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特表2024-520809ロボット外科用システムにおける吸引及び灌注弁並びにそれをプライミングする方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-24
(54)【発明の名称】ロボット外科用システムにおける吸引及び灌注弁並びにそれをプライミングする方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 34/30 20160101AFI20240517BHJP
【FI】
A61B34/30
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023575865
(86)(22)【出願日】2022-06-10
(85)【翻訳文提出日】2023-12-15
(86)【国際出願番号】 IB2022055405
(87)【国際公開番号】W WO2022259216
(87)【国際公開日】2022-12-15
(31)【優先権主張番号】17/345,119
(32)【優先日】2021-06-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】506157570
【氏名又は名称】シラグ・ゲーエムベーハー・インターナショナル
【氏名又は名称原語表記】Cilag GMBH International
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】カレンバーガー・クリス・イー
【テーマコード(参考)】
4C130
【Fターム(参考)】
4C130AA04
4C130AA13
4C130AA16
4C130AA22
4C130AA23
4C130AA34
4C130AA42
4C130AA47
4C130AA55
4C130AB01
4C130AB02
4C130DA04
(57)【要約】
外科用器具をプライミングする方法であって、外科用器具は、ルーメンを含むシャフトアセンブリと、弁アセンブリと、を含む。弁アセンブリは、流体源から流体を受け入れるように構成された第1の入口と、真空源から吸引を受け入れるように構成された第2の入口と、ルーメンと流体連通する出口と、弁チャンバと、少なくとも1つの弁プラグと、を含む。方法は、流体源を作動させて第1の入口に流体を提供することと、真空源を作動させて第2の入口に吸引を提供することと、少なくとも1つの弁プラグを第1の位置から第2の位置に移行させることと、流体の第1の部分を第1の入口から第2の入口を通して真空源に向かって移送し、それによって、外科用器具をプライミングすることと、を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロボット外科用システムであって、
(a)ルーメンを含むシャフトアセンブリと、
(b)弁アセンブリであって、
(i)流体供給ラインと結合して流体源から流体を受け入れるように構成された第1の入口と、
(ii)真空源から吸引を受け入れるように構成された第2の入口と、
(iii)前記ルーメンと流体連通する出口と、
(iv)弁チャンバと、
(v)前記第1の入口を介して、前記流体源を前記弁チャンバと選択的に流体連通させるように構成された流体弁プラグと、
(vi)前記第2の入口を介して、前記真空源を前記弁チャンバと選択的に流体連通させるように構成された真空弁プラグと、を含む、弁アセンブリと、を備え、
前記弁アセンブリは、第1の構成及び第2の構成で動作するように構成されており、
(i)前記第1の構成では、前記流体弁プラグ及び前記真空弁プラグがどちらも閉じられ、それによって、前記弁チャンバから前記流体源及び前記真空源を流体結合解除するように構成されており、
(ii)前記第2の構成では、前記流体弁プラグ及び前記真空弁プラグがどちらも開かれ、それによって、前記流体源及び前記真空源を前記弁チャンバと流体結合するように構成されており、そのため、前記真空源は、前記入口ポートを通過する前記流体の全てを、前記第2の入口を通して吸引する、ロボット外科用システム。
【請求項2】
プロセッサと、所定の滞留時間を含むメモリ記憶装置と、を更に備え、前記プロセッサが、前記所定の滞留時間にわたって前記弁アセンブリを前記第2の構成へと選択的に移動させるように構成されている、請求項1に記載の外科用装置。
【請求項3】
前記流体弁プラグ及び前記真空弁プラグが、同時に開閉するように動作可能である、請求項1に記載の外科用装置。
【請求項4】
前記弁アセンブリが、第3の構成及び第4の構成で動作するように構成されており、
(a)前記第3の位置では、前記第1の入口が前記弁チャンバと流体結合されており、前記第2の入口が前記弁チャンバから流体結合解除されており、
(b)前記第4の位置では、前記第1の入口が前記弁チャンバから流体結合解除されており、前記第2の入口が前記弁チャンバと流体結合されている、請求項1に記載の外科用装置。
【請求項5】
流体で外科用器具をプライミングする方法であって、前記外科用器具は、(a)ルーメンを含むシャフトアセンブリと、(b)弁アセンブリであって、(i)流体源から前記流体を受け入れるように構成された第1の入口と、(ii)真空源から吸引を受け入れるように構成された第2の入口と、(iii)前記ルーメンと流体連通する出口と、(iv)弁チャンバと、(v)前記弁チャンバを介して前記出口、前記第1の入口、及び前記第2の入口のうちの少なくとも2つを選択的に流体接続するように構成された少なくとも1つの弁プラグと、を含む、弁アセンブリと、を含み、前記方法は、
(a)前記流体源を作動させて前記第1の入口に前記流体を提供することと、
(b)前記真空源を作動させて前記第2の入口に前記吸引を提供することと、
(c)前記少なくとも1つの弁プラグを第1の位置から第2の位置へと移行させることであって、
(i)前記第1の位置では、前記流体源及び前記真空源が各々、前記弁チャンバから流体結合解除されており、
(ii)前記第2の位置では、前記流体源及び前記真空源が各々、前記弁チャンバと流体連通する、移行させることと、
(d)前記吸引を介して、前記第1の入口からの前記流体の第1の部分を、前記第2の入口を通して前記真空源に向かって移送し、それによって、前記外科用器具をプライミングすることと、を含む、方法。
【請求項6】
前記少なくとも1つの弁プラグを第1の位置から第2の位置へと移行させることが、前記第1の入口及び前記第2の入口を同時に開くことを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記第1の入口からの前記流体の第1の部分を前記真空源に向かって移送した後に、前記少なくとも1つの弁プラグを前記第2の位置から前記第1の位置へと移行させることを更に含む、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記少なくとも1つの弁プラグを前記第2の位置から第1の位置へと移行させることが、前記第1の入口及び前記第2の入口を同時に閉じることを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記少なくとも1つの弁プラグが、
(a)前記第1の入口を開閉するように選択的に動作可能な流体弁プラグと、
(b)前記第2の入口を開閉するように選択的に動作可能な真空弁プラグと、を含む、請求項5に記載の方法。
【請求項10】
前記流体弁プラグ及び前記真空弁プラグが、それぞれ、流体閉鎖位置及び真空閉鎖位置に向かって付勢されており、前記流体閉鎖位置及び前記真空閉鎖位置では、前記流体源及び前記真空源が各々、前記弁チャンバから流体結合解除されている、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記流体弁プラグ及び前記真空弁プラグが各々、1つ又は2つ以上の圧縮ばねによって前記流体閉鎖位置及び前記真空閉鎖位置に向かって付勢されている、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記吸引を介して、前記第1の入口からの前記流体の第1の部分を、所定の滞留時間にわたって、前記第2の入口を通して前記真空源に向かって移送し、それによって、前記外科用器具をプライミングすることを更に含む、請求項5に記載の方法。
【請求項13】
前記外科用器具が、前記シャフトアセンブリから遠位に延在するエンドエフェクタを更に含み、前記エンドエフェクタが、前記ルーメンに流体接続された開口部を含む、請求項5に記載の方法。
【請求項14】
前記外科用器具が、前記流体源を前記第1の入口と流体結合するための流体供給ラインを更に含み、前記第2の位置では、前記流体の前記一部分が前記真空源に向かって移送されて、前記流体供給ラインをプライミングする、請求項5に記載の方法。
【請求項15】
前記第2の位置では、前記真空源が、前記第1の入口を通過する前記流体の全てを、前記第2の入口を通して吸引する、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記第1の入口からの前記流体の第1の部分を前記真空源に向かって移送した後に、前記少なくとも1つの弁プラグを前記第2の位置から第1の位置へと移行させることと、
前記少なくとも1つの弁プラグを前記第1の位置から第3の位置へと移行させることと、を更に含み、前記第3の位置では、前記流体源が前記弁チャンバと流体結合されており、前記真空源が前記弁チャンバから流体結合解除されている、請求項5に記載の方法。
【請求項17】
前記第1の入口からの前記流体の第1の部分を前記真空源に向かって移送した後に、前記少なくとも1つの弁プラグを前記第2の位置から第1の位置へと移行させることと、
前記少なくとも1つの弁プラグを前記第1の位置から第4の位置へと移行させることと、を更に含み、前記第4の位置では、前記流体源が前記弁チャンバから流体結合解除されており、前記真空源が前記弁チャンバと流体結合されている、請求項5に記載の方法。
【請求項18】
前記外科用器具が、リニアアクチュエータに動作可能に接続されており、かつ前記リニアアクチュエータを介して、駆動軸を中心として回転可能に駆動されるように構成された回転駆動部材を更に含み、前記回転駆動部材が、患者支持体に対して移動可能な少なくとも1つのロボットアームによって駆動される、請求項5に記載の方法。
【請求項19】
前記シャフトアセンブリが、長手方向軸に沿って延在しており、前記長手方向軸に対して選択的に並進するように構成されたリニアアクチュエータを更に含み、前記リニアアクチュエータが、前記回転駆動部材に動作可能に接続されており、かつ前記回転駆動部材の回転を選択的に誘導するように構成されている、請求項5に記載の方法。
【請求項20】
流体で外科用器具をプライミングする方法であって、前記外科用器具は、(a)ルーメンを含むシャフトアセンブリと、(b)弁アセンブリであって、(i)流体源から前記流体を受け入れるように構成された第1の入口と、(ii)真空源から吸引を受け入れるように構成された第2の入口と、(iii)前記ルーメンと流体連通する出口と、(iv)弁チャンバと、(v)前記第1の入口を開閉するように選択的に動作可能な流体弁プラグと、(vi)前記第2の入口を開閉するように選択的に動作可能な真空弁プラグと、を含む、弁アセンブリと、を含み、前記方法は、
(a)前記流体源を作動させて前記第1の入口に前記流体を提供することと、
(b)前記真空源を作動させて前記第2の入口に前記吸引を提供することと、
(c)前記真空弁プラグを第1の真空弁位置から第2の真空弁位置へと移行させることであって、
(i)前記第1の真空弁位置では、前記真空源が前記弁チャンバから流体結合解除されており、
(ii)前記第2の真空弁位置では、前記真空源が前記弁チャンバと流体連通する、移行させることと、
(d)前記流体弁プラグを第1の流体弁位置から第2の流体弁位置へと移行させることであって、
(i)前記第1の流体弁位置では、前記流体源が前記弁チャンバから流体結合解除されており、
