事例では、第1の表面101は、生体成分(例えば、生体成分50、51)を結合もしくは受け取ってもよく、またはそれを結合もしくは受け取るように構成されていてもよい。ある特定の事例では、第2の表面102は、生体成分(例えば、生体成分50、51)を結合もしくは受け取ってもよく、またはそれを結合もしくは受け取るように構成されていてもよい。
【0109】
ある特定の事例では、チャネルは、長方形、円形、半円形、卵型の断面、または他の好適に成形された断面を有していてもよい。したがって、チャネルは、単一の内部表面を有していてもよい。一部の事例では、チャネルは、三角形、正方形、長方形、多角形、または他の断面を有していてもよい。したがって、チャネルは、3つまたはそれよりも多くの内部表面を有していてもよい。1つまたは複数の内部表面は、1つまたは複数の生体成分を結合もしくは受け取ってもよく、またはそれを結合もしくは受け取るように構成されていてもよい。
【0110】
一部の事例では、第1の表面101、第2の表面102、または表面101および102の両方は、例えば、コーティング(例えば、表面コーティング)を用いて官能化されていてもよい。一部の実施形態では、表面コーティングは、表面ポリマーであってもよい。表面コーティングの一部の非限定的な例としては、捕捉試薬(例えば、ピリジンカルボキシアルデヒド(PCA))、1つまたは複数の部分(例えば、化学部分)を捕捉するための官能基、アクリルアミド、アガロース、ビオチン、ストレプトアビジン、strep-tag II、リンカー、アルデヒド、ホスフェート、シリケート、エステル、酸、アミド、アルキン、アジド、アルデヒドジチオラン、またはその組合せを含む官能基が挙げられ得る。さまざまな実施形態では、表面コーティングは、1つまたは複数の部分を捕捉するための官能基を含んでいてもよい。例えば、アクリルアミド、アガロースなどは、そのような官能基を含んでいてもよい。ある特定の実施形態では、表面ポリマーは、ポリエチレングリコール(PEG)、チオール、アルケン、アルキン、アジド、またはその組合せを含んでいてもよい。さまざまな実施形態では、表面ポリマーは、シランポリマーを含んでいてもよい。一部の実施形態では、表面ポリマーは、オリゴヌクレオチド、抗体、サイトカイン、ケモカイン、タンパク質、抗体誘導体、抗体断片、炭水化物、毒素、またはアプタマーのうちの少なくとも1つで官能化されていてもよい。
【0111】
一部の事例では、第1の表面101、第2の表面102、または表面101および102の両方は、1つまたは複数のバーコード(例えば、核酸バーコード)を含んでいてもよい。一部の実施形態では、第1の表面101、第2の表面102、または表面101および102の両方は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、30、40、50、100、200、300、400、500、600、700、1,000、10,000、50,000、100,000、250,000、500,000、1,000,000、2,000,000、5,000,000、10,000,000、15,000,000バーコード、または本明細書に挙げた2つの数のいずれかの間の任意の数のバーコードを含んでいてもよい。バーコードは、約500nm2~約500nm2の面積をカバーしていてもよい。一部の実施形態では、第1の表面101、第2の表面102、または表面101および102の両方は、多くて約10,000,000の総数のバーコードを含んでいてもよい。バーコードは、互いに異なっていてもよい(例えば、それぞれのバーコードは固有であり得る)。ある特定の実施形態では、バーコードの第1の部分またはサブセットは、バーコードの第2の部分またはサブセットと異なっていてもよい。バーコードの2、3、4、5、10、15、20、25、50、75、100、1,000、10,000の部分もしくはサブセット、または本明細書に挙げた2つの数のいずれかの間の任意の数のバーコードの部分もしくはサブセットが存在してもよい。一部の事例では、バーコード(またはバーコードの部分/サブセット)は、表面上のバーコードの場所(チャネルの表面上の場所の座標(例えば、x、y座標))に関連付けられてもよい。バーコードは、捕捉された生体成分に結合または連結されていてもよい。一部の実施形態では、バーコードは、生体成分を他の生体成分から識別する(例えば、第2の生体成分に対して第1の生体成分を特定する)固有の識別子であってもよい。一部の実施形態では、バーコードは、生体成分を捕捉するための核酸配列(例えば、共通配列)を含んでいてもよく、または増幅において使用されてもよい。一部の実施形態では、バーコードは、固有の核酸配列(例えば、DNA配列、RNA配列など)、タンパク質タグ、抗体、またはアプタマーを含む固有の識別子を含んでいてもよい。一部の実施形態では、バーコードは、蛍光分子を含んでいてもよい。一部の実施形態では、捕捉された生体成分の場所は、例えば、生体成分の空間情報を保持する固有の識別子と関連付けられてもよい。
【0112】
一部の実施形態では、流体デバイスは、フローセルであってもよい。例えば、流体デバイスは、配列決定(例えば、DNAまたはRNA配列決定)のために使用されてもよい。一部の実施形態では、流体デバイスは、マイクロ流体デバイスであってもよい。ある特定の実施形態では、流体デバイスは、ナノ流体デバイスであってもよい。
【0113】
本明細書に開示されるシステムは、1つまたは複数のエネルギー源を含んでいてもよい。エネルギー源は、流体デバイスと連絡していてもよい。一部の事例では、エネルギー源を使用して、流体デバイスにおいて(例えば、流体デバイスのチャネルまたはチャンバーの表面上でまたはそれに隣接して)、1つまたは複数のポリマーマトリックスを形成することができる。一部の実施形態では、エネルギー源は、光発生デバイス、熱発生デバイス、電気化学反応発生デバイス、電極、またはマイクロ波デバイスを含んでいてもよい。ポリマーマトリックスは、流体デバイスのチャネルにおいて形成されてもよい。エネルギー源は、エネルギーを、流体デバイスの所定の位置に向け得るか、または移動させ得る。エネルギーは、所定の位置で、1つまたは複数のポリマー前駆体がポリマーマトリックスを形成する(例えば、重合する)ようにさせ得るか、またはそれを形成するように活性化し得る。
【0114】
一部の実施形態では、ポリマーマトリックスは、ヒドロゲルを含んでいてもよい。一部の実施形態では、ヒドロゲルは、ポリマーマトリックスを通して試薬(例えば、酵素、化合物、小分子、抗体など)の動きまたは移動を可能にするのに十分な多孔質であってもよく、またはそれに好適なサイズのポアを有していてもよく、一方でヒドロゲルは、ポリマーマトリックスを通して生体成分(例えば、DNA、RNA、タンパク質、細胞など)の動きまたは移動を可能にせずともよい。一部の実施形態では、ポアは、5nm~100nmの直径を有していてもよい。一部の実施形態では、ポアは、5nm~10nm、10nm~20nm、20nm~30nm、30nm~40nm、50nm~60nm、60nm~70nm、70nm~80nm、80nm~90nm、90nm~100nmの直径を有していてもよい。一部の実施形態では、ポアは、100nmよりも大きい直径を有していてもよい。一部の実施形態では、ポアは、5nmよりも小さい直径を有していてもよい。試薬は、50塩基対(bp)未満のサイズを有する酵素またはプライマーを含んでいてもよい。プライマーは、一本鎖DNA(ssDNA)を含んでいてもよい。一部の実施形態では、プライマーは、5bp~50bpのサイズを有していてもよい。一部の実施形態では、プライマーは、5bp~10bp、10bp~20bp、20bp~30bp、30bp~40bp、または40bp~50bpのサイズを有していてもよい。一部の実施形態では、プライマーは、50bpよりも大きいサイズを有していてもよい。ある特定の事例では、プライマーは、5bp未満のサイズを有していてもよい。試薬は、リゾチーム、プロテイナーゼK、六量体(例えば、ランダム六量体)、ポリメラーゼ、トランスポザーゼ、リガーゼ、触媒酵素、デオキシリボヌクレアーゼ、デオキシリボヌクレアーゼ阻害剤、リボヌクレアーゼ、リボヌクレアーゼ阻害剤、DNAオリゴ、デオキシヌクレオチド三リン酸、バッファー、界面活性剤、塩、二価カチオン、または任意の他の好適な試薬を含んでいてもよい。
【0115】
図11Aは、エネルギー源1103を含む本明細書に提示されるシステムの一部分を示す。
図11Aの実施形態は、一部の点で、
図10の構成成分に似ている構成成分を含み得る。例えば、
図11Aの実施形態は、
図10のチャネル100に似ていてもよいチャネル1100を含む。示された実施形態が類似する特徴を有していてもよいことが認識される。したがって、同様の特徴は、先頭の数字が「2」に増加して、同様の参照番号で指定される。そのため、同様に特定された特徴に関する上記に示される関連する開示は、本明細書の以下で繰り返さないことがある。また、本明細書に提供されるシステムの特定の特徴、および
図11Aに示される関連する構成成分は、図面において参照番号によって示されないもしくは特定されないことがあり、または以下に続く書面において具体的に議論されないことがある。しかしながら、そのような特徴は、明確に、他の実施形態において表されるおよび/またはそのような実施形態に関して記載される特徴と同じまたは実質的に同じであってもよい。したがって、そのような特徴の関連する説明は、
図11Aのシステムの特徴および関連する構成成分に同じように適用される。
図10に示されるシステムおよび構成成分に関して記載される特徴およびその変形形態の任意の好適な組合せは、
図11Aのシステムおよび構成成分とともに用いることができ、逆もまた同様である。この開示のパターンは、その後の図に表されるおよび本明細書の以下に記載されるさらなる実施形態に同じように適用される。
【0116】
図11Aを引き続き参照して、システムのチャネル1100は、第1の表面1101および第2の表面1102を含み得る。一部の実施形態では、エネルギー源1103は、1つまたは複数のエネルギー放出部分(例えば、エネルギー放出部分1105)を含み得る。一部の実施形態では、エネルギー源1103は、1つまたは複数の非放出部分(例えば、非放出部分1104)を含んでいてもよい。非放出部分1104は、エネルギーを放出しなくてもよく、またはエネルギーを放出するように構成されていなくてもよい。一部の実施形態では、放出部分1105は、電磁波(例えば、マイクロ波、光、熱など)の形態のエネルギーを流体デバイスの少なくとも一部分に放出することができる。ある特定の実施形態では、放出部分1105は、エネルギーを流体デバイスに放出することができる。一部の実施形態では、流体チャネルは、可動ステージに連結されていてもよい。他の実施形態では、光は、流体チャネルの少なくとも一部分にまたはその上に投射されて、1つまたは複数のポリマーマトリックスが作成されてもよい。光を、流体チャネルのさまざまな部分に向け得る。一部の実施形態では、放出部分1105は、対物レンズ(例えば、顕微鏡の対物レンズまたはレンズ)に連結されていてもよく、ここで、対物レンズは、流体デバイスの異なる部分へ移動し得る。対物レンズは、パターンに類似するまたは相補的なポリマーマトリックスを形成するために、光が流体デバイス上にパターンを形成するのを可能にするような形状(例えば、バーチャルマスクまたは物理的マスク)を提供し得る。さまざまな実施形態では、流体デバイス中のまたは生体試料と混合された1つまたは複数のポリマー前駆体は、放出されたエネルギー1106を吸収することができる。一部の実施形態では、放出されたエネルギー1106は、ポリマーマトリックスを1つまたは複数のポリマー前駆体から形成し得るか、またはそれを形成するのに十分であり得る。例えば、流体デバイスのチャネル1100内の1つまたは複数のポリマー前駆体の一部分は、放出されたエネルギーによって活性化され得、重合反応を開始して、ポリマーマトリックスを形成し得る。
【0117】
一部の実施形態では、エネルギー源は、エネルギーを、流体チャネルの大部分にまたは流体チャネルのほぼ表面全体に放出してもよい。物理的マスクを使用して、流体チャネルの1つまたは複数の部分に放出されたエネルギーをブロックしてもよい。エネルギー源(例えば、光源)は、対物レンズ(例えば、顕微鏡の対物レンズまたはレンズ)を介して流体デバイスに連結されていてもよい。エネルギー源を、流体チャネルの一部分に向けることができる(例えば、可動対物レンズを介して)。一部の事例では、光源、対物レンズ、および/または流体チャネルは、流体デバイスの表面の少なくとも一部分においてパターンを生成するために、流体チャネルへのエネルギーの放出を可能にするように可動性である。ポリマーマトリックスは、エネルギー放出のパターンに類似してまたは相補的に形成されてもよい。
【0118】
ポリマー前駆体は、放射されたエネルギー1106を吸収して、流体デバイスにおいて1つまたは複数のポリマー前駆体の重合を開始することができる活性化分子を含んでいてもよい。活性化分子の非限定的な例としては、光触媒、光活性化剤、光酸発生剤、または光塩基発生剤が挙げられ得る。一部の実施形態では、第1のポリマーマトリックス1108および/または第2のポリマーマトリックス1109は、生体成分50上でまたはそれに隣接して形成され得る。ある特定の実施形態では、第1のポリマーマトリックス1108および第2のポリマーマトリックス1109は、流体デバイスにおいて生体成分50を他の生体成分(例えば、生体成分51、52、または53)から分離する(例えば、物理的に分離する)分析チャンバーまたはコンパートメント1120を形成することができる。言い方を変えれば、ポリマーマトリックスは、チャネル(例えば、チャネル1100)を区画化し得る。さまざまな実施形態では、ポリマーマトリックスは、生体成分を部分的に囲んでいてもよい。例えば、生体成分を囲むポリマー構造は、閉鎖構造(例えば、中空シリンダー形状のポリマー構造)または部分的開放構造(例えば、三日月形状のポリマー構造)を形成していてもよい。一部の実施形態では、2つまたはそれよりも多くのポリマーマトリックスは、生体成分を他の生体成分から分離するコンパートメントを形成する生体成分に隣接して形成されていてもよい。ある特定の実施形態では、ポリマーマトリックスは、壁(例えば、ポリマーマトリックス壁)を含んでいてもよく、またはそれを形成していてもよい。
【0119】
図11Aを引き続き参照して、ポリマーマトリックス1108、1109、またはポリマーマトリックス1108、1109の少なくとも一部分は、第1の表面1101、第2の表面1102、または表面1101および1102の両方に結合され得る。ある特定の実施形態では、ポリマーマトリックス、またはポリマーマトリックスの少なくとも一部分は、適切な場合、第3の表面、第4の表面、第5の表面などに結合されていてもよい。さまざまな実施形態では、ポリマーマトリックス1108、1109は、ポリマーマトリックスが、生体成分50を囲むまたは実質的に囲むように、第1の表面1101から第2の表面1102に伸長し得る(例えば、チャネル200の管腔またはチャンバーの空洞の少なくとも一部分を通じて)。一部の実施形態では、物理的に近接している2つまたはそれよりも多くの生体成分(例えば、
図11Cの生体成分50、51)は、分離されていてもよい(例えば、流体デバイスを撹拌するまたは振とうすることによって)。流体デバイスは、物理的な動き、音波パルスの使用、チャネル中の流れの変更、または撹拌の任意の他の好適な方法によって撹拌または振とうされてもよい。次いで、分離された生体成分を囲む(または部分的に囲む)ポリマーマトリックスが形成され得る。
図11Bは、生体成分51から分離された後に、生体成分50を囲んで形成されたポリマーマトリックス1108、1109を示す。
図11Cは、さまざまな実施形態による、近接する2つの生体成分50、51を分離するプロセスを示す。すなわち、流体デバイスの撹拌または振とうによって、生体成分50、51を分離することができる。一部の実施形態では、生体成分の分離は、流体の圧力、脈動流、誘電泳動、光熱流、またはその一部の組合せにより達成される。一部の事例では、生体成分の分離は、音響振動により達成される。
図11Cは、生体成分50、51の分離後に生体成分50を囲むコンパートメント1122を作成するように形成されているポリマーマトリックスも示す。
【0120】
図11Aを引き続き参照して、一部の事例では、エネルギー源1103は、1つまたは複数の放出部分1105および1つまたは複数の非放出部分204を形成もしくは生じ得るか、またはそれを形成もしくは生じるように構成され得る。本明細書に開示されるシステムは、エネルギーをエネルギー源から流体デバイスの1つまたは複数の標的部分に向ける空間エネルギー変調素子をさらに含んでいてもよい。例えば、空間エネルギー変調素子は、生体成分の少なくとも一部分またはそれに隣接してポリマーマトリックスを形成するように、エネルギー源からのエネルギーを選択的に導くように構成されていてもよい。空間エネルギー変調素子は、例えば、流体デバイスの1つまたは複数の標的部分以外の1つまたは複数の部分にエネルギーが向けられるのを阻害または防止することによって、エネルギーを選択的に導くように構成されていてもよい。一部の実施形態では、空間エネルギー変調素子は、物理的マスクを含んでいてもよい。一部の事例では、空間エネルギー変調素子は、バーチャルマスクを含んでいてもよい。ある特定の事例では、空間エネルギー変調素子は、エネルギーを流体デバイスの1つまたは複数の標的部分に選択的に提供することができる1つまたは複数の電極を制御するように構成されていてもよい。電極の概念はまた、ヒドロゲル構造を形成するための空間的にモジュレートされたエネルギーを提供するために使用され得る。一部のインプリメンテーションでは、1つまたは複数の電極は、流体チャネルにおいて所定の場所に整列され得、このようにして、これらの場所でヒドロゲルの形成を可能にする。代替のインプリメンテーションでは、電極は、アレイの形態であり得る。アレイの電極は、要求に応じてオンまたはオフにして、ヒドロゲルの所望の形状を形成するためにエネルギーの所望の空間パターンを作り出すことができる。例えば、1つまたは複数の電極(例えば、電極のアレイ)は、流体デバイスの1つまたは複数の部分内に配置され得る。別の例について、1つまたは複数の電極(例えば、電極のアレイ)は、流体デバイスの1つまたは複数の部分と連絡(例えば、電気的に連絡)していてもよい。
