(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-24
(54)【発明の名称】ねじ山中断部を伴う多角形係止孔を有する骨プレート及び関連するシステム
(51)【国際特許分類】
A61B 17/80 20060101AFI20240517BHJP
【FI】
A61B17/80
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023575873
(86)(22)【出願日】2022-05-17
(85)【翻訳文提出日】2024-01-30
(86)【国際出願番号】 IB2022054585
(87)【国際公開番号】W WO2022259062
(87)【国際公開日】2022-12-15
(32)【優先日】2021-06-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513069064
【氏名又は名称】デピュイ・シンセス・プロダクツ・インコーポレイテッド
【住所又は居所原語表記】325 Paramount Drive, Raynham MA 02767-0350 United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル・ステッファン
(72)【発明者】
【氏名】ベリスヴィル・アンドレアス
(72)【発明者】
【氏名】ポサダ・ソル・エイ
(72)【発明者】
【氏名】オベルリ・ジョエル
(72)【発明者】
【氏名】ロッチ・ミルコ
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160LL32
(57)【要約】
骨プレートは、内面を画定しており、内面は、軸に沿ってプレートを通って延在する孔と、係止ねじのねじ山付きヘッドと係止するように構成されたプレートねじ山と、軸の周りに順次位置付けられた第1の列、第2の列、及び第3の列と、第2の列から第1の列まで接線方向に延在する第1のコーナー部と、第3の列から第1の列まで接線方向に延在する第2のコーナー部と、を画定する。第1のコーナー部及び第2のコーナー部は、軸から実質的に等距離に離間されている。プレートねじ山は、第1の列、第2の列、及び第3の列、並びに第1のコーナー部及び第2のコーナー部を横切って延在する。内面は、第2の列と第3の列との間にあり、かつ第1の列に面する、凹部を画定する。凹部の頂点は、凹部がプレートねじ山のうちの少なくとも1つの少なくとも一部分を周方向に中断するように、第1のコーナー部及び第2のコーナー部よりも軸から遠くに離間される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
骨プレートであって、
外面及び前記外面の反対側の骨対向面と、
中心孔軸に沿って前記外面から前記骨対向面まで延在する少なくとも1つの孔を画定する内面と、を備え、前記内面が、
前記外面と前記骨対向面との間に延在するプレートねじ山であって、係止骨ねじの頭部の雄ねじと係止係合するように構成されている、プレートねじ山と、
前記中心孔軸の周りに順次位置付けられた第1の列、第2の列、及び第3の列と、
前記第2の列の第1の辺から前記第1の列の第2の辺まで接線方向に延在する第1のコーナー部と、
前記第3の列の第2の辺から前記第1の列の第1の辺まで接線方向に延在する第2のコーナー部であって、前記第1のコーナー部及び前記第2のコーナー部が、前記中心孔軸に垂直な半径方向に沿って測定された第1の距離に、前記中心孔軸から実質的に等距離に離間されており、前記プレートねじ山が、前記第1の列、前記第2の列、及び前記第3の列を横切って、かつ前記第1のコーナー部及び前記第2のコーナー部を横切って延在する、第2のコーナー部と、
前記第2の列と前記第3の列との間に位置付けられており、かつ前記第1の列に面する凹部であって、前記凹部の頂点は、前記凹部が前記プレートねじ山のうちの少なくとも1つのねじ山形態の少なくとも一部分を周方向に中断するように、前記第1の距離よりも大きい第2の距離に、前記中心孔軸から離間されている、凹部と、を更に画定する、骨プレート。
【請求項2】
前記凹部の前記頂点が、鋭角で前記外面から前記骨対向面に向かって、前記中心孔軸に向かって内向きに先細になる頂点軌道に沿って延在する、請求項1に記載の骨プレート。
【請求項3】
頂点軌道軸の前記鋭角が、約11度~約15度の範囲である、請求項2に記載の骨プレート。
【請求項4】
前記第1の列、前記第2の列、及び前記第3の列の各々が、前記プレートねじ山の山頂と交差するそれぞれの山頂軌道軸を画定しており、各山頂軌道軸が、鋭角で前記外面から前記骨対向面に向かって、前記中心孔軸に向かって内向きに先細になり、
前記山頂軌道軸の前記鋭角が、実質的に等しく、
前記頂点軌道の前記鋭角が、前記山頂軌道軸の前記鋭角よりも小さい、請求項3に記載の骨プレート。
【請求項5】
前記内面は、
主軸方向部分であって、それに沿って前記プレートねじ山が延在する、主軸方向部分と、前記外面と前記主軸方向部分との間に延在する1つ又は2つ以上の導入面と、前記主軸方向部分と前記骨対向面との間に延在する1つ又は2つ以上のアンダーカット面と、を含み、
前記凹部が、前記1つ又は2つ以上の導入面と接合する第1の端部、及び前記1つ又は2つ以上のアンダーカット面と接合する第2の端部から延在する、請求項2に記載の骨プレート。
【請求項6】
前記凹部の前記頂点が、前記中心孔軸と実質的に平行である頂点軌道に沿って延在する、請求項1に記載の骨プレート。
【請求項7】
前記凹部の前記頂点が、外側プレート表面及び前記骨対向面から延在しており、かつそれらと連続している、請求項6に記載の骨プレート。
【請求項8】
前記内面が、前記凹部内に凹部面を画定しており、前記頂点を含む前記凹部面の少なくとも一部分が、シリンダのセグメントを画定する、請求項1に記載の骨プレート。
【請求項9】
前記凹部面の前記一部分が、第1の部分であり、前記凹部面が、前記第1の部分から前記孔の中央領域に向かって延在する第2の部分を更に画定しており、前記第2の部分が、互いに平行して配向されている反対面を画定する、請求項8に記載の骨プレート。
【請求項10】
前記第1の列が、前記第1の列の前記第1の辺と前記第2の辺との間で測定された第1の列長さを画定しており、
前記第2の列が、前記第2の列の前記第1の辺と前記第2の列の前記第1の辺の反対側の前記第2の列の第2の辺との間で測定された第2の列長さを画定しており、
前記第3の列が、前記第3の列の前記第2の辺と前記第3の列の前記第2の辺の反対側の前記第3の列の第1の辺との間で測定された第3の列長さを画定しており、前記第2の列長さ及び前記第3の列長さが、等距離であり、かつ前記第1の列長さよりも大きい、請求項1に記載の骨プレート。
【請求項11】
前記凹部が、前記プレートねじ山のうちの前記少なくとも1つのねじ山形態全体を周方向に中断する、請求項1に記載の骨プレート。
【請求項12】
前記凹部が、前記プレートねじ山のうちのいくつか及び最大で全てのねじ山形態全体を周方向に中断する、請求項1に記載の骨プレート。
【請求項13】
前記骨プレートが、長手方向軸に沿って細長く、前記骨プレートが、前記少なくとも1つの孔と同様に構成された少なくとも1つの第2の孔を更に備え、前記長手方向軸が、前記少なくとも1つの孔及び前記少なくとも1つの第2の孔の前記凹部の前記頂点と交差する、請求項1に記載の骨プレート。
【請求項14】
骨固定システムであって、
骨プレートであって、前記骨プレートが、外面と、前記外面の反対側の骨対向面と、中心孔軸に沿って前記外面から前記骨対向面まで延在する孔を画定する内面と、を画定しており、前記内面が、
前記外面と前記骨対向面との間に延在するプレートねじ山と、
前記中心孔軸の周りに順次位置付けられた第1の列、第2の列、及び第3の列と、
前記第2の列の第1の辺から前記第1の列の第2の辺まで接線方向に延在する第1のコーナー部と、
前記第3の列の第2の辺から前記第1の列の第1の辺まで接線方向に延在する第2のコーナー部であって、前記第1のコーナー部及び前記第2のコーナー部が、前記中心孔軸に垂直な半径方向に沿って測定された第1の距離に、前記中心孔軸から実質的に等距離に離間されており、前記プレートねじ山が、前記第1の列、前記第2の列、及び前記第3の列を横切って、かつ前記第1のコーナー部及び前記第2のコーナー部を横切って延在する、第2のコーナー部と、
前記第2の列と前記第3の列との間に位置付けられており、かつ前記第1の列に面する凹部であって、前記凹部の頂点は、前記凹部が前記プレートねじ山のうちの少なくともいくつかのねじ山形態の少なくとも一部分を周方向に中断するように、前記第1の距離よりも大きい第2の距離に、前記中心孔軸から離間されている、凹部と、を更に画定する、骨プレートと、
骨ねじと、を備え、前記骨ねじが、頭部と、前記頭部から遠位方向に延在するシャフトと、を有し、前記シャフトが、下にある骨と係合するように構成された雄ねじを有し、前記頭部が、前記骨プレートを前記下にある骨に固設する様式で、前記第1の列、前記第2の列、及び前記第3の列のうちのいずれかと係合するように構成されている、骨固定システム。
【請求項15】