(ii)前記第2の流体弁位置では、前記流体源が前記弁チャンバと流体連通する、移行させることと、
(d)前記吸引を介して、前記第1の入口からの前記流体を、前記第2の入口を通して前記真空源に向かって直接移送し、それによって、前記外科用器具をプライミングすることと、を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
様々な外科用器具は、医療専門オペレータによって行われる従来の医療処置及び手技、並びにロボット支援手術における用途において使用するためのエンドエフェクタを含む。そのような外科用器具は、外科医によって直接把持及び操縦され得るか、又はロボット支援手術に組み込まれ得る。ロボット支援手術の場合、外科医は、マスタコントローラを操作して、手術部位におけるかかる外科用器具の動きを遠隔制御することができる。コントローラは、患者からかなりの距離に(例えば、手術室にわたって、異なる部屋において、又は患者とは完全に異なる建物において)離隔され得る。代替的に、コントローラは、手術室内の患者の非常に近くに位置決めされ得る。それとは関係なく、コントローラは、サーボ機構によって外科用器具に結合される1つ又は2つ以上の手入力デバイス(ジョイスティック、外骨格グローブ、マスタマニピュレータ、など)を含み得る。一例では、サーボモータが、外科医による手入力デバイスの操縦に基づいて、外科用器具を支持するマニピュレータを移動させる。手術中に、外科医は、ロボット外科用システムを介して、超音波ブレード、手術用ステープラ、組織把持器、持針器、電気外科用焼灼プローブ、などを含む、様々な外科用器具を用い得る。これらの構造体の各々は、外科医のための機能、例えば、組織を切断すること、組織を凝固させること、針を保持する若しくは打ち込むこと、血管を把持すること、組織を切開すること、又は組織を焼灼することを行う。
【0002】
外科用器具の例としては、吸引-灌注デバイスが挙げられる。吸引-灌注デバイスは、灌注を介して手術部位の流体及び細片を洗い流すために、並びに吸引を介して手術部位から流体及び細片を除去するために、吸引又は灌注のうちの少なくとも1つを手術部位に適用するように構成されている。この点に関して、吸引-灌注デバイスは、吸引のための真空源及び灌注のための流体源に接続するように構成されているが、かかる供給源は、吸引-灌注デバイス内に局所的に格納され得る。灌注は、吸引とは別に手術部位に方向付けられ得るが、いくつかの例では、灌注は、吸引と同時に生じ得る。更に、処置中に、医療操作者が、所望に応じて吸引又は灌注を選択し得る。吸引-灌注デバイスの例は、単に吸引及び灌注を行い得るか、又は追加の機能のために他の外科用器具に組み込まれ得る。
【0003】
他の外科用器具の追加の例としては、手術用ステープラが挙げられる。いくつかのかかるステープラは、組織層をクランプし、クランプされた組織層を切断し、組織層を通してステープルを打ち込むことによって、組織層の切断された端部の近くで、切断された組織層を互いに実質的にシールするように動作可能である。手術用ステープラ及び関連する特徴の例は、2008年7月29日発行の「Surgical Stapling and Cutting Device」と題する米国特許第7,404,508号、2008年10月14日発行の「Surgical Stapling Instrument Having Multistroke Firing with Opening Lockout」と題する米国特許第7,434,715号、2010年5月25日発行の「Disposable Cartridge with Adhesive for Use with a Stapling Device」と題する米国特許第7,721,930号、2013年4月2日発行の「Surgical Stapling Instrument with An Articulatable End Effector」と題する米国特許第8,408,439号、2013年6月4日発行の「Motor-Driven Surgical Cutting Instrument with Electric Actuator Directional Control Assembly」と題する米国特許第8,453,914号、2015年11月17日発行の「Surgical Instrument End Effector Articulation Drive with Pinion and Opposing Racks」と題する米国特許第9,186,142号、2017年10月24日発行の「Surgical Instrument with Multi-Diameter Shaft」と題する米国特許第9,795,379号、2017年11月7日発行の「Installation Features for Surgical Instrument End Effector Cartridge」と題する米国特許第9,808,248号、2018年10月9日発行の「Staple Forming Features for Surgical Stapling Instrument」と題する米国特許第10,092,292号、2017年8月1日発行の「Lockout Feature for Movable Cutting Member of Surgical Instrument」と題する米国特許第9,717,497号、2016年12月13日発行の「Integrated Tissue Positioning and Jaw Alignment Features for Surgical Stapler」と題する米国特許第9,517,065号、2017年4月18日発行の「Distal Tip Features for End Effector of Surgical Instrument」と題する米国特許第9,622,746号、及び2012年7月3日発行の「Motor-Driven Surgical Instrument」と題する米国特許第8,210,411号に開示されている。上に引用した米国特許の各々の開示は、その開示の全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0004】
かかる他の外科用器具の更に追加の例としては、(例えば、組織細胞内のタンパク質を変性させることによって)組織を切断及び/又はシールするために超音波周波数で振動するブレード要素を有するエンドエフェクタを備えた、超音波外科用器具が挙げられる。これらの器具は、電力を超音波振動へと変換する1つ以上の圧電素子を含んでおり、これらの振動は、音響導波管に沿ってブレード素子へと伝達される。切断及び凝固の精度は、操作者の技術により、並びに電力レベル、ブレード端部の角度、組織牽引、及びブレード圧力を調節することによって、制御されてもよい。ブレード要素を駆動するために使用される電力レベルは、組織インピーダンス、組織の温度、組織の厚み及び/又は他の要因などの感知されたパラメータに基づいて、(例えば、リアルタイムで)変化させてもよい。器具の中には、組織をブレード要素で把持するためのクランプアーム及びクランプパッドを有するものがある。超音波外科用器具の実施例及び関連する概念は、超音波外科用器具の実施例及び関連する概念は、2006年4月13日に公開され、現在は放棄されている「Tissue Pad for Use with an Ultrasonic Surgical Instrument」と題する米国特許出願公開第2006/0079874号、2007年8月16日に公開され、現在は放棄されている「Ultrasonic Device for Cutting and Coagulating」と題する米国特許出願公開第2007/0191713号、2008年8月21日に公開され、現在は放棄されている「Ultrasonic Device for Cutting and Coagulating」と題する米国特許出願公開第2008/0200940号、2018年4月24日発行の「Ultrasonic Surgical Instrument with Electrosurgical Feature」と題する米国特許第9,949,785号、及び2014年3月4日発行の「Ultrasonic Electrosurgical Instruments」と題する米国特許第8,663,220号に開示されている。上に引用した米国特許出願公開及び米国特許の各々の開示は、その開示の全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0005】
いくつかの外科用器具及びシステムが作製及び使用されているが、本発明者らよりも前に、添付の特許請求の範囲に記載する本発明を作製又は使用した者は存在しないと考えられている。
【図面の簡単な説明】
【0006】
本明細書は、本技術を具体的に指摘し、かつ明確にこの技術を特許請求する、特許請求の範囲により完結するが、本技術は、以下のある特定の実施例の説明を添付図面と併せ読むことでよりよく理解されるものと考えられ、図面において同様の参照符号は同じ要素を特定する。
図1】腹腔鏡処置用に構成されたテーブルベースのロボットシステムの第1の実施例の斜視図を表す。
図2】テーブルベースのロボットシステムの第2の実施例の斜視図を表す。
図3図2のテーブルベースのロボットシステムの端面図を表す。
図4】一対の例示的なロボットアームを含む、図3のテーブルベースのロボットシステムの端面図を表す。
図5】器具ドライバと、第1の例示的な外科用器具と、を有する、図4のロボットアームの部分分解斜視図を表す。
図6A】後退位置にある図5の外科用器具の側面図を表す。
図6B図6Aに類似しているが、拡張位置にある外科用器具の側面図を表す。
図7】吸引及び灌注を選択的に方向付けるための弁アダプタを有する、第2の例示的な外科用器具の斜視図を表す。
図8図7の弁アダプタの拡大背面斜視図を表す。
図9図7の弁アダプタ及びスプール弁アセンブリの一実施例の拡大背面斜視図を表す。
図10】より明確にするためにハウジングの一部分を取り外した、図7の弁アダプタの拡大正面斜視図を表す。
図11図9の弁アセンブリの正面斜視図を表す。
図12】より明確にするためにハウジングを取り外した、図9のスプール弁アセンブリの正面斜視図を表す。
図13A】真空入口も流体入口も出口と流体連通しないように、真空弁が閉真空位置にあり、かつ流体弁が閉流体位置にある、図12の切断線13A-13Aに沿って切断した図12のスプール弁アセンブリの断面図を表す。
図13B図13Aに類似しているが、流体入口が出口と流体連通するように開流体位置にある流体弁を示す、スプール弁アセンブリの断面図を表す。
図13C図13Aに類似しているが、真空入口が出口と流体連通するように開真空位置にある真空弁を示す、スプール弁アセンブリの断面図を表す。
図14図13Aに類似しているが、真空入口が流体入口と流体連通するように開真空位置にある真空弁及び開流体位置にある流体弁を示す、スプール弁アセンブリの断面図を表す。
図15図7の外科用器具をプライミングする1つの例示的な方法を表す。
【0007】
図面は、いかなる方式でも限定することを意図しておらず、本技術の様々な実施形態は、図面に必ずしも描写されていないものを含め、その他の様々な方式で実施し得ることが企図される。本明細書に組み込まれ、本明細書の一部をなす添付の図面は、本技術のいくつかの態様を示しており、その説明と共に本技術の原理を説明するのに役立つものであるが、本技術は、示される厳密な配置に限定されないことが理解される。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本技術の特定の実施例の以下の説明は、その範囲を限定する目的で使用されるべきではない。本技術のその他の実施例、特徴、態様、実施形態、及び利点が、実例として、本技術を実施する上で想到される最良の態様の1つである以下の説明により、当業者に明らかになるであろう。理解されるように、本明細書に記載される技術は、いずれもその技術から逸脱することなく、その他の異なる、かつ明らかな態様が可能である。したがって、図面及び説明は、限定的なものではなく、本質的に例示的なものとしてみなされるべきである。
【0009】