【0121】
一部の実施形態では、マスクは、エネルギー源1103のエネルギー放出表面1110の1つまたは複数の部分がエネルギーを放出するのを防止してもよく、またはそれを防止するように構成されていてもよい(例えば、非放出部分1104)。一部の実施形態では、マスクは、バーチャルマスク(例えば、コンピューターコードまたはデジタルシステム)であってもよい。ある特定の実施形態では、マスクは、エネルギーが生体成分が存在する場所に放出されるのを防止することができる。これは、生体成分に隣接して、その上で、またはそれを封入するポリマーマトリックスが形成するのを可能にし得るか、またはそれを許容し得る(例えば、流体チャネル上の場所に細胞、タンパク質、DNA分子、RNA分子、または他の標的分子を保持するため)。他の実施形態では、マスクは、ポリマーマトリックスが生体成分上にあるように、重合を促進し得る。さまざまな実施形態では、マスクは、物理的マスク(例えば、不透明材料、熱シールド、または電磁シールド)であってもよい。一部の実施形態では、マスク(例えば、バーチャルマスクまたは物理的マスク)は、生体成分の場所を検出または特定する検出器を使用して、またはそれと組み合わせて作成することができる。一部の実施形態では、検出器は、カメラを含む。一部の実施形態では、検出器は、光検出器、導電率検出器、超音波検出器、超音波センサー、圧電センサー、その組合せ、または別の好適な検出デバイスを含む。
【0122】
一部の実施形態では、第1の表面1101または第2の表面1102は、流体デバイスにおける(例えば、チャネル1100における)1つまたは複数の生体成分の1つまたは複数の場所を検出するか、またはそれを検出するように構成された検出器を含み得る。ある特定の実施形態では、エネルギー源1103は、流体デバイスにおける生体成分の場所を検出するか、またはそれを検出するように構成された検出器を含み得るか、それと連結され得るか、またはそれと連絡し得る。さまざまな実施形態では、マスクは、流体デバイスの少なくとも一部分から得られた画像を使用して作成されてもよい。マスクは、エネルギー源1103が、1つまたは複数の生体成分が第1の表面1101上にまたはそれに隣接して存在する1つまたは複数の場所または位置にまたはそれに向けてエネルギーが放出されるのを可能にし得るか、またはそれを許容し得る。マスクは、エネルギー源1103が、1つまたは複数の生体成分が第1の表面1101上にまたはそれに隣接して存在する1つまたは複数の場所または位置にまたはそれに向けてエネルギーを放出するのを阻害または防止し得る。一部の実施形態では、画像は、カメラ(例えば、デジタルカメラ、顕微鏡イメージングカメラなど)から得られ得る。一部の実施形態では、カメラは、エネルギー源1103に連結され、接続され、または連絡していてもよい。例えば、カメラ(示さない)は、エネルギー源1103と電気的に連絡していてもよい。一部の実施形態では、エネルギー源1103は、カメラを含んでいてもよい。さまざまな実施形態では、エネルギー源203は、顕微鏡(例えば、蛍光顕微鏡、共焦点顕微鏡、レンズフリーイメージングシステム、透過型電子顕微鏡(TEM)、走査型電子顕微鏡(SEM)など)を含んでいてもよい。顕微鏡を使用して、1つまたは複数の生体成分の1つまたは複数の位置を検出してもよい(例えば、検出器と組み合わせて)。
【0123】
図18Aは、エネルギーマスキング領域1810およびエネルギー透過領域1815を含むマスクの例を示す。エネルギー源からのエネルギーは、エネルギーマスキング領域1810によってブロックされて、流体デバイスの一部分(例えば、部分1820)においてエネルギーが任意のポリマーマトリックスを形成するのを防止し得る。エネルギー透過領域1815は、エネルギーが流体デバイスと連絡して、ポリマーマトリックス1825を形成するのを可能にし得る。
図18Bは、マスクの別の例を示し、ここで、エネルギー透過領域1835は、中空シリンダーの形状(例えば、ドーナツ状)である。マスキング領域1830によってマスクされるエネルギーは、流体デバイスの一部分(例えば、一部分1840)とのエネルギー連絡を防止し得る。エネルギー透過領域1835は、流体デバイスにエネルギーを送達して、ポリマーマトリックス1845を形成し得る。ポリマーマトリックス1845は、中空シリンダーの形状であり得る。
【0124】
図19は、ポリマーマトリックスを使用して封入されたおよび/または限局性の生体成分(すなわち、白色スポットで示される)の例を示す。一部の事例では、生体成分1901は、ポリマーマトリックスコンパートメント1902の中空領域内に局在化され得る。一部の他の事例では、ポリマーマトリックス1903は、生体成分1904上で形成され得る。一部の代替の事例では、ポリマーマトリックス1905は、2つ以上の生体成分を局在化し得る。生物学的コンパートメントのポリマーマトリックス1906は、1つまたは複数の生体成分を封入していてもよい。
【0125】
図12は、本開示の一部の実施形態による、1つまたは複数の生体成分上でまたはそれに隣接してポリマーマトリックスを形成するフローチャートである。プロセス1200は、手動または自動で(例えば、適切にプログラムされたコンピューターシステムによって)行われ得る。ステップ1210では、生体試料は、流体デバイスの少なくとも一部分に沈積され得るか、導入され得るか、または提供され得る。一部の実施形態では、マスクは、次いで、生体成分の方に向けられたエネルギー源の1つまたは複数の部分が非放出になるように、形成または作成され得る(ステップ1220)。ステップ1230では、エネルギー源は、エネルギーを流体デバイスの少なくとも一部分に適用または提供し得る。一部の実施形態では、エネルギー源は、ポリマー前駆体がポリマーマトリックスを形成するように(例えば、エネルギー源によって提供されたエネルギーを介して)、ポリマー前駆体を活性化または開始することができる。一部の実施形態では、流体デバイスのイメージングを、ステップ1210の後およびステップ1220の前に行って、マスクを作成する生体成分の場所を決定または特定することができる。一部の実施形態では、マスクは、バーチャルマスクである。一部の実施形態では、ポリマーマトリックスは、生体成分を部分的にまたは完全に囲むコンパートメントを形成してもよい。
【0126】
ある特定の事例では、エネルギー源は、ポリマーマトリックスが異なるステップにおいて形成されるように、操作されてもよい。例えば、エネルギー源は、ポリマー前駆体がオープンコンパートメント(例えば、三日月形状または半円筒状のポリマーマトリックス)を形成するように、複数のポリマー前駆体を惹起してもよい。オープンコンパートメントは、生体成分(例えば、細胞)、または試料の一部分を流体デバイスの一部分に捕捉するおよび/またはそれを含有するように操作してもよい。エネルギー源または流体デバイスの配向が調整されてもよく、ポリマーマトリックスの追加部分が形成されてもよい。この追加部分を使用して、事前に形成された半円筒状のポリマーマトリックスと併せて、1つまたは複数のコンパートメントが形成されてもよい。他の実施形態では、ポリマーマトリックスコンパートメントは、少なくとも2、3、4、5、またはそれよりも多くのマトリックス形成ステップにおいて形成することができる。
【0127】
図20Aおよび
図20Bは、マルチステップのポリマーマトリックスコンパートメント作成の例を示す。
図20Aは、マルチステップの作成の第1のステップを示し、ここで、オープンコンパートメント(例えば、ポリマーマトリックスから作られたオープンコンパートメント2001)は、生体成分(例えば、生体成分2002)を捕捉および/または含有するように、作成され得る。生体成分2002を含む試料は、流体デバイス内(例えば、流体デバイス2000の一部分)で流れ方向2003を有し得る。オープンコンパートメント2001は、本明細書に記載されるエネルギー源およびエネルギーモジュレーションユニットを使用してポリマーマトリックスを作成することによって形成され得る。オープンコンパートメントは、流体デバイスにおける試料の流れ方向2003の一部分と交差していてもよい。ポリマーマトリックスのオープンコンパートメント2001は、流体デバイスにおける試料の流れ方向2003に対して斜めまたは垂直であってもよい。
図11Bは、マルチステップの作成の第2のステップを示し、ここで、オープンコンパートメント(例えば、オープンコンパートメント2001)は、生体成分(例えば、生体成分2012)に隣接して、その周辺で、またはその上でポリマーマトリックスを形成することによって、シールまたは閉鎖される。一部の事例では、第2のステップでは、生体成分は、ポリマーマトリックスによって完全にまたは実質的に完全に封入されてもよい(例えば、クローズドコンパートメント2011を形成するため)。一部の事例では、生体成分に隣接して、その周辺で、またはその上で形成し得るポリマーマトリックスは、生体成分を流体デバイス2000上の場所に局在化する。ゲノム材料および/またはプロテオーム材料は、限局性の生体成分から抽出されてもよい。ポリマーマトリックスは、抽出された材料をさらに局在化してもよい。流体デバイスは、次いで、抽出された材料を配列決定することができる表面を提供してもよい。一部の実施形態では、抽出された材料は、溶出され、配列決定のために別のデバイスまたは表面に移動されてもよい。他の実施形態では、配列決定は、ショートリード配列決定、ナノポア配列決定、合成による配列決定、in situハイブリダイゼーションによる配列決定、顕微鏡を使用する任意の光学読み取り、または任意の他の好適な配列決定の方法により行われてもよい。
【0128】
流体デバイスの1つまたは複数の表面は、光学的(例えば、蛍光)、機械的、電気的、または生化学的センシングエレメントまたはセンサーを含んでいてもよい。センシングエレメントは、蛍光タグ、酵素、プライマー、オリゴヌクレオチド、またはセンサー分子(例えば、生化学センサー分子)を含んでいてもよい。センシングエレメントを使用して、pH、酸素濃度、CO2濃度、または任意の他の好適な変数を検出および/または測定してもよい。センシングエレメントは、パラメーターを局所的に検出および/または測定してもよい。例えば、センシングエレメントは、生体成分を囲むコンパートメント(例えば、ポリマーマトリックスシェルシリンダー)内のpH、酸素濃度、またはCO2濃度を検出および/または測定してもよい。
捕捉用エレメントを有するシステム
【0129】
本開示は、1つまたは複数の生体成分を固定および/または区画化するための1つまたは複数の捕捉用エレメント(例えば、本明細書に記載される核酸捕捉用プローブ)を含むシステムも提供する。システムは、流体デバイスを含むことができる。流体デバイスは、1つまたは複数の生体成分を含むまたは含有することができる。さらに、流体デバイスは、1つまたは複数のポリマー前駆体を含むまたは含有することができる。一部の実施形態では、流体デバイスは、第1の表面を含むことができる(例えば、流体デバイスのチャネルおよび/またはチャンバー中に)。流体デバイスは、1つまたは複数の捕捉用エレメントを含むことができる。捕捉用エレメントは、第1の表面(または任意の好適な表面)上のまたはそれに隣接する場所に1つまたは複数の生体成分の少なくとも1つを固定し得るか、またはそれを固定するように構成され得る。生体成分の捕捉用エレメントへの固定または結合は、固定された生体成分を形成することができる。システムは、流体デバイスと連絡している少なくとも1つのエネルギー源をさらに含んでいてもよい。ある特定の実施形態では、少なくとも1つのエネルギー源は、流体デバイスの少なくとも一部分に、エネルギーを提供もしくは供給し得るか、またはエネルギーを提供もしくは供給するように構成され得る。したがって、エネルギー源は、1つまたは複数のポリマー前駆体(例えば、流体デバイスに配置されたもの)が、固定された生体成分上でまたはそれに隣接して少なくとも1つのポリマーマトリックスを形成するように活性化するか、またはそれを引き起こすことができる。さまざまな実施形態では、流体デバイスは、流体デバイスを保持するプラットフォームまたはステージをさらに含んでいてもよい。一部の実施形態では、システムはまた、配列決定データを得るために、配列決定デバイス(例えば、次世代配列決定デバイス)を含んでいてもよい。流体デバイスにおいて形成されたポリマーマトリックスを使用して、生体成分を捕捉および局在化してもよい。ゲノム材料および/またはプロテオーム材料は、流体デバイスを使用して抽出されてもよい。流体デバイスは、次いで、抽出された材料を配列決定することができる表面を提供してもよい。一部の実施形態では、抽出された材料は、溶出され、配列決定のために別のデバイスまたは表面に移動されてもよい。他の実施形態では、配列決定は、ショートリード配列決定、ナノポア配列決定、合成による配列決定、in situハイブリダイゼーションによる配列決定、または顕微鏡を使用する任意の光学読み取りにより行われてもよい。
【0130】
生体成分を固定するために、流体デバイスは、1つまたは複数の捕捉部位を含んでいてもよい。捕捉部位は、捕捉用エレメントを含んでいてもよい。一部の実施形態では、1つまたは複数の捕捉用エレメントまたは部位は、パターンを含んでいてもよく、またはパターンで配置されていてもよい。流体デバイスは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、30、40、50、100、200、300、400、500、600、700、1,000、10,000、105、106、107、108、109、1010、1020の捕捉用エレメント、または本明細書に挙げた2つの数のいずれかの間の任意の数の捕捉用エレメントを含んでいてもよい。一部の実施形態では、流体デバイスは、1020よりも多くの捕捉用エレメントを含んでいてもよい。
【0131】
流体デバイスは、チャネルを含んでいてもよい。流体デバイスは、チャンバーを含んでいてもよい。
図13Aは、流体デバイスにおけるチャネル1300の少なくとも一部分の例を示す。1つまたは複数の捕捉用エレメント1311は、流体デバイスの第1の表面1301上に配置され得るか、または位置し得る。一部の事例では、第2の表面1302は、1つまたは複数の捕捉用エレメントを含み得る。捕捉用エレメントは、両表面または任意の他の好適な表面上に配置されていてもよい。捕捉用エレメントは、官能基を含んでいてもよく、またはそれによって少なくとも部分的に形成されていてもよい。官能基の一部の非限定的な例としては、捕捉試薬(例えば、ピリジンカルボキシアルデヒド(PCA))、ビオチン、ストレプトアビジン、strep-tag II、リンカー、または分子と反応することができる官能基(例えば、アルデヒド、ホスフェート、シリケート、エステル、酸、アミド、アルキン、アジド、またはアルデヒドジチオラン)が挙げられる。官能基は、ペプチドのN末端またはC末端に特異的に結合されていてもよい。官能基は、アミノ酸側鎖に特異的に結合されていてもよい。官能基は、アミノ酸の側鎖(例えば、グルタメートもしくはアスパルテートの酸、システインのチオール、リシンのアミン、またはグルタミンもしくはアスパラギンのアミド)に結合されていてもよい。官能基は、特定の種上の反応性基、例えば、細胞上の膜結合分子(例えば、真核細胞の糖タンパク質、または原核生物の原形質上の線毛)に特異的に結合されていてもよい。一部の例では、捕捉用エレメントは、フィブロネクチンを含むことができる。別の例では、捕捉用エレメントは、RGDペプチドを含むことができる。一部の事例では、捕捉用エレメントは、抗体を含んでいてもよい。一部の例では、機能的モチーフは、可逆的に結合および切断され得る(例えば、酵素を使用することによって)。
図13Bは、捕捉用エレメント1311と接触しているまたはそれに結合された生体成分51の例を示す。一部の事例では、反発表面コーティング(例えば、PEG)を使用して、ポリマーマトリックスが生体成分をカバーまたはトラップするのを防止してもよい。
【0132】
さまざまな実例では、捕捉用エレメントは、物理的トラップ、流体力学的トラップ、幾何学的トラップ、ウェル、電気化学的トラップ(例えば、荷電分子のトラップ)、ストレプトアビジン、抗体、アプタマー、親和性結合(例えば、細胞の表面タンパク質に結合し得るペプチド)、1つまたは複数の磁気材料(例えば、磁気ディスク、磁気アレイ、または磁気粒子)、誘電泳動トラップ(例えば、電極アレイ)、またはその組合せを含んでいてもよい。トラップは、ポリマーマトリックスまたはヒドロゲルを含んでいてもよい。ポリマーマトリックスまたはヒドロゲルトラップは、要求に応じて、本明細書で述べられるポリマーマトリックスコンパートメントと類似するエネルギー源および/または分解を使用して、構築または解体されてもよい。例えば、捕捉用エレメントは、ウェルを含んでいてもよい。ウェルは、直径が1μm~50μmであってもよい。一部の実施形態では、ウェルは、直径が1μm~20μm、20μm~30μm、30μm~40μm、または40μm~50μmであってもよい。ウェルは、直径が50μmよりも大きくてもよい。ウェルは、直径が1μm未満であってもよい。一部の実施形態では、ウェルは、深さが0.1μm~100μmであってもよい。ある特定の実施形態では、ウェルは、深さが100μmより大きくてもよい。ウェルは、深さが0.1μm未満であってもよい。ウェルの深さは、0.1μm~0.5μm、0.1μm~1μm、0.1μm~5μm、0.1μm~10μm、0.1μm~20μm、0.1μm~30μm、0.1μm~50μm、0.1μm~100μm、0.5μm~1μm、0.5μm~5μm、0.5μm~10μm、0.5μm~20μm、0.5μm~30μm、0.5μm~50μm、0.5μm~100μm、1μm~5μm、1μm~10μm、1μm~20μm、1μm~30μm、1μm~50μm、1μm~100μm、5μm~10μm、5μm~20μm、5μm~30μm、5μm~50μm、5μm~100μm、10μm~20μm、10μm~30μm、10μm~50μm、10μm~100μm、20μm~30μm、20μm~50μm、20μm~100μm、30μm~50μm、30μm~100μm、または50μm~100μmであってもよい。ウェルの深さは、約0.1μm、約0.5μm、約1μm、約5μm、約10μm、約20μm、約30μm、約50μm、または約100μmであってもよい。ウェルの深さは、少なくとも0.1μm、0.5μm、1μm、5μm、10μm、20μm、30μm、または50μmであってもよい。ウェルの深さは、多くて0.5μm、1μm、5μm、10μm、20μm、30μm、50μm、または100μmであってもよい。