前記骨ねじの前記頭部が、前記頭部を前記内面に係止する様式で、前記プレートねじ山とねじ方式で係合するように構成された雄ねじを画定する、請求項14に記載の骨固定システム。
【請求項16】
前記骨ねじの前記頭部の外面が、実質的に滑らかであり、かつ前記骨プレートを下にある骨に対して、前記下にある骨に垂直な方向に沿って並進させる様式で、前記凹部に沿って凹部面の少なくとも一部分に接触するように構成されている、請求項14に記載の骨固定システム。
【請求項17】
骨固定システムであって、
骨プレートであって、前記骨プレートが、外面と、前記外面の反対側の骨対向面と、中心孔軸に沿って前記外面から前記骨対向面まで延在する孔を画定する内面と、を画定しており、前記内面が、
前記外面と前記骨対向面との間に延在するプレートねじ山と、
前記中心孔軸の周りに順次位置付けられた第1の列、第2の列、及び第3の列と、
前記第2の列の第1の辺から前記第1の列の第2の辺まで接線方向に延在する第1のコーナー部と、
前記第3の列の第2の辺から前記第1の列の第1の辺まで接線方向に延在する第2のコーナー部であって、前記第1のコーナー部及び前記第2のコーナー部が、前記中心孔軸に垂直な半径方向に沿って測定された第1の距離に、前記中心孔軸から実質的に等距離に離間されており、前記プレートねじ山が、前記第1の列、前記第2の列、及び前記第3の列を横切って、かつ前記第1のコーナー部及び前記第2のコーナー部を横切って延在する、第2のコーナー部と、
前記第2の列と前記第3の列との間に位置付けられており、かつ前記第1の列に面する凹部であって、前記凹部の頂点は、前記凹部が前記プレートねじ山のうちの少なくとも1つのねじ山形態の少なくとも一部分を周方向に中断するように、前記第1の距離よりも大きい第2の距離に、前記中心孔軸から離間されている、凹部と、を更に画定する、骨プレートと、
遠位取り付け部分を有する器具と、を備え、前記遠位取り付け部分が、前記孔と嵌合するように構成された第1の形成部と、前記第1の形成部から外向きに延在する突出部と、を含み、前記突出部及び前記凹部が、賞賛的なジオメトリを画定しており、そのため、前記突出部が、前記孔で前記第1の形成部を固定する様式で前記凹部と嵌合するように構成されている、骨固定システム。
【請求項18】
前記器具が、前記器具の近位端から前記器具の遠位端まで延在するチャネルを画定しており、前記チャネルの中心軸は、前記突出部が前記凹部と嵌合しているときに前記中心孔軸と同じ範囲にわたるように構成されている、請求項17に記載の骨固定システム。
【請求項19】
前記凹部の前記頂点が、前記中心孔軸と平行である第1の頂点軌道に沿って延在しており、前記突出部が、前記チャネルの前記中心軸と平行である第2の頂点軌道に沿って延在する頂点を画定しており、前記突出部の前記頂点が、前記凹部の前記頂点と入れ子になるように構成されている、請求項18に記載の骨固定システム。
【請求項20】
前記チャネルを通って延在し、かつ下にある骨と係合するように構成されたツールを更に備える、請求項19に記載の骨固定システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、骨アンカーを受容して骨プレートを骨に固設するための骨プレートに関し、具体的には、ねじ山中断部を含むねじ山付き固定孔を有する骨プレートに関する。
【背景技術】
【0002】
骨折の内部固定のための骨プレートシステムは周知である。従来の骨プレートシステムは、骨折の治癒を促進するのに特によく適している。骨ねじなどの骨アンカーは、骨プレートの固定開口又は孔を通して挿入され、骨にねじ込まれて、骨折端部を互いに圧縮、中立化、支持、張力付与、結束、及び/又はブリッジする。1つの骨折した骨部分からプレートを越えてプレートに対して骨を引くことなく別の骨折した骨部分上に荷重を伝達するために、かつプレートに関して骨ねじを緩める又は引く(これは、不十分なアライメント及び不十分な臨床結果につながる可能性がある)ことを回避するために、骨プレートで係止することができる骨ねじを用いることができる。かかるねじの1つの既知の実施形態は、以下、ねじをプレートに係止するための「係止孔」と称される固定孔の内面の対応するねじ山と係合するための雄ねじを有するねじ頭部を用いる。これらのねじは、以下「係止ねじ」と称され、実質的に「公称」配向でのみ固定孔内に係止するように構成され、それによって、中心ねじ軸が中心孔軸と実質的に位置合わせされる標準型係止ねじ、並びに、公称配向又は「角度付き」配向のいずれかで固定孔内に係止するように構成され、それによって、中心ねじ軸がそれぞれの中心孔軸に対して鋭角をなして配向される、「可変角度」(variable-angle、VA)係止ねじを含み得る。
【0003】
骨プレートシステムはまた、骨折した骨部分の間に解剖学的整復を提供するように適合させることもできる。かかるシステムの骨プレートは、動的な圧縮を生じさせる様式で「圧縮ねじ」のねじ頭部の滑らかな外面と係合する、ランプジオメトリを有する1つ又は2つ以上の孔を含み、これは、骨プレートが、圧縮ねじのねじ軸に略垂直な方向に沿って、圧縮ねじ及び下にある骨に対して並進することを意味する。かかる孔は、以下「圧縮孔」と称される。骨プレートは、係止孔及び圧縮孔を含むことができる。例えば、係止孔のうちの1つ又は2つ以上を用いて、骨プレートを第1の下にある骨セグメントに固設する係止ねじを受容することができる。次いで、圧縮孔のうちの1つ又は2つ以上を用いて、圧縮ねじを受容することができ、圧縮ねじは、第2の下にある骨セグメント内に駆動して、孔内での圧縮ねじの頭部とランプジオメトリとの係合を介して、第1及び第2の下にある骨セグメント間の間隙を低減する並進方向に骨プレートを効果的に押す。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示の一実施形態によれば、骨プレートは、外面と、外面の反対側の骨対向面と、内面と、を有し、内面は、中心孔軸に沿って外面から骨対向面まで延在する少なくとも1つの孔を画定する。内面は、外面と骨対向面との間に延在しており、係止骨ねじの頭部で雄ねじと係止係合するように構成されているプレートねじ山と、中心孔軸の周りに順次位置付けられた第1の列、第2の列、及び第3の列と、第2の列の第1の辺から第1の列の第2の辺まで接線方向に延在する第1のコーナー部と、第3の列の第2の辺から第1の列の第1の辺まで接線方向に延在する第2のコーナー部と、を更に画定する。第1のコーナー部及び第2のコーナー部は、中心孔軸に垂直な半径方向に沿って測定された第1の距離に、中心孔軸から実質的に等距離に離間されている。プレートねじ山は、第1の列、第2の列、及び第3の列を横切って、並びに第1のコーナー部及び第2のコーナー部を横切って延在する。内面は、第2の列と第3の列との間に位置付けられており、かつ第1の列に面する凹部を更に画定する。凹部の頂点は、凹部がプレートねじ山のうちの少なくとも1つのねじ山形態の少なくとも一部分を周方向に中断するように、第1の距離よりも大き第2の距離に、中心孔軸から離間されている。
【0005】
本開示の別の実施形態によれば、骨固定システムは、骨プレートを含み、骨プレートは、外面と、外面の反対側の骨対向面と、内側内面と、を有し、内側内面は、中心孔軸に沿って外面から骨対向面まで延在する少なくとも1つの孔を画定する。内面は、外面と骨対向面との間に延在するプレートねじ山と、中心孔軸の周りに順次位置付けられた第1の列、第2の列、及び第3の列と、第2の列の第1の辺から第1の列の第2の辺まで接線方向に延在する第1のコーナー部と、第3の列の第2の辺から第1の列の第1の辺まで接線方向に延在する第2のコーナー部と、を更に画定する。第1のコーナー部及び第2のコーナー部は、中心孔軸に垂直な半径方向に沿って測定された第1の距離に、中心孔軸から実質的に等距離に離間されている。プレートねじ山は、第1の列、第2の列、及び第3の列を横切って、並びに第1のコーナー部及び第2のコーナー部を横切って延在する。内面は、第2の列と第3の列との間に位置付けられており、かつ第1の列に面する凹部を更に画定する。凹部の頂点は、凹部がプレートねじ山のうちの少なくとも1つのねじ山形態の少なくとも一部分を周方向に中断するように、第1の距離よりも大き第2の距離に、中心孔軸から離間されている。骨固定システムは、骨ねじを含み、骨ねじは、頭部と、頭部から遠位方向に延在するシャフトとを有する。シャフトは、下にある骨と係合するように構成された雄ねじを有し、頭部は、骨プレートを下にある骨に固設する様式で、第1の列、第2の列、及び第3の列のうちのいずれかと係合するように構成されている。
【0006】