本明細書に記載される教示、表現、実施形態、実施例などのうちのいずれか1つ以上を、本明細書に記載されるその他の教示、表現、実施形態、実施例などのうちのいずれか1つ以上と組み合わせてもよい点も、更に理解されよう。それゆえに、以下に記載される教示、表現、実施形態、実施例などは、互いに対して切り離して考慮されるべきではない。本明細書の教示を組み合わせ得る様々な好適な方式が、本明細書の教示を考慮することにより、当業者に容易に明らかとなるであろう。このような修正例及び変形例は、特許請求の範囲に含まれることが意図される。
【0010】
本開示の明瞭さのために、「近位」及び「遠位」という用語は、人間又はロボットである外科用器具の操作者に対して、本明細書で定義される。「近位」という用語は、人間又はロボットである外科用器具の操作者により近く、かつ外科用器具の外科用エンドエフェクタから更に離れた要素の位置を意味する。「遠位」という用語は、外科用器具の外科用エンドエフェクタにより近く、かつ人間又はロボットである外科用器具の操作者から更に離れた要素の位置を意味する。便宜上、また明確にするために、本明細書では、「時計回り」、「反時計回り」「長手方向」、「内側」、「外側」、「上部」などの空間的用語もまた、相対的位置及び相対的方向を参照するために使用されていることが更に理解されるであろう。かかる用語は、明確にするために例示される図面を参照しながら下で使用されており、本明細書に記載される本発明を限定することを意図するものではない。
【0011】
本明細書に記載される本実施例の態様は、腹腔鏡検査などの最小侵襲処置、及び内視鏡検査などの非侵襲性処置の両方を含む、様々な医療処置を行うことができる、ロボット外科用システムなどを含む、ロボット対応の医療システムに統合され得る。ロボット対応の医療システムは、内視鏡検査処置のうち、気管支鏡検査、尿管鏡検査、胃鏡検査などを行うことが可能であり得る。
【0012】
幅広い処置を行うことに加えて、ロボット対応の医療システムは、医療専門家を支援するための強化された撮像及びガイダンスなどの追加の利益を提供し得る。追加的に、ロボット対応の医療システムは、厄介な腕の動き及び位置を必要とせずに、人間工学的な位置から処置を行う能力を医療専門家に提供し得る。また更に、ロボット対応の医療システムは、ロボット対応の医療システムの器具のうちの1つ又は2つ以上が単一の操作者によって制御され得るように、向上した使い易さで処置を行う能力を医療専門家に提供し得る。
【0013】
I.例示的なロボット対応の医療システム
図1は、テーブルベースのロボットシステム(10)の第1の実施例を含む、例示的なロボット対応の医療システムを示す。本実施例のテーブルベースのロボットシステム(10)は、患者を治療する過程での診断及び/又は治療処置のために外科用器具(14)に動作可能に接続されたテーブルシステム(12)を含む。かかる処置としては、気管支鏡検査、尿管鏡検査、脈管処置、及び腹腔鏡処置が挙げられ得るが、これらに限定されない。この目的のために、外科用器具(14)は、腹腔鏡処置用に構成されているが、患者を治療するためのあらゆる器具が同じように使用され得ることが理解されるであろう。テーブルベースのロボットシステム(10)の少なくとも一部は、本明細書で引用される様々な特許文献、特許出願公開文献、及び特許出願文献のうちのいずれかの教示のうちの少なくともいくつかに従って構築され得、かつ動作可能であり得る。
【0014】
A.第1の例示的なテーブルベースのロボットシステム
図1に関して、テーブルベースのロボットシステム(10)は、本明細書で「アーム支持体」と称され得る複数のキャリッジ(18)が複数のロボットアーム(20)の展開をそれぞれ支持する、テーブル(16)などのプラットフォームを有するテーブルシステム(12)を含む。テーブルベースのロボットシステム(10)は、テーブル(16)を床の上で支持するためのカラム(22)などの支持構造体(例えば)を更に含む。テーブル(16)はまた、腹腔鏡処置中などの使用中に、所望の角度に傾斜するように構成され得る。各ロボットアーム(20)は、使用するために外科用器具(14)に取り外し可能に接続し、外科用器具(14)を操縦するように構成された器具ドライバ(24)を含む。代替的な実施例では、器具ドライバ(24)は、1つ又は2つ以上のロボットアーム(20)を1つ又は2つ以上の角度及び/又は位置へと操縦することによって空間内に再位置決めされ得る「仮想レール」に沿って、それらの間に延在する器具を支持するように直線配置で集合的に位置決めされ得る。実際には、蛍光透視撮像を提供するために、Cアーム(図示せず)が患者の上に位置決めされ得る。
【0015】
本実施例では、カラム(22)は、使用するために1つ又は2つ以上のロボットアーム(20)をそれぞれ支持するようにリング形状の形態で配置されたキャリッジ(18)を含む。キャリッジ(18)は、カラム(22)内に位置決めされた機械的モータ(図示せず)によって駆動されたときに、カラム(22)に沿って並進移動して、及び/又はカラム(22)の周りに回転して、例えば患者の両側などのテーブル(16)の複数の側面へのアクセスを有するロボットアーム(20)を提供し得る。キャリッジ(18)の回転及び並進移動は、外科用器具(14)などの器具を患者の異なるアクセスポイントに位置合わせすることを可能にする。下で更に詳細に論じるような代替的な実施例では、テーブルベースのロボットシステム(10)は、並行して延在するバー(26)(図2を参照されたい)を含む調節可能なアーム支持体を有する患者テーブル又はベッドを含み得る。1つ又は2つ以上のロボットアーム(20)は、患者テーブル又はベッドの下にコンパクトに格納し、その後に、使用中に上昇させるように垂直に調節可能であるキャリッジ(18)に(例えば、エルボ接合部を有するショルダを介して)取り付けられ得る。
【0016】
テーブルベースのロボットシステム(10)はまた、テーブル(16)とタワーとの間でテーブルベースのロボットシステム(10)の機能を分けて、テーブル(16)のフォームファクタ及びバルクを低減するタワー(図示せず)を含み得る。この目的のために、タワーは、処理能力、計算能力、及び制御能力、電力、流体工学、並びに/又は光学及びセンサ処理などの様々なサポート機能をテーブル(16)に提供し得る。タワーはまた、医療専門家のアクセスを向上させ、かつ手術室を整理整頓するように、患者から離れて位置決めされるように移動可能であり得る。タワーは、キーボード及び/又はペンダントなどの操作者入力のためのユーザインターフェース、並びにリアルタイム撮像、ナビゲーション、及び追跡情報が挙げられるがこれらに限定されない、手術前及び手術中の情報のための、タッチ画面を含む表示画面の両方を提供する、マスタコントローラ又はコンソールを含み得る。一実施例では、タワーは、吹送に使用されるガスタンクを含み得る。
【0017】
B.第2の例示的なテーブルベースのロボットシステム
上で簡潔に論じたように、第2の例示的なテーブルベースのロボットシステム(28)は、図2図4に示されるように、1つ又は2つ以上のロボットアーム(32)をテーブル(34)に対して支持するように構成されたバー(26)を含む、1つ又は2つ以上の調節可能なアーム支持体(30)を含む。本実施例では、単一で一対の調節可能なアーム支持体(30)が示されているが、追加のアーム支持体(30)がテーブル(34)の周りに提供され得る。調節可能なアーム支持体(30)は、テーブル(34)に対して選択的に移動して、所望に応じて、テーブル(34)に対する調節可能なアーム支持体(30)及び/又はそこに装着された任意のロボットアーム(32)の位置を変化させるように構成されている。かかる調節可能なアーム支持体(30)は、ロボットアーム(32)を有する1つ又は2つ以上の調節可能なアーム支持体(30)をテーブル(34)の下に容易に格納する能力を含む、テーブルベースのロボットシステム(28)に高い融通性を提供する。
【0018】
各調節可能なアーム支持体(30)は、リフト、横方向並進、傾斜などを含む、くつかの自由度を提供する。図2図4に示される実施例では、アーム支持体(30)は、4自由度で構成されており、自由度は、矢印で示されている。第1の自由度は、調節可能なアーム支持体(30)が、z方向(「Zリフト」)に移動することを可能にする。例えば、調節可能なアーム支持体(30)は、テーブル(34)を支持するカラム(38)及び基部(40)に沿って、又はそれらに対して上又は下に移動するように構成された垂直キャリッジ(36)を含む。第2の自由度は、調節可能なアーム支持体(30)が、y方向に延在する軸の周りに傾斜することを可能にする。例えば、調節可能なアーム支持体(30)は、回転接合部を含み得、これは、調節可能なアーム支持体(30)を、トレンデレンブルグ体位のベッドと位置合わせすることを可能にする。第3の自由度は、調節可能なアーム支持体(30)が、x方向に延在する軸の周りに「ピボットアップ」することを可能にし、これは、テーブル(34)の側面と調節可能なアーム支持体(30)との間の距離を調節するのに有用であり得る。第4の自由度は、x方向に沿って延在するテーブル(34)の長手方向長さに沿った調節可能なアーム支持体(30)の並進を可能にする。基部(40)及びカラム(38)は、本実施例では、床軸(44)の上方の支持軸(42)に沿って示される支持面に対してテーブル(34)を支持する。本実施例は、カラム(38)に装着された調節可能なアーム支持体(30)を示しているが、代替的に、アーム支持体(30)は、テーブル(34)又は基部(40)に装着され得る。
【0019】
本実施例に示されるように、調節可能なアーム支持体(30)は、垂直キャリッジ(36)と、バーコネクタ(46)と、バー(26)と、を含む。この目的のために、第1の接合部(48)によって垂直キャリッジ(36)をカラム(38)に取り付け、これは、垂直キャリッジ(36)をカラム(38)に対して移動させること(例えば、z方向に延在する第1の縦軸(50)を上下させること、など)を可能にする。第1の接合部(48)は、調節可能なアーム支持体(30)に第1の自由度(「Z-リフト」)を提供する。調節可能なアーム支持体(30)は、y方向に延在する第2の軸(53)の周りを枢動するための第2の自由度(傾斜)を調節可能なアーム支持体(30)に提供する、第2の接合部(52)を更に含む。調節可能なアーム支持体(30)はまた、x方向に延在する第3の軸(58)の周りの第3の自由度(「上へピボット」)を調節可能なアーム支持体(30)に提供する、第3の接合部(54)を含む。更に、追加の接合部(56)は、バーコネクタ(46)が第3の軸(58)の周りに回転するときに、第3の接合部(54)を機械的に拘束して、バー(26)の所望の配向を維持する。調節可能なアーム支持体(30)は、x方向に延在する第4の軸(62)に沿った第4の自由度(並進)を調節可能なアーム支持体(30)に提供するための第4の接合部(60)を含む。
【0020】
図4に関して、テーブルベースのロボットシステム(28)は、2つの調節可能なアーム支持体(30)がテーブル(34)の両側に装着された状態で示されている。第1のロボットアーム(32)は、第1の調節可能なアーム支持体(30)の一方のかかるバー(26)に取り付けられている。第1のロボットアーム(32)は、バー(26)に取り付けられた基部(64)を含む。同様に、第2のロボットアーム(32)は、他方のバー(26)に取り付けられた基部(64)を含む。第1及び第2のロボットアーム(32)の遠位端部は、下でより詳細に論じるような1つ又は2つ以上の器具に取り付けるように構成された、器具ドライバ(66)をそれぞれが含む。
【0021】
一実施例では、1つ又は2つ以上のロボットアーム(32)は、7以上の自由度を有する。別の実施例では、1つ又は2つ以上のボットアーム(32)は、挿入軸(挿入を含む1自由度)と、リスト(リストのピッチ、ヨー、及びロールを含む3自由度)、エルボ(エルボピッチを含む1自由度)、ショルダ(ショルダのピッチ及びヨーを含む2自由度)、及び基部(64)(並進を含む1自由度)を含む、8自由度を有する。一実施例では、挿入自由度は、ロボットアーム(32)によって提供されるが、別の実施例では、外科用器具(14)(図6Aを参照されたい)などの器具は、器具ベースの挿入アーキテクチャを含む。