【0133】
一部の実施形態では、流体デバイスは、予め定義された場所で生体成分を捕捉するのを防止するために使用され得る反発表面コーティングを含んでいてもよい。
図21Aは、流体デバイスの表面2101の一部分を示し、ここで、表面2101は、捕捉性部位2102および反発部位2103を含み得る。表面2101は、表面コーティング(例えば、PEG)を使用して官能化されて、反発部位2103が作成され得る。反発部位2103は、生体成分が反発部位2103の場所で表面2101に結合するのを防止し、生体成分を捕捉部位2102に運び得る。一部の事例では、表面2101は、捕捉性部位なしで、反発部位のみを含み得る。反発部位は、最初に、生体成分を局在化してもよい。ポリマーマトリックスは、反発部位間に位置し得る生体成分に隣接してコンパートメントを形成するように、エネルギー源を反発部位に向けることによって形成されてもよい。
図21Bは、流体デバイスにおける予め定義された場所に含有される生体成分の例を示す。
図21Cは、流体デバイスにおける予め定義された場所に含有される生体成分の高倍率の例を示す。
【0134】
エネルギー源を使用して、捕捉された生体成分の少なくとも一部分上で、その周辺で、またはそれに隣接してポリマーマトリックスを形成してもよい。一部の実施形態では、マスクを使用して、エネルギー源が、捕捉された生体成分の場所または位置の方にエネルギーを向けるのを可能にし得るか、またはそれを許容し得る。ある特定の実施形態では、マスクを使用して、エネルギー源が、捕捉された生体成分の場所または位置の方にエネルギーを向けるのを阻害または防止し得る。マスクは、エネルギーを所定のまたは選択された場所に向けて、1つまたは複数の生体成分を囲むまたは少なくとも部分的に囲むポリマーマトリックスを形成するように構成されていてもよい。マスクは、捕捉部位のパターン(例えば、流体デバイスの表面上の捕捉部位/捕捉用エレメントのパターン)に少なくとも部分的に基づいて作成されてもよい。一部の実施形態では、マスクは、生体成分を捕捉していないまたはそれと結合していない捕捉部位または捕捉用エレメントを囲む場所にエネルギーが向けられるのを防止するように構成されていてもよい。ある特定の事例では、単一細胞を分析するために、マスクは、2つまたはそれよりも多くの生体成分を捕捉したまたはそれと結合した捕捉用エレメントの場所に隣接してエネルギーが放出されるのを防止するように構成されていてもよい。一部の実施形態では、マスクは、2つまたはそれよりも多くの生体成分を捕捉した捕捉用エレメントの場所に隣接してエネルギーが放出されるのを可能にし得るか、またはそれを許容するように、例えば、細胞間相互作用の分析を可能にするように、構成されていてもよい。ある特定の実施形態では、マスクは、本明細書に記載されるように、フォトリソグラフィックマスクまたは別の好適なマスクであってもよい。一部の実施形態では、システムは、本明細書に記載されるように、例えば、生体成分の場所を検出するために、検出器をさらに含んでいてもよい。マスクは、生体成分の検出された場所に少なくとも部分的に基づいて作成されてもよい。加えて、マスクは、本明細書に記載されるように、エネルギーを、エネルギー源から流体デバイスに選択的に導くまたは供給してもよい。
【0135】
図13Cは、生体成分に隣接して(例えば、囲んで)ポリマーマトリックスを形成する方法の例を示す。ポリマーマトリックス1308は、捕捉用エレメント1311に隣接して形成され得る。ポリマーマトリックス1308は、分析チャンバーまたはコンパートメント1320の定位置またはその内に生体成分51を保持するように構成され得る。コンパートメント1320は、少なくとも部分的に、ポリマーマトリックス1308、第1の表面1301、および第2の表面1302によって形成されて、流体デバイス内で(例えば、生体成分51の周辺で)チャンバーまたは少なくとも部分的に封じ込められた空間を形成してもよい。一部の実施形態では、ポリマーマトリックス1308は、生体成分51を囲むコンパートメント1320を形成し得る。コンパートメント1320は、生体成分51を定位置に保持し得る。ポリマーマトリックス1308および/またはコンパートメント420は、生体成分51と会合した化合物がコンパートメントから離れるのを阻害または防止し得る。一部の実施形態では、生体成分と会合した化合物は、核酸(例えば、DNAまたはRNA)、タンパク質、代謝産物、酵素、抗体、その組合せ、または任意の他の好適な化合物もしくは材料を含み得る。一部の実施形態では、ポリマーマトリックスまたはヒドロゲルの表面は、官能基をポリマーマトリックスまたはヒドロゲルに結合させることによって官能化されていてもよい。コンパートメントの内側のポリマーマトリックスの官能化された表面は、捕捉するエレメント(例えば、抗体)に結合されて、生体成分によって分泌された分子(例えば、分泌タンパク質)を捕捉してもよい。捕捉するエレメントまたは捕捉された分子は、次いで、センシング分子によって、または標識化方法によって、例えば、蛍光標識化によって、読み取られ得る。一部の実施形態では、ポリマーマトリックスは、生体成分と会合した1つまたは複数の化合物の通過を可能にするように構成されていてもよい。一部の実施形態では、ポリマーマトリックスは、試薬の通過を可能にするように構成されていてもよい。試薬は、例えば、1つまたは複数の酵素、化学物質、オリゴヌクレオチド(例えば、50塩基対未満のサイズを有する1つまたは複数のプライマー)、リゾチーム、プロテイナーゼK、ランダム六量体、ポリメラーゼ、トランスポザーゼ、リガーゼ、触媒酵素、デオキシヌクレオチド三リン酸、バッファー、細胞培養培地、二価カチオン、その組合せ、または任意の他の好適な試薬を含んでいてもよい。
【0136】
ある特定の実施形態では、流体デバイスにおけるチャネルの第1の表面、第2の表面、または両表面は、本明細書に記載されるように、官能化されていてもよい。流体デバイスの表面(例えば、第1の表面、第2の表面、第3の表面など)は、生体成分(例えば、捕捉された生体成分)に結合するように構成された化合物を含んでいてもよい。一部の実施形態では、流体デバイスの表面(例えば、第1の表面、第2の表面、第3の表面など)は、1つまたは複数のバーコードを含んでいてもよい。1つまたは複数の表面は、配列決定するために、DNAクラスターを形成するための(to from DNA clusters)オリゴを含んでいてもよい。一部の事例では、1つまたは複数の表面は、直接DNAおよび/またはRNA読み取りのための1つまたは複数のナノポアリーダーを含んでいてもよい。1つまたは複数の表面は、単一RNA分子および/もしくは単一DNA分子を捕捉するか、またはDNA/RNAライブラリーを含有するナノウェルを含んでいてもよい。一部の代替の事例では、1つまたは複数の表面は、DNAナノボールの選択的沈積のために、パターン化された疎水性/親水性特徴を含んでいてもよい。ナノボールは、DNA/RNA分子から、DNAライブラリーの環化および増幅によって作成され得る。
【0137】
流体デバイスの1つまたは複数の表面は、光学的(例えば、蛍光)、機械的、電気的、または生化学的センシングエレメントまたはセンサーを含んでいてもよい。センシングエレメントは、蛍光タグ、酵素、プライマー、オリゴヌクレオチド、またはセンサー分子(例えば、生化学センサー分子)を含んでいてもよい。センシングエレメントを使用して、pH、酸素濃度、CO2濃度、または任意の他の好適な変数を検出および/または測定してもよい。センシングエレメントは、パラメーターを局所的に検出および/または測定してもよい。例えば、センシングエレメントは、生体成分を囲むまたは封入するコンパートメント(例えば、ポリマーマトリックスシェルシリンダー)内のpH、酸素濃度、またはCO2濃度を検出および/または測定してもよい。
【0138】
一部の実施形態では、本明細書に記載される流体デバイスは、核酸分子捕捉用プローブおよび複数の表面プライマープローブを含む。一部の実施形態では、核酸分子捕捉用プローブは、本明細書に記載される1つまたは複数のコンパートメント(例えば、ウェル、ポリマーマトリックス)内に位置する。一部の実施形態では、核酸分子捕捉用プローブは、1つまたは複数のコンパートメントに隣接して位置する。一部の実施形態では、表面プライマープローブは、本明細書に記載される1つまたは複数のコンパートメント(例えば、ウェル、ポリマーマトリックス)内に位置する。一部の実施形態では、表面プライマープローブは、1つまたは複数のコンパートメントに隣接して位置する。一部の実施形態では、核酸分子捕捉用プローブおよび/または表面プライマープローブは、アダプター配列を含む。一部の実施形態では、核酸分子捕捉用プローブおよび/または表面プライマープローブは、増幅プライマー配列を含む。一部の実施形態では、アダプターは、核酸分子またはその誘導体(例えば、cDNA)において配列決定反応の開始を可能にするように構成された配列を含む。一部の実施形態では、マイクロ流体デバイスは、1つまたは複数の核酸分子捕捉用プローブの少なくともサブセットを不活化するように構成された部分を含む。一部の実施形態では、1つまたは複数の核酸分子捕捉用プローブのサブセットは、核酸分子によって占有されていない1つまたは複数の核酸分子捕捉用プローブを含む。一部の実施形態では、1つまたは複数の核酸分子捕捉用プローブの少なくともサブセットを不活化するように構成された部分は、エキソヌクレアーゼを含む。一部の実施形態では、核酸分子捕捉用プローブおよび/または表面プライマープローブは、テンプレートスイッチオリゴを含む。一部の実施形態では、マイクロ流体デバイスは、溶液中のプライマー配列の挿入のための1つまたは複数のコンパートメントを含む。一部の実施形態では、複数の表面プライマープローブの少なくともサブセットは、複数の表面プライマープローブの少なくともサブセットにおける伸長反応をブロックする遮断剤を含む。一部の実施形態では、遮断剤は、複数の表面プライマープローブの少なくともサブセットをブロック解除して、伸長反応を可能にする反応によって除去することができる。一部の実施形態では、1つまたは複数の遮断剤は、1つまたは複数の3’リン酸ヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、1つまたは複数の遮断剤は、複数の表面プライマープローブの少なくともサブセットに相補的な配列を含む核酸分子を含む。一部の実施形態では、1つまたは複数の遮断剤は、複数の表面プライマープローブの少なくともサブセットに部分的に相補的な配列を含む核酸分子、可逆的ターミネーターヌクレオチド、およびポリメラーゼ、またはその任意の誘導体を含む。一部の実施形態では、マイクロ流体デバイスは、マイクロ流体デバイスにおいて、in situで核酸分子またはその誘導体の少なくともサブセットを配列決定するのに十分な試薬を含む。一部の実施形態では、1つまたは複数の核酸分子は、DNAまたはリボ核酸(RNA)分子を含む。一部の実施形態では、DNAは、断片化された一本鎖DNAである。一部の実施形態では、DNAは、一本鎖DNAである。一部の実施形態では、RNA分子は、メッセンジャーRNA(mRNA)またはマイクロRNA(miRNA)を含む。一部の実施形態では、RNA分子は、mRNAを含む。一部の実施形態では、1つまたは複数の核酸分子捕捉用プローブは、1つまたは複数の核酸分子に結合するように構成された配列を含む。一部の実施形態では、1つまたは複数の核酸分子に結合するように構成された配列は、ポリT配列、ランダマー、1つもしくは複数の核酸分子の少なくともサブセットに相補的な配列、またはその任意の組合せを含む。一部の実施形態では、マイクロ流体デバイスは、ウェル、ビーズ、または流体チャネルである。一部の実施形態では、流体チャネルは、フローセルである。一部の実施形態では、マイクロ流体デバイスは、ビーズではない。一部の実施形態では、1つまたは複数の核酸分子捕捉用プローブは、1つまたは複数のタグを含み、タグは、細胞特異的または空間の場所特異的識別子配列、および必要に応じて固有分子識別子(UMI)配列を含む。一部の実施形態では、増幅するステップは、固体支持増幅を含む。一部の実施形態では、固体支持増幅は、ブリッジ増幅である。一部の実施形態では、1つまたは複数の核酸分子は、単一細胞または生体組織に由来する。一部の実施形態では、方法は、ゲルマトリックスにおいて起こり、ゲルマトリックスは、固体支持体に隣接している。
重層的システム
【0139】
少なくとも流れチャネル(例えば、第1の層または上層)および分析チャネル(例えば、第2の層または下層)を含む生体成分を分析するためのシステムも本明細書に提供される。システムは、流れチャネル、分析チャネル、および流れチャネルと分析チャネルとの間に配置された層または壁を含む流体デバイスを含んでいてもよい。システムは、本明細書に記載されるように、流体デバイスと連絡している少なくとも1つのエネルギー源を含んでいてもよい。分析チャネルは、流れチャネルに隣接して配置されていてもよく、ここで、少なくとも1つの流れ阻害エレメントは、流れチャネル内に配置されて、流れチャネルにおいて生体成分の流れを阻害または停止させてもよい。流れチャネルと分析チャネルとの間に配置された層は、少なくとも1つの流れ阻害エレメントにまたはそれに隣接して配置された少なくとも1つのシール可能な開口部を含んでいてもよい。1つまたは複数の生体成分は、シール可能な開口部に隣接して停止またはトラップされてもよい。少なくとも1つのシール可能な開口部は、1つまたは複数の生体成分の通過を可能にするように構成されていてもよい。例えば、シール可能な開口部は、1つまたは複数の生体成分が流れチャネルから分析チャネルに通過するのを可能にするように構成されていてもよい。少なくとも1つのエネルギー源は、分析チャネルと連絡していてもよい。さらにまた、少なくとも1つのエネルギー源は、分析チャネル内でポリマーマトリックスを形成してもよく、またはそれを形成するように構成されていてもよい。
【0140】
本明細書に記載されるように、一部の実施形態では、流体デバイスは、マイクロ流体デバイスまたはナノ流体デバイスを含み得る。ある特定の実施形態では、流体デバイスは、核酸配列決定のために使用されてもよい。一部の事例では、流体デバイスは、核酸配列決定フローセルを含んでいてもよい。他の事例では、配列決定は、ショートリード配列決定、ナノポア配列決定、合成による配列決定、in situハイブリダイゼーションによる配列決定、任意の光学読み取りの収集による配列決定、または任意の他の好適な配列決定の方法を含んでいてもよい。
【0141】
本明細書に記載されるように、生体成分は、細胞、細胞溶解物、核酸、マイクロバイオーム、タンパク質、細胞の混合物、空間的に連結された生体成分、代謝産物、その組合せ、または任意の他の好適な生体成分を含んでいてもよい。一部の事例では、細胞の混合物は、2つまたはそれよりも多くの異なる細胞型を含んでいてもよい。例えば、細胞の混合物は、第1の細胞型および第2の細胞型を含んでいてもよい。一部の事例では、細胞の混合物は、2、3、4、5、6、7、8、9、10、またはそれよりも多くの細胞型を含んでいてもよい。細胞は、哺乳動物細胞(例えば、ヒト細胞)、真菌細胞、細菌細胞、腫瘍スフェロイド、その組合せ、または任意の他の好適な細胞であってもよい。一部の事例では、生体成分は、腫瘍スフェロイドまたは空間的に連結された生体成分(または試料)を含んでいてもよい。
【0142】
一部の事例では、核酸は、少なくとも100塩基または塩基対を含んでいてもよい。ある特定の実施形態では、核酸は、DNAまたはRNAを含む。DNAは、少なくとも100bpの長さであってもよい。一部の実施形態では、DNAは、少なくとも50bp、100bp、200bp、300bp、400bp、500bp、600bp、700bp、800bp、900bp、1,000bp、10キロ塩基対(kbp)、100kbp、1メガ塩基対(Mbp)、100Mbp、1ギガ塩基対(Gbp)、10Gbp、100Gbp、またはそれよりも多くの塩基対を含んでいてもよい。生体成分は、本明細書に挙げた数間の任意の数の塩基対を含むDNA分子を含んでいてもよい。例えば、DNAは、50bp~1,000bp、300bp~10kbp、または1,000bp~10Gbpを含んでいてもよい。RNAは、dsRNAであってもよい。dsRNAは、少なくとも50bp、100bp、200bp、300bp、400bp、500bp、600bp、700bp、800bp、900bp、1,000bp、10kbp、または100kbpを含んでいてもよい。生体成分は、本明細書に挙げた数間の任意の数の塩基対を含むdsRNA分子を含んでいてもよい。例えば、dsRNAは、50bp~1,000bp、300bp~10kbp、または1,000bp~100kbpを含んでいてもよい。RNAは、ssRNAであってもよい。ssRNAは、少なくとも50ヌクレオチド~100,000ntを含んでいてもよい。ssRNAは、50nt~100nt、50nt~1,000nt、50nt~10,000nt、50nt~100,000nt、100nt~1,000nt、100nt~10,000nt、100nt~100,000nt、1,000nt~10,000nt、1,000nt~100,000nt、または10,000nt~100,000ntを含んでいてもよい。一部の事例では、ssRNAは、50ヌクレオチド未満の長さであってもよい。ssRNAは、100,000ヌクレオチドよりも大きい長さであってもよい。
【0143】
一部の実施形態では、流れチャネルまたはその一部分は、分析チャネルまたはその少なくとも一部分と平行、または実質的に平行であってもよい。一部の実施形態では、流れチャネルは、分析チャネルに除去可能に結合可能であってもよい。例えば、使用者は、流れチャネルを分析チャネルから除去し得る。したがって、分析チャネルを含む流体デバイスの一部分を使用して、さまざまな分析または実験を実施し得る。流れチャネルを含む流体デバイスの一部分の除去により、分析チャネルを含む流体デバイスの一部分は、例えば、検出器、カメラ、または分析チャネル内で生体成分を分析するための他のデバイスにより接近しやすくなり得る。