本開示の追加的な一実施形態によれば、骨固定システムは、骨プレートを含み、骨プレートは、外面と、外面の反対側の骨対向面と、内側内面と、を有し、内側内面は、中心孔軸に沿って外面から骨対向面まで延在する少なくとも1つの孔を画定する。内面は、外面と骨対向面との間に延在するプレートねじ山と、中心孔軸の周りに順次位置付けられた第1の列、第2の列、及び第3の列と、第2の列の第1の辺から第1の列の第2の辺まで接線方向に延在する第1のコーナー部と、第3の列の第2の辺から第1の列の第1の辺まで接線方向に延在する第2のコーナー部と、を更に画定する。第1のコーナー部及び第2のコーナー部は、中心孔軸に垂直な半径方向に沿って測定された第1の距離に、中心孔軸から実質的に等距離に離間されている。プレートねじ山は、第1の列、第2の列、及び第3の列を横切って、並びに第1のコーナー部及び第2のコーナー部を横切って延在する。内面は、第2の列と第3の列との間に位置付けられており、かつ第1の列に面する凹部を更に画定する。凹部の頂点は、凹部がプレートねじ山のうちの少なくとも1つのねじ山形態の少なくとも一部分を周方向に中断するように、第1の距離よりも大き第2の距離に、中心孔軸から離間されている。骨固定システムは、孔と嵌合するように構成された第1の形成部と、第1の形成部から外向きに延在する突出部と、を含む遠位取り付け部分を有する、器具を含む。突出部及び凹部は、賞賛的なジオメトリを画定しており、そのため、突出部は、孔で第1の形成部を固定する様式で凹部と嵌合するように構成されている。
【図面の簡単な説明】
【0007】
前述の概要及び本出願の例示的な実施形態の以下の詳細な説明は、添付の図面と併せて読むと、よりよく理解されるであろう。本出願の構造を例示する目的で、例示的な実施形態を図面に示す。しかしながら、本出願は、図示される正確な配置及び手段に限定されないことを理解すべきである。
【
図1A】本開示の一実施形態による、凹部を含むねじ山付き係止孔を有する骨プレートの上面斜視図である。
【
図1E】
図1Cに例示された凹部の頂点に沿った孔の側断面図である。
【
図1F】骨ねじの頭部が公称挿入角度でその中に挿入された、
図1Eに例示された孔の側断面図である。
【
図1G】骨ねじの頭部が角度形成状態でその中に挿入された、
図1Eに例示された孔の側断面図である。
【
図2A】凹部が
図1Aに示される孔の幅よりも狭い幅を有する、本開示の一実施形態による、凹部を含むねじ山付き係止孔を有する骨プレートの上面図である。
【
図2B】
図2Aに例示された凹部の頂点に沿った孔の側断面図である。
【
図3A】本開示の別の実施形態による、凹部を含むねじ山付き係止孔を有する骨プレートの上面斜視図である。
【
図3C】
図3Bに例示された凹部の頂点に沿った孔の側断面図である。
【
図4A】本開示の別の実施形態による、細長い凹部を含むねじ山付き係止孔を有する骨プレートの上面斜視図である。
【
図4C】
図4Bに例示された細長い凹部の頂点に沿った孔の断面斜視図である。
【
図5A】本開示の更なる実施形態による、
図1A~
図4Cに例示されたねじ山付き係止孔と同様のねじ山付き係止孔と共に使用するように構成されたドリルガイドの斜視図である。
【
図5B】孔に着座して示されている、
図5Aに例示されたドリルガイドの一部分の側断面図である。
【
図6A】本開示の更に別の実施形態による、
図1A~
図4Cに例示された複数のねじ山付き係止孔と同様に構成された複数のねじ山付き係止孔を有する骨プレートの上面斜視図である。
【
図6C】
図6Bに例示された孔のうちの1つの拡大平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本開示は、本開示の一部を形成する、添付図面及び実施例に関連する以下の詳細な説明を参照することにより、より容易に理解することができる。本開示は、本明細書に説明及び/又は図示される特定の装置、方法、用途、条件又はパラメータに限定されるものではなく、本明細書で使用される専門用語は実施例を用いて具体的な実施形態を説明する目的のためだけのものであり、本開示の範囲を限定することを意図するものではないことを理解されたい。また、添付の特許請求の範囲を含む明細書において使用される場合、単数形「a」、「an」、及び「the」は複数を含み、特定の数値への言及は、文脈により明確に別様に指示されない限り、少なくともこの特定の値を含む。
【0009】
「複数」という用語は、本明細書で使用される場合、1つよりも多いことを意味する。値の範囲が表されている場合、別の実施形態においては、ある特定の値から、及び/又は他の特定の値までが含まれる。同様に、先行する「約」によって値が近似の形式で表現された場合、その特定値により別の実施形態が形成されることが理解されるであろう。全ての範囲は境界値を含み、組み合わせ可能である。
【0010】
寸法、角度、比、及び他の形状に関して本明細書で使用される場合、「およそ」、「約」、及び「実質的に」という用語は、製造公差を考慮する。更に、「およそ」、「約」、及び「実質的に」という用語は、規定の寸法又は角度よりも10%大きい又は小さいものを含み得る。更に、「およそ」、「約」、及び「実質的に」という用語は、規定された特定の値にも等しく適用され得る。
【0011】
本明細書で使用される場合、「動的圧縮」という用語は、軸であって、それに沿って骨アンカーが下にある骨に挿入される、軸に対して略垂直である方向に沿って骨アンカー及び下にある患者の解剖学的構造(例えば、下にある骨)に対して骨プレートを並進させる様式で、骨プレートにに対して骨アンカーを係合する作用を指す。
【0012】
本明細書に開示される実施形態は、追加の凹部又は「キーカット」を有する多角形(例えば、三角形)のVA係止孔を有する骨プレートに関係する。以下で説明するように、追加の凹部は、非限定的な例として、骨プレートと共に使用するための器具及び/又はツールの賞賛的な形成部と嵌合すること、強化された変形特性を有するプレート孔ねじ山の隣接する部分を提供して、係止ねじの頭部との係止係合を向上させること、ねじ頭部が角度形成することができる余分の空間を提供すること、及び動的圧縮中の潜在的なプレート並進距離を増加させること、のうちの1つ又は2つ以上の様々な目的のために適合させることができる。
【0013】
ここで
図1A~
図1Gを参照すると、本開示の一実施形態によれば、骨プレート4は、プレート本体5を通って延在する可変角(VA)係止孔6をその中に画定する、プレート本体5を有する。プレート本体5は、孔6を画定する内面24を画定する。内面24は、雌ねじ9などの1つ又は2つ以上の係止構造体を孔6内に更に画定する。雌ねじ9はまた、「プレートねじ山」又は「孔ねじ山」と称することもできる。プレートねじ山9は、1つ又は2つ以上のねじ山経路に沿った内面24に沿って延在する。内面24はまた、以下でより詳細に説明するように、プレートねじ山9の少なくともいくつかを中断する、少なくとも1つの凹部70も画定する。凹部70内の内面24の一部分は、「凹部面」72として特徴付けられ得る。凹部70はまた、「キーカット」と称することもできる。孔6は、以下でより詳細に説明するように、
図1F及び
図1Gに示されるように孔6を通って下にある骨99の中へ進むシャフト25及び内面24に固定する頭部27を含むことができる、係止ねじ8などの賞賛的な係止骨アンカーと共に使用するように構成されている。以下で考察される骨アンカーの例は、骨ねじを指すが、他のタイプの骨アンカーが本開示の範囲内であることが理解されるべきである。更に、孔6の例示された実施形態は、単一の凹部70を有する孔6を示すが、他の実施形態では、孔6は、1つを超える凹部70を含むことができる。
【0014】
図1A及び
図1Bに示されるように、プレート本体5は、第1の方向又は長手方向Xに沿って互いに離間することができる第1の端部10及び反対側の第2の端部12を画定する。プレート本体5はまた、第2の方向又は横方向Yに沿って互いに離間することができる第1の側面14及び反対側の第2の側面16を画定することもできる。長手方向及び横方向は、互いに実質的に垂直であり得る。骨プレート4はまた、骨の反対側に面するように構成された上部プレート表面18(本明細書において「外面」18とも称される)、及び骨に面するように構成された反対側の下部プレート表面20(本明細書において「骨対向面」とも称される)を画定することもできる。上部プレート表面18及び下部プレート表面20は、長手方向X及び横方向Yからオフセットされた第3の方向又は垂直方向Zに沿って互いに離間されている。例えば、長手方向X、横方向Y、垂直方向Zは、互いに実質的に垂直であり得る。本明細書で使用される場合、用語「長手方向」、「長手方向に」、及びその派生語は、長手方向Xを指し、「横方向」、「横方向に」という用語、及びその派生語は、横方向Yを指し、「垂直」、「垂直に」という用語、及びそれらの派生語は、垂直方向Zを指すことを理解されたい。また、長手方向X及び横方向Yを含む平面は、本明細書では、「水平」平面X-Yと称され得ることも理解されるべきである。
【0015】
孔6は、中心孔軸22に沿って、上部プレート表面18から下部プレート表面20まで延在する。中心孔軸22は、軸方向孔方向に沿って配向される。本明細書で使用される場合、「軸方向」という用語(例えば、「軸方向孔方向」及び「軸方向ねじ方向」)は、それぞれの軸が延在する方向として定義される。更に、「軸方向」、「軸方向に」という方向用語、及びそれらの派生語は、それぞれの軸方向を指す。したがって、本明細書で使用される場合、「軸方向上方」という方向用語及びその派生語は、下部プレート表面20から上部プレート表面18に向かう軸方向孔方向を指す。逆に、「軸方向下方」という用語及びその派生語は、上部プレート表面18から下部プレート表面20に向かう軸方向孔方向を指す。したがって、「軸方向上方」及び「軸方向下方」は各々、双方向である「軸方向」の単方向成分である。図において表される実施形態において、軸方向孔方向は(したがって、中心孔軸22も)、垂直方向Zに沿って配向される。したがって、軸方向孔方向はまた、本開示の全体を通して「Z」によっても表される。しかしながら、本開示の範囲は、軸方向孔方向が(したがって、中心孔軸22も)垂直方向Zから斜角でフセットされる実施形態を網羅することが理解されるべきである。また「軸方向上部」、「軸方向下部」、などの用語は、係止ねじ8などの骨ねじを参照して使用される場合、かかる用語は、特にねじが孔6内に配向されるときに、ねじの中心軸52を指すことも理解されるべきである(