【0022】
図5は、外科用器具(14)をそこから取り外した状態の器具ドライバ(66)の一実施例を更に詳細に示す。外科用器具(14)を参照して示される本器具ベースの挿入アーキテクチャを考慮すると、器具ドライバ(66)は、下でより詳細に論じるように外科用器具(14)の一部分を移動可能に受け入れるように、その全体を通って延在するクリアランスボア(67)を更に含む。器具ドライバ(66)は、本明細書において、「器具駆動機構」、「器具デバイスマニピュレータ」、又は「高度なデバイスマニピュレータ」(advanced device manipulator、ADM)とも称され得る。器具は、個々の殺菌又は廃棄のために、医療専門家又は関連するスタッフによって、器具ドライバ(66)から分離され、取り外され、交換されるように設計され得る。いくつかのシナリオでは、器具ドライバ(66)は、保護のためにドレーピングされ得、したがって、交換又は滅菌する必要がなくなり得る。
【0023】
各器具ドライバ(66)は、他の器具ドライバ(66)から独立して動作し、かつ外科用器具(14)の動作を指示するために互いに対して同様に独立して駆動される、4つの駆動出力部(68)などの複数の回転駆動出力部(68)を含む。本実施例の器具ドライバ(66)及び外科用器具(14)は、各駆動出力部(68)の軸が外科用器具(14)の軸と平行であるように位置合わせされる。使用時に、制御回路(図示せず)は、制御信号を受信し、所望のモータ(図示せず)にモータ信号を送信し、それぞれのエンコーダ(図示せず)によって測定された、結果として生じるモータ速度を所望の速度と比較し、そして、モータ信号を変調して、1つ又は2つ以上の駆動出力部(68)において所望のトルクを発生させる。
【0024】
本実施例では、器具ドライバ(66)は円形であり、駆動出力部(68)が回転アセンブリ(70)内に収容されている。トルクに応答して、回転アセンブリ(70)は、回転アセンブリ(70)を器具ドライバ(66)の非回転部分(72)に接続する円形軸受(図示せず)に沿って回転する。電力及び制御信号は、ブラシ付きスリップリング接続部(図示せず)などの電気接点を通して器具ドライバ(66)の非回転部分(72)から回転アセンブリ(70)へと通信され得る。一実施例では、回転アセンブリ(70)は、回転不可能部分(72)に統合され、したがって、他の駆動出力部(68)と平行ではない別個の駆動出力部(図示せず)に応答し得る。いずれの場合でも、回転アセンブリ(70)は、器具ドライバ(66)が、回転アセンブリ(70)及び駆動出力部(68)を外科用器具(14)と共に、器具ドライバ軸(74)の周りに単一のユニットとして回転することを可能にする。
【0025】
テーブルベースのロボットシステム(28)を含む、本明細書に記載される任意のシステムは、1つ又は2つ以上の器具を操縦するための入力コントローラ(図示せず)を更に含み得る。いくつかの実施形態では、入力コントローラ(図示せず)は、入力コントローラ(図示せず)の操縦が、例えばマスタスレーブ制御を介して、器具の対応する操縦を引き起こすように、器具と(例えば、通信可能に、電子的に、電気的に、無線で、及び/又は機械的に)結合され得る。一実施例では、1つ又は2つ以上のロードセル(図示せず)は、入力コントローラ(図示せず)の一部分が、アドミタンス制御の下で動作し、それによって、有利には、使用中にコントローラによって知覚される慣性を低減するように、入力コントローラ内に位置決めされ得る。
【0026】
加えて、テーブルベースのロボットシステム(28)を含む、本明細書に記載される任意のシステムは、放射線への曝露を低減し、かつ手術室内の機器の総数を低減するための、非放射線ベースのナビゲーション及び位置特定手段を提供し得る。本明細書で使用する際、「位置特定」という用語は、基準座標系内の対象物の位置を判断し/又は監視することを指すことがある。手術前マッピング、コンピュータビジョン、リアルタイム電磁センサ(electromagnetic、EM)追跡、及びロボットコマンドデータなどの技術を個別に又は組み合わせて使用して、放射線のない操作環境が達成され得る。放射線ベースの撮像モダリティが依然として使用される他のケースでは、術前写像、コンピュータビジョン、リアルタイムEM追跡、及びロボットコマンドデータを個別に又は組み合わせて使用して、放射線ベースの撮像モダリティを通してのみ得られる情報を向上させることができる。
【0027】
C.例示的な外科用器具
図5図6Bに関して、及び上記の器具ドライバ(66)と協同して、外科用器具(14)は、細長いシャフトアセンブリ(114)と、対応する駆動出力部(68)とそれぞれ結合するように構成された複数の駆動入力部(80)を有する取り付けインターフェース(78)を備えた器具基部(76)と、を含む。超音波外科用器具(14)のシャフトアセンブリ(114)は、上で簡潔に論じたように、駆動入力部(80)の軸に実質的に平行な軸を備えた器具基部(76)の中心から延在する。シャフトアセンブリ(114)が器具基部(76)の中心に位置決めされた状態で、シャフトアセンブリ(114)は、クリアランスボア(67)に取り付けられて移動可能に受け入れられたときに、器具ドライバ軸(74)と同軸である。したがって、回転アセンブリ(70)の回転は、外科用器具(14)のシャフトアセンブリ(114)をそれ自体の長手方向軸の周りに回転させ、一方で、クリアランスボア(67)は、使用中にシャフトアセンブリ(114)が並進するための空間を提供する。
【0028】
この目的のために、図5図6Bは、上で簡潔に論じたように、器具ベースの挿入アーキテクチャを有する外科用器具(14)を示す。外科用器具(14)は、細長いシャフトアセンブリ(114)と、シャフトアセンブリ(114)に接続され、かつそこから遠位に延在するエンドエフェクタ(116)と、シャフトアセンブリ(114)に結合された器具基部(76)と、を含む。特に、シャフトアセンブリ(114)の挿入は、エンドエフェクタ(116)が、長手方向に後退位置から拡張位置へ、その逆に、及びそれらの位置の間の任意の所望の長手方向位置へ選択的に移動するよう構成されるように、器具基部(76)において接地される。本明細書で使用される場合、後退位置は、図6Aに示されており、エンドエフェクタ(116)を器具基部(76)に向かって比較的近くかつ近位に配置し、一方で、拡張位置は、図6Bに示されており、エンドエフェクタ(116)を器具基部(76)から比較的遠くかつ遠位に配置する。したがって、患者に対するエンドエフェクタ(116)の挿入及び引き抜きは、超音波外科用器具(14)によって容易にされ得るが、1つ又は2つ以上の実施例では、かかる挿入及び引き抜きはまた、調節可能なアーム支持体(30)を介して生じ得ることが理解されるであろう。
【0029】
器具ドライバ(66)の本実施例は、エンドエフェクタ(116)がシャフトアセンブリ(114)から遠位に突出するように遠位方向に面するように、回転アセンブリ(70)内に配置された駆動出力部(68)を示しているが、代替的な器具ドライバ(図示せず)は、遠位に突出するエンドエフェクタ(116)とは反対の近位方向に面するように、代替的な回転アセンブリ(70)に配置された駆動出力部(68)を含み得る。したがって、かかる一実施例では、外科用器具(14)は、図5に示される方向とは反対の方向に近位に面する器具ドライバ(66)に取り付けるために遠位に面する駆動入力部(80)を有し得る。したがって、本発明は、本実施例に示される駆動出力部(68)及び駆動入力部(80)の特定の配置に不必要に限定されることを意図しておらず、駆動出力部(68)と駆動入力部(80)との間を動作可能に結合するために、任意のかかる配置が同様に使用され得る。
【0030】
エンドエフェクタ(116)と駆動入力部(80)との間の運動を容易にするように構成された様々な特徴が本明細書に記載されているが、かかる特徴は、追加的又は代替的に、動力学的関節回転ツール(kinetic articulating rotating tool、KART)などのプーリ、ケーブル、キャリッジ、キャリア、及び/又はシャフトアセンブリ(114)に沿って運動を伝達するように構成された他の構造体を含み得る。更に、器具基部(76)は、下でより詳細に論じるように、シャフトアセンブリ(114)及び/又はエンドエフェクタ(116)の様々な特徴を駆動するための器具ドライバ(66)に動作可能に接続するように構成されているが、代替的な実施例は、シャフトアセンブリ(114)及び/又はエンドエフェクタ(116)を代替的なハンドルアセンブリ(図示せず)に動作可能に接続し得ることが理解されるであろう。かかるハンドルアセンブリ(図示せず)は、一実施例では、シャフトアセンブリ(114)及び/又はエンドエフェクタ(116)の様々な特徴を駆動するように医療専門家が直接把持及び操縦、するように構成されたピストルグリップ(図示せず)を含み得る。したがって、本発明は、器具ドライバ(66)と共に利用することに、不必要に限定されることを意図するものではない。
【0031】
II.例示的な吸引-灌注外科用器具
いくつかの場合では、外科用器具(14)に加えて、又はその代わりに、上で説明したロボットシステム(10、28)を備えた様々な代替的な外科用器具を使用することが望ましくなり得る。かかる代替的な外科用器具は、ロボットシステム(10、28)と共に使用されるときに、向上した動作性及び/又は機能性を提供することが望ましくなり得る。例えば、上で説明したように、外科用器具(14)は、後退位置と拡張位置との間を移動し得る。追加的に、支持構造体に沿って外科用器具(14)の一部分を並進移動させて、外科用器具(14)の寸法を増大させずに、向上した外科用アクセスを提供することが有益であり得る。同じく上で説明したように、ロボットアーム(20、32)の回転アセンブリ(70)の使用は、外科用器具(14)の特定の構造体を回転可能にするのではなく、外科用器具全体(14)の回転を可能にし得る。
【0032】
これらの代替的な外科用器具の1つのかかる実施例は、手術用ステープラ(210)とも称され得、下でより詳細に論じられる、第2の例示的な外科用器具(210)を含む。ロボットシステム(10、28)を組み込むための代替的な外科用器具及び/又は関連する特徴の追加の実施例は、2020年6月18日に出願された「Articulation Mechanisms for Robotic Surgical Tools」と題する米国特許出願第16/946,363号、2020年10月22日に出願された「Surgical Instrument and Carrier KART Supporting Ultrasonic Transducer」と題する米国特許出願第17/077,067号、2020年10月22日に出願された「Carrier KART and Jaw Closure of an Ultrasonic Surgical Instrument」と題する米国特許出願第17/077,086号、2020年10月22日に出願された「Surgical Instrument with Clamping Sensor Feedback and Related Methods」と題する米国特許出願第17/077,130号、2020年10月22日に出願された「Surgical Instrument with Non-clamping Sensor Feedback and Related Methods」と題する米国特許出願第17/077,136号、2020年10月22日に出願された「Ultrasonic Surgical Instrument with a Carrier KART and Reusable Stage」と題する米国特許出願第17/077,250号、2020年10月22日に出願された「Surgical Instrument with a Carrier KART and Various Communication Cable