【0144】
一部の事例では、分析チャネルは、生体成分、または生体成分によって生成される分子もしくは化合物を捕捉またはトラップするためのポリマーマトリックス構造を含んでいてもよい(例えば、生体成分の流体デバイスへの導入の前に)。例えば、使用者は、ポリマーマトリックス構造を含む分析チャネルを得てもよい。すなわち、使用者は、ポリマーマトリックス構造を形成しなくてもよい。さまざまな事例では、分析チャネルは、生体成分、または生体成分によって生成される分子もしくは化合物を捕捉またはトラップするためのポリマーマトリックス構造を含むように構成されていてもよい。例えば、そのような実施形態では、生体成分の流体デバイスおよび分析チャネルへの導入の後、1つまたは複数のポリマーマトリックス構造が、分析チャネルにおいて形成され得る。分析チャネルは、スクリーニングプロセス、ライブラリー調製、または別の好適なプロセスのために構成されていてもよい。一部の実施形態では、スクリーニングプロセスは、薬物スクリーニング、抗生物質スクリーニング、培養条件スクリーニング、またはCRISPRスクリーニングのためであってもよい。ある特定の事例では、複数の試料が、複数のチャネルに置かれてもよい。複数の試料は、他のシグナル含有チャネルにおいて、各種の条件に対してスクリーニングされてもよい。
【0145】
シール可能な開口部は、シールされた状態から開放状態に移行するように構成されていてもよい。例えば、シール可能な開口部は、例えば、熱を受けると、溶融して、そのシール可能な開口部を開いた状態にし得る感熱性ポリマーを含んでいてもよい。一部の事例では、シール可能な開口部を通る生体成分の通過は、シールされた状態で阻害されてもよい。ある特定の事例では、シール可能な開口部を通る生体成分の通過を、開放状態において可能にし得る。一部の事例では、シール可能な開口部は、アガロースゲル、温度可溶性ポリマー、N-イソプロピルアクリルアミド(NIPAAm)ポリマー、ワックス化合物、アルギネート、または任意の他の好適な化合物もしくは材料でシールされていてもよい。
【0146】
図15Aおよび
図15Bは、生体成分50をトラップするように構成された流体デバイスの一部分を示す。流体デバイスは、流れチャネルまたはチャンバー1551、分析チャネルまたはチャンバー1552、および流れチャネル1551と分析チャネル1552の少なくとも一部分の間に配置された層または壁1553を含み得る。層1553は、1つまたは複数のシール可能な開口部または開口1554を含み得る。加えて、1つまたは複数の流れ阻害エレメント1555は、生体成分50が流れチャネル1511に沿って流れるのを阻害もしくは防止してもよく、またはそれを阻害もしくは防止するように構成されていてもよい。流れ阻害エレメント1555は、シール可能な開口部1554に隣接して生体成分50を停止またはトラップするように構成されていてもよい。本明細書に記載されるように、シール可能な開口部1514は、シールされた状態(例えば、閉鎖状態)または構成から開放状態または構成に移行するように構成され得る。
図15Aは、シールされた状態のシール可能な開口部1514の例を示す。
図15Bは、開放状態のシール可能な開口部1554の例を示す。シールされた状態から開放状態への移行の際に、シール可能な開口部1554は、流れチャネル1551の少なくとも一部分から分析チャネル1552の少なくとも一部分への生体成分50の通過を可能にし得るか、またはそれを許容し得る。ある特定の実例では、分析チャネル1552は、提供される力によって(例えば、重力、流れチャネルにおける流れを加圧することによる高圧パルス、および分析チャネルにおいて陰圧を発生させることを介して)、生体成分50が、流れチャネル1551から分析チャネル1552に移動するのを可能にするように、流れチャネル1551の下に置かれてもよく、またはそこに置かれるように構成されていてもよい。一部の実施形態では、流体デバイスは、1つまたは複数の生体成分を、流れチャネルから分析チャネルに配置するために、スピンまたは遠心分離されてもよい。試薬を、例えば、本明細書に提供される分析または実験を実施するために(to conduct analyses or experiments are provided herein)、分析チャネル1552の少なくとも一部分を通して配置または通過させることができる。
【0147】
図15Aに示されるように、流れ阻害エレメント1555は、流れチャネル1551における生体成分(例えば、生体成分50)の流れを阻害または防止するように、流れチャネル1551の少なくとも一部分内に配置され得る。流れ阻害エレメント1555は、流れチャネル1551の少なくとも一部分において生体成分50を捕捉またはトラップするように構成され得る。一部の事例では、流れ阻害エレメント1555は、流れチャネル1551の表面(例えば、表面1569)から伸び得る。一部の事例では、表面1569は、層1553に隣接している流れチャネル表面1561の反対側に配置され得る。
【0148】
さまざまな事例では、分析チャネル1552は、層1553の表面に隣接しているまたはそこにある分析チャネル表面1563の反対側に配置された表面1559を含み得る。分析チャネル1552は、1つまたは複数のポリマーマトリックス1556を含み得る。分析チャネル1552は、1つまたは複数のポリマー前駆体を含み得る。例えば、1つまたは複数のポリマー前駆体は、分析チャネル1552の少なくとも一部分に配置され得る。1つまたは複数のポリマーマトリックス1556は、分析チャネル1502においてエネルギーを1つまたは複数のポリマー前駆体に提供するエネルギー源を使用して形成され得る。エネルギー源は、流体デバイスまたは分析チャネル1552と光学連絡、電気化学連絡、電磁気連絡、熱連絡、またはマイクロ波連絡していてもよい。一部の事例では、エネルギー源は、光発生デバイス、熱発生デバイス、電気化学発生デバイス、電極、マイクロ波デバイス、またはその組合せであってもよい。エネルギー源は、エネルギーを分析チャネル1552に選択的に提供して、予め定義された場所でポリマーマトリックスを形成してもよい。空間エネルギー変調素子を使用して、エネルギーを分析チャネル1552に選択的に提供してもよい。
【0149】
一部の事例では、空間エネルギー変調素子は、フォトリソグラフィックマスク、DMDシステム、または他の好適なマスクを含んでいてもよい。1つまたは複数のポリマーマトリックス1556は、シール可能な開口部1554が開放状態に移行する前に、形成され得る(例えば、
図15Aに示される通り)。例えば、ポリマーマトリックスは、シール可能な開口部1554が開放されたときに、阻害エレメント1555がコンパートメント1520に向けられ得ることによって(例えば、重力によるまたは流体圧力による落下)、生体成分1550が保持されるように、シール可能な開口部が形成されてもよく、またはそれと連携していてもよい。1つまたは複数のポリマーマトリックス1556は、シール可能な開口部1554が開放状態に移行した後に、形成され得る(例えば、
図15Bに示される通り)。1つまたは複数のポリマーマトリックス1556は、本明細書に記載されるように、分析チャンバーまたはコンパートメント1520を形成し得る。
【0150】
図16Aおよび
図16Bは、流体デバイスの上面図を示す。流れ阻害チャネル1675は、生体成分20が流れチャネル1651に沿って流れるのを阻害するように構成され得る。流れチャネル651および流れ阻害チャネル1651を通る流体(例えば、生体成分を含む流体)の流れは、
図16Aに表されるように、流れ阻害チャネル1675の開口の際に、生体成分20がトラップまたは停止されるのを引き起こし得る。示されるように、流れ阻害チャネル1675の寸法(例えば、幅)は、生体成分20が流れ阻害チャネル1675を通って通過するのを可能にするか、もしくはそれを許容するには小さすぎるか、または狭すぎる可能性がある。
図16Bに示されるように、ポリマーマトリックス1676は、生体成分20上でまたはそれに隣接して(例えば、囲んで)形成され得る。一部の事例では、ポリマーマトリックスは、生体成分の少なくとも一部分を囲んでいてもよい。
図16Aおよび
図16Bの流体デバイスは、単層流体デバイスであり得る。すなわち、ポリマーマトリックスは、流れチャネル1651において形成され得る。示されるように、流れチャネル1651の通路は、遠回りであり得る。例えば、流れチャネル1651は、1つまたは複数の湾曲部を含み得る。一部の実施形態では、流れチャネルの通路は、直線、実質的に直線、ジグザグパターン、または任意の他の好適な形状であってもよい。
【0151】
ある特定の実施形態では、
図16Aおよび
図16Bの流体デバイスは、2つまたはそれよりも多くの層を含み得る。例えば、流体デバイスは、流れチャネルおよび分析チャネルを含んでいてもよい(
図15Aおよび
図15Bに示されるシステムと類似)。さらに、シール可能な開口部は、流れ阻害チャネルの一部分にまたはそれに隣接して配置されていてもよい。そのような実施形態では、生体成分は、本明細書に記載されるように、シール可能な開口部を通して分析チャネル(例えば、流れチャネルに隣接してまたはその下に配置される)に移動してもよい。一部の事例では、分析チャネルは、2つまたはそれよりも多くの生体成分を受け取ってもよい。例えば、分析チャネルは、2、3、4、5、6、7、8、9、10、またはそれよりも多くの生体成分を受け取ってもよい。
【0152】
図17は、複数の試薬および/または分析物(R1、R2、R3、およびR4)を含むか、またはそれのために構成された流体デバイスの例を示す。流体デバイスは、1つまたは複数の生体成分を第1の試料から受け取るために、第1の流れチャネル1751aを含み得る。第1の流れチャネル1751aは、第1の試料からの1つまたは複数の生体成分の流れまたは通過を可能にし得るか、またはそれを許容し得る。さらに、第1の流れチャネル1751aは、1つまたは複数のポリマー前駆体の流れまたは通過を可能にし得るか、またはそれを許容し得る。流体デバイスは、1つまたは複数の生体成分を第2の試料から受け取るために、第2の流れチャネル1751bを含み得る。第2の流れチャネル1751bは、第2の試料からの1つまたは複数の生体成分の流れまたは通過を可能にし得るか、またはそれを許容し得る。さらに、第2の流れチャネル1751bは、第2の試料からの1つまたは複数の生体成分の流れまたは通過を可能にし得るか、またはそれを許容し得る。
【0153】
第1の流れチャネル1751aおよび/または第2の流れチャネル1751bは、複数の阻害エレメント(例えば、阻害エレメント1755)を含み得る。生体成分(例えば、生体成分50)は、阻害エレメント1755によって、トラップまたは局在化され得る。本明細書に記載されるように、第1の流れチャネル1751aおよび/または第2の流れチャネル1751bは、生体成分が第1の分析チャネル1752aまたは第2の分析チャネル1752bに移動するのを可能にするように開放され得る(例えば、シールされた状態から開放状態に移行する)1つまたは複数の阻害エレメント1755にまたはそれに隣接して配置された1つまたは複数のシール可能な開口部を含み得る。第1および第2の流れチャネル1751aおよび1751bは、第1および第2の分析チャネル1752aおよび1752bの上に配置され得る(例えば、
図15Aおよび
図15Bに示される流体デバイスに類似する上層および下層において)。ポリマーマトリックス1756は、生体成分50を囲んで形成され得る。ポリマーマトリックス1756は、生体成分50を部分的に囲んでいてもよい。ポリマーマトリックス1756は、分析チャネル(例えば、分析チャネル1751aおよび1751b)の少なくとも一部分内に生体成分50を局在化するために、コンパートメントまたは分析チャンバー1720を形成し得る。
【0154】
第1の分析チャネル1752aは、第2の分析チャネル1752bにおける1つまたは複数の試薬および/または分析物とは異なる1つまたは複数の試薬および/または分析物を含み得る。第1の分析チャネル1752aは、第2の分析チャネル1752bにおける1つまたは複数の試薬および/または分析物と同じ1つまたは複数の試薬および/または分析物を含み得る。一部の事例では、流体デバイスは、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、25、50、またはそれよりも多くの流れチャネルを含んでいてもよく、ある特定の事例では、流体デバイスは、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、25、50、またはそれよりも多くの分析チャネルを含んでいてもよい。流体デバイスは、複数の生体成分を並行して分析してもよい。複数の生体成分は、本明細書に提供されるように、1つまたは複数の異なる試薬および/または分析物に曝露されてもよい。そのような構成(例えば、
図17に示される通り)は、1つまたは複数の試料における複数の生体成分が、異なる試薬および/または分析物によって提供されるさまざまな条件下で分析されるのを可能にし得る。
図17に示される流体デバイスは、スクリーニングプロセスのために使用されてもよい。スクリーニングプロセスは、薬物スクリーニング、抗生物質スクリーニング、培養条件スクリーニング、またはCRISPRスクリーニングのためであってもよい。スクリーニングプロセスは、組合せ様式で行われてもよい。例えば、複数の試料は、複数の分析チャネルにおける複数の条件に対してスクリーニングされ得る複数の流れチャネルにロードされてもよい(例えば、並行して)。
【0155】
第1および/または第2の試料は、同種または異種であってもよい。例えば、第1の試料における1つまたは複数の生体成分は、同じまたは異なっていてもよい。第1の試料は、第2の試料と異なっていてもよい。一部の事例では、生体成分は、本明細書に記載されるように、ポリマーマトリックスを選択的に分解することによって、コンパートメントまたは分析チャンバー1720から放出され得る。言い換えれば、ポリマーマトリックスは、「要求に応じて」(例えば、使用者による、またはコンピューターによって指示される通り)、分解可能であり得る。さまざまな実施形態では、分解は、限局性の刺激の使用により達成されてもよい。ある特定の実施形態では、分解は、熱、光、電気化学反応、またはその一部の組合せの使用により達成されてもよい。放出された生体成分は、出口チャネル(例えば、出口チャネル1781aまたは1781b)を使用して収集されてもよい。
【0156】
図15Aおよび
図15Bの流体デバイスを参照して記載されるように、層は、流れチャネル1751aおよび1751bと分析チャネル1752aおよび1752bとの間に配置され得る。層に隣接する分析チャネル表面(例えば、
図15Aに示される表面1561と同様)、層の反対側の分析チャネル表面(例えば、
図15Aに示される表面1559と同様)、またはその両方は、本明細書に記載されるように、1つまたは複数のバーコードを含んでいてもよい。
【0157】
一部の事例では、チャネルおよび/または分析は、1つまたは複数のバーコードに加えて、またはその代わりに、分子を含んでいてもよい。例えば、1つまたは複数のチャネルおよび/または分析チャネルの表面のいずれかは、光学的(例えば、蛍光)、機械的、電気的、または生化学的センシングエレメントまたはセンサーを含んでいてもよい。センシングエレメントは、蛍光タグ、酵素、プライマー、オリゴヌクレオチド、またはセンサー分子(例えば、生化学センサー分子)を含んでいてもよい。センシングエレメントを使用して、pH、酸素濃度、CO2濃度、または任意の他の好適な変数を検出および/または測定してもよい。センシングエレメントは、パラメーターを局所的に検出および/または測定してもよい。例えば、センシングエレメントは、生体成分を囲むコンパートメント(例えば、ポリマーマトリックスシェルシリンダー)内のpH、酸素濃度、またはCO2濃度を検出および/または測定してもよい。
ヒドロゲルチャンバー
【0158】
一部の実施形態では、ヒドロゲルチャンバーは、所定の細胞の核酸分子が溶解した細胞から離れて移動し得る距離を制限する拡散性調整剤として使用されてもよい。多種多様な光合成可能なゲルが、本発明に関連して使用されてもよい。一部の実施形態では、ヒドロゲルは、特に、生細胞とのそれらの適合性、および限定されるものではないが、多孔性(大部分では、ゲル(またはポリマーマトリックス)壁に含有されるものおよびそれを通過するもの、分解性、機械的強度、合成の容易さおよび速度などを決定する)を含む所望の性質を有するゲルを形成する多用途性を理由として、本発明で使用される。
【0159】
多孔性。一部の実施形態では、ヒドロゲルの多孔性は、同じ時間で他の試薬の通過を防止しながら、選択された試薬の通過を許容するように選択される。一部の実施形態では、ヒドロゲルの多孔性は、生体細胞の通過を防止するが、ポリメラーゼなどのタンパク質を含む試薬の通過を可能にするように選択される。一部の実施形態では、ポリマーマトリックス壁を透過可能な試薬は、リゾチーム、プロテイナーゼK、ランダム六量体、ポリメラーゼ、トランスポザーゼ、リガーゼ、デオキシヌクレオチド三リン酸、バッファー、細胞培養培地、または二価カチオンを含む。一部の実施形態では、少なくとも1つのポリマーマトリックスは、少なくとも1つのポリマーマトリックスを通して試薬の拡散を可能にするが、分析のためのDNAまたはRNAがポアを横断するのを可能にするには小さすぎるサイズのポアを含む(100ヌクレオチドもしくは塩基対よりも大きい、または300ヌクレオチドもしくは塩基対よりも大きいサイズを有する)。一部の実施形態では、ヒドロゲル構造のポリマー鎖の架橋は、ポアを有するヒドロゲルマトリックス(すなわち、多孔質ヒドロゲルマトリックス)を形成する。一部のバージョンでは、ヒドロゲル構造におけるポアのサイズは、調節または調整されてもよく、十分に大きな遺伝材料(例えば、約300塩基対よりも大きいもの)を封入するが、より小さい材料、例えば、試薬、またはより小さいサイズの核酸(例えば、約50塩基対未満のもの)、例えば、プライマーが、ポアを通過し、それによって、ヒドロゲル構造の中および外に通過するのを可能にするように組み立てられてもよい。一部の実施形態では、ヒドロゲルは、500ヌクレオチドまたは塩基対よりも大きい長さの核酸分子を保持しながら、上記にリストした試薬がその構造を通して拡散するのを可能にするのに十分な直径を有するポアサイズを含んでいてもよい。一部の実施形態では、ポアは、約10nm~約100nmの直径を有する。一部の実施形態では、ヒドロゲル構造のポアサイズは、日常的な実験により、ポリマー前駆体の濃度の架橋剤の濃度に対する比を変更すること、pH、塩濃度、温度、光強度などを変更することによって決定され得る。一部の実施形態では、ポリマーマトリックス壁のポアの平均直径は、25キロダルトン(kDa)もしくはそれよりも大きい分子量を有する、または50kDaもしくはそれよりも大きい分子量を有する、または75kDaもしくはそれよりも大きい分子量を有する、または100kDaもしくはそれよりも大きい分子量を有する、または150kDaもしくはそれよりも大きい分子量を有する分子の通過を防止する。