図1F及び
図1Gを参照されたい)。
【0016】
内面24は、上部プレート表面18との接合面に位置付けられた孔6の上部外周30から軸方向下方に延在する(
図1A)。内面24は、好ましくは、上部外周30から軸方向下方に孔6に延在する1つ又は2つ以上の導入面又はチャンファを含む。例えば、
図1C及び
図1Dに示されるように、本実施形態は、上部外周30と連続した第1の導入面34aと、第1の導入面34aから軸方向下方に延在する第2の導入面34bと、を含む。導入面34a、bは、示されるように中心孔軸22の周りに1回転延在することができ、又は中心孔軸22の周りに1回転よりも少なく延在することができる。内面24はまた、係止構造体(例えば、プレートねじ山9)が形成される主面又は係止表面35も含む。内面24はまた、下部プレート表面20との接合面に位置付けられた孔6の下部外周32(
図1B)から軸方向上方に延在する1つ又は2つ以上のアンダーカット面(本明細書では「リリーフ表面」とも称される)を画定することもできる。例えば、本実施形態は、下部外周32と連続した第1のアンダーカット面36aと、第1のアンダーカット面36aから主表面35に向かって軸方向上方に延在する第2のアンダーカット面36bと、を含む。アンダーカット面36a、bは、示されるように中心孔軸22の周りに1回転延在することができ、又は中心孔軸22の周りに1回転よりも少なく延在することができる。
【0017】
孔6の係止構造体は、その中への係止ねじ8のVA挿入を提供するように構成されている。例えば、
図1Cを参照すると、係止構造体は、内面24の外周の周りに順次位置付けられる列26を含むことができる。内面24はまた、列26の間に周方向に順次位置付けられた複数の凹部28を画定する。別の言い方をすれば、列26及び凹部28は、内面24の周囲に沿って交互に配設される。凹部28はまた、本明細書において「コーナラウンド」又は「コーナー部」とも称される。列26及びコーナー部28は、上部プレート表面18と下部プレート表面20との間で軸方向に延在する。列26及びコーナー部28は、孔6の周囲に沿って均等に離間することができる。しかしながら、他の実施形態では、列26及び/又はコーナー部28は、孔6の周囲の周りに不均等に離間することができる。コーナー部28の各々は、各々が中心孔軸22と平行であり得る中心コーナー部軸37を画定することができるが、中心コーナー部軸37に関する他の配向が可能である。各中心コーナー部軸37はまた、中心孔軸22に対して垂直な半径方向Rに沿って測定したときに、中心孔軸22から距離R1だけ離間されて配置することもできる。凹部70は、コーナー部28のうちの1つの中に位置付けられる。凹部70は、好ましくは、凹部70の頂点軌道75が隣接する列26から等距離の様式で周方向に離間されるように、それぞれのコーナー部28の頂点において周方向にセンタリングされる。このようにして、凹部70は、隣接しない列26のうちの1つの正反対側に、例えば長手方向Xに沿って位置付けることができる。しかしながら、他の実施形態では、凹部70は、コーナー頂点においてセンタリングする必要がなく、また、隣接しない列26の正反対側に位置付ける必要もない。
【0018】
プレートねじ山9は、列26及びコーナー部28の少なくとも一部分を通って、上部プレート表面18と下部プレート表面20との間に1つ又は2つ以上のねじ山経路に沿って延在する。列26を横断するプレートねじ山9の部分は、本明細書では、「列ねじ山」9と称され得る。
図1Eに示されるように、プレートねじ山9は、軸方向基準面における断面外形を有する。断面外形などは、「ねじ山形態」とも称され、また、山頂56と、谷底58と、山頂56と谷底58との間に延在する上部フランク55及び下部フランク57と、を含む。プレートねじ山9を参照して本明細書で使用される場合、「山頂」という用語は、完成したねじ山形態の頂点を指す。以下でより詳細に説明するように、プレートねじ山9のねじ山形態は、様々なねじ角度形成を含む、特にそれらの間に好ましい嵌合係合を提供するために、係止ねじ8の頭部27の雄ねじ29と賞賛的に係合(すなわち、噛合)するように構成されている。
【0019】
図1Cに示されるように、各列26は、中心孔軸22に実質的に面する第1の表面42を画定することができる。第1の表面42はまた、列26の「半径方向最内表面」と称することもできる。したがって、第1の表面42は、列ねじ山9の山頂56を画定する。各列26の第1の表面42は、列26の第1の辺44と周方向に反対側にある第2の辺45との間に延在する。各列26の第1の辺44及び第2の辺45は、列26と周方向に隣接するコーナー部28との間の接合面を画定することができる。列26の第1の表面42は、下方へ先細で略円錐台形形状のセグメント、特に、中心孔軸22と一致する中心円錐軸を画定するセグメントを集合的に画定することができる。
【0020】
1つ又は2つ以上のねじ山経路は、一対の非交差ねじ山経路(すなわち、二重リード)を含むことができるが、他の実施形態では、1つ又は2つ以上のねじ山経路は、単一のねじ山経路(すなわち、単一リード)、又は3つ又は4つ以上のねじ山経路(例えば、三重リードなど)を含むことができる。ねじ山経路は好ましくは螺旋であるが、他のタイプのねじ山経路は、本開示の範囲内である。示されるように、プレートねじ山9は、好ましくは連続的な様式で凹部70の外側の列26及びコーナー部28の各々を周方向に横断する。しかしながら、凹部70は、プレートねじ山9を周方向に中断する。具体的には、凹部面70の少なくとも一部分は、プレートねじ山9の谷底58から半径方向外向きに延在する。別の言い方をすれば、プレートねじ山9は、凹部70内に「ボトムアウト」する。他の実施形態では、コーナー部28の部分はまた、プレートねじ山9を周方向に中断することもできる。
【0021】
図1F及び
図1Gに示されるように、列26は、孔6内の係止ねじ8の挿入中に、係止ねじ8のねじシャフト25が列26を迂回するように、孔6内の内面24が係止ねじ8の頭部27と係合するように構成されている。プレートねじ山9は、ねじシャフト25が列26を迂回した後に、今度は、係止ねじ8と骨プレート4の間に係止係合を提供する様式で、係止ねじ8の頭部上の雄ねじ29と係合する。列26の構造及び動作は、Bosshardらの名前で2020年9月15日に発行された米国特許第10,772,665号(「参考文献’665号」)、Bosshardらの名前で2019年10月31日に公開された米国特許出願公開第2019/0328430(A1)号(「参考文献’430号」)、Oberliらの名前で2020年12月17日に公開された米国特許第2020/0390483(A1)号(「参考文献’483号」)、及びOberliらの名前で2021年1月21日に公開された米国特許出願公開第2021/0015526(A1)号(「参考文献’526号」)に、より完全に記載されており、これらの各々の開示全体は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0022】
図1Cを再度参照すると、孔6は、水平基準面X-Yに孔形状又は「外形」を画定する。したがって、孔6の形状は、「水平孔外形」と称することができる。凹部70は、水平孔外形から逸脱していることが理解されるべきである。別の言い方をすれば、水平孔外形は、凹部70に関係なく画定される。例えば、プレート本体5に孔6を形成する製造プロセス中に、孔6は、水平孔外形を画定するように、プレート本体5にミリングするか、又は別様に切り込むことができ、その後に、凹部70を形成することができる。プレートねじ山9は、凹部70を形成する前又は形成した後に、孔6内に形成することができる。
【0023】
本実施形態では、孔6は、略多角形の水平孔外形を有する。具体的には、以下で更に詳細に考察されるように、本実施形態の孔6は、三角形(すなわち、略三角形)の水平外形を有するが、他の実施形態では、孔6は、他のタイプの多角形の水平外形(例えば、長方形、五角形、六角形など)を有することができ、又は円形の水平外形を有することができる。本実施形態の三角形形状の孔6は、内面24の周囲に沿って時計回りの順序で位置付けられた、第1の列26a、第2の列26b、及び第3の列26cを有する。孔6はまた、第1の列26aに対向する第1のコーナー部28a、第2の列26bに対向する第2のコーナー部28b、及び第3の列26cに対向する第3のコーナー部28cも有する。プレートねじ山9は、好ましくは、孔6の水平外形に対応するそれぞれのねじ山経路に沿って延在する。更に、内面24によって画定される他の特徴は、上部外周30、導入面34a、b、1つ又は2つ以上のアンダーカット面36a、b、及び下部外周32を含む、対応する多角形(例えば、三角形)の水平外形を有することができる。このようにして、多角形(例えば、三角形)の水平孔外形は、孔6の上部外周30から下部外周32まで軸方向に延在することができる。