Arrangements」と題する米国特許出願第17/077,373号、2020年10月22日に出願された「Ultrasonic Surgical Instrument with a Fixed Transducer Grounding」と題する米国特許出願第17/077,139号、2020年10月22日に出願された「Ultrasonic Surgical Instrument with a Shaft Assembly and Elongated Waveguide Support Arrangement」と題する米国特許出願第17/077,146号、2020年10月22日に出願された「Damping Rings for an Ultrasonic Surgical Instrument」と題する米国特許出願番号第17/077,152号、2020年10月22日に出願された「Ultrasonic Surgical Instrument with a Mid-shaft Closure System and Related Methods」と題する米国特許出願第17/077,110号、2020年10月22日に出願された「Surgical Instrument with an Articulatable Shaft Assembly and Dual End Effector Roll」と題する米国特許出願第17/076,956号、2020年10月22日に出願された「Ultrasonic Surgical Instrument with a Distally Grounded Acoustic Waveguide」と題する米国特許出願第17/076,959号、及び/又は2020年10月22日に出願された「Ultrasonic Surgical Instrument with a Multiplanar Articulation Joint」と題する米国特許出願第17/077,098号に記載されている。上に引用した米国特許出願の各々の開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。これらの外科用器具の代替的な実施例の様々な特徴は、ロボットシステム(10、28)などの外科用ロボットシステムに容易に組み込まれ得、よって、本発明は、本明細書で論じられるこれらの特定の代替的な外科用器具に不必要に限定されることを意図するものではない。
【0033】
A.概要
図7は、本開示の原理のうちのいくつか又は全てを組み込み得る例示的な外科用器具(210)である。外科用器具(210)は、図1図6Bを参照しながら上で説明した器具のいずれかといくつかの点において類似し得、それゆえに、図1図6Bのロボットシステム(10、28)などのロボット外科用システムと併せて使用され得る。例示されるように、外科用器具(210)は、細長いシャフトアセンブリ(212)と、シャフトアセンブリ(212)の遠位端部に配置されたエンドエフェクタ(214)と、を含む。
【0034】
外科用器具(210)は、1つ又は2つ以上の外科用機能を実行することができる様々な構成のうちのいずれかを有し得る。本実施例では、外科用器具(210)は、特に、エンドエフェクタ(214)が吸引及び/又は灌注を手術部位に適用するように構成された遠位開口部(215)を備えている、吸引-灌注外科用器具(210)である。追加的又は代替的に、エンドエフェクタ(214)は、限定されないが、手術用ステープラ(例えば、円形ステープラ及び線形ステープラ)、組織把持器、外科用ハサミ、先進エネルギー血管シーラ、クリップアプライヤ、持針器、一対の対向する把持ジョーを含むバブコック、双極ジョー(例えば、双極メリーランド型把持器、鉗子、有窓把持器、など)、内視鏡(例えば、カメラ)、超音波器具、RF器具、又はこれらの任意の組み合わせなどの、対向するジョーが必要な他のタイプの器具を備え得る。
【0035】
外科用器具(210)は、上で説明した器具基部(76)及び取り付けインターフェース(78)と同様に動作可能な取り付けインターフェース(218)を備えた器具基部(216)を含む。取り付けインターフェース(78)は、駆動出力部(68)などの、1つ又は2つ以上の駆動出力部と結合するための1つ又は2つ以上の駆動入力部(220)を更に含む。シャフトアセンブリ(212)は、上で論じた駆動入力部(68)に類似した駆動入力部(220)の軸に実質的に平行な軸を備えた器具基部(216)の中心から延在する。それによって、外科用器具(14)のシャフトアセンブリ(212)は、使用中に、それ自体の長手方向軸(222)の周りに回転し、一方でまた、回転アセンブリ(70)に対してその軸(222)に沿って長手方向に並進するように構成されている。下でより詳細に説明するように、外科用器具(210)は、弁アダプタ(224)を更に含む。弁アダプタ(224)は、シャフトアセンブリ(212)を介して1つ又は2つ以上の追加的な特徴をエンドエフェクタ(214)と流体結合するように、更には、器具ドライバ(66)によって弁アダプタ(224)の動作制御を提供するように構成されている。
【0036】
上で論じたように、テーブルベースのロボットシステム(10、28)(図1及び図2を参照されたい)は、プロセッサ(260)などの中央処理ユニット(CPU)及びメモリ(262)によって少なくとも部分的に提供される処理能力、計算能力、及び/又は制御能力を備えたタワー(図示せず)及び/又はテーブル(16、34)(図1及び図2を参照されたい)を有する。プロセッサ(260)及びメモリ(262)は、以下に説明する1つ又は2つ以上のセンサ、タワー(図示せず)、又はテーブル(16)(図1を参照されたい)の間などの、データ及び外科用器具(210)の要素とタワー(図示せず)及び/又はテーブル(16、34)(図1及び図2を参照されたい)との間で信号を生成し、格納し、及び/又は通信する。本実施例のプロセッサ(260)及びメモリ(262)は、器具基部(216)と結合されているように表されているが、プロセッサ(260)及びメモリ(262)は、代わりに、外科用器具(210)、タワー(図示せず)、又はテーブル(16、34)(図1及び図2を参照されたい)の任意の一部分と結合され得るか、又はその中に収容され得ることを理解されたい。
【0037】
図8及び図9に表される弁アダプタ(224)は、弁アセンブリ(226)又は他の同様に動作可能なデバイスと流体的かつ動作可能に結合されて、弁アダプタ(224)、弁アセンブリ(226)、及びエンドエフェクタ(214)の間に1つ又は2つ以上の流体接続部を提供するように構成されている。したがって、弁アダプタ(224)の近位面(232)は、弁アセンブリ(226)の出口(240)が入力開口部(242)を介して弁アダプタ(224)のルーメン(258)と流体結合するように、ラッチコネクタ(236)及びラッチ(238)を使用して弁アセンブリ(226)の遠位面(234)と係合するように構成されている。1つ又は2つ以上の流体接続部は、例えば、真空(又は「吸引」)供給源(228)から吸引を受け入れるための第1の接続部、及び流体(又は「灌注」)供給源(230)から流体を受け入れるための第2の接続部であり得る。下でより詳細に説明するように、真空源(228)及び流体源(230)の各々は、弁アセンブリ(226)の表面と結合され得、それゆえに、弁アセンブリ(226)は、器具ドライバ(66)によって指示されたときに、真空源(228)及び流体源(230)のうちの一方又は両方をエンドエフェクタ(214)に選択的に結合するように動作可能であり得る。したがって、真空源(228)及び流体源(230)からの流体又は吸引を作動させたときに、任意のかかる流体又は吸引は、弁アセンブリ(226)の弁チャンバ又は内部ルーメン(326)を通して、弁アダプタ(224)の入力開口部(242)に送られて、弁アダプタ(224)の内側ルーメン(258)を通ってシャフトアセンブリ(212)の近位部分内へ流れる(例えば、図13A図13Cを参照されたい)。
【0038】
弁アセンブリ(226)の動作を指示するために、1つ又は2つ以上のプルケーブル(244、246)が、器具基部(216)と弁アダプタ(224)との間に動作可能に結合され得る。図10には、より明確にするために外部ハウジングの一部分を取り外した弁アダプタ(224)が表されている。示されるように、プルケーブル(244、246)は、それぞれのラック(252、254)と動作可能に結合されたそれぞれのピニオン(248、250)の運動を指示するように選択的に動作可能であり得る。このように、軸(222)に沿ったプルケーブル(244、246)の長手方向の並進は、プルケーブル(244、246)の長手方向の運動をピニオン(248、250)の回転運動に変換し、再度ラック(252、254)の長手方向の運動に変換される。下でより詳細に説明するように、ラック(252、254)は、弁アダプタ(図8を参照されたい)の開口部(253、255)を通って、弁アセンブリ(226)の弁アセンブリ(226)(図11を参照されたい)の開口部(256、258)の中へ長手方向に延在すること、及びその中へ後退することによって、弁アセンブリ(226)に入力動作を提供するように更に構成されている。
【0039】
B.スプール弁アセンブリ
外科用器具(210)のいくつかの変形例では、弁アセンブリ(226)は、スプール弁アセンブリ(226)として構成され、かつ動作可能であり得る。図12には、より明確にするために外部ハウジング本体の一部分を取り外したスプール弁アセンブリ(226)が表されている。示されるように、スプール弁アセンブリ(226)は、弁本体(300)と、弁アダプタ(224)のラック(252、254)によって指示されたときに長手方向に並進するように構成された一対のラック(302、303)と、を含む。弁本体(300)は、真空入口開口部(304)及び流体入口開口部(305)などの1つ又は2つ以上のポート、並びに1つの出口開口部(306)を有する。弁アダプタ(224)のラック(252、254)の近位端部は、スプール弁アセンブリ(226)のラック(302、303)の遠位端部に当接して、ラック(302、303)を長手方向に並進させるように構成され、これが更にスプール弁アセンブリ(226)のピニオン(307、308)を回転させるように作用する。各ピニオン(307、308)は、弁入力のうちの1つ、具体的には、真空源(228)からの入力又は流体源(230)からの入力と結合される。各ピニオン(307、308)は、流体突起(314)及び真空突起(316)のそれぞれに取り付けられた第2組のラック(310、312)と更に結合される。流体突起(314)及び真空突起(316)は、ピニオン(307、308)と動作可能に結合されており、かつ、ラック(252、254)を介してロボット的に駆動されたときに、ラック(302、303)と長手方向にほぼ等しくかつ反対方向に並進するように構成されている。換言すれば、流体突起(314)及び真空突起(316)は、概して、ラック(310、312)の運動に追従し、この点に関して、吸引又は灌注のための弁設定の視覚的指示を提供する。加えて又は代替的に、ロボットの動作が無効にされ得、流体及び真空突起(314、316)を所望に応じて手動で把持して移動させて、吸引又は灌注を達成し得る。
【0040】
したがって、例えば、第1のラック(302)が近位に並進して第1のピニオン(307)を回転させたときに、流体源(230)からの流体入口スプール弁プラグ(318)(図13A図13Cを参照されたい)が開き、それによって、シャフトアセンブリ(212)を流体源(230)と結合する。流体突起(314)は、ピニオン(307)と結合するように更に動作し、よって、上で論じたように、近位に並進する第1のラック(302)と相関して遠位に移動する。同様に、第2のラック(303)が近位に並進して、第2のピニオン(308)を回転させたときに、真空源(228)からの真空入口スプール弁プラグ(320)(図13A図13Cを参照されたい)が開き、それによって、シャフトアセンブリ(212)を真空源(228)と結合する。真空突起(316)は、ピニオン(308)と結合するように動作し、よって、上で論じたように、近位に並進する第2のラック(303)と相関して遠位に移動する。これらの特徴によれば、器具基部(216)によるプルケーブル(244、246)の動作によって、スプール弁アセンブリ(226)が動作する。本実施例に示されるように、真空入口スプール弁プラグ(320)及び流体入口スプール弁プラグ(318)は、弁本体(300)内で、所望の流体の流れについて下で更に詳細に記載されるいくつかの所定の位置に移動可能に位置決めされる。