【0160】
一部の実施形態では、保持されたDNAまたはRNAは、従来の合成による配列決定技法を使用して配列決定可能な長さを有する。例えば、そのようなDNAまたはRNAは、少なくとも50ヌクレオチド、または一部の実施形態では、少なくとも100ヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、ポアは、5nm~100nmの平均直径を有していてもよい。一部の実施形態では、ポアは、5nm~10nm、10nm~20nm、20nm~30nm、30nm~40nm、50nm~60nm、60nm~70nm、70nm~80nm、80nm~90nm、90nm~100nmの平均直径を有していてもよい。一部の実施形態では、ポアは、100nmよりも大きい平均直径を有していてもよい。一部の実施形態では、ポアは、5nmよりも小さい平均直径を有していてもよい。試薬は、50塩基対(bp)未満のサイズを有する酵素またはプライマーを含んでいてもよい。プライマーは、一本鎖DNA(ssDNA)を含んでいてもよい。一部の実施形態では、プライマーは、5bp~50bpのサイズを有していてもよい。一部の実施形態では、プライマーは、5bp~10bp、10bp~20bp、20bp~30bp、30bp~40bp、または40bp~50bpのサイズを有していてもよい。一部の実施形態では、プライマーは、50bpよりも大きいサイズを有していてもよい。ある特定の事例では、プライマーは、5bp未満のサイズを有していてもよい。一部の実施形態では、ポアは、5nm~100nmの直径を有していてもよい。一部の実施形態では、ポアは、5nm~10nm、10nm~20nm、20nm~30nm、30nm~40nm、50nm~60nm、60nm~70nm、70nm~80nm、80nm~90nm、90nm~100nmの直径を有していてもよい。一部の実施形態では、ポアは、100nmよりも大きい直径を有していてもよい。一部の実施形態では、ポアは、5nmよりも小さい平均直径を有していてもよい。ポリマーマトリックスは、約5ナノメートル(nm)~約100nmのポアサイズを有していてもよい。ポリマーマトリックスは、約5nm~約10nm、約5nm~約20nm、約5nm~約30nm、約5nm~約40nm、約5nm~約50nm、約5nm~約60nm、約5nm~約70nm、約5nm~約80nm、約5nm~約90nm、約5nm~約100nm、約5nm~約110nm、約10nm~約20nm、約I0nm~約30nm、約IOnm~約40nm、約10nm~約50nm、約10nm~約60nm、約10nm~約70nm、約10nm~約80nm、約10nm~約90nm、約10nm~約I00nm、約10nm~約110nm、約20nm~約30nm、約20nm~約40nm、約20nm~約50nm、約20nm~約60nm、約20nm~約70nm、約20nm~約80nm、約20nm~約90nm、約20nm~約100nm、約20nm~約110nm、約30nm~約40nm、約30nm~約50nm、約30nm~約60nm、約30nm~約70nm、約30nm~約80nm、約30nm~約90nm、約30nm~約I00nm、約30nm~約110nm、約40nm~約50nm、約40nm~約60nm、約40nm~約70nm、約40nm~約80nm、約40nm~約90nm、約40nm~約I00nm、約40nm~約110nm、約50nm~約60nm、約50nm~約70nm、約50nm~約80nm、約50nm~約90nm、約50nm~約100nm、約50nm~約110nm、約60nm~約70nm、約60nm~約80nm、約60nm~約90nm、約60nm~約100nm、約60nm~約110nm、約70nm~約80nm、約70nm~約90nm、約70nm~約100nm、約70nm~約110nm、約80nm~約90nm、約80nm~約100nm、約80nm~約110nm、約90nm~約100nm、約90nm~約110nm、または約100nm~約110nmのポアサイズを有していてもよい。ポリマーマトリックスは、約5nm、約10nm、約20nm、約30nm、約40nm、約50nm、約60nm、約70nm、約80nm、約90nm、約100nm、または約110nmのポアサイズを有していてもよい。ポリマーマトリックスは、少なくとも約5nm、約10nm、約20nm、約30nm、約40nm、約50nm、約60nm、約70nm、約80nm、約90nm、約100nm、またはそれ未満のポアサイズを有していてもよい。ポリマーマトリックスは、多くて約10nm、約20nm、約30nm、約40nm、約50nm、約60nm、約70nm、約80nm、約90nm、約100nm、約110nm、またはそれよりも大きいポアサイズを有していてもよい。
【0161】
多孔性のモジュレーション。ポリマーマトリックスにおけるポアサイズは、化学試薬を使用して、または熱、電界、光、もしくは別の好適な刺激を適用することによって、モジュレートされてもよい。言い換えれば、ポリマーマトリックスは、調整可能な性質(例えば、ポアサイズ)を含んでいてもよい。一部の事例では、ポリマーマトリックスは、熱応答性ポリマーまたは温度応答性ポリマーを含んでいてもよい。熱応答性ポリマー(例えば、ポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)(NIPAAM))は、加熱の際または冷却の際に、溶液から相を分離し得る(例えば、下限臨界共溶温度(LCST)または上限臨界共溶温度(UCST)を示すポリマー)。ポリマーマトリックスは、例えば、ヒドロゲルまたはポリマーマトリックスのポアサイズを制御するために、高温で崩壊し得るポリマーを含んでいてもよい。調整可能な性質を有するヒドロゲル/ポリマーマトリックスを形成するために使用され得る熱応答性ポリマーの非限定的な例としては、ポリ(N-ビニルカプロラクタム)、ポリ(N-エチルオキサゾリン)、ポリ(メチルビニルエーテル)、ポリ(アクリル酸-coアクリルアミド)、またはその組合せが挙げられ得る。温度の変化により、ポリマーマトリックスにおける平均ポアサイズが拡大または縮小し、選択された分子、例えば、核酸分子、タンパク質、または任意の生体分子もしくは調整されたポアサイズよりも小さい分子が、ヒドロゲルチャンバーから放出されるのを可能にし得る。
【0162】
ヒドロゲルチャンバーのサイズおよび形状。一部の実施形態では、チャンバーのポリマーマトリックス壁は、所定の構成成分、例えば、哺乳動物細胞、ゲノムDNA、より大きなポリヌクレオチド(例えば、200リボヌクレオチドよりも大きい、または300リボヌクレオチドよりも大きい、または500リボヌクレオチドのmRNA)などの通過を阻害する。一部の実施形態では、ポリマーマトリックス壁は、第1の表面から第2の表面に伸びて(第1の表面に平行)、チャネル内にチャンバーを形成する。一部の実施形態では、チャンバーは、ポリマーマトリックス壁、およびチャンバーによって囲まれる表面の面積である内部面積を有する内部を有する。一部の実施形態では、チャンバーの内部は、細胞を囲むためのサイズである。例えば、そのようなチャンバーは、内部空間、または内部およびポリマーマトリックス壁を含む、シリンダー状シェルまたは多角形シェルを含んでいてもよい。一部の実施形態では、そのようなチャンバーは、輪状様の断面を有する。本明細書で使用される場合、「輪状様の断面」という用語は、位相的に輪(annulus)に等しい断面を意味する。一部の実施形態では、チャンバーの内部空間または内部は、1μm~500μmの範囲の直径および1ピコリットル~200ナノリットル、または100ピコリットル~100ナノリットル、または100ピコリットル~10ナノリットルの範囲の体積を有する。一部の実施形態では、ヒドロゲルチャンバーは、5μm2~1×106μm2の範囲、または400μm2~7×105μm2の範囲の表面積を囲む。一部の実施形態では、ポリマーマトリックス壁は、少なくとも1μm(マイクロメートル)の厚さを有する。一部の実施形態では、輪状様の断面を有するチャンバーの高さは、10μm~500μmの範囲、または50μm~250μmの範囲の値を有する。一部の実施形態では、輪状様の断面を有するポリマーマトリックス壁は、1またはそれ未満のアスペクト比(すなわち、高さ/幅)を有する。一部の実施形態では、アスペクト比およびポリマーマトリックス壁の厚さは、力、例えば、チャネルを通る試薬の流れ、洗浄などに対して、チャンバーの安定性を最大化するように選択される。一部の実施形態では、少なくとも1つのポリマーマトリックス壁は、ヒドロゲル壁である。一部の実施形態では、少なくとも1つのポリマーマトリックスは、分解可能である。一部の実施形態では、少なくとも1つのポリマーマトリックスの分解は、「要求に応じて」である。一部の実施形態では、チャネル中のチャンバーは、不連続である。一部の実施形態では、チャネル中のチャンバーは、隣接チャンバーと連続していてもよい。一部の実施形態では、チャンバーは、互いとポリマーマトリックス壁を共有していてもよい。一部の実施形態では、チャンバーは、ある特定の構成成分、例えば、ビーズの通過を可能にするのに十分に大きいが、他の構成成分、例えば、細胞の通過を防止するのに十分に小さいスリットまたは他のオリフェイス(oriface)を用いて合成されてもよい。
【0163】
ヒドロゲル組成。一部の実施形態では、本発明のシステムの流体デバイスのチャネルは、チャンバーを形成するための1つまたは複数のポリマー前駆体を含む。一部の実施形態では、1つまたは複数のポリマー前駆体は、ヒドロゲル前駆体を含む。そのような前駆体は、限定されるものではないが、ポリエチレングリコール(PEG)-チオール、PEG-アクリレート、アクリルアミド、N,N’-ビス(アクリロイル)シスタミン、PEG、ポリプロピレンオキシド(PPO)、ポリアクリル酸、ポリ(ヒドロキシエチルメタクリレート)(PHEMA)、ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)、ポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)(PNIPAAm)、ポリ(乳酸)(PLA)、ポリ(乳酸-co-グリコール酸)(PLGA)、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリ(ビニルスルホン酸)(PVSA)、ポリ(L-アスパラギン酸)、ポリ(L-グルタミン酸)、ポリリシン、寒天、アガロース、アルギネート、ヘパリン、アルギネート硫酸塩、硫酸デキストラン、ヒアルロナン、ペクチン、カラギーナン、ゼラチン、キトサン、セルロース、コラーゲン、ビスアクリルアミド、ジアクリレート、ジアリルアミン、トリアリルアミン、ジビニルスルホン、ジエチレングリコールジアリルエーテル、エチレングリコールジアクリレート、ポリメチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、トリメチロプロパン(trimethylopropoane)トリメタクリレート、エトキシル化トリメチロールトリアクリレート、もしくはエトキシル化ペンタエリスリトールテトラアクリレート、またはその組合せもしくは混合物を含む多種多様な化合物から選択されてもよい。一部の実施形態では、ヒドロゲルは、酵素的に分解可能なヒドロゲル、PEGチオール/PEG-アクリレート、アクリルアミド/N,N’-ビス(アクリロイル)シスタミン(BACy)、またはPEG/PPOを含む。一部の実施形態では、以下の前駆体および架橋剤を使用して、分解可能なポリマーマトリックス(ヒドロゲル)壁を有するチャンバーが形成され得る。ポリマー前駆体は、表lAの任意のヒドロゲル前駆体および架橋剤(それぞれ、第1列および第3列)を使用することによって形成され得る。得られるポリマーマトリックスは、表lAにおいて示された分解剤(第4列)により分解され得る。
【表1A】
【表1B】
【0164】
ヒドロゲル分解。一部の実施形態では、本発明のヒドロゲルチャンバーは、一般に、チャネル内で、またはチャネル内で「要求に応じて」分解可能または解重合可能である。一般に分解可能なヒドロゲルチャンバーは、分解剤、または同等に、チャネル内のすべてのチャンバーに曝露される解重合剤による処理によって分解される。解重合剤としては、限定されるものではないが、熱、光、および/または化学的解重合試薬(切断試薬または分解試薬と称される場合がある)が挙げられ得る。一部の実施形態では、要求に応じた分解は、光架橋および光分解を可能にするポリマー前駆体を使用して、例えば、架橋のためおよび分解のための異なる波長を使用して、実行されてもよい。例えば、エオシンYは、500nmの波長を使用して、定義された領域でラジカル重合のために使用され得、その後、380nmでの照射を使用して、架橋リンカーを切断することができる。他の実施形態では、フォトケージドヒドロゲル切断試薬が、ポリマーマトリックス壁の形成に含まれていてもよい。例えば、酸に不安定な架橋剤(例えば、エステルなど)を使用して、ヒドロゲルを作り出すことができ、次いで、UV光を使用して、局所的酸性条件を発生させることができ、これは、次にヒドロゲルを分解する。一部の実施形態では、少なくとも1つのポリマーマトリックスは、(i)少なくとも1つのポリマーマトリックスを切断試薬と接触させるステップ、(ii)少なくとも1つのポリマーマトリックスを少なくとも90℃に加熱するステップ、または(iii)少なくとも1つのポリマーマトリックスを、少なくとも1つのポリマーマトリックスのポリマーを架橋する光切断可能架橋リンカーを切断する光の波長に曝露するステップのうちの少なくとも1つによって分解可能である。一部の実施形態では、少なくとも1つのポリマーマトリックスは、ヒドロゲルを含む。一部の実施形態では、切断試薬は、ヒドロゲルを分解する。一部の実施形態では、切断試薬は、還元剤、酸化剤、酵素、pHに基づく切断試薬、またはその組合せを含む。一部の実施形態では、切断試薬は、ジチオスレイトール(DTT)、トリス(2-カルボキシエチル)ホスフィン(TCEP)、トリス(3-ヒドロキシプロピル)ホスフィン(THP)、またはその組合せを含む。一部の実施形態では、ポリマーマトリックスまたはヒドロゲルの表面は、官能基をポリマーマトリックスまたはヒドロゲルに結合させることによって官能化されていてもよい。官能基の一部の非限定的な例としては、捕捉試薬(例えば、ピリジンカルボキシアルデヒド(PCA))、アクリルアミド、アガロース、ビオチン、ストレプトアビジン、strep-tag II、リンカー、アルデヒド、ホスフェート、シリケート、エステル、酸、アミド、アルデヒドジチオラン、PEG、チオール、アルケン、アルキン、アジドを含む官能基、またはその組合せが挙げられ得る。一部の事例では、官能化されたポリマーマトリックスを使用して、生体成分に隣接して(例えば、周辺またはその上で)形成されるポリマーマトリックスコンパートメントの内側で生体分子を捕捉してもよい。生体分子は、生体成分によって生成されてもよい(例えば、細胞由来のセクレトーム)。コンパートメントの内側のポリマーマトリックスの官能化された表面を使用して、コンパートメントの外側から試薬または分子を捕捉してもよい。官能化された表面は、試薬、分子センサー、または目的の任意の分子(例えば、抗体)によってカバーされる表面積を増加させ得る。
【0165】
部分分解。一部の実施形態では、既存のポリマーマトリックス壁は、例えば、多孔性を変化させるために、部分的に分解されてもよい。一部の実施形態では、ポリマー前駆体は、合成されたときにポリマーマトリックス壁の一部を形成し、その中に埋め込まれ、その後、要求に応じてまたは一般に分解され得、それによって、多孔性の増加を作り出す、分解可能なビーズを含んでいてもよい。
【0166】
光合成。一部の実施形態では、前記流体デバイス内でのポリマーマトリックスの作成は、1つまたは複数のポリマー前駆体をエネルギー源に曝露するステップを含む。一部の実施形態では、エネルギー源は、光発生デバイスである。一部の実施形態では、光発生デバイスは、350nm~800nmの光を発生する。一部の実施形態では、光発生デバイスは、350nm~600nmの光を発生する。一部の実施形態では、光発生デバイスは、350nm~450nmの光を発生する。一部の実施形態では、光発生デバイスは、UV光を発生する。一部の実施形態では、前記流体デバイス内でのポリマーマトリックスの作成は、空間光モジュレーター(SLM)(すなわち、所望の光強度パターンを空間的に発生することができる空間エネルギーモジュレーションエレメント)を使用して行われる。一部の実施形態では、SLMは、デジタルマイクロミラーデバイス(DMD)である。一部の実施形態では、SLMは、検流計を使用して導かれるレーザービームである。一部の実施形態では、SLMは、液晶に基づく。
配列決定、バーコード、ゲノム断片およびトランスクリプトーム
【0167】