【0024】
例示される実施形態では、列26の第1の表面42は、線形水平外形を有する。他の実施形態では、第1の表面42のうちの1つ又は2つ以上は、(中心孔軸22から測定したときに)比較的大きい半径を有する弓形外形を有することができる。各列26は、列26の第1の辺44と第2の辺45との間に等距離に離間された列中心線43を画定することができる。水平基準面X-Yにおいて、孔6は、列中心線43において中心孔軸22から列26の第1の表面42まで測定される主半径R2を画定することができる。主半径R2及び他のものを含む、孔6の様々な水平寸法は、名目上、上部プレート表面18と下部プレート表面20(
図1Eを参照されたい)との間に等距離に位置付けられた水平中央平面MPに沿って測定することができることが理解されるべきである。追加的に、中心孔軸22が水平中央面MPと交差する場所は、孔6の幾何学的中心GCを画定することができ、これはまた、孔6の呼び寸法に用いることもできる。
【0025】
図1Cを引き続き参照すると、本実施形態では、コーナー部28は、関連付けられた列26の第1の辺44及び第2の辺45から接線方向に延在する。このようにして、各々水平基準面で見たときに、列26の第1の表面42は、三角形の「辺」を効果的に画定し、一方で、コーナー部28は、三角形のコーナー部を効果的に画定する。したがって、本実施形態の列26はまた、それぞれ、三角形形状の孔6の「辺」と称することもできる。各コーナー部28は、コーナー部軸37から測定される、コーナー部半径R3を画定することができる。各コーナー部28はまた、半径方向Rに沿って測定される、中心孔軸22からの距離R4にも位置決めされる。したがって、距離R4の最大値は、コーナー部28の頂点に位置する。凹部70は、半径方向Rに沿って測定される、中心孔軸からの距離R5に位置決めされる。したがって、距離R5の最大値は、凹部70の頂点軌道75に位置する。孔6は、好ましくは、凹部面72の上端部74と下端部76との間に軸方向に位置付けられた中心孔軸22と直交する任意の基準面内で、距離R5の最大値が距離R4の最大値よりも大きくなるように構成されている。別の言い方をすれば、凹部70は、半径方向Rに沿って、コーナー部28よりも中心孔軸22から遠くに位置付けられる。プレートねじ山9は、上部プレート表面18と下部プレート表面20との間の内面24の三角形外形に沿って中心孔軸22の周りを螺旋状に回転するそれぞれのスプラインに沿って延在する。追加的に、列26並びにコーナー部28を含む内面24は、上部プレート表面18から下部プレート表面20に向かって、中心孔軸22に向かって内向きに先細になる。更に、示されるように、凹部70の外側で、プレートねじ山9は、連続的な(すなわち、プレートねじ山9が、コーナー部28でボトムアウトする必要がない)様式で、列26及びコーナー部28を周方向に横断することができる。したがって、凹部70の外側で、プレートねじ山9は、列26とコーナー部28との間で滑らかかつ連続的に移行することができる。
【0026】
各列26の第1の表面42は、列26の辺44、45の間で測定される列長さLCを画定する。本実施形態では、列長さLCは、ねじ山経路が上部プレート表面18から下部プレート表面20に向かって進むときに、実質的に各列26内で一貫し得る。かかる実施形態では、列長さLCはまた、三角形形状の孔6の「側長」LCと称することもできる。本実施形態の列26a~cは、示されるように、実質的に等しい列長さLCを有することができ、したがって、実質的に等辺の三角形形状を有する孔6を提供する。他の実施形態では、以下で説明するように、2つ又は全ての列の列長さLCは、互いに異なり得る。更なる実施形態では、1つ又は2つ以上の及び全ての列26の列長さLCは、上部プレート表面18から下部プレート表面20に向かって移動しながら連続的に増加させ、それによって、コーナー部半径R3を、下部プレート表面20に向かって徐々に減少させることができる。
【0027】
ここで
図1Dを参照すると、凹部70は、上部プレート表面18と下部プレート表面20との間に軸方向に延在する。凹部面72は、垂直方向Zに対して互いに離間された第1の又は上部端部74及び第2の又は下端部76を有する。凹部面72の上端部74は、孔6の導入面34a、b内に存在することができる。本実施形態では、上端部74は、第2の導入面34b内に位置付けられるが、他の実施形態では、上端部74は、上部プレート表面18と接合する(したがって、孔6の一部分の上部外周30を画定する)ことができ、又は第1の導入面34a又は主表面35内に存在することができる。凹部面72の下端部76は、孔6のアンダーカット面36a、b内に存在することができる。本実施形態では、下端部76は、第2のアンダーカット面36b内に位置付けられるが、他の実施形態では、下端部76は、下部プレート表面20と接合する(したがって、孔6の一部分の下部外周32を画定する)ことができ、又は第1のアンダーカット面36a又は主表面35内に存在することができる。凹部70は、孔6の異なる軸方向部分に位置付けられ得ることが理解されるべきである。例えば、いくつかの実施形態では、凹部70は、孔6の上部軸方向部分内に全体的に存在することができる。
【0028】
凹部面72はまた、第1の辺78から第2の辺80まで孔6の周囲の周りに水平に延在する。示されるように、凹部面72の第1の辺78及び第2の辺80は、周方向に隣接する列26から離れている。他の実施形態では、凹部面72の第1の辺78及び第2の辺80は、好ましくは列26内へ延在せずに、周方向に隣接する列26のそれぞれの近い辺44、45まで延在し、それらと共通の境界を共有することができる。凹部70は、水平基準面(
図1C)において第1の辺78と第2の辺80との間で測定したときに、凹部幅Wを画定する。凹部70はまた、半径方向R(
図1E)に沿って第1の辺78及び第2の辺80から頂点軌道75まで測定したときに、半径方向凹部深さRDも画定する。凹部幅W及び深さRDは、水平中央面MPにおいて測定することができることが理解されるべきである。凹部面72の第1の辺78及び第2の辺80は、プレートねじ山9のねじ山形態とそれぞれのねじ山接合面境界82、84を画定する。本明細書に例示された実施形態では、プレートねじ山9は、凹部70内で全周方向に中断される。したがって、プレートねじ山9は、凹部面72に沿ってボトムアウトし、そのため、プレートねじ山9の谷底58は、ねじ山接合面境界82、84沿ったねじ山9のそれぞれの周方向終端79である。
【0029】
図1Eを再度参照すると、軸方向基準面において、プレートねじ山9の山頂56は、山頂軌道軸46に沿って延在する。本実施形態では、山頂軌道軸46は、線形であり、また、中心孔軸22に対して鋭角の山頂軌道角度A1で配向することができる。山頂軌道角度A1は、約5度~約30度の範囲、より具体的には約10度~約20度の範囲、好ましくは約13度~約17度の範囲とすることができる。山頂軌道角度A1は、(中心孔軸22に対して測定したときに)第1の導入面34aが孔6内に下降する角度よりも大きくすることができる。第1の導入面34aは、示されるように、基準面の線形外形を有することができるが、他の実施形態では、第1の導入面34aは、基準面において弓状外形を有することができる。第2の導入面34bは、孔6の第1の導入面34aから主表面35への移行を提供する凹状の弓状外形を有することができることが理解されるべきである。他の実施形態では、第2の導入面34bは、軸方向基準面において線形外形を有することができる。
【0030】
凹部70は、中央凹部軸77に沿って延在する。本実施形態では、中心凹部軸77は、斜めの凹部軸角度A2で中心孔軸22から角度オフセットされる。他の実施形態では、中心凹部軸77は、中心孔軸22と平行にすることができる。示されるように、中心凹部軸77は、中心凹部軸77に垂直な方向に沿って測定したときに、軸分離距離G1だけ孔6の幾何学的中心GCから離間されている。凹部面72は、非限定的な例として、円筒形、円錐形(例えば、円錐台形)、角柱、若しくは球形、又はそれらのセグメントなどの、様々な三次元(three-dimensional、3D)のジオメトリ又は「形状」を有することができる。本実施形態では、凹部面72は、中心凹部軸77と同じ範囲にわたる中心軸を有する、シリンダのセグメントを画定する。したがって、この実施形態では、凹部頂点軌道75は、中心孔軸22から頂点軌道75まで測定したときに、凹部軸角度A2に等しい凹部テーパ角度A3を画定する。したがって、凹部頂点軌道75は、中心凹部軸77に垂直な方向に沿って測定したときに、距離D1だけ中心凹部軸77から離間されている。本実施形態では、距離D1は、効果的にシリンダセグメントの半径である。本実施形態では、凹部軸角度A2及び凹部テーパ角度A3は、山頂軌道角度A1よりもわずかに小さく、したがって、凹部面70に沿って軸方向下方に移動しながら、半径方向の凹部深さRDを増加させる。山頂軌道軸46及び中心凹部軸77の相対配向はまた、凹部面72の円筒形ジオメトリと組み合わせて、凹部70の上端部74から下端部76へ移動しながら、凹部幅Wを増加させる。凹部軸角度A2及び凹部テーパ角度A3の各々は、約3度~約30度の範囲、より具体的には約7度~約20度の範囲、好ましくは約11度~約15度の範囲とすることができる。他の実施形態では、凹部軸角度A1及び凹部テーパ角度A3のうちの一方又は両方は、山頂軌道角度A1と実質的に等しくなり得る。