【0041】
図13A図13Cには、スプール弁アセンブリ(226)の3つの異なる弁位置の組み合わせが表されている。図13Aには、各々が真空源(228)又は流体源(230)とそれぞれ結合されている流体入口弁プラグ(318)及び真空入口弁プラグ(320)がどちらも閉鎖位置にある、第1の構成にあるスプール弁アセンブリ(226)が示されている。圧縮ばねなどのばね(322、324)は、上で説明したように弁アダプタ(224)を使用してプルケーブル(244、246)が一方又は両方のラック(302、303)を選択的に遠位に引っ張るまで、弁プラグ(318、320)及びラック(302、303)を近位位置へと付勢するように作用する。閉鎖位置では、真空源(228)及び流体源(230)は各々、エンドエフェクタ(214)のシャフトアセンブリ(212)及び遠位開口部(215)から流体結合解除されており、これは、本明細書では、「流体接続解除される」とも称され得る。より具体的には、スプール弁アセンブリ(226)の出口開口部(306)及び弁アダプタ(224)は、真空入口開口部(304)及び流体入口開口部(305)の両方から接続解除される。図13Bには、流体入口スプール弁プラグ(318)が、流体源(230)及び流体入口開口部(305)を、それらを通して流体連通するための出口開口部(306)と流体結合するための開放位置にあり、一方で、真空入口スプール弁プラグ(320)が閉鎖位置のままである第2の構成にある、スプール弁アセンブリ(226)が示されている。図13Cには、真空入口スプール弁プラグ(320)が、真空源(228)及び真空入口開口部(304)を、それらを通して流体連通するための出口開口部(306)と流体結合させるための開放位置にあり(318)、一方で、流体入口スプール弁プラグ(318)が閉鎖位置のままである第3の構成にある、スプール弁アセンブリ(226)が示されている。
【0042】
III.流体で吸引-灌注外科用器具をプライミングする例示的な方法
いくつかの実施例では、最初の使用の前に、又は特定の状況では動作中に、流体源(230)からの流体で外科用器具(210)をプライミングすることが望ましくなり得る。例えば、外科用器具(210)を動作させる前に、タワー(図示せず)又はテーブル(16、34)(図1及び図2を参照されたい)の一方又は両方に格納された処理能力、計算能力、及び/又は制御能力が、流体入口弁プラグ(318)及び真空入口弁プラグ(320)を完全開放位置及び完全閉鎖位置へとサイクル動作させ、それによって、この特定の外科用器具(210)に固有であり得るこれらの特定の完全開放位置及び完全閉鎖位置を決定する。かかる決定はまた、本明細書では、流体入口弁プラグ(318)及び真空入口弁プラグ(320)を「ホーミングする」と称され得る。また、外科用器具(210)を動作させる前に、流体源(230)は、1つ又は2つ以上の流体ライン(350)(図12を参照されたい)を経由して弁アセンブリ(226)と流体結合される。流体ライン(350)は、例えば、流体を患者に投与するために共通に利用される医療グレードチューブであり得る。流体ライン(350)が弁アセンブリ(226)と結合され、それによって、潅注流体などの流体源(230)からの流体が連通するときには、流体ライン(350)をプライミングして、あらゆる不要な気泡を除去すること、又は流体ライン(350)を通して流体の一部分を循環させて予め満たすことが望ましくなり得る。より具体的には、出口開口部(306)から、それゆえに、シャフトアセンブリ(212)を介してエンドエフェクタ(214)から流体を排出せずに、流体ライン(350)をプライミングすることが望ましくなり得る。したがって、かかるプライミングは、外科用器具(210)を患者に使用する前などに、流体入口弁プラグ(318)及び真空入口弁プラグ(320)と同時(contemporaneously, simultaneously)に発生し得る。
【0043】
したがって、図14には、スプール弁アセンブリ(226)の別の弁位置の組み合わせが表されている。図14には、各々が真空源(228)又は流体源(230)とそれぞれ結合されている流体入口弁プラグ(318)及び真空入口弁プラグ(320)がどちらも開放位置に移行された第4の構成にある、スプール弁アセンブリ(226)が示されている。上で説明したように、ばね(322、324)は、弁アダプタ(224)を使用してプルケーブル(244、246)が一方又は両方のラック(310、312)を選択的に遠位に付勢するまで、弁プラグ(318、320)及びラック(302、303)を近位位置へと付勢するように作用する。開放位置では、真空源(228)及び流体源(230)は各々、エンドエフェクタ(214)のシャフトアセンブリ(212)及び遠位開口部(215)と流体結合されており、これは、本明細書では、流体連通しているとも称され得る。より具体的には、スプール弁アセンブリ(226)の出口開口部(306)及び弁アダプタ(224)は、真空及び流体入口開口部(304、305)と流体連通している。代替的に、弁アセンブリ(226)は、外科用器具(210)をプライミングする間、遠位開口部(215)を内側ルーメン(326)及び/又は出口開口部(306)から流体的に閉じるように構成され得る。したがって、本発明は、外科用器具(210)をプライミングする間、弁アセンブリ(226)と出口開口部(306)とを流体接続又は流体接続解除することに不必要に限定することを意図するものではないことが理解されるであろう。
【0044】
図14に表される第4の構成では、真空源(228)及び流体源(230)の作動により、流体源(228)からの流体が、出口開口部(306)を通してシャフトアセンブリ(212)及びエンドエフェクタ(214)に向かって連通するのではなく、内側ルーメン(326)を越えて直接真空源(228)に移送される。流体源(230)からの流体が出口開口部(306)を通って連通しないことを確実にするために、真空源(228)は、流体源(230)からの全ての流体を流体リザーバ又は真空源(228)と関連付けられた排出出口(図示せず)内へ真空引きすることができる真空強度及び/又は流体入口内径よりも大きい真空入口内径を適切に備えている。このプライミング処置は、概して、外科用器具(210)を使用した手術の開始前に流体ライン(350)を満たすように達成され得る。しかしながら、いくつかの場合では、流体源(230)が問題に遭遇して、更なるプライミングを必要とする不規則な流体ストリーム(例えば、通常、その中に存在する多量の気泡を含有する流体ストリーム)を移送する場合などに、手術中にこのプライミング処置を繰り返すことが望ましいことがあり得る。
【0045】
図15には、動作前に外科用器具(210)の流体ライン(350)をプライミングする例示的な方法(400)が表されている。最初に、工程(402)で、外科用器具(210)が、弁アセンブリ(226)の出口開口部(306)と結合される。次に、工程(404)及び工程(406)で、流体源(230)及び真空源(228)が各々、真空入口開口部(304)及び流体入口開口部(305)を介してそれぞれ弁アセンブリ(226)と結合される。このように、外科用器具(210)をホーミングする間などに、弁プラグ(318)を閉鎖位置(図13Aを参照されたい)から開放位置(図14を参照されたい)へと移行させるための弁プラグ(318)の動作に応じて、流体源(230)を内側ルーメン(326)と流体結合する。更に、外科用器具(210)をホーミングする間などに、弁プラグ(320)を閉鎖位置(図13Aを参照されたい)から開放位置(図14を参照されたい)へと移行させるための弁プラグ(320)の動作に応じて、同様に真空源(228)を内側ルーメン(326)と流体結合する。工程(408)及び(410)で、真空源(228)及び流体源(230)を作動させて、それぞれの真空吸引及び流体を真空入口開口部(304)及び流体入口開口部(305)に提供し得る。
【0046】
工程(412)で、流体入口弁プラグ(318)及び真空入口弁プラグ(320)が閉鎖位置から開放位置へと移行され、それによって、流体及び真空を内側ルーメン(326)と流体的に連通する。いくつかの変形例では、流体入口弁プラグ(318)及び真空入口弁プラグ(320)が開放位置へと同時に移行されて、流体入口開口部(305)からの任意の流体が出口開口部(306)を介して弁アセンブリ(226)から外へ連通するのを防止する。他の変形例では、真空入口弁プラグ(320)を最初に移行させて、流体入口弁プラグ(318)が移行して流体入口開口部(305)に流体を提供した時点で、内側ルーメン(326)内で真空吸引が既に作動して、真空入口(320)を通して流体を外へ真空引きする状態にあることを確実にする。次に、工程(414)で、流体ライン(350)をプライミングする必要があれば、入口弁プラグ(318、320)をそれらのそれぞれの開放位置に保持して、真空入口(320)を通して流体を外へ移送することを可能にし得る。流体ラインをプライミングするために必要な時間は、特定の因子及び状況、例えば流体ライン(350)のサイズ及び長さに基づいて可変的であるが、所定の滞留時間としての既知の因子に基づいて計算され得、及び/又は実験的に決定され得る。1つ又は2つ以上の所定の滞留時間は、タワー(図示せず)及び/又はテーブル(16、34)(図1及び図2を参照されたい)に格納され得る。例えば、プロセッサ(260)及びメモリ記憶装置(262)は、所定の滞留時間を含み得、プロセッサ(260)は、所定の滞留時間にわたって、弁アセンブリ(226)を第2の構成に選択的に移動させるように構成され得る。したがって、入口弁プラグ(318、320)は、手動であっても、プロセッサ(260)によって指示される自動動作によっても、所定の滞留時間にわたって、それらのそれぞれの開放位置に保持されて、工程(414)にわたって、真空入口(320)を通して流体を外へ移送することを可能にし得る。
【0047】
次に、工程(416)で、流体入口弁プラグ(318)及び真空入口弁プラグ(320)が開放位置から閉鎖位置へと移行され、それによって、内側ルーメン(326)から流体及び真空を流体結合解除する。いくつかの変形例では、流体入口弁プラグ(318)及び真空入口弁プラグ(320)が同時に閉鎖位置へと移行されて、流体入口開口部(305)からの任意の残留流体が出口開口部(306)を介して弁アセンブリ(226)から外へ連通するのを防止する。他の変形例にでは、流体入口弁プラグ(318)が最初に移行されて、流体源(230)からの全ての流体が真空入口(320)を介して除去されることを確実にする。その後に、工程(418)で、流体ライン(350)がプライミングされて、外科用器具(210)が動作され得るか、又は別様に外科手術が続けられ得る。
【0048】
1つの実施例では、外科用器具(210)のプライミングの後に、プライミングされた状態へのこのプライミングの完了が、外科用器具(210)のメモリ(262)、タワー(図示せず)、及び/又はテーブル(16)(図1を参照されたい)などの、テーブルベースのロボットシステム(28)(図1を参照されたい)に格納される。外科用器具(210)の使用が一時停止された場合、及び/又は弁アセンブリ(226)が弁アダプタ(224)(図7を参照されたい)から取り外された場合には、患者に対する別の態様の動作が行われ、続いて、再接続及び弁アセンブリ(226)を伴う外科用器具(210)の使用が行われ得る。したがって、弁アセンブリ(226)を伴う外科用器具(210)の使用に応じて、プライミングされた状態が分かり、タワー(図示せず)及び/又はテーブル(16)(図1を参照されたい)で処理するためにCPU(260)(図7を参照されたい)によって指示されるように繰り返されない。