オリゴヌクレオチド標識、バーコード、ゲノム断片、メッセンジャーRNAおよび他のポリヌクレオチド標的を含むRNA、または核酸分子は、本発明の方法およびシステムによって配列決定され得る。一部の実施形態では、捕捉用エレメント、または捕捉用プローブは、この目的のために、表面に結合したオリゴヌクレオチドを含み、ここで、そのようなオリゴヌクレオチドは、捕捉される核酸のものに相補的である配列セグメントを含み、これは、(例えば)mRNAまたは任意配列のポリAセグメント、またはバーコードもしくはオリゴヌクレオチド標識に隣接する「ハンドル」セグメントであってもよい。配列決定操作が行われるときに、表面は、そのような捕捉用エレメント(オリゴヌクレオチドなど)、および必要に応じて、捕捉された核酸またはその誘導体の表面増幅のための表面プライマーが提供される。そのような捕捉されたオリゴヌクレオチドは、当該技術分野で公知の多くの化学、例えば"Strategies for attaching oligonucleotides to solid supports," (2014)という表題のIntegrated DNA Technologies brochureによって、第1の表面に結合されてもよい。配列決定ステップは、溶解した細胞に隣接する表面上で行われてもよく(「in situ」配列決定)、またはテンプレートは、必要に応じて、表面から増幅、放出、および溶出され、外部配列決定機器において配列決定されてもよい(「外部」配列決定)。後者のアプローチでは、捕捉用エレメントは、表面の位置情報を提供する空間バーコードを含んでいてもよく、表面の特定の場所、例えば、個々のチャンバーの部位に関連付けられる配列を外部から決定することを可能にする。一部の実施形態では、空間バーコードは、それぞれのチャンバーが、1つまたは複数の空間バーコード、および通常は、単一の空間バーコードに固有に関連付けられる表面のエリアをカバーするように、十分に高い密度で存在する。一部の実施形態では、配列決定操作のためのポリヌクレオチドの調製は、標的テンプレート(例えば、オリゴヌクレオチド標識、mRNA、ゲノム断片)が放出され、捕捉用エレメント中の相補的な配列によって捕捉された後に行われる。放出するステップは、標的テンプレートの特質に依存する。例えば、ジスルフィド結合によって抗体に結合したオリゴヌクレオチド標識は、還元剤(溶解試薬と同じであってもよい)によって放出されてもよい。mRNAは、細胞を従来の溶解試薬で処理することによって放出されてもよい。ゲノム断片を放出するには、溶解および事前増幅ステップを必要とし得る。溶解条件は、広く異なる場合があり、熱、界面活性剤、プロテアーゼ、アルカリ、またはそのような因子の組合せの作用に基づき得る。以下の参考文献は、mRNAおよび/またはゲノムDNAのための単一細胞溶解条件についての溶解試薬、または溶解緩衝液の選択のためのガイダンスを提供する:Thronhill et al, Prenatal Diagnosis, 21: 490-497 (2001)、Kim et al, Fertility and Sterility, 92: 814-818 (2009)、Spencer et al, ISME Journal, 10: 427-436 (2016)、Tamminen et al, Frontiers Microbiol. Methods, 6: article 195 (2015)、など。溶解条件は以下を含んでいてもよい:1)細胞をH2O中、96℃で15分間、続いて10℃で15分間、2)200mMのKOH、50mMのジチオスレイトール(dithiotheitol)、65℃で10分間加熱、3)4μLのプロテアーゼ系溶解緩衝液について:3μLの125μg/mLのプロテイナーゼKと組み合わせた1μLの17μMのSDS、続いて37℃で60分間、次いで95℃で15分間のインキュベーション(プロテイナーゼKを不活化するため)、4)10μLの界面活性剤系溶解緩衝液について:2μLのH2O、2μLの10mMのEDTA、2μLの250mMのジチオスレイトール、2μLの0.5%のN-ラウリルサルコシン塩溶液、5)200mMのTris pH7.5、20mMのEDTA、2%のサルコシル(sarcoyl)、6%のFicoll。
【0168】
表面上で空間バーコードを用いる実施形態では、限定されるものではないが、参照により本明細書に組み込まれる以下の参考文献に記載される方法を含む多種多様な方法を使用して、空間バーコードを作成してもよい:Horganら、国際特許出願公開第WO2022/013094号;Frisenら、米国特許第9593365号;Fanら、米国特許出願公開第US2019/0360121号;Chen et al, bioRxiv (https://doi.org/10.1101/2021.01.17.427004);Cho et al, bioRxiv (https://doi.org/10.1101/2021.01.25.427807);Quan et al, Nature Biotechnology,29(5): 449-453 (2011);Singh-Gasson et al, Nature Biotechnology, 17: 974- (1999);など。
システムおよび機器
【0169】
拡散性調整剤としてゲルバリアを用いる実施形態(例えば、
図2E-2F示される通り)を行うためのシステムを、
図22Aに示す。フローセル(2200)は、ビーズおよび試薬をチャネルに送達するためのプログラム可能な制御下の1つまたは複数のチャネルおよび液体ハンドリング構成成分を提供する流体デバイスの構成成分である。この実例では、4つのチャネル(2202、2204、2206、および2208)が示され、チャネル2(2204)のセグメント(2210)の拡大図(2212)を下記に示す。
図22Aのフローセル(2200)の概念化された表示において、チャネルの入口、出口、および他の特徴は示されない。チャネル2(2204)の第1の表面(2214)において、複数のビーズ、例えば、(2218)は、ヒドロゲルチャンバー、例えば、(2216)によってそれぞれ囲まれる。一部の実施形態では、ヒドロゲルチャンバーのポリマーマトリックス壁の多孔性は、ビーズは透過不能であるが、空間バーコードを形成するために試薬は透過可能であるように選択される。このようにして、試薬は、それらをチャネルに流し(2220)、ビーズを内側に保持することによって、ヒドロゲルチャンバーの内部に導入され、そこから除去され得る。下記のチャネルセグメント(2210)の拡大(2212)は、チャネルにおけるビーズの場所で、ヒドロゲルチャンバーを光合成するための光学システム(2221)を示す。当業者は、
図22Aおよび22Bのものとは異なる構成を有する光学システムを、これらの機能を行うために用いてもよいことを認識するであろう。一部の実施形態では、ヒドロゲル構造を合成するための1つまたは複数のDMD-対物レンズサブシステムを用いて、複数の構造を同時に合成することによって、合成のスピードを増加させ得る。
【0170】
図22Aに戻って、ヒドロゲルチャンバーを光合成するために、光源(2222)は、ビームを形作って、チャネルにおいて所望の1つまたは複数の構造を合成するための適切なフォトマスクまたはビーム成形もしくはビーム操作(Galvo)システムを通過する、適切な波長の光(例えば、UV光)の光線(2223)を発生する。一部の実施形態では、デジタルマイクロミラーデバイス(DMD)(2224)が用いられ、他の実施形態では、物理的フォトマスクが用いられる。チャンバーの位置、形状およびポリマーマトリックス壁の厚さは、少なくとも部分的に、検出器(2232)によって収集された画像から決定されたビーズの位置情報から決定される。DMD(2224)からの反射光は、従来の光学系、例えば、平行光学系(2228)を使用して形作られ、対物レンズシステム(2234)を通してチャネル2セグメント(2210)に導かれる。対物レンズ(2234)およびフローセル(2200)は、xy方向(2236)で互いに対して移動して、チャネルのいずれかにおける任意の位置でチャンバーを光合成する。一部の実施形態では、フローセル(2200)は移動し、光学システム(2221)は静止している。一部の実施形態では、対物レンズ(2234)はまた、第1の表面(2214)において、光源(2229)からの光線(2227)を標的、例えば、細胞に向けることができ、第1の表面(2214)において行われるアッセイからの光学シグナル、例えば、蛍光シグナルを収集し得る。あるいは、光学シグナルの収集は、
図22Bに(if)示されるように、別々の対物レンズを用いて行われ得る。
図22Bの実施形態における検出器(2232)またはその対応物によって収集された情報、特に、それらの個々のチャネルにおける細胞の位置は、適切な場所で適切な形状およびサイズのヒドロゲルチャンバーを合成するように、対物レンズ(2234)およびフローセル(2200)の相対位置を制御するDMD(2224)および翻訳デバイスに指示するために、コンピューター(2238)および/または補助コントローラーによって用いられる。
【0171】
図22Bは、光学システムの検出部分(2250)が、光学システムの合成部分(2252)の移動(2268)と独立して移動する(2272)、代替の光学システムを示す。光学システムの検出部分(2250)は、検出器(2256)、対物レンズ(2258)、光源(2260)、および相互接続する光学エレメント、例えば、ダイクロイックミラー(2262)を含む。
図22Aの実施形態のように、検出器(2256)は、コンピューター(2264)および光学システムの合成部分(2252)と操作的に関連付けられて、ビーズの位置情報を合成部分(2252)に提供する。コンピューター(2264)および(2238)はまた、光学システムの対物レンズの相対位置およびフローセルの位置を制御するステージおよび/またはモーターと操作的に関連付けられる。この実施形態では、光学システムの合成部分(2252)は、検出部分(2250)から第1の表面(2264)の反対側に位置する。
図22Aの実施形態のように、これは、従来の構成成分の対物レンズ(2274)、ミラー(2276)、平行光学系(2280)、DMD(2282)、および光源(2278)を含む。
【0172】
一部の実施形態では、
図22Aにおけるビーズ、例えば、(2218)は、第1の表面(2214)上にランダムに配置される。代替の実施形態では、第1の表面(2214)は、ビーズを捕捉するための規則的な間隔の部位または特徴を含んでいてもよく、その結果、それらは、第1の表面上に、そのような部位または特徴のみが実質的に配置される。例えば、一部の実施形態では、そのような部位または特徴は、直線的または六角形の配列のスポットであってもよい。
【0173】
一部の実施形態では、本発明のシステムは、(a)第1の表面、第1の表面上に配置された複数の細胞、および1つまたは複数のポリマー前駆体を含むチャネル、(b)第1の表面と光学連絡している空間エネルギー変調素子、(c)第1の表面と光学連絡しており、空間エネルギー変調素子と実施可能に関連付けられている検出器であって、複数の細胞のそれぞれを検出し、第1の表面上のその位置を決定する、検出器、ならびに(d)複数のゲルチャンバーであって、それぞれのゲルチャンバーが、複数の細胞の単一細胞を囲む、ゲルチャンバーを含み、ここで、投射された光が1つまたは複数のポリマー前駆体の架橋を引き起こして、チャンバーのポリマーマトリックス壁を形成するように、空間エネルギー変調素子を用いて光をチャネルに投射することによってゲルチャンバーが合成され、合成されたチャンバーの位置が、囲まれた細胞の位置によって決定され、それによって検出器によって特定される。「検出器」という用語は、本明細書で使用される場合、限定されるものではないが、チャネルの一部分の画像を収集し、必要に応じて拡大する顕微鏡エレメント、ならびにそのような情報だけでなく関連する位置情報を保存するために、細胞、細胞の特徴、チャンバー、および他の目的物を特定するためのソフトウェアを含む画像解析エレメントを含んでいてもよいことが理解される。コンピューターエレメントは、使用者のインプットと一緒に検出器によって作成されたそのような情報を使用して、限定されるものではないが、チャンバーの合成、「要求に応じた」チャンバーの分解、細胞の光溶解などを含む各種の機能を行うために、他のエレメント、例えば、空間エネルギー変調素子へのコマンドを作成する。そのような実施形態の構成を、上記に記載される
図22A~22Bに示す。一部の実施形態では、流体デバイスのチャネルは、第2の表面をさらに含み、ここで、前記第1の表面および第2の表面は、チャネルにわたって互いの反対側に配置され、チャンバーのポリマーマトリックス壁は、第1の表面から第2の表面に伸びて、内部をそれぞれ有するチャンバーを形成する。一部の実施形態では、チャネル中のチャンバーは、単一細胞をそれぞれ囲む。一部の実施形態では、第1の壁および第2の壁は両方とも、光学的に透過性の材料、例えば、ガラス製、プラスチック製などであり、第1の表面および第2の表面が互いに実質的に平行であるように位置する。第1の表面と第2の表面との間の垂直距離は、10μm~500μmの範囲、または50μm~250μmの範囲であってもよい。一部の実施形態では、第1の表面と第2の表面との間の垂直距離は、分析される細胞の平均サイズの2倍~分析される細胞の平均サイズの5倍であってもよい。
【0174】
一部の実施形態では、第1の表面は、所定の場所で細胞を捕捉するために捕捉用エレメントを含んでいてもよい。例えば、捕捉用エレメントは、限定されるものではないが、細胞の全部または下位集団に特異的な捕捉用抗体を含んでいてもよい。捕捉用エレメントはまた、限定されるものではないが、非特異的捕捉材料、例えば、ポリリシン、フィブロネクチン、処理されたプラスチック(例えば、Maxysorb(商標)プラスチック、ThermoFisher)などを含んでいてもよい。一部の実施形態では、そのような細胞の捕捉部分(例えば、抗体)は、第1の表面上に規則的なパターンで配置されたスポットまたは反応部位に制限されてもよく、そのため、そのような反応部位で捕捉された細胞は、チャンバーの合成および/または光学シグナル検出のために、ランダムな配置よりも効率的であり得る規則的なパターンで第1の表面上に配置されてもよい。表面に細胞捕捉抗体を提供するためのガイダンスは、以下の参考文献:Zhu et al, Analytica Chemica Acta, 608: 186-196 (2008)、Sekine et al, J. Immunol. Methods, 313(1-2): 96-109 (2006)、などに見ることができる。一部の実施形態では、そのような反応部位またはスポットは、5~500μmの範囲、または10~1000μmの範囲の直径を有する。一部の実施形態では、そのようなスポットまたは反応部位は、直線的な配列に配置されるか、または六角形の配列に配置される。一部の実施形態では、そのようなスポットまたは反応部位のそのような配列は、10~2500部位/mm2、または10~1000部位/mm2、または10~500部位/mm2、または10~100部位/mm2の範囲の密度を有する。
【0175】
重合のために光エネルギーを使用する空間エネルギー変調素子は、物理的フォトマスクまたはバーチャルフォトマスク、例えば、デジタルマイクロミラーデバイス(DMD)を含んでいてもよい。参照により本明細書に組み込まれる以下の参考文献は、ゲルを光重合するためのDMDの選択および操作におけるガイダンスを提供する:Chungら、米国特許第10464307号;Hribarら、米国特許第10351819号;Dasら、米国特許第9561622号;Huang et al, Biomicrofluidics, 5: 034109 (2011);など。
【0176】
本発明の好ましい実施形態を、本明細書に示し、記載したが、当業者には、そのような実施形態が例としてのみ提供されていることが自明である。本発明は、本明細書内で提供される特定の例によって限定されることを意図するものではない。本発明を、前述の明細書を参照して記載したが、本明細書における実施形態の記載および説明は、限定的な意味で解釈されることを意味するものではない。本発明から逸脱することなく、当業者であれば、多数の変形、変更、および置換に直ちに想起する。さらにまた、本発明のすべての態様が、各種の条件および変数に依存する本明細書に示される特定の描写、構成、または相対的割合に限定されないことが理解されるべきである。本明細書に記載される本発明の実施形態に対するさまざまな代替を、本発明を実施する際に用いてもよいことが理解されるべきである。したがって、本発明は、任意のそのような代替、改変、変形、または均等物も包含すべきであることが企図される。以下の請求項が、本発明の範囲を定義すること、およびこれらの請求項およびそれらの均等物の範囲内の方法および構造がそれによって包含されることが意図される。
【実施例】
【0177】
以下の実例となる実施例は、本明細書に記載される刺激、システム、および方法の実施形態の代表であり、決して限定することを意味するものではない。
(実施例1)
本明細書に記載される方法を用いるRNA配列決定
【0178】
RNA転写物由来のP7またはP5適合ライブラリーを用いる実験を行う。RNA転写物を、緑色蛍光タンパク質(GFP)を含有するプラスミドから作成する。pMA-Tに基づくプラスミドは、P5、T7ポリメラーゼプロモーター、開始コドン、Hisタグ、FLAGタグ、GFP配列、TAA停止コドン、T7ターミネーター、およびP7を含有する。RNA転写物は、プロモーター配列からT7終結配列まで伸長することができる。しかしながら、T7ターミネーターは、転写を完全に停止せず、そのため、得られたRNA転写物の一部は、His_FLAG_GFP_P7’である。RNA転写物を、DNaseで処理して、そうでなければクラスターを形成するであろうDNAを除去する。DNase処理が有効であることをチェックするために、反応をゲル上で行い、分析して、DNase処理がDNAの除去において有効であることを証明する。
【0179】