【0031】
ここで
図1F及び
図1Gを参照しながら、VA係止ねじ8の頭部27上のプレートねじ山9と雄ねじ29との螺合を説明する。
図1Fは、公称配向で挿入された、すなわち、ねじ8が実質的に中心孔軸22と同じ範囲にわたってねじ軸52に沿って挿入されたときの係止ねじ8を示している。
図1Gは、角度付き配向で挿入された、すなわち、ねじ軸52が中心孔軸22に対して鋭角A0で配向されたときの係止ねじ8を示している。かかる角度付きねじ配向は、「角度形成」と称することができる。参考文献’483号に更に詳細に説明されるように、三角形形状の孔6の列26及びコーナー部28は、プレートねじ山9とねじ頭部ねじ山29との間の好ましいねじ山付き係止接合面を提供する。更に、凹部70の存在は、追加の利益を提供する。例えば、前述の様式でプレートねじ山9を中断することによって、ねじ山接合面境界82、84に沿ってそれらに隣接するプレートねじ山9の一部分は、VA係止ねじ8の頭部27のねじ山29との螺合中に、増加した変形を呈する。参考文献’430号に更に詳細に説明されるように、かかるプレートねじ山9の変形の増加は、ねじ頭部27のプレートねじ山9とねじ山29との間のねじ山付き係止接合面を増加させることを示している。更に、
図1Gに示されるように、頭部27が角度形成することができる凹部70の存在は、追加の空間を提供する。また、凹部テーパ角度A3は、凹部頂点をねじ頭部27に近接して維持することができ、それによって、前述の利益を提供し、一方でまた、凹部70の存在によって生じるプレート強度の任意の減少を制限することも理解されるべきである。
【0032】
ここで
図2A及び
図2Bを参照すると、凹部70が
図1A~
図1Eに示される実施形態の幅よりも狭い凹部幅Wを有する、VA係止孔6の別の実施形態が示されている。この追加的な実施形態の孔6は、別様には、上で説明した孔6と同様である。したがって、上で説明した実施形態と同様の参照番号が、この追加的な実施形態においても使用される。上記の孔6と同様に、凹部面72は、凹部軸角度A2で配向される中心凹部軸77に沿って延在するシリンダのセグメントを画定する。本実施形態では、距離D1は、上記の実施形態の距離よりも短く、一方で、軸分離距離G1は、凹部頂点軌道75は、上記の実施形態と実質的に等しい半径方向距離に、中心孔軸から離間されるように、上記の実施形態の距離よりも長い。追加的な実施形態では、凹部形状、凹部幅W、凹部深さRD、凹部軸角度A2、軸分離距離G1、凹部テーパ角度A3、距離D1のうちの1つ又は2つ以上及びそれらの全てを含む、凹部70のジオメトリ、寸法、及び間隔は、本開示の範囲内にあることを維持しながら、所望に応じて変更することができる。
【0033】
ここで
図3A~
図3Cを参照すると、凹部軸77が中心孔軸22と平行である、VA係止孔6の追加的な一実施形態が示されている。したがって、本実施形態では、軸分離距離G1は、半径方向Rに沿って測定される。かかる実施形態では、中心孔軸22が垂直方向Zに沿って配向された場合、凹部頂点軌道75もまた垂直方向Zに沿って配向される。本実施形態の孔6は、その他の点では、上で説明した孔6と略同様である。したがって、上で説明した実施形態と同様の参照番号が、この追加的な実施形態においても使用される。簡潔にするために、以下の開示は、主に、本実施形態のVA係止孔6と上記の実施形態のVA係止孔6との相違点に焦点を当てる。
【0034】
本実施形態では、凹部面72は、シリンダのセグメントを画定し、凹部頂点軌道75を含む、主部分72aを含むことができる。凹部面72は、主部分72aから孔6の中央領域に向かって、例えば長手方向Xに沿って延在する、延在部分72bを更に含む。延在部分72bは、互いに平行に延在することができ、かつ凹部面72のそれぞれの辺78、80の一部分を画定する、対向する側面86、88を含むことができる。他の実施形態では、対向する側面86、88は、互いに対してある角度で延在することができる。例えば、対向する側面86、88は、互いから離れて孔6の中央領域に向かって先細にすることができ、又は孔6の中央領域に向かって、互いに向かって先細にすることができる。
図3Cに示されるように、山頂軌道角度A1のため、延在部分72b及びその対向する側面86、88は、主に、孔6の下部軸方向部分の中に位置付けられる。追加的な実施形態では、軸分離距離G1を長手方向Xに沿って増加させ、それによって、凹部深さRDも増加させ、更には、対向する側面86、88のそれぞれの長さD2を長手方向Xに沿って増加させることができる。距離G1及び凹部深さRDは、必要に応じて増加させることができることが理解されるべきである。例えば、更なる実施形態では、軸分離距離G1及び凹部深さRDのうちの一方又は両方は、孔6の上部外周30を越えて(又は少なくとも、凹部70から離れている上部外周30の一部分を越えて)半径方向に延在することができる。
【0035】
ここで
図4A~
図4Cを参照すると、第2の列26b及び第3の列c(すなわち、凹部70に隣接する2つの列26b、c)の列長さLC-2が、第1の列26a(すなわち、凹部70の反対側の列26a)の列長さLC-1よりも長い、VA係止孔6の更なる実施形態が示されている。したがって、第2の列26b及び第3の列cは、第1の列26aと比較して細長いものと特徴付けることができる。追加的に、凹部幅W及び凹部深さRDは、
図3A~
図3Cに示される実施形態よりも大きい。本実施形態の孔6は、別様には、
図3A~
図3Cを参照しながら上で説明した孔6と同様である。したがって、上で説明した実施形態と同様の参照番号が、この追加的な実施形態においても使用される。簡潔にするために、以下の開示は、主に、本実施形態のVA係止孔6と上記の実施形態のVA係止孔6との相違点に焦点を当てる。
【0036】
増加した凹部深さRDは、
図3A~
図3Cに示される実施形態と比較して軸分離距離G1及び/又は対向する側面86、88の長さD2を増加させることによって、少なくとも部分的に提供され得る。側面86、88の増加した長さD2は、よりスロット状のジオメトリを有する凹部70を提供することができる。本実施形態では、その頂点軌道75を含む凹部面72は、上部プレート表面18から下部プレート表面まで全体的に延在することができる。追加的に、細長い第2の列26b及び細長い第3の列cは、頭部27を第1のコーナー部28a及び/又は凹部70に進入させる高い角度形成A0で骨ねじ8が挿入されたときに、骨ねじ8の頭部を受容するための更に追加の空間を効果的に提供する。追加的に、細長い第2の列26b及び細長い第3の列c、第1のコーナー部28a、及びねじ山接合面境界82、84に沿ったプレートねじ山9は、かかる角度形成A0で、プレートねじ山9とねじ頭部ねじ山29との間に増加した係止ねじ山接合面を提供することができる。更に、対向する側面86、88はまた、上で考察された高い角度形成におけるプレートねじ山9の急な及び/又は鋭い縁部とねじ頭部ねじ山29との接触を回避する、最小にする、又は少なくとも低減するためのリリーフ表面として特徴付けることもできる。このようにして、細長い第2の列26b及び細長い第3の列c及び凹部70の側面86、88は、参考文献’526号の
図12A~
図13Hを参照しながらより完全に説明されるものと同様の利益を提供することができる。
【0037】
上で説明した実施形態によるVA係止孔6の凹部70は、更に追加の利益を提供することができることが理解されるべきである。例えば、凹部70は、非限定的な例として、ドリルガイド及び/又は曲げピンなどの器具又はツールの賞賛的な構造体を受けて嵌合するように構成することができる。追加的又は代替的に、特に
図3A~
図4Cに示される凹部70を用いて、骨ねじの孔6への挿入前に、挿入中に、又は挿入後に、キルシュナーワイヤ(「Kirschner wire、K-ワイヤ」)などのガイド部材を受容することができる。
【0038】
ここで
図5A及び
図5Bを参照すると、本開示のVA係止孔6は、ドリルガイド102などの器具と嵌合するように構成することができる。骨プレート4及びドリルガイド102は、一緒に骨固定システム100を画定することができる。ドリルガイド102は、遠位方向Dに沿って近位端106から遠位端108まで延在するガイド本体104を含む。ガイド本体は、近位端106の近位チャネル開口部107から遠位端108の遠位チャネル開口部109まで延在するチャネル105を画定する。ガイド本体104は、孔6内に延在して、その内面24に着座するように構成することができる、遠位装着形成部110を画定する。遠位装着形成部110は、遠位チャネル開口部109が下にある骨99を受け入れるように、孔6の主表面35と嵌合するように構成された円錐台形形状を有する、外側主実装面112を含むことができる。遠位装着形成部110はまた、主実装面112から離れて延在し、かつ凹部70のジオメトリと賞賛的なジオメトリを有する突出部114を含むこともできる。したがって、