【0049】
いくつかの変形例では、弁アセンブリ(226)は、流体が流体入口開口部(305)から内側ルーメン(326)へと移送されたかどうかを感知して、図14及び図15に関して記載されるプライミング工程が外科用器具(210)の動作前に完了していることを確実にするように動作可能な1つ又は2つ以上のセンサ(図示せず)を含み得る。このように、センサ(図示せず)は、センサワイヤ又は無線のどちらを介するかにかかわらず、器具(210)の外科用プロセッサ(260)及びメモリ(262)、テーブルベースのロボットシステム(10)(図1を参照されたい)のタワー(図示せず)及び/又はテーブル(16)(図1を参照されたい)に通信可能に結合されて、テーブルベースのロボットシステム(10)及び/又は操作者に、プライミング方法(400)がまだ完了していないこと、又はプライミング方法(400)が完了していないので繰り返す必要がすることを知らせ得る。
【0050】
IV.例示的な組み合わせ
以下の実施例は、本明細書の教示を組み合わせる又は適用することができる様々な非網羅的な方法に関する。以下の実施例は、本出願又は本出願のその後の出願において任意の時点で提示され得る特許請求の範囲を限定することを意図するものではないことを理解されたい。一切の権利放棄が意図されていない。以下の実施例は、単に例示的な目的で提供されているに過ぎない。本明細書の様々な教示は、他の多くの方法で構成及び適用され得ることが企図される。また、いくつかの変形例では、以下の実施例において言及される特定の特徴を省略し得ることも企図される。したがって、以下に言及される態様又は特徴のいずれも、本発明者ら又は本発明者らの権利相続人によって後にそのように明示的に示されていない限り、重要であるとみなされるべきではない。本出願又は本出願に関連する後続の出願において提示される特許請求の範囲が、以下に言及されるもの以外の追加の特徴を含む場合、それらの追加の特徴は、特許性に関するいかなる理由で追加されたものとみなされるべきではない。
【実施例1】
【0051】
流体で外科用器具をプライミングする方法であって、外科用器具が、(a)ルーメンを含むシャフトアセンブリと、(b)弁アセンブリであって、(i)流体源から流体を受け入れるように構成された第1の入口と、(ii)真空源から吸引を受け入れるように構成された第2の入口と、(iii)ルーメンと流体連通する出口と、(iv)弁チャンバと、(v)弁チャンバを介して出口、第1の入口、及び第2の入口のうちの少なくとも2つを選択的に流体接続するように構成された少なくとも1つの弁プラグと、を含む弁アセンブリと、を含み、方法が、(a)流体源を作動させて第1の入口に流体を提供することと、(b)真空源を作動させて第2の入口に吸引を提供することと、(c)少なくとも1つの弁プラグを第1の位置から第2の位置へと移行させることであって、(i)第1の位置では、流体源及び真空源が各々、弁チャンバから流体結合解除され、(ii)第2の位置では、流体源及び真空源が各々、弁チャンバと流体連通する、移行させることと、(d)吸引を介して、第1の入口からの流体の第1の部分を第2の入口を通して真空源に向かって移送し、それによって、外科用器具をプライミングすることと、を含む、方法。
【実施例2】
【0052】
少なくとも1つの弁プラグを第1の位置から第2の位置へと移行させることが、第1の入口及び第2の入口を同時に開くことを含む、実施例1に記載の方法。
【実施例3】
【0053】
第1の入口からの流体の第1の部分を真空源に向かって移送した後に、少なくとも1つの弁プラグを第2の位置から第1の位置へと移行させることを更に含む、実施例1又は2のいずれかに記載の方法。
【実施例4】
【0054】
少なくとも1つの弁プラグを第2の位置から第1の位置へと移行させることが、第1の入口及び第2の入口を同時に閉じることを含む、実施例3に記載の方法。
【実施例5】
【0055】
少なくとも1つの弁プラグが、(a)第1の入口を開閉するように選択的に動作可能な流体弁プラグと、(b)第2の入口を開閉するように選択的に動作可能な真空弁プラグと、を含む、実施例1~4のうちのいずれか1つに記載の方法。
【実施例6】
【0056】
流体弁プラグ及び真空弁プラグが、それぞれ、流体閉鎖位置及び真空閉鎖位置に向かって付勢されており、流体閉鎖位置及び真空閉鎖位置では、流体源及び真空源が各々、弁チャンバから流体結合解除されている、実施例5に記載の方法。
【実施例7】
【0057】
流体弁プラグ及び真空弁プラグが各々、1つ又は2つ以上の圧縮ばねによって流体閉鎖位置及び真空閉鎖位置に向かって付勢されている、実施例6に記載の方法。
【実施例8】
【0058】
吸引を介して、第1の入口からの流体の第1の部分を、所定の滞留時間にわたって、第2の入口を通して真空源に向かって移送し、それによって、外科用器具をプライミングすることを更に含む、実施例1~7のうちのいずれか1つに記載の方法。
【実施例9】
【0059】
外科用器具が、シャフトアセンブリから遠位に延在するエンドエフェクタを更に含み、エンドエフェクタが、ルーメンに流体接続された開口部を含む、実施例1~8のうちのいずれか1つに記載の方法。
【実施例10】
【0060】
外科用器具が、流体源を第1の入口と流体結合するための流体供給ラインを更に含み、第2の位置では、流体の一部分が真空源に向かって移送されて、流体供給ラインをプライミングする、実施例1~9のうちのいずれか1つに記載の方法。
【実施例11】
【0061】
第2の位置では、真空源が、第1の入口を通過する流体の全てを、第2の入口を通して吸引する、実施例10に記載の方法。
【実施例12】
【0062】
第1の入口からの流体の第1の部分を真空源に向かって移送した後に、少なくとも1つの弁プラグを第2の位置から第1の位置へと移行させることと、少なくとも1つの弁プラグを第1の位置から第3の位置へと移行させることと、を更に含み、第3の位置では、流体源が弁チャンバと流体結合されており、真空源が弁チャンバから流体結合解除されている、実施例1~11のうちのいずれか1つに記載の方法。
【実施例13】
【0063】
第1の入口からの流体の第1の部分を真空源に向かって移送した後に、少なくとも1つの弁プラグを第2の位置から第1の位置へと移行させることと、少なくとも1つの弁プラグを第1の位置から第4の位置へと移行させることと、を更に含み、第4の位置では、流体源が弁チャンバから流体結合解除されており、真空源が弁チャンバと流体結合されている、実施例1~12のうちのいずれか1つに記載の方法。
【実施例14】
【0064】
外科用器具が、リニアアクチュエータに動作可能に接続されており、かつリニアアクチュエータを介して、駆動軸を中心として回転可能に駆動されるように構成された回転駆動部材を更に含み、回転駆動部材が、患者支持体に対して移動可能な少なくとも1つのロボットアームによって駆動される、実施例1~13のうちのいずれか1つに記載の方法。
【実施例15】
【0065】
シャフトアセンブリが、長手方向軸に沿って延在しており、かつ長手方向軸に対して選択的に並進するように構成されたリニアアクチュエータを更に含み、リニアアクチュエータが、回転駆動部材に動作可能に接続されており、かつ回転駆動部材の回転を選択的に誘導するように構成されている、実施例1~14のうちのいずれか1つに記載の方法。
【実施例16】
【0066】
ロボット外科用システムであって、(a)ルーメンを含むシャフトアセンブリと、(b)弁アセンブリであって、(i)流体供給ラインと結合して流体源から流体を受け入れるように構成された第1の入口と、(ii)真空源から吸引を受け入れるように構成された第2の入口と、(iii)ルーメンと流体連通する出口と、(iv)弁チャンバと、(v)第1の入口を介して、流体源を弁チャンバと選択的に流体連通させるように構成された流体弁プラグと、(vi)第2の入口を介して、真空源を弁チャンバと選択的に流体連通させるように構成された真空弁プラグと、を含む、弁アセンブリと、を含み、弁アセンブリが、第1の構成及び第2の構成で動作するように構成されており、(i)第1の構成では、流体弁プラグ及び真空弁がどちらも閉じられ、それによって、弁チャンバから流体源及び真空源を流体結合解除するように構成されており、(ii)第2の構成では、流体弁プラグ及び真空弁プラグがどちらも開かれ、それによって、流体源及び真空源を弁チャンバと流体結合するように構成されており、そのため、真空源吸引は、入口ポートを通過する流体の全てを、第2の入口を通して吸引する、ロボット外科用システム。
【実施例17】
【0067】
プロセッサと、所定の滞留時間を含むメモリ記憶装置と、を更に備えており、プロセッサが、所定の滞留時間にわたって、弁アセンブリを第2の構成へと選択的に移動させるように構成されている、実施例16に記載の外科用装置。
【実施例18】
【0068】
流体弁プラグ及び真空弁プラグが、同時に開閉するように動作可能である、実施例16又は17のいずれかに記載の外科用装置。
【実施例19】
【0069】
弁アセンブリが、第3の構成及び第4の構成で動作するように構成されており、(a)第3の位置では、第1の入口が弁チャンバと流体結合されており、第2の入口が弁チャンバから流体結合解除されており、(b)第4の位置では、第1の入口が弁チャンバから流体結合解除されており、第2の入口が弁チャンバと流体結合されている、実施例16~18のうちのいずれか1つに記載の外科用装置。
【実施例20】
【0070】
流体で外科用器具をプライミングする方法であって、外科用器具が、(a)ルーメンを含むシャフトアセンブリと、(b)弁アセンブリであって、(i)流体源から流体を受け入れるように構成された第1の入口と、(ii)真空源から吸引を受け入れるように構成された第2の入口と、(iii)ルーメンと流体連通する出口と、(iv)弁チャンバと、(v)第1の入口を開閉するように選択的に動作可能な流体弁プラグと、(vi)第2の入口を開閉するように選択的に動作可能な真空弁プラグと、を含む弁アセンブリと、を含み、方法が、(a)流体源を作動させて第1の入口に流体を提供することと、(b)真空源を作動させて第2の入口に吸引を提供することと、(c)真空弁プラグを第1の真空弁位置から第2の真空弁位置へと移行させることであって、(i)第1の真空弁位置では、真空源が弁チャンバから流体結合解除されており、(ii)第2の真空弁位置では、真空源が弁チャンバと流体連通する、移行させることと、(d)流体弁プラグを第1の流体弁位置から第2の流体弁位置へと移行させることであって、(i)第1の流体弁位置では、流体源が弁チャンバから流体結合解除されており、(ii)第2の流体弁位置では、流体源が弁チャンバと流体連通する、移行させることと、(d)吸引を介して、第1の入口からの流体を、第2の入口を通して真空源に向かって直接移送し、それによって、外科用器具をプライミングすることと、を含む、方法。
【0071】
VI.その他
本明細書に記載される教示、表現、実施形態、実施例などのうちのいずれか1つ又は2つ以上は、本明細書と同日出願され、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる「Suction and Irrigation Valve and Method of Priming Same in a Robotic Surgical System」と題する米国特許出願[代理人整理番号END9329USNP1]に記載される教示、表現、実施形態、実施例などのうちのいずれか1つ又は2つ以上と組み合わせられ得る。
【0072】
本明細書に参照により組み込まれると言及されるあらゆる特許、刊行物、又は他の開示内容の全部又は一部は、組み込まれる内容が本開示に記載されている既存の定義、見解、又は他の開示内容と矛盾しない範囲でのみ、本明細書に組み込まれることを理解されたい。それ自体、また必要な範囲で、本明細書に明瞭に記載される開示は、参照により本明細書に組み込まれるあらゆる矛盾する記載に優先するものとする。参照により本明細書に組み込まれると言及されているが、現行の定義、見解、又は本明細書に記載される他の開示内容と矛盾するあらゆる内容、又はそれらの部分は、組み込まれた内容と現行の開示内容との間に矛盾が生じない範囲においてのみ、組み込まれるものとする。