PhiX DNAライブラリーおよびDNase処理GFP-P7’RNA転写物を、テンプレートハイブリダイゼーションのための標準的なクラスタープロトコールに従って、フローセルの異なるレーン上でハイブリッド形成する。例えば、レーン1~4は、PhiX DNAを含有することができるが、レーン5~8は、GFP RNAを含有する。レーン5および6は、DNaseで事前処理されて、DNAが除去されたRNAを含有することができる。レーン7および8は、追加対照として、DNaseで事前処理され、フローセル上でRNaseで処理されたRNAであり得る。PhiX DNAライブラリーは、両配列としてP5またはP7を介してハイブリッド形成することができ、それらの相補体はテンプレート中に存在する。対照的に、GFP-P7’RNAテンプレートは、それらの相補性およびP5配列の欠如を理由として、P7表面プライマーとのみハイブリッド形成する。第1の伸長は、モロニーマウス白血病ウイルス(MMLV)逆転写酵素などの任意の市販の逆転写酵素を使用することによって行うことができる。一部のレーンは、トランスポゾン配列のP5アダプター配列を含有するトランスポゾン複合体を使用して転位させることができる。転位事象後に残ったDNA配列中のギャップは、鎖置換伸長反応を使用して満たすことができる。転位事象は、P5アダプターを付加して、クラスターを作ることができるテンプレートを作成するために、GFP_P7’RNAを含有するレーンにおいて必要である。等温クラスター増幅を標準通りに行うことができる。
【0180】
第1の伸長から合成された核酸鎖を、本明細書に記載される生体試料の分析のために配列決定することができる。一部の事例では、第1の伸長から合成された鎖を配列決定して、トランスクリプトームデータを得ることができる。他の実例では、第1の伸長から合成された鎖は、第2の伸長または第2鎖合成のためのテンプレートとしての役割を果たして、核酸の第2鎖を作成することができる。第2鎖を配列決定して、トランスクリプトームデータを得ることができる。cDNA分子の第1鎖、第2鎖、または増幅は、本明細書に記載される方法の1つまたは複数を併せて利用して、トランスクリプトームデータを得ることができるコンビナトリアルアプローチによって得ることもできる。
図9は、そのような組合せの非限定的な例を提供し、ここで、改善の組合せ使用を、現在利用可能な配列決定技法を改善するために、
図2(表面上でのライブラリー構築)、
図3(望まないハイブリダイゼーションおよび伸長を回避するための表面プライマーの3’遮断)、
図5(cDNAの3’末端をブロックするためのTdTの使用)、および
図7(望まない捕捉用プローブを除去するためのエキソヌクレアーゼ処理の使用)に記載した。
(実施例2)
ヒトから得られた生体試料のRNA配列決定
【0181】
複数のレーンを有するフローセルを、ポリAテールを含むRNA分子にハイブリッド形成することができるプライマーを含んで、調製することができる。例えば、レーン1は、P5およびP7オリゴヌクレオチドのみを含む標準的なオリゴヌクレオチド(オリゴ)ミックスを用いてグラフトされ得るが、レーン2~8は、標準ミックス(P5およびP7オリゴ)と捕捉用オリゴ(すなわち、ポリAテールを含むRNA分子に結合するためのポリT配列を含むプライマー)を用いてグラフトされる。プライマーのグラフト化の後、フローセルを、使用まで4℃で保管することができる。この実施例では、5pMのPhiX対照ライブラリー試料を調製し、ハイブリダイゼーションのために、フローセルに、レーン1および2を追加することができる。レーン3~8のそれぞれについて、400ngのRNA試料を調製し、ハイブリダイゼーションのために、フローセルに添加する。レーン3~6は、対象から得られた生体試料などのヒトRNAを含有することができる。レーン7および8は、汎用ヒト参照(UHR)RNAを含有することができる。テンプレートハイブリダイゼーション後、洗浄緩衝液を、ハイブリッド形成していないテンプレートの除去のために、フローセルを通して投与することができる。ハイブリッド形成解除されたテンプレート(un-hybridized template)を、すべてのレーンにおいて、AMV-RT(NEB、Ipswich、Mass.)を使用して伸長することができ、これは、DNA:RNA複合体を生成した。
【0182】
レーン3~8は、トランスポソーム複合体と接触することができるが、レーン1および2は、等体積の洗浄緩衝液とのみ接触する。2つの異なる濃度のトランスポソーム複合体ミックスを調製する。レーン3、5および7のためのミックスを、1.25μlのトランスポソーム複合体、100μlの緩衝液、および400μlの水を用いて調製することができる。レーン4、6および8のためのミックスを、0.625μlのトランスポソーム複合体、100μlの緩衝液、および400μlの水を用いて調製することができる。95μlのトランスポソーム複合体ミックスを、タグ付け断片化のために、フローセルのレーン3~8に添加する。タグ付け断片化後にトランスポザーゼを除去するために、カオトロピック緩衝液を、フローセルのレーン3~8に添加し、2分間インキュベートする。次いで、フローセルのレーンを2回洗浄する。洗浄した後、Bst酵素を、タグ付け断片化されたDNA:RNA複合体の鎖置換伸長のために使用して、トランスポゾンの非移動鎖を除去し、クラスタリングのためにDNA:RNA複合体のDNA鎖を全長にする。RNA鎖を除去し、次いで、クラスターを、等温増幅を使用して作成する。次いで、クラスターを配列決定する。
【0183】
配列決定結果を、標準配列決定試薬を使用して標準配列決定方法に従って行われる汎用ヒト参照RNAの標準RNA配列決定について得られた結果と比較する。結果は、本明細書に提供される方法を使用して配列決定されたRNA試料についての通常のアライメント分布を示し得る。結果は、タグ付け断片化方法によって分析されたRNA試料の3’UTR領域におけるより多くの数のポリA配列およびより多くのリピートにおそらく起因して、より多くのリピートのマスクされたクラスターを示し得る。使用に適した読み取りは、分析され得るRNAにおけるより多くのリピートにおそらく起因して、標準RNA配列決定プロトコールについてよりも約10%低くなる可能性がある。リボソームRNAの量は、mRNAが、本明細書に提供されるタグ付け断片化方法において単離および配列決定されるので、予想された通り少なくなり得る。ミトコンドリアRNAは、正常限界内である。
【0184】
前述の開示は、明確性および理解の目的でいくらか詳細に記載したが、当業者には、本開示を読めば、本開示の真の範囲から逸脱することなく、形態および詳細にさまざまな変更を行うことができることは明らかである。例えば、上記に記載したすべての技法および装置は、さまざまな組合せで使用することができる。本出願に引用されるすべての刊行物、特許、特許出願、および/または他の文献は、それぞれ個々の刊行物、特許、特許出願、および/または他の文献が、すべての目的のために参照により本明細書に組み込まれることが個々にかつ別々に示されたのと同じ程度に、すべての目的のために、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。
用語および定義
【0185】
「アンプリコン」は、ポリヌクレオチド増幅反応の生成物、すなわち、1つまたは複数の出発配列から複製される一本鎖または二本鎖であり得るポリヌクレオチドのクローン集団を意味する。「増幅すること」は、増幅反応を行うことによってアンプリコンを生成することを意味する。1つまたは複数の出発配列は、同じ配列の1つもしくは複数のコピーであってもよく、またはそれらは、異なる配列の混合物であってもよい。一部の実施形態では、アンプリコンは、単一の出発配列の増幅によって形成され、その結果、アンプリコンは、出発配列のクローン集団である。アンプリコンは、その生成物が1つまたは複数の出発核酸または標的核酸の複製を含む各種の増幅反応によって生成されてもよい。一態様では、アンプリコンを生成する増幅反応は、ヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチドのいずれかの反応物の塩基対形成が、反応生成物の作出のために必要であるテンプレートポリヌクレオチド中に相補体を有するという点で「テンプレート駆動」である。一態様では、テンプレート駆動反応は、核酸ポリメラーゼによるプライマー伸長、または核酸リガーゼによるオリゴヌクレオチドライゲーションである。そのような反応としては、限定されるものではないが、参照により本明細書に組み込まれる以下の文献に開示される、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、線状ポリメラーゼ反応、核酸配列に基づく増幅(NASBA)、ローリングサークル増幅などが挙げられる:Mullisら、米国特許第4,683,195号;同第4,965,188号;同第4,683,202号;同第4,800,159号(PCR);Gelfandら、米国特許第5,210,015号(「taqman」プローブを用いるリアルタイムPCR);Wittwerら、米国特許第6,174,670号;Kacianら、米国特許第5,399,491号(「NASBA」);Lizardi、米国特許第5,854,033号;Aonoら、日本特許出願公開第JP4-262799(ローリングサークル増幅);など。増幅反応に関して、「反応混合物」は、反応を行うためのすべての必要な反応物を含有する溶液を意味し、これは、限定されるものではないが、反応の間に選択されたレベルでpHを維持するための緩衝剤、塩、補助因子、スカベンジャーなどを含んでいてもよい。特に興味が持たれるのは、ブリッジ増幅などのような、出発配列が増幅されて、表面結合コピーを生成する固相増幅技法、例えば、米国特許第6090592号、同第6060288号、同第6787308号、同第9057097号、同第9169513号、同第9476080号、同第9476080号、Adessi et al, Nucleic Acids Research, 28(20): e87 (2000)、などであり、これらは、参照により本明細書に組み込まれる。
【0186】
「バーコード」は、分子標識または識別子を意味する。一部の実施形態では、バーコードは、分析物に結合した分子であるか、分析物を特定するために使用され得る分析物のセグメント(例えば、ポリヌクレオチドバーコードおよびポリヌクレオチド分析物の事例において)である。一部の実施形態では、バーコード(本明細書で「空間バーコード」と称される)は、表面に結合して、表面上の場所を特定し得る。一部の実施形態では、同一の空間バーコードの集団は、表面上の特定のエリア内に配置されてもよい。一部の実施形態では、異なる空間バーコードと表面上の異なるエリアとの間に1対1の対応がある場合があり、すなわち、それぞれの異なるエリアは、異なる固有のバーコードを有する。一部の実施形態では、空間バーコードの特定は、空間バーコードがポリヌクレオチドである場合はいつでも、例えば、配列決定によって決定可能である。一部の実施形態では、空間バーコードは、オリゴヌクレオチドである。一部の実施形態では、バーコードは、ランダム配列オリゴヌクレオチドを含む。ランダム配列オリゴヌクレオチドは、典型的には、例えば、参照により本明細書に組み込まれる以下の参考文献に記載される、「分割およびミックス」合成技法によって合成される:Church、米国特許第4942124号;Godronら、国際特許公開第WO2020/120442号;Seeligら、米国特許出願公開第2016/0138086号;など。時折、ランダムオリゴヌクレオチドは、「NNN・・・N」と表される。一部の実施形態では、「バーコード」という用語は、複合バーコード、すなわち、異なる目的物を特定する下位セグメントを含むオリゴヌクレオチドセグメントを含む。例えば、複合バーコードの第1のセグメントは、表面の特定のエリアを特定することができ、複合バーコードの第2のセグメントは、特定の分子(いわゆる「固有分子識別子」またはUMI)を特定することができる。
【0187】
「細胞」は、本発明の方法およびシステムによってアッセイされ得る生体細胞を指し、限定されるものではないが、脊椎動物、非脊椎動物、真核生物、哺乳動物、微生物、原生動物、原核生物、細菌、昆虫、または真菌の細胞を含む。一部の実施形態では、哺乳動物細胞が、本発明の方法およびシステムによってアッセイされる。特に、医療、産業、環境、もしくは治療プロセスにおける使用のために遺伝的に変更され得るか、または変更された、任意の哺乳動物細胞が、本発明の方法およびシステムによって分析されてもよい。一部の実施形態では、「細胞」は、本明細書で使用される場合、遺伝子改変された哺乳動物細胞を含む。一部の実施形態では、「細胞」は、幹細胞を含む。一部の実施形態では、「細胞」は、CRISPR Cas9技法によって改変された細胞を指す。一部の実施形態では、「細胞」は、限定されるものではないが、細胞傷害性Tリンパ球、調節性T細胞、CD4+T細胞、CD8+T細胞、ナチュラルキラー細胞、抗原提示細胞、または樹状細胞を含む、免疫系の細胞を指す。特に興味が持たれるのは、がん療法などの治療適用のために操作された細胞傷害性Tリンパ球である。
【0188】
「クラスター」は、ブリッジPCRなどの表面増幅技法によって増幅された単一ポリヌクレオチドのアンプリコンまたはクローン集団を意味する。一部の実施形態では、「クラスター」という用語は、ローリングサークル増幅によって生成されたアンプリコンを含む。
【0189】
「ヒドロゲル」は、共有結合、イオン結合または水素結合であり得るポリマー鎖間の物理的または化学的結合の確立に起因して、溶解することなく、多量の水(例えば、60~90パーセントの水、または70~80パーセント)を吸収および保持する能力を有する、架橋された親水性ポリマーネットワークを含むゲルを意味する。ヒドロゲルは、酸素および栄養素の高い透過性を示し、それらを、細胞封入および培養適用のための魅力的な材料にする。ヒドロゲルは、天然ポリマーまたは合成ポリマーを含み得、可逆的(すなわち、分解可能または解重合可能)または不可逆的であり得る。合成ヒドロゲルポリマーとしては、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリ(2-ヒドロキシエチルメタクリレート)およびポリ(ビニルアルコール)が挙げられ得る。天然ヒドロゲルポリマーとしては、アルギネート、ヒアルロン酸、およびコラーゲンが挙げられる。以下の参考文献は、ヒドロゲルおよびそれらの生物医学的使用を記載している:Drury et al, Biomaterials, 24: 4337-4351 (2003)、Garagorri et al, Acta Biomatter, 4(5): 1139-1147 (2008)、Caliari et al, Nature Methods, 13(5): 405-414 (2016)、Bowmanら、米国特許第9631092号、Koh et al, Langmuir, 18(7): 2459-2462 (2002)。
【0190】
「要求に応じて」は、操作が、個々の、別個の、選択された場所(例えば、ポリマー前駆体溶液の空間的な場所、または選択されたポリマーマトリックスチャンバー)に向けられ得ることを意味する。そのような選択は、検出器によって収集された光学シグナルもしくはデータの手動観察に基づいていてもよく、またはそのような選択は、検出器によって収集された光学シグナルもしくはデータに対して作動するコンピューターアルゴリズムに基づいていてもよい。検出器によって収集された光学シグナルまたはデータの手動観察は、リアルタイム検出、またはポリマー前駆体を重合するエネルギーの単位をモジュレートするか、もしくはチャンバーを分解する前の一定期間の検出のいずれかを含み得る。例えば、チャンバーのサブセット(光分解可能なポリマーマトリックス壁を用いてすべて形成される)は、チャンバーにおいて行われた分析アッセイからの位置情報および光学シグナルの値に基づいてそれらの内容物を放出および除去するために事前選択されていてもよい。事前選択されたチャンバーは、適切な波長特徴の光線を選択的に投射することによって(例えば、空間エネルギー変調素子を用いて)光分解されて、事前選択されたチャンバーのポリマーマトリックス壁を分解し得る。別の例では、複数のチャンバーが、目的の分析物の検出のためにリアルタイムで(例えば、蛍光顕微鏡を介して)観察されてもよく、複数のチャンバーの1つまたは複数のチャンバーは、分解のために、目的の分析物の検出の際に、リアルタイムで選択される。
【0191】
「物理的フォトマスク」は、一般に、そこを通して光が投射され得る複数の開口部または孔を有する物理的構造を指す。物理的フォトマスクを使用して、ポリマー前駆体溶液を重合させること、およびフォトマスク上のパターンに対応する三次元構造を形成することによって、本明細書に記載されるヒドロゲルマトリックスを作出することができる。物理的フォトマスクは、特定のレイアウトまたは幾何学的パターンでパターン化され得る。物理的フォトマスクは、フローセルの上面に接着されていてもよい。
【0192】
「ポリメラーゼ連鎖反応」または「PCR」は、DNAの相補鎖の連続的プライマー伸長による、特定のDNA配列のin vitro増幅のための反応を意味する。言い換えれば、PCRは、プライマー結合部位にフランキングした標的核酸の複数のコピーまたは複製を作成するための反応であり、そのような反応は、以下のステップの1つまたは複数の反復を含む:(i)標的核酸を変性させるステップ、(ii)プライマーをプライマー結合部位にアニーリングするステップ、および(iii)ヌクレオシド三リン酸の存在下で核酸ポリメラーゼによってプライマーを伸長するステップ。通常、反応は、サーマルサイクラー機器において、それぞれのステップについて最適化された異なる温度によりサイクルされる。特定の温度、それぞれのステップの期間、およびステップ間の変化速度は、例えば、文献:McPherson et al, editors, PCR: A Practical Approach and PCR2: A Practical Approach (IRL Press, Oxford, それぞれ1991および1995)によって例示される、当業者に周知の多くの因子に依存する。例えば、Taq DNAポリメラーゼを使用する従来のPCRでは、二本鎖標的核酸は、>90℃の温度で変性され得、プライマーは、50~75℃の範囲の温度でアニーリングされ得、プライマーは、72~78℃の範囲の温度で伸長され得る。「PCR」という用語は、限定されるものではないが、RT-PCR、リアルタイムPCR、ネステッドPCR、定量的PCR、マルチプレックスPCR、ブリッジPCRなどを含む反応の派生形態を包含する。反応体積は、数百ナノリットル、例えば、200nLから、数百μL、例えば、200μLまでの範囲である。「逆転写PCR」または「RT-PCR」は、次いで増幅される相補的一本鎖DNAに標的RNAを変換する逆転写反応によって進むPCRを意味する。例えば、Tecottら、米国特許第5,168,038号、この特許は、参照により本明細書に組み込まれる。「リアルタイムPCR」または「定量的PCR」は、反応生成物、すなわち、アンプリコンの量が、反応の進行につれてモニターされる、PCRを意味する。反応生成物をモニターするために使用される検出化学において主に相違する多くの形態のリアルタイムPCRが存在する。例えば、Gelfandら、米国特許第5,210,015号(「taqman」);Wittwerら、米国特許第6,174,670号および同第6,569,627号(インターカレート色素);Tyagiら、米国特許第5,925,517号(分子ビーコン)、これらの特許は、参照により本明細書に組み込まれる。リアルタイムPCRのための検出化学は、Mackay et al, Nucleic Acids Research, 30: 1292-1305 (2002)において概説されており、これも、参照により本明細書に組み込まれる。