図5Bに示されるように、突出部114は、下にある骨99を標的にするための孔6に対して所望の配向でドリルガイド102を固定する様式で、孔6の凹部70内に存在し、それと嵌合するように構成することができる。
【0039】
ここで
図6A及び
図6Bを参照すると、上で説明したように、凹部70を各々が有する複数のVA係止孔6を有する骨プレート4の例示的な一実施形態が示されている。この実施形態では、孔6は、対向する第1の長手方向X1及び第2の長手方向X2に沿って、骨プレート4に選択的な動的圧縮を提供するように調整される。プレート4は、長手方向Xに沿って配向された長手方向軸3に沿って互いに離間された第1の端部10及び第2の端部12を有する。第1の長手方向X1は、第2の端部12から第1の端部10まで延在する。第2の長手方向X2は、第1の端部10から第2の端部12まで延在する。孔6は、プレート4の第1の長手方向領域4aに沿った孔6の第1の群及びプレート4の第2の長手方向領域4bに沿った孔6の第2の群に配置することができる。この実施例では、第1の長手方向領域4a及び第2の長手方向領域4bは、プレート4の長手方向中間点XMの共通境界まで延在する。第1の群の各孔6は、第1の長手方向X1の動的圧縮を提供するように(すなわち、プレート4を下にある骨99に対して並進させるように)配向される。第2の群の各孔6は、第2の長手方向X2の動的圧縮を提供するように配向される。孔6の配置及び配向は、特定の外科的療法の必要性に従って様々な方向においてプレート4に動的圧縮能力を提供するように、必要に応じて適合させることができることが理解されるべきである。
【0040】
ここで
図6Cを参照すると、各孔6及びその関連する凹部70は、骨ねじ、特に圧縮ねじの偏心挿入に応答する動的圧縮を提供するように構成することができる。偏心挿入中に、圧縮ねじは、この実施例では第2の長手方向X2であるオフセット方向に沿ったオフセット距離O1だけ中心孔軸22からオフセットされた挿入軸52に沿って挿入される。かかる偏心ねじ挿入中に、凹部70は、とりわけ、孔6の内面24に対する機械的干渉を伴わずに、ねじシャフト上の雄ねじが孔6を通って前進することを可能にすることができる、追加の半径方向の空間を提供する。このようにして、凹部70は、孔6によって提供される並進距離を増加させ、したがって、動的圧縮のための骨プレート4の並進能力を高めることができる。追加的に、凹部70の存在は、97aとして表されるようにねじ頭部を偏心挿入させて、凹部70の辺78、80に沿って接触位置95において内面24に接触させることができる。圧縮ねじの頭部のその後の軸方向進行は、頭部を凹部70の辺78、80に沿った接触経路98に沿って進行させることができ、これは、例えば圧縮ねじが内面24に対して完全に着座するまで、第2の長手方向X2に沿ったプレート4のねじに対する同時的な並進を効果的に「ファンネルする」こと、又は別様に方向付けることができる。97bとして表されるように圧縮ねじ頭部が完全に着座した時点で、ねじ軸55は、中心孔軸22と実質的に同じ範囲にわたることができる。したがって、例示された実施例では、オフセット距離O1はまた、動的圧縮によって生じるプレート4の並進距離も表す。更に、
図6Bを再度参照すると、各孔6の配向、特に凹部70のそれぞれの位置は、孔6によって提供される並進方向を決定することができる。例示された実施形態の骨プレート4は、第1の長手方向X1又は第2の長手方向X2のいずれかに動的圧縮(すなわち、プレートの並進)を方向付けるように構成されている。他の実施形態では、孔6(それらの凹部70)のうちの1つ又は2つ以上を、第1の長手方向X1及び第2の長手方向X2からオフセットされた様々な方向に沿って動的圧縮を提供するように配向することができることが理解されるべきである。
【0041】
本明細書に記載されるプレート本体5、係止ねじ8、及び圧縮ねじの各々は、1つ又は2つ以上の生体適合性材料を含むことができる。非限定的な例として、プレート本体5は、チタン、チタン合金(例えば、Ti-6Al-7Nbなどのチタン-アルミニウム-ニオブ(titanium-aluminum-niobium、TAN)合金、及びTi-6Al-4Vなどのチタン-アルミニウム-バナジウム(titanium-aluminum-vanadium、TAV)合金、チタンモリブデン合金(titanium molybdenum alloys、Ti-Mo)又は任意の他のモリブデン金属合金、及びニチノールなどのニッケルチタン合金)、ステンレス鋼、及びコバルト基合金(例えば、コバルトクロム合金)などの金属;複合材料;ポリマー材料;セラミック材料、並びに/又は前述の材料カテゴリ(金属、複合材、ポリマー、セラミック)の再吸収可能なバージョンを含む再吸収性材料、を含む群から選択される材料で形成することができる。同じく、非限定的な例として、係止ねじ8及び圧縮ねじは、チタン、チタン合金(例えば、TAN合金、Ti-6Al-4VなどのTAV合金、チタンモリブデン合金(Ti-Mo)又は任意の他のモリブデン金属合金、及びニチノールなどのニッケルチタン合金)、ステンレス鋼、コバルト基合金(例えば、コバルトクロム合金)などの金属;複合材料;ポリマー材料;セラミック材料、並びに/又は前述の材料カテゴリ(金属、複合材、ポリマー、セラミック)の再吸収可能なバージョンを含む再吸収性材料、を含む群から選択される材料で形成することができる。好ましくは、係止ねじ8及び圧縮ねじの材料は、プレート本体5の材料の硬度よりも高い硬度を有する。このパラメータは、本開示の全体を通して説明されるねじ山付き係止特性及び動的圧縮特性に寄与する。好ましくは、プレート本体5は、主に又は全体的にチタンを含み、係止ねじ8及び圧縮ねじは、主に又は全体的にTANを含む。しかしながら、骨プレート4及び/又はねじの他の物質組成は、本開示の範囲内であることが理解されるべきである。
【0042】
更に、プレート本体5及び/又はねじの表面は、任意選択的に、コーティングプロセス、処理プロセス、及び/又は仕上げプロセスなどの1つ又は2つ以上のプロセスを受けることができ、これらのプロセスは、参考文献’483号及び同’526号に更に詳細に記載されているように、本体材料の硬度、軟度、及び/又は摩擦パラメータを調整するなどの、かかる表面、又は下にある被験者身体材料に特定の特性を提供するために行うことができる。
【0043】
上で説明した様々な孔6のパラメータは、それぞれの係止ねじ又は圧縮ねじの頭部との選択的な係止係合又はそれらによる動的圧縮を達成するように孔6を適合させるための例示的な特徴として提供されることが理解されるべきである。これらのパラメータは、本開示の範囲から逸脱することなく、必要に応じて調整することができる。
【0044】
また、追加的な実施形態では、任意の孔6の内面24は、プレート本体5の軸方向開口又はレセプタクル内に嵌合されるインサートプレート本体(例えば、「インサート」又は「インレー」)によって画定することができることも理解されるべきである。かかる実施形態では、骨プレート4は、医師が、必要とされる所望の特性を提供する特定のインサートを選択することができるように、孔6が異なる形状及びジオメトリを有する複数の交換式インサートを含むキットで提供することができる。
【0045】
本明細書において、要素、構成要素、寸法、又はそれらの特徴(例えば、「第1の」列、「第2の」凹部、「第2の」端部、「第1の」方向)に関して数的な前置詞(例えば、「第1の」、「第2の」、「第3の」)が使用される場合、かかる数的な前置詞は、当該要素、構成要素、寸法、及び/又は特徴を、別のかかる要素、構成要素、寸法、及び/又は特徴から区別するために使用され、その場合に使用される使用される特定の数的な前置詞に限定されるものではないことが更に理解されるべきである。例えば、非限定的な例として、「第1の」列、凹部、端部、又は方向は、当該要素、構成要素、寸法、及び/又は特徴が、数的な前置詞が使用される文脈で適切に区別されたままである限り、本開示の範囲から逸脱することなく、異なる文脈で「第2の」列、凹部、端部、又は方向と称することもできる。
【0046】
本開示を詳細に説明してきたが、添付の特許請求の範囲により定義される本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、本明細書において様々な変更、代用、及び改変を行い得る点を理解されたい。更に、本開示の範囲は、本明細書に説明される特定の実施形態に限定されるものではない。特に、前述の実施形態からの特徴のうちの1つ又は2つ以上は、本明細書の他の実施形態において使用されることができる。当業者がそのプロセスから容易に理解するように、本明細書において説明される対応する実施形態と実質的に同じ機能を実施する、又は実質的に同じ結果を達成する、現在存在する又は後に開発される機械、製造法、組成物、手段、方法、又は工程は、本開示に従って利用され得る。
【0047】
〔実施の態様〕
(1) 骨プレートであって、
外面及び前記外面の反対側の骨対向面と、
中心孔軸に沿って前記外面から前記骨対向面まで延在する少なくとも1つの孔を画定する内面と、を備え、前記内面が、