【0073】
上記の変形形態は、単回使用後に廃棄されるように設計されてよく、又はそれらは複数回使用されるように設計され得る。変形例は、いずれか又は両方の場合においても、少なくとも1回の使用後に再利用のために再調整されてもよい。再調整は、システム、器具、及び/又はその一部分を分解する工程、続いて特定の部分を洗浄又は交換する工程、及びその後の再組み立て工程の任意の組み合わせを含み得る。具体的には、システム、器具、及び/又はその一部分のいくつかの変形例は、分解され得、また、システム、器具、及び/又はその一部分の任意の数の特定の部分又は部品は、任意の組み合わせで選択的に交換又は取り外され得る。特定の部品の洗浄及び/又は交換に応じて、システム、器具、及び/又はその一部分のいくつかの変形例は、再調整施設において、又は処置の直前に操作者によって、その後の使用のために再度組み立てられ得る。当業者であれば、システム、器具、及び/又はその一部分を再調整することは、分解、洗浄/交換、及び再組み立てのための様々な技術を利用してもよいことを理解するであろう。かかる技術の使用及び結果として生じる再調整されたシステム、器具、及び/又はその一部分は、全て本出願の範囲内にある。
【0074】
単に例として、本明細書に記載される変形例は、手技の前及び/又は後に滅菌されてもよい。1つの滅菌技術では、システム、器具、及び/又はその一部分が、プラスチック製又はTYVEK製のバッグなどの、閉じてシールされる容器内に配置される。次いで、容器並びにシステム、器具、及び/又はその一部分は、ガンマ線、X線、又は高エネルギー電子線などの、容器を透過することができる放射線場内に配置され得る。放射線は、システム、器具、及び/又はその一部分の、並びに容器内の細菌を死滅させ得る。次いで、滅菌されたシステム、器具、及び/又はその一部分は、後で使用するために、滅菌容器内に保管され得る。システム、器具、及び/又はその一部分はまた、ベータ線若しくはガンマ線、エチレンオキシド、又は蒸気が挙げられるがこれらに限定されない、当技術分野で周知の任意の他の技術を使用して滅菌され得る。
【0075】
本発明の様々な実施形態を示し記載してきたが、当業者による適切な修正により、本発明の範囲から逸脱することなく、本明細書に記載の方法及びシステムの更なる適合化が実現され得る。そのような可能な修正のいくつかについて述べたが、その他の修正は当業者には明らかであろう。例えば、上で考察された実施例、実施形態、幾何学的形状、材料、寸法、比率、工程などは例示的なものであり、必須のものではない。したがって、本発明の範囲は、以下の特許請求の範囲に関して考慮されるべきであり、本明細書及び図面に示され記載された構造及び操作の詳細に限定されないことが理解される。
【0076】
〔実施の態様〕
(1) 流体で外科用器具をプライミングする方法であって、前記外科用器具は、(a)ルーメンを含むシャフトアセンブリと、(b)弁アセンブリであって、(i)流体源から前記流体を受け入れるように構成された第1の入口と、(ii)真空源から吸引を受け入れるように構成された第2の入口と、(iii)前記ルーメンと流体連通する出口と、(iv)弁チャンバと、(v)前記弁チャンバを介して前記出口、前記第1の入口、及び前記第2の入口のうちの少なくとも2つを選択的に流体接続するように構成された少なくとも1つの弁プラグと、を含む、弁アセンブリと、を含み、前記方法は、
(a)前記流体源を作動させて前記第1の入口に前記流体を提供することと、
(b)前記真空源を作動させて前記第2の入口に前記吸引を提供することと、
(c)前記少なくとも1つの弁プラグを第1の位置から第2の位置へと移行させることであって、
(i)前記第1の位置では、前記流体源及び前記真空源が各々、前記弁チャンバから流体結合解除されており、
(ii)前記第2の位置では、前記流体源及び前記真空源が各々、前記弁チャンバと流体連通する、移行させることと、
(d)前記吸引を介して、前記第1の入口からの前記流体の第1の部分を、前記第2の入口を通して前記真空源に向かって移送し、それによって、前記外科用器具をプライミングすることと、を含む、方法。
(2) 前記少なくとも1つの弁プラグを第1の位置から第2の位置へと移行させることが、前記第1の入口及び前記第2の入口を同時に開くことを含む、実施態様1に記載の方法。
(3) 前記第1の入口からの前記流体の第1の部分を前記真空源に向かって移送した後に、前記少なくとも1つの弁プラグを前記第2の位置から前記第1の位置へと移行させることを更に含む、実施態様1に記載の方法。
(4) 前記少なくとも1つの弁プラグを前記第2の位置から第1の位置へと移行させることが、前記第1の入口及び前記第2の入口を同時に閉じることを含む、実施態様3に記載の方法。
(5) 前記少なくとも1つの弁プラグが、
(a)前記第1の入口を開閉するように選択的に動作可能な流体弁プラグと、
(b)前記第2の入口を開閉するように選択的に動作可能な真空弁プラグと、を含む、実施態様1に記載の方法。
【0077】
(6) 前記流体弁プラグ及び前記真空弁プラグが、それぞれ、流体閉鎖位置及び真空閉鎖位置に向かって付勢されており、前記流体閉鎖位置及び前記真空閉鎖位置では、前記流体源及び前記真空源が各々、前記弁チャンバから流体結合解除されている、実施態様5に記載の方法。
(7) 前記流体弁プラグ及び前記真空弁プラグが各々、1つ又は2つ以上の圧縮ばねによって前記流体閉鎖位置及び前記真空閉鎖位置に向かって付勢されている、実施態様6に記載の方法。
(8) 前記吸引を介して、前記第1の入口からの前記流体の第1の部分を、所定の滞留時間にわたって、前記第2の入口を通して前記真空源に向かって移送し、それによって、前記外科用器具をプライミングすることを更に含む、実施態様1に記載の方法。
(9) 前記外科用器具が、前記シャフトアセンブリから遠位に延在するエンドエフェクタを更に含み、前記エンドエフェクタが、前記ルーメンに流体接続された開口部を含む、実施態様1に記載の方法。
(10) 前記外科用器具が、前記流体源を前記第1の入口と流体結合するための流体供給ラインを更に含み、前記第2の位置では、前記流体の前記一部分が前記真空源に向かって移送されて、前記流体供給ラインをプライミングする、実施態様1に記載の方法。
【0078】
(11) 前記第2の位置では、前記真空源が、前記第1の入口を通過する前記流体の全てを、前記第2の入口を通して吸引する、実施態様10に記載の方法。
(12) 前記第1の入口からの前記流体の第1の部分を前記真空源に向かって移送した後に、前記少なくとも1つの弁プラグを前記第2の位置から第1の位置へと移行させることと、
前記少なくとも1つの弁プラグを前記第1の位置から第3の位置へと移行させることと、を更に含み、前記第3の位置では、前記流体源が前記弁チャンバと流体結合されており、前記真空源が前記弁チャンバから流体結合解除されている、実施態様1に記載の方法。
(13) 前記第1の入口からの前記流体の第1の部分を前記真空源に向かって移送した後に、前記少なくとも1つの弁プラグを前記第2の位置から第1の位置へと移行させることと、
前記少なくとも1つの弁プラグを前記第1の位置から第4の位置へと移行させることと、を更に含み、前記第4の位置では、前記流体源が前記弁チャンバから流体結合解除されており、前記真空源が前記弁チャンバと流体結合されている、実施態様1に記載の方法。
(14) 前記外科用器具が、リニアアクチュエータに動作可能に接続されており、かつ前記リニアアクチュエータを介して、駆動軸を中心として回転可能に駆動されるように構成された回転駆動部材を更に含み、前記回転駆動部材が、患者支持体に対して移動可能な少なくとも1つのロボットアームによって駆動される、実施態様1に記載の方法。
(15) 前記シャフトアセンブリが、長手方向軸に沿って延在しており、前記長手方向軸に対して選択的に並進するように構成されたリニアアクチュエータを更に含み、前記リニアアクチュエータが、前記回転駆動部材に動作可能に接続されており、かつ前記回転駆動部材の回転を選択的に誘導するように構成されている、実施態様1に記載の方法。
【0079】
(16) ロボット外科用システムであって、
(a)ルーメンを含むシャフトアセンブリと、
(b)弁アセンブリであって、
(i)流体供給ラインと結合して流体源から流体を受け入れるように構成された第1の入口と、
(ii)真空源から吸引を受け入れるように構成された第2の入口と、
(iii)前記ルーメンと流体連通する出口と、
(iv)弁チャンバと、
(v)前記第1の入口を介して、前記流体源を前記弁チャンバと選択的に流体連通させるように構成された流体弁プラグと、
(vi)前記第2の入口を介して、前記真空源を前記弁チャンバと選択的に流体連通させるように構成された真空弁プラグと、を含む、弁アセンブリと、を備え、
前記弁アセンブリは、第1の構成及び第2の構成で動作するように構成されており、
(i)前記第1の構成では、前記流体弁プラグ及び前記真空弁プラグがどちらも閉じられ、それによって、前記弁チャンバから前記流体源及び前記真空源を流体結合解除するように構成されており、
(ii)前記第2の構成では、前記流体弁プラグ及び前記真空弁プラグがどちらも開かれ、それによって、前記流体源及び前記真空源を前記弁チャンバと流体結合するように構成されており、そのため、前記真空源は、前記入口ポートを通過する前記流体の全てを、前記第2の入口を通して吸引する、ロボット外科用システム。
(17) プロセッサと、所定の滞留時間を含むメモリ記憶装置と、を更に備え、前記プロセッサが、前記所定の滞留時間にわたって前記弁アセンブリを前記第2の構成へと選択的に移動させるように構成されている、実施態様16に記載の外科用装置。
(18) 前記流体弁プラグ及び前記真空弁プラグが、同時に開閉するように動作可能である、実施態様16に記載の外科用装置。
(19) 前記弁アセンブリが、第3の構成及び第4の構成で動作するように構成されており、
(a)前記第3の位置では、前記第1の入口が前記弁チャンバと流体結合されており、前記第2の入口が前記弁チャンバから流体結合解除されており、
(b)前記第4の位置では、前記第1の入口が前記弁チャンバから流体結合解除されており、前記第2の入口が前記弁チャンバと流体結合されている、実施態様16に記載の外科用装置。
(20) 流体で外科用器具をプライミングする方法であって、前記外科用器具は、(a)ルーメンを含むシャフトアセンブリと、(b)弁アセンブリであって、(i)流体源から前記流体を受け入れるように構成された第1の入口と、(ii)真空源から吸引を受け入れるように構成された第2の入口と、(iii)前記ルーメンと流体連通する出口と、(iv)弁チャンバと、(v)前記第1の入口を開閉するように選択的に動作可能な流体弁プラグと、(vi)前記第2の入口を開閉するように選択的に動作可能な真空弁プラグと、を含む、弁アセンブリと、を含み、前記方法は、
(a)前記流体源を作動させて前記第1の入口に前記流体を提供することと、
(b)前記真空源を作動させて前記第2の入口に前記吸引を提供することと、
(c)前記真空弁プラグを第1の真空弁位置から第2の真空弁位置へと移行させることであって、
(i)前記第1の真空弁位置では、前記真空源が前記弁チャンバから流体結合解除されており、
(ii)前記第2の真空弁位置では、前記真空源が前記弁チャンバと流体連通する、移行させることと、
(d)前記流体弁プラグを第1の流体弁位置から第2の流体弁位置へと移行させることであって、
(i)前記第1の流体弁位置では、前記流体源が前記弁チャンバから流体結合解除されており、
(ii)前記第2の流体弁位置では、前記流体源が前記弁チャンバと流体連通する、移行させることと、
(d)前記吸引を介して、前記第1の入口からの前記流体を、前記第2の入口を通して前記真空源に向かって直接移送し、それによって、前記外科用器具をプライミングすることと、を含む、方法。
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13A
図13B
図13C
図14
図15
【国際調査報告】