【0193】
「ポリマーマトリックス」は、一般に、少なくとも1つのポリマーを含む相材料(例えば、連続相材料)を指す。一部の実施形態では、ポリマーマトリックスは、少なくとも1つのポリマー、およびポリマーによって占有されない間隙空間を指す。ポリマーマトリックスは、1つまたは複数の種類のポリマーから構成されていてもよい。ポリマーマトリックスは、直鎖状、分枝状、および架橋ポリマー単位を含んでいてもよい。ポリマーマトリックスはまた、ポリマー鎖によって占有されていないその間隙空間内に挿入された非ポリマー種を含有していてもよい。挿入された種は、固体、液体、またはガス状の種であり得る。例えば、「ポリマーマトリックス」という用語は、乾燥したヒドロゲル、水和したヒドロゲル、およびガラス繊維を含有するヒドロゲルを包含し得る。ポリマーマトリックスは、ポリマー前駆体を含んでいてもよく、これは、一般に、活性化の際に、重合反応の引き金を引くまたは開始することができる1つまたは複数の分子を指す。ポリマー前駆体は、電気化学エネルギー、光化学エネルギー、光子、磁気エネルギー、または任意の他の好適なエネルギーによって活性化され得る。本明細書で使用される場合、「ポリマー前駆体」という用語は、モノマー(重合して、ポリマーマトリックスを生成する)および架橋化合物を含み、これは、光開始剤、ポリマーマトリックス、特に、ヒドロゲルであるポリマーマトリックスを作成するために必要なまたは有用な他の化合物を含んでいてもよい。
【0194】
「ポリヌクレオチド」および「オリゴヌクレオチド」は、互換的に使用され、ヌクレオチドモノマーの線状ポリマーをそれぞれ意味する。ポリヌクレオチドおよびオリゴヌクレオチドを作り上げるモノマーは、モノマー間相互作用、例えば、ワトソン-クリック型の塩基対形成、塩基スタッキング、フーグスティーン型または逆フーグスティーン型の塩基対形成などの規則的なパターンによって天然ポリヌクレオチドに特異的に結合することができる。そのようなモノマーおよびそれらのヌクレオシド間結合は、天然に存在するものであってもよく、またはそのアナログ、例えば、天然に存在するもしくは天然に存在しないアナログであってもよい。天然に存在しないアナログとしては、PNA、ホスホロチオエートヌクレオシド間結合、標識、例えば、フルオロフォアまたはハプテンの結合を可能にする連結基を含有する塩基などが挙げられ得る。オリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドの使用が酵素的プロセシング、例えば、ポリメラーゼによる伸長、リガーゼによるライゲーションなどを必要とする場合はいつでも、当業者は、これらの場合におけるオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドが、任意のまたは一部の位置において、ヌクレオシド間結合、糖部分または塩基のある特定のアナログを含有しないことを理解するであろう。ポリヌクレオチドは、典型的には、数モノマー単位、例えば、それらが、通常、「オリゴヌクレオチド」と称される場合に5~40から数千モノマー単位のサイズの範囲である。ポリヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチドが、「ATGCCTG」などの文字(大文字または小文字)の配列で表される場合はいつでも、ヌクレオチドが、左から右に5’→3’の順序であること、および他に指示されない限りまたは文脈から自明でない限り、「A」がデオキシアデノシンを示し、「C」がデオキシシチジンを示し、「G」がデオキシグアノシンを示し、そして、「T」がチミジンを示し、「I」がデオキシイノシンを示し、「U」がウリジンを示すことが理解される。特に断りのない限り、専門用語および原子の番号付けの慣例は、Strachan and Read, Human Molecular Genetics 2 (Wiley-Liss, New York, 1999)に開示されるものに従う。通常、ポリヌクレオチドは、ホスホジエステル結合によって結合された4つの天然ヌクレオシド(例えば、DNAについてはデオキシアデノシン、デオキシシチジン、デオキシグアノシン、デオキシチミジン、または、RNAについてはそれらのリボースの対応物)を含むが、しかしながら、それらはまた、例えば、修飾された塩基、糖またはヌクレオシド間結合を含む非天然ヌクレオチドアナログを含み得る。当業者には、酵素が、例えば、一本鎖DNA、RNA/DNA二重鎖などの、活性について特定のオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチド基質の要件を有する場合、オリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチド基質のための適切な組成の選択が、特に、Sambrook et al, Molecular Cloning, Second Edition (Cold Spring Harbor Laboratory, New York, 1989)および同様の参考文献などの論文からのガイダンスを用いて、十分に当業者の知識の範囲内であることは明らかである。
【0195】
「プライマー」は、ポリヌクレオチドテンプレートと二重鎖を形成する際に、核酸合成の開始点として作用することができ、伸長された二重鎖が形成されるように、その3’末端からテンプレートに沿って伸長することができる、天然または合成のいずれかのオリゴヌクレオチドを意味する。プライマーの伸長は、通常、核酸ポリメラーゼ、例えば、DNAポリメラーゼまたはRNAポリメラーゼを用いて行われる。伸長プロセスにおいて追加されるヌクレオチドの配列は、テンプレートポリヌクレオチドの配列によって決定される。通常、プライマーは、DNAポリメラーゼによって伸長される。プライマーは、通常、14~40ヌクレオチドの範囲、または18~36ヌクレオチドの範囲の長さを有する。プライマーは、各種の核酸増幅反応(nucleic amplification reaction)、例えば、単一のプライマーを使用する線形増幅反応、または2つもしくはそれよりも多くのプライマーを用いるポリメラーゼ連鎖反応において用いられる。特定の適用のためのプライマーの長さおよび配列を選択するためのガイダンスは、参照により本明細書に組み込まれる以下の参考文献:Dieffenbach, editor, PCR Primer: A Laboratory Manual, 2nd Edition (Cold Spring Harbor Press, New York, 2003)によって証拠付けられるように、当業者に周知である。
【0196】
絶対的または逐次的な用語、例えば、「する(will)」、「しない(will not)」、「すべきである(shall)」、「すべきでない(shall not)」、「しなければならない(must)」、「してはならない(must not)」、「第1に(first)」、「最初に(initially)」、「次に(next)」、「その後(subsequently)」、「前(before)」、「後(after)」、「最後に(lastly)」、および「最終的に(finally)」の使用は、本明細書に開示される本実施形態の範囲を限定することを意味するものではなく、例としてのみのものである。
【0197】
本明細書で使用される場合、単数形の「a」、「an」および「the」は、文脈が他を明確に示さない限り、複数形を同様に含むことが意図される。さらにまた、「含むこと(including)」、「含む(includes)」、「有すること(having)」、「有する(has)」、「有する(with)」という用語、またはそれらの変形が詳細な説明および/または特許請求の範囲のいずれかにおいて使用される範囲で、そのような用語は、「含むこと(comprising)」という用語と類似の様式で包括的であることが意図される。
【0198】
本明細書で使用される場合、「少なくとも1つ」、「1つまたは複数」、および「および/または」という語句は、接続語および離接語の両方で機能するオープンエンド表現である。例えば、「A、BおよびCのうちの少なくとも1つ」、「A、B、またはCのうちの少なくとも1つ」、「A、B、およびCのうちの1つまたは複数」、「A、B、またはCのうちの1つまたは複数」および「A、B、および/またはC」の表現のそれぞれは、A単独、B単独、C単独、AおよびBを一緒に、AおよびCを一緒に、BおよびCを一緒に、またはA、BおよびCを一緒に、を意味する。
【0199】
本明細書で使用される場合、「または」は、「および」、「または」、または「および/または」を指していてもよく、排他的および包括的の両方で使用され得る。例えば、「AまたはB」という用語は、「AまたはB」、「AであるがBではない」、「BであるがAではない」、および「AおよびB」を指し得る。一部の事例では、文脈が、特定の意味を決めることがある。
【0200】
本明細書に記載される任意のシステム、方法、ソフトウェア、およびプラットフォームはモジュール式である。したがって、「第1」および「第2」などの用語は、優先順位、重要性の順序、または行為の順序を必ずしも意味しない。
【0201】
「約」という用語は、数または数値範囲を指す場合、指された数または数値範囲が、実験的な変動内(または統計的な実験誤差内)の近似値であることを意味し、数または数値範囲は、例えば、述べられた数または数値範囲の1%~15%変化してもよい。例では、「約」という用語は、述べられた数または値の±10%を指す。
【0202】
「増加した(increased)」、「増加すること(increasing)」、または「増加する(increase)」という用語は、本明細書において、一般に、統計的に有意な量(statically significant amount)の増加を意味するために使用される。一部の態様では、「増加した」または「増加する」という用語は、参照レベルと比較して、少なくとも10%の増加、例えば、参照レベル、標準、または対照と比較して、少なくとも約10%、少なくとも約20%、もしくは少なくとも約30%、もしくは少なくとも約40%、もしくは少なくとも約50%、もしくは少なくとも約60%、もしくは少なくとも約70%、もしくは少なくとも約80%、もしくは少なくとも約90%、もしくは100%の増加を含んで最大で100%の増加、または10~100%の間の任意の増加を意味する。「増加する」の他の例には、参照レベルと比較して、少なくとも2倍、少なくとも5倍、少なくとも10倍、少なくとも20倍、少なくとも50倍、少なくとも100倍、少なくとも1000倍、またはそれよりも大きい増加が含まれる。
【0203】
「減少した(decreased)」、「減少すること(decreasing)」、または「減少する(decrease)」という用語は、本明細書において、一般に、統計的に有意な量の減少を意味するために使用される。一部の態様では、「減少した」または「減少する」は、参照レベルと比較して、少なくとも10%の減少、例えば、参照レベルと比較して、少なくとも約20%、もしくは少なくとも約30%、もしくは少なくとも約40%、もしくは少なくとも約50%、もしくは少なくとも約60%、もしくは少なくとも約70%、もしくは少なくとも約80%、もしくは少なくとも約90%、もしくは100%の減少を含んで最大で100%の減少(例えば、参照レベルと比較して、存在しないレベルまたは検出不能なレベル)、または10~100%の間の任意の減少を意味する。マーカーまたは症状の文脈において、これらの用語によって、そのようなレベルの統計的に有意な減少を意味する。減少は、例えば、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%またはそれよりも多くであり得、好ましくは、所与の疾患なしの個体について正常範囲内として受け入れられるレベルまでの低下である。
【0204】
DNA:RNA二重鎖は、RNAが捕捉され、捕捉されたRNAから相補的DNA(cDNA)が逆転写された場合に形成される複合体を指し得る。一部の事例では、DNA:RNA二重鎖のRNAは、変性または洗い流すことができ、cDNAは、第2鎖合成反応に供されて、二重鎖DNA(dsDNA)を作成することができる。
【0205】
トランスポゾンまたはトランスポザーゼは、ほとんど任意に場所を移動する(転座する)能力を有するヌクレオチドの小配列を指し得る。
【0206】
「試料」という用語は、本明細書で使用される場合、一般に、生体成分を含有する化学試料または生体試料を指す。生体成分は、細胞、核酸、マイクロバイオーム、タンパク質、細胞の組合せ、代謝産物、その組合せ、または生体試料の任意の他の好適な構成成分を含んでいてもよい。例えば、試料は、1つまたは複数の細胞を含む生体試料であり得る。別の例について、試料は、1つまたは複数の核酸を含む生体試料であり得る。生体試料は、血液(例えば、全血)、血漿、血清、尿、唾液、粘膜排出物、痰、糞便、および涙液から得ることができ(例えば、抽出または単離することができ)、またはそれを含むことができる。生体試料は、流体または組織試料(例えば、皮膚試料)であり得る。一部の実例では、試料は、ホモジナイズされた組織試料(例えば、脳ホモジネート、肝臓ホモジネート、または腎臓ホモジネート)に由来していてもよい。ある特定の実施形態では、試料は、特定の種類の細胞(例えば、神経細胞、筋細胞、肝臓細胞、または腎臓細胞)を含んでいてもよい。試料は、罹患細胞または組織(例えば、腫瘍細胞または壊死細胞)を含んでいてもよく、またはそれから取得されてもよい。一部の実施形態では、試料は、疾患関連包含物(例えば、プラーク、バイオフィルム、腫瘍、または非がん性腫瘤)を含んでいてもよく、またはそれ由来であってもよい。ある特定の実施形態では、試料は、無細胞の体液、例えば、全血、唾液、もしくは尿を含んでいてもよく、またはそれから得てもよい。さまざまな実施形態では、試料は、循環腫瘍細胞を含み得る。一部の事例では、試料は、環境試料(例えば、土壌、廃棄物、または周囲空気)、工業試料(例えば、任意の工業プロセス由来の試料)、または食品試料(例えば、乳製品、野菜製品、または肉製品)を含んでいてもよく、またはそれであってもよい。試料は、マイクロ流体デバイスにロードする前に処理されていてもよい。例えば、試料は、ある特定の細胞型もしくは核酸を精製するため、および/または試薬を含めるために処理されていてもよい。
【0207】
本明細書で使用される場合、「タグ付け断片化」は、トランスポゾン末端配列を含むアダプターと複合体形成したトランスポザーゼ酵素を含むトランスポソーム複合体によるDNAの修飾を指す。タグ付け断片化は、同時的なDNAの断片化および二重鎖断片の両方の鎖の5’末端へのアダプターのライゲーションをもたらす。トランスポザーゼ酵素を除去するための精製ステップ後、追加の配列を、例えば、PCR、ライゲーション、または任意の他の好適な方法論によって、適合された断片の末端に付加することができる。「トランスポソーム」は、少なくともトランスポザーゼ酵素およびトランスポザーゼ認識部位から構成される。「トランスポソーム」と称される一部のそのような系では、トランスポザーゼは、転位反応を触媒することができるトランスポゾン認識部位と機能的複合体を形成することができる。トランスポザーゼまたはインテグラーゼは、「タグ付け断片化」と称される場合があるプロセスにおいて、トランスポザーゼ認識部位に結合し、トランスポザーゼ認識部位を標的核酸に挿入し得る。一部のそのような挿入事象では、トランスポザーゼ認識部位の1つの鎖は、標的核酸に転移され得る。標準的な試料調製方法では、それぞれのテンプレートは、挿入物のいずれかの末端にアダプターを含有し、多くの場合、DNAまたはRNAの両方を修飾し、修飾反応の所望の生成物を精製するために、いくつかのステップが必要である。これらのステップは、表面に共有結合的に付着したプライマーの末端上にハイブリッド形成した断片をコピーするプライマー伸長反応によってそれらが表面に結合されるフローセルへの適合された断片の付加の前に、溶液中で行われる。
【0208】
本発明の好ましい実施形態を、本明細書に示し、記載したが、当業者には、そのような実施形態が例としてのみ提供されていることが自明である。本発明は、本明細書内で提供される特定の例によって限定されることを意図するものではない。本発明を、前述の明細書を参照して記載したが、本明細書における実施形態の記載および説明は、限定的な意味で解釈されることを意味するものではない。本発明から逸脱することなく、当業者であれば、多数の変形、変更、および置換に直ちに想起する。さらにまた、本発明のすべての態様が、各種の条件および変数に依存する本明細書に示される特定の描写、構成、または相対的割合に限定されないことが理解されるべきである。本明細書に記載される本発明の実施形態に対するさまざまな代替を、本発明を実施する際に用いてもよいことが理解されるべきである。したがって、本発明は、任意のそのような代替、改変、変形、または均等物も包含すべきであることが企図される。以下の請求項が、本発明の範囲を定義すること、およびこれらの請求項およびそれらの均等物の範囲内の方法および構造がそれによって包含されることが意図される。
【国際調査報告】