前記外面と前記骨対向面との間に延在するプレートねじ山であって、係止骨ねじの頭部の雄ねじと係止係合するように構成されている、プレートねじ山と、
前記中心孔軸の周りに順次位置付けられた第1の列、第2の列、及び第3の列と、
前記第2の列の第1の辺から前記第1の列の第2の辺まで接線方向に延在する第1のコーナー部と、
前記第3の列の第2の辺から前記第1の列の第1の辺まで接線方向に延在する第2のコーナー部であって、前記第1のコーナー部及び前記第2のコーナー部が、前記中心孔軸に垂直な半径方向に沿って測定された第1の距離に、前記中心孔軸から実質的に等距離に離間されており、前記プレートねじ山が、前記第1の列、前記第2の列、及び前記第3の列を横切って、かつ前記第1のコーナー部及び前記第2のコーナー部を横切って延在する、第2のコーナー部と、
前記第2の列と前記第3の列との間に位置付けられており、かつ前記第1の列に面する凹部であって、前記凹部の頂点は、前記凹部が前記プレートねじ山のうちの少なくとも1つのねじ山形態の少なくとも一部分を周方向に中断するように、前記第1の距離よりも大きい第2の距離に、前記中心孔軸から離間されている、凹部と、を更に画定する、骨プレート。
(2) 前記凹部の前記頂点が、鋭角で前記外面から前記骨対向面に向かって、前記中心孔軸に向かって内向きに先細になる頂点軌道に沿って延在する、実施態様1に記載の骨プレート。
(3) 頂点軌道軸の前記鋭角が、約11度~約15度の範囲である、実施態様2に記載の骨プレート。
(4) 前記第1の列、前記第2の列、及び前記第3の列の各々が、前記プレートねじ山の山頂と交差するそれぞれの山頂軌道軸を画定しており、各山頂軌道軸が、鋭角で前記外面から前記骨対向面に向かって、前記中心孔軸に向かって内向きに先細になり、
前記山頂軌道軸の前記鋭角が、実質的に等しく、
前記頂点軌道の前記鋭角が、前記山頂軌道軸の前記鋭角よりも小さい、実施態様3に記載の骨プレート。
(5) 前記内面は、
主軸方向部分であって、それに沿って前記プレートねじ山が延在する、主軸方向部分と、前記外面と前記主軸方向部分との間に延在する1つ又は2つ以上の導入面と、前記主軸方向部分と前記骨対向面との間に延在する1つ又は2つ以上のアンダーカット面と、を含み、
前記凹部が、前記1つ又は2つ以上の導入面と接合する第1の端部、及び前記1つ又は2つ以上のアンダーカット面と接合する第2の端部から延在する、実施態様2に記載の骨プレート。
【0048】
(6) 前記凹部の前記頂点が、前記中心孔軸と実質的に平行である頂点軌道に沿って延在する、実施態様1に記載の骨プレート。
(7) 前記凹部の前記頂点が、外側プレート表面及び前記骨対向面から延在しており、かつそれらと連続している、実施態様6に記載の骨プレート。
(8) 前記内面が、前記凹部内に凹部面を画定しており、前記頂点を含む前記凹部面の少なくとも一部分が、シリンダのセグメントを画定する、実施態様1に記載の骨プレート。
(9) 前記凹部面の前記一部分が、第1の部分であり、前記凹部面が、前記第1の部分から前記孔の中央領域に向かって延在する第2の部分を更に画定しており、前記第2の部分が、互いに平行して配向されている反対面を画定する、実施態様8に記載の骨プレート。
(10) 前記第1の列が、前記第1の列の前記第1の辺と前記第2の辺との間で測定された第1の列長さを画定しており、
前記第2の列が、前記第2の列の前記第1の辺と前記第2の列の前記第1の辺の反対側の前記第2の列の第2の辺との間で測定された第2の列長さを画定しており、
前記第3の列が、前記第3の列の前記第2の辺と前記第3の列の前記第2の辺の反対側の前記第3の列の第1の辺との間で測定された第3の列長さを画定しており、前記第2の列長さ及び前記第3の列長さが、等距離であり、かつ前記第1の列長さよりも大きい、実施態様1に記載の骨プレート。
【0049】
(11) 前記凹部が、前記プレートねじ山のうちの前記少なくとも1つのねじ山形態全体を周方向に中断する、実施態様1に記載の骨プレート。
(12) 前記凹部が、前記プレートねじ山のうちのいくつか及び最大で全てのねじ山形態全体を周方向に中断する、実施態様1に記載の骨プレート。
(13) 前記骨プレートが、長手方向軸に沿って細長く、前記骨プレートが、前記少なくとも1つの孔と同様に構成された少なくとも1つの第2の孔を更に備え、前記長手方向軸が、前記少なくとも1つの孔及び前記少なくとも1つの第2の孔の前記凹部の前記頂点と交差する、実施態様1に記載の骨プレート。
(14) 骨固定システムであって、
骨プレートであって、前記骨プレートが、外面と、前記外面の反対側の骨対向面と、中心孔軸に沿って前記外面から前記骨対向面まで延在する孔を画定する内面と、を画定しており、前記内面が、
前記外面と前記骨対向面との間に延在するプレートねじ山と、
前記中心孔軸の周りに順次位置付けられた第1の列、第2の列、及び第3の列と、
前記第2の列の第1の辺から前記第1の列の第2の辺まで接線方向に延在する第1のコーナー部と、
前記第3の列の第2の辺から前記第1の列の第1の辺まで接線方向に延在する第2のコーナー部であって、前記第1のコーナー部及び前記第2のコーナー部が、前記中心孔軸に垂直な半径方向に沿って測定された第1の距離に、前記中心孔軸から実質的に等距離に離間されており、前記プレートねじ山が、前記第1の列、前記第2の列、及び前記第3の列を横切って、かつ前記第1のコーナー部及び前記第2のコーナー部を横切って延在する、第2のコーナー部と、
前記第2の列と前記第3の列との間に位置付けられており、かつ前記第1の列に面する凹部であって、前記凹部の頂点は、前記凹部が前記プレートねじ山のうちの少なくともいくつかのねじ山形態の少なくとも一部分を周方向に中断するように、前記第1の距離よりも大きい第2の距離に、前記中心孔軸から離間されている、凹部と、を更に画定する、骨プレートと、
骨ねじと、を備え、前記骨ねじが、頭部と、前記頭部から遠位方向に延在するシャフトと、を有し、前記シャフトが、下にある骨と係合するように構成された雄ねじを有し、前記頭部が、前記骨プレートを前記下にある骨に固設する様式で、前記第1の列、前記第2の列、及び前記第3の列のうちのいずれかと係合するように構成されている、骨固定システム。
(15) 前記骨ねじの前記頭部が、前記頭部を前記内面に係止する様式で、前記プレートねじ山とねじ方式で係合するように構成された雄ねじを画定する、実施態様14に記載の骨固定システム。
【0050】
(16) 前記骨ねじの前記頭部の外面が、実質的に滑らかであり、かつ前記骨プレートを下にある骨に対して、前記下にある骨に垂直な方向に沿って並進させる様式で、前記凹部に沿って凹部面の少なくとも一部分に接触するように構成されている、実施態様14に記載の骨固定システム。
(17) 骨固定システムであって、
骨プレートであって、前記骨プレートが、外面と、前記外面の反対側の骨対向面と、中心孔軸に沿って前記外面から前記骨対向面まで延在する孔を画定する内面と、を画定しており、前記内面が、
前記外面と前記骨対向面との間に延在するプレートねじ山と、
前記中心孔軸の周りに順次位置付けられた第1の列、第2の列、及び第3の列と、
前記第2の列の第1の辺から前記第1の列の第2の辺まで接線方向に延在する第1のコーナー部と、
前記第3の列の第2の辺から前記第1の列の第1の辺まで接線方向に延在する第2のコーナー部であって、前記第1のコーナー部及び前記第2のコーナー部が、前記中心孔軸に垂直な半径方向に沿って測定された第1の距離に、前記中心孔軸から実質的に等距離に離間されており、前記プレートねじ山が、前記第1の列、前記第2の列、及び前記第3の列を横切って、かつ前記第1のコーナー部及び前記第2のコーナー部を横切って延在する、第2のコーナー部と、
前記第2の列と前記第3の列との間に位置付けられており、かつ前記第1の列に面する凹部であって、前記凹部の頂点は、前記凹部が前記プレートねじ山のうちの少なくとも1つのねじ山形態の少なくとも一部分を周方向に中断するように、前記第1の距離よりも大きい第2の距離に、前記中心孔軸から離間されている、凹部と、を更に画定する、骨プレートと、
遠位取り付け部分を有する器具と、を備え、前記遠位取り付け部分が、前記孔と嵌合するように構成された第1の形成部と、前記第1の形成部から外向きに延在する突出部と、を含み、前記突出部及び前記凹部が、賞賛的な(complimentary)ジオメトリを画定しており、そのため、前記突出部が、前記孔で前記第1の形成部を固定する様式で前記凹部と嵌合するように構成されている、骨固定システム。
(18) 前記器具が、前記器具の近位端から前記器具の遠位端まで延在するチャネルを画定しており、前記チャネルの中心軸は、前記突出部が前記凹部と嵌合しているときに前記中心孔軸と同じ範囲にわたるように構成されている、実施態様17に記載の骨固定システム。
(19) 前記凹部の前記頂点が、前記中心孔軸と平行である第1の頂点軌道に沿って延在しており、前記突出部が、前記チャネルの前記中心軸と平行である第2の頂点軌道に沿って延在する頂点を画定しており、前記突出部の前記頂点が、前記凹部の前記頂点と入れ子になるように構成されている、実施態様18に記載の骨固定システム。
(20) 前記チャネルを通って延在し、かつ下にある骨と係合するように構成されたツールを更に備える、実施態様19に記載の骨固定システム。
【国際調査